2013年2月14日木曜日

あまくさっ♪ すんどめ。 - 3

267第三話(20話)―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/12(土) 22:55:55.40 ID:f38O5EHO0
 ―――とある日、AM11:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・




その日は久しぶりの休日だった。
こんな言い方すると、必要悪の教会(ネセサリウス)強いては天草式が労働基準法違反で未成年を酷使しているみたいな言い方だが、
別にそういう訳ではない。ちゃんと週休1,2日はあるし、給料も並のサラリーマン以上に貰っている。

僕ら天草式若衆の給金はネセサリウスから国税が、天草式から宗教法人の云々で給金が上乗せという形で振り込まれているらしい。

尤も、そこから就学費や保険とか教会に納める寄付金をしょっ引かれて手元に残るのだが、それでも学生のバイト賃として考えれば、
源泉徴収が出てしまう程の額なので贅沢もいいとこである。


香焼「まぁ浦上とか建宮さん、牛深さんみたいに無駄遣い多かったり、野母崎さんみたいに扶養家族持ちだとまた別に大変っすけどね」

もあい「なぅ」コロコロ・・・

神裂「……貴方は本当に中学生ですか」ハァ・・・


逆にカオリ姉さんは名義上給料支払う側だから確定申告とか如何してるのか気になる所だ。


香焼「対馬さんとか諫早さんに税金関係お願いしてるんすか?」チラッ・・・

神裂「だ、だから貴方が知る必要無いでしょう」タラー・・・


こりゃ税金関係は一切関わってないな。天草内で詳しい人間か、顧問税理士でも雇ってるのかもしれない。

さておき、話を戻す。先程『久しぶり』の休日といった意味。それは……馬鹿姉共が居ない土曜日だからだ!
2人して建宮さんに呼ばれたらしく、今は多分英国か天草本部に出向いている。


神裂「私は良いのですか?」

香焼「だって姉さん一人じゃ馬鹿にならないっすもん」

神裂「……褒められてるんだか、実は馬鹿といわれてるんだか」ハァ・・・

もあい「にゃー」ゴロゴロ・・・


いえいえ、尊敬してますよ。


香焼「それに、姉さん午後から固法さん達と御出掛けでしょう」

神裂「ええ。つまり、午後はこの家に貴方だけですね」

香焼「はい」フフフ・・・


つまり、今日の午後は『ドブ日(まったく何もせず、意味も無い日)』にするつもりだ。
勉強や報告書も昨日の内に終わってるし、寝たり何だりゴロゴロしまくろう!
268第三話(20話)―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/12(土) 23:26:51.21 ID:f38O5EHO0
そんでもって大体30分後……姉さんが外出準備を終え、バスの時刻を待っていた。
僕は特にする事も無いのでもあいと一緒にPCで猫の為のDVDとやらを観賞中。


神裂「……久しぶりの休みとはいえ、ゴロゴロし過ぎてはいけませんよ」

香焼「はーい」

もあい「にゃー」

神裂(まるで分かってない……まぁ普段ワーカーホリック気味ですし、放っておきましょうか)


因みに、今日の姉さんの服装は紫のセーターに青黒のレディースパンツ。
化粧は最低限で髪は結んでいない。


香焼「……もうちょっとちゃんと化粧しないと、麦野さんに怒られるっすよ」

神裂「余計なお世話です……何なら貴方が化粧の指南をしてくれますか?」

香焼「勘弁っす」

神裂「だって貴方の方が私よりも」

香焼「言わないでください……認めたくありませんから」ハァ・・・


姉よりメイク上手な弟って如何なのよ。


香焼「そんな事より、そろそろバスの時間っすよ」

神裂「む。そうですね……では出ますが、お昼はしっかり取るのですよ」スッ・・・

香焼「はーい」

神裂「カップラーメンや冷凍・インスタント食品で済ませてはいけませんよ」

香焼「はーい」

神裂(これが、反抗期でしょうか……まぁ良い子過ぎるのも問題ですからね)フム・・・


帰りは遅くなるかもしれません、と出発した姉さん。多分、麦野さん家でオール飲みだろうな。
という訳で……晴れて暇だ!


香焼「ん~~~~~っ!! 暇だぞもあい!」ニャー!

もあい「にゃー!」ゴロゴロ・・・

香焼「何しよっかー?」

もあい「なぅ?」フシフシ・・・


何でも出来るなぁ。短刀(ナイフ)の整備兼観賞も出来るし、積んでた本も消化できる。
とりあえず……昼飯食べてから考えよう。

269 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/12(土) 23:43:34.44 ID:f38O5EHO0
一応、日頃の食事も鍛錬の一環なのでそれ相応の昼食は作るつもりだ。
だがしかし、あっさり適当に作れるモノで良いやとか考えつつ台所に向かおうとした時……ふと、携帯が光っていたのに気付く。

メールが二件。


香焼「……ステイルと、軍覇?」キョトン・・・


珍しい組み合わせだ。


・ステイル:暇か?          ・削板:腹減った(>0<))”


いや……どうしよう。無視するのも何だか悪いし。


香焼「……当たり障りない返信しとこう」Pi!


ステイルには『どうしたの?』と、軍覇には『お金は?』と返す。
すると即行で返事寄越しやがった。


・ステイル:暇だ           ・削板:ジジイがくれない! そんな事抜きで香焼の飯を毎日食いたい!


前者は対応に困る。後者は……もっと困る。何これプロポーズ?


香焼「はぁ……仕方ない。多めに作っておくか」カチッ・・・

もあい「にゃー」コロコロ・・・


2人に『昼食食べに来ていいよ』と同じメールを送る。

勘だけど、この流れだともしかしたら最愛辺りもメールを寄越しそうだ。
もし多めに作り過ぎたらタッパーに詰めて軍覇に渡せば良いし……パパっと準備出来るキムチ炒飯でも作ろう。


香焼「……あ。人来るなら着替えなきゃ」ジー・・・


起床してそのままゴロゴロしてたので、まだパジャマ姿だ。
とりあえずご飯早炊きしといて、シャワー浴びてこよう。

270 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/13(日) 00:03:07.18 ID:88QHB57N0
一寸後、シャワーを終え携帯を見ると早速2人から返事が来ていた。


ステイル:少し遅れていくが……五和と浦上は居るのか?        削板:少し遅れてく! あ、最愛とか居んの?


何故か似たような文章……コイツら結託してるんじゃなかろうな。
互いに互いの事は知らない筈なので『都市(英国)の友人が一人来るけど気にしないで。因みに男だよ』と返事する。
軍覇は気にせず来るだろうが、ステイルはもしかして来ないかもね。

さておき、米はまだ炊けてない。炒飯作るつもりだから、2人が着いてから作った方が良いだろう。


香焼「んー……時間、空いちゃうなぁ」ポリポリ・・・

もあい「みー」ジー・・・


暇潰しに何かしよう……―――


①短刀(ナイフ)整備兼観賞

②溜めてた漫画を読む

③その他(具体的に)


                    >>272

271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 00:07:22.45 ID:lnp7XWi2o
2
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(三重県) [sage]:2011/11/13(日) 00:08:12.74 ID:ZrHq20o1o
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/13(日) 00:08:17.54 ID:eJW4W7yAO
274 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 00:45:23.77 ID:88QHB57N0
―――それじゃ『得物』の整備でもしよう。
自室に戻り、押入れの中からトランクケースを引っ張り出す。そこに……100本以上の短刀。


香焼「……さぁてと」スッ・・・


一番の得物は儀礼の短刀。これが最もしっくりくる。
サイズ的な意味合いでは勿論、形状が十手に近いので相手も得物持ちの際、超近接戦で優位に働ける。
更に魔術的な礼装効果も付加されているので、術式を展開させる時、これを通すと楽だ。謂わば魔力が弾丸、コレが銃みたいな感じ。


香焼「……うん。暫く使ってないから埃払うだけで良いっすね。次は」ジー・・・


黒塗りの短剣。最近手に入れたダガータイプの軽い短刀だ。30本程ある。
これは土御門と海原さんから渡されたモノ(前回の報酬)で、暗殺に便利な短刀らしい。
小さくて軽い。これだけで形態としては便利。いざとなれば近接時にブッ刺す事もできる。

更に『曰憑き』というわけではないが、イラン(イスリム)の暗殺集団が好んで使っていた武器という事でそれなりに魔力が通し易い。


香焼「一回っ切りの武器だから壊れやすいんすけど、補充が効くっすからね……後はー」チラッ・・・


銀のナイフ。正真正銘、柄尻から刃先まで全てが銀だ。
『武器』としては非常に扱い辛い一品なのだが、十字教徒が使用する上では大事な武装。
銀というだけで『退魔』の効果がある。因みに、属性が『悪』に近い魔術師にも効果的だとか。

あと、僕には無理だがステイルやアニェーゼ、サーシャなど『悪魔祓い』の呪文を唱える事が出来る連中にとっても重宝される武装だとか。


香焼「僕も悪魔祓いの詠唱覚えようかなぁ……使い道無いか。まぁさておき」スッ・・・


都市で手に入れた高周波(単分子)カッター。言葉通り、分子まで切れるナイフだ。
スイッチを押すと刃の部分が真っ赤になり熱くなる。側面に触れただけで火傷するし、間違って刃を触れば普通の怪我では済まない。
僕の切り札の一つだが……極力使用したくない。


香焼「コレを使う時は……最愛が……いや、馬鹿な考えは止めよう。他には」パッ・・・


柄だけの短刀が2本。正直、短刀というにはオカシイが、これも『ナイフ』の一つ。
柄の尻にボトルの様なモノが付いている一方がウォーターカッター。ボンベの様なモノが付いているもう片方はバーナーカッター。
言葉通り、ダイアモンドを切る際に用いる『水の刃』と、圧縮した熱線を射出する『火の刃』。
一度スイッチを押してしまえば、1個のボトル・ボンベタンクで30秒しか使えない短刀。

本来、魔術で応用すべきモノだが僕はそこまでのレベルに至っていない。それに実は科学(コッチ)の方が低コストだったりする。


香焼「これはステイルに見つかる訳にはいかないんだよね……絶対パクられるから」タラー・・・


アイツは意外とジャイアニズムなところを持ってるからな。
てな具合で、刃モノををニヤニヤ見詰める危ない僕……いや、整備ですよ。整備。

275 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 00:57:41.40 ID:88QHB57N0
その後、鍛錬兼ダガーの性能確認がてらダーツの的に投躑練習していると今の方で物音がした。


香焼「ん? もあい?」キョトン・・・

もあい『なぅ』カリカリ・・・


僕を呼んでるという事は……ステイルか軍覇が来たのだろう。
ナイフ弄りに熱中し過ぎてて忘れていた。急いでリビングに戻ると―――



ステイル「…………、」ジー・・・

削板『…………、』ジー・・・



―――……何故か、2人が見詰めあって固まっていた。


香焼「……あ、え、と」タラー・・・

ステイル・削板「『……香焼。誰だソイツ」』ジー・・・

香焼「……えー」タラー・・・


ツッコみたい事満載だが、とりあえず座ってくれ。
軍覇もいい加減ベランダから入って来ようとするの止めて下さい。


削板「おう、すまん……で、誰ソイツ?」ジー・・・

ステイル「それはコチラの台詞だ。誰だ貴様」ジー・・・

削板「いやいや、俺がお前に『誰ですか?』って聞いたんだからお前が答えるっつーのが筋だろ?」

ステイル「意味が分からない。普通は自己紹介から入るモノだろうが。貴様が名乗れ」

削板「その理屈が分かってるんだったらお前から名乗るもんだろ? 馬鹿じゃないか?」

ステイル「そっくりそのままお返ししよう、馬鹿」

削板「ハァ……、」ジトー・・・

ステイル「フンッ……、」ジトー・・・


うわぁ……なぁにこれぇ状態。

276 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 01:15:42.30 ID:88QHB57N0
とりあえず険悪な雰囲気が耐えられないので、2人には大人しく座ってもらう。
そして僕の口から双方の紹介を始めた。


香焼「えっと……此方、削板軍覇。色々あって仲良くなった友人だよ」チラッ・・・

削板「…………、」ジトー・・・

香焼「あー……其方、ステイル=マグヌス。英国で知り合った友人。よくこの街に来てるんだ」チラッ・・・

ステイル「…………、」ジトー・・・

もあい「……みー」オドオド・・・


何で、睨み合ってんの?


削板「……おい、香焼」ジー・・・

香焼「な、何かな?」

削板「30手前の兄ちゃんを友人って呼ぶのは、変じゃねぇか?」ジー・・・

香焼「さ、30って……ステイルは自分の一つ上っすよ」タラー・・・

削板「嘘言うな。デカいし煙草臭ぇし……同年代じゃねぇだろ」ケッ

ステイル「心外だな。これでも14歳だ。友人云々は捨て置いて、煙草に関しては他人にとやかく言われたくない」フンッ


何でそんなにツンケンするかなぁ。


ステイル「……香焼」チラッ・・・

香焼「は、はい?」

ステイル「先にも言った通り、友人云々については如何こう言うつもりはなかったが……それでも馬鹿・低脳以外を選べ」ジー・・・

香焼「ええっと……脳筋そうに見えて、低脳では無いっすよ。実は偏差値70オーバーだし……軍覇、超能力者(レベル5)っす」

ステイル「強度(レベル)なんて如何でもいい。要は『頭が残念』なタイプだろ、ソイツは」ジトー・・・

削板「……言ってくれるじゃねぇか。テメェだって如何見ても『不良』なタイプだよなぁ」チッ


また睨みあい……姉さん! もしくは他の誰か! 助けて下さい!

277 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 02:03:53.53 ID:88QHB57N0
といっても、こういう時に限って五和と浦上は居ない。


ステイル・削板「「…………、」」バチバチバチッ・・・

香焼「あ、の」タラー・・・

ステイル・削板「「あ?」」ギロッ・・・

香焼「うっ……ご、ご飯、作るよ」タラー・・・

ステイル・削板「「……ふんっ」」チッ・・・

もあい「にゃぅ」ジー・・・


せめて飯食い終わるまでは大人しくしといてくれ。


香焼「い、今お茶出すから待ってて……名に飲みたい?」

削板「何でも良い。水で良いぞ」

ステイル「コーヒーブラック。あと灰皿だ」

削板「……テメェ。随分と我儘だなぁオイ。しかもちゃっかり灰皿頼んでんじゃねぇよ。自称14歳さん」ジトー・・・

ステイル「それだけ言える仲という事だ。妬むなよ」フンッ

削板「いいや、テメェは無茶苦茶言ってるだけだな……香焼、コイツの分要らねぇぞ。俺の水だけくれ」

ステイル「やれやれ、自分勝手はドチラやら。香焼、ボトルのコーヒを貰えれば勝手に注ぐよ。冷蔵庫、失礼」スッ・・・

削板「ちょ、お前、人ん家の冷蔵庫!」

ステイル「だからそれくらい勝手な仲だと言っただろう。一々説明必要なのか?」

削板「おい、香焼! お前実はコイツに虐められたり脅されたりして仕方なく家に上げてるんじゃねぇよな!?」

ステイル「言いがかりもいいとこだ。寧ろ、逆に貴様の方が香焼の家に迷惑勝手に上がり込んでそうだがな」

削板「テメェは黙ってろ! おい、香焼。ハッキリ言え。もしそうならブッ飛ばしてやっから」ギロッ・・・

ステイル「……誰が、誰をブッ飛ばすと?」ピタッ・・・

削板「ハンッ! 聞こえなかったか? そこ突っ立ってる木偶の坊を、オレがケチョンケチョンにして窓から捨ててやるっつったんだ」フンッ

ステイル「……たかだが、能力者風情が僕を? ハハハ! これは面白いジョークだ!」ケラケラッ・・・

削板「ジョークかぁ……ジョークねぇ……そんじゃあジョークか如何か試してやろうか? 外人野郎」ギロッ・・・

ステイル「おぉ野蛮人は面倒だねぇ……知識人たる人間がしっかり格の違いを教えてやるべきか」ギロッ・・・

もあい「……みゃん」アタフタ・・・


双方ガンの飛ばしあい……喧嘩すんな!! って聞こえてないし! 今にも胸倉掴み出しそう!

278 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 02:21:57.50 ID:88QHB57N0
こうなったら……仕方ない。


香焼「……はん」ボソッ・・・

ステイル・削板「「あ?」」ピタッ・・・

香焼「……ご飯、作らないぞ」ジトー・・・

ステイル・削板「「うっ」」タラー・・・


コイツらの弱点は、普段まともな飯を食べてない事だ。


ステイル「そ、それは、その」タラー・・・

削板「勘弁、してくれ」タラー・・・

香焼「だったら大人しくしてろ。テレビ見たり漫画読んでて良いから」

ステイル・削板「「……はぁ」」ポリポリ・・・


やっと大人しく席に着いた馬鹿2人。如何して大人しく出来ないかなぁ。
というか、何故初見なのにそこまで馬が合わない? まだ最愛相手の方がマシだったぞ。


ステイル「……僕は、こういうタイプの人間が、嫌いだ」キッパリ・・・

削板「そっくりそのまま、同文だ」キッパリ・・・

香焼「本人居る手前で言うかなぁ」ハァ・・・


じゃあ少しは互いを知ろうとしろ。何も知らないのに見た目だけで判断してるだろ。


香焼「例えば……ほら、ステイルは英国出身だからその手の話を」

削板「興味無い」サラッ

香焼「うっ……じゃ、じゃあ軍覇は超能力者なんだし、能力について」

ステイル「聞く必要性が無い」サラッ

香焼「…………、」ハァ・・・

もあい「にゃー」コロコロ・・・


駄目だ、コイツら。間が持たない。

279 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 02:43:50.39 ID:88QHB57N0
一寸後……とりあえず、炒飯が出来たので2人の前に出す。


香焼「食べてる最中喧嘩したら2度と作らないからな」ジトー・・・

ステイル「分かってる。ソイツと違って食べ物を粗末にするような事は無い」フンッ

削板「テメェは一言余計なんだよ。この不衛生不健康ロンゲ」ジトー・・・

香焼「……話、聞いてる?」ハァ・・・

もあい「みゃー」ジー・・・


もう良いや。先に食べちゃおう。


香焼「―――頂きます」スッ・・・

ステイル・削板「「……ん」」カチャッ・・・


昼の献立はキムチ炒飯とワカメスープ。


削板「もきゅもきゅ……んまー! 相変わらず香焼ん飯は美味ぇな!」ガツガツ!

香焼「ははっ。ありがと」フフッ

ステイル「黙って喰えんのか」モグモグ・・・

削板「……あん?」ジトー・・・

香焼「こ、こら!」アタフタ・・・


何で一々喧嘩腰なんだよ。


ステイル「……食べ終えてからでも賛辞は送れる」フンッ

削板「なぁにが『サンジ』だっつの。一々難しい言葉使うな中二病野郎」モグモグ・・・

ステイル「……ド低脳」モグモグ・・・

削板「お前アレだろ。難しい言葉使えば恰好良ぇとか考えるタイプだろ? そういうの日本じゃ中二病っつーんだよ」ケッ!


貴方も大概中二病ですけどね。


ステイル「良いから黙ってくれ。飯が拙くなる」モグモグ・・・

削板「かあああぁ!! おい、香焼! お前からも何か言え!」バッ!

香焼「え、ええぇ」タラー・・・

ステイル「おい、香焼を困らせるな。ニホンザル」モグモグ・・・

削板「うっせぇなぁライミー! 困らせてんのはテメェだろ!」ギロッ・・・


どっちもどっちです。


削板「英国じゃ如何かしんねぇけどな、此処は日本だ! 飯喰う時は談笑しても良いんだよ!」バクバクバク!

ステイル「そんなルール聞いた事無いね。馬鹿限定のルールなんじゃないか?」モグモグ・・・

削板「テメェは一々言葉に『馬鹿』とか『野蛮』って付けないと話せねぇのか!? このDQN野郎が!」ガブガブッ!


まったく……まぁ何だかんだで会話してるんですね。この人達。

280 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 03:30:03.29 ID:88QHB57N0
口論が絶えなかった物の、何とか喧嘩無しで『ごちそうさま』という事が出来た。
三人分の食器を流しに運び、水に浸しておく。


ステイル「まぁまぁだね。神裂には及ばないが、一般人にしては上出来だろう」フキフキ・・・

削板「ウッゼぇー。マジうっせぇ……何様だっつの。お前料理出来んのかって」ジトー・・・

ステイル「ふんっ。舌が肥えてるだけだよ……香焼、今度こそコーヒーと灰皿を寄越せ」スッ・・・

削板「なっ……テメェ、此処で喫う気かよ」ウワァ・・・

ステイル「別に何処で喫おうが僕の勝手だろう。一々文句付けるヤツだな、貴様は」フンッ

削板「いやいや。テメェがあまりに非常識だから注意してやってんだっつの」タラー・・・


まぁその点は軍覇に同意しよう。


香焼「コーヒーは淹れてあげるから、ベランダで喫ってよ。あと灰皿無いからもあいの餌の空き缶使って」スッ・・・

もあい「みゃ?」キョトン・・・

ステイル「ったく。次来る時までに準備しとけとあれ程言っといただろうに」ハァ・・・

削板「おいおいおいおい……待てテメェ。ちょいと、横暴過ぎやしねぇか?」ジトー・・・

ステイル「意味が分からない。煙草喫うだけだぞ?」スッ・・・

削板「それが! 横暴だっつてんだ! この家の住人に喫煙者居ねぇだろ! 煙草臭くして申し訳無いと思わねぇのか?」

ステイル「住人? この家は香焼の家だろう。彼がOKと言ったのだから問題無い」フンッ

削板「言ってねぇよ! よしんばOKしてたとしても外(ベランダ)で喫えっつったろ!」ガー!

ステイル「小五月蠅い猿だ……普通に考えれば寒いと分かるだろ。馬鹿か?」

削板「当っっったり前だっつの! 他人の家で煙草やるんだからそんくらい我慢しろ! 香焼だって譲渡してんだろ!」ガアアァ!!

ステイル「あーはいはい。じゃあ窓開ければ良いんだろー」ヤレヤレ・・・

削板「かああああぁ!! 駄目だコイツ……おい、香焼。俺の日本語通じてんのかな?」ハァ・・・

ステイル「通じてないよ」フンッ・・・

削板「~~~~~ッ!! こんのぉ……A cigarette can be smoked outside.Don't smoke a cigarette in inside!」スラッ・・・


軍覇、英語喋れたんだ。しかも結構上手い……流石超能力者だけはある。


ステイル「……Oh,Sorry.I don't know what your Meaning.」テクテク・・・

削板「うがああああぁっ!! やっかましいわぁ!! 何が意味不明だボケぇ!! 分かってんだろ!!」ンキー!

ステイル「五月蠅いなぁ。煙草喫ってる間くらい黙っててくれ」カチッ・・・

削板「そ・と・で! 喫え!!」バンッ!


あーもう喧嘩になっちゃう……流石に、ステイルが悪いので僕が柔らかく交渉し、ベランダに出てもらう事にした。

281 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 04:10:45.68 ID:88QHB57N0
それから一寸後、何をする訳でもなく、三者三様でゴロゴロしていた。
僕はもあいと適当に遊び、軍覇は浦上の漫画を読み漁り、ステイルはベランダでチビチビ煙草を喫いながらボーっとしている。

この2人口を開かなければ、まぁそれなりにやっていけるのではなかろうか。


削板「ふぅ……あー、もう2時か」チラッ・・・

香焼「今日何か用事有るの?」

削板「いや、別に。お前は?」

香焼「無いよ。久しぶりに何も無い日だからゴロゴロしようと思ってた」

削板「そうか……何か邪魔して悪かったな」ポリポリ・・・


そんな事は無い。喧嘩さえしなければ特に問題無いから。


ステイル「……『稽古』は?」チラッ・・・

香焼「うーん。大分(魔)力使ったから暫く休めって。土御門に言われた」

ステイル「そうか……噂程度に聞いているが、頑張ってるそうだな」フム・・・

香焼「ステイル程じゃないっすよ」ハハハ・・・

ステイル「謙遜するな。超能力者相手に如何こうと……まさかソイツじゃなかろうな?」チラッ・・・

削板「あ? 何の事だ?」キョトン・・・

香焼「ははは。軍覇は違うっすよ……まぁその内、ね」フフッ


『?』顔の軍覇。『そうか』と再び外を眺めるステイル。


削板「それにしてもよぉ……珍しいな」

香焼「え?」

削板「いや、香焼ん家に女が居ないの」

ステイル「ハハッ。確かにな」フフッ

香焼「あー……まぁね」ハハハ・・・

もあい「にゃーん」キョロキョロ・・・


嫌が応にも、とは言わないが、必ず誰かしら居るからなぁ。自分の客じゃなくてもカオリ姉さんの友人が来たりするし。

282 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 04:51:43.90 ID:88QHB57N0
そう考えると……今の状況は、初めてだ。
いやはや、こうして男だけの空間というモノは素晴らしいと思う。


香焼「最愛やアニェーゼ達が嫌って訳じゃないけど……うん」ホッ・・・

削板「は?」

香焼「あ、うん。気付かなかったけど、自分は軍覇とステイルが来るとホッとするんだなぁって」ハハハ・・・

ステイル・削板「「っ!」」ドキッ・・・


そりゃ勿論、最愛と一緒に猫達と遊ぶのは楽しい。佐天さんとランニングに行くのも楽しい。春上さんとボランティアするのも楽しい。
カルテッ娘と騒ぐのも楽しい。香としてだが、操祈さんとお喋りするのも楽しい。姉さんやその友人達と団欒するのも楽しい。

だけどやっぱり……こうして、男友達と一緒に過ごすのは素敵だなぁと、思う。


ステイル「そ、そうか……ま、まぁそうだな。普段が普段だからな」ポリポリ・・・

削板「よ、呼んでくれれば何時でも来っからよ」ハハハ・・・

香焼「んー……でも2人とも、女性陣が一緒だと斜に構えるじゃん」

ステイル「此処に居る女性陣が悪い。というか、何故男である君の家が女共の溜まり場になるのだ」フンッ

削板「そうだよなぁ。普通野郎の家っつたら野郎が集まるもんだろ。如何してこうなってんだ!」ムンッ

香焼「自分に言われても」タラー・・・

もあい「みー」コクコクッ

ステイル「やはり、君は呪いに掛ってるんじゃないか? 魅惑(チャーム)か誘惑(フェロモン)の様な」ジー・・・

削板「変な能力掛ってんのかもしんねぇぞ。最近じゃ恋心弄くる精神感応能力者も居るって話だしな」ジー・・・

香焼「だ、大丈夫っすよ。呪いは調べてもらったし、変な能力も掛ってないって。定期検査で問題無しだったし」ハハハ・・・


兎にも角にも、こうして男だけで集まれる時間は貴重だ。僕の精神安定になる。


香焼「……ありがとね」フフッ

ステイル「む……か、感謝される謂われは無いが……まぁ部下の労いも上司の仕事だからな」コホンッ・・・///

削板「お、おう。ほ、ほら、ギブ&テイクだぜ。飯も貰ったし」アハハ・・・///

香焼「ふふっ。別に見返りなんて要らないよ。2人が居てくれると安心するんだ」クスッ・・・

ステイル「め、女々しい事を言うな! 馬鹿か君は!」ドキッ・・・///

削板「ま、まぁその……あんがとよ」ヘヘッ・・・///

もあい「にゃー」コロコロ・・・


いやいや、この2人の前だと気を使う必要無いし……あぁ、男って良いなぁ。
学校では男が多いけど、正直、あの学校で友人は作れない。誰も彼もが、ライバル視している様なエリート校だ。

だからこそ、仕事の延長や偶然知り合った人間であれ、仲の良い男友達は素晴らしい存在だ。

283 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 05:06:03.95 ID:88QHB57N0
それからまた暫く三者三様で、気を使わずゴロゴロした。
偶に一緒にゲームしたり、菓子食べたり、下らない時間……だが、それが良い。


削板「―――ん。そろそろ時間だ」チラッ・・・

ステイル「……もう6時か。それではそろそろ、お暇しよう」スッ・・・

香焼「え……帰っちゃうの?」シュン・・・

ステイル・削板「「うっ」」ダラダラ・・・


とても、名残惜しい。


ステイル「ま、また来てやる……暇な時な」タラー・・・

削板「お、おう……時間作ってやるからよ」タラー・・・

香焼「ホント! 一緒に来てくれるんすか!」パアアァ!

ステイル・削板「「え」」チラッ・・・タラー・・・

香焼「……そっか」ショボーン・・・

削板「く、来る来る! なぁステイル!(何で香焼、今日こんな幼い……ってか女々しいの!?)」バンバンッ!!

ステイル「あ、ああ。男だけでだな。分かった分かった。(し、知らん! 普段抑圧されてる何かが表に出てるんじゃないか?)」ゲシゲシッ!

香焼「っ! ありがと! 絶対また来てね!」キラキラ・・・

ステイル・削板「「お、おぅ」」タラー・・・///


数時間後……2人が帰ってしまった。とても、とても……寂しかった―――




 *   *   *   *   *   *   *   *   *   *




削板「―――あー……お前の前だと、香焼、普段からアアなの?」チラッ・・・

ステイル「いや、初めて見た……幼いのは容姿だけだと思っていたんだが、意外だ」フム・・・

削板「おう……んで。どーすんよ?」チラッ・・・

ステイル「如何するって、それは……如何する?」タラー・・・

削板「正直勘弁願いたいが……一緒、行くか?」ハァ・・・

ステイル「僕だって貴様と一緒など願い下げだが……仕方あるまい」ハァ・・・

削板「しゃーねぇな……予定合わせっから、メアド教えろ」ケッ・・・

ステイル「フンッ……ICタッチで良いな?」Pi!

削板「うぃ……って香焼からメール来てるし。『次いつ逢える!? 姉達居ない時間作るから!>ω<)ノシ』……お前にも来てっか?」チラッ・・・

ステイル「ああ。『また三人で遊ぼうね! 外出かけるのもアリだよ!@ω@)b"』……如何する?」タラー・・・

削板「……家帰って予定確認してくる。お前も調べて来い」ハァ・・・

ステイル「ん……って、何で僕達はアイツの為にこんなやりくりしてるんだ」タラー・・・

削板「知るかよ。でも、アイツの楽しそうな顔と別れ際の寂しそうな顔……もう遊べねぇなんつったら号泣じゃ済まねぇぞ」ハァ・・・

ステイル「……仕方あるまい。『乗ってしまった船』だ。何とかしよう」ハァ・・・

292 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 00:19:18.93 ID:1oIVBFos0
 ―――とある翌日、AM10:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・




その日の朝、寝ボケ眼で食パンを齧っていた時、一通の電話が入った。
相手は……あまり出たくは無い男から。


香焼「ん……あぃ」モグモグ・・・

土御門『いょう。朝っぱらから悪いな』Pi!

香焼「いえ……何用で?」モグモグ・・・

土御門『修行の話だ。まぁ半分任務とも―――』

神裂「こら、香焼。行儀が悪いですよ」メッ

もあい「にゃー」ジー・・・

香焼「あ、すいません……んっ」ゴックン・・・


口の中に入ってたパンを牛乳で流し込む。


香焼「ふぅ。もしもし、お待たせしました」スッ・・・

土御門『―――……はぁ』ポリポリ・・・

香焼「土御門?」ハテ?

土御門『……お前ん家、そんな家庭的なの? てかねーちんってママキャラ?』ヤレヤレ・・・

香焼「あはは。ウチでは姉さん、一般人みたいなもんすから……それで?」

土御門『ああ。急だけど、今からお前ん家に行く』サラッ・・・

香焼「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

土御門『聞こえなかったか? お前ん家に行くと言った』


何故に?


土御門『修行・任務の話だと言っただろう。兎に角、変装して待ってろ。まぁこの際ねーちんが居ても構わん』

香焼「え……ま、待って下さい! こ、こっちの予定も!」

土御門『知らん。最優先事項だ。そんじゃ30分後』Pi!


一方的に電話を切られた。困ったぞ……今日は先約があるというのに。

293 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 00:49:49.21 ID:1oIVBFos0
僕が如何しようかと首を傾げていると、姉さんが尋ねてきた。


神裂「お困りの様ですね。如何しました?」

香焼「えっと……今から土御門がウチに来るそうで」

神裂「おや。『追加』ですか?」

香焼「いえ。2人とは別っす」ハァ・・・


実はこの日、ステイルと軍覇が遊びに来る約束だった。


香焼「しかも『香』で待ってろって」タラー・・・

神裂「それは、何とも……困りましたね」ポリポリ・・・

香焼「修行って言われても、内容が分からない以上タイムテーブル組めないし……はぁ」

神裂「んー。もし、土御門が許可するのであれば、2人に女装を見せても」

香焼「死ねっていうんすか!!」ガアアァッ!!

神裂「え、いや、大袈裟な」タラー・・・

もあい「なー」フシフシ


そんな羞恥プレイ耐えられません。


神裂「で、では断りの電話を入れては」

香焼「……嫌っす」ムスー・・・

神裂「そ、それじゃあ土御門の方に今からでは急過ぎだと伝えてみては」

香焼「アイツ、人の話聞かないっす」

神裂「そ、そうですか。(こ、この子、こんな我儘でしたっけ?)」タラー・・・


2人との約束は、12時前後に我が家となっている。
土御門が来る時間は大体11時過ぎだろう……如何したモノか。


神裂「……とりあえず、メイクの準備だけでもしておいた方が。少々遅れても変装が出来る様に」

香焼「…………、」ムゥ・・・

神裂「もし理不尽な修行なら私の方からも一言告げましょう。兎角、何にでも対応できるようにしておきなさい」

もあい「みゃー」ゴロゴロ・・・


確かに、一理ある。とりあえず常盤台の制服とメイクセットを取り出しておき、土御門の到着を待った。

294 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 01:23:07.82 ID:1oIVBFos0
30分後、約束通り土御門が家に着く。しかも一人じゃないし。


土御門「邪魔するぞー」ガチャッ

海原「失礼します」ペコッ

御坂蛇「…………、」コクッ・・・


何故に、海原さんと蛇さんが一緒なのさ。


土御門「よぅ……って、まだ変装してねぇのかよ。さっさとしろ」チラッ・・・

香焼「……修行の内容聞いてから変装するつもりっす」

海原「まぁ急でしたしね。しかし、流石理事会が建てたマンション。立派ですねぇ」キョロキョロ・・・

神裂「こんにちは……む、そちらは?」チラッ・・・

土御門「ああ、マトモに会うのは初めてか。俺の連れで、今香焼がしている修行の師匠だ」クイッ

海原「噂に兼々お聞きしています。天草式十字凄教の女教皇(プリエステル)殿。会えて光栄です、聖人……神裂火織」ペコッ

御坂蛇「…………、」ペコッ・・・

神裂「……魔術師ですか」ジー・・・

海原「海原光貴といいます……まぁ表の顔ですけどね。一応、本来はこういう者です」スッ・・・


名刺(?)の様なモノを渡す海原さん。


神裂「アラスカの……ふむ。深くは聞きません。香焼がお世話になっている様で」ペコッ

海原「いえいえ。彼は頑張ってくれている。教え甲斐がありますよ……こっちは、妹達(シスターズ)の一人です。知ってますよね?」

神裂「クローン……いえ、失礼。お名前は?」

御坂蛇「個体番号17600号。周りからはプロスネークと……ミサカの事はスネークと呼んで下さい」ペコッ

神裂「はい。よろしくお願いしますね。それでは適当に座って下さい。お茶を出しましょう」スッ・・・


台所へ消える姉さん。空気を読んだのだろうか。


香焼「……それで?」

土御門「ああ。まぁ簡単な話だ。化粧しながら聞いてくれ」コクッ・・・

香焼「……自分、先約あったんすけど」ジトー・・・

土御門「キャンセルしろ。どうせ窒素装甲とか結標と遊ぶ約束だろ? こっちは今日しかない用事だ」フンッ

香焼「違うっすよ……まぁいいや。下らない内様だったら化粧落とすっす」カパッ・・・

海原「おやおや。貴方にとって相当大事な用事だったみたいですね」フフッ


そりゃまぁ数少ない男友達と遊ぶ約束だ。この上ない重要事項だろう。

295 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 01:41:58.97 ID:1oIVBFos0
まずコレを見ろ、と土御門は一枚のパンフレットを広げてきた。


香焼「……理事会主催のチャリティー演奏会?」キョトン・・・

土御門「ああ。都市著名人の演奏会だ。オーケストラだったり合唱だったり……まぁそんなんは如何でも良い」

香焼「……潜入して何か盗んで来いとか、そういう話っすか?」


誰それの使っている楽器が魔術的なモノだとか、もしくは誰かが暗殺されそうだからこっそり護衛しろとか。


海原「ふふっ。そこで自分が暗殺側に回るという発想が無いのは、貴方らしいですね」ニヤッ・・・

香焼「っ……自分に、暗殺の仕事は」タラー・・・

土御門「バーカ。んなモン期待してねぇよ。そういうのは俺らの仕事だ……仕事はコッチ」ピッ

香焼「演奏者一覧?」

海原「知ってる名前が、二つ程有るでしょう」


有名な学校の吹奏楽部、合唱部の他に……ソロの部がある。


香焼「……御坂さんに、操祈さん?」キョトン・・・

海原「ええ。御坂さんはバイオリンを、食蜂操祈はピアノを弾きます」

香焼「……それが?」

土御門「お前、これ誘われたのに断っただろ?」ジトー・・・

香焼「えっ……な、何で」タラー・・・

土御門「知ってるか、か……馬鹿野郎。スネークが監視済みだっつの」フンッ

香焼「そ、そんな! 自分は兎も角、他の人達のプライベートもあるんすよ!」アタフタ・・・

土御門「『香』で居る時にプライベートなんてないモンだと思え。あくまで『神崎香』は潜入員だぞ?」

香焼「た、確かに、そうっすけど」ムゥ・・・

海原「……多少ですが、安心して下さい。香用の携帯は確認してません。あくまで行動範囲でのみの監視です」

香焼「…………、」

御坂蛇「香。甘い考えは捨てろ。神崎香の主任務は『食蜂操祈との接触及び監視』だぞ、とミサカは注意します」

土御門「それが出来ないなら、修行も今すぐ終わりだぜぃ」クイッ・・・


それは困る。自分はまだまだ未熟だし、何より操祈さんとの縁を切りたくは無い。

296 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 02:07:54.83 ID:1oIVBFos0
言葉が出ない。黙々と化粧を続ける僕の隣にお茶を運んできた姉さんが座る。


神裂「失礼。粗茶ですが」コトッ・・・

海原「おや、すいません」コクッ

神裂「……とりあえず、もっと端的に言ってあげて下さい。一応この子にも用事があったのですから、それを納得させられる様に、ね」

土御門「ったく。んな甘い事言ってっからコイツが甘ちゃんに育つんだって……まぁいい。話は簡単だ。此処に行け」スッ・・・

香焼「演奏会に?」

土御門「ああ。3時半からホールが開く。場所は第7学区文化会館だ。知ってるな?」

香焼「……はい」コクッ・・・


しかし、3時半か……微妙な時間だ。


海原「……ところで、貴方の方に用事とは何ですか? 差し支えなければ御教え下さい」

香焼「え? あ、いや……その」ポリポリ・・・

土御門「んだよ? デートか? んなモン深夜過ぎからでいいだろ」ハァ・・・

神裂「意味が分かりません。中学生のデートで何故深夜からなのですか。この破廉恥サングラス」ジトー・・・

土御門「いやぁ別にぃ。星見に行ったりとかぁそんだけの事だぜぃ。ねーちんは一体何を勘違いしたのかにゃ?」ニヤニヤ・・・

神裂「くっ……この外道化師が」ギリギリ・・・///

海原「あはは……ええっと、香焼さん」チラッ・・・

香焼「…………、」


どうせ馬鹿にされるのがオチだろうけど、一応、説明をする。


海原「あー……必要悪の教会の主教補佐(ステイル)殿と、第7位、ですか?」ポカーン・・・

土御門「何だその組合わせ……まぁそれはさておき、結局遊びだろ?」タラー・・・

香焼「…………、」ムスー・・・

土御門「可愛い顔してねぇで教えろ、男女」フンッ・・・

神裂「……大事な約束なんですよ。この子、普段男子と遊ばないでしょう? だから楽しみなんです」

土御門・海原「「……は?」」キョトン・・・

香焼「ね、姉さん!?」ギョッ・・・

神裂「別に恥ずかしくないでしょう。はっきり言うべきです」ポンッ・・・

御坂蛇(いや……良く分からないが、相当恥ずかしい話なのでは? とミサカは香の真っ赤な表情を見て察します)ジー・・・


呆れ顔の土御門と海原さん。もう絶対断らなきゃダメじゃないか。

297 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 02:27:36.76 ID:1oIVBFos0
>>294・・・訂正:『アラスカ』 → 『アステカ』


 ****************************


しかし……2人は一向に何も言わない。
その沈黙が逆に怖かったのだが、ふと、一服した土御門がポツリと呟いた。


土御門「別に、良いんじゃないか?」

香焼「……へ?」キョトン・・・

土御門「俺は別に構わねぇよ」チラッ・・・

海原「ふむ……まぁ、そうですね」コクッ・・・


何ぞ?


海原「考えてみれば、同じ超能力者が一緒ですし……これは逆に面白いのかもしれませんね」コクッ・・・

香焼「……何を考えてるんすか」タラー・・・

海原「いえ……ところで、主教補佐殿には、この変装の件は教えていますか?」

土御門「いや。此方からは『香焼が潜入の修行してる』とだけ伝えてある。コイツ自身が教えてなきゃ大丈夫だろう」

香焼「じ、自分の口から女装してますだなんて言えないっすよ」タラー・・・

海原「それはそれは。好都合ですね」ニヤリ・・・


悪い笑み。海原さんは少々失礼、と土御門を連れてベランダに消えた。


香焼「……何考えてるんすかね」ハァ・・・

御坂蛇「マトモな発想では無い事は確か。しかし、それでいて意図はある筈だからな、とミサカは師匠を評価します」

神裂「ふむ。ところで、そろそろステイル達が来てしまいますよ」チラッ・・・

香焼「あ、そうっすね……如何しよう」ウーン・・・


もう化粧を落としてしまおうか、と考えた刹那2人が戻ってきた。


土御門「待たせたな……香焼、とりあえずさっさと化粧してしまえ」

香焼「え、で、でも」タラー・・・

海原「自分に良い考えが有ります。さぁ早く! 任務も約束もこなせる良い方法です!」ニヤリ・・・

香焼・神裂「「…………、」」タラー・・・


海原さん、それは失敗フラグですよ。

298 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 02:57:01.78 ID:1oIVBFos0
 ―――とある翌日、PM00:10、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・



 パタパタパタパタ・・・・・



削板「―――だあああぁっ!! テメェが待ち合わせしようなんつーから遅れちまったじゃねぇか!」タタタタッ!

ステイル「喧しい! というか遅れたのは君の方だろ! 何を偉そうに!」スタタタッ!

削板「俺ん家は第12学区と19学区の間に在んの! だから直接此処来た方が早かったのに、一回第7学区来いなんつーから!」ギャー!

ステイル「関係無かろう! 十分間に合う時間に連絡した筈だ! 良いからもう着くぞ!」チッ・・・

削板「ああぁもう……香焼泣いてなきゃ良いけどよぉ」アセアセ・・・

ステイル「くっ、有り得るな……考えるのは後だ。チャイム押すぞ」タラー・・・


 ピンポーン・・・・・


削板「すまん! 遅れた!」Pi!

神裂『あ、ステイル。削板さん。こんにちは……とりあえず中へどうぞ』ガチャッ・・・

ステイル「神裂が一緒か……まぁ良いだろう。五和や浦上が居ない事を願う」フム・・・

削板「何でだよ。五和の姉ちゃんも浦上の姉ちゃんも優しいじゃねぇか」チラッ・・・

ステイル「僕から彼女らに苦手意識が有るんじゃなくて、彼女達が僕に苦手意識を持ってるんだ」フンッ

削板「あー……まぁ納得。お前無愛想だかんな」ハハハ

ステイル「ぐっ……まぁ良い。行くぞ」チッ


 スタタタタ・・・・・


削板「ごめん、香焼! この木偶の坊が煙草の喫い過ぎで分速30mしか歩けなくてそれで!」アタフタ・・・

ステイル「嘘を言うな! この根性馬鹿が集合場所に遅れて……って、ん?」ピタッ・・・


神裂「いらっしゃい」コクッ

土御門「いよっ! そっちの根性くんは初めましてか?」ニヤニヤ・・・

海原「……どうも」フフッ・・・

御坂蛇「…………、」ペコッ・・・


ステイル「……え?」タラー・・・

削板「えっと……部屋、間違えた?」タラー・・・

299 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 03:37:10.64 ID:1oIVBFos0
神裂「削板くん、部屋は合ってますよ」コクッ

削板「はぁ……でも、香焼居ねぇし、知らないヤツ居るし……あ、でも知ってるヤツも居る」チラッ・・・

ステイル「ふむ……仕事中だったか」チラッ・・・

土御門「ああ、何だかブッキングしたみたいだな。俺が無理言って香焼の家で待ち合わせしちまったんだ。悪い」コクッ

ステイル「いや、そういう事なら仕方が無い」ジー・・・

海原「……一応、初めましてですね。必要悪の教会、主教補佐殿」ペコッ・・・

ステイル「魔術師か?」ジー・・・

海原「んふっ。神裂さんに続き同じやり取りですね。海原光貴といいます……魔術師としては、『こういうモノ』です」スッ・・・

ステイル「ん……中米の……最近潰れた結社の一員か。まぁ深くは聞かないよ」コクッ・・・

削板「……お前ら、見た事有るぞ。よく夜中に危ねぇ事してる連中だろ」ジー・・・

土御門「ははは。流石、第7位。噂通り自警活動してるだけの事はあるな」コクッ・・・

削板「しかも、そこのバンダナ女は9つ子……あと優男は、前に直接顔合わせたな。小さい子虐めてただろ」ジトー・・・

御坂蛇「9つ子って……相変わらずコイツは苦手だ、とミサカは正直に告げます」ジトー・・・

海原「あの時(※)は『駒場』さんの仲介が入りましたからね……まぁ水に流して下さい。仕方の無い事だったんです」ペコッ・・・


※ただいま。第⑥話(第17話)参照


削板「あとで黒づ……駒場の兄ちゃんから聞いたけど、相っ変わらず理解できねぇぜ」ムゥ・・・

ステイル「よく分からんが……香焼は如何した」キョロキョロ・・・

神裂「すいません。あの子は今出張ってます」コクッ

削板「は? アイツが俺らとの約束破るとは思えねぇな。コンビニにでも買い物行ったか?」ジー・・・

土御門「あー、悪いな。俺らの使いで出張って貰っちまった。ちょいとした任務と修行でな」コクッ・・・

ステイル「……そうか」フム・・・

削板「ますます気に食わねぇ。何でテメェらの仕事だか何だか知らねぇが優先すんだっつの」ジトー・・・

ステイル「そう言うな。お前も知ってる様だから言うが、アイツも組織の人間だ。私情を優先させる訳にはいかないよ」

海原「ええ……しかし、残念そうにしてましたよ。貴方達と遊ぶのは彼にとっても重要事項なのでしょう」

神裂「後日穴埋めはする。謝っておいてくれ、と伝言を預かりました……ごめんなさいね」コクッ

削板「……しゃーねぇな」ムゥ・・・

御坂蛇「それにしても……貴方達はあの子にとって何なんだ? あそこまで残念そうなあの子の顔は見た事無いぞ、とミサカは尋ねます」

削板「そりゃまぁダチだかんな! マブよマブ! 男同士の!」ニカッ!

