2013年1月29日火曜日

あまくさっ! 1

1>>1 [saga]:2011/03/04(金) 22:42:56.26 ID:zdjIhP3b0
この物語は「とある魔術の禁書目録」及び「とある科学の超電磁砲」の二次創作SSです。
原作崩壊・時系列無視・厨二等含む駄文でございますが、宜しくお願いします。


以下、大まかな設定。

・メインは天草式十字凄教の……香焼、五和、浦上、そして稀に神裂。

・基本ほのぼの。キャラの性格は本編より丸い。   (例)ステイルが14歳相応。神裂が18歳相応。

・ラブラブ、シリアス、エロエロは未定。

・大きく二分して、「学園都市編」と「英国編」。

・組織設定や社会背景等はやたらリアル思考……だけど駄文。

・アンケートやリクエスト、偶に安価の御協力お願いします。


矛盾点や歪んだ点が多々出てくると思いますが、『魔術師(及び魔女)の仕業かっ!』と流して下さい。
では素人の駄文ですが、何卒、宜しくお願いします。 m(_ _)m


5>>1 [saga]:2011/03/05(土) 00:23:41.58 ID:aCI9TYL10
<勝手な設定>

・天草式の若手数名は偽戸籍(ダミーID)で学園都市の学校・生徒の中へ紛れ込んでいる。所謂、潜入任務である。
 コレは英国清教の命であり、また、アレイスター(あちら)側の意向。
 表向き――無論、一般的には裏である――英国側としては学園都市の動向を探るスパイ。
 しかし裏向きには――若手には悪いが――……アレイスター監視下の人質でもあった。

・神裂は、土御門からの呼び出し、禁書目録の『監視』という名のお世話(加え、上条当麻に会いに)、教徒の活動視察で学園都市に来る。
 ステイルも神裂と類似行動。ただしかなり暇人。何故か香焼と仲良し(本人は否定)。



<主な登場人物>

・香焼……主に狂言回し的存在でメインキャラ。出番が一番多いと思うよ。アニメでは『法の書』編に少し出ただけ……残念。
      中学1年。得物(武器)は短刀や鋼糸(ワイヤー)、稀に都市の武器。ショタキャラ。
      呼称は……香焼、コウちゃん等。

      天草式十字凄教の一教徒で特に役職は無し。潜入任務での所属学校は「とある学園都市理事・役員養成学校中等部」。
      性格は真面目で苦労人。強くはないが、弱くもない見た目は普通の少年。因みに『カミやん病:Lv.1~4』。
      学徒(若衆)の中でも一番難しい学校と一番良いマンションを割り振られた。その為、馬鹿姉共の溜まり場に……
      冷静だけど熱くなる時は『カミやん病発作』の如く説教するかも。(以下追々付け足していきます)


・五和……自称、香焼の姉その一(実は、姉その二)。一番キャラ崩壊が酷い人。ごめんなさい。『上条さんLOVE!』は相変わらず。
      高校2年。得物は海軍用船上槍(フリウリスピア)や鋼糸、稀に都市の武器。おっぱい。
      呼称は……五和、姉ちゃん、お姉、大精霊さん。

      天草式十字凄教の一教徒で若衆筆頭。潜入任務での所属学校は「『学舎の園』内のとある御嬢様高校(常盤台では無い)」。
      性格は二面性で他人には控えめで奥手……だが親しい者にはかなりフランク(ウザい)。教徒の中で最も潜在実力がある。
      何故か浦上と一緒に『姉』と称して香焼のマンションに入り浸る。ブラコンでは無いが余計な御節介やき。
      真面目な時はとっても頼りになる。(以下追々付け足していきます)


・浦上……自称、香焼の姉その三。一番キャラ付け難しい人。原作設定ほぼ皆無。実はアニメ版で香焼より出番多い。やったね!
      中学3年。得物はドレスソード(フェンシングのエペ)や鋼糸、稀に都市の武器。ポニテのサイハイ娘。
      呼称は……浦上、ウラ、お姉ちゃん。

      天草式十字凄教の一教徒で特に役職は無し。潜入任務での所属学校は「『学舎の園』内のとある御嬢様中学(常盤台では無い)」。
      性格は御転婆、しかし偶に黒い。強くはないが弱くもない、実力は香焼とドッコイの姉分。姉弟の中で一番の策士。
      五和と共に『姉』と称して香焼のマンションに入り浸る。周りが熱くなっている時に冷静になれるキレ者。
      意外と一番お姉ちゃんかもしれない。(以下追々付け足していきます)


・神裂火織……自称、香焼の姉その一。4人の中では一番出番が少ない人。ごめんねーちん! 『上条当麻・・・///』は、そのまま。
        18歳。得物は七天七刀や鋼糸。おっぱい聖人。魔法名「救われぬ者に救いの手を(Salvere000)」。
        呼称は……神裂、女教皇(プリエステス)様、姉さま、カオリ姉さん、堕天使さん。

        天草式十字凄教の女教皇。所属学校は無いが、禁書目録の『監視』や上条当麻への『礼』の為、よく学園都市に足を運ぶ。
        性格はかなり義理堅く、生真面目。だけどうっかりさんで何処か抜けている。とても強い。でも姉妹喧嘩はガラスハート。
        学園都市へ来る際、香焼のアパートに顔を出す。年の近い香焼、五和、浦上には『一、姉』として接して貰いたい願望有り。
        年相応が目立つかもしれない。因みに固法美偉、麦野沈利は年が近いので何故か仲良し。(以下追々付け足していきます)



<その他>

・上条さん、一方通行さん、美琴さん、浜面さん、白井さん等(ヒーローズ)……出番少ないです。だけど、リクエストがあれば考えます。

・実は、あわきんがそこまでショタコンじゃない。一通さんがセロリじゃない。
 麦野が原作に比べてかなり優しい。木山テンテーと芳川さんが同じ通信制大学の教育学部所属。
 テレスティーナが那由他と、ぎこちないが和解済み。垣根は……考え中。黒妻さんも……考え中。

・某所で書いたSSを再編したりもします。御了承を。


とりあえず、一旦、此処まで。 
9第1話――香焼「お前ら出てけぇっ!!」 [saga]:2011/03/05(土) 01:35:44.37 ID:aCI9TYL10
 ―――とある日、PM06:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・



空が藍色に染まった頃。自分――天草式十字凄教の学生信徒……香焼は、無人バスの中にいた。


バスアナウンス『次は第1学区学生住宅街一丁目、学生住宅街一丁目ー。御降りのお客様は―――』


ボタンを押す。


香焼「はぁ……疲れたー」ハァ・・・


学園都市の未来を担う理事候補生の養成学校で、朝8時から夕方6時まで缶詰状態。
自分が通う学校は、この街で珍しい文系メインの私立学校だ。

無論、理事になりたいが為に通っている訳ではない。『潜入任務』という名目である。
ただし折角、学費を英国清教から負担して貰っているのだからダラダラと過ごすのは勿体無い。
得られる知識は得ておこう。きっと自分の将来に役立つ。

それが自分の決め事だった。


香焼「でも、やっぱ理事校レベル高いっすね。放課後自習強制なんて……デフォで能力開発免除は助かるっすけど……ん?」チラッ


玄関前に都市製のバイク(新型ビッグスクーター)が置いてある事に気付く。
此処の住民であんな単車に乗っている人間はいない筈だ。第一、登録ステッカーを貼って無い。


香焼「……まさかっ!!?」ダッ!


急いでエレベーターに跳び乗り、7階のボタンを押す。そして一番奥の部屋へとダッシュ。


香焼「……やっぱり、鍵開いてる……という事は」ゲッ・・・


嫌な予感全開。静かにドアを開けてみた。靴が二人分ある。
そして中から喧しい声が……


五和「―――……そしたらノモ(野母崎)さんがさぁ! 立場忘れて『建宮。腹を割って話そう!』って!」ニャハハッ!

浦上「あはは! 建宮さん、今度は何しでかしたのさー!」ケラケラ!

香焼「」

五和「マジ爆笑だよねー。って……あ、コウちゃん。おかえりー」

浦上「おかえりー」

香焼「……お前ら」ジトー・・・


テレビを付けたまま談話。人の家の菓子とジュースを勝手に物色。おまけにボロボロ食べカスを落としたまま。

同じ天草式の学生信徒――五和と浦上が、『我物顔』で『堂々』と自分の部屋に居た。
しかも女子とは思えない恰好で寝転んでいる。

男子(香焼)が居るというのに、制服を脱ぎっ放し。Yシャツの第3ボタンまでオープン。
スカートの中など気にせず胡坐掻いて座っている五和。捲れるのを気にせずソファーに寝そべる浦上。


香焼「勝手に来るなって言ってるだろ!」ギロッ!

五和「そんなに怒んないでよ。怖いコウちゃんなんて、姉ちゃん嫌いだぞー」キャー

浦上「まぁまぁ。私達の仲でしょ。ね!」ニコッ


駄目だ。言葉が通じない。
10 :第1話――香焼「お前ら出てけぇっ!!」 [saga]:2011/03/05(土) 02:06:41.52 ID:aCI9TYL10
やっと家に帰ったというのに頭が痛くなる。
溜息をつきながら自分の荷物を自室に片付けに行った後、二人の制服をハンガーに掛けてやった。


五和「コウちゃんやっさしー! 私達の教育の賜物だね!」b"!

香焼「五月蠅い。というかお前らどうやって入ったんだよ」ジトー・・・

浦上「決まってるじゃん。五和のピッキングだよ」サラッ・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?


五和「此処のマンション、電子ロックも付いた二重鍵だったから大変なのよ。香焼、もっと簡素にしなさいって」サラッ・・・

浦上「流石長崎のジ○=バレ●タイ●! お姉、恰好良い!」ヨッ!

五和「あはは。褒めるでない。何も出ないぞー」ワッハッハッ!


人それを、不法侵入という。


五和・浦上「「誰だオマエは!」」ビシッ!

香焼「喧しい。今から警察に電話するから黙ってろ」PiPiPi・・・

浦上「ちょ、身内から恥出ちゃうのよ! いいの?!」アタフタ・・・

香焼「まことに遺憾っす……残念だ」ハァ・・・

五和「……同志を売るつもりなの!! 姉ちゃん、そんな風に育てた覚えないとよ!」メッ!


自分も育てられた覚えは有りません。


香焼「そうだ。警察より上条さんに電話した方がいいかも」ア・・・

五和「すんませんでしたああぁっ!!」ズサァッ!!


見事なまでの土下座。浦上が見惚れて拍手をする程。
ヤレヤレと頭を掻き、とりあえず恰好を正すよう指摘した。それから散らかした部屋を片付けさせる。

数分後・・・・・完璧ではないが、ある程度部屋が元の形に戻った。


五和「んもー……コウちゃん、サディストなんだからー」ハァ

香焼「五月蠅い。対馬さんより優しいだろ」

浦上「あー……まぁね」ハハッ・・・


天草怖い人ランキング第1位……対馬姐さん。この二人も普段から頭が上がらない。
因みに優しい人ランキング第1位は諫早だ。

さておき、時計を見る。


香焼「もう7時なるっすよ。寮に帰らなくて良いんすか?」

浦上「アタシの寮、規則緩いもん。ルームメイトにも『弟の家行ってくる』って連絡したし」ヘーン

五和「私はアパート住みです!」ドヤッ!

香焼「ああ言えば、こう言う……」ハァ・・・


誰か助けて下さい。男の人がいいです。女性じゃ無理だコレ。 
11 :第1話――香焼「お前ら出てけぇっ!!」 [saga]:2011/03/05(土) 02:44:07.57 ID:aCI9TYL10
余談だが、この街で天草式の移動手段は大きく分けて二つある。

一つは一般人と同様の移動。至って普通に歩道を歩いたり、公共機関を乗り継ぎする。
もう一つは魔術的移動。魔術的といえば大袈裟かもしれないが、ビルの屋上や地下道等、普通の人間がいない所を駆ける。

今回、二人は前者(バイク)で来たようだ。


香焼「……兎に角、遅くなり過ぎない内に帰れよ」テクテク・・・

五和「まぁまぁ。夕飯作ってあげるからさ。ね!」ニコッ

香焼「む……」ピタッ・・・

浦上「よっし! お姉の飯だ!」ヤッター!


満面の笑みを浮かべる馬鹿1号。腹立たしいが……大目に見てやる。

確かに、五和の料理は上手い。
食べたモノの十中八九がプロ級と言えるだろう。偶に変な創作料理をしなければだが。


浦上「じゃあアタシはお風呂淹れてくるねー」パタパタ

五和「任せたー。コウちゃん、冷蔵庫の中勝手に使うよー」ガチャッ

香焼「うん……ん?」アレ?


ちょっと待った。


香焼「……浦上」マテ・・・

浦上「はいはい」クルッ

香焼「何故、風呂を沸かす?」

浦上「何故って……シャワーでいいの?」ヘ?


そういう問題では無い。


香焼「……泊る気?」タラー・・・

浦上「さっきそう言ったじゃん」サラッ

香焼「言って無いっす」ジトー・・・

浦上「えー? お姉ぇ、言ったよねぇ」チラッ

五和「ルームメイトに『弟の家行ってくる』って伝えたんでしょー」カチカチッ・・・


それは『遊びに行ってくる』という意味じゃなかったのか?


浦上「だって明日土曜だし、問題ナッシングじゃない?」b"!

香焼「自分は土曜も学校だっつの」ハァ・・・

五和「うわぁ……ゆとり無いね……」アハハ・・・


理事校嘗めんな。殆ど自分の時間作れないんだぞ……だから家でくらい、一人で休ませてくれ。


五和「何でそんな学校選んだのよー。コウちゃんお馬鹿だねぇ」ハハハ

浦上「学園都市なのよ? 遊べる所選びなさいって。柵川中とか候補あったじゃない」

香焼「ッ!! テメェら……誰の所為で自分が理事校行くハメになったと思ってんだ道化姉妹がっ!!」ガアアァッ!

五和・浦上「「あるぇー?」」ポカーン・・・(・3・)??(・3・)ゞ


自分が理事校へ行く事になった由縁はコイツらの所為なのだが……それはまた別の機会にお話しよう。
12 :第1話――香焼「お前ら出てけぇっ!!」 [saga]:2011/03/05(土) 03:15:09.98 ID:aCI9TYL10
香焼「兎に角、泊るのは駄目!」

五和「えー……ご飯作っちゃってるよー」ブーブー・・・

浦上「良いじゃん別にー。邪魔する訳でもないし」

香焼「前泊めた時、お前ら朝まで騒いでたろ」ジトー・・・

五和・浦上「「……ヒューヒュー」」3~♪


その時も無理矢理この家に泊った。
居間に布団を敷いて、缶チューハイ山ほど空けて……次の日の夕方まで寝てた。
二日酔いの世話をするのは自分だ、勘弁してくれ。この呑んだ暮れ未成年共。


浦上「ま、まぁ今回お酒無いし……静かに『モンバス(※)』してますヨ」アハハ・・・

五和「そ、そうね」アハハ・・・

香焼「……マジで騒いだら教皇代理と対馬さんに言うからな」ギロッ・・・


苦笑しながら首を縦に振る。

※モンバスとは……『モンスターバスター・ポータブル5G』の略称である。
学園都市の老若男女問わず、大人気のゲームソフト。自分が好きな『能力』を選んで、架空のモンスターを討伐していく狩りゲーだ。
通信で対戦・共同プレイが可能な為、一種のコミュニケーションツールとして活用される事も屡(しばしば)。

因みにこの馬鹿二人、最近では女教皇様まで巻き込んで狩りをしているらしい。阿呆共。
さておき、台所を見遣ると五和が既に献立を決めていた。


五和「えっと……豚の冷しゃぶサラダと、ナメコのお味噌汁でいいかなぁ」

浦上「もう一品!」オネガーイ!


