上条「救われぬ者に救いの手を」
- 1 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/09(土) 18:31:50.45 ID:tm4sb0/U0
※注意!!
・気まぐれ更新になると思うので、遅筆になる可能性大。
・時系列はアックア前ってことで。
・超展開、ご都合主義には大いに目をつぶってください。
・神裂メインのラブコメって少ないよね? という理由から始めてみます。
・タイトルの割にはシリアス成分は少なめになると思います。
- 2 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/09(土) 18:32:24.55 ID:tm4sb0/U0
放課後
―学生寮 1F―
上条「ふふふ~ん、ふふふ~ん、ふ・ふ・ふ~ん♪」
舞夏「ご機嫌だなー、上条当麻」
上条「お、舞夏か。やっぱ分かる?」
舞夏「不幸の塊の上条当麻が鼻歌なんて歌ってればなー。何かいいことでもあったのかー?」
上条「いやー、実は今日はサイフも落とさなかったし、タイムサービスの商品は買えた! なかなかいい日なんじゃないでしょうか!?」
舞夏「なんというか、普段の不幸さが身に沁みる一言だなー」
上条「学校でも殴られなかったし、スキルアウトに絡まれることも無かったんだぜ?」
舞夏「そもそも、私は両方経験したことないけどなー」
上条「おかげで、今日の上条さんは不幸指数0なんです。ハイ」
舞夏「それはよかったなー」
上条「やっぱ、ビリビリに捕まらなかったのが大きいのかな?」
舞夏「女の子に絡んでもらえて不幸っていうのは罰当たりなんだぞー?」
上条「ハハハ……」
上条(そりゃ、上条さんも普通の女の子なら大歓迎なんですがねー)
- 3 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/09(土) 18:33:37.06 ID:tm4sb0/U0
舞夏「あ、そうそう。女といえば―――」
上条「なんかあったのか? インデックスが何か迷惑かけたとか?」
舞夏「いや、違うぞー? 兄貴のとこに綺麗なお姉さんが来ててだなー」
上条「土御門のところに?」
上条(なんだろう。もの凄く嫌な予感がする……)
上条「へえ? ちなみにどんなヤツだったんだ?」
舞夏「うーん、そうだなー……。ポニーテールで背の高い、妙にエロいお姉さんだったかなー」
上条(神裂か? まさか、また何かあったのか?)
舞夏「私から兄貴を奪おうとするなんてとんでもないヤツだよー」
上条「その心配はないだろ。あいつシスコンだし」
舞夏「だよなー。まあ、用心はするけどー」
上条「ははっ、それすら必要ないと思うけど」
舞夏「なんだー? 知り合いかー?」
上条「まあ、多分……」
舞夏「じゃあ、兄貴に手を出したら、ただじゃ済まないぞーって伝えておいてくれー」
上条「りょーかい。またなー」
舞夏「アディオース、上条当麻」
上条(荷物置いたら、土御門のところに行ってみるか)
- 4 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/09(土) 18:34:21.50 ID:tm4sb0/U0
―上条の部屋―
上条「ただいまー」
上条(そういえば、インデックスのやつは何か知ってるのか?)
上条「おーい、インデックス。神裂が来てるらしいんだけど―――」
土御門「お。おかえり、カミやん」
神裂「お、お邪魔しています」
上条(なんかもういるー!?)
上条「えーっと……」
土御門「あー、お構いなく。勝手に上がらせてもらってるぜい」
上条「お構いなくじゃねーよ!! なんで二人は、勝手に上条さんの家に上がってるんでせうか!?」
神裂「す、すみません! これには色々と事情がありまして……」
土御門「とりあえず、説明するからこっちくるにゃー」
上条「…………ハイハイ。今度はどこの魔術師を殴ってくればいいんでしょうか?」
土御門「事あるごとにカミやんに頼んでたのは、謝らなくちゃいけないかにゃー……」
神裂「まったくですね……」
上条「え? 違うの?」
- 5 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/09(土) 18:35:12.84 ID:tm4sb0/U0
上条「そういえば、インデックスはどうしたんだ? 見当たらないけど」キョロキョロ
神裂「あの子でしたら―――」
土御門「んー。その説明の前に、右手を前に出してくれ」
上条「右手を?」
土御門「実際に見てもらった方が、早いしにゃー」
神裂「そ、それもそうですね。それに、ここで解決してしまえば、それに越したことはありません」
上条「……? 要するに手を出せばいいのか?」スッ
神裂「いえ、普通に私に触っていただければ―――」
土御門「ま、手っ取り早く済ませちまうぜい」ガシィ
上条「え? 何? 何で手首掴むの!?」
土御門「こうするんですたい」グィ
上条「はい?」ムニュ
神裂「」
- 6 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/09(土) 18:35:46.82 ID:tm4sb0/U0
上条(なんか柔らかいものが手のひらに……)
神裂「――――――ッ!!」バシィ
上条「痛ぇ!?」ドサァ
土御門「にゃー。やっぱりダメか」
神裂「な、なぜ胸なんですか!?」
土御門「説明しやすいと思って」
神裂「そんなことのために……」ブルブル
土御門「ぷぷっ、今のねーちんは、まったく怖くないからにゃー」
神裂「あとで、覚えておきなさい……」
上条「オイ、土御門! いきなり何させんだよ!?」
土御門「んー、カミやん。何か違和感は感じないか?」
上条「え? そりゃ違和感を感じるほど、でかかったのは確かだけど」ワキワキ
神裂「上条当麻!!」
上条「ひぃっ!? す、すいません!!」ドゲザ
土御門「そういうことじゃないんだけどにゃー……」
- 7 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/09(土) 18:36:29.38 ID:tm4sb0/U0
上条「違和感。違和感ねぇ……」
上条(あれ……。そういえば……)
上条「神裂にビンタされた割には痛くなかった……かな?」
土御門「それなんですたい」
神裂「うううっ……」
上条「ま、まさか……上条さんの防御力がついにその域まで上がっていたとは……」
土御門「まあ、最近のカミやんを見てれば、そう思われてもしかたないんだけどにゃー……」
上条「違うのか?」
土御門「あー……」
神裂「問題は、貴方ではなく私なのです……」
上条「神裂が問題? あの、話がよく見えないんですけど?」
土御門「実は、ねーちんが聖人じゃなくなっちまったんですたい」
上条「は?」
神裂「そういうことなんです……」
- 8 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/09(土) 18:38:16.81 ID:tm4sb0/U0
上条「神裂が聖人じゃなくなった……?」
土御門「カミやんに聖人がどんなものか説明したことあったっけ?」
上条「すごいパワーとスピードを持った超人じゃなかった?」
神裂「まあ、結果的にはそうなのですが……」
土御門「聖人って言うのは、生まれながらに『神の力を宿せた人間』のことを指すんだ」
神裂「いわゆる偶像崇拝の理論です。神様に似せられてデザインされた人間には『神様の力』が宿るという」
上条「んー……。『天使堕し(エンゼルフォール)』のときに言ってたやつか? よく覚えてないけど」
神裂「聖人は『聖痕(スティグマ)』を解放した場合に限り、一時的に人間を超えた力を使うことができるんですよ」
土御門「普通だったら、普段の状態でも相当の力はあるんだけどな」
上条「それで、聖人じゃなくなったっていうのは……」
神裂「先日、イギリスで事件を片付けている時に、正体不明の術式を受けてしまいまして……」
土御門「ねーちんが油断してるからだにゃー」
神裂「ぐぅっ……。ひ、否定できません……」
上条「正体不明の術式って……」
神裂「どうやら、聖人の所以である『神様のレプリカ』としての構造を意図的に変質させるものらしいのです」
土御門「それのせいで、偶像崇拝の恩恵を受けられなくなったねーちんは、ただの人間になっちまったって訳ですたい」
上条「神裂がただの人間にねえ……」
神裂「はは……お恥ずかしながら……」ポリポリ
- 9 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/09(土) 18:39:25.06 ID:tm4sb0/U0
上条「それで、元に戻るのか?」
神裂「実は、術式の構造が解析されていないので、まだなんともいえないのです」
土御門「禁書目録には、術式の解析のためにイギリスに行ってもらってるんだぜい」
上条「ということは、インデックスにも分からなかったって言うのか?」
神裂「ええ。私の体に魔術の痕跡が残っていないので、直接現場に行って確かめてもらっています」
土御門「なんでも、同じ効果を持つ術式が数種類あって、それぞれ解呪の方法が違うんだとさ」
上条「そ、そうなのか……」
土御門「カミやんの右手なら手っ取り早いと思ったんだが、肩透かしって訳だにゃー」
神裂「その……さきほどはすみません……」
上条「いや、それはいいんだけどさ……」
神裂「はい?」
上条「神裂に魔術の痕跡が残ってないなら、幻想殺しの効果はないって分かってましたよね?」
神裂「!!」
土御門「あれぇ~? そうだったかにゃ~?」ニヤニヤ
神裂「つ、土御門!!」グワッ
土御門「ぷぷーっ! ねーちんが油断してるのが悪いんだにゃ~」
神裂「くぅっ……」ギリギリ
上条(まあ、俺的には役得でしたけど)
- 10 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/09(土) 18:40:07.81 ID:tm4sb0/U0
神裂「それで……、というか、ここからが本題なのですが……」
上条「本題?」
土御門「ここにねーちんを連れてきた理由は、幻想殺しに触れさせるってだけじゃないんだぜい?」ニヤニヤ
上条(なんだろう。土御門がこの笑い方をするときは碌な目に遭ってない気がする)
土御門「効果がないって分かってるのに、わざわざ護衛を付けて連れてくるほど俺たちもヒマじゃないからな」
神裂「また貴方に借りを作ってしまうのは心苦しいのですが……」
上条「え? え? 俺を置いて話進めないでくれますか!?」
土御門「あー。実は―――」
上条「実は?」
土御門「しばらく、ここでねーちんを匿って欲しいんだぜい」
上条「はい?」
- 12 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/09(土) 18:42:17.59 ID:tm4sb0/U0
上条「いやいや、待てよ、土御門。意味が分からないんですが」
土御門「な~に、簡単なことだぜい。ねーちんが聖人の力を発揮できないってことは、まだ知られちゃいないが時間の問題だろう」
上条「それで?」
土御門「他の魔術勢力は、力が戻る前にねーちんの排除をしようとするはずだ。何せ、聖人は核兵器クラスのシロモノだからな」
神裂「ここに来るまで襲撃を受けなかったのは幸運でしたね」
上条「ん? 匿うだけなら、イギリスでもいいんじゃねーのか?」
土御門「それはダメなんだ。教会内にもスパイがいる。俺が言うから間違いないにゃー」
上条「まさか……」
神裂「ありえない話……ではないんですよ。信頼できる天草式は、方々に散っているため、彼らに厄介になることもできませんし……」
土御門「そういう意味で、魔術師の侵入しにくい学園都市は好都合なんですたい」
上条「うーん……。イギリスも危ないってのは分かったけどさ、俺のところに匿うのはなんでなんだ?」
土御門「この件に関しては、学園統括理事長からは許可をもらってる」
上条「統括理事長に?」
土御門「そうだ。あいつにもいろいろと思惑はあるんだろう。とにかく、ねーちんが学園都市に入っていることは問題ない」
神裂「……問題は『私が魔術サイドの人間』ということでして」
上条「ん? 要するに、俺が監視役をしろってこと?」
土御門「ま、そういうことですたい。洗濯機もまともに使えないねーちんがどうこうするとは思えねーけどにゃー」
神裂「な、なぜそれを土御門が……」
- 13 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/09(土) 18:42:59.54 ID:tm4sb0/U0
上条「あれ? それって、土御門じゃダメなのか?」
土御門「カミやん、良く考えてみろよ。俺はスパイなんだぜい?」
上条「うん。監視の意味ないな」
神裂「そういうことらしいです……」
土御門「あと、ねーちんがこっちにきた理由は、名目上護衛ってことになってる」
上条「護衛?」
神裂「あなたがまた魔術師に狙われている、という筋書きです」
土御門「実際には、カミやんがねーちんの護衛になる訳だがにゃー」
上条「え? 俺が護衛すんの?」
土御門「今のねーちんは、一般人に毛が生えたようなものだからな。ほとんど戦力にはならない」
神裂「ははは。七閃くらいなら使えるのですが、戦闘となると、身体能力の低下が激しいもので……」
土御門「そのくせ、反射神経は変わってないもんだから、とっさに動こうとして、肉離れになりそうになってるんだぜい? ぷぷーっ」
神裂「技術面は変化ないのが、逆に厳しいんですよ。身体がついていかなくて」
上条「そういえば、刀も持ってないんだな」キョロキョロ
神裂「ええ。最初はカモフラージュのために持ち歩いていたのですが……」
上条「ですが?」
神裂「その……、一日持ち歩いていたら、筋肉痛になってしまいまして……」ハハハ
上条(なにそれ、かわいいんですけど!!)キュン
- 15 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/09(土) 18:44:49.54 ID:tm4sb0/U0
土御門「要するに、カミやんのところに女の子一人置いてくれって話ですたい」
上条「まあ、別にいいけど」ポリポリ
神裂「本当にすみません……」ペコ
上条「困ったときは互い様だろ? 何回も助けてもらってるし、そのくらいなんでもねーよ」
神裂「毎回助けてもらっているのは、こちらなのですがね……」
土御門(んー、ちょっと予想外だったにゃー……)ボソ
上条(は? 何が?)
土御門(てっきり、カミやんは断るもんだと思ってたんだけどにゃー)
上条(困ってる人は放っておけないだろ。まして知り合いなら―――)
土御門(そうじゃなくてだにゃー……。しばらく、禁書目録は帰ってこないんだぜい?)
上条(それはさっき聞いたぞ)
土御門(ってことは、だ。カミやんはこれから色気ムンムンの年上系美女と一つ屋根の下……)
上条「あ……」
土御門(服装のセキュリティが低い上、聖人の力もねーから、無理やりにでも押し倒せるだろうな……)
上条「なんてこったい……」
土御門(カミやんはこの拷問みたいな毎日を乗り切れるかにゃー?)
上条「ふ、不幸だ……」
神裂(やはり迷惑だったでしょうか……?)
- 16 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/09(土) 18:45:29.91 ID:tm4sb0/U0
神裂「その……どうしてもダメなら、イギリスに引き返しますので」
上条「え?」
土御門「まー、安全性は低くなるけど、取れない選択肢じゃないにゃー」
上条「いやいや、一度引き受けた以上、断ったりはしませんよ?」
神裂「で、ですが……」
土御門「ねーちんは何をそんなに引っ込み思案な訳?」
神裂「それは……その……」
土御門「今までの借りを返せてない上に、また借りを作っちまうーとか考えてるのかにゃー?」
神裂「うっ……。そ、その通りです……」
土御門「だとよ、カミやん。なんか言ってやれ」
上条「…………救われぬ者に救いの手を」
神裂「え?」
上条「たしか神裂の魔法名だったよな?」
神裂「ええ。そうですけど?」
上条「貸しとか持った憶えはねーけど、たまには神裂が救われたっていいんじゃねーの? 上条さんは見捨てたりしませんのことよ?」
神裂「はは……。あなたには救われてばかりの気もしますけどね」
土御門「じゃあ、これで決まりってことでよろしく頼むぜい」
上条「おう」
- 37 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:04:16.62 ID:PQBJFfLR0
上条「って言ったのはいいけど、何するればいいんだ……?」
土御門「カミやんは特になにもしなくていい。外からの魔術師たちはオレたちがなんとかするから、普段通りの生活をしてくれ」
・ ・
神裂(オレたち? 誰か他に補助者がいるのでしょうか?)
上条「そんな危ないマネを土御門たちだけに押し付ける訳にもいかない」
土御門「にゃー。カミやんは勘違いしてるぜい」
上条「勘違い?」
土御門「外の魔術師をどうにかするってのは、何も戦うだけじゃないんですたい。情報の隠蔽なんかをメインに立ち回ってりゃ時間は稼げるからにゃー」
上条「じゃあ、護衛っていうのは……」
土御門「この街には、能力者やスキルアウトもいる。カミやんの護衛ってのは主にそっち方面になるにゃー」
上条「そういうことか」
神裂「その……人払いの術式は苦手でして……」
土御門「そもそも、ねーちんはできるだけ魔術は使わないようにしてくれ。外で感知されたら、隠蔽してる効果が薄くなっちまうからにゃー」
神裂「分かりました。緊急時以外は使用を避けましょう」
土御門「じゃ、この辺で事務連絡は終了ってことでー」
上条「あ、おい。どれくらいの期間かかりそうなんだ?」
土御門「まだなんともいえないにゃー。少なくとも2~3日、長ければ数ヶ月ってところか」
神裂「数ヶ月……ですか……」
土御門「それでも、力が元に戻るかは分からないけどにゃー」
上条「そ、そうなのか……」
- 38 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:05:27.31 ID:PQBJFfLR0
土御門「それじゃあ、何かあったらケータイにでも連絡してくれ」
上条「え? もう行っちまうのか?」
土御門「情報の隠蔽や偽情報を流すのは、早ければ早いほど有効なんだぜい? ま、あくまで時間稼ぎにしかならねーけどにゃー」
上条「そうなのか?」
神裂「そちらはよろしくお願いします」
土御門(このチャンスにいろいろ恩返しするチャンスだから頑張ってくれよ、ねーちん)ボソボソ
神裂(そ、そんな! また大きな借りを作ってしまって、それどころでは……)
土御門(でかい借金もコツコツ返していくしかないんだぜい? 一発で返そうとするから何もできないんだにゃー)
神裂(そ、それに今の私にできることなんてたかが知れて……)
土御門(聖人の状態だろうと、カミやんにできることは大して変わらないだろ? それなら、今のうちにポイント稼いどくのが利口だ)
神裂(ぽ、ポイント稼ぎなんてしません!)
土御門(ま、いろいろサポートはしてやるからにゃー)ポンポン
神裂(余計なお世話です!!)
土御門「では、良い週末をー!!」ノシ
上条「あ! おい!」
神裂「言うだけ言って、行ってしまいましたね」
上条「本当に大丈夫かな……」
- 39 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:06:05.08 ID:PQBJFfLR0
上条「とりあえず、日用品なんかは明日そろえるとして……」
神裂「上条当麻」
k枚条「ん? なんだ?」
神裂「ここにお世話になる間、私はあの子と同じ扱いで構いません」
上条「ええっ!?」
神裂「あまり客人として意識して欲しくはありませんから」
上条「同じっていうと、神裂さんは一日中ゴロゴロして、食事なんかも食べる係オンリーってことですか……?」
神裂「………………はい?」
上条「いや、普段のインデックスはそんな感じなのですが……」
神裂「その、なんというか……すみません……」
上条「あ……、うん……」
神裂(なんだか雪だるま式に借りが増えているような気がします……)
神裂「と、とりあえず、家事全般はお任せください!」
上条「!? い、今なんと?」
神裂「ですから、家事はお任せくださいと……」
上条「ということは、上条さんが一日ゴロゴロして、食事なんかも食べる係オンリーってことですか!?」
神裂「居候をさせて頂く身ですから、そのくらいは当然かと」
上条(なんだろう……。神裂から後光が見える気がする……)
神裂(なぜ、上条当麻は泣きそうな顔をしているのでしょうか?)
- 40 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:07:10.37 ID:PQBJFfLR0
神裂「そうですね。もういい時間ですし、夕食の準備をしましょう」
上条「よ、よろしくお願いします!!」
神裂「」ビクゥ
神裂(ここまでテンションの高い上条当麻は見たことがありません)
上条「って、言っても冷蔵庫に大したモノは無かったと思うけど」
神裂「では、その辺も明日そろえるとして、今日はあり合わせで済ませてしまいましょう」
上条「あれ? そういえば、洗濯機がどうのこうのって言ってたのは?」
神裂「ええと……、機械全般は苦手でして……。炊飯器くらいはなんとかなるのですが……」
上条(今日は、神裂の知らない一面がどんどんでてくるなー)
神裂「とりあえず、あちらでお待ちください」
上条「お、おう」
数十分後
―――
神裂「簡単なものしかできませんでしたが」
上条「………………」
神裂「ど、どうかしましたか?」
上条(お、女の子(?)の料理だ……)
神裂(なんでしょう? 今、一瞬イラっときました)
- 41 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:07:38.87 ID:PQBJFfLR0
上条「いただきます」
神裂「はい、どうぞ」
上条「パクッ」
神裂「お口に合いますか?」ドキドキ
上条「そりゃもう! 上条さんが作るのとは大違いですよ!!」
神裂「それは良かったです」ホッ
~~~
上条「ごちそうさまー」
神裂「お粗末様でした」
上条「それにしても、神裂は料理もうまいんだな」
神裂「その……、和食は自信あるのですが、それ以外はからきしで」ハハハ
上条「いやいや、得意分野があるのはすごいと思いますよ?」
神裂「あ、ありがとうございます」
- 42 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:08:37.52 ID:PQBJFfLR0
- ―――
上条「それで、身体能力が落ちてるって話だったけど、どれくらいになってるんだ?」
神裂「……そうですね。分かりやすい例ですと」
上条「うん?」
神裂「今までは、軽く流しても50mを1秒かかりませんでしたが」
上条「時速150kmオーバーかよ!?」
上条(聖人ってのは、音速も出せるんじゃないか?)
神裂「今では、全力でも7秒くらいはかかるかもしれません」
上条「へー。それでも、平均女性から比べれば、だいぶ早い方だな」
神裂「足はまだいいのですが、腕力の方が厳しくてですね」
上条「さっき言ってたやつ?」
神裂「は、はい。まさか七天七刀をまともに振るえないとは思いませんでしたよ」
上条(あれ2mくらいあるしなぁ……。上条さんでもフラフラになるかもしれませんよ?)
神裂「とにかく、現在の私は、そこそこ動ける一般人レベルでしかありません」
上条「なるほどなー。日常生活で不便だったりはしないのか?」
神裂「ええ。仕事以外ではそこまで不自由することはありませんね」
上条「そりゃ良かったよ」
神裂「心配してくれたのですか? ふふっ、ありがとうございます、上条当麻」
上条「あ、ああ」
上条(それにしても、フルネームで呼ばれるってのはむず痒いぞ……)
- 43 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:09:10.12 ID:PQBJFfLR0
上条「あのさ、神裂」
神裂「はい。なんでしょうか?」
上条「その『上条当麻』ってフルネームで呼ぶのは、できればやめて欲しいんだけど」
神裂「気になります?」
上条「フルネームで呼ばれるとむず痒いというか、妙に恥ずかしいというか……」
神裂「それもそうかもしれませんね。それでは、なんとお呼びしましょうか?」
上条「その辺は神裂の好きな呼び方でいいよ。フルネーム以外なら」
神裂「そうですか。…………それでは、『当麻』と呼ばせて頂きましょう」
上条「ええっ!?」
上条(いきなり名前ですか!? 確かに、神裂に上条って呼ばれるのは違和感ありますけど!!)
神裂「お気に召しませんか?」
上条「いえいえ!! そんなことないのでございますよ!?」
神裂「なぜ、オルソラのような口調に?」
上条「そそそそ、そんなことないぞ?」
神裂「はぁ、そうですか」
上条(無邪気なインデックスと違って、こう……グッとくるものがあるな……)
神裂「では、よろしくお願いします、当麻」ニコ
上条「おぅふ」
神裂「?」
- 44 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:09:39.99 ID:PQBJFfLR0
上条「ふ、風呂入るだろ? そろそろ沸くから、先に入ってくれ」
神裂「あ、そうですね。では、お先に失礼させていただきます」
上条(よし、この隙に一旦落ち着こう。落ち着けッ! 落ち着けッ!!)
神裂「そうそう。覗いたりしたら……分かってますね?」
上条「か、上条さんはそんなことしたりしませんのことよ?」
神裂「そうですか? たしか海の家では―――」
上条「す、すみませんでした―――ッ!!」
神裂「ふふっ、冗談ですよ。その程度にはあなたを信頼しているつもりですから」
上条「お、驚かせるなよ……」
神裂「すみません」ニコ
上条(一日目からこんな風で、この先大丈夫だろうか……)
神裂「それでは」ガチャ
上条「ああ。ごゆっくり」
- 45 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:10:34.66 ID:PQBJFfLR0
数分後
―――
上条「そういや、着替えとかどうするんだ? 見た感じ持ってきてないみたいだけど」
<ドサッ
上条(今、ベランダの方で音がしたような……。気のせいか?)
prrrr
上条「ん? はい、もしもし?」
土御門『あ、カミやん? ねーちんの着替えベランダに置いといたからよろしくにゃー』
上条「…………土御門。お前何か仕組んでるだろ?」
土御門『いきなりキツイご挨拶だにゃー。この土御門元春が、何のために、わざわざ方々を駆け回ってると思っているんだ?』
上条「それにしちゃタイミングが良すぎるだろ!」
土御門『言いがかりはやめて欲しいな』
上条「本当に?」
土御門『別に、情報操作をカミやんに手伝ってもらってもいいんだぜい?』
上条「え?」
土御門『ここ二日ほど、まともに寝てないから、カミやんが手伝ってくれれば、少しは寝れるかもにゃー……』
上条「その……疑ったりしてすまん」
土御門『今までのことを考えれば仕方ない。そんなことより、ねーちんは頼むぞ』
上条「任せとけ」
土御門『それじゃ、また何かあったら連絡する』
上条「ああ、よろしく頼む」ピッ
- 46 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:11:25.70 ID:PQBJFfLR0
- ―――
上条「―――と土御門を信頼していた時期もありましたよ……」
上条(着替えってこれかよ……)
【堕天使エロメイドver2!!】※ver1とは白と黒の配色が逆になってます
上条「こんなの出したら、俺が殺される……」ガクガク
上条(大体、こんなの着て寝られるか! チクショウ! 土御門を信用した俺がバカだった!!)
上条「仕方ない、押入れにでも隠しておくか」ガサガサ
神裂「当麻、何をしているのですか?」
上条「!?」ビクゥ
上条「は、早かったな! って、あれ?」
神裂「ああ、すみません。適当に着れそうな服をお借りしました」
上条(おおぅ!? 上条さんの体操着じゃないですか!? いつのまに持っていったんだ!?)
上条「あ、ああ。勝手に使ってもらって構わないけど……」
上条(なんかコスプレっぽいです……)
神裂「?」
上条(仕方ないとは言え、サイズの合ってないやつ着てるもんだから、あっちこっちが……)
上条「な、なんか微妙に丈が足りてないな」ハハハ
神裂「あ、あんまりジロジロ見ないでください」///
上条「ご、ごめん」
上条(いつもより、上半身の露出は減ってるくらいなんだけど、妙にエロいな……)
- 47 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:12:05.50 ID:PQBJFfLR0
上条(そ、それに……)
上条「ゴクリ」
神裂「?」
上条(服装のこともあるけど、なんか湯上りで色っぽい!!)
神裂「どうかしましたか?」
上条「な、なんでもないです!」///
神裂「怪しいですね……。その後ろに隠しているのは何ですか?」
上条「えっ!? い、いや、これは……」
神裂「大人しく見せたらどうですか?」ジリジリ
上条(ち、近い! 近いです、神裂さん!!)
神裂「観念してください」ズイズイ
上条「だ、ダメだッ!」グィ
神裂「え!?」
上条「うぉっ!?」
ドサッ
上条「…………………あれ?」
神裂「ええと、その……」
神裂(お、押し倒されてしまいました……)
- 48 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:12:35.80 ID:PQBJFfLR0
上条「す、すまん。つい、力加減が……」///
神裂「い、いえ、お気になさらず」///
上条(なんかいい匂いする……)
神裂「それで、あの……、いつまでこの体勢で……」
上条「うおっ!? すぐ退きます!!」サッ
上条「…………………」
神裂「…………………」
上条(な、なんか変な空気に……)
神裂(なってしまいました……)
上条「と、とりあえず風呂入ってくる!」
神裂「そ、そうですね! ごゆっくりどうぞ!」
上条「先に寝ちまってもいいから! それじゃ!」
神裂「は、はい!」
- 49 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:13:41.96 ID:PQBJFfLR0
―風呂場―
上条「落ち着け、落ち着くんだ。上条当麻……」
上条(神裂は無防備なだけで、俺に気があるとかではないんだ! 断じてないッ!)
上条「…………なんか悲しくなってきた」orz
上条(インデックスだとそんなこと気にしたことなかったんだけどな。なんでだろう)
上条「やっぱり、神裂は上条さんのストライクゾーンなのかね?」
上条(年上で、お姉さんっぽさもある。料理もできるし……)
上条「い、いかん。意識したら、この先もっと辛くなる」
上条(……のぼせそうだ。さっさとあがろう)
- 50 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:14:21.88 ID:PQBJFfLR0
- ―――
―上条の部屋リビング―
上条「…………………」ドキドキ
神裂「…………………」ドキドキ
上条(結局、風呂から上がってから会話がない……)
上条「じゃ、じゃあ寝るか……」
神裂「そ、そうですね。今日は妙に緊張してしまって、疲れました……」ホッ
上条「神裂はそこのベット使ってくれ。上条さんはいつも通り風呂場で寝ますから」
神裂「お風呂場で、ですか?」
上条「インデックスのやつは人の布団にもぐりこんでくるから、カギ付きのところじゃないと安心して寝られないんだよなー」
神裂「そうなんですか?」
神裂(あの子にそんな癖あったでしょうか?)
上条「じゃあ、そういうことで」
神裂「ちょ、ちょっと待ってください!」
上条「ん?」
神裂「私は居候の身ですから、床で十分です。あなたがベットを使ってください」
上条「いや、そう言うわけにもいかないだろ」
神裂「なぜですか?」
上条「いやいや、男の子は女の子の前では格好つけたがるもんなんですよ」
神裂「ですが、私は―――」
上条「いいから、家主の言うことは黙って聞いとけって」ポン
神裂「…………はい。ありがとうございます」
- 51 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:15:36.51 ID:PQBJFfLR0
上条「じゃあ、そういうことで……」イソイソ
神裂「ですから、あなたは、布団を持ってどこへ行こうというのですか?」
上条「だから、風呂場に……」
神裂「私は特に布団に潜り込む癖もないので、ここでいいですけど?」
上条「なんっ!?」
上条(神裂は無意識なんだろうけど……。なんだかなー……)
神裂「どうかしましたか?」
上条「神裂さんは、男と同じ部屋で寝ても気にならない訳?」
神裂「え? ええ。まあ、あなたでしたら……」
神裂(信頼していますし)
上条(あれ~? もしかして、上条さんは男として見られてません?)
上条「そ、そうですか……」
神裂(なぜ落ち込んでしまったのでしょうか?)
上条「でも、久々に足が伸ばせるっていうのもいいな……」
神裂「ご迷惑をおかけします……」
上条「じゃあ、電気消すからな」
神裂「はい」
上条「じゃあオヤスミ」
神裂「おやすみなさい……」
- 52 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:16:05.26 ID:PQBJFfLR0
数十分後
―――
上条「………………………」
神裂「………………………」
上条(やべぇ……。全然寝られねえ……)
上条「………………………」
神裂「………………………」
上条(く、くそー。別のことを考えないと……。イノケンティウスが一体……、イノケンティウスが二体……、イノケンティウスが三体……)
神裂「…………………グスッ」
上条「……え?」
上条(今のはすすり声? 泣いてるのか? あの神裂が?)