ステイル「……ふんっ」///


土御門(出たっ! No.1ツンデレのステイル=マグヌスくん14歳!)ニヤニヤ・・・

神裂(土御門……馬鹿な考えは止めなさい)ハァ・・・

御坂蛇(同性同士……これが『びぃえる』というヤツですか……いや、しかし香で謂えば三角関係?)フムフム・・・

海原(スネーク……何処でそんな無駄知識を)ハァ・・・

300 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 04:25:42.84 ID:1oIVBFos0
ステイル「……だがしかし、アイツが居ないとなれば此処に来た意味が無いな」ハァ・・・

削板「無駄骨かよぉ。なぁ神裂の姉ちゃん、昼飯余ってねぇか?」チラッ・・・

ステイル「そうだな。神裂の飯を食べてから帰るか」フム・・・

土御門「図々しいにも程が有るぞ、この中坊共」タラー・・・

神裂「まぁまぁ……昼食は今からの予定でした。皆さんと一緒に食べていってください」フフッ

削板「おう! 香焼の飯も美味ぇが、やっぱ神裂五和の姉ちゃんの飯の方が美味いからな!」ハハハ

御坂蛇「……ミサカ達も?」キョトン・・・

神裂「ええどうぞ。簡単なモノですけど、お口に会う様なら是非」フフッ

海原「女教皇殿自らの手料理ですか。それは楽しみですね。是非に頂きましょう」ニコニコッ

ステイル「それじゃあ出来るまで煙草喫わせて貰う……神裂、空き缶寄越せ」チラッ・・・

削板「お前、また人ん家で……まぁ断り入れてベランダ行く様になっただけマシか」ハァ・・・

神裂「空きビンでも良いですね」スッ・・・

ステイル「ん。どうも」テクテク・・・

土御門「あーちょいちょい待ち。ねーちんも流される前に、紹介しとけ」チラッ・・・

神裂「あ、そうですね……2人とも。少々宜しいですか」ジー・・・

ステイル・削板「「ん?」」ピタッ・・・

神裂「2人に紹介しておきたい子が居ます。私の親戚で、先日学園都市のとある学校に入学した娘です」コクッ

ステイル「は? 聞いてないぞ……潜入教徒か?」ボソッ・・・

神裂「いえ、至って普通の子です。だからあまり大きな声で魔術の話はしないでください」ボソッ・・・

ステイル「……ふむ」ポリポリ・・・

土御門「ま、でもある程度勘付いてるみたいだけどにゃ……今呼んでくる」テクテク・・・

削板「んー……神裂の姉ちゃんの知り合いの子?」

神裂「はい。私の親戚です。遠縁の血族ですよ。五和達とも仲の良い娘です」

ステイル「娘……という事は女子か」

神裂「ええ。確か香焼と同い年です」

削板「ふーん。何処の学校?」

神裂「それは……来た様なので、本人から直接ね」フフッ

ステイル・削板「「ん」」チラッ・・・

土御門「お待たせぃ! そんじゃ香ー。挨拶しろー」ニヤリ・・・トンッ・・・


香焼「……こ、こんにちわ」オドオド・・・

ステイル・削板「「…………、」」ジー・・・

香焼「あ、え、と……神崎、香……です。(これ、ばれてんじゃね?)」タラー・・・

ステイル・削板「「…………、」」チラッ・・・

土御門「反応してやれよ、お前ら」タラー・・・

301 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 04:59:09.42 ID:1oIVBFos0
ステイル「あ、いや……ああ。はじめまして」ペコッ・・・

削板「ど、ども」ペコッ・・・

神裂「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。香、此方先程お話していた香焼の友人です」コクッ・・・

香焼「はぁ……マグヌスさんと、削板さん……ですね」コクッ・・・

神裂「ええ。ステイルは私の同僚でもあります。さて、とりあえず座って下さい」フフッ

海原(神裂さん、意外と役者ですね)フムフム・・・

土御門「ほれほれ。何か話せよ。歳近いんだろ、お前ら」ニヤニヤ・・・

ステイル「……土御門。お前は知り合いなのか?」チラッ・・・

土御門「俺にじゃねぇ! ったく……そうだな。香は神崎神社に所縁有る娘だから土御門家(俺の実家)と……って言っても分からないか」

ステイル「神社……日本のシントー(神道)だな。という事は巫女(シスター)なのか」フム・・・

神裂「香はそういう宗教色に染まって居ませんよ。確かに本家は神社ですが、この子は分家なので」コクッ

香焼「は、はい。私はカオリ姉様や土御門さんの様に、隠れキリシタンだったり陰陽道だったりしませんから」コクッ

ステイル「ふむ。だが色々詳しそうだな」

海原「宗教学者が宗教人という訳では無いでしょう。そういう事かと」

ステイル「成程ね」コクッ

削板「よく分かんねぇけど……その制服見る限り、常盤台か?」ジー・・・

香焼「はい。一年生……です。御二人は?」ペコッ・・・

削板「俺はとある研究所付属だから学校行ってねぇんだ。こっちのデカいのは此処の学生ですらない」クイッ

香焼「はぁ……お仕事か何かで?」キョトン・・・

ステイル「君の姉上と同じ様なモノだ。此処の理事長とのビジネスで色々ね」コクッ

香焼「へぇ! 偉い方なの……ですね!(これ、マジでばれてないの?)」フーン・・・

御坂蛇(完璧だ、とミサカは香を評価します)b"・・・ビシッ!

土御門「……なんだ、ステイル。同じ同年代なのにアニェーゼとかレッサーと対応違うじゃねぇか」ニヤニヤ・・・

ステイル「あの野蛮チビ娘共を基準にする方が間違ってる。この子はアンジェレネやサーシャ、ランシスに近いだろ」ジー・・・

神裂「あー確かに」ハハハ

香焼(まぁ心掛けてますから)タラー・・・

削板「ところで、常盤台って事はそれなりの強度(レベル)なんだろ? どんな能力なんだ?」

香焼「ええっと、強度は強~大能力(レベル3~4)のあやふやで、能力は……その、えっと……分からない……です」モジモジ・・・

削板「え?」キョトン・・・

土御門「希少能力者(レアスキル)だそうだ。色々扱いが難しくてな……もしかすると『原石(お前)』みたいなのかもな」クイッ・・・

削板「ほー……まぁ俺の知った事じゃねぇな。それより何て呼びゃ良い? 俺は軍覇で良いぞ」

香焼「では軍覇さんと……私の事は好きに呼んで下さい。神崎(こうざき)でも、香(かおる)でも」コクッ

削板「んじゃ香だな。最愛よりも良い娘そうだ」ハハハ

ステイル「では僕も神裂とごっちゃにならない為に香と呼ばせて貰おう。僕の事も好きに呼んでくれて構わない」コクッ

香焼「では削板さんと、マグヌスさんで……宜しくお願いしますね。(うわぁ、マジ通せた)」ダラダラ・・・

海原(心配し過ぎですよ。貴女の変装は完璧。自分とスネークのお墨付きですから)フフフ・・・

302 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 05:47:41.92 ID:1oIVBFos0
神裂「さて、口を挟んで申し訳無いんですが昼食が出来ましたよ。お喋りの続きはこれを食べながらでも、ね」コクッ

海原「おや。もう出来たのですか。それでは座って待ちましょう」チラッ・・・

香焼「姉様。御手伝いします」トコトコ・・・

神裂「はい、お願いします」フフッ・・・


 パタパタ・・・・・


ステイル「……土御門」ボソッ・・・

土御門「何だ? 香に惚れたか? 遂に禁書目録から乗り換えか?」ニヤニヤ・・・

ステイル「阿呆抜かせ……あの子は本当に、無関係者なのか?」ボソッ・・・

土御門「ああ。まぁ多少体術武術は長けてるが、魔術に関しては神道のちょいちょい程度だ。現に魔力を持ってないだろ? 調べてみろ」ジー・・・

ステイル「ん……確かに、魔力値は0だな。意味が分からないけど、まだそこの根性馬鹿の方が上だ」フム・・・

土御門「だろ。だからあまりボロを出すなよ。(魔力遮断の呪符『※』は上手く作れたみたいだな)」コクッ・・・      ※前話参照。

神裂「ステイル。土御門。貴方達も手を洗ってきなさい」チラッ・・・

土御門「はいはい、お母ちゃん。今日もエプロン姿似合ってるぜ」ニヤニヤ・・・

神裂「誰が母親だ、誰が」ジトー・・・


 イタダキマース・・・・・


海原「おぉ! シーフードとホワイトソースのスープパスタですか! 凄いですね」フフッ

御坂蛇「美味い……缶詰の5倍は美味い、とミサカは評価します」チュルチュル・・・

土御門「基準が微妙だぜぃ……まぁ料理勝負だと五和とどっこい評価だからなー」ニヤリ・・・

神裂「よ、余計な事を言うな阿呆!」グヌヌゥ・・・///

土御門「はははは! あ、そうだ……香。さっきのパンフ何処いった?」チラッ・・・

香焼「え? あ、はい。ポケットに入れてました」スッ・・・

土御門「ちょい貸せ……おい、お前ら」ジー・・・

ステイル・削板「「ん?」」モグモグ・・・

土御門「お前ら、香をコレに連れてけ」パッ・・・

ステイル・削板「「は?」」キョトン・・・

神裂「チャリティーコンサートです。都市の著名人が集って演奏会を開いています」

削板「……はぁ」モグモグ・・・

ステイル「意味が分からん」モグモグ・・・

303 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 06:04:26.29 ID:1oIVBFos0
神裂「2人とも、お願いできませんか?」コクッ・・・

ステイル「いや、お前が連れて行けば良かろう」モグモグ・・・

神裂「出来ればしてますよ。午後に彼らと用事があるのです」チラッ・・・

土御門「ああ、悪いな。香焼はその用事の先行で出張ったんだ」

神裂「あの子と共に行こうかとも考えてたらしいのですが……つくづく都合が合いませんね」フム・・・

削板「ふーん……演奏会ねぇ」ジー・・・

ステイル「……一人で行けないのか?」

神裂「そうして欲しいのは山々なのですが、都市に来て日が浅いですし……あと極度の方向音痴なので」ハァ・・・

香焼「す、すいません。(何かドンドン設定が増えていく)」タラー・・・

ステイル「……おい、軍覇。貴様が付き添ってやれ」チラッ・・・

削板「はぁ? 俺だけ? テメェは?」チラッ・・・

ステイル「僕は彼らの用事に付き合う」フンッ・・・

海原「(上手く逃げようとしてますね)……あ、いえ。主教補佐殿。人は足りてますから」ポリポリ・・・

ステイル「うっ……い、いや、一応僕も居た方が」タラー・・・

土御門「いや、ぶっちゃけ邪魔だ。だから香の付き添い頼みたい」フフフ・・・

ステイル「ぐっ」タラー・・・

削板「ほら見ろ! 抜け駆けしようとすっからそうなんだ」ジトー・・・

海原「おや? それでは第7位は承諾してもらえるのでしょうか?」フフッ

削板「え、あ、いや……俺演奏会とか苦手で、寝ちゃうタイプだし……あと用事が」タラー・・・

ステイル「嘘吐け。貴様香焼と遊ぶ為に午後空けてきたと言ってただろう」ガシッ

削板「ギクっ……て、テメェもなぁ」ジー・・・

香焼「(何か申し訳無いっすね……でも、ごめん)じゃあ、2人とも暇……ですか?」ジー・・・

ステイル・削板「「うっ」」ダラダラ・・・

土御門「決まりだにゃ」ニヤリ・・・

神裂「お願いしますね、2人とも」フフッ

ステイル・削板「「……ハァ」」ガクッ・・・


海原(皆さん演技派ですねぇ。さて、スネーク。追跡監視の方お願いしますよ)チラッ・・・

御坂蛇(了解……もきゅもきゅ……と、ミサカはお替わりを所望します)ゴックン・・・

神裂(ごめんなさい。もう無いです)アハハ・・・

御坂蛇(っ!?)ガーン・・・

香焼(へ、蛇さん。自分の残り、どうぞ)タラー・・・

御坂蛇(香……私は良い妹弟子に恵まれた! とミサカの身の幸を喜びます)パアアァ!

土御門(お前ら、この家だと異常にアットホームになるなぁ)タラー・・・

309 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/14(月) 23:16:01.68 ID:1oIVBFos0
 ―――とある翌日、PM03:00、学園都市第7学区、文化会館付近・・・・・・



あの後、土御門や姉さんによる半ば強引な説得でステイルと軍覇は折れた。
香焼(個人)的には一応彼らと遊んでいる事になるので嬉しい気持ち半分。
香(他者)的にはいきなり仲良くない子と出かけて来いと吹っ掛けられたので、非常に微妙な心境だ。


ステイル「……はぁ」テクテク・・・

削板「……何だかなぁ」テクテク・・・


因みに、結構真面目な発表会なので正装じゃなければ入場できない。
殆どの入場者は学生や一時的に入場許可された父兄方なので学生服やスーツで間に合うのだが……この2人は違う。

普段のステイルの恰好は漆黒の外套(マント)。ただでさえ高身長で目立つのに、意味不明ファッションなんてしたら倍目立つ。
軍覇は旭Tシャツの上に学生服……というか特注の白ランを羽織って、鉢巻きの昭和(?)風ファッション。

流石にこれでは入場できないという事で、途中、麦野さんに教えてもらった紳士服屋で相応の服を購入。


削板「Yシャツなんて着んの何年ぶりだろう……てか鉢巻き返してくれよ」ドヨーン・・・

ステイル「このジャケット、キツいんだが……4Lサイズ以上は無いのか?」ムゥ・・・


真面目に白ランの前を閉め、髪を降ろした軍覇。そして茶色の御洒落ジャケットを羽織り、髪を結んだステイル。


香焼「2人とも……恰好良い」ボソッ・・・

ステイル・削板「「は?」」チラッ・・・

香焼「い、いえ、何でもありません」アハハ・・・///


普通にIKEMENだった。そりゃもう隣で歩いてる女装チビ男が霞む位に。
現に擦れ違う人、全員が見返りする程のイケメン'sである。


削板「ったく……マジ俺こういうの興味無ぇんだけどなぁ。寝ちまうんだよ」ハァ・・・

香焼「……ごめんなさい」ペコッ・・・

削板「あ、え、いや、その……あははは」タラー・・・

ステイル「馬鹿……あー、香。コイツの言う事は気にしないでくれ」スッ・・・

削板「チッ。悪かったよ……って、オイ! テメェ此処で煙草やんな!」ビシッ!

ステイル「僕の勝手だろ……喫わなきゃやってられん」カチッ・・・

香焼「……すいません」ペコッ・・・

ステイル「うっ……、」タラー・・・

削板「謝れ! 香に謝れ! そして煙草捨てろ!」ジトー・・・

ステイル「も、申し訳無い。君は病持ちだったな……我慢しよう」スッ・・・


あ、この設定有るとステイル煙草喫わなくなるのか。今度香焼(男)の時に試してみよう。

310 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/14(月) 23:50:30.32 ID:1oIVBFos0
数分後、文化会館に到着。開場直前というだけあってかなりの人混みだ。
多分、探せば沢山知り合いが居るだろう。主に御坂さん関係者。


削板「…………、」ソワソワ・・・

ステイル「何だ、落ち着きの無い……今更帰るなんて無しだぞ」ジトー・・・

削板「いや、あのよぉ……今更白状すっけどさぁ」ポリポリ・・・

香焼・ステイル「「え?」」チラッ・・・

削板「俺、今日この演奏会から逃げてきたんだって」タラー・・・


は?


削板「パンフ、見てみろよ」コクッ・・・

香焼「パンフレット?」パラッ・・・

削板「下の方、良く読んでみ」ジー・・・


出演、豪華著名人・強豪校吹奏楽部・合唱部・アーティスト……特別ゲスト、一一一(ひとついはじめ)、学芸都市楽団、etc...


ステイル「それが如何した?」

削板「そこじゃねぇ。その隣だ」ピッ


 【なお学園都市統括理事会役員および各校理事長様、日本国皇族様・国会議員様、協賛企業代表様、
                        そして超能力者一同様等も観賞に足を運ばれる為、警備を厳重に―――】


香焼「……え? 超能力者一同様って」チラッ・・・

削板「……呼ばれた」ハァ・・・

ステイル「貴様……こんな大きな公仕事蹴って、香焼の家に遊びに」タラー・・・

削板「だ、だって別にこんなん出なくても問題無ぇよ! 特別席に『居る』って事にしときゃダイジョブだし、どうせ他の連中も来ないし!」


僕的には嬉しい限りなのだが、流石にこういうのをサボられると困る。


香焼「ええっと、なんにしろ拙いんじゃない……ですか? 学生証の提示とか有りそう……ですし」チラッ・・・

削板「ハァ……やっぱ帰らねぇか? あそこ入った瞬間、俺拉致されちまう。間違ってジジイ居たら怒られるだけじゃ済まないし」ダラダラ・・・

ステイル「先に言えば良かったモノの……サングラスとマスクで誤魔化しとけ」フンッ・・・

削板「学生証は?」ジー・・・

香焼「アレだけ人多ければ、スルーされる可能性も……無いかなぁ?」ジー・・・

ステイル「まぁなんだ……腹を括れ。捕まったら捕まったで何とかしよう」ウンウン・・・

削板「うぃ……怖ぇなぁ」ドヨーン・・・


いっその事、いつもの根性馬鹿テンションで開き直ってしまえば、逆にすんなり通れたりしてね。

311 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 00:40:14.92 ID:azx9LWIa0
軍覇がウジウジ言ってる内に、開場開始。
といっても、かなりの人量なので今から並んでもホールに入るまで30分以上は掛りそうだ。


ステイル「ふむ。香、良い席に座りたいのか?」チラッ・・・

香焼「いえ、何処でも良い……です」コクッ・・・

ステイル「では空いてから入場しても良いな」ジー・・・

香焼「でも、削板さんの為に今ドサクサに紛れて入場した方が」チラッ・・・

ステイル「……だとよ」チラッ・・・

削板「いや……今入ったら逆に人目に着くだろ。こういうのは中途半端な頃に入った方が気付かれない」ジー・・・


潜入のマニュアルにそんな事が書いてあったな。人混みでは警備員達が気を張ってる為、余計見つかり易いとか。
人払いの術式や視覚遮断の能力を持っていれば別だが、軍覇の場合目立つ能力しか保有していない。


香焼「あ、よく見ると学生証をカードリーダーに通すだけで大丈夫みたい……ですね」チラッ・・・

削板「幾分かマシだな。そういえばステイル。お前、証明書有んの?」

ステイル「ん」スッ・・・


黒いカード……何これ? 禍々しいんだけど。


ステイル「アレイスターから渡されている証明書だ。大学生扱いだし学割が効くから重宝している」フンッ

削板「何で統括理事長の名前が出てくるかは知らねぇけど、要は煙草容認されてる訳か……世も末だな」タラー・・・

香焼「うーん。始まるのは5時から……です。如何しますか?」

削板「如何って、席何処でも良いならウロウロしてても大丈夫じゃね? てか俺一応ジジイに連絡しないと……クッションの為に」タラー・・・

ステイル「正直、一服しときたい」ハァ・・・

香焼「喫煙所あるのかなぁ……ええっと、それじゃ4時に入口集合で如何でしょう」


双方承諾。ステイルはパンフレットを元に喫煙所探しに、軍覇はトイレがてら所長(?)さんに電話しに消えた。
それじゃあ僕は……―――


①御坂さんと操祈さんに渡す花を買いに行く(発表会終了後、渡す花束を)

②トイレに行っとく(なるべく人が少なそうな女子トイレ探し)

③何処かに居るであろう佐天さんに連絡(素性知れてる故)

                       >>313

312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 00:55:11.35 ID:ox7WaGHDO
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/15(火) 01:03:11.48 ID:Rummf+vbo
①で
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 01:03:54.86 ID:zajy1x+Uo
315 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 01:28:33.39 ID:azx9LWIa0
―――それでは、花でも買いに行こう。
多分、僕以外の友人達や熱狂的なファンに囲まれてるだろうから本人に直接渡せないと思う。
だが、入場口に奏者宛てのバケットか何かあるかもしれない。メッセージカードを添えて、そこに置いておこう。

となると、近くの花屋は……と探しに行こうとした刹那。


香焼「あ」チラッ・・・


移動販売車が数台来ていた。成程、この日は確かに稼ぎ時だ。
金と質に糸目はつけないので、あの中から割かし空いてる所で買おう。


香焼「えっと……何処も込んでるっすね」キョロキョロ・・・

??「あ! かおるだ!」ビシッ!

香焼「え!?」ギョッ・・・


知り合いか!?


禁書「おーい! かおるー! こっちこっちー!」ノシノシ

風斬「い、インデックス……目立つよ。はしゃがないで」アタフタ・・・

香焼「え、い、禁書目録」タラー・・・

上条「ん? おぅ、香か」チラッ・・・

香焼「上条さんも!?」ドキッ・・・


まさか、何故……あ、御坂さんか。


香焼「こんにちは」ペコッ・・・

上条「こんちわ。香も観に来たのか?」ジー・・・

香焼「はい。常盤台の友人も参加するので」コクッ

上条「そっか。あ、もしかしてビリビリか?」ハハハ


ビリビリって……名前で呼んであげて下さい。


禁書「じゃあ短髪でOKなんだよ。あ、2人は初めましてだね。ひょうか、この子は私の友達の親戚なんだよ」チラッ・・・

風斬「この子は友達じゃないのかな……あ、いえ、ごめんなさい……えっと、風斬氷華です」ペコッ・・・

香焼「はい。神崎香……です」ペコッ・・・

風斬「……あ」ジー・・・


僕はこの人(プログラム)を情報で知っている。アレイスターの『疑似天使』こと……いや、そういう言い方は止めよう。
多分、アチラも僕の正体を知っているが黙ってくれている筈。


禁書「ねぇ。もしかしてかおるもお花買いに来たの?」ジー・・・

香焼「ええ……『も』って事は皆さんも?」アハハ・・・

禁書「うーん、私とひょうかは別に買わなくても良いんだけどね」チラッ・・・

上条「お、俺も良いよ。面倒だし」ポリポリ・・・

禁書「はぁ……敵に塩を送る訳じゃないけど、こういう時はマナーとして渡さなきゃダメなんだよ! ね、ひょうか!」ムンッ!

風斬「え? あ、うん、そうなのかな……うん。貰えたら、嬉しいよね」フフッ


面倒臭そうな、恥ずかしそうな、微妙な表情をする上条さん。素直じゃないなぁ。

316 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 01:53:24.45 ID:azx9LWIa0
しかしまぁ何処も込み込みだ。開演までに買えたとしても、2人との待ち合わせ時間までに買えるか如何か。


上条「ん……それじゃあ店紹介するぞ」コクッ

香焼「え?」キョトン・・・

上条「ダチが花売りのバイトで来てるんだ。ちょっと離れるけど、此処よりは込んで無い筈だ」

香焼「あ、すんなり買えるなら何でも良い……です」ペコッ・・・

上条「そうか。そんじゃ場所教えてやる」スッ・・・

禁書「とうま……とうまも買わなきゃダメって言ってるじゃん!」ジトー・・・

上条「……えー」タラー・・・


苦笑。とりあえず、直接案内してくれる事になった。


上条「あのなぁインデックス……ああいう贈花って結構高いんだぞ」タラー・・・

禁書「当たり前でしょ。気持ちを送るんだもん」ジー・・・

上条「じゃあ……今日の晩飯、外食のつもりだったけど、やっぱキャンセルな」フンッ

禁書「なん……だと……こ、このゲスじょーとうまめっ!!」ギロッ・・・

上条「だ・れ・が! ゲス条さんだ! 俺は財布と相談して尚色々考慮してだな!」ウガー!

禁書「最っ悪最低ー! 男としてゲスなんだよ!」ムキー!


あ、噛みついた。いつものやり取り。


香焼「毎回の事ながら、大変っすね」ボソッ・・・

風斬「あはは……『貴方』も、色々大変そうだけど……特に、その恰好」クスッ

香焼「あー……一応、黙っといて下さい」タラー・・・

風斬「ええ。分かってる……お勤め御苦労さまです」フフッ


姉さん達とまた違う母性を感じる人だな……胸囲的にも。
さておき、少し外れの公園に到着。確かに人気は少ないが……本当に此処で花を売ってるのか?


上条「ん? ああ……確か、其処ら辺に……ほら。あのチャリんこ販売だ」チラッ・・・

香焼「え? あ……本当だ。自転車販売」タラー・・・


ポツンと、改造自転車露店が在る。


上条「ほら、行って来い」クイッ

禁書「だからとうまも行くんだよ!」ガルルルルゥ!

上条「だーもう! 飯は如何すんだ!」バッ!

香焼「ええっと……花屋のお礼に、僕か姉が料理持って行きますから」ハハハ・・・

禁書「ホラ見ろ!」ドヤァ・・・

上条「ぐっ……有難迷惑……いや、迷惑有難だな……微妙な心境だぞ、香」タラー・・・


まぁ純粋に御坂さんの為だと思って、買ってあげて下さいよ。

317 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 02:12:13.45 ID:azx9LWIa0
ゴダゴダありつつ、花屋(?)に到着。


上条「はぁ……おーい」テクテク・・・

青ピ「はいはい、いらっしゃ……って、カミやん! まさか本当に買いに来てくれるとは!」パアアァ!

上条「いや、その、何だ……色々あってな」ハハハ・・・

青ピ「んもー、何やかんや言うてツンデレさんなんだから~。ん? 其方の坊や……いや、お嬢さんも?」チラッ・・・

香焼「(坊やって……この人気付いたんじゃないか?)あ、はい。上条さんの紹介で一緒に」ペコッ・・・

青ピ「うんうん! 毎度毎度! 受注だけやったから当日買いのお客さんは助かるよー!」ニコニコッ!


気前の良さそうな高身長、青髪ピアスの低音ボイスお兄さん……っていうか、前に何度かお会いした事あるんですけどね。


上条「しかし、お前も色々バイトしてるよなぁ。パン屋に古本屋に喫茶店に……そんな金無いの?」

青ピ「いえいえ。ボクぁカミやんよかぁ裕福ですよ」フフッ

上条「うぐっ……言ってくれるじゃないの。言い返せないのが悲しい」タラー・・・

青ピ「ハハハ。まぁまぁ、人生経験ってヤツですよ。それよか如何します?」クスクスッ

上条「あー、適当に見繕ってくれ。成るべく予算少なめに」ポリポリ・・・

青ピ「あいよー、分かってますって。其方のお嬢さんは?」チラッ・・・

香焼「僕も、適当に2セット分お願いします」コクッ

青ピ「僕っ娘!? あざといわぁ……あ、はいはい。店長ー。安モン一つにセット二つでー」チラッ・・・

上条「安モン言うなし」ハァ・・・

青ピ「冗談冗談。相応のモノ造りますよん」フフフッ


店長さんと一緒に見事な花束を仕上げてくれた。


上条「おお! 凄ぇな……これ高いんじゃないの?」タラー・・・

青ピ「友人価格で御札一枚で結構! ま、最低限の花束ですからね」ハハハ・・・

上条「いや、助かるよ。渡す分には十分以上さ」コクッ

青ピ「いやいや、そう言って貰えると花屋冥利に尽きます。そんで、そっちのお嬢ちゃんは……三枚と二百になります。大丈夫?」チラッ・・・

香焼「え?! 五千円しない……ですか!?」ギョッ・・・

青ピ「ままま。此処は紹介価格っつー事で……今後とも御贔屓にして貰えれば結構ですよ。あ、これ此処の店の名刺ね」スッ・・・


商売上手な人だ。こうまでされたら別途で買いに行かない訳にはいかないだろう。

318 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 02:30:22.78 ID:azx9LWIa0
満足いく買い物が出来たのは良いが、上条さんが禁書目録と財布の中身の相談を開始してしまった。
そこまでギリギリなのか? 必要悪の教会から禁書目録宛てにかなりの仕送りを送っているという話を聞いたが……全部使ってるの?


青ピ「ハハハ。まぁシスターちゃんの食費に飛んでるんでしょね……それより、君は何してるん?」フフッ

香焼「あ、え、その……あぅ」タラー・・・

青ピ「あ、ダイジョブダイジョブ。ばらそうって訳じゃないし……香焼くんでしょ? 理事校の。前に何度か会いましたよね」ボソッ・・・

香焼「あははは……ちょっと、訳有りで」ダラダラ・・・

青ピ「ふーん。いやはや、前々から似合うだろうとは思ってましたけど……完っ璧、女の子ですなぁ」ニヤニヤ・・・

香焼「うっ……言わないでください」ハァ・・・


認めたくないんです。


青ピ「今度僕がやってる喫茶店で一緒にバイトせぇへん? 絶対看板娘になりますよ!」ニヤリ・・・

香焼「え、遠慮しときます」ダラダラ・・・

青ピ「ありゃりゃ。残念無念……っと、其方さんは……ツレって事でおk?」チラッ・・・

香焼「え?」ジー・・・

風斬「また……貴方は、変わった事を」ハァ・・・

青ピ「あはは。ま、内緒にしといて。一応仮だけど知人の好(よしみ)って事で」フフッ

風斬「ハァ……まぁ誰も、貴方を止めませんけどね」ジー・・・


何言ってんだ、この人達。


青ピ「んー、あんま気にせんといて……あ、ほら。カミやん呼んでますよ」チラッ・・・

上条「おーい。そろそろ行くぞー」

香焼「はーい。えっとありがとうございました。機会があればお店の方にお邪魔します」ペコッ・・・

青ピ「うんうん。良え子やね。いつでもおいでー」ノシ


もう一度礼をし、その場を後にした。
ちょっと土御門チックに胡散臭い人だが、フレッシュな分良い人だと思う。また何処かで会うかもしれない。

319 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 02:52:52.76 ID:azx9LWIa0
 ―――とある翌日、PM04:00、学園都市第7学区、文化会館入り口・・・・・・







上条さん達と別れ、再びステイルと軍覇と合流する。
ステイルは先に着いてコーヒーをチビチビ啜っていたが、軍覇はまだ来ていなかった。


香焼「削板さんは?」

ステイル「さぁね。何処で何してるのやら」ジー・・・

香焼「はぁ」ポリポリ・・・


些か如何でも良さそうに虚空を見詰めるステイル。


香焼「あの……、」ボソッ・・・

ステイル「ん?」チラッ・・・

香焼「やっぱり、面倒でしたよね」ジー・・・

ステイル「……いや」ムゥ・・・

香焼「香焼のお兄さんと遊ぶ為に態々御休みを取って貰ったみたいなのに……すいません」ペコッ・・・

ステイル「ん……えっと」ポリポリ・・・


ぶっちゃけ、僕も辛いんで今の内に吐露しておく。ステイルと軍覇と家で遊んでる方が良かったです。


ステイル「……まぁ僕は、音楽が嫌いという訳ではないからね。多少クラシックも嗜むし、苦痛では無いよ」コクッ

香焼「そう……ですか」

ステイル「まぁ彼と暇を潰す為に休みを取ったのは確かだが……生憎、僕も彼もワーカーホリック気味でね。彼の心境は分かるよ」フム・・・

香焼「……あはは」タラー・・・

ステイル「割り切ると言ったら、君に失礼かもしれないが……彼とはまた都合を付けれる。偶にはこういうのもアリだと思わねばね」フフッ・・・

香焼「大人……ですね」ジー・・・

ステイル「如何だろうね。まぁ英国のとある姉妹に、食事だの演奏会だのに行くぞと頻繁に誘われてるから……慣れたよ」ハハハ・・・


バードウェイ姉妹の事だろう。珍しくステイルに好印象を持ってくれている同年代の女子だ。


香焼「でも……香焼のお兄さんは、御二人と遊べるの、楽しみにしてました。マグヌスさんは?」コクッ

ステイル「……そうだな。悪い気はしないよ」フッ・・・


照れ臭そうな、だけど優しい、ニヒルな笑み。その笑顔だけで、今日の僕は報われた気がした。

320 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 03:17:40.51 ID:azx9LWIa0
数分後、軍覇が肩を落として戻ってきた。


ステイル「遅いぞ……って、如何した?」ジー・・・

削板「……見つけ次第、確保するとか言われた」ドヨーン・・・

香焼「大変……ですね」アハハ・・・

削板「ハァ……もし途中で拉致られたら電話かメールして伝えっから」タラー・・・


超能力者を拉致するって、どんな手段だよ……さておき、そろそろ向かおう。


香焼「チケットは全て携帯購入なの……ですね」フムフム・・・

削板「ああ。ICタッチかQRコードを読み込んでもらうだけでOKだ。俺は前売り券扱いだけど、お前ら大丈夫か?」チラッ・・・

ステイル「む……すまない。その手の話は詳しくないんだ」ムゥ・・・

削板「ちょい携帯貸せ……あー、よく分かんないがステイルのIDだと一口5万の寄付(チケット)扱いだぞ?」キョトン・・・

ステイル「ん? 普通はどのくらいなんだ?」チラッ・・・


席のクラスにもよるが、真ん中の座席だと一般購入価格は3,500くらいだ。


ステイル「ば、馬鹿げてる! 何だそれ!?」ダラダラ・・・

削板「あー……さっきのブラックカードの所為じゃねぇか? VIP扱いだから多めに寄付しろとか……何故か席もVIP室だし」ハハハ・・・

ステイル「一般席に座らせろ! まったく、一番安いので構わないというに」ムググ・・・

削板「んー……一般席選んでも、寄付金5万からになっちまうぞ」タラー・・・

ステイル「アアァレイスタアアアアァッ!! あんにゃろう……僕だって14歳だぞっ!!」ウガー!!

香焼「ま、マグヌスさん。落ち着いて」アタフタ・・・


気持ちは分からんでも無いが、貴方はこの街でそれ相応の恩恵受けてるでしょうに。


ステイル「チッ……こうなったら必要悪の教会(法人)名義で寄付(チケット代)落としてやる」ギリギリ・・・

削板「もうそれ個人寄付じゃねぇよ……あ、香は大丈夫か?」チラッ・・・

香焼「はい……どのクラスの席にすれば良いでしょうか?」チラッ・・・

削板「俺のは何処の席でも替えは効く筈だぞ。まぁ捕まったらお終いだけど」ハァ・・・

ステイル「……僕は何処でも良い。香に合わせよう」ハァ・・・


それでは……―――


①折角だし、良い席で見よう

②真ん中辺りで良いや

③二階席か立ち見席で十分です


                        >>322

321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 03:20:48.21 ID:zajy1x+Uo
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 03:21:27.59 ID:AwGh0DXIO
3
323 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 03:39:52.35 ID:azx9LWIa0
―――2人は良い席で見れるかもしれないが、個人的には最低ランクの席で良いや。


香焼「……すいません。一番安い所で」ペコッ・・・

削板「分かった。そんじゃ行くぞ」クイッ


カードリーダーに学生証(証明書)をスキャン(かざ)し、同時に隣接してる機会へ携帯をタッチする。
ステイルはICタッチ機能が付いてないのでQRを読み取り、先に進んだ。


削板「うぅ……見つかんなきゃいいけど」タラー・・・

ステイル「大丈夫じゃないか。君の恰好、普段と相当違うからね」ジー・・・

香焼「あはは……(確かに……髪降ろして前閉めてると軍覇だって分かんない)」ジー・・・

削板「いや、でもジジイとか山崎の姉ちゃんに見つかったら……てかさっきのスキャンで一応俺が入場したのばれたし」ウーン・・・

香焼「それを言ったら、マグヌスさんもでは?」チラッ・・・

ステイル「いや、僕は関係無かろう。別段アレイスター本人が来てる訳でもあるまい。お偉いさん方に挨拶する必要はないよ」コクッ


まぁ確かに消えて欲しくはない。2人が消えたら、僕一人で放り出される始末だ。勘弁してくれよ。


削板「しっかし、警備員(アンチスキル)と風紀委員(ジャッジメント)がウジャウジャ居るなぁ」キョロキョロ・・・

香焼「厳重警戒態勢って書いてましたからね」コクッ

削板「知り合いに見つかる前にさっさと行こ……って、やばっ! 眼鏡の姉ちゃんだ!」バッ!

ステイル「オマ、僕の後ろに隠れるな!」タラー・・・


確か……鉄装さん。落ち着きない様子でキョロキョロ見回している。アレって警備なのか?


削板「逆! 逆方向から行こうぜ!」タラー・・・

ステイル「はいはい。面倒なヤツめ」テクテク・・・

削板「あとお前上手く盾になれよ。見つかったら拙いんだからなっ」ボソボソッ・・・

ステイル「ハァ。おい、逆に目立つぞ……堂々としておけ。その方が目立たん」ヤレヤレ・・・

削板「だけどよぉ……って、うわっ!」ピタッ!

香焼「また知り合い……です、か……って……うわっ」ピタッ・・・


僕も、会いたくない人が居る。


固法「―――」ゴニョゴニョ・・・

那由他「―――」ペチャクチャ・・・

黒妻「―――」ハイハイ・・・


何で此処に居るんですか……固法さん。ばれちゃうでしょ。

324 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 04:10:23.04 ID:azx9LWIa0
とりあえず、この通路も通りたくないという軍覇の意見に賛成し、踵を―――


黄泉川「ん?」ピタッ・・・

香焼・削板「「あ」」ピタッ・・・

ステイル「如何した?」ポカーン・・・


―――後ろにも、知り合いがいました。


黄泉川「……第7位じゃん?」ジー・・・

削板「じゃ、じゃんじゃん警備員……ひ、ヒトチガイダヨ」アタフタ・・・

黄泉川「……確保するじゃん」スッ・・・

削板「どわっ!!? お、お前ら! 先に席行っとけ! 俺も後から行くから!」クルッ・・・バッ!

ステイル「オイ、軍覇!」キョトン・・・

香焼「ええっと……何で?」タラー・・・

黄泉川「チッ……おい、黒妻! 那由他! そこの根性馬鹿捕まえろ!!」ガアアァッ!!

削板「うぇあっ!!?」ビクッ!!


ゆっくりと此方を向く、固法さんの隣に居た2人。


削板「く、黒妻の兄ちゃんとサイボーグ少女!?」ヤベッ!!

固法「あら、削板くん。こんな所に」キョトン・・・

黒妻「テメェ……所長がブチギレてたぞ」カツカツ・・・

那由他「ええっと……とりあえず捕まえれば良いんですか?」チラッ・・・

削板「…………、」ダラダラ・・・


前門の虎、後門の狼。


削板「な、なら上だ!」ジャーンプ!

黄泉川「逃がすかっ!!」ブンッ!!

那由他「ホイっと!」パシュッ!!

香焼・ステイル「「っ!!?」」ギョッ・・・

削板「え……うがっ!!」ゴガンッ!!


黄泉川さんが投げた警備員用の盾(ライオットシールド)と少女の掌(?)から発射された『何か』が見事に命中。
大ジャンプしたのは良いが、重力に従ってヒラヒラと落ちてくる軍覇……あ、捕まった。

325 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/15(火) 04:31:15.72 ID:azx9LWIa0
半分気絶状態の軍覇に縄を掛ける黄泉川さん。というか、宇宙超合金より堅い軍覇をよくノックアウト出来たものだ。


黄泉川「あー連れの子か。悪いな。コイツの事特別席に引っ張ってかないといけないじゃん」ギュッ!!

削板「ぐへぇ」ピクピク・・・

ステイル「……何かヤバい反応してるぞ? 大丈夫か?」タラー・・・

那由他「大丈夫よ」テクテク・・・

香焼・ステイル「「え」」ピタッ・・・


先程腕から何かを発射した少女が近付いてきた。後ろには固法さんと(確か)彼氏さんも一緒だ。


那由他「ソイツ。殺しても死なないヤツだから。今は対猛獣用の麻酔弾5発程度かましただけだもの」ガチャンッ・・・

香焼「ま、麻酔弾って……物騒な」タラー・・・

黄泉川「こうでもしないと黙らないからな……んじゃ今はちょっくら連れてくじゃん。後でアンタらに返すから心配すんなよ」ヨイショッ・・・テクテク・・・

削板「ぐはっ……あ、後で……連絡、する……ガクッ」チーン・・・

ステイル「まだ喋れるのかい」タラー・・・


まぁそこは根性で何とかしてるんでしょう。


黒妻「ったく。大人しく自分から所長んとこ出向いてれば問題無かったっつーのに」ヤレヤレ・・・

那由他「うん。あ、君達ごめんね。でも元を辿ればアイツが悪いんだよ」ウンウン・・・

ステイル「それは承知の上だが……あまりに突然でね」ポリポリ・・・

香焼「同じく……です」チラッ・・・

固法「……ふふっ」ニヤニヤ・・・


その笑みを止めて下さい。


香焼「こ……こんにちは。固法さん」タラー・・・

固法「ええ。こんにちは。今日も可愛いわね、香ちゃん」ニコニコッ

ステイル・那由他「「え?」」キョトン・・・

黒妻「美偉。知り合いか?」ジー・・・

固法「ええ。神裂さんの親戚の子よ。ほら、『前に話した』じゃない……香ちゃんっていうの」ニヤリ・・・

黒妻「あー……例の」ニヤリ・・・

香焼「ッ~~~~~っ!!? こ、固法さん!?」ギョッ・・・

固法「あはは。ごめんなさいね……この前の飲み会で、神裂さんと麦野さんと一緒に、先輩にばらしちゃった」テヘッ♪


首傾げて『ペロっ★』じゃないですよおおぉ!! 誰にも言わないって約束じゃないですかあああぁっ!!

326 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/15(火) 04:50:40.00 ID:azx9LWIa0
言葉に鳴らない叫びを、ポカポカと両拳を固法さんの両掌に向けて表現わす。
苦笑する固法さん。ニヤニヤと僕を見詰める彼氏さん。そして呆気に取られるステイルと少女。


固法「ごめんごめん。でも大丈夫よ。これ以上広がらないから」パチッ

香焼「ううぅ」チラッ・・・

黒妻「……ウッシッシッ」ニヤリ・・・

香焼「信用出来ない……です!」ウワーン!

固法「大丈夫だって。先輩もあんまり虐めないでください」メッ

黒妻「ふふっ。あいよ」ニヤニヤ・・・

ステイル「あー……香。如何いう事だ?」チラッ・・・

那由他「私も状況説明希望でーす」ピッ

固法「あ、そうね。こう……香ちゃん。彼は……貴女の『彼氏』かしら?」ニヤニヤ・・・

黒妻「ぶはっ!! び……BL?」プルプル・・・

香焼「ち、違います! 僕の付き添いというか、姉様の同僚で香焼お兄さんの友人……です。マグヌスさん、此方姉様の友人……です」チラッ・・・


互いに自己紹介。


ステイル「ああ、噂には兼々……神裂も都市で友人が出来たと喜んでましたよ」コクッ

固法「貴方がステイルさんですか。神裂さんから色々聞いていましたけど……想像以上に大きな人ですね」フフッ

香焼「でも、14歳……です」チラッ・・・

黒妻・那由他「「じゅ、14!?」」ギョッ・・・

ステイル「……悪かったね。歳相応に見えなくて」フンッ

固法「ううん。顔は童顔よ。やっぱり香焼くんみたいに、ステイルくんって呼んだ方が良いかしら?」フフフ・・・

ステイル「勘弁してくれ……ところで、其方は?」ハァ・・・

固法「あ、そうね。コッチの私と同じ風紀委員は木原那由他ちゃん。小学生だけど現存の風紀委員でも屈指の実力者よ」スッ・・・

那由他「どうも。那由他と呼んで下さい」ペコッ・・・

固法「それで、ソッチは会場スタッフ(のバイト)さんです」フフフ・・・

黒妻「ちゃんと紹介しろっつの……黒妻綿流だ。職業フリーター。よろしく頼む」コクッ

那由他「遊び人の間違いじゃないんですかー?」ニヤリ・・・

黒妻「うっせ! パチもスロも通算勝ち越しだから大丈夫だっつの!」ケッ!

固法「先輩、恥ずかしいんでそういうのあんまりベラベラ言わないで下さい」ハァ・・・


姉さんや麦野さんが『元ヤンの旦那』って聞いてたけど、そこまで怖そうな人じゃないな。

327 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/15(火) 05:17:08.96 ID:azx9LWIa0
軽く各々の自己紹介が済んだ後、固法さんが思い出した様に告げた。


固法「そういえば今日は御坂さんを見に来たの?」ジー・・・

香焼「はい。それから操祈さん……食蜂先輩の演奏を見に」コクッ

固法「食蜂先輩って……第5位の? いつの間にそんな人脈作ってたのよ」タラー・・・

香焼「まぁ一応」アハハ・・・


彼女との接触が主任務なので。


固法「成程、だから花束が二つなのね。あ、それから……色々知り合い来てるわよ」

香焼「佐天さんとか?」

固法「ええ。白井、初春……それから春上さんに、木山先生の元教え子達も。木山先生、知ってるっけ?」

香焼「はい。春上さんのボランティアの付き添いで何度かお会いしました」


木山さんとか枝先さんとか、常盤台女子寮の寮監さんとかあすなろ園の子供達とか……その話はまた別の機会に。


固法「一応、チャリティーイベントだから置き去り(チャイルドエラー)の子達は無料観賞なの。あと、学費支援にも回されるわ」フフッ

香焼「結構真面目な演奏会……ですね。能力開発の研究資金に宛てられるのかと」

固法「まぁそういうのは一部ね。メインは福祉云々よ」


という事は……ステイル、もっと寄付した方が良かったんじゃないか?


ステイル「勘弁してくれ。それ抜きでもアチラの教会に御布施といわれ搾り取られてるんだ」ハァ・・・

那由他「ふふっ。黒妻さんも大人なら5万くらいポンッと出した方が良いんじゃないですか?」ニヤリ・・・

黒妻「うっせぇ。んな金有ったら就活とアパート代の資金に宛ててらぁ」ケッ

固法「まともに就職活動してるの見た事無いんですけど……まぁ良いわ。あ、それから……麦野さん達も来てるわよ」ニヤリ・・・

香焼「え」タラー・・・


また一人、正体を知る人が。


固法「超能力者(レベル5)全員呼ばれてるのよ。削板くんに聞かなかった?」

ステイル「しかし、自分も含め演奏者たる2人以外は来る訳無いと言っていたが」キョトン・・・

那由他「いえ、全員来てますよ。第6位は寄付金だけ置いてさっさと帰っちゃったみたいですけどね」


それは意外だ。言っちゃ悪いが御坂さん以外、皆『性格破綻者』である超能力者が素直に公の場に集合するなんて、珍しい事もある。

328 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/15(火) 05:40:52.05 ID:azx9LWIa0
ステイルと僕の意見を聞いて、3人は苦笑した。


固法「あはは……麦野さんの話だと『上』が今日は絶対参加しろって五月蠅いんだって」ハハハ・・・

ステイル「上? アレイスターか?」フム・・・

固法「そこまで上じゃないと思うけど……ほら、宣伝効果ってあるでしょ」ポリポリ・・・

香焼「あー、なるほど」ハハハ・・・

那由他「それに、都市のスポンサーも顔出してますからね。金資源のお偉いさんに挨拶しとけって事でしょう」フフッ

黒妻「じゃなきゃ研究費用減らすぞーとでも脅されてるんじゃねぇか。まったく、一人に着き戦争資金が動く超能力者様は違うねぇ」フンッ


そういえば聖人(姉さん)を個人的に『使用(戦争・紛争利用)』する場合は、少なく見積もっても兆は超すらしい。
超能力者も大体同じくらいの『価値』なのだろう。金とは恐ろしいモノだ。

一人ひとりが核兵器並の扱いとは……なんて、馬鹿げた世界。


ステイル「……ふん。やはりVIP扱いじゃなくて良かったよ」

香焼「マグヌスさん……、」チラッ・・・

ステイル「香、そろそろ行こうか。あまりうろつき過ぎると軍覇も戻って来た時に困るだろう」コクッ

香焼「はい……それでは固法さん。また」ペコッ・・・

固法「ええ。あ、最愛ちゃんも居るから挨拶しときなさいよー」フフッ

香焼「は、ぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嘘でしょう!? この人混みに!?」ギョッ・・・

那由他「え? 神崎さん、お姉ちゃん知ってるの?」キョトン・・・

固法「ええ。人見知りしない数少ない御友達よ」フフッ

黒妻「…………、」ジトー・・・


何故、如何して……いや、如何やって来れたんだ? 滝壺さんに目隠しでもされて連れて来られたか?