図々しくも風呂場から叫ぶ馬鹿2号。


五和「うーん……コウちゃん、他に何か材料ある?」

香焼「野菜室に色々無い?」

五和「ん……ホウレンソウ……白和えに……ジャガイモは簡単にジャガバタか……」


よくパッと思いつく。料理の才能だけは認めてやってもいいだろう。。


五和「……OK。とりあえず準備するわ。ウラー。お風呂終わったら布団準備しといてー」

浦上「あいよー」


無駄に洗練された無駄なコンビネーション。


五和「コウちゃんも宿題あるんならやっちゃっていいよ。出来たら呼ぶから」

香焼「あ、うん……」


真面目にしてれば清楚な少女なのに……勿体無い奴。
まぁ上条さん(好きな人)の前ではちゃんと猫被ってるし、本人的には問題無いのかな、と苦笑した。
13第1話――香焼「お前ら出てけぇっ!!」 [saga]:2011/03/05(土) 03:45:37.16 ID:aCI9TYL10
 ―――とある日、PM07:45、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・



香焼・浦上「「ごちそうさまでした」」ペコッ

五和「はい、お粗末さま」ペコッ


先程とは一転して、黙々と夕食を終える。大体20分くらいで食事を終えただろう。

天草式にとっては食事も鍛錬の一つである為、盛大に騒ぎながら飯を喰らう事など滅多にない。
ただしコレでも簡略化している方である。
この家では成るべく『オフ』の生活を送る。この3人(加え1名)で勝手にそう決めていた。


五和「さ、てと……食器洗っちゃお。ドッチかお風呂先入っちゃって」

香焼「自分は最後で良いっすよ。レポート終えてから入るから」

浦上「……」ジトー・・・


何やら変な目で自分を見てくる浦上。何事だ。


浦上「まさか……アタシ達の残り湯を……」ハッ!?

香焼「殴っていい?」ニコッ

五和「だ、駄目だよコウちゃん……いくら思春期真っ盛りとはいえ、姉ちゃん達をそういう対象に見ちゃ……」ドキッ!

香焼「歯ぁ食い縛れお前ら」ニコッ・・・


いつも順番なんて気にしてないだろうが。
この被害妄想モードに入った馬鹿二人に、どんな攻撃的な言葉を向けても、暴走は収まらない。


浦上「も、もしかして……私達が入っている途中に、侵入してきたりして……」キャー!

五和「た、確かに、昔は一緒にお風呂入って上げてたけど……もう、コウちゃん……良い年だし……」キャー!

香焼「何年前の話だ馬鹿女郎」ハァ・・・

浦上「『五和……ごめん。もう抑えられないっす!』ってな感じでえええぇー! きゃああぁー!」"レ(>∀<)ノシ”ベシベシッ!

五和「だ、駄目っ!! 私には心に決めた人がいるの! それに……間違ってるわ!! 姉と弟なのよ!!」(っ>ω≪)J|”キャー!

香焼「……勝手に言ってろ」テクテク・・・


トランス状態の二人を無視し、自室へ戻ろうと―――


 ピンポーン・・・・・


―――した瞬間、チャイムが鳴った。馬鹿二人が喧し過ぎて苦情が来たか?


香焼「はい、ドチラさまで?」ガチャッ・・・


居間にあるインターフォンモニターは使わない。後ろに失礼な身内が映ってしまう。
直接玄関に向かって、チェーンだけ掛けてあるドアを開いた。そこに居たのは……


神裂「こんばんわ」ニコッ


……一番偉いお姉さんだった。
14 :第1話――香焼「お前ら出てけぇっ!!」 [saga]:2011/03/05(土) 04:15:42.83 ID:aCI9TYL10
香焼「ぷ、女教皇様!?」ドキッ!

神裂「近くまで寄ったものですから、何をしているかと」


長い髪をポニーテールに括り、左右非対称のジーンズとデニムジャケットを着た奇抜な恰好。
更に腰にウエスタンベルト。そこに長刀(七天七刀)を携えて現れたのは、我らが天草式の女教皇様だ。
今日は、まるで似合わないスーパーのエコバックを持ち歩いてらっしゃる。


香焼「えっと……」タラー・・・

神裂「何か都合が悪かったですか?」フム?

香焼「い、いえ……ただ一報頂ければ、もう少し片付けておけたんすけど」アハハ・・・

神裂「ふふっ。そんなに気を使わなくても良いですよ」ニコッ


眩しい笑み。
気を使う使わないの問題じゃ無くて、部屋の中に『爆弾』が居るから入れたくないのだが。

ところがどっこい、まさかの発言をなさった。


神裂「五和から連絡を受けまして、是非遊びに来いと」

香焼「」

神裂「香焼、上がってもいいですか?」

香焼「」コクコク・・・


唖然と頷く。
女教皇様は『お邪魔します』と何処ぞの馬鹿共とは違い、丁寧に挨拶して部屋に上がられた。
荷物を受け取ろうとした際、女教皇様が『そうだ』と口を開いた。


神裂「香焼、夕食は済ませましたか?」キョロッ・・・

香焼「え……あ、はい」テクテク・・・

神裂「そう、丁度良かった……はい、御土産です」ゴソゴソ・・・


エコバックの中からゴトリと……メロンが飛び出してきた。
何故に、バックの中に直メロン?


神裂「貰い物です。土御門から渡されました」

香焼「そ、そうなんすか……」

神裂「3人で分けて下さい……ん? 五和と浦上は居間で何をやっているのですか?」キョトン・・・

香焼「い"っ……」ギクッ・・・


居間で身体をくねらせている阿呆二人(トランス状態)に気付いてしまったらしい……非常に拙い。
女教皇様は何の疑いも無く、二人に近づいて行った。


神裂「二人とも、何を―――」


浦上「『五和……いつも堂々とこんな恰好で……ホントは誘ってたんだろ、この大精霊さんめっ!』ってかぁオイ!」キャー!

五和「ち、違うの! この恰好は魔術的な意味合いで、その……駄目っ! 私達血は繋がって無くても家族なのよ!!」キャー!


神裂「―――」ボトッ・・・


手に持った長刀を落とした。そりゃ落としたくもなる……
15 :第1話――香焼「お前ら出てけぇっ!!」 :2011/03/05(土) 04:49:19.40 ID:aCI9TYL10
五和「あ、いや! そんな強引に……って、あれれ?」タラー・・・

浦上「『ホントはこうされたかったんだろ……なぁ』……ん?」タラー・・・

神裂「……こんばんわ」ゴゴゴゴ・・・


フリーズ姉妹。


五和「こ、ここ、これは、これは……か、カオリ御姉様……ご機嫌麗しゅう」アハハハ・・・

浦上「お、お早いお着きで……お荷物、御持ち、おいたしましょうか」ハハッ・・・

神裂「……正座」ジロッ・・・

五和・浦上「「ごめんなさいいぃっ!!」」ウギャアアッ!


ざまぁ見ろ。

それから暫く二人は女教皇様にしぼられていた。説教モードの女教皇様はかなり面倒臭い。
誰かが止めないと話をやめないのである。

時計の針が9時に近づいた所で、流石に止めに入る事にした。


神裂「―――……総じて悪乗りが過ぎます。香焼の歳を考えなさい。まだ中学1年なのですよ? 情操的にも――」

五和・浦上「「」」チーン・・・

香焼「あのー……女教皇様」コホンッ

神裂「――……はい。何でしょう?」チラッ

香焼「二人も懲りてますし、もう9時です。そろそろ」ン・・・

神裂「もうそんな時間でしたか……つい長くなってしまいましたね」フム・・・

五和・浦上((香焼ありがとおおぉっ!!))イエッスッ!


半ベソ笑顔の二人。良い薬だ。
最後にと女教皇様が謝罪を促し、お馬鹿騒動は終了。まったく疲れる話だ。


五和「ふぃ……足痺れた……」クラッ・・・

浦上「もう布団敷いて良い?」ハァ・・・

香焼「女教皇様がメロン持ってきてくれたっすよ。食べてから布団敷け」ホラッ

五和「女教皇様のベリーメロン?」ジー・・・


オマエは、何を言っているのだ。


神裂「五和……もう少し、お話が必要ですか?」┣¨┣¨┣¨┣¨・・・

五和「あ、あははは。じょ、ジョークですよ。いっつぁじょーく」タラー・・・

浦上「ほ、ほら。今切ってきますから、皆で食べましょう!」アハハ・・・

五和「か、カオリ姉様も食べますよねー。座って座って」ニコニコ・・・

神裂「むぅ……では、頂きましょう」フム・・・///


何故か軽く頬を染める女教皇様。この人は何故か『姉』扱いされると喜ぶ。存外単純な人だ。
馬鹿二人も調子に乗るから早く何とかしてほしい。
16 :第1話――香焼「お前ら出てけぇっ!!」 :2011/03/05(土) 05:15:00.95 ID:aCI9TYL10
一寸後、4人でテーブルを囲み談笑しながらメロンを食べていた。
折角女教皇様が居るので、今は噛む回数などは気にしない。

このまま平和な一時が過ぎ去れば良い……しかし、その考えは完熟メロンより甘かった。


浦上「そういえば、カオリ姉さんも泊るの?」

神裂「え?」キョトンッ

香焼「ゲホゲホッ!! おま……何だって?」タラー・・・

五和「そうだね。またモンバス大会しましょうよ」ニコッ


貴様ら、こっちの都合もお構い無しに……


神裂「うーん……明日の予定は……午前中は無いですね。大丈夫ですよ」ニコッ

五和・浦上「「やっほーぅ!!」」ワーイ!

香焼「ちょ、待てぃ……自分、明日学校って言ったろ」アタフタ・・・

五和「だから大人しくモンバス大会って言ったじゃん」ブーブー!


絶対無理だ。
3人一緒に泊る時は必ず宅呑み会場と化す。女教皇様も自制が外れるから厄介。


香焼「ハァ……絶対騒がない事。酒飲まない事」ジトー・・・

神裂「大丈夫、私がさせません!」キリッ!


貴女が毎度毎度、一番言い包められてるんでしょうが。


浦上「心配しなくてもいいよ。それに……ちゃんと朝起こしてあげるから。3人で」ニヤッ・・・

香焼「……勘弁してくれ」ハァ・・・


以前、『コウちゃーん……気持ち悪いよぉ……うっぷ』という具合に起こされた事が有る。最悪の目覚めをありがとう。
さておき、泊ると言い出したら何を言っても無駄なので次の行動に移る事にした。


香焼「じゃあ、女教皇様。先にお風呂どうぞっす」

神裂「え」キョトン・・・

浦上「香焼……アンタ」ジトー・・・

香焼「まだ、言うか?」ギロッ・・・

浦上「……うぃ」サーセン・・・


女教皇を指し置いて、一、教徒が風呂に入ることなどできない。それだけの話だ。
そう。それだけの話なのに……


3姉妹『……』ジトー・・・


何故か座った目で見詰められた。
17 :第1話――香焼「お前ら出てけぇっ!!」 :2011/03/05(土) 05:51:12.46 ID:aCI9TYL10
神裂「香焼……確かに教徒としては正しい判断です。しかし……」ジトー・・・

五和「あのねぇ、コウちゃん。この家の中では身分無しって約束でしょ!」ジトー・・・


何時、誰が、何処でそんな決まり事を作ったのだ。
お前らが勝手に作ったルールだろう。しかも此処は自分の家だ。そんなもの適用されない。


浦上「加えてカオリ姉さんの事、いつまで経っても『姉さん』って呼ばないしさ」ジトー・・・


自分はお前ら二人も姉と呼んだ覚えは無いぞ。


五和「もしかして……コウちゃん……まさか……」ハッ!

香焼「何すか……」

五和「御姉様の事……嫌いなの?」

香焼「はぁ?!」

神裂「え……そうなの……ですか」シュン・・・

香焼「ちょ、ま、ぷ、女教皇様!!?」ドキッ!


マジで落ち込んでる偉い人。
嫌いな訳無かろう。自分達の教皇を嫌う教徒が何処に居る。


浦上「また教徒とか立場とか……『神裂火織』は如何なのって聞いてんの!」ジロッ

香焼「な……おま……」アタフタ・・・

神裂「……」... (´;ω;`)ショボーン

香焼「ぐぅ……」タラー・・・


どうしてこうなった……


五和「コウちゃん……姉ちゃんは目上に対する偏見を持つよう育てた覚えはありませんよっ!」メッ!

香焼「違ぇよ! じゃなくて、その……女教皇様?」ダラダラ・・・

神裂「私の事……嫌いですか?」・・・ (´っω;`)ショボーン


卑怯です。助けて幻想殺し。


香焼「あの、えっと、だから……嫌いな訳無いですよ。こう、親身になって相談に乗ってくれたり、真剣に説教してくれたり……」アワワ・・・

五和・浦上「「……」」ニヤニヤ・・・

香焼「よく『一、姉として』って仰ってますけど……ホント、最近では身近な感覚が……って、え?」キョトン・・・

五和・浦上「「……」」プッ・・・

神裂「ふふふっ……冗談ですよ。すいません香焼。だけど私の事を『姉』と呼んでくれれば尚嬉しいです」クスッ

香焼「む、無理、です……」カアアァ・・・///


畜生。どうやらまんまと一杯喰わされた。 
19 :第1話――香焼「お前ら出てけぇっ!!」 :2011/03/05(土) 05:55:38.82 ID:aCI9TYL10
コイツら絶対姉と呼んでやるものか! 心の中でそう誓った!
その直後―――


五和「くっ……私の弟がこんなにツンデレなわけがない」2828・・・

浦上「ぷっ……お姉ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!」2828・・・


―――図に乗る馬鹿共。コイツら……






香焼「お前ら出てけぇっ!!」ガアアァッ///






3姉妹『テレ隠しだ……真っ赤っか』ニヤニヤ・・・


結局、夜遅くまで馬鹿(申し訳無いが女教皇様含む)共にからかわれ、次の日遅刻した。

……建宮さんにお願いして、アイツら入室禁止にしてもらおう。
25>>1 [saga]:2011/03/05(土) 23:31:54.03 ID:aCI9TYL10
こんばんわ。今日も小話投下……の前にレス返信。


>>8
一人称の使い分けは恰好良いね! ステイルくんには色々、頑張って貰うよ(ニヤッ・・・

>>21
はて・・・誰かなw?

>>22
キャラ崩壊注意!

>>23
絹旗は今回出しちゃいます。あわきん未定。あと私、エロっちぃのは書いた事無いから……

>>24
みんな僕っ子好きだね。でも香焼を僕っ子にすると……理樹にゃんになっちゃうイメージがw

ついでに、今回の登場キャラ設定!