神裂「あ! す、すみません……。起こしてしまいましたか?」
上条「いや、それよりどうしたんだ?」
神裂「い、いえ。なんでもありませんから」グスッ
上条「そんな訳ないだろ? 泣いてるのに放っておけるかよ……」
神裂「………………その」
上条「なんだ?」
神裂「少し不安になってしまいまして……」
上条(…………そうか。聖人としての力を失っちまって、その上、命まで狙われてるんだもんな)
- 53 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/10(日) 18:16:46.96 ID:PQBJFfLR0
上条(その不安を、今まで表に出さないでいたっていうのかよ……)
神裂「す、すみません……」グス
上条(まったくすごいよな、神裂は。……俺にもできること何かないか?)
上条「………………手」
神裂「はい?」
上条「手、出せよ」
神裂「ど、どういうことですか?」
上条「不安なんだろ?」
神裂「は、はい……」
上条「寝付けるまで手を握っててやるからさ。神裂は安心して眠ってくれ」
神裂「………………ありがとうございます」ボソ
上条「ん。このくらいいいって」ギュッ
神裂(あっ……。当麻の手、温かい……)
神裂「ふふっ……。これは安心できます……」
上条「そりゃ良かった。今度こそおやすみ、神裂」
神裂「はい……。当麻」
- 71 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/12(火) 00:02:39.26 ID:Jg5v3jt/0
翌朝
―――
上条「んっ……」
上条(なんかいい匂いがする……)スンスン
神裂「あ、起きましたか? おはようございます」
上条「あれ? 神裂なんでここに―――」
上条(ってそうだった。昨日から居候してたんだっけ)
上条「おはよう。朝飯作ってくれたのか?」
神裂「はい。粗末なものですけど」
上条「朝起きたら、飯ができてるって素晴らしい……」
上条(朝食が一番作るの面倒くさいと思うんですよねー)
神裂「その、昨日はありがとうございました」ペコ
上条「昨日? って言うと寝るときのあれ?」
神裂「はい。おかげでぐっすり眠れましたので」
上条「そりゃよかった。あんなことでよければ、上条さんはいつでもOKですけどね」
神裂「はは、また借りを作ってしまいました」ポリポリ
上条「またそれかよ。朝食作ってくれたんだし、チャラでいいって」
神裂「そういう訳にもいきません」
上条「神裂の気がすまないって言うならいいけどさ……」
神裂「そういうことです。では、朝食にしましょう」
上条「そうだな。冷める前にいただくとしますか」
- 72 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/12(火) 00:03:14.44 ID:Jg5v3jt/0
朝食後
―――
上条「それでは今日は、神裂の身の回りのものを揃えたいと思います」
神裂「と言っても大したものは必要ありませんけどね」
上条「必要なものっていうと……」
神裂「衣類のスペアがないのでその類でしょうか」
上条(押入れのやつは黙っておこう……)
上条「それで、他には?」
神裂「ですから、衣類の類を……」
上条「え!? それだけ!?」
神裂「はい。おかしいでしょうか?」
上条「いやいや、化粧品とか」
神裂「特に使っていません」
上条「シャンプーとかそういうのは?」
神裂「なんなら石鹸でも大丈夫です」
上条「あれ~? 女の人は、いっぱい必要なもんがあると思ってたんだけどな……」
神裂「そうでしょうか? 着の身のまま現地入りすることも多いですから、あまりそういうことを考えたことありませんでしたが」
上条(そういえば、普通の女性ではないんでしたね)
上条「じゃあ、そうだな。今日は服を見て回るか」
神裂「はい。よろしくお願いします」
- 73 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/12(火) 00:04:50.92 ID:Jg5v3jt/0
上条「それにしても、神裂のその格好は目立つよな……」ジー
神裂「こ、これは魔術的な意味合いも込めていますので……」
上条「でも、学園都市じゃ、魔術は極力使わないんだろ? だったら、風景に溶け込む服装にするべきなんじゃないか?」
神裂「うっ……。一理ありますね」
上条「土御門の話じゃ、今日明日、敵が攻めてくるような話じゃなさそうだし、今のうちに準備もしておかないとな」
神裂「そう……ですね。そうしましょうか」
上条「じゃあ、とりあえず服からなんとかするか。服といえば、あそこだよな」
神裂「はい?」
その日の午後
―――
―セブンスミスト―
上条「と言う訳で、セブンスミストまでやってきました」
神裂「やはり、この格好は目立つのですか? 注目されているようですが……」
ざわ・・ ざわ・・
上条「自覚なかったのか……」
上条(服装だけじゃなくて、容姿もモデル並みってのもあるんだろうけどな)
上条「とりあえず、目立たない服を買っちまおう」
神裂「そ、そうですね」
上条(そういえば、神裂に服のチョイスを任せて大丈夫かな?)
- 74 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/12(火) 00:05:45.05 ID:Jg5v3jt/0
- ―――
神裂「ど、どうですか? おかしくないでしょうか?」
上条「お、おう……」
上条(黒のタートルネックにジーンズだと……? シンプルなチョイスなのに、妙な色気がありますよ!?)
上条「い、いいんじゃないか? はは、神裂がちゃんとしたジーパン穿いてるってのもなんか新鮮だな」
神裂「なんだか変な感じがします」
上条「じゃあ、それすぐに着れるようにしてもらうか」
神裂「丈はちょうど良さそうなので、値札だけ取れば大丈夫ですね」
上条(足が長いっていいですねー。上条さんは10cmくらい裾あげてますよ? ハハハ……)
上条「ところで金あったかな……」ゴソゴソ
神裂「ああ、それなら大丈夫です。資金の心配はありません」
上条「はぇ? そうなの?」
神裂「ええ。自分の給与がほぼ手付かずで残っていますので」
上条「あ、『必要悪の教会(ネセサリウス)』って給料出てるんだ?」
神裂「一応、公務員のような扱いになりますからね。忙しくて使ってる暇もないので、どんどん貯まってしまうのです」
上条(うらやましがるべきなのか、激務に同情するべきなのか微妙だな)
神裂「あなたも将来どうです? やってることは今と大して変わらないと思いますよ」
上条「え、英語を勉強しなくて済むなら……」
神裂「それは厳しいですね……」ハハハ
上条「ですよねー」
- 75 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/12(火) 00:06:50.80 ID:Jg5v3jt/0
- ―――
上条「さて、会計も済ませたしこれからどうする?」
神裂「もう少し中を見て回りませんか?」
上条「それもそうだな。何か必要なものも見つかるかもしれないし」
神裂「そういえば、和服のコーナーはないのでしょうか?」キョロキョロ
上条「うーん……。他のデパートならいざ知らず、ここにはないんじゃないかな?」
神裂「そうですか……」
上条「神裂は和服の方がいいのか? 普段は、ウェスタンっぽい感じの服装だけど」
神裂「いつもあれを着ている訳ではありませんよ? 部屋着は浴衣ですし」
上条「浴衣かー。風情があっていいかも」
神裂「ただ、そのまま外出をしたときには大いに注目されてしまって……」
上条「まあ、珍しいから仕方ないんじゃない?」
神裂「日本でも珍しいというのに、イギリスで浴衣ですからね」
上条「あ、そっか」
神裂「あれはちょっと恥ずかしかったです……」
上条「神裂らしいよ」
神裂「ははは……。そうでしょうか?」
- 76 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/12(火) 00:08:08.05 ID:Jg5v3jt/0
上条「んー、そうだな。」キョロキョロ
神裂「どうかしましたか?」
上条「せっかくだし、神裂も女の子らしい格好してみないか?」
神裂「へ? 私が……ですか?」
上条「普段の神裂は、こう……ボーイッシュみたいな服装じゃん? 今だってジーンズだし」
神裂「それはそうかもしれませんが……」
上条「だから、いろいろ試してみようぜ」
神裂「いえ、ですが……」
上条「気に入らなかったら、買わなければいい話だろ?」
神裂「あの……」
上条「それとも何か着れない理由でもあるのか?」
神裂「その……」
上条「?」
神裂「わ、私には似合わないんじゃないかと……」ボソボソ
上条「え? なんで?」
神裂「そういった服を着たことはありませんし……」モジモジ
上条「そう聞いては、ますます着せたくなってしまいますよ?」
神裂「あぅ……」
- 77 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/12(火) 00:09:38.11 ID:Jg5v3jt/0
上条「はいはい、行きますよーっと」
神裂「お、押さないで下さい」
上条「もう諦めて、チャレンジしてみろって」グイグイ
上条(普段なら力で振り切られるんだろうけど、今は女の子の力だしな)
神裂「わ、分かりました。自分で歩きますから、押すのは止めてください!」
上条「本当だな?」
神裂「武士に二言はありません」
上条「今の神裂は武士じゃないだろ」
神裂「ははは……。そうでした……」
上条(あ、ヤベ。気にしてたんだっけ……)
上条「…………よし」ガシ
神裂「はい? なぜ手を?」
上条「神裂が逃げないようにするんだよ。ほら、さっさと行くぞ」
神裂「うううっ……。変でも笑わないでくださいよ?」
上条「心配ねーよ」
神裂「え?」
上条「神裂なら何着たって似合うから安心しろ」
神裂「そ、そうでしょうか?」///
上条「ああ、保障してやる」
- 78 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/12(火) 00:10:20.53 ID:Jg5v3jt/0
- ―――
神裂「ど、どうですか?」///
上条(な、なんかヒラヒラしたのがいっぱい付いてますよ!? それにスカートだし!!)
神裂「や、やはり、似合いませんよね……」シューン
上条「そ、そんなことないって! スゲー似合ってる!」
上条(スカート姿の神裂……。……ありだな)グッ
神裂「ほ、本当ですか?」
上条「ああ。こういうことでウソはつきませんのことよ?」
神裂「あ、ありがとうございます」///
上条「それでどうする? どうしても、神裂が気に入らないなら―――」
神裂「いえ……、こういった服も一着くらい持っておいてもいいかもしれません」
上条「素直じゃないなー」
神裂「ち、違います! 素直とか素直じゃないとかではなくてですね」///
上条(なんだ神裂も女の子っぽいとこあるじゃん)
神裂「着替えて会計を済ませてくるので、その辺で待っていていください!」
上条「はいはい」
神裂「まったくもう」ブツブツ
- 79 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/12(火) 00:11:21.78 ID:Jg5v3jt/0
- ―――
上条「しかし、婦人服売り場で男一人っていうのも、居心地悪い……」
御坂「うわ、本当にいた……」
上条「あれ? 御坂か? こんなところで何やってんだ?」
御坂「それはこっちのセリフでしょうが。ここ婦人服売り場よ?」
上条「そういや、そうでしたね……」
上条(なぜか御坂に神裂のことを知られたら、面倒くさいことになる気がする……)
御坂「何? また誰か案内でもしてきたの?」
上条「え、えーっとですね……」
上条(またってことは、前にもここで会ったことあるのか?)
御坂「……誰かの付き添いで来てるとかじゃないわよね?」
上条「えっ!?」
御坂「な、何よ? まさか、女の子と来てるとか言うんじゃ―――」
神裂「お待たせしました」
御坂「えっ!?」
上条(神裂さぁん!? それ最悪のタイミングです!)
神裂「おや? そちらの方はお知り合いですか?」
上条「ええ。まあ、はい……」
- 80 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/12(火) 00:12:41.19 ID:Jg5v3jt/0
御坂(び、美人で年上!? そして何より『巨乳』!! く、くそー。そんなにデカイのがいいのか、こいつは!?)
御坂「ちょ、ちょっと! 誰なの!? 説明しなさいってば!!」
上条「ええと……」
神裂「?」
上条(なんて説明すればいいんだ? 魔術師というわけにもいかないし、ましてや昨日から居候してるともいえない……)
神裂「どうかしたんですか、当麻?」
上条「なっ!?」
御坂「へえ~。名前を呼び捨てするような関係ねえ~……」ビリッ
上条「というか、御坂さんは何をそんなに怒ってらっしゃるのでしょうか!?」
御坂「んなっ!? お、怒ってなんかないわよ!!」
上条「そうは見えませんけど……」
御坂「べ、別にアンタが誰とデートしようが、私には関係ないんだからぁぁぁ!!」タタタ
上条「ええっ!? 全力ダッシュ!?」
神裂「………………」
上条「はぁ……。なんかすまんな、神裂。あとで説明するからさ」
神裂「………ト」ボソ
上条「はい?」
神裂「こ、これはデート……というものなのでしょうか?」
上条「ど、どうなんだろうな」ハハハ
上条(とりあえず、後で誤解を解くことにしよう……)
- 81 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/12(火) 00:13:30.75 ID:Jg5v3jt/0
- ―――
神裂「………………………」
神裂(うううっ……。で、デートというのは何をすれば……。そういった経験をしたことがないので良く分かりません……)
上条「………………………」
上条(御坂に会ってから、神裂の様子がおかしいぞ)
神裂「………………………」
神裂(い、意識したら、もの凄く緊張してきました。ど、どうすれば……)
上条「あのー、神裂さん?」
神裂「ひゃぃっ!?」ビクゥ
上条「え?」
神裂「なななな、なんでしょうか?」
上条「いや、なんか様子がおかしいな、と思ってさ」ポリポリ
神裂「いえ、別に何もおかしいところなんてありませんよ? ええ、私はまったくおかしくないです」
上条「そうかな……?」
上条(怒ってるのかと思ったが、そう言うわけじゃなさそうだな)
神裂「そ、そうです」///
上条「それならいいけどさ」
上条(なんか神裂の顔が赤い気がする)
神裂「つ、次はどこに行きましょうかね!!」
上条「え? うーん、そうだなー。荷物もあるし、この近くを案内したら、今日は帰ろうぜ」
神裂「そ、そうですね! そうしましょう!」
- 82 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/12(火) 00:14:10.29 ID:Jg5v3jt/0
―学生寮―
―――
上条「すっかり、日が落ちるのも早くなってきたよな」
神裂「そうですね……」ボー
神裂(ここまで意識してしまうのはおかしいのですよね? もしかして、私は彼のことを―――)
上条「神裂?」
神裂「そうですね……」ボー
神裂(いやいや、違います! 確かに恩はありますが、そういう感情は持っていないはずです!)
上条「神裂さ~ん?」
神裂「え!?」ビクッ
上条「本当に大丈夫か? すごく顔赤いけど」
神裂「だ、大丈夫です。少し考え事をしていただけですから」
上条「そうか? ならいいんだけど」
神裂(そもそもこれは、デートとだったのでしょうか?)
上条「た、ただいまーってインデックスは今いないんだったなぁー」
神裂「そうですね……」ボー
上条(うううっ……。これはどうすれば……)
- 83 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/12(火) 00:15:20.39 ID:Jg5v3jt/0
夕食後
―――
上条「ごちそうさん」
神裂「お粗末様です」ボー
上条「なあ、神裂」
神裂「あ、はい。なんでしょうか?」ハッ
上条「その……神裂は今日楽しかったか?」
神裂「え?」
上条「いやー、お恥ずかしながら、上条さんは女の人と二人で出かけたことなんてあんまりないものですから」
神裂「そうなのですか?」
上条「ん、まあな。それで神裂を退屈させちまったのかと……」
神裂「それは―――」
上条「ははは。これで、つまらなかったとか言われたら立ち直れませんよ?」
神裂「ふふっ、そんなことありませんよ。すごく楽しかったです。貴重な体験もできましたし」ニコ
上条「そりゃよかった」ホッ
神裂「はい」
上条(あれ? いつもの神裂に戻ったか?)
神裂(そうですよ。二人でいて楽しかったということでいいじゃないですか)
神裂「それでは家事を片付けてしまいますね」テキパキ
上条「ああ、頼む」
- 84 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/12(火) 00:17:22.93 ID:Jg5v3jt/0
神裂(今日は、あっという間に時間が過ぎてしまいました)
神裂「♪~」カチャカチャ ※洗い物中
神裂(服を見て回ったり、手を引かれたり……。彼の知り合いの少女に会ってからのことはあまり憶えていませんが、とても充実していた気がします)
上条(なんだか、いきなり機嫌が良くなったな)
神裂「あ、そういえば」
上条「ん? どうかしたのか?」
神裂「明日も休日ですが、どうやって過ごしましょう?」
上条「うーん。そうだなぁ……」
上条(今日一日は気を抜きすぎたかな? 土御門から連絡もなかったし、やばいことにはなってないと思うけど……)
上条「とりあえず、様子見かな。明日あたり、インデックスから連絡くるかもしれないし」
神裂「そうですね。あまり外を出歩くというのも得策ではないでしょう」
上条「土御門もインデックスも大丈夫かな……」
神裂「あの子はともかく、土御門の心配は必要ないでしょう。あれはタフさだけが取り得ですから」
上条「ま、そうなんだろうけどさ」
上条(何日も寝てないとか言ってたからなぁ)
神裂「それよりも、今日はいろいろ緊張しすぎて疲れたので眠りたいのですが」
上条「ん? そうだな。慣れないことばっかりで疲れたろうし、まだちっと早いけど寝ますか」
神裂「はい」
- 85 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/12(火) 00:19:16.59 ID:Jg5v3jt/0
上条「それじゃ、電気消すぞー」
神裂「そ、それで……あの……」
上条「ん? どうかしたか?」
神裂(もう不安はありませんけれど―――)
神裂「…………また手を握ってもらえませんか?」
上条「えっ!?」
神裂「そうしていると、すごく安心できるんです……」
上条「お、おう。約束したしな」
神裂「ありがとうございます」
上条「……これでいいか?」ギュッ
神裂「はい」ニコ
神裂(やはり、彼の手は温かいですね……。それにすごくドキドキします)
上条「じゃあ、おやすみ」
神裂(こういった気持ちになったことはありませんでしたが―――)
神裂「はい。おやすみなさい」
神裂(―――意外と悪くないかもしれません)
- 96 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/13(水) 18:40:27.04 ID:tofXbfCi0
共同生活3日目
―――
???「―――てください。起きてください、当麻」ユサユサ
上条「んっ……? ……神裂?」
神裂「おはようございます」
上条「ふぁ……。一体、どうしたんだ?」
神裂「ええと、先ほどからそちらの……」
上条「?」
prrrr
上条「あ、ケータイか。起こしてくれて、サンキュー」
上条(今は……、7時ちょっとか。こんな時間に誰だ?)
上条「はい、もしもし?」
土御門『お目覚めかにゃー? カミやん』
上条「土御門か! 何かあったのか!?」
土御門『落ち着け、カミやん。ちょっとした報告だけだ。特に何か起こった訳じゃないぜい』
上条「そ、そうか」ホッ
土御門『ちょっと前に、禁書目録から連絡が入ってな』
上条「インデックスから? 何か分かったのか?」
土御門『それがぜーんぜん。普通の魔術を使用した形跡だけで、聖人の力が失われるような魔術が使われたとは考えられないとさ』
上条「そ、そうなのか……」
土御門『ちょっとばっか、長期戦になることも覚悟しておいた方がよさそうだにゃー』
- 97 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/13(水) 18:41:30.93 ID:tofXbfCi0
上条「おいおい。そんなのんきに構えてて大丈夫なのか?」
土御門『そんなに気負いすぎなくても大丈夫だ。今の時点じゃ、ねーちんのことは噂にもなってないんだぜい?』
上条「噂にも?」
土御門『真実を知ってるのは天草式の連中の一部と俺らの3人だけだからな』
上条「え? そうなの?」
土御門『長期間ねーちんの行方がハッキリしないとなれば、感づくヤツもでてくるかもしれないが、現時点で外に漏れる心配はないですたい』
上条「でも、万が一―――」
土御門『この学園都市に、魔術師が攻め込んできたらどうする、だろ?」
上条「今までにも、魔術師たちが入ってきてるからな。そう安心はできないんじゃないか?」
土御門『カミやんは心配性だにゃー。この学園都市は、魔術師が入ってきてもすぐ分かるようになってるから大丈夫なんだぜい?』
上条「は? すぐに分かる?」
土御門『魔術師一人くらいが侵入しただけじゃイエロー止まりではあるが、感知はされてるんだにゃー』
上条「ってことは、今までのやつらのときもイエローはでてたのか」
土御門『ま、そういうことだ』
上条「じゃあ、お前からその警告があるまでは、普通に生活してて大丈夫なのか?」
土御門『ああ。それに良く考えてみろよ、カミやん。禁書目録って魔道書図書館よりも、普通の聖人一人の方が、どう考えても重要度は低いだろ?』
上条「そ、それもそうだな。ふぅ、ちょっと安心したよ。あ! それはそうと、土御門の方は大丈夫なのか?」
土御門『こっちも交代要員が来たから、明日は普通に学校に顔出せると思う』
上条「分かった。じゃあ、またそのときにな」
土御門『そうそう、カミやんはこのチャンスに頑張ってねーちんを落とせよ~。応援し―――』プッ
上条「ったく何言ってんだかアイツは」
- 98 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/13(水) 18:42:00.93 ID:tofXbfCi0
―土御門の部屋―
土御門「よーし、こんなもんかにゃー」
???「これで、少しは面白くなってくれないと困るのよな」
土御門「こんな手の込んだイタズラしてるのに、ガチガチになられてもつまらないしな」
???「しかし、女教皇様(プリエステス)も、もっと積極的に攻めなきゃいかんのよ」
<ピンポーン
土御門「ん? はいはーいっと」
???「お邪魔します。あ、いたいた。探したっすよ、教皇代理」
建宮「香焼か。そっちの方はどうなってんのよな?」
香焼「今のところ、教皇代理と女教皇様が学園都市に来てることはうまく隠せてますが、そろそろ他のメンバーにも気付かれそうっす」
土御門「天草式の五和さえ押さえておけば、他の連中には、ばらしても構わないけどにゃー。まったくカミやんばっかりもててずるいぜい」
建宮「まあまあ。今は女教皇様を応援するのが一番なのよ」
香焼「ところで、教皇代理たちは何やってんすか?」
建宮「ん? そういや説明してなかったのよな。今、現在進行形で、壮大なドッキリ大作戦を実行中なのよ!!」
香焼「ドッキリ……っすか?」
建宮「女教皇様の聖人としての力を封印して、他の魔術結社から身を狙われているって設定なのよ」
土御門「そういう口実でカミやんのところにお世話になってるわけだにゃー」
香焼「ってことは、女教皇様もグルっすか?」
土御門「いや、ねーちんは、実際に聖人としての力を封印されてるぜい? この男によってにゃー」
建宮「だははは」ブイ
香焼「え!?」
- 99 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/13(水) 18:44:39.79 ID:tofXbfCi0
香焼「何やってんすか、教皇代理……」
土御門「ねーちんと一緒に仕事したときにちょいっとやったらしいぜい」
建宮「先行して、女教皇様に術式を設置! そして、タイミングを見計らっての、術式の起動! 見事な作戦だったのよな」
土御門「天草式十字凄教仕込み禁書目録監修の術式だったから、不審がられることなく、カミやんの右手対策もバッチリなんだにゃー」
建宮「しかし、術式を構成するのに1週間もかかるとは思ってなかったのよ」
香焼「いや、そんなことは聞いてないっすよ! 大体、そんな聞いたこともない術式使って、女教皇様は大丈夫なんすか!?」
建宮「聞いたことがない? いやいや、今回の術式は、我らの考案した『聖人崩し』の応用形でな」
土御門「すぐ力は戻る。解呪の術式を発動させるか、ねーちんが魔術を使えば、すぐに元通りにって寸法だにゃー」
香焼「『聖人崩し』ってあれはまだ実験段階だったじゃないすか。それをぶっつけ本番でなんて……」
建宮「そのための禁書目録って訳なのよな。いろいろ調整して持続力を持たせたのよ」
香焼「はあ……」
土御門「禁書目録は豪華5泊7日のイギリス旅行、それに料理は食べ放題って言ったら、即OKだったにゃー」
建宮「しかも、費用はステイル持ちで経費も0。あの男も相当なヤツなのよな」
香焼「女教皇様が安全だってのは分かったすけど、清教側には何て報告するんすか?」
土御門「それの心配もいらないにゃー」
建宮「最大主教(アークビショップ)に計画の内容を話たら、面白そうだからGOと了解も出たわけなのよ」
香焼「だいぶ軽いっすね……」
土御門(あの女狐のことだ。聖人一人を餌にして、幻想殺しが手に入れば儲け物とでも考えているんだろうけどにゃー)
- 100 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/13(水) 18:46:17.42 ID:tofXbfCi0
建宮「だから、危険なんてなーんにもなし。ただの同棲生活ってわけなのよな」
土御門「カミやんが間違いを犯さないように監視してるだけで、楽しもうとだなんて全然思ってないぜい? もっとも、そうなっても止めないけどにゃー」
建宮「そんなわけで……。じゃーん! 上条当麻の部屋には監視カメラが5台設置してある訳なのよ」
香焼「それ、バレたら殺されますよ?」
建宮「はっはっは。むしろ、うまくいったら感謝されるに違いないのよ」
香焼「そうなった場合は五和に殺されるっす」
建宮「あ……」
土御門「……お前のことは忘れないぜよ」
建宮「よ、要するに、普通に女教皇様と上条当麻がくっついたことにすればいいのよな!」
香焼「五和が、二人になれ初めを気かなければいいっすけどね……」
建宮「ぐぅっ!?」
土御門「ん? そんなことしてる内にカミやんが出かけるみたいだにゃー」
建宮「何ッ!? 映画館? 水族館? はたまた遊園地かーッ!?」
上条『くそーっ!! 休みの日にまで補習とかマジかよ!?』
神裂『はは、お気をつけて』
土御門「学校だにゃー……。さすがにこれはいつも通りすぎるぜい」
建宮「だぁ――っ。つまらんのよ」
香焼「俺は帰りますんで、ほどほどに」
建宮「なんだ、お前さんは見ていかないのか? せっかく呼んだのに」
香焼「巻き添えはゴメンすから」ハハハ
- 102 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/13(水) 18:47:04.72 ID:tofXbfCi0
- ―――
土御門「さて、カミやん追いかけるよりも、ねーちんの様子見てたほうが面白いに決まってるにゃー」
建宮「それはそうなのよな。はたして、気になってる御仁の部屋に一人取り残された女教皇様の取る行動とは!?」
神裂『……………………』ソワソワ
土御門「なーんか、妙にそわそわしてるにゃー」
建宮「どんな奇行をするか楽しみなのよ」
土御門「俺は、オーソドックスにカミやんの洗濯ものの匂いを嗅いだりすると思うにゃー」
建宮「いやいや、まず、女教皇様は健気に家事をこなすに違いないのよ。奇行はそれからだと思うのよな」
神裂『………………お、落ち着きませんね』ソワソワ
土御門「お。アクションに移りそうだぜい?」
建宮「ん? 何してるのかさっぱりなのよ」
土御門「あ、あれは…………」
神裂『ふむ。ここにはありませんか』
土御門「カミやんのお楽しみ本を探しているに違いない!!」クワッ
建宮「な、なんだってー!? そんなバカなッ!?」
土御門「いやいや、落ち着け。ねーちんだってまだ18。そういうことには敏感な年頃だ」
建宮「そ、そうだったな。たまに女教皇様は年上に感じるときもあるが、18だったのよな」
神裂『持っていないということは考えにくいのですが……』
土御門「さすがに俺でもカミやんのお楽しみ本の場所までは知らないにゃー。というか知りたくない」
建宮「それには同感なのよ」
- 103 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/13(水) 18:48:21.75 ID:tofXbfCi0
神裂『あまり物色するのは気がすすみませんが……』
土御門「とかいって、探す気まんまんだにゃー。しかも、ねーちんのことだ。何かしらのモノは見つけ出しちまうはずだぜい」
建宮「上条当麻の嗜好によっては、五和にも報告する必要もでてくるのよな」
神裂『次は、そうですね……』
土御門「にゃー。カミやんはコスプレ好きだった気がするぜい」
建宮「それはお前さんの趣味なのよ」
土御門「俺の嗜好はメイドオンリーだにゃー。カミやんはオールオッケーなんですたい」
建宮「ふむ。上条当麻はコスプレ好きっと……」
土御門「あ、そういえば……」
神裂『押入れでも探してみましょうか』
建宮「どうした?」
土御門「あそこには―――」
神裂『な、なんですかこれは……』
建宮「?」
神裂『だ、堕天使……エロメイド……?』
建宮「おおっ!! これは面白そうな展開なのよな!!」
土御門「カミやん。もっと奥に仕舞っておくべきだったにゃー」
- 104 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/13(水) 18:49:07.46 ID:tofXbfCi0
神裂『以前、土御門の言っていたものでしょうか……?』
土御門「にゃー!? 予備知識を与えてしまったのは失敗だったか――ッ!?」
建宮「これじゃ、上条当麻の私物だと思われないのよ」
神裂『まったく土御門のやつは……』ハァ
土御門「それでもねーちんなら……。ねーちんなら何かしてくれるはず!」
建宮「まさか――――」
神裂『…………いや、それとも、当麻はこういうのが好きなのでしょうか?』チラ
土御門「キターッ!!」
建宮「お、落ち着くのよな。まだ着ると決まったわけじゃないのよ」
神裂『しかし、これは……』ピローン
建宮「これはまた……。お前さんもいい趣味してるのよな」
土御門「なんなら、メーカー紹介してやろうか?」キラン
建宮「五和に教えてやるのも面白そうなのよな。ぜひ頼むのよ」
土御門「これでメイドさんが増えるなら、万々歳にゃー!」
神裂『こんなの着れるはず……。いや、しかし……』
土御門「ねーちんも、もう一息なんだけどにゃー……」
建宮「なに? 大精霊チラメイド? これはすごいのよな……」フムフム
- 105 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/13(水) 18:49:58.39 ID:tofXbfCi0
数時間後
―――
神裂『………………………』
土御門「結局、ねーちんはずっと固まったままか」
建宮「着なくても、上条当麻がこの場に帰ってくれば面白いのよ」
土御門「俺としては、是非ねーちんにメイド服を着てもらいたいんだけどにゃー」
神裂『と、とりあえず着るだけ着てみましょうか?』
土御門「それでこそねーちんだぜい!!」グッ
建宮「女教皇様も年頃だから仕方ないのよ」
神裂『しかし、これは―――』
ガチャ
上条『ただいまー……』
神裂『!!?』ビクゥ
土御門・建宮「!?」
上条『疲れたー、ってあれ? 神裂、どうかしたのか? そんな隅っこに座り込んで』
神裂『なななな、なんでもありませんよ?』
土御門「カミやんタイミング最悪だにゃー……」
建宮「どうせなら、着替えてる最中に帰ってきて欲しかったのよ」
- 106 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/13(水) 18:50:43.60 ID:tofXbfCi0
神裂『そ、それよりだいぶお疲れの様子ですね!』
上条『そーなんですよー……。体育の補習で一日中走らされてましたよ』フラフラ
土御門「カミやんは無事進級できるのかにゃー?」
建宮「できなかったら、少しだけ罪悪感を感じちまうのよ」
土御門「まー、そのときはそのときだ」
神裂『一日中ですか?』
上条『ああ。だから上条さんの体力はもう限界なのです』フラフラ
建宮「これじゃあ、今日はもう面白い展開は期待できないのよな」
土御門「カミやんのことだ。倒れ掛かって、ねーちんの胸を揉むくらいのことはやってくれるはずだぜい」
建宮「ふむ。なるほど」
上条『だから、少し横に―――って、うぉっ!?』グラ
神裂『え?』
土御門「カミやんお得意のラッキースケベキター!?」
建宮「あの男、何もないところで転んでるのよ」
ドサッ!!