固法「そんなんじゃないわよ。麦野さんと一緒に特別席で観賞だから大丈夫みたいよ」フフッ

香焼「はぁ……(いや、でもこの規模の人混みだったら……最近慣れてきたっていっても、無理そうだよ)」ウーン・・・

黒妻「ん……『仕事』で来た。麦野さんのSPだ……だから割り切ってる」ボソッ・・・

香焼「っ!?」ギョッ・・・


僕に近付き、耳元で物騒な事を話す黒妻さん。この人は……土御門とか淡希さん寄りの人なのか。


固法「先輩?」キョトン・・・

黒妻「何でもない……ま、最愛ちゃんにあったら挨拶してやってくれ。気ぃ張り詰めてんのは確かだからな」ニカッ

香焼「……はい」コクッ


後で、この人の事を土御門に確認してみよう。

329 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/15(火) 05:59:21.15 ID:azx9LWIa0
3人に別れを告げ、二階に上がる。予想通り、雑多な人々で溢れ返っていた。


香焼「うーん。ちょっと、大変そう……ですね」タラー・・・

ステイル「まぁ演奏が始まれば落ち着くだろう。基本立ち見だが開いてる席は、シルバー席か」ジー・・・

香焼「大丈夫……ですよ。足腰には自信ありますから」コクッ

ステイル「そうか……ん?」チラッ・・・

香焼「如何しました……って、あ」ピタッ・・・


ステイルの視線の先には、一際目立つ純白金のシスター。そして隣にウニ頭と眼鏡っ娘。
確かに上条さんの懐事情を考えればこっちの席ですよねぇ。


香焼「……上条さんだ」ジー・・・

ステイル「知っているのか?」チラッ・・・

香焼「はい。土御門さんに紹介されました。隣の少女2人も知ってます」コクッ

ステイル「そうか……こういうのも何だが、あの男は止めておけよ。見ての通り碌で無しだ」フンッ

香焼「……あはは」タラー・・・


嫉妬全開ですね。さておき、もしかしたら他にも此処に居るかもしれない。


香焼「……あ、居た」ピタッ・・・

ステイル「知り合いでも居たのかい?」ジー・・・

香焼「一応」コクッ


佐天さんと、風紀委員の腕章を付けた白井さん初春さん。春上さんは一緒じゃないみたいだ。
他にも……浜面さん、滝壺さん……フレンダさんと最愛は一緒じゃないのか。もしかして麦野さんと一緒に特別室かな?


ステイル「他に……吸血殺し(ディープブラッド)と……うっ。『あの人』も一緒か」ジー・・・


姫神さん、吹寄さん、月詠さん……というか月詠さんのクラスの子は皆で観賞に来た様だ。
あれ? でも青髪さんは居ないぞ?


ステイル「……こういう場では顔を会わせたく無かったな」フム・・・

香焼「同じく……です」タラー・・・


貴方は気拙いだけでしょうけど、僕の場合『もしも(正体ばれ)』が怖いですからね。

330 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/15(火) 06:30:07.36 ID:azx9LWIa0
だけど、正体の知られてる人には先に挨拶しとくのも手だな。
佐天さんと、固法さんの彼氏さんが知ってたって事は最悪滝壺さんと浜面さん辺りも知ってるやもしれない。

ステイルには申し訳ないが、一旦離れて……と考えた刹那―――


黒服「失礼」ボソッ・・・

香焼・ステイル「「……え」」チラッ・・・


―――僕達に、話しかけてきた?


黒服「ステイル=マグヌス様ですね?」ジー・・・

ステイル「……突然声を掛けられ、名前を尋ねられても困るのだが」ジー・・・

黒服「失礼しました。私、理事会の使いの者です」ペコッ・・・

香焼「理事会の!?」ギョッ・・・

ステイル「……何の様だ。席は何処でも良い筈だろう。態々VIP待遇になる気はないよ」フンッ

黒服「といわれましても……流石に個人で、5万口(25億)の寄付金を頂いた方をVIP扱いしない訳には」コクッ

ステイル「ああ、悪いね。アレは英国からの法人に直しといてくれ……って、5万口!?」ギョッ・・・

黒服「ええ。此方に……此処です」スッ・・・

ステイル「……な、ぜ」タラー・・・


多分『1口=5万』と『5万円』の入力を、軍覇が間違えたのだろう。


ステイル「ちょ……て、訂正、効くかい?」ダラダラ・・・

黒服「まぁそういうミスがあったのでしたら、考慮致しますが……失礼ながら一応チャリティーなので、訂正は遠慮願いたいですね」ジトー・・・

ステイル「す、すまない。流石にこの額は上司に怒られるじゃ済まないんだ……後で追って払うから、今は20口で勘弁してくれ」タラー・・・


大分減ったな……それでも100万をポンっと出せるコイツは流石清教派の幹部といった所か。


ステイル「ああ、これは個人名義で良いよ。手間料だ……後で必ず英国からの寄付を回そう」ハァ・・・

黒服「畏まりました……さておき、マグヌス様」

ステイル「ったく、あのボケ根性馬鹿軍覇……後で覚えてろよ……え、あ、何だい?」チラッ・・・

黒服「……20口でも、個人では相当な金額です」コクッ

ステイル「勘弁してくれ。一応プライベートで来ているんだ。それは何か? アレイスターが直接名指しで僕を呼んでるのか?」ハァ・・・

黒服「いえ、そういう訳ではございませんが……貴方様の名前を見て是非挨拶をしたいと申されるVIPの方が多いので」ペコッ・・・

ステイル「チッ……物好きな連中だ。捨て置いてくれよ」グデェ・・・


うわぁ……凄い大物だ。てかステイル、表の世界でも知名度あるんだね……僕、隣に居て良いのだろうか。

331 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/15(火) 06:54:43.14 ID:azx9LWIa0
後で聞いた話だと、ステイルの名義――因みに、25歳と年齢詐称している――でやってる会社が幾つか在るそうだ。
ダミーの会社だがFX等で名前を貸してる為、かなりの資金が有るとの事。
勿論、全て最大主教(アークビショップ)に回るらしいが……それでも若干14歳で、その立場は凄いよ。

面倒臭そうに黒服の相手を続けるステイル。此処まで断ってるのに、何でこんなにシツコイのだろう。


ステイル「……いい加減シツコイぞ。僕は演奏会を観に来たんだ。邪魔するなら寄付も何も無いぞ」ギロッ・・・

黒服「ですが、その……困りましたね」タラー・・・

ステイル「知るか。僕の他にも一般に交じってる出資者は居るだろう。そっちを当たれ」フンッ

黒服「いえ、マグヌス様を、と」ムゥ・・・

ステイル「諄(くど)い」ジトー・・・

黒服「…………、」ウーン・・・

香焼「え、と……あ、あの、マグヌスさん。僕は大丈夫……ですから、挨拶だけでも」チラッ・・・

ステイル「別に媚び得る必要はない。コネが欲しい訳ではないからね。大体、挨拶したいならソッチから来るのが礼儀だろう」フンッ


確かに……だが、色々と立場もあるのだろう。今後の為にも顔を見せるだけ見せた方が良いと思うのだが。


黒服「あ、あの……マグヌス様」ジー・・・

ステイル「ハァ……さっさと去ね」フンッ

黒服「……で、では、アチラのVIP室をご覧ください」タラー・・・

ステイル「はぁ?」ポカーン・・・

黒服「今、手を振っている御二人が……貴方を呼んでくれと、実に頑固で」ダラダラ・・・

香焼・ステイル「「……え」」ピタッ・・・




レイヴァニア『―――(私を待たせるかボケが……早く来い駄阿呆っ!)』ニヤリ・・・クイクイッ!

パトリシア『―――(こんにちはー)』ニコニコッ・・・ノシノシ”




香焼(ば、バードウェイ姉妹!?)ギョッ・・・

ステイル「」チーン・・・


確かに……あの姉妹――主に姉が――は、世界有数の大企業の代表だ。
如何いう意図が有るかは分からないが、この手のチャリティーに顔を出してても可笑しくはない。それが例え、科学サイドであっても尚だ。


黒服「……御同行、頂けますね」ポンッ・・・

ステイル「糞(ファッキン)……顔を出すだけだからな……あの馬鹿姉妹めが」ギリリリ・・・

香焼「い、行ってらっしゃい」タラー・・・

ステイル「ぐっ……すまない、香。顔を出したらすぐ戻る。何かあったら携帯に連絡してくれ……本当に申し訳ない」トボトボ・・・


心成しか、ステイルの頭上に青垂れが見える……しかし、まぁなんだ。


香焼「まさかの、ボッチとは」タラー・・・


もう帰って良いですか?

342 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/16(水) 21:04:23.78 ID:0O9P8Es00
こんばんは・・・・・なんか、すいません。
青ピとか姫神とか吹寄の口調が定まらないというか、正直何が正解か分からないっす・・・・・ごめんなさい。

とりあえず、ボチボチ投下します。変なとこあったら、また指摘して下さい。注意していくので。

そんじゃスタート!
343 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/16(水) 21:26:06.73 ID:0O9P8Es00
 ―――とある翌日、PM04:40、学園都市第7学区、文化会館大ホール・・・・・・




そろそろ始まるというのに、連れの2人が消えてしまった。
別に僕一人で観賞しても良いのだけど……なんか、辛いな。もういっその事、知り合いの所に行こうか。

さておき、そういえば蛇さんは来てるのだろうか。さっぱり連絡を寄越さないけど。
一度ホールの外に出て電話してみよう。


香焼「……もしもし」Pi!

御坂蛇『どうした?』Pi!

香焼「あ、いや、蛇さんも来てるのかなぁって」

御坂蛇『会場内に居る。というか、香が見える位置に居るぞ、とミサカは返答します』

香焼「え? うーん……あ、居た。一階席のAクラス席に」キョロキョロ・・・ピタッ・・・

御坂蛇『それは御坂妹(10032号)と御坂丸(10039号)だ。私(ミサカ・プロスネーク)は変装している』


それじゃあ分かる訳無いでしょう。


御坂蛇『香に変装がばれてたら姉弟子失格だからな。しかし、一人になるとは予想外だな、とミサカは苦笑します』フッ・・・

香焼「あはは……ステイルは二階VIP室っすけど、軍覇の行方は分かりますか?」

御坂蛇『口調には気を付けろ……第7位はお前から死角の位置に居る。二階席の真下の一階特別室だ』

香焼「此処の真下?」チラッ・・・

御坂蛇『ああ。そこに他の超能力者3人と一緒に座っている……御姉様(オリジナル)と第5位(食蜂操祈)は奏者控室の方に居る』

香焼「出演者っすからね。って……自分を視認できる位置から、下も見えるんすか?」

御坂蛇『確認してきた。御姉様も然りだ。私の変装技術を嘗めるなよ、とミサカは口調もままならない未熟な妹弟子を注意します』フンッ・・・


電話の時くらい良いじゃないですか。


御坂蛇『それより……もしかして寂しいのか?』ニヤリ・・・

香焼「は?」タラー・・・

御坂蛇『いや、如何でも良いタイミングで電話を掛けてきたからな。一人になって寂しいのかと……案外可愛いな、とミサカは香の女々しさに』

香焼「蛇さん、そういうの止めて……土御門達は?」タラー・・・

御坂蛇『ふふっ。恥ずかしがり屋め……師匠やグラサン、お前の姉は別所で待機中だ、とミサカは報告します』


待機って、何か不測の事態が起こったら出張って来るのだろうか?

344 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/16(水) 21:50:12.99 ID:0O9P8Es00
現状は分かった……今後、如何すれば良いんだ。


御坂蛇『大人しく観賞してれば良かろう』

香焼「その後は?」

御坂蛇『その後というか、直接、花束を渡せ』サラッ・・・

香焼「……は?」

御坂蛇『聞こえなかったか? 食蜂操祈に直接花束を渡せ、とミサカは複唱します』


いや、無理でしょう。
演奏終了後、出演者のファンがずらりと入口ホール付近に並ぶのだ。それこそ取り巻きの比じゃない程に。
しかもゲストで一一一(ひとついはじめ)が来てるらしいから、それこそ大混雑になるだろう。

その中、今回の花形の一人である操祈さんに直接会えなんて……そんな無理難題を。


御坂蛇『誰が、帰り際に渡せなどと言った』

香焼「え?」キョトン・・・

御坂蛇『何処かのタイミングで奏者控室・楽屋に行けばいい。潜入も修行の内だぞ、とミサカは妹弟子に助言します』

香焼「せ、潜入!? 楽屋に!?」ギョッ・・・

御坂蛇『容易かろう。ただ、今までとは違うタイプの潜入方法になるがな、とミサカは忠告します』


今までの潜入……要は、女装して常盤台に紛れ込むタイプの潜入は所謂『朱に混じわる』型の潜入だ。
しかし、今回要求されたのは『完全なる気配遮断』型の潜入である。


御坂蛇『それ相応の準備はしてきてるのだろう? なら可能な筈だ、とミサカは確認します』

香焼「一応……でも」ウーン・・・

御坂蛇『グチグチ言うな。もし困ったら助言をしてやる……とりあえず、今は此処までだ。また後で連絡を』Pi!

香焼「あ、ちょ……切られた」ハァ・・・


楽屋に潜入って、そんな無理難題を。常盤台、強いては学舎の園の何倍も警備が厳しいんだぞ。
今持っている隠し持っている道具は……短刀×2、ダガー×30、鋼糸(ワイヤー)×5、魔力封じの呪符。

魔術を上手く駆使して行くしかない、か。


香焼「状況考えてっすね。もし危なかったら人気が無くなってから会いに行けば良いし。最悪、今度学校で会った時でも良いだろうし」ムゥ・・・


危険を冒して全てパァにするよりはそっちの方が無難だろう。
とりあえずそろそろ演奏が始まる。幸か不幸か、ステイルと軍覇は居ないので、一人で作戦を考えつつ、演奏を聞こう。

345 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/16(水) 22:29:53.26 ID:0O9P8Es00
 ―――一方その頃、文化会館付近、とある中継車の中・・・・・



御坂蛇『―――……現状は以上、とミサカは報告します』

海原「ふむ、マグヌスさんも第7位も居なくなってしまいましたか」

土御門「まぁ居ても居なくてもどっちでも良いけどにゃ」

神裂「しかし、香焼一人では些か不安でしょう。女装してますし」

土御門「いや、流石にそこまで女々しくないだろ……てかバードウェイ姉妹が居たってのは驚きだぜぃ」フム・・・

海原「レイヴァニア=バードウェイは表裏共に名声高き人物ですからね。名立たる大富豪が集まる此の席に居ても可笑しくはありませんが」

土御門「何らかの目的が有ってきたか。それとも純粋に演奏を聞きに来たか……ねーちん、如何思う?」チラッ・・・

神裂「さぁ。私は彼女達と知人という程ではないので……何かあればステイルから連絡が入るでしょう」

海原「存外、金銭と名声の面から学園都市(アレイスター)に圧力を掛けてきたのかもしれませんね」

土御門「まぁ問題さえ起こさなければ如何でも良いや。香焼には関わるなっ言(つ)っとけ」サラッ・・・

御坂蛇『了解です』

神裂「しかし……正直、この任務の意図が掴めません。何の意味が?」

海原「任務というよりも今回は修行の色が濃いです。勿論、食蜂操祈に対してのポイント稼ぎという目的もありますけどね」

神裂「修行……例の潜入・暗殺の?」

土御門「今回は魔術を全面に使った潜入の実戦訓練だ。会場には同業者(魔術師)も居ないからランクは低い筈」

神裂「ステイル、バードウェイ、それから多分凄腕のマーク=スペースが居ますよ」

土御門「問題無い。呪符を渡してる。戦闘行為に発展する様なトンデモ事態が起きない限り、それは破られないにゃ」クイッ・・・

神裂「なら、良いのですが……一応、此方の任務とは関係無いテロの可能性だって有り得ますよ? これだけ要人が集まる場ですから」

海原「警備員や風紀委員のエース達が居ます。それに超能力者が6人も居る場ですよ。最悪が起きても、彼が参戦する必要はありません」

土御門「いざって時は俺らも『暗躍』すりゃ良いからな。ねーちんは安心して弟を見守ってれば良いんだぜぃ」コクッ

神裂「…………、」フム・・・

土御門「あ、それとも何か? カミやんとこ行きたい?」ニヤリ・・・

神裂「ば、馬鹿言わないでください! そんな事よりステイルが多めに支払ってしまった英国からの寄付を如何するか考えましょう!」タラー・・・

土御門「……ありゃ自業自得だ。俺ら関係無ぇ」タラー・・・

海原「はははは……最大主教(ローラ=スチュワート)殿の慌てふためく様子が浮かびます」ハハハ・・・

御坂蛇『師匠。兎に角、監視を続ける。一応、VIPの連中も監視した方が良いか? とミサカは質問します』

海原「そうですね……できれば超能力者達も監視して欲しいです。が、其方は10032号と10039号に任せましょうか」フム・・・

御坂蛇『了解。では任務に戻る』Pi!

土御門「という事で、俺らは引き続き偽装中継車の中から香ちゃんを見守ろうじゃないの」ヒヒヒ・・・

海原「あ、そうだ。良い(悪い)事思い付きました……土御門、少々耳を」ゴニョゴニョ・・・

土御門「ふむ……成程……うんうん……まぁそんぐらいあった方が修行になんだろ。それじゃあ連絡入れるか」ニヤリ・・・

神裂(……何事も無ければ良いのですが)ハァ・・・

346 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/16(水) 22:45:00.46 ID:0O9P8Es00
 ―――再度、文化会館二階座席、香焼(香)side・・・・・




開演五分前。MCのアナウンスが入り、辺りが暗くなる。


香焼(……何か、ヤダなぁ)ハァ・・・


我ながら女々しい事を思うが、この恰好で一人ポツンとしてるのは非常に寂しいというか恥ずかしい。
今後の作戦を考えておくのも良いが、やはり誰かの所に行こう。


香焼「それじゃあ……―――


①上条・禁書目録・風斬の近く

②佐天、初春の近く

③もうホールの外に出ちゃおう


                     >>348

347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/16(水) 22:47:14.75 ID:Y8WwFYtDO
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/16(水) 22:51:38.92 ID:XVDywlZDo
349 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/16(水) 23:20:45.83 ID:0O9P8Es00
―――佐天さんと初春さんの隣に行こう。
とりあえず、佐天さんには正体がばれてるので先に気付かせとこう。

香用の携帯で佐天さんにメールを送信。


佐天「―――ん?―――っ!」チラッ・・・

香焼「……あ、こっち見た」ノ"


花束を持って移動。


香焼「こんにちは、佐天さん。初春さん」ペコッ・・・

初春「え? あ、神崎さん!」ペコッ・・・

佐天「こうy……崎さん、なんだね。今日は」アハハ・・・ボソッ・・・

初春「え?」キョトン・・・

香焼「……佐天さん」タラー・・・

佐天「あは、ははは。何でもない」タラー・・・


今此処で隣に居る風紀委員に捕まる様な事にはなりたくないです。


佐天「神崎さんも観に来たんだ。誰か知り合いに呼ばれたの? 御坂さん?」ジー・・・

香焼「ええ。御坂さんも観に来ました」コクッ

初春「花束が二つって事は……もう一人御目当ての人が居るって事ですね。もしかして一一一とか!」フフッ

香焼「あはは。恰好良いとは思いますけど、知人でも無いアイドルに花束を渡そうとは思いませんよ」クスッ

佐天「ほぅ……という事は、本命の同級生の女の子かい?」ニヤリ・・・

香焼「違いますよ。如何してそうなるの……ですか」ハァ・・・

初春「っ!? お、男の子じゃなくて女の子!? ど、同級生って事は同じ常盤台の生徒で……ま、まさか、ゆ、百合百合!?」キャー!


色んな意味で激しく勘違いなさってる初春さん。『新作本は“僕っ娘×お嬢様”で行きましょう!』とか馬鹿な事を宣っております。


香焼「と、ところで今日は白井さんや春上さんは一緒じゃないの……ですか?」チラッ・・・

佐天「白井さんは楽屋手伝いだよ。ほら、御坂さんの護衛を風紀委員として公に出来るから」ハハハ・・・

初春「因みに私は二階席担当なんです。他にも数名居ますけどね。春上さんは……ほら、下に」クイッ

香焼「んー……木山先生達の近く……ですか」ジー・・・

初春「はい。木山先生は引率扱いです……近くに居る常盤台の寮監さんもそうですね」ジー・・・

佐天「こういう良い方は何だけど……一階のA・B級席は今回のチャリティーイベントのメイン客で、ね」コクッ


成程。『置き去り(チャイルドエラー)』の子達には多めに寄付金を回される。加え、今回入場は無料だとか固法さんが言っていた。
福祉……か如何かは判断し兼ねるが、そういうのは抜きにしても、良い席に座れたのは嬉しい事だろう。

350 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/16(水) 23:54:44.57 ID:0O9P8Es00
こんな時でも尚、僕のスカートを捲ろうとしてくる佐天さんと格闘してる最中、初春さんが質問してきた。


初春「そういえば、神崎さんはA・B席とかS席じゃないんですね」チラッ・・・

香焼「ちょ、止め……佐天さん……今日タイツもスパッツも、穿いてないんだから! え、あ、な、何? 何で?」ジタバタッ!

初春「いえ、常盤台の生徒は大体一階席か演奏者側ですから、珍しいなぁって」コクッ

香焼「あ、成程……って! 止め、て、下さい! 僕のパンツ見ても、面白くないでしょう!」グググ・・・ウキャー!!

佐天「タイツの代わりにニーハイ穿いてるではないか! こんのぅ(男子のくせに)エロい脚め! えいっえいっ!」サワサワ・・・

初春「あの、聞いてます?」タラー・・・


質問に答えますから、このセクハラ娘何とかして下さい!


初春「神崎さんの御蔭で、私へのセクハラが減ったので感謝はしてますよ」ニヤリ・・・

香焼「は、腹黒! 貴女風紀委員でしょう! 助けて……ひゃっ! スカートの中に手を入れるのは駄目……です!」ダラダラ・・・

佐天「ぐへへぇ。そうは言っても身体は正直ってぶへっ!」ゴツンッ!

初春「はーい、流石にそれ以上はアウトですよー。このSSはR-12くらいですからねー」ウネウネ・・・


髪飾りから伸びた触手(?)に叩かれ、動きを止める佐天さん。何だアレ?


初春「……それで?」

香焼「ふぅ助かった……えっと、こっちの席の理由……友人と来ましたので、二階席になりました」コクッ

初春「友人? その人を放っておいて私達の所に来ても大丈夫なんですか?」キョトン・・・

香焼「あ、僕の友人っていうより姉や兄の友人に連れてきた貰った……です。でも、その」ポリポリ・・・

佐天「痛てて……ん、如何したの?」チラッ・・・

香焼「何か用事があるらしくて、席を外してしまいました。だから僕一人になってしまって」アハハ・・・

初春「成程。それで私達の所に」フム・・・

香焼「僕も途中で退席しなくてはならないかもしれない……ですけど、迷惑でしたか?」チラッ・・・

初春「いえ、大丈夫ですよ。ね、佐天さん」コクッ

佐天「勿論! さ、こう……崎さん。私の隣に」ポンポンッ


嫌です。初春さんの隣に行きます。


佐天「な、何で!?」ガーン・・・

香焼「だって、佐天さん。座ってる僕のスカート捲ろうとするでしょう。エスカレートすれば手ぇ突っ込もうとするし」ジトー・・・

佐天「し、しないってば! うん……少ししか」タラー・・・

香焼「初春さん。隣失礼しますね」ニパー!

初春「ええ、どうぞ。もうそろそろ始まりますからね」ニパー!

佐天「……うぃ」ドヨーン・・・


落ち込む佐天さん。いや、少しは反省してください。
さておき、会場にブザーが鳴り司会の声が響いた。漸く開幕だ……―――

351 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 00:28:02.09 ID:kdf3cZwk0
 <その頃、一階特別観賞室>



削板「―――……ずいばぜんでじだ」グデェ・・・チーン・・・

黒妻「お前も馬鹿だな。所長に楯突くとか……俺と黄泉川さんと手塩さん居なかったら、殺されてたぞ」ハァ・・・

削板「だっでよぉ……あの糞ジジィ」ムググ・・・

黒妻「良いから黙って観賞室入ってろ。それだけで研究所に寄付金回して貰えるんだって、山崎さん言ってたぞ」

削板「だから、その黙ってろっつーのが……拷問だ」

黒妻「はぁ……じゃあお前と一緒にクラス研究所の子供達の為だと思って、黙って寝てろよ」ポンッ・・・

削板「……でもよぉ」タラー・・・

黒妻「ゴダゴダ五月蠅ぇ。さっさと入れ」バンッ

削板「おわっ!?」ドンッ!


 ガチャッ・・・・・


麦野「ん……あら?」チラッ・・・

黒妻「こほんっ……失礼します。第7位様をお連れしました」コクッ

一方通行・垣根「「…………、」」チラッ・・・

削板「痛たた……乱暴な……って、うわぁ。やっぱ辛気臭ぇ」タラー・・・

一方通行「……まさか喧しいのが来るとは思わなンだなァ、オイ」フンッ

垣根「ははっ、そうか? 俺はテメェら2人とこの場に居るよかぁ、根性馬鹿が居てくれた方が助かっけどよ」ハハハ

麦野「そりゃコッチの台詞だボケ。喋んなっつってんだろ、このタコ野郎共」ケッ!

黒妻「(ま、頑張れ)それでは失礼しました……って、うをっ!?」ビクッ!

打ち止め「く~ろ~づ~ま~っ!!」ドルーンッ!!

一方通行「こらガキっ! 静かにしてろっつっただろォが!」ギロッ!

打ち止め「ぶー! だって此処ピリピリし過ぎなんだもん! だから黒妻と居る方が良い! ってミサカはミサカは溜息ついてみる」ハァ・・・

麦野「ふふっ。良いパパじゃない、黒妻くん……絹旗、アンタも一緒に外に出て良いわよ」チラッ・・・

絹旗「え、あ、でも」チラッ・・・

麦野「私は一人でも大丈夫。寧ろアンタ居た方が不安よ……それに、一緒に行きたいんでしょ?」コクッ

絹旗「でも」ウーン・・・

麦野「……命令。出て行け。4人で話がある。必要な時は連絡すっから、それまで外に出てろ」ジー・・・

絹旗「……了解です」ハァ・・・

麦野「と、いう訳で……黒妻くーん。その子お願いねー」ニコニコッ

黒妻「はいはい……行くぞ、最愛ちゃん」コクッ

打ち止め「お姉ちゃん、早くー! なゆたんのとこ行こー! ってミサカはミサカは急かしてみたり!」ニパー!

絹旗「うん……し、失礼しました」ペコッ・・・バタンッ・・・


超能力者's『…………、』

352 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 00:58:45.88 ID:kdf3cZwk0
垣根「ははは。随分と丸くなったもんで」ニヤニヤ・・・

麦野「うっせぇ黙れ口開くな。一人の方が気楽なんだっつの、駄阿呆」フンッ

一方通行「同意だ」フンッ

垣根「おー怖っ。殺気立つなよ。なぁ第7位」チラッ・・・

削板「ハァ……やっぱ予想通りっつーか、来たくなかったぜ」タラー・・・

一方通行「そりゃ此処に居る4人全員が思ってる事だっつゥの」ケッ

麦野「しゃーねぇだろ。出資者や支援云々の話出されたら来ない訳にはいかねぇんだよ」ハァ・・・

垣根「まだそれだけなら良いだろ。俺なんか首輪(こんなモン)付けられてんだぜ。そこの第1位さんのファッション(笑)みてぇに」ハッ

一方通行「あ? ヤキ入れてやろォか、糞野郎。これの何処がファッションに見えンだ? 相変わらず目ェ腐ってンなァ」ジトー・・・

垣根「はいはい、沸点低いねぇ。此処の若白髪の大将は」フンッ

削板「あー……因みに、第2位の首輪(ソレ)何?」キョトン・・・

垣根「爆弾。暴れたらドッカーンっ!!」ハハハ

一方通行・麦野・削板「「「は?」」」タラー・・・

垣根「んな公共の場で暴れる気無ぇっつのによぉ……あんのジジイ(冥土帰し)は」グデェ・・・

麦野「相当信頼無いのね……まぁ馬鹿なのは知ってるけど」ジトー・・・

垣根「お前馬鹿馬鹿しつけぇよ。それ以外言えないの? 馬鹿なの? 死ぬの?」ベー

麦野「…………、」ピキピキ・・・

削板「お、落ち着け! 第2位もあんま怒らせんなよ! 黙って演奏見ようぜ。ほら、もう始まってっからさ」ハァ・・・

一方通行「根性馬鹿(お前)がツッコミ回るとか、世も末だな」ハハハ

垣根「けっ……ところで、第1位と7位も無理矢理連れて来られたんじゃねぇの?」チラッ・・・

削板「ん……まぁ俺は研究所の所長から逃げてきたんだけど、さっき捕まって……鉄拳制裁を」ガクブル・・・

麦野「どんな所長よ……第1位は、黄泉川お姉さんに引き『吊』られて来たんでしょ? おチビちゃん(打ち止め)に聞いたわ」ニヤリ・・・

一方通行「ぐっ……余計な事を」タラー・・・

垣根「つまり、麦野(テメェ)だけ楽なんだべ?」チラッ・・・

麦野「楽じゃねぇっつの。私だって来る気無かったけど……パパが」チッ・・・

削板「へ? ぱぱ?」キョトン・・・

一方通行「ふんっ。財閥のお嬢さンは厄介だなァ」カカカッ!

麦野「喧しいわ障害者! 杖折っぞ!」チッ・・・

垣根「きゃー野蛮。削板さーん、ああいう女の人って如何思われますぅ?」ニヤニヤ・・・

削板「うざっ! 俺に振るな! 白いのに聞け!」ダラダラ・・・

麦野「おい、垣根……表、出る?」ニコニコ・・・

垣根「きゃー怒ったー! 助けて一方通行(ダークヒーロー)!」キャー

一方通行「五月蠅い。うっせェじゃなくて五月蠅い。黙って死ね」グデェ・・・

垣根「……ノリ悪ぃなぁ。これだから不能男は」ハァ・・・

一方通行「…………、」ピキッ・・・

削板「あーもう喧嘩すんなっつの!」ドカーン!

麦野「テメェも一々声デケェんだっつの! あとテンションに応じて変な爆煙出すな!」ガー!

353 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 01:23:51.20 ID:kdf3cZwk0
 ――一寸後・・・・・



鉄装「ハァ。先輩、一回あの部屋見てきてくれって、何で私に頼むのよぅ……失礼しま――」タラー・・・


 ガチャッ・・・・・


一方通行「―――垣根殺す垣根殺す垣根殺す垣根殺す垣根殺す垣根殺す垣根殺す垣根殺す垣根殺す垣根殺す」ギリギリギリ・・・

垣根「―――死ね麦野死ね麦野死ね麦野死ね麦野死ね麦野死ね麦野死ね麦野死ね麦野死ね麦野死ね麦野」ギリギリギリ・・・

麦野「―――ブッ倒す削板ブッ倒す削板ブッ倒す削板ブッ倒す削板ブッ倒す削板ブッ倒す削板ブッ倒す削板」ギリギリギリ・・・

削板「―――消えろ第1位消えろ第1位消えろ第1位消えろ第1位消えろ第1位消えろ第1位消えろ第1位」ギリギリギリ・・・


鉄装「――す……、」ダラダラ・・・


削板「消えろ第一位消えろ第……って、あ。眼鏡の姉ちゃん」チラッ・・・

一方通行・垣根・麦野「「「え」」」ピタッ・・・

鉄装「……あ、あの」ダラダラ・・・

超能力者's『…………、』

鉄装「な、仲良く、して下さい、ね」ダラダラ・・・

垣根「……コイツらが協調性無ぇから」クイッ

麦野「野郎共が五月蠅いの何の」クイッ

一方通行「このド低脳連中が騒ぎまくってよォ」クイッ

削板「先生ー! 寝れません! さぁ……誰が御利口にしてたでしょう」クイッ

鉄装「……全員、喧嘩してましたね」タラー・・・

超能力者's『俺(私)は仲裁してた!』ガアアァッ!!

鉄装「ひいいぃ! よ、黄泉川せんぱ~い! 超能力者4人が暴れてますうううぅ! 至急応援をおおおぉ!!」ビエェー!

一方通行「『黄泉川せんぱ~い』って……よ、黄泉川かっ!?」ゲッ!!?

削板「ちょ、お、応援って……ジジイが来たりしねぇよな!?」ギョッ!!?

垣根「く、首があああぁ!! てか爆発しなくてもバb……テレスに殺されるうううぅ!!」ウギャアアァ!!

麦野「っべー……美偉に説教されんわ。てか、パパには言わないでよ」ダラダラ・・・


 ギャーギャー・・・・・

354 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 01:52:01.20 ID:kdf3cZwk0
 ――またまた一寸後・・・・・




超能力者's『』チーン・・・


黄泉川「ハァ……ったく、この糞ガキ共」パンパンッ・・・

芳川「安全装置代わりの打ち止めは何処行ったのやら」ハァ・・・

一方通行「テメェ……(能力切り替え)スイッチ握り潰そうとすンのは……反則だぞ」チーン・・・


冥土帰し「あのさぁ垣根くん。僕の忠告、聞かなかったの? 馬鹿なの? 首フッ飛ばされたいの?」ハァ・・・

垣根「いや……俺、悪くねぇし。コイツらがぶべらぁっ!!」ガンッ!!

テレスティーナ「黙れゴラァ!! テメェが暴走すっと私まで巻き添え食らうんだよ駄阿呆! 死ぬなら勝手に首括れ!」ゲシゲシッ!


固法「……弁解は?」ジトー・・・

麦野「ございません」ダラダラ・・・

絹旗「急遽呼ばれて超驚いたんですけど……麦野、相変わらず姉貴さんには超弱いんですね」タラー・・・


所長「軍覇……帰ったら死ぬまで訓練だ」ギロッ・・・

削板「」ダラダラ・・・

黒妻「お前ら、こうなるの分かってて尚喧嘩すっから『超能力者は人格破綻者(バカ)』とか言われんだぞ」アハハ・・・


鉄装「あわわわわぁ……私が応援求めたから地獄絵図にぃ!! 後で仕返しされちゃうんじゃ!」ブルブル・・・

打ち止め「大丈夫だよ。この人達って基本カタギには優しいから、ってミサカはミサカは眼鏡のお姉ちゃんの肩を叩いてみたり」ポンッ・・・



 ガヤガヤ・・・バタンッ・・・・・



超能力者's『…………、』グデェ・・・


削板「あのよぉ……もう喧嘩すんなよ」タラー・・・

垣根「テメェ人の事言えな……いや、止めよう」ハァ・・・

麦野「あーもう……この事がもしパパの耳に入ったら」ボソボソ・・・

一方通行「ったく……もう知らン。寝る」グデェ・・・

355 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 02:23:04.82 ID:kdf3cZwk0
垣根「ところで……なぁ、麦野」チラッ・・・

麦野「あ?」ギロッ・・・

垣根「睨むなっつの。ただの質問だ……テメェは出演者(あっち)側じゃねぇのか?」ジー・・・

削板「え? 何か楽器出来んの?」ジー・・・

麦野「出来るわよ。ピアノもバイオリンも……でもヤダ」フンッ

垣根「何で?」キョトン・・・

麦野「何で表の場で公に顔出しせにゃならんのよ。そういうのはアイドル(第3位)とお嬢様お嬢様してるヤツ(第5位)に任せるわ」ケッ!

一方通行「……雑誌でコラムとか評論やってるクセにか?」チラッ・・・

麦野「アンタらだってその程度はやってんじゃない」ジトー・・・

削板「そいやぁ第1位は大学の特別講師とかしてたし、第2位はファッション誌顔出しまでしてたな」チラッ・・・

垣根「全部過去形だろ。俺は今は月間の能力者雑誌の一部だけだっつの」ハンッ

一方通行「俺も学会に論文提出しかしてねェな」コクッ

麦野「アンタは?」チラッ・・・

削板「……特撮のスタントマンのバイト」ボソッ・・・

一方通行・麦野「「ぷっ……ダハハハッ!!」」ケラケラ!

削板「…………、」ズーン・・・

垣根「おいおい笑うなよ。良いじゃん、特撮のバイト。俺もやってみてぇ」ハハハ

一方通行「アレか? メルヘンな羽出して怪獣倒すのか?」ククク・・・

垣根「うっせ! んな事言ったら麦野なんてリアルビーム出せんだぞ!」チラッ・・・

麦野「誰が○ペシウム光線だ! つーか超能力者(私ら)全員出そうと思えば『光線(それ)』っぽいの出せんだろ!」ガー!

削板「確かに第5位以外はそーかもな」ハハハ

麦野「ったく……あ、もう合唱の部終わったのね。もう独唱やってんじゃん」チラッ・・・

垣根「え? もう2時間経ったの?」キョトン・・・

一方通行「テメェらが騒ぎ捲っから全っ然寝れなかった……マジ勘弁してくれっつゥの」ハァ・・・

削板「だからお前も騒いでたろと……もう良いや」ハァ・・・

垣根「あーもう如何すんだよ。これじゃ講評出来ねぇじゃん」ハァ・・・

一方通行・麦野「「あ」」ピタッ・・・

削板「え? 講評?」キョトン・・・

垣根「テメェは後から来たから聞かされてねぇだろうけど……全部終わった後、講評するんだとよ」グデェ・・・

麦野「しかも代表で私達の内誰か一人あのステージ立って、エンディングに挨拶だってさ」ハァ・・・

削板「……まぁじで? いや、やれって言われればやるけど……全然聞いてなかったんですけど」タラー・・・

垣根「まぁこういう時は序列的に第1位様に」チラッ・・・

一方通行「ざけンな。おい、第4位。テメェ親父来てンだろ。良いとこ見せて来い」チラッ・・・

麦野「い、嫌よ! こういう時は……根性男。アンタ、人前出んの好きでしょ!」チラッ・・・

削板「え、まぁ……でも今回は聞かされてなかったという事で……ていとくん」チラッ・・・

垣根「意味が分からん。盥回しの末に俺んとこ返すなっつの」タラー・・・


 ギャーギャー・・・・・

356 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 02:54:39.76 ID:kdf3cZwk0
  <他方その頃、VIP室>


 パチパチパチパチ・・・・・


Vipper①「いやぁ素晴らしい演奏でしたね。心が洗われる様でしたよ」ニコニコ・・・

Vipper②「ええ。今のは貴方の御息女が混じっていたのでは無くて?」チラッ・・・

Vipper①「あはは。いやはや、私の趣味がてら共に始めたサックスだったんですけどねぇ」ハハハ

Vipper③「おぉ! それは素敵ですね! まさに親の意志を次ぐ、とはこういう所から始まるのでしょうな!」ポンポンッ

Vipper④「将来はお父様に似て御立派な経営者に……いや、もしくは政界に進出ですかな?」ニヤリ・・・

Vipper⑤「ふふっ。そういえば①さんは参議の議長様と親しかったですよねぇ」フフッ

Vipper①「そう言う⑤さんこそ、民自党の幹事長殿と懇親が御有りとか……しかも御次男が彼の娘との間で許嫁の関係とか」クスクスッ・・・

Vipper⑤「いやぁそんな事言ったら②さんは貝継理事と何時でもお会い出来る間柄じゃないですか」コクコクッ

Vipper③「ふふふっ。流石著名人の集まりですねぇ。何たる顔ぶれ……ところで④さん、グラスが空いてますよ」チラッ・・・

Vipper④「ん……ああ、少々風に当たって来ようかな。⑥さんも顔が真っ赤ですよ……一緒に如何です?」チラッ・・・

Vipper⑥「え、ええ……御一緒します」タラー・・・


 テクテク・・・・・


Vipper①「また『ゴルフ』の御誘いですか……飽きませんねぇ、③と④も」チラッ・・・

Vipper②「仕方ありませんよ。⑥さんは都市への投資に失敗して御二人に借りが有りますもの……何れ、この場から消えるでしょうね」コクッ・・・

Vipper⑤「やれやれ。こんな場で無粋な事を……さて、では私はもう一度○○議員に挨拶でも」フフッ

Vipper①「おや、御一緒しましょう。ついでに私の友人たるVipper⑦と⑧も紹介しますよ。是非繋がりを持たれて置くと良いでしょう」ニヤリ・・・

Vipper②「あら! 彼らは学芸都市で画学と声楽を受け持つ教授でしたわよねぇ。相変わらず①さん凄いですわぁ」フフッ

Vipper⑤「そんな事を言う②さんこそ。後で例のインド大使殿を御紹介頂けませんか? 実は今度アチラに顔を出す用事が―――」


 ガヤガヤ・・・・・


レイヴァニア「ふふふ……皆々黒いなぁ。そうは思わないか?」チラッ・・・

ステイル「興味無いね」フンッ

レイヴァニア「連れない男だ」ハンッ

ステイル「少し黙っていてくれ。さっき君が僕を紹介した所為でかなり疲れているんだ……馬鹿な事をしてくれたよ」ハァ・・・

レイヴァニア「なぁに、お安い御用だ。お前のその困った顔を見れるなら何度でも同じ事をしてやろう」ニヤリ・・・

ステイル「捻くれ者め……頼むから静かにしてくれよ」グデェ・・・

レイヴァニア「ヤーだよー」ベー!

マーク「まったく……マグヌスすいません。お嬢様(ボス)、少々大人げ無さ過ぎますよ」ハァ・・・

357 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 03:20:29.79 ID:kdf3cZwk0
ステイル「しかしまぁ……嫌な部屋だ」ヤレヤレ・・・

レイヴァニア「そうか? 様々な人の業が診れて楽しかろう」ニヤニヤ・・・

ステイル「勘弁してくれ。普通の人間が殆ど居ない」ジトー・・・

レイヴァニア「故に、『Vipルーム』なのだよ。此処に居る輩は皆『努力した』者だ。手段は何にしろ、な」ジー・・・

ステイル「手段、ねぇ。しかし名家の2世3世だって居るよ」チラッ・・・

レイヴァニア「彼奴(キャツ)らが努力して無い、と? 馬鹿言え。そういう輩こそ家柄がプレッシャーとなり努力するのだ」フンッ

ステイル「成程ね……だが、何とも、僕らは浮いていないか?」タラー・・・

レイヴァニア「貴様が無粋だから浮いてるのは確かだな」ハハハ

ステイル「そういう事ではない。何というか……子供が此処に居るのは、変だぞ」コクッ

レイヴァニア「実力に若いも老いも有るモノかよ。ま、私達の場合は此奴(マーク)の連れを装ってるからな」ニヤリ・・・

マーク「まったく……とんだ迷惑ですよ」ハァ・・・

レイヴァニア「そう言うな。バードウェイカンパニーの代表代理を演じさせてるのだぞ。感謝しろよ」ニヤリ・・・

マーク「御蔭でドス黒い世風を受け捲ってボロボロですけどね」グデェ・・・

ステイル「……ところで、君は何故此処に? まさか純粋な興味とは思えんが」ジー・・・

レイヴァニア「パトリシア(あの子)は純粋な興味だよ。『お姉さん! これ見たい!』って、そりゃあもう可愛いの何のって!」クネクネッ

ステイル「知るか……じゃなくて、君だよ。君、レイヴァニア=バードウェイとしてだ。あの子だけならマークの護衛だけで良かったろう」

レイヴァニア「ああ、そういう……なぁに、単なる興味だよ」フフフ・・・

ステイル「アレイスターへの牽制の意図は無いと?」ジー・・・

レイヴァニア「今のヤツにそんなモノは勿体無い。全てを見えてる『フリ』をしているアイツは所詮、井の中の蛙だ。モノの本質を見ん」フンッ

ステイル「敵地で良く言うよ」タラー・・・

レイヴァニア「敵地? ははは、冗談言うな。アイツにとってこの街は己の掌上と思っているかもしれんが、先にも言ったろう」ジー・・・

ステイル「井の中の蛙、か? いやしかし、ヤツは」フム・・・

レイヴァニア「何でもお見通し、か。んな阿呆な。アレは局図や局番は見るが、駒を見ない。両方見てこそ賢者よな」ニヤニヤ・・・

ステイル「……つまり『人』を見に来たと」ポリポリ・・・

レイヴァニア「おうよ。まぁ如何して中々面白い人間も居た……おっと、少々喉が渇いたな。おい、酒を持ってこい」チラッ・・・

マーク「はいはい。子供ビールですねー」テクテク・・・

レイヴァニア「さ・け・だっ!!」ウガー!

マーク「はいはい酒酒。マグヌスは?」チラッ・・・

ステイル「ああ、すまない。アイスティーを頼む。出来ればレモンがあると嬉しい」コクッ

レイヴァニア「ハッ! お子ちゃまよのぅ」フフフ・・・

ステイル「……マーク。コイツに地ビール持ってきてやれ。一っ番辛口のヤツな」チラッ・・・

レイヴァニア「あ、すいませんでした……じゃ、じゃない! おい、『いつものヤツ』を持ってこい!」ペコッ・・・

マーク「ふふっ。はいはい」ニヤニヤ・・・

358 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 03:46:01.96 ID:kdf3cZwk0

 ガヤガヤ・・・・・


マーク「お待たせしました」スッ・・・

レイヴァニア「どーも……って、いつものでは無いぞ?」ジトー・・・

マーク「子供ワインってのを見つけたので、そっちを持ってきてみました。マグヌスは此方で」スッ・・・

ステイル「ああ……それで?」チラッ・・・

レイヴァニア「何か黒いぞ。これ本当にお酒なんじゃ……って、ああ。先の続きか。何処まで話したか」フム・・・

ステイル「面白い人間を、と」ゴクッ・・・

レイヴァニア「うん……黒……まずは、既にもう帰ったが……んー……お前も知っている男だ……あ、ブドウジュース」ゴクゴク・・・パアァ!