<主な登場人物②>

・絹旗最愛……準レギュラー的ポジションかも。そのうち『カミやん病』患者の被害者になる……かもしれない。アニメはまだ出てない。
        超学生(中学1年)。能力は「窒素装甲(オフェンスアーマー)」の大能力者(レベル4)。「暗闇の五月計画」の被験者。
        呼称は……絹旗、きぬはた、最愛、もあい。

        学園都市暗部『アイテム』所属。学校は「霧ヶ丘女学院中等部・特別学級」。中学校には名前を置いているだけ。
        「置き去り(チャイルドエラー)」出身。性格は人見知りだが、仲良くなると面倒見が良くなる。
        アイテムの中では比較的常識人だが、B級映画等、人には理解されにくいモノが好きという不思議な感性を持っている。
        仕事中はキャリア顔負けの冷静さ。しかし日常生活では基本アイテム以外の人間には懐かない。
        ただし年下や動物など、純粋で慾の少ないモノに対しては幾らか心を開く。(以下追々付け足していきます)
         

という訳で、今回はモアイちゃんの出番です。よろしくっ! 
26第2話――香焼「絹旗……最愛(もあい)?」  絹旗「サイアイちゃんですっ!!」 [saga]:2011/03/06(日) 00:10:17.74 ID:w1T0pmTu0
 ―――とある日、PM07:30、学園都市第7学区、とあるイカレ自動販売機在中の公園・・・・・



雨が降っていた。

秋の小雨は異様に冷たく、体力をガリガリ削って来る。
自分―――香焼は、平日のこんな時間、人気の無いこの公園へと足を運んでいた。
何故こんな馬鹿げた行動をしているかというと、理由は単純。仕事……というより『お使い』である。


香焼「態々雨の中、第7学区まで走らせるとか……何考えてるんすか」ハァ・・・


この日も夕方遅くまで学校に缶詰。グダグダと雨の中、家に帰る。
部屋の鍵を開け早くシャワーを浴びようと荷物をソファに置いた―――刹那、ふとこの置手紙の存在に気付いた。

内容は、タイプ字で……『この袋を第7学区の○○公園まで持って行け。時間は今日の20時だ。確実に持って行け、コウちゃん』と書いてある。
自分は即行で馬鹿1号に電話した。


<回想>


 ――Prrrrr・・・・・


五和『はいはい。どうしたのー?』Pi!

香焼「おい、何だこの袋」

五和『なっ!!? ……何の事カナ?』タラー・・・

香焼「……ざけんな」イラッ・・・


オマエ以外に『コウちゃん』と呼ぶ阿呆はいない。


五和『ミスったあああぁっ!!』ガーン・・・

香焼「喧しい。いいからこの袋、何なのか教えろ」ハァ

五和『くっそぉ……折角態々プリンターまで使ったのに……』グゥ・・・


詰めが甘いぞ、馬鹿女郎。


五和『えっと、それね……建宮さんからの頼まれモノ』

香焼「教皇代理からの?」

五和『うん。ICカードとか雑貨とか、色んなモノ入ってると思うんだけど……それ渡しといて』

香焼「渡す? 誰に?」

五和『……』タラー・・・


口籠る五和。


五和『……ステイルさん』ボソッ

香焼「は? ステイルに?」ヘ?

五和『うん。渡しといて』


何か腑に落ちない……どうして、自分が?
27 :第2話――香焼「絹旗……最愛(もあい)?」  絹旗「サイアイちゃんですっ!!」 [saga]:2011/03/06(日) 00:30:55.95 ID:w1T0pmTu0
香焼「オマエが頼まれたんじゃないんすか?」ジトー・・・

五和『うっ……だってぇ……』タラー・・・


人に仕事押し付けやがって。


五和『私……あの人、苦手なんだもん』

香焼「……は?」ポカーン・・・

五和『コウちゃん、ステイルさんと仲良いでしょ。お願い!』パンッ!


苦手って……それだけの理由で仕事を放棄したのか?


五和『……お願い』ボソッ・・・

香焼「……ったく」


物は自分の目の前にある。今更取りに来て渡せと言っても、二度手間だ。しょうがない。


香焼「今週の潜入レポートの作成、手伝えよ」ギロッ

五和『えぇ……』ヤダー・・・

香焼「じゃあ無視する。教皇代理に怒られろ」フンッ

五和『わ、分かったよぅ! ……ケチ』ボソッ・・・


何か言ったか?


五和『な、何でも無い! じゃあ宜しく!』Pi!

香焼「おい! ……切りやがった」ハァ・・・


現在の時刻は6時半くらい。確か第7学区方面行きのバスは、今日はもう来ない筈。
仕方ない……散歩がてら走って届けるか。


 <回想終了>


―――……という理由で今に至る。


香焼「しかし……ちょっと早く着き過ぎちゃったっすかね」ハァ・・・


途中から折り畳み傘を開き歩いたのだが、まだ7時半だ。
何処かのコンビニにでも寄って時間を潰せば良かった……そう考え、一度公園を突っ切ろうとした時だった。


香焼「……女の子?」ジー・・・


ポツンと光る自動販売機の下に、人がしゃがんでいる。
傘もささず、何だか不気味だったが……よくよく見る。すると自販機の下を覗き込んでいる事に気付いた。
多分、お金を落としたのだろう。

無視は出来ない。


香焼「救いの手を……ってね」テクテク・・・


どんなに小さくても、人助け。誰に褒められる訳ではないが、己を褒めてやれる。
そういう『教え』だ。
28 :第2話――香焼「絹旗……最愛(もあい)?」  絹旗「サイアイちゃんですっ!!」 [saga]:2011/03/06(日) 01:09:49.08 ID:w1T0pmTu0
香焼「君」テクテク・・・

??「っ!!」ビクッ!


女の子の方に歩み寄る。自分より少し小さいくらいの少女だ。


香焼「どうしたの?」

??「あ、えっと……その……」アタフタ・・・

香焼「……もしかしてお金落としたとか?」

??「え、あ……はい。財布ごと」コクッ・・・


器用な落とし方をするものだ。
自分はちょっと退いてと少女を促し、傘を畳んで柄の部分を使い、財布を引っ張り出してやった。


香焼「はい、どうぞ」ニコッ

??「あ、ありがと……」コクッ


しかしこんな小さな子が、夜中雨の中一人とは感心できない。


香焼「君、一人? もしかして迷子? だったら風紀委員(ジャッジメント)の詰め所まで案内するけど」

??「……そんなに子供じゃありません」ムッ・・・

香焼「あはは。そっか。そうだね」


小学生高学年くらいであろう少女は、可愛らしく頬を膨らませた。
『そこ退いて下さい』と睨まれ『武蔵野ホットミルク(缶)』と書かれたジュースを購入。それ、美味しいのだろうか。
そして自分を見向きもせず、トコトコと歩き出す。例の一つもなく帰るとは……悲しいモノだ。


香焼「……ん?」チラッ


と、思いきやゴソゴソと茂みの方に入って行った。


香焼「ちょ……何処行くんすか?」アタフタ・・・

??「……」テクテク・・・


無言で突き進む少女。まさかホームレス少女という訳ではあるまい。
どうにか止めなければと後を追うと、一寸先で止まった。丁度大きな木陰となる場所。雨は当たっていない。

そこには……


ぬこ「みー」

香焼「……猫?」キョトン・・・

??「……」スッ・・・


ダンボールに入った泥んこ子猫がいた。ダンボールには、どうも御丁寧に『育てて下さい』と書いてある。
そんな事をするくらいならペットを飼うなと、憤りを感じる典型的な例である。

さておき、少女は先程買ったホットミルクを飲ませようと猫の前にしゃがみ込んだ。
淹れる器など無い。ダンボールの内側、布の無い部分にチロチロとジュースを垂らした。


??「……飲みました」ナデナデ

ぬこ「みゃー」


ペロペロと水溜りになったミルクを舐める子猫。
しかし、実際の猫に牛乳を飲ませたら腹を下す。如何したものか……やはり告げるべきだろう。
29 :第2話――香焼「絹旗……最愛(もあい)?」  絹旗「サイアイちゃんですっ!!」 [saga]:2011/03/06(日) 01:28:03.92 ID:w1T0pmTu0
香焼「……猫に牛乳飲ませちゃいけないっすよ」

??「え……そうなんですか?」キョトン・・・

香焼「お腹壊しちゃうからね」


『そうなんだ……』と表情を翳らせる少女。困ったもんだ。


??「どうすればいいんですか?」チラッ

香焼「やっぱりちゃんとした餌だろうけど……」


その前に大事な事を聞かねば。


香焼「君、その猫飼うの?」

??「え」ビクッ・・・

香焼「飼うなら色々教えるけど……飼わないなら、申し訳無いけど……」

??「……放っておけと」

香焼「うん……」コクッ・・・


残酷だが、そうするしかあるまい。
運良く生き延びれば、清掃業者が保健所に報告してくれるかもしれないし、誰かが飼うかもしれない。

少女は悲しそうに、無言で猫を撫で続けた。


??「……お前、死んじゃうって」シュン・・・

ぬこ「み?」キョトン・・・

??「ははは……言っても分からないですよね……」ナデナデ・・・

香焼「……」ジー・・・


何だか虚しくなってきた。ふと、少女が呟く。


??「アナタは飼えない?」ジー・・・

香焼「え? うーん……」


ペット禁止のマンションではないが……ペットを飼おうだなんて考えた事無い。
しかし、この少女の悲しげな顔を見ると首を横に振れなかった。


香焼「……飼い主が見つかるまでなら、置いてあげられる」ハァ・・・

??「ほ、本当ですか!?」パアァ!

香焼「あくまで、飼い手が見つかるまでっすけどね」ポリポリ・・・

??「あ、ありがとうございます! 良かったな、オマエ!」ニコッ!

ぬこ「にゃー」グシグシ


まったく、ただでさえ面倒な雌猫がでいりしてるというのに、また増えてしまった……対価(メリット)はこの子の笑顔と、猫の寿命延長。
我ながら馬鹿な御人好しだと思う。
30 :第2話――香焼「絹旗……最愛(もあい)?」  絹旗「サイアイちゃんですっ!!」 [saga]:2011/03/06(日) 01:52:26.75 ID:w1T0pmTu0
 ―――とある日、PM07:45、学園都市第7学区、とあるイカレ自動販売機在中の公園・・・・・



それから猫をダンボールから取り出し、さっきの自動販売機前まで戻った。
泥だらけのままでは可哀想なので、ステイルに渡す雑貨の中から勝手にタオルを取り出し、身体を拭いてあげた。
ついでにあんパンも取り出し、餡の無い部分だけを子猫に与える。
ポロポロ溢しながらではあるが、一生懸命食べていた。碌に何も口にしていなかったのだろう。

少女は無言で猫を凝視していた。


香焼「とりあえず、座る?」

??「……」コクッ


濡れたベンチを二人分座れるようタオルで拭き、チョコンと腰を下ろす。
そして先程から猫が気になってしょうがない少女に、そっと渡した。


??「……にゃー」

ぬこ「にゃー」

香焼「……ぷっ」クスッ

??「あ……べ、別に良いじゃないですか!」カアアァ・・・///

香焼「駄目とは言ってないっすよ。でも、そんなに好きなら飼えば良いのに」

??「私は……世話になってる立場なので、猫飼いたいだなんて、言ないんです」シュン・・・

香焼「……そっか」


人それぞれ事情はある。深くは聞かない。
とりあえず傘を少女と猫に被せ、簡単な質問をした。


香焼「そういえば、どうしてこんな時間に公園に? 最終下校時間は過ぎてるけど」

??「学校行ってませんから、そんなの関係有りません。映画見に行った帰りに、この公園突っ切ろうとしたらこの子の鳴き声が聞こえました」

香焼「えっと……」


ツッコムべきか、ただ頷くべきか。


香焼「君、家出娘なの?」

??「家出娘って……この学園都市で親と暮らしてる人間こそ、そんなにいないでしょう」

香焼「まぁ、そうだけどさ……何て言うか……」ポリポリ・・・

??「超成績優秀生なんです。私、大能力者(レベル4)ですから学校なんか行く必要ありません」エヘンッ

香焼「へぇ、大能力者かぁ。凄いなぁ」ヘー・・・

??「……信じてないですね」ジトー・・・


小学生の大能力者なんて、そうそういないだろう。しかも学校行ってないのに高位の能力者だなんて、信じられる訳が無い。
31 :第2話――香焼「絹旗……最愛(もあい)?」  絹旗「サイアイちゃんですっ!!」 [saga]:2011/03/06(日) 02:19:26.21 ID:w1T0pmTu0
自分の棒声に腹立ったのか、語気を上げて少女が喰いついてきた。


??「っていうか、小学生相手にそんな超嘗めた口聞かれたくないんですけど」ジトー・・・

香焼「……」カチンッ・・・


コイツは、言ってはならない事を……
自分の中で『身長』と『信心の自由』を馬鹿にされるのは、最も嫌いな事だった。


香焼「あのね……残念ながら自分は中学生っす」フンッ

??「はいはい。そーですねー」ヘー

香焼「君こそ、小学生なのに夜遅くまで出歩いて身内に迷惑掛けるっすよ」ジトー・・・

??「なっ!! ぐぬぬ……私は超学生です……」ギロッ・・・

香焼「何だよ超学生って」ハイ?

??「間違えました。中学生なんです! 学校には通ってませんけど……でも中学生です!」


意地を張る自称中学生女子。
此処は年上の貫録を見せるしかないなと、財布から生徒手帳を取り出し、少女に見せ付けた。


??「あ、ホントに中学生なんですか。しかも『▲▲▲学院』って……理事養成(エリートキャリア)校」キョトン・・・

香焼「フンだ。自慢したい訳じゃ無かったすけど、そういう事っす」

??「ぐぬぬ……じゃあ私も」ゴソゴソ・・・


先程拾ってやった財布をバリバリ開き、学生証らしきICチップ付きカードを見せてくる少女。


??「ほら!」ドヤッ!

香焼「えっと……」ジー・・・


 ――『霧ヶ丘女学院中等部:一学年特別学級……絹旗最愛』――


香焼「霧ヶ丘……特殊能力(レアスキル)なんだ」

絹旗「えっへん! そうです、超凄いんです!」ニコッ!


霧ヶ丘女学院。名門の御嬢様校だ。
常盤台に並ぶ名門で『奇妙・異常・再現するのが難しい』イレギュラー的な能力者の開発のエキスパート校である。

ただし、潜入任務として都市内に入り込んでいる天草学徒からすればあまり良い評判はない。
後援(バック)にある霧ヶ丘付属研究所は『宜しくない研究』を多々行っているからだ。


香焼「成程、大能力者ってのも嘘じゃ無かったんすね」キョトン・・・

絹旗「そう言ったでしょう。驚いたか、香焼とやら!」フフーン!

