- 2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/10(火) 22:17:11.27 ID:sXZvAYXN0
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熱が出た。
一方通行は脇から抜き取った体温計の表示をみて、顔をしかめる。
最近確かによく咳は出ていたし、喉はいがいがしてだるかったが、39.8度の高熱が出るほどまで悪化するとは思わなかった。自己管理がなっていない証拠だろうか。風邪を引きやすい季節の移り目だから仕方がないことなのかもしれないが。
朦朧とした意識の中風邪薬を必死にさがすも見つからず、なんとか黄泉川に風邪薬を持ってきてほしいという旨を電話で伝えて、そこで意識が落ちた。
- 3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/10(火) 22:17:56.85 ID:sXZvAYXN0
-
ドンドンと玄関を叩く音で目が覚めた。黄泉川か、芳川か、はたまたあのガキか。誰かが薬を持ってきてくれたのだろうか、と考えて彼は立ち上がった。そしてふらふらと覚束ない足取りで玄関の方へ歩き出す。
黄泉川達には合鍵を渡してあるはずだが、もしや忘れてきたのだろうか。だとしたら間抜けすぎる。
数秒かかってようやく鍵を捻り、ガチャリと開けた。
「ったく、合鍵はどォし――」
――た、とまでは言えず、彼はしばし呆然とした。
あのガキはおろか、オリジナルよりも体躯の大きい高校生くらいの少女。肩で切りそろえられたさらさらとした茶髪に、以前よりは多少薄くなったかと思われるくま。猫のように釣りあがった髪と同系色の瞳。そして、意地悪くゆがめられた口元。
――そう。
玄関の前にいたのは。
「やっほうくたばりかけの第一位。優しい優しいミサカが看病しに来たよ」
- 4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/10(火) 22:19:11.54 ID:sXZvAYXN0
-
こういう状況で現れるには最も合わないランキングベスト3には入る、番外個体だった。
一方通行が口をぽかんと開けていると、彼女はニヤニヤと意地悪い笑みを浮かべるのをやめ、本当にくだらなそうに息を吐いた。
「本当はミサカだって来る気はなかったんだよ。誰が貴方みたいな人の看病したいものか。でも黄泉川は学校があるし、芳川も妹達がらみでカエル医者に呼ばれていないし。愛くるしい最終信号もどうしても外せない調整があってね」
だから暇人のミサカが選ばれたってワケ、と番外個体は嫌そうに吐き捨てた。
一方通行は回らない頭でそれを聞いていた。――要約すると、芳川や黄泉川の代わりに番外個体が来たということらしい。
「ハッ……オマエが……看病……出来ンの……かよ……」
白い肌を真っ赤に火照らし、息も絶え絶えになりながらも自分を嘲る一方通行に、彼女は満足そうな笑みを浮かべた。
まるで、これこそが相応しい会話であるかというように。
憎悪の塊、もしくは象徴である彼女は、その使命を全うするかのように限界まで口角をあげ、仕返しと言わんばかりに目の前の病人を罵る。
「とうとう頭までいかれちゃった? ミサカが看病なんてすると思う? ミサカはただ頼まれたから薬を持ってきただけ。それ以上のオプションを望むなら無様に腰振っておねだりでもしてみたら? ギャハッ、傑作すぎるよそれ!! まあとにかく貴方は一人寂しくベッドの上で苦しんでな――」
しかし、彼女お得意の罵声は遮られた。
何故なら――。
何故なら、力尽きた一方通行が崩れ落ちるように意識を失って彼女の方へ倒れかかってきたからだ。
- 16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/11(水) 21:36:54.56 ID:uWtQhhoh0
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番外個体はトントンとリズムのよい音を台所で響かせて、大根を切っていた。
玄関で『ミサカが看病なんてすると思う? ミサカはただ頼まれたから薬を持ってきただけ。それ以上のオプションを望むなら無様に腰振っておねだりでもしてみたら?』などと言っていたが、実のとこ ろ、彼女は薬を渡してはい終わり、ではなくきちんとご飯を作って来いと黄泉川に言われていたので、渋々であるものの最初から料理を作る気ではあった。が、 それにしたってただでくれてやる気などはなく、『無様に腰振っておねだり』程度には何かやってもらおうと思っていたのだが、いかんせん彼女の予想よりも彼 の具合は悪かった。何かを要求する前に目の前でぶっ倒れるなんて本当いい性格している、と小さく悪態をついた。
大根を鍋に乱暴いいれながら、彼女はぼんやりと先程の一方通行との交流を思い返す。
- 17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/11(水) 21:37:36.08 ID:uWtQhhoh0
-
「おーもーいー。なんでミサカがこんなことしなきゃならないの・・・・・・」
ずるずると一方通行を引っ張る番外個体はそう呟いた。右腕だけを引っ張られている彼は自然と床にすられていく形になるが、彼女は気にしない。玄関で勝手に 倒れたそっちが悪いのだ。倒れるなら誰にも迷惑のかからないベッドの上にしてほしい。運んでやっているだけ感謝をしろ、といいたいくらいである。
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
ようやく一方通行をベッドに寝かせれた。どっと疲れが出てきて彼女はへたりこむ。
玄関から彼の部屋まで数メートルのはずなのに、たどり着くのにやたらと時間がかかった。腕も痛い。
絶対起きたら文句をいってやろう。絶対、絶対にだ。
と、心に決めたものの。
- 18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/11(水) 21:39:54.79 ID:uWtQhhoh0
-
「・・・・・・ふ、・・・・・・ぐ・・・・・・ン・・・・・・」
呻いている彼の寝顔を見ていると、そんな気持ちも萎えてくる。
数分くらい、ぼーっと彼の寝顔だけを眺める。
(・・・・・・最終信号がいってたとおり、寝顔だけは素直なんだなぁ・・・・・・この人)
ちょっとツンツンとほっぺたをつついてみる。さらさらすぎるその素肌が羨ましい。
と、「ン・・・・・・?」と彼が目を覚ました。
「あ、起きさせちゃった?」
- 19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/11(水) 21:40:29.32 ID:uWtQhhoh0
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「・・・・・・なンか幻想見えンぞ。俺疲れてンのかな・・・・・・」
「・・・・・・ぶっ殺されたい? あと貴方は疲れてるんじゃなくて風邪をひいてるの」
「あーあー幻聴が聞こえるー。寝よォ寝よォ」
「・・・・・・マジ[ピーーー]」
ゆらりと帯電させた右手を振り下ろそうとした番外個体を一方通行は慌ててとめる。
「待て!!俺病人だからァ!!だからちっとは労わりやがれェ!!」
「労わったじゃん!!それ否定したの貴方じゃん!!」
「悪い、ちょっと悪ふざけしただけだってのォ!!いや、ちょっとその、面白かったというかなンというかですねェ・・・・・・!!」
「・・・・・・最低」
- 20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/11(水) 21:41:15.85 ID:uWtQhhoh0
-
弁解をしだした一方通行に番外個体はむくれてそっぽを向いた。これは確実に一方通行が悪い。
降り立つ沈黙にだらだらと冷や汗を流す。学園都市最高の頭脳もこういうときには全くもって役に立たない。
「――ッ、ゴホッ、ゴホッゴホッ」
いきなりせきをしだした一方通行に、最初は演技かなとおもった番外個体だったが、彼の顔から苦しんでいることに気がつき、猛ダッシュで台所へと向かう。それからドバー!!と光もびっくりのすばやさで水道水をくみ、むりやりそれを口の中に含ませて
「ブゴボッ!?」
とむせかえさせてしまった。そのことにあわあわうろたえて、「なななな何をすればいいのかな!? え、えと、み、ミサカ分かんない!!ちょっと貴女たち一 応ミサカのお姉ちゃんでしょ!!!助けてよー!」と叫びながら部屋をぐるぐるまわり、一方通行に枕を投げつけられてようやく平静にかえった。
今思ってもなぜあんなにてんぱっていたのか分からない。病人への対処なんてはじめてだったからだろうか。
その後、「・・・・・・食べるモンが欲しい」と彼が呟いたため、今に至るというわけだ。
- 21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/11(水) 21:41:51.29 ID:uWtQhhoh0
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ついでに、今作ってるのは病人食でお馴染み雑炊である。
学習装置で入力されたデータを元に作っているのだが、はてさて美味しいのやら。いつもは黄泉川などが3食ご飯を作ってくれるため、実は料理というものをしたことがない彼女である。
なので内心ドキドキではある。が、それをあの人に見せるわけにはいかない。絶対にプライドが許さない。
と、言うわけで。
「苦しんでる一方通行ちゃんにおいしーい雑炊の時間ですよー、なーんて」
無理やりゲラゲラ笑いながら(しかし内心心臓ばくばく)彼の部屋に入ると、のそりと一方通行は起き上がった。番外個体が置いてあげた氷袋がその拍子にぽつんと落ちる。
「すま、ねェ……」
いつもとは違う弱々しい声にむず痒さを覚えつつ、番外個体はベッドに近いテーブルに雑炊をのせたお盆を置き、一方通行にタオルを投げた。どうせ熱があるんだから汗をかいてるんだろうし後で拭け、という彼女なりの配慮だろう。
一方通行が受け止めたのを目の端で確認し、番外個体は鼻で笑う。
- 22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/11(水) 21:42:18.51 ID:uWtQhhoh0
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「……ミサカにそんな殊勝な態度見せてるといつか寝首掻かれるよ?」
彼女の憎まれ口に一方通行はただ「……そォだな」としか返さない。
その素直(?)な言葉に、
(何!? 何なのこの人! 悪い物でも食ったわけ!?超怖いんだけどミサカ!!!)