ステイル「既に帰った……知っている?」ジー・・・

レイヴァニア「おや、知らなかったか? まぁ直接話はしてない様だったからな……ま、日本の古くからの名家だよ」ゴクゴク・・・

ステイル「……ふむ」ジー・・・

レイヴァニア「土御門家の当主だ。知っていよう」ゴクゴク・・・オカワリー!

ステイル「ん……来てたのか」チラッ・・・

レイヴァニア「ああ。ヤツも都市の出資者の一人だ。私と同じ様に表裏共に名声を馳せている。尤も、アレは基本国内限定だがな」コクッ

ステイル「その様だな。しかし……一応、必要悪の教会(我が方)と同盟を結んでいる」ジー・・・

レイヴァニア「其処が不思議な所だ。聞く所によると陰陽師(オンミョージ)に十字教的要素は無い。なら、何故だ?」ニヤリ・・・

ステイル「僕の知る所では無いね。本人か土御門に聞いてくれ」フンッ

レイヴァニア「つまらない男だ……教えてやろうと思ったが止めた。別の人物に移る」フイッ

ステイル「他にも?」

レイヴァニア「ん……ほら。あの、人集りの出来ている中心に居る男。アレは殆ど企業連中の集まりなのだが……知っているか?」ジー・・・

ステイル「ああ。ムガ……ムギ……ああ、麦野。ムギノ系列のトップだろう」ジー・・・

レイヴァニア「その通り。何だ、少しは勉強してるじゃないか」フフッ

ステイル「いや、英国のニュースにも載る男だ。知らない方が可笑しいだろう」コクッ

レイヴァニア「そうだな。ヤツも、基本其処らに居る輩と大差無いのだが……面白いのは『血』と手を出している『ジャンル』なのだ」フフフ・・・

ステイル「……ああ、娘か」フーン・・・

レイヴァニア「知ってたか。ああ、アレの娘は良い金になる。そしてジャンルのチョイスも素晴らしい」フフフ・・・

ステイル「何か知ってるのか?」ジー・・・

レイヴァニア「原子力だとさ。原発、原爆。双方に手を出してる。この国の人間が嫌う『核』に根深いジャンルだ」ニヤニヤ・・・

ステイル「……それが面白いのか?」フム・・・

レイヴァニア「ああ。そのくせ、ヤツはその方面では表舞台に出ない。当たり前だろう。過去の『ある出来事』の所為で原発は叩かれる」

ステイル「まぁね……核については、この国では違法……いや違憲じゃないのか?」タラー・・・

レイヴァニア「だ・か・ら、面白いのだ……何処まで走るか楽しみだぞ。尤も、私が手に入れてるのは核関連というだけだからな」ニヤリ・・・

マーク「お嬢様(ボス)、飲み物です……おや、何の話を?」チラッ・・・

レイヴァニア「なぁに。『核』について少々な……アレは魔術の天敵だからなぁ」ウフフ・・・ゴクゴク・・・

マーク「へ? ああ、麦野の……しかし核廃棄の方なのでは? 所詮は日本人ですし」コクッ

レイヴァニア「さぁな。ま、見モノだよ……要(かなめ)は娘の今後だろう。今は少々『おイタ』が過ぎる様だが……楽しみだ」クスクス・・・

ステイル「はぁ……正直、悪趣味だよ」タラー・・・

レイヴァニア「言ってくれるな。褒め言葉にしか聞こえん」ハハハ

359 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 04:12:16.59 ID:kdf3cZwk0
ステイル「ところで……妹君(パトリシア)は?」キョロキョロ・・・

レイヴァニア「え? そこに……あるぇ?」キョトン・・・

ステイル「……まさか、また」タラー・・・

レイヴァニア「い、いや流石に、そう何度も何度も……え、ちょ……マァジで!?」ダラダラ・・・

ステイル「いや、待て、落ち着け。今回は誘拐とか人質じゃなくて単に迷子とか。ほら、トイレとか」ポリポリ・・・

レイヴァニア「パアアアァトリシアアアアアアァっ!! 何処だあああああぁっ!!」ウギャアアアァッ!!

ステイル「叫ぶなド阿呆! ま、マーク」チラッ・・・

マーク「んな叫ばなくても近くに居ますから。んもー恥ずかしいなぁ……ほら、呼ばれて飛び出て来ましたよ」クイッ

レイヴァニア「な」ピタッ・・・


パトリシア「こらー、お姉さん! 恥ずかしいからそういうの止めて下さいよ!」カアアァ///

レイヴァニア「よ、良かった……じゃない! 勝手に歩き回るなと言っただろう!」ホッ・・・

パトリシア「大袈裟なんだからぁ。まったく、お姉さんは私が居ないとダメダメですね」フフッ

レイヴァニア「な、ぬぉ、なな、ぬ、なぬぉ、なななな、な、何をぅ!!」ムギギ・・・///

マーク「ったく……おや。妹様(パトリシア嬢)、其方の御婦人は」チラッ・・・

親船「ふふふ。可愛らしいお姉さんですね、パトリシアさん」クスクス・・・

パトリシア「はい、自慢のお姉さんです」ニコニコッ

ステイル「……親船、理事」ペコッ・・・

親船「こんにちは。はじめまして、ね」ペコッ・・・

パトリシア「あ、おばあちゃん。此方は友人のステイル=マグヌスさんです。それから、マーク=スペースさん。そして姉の」チラッ・・・

親船「レイヴァニア=バードウェイさんですね。はじめまして。親船最中といいます」フフッ

レイヴァニア「……これはこれは、統括理事様が態々。勿体無い限りです」ペコッ・・・

親船「そんな改まった口調じゃなく、さっきみたいな砕けた風で良いのよ。元から敬意なんて無いでしょうに」クスクス・・・

レイヴァニア「そう……助かるよ。理事殿」フフッ

マーク「……飲み物を持って来ましょう。3人はアイスティーで良いですね……理事殿は?」チラッ・・・

親船「ありがとうございます。それじゃあ、私にも同じものを」コクッ

マーク「畏まりました」テクテク・・・

レイヴァニア「……ところで、随分とウチのパトリシアと仲が良いようだが」ジー・・・

親船「ええ。それはもう……こう言っては何ですが、この部屋で『純粋』に演奏を観ていたのは彼女だけですからね」トンッ・・・

パトリシア「え?」キョトン・・・

親船「ふふっ。パトリシアさんが一番って事よ。一っ番楽しそうに彼彼女達を観て称賛してあげてた。とっても素晴らしい事よ」ナデナデ・・・

パトリシア「えへへ……そんな事ないですよ」ニパー

ステイル・レイヴァニア「「…………、」」ジー・・・

360 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 05:08:24.25 ID:kdf3cZwk0
 ――一寸後・・・・・


 パチパチパチパチパチ・・・・・


パトリシア「―――わぁ……綺麗な歌声でしたね! 今のドイツ語ですよね! 讃美歌!」キラキラ・・・

ステイル「『血しおしたたる(O Haupt voll Blut und Wunden )』、主(キリスト)の受難の讃美歌だね。科学の街でそれ選択するか」ジー・・・

パトリシア「歌の善し悪しに国境も宗教も主義も関係ありませんよ。素敵なモノは素敵なんです」フフッ

ステイル「……そうだな」フフッ

パトリシア「あ、今度は3人で出てきましたよ……重唱でしょうか? それとも斉唱?」ジー・・・

ステイル「確か常盤台の制服だな。プログラムに名前と歌が乗ってないかい?」チラッ・・・

パトリシア「えっと……ごめんなさい。漢字が難しくて読めません」ムゥ・・・

ステイル「どれ……婚后光子、湾内絹保、泡浮万彬。曲は……分からないな。オリジナルソングかもしれない」フム・・・

パトリシア「あ! 何だか凄そうです! オケ楽器とかピアノじゃなくてキーボードとキードラムが出てきましたよ!」キラキラ・・・

ステイル「何だ……ライブでもするつもりか。場違いにも程が有ろうに」タラー・・・

パトリシア「良いじゃないですか! お客さんが喜べば、それで成功なんですよ!」キラキラ・・・

ステイル「はぁ。君は本当に……いや、良い意味で楽天家だな」タラー・・・

パトリシア「ええ。よく言われます……あ、派手な衣装の方がマイクを持ちました!」チラッ・・・


婚后『あーあー……こほんっ。皆さん、本日はお忙しい中、態々足を運んで頂き、まことに感謝いたしますわ』コクッ


ステイル「……マイクパフォーマンス?」タラー・・・

パトリシア「あはは。面白いですね」クスクス・・・


婚后『先程とは一転、場違いに思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、それは私共の歌をお聞きになってから笑って下さいませ』フフフ・・・


ステイル「とんだ自信家だな……コケたら痛いぞ」タラー・・・

パトリシア「ふふっ。期待しましょ」ジー・・・


Vipper数名『光子ちゃーん!! 観てるぞおーぉ!!』オオオォ!!

観客数名『お嬢おおおおおおぉ!! 頑張れえええええぇ!! 応援してますよおおおおおぉ!!』ウオオオオォ!!


ステイル・パトリシア「「っ!?」」ビクッ・・・

レイヴァニア「あれが……婚后財閥の娘か。これもまた面白いヤツだ。まぁ馬鹿か○チガイの類じゃなきゃ良いのだがな」フフフ・・・

親船「ふふふ。混合財閥は地主でもありますから此処ら一帯の……シノギ衆が観に来たのでしょう。旭組や、天来組とか」クスクス・・・

マーク「ジャパニーズヤクザですか。中央関東連合だったっけ……まぁそういうのは抜きにしても、惹き付ける『力』は有る様ですね」フム・・・

レイヴァニア「ま、彼女が言うとおり歌(パフォーマンス)の実力を観てから如何こう言いましょ」ジー・・・

マーク「……因みに、彼女の父上は顔真っ赤にして俯いてますよ」ハハハ・・・


婚后パパ「光子ちゃん……マジ、そういうの……止めて……何でママに似るかなぁ」カアアァ///


レイヴァニア「ヴァッハッハッ! こっちの方が見モノかもしれんな!」ケラケラケラ!

361 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 05:44:30.80 ID:kdf3cZwk0

 ワーワー・・・・・


婚后『おっほっほっ。皆さんありがとうございます。それでは、今回の歌ですが私達の自作のモノでございまして―――』


 ♪~


パトリシア「あ……マイクパフォーマンスの途中で演奏が始まりましたよ」キラキラ・・・

ステイル「入り方は上手だな。口調は難だが、内容は子供向けに柔らかく且つ分かり易く、誰にでもウケの良い型のパフォーマンスだ」ジー・・・

パトリシア「そうなんですか?」チラッ・・・

ステイル「まぁ流れは読めるが、それ故に観客の期待(テンション)を盛(も)っていき易い……多分、奥の娘が歌い出すだろう」ジー・・・

パトリシア「え」キョトン・・・


湾内『fu woo.. fu woo.. Try to be glorious believer―――』♪~

婚后『―――と……お喋りはこれくらいにして……それでは一時ではありますが、会場で盛り上がりましょう! では―――』バッ!

子供達『わーわー!』キャッキャッ!

湾内『Just to.. go on.. realize soulful heart―――』♪~


パトリシア「わっ! ホントだ!」パアアァ!

ステイル「むっ? だが、本命は手前の娘だぞ」チラッ・・・

パトリシア「へ?」ポカーン・・・


泡浮『―――Let's fry faraway! 届きたい 君と約束した未来 ―――』♪~

会場『おおおぉ!』ドワォ!


パトリシア「す、凄いです!」パアアァ!!

マーク「ほぉ……マグヌス、貴方の言った通りになりましたね」フフフ・・・

ステイル「なぁに。勘だよ」フフッ

レイヴァニア「勘ねぇ……プロ級のギター兼ボーカリストのくせに?」ニヤリ・・・

ステイル「なぁ!? ど、な、意味の分からん事を言うな!」アタフタ・・・

レイヴァニア「ある伝手から聞いてなぁ……『ウチの補佐の美声を聞いたら並の女子(おなご)はイチコロなりけるわよ』って、ね」ニヤニヤ・・・

ステイル「あんの糞魔女(ローラ)ああああぁ!!」ウギャアアァ!!

マーク「マグヌス。抑えて……観賞の邪魔になります」ポンッ・・・

ステイル「ぐっ……おい、馬鹿姉。その情報は忘れろよ」タラー・・・

レイヴァニア「さぁて如何しようかなぁ。今度貴様主催のライブでもあって、それを観たら忘れてやろうか」ニヤニヤ・・・

ステイル「こ、の……頼むから、これ以上口外しないでくれ」ハァ・・・

レイヴァニア「ククククク……如何しよっかなぁ……と、おやまぁ」チラッ・・・

パトリシア「ふぁあぁ」キラキラ・・・

親船「ふふっ。パトリシアさんはすっかり虜ですね」クスクス・・・

ステイル「ハァ……ったく。やれやれだよ」チラッ・・・


 ―――For shining truth! もしいつか 戸惑い 心が震えても
                         迷いなく 手を繋ぎ 駆けだすよ 強い 絆がここにあるから・・・・・―――

362 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 06:12:43.85 ID:kdf3cZwk0

        ワーワー!!     キャーキャー!!


レイヴァニア「ふーん……『future gazer(先見の明人)』か」ジー・・・

親船「良い曲ですね。司会の子がメインかと思いましたが、立派な引き立て役を演じられていますよ」フフッ

レイヴァニア「ふふっ……貴女も、先のパフォーマンスの娘の様なタイプだものな」チラッ・・・

親船「さぁ、どうでしょう。私は彼女ほど活気は無いですよ」クスクス・・・

レイヴァニア「何を言う。貴女は立派に道化(シンボル)を演じているだろうに……謙遜するのは、傀儡と言われるのが嫌だからか?」ハッ

親船「あらあら。辛辣ですね……いえいえ。私は綺麗事を謳う『役』に誇りを持っていますよ」フフフ・・・

レイヴァニア「ありゃりゃ。皮肉のつもりだったが……喰えないおばあさんだこと」フッ・・・


 ――― Try anytime! 煌いた 光の欠片を集めたら 果てしない 大空に 解き放つ 君に 伝えたい言葉 ―――


親船「時に……何故、5千万$もの寄付(融資)を?」チラッ・・・

レイヴァニア「なぁに、先行投資だよ。私は『先見の明人』のつもりだからな」ジー・・・

親船「このお金が……単に研究者達の好奇心を満たすだけの資金に振り分けられるかもしれないのに?」ジー・・・

レイヴァニア「馬鹿を言え。私は『人材』にしか投資はしない。誰がマッドサイエンティスト共の自慰行為の為に金を払うか」フンッ


 ――― Precious days! 抱きしめた 色鮮やかな現実は 誰一人 壊せない いつだって 強く 信じてるから ―――


親船「……では、何故」フム・・・

レイヴァニア「何故? 可笑しな事を言う……貴女が居るだろう」ニヤリ・・・

親船「え」キョトン・・・

レイヴァニア「割振を如何するか既に決まっているのかもしれないが、それでも真の意味で『人材育成費用』に回す事が出来る人間」コクッ

親船「……私に、そんな権限はありませんよ」ジー・・・

レイヴァニア「やれ。貴女は民意の塊だ。故に、やるのだ。やらねばならぬのだ……親船最中」ジー・・・

親船「…………、」

レイヴァニア「児童福祉を綺麗事と馬鹿にする奴ら? ハンッ! 捨て置け。子供(ベース)を考えられないで何が政治家だ」コクコクッ

親船「……貴女も、子供ですけどね」クスッ・・・

レイヴァニア「言ってくれるな」フッ・・・



湾内『――― For shining truth! もしいつか 戸惑い 心が震えても
                         迷いなく 手を繋ぎ 駆けだすよ 強い 絆がここにあるから・・・・・――― 』♪~


会場『わああああぁっ!!』ドオォ!!


 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ・・・・・


パトリシア「ふぁああぁ! 恰好良かったです!! 将来歌姫になるかもしれませんね!」キラキラ・・・

ステイル「どうだろうな……だが、うん。純粋に、歌は素晴らしかったよ」フフッ

363 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 06:43:46.04 ID:kdf3cZwk0
婚后『―――皆さま、御清聴感謝致しますわ。今一度、2人に拍手を!』スッ!


  ワアアアアアアァッ!!   アンコール! アンコール! アンコール!


パトリシア「アンコール♪ アンコール♪」キラキラ・・・

ステイル「ぱ、パトリシア……そういうイベントじゃないんだぞ」タラー・・・

レイヴァニア「ハハハ! 良いじゃないか。これが民意だよ」ニヤリ・・・

ステイル「何だかなぁ」ポリポリ・・・


親船「ふふふ……そうですね。民意、かぁ」ジー・・・

レイヴァニア「ああ。私は子供達に……そして正しく導く指導者に賭けたつもりだよ」フフフ・・・

親船「やれやれ。骨が折れそうです……老骨鞭打つとはまさにこの事ですね」ニヤリ・・・

レイヴァニア「日本の小難しい諺は知らん。ま、頼むよ御老侯。小娘の我儘を聞いてやってくれ」コクコクッ

親船「そして、何れは育った果実を我が身に納めるのですね」クスクス・・・

レイヴァニア「当たり前だ。それが投資というモンだよ……安心しろ。くたばっても葬儀には出てやろう」ニヤリ・・・

親船「おやおや、可愛い顔をして物騒な事を……でも、バードウェイコーポレーションの会長様が直々にお線香をくれるなら」フフフ・・・

マーク「お嬢様(ボス)。あまりに失礼ですよ……すいません、理事殿」ハァ・・・

親船「いえいえ。素晴らしい会長さんですね。将来が楽しみを通り越して、末恐ろしいくらいですよ」クスクス・・・

レイヴァニア「ハハハ。言ってくれる。ま、頼んだぞ。何なら私の寄付金を全て貴女に宛てる様に書き添えておこうか」コクッ

親船「いえ、自力で何とかしますよ。お飾り理事でも、それくらいは頑張れますから」フフフ・・・


パトリシア「―――……あ! 戻ってきました!」パアアァ!

ステイル「はぁ……やっぱりライブか何かと勘違いしてるんじゃないか」タラー・・・


湾内『―――……あー、えっと……先程は、その、ありがとうございました』モジモジ・・・


    ワーワー! ヨカッタゾー!


湾内『あはは、ありがとうございます……えっと、本来有り得ないのですが特別に続けて貰っても良いという事なので、もう一曲だけ』ペコッ


ステイル「よく運営が許可したものだ。何かの圧力か?」チラッ・・・

親船「邪推ですよ。あれだけのアンコールを聞いたら、やらせない訳にもいかないでしょう。尤も、次の曲を準備してればの話ですが」ジー・・・

レイヴァニア「準備していたのだろうな。一曲目で盛り上がると見越して……やはりあの娘、大物かもしれん」ホォ・・・

パトリシア「わああぁ! 凄いです! 下で見たいです、お姉さん!」チラッ・・・

レイヴァニア「ふむ……おい、ステイル。着いて行ってやれ」クイッ

ステイル「は?」キョトン・・・

レイヴァニア「ほぉ……逆らうか? なぁパトリシア。お前、ステイルの歌を」ボソッ・・・

ステイル「行く! 行かせて下さい! 是非に妹様と下で観賞させて下さい!」ガアアァ!

レイヴァニア「……んー、まぁそこまでいうなら仕方ないな。パトリシア、ステイル『を』連れてってやれ」ニヤリ・・・

パトリシア「はいっ! 急ぎましょう! ステイルさん!」パタパタパタ!

ステイル「ハァ……厄日だ」グデェ・・・

レイヴァニア「おっほっほっほっ」ニヤニヤ・・・

マーク(悪魔だ)タラー・・・

364 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 07:36:19.99 ID:kdf3cZwk0
レイヴァニア「しかし、こういう盛り上がりを観ると……単にライブとかの方が金集まったんじゃないかな」ジー・・・

マーク「確かに……だが、此処に居るVip連中は集まりませんね」コクッ

親船「いや、しかしクラシックで無くとも集まってくれる方は集まりますよ。それこそ息子娘が出てるとなればね」フフッ

レイヴァニア「あそこの蹲ってるのみたいにか?」ニヤリ・・・

マーク・親船「「え?」」チラッ・・・


婚后パパ「」チーン・・・


レイヴァニア「ハハハ。あの小心者の遺伝で、よくあの肝っ玉が太い娘が生まれたもんだよ」ククク・・・

親船「まぁまぁ、そう言わないの」ハハハ・・・


湾内『えっと、こういう大人数の前で話すのは慣れていませんので……婚后さんみたいに上手く話せないのですが……―――』アタフタ・・・


  ガンバレー! カワイイゾー! モウイッカイウタウノー!


レイヴァニア「歌の豪快さとは一転、女々しいな……まぁギャップ萌え、というヤツか」フフッ

マーク「お嬢様、如何してそういう俗語覚えてきますかねぇ」ハァ……

親船「ふふふ……あら、また演奏が始まりましたね。という事は、今度は後ろの2人の内ドチラかかしら?」ジー・・・

レイヴァニア「案外2人とも、いや、3人だったりしてな」フフフ・・・


湾内『それでは、もう少しノリを良く三人一緒に歌います……聞いて下さい―――』コクッ


  ♪~  ワアアアァッ!!


婚后・泡浮『――― いつも Let me do そう自分の意志で あ・る・い・て・た・い 』♪~

婚后・泡浮・湾内『 だって Dream come true ねえその瞬間が か・が・や・く 』♪~


親船「おや、仰る通り」フフッ

レイヴァニア「ハハハ。私の勘も中々だな。しかし、言ってた通りにノリの良い曲だな」フフフッ

親船「良いですね。若くて、パワフルです」フフフ・・・

レイヴァニア「貴女もまだまだこれからだよ」ニヤリ・・・

親船「ええ、そうね……頑張るわ」クスクス・・・


 Wow wow wow! Wow wow wow! Wow wow wow! Wow wow wow……―――

365 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 07:58:13.71 ID:kdf3cZwk0

  ――一方、いきなり戻って香焼side・・・



佐天「―――あははは! 三人とも凄いなぁ! ねぇ、あの三人私達の友達なんだよ!」ワーワー!

香焼「へぇ! 凄い……ですね! って、あれ? 初春さん?」チラッ・・・


初春「いやね……うん、でもさぁ……この役回りは、さぁ……無いでしょう……よりにもよって、その選曲かぁ……はぁ」ドヨーン・・・


香焼・佐天「「……あ、れ」」タラー・・・


初春「まぁ、そのね……完全にハブられてる訳じゃないから良いとしても、でもですよ……えー」ガーン・・・

佐天「う、初春ー?」タラー・・・

初春「んもぅこうなったら……良し! 二人とも、ちょっと抜けますね。この曲が終わるころには戻ってきますから」スッ・・・

佐天「あ、うん……どったのかな?」タラー・・・

香焼「さ、さぁ」タラー・・・


 ――― 負けないやめないルールにたって相談してもいいよね み・ん・な いるから ―――


    おおおぉ……ざわ・・・ざわ・・・


香焼「……え」ピタッ・・・

佐天「一人、増え、た」ピタッ・・・


婚后・泡浮・湾内・??『――― いつも Let me do そう自分の意志で あ・る・い・て・た・い
                      だって Dream come true ねえその瞬間が か・が・や・く ―――』♪~


  ワアアアアアァッ!! ナンダアアァ!? スゲエエエェカライイヤアアアァ! イイゾオオオォ!!


香焼「す、凄いのは確かなんすけど……あの緑衣装の飛び入り仮面……どっかで」タラー・・・

佐天「き、気の所為じゃない? なんか、見覚えある花飾りが見えるけど……気の所為よ! うん、気の所為!」アタフタ・・・


  Wow wow wow! Wow wow wow! Wow wow wow! Wow wow wow……―――


374 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/20(日) 21:22:08.76 ID:zBpSYrA20
 ―――とある翌日、PM07:45、学園都市第7学区、文化会館大ホール・・・・・・



一際盛り上がった常盤台の3人組(+α)の出番は終わり、休憩タイムになる。
そろそろステイルと軍覇が戻って来るかもしれないが、それよりも自分の任務の方を考慮しなければ。

ぶっちゃけ、後日『実は観に行きました。操祈さんの演奏最高でしたよ!』って言えばそれで済む話だと思うのだが……仕方あるまい。


佐天「―――おー……凄かったね! 後で婚后さん達にメールしとこう!」キラキラ・・・

香焼「あはは。ん、休憩時間だね……ちょっとトイレに」スッ・・・

佐天「あ、うん……って、ちょい待った」グイッ

香焼「え? 何?」キョトン・・・

佐天「いや、今聞き流せない言葉が……トイレ?」ジー・・・


それが如何した?


佐天「……どっち?」ジトー・・・

香焼「は?」キョトン・・・

佐天「だから……男性用? 女性用?」ジトー・・・

香焼「…………、」ダラダラ・・・


しょーもない事に喰いつくな、この人は。


佐天「いやいやいや、如何でも良くないでしょ……うん、勿論香焼くんが不埒な事するとは思ってない。でも、それでも! だよ!?」ジー・・・

香焼「……『この恰好』で、男子トイレ、入れると思うの?」ハァ・・・

佐天「で、でも! でもでも!!?」ジロジロ・・・

香焼「正体がばれる、とかの心配?」タラー・・・

佐天「そんな心配はしてない。香焼くん、今私より可愛いもん」キッパリ・・・


真剣な顔でそういう事言われると、割とマジで凹みます。


佐天「初春と同じくらいの身長……童顔……僕っ娘……むぐぐぐぅ! 何だこのジレンマは!?」ジー・・・

香焼「いや、それコッチの台詞だから」ハァ・・・

佐天「あーもぅ……行くなら私も一緒に行きます! 連れションだー!」ガシッ!!

香焼「女の子がそういう事言わないの」ダラダラ・・・

佐天「しゃーらっぷ! 監視とボディーガードとその他諸々兼任でついて行く!」ビシッ!

香焼「えー……、」タラー・・・


佐天さん、何で変な空回りしてんだろう。そんな心配しなくていいのに。
それよりも今後の策を練った後、ステイルと軍覇と一度合流したかったのになぁ。

375 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/20(日) 21:42:32.69 ID:zBpSYrA20
その後『我慢するから大丈夫』と言ったにも関わらず、何故か若干興奮気味の佐天さんは『良いから来る!』と僕の手を強引に引っ張り、
二階ホールを出てトイレに向かおうとした。ちょっと怖いです。


香焼「あ、あの……自分外行くから。さっきもそうしてたし」タラー・・・

佐天「漏れたら如何するの!?」キッ!

香焼「も、漏らさないよ! 赤ん坊じゃないんだから!」アタフタ・・・


というか、実際尿意は催してません。お願いだから一人にさせて。


佐天「人気が少ない所が良いなら……ほら、スタッフ用とか」ピッ

香焼「ば、馬鹿じゃないの!?」ギョッ・・・

佐天「もしくは、特別室の方とか。大丈夫だって素直に『おしっこ……したいです』って上目遣いで言えば誰でも通してくれるから」フフッ

香焼「んな阿呆な。セキュリティどんだけ軽いんすか」タラー・・・

佐天「いやいや。今の香焼くんみたいなロリ……ショタ? 男の娘が言えば大丈夫だって」b"


どんな理屈だよ。


佐天「もーグチグチグチグチ……女らしくないぞ! キッパリ決めなさい!」ムンッ

香焼「色々ツッコミ入れたいっす」ハァ・・・

佐天「じゃあ、ほら。固法先輩とか初春の連れですって言って、警備員と風紀委員のスタッフが入れるエリアにさぁ」コクッ・・・

香焼「……ん?」ピクッ・・・


そんなエリアがあるのか……初耳だ。これは思わぬ誤算だが、良い情報かもしれない。


香焼(だとすると、後半の公演が始まって直ぐに行動した方が良いかな。操祈さんの演奏終わってからだと、多分もうフィナーレだし)ウーン・・・

佐天「難しい顔して如何したの? 限界近い?」ジー・・・

香焼「あ、いや……限界って……自分別に化粧直せれば大丈夫っすから」タラー・・・

佐天「…………、」ピタッ・・・

香焼「ん? どったの?」チラッ・・・

佐天「……香焼くん……いや、香ちゃん……貴女はもう完っ璧、女、女子、乙女、メス、♀、ガール、レディよ!」

香焼「……なんでさ」タラー・・・

佐天「相応の女子より女子っぽい事言ってるじゃん! しかも化粧直し!? 2,3年早いわ!」ウキャー!

香焼「……あはは」ポカーン・・・


なんかもうね……この子相当目立ってます。お願いだから騒ぐの止めてよ。

376 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/20(日) 22:18:17.20 ID:zBpSYrA20
兎にも角にも、このままでは正体がばれてしまうので佐天さんを落ち着かせてから行動に移る。


香焼「あ、あのさ……とりあえず初春さんを見つけない?」タラー・・・

佐天「え、あ……そういえば何処に消えたのかな? メール返って来ないし……風紀委員の仕事?」キョトン・・・

香焼「白井さんか固法先輩に連絡してみれば分かるんじゃないかな」スッ・・・

佐天「そだね。メール入れてみる」Pi!


よし。話を逸らせた。


香焼「あとさ……さっきも話したけど自分も連れと来たんだ。だからちょっとそっちと合流したいかな」ポリポリ・・・

佐天「別に良いけど……私も一緒に行っていい?」チラッ・・・

香焼「止めといた方が良いと思う」タラー・・・

佐天「え? 何それ、どんな連れなの?」キョトン・・・


見た目年齢不詳の長身不良似非神父と、とても暑苦しい脳筋根性馬鹿野郎……とは言えない。


香焼「友人なんだけど……ちょっとバイトの関係でね。あんまり柄良くないんすよ」ポリポリ・・・

佐天「ん……もしかして、その女装に関係してるバイトの」ボソッ・・・

香焼「は?」ポカーン・・・

佐天「お、おかまバーとかニューハーフクラブのお姉さん達とか?」ドキドキ・・・

香焼「……そぉい」バシッ

佐天「あ痛ぁ!! な、何で叩くの!」キョトン・・・


僕がそんな所でバイトしていると勝手に想像した罰と、今までの不条理色々に対しての鬱憤晴らしです。


香焼「はぁもう……ごめん。兎に角、今度改めて紹介するからさ……男の時に」ボソッ・・・

佐天「んもー仕方ないなぁ……また戻って来るの?」チラッ・・・

香焼「多分ね。戻って来れなくても、もう一回くらいは挨拶しにくるよ」コクッ

佐天「そっか。りょーかい。そんじゃ此処からは一旦別行動って事で」ポンポンッ

香焼「うん。ごめんね」ペコッ


頭を下げ、佐天さんとは反対方向に歩き―――


佐天「あ。トイレは?」ピタッ・・・


―――……やっぱ走って逃げた。

377 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/20(日) 22:55:16.21 ID:zBpSYrA20
何故かアニーやレッサーに追い回されてる様な気分だった佐天さんとの鬼ごっこから生き延び、漸く落ち着く。
とりあえずステイルに電話しよう。口調を『香』モードに直してっと。


香焼「……あ、もしもし。マグヌスさん」Pi!

ステイル『香か。すまない、ずっと放置していた。厄介なのに捕まってな』ハァ・・・

香焼「いえ……今ドチラに?」

ステイル『先程まで下に居たんだが、今はVIP室に引き戻された……厄介なヤツの所為で』ハァ・・・


どんだけ厄介な人なんだよ。


ステイル『今すぐは戻れないんだが……そうだ。此方に来るか?』

香焼「え!?」ギョッ・・・

ステイル『僕と一緒に入れば簡単に通れる。なぁに、そんなにセキュリティが堅い訳ではなかったよ』

香焼「あ、えっと」アタフタ・・・


確かにVIP席は興味があるけど……出られなくなりそうだな。


香焼「あ……今、トイレに並んでる最中なのでまた掛け直します」コクッ

ステイル『ん、下の並びは凄かったからな……此方(VIP用)のトイレなら空いてたぞ』

香焼「大丈夫……です。もう少しで入れるみたいなので」

ステイル『そうか。なら落ち着いてからもう一度連絡をくれ』


電話を切る。簡単に返事をしてしまったら拙い気がする。
さておき、次は軍覇に電話だ。


香焼「……出ない」フム・・・


忙しいのかな。超能力者が同じ場所に集まるなんて滅多にない事だし。
仕方ないので、蛇さんに電話でもしよう……そんな事を考えた時だった。


絹旗「―――」オドオド・・・


あ。


絹旗「―――」アタフタ・・・


迷子の迷子の子猫(もあい)さん発見。一人で居ちゃ拙い娘だろ……如何見ても挙動不審だし。


絹旗「―――」ガタガタ・・・


貴女人混みに一人で居たらパニくるって分かってるでしょうが。麦野さん(保護者)は如何した、麦野さんは。


香焼(はぁ……やれやれ)テクテク・・・


見逃せないな。

378 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/20(日) 23:16:18.57 ID:zBpSYrA20
なるべく吃驚させない様正面から近付き、声を掛ける。


香焼「最あ……絹旗さん」ノシ”

絹旗「え……あ!」パアアァ!

香焼「こんばんわ。一人で如何したんす……ですか」コクッ

絹旗「えっと……迷子を探しています」アタフタ・・・


思わず素の話口調になりそうだったが、何とかスルー。相変わらず最愛と淡希さん相手だと『香』で遣り辛い。
さておき、迷子探しと言ったか。最愛が迷子じゃなくて?


絹旗「ちょ、超失礼ですね。私が迷子になる訳無いでしょう……私がお姉ちゃんなんですから」ムンッ・・・

香焼「あはは、いえ、香焼兄さんから最愛さんは『よく迷子になって一人オドオドしてる』って聞いてたので」クスクス・・・

絹旗「……今度香焼に会ったら超ボコボコにしときます」ジトー・・・


あ、自分で仕掛けた地雷踏んだ。


香焼「ほ、程々にしてやって下さいね。兄さん、ガチで弱っちぃので……えっと、迷子、一緒に探しますよ」コクッ

絹旗「ええ。香焼は超々々々弱いですからね」フンッ

香焼「そ、そこじゃなくて……迷子の話を。(そこまで言わないでください。泣いちゃいますよ)」タラー・・・

絹旗「あ、そうでした。うーんと……妹2人と一組の夫婦です」コクッ

香焼「い、妹? 麦野さんじゃなく? あ……(そういえば、前メールで写メ送ってきたな)」フムフム・・・

絹旗「麦野は特別室で喧嘩してますから如何でも良い。兎に角、その子達が逸れちゃいました」シュン・・・

香焼「それって絹旗さんが逸れたんじゃ」タラー・・・

絹旗「その子達が! 逸れたんです! あと兄貴さんと姉貴さんも!」ムググ・・・


素直に『私が迷子です』と言えば良かろうに。


香焼「はいはい。あ、もしかして姉貴さんは固法さんの事? 電話しても出ないの……ですか?」ジー・・・

絹旗「え」ピタッ・・・

香焼「だから電話。その人達に連絡したのでしょう?」ジー・・・

絹旗「…………、」タラー・・・

香焼「……してない、とか?」タラー・・・

絹旗「……はい」ダラダラ・・・


なんでさ?


絹旗「け、携帯……そういう手段がありましたね!」アハハハ・・・

香焼「…………、」ハァ・・・


相変わらず、一人でパニックになると行動不能になるんだな。
麦野さんか固法さんに『絶対一人にするな』って言っておかないと。

379 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 00:05:49.32 ID:XzrQe8bQ0
一寸後、即解決。
固法さんと那由他ちゃん、それから御坂さんに似たおチビちゃんが最愛を迎えに来た。


那由他「んもー……姉さんったら、逸れた時ちょっと大きな声で呼んでくれれば気付いたんですよ」ハァ・・・

絹旗「ご、ごめんなさい」ペコッ・・・

打ち止め「ナユタン。お姉ちゃんは悪くないよ。私が手を離しちゃったから……ってミサカはミサカは反省してみる」シュン・・・

絹旗「いえ。私が目を離したからいけなかったんです。すいません、2人とも」ポンッ・・・

那由他「……やれやれ」ホッ・・・


随分とフランクに接してるな。僕以外にもこういう友達が居るってのは驚いたが、素直に嬉しい事だ。


固法「ごめんね……見つけてくれたのが貴方で良かったわ」ボソッ・・・

香焼「いえ。『普段』だったらもうちょっと早く見つけられたかもしれないっすけど……とりあえず、良かったっす」コクッ

固法「ええ。まったく、先輩が傍に居るっていうから安心してたのに……何で居ないのよ」ジトー・・・

打ち止め「クロヅマは煙草喫いに行ったよ、ってミサカはミサカは告げ口してみる」ニヤリ・・・

那由他「私は止めましたよーっと」サラッ・・・

絹旗「えっと、私は一本だけって聞いたのでそれくらいなら、と」アハハ・・・

固法「なっ!? 先輩……後で説教ね」ピキピキ・・・


いつになく固法さんが怖い。


打ち止め「ところで……貴女は? ってミサカはミサカはお姉ちゃんを助けてくれた恩人さんに尋ねてみる」ジー・・・

香焼「え、あ、はい。神崎香……です。那由他さんは先程お会いしましたが、貴女は初めまして……ですね」ペコッ・・・

打ち止め「私は―――むぐぐっ!?」ジタバタ・・・

絹旗「ええっと、この子、超電磁砲の妹なんです。姉貴さん達とも仲が良くって……ね?」チラッ・・・

打ち止め「ぷはっ! んもー、簡単にボロボロ話したりしないよってミサカはミサカは溜息ついてみる」ハァ・・・


つまり、この子も『妹達』か。後で蛇さんに聞いてみよう。


打ち止め「私の事は打ち止め(ラストオーダー)って呼んで頂戴、ってミサカはミサカは……謎の女的に誤魔化してみたり」キランッ・・・

香焼「あはは。宜しく。お嬢さん」コクッ

那由他「……ところで、貴女は一人なの?」ジー・・・

香焼「はい。2人と逸れた……というよりも、削板さんは知っての通り。マグヌスさんはVIPの方に呼ばれたみたいで」コクッ

絹旗「げっ……軍覇と知り合いなんですか」タラー・・・

那由他「ねー。あの脳筋根性バカと、こんな可憐なお嬢様が知り合いなんて信じられないよ」ジー・・・


あからさまに嫌そうな顔しないで下さい。
最愛が軍覇苦手なの知ってるから。あと那由他ちゃんも、何があったか知りませんが程々にしてあげて。

380 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 00:52:51.67 ID:XzrQe8bQ0
それから少し駄弁った後、後半開始予告のアナウンスが入る。


絹旗「―――だから、私は超最強ですけど那由他の能力とは相性悪いんですって」ムー・・・

那由他「姉さん、負け惜しみは苦しいよ……あ。そろそろ持ち場に戻んなきゃ」チラッ・・・

固法「そうね。戻る前に先輩見付けたかったけど……仕方ないわ」ハァ・・・

打ち止め「多分ミィがオッカナイから逃げたんだよ、ってミサカはミサカは元レディース鬼女を嫁に持った元ヤン旦那のってあ痛たた!」フガー!

固法「余計な事言わんでいい」///


鬼女って……この幼女は何を宣うか。


固法「ったく……あ、そうだ。香(こう)……崎さん、先輩帰って来るまで2人の事お願いして良い?」チラッ・・・

香焼「ええ。構いませんよ」コクッ

打ち止め「んー。でも始まっちゃうよ。クロヅマいつ戻って来るか分かんないし……ミサカはミサカは演奏観たいなって訴えてみる」ムンッ

固法「そうね……(二階席に最愛ちゃん連れてくのは可哀想だし)……それじゃあ、一回特別室行く?」チラッ・・・

香焼「……は?」ピタッ・・・

固法「だって香ちゃん、削板くんと来たんでしょ。顔出しとけば?」ニヤリ・・・


いやいやいや……麦野さん居るでしょうが!


固法「そこは、ほら……貴女達が行けば喧嘩止まるわよ」ニヤリ・・・

絹旗「確かに。打ち止めちゃんが居る場では、アイツら喧嘩しませんからね」コクッ

香焼「いや、そういう問題じゃなく!」アタフタ・・・

固法「それじゃあ2人とも。香ちゃんを特別席連れてってあげて。削板くんと『麦野さん』の知人って言えば通れる筈だから」ニヤニヤ・・・

絹旗・打ち止め「「りょーかいです」」ビシッ!

香焼「い、いやあああぁ!!」ウギャー!


ズルズルと引き吊られて行く僕。
最後に見たのは苦笑する那由他ちゃんと、怪しく輝く眼鏡を掛けた固法さんの黒い笑みだった……―――

381 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 01:44:40.15 ID:XzrQe8bQ0
 ――一方、一階特別室・・・・・



垣根「―――はぁ……帰りてぇ」グデェ・・・

麦野「うっさい。そういうアピール要らないわボケ。全員思ってる事だっつの」グデェ・・・

垣根「……だってよぉ」チラッ・・・

一方通行「…………、」スゥスゥ・・・

削板「くぅ……んが……むぅ」ムニャムニャ・・・

垣根「コイツら寝てるし……お前と2人きりの空間が嫌だ」ハァ・・・

麦野「」ピキッ・・・

垣根「んなキレんだよ。あ、もしかして『垣根王子様! 何でそんな事言うの!?』とかショック受けてだだだだだだぁっ!!」ギチギチギチ・・・

麦野「黙れカス!! 喋んな殺すぞ!」アイアンクロー!!

垣根「じゃ、じゃあ良いのか!? 俺も寝んぞ!! そしたら自動的にお前が挨拶だかんな!!」イダダダダッ!!

麦野「っぜぇ! それは公平にジャンケンだっつの! 寝てるこのガキ共含めてな!」バッ・・・

垣根「ぐべっ……っててて……オッカネェなぁ、オイ」ハァ・・・パンパンッ・・・

麦野「ったく……てかこういう場合、理事会側で原稿用意しとくのが筋でしょ。私らの性格分かってんならさぁ」ハァ・・・

垣根「大半は知らねぇだろ。てかこういう公の場って事は綺麗事役人だろうし」チッ・・・

麦野「嫌になるわ……って、もう後半なの」ジー・・・

垣根「やれやれ。馬鹿2人起こすか……寝たからって逃げられっと思うなよ」ヨイショ・・・


 コンコンッ・・・・・


麦野「あん?」チラッ・・・

垣根「誰だ? 役員か? それとも那由他かおっぱい眼鏡かチンピラか?」ドサッ・・・


打ち止め『おーい! 誰でも良いから開けてー! ってミサカはミサカは頼んでみる』コンコンッ


麦野「打ち止め(おチビ)か……第1位起こすには持って来いね」コクッ

垣根「ん? 窒素装甲(絹旗)は?」キョトン・・・

麦野「開ければ分かるでしょ……はいはい、開けたわよ。おチビちゃん」ガチャッ・・・

打ち止め「ムギノン、ありがとー。さぁ早く! ってミサカはミサカは2人に呼びかけてみたり!」ペコッ

垣根・麦野「「え?」」チラッ・・・



絹旗「ほら、香。早くしてください。もう始まっちゃいますよ!」グイグイッ!

香焼「イーヤー! 自分の席戻りますー!」ジタバタ・・・ズルズル・・・



垣根「……は?」ポカーン・・・

麦野「ぶっはっ!! ふ、不意打ち過ぎるわよ!!」ダハハハハッ!!

382 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 02:22:18.98 ID:XzrQe8bQ0
―――結局、ばれてしまった。しかも大笑い……だから来たくなかった。


絹旗「ん? 何で麦野はそんな超爆笑してるんですか?」キョトン・・・

麦野「ふっ、ひひっ……い、いやぁコッチの話」プルプル・・・

香焼「」チーン・・・


軍覇寝てるし。もう一人起きてるのは……第2位さんか。


垣根「あー……誰その娘?」ジー・・・

絹旗「……誰でも良いでしょう」ムゥ・・・

垣根「良かねぇだろ。一応特別席だぜ……まぁ見張りが通したんなら良いのか」フムフム・・・

打ち止め「カオルン、自己紹介しなきゃダメだよ。ってミサカはミサカはキョドってるカオルンに注意してみたり」チラッ・・・

香焼「あ、えっと……その」アタフタ・・・

麦野「……ほれほれ」ニヤリ・・・


何で貴女は心底楽しそうなんですか?


香焼「ハァ……神崎香……です。絹旗さんと削板さんの友人で、麦野さんは姉分の友人……です」ペコッ

垣根「え……お前ら(麦野と絹旗)、友達居たの?」タラー・・・

麦野「意味分かんねぇツッコミすんなボケが! テメェよりも居るっつの!」ギロッ・・・

打ち止め「んもー。ムギノンとテイトくんはいっつも喧嘩してるんだから……ってミサカはミサカは頭を抱えて嘆いてみたり」フー・・・

絹旗「トムとジェリーですから」コクッ

麦野「……絹旗ちゃん?」ゴゴゴゴ・・・

絹旗「な、何でも無いです」アハハハ・・・

垣根「ふーん……まぁ良いや。俺が第2位、んでそこで寝てる白モヤシが1位」クイッ・・・

香焼「はぁ。れ、超能力者の」タラー・・・

麦野「なぁによぉ。超能力者ならいつも見てるじゃない。私とか軍覇(ソレ)とか」グイッ・・・

香焼「もふぁ!? む、麦野ふぁん!?」ムニュン・・・

打ち止め「ずるーい! 私もムギノンにパフパフしてもらいたーい! ってミサカはミサカはけしからんカオルンを睨んでみる!」ガルルルッ!!

香焼「ちょ、麦野さん!?」カアアァ///

麦野「ふふふふ……おチビはいっつも黄泉川さんだったり美偉にして貰ってるでしょ。だから今日はおやすみー」ニヤリ・・・


悪ふざけが過ぎる。色々危ない。


麦野「なーによぅ、『香ちゃん』。女同士なんだからそんな恥ずかしがらなくても良いじゃない」ニヤニヤ・・・

香焼「そ、そういう問題じゃ……(ちょっとマジで止めて下さい! ボロ出たら拙いんすよ!)」ボソボソ・・・///

麦野(ボロも何も、坊やがその恰好で居る事事態が拙いんじゃないかしら? ばらされたくなかったら大人しく玩具なりなさーい)フフフ・・・

香焼「くっ……き、絹旗さぁん。助けて下さいよぅ」アタフタ・・・///

絹旗「超無理ですね。麦野は私の言う事聞かないです」キッパリ・・・


あー……不幸だ。


麦野(私に抱かれて不幸とか思ってたら殺すからね♪)ニコリ・・・


なんて……理不尽だ。
383 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 02:52:08.01 ID:XzrQe8bQ0
無理にでも脱出を試みるが、この人に純粋な力勝負で勝てる訳が無い。
腕相撲でカオリ姉さんの5割に勝つ人ですもん。因みに僕は2割とドッコイ。


打ち止め「ムギノーン。私もー、ってミサカはミサカはせがんでみる」ダッコー

垣根「むぎのーん。俺もー、ってカキネはカキネは上目遣いで頼んでみる」ダッコー

麦野「おチビは絹旗に抱っこしてもらいなさい……あと垣根は死ね」フフッ

垣根「……連れないヤツ」フンッ

打ち止め「むー……だってお姉ちゃんのおっぱい私と大差無いもん、ってミサカはミサカは正直にコメントしてみる」サラッ・・・

絹旗「ぐ、はぁ」グサリ・・・

麦野「ふふふふ……無い胸でも大丈夫よねぇ。香ちゃん」ニヤリ・・・


何故そこで五和並に巨乳の貴女が同意を求める!?