香焼「ま、まぁね……」アハハ・・・

ぬこ「なー」スリスリ


ニヤニヤと天狗になって、猫を撫で続けているいる絹旗少女。
……何だか、ローマ正教所属の虐めっ娘シスターに似ているなと考えてしまった。
32 :第2話――香焼「絹旗……最愛(もあい)?」  絹旗「サイアイちゃんですっ!!」 [saga]:2011/03/06(日) 03:01:07.27 ID:w1T0pmTu0
ふと公園中央の時計を見る。もう少しで8時だ。
この子は何時まで此処に居るのだろうか。


香焼「君、帰りはどうするの?」

絹旗「迎えが来ますよ。もう少しで来ます」

香焼「そっか。良かった」

絹旗「そういえば――は、なんでこの公園に?」


・・・・・


香焼「……え?」キョトン・・・

絹旗「だから――は何故この公園に居るんですかって」


そこで自分が呼ばれている事に気付く。
名前で呼ばれるのは大分久しぶりだ。一瞬マジで分からなかった。


香焼「自分は待ち合わせっすよ。8時くらいに……友人(?)が来るっす」

絹旗「あはは。こんな時間に待ち合わせなんて、大概不良ですね。――は」クスッ

香焼「君も人の事言えないだろう……あと、出来れば苗字で呼んで欲しいっす」


恥ずかしながら、自分が呼ばれている事に気付けない。


絹旗「どうしてです? あ、もしかして『見知らぬ女に名前を名前を呼ばれるにゃ早過ぎるぜ、ベイベ』とか思ってます?」

香焼「何だそれ……いや、名前で呼ばれ慣れてないんすよ。ハッと気付けない」

絹旗「へ? ……超変なの。ねー」

ぬこ「なー」


我ながら変だと思う……が、仕方あるまい。
きっと魔女の仕業だろう。次元が歪んでそうさせているんだ。うん、そうに違いない。


絹旗「分かりました。香焼(こうしょう)ですね。じゃあ私も『君』じゃなくて名前で呼んで下さいよ」

香焼「コウショウじゃなくて『コウヤギ』って読むんすよ。まぁ難しいけどね」


九州出身であれば話は別だが、初見の人間には分からないだろう。


絹旗「九州ですか。えっと……確か日本の下の方ですよね」ウーン・・・

香焼「南って言おうよ」アハハ・・・

絹旗「う、五月蠅いですね……社会弱いんですよ……」グゥ・・・

香焼「あはは。さっき君、成績優秀性って言ってたじゃないか」クスッ

絹旗「別に何かに超特化してれば問題ありませんよ。理数が出来ればこの街で生きていけます。社会なんて将来役に立ちません!」フンッ!


なにその霧ヶ丘的(超偏屈)思考。てか生きて行くだけなら社会『が』必要だろうに。


絹旗「それよりまた『君』呼ばわりですか? 名前覚えてます?」ジトー・・・

香焼「あ、ごめんごめん。えっと……」


確か……絹旗最愛。きぬはた……さいあい?
33 :第2話――香焼「絹旗……最愛(もあい)?」  絹旗「サイアイちゃんですっ!!」 [saga]:2011/03/06(日) 03:35:16.19 ID:w1T0pmTu0
香焼「絹旗……」ボソッ・・・

絹旗「はい」コクッ・・・


そこで言葉を止めた。

待て待て『さいあい』なんて名前有り得るのか?
いや、無くは無いかもしれないがストレート過ぎる。きっともうちょっと名前っぽい名前だろう。

もあい、もちか、もえ、もなる、もまな、さいえ、さいな……候補はこれくらい。更に絞れば『もえ』か『さいな』だと予想。


香焼「……もえ?」チラッ

絹旗「はい? 萌え?」キョトン・・・


違うらしい。じゃあ……


香焼「さいな」

絹旗「へ? 香焼、さっきから何言ってるんですか?」


悉く外れらしい。ということは……


香焼「じゃあ絹旗……さいえ?」フム・・・

絹旗「……」ポカーン・・・

香焼「もちか、かな?」ウーン・・・

絹旗「……ああ、名前ですか」ポンッ

香焼「もなる、か?」エット・・・

絹旗「サイアイ、です」サラッ


何か言ってるが、正解じゃないらしい……何だろう?


香焼「絹旗……最愛(もあい)?」チラッ・・・

絹旗「サイアイちゃんですっ!!」ガアアァッ!

香焼「え」キョトン・・・

絹旗「キ・ヌ・ハ・タ・サ・イ・ア・イぃっ!! 最も愛するで『サイアイ』ちゃんっ!! モアイとか言うなっ!!」ギロッ!!

ぬこ「なぅ!」シャー!

香焼「ご、ごめんなさい」タラー・・・


耳元で怒鳴られた。どうやらストレートで正解だったらしい。残念。


絹旗「さっきから何言ってるかと思ったら、名前当てしてたんですね」ハァ・・・

香焼「あはは……素直に聞けば良かったね。ごめんごめん」

絹旗「もう……でもモアイ以外で呼ばれたのは初めてですね。よくパッと出てきます」

香焼「まぁ文系人間だから、ね」クスッ

絹旗「成程。私とは逆のタイプって事ですか」クスッ

香焼「そうかもね……でも良い名前だと思うよ。最愛」ニコッ

絹旗「っ!! あ、ありがと……」ポッ・・・///


照れてしまった。存外、この子も名前で呼ばれ慣れてないタイプなのかもしれない。
34 :第2話――香焼「絹旗……最愛(もあい)?」  絹旗「サイアイちゃんですっ!!」 [saga]:2011/03/06(日) 04:45:32.42 ID:w1T0pmTu0
 ―――とある日、PM08:00、学園都市第7学区、とあるイカレ自動販売機在中の公園・・・・・



それから暫く、二人で話をした。
といっても、彼女が一方的に話をしてきたので自分は聞き役に回るだけ。
それでも楽しそうに話すこの子を見ているだけで、何故か嬉しかった。


絹旗「―――……そしたら皆して私の事『小学生だろ』って。超失礼しちゃいますよ!」プンスカ!

香焼「ははは。それは同意する」クスッ


お互い見た目が幼い故に、同じ苦労をしているらしい。
さておき、話を聞く限りだと、この子にも友人と呼べる人達がいるようだ。


絹旗「ううん。その人達は……仕事仲間、かな」ボソッ

香焼「……仕事仲間?」エ?

絹旗「あ、いや、何でもありません! えっと仲の良い『バイト』仲間って感じなんですよ」アハハ・・・

香焼「自分と同い年なのにバイトしてるんすか。偉いっすね」

絹旗「そうなの、かな……私……」ハハ・・・


何処となく、悲しい笑顔。

余談だが、バイトではないにしろ自分(潜入学徒)にはある程度の給金が入っている。
任務として都市に入っている以上、必要経費と学費、それから余暇を有意義に過ごせる分の額は振り込まれていた。
ただし自分の場合は学校が忙しくて遊ぶ暇が無い為、かなりの貯蓄が溜まっている。

自分で言うのも何だが……灰色の青春とやらかもしれない。畜生め。


香焼「……学校の友達は?」

絹旗「……学校は、一定の研究レポートを提出すれば問題無く卒業できますから……友達なんて、いませんよ」

ぬこ「にゃー」スリスリ・・・

絹旗「ふふっ……オマエは友達かな?」クスッ・・・

香焼「……」


自分は馬鹿だ……何が灰色の青春だ。この子は真っ黒そうじゃないか。


絹旗「……良いんですよ、別に。生きているだけでも幸せなんです」

香焼「そんな事……」

絹旗「あはは……ついでに不幸自慢しちゃうと、私、『置き去り』出身なんです」


置き去り(チャイルドエラー)……学園都市における社会現象の一つだ。所謂、親による子供の『捨子』行為。
原則、入学した生徒が都市内に住居を持つ事となる学園都市の制度を利用し、入学費のみ払って子供を寮に入れ、その後に行方を眩ます行為。
親による養育拒否のケースもあれば、親が死亡・蒸発してしまうケースもある。

ただ学園都市には置き去りにされた子供を保護する制度が存在するが、それを逆手に取り非人道的実験を行う研究チームも存在するという。


絹旗「親の顔なんて知りません。施設も碌なとこじゃなかったから、友達なんて……」フフフ・・・

香焼「……ごめん」シュン・・・

絹旗「どうして謝るんですか? 私の不幸自慢って言ったでしょう」クスッ

ぬこ「なー」

絹旗「……この子と同じなんですよね。貴方がこの子を一時的に助けてくれたように、私も都市に助けられた」


最愛は『そんなもんですよ、世の中は』と猫を撫で続けた。

言葉が……出なかった。
35 :第2話――香焼「絹旗……最愛(もあい)?」  絹旗「サイアイちゃんですっ!!」 [saga]:2011/03/06(日) 05:11:40.22 ID:w1T0pmTu0
それから暫く無言が続いた。
ふと最愛が自分の携帯を取り出し、画面を見る。どうやらメールが入っていたようだ。


絹旗「あー……そろそろ行きますね。迎え来てたみたいです」スッ

香焼「あ、うん」スッ


笑顔で子猫と傘を自分に渡す。何処か寂しそうだった。


香焼「傘、持ってっていいよ。濡れるっす」

絹旗「濡れませんよ。私の能力です」クルクルッ


そういえば……始め見た時も濡れてなかったかも。
その場で一回転してみせる最愛。確かに衣服の表面上で水が弾いているようだった。
特殊能力者らしいし、きっと大気操作系か水力使いの能力なのだと思う。


絹旗「そんなとこです……ま、今日はありがとうございました。その子の事、超よろしくお願いしますね」スタッ・・・

ぬこ「みー」

香焼「最愛……」

絹旗「……バイバイ」ニコッ・・・


手を振り、公園の出口へ駆けていく『独り』の少女。これで、良いのかな……


香焼「良くない……よね」ハァ・・・


同情では無い。
ただ、己を救われないと勘違いしている子を捨て置く様な『教え』を、自分は受けた覚えはない。


香焼「最愛っ!」オーイ!

絹旗「……え」ピタッ

香焼「……また、会える?」ニコッ

絹旗「へ?」キョトン・・・

香焼「また会ってくれるかなって」

絹旗「な……っ」///


目を丸くし、口をあんぐり開け硬直する最愛。そんなに驚く事だったのだろうか。
36 :第2話――香焼「絹旗……最愛(もあい)?」  絹旗「サイアイちゃんですっ!!」 [saga]:2011/03/06(日) 05:28:34.86 ID:w1T0pmTu0
自分は立ち止まる最愛の下まで歩み寄り、話を続けた。


香焼「今度会う時まで、子猫(コイツ)預かってて上げるからさ。またお話、してくれるかな」

絹旗「……いいの?」チラッ・・・

香焼「うん、大丈夫っすよ。任せて」ニカッ

絹旗「で、でも……何だか超申し訳無いです……」モジモジ・・・

香焼「……じゃあ、自分が最愛と話をしたいから、そのついでにこの子も連れていく。これでいいでしょ?」ニコッ

絹旗「あ……う、うん……わ、分かりました! そ、そこまで言うなら、仕方ないですね! また会いましょう!」ニコッ・・・///

香焼「うん」クスッ

ぬこ「にゃんっ」パタパタ!


そして自分達は連絡先を交換した。
それから『またね』と再会の約束をし……今度こそホントの笑顔で、お別れをした。


香焼「……良い子、なんだけどね」クスッ・・・

ぬこ「なぁ」スリスリ・・・


彼女が見えなくなって一寸後、自分は子猫を抱えてベンチへ戻った。


香焼「置き去り、か……しかも学校に行ってないなんて。何して過ごしてるんだろう……」ムゥ・・・


これも学園都市の悩みの一つ。理事校の『都市政経』の授業で習った事を思い出す。
深くは追求しなかったが、もしかして過去に非人道的な扱いを受けていたのかもしれない。
世の中には金欲しさで、支援金を横領する為だけに、施設を建てる輩もいるからなぁ……嫌な社会だ。

色々物思いに耽りながらベンチに戻る。
そこで、とても重要な事を気付いた。『気付かされて』しまった。


香焼「あ」ピタッ・・・


ベンチに……大男が座っていた。傘もささず、曇天を仰いで煙草を吹かしている。


ステイル「……」フゥ・・・


完璧、忘れてた。
37 :第2話――香焼「絹旗……最愛(もあい)?」  絹旗「サイアイちゃんですっ!!」 [saga]:2011/03/06(日) 05:59:19.67 ID:w1T0pmTu0
ステイル「ハァ……びしょ濡れだ」ガサッ・・・

香焼「うっ……」タラー・・・


自分がベンチに置きっ放しにしていた袋を持ち上げてみせる不良神父。


ステイル「君はお使いも碌に出来ないのかな? 香焼くん」ジトー・・・

香焼「ぐぅ……ごめん」ペコッ

ステイル「まったく……ICは無事だったから良かったモノの、差し入れは殆ど死んでる」ガサゴソッ

香焼「……申し訳無いっす」フカブカー・・・

ぬこ「にゃー」


傍から見れば、ガラの悪い兄(あん)ちゃんが小さい子を虐めている様に見えるかもしれないが、これでも一つ違いだ。
英国清教の中で数少ない年の近い同性の人間である。

コーヒー奢れと睨まれたので、素直に応じ、ブラックコーヒーと自分の分のカフェオレを購入した。


香焼「はい、どうぞ」スッ

ステイル「ん……喫うかい?」スッ・・・


煙草を指し出してくる阿呆。


香焼「未成年っす」ジトー・・・

ステイル「知ってる。一本どうだ?」ホレ

香焼「……いらない」ハァ・・・


自分は長い時間を掛けて自殺する気なんかサラサラ無いのだ。


ステイル「肺癌で死ねたら本望だよ……それより……飼うのかい?」チラッ

香焼「え? あ、えっと……預かるだけ」ナデナデ

ぬこ「みゃぅ」

ステイル「……御人好し」フゥ・・・

香焼「お褒めに預かり光栄で」アハハ・・・

ステイル「しかしまぁ……君も隅に置けない奴だね」ニヤッ・・・

香焼「はい?」

ステイル「さっきの娘だよ」ニヤニヤ


見てたのか。意地の悪い奴め……
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 06:05:03.63 ID:jH3Rm9YAO
五和がウラーとか言うとジェロニモごっこしてるみたいでちょっと笑える
39 :第2話――香焼「絹旗……最愛(もあい)?」  絹旗「サイアイちゃんですっ!!」 [saga]:2011/03/06(日) 06:29:22.17 ID:w1T0pmTu0
香焼「この出刃亀野郎……いつから見てたんだよ」ジトー・・・

ステイル「二人で仲良さそうにベンチでお話なさっている所からでございますよ、坊ちゃん」ニヤニヤ・・・

香焼「ぐぬぬ……」

ステイル「まったく、使いも忘れて……ICが壊れてたら如何するんだい?」

香焼「……だから悪かったろって」

ステイル「まぁあと煙草一箱分で許してやるよ」


足元見やがって……


香焼「ハァ……それでそのカード何なんすか?」

ステイル「とある書類データだよ。君が深入りする必要はない」

香焼「はいはい。そうでございますね、主教補佐殿」


片や傘下宗派の一教徒、片や大本の頭補佐……我ながら変な組み合わせだと思う。


ステイル「しかし、香焼。もう少し言葉を選んだ方が良いぞ」クスッ

香焼「え?」キョトン・・・

ステイル「『可愛い』だとか『また会ってくれる?』だとか『またお話したい』とか……君は女衒師(ホスト)かい?」ククク・・・

香焼「う、五月蠅いなぁ」フンッ・・・

ステイル「ははは。まるで『あの男』のようだな」ニヤニヤ


あの男とは、幻想殺し――上条当麻の事だろう。褒めてるんだか、貶してるんだか。


ステイル「まぁ仕事に差し支えない程度で遊べよ。女遊びが理由で任務失敗しましただなんて、知人として恥ずかしいからな」ハハハ!