番外個体は心の中だけで失礼なことを叫んで、ちょこんとベッドに腰かけた。ついでに置いてある雑炊を片手で掴む。
「……何してン……だ? オマエ……」
彼の戸惑った声にニヤリと笑う。
しっかりと右手にスプーンを握りしめて、彼女は宣告した。
「楽しい楽しい『あーん♪』の時間だよ」
直後、確実に(主に一方通行にとって)黒歴史となる行動が展開された。
- 32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/12(木) 21:15:43.69 ID:d5CAvtpk0
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「……………もォ死にたい」
「ぎゃはっぎゃははははは!!傑作だったよ第一位!!ミサカ笑いすぎてお腹痛――いひゃひゃ!ひっぱらないへ!!のひる!!のひるかりゃ!!」
「うるせェ、笑った罰だ」
「やーめーへーっ!!」
ほっぺをびみょーんと伸ばされている番外通行とほっぺを(痛くない程度に)にょもーんと伸ばしている一方通行。
傍から見ると超和む。凄く和む。
- 33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/12(木) 21:18:15.22 ID:d5CAvtpk0
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「にゃふー、はなひてーっ!!」
「じゃァごめンなさいご主人様とでも言うンだなァ」
「ごめんなはいごしゅひんはま」
「……、」
一方通行の顔がひくついたまま固まった。
その隙に番外個体はほっぺから彼の指を引き剥がす。
そして、
- 34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/12(木) 21:18:53.43 ID:d5CAvtpk0
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「さて、今のことをミサカネットワークに大放出してお姉様にご報告だー♪」
「やめろォォォォ!!!」
「一方通行はミサカに強姦しようとしたんだよー、ご主人様とかマジきも――」
「うがァァああああああ!!!」
オトコにはなにが何でも立ち上がらなければならないときがある。主に名誉のために。
一方通行は残り少ない体力を使って番外個体の口を押さえようとした。
と、なんか一方通行が躓いたのか。
ぐら、と彼の体が揺れて。
- 35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/12(木) 21:19:40.63 ID:d5CAvtpk0
-
「……ェ?」
「……へ?」
二人の表情が固まる。
床に倒れ落ちる直前に、彼女を下敷きにしないために両腕をぴんと張ったのが思いっきり裏目に出た。
息もかかるほどの至近距離で見える番外個体の顔が状況を把握したのかどんどん赤くなっていく。
それもそのはず。
傍からみれば、完璧にこれは『押し倒している』格好だ。
事故だったとはいえ、これは恥ずかしい。無茶苦茶恥ずかしい。
- 36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/12(木) 21:20:17.68 ID:d5CAvtpk0
-
「ァー……」
「……ひ、ぅ……」
ぼぼぼぼぼぼ、と未だに赤みがひかないどころか濃くなっていく顔。
それにつられてか一方通行の白い肌にも赤みが差してくる。
数秒、いや、数十秒、はたまた数分にも及んでいたか。
二人は黙ったままその状態から動かず――、
「あ……す、すまねェ……」
- 37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/12(木) 21:20:49.31 ID:d5CAvtpk0
-
われに返った一方通行がようやく体を動かして、張り詰めた緊張がとけた。
番外個体も体を起こし、「べべべっ別にミサカは気にしてない……しない、し……」ともごもご応える。
気まずい空間の中、一方通行はぽりぽりと頬をかいた。
(あー、これは俺が悪いよなァ……他意があったわけじゃ勿論ねェが、一応こいつも女だしなァ……)
そんなどこか冷静な一方通行とは反対に、番外個体は相当ぱにくっていた。
(ど、どどどどどどどどうしようどうしようどうしよう!!あ、一方通行にその、あ、あぅ~っ!!)
- 38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/12(木) 21:21:16.98 ID:d5CAvtpk0
-
ほっぺに手をあてて顔をぶんぶんと振る番外個体。
不思議と嫌ではなかった。
むしろ、もしかして、いや、まさか――
(う、嬉しい……?)
え、と息が詰まる。
そして、彼女が思考を深める前に。
「……ゥ……」
先ほどから何気に動いて体力を消耗したのか。
こてん、とまた一方通行が倒れた。
- 46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/13(金) 21:01:05.95 ID:9FUpnxZ/0
- 皆さんのレスに半泣きになった。嬉しいです。
ニヤニヤできるとかお疲れ様とか言って貰えるだけで感謝ですよ!!感謝の嵐です。
こういうのを作者冥利に尽きるって言うんですかね。
スレが他にもあったりやること沢山あったりで最近めちゃくちゃ疲れているので、お疲れ様とかは本当に身にしみるっていうか、励みになります。
今日も投下です! - 47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/13(金) 21:01:32.22 ID:9FUpnxZ/0
-
「ぎゃははっ!!貴方って本当に最高!!バカすぎる!!ひーっっっ!!」
「頭に響くンだから静かにしろォ・・・・・・」
「だってさぁ!!何回倒れたら気がすむのって感じ!!」
「・・・・・・それくらい具合が悪いってことだろォがよォ・・・・・・」
- 48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/13(金) 21:02:04.67 ID:9FUpnxZ/0
-
先ほどまでの殊勝な態度はどこへいったのやら、一方通行をベッドに寝かせた番外個体は、爆笑して彼を罵っていた。
コイツと付き合うにはMにでもなるしかないのか? と少々あきれ果てる一方通行である。
番外個体は思う存分笑うと、あ、と声をだした。
「そーいやさ、なんで病院にいかないの?」
その問いに、一方通行は眉間にしわを寄せる。
「……俺が病人ってしったら俺に恨みを持ってるやつとかがわンさかくンだろォ? だからできるだけ知られないよ――」
「さて、テレビ局の番号はどこかなーっと」
「オマエぶっ[ピーーー]!!」
- 49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [saga]:2012/01/13(金) 21:02:36.79 ID:9FUpnxZ/0
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ぎゃーぎゃー喚く二人に、また具合が悪くなって倒れるのが分からないのか、と突っ込むのは野暮である。
楽しいからいいのだ。多分。
と、ぴぴぴ、と電子音が鳴った。
一方通行から体温計を受け取って、番外個体はんー、と唸る。表示は39.7。ほとんど変わらない。
「貴方の風邪、全然なおりそうにないね」
「オマエが色々ちょっかいだすからなァ……」
- 50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [saga]:2012/01/13(金) 21:03:09.21 ID:9FUpnxZ/0
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「ちょ、ちょっと!貴方のもやしっぷりをミサカのせいにしないでよ!」
「あァ!? もやしィ!?」
「そうだよ!もやし!白いから白もやしだね!ぎゃはっ!」
ケラケラと笑い出した番外個体に一方通行のこめかみがひくひくと動く。
番外個体とはそこまで長い付き合いがあるわけでもないが、それでも分かっていることがある。
コイツは攻めに弱い。
……というわけで。
楽しい楽しい復讐の時間の始まりである。
- 51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [saga]:2012/01/13(金) 21:03:36.79 ID:9FUpnxZ/0
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「そォいえばよォ」
「何? 白もやし」
「番外個体って言いにくくねェ? 長くてよォ」
番外個体はだから何? とでも言いたげに一方通行を見た。
一方通行は気にせず、ニヤニヤして話を続ける。
「だから、あだ名を考えてみたわけだ」
- 52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [saga]:2012/01/13(金) 21:04:10.55 ID:9FUpnxZ/0
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「ふ、ふ~ん。どうでも良いけど、ちっとも興味ないけど、可哀想だから聞いたげるよ。何?」
「ミサワたン」
「……え?」
とある不幸な男子高校生並みにキリッとした彼をよそに、番外個体の思考が止まる。
彼は今、なんと言った?