上条『イテテ……。あ、す、すまん!』///
神裂『い、いえ。こちらはなんともありません』
土御門「ねーちんの胸にダイブ……だと……?」
建宮「これはうらやまけしからんのよな」
- 107 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/13(水) 18:51:31.66 ID:tofXbfCi0
神裂『それより大丈夫ですか?』
上条『だ、大丈夫ですのことよ!?』///ワタワタ
土御門「ねーちんは無自覚だにゃー。カミやんの顔が胸に挟まってるっていうのに」
建宮「女教皇様はこの無自覚が売りの一つだと思うのよ」
神裂『どうかしましたか? 顔が赤いようですが』
上条『いえ、これはその……』///
上条(体がうまく動かねえ……。なんだかすごく体が重い……)
土御門「しかし、この男、一向に離れる様子を見せないぜい」
建宮「巨乳の女教皇様の胸の中。普通に考えて、離れたいと思う訳がないのよな」
神裂『やはり、どこか怪我したのですか?』
上条『そういう……わけじゃ……、ないんだけど……』
上条(それに眠く……なってきた……)
土御門「カミやんの体力も限界みたいだな。どんだけ走らされたんだか」
建宮「ははは。母性の塊に包まれてるせいで、眠気が襲ってきたに違いないのよ」
神裂『当麻?』
上条『Zzz……』
土御門「あちゃー。カミやん、完全に落ちちまったぜい」
建宮「まあ、これはこれで面白いのよ」
- 108 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/13(水) 18:52:18.09 ID:tofXbfCi0
神裂『相当お疲れだったようですね』
上条『Zzz……』
建宮「頭を胸に突っ込んだまま寝るっていうのは、ちっと考えられないのよ」
土御門「それを慈愛顔で見てるねーちんもありえないと思うぜい。普通、もうちょっと慌てるだろうに」
神裂『ふふっ、起こさないようにしましょう』スッ
上条『んっ……』ゴロ
土御門「む、膝枕か。まあ、ねーちんならこんなもんかにゃー」
建宮「ご存知の通り、女教皇様は足のラインも一流なのよな」
上条『Zzz』
神裂『それにしても……。こうしてみると、なかなかかわいい寝顔ですね』クスクス
土御門「なんだか、ねーちんがお母さんみたいになってるぜい」
建宮「これで18なんだから、末が恐ろしいのよ」
上条『Zzz』
神裂『…………だ、誰も見ていませんよね?』キョロキョロ
土御門「おおっ!? 寝てる隙にちゅーくらいしちまえ、ねーちん!」
建宮「そうそう! 我ら以外には誰も見てないのよな!」
神裂『ちゅっ』
土御門「ひ、額?」
建宮「これじゃ、ますます母親みたいなのよ……」
- 109 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/13(水) 18:52:46.16 ID:tofXbfCi0
神裂『お、思ったより恥ずかしいものですね』///
土御門「ねーちんは初心だにゃー……」
建宮「それも売りの(ry」
神裂『ふふっ。髪も意外にサラサラですね』ナデナデ
上条『Zzz』
土御門「これ録画して、後でカミやんに見せたら面白そうだけど……」
建宮「その場合は、我らの命も危ないのよ」
神裂『ふぁ……。私もこのまま寝てしまいましょうか……』
土御門「まだ夕方だってのに、お早い就寝だにゃー」
上条『Zzz』
神裂『Zzz』
建宮「しかし、昨日一昨日が手繋ぎで、今日は膝枕か」
土御門「少しずつレベルアップしてきてるな。この様子なら、1週間後には―――」
建宮「まあまあ。慌てなさんな。ここはじっくりと攻めるのが定石なのよ」
土御門「わかってるぜい。しかし、他の連中に気づかれる前に、なんとか一定の成果はあげたいところだにゃー」
建宮「ふむ。それなら、明日はちょいと細工をしかけてみるのよな」
土御門「作戦はあるのか?」
建宮「それには、お前さんの協力も必要なのよ」ニヤリ
土御門「これは面白くなりそうだにゃー」ニヤリ
上条・神裂『Zzz……』
- 127 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/14(木) 18:03:15.43 ID:vlP1Vjqr0
共同生活4日目
―――
上条「ごちそうさん」
神裂「お粗末様です」
上条「いやー、本当に神裂さんが居てくれて助かりますよ」
神裂「そ、そうですか?」テレテレ
上条(家事のこともそうだけど、何より食費が大きいんだよな)
上条「ああ。神裂はいいお嫁さんになれるぜ」
神裂「お、およっ…!?」///
上条「ん? どうかしたか?」
神裂「い、いえ! なんでもありません! それより、時間の方は大丈夫ですか?」
上条「おっと、そうだな。じゃあ学校行ってくる」
神裂「はい」
上条「一応カギ渡しとくから、出かけるときは戸締りしておいてくれ」
神裂「分かりました」
上条「それじゃいってきまーす」
神裂「お気をつけて」
神裂(さて、私は家事でも済ませてしまいましょうか)
- 128 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/14(木) 18:03:52.58 ID:vlP1Vjqr0
―学校―
土御門「いよう、カミやん。おはようだぜい」
上条「おう、土御門。そっちは大丈夫か?」
土御門「ノープロブレム。至ってぴんぴんしてるぜい」
土御門(寝てないってのは、大嘘だしにゃー)
青ピ「おはようさん。カミやんが遅刻せーへんなんて珍しいもんやね」
土御門「そりゃそうだろうぜい。今のカミやんにはねーちんがついてるからにゃー!」
上条「うおい! つ、土御門!?」
青ピ「何? カミやんの姉ちゃん?」
土御門「いやいや、カミやんの引っ掛けた年上の女の子ぜよ」
上条「ちょっとぉ!?」
ガヤガヤ マタカミジョウカ… ナンデアイツバッカリ… ガヤガヤ
青ピ「カミやぁん? それ、どこのどなた?」ユラ
上条(土御門! 言いふらしちまっていいのかよ!?)ボソボソ
土御門「この学校の生徒の裏は洗ってあるから大丈夫にゃー」
上条「だ、だからって―――」
青ピ「教育的指導ォォォ!!」バキィ
上条「ぐぉぉ!?」
青ピ「人の質問にはキチンと答えなあかんで?」
上条(今日の青ピは迫力が違うぞ……)ゴクリ
- 129 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/14(木) 18:04:26.40 ID:vlP1Vjqr0
昼休み
―――
キーンコーンカーンコーン
上条「やっと飯か」
上条(朝、タコ殴りにされたところがまだ痛い)ズキズキ
土御門「カミやんは昼飯どうするのかにゃー?」
上条「そうだなー。購買でパンでも―――」
上条(ん? カバンの中に何か入ってる)
青ピ「どうしたん? ま、まさか、手作り弁当でもあるとか言うんじゃ……」
上条「そんな訳―――」ガサ
土御門「でも、それはどう見ても弁当箱だにゃー」
上条「んなっ!? いつの間に!?」
青ピ「カミやん、そろそろ本気で殴ってもええか?」
上条「な、なぜに!?」
土御門「世間じゃ、女の子にお弁当を作ってもらえるだけで万死に値するんだぜい?」
上条「チクショウ! 土御門は事情分かってる癖に!」
土御門「事情を知っているのと、それをどう思うのかは別問題だ」
青ピ「判決!!」
クラス男子「「「「「死刑!!」」」」」
青ピ「というわけで、安生せいや!! カミやん!!」グォォォ
上条「ふ、不幸だ―――ッ!!」ダダダ
- 130 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/14(木) 18:04:53.69 ID:vlP1Vjqr0
昼過ぎ
―上条の部屋―
神裂「さて、家事もあらかた済みましたか」
神裂(洗濯機と掃除機の使い方は当麻に聞いておいた方が良さそうですね。手洗いや箒では限界もありますから)
神裂「それにしてもヒマですね。あの子はどうやって時間を潰していたのでしょうか?」
神裂(夕飯の買出しのついでに散歩でもしてみましょうか)
神裂「ええと、この辺りのスーパーは……」
神裂(そういえば、当麻はお弁当に気づいてくれましたかね?)フフッ
- 131 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/14(木) 18:05:26.54 ID:vlP1Vjqr0
放課後 帰宅中
―――
上条「散々な一日だった……」
土御門「お疲れ様だぜい」
上条「これも、元はといえばお前の!!」
土御門「はっはっは。そう噛み付くなよ、カミやん。ねーちんと暮らして、悪い気はしねーんだろ?」
上条「うっ!? まあ、それはそうなんだけどな……」
土御門「それで、まだ手は出してないのかにゃー?」
上条「ばっ!? 何言ってんだよ! 出すわけねえだろ!?」
土御門「カミやんも、奥手だにゃー。今のねーちんなら、ガッといってそれで終わりだぜい?」
上条「あんまり無責任なこというなよな……。神裂は俺のことなんてなんとも思ってないだろうに」
土御門「それはどうかにゃー?」
上条「え?」
土御門「ねーちんは、カミやんのことを意識してると思うぜい?」
上条「またそんな……」
土御門「あのお堅い女教皇様が、なんとも思ってない男のところに厄介になるのをOKすると思うかにゃー?」
上条「それは……」
土御門「カミやんがどう思ってるから知らねーけど、ねーちんを落とすなら今が絶好のチャンスだぜい」グッ
上条「そんなもんかね?」
土御門「カミやんは鈍感だにゃー」
- 132 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/14(木) 18:06:02.99 ID:vlP1Vjqr0
上条「しかし、あの神裂が俺を気にかけてるなんてことが……」
prrrr
土御門「っと悪い」
上条「いや、大丈夫だ」
上条(たしかに、神裂は綺麗でスタイルいいし、家事なんかのスキルも高い。それに、年上の割にかわいいところもあるし……)ブツブツ
土御門「もしもし?」
上条「う~ん……」
上条(昨夜なんかも、膝枕してくれてたしな。起きたとき、神裂の顔がスゲー近くてびびったけど)
土御門「…………………………なんだと?」
上条(ん? 土御門の表情が変わった? もしかして、問題でもあったのか?)
土御門「ああ、分かった。こちらでなんとかする」ピッ
上条「何があったんだ?」
土御門「どうやら、ねーちんがスキルアウトに絡まれてるらしい」
上条「スキルアウトに!?」
- 133 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/14(木) 18:06:35.74 ID:vlP1Vjqr0
土御門「買い物に出た先で絡まれてるそうだ」
上条「分かってるなら、なんで助けないんだよ!?」
土御門「協力員が魔術師だからな。この街で面倒に関わる訳にもいかない」
上条「そんな!!」
土御門「まだそう時間は経ってない。今から行けば、余裕で助けられるだろうよ」
上条「くそっ!! 場所はどこだ!!」
土御門「○×マートの路地裏だ。まったく、ねーちんもあんまり揉め事を起こさないで欲しいぜい」
上条「んなこといってる場合か! 行くぞ!」ダッ
土御門「へいへい」
上条(無事でいてくれよ、神裂!)
- 134 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/14(木) 18:07:04.31 ID:vlP1Vjqr0
連絡の入る少し前
―――
神裂「ふむ。こんなところですか」
神裂(この辺りの地理は大体把握できましたね。そろそろスーパーへ向かうとしますか)
スキルアウトA「お! そこのねーちゃん」
神裂「え? 私ですか?」
スキルアウトB「こりゃスゲー美人だぜ」
スキルアウトC「さすがリーダーは目の付け所が違うねえ~」
神裂(なんでしょうか、この人たちは?)
スキルアウトA「これから俺らと遊ぼうぜ? なに、退屈はさせねーからよ」
神裂「お断りします。今、急いでいますので」
スキルアウトC「ぎゃはは!! ソッコーで断られてやんの!! だっせぇー!!」
スキルアウトA「う、うるせえ!!」
神裂「それではこれで失礼します」スタスタ
スキルアウトB「ちょっと待てよ、ねーちゃん。いくら何でもそっけなさすぎじゃねーの?」
神裂「ですから、急いでいますので」
スキルアウトA「まーまー、そういわずにちょっと付き合ってくれよ」
神裂「お断りします」
スキルアウトC「ひゅー。いいねえ、こういう気の強い女」
神裂(しつこいですね……)
- 135 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/14(木) 18:07:37.56 ID:vlP1Vjqr0
神裂(かと言って、腕力にモノを言わせるのもどうかと思いますし……)
スキルアウトA「チクショウ……。舐められたまま引き下がれるかってんだよ」
スキルアウトB「おう。ねーちゃん、ちょっと顔貸せや」
神裂(相手にしていられませんね)ダッ
スキルアウトC「ダッシュで逃走とか、マジ拒絶じゃん」
スキルアウトA「あ、オイ! 待てや、コラァ!!」
神裂(くっ、追いかけてきますか。体が思ったように動けば、こんな相手には……)タタタ
- 136 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/14(木) 18:08:12.16 ID:vlP1Vjqr0
- ―――
―路地裏―
神裂「はぁ……、はぁ……。行き止まり……ですか」
スキルアウトA「手間……かけさせやがって……」ゼイゼイ
スキルアウトB「ここなら人目にもつかないから、やりたい放題って訳だ」
神裂「仕方ありません。ここは実力行使をさせていただきましょう」
スキルアウトC「ん? お前、能力者なの?」
神裂「そのような質問にお答えすると思いますか?」
スキルアウトB「なに。相手は女一人だ。びびることはねえ!!」ダッ
神裂「七閃!!」ギュガッ
スキルアウトB「ぎゃあ!?」ブシュ
スキルアウトA「何しやがった?」
スキルアウトC「チッ! こりゃワイヤーだぜ」
神裂(威力もスピードも酷いものです。こんな相手に初見で見破られるほどとは……)
- 137 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/14(木) 18:08:40.20 ID:vlP1Vjqr0
スキルアウトB「」チーン
神裂「できれば、おとなしくそこを通してもらいたいのですが」
スキルアウトA「オイオイ。仲間一人がやられてるのに、簡単に通すわけねーだろ?」
神裂「そうですか……。では、あなた方を排除して通させていただきます。―――七閃!!」ギュガッ
スキルアウトC「おっと」サッ
スキルアウトA「危ねえ」サッ
神裂「なっ!?」
スキルアウトC「タネが割れりゃ、大したことねーな」
スキルアウトA「これなら、その辺の能力者の方がよっぽど厄介だぜ」
神裂「くっ!!」
神裂(まだ近接戦闘なら……)ビュン
スキルアウトA「接近戦なら得意分野ってなぁ!」バチン
神裂「かはっ!?」
神裂(で、電気?)
スキルアウトC「ははっ。痺れたか? リーダーは発電能力者(エレクトロマスター)のレベル2なんだぜ!」
スキルアウトA「接近戦でしか使えねーし、スタンガンみたいなもんだけどな」
- 138 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/14(木) 18:09:07.45 ID:vlP1Vjqr0
神裂「くっ」
神裂(街の不良相手でこのザマとは不甲斐ない)
スキルアウトA「へえ。これで気を失わねーのか」
スキルアウトC「ねーちゃんも意外とタフだな~。ま、意識あった方が、楽しみは増えるってもんだけどな! ぎゃはは!」
神裂(ま、マズイですね。思ったよりも足にきています)
スキルアウトA「大人しくしやがれ!」ガシッ
神裂「がはっ!!」
神裂(動きが封じられては勝負になりません! こうなったら―――)
スキルアウトC「おっと妙なマネはするなよ? こいつが見えない訳じゃないだろ?」
神裂「な、ナイフ」ゾク
神裂(くっ! わずか20cm程度の短刀に、これほどの恐怖があるものなのですか!?)
スキルアウトA「へえ。胸も結構デケェじゃねえか」
神裂「だ、誰か……」
スキルアウトC「ぎゃはは!! こんなところに都合よく誰か来るわけねーだろうが」
???「そうでもないんだにゃー」
???「神裂を離しやがれ!!」バキィ
スキルアウトA「ぐはっ!? ち、チクショウ!! 誰だ!?」
上条「誰だっていいだろうが! 女の子一人相手に大人数で囲むなんて、男のやり方かよ!!」
神裂「と、当麻!!」
- 139 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/14(木) 18:09:35.50 ID:vlP1Vjqr0
上条「大丈夫か、神裂!!」
神裂「ご、ご迷惑をかけてすみません」
土御門「俺はスルーですかい?」
スキルアウトC「チッ! こいつら、この女の知り合いかよ。上等じゃねえか」
スキルアウトA「構うもんか。やっちまえ!!」
上条「くっ!」
土御門「おーっと。お前らの相手は俺がしてやるぜい」
スキルアウトA「ああん?」ピキ
スキルアウトC「2対1でやるって言うのか? おもしれえ」ピキ
上条「土御門!?」
土御門「カミやんはねーちんを安全なことに連れて行ってやれ」
上条「で、でも、お前は!」
土御門「この辺のザコなら、俺一人で余裕だにゃー。今はねーちんを優先するべきだろ?」
スキルアウトC「舐めやがって……」
上条「そ、それは……」
土御門「ほら、早く行った、行った。あちらさんもいつまでも待ってくれるわけじゃないんだぜい?」
上条「す、すまん! 後は任せた! 行くぞ、神裂!!」ガシッ
神裂「あ……。は、はい!」タタタ
土御門(さーて、ここからどうなるか楽しみだにゃー)ニヤニヤ
- 140 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/14(木) 18:10:27.05 ID:vlP1Vjqr0
―上条の部屋―
上条「はぁっ…はぁっ…。なんとか……、逃げ切ったか……」
神裂「はぁっ……、どうやら……、そのようですね……」
上条「怪我とかないか?」
神裂「だ、大丈夫です。電気を少々あびただけで、外傷はありません」ガタガタ
上条「ちょっと震えてるぞ? 本当に大丈夫か?」
神裂「あっ! いえ、これは……その……」ガクガク
上条「神裂」
神裂「い、いえ、だから違うんですよ! これはですね……」ガタガタ
上条「神裂」
神裂「その……」ブルブル
上条「神裂!!」
神裂「」ビクゥ
上条「安心しろ! もう大丈夫だから!」ギュッ
神裂「え?」
神裂(あっ……。当麻の体、温かい……)
上条「怖かったなら、無理に押さえ込まなくていいんだ」
神裂「と、当麻……」ポロ
上条「もう大丈夫だから……」
- 141 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/14(木) 18:11:07.81 ID:vlP1Vjqr0
神裂「当麻ぁ……」ポロポロ
上条(こんなに、震えるほど怖かったのかよ……)
上条「大丈夫……。もう大丈夫だ……」
神裂「怖かった……、怖かったですよぉ……」
上条「安心しろ。俺が守ってやる」
神裂「ぐすっ…ぐすっ…。とうまぁ……」ギュッ
上条「落ち着くまでそばにいてやるからな」ナデナデ
神裂「あ、ありっ…、ありがとう…ございます…」
上条「よしよし……」ナデナデ
~~~~~
上条「落ち着いたか?」
神裂「はい。お恥ずかしいところをお見せしました」
上条「いいって。神裂が無事だったんだ。それくらいなんともねーよ」
神裂「ははは……。いつもあなたには頼りっぱなしですね」
上条「こっちも結構助けられてるしな。お互い様だよ」
神裂「そんなことありません……」
上条「そんなことあるって」
神裂(ああ……。インデックスやオルソラは、こういう気分だったのでしょうか?)
神裂(あの二人とはスケールは違うかもしれませんが、こんな気持ちになってしまうのは、仕方ないのかもしれません)ギュッ
- 142 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/14(木) 18:11:35.93 ID:vlP1Vjqr0
上条「それで……、あの……」
神裂「はい?」
上条「落ち着いたなら、放してもらえませんでせうか?」
上条(胸が押し付けられて、非常に幸せなんですけどね! なんというか理性が!)
神裂「………………」
上条「あの……。神裂さん?」
神裂「―――です」
上条「はい?」
神裂「嫌です、と言ったんです」ぎゅー
上条「はい?」
神裂「まだ怖いので、今日はこのままでいさせてください」
上条「はいぃぃっ!?」
神裂「ダメでしょうか……?」ウワメヅカイ
上条「ううっ!? そ、その……ダメじゃないです」
神裂「ありがとうございます」ニコ
神裂(こうしているとすごく落ち着きます。やはり、私は当麻のことが―――)
上条(ち、チクショウ!! こんな拷問、不幸だ―――ッ!!)
神裂(―――好きなんでしょうね)
- 153 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/16(土) 18:16:10.23 ID:AL8Hw0Dd0
共同生活5日目 早朝
―――
上条(結局、あれから風呂とトイレ以外は抱きつかれっぱなし)
神裂「Zzz」ギュッ
上条「こんなの寝れる訳ないだろ……」
神裂「んんっ……」ムニュ
上条(ぐォォォ!? 腕に柔らかい感触がッ!! 耳に吐息がァァァ!!)
上条「あはは……。身に余る幸福ってのは、つまり不幸なんですね……」
神裂「んーっ? ぁ……、とうまー……」スリスリ
上条(腕に頬擦り!? これ、神裂だよね!? なんだこれ!?)ガクガク
神裂「…………あれ?」
上条「あの……神裂さん? 起きたなら、離れてもらえませんかね?」
神裂「す、すみません! 少々、寝ぼけていたようです。寝起きは悪い方ではないのですが」ハハハ
上条「寝起きがいいとか悪いとかはどうでもいい。とにかく離れてください」
神裂「すみません……」シュン
上条(ぐぉぉぉ!! なんだ? この神裂の捨てられた子犬みたいな雰囲気はッ!? 上条さん何か悪いことしましたか!?)
上条「いや、ほら、朝飯食いたいなーと思ってな」
神裂「あ、そうですね。すぐに朝食の支度をしましょう」テキパキ
上条(まだ朝の5時で腹なんて減ってないけど、なんとかうまくごまかせたようだからOK)
- 154 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/16(土) 18:16:41.18 ID:AL8Hw0Dd0
神裂「その前に日課を済ませてしまいますね」
上条「日課? ジョギングでもしてるのか?」
神裂「いえ、運動ではなく、お祈りです」
上条「あ、そっか。神裂もイギリス清教の一員だったもんな」
神裂「はい。私は修道女ではないのですが、お祈りは欠かさずすることにしているんです」
上条「なるほど」
神裂「すぐに済みますので、少々お待ちください」
上条「ああ」
神裂「…………………………………」
上条(そういえば、インデックスも朝にお祈りをしてたっけ)
神裂「…………………………………」
上条(でも、こういうお祈りって何を祈るんだろう? 神様に対する感謝とか?)
神裂「…………………………………」
上条(しかし、インデックスもそうだけど、様になるよな。本職なんだから当たり前なんだろうけど)
神裂「お待たせしました。それでは、手早に用意してしまいますね」
上条「おう。頼んだ」
- 155 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/16(土) 18:17:08.46 ID:AL8Hw0Dd0
朝食後
上条「それで今日はどうする?」
神裂「どうする、とはどういう意味でしょうか?」
上条「昨日あんな目に遭ったばかりだし、今日は傍にいてやろうか?」
神裂「それは大変ありがたいのですが……」
上条「ん?」
神裂「そこまであなたにご迷惑をかけるわけには行きません」
上条「迷惑ってほどじゃないけどな」
神裂「それで進級できなくなってしまったら、こちらが困ってしまいます」
上条「うっ!?」
神裂「ですので、その……」
上条「何かいい案でもあるのか?」
神裂「私が当麻に着いていきます」
上条「ええっ!?」
神裂「学校の屋上なら、人目にもつきにくいと思ったのですが、問題がありますか?」
上条「うーん。確かに、校内ならすぐ駆けつけられるし、安全かもしれないけど……」
神裂「無理にとは言いません」
上条「いや、そうだな。それで神裂が安心できるなら、別に構わないぜ」
神裂「本当ですか? ありがとうございます」
- 156 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/16(土) 18:17:38.46 ID:AL8Hw0Dd0
上条「それじゃ、まだかなり早いけど、学校行くか」 ※AM6時30分
神裂「そうですね。この時間なら、人目にもつきにくいでしょうし」
~~~
上条「やっぱり、この時間じゃ登校してるやつもいないな」キョロキョロ
神裂「ふふっ。そうですね」
上条「あ、そうそう。昨日は弁当サンキューな」
神裂「気づいてもらえましたか」
上条「みんなに追い掛け回されて大変な目に遭ったけど、それだけの価値はあったぜ」
神裂「今日も、朝食のついでに用意しておきましたので、お昼休みに屋上でご一緒にどうですか?」
上条「おっ、いいな。そうしますか」
神裂「はい」ニコ
上条(ううっ……。笑顔がまぶしい……)
上条「しかし、こうやって女の子と登校するなんてことが実現するとは思うわなかったなー」ハハハ
神裂「そうですか? 意外ですね」
上条「意外でもなんでもないだろー。これで手でも繋いでれば、上条さん的には言うことないんですけどね」
神裂「……いいですよ?」
上条「はい?」
神裂「聞き返さないでください」///
上条(え? あれ? な、何が起こった?)
- 157 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/16(土) 18:18:06.09 ID:AL8Hw0Dd0
―学校―
神裂「もう着いてしまいましたね」
上条「そ、そうだな」///
上条(結局、手を繋いで登校してしまいました。神裂さんの手温かいです)
神裂「い、今更、手を繋いだくらいで、そんな顔をしないでください」///
上条「お、おう。そうだよな」
上条(それなら、神裂も顔真っ赤にしなくてもいいじゃないないか)
神裂「さすがにまだ誰も登校していませんね」
上条「そうみたいだな。さすがにこれだけ朝早ければな」
神裂「では、少し校内を案内してもらえますか?」
上条「ん。せっかくだしそうするか」
~~~~
上条「っと、校内はこんなもんかな」
神裂「なるほど。あの校舎の屋上からなら、当麻の席が見えますね」
上条「え?」
神裂「あなたが、どんな様子で授業を受けているか興味があります」
上条「ええっ!?」
上条(なんだかプチ授業参観みたいなことに!?)
神裂「それでは、また昼休みに会いましょう」
上条「これじゃ、眠ってられないじゃないか……。ふ、不幸だ……」
- 158 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/16(土) 18:18:36.64 ID:AL8Hw0Dd0
放課後
―――
上条(よ、よ~し。なんとか乗り切ったぞ……)
土御門「今日はだいぶまじめに授業受けてたにゃー?」
上条「ま、いろいろありましてね……」
姫神「顔色悪いかも。大丈夫?」
吹寄「どうせ夜更かしでもしたんでしょ」
上条「いろいろありましてね……」
青ピ「これは重症やね」
土御門「まったくだにゃー」ニヤニヤ
- 159 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/16(土) 18:19:19.66 ID:AL8Hw0Dd0
上条「お待たせー」
神裂「お疲れ様です。当麻」
上条「ヒマじゃなかったか?」
神裂「ええ。たまに船を漕いでいる当麻を見ているのは、とても面白かったですよ」クス
上条(バレバレでしたかー)
上条「ははは。それじゃ、さっさと帰ろうぜ」
神裂「はい」
上条「それともどこか寄っていくか?」
神裂「そうですね……。昨日、買い物ができなかったので、食材の買出しをしておきましょう」
上条「大丈夫か? なんなら、一旦家に戻ってから、俺が一人で買いに行ってもいいけど」
神裂「そこまで心配されなくても大丈夫です。それに、今回は当麻と一緒ですし」
上条「それもそうだな。男と一緒にいて、絡んでくるやつもいないだろ」
神裂「すみません。本来は居候の私がすることなのでしょうけど……」
上条「いやいや、さすがに昨日の今日で、そこまで酷なことはさせられませんよ?」
神裂「あなたは本当に優しいですね。……さ、暗くなる前に済ませてしまいましょうか」ギュ
上条「え? 何で手を?」
神裂「ふふっ。いいじゃないですか。帰りだけ繋がないというのもおかしくありません?」
上条「そんなものか?」
神裂「はい。そんなものです」ニコ
上条「それじゃ仕方ないな」
- 160 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/16(土) 18:20:02.14 ID:AL8Hw0Dd0
―いつもの公園―
上条「神裂と行くと普通にタイムサービスの品が買えるんだな」
神裂「いつもは逃してしまうのですか?」
上条「(タイムサービスを)逃してしまうときと、(タイムサービスの品が)逃げてしまうときがあるんですよ」
神裂「?」
上条「いえ、なんでもないです……」
神裂「それならいいですが」
上条「それより、そっちの袋は重くないか?」
神裂「はい。当麻が重い方を持ってくれましたので」
上条「手を繋がなければ両方持てるのに」
神裂「そしたら、きっと家に着くまでにタマゴがなくなってしまいますよ」クスクス
上条「うっ、分かってるんじゃないか……」
神裂「それに、こうすれば片手が空きますし、手を繋いでも問題ありませんよね?」
上条「そう……なのかな?」
上条(そういえば、この状態は他人から見れば、カップルに見えるんじゃ―――)
御坂「…………………………」ジー
上条「あ」
御坂「…………………………なにしてんの?」バチン
上条(これは終わった)
- 161 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/16(土) 18:20:29.99 ID:AL8Hw0Dd0
上条「あの、御坂さん? なぜバチバチいってるのでせうか?」
御坂「この間は聞きそびれちゃったけど、そっちの女はどこのどなたなのかしら?」
上条「ええと……それはですね……」
神裂「当麻。そちらの彼女とはどういう関係でしょうか?」ジトー
上条「ええっ!? 何故に神裂さんまで!?」
御坂「へえ~、神裂さんね」
上条(し、しまった! 姉弟って言い訳ができなくなってしまった!?)
神裂「神裂火織と申します。どうぞよろしく」
御坂「あなたはそこのバカとはどういう関係なのかしら?」
神裂「彼とは―――」
上条「神裂は友達の姉なんだよ! 長い付き合いでさ!」
上条(ということにしておいてください)ボソ
神裂(む……。まあ、あなたがそういうのでしたら、構いませんが……)
御坂「友達の姉ねえ……」
御坂(それにしても、随分雰囲気が違うわね。ここ数日で何かあったのかしら?)
上条「それで、こっちが御坂。よくここで会うビリビリ中学生」
御坂「ビリビリ言うな!」
神裂(彼女は、当麻の友人と言ったところでしょうか?)