麦野「だって香ちゃんだってツルペタじゃない」サワサワ・・・

香焼「ど、何処触ってるん……ですか!!?」ビクッ!!

麦野「ブラすら着けてないこのおっぱい。まぁまぁ、『男』としては大事なのは胸の大きさじゃないわよねぇ。如何思う?」ニヤリ・・・

垣根「キマシタワー……って、え? 俺に聞いてんの?」ジー・・・

麦野「テメェじゃねぇよ」ジトー・・・


いやいや、今この場で会話できる『男性』は第2位さんだけですから。


麦野「……そういう答えが欲しいんじゃないっつの」スッ・・・

香焼「はい? って、ひゃんっ! ど、何処抓んで……ひぁっ!!?」ビクンッ!

麦野「てぃーくび」ギュッ


あー、そういえば姉さんが『麦野さんはシラフでセクハラしてきますよ』とか言ってたっけ。


絹旗「麦野……流石に犯罪です。姉貴さん居たら超逮捕ですよ」ジー・・・

麦野「良いのよ。この子は火織公認で私の玩具なんだから……ねぇ香ちゃん?」スッ・・・ニヤリ・・・

垣根「ガチレズ怖ぇわぁ」タラー・・・

香焼「え、え、と……あ、あの……あ! ぼ、僕削板さんに用事が有ってきたの……です!」ジタバタ・・・

垣根「僕っ娘とかあざといわぁ」ジー・・・

麦野(チッ……逃げやがった)ジトー・・・


さっさと声掛けて逃げよう。


麦野「ったく……おチビ。もう始まるから白いの起こして。反射使ってて私らじゃ起こせないのよ」クイッ

打ち止め「アイアイマム! ってミサカはミサカは……えいっ!」カチッ

一方通行「っ!!? ・・――――・――****■*△***ω****Σ*(□)***#*&%・、――**@$**ッ!!?」ガタッ!!

一同『っ!?』ギョッ・・・

打ち止め「あ、言語機能弄るのミスっちった。ってミサカはミサカは『てへぺろっ♪』してみる」(>ω・)ク”


一体、何したんすか。この幼女。

384 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 03:16:42.89 ID:XzrQe8bQ0
一寸後、打ち止めちゃんは電波的な何かをビビッと送った。


一方通行「                    ァ    ―――ぬかと思ったっつの……オイ、糞ガキっ!!」ギロッ!!

打ち止め「んもー。演奏会で寝てる方が悪いんだぞ! ってミサカはミサカは貴方に説教してみる」ムンッ

一方通行「縦しンばそうだとしても起こし方ってのが有んだろォがよォ! ボケ!」グリグリ・・・

打ち止め「痛たたたたぁ!!」ウギャー!


仲良いなぁ。


麦野「後は……絹旗。そこの根性馬鹿起こせ」チラッ・・・

絹旗「えー……麦野が起こして下さいよ」ジトー・・・

麦野「面倒臭ぇ。てか私とメルヘンのWボッコでも起きないし」フンッ

香焼「それって気絶してるんじゃ」タラー・・・

絹旗「そう易々と気絶しませんよ……やれやれ。コイツを力で如何こうしようってのが超間違いなんです」ハァ・・・

垣根「随分と自信あるじゃねぇか。お目覚めのキスでもするってか?」ハハハ

絹旗「頭沸いてんじゃないですか? 一言で済みますよ」チラッ・・・


軍覇は寝ちゃうと長いから、半日近く家で寝かしといた事あるなぁ。そんな便利な方法あるなら僕も知りたい。


絹旗「ふふっ。まぁ見てて下さい……おーい、軍覇ー」ジー・・・

削板「むにゃむにゃ」ンガー・・・

絹旗「香焼が痴女に襲われてますよー」サラッ・・・

香焼・麦野「「ブハッ!!」」ピクピク・・・


意味不明な一言に吹き出してしまった自分、そして腹抱えて蹲る麦野さん。その他一同総キョトン。一方、軍覇は……


削板「なん……だと……、」ピクッ・・・

香焼「何でピクつくんすんごごぅ!?」ジタバタ・・・

麦野「だ、黙ってみてなさい……もう少しで起きるんだから」プルプル・・・

絹旗「ん? まぁ良いです……軍覇ー。超早く起きないと香焼が結標淡希(脳味噌ド腐れビッチ女)に喰われますよー」サラッ・・・

香焼「」チーン・・・

麦野「い、息……息、出来、ない」ヒヒヒ・・・プルプル・・・


なぁにそれ怖い。


削板「だ……駄目だ香焼っ!! んな勝手に誰かと付き合うなんて俺とステイルが許さ……って、あ?」キョトン・・・

絹旗「おはよう、⑦」フンッ

削板「ん、ぁ……香焼の貞操は?」アタフタ・・・

絹旗「ふふふふ……超安心して下さい。私が代わりに助け出しましたから」ニヤリ・・・

削板「くっ……癪だが、今回ばかしは感謝してやるぜ。ありがとよ」ホッ・・・

絹旗「いえいえ。それより軍覇に客が……って、香?」チラッ・・・

香焼「」

麦野「ひゃっはっはっはっはっ! も、もうダメ! こ、これ以上、わら、笑わせんな! あひゃひゃひゃっ!」ゲラゲラゲラ!


酷い、嫌がらせを見た。

385 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 03:37:08.24 ID:XzrQe8bQ0
とりあえずやり場の無い怒りを如何する事も出来ないので、膝を抱えて部屋の隅で縮こまっとく。
『事情は分からないけど、まぁ頑張って』と僕の肩にそっと手を乗せる打ち止めちゃんが天使に見えた。


削板「あれ? 香……あ、悪い。すっかり忘れてたわ」タラー・・・

絹旗「超っ最っ低ですね。女の子一人ポツン放置しとくなんて」ジトー・・・

削板「す、すまん……って、ステイルは?」キョトン・・・

香焼「……VIP室の方に呼ばれたみたい……です」ボソッ・・・

削板「あー確か呼ばれるかもみたいな事言ってたな。え、じゃあもしかしてずっと一人で」タラー・・・

香焼「…………、」コクッ・・・

削板「……すまん」ペコッ


事情があったのだから仕方あるまい。だが、欲を言うなら其方から来て欲しかった。
そうすればこんな恥ずかしい想いしないで済んだだろうから。


垣根「……もしかしてその子、第7位の彼女?」ジー・・・

麦野(ぷはぁ! ほ、ホモじゃん!)プルプル・・・

削板「違ぇよ。この子と会ったのは今日初めてだ。成り行きでコンサート来る事になったんだっつの……さっき言ったろ」ジトー・・・

垣根「あー。ダチと遊ぶつもりが代わりにってか……まぁ良いじゃねぇか。素敵な嬢ちゃんとデート出来んだし」ハハハ

削板「うっせぇなぁ。もう一人連れ居るっつの。一緒にダチと遊ぶ約束してたんだ……ったく、香焼が家に居ればこんなとこ」ハァ・・・

打ち止め「こらグンパっち! エスコートしてる女子が居る前でそういう事言っちゃダメでしょ! ってミサカはミサカは注意してみたり!」

削板「あ……悪ぃ」ポリポリ・・・

香焼「ふふっ。いえいえ」クスクス・・・


実際、僕もそうしたかったしね。


麦野「ふーん……絹旗ぁ。坊やはアンタより⑦取ったらしいわよ」ニヤリ・・・

絹旗「超ありえません。香焼は軍覇より私の方が超好きな筈です」フンッ

削板「あ!? んな訳ぁ無ぇだろ! 俺の方が香焼ん事好きだっつの!」ギロッ・・・

絹旗「はぁ?! 馬鹿じゃないですか? いえ、超馬鹿です。馬鹿決定です。地球が360度回っても私の優位性は変わりません!」ギロッ・・・

削板「マジざけんなし! 香焼は喧しい女共と居るよりも俺とかステイルと居た方が良いんだっつの! 万人が知ってる常識だろ!」フンッ!

一方通行「常識なのか?」チラッ・・・

垣根「さぁ。てか誰よ? あと地球は360度回っても同じだな」ジー・・・


冷静に会話してないで無駄な喧嘩止めて下さいよ! ってか発破掛けた麦野さん!


麦野「ひゃはははは! おもろー!」ケラケラケラ!


ダメだ、この人……後で固法さんに言いつけよう。

386 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 04:46:24.31 ID:XzrQe8bQ0
喧嘩する2人を打ち止めちゃんが一喝し、漸く静かになる。


一方通行「ったく、ガキの喧嘩は五月蠅ェのなンの……もう始まってンぞ」ジー・・・

絹旗・削板「「ガキじゃない!」」ジトー・・・

一方通行「はいはい……それより第7位よォ。はしゃぐのは結構だが、もしテメェが挨拶役になっても大丈夫なのか?」フンッ

削板「ぐっ……忘れかけてた事を」タラー・・・

香焼「挨拶役?」キョトン・・・

麦野「私達の中で誰かが最後に代表挨拶すんのよ」ハァ・・・


そりゃ……大変な事だ。誰一人まともな人間が居ないのに。


垣根「てかさぁ。どうせ今やってる演奏の部の最後に、超電磁砲と心理掌握出るんだろ。そのままアイツらにやらせろよ」ケッ

一方通行「アイツらはアイツらで個人スピーチ有ンだろ」フンッ

麦野「第6位は罰金ね……じゃあもうさぁ、私達の代わりにおチビの挨拶で良いんじゃない?」チラッ・・・

打ち止め「良いの!?」キラキラ・・・

麦野「ええ。そのまま歌でもダンスでもリコーダーでも何でも披露しちゃいなさい」フフッ

打ち止め「わーい! じゃあお姉ちゃんと一緒に何か歌うね! ってミサカはミサカは希憧の眼差しをステージに向けてみる!」キラキラ・・・

絹旗「わ、私あんな超大勢の前に立たされたら死んじゃいます!」ダラダラ・・・


確かに。パニックで乱雑解放(ポルターガイスト)起こしかねないな。窒素爆発でも起こしたら大問題じゃ済まないぞ。


一方通行「オイ、4位。悪魔の囁きしてンじゃねェよ。そのガキはマジでやるぞ」ハァ・・・

麦野「あら、良いじゃない」フフッ

一方通行「ざけンな……糞ガキ、大人しく座ってろ」フンッ

打ち止め「むー。相変わらずツマンナイんだからーってミサカはミサカは貴方の無粋っぷりを批判してみたり」ジトー・・・

一方通行「何とでも言え」ケッ


そう言われて第1位さんの膝上に、ちょこんと座る打ち止めちゃん。第1位さんは怒るだろうと思いきや……無言で演奏を静聴。


絹旗「アイツはツンデレでムッツリでロリコンでミサコンですからね」ボソッ・・・

香焼「み、ミサコン」タラー・・・


御坂美琴の血統コンプレックス……通称ミサコン。確か海原さんもそうだとか、土御門が言ってたな。


垣根「ハァ……てかそろそろマジで代表決めようぜ。間違って代表なんの直前は嫌だぞ」ジトー・・・

麦野「そりゃそうだけど、如何決めんのよ? ジャンケンは無し。⑦の所為で一回毎に変な擬音鳴ったり爆発すっから」チラッ・・・

削板「無意識です。悪気は有りません。言葉通り感情が表に出ました」キッパリ・・・

垣根「面倒臭ぇ能力だな……んじゃ喧嘩ダメなんだから、クジで良いだろ」コクッ

一方通行「そンじゃ……俺らで作ったら不正出るから、お前ら作れ」チラッ・・・

香焼・絹旗・打ち止め「「「え?」」」キョトン・・・

垣根「随分と綺麗事言……いやいやいや。コイツらお前らの身内だろ! 俺だけ不利じゃん!」タラー・・・

一方通行「んな打ち合わせも何もしねェよ……おい、表で適当に1つ外れ入りのクジ作って来い。出来れば一斉に引けるヤツだ」ポンッ

打ち止め「はーい。それじゃあ割り箸か爪楊枝探して来るね! ってミサカはミサカはお姉ちゃん達の手を引いて退室してみたり」テクテク・・・


何だか無茶苦茶な話だが……今は流されとこう。少しでも外の空気を吸いたいからな。

387 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 05:07:00.92 ID:XzrQe8bQ0
爪楊枝単品なんてそう易々見つかる訳も無いので素直に事情を説明しスタッフから割り箸を二膳貰い、一本の先に着色。
一寸後、再度特別室に戻る。


絹旗「できましたよ」ガチャッ・・・

打ち止め「じゃーん! カオルンが握ってる4本の割り箸の中に一つだけ当たりがあります! ってミサカはミサカは説明してみる!」グッ!

香焼(何故僕が巻き込まれたし)ハァ・・・

打ち止め「一斉のーせっ! で引いてね! ってミサカはミサカは補足してみたり」コクッ

超能力者's『…………、』ジー・・・


息を飲む4人。


削板「お、おい……選ぶ順番は?」チラッ・・・

麦野「私コレ」スッ・・・

一方通行「ン」スッ・・・

垣根「じゃあ」スッ・・・

削板「……最っ低だな、お前ら」タラー・・・

一方通行・垣根・麦野「「「さっさと掴め、根性馬鹿」」」フンッ


性格悪ぃ……姉さんも麦野さんの相手大変だろうな。


打ち止め「それじゃー行くよ! 一斉のーせっ! ってミサカはミサカは――」

超能力者's『…………、』ジー・・・

打ち止め「―――叫……んでみたんだけど、如何して貴方達は固まってるの?」キョトン・・・

一方通行「オイ……垣根ちゃンよォ……先に箸上げろよ」チラッ・・・

垣根「いや……麦野……さっさと上げちまえ」チラッ・・・

麦野「そ、削板……いっその事、腹決めて見ちゃった方が楽よ」チラッ・・・

削板「い、言い出しっぺが先陣切るもんだろ……第1位」チラッ・・・


何だコレ?


絹旗「ハァ。超チキン超能力者共ですね……香。手を放しちゃって下さい」クイッ

香焼「あ、うん」パッ

超能力者's『あ!!』ギョッ・・・


何て顔してるんだ……ビビり過ぎっすよ。


打ち止め「はーい決定! 最後に〆は君だ! ってミサカはミサカは代表さんを指差してみたり!」ビシッ!


色付き先っぽの箸を引いたのは……―――

397 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 23:17:24.26 ID:XzrQe8bQ0
―――……視線が、一つに集まる。


麦野「…………、」


一同フリーズ。


打ち止め「……けってー! ってミサカはミサカはムギノンの持ってる色付き――」



  ジュッ・・・・・



打ち止め「――割り箸、を……うぇ!?」ギョッ・・・


彼女の手にあった割り箸が、蒸発(?)した。


絹旗「む、麦野?」タラー・・・

麦野「……あはは。ごめん、割り箸の先見る前にドジっちゃった☆ やり直しね!」テヘッ♪

削板「いや、苦しいっしょ」タラー・・・

麦野「や・り・な・お・し……だね!」ゴゴゴゴ・・・

香焼「うわぁ」タラー・・・


今までに無い程、不気味な笑み。まぁ気持ちは分かるけど、ズルいっちゃズルいな。


打ち止め「むー! ムギノン! 卑怯な事したってダメなんだからね! ってミサカはミサカは他の三人の割り箸を指差してみたり!」ピッ!

麦野「ぐっ」ダラダラ・・・

香焼・絹旗・削板「……ははは」タラー・・・


流石に幼女には言葉の暴言も、手も出せないらしい。


一方通行「ぷっ……ギャハハハハッ! ざまァねェなァ、オイ! テメェが一番最初に掴ンでたのによォ!!」ケラケラケラ!

香焼「ちょ!?」ギョッ・・・

垣根「ウェヒヒヒッ! よ、幼女に注意されてやんの! だっせぇー! まぁパパさんの前で良いとこ見せろよ!」NDK!NDK!

垣根「お、おい馬鹿」タラー・・・

麦野「」プチッ!!


あ、ヤバい。


絹旗「っ!! ら、打ち止めちゃん! 失礼します!」ガシッ!

打ち止め「はぇ? って、あぁ~~~~れぇ~~~~! ミ、ミサカはミサカはお姉ちゃんに引っ張られて退室させられてみたりぃ~」バッ!

削板「か、香! 掴まれ!」ガシッ!

香焼「え! っておわあああぁ!!?」ビューン!!


中学生以下退室……一寸後、大爆発が聞こえた。知ーらないっと。

398 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 00:01:12.77 ID:jU3I2cd40
 ―――とある翌日、PM08:15、学園都市第7学区、文化会館、ホール外通路・・・・・・



逃げ出したのは良いが、その後の事は考えて無かった。
自分と軍覇だけならまだしも、最愛と打ち止めちゃんが居ると行き場に困るな。

固法さんと那由他ちゃんは忙しいだろうし……そういえば、固法さんの彼氏さんは何処行ったんだ?


香焼「はぁ……絹旗さん、打ち止めちゃん。さっきまで一緒に居た人は何処に?」チラッ・・・

打ち止め「ふぇ? クロヅマの事?」キョトン・・・

絹旗「兄貴さんは……何処でしょうか。喫煙所にはもう居ない筈ですし」ウーン・・・

削板「電話すりゃ良いじゃん」コクッ


言われた通り、最愛が電話を掛けた。通話の間、軍覇と打ち止めちゃんがこの後如何するか話し合う。


削板「ぶっちゃけ戻りたくねぇよな。ジジイに何言われたとしても」ハァ・・・

打ち止め「私は何でも良いよー! ってミサカはミサカは今すぐにでも演奏観たいって訴えてみたり」ウーン・・・

香焼「それはそうでしょうけど……絹旗さんの事を考えると、やっぱり」チラッ・・・

削板「あー……だから黒妻の兄ちゃんを保護者に、ってか」フムフム・・・

香焼「合流出来れば……ですけどね」チラッ・・・


最愛の様子を見るに、多分通話は繋がっている様だ。


削板「まぁ俺らは良いとして、香は?」チラッ・・・

香焼「あ、え。僕……ですか?」キョトン・・・

打ち止め「行く場所無いならまた私達と一緒に来ても良いよ、ってミサカはミサカはカオルンを誘ってみる」ビシッ

香焼「ありがとね」フフッ


しかし、そろそろ任務の方をこなしたい。


香焼「……だけど、僕は友人達の方へ戻ります」コクッ

削板「え? もしかしてステイルんとこ(VIP室)行くのか?」ジー・・・

香焼「いえ。固法さんの後輩の所……です。風紀委員の詰め所で何度かお会いした友人……です」コクンッ

打ち止め「もしかしてサテンサンとお花のお姉ちゃんとハルウエ? と……+α(白井黒子)? ってミサカはミサカは尋ねてみる」ジー・・・

香焼「ええ。そう……ですよ。打ち止めちゃんも詰め所で?」フム・・・

打ち止め「イエス! 偶にミィの所に遊びに行くもん! ってミサカはミサカは威張ってみる!」エヘンッ!


無い胸を張る打ち止めちゃん。だったら佐天さんと初春さんの所にこの子達を連れてっても良いかな……いや、最愛的に無理か。
結局、最愛の電話待ちという事になった。

399 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 02:03:34.68 ID:jU3I2cd40
一寸後、最愛の電話が終わった。


絹旗「兄貴さん、照明スタッフの手伝いで超忙しいそうです」ハァ・・・

香焼「それでは仕方ない……ですね」フム・・・

打ち止め「それじゃあ如何するの? サテンサン達の所? ってミサカはミサカはさっきのカオルンの提案を思い出してみる」ウーン・・・

香焼「…………、」チラッ・・・

絹旗「え? 佐天も来てるんですか?」キョトン・・・


彼女の下へ連れてく分には構わない。問題は人混みの中だ。


香焼「佐天さんは、二階席に居ます」ジー・・・

絹旗「うわ……超込んでるとこじゃないですか」タラー・・・

打ち止め「私は別にどっちでも良いよー、ってさっさと演奏を観たいミサカはミサカは宣言してみる」ムンッ

軍覇「俺も特別室以外なら何処でも」コクッ

絹旗「……うー」タラー・・・


あの中に最愛を放り込んだら観賞どころではなかろう。さて、如何するか。
静かな場所……VIP室か。一度ステイルに頼んで4人入れないか聞いてみるのも手かな。

と、携帯に手を伸ばした刹那―――奥の方から複数の足音が。


打ち止め「あ……ゲコ太先生とヨミカワだ、ってミサカはミサカは指差してみる」ピッ

香焼「え? って……え!?」ギョッ・・・

絹旗「ちょ、う、後ろ……パ、駆動鎧(パワードスーツ)!?」ダラダラ・・・

削板「うげっ!! じ、ジジイまで!?」ギョッ・・・


冥土帰し(先生)と黄泉川さん、それから見た事の無いフォルムをした駆動鎧。
そして軍覇が『ジジイ』と呼んだ……強面(こわもて)の男性。


黄泉川「打ち止め!」タッタッタッ・・・

打ち止め「そんなに慌てて如何したの? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」キョトン・・・

黄泉川「如何したのって、特別室が大変な事になってるって連絡来たじゃんよ!」ダラダラ・・・

絹旗「は、はぁ」タラー・・・

冥土帰し「君達が超能力者連中の馬鹿騒ぎから逃げてきたのは幸いだったね……巻き込まれなくて良かった」ホッ・・・


一体誰が連絡したんだ?
あの部屋に監視カメラは付いてなかったと思うけど……もしかして御坂妹(10032号)さんと御坂丸(10039号)さんかな。

400 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 02:22:25.59 ID:jU3I2cd40
色々気になる所だけど、彼らに任せた方が無難だろう。
此処は一先ず離れて電話を……と思った時、軍覇が―――吹っ飛んだ。


香焼・絹旗「「っ!!?」」ギョッ・・・

削板「ぐっ……て、テメェ……ジジイ!」ギロッ・・・

黄泉川「しょ、所長!?」タラー・・・

所長「軍覇……貴様、あそこから出るなと言ったろう」ギロッ・・・


所長と呼ばれた人物が、軍覇を殴った。あの軍覇がこうもあっさり吹っ飛ばされるなんて信じられない。


削板「しゃーねぇだろ! ソイツら守んなきゃいけなかったんだっつの!」チッ・・・

所長「喧しい。あの連中を貴様が黙らせれば済んだ話だろうが。それとも何か? 貴様もアイツらに混ざってまた暴れようとしてたか?」ギロッ・・・

削板「違ぇよボケ! んな狂人扱いすんな!」ギリッ・・・

所長「ほぅ口答えか。なら……ん」チラッ・・・

冥土帰し「神くん。そこまでだ……優先順位を違えないでくれ」ジー・・・

所長「……フンッ」チッ・・・


険悪ムード。僕と最愛と打ち止めちゃんは戸惑っていた。


冥土帰し「兎に角、あの部屋に行って彼らを止める。まったく……垣根くんまで能力使用し出した様だからね」ハァ・・・

駆動鎧『チッ……あの馬鹿は首輪(爆弾)の事も忘れたらしいわね。死ぬなら勝手に死ねっつったのによぉ』ケッ・・・

香焼・絹旗「「しゃ、喋った!?」」タラー・・・

打ち止め「そりゃ駆動鎧だもの。中に人は居るよ、ってミサカはミサカはこんな状況で冷静に解説してみたり」ピッ


そりゃそうか。でも誰が中に?


黄泉川「ハァ……急ぐじゃんよ。そろそろ喧嘩じゃ済まなくなるじゃん」ヤレヤレ・・・

駆動鎧『そうね……ジジイ共。先行ってるわよ』キュルルル・・・

冥土帰し「ああ。僕も後から向かう。打ち止め、悪いけど後で来てくれ。一方通行(彼)のバッテリーを強制的に落とすから」チラッ・・・

打ち止め「うーん……仕方ないね、ってミサカはミサカはあの人の暴走っぷりに頭を抱えてみたり」ハァ・・・

所長「軍覇。貴様も来い。『C・D(キャパシティダウン)』を使用する。影響受けない貴様も仕事しろ」フンッ・・・カツカツカツ・・・

削板「ケッ……また戻んのかよ」ハァ・・・


嫌々歩を進め黄泉川さん達の後を追う軍覇。その後に先生と所長さんが続いた。

401 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 02:40:41.84 ID:jU3I2cd40
ポツンと残された僕ら三人。


打ち止め「……如何しよう、ってミサカはミサカはお姉ちゃんを見てみる」ウーン・・・

絹旗「超困りましたね。今戻っても『C・D』使われたら……私も打ち止めちゃんも超フニャフニャになっちゃいますから」ハァ・・・


やはりステイルに電話しようか。


香焼「あ」ピタッ・・・

絹旗「如何しました?」キョトン・・・


花を特別室に忘れた。


絹旗「あー……多分、超メチャクチャですよ」タラー・・・

香焼「如何しよう……渡さなきゃいけないのに」ウーン・・・


任務(修行)が続けられない。もう諦めるしかないかな……―――


御坂蛇「その提案は許可しない、とミサカはいきなり後ろに現れて香に忠告を入れます」スッ・・・

香焼・絹旗「「っ!!?」」ビクッ!!

打ち止め「あ、スネークだ」ジー・・・


―――心臓に悪いです。勘弁して下さい。てか何処から来たの!?


御坂蛇「あのダンボールの中に居た、とミサカは回答します」クイッ

香焼「ぎょ、業務用の……って、一体何を」タラー・・・

御坂蛇「香が欲しいのはコレだろう、とミサカは花籠を手渡します」スッ・・・

香焼「っ! な、何で」ギョッ・・・

御坂蛇「……『全て』を監視してると言ったろう、とミサカは耳打ちします」ボソッ・・・


この人と海原さんは敵に回したら最後だな。


絹旗「し、妹達(シスターズ)が如何して此処に? というか香と知り合いなんですか?」ポカーン・・・

御坂蛇「ん……初めましてかな、窒素装甲。香は私の……まぁ『同門の妹(弟子)』みたいな者だ、とミサカは正直に説明します」コクッ

絹旗「へ? どーもん?」キョトン・・・

香焼「え、えっと、塾が一緒だったの……です。柔術の!」アタフタ・・・

絹旗「じゅーじゅつ、ですか?」ヘ???


慣れない言葉並べれば最愛は騙せる。そして見栄張って知ってるフリするから扱い易い。
香焼(男)の時に学んだ知識を使わせて貰うのは申し訳ないが……今は許してくれ。

402 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 03:04:19.38 ID:jU3I2cd40
さておき、花を届けた且つ直接目の前に現れたという事は新しい指令か。
最愛達にばれない様遠回しに尋ねてみようとした時……打ち止めちゃんが先に口を開いた。


打ち止め「スネーク、私もお花欲しい! ってミサカはミサカは要求してみたり!」ジー・・・

御坂蛇「……は?」ポカーン・・・

打ち止め「だから、お花!」フンッ


なんでさ。


打ち止め「だってあの人(一方通行)買ってくれなかったんだもん! ってミサカはミサカは僻んでみたり」ブー・・・

御坂蛇「いや、それは如何でも良いとして……何故、花を要求するんだ? とミサカは上位個体に質問します」ジー・・・

打ち止め「決まってるでしょ。御姉様(オリジナル)に渡すの、ってミサカはミサカは当たり前の回答をしてみる」コクッ

絹旗「超電磁砲に?」キョトン・・・


やはり打ち止めちゃんも妹達の一人だったのか。他の個体とは少々容姿が違って見えるが……事情があるのだろう。


御坂蛇「……駄目、とミサカはキッパリ断ります」フイッ

打ち止め「なーんーでー!」ブーブー!

御坂蛇「一方通行(保護者)が上位個体(貴女)に花を買わなかったのは理由あっての事、とミサカは当たり前の回答をします」ジー・・・

打ち止め「そんなの知らない! ケチ! ドケチ! 毒蛇! ストーカー! ってミサカはミサカは罵倒しちゃってみたり!」ウギギ・・・

御坂蛇「何とでも」サラッ・・・

絹旗「……何でダメなんですか?」ジー・・・

御坂蛇「窒素装甲に回答する必要は無――」

打ち止め「御姉様が迷惑するからダメだって……あの人が言ってた、ってミサカはミサカは……むぅ」ショボーン・・・

御坂蛇「―――……ったく」ヤレヤレ・・・


別に迷惑しないだろう。先程、固法さんの詰め所に遊びに行ったという話を聞く限り知らない仲では無い様だし。


絹旗「一言私か姉貴さん辺りに言えば買ってあげたのに」ポンッ・・・

打ち止め「…………、」ムスー・・・

御坂蛇「甘やかさないで貰いたい。唯でさえ最近調子に乗ってる個体(ミサカ)だ、とミサカは注意します」ジー・・・

絹旗「な……そういう言い方無いでしょう」ジトー・・・


最愛が自分の事以外で怒った。何とも珍しい……それだけ打ち止めちゃんが大事な存在という事か。

403 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 03:20:19.77 ID:jU3I2cd40
不動で睨み合う最愛と蛇さん。しょぼくれる打ち止めちゃん。


香焼「……あ、あの」タラー・・・

御坂蛇「何か」チラッ・・・

香焼「……僕、花束二つ用意してましたよね」ジー・・・

御坂蛇「だから何だ。香が渡すのは食蜂操祈の分だろう、とミサカは確認します」スッ・・・

香焼「御坂さんにも渡すつもりだった……です」チラッ・・・

御坂蛇「……貴様」ジトー・・・


何とでも言え。


香焼「もう一籠、お願いできませんか」コクッ・・・

御坂蛇「……駄目だ」チッ・・・

香焼「じゃあこの花籠、御坂さんに渡しますね。操祈さんは次回に別のモノを渡します」ジー・・・

御坂蛇「…………、」チッ・・・


無表情だが、雰囲気で怒っているのが分かる。
蛇さんは携帯を取り出し、その場から離れた……一寸後、僕に携帯を手渡す。多分海原さんか土御門だろう。


香焼「……はい」Pi!

土御門『ボケ。甘ちゃんが』ハァ・・・

香焼「知ってます」コクッ・・・

土御門『お前何しにそこ行ったか分かってんのか? まぁ分かってやってるんだろうけどよぉ……ホント、馬鹿じゃねぇの』ッタク・・・

香焼「すいません」コクッ・・・

土御門『反省してねぇだろ……やれやれ……俺とスネークは反対なんだが、海原とねーちんはOKだってよ』フンッ


海原さんはミサコンだから分かるけど……カオリ姉さん?


土御門『その代わり、さっさと任務こなせ。因みに、これ以上のサポートは無しだかんな』ケッ

香焼「はい、自力で何とかします」ペコッ

土御門『当たり前だ……最後に、追加任務。海原からの要求だ……馬鹿みたいな内容だが、そうしろと五月蠅ぇからな』ケッ

香焼「え?」キョトン・・・

土御門『打ち止めを楽屋に同行させろ。てかこれだけだとウェット掛んねぇから俺からも追加だ。窒素装甲も連れてけ』チッ

香焼「なっ!?」ギョッ・・・

土御門『以上だ。さっさとしろ。あと、その2人とはなるべく相談禁止だぞ。助力借りるのも無しだ。じゃーな』Pi!

香焼「ちょ……切ったし」タラー・・・


何だその意味不明な追加任務は。一人でさえ大変なのに、三人って……一体如何しろってんだ。

404 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 03:40:01.33 ID:jU3I2cd40
電話を切ると同時に、外に出ていた蛇さんが入口から入って来る。手には花籠。


御坂蛇「…………、」フンッ

打ち止め「え? 良いの?」キョトン・・・

御坂蛇「香に感謝しろ、とミサカは嫌々手渡します」ジトー・・・

打ち止め「え、あ、うん……カオルン。ありがと、ってミサカはミサカは感謝してみる」ペコッ

香焼「良いよ。気にしないで下さい」フフッ

打ち止め「あと……スネークも、ありがと」ペコッ

御坂蛇「謂われが無い。業務みたいなモノ……とミサカは去ります」クルッ・・・


踵を翻す蛇さん。この人はホントにドライだな。


御坂蛇「そうそう。今の時間帯……御姉様達の楽屋前は割と空いてるかもな、とミサカは独り言を呟きます」テクテク・・・

香焼「え」ポカーン・・・


という事は、すぐ行けというアドバイスか……やはり何だかんだ言って、ツンデレ(御坂)さんなんだね。
そうと分かれば実行あるのみ。


打ち止め「ふふふっ! 御姉様吃驚するかなぁ♪ ってミサカはミサカはワクワクしてみたり!」フフッ

絹旗「ええ、超喜んでくれますよ」ナデナデ・・・

打ち止め「えへへ」ニパー♪

香焼「ふふっ……ところで、打ち止めちゃんはいつ渡す……ですか?」チラッ・・・

打ち止め「え? うーん……終わってからかなぁ、ってミサカはミサカはアバウトに推測してみる」ポリポリ・・・

香焼「直接渡すつもり?」ジー・・・

打ち止め「勿論!」コクッ・・・


多分無理だろう。
コンサート終了後、演奏者代表数名(御坂さん、操祈さん含む)は一応入口付近に並んで見送りするが、その際超混雑になる。
彼女らのファンが大量に詰め寄せ、パニック状態になるだろう。その中で余裕を持って花を渡すのは不可能。
精々スタッフに『此方のファンボックスにメッセージやお花、送りモノを入れて下さい』と流されるのがオチ。

仮に待ったとしてもそれは既に深夜近く。打ち止めちゃんには厳しい時間だ。黄泉川さんか一方通行さんに無理矢理帰らせられるだろう。


香焼「後日じゃ駄目……ですよね」チラッ・・・

打ち止め「お花枯れちゃうよ、ってミサカはミサカは綺麗な花籠を見詰めてみたり」ウーン・・・


良し。準備は出来た。


香焼「……今から楽屋に行けば、大丈夫かも」ボソッ・・・

絹旗・打ち止め「「え?」」ポカーン・・・

香焼「御坂さんが演奏する直前の今が最後のチャンスかもって事……です」コクッ・・・

打ち止め「っ! 行きたい! ってミサカはミサカは訴えてみる!」キラキラ・・・


喰い付いた。後は最愛の説得だ。

405 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 04:04:54.48 ID:jU3I2cd40
打ち止めちゃんの輝く目に困ったフリをしながら、道化を続ける。


絹旗「でも……今は超迷惑じゃないでしょうか。という楽屋まで通して貰えるかどうか」ウーン・・・

香焼「あー、そうだね」ポリポリ・・・

打ち止め「えー……行けると思ったのにー……ってミサカはミサカはションボリしてみる」ハァ・・・

絹旗「…………、」チラッ・・・ウーン・・・


最愛の気持ちも揺らいできたぞ。


香焼「えっと……今は8時50分。御坂さんの演奏は多分最後だろうから……10時半くらいでしょうか」フム・・・

絹旗「あと一時間半なら……超余裕ですよ」コクッ・・・

打ち止め「っ!! なら!」パアアァ!!

絹旗「でも、そう易々侵入出来る場所じゃないですって」ハァ・・・

打ち止め「大丈夫、こっそり入るから! ってミサカはミサカはゲームで鍛えたスネークばりの潜入(スニーキング)力を自慢してみる」ニヤリ・・・

絹旗「ゲームって……まぁ運が良ければ、姉貴さんや那由他に一言言って通して貰えるかもしれませんね」ハハハ・・・

香焼「あ……絹旗さんは一応SP扱いみたいなので色んな場所行き来できるのでは?」チラッ・・・

絹旗「私だけ行けてもしょうがないでしょう。別に私は誰かに花束渡したいなんて思ってませんし」コクッ・・・

香焼「問題は僕と打ち止めちゃん……ですか」ハハハ・・・

絹旗「……というか香。貴女もなんですか?」キョトン・・・

香焼「あはは……僕も、一応直接渡したいなぁと思いまして」ポリポリ・・・

絹旗「さっき妹達の一人が言ってましたけど……まさか、マジで食蜂操祈に!? 何で!?」ギョッ・・・

香焼「えっと……友達……ですから」フフッ

絹旗「え、う、嘘……あの、常盤台の女王蜂が!? 友達が居た!? てか香が友達!? 超信じられません!!」タラー・・・


御坂さんと白井さんにも言われました。まぁでも、疑い無しで会えばそれ相応の女子校生だよ。


打ち止め「何でも良いよ! 兎に角私とカオルンはお花を渡したいの、ってミサカはミサカは確認宣告してみる」ムンッ!

絹旗「……仕方ないですね」ハァ・・・

香焼「あ、別に最悪僕達だけで行きますよ。絹旗さんに迷惑掛けられませんから」チラッ・・・

絹旗「放っておける訳無いでしょう……それに、一人放置される方が超嫌ですってば」ボソッ・・・


確かに。かといって、特別室に戻りたくも無いだろうからな。


打ち止め「じゃあ決定! 私達で潜入任務を行う! ってミサカはミサカは司令官(コマンダー)っぽく宣言してみる!」ニヤリ・・・

香焼・絹旗「「お、おー」」ハハハ・・・


如何やら上手く誘えた様だ。あとは具体的な手段を考えよう。

406 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 04:31:02.20 ID:jU3I2cd40
さて、最愛は問題無いとして僕らの動向だ。
最初で最大の難関は一般人侵入禁止通路の警備員。例え出演者の親族だろうと通して貰えない。
ただし、そこさえ突破してしまえば後は監視カメラに気を付けれて進むだけ。


打ち止め「外のトイレとかから入れないのかな? ってミサカはミサカは提案してみたり」フムフム・・・

絹旗「無理でしょうね。窓はスライドタイプじゃない筈です。壊せば入れなくは無いですけど……セキュリティに引っ掛かります」コクッ

打ち止め「じゃあ……警備員をビビビっと電気で」ビリビリ・・・

香焼・絹旗「「ダメ」」キッパリ・・・

打ち止め「おぅふ」タラー・・・


難しいな。何か良い手は無いだろうか。
海原さんや蛇さんのアドバイスを聞ければ助かるのだが……ん?


香焼「蛇さん……か」フムフム・・・チラッ・・・

打ち止め「スネークが如何かしたの? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」ジー・・・

香焼「ちょっと待ってて下さい」キョロキョロ・・・


確か先程まで其処ら辺に……有った!


絹旗「香? 何を……って、へ?」キョトン・・・

香焼「『これ』……使えます!」スッ!

打ち止め「そ、それは! 伝説の! ってミサカはミサカは驚いてみたり!」ギョギョッ!


作戦が思い付いたぞ。『これ』なら行ける!
あとは間違えなく御坂さんと操祈さんの楽屋に良ければ……オールクリアだ。
これは最愛に先行して部屋を確認して来て貰えば問題無い。では早速彼女に―――と、メールが入った。


香焼(つ、土御門……『それ以上助力仰ぐ。あと相談すんな。テメェで何とかしろ(^ω^ # ピキピキ・・・』……うわぁ)タラー・・・

絹旗「如何しました?」チラッ・・・

香焼「い、いえ、何でも」タラー・・・


こうなったら出たとこ勝負か。


香焼「うん……大丈夫。行きましょう。関所さえ越えてしまえば、後は自力で探し当てるだけ……です」コクッ・・・

絹旗「はぁ。えっと、それで如何やって? 2人は納得したみたいですけど、私は超さっぱり分かりません状態です」ポカーン・・・

打ち止め「じゃあ私が説明しよう! ってミサカはミサカは某技師長ばりに高説してみる! あのね……―――」ゴニョゴニョ・・・


こうして僕ら三人の『オペレーション光学迷彩(命名:打ち止めちゃん)』がスタートした……―――

407 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 05:01:27.78 ID:jU3I2cd40
 ―――とある翌日、PM09:15、学園都市第7学区、文化会館、一般人立ち入り禁止通路・・・・・・





警備員「……ん?」チラッ・・・


絹旗「よいしょ……香。もうちょっと早く歩いて下さいよ」テクテク・・・

香焼「き、絹旗さんが力持ち過ぎる……です」アタフタ・・・


警備員「君達。その荷物如何したんだ? 此処から先は一般人立ち入り禁止だよ」ジー・・・

香焼「あ、お疲れ様……です。これ、運ぶ様に頼まれました」コクッ・・・

警備員「誰から?」キョトン・・・

香焼「麦野沈利さん……です。コッチの子のIDチェックして貰えれば分かります」チラッ・・・

絹旗「…………、」ペコッ

警備員「ん……両手塞がってるから学生証出せないか。一度、そこに荷物置いて貰えるかな」ジー・・・

香焼「手を離してしまうと、また持つの大変……です」ウーン・・・

警備員「むぅ。だが規則でなぁ……では私が君の学生証出しても良いかい?」チラッ・・・

絹旗「……首に、ネームプレート掛ってます」ボソッ・・・

警備員「ん? あ、それね。ちょっとスキャンさせて貰うよ……絹旗、最愛さん……うん、確かにSPだね。って……SP? 君が?」キョトン・・・

絹旗「…………、」コクッ・・・

警備員「こんな小さな子が超能力者のSPって」タラー・・・

香焼「人を見た目で判断してはいけませんよ。こう見えて彼女は高強度(ハイレベル)の能力者……ですから」ジー・・・

警備員「あ、いやいや、失敬。それで……君は?」ジー・・・

香焼「僕は一般人……です。でも彼女友達で、重たそうにこれを持っていたので手伝いを」コクッ・・・

警備員「んー。本当はダメなんだけどなぁ……何処に運ぶんだい?」ジー・・・

香焼「超能力者の御2人にプレゼントをと、麦野さんから。重いのは他の3人の超能力者も一緒に物を入れたらしくて」チラッ・・・

警備員「成程ね……うん。分かった。じゃあそれ此処に置いといて貰えるかな。後は此方で運んでおくから」コクッ

絹旗「……私達が運びます」ジトー・・・

警備員「気持ちは嬉しいけど規則でね。同じ超能力者さんの差し入れと言っても中身調べない事には」コクッ

香焼「……分かりました。それじゃあ置いときますね」スッ・・・

警備員「うん。任されました」カキカキ・・・

香焼「お願いします。それでは行きましょう、絹旗さん」チラッ・・・

絹旗「はい」テクテク・・・

警備員「それじゃあチェックっと」スッ・・・

香焼「あ! 言い忘れました!」パッ!

警備員「え?」ピタッ・・・

香焼「コッチの小さい方に入ってる中身を御坂さんと食蜂さんで分けて貰って―――」

警備員「指定が有るんだね。どれどれ―――」

絹旗「…………、」チラッ・・・コクッ・・・





ダンボール(?)『(OK!)』ススッ・・・カサカサカサカサ・・・

408 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 05:17:00.02 ID:jU3I2cd40

 ――一寸後・・・・・


警備員「―――……うん。分かったよ。もう大丈夫だから、あとは任せてくれ。(面倒臭いなぁ)」ポリポリ・・・

香焼「(もう良いな)……はい。よろしくお願いします」コクッ・・・

警備員「それじゃあ……って、あれ……大きい方の箱は?」キョロキョロ・・・

香焼「え? そこに……無い!?」ギョッ・・・

警備員「え、いや、さっきまで此処に……え?」キョトン・・・

香焼「な、何で!?」アタフタ・・・

警備員「何でって言われても……私が聞きたいよ」タラー・・・

絹旗「……今、後ろの警備員さんが持って行きましたけど」ジー・・・

警備員「えっ!? まだチェック中だったのに……というか一声掛けろよ。私が主任に怒られるんだから……一体誰だ?」タラー・・・

香焼「あの……本当に大丈夫でしょうか」ウーン・・・

警備員「あ、うん。警備員が持ってったんなら大丈夫だ……一応後で監視カメラで確認しとくから安心してくれ」ポリポリ・・・

香焼「……お願いしますね」ハァ・・・

警備員「はいはい。任せて下さい。(というか、お前がたかが菓子飲み物で時間取った所為だろうが)」ハァ・・・

絹旗「香……行きましょう」テクテク・・・

香焼「はい」テクテク・・・

警備員「ふぅ……やっと行った。あーもう面倒だから未記入で良いや。超能力者からの特別差し入れって事で……怒られないだろ」ケシケシ・・・







監視カメラ「――――――」ジー・・・

ダンボール?『(如何しても死角が無い所は……えいっ! ってミサカはミサカは電磁波送ってみたり!)』ビリビリ・・・

監視カメラ「――…――……―――……………―……―………………、」ピタッ・・・

ダンボール?『(クリア! では先へ進む! ってミサカはミサカは一人無線ごっこしてみたり!)』フフフ・・・カサカサカサカサ・・・

409 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 05:40:06.37 ID:jU3I2cd40
―――如何やら上手くいった様だ。とりあえず打ち止めちゃんは辿り付けるだろう。


絹旗「しかし……ダンボールって」タラー・・・

香焼「いや、大丈夫かなって」アハハ・・・


余談だが……後日、海原さんと蛇さんに超褒められました。


香焼「後は僕達……ですね」コクッ・・・

絹旗「私は手筈通り迷子の打ち止めちゃんを探しに来たって事にすれば、すんなり通れますけど……香は?」キョトン・・・

香焼「僕は……上手くやりますよ」ニヤリ・・・

絹旗「ん? 何か能力を……って確か無能力者でしたよね」フム・・・

香焼「ええ。でも才能が無いなりに努力しましたから」ハハハ・・・


言葉を濁すが、魔術は『才能が無い人間が有る者に追い付く為』のモノである。


絹旗「……本当に大丈夫なんですか?」ウーン・・・

香焼「はい。僕、兄さん(香焼)よりは『かくれんぼ』とか上手なの……ですよ」フフフ・・・

絹旗「かくれんぼって」タラー・・・

香焼「兎に角、先行して下さい。台詞は覚えましたね?」ジー・・・

絹旗「えっと……『迷子が一人来ませんでしたか?』……『第1位の連れで、超電磁砲の妹なので私が直接探します』……OK?」チラッ・・・

香焼「OK。そこまで言われたら通れる筈……です。そういう言い方をすれば打ち止めちゃんは一級の要人扱いでしょうから」コクッ・・・

絹旗「でも、他の警備員も一緒に探すって言われたら?」ムゥ・・・

香焼「『身内の恥をあまり公にしたくない。仮にも超能力者、しかも大トリ出演者の妹だぞ』って言えば問題無し」チラッ・・・

絹旗「それでも、内密に私だけでも御一緒しますとか言われたら?」ウーン・・・

香焼「『では私は超電磁砲の所に直接行く。貴方は別の場所を頼む』……完璧でしょう」フフッ

絹旗「おぉ……香は超頭切れますね!」キラキラ・・・


警備の優位性としては最愛の方が上だ。そこまで言えば断れない筈。
問題は……彼女自身の人見知りだ。今の台詞を上手く言えるだろうか。


絹旗「ふんっ。嘗めないで下さい。仕事モードの私なら何だって出来ますよ」ニヤリ・・・

香焼「……仕事モード?」キョトン・・・

絹旗「あ、い、いえ、忘れて下さい……兎に角、打ち止めちゃん探しなら超マジになるって事です。御安心を」コクッ・・・

香焼「はぁ」ポリポリ・・・

絹旗「それより、香こそ失敗しないで下さいね」ムゥ・・・

香焼「大丈夫……です。花籠は打ち止めちゃんが持ってってくれましたし、身軽なら如何とでも出来ます」フフッ

絹旗「……もし、捕まったら私に電話してください。すぐ駆け付けますから」クルッ・・・テクテク・・・


最愛が先行した。さぁて……これからが本番。鍛錬の成果を活かして、任務(実戦修行)を成功させるぞ。

410 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/22(火) 06:25:43.58 ID:jU3I2cd40
短いですが今回は此処まで。次回で終わらせたいね。


<ちょいと補足(同年代にて)>
・魔術:サーシャ>レイヴァニア>ステイル>アニェーゼ≒レッサー>香焼≒アンジェレネ≒ランシス、(番外で禁書目録)
・純粋な体術体力:軍覇>那由他≒黒夜>レッサー≒香焼≧美琴≒黒子>サーシャ≧ステイル>アニェーゼ>その他……かな?


