- ※未完作品
- 1 : ◆tVP EVtkPKg[saga]:2011/03/03(木) 07:58:46.72 ID:SIvRTp/j0
- わっはー!! 最初に諸注意。
佐天さんがついに超能力に目覚めたよ!
時系列とかはめちゃめちゃ。
とある勇者系のオマージュ。
深く考えちゃだめ。
キャラ崩壊余裕でした。
人類みな仲良し(たぶん)。
オーケー?
ぶっちゃけ立つな!って祈りながらスレッド作成ボタンを押すよ! - 2 : ◆tVP EVtkPKg[saga]:2011/03/03(木) 07:59:48.58 ID:SIvRTp/j0
- 15年前――。
とある冬国を走る一台の乗用車。
詩菜「あ、流れ星」
刀夜「結構大きかったな」
女性の名前は上条詩菜、男性の名は上条刀夜。
苗字が同じ二人の関係は夫婦である。
刀夜「ん? 何か願い事かい?」
詩菜「ええ、私たちに子どもを授かりますように、って」
刀夜「そうか」
まだ結婚して間もない二人の微笑ましい会話。
じゃあ今夜はしっぽりむふふと、なんてエロス全開の刀夜をよそに、
目の前から飛来する巨大な物体があった。
しかし天候はあいにくの雪、夫妻がそれに気付くことはなく依然として車を走らせ続ける。
刀夜「なんだあれは?」
刀夜がそれに気づいたのは、『それ』がかなり接近してからだった。 - 3 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/03(木) 08:00:17.03 ID:SIvRTp/j0
- ゴゴゴオオオオオオ!!!
それと猛スピードですれ違ったことで風圧にあおられ車は横転する。
幸いにも辺りは雪一面、派手に何かにぶつかることもなくゆっくりと制止する。
完全に停止した車から二人はどうにか這い出し状況を把握しようとするが、
そこへ先ほどすれ違った物体がUターンして戻ってくる。
その物体――巨大な白いライオンのロボット――は夫妻の前で停止し口をあんぐりと開ける。
刀夜「な、なんだ!? 俺たちを食おうっていうのか、詩菜さん早く逃げよう!」
詩菜「待って、あれは……」
刀夜が妻の手を引き逃げようとするのに対し、詩菜はその場から離れようとしない。
詩菜「口の中に赤ちゃんが!」
詩菜は手を放そうとしない夫を引き摺り、ライオンの口へと手を差し入れる。
そして、ライオンの口の中にいた赤ん坊をそっと抱きよせる。
ライオンは女性が赤ん坊を抱いたことを確認すると空の彼方へと飛び去って行ってしまった。
15年前のこの日、上条夫妻の元へ届けられたこの赤ん坊が
人類存亡の重要な鍵を握るとは、この時まだ誰一人として知る由もなかった。
――――これは、人類存亡をかけて戦う勇者たちの物語である。 - 17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/03/04(金) 00:46:06.28 ID:+LJNN8TR0
- 第一話「勇者王誕生」
21世紀――。
学園都市は物があふれ、人があふれ、オアシスを失っていた。
この偽りの平和を営む裏側で、人類史上最悪の難敵が動き出そうとしていた。
小萌「このゴミ集積場にある粗大ゴミを観察して限りある資源をどう使っていくかよく考えて、
後で感想文を提出してもらいます。では解散です」
とある高校の社会科見学の一コマ。
彼らは学園都市で出た全てのごみが集められるとある学区に来ていた。
上条「はぁ、高校生にもなって社会科見学ってどうなんだ」
土御門「うちの高校、学園都市の中じゃ超能力開発に力を入れてないからにゃー」
青ピ「ダッチワイフとか落ちてへんやろかー」
吹寄「貴様ら、シャキッとせんか!」 - 18 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/04(金) 00:46:48.47 ID:+LJNN8TR0
- 土御門「そんなこと言われてもにゃー」
上条「吹寄が気合入りすぎなだけだろ、今どきの高校生の反応ってこんなも……ん?」
キュゥーン
上条(なんだ今の感じ)
吹寄「上条当麻、どうかしたか?」
上条「ん、いやなんでもない。まぁ、文句ばっか言っててもしょうがないしな。
俺ちょっと向こうの方に面白そうな粗大ゴミでもないか見てくるよ」
吹寄「お、おい私の話はまだ――」
上条はクラスメイトに一言断りを入れてから返事も聞かずに駆け出していく。
少し歩くとさっきまでいた場所からは死角になって見えないところにゴミでできたトンネルを見つけ、
躊躇なくその中へ入りずんずんと先へ進んでいく。 - 19 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/04(金) 00:47:55.97 ID:+LJNN8TR0
- 上条「こっちの方に何かあるような気がしたんだが」
妙な感覚に誘われて奥の方まで来てしまったが特に面白そうなものがあるわけでもない。
何もないならとっとと引き返そうと後ろを振り向いた時、異変が起きた。
ブン!
つきあたりにあった無数のテレビの一つに光が点ったのだ。
最初の一つを皮切りに他のテレビも明滅を繰り返し始め、よく見れば人の顔が映っている。
しかし、上条当麻にそれを注視する余裕はない。
足元にあった配線やコンセントのコードがうねうねと蛇のように蠢き、
じわりじわりとこちらへと近づいてきていたからだ。
上条「う、うわあぁぁーーー!!」
大声を上げ、その場から一目散に走り去ると、クラスメイトたちのいた開けた場所まで戻ってくる。
上条「こ、小萌先生っ!!」
小萌「うわぁ、上条ちゃんどうしたのですか、急に大声をあげたら先生びっくりするのです」
どうしたのかと、上条が担任の問いに答える暇はなかった。
ゴゴゴゴゴ……
ものすごい轟音を上げ、ゴミの山の下から巨大な何かが姿を現したからだ。 - 21 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/04(金) 01:08:55.24 ID:+LJNN8TR0
- 学園都市地下――。
白い巨大ライオンメカ「ぐるるる……、がおおおん!」
――――――――
初春「大変です! ギャレオンが動き出してます!」
白井「なんですって? メインモニターに出して下さいですの」
固法「それにしても2年間全く動かなかったのにどうして」
風紀委員(ジャッジメント)第177支部。
学園都市の学生たちによる自治組織の支部の一つである。
しかし、その表の顔とは別に我々の知らない地球規模の防衛組織が、
この都市の地下に隠されているのであった。
その名はGutsy Gakuentoshi Gudgment(ガッツィー学園都市ジャッジメント)、通称GGG(スリージー)。
謎のライオンメカをギャレオンと呼ぶ彼らとはどのような組織なのだろうか? - 22 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/04(金) 01:09:48.70 ID:+LJNN8TR0
- 初春「メインモニターに出します」
モニター『がしゃーん! がしゃーん!』
白井「学園都市製の頑丈なチェーンを引きちぎったんですの?」
固法「外に出ようとしてるみたいね、どこに行こうというのかしら」
御坂『ゴミ集積場です!』
固法「御坂さん? 緊急招集がかかってるっていうのに一体どこに」
御坂『そんな悠長なこと言ってられません、今そっちに映像を送りますから』
ゴゴゴゴゴ……、ぐおおお!!
固法「なんなのあれ!」
木山「おそらく、2年前に現れた奴と同類だろう」
初春「木山先生!」
御坂『電気製品のゴミでできてるみたいです!』 - 23 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/04(金) 01:10:37.84 ID:+LJNN8TR0
- ――――――――
小萌「みなさーん! 早くバスに乗ってくださーい」
吹寄「小萌先生、三馬鹿(デルタフォース)が……、上条と土御門と青髪がいません!」
小萌「なっ! 三人ともどこ行っちゃったんですかー!?」
吹寄「あ! いましたあそこです!」
小萌「上条ちゃーん! そのバスは違うのですー!」
上条「えっ」土御門「えっ」青ピ「えっ」
ぐおおおおおお!! がしゃーん!
上条「ぎゃー」土御門「にゃー」青ピ「うわー」
――――――――
木山「固法君、ギャレオンを出そう」
固法「!! ……やむおえませんね。白井さん」
白井「了解ですの、ギャレオン発進シークエンス!」
白井がパソコンを操作すると、とある学区の道路の一部が封鎖され、
道路の一部に穴が空きそこからギャレオンが垂直に発進していく。 - 24 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/04(金) 01:11:22.72 ID:+LJNN8TR0
- ――――――――
土御門「ど、どうなってるにゃー!」
青ピ「僕らいったいどうなってまうんや」
上条「って言うかここはどこなんですかー!?」
――――――――
初春「サテライトビューの映像を見た限りでは集積場にあったバスを取り込んだようです」
白井「学生が三人ですの」
固法「なんてことなの!」
――――――――
御坂「こちら御坂です、他の生存者は全員保護しました」
小萌「うわあああん、上条ちゃーん土御門ちゃーん青髪ちゃーん」
鉄装「せせせせ先輩~、あれは一体~」
黄泉川「こっちが聞きたいじゃん、でもほっとけるわけないじゃん。行くぞ鉄装」
鉄装「ま、待って下さい先輩~」
御坂「巡回中の警備員(アンチスキル)!? いけない!」 - 25 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/04(金) 01:12:51.34 ID:+LJNN8TR0
- ぐおおお!!
電気製品で塊でできた巨大な人型のロボットは唸りを上げる。
それに怯むことなく銃器と盾のみで特攻をかける二名の警備員。
電気製品でできたロボットはそれを敵と見なしたらしく、
腕を前に出し攻撃の姿勢をとる。
しかし、それはただ腕を前に出しただけで警備員たちには攻撃の姿勢には見えなかったのだろう。
次の瞬間、退くことのない警備員たちに容赦ないそれが発射される。
ドガッシャーン!!
電気製品でできた腕から射出されたのは腕の一部だったゴミ。
ただし、それは想像を絶する速度で射出され衝撃波をまき散らす。
御坂「あれは超電磁砲(レールガン)!?」
ローレンツ力を利用し音速の3倍で打ち出されたゴミの破壊力は相当なものだろう。
巨大なロボットは敵を排除したことで移動を始めようとする。
そこへ、
ギャレオン「がおおおん!!」
電気製品のロボットほどではないが巨大な白いライオンのロボットが猛スピードで飛翔する。 - 26 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/04(金) 01:13:40.00 ID:+LJNN8TR0
- そのロボット――ギャレオンはスピードを緩めることなく、
そのままの勢いで電気製品のロボットに突撃する。
しかし、
ヴィイイイン!
固法「バリアシステムですって!?」
ギャレオンは電気製品のロボットにぶつかることなく、
その手前にあるロボットが作り出したバリアシステムに阻まれはじき返されてしまう。
それを首だけを180度回転させ目視すると、
電気製品のロボットは腕の肘の部分を逆向きに曲げ反撃する。
その腕から発射されたのは、超電磁砲ではなくビームの様なもので
ギャレオンに当たるとたちまち凍り付いてしまう。
ガシャン、と揚力を失い重力に引かれ真下に落下するギャレオン。
上条「初めてじゃない……? あのライオン、どこかで……」 - 39 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/04(金) 23:05:49.20 ID:+LJNN8TR0
- ――――――――
御坂『固法先輩どうしましょう、中に人がいるんじゃ攻撃できませんよ!?』
木山「例え攻撃しても、美琴君の超電磁砲ぐらいじゃ奴のバリアシステムを貫けないだろう」
固法「バリアシステムをすり抜けて中の学生を救出できる者と言えば……」
初春「」コクリ
白井「」コクリ
木山「彼女しかいまい」
固法「ですね。初春さん、佐天さんを呼んで!」
初春「はい! 待機中の機動部隊、応答願います」カタカタ
佐天『全部聞こえてますよ、固法先輩。いくらなんでも待たせすぎですって』
固法「それより。そっちの準備は大丈夫?」
佐天『いつでもいけます! 中に取り残された学生の救出、ですよね』
固法「ええ、頼んだわよ」
佐天『任せてください!』 - 40 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/04(金) 23:08:35.43 ID:+LJNN8TR0
- 佐天「きて! ドリルガオー!」
電気製品でできたロボットを近くのビルから眺める少女がそう叫ぶと、
突如地響きが鳴り出し、それはロボットの真下のアスファルトを砕いて地面の下から現れた。
先端にドリルがついた角ばった乗用車とでも言えばいいのか、
ドリルガオーと呼ばれたそのマシンは地面を砕き現れた勢いをそのままに
電気製品でできたロボットに突貫を仕掛ける。
がしゃあああん!
上条「うわあああ、な、なんだぁ!?」
突然現れたそれに反応できなかった電気製品でできたロボットは怯みぐらぐらと上体を揺らす。
佐天「イークイップ!! なんてね♪」
先ほどの少女がまたしても叫ぶが、今度は何かが現れる様子はない。
それは少女にとってのみ意味のある言葉。
自分だけの現実(パーソナルリアリティ)をより強固にするための魔法の言葉。
佐天「とぉっ!」
少女は一呼吸置いてから十数階建のビルから飛び降りる。
真下にはドリルガオーが待機していて、華麗に着地を決め、
すぐさま電気製品でできたロボットへと飛び移ることに成功する。 - 41 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/04(金) 23:12:24.51 ID:+LJNN8TR0
- 佐天「助けに来ました!」
上条「わっはー!ってええ!? お譲ちゃん一体どこから」
佐天「お、お譲ちゃん? 仮にもあなたたちを助けに来たレディに向かって……。
っていうか私ってそんなに子供っぽく見えますか?」
上条「まだ小学生ぐらいに見えるけど」
佐天「がーん! 中学生です! これでも発育いい方なんだから!」
土御門「カミやん、今吹寄のこと思い浮かべてただろ、あいつは規格外だにゃー」
青ピ「と、とりあえず僕ら助かったん?」
ごごっごごっ
佐天「な、何!?」
唐突に立っていられないほどの強い揺れをみせる。
そして内側から突き出てきた柱の一撃が少女を襲う。
佐天「きゃー!!」
土御門「げー! あの子吹っ飛んじまったぜい」
その一撃により少女はロボットの中からはじき出されビルへと叩きつけられてしまう。
しかし、電気製品でできたロボットはそれで動きを止める様子はない。
まるで粘土かスライムのような変化を見せ巨大なデコトラへと姿を変え急発進する。 - 42 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/04(金) 23:16:25.89 ID:+LJNN8TR0
- ――――――――
白井「変形したですの!?」
木山「2年前の時と同じだな」
固法「現時刻より奴をEI-02と認定呼称するわ」
初春「EI-02は原子炉を目指しています!」
固法「なんですって! もし爆発したら大変なことになるわ!」
白井「ギャレオン、体内発熱による解凍率80%ですの」
佐天『これはもうフュージョンするしかないですね』
初春「佐天さん! 無事なんですか!?」
佐天『まぁなんとか』
固法「木山先生、フュージョンの成功率は……」
木山「フュージョン成功率は99%、しかし実戦のデータはない。やってみないことには……」
――――――――
初春『佐天さん、フュージョン可能です』
佐天「待ってましたー!」 - 43 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/04(金) 23:17:05.32 ID:+LJNN8TR0
- EI-02は道路を猛スピードで直進していく。
学園都市の平日の昼間に道路を走る車や学生たちはまずいない。
これだけが不幸中の幸いだったと言えよう。
そして上条たち三人はいまだEI-02の中にいた。
青ピ「助けに来てくれたと思た女の子もやられてまうし」
土御門「俺たちどうなっちまうんだろうにゃー」
上条「はー、不幸だー。っておい、お前らあれを見ろ!」
上条が指差したのはEI-02の進行方向、その先にあるのは危険なマークの書かれたとある施設。
土御門「げげ、あれは原子炉だぜい! もしこのまま突っ込んだりしたら」
青ピ「短い人生やったなー、来世はモテモテの人生が送れますように、神様お願いします」ナームー
上条「ふっざけんじゃねー、おい止まれよこの野郎」
慌てる者、諦める者、ガンガンと内側から蹴りを入れる者と三者三様の反応を見せるが
EI-02が止まる様子は全くない。
そして原子炉の目の前まで来たところでようやく動きを止めたかと思えば、
EI-02はデコトラから初めのロボットの形態へと再び変形する。
腕を前に向け超電磁砲の構えをとるEI-02にもはや絶体絶命かと思われたその時、
佐天「そこまでよ!」
彼女(勇者)はギャレオンに乗って颯爽と現れた。 - 45 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/05(土) 00:57:19.71 ID:9vGUgrSl0
- 土御門「さっきのライオン!」
青ピ「生きてたんやね~(涙」
上条「さっきの女の子もいるぞ!」
青ピ「生きてたんやね~(涙」
佐天「フュージョン!!」
少女は真上に飛び上がり、口を開けたギャレオンの中に飛び込んでいく。
するとギャレオンはみるみるうちに人型に変形を遂げる。
佐天「ガイ!ガー!」
中学生佐天涙子はギャレオンとフュージョンすることでメカノイド『ガイガー』に変形するのだ。 - 46 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/05(土) 01:02:14.30 ID:9vGUgrSl0
- EI-02の背後に現れた佐天に対し、EI-02は上半身のみを180度回転させてすかさず両腕を構える。
右腕からは超電磁砲、左腕からは冷凍光線が放たれるが、ガイガーはホバリングで上空へと回避する。
佐天「ステルスガオー!」
佐天の叫ぶ声を無視し、EI-02は両肩からミサイルを発射し上空のガイガーを迎撃する。
ドゴオオオン!
一瞬ミサイルがガイガーを捉えたかのように見えたが、
実はガイガーは黒いステルス機によってミサイルを回避し離脱していた。
ステルスガオーを背負い空を悠然と舞う姿をEI-02は振り向いた時と同様に
上半身のみを回転させ狙いを定めた第二打を放つ。
ドゴオオオン!
再びの爆発と煙で一時的に視界が奪われるが、その煙を切り裂き上空へ逃げる影。
その影を追い、見上げるEI-02だがその影の正体はステルスガオー。
上昇するステルスガオーは囮で、その隙にガイガー本体は地面へと着地を果たす。
それに気付いたEI-02は照準を合わせなおすが、
佐天「遅い!!」
ガイガーの腕のギャレオンクローを振りぬき、
突出していた上条たちの乗ったバスを中央で一刀両断する。 - 47 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/05(土) 01:07:04.69 ID:9vGUgrSl0
- ガイガーは切り取られたバスの一部をすかさず持ち上げその場から高速で離脱する。
上条「うおー、助かったぞ俺たちー!」
上条たちは少し離れた場所に下ろされ、バスから降りてガイガーに手を振る。
上条「お譲ちゃーん、ありがとうー!」
佐天「だからお譲ちゃんはやめてってば!」
悪気ない上条たちの礼の声に突っ込みを入れる佐天だが、今はまだ戦いの最中。
隙だらけの背後に忍び寄るEI-02は、腕を伸ばしガイガーの首を蛇のように締め上げていく。
佐天「きゃあああ」 - 48 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/05(土) 01:08:20.83 ID:9vGUgrSl0
- ――――――――
白井「ガイガーからファイナルフュージョン要請のシグナルが出てますの!」
固法「木山先生!」
木山「ファイナルの成功率は限りなく0……、まず成功するとは思えん」
固法「成功率なんてものは単なる目安にしかすぎません。
足りない分は勇気で補えばいいんです。初春さん!