- 162 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/16(土) 18:20:58.58 ID:AL8Hw0Dd0
上条「じゃあ、紹介も終わったし、上条さんたちはこれで……」
御坂「ちょっと待ちなさいよ」
上条(やっぱり、そう簡単には逃がしてもらえませんよねー)
御坂「アンタたちは、なんで手なんて繋いでお買い物してるのかしら?」
御坂(そんなのまるでカップルみたいじゃない!)
上条「そ、それはだな……」
御坂「それは?」
神裂「手を繋いで買い物しては、何かおかしいでしょうか?」
御坂「なっ!?」
上条「え? 神裂さん?」
御坂「お、おかしいに決まってるじゃない!」
神裂「昔から、当麻は私にベッタリでしたから、これくらいは普通ですよ?」
上条・御坂「!?」
上条(たしかに、設定上、長い付き合いってことにしましたけど! それじゃ、姉離れできない弟みたいじゃないですか!?)
- 163 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/16(土) 18:21:26.16 ID:AL8Hw0Dd0
御坂「なっ、なん!?」
神裂「ですから、このくらいは普通かと」
上条(ナイスフォローかもしれませんが、もうちょっとましな言い方はできないんですかー!?)
御坂「そ、そうなの?」
上条「えっ!? た、多分」
御坂(そういえば、こいつは記憶が……)
神裂「それでは、生ものが悪くなる前に帰りましょうか」
上条「え? あ、そうだな」
御坂「ちょ、ちょっと待ちなさいってば!」
上条「悪い、御坂。また今度!」
上条(とりあえず、今は、この場を離れることを優先だ。なんか神裂の機嫌が悪い気がするし)
神裂「それでは」
御坂「ちょっとー!!」
- 164 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/16(土) 18:21:52.29 ID:AL8Hw0Dd0
―上条の部屋―
上条「ふぅ。なんとか無事に帰宅できたか……」
神裂「そうですね」
上条「でも、なんであんなこと言ったんだ?」
神裂「あなたが私を友人の姉と言ったからじゃないですか」
上条「うっ。たしかにそうですが……」
神裂「うまいごまかし方だと思いますよ」
上条「そ、そうですよね?」
上条(それにしては、いつもの神裂さんらしくないような気がするんですが?)
神裂「ところで御坂さんは当麻の友達なのですよね?」
上条「うーん? そんなところか?」
上条(ケンカを吹っかけてくるし、友達って分類もどうなんだろうか)
神裂「それならいいのですが」
上条「あのー、神裂さん?」
神裂「なんでしょうか」
上条「何を怒ってらっしゃるんでしょうか?」
神裂「いえ、別に……」
上条(な、何をミスってしまったんだー!?)
神裂(もう少しマシなごまかし方はなかったのでしょうか? その……彼女とか……)シュン
- 165 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/16(土) 18:22:18.49 ID:AL8Hw0Dd0
上条「その、すまん! 神裂!」
神裂「はい?」
上条「俺、何か気に障ること言ったか?」
神裂「そういう訳では……」
上条「もしかして、『友達の姉』ってのが気に食わなかった?」
神裂「い、いえ……」
上条「ほ、ほら。あの状況じゃ、家族か恋人とでも言わないとあいつは納得しないだろ?」
神裂「そうでしょうね」
上条「さすがに昨日のことを説明する訳にもいかないしさ」
神裂「すみません。気を使わせてしまって」
上条「謝るほどじゃないって」
神裂「でも、家族よりも恋人の方がよかったのですが」ボソ
上条「はい?」
神裂「いえ、なんでもありません。少し早いですが、夕飯の準備をしましょうか」
上条「お、おう。そうだな」
上条(気のせい……だよな?)
- 166 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/16(土) 18:22:44.82 ID:AL8Hw0Dd0
- ―――
上条「ふぁ……」
上条(飯も食べて、風呂にも入ったら、眠くなってきた……。昨日寝てないし、仕方ないよな)
神裂「眠そうですね」
上条「んー。ちょっとなー」
神裂「では、今日はもう就寝しますか?」
上条「神裂は眠いのか?」
神裂「いえ、私はまだですが、当麻に合わせます」
上条「無理にあわせなくても大丈夫だぞ? 電気つけっぱなしでも大丈夫だし」
神裂「そうですか?」
上条「ああ。すまないな」
神裂「そうですね。では……」
上条「ん?」
神裂「ど、どうぞ」スッ
上条「はい?」
神裂「ひ、膝枕です」
上条「………………はい?」
- 167 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/16(土) 18:23:11.13 ID:AL8Hw0Dd0
上条「神裂さん、どういうことでせうか?」
神裂「ご迷惑ですか?」
上条「いやいや、上条さん的には、大歓迎なんですが、どういう風の吹き回しですか?」
神裂「甘えられるよりも甘えたいと、当麻の顔に書いてありますよ?」
上条「んなっ!?」
神裂「ち、違いましたか?」
上条「間違いじゃないけどさ」
上条(確かに、少しくらいはそういう気持ちはあるけど、そんなに顔に出てるか?)
神裂「昨日は、当麻の好意に甘えさせていただきましたから、これはそのお返しです」
上条(土御門か? 土御門だな!? 休み時間にどこ行ってるのかと思えば……)
神裂「その……結構恥ずかしいので、できれば早くしてもらえると助かるのですが」
上条「ええと。じゃあ遠慮なく」ポス
神裂「ぁ……。はい」ニコ
上条(なんだか温かい……。それにいい匂いもするし……)
- 168 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/16(土) 18:23:47.35 ID:AL8Hw0Dd0
神裂「よく眠れそうですか?」
上条「逆に緊張して寝れないかもな」ハハハ
神裂「そうですか? では、こんなのはどうでしょう?」
上条「?」
♪Amazing grace. how sweet the sound.
上条(これは聞いたことある曲……なんて名前だっけ……?)
♪That sav'd a wretch like me.
上条(それに、優しい歌声だな)
♪I once was lost, but now am found. Was blind, but now I see.
上条(これは心地いい……)
~~~
上条「Zzz」
神裂「頼りになるとはいえ、まだ15の少年ですからね。休息も必要でしょう」ナデナデ
神裂(それにしても、気持ち良さそうな寝顔ですね。たまには、土御門の助言も役に立つものです)
神裂「しかし、どうすれば、当麻にもっと意識してもらえるんでしょうか……」
- 190 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/18(月) 18:23:48.10 ID:Qm2+gFKV0
- 共同生活6日目
―――
―???―
神裂「はぁっ…、はぁっ・・・」タタタ
スキルアウトD「くそっ! 待ちやがれ!」
神裂「くっ!?」ピタッ
神裂(しまった! 行き止まりですか!)
スキルアウトE「ぜい・・・、ぜい・・・。ようやく追い詰めたぞ」
神裂「うっ」
神裂(相手は4人ですか。これくらいなら……)
スキルアウトF「覚悟はいいだろうな?」
神裂「それはこちらのセリフです。追いかけて来なければ良かったものを」
スキルアウトG「ハッ! 強がっても無駄だぜ? なにせ今のお前は、聖人じゃねえんだからなぁ!」
神裂「えっ!?」
神裂(ち、力が入らない!?)
スキルアウトE「これでも喰らえ」ドコッ
神裂「ぐぅっ!?」
スキルアウトD「へっ。大したことねーな」
???「何してんだよ。お前ら」
スキルアウトF「あ?」
上条「神裂に何してるんだって訊いてるんだよ! この三下ぁ!!」
神裂「と、当麻……」
- 191 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/18(月) 18:24:25.51 ID:Qm2+gFKV0
スキルアウトD「なんだ? たった一人かよ? こっちは四人もいるんだぜ?」
上条「お前らが何人だろうが関係あるかよ」
スキルアウトF「何言ってんだ?」
スキルアウトG「こいつに貸しでもあんのか?」
上条「泣きそうな女の子を助けるのに理由なんて必要ねえだろうが!!」
神裂「当麻……」
スキルアウトE「ケッ! 格好つけやがって!」ブン
上条「当たるかよ!」バキィ
スキルアウトE「ぐはっ!?」
スキルアウトF「て、テメェ!!」
上条「遅ぇよ!」ドコォ
スキルアウトF「ぐぅっ!?」
スキルアウトD「実戦慣れしてやがるな」
スキルアウトG「これでも喰らっとけ!」ビリビリ
上条「そんなもん!」キュイーン
スキルアウトG「け、消しやがった!?」
スキルアウトD「チッ! 引き上げるぞ!」
スキルアウトG「クソッ! 覚えてやがれ!」
- 192 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/18(月) 18:24:53.04 ID:Qm2+gFKV0
上条「大丈夫か。神裂」
神裂「は、はい。おかげさまで」
上条「それなら良かった」ギュッ
神裂「当麻……」カタカタ
上条「やっぱり怖かったのか? ちょっと震えてるぞ?」
神裂「す、すみません。もう少ししていれば落ち着きますから」
上条「そうか。神裂は強いな」ナデナデ
神裂「いえ、私など……」
上条「神裂は強いよ」
神裂「私は弱いです……。あれくらいで怖がってしまうなんて」
上条「そんなことないって」ナデナデ
神裂「私は、あなたの勇気が羨ましい」
上条「勇気?」
神裂「普通の人だったら、あの場に飛び込もうとは思いませんよ?」
上条「そうかな?」
神裂「はい。そうです。ありがとうございました」
上条「いいって、それくらい」
神裂「私はあなたのそういうところ好きですよ」
上条「え?」
神裂「んっ…」チュッ
- 193 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/18(月) 18:25:18.71 ID:Qm2+gFKV0
- ―上条の部屋―
チュンチュン
神裂「―――ッ!!」ガバッ
神裂(ゆ、夢ですか……)
神裂「と、当麻は……」
上条「Zzz」
神裂「まだ寝ていますね」ホッ
神裂(夢とはいえ、なんということを!!)///
神裂「それとも、あのくらいしないと私の気持ちには気づいてもらえないのでしょうか……」
神裂(それに、私にあんなことをする度胸がありますかね?)
上条「Zzz」
神裂「ううっ……。思い出したら、顔が熱くなってきました」///
神裂(と、とりあえず、落ち着くために朝食の準備でもしましょう)
上条「Zzz」
- 194 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/18(月) 18:26:03.85 ID:Qm2+gFKV0
ジュー
神裂「ふぅ……」
神裂(やっと落ち着いてきました……)
神裂(しかし、不思議なものですね。夢で不良に襲われたにも関わらず、起きた時に恐怖感はほとんどありませんでしたし)
神裂「やはり、当麻が助けてくれたから……」
上条「んっ……」
神裂「」ビクッ
神裂(どうやら起きてしまった訳ではないようですね)ホッ
神裂「しかし、彼の勇気はどこから出てくるものなのでしょうか……」
神裂(ここ数ヶ月で、幾度もの修羅場を経験し、それでも足を踏み入れ続けられるというのは異様です)
神裂「普通は、一度死線を潜り抜けると、そこには戻りたくないと思うはずなのですが……」
神裂(それとも、私たちとは違う価値観を持っているのでしょうか?)
神裂(いえ、そもそも頭で考えていないのかもしれませんね)フフッ
神裂「でも―――」
神裂(そのおかげで、私にとって、あなたがますます大きな存在になってしまいました)
神裂「そろそろ起こさないといけませんかね」
神裂(まだ少し早いですが、遅刻されるよりはいいでしょう)
- 195 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/18(月) 18:26:29.39 ID:Qm2+gFKV0
上条「Zzz」
神裂「おはようございます」ユサユサ
上条「んんっ……、おはよう」
神裂「今日もいい天気ですね」
上条「そうだな。なんか、起きたときに神裂がいるのにも慣れてきた」
神裂「私も、ここにいる違和感が薄くなってきた気がします」
上条「まだ、1週間も経ってないのになぁ」
神裂「ええ。まったくですね」
上条「インデックスは何か手がかりは掴めたのかな?」
神裂「今のところは連絡もありませんし、きっとまだなのでしょう」
上条「その割に、神裂は焦ったりしないんだな」
神裂「はい?」
上条「いや、初日とかは結構不安がってたじゃん」
神裂「物事は慣れですからね。それに―――」
上条「それに?」
神裂「いざとなったら、当麻がまた守ってくれますから」ニコ
上条「随分と信頼されてるなぁ」
神裂「ふふっ、はい」
上条(そういえば、ここのところ恩とかなんとか言わなくなったな。その方が気楽でいいんだけどさ)
- 196 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/18(月) 18:26:58.05 ID:Qm2+gFKV0
- ~~~
上条「それで、今日はどうする? まだ、不安なら、また学校に着いてきてもいいけど」
神裂「いえ、多分もう大丈夫です」
上条「本当か?」
神裂「信用がありませんか?」
上条「神裂はたまに無理するからな」
神裂「う……。たしかにそうかも知れません」
上条「だろ?」
神裂「しかし、当麻も人のことは言えますかね?」
上条「ぐっ……。それを言われるとつらいな」
神裂「その内、絶対安静の重傷を負ってでも戦場に駆けつけてくる気がします」
上条「意識があれば行くかも……」
神裂「意識がなくても来るんじゃないですか?」
上条「む。さすがにそこまでは分からないよ」
神裂「冗談ですよ。本当に無理はしていませんのでご安心ください」
上条「それなら、いいんだけどさ」
- 197 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/18(月) 18:28:11.98 ID:Qm2+gFKV0
神裂「そろそろ時間ですね」
上条「おっと。じゃあ行ってくる。戸締りは気をつけてくれよ」ガチャ
神裂「あ、その……」
神裂(今なら……)
上条「なんだ? やっぱり不安なのか?」
神裂「ええと……」///
上条「?」
神裂「や、やはり不安なので、当麻の『勇気』を分けてもらっていいですか?」///
上条「え? どうやって―――」
神裂「んっ」チュッ
上条「え?」
神裂「こ、これで大丈夫です!」///
上条(今、何された? すごく神裂の顔近かったよな……)
神裂「それではお気をつけて!」///
上条「あ、うん」バタン ←ドアを閉める音
上条(唇に柔らかい感触? あれ、これなんて言うんだっけ? えーと、確か……)
上条「ええええええええええええええええっ!?」
神裂(―――ッ!! や、やってしまいました!!)///
- 226 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/20(水) 19:12:34.59 ID:EGe8ZIAa0
- ―学校―
上条(神裂にキス……されちまったんだよな?)
???「―――!」
上条(ど、どうしてあんなことを……)
???「―――! ――――!!」
上条(やっぱり、土御門が言ってたみたいに、俺に気があるのかな?)
???「―――ん!」
上条「いや、そんな訳……」
小萌「上条ちゃん!」
上条「え?」
小萌「どうしたんですか? さっきからずっと呼びかけているのに反応してませんでしたけど」
上条「あ、すみません」
小萌「悩み事なら、後で聞いてあげますから、今は授業に集中してくださいね」
上条「はい……」
小萌「それでは授業を再開しますねー」
土御門(カミやんの様子がおかしい……。今朝、ねーちんと何かあったのか?)
- 227 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/20(水) 19:13:03.14 ID:EGe8ZIAa0
休み時間
―――
上条「う~ん……」
土御門「カミやん。何かあったのか?」
上条「土御門か。ちょっと考え事しててな……」
土御門「ねーちんのことだろ?」
土御門(何かあったとすれば、家を出る直前か? あそこは監視カメラの死角だから、今度はそこにも仕掛けないといけないかにゃー)
上条「う。まあ、そうなんだけどさ」
土御門「何があったか言ってみるといいぜよ」
上条「すまん! こればっかりは言えないことなんだ」
土御門「にゃー。もしかして、やっちまったのか?」
上条「ななな、なにをだよ!?」
土御門「カミやんは先に大人の階段を登っちまったんだにゃー」
青ピ「なんやと?」
上条「ちげーよ! 青ピも反応すんな!」
土御門「ま、冗談は置いておいても、今日のカミやんはおかしいぜい?」
青ピ「昨日張り切ってたと思えば、今日は抜け殻やもんな」
上条「……すまん。今日はちょっと一人にしてくれ」
土御門「これは重症だにゃー」
- 228 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/20(水) 19:13:32.74 ID:EGe8ZIAa0
放課後
―――
小萌「はーい。今日はここまででーす」
上条「う~ん……」
土御門「カミやんはまだ悩んでるのか」
小萌「あ、上条ちゃんは、職員室まで来るです」
上条「う~ん……」
小萌「上条ちゃ~ん?」
青ピ「カミやん、小萌センセの話聞いてたか? 職員室、OK?」
上条「あ、はい」
小萌「補習ではないので安心してくださいね」
土御門「良かったにゃー、カミやん」
上条「うむむむ……」
青ピ「ダメだこりゃ」
- 229 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/20(水) 19:14:22.92 ID:EGe8ZIAa0
―職員室―
上条「お待たせしました。何の用ですか?」
小萌「今日、あれだけ上の空で授業を受けてて、『何の用ですか』はないんじゃないですか?」
上条「す、すみません」
小萌「ですから、先生が上条ちゃんの悩みを聞いてあげます」
上条「え?」
小萌「言えないことなら無理に問いただしはしませんが、相談するのも解決策の1つなんですよ?」
上条(小萌先生に相談か……。このまま悩んでても仕方ないし、訊いてみるか? 小萌先生なら口も堅いだろうし……)
上条「あの、ですね……」
小萌「はい」
上条「その……知り合いの女の子からいきなりキスされてしまって……」
小萌「ええっ!?」ガタッ
上条「小萌先生! 声、大きいですって!」
小萌「す、すみませんです」
上条「それをどうしたらいいかをずっと悩んでるんです」
小萌「そ、そうだったんですか? 上条ちゃんとしての結論は出たんです?」
上条「それでしたら、相談はしてませんって」ハハハ
小萌「ですね」
小萌(やっぱり上条ちゃんはモテるんですね。先生として、どうすればいいでしょう?)
- 230 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/20(水) 19:14:55.72 ID:EGe8ZIAa0
小萌「ええっと……」
上条(相談したのはいいけど、小萌先生ってそういう経験とかあるのか?)
小萌「ゴ、ゴホン! 上条ちゃんは、その人のことをどう思ってるんです?」
上条「俺がですか?」
小萌「そうです。詳しい状況は分からないですが、『キス』というのは、普通好きな相手にするものですから」
上条「好きな相手……」
小萌「なんとも思ってない人にはしたりしませんよね? そういうことです」
上条「そうなんでしょうか?」
小萌「上条ちゃんは鈍感ですね~」
上条(土御門にも同じこと言われたな……)
小萌「そうやって、上条ちゃんが好意に気づいてくれないから、強引な手を使ってアプローチしてるんじゃないです?」
上条「でも、それは―――」
小萌「ほら。現に上条ちゃんはキスまでされても、その好意に気づいていないじゃないですか」
上条「う……」
小萌「だから、考えるべきは『どうして、そんなことをしてきたのか』ではなく、上条ちゃんが『どうしたいのか』だと思いますです」
上条「俺がどうしたいのか……」
小萌「結局、答えは上条ちゃんにしか出せません。そこのところをよ~く考えてくださいね」
上条「はい」
- 231 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/20(水) 19:15:24.02 ID:EGe8ZIAa0
???「面白そうな話してんじゃん」
上条「え?」
小萌「黄泉川先生!」
黄泉川「月詠センセにそんな経験あるじゃん?」
小萌「し、失礼な! 黄泉川先生はバカにしすぎです!」
上条「い、いつからそこに……」
黄泉川「月詠センセが大声出してからじゃん」
小萌「うっ……」
上条「その……他言無用でお願いします」
黄泉川「分かってるって! 口は堅いほうだから安心するじゃん」
上条「それならいいんですが」
黄泉川「とにかく、避妊だけはするじゃんよ」
上条「ゴブゥッ!?」
小萌「よ、黄泉川先生! 体育教師が何言ってるんですか!」
黄泉川「体育教師だからのアドバイスじゃんよ」
上条「ハハハ……」
上条(これ以上冷やかされる前に帰ろう……)
小萌「上条ちゃん! 真に受けないでくださいよ!」
上条「分かってますって。それじゃ失礼します」
黄泉川「頑張るじゃんよ~、少年」
- 232 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/20(水) 19:15:50.12 ID:EGe8ZIAa0
結局、学校を出ても、上条の答えはでていなかった。
小萌という女性の立場からの貴重なアドバイスをもらったのは良かったが、自分の気持ちなどと言われても良く分からない、というのが本音だ。
基本的に困っている人がいれば迷わず助けに行くし、そうでなくとも厄介事には巻き込まれる。
上条(悩みは家計くらいなもんだったもんな……)
そんな彼に、いきなり色恋沙汰の問題を押してけられても、即断できるはずもないだろう。
そもそも、神裂が自分に対して好意を抱いているのかさえ、未だに半信半疑である。
上条「あ……。もう着いちまった……」
ふと気付けば見慣れたトビラの前に立ってしまっていた。
どうやって帰ってきたかも、誰かと会ったかもよく覚えていない。
むしろ、そんな状態で無事に帰宅できたあたり、今日の彼は幸運なのかもしれない。
それとも、考える時間が短くなった分、これは不幸なのだろうか?
上条(この先に神裂がいるんだよな……。き、緊張してきた)
結局のところ、まだ考えはまとまっていない。
しかし、このままでは、明日の朝になっても答えは出ない気がした。
確証なんてないものはない。だが、グダグダ悩んでいても仕方が無い。
もう知るか、ともらし、上条はドアノブに手を掛けた。
上条「た、ただいま~」ガチャ
神裂「お、おかえりなさい」
覚悟を決めて、玄関を開けると、すぐ目の前には神裂がいた。
というか、朝、見送られたときとほぼ同じ位置にいる。
上条「ええと……」
神裂「その……」
思わず目が泳いでしまう。彼女を直視できない。
てっきり、リビングでくつろいでいるだろうと思っていた上条は、とっさに次の言葉を紡ぎ出せない。
その上、廊下を塞ぐように神裂がいるため部屋に入ることもできない。
結果として、玄関に立ち尽くす形となってしまっていた。
一方の、待ち構えていた神裂に心の準備ができていたか、といえば答えは『NO』だ。
彼女は、ずっと固まっていた訳ではないにしろ、一日のほとんどを玄関をウロウロして過ごしていた。
「どうしよう」だとか、「嫌われなかっただろうか」などといったことが、頭の中をぐるぐる回っていた訳である。
そんな心の準備ができていなかった二人を、しばしの沈黙が包んだ。
- 233 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/20(水) 19:16:18.71 ID:EGe8ZIAa0
【上条side】
―――そうしたまま五分ほど経過した時だろうか。
このままでは埒が明かないので、先に話を切り出すことにした。
上条「今朝のことなんだけど……」
神裂「す、すみませんでした!」
と、今朝のことを訊こうとした瞬間、見事なカウンターを喰らってしまった。
神裂の頭が大きく下がり、彼女のトレードマークであるポニーテールが揺れる。
上条「え?」
神裂「で、できれば、忘れていただけるとありがたいのですが……」
申し訳なさそうに、下を向きながら、口早に言葉を繋ぐ。
上条「それは……」
願ってもない提案ではないか?
そうすれば、頭を悩ませる種もなくなるし、変に意識しなくて済む。
いや、それはもう手遅れか?
神裂「不意打ちのようなマネをしてしまってすみませんでした」
ボソボソと呟くように謝罪の言葉を紡いでいる。
いつもの神裂に比べて、明らかに覇気がない。
ということは、今朝のは弱気からくる一時の気の迷いだったのだろう。
それならば、キスくらいは役得だ。むしろこちらが申し訳なくなるくらいじゃないか。
上条「もういいって―――」
気にするな、と言おうとして、彼女に視線を向けたところで、唐突に思考が停止する。
頭を上げた神裂の顔が真っ赤に染まっていたのだ。
上条「え?」
今までの自分なら、顔が赤いなと思う程度で、その先を考えなかったかもしれない。
―――だが、今日は違った。
- 234 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/20(水) 19:18:30.97 ID:EGe8ZIAa0
小萌先生の言葉が頭をよぎる。
小萌『現に上条ちゃんはキスまでされても、その好意に気づいていないじゃないですか』
そうだ……。 ・ ・ ・ ・
神裂は、あのキスを『なかったことにしてくれ』とは言わなかった。
俺に『忘れてくれ』と言ったのだ。
もちろん、そんなの些細な言い回しの違いかもしれない。
だが、そのあとの言葉はどうだろう?
神裂『不意打ちのようなマネをしてしまってすみませんでした』
これは、不意打ちという行為をしてしまったことへの後悔なのではないだろうか?
上条「なあ、神裂」
神裂「はい……」
恐る恐るといった感じで言葉を待つ神裂。
その顔は未だに赤く染まったままである。
もう、こうなってしまっては、先を訊かずにはいられない。
上条「神裂は……その……俺のこと好きなのか?」
神裂「え?」
訊いた。
驚いた顔をしているが、それも当然だろう。
上条「その……、自意識過剰だったらすまない」
こんな訊き方は落第点なのは分かっている。
しかし、こればかりは訊かないと先に進めそうにない。
なにせ、未だに自分の気持ちもはっきりしていないのだから。
上条「違ったら、笑ってくれ」
軽口のように言ってみるが、我ながら緊張しているのが分かる。
若干、声が上ずっていたかもしれない。
神裂はそんなことにも気づかず、視線を泳がせ、「ええと…」とか「その…」と呟いている。
彼女にも余裕がないのだろう。
神裂「――――ッ」
そのうち、何かを決心したのか、彼女は胸の前で十字架を切ると、顔を真っ赤にしたまま、分かるか分からないか程度にコクリと頷いた。
その不安げな姿は、いつもの彼女からは想像もできないほどかわいらしいものだった。
- 235 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/20(水) 19:19:03.52 ID:EGe8ZIAa0
【神裂side】
上条「神裂は……その……俺のこと好きなのか?」
神裂「え?」
なぜ今日に限って、そんな思考が頭の中をぐるぐる回る。
正直に言えば、彼はあまりにも鈍感で、キスをしても意識してもらえないんじゃないか、とすら思っていた。
万が一の場合も、『忘れてください』と言えば、『なんだ勘違いだったのか』なんていかにも彼の言いそうなことだろう。
上条「その……、自意識過剰だったらすまない」
だが、今日の彼は違った。
茶化している様子もないし、これは本当に私の気持ちに気づいているのかもしれない。
だが、そう思うと怖かった。
この気持ちが拒絶されるかもしれないという恐怖が全身を包む。
上条「違ったら、笑ってくれ」
直感的に気づく。ここが分岐点だ。
進めば、この気持ちに決着がつくだろう。戻れば、引き伸ばし。曖昧に誤魔化して、それで終わり。
たしかに、決着を付けるのは怖い。だが、ここで戻ることはできない気がする。
ここで戻ってしまたら、二度と決着がつくことはない。
なぜなら、そのときは心が折れるから。
ここで諦めた私が再び立ち上がることは、きっとない。
それでは、結局、断られてしまったのと同義だ。
それならば、結局、前に進むしか活路は見えない。
神裂(このド素人が! 私は一体何を悩んでいるのでしょうか)
そう頭で分かっているのに、口が動かない。
先日のスキルアウトに襲われたときよりも今の方がよっぽど怖い。
こんな恐怖を感じたのは生まれてだった。一言をいう勇気すらない。
…………あれ? 『勇気』?
―――今朝、自分は何をした?
神裂(……そうだ。勇気なら分けてもらったじゃないですか)
胸の前で十字架を切ると、ほんの少しだけ頷いた。それが今の自分に残っていた全ての勇気だった。
- 236 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/20(水) 19:20:08.81 ID:EGe8ZIAa0
上条「そうか……」
彼は、ポツリとそれだけ呟く。
それだけなのに、心臓がドクンドクンと早鐘を打っている。
先ほどから、足元ばかり見て、まともに彼の顔を見ることもできない。
上条「神裂」
神裂「―――――ッ!!」
緩やかな口調で名前を呼ばれる。
はっきり言って、それは死刑宣告に近いものがあった。
全身が強張る。
このまま受け入れてもらえるのだろうか?
それとも拒絶されてしまう?
どちらにしろもう以前の関係に戻ることはできない。
私にできることといえば、いい結果に転ぶことを祈ることしかない。
上条「その―――」
そして、彼は変わらない口調でこう続けた。
上条「悪い。神裂」
神裂「え?」
その瞬間、沸騰しかけていた体中の血液が、みるみる凍っていくような錯覚を受けた。
『拒絶された』
それだけで、死んでしまいそうだった。すべての音は消え、世界は歪んでいく。
これで、彼との関係は終わってしまったのだ。
- 237 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/20(水) 19:21:39.45 ID:EGe8ZIAa0
【上条side】
―――だが、上条の答えはそういう意味ではなかった。
神裂の気持ちを訊けば、何か分かるかもしれないと思ったが、結局、何も分からなかった。
『好き』という気持ちは分かる。
自分にとって、それは家族に向けられているものであり、インデックスに対する『好き』はそちらの分類になるだろう。
上条「神裂の気持ちはすごく嬉しい。けど、自分の気持ちが分からないんだよ」
だが、異性に対しての『好き』となると話は変わる。
もちろん、言葉にした気持ちは本心で、ウソ偽りはない。
ただ単に、誰かを好きになったという経験をしたことがないのだ。
―――何しろ、自分は記憶をリセットされているのだから。
記憶を失う前の上条当麻は、普通に恋したり、もしかしたら、誰かと付き合っていたこともあったかもしれない。
少なくとも、それがどういう気持ちかは知っていたと思う。
しかし、今の俺は、そんなことすら分からない。
この神裂に持っている気持ちの正体が分からない。
神裂「自分の気持ちが分からない……ですか?」
上条「ああ。誰かを好きになったことなんてないんだ。だから、神裂に対する気持ちもよく分からない」
素直に告白する。土御門たちに話せば、爆笑間違いなしだろう。
だが、何やら神裂はホッとしている気がする。
神裂「……それならば、仕方ありませんね」
神裂はとくに追求もせず、笑顔を浮かべると、スタスタとリビングへと向かっていった。
この話はここまでにしよう、という彼女の意思表示。
だが、俺はこの中途半端な結末のまま終わる気はなかった。
だから―――
上条「神裂」
その呼びかけに彼女は振り向く。
上条「もう一度キスしよう」
―――そう提案した。
- 238 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/20(水) 19:22:27.17 ID:EGe8ZIAa0
【神裂side】
上条「もう一度キスしよう」
話が終わったと思ったら、そんなことを言われた。
確かに、返事が聞けなかったことは残念だが、それ以上に安堵の気持ちが大きかった。
しかし、そんな気持ちも今の一言で消し飛んだ。
神裂「…………はい?」
何を言われたか、耳には届いているが、頭で理解できない。
キス?
誰と?
誰が?
上条「そうすれば、俺の気持ちが分かる気がするんだ」
理解の追いついていない頭に、さらに追撃をかけられる。
……マズイ。
冷静にならなければ。
神裂「……………………」
上条「神裂?」
…………よし。言葉の意味は理解できた。
つまり、彼は、自分の気持ちが分からないから、キスしようということを提案してきたのだ。
なるほど、なるほど。
神裂「ええっ!?」
もちろん、キスをしたくない訳ではない。
今朝、唇が重なった瞬間は心臓が飛び出るかと思ったし、あの後、2時間はドキドキが止まらなかった。
さきほど当麻と顔をあわせたときは、全身から火が出るかとも思った。
……それをもう一度?