香焼「女遊びとか言うなっつの……友達だよ。普通のね」

ステイル「友達、ねぇ……」ジジジ・・・フゥ

ぬこ「なー」


お前と同じな、とは言わない。
コイツはどっちかというと『悪友』といった感じだし、『友』と言った瞬間、照れ隠しで煙草を飛ばしてくるやもしれない。


ステイル「勝手にするといい。ま、荷物は受け取ったし今日はもう帰るよ」スタッ

香焼「うん。自分も帰るっす」コクッ


立ち上がって出口に向かう。歩きがてら、ふと、ステイルが呟いた。
40 :第2話――香焼「絹旗……最愛(もあい)?」  絹旗「サイアイちゃんですっ!!」 [saga]:2011/03/06(日) 06:41:25.41 ID:w1T0pmTu0
ステイル「そういえば、如何して君がお使いだったんだ?」チラッ

香焼「え?」キョトン・・・

ステイル「神裂から誰かが来るとは言われてたけど、態々第1学区の君が来るとは思わなかったよ」


自分は正直に理由を話した。すると……


ステイル「五和が?」

香焼「うん。押し付けられた」ハァ・・・

ステイル「……可笑しな話だ。彼女は第7学区だというに」フゥ・・・

香焼「まぁそうなんだけど……ちょっとね」アハハ・・・


本人を目の前に、苦手だと教える事は出来ない。


ステイル「ふぅん……本人はノウノウと上条当麻の家に居るのにな」

香焼「」ピタッ・・・

ステイル「……ん?」


……ナンダッテ?


ステイル「だから、五和は上条当麻の家に居るぞ。今頃、夕食を終え茶でも啜ってるんじゃないか?」

香焼「」プルプル・・・

ステイル「どうした? 知らなかったのか?」

香焼「あの……馬鹿女郎……」ギギギギ・・・

ステイル「……ま、まぁドンマイだ」タラー・・・


今度顔見せたら色んな意味でボコボコにしてやる……心の中でそう誓う。


ぬこ「ぬぉー」スリスリ・・・

香焼「ぐぬぬ……ちくしょー!」ウワーン!


こうして雨の日の、不思議なお使いは幕を閉じた……―――
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 06:49:51.20 ID:MF1ad+4Wo
汚いな流石五和汚いwww
42 :第2話――香焼「絹旗……最愛(もあい)?」  絹旗「サイアイちゃんですっ!!」 [saga]:2011/03/06(日) 06:53:46.58 ID:w1T0pmTu0
 <おまけ>

―――とある日、PM08:15、学園都市第7学区、とある大通り、とある車内・・・・・



絹旗「ふんふふ、ふんふふ、ふんふーふ~♪」ニコニコッ

浜面「どうした? 何だか楽しそうだな」チラッ

絹旗「え? そ、そうですか?」

浜面「まぁな。良い事でもあったのか?」

絹旗「そうですね……そうなのかもしれません」クスッ

浜面「ふーん。面白い映画でも見つけたとか」

絹旗「へへへ。超内緒ですよー」ニコッ

浜面「そう言われると気になるなぁ」ハハハ

絹旗「ふふっ。そうですねぇ……じゃあ少しだけ」

浜面「お!」

絹旗「……『友達』……かな」クスッ

浜面「へ? と、友達?! オマエにか!!?」キョトン・・・

絹旗「超失礼な奴ですね……麦野達に言うんじゃありませんよ」ジロッ・・・

浜面「あいよ、内緒な。しっかし……人見知りのオマエがねぇ」アハハ

絹旗「五月蠅いですね……へへっ」ニコッ

浜面(……ま、いいか)クスッ



……早く、メール来ないかな。 
48>>1 :2011/03/08(火) 22:11:34.19 ID:M8wvRWn20
こんばんわ! 今日も小話です。先にレス返し。


>>44
五和達がメインってどんなのがいい? ちなみに最愛ちゃんは皆の妹です。

>>45
カミやん病被害者にはあるかもしれないけど、コンセプトは友情です。

>>46
アニーとアンは人気だね。香焼とカミやんの組み合わせって新鮮かも……上条×香焼?

>>47
ミサカーズは絵になるね。佐天さんは近いうち出す予定だよ。ちなみにアナタはアワキン・スカイウォーカーさま?


はい。さておき今日はまた天草4姉弟の話です。


<主な登場人物③>

・上条当麻……おなじみ主人公さん。だけどこのSSでの出番は薄い。カミやん病スプラッシャー。
        とある高校1年。無能力者(レベル0)だが異能の力なら何でも打ち消す「幻想殺し(イマジンブレイカー)」持ち。
        呼称は……上条、とーま、アンタ、幻想殺し、英雄さん、等々。因みに『二度目の死亡』前設定。

        不幸人。一概に如何『不幸』とは言えないが、不幸らしい。詳しくはググれ!
        記憶を無くしているが、上手く誤魔化して生活中。それについては、あまり支障は見られない様子。
        この作品では香焼にフラグを譲っている少女達もチラホラ。例としてアニェーゼ、レッサーなど。
        喧嘩は結構強い。でも人海戦は基本逃げる。(以下追々付け足していきます)


でも上条さん出番無し! ごめんね! では投下!
49 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/08(火) 22:14:03.35 ID:M8wvRWn20
 ―――とある休日、AM11:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・



何も無い日。

学校も休みだし、仕事もオフ。
学校からの週末課題と天草本部宛ての週間報告書も昨日の内に書きあげ、丸二日暇を作った。
今日はドブ日――所謂、家に籠ってグダグダする日にしようと決めていたというのに……


五和「……」ズサー・・・


何故か此処に土下座をしている女がいる。


五和「……コウちゃん、ごめんなさい」ズサー・・・

香焼「……」


無視。


五和「コウちゃん……ごめ―――」

香焼「喧しい」ギロッ

五和「―――ん、な……さい……」シュン・・・


断固無視。


浦上「ハァ。香焼ー、もう許してあげなよー」ズズズズ・・・

神裂「そうですね。大分懲りてるようですし」モキュモキュ・・・

ぬこ「なー」ゴロゴロ


そして当たり前の様に居る女達。呑気な子猫。


五和「こーちゃーん……ごべんだざぁい・・・・・」グズッ・・・

浦上「ああ、もうベソかいちゃったぁ」アチャー・・・

神裂「流石にやり過ぎですね」ムゥ


いや、やり過ぎも何も、自分は何もしてないっつーの。


五和「だっで無視ずるんだもん……」ウルル・・・

浦上「だってよ」チラッ

神裂「だそうです」チラッ

ぬこ「なぅ」スリスリ


コイツらウゼぇ……厄介な事に女教皇様まで便乗してるから、尚、面倒臭ぇ。

因みに、今自分が五和に腹を立ててる理由は3日前(第2話)の件についてである。
まったくと毒づき、拾った猫を撫でながら五和の方を向いた。
50 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/08(火) 22:39:50.11 ID:M8wvRWn20
香焼「あのなぁ。そりゃ一概に駄目とは言えないっすよ? でももっと早く連絡出来ただろう」ハァ・・・

五和「だって……急だったんだもん」グズッ

香焼「ステイルが苦手なのはしょうがない。だけどそれとは関係無く……」チラッ


女教皇様の方を一視。


香焼「……自分が雨の中お使い行ってる最中、ノウノウと遊んでた五和(オマエ)が気に喰わないんだ」ジトー・・・

五和「それは、その……」モジモジ・・・

神裂「……」ジー・・・

浦上「ありゃりゃ」タラー・・・


浦上の乾いた笑いだけが部屋に響く。
五和はバツが悪そうに、女教皇様を気にし、言い訳がましく呟いた。


五和「この前まで……私の優先権だったんだもん……」ボソッ・・・

香焼「……はぁ!?」ポカーン・・・

神裂「……」ズズズズ・・・


まるで知らんぷりの女教皇様。というか『優先権』って何だ?


浦上「あれ? 香焼知らないっけ?」

香焼「いや、何すかそれ」

五和「……ウラ」ギロッ・・・

浦上「……言っちゃダメ?」

五和「……」ダメダメ・・・


何やら目で訴える五和。
自分に知られたくない事なのか、ただ無言で頭を垂れていた。しかし……


神裂「別に良いのでは?」ズズズ・・・

五和「ぷ、女教……カオリ姉様。それは……」グゥ・・・

神裂「この子は他人にベラベラ言う様な男子ではないでしょう」

五和「……だけど」チラッ


様子がおかしい。


浦上「えっとね、香焼。今から言う事、建宮さん達には内緒だよ」シー

香焼「え、あ、うん」コクッ・・・

浦上「お姉、いいね?」チラッ

五和「……コウちゃん。言ったら絶交だかんね」ジトー・・・


それでオマエと縁を切れるなら言ってやっても良いんだが……まぁ仕方ない。空気を読もう。
51 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/08(火) 22:43:39.15 ID:M8wvRWn20
浦上「あのね……五和とカオリ姉様の間で不文律の約束、要は暗黙の了解(ルール)があるんだよ」

香焼「は?」ポカーン・・・

浦上「女性陣は全員詳細知ってるんだけどね。つまり……上条さん」ボソッ

香焼「……ああ、成程」コクコクッ

神裂・五和「「……」」モクモク・・・


確かにというか……この家で、この二人が集まる際に言ってはいけない言葉(タブー)があった。

 ――上条当麻――

誰がどう見ても二人は彼に好意を寄せている訳で、下手に彼の話題を出せば折角仲良くしていたメンツが崩壊しかねない。
勿論、仕事で上条当麻……もとい『幻想殺し』を出さねばならぬ事は有るが、極力控えめにしている。

ぶっちゃけ二人が喧嘩になると、自分と浦上に色々皺寄せが回って来るので勘弁して欲しかった。


香焼「でも、暗黙の了解って?」

浦上「……五分で済ませる」チラッ・・・ボソッ

香焼「へ?」ポカーン・・・


『何が』と言おうとした瞬間――二人が立ち上がった。


五和「……ちょっと教皇代理から電話が入っていたので外に出ます」スタッ・・・

神裂「私も、ステイルから連絡が入っていたのでベランダに……」スタッ・・・


そそくさと消える二人。
不文律とはいえ、誰かの言葉でそれを聞いてしまったら均衡が崩れかねないと判断したのだろう。

……女って怖いな。


浦上「じゃあ……まず優先権についてね。基本、お姉は学徒潜入で都市に居るでしょ」

香焼「うん。何してるのか分かんないっすけどね」

浦上「あはは……いや、ああ見えて忙しいのよ。五和も」

ぬこ「ぬぉ~」ペタン


信じられない。学業どころかキチンと仕事しているのかも怪しいのに。


浦上「続きだけどカオリ姉さんは基本、英国じゃん」

香焼「……つまり、こっちに足運んだ時は優先権が生じると?」

浦上「大まかに言えばそうだね。細かく言えば任務じゃない限り週3以上禁止とか、一日12時間以上禁止とか有るんだけど」

香焼「面倒臭いっすね」ハァ


そういえば女教皇様が都市に来たのは昨日の事だ。五和が言ってた『この前まで』とはその事だったのだろう。

さておき『ここから重要点!』と人差し指を立て、グイッと近づく浦上。
念を入れたいのは分かるが、猫を潰すな。肩に顎乗せてグリグリすんな。


浦上「……してはいけない事があります」ジー・・・
52 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/08(火) 22:48:08.61 ID:M8wvRWn20
嫌な予感がした。言わせてはいけない!


香焼「予想付いたから言わなくて良いっす。てか身内のそういう話聞きたくな――」タラー・・・

浦上「その一、一緒にお[にゃーん]」

香焼「――言うな馬鹿女郎っ!!」ガアアァッ!!


『折角教えてあげるっつってんのにー』とグゥたれる浦上。あの二人というより、上条さんが不憫で仕方が無い気がした。
しかし少々気になる点が有る。思い切ってそれを聞いてみた。


香焼「えっとさ。言い辛いんだけど……上条さんが……」ウーン・・・

浦上「うん。何?」フム?

香焼「その……上条さん特有のっていうか……えっと……」モジモジ・・・

浦上「……」ジー・・・

香焼「……アレが、ああいう風に……うん」モジモジ・・・


・・・・・・・・


浦上「ておぉゐぃっ!! 女々しいのよこのショタボーイっ!! はっきり[禁則事項です]とか[らめぇぇっ!]とか[ピーーー]とか言いなさいよっ!!」ガシッ!

香焼「そ、そんな事思ってないっす!! 自分はまだ中1だぞっ!!」ウワアァッ///

浦上「嘘付け、小5ショタっ!! 今度部屋の中の衣類全部女性物に換えといてやるかんなー!!」ウッヒッヒッ!!

香焼「おま、マジでブッ飛ばすぞっ!!」ダラダラ・・・

ぬこ「にゃっ!?」ビクッ!?


ただでさえ低身長と童顔を気にしているのだ。女装なんか強要された日には首を吊るかもしれない。

話を戻すが、要は上条さん特有の『病気』が働いて、不文律の約束以上の事になったら如何するのかという事だ。
うっかり~~~とか、ばったり×××とか。


浦上「ああ、そういう事。それは自己申告。私や他の女性陣を通してね」

香焼「成程。それで『仕方為し』って事にするんすね」

浦上「うん。あの人の『旗立て』は日常だからね……私もされてるし」アハハ・・・


そういえばコイツ、上条さんに押し倒されてるんだっけ。影で五和がグチグチ言ってたのは内緒。


浦上「んでもって、最重要は……Hな事とかじゃないよ」

香焼「だからそういう事言うなよ変態。誰も期待してないっすから」

浦上「そう? 『上琴』と『上条目録』に次いで需要あると思うけど」


オマエは何を言ってるんだ。


浦上「まぁまぁ。当分私が○ッドプール役だから」アハハ

香焼「デップ……何?」ハァ?

浦上「第4の壁をブチ壊せるんですヨ。当分は私の仕事ダネ」ニャハハ!

ぬこ「みー?」キョトン?


ツッコむ事に疲れたのでスルーします。
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 22:49:26.28 ID:lGXybMKDO
キテター!

うwwらwwかwwみww
54 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/08(火) 22:56:42.58 ID:M8wvRWn20
兎に角、これ以上脱線してはいけない。もう少しで二人が戻って来る。


香焼「それで? 最重要は?」

浦上「……もし、どちらかが告白された場合」

香焼「……・・・・・・・・・・・へぁっ?!」ドキッ!!?

浦上「だから『もし』だってば。上条さん倍率(レート)高いから難しいけど、それでもあの二人のドチラかを選んだ場合」

香焼「……うん」コクッ

浦上「潔く身を引き、祝福する事」


何とも……気まずい約束だ。
祝福するといっても、絶対に遺恨が残ってしまうと思うのだが……それは恋愛経験の少ない自分の想像だけなのだろうか。


浦上「とりあえず以上。これを『上条例』と呼ぶ……どう?」ドヤッ!

香焼「いや『上手い事言ったでしょ!』みたいな顔すんな。ウザい」ハァ・・・

浦上「まぁ因みにだけど、他の上条さんの毒牙に掛った人達ともこの『上条例』の一部は適用されるみたい」

香焼「……へぇ」フーン


他にも細かい点があったが、『上条例』を纏めると……


①女教皇が学園都市に居る際は、優先権を其方に。それ以外は若衆頭・五和に。

②週3日、一日12時間以上の合瀬は無し。ただし仕事で護衛任務等、特殊な場合は除く。

③周囲から『番(つがい)』と認められるまで、貞淑にすべし。(※他の者にも、ほぼ適用)

④他の男に余所見した場合、『上条例』の一切を放棄すると見做す。よって今後、上条当麻には好意を持って近寄らない。(※)

⑤『カミやん病』の『うっかり』にあった場合は、自己申告する。これを受けた者は必ず片一方に報告する事。

⑥仮に上条当麻本人から『番』になって欲しいと告白された場合は、他方もこれを認め、応援する事。(※)

⑦上記を守れぬ者は、厳しい罰則を科す。


……らしい。罰則(ペナルティ)って何さ?