ファイナルフュージョン、承・認!!」
初春「了解です。ファイナルフュージョン、プログラム、ドラアァイブ!!」
初春はカタカタとキーボードを叩いた後、
最後にDANGERと書かれた書く点滅するボタンにその細腕を渾身の力で振り下ろす。
ガシャアアン!
――――――――
佐天「よっしゃあああ!!」 - 49 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/05(土) 01:12:02.80 ID:9vGUgrSl0
- ガイガーは最後の力を振り絞り、ガイガークローでEI-02の腕を切り裂く。
EI-02の腕が真下に落下するが、切り裂かれた断面から新たな腕が生えてきてしまう。
しかし、その間にガイガーは空高くへ跳躍し高らかにこう宣言する。
佐天「ファイナルフュージョン!!」
宣言と同時にガイガーは緑色の光を振りまいて高速回転を始める。
やがて、周囲を緑色の光が覆い尽くしたところへと、
ドリルガオー、ステルスガオーに加え、新幹線型のメカ――ライナーガオー――が現れ、
次々に変形を遂げていく。
ガイガーも例に漏れず、変形しガオーマシンとの『合体』の準備を整えていく。
そして、各マシンが足に腕に背にと合体を果たし、その最終形態を顕わにする。
佐天「ガオ!ガイ!ガー!」
ついに我々の待ち望んだ真の勇者が誕生した。
その名を、勇者王『ガオガイガー』!。
――――――――
初春「ファイナルフュージョン完了です!」
木山「き、奇跡だ……」
固法「頼むわよ、勇者さま」 - 50 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/05(土) 01:20:25.11 ID:9vGUgrSl0
- 合体と同時に緑色の光の渦は消失し、ガオガイガーが大地に立つ。
EI-02はそれに対し両腕から超電磁砲と冷凍光線を同時に放つ。
ガオガイガーの背後には原子炉があり、もし避ければ誘爆することは間違いないだろう。
しかし、もとより佐天にはこれを避けるつもりなどないのだ。
佐天「プロテクトシェード!」
左腕を前に突き出すと、防御フィールドを展開しEI-02の攻撃を完全に受け止め、
なおかつ、その攻撃をEI-02へと跳ね返してしまう。
ヴィイイイン!
白井『だめですの! バリアシステム破壊率まったくのゼロ、無傷ですの!』
木山『なんだって!?』
佐天「まだまだー!! ブロークン、マグナーム!」
ガオガイガーは今度は右腕を振り上げ、肘から先の部分を高速回転させると
全力で振りかぶって右腕を射出する。
その名のごとく、マグナム(弾丸)のように飛んで行きEI-02に直撃する。
否、その手前のバリアシステムへと着弾し拮抗し続けている。
白井『バリアシステム破壊率、10……20……40……』
木山『よし、そのまま粉砕するんだ』 - 51 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/05(土) 01:40:38.93 ID:9vGUgrSl0
- グワッシャアアアン!
EI-02のバリアシステムを突き抜けたブロークンマグナムは、
EI-02の顔面に突き刺さり、完膚なきまでに粉砕する。
EI-02はその勢いで吹き飛ばされそのまま後ろ向きに転倒し、
その間に突き抜けた右腕はガオガイガーの腕として再び連結を果たす。
しかし、EI-02は何事もなかったかのように立ち上り、
先ほど粉砕された頭部は形の崩れた粘土をこねて作り直すように再生してします。
初春『そんな! 10秒以内に再生しています』
佐天「よし……それなら。ヘル・アンド・ヘヴン!」
佐天は己が能力を最大限に高め、次の一撃に全身全霊を込める体勢をとる。
佐天「ゲムギルガンゴーグフォー」
ガオガイガーは右手と左手の指を交互に絡ませると、
背中のブーストでEI-02に急接近し、組んだ両手を前へ突き出す。
ヘルアンドヘヴンはEI-02のバリアシステムを一瞬で破壊し、本体をも容易に貫く。
佐天「はああああああ! でやあああ!」
叫び声とともに腕を引きぬき、抜き取った敵の核(コア)を高らかに掲げる。
核を失ったEI-02は爆発し再生する様子は見られない。 - 52 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/05(土) 01:54:14.94 ID:9vGUgrSl0
- 佐天「(こんなもの……)ふん!」
ガオガイガーはその両手に力を込め、抜き取った核を握りつぶそうとする。
その圧力に負け、核にひびが入ったその時、
上条「やめろおおおおおお!!」
それを制止する声とともにその背に羽を生やした緑色の髪をした少年が空を飛んで現れる。
佐天「何っ!?」
上条「それを壊すんじゃねえええ!!」
そしてその少年は、ガオガイガーの手にある敵の核の上へと着地する。
固法『な、なんなの、あの少年は!』
EDテーマ『いつか星の海で…』
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=nmRkxVdTNTM - 53 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/05(土) 01:54:44.30 ID:9vGUgrSl0
- 次回予告――。
君たちに最新情報を公開しよう。
えぐり出された敵ロボットの核、あれはなんだ。
うろたえる暇もなく新たなる敵が、街を平和を踏みにじる。
合体不能に陥るガイガーに勝利の女神はほほ笑むのか。
勇者王ガオガイガーNEXT、
『緑の髪のウニ頭』
次回もこのチャンネルで、ファイナルフュージョン承認。 - 55 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/05(土) 02:05:13.10 ID:9vGUgrSl0
- 第一話完。
早速ネタに走りだした感が・・・っていうか上条さんがまもるポジとかシュールすぎてwww
ちなみにところどころ端折ったり、メンバー足りない分を誰かが重役したりしてます。
あと出番少ない人に出番振り直したりとか。
たぶん2話の冒頭をやりたいがためだけに始めたと言って過言じゃない。
>>44
突っ込んでもらっても構わんのだよ?フフン
これからはカタカナ進行でいきますねー - 64 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/06(日) 00:21:54.18 ID:OITlatP20
- OPテーマ『勇者王誕生!』
http://www.youtube.com/watch?v=QgeA3t29qnE&feature=related
第二話「緑の髪の少年」
前回のあらすじ――。
機械生命体、EI-02による原子炉の破壊を阻止すべく
防衛組織GGGより出撃した勇者王ガオガイガー。
02を見事撃破しエネルギー核を握りつぶそうとしたその瞬間、突如現れた謎の少年。
彼は、いったい何者なのか。
黒子(か、上条さんですの……) - 65 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/06(日) 00:23:02.80 ID:OITlatP20
- クーラティオー
ヘ(^o^)ヘ
|∧
/
セネリタース
/
(^o^)/
/( )
/ / >
セクティオー
(^o^) 三
(\\ 三
< \ 三
サルース
`\
(/o^)
( /
/く
コクトゥーラッ! - 66 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/06(日) 00:24:28.61 ID:OITlatP20
- 緑の髪の少年が何か呪文のようなものを唱え、その右手をかざすと
ガオガイガーの手の上のエネルギー核がぐねぐねとうねり出し、
まるで人の様な形へと変化していく。
固法『あ、あれは?』
木山『地球外生物か』
核だったものの変化はいまだ止まらずさらなる変化を続けていく。
やがて、変化が完全に止まった時、その姿はどう見ても人間にしか見えないものであった。
固法『あれが地球外生物の正体だって言うの?』
木山『いや、あれは紛れもなく地球人だよ』
GGG本部でその様子をモニターしていたGGGメンバーはその様子を唖然として見つめていた。
緑の髪の少年は、核が人間に戻ったことで満足したらしく
再び宙へ浮かび、そのまま上空へと飛びあがっていってしまった。
木山『初春君、少年は!』
木山に声を掛けられ、すぐさまキーボードを叩き少年の行方を追おうとする初春だが、
初春『だめです、サテライトサーチでも追跡不能、エネルギー反応も消えました』
固法『そう……。御坂さん、ガオガイガーの手の平の、人間を、連行して頂戴』
御坂『了解です』
固法『ガオガイガー追って撤収』
白井『り、了解ですの』 - 67 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/06(日) 00:26:16.77 ID:OITlatP20
- ――――――――
土御門「おい、カミやんはどうした?」
青ピ「へ? あれ、おらへんやん!? さっきまで一緒に逃げてたはずやのに」
土御門「まさかカミやんの奴、戻ったんじゃないだろうな」
上条「悪い悪い、俺ならここだ。急にションベン行きたくなっちまって」
青ピ「カミやん! 行くなら行くで声かけてーや、心配するやん」
土御門「まったくだぜい」
上条「悪かった、小萌先生も心配してるだろうし、早く戻ろうぜ」
土御門「そうだにゃー」
上条「……」 - 68 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/06(日) 00:27:23.25 ID:OITlatP20
- ――――――――
学園都市の随所にある地下への進入路を通り、ガオガイガーはGGGの整備場へ移送されていた。
白井「ガオガイガー、帰還しましたですの。洗浄後分離作業に移りますの」
――――――――
整備場――。
ガオガイガーが収容されたことでそこはさながら戦場の様相を呈していた。
互いに急かし、怒号を飛ばしあいながらも確実な仕事をこなしていく整備員たち。
ガオガイガーはガオーマシンの合体を順にフュージョンアウトし、
ガイガー、そしてギャレオンへと姿を戻していく。
各マシンは損傷が多く、連結部分は特に破損が激しかった。
――――――――
木山「うーむ、これはひどいな」
固法「戦闘によるダメージですか?」
木山「いや、違う。これは合体によるものだ。
コレクションダンパーの耐久限度を超えてしまったのだろう。
いずれにしても合体のソフトが完全でないのが原因だ」
固法「ソフトの改良とジョイントの修理にどれくらいかかりますか?」
木山「だいたい十日くらいはかかるだろうな」
白井「その間に、敵が現れたりしたら……」
白井の『もしも』の話――しかし決して可能性が低いとも言えない――に
その場にいた皆は口をつぐんでしまう。 - 69 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/06(日) 00:30:14.36 ID:OITlatP20
- ガオガイガーから降ろされた佐天もまた体力を激しく消耗していた。
意識は朦朧としストレッチャーに乗せられ処置室へと運ばれていく。
初春「佐天さん、しっかりして下さい!」
冥土帰し「急激なストレスで血圧がかなり低下しているね」
佐天(あの、緑の髪の少年は、一体……)
冥土帰し「これはまずいね、瞳孔反応が鈍い。急がないと」
初春「佐天さん、佐天さーん!」
佐天(初春……ごめんね、ちょっと眠るだけだから) - 70 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/06(日) 00:31:44.01 ID:OITlatP20
- あれは、2年前のことだ。
小学校の頃、森でかくれんぼをして遊んでいた私の目の前に、『それ』は落ちてきた。
大きくて、白い、機械でできたライオン。
突然のことで驚いたけど、私はそのライオンに対して恐怖よりも
好奇心の方が勝っていて、友人たちの制止を振り切りライオンに触れてしまった。
すると、私の手が突如緑色の光を発して輝きだした。
「そこのあなた、そのロボットから離れなさい!」
直後、誰かに声を掛けられたかと思うと、気付けば自分とライオンの周りを
上から下まで全身真っ黒な服に身を包んだ人たちに囲まれていた。
「あなたのその手……、もしかして“超能力”!?」
その時の私はその言葉の意味がわからず、ライオンに触れたことをこっぴどく叱られるのだと震えていた。
その後、私は黒服たちに連れさられるように家に帰ると、
リーダー格らしい女性――固法先輩――に親と一緒にいろいろな説明を受けた。
まず一つは、ライオンのことを誰にも口外しないでほしいということ。
二つ目に、彼女らが学園都市に所属するとある組織ということ。
そして最後に、私には超能力がある、ということ。
その日二度目となる『超能力』という言葉に私は胸躍らせていた。
よく理解していなかったにも関わらず、なんとなく自分が特別なのだと、
そう言われて子どもだった私は心の底から嬉しかった。
それから、私は家族の反対を押し切り、学園都市で学ぶ道を選んだ。
はずだったんだけど――。 - 71 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/06(日) 00:33:15.16 ID:OITlatP20
- 学園都市の学校に入って、まず最初に身体検査(システムスキャン)を受け
私が持つ超能力について詳しく知ることになる。
『勇気をエネルギーに変える力』、肉体強化系に分類される力で
勇気――感情を引き金にして力を発揮するものだ。
学園都市の中でも同じ能力を持つ者は誰もいない、所謂レアスキルだったのだが、
いかんせん、私の心は弱かった。
つまるところのレベル0、能力はあってもほぼ意味を成さないのだ。
あの出逢いの日から、自分のことをずっと特別だと信じていた私は愕然とした。
幸いにも友人には恵まれ、楽しい日々を過ごしていたが、心の内は劣等感の塊だった。
短い間だったけど、いろいろなことがあったよ。
その中でも転機になったのが『幻想御手(レベルアッパー)事件』と『ポルターガイスト事件』の二
つ。
めんどくさいし詳しくは割愛するけど、幻想御手によって力を行使する感覚を覚え、
ポルターガイスト事件で仲間のために振り絞る勇気の強さを知った。
そして私の能力はレベル3まで向上し、それを報告したその日に固法先輩はこう口にした。
「私たちに力を貸してほしいの」
学園都市で再会してからずっとはぐらかされていたが、その秘密をついに知る日が来たのだ。
固法先輩の口から語られたのは想像を絶する内容だった。
あの日私が見つけたライオン――ギャレオンのことや、そのギャレオンが宇宙で衝突した
Extra-IntelligenceことEI-01、固法先輩だけでなく初春に白井さん、御坂さんまでGGGの隊員だった
こと、
そして私が世界で唯一、ギャレオンとフュージョンしてEI-01らと闘う素質のある能力者だというこ
と。
私は馬鹿だから、命がけの仕事だって言われてもピンとこなかったし、それより特別って認められて
また舞い上がっちゃって。
結局、私しか闘えないんじゃ仕方ないじゃない、なんて軽い感じでGGG入りを果たして今日に至るけ
ど。
いやぁ、それにしても恐ろしい敵だったね、EI-02。めちゃくちゃ強かった。
知ってしまったからこそやめられなくなったじゃない。
あれを野放しになんてしたら学園都市だけじゃなく世界中がめちゃくちゃになっちゃう。
その中には私の友だちや、家族だって含まれてるわけで――。
それを守るには私が闘うしかないんだって、恥ずかしいから消極的な言い方しちゃうけど、
私はそれを守りたいんだ、この手で、この力で、私の大事なもの全部守ってみせるんだから。 - 72 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/06(日) 00:34:43.43 ID:OITlatP20
- 窓のないビル――。
アレイスター「目覚めよ、機械四天王よ……」
闇咲「闇咲逢魔、我ここに」
シェリー「シェリー=クロムウェル、待ちくたびれたわ」
神裂「神裂火織、只今到着いたしました」
ステイル「ステイル=マグヌス、すぐにでも出向可能だ」
アレイスター「あの黒いロボットは」
闇咲「おそらくは、カインの遺産を地球人どもが受け継いだものかと」
シェリー「それにしても、ゴミを寄せ集めたロボットじゃ弱すぎたな」
神裂「核となる地球人の選択も甘かった」
アレイスター「次の手は打ってあるのか」
ステイル「お任せ下さいアレイスター様。
今度の人間はとっても凶悪な奴です、WRYYYYYY!!」 - 79 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/08(火) 05:16:36.93 ID:rmf/miNY0
- 翌日――。
上条「おはよーっす」
吹寄「おお、貴様も無事だったんだな」
上条「無事って……あぁ、昨日のことか。なんとかなー」
吹寄「なんだ、ずいぶんと気の抜けた返事だな。一歩間違えれば死んでいたかもしれないのに」
上条「そうなんだが、なんだか現実離れしすぎてて実感湧かないんだよ」
吹寄「確かに。超能力は見慣れていても、私も巨大ロボットは初めてだ」
土御門「にしては、ニュースじゃ全く取り扱われてないんだぜい」
吹寄「土御門」
上条「おっす」
土御門「おう。どうやら学園都市の上層部が情報規制を敷いてるみたいだぜい。
外のマスコミと違って、学園都市は公務員職に近いもんがあるからにゃー」
吹寄「そう言えば、昨晩、母に連絡してみたんだが
外のニュースでも取り扱ってないらしい」
上条「ふーん」
上条(昨日の……、全身緑に光って空まで飛んで、俺は一体……) - 80 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/08(火) 05:18:25.37 ID:rmf/miNY0
- ――――――――
初春「アウレオルス=イザード、18歳。自称“錬金術師”を名乗る新興宗教の教祖でした。
ですが、入信者は集まらず闇金融から借金もしていたらしくほどなくして夜逃げ。
どうもそれからゴミ島学区に住み着いたようです」
初春が読み上げているのは、昨日御坂美琴によって連行されてきた
EI-02の核だった人間のプロフィールだ。
アウレオルスが連行されてきてから様々な検査が行われたが、
検査の結果は若干不健康であるという程度で他は全て正常な地球人であることが判明していた。
固法「EI-02との関係は何かわかったかしら?」
木山「逆行催眠で彼の記憶を辿ってみたんだがどうにも……。
一応、興味深いものは見つかったよ。これなんだが」
そう言って木山はキーボードを操作しメインモニターにある画像を表示させる。
固法「馬? それも競走馬ですか?」
木山「借金を返すために彼が行った最後の賭けで大負けした馬なんだが。
こっちはEI-02の頭部、似ていると思わないか?」
固法「つまり、素体となる人間の感情や経験に影響される、ということでしょうか」
木山「恐らくだが」 - 81 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/08(火) 05:20:21.86 ID:rmf/miNY0
- ――――――――
スキルアウト「ビッグスパイダー」のアジト――。
蛇谷「おい、なんでこんだけしか集まってねえんだよ!!」
手下1「それがみんな『黒妻さんには逆らえねえ』とか抜かしやがって」
蛇谷「黒妻の野郎!! いつもいつも目障りなんだよ、くそがあああ!!」
ガシャアアアン!!
手下2「蛇谷さん、落ちついてください!」
蛇谷「これが落ち着いていられるか! くそっ! 俺にもっと力があれば!」
ステイル「力が欲しいのか?」
手下1「なっ!?」
蛇谷「なんだ、テメェは! 一体どこから」
ステイル「それより。君は力が欲しいんだろう? 誰よりも強く、誰にも見下されない力が」
蛇谷「欲しいって言ったらどうしてくれるっていうんだ!?