そんなの耐えられるだろうか?
- 239 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/20(水) 19:23:20.93 ID:EGe8ZIAa0
【上条side】
上条「このままで終わりたくないんだ」
もちろん、俺だって緊張していない訳じゃない。
しかし、このままでは一方的に気持ちを伝えられただけで、返事もできなかったヘタレになってしまう。
しかも、その原因が『自分の気持ちが分からなかったから』などという小学生でも見ないような理由で、である。
自分だけの現実(パーソナルリアリティ)を確立すれば、きっとこんな気持ちも分かるのだろうが、あいにくと、私、上条当麻はレベル0。
残念ながら、自分だけの現実なんでものは確立できていない。
神裂「その……」
神裂は玄関にいたときよりも目が泳いでいる。
そんな姿を見ているだけで、体中を熱い血液が巡る。
こんな感覚は初めてかもしれない。
上条「神裂はこのままでもいいのか?」
顔を真っ赤にした神裂に問う。
こんな風にしている彼女を見るのは好きかもしれない。
これが恋愛感情? 良くわからない。
神裂「え、ええと……」
その問いにしばし葛藤していたようだが、気持ちが決まったのだろう。
神裂「よ、よろしくお願いします」
彼女は消え入りそうな声で、そう答えてくれた。
- 240 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/20(水) 19:25:21.11 ID:EGe8ZIAa0
【神裂side】
神裂「そ、それでは……」
もう、決心はついた。
だが、自分からする度胸はもうない。
だから、リビングのクッションの上に正座し、目を閉じた。
こうしていれば、言い出した手前、彼からしてこなければいけないことになる。
上条「お、おう……」
しかし、目をつぶっていても、彼がどの程度の距離にいるのかが分かる。いや、分かってしまう。
これは、普段の訓練のたまものだろう。
戦闘時には重宝するが、今はそんなものはない方がいい。明確に彼を感じてしまう。
それに見えない方が怖い。彼がどんな顔をしているのかも分からない。
神裂(ううう……)
目をつぶったことで、自分がどれほど緊張しているのかも分かってしまった。
それはもうガチガチである。
天使と相対したときでさえここまで緊張はしなかった。
上条「行くぞ……?」
神裂「は、はい!」
その言葉を引き金に、さらに体が強張る。
彼の近寄ってくる感覚。
距離はもうほとんどない。
見えていないだけで、目の前にいるのが分かってしまう。
あと、10cm……。5cm……。
神裂(と、当麻……)
そして、2人は近づいていき、それぞれの心臓の音をBGMに距離が0になった。
- 241 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/20(水) 19:27:37.43 ID:EGe8ZIAa0
【上条side】
どのくらいそうしていただろうか?
10秒くらいかもしれないし、1時間かもしれない。
時間の感覚は吹き飛んでいた。
上条「………………」
神裂「ど、どうですか?」
触れた唇をゆっくりと離すと、神裂が不安げな顔で尋ねてくる。
……どうだっただろう?
今ので何が分かったのだろうか?
上条「そうだな……」
すごく柔らかかった。
すごく温かかった。
すごくやさしかった。
すごく心地よかった。
そして、すごくドキドキした。
上条「その……」
相変わらず、自分の気持ちなんて分からない。
けれど、これからもこういう時間を神裂と過ごしたい、そう感じた。
つまりは、そういうことじゃないか?
上条「これからも『勇気』が足りなくなったら言ってくれ」
顔を逸らしながら、照れ隠しにそう言った。
彼女は一瞬、ポカンとした顔をしたが、俺の言いたいことを理解したのだろう。
神裂「はい」
という肯定の言葉とともに今までで一番の笑顔を向けてくれた。
- 265 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/25(月) 18:41:01.88 ID:u5WmYXiU0
上条(と、いい感じになったのは良かったんですが……)
神裂「…………………」モジモジ
上条(気まずい……)
神裂「…………………」チラチラ
上条(さっきまでとは違った空気の重圧があるというかなんというか……)
神裂「…………………」
上条(どうすればいいんだ? コレ?)
神裂「あ、あの!」
上条「な、なんでしょうか!?」ビクッ
神裂「その……」ボソボソ
上条「なんだよ? 言いたいことがあれば言っていいぞ」
神裂「え、ええと……ゆ……」
上条「ゆ?」
神裂「夕食にしませんか?」
上条「え?」
神裂「ええと、ほら! もう8時ですし!」
上条「ええっ!?」
上条(ウソだろ? 帰ってきたの5時くらいだから、もう3時間もこうしてたって言うのか!?)
- 266 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/25(月) 18:41:28.92 ID:u5WmYXiU0
上条「もうこんな時間だったのか」
神裂「そのようですね」
上条「そのようですね、って神裂が夕食にしようっていったんじゃないか」
神裂「え? あ。そうでした」
上条「? なんだそれ」
神裂「まだ少し緊張しているのかもしれません」
上条「まあ確かに、俺も硬くなってた気がする」
神裂「そうですか? そうは見えませんでしたが」
上条「そ、そんな訳ないだろ! こんなに緊張したの初めてだよ」///
神裂「うっ…。私もです……」///
上条(きっと俺も、神裂くらい顔赤くしてるんだろうな)
神裂「しかし……」
上条「ん?」
神裂「なぜ、今日に限って、その……気持ちに気が付いてくれたんですか?」
上条「いや、まあそれは……」
上条(小萌先生にアドバイスもらったからなんだけど)
上条「ええと……。さ、さすがに、あそこまでされれば、誰でも気づくだろ!」
神裂「ぁぅ……」///
上条(しかし、良く考えてみれば、『キス』じゃなくても良かったよな。俺も神裂もテンパっててそれに気づかなかったけどさ)
神裂「で、では、夕食の準備をしますね」
上条「ああ、頼む」
- 268 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/25(月) 18:42:09.48 ID:u5WmYXiU0
夕食中
上条「相変わらず美味いな」
神裂「ありがとうございます」
上条(段々緊張が解けてきたぞ)
神裂「それで……その……」
上条「さっきからどうしたんだよ? 言いたいことがあれば、遠慮なくいってくれ」
神裂「あの子や土御門になんと説明すればいいものかと思いまして」
上条「あ、そうか……」
神裂「どうかしましたか?」
上条「ええと、その……俺たちって『恋人』ってことになるのか?」
神裂「え!? いや、その……」/// モゴモゴ
上条「ほら、少し曖昧になってる気がするからさ」
神裂「こ、恋人でいいのではないでしょうか?」/// モジモジ
上条「うっ……」///
上条(そんな反応されると、こっちまで恥ずかしくなってしまいますよ!)
上条「そ、そうなると、最初に土御門対策が必要だよな」
神裂「まずは土御門からですか」
上条「ああ」
上条(というか今、この状況を見てたりしないよな?)※見てます
- 269 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/25(月) 18:42:41.76 ID:u5WmYXiU0
神裂「対策といっても、あの男に話すか、話さないかくらいではないですか?」
上条「土御門だから、話したら爆発的に広がっちまうだろ」
神裂「……そうですね。あの男が知った次の日には、世界中に知られている可能性すらありそうです」
上条「となると、基本方針は知られないようにするってことで」
神裂「知られた場合はどうしますか?」
上条「その場合は、いっそ開き直るっていうのはどうだ?」
神裂「開き直る……ですか?」
上条「別にやましい事してる訳じゃないし、絶対に秘密ってほどのことでもないだろ」
神裂「そ、それもそうですね」///
上条「でも、秘密にできるなら秘密にしておこうぜ。色々とからかわれそうだし」
神裂「分かりました」
上条「……あとは、インデックスか」
神裂「あの子に秘密にしておくのは、少し気が引けますが……」
上条「あいつは、腹いっぱい食べさせとけば問題ないような気もするけど」
神裂(そうでしょうか?)
神裂「そういえば、何か手がかりは掴めたのでしょうか?」
上条「連絡がないってことはまだなんじゃないか?」
神裂「そ、そうですよね」ホッ
上条「ん? なんでホッとしてるんだよ」
神裂「あの子には悪いですが、もうしばらくはこのままでもいいかもしれないと思いまして」///
上条「そ、そういう訳にもいかないだろ」///
上条(急にそんなこと言うのは反則だ……)
- 270 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/25(月) 18:43:13.03 ID:u5WmYXiU0
上条「話し合うのはこれくらいか?」
神裂「そうですね。差し当たっては」
上条「何にしろ、これからもよろしく頼むな、神裂」
神裂「こ、こちらこそよろしくお願いします」
上条(ところで、俺は神裂に釣り合ってるのだろうか? ……考えないようにしよう。悲しくなってくるから)
~~~
神裂「ごちそうさまでした」
上条「ごちそうさん」
神裂「それでは、後片付けをしてしまいますので、お先にお風呂に入ってください」
上条「たまには俺がやるから、先に入っとけよ」
神裂「え?」
上条「後片付けは俺がやっておくって」
神裂「いや、しかし……」
上条「何から何まで頼ってたら、勘が鈍るだろ? たまには、俺も家事もこなさないと」
神裂「そうでしょうか?」
上条「ああ。サボり癖がついても仕方ないしな」
神裂「そうですか。では、お言葉に甘えさせていただきますね」ニコ
上条「おう」
- 271 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/25(月) 18:43:39.45 ID:u5WmYXiU0
- ~~~
上条(とここまではよかったんだけど……)
上条「また緊張してきた」ソワソワ
上条(なんだかこの状況はマズイ気がする。なんていうの? 初めて彼女が泊まりに来たみたいな感覚?)
上条「くそ……。昨日まではそこまで意識してなかったのに……」
上条(いや、意識してなかったんじゃなくて、意識しないようにしてただけなんですけどね!)
上条「あくまで、俺に気がないと思ってたから、意識しないようにしてただけだしな」
上条(好きあってるってことは、手を出しても合法?)
上条「な、何を考えているんだ!」ブンブン
上条(でも、年頃の男女が一つ屋根の下ですることといえば……)
上条「いやいや、落ち着け……。落ち着くんだ……」
神裂「上がりました。お次どうぞ」
上条「!!」ビクッ
神裂「どうかしましたか?」
上条「い、いや!? なんでもないですよ!?」
上条(湯上りの神裂さんなんか妙に色っぽいんですけど!?)
神裂「?」
上条「は、入ってくる」
神裂「あ、はい。ごゆっくりどうぞ」
- 272 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/25(月) 18:44:06.94 ID:u5WmYXiU0
- ~~~
上条「ふぅ……。落ち着いたぞ……」
神裂「ずいぶん長湯でしたね」
上条「ああ。ちょっと精神鍛錬をしてたからな」
神裂「精神鍛錬ですか?」
上条「気にしないでくれ」
神裂「はぁ、そうですか」
上条「それで、神裂は何しようとしてるんだ?」
神裂「これですか? 髪をすこうかと思いまして」
上条「神裂は髪長いから手入れとか大変そうだよな」
神裂「いえ、髪を軽くすくくらいで、大して手入れはしていませんよ」
上条「マジですか……」
神裂「よければ、やってみますか?」クスッ
上条「え?」
神裂「当麻が触りたそうに見ていましたので」
上条「ええと……、うん。じゃあ遠慮なく」
神裂「では、お願いしますね」
上条「お、おう」
- 273 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/25(月) 18:45:13.22 ID:u5WmYXiU0
上条(やばい。すごいサラサラだ……)
神裂「誰かにすいてもらうというのもいいものですね」
上条「そ、そうか? それならよかった」
上条(それになんかいい匂いするし! ここ数日は同じシャンプー使ってるはずなのになんで!?)
神裂「? どうかしましたか?」
上条「手入れしてないって割には、すごく手触りがいいなと思ってさ」
神裂「そうでしょうか? あまり気にしたことはありませんが」
上条「むしろ、手入れしてなくてこのレベル? って聞きたくなるよ」
神裂「はは、ありがとうございます」
上条「サラサラで気持ちいいな」
神裂「私も気持ちいいです」
上条「何が?」
神裂「あ、そ、その……当麻に梳かしてもらえてです……」///
上条(ぐわーっ!? ナニコレ、かわいい!)
上条「そ、そりゃ良かった。気に入ったなら、またやってやるよ」
神裂「はい。よろしくお願いします」
- 274 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/25(月) 18:45:42.24 ID:u5WmYXiU0
- ~~~
上条「よし。そろそろ寝るか」
上条(今日は時間の進み方がおかしい。もう12時かよ)
神裂「そ、そうですね」
上条「じゃあ、上条さんは風呂場で……」
神裂「え?」
上条「いやいや、さすがにこういう関係になったら一緒に寝るのはマズイんじゃない?」
上条(主に上条さんの理性がですけども!)
神裂「い、いえ……。できれば、今まで通りの方が私はうれしいのですが……」
上条「うっ……」
神裂「ダメでしょうか?」
上条「はぁ……。そんな顔されたらダメなんて言えないだろ……」
神裂「あ、ありがとうございます」
上条「その代わり、一緒に寝るのはなしだからな」
神裂「あぅ……」///
上条(そうしたかったのか!? そんな拷問に耐え切れるほど上条さんはできた人間ではありませんことよ?)
神裂「では手を……」
上条「ん。まあ、それくらいなら」ギュッ
神裂「あ、いえ、こうではなくて……」
上条「え?」
神裂「せ、せっかくですから」ギュッ
上条(こ、これは『恋人つなぎ』!?)
- 275 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/25(月) 18:46:11.26 ID:u5WmYXiU0
上条「か、神裂さん?」
神裂「は、はい」
上条「これは、その……」
神裂「嫌でしたか?」
上条「そ、そんなことない! そんなことないけどさ!」///
上条(こんな手の繋ぎ方したまま寝られるだろうか?)
神裂「ふふっ。これだと、当麻がすごくドキドキしてるのが伝わってきますよ」///
上条「神裂も人のこと言えないだろ」
神裂「はい。今、すごく幸せですから」ニコ
上条(ぬぁぁぁっ!? ズキューンと来たァ!? くっ、このままやられっぱなしで終わってたまるか!)
上条「そ、それじゃ寝るか」
神裂「あ、はい」
上条「オヤスミ、神裂」チュッ
神裂「えっ!?」
上条「はは……。照れるもんだな」///
神裂「///」
上条「で、電気切るぞ」
神裂「ぁ、はい。お休みなさい、当麻」
上条「ああ、オヤスミ」
- 292 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/26(火) 12:39:47.25 ID:AJuwOR9/0
共同生活7日目 朝
―――
上条「ふぁ……」
神裂「眠そうですね」
上条「寝れる訳ないって……」ボソ
神裂「はい?」
上条「いや、なんでも……」
上条(繋いでる手が汗ばんでたり、いい匂いがしたり、かすかに吐息が聞こえたりしてもうダメになりそうでしたよ……)
神裂「大丈夫ですか? 顔色も悪いようですけど」
上条「ああ。体の方は大丈夫だ」
神裂「それならいいのですが」
上条(むしろキツイのは精神だよ。今日もこんな天国での苦行をしなくちゃいけないのか)
上条「おっと、そろそろ行かないと」
神裂「そうですね。お気をつけて」
上条「あれ?」
神裂「どうかしましたか?」
上条「いや、今日は『勇気』は足りてるのかと思ってさ」/// ポリポリ
神裂「うぅっ!? その……それは……」///
上条「昨日の夜、補給したしな。大丈夫ならいいんだ。じゃ、行ってきます」
神裂「ま、待ってください!」
上条「ん?」
神裂「あれくらいで足りるわけないじゃないですか……」
- 293 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/26(火) 12:40:19.31 ID:AJuwOR9/0
―学校―
上条「♪~」
青ピ「あれ? 今日はカミやん随分とご機嫌やね」
土御門「そうみたいだにゃー」プププ
青ピ「何や? 原因しってるんかいな?」
土御門「いやいや、俺は何も知らないぜい?」
上条「なんだよ。2人してコソコソと」
土御門「いや~、今日のカミやんは上機嫌だからにゃ~」
青ピ「昨日とは打って変わって何があったん?」
上条「え? いや、それは……」
土御門「ねーちんと何か進展があったのかにゃー?」ククク
上条「え!?」ギクッ
上条(土御門のやつ全部知ってるとかじゃねえよな?)
青ピ「オイオイ。その反応はどういうことや? まさか抜け駆けとかしてへんよな?」
上条「ま、まさか~」
姫神「怪しい」
上条「うわっ!? 姫神いたのか!?」
姫神「うん。ずっと」
土御門「きっと昨晩はよろしくやってたに違いないぜい」
青ピ「カミやん、貴様……」
上条「だーっ!! 土御門は余計なこと吹き込むな!」
姫神「よろしくやってた?」
- 294 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/26(火) 12:40:59.39 ID:AJuwOR9/0
吹寄「また、貴様たちは何を騒いでる!」
上条「ふ、吹寄か」
土御門「またカミやんが女の子に手を出したって話だにゃー」
上条「オイ、土御門。『また』ってどういうことだ!」
吹寄「上条……。貴様、また?」
上条「吹寄まで!?」
青ピ「また……やね」
姫神「うん。また。これで何人目?」
上条「人聞き悪いこと言うな! 何人目もなにも、まだ1人目だよ!」
吹寄・姫神「え?」
青ピ「へえ~、カミやん。『1人目』ってことは、その『ねーちん』には手を出したんやね?」
上条「はっ!? し、しまった!?」
土御門「墓穴掘ってるにゃー」
吹寄「上条……。貴様……」
青ピ「裏切り者には―――」
クラス男子「「「「死の鉄槌を」」」」
上条「く、くそーっ!! またこの展開かーっ!!」
小萌「皆さ~ん。ホームルームの時間……ってなんですか、この騒ぎは!」
青ピ「チッ! 命拾いしたな、カミやん」
上条(た、助かった……)
- 295 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/26(火) 12:41:43.62 ID:AJuwOR9/0
放課後 帰宅中
上条「ひ、酷い目に遭った……」
土御門「抜け駆けしたんだから、自業自得ですたい」
上条(それに、秘密にするとか言ってて即バレ……)
上条「神裂になんて説明すればいいかな」
土御門「しかし、まさかねーちんがカミやんを落とすとは思わなかったぜい」
上条「神裂が俺を? 逆じゃねーのか?」
土御門「だからカミやんは鈍感って言われるんだぜい?」
上条「鈍感かな?」
土御門「前々から、興味は持たれてたんだぞ? それに気づいてないんだから鈍感だろうよ」
上条「小萌先生に相談したときにも似たようなこと言われたよ」
土御門(なるほど。昨日、カミやんが妙に鋭かったのはそのせいか)
上条「それで、インデックスの方は何かわかったのか?」
土御門「あ」
上条「なんだよ? 何か不吉な予感がするのですが……」
土御門「いやいや、なんでもないぜい?」ニヤニヤ
上条「お前がそうやって笑うときには、大抵悪いことが起きるんだけどな」
土御門「相変わらず進展なし。カミやんにとっても、ねーちんにとってもしばらくはその方がいいんじゃないかにゃー?」
上条「ううっ!?」
土御門「おー、熱い、熱い。今日は部屋にいるから、何かあれば呼んでくれよ」
上条「だれが呼ぶか!」
- 296 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/26(火) 12:42:25.47 ID:AJuwOR9/0
―上条の部屋―
上条「ただいまー」
神裂「おかえりなさい」
上条「何してるんだ?」
神裂「ここのところ家事ができませんでしたからね。掃除やら洗濯を一気に片付けていました」
上条「それにしちゃ時間かけすぎじゃないか? もう朝からだいぶ経つけど」
神裂「そ、そうですね。少しのんびりしすぎたかもしれません」
神裂(午前中いっぱいボーっとしてたとはいえません……)
神裂「それより、学校の方はお変わりありませんでしたか?」
上条「あ、それなんだけどさ」
神裂「はい?」
上条「すまん! 土御門に早速バレた」
神裂「ハハハ……。仕方ありませんね。あの男は鼻だけは利きますから」
上条「怒らないのか?」
神裂「昨日、あなたがいったではないですか。『やましいことをしている訳ではない』と」
上条「そ、そうだよな」ホッ
神裂「でも……」
上条「ん?」
神裂「昨日の今日でバレるにはちょっと早すぎると思います」
上条「ですよねー」
- 297 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/26(火) 12:42:51.53 ID:AJuwOR9/0
神裂「それでは、どうしましょうか?」
上条「あ、家事がまだあるなら手伝うぞ」
神裂「いえ、ちょうど終わったところなんですよ」
上条「そうなると……夕飯にはまだ早いし……」
神裂「ちょっとした時間ができてしまいましたね」
上条「そうなるな」
神裂「…………………」
上条「…………………」
上条(な、なんか空気が……)
神裂「そ、それではお茶でも淹れましょうか」
上条「そうだな! うん、それがいい」
神裂「すぐ用意しますので、そちらでお待ちください」
上条「分かった」
上条(あ、危なかった! 神裂の機転がなかったら、変な方向に行きそうだったぞ!)
- 298 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/26(火) 12:44:10.16 ID:AJuwOR9/0
- ~~~
神裂「お待たせしました」
上条「悪いな」
神裂「いえいえ」
上条「やっぱり、神裂は緑茶が好きなのか?」ズズズ
神裂「そうですねえ。緑茶ももちろん好きですが、紅茶も好きですよ」
上条「ああ、そうだよな。職場が本場だしな」
神裂「ええ。今度はそちらを用意しましょうか?」
上条「紅茶の違いが分かるほど上条さんの舌が利口とも思えませんけど」
神裂「こちらのものとは大違いですよ。別物といってもいいかもしれません」
上条「そういえば、ステイルがそれについてブツブツ言ってたことがあったかもしれない」
神裂「でしょう?」
上条(なんかこういうゆったりとした空気はいいな。癒される……)
神裂「あ、そうだ。お茶菓子があるんでした」
上条(インデックスといると備え置きのお茶菓子があるってのは信じられないよな……)
上条「俺の方が近いし、神裂は座っててくれ」
神裂「どこにあるか分かります?」
上条「戸棚の奥じゃないのか?」
神裂「あ、はい。では、お願いします」
上条「神裂もだいぶこの家に慣れてきたな。もう俺より詳しいんじゃないか?」
神裂「ふふっ。そうかもしれませんね」
- 299 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/26(火) 12:45:13.64 ID:AJuwOR9/0
上条「え~と……。ん? せんべいか、渋いな……」ゴソゴソ
神裂「緑茶には、餡子系が好みなのですが、そちらの方が日持ちしますからね」
上条「しかも、鉄缶のやつって……。いつの間に買ったんだか」ヒョイ
神裂「お手数をかけます」
上条「なにこのくらい」
神裂「足元気をつけてくださいね」
上条「言われなくとも……。うぉっ!?」グラ
神裂「危ない!」サッ
ゴガァァァン!! ←せんべいの鉄缶が落ちる音
上条「あいたたた……」
神裂「だ、大丈夫ですか?」
上条「……っあれ?」
上条(な、なんか押し倒したみたいな体勢に!? 前にもこんなことあったよな!?)
神裂「ええと、その……」
上条「ああ、大丈夫! 怪我とかはしてないぞ! 神裂は大丈夫か?」
神裂「い、いえ、それよりも……」
上条「ん? あ! す、すまん! すぐ退くから!」
神裂「あ……」
上条「え?」
神裂「あの……もう少しこのままでも……」///
上条(うっ!? か、かわいいぞ!)///
- 300 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/26(火) 12:45:47.25 ID:AJuwOR9/0
上条「えっと……」
上条(こういうときはどうすればいいんだ!? だ、誰か助けてくれ!)
神裂「///」
上条(だ、抱きしめたりすればいいのか? そ、それともキスとか?)
神裂「と、当麻……」
上条(ぬぉぉぉっ!? そんな切なげな声を出さないでください!)
神裂「その……ギュッとしてくれますか?」///
上条(も、もうダメかもしれない)
上条「よ、喜んで」///
神裂「ありがとうございます」///
上条(だ、抱きしめるってことはあのデカイ胸を受け止めるってことだよな? 正気を保てるだろうか?)
上条「そ、それでは失礼して……」
ガチャッ
インデックス「ただいまー」
五和「お、お邪魔します!」
上条・神裂「え?」
- 317 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/28(木) 18:07:36.62 ID:9mxLIa/b0
イン「あれ? とうま、そんなところで何を―――」
上条「イ、インデックス?」
五和「か、上条さんの下にいるのは……女の人ですか?」
神裂「その声は五和!?」
五和「女教皇様!?」
上条(この状況は非常にマズイ。なんと説明すれば……)
イン「……………かおりと何してるのかな、とうま」
上条「え、えーっとですね」アセアセ
神裂「こ、これは……」
イン「分かってるんだよ。また、いつものなんだよね?」ニコリ
上条「『また』っていうところにツッコミたいが、理解してくれたならそれで……」
イン「理解するのと、納得するのは違うんだよ!!」グワ
上条「や、やめろ! 噛み付くのは―――」
イン「問答無用!!」ガブリ
上条「ぎゃああああああああっ!!」
- 318 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/28(木) 18:09:05.22 ID:9mxLIa/b0
五和「な、なぜ女教皇様がここにいらっしゃるんですか?」
神裂「あなたこそ、なぜこの子と?」
上条「そ、そうだよ! なんでインデックスがここにいるんだ!?」
イン「帰ってきただけで、その言い方は酷いかも!」
上条「ってことは、何か手がかりが掴めたのか?」
イン「手がかり……? なんのこと?」
上条「神裂が正体不明の術式を受けたから、その調査に行ったんだろ?」
五和「正体不明の術式……ですか?」
神裂「ええ。聖人としての力が失われてしまって」
五和「ええっ!?」
神裂「あ、あの……それで、あなたは今までどちらに?」
イン「イギリスを旅行してきたんだよ」
上条「りょ、旅行!?」
五和「私は帰路の護衛として同行しました」
上条(なんだか話が良く分からなくなってきた)
神裂「も、もしや……」
イン「もとはるがとうまに説明するって言ってたんだけど」
上条「つ、土御門ォォォォォォ!!!」
- 319 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/28(木) 18:09:52.40 ID:9mxLIa/b0
土御門「呼んだかにゃー?」ガチャ
上条「お、お前なぁ……」ピクピク
神裂「こ、これは一体どういう……」
土御門「今から説明してやるぜい」
上条「納得のいく説明をしてもらえるんだろうな?」
土御門「そう怒るなよ、カミやん。いままでのぜーんぶウソってだけの話なんだから」
神裂「う、嘘?」
上条「ウソって何が?」
土御門「ねーちんが聖人の力を失ったこととか、魔術師に狙われてるってことかかにゃー」
上条・神裂「え?」
土御門「別にねーちんは聖人としての力を失ってないし、魔術師にも狙われてないんだぜい」
神裂「し、しかし、実際に……」
イン「かおりはすぐに力は取り戻せるんだよ」
上条「インデックスはこの術式を知ってるのか!?」
イン「うん。だって、調整したのは私なんだもん」
神裂「ええっ!?」
イン「こんな風にするとは聞いてなかったんだけどね」ジロ
土御門「にゃはははー」
五和「ど、どういうことですか?」
上条「いや、俺にもわからん」
- 320 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/28(木) 18:10:47.67 ID:9mxLIa/b0
土御門「分かりやすいように、順を追って説明してやるにゃー」
五和「あ、はい」
土御門「まず、禁書目録と共同して、天草式の『聖人崩し』を改良したのが、まず最初」
上条「聖人崩し?」
五和「ええと、簡単に言えば、聖人の特徴を失わせる術式ですね」
上条(偶像の理論とかいうのを乱すって言ってたやつか)
神裂「い、いつの間にそんなものを……」
五和「女教皇様がいなくなってから、色々と研究したんです」ハハハ
イン「改良したのは、持続時間の延長と、発動のタイミングの遅延の2つ。代わりに事前の準備にすごく時間がかかるようになっちゃったけど」
神裂「そ、それでは―――」
土御門「そう。ねーちんが喰らったのは、ただの起動術式だったんだぜい」
上条「うん、分からん」
土御門「要するに、リモコン爆弾をセットしておいて、後からスイッチを入れたってことだにゃー」
上条「リモコン爆弾って……。敵が長い間近くにいたのに、気が付かなかったのか?」
神裂「いえ、その術式を放ったのは、敵ではなく……」
五和「教皇代理……ですか?」
土御門「ピンポーン。大正解だにゃー!」
上条「た、建宮!?」
土御門「天草式が散り散りになってるって、ねーちんに話したのも、建宮斎字ですたい」
神裂「お、おのれ、建宮斎字……」
- 321 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/28(木) 18:12:19.96 ID:9mxLIa/b0
土御門「そこまで下準備ができたら、そこからは俺の出番だったんだぜい」
五和「どういう意味ですか?」
土御門「ここから先はちょっと回想で説明するにゃー」
――――
一日目 上条が帰宅する前
イン「うーん。ヒマかもー」
土御門「ちーっす。お邪魔するぜい」ガチャ
イン「はーい。あれ? もとはる? とうまならまだ帰ってきてないよ?」
土御門「今日はカミやんに用事じゃないぜい」
イン「ってことは私?」
土御門「そうだ。もうすぐねーちんが来るから、例の術式が成功したかどうか見て欲しいんだにゃー」
イン「例のって、『聖人崩し』のことかな?」
土御門「ああ。力が出せないみたいだから多分成功してるとは思うがな」
イン「分かったんだよ」
土御門「そしたら、報酬のイギリス旅行を楽しんでくるといいにゃー」
イン「とうまは行かないの?」
土御門「カミやんは補習があるからな。説明しておくから、楽しんでくるといいぜい」
イン「うん! それで、誰が連れて行ってくれるのかな?」
土御門「ねーちんにステイルが同行してくる。ステイルと同行してもらうぜい。ただ……」チラ
イン「ん?」
土御門「時間が思ったより遅れている。確認したらすぐ出発になっちまうだろうにゃー」
イン「分かったんだよ」
- 322 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/28(木) 18:13:08.89 ID:9mxLIa/b0
- ~~~~
イン「まだかなー」
<ぴんぽーん
土御門「きたきた。はいはーいっと」ガチャ
神裂「あ、土御門ですか。あの子は―――」
土御門「奥にいるぜい。説明はしてあるから、見てもらうといい」
神裂「分かりました」
ステイル「やあ、土御門。僕はどうすればいいかな」
土御門「確認が終わったら、インデックスを連れてイギリスに引き返してもらうことになる」
ステイル「了解した」
神裂(やはり、この場での解決は厳しいですか……)
土御門「嬉しそうだにゃー」
ステイル「そ、そんなことはないよ?」
神裂「こちらはそれどころではないというのに……」
イン「いらっしゃい、かおり、ステイル」
ステイル「お邪魔してるよ。もっとも、僕はすぐ引き返すけどね」
神裂「お邪魔しています。それで、どうでしょうか?」
イン「…………うん。身体の構造が歪められてるんだよ。これじゃ偶像崇拝の恩恵は受けられないかも」
土御門「やっぱりかにゃー」
イン「魔術の痕跡も残ってないし、完璧なんだよ」
神裂「そ、そうですか……」
- 323 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/28(木) 18:14:41.60 ID:9mxLIa/b0
ステイル「それじゃ、時間もないし行こうか」
イン「うん! じゃあ、またね。かおり」
神裂「え? あ、はい」
土御門「ステイル、しっかり頼むにゃー」
ステイル「言われなくても大丈夫さ」バタン
神裂「あの……彼らは一体どこへ?」
土御門「あれ~? ステイルのやつはねーちんに説明してなかったのか?」
神裂「説明ですか?」
土御門「この場で解決できる可能性が低いのは分かってただろ? 元々、現場に行って情報を収集する予定だったんですたい」
神裂「ああ、それで……」
土御門「まったく。ねーちんがぼやぼやしてるから、こんな面倒くさいことになったんだにゃー」
神裂「面目ない……」
土御門「それじゃ、準備を……」カチャカチャ
神裂「それで、あなたは何をしてるんですか?」
土御門「これか? 部屋に結界を張ってるんですたい」
神裂「結界ですか?」
土御門「カミやんの右手も厳しいだろうからな。そうなったら、ねーちんにはしばらくここに匿ってもらうことになる」
神裂「ええっ!?」
土御門「この結界は、防音の効果がある。部屋自体を儀式場化するから魔力もいらない」
神裂「そ、それより匿ってもらうというのは―――」
―――
土御門「ってことが、カミやんの来る前にあったんですたい」
上条「」
- 324 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/28(木) 18:16:05.47 ID:9mxLIa/b0
上条「それにしちゃ、随分危ないイタズラだな」
土御門「危険なんて全然なかったぜい?」
上条「何言ってるんだよ! 神裂がスキルアウトに襲われたじゃねえか!」
五和「そ、そうなんですか?」
神裂「はい。そこを当麻に助けていただいて……」
イン「とうまは相変わらずかも」
五和(上条さんと下の名前で呼ぶ関係に!?)