- 53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [saga]:2012/01/13(金) 21:04:38.05 ID:9FUpnxZ/0
-
「み、ミサワ……」
「たン」
「みみみミサ、ワ……」
「たン」
- 54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [saga]:2012/01/13(金) 21:05:19.98 ID:9FUpnxZ/0
-
ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ――
「ええい!そのニヤニヤ顔やめろぉおおお!!貴方のネーミングセンスに愕然だよ!!何ミサワたんって!!キモいんだけど!!!!!は、はっこれだから白もや――」
「ミサワたン」
「……っ」
何故か番外個体の言葉が詰まった。
ニヤニヤしたまま一方通行はそれを茶化す。
- 55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [saga]:2012/01/13(金) 21:07:11.54 ID:9FUpnxZ/0
-
「あっれェ? なンだなンだなンですかァ? 実はそれだけて感じちゃってるとでも言うつもりですかァ?」
一方通行のからかいに、ぼぼぼぼぼ、番外個体の顔が先程押し倒された格好になったとき以上に赤くなり。
バチリ、と髪の毛から紫電が小さく爆ぜる。
ぎょっと一方通行は体を反らした。
「え、オマ、なんかバチバチいって……」
「ふ……ふにゃー」
「ふにゃァじゃねェェェェェェェ!!!」
直後、心臓に悪いスパーク音が炸裂した。
- 59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [saga]:2012/01/13(金) 21:53:37.00 ID:9FUpnxZ/0
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番外個体は『ミサカは悪い子です』というこの上なく恥ずかしいプレートを首にかけられてベッドのすぐ近くに正座をさせられていた。
ぷるぷると方が震え、今にも泣き出してしまいそうである。それがまた嗜虐心を煽るのだが。
「あっれェ、ミサワたーン、なンだかとっても顔が赤いですよォ?」
「み、ミサワたん言うな!!そ、そりゃあ病人に電撃かましたミサカが悪いとは思うけど……思うけどっ!!なんで、なんでこんなこと……」
「そりゃァあれだ、罰だからオマエが嫌がることしねェと意味ねェだろ」
ベッドの上から見下ろす憎きS野郎に、キッと睨んでやるも効果なし。
先程、羞恥心からレベル4クラスの電撃を病人こと一方通行にあびさせてしまった結果、こういうことをさせられているのだから結局は彼女の自業自得なのだ が、煽った彼にも責任がなくもない。どっちもどっち、又は50歩100歩というやつである。でも50歩と100歩は結構違うと思う。
- 60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [saga]:2012/01/13(金) 21:54:23.81 ID:9FUpnxZ/0
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「まァ? どォしてもオマエが嫌だっつゥなら他のを考えてやらねェこともねェけどなァ」
「ほ、ほんと!?」
ぱぁあっ! と顔を輝かせた番外個体に不覚にも可愛いと思ってしまう。
オリジナルと同じで素材はいいのだ。素材は。性格には難ありだが。
一方通行はそれを悟られぬよう若干視線を逸らしつつ、うーん、とわざとらしいうなり声をだして、ニヤリと笑う。
「三回回ってワンってのはどォだ?」
「~~~~っ!!へ、へんたい!!ばか!!」
涙目で番外個体は切に訴えるもスルーされる。
- 61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [saga]:2012/01/13(金) 21:54:55.75 ID:9FUpnxZ/0
-
「ハッ、メイドさンってのもいいンじゃねェ? それともォ――」
延々と並べ立てられる数々のお仕置きという名の羞恥プレイを聞いて、どんどん目尻に涙が溜まっていき。
溜まって、
溜まって、
溜まって、
溜まって、
そして、ぷつ、と何かが切れて。
「う、うぁ……うわぁああああああああああああああああああああああんっ!!」
番外個体は、年齢と同じレベルで(つまり0歳児のように)大号泣した。
- 76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/02/07(火) 22:11:31.72 ID:RLBr7D030
-
数時間後。
「……じゃあ、ミサカ帰る。晩御飯は昼ののこりものの雑炊をラップをかけて冷蔵庫にいれておいたから、それをチンして食べること。まさか台所まで歩けないほど消耗なんかしてないよね? してても別にいいけど。朝ごはんは――」
(……長ェ……)
なんだか嬉々としてご飯のこと、タオルはどこにおいたか、さっさと寝るようになどを説明していく番外通行に、一方通行は付き合いきれないとばかりに内心ため息をつく。
まあ、先程泣かせてしまったので文句をいうことなどできないのだが。
番外固体は一通り説明を終えると、
「じゃあね、絶対いつかミサカがあなたを[ピーーー]んだから、風邪なんかに殺されないでよ?」
とだけ言い捨てて、家から出て行ってしまった。
まるで嵐のようなヤツだ、と一方通行は適当に評価をくだした。
一人取り残された部屋でかれはごろんと寝返りをうった。
今日は――なんだか、楽しかった。
あの戦争が終わって以来、あんなに気分が高翌揚したのは初めてだ。
(ま、単に久々に誰かとまともなお喋りをしただけっつゥことなンだろォけどなァ……)
我ながら単純だ。くく、と息をわずかに漏らして彼は笑った。
今でも自分が許されたとは思っていない。
彼女たちを10031人殺したのは事実だし、一生拭えない罪だ。
それでも。
――それでも。
(少しくれェアイツらに歩みよっても……いい、の……か……)
そして、彼は意識をゆっくりと落としていった。
その顔に、ほんの少しの微笑みを乗せて。
- 77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/02/07(火) 22:13:07.48 ID:RLBr7D030
- というわけで終わりです!うわ、スレがかなりあまっちゃった……
っていうか最後をかくためだけに一体何日かかってるんでしょう私。
お付き合いありがとうございました。
- 78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/07(火) 23:08:19.11 ID:pOloyFKDO
- >>1乙!
って終わりなの?番外通行その後にほんのり期待 - 79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [Sage]:2012/02/08(水) 00:45:10.02 ID:qaeS/IDZ0
- 乙。
が、まだ続くと信じてる。 - 80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/02/08(水) 01:13:57.00 ID:Qcv8QD/AO
- 乙!
おおお終わりとか信じないんだからね!
まだ番外通行でニヤニヤしたい - 81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/10(金) 11:42:00.78 ID:pIa2yn9Qo
- なかなかいい序章だ
- 85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/02/11(土) 23:07:33.86 ID:tvgniJKt0
- じゃあバレンタインデーだし、あんまり内容を考えてないのでどんどん変な方向に発展するかもですが、投下。
「別に、ミサカがいかなくてもいいじゃん!」
「まあまあいいじゃん。この前行ったとき仲良くできたんだし」
「いってらっしゃーい、ってミサカはミサカは渋る番外個体を無理やり追い出してみたり!」
「よろしくね、番外個体」
というわけで。
「……なんでミサカなわけ? わけわかんない……」
番外個体は一方通行の家の前にいた。
本日2月14日。そう、俗に言うバレンタインデー。
女子が男子にチョコを上げる日である(最近は女子が女子にあげることが多くなったが)。
黄泉川、打ち止め、芳川、……そして自分の分のチョコを抱えた番外個体は、あーだこーだと玄関先で唸って早数十分。
番外個体は、一向に一方通行にチョコを届けられないでいた。
別に、好きな人にチョコをあげるだけがバレンタインデーではない。
義理チョコという言葉もあるくらいだし、何より黄泉川や打ち止め、芳川だって彼にあげているではないか。
そう思うものの、恥ずかしさはやっぱり拭えない。
何より、手作りというのが恥ずかしさを助長させる。
「うぅ、こんなのミサカの柄じゃないよー……」
番外個体はとうとうしゃがみこんでしまった。
どうしよう、と彼女は考える。
直接会って渡すのは恥ずかしい。すっごくすっごく恥ずかしい。
「ポストにでも入れよっかな……」
そんなことを思いついた番外個体は、
「あ、あだっ!?」
「何やってンだ、オマエ」
部屋の中から開けられた扉に、思いっきり頭をぶつけたのだった。
- 86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/02/11(土) 23:19:22.67 ID:tvgniJKt0
-
「ううー、痛い……」
「普通は玄関先で蹲ってるとか思わねェよ……」
そう言われればそうである。
扉に頭をぶつけた(ぶつけられた)番外個体は、一方通行に手当てをしてやる、と言われて家の中に入り、現在ソファにちょこんと座っている。
一方通行は物入れから苦労して救急箱を取り出すと、そこからシップを手に取り、
「これでいいか」
「ひゃうんっ!?」
番外個体の額に貼り付けた。
思わず変な叫び声をあげてしまう番外個体。
「い、いきなり何するのっ!? この変態! セロリ! ロリコン! しろもやし!」
「手当てしてやっただけだろォが! つゥかセロリとかロリコンってなンだよ!」
「せ、セロリはセロリだもん! やーいやーい!」
ぐぐぐ、と睨み合う二人。
そしてふんっと同時に顔を背ける。
思いっきり子供の喧嘩だった。
(ミサカ絶対コイツとは仲良くなれない気がする……!)