まさか俺にそんな夢みてぇな力をくれるっていうのか、えぇ!?」
ステイル「その通りさ。さぁ、受け取るがいい、WRYYYYYY」
蛇谷「う、うああああああ!!」
手下2「へ、蛇谷さーん!!」 - 82 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/08(火) 05:22:57.09 ID:rmf/miNY0
- うああああああ!!
辺りに叫び声がこだまする。
その声の主は、仲間の前でみるみるうちに姿を変え人間という種からかけ離れていく。
手下1「おいお前! 蛇谷さんに一体何を……、っていない!?」
先ほど突然現れた男に文句を言おうとするが、その男はすでにその場から姿を消していた。
辺りを見回してみるが、付近に自分たち以外は猫の子一匹見当たりはしない。
そうこうする間にも蛇谷と呼ばれていた男は周囲にある、鉄パイプやらドラム缶やらと
ありとあらゆるものを吸収し肥大化を続けていく。
手下2「う、うわああああああ」
手下1「おい、自分だけ逃げるんじゃねえよ、ちくしょおおお」
男の仲間は自分たちには手に負えないと判断すると我先にと逃走する。
そして、その場から全ての“人間”が消えると同時に、EI-03が誕生した。
――――――――
同時刻、上条宅――。
キュゥーン
上条(なんだこの感じ……、あの時と同じ!)
禁書「当麻、どうかしたの?」
上条「いや、ちょっとな。学校に忘れ物したのを思い出したんだ。
悪いけどちょっと出てくるよ。風呂はもう沸いてるから、じゃ」 - 83 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/08(火) 05:26:29.69 ID:rmf/miNY0
- ――――――――
ビー、ビー、ビー、・・・
その警報は敵勢力の出現を知らせるものだ。
今もまだいくつものケーブルをその身に繋がれている彼女は、
その音を聞き一つ溜息をついてから後身体を起こすと
自信に繋がれているケーブルをまとめて引きちぎるように取り外す。
初春「さ、佐天さん! まだ寝てないと!」
佐天「ありがとう初春。でも行かないと」
自分の身体を気遣う優しい友人に礼を言うとベッドから飛び降りる。
この優しい友人を守るために彼女は立ち上るのだ。
――――――――
EI-03は暴れていた。
近くにあった建設機械を吸収したEI-03は、鉄球を振り回し周囲の建造物に叩きつける。
幸いにもここは建設区画、二棟三棟とぶち抜かれているが中に誰もいないのが唯一の救いだ。
佐天「あーぁ、無茶苦茶してくれちゃって……。これはきついお仕置きが必要だね~」
冗談めかした物言いをする彼女は、腰に付けたホルダーからナイフを抜き取る。
そして緑色の刀身が印象的なそのナイフを空に掲げて高らかにこう叫ぶ。
佐天「ギャレオーン!」
その声に反応するように刀身が輝き、綺麗なエメラルドの光が辺りを照らす。 - 84 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/08(火) 05:28:39.50 ID:rmf/miNY0
- それは彼女が相棒を呼ぶための合図の様なもの。
彼女の呼びかけに相棒は颯爽と現れる。
ギャレオン「ガルルル……」
佐天「フュージョン! はぁぁっ、ガイガー!」
相棒の到着と同時に、敵と闘うため彼女はフュージョンを果たす。
闘いは先手必勝と、ガイガーは飛び上がりEI-03へと飛び蹴りを見舞う。
しかし、EI-02と同様にバリアシステムに阻まれ本体に攻撃が届くことはない。
佐天「くっ、ガイガーじゃパワー不足ってこと!?」
一旦を距離をとろうと後方へ跳躍するガイガーだが、
先制攻撃を受けガイガーを敵と見なしたEI-03がそれを追う。
着地の瞬間を狙いEI-03は腕と連結した破壊力抜群の鉄球を投げつける。
ガイガーはホバリングを使って回避しようとするが周囲は建物だらけで小回りが利かず、
どうにか直撃だけは免れたものの建設途中の鉄骨だけのビルに突っ込んでしまう。
その隙を敵が見逃すはずもなく、EI-03は再び自慢の鉄球を振り上げる。
そしてガイガーは回避不能の攻撃を真正面から受けてしまう。
ドゴオオオオオオン!
佐天「きゃああああああ!」 - 85 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/08(火) 05:29:29.45 ID:rmf/miNY0
- ――――――――
白井「ガイガー、もう限界ですの」
木山「まずいな、自己制御システムが損傷を受けたらしい。
アドレナリンの分泌量が正常値をはるかに超えてしまっている。固法君!」
固法「合体させるんですか!? 成功する可能性は」
木山「昨日の今日だからな、ソフトもまだ未完全で成功率は30%ほどだろう」
固法「もし、失敗したら……?」
木山「…………。失敗すれば、衝撃で佐天君もマシンも粉々に吹き飛ぶことになる」
初春「そ、そんな!」
佐天『きゃあああ、もうダメ! 早く承認を!』
固法「くっ。30%の成功率をガッツで100%にするもの、それが勇者よ。
ファイナルフュージョン、承認!」
初春「(佐天さん……)、ファイナルフュージョン、プログラム、ドライブ!」
初春は嗚咽を殺し右腕を振り上げる。
自分が涙を流したって友人を救うことはできない。
できるのは、成功することだけを祈りその腕を振り下ろすのみ。 - 89 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/08(火) 22:06:30.20 ID:rmf/miNY0
- ――――――――
佐天「こなくそおおお!」
三度振り上げられた鉄球を寸でのところで背中のブーストを使い回避する。
EI-03の股の下を抜け背中に回り込んだガイガーは、跳躍し決死の合体シークエンスに入る。
佐天「ファイナルフュージョン!」
ガイガーは緑色の光を振りまいて高速回転を始める。
周囲を緑色の光が完全に覆い尽くしたところへガオーマシンが次々と進入し変形を開始する。
そして、まずはじめにドリルガオーを脚部へと連結しようとするが、
ガシャアアアン!
木山『いかん、失敗した!』
本来の固定位置からずれたドリルガオーが、他のマシンと衝突し弾き飛ばされてしまう。
瞬間、GGG本部に緊張が走るが、初春一人は冷静な対応で状況の把握に努めていた。
初春『ファイナルフュージョン続行可能です!』
初春(頑張って佐天さん……)
再びドリルガオーとの合体シークエンスに入ろうとするガイガーだが、
防護壁の役目を果たす緑色の光を突きぬけ現れる敵影。
力づくで侵入してきたEI-03は、鉄球を振り上げガイに攻撃を仕掛けようとする。
しかし、EI-03の侵入に気付いたガイガーは一時合体をキャンセルし、
ドリルガオーを腕へと装着すると、腕のドリルを鉄球に叩きつける。
弾き返された鉄球はEI-03へと直撃し、衝撃で光の防護壁の外へと追い出される。
佐天はコンマ数秒で安全を確認し、腕のドリルガオーを取り外し今度こそ合体シークエンスに突入する。
今度は無事にドリルガオーとの連結に成功し、ライナーガオー、ステルスガオーと
次々に合体を完了させていく。
そしてついに完成した最強の勇者王が剛腕を打ち鳴らし、己の名前を吼えるように叫ぶ。
佐天「ガオ!ガイ!ガー!」
初春『やりました! ガオガイガー合体成功です!』
固法『信じてたわ、佐天さん。それでこそ真の勇者よ』 - 90 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/08(火) 22:10:18.80 ID:rmf/miNY0
- EI-03は合体を完了させ防護壁を取り払ったガオガイガーへと
自身の誇る最大の攻撃力を持つ鉄球に遠心力をつけて投げつける。
先ほどまでならば受け止めることなど適わなかった攻撃だがガオガイガーならば可能と、
左腕を前に出し最強の盾を構える。
佐天「プロテクトシェード!」
展開された防御フィールドの前にEI-03が投げた鉄球はいとも容易く停止してしまう。
佐天「プラズマホールド!」
さらにその態勢から左腕の防御エネルギーを反転させ敵を拘束する。
ガオガイガーは鉄球を掴み持ち上げると鉄球に繋がるワイヤーを引き、
EI-03本体を先ほどまで振り回していた鉄球のように振り回し始める。
EI-03を二度、三度と地面に叩きつけた後、今度は右腕を振り上げ最強の矛を射出する。
佐天「まだまだー! ブロウクンマグナム!」
高速回転する剛腕はEI-03のバリアシステムを貫き、どてっぱらに風穴をあける。
だが、敵がこの程度で倒れるはずもなく、佐天もそれは先刻承知の上である。
故に、EI-03が再生する隙を狙い必殺の一撃を放つのが真の目的だ。
佐天「ヘル・アンド・ヘヴン!」
佐天は己の力を最大限に高め、ガオガイガーの両腕へとエネルギーを送り込む。
ヘルアンドヘヴン、それは攻撃と防御のエネルギーを一つに合わせた
ガオガイガー最強の必殺技である。
佐天「ゲムギルガンゴーグフォー……ふん!」
ガオガイガーの両手を交互に絡ませると、
背中のブーストで急加速し、組んだ両手でEI-03を一撃で貫く。
佐天「はああああああ! でやあああ!」
EI-02の時と同様に、エネルギー核を引き抜き佐天は勝利の雄たけびを上げる。 - 91 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/08(火) 22:11:53.16 ID:rmf/miNY0
- 木山『佐天君、その核を破壊してはいけない。中には人間がいるはずだ』
しかし、ガオガイガーは木山の声に反して両腕に力を込めていく。
初春『佐天さんのアドレナリンが生命危険域に入っています。
佐天さんは自分で自分を制御できません!』
佐天「やああああああ!」
さらに両腕に込める力は増し、エネルギー核にひびが入り始める。
あわや粉砕かと思われたその時だ。
上条「それを壊すんじゃねえええ!!」
佐天「何っ?」
緑の髪の羽を生やしたあの少年が現れて止めに入ってきたのだ。
その少年は宙を舞い、ガオガイガーの腕へと右手を伸ばす。
少年の右手がガオガイガーに触れた途端、ガオガイガーは力を加えるのをやめ
GGG本部で佐天のバイタルチェックをしていた初春は驚きの声を上げる。
初春『木山先生、佐天さんのアドレナリン分泌量が!』
木山『正常値に戻った? 佐天君の怒りが静まったのか!? あの少年は一体……?』
EDテーマ『いつか星の海で…』
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=nmRkxVdTNTM - 92 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/08(火) 22:13:07.38 ID:rmf/miNY0
- 次回予告――。
君たちに最新情報を公開しよう。
不思議な力を持つ、上条当麻の右腕。
街を救うためガオガイガーの左腕に合体した、ディバイディングドライバーとは何か。
学園都市を割って巨大な閃光が走る。
勇者王ガオガイガーNEXT、
『幻想殺しの右腕』
次回もこのチャンネルで、ファイナルフュージョン承認。 - 99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]:2011/03/09(水) 22:24:11.32 ID:2z7kENzh0
- ちょこっとだけガオガイガー!
お話をより深く楽しむためのミニ情報カットだよ!
それは2年前のこと――。
地球外生命体、EI-01はギャレオンの迎撃を受け学園都市に落下。
その恐るべき生命力は付近一帯の機械を吸収、決死の追跡をかわし消息を絶った。
事態を重く見た学園都市上層部は地球外からの脅威に対する防衛組織を結成。
その名もGutsy Gakuentoshi Gudgment、通称GGG。
しかし同じ頃、EI-01は学園都市の地下鉱物を侵略しつつあった。
OPテーマ『勇者王誕生!』
http://www.youtube.com/watch?v=QgeA3t29qnE&feature=related
第三話「幻想殺しの右腕」
前回のあらすじ――。
地球外生命体の陰謀により、機械人間となったビッグスパイダーリーダーの蛇谷次雄。
未完成の合体ソフトであったがファイナルフュージョンに成功するガオガイガーは、
ついに敵ロボットを撃破。
蛇谷次雄が入った中心核をえぐり出すが、佐天は自己制御不可能な状態に陥っていた。 - 100 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/09(水) 22:25:14.20 ID:2z7kENzh0
- >>65
上条「クーラティオー、セネリタース、セクティオー、サルース、コクトゥーラッ!」
緑の髪の少年はEI-02の時と同様の謎の呪文を唱えると、右腕で中心核にそっと触れる。
すると、これまたEI-02の時と同様に中心核はぐねぐねと粘土のように形を変え、
元の人間の姿へと徐々に戻っていく。
蛇谷「ありがとう……ありがとう……」
完全に人間に戻った蛇谷は、喜びからか涙を流しながら少年に何度も何度も礼を言っている。
木山『やはり、EI-03の中心には人間がいたか』
佐天「はぁはぁ……あ、あなたは確か」
佐天はガオガイガーのスピーカーを操作し緑の髪の少年へと直接語りかけようとするが、
少年はまたすぐに上空高くへと飛び立って、高速で逃げてしまう。
佐天「待って!」
それを追いかけようとする佐天だったが、ガオガイガーは思うように動いてくれない。
それはガオガイガーが、というよりも佐天自身の身体も限界に来ていたのが原因だ。
立っているだけでもやっとだったらしく、少年を追いかけようと手を伸ばしたことで
機体のバランスを崩しガオガイガーは前のめりに転倒してそのままピクリとも動こうとしない。 - 101 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/09(水) 22:26:09.89 ID:2z7kENzh0
- ――――――――
初春「ガオガイガー全機能停止! バックアップ起動しません! う、うあ……、
死んじゃう……、佐天さんが死んじゃううう!!」
さっきまで堪えていた涙が堰を切ったように流れだし、目に見えてうろたえる初春。
木山「落ちつきたまえ初春君、佐天君は大丈夫だ」
モニターのバイタルの情報を見ると危険な状態には変わりないが、
今すぐにどうこうなるレベルではなく、命には別条がないことが分かる。
固法「(初春さんはあんな状態だし、あの少年の追跡はできそうにないわね……)、
整備装甲車を急がせて。御坂さん、現場の指揮は任せるわ」
御坂『了解しました』
白井「あの、固法先輩……、少しお話があるんですの」
固法「何かしら白井さん?」
白井「さきの緑の髪の殿方についてですわ」
固法「なぁに? まさかあの少年は知り合いだとでも言うの?」
白井「その、まさかですの……」 - 102 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/09(水) 22:27:39.88 ID:2z7kENzh0
- ――――――――
上条「はぁ~……、昨日に続いて今日もなんて、不幸すぎるだろう」
上条当麻は寮の前で頭を抱えていた。
昨日までは、自分のことをちょっと不幸体質の無能力者だと思っていたのに、
全身が緑色に光ったり、羽が生えて空を飛んだりと
常識が通用しないどころの話ではなくなっていた。
上条「ファンタジーすぎるだろう、俺ってば実は科学サイドじゃなく魔術サイドの人間なんじゃないか?」
冗談のような話だが、上条当麻には夏休みより以前の記憶がないため、
安易に否定もできないじゃないですか、不幸だー、ともう一度ため息をつく。
帰ったらインデックスに相談してみようかとか考えても見たが、
全身が緑で空を飛んでとかそんな説明すること自体が苦痛なのでやめておこうと思いなおす。
どこのナ○ックな聖人だよ、と独りごちてからようやく歩き出す。
悩んでも結論の出ないことは風呂にでも入って忘れちまうのが一番だ、
そう思い直して自宅のドアを開けると、そこにはまた別の悩みの種が鎮座していた。
白井「上条さん、お話がありますの」
禁書「とーま、お客さんなんだよー」
上条当麻は嫌な予感をひしひしと感じながら、ここ数分で通算三度目となる口癖をこぼした。
不幸だ、と。 - 103 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/09(水) 22:29:28.64 ID:2z7kENzh0
- 上条「白井、だったよな、御坂の後輩の」
白井「そうですの。要件なのですが今日伺ったのは」
禁書「?」
白井はそこで言葉を切り、チラと横目で上条の同居人に目を向けたあと、もう一度上条の方へ向き直る。
白井「公園にあるジュースの自動販売機の件、と言えばおわかり頂けますでしょうか?」
上条「え゙……、MA・SA・KA?」
白井「本日は風紀委員として参上いたしましたの」
上条「いやいやいや、あれは俺じゃなくて御坂がだな」
白井「共犯には変わりありませんの、初犯ということで反省文程度で済むはずです。
そういうわけでご同行願いたいのですが」
上条「ふ、不幸だ……」
禁書「とーま、どこか行っちゃうの?」
白井「安心して下さいな。今晩きちんと反省して頂けましたら明日にはちゃんとお返しします」
禁書「朝ごはんまでには帰ってくる?」
白井「もちろんですの」
禁書「じゃあ我慢するんだよ、とーま、ちゃんと罪を償って戻ってくるんだよ」
無邪気に手を振る白いシスター。
上条当麻は知っている、朝ごはんまでに帰ってくる?というのは上条を心配した言葉ではなく、
自身の朝食を心配しての言葉だということを。 - 104 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/09(水) 22:31:44.62 ID:2z7kENzh0
- 寮を出た二人は、目的地を風紀委員の詰所へと設定し黙々と歩いていた。
その沈黙に先に耐えかねた上条は白井に適当な話を振ってみる。
上条「なぁ、白井。俺のところに来たってことは御坂も補導されたのか?」
白井「そのことなのですが、実はまるっきり嘘なんですの」
上条「へ、嘘? 嘘ってどういう?」
白井「昨日と今日、緑色に輝いて羽を生やして空を飛ぶ上条さんをお見かけしましたの」
上条「Oh...」
白井「そのことでお伺いしたいことがありまして。
ご同居の女性がご存じかどうかわからなかったものですからこのような形で連れ出させて頂きました」
上条「あぁ、その気遣いは非常に助かる、インデックスには話してないんだ。けどな」
白井「着きましたの」
上条が何か言おうとしたのを遮り、白井が目的地に到着したことを告げる。
上条「着いた、ってここただの行き止まりだぞ?」
そこは何の変哲もない路地の突き当り。
そもそも補導が上条を連れ出すための方便なのだから詰所に行く必要はない。
しかし、なぜこんな場所に?と上条は当然の疑問を投げかける。
白井「上条さんはテレポートできませんから、こちらの通路を使いますの」
そう言って白井は壁に手を当てると、辺りにピーと電子音が鳴り響き、次の瞬間、
地面に大きめの穴が空き二人は重力に引かれ穴の中へと吸い込まれていく。
上条が口癖を空に向かって大声で叫ぼうとした時には、地面の穴は元通りに閉じていた。 - 105 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/09(水) 22:33:09.25 ID:2z7kENzh0
- 上条「学園都市の地下がこんな風になってたとはなぁ」
地上から落とし穴と言う名の隠し通路を通り、白井と二人で地下通路を歩いていた。
白井「極秘事項ですのでくれぐれもご友人に教えるなんて真似はしないで下さいまし。
さぁ、ここが本部ですの」
白井はドアの前で立ち止まり、自身の服装を軽く直してからドアを開く。
白井「白井黒子、ただいま戻りました」
固法「お帰りなさい白井さん、ほんとに知り合いだったのね」
ドアの先にはだだっ広い部屋があり機械がたくさん置かれていた。
そこに入ると同い年くらいの女性が上条を見てそんなことを言った。
御坂「え、ちょっと黒子!? なんでそいつをここに連れてきてるのよ?」
また、同じく部屋にいたもう一人は上条もよく知る人物であった。
白井「お姉様は直接ご覧になっていませんでしたわね、
EI-02とEI-03の核を人間に戻したのは上条さんなんですの」
御坂「はぁ!? あんたそれ本当なの!?」
上条「いやまぁそのなんというか、成り行きで……」
固法「上条当麻くんだったわね。私は固法美偉って言うの。
その話詳しく聞かせてもらえないかしら」 - 106 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/09(水) 22:34:51.21 ID:2z7kENzh0
- 上条「詳しくって言われても俺自身よくわかってなくて……。
超能力レベルも0の無能力者でごく普通の高校生」
白井「ごく普通の高校生は緑に光ったり羽を生やして飛んだりしませんの」
御坂「ごく普通の高校生にレベル5のあたしの電撃が無効化されてたまるかっての」
上条「うぐっ……、そんなこと言われても上条さんだって混乱してるんですよ。
あんなふうに空飛んだり光ったりしたのも昨日が初めてですのことよ」
固法「自分でもよくわからない力、ねぇ。昨日突然超能力に目覚めたってことなのかしら?」
御坂「じゃああんたは、その右手と空飛ぶ能力の多重能力者になるの?」
固法「その、右手って言うのは?」
上条「えっと、俺の右手はどういうわけか異能の力なら例え神様の奇跡だって打ち消せるんですけど、
超能力に詳しい知人が言うには、この力は超能力じゃないらしくて」
固法「異能の力ならなんでも……、つまりあの中心核は超能力的な何かってことなのかしら。
とりあえず口で説明されてもよくわからないし身体検査とか受けてもらってもいい?」
上条「はい、俺もさすがにこんな力気味が悪いし、こちらこそお願いします」
固法「じゃあ、白井さん。木山先生のところへ上条くんを連れて行ってあげて」
白井「了解ですの」 - 107 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/09(水) 22:35:57.34 ID:2z7kENzh0
- ――――――――
窓のないビル――。
アレイスター「ステイル=マグヌスよ、貴重なゾンダーメタルをまたしても無駄にするとは」
ステイル「も、申し訳ありません、あの黒いロボットがあそこまで強いとは、WRYYY」
闇咲「私にいい考えがございます、アレイスター様」
ステイル「WRY?」
アレイスター「ほう、言ってみよ闇咲」
闇咲「人口密集地でゾンダーロボを暴れさせましょう。
黒いロボットは付近の人間どもを巻き込んででも闘えるでしょうか?」
アレイスター「ふはは、いいだろう、今回はお前に任せるとしよう闇咲逢魔」
闇咲「ははぁ」 - 114 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/11(金) 00:43:54.72 ID:8f5XGK110
- ――――――――
とある高校の学生寮――。
姫神「私。影薄いのかな」
姫神「社会見学でも。上条くんと一度もお話しなかった」
姫神「もっと。もっと目立ちたい。上条くんに。見て欲しい」
闇咲「その願い、叶えてやろうではないか」
姫神「一体誰。一人暮らしの。私の部屋に男の声」
闇咲「季節外れのサンタクロース、と言ったところか。さあ、受け取るがいい」
姫神「嫌。嫌……。やめて!」
いやああああああ!