浦上「罰は罰よ。それより何でそんな法律みたいにすんの? 香焼堅物ねぇ……不文律って言ったのに」ハァ・・・

香焼「うっさい。心読むな」ギロッ

ぬこ「みー」ペチペチ!


それから暫くして、何事も無かったかのように、二人が戻ってきた。ジャスト5分。


神裂・五和「「……」」テクテク・・・スッ


気まずいです。助けて教皇代理。
55 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/08(火) 23:00:46.33 ID:M8wvRWn20
 ―――とある休日、PM00:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・



さておき……自分が危惧していたような事態にはならなかった。

今日は五和と女教皇様、二人のプロ級料理人が居たので、とても美味しい昼食が取れた。
調理の際は二人は仲良く台所に立っていた……ただ、内心如何いう心境だったのやら。

まぁ部外者である自分が首を突っ込んでも、事をややこしくするだけなので、発言は控える。
とりあえず、今は浦上が食器洗い。二人が茶を啜り、自分が子猫を如何に映り良くムービーに撮らえるか奮闘している。


五和「ねぇ、コウちゃん。何時の間に猫飼ったの?」オイデオイデ♪

香焼「雨の日」ギロッ

五和「うっ……」タラー・・・

神裂「……して、何故飼うに至ったのですか? ただ拾っただけでは無いでしょう」ズズズズ・・・

浦上「そうですよネ。香焼の性格からいって、捨て猫拾う様なタイプじゃない筈だけど」

ぬこ「にゃー」ゴロゴロ・・・ピタッ

香焼「んー……どうでもだろー……ちょ、五和。映るなよ」●REC


絶対に『あの日』の事は教えない。面倒臭い事になるどころか、一波乱起こってしまう様な気がした。

猫がノソノソと女教皇様の方に歩いて行く。長いポニーテールが気になったようだ。ペチペチと猫パンチを繰り返す。
困って苦笑している女教皇様と無邪気な子猫……絵になるが、女教皇様が入ってしまっては『あの子』に送れない。


ぬこ「なー」ペチペチ

神裂「あはは……ちなみに、名前は?」フム?

香焼「最愛っす」●REC

五和「サイアイ?」キョトン?

香焼「え!? あ、いや、違う、何でも無い」アハハ・・・

天草姉妹『へ?』ポカーン・・・


危ない危ない……猫の名前を聞いただけだ。


香焼「えっと、コイツに名前は無いっすよ」

五和「どうして? まだ付けてないの? なら私が付ける!!」キラキラ!

香焼「やめろオイ。名前付けない理由あるんだか――」ギロッ

五和「黒い子猫だから『クロ』……じゃつまんないかぁ。『香焼2世』とか!」ヨシヨシッ

香焼「―――……ら……馬鹿じゃないの?」ハァ・・・

神裂「秋口の雨の中拾ってきたので『秋雨』……『秋水』も良さそうですね。黒のイメージを取るなら『鉄(クロガネ)』とか」フム・・・

香焼「女教皇様っ!!?」エ!?


アンタまで乗るんかい……
56 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/08(火) 23:06:57.09 ID:M8wvRWn20
浦上「ヒョードル、ゲイツ、アインシュタイン、テヅカ、シューマッハ、ヒトラー、オードリー、ジャッキー、ユウサク、アリストテレス」

香焼「……」... (゚Д゚)ハァ?

浦上「アクタガワ、イルファン、ガッツ、コバーン、ファーブル、ホクサイ、メンデルスゾーン、マイルス、ドルジ、レノン」ビシビシッ!!


たまに浦上が言ってる事、分かんない。


浦上「ちくしょー……コア過ぎたかぁ。このネタ通じないのね……」ハァ・・・

五和「黒いニャース」ニャー

香焼「金出さないし喋らないし形容詞付いてるしオマエ馬鹿だし」

五和「……コウちゃん、ホント私の事嫌いなんだね」ハァ・・・

神裂「闇霞」オイデオイデ

香焼「や……何すかそれ?」ハァ?

神裂「黒い模造刀の名前です。まんま黒刀でも良いですよ!」(`・ω・´)キリッ!

香焼「……」タラー・・・

五和「カオリ姉様、厨二ネームしか付けられないんですか?」

神裂「厨……貴女よりマシだと思いますけど」

ぬこ「みゃー」コクッ


かろうじて、だが。
というか女教皇様……『モンバス』のやり過ぎです。控えて下さい。それ武器の名前でしょ。


浦上「むー……じゃあどうすんのサ?」

香焼「だから付けないって言ってるだろ。今、コイツの飼い主探ししてるんすよ」

五和「飼う気無いのに、拾ってきたの? らしくないね」

神裂「動物の生死に無闇やたらと介入するのでしたら、あまり褒められた事ではありませんね」フム・・・

香焼「……色々あるんすよ」ムスッ・・・

浦上「そこんとこ詳しく!」ニコッ


絶対言わない。


五和「……私達の秘密知ったのに」ボソッ

香焼「……」タラー・・・

神裂「身内で信用できる貴方にだから知られても良いと思ったものの……無碍に辱めを受けた気分ですね」ボソボソッ

香焼「……ぐっ」ダラダラ・・・


こんな時ばかり弱みを糧に団結しやがって。


浦上「まぁまぁ。全部じゃなくてもいいから、掻い摘んでネ」

香焼「……」ハァ・・・


という訳で最愛の名前は出さず、『友達』に頼まれてという経緯で事を話した。
57 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/08(火) 23:17:24.81 ID:M8wvRWn20
自称姉達は自分の話を黙って聞き、一寸考えた後、各々口を開いた。


五和「成程ねぇ。その子は自分の家で飼えないから、預かって欲しいと」

香焼「そんな感じっす。でも此処で飼う気は無いっすよ。あくまで飼いたいって人がいたら譲るっす」

浦上「出なかったら?」

香焼「探せば猫飼いたいって人、絶対居るだろ。出来れば探すの協力して欲しいっすね」

五和「まぁ探すけど……最悪、出なかったら飼う?」


それは考えて無かった。

自分は海外にも足を運ぶ人間だし、四六時中ペットの面倒を見る事は出来ない。
故に飼う事は出来ないだろうと踏んでいたが、もし本当に現れなかった場合は……如何しよう。
今更飼い主が出ませんでした。だからもう一回捨てるね、などとは言えないし、最愛に申し訳も立たない。


香焼「……とりあえず、飼い主なってくれる人を探す。それまでは此処で世話するよ」

五和「飼っちゃっても良い気はするけどなぁ……」


悩み所だが……今はその気は無い。
ふと、女教皇様がらしいことを仰った。


神裂「貴方も子供じゃない。好きにするといいでしょう。しかし無責任な対応や筋が通らない真似は許しません」

香焼「はい……分かってます。肝に銘じるっす」ペコッ

ぬこ「みぃ」ポニポニッ


凛々しい顔で告げる女教皇様。ポツリと出る一言は、改めて『教皇』なのだと実感できる点だ。
……猫にポニテを殴られてなきゃ、完璧なのだが。


五和「しっかし、友達ねー。コウちゃん此処に友達連れて来ないからなぁ」

浦上「あはは。私達の所為だよねー」

五和「あはは。ねー」


分かってる辺りが、マジ腹立つ。
マトモなのは女教皇様だけか……と甘い考えを持った自分が愚かだった。



神裂「それで、香焼。その友人というのは先日知り合ったという『女の子』の事ですか?」サラッ・・・



香焼「」



五和・浦上「「ッッ!!?」」‘m( ゚д゚ ))ミ_ シ(( ゚д゚ )m" ...ガタッ!!




もちふけオマエら。諏訪テロ。
58 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/08(火) 23:20:25.91 ID:M8wvRWn20
香焼「ぷ、ぷぷ、女教皇様……じ、自分……どっかで……それ、い、言いましたっけ?」ギギギギ・・・

神裂「え? いえ、ステイルから聞かされました」ウンウンッ

香焼「ぁんの不良似非神父外郎おおおおおぉっ!!!」ウワアアアアァッ!!


『クククク・・・』と微笑む悪魔神父が目に浮かんだ。今度英国帰ったら、アイツの部屋にガソリン撒いてやる。
そして、目を輝かせ自分に詰め寄る馬鹿二名。


五和「コウちゃん……ねぇ、コウちゃん?」ニコニコッ!

浦上「何? お姉ちゃん達に隠し事? 良くないなぁ……知りたいなぁ」ニコニコッ!

香焼「……」タラー・・・


近い。色々近い。色々危ない。
責任取って助けて下さい、女教皇様。


神裂「ま、まぁまぁ。踏み入ってはいけない個人の部分もありますから」アハハ・・・

五和「カオリ姉さん! 詳しく知りたくないの!?」ギロッ

神裂「それは―――」

浦上「もしかしたら将来香焼の彼女……つまり若い教徒を産む母になる娘かもしれませぶあ痛ぁっ!!?」ゴチンッ!


割と本気でゲンコツした。


神裂「―――……しかし」ムゥ・・・

五和「……単に、香焼と仲良くしている友達とやらを知りたいと思いませんか?」ニコッ

神裂「……それは、まぁ」コクッ


あっさり騙されるし……駄目だこの教皇。簡単に折れ過ぎ。


五和「って事でさぁ! 教えなさい!」グイッ!

香焼「……教えるも何も、自分も彼女の事そんなに知らないんすよ」

浦上「痛てて……ホントに? 歳とか容姿くらいは説明出来るでしょ」

香焼「同い年だけど自分より幼く見えるっす……先に言っとくけど写真無いぞ」ギロッ

五和「ちぇっ……ツマんないのー」


ようやく飽きてくれた。
悪いがこれ以上、彼女のプライベートをベラベラ話したくない。『置き去り』だの『不登校児』だの、他人が話して良い事ではなかろうて。
59 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 00:03:50.76 ID:QUx0plQw0
香焼「ていうか……お前らこそ友人関係とか如何なんすか?」

3姉妹『え?』


学園都市内で、という意味だ。
仮にも学生してるんだから、天草以外の友達の一人や二人いてもおかしくないだろう。

……自分は学校が学校なので、少ないけど。


五和「んー、私は少ないかなぁ……割り当てが御嬢様校だったし」

浦上「そうなの?」

五和「プライド高い娘多いじゃん。ウマが合わなくてさぁ……ルチアとかフロリス、ランシスの方が仲良いかも」


そういえば五和って英国じゃ彼女達と仲良くしてるなぁ。


神裂「浦上は?」

浦上「私は結構友人作ってますよ。潜入任務の基本は交友関係だって、教皇代理から教わったんで」

香焼「へぇ。意外だなぁ」

浦上「仕方ないでしょう……私のメインターゲットは第3位と第5位ですヨ?」トホホ・・・


第3位と第5位……超能力者(レベル5)の事だ。
一番歳が近く、同じ学び舎の園の中等部ということで、可能であれば監視・接触出来る様任されている。


浦上「超電磁砲は何とかなるんだけどね……未だに心理掌握の尻尾も掴めないんデス」ハァ・・・

五和「私も見つけられないなぁ、あの人……ホントに常盤台に居るの?」

香焼「資料ではそうなってるっすよ」


何だかんだで苦労してるのか、コイツらも。


五和「カオリ姉様は……いないですよね」アハハ・・・

浦上「普段こっち居ないもんね」

神裂「いますよ」サラッ

3姉弟『……え』ポカーン・・・


意外や意外。


神裂「失礼ですね。私だって友人の一人や二人いますよ」ムゥ・・・

ぬこ「みー」ウンショウンショ!


心外だ、としかめっ面の女教皇様。子猫が肩に攀じ登ってるのもお構い無し。
60 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 00:25:04.06 ID:QUx0plQw0
浦上「失礼ですが、上条さんと土御門さんは抜きですよ?」

神裂「無論です。他にも居ますよ」


そう言って携帯を弄り出す女教皇様。
そして『ほら』と画面を見せてきた……珍しい。プリクラだ。隣に同い年くらいの女性が二人写ってる。

眼鏡を掛けた清楚そうな女性と、対称的に派手そうでファッションセンス溢れる女性。ドチラも美人さんだ。


五和「……皆20代後半で〔にゃーん〕があ痛あぁっ!!」ゴスッ!

神裂「……二人とも、私と貴女と変わらない年代です」ギロッ

浦上「みんなおっぱいボーンっ!! でも一番はカオリ姉〔にゃーん〕んぎゃあああぁっ!!」ゴトッ!

神裂「貴女達は……」プルプル・・・///

香焼「……」///

ぬこ「にゃぅ!」ガリッ!


自分が居る前でそういう話をしないで欲しい……仮にも男子だ。
しかし女教皇様、器用に五和と浦上の面を猫に引っ掻かせる。えげつない。


神裂「ったく……成り行きではありますが、友人になった方々です」フンッ

浦上「うぐぐぅ……というと?」イテテ・・・

神裂「道に迷ってたら、助けられました」

香焼「へ? それだけで?」

神裂「……2、3回ほど」タラー・・・

五和「痛いなぁ、痕残るよぅ……ホントは何回?」チラッ

神裂「……云十回」ボソッ

香焼・浦上「「……恥ずかしい」」ハァ・・・


この人は意地張って自分一人で何とかしようとするからなぁ……連絡してくれれば良いものの。
さておき、どうやら一人は風紀委員(ジャッジメント)らしい。『迷子』の女教皇様を幾度とガイドしてくれたとか。

多分、その風紀委員さんが『どうせまた迷子なるよね』と気を使って、女教皇様と連絡先を交換するに至ったのだろう。
そして何時の間にか交友関係に……といったところか。


神裂「こ、香焼!? 何時の間に読心魔術をっ!!?」ドキッ!?

五和・浦上「「香焼パネぇ!!」」ワー!