あくまで予想&妄想設定です。
魔術に関しては上3人の優劣とアニェーゼvsレッサーの優劣が分からないから、勘。後ろ三人は……うんw

『純粋な体術体力』は魔術能力抜きって事です。
サイボーグ組と公式チートには敵いませんよね。レッサーは……多分、強いよね? ぶっちゃけアンジェレネ除くカルテッ娘とステイルは勘。
美琴はフレンダとやり合ってたしコレくらいかな? 黒子は風紀委員のエース補正。その他は、佐天さんとか上なんじゃないかなw

とりあえず総合的にいえば……所詮、香焼は雑魚ですよ。主人公補正とかカミやん病患者だから如何こう出来てるだけです。


さて、アンケートというかアドバイが欲しいです。香焼がどんな術とか方法で侵入したら恰好良いかな。
気配遮断とか無音移動、チャフ(カメラ妨害)、蜘蛛歩き(壁・天井歩き)……何か他に良い案あります?


適当に御意見コメント下さい。ではまた次回! ノシ”

411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府) [sage]:2011/11/22(火) 15:24:00.24 ID:2QkmeTAY0
レイヴィニアじゃね
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 16:22:27.78 ID:ieX4AtJDO
相変わらず>>1のもあいと打ち止めは可愛いな! てか、ダンボールww

縮地とか瞬歩みたいな高速移動、 クロックアップとか固有時制御的な……大魔術かな?
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 17:23:12.02 ID:pOinK9kFo
乙!

視覚操作とかは能力側でも出来そうだし…
三沢塾の時みたいに裏表の界の移動なんか面白そうだな
416 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/24(木) 21:37:48.83 ID:iy5eW3rn0
こんばんわ。ボチボチ書くぞー。

・レイヴィニア・・・ぜ、全部間違ってた。恥ずかしい。
・高速移動とか時間弄れる魔術は、チート過ぎやしないかい? ねーちんとか五和、建宮なら縮地くらい出来そうだけどね。
・三沢塾に関して、アレは大結界の類で籠城には向いても潜入には向かないよねぇ。

それじゃあ、ゆっくり投下!
417 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/24(木) 22:36:32.95 ID:iy5eW3rn0
 ―――とある翌日、PM09:30、学園都市第7学区、文化会館、入口ホール・・・・・・



最愛が先行して約五分後、メールが入る。
どうやら上手くいった様だ。ただ未だ打ち止めちゃんを発見して無いというのは微妙に不安。しかしそっちは任せるしかあるまい。
後は楽屋位置さえ把握出来れば、完璧なのだが……そこまで待ってられない。僕も動こう。


香焼「さてと」スッ・・・


術式展開……気配遮断、無音移動の準備OK。だが、このままでは一般人侵入禁止通路へは入れない。
警備員の視覚に入ってしまう以上、正面突破は不可能だ。となると別の侵入口を選ばなければならない。


香焼「本当は暗示魔術使えると楽なんだけどなぁ」ハァ・・・


『外向け』の魔術を使ってしまうと『魔力漏れ防止の呪符』が破れてしまう。
縦しんばそれを無視して進むのも手だが、それはこの会場に同業者(魔術師)が居ない場合に限る。
案の定、ステイルとバードウェイ(姉)さんが居る故、魔力が感知されるやもしれない。

身内だから大丈夫とはいえ『香』は一般人扱い。正体がばれる訳にはいかないし、上2人以外に魔術師が居ないとも限らない。


香焼「とりあえず、警備用ロボを誤魔化すチャフは持ってきてるけど……熱遮断と体臭(におい)遮断も使うか」スッ・・・


学園都市の警備用ロボは音声・映像以探知外にも、熱源・嗅匂感知に特化したモノは既に開発済みされている。
保険は掛けておいて損は無い。後はルートだけだが……会場マップに目を移す。


香焼「……控室は左右に10室ずつ。その内、右側は確か合唱独唱用。合奏独奏用は左の10室の内の何処か」ジー・・・


とりあえず侵入禁止通路に移動するか。方法は……―――



①一階女子トイレから天井裏を進む

②二階観客席から床下を進む

③何とかして正面突破だ!



                    >>419

418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 22:42:04.84 ID:W7FE64gIO
ksk
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/11/24(木) 23:01:14.70 ID:JSyQ1PpZ0
420 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/24(木) 23:44:36.58 ID:iy5eW3rn0
―――……良し。一階トイレからの侵入だ。


香焼「急ごう」タッ・・・


演奏中の今現在、人は居ない筈。さも当たり前に女子トイレに入る。


香焼「良かった。誰も居ない」ジー・・・


開きそうな天井は……掃除用具入れの上。
流石にカメラは無いので安心できるが、スタッフや出演者が来ないとも限らないのでさっさと終わらせよう。
個室の閾(しきい)を踏み台に、天井扉に手を掛ける。


香焼「……鍵、か」ゴソゴソ・・・


蛇さんから、携帯に備え付けて貰った専用アプリを起動させる。これは鍵がイモビライザー(電子ロック)か如何か確かめるモノだ。
結果は……NO判定。電子ロックの類ではないので、開けても警報は鳴らないだろう。

簡単な施錠なので五和に習ったキーピックで解錠。後、天井に侵入。


香焼「OK……後は侵入路を間違えなければ大丈夫だ」コソコソ・・・


正常に音声遮断の術式が機能していれば足音は鳴らない筈。埃と蜘蛛の巣を払いつつ、チャフを構えて進む。
そろそろ侵入禁止通路の上辺りだろうという所で、別のアプリを起動。

因みに、蛇さんに付けて貰ったアプリは全部で3つ。
一つは先程のイモビライザー判定アプリ。もう一つは今使う熱源(赤外線)察知カメラ。もう一つは、なるべく使わない様にしたい危険なモノ。


香焼「えっと……結構人が居るな……此処もトイレから降りた方が良いかも」ススス・・・


目的地をスタッフ・出演者用トイレに変更しよう……と考えたが、トイレの鍵は外鍵である。内側からは開けられない。
最愛に頼んでも良いが、キーピック方法を知らない以上、下手するとブチ壊されるだろう。

となると、内鍵またはダクト口になってる場所で降りる他無い。幸い通路の何ヶ所かは内鍵だ。


香焼「仕方ない。カメラと人が逆向いてる内に……ふぅ」カチャッ・・・


術式展開。掌と靴に魔力を集中。


香焼「……今だっ」バッ・・・


着地。後、即行でカメラに鋼糸(ワイヤー)を飛ばす。首の振りを遅らせその間に死角を潜る。
壁や天井に張り付いたままそれを繰り返し……漸く人気の無い場所へ。


香焼「良しっと……人が来る前に、トイレだな」スッ・・・


一度個室に入り、最愛と合流しよう。

421 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 00:42:12.59 ID:05y7noIE0
急いでトイレへ入り、奥の個室で最愛を待つ。一寸後、ノック2回。


香焼「…………、」ガチャッ・・・

絹旗「あ、本当に居ました……どっから入ったんですか?」キョトン・・・

香焼「静かに……まぁ企業秘密という事で」フフッ

絹旗「ふーん……本当は透明化の能力持ってるとかそんなオチじゃないでしょうね?」ジー・・・

香焼「あはは。透明人間になってみたいなぁとは思いますよ」クスクス・・・


さて、冗談は此処までにしてまずは打ち止めちゃんか。


香焼「まだ見つかって無いの……ですか?」ジー・・・

絹旗「はい。あ、もしかして既に超電磁砲の部屋に行ったのかもしれませんが」ウーン・・・

香焼「……そういえば、御坂さんの控室は見つけましたか?」

絹旗「はい」コクッ・・・


じゃあ入ってみれば良かったのに。


絹旗「えっと……超無理です」タラー・・・

香焼「へ?」ポカーン・・・

絹旗「何と言いますか……私、超電磁砲に超嫌われてるので一人では行けません」タラー・・・

香焼「え? 御坂さんと面識が?」キョトン・・・

絹旗「いえ、その、うーん……色々と、超複雑な間柄なんです」ポリポリ・・・


もしかして『仕事』上で何かあったのか……だったら余り突っ込まないでおこう。
兎に角、如何打ち止めちゃんを見つけるかだ。


絹旗「私が調べたのは通路とスタッフルーム、それからトイレです」コクン・・・

香焼「見落として無ければそれ以外の場所……ですけど、上手く隠れている可能性も無きにしも非ずでしょうか。携帯は?」チラッ

絹旗「打ち止めちゃん、電源切ってるか特別室に置いてきたみたいで」ハァ・・・

香焼「仕方ない……ですね」フム・・・


もしかしてダンボールのままじっとしてたから、スタッフに運ばれてしまったか。
そういえば、御坂さんの控室の前には白井さんが居るとか何とか、固法さんが言ってた気がする。


絹旗「誰も居ませんでしたよ。どっか行ったみたいです」コクッ・・・

香焼「……とりあえず移動しましょう。僕も出番が終わった出演者を装うので」スッ・・・

絹旗「了解です」テクテク・・・


堂々とトイレから出る。もし警備員に職務質問されたら、打ち止めちゃん捜索手伝いの為仕方なく、と最愛に弁護してもらおう。

422 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 01:35:29.11 ID:05y7noIE0
先へ進む。第一の目的は打ち止めちゃん。それからついでに御坂さんと操祈さんの控室の確認。
擦れ違うスタッフや出演者には適当に会釈をして、自然を装う。


絹旗「……何処でしょう」キョロキョロ・・・

香焼「通路に居るとは思えません。やはりスタッフルームか、もしくは空き部屋に隠れたか」ボソッ・・・

絹旗「スタッフルームはさっき」フム・・・

香焼「入れ違い、またはダンボールの中でじっとしていたという線もあり得ます」テクテク・・・

絹旗「なるほど」コクッ・・・


ただし、僕はスタッフルームには入れない。最愛にもう一度確認してもらう外ない。
という訳で一寸待つ。


香焼(やっぱり、御坂さんの部屋に先に入っちゃったかな)ジー・・・

絹旗「……香」ガチャッ・・・

香焼「ん……居なかったみたい……ですね」ジー・・・


仕方ない。御坂さんの部屋に向かうか。最愛に案内してもらい、控室の通りに向かう。


香焼「……あれ」ピタッ・・・

絹旗「香?」ジー・・・

香焼「……部屋の前」ボソッ・・・

絹旗「え? あ……、」タラー・・・


白井さん。


絹旗「如何するんですか? このままじゃ入れませんよ」タラー・・・

香焼「あー……いや、考え過ぎ……です。打ち止めちゃん関係なら大丈夫でしょう」コクッ・・・

絹旗「……交渉は任せます。私は彼女も割と苦手ですから」ウヘェ・・・

香焼「はいはい」スッ・・・


此処で自然を装うのは逆に不自然だ。焦っている体で白井さんに近付こう。

423 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 01:53:55.82 ID:05y7noIE0
此方に気付く前に、先に声を掛ける。


香焼「白井さん!」パタパタ・・・

白井「っ……って、あら!? 何故此処に香が!?」キョトン・・・

香焼「今そんな事言ってる場合じゃない……です」ハァ・・・

白井「えっと……うーん……本来追い出すべきなのでしょうけど、訳有りですの?」ジー・・・

香焼「はい。探し人というか、迷子が」ダラダラ・・・


喰い付きはOK。次に最愛が出てきてっと。


絹旗「香」テクテク・・・

白井「え? 絹旗さんも!?」キョトン・・・

香焼「絹旗さん、居ましたか?」チラッ

絹旗「…………、」フルフル・・・

香焼「そう……ですか。何処行ったのかなぁ」ハァ・・・

白井「誰をお探しですの? というか、此処に居るという事はスタッフか出演者?」ポリポリ・・・

香焼「いえ、その……一応一般人……です」ウーン・・・

白井「なら外部のスタッフを頼って頂いた方が」チラッ

香焼「いや、何と言うか……あまり広められない話で」ウーン・・・

白井「……御隠れ訪問の要人ですの?」チラッ

香焼「近いかも……実は……―――」


 男娘説明中.....


香焼「―――……という訳……です」ハァ・・・

白井「ち、小姉さま(打ち止め)が!?」ギョッ・・・

絹旗「はい。私達が目を離した隙に」ハァ・・・

白井「な、何と……まったく、お転婆なのは姉妹揃ってですのね」ハァ・・・


それには同意します。


香焼「だから、もしかして既に御坂さんの部屋に入ったのかも、と」ウーン・・・

白井「いえ、私の居た間は何人たりとも通してはいませんが」タラー・・・

絹旗「私がさっき通った時、白井は居ませんでしたよ」ジー・・・

白井「え? あ、スタッフルームに呼ばれた時……じゃあまさかその間に!?」ギョッ・・・

香焼「すいません。御坂さんには申し訳無い……ですが、確認願いませんか?」タラー・・・

白井「そういう事情なら仕方ないでしょう。というか、そんな大事が起きたなら早めに私に一報して貰えれば良かったのに」ジー・・・

香焼「あ、その手が……ごめんなさい。焦っていて」ハァ・・・

白井「……いえ、兎に角私がお姉さまに聞いてみます。一応出番まで一時間を切っているので早めに済ませます」スッ・・・


4回ノック。直後、御坂さんの声が聞こえた。

424 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 02:11:10.24 ID:05y7noIE0
僕達も入ろうとしたのだが、一応規則で自分以外は入れないと断られる。
なので少々聞き耳を立ててみた。


白井『お姉さま、失礼します』テクテク・・・

御坂『如何したの? さっき嫌ってくらい叱咤激励は貰ったわよ』チラッ

白井『いえ、その……少々お尋ねしたいのですが……お姉さま、私に内緒で誰かを匿っていませんか?』ジー・・・

御坂『は? 何それ?』キョトン・・・

白井『先程私が一寸退いていた隙に、誰かを招いたりとか』ゴニョゴニョ・・・

御坂『意味が分からない。何でそんな事する必要有んのよ』ジー・・・

白井『……いえ、失礼しました。しかしお姉さまならし兼ねませんので』ジトー・・・

御坂『……如何いう意味よ』ジトー・・・

白井『別に……ただ某類人猿とか入ってきたら匿うでしょーって』ゴニョゴニョ・・・

御坂『んなぁ!!? な、何考えてんのよアンタ!! べ、別にアイツが来たって特別扱いする訳無いし、っていうか何でアイツが!』ウガー///

白井『い、いえ、もしもの話ですよ! もしもの!』アタフタ・・・


まぁ有り得ない話でもないな。上条さんだし……じゃなくて、話がズレ過ぎですよ。


絹旗「香が入って説明した方が超早くないですか?」タラー・・・

香焼「いや、もう少し待ちましょう」チラッ


御坂さんが打ち止めちゃんの説明を聞いたら、本番前という事を忘れて一緒に探し出すだろう。
流石にそれは拙い。一応直前練習がてらバイオリンを弾いてたみたいだし、気を逸らさせるのは最善ではない。


白井『と、とりあえず、失礼しました。少々気になったもので』アハハ・・・

御坂『んもぅ……さっさと出てって』ハァ・・・

白井『ははは……失礼しました』コクッ・・・

御坂『……因みに、誰が来てると思ったのよ。まさかホントにアイツだとか言ったらブッ飛ばすわよ?』ジトー・・・

白井『うぇ!? い、いえ、決してそんな事は! というか帰りの際にもお姉さまには指一本触れさせませんから!』アタフタ・・・

御坂『え! てことは、やっぱ来てるの?』ドキッ・・・

白井『ぐっ……の、ノーコメントで』タラー・・・

御坂『そ、そっか……来てくれたんだ』ポー・・・///


うわぁ恋する乙女モードだ。


御坂『……じゃ、じゃなくて! 誰探してたの?』フルフル・・・

白井『い、いえ。お姉さまが気にする必要は……ただの楽屋荒しですの』ハハハ・・・

御坂『楽屋荒しなら私が取っ捕まえてアンタに差し出してるわよ。何隠してんのよ?』ジトー・・・

白井『あ、い、いえ……あははは。御気になさらず。それでは失礼しました』ペコッ


白井さんが戻って来る……このタイミングだな。

425 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 02:27:41.95 ID:05y7noIE0
此処で『隠し事をしている白井さんが御坂さんに問い立たされてる』と勘違いした風に、ドアを開ける。


絹旗「なっ!?」ギョッ・・・

香焼「し、白井さんは悪くない……です」ガチャッ・・・

御坂・白井「「えっ!?」」ギョッ・・・

香焼「……あ」ピタッ・・・


OK。これで説明しざるを得ない。


御坂「か、香ちゃん!?」キョトン・・・

白井「……お馬鹿」ハァ・・・

香焼「あ、れ?」タラー・・・

御坂「あー……コッチが色々尋ねたいくらいだけど……とりあえず、黒子。アンタ何隠してたのよ」ジトー・・・

白井「……はぁ」ダラダラ・・・


 少女説明中.....


御坂「ら、打ち止めが!?」ギョッ・・・

香焼「はい……『御姉様の所に行ってくる!』と、私達が目を離した隙に」ハァ・・・

絹旗「超探したんです。あと残ってるのは此処の侵入禁止区画だけで」タラー・・・

御坂「あ、あの子ったら……てか、絹旗(アンタ)が付いていながら如何いう事なのよ?」ハァ・・・

絹旗「……すいません」タラー・・・

御坂「一方通行(アイツ)も何してんの? 仮にも打ち止めの保護者でしょ。アンタもあの子の姉を語るならもっと自覚持って――」

香焼「み、御坂さん。そのくらいに」タラー・・・

御坂「――一緒に……ん、そうね。ごめんなさい」ハァ・・・


2人の間に何があったかは知らないが、口論してる場合じゃない。


白井「んもー、だから気付かせたく無かったのに」ハァ・・・

御坂「しゃーないわよ。私も探すか―――」

香焼「す、すいません……引き続き僕達で探しますので、御坂さんはスタンバっといて下さい」ペコッ・・・

御坂「―――ら、て……え?」キョトン・・・

香焼「だって、本番前なのでしょう。御坂さんは準備しないと」コクッ・・・

御坂「い、いや、でもさぁ」ポリポリ・・・

白井「……お姉さま。此処は彼女の言うとおりにして下さいませ。元々、知れればそう言われるのは承知の上でした」ジー・・・


しかし、優先順位を違えてはいけない。


香焼「ちゃんと見付けて観客ホールに戻るので」ペコッ・・・

絹旗「……次は手を繋いでおきますから」ペコッ・・・

御坂「…………、」ハァ・・・


とても困った表情。さっさと打ち止めちゃんを見つけなければ演奏にも影響しかねない。

426 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 02:51:30.70 ID:05y7noIE0
白井さんは『御坂さんの監視』をする為、此処に残る事に。確かに、見張ってなきゃ打ち止めちゃん探しに着いて来るからな。
という訳で再度僕達だけでの捜索を始める。


御坂「待って」

香焼・絹旗「「え?」」キョトン・・・

御坂「……見つけたら、此処に連れてきなさい」ジー・・・

白井「お、お姉さま!?」ギョッ・・・

御坂「説教よ……良いわね」フンッ・・・


良し。シナリオ通りだ。『気の良い御姉様』で助かった。


白井「ハァ……甘いんだから」ヤレヤレ・・・

香焼「……はい。急ぎます」ガチャッ・・・


部屋を飛び出し、探索再開。


香焼「控室と空き部屋を探しましょう」テクテク・・・

絹旗「了解です」コクッ・・・


空き部屋は僕が探し、出演者控室はSPパスを持っている最愛が訪ねる。


香焼「―――ダメ、居ない」ハァ・・・

絹旗「―――こっちもです。あ、一つだけ入れない部屋が」チラッ

香焼「え?」キョトン・・・

絹旗「多分、食蜂操祈の控室でしょう。常盤台の制服を着た高飛車な警備員が立ってて入室を拒否られました」コクッ・・・

香焼「……操祈さんの」フム・・・


現在、10時。操祈さんの出番まで後15分程。此処で優先順位を変えるべきか。
いや、だがしかし花が無い。僕の分も打ち止めちゃんが持っている。


香焼「まさか操祈さんが匿う筈無いし……そうなると、まだ探して無い所」ウーン・・・

絹旗「粗方探しましたよ。ただ、もし倉庫に隠れてたら……間に合いませんね」ハァ・・・

香焼「そんな所に隠れる理由が無いでしょう……打ち止めちゃんの行動パターンを考えてみて下さい」ジー・・・

絹旗「え? うーん……まず、超電磁砲の所へ直で向かいそうですが」ポリポリ・・・

香焼「それでもし、見張りが居たら、次は何処に? 身を隠す場所は?」ジー・・・

絹旗「身を隠す……超単純に、ダンボールが多そうな所ですね」コクッ・・・

香焼「倉庫以外にダンボールが多い場所は?」ジー・・・

絹旗「スタッフルームか、さっき調べた空き部屋。もしくは……幕袖でしょうか」ハァ・・・

香焼「幕袖……そういえば、打ち止めちゃん『早く演奏観たい!』とか言ってなかった……ですか?」ア・・・

絹旗「っ! そうだ! 行ってみましょう!」コクッ・・・


流石に僕が入れない場所だ。最愛だけの侵入だが……頼む、居てくれよ。

427 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 03:20:26.65 ID:05y7noIE0
 <絹旗side>



絹旗「……失礼します」テクテク・・・

舞台監督「ん? 何だ?」チラッ

ミキサー「え? 分かんないです……スタッフじゃないですよね」ジー・・・

搬入スタッフ「警備何やってんのかなぁ……あ、君。そこ入っちゃダメだよ」チラッ

絹旗「…………、」スッ・・・

舞監「え、SP? こんな子が……いや、じゃなくて、例えそうだとしても演奏中に幕袖入っちゃダメだって」ジトー・・・

搬入スタッフ「か、監督。もしかしてテロか何かの予告受けて来たとかじゃないんですか?!」タラー・・・

舞監「冗談だろ……あー、君。悪いんだけど理由を話してくれないか?」ポリポリ・・・

絹旗「迷子探しです」ジー・・・

一同『は?』キョトン・・・

絹旗「安心して下さい。邪魔はしません……ところで、工具等をしまったダンボールは何処に?」ジー・・・

搬入スタッフ「え? そ、そこにあるけど」クイッ・・・

ミキサー「ちょ、勝手に触らせないでよ。高価な機材も入ってるんだから!」アタフタ・・・

絹旗「そういうのには触りませんよ……失礼」キョロキョロ・・・


 ガサゴソ・・・・・


絹旗「……ん?」ジー・・・


 ガサゴソ・・・・・


舞監「ハァ……この次の次から超能力者2人の演奏だから、一旦ライト消すぞ。照明スタッフに確認入れとけ」チラッ

AD「了解……終わりましたね。拍手の最中、ミキサーチェックお願い。さっき音割れしてたって苦情来たぞ」ジー・・・

ミキサー「ワイヤレスのでしょ? おかしいなぁ。さっきから2回交換してるのに、変なんですよ」ハァ・・・

搬入スタッフ「終わりました! サクラ連中無しで拍手入りまーす」チラッ


 88888888888888888888888・・・・・


絹旗「……ん」チラッ

ダンボール(?)『―――』88888・・・

絹旗「……見つけた」テクテク・・・スッ・・・

打ち止め「おおぉ……楽器の名前分からないけど凄かったぁ、ってミサカはミサカは独り言を……あ」ピタッ・・・

絹旗「…………、」ハァ・・・

打ち止め「お、よ……忘れてた。ってミサカはミサカは演奏に魅入ってしまった事を反省してみたり」テヘッ♪

AD「ミキサーチェックは?」チラッ

ミキサー「ん……あれ? ワイヤレス正常に戻りました」キョトン・・・

絹旗「……電磁波、出しちゃってましたか?」ジトー・・・

打ち止め「……てへっ☆」ペロッ♪

絹旗「……怒られる前に戻りますよ」テクテク・・・

打ち止め「はーい。失礼しましたーってミサカはミサカはソローリソロリ引き返してみたり~」トコトコ・・・

428 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 04:17:01.26 ID:05y7noIE0
 <香焼side>


最愛から『確保』と一言メールが入る。
良かった……思いの外早めに見つかったので、操祈さんと接触する算段を書き換えられる。

2人と合流する前に、操祈さんの控室へ向かった。


香焼「……あの、すいません」テクテク・・・

取り巻き(風紀委員)「ん?」ジー・・・

香焼「少しお尋ねしたい事が有ります」コクッ・・・

取り巻き「別に構いませんが……貴女は? 見た所スタッフでは無いようですけど……常盤台(ウチ)の学生という事は出演者?」ジー・・・

香焼「えっと……ちょっと訳有りで」ポリポリ・・・


割と大きめの声で話す。予想だと……これだけで釣れる。


取り巻き「……今、必要な話ですか? 此処は本番を控えた食蜂様の部屋なのです」ジトー・・・

香焼「あ、えっとすぐ終わります。実は一人、迷子がこの侵入禁止通路に入り込んでしまって」ポリポリ・・・

取り巻き「それが、此処と何の関係が?」ジー・・・

香焼「間違って部屋に入り込んで無いかと……各控室に確認させてもらってます」ペコッ・・・

取り巻き「有り得ませんね。この部屋にはアリの子一匹通してません。食蜂様のみです」コクッ・・・

香焼「そう……ですか。いや、その、念の為確認してもらえませんか?」ジー・・・

取り巻き「後にしてもらえませんか? あと10分足らずで出番なのです」ハァ・・・

香焼「その迷子、結構要人で……ではスタンバイと入れ替えの時にでも」ジー・・・

取り巻き「本人不在の時は尚更失礼できませんよ……戻って来てもラストの御坂さんだけですし」フンッ・・・

香焼「じゃあ少しだけ」コクッ・・・

取り巻き「……一寸ですよ」ハァ・・・


4回ノック。返事は無い……多分、集中しているのだろう。


取り巻き「食蜂様、申し訳ありません。少々宜しいですか?」ペコッ・・・

食蜂『……なぁに? もうスタンバイなのん?』ピタッ・・・

取り巻き「いえ、その……迷子探しと言う者が」タラー・・・

食蜂『はぁ?』ポカーン・・・


今だ!


香焼「操祈さん、お忙しい中すいません」ボソッ・・・

取り巻き「なっ!? 食蜂様に何て口の聞き方を!? 名前を呼び捨てですって!!?」ギョッ・・・


良し。後は……―――

429 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 04:37:01.40 ID:05y7noIE0
―――……あっちが自動的に出てくる筈。
そして一応、最後の『アプリ』を起動させておく。


取り巻き「ちょっと貴女! 何学年の何組ですか! 食蜂様をそんな呼ぅうわっ!!?」ゴツンッ!!

食蜂「かーおーるーちゃ~ん♪」ガチャッ!

香焼「あはは……こんばんは」ペコッ・・・

食蜂「あれれぇ!? 何でぇ!? 来ないって言ってたじゃん?? もしかしてサプライズプレゼント的なアレかしらん☆」キラキラ・・・

香焼「えっと、その……色々」アハハ・・・


予想通り過ぎる。取り巻きの風紀委員さんが不憫な程に。


取り巻き「しょ、食蜂様!? な、何事で!?」アタフタ・・・

食蜂「あ……そういえば見張り居たんだっけ?」キョトン・・・


リモコン(?)を手に持ってる。僕は携帯を手首に当て決定ボタンを押し『アプリ』を使用した。


食蜂「えいっ★」Pi!

取り巻き「ちょ、待っ……―――」ピタッ・・・ボー・・・

香焼「ぐっ!」ビリビリ・・・ビクッ・・・

食蜂「あ、ごめんなさいね。香ちゃんの影響忘れてたっ」テヘッ♪

香焼「い、いえ……ふぅ」ピリピリ・・・


第3のアプリ……スタンガン。彼女が能力を使用する際、疑似的に電磁バリアを張る為に蛇さんに作って貰った。
要は前回の蛇さんの遠隔信号をセルフにしたバージョンだ。ぶっちゃけ痛いので使いたくない。


食蜂「それでそれで? 何しにきたのん♪」ニコニコッ!

香焼「えっと……今は迷子探しに」ポリポリ・・・

食蜂「迷子ちゃん??」キョトン・・・


御坂さんにしたのと同じ説明をする。


食蜂「あららん……御忍びで私に会いに来てくれたんじゃないのねぇ」ションボリ・・・

香焼「いえ、その……狡い考え……ですけど、これに乗じて操祈さんに逢えたら嬉しいなって、少し思ってました」フフッ・・・ポリポリ・・・

食蜂「キャー! 嬉しい事言ってくれるじゃないのん☆ そんな事言われたら香ちゃんの事食べたくなっちゃうじゃなーい♪」フフフフ・・・

香焼「い、いやいや。色々勘弁して下さいよ」タラー・・・


というか、僕が此処(侵入禁止区画)に入った事には突っ込まないのね。


食蜂「そこはホラぁ~……香ちゃんの私に対するの愛の力でっ! 障害乗り越えて来てくれた的な♪」フフフフ・・・

香焼「は、はははは……え、えっと、と、とりあえず僕、戻らないといけない……ですよ」タラー・・・

食蜂「んー? 何処行っちゃうのん??」プニプニ・・・

香焼「何処っていうか、迷子探しの続きを」タラー・・・

食蜂「そんじゃー私も付き合ってあげる☆」フフッ


いや、貴女もう時間でしょうに。話してる間にスタンバイ時刻ですって。

430 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 04:59:52.28 ID:05y7noIE0
備え付けの壁時計をチラ見し、苦笑する。


食蜂「んー……しょうがないなぁ……とりあえず、幕袖まで一緒に行きましょ♪」ニコニコッ

香焼「え、でも担当が迎えに来るのでは」チラッ

食蜂「ん」ピッ


いつの間にか、部屋の隅のパイプ椅子に座っている風紀委員さんを指差す。
操祈さんの暗示で茫然状態。こりゃ御付きは無理だわ。


食蜂「ね?」ニヤリ・・・

香焼「……あはは」タラー・・・

食蜂「特等席で見ててちょーだい♪ さ、行きましょう」テクテク・・・

香焼「あ、ちょ……ごめんなさい」ペコッ・・・

食蜂「あらあら。相変わらず律義ねぇ。何も覚えてないんだから捨て置いてもいいのに……ま、そこが香ちゃんらしいわね★」フフフフ・・・


彼女に手を引かれ部屋から出る。
純白と所々に金色の刺繍が入ったドレス。まるで禁書目録の修道服(歩く教会)の如き華やかさ。
髪は頭上で纏め上げてあり、宛ら御姫様の様……実際、キャーリサ様やヴィリアン様の横に立たせても見遅れしないだろう。


食蜂「ふふっ。如何したのん?」チラッ

香焼「あ、いえ……綺麗だなぁと」ジー・・・ポリポリ・・・

食蜂「あはぁ♪ 嬉しいわぁ……ありがとっ☆」ナデナデ・・・


リメエア様に撫でられるくらい照れ臭いな。
さておき、通路を進み……2人と接触。もしやと思ったが、やはりリモコンを構える操祈さん。


香焼「操祈さん、ストップ!」アタフタ・・・

食蜂「え?」ピタッ・・・

香焼「あの子が探してた迷子の子……です。隣の子は僕と一緒に探してた友人……です」コクッ・・・

食蜂「あら、そうなの。見つかって良かったわねぇ」ジー・・・


花籠を持って満面笑顔の打ち止めちゃんと、苦労しましたよと言いたげな最愛の苦笑。


打ち止め「カオルン! ごめんねーってミサカはミサカは謝ってみる」ペコッ・・・

絹旗「まったく、幕袖で観客してましたよ」フフッ・・・

香焼「あはは……打ち止めちゃん、行き過ぎはダメ……ですよ」フフッ

打ち止め「ごめんなさーい。って、そっちのお姉ちゃんは? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」ジー・・・

食蜂「あら……へぇ。これはこれは、お転婆で有名な最終信号(ラストオーダー)ちゃんね★」ニコニコ・・・

香焼・絹旗「「っ!?」」ギョッ・・・

打ち止め「へ? 私の事知ってるの? ってミサカはミサカは色々疑問に思いつつ尋ねてみたり」ポカーン・・・

食蜂「ふふっ。ナ・イ・ショ♪ とりあえず出番前だからお話は後にしましょ☆」ポンッ

打ち止め「うん……って、お名前は? ってミサカはミサカはもう一回尋ねてみる」キョトン・・・

食蜂「んーそうねぇ……御姉様(オリジナル)と同じ、超能力者の一人なのよん♪」ナデナデ・・・


成程。同じ超能力者ともなれば『色々』知ってるという訳か。
確かに暗部の事も知ってるらしいからな……やはり土御門達が気に掛ける要注意人物なだけはある。

431 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 05:19:35.68 ID:05y7noIE0
さて、と僕ら三人を見渡し少々考え込む操祈さん。


食蜂「んー……もしかしてぇ、おチビちゃんは御坂美琴に会いに来た、と?」ジー・・・

打ち止め「そだよー」コクッ・・・

食蜂「ふーん……じゃああの子も誘いましょ。余裕持ってスタンバらせておいても大丈夫でしょうしね♪」フフッ

香焼「え、でも練習とか」タラー・・・

食蜂「ダ・イ・ジョ・ブ♪ 私の番来たらもう練習なんてしてないしぃ、それに実際私らなんてブッツケ本番でも余裕よん☆」ニヤリ・・・


流石天才お嬢様。トンデモ発言だな。
結局、幕袖ではなく言われるがまま御坂さんの控室に向かう羽目に。

白井さんが驚愕の目を此方に向けてきたが、操祈さんは知らん風。


白井「ちょ、これは如何いう事ですの!? 何故食蜂操祈が!?」ギョッ・・・

食蜂「退いてちょーだい♪ 妹さんを連れて来てあげたのよん★」ニヤリ・・・

白井「な、え……嘘ぉ」タラー・・・

食蜂「御坂さーん。入るわよーん★」コンコンッ・・・ガチャッ・・・

白井「んなっ!? 待て待て待てーい!」アタフタ・・・

絹旗「麦野並に超滅茶苦茶です」タラー・・・


まぁ基本超能力者は自己中心的な人格破綻者ですから。


御坂「え、なっ!? 食蜂操祈!?」ギョッ・・・

食蜂「はぁい♪ ほら、おチビちゃん」スッ・・・

打ち止め「御姉様ぁ! ってミサカはミサカは開幕ドルゥ~ン(物理)してみる!」ドーン!

御坂「打ち止めも!? ってそぉいっ!!」ガシッ!!

打ち止め「むをっ!? やはり止められた……ってミサカはミサカは驚いてみたり」タラー・・・

御坂「ふふふ……まだまだ腰が入ってないわ。その程度では白モヤシ(一方通行)は倒せても私は倒せないッッ!」フンッ!

打ち止め「わあぁお! 流石御姉様だねっ♪ ってミサカはミサカは熱い眼を送ってみる!」キラキラ・・・

御坂「当ったり前よ! って……違ーう! 打ち止め、何で此処まで来ちゃったの! ダメでしょ!」メッ!


随分長いノリツッコミだな。


打ち止め「御姉様に会いたかったの……ごめんなさいってミサカはミサカは素直に頭を下げてみる」ペコッ・・・

御坂「んもぅ……仕方ないなぁ」ナデナデ・・・デレェ・・・

打ち止め「えへへぇ」ニパー♪


この人も大概シスコンですよねー。
そして口では注意しつつ、鼻から赤い忠誠心垂れ流しでデジカメのシャッター切り捲る白井さん。自重して下さい。

432 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 05:42:54.75 ID:05y7noIE0
さておき、そろそろ操祈さんの時間がマジでピンチなんだが。


食蜂「そうね……それじゃ行きましょうか。御坂さんも来る?」チラッ

御坂「え? いや、私まだ10分くらい余裕有るわよ」チラッ

食蜂「10分程度、スピーチ練習しようがしまいが同じでしょ♪ 折角だしぃ、幕袖で見てても良いのよん☆」フフフッ

白井「食蜂先輩。お姉さまを誑かさないで下さいまし」ジトー・・・


相変わらず険呑な雰囲気だな。


食蜂「あらそう……それじゃ香ちゃん達は行きましょう。おチビちゃんも、幕袖で見る?」フフッ

打ち止め「え!? 良いの! ってミサカはミサカは喜んでみたり!」ニパー!

御坂「ら、打ち止め!」タラー・・・

食蜂「ええ、構わないわよん♪ 大人しく見てる分にはねぇ」ニコニコッ

白井「小姉さままで誑かさないで下さいましいぃっ!!」ンキー!


多分、白井さんより操祈さんの方が打ち止めちゃんの好感度高いんだろうなぁ。


打ち止め「御姉様は行かないの? ギリギリまで練習? ってミサカはミサカは尋ねてみる」キョトン・・・

御坂「はぁ……5分したら行くわ。先に行ってなさい……香ちゃんと、絹旗(そっち)」チラッ

絹旗「……はい」ピタッ・・・

御坂「打ち止めの事しっかり見てなさいよ。スタッフの邪魔させたら許さないからね」ジトー・・・

絹旗「言われなくとも分かってますよ」コクッ・・・


最愛が従順なのも珍しい……多分、御坂さんの威圧感故だろうか。


食蜂「それじゃ待ってるわよん☆ さぁ香ちゃん。行きましょ♪」テクテク・・・

香焼「えっと……すいません。失礼します」ペコッ・・・

御坂「ははは……気にしないで。それより打ち止めの事宜しく」コクッ・・・

香焼「はい……2人とも、行きましょう」テクテク・・・


操祈さんの後を追う。そういえば花は如何したのだ?


打ち止め「幕袖に置いてきた。演奏終わって引いたら渡そうと思って! ってミサカはミサカは計算高い女をアピールしてみたり」ニヤリ・・・

香焼「なるほど。じゃあ僕も」コクッ・・・

絹旗「…………、」ジー・・・

食蜂「……そういえば、其方のもう一方。お名前は?」チラッ

絹旗「え、あ……絹旗、最愛です。最も愛するで、最愛」コクッ・・・

食蜂「最愛ちゃんね……良い名前。黒のSPカードぶら下げてなきゃもっと可愛く見えるのにねぇ。高強度の能力者さんなのかしら?」ジー・・・

絹旗「……如何でしょうか。超能力者に比べれば低いですよ」ジトー・・・

食蜂「無粋ねぇ……何か知られたくない事でも? 察するに……第1位、2位、4位、6位の内どれかのSPかしらん?」ジー・・・

絹旗「さぁ。VIPの誰かかもしれません」フフッ

食蜂「釣れないわね。可愛くないわん★」フフフ・・・


お願いだから、こんな所で黒い牽制しないで下さいよ。

433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/25(金) 07:18:29.37 ID:Jsb2NIuAO
寝落ちかな?
434 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 07:22:42.88 ID:05y7noIE0
4人で下手の幕袖に向かう。
スタッフさん達に不思議がられたが、食蜂さんが『御付きよ』と一言告げると全員が黙った。
能力は使ってない様だが、とりあえず超能力者に反発するのは面倒だと諦めたのだろう。


打ち止め「凄いね! ピアノ弾きながら歌ってるよ! ってミサカはミサカは驚愕してみる」キラキラ・・・

食蜂「指の動きを身体に覚えさせれば誰でも出来るわよん♪ おチビちゃんは楽器、やらないの?」チラッ

打ち止め「うーん、ポップンとかダンレボとかならやるけど……本物の楽器は無理かなぁってミサカはミサカは苦笑してみたり」アハハ・・・

食蜂「ふふっ。今度御姉様に教えてもらえば良いじゃない」ニヤッ・・・

打ち止め「その手があったか! ってミサカはミサカは御姉様をバイオリンの師匠と呼ぶ計画を算段してみたり」ニヤリ・・・


また適当な事を。


香焼「……操祈さんはピアノの演奏でしたよね。何を弾くの……ですか?」チラッ

食蜂「聞いてからのお楽しみよ♪」フフッ

香焼「ははは。そう……ですね」コクッ・・・

舞監「食蜂さん。楽譜等大丈夫ですか? あと7分程で出番です」チラッ

食蜂「楽譜は邪魔よん★ それよりスピーチ用マイクとピアノのマイクは別なのよね?」ジー・・・

舞監「ええ。アバンは此方のワイヤレスでお願いします」スッ・・・

食蜂「りょーかーい♪」コクッ・・・


さも余裕有り気に控えの椅子に腰掛けた。
一寸後、御坂さんと白井さんがやってくる。


御坂「随分とリラックスしてるわね」ジー・・・

食蜂「この程度で緊張してらんないわぁん☆ ま、統括理事長様々が直接御見えしてるなら別だけどもー」フフフ・・・

御坂「来る訳無いでしょう」ハァ・・・

食蜂「貴女は……緊張してるのねぇ? ビビっとリラックスさせてあげましょうか?」ニヤリ・・・

御坂「馬鹿言わないで……多少緊張してなきゃ変なのよ」ジー・・・

打ち止め「御姉様! 大丈夫、私が見守ってるよってミサカはミサカは応援してみる!」フンヌッ!

御坂「ははは。ありがと」ポンッ・・・ナデナデ・・・

食蜂「ふふふっ。可愛い『妹』君ねぇ……じゃあ私達も」ギュウウゥ!

香焼「み、操祈さん! や、止めて下さいよ! 恥ずかしい……です!」カアアァ///

食蜂「緊張を解す為だってばぁ☆」アハァ♪

香焼「緊張してないって言ってましたよね!」アタフタ・・・


スタッフからも『第五位のペットか?』みたいな目で見られるし、ホント勘弁してくれ。
幕袖での数分間、只管操祈さんに弄られ捲った……―――

435 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/25(金) 07:26:55.73 ID:05y7noIE0
はい。今回此処まで。相変わらずテンポ悪いなぁ。

・寝落ちしたら……親戚が『香焼アフター(サーシャorレッサーor佐天orあわきんorみさきち編)』書くらしいです(笑)

次回で終わらせたい……そんじゃまたね! ノシ”

436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(新潟・東北) [sage]:2011/11/25(金) 09:10:40.50 ID:C3lYzyKAO
流し読んだらキャラクターが別人過ぎてむずむずするぜ!
違和感ぱねえ

もったいない
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 09:15:34.10 ID:T2kn73DIO
アフター操祈……だと……!?
乙! 
443 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 01:01:27.64 ID:tg3J2q6k0
 ―――とある翌日、PM10:15、学園都市第7学区、文化会館、大ホール・ステージ幕袖・・・・・・



前の演奏が終わり、奏者が拍手喝采を受けながら上手に捌けて行った。
次は操祈さんの番。だが、動く気配が無い。


打ち止め「ミサキチ行かないの? ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり」キョトン・・・

御坂「こ、こら! 何て呼び方するの」タラー・・・

食蜂「ふふっ。何だって良いわよん♪ その無邪気さGJね☆」ニコニコッ

絹旗「打ち止めちゃんは麦野も渾名で呼びますからね。確か『ムギノン』って」ハハハ・・・

御坂「……頭痛い」ハァ・・・


まぁ打ち止めちゃんくらいの子なら許されるだろう。


打ち止め「それで?」チラッ

食蜂「んー、準備がまだなのよん。前の奏者のピアノと違うヤツ使うから」チラッ

打ち止め「ふぇ?」ポカーン・・・

食蜂「ディスクラビアとグランドピアノを……分かり易く言うと、木製エレクトーンね☆」フフッ


随分器用な真似を。流石超能力者といったところか。
一寸後、スタッフの準備が終わり、ライトが点く。


食蜂「それじゃあ行ってくるわ♪ 楽にして観ててね」カツカツ・・・

香焼「はい……頑張って下さい」コクッ・・・

食蜂「ありがとっ☆」ニコニコッ


彼女が楽器へ向かうと同時に大喝采。操祈さんもそれに応える様微笑み、手を上げる。
そしてマイクの電源を入れ……スピーチ開始。


食蜂「……皆さーん、夜分遅くまでの観賞会。楽しんで頂けましたか?」ノシ”


 ワーワー! キャー! ショクホウサマー! コッチムイテー!


食蜂「ふふっ。ありがと☆ 残る所、私と大トリの二回となりました。御清聴して頂けると幸いですわん♪」ニコニコッ


相変わらずの話し方だな。だけど多少、真面目な内容か。


食蜂「今日はチャリティーイベントという事でぇ、沢山の寄付金が集まったみたいよん♪ なんとその額、6500億だってぇ☆」ニヤリ・・・


 オースゲー! アリガトー! ワーイワーイ!


御坂「あの馬鹿……何処でそんな情報ゲットしてんのよ」タラー・・・

白井「というか、それを言いますか……理事会も困るでしょうに」アハハ・・・


僕には分かる。これは『釘を刺した』のだ。この金額を公にする事で、理事会へプレッシャーを掛ける。
横領や『拙い分野』への割り振りが、幾らかでも減る事だろう。

444 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 02:01:46.21 ID:tg3J2q6k0
 ――一方、超能力者特別室・・・・・



一方通行「―――くっそ……マジ痛ェ」グデェ・・・

垣根「勘弁してくれっつのよ……こっちは超能力者っつっても身体は普通の青年だぞこらぁ」グデェ・・・

麦野「てか、あの『C・D』っての凄ぇ厄介だわ……まだ頭痛いんだけど」グデェ・・・

削板「」チーン・・・

垣根「ハァ……何で超能力者が一般人に負けんだよ……って、あ」ピタッ・・・

麦野「何よ」ジトー・・・

垣根「もうラス2だぜ」チラッ

麦野「え? う……ウソでしょ!?」ギョッ・・・ハラハラ・・・

一方通行「あーあ……ま、頑張れ」フンッ

麦野「は、薄情過ぎんでしょ! あーもぅ!」アタフタ・・・

垣根「代表はお前決定だかんな! じゃんじゃん警備員も運営に伝えるっつーし、逃げんなよ!」ハハハ

麦野「ぐぐぐ……せ、せめてアンタらも手伝いなさいよ」タラー・・・

一方通行・垣根「「無理」」キッパリ・・・

麦野「チッ」ダラダラ・・・

削板「痛てて……ったく……ん? もうスピーチ始まったのか」ジー・・・

垣根「流石お嬢様だな……って、うぉい! トンデモねぇ事言ったぞ!」ギョッ・・・

一方通行「お嬢様ねェ。どっちかってェと、やっぱ超能力者(人格破綻者)って感じだな」フンッ・・・

麦野「あーもぅ……あの所為で研究費用とか給金回って来なかったらアイツ殺すかんな」ジトー・・・

垣根「まー俺としちゃー『理事会ざまぁwww』って気分だな」ハハハ

削板「……何でも良いけどよ。第4位はさっさと挨拶考えたら?」タラー・・・

麦野「うっ……糞っタレ! 適当に誤魔化すわよ!」ウガー!

垣根「ハハハ。しくじんなよー」ケラケラ!