……。 - 115 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/11(金) 00:46:20.79 ID:8f5XGK110
- ――――――――
初春「先生、佐天さんの容体は……」
冥土帰し「今の彼女は能力が暴走していて自らの能力で自身を苦しめている状態だ。
まだ、安心はできないが僕は医者だ、必ず助けてみせるよ?」
冥土帰しは学園都市でもっとも腕の立つ名医だ。
帰還して数時間、未だ昏睡状態の佐天を前に初春は気が気でないが、
今は彼が言うその言葉を信じる他ないのだろう。
初春「佐天さんは、本当はか弱い女の子なんです……。それなのに」
初春は胸の内のもやもやを吐き出すように声にする。
この場でその言葉を聞いているのは冥土帰しのみだが、それは目を覚まさない佐天に向けた言葉。
冥土帰し「僕は医者だからね。本来命を危険に晒すような行為を肯定すべきではないのだが、
それでも、僕は彼女に闘って貰わなければならないと思ってるんだよ?」
初春「っ! なぜそんなことを!」
返事が返ってくると思っていなかった相手からまさかの言葉を投げかけられる。
それを聞いた初春は思わず激昂する。
冥土帰し「もし彼女が戦わなければたくさんの人間が傷つき、そして命を落とすだろうね。
僕はそれが認められないだけなんだ、失われた命だけはどうすることもできない。
だから彼女には命がけで戦って欲しい。彼女がどんなに傷つくことになったとしても、
生きて戻ってきてくれるなら僕は必ず彼女を助けてみせる。僕は、医者だからね?」
初春「先生……」
冥土帰し「こんな話、君に聞かせるようなことじゃなかったね。
けど僕も誰かに聞いてほしかったんだろうね? 自分の非力さを」
初春「……いえ」 - 116 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/11(金) 00:50:04.57 ID:8f5XGK110
- ――――――――
木山「ふーむ、とりあえず身体検査をしてみたがレベル0の無能力者か……。
そうだ、上条くん。緑色に光ってあと羽を生やしてくれないか」
上条「すみません、それはできないんです。勝手にそうなるっていうか自分の意思じゃ上手くは」
検査室とモニタールームとガラス一枚を挟み、マイクとスピーカーで会話する二人。
木山「そうなのかい? 試しに緑色に光っている時の自分を想像してみてくれ」
上条「は、はい。(あんまり想像したくはないが……)う~ん、むむむむむむ……」
木山「AIM拡散力場の数値に変化は見られないか。
じゃあ次は君の右腕、幻想殺しと言ったか。それを実際に見せてほしい」
上条「はい、じゃあ御坂、俺に電撃を飛ばしてくれ。軽くだぞ、軽く!」
御坂「何が軽くよ、超電磁砲だって止められるくせに……。じゃあいくわよ」
御坂はぶつぶつと何か小声で呟いたあと、掛け声をかける。
そして、手をかざし掌からビリビリと電撃を放出する。
一直線に上条に向かう電撃は、上条が突き出したその右手に触れ消滅してしまう。
上条「どうですか?」
木山「これは……。すまないがもう一度頼むよ」
木山のその言葉に、御坂は今度は首だけで合図をし再び電撃を放つ。
先と同様に上条の右手に触れた電撃はあっけなく消滅する。 - 117 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/11(金) 00:53:58.57 ID:8f5XGK110
- 木山「そうかそうか、よし上条君。今度は御坂君の頭に右手を置いてほしい」
御坂「ふぇ?!」
指示を出されたのは上条の方だが、返事をしたのは御坂の方だ。
そんなことはお構いなしに、右手について詳しく知りたい上条は
とことこと御坂の隣へ歩いていきその頭に右手を乗せる。
木山「やっぱりだ。上条くん、君の右手はAIM拡散力場を対消滅……、つまり打ち消している」
上条「つまり俺の能力は超能力を打ち消す力ってことですか?」
木山「明確な答えは出せないがそれに近いものと考えていい。
おそらくだが対消滅させることができるのは超能力に限定されていないはずだ。
EI-02とEI-03は超能力とはまた別の存在であるというのは判明しているからね。
しかし、面白い能力だな。普通、超能力は何かを生み出したり感知したりするものだが、
何かを壊すことを目的とする能力とは……」
御坂「ふにゃ~///」
上条に頭を撫でられているような形になり御坂は顔を真っ赤にしてしまっているが、
上条並びに木山がそれに気づく様子は全くないのが不憫でならない。 - 118 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/11(金) 01:01:24.65 ID:8f5XGK110
- ――――――――
ビー、ビー、ビー、……
GGG本部全体に鳴り響くアラートに白井と固法に緊張が走る。
白井「監視システムが蛇行を繰り返し暴走するデコトラをキャッチ、第七学区を北上中、
EI-04と見てまず間違いないですの!」
固法「なんですって!? つい数時間前にEI-03を倒したばかりじゃない。
白井さん、佐天さんの容体は……?」
白井「まだ意識が戻っていませんの」
固法「このままじゃ街が……」
――――――――
キュゥーン
上条の髪が突如反応し、一瞬だが緑の輝きを放つ。
御坂「あんた今髪が!」
木山「それにこの警鐘、おそらくは敵が現れたのだろう。司令部に戻ろう」
木山の言葉に従い、三人は部屋を後にする。
すると、上条は丁度部屋から出たところで走ってきた女の子とぶつかってしまう。
上条「おっと、ごめん、大丈夫だったか?」
倒れそうになった女の子は、御坂が受け止めてくれたおかげで怪我はしていないだろう。
初春「いえ、こちらこそすみません」
上条はふと女の子が走ってきた方を見る。
その方向には部屋があり扉が開きっぱなしになっていた。 - 119 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/11(金) 01:03:53.27 ID:8f5XGK110
- 冥土帰し「うん? 君は上条君じゃないか、どうしてこんなところにいるんだい?」
部屋の中にいた冥土帰しは上条に気付くと声を投げかけてくる。
上条「いや、まぁいろいろと事情がありまして」
冥土帰し「まぁ、無理に詮索するのもね。いやそれよりもだ。
君がここにいるとは、丁度よかった。こちらへ来てほしい」
上条「はい?」
よくわからないがチョイチョイと手招きする冥土帰しに従い、上条は部屋の中へと入る。
そこで上条が見たのは、昨日EI-02に襲われた上条たちを助けにやってきた女の子だった。
ただその女の子に意識はなく、たくさんの器機に囲まれあまりよくない状態であるのが見受けられる。
冥土帰し「今彼女は、超能力が暴走している状態にある。そこで君の右手の力を借りたいんだね?」
上条は冥土帰しの言葉の意味を理解し自身の右手を見やる。
上条「右手をどうすればいいんですか?」
ややあって今度は冥土帰しを見つめ適当な対応を問う。
冥土帰し「彼女の額に右手を置いて欲しい」
上条は指示に従い右手を名も知らぬ彼女の額に手をあてがう。
すると、一瞬の出来事だったが彼女の身体が輝きを放つ。
キュゥーン - 120 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/11(金) 01:09:46.39 ID:8f5XGK110
- 予想外の反応に上条は思わず手をひっこめ、問題ないのかと冥土帰しに視線を戻し顔色をうかがう。
気付けば御坂や木山、それとさっきぶつかった女の子も部屋に入ってきていて
心配そうにこちらを見つめていた。
冥土帰し「これは一体……?」
僅かに女性陣に気をとられたがその声に再び冥土帰しに目を向ける。
初春「どうかしたんですか、先生」
冥土帰し「予想外の反応なんだね。いや、いい意味でなんだけど」
冥土帰しは目を丸くして、いくつかの器機を確認している。
佐天「うーん……。あれ、ここは?」
冥土帰し「全ての数値が、正常値に、最適値と言っていいほどの状態に戻っているね?」
冥土帰しの予想ではこれほどまでの回復は見込んでいなかったのだろう。
目を覚ました佐天を驚きの表示で見つめている。
初春「佐天さん! よかった、目が覚めて……本当によかった、ぐす」
佐天「ちょっ、う、初春?」
先の女の子は喜びの涙を流して、目が覚めたばかりの彼女へと抱きつく。
若干戸惑い気味だったが、それを見て上条はほっと安堵する。 - 121 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/11(金) 01:12:59.06 ID:8f5XGK110
- ビー、ビー、ビー、……
佐天「この警鐘、敵が現れたの?」
目が覚めたばかりの彼女だったが、鳴り響くその音に気付き眉をひそめる。
木山「ああ、恐らく」
初春「まさか佐天さん、行くなんて言いませんよね? 今目が覚めたばっかりなんですよ?」
佐天「んー、大丈夫だって、なんか私今すごく身体の調子がいいんだ。力が湧きでてくるって言うか」
彼女はぐるぐると肩を回し身体の調子を確認しつつ、しがみつく友人をそっと宥める。
二人とも理解している、もし敵ならば彼女が出向く以外選択肢がないことを。
上条「おい、本当に大丈夫なのか?」
その現実を知らない上条は心配して彼女に声をかける。
佐天「ほぇ? なんであなたがここに!?」
冥土帰し「事情は知らないが、君が回復したのは居合わせた彼のおかげなんだよ?」
佐天「よくわかんないですけど、とりあえずありがとうございます」
上条「い、いやそれほどでも」
正直、触れただけで何かした実感がない上条は戸惑いを隠せずにいた。
そんな上条をしり目に彼女はベッドから跳び降りるとあっけらかんと言い放つ。
佐天「じゃあお礼と言っちゃなんですが、この街の平和、守ってきますね?」
言いたいことを言って満足した佐天は片手を挙げて手を振ると颯爽と駆け出していってしまった。 - 122 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/11(金) 01:22:06.44 ID:8f5XGK110
- ――――――――
街中を走る一台の車両。
ピカピカと電飾を輝かせこれでもかと自己主張するそのデコトラは、
猛スピードでありながら右へ左へと蛇行を繰り返し、街灯や清掃ロボットに衝突するも
一向にスピードは衰えずはちゃめちゃな走行を続けていた。
その危険極まりないデコトラの前に白いボディをしたロボットが立ちふさがる。
佐天「ジャッジメントですの! なーんて一度言ってみたかったんだよね、これ」
真っ向から受け止める姿勢を取るガイガーに、同じく真っ向から跳ね飛ばさんとデコトラは突っ込んでいく。
あわや衝突というところでガイガーは自ら跳び上がるとデコトラの上へと華麗に着地を決める。
それを振り落とそうとデコトラはより一層と蛇行の幅を広げる。
しかしそれは佐天の思うつぼ、勢いよく右に切られたハンドルに合わせ
デコトラの左側へと重心を移動するとバランスを崩させデコトラを引き倒すことに成功する。
横転したデコトラはがりがりと地面を滑りながら減速し、数十メートル先でようやく停止する。
これで一安心かと思いきや、デコトラは突如として二足歩行型のロボットへと変形を果たす。
初春『ガイガーからファイナルフュージョン要請のシグナルが出ています!』
固法『ファイナルフュージョン承認!』
初春『了解、ファイナルフュージョン、プログラム、ドライブ!』
佐天「ファイナル、フュージョン!」
ガイガーは高速回転を始め、緑色の光を振りまき合体シークエンスに突入する。
数時間前の合体では成功率30%と言われていたが、
実戦のデータを得たことで短い時間でありながらも合体プログラムは格段にアップグレードされていた。
マシン同士が衝突するような事故もなく、危なげない合体が行われていく。
そして初回は60秒以上かかっていたファイナルフュージョンを
今回は50秒足らずで完成させ最強の勇者が降臨する。
佐天「ガオ!ガイ!ガー!」 - 123 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/11(金) 02:15:52.71 ID:8f5XGK110
- EI-04は目の前に現れた黒き巨神に攻撃を開始する。
両椀を前に出し手の平から連発式のミサイルが射出されガオガイガーを襲う。
しかし、左腕を前に出しガオガイガーは最強の盾を構える。
佐天「プロテクト、シェード!」
ガオガイガーが展開した防御フィールドによってミサイルはこともなげに弾かれてしまう。
そう、弾いてしまった。
佐天「しま……」
ったと、思った時にはもう遅かった。
ミサイルはあらぬ方向へと飛び、周囲の建造物を襲う。
幸いにも直撃した弾は一発もなかったが爆風は建造物のガラスを割り、
中にいた人間の悲鳴があちらこちらから聞こえてくる。
EI-02の時の様な周囲に何もない場所でもなければ、EI-03の時の様に無人の建物に囲まれた場所でもない。
ここは学生寮が多く立ち並ぶ住居区画でここで戦闘を行えば被害は甚大なものとなる。
EI-04からの攻撃は止まず、それを防ぐこともできず、一方的にダメージを負い続ける。
佐天「きゃああああああ」 - 124 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/11(金) 02:39:13.83 ID:8f5XGK110
- ――――――――
初春「ガオガイガー、装甲が持ちません!」
白井「この状況では思う存分闘えませんの!」
固法「こうなったら……。仕方ないわね、ディバイディングドライバー射出準備!」
初春「なっ、なんですって!?」
白井「もし失敗したら!」
木山「わかっているのか固法君、失敗すれば学園都市は跡形もなく吹き飛ぶことになる」
上条「はっ!? あ、跡形もなく……」
固法「このままEI-04が暴れ続ければ結果は同じよ!
今まで奇跡を起こしてきた佐天さんならきっとやってくれるはず。
なぜなら佐天さんは、勇者だからよ! ディバイディングドライバー射しゅ」
『やめとけェ、それはァ一か八かでもなんでもねェ、ただの自棄だァ』
御坂「一方通行(アクセラレーター)! なんであんたが格納庫にいるのよ!」
一方通行『よォ、オリジナル。久しぶりだなァ』 - 125 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/11(金) 02:46:24.75 ID:8f5XGK110
- 一方通行『長官さンよォ、ディバイディングドライバーはまだ未完成だァ、
演算が複雑すぎて今のプログラムじゃァ100%失敗するゥ』
固法「それでも!」
一方通行『人の話は最後まで聞くもンだぜェ。だからせめて0%の成功率を
20%ぐらいには引き上げてやるって言ってんだよォ、この俺が乗ることでなァ』
木山「な、何を言ってるんだ君は! いくらなんでも無茶だ!