いや容易に予想できますから……あと馬鹿二人ウザい。


香焼「……それで、もう一人は?」

神裂「え、あ、はい。大通りで捕まりました」サラッ

3姉弟『は?』ポカーン・・・

神裂「だから、捕まったんです」


……意味が分からない。
61 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 00:56:34.66 ID:QUx0plQw0
香焼「えっと……大通りで、何してて捕まったんすか?」タラー・・・

神裂「道に迷……もとい、土御門に頼まれたお使い先で」


また迷子か……教皇代理に、女教皇様へGPS携帯持たせるよう進言しとこう。


五和「それで、お使い先というのは?」

神裂「くっ……あの馬鹿道化師が、また意味の分からない服を注文してたんです。しかも老舗の有名服屋の特注で」グヌヌ・・・

浦上「あー……堕天使さん?」

神裂「そう、堕天使さ……浦上?」ギロッ

浦上「あはは、予想ですヨ。予想……で、自分で取りに行かされたと?」

神裂「……謀られたんです」ウグゥ・・・


土御門も女教皇様にコスプレさせるの好きだなぁ。
そして何故か『私も新しいの準備しなきゃ!』と意気込んでる馬鹿1号。自重しなさい。


香焼「つまり、大通りの老舗ブランド店で捕まったと?」

神裂「そういう事です」

浦上「へぇ……でも何で捕まったの?」

神裂「何でも……私の服装が気に入らなかったそうです。仕方ないでしょう、魔術的な意味合いなのですから」ハァ・・・

3姉弟『……』ジー・・・

神裂「……何ですか」ジトー・・・


別名、ただエロいだけ左右非対称ファッション。


五和「まぁファッション五月蠅い人に捕まった訳だ。『そんなコスプレ着るんじゃなくてマトモな服装しなさい!』って」

神裂「……トゲを感じますが、大体合ってます」ムゥ

浦上「普通の恰好すればモデル顔負けだからねー。カオリ姉さんも、お姉も」ジー・・・

五和「わ、私はちゃんと気にしてるわよ。術式も服買うたびに工夫してるし」


態々面倒臭い事をする。男はそんなに拘らないからなぁ。
これを言うと『駄目男』と馬鹿姉妹に怒られるが、無視無視。


神裂「兎角……その店で無理矢理脱がされて……」ハァ・・・

五和・浦上「「む、剥かれたっ!!?」」‘m( ゚д゚ ))ミ_ シ(( ゚д゚ )m" ...ガタッ!!

香焼「違ぇよ馬鹿女郎!!」カアアァ・・・///

神裂「……着せ替え人形にされました」

五和・浦上「「……なーんだ」」ハァ・・・


何を期待してたんだ阿呆共。女同士だっての……
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 01:09:47.70 ID:YJJqrnTAO
眼鏡の方はわかったが…
もう一人はだれだ?むぎのん?
63 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 01:25:33.26 ID:QUx0plQw0
五和「何って……コウちゃん。何想像したの?」エ?

香焼「え」

浦上「私、キャバとかガールズバーで働いてみないかってスカウトされたのかと思った」チラッ

五和「私はモデルしてみないかって……違うの?」チラッ

香焼「……」タラー・・・

五和「ねぇねぇコウちゃーん……何考えちゃったのー?」ニヤニヤ・・・

浦上「女同士って、なぁに?」ニヤニヤ・・・

ぬこ「にゃーん」トコトコ


コイツら……助けて女教皇様。


神裂「こ、香焼。その、健全な男子だというのは分かりますが、まだ中学1年なんですし、些か早いかと……」モジモジ・・・

香焼「」

五和・浦上「「むふふふ」」(・∀・)(・∀・)ニヤニヤ・・・

香焼「ぐっ……畜生、自分の負けっす。だから話を戻してくれ! 頼む!」ウウゥ・・・///

五和「うぃのう、うぃのう♪」ウフフ・・・

神裂「こほんっ……と、兎に角! 着替えを強要されただけです!」

浦上「ふむふむ。成程成程。だからカオリ姉さん、最近私服着る機会多いんですネ」ヘェ

五和「その人、ファッション雑誌の関係者とかですか?」

神裂「『新作流行の相談に乗る程度』って言ってました。たまにコラムを任されるらしいですけど」


風紀委員とファッション関係者か……中々凄いお友達がいるらしい。
五和と浦上が『いいなぁ』と目を輝かせていた。


神裂「という感じで、色々ありましたが友達に。歳も近いのでお茶等御一緒したりします」

浦上「へぇ。意外です」

五和「でも……うーん」ポリポリ・・・

神裂「如何しました?」

五和「……こっちの茶髪の人、どっかで見た様な」ウーム・・・


頭を悩ます五和。多分そのファッション誌か何かで見たんだろうて。
64 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 01:39:51.80 ID:QUx0plQw0
これで女教皇様の話は終わり……そう思った刹那、ふと五和が質問した。


五和「名前聞けば、思い出すかもしれない……その人のお名前は?」

神裂「え? この人は麦野沈利さん。此方は固法美偉さんです」


麦野……沈利……


浦上「……香焼」タラー・・・

香焼「うん……多分……」タラー・・・


第4位――原子崩し、だ。資料で見た気がする。
確か担当は五和。


五和「そうだ! そう、超能力者!!」ピカリンッ!!

麦野「あー……そういえばそんな事言ってましたね」フムフム

香焼「『そんな事』って……」アハハ・・・


確かに『聖人』と『超能力者』どっちが凄いと聞かれたら……何とも言えない。どっちもどっちだろう。


麦野「うん。彼女のレーザーを見せてもらいましたけど天使の小光線くらいはありましたよ」ウンウン

3姉弟『』チーン・・・

ぬこ「なぅ」グシグシ・・・


次元が違い過ぎます。


浦上「……お姉。担当頑張れ」ボソッ

香焼「……骨くらいは拾ってやるっす」ボソッ

五和「や、ちょ……担当カオリ姉様でいいじゃん」ダラダラ・・・

神裂「あはは。大丈夫ですよ。とてもフランクで優しい人ですから」フフッ

五和「そ、そうなんですか?」ホッ

神裂「多少男勝りなとこも有りますが、いつも温厚な人ですよ……まぁ能力使用時はバイオレンスでしたが」

香焼・浦上「「ドンマイ」」ポンッ・・・

五和「……不幸だ」ハァ・・・


普段温厚だが、『キレる』と口悪くなるといったところか。
女教皇様みたいな人かもしれない……と思った所で何故か本人に睨まれた。

貴女こそ読心能力持ってるんじゃないですか……
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 01:48:14.83 ID:AuCfxniDO
神裂が麦野になってる
66 :>>65・・・トンデモ無いミスをww :2011/03/09(水) 02:16:09.37 ID:QUx0plQw0
 ―――とある休日、PM02:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・



何やかんやでグダグダ時間が過ぎ、自称姉達は『モンバス』大会を開きだした。
自分は今後、子猫を如何しようか悩んでいる。

誰か猫飼いたいって人いないかな。探せば必ず出ると思うんだけど。


香焼「そういえば……禁書目録、猫飼ってたっすよね」ボソッ


呟いてみる。瞬間、浦上が凄い勢いで睨んできた。拙ったか……


神裂「スフィンクスですか? ……あ、浦上。そこトラップ」カチャカチャ

香焼「え、あ、はい……もう一匹飼ってくれたりしないっすかね」ハァ・・・

五和「うーん。禁書目録っていうか、上条さんに負担掛ける事になるからね……あ、ウラ。今そっちに雑魚集団行った」カチャカチャ


存外、気にしないみたいだ。


香焼「そっか……どうする、オマエ?」グシグシ

ぬこ「みー」ペチペチ

浦上「どうするって、ちゃんと責任取らなきゃ……ってうわああぁっ!! 死ぬ死ぬ!! 助けて!!」カチャカチャ!

神裂「自分で何とかして下さい」タンッ

五和「今、大型種狩ってるから無理」タタタッ


浦上がピンチらしい。まったく女教皇様まで夢中になっちゃって。


五和「ていうかコウちゃん。何でその娘、猫飼えないの? ……あ、ジュース無くなりそう」ヤベェ・・・

香焼「学園都市で猫飼えるアパートの方が稀っすよ。それに居候みたいな感じだから無理だそうっす」

浦上「そうなんだ。でも禁書目録は居候でペット飼ってるよ? ぐぬぬ……何とかなった」ホッ・・・

香焼「……アレは悪い例っす」

神裂「確かにあの学生寮はペット禁止の筈でしたからね……む? もう少しですね」ヨシッ・・・

五和「了解!」ウッシ!

浦上「ちょっとぅ。少しは削らせてよー」ムキー!


話を聞くか、画面に集中するか、どっちかにしなさい。
67 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 02:46:19.81 ID:QUx0plQw0
ふと、五和が尋ねてきた。


五和「ねぇ、コウちゃん。一つ聞いていい?」

香焼「何すか?」

五和「その女の子に猫ちゃん、頼まれただけ?」

香焼「それは……」


というか、多分見つけもしなかった。


浦上「って事は、猫見る為に……此処来たりするの!?」ウキウキ!

香焼「いや絶対連れて来ない」キッパリ

五和「えー。つまんなーい……あ! ラスト一撃!」カチャッ!

浦上「あ、こら!」タンッ!

神裂「遅いっ!」タタンッ!

五和・浦上「「あー!!」」ギャー!


女教皇様が討ち取ったようだ。抜け目ないな。悔しがる馬鹿二人。ざまぁ見やがれ。

『もう一狩り!』と喧しい女性陣を捨て置き、猫と共に自室に籠ろう。
……と立ちあがった瞬間、馬鹿一人がトンデモないことを放った。



浦上「で、香焼……二人は何処までイったの?」チラッ


香焼「」


神裂・五和「「っ?!」」ガタッ!!



ちょ、オマ……何言ってやがんだ?


五和「こここ、こ、コウちゃん!?」

神裂「こ、香焼!? そ、そんな……まさか、中学1年で……」


過剰反応するな馬鹿。口に出さないが、女教皇様。貴女も馬鹿3号決定です。


香焼「あのね……この前、会ったばかりっすよ」ハァ・・・

五和「あ、会ったばかりなのに!!?」グイッ!

浦上「最近のガキんちょは増せてるねぇ」フムフム・・・

神裂「だ、駄目ですよ!! 教皇として、一、姉として! そんな不貞を許す訳にはいきません!!」カアアァ・・・///

香焼「対馬さーんっ!! 建宮さーんっ!! 助けてー!!」ウワーン!


残念ながら苦笑する二人の顔が浮かんだ。
68 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 03:09:20.62 ID:QUx0plQw0
浦上「あはは。まぁそこまでの甲斐性無いのは分かってるから大丈夫だヨ」ケラケラ

香焼「おま、え……」プルプル・・・

五和「ほ、ホント!? ホントに?! コウちゃん、ちゃんと童t〔にゃーん!〕ったぁああっ!! 噛まれたあああぁっ!!」ギャー!

神裂「こ、こほんっ……そうですね。そのような節操無しに育てた覚えはありませんからね」フム・・・


育てられた覚えも無いですよ。


浦上「ははは。おもろー」ニヤニヤ・・・

香焼「……オマエ、マジ覚えてろよ」ギロッ

神裂「こ、香焼。結婚するまで待て、とは今の御時世言いませんが……キチンとお付き合いしている人がいますくらいの報告は」モジモジ・・・

香焼「女教皇様。戻ってきて下さい」ハァ・・・

浦上「ふむふむ……でも何処で如何なってるか分からないからねぇ。『実はっ!』って事も無くは無いですヨ」ニコッ

香焼「……じゃあオマエは如何なんだよ」ギロッ

浦上「わ、私? えっと……」アハハ・・・


何故か苦笑する浦上。


五和「ああ、ウラは彼氏にいたもんね」ボソッ

神裂・香焼「「……・・・・・・・・・・・・え?!」」ギョッ!?

浦上「い、五和っ……ええっと……あ、あはは……」ポリポリ・・・///

香焼「知らなかった……」

神裂「う、浦上?」キョトン・・・

浦上「で、でも昔の話ですって! 今は学徒潜入で、遠距離続いて別れましたけど」アハハ・・・


地元で、という訳か。
他人事だが……遠距離恋愛なるものは相当覚悟がなければ続かないという。オルソラさんが熱弁してた。昔何かあったのかな?


神裂「ひ、一言教えて貰いたかったですね。少しは任務等考慮したのに……姉として」

浦上「姉(それ)押しますネ……いや、良いんですよ。未練は無いですし、私もアッチも互いに新しい気持ちで生活してますから」ニコッ

香焼「意外と、踏ん切り良いっすね」ヘェ・・・

浦上「恋の一つや二つでクヨクヨするな! 対馬さんと牛深さんが叫んでましたヨ」ハハハ


同期で勝ち組、野母崎(ノモ)さんだけ。説得力が……うん。
69 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 03:21:02.23 ID:QUx0plQw0
神裂「因みに……その……浦上は、何処まで?」ポッ・・・///

香焼「女教皇様!!?」エ!?


何聞いてんだ馬鹿3号……いや敬意を表して馬鹿V3さま。
浦上は苦笑して誤魔化すのみ。代わりに五和が口を開いた。


五和「いや、ウラ教えてくれないんですよー。対馬さん達上の女性陣は知ってるみたいなのにー」ジトー・・・

神裂「と、ということは!!?」グイッ!

浦上「い、いや、別にそこまでは……」アハハ・・・


というか馬鹿V3さま。興奮し過ぎです。このムッツリスケベめ。


浦上「じゃあそうですネ……」チラッ

3姉弟『ん?』

浦上「……皆が何処までイったか教えてくれたら、教えますヨ」ニコッ

神裂・五和「「っ?!」」ギョッ・・・


何処までって、自分はお話するまでと言っただろう。


浦上「じゃあ香焼は少し教えてあげる」ニコッ

香焼「え、いいの?」ポカーン・・・

神裂・五和「「えぇっ!!?」」

浦上「うん。ちょっとコッチおいで」スタッ・・・


浦上の後を追ってベランダに。
さてと、と浦上は表情を変え……まったく関係無い事を口走った。


浦上「よしよし……これであの二人から聴きだせる」ニヤッ

香焼「……へ?」ポカーン・・・

浦上「香焼、上手く演技してね。多少オーバーでいいからサ」ポンッ

香焼「え、ちょ……」アゼーン・・・


教えてくれないの?


浦上「え? あの程度で教える訳無いじゃん。嘘よ、うーそー」アハハ


……騙された。
70 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 03:35:31.03 ID:QUx0plQw0
浦上「それより……あの二人から何処までイけてるか聞き出すの手伝って」ニコッ

香焼「え、だって……皆知ってるんじゃないんすか?」キョトン・・・

浦上「お馬鹿ねぇ。不文律なんだから黙ってればばれない事もあるでしょう」ニヤッ


この策士め……腹黒い。土御門くらい腹黒いぞ。


浦上「じゃあ大袈裟なリアクションしてね。まずベランダで驚愕の一声。中に入ったら茫然の表情。OK?」

香焼「……何か、ムカつくけど」ハァ・・・


仕方ない。自分もあの二人が実際何処まで上条さんに近づいたかは気になる。
意を決し、一声……『ええぇっ!!』と演技。部屋の中から『ガタッ!!』という音がした。

これはもう釣れるな。


浦上「うふふ。上出来よ」クスッ

香焼「何だかなぁ……」ポリポリ・・・


腑に落ちない。
じゃあ戻ろっかと再び浦上の後を追う。その時だった。


浦上「ああ、そうそう。御褒美がてらに教えてあげる」ニコッ

香焼「え」

浦上「相手は私と同い年(中三)の男の子だよ。『何も無い』訳、無いじゃん。キスくらい迫られるわよねー」ニコッ

香焼「……」ヒュー・・・

浦上「それ以上は……内緒! さ! 行こっか」ニコニコッ!