番外個体は湿布をさすりながらそう思う。
一方通行は嘆息して、「いきなり触って悪かったなァ」と侘びをいれた。
- 87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/02/11(土) 23:28:24.38 ID:tvgniJKt0
-
「……なんであなたが謝るの」
「じゃァどォすりゃいいンだよ!!」
もっともである。
番外個体はなにやらもごもごと反論していたが、最後は「……ミサカもごめん」と頭をさげた。
……どう見ても子供の喧嘩だ。羨ましい。
「で、オマエは何しにきたンだ?」
「え、え!? あ、え、あ……チョコ……」
「……あァ、今日はバレンタインデーか」
一方通行は納得した、という風に頷いた。
お茶入れてやるからまってろ、と言われ、素直に待っていた彼女はふと気がついた。
「あ……あれ……?」
先程自分が頭をぶつけたときに、一緒に当たってしまったのか。
自分が作ったチョコの箱が、見るも無残にぺしゃんこになっていた。
- 88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/02/11(土) 23:29:20.12 ID:tvgniJKt0
-
「……う、わ……」
番外個体の顔がひきつる。
こんなものを渡したらただのイジメだ。さすがの彼女もこんなものを渡すのはしのびないと思う。
それならば、渡さないほうがマシ……か。
そう考えて、
ズキ。
「あ、れ……?」
今、何かが酷く痛んだ気がする。
この感覚をどこかで知っているような気がして、番外個体はすぐに思いついた。
『お姉様にとって、ミサカは否定したい存在だったのですね』
あの時の痛みと――それは酷く似通っていた。
何でだろう、と番外個体は首をかしげた。
何でだろう……本当に。
と、そこで首元に何か温かいものが当たった。
「ひぃっ!?」
「何ボーっとしてやがるンだ」
一方通行がコーヒーの入ったコップを首筋に当てたらしい。
番外個体は一方通行をにらみつける。
- 89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/02/11(土) 23:39:24.71 ID:tvgniJKt0
-
「さっきからなんでミサカを驚かしてくるの!?」
「いや、勝手にオマエが驚いてるだけだろ」
「あなたが驚くことをするからじゃん!」
番外個体はむくれつつ、コーヒーを口に含んで、
「ぶっ、ごばっ!?」
むせた。
「に、苦ッ!!コーヒーって苦ッ!!」
「そりゃァコーヒーだからなァ」
一方通行がごくごくと特に気にせず飲んでるのをみて、対抗心を燃やされたのか番外固体もまけじと飲む。
ぷっはぁ、と全部飲みきるころには番外個体の味覚は麻痺してしまった。
コーヒーは悪魔の飲み物なんだ、と新たに知識をインプットした彼女は、ほい、とチョコを渡す。
「ピンクの包み紙が打ち止め、青のが芳川、白いのが黄泉川が作ったチョコだよ」
- 90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/02/11(土) 23:43:04.32 ID:tvgniJKt0
-
潰れたチョコを自分の影に隠しつつ、番外個体は説明する。
「……オマエのは?」
「は?」
「だから、オマエが作ったチョコ。ねェのか?」
一瞬だけ潰れたチョコのことが頭をよぎったが、彼女はそれを振り払って
「あ、あるわけないじゃん! 誰があなたなんかのためにつくるって言うの?」
精一杯の虚勢を張り、番外個体はいいのけた。
一方通行はしばらくぼー、っと番外個体を見つめていたが、
「……そォ、か」
とだけ呟いて、それ以上はつっこんでこなかった。
(……別に、ミサカがあげる義理なんて元々なかったんじゃん)
そうだ、そのとおりだ。
だから、こんな潰れたチョコなんて。
……あげなくて、いい。
「み、ミサカ、用事済んだし帰るから!」
「お、おォ。わざわざ済まなかったな。打ち止めたちにありがとォって伝えておいてくれ」
「う、うん」
番外個体は一方通行の方へ一度も振り返らず、家から飛び出した。
潰れたチョコをしっかりと隠し、
その胸に、ズキズキと痛む何かを抱えて。
- 92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/02/12(日) 00:02:04.43 ID:8AyBkc1AO
- いやこれ続くんだよね?
潰れたチョコなんて伏線以外の何物でもないじゃん? - 93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/12(日) 00:17:52.41 ID:ybqkGWTj0
- この一方さんはこの後追うわ
そんでなんか恥ずかしい展開になってオレが悶え狂う - 94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/02/12(日) 00:24:08.18 ID:I+UqaOS90
- >>92 続きますよ!頑張って続けます!
>>93 ちょっくらそれ書いてきます - 95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/02/12(日) 00:33:39.99 ID:I+UqaOS90
- とりあえず書いてみました。
「……はァ……」
一方通行は番外個体が出て行った玄関を眺めながらため息をついた。
手に抱える3つのチョコ。
そして、足りない一つのチョコに思いを馳せ――
「いや、俺って元々嫌われてるンだったなァ……。貰えなくて当然、か」
そう諦めの言葉を吐いたとき、
ぷるるるる、と。
電話がなった。
「あン?」
誰だこんなときに、と思いながら彼は携帯電話を開けた。
表示されている名前は『黄泉川』。
一方通行はもう一度嘆息して、それから電話をとる。
「はい、一方通行ですけどォ」
『チョコはちゃんと届けられたじゃん?』
「いきなり本題かよ。ああ、打ち止めの分と芳川の分、それからオマエときっちり三ついただきましたけどォ?」
『おお、そうかそうかよかったじゃ……、ん? 待て。三つ?』
「おォ。三つだ。それで?」
『……番外個体からは?』
「は?」
『だから、あの子も作ったはずなんだけど』
「……」
ぶち、と電話を切った。
なんとなく、ざわざわとした胸騒ぎがする。
一方通行は適当にジャンバーをひっかけると、すぐさま番外個体の後を追った。
- 96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/02/12(日) 00:43:19.87 ID:I+UqaOS90
-
一方通行が家を飛び出した頃、番外個体は人気のない公園のベンチに座っていた。
「……ミサカ、馬鹿かなぁ……」
潰れたチョコを見て、ため息。
こんな気持ちになるくらいなら、渡せばよかった。
そう思う気持ちと、
それでも、渡さないほうがいい。
そう思う気持ちがぐるぐると彼女をかきまぜていた。
「……あーあ。さっむ」
ひゅう、と冷たい風が番外個体を吹き付ける。
へくち、と小さいくしゃみをした。
いつまでもこんなところにいるわけにはいかない。
だけど、こんな気持ちのまま打ち止め達の待つ家に帰りたくない。
多分、今帰ったら――
――泣いて、しまうから。
「ああもう!!馬鹿馬鹿第一位!ついでにミサカも馬鹿!みんな馬鹿!バレンタインデーを作った人も馬鹿!」
こんな気持ちになるくらいなら、作らなければよかった、と。
泣きそうになるのを堪えながら、ぐしゃりと崩れた表情で彼女は叫ぶ。
そのまま、こんなチョコ捨ててやろうと右手を振りかざした――その時。
「――ト!!」
「ふ、ぇっ?」
「番外、個体!!」
白い、白くて紅い少年が。
自分の名前を呼んで、駆け寄ってきた。
その姿を見て、番外個体は場違いなことを思う。
ヒーロー
なんだかまるで――主人公、みたいだ、と。
- 97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/02/12(日) 00:52:37.57 ID:I+UqaOS90
-
「あ、一方通行……?」
「ったく、探したぜェ……!!」
ハァハァと息の荒いところから、彼が相当走ったのだろうと想像できた。
自分を――探すために。
でも――どうして?
「な、なんでミサカを……?」
「ったく、黄泉川から聞かなかったらそのまま何もしなかったところじゃねェか……」
「は、え?」
理解ができない、というように首を傾げた番外個体に、一方通行は薄く笑う。
それはとても――綺麗な笑み。
「チョコ、作ってくれたンだろ?」
「~~っ!?」
番外個体の顔が一気に首から額まで赤くなる。
一方通行はそんな番外個体に苦笑しつつ、ずい、と右手を差し出した。
- 98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/02/12(日) 00:56:33.85 ID:I+UqaOS90
-
「くれ」
「……で、でもっ」
「イイから」
番外個体のたわごとは封じて、彼は言う。
番外個体はしばし迷っていたが、「……ごめん」といいながらチョコを一方通行へ渡す。
潰れてぐしゃぐしゃになった――チョコを。
「ご、ごめん……、つ、潰れちゃって……だから。その……っ!」
そのチョコを見て、一方通行は。
一方通行は、言う。
「凄ェ、嬉しい」
「…………っ!!」
例え潰れてしまったとしても。
番外個体からのチョコが嬉しい、と。
彼はそう言った。
- 99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/02/12(日) 00:57:40.49 ID:I+UqaOS90
-
「ば、馬鹿じゃないの!? つ、潰れてるし、多分中身原型とどめてないし、それにミサカチョコなんて作ったことなかったし……」
「さて食べますかァ」
「聞いてよぉ!!」
カカ、楽しみだ、とかなんとかいいながらべりべりと包装紙を剥がしていく一方通行。
「トリュフか」
「う、うん……。黄泉川に、作り方……教えてもらって……」
一方通行は原型を留めていないトリュフを、それでも美味しそうに頬張る。
番外個体はそれをみて、少しだけ頬を緩めた。
「……その、美味しい?」
おずおずと尋ねる少女に、一方通行はぽんぽんと頭を撫でた。
「美味しくないはず、ねェだろ」
「……そっ……か」
番外個体はそう言った。
それだけしか言えなかった。
いつしか、ズキズキとした痛みは消え去っていた。
- 100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/02/12(日) 00:59:05.12 ID:I+UqaOS90
- だめだ、自分で書いてて泣きたくなってきた。
なんだこいつらリア充め……。羨ましいぞ畜生。
番外通行増えないかな……。
投下中のレス大歓迎、リクエストも言ってくださったら嬉しいです - 101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/12(日) 02:29:32.79 ID:atnrbFsUo
- リア充末永く爆発しろっ!