確かに学園都市第一位を誇る君の演算能力なら可能性は上がるだろう。
しかし、もし失敗すれば反射に演算を割いている余裕のない君は間違いなく死ぬことになる!」
一方通行『ごちゃごちゃうるせェンだよォ、守りたいもンも守れねェならこンな命捨ててやらァ。
たかだかレベル3程度の能力者が闘ってンのにレベル5のこの俺様がァ、
どォして指咥えて黙ってられるってンだァ!』
御坂「一方通行、あんた……」
一方通行『長官のあンたが許可しねェとハッチは開かねェ。
最悪扉くれェならぶっ壊そォかとも思ったがァ、一応精密機械だからなァ。
成功率は少しでも高い方がいいだろォ? さァ選べよ長官さンよォォォ!?』
固法「……信じて、いいのね?」
木山「固法君ッ!?」
一方通行『俺を誰だと思ってやがる? 俺は学園都市最強の第一位、一方通行様だァ!』
固法「一方通行君を乗せて、ディバイディングドライバー射出準備、急いで!」
白井「了解ですの!」 - 126 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/11(金) 02:57:18.37 ID:8f5XGK110
- ――――――――
初春『ディバイディングドライバー射出準備完了』
白井『ミラーカタパルト開きますの』
初春『座標軸固定OK』
白井『ミラーコーディングスタート……射出ですの!』
ミラーコーティングを施されたディバイディングドライバーは勢いよく射出される。
見た目は巨大なマイナスドライバーのような形をしたその新型ツールは遥か上空を飛翔する。
初春『佐天さん、座標軸を固定して下さい』
佐天「了解! 私の本気見せちゃうんだから!」
初春からの指示を受け、ガオガイガーはEI-04からの攻撃を上空へと回避する。
ガオガイガーはそのまま高度を上げ、丁度真上にきていたディバイディングドライバーと並び飛ぶ。
そしてドライバーで言うところの尻の部分に空いた穴へとガオガイガーの左腕を連結固定する。
佐天「一方通行さん、よろしくお願いします!」
一方通行「愉快なオブジェになるのはごめんだからなァ、気合入れて行くぜェ!」
遥か上空からとんぼ返りを決め、ガオガイガーは再び地面を目指し降下する。
そしてその左腕に連結された秘密兵器を大地へと叩きつけるように突き立て佐天は叫ぶ。
佐天「ディバイディングドライバー!!」 - 127 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/11(金) 03:36:47.21 ID:8f5XGK110
- ディバイディングドライバーは火花を散らし、蒸気をまき散らしながら
その先端から凄まじい量のエネルギーを放出する。
道路に沿って長く前後に伸びたエネルギー波は、
アスファルトの大地を真っ二つに割り直径500m、深さ30mの穴が完成する。
EI-04は穴のできる過程で落下し、地面に叩きつけられていた。
白井『アレイスティングフィールド固定、及びレプリションフィールド安定』
初春『建造物破壊ゼロ、ディバイディングコア消失、戦闘フィールド形成に成功しました』
白井『ガオガイガー、D-Dモード解除、戦闘モードに入りますの』
全員『『『やったああああああ!!』』』
佐天「来なさい! EI-04!」
EI-04はすぐさま態勢を立て直し、再び連発式のミサイルで攻撃を行う。
ガオガイガーはそれを高く跳躍して回避すると、敵頭部へと空中かかと落としを叩きこむ。
EI-04の頭部はひしゃげ、ガオガイガーの重みに思わず膝を突く。
しかし、ひしゃげた頭部はすぐに再生しEI-04は反撃を図る。
元がデコトラだっただけに重量級らしい剛腕をガオガイガーへと叩きつけてくる。
どうにか右腕の側等で受け止めるが破壊力抜群の攻撃にガオガイガーは上体がぐらつきかける。
EI-04はそのままの姿勢でさらに力を加えて押し切ろうとするのを、
ガオガイガーはブロウクンマグナムの射出時同様に腕を回転させ、
EI-04の左腕を受け流すと追撃を叩きこむ。 - 128 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/11(金) 03:37:24.84 ID:8f5XGK110
- 右、左、右、左とボクサーのパンチを連想させる連続攻撃が次々に決まり
最後に回転によって威力を増した右腕を受け戦闘フィールドの外壁まで叩きつけられる。
それを好機と見てガオガイガーは両腕を構え、必殺の一撃を放つ。
佐天「ヘル・アンド・ヘヴン! ゲムギルガンゴーグフォー……、はあっ!」
背中のブーストで加速し、組んだ両手をEI-04へと叩きつける。
佐天「でやああああああ!! いやあぁぁ、とりゃあああ!」
貫いたその手を抜き出し、中心核を高らかと掲げて勝利の雄叫びを上げる。
傍らで核を失ったEI-04は跡形もなく爆発する。
――――――――
固法「よし、やったわね佐天さん」
GGG本部司令部では皆が喜びあっていた。ただ一人を除いて。
上条「ダメだ! それを握り潰しちゃいけない!」
木山「安心していい、あの核は持ち帰るように言ってある」
上条「違うんだ、あれをそのままにしちゃいけないんだ!」
上条の意図するところがわからない木山たちは首を傾げる。
どういうことなのかと木山が上条に問いかけようとした所へ、佐天が驚きの声を上げる。
佐天『な、なんなの!?』
突如として、抜き取った中心核が球体から形を変え人に近い形態へと変化しつつあったからだった。
EDテーマ『いつか星の海で…』
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=nmRkxVdTNTM - 129 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/03/11(金) 03:49:40.16 ID:8f5XGK110
- 次回予告――。
君たちに最新情報を公開しよう。
ぶちのめした敵ロボットからゾンダーが逃げた。
全力で捜索するGGG。
しかしゾンダーは史上最強のスペースシャトルで飛び立った。
叩き落とせガオガイガー、ディバイディングドライバーよ海を割れ。
勇者王ガオガイガーNEXT、
『逃亡者ゾンダー』
次回もこのチャンネルで、ファイナルフュージョン承認。 - 142 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/18(月) 23:06:12.64 ID:4wRheMNe0
- ちょこっとだけガオガイガー!
ガオガイガーの左腕に装備された空間湾曲エネルギーを利用し、
数百メートル四方の街を一定時間凝縮移動させるハイテクツール――。
GGGは戦闘時における周囲への被害を最小限に食い止めるため、
この戦闘フィールド発生装置を完成させた。
『ディバイディングドライバー』、これが勝利の鍵だ!
OPテーマ『勇者王誕生!』
http://www.youtube.com/watch?v=QgeA3t29qnE&feature=related
第四話「逃亡者ゾンダー」
前回のあらすじ――。
上条当麻の不思議な力で復活した佐天涙子は、ゾンダーロボとの死闘を繰り広げる。
ディバイディングドライバーによる戦闘フィールドで見事敵を粉砕するガオガイガーだったが、
しかし――。 - 143 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/18(月) 23:11:52.79 ID:4wRheMNe0
- 上条「ダメだ! それを握り潰しちゃいけない!」
木山「安心していい、あの核は持ち帰るように言ってある」
上条「違うんだ、あれをそのままにしちゃいけないんだ!」
それはどういうことなのかと、木山が尋ねようとしたその時、佐天が声を上げる。
佐天『な、なんなの!?』
その声の原因はガオガイガーの手の上の、ゾンダーから抜き取った中心核にあった。
先ほどまで球体だった中心核は、うねうねと変形し人型へと姿を変えていたのだ。
上条「ゾンダーが!」
人型となったゾンダーは、ガオガイガーの手の上から飛び降りると
戦闘フィールドの生成により寸断された地下水路へと飛び込んでしまっていた。
佐天『に、逃げちゃった……、戦闘フィールドの外に』
初春「サテライト、追尾できます!」
白井「レプリションフィールド内を検索中ですの! ですが……」
初春「あのサイズですと発見は困難かと」
御坂「くっ、これじゃ振り出しじゃないのよ!」 - 144 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/18(月) 23:17:22.01 ID:4wRheMNe0
- ――――――――
初春『佐天さん、フィールディングタイムアウトまで300秒を切りました』
佐天「了解、ガオガイガー帰還します」
ガオガイガーは、ディバイディングドライバーを再び装備すると、
ホバリングで浮上し戦闘フィールドから離脱する。
初春『レプリションフィールド消失、自然復元、開始されます』
現場にはGGGの研究員が到着しており、戦闘フィールドの東西南北、4カ所でデータ採取を行っている。
初春『数値安定、アレイスティングアウトします』
湾曲した時とは逆にゆっくりと収縮し始め、ほどなくして一切の損壊のない
元の街並みへと戻っていた。
現場の研究員たちは、それを確認して喜びの声を上げている。
初春『復元率100%、アレイスティング解除』
白井『建造物、及び都市機能の被害ゼロですの』
固法『みんな、御苦労さま』 - 145 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/18(月) 23:21:29.03 ID:4wRheMNe0
- ――――――――
こうして、都市への被害は回避された。
しかし、敵ロボットの核、ゾンダーの追跡は続行された。
今も何十台もの捜索車両とヘリが夜の街を飛び回っている。
そこへ、一台のヘリが高度を落とし着陸する。
中からは上条と御坂が降りてきて、ヘリは再び離陸し捜索部隊へ合流する。
御坂「あんた、ほんとにゾンダーの居場所なんてわかるの?」
上条「まぁ、たぶん」
御坂「いい加減ねえ。あら?」
そこへ、今度は一台のバイク(サイドカー付き)がやってくる。
乗っていたのは佐天だ。
※学園都市の法律と現在の日本の法律とでは異なります。
皆さんは決して無免許運転などはなさらぬようお願いします。
御坂「あんたはここで少し待ってて」
上条「ん? ああ、わかった」
御坂「あいつがゾンダーの居場所を察知できるらしいわ」
佐天「へー、すごいんですねー上条さんって」
御坂「ところで佐天さん、身体の方は大丈夫なの?」
佐天「はい、上条さんのおかげです」
御坂「あいつってば普段は冴えない癖に、人が苦しんでる時には最高のタイミングで……、
って、あれ? あいつどこいったのよ!? 待っててって言ったのに!」 - 146 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/18(月) 23:28:01.46 ID:4wRheMNe0
- ――――――――
近くの無人工場――。
上条(ゾンダー……、ここにいる気がする)
コツコツコツ……
上条「おーい、怖がらなくてもいいぞ。俺が元の姿に戻してやる」
ビシビシッ!
上条「!?」
ゾォンダァァァ!
上条「し、心配しなくていいぞ……、今元に」
ゾォンダァァァ!!! バチバチッ!
上条「うあああああっ!?」
佐天「ウィルナイフ!」
ガシャンッ! ドゴーン!
佐天「あーもう、また逃げたっ! ってそうだ、上条さん! 大丈夫ですか、上条さん!?」
上条「ぅ、う~ん」 - 147 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/18(月) 23:34:18.68 ID:4wRheMNe0
- ――――――――
GGG本部医務室――。
冥土帰し「どうってことない脳震盪だね? 今日はもう帰って休んだ方がいいんだよ?」
御坂「よかった……」
上条「ありがとうございました」
木山「上条くん、ゾンダーがどこに逃げたかは分からないかな?」
上条「はい、今は何も感じません」
――――
――
―
今、上条は佐天のバイクのサイドカーで家に送られているところだ。
佐天「自分で自分のやってることがよくわからない、ですか?」
上条「ああ、ゾンダーがなんなのか何で元の人に戻せるのかさっぱりですよ」
佐天「無意識で空まで飛んじゃうんですから、すごい超能力ですよ」
上条「超能力、なのかなぁ。木山って先生が言うにはAIM拡散力場が確認できないとかなんとか」
佐天「詳しいことはわかりませんけど、何にせよ誰かを助けることができるんですからすごいことですよ」
上条「そう言われるとなんか照れるな。あ、そこの学生寮がうちだ」 - 148 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/18(月) 23:36:51.97 ID:4wRheMNe0
- ブウゥゥン、キィッ
上条「送ってくれてありがとな。年下の女の子に送ってもらうってなんかカッコつかないけど」
佐天「ふふっ。普通逆ですもんね」
上条「上条さんはフェミニストですから」
佐天「ああ、そうだ。メアド交換しましょう」
上条「構わないぜ」
――赤外線通信中――
佐天「このアドレスにメールするとGGGにも転送されます。
ゾンダーのことを感じたり、思い出したことがあったら連絡をお願いします」
上条「ああ、わかった」
佐天「あと、こちらから連絡することもあると思います。
上条さんのアドレス、本部の人たちにも転送しても大丈夫ですか?」
上条「ああ、問題ないよ」 - 149 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/18(月) 23:40:03.37 ID:4wRheMNe0
- 数日後――。
小萌「出席を取るのですよー。……――。姫神ちゃーん、姫神ちゃんいませんかー?」
上条「姫神の奴、今日も欠席だったな」
土御門「今日で何日目だ? 一度見舞いに行った方がいいかにゃー」
吹寄「見舞いなら昨日私が行ってきたわ」
上条「よお、吹寄。姫神の様子はどうだった?」
吹寄「いや……それがな、いなかったんだ」
青ピ「おらんかったって、風邪かなんかちゃったん? 医者にでも行ってたんちゃうのー?」
吹寄「というより、出かけてないみたいなの。
管理人さんに頼んで鍵を開けてもらったんだけど、靴は玄関にあったし」
上条「もしかして誘拐されたってことか!?(またアウレオルスみたいな魔術師が……)」
吹寄「一応、仮にも女子寮よ。ある程度の防犯設備はあるわ。
欠席した前日、防犯カメラに姫神さんが帰宅するのが映ってたわ。
ただ、その日以降の姫神さんがでかけるところは映ってなかったし、
怪しい人物も一人として映ってなかった」
土御門「防犯カメラってのは場所さえわかってれば映らないなんてのは簡単だが、
正直、姫神を誘拐するってのが考えにくいな。
普通狙うなら常盤台みたいなお嬢様学校の生徒だろ」
吹寄「月詠先生にはもう伝えてきた。警備員の先生に伝えて探してもらうって」
上条「何にせよ、心配だな……」 - 150 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/18(月) 23:41:42.52 ID:4wRheMNe0
- ――――――――
風紀委員第177支部――。
固法(あれから早数日、逃げたゾンダーは一向に見つからない……)
白井「――先輩、固法先輩? 大丈夫ですの、ボーっとしていらっしゃったみたいですが」
固法「あら、白井さん。巡回から帰ってたの?」
白井「ええ、丁度今しがた。そう言えば、巡回中にあの蛇谷という殿方にお会いしましたわ」
初春「蛇谷って、先日EI-03にされた、固法先輩の元配下だったあの?」
固法「私の配下じゃなかったしその言い方はやめて。で、蛇谷が何かしたの?」
白井「したと言えば、していたのですが。その、街の清掃を」
固法「せ、清掃? なんであいつが?」
白井「わかりませんの。憑き物が落ちた様な清々しい笑顔で、
落ちているゴミを拾ったり、壁の落書きを消したり、道を尋ねた人を案内したり、
学校にもきちんと行ってる様ですの」
木山「それはゾンダー化の影響だろう」
初春「木山先生。(いたんだ)」
テレビ『航空学区で開発された最新型のシャトルは明日打ち上げられる予定で――』 - 151 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/18(月) 23:42:57.95 ID:4wRheMNe0
- 木山「どうやらゾンダー化は人間の過剰な憎しみや嫉妬を増幅させる何かにとりつかれた現象らしいんだ」
初春「何がとりつくんですか?」
木山「それがわかれば苦労しないよ。わかればゾンダーとの闘いもやりやすくなるだろう」
固法「逃げたゾンダーはどうなったんでしょうか」
木山「奴らが何を目的にしているのか、それがわからないことには、な」
一同「うーん……」
テレビ『このシャトルは世界一推進力のあるエンジンが積まれており――』
――――――――
航空学区――。
その辺り一帯にある建造物でもっとも高い場所。
そこに一人の女がいた。
本来であれば、非常に目を惹く奇抜なファッションをしていた彼女だが、
それ以上に目を惹くのはその片手で掴まれている物体だ。
それは数日前に逃げだしたあのゾンダーであった。
神裂「ソラはいい……」 - 156 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/21(木) 23:46:11.22 ID:3DhBCbpS0
- 神裂「見なさい。あれが今学園都市で最も注目されているメカです。
地を這う車など霞んで見える。空の上は果てしなく広い……。
地上の薄汚さとは無縁の素晴らしい世界です」
ゾォンダァァァ……
――――――――
キュゥーン
上条「はっ! 今の感じは……」
――――――――
~♪
佐天「メール? 上条さんから……、『ゾンダーを感じた、シャトルが危ない』!?」
――――――――
上条から連絡を受けたGGGは、シャトルを狙っていると思われる逃亡者ゾンダーの捜索を開始した。
多くの隊員を動員し、いくつもの機材でゾンダーの反応を追うが――、
『シャトル発射40分前。作業員は全員発射台から退避してください。繰り返します――』
夜通し捜索し続けたにも関わらず一切の反応がなし。 - 157 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/21(木) 23:50:10.44 ID:3DhBCbpS0
- 白井「もう時間がありませんの。今ならまだ発射中止の要請が可能ですが」
木山「ゾンダーが見つからないのでは、中止要請は難しいだろうな」
初春「燃料の注入が始まると発射中止にも危険が伴います」
御坂「もういいわよ、あいつのことだし寝ぼけてたんじゃないの?
まだ自分の能力もあんまわかってないみたいだし」
――――――――
『シャトル発射30分前。宇宙飛行士の搭乗を開始します』
宇宙飛行士「……」
『メイン燃料の注入を開始します』
ゾンダーは発見できないまま、シャトルは発射することになった。 - 158 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/21(木) 23:52:26.29 ID:3DhBCbpS0
- ――――――――
校長「……一時間目の途中でシャトルの打ち上げがあります。
今日のシャトルは特別なエンジンを付けているそうです――」
青ピ「ふわあああ、学園都市にきてからシャトルの発射なんて何回見たことか」
土御門「そうだにゃー、ぶっちゃけ見飽きちまったんだぜい。毎回、最新だの特別だのって」
吹寄「ちょっと三馬鹿、静かにしてなさいよ」
上条「……」
土御門「カミやんどうかしたのか? いつもならここで、
『上条さんは関係ありませんのことよ!?』とかツッコミ入れてるとこだぜい?」
吹寄「どうした上条当麻、貧血か? 鉄分補給には学園都市特製のレバ刺しジュースが」ゴソゴソ
上条「へ? あー悪い悪い、ちょっと寝不足でな。で、何の話だ?」
小萌「上条ちゃ~ん? 今は校長先生のお話の最中なのですよ~。
静かにしてないとスケスケみるみるの刑なのですよ~」
上条「こ、小萌先生!? すみません、静かに寝てます!」
小萌「寝てちゃだめですって! まだ朝礼中ですよ!」 - 159 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/21(木) 23:54:54.58 ID:3DhBCbpS0
- ――――――――
『カウントダウン開始、発射15分前』
宇宙飛行士「……」
カタカタカタ……、ピッピッ
ガゴン! ガガガガガ……
ゾォンダァァー!
オペレーター『どうなってるんだ!? エンジンの出力が急激に上がっているぞ!』
ゴゴゴゴゴ……
予定よりはるかに早い時間にシャトルのエンジンに火が点る。
そして轟音を響かせて空高くへ飛び立っていく。
――――――――
初春「シャトルが突然コントロールを受け付けなくなり、独りでに発射してしまったそうです!」
固法「なんですって!? じゃあやっぱりゾンダーが!」
――――――――
青ピ「あれって校長が今言うてたシャトルとちゃうん? 時間にはまだ早いんとちゃうの?」
吹寄「それにしてもすごい音ね、こんなに離れてるって言うのに」
土御門「さっすが最新エンジンだにゃー」
上条(だめだ……! あのまま宇宙に飛ばしたら……」 - 160 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/21(木) 23:57:15.88 ID:3DhBCbpS0
- ――――――――
ゾォンダァァー!