土御門「あー、あれも余興だぜい」
上条「は?」
土御門「実は、あいつらは俺の所属してるグループのパシリだったんだにゃー」
神裂「なんっ!?」
土御門「名演技だったから、バイト代も弾んでやんだんだぜい」
上条「つ、土御門……」
五和「も、もしかして、女教皇様はここで寝泊りを?」
神裂「そ、そうです」
土御門「おかげで、カミやんといい関係になれたんだよにゃー?」ニヤニヤ
神裂「ううっ……」///
五和「」
イン「とうま?」ギロ
上条「な、なんでこっち睨むんだよ!? 手は出してないぞ!」
- 325 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/28(木) 18:17:08.93 ID:9mxLIa/b0
土御門「いやー、禁書目録が今日帰ってくるのすっかり忘れてたぜい」
上条「オイ……」
土御門「もうちょっと楽しめそうだったのににゃー」
上条「しかし、結界なんて張ってたのか」
イン「この結界なら、外からの音も内からの音も完全に遮断されるね。でも……」
神裂「でも、なんでしょうか?」
イン「良く分からない部分があるんだよ。天井の4隅に違和感があるかも」
上条「4隅って……。オイ、土御門」
土御門「なんだ、カミやん」
上条「良く見るとカメラ見たいのがあるんですが」
五和「か、カメラ!?」
土御門「良く気づいたにゃー。背景に同化するメタルギア的な試作機なんだぜい?」
上条「な、なんでそんなもんが!!」
土御門「学園都市は監視カメラが多いからにゃー。景観を壊さないように導入しようと―――」
上条「そういう意味じゃねえ!! なんで家に監視カメラなんて仕込んでるんだよ!!」
土御門「そんなの決まってるじゃないか」
神裂「お聞きしましょう」プルプル
土御門「面白そうだったから」
上条「土御門、テメェェェ!!」
- 326 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/28(木) 18:17:37.12 ID:9mxLIa/b0
土御門「だから、カミやんとねーちんがイチャイチャしてたのも知ってるんだぜい」
イン・五和「!?」
上条「お、落ち着け、インデックス!」
イン「覚悟はいいかな、とうま?」
上条「できてないから!」
イン「カミクダク!!」ゴシャァ
上条「ぎゃあああああああああっ!! 2回目ェェェ!?」ゴロゴロ
五和「教皇代理まで加担してたんですね……」ブツブツ
土御門「さっき、五和が来てると知ってもの凄い勢いで逃げたぜい」
五和「!! へえ、学園都市に来てたんですか……」ユラ
神裂「い、五和?」
五和「少し用事を思い出しましたので、行ってきますね」
神裂「あ、はい」
土御門(この子も意外に怖いにゃー)
五和「フフフ。逃げ切れると思ってるんでしょうかね」バタン
- 327 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/28(木) 18:18:23.71 ID:9mxLIa/b0
神裂「そ、それで、力を取り戻すにはどうすればいいんですか!」
土御門「はっはっは。そう簡単に教えると思って―――」
イン「魔術を使うか、術士、つまりさいじが解呪すればすぐなんだよ」
神裂「なるほど。これで土御門と建宮斎字にオシオキができますね」
土御門「ちょ、ちょっと待て、ねーちん!」
神裂「遺言をお聞きしましょう」
土御門「まだ、聖人の力を解放するべきじゃない」
上条「それはどういうことだ?」
神裂「時間稼ぎのつもりでしたら、お生憎ですが……」
土御門「今回のドッキリは、ねーちんの休暇ってことで最大主教から許可をもらってる」
神裂「勝手に人の休暇を……」
上条「それが何か関係あるのか?」
土御門「ああ。ねーちんに聖人の力が戻ったら休暇は終了だ」
神裂「え?」
土御門「それまではこの学園都市で過ごせる」
イン「効果の持続時間は10日前後だから、魔術を使わなければ、あと2~3日は普通の人なんだよ」
神裂「2~3日……」
土御門「その間はカミやんとイチャイチャできるにゃー」
神裂「つ、土御門!!」///
- 328 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/28(木) 18:19:46.59 ID:9mxLIa/b0
土御門「それで、ねーちんはどうするかにゃー?」
上条「神裂……」
土御門「選択肢は2つ。1つは、力を取り戻してイギリスに戻る。2つ目は、そのまま2~3日休暇を続ける」
神裂「そんなの決まってます!」
土御門「ま、そうだろうにゃー」
神裂「ううっ……」///
イン「私はどうすればいいかな?」
土御門「禁書目録は、2~3日の間、五和と過ごしてもらうことになる」
イン「はぁ……。まあ、そうだと思ったんだよ」
上条「あ、あれ? 意外に素直に言うこと聞くんだな」
土御門「だにゃー。てっきり、カミやんがアン○ンマンみたいに顔が欠けると思ったのに残念だぜい」
上条「おい……」
イン「私はここで駄々をこねるほど無粋じゃないんだよ!」プンプン
神裂「すみません……」
イン「謝ることじゃないよ? 2~3日だけなんだもん」
神裂「……はい」
上条(なんで神裂が謝ったんだろ?)
土御門「禁書目録は大人だにゃー。それじゃ五和を探しに行くぜい」
イン「うん! かおり、ゆっくりしていってね」
神裂「ありがとうございました」ペコ
上条「?」
- 336 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/30(土) 18:08:58.57 ID:tD6tDf5T0
神裂「行ってしまいましたね」
上条「ったく土御門のやつは……」
神裂(また2人きり。緊張してきました……)
上条「神裂」
神裂「は、はいっ!」
上条「どうかしたのか?」
神裂「い、いえ! 別になんでも!」
上条「そうか?」
神裂「はい! お気になさらず!」
上条「なら、まず、カメラ取り外そうぜ」
神裂「あ、そうですね」
~~~
上条「5つも取り付けてやがったのか……」
神裂「始めから気づいていればよかったのですが……」
上条「気にすんなって。むしろ、土御門のイタズラでよかったじゃねえか」
神裂「え? あ、そ、そうですね」
上条「命の心配もなさそうだし」
神裂「あなたとこんな関係になれましたし……」/// ボソ
上条「う……」///
- 337 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/30(土) 18:10:06.64 ID:tD6tDf5T0
神裂「あ、その……」
上条「ええと……」
神裂「………………」
上条「………………」
神裂(また、沈黙の状態になってしまいました。き、気まずい……)
上条「……ははは」
神裂「どうしました?」
上条「いや、前はもっと自然に会話できてたような気がするのにな、と思ってさ」
神裂「そ、そうですね。今は、少し緊張してしまってますが」
上条「だったら、もっと楽にしてくれよ」
神裂「そ、そうは言われましても」ギクシャク
上条「まだ慣れてないから仕方ないのかね」
神裂「そんなこと言ってる割に、あなたは平気そうですよね」
上条「そ、そんなことないぞ! 今だって、すごく緊張してますし!」
神裂「そうみたいですね」
上条「もう2、3日しかいられないってのに、このままギクシャクして終わったらもったいない気がするんだよ」
神裂「それには同感ですが、こればかりはすぐに慣れるようなものでは……」
上条「そうだよなぁ……」
- 338 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/30(土) 18:11:01.02 ID:tD6tDf5T0
神裂「うーん……」
上条「何かいい案あるか?」
神裂「いえ、特には……」
上条「そうなると……そうだな。もう開き直るくらいしかないか?」
神裂「開き直る……ですか?」
上条「う……。つまり、必要以上にくっついてれば、そのうち慣れるんじゃないだろうかとかそういう……」
神裂「そ、それはそうかもしれませんが」
上条「他にいい方法があればいいんだけどさ」
神裂「いえ、その……」
上条「その?」
神裂「いい案なんじゃないかと思います」ボソボソ
上条「そ、そうかな?」
神裂「ただ、そんなことを考えただけでドキドキするのに、実際にやられて耐えられるのかな、と……」
上条「ぐはっ!」
上条(そのセリフはクリティカルですよ……)
神裂「ど、どうかしましたか?」
上条「神裂はかわいいなぁと思ってさ」
神裂「か、かわっ!?」
上条(うろたえてるのもいい……。狙ってるわけじゃないよな?)
- 339 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/30(土) 18:12:05.38 ID:tD6tDf5T0
神裂「それで、くっつくというのはどうやって?」
上条「え? ど、どうしようか……」
神裂「そこは考えてなかったのですね」
上条「し、仕方ないだろ! いっぱいいっぱいなんだから!」
神裂「そ、それでしたら……」
上条「お、何だ?」
神裂「さきほどの続きを……」
上条「続き?」
上条(続きって何だ? 何かしてたっけ? ええと―――)
上条「って続き!? だ、抱きしめるってやつか!?」
神裂「ダメでしょうか?」
上条「いやいやいやいや、ダメじゃない! ダメじゃないけどさ!」
上条(それはそれでレベルが高いですよ! かといってここで引き下がる訳には)
上条「えと……」
神裂「ど、どうぞ」
上条(ぐっ!? お、男は度胸!)
上条「こ、これでいいか?」ギュッ
神裂「ふぁ……」
- 340 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/30(土) 18:12:53.45 ID:tD6tDf5T0
上条(や、柔らかい! それにいい匂い! 身長差がちょっとばっか気になるけど!)
神裂(温かい……。それに力強い抱擁です)
上条「か、神裂さん?」
神裂「なんでしょうか?」ホワホワ
上条「これでよろしいでせうか?」
神裂「いえ、まだです……」ギュッ
上条「!?」
上条(神裂も腕を!? や、やばい。クラクラしてきた)ドキドキ
神裂「当麻の心臓の音が聞こえます」ドキドキ
上条「俺も聞こえるぞ。神裂の心臓の音」
神裂「ふふっ。どっちの方が早いでしょうかね?」
上条「さ、さあ? 同じくらいじゃないか?」
神裂「きっと私の方が早いと思いますよ」
上条「そうかな?」
神裂「もっと良く聞いてください」ギュッ
上条「うぁ……」
上条(もう、どっちの音だか分からなくなってきた……)
上条「そ、そろそろいいかな?」
神裂「ダメです」
上条「さいですか……」
- 341 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/30(土) 18:13:59.46 ID:tD6tDf5T0
上条(くっ! 神裂が急に落ち着いてきてる。こ、これが年上の余裕ってやつか!!)
神裂(もう、頭の中がぐるぐる回ってしまって良く分かりません。……今、何をしてたんでしたっけ?)
神裂「ふぁっ……」
上条「ぬぉぉぉ……」ゾクゾク
上条(耳元に吐息がッ!! すごく色っぽい!! そして、上条さんはいろいろとマズイ!!)
上条「か、神裂。離れてくれ!」グイ
神裂「嫌です」ギュ
上条「さっきから胸が!!」
神裂「構いません」
上条(だぁーっ!! どうすればいいんだーッ!!)
神裂「当麻……」ボソ
上条「は、はいっ!」
上条(耳元での囁きボイスの破壊力はものすごい! り、理性がぁぁぁ!!)
神裂「もっと……、もっと当麻の音を聞かせて下さい」ギュッ
上条(し、死ぬ!)
- 342 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/30(土) 18:14:40.87 ID:tD6tDf5T0
上条「こ、これで良く聞こえるか?」ギュッ
神裂「はい」
上条(こんなに力入れて大丈夫か?)
上条「痛くない?」
神裂「大丈夫です」ホワホワ
上条(顔が見えないから表情が見えない……。本当に無理してないだろうな?)
上条「…………………」ドキドキ
神裂「…………………」ドキドキ
上条(すごく汗かいてきた。つーか体が熱い)
上条「神裂。暑くない?」
神裂「はい。問題ありません」
上条「そうか」
神裂「当麻こそ大丈夫ですか?」
上条「え?」
神裂「少しフラフラしてるようですが」
上条「あ、ああ。頭に血が行き過ぎて」
神裂「それでは少し横になりましょうか」
上条「そ、そうだな」ホッ
上条(よ、よし。一旦離れて、落ち着こう……)
神裂「えい」グイッ
上条「え?」ドサッ
上条(そのままベットに押し倒されただとォォォ!?)
- 343 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/30(土) 18:15:38.86 ID:tD6tDf5T0
上条「か、神裂さん?」
神裂「はい?」
上条「離れてはいただけないのでせうか?」
神裂「それはダメです」ギュー
上条(これじゃ状況が悪化しただけ!?)
神裂「まったく。当麻は私と離れたいのですか?」
上条「そ、そうじゃないけどさ!」
上条(この神裂は酔ってるのか!? さっきからおかしいぞ!?)
上条「ええっと……、神裂の顔が見たいなーとか?」
神裂「はい? 顔ですか?」スッ
上条「うぉっ!? すげえ真っ赤!!」
神裂「そうですか? 自分では良く分かりませんが」
上条(これは熱で暴走してるのか? 風邪とかじゃないよな?)
上条「とりあえず神裂は寝とけ」グイ
神裂「そうやって離れようという気ですね? そうはいきません」ガシッ
上条(ああ、もう! うれしいんだけどさ!)
- 344 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/30(土) 18:17:07.29 ID:tD6tDf5T0
神裂「当麻も顔赤いじゃないですか」
上条「そりゃそうだろ! こんだけくっつかれてりゃ!」
神裂「でしたら、大人しく2人で横になってればいいんですよ」
上条「そうじゃなくてさ!」
神裂「いいんです」ギュッ
上条「そういう訳にも……」
神裂「……そうですね。でしたら、言うこと1つ聞いてくれたら離してあげます」
上条「本当か?」
神裂「はい」ニコ
上条(笑顔が近いっ!!)
上条「そ、それで何をすれば!」
神裂「簡単です。私を満足させてください」
上条「はいっ!? これで、まだ満足してないんですか!?」
神裂「まだ足りません」
上条「ひ、ヒントは?」
神裂「ありません。自力で頑張ってください」
上条(ど、どうしろって言うんだぁぁぁ!!)
- 345 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/04/30(土) 18:19:11.40 ID:tD6tDf5T0
上条「ええと……」
神裂「ギブアップですか?」
上条(考えろ! 神裂が満足しそうなものを……)
上条「神裂!」
神裂「はい?」
チュッ
神裂「!?」
上条「こ、これでどうだ……?」
神裂「」
上条「か、神裂……?」
神裂「ふぁ……」ドサ
上条「ええっ!? 神裂!?」グイ
上条(力が入ってない!?)
神裂「すぅ……、すぅ……」
上条「あ。な、なんだ……。気絶しただけか」
上条(今のうちに離れよう……)
神裂「んぅっ……」zzz
上条「起き……てないな」
上条(しかし、ちょっとやりすぎた……というかやられすぎたな。こんな調子で残り2、3日もつか?)ポリポリ
神裂「すぅ……、すぅ……」
上条「はは。でも、神裂と一緒ならそういうのも悪くないかもな」
- 354 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/08(日) 18:06:40.55 ID:evbuF7fz0
共同生活8日目 早朝
―――
上条「ふぁ……」
上条(ん? また大分早い時間に目が覚めたなぁ……)
上条「神裂はまだ起きてないか」
神裂「……」
上条(昨日の神裂は熱で暴走してたんだよな。うん。きっとそうに違いない)
上条「風邪引いたって訳じゃないよな?」ピト
神裂「……」ピクッ
上条「ん? やっぱり熱あるか?」
神裂「zzz」
上条「いや、気のせいだな」
神裂「……」ホッ
上条「……」
上条「しかし、こうやって改めて神裂見ると美人だよな」
神裂「!?」
上条「顔だけじゃなくてスタイルもいいし、その辺のモデルなんか比べ物にならないだろ」
神裂「///」
上条「そんな外見なのに中身は意外と初心っぽくてかわいいしな」
神裂(お、起きるタイミングを失ってしまいました)
- 355 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/08(日) 18:07:18.56 ID:evbuF7fz0
上条「正直、上条さんにはもったいないくらいですよ」
神裂(そ、そんなことはありません! むしろ私の方が……)モジモジ
上条「家事も気配りもできるし」ウンウン
神裂(ぜ、全身がむずがゆい……)///
上条「それに……」チラ
神裂(ううう、まだあるんですか? う、うれしいですけれど)///
上条「寝たフリなんかしちゃって、こっそり聞いてるところなんかもかわいいしな」
神裂「う。気づいていたんですか?」
上条「そりゃまあ、あんだけモジモジしたり、顔真っ赤にしたりしてたら分かるって」ハハハ
神裂「そ、そうですか」シュン
上条「ん?」
神裂「からかっていただけなのですか?」
上条「い、いや……その……」
神裂(当麻があんなこと言うのは何かおかしいとは思いましたが―――)
上条「反応を見て楽しんでたのは謝るけど、口にした言葉は本当のことだけだから!」
神裂「―――ッ!」/// ボン
上条「あ」
- 356 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/08(日) 18:07:44.69 ID:evbuF7fz0
神裂「そ、それはつまり……」
上条「ははは……。ウソはついてないけどさ」
神裂「///」
上条「そ、それはそうと、良く眠れたか?」
神裂「えっ!?」
神裂(そ、そういえば昨日……)
上条(ああっ!! し、しまったっ!? また墓穴を掘っちまった!?)
神裂「お、おかげさまで」///
上条「それはよかった」///
神裂「……」
上条「……」
神裂「い、いえ! あれは違うんです!」///
上条「な、なんだよ急に?」ビクッ
神裂「昨日のアレは、熱に浮かされておかしくなっていただけですから!」///
上条「な、なんだ。やっぱりそうだったのか」
神裂「……え? やっぱり?」
上条「明らかに様子がおかしかったから、そんなことなんじゃないかと思ってたんですよ」
神裂「そ、その通りですが……」
神裂(あっさり納得されるのも腑に落ちません)
- 357 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/08(日) 18:08:12.20 ID:evbuF7fz0
上条「特に風邪引いてる訳でもなさそうだし、安心したよ」
神裂「し、しかし……」
上条「ん?」
神裂「すごく気持ちよかったのは本当です」///
上条「んなっ!?」///
神裂「そ、それに、こうやって少し緊張も解けてきた気がしますし!」
上条「そりゃそうかもしれないけどさ!」
上条(またあんなことされたら、冷静に対処できる自信がありませんよ!?)
神裂「で、ですから」
上条「う、うん」
神裂「また少しずつスキンシップを取るのもいいと思います」
上条「そ、それも……そうなのか?」
神裂「そうなんです」///
上条「でも、昨日のはレベル高すぎたからもうちょっと軽くな」ハハハ
神裂「そ、それもそうですね」
上条「じゃあ、そうだな……」
神裂「その前に……ゆ、『勇気』を分けてもらえませんか?」///
上条「ええっ!?」
上条(この流れでそれはレベル高くありませんかね!?)
- 358 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/08(日) 18:08:39.11 ID:evbuF7fz0
神裂「だ、ダメでしょうか?」///
上条「だ、ダメじゃありません!」
上条(神裂さん的には、『キス<ハグ』なんでしょうかーっ!?)
神裂「そ、それでは……お、お願いします」ドキドキ
上条「うっ。い、いくぞ?」ドキドキ
神裂「ど、どうぞ」
上条(すごく緊張する……)
神裂「んっ……」チュッ
上条「……これでいいか?」
神裂「はい」ポーッ
上条「―――ッ!!」サッ
上条(ぐぉぉぉっ! 高校生男子に、その顔は破壊力が高すぎますって!!)
神裂「どうかしましたか?」ホワホワ
上条「なんでもないです!」///
神裂「顔赤いですよ?」///
上条「いやいやいや! 神裂ほどじゃないと思うぞ!」
神裂「え?」ハッ
上条「気づいてなかったのか……」
- 359 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/08(日) 18:09:09.72 ID:evbuF7fz0
神裂「す、すみません。またボーっとしてしまったみたいで」
上条「気にすんなって。すごくかわいいかったし」///
神裂「か、かわいい……ですか?」///
上条「正直、グラッときました」
神裂「そ、そうですか」///
上条「なんかこういうの照れるな」
神裂「そうですね」///
上条「俺は神裂のそういう顔も好きだけどな」
神裂「えっ?」
上条「だって、すごくいい顔してるからさ」
神裂「そ、そうではなく……」
上条「ん?」
神裂「今、初めて私のことを、その……『好き』と……」///
上条「―――ッ!!」
上条(今日の神裂さんの反応はイチイチ反則級だぞ、チクショォォォ!!)
- 360 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/08(日) 18:09:37.13 ID:evbuF7fz0
神裂「一昨日は、結局誤魔化されてしまいましたし」
上条「そ、そういえばそうだったな」
神裂「で、ですので、もう一度言ってもらえると嬉しいというかなんというか……」モゴモゴ
上条「そういうことなら……ゴホン」
神裂「と、当麻?」
上条「好きだぞ、神裂」
神裂「―――!」キュン
上条「か、神裂さん?」
神裂「は、はいっ!」
上条「大丈夫でせうか?」
神裂「だ、大丈夫です!」
上条「それならいいんですが……」
神裂「あ、あの!」
上条「な、なんだ?」
神裂「わ、私も大好きです!」///
上条「」
上条(じ、直に言われるのがこんなにヤバイとはーっ!! く、くそぅ。すごくかわいいじゃないか……)
- 369 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/10(火) 18:20:23.18 ID:To3iUT740
上条「直接言われるのは初めてだったよな」
神裂「そ、そうですね」モジモジ
上条「なんていうか……すげーうれしいかも」
神裂「私もです」///
上条「そりゃ良かった」ハハハ
神裂「そ、そういえば、そろそろ学校へ行く時間ではないですか?」
上条「え? 一緒にいられる時間少ないし、今日は休もうと思ってたんだけど……」
神裂「いえ! それはいけません! いつも通りの生活を心がけてくださらないと!」
上条「んー、でもさ」
神裂「お気持ちはうれしいですが、これからずっと会えなくなる訳ではありませんし!」
上条「そりゃそうだけど」
神裂「そのせいで留年されてしまっては、私もどうしていいか分からなくなってしまいます」シュン
上条「う……」
神裂「それに、その分明日構ってもらいますから」ニコ
上条「あ、明日は土曜か」
神裂「はい。ですから、今日は我慢します」
上条「そうか。神裂がそう言うなら、学校に行くとするよ」
神裂「そうしてください」ホッ
上条「?」
- 370 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/10(火) 18:20:54.16 ID:To3iUT740
―学校―
上条(なんで、神裂はホッとしてたんだろ? 緊張しっぱなしだったとか?)
土御門「今日は学校来るとは思わなかったですたい」
上条「土御門、テメェ……」
土御門「おおっと。カミやんに怒られる謂れはないと思うんだけどにゃー?」
上条「何ぃ?」
土御門「俺は恋のキューピッドってやつですよ? ねーちんがカミやんのことを気にしてるって言うから手助けしてやっただけですたい」
上条「そ、それはそうかもしれねーけどさ……」
土御門「それとも何か~? カミやんはねーちんじゃ満足できないって言うんですかい?」
上条「バッ!? そ、そんな訳ないだろ!!」
土御門「だったら、怒る理由なんてないよな? 全員幸せでハッピーエンドだにゃー」
上条「そうは言うけどよ……。あのスキルアウトなんかはマジでやりすぎなんじゃねえのか?」
土御門「あー……。ほら、そこは演出ということで」
上条「納得できるかっ!!」
土御門「まあまあ。あれがあったから一気に距離が近づいたんじゃないのかにゃー?」
上条「それは……」
土御門「それにカミやん。こんな大声で話してたら、クラスの連中が……」
上条「あ」
青ピ「ブ・チ・コ・ロ・シ・カ・ク・テ・イやね」
上条「ふ、不幸だーっ!!」
青ピ「どこがやねん、チクショウ!!」バキィ
上条「あべし」
- 371 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/10(火) 18:21:24.53 ID:To3iUT740
- ~~~
上条「く、くそ。授業中だけが俺の安息の時間ってのはどうなんですかーっ!」ダダダ
クラス男子A「死ね、上条!」ブン
上条「っぶねえ!!」サッ
青ピ「カミやんもなかなかタフやね。昼休みになるまでに片が付かんとは思わんかったわ」
上条「この程度で死ねるんだったら、今まで生きてねえよ!」
土御門(そのセリフはちょっと笑えないにゃー……)
小萌「コラーッ! 何を騒いでるんですか!」
上条「あっ! 小萌先生! 助けて!」サッ
小萌「ええっ!?」
クラス男子B「おのれ、上条。小萌先生を人質にするとは卑怯な」
小萌「いいから静かにするです! もうそろそろ5限の授業が始まるんですから!」
クラス男子C「チッ! 続きはまた後でだ、上条……」ギリギリ
クラス男子D「生きて学校を出られると思うなよ?」
上条(こ、怖ええ……)
土御門「ねーちんの写真を連中に見せてから、殺気がマジもんになってるぜい」
上条「余計なことしやがって……」
- 372 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/10(火) 18:21:50.31 ID:To3iUT740
小萌「それはそうと、上条ちゃん」
上条「あ、はい。なんですか?」
小萌「どうして、結果がどうなったかの報告には来てくれなかったんです?」
上条「あ」
小萌「てっきり、昨日のうちに来てくれると思ってたんですけど……」
上条「す、すみません! 今日の放課後にでも!」
小萌「まあ、いいですケドねー」
上条「ははは……」
~~~
姫神「上条くんに彼女……」ブツブツ
吹寄「姫神さん? 大丈夫?」
姫神「大丈夫、問題ない」
吹寄「そう? ちょっと顔色悪い気がするけど」
姫神「平気」
吹寄「ならいいけど……」
姫神「吹寄さんこそ大丈夫?」
吹寄「え? 私はなんともないわよ?」
姫神「ちょっと声が上ずってるかも」
吹寄「う」
姫神「今日は。一緒に遊びに行こうか」
吹寄「……ま、たまにはね」
- 373 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/10(火) 18:22:18.83 ID:To3iUT740
放課後
―職員室―
上条「やったよ……。俺生きてるよ……」ヨロヨロ
小萌「ど、どうしたんです? そんなにボロボロになっちゃって」
上条「ちょっといろいろありまして……」
小萌「あんまりはしゃぎすぎちゃダメですからね~?」
上条「それは周りの連中に言ってください」
小萌「元凶は上条ちゃんじゃないんです? 何が理由だったんですか?」
上条「ああ、そうだ。小萌先生のアドバイスのお陰でうまくいったことを報告に来たんでした」
小萌「……原因はそれです?」
上条「らしいです」
小萌「まだまだ若いですねー」
上条(小萌先生の外見で言われたくはないなー……)
小萌「ともかく、うまくいったなら、特別に今週の補習はなしにしてあげます」
上条「え?」
小萌「どうせ、そっちが気になっちゃって勉強にも身が入らないと思いますです」
上条「う、それは……」
小萌「それに学生なんですから、節度あるお付き合いをしないとダメですよ?」
上条「も、モチロン分かってますって~」
小萌「本当ですか~?」ジト
上条「や、やだな~」ハハハ
小萌「それじゃあ、気を付けて帰ってくださいね。上条ちゃん」
上条「はい。ありがとうございました」
- 374 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/10(火) 18:22:46.62 ID:To3iUT740
~~~
上条(節度あるって言われてもなぁ。このごろは神裂が妙にスキンシップを取ってくるし、俺の理性はどこまで持つだろうか……)
上条(そ、それに明日は一日中2人っきり……)
上条「……」
上条(い、いかん! あんまり考えないようにしよう!)
上条(落ち着け……落ち着け……。よし!)
上条「ただいまー」
神裂「お、おかえりなさいませ。ご主人様」///
上条「……………………は?」
神裂「ど、どうかしましたか?」モジモジ
上条「いやいや、これはこっちのセリフなんですけど!?」
上条(すごいオッパイでフトモモでエロいメイドさん!!?)
神裂「な、何かおかしいでしょうか?」ワタワタ
上条「おかしいところしかないだろ! な、なぜに堕天使エロメイド!?」
神裂「先日、押入れで発見したもので……。こういうのが好きなのかと」///
上条「嫌いじゃないですよ? いや、むしろ好きですけれども!」
神裂「そ、そうですか」パァ
上条「うっ……」
上条(こんな攻撃もくらって俺の理性は持つのでしょうかーっ!?)グラグラ
- 375 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/10(火) 18:23:14.58 ID:To3iUT740
神裂「と、とりあえず上がってはどうでしょうか?」///
上条「そ、そうだな!」
上条(しかし……)チラ
神裂「?」
上条(ヤバイ、ヤバイとは思っていたが、ここまでヤバイ服だとは思ってなかったぜ……)
神裂「どうかしましたか?」モジモジ
上条「なんでもありませんのことよ!?」
神裂「そうですか?」
上条「イエス! 上条さんは至って平常運転です!」
神裂「それならいいのですが」
上条(な、なんとか誤魔化せたか)
神裂「…………」///
上条「…………」ジー
上条(それにしても、すごいおっぱいだな。おっぱいすごい)
神裂「…………」///
上条「…………」ジー
上条(半分くらい飛び出してるんじゃないか? スカートも短いし……)
神裂「あ、あの! そんなに見つめられると……」///
上条「はっ!? す、すまん!!」サッ
神裂「い、いえ……」
- 376 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/10(火) 18:23:56.70 ID:To3iUT740
上条「…………」
神裂「…………」
上条(ど、どうすれば……)オロオロ
神裂「あ。そうでした」
上条「ん?」
神裂「今の私はメイドです!」///
上条「そ、そうだな。どこから見てもメイドさんだな」
神裂「で、ですから、して欲しいことがありましたら、なんでもお申し付けくださいっ!」///
上条「ええっ!?」
上条(なんでも!? なんでもって言ったのか!?)