VDを書いたと言う事はWDも書く義務が発生するっ! - 102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/02/12(日) 04:29:26.80 ID:f0APGOjAO
- 素直になれない素直さがあるな。可愛い
一方さんデレッデレやないですか。末長く爆発しれ - 103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/02/12(日) 10:29:46.31 ID:I+UqaOS90
- >>101 了解ですっ
>>102 ほんとですよww女の子の前に男がデレてどーするww
なんだかどんどんあまあまになってきたけど投下。
昨日お布団の中でぴこぴこかいてた。ミサワ視点で書いてみるっていう。 - 104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/02/12(日) 10:30:23.22 ID:I+UqaOS90
-
2月17日。
ミサカにとって一生の不覚ともとれるバレンタインデーから3日後。
一方通行が遊びに来た。
「久しぶりだなァ、打ち止め」
「お久しぶり!ってミサカはミサカは挨拶しながらあなたに抱きついてみたり!」
……何あれ、デレデレしちゃってさ。
幼女に抱きつかれて喜ぶとか……ロリコンなの? 気持ち悪い。
一方通行は何かお土産を持ってきたみたいだけど、それを渡される前にミサカは自室に逃げ込んだ。
……あー苛々する。
あんなイチャイチャ、見てるだけで吐きそうだよ。よく黄泉川や芳川は笑って眺めていられるよね。
ぼふ、とベッドに倒れ込んで、ミサカは目を閉じた。
……あんな奴、目が覚めたときには帰ってたらいいのに。
- 105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/02/12(日) 10:31:09.86 ID:I+UqaOS90
-
コンコン、というノック音で目が覚めた。
誰? と聞くと一方通行だ、と帰ってきた。
……帰ってなかったんだ。
ミサカが何か言う前に、一方通行は入ってきた。……不法侵入だよ、全く。
ミサカがソレを指摘したら、悪い、だってさ。簡単に謝って馬鹿みたい。
一方通行はミサカに紙袋を差し出した。お土産――らしい。
打ち止めにもこれをあげたの? って聞いたら、アイツとは別の物だ、って返ってきた。……ふぅん。
別に、嬉しくない。全然嬉しくない。けど……苛々は収まった、かも。
紙袋をあけると、中に入ってたのは料理の本だった。
「ソレで料理のレパートリー増やして、また作りにきてくれェ」
- 106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/02/12(日) 10:31:37.09 ID:I+UqaOS90
-
……何ソレ。
またあんなかび臭い部屋に行かなきゃなんないの? やだやだ。
……でも、まあミサカも将来のために料理の腕つけたいし、練習のためならいいよ。勘違いとかしたら殺すよ? ミサカはあなたのためじゃなく、ミサカのために行くんだから。
そう言ったら、一方通行は「そォか」、と嬉しそうに笑った。
……別に、笑った顔は中々じゃん、とか思ってない。思ってないからっ!
顔赤いぞ、と一方通行に指摘された。
……ムカついたから枕投げてやった。にひひ、反射解いてるからまともに食らってやがんの。
「オマエなァ……」
一方通行も投げ返してきた。もやしと違って姉譲りの運動神経はそれを軽々とさける。おねーたまなんかありがとう。
「じゃ、俺帰るわ」
- 107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/02/12(日) 10:32:03.88 ID:I+UqaOS90
- ……ふぅん、ばいばい。
ま、黄泉川たちも喜ぶし、また勝手に来れば? ミサカはふて寝してるけどっ。
「ン? 今度はオマエが来てくれるンじゃねェのか?」
……勝手な奴。
ほんと、勝手な奴。
「じゃァこねェのか?」
い、行くもん!明日、あなたの部屋に行ってとびっきり美味しいもの作ってやるんだから!
「せいぜい期待してますよォ」
む、ムカつく……!
一方通行はそう言って帰ってしまった。
……明日、覚えときなよ、馬鹿第一位。
- 108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/02/12(日) 10:33:51.60 ID:I+UqaOS90
- 投下終了。こいつら絶対カップルしてるよね。
次はもうちょっとツンをいれよう。ミサワだけじゃなく一方さんの方も。 - 109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/02/12(日) 11:33:32.45 ID:UPPukCj20
- 番外通行の甘々ってのも需要あると思うんだ
- 110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(佐賀県) [sage]:2012/02/12(日) 12:59:34.83 ID:mlEbxRnco
- はっはっは、これに需要がないなんて、そんな幻想ぶち殺しちまえ
- 111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/12(日) 13:43:57.96 ID:eEVn/M1Fo
- 確かに一方さんがデレッデレだなww
- 123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 21:16:44.98 ID:/yFz5Qao0
-
ぴーんぽーん、と間抜けな音がなった。
すう、はあ、と深呼吸し、番外個体はじっと立ち尽くす。
心臓の音がやけに煩い。トン、トン、トン、と規則正しく、だけどもいつもより早く波打つ。
トン、トン、トン、トン、トン、ト……
ガチャリ。
扉が開いた。
「おォ、オマエか」
「……やっほう、第一位」
番外個体が挨拶をすると、一方通行は彼女を部屋に招き入れた。番外個体は素直に従う。
今日、彼女がここに来た理由は明白だ。
料理を作りに来たのである。
正確には、料理の練習をしにきた――であるが(と彼女は認識している)。
「今日は何作るンだ?」
「ハンバーグだよ」
「おォ、楽しみだ」
一方通行は本当に楽しそうに笑う。
まるで子供みたいだ、と番外個体は思った。
と、ピン、とあることを思いつく。
- 124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/05(月) 21:17:16.22 ID:/yFz5Qao0
-
「ねえねえ第1位」
「あン?」
「もしミサカが失敗しても、きちんと残さず食べてくれる?」
にやにや――と、意地悪い笑みを浮かべた番外個体に、一方通行はさらりと答える。
「あたりめェだろ」
「……っ」
番外個体の顔が真っ赤に染まる。
てっきり、「ンなもン捨てる」とかなんとか返ってくると思ったのに。
まるでミイラ取りがミイラになったみたいだ。
分からない。
本当、どうして自分の顔が赤くなるのか。
なんで、こんな胸が高鳴るのか。
――全然全然、ちょびっとも分からない。
(ああもーっ!!)
苛苛する。
番外個体は苛苛して、それを一方通行にぶつけた。
この気持ちを抱かせてくる――張本人に。
- 125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/05(月) 21:17:58.82 ID:/yFz5Qao0
-
「……ふ、ふん。相変わらずお優しいことで」
「優しい……だァ?」
「そ、甘ったるい感じの優しさだね。吐き気がするよ」
ぺっ、と唾を吐き出すジェスチャーをする番外固体に、一方通行は困ったようにかりかりと頭をかいた。
――甘ったるい、優しさ……か。
本当に、嫌になる。
すっごくすっごく、嫌になる。
そんなむしゃくしゃした気持ちが、番外個体から言葉となって吐き出された。
「だからミサカは貴方のことが嫌いだよ」
「……――」
「そう――大っ嫌い」
番外個体はそう――言い切った。
一方通行は何も言わない。
背を向けているから、表情も分からない。
沈黙だけが、この小さい世界を支配する。
- 126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/05(月) 21:18:32.07 ID:/yFz5Qao0
-
「そォだろォなァ」
先に沈黙を破ったのは一方通行だった。
「1万人以上もオマエらを殺して、挙句オマエをこんな形で生まれさせちまって――
嫌われて当然……だよ、なァ」
「……っ」
寂しそうで、悲しそうで、諦めたような――、
そんな、声音だった。
思わず番外固体の息が詰まるほどの。
「そ、そうだよ。わかってるなら別にいいけどっ」
心にもない言葉。
思わずそれを吐き出してしまって、しまった、と彼女は顔をしかめた。
その日は、ずっと気まずい雰囲気だった。
なんだかとっても、悲しかった。
- 127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/05(月) 21:19:28.98 ID:/yFz5Qao0
- ひ、久しぶりなのに少ない……っ
あとこれはツンとは何か違う気がする。
後もう少しでテスト終わるので、そしたらまたいっぱい投下できると思います - 128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/05(月) 22:12:37.13 ID:ABFCmDux0
- 馬鹿野郎!
俺を萌死にさせるつもりか! - 129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 22:58:59.76 ID:VOKLuuySO
- 待ってたぜい
- 133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/06(火) 21:27:31.09 ID:SMltJPkY0
-
「番外個体、元気ないねってミサカはミサカは話しかけてみたり」
「えっ……?
帰ってきたら、開口一番そう言われた。
「何かあの人とあったでしょ、ってミサカはミサカは問い詰めてみる」
ぎく、と身を強張らせる。
この小さな司令塔は、自分よりも幼いくせにやたらと聡いのだ。
番外固体は必死でなんでもないように取り繕い、
「何、って……別に」
「む、隠し事はよくないよってミサカはミサカはたしなめてみたり!」
めっ、と怒られた。
やばい、このままだとね堀やま掘り話さなくてはならなくなる。それは嫌だ。
「み、ミサカ知らないっ!!」
打ち止めを振り切り、自室に一直線に駆け込む。
そのまま、ドサ、とベッドに倒れ込んだ。
彼女は呟く。
小さく、拗ねた子供のような声で。
「……だいっきらい」
- 134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/06(火) 21:27:56.88 ID:SMltJPkY0
-
一方その頃。
「はァ……」
一方通行はため息をついた。
分かっていた。
分かっていたけれども。
本人に言われると――重さが、違う。
「……チッ」
やりきれなくて、どうしようもなくて、舌打ちしてみた。
もちろん、何も変わらない。
幻想だったのだろうか。
彼は思う。
あの会話も、
あの笑顔も、
全て、悪意の上に被せられた、虚構のモノで。
近づけていたと思っていたのは、こちらだけで。
- 135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/06(火) 21:28:25.56 ID:SMltJPkY0
-
「……クソッタレ」
分かっているのに。
ちゃんと、分かっているのに。
彼は壁に背中を預けると、腕を顔に置いた。
誰もいないと分かっていても――こんな顔、誰にもみせたくなかった。
絶対に、こんな表情を。
「クソッタレ……」
似合わねェよ、クソッタレ。
- 136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/06(火) 21:28:52.14 ID:SMltJPkY0
-
「うーむ、絶対あの人と何かあったはずなんだけど、ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」
「どうした?」
「番外固体がおかしいのってミサカはミサカは報告してみたり」
「ふーん、喧嘩でもしたのかね」
黄泉川と打ち止めは仲良くそろって首をかしげる。
と、そこでピン、と黄泉川は人差し指を突き出した。
「どうしたの?ってミサカはミサカはたずねてみたり」
「いいことおもいついたじゃんよ」
- 137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/06(火) 21:29:39.83 ID:SMltJPkY0
-
「……、」
「……よ、ォ」
次の日。
一方通行と番外個体は対面していた。
いわゆる、デートの待ち合わせの場所で。
(ちくしょォ、黄泉川のヤツ……コイツと二人きりだって言ってくれよ……)
昨日の夜、黄泉川から電話がかかってきた。
水族館のチケットを当てたから、絶対に今からいう場所(つまりここである)にこい、と。
で、きたら番外個体がいた。しかも一人で。
その番外個体はと言うと、
(馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!最終信号の馬鹿!誘ったのは妹達の一人って言ったくせに!!)