コックピットの操作パネルから染み出るように現れたゾンダーは、
鳴き声をあげて触手を伸ばし宇宙飛行士を絞め殺そうとする。
宇宙飛行士は一見苦しそうにもがいているように見えるが、
実はこの宇宙飛行士は――、
佐天「いい加減にしろー!」
宇宙服の頭部部分を取り外しそのままゾンダーに投げつけたのは
GGG機動部隊隊長の佐天涙子、その人であった。
佐天「イークイップ!」
言霊で自分だけの現実をより強固なものとして、自身の超能力を開放する。
佐天は宇宙という過酷な環境から人間を守ることができる宇宙服をいとも容易く引き裂き、
ようやく身軽になったと、ふぅと溜息をついて長い髪を棚引かせる。
佐天「ウィルナイフ! このうねうねしてるの邪魔!」
腰のホルダーから刀身が緑色に輝くナイフを抜き、ゾンダーの触手を刈り取っていく。
ゾォンダァ!
その様にゾンダーは怯えたようにシャトルと同化して逃げてしまう。
邪魔が消えたことで、佐天はコックピットにある一つのレバーを思い切り引く。
そのレバーは補助ロケットを切り離すためのもの。
まだ地上から数百メートルという位置で補助ロケットは切り離されてシャトルから離れていく。
佐天「こちら機動部隊、予定通り補助ロケットの切り離しました」
初春『ギャレオンがそちらに向かっています。フュージョンしてゾンダーを叩き落として下さい』
佐天「了解!」 - 161 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/22(金) 00:00:21.94 ID:qHg1vp9l0
- ガシャァン!
佐天は搭乗口のドアを力尽くでぶち破る。
内外の気圧の差で吸い出されるように外に飛び出すと
そこにはすでにギャレオンがシャトルに並列して飛行し待機していた。
佐天「いくよ、ギャレオン! フュージョン!」
佐天はギャレオンの口から搭乗し、ガイガーへとフュージョンを果たす。
佐天「ガイガー! 落ちろおお!」
ガイガーはフュージョンと同時にギャレオンクローをシャトルの羽へとひっかける。
シャトルの推進力で片羽だけにガイガーほどの重量が加われば羽は折れ空中分解しているところだろうが、
ゾンダーがとりついたことでシャトルは強化されて羽が折れるような様子は一切ない。
また、シャトルの形状もいくばくか変化している。
しかし、バランスを崩したシャトルは錐揉み回転をしながら
向きを並行から徐々に高度を落とし地上へ引かれていく。
土御門「おいおい、あのシャトル、こっちに向かってるぞ!」
吹寄「全員伏せるんだ! 早く!」
シャトルはとある高校の上空を凄まじいスピードで通り過ぎていく。
その高校では校庭で朝礼の真っ最中で、学生たちは逃げまどったり地面に突っ伏したりしていた。
初春『佐天さん、燃料タンクを狙ってください! 燃料がなければ宇宙へは行けません!』
佐天「燃料タンク!? えーとえーと、これかー!!」
ガイガーはシャトルにしがみついている方と逆の腕で
燃料タンクの注入口と思われる部分へとギャレオンクロ―を叩きこむ。
佐天「よっしゃ、ビンゴー!」
燃料タンクに穴が開いたことでそこから燃料が漏れ空中へとばらまかれていく。
燃料は揮発性が高く無害とは言えないだろうが、ただちに影響が出ることはないだろう。 - 162 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/22(金) 00:03:18.09 ID:qHg1vp9l0
- ――――――――
白井「ガイガーからファイナルフュージョン要請シグナルが出てますの」
固法「ファイナルフュージョン承認!」
初春「了解です。ファイナルフュージョン、プログラム…、ドラアァイブ!!」
初春はカタカタとキーボードを叩き、最後にDANGERと書かれた赤く点滅するボタンへ腕を振り下ろす。
――――――――
佐天「おっしゃあ! ファイナル、フュージョン!」
そこはすでに海上。
ガイガーはゾンダーから飛び降り、海の上での合体シークエンスに入る。
緑色の光に包まれてドリルガオー、ライナーガオー、ステルスガオーと次々に合体を果たし、
そして最強の勇者が降臨する。
佐天「ガオ!ガイ!ガー!」
ガオガイガーは合体が完了すると、合体する間に距離が離れてしまったゾンダーを追って飛行する。
佐天「うおおお! ブロークン、マグナーム!」
さらに飛行によって加速した状態から右腕ことブロークンマグナムが発射される。
ガッシャーン!
その剛腕は前方を飛ぶゾンダーに見事に突き刺さり、
ゾンダーは爆発音と火の手をあげて海へと落下していく。 - 163 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/22(金) 00:06:23.16 ID:qHg1vp9l0
- ――――――――
初春「ゾンダーシャトル、海中潜航中。このままだと追跡不可能になります」
固法「一方通行君、ディバイディングドライバーの調子はどう?」
一方通行『あン? 長官さンか。実戦のデータが取れたおかげで
もう俺が乗らなくてもいつでも使えるぜェ』
木山「まさか海を割るつもりか!?」
固法「勇者ならできるはずです! 違いますか? 木山先生」
木山「ふふっ、そうだな」
白井「ディバイディングドライバー……、準備完了。ミラーカタパルト開きますの」
初春「座標軸固定OK」
白井「ミラーコーディングスタート……、射出ですの!」
――――――――
ミラーコーティングを施されたディバイディングドライバーが勢いよく射出される。
佐天「座標軸固定」
ガオガイガーは飛行するディバイディングドライバーに合わせて飛び、左腕を連結固定する。
そこから徐々に高度を落とし、まだギリギリゾンダーの反応を捉えている辺りへと
左腕のディバイディングドライバーを振り下ろす。
佐天「いっくよー! ディバイディングドライバー!」
ディバイディングドライバーはその先端からエネルギーを放出し、
海面に亀裂を入れ前回使用した時よりはるかに大きな穴、
直径1キロほどの戦闘フィールドを作り出す。 - 164 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/22(金) 00:07:09.41 ID:qHg1vp9l0
- ――――――――
――――
――
上条「俺が……、俺が行かないと……!」
上条は皆が慌てふためいている間にこっそりと学校を抜けだし、
緑色に輝き羽を生やして(シュール)高速で空を飛んでいた。
ゾンダーの反応を追い、ようやくたどり着いた時
すでにゾンダーは破壊されガオガイガーの必殺の一撃を受けて
丁度ゾンダー核を抜き取られたところだった。
上条「よかった、どうにか間に合った……」
ガオガイガーも上条を見つけたらしく、上条の方へとゾンダー核を差し出してくる。
上条はガオガイガーの手の上に降りて頭に浮かんでくる呪文のようなものを唱える。
>>65
上条「クーラティオー、セネリタース、セクティオー、サルース、コクトゥーラッ!」
上条がゾンダー核に触れるとグネグネと形を変え、徐々に人間の身体を取り戻していく。
佐天「ありがとうございます、上条さん。私たちには上条さんの力が必要です」
しかし、上条は佐天のその声に答えない。
ただ無言で、ひきつったような顔で硬直している。
佐天「あれ? 上条さん、聞こえてますか? スピーカー壊れてる?」
ガオガイガーの外部スピーカーが壊れているわけではない。
佐天の声はちゃんと上条に届いているのだが、返事をする余裕がないだけだ。
その理由はゾンダーから人間に戻った――。
姫神「上条……。くん?」
上条(ひ、ひめがみいいいいいい!?)
EDテーマ『いつか星の海で…』
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=nmRkxVdTNTM - 165 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/22(金) 00:08:03.58 ID:qHg1vp9l0
- 次回予告――。
君たちに最新情報を公開しよう。
GGG機動部隊に新しい隊員が加わった。
その名は、氷竜・炎竜。
学園都市の平和を脅かすゾンダーから街を守れ。
今こそシステムチェンジだ。
GSライドよ、出力全開。
勇者王ガオガイガーNEXT、
『青と赤』
次回もこのチャンネルで、ファイナルフュージョン承認。 - 171 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/24(日) 20:54:28.30 ID:IFXOAnmG0
- ちょこっとだけガオガイガー!
3ヵ月前――。
GGGは一人の超能力者を召喚した。
「あんたか? 俺を呼んだのは」
「ええ。あなた、正義の味方をやってみる気はない?」
「は?」
木山:氷竜・炎竜の実働テストは順調に進行中。
しかし、システムチェンジに必要な瞬間的なエネルギー制御に問題あり。
原因究明中。
OPテーマ『勇者王誕生!』
http://www.youtube.com/watch?v=QgeA3t29qnE&feature=related
第五話「白と黒(並び立つもの)」
――――――――
窓のないビル――。
アレイスター「まさか地球にあのようなロボットが存在しようとは」
シェリー「ふふふ、いよいよ私がステージに立つ時が来たようですわね。
お見せしましょう、このシェリー=クロムウェルの醜い醜いゾンダーエリスを」 - 172 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/24(日) 20:55:19.96 ID:IFXOAnmG0
- ――――――――
一方通行「システムチェンジだオラアアアァァァ!!」
し~ん……
一方通行「ったく、また失敗かよクソッたれめェ」
打ち止め「あんまり根を詰めすぎないでってミサカはミサカはあなたの身体が心配だったり」
「ずいぶんと焦ってるみたいじゃないか、第一位。何かあったのか?」
一方通行「あン? 今日もシステムチェンジできなかった垣根くンじゃねェか」
垣根「自分のことは棚上げしてるみたいだが、できてないのはお前も同じだろうが。喧嘩売ってんのか」
一方通行「俺のことはいいンだよ。俺はテメェがシステムチェンジできるのを待ってやってンだ。
垣根くンはコンプレックスの塊だからよォ、俺に先を越されるとへそ曲げちまうだろ?」
垣根「誰がコンプレックスの塊だ、やっぱり喧嘩売ってんだなてめえ。
今この場で愉快なオブジェにしてやるよ!」
ギャースカギャースカ
心理定規「はぁ、またやってるのね」
打ち止め「うん、いつもいつも大変だよねってミサカはミサカは同意を求めてみる」
心理定規「ほんと、どっちもどっちでしょうに」 - 173 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/24(日) 20:56:06.63 ID:IFXOAnmG0
- ――――――――
ここで彼らの紹介をしておこう。
一方通行――。
言わずと知れた学園都市最強(自称)、序列第一位の超能力者の彼は、
半年前に芳川桔梗、打ち止めとともにGGG研究員として配属された。
主にはディバイディングドライバーの制作に携わっていたが、
同時に竜型ビークルロボ・炎竜の搭乗者であり機動部隊準隊員の位置にもある。
垣根帝督――。
元暗部組織スクールのリーダーで、序列第二位の超能力者『暗黒物質(ダークマター)』とは彼のことである。
彼は3ヵ月前に一方通行の乗る炎竜と同型の氷竜の搭乗者として
同じく機動部隊準隊員としてGGGに配属された。
ちなみに心理定規は隊員補佐となっている。
芳川「あの二人、実働テストで顔を合わせる度に喧嘩してるわね」
木山「喧嘩するほどなんとかって奴だろう。それにしても、なかなか成功しないな、システムチェンジ」
芳川「そうねぇ。やっぱりコピーしたGSライドを超能力者が制御するってのは無理があるのかしら」
木山「しかし、今の技術では他に選択肢がないからな。超AIでも作れればいいんだが」
芳川「そんなの樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)でもないと無理よ。
それにあれは残骸(レムナント)も含めてずいぶん前に粉々だもの」
一方通行と垣根帝督が乗るビークルマシン、炎竜と氷竜。
その完成には人知を超えたテクノロジーを余儀なくされていた。 - 174 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/24(日) 21:03:36.21 ID:IFXOAnmG0
- 短いです、すみません。
それとアイキャッチ制度廃止します、0から書くのに半分で区切るの難しすぎ。
あと次回予告とはサブタイトルが異なる場合があります。
短いのは二つも三つもSS書いてるせいであって・・・期日より量優先した方が良いかな - 177 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/30(土) 00:43:00.58 ID:yvKQ87Hd0
- ――――――――
とある高校・放課後――。
上条(もう限界だ……)
前回のゾンダー出現から、今日で三日が経とうとしていた。
土御門「カミやーん、帰りにゲーセンでも寄ってかないかにゃー」
上条「土御門……。すまん、今日は用事があるんだ」ガタッ
土御門「残念だぜい、ってカミやん? どこ行くんだにゃー、出口はあっち……」
上条「なぁ、姫神。今日暇か?」
姫神「うん。暇だけど。何か用」
上条「なら、どこか遊びに行かないか?」
ざわ・・・ざわ・・・
土御門「なっ!?」
青ピ「なんやて!?」
姫神「構わない。行こう」
青ピ「しかも了承!?」
幸い、すでに教室に残っていた生徒はまばら。
かろうじて上条の袋叩きは明日へと伸ばされることとなる。 - 178 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/30(土) 00:43:56.42 ID:yvKQ87Hd0
- てくてくてく……
姫神「……」
上条「…………」
姫神「……上条くん。どこ行くの」
上条「へ? どこって?」
姫神「遊びに行こうって。誘ったのはそっち」
上条「あー、悪い。誘うことしか考えてなくてな……、姫神はどこか行きたいところあるか?」
姫神「こういうのは。男がリードするもの」
上条「なんで?」
姫神「デートってそういうもの」
上条「で、デート!? なんで!?」
姫神「……違うの?」
上条「いや、上条さんはですね、そのあのー……。うんここは単刀直入に聞こう」 - 179 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/30(土) 00:44:33.23 ID:yvKQ87Hd0
- 姫神「?」
上条「姫神は何か俺に言いたいことや聞きたいことはないか?」
姫神「とうへんぼく」
上条「いや、そうじゃなくて! 『緑に光ってたのは何?』とか『なんであの場に?』とか」
姫神「……」
上条「もしかして覚えてない?」
姫神「あれは上条くん?」
上条「気付いてなかったー!?」ボケツ!?
姫神「冗談。ちゃんと気付いてたし。覚えてる」
上条「」ズザー
姫神「よしよし」ポンポン - 180 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/30(土) 00:45:14.39 ID:yvKQ87Hd0
- 姫神「じゃあ。一つだけ聞きたい」
上条「……なんでせうか」
姫神「『ゾンダー』になった私を助けてくれたのは。上条くん?」
上条「まぁ、ほとんど『GGG』のおかげだけど、少しぐらいは」
姫神「そう。ありがとう。また助けてもらった」
上条「いやいや、気にすることなんてないぞ? 俺は大したことしてないし」
姫神「……これで憂いは消えたはず。デートの続き」
上条「いやいや、始めからデートじゃなかったし」
姫神「で。え。と。の。つ。づ。き!」
上条「はい……。(ん? でも女の子とデートって普通に喜ぶべきじゃないのか?)」
三日前のゾンダー出現に伴い、ゾンダーならびにGGGの存在が世界に公表された。
学園都市側の発表は能動的なものではなく、
学園都市外にゾンダーが逃げてしまったことで隠しきれなくなったというのがより正確ではある。
ゾンダーとは機械に寄生し繁殖する地球外生命体であり、その対策機関としてGGGを発足した。
これが学園都市が世界に対し行ったおおまかな公表の内容である。
人間がゾンダー化することや対抗ロボの搭乗者が学生であることなど、
いくつかの情報は伏せられている。 - 181 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/30(土) 00:46:04.30 ID:yvKQ87Hd0
- ――――――――
青ピ「ぐ……、ぐぐぐ、カミやんめぇ……。なんでや、なんでいっつもカミやんなんや!?
たまには僕にかて出逢いがあってもええんやないのー!」ノー…ノー…
さしずめ世界の末端で妬みを叫ぶ、とでもいったところか。
青ピは一人、ギリギリと歯軋りを鳴らせ周囲の目など気にせずに大声で叫んでいる。
シェリー「憎い……、憎い……」
その背後、青ピに迫る黒い影。
青ピ「ん? なんや?」
シェリー「ねぇ、あなた?」
青ピ「綺麗な人やなぁ、僕の彼女になって欲しいわぁ。(僕に何かご用でしょうか?(キリッ)」
シェリー「くすくす。そんなことよりあなた、憎いんじゃないの?」
青ピ「はい?」
シェリー「私はあなたの心の願いを叶える……、そう、私は愛の芸術家」
青ピ「愛の、芸術家?(僕は電波系のお姉様も迎え入れる包容力は持ってるんよ?)」
シェリー「憎い、憎い、世界中の男女が、カップルが、リア充が憎い……」
シェリーは手に持っているゾンダーメタルをチラつかせながら語る。
青ピ「確かに憎いけども、」
シェリー「じゃあ決まり、決まりね。……フフフ」
決まり。決まってしまった。
シェリーは手にしていたゾンダーメタルを青髪ピアスの額へと押し当てる。
青ピ「う、うあああぁあ……」
青髪ピアスの身体から徐々に色素を失われ、全身が薄紫に染まり始める。
やがて完全にゾンダー化した青髪ピアスは近くにあった重機に狙いを定める。
シェリー「美しいわぁ。そして、とてもとても醜い……、フフ、フ」 - 182 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/04/30(土) 00:47:31.63 ID:yvKQ87Hd0
- ――――――――
ゲームセンター――。
上条「その幻想を、ぶち殺す!」ガシャーン!
姫神「すごい。ハイスコアを塗り替えた」
上条「ふっふっふ、上条さんはここのパンチングマシーンの最高スコア保持者なのですよ」
キュゥーン…
上条「ん?」
姫神「どうかした?」
上条「いや、なんでもないよ。(たぶん気のせいだろ)」
姫神「そうだ。プリクラを撮りたい」
上条「お、いいぞ」
ゾンダー探知能力を持つ上条だったが、
デートに夢中になるあまりその力は著しく衰えていた。 - 187 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/05/19(木) 21:30:17.23 ID:8VYCcX/J0
- ――――――――
GGG本部――。
初春「ふぇー、今日の書類、ちょっと多くありませんかー?」
白井「ゾンダーの存在が世界に知れ渡ってしまいましたから、仕方がありませんの」
初春「にしても、学生やりながら風紀委員もやりながらGGGの業務も、ってかなりきついです~」
佐天「ほら、紅茶淹れてあげたから、頑張れ初春ー♪ はい、白井さんにも」
白井「ありがとうございます」
初春「佐天さんだけずるいですよ、なんで機動部隊は書類がないんですか。納得いきません」
佐天「あははは、拗ねない拗ねない」
初春「拗ねてません! フンだ」
ビー!ビー!ビー!