神裂「できるだけ頑張りますので!」
上条「ええっと……」
神裂「なんでしょうか?」///
上条「ど、どうして、急にそんなことを?」
神裂「それは、その……」
上条「?」
神裂「この服が入っていた箱の底に、こ、こんなものが……」///
上条「ん?」
『メイド in ヘブン』(※R-18)
上条「ベゴブゥッ!?」
上条(つ、土御門ォォォ!!)
- 377 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/10(火) 18:24:23.61 ID:To3iUT740
上条「そ、それはだな!」アセアセ
神裂「いえ! 分かってます! あなたも年頃の男性ですから!」
上条「そうじゃなくて!」
上条(このままでは、上条さんまでメイドさんバンザイの人間にされてしまう! 間違いではありませんけど!)
神裂「で、ですから、なんでも申し付けてください!」
上条「な、なん……だと……?」
上条(その本を中身を見たんだろ? それで尚且つ『なんでも』だと……?)ゴクリ
神裂「か、覚悟はできています」///
上条「―――ッ!!」
上条(おおおおおおお、落ち着け! 落ち着くんだ、上条当麻! これは罠に違いない!)
神裂「…………」/// モジモジ
上条(なんかもう罠でもいい気がしてきた……)
上条「そ、それじゃあ……」///
神裂「は、はいっ!」ビクッ
小萌『学生なんですから、節度あるお付き合いをしないとダメですよ?』
上条(あ……)
上条「ゆ、夕飯でも作ってもらおうかな」
神裂「……………………………はい?」
- 386 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/11(水) 18:39:46.65 ID:5/eQL9zl0
神裂「夕食……ですか?」
上条「おう。ちょっと腹減っちまってさ」
神裂「そ、そうですか。では、すぐ準備しましょう」
上条「ああ、頼む」
神裂「少々お待ちください」スッ
上条「…………ふぅ」
上条(危ねえええええっ!! 危うく大人の階段を登ってしまうところでしたよ!!)
上条「でも、少し勿体無かったかも」
神裂「何かいいましたか?」
上条「いえっ! 何にも!」
神裂「? そうですか」
上条「そ、それより、夕食は何にするんだ?!」
神裂「ええと、カレイの煮付けにでもしようと思っているのですが」
上条(メイドさんの格好で、魚の煮物ってのもシュールな気がする)
神裂「別のものにしましょうか?」
上条「いや、大丈夫! ちょうど魚食べたいなーって思ってたし!」
神裂「そうですか。それなら良かったです」ニコ
上条(しかし、覚悟って一体なんの覚悟だったんだろうか……。いや、あんまり考えるのはやめよう)
- 387 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/11(水) 18:40:20.95 ID:5/eQL9zl0
- ~~~
上条(よし。少しずつ落ち着いてきたぞ……)
神裂「準備ができましたよ、当麻」
上条「あ、サンキュー。うまそうだ」
神裂「ありがとうございます」
上条「配膳くらいは手伝えばよかったな?」
神裂「いいえ。今日はそう言うわけにも行きません」
上条「なにもそこまで徹底してなくてもいいんじゃないか?」
神裂「いいんです。やりたくてやっていることですから」
上条「そ、そうか」
上条(健気に尽くしてくれるっていうのもポイント高いです! しかも、エロいメイド服とかもう!)
上条「ってあれ? 箸がないんだけど?」
神裂「そ、それはですね……」///
上条「うん?」
神裂「こうするためです!」
上条「はい?」
神裂「あ、あ~ん♪」/// スッ
上条(な、なんだと!?)
- 388 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/11(水) 18:41:04.57 ID:5/eQL9zl0
神裂「ど、どうぞ」
上条(何が起こっているんだ? メイドさんに『あ~ん』をしてもらっているだと!?)
神裂「と、当麻?」
上条「あ、すまん。ちょっと意識が飛んでた」
神裂「大丈夫ですか?」
上条「大丈夫だ。多分」
神裂「で、では続きを」
上条(くっ。この羞恥プレイを続けるっていうのか?)
神裂「あ、あ~ん♪」///
上条(ぐぅっ!? 神裂のおっぱいが寄せられて大変なことにっ!!)
上条「あ~ん?」/// パク
上条(やばい。うまいんだろうけど、味が分からない)
神裂「ど、どうですか?」
上条「ああ、うまいよ」ニコ
神裂「そうですか」ホッ
上条(ええい! もう吹っ切れるぞ! それにこのままやられっぱなしで終わるってのも良くない!)
上条「やってもらってばっかりってのも悪いよな!」
神裂「いえ、そんなことは―――」
上条「だから、今度は上条さんが食べさせてあげますよ」
神裂「え?」
- 389 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/11(水) 18:41:36.98 ID:5/eQL9zl0
神裂「それはどういう……」
神裂(当麻の目が妙に据わってる気がします)
上条「だから、今度は上条さんが『あーん』を神裂にしてあげるって話だよ」
神裂「ええっ!?」///
上条「嫌なのか?」
神裂「そんなことありません! ですけど……」
上条「ですけど?」
神裂「してもらうのは恥ずかしいというかなんというか」ゴニョゴニョ
上条「こっちだって恥ずかしかったんだぞ」
神裂「う……。分かりました」
上条「よろしい」
神裂「そ、それではお願いします」///
上条「お、おう!」ゴクリ
上条(と、勢いでここまで来たのはいいんだけど、すごく恥ずかしいな、これ!!)
上条「あ、あーん」/// スッ
神裂「あむ」パク
上条「どうだ?」
神裂「と、当麻の味がしておいしいです」///
上条「!?」
上条(それってどういう意味ですかーっ!?)
- 390 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/11(水) 18:42:04.67 ID:5/eQL9zl0
上条「お、俺の味?」
神裂「ええと、その……。当麻と同じお箸でしたので……」
上条(間接キッスって話ですか!? ち、チクショウ! なんだこのかわいさは!?)
上条「ぐぐぐ……」///
上条(くぅぅぅっ。落ち着けっ! 今更、間接キスくらいで動揺するんじゃない! これは神裂の罠だっ!)
神裂「そんなに顔を真っ赤にしないでください!! こっちだって恥ずかしいんですから!!」カァァ
上条「そ、そうか。すまん」
神裂「い、今のは忘れてください」モジモジ
上条「そういう訳にも……」
神裂「ううう……」///
上条「だって、かわいかったしさ」
神裂「―――ッ!!」/// ボン
上条「忘れるにはもったいないかわいさでしたよ」
神裂「と―――」
上条「ん?」
神裂「とうまのいじわる」ボソ
上条「ガハッ!!」
上条(くそっ! これ狙ってる訳じゃないんだよな? 上条さんの精神はもう壊れそうですよ!)
- 391 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/11(水) 18:42:42.86 ID:5/eQL9zl0
- ~~~
上条「ごちそうさまでした」///
神裂「ごちそうさまでした」ポー
上条(や、やっと夕飯が終わった……。顔がすごく熱くなってる気がする)
神裂「それでは次は……」
上条「ちょ! ちょっと待ったーっ!」
神裂「はい、なんでしょうか?」
上条「いつまで、これ続くんでせうか?」
神裂「ええと、とりあえず就寝するまでは続けようかと」
上条「なん……だと……?」
上条(この天国の拷問みたいな時間がまだ続くっていうのか? 上条さんの限界はもう突破してるっていうのに!?)
神裂「ご迷惑でしょうか?」シュン
上条「そんなことないぞ!」アセアセ
神裂「本当ですか?」
上条「ああ! 夕飯だってすごくうまかったし!」
神裂「それは良かったです」ホッ
上条(こういうところが上条さんのダメなところなんでしょうかね?)
神裂「そ、それでは、次は……」スッ
上条(何か取り出した?)
上条「って、それは……」
神裂「はい。耳掻きです」///
- 392 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/11(水) 18:43:20.17 ID:5/eQL9zl0
上条(耳掻き? それをこの服装のまま? それなんてプレイ?)
神裂「そ、その……。以前、病室でそんなことを言っていましたよね?」 ※7巻参照
上条「はっ!?」
神裂「それで、こういうのがお望みなのではないかと思いまして……」///
上条「いや、あれを言ったのは土御門ですから! もちろん、上条さんもこういうの好きですけれども!!」
神裂「で、では、どうぞ」///
上条「ま、マジで?」
神裂「決心が揺らぐ前にお願いします!」カァァ
上条「はいっ! スミマセン!」トサ
上条(うゎ……。スカート一枚だからフトモモの温かさが……。うん、これ以上考えたらマズイ)
神裂「それでは、始めます」
上条「お、お願いします」
神裂「で、では……」スッ
上条(すごく緊張してるみたいだけど大丈夫か? すごく不安なんですけど)
神裂「………………」
上条(お? 意外と大丈夫そうだな。手馴れてはいなさそうだけど、そこまで不器用じゃないみたいだ)
上条「うまいもんだな、神裂」
神裂「静かに!」
上条「え?」
神裂「て、手元が狂ってしまいます」
上条「スミマセン……」
- 393 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/11(水) 18:43:55.35 ID:5/eQL9zl0
- ~~~
神裂「ふぅ……。やっと片方終わりました」
上条(すごい集中してたな。おかげであんまり甘い空気じゃなかったような気がしますけれど)
神裂「それでは、反対側をしますので、こちらを向いてもらえますか?」
上条「はいはいっと」クルッ
神裂「ありがとうございます」
上条「っな!?」
神裂「? どうかしましたか?」
上条「なんでもないです! はい!」
上条(し、視界の片隅に巨大建造物が2つ!!)
神裂「動かないでくださいね」プルン
上条(こいつ動くぞ!?)
神裂「行きます」スッ
上条(さっきは気にしていなかったが、もしやこれは、おっぱいとふとももにサンドされた状態なのかっ!?)
神裂「……………………」
上条「そうか。天国ってここにあったのか」
神裂「はい? いきなりどうしたんですか?」
上条「いや、なんでも……」ガリッ
神裂「……あ」
上条「ってええええええええ!!!」
上条(こ、これで良かったんだっ! なぜなら、ここままでは上条さんが正気を保っていられなかったからぁぁぁ!!)ジタバタ
- 394 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/11(水) 18:44:33.29 ID:5/eQL9zl0
神裂「す、すみません!」アワアワ
上条「だ、ダイジョウブデス」
神裂「良く見せてください! 傷になっていたりしたら大変ですから」グイ
上条「ぬぉっ!?」ムニュン
上条(ほっぺたに柔らかい感触がぁ!?)
神裂「どうやら傷にはなっていないようですね」ホッ
上条「ソ、ソウデスカ」カチコチ
神裂「先ほどから妙なカタコト言葉ですが、本当に大丈夫ですか?」ムニュムニュ
上条「ええと、その……」
神裂「?」
上条「さっきから、その……。胸が……」
神裂「………………」
神裂「!?」バッ
神裂「は、早く行ってください!」///
上条「ご、ごめんなさいっ!!」
神裂「まったく、当麻は……」
上条「いやいや! そんな服装なんだから、もうちょっと意識してるもんだろ、普通!」
神裂「そ、それはそうかもしれませんけど」
- 395 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/11(水) 18:44:59.57 ID:5/eQL9zl0
上条「まあ、俺も黙ってたのは悪かったけどさ」
神裂「そうですよ」
上条「………………」
神裂「………………」
上条(く、空気が……)
神裂「そ、それで」
上条「ん?」
神裂「気持ちよかったですか?」
上条「それはもう」
神裂「う……」///
上条「あ」
上条(しまった! はっきりいいすぎたか?!)
神裂「とうまのえっち」///
上条「」
神裂「当麻?」
上条「神裂」
神裂「は、はい!」
上条「ちょっと俺、今から風呂入ってくるから」
神裂「え? あ、はい。ごゆっくり」
- 396 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/11(水) 18:45:43.45 ID:5/eQL9zl0
- ~~~
上条「ふぅ……」
神裂「あ、上がりましたか。だいぶ長湯でしたね」
上条「ああ。気にしないでくれ。なかなか疲れが取れなくてな」
上条(落ち着こうとして、なかなか落ち着けなかっただけなんですけどね……)
神裂「そういうことでしたら、マッサージでもしましょうか?」
上条「マッサージ?」
神裂「ええ。ここに横になってください」ポンポン
上条(やっと落ち着いたと思ったら、またイベントですかーっ!? いや、すごくうれしいんですけど!!)
神裂「さあ、遠慮なさらずに」
上条「ええと、それでは」ドサ
神裂「マッサージをするのは初めてですので、いろいろと指摘していただけると助かります」
上条「素人のマッサージなんて大差ないんじゃないか?」
神裂「そうなのですか?」
上条「良くは分からないけどな」
神裂「それで、どの辺でしょうか?」
上条「んー……。肩の辺りとか?」
上条(今更デマカセとはいえない……)
神裂「分かりました。それでは、お任せください」
上条「ああ、頼むよ」
- 397 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/11(水) 18:46:31.53 ID:5/eQL9zl0
神裂「っしょっと」グリグリ
上条(お。結構、気持ちいいな)
神裂「んふっ……、ふぅっ……」グリグリ
上条「…………」
神裂「はぁっ……、んぅっ……」グリグリ
上条(なんだかすごく色っぽく聞こえるのは気のせいでしょうか?)
神裂「気持ちいいですかっ?」グリグリ
上条「え? ああ! もちろんですよ!」
神裂「では、もっと頑張りますね!」グニグニ
上条(気持ちいい……。気持ちいいが、さっきから神裂にばっかり主導権を握られてるのがモヤモヤする)
神裂「っしょ……、っく……」グリグリ
上条(あれ? 待てよ? もし、今、聖人の力が戻ったら……)
上条「か、神裂さん!」
神裂「はい? なんでしょうか?」
上条「マッサージはそのくらいで大丈夫です!」
神裂「あ、分かりました」スッ
上条(危ない……。最悪の事態は避けられたぞ……)
神裂「それでは……」
上条「神裂も風呂入っちゃえよ! 今日はもう寝ようぜ?!」
神裂「あ、それもそうですね。明日は一日ありますし」
上条「そうでした」
- 398 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/11(水) 18:47:14.26 ID:5/eQL9zl0
- ~~~
上条「しかし、この調子で明日一日もつのか……?」
上条(結局、神裂に色々やられて、上条さんは内なる戦いに身を投じなければならなくなるような気がする……)
上条「そ、それじゃダメだ! 年上の人が相手とはいえ、女の子なんだから、男の俺がリードしてやらないと」
上条「し、しかし、このままでは主導権が……」ブツブツ
上条(今からでも、立場を逆転できる手段はないものか……)
上条(いや、待てよ? 一方的にされるがままになってるけど、今日はまだ、メイドとご主人って立ち位置だよな?)
上条(ということは……)
上条「今なら、まだ逆転は可能……」
神裂「何のですか?」
上条「」ビクッ
上条「あ、神裂。上がったのか」
神裂「はい。いいお湯でした」
上条「そうか」
上条(何かするなら今か?)
上条「ゴホン。神裂」
神裂「はい。なんでしょうか?」
上条「えーと、今日一日メイドさんとしていろいろしてくれたよな?」
神裂「え? はい。そうですけど?」
上条「それじゃあ、ご褒美をあげないといけないよな」
神裂「はい?」
- 399 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/11(水) 18:48:17.04 ID:5/eQL9zl0
上条「まあ、つまりお礼だよ。お礼」
神裂「い、いえ! そんなつもりで、色々していた訳では……」
上条「ええと、その……」
神裂「?」
上条「お礼に『勇気』を分けてあげようかなーと」/// ポリポリ
神裂「―――ッ!! と、当麻!!」///
上条「いいかな?」
神裂「そのご褒美でしたら、謹んでお受けします」///
上条「ええと……では」
神裂「んっ」チュ
神裂(びっくりしましたが、これはうれしいですね)ホワホワ
上条(神裂のやつ油断してるな?)
上条「んっ」クチュ
神裂「んんっ!?」
神裂(し、舌が!?)
神裂「んむっ、んぁっ、くちゅっ、ちゅくっ、れろっ、ぴちゅっ」
上条「ぷぁ…。……満足してもらえたかな?」///
神裂「は、はいっ……」///
上条「それじゃ、おやすみっ!」
神裂「お、おやすみなさい。当麻」///
- 411 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/13(金) 18:40:17.39 ID:GIjw+wmj0
共同生活9日目
―――
上条「今日はデートをします」
神裂「はい?」
上条「デートだよ。デート」
上条(昨日、あれから色々考えた結果、一日中家に2人きりってのは無謀だという結論に至った訳ですよ)
神裂「デートですか?」
上条「ああ。天気もいいし、外歩いて回ろうぜ」
神裂「それもそうですね。何かプランでもあるんですか?」
上条「いや、特には。ただ、神裂とならただぶらぶら歩いても楽しいかなーと思って」
神裂「そ、そうですか?」///
上条「もちろん。それとも、何かしたいことある?」
神裂「当麻と一緒でしたら、なんでも構いません」
上条「そ、そうか」///
神裂「は、はい」///
上条「それじゃあ、早速出かけようぜ。時間は限られてるんだし」
神裂「あ。その……いろいろと準備をしたいので、どこかで待ち合わせにしてもらってもいいですか?」
上条「え? 別にいいけど」
神裂「そうですね……。では、10時に駅前ではいかがでしょうか?」
上条「ん、分かった。10時に駅前な。じゃあ先に行ってるぞ」ガチャ
神裂「はい。それではまた後ほど」
バタン
上条(って10時? まだ2時間近くあるじゃん……)
- 412 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/13(金) 18:41:18.39 ID:GIjw+wmj0
- ~~~
―駅前―
上条(コンビニなんかで立ち読みして時間潰したけど、神裂は何をそんなに手間取ってるんだろうか?)
ざわ・・ ざわ・・
神裂「お、お待たせしました」
上条「お、やっと来……た?」
神裂「お、おかしくないでしょうか?」
上条(そ、それは神裂が来て2日目に買ってた女の子っぽい服!!)
神裂「やはり、おかしいですか?」シュン
上条「そ、そんなことないぞ! すごく似合ってる! ちょっと見とれてただけです! はい!」
神裂「そ、そうですか。ありがとうございます」///
上条(しかし、その服は妙に胸元が強調されてる気がする。あと、心なしかスカートの丈も短い)ジー
上条「ん? その手さげ袋はなんだ?」
神裂「これですか? ふふっ。まだ秘密です」
上条(それの準備に時間がかかったのかな? まあ、そのうちなんだか分かるだろ)
神裂「それではどこから行きましょうか」
上条「それなんだけどさ……」
神裂「はい?」
上条「その服似合ってるんだけど、靴がブーツってのがどうもな」
神裂「あ。そういわれてみれば、そうかもしれません」
上条「ってことで、合いそうな靴でも見に行こうか」
神裂「はい」ニコ
- 413 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/13(金) 18:41:51.49 ID:GIjw+wmj0
―セブンスミスト―
上条「と、まあ、服をここで買ったから、靴もここでそろえるのがいいんじゃないかと」
神裂「しかし、このような服には、どのような靴が合うのでしょうか?」
上条「んー……。俺も分かんないし、とりあえず色々見てみようぜ」
神裂「それもそうですね」
~~~
神裂「…………」ジー
上条「どう? 気に入ったのあった?」
神裂「い、いえ。特には」
上条「まったく?」
神裂「その……当麻が選んでもらえませんか?」
上条「俺が選んじゃっていいのか? あんまりセンスには自信ないんですけど」
神裂「構いません。当麻に選んでいただいたものなら気に入るはずですから」
上条「うーん、そうだな……。やっぱり、ヒールとか?」
神裂「え?」ビクッ
上条「ど、どうした?」
神裂「あ、ヒールは、その……ちょっと……」
上条「何か理由でもあるのか?」
神裂「い、いえ……」ゴニョゴニョ
上条「?」
- 414 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/13(金) 18:42:29.09 ID:GIjw+wmj0
上条「似合うと思うんだけどな」
神裂「ええと、その……」
上条(あんまり聞いちゃいけないことなのかな? 前に嫌な思いをしたとか)
神裂「わ、私のようなものにヒールはちょっと……」
上条「は? どういう意味?」
上条(そりゃ戦闘には向かないかもしれないけど、今日はそんなこと起こらないだろうし……)
神裂「わ、私の身長がですね……」ゴニョゴニョ
上条「あー」
上条(そうか。神裂は170後半はあるもんな。ヒール履いたら180超えるかもしれない)
神裂「ううう……」
上条(でも、ブーツも大差なくね? 気にし過ぎな気もするけど)
上条「特に気にしなくていいんじゃないのか?」
神裂「え?」
上条「どうせだったら、神裂に似合うもの履いたほうが俺もうれしいし」
神裂「あぅ」///
上条「どうする?」
神裂「で、では、当麻にお任せします」チラチラ
上条「ははっ。神裂さんは素直じゃないなー」
神裂「そ、そんなんじゃありません!」///
- 415 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/13(金) 18:42:56.91 ID:GIjw+wmj0
上条「よし。これなんかどうだ?」
上条(一応、そんなに踵が高くないものを選びましたよ)
神裂「あ、いいかもしれません」
上条「お、そうか?」
神裂「はい。かわいいです」ニコ
上条「そうか! よし、それじゃ会計を……。あれ、サイフはどこ行ったかな?」ゴソゴソ
神裂「あの……何をしているんですか?」
上条「これ上条さんがプレゼントして差し上げますのことよ」
神裂「ええっ!? い、いえ、それは……」
上条「飯作ってもらってるお礼だと思ってさ。神裂はもうちょっと上条さんに甘えてもいいんですよ?」
神裂「そうですか? すでに相当甘えている気もしますが……」
上条「遠慮するなよ」
神裂「そ、それではお言葉に甘えさせていただきます」ペコリ
上条「おう」
店員「いらっしゃいませー。彼女さんへのプレゼントですか?」
上条「あ、はい」
神裂「///」
店員「仲がお宜しいですねー。こちら6300円になります」
上条「え?」
上条(なん……だと……?)
- 416 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/13(金) 18:43:27.91 ID:GIjw+wmj0
上条(け、結構するんだな。値札を見てませんでしたよ?)ダラダラ
神裂「当麻?」
上条(っといけない! ここで、神裂を不安な顔にさせるわけには!)
上条「な、なんでもないぞ!」
上条(ここのところ食費が抑えられてたし、それを思えば……) つ万札
店員「1万円からお預かりします。こちらお包みいたしましょうか?」
上条「あ、いえ。すぐ履くんで」
店員「分かりました。こちらお釣りとお品物になります」
上条「どうも。ほい、神裂」
神裂「あ、ありがとうございます!」///
上条(神裂のこの顔を見られただけでも、プレゼントした甲斐があったな)
上条「よし、行こうか」
店員「あ、お客様」
上条「ん?」
店員「現在、当店10周年記念の福引を行っております。お帰りの際には、ぜひお立ち寄りください」
上条「へー。そんなのやってたのか」
店員「2000円のお買い上げごとに1回抽選ができます。正面入り口にて行っておりますので、よろしければ」
上条「ふーん。じゃあ、帰りに寄ってみるか」
神裂「そうですね」
店員「ありがとうございましたー」
- 417 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/13(金) 18:43:53.38 ID:GIjw+wmj0
上条「っと、もうお昼か。昼飯はどうする?」
神裂「あ、それなのですが」
上条「ん?」
神裂「実は、作ってきました」
上条「え?」
神裂「用意に少し時間がかかってしまいましたが」
上条(今朝、待ち合わせにしたのはそれが理由だったのか。わざわざ手作りのお弁当を……)
上条「ってことは、その手提げ袋は……」
神裂「は、はい。ご想像の通りです」モジモジ
上条「うぉぉぉ。マジですか!?」
神裂「喜んでいただけると、私もうれしいです」///
上条(こういうのなんか青春っぽいよなー。上条さんが実際に体験できるとは思いませんでしたよ……)
神裂「そういうことなのですが、どこか食べられる場所に心当たりはありますか?」
上条「んーと……。ここの屋上にテラスがあるみたいだから、そこで食べよう」
神裂「はい。分かりました」
上条「神裂の料理はうまいから楽しみだな」
神裂「ふふっ。靴を履き替えてから行きますので、場所を取っておいてもらえますか?」
上条「了解」
神裂「それでは、また後ほど」
- 418 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/13(金) 18:44:25.70 ID:GIjw+wmj0
―セブンスミスト 屋上―
上条「んーっ。いい天気だなー」
上条(これから寒くなるなんて信じられないような陽気だ)
神裂「お待たせしました」カツ
上条「お、やっぱり、ブーツよりそっち方が似合うな」
神裂「あ、ありがとうございます」///
上条「それじゃ、飯にしようぜ」
神裂「あ、はい。今用意しますね」ガサゴソ
上条「へえ。今日はオニギリか」
神裂「具は梅干と鮭の2種類ありますけど、どちらにしますか?」
上条「いくつあんの?」
神裂「ええと、それぞれ4つずつあります」
上条「それじゃ、2つずつにしよう」
神裂「分かりました。どうぞ」スッ
上条「サンキュー」
上条(意外に小さいオニギリだし、4つくらいは楽勝、楽勝)
神裂「それにしても、いい天気ですね」
上条「そうだなー」
上条(うーん。こういうゆるい空気もいいもんだなー。ここのところ緊張しっぱなしだったし)
- 419 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/13(金) 18:45:32.62 ID:GIjw+wmj0
- ~~~
上条「ごちそうさんでした」
神裂「はい」ニコ
上条「ふぁ……。満腹になったら、眠くなってきた」
神裂「それでは、もう少し休んでいきますか?」
上条「だなー」
神裂「そうですね……。ええと……」キョロキョロ
上条「ん? 何か探し物か?」
神裂「あ! あちらのベンチに移動しませんか?」
上条「ベンチ? ああ、あれか。別にいいぞ」
神裂「では、行きましょうか」
上条「おう」
~~~
上条(それにしても、屋上は人が少ないもんだな。休日の昼間だってのに)ドス
神裂「………………」トス
上条(ここ最近の慌しさが嘘のようだ…・・・)
上条「ふぁ……」
神裂「眠そうですね?」
上条「まあ、少しな」
神裂「で、では、どうぞ」トントン
上条「え?」
上条(フトモモを指差して……。って、こんなところで膝枕!?)
- 420 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/13(金) 18:46:04.85 ID:GIjw+wmj0
上条「ええと……」
神裂「///」
上条(そ、そうか! そのためにベンチに移動したのか!)
上条「で、では、失礼しまして」ポス ///
神裂「は、はい」
上条(温かい……。それにいい匂いもする……)
神裂「ど、どうでしょうか?」
上条「ああ。良く眠れそうですよ」
上条(緊張さえしてなければですけどね)
神裂「そうですか」ニコ
上条「ははは。でも、ちょっと恥ずかしいな」///
神裂「そ、そうですね」///
上条「じゃあ、適当な時間になったら起こしてくれ」
神裂「はい。分かりました」
上条(はたして寝れるだろうか?)
神裂「オヤスミなさい。当麻」
- 429 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/16(月) 18:38:17.70 ID:M0/ed90V0
神裂「―――い。そうですか。分かりました」
上条「んっ……。神裂?」
神裂「おや、起きてしまわれましたか」
上条「誰かと電話してたのか?」
神裂「ええ。土御門と」
上条「土御門?」
神裂「はい。実は、さきほど力が戻りまして……」
上条「え?」
上条(ってことは、神裂と一緒にいられるのは―――)
神裂「明日のお昼の便でロンドンに戻ることになりました」
上条「そうか」
神裂「はい……」
上条「……それなら、今日の残りは思いっきり楽しもうぜ」
神裂「そうですね……。そうしましょう」
上条(次に会えるのがいつになるか分からないしな)
- 430 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/16(月) 18:38:47.60 ID:M0/ed90V0
神裂「それで、これからどうしますか?」
上条「今何時?」
神裂「現在は……4時ちょっとですね」
上条「ええっ!? 俺、3時間近く寝てたのか!?」
上条(あんなに緊張してたくせに、ぐっすり寝すぎじゃないですか!?)
神裂「それはもうスヤスヤと」
上条「あー、悪いな。そんなにヒマにさせちまって」
神裂「いえ。当麻の寝顔がかわいかったですから、そんなにヒマという訳でもありませんでしたよ?」クスクス
上条「う……」///
上条(こう面と向かって言われると、すごく恥ずかしい)
上条「そ、それはそうと、これからどうする?」
神裂「もう少し見て回りますか?」
上条「んー……。それもいいけど、時間もあんまりないし、夕飯の算段でも立てておかないか?」
神裂「あ、それもそうですね」
上条「とりあえず買出しだな。それとも、どこかで食べていく?」
神裂「お任せします」
上条「そうだなぁ……」
神裂「ブラブラしながら考えましょうか」
上条「おう」
- 431 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/16(月) 18:39:20.42 ID:M0/ed90V0
―セブンスミスト 正面入り口―
カランカラーン 2トウオオアタリー
神裂「おや? 何かやっていますね」
上条「何か?」
上条(そういえば福引やってるんだったっけ?)
神裂「福引のようですね」
上条「だな。さっき買い物したから、3回できるぞ」
神裂「頑張ってくださいね」
上条「え? 上条さんがやるんですか!?」
神裂「当麻がやらなければ、だれがやるんですか?」
上条「自慢じゃありませんが、上条さんは当たる自信がこれっぽっちもありませんよ?」
神裂「それでもいいではありませんか」
上条「い、いや! せめて神裂さんも1回お願いします! 上条さんよりは期待できますし!」
神裂「はぁ……。まあ、いいですけれど」
上条「そうと決まれば、さっさと引こうぜ」グイ
神裂「は、はい」
上条(ええと……。残念賞はポケットティッシュか。って最初から残念賞を確認する癖をなんとかしたい……)
神裂(特等は学園都市制の電気自動車ですか)
- 432 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/16(月) 18:39:47.80 ID:M0/ed90V0
店員「いらっしゃいませー。レシートを拝見させていただきますねー」
上条「あ、はい」
店員「それでは、この中から3枚引いてくださーい」
上条「そ、それでは……」ゴソゴソ
神裂(1等、2等が商品券で……、3等は食事券ですか)
上条「よ、よし。この2枚に決めたぞ……」
店員「それでは、確認させていただきます」
上条「はい」
上条(結果は見えてますけどね……)
店員「こちら2枚とも6等になります」
上条「え?」
上条(ハズレじゃないだと!? 6等……6等ってなんだ?)キョロキョロ
店員「ええと、飴玉3つになります」
上条「ええっ!? ハズレの方がマシじゃないですか!?」
神裂「ははは……」
店員「小さいお子様向けの賞品ですので……」
上条「ふ、不幸だ……」
- 433 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/16(月) 18:40:26.47 ID:M0/ed90V0
店員「そ、それでは、あと1枚引いてもらえますか?」
上条「神裂さんお願いします……」orz
神裂「あ、当麻」
上条「なんでしょうか?」
神裂「落ち込んでいるところ悪いのですが、手を繋いでもらえますか?」
上条「はい?」
上条(手を繋ぐ? そんなことしたら、上条さんの不幸のせいで神裂まで残念な結果に……)
神裂「お願いします」
上条「まあ、神裂がそう言うなら……」ガシ
神裂「ありがとうございます」ニコ
上条(何を考えてるんだか……)
神裂「では」ガサゴソ
店員「はい。ありがとうございます。こちらでよろしいでしょうか?」
神裂「はい」
店員「ええと……。お、おめでとうございます! 3等です!」カランカラーン
上条「え?」
神裂「ふむ。ちょうど狙ったところですか」
上条(くっ。神裂の幸運は上条さんの幻想殺しでも打ち消せないっていうのか?)