一方通行「……そういやァ、チビ共は?」キョロキョロ・・・

削板「さぁ。避難したらしいけど……どっかで観てんじゃねぇの」ドサッ・・・

垣根「その内ひょっこり戻って来んだろ。さぁて、第5位ちゃんは何演奏してくれんのかねぇ」ジー・・・

麦野「あー……寄付金に関して触れんのは拙いから……皆さん素晴らしい、とか言って適当に」カキカキ・・・

削板「……頼むぜオイ」タラー・・・

445 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 02:45:20.71 ID:tg3J2q6k0
 ―――再度ステージ・・・・・


操祈さんの名演説(スピーチ)に魅入る観客。
御坂さんが動いてないのを見ると能力を使ってはいないと思う。それ抜きで此処までのカリスマとは、やはり超能力者たる由縁か。


食蜂「―――皆さんも、骨をも惜しまぬ努力の先には素晴らしい未来が待っている筈ですわ」ノシ"


歓声。だが、しかし。


絹旗「……心にもない事を」フンッ・・・

香焼「え?」チラッ

絹旗「……アレは努力とか何とか、そういう類の人間じゃありませんよ」ジトー・・・

香焼「そんな事……彼女だって」フム・・・

絹旗「香はアイツと仲が良いみたいですから、そうは思いたくないでしょうけど……努力で如何こうなるなら、今頃この街……、」チラッ


目線の先には、御坂さん。


絹旗「……超能力者(レベル5)だらけですよ」ジー・・・

香焼「でも、皆最初は低強度(ローレベル)から始まるんじゃ」フム・・・

絹旗「…………、」ギリッ・・・

香焼「絹旗さん?」ジー・・・

絹旗「……私は――」

御坂「ええ。そうよ」スッ・・・

絹旗「――っ!」ビクッ・・・

香焼「御坂さん」チラッ


いきなり、最愛の前に立つ御坂さん。


御坂「少なくとも、私は努力した……貴女が何を言いたいのか分からないけど、馬鹿な事言おうとするのは止めなさい」ジー・・・

絹旗「…………、」グッ・・・

御坂「……香ちゃん。この子が言いたいのは、要は『努力も必要無い類の輩』も居るって事」チラッ

香焼「そうなん……ですか」ジー・・・

御坂「無論、大半はRPGみたいにコツコツとレベル上げして能力進化(シフトアップ)する。私や黒子はそれ」チラッ


頷く白井さん。だが、しかし。


御坂「でも、打ち止めなんかは『始め(初め)』から強能力者(レベル3)なの……もしかして、この子もそういう類なのかもね」チラッ

香焼「……ごめんなさい」シュン・・・

絹旗「……謝んないで下さい」コクッ・・・


やっぱり僕(香焼)は、絹旗最愛の事を、全然知らない様だ。

446 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 03:07:23.82 ID:tg3J2q6k0
余談だが、この学園都市では一時期『幻想御手(レベルアッパー)』なるモノが流行ったという。
大事件にまで発展したそれは、言葉通り『レベル上げ』に関するモノだった。

資料で見ただけだが、それは『進化装置(偽)』という印象を受けた。

もしかして最愛や打ち止めちゃん、その他の『裏』に関わる能力者はそれの『本物』によってレベルが上がったのかもしれない。
いや、鼻から『高強度(ハイレベル)』の能力者として誕生させられたのかもしれない。


香焼「能力、開発」ボソッ・・・


これは基督教右派で良く聞く話だが、この街でやっている事は所詮『人体実験』に過ぎないとか。
現にシェリーさんの話を聞く限り、相違無いのだろう。

だが、それを生甲斐に……良い意味で本気になっている人間だっている。
例えば、御坂さんや白井さんの様な――あくまで僕の個人極まりない視点だが――『善良』な能力者。


御坂「見方は一つではない。でも、ネガティブな視点でしか捉えられないヤツは……そっから抜け出せないわよ」ジー・・・

絹旗「っ」グッ・・・

御坂「仮にも、少しでも、僅かでも……抜け出す気があるなら肯定的に望みなさい」チラッ

白井「……お姉さま」ジー・・・

御坂「ギリギリまで頑張って、ギリギリまで踏ん張って……如何にもこうにもならないって時は……『手』が差し伸べられるわよ」フフッ

打ち止め「ふふっ。そうだね! 私も御姉様に同意だよ! ってミサカはミサカはお姉ちゃんの手を握ってみる」ギュッ・・・

絹旗「…………、」ジー・・・


感服した。

彼女は超能力者とはいえ、人の身でありながら……聖者の答えを得ていた。
いや、自分だけの現実(パーソナルリアリティ)を確立した超能力者(精神的超人)だからこそなのか。

そうじゃない。彼女には……『救いの手』が伸びたのだ。


絹旗「私にも……、」ボソッ・・・

御坂「ええ。存外、英雄(ヒーロー)なんて身近に居るもんよ」フフフ・・・

白井「お姉さまの英雄さんとやらは認めたく有りませんけど……絹旗さんは居るのでは? 例えば、公園でよく逢引されてる殿方とか」ニヤリ・・・

絹旗「ち、違います! 全然違いますよ!」アタフタ・・・///

打ち止め「えー! 誰々!? ってミサカはミサカはお姉ちゃんの想い人が超気になってみたり!」ヤンヤヤンヤ!

絹旗「ち、違いますってば! 私より超弱いし、超情けないヤツですって!」モジモジ・・・///

御坂「ふふっ。男なんて皆最初はそう見えんのよ。頼ってみて初めて……色々感じんの」クスクスッ

白井「お、お姉さま!? か、感じるなんて卑猥な事をなぶべぃっ!!」ビリビリ!

絹旗「……むぅ」ポリポリ・・・///


何だか、色々複雑だが……もっと頑張らなきゃと思った。

447 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 03:34:08.33 ID:tg3J2q6k0
さておき、スピーチは佳境に入っていた。


食蜂「―――前置きはこのくらいにして、そろそろ弾かせて頂きましょう。二曲聞いて頂きます。初めはポピュラーソングね♪」ペコッ・・・


満員の拍手。一礼し、ピアノに向かう操祈さん。
横に備え付けてあるPCを少々弄り……鍵盤に手を乗せた。途端、辺りの照明が仄暗くなり……笛の音が聞こえた。
それは誰もが知ってる有名な音色だった。


打ち止め「あ! これ知ってるよ! ってミサカはミサカはワクワクしてみる!」オー!

香焼「ティン・ホイッスル……いやロウ・ホイッスル……ですね」ジー・・・

絹旗「え? 何ですかそれ?」キョトン・・・

香焼「アイルランドの縦笛……です。日本では売ってない楽器……ですよ」ジー・・・

御坂「だからってPCに打ち込んでまで音出すかねぇ」ハハハ・・・


そして、操祈さんの指が動く。ピアノから出た音は生の音ではなく……エレクトーンの様に、弦楽器に加工された音だった。


白井「あらあら。結局歌うのですね」フフッ・・・

御坂「まぁ二曲だし、最初はパフォーマンスなんでしょ」アハハ・・・


客層は上手に捉えた方法か……客席はざわめき、彼女の歌声を待った。そして―――


食蜂「…… Every night in my dreams I see you, I feel you ・・・――」タンッ・・・


――……始まった。


絹旗「うわぁ……A級どころか、超SSS級ソングじゃないですか」タラー・・・

香焼「嫌いなの……ですか?」チラッ

絹旗「うーん……映画は好きじゃないですけど、曲は英語で良く分かりません」ポリポリ・・・

香焼「……夜な夜な夢の中であなたを見て、あなたを感じる」ボソッ・・・

絹旗「え?」キョトン・・・

香焼「香焼の兄さんから。英語が得意なので教わりました……この曲、綺麗だから教えてくれって」フフッ・・・

絹旗「…………、」フム・・・


無論、嘘だが……訳してあげても良いだろう。ただ究極のラブソングなので、訳してて恥ずかしいんだけどね。

448 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 04:10:19.80 ID:tg3J2q6k0
魅入りの溜息と、合間合間に入る歓声の中……僕は訳し続けた。


食蜂「―― That is how I know you go on・・・」


 オー・・・パチパチパチ・・・・・


香焼「だから、貴方がいるのが分かるわ」

絹旗「……夢の話ですか?」フム・・・


好きな人とは夢でも会える……世界中何処彼処、昔から変わらぬ相思相愛の考え。



食蜂「・・・ Far across the distance And spaces between us You have come to show you go on 」


どんなに遠く、二人の間が離れていても……貴方は姿を現してくれた。


食蜂「 Near, far, wherever you are. I believe that the heart does go on.

Once more you open the door. And you're here in my heart and. My heart will go on and on・・・」


近くでも、遠くでも、何処に貴方がいても……私には貴方の鼓動が聞こえるわ。
もう一度、貴方は私の胸(ドア)を開けるの。そして、貴方は私の胸(心)の中へ……私の想いは此処に到(あ)るのよ。


食蜂「 Love can touch us one time. And last for a lifetime,And never let go till we're one 」


愛は、一度私達に触れる(一つに)。そして、永遠に……二人が一つになるまで離しはしないわ。



白井「……か、香。日本語訳するの、恥ずかしくありませんの?」タラー・・・

香焼「あはは」ポリポリ・・・

打ち止め「素敵な歌詞だよ! ってミサカはミサカは興奮して……って、おりょ?」チラッ・・・

絹旗・御坂「「…………、」」ポー・・・///

打ち止め「わぁお……御姉様達が恋する乙女の如くトランスしてるみたい、ってミサカはミサカは解説してみる」アハハ


何故か白井さんが悔しがってるけど……需要は有るみたいだから続けよう。


 
食蜂「 Love was when I loved you. One true time I hold to,In my life we'll always go on 」


貴方への愛こそが本物の愛。私が持ち(守り)続ける、最高(真)の時間……私達が共にある事こそ、私の人生(全て)ね。


食蜂「 Near, far, wherever you are.I believe that the heart does go on.

            Once more you open the door,And you're here in my heart and My heart will go on and on 」


近くでも、遠くでも、何処に貴方がいても……私には、貴方の鼓動が聞こえる(貴方が何処に居るのか、分かる)わ。
もう一度、貴方はドアを開け……そして、貴方は私の胸の中に……そして、私の気持ちは此処に辿り着くの。

 

打ち止め「貴女の胸の中に……って素敵だね……あの人も聞いてるかなぁってミサカはミサカは相思相愛を信じてみたり」ホワワァ・・・

御坂(そ、そういえば、アイツも……聞いてるのよね)モジモジ・・・///

白井「ケッ……メルヘン女の戯言ですの」ボソッ・・・


夢も希望も無い事言わないで下さいよ。

449 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 04:39:49.35 ID:tg3J2q6k0
気付けばクライマックス。
何故か金管楽器やドラム音が入っているのは不思議だが、PCで音を変換してるのだろう。



食蜂「 You're here, there's nothing I fear, And I know that my heart will go on.

              We'll stay forever this way, You are safe in my heart and, My heart will go on and on 」


香焼「 貴方が此処に居る――だから――何も怖くはない……私の心は、愛を繋いでいる(事を知っている)わ。

           私達は、この道を永遠にゆくの……貴方は私の中に生きて、そして、私は愛に生きて……此処に居るの 」



あの名作映画を知っているからこその、悲哀な、終着ラスト。


白井「ぶっちゃけ、歌がメインで演奏の部じゃないですの」ハァ・・・

香焼「ま、まぁまぁ」タラー・・・


この人は自分や御坂さんに対してはメルヘン思考だが、他人の事となると現実的だな。


食蜂「―――……ありがとう♪」ニカッ


演奏終了と同時に大喝采。まだ一曲目だというのに、凄いモンだ。


白井「あの曲より派手なのを次に持って来れるのでしょうか? ねぇお姉さま……って」チラッ

御坂・絹旗・打ち止め「「「ううぅ」」」ウルウルウル・・・

白井「……えー」タラー・・・


乙女なんですねー。


食蜂「ふふっ。皆さん御存じ『My Heart Will Go On』でした……訳し方は人それぞれよん☆ 所謂、『自分だけの現実』ってヤツね♪」フフッ


確かに。上手く繋げるなぁ。


食蜂「さぁて。この曲をやった後に弾くのもなんだけどぉ……次はちょっとマイナーかな??」スッ・・・


歓声止まぬ中、次の曲の準備をする。今度はPCを下げ……グランドピアノのみ。


食蜂「だ・け・ど……私の本番は演奏(こっち)だからね☆ ちょぉっと華が無いけど、これまた御清聴お願いねっ♪」スッ・・・


そして、僕らは息を飲んだ……―――

450 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 05:16:51.07 ID:tg3J2q6k0
 ――一方、VIPルーム・・・・・


 888888888888888888888・・・・・


パトリシア「……素敵な歌でしたね」ボー・・・

ステイル「チョイスとしてはこの上ないポピュラーソングだな。何処の世界に居ても聞いた事があるだろうし」フム・・・

レイヴィニア「そうだな。だが、これはお遊びなのだろ。本番は二曲目だろうし」ジー・・・

パトリシア「んもー。お姉さんは覚め過ぎです」ムゥ・・・

レイヴィニア「いや、日本人にしては上手かったとは思うぞ。だが私は学芸都市でセリーヌの直弟子の歌をだな」アーダコーダ・・・

パトリシア「……そういうのが、覚めてるっていうんですよ。趣が分からないっていうか」ブー・・・

マーク「この人(ボス)は真贋如何こう五月蠅いですからね。結構空気読めませんし」ハァ・・・

ステイル「同意しよう」フム・・・

レイヴィニア「ぐっ……や、喧しい! 私だって分かってるもん!」ウガー!

マーク(うわぁ。子供返りしやがった)タラー・・・

親船「ふふっ。お姉さんも、ちゃんと納得してましたよね」ポンッ・・・

レイヴィニア「こ、子供扱いするな!」ムギギ・・・

ステイル(面倒な女だな……ガキなのやら、若年寄なのやら)タラー・・・

パトリシア「……あ、次の曲始まるみたいですよ」チラッ

レイヴィニア「ん……啖呵を切ったな、あの娘」ジー・・・

ステイル「今度はサポート音源無しか……何を弾くかな」ジー・・・


 ♪~


パトリシア「変イ短調スタートって……え?!」ギョッ・・・

レイヴィニア「おいおい……恥をも恐れぬ、か? それとも成功させるだけの自信が有ってか?」タラー・・・

ステイル「出だしだけで何か分かったのか?」チラッ

レイヴィニア「馬鹿者。気付かないのか? まぁ良い。嫌が応にも分かる」ジー・・・

ステイル「は?」ジー・・・

パトリシア「……『鐘』ですよ」ジー・・・

ステイル「ベル……ああ、確かに聞き覚えがあるぞ」ジー・・・

レイヴィニア「当たり前だ。ある種、先以上に有名な曲だからな」フム・・・

パトリシア「凄い指の……というか、腕の使い方ですね。以前見たヴァレンティーナのPVを模してる様です」ジー・・・

レイヴィニア「おそらく、参考にしてるのだろうな……しかし目で追うのが大変だ」ジー・・・

親船「『ラ・カンパネルラ』……でしたか? 発音が悪いのは許して下さいね。CM等でも流れてますよねぇ」ジー・・・

マーク「……敢えて、この難曲に挑んでるのでしょうか」ジー・・・

レイヴィニア「さぁな。ま、成功モノなら寄付金に対するそれ相応の対価にはなろう」ニヤリ・・・

パトリシア「しかも超絶技巧練習曲を選ぶあたり自信の程を伺えますね」ジー・・・

ステイル(どれ程凄いか分からん……後で神裂に聞いてみよう)ポリポリ・・・

451 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 05:47:27.23 ID:tg3J2q6k0
 ―――再度、ステージ・・・・・



呆気に取られた。
僕は別にピアノを嗜む訳ではないが、姉達が弾けるので聞く機会は多い。
故にそれなりの知識はあるのだが……これは化け物だ。


香焼「凄い……しかも、こんな間近で」タラー・・・

絹旗「んー……超凄いのは分かりますが、何が凄いのか」ポカーン・・・

御坂「……アンタ風に言えば『超絶凄い』のよ。この曲まともにクリアした人間両手に余る程なの」ジー・・・

絹旗「へ、へぇ」キョトン・・・


絶対分かってないな。


白井「しっかし……笑う余裕があるとは」タラー・・・

御坂「偶に舌舐めずりしてるし……ホント、化け物ね」タラー・・・

香焼「凄い連打と跳躍……まだミス無し、か」タラー・・・


左手(指)が広くないと追い付かない和音があるのだが、彼女の手は大きい。
女性にしては身体が大きい方なので、指が届く。多分、僕では届かないだろう。


御坂「……存外、力有るのかしらね」ジー・・・

香焼「もしかしたら」コクッ・・・

白井「瞬間的とはいえ、並のパワーではアレは弾けませんものね」タラー・・・


ピアノを弾くのには唯でさえ握力・腕力が要る。ペダルの切り替えも激しければ足首もそれなりに力が必要だ。
撓(しな)り、柔らかい、持久性がある筋肉。それも並大抵のモノでは無い筈。

さて、そろそろ嫌が応にも連打に鍵盤が追い付かなくなる所だが、如何する。


御坂「っ!!? な……ズレが無い!?」ギョッ・・・

白井「何故!? 普通なら音が繋がってしまう筈ですのに!」タラー・・・

香焼「あ……だ、だからピアノを変えた……です」ポカーン・・・

御坂「う、嘘」ダラダラ・・・


普通であれば、前の演奏者と同じピアノを使っても可笑しくない。
だが操祈さんは自分用にと態々時間を開けてまで、別のピアノを準備させた。

要はこの為―――指定の速度での演奏は不可能な、この曲の為だけに!


御坂「け、鍵盤と弦……弄ったヤツを……特注、したの?」ダラダラ・・・

香焼「た、多分……滑らかなのを見る限り、鍵盤を増やしたか、弦を弄ったか……ドチラかでしょう」タラー・・・


信じられない。金の問題とか何とかより……そこまでして、この曲を魅せたいのか。

452 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 06:07:58.43 ID:tg3J2q6k0
先の曲よりポピュラーでは無いとはいえ、指と腕の動きで凄いという事は一般人にも分かる。
少しでもピアノに関わりがある者なら尚更だ。

まさに、鐘の音。

クライマックスになっても、操祈さんの勢いは止まらない。肘も堅くならず、苦しい表情も見せない。
それどころか、更に微笑み……更に加速する。


御坂「……感服だわ」ハハハ・・・


フィニッシュ。同時に……スタンディングオベーション。


食蜂「ハァハァ……ふふっ」ペコッ・・・


もはや多くは語らず。一礼して、此方に歩いてきた。


打ち止め「ミサキチ恰好良い! ってミサカはミサカは大喝采を送ってみたり!」8888888!

食蜂「ふふふ……ありがと」カツカツ・・・

香焼「大丈夫……ですか」アタフタ・・・

食蜂「あはは……ちょっと、疲れたかしらん★」タラー・・・


そりゃそうだ。F-1レーサーばりの集中力を必要とされる。
精神的にも肉体的にも相当な疲労が来るだろう。


御坂「やれやれ。この後に演奏させられる私の身にもなって欲しいですねー」ジトー・・・

食蜂「あはは……ざまぁ見ろーってねぇ♪」ニヤリ・・・

香焼「それだけ軽口が叩けるなら平気……ですね」ヤレヤレ・・・

食蜂「あーん、嘘うそ~ん! 香ちゃん、介抱してぇ☆」グデェ・・・

香焼「うわぁ! み、操祈さん!」アタフタ・・・


熱の籠った身体が寄り掛って来る。やはり相当疲れているか。
部屋に戻りましょうと進言したのだが、このまま御坂さんの演奏をみたいという事で、椅子を出して貰いグッタリ座る。

ピアノを片付け終わった後、御坂さんの演奏だ。その間に、ふと思い出した事を実行する。


香焼「……操祈さん」テクテク・・・

食蜂「んー? なぁにー? もしかしてぇ……きゃっ! 愛の告白かしらん☆ 私に惚れると火傷じゃ済まないぞん♪」フフッ

香焼「あはは……えっと、これを」スッ・・・

食蜂「え? あ……ら」ジー・・・


打ち止めちゃんが、幕袖に置き忘れてたモノ。丁度良いので、今渡す。


食蜂「……お花」ジー・・・

香焼「はい。こんな所で渡すのはダメかもしれませんが……折角なので、ズルしてしまいます」フフッ

食蜂「ううん……ありがとっ♪」クスッ・・・


色々長かったが……これで漸く任務完了だ。

453 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 07:02:51.90 ID:tg3J2q6k0
その後、嬉しさのあまり興奮した操祈さんに抱き着かれて……膝の上にチョコンと乗っけられた。
打ち止めちゃんが『カオルンばっかりズルーい!』と叫んでる。麦野さんの引き続き……勘弁してくれ。


絹旗「……さて、次は超電磁砲の番ですね」チラッ

御坂「はぁ……かなりプレッシャーなんですけど」ジトー・・・

食蜂「ええ。プレッシャー掛けたんだもん☆」ニヤリ・・・

白井「意地の悪い事を」ハァ・・・

打ち止め「御姉様! 御姉様も期待してるよ! ってミサカはミサカは応援してみる!」フンガー!

御坂「あはは。プレッシャー上乗せされちゃったね」クスクス・・・


確かにね。


食蜂「あら……ソロじゃないのね?」チラッ

御坂「ええ。ピアノが入るわ。尤も、さっきの貴女の所為で時間喰ってるんだけど」ハァ・・・

白井「特注グランドピアノなんてモノ……この為だけど云千万ですか?」タラー・・・

食蜂「そんな訳無いじゃなーい。アレは借りものよん☆ 世の中にはアレを弾く為に特化したモノ作ろうっていうモノ好き、居るからねぇ」フフッ


そんなカブキモノ、是非とも見てみたいものだ。


香焼「それより……伴走者は?」チラッ

御坂「んー……ちょっと、ね」ハハハ・・・


ライトの当たらぬステージの中、上手側から横断してくる様歩んでくる一人の女性。


??「……御坂。準備は良いかしら?」チラッ

御坂「あ、はい。私は大丈夫です」コクッ・・・

??「そう。では行きましょう」カツカツ・・・


あくまで業務的な喋りだが、何処か柔和な感じ。


御坂「それじゃ行って来るね」フフッ

打ち止め「御姉様! ファイトー! ってミサカはミサカはワクワクしながら見守ってみたり!」フフフッ!

??「妹……特定個人を連れてくるのは褒められた事ではないけど、まぁ良いでしょう」チラッ…クスッ・・・

白井「眼鏡外しているから少しは柔らかくなってるだろうと思えば、相変わらず無粋な事を言いますの」ジトー・・・

??「……あら。失礼な事を言うわね」ジー・・・

白井「おっと。後で制裁とかは無しですのよ」タラー・・・


怪しく微笑む謎の女性。歳は二十代後半といったところか。化粧をしている女性の年齢は正直分かりません。


絹旗「白井……あれ、誰ですか?」ジー・・・

白井「……常盤台(ウチ)の寮監ですの」タラー・・・

香焼「寮監さん? 何で……あ」ピタッ・・・


確か以前、春上さんと共にボランティアへ訪れた際、彼女と会った事がある気がする。
成程……チャリティー故の貢献か。

454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/27(日) 07:06:44.40 ID:T2N37WBEo
> 888888888888888888888・・・・・
これなに?
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) [sage]:2011/11/27(日) 07:42:38.28 ID:GSpT6rnAO
>>454
拍手じゃね?
456 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 07:50:53.42 ID:tg3J2q6k0
2人がステージ中央に進むと同時に大歓声。
それは操祈さん以上で、今日一番の盛り上がり。流石はこの街が誇る、象徴たる能力者(アイドル)だ。

拍手が鎮まった頃合いで、御坂さんのスピーチが始まる……かと思いきや、いきなり準備に入る。


絹旗「あれ? スピーチは?」チラッ

香焼「一曲目と二曲目の間か、最後に纏めて言うのでは」ジー・・・


多分そうだろう。
御坂さんと寮監さんは一度視線を合わせ……先にピアノの伴奏が始まった。


食蜂「……あら」ジー・・・

香焼「これは……、」ジー・・・

打ち止め「私も聞いた事あるよ、ってミサカはミサカは頷いてみる」コクッ・・・


優しい音色。御坂さんが、笑顔で……弦に弓を掛けた。


食蜂「エトピリカ……葉加瀬太郎かぁ」ジー・・・

香焼「ポピュラーソング……ですね」ジー・・・


バイオリンという楽器は日本人には縁が薄い。だが、彼の曲ならば誰しも耳にした事があるだろう。


絹旗「良く分かりませんが……超聞き入っちゃいます」ジー・・・

打ち止め「うん。それに……御姉様、楽しそうに弾いてるよってミサカはミサカは喜んでみたり」フフッ


笑顔。観客全員に向けた、屈託の無い微笑み。
表裏無いその表情こそが、彼女の彼女たる由縁であり、万人から好かれる魅力なのだろう。


食蜂「伴奏も、上手ね……簡単な曲とはいえ滑らかだわぁ☆」ジー・・・

白井「彼女は常に子供達に聞かせる曲を弾いてますからね。分かり易く丁寧な音を出すのは得意でしょう」ジー・・・


子供にはお偉いさんが聞く様な小難しい曲は理解できない。だからこそ、それに見合った奏を出さねばならない。
きっと彼女はそれに特化しているのだろう。


白井「しかしまぁあの鉄面皮があそこまで柔らかい表情を……不思議ですわね」ムゥ・・・

香焼「鉄面皮って」タラー・・・

白井「普段は門限を破っただけでハンク式首狩りを……それで落ちなきゃエルボードロップ&エルボードロップして来る様な女ですの」タラー・・・

食蜂「ああ、噂の寮監さんだったの……アレが?」タラー・・・


そうは見えない。普通に優しそうなお姉さんだが……人は見掛けに因らないのか。
まぁそういう人間はいくらでも見てきてるしね。

457 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 08:21:49.01 ID:tg3J2q6k0
 ――一方、二階客席・・・・・



禁書「おー……ハカセタロウだね」ジー・・・

上条「ん? そういう曲なのか。名前初めて知った」ヘェ・・・

禁書「……え」ピタッ・・・

上条「え?」キョトン・・・

風斬「あの……本気で、言ってるの?」チラッ

上条「……拙いの?」タラー・・・

禁書「……馬鹿だ馬鹿だとは言い続けてきたけど、これほどとは」ハァ・・・

上条「な、何ですか! 分からない事があるなら教えてくれるのが優しさでしょうが!」ムググ・・・

禁書「葉加瀬太郎。本名、高田太郎。世界的に有名な日本人ヴァイオリニスト。今弾いてる曲は代表曲の一つ、エトピリカなんだよ」ジトー・・・

上条「へー。あ、いや、聞いた事はあるぞ。ただ名前とか作曲者とか知らなかっただけだ」ウンウン・・・

風斬「でも……インデックス、詳しいね」コクッ・・・

禁書「まぁこれでも一応、音楽全般には通じてるからね。世界的に有名な曲や代表的なアーティストは補完してるんだよ」エヘンッ

上条「ふーん。無駄知識だけじゃないのな」ジー・・・

禁書「私の脳(辞書)に無駄なモノなんてないんだよ!」ムキー!

風斬「まぁまぁ……あ、曲変わった」チラッ

上条「え? そうなのか?」キョトン・・・

禁書「……ホント、短髪が可哀想に思えてきたんだよ」ハァ・・・

風斬「ははは……えっと、今変わった曲が同じ作曲者のひまわりって曲」コクッ・・・

上条「へー……まぁ難しい事は分かんないけど、良い曲だな」ジー・・・

禁書「……やれやれ」ハァ・・・

上条「何だよ。文句あるか?」フンッ

禁書「別にぃ。ま、音楽の楽しみ方は人それぞれだからね。とうまみたいに、純粋に楽しむのが一番なんだろうけどー」フフッ

上条「……褒められてんだか貶されてんだか分からん」ムゥ・・・

風斬「あはは……えっと、とりあえず、純粋だって言われたんでしょ。子供みたいに無邪気だって」ポリポリ・・・

禁書「そうそう。子供みたいに何も知らず、たーだ感動すれば良いんだよ。下手に理屈っぽく語るよりはね。短髪もその方が喜ぶよ」ヘッ

上条「何だかなぁ……あ、また変わったんじゃないか? 今度は分かるぞ」チラッ


 ワアアアアァ!!


上条「ほら、アレだ! 何とか大陸!」ビシッ!

禁書「そこまで出てて、何で全部出て来ないのかなぁ」ハァ・・・

風斬「情熱大陸、ね……御坂さん、葉加瀬太郎メドレーなのかな? 時間的に6,7曲くらい、かな」ジー・・・

上条「へー。メドレーって何か恰好良いな」ジー・・・

禁書「まったく……それにしても、短髪はパフォーマンス上手だね。変に動き過ぎる訳でも無いけど、表情の向け方とか」ジー・・・

風斬「ええ。これといって特徴は無いけど、万人受けし易い感じだね」コクコクッ

上条「詳しいな。まぁ何だ……流石超能力者(御坂)様々って事か」フムフム・・・

禁書「……やっぱ、短髪が可哀想なんだよ」ハァ・・・

458 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 08:46:43.68 ID:tg3J2q6k0
 ―――再度、ステージ・・・・・


自然に生じた手拍子。ノリの良い曲だからこそ出来る技。
如何やら一曲目は情熱大陸で〆の様だ。伴奏者と視線を合わせ……最後の2小節を合わせた。

終わると同時に喝采。お見事以外の言葉が見つからない。


食蜂「……さて、次はスピーチかしらん」ジー・・・


如何やらその様だ。御坂さんが司会からマイクを受け取り、手に持つ。


御坂「……皆さん、こんばんは」ペコッ・・・


夜も遅いというのに『こんばんわー!』と、子供達の元気な返事が響いた。


御坂「一曲目はメドレーを聞いて貰いました。如何かな? 皆知ってる曲はあったかな?」フフッ


知ってるー! 聞いた事あるー! など、元気な声が続く。
まるで打ち止めちゃんに接するときの様な、保母さんみたいに柔らかい感じ。ちっともビリビリツンツンしてない。


白井「お姉さまは、昔から子供と接する機会が多かったので、ああいう手合いは得意でしょう」ジー・・・

香焼「へぇ。凄い……ですね。そういうの、誰でも出来る訳じゃないでしょう」ジー・・・

食蜂「まぁ普通の子供だけじゃなく、主に障害児相手に接していれば嫌でも得意にはなるでしょうねぇ」ジー・・・

白井「……食蜂先輩」チラッ

食蜂「おっと……失礼失礼★」テヘッ♪


資料程度でしか知らないが、確か彼女の能力者たる由縁は『筋ジストロフィー』だったか。
高尚な話だが、それ故に……妹達が生まれた、とか。まぁ今更な話だろうけど。

そんな事は如何でも良いのだ。スピーチの続き。


御坂「私の言いたい事は、司会者さんや先の食蜂先輩が言ってくれました。まさにその通りだと思います」コクッ・・・


確かに。今更あーだこーだ言うのも変だろう。


御坂「ただ、皆さんに忘れないで貰いたい事があります。それは手段と目的を履き違えない事です……ちょっと難しいかな?」フフッ


何の事だ、と会場がどよめく。


御坂「能力(チカラ)は目的じゃありません。夢が目的です。能力っていうのは、夢を叶える手段なのです」コクッ・・・


子供達に言い聞かせる様、優しい口調。


御坂「能力に限った事じゃないですよ。勉強だってスポーツだって、夢の為に行うんです」フフフッ


成程。正論。御尤も……裏の人間から嫌われる訳だ。彼女は綺麗過ぎる。


食蜂「香ちゃん(おまえ)が言うなっ☆」ペチッ


何故叩くし。というか心の声に突っ込まないで下さい。

459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/27(日) 09:07:17.85 ID:LJ56wHUD0
ちょwwwwwwww心読まれとるがなwwww
460 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 09:17:52.75 ID:tg3J2q6k0
御坂さんのスピーチは研究者が主軸のこの街にとって、喧しい限りだろう。
研究者というものは目的というモノがあやふやである。無い訳では無いが、他の職種に比べゴールが曖昧だ。
特にこの街の研究者・科学者は『能力を開花させる』という点の重きを置き、その利用法を考えはしない。

どれだけ開花させられたか、それをノルマ化し、営業成績の様に扱い……子供を『数』でしか捉えない。

例え利用方法・価値を考えたとしても、それは大抵まともじゃない。少なくと僕の知り得る限りはそうだ。
まずは『武力利用』から入っている。確かに金には成るが……それこそ夢も希望も無い話。


打ち止め「あのね……ヨミカワは、この街の子供達には夢が無いじゃんって言ってた。ってミサカはミサカは思い出してみる」ジー・・・

香焼「でしょうね」コクッ・・・


それではツマラナイ大人にしか、成れない。


香焼「職業教育が不十分過ぎますからね。社会(都市外)に出てから困りますよ」コクッ・・・

絹旗「一生都市で暮らせば良いじゃないですか」ジー・・・

香焼「一部の人間はそれで済むかも知れません。でも、この街は基本的に『子供の街』……ですよ。大人は全体の30%居るか居ないか」コクッ・・・

食蜂「そうねぇ。言ってしまえば、各学年の3分の2は外に働きに出ろって言われちゃうのよん」フフッ


こういう例えがある。学園都市は『アーティスト養成系の専門学校』だ。
ミュージシャンや漫画化、その他芸能など……それらの専門学校で成功する人間は極僅か。
何も得ぬまま卒業してしまえば、社会から爪弾きにされる。いや、その社会にすら参加できない。

厳しい例えかもしれないが、能力者とはそれくらい役に立つ場所が限られるのだ。
便利かもしれないが、一般企業や役所的には使いどころが難しい。


食蜂「それにぃ……好き好んで異能(ミュータント)なんて近くに置きたくないわよねぇ」フフーン・・・


大多数の意見だ。『能力者≒変異体』である。都市のある日本ならまだしも、海外ではこの意見が多い。
現に僕はその生の意見を聞いている職業柄、コレに関して何とも言えない。


絹旗「共存が無理ならこの中で暮らせば良いだけの事です。勿論、実力で残ってですよ」フンッ

食蜂「ええ、その通り。相応の能力者ならば、警備員や研究者として残れるわ」フフフ・・・

打ち止め「でも、それって御姉様の言ってる事と全然違うよ、ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり」ウーン・・・

白井「……小姉さま。貴女は貴女の思う様に進んで下さいまし。彼女らの意見は、所詮彼女らの意見ですの」コクッ・・・

打ち止め「うん……だけど、皆で仲良くした方が良いよ。ってミサカはミサカは皆幸せになれたら良いねって思ってみたり」コクッ・・・

香焼「僕も、そう思うよ」ポンッ・・・


そうだ……僕は、揺らがない。
平等を望む訳ではないが、せめて、こういう人間に選択(救い)を与える為に……此処に居るのだ。

461 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 10:14:15.04 ID:tg3J2q6k0
スピーチも佳境に。カオリ姉さんばりの高説に胸を撃たれつつ、それを聞き終える。


御坂「―――長くなりましたが、それでは最後の曲。これは自作の曲です。どうか最後まで御清聴宜しくお願いします」ペコッ・・・


礼と同時に拍手が入る。
そして再び、伴走者と視線を合わせ……―――


御坂「聞いて下さい……超電磁砲(レールガン)'sメドレーです」コクッ・・・


―――……ピアノとバイオリンの二重奏が始まった。


香焼「……これは」ジー・・・

白井「『友へ』――まだ見ぬ未来へ……お姉さまは、そう名付けられましたわ」コクッ・・・


聞いていて心地好い。


白井「本当は歌詞もありますのよ。バイオリンでなければ是非とも歌って欲しかったですわね」フフッ

食蜂「あらあら。御坂さんってばポエマーさんなのねぇ……後で聞いちゃおっと★」ニヤリ・・・

白井「ふんっ。そこらの中二病のポエムと一緒にしないで下さいまし。お姉さまのは芸術至高の作品ですの」ムンッ

絹旗「まぁ実際、中二ですけどね」ハハハ


そういう問題じゃないんです。


打ち止め「……あ、変わったよ! ってミサカはミサカはテンポが早くなった感じに気付いてみたり!」チラッ

白井「『真の強さ』……歌詞だとリアルフォース、リィンフォースと歌っていますね」ジー・・・

香焼「何故ドイツ語……良い曲だから関係無い、か。ノリも良いみたい……ですね」ハハハ・・・

白井「普段はゆっくりなのですが、多少アップテンポに変えています。基本緩やかなメドレーですので」コクッ・・・

打ち止め「ねぇねぇ! 後でその歌詞見せて! ってミサカはミサカは期待してみたり!」ワクワク・・・

白井「そうですねぇ。御姉様が許可すれば、見せましょうか」フフッ

食蜂「あ。それじゃあ私もー★」フフフ・・・

白井「……まぁ許可しないでしょうね」ジトー・・・


さておき、柔らかくも力強いイメージの曲だ。これまた耳触りが良い。


絹旗「……ん。今度は超ゆったりですね」ジー・・・

食蜂「最初の曲と似てるけど……ピアノのメインの為に、バイオリンは少し音を抑えたのかしら?」ジー・・・

白井「見てれば分かりますの」ジー・・・

打ち止め「……あ! 指で!」オオォ!


ピチカート。バイオリンを弓ではなく指で弾く奏法だ。


白井「『笑顔』――貴方と私……ピアノとバイオリン、双方の響きを伸ばしていますわ」ジー・・・

香焼「抑えたんじゃなくて、互いに聞かせる為……ですか」フム・・・

白井「御明察。アコースティック、といえば恰好がつきますか?」フフッ


まぁバイオリンもピアノも、元々アコースティックな楽器だが……雰囲気という意味でだろう。

462 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 11:19:59.92 ID:tg3J2q6k0
ゆったりとした曲の後、幾らかテンポが早い曲が入った。


白井「これでラストですわ」コクッ・・・

食蜂「……いきなり4分の3ねぇ」フム・・・


確かに、基本4/4なのだが偶に3/4が入る。それがまた盛り上がるのだが。


白井「『一つ一つ』……オンリーワンとかナンバーワンにしろって進言したのですけどねぇ。何を思ったかスペシャルワンが良いと」フフッ

食蜂「それはまた……意訳に難しい言葉をチョイスしたものねぇ☆」フーン・・・

絹旗「スペシャルって、超特別とか超凄いとかって意味じゃないんですか?」キョトン・・・

香焼「ニュアンスは合ってますけど……彼女はそう意図していないでしょう」ジー・・・


超能力者(ナンバー1)や、自分だけの現実(オンリー1)とはまた違う答え。


食蜂「独創的ねぇ。私には分からないけど」フーン・・・

白井「それが、5位と3位の壁なのでは?」フフッ

食蜂「くっ……言うじゃなぁい★ 関係無いと思うけどねぇ」ジトー・・・

打ち止め「んー……でも、何となく分かるかなぁってミサカはミサカはシンパシー的なモノを感じてみたり」ウンウン・・・

食蜂「あら? やっぱり『血』かしら?」チラッ

打ち止め「うーん、そういうのか分かんないけど……兎に角、大事って事じゃないかなってミサカはミサカは想像してみる」ジー・・・

絹旗「大事、ですか?」キョトン・・・

打ち止め「うん。大切、でもOKだよ。さっき御姉様が言っていた夢もそうなんじゃないかなってミサカはミサカは予想してみたり」コクッ

食蜂「それはまた、随分と非科学的な考えねぇ」ジー・・・

打ち止め「チッチッチッ。ハートなのだよ、ハート。ってミサカはミサカはニヒルに微笑んでみたり」フフフ・・・


まるで軍覇の根性論。だがしかし、強(あなが)ち間違いではなかろう。
一番(ナンバー1)と謳って威張るでもなく、唯一(オンリー1)と言って逃避するでもなく……譲れない何か(スペシャル1)を誇る。


食蜂「……香ちゃん、メルヘンねぇ」クスクスッ・・・

絹旗「香焼みたいなヤツですね。あ、いや軍覇っぽい?」ジトー・・・


いや、だから心の中に……もぅ良いや。

それから一寸後、バイオリンの演奏が終わりピアノの伴奏だけとなる。
だが全て終わるまで観客達は待てる筈も無く……


 ワアアアアアアァ!! 888888888888!!


……ピアノがペダルを放す頃には、殆どの人間が立って拍手を送っていた。
御坂さんは笑顔と挙手で応え、寮監さんは苦笑と一礼で応える。こうして、最後の演奏が終了した……―――

463 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/27(日) 11:35:25.04 ID:tg3J2q6k0
はい、此処まで。何故こんなにグダグダ掛ったんだ……自分でも謎である。

今回で終われなかったなぁ。何か次回も終われるかどうか不安だ。
折角、第4話のアンケしようと思ったのに……因みにアンジェレネか、浦上か、あわきんのどれかね。
アニェーゼ話は、アンジェレネと浦上の話が終わった後に持ってきます。黒夜回もまだです。

兎に角、また次回!ノシ”

464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/27(日) 11:45:04.08 ID:LrhWqklIO
長時間の投下乙でした!
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/27(日) 12:08:11.27 ID:aKwoq7cDO
乙。美琴さんマジ主役で男前なお姉さん! あと上条さんマジ駄目なお兄さんww

次の話は英国分が足りないからアンかウラ回が良いな! 
467 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2011/12/02(金) 21:39:19.76 ID:bTfhwykJ0
こんばんわ。ボチボチ投下します。 
468 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/02(金) 22:10:04.15 ID:bTfhwykJ0
 ―――とある翌日、PM10:45、学園都市第7学区、文化会館、大ホール・ステージ幕袖・・・・・・




全ての演奏プログラムが終了し、閉会式に移行する。
僕ら3人は元居た観客席へ戻ろうとしたのだが、操祈さんと御坂さんの計らいで出演者特別(SS)席へ座る事に。
操祈さんの隣に座る筈だった風紀委員さんは……まぁゴメンナサイとしか。

ちなみに『~~~操祈さん・僕・最愛・御坂さん&打ち止めちゃん |壁|』の順に座ってる。
白井さんは最愛の為に態々立ってくれた。御坂さん&打ち止めちゃんというのは、御坂さんの膝上に打ち止めちゃんが座ってる為。


御坂「閉会式は静かにしてなきゃダメよ」ジー・・・

打ち止め「分かってるよー。子どもじゃないもん、ってミサカはミサカは言い張ってみる」ムンッ!

御坂「はいはい」クスクス・・・

白井「お姉さまの膝上に小姉さま……羨ましいけど絵になりますのっ!! 是非とも写真をっ!!」ハァハァ・・・

御坂「警備員さーん。此処の変態退場させてくださーい」オーイ


場内撮影禁止です。


絹旗「白井はアレ見る為に態々立って超電磁砲の隣に立ちましたね」ジトー・・・

香焼「い、いやいや。善意……ですよ」タラー・・・

食蜂「そういえば、最後の挨拶する超能力者誰になったのかしらん??」ジー・・・

香焼「予定では麦野さん……ですけど」ポリポリ・・・

御坂「うわぁ……色んな意味で怖いわね」タラー・・・

打ち止め「何で? ムギノン綺麗だし面白いよ、ってミサカはミサカは評価してみたり」ウンウン・・・


純粋に、そう思ってるのは君だけだよ。


絹旗「地が出なきゃ良いんですけどね」ハァ・・・

香焼「いや、流石にそれは無いでしょう。公衆の面前……ですし」アハハ・・・

食蜂「んー? そういえば香ちゃん、第4位と知り合いなんだっけ??」チラッ

香焼「一応、姉の友人で。こっちの彼女はSP(?)、妹分みたいなモノで僕の友人でもあります」チラッ・・・

絹旗「……はい」コクッ・・・

食蜂「ふーん……麦野(アレ)にSP必要無いでしょー★ あ、もしかしてぇ……アレのペットとか?」ニヤリ・・・

絹旗「…………、」ジトー・・・

香焼「み、操祈さん」タラー・・・

食蜂「ふふっ。ジョーダンよ♪」クスクス・・・


今更だけど人が悪い。最愛もそんな睨まないの。仲良くしてよ、もぅ。

469 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/02(金) 22:53:49.52 ID:bTfhwykJ0
さておき、司会が出てきて閉会式が始まる。
専門家からの講評や、一一一(ひとついはじめ)の感想。そして理事会役員代表からチャリティー参加へのお礼。


食蜂「はぁ……さっさと終わんないかなー」グデェ・・・

打ち止め「んー……御姉様、眠くなるよーってミサカはミサカは目を擦ってみたり」クシクシ・・・

御坂「もう11時だものね。もうちょっとだから我慢なさい」ナデナデ・・・

打ち止め「はーい」コクン・・・


操祈さんと打ち止めちゃんは同レベルか。
あと白井さん、いい加減御坂さんの横で打ち止めちゃんのオネム姿見てハァハァするの止めて下さい。


食蜂「香ちゃんも、眠くなったら私の膝枕で寝て良いのよん♪」ニッコリ!

香焼「止めて下さい。周りが見てます」ハァ・・・

絹旗「…………、」ジー・・・

香焼「ん……如何しました?」チラッ

絹旗「香と……第5位はそーいう『禁断の関係(百合)』なんですか?」ジー・・・


何処で覚えた。そんな馬鹿な暗喩。


食蜂「あら。よく気付いたわね★」フフフ・・・

香焼「ち、違いますっ! 友達……ですよ」カアアァ///

食蜂「ふふっ。照れ屋さん♪」ツンツンッ

香焼「からかわないで下さい!」ンモー///

絹旗「ふむふむ」ジー・・・


あ、絶対勘違い納得したな。


絹旗「白井は超電磁砲と超ラブラブで、香は心理掌握と超ラブラブなんですね」コクッ

白井「ザッツァラアアアァイッツッ!!」ビシッ!!

御坂「違うわよ! 頭沸いてんじゃないの?!」ギロッ!

香焼「絹旗さん。僕も、違うから」ハァ・・・

食蜂「またまたぁ。女の子にしか興味無いくせにぃ☆」ニヤリ・・・


ええ、ノーマルですから女性にしか興味無いっすよ。『男』としてね!

470 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 00:22:55.58 ID:KznZaYY00
さておき一寸後、司会の口から麦野さんの名前が出る。
観客一同にざわめきが起こった。


絹旗「まぁ珍しいんでしょうね。一晩に3人も超能力者(レベル5)観れるですから」ジー・・・

食蜂「それもだけどぉ……まぁ彼女には彼女のファンが居るモノねぇ」コクコクッ

絹旗「ふぁ、ファン!?」キョトン・・・

食蜂「あら知らないのん? ファッションリーダー、麦野沈利。美のカリスマってねぇ」フフッ

御坂「アイツ、そういえばファッション誌とかにコラムとか書いてたわね」フムフム・・・

食蜂「ま、私にはアレの良さは分からないけどねー★」フフフ・・・

絹旗「超同感です」タラー・・・


色んな服屋さんでも麦野さんの名前を出せば割引なるしなぁ。
普段横暴な人だけど、やっぱそういう部分ではアイドルなんだ。

とか何とか言ってる間に、本人登壇。


麦野「―――こんばんは。御紹介に預かった、麦野沈利です。本日はとても楽しい一夜をありがとうございます」コクッ・・・


大人びた感じでシャキシャキ喋る麦野さん。クールビューティーといった雰囲気だ。
先程特別室で暴れていた人間とは思えない。


絹旗「うっわー……超猫被りしてます」タラー・・・

香焼「えっと、まぁその……アレが本性なのかもしれませんよ」アハハ・・・

御坂「それは絶対無い」キッパリ!