騙された、と二人は思う。
「……」
「……」
- 138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/06(火) 21:30:19.88 ID:SMltJPkY0
-
降り立つ沈黙。
気まずい、気まずすぎる。
「……ああああの、さ」
「……ン?」
「その……せっかくだし……行こっ?」
ちろ、とチケットを一方通行に見せる。
一方通行はこくりと頷いた。
そして、二人はギクシャクしたまま水族館へとむかうことになった。
- 139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/06(火) 21:31:01.45 ID:SMltJPkY0
-
水族館の前に立っている看板には、こう書いてあった。
『誠に申し訳ありませんが、魚を労るキャンペーンにつき、レベル4以上の電撃使い系の能力者の入場をお断りさせていただきます』
「なン……だと……?」
水族館のゲートの前には、ご丁寧に電磁波を測る機械までおいてあった。どうやらそこでオーケーのスタンプをもらえないと中にはいれない仕組みらしい。
で、おもいっきり該当者の番外個体の顔を見ると、
「 」
なんだか泣きそうな目で機械と看板と水族館へ何度も何度も視線を移動させていた。……そんなに入りたかったのか、と少々一方通行は呆れる。
一方通行が見ていることに気が付いた番外個体ははっと滲み出た涙を拭き、
「べっ別にミサカ全然水族館なんて興味なかったしっ!!入れなくても全然悲しくないっていうかあなたと回らずにすんでせいせいしてるもんっ!!あはは、この体質に感謝だよっ」
思いっきり涙声で説得力のない言葉をアリガトウ。
どォするかな、と彼は考える。
できれば、入らせてやりたいのだが。
(――そォだ)
- 140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/06(火) 21:31:52.76 ID:SMltJPkY0
-
「おい、番外個体」
「な、何かな!?ミサカ泣いてなんかないから!この馬鹿第一位!」
「じゃなくて。手ェ握れ」
「……………………………………、は?」
ぽかん、と可愛らしく(と一方通行は思った)口をあけ、目を見開いている番外個体の手を掴み、一方通行は歩き出す。
「あっ……えっ?ちょ、あ、あああ一方通行っ!?」
ようやく我に返った番外個体は、自分を引っ張っていく男にどもりながら話しかけるが、無視された。
一方通行は異様な早足で機械の方へと近づいていく。
「あのォ、すみませン、手ェ繋ぎながら測定してもイイですかァ?」
機械の前に立っている受け付け人らしき女の人は、「いいですよ」と微笑ましいものを見るかのような顔で肯定した。大方、初々しいカップルとでも思われているのだろう、と一方通行は適当にあたりをつける。
「えっ?えっ?」
いやミサカはレベル4の電撃使いだから測定ひっかかるしそもそもなんで手を繋いでるのこれはなんなの羞恥プレイなの!? と展開についていけない番外個体と共に一方通行は測定する。
- 141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/06(火) 21:32:34.98 ID:SMltJPkY0
-
「はい、大丈夫ですよ。どうぞ」
「……え?な、なんでっ!?」
戸惑う番外個体をよそに、ペタペタと女の人は一方通行と番外個体の手の甲にスタンプを押した。
そして、なんなくゲートを潜り抜ける二人。
「ちょ、ちょっとあなた、説明してよ!!」
「あァン?めンどくせェから説明省くが、俺に触れることによって今電磁波を押さえ込ンでるンだよ」
なるほど、だから手を握れ、か。
「そ、そういうのは先に言ってよ……」
疲れるじゃん、と文句を言う番外個体に、
「だってオマエ先に言ったら『別にミサカ行きたいわけじゃないし!!』とか言って握らねェだろ」
う、と言葉が詰まる番外個体。
確かに自分はそうしただろう。
- 142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/06(火) 21:33:57.22 ID:SMltJPkY0
-
「にしてもすまねェな」
「何が?」
「しょうがないとはいえ、嫌いなヤツと手を繋ぐなンて嫌だろ?」
そういう一方通行はなんだか悲しそうな、寂しそうな顔をしていた。
……そういう顔をされるのは、嫌だ。
なんだか、苦しくなって、なきたくなる。
「……違う」
番外個体は、思わず呟く。
首を横に振って、泣きそうになりながら叫ぶ。
「違う、別にミサカ、あなたのこと全然嫌いじゃないし!!昨日はつい、勢いで言っただけで、……その」
わりと好きだよ、と。
顔を真っ赤にしながら、最後は小さくなってしまったけれど、彼女は言い切った。
番外個体の位置からは一方通行の顔は見えない。だから、どんな顔をされているのだろう、と番外個体は怯えたようにぎゅ、と目をつむった。
- 143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/06(火) 21:34:26.85 ID:SMltJPkY0
-
「……俺、も」
一方通行は口を開く。
その声が、番外個体には震えているように思えた。
「オマエが、……結構、好きだ」
「……っ」
番外個体が手を握る手を強くすると、一方通行も強く握り返してきた。
お互いの顔は見えないけれど。
確かに気持ちは――伝わっていた。
- 144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/06(火) 21:36:01.57 ID:SMltJPkY0
- 今日はこれで終わりです
なんかこの話書いてたらすごく恥ずかしい…… - 145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 21:58:31.88 ID:DAclHAyDO
- ひゅーひゅーだぞっww
- 146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/03/06(火) 22:14:26.83 ID:yr81BkQD0
- 乙
白モヤシ爆発しろぉぉぉ!!! - 148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/08(木) 22:41:15.16 ID:yD15k2gy0
-
変なの。
番外固体は歩きながら思う。
(……少し前までミサカはミサカらしかったのに)
はあ、と気づかれないように嘆息した。
右手から伝わる一方通行の体温が、じんわりと温かい。
冬だけど、冬じゃない。
そんな感じ。そんな――気分。
(……別に、ミサカ、ドキドキなんて……して、ないし……)
手を繋げて嬉しいなんて思ってないし。
誤解を解けてよかったなんて全然思ってない!
悪意から作られたんだから。
殺しあうために作られたんだから。
- 149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/08(木) 22:41:44.12 ID:yD15k2gy0
-
(……ミサカ、わかんないよ……)
……いつからだろう。
いつから、自分は変になっちゃったんだろう。
だってわかってる。
手を繋げて、ミサカは嬉しい。
誤解を解くことができて、ミサカは安心した。
(……いつから……)
- 150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/08(木) 22:42:23.17 ID:yD15k2gy0
-
風邪を看病しに行ったときは、本当に嫌だった。誰がコイツなんかって思った。
でも、帰る間際は、ちょっとだけ――本当に、ちょっとだけだけど、帰りたくないなって、思った。
バレンタインデーの日。なんだかんだ言いながら、ミサカは会いに行くのが楽しみだった。ミサカのチョコをみてどんな反応するかな、ってわくわくした。
チョコが割れたとき、渡せることができなかったとき、凄く悲しかった。でも、ミサカを追いかけてきてくれて、チョコを渡せたとき――そう、ミサカは嬉しかった。
黄泉川の家にきて、最終信号と話してると、苛々して。でも、ミサカのとこに来てくれて、お土産もくれて、料理を作ってくれって言われて――不機嫌どころか、内心上機嫌になった。
昨日だって。
本当に、楽しみで。
なのに、嫌いって言っちゃって。
違うのに。
本当は、違うのに。
苛苛して。
同時に、悲しくなって。
でも、誤解を解くことができて。
こうして、手をつなぐことができて。
(……あぁ、そうか……)
ようやく、番外個体は気付いた。
嫌いっていってしまって、悲しくなった理由も、一方通行に会えるだけで嬉しくなる理由も。
そうか、と思う。
- 151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/08(木) 22:42:48.25 ID:yD15k2gy0
-
(ミサカ、この人のことが、――好き、なんだ……)
- 152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/08(木) 22:43:20.03 ID:yD15k2gy0
-
悪意にまみれて生まれたはずなのに。
殺しあうために、生まれたはずなのに。
いつの間にか、こんなにも――。
- 153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/08(木) 22:43:47.18 ID:yD15k2gy0
-
「……好き」
「……あン?」
思わず呟いてしまった言葉が、聞こえていたらしい。
一方通行は立ち止まって、振り返った。
「どォした?」
「な、ななんなんでもっなんでも、ないっ!!」
「そ、そォか……?」
「そそそそれよりっ、あっちの!あっちのペンギンみよう!ペンペン!」
ぐいぐいー、と今度は番外固体が一方通行を引っ張っていく。
一方通行は戸惑いながらもそれについていく。
(よ、よかったぁ……ごかまかせた……)
ほっと胸をなでおろす番外固体。
せめて今日だけは意識せずにがんばろうと、心に誓うのであった。
- 154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/08(木) 22:45:17.78 ID:yD15k2gy0
- そろそろ気づけよ……と思ったので気づかせてみた。
ちょっと急すぎたかもですかね?