突然鳴り響く警報装置。
佐天「なんなの!?」
初春「どうやら第七学区で大きな事件が起きたようです」
白井「ゾンダーですの?」
初春「衛星の早期警戒システムではまだ確認できません。現在最寄の風紀委員が処理に向かってるそうです。
上条さんからの連絡はありませんし、ゾンダーとは関係のない能力者同士の喧嘩でしょう」
白井「なら一安心ですの。と言っても事件は起きているわけですし、一応心配ですわね」
佐天「うーん、じゃあ私ひとっ走り行って見てきますね。同じ第七学区なら近いですから」
白井「お願いしますの」
佐天「じゃ、行ってきまーす」 - 188 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/05/19(木) 21:31:28.94 ID:8VYCcX/J0
- ――――――――
第七学区(ゲームセンター)――。
上条「結構遊んだな。次は何を、」
キュゥーン。
姫神「上条くん。今髪の毛が緑に」
上条「へ? まさか」サワ
ガシャーン!!
< キャー! ワー!
なんだあれはー!?
上条「そんな……。じゃあさっきのはやっぱり!」
<うわー! 車の化物だー!
早く逃げろ、潰されるぞー!
上条「姫神、急いでここから離れないと!」
姫神「もしかして。ゾンダー?」
上条「ああ、だから早く!」
姫神「わかった」 - 189 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/05/19(木) 21:34:15.08 ID:8VYCcX/J0
- ――――――――
ゴガガガガガガ……
轟音を鳴り響かせ地下街を走行する巨大な一台の車。
その形状はロードローラーに近く、車両を踏み潰し街路樹を薙ぎ倒しながら進んでいく。
ゾォンダァァァ!
その姿をビルの上でくるくると回りながら眺める一人の女性の姿。
シェリー「いいわぁ……。どんどん醜くなっていくわね、私のかわいいエリス……」ウフフ
そのゾンダリアンは嬉しそうに笑っていた。
――――――――
GGG司令室――。
緊急招集によりGGGのメンバーはすでに集められている。
彼女らの視線は第七学区の映像が映るモニターに釘付けとなっている。
木山「なんてことだ、踏み潰したものを吸収して巨大化しているのか……」
固法「発見が遅れたのが痛かったわね。上条君からの連絡は?」
白井「いいえ。ありませんの」
御坂「あんのウニ頭、昼間っから寝てるんじゃないでしょうねぇ! いざって時役に立たないんだから、もう」
――――――――
その頃、ゾンダーはすでに上条たちのすぐ近くまで来ていた。
姫神「あれが。ゾンダー……」
上条「姫神、暢気に眺めてる場合じゃない! 早く逃げないと!」
上条(くそっ! 俺がもっと早くゾンダー発見の連絡をしていれば)
< うわー! なんなんだよあれー!
誰か助けてー!
上条(俺のせいでみんなが……) - 190 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/05/19(木) 21:36:33.27 ID:8VYCcX/J0
- ゾンダーの元へ物凄い速さで走る一つの人影があった。
佐天「こちら佐天、逃げ遅れた市民がたくさんいます! ディバイディングドライバーの整備はまだですか!?」
白井「特急作業でも2時間はかかりますの!」
佐天「そんなに待てません! この状況で戦うなんて不可能です!」
初春「固法先輩、氷竜と炎竜なら!」
固法「レスキュー活動を特殊訓練されたビークルマシンなら」
木山「それしかあるまい」
白井「システムチェンジこそできませんが、レスキュー活動に支障はないはずですの」
固法は無言でうなずくと手元のパネルを操作し、機動部隊準隊員の二人へと回線を繋ぐ。
固法「どうかしら、あなたたち。出られそうかしら」
一方通行『あァ? 誰に向かって聞いてンだ? とっとと格納庫の扉を開きやがれ』
垣根『俺の救助活動に常識は通用しねえ! あんたの期待に必ず応えて見せるぜ』
固法「よぅし、氷竜・炎竜、緊急発進よー!!
逃げ遅れたぁ! 市民たちをぉ! 全力で救出せよぉぉぉ!!」
長官である固法の指令を受け、格納庫と地上へを繋ぐ地下通路が接続される。
格納庫の扉が開くと、その時を今か今かと待ちわびていた一方通行と垣根帝督が搭乗する炎竜・氷竜が猛スピードで発進していく。 - 191 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/05/19(木) 21:38:13.30 ID:8VYCcX/J0
- ――――――――
一方地上では、上条と姫神のすぐ近くにゾンダーが迫ってきていた。
ゾォンダァァァ!
姫神「きゃっ」
ただちにその場を離れようと走っていた二人だったが、
躓いた姫神は小さな悲鳴をあげ転んでしまう。
上条「姫神っ!」
立ち止まり、急いで起き上がらせようと姫神に手を貸す上条だがゾンダーは二人の真後ろまで迫っていた。
その時である。
ズシン!
地均して二人の前に白いボディに獅子の頭を胸に持つロボット、ガイガーが現れたのだ。
上条「ガイガー……佐天か!」
佐天「これ以上は進ませないんだからー!!」
そう宣言してガイガーは身の丈差が2倍はあろうかというゾンダーに敢然と立ち向かっていく。
回転する巨大な鋼鉄のタイヤをがっしりと受け止め、ゾンダーの勢いはだんだんと落ちていく。
だがしかし、
ガシャーン!
佐天「きゃっ、何!?」
ロードローラー型のゾンダーの身体から突き出すように生えてきたユンボのようなアームがガイガーへと襲い掛かる。
ガイガーは咄嗟にかわすことに成功するがゾンダーからは手を離してしまい、ゾンダーに再び勢いが戻ってきてしまう。
佐天「このこの!」
ガシガシとアームを殴りつけるが勢いのある動きに翻弄されなかなかその動きを止めることができずにいる。
そしてさらには、真上から振り下ろされたアームを避け損ねガイガーは地面に押さえつけられてしまう。
佐天「キャーッ! ふ、二人とも早く逃げてッ!」
上条「くっ、逃げるぞ姫神」
姫神「うん」 - 192 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/05/19(木) 21:39:58.11 ID:8VYCcX/J0
- シェリー「いいわエリス。身体の自由を奪われればあの黒いロボットにも合体できない。
さぁ、そのまま押し潰してしまいなさい」
ゾォンダァァァ!
佐天「きゃあああ!」
力を増していくゾンダーの攻撃に佐天と機体の両方が悲鳴をあげる。
周囲は滅茶苦茶、押し潰された車に陥没した道路や半壊した歩道橋。
そのあらゆる場所に市民が取り残され助けを呼んでいる。
上条(くそっ、俺が、俺がしっかりしてさえいればこんなことには!)
姫神「上条くん。あれを見て」
逃げながら自分を責める上条に姫神が驚きの声をあげる。
そして指差したその先には半壊した歩道橋があった。
「誰かー、助けてー!」
どうにか手すりに掴っているが今にも落ちそうな子どもの姿が見えた。
上条「なっ! あんなとこから落ちたら怪我じゃ済まないぞ!」
それを見て条件反射のように駆け出していく上条だが、上条たちのいた場所からはとても遠い。
どんなに全力で走っても到底間に合いそうにない。
「もう……、だめー!」
ついに力尽き手すりを掴んでいた手が離れてしまう。
姫神「落ちる……ッ!」 - 193 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/05/19(木) 21:41:03.97 ID:8VYCcX/J0
- 垣根「氷竜!」
一方通行「炎竜!」
もう駄目かと思われたその時、ギリギリで駆けつけた赤いはしご車が梯子を伸ばして
その先端にあるバケットで子どもを受け止めたのだ。
また、その隣にはもう一台、青色ではしご車と同型のクレーン車が並走していた。
一方通行「ふゥ、ギリギリだったなァ」
上条「な、なんだぁ!?」
突然現れた二台の車両に上条は驚きの声をあげる。
垣根「おい、そこの民間人。走れるんなら早く避難しろ。救助活動は俺たちがやる」
上条に外部スピーカーで遠まわしに邪魔だ、と一喝したあと、
青いクレーン車は陥没して蟻地獄のようになり出られなくなっている人々の元へ向かっていく。
一度、中からホストっぽい男が降りてきて先端の鉤爪に紐のついたシートのようなものを引っ掛けると
再びクレーン車に乗り込み鉤爪をゆっくりと下ろしていく。
一方通行「オイ三下ァ! さっきの声聞こえてなかったのかァ? とっとと逃げろつってただろォが」
上条「なっ!? その声は一方通行か? 何でお前がそんなところに!」
一方通行「ンなことァ今はどうでもいいだろ、早く逃げねェか」
上条「……わかった」
上条がその場を離れた後も、一方通行が乗っていると思われる赤いはしご車と青いクレーン車は
逃げ遅れた市民たちの救助を続けていく。 - 194 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/05/19(木) 21:42:57.96 ID:8VYCcX/J0
- ――――――――
白井『警備員のレスキュー部隊到着、救助及び消火作業順調ですの』
初春『ガイガー、強化フレームレッドゾーン。もう一分も持ちません!』
なんとか持ち堪えているがもはやガイガーがスクラップになるのは時間の問題だろう。
佐天「ぐぅぅ、こんな奴ファイナルフュージョンさえできれば……」
そこへ猛スピードで突っ込んでくる赤と青の二台の車両があった。
一方通行「そんな奴にやられてンじゃねェぞ、隊長さンよォ」
垣根「今俺が助けてやる」
佐天「一方通行さん! 垣根さん!」
ガイガーの危機に駆けつけた二台は、それぞれクレーンと梯子を伸ばし
ガイガーの両側を補佐するようにゾンダーを押さえつけようとする。
しかし、
ゾォンダァァァ!
ゾンダーが両腕を掲げたかと思うと、その両腕から強力な磁場を発生させ氷竜と炎竜をその場に縫い付けてしまう。 - 195 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/05/19(木) 21:44:07.03 ID:8VYCcX/J0
- ――――――――
木山「いかん! ガイガーも氷竜も炎竜もまとめてスクラップにされてしまうぞ!
システムチェンジする以外に道はない!」
御坂「シミュレーションで一度も成功してないのにぶっつけ本番でやれって言うんですか!?」
固法「彼らが勇者であるか試される時が来たようね!」
初春「一方通行さん、垣根さん! システムチェンジを早く!」
白井「ダメです! GSライドの出力が上がりませんの!」
――――――――
垣根「なぜだ! なぜGSライドが働かない!」
一方通行「誰でもいい、出力を上げる方法を教えやがれェェェ!」
佐天「くっ、このー!」
氷竜と炎竜はゾンダーの発生させた磁場により動くことができず、
ガイガーは必死にゾンダーの進行を食い止めようとしているがフレームももう限界だ。
上条はその様子を遠目にただ眺めていることしかできずにいる。
上条「みんな……。ちくしょー! ゾンダーの馬鹿野郎ー!」
上条の叫びに呼応するように一瞬だけ髪が緑の光を放つ。
佐天「な、何っ!?」 - 196 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/05/19(木) 21:46:38.79 ID:8VYCcX/J0
- ――――――――
木山「何が起こっているんだ!?」
固法「何が起きたって言うの!」
白井「凄まじいエネルギー発生量です! 氷竜と炎竜のGSライドが200%以上のエネルギーを発生してますの!」
木山「計測不可能ー!」
初春「まさか!」
御坂「どうなってるの!」
固法「見て! 氷竜と炎竜が!」
――――――――
一方通行・垣根「「システム・チェーンジ!」」
二人の掛け声とともに氷竜と炎竜は変形を始める。
腕、脚と躍動的に動かしそれが人型のロボットになるであろうということが見てわかる。
そしてやがて全ての変形を完了させてその両足で大地に立つ。
垣根「氷竜!」
一方通行「炎竜!」
垣根「うおっしゃあ、フリージングガン!」
念願だったシステムチェンジを成功させ喜びの雄たけびをあげる垣根は、
氷竜の脚部に内蔵されている銃を取り出すとタイヤに狙いを定めてトリガーを引く。
銃口から発射されたのは銃弾ではなく特殊な液体窒素で、命中した箇所は瞬時に凍り付いていく。
一方通行「メルティングガン! オラオラァ、今のうちに合体しろォ!」
一方通行も垣根に負けじと熱光線を発射しゾンダーを怯ませる。 - 197 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/05/19(木) 21:49:23.07 ID:8VYCcX/J0
- 佐天「よっしゃあ! ファイナルフュージョン!」
氷竜と炎竜が作り出してくれた隙を突いてガイガーは最終形態への合体シークエンスに入る。
ガイガーは緑色の光を撒き散らし球体状の空間を作り上げるとそこへ次々にカオーマシンが突入していく。
その隙を補うため、氷竜と炎竜はひたすら銃を連射してゾンダーの動きを止めている。
そしてやがて、緑色の光が消えて中から鉄の巨神が姿を現す。
佐天「ガオ!ガイ!ガー!」
一方通行「今のうちに核を抉り出せ。ゾンダーは俺らで被害の少ない場所へと移動させる」
佐天「わかりました。ゲムギルガンゴーグフォー……うおおおおおお!」
一方通行の指示に従い、ガオガイガーは両手を合わせて必殺技を放つ。
勢いをつけて突進してゾンダーにその両手を抉りこむ。
佐天「てやああああああ!!」
そして引き抜いたその手にはゾンダー核がしっかりと握られていた。
初春『前方約50メートル先の交差点へ押し込んでください』
一方通行「了解ィ。オラ行くぞ」
垣根「この俺に命令してんじゃねぇ」
口では反することを声に出しながらも、炎竜と氷竜は同時に梯子とクレーンを伸ばしゾンダーを押し出していく。
初春『そこです! 二人ともすぐに退避を!』
所定の位置へ送り込むことに成功したことで、氷竜と炎竜はすぐにその場から離れる。
直後、ゾンダーは爆発し交差点にあった信号機などは跡形もなく吹き飛んでいた。
シェリー「今度は、赤いロボットに青いロボットだと!?
あんなダサい連中のせいで私のかわいいゾンダーエリスが……、覚えておいで!」 - 198 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/05/19(木) 21:50:40.39 ID:8VYCcX/J0
- ――――――――
>>65
上条「クーラティオー、テネリタース、セクティオー、サルース、コクトゥーラッ!」
上条が呪文を唱えてゾンダー核に触れるとだんだんと人の形を取り戻していく。
ややあって完全に元の姿に戻ったが、どうやら気を失っているらしい。
ただ涙を流しながら。
上条(うおおお!? 姫神の次は今度は青ピかよ。でも今回は気を失ってるみたいだな……)
佐天「ありがとうございます、上条さん」
上条がゾンダーを元の人間に戻したことに対し礼を言う佐天。
上条「俺に礼を言われる資格なんて……。俺がもっと早く連絡してればこんなことには……」
佐天「上条さん、失敗は誰にでもつきものです。お互いの失敗はお互いで助け合えばいいと、私は思います。
それが仲間ってものですよ」
上条「佐天……」
佐天「私たちは一人で戦ってるんじゃありません。みんな同じ目的で戦うGGGの隊員なんです」
垣根「あの時のお前が上条だったのか、話は聞いてるぜ。俺は垣根帝督だ」
一方通行「まさかお前と共闘することになるとはなァ」
上条「垣根、一方通行……。二人ともよろしくな!」
――――――――
固法(よくやったわね。佐天さん、垣根君、一方通行君、そして上条君)
木山「ひょっとしてGSライドの出力アップも上条君が……?」
GGGの新しい仲間に加わったビークルマシン氷竜と炎竜、そしてその搭乗者垣根帝督と一方通行。
今後の戦いにおいて勝利の鍵を握るのは彼らだ。 - 199 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/05/19(木) 21:52:10.51 ID:8VYCcX/J0
- ――――――――
数日後・とある公園――。
青ピ「他人の幸福妬んでてもしゃーないしな。僕にもきっとそのうちええ出会いがあるやろ。
あー、どっかその辺に猫耳つけた女の子とか落ちてへんかなー」
ガサッ。
17600「…………」
EDテーマ『いつか星の海で…』
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=nmRkxVdTNTM - 201 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/05/19(木) 21:52:56.90 ID:8VYCcX/J0
- 次回予告――。
君たちに最新情報を公開しよう。
GGG新隊員、氷竜炎竜のシンパレートが同調した時、
奇跡のシンメトリカルドッキングが完成する。
ハイパワーツール、イレイザーヘッド。
発動の瞬間を見逃すな。
勇者王ガオガイガーNEXT、
『その名は超竜神』
次回もこのチャンネルで、ファイナルフュージョン承認。 - 207 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/17(日) 20:41:21.92 ID:A3DxG/2o0
- 一方通行・垣根「「システムチェーンジ!!」」
二人の掛け声とともに、氷竜・炎竜の変形が開始する。
一度、システムチェンジの経験を積んだことで二人が変形を失敗することはない。
そして、人型形態へと変形を終え、二本の脚での直立を果たす。
固法「シンメトリカルドッキング、承認!」
一方通行・垣根「「シンメトリカルドッキング!!」」
固法の承認を受け、復唱するように発せられた掛け声とともに二台がさらなる変形を見せる。
同型の二台は同じように変形し左右対称の動きを見せる。
そして二台の合体が……。
初春「シンパレート、98、95、89、82……ダメです、シンパレート上がりません!」
ガッシャアーン!