一瞬だが、浦上が女教皇様以上に大人に見えた。

中に戻ると、馬鹿二人がモジモジしていた。まぁ気になるわな。自分も『内緒』が気になって仕方が無い。


浦上「うふふ」ニコニコッ


ただ微笑み、台所へ向かう浦上。上手いな。自分が不在の場を作る気だ。
予想通り、女教皇様と五和が詰め寄ってきた。


五和「こ、コウちゃん……」グイッ・・・

神裂「ど、如何でした……」グイッ・・・

香焼「え、えっと……」タラー・・・


演技、演技ねぇ……
71 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 03:46:40.41 ID:QUx0plQw0
香焼「とりあえず……吃驚っす……」アハハ・・・

神裂・五和「「……」」チラッ


麦茶を飲む浦上の方を見遣る思春期女子高生。
自分はこれ以上聞かれたら拙いなと感じ、猫の方に逃げた。

それを見計らったかの様に戻って来る浦上。


浦上「さってと。狩りの続きでも!」

五和「う……ウラ」ボソッ

浦上「んー? 何ー?」ニコッ

五和「……教えるから、教えて」ボソボソッ

神裂「くっ……い、五和……」タラー・・・


先に喰いついたのは五和。女教皇様が葛藤なさってる。
浦上は笑顔を崩さず……内心してやったりと思ってるに違いないが、大きく頷いた。


浦上「うん、いいよー」ニコッ

五和「じゃあ、ベランダに」コソッ・・・

浦上「……」ジー・・・

五和「……え?」


立たれたら自分が聞けないのだが……と思いきや、何故か動く気配の浦上。


浦上「駄目」ニコッ

五和「え」

浦上「教えるよ。でもさぁ……」


女教皇様を一視、そして……


浦上「バレちゃ拙い事でも……有るのかナ?」ニヤッ・・・

ぬこ「なぁ」コロコロ・・・

神裂・五和「「ぐっ……」」タラー・・・


凄ぇ……コイツ、えげつねぇ。
72 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 04:03:30.94 ID:QUx0plQw0
浦上は自分の方を向いて、一瞬口端を釣りあげた。敵に回さなくて良かったと心底思う。
一方、五和と女教皇様は何度か目合わせしていた。

そして……


神裂「い、良いでしょう」コクッ


今度は先に女教皇様が動いた。五和が軽く舌打ちし、後から頷く。


浦上「じゃあ女教皇様、先にどうぞ」ニコッ

神裂「え、えっと……では……」モジモジ・・・


さて、何が飛び出すのか期待。


神裂「か、上条当麻の家に……し、私服で……お邪魔しました」カアアァ・・・///

3姉弟『……』ポカーン・・・

神裂「ど、どうですか?」ポリポリ・・・///


どうって……


浦上「えっと……私服デートくらいって当たり前じゃないですか?」

神裂「なぁっ!!? で、デートなんて……そんな……こ、コンビニまでを散歩した程度で……」カアアァ・・・///


まだ彼の家の外に出た事が無いらしい。まぁ家の中だけってのも逆に凄いけど。
さておき、今度は五和が余裕の笑みを浮かべ浦上に告げた。


五和「私は、その……ジュースをか、間接キ、キス……された!」カアアァ・・・///

神裂「な、にっ!!?」ドキッ!!?


それだけ? ……と言いたかったが、女教皇様的に大分インパクトがあったようだ。
しかし浦上は動じない。


浦上「それって上条さんのうっかりでしょ? 私は普通に回し飲みくらいはしたけど」

神裂・五和「「っ!!?」」ガタッ!!

香焼「浦上……二人の具合に応じて、それに返す訳っすね」ハァ

浦上「うん。そですヨ」ニコニコ


となると、二人は結構踏みこまなきゃいけないと思うのだが……その前に、何処まで近づいてるかも問題だろう。
謂わば二人の出し惜しみ無しのブッチャけトークと化す訳だ。

喧嘩にならなきゃいいが、それなりに期待。
73 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 04:20:33.68 ID:QUx0plQw0
浦上「それから? もう終わり?」ニヤッ・・・

神裂・五和「「くっ」」チラッ・・・


さて、どう出るか。


神裂「か、上条当麻の……し、下着を!! あ、洗いました!!」カアアァ・・・///

浦上「へぇ……姉さんにしては大胆ですネ。でも……五和もそのくらいしてるんじゃないの?」ニコッ

五和「そ、そうね。任務で泊った時に……い、一緒に私の衣類も……洗ったかな!」コホンッ///

神裂「に、任務でしょう。仕方無いですね」フンッ・・・


貴様らの衣類を普段洗わされてる自分は如何なんだ?


五和「か、上条さんの目を盗んで……ベットに……」///

浦上「おっ!! 夜這ったか!?」オ!?

神裂「っ!!?」ギロッ!

五和「で、出来ないよ! そんなの! ……べ、ベットに……ゴロンって……しちゃった。シーツをギュって」///

神裂「な、なんて破廉恥な!?」カアアァ・・・///

浦上・香焼「「……」」ポカーン・・・


何、この……乙女回路全開の二人。レベルが小学生だ。


浦上「えっとさぁ……ハグくらいはするよね」アハハ

神裂・五和「「出来る訳無いでしょう!!」」カアアァ・・・///


絶対浦上から聞きたい事聞き出せないなと悟った。


浦上「ほ、他には? うっかりは無しだよ」

神裂「ひ、膝枕を……」///

香焼「気絶したからとか?」

神裂「うっ……」グゥ・・・

五和「と、トイレに……」///

浦上「鍵が壊れてて間違ったとか?」

五和「なっ……」クゥ・・・


何かこう自分からモーション掛けた事は無いのだろうか。
74 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 04:49:02.79 ID:QUx0plQw0
浦上「せめて腕組むとか耳掻きとか、肩揉みしたとかは?」

神裂「そ、そういえば……禁書目録の携帯カメラで……ち、近寄って撮影を」///

五和「甘いです。この前……ぷ、プリクラ……と、撮っちゃいました!」///

神裂「な……」ガーン・・・

香焼「へぇ。外に連れ出せたんすね……禁書目録抜きで」

五和「むっ……りでした」ハァ・・・


そりゃそうだ。一応彼女も、どういったレベルかは別として上条当麻に好意を持つ者。
二人の横暴は許さないだろう。


浦上「じゃあさぁ……もう一番凄いって思える事、暴露して下さい。勿論禁書目録抜きで。それに応じて考えますから」ニコッ

神裂・五和「「……」」ピタッ・・・


空気が張り詰める。暫く無言が続いたが、突然……――



神裂「上条当麻の……と、隣に座らせてもらって……か、肩に頭を乗せました!!」カアアァ・・・///

五和「上条さんの……ほ、頬を摘まんで……あ、頭撫でてもらっちゃいました!!」カアアァ・・・///



―――同時に告白した……うん。頑張った。


浦上「うん……まぁ……」アハハ

神裂(頭を……撫でられただと……)チラッ・・・ゴゴゴゴ

五和(密着して……座っただと……)チラッ・・・ドドドド


何やら嫌な予感がする。


浦上「でもさぁ……それじゃあ他の子に取られても文句無いですネ」ボソッ

神裂・五和「「っ!!」」ドキッ!!?

香焼「オマ!!?」ギョッ!

浦上「いや別に選ぶのは上条さんだけどサ……レッサーくらいとは言わないけど、もっと強引でも良いんじゃない?」


アイツは例外だ。誰にでもああしてくるから仕方ない。
自分もよくからかわれる。アニェーゼが止めてくれるので助かるが、ストッパーがいなければ暴走の限りは続くだろう。
75 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 05:11:31.25 ID:QUx0plQw0
さておき、上条さん。


浦上「えっとね……私は腕組むくらいの強引はしたよ」

五和「そ、そうなんだ」ヘェ・・・

浦上「まぁライバルいなかったからだけどサ。付き合う前も音楽プレイヤー一つのイヤホンで聞いたりした」

神裂「な、成程」メモメモ・・・


何時の間にか勉強会になってるし。


浦上「あと怒られるかもしれないけど……付き合う前でも、少しくらいエッチな話ならしたよ」

五和・神裂「「は、破廉恥だっ!!」」カアアァ・・・///

浦上「頭ごなしにそう言うのも勝手だけど、相手は思春期の男の子だヨ? こういう話も出来る子なんだなって思われた方がリードするっしょ」

五和・神裂「「……ふむ」」コクッ・・・


確かに、まったくエッチぃ話も出来ない相手は堅苦しいかもしれない。
そういう知識が殆ど無いなら兎も角、多少フランクな方が取っ付きやすい。

ただ、女教皇様の場合は……知ってるのか? 五和は自分の事以外は変態親父だけど。


神裂「わ、私だって……少しは出来ますよ!」フンッ・・・///

香焼「まぁ年相応興味津津ムッツリだってのは分かってま……ぁいや、何でも有りません」

五和「私は、うん……オリアナ姉御から色々聞いてるもん!」フンヌッ!!


あの人は『純粋なお付き合い』をする上で、害となる情報しか齎さないぞ?


神裂「わ、私も先の二人から色々聞かされてます!」ムンッ!

浦上「へぇ……え? 二人?」キョトン・・・

香焼「意外っすね。風紀委員さんも?」ヘェ

神裂「彼女はお付き合いしている殿方がいるそうです。予想以上に……その……大人な話も……はい」コクッ・・・///

浦上「へぇ……第4位さんじゃないんですね」

神裂「彼女は口だk……じゃなくて知識豊富ですから、参考にはなります」ウン・・・


成程。第4位は態度だけで、ウブなんだ。秘密情報ゲット。
76 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 05:45:20.60 ID:QUx0plQw0
兎角、これ以上は危ないと判断した自分と浦上は話を切る事にした。


浦上「じゃあ私の秘密を少し。キスはしました」

神裂・五和「「おぉ……」」スゲェ・・・

浦上「後は内緒。二人がそれ相応の情報を持ってきたら教えます。香焼もだよ」ニコッ

香焼「自分は関係無いだろ……」ハァ・・・


まったく……さて、自分はとりあえずそろそろステイルの所にでも足を運びに……―――


浦上「でも、多分香焼の方が先に恋人作るんじゃない?」サラッ

香焼「……はぁ?」ポカーン・・・


―――……意味不明。何を言ってるんだ、オマエは。
ツッコんだら負けなので、無視しようと決めた瞬間……五和も乗ってきやがった。


五和「まずその子でしょ? それから……アニェーゼ。アンジェレネ。レッサー。サーシャ……」

香焼「何言ってんの?」ポカーン・・・

浦上「Dr.ツッチーの『カミやん・シンドローム』テストで、香焼引っ掛ったもんねー」

香焼「それオマエら勝手に騒いでるだけだろ……こっちの立場になってみろ。馬鹿にされてるだけだから」ッタク・・・


アニーもアンも、レッサーも、サーシャも仲は良いけど特別な感情なんか持ち合わせない。同年代なだけだ。


神裂「そういえば……男性陣でアニェーゼとアンジェレネを略称で呼ぶのは貴方くらいですね」フム・・・

香焼「それは、まぁ……歳近いからで」ムゥ

五和「それだけじゃなくて男女問わず横暴なアニェーゼとレッサーに絡むのコウちゃんだけじゃない?」ジー・・・

香焼「いや、皆勝手に苦手意識持ってるだけだからで別に普通の娘っすよ」

浦上「人見知りのアンジェレネと寡黙なサーシャも、仕事以外であそこまで仲良く出来るのも香焼だけじゃん」ニコッ

香焼「いや、だからさぁ……」ハァ・・・


アニーとレッサーは年相応に元気娘。アンとサーシャは此方から話しかけてあげれば普通の女子。
それだけの話だろう。人が誰かと仲良くするだけで、大袈裟なのだ。


五和「いや……マイノリティに挑戦する辺りがフラグ立ってんのよ。まぁこっちとしては楽しいん―――」ニヤニヤ・・・

浦上「まだまだ増えるんだろうねぇ……しかし! 私達は香焼新たな可能性(フラグ)を探るので―――」ニヤニヤ・・・

神裂「あ、天草は一応、一夫一妻です。し、しかし、如何してもというのであれば、特例を考えて―――」コホンッ・・・


まだ言う……馬鹿1号、馬鹿2号、馬鹿V3。いい加減に……


香焼「こ、の……今日は帰らないからなっ!! 勝手にしろ!!」ガシッ!

ぬこ「にゃっ!?」ジタバタッ!

3姉妹『あ』ポカーン・・・


……出てってやる。絶対帰らない。そう決めて子猫を抱えて走り出した―――
77 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 06:04:42.67 ID:QUx0plQw0
 <おまけっ!>


ステイル「――……で、此処に来たと?」フゥ・・・

香焼「……」ムスッ・・・

ぬこ「にゃー」トコトコ・・・

ステイル「馬鹿だな……あのアパートは君の家だろう? 普通逆じゃないのか? 追い出すなり、何なり」ハァ

香焼「……泊めて」グズッ・・・

ステイル「構わないが、僕はずっと此処(上条宅の向いのアパート屋上)だぞ? 土御門の家にでも泊めて貰ったらどうだ?」

香焼「……いいから泊めて」グズッ・・・ウルウル・・・

ぬこ「みー」スリスリ・・・

ステイル「……」ウッ・・・

香焼「お願い」クイッ・・・

ステイル「ぐっ……寝袋は一つしか無いんだぞ。考えて物を言え!」ジジジ・・・フゥ

香焼「一緒で良いもん」グズッ・・・

ステイル「な、オマ……た、煙草臭いから嫌だとか言うだろ!」グッ・・・

香焼「言わないから……泊めてよぅ……」ウルウル・・・

ステイル「ば……馬鹿言うな! 男同士で気持ち悪い……誰かの家に泊れ!」フンッ

香焼「……ステイルぅ」ウルウル・・・

ステイル「……だ、駄目だ」コホンッ

香焼「もう……いいっす」スタッ・・・テクテク・・・

ステイル「こ、香焼?」チラッ

香焼「迷惑掛けた。ごめん……行くよ」スッ・・・

ぬこ「……なぅ」トコトコ・・・


 ――ぴゅー・・・・・


ステイル「女々しい奴……」ハァ・・・

ステイル「……行ったか。神裂に説教メールだな。教皇のくせに大人げ無い奴め」チラッ

ステイル「きちんと……寝床確保しろよ」ボソッ
78 :第3話――浦上「それで……二人は何処までイったの?」  香焼「ちょ、オマっ!!?」 :2011/03/09(水) 06:22:02.29 ID:QUx0plQw0
 <おまけっ!!>


浦上「あーあ。行っちゃった」アチャー・・・

神裂「少し言い過ぎましたね……」ハァ

五和「いや、戻って来るっしょ」ウンウン

神裂「だと、いいのですが……」フム・・・

浦上「いやぁ、今頃新しいフラグでも立ててるんじゃないんですかネ」フヒヒ!

五和「案外ステイルさんとかー」アハハ!

神裂「あはは。まぁステイルとも仲が良いですからね」ハハハ

浦上「もしかしてぇ……一緒の布団に二人で……とか!?」ニヤッ!

神裂・五和「「きゃー!!」」///




 <おまけっ!!?>


初春「編集長っ!! 新作は『不良イケメン神父×迷える男の娘』にしましょう!!」ガタッ!!

冷蔵庫『ふむ……よっしゃー!! 運営様からOKが出た! 明日までにシナリオ上げろ! 受け攻め交換パターンもだ!』ウウィイイイン・・・

初春「了解です! あと今週までに15pまで、ベタ・トーン作業やっちゃうんで出来ればアシ回して下さい!」グッ!

冷蔵庫『あいよ! 探してみるぜ!』ブオオオォン・・・


白井「うい……は……る?」エ・・・

佐天「何か、お花が蠢いてるよ……」ゲ・・・

固法「いい加減冷蔵庫交換しようかしら」ハァ・・・

御坂「……意外と冷静ですね」アハハ・・・ 

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