一方通行いつ気づかせよう……
テスト終わったのでまたもとのペースに戻る、かな? - 155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/03/08(木) 23:08:38.35 ID:m9xAyi9Z0
- 乙でした
番外ちゃんマジ乙女! - 156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/03/11(日) 22:10:25.22 ID:uswFnCXk0
- 番外通行こそジャスティス
- 157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/20(火) 20:29:58.86 ID:Oiagwrxq0
-
水族館は楽しかった。
アザラシやアシカは可愛かったし、イルカのショーは凄かった。
初めて生で見るものに、番外固体は「すごいすごい」とずっとはしゃいでいた。
それを横で見ているほうも、なんだか凄く嬉しい。
「あーあ、もう終わりかぁ」
寂しそうに番外固体は呟く。
もう日は沈みかけていて、夕日に番外固体の顔が照らされていた。
その横顔が、あまりにも綺麗で。
「……っ」
言葉が、詰まった。
本当は、「そォだな」と返すつもりだったのに。
多分、自分は気づいているのだ。それを明確にあらわしたことがなかっただけで。
番外固体が、好きなのだと。
- 158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/20(火) 20:30:49.69 ID:Oiagwrxq0
-
あの嫌味や憎まれ口さえ愛おしくて。
ちょっとだけ優しい言葉をかけてもらったら、なんだか舞い上がってしまって。
泣いているところは見たくなくて。
笑っているところはいつまでも見ていたい。
そんなの、好きだからに決まっているじゃないか。
番外固体と一緒に夕焼けを見ながら、一方通行は小さく笑った。
それから、なァ、と番外固体に話しかける。
「今度、遊園地に行こうぜェ。二人で」
これがデートの誘いだと、生まれて間もない彼女は分かるのだろうか。
「……い、いいけどっ、別に」
「そォか」
ぷい、とそっぽを向いた番外固体が可愛くて、思わず頭を撫でたくなった。
もちろん、理性で抑えたが。
せめて、いまだに繋がれた手だけは、ぎりぎりまで繋いでおこうとおもう一方通行なのだった。
- 159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/20(火) 20:31:47.94 ID:Oiagwrxq0
-
数日後。
さんざんひやかしながらも服のコーディネートをしてくれた黄泉川たちに感謝しつつ、番外固体は待ち合わせ場所で待っていた。
まったく、女の子を待たせるとはいい度胸だ、と彼女はちょっとだけ怒る。
まあ、こちらが早く来すぎてしまっただけなのだろうけど。まだ約束の10分前だし。
(な、なんか楽しみにしすぎって笑われるかな……、やっぱり約束のギリギリに来たほうが……っ、で、でもでもっ!!)
ひゃー、とかいい出した番外固体を、周囲の人は「ちくしょー、デートかよ、初々しいやろーめ」と羨望半分、嫉妬半分で見守る。
「……何してンだ、オマエ」
「ひうっ!?」
突然現れた一方通行にはしたない声をあげてしまった。
先が思いやられるというものである。
「ななななんでもないしっ。あなたって本当ノロマだよねっ。女の子を待たせるなんてどういう神経してるの?」
「……まだ約束の5分前なンですけどォ」
「う、うぐっ。いいから行くよ!」
「ハイハイ」
恥ずかしさのあまり、一方通行の手をひいて、その場から立ち去る番外固体。
……手を繋いでいることに気づいているのかいないのか。もちろん前者だろうが。
- 160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/20(火) 20:32:45.77 ID:Oiagwrxq0
-
「なァ、番外固体」
「……な、なに?」
「似合ってンぞ」
「~~~~っ!?!?!?」
ぼふん、と番外固体の顔が一気に赤くなった。
自分が先頭にいてよかったと思う。顔をみられずにすんだから。
「……ありがと」
小さくお礼を言って、彼女はずいずい進む。
その顔は、誰がどう見てもにやけていた。
- 161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/20(火) 20:33:41.58 ID:Oiagwrxq0
-
「まずは何乗りますかァ?」
「絶叫マシーン!!!」
「……そォですか」
こいつはもう少し女の子らしいことを言えないのかね? と少々呆れる一方通行。
まあ、そんなところもひっくるめて好きなのだが。
そういうわけで、まず初めに乗るのは番外固体の希望通り絶叫マシーンである。
「ふふん、あなた三半規管が弱そうだからね。終わったあとに『もう僕乗れませーん』とか言わないでよ?」
「あァ?ンなわけないだろ。仮にも学園都市最強が機械ごときに負けるかっての」
「じゃあ勝負!あなたがぐでーってなったら、ミサカの勝ち!ならなかったら、あなたの勝ち!勝った方は相手の言うことを一つだけ聞くってのはどうかな?」
「いいぜ、後で謝っても知らねェからな」
「こっちの台詞だよ」
という会話があった数分後。
- 162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/20(火) 20:34:20.41 ID:Oiagwrxq0
-
「……俺の三半規管ってこンなに弱かったうェェ……」
「ぎゃはははははっ!!!!!!あははっ!!!!ざまぁみろ第一位!!!ひひっ!!ミサカの勝ち!!やーいやーい!!」
「う、うるせ……ちょっと黙ってうォォ……」
番外固体の勝ちである。まあ当たり前の結果といえた。
一方通行は誰もが認める「貧弱もやし」なのだから。
ようやく吐き気がおさまった一方通行は、番外固体に
「……で、何を要求するンですかァ?姫」
「ひ、姫っ!?なんかあなたヒーローさんっぽくなってない!?……ゴホン。そうだね、じゃあ、今日一日ミサカを思いっきり楽しませること!」
「……そンなンでいいのかァ?」
悪意の塊の番外固体のことだ、てっきり女装しろーとか三回回ってワンしろー、とか、そういうのを求めてくると思っていたのに。
番外固体はチッチッチッ、と指を横に振りながら、
「ミサカを楽しませるのは至難の業だよ?あなたごときができると思わないでねっ!」
できなかったら罰ゲームだよ――、と彼女はにやりと笑った。
そんな顔も可愛い、と一方通行はのんきに思った。
- 163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/20(火) 20:35:10.27 ID:Oiagwrxq0
-
基本的に番外固体の要望通りに二人は遊園地をまわった。
コーヒーカップ(これは一方通行の三半規管がぎりぎり持ちこたえた)、メリーゴーランド(番外固体によるただの嫌がらせ)、お化け屋敷(番外固体の悲鳴が可愛かった、と一方通行は後に語っている)、ゴーカート(隣のカップルと競争して二人は勝ったりした)などなど。
それらを回り終えると、もうすっかりお昼ご飯の時間である。
じゃあ食べるか、ということで二人は近くにあったフードコートに入った。
「じゃァ俺適当に買ってくるわ」
「いってらっしゃーい」
ぱたぱたと手を振る番外固体。
番外固体の役割は席取りなので、席に座ってお留守番なのである。
(……ひひ、たーのしー)
にへら、と一人になった番外固体は小さく笑った。
本当に、楽しい。
信じられないくらいに。
「……ちゃんと、ミサカのお願い、実行してくれてるじゃん」
見直したよ第一位、と番外固体はここにはいない第一位を褒めた。
数分ほど待つと、一方通行は適当に買ってきたものを持ってきた。
「これでいいかァ?」
「うん、ありがと、一方通行」
それをもしゃもしゃ食べながら、二人はおなじことを思う。
この日が、終わらなければいいのにな、と。
- 164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/20(火) 20:35:50.85 ID:Oiagwrxq0
-
その後も、色々巡った二人は、最後の乗り物として観覧車に乗ることを選んだ。
「なんかカップルみたいだね」と番外固体が言ってしまって、双方赤面してしまったのは言うまでもなく。
「……ねぇ、一方通行」
どんどん小さくなっていく建物を見下ろしながら、番外固体はぽつりと言った。
「あン?」
「ミサカさ、こんなこと、できると思ってなかったよ」
「……」
殺して死んで、そのために生まれてきたんだもんね、と。
番外固体は――寂しそうに、笑った。
「だからこそ、今がすごく楽しい。そう、幸せってヤツ?ミサカらしくないけどね」
「……らしい、らしくねェの話じゃねェだろ」
「へっ?」
「たとえらしくなかったとしても、俺はオマエに幸せでいてほしい」
「……っっっ!! ……馬鹿」
- 165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/20(火) 20:36:32.08 ID:Oiagwrxq0
-
顔を真っ赤にして番外固体は俯いた。
あァ――、と一方通行は思う。
今なら、言えるかも、しれない。
「なァ、番外固体」
「……何?」
「俺、オマエが好きだ」
「へぇ、そう……、って、え?ええええええええええええええええええ!?」
あたふたし始めた番外固体に、一方通行はさらに言葉を重ねた。
「一つだけ、聞いていいか?」
「……な、なな何?」
「俺は、今日オマエを、楽しませれたか?」
「……、うん」
こくりと、確かに番外固体は頷いた。
「すっごく、ミサカは楽しかった!」
そォか、と一方通行は言った。
それ以上は、何も言わなかった。
- 166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/20(火) 20:37:23.87 ID:Oiagwrxq0
-
(……このへタレ)
心の中で一方通行を罵る。
なんだ、告白しただけかよ。
せっかくの密室なのに。せめて押し倒すくらいやってみろ、馬鹿。
(しょうがないなぁ……)
今度は、自分が思いを伝える番だ。
その後に、キスの一つくらいしてみろ。このへタレ。
「あのさ、一方通行」
「なンだ?」
「ミサカも、……あなたのこと、す、好き……だよ」
「……………………、は?」
ぽかんと口をあけた一方通行に、じれったくなった番外固体は思わず叫ぶ。
「だからぁっ!!ミサカはっ!!あなたのことが好きっ!!なの!!だから今日楽しかったの!!」
ああもう――と、番外固体は憤慨して、そしてそのまま強引にぽかんと口をあけている一方通行と唇を重ね合わせた。
接触していたのは、数秒。
とうとう恥ずかしさが堪えきれずに、一方通行から番外固体は離れた。ちょこん、と元の位置に戻る。
- 167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/20(火) 20:38:05.79 ID:Oiagwrxq0
-
「……あの、番外固体さン」
「……何」
「マジですかァってオイやめろ放電すンなここ観覧車だぞォ!?」
「あなたが馬鹿なこというからじゃない!」
ミサカ初めてだったのに……と、ぷぅ、と頬を膨らませて一方通行をにらみつける。
もちろん、睨み付けられても一方通行は可愛いとしか思わないのだが。
「……俺も、初めて、だった……ぞ?」
「……あっそ。あなた童貞っぽいもんね」
「……怒ってますゥ?」
「……」
ギロリと睨み付けられた。
……怒っているらしかった。
まあ普通は、男のほうからするもんだもんなぁ、と一方通行はうんうん頷く。
できれば、早く機嫌を直してもらいたい。まだまだ観覧車が終わるのには時間があるし。
と、そこでようやく、
(そォか俺からすればいいンじゃねェか?)