- 434 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/16(月) 18:40:59.06 ID:M0/ed90V0
上条「それで、3等ってのは……」
店員「こちら、賞品の『お食事券』になります」
神裂「ありがとうございます」
上条「お食事券!?」
神裂「これで、夕食の心配はなくなりましたね」ピラピラ
上条「そ、それはそうかもしれないけど、こういうのって狙って出せるのか?」
神裂「普段は特等くらいしか当たらないんですけれどね」
上条「なん……だと……?」
上条(そんなうらやましスキルまで付いてるというのか……)
神裂「お恥ずかしい話ですが」ハハハ
上条「どこが恥ずかしいんだよ……」
神裂「……おや?」
上条「どうした?」
神裂「有効期限が来週からのようです」
上条「ははは……。変なオチがついたな」
神裂「そうですね。残念ですが」
上条「ま、そんなもんだろ。行こうぜ、神裂」
神裂「あ、はい」
店員「ありがとうございましたー。またのご来店お待ちしております」
- 435 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/16(月) 18:41:26.86 ID:M0/ed90V0
―セブンスミスト前―
神裂「当麻」
上条「ん? どうした?」
神裂「結局、夕飯はどうしましょうか?」
上条「あー。それなんだけどさ」
神裂「はい」
上条「うちで食べないか? 次、いつ神裂の手料理食べられるか分からないからさ」
神裂「いいのですか?」
上条「え? 何が?」
神裂「その……私の手料理などで……」
上条「当たり前だろ? むしろ、神裂さんの手料理の方が外食よりも何倍もいいですよ」
神裂「そ、そうですか?」
上条「まあ、神裂の手間を考えれば、外食の方が楽なんだろうけどな」
神裂「い、いえ! 当麻に食べていただけるなら、手間など惜しくはありません!」
上条「そ、そっか」///
神裂「は、はい」///
上条「なんつーか……うれしいな」
神裂「私もです。当麻」
上条「うん。それじゃ、買出ししていこうぜ」
神裂「はい。そうですね」
- 436 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/16(月) 18:41:52.87 ID:M0/ed90V0
- ~~~
上条「………………」
神裂「………………」
上条(ううう。もう、あんまり時間ないってのに、会話が……)
神裂「………………」
上条(よ、よし! ここは、俺から話を振って……)
上条「神裂」
神裂「当麻」
上条「!?」
神裂「!!」
上条「な、なんだ? 先に言っていいぞ」
神裂「いえ! 当麻こそ先にどうぞ!」
上条「ええと、じゃあ」
神裂「は、はい。なんでしょうか?」
上条「手でも繋ぐ?」
神裂「そ、そうですね! そうしましょう」ギュッ
上条「う」///
上条(い、今更手を繋ぐくらいでテンパるってのもおかしいよな。平静を保たないと……)ドキドキ
- 437 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/16(月) 18:42:21.68 ID:M0/ed90V0
上条「そ、それで、そっちはなんの話だ?」
神裂「ええとですね……」
上条「ん?」
神裂「そ、そろそろ、私のことも、その……名前で……」
上条「え?」
神裂「で、ですから『火織』と呼んでくれてもいいのではないでしょうか?」
上条「あ」
上条(そういえば、名前で呼んだことなかったな)
神裂「呼びにくければ、『神裂』でも構いませんが……」
上条「ん、別に構わないぞ。『火織』」
神裂「あ……」///
上条「どうかしたか?」
神裂「なんでもありません!」
上条「そうか? 今、一瞬すごく顔が赤くならなかった?」
神裂「そ、そんなことありませんよ?」
上条「火織」
神裂「―――ッ!!」カァァ
上条「ほら、やっぱりー」
神裂「と、当麻のいじわる!」ギューッ
上条「ぎゃぁぁああっ!? て、手がー!!」
- 447 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/17(火) 18:38:01.45 ID:1uGFgPXS0
―上条の部屋―
上条(さて、腹もいっぱいになったし、どうするかな……)
夕食後、上条は残り少ない時間をいかに有効活用するかを考えていた。
ちなみに、夕食は肉じゃが。最後の晩餐のメニューとしてはいかがなものか、と思う人もいるかもしれないが、神裂の作る料理では珍しい肉料理でもある。
ここ9日間で、魚が6割。煮物が5割。その他諸々といった具合だ。(魚と煮物が一緒に出てくる時もあった)
上条(おいしいから、魚ばかりでも全然いいけど、やっぱり学生としてはお肉が食べたい訳なんです)
何せ、牛丼の並み盛りは“おやつ”と公言するほどの食い盛りなのだ。
まあ、インデックスがいるときには、そのおやつにすらありつけないという事実があるのだが。
上条「いやいや、そんなことよりも、これからどうするかを考えないと」
神裂「どうかしましたか?」
口に出ていたらしい。洗い物をしていた神裂が反応する。
視線はこちらに向けてくるが、手を止めている様子はない。家事スキルが高いことがここからも窺える。
上条「もう明日には帰っちゃうんだし、最後に何か思い出を作れないかなと思ってさ」
自分だったら、絶対に皿を割るだろうなーと思いつつ、上条はさらりと答えた。
現在の時刻は午後7時。明日のお昼と言っていたから、残り時間は15時間程度しかない。
睡眠不足のまま神裂を帰す訳にもいかないので、実質的には今から寝るまで、つまり5~6時間で思い出を作ろうと考えている訳だ。
ああ、エロいことはしないよ? 多分。
神裂「思い出ですか……」
手を止めずに神裂は「う~ん」とかわいい声を出した。
そんななんでもない仕草にもドキッとしてしまう上条当麻(高1)であった。
- 448 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/17(火) 18:38:31.28 ID:1uGFgPXS0
上条(あれを……。いや、でもな……)
今までの行動を見てみると、手を繋いだまま寝たり、抱き枕にされたり、メイドプレイをさせたりと結構ハードなことをしてきている。
モチロン、健全な高校生男子にとって、それ以上のことを想像するのは容易い。
しかし、それを超えることをして、狼にならないとも限らない。それに、もし断られたらダメージが大きすぎる。
神裂「別に、当麻と一緒でしたら、特別なことはしなくてもいいと思いますけど」
上条「そうは言ってもさー、神ざ……火織」
神裂「///」
名前を呼ぶくらいで、いちいちこんな顔をしてくれるなら、名前を連呼してあげるのも悪くないかなーという思想が上条の脳裏によぎるが、それではまだインパクトが弱い。
……というか、メイドプレイのインパクトが少し強すぎる。その上、それ以上の何かをしようとすると非常にマズイことになる。お互いに。
神裂はオーバーヒートすると、何をしてくるか分からないので、常に上条が注意をしていなければならないのだ。
教習所で助手席に座る教官ってこんな気分なんだろうか? とも考えたが、助手席にもアクセルが付いていることに気が付いて苦笑する。
上条「とりあえず、風呂に入ってくる」
神裂「あ、はい。ごゆっくり」
ゆっくり湯にでもつかりながら考えれば何か思いつくだろ、と席を立つ。
実際、これが良いほうに転がった。脱衣所でズボンを脱ぐときに、ポケットの中に何か入っているのに気が付いたのだ。
上条(ん? なんだこれ?)
最初は携帯でも取り忘れたかとも思ったが、もっと小さい。しかも、1つだけではないようだ。
そして、中身を確認するため手を入れた瞬間、上条当麻に電流が走った。
- 449 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/17(火) 18:39:02.98 ID:1uGFgPXS0
風呂から上がると、神裂はテレビを見ていた。
結局、掃除機の使い方は覚えられなかったが、テレビの使い方は理解できてもらえた。テレビくらいはないと家に居ても暇なのだろう。
まだ、風呂から上がってきた上条には気づいていないようである。
上条「火織」
神裂「おや? もう上がったんですか? 今日はまた随分と早いですね」
声をかけると、神裂にそう反応された。確かに、ここ数日、30分とか1時間近く風呂に入っていた。こう思われても仕方がないかもしれない。
精神鍛錬をする場所といったら、1人になれる風呂場か、トイレしかないのだ。1人じゃないとできないしね。
いや、今はそんな話はいい。ポケットに入っていた例のブツを使うために、今日は10分で上がった訳だし。
上条「それより、火織も1つどうだ? ポケットに入ってたんだけど」
神裂「あ、それって……」
ポケットに入っていたのは、『アメ』だった。今日、出かけた際に福引で当てたものである。
手のひらの上には、イチゴ、レモン、グレープといった学園都市では珍しいオーソドックスな種類が計6つ並んでいる。
神裂「そうですね。お1つ頂きましょう」
なんの警戒心もなく、上条の言葉に素直に言葉に頷く神裂。
これで何をしようとしているのか、彼女はまだ気が付いていない。
上条「じゃあ、何味がいい?」
神裂「ええと……。では、イチゴを」
スッと、アメを取ろうと神裂は手を伸ばすが、上条はひらりとその手を避ける。
神裂「あ、あの……当麻?」
上条「ダメ、ダメ。普通にあげたんじゃつまらないだろ?」
つまりはそういうこと。
- 450 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/17(火) 18:39:32.05 ID:1uGFgPXS0
神裂「そ、それはどういう意味ですか?」
神裂がそう尋ねてくるのも尤もだろう。客観的に見れば、小学生のいじわるのようにしか見えない。
上条には、女の子をイジメて楽しむような趣味はない。多少しか。
上条「こいつで思い出を作ろうかと思うんだけど」
神裂「アメで、ですか?」
上条「ああ」
アメで思い出を作るなどといわれても、神裂にはピンとこない。
神裂「一体、何をするつもりなんですか?」
上条「こうするんだよ」
そう言って、上条はイチゴ味の飴を包み紙から取り出すと、ポイと自分の口の中に放り込む。
神裂「え? んんっ!?」
そして、そのまま神裂に唇を重ねた。
- 451 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/17(火) 18:40:14.22 ID:1uGFgPXS0
完全に不意打ちを喰らったのは神裂だ。聖人の力を取り戻しているというのに、まったく反応できなかった。
何が起こったのかを把握するのに2秒ほどかかった。これほどまで見事に何もできなかったのは、神裂の人生で初といえるだろう。
一方、不意打ちを成功させた上条にも、予想していなかったハプニングがあった。
押し倒してしまったのである。
あまりにも、神裂が無抵抗だったので、2人して倒れ込んでしまったのだ。
オマケに、頭を打ってはマズイと反射的に右手を差し込んだのだが、そのせいで熱烈なキスをしているようにしか見えない。
その上、とっさに手をつこうと伸ばした左手が、神裂の胸を鷲づかみにしているのは事故だろう。
上条「―――って、ゴメンなさいっ!!」
条件反射で、即土下座。
神裂の上から飛び退いて、土下座に移行するまでに1秒もかかっていない。
まさに熟練された職人(プロ)の業だ。
ただ、こんなことをしても、危険を回避できたケースは非常に稀な訳だが。
神裂「か、顔を上げてください」
しかし、今回はその稀なケースに該当するようだ。いまだ倒れたままの神裂がそう声をかけてきた。
声に怒気はなく、その顔ははっきりと分かるほど真っ赤になっている。
神裂「お、驚きはしましたが、嫌という訳ではありませんでしたから」
上条「え? そ、そうか。ならいいんだけど」
どうやら、不意打ちをしたことに対して謝っていると思われているようである。
おっぱいの方は気にしていないのだろうか?
- 452 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/17(火) 18:41:19.01 ID:1uGFgPXS0
上条「…………」
神裂「…………」
気まずい沈黙が流れる。早まったことをしてしまったのではないか、と上条は今更ながら思う。どう考えても手遅れ意外の何ものでもないが。
そんな中、先に沈黙を破ったのは神裂だった。
神裂「当麻!」
上条「お、おう! なんだ?」
どう話しかけたものかと思案していた上条が、ビクッと反応する。
神裂の目が妙に据わっている気がする。怒っていないような気がしたのは気のせいだったのか?
神裂「―――か?」
……?
確かに聞こえたはずなのに、頭の中で靄がかかったようになってしまった。
やれやれ、まだ頭が混乱しているのか。
上条「火織さん?」
確認の意味を込めて、倒れたままこちらを向いている神裂に聞き返す。
やはり、今のは聞き間違い―――
神裂「で、ですから、もう1つアメをいただけないでしょうか?」
上条「え、えっと……」
神裂「///」
つまり、そういうことらしい。
神様はまだ上条のことを見捨てていた訳ではなかったらしい。
- 453 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/17(火) 18:41:57.08 ID:1uGFgPXS0
- 【上条side】
上条「そ、それじゃ、何味がいい?」
鼓動が早くなってきた。
さきほどは、心の準備をする時間があったので、そこまでドキドキはしなかったんだ。
いや、見栄を張りました。ゴメンなさい。すごくドキドキしました。
でも、今回はそれ以上なんですよ。だって、火織がそのままの体勢なものだから、必然的に上からのしかかる形になる訳で。
神裂「で、では、レモン味で」
上条(あれ? そういえば、さっきの飴はどこにいった?)
確か、押し倒した瞬間、ゴクリという音が神裂の喉元から聞こえたような気がする。
あれは、唾を飲み込んだ音ではなく、飴玉を飲み込んでしまった音だったのか?
どこにもないなら、きっとそうなのだろう。悪いことをしたな、と思いつつ、アメを手に取った。
上条「そ、それじゃいきますよ?」
神裂「は、はい!」
緊張した面持ちで、再びアメを口の中に放り込む。
その瞬間、口の中に甘酸っぱい味が広がった。
上条(それでは……)
ゆっくりと顔を近づけていくと、火織は恐る恐る目を閉じた。
そこに自分の唇を重ねるのに、そう時間はかからなかった。
- 454 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/17(火) 18:43:48.59 ID:1uGFgPXS0
- 【神裂side】
神裂「んっ……」
当麻から飴玉を受け取る時に、思わずそんな声が口から漏れてしまった。
心臓は相変わらず、ドキドキと一定のリズムを刻んでいる。
神裂(甘いですね……)
イチゴ味のアメは舐める暇もなく飲み込んでしまったので、実質的にはこれが1つ目。
甘酸っぱいレモンの味が口の中に広がっていく。
神裂「?」
それにしても、当麻は離れる様子を中々見せない。
離れて欲しい訳ではないが、ずっとこのままだと、また暴走してしまうかもしれない。
彼もわかっているはずだし、そろそろ離れてくれるかな? と思ったとき、ニュルンと彼の舌が口の中をかき回してきた。
神裂「んぅっ!?」
正直なところ、これにはかなり驚いてしまった。
いきなり舌が入ってきたこともそうだが、口の中を舌で擦られたときにゾクゾクとしたものが背中に走ったのだ。
これは気持ちいい。頭の中が白くなっていく気がする。
神裂「んっ、くちゅっ、んむっ」
未だに、彼の舌は私の口の中で動いている。
どうやら、当麻はアメを舐めようとしているみたいだ。
- 455 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/17(火) 18:44:17.26 ID:1uGFgPXS0
- 【上条side】
それはもうすごかった。
昨日、勢いもあって、ディープキスをした訳だが、これはそんなレベルではなかった。
なんというか、溶ける。
舌と舌で1つのアメを溶かしていくのと同じくらいのスピードで、自分の頭が溶けて行くのを感じていた。
神裂「はむっ、ちゅっ、れるっ」
そんな溶解のスピードに拍車をかけるのが、この火織の喘ぎ声にも似た声だ。
こんなの高校生男子に耐えられるレベルじゃないだろ?
オマケに、アメを舐めているせいで、唾液が出る。出る。
それが、下にいる神裂の口の中に流れていくものだから、たまったものではない。重力って偉大だよ。
神裂「んくっ、ちゅぱっ、こくっ」
飲まれてる。そう思うだけで、こう……込み上げてくるモノがあった。
この感覚分かってもらえるかな?
……ちなみに、アメはすぐに溶けてなくなったが、俺たちはしばらくそうしていた。
できれば離れたくはなかったので、ちゅっ、ちゅっと口周りを舐めあった。お陰で、口周りがベタベタする。まあ、不快な感じはしないが。
上条「どうだった?」
少ししてから口を離すと、最初にそう聞いてみた。
火織の顔を見れば一目瞭然なのだが、ここは敢えて口にしてもらおう。だって、その方がおもしろいだろうし。
神裂「…………足りません」
ん? あれ? なんか予想外の返答がきたんですけど。
- 456 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/17(火) 18:45:28.39 ID:1uGFgPXS0
- 【神裂side】
神裂「足りません」
そう言ってからの行動は、まさに電光石火。聖人パワーを使って、逆に当麻を押し倒す。
「ちょ」とか「待って」とか言っていた気もするが、無視。
神裂「次は私の番です」
上条「はい?」
そう言い切るや否や、その辺に落ちていたアメを1つ取ると、すばやく口に放り込み、当麻にプレゼントした。
この間、わずか1秒。聖人の力の無駄遣いといわれても仕方ない。
上条「んごっ!?」
あはっ。もの凄く驚いた顔をしている当麻がかわいい。
もしかしたら、まだ何が起こっているのか分かっていないのかもしれない。そこに、遠慮なく舌を絡ませ、唾液を流し込んでいく。
すると、頭の中がだんだんと白くなっていき、それと連動して、気持ち良さも増して行く。
神裂(当麻っ。当麻っ。当麻ぁ)
もうそれしか考えられない。
頭がさらに白んでいくのを感じた。
- 457 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/17(火) 18:45:56.99 ID:1uGFgPXS0
- 【上条side】
簡単に言えば、火織が暴走した。
上条「さすがにこれはひどい……」
気が付くと、6つもあったはずのアメはなくなっていて、自分の上には気絶した火織が覆いかぶさっていた。
火織に押し倒されてからの記憶が曖昧なのがちょっぴり怖い。着衣に乱れがないのが救いだろうか?
いや、その内何か対策を打たないと、こっちが押し倒される。そんな危機感しかない。
上条「まあ、強烈な思い出はできたな」
苦笑しながら、そんなことを呟く。実際、カルピス原液の5倍くらいの濃度はあった気がする。
とにかく、あまり上出来とは言えないまでも、そんな濃密な時間を過ごせたことに悔いはない。
火織の暴走さえなければ、とも思わなくもないが。
上条(っと。今、何時だ?)
現在時刻は、午前1時。
上条(残り時間は約10時間か)
―――2人の別れの時は近い。
- 469 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/18(水) 18:05:58.15 ID:L4OwI/Sb0
共同生活10日目
―――
―上条の部屋―
神裂「おはようございます」
上条「んっ。おはよう」
神裂「昨日はまた暴走してしまったみたいですね」ハハハ
上条「実は、あんまり覚えてないんだよな」
神裂「それは残念です。とてもかわいかったのに」
上条「え? 上条さんが!?」
神裂「はい。とっても」ニコ
上条「あんまり聞きたくないな……」
上条(今更なんだが、火織って実はS?)
神裂「しかし、おかげさまでいい思い出ができました」
上条「別にこれ以降会えなくなるって訳でもないだろ?」
神裂「あ、それもそうですね」
上条「まったく……」
神裂「それに、当麻のことですから、きっとまたすぐ会えると思います」
上条「それは、上条さんがまた何か事件に巻き込まれるってことですよね?」
神裂「そういうことです」
上条「それも素直に喜べませんよー……」
神裂「ふふっ、冗談です」
上条「冗談で済めばいいんですけどね……」
- 470 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/18(水) 18:06:40.49 ID:L4OwI/Sb0
上条「そういえば、何時の飛行機なんだ?」
神裂「12時ちょうどの便ですね」
上条(というと後4時間くらいか)
神裂「といっても、2時間程度前には空港に行ってないとマズイですね」
上条「あれ? そうなのか?」
神裂「色々と手続きがありますから、その程度前に行くのは当たり前ではないですか」
上条「え? イタリアに行ったとき、30分前に空港に着いた上条さんって……」
神裂「能力者が外に出る場合、いろいろ手続きがあって時間がかかるんですよね? よく間に合いましたね」
上条「そ、そこは気合で」
上条(たしかに、インデックスの服の件もあってかなりギリギリだった気がする……)
上条「よし。それじゃ、飯食って、荷物まとめようぜ」
神裂「そうですね。そうしましょう」
上条(と言っても、大した荷物持ってきてなかったよな?)
上条「あ」
神裂「どうかしましたか?」
上条「堕天使エロメイド服はどうすんだ?」
神裂「お、置いていくに決まってるじゃないですか! あんなもの持って行けませんよ!」
上条「それもそうか」
上条(って、うちに置いていかれても困るんですが)
- 471 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/18(水) 18:07:09.09 ID:L4OwI/Sb0
- ~~~
上条「本当に荷物少ないな」
神裂「ええ。こちらで購入したものがほとんどですし」
上条「それじゃ、遅れても仕方ないし行こうか」
神裂「え? 見送りに来てくれるんですか?」
上条「そりゃそうだろ。上条さんはそこまで彼女に冷たくありませんよ?」
神裂「あ、ありがとうございます」
上条(そもそも行かないって選択肢がある訳ないだろ)
上条「本当に忘れ物はないよな?」
神裂「…………」
上条「神裂?」
神裂「あ、すみません」
上条「何か見てたみたいだけど、どうしたんだ?」
神裂「いえ、またここに来れるのは先になりそうなので、少しでも目に焼き付けておこうかと」
上条「そっか」
神裂「すみません。なんだかしんみりさせてしまって」
上条「ん、いいって。そんなに思ってくれてうれしいし」
神裂「そうですか……」
上条「それじゃ、そろそろ行こうか」
神裂「はい、当麻」
- 472 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/18(水) 18:07:41.14 ID:L4OwI/Sb0
バスで移動中
―――
上条「なあ、火織」
神裂「なんでしょうか?」
上条「……この10日間は楽しかったか?」
神裂「はい?」
上条「土御門にからかわれたり、ちょっと怖い思いもしただろ? だから、うちに居る間楽しんでもらえたのかなーってさ」
神裂「もちろん楽しかったですよ? 楽しさ以外にもいろいろありましたけど」
上条「そっか。……それならまた来いよ」
神裂「え?」
上条「デカイ事件が起きれば、また会うこともあるだろうけどさ。別に用事がなくても、いつでも歓迎するから」
神裂「当麻……」
上条「なんか火織は、そう言っておかないと、いきなり押しかけて迷惑なんじゃないかーとか考えそうじゃない?」
神裂「そ、それは……」
上条「はは。本当はこっちから会いにいければいいんだろうけど」
神裂「いえ……。ぜひそうさせていただきます」
上条「ああ。遠慮なんていらないからな」
神裂「分かりました」ニコ
- 473 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/18(水) 18:08:12.64 ID:L4OwI/Sb0
―第23学区 空港―
上条「もう空港か」
神裂「そうですね」
上条「なんだか、この10日間はかなり短かった気がするよ」
神裂「私もですよ」
上条「あ。そういえば、五和とか建宮も来てるんじゃないんだっけ? 一緒に帰るのか?」
神裂「昨日の土御門の話では、建宮斎字は先に帰ったと聞きました」
上条「五和がすごい顔して追いかけていったみたいだけど大丈夫だったのか?」
神裂「はぁ……。命に別状はないと言っていましたが」
上条(怖っ!? 建宮に一体何したんですか、イツワさん!?)
神裂「まあ、自業自得でしょう。アレは昔から少々遊びすぎるところがありましたから」
上条「そうなのか?」
神裂「今回の件にも一枚噛んでいたようですし」
上条「土御門と建宮のコンビか……」
神裂「私にとっては、特に扱い辛い2人ですからね……」
上条(2人ともノリいいし、気が合いそうだよな。ただ、そのせいでとばっちりを喰うのはゴメンですけどねー)
<12時発ロンドン行きの搭乗手続きを開始しました。ご搭乗のお客様は、お早めに手続きをお願いします。
神裂「おや、もうそんな時間ですか」
上条「みたいだな」
上条(もうお別れか……)
- 474 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/18(水) 18:08:53.29 ID:L4OwI/Sb0
神裂「…………」
上条「…………」
神裂「当麻」
上条「なに?」
神裂「大変お世話になりました」ペコ
上条「おう」
神裂「このご恩は、必ず後日返しますので」
上条「オイオイ、今更なんだよ? 気にしなくていいのにさ」
神裂「いえ、これは私のケジメですから」
上条「ケジメって……」
神裂「今回のことで、また借りを大きくしてしまいましたからね」
上条(ここ数日、そういうこと言わなくなったと思ったら……)
神裂「……ですが、ここまで大きくなってしまうと、どれだけかかっても返せそうにありません」
上条「ん?」
上条(このフレーズは初めて聞くぞ?)
神裂「で、ですから、これから一生をかけて返させてくださいっ!!」
上条「はい?」
- 475 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/18(水) 18:09:21.09 ID:L4OwI/Sb0
上条「ええと、それはどういう……」
神裂「///」
上条(一生をかけて返す? それじゃまるで……)
上条「プロポーズ?」
神裂「!!」ビクッ
上条「えーと……」
神裂「ち、違います! そう言う意味は、込めていませんから!」アタフタ
上条「そうなのか?」
神裂「と、とにかく、そういうことで」ビシッ
上条「え? あ、うん」
神裂「こほん。それでは、また会いましょう」
上条「あ。そうだ」
神裂「どうかしましたか?」
上条「最後に、離れてても頑張れる『勇気』をあげましょうか?」
神裂「…………はい。それではお願いします」
上条「それじゃ」
「」チュッ
神裂「ありがとうございます」
上条「それじゃ、気をつけてな」
神裂「はい」
- 476 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/18(水) 18:09:48.46 ID:L4OwI/Sb0
神裂「愛していますよ。当麻」
上条「俺もだよ。火織」
完
- 478 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/18(水) 18:47:29.38 ID:L4OwI/Sb0
その日の夜
―上条の部屋―
上条「やっぱり、火織がいないとちょっと寂しいもんだな……」
上条(あ。そういえば、インデックスはどこにいるんだ?)
上条「土御門なら知ってるか?」
<ピンポーン
上条「っと。そう言った傍からご帰宅ですか」
上条(腹空かせてて、会った途端に噛み付くのとかは、さすがにないよな?)
上条「はいはい。今、行きますよー」
ガチャッ
上条「お帰りー」
神裂「あ。ただいま帰りました」
上条「…………え?」
神裂「ははは……」
- 479 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/18(水) 18:47:59.84 ID:L4OwI/Sb0
上条「ちょっと待った。なんで火織さんがココにいるんでせう? お昼にロンドンに帰ったのでは?」
神裂「ええと、やはり説明が必要ですよね?」
上条「考えられる理由としては、飛行機に乗り遅れた……とか?」
神裂「さすがに、あれだけ時間があって乗り遅れることはないと思いますよ」
上条「ってことは、ロンドンに帰りたくなくて乗らなかったのか!?」
神裂「そうしようと少しは考えましたが、そうではありません」
上条「じゃあ、何故ここに?」
神裂「簡単なことです」
上条「簡単?」
神裂「仕事ですよ」
上条「…………はい?」
- 480 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/18(水) 18:48:25.56 ID:L4OwI/Sb0
神裂「実は、神の右席の後方のアックアから果し状が届いたんです」
上条「え?」
神裂「内容は『上条当麻の右手を差し出せ』ということのようでして」
上条「ちょっと待て……」
神裂「休暇を取って日本にいた私と天草式の数名が今回の任務に当たります」
上条「マジですか……」
神裂「ええ。大マジです」
上条「前方、左方と来て、今度は後方さんですか……」
神裂「まさか、ノータイムで事件に巻き込まれるとは思ってもいませんでした」
上条「だーっ!! ローマ正教のやつらは上条さんに恨みでもあるんですかーっ!?」
神裂「その通りではないのですか? いろいろと潰してきていますし」
上条「聖人相手に生き残れるだろうか……?」
神裂「私の魔法名にかけてお守りします」
上条「salvare000、救われぬ者に救いの手を……か」
上条(確かに、火織がいれば心強いな)
神裂「そういう訳ですので、またお世話になります。当麻」
上条「ああ。こちらこそよろしくな。火織」
今度こそ終わり!
- 481 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga]:2011/05/18(水) 18:49:14.23 ID:L4OwI/Sb0
- なんとか無事完結!!
今回、この2人を書いてみて、鈍感な上条さんと奥ゆかしい神裂さんの組み合わせは動かしづらいことが判明。
どっちかキャラ崩さないと進展が難しいんですよ。マジで。
せっかくの設定を生かしきれなかったのも反省せねば……。
ただ、当初の目標だった『神裂さんを年相応に見せる』という狙いは達成できたかと。
今のところ、後日談を書く予定はありません。
ちなみに、この後、アックアは闇の波動に目覚めた五和さんが「聖人殺し」という新術式で木っ端微塵にしました。
次回は佐天通行を書いてみる予定です。
久しぶりにシリアスものを書いてみようかと愚考している次第でございます。
投稿はまだ先になると思いますが、見かけましたらよろしくお願いします。
- 482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/18(水) 18:51:07.28 ID:1ljULulMo
- >>1乙!
最高に神裂さん可愛かったよ
次回作も楽しみにしとく!
- 483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 18:55:17.31 ID:JsIvIixW0
- 乙!
最高のねーちんをありがとう!
次回作にも期待!
- 484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/05/18(水) 19:03:14.95 ID:KMUdePYIo
- 乙でした
- 485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/05/18(水) 19:54:40.03 ID:3fqicnW6o
- 乙でしたぜ
聖人殺し・・・五和恐ろしい子
- 486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/05/18(水) 19:55:34.62 ID:2S4zlxjQ0
- 最高でした
>>1乙。超乙。ウルトラ乙。
- 487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/05/18(水) 19:57:56.15 ID:WsOEHr5B0
- 乙。ねーちん可愛かった!
- 498 :SSS ◆KtxQQEeKzw [saga sage]:2011/05/20(金) 00:28:03.63 ID:G0/anoQp0
- 次の作品なんでよければ。
佐天「ベクトルを操る能力?」
- 499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/20(金) 19:11:31.87 ID:NXfQiRsPo
- >>498
よろしい
- 502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/05/23(月) 19:27:21.35 ID:o21pPV4K0
- 乙!
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