垣根「うおおお!?」
一方通行「がァァァ!?」
初春「ドッキング失敗です!」
白井「破損箇所確認中……、誘爆の可能性ありません」
初春「シミュレーション、終了します」
芳川「ダメね。今日はここまでにしましょう」
氷竜と炎竜、この完全同型のビークルロボを操る垣根と一方通行の息がぴったり合った時、
シンメトリカルドッキングは完成する。
しかし、その完成が危ぶまれている今、究極のメガトンツール『イレイザーヘッド』もまた使用不可なのであった。
OPテーマ『勇者王誕生!』
http://www.youtube.com/watch?v=QgeA3t29qnE&feature=related
第六話「その名は超竜神」 - 208 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/17(日) 20:42:37.21 ID:A3DxG/2o0
- コンコン、ガチャ
上条「こんちわーっす」
白井「あら?」
初春「いらっしゃい、上条さん」
固法「第177支部へようこそ、上条君」
上条「……ふーん、なんていうか思ったより普通のところですね。
学園都市を守る秘密組織って言うからもっと仰々しいのかと」
固法「当たり前よ、だってここはあくまで風紀委員第177支部ですもの」
上条「と、いいますと?」
初春「ここはGGGとしてじゃなく風紀委員として活動する表と裏の境界線みたいなものなんです。
GGGとして活動する場所にはこれから移動するんです」
白井「それじゃ、いきますの。リフトダウン!」ガチャン
ガタガタン、ぅうぃーん……
上条「うおおお、ゆゆゆ揺れてるぞ!?」
初春「この部屋全体が地下のGGG作戦司令室に向かって降下してるんです」
上条「降下!? じゃあ元々この部屋があった場所は?」
御坂「それなら代わりの部屋がリフトアップして、妹達が風紀委員の仕事をしてくれてるわ」 - 209 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/17(日) 20:43:13.58 ID:A3DxG/2o0
- ――――――――
第177支部(代理)――。
御坂妹「書類整備なう」
19090「ミサカも書類整備です」
13577「お茶淹れましたよ」
10039「ではミサカは巡回に行ってきます」
――――――――
ぅうぃーん……、ガコン
固法「着いたわ」
垣根「よう」
一方通行「そういや来るとか言ってたなァ」
佐天「こんにちは上条さん、ここがGGGの作戦司令室『ビッグオーダールーム』です」
上条「垣根に一方通行、それに佐天も」 - 210 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/17(日) 20:43:53.73 ID:A3DxG/2o0
- ――――――――
第十九学区――。
天井「くそっ……どうしてこんなことに……」
その男は何をするでもなく荒れ果てた地で空を眺めていた。
天井「俺の研究は、実験は完璧だった。なのに上層部ときたら……」
ステイル「そこのみすぼらしい恰好をした君」
天井「なんだお前は、喧嘩を売っているのか?」
――――――――
初春「これがゾンダーの素体となった人たちの証言をもとに映像化したものです」
壁に取り付けられた大型のモニターに映像が表示される。
木山「この四人が人間をゾンダーにするきっかけを作るゾンダリアンだと推測される」
上条「ゾンダリアン?(っていうか、こいつらどっかで見た様な……)」
木山「このゾンダーメタルを人間の身体に融合させることでゾンダー化を行っているらしい」
木山の説明に合わせて初春がモニターにゾンダーメタルの図を表示する。
白井「今までゾンダー化した人々には共通点があるんですの。
なんらかの形で潜在意識に強い憎しみや悲しみを抱いていることですの。
ゾンダーロボの破壊活動もおそらくこういった負の感情をベースとした
行動原理に基づいていると思われますの」
上条「憎しみや悲しみ、負の感情……?」 - 211 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/17(日) 20:44:33.74 ID:A3DxG/2o0
- ――――――――
ステイル「WRYYYYYY! お前はそいつらを見返したくはないか?」
天井「見返してやりたいに決まってる、俺の研究がいかに素晴らしい物か……。
あいつらはまったく理解していない!」ドン!
ステイル「その願い、叶えてやろう」
そう言ってそのゾンダリアンが取り出したのはゾンダーメタル――。
天井「う……、うわああああああ!!」
――――――――
初春「ゾンダーロボの核にされてしまった人を上条さんが救う力を持っていることは確認されています。
その原理は不明ですが、この力を浄解と名づけることにしました」
上条「じょう、かい?」
木山「現段階では機動部隊による直接攻撃でゾンダーを沈黙させ、
上条君が核に接触、浄解を行ってもらう意外に対象方がない」
上条「……あの」
固法「なにかしら、上条君?」
上条「俺はゾンダーが現れるとなんとなくその居場所がわかるんです。
だから、ゾンダーがロボットになる前に捕まえて浄解しちまえば!」
佐天「けど、上条さん。前にゾンダーに近づいて危ない目に遭ったじゃないですか!」
※>>146参照 - 212 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/17(日) 20:45:09.91 ID:A3DxG/2o0
- 上条「けど俺……、街があんなになるところを見てられないんだ!」
学園都市の技術で驚異的な復旧速度を見せているが
未だ完全に元通りとなっている場所は多くない。
固法「確かに、ね」
木山「勇敢な少年だ」
御坂「GGGの隊員としてはいい心掛けね」
初春「けど、上条さんにもしものことがあったら……」
佐天「ゾンダー化して核にされた人たちを元に戻せるのは上条さんだけですし」
上条「うっ……」
固法「まぁ、諜報部に陰ながら護衛してもらっているわけだしねぇ」
上条「護衛って……」
固法「それだけ上条君の存在は重要ということよ」
佐天「わかって下さい。上条さんを危険にはさらせないんです」
上条「あぁ、わかったよ」 - 213 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/17(日) 20:45:51.84 ID:A3DxG/2o0
- 一方通行「あァだこォだ、めンどくせェ。危険を恐れてたらなンにもできねェだろ。
長官さンよォ、三下の言うとおり試してみればいいじゃねェか」
上条「」パチクリ
垣根「それは違うだろ」
一方通行「あァン!?」
佐天「」ァ、マズ…
垣根「上条の言う作戦には大きなリスクが伴うのは確実だ。
リスクマネジメントって言葉知ってるか?」
一方通行「ンなもン、自分の力に不安を覚えてる雑魚の言い草だ。
そンな考え方してるからお前は万年二位なんだよクソメルヘン!」
垣根「組織の在り方としては俺の考えで間違ってねえんだよ。
テメェこそ過信が過ぎて演算補助装置に松葉杖のその有様じゃねえか。
いつまでも俺が二位で甘んじてると思うなよ、そろそろ一位に君臨してやってもいいんだぜ?」
一方通行「そンな杖突いてる相手にフルボッコにされた挙句、
脳みそ三分割なンて笑える人生歩ンできた奴に言われても説得力ねェンだよォ!」ベクトルパンチ!
ブゥン! べきっ!
垣根「なっ、この野郎やりやがったな!」ミゲンウィング!
ゴオォッ!
上条「ぎゃあああ!? 垣根の腕が千切れ飛んだーッ!?」
木山「やれやれ、これはまたシンパレートが下がるな」
御坂「あいつらもほんと飽きないわねぇ」
上条「おいおいおい、腕吹き飛んだぞ!? なんでそんなのんびりしてんだよ!?」 - 214 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/17(日) 20:46:55.43 ID:A3DxG/2o0
- 垣根「あぁ、この腕か? そういえば言ってなかったな。
俺の身体はこいつのせいで吹き飛んじまったから、今の俺はサイボーグなんだ」
上条「サイボーグ!? 見た目は人間にしか見えんのですが」
垣根「よいしょ、腕を拾ってくっつけて、未現物質ではい元通り」グゥパァ
上条「メルヘンってレベルじゃねぇぞ!」
固法「あなたたちいい加減にしなさい。じゃないとそろそろ怒るわよ」
一方通行「なンだァ? あンたに俺らが止められるってのか?」
固法「私じゃなくって、二人が」
打ち止め「」ニコッ
心理定規「」ニコッ
ざわ……ざわ……
一方通行「ちっ」フン
垣根「けっ」フン
上条(あぁ、イニシアチブ取られてんのか。リア充爆発しろよ)
キュゥーン!
上条「ッ! これは……!」
佐天「ゾンダーを感じたんですか!?」
上条「あぁ!」 - 216 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/17(日) 20:52:00.57 ID:A3DxG/2o0
- サイボーグ担当の垣根さんマジメルヘン
っていうか真面目にこのSS書いてたことすっかり忘れてた件・・・
ほんとすみません、後編は一週間以内に - 219 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/24(日) 01:28:55.53 ID:f2Pco2m20
- ――――――――
初春「第十九学区にゾンダーの出現を確認! GGG機動部隊、発進準備!」
白井「サテライトビュー、メインスクリーンに出します」
白井の操作でメインスクリーンに出現したゾンダーが映し出される。
木山「なんて大きさなんだ!」
御坂「ちょっとちょっと、200mくらいあるわよ!」
初春「なっ、これは……。大変なことがわかりました!」
固法「どうしたの、初春さん?」
初春「あのゾンダーロボには数万トンの化石燃料が満載されています」
固法「なんてこと!?」
白井「もしあの場所でゾンダーロボが爆発すれば予想される被害は……、
半径5km圏内は完全に壊滅ですの!
周囲の市民を避難させるにしても最低3時間はかかります」
固法「くっ……、佐天さんたちはどうなってるの?」 - 220 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/24(日) 01:29:57.64 ID:f2Pco2m20
- 初春「佐天さんはギャレオンとフュージョン完了、
ガイガー、ステルスガオー装着モードで発進します」
地下の専用口から移動した佐天がステルスガオーを装着したガイガーに乗り
先陣を切って真下に格納庫がある航空学区から発進していく。
固法「木山先生、ディバイディングドライバーとイレイザーヘッドの整備の方は?」
木山「万全だよ」
固法「了解。一方通行君、垣根君は準備できてるかしら?」
一方通行『いつでもいいぞォ』
垣根『こっちもだ』
白井「ミラーカタパルト、準備完了」
固法「氷竜、炎竜、射出よ!」
白井「了解。氷竜、発進します」
佐天の後を追うようにロボット形態の氷竜が同学区から発進、
白井「続いて炎竜、射出します」
さらに続けて炎竜が、氷竜同様にミラーコーティングを施された状態で発進していく。 - 221 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/24(日) 01:31:50.49 ID:f2Pco2m20
- ――――――――
ゾォンダアァァァ
佐天「な、なんて大きさ……」
一足先に現場に到着した佐天は、ゾンダーの巨体に驚愕し僅かながら茫然としてしまっていた。
佐天「迂闊に爆発させたりしたら学区単位で壊滅しちゃう!
ディバイディグドライバーはまだですか!?」
それを見晴らしのいい特等席より傍観する一つの影。
ステイル「WRYYYYYY! 攻撃すればたちまち学園都市は火の海、手も足も出まい。
今度こそ我々の目的も達成されることだろう」
さらにそこへ二つの影が到着する。
一つは垣根の乗る氷竜。
ミラーカタパルトで射出された氷竜は放物線を描いて滑るような綺麗な着地を決める。
そしてもう一つは一方通行の乗る炎竜。
一方通行「うおおォォォッ!?!?」
氷竜と同様の放物線を描いた後、ぐわっしゃあああん!と無様としか言いようのない、
激しいヘッドスライディングをかます。
垣根「遊んでんのか、おい」
一方通行「ンなわけあるか! 芳川の組んだ着地プログラムに問題があンだよッ!」
垣根「ほんとは操縦ミスなんじゃないのか? まあいい、これより消火作業に入る。
チェストスリラー!」
垣根は氷竜を操縦して、胸部より冷気を放出し周囲の火災をみるみる鎮火させていく。 - 222 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/24(日) 01:39:22.56 ID:f2Pco2m20
- ゾォンダァァア!
火災を鎮火する氷竜を発見したゾンダーが、氷竜に向かって火球を吐き出す。
垣根「ちっ。一方通行、頼んだぜ」
一方通行「しゃァねェな、ミラーシールド!」
火球と氷竜と間に入った炎竜がシールドで飛んできた火球を受け止める。
さらにこのシールドは受け止めるだけでなく、反射する能力も持ち合わせているのだが……、
佐天「一方通行さん、ダメです! 攻撃したら街が!」
一方通行「わかってらァ、うざってェ触手の一本を撃ち落とすだけで勘弁しといてやらァ」
そういうと、一方通行は火球を受けた角度を僅かにずらし、
ゾンダーロボの腕の役割を果たす6本の触手のうちの一本を反射のビームで撃ち落とす。
垣根「隊長さん、ここは俺たちに任せて今のうちにファイナルフュージョンしな」
佐天「わかりました!」
佐天は垣根と一方通行を信じ、合体のため一時的にゾンダーロボから離れていく。
一方通行「オラオラオラオラオラ! ここからは一歩も進ませねェぞ!」
垣根「フリージングエネルギー全開、照射効率130!」
初春『木山先生! 氷竜炎竜のシンパレートが上がっています!』
木山『普段はいがみ合っていても、と言う奴か。割と単純だな、彼らは』
共闘する氷竜炎竜の姿に、その様子をモニターするGGGメンバーの顔が僅かに綻んでいた。 - 223 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/24(日) 01:39:56.43 ID:f2Pco2m20
- 佐天「ファイナルフュージョン!」
ゾンダーロボから離れた場所でガイガーは最終形態への合体シークエンスに入る。
ガイガーは緑色の光を撒き散らしながら高速回転し球体状の空間を作り上げると
そこへカオーマシンが次々と突入していく。
ドリル、ライナー、ステルスの順に合体を果たし、緑色の光が消えて中から鉄の巨神が姿を現す。
佐天「ガオ!ガイ!ガー!」
御坂「ディバイディングドライバー、射出!」ガシン!
佐天「よっしゃあ!」
合体に合わせて射出されたディバイディングドライバーを空中で右手に装着すると
即座にゾンダーの足元めがけ振り下ろす。
佐天「ディバイディングドライバアアアァァァ!!」
ディバイディングエネルギーが放射され四方数百メートルが凝縮移動し、
真下に即席の戦闘フィールドが形成される。
ゾォンダアアァァァ
ゾンダーロボはバランスの悪い巨体のせいで落下の衝撃で転倒して動けずにいる。
佐天「身体が大きすぎて起き上がれないみたいね。ヘル・アンド・ヘヴン!」
好機と見た佐天は一気に勝負を付けるため、最強の一撃を放つ態勢に入る。 - 224 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/24(日) 01:40:37.17 ID:f2Pco2m20
- 垣根「待て! そのままヘルアンドヘヴンを放てば、一時的に防御力を失うガオガイガーは!」
木山『まずい! やめるんだ佐天君!』
一方通行「戦闘フィールド圏の爆発は市街地への被害は抑えられるがァ……」
固法『装甲は持っても、衝撃波で中の佐天さんは!』
上条『そんな!』
GGG隊員、ならびに上条の脳裏に最悪の光景が思い浮かぶ。
佐天「迷ってる時間はありません! 核を抉り出したら思い切りそっちに投げ飛ばします!」
両腕にエネルギーを集中させたガオガイガーは突貫していく。
佐天「あとは、頼みますッッッ!!」
初春『ダメエエエエエエエエエエ!!』
一方通行「クソッたれえェェェ! こうなりゃァ……。垣根、アレをやるぞおォォォ!」
垣根「学園都市のツートップが下のレベルの奴に守られるなんてダサい展開、お断りだ!」
ビーガー! ビーガー!
初春『……ぁあ! 氷竜炎竜のシンパレートが!』
木山『シンパレートひゃくうう!』
固法『シンメトリカルドッキング、承認よ!』 - 225 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/24(日) 01:41:22.06 ID:f2Pco2m20
- 垣根「シンメトリカル!」
一方通行「ドッキング!」
垣根、一方通行が乗る氷竜炎竜は威勢のいい掛け声とともに変型を開始する。
同型の二台は左右対称の動きで変型し一台の巨大なロボットへと合体を果たす。
垣根・一方通行「「 超 竜 神 ! 」」
御坂「!! イレイザーヘッド、射出!」ガシン!
佐天「やああああああぁぁぁ!!」
そして今、ガオガイガーのヘルアンドヘヴンがゾンダーロボを撃ち抜き、核を抉り出す!
ゾォンダアァゥァア
抉り出されたゾンダー核は投げ出され宙を舞う。
さらに激しい爆発が起こり閃光でモニターしていたGGG隊員たちは思わず目を閉じる。
ドゴオォォォン!!
光より遅れて聞こえてきた轟音が収まる頃には、
眩い光も消えようやく詳しい状況を確認できる状態となっていた。 - 226 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/24(日) 01:42:06.85 ID:f2Pco2m20
- 固法『ガオガイガーは……、佐天さんはどうなったの?』
初春『佐天さんは……っ! 無事です!』
佐天「その姿は、超竜神!? 垣根さん、一方通行さん、合体できたんですね!
イレイザーヘッドが使えたんですね!」
白井『イレイザーヘッド、稼働成功!』
『『『やったぁー!!』』』
固法『新たなる勇者の誕生ね』
兄弟機、氷竜と炎竜は搭乗者のシンパレートが頂点に達した時、
シンメトリカルドッキングによって超パワーロボット、
超竜神に変形合体するのだ!
佐天「二人のおかげで助かりました!」
垣根「あんまり無茶ばっかするんじゃねえよ」
一方通行「ったく、いっつもぶっつけ本番じゃねェか、生きた心地がしねェってンだ」
佐天「えへへ」
一方通行「褒めてねェよ」 - 227 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/24(日) 01:42:46.58 ID:f2Pco2m20
- ステイル「ぐぬぬぬ……」
その様子を眺めていたゾンダリアンが悔しそうに姿を消したことに気付く者は誰もいない。
やがて、全身を緑に輝かせた状態の上条がゾンダー核の浄解のためにやってくる。
>>65
上条「クーラティオー、テネリタース、セクティオー、サルース、コクトゥーラッ!」
上条が呪文を唱えて核に触れるとだんだんと人の姿へと戻っていく。
上条(今回は知らない奴だが、また気を失ってるみたいだな)
一方通行「あン? こいつどっかで……」
垣根「研究者っぽいがお前の知り合いか?」
一方通行「いや、気のせいだろ。なンでもねェよ」
佐天「今回の勝利はみんなのチームワークによるものですね!」
上条「あぁ!」
超振動を発生させ、炎や爆発を大気中より瞬時に消すことのできるメガトン装置。
イレイザーヘッドを使える者は、ハイパワーロボット超竜神だけである。
超竜神よ、ガオガイガーとともに地球を守れ!
EDテーマ『いつか星の海で…』
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=nmRkxVdTNTM - 228 : ◆tVP11EVtkPKg[saga]:2011/07/24(日) 01:53:57.00 ID:f2Pco2m20
- 次回は本編流用できそうにないんで予告なしです。
次はまたかなり間が空くかな・・・もう三ヶ月放置しちゃおうかな・・・ - 229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/07/24(日) 04:33:33.10 ID:NFG0xsWco
- キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!
乙です
とりあえず>>1のペースでやればよろし - 230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/24(日) 12:54:44.98 ID:q6v79sAqo
- 乙
逃げることは許さんぞ! - 239 : ◆tVP11EVtkPKg[sage]:2011/12/01(木) 05:58:08.84 ID:pD8hxM/Jo
- 生存報告だけしてはや3ヵ月・・・
なのにまともな文章がこれっぽっちも書けておりません
時間ややる気よりもネタを作り出す力が欠けている状態で
本当に申し訳ないのですが、このスレは無期限凍結とさせていただきます
もし、しびれを切らさずに待ち続けられていた読者様がいらっしゃいましたら心よりお詫び申し上げます - 240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/01(木) 13:04:53.53 ID:scYtyx7wo
- そんな…ずっと楽しみにしてたのに…
乙。 - 241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県)[sage]:2011/12/01(木) 20:06:55.78 ID:5xu86loJo
- >>1乙、いつか星の海で……
- 242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/01(木) 22:18:21.78 ID:gj0Lr5ZJo
- まぁ仕方ない…
乙でした - 243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/12/01(木) 22:42:54.80 ID:SsJ6I6fdo
- >>1乙
勇気ある誓いとともに…
2014年3月15日土曜日
佐天「勇気をエネルギーに変える力!」
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