打ち止め「でもでも! クールなムギノンも恰好良いよ! ってミサカはミサカは評価してみたり」キラキラ・・・


確かに、初めて会った時はこんな感じだったしなぁ。
仲良くなっていくにつれ……五和レベルに困った人になってったが。


麦野「超能力者を代表して挨拶させて頂きます。本来、私ではなく第1位が挨拶すべきところでしょうが―――」


さらっと毒吐いてますね。


麦野「―――何分、シャイな性格でして。第2位も、同様です。不在の第6位はさておき、第7位は……ふふっ」クスクス・・・


場内から笑いが漏れる。


絹旗「自分に代表押し付けられた事、相当キレてますね」アハハ・・・

御坂「まぁでも……一方通行(アイツ)や垣根さん、根性馬鹿が前に立つってのも考えられないわね」タラー・・・

食蜂「特にぃ第7位は面倒な事なっちゃうぞ★」アハハ


確かに。一方通行さんは想像すら出来ないし、垣根さんは……色々壊れそう。軍覇は論外。

471 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 02:39:38.84 ID:KznZaYY00
それにしても先程の事が嘘の様だ。てか服如何したんだ? 直ってるぞ?


麦野「さて、評価云々をしてもらいたいと頼まれたのですが、何分音楽には疎いもので。先生方の評価に口をつけて汚したりしません」フフッ


音楽疎いのか?


絹旗「いや、麦野普通にピアノ弾けますよ。カラオケも超上手いですし」コクッ・・・

打ち止め「前ミィと一緒にカラオケ行った時、ムギノンがマイク離してくれなかったよ! ってミサカはミサカはあの時の恨みを吐露してみたり」

香焼「あはは……まぁ、まともに観賞してませんでしたしね」タラー・・・


逃げ口上が上手だな。


麦野「しかし、コレを機に芸術等々の分野にも力を入れていくのも一興かと。今後の学園都市としては華が出ると思います――」


それはどちらかといえば、学芸都市(アメリカ)の十八番なんじゃなかろうか。
それからトントンと尤もらしい事を言い続ける麦野さん。様にはなってるが、実情を知ってる者からすれば苦笑もの。


麦野「――主役たる出演者の皆さま。そして観客の皆さまの御支持があってこそ、このイベントが成り立っています」コクッ

麦野「今回集まった寄付金は『都市』の為に、役立つ事でしょう」ニッコリ・・・


何か含みのある言い方だが。


麦野「先程、食蜂さんも仰いましたが……理事会の賢明な『割り振り』と『使い道』を期待致します――」フフッ


軽く拍手が起こる。上辺は良い様に聞こえるが……超能力者2人の表情は険しく、最愛の目は冷ややかだった。


御坂「馬鹿みたい。何でこの場で公言すんのよ」フンッ

香焼「え」チラッ

麦野「要訳はぁ……都市(私)の為にぃ割り振り(研究資金)多めに宜しくねぇ、って事よん」ジー・・・

香焼「…………、」チラッ

絹旗「まぁ……大体合ってるでしょう。正しくは暗……仕事(バイト)の給料増やせみたいな感じかと」ジトー・・・


打ち止めちゃんに聞こえぬ様、耳打ちされる。

呆れた。街の象徴たる人が此の様か。食蜂さんのやり方とまるで真逆だな。
お嬢様なのだからお金には困らないだろうに……何処からかの圧力かな。


麦野「――では、夜分も遅いので長くなり過ぎぬ様このくらいに。本日は誠にありがとうございました」ペコッ


歓声と喝采。だが事実を知った僕達からは乾いた拍手しか出ない。
彼女の降壇の際、此方に……操祈さんと食蜂さんに目線を送り、微笑んだ。何の意図だろう。

多分彼女達には分かるのだろうが、一介の市民(もどき)たる僕には理解できなかった。

472 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 03:26:17.42 ID:KznZaYY00
その後、運営委員の理事役員の閉会挨拶。
この人で最後だろう、と思った時……白井さんが寄って来た。


白井「お姉さま、そろそろ」ボソッ・・・

御坂「ん……そうね。食蜂、さんも行くわよ」チラッ

食蜂「えー」ジトー・・・

御坂「えーじゃない。最後の仕事でしょうが」ハァ・・・


まだ何かあるのか?


御坂「最後は出演者の代表数名で、玄関見送りあるの」ハァ・・・

香焼「玄関見送り……本格的……ですね」ヘェ・・・

絹旗「そういえば麦野達もそこには全員並ぶって言ってましたね」フム・・・

香焼「全員って……超能力者が!? 一方通行さんや垣根さんも!?」ポカーン・・・

食蜂「そのくらいの仕事(サービス)しないとぉ研究資金回って来ないんでしょ」フフッ

打ち止め「んー……私達は? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」フムフム・・・

御坂「打ち止めは一方通行のところに……戻れないか。黄泉川さんか固法先輩か那由他に任せたいんだけど」ウーン・・・

絹旗「私と一緒にどっかで待ってますよ。どうせ麦野帰るまで帰れませんし」チラッ

香焼「では、僕も一緒に」コクッ

食蜂「えー? 香ちゃん私の横に立って一緒に見送りするんじゃないのー?」ツンツン・・・


自重して下さい。象徴(アイドル)たる操祈さんが公衆の面前で特定の誰かに寵愛を向けるとなれば問題でしょうが。


食蜂「そこはぁ……私の改竄力でぇ」ニヤリ・・・

御坂「ダーメ。馬鹿な事言ってないでさっさと行くわよ」ガシッ

食蜂「あ~れ~! 香ちゃ~ん!」ズルズル・・・

打ち止め「……行っちゃった」アハハ・・・

香焼「はぁ……疲れる」タラー・・・

絹旗「んー……やっぱり心理掌握は香に超ゾッコンなんですね」フーン・・・

香焼「ちーがーいーまーすっ」タラー・・・


ある種の歪んだ愛情だと思って下さい。


絹旗「へー。まぁ如何でもいいです。とりあえず終わったら何処行きましょう」チラッ

香焼「最後まで会場に残ってても良いのでは。結構時間掛りますけどね」コクッ

絹旗「了解です」ジー・・・


気付くと、役員が閉会宣言をしていた。拍手と共に会場に明りが点く。
時刻は夜11時を少し回ったところ……そういえばステイルと軍覇、大丈夫かなぁ。

473 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 03:47:32.58 ID:KznZaYY00
 ――一方その頃、VIPルーム・・・・・



 88888888888888888・・・・・



レイヴィニア「ふぅ。やっと終わりか」ファアァ・・・

パトリシア「お姉さん、あくびなんて見っとも無いですよ。子どもじゃないんですから」フフッ

レイヴィニア「むっ……お前だって心成しか目が赤いぞ。眠いんじゃないのか? まだ天辺(0時)も回ってないのに」フンッ

パトリシア「色々感動しただけですよー。お姉さんみたいに捻くれてませんからねー」クスクス・・・

レイヴィニア「ぐ、ぬぬ……この小娘がぁ」ムニムニ・・・

パトリシア「ふぁふぇ!? ふぁふぇふぇうふぁふぁーい!」ムニムニ・・・

ステイル「捻くれたガキとは、一番性質が悪いな」ジー・・・

マーク「……あはは」ポリポリ・・・

レイヴィニア「き・さ・ま・がっ! 言うな! 私はピチピチの中学生相応だぞ!」フンッ!

パトリシア「痛てて……じゃあまず口調から直しましょうねー」フフッ

レイヴィニア「これは威厳を出す為に云々!」ビシッ!

マーク「はいはい。さて、では我々も帰りましょうか」チラッ

レイヴィニア「うむ。そうだな」コクッ

ステイル「ん? 何処にだ?」キョトン・・・

レイヴィニア「レディに今晩の寝床場所を尋ねるか? この痴れ者が」ジトー・・・

ステイル「喧しい。寝床も何も、学園都市(此処)はアレイスター(ヤツ)の掌中だぞ」ジー・・・

レイヴィニア「別に臆する事もあるまい。それに、今回の訪問は暴れる為に来た訳ではないのだ」フンッ

パトリシア「えっと、良く分かりませんが……都市立ホテルの『Alexander』という所に泊まりますよ」チラッ

マーク「ったく……『折角この街に来たんだから最高級の、しかも夜景が綺麗に見えるとこじゃなきゃヤダ!』とか馬鹿言うから」ハァ・・・

レイヴィニア「バッ! そ、そんな事言った覚えは無い!!」カアアァ///

ステイル「…………、」タラー・・・

パトリシア「ふふっ。普段威張ってますけど、アレがお姉さんの本性ですよ。可愛いでしょ♪」ニコニコッ

レイヴィニア「う、うるさーい! お前ら黙ってろー!」ウガー///

パトリシア「きゃー怒ったー」フフフッ

ステイル「……何だか、調子が狂いっぱなしだ」ヤレヤレ・・・

マーク「私はこれが毎日だよ」ハァ・・・

474 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 04:17:29.12 ID:KznZaYY00
 ―――玄関ホール・・・・・


 ガヤガヤ・・・・・ザワザワ・・・・・


レイヴィニア「しかし……込んでるな。何処かで止まってるんじゃないか?」キョロキョロ・・・

パトリシア「お姉さん。余所見してるとまた迷子になりますよ。もし逸れたらステイルさんを目印にしてくださいね」チラッ

レイヴィニア「もうなるモノか! じゃなくて、なってない!」フンッ

ステイル「ガイド役をするために身長が高い訳じゃないのだがな……って、迷子?」チラッ

マーク「来る時だがお嬢様だけ、バスの乗継間違えて大変な事になってだなぁ」ハァ・・・

レイヴィニア「よ、余計な事、じゃなくて、嘘を言うな!!」ウガー!

ステイル「……察するよ」フフッ

パトリシア「んー……あ、玄関が騒がしいですね。あそこが詰まってるみたいです」ジー・・・

レイヴィニア「ん? むぅ……見えん。おい、野郎共。特に無駄にデカいの。お前なら良く見えるだろ。何が起こってる?」チラッ

ステイル「失礼なヤツめ……アレは」ジー・・・


 キャーキャー! ステキデシター! アクシュシテー! サインクダサーイ! コンジョーコンジョー! メッルヘーン!


ステイル「……宛らアイドルだな。まぁこの街の『象徴』だから間違ってないか」ジー・・・

マーク「まぁ、気持ちは分からなくも無い。我々でいえば皇族みたいなモノだからな」フム・・・

レイヴィニア「おい、勝手に納得するな。私達にも教えろ」ジトー・・・

ステイル「超能力者(レベル5)だよ。6人並んでる」ジー・・・

パトリシア「えっ!? ろ、6人も!?」キラキラ・・・

ステイル「パトリシア……君はああいうの興味、あるのか?」タラー・・・

パトリシア「当たり前です! 使い方次第では戦術核にも、不老不死の薬にもなると名高い超能力者ですよ!」キラキラ・・・

ステイル「ふ、不老不死?」タラー・・・

マーク「変なサイトの噂を鵜呑みにしてるだけだよ」ハハハ・・・

レイヴィニア「ふむふむ……超能力者ねぇ」ニヤリ・・・

ステイル「君は君で良からぬ事を考えてそうだな」チラッ

レイヴィニア「別にぃ。ただ、まぁ興味はあるさ。一人頭に並の国家予算以上のモノを注ぎ込んで作られた強化人間とやらにはなぁ」ニヤリ・・・

ステイル「強化人間ねぇ。まぁ強ち間違いじゃないか」フンッ

マーク「我々(魔術師)からしてみれば、確かにアレらは無理矢理『チカラ』を最大限まで開花させた連中ですからね」ジー・・・

ステイル「ははは。じゃあ僕ら(魔術師)はオールドタイプか」フフッ

レイヴィニア「阿呆。私らも一般人からしてみれば強化人間だよ……魔術師と能力者の違いなんて、履歴書に表に書ける書けないの違いだ」

ステイル「その例えは上手いな」ハハハ

パトリシア「うーん……何の話ですか?」キョトン・・・

レイヴィニア「なぁに。能力者は一芸就職に便利だなぁって話だよ」ハハハ

475 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 05:05:23.05 ID:KznZaYY00

 ワーワー! キャーキャー!


レイヴィニア「お? 玄関が近付いてきたな……そろそろ出られるらしい」チラッ

ステイル「そういえば……VIP専用の出口が在ったんじゃないか?」チラッ

マーク「いや、入口は警備の関係上一つだそうだ。別にスタッフ用通路から出して貰っても構わないのだがな」ハァ・・・

パトリシア「あ! 奥にヒトツイハジメも居るんですね!」キラキラ・・・

レイヴィニア「おいおい、パトリシア。言っておくがサインも握手も貰えないだろう。ヤツらは愛想良く笑顔を振り撒いて見送るだけだ」ジー・・・

パトリシア「分かってますけど……んもー。夢が無いですねぇ」ジトー・・・

マーク「そういえば、マグヌスはこの後如何する予定で?」チラッ

ステイル「一緒に来た連中と合流してから帰る。まぁ玄関外までは一緒に出よう」コクッ

レイヴィニア「ん? お前は誰と来たんだ? まさか……小指(コレ)か?」ニヤリ・・・

パトリシア「す、ステイルさん、彼女さん居るんですか!?」エ・・・

ステイル「阿呆抜かせ。神裂の親戚の娘と……もう一人は、まぁすぐ分かる」テクテク・・・

レイヴィニア「ふーん……居ないってよ」ツンツン・・・

パトリシア「え、あ、いや、な、何で肘で突くんですかぁ」ンモー・・・

レイヴィニア「ハハハ。だがしかし、そのツレとやらも一緒に連れてくれば良かったのに」チラッ

ステイル「色々理由があるんだ……良いからさっさと行くぞ」ハァ・・・


 きゃああぁっ!! こっち向いてえええぇ!! 御坂さまあああぁっ!! 食蜂さまあああぁっ!! 麦野さまあああぁっ!!


御坂「あははは……どうもありがとう。(アイツ、帰っちゃったかなぁ)」ニコニコッ

食蜂「気を付けて帰ってねぇ♪ (いつまで続くのかしらん……終わったら即行香ちゃんゲッチュね。そのままお持ち帰りぃ~★)」フフフ・・・

麦野「さようなら。遅いから寄り道しないでね。(だっりぃー……顔疲れるわぁ)」ニコニコッ


 第1位さああぁん!! 垣根さまああぁっ!! オンネェザマアアアァッ!! ムッギノーン!! みさきちいいぃ!! ⑦!!


一方通行「……(さっさと帰りてェ)」ボー・・・ペコッ

垣根「さいならー(もうヤダ……帰り自棄飲みコースだな)」ノシノシ”

削板「じゃーなー(ステイルと香、何処居るかな……って、ん?)」チラッ


ステイル「―――」テクテク・・・

476 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 05:36:52.86 ID:KznZaYY00

 キャーキャー! ワーワー!


パトリシア「あ! 割と近く通れるみたいですよ!」キラキラ・・・

ステイル「…………、」チラッ

レイヴィニア「……如何した」チラッ

ステイル「いや……何でも」テクテク・・・

パトリシア「わぁ……私達と歳大差ないのに大人びて見えますね!」ノシ”

レイヴィニア「私の方が大人だよ」フフッ

マーク「どの口言うか」ボソッ

レイヴィニア「あんだと?」ギロッ

マーク「……はい? 何か言いました?」シレッ・・・

レイヴィニア「……最近、部下が冷たい件について」ハァ・・・


削板「…………、」ジー・・・

垣根「……如何した」チラッ

削板「いや……何でも。(―――ステイル)」コクッ


ステイル「っ」ピキリィーンッ!!

レイヴィニア「ステイル?」チラッ

ステイル「……(軍覇?)」ジー・・・

削板「……(香はまだホールに残ってる)」ジー・・・

ステイル「……(念話、いや、これは何だ!?)」ピタッ・・・

パトリシア「わっ! す、ステイルさん!?」キョトン・・・

ステイル「す、すまない……(まぁいい。後で聞く……とりあえず了解だ。僕は外で待つ)」コクン・・・テクテク・・・

削板「……(ああ。終わったら連絡する)」コクン・・・

レイヴィニア「…………、」ジー・・・

食蜂「ん? あれ?」ムズムズ・・・

御坂「如何したの?」チラッ

食蜂「いやぁ。なぁんか違和感がぁ……変な声がした?」ウーン・・・

麦野「人の声ばっか盗み聞きしてっから妄想聞こえんのよ」フンッ

食蜂「……ま、いっか」ノシ

477 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 06:03:22.00 ID:KznZaYY00
 ―――会場外・・・・・


 がやがや・・・・・


パトリシア「んー! 楽しかった! 満足です!」フフッ

マーク「ええ。来た甲斐がありましたね」コクッ

ステイル「それは良かった。では僕は此処でさよならだ」チラッ

パトリシア「あ、はい。今日は我儘言って付き合わせてすいませんでした」ペコッ

ステイル「そんな事は無いさ。僕もそれなりに充実できたよ」コクン・・・

パトリシア「そう言って貰えると助かります」フフッ

マーク「ではそろそろ行きましょうか。迎えは呼べばすぐ来ますが、ホテルのドアが開かなくなってしまいますからね」

レイヴィニア「ん……先に行け。私は少々コイツと話がある」チラッ

パトリシア「え?」ポカーン・・・

レイヴィニア「なに、逢引なんかじゃない。仕事の話だ」チラッ

マーク「お嬢様(ボス)……畏まりました。車だけ手配しておきます。妹(パトリシア)様、行きましょう」スッ・・・

パトリシア「あ、はい」ジー・・・

レイヴィニア「安心しろ。すぐ終わる。あ、何なら明日の観光、コイツにパトリシアの護衛をさせようか」フフッ

パトリシア「そ、そんな! 護衛なんて……で、でももし、時間があれば、一緒に買い物くらいなら」ゴニョゴニョ・・・

ステイル「荷物持ちかい」タラー・・・

レイヴィニア「ふふっ。光栄に思え。ま、そういう訳だから先に行ってろ」ジー・・・

パトリシア「んもぅ……はぁ。とりあえず、おやすみなさい。ステイルさん。また今度」ニカッ

ステイル「ああ。良い夜を」コクン・・・


 ざわざわ・・・・・


ステイル「……で、何の様だ?」チラッ

レイヴィニア「ん……もう一人の知り合いとは、アレの事か?」ジー・・・

ステイル「ああ」コクッ

レイヴィニア「何の繋がりだ? アレはあの6人の中でも極めて取り扱いに困るモノだぞ」チラッ

ステイル「僕だって困ってるさ……だが、仕方なかろう。腐っても『縁』が出来た」ハァ・・・

レイヴィニア「はぁ……魔女(ローラ=スチュワート)も物好きな。確かに手に入れられれば最高級の宝石ではあるがな」フーン・・・

ステイル「いや、英国清教・必要悪の教会(ネセサリウス)は関係無いよ……言っただろう。今日はプライベートだって」ジー・・・

レイヴィニア「な……じょ、冗談キツいぞ」タラー・・・

ステイル「僕だって信じられないさ。しかし……僕とアイツを、引き寄せた甘ちゃんが居るんだ」ポリポリ・・・

レイヴィニア「幻想殺し(イマジンブレイカー)か?」ム・・・

ステイル「いや……彼みたいな人種だが、彼よりも甘ちゃんさ。頭が切れて素早っこいから、彼より厄介かもな」フッ・・・

レイヴィニア「まさか、友人とか? お前に?」ポカーン・・・

ステイル「一方的なモノだよ。ヤツや軍覇の方からそう言ってくる……まぁ何だ。その好意、悪い気はしないよ」ポリポリ・・・

レイヴィニア「……『原石』、か。貴様までこうも変えるとは」フーム・・・

ステイル「僕は『原石』なんかより、最も『人間臭い』人種が苦手だよ。魔術師(同業者)なのに人道を語るヤツとか、尚更ね」ハハハ・・・

478 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 06:22:17.37 ID:KznZaYY00
 ―――玄関ホール付近・・・・・


 がや・・・がや・・・・・


麦野「ハァ……やっと人減ってきたわね」タラー・・・

食蜂「もぅ11時半回っちゃったじゃなぁい」ムゥ・・・

御坂「…………、」キョロキョロ・・・

一方通行「……俺も、まだ三下(アイツ)見かけてねェぞ」ボソッ

御坂「ばっ!? な、何も言ってないでしょ!!」カアアァ///

垣根「あん?」チラッ

御坂「あ、あはははは……何でもないですよ」タラー・・・

削板「……まだ帰っちゃダメなのか?」ジー・・・

麦野「若干名、残ってるって。でも45分までで良いそうよ」コクッ

垣根「あと2,3分かぁ。別にもう良いだろー。早く酒ー」グデェ・・・

一方通行「仮にも象徴(アイドル)たる未成年が危ねェ事口走ンねェ方が良いンじゃねェか」フンッ

垣根「誰も聞いちゃいねぇよ。テメェら以外な」ハァ・・・


 バタバタバタバタ・・・・・


食蜂「んー?? 五月蠅いぞぅ??」チラッ・・・

麦野「……アレ、は」チラッ・・・


警備員's『待てえええぇっ!!』ダダダダッ!!

上条「ぎゃあああぁっ!! 如何してこうなるのおおおぉっ!!」フコーダー!

禁書「とうまがチンタラしてるから悪いんだよ!」ウガー!

スフィンクス「なー」ペシペシッ

上条「オマエがスフィンクスから目ぇ離すからだろうがあぁっ!! てか連れてくるなよ!!」ウギャー!

禁書「仕方ないんだよ! 外食の予定だったんだし!」ムキー!

上条「尚更だ! あと、何でちゃっかり人気の無いVIP室上がり込んで残り物食べてんだ!? 馬鹿か!? 馬鹿だな!?」バタバタッ!

禁書「立ち入り禁止区画に平然と上がり込んで迷子になるとうまに言われたくないんだよ!」ウワーン!

風斬「ふ、2人とも……喧嘩はそのくらいにして、正直に謝った方が……事態収束するかも、よ」アハハ・・・

上条・禁書「「インデックス(とうま)だけ謝れ!」」ギロッ・・・

風斬「……はぁ」タラー・・・


超能力者's『何、あれ?』ポカーン・・・

一方通行「……相変わらず、滅茶苦茶な野郎だな」ハァ・・・

御坂「っ!」パアアァッ!!

479 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 06:46:42.96 ID:KznZaYY00

 マテー! フシンシャー! フコーダー!


禁書「あ! やっと出口なんだよ! そのままエスケープ……って」チラッ・・・

風斬「超能力者さん達、ですね」ジー・・・

禁書「……とうま! ちゃんとお花渡すんだよ!」チラッ・・・

上条「こ、こんな時に!?」ハァ!?

禁書「渡すの!」ギロッ・・・

スフィンクス「にゃー!」キリッ

上条「……お、おう」タラー・・・


 バタバタバタバタ・・・・・


垣根「あー……アレ、止めた方良いの?」タラー・・・

麦野「無視って良いわよ。アレに関わると碌な事無いわ」タラー・・・

食蜂「あらん? あの眼鏡ボインちゃんってば、もしかしてぇ?」ジー・・・

一方通行「あァ。ま、前の2人同様関わンねェ方が身の為だな」フンッ

削板「一番問題児はあの真っ白修道服のシスターだろ。ありゃ何でも喰うぜ」タラー・・・


 ギャーギャー!


上条「っ……おーい! 御坂ああぁっ!!」バタバタバタッ!!

御坂「ひゃ、ひゃいっ!!?」ドキッ!!

超能力者&警備員's『はっ!?』チラッ・・・

上条「恰好良かったぞおおぉ!!」バタバタバタッ!!

御坂「え、あ、そ、あぅ……ど、ども、ありが……って、そ、そんな距離から叫ぶな馬鹿ああぁっ!!」カアアァ///

禁書「とうま! ドレス着たレディに向かって恰好良いはないんだよ!」ベシッ!

上条「そ、そっか。ええっと……って! もう距離無いじゃん!」アタフタ・・・

禁書「ああもぅ! お花だけはキチンと渡しなさい!」メッ!

上条「おう!」バタバタバタッ!!


 マテー! ニガスナー! フウサセンヲハレー! ダレカトメロー!


削板「あ、来た」ジー・・・

上条「御坂っ! これ! 安物だけど、気持ちだけでも! そんじゃ見ての通りピンチだから、また今度なっ! そんじゃ!!」ビューンッ!!

御坂「あ、え、ちょっと……あ、ぅ」ポンッ・・・///

禁書「とうま! このまま安全な……ラーメン屋辺りまで逃げるんだよ!」バタバタバタッ!!

上条「何処に在んの?! てかこの期に及んでまだ喰い物ですか?!」ハァ!?

風斬「近くの、路地裏だけど……漫葉軒(まんばけん)ってお店なら、大丈夫じゃないかな……並ぶけど、安いし美味しいし」ウン・・・

上条「在んのかよ!? しかも風斬庶民的!?」タラー・・・

禁書「ナイスひょうか! そんじゃレッツゴーなんだよ!」ワーイ!

スフィンクス「なー」フシフシッ


 バタバタバタバタ・・・・・

480 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 07:26:31.09 ID:KznZaYY00

 シーン・・・・・


垣根「な、何だったの? 今の?」ポカーン・・・

削板「さぁ?」ポカーン・・・

御坂「…………、」ジー・・・

食蜂「ふーん……アレ、御坂さんの小指(コレ)なのん??」ニヤリ・・・

御坂「じゃっ!? ちょ、ちょがうわよ!」アタフタ・・・

麦野「噛み具合が尋常じゃねぇぞ……まぁアンタが幻想殺しにゾッコンなのは今更じゃないわよねぇ」ニヤニヤ・・・

御坂「にゃ、にゅ……違うって言ってんでしょ!」ウガー!

一方通行「……ふっ」ニヤリ・・・

御坂「アンタまで鼻で笑うなぁ!!」ムキー!

垣根「あー。アレが幻想殺しかぁ。一方通行に勝ったっつー無能力者(レベル0)」ニヤリ・・・

一方通行「ハァ? 負けてねェしィ。ただ御情けで気絶してやっただけだしィ」ジトー・・・

削板「喋り方がスレた中学生みたいになってんぞ。あ、元からか」ハハハ

垣根「あはは。まぁコイツはDQNでメンヘラで中二で……面倒臭ぇ性格してっからなぁ」ケラケラッ

一方通行「脳味噌シェイクされンのと、明日から血尿しかでなくなンの……どっち良い?」ギロッ・・・

食蜂「こらこらぁ。喧嘩禁止だぞっ☆」メッ


スタッフ「みなさーん。そろそろ上がってくださーい」テクテク・・・


垣根「うぃ。そんじゃ帰っかなぁ」グー!

食蜂「私達は片付けあるわねぇ……あ、香ちゃん逃げる前に捕まえなきゃ★」アハッ♪

削板「そうだ。香迎えに行かねぇと」コクッ

一方通行「俺もガキが残ってンだったな」ハァ・・・

麦野「絹旗か……まだホールに居るのよね?」チラッ・・・

御坂「ええ。でも、多分打ち止めは寝てるかもしれないわ」コクッ

一方通行「背負うの面倒臭ェ……黄泉川早く来やがれ」ハァ・・・



 <一方その頃ホールでは>



絹旗・打ち止め「「むぅ……くす」」スヤスヤ・・・

香焼「……最愛まで寝るなよ」ハァ・・・

481 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 08:20:25.52 ID:KznZaYY00
 ―――とある翌々日、AM00:15、学園都市第7学区、文化会館前入り口付近・・・・・・




結局、最愛は迎えに来た浜面さんが背負って帰り、打ち止めちゃんは忙しい黄泉川さんの代わりに固法さんが背負って帰った。
僕はというと、操祈さんに『お持ち帰り』されそうになったが、かろうじて軍覇に助けられた。

やっぱり女性は怖いです。


削板「はぁ……無駄に疲れたわ」グデェ・・・

香焼「ごめんなさい」ペコッ

削板「あ、いや香は悪くねぇよ。あのお嬢様女と俺自身の問題だ」ヤレヤレ・・・

香焼「……そういえばマグヌスさんは?」チラッ・・・

削板「喫煙所居るってメール来たけど……あ、居た」チラッ・・・


普通にタクシー乗り場で煙草喫ってやがった。恐れ知らずめ。


香焼「すいません。お待たせしました」ペコッ

ステイル「ん。いや、大丈夫だ……さっさと帰ろう」コクッ

削板「ん? そいやぁ香、何処帰るんだ?」ジー・・・

香焼「え? あ……一応、香焼の兄さんの家に。カオリ姉様も泊まるので」コクッ

ステイル「では送ろう。夜道の一人歩きは危険だ」ジー・・・

削板「そうだな。折角だし、香焼に会って帰るか」アハハ


いや、それは色々困る。


香焼「も、もう遅い……ですし、兄さん寝てますよ。それに、そこでタクシー拾いますから」コクッ

ステイル「そうか。なら、問題無いか」フム・・・

削板「やれやれ……ま、香焼は次の機会にでも会うか」ムンッ

香焼「……是非お願いします。兄さん、お二人と遊べるの本当に楽しみにしていたので」コクン・・・

ステイル・削板「「お、おぅ」」ポリポリ・・・///


次は、絶対『香』抜きで。
それから2,3伝言を預かり……僕らは解散した。とても長い数時間だったな。

482 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 09:08:36.76 ID:KznZaYY00
2人が帰路に着き、僕もタクシーに乗ろうと歩を進めた時、声が掛った。


香焼「っ……蛇さん」チラッ・・・

御坂蛇「御苦労だった。一先ず完了だな、とミサカは評価します」コクッ

香焼「あはは、疲れたっす」タラー・・・

御坂蛇「まぁ色々と言いたい事はあるが、次回にしよう。疲れているだろう。私も帰るよ、とミサカは報告します」ジー・・・


そうしてもらえると助かる。そういえば海原さんや土御門、カオリ姉さんは?


御坂蛇「各々先に帰った。私は伝言役で居残りって訳だ、とミサカは苦笑します」ハハハ・・・

香焼「お疲れ様っす」ポリポリ・・・

御坂蛇「うん。とりあえず潜入については次第点だ。次回からは『暗殺』についても教える、とミサカは総意を香に告げます」ジー・・・


遂に『殺し』か。


御坂蛇「それでは解散だ。寄り道せずに帰れよ。家に帰るまでが修行・任務だ、とミサカはテンプレを述べます」ビシッ

香焼「そんなテンプレ知らないっす」タラー・・・

御坂蛇「一々突っかかるな。兎に角、その姿で戦闘行為になる様な事態は避けろよ、とミサカは忠告します」クルッ・・・

香焼「はい……おやすみなさい」ペコッ

御坂蛇「ああ。良い夜を、とミサカは闇に消えます」スッ・・・


繁みの方へ消えていく蛇さん。そっち病院の方角じゃないんだけどなぁ。


香焼「……帰ろ」テクテク・・・


本来、タクシーは経費の関係上乗る事は禁止されてるのだが、今日はポケットマネーで払うから許して欲しい。

乗り場で深夜割増のタクシーに乗り込む。
この時間帯の運ちゃんは大体テンションが低いので助かる。ぶっちゃけ今日はもう演技したくない。
携帯を調べると……何件かメールが。その中から火織姉さんのメールを見つける。


香焼「『2時くらいまでは起きてます』か……ははは。不敬罪だな」クスクス・・・


律義な人だ。多分ご飯も作ってくれているのだろう。


香焼「その内何か恩返ししないとなぁ……家族として」フフッ


五和と浦上も一緒に、何か感謝の品でも送ろうか。ボチボチ考えておこう。

483 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 09:48:18.03 ID:KznZaYY00
 ―――とある翌々日、AM00:50、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・








最寄りのコンビニ(第7学区最北)で降ろしてもらい、適当に茶菓子を購入して帰路に着く。
今更なのだが、スカートはとても寒い。タイツを穿いていても寒い。女子はよくこんな薄いモノを穿いているな。感心するよ。

そんな事は如何でも良いとして、そそくさと家に着く。鍵は開いてる様だ。


香焼「ただいまー」ガチャッ・・・


リビングの方から返答が来た。


神裂「お帰りなさい。疲れたでしょう」テクテク・・・

香焼「あはは……精神的に」ポリポリ・・・

神裂「先にお風呂に? それともご飯を食べますか?」チラッ・・・

香焼「では、ご飯を」コクッ

神裂「分かりました。では手洗い嗽(うがい)を」クルッ・・・


最早遠慮する気力も残ってない。人間寒くて眠いと物事を考えられない。
惰性のまま洗面所に行き、適当に手洗い嗽を終え、リビングに。着替えもしてないし、メイクも落として無い。


神裂「サラッと食せる様、月見うどんにしました」コトッ

香焼「ありがとうございます……姉さんは食べました?」チラッ・・・

神裂「ええ、先に。私の事は気にせずどうぞ」フフッ

香焼「すいません……いただきます」コクッ


食前の祈をする事すら忘れて、チュルチュルとうどんを啜る……美味しい。身体が温まる。


神裂「作った甲斐がありますね」フフッ

香焼「ふふっ」チュルチュル・・・


寝ボケ眼のゆっくりペースで汁まで飲み切り、食べ終えた頃には1時半を回っていた。

484 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 10:18:32.12 ID:KznZaYY00
お風呂に入ってしまったら湯船で寝てしまうだろうと思い、洗顔と着替えだけして、明日朝シャワーを浴びる事にする。
寝る前にソファに座ってココアを飲みながら、携帯チェックをする。

まぁ大体いつもの面々なのだが……やはりステイルと軍覇のメールが目に着いた。


神裂「……隣、良いですか」スッ・・・

香焼「あ、はい」コクッ


ほうじ茶を手に、姉さんが僕の横に座る。


神裂「明日も、修行ですか?」ゴクゴク・・・

香焼「いえ、流石に休みっす。仕事の方も夕勤シフトっすよ」カチカチ・・・

神裂「それは良かった。無理をしてはいけませんよ。仮にも成長期なのですからね」フフッ

香焼「仮って何すか」ジトー・・・

神裂「ふふふ。失礼」クスクス・・・


気にしてるのに。


神裂「しかし、急ぐ必要はありませんよ」チラッ・・・

香焼「むぅ……身長欲しちゃダメなんすか?」ジトー・・・

神裂「いや、そっちじゃなく。まぁそっちもそうですけど……修行の方ですって」コトッ

香焼「あ、そっち」アハハ・・・

神裂「ええ。確かに私は強くなりなさいとは言いましたが、すぐさま強くなれ、という訳ではないのですよ」トンッ・・・

香焼「それは……分かってます」ペコッ

神裂「気持ちは分かります。が、大事なのは自分との闘いですよ……意味、分かりますね」ツツツ・・・

香焼「……はい」コクッ


引け目を感じるな、と……分かっているけど、難しい事だ。


神裂「先天的な私が言うのもなんですが、スロースターターでも良いでしょう。30過ぎてから伸びる魔術師だっています」コクッ

香焼「…………、」ウーン・・・

神裂「納得出来ませんか……では、私が個人的に期待してる事を伝えましょう」フフッ

香焼「え?」キョトン・・・

神裂「私は……いえ、私以外の数名も、貴方の『ココ』に期待しています」ポンッ・・・

香焼「なっ……頭?」ポカーン・・・


要するに、頭脳か。それとも心か? ドチラにしろ同じ様なモノか。

485 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 11:42:03.27 ID:KznZaYY00
ただ、些か買い被り過ぎでは無かろうか。
自分よりも五和・浦上の方が頭は切れるし、ハートだって強い。


神裂「いえ、あの子達にはあの子達の。貴方には貴方の『色』があります」ナデナデ・・・

香焼「色っすか?」キョトン・・・

神裂「特色、個性ですよ。単純な事ですよ」スッ・・・

香焼「……自分に、特色なんて無いっすよ」ムゥ・・・

神裂「いえいえ。素晴らしいモノを持っています。自分では気付いてないだけ」ゴクゴク・・・フゥ・・・


童顔とか言ったら泣きますよ。


神裂「違いますって。大概ネガティブですね……とりあえず特色なんてモノは自分では気付けないモノです」

香焼「真の長所は自分では見付けられないって話っすか?」コクッ

神裂「ええ、そうですね。ただし特色は使い方一つで長所にも短所にも成り得ますよ」

香焼「……難しいっす」ウーン・・・

神裂「そう易々と答えられたら私(女教皇)の立場が無いですからね」ハハハ


だったらそんな悟りめいた問いを掛けないで下さいよ。


神裂「まぁ何れ、ね……そういえば次回からは暗殺についても教わるとか」チラッ・・・

香焼「……反対っすか?」

神裂「いえ、しっかり覚えなさい」トンッ・・・

香焼「え」キョトン・・・

神裂「急所を覚えるという事は、急所ではない部位まで分かりますよ」スッ・・・トンッ・・・


殺さず、相手を傷つける。狙って急所を外す……難しい話だ。


神裂「ええ。ですが、その為の修行でしょう……頑張りなさい」コツン・・・

香焼「……はい」コクッ


引き寄せられ、優しく側頭部が合わさる。
普段なら五和や浦上が居て照れ臭いのだが、今日は姉さんと2人きりなので……それなりに甘えさせてもらう。

486 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 12:18:02.44 ID:KznZaYY00
 <神裂side>



いつもは恥ずかしがって逃げてしまうのだが、今日は従順で大人しかった。
疲れの所為もあるが、五和と浦上が居ない分、余計に気を抜いてくれているのだろう。可愛いものだ。

一寸、静かに頭を撫でていると……ユラユラと、香焼の身体が揺れ始めた。そろそろ眠りに着くだろう。


神裂「……寝て、良いですよ」トン・・・トン・・・

香焼「ん……いえ」ウトウト・・・

神裂「五和も浦上も、他の友人らも居ません……安心して」ポン・・・

香焼「……ん」コクン・・・


小さな身体が寄り掛ってくる……禁書目録(あの子)と同じくらいの大きさだろう。


神裂「私も、ステイルも……感謝してるんです」トン・・・トン・・・

香焼「ん……、」コロン・・・

神裂「貴方の家(此処)に居る事で、あの子との時間が増えた。ステイルも幾らか関係が解れた……最大のプレゼントです」ナデナデ・・・

香焼「……い、え」ムニャ・・・ムニャ・・・

神裂「謙遜しないで。私以外の色んな人達も、少なからず救われてる。特に……貴方が友と呼ぶ人達はね」フフフ・・・


私は家族としての……他の者は友人と呼ばれる事での、安心感。
何かと孤高の輩が多い私達にとって、こういった甘い人間は偉大だと思う。

ステイルや数名は『毒』だというが、そんな事は無い。寧ろ真逆だ。
強くは無いが、強く在ろうとする心。否定されても離れぬ根気。現に削板くんなどは純粋にそれを認めている節がある。


神裂「だからこそ、我儘で居なさい。そのくらいが丁度良いのです」フフフ・・・

香焼「…………、」スゥスゥ・・・

神裂「……おやすみなさい」ナデナデ・・・


いつの間にか寝息を立て始めていた。私の話は半分くらいしか聞こえていなかっただろう。


神裂「この子が如何なるかは、ステイルと削板くん次第でしょう」スッ・・・

香焼「すぅ……くぅ」コロン・・・


『素』の彼で居られる者……やはり同性の友人は大事だ。
女性ばかりや、兄貴分な連中ばかりの中で育ったこの子にとって、掛け替えの無い存在だろう。

ソファで横になるこの子に布団を掛ける。テーブルを片付け明りを暗くし……私も寝る準備。


神裂「おやすみなさい」ファサッ・・・

香焼「ぁ……ん」コクン・・・


せめて夢の中では、彼らと遊べる良い夢を……―――

487 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 12:39:34.97 ID:KznZaYY00
 <おまけっ!>



五和「たっだいま~!!」バンッ!

浦上「地元から帰って来たヨ~!」テクテク・・・


 シーン・・・・・


五和「返事が無い」ムムム・・・

浦上「ただの屍の様ダ」タラー・・・

五和「コウちゃーん。姉さーん」テクテク・・・

浦上「もーあーいー」キョロキョロ・・・


 シーン・・・・・


五和「……あれ? 部屋、間違えたとか?」タラー・・・

浦上「合鍵で開いたんだからそれは無いヨ……って、あ。書き置きだ」チラッ・・・

五和「ん? ホント」スッ・・・



 『  香(香焼にあらず)と禁書目録と買い物に行ってきます by姉  』



五和・浦上「「…………、」」ジー・・・


浦上「なん……だと……ッ!?」ギョッ・・・

五和「姉さん! 図りましたねっ!! 私達に内緒で自分だけ抜け抜けコウちゃん(Ver.男娘)とお買い物とはああぁっ!!」ムキー!

浦上「てか、よく香焼が許可したネ」アハハ・・・

五和「ハッ! ま、まさか……私達が居ない間、コウちゃんと姉さんは禁断のアレをアレしてアーなってうわあああぁっ!!」キャーキャー///

浦上「ネーヨ。禁書目録居るってば。お姉のその妄想力には頭が下がりますネ」タラー・・・

五和「んぎぎぃ……今頃個室サロンで、ンゥマーベラッスッ! な事に!? ウラ! 急いで私達が止めに行くよ!」キリッ!

浦上「如何してそういう着地点に落ちたかなぁ……てかまぁその展開はその展開で、2人を弄れるから面白いよネ」ハハハ

五和「お黙る! そんなケシカ=ランヌ伯爵展開、神が許しても私が許しません! いざっ!」ウオオオオォッ!!

浦上「行ってらっしゃーい……誰だよ、ケシカ=ランヌって……あ、裏に続きだ」ノシ”



 『  冷蔵庫にコーヒープリンがあるので、それ食べて大人しく待ってて下さい  』



浦上「……二つ分ゲット~♪」ヤッター!

488 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/12/03(土) 13:00:41.65 ID:KznZaYY00
 <おまけっ!!>


削板「……香焼」スッ・・・グイッ・・・

香焼「え……あ、ちょ……何!?」ギョッ・・・

削板「お前は黙って俺に守られてろ」ギュウゥッ・・・

香焼「ふぇっ!? あ、にゃ、そ……うぅ」アタフタ・・・///

ステイル「待て、軍覇っ!」バッ!!

香焼「す、ステイル!! ぐ、軍覇の様子が変なんだ!」アワワワ・・・

削板「……何の様だ」ジー・・・

ステイル「彼を、放せ」カツカツ・・・

香焼「そ、そうだよ! 軍覇、今日変だよ!」ダラダラ・・・

ステイル「君では彼を守り切れない……その役目、僕のモノだ」ガシッ!!

香焼「そう、僕のもぅえええぇっ!!?」ギョッ・・・

削板「抜かせ……俺は香焼の『パートナー』だぞ」グッ・・・

香焼「ぱ、ぱとな!? 何のさ!?」ダラダラ・・・

ステイル「所詮は自称、だろ? コレを見ろ。僕は戸籍上、完璧にパートナーだ!(香焼の性別:女扱い)」バッ!!

香焼「にゃんとおおおおぉっ!!? 何それええぇっ!!?」ギョッ・・・

削板「テメェ! 香焼の意志を無視して勝手にそんなモン作るたぁ腐った野郎だ!」ギリッ!

ステイル「貴様こそ! 暴力で彼を屈服させ、剰(あまつさえ)蹂躙せしめようとするとは外道極まりないぞ!」ギリッ!

香焼「な、何だこれえええぇっ!!?」ダラダラ・・・

削板「うおおおおおぉっ!! 香焼の愛は俺が守るっ!!」ドゴーンッ!!

ステイル「彼の愛の炎は僕に向いているっ! 彼から離れろ、下郎おおおぉっ!!」バーンッ!!

香焼「う、うわあああぁあああああぁっ……―――」








絹旗「―――……ハっ」バッ・・・


 チュンチュン・・・・・


絹旗「嫌な……夢? てか何で私が!?」ギョッ・・・

絹旗「…………、」ボー・・・

絹旗「こ……………………香焼の騎士は私ですっ!! 2人には譲れませんっ!! 今私もそこに!」ウガー!!

麦野「ゴラァっ!! 朝っぱらから五月蠅ぇ糞ガキっ!! 身長5cm縮ますぞ[ピーーー]カス娘がっ!!」ガンッ!!

絹旗「……ごめんなさい」ペコッ・・・





もあい「んなー」オワレッ

489VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/03(土) 13:13:01.92 ID:KznZaYY00
うい。ここまで。何かゴダゴダった……何時までやってんねんw
まぁ何とか寝落ちは免れた!


さておき、次回のアンケート!


①アンジェレネ回!(※ストーリーの要望もあればどうぞ。参考にします)

②浦上回!(ウラ、フロリス、ルチアなど女子寮組の話。主にこの三人だが、雰囲気ちょっとアダルティかも)

③あわきん回!(『居候』としての結標淡希か、『リーダー』としての結標淡希のどちらか)


協力よろしくお願いします。それでは例の如く質問意見感想罵倒等々下さい。
そんじゃまた次回! ノシ”
490VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/03(土) 19:09:53.16 ID:W8S1XwnDO
>>1乙ー


個人的には浦きぼん!
491VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/12/03(土) 19:19:16.34 ID:bK7wqOnRo
>>1乙です
ねーちんが姉過ぎて辛い

アンケートは③かな
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/03(土) 19:49:44.16 ID:hMGIQ9eL0


③でお願いします
493VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(三重県) [sage]:2011/12/03(土) 19:52:16.24 ID:p78dsDgYo
乙っした
③の居候のほうで
494VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/12/03(土) 22:06:44.65 ID:+ADelDux0

②希望ッス
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県) [sage]:2011/12/03(土) 22:33:12.27 ID:GCbzL0AA0
>>1
いいもん見たわ
そろそろ香焼も見たい(笑)

アンケは?で
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/03(土) 22:50:57.35 ID:NLT+mPODO
乙! 義姉弟かつ姉×ショタって、良いよね……寝落ちしたら親戚さんに書いてもらう候補にしてくれ(笑)

アンケは英国分が足りない! ②で!
497VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/12/03(土) 23:26:21.86 ID:r1QShHMOo
ねーちんマジねーちん乙!
アンケは2で
498VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/03(土) 23:36:30.65 ID:SFgYxy8IO
みさきちは中々いいキャラだった今後も期待

アンケートは①で香ちゃんと英国デート!
499VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長崎県) [sage]:2011/12/04(日) 05:33:05.11 ID:m2d9MoyGo
>>1乙!

アンケは3の居候で
500VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 10:22:57.14 ID:vtmgLoHxo
3の居候がいいな
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) [sage]:2011/12/04(日) 23:46:47.59 ID:mT3DtPlAO
乙でした

だが>>471で麦のんが大変な事暴露してるwww

アンケートは2でお願いします
502 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/05(月) 20:55:40.74 ID:94AejJ+D0
こんばんわ。アンケの結果ですが、②と③が5:5なので……安価!



   >>504

503VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/05(月) 20:56:56.41 ID:94AejJ+D0
・追記:②(英国・浦上話)か③(あわきん話)かで!



   >>505
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/12/05(月) 21:01:43.93 ID:Sa2dGF+AO
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(三重県) [sage]:2011/12/05(月) 21:03:37.25 ID:Rad7X/43o
③で 

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