この男、実は馬鹿なのではないだろうか。
一方通行は番外固体に近寄ると、今度は自分から唇を重ねた。
番外固体は一瞬驚いた顔をしたものの、すぐに満足そうな顔になった。
その後、観覧車が終わるぎりぎりまで、何度も何度も、二人はキスを続けたのだった。
- 168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/20(火) 20:38:50.13 ID:Oiagwrxq0
-
ついでに、帰り道。
「……ねぇ、一方通行」
「なンだ?」
「あなたって、そういえばロリコンじゃなかったっけ?」
「…………、」
「うわぁああああやめてやめて無言でぐりぐりはやめてーっ!!」
おしまい。
- 169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/03/20(火) 20:39:57.76 ID:Oiagwrxq0
- いつのまにかホワイトデーが過ぎていただと……!?
本当はホワイトデーに二人をくっつけるつもりだったんですよチクショー。
>>163のときこのままバットエンドに入ろうかと一瞬だけ考えてやめました。いやだってフラグぽかったし。
しかし初めてくっついたカップル、というのを書いた気がする。なので告白シーンとかキスシーンとかもっと雰囲気だせよ!!って思われたらごめんなさい。
ついでに最後の最後まで定番でごめんなさい。
何はともあれ二人がくっついたので、まあくっついたあとを書こうと思うんですが、いりますか?
もしもいるなら、こう、してほしいこととか書いてくださるとうれしいです。
では。
- 170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) [sage]:2012/03/20(火) 21:28:48.06 ID:WFqd+zgw0
- 乙!
後日談やるなら初々しい2人を見た時の他の人のリアクションとかニヤニヤできる展開が見たい
あと今回番外個体が番外固体になってたのが少し気になった - 171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/20(火) 21:43:46.63 ID:yujHrhlSO
- 乙!
上琴とのダブルデートに、打ち止め、妹達が乱入して、gdgdに。
さらにグループのメンバーが絡んで、更にカオスな展開へ、って感じは? - 174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/09(月) 23:05:52.95 ID:gHSB7SKm0
-
(ヤバい……助けてほしいかも、ってミサカはミサカは弱音を吐いてみる)
打ち止めがいるのは近所で評判な喫茶店だった。
目の前に置かれた美味しそうなパフェ――これはいい。
対面して置かれたもう一つのパフェ。――これもまあ、いい。
問題なのは、それを食べているバカップルだった。
「はい、ミサカがあーんしてあげるんだから、ちゃんと食べなよ?」
「……俺がパフェあンま好きじゃねェの知ってるだろ?」
「知ってる。ついでにミサカのあーんに逆らえないのも知ってる」
「最悪だなオマエ!」
「そんな最悪な女を好きになったのは誰かにゃーん?」
「……ふン」
「ほれほれお食べー。あーん」
「……むぐ」
- 175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/09(月) 23:06:29.84 ID:gHSB7SKm0
-
そんな一連の会話を目の前で繰り広げられ、打ち止めは怒りかなにかわからないものでわなわなと体を震わせていた。
(あり得ないあり得ないあり得なーい!!ってミサカはミサカは驚愕してみる!!なんなのかなこの甘さは!!ここは魅惑のお菓子の国なのってミサカはミサカはツッコンでみるんだけど!!)
残念ながらここはただのバカップルが居座るただの喫茶店です。
コーヒーがほしくなってきた……とひとりごちつつ、目の前のあーんのしあいっこをさせているバカップルとは違い自分でパフェを口に運ぶ打ち止め。
「ったく、ついてンぞ」
「えー、どこどこ?」
「そこじゃねェ、オイ動くな、とってやる」
「ありがとー」
一方通行は番外個体のほっぺたについたクリームをとり、その分ついた親指のクリームをなめとった。
(だあああああああああああ!!もう嫌だ!!もう負けでいいです!!いいので早く帰してください、ってミサカはミサカは懇願してみる!!)
勿論、彼女の(わりと必死な)懇願を聞くものはいない。
番外個体は今ミサカネットワークの接続を切っているし。
しかしなんで自分がこんな目にあわなくてはならないのだ。
今日は番外個体と二人で遊びに出掛けていて、そこでたまたま一方通行と出会い、なし崩しで今に至る。
日頃の行いが悪かったのだろうか。これからはわがままは控えようと打ち止めは心に刻むのだった。
- 176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/09(月) 23:12:41.81 ID:gHSB7SKm0
- 全然初々しくなんてなかった。
お久しぶりの上短くてすみません。
>>171 えーっと、そのですね、すみません。あまり上琴は好きではないので……ごめんなさい。
今回の投稿でこのスレは終わりです。
今までありがとうございました。
- 177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/09(月) 23:28:02.57 ID:e7sVbd5DO
- 乙ッ
…な、なんだと…?
続けてくれよぅー - 179 ::VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 01:08:10.08 ID:mUAp8/zg0
- 乙。
続編希望です。ちょっとオトナなてんかいとか - 180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/12(木) 22:36:30.85 ID:pO6Cy0fz0
-
「あっ一方通行と付き合うことになりましたっ!」
遊園地から帰ってきた次の日、番外個体の一大告白に、それを聞いた三人の反応はというと、「ふぅん」、という淡白きわまりないものだった。
「まあ分かりきってたことじゃん?」
「バレバレだったもんねーってミサカはミサカは同意してみる」
とは黄泉川と打ち止め。
ついでに芳川はというと、
「……そろそろハロワ行こうかしら……」
と脱ニート的なことを呟いていた。いやまあそれ自体は歓迎すべきことなのだろうけど。
なんとなくやりきれなさを感じる番外個体なのだった。
- 181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/12(木) 22:40:49.55 ID:pO6Cy0fz0
- 続編希望ありがとうございます。嬉しかったです
現行の再構成が終わったら時間ができると思うので、そのときにまた再開しようと思います
では。
モヤシを食べるってなんだかちょっとえろいですよね。
- 182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/13(金) 00:26:42.30 ID:G8pvEeN8o
- 乙
- 183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) [sage]:2012/04/13(金) 04:13:36.21 ID:1MVFmS+r0
- 乙 のんびり待ってます
- 184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/13(金) 12:00:40.23 ID:YWG3NeJDO
- あっ一 乙
- 185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/14(土) 16:30:01.75 ID:O7S8ETTS0
- やべェ ニヤニヤが止まらない
ここの番外個体が完璧過ぎて、可愛すぎて、素直になれなくて切な過ぎて、、、
甘く切ないツンデレSMジェットストリーム
ごめん、俺今日死ぬわ 思い出し萌え死にするわ
2013年6月24日月曜日
番外個体「やっほうくたばりかけの第一位」
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