- ※未完作品
- 9 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/15(水) 20:57:03.63 ID:LGfG5B7r0
- 投下します。
うぜェ…うるせェ…
クソガキがおそろいとか抜かして買ってきやがった目覚まし時計が鳴ってやがる。
出来損ないのカエルの鳴き声みてえな音だ…イヤイヤまじでうるさいんですけどォ…シャレになンねえ…
…睡眠が俺の人生最高の至福の時だっつーのによォ…
あァ畜生…ぶっこわs……騒音を反射っと…
さあさあもうひと眠りs「おはよーーーーー!!ってミサカはミサカはあなたにダーーーイヴ!!!!!」
っ痛ェェェェェェェ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!もげるゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!!!!
クソガキは男性特有の生理現象を理解してねェ…
「朝だよ!遅刻しちゃうよ!ってミサカはミサカは朗らかな笑みを浮かべつつあなたを起こしてみたり!!」
「起こし方一つでも他に方法があるだろうがよォ…痛てェよォ…」
「あなたはいつもなかなか起きてくれないじゃん!ってミサカはミサカは黄泉川っぽく主張してみる!ごはんできてるよ!」 - 10 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/15(水) 21:01:27.48 ID:LGfG5B7r0
- …仕方ねえ…いつの間にか目覚まし時計は止まっていた。
リビングに向う打ち止めの背を見送りつつ、洗面所に向う。
手のひらを桶代わりに、水を顔面に浸す。…!
…痛ェ…水の中で目を開けるのには未だに慣れねェ…
自室にて、ネイビーのブレザーをはおり、ネクタイをかっちりと締める。
こういう制服やスーツなんてのは変に着崩すよりクラシックに、ルールに従って着るほうが良いもンなんだよ。
「おはようじゃん一方通行。」
「おォ…」
「朝は『おはよう』じゃん!!」
「…オハヨ…」
「よくできました!」
「二人だけか?ニートと番外個体は?」
「ヨシカワはさっき寝た!ワーストはもう出たってミサカはミサカは報告してみる!」
あンのニート…うらやましい…
「…時間ねェな…トーストだけでいい…」
「間に合うじゃん?」
「いざとなったら能力使う。オマエの学校は?」
「あいよ。今日は警備員の会合じゃん。」
トーストを口に放り込む。畜生…ゆっくりコーヒー飲んでる時間もねェ…
洗面所で身だしなみを整える。寝癖はベクトル操作っと… - 11 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/15(水) 21:02:25.45 ID:LGfG5B7r0
- 磨きは丁寧にしねえとなァ…虫歯にはなったことはねえが、死ぬほど痛いらしい。
三下ンとこのシスターが目の色かえて熱弁してやがったからなァ…
学校指定の鞄をひったくる。クソガキの準備も済んだようだ。
「行くぞ。クソガキ。」
「うーー!!お待たせ!とか、なんか一言ないの!?ってミサカはミサカは憤慨してみる!いってきまーす!!」
「おー。いってらっしゃいじゃん。…一方通行?」
さっきからしつけェなあ…あいさつデスヨネ~
「…イッテキマス…」
「よくできましたじゃん!」
邪気のない快活な笑顔を浮かべる黄泉川に、頭を豪快に撫でられる。
悪くねえ…丸くなったもんだなァ…俺も…
「ああァ!!うぜェ!!さっさと行くぞ!!クソガキ!!」
「ああーー!待ってって!ミサカはミサカは___________________」
四月も下旬に差し掛かった頃。
あァ~…眩しい…これは過ごしやすい陽気っていうのかねェ…どォーでもいいが…
全て、そう呼んでもいいくらいの出来事が終わりを告げてから一カ月と半分が過ぎようとしていた。
ここ学園都市が科学の総本山であることも、能力者の集う場所であることも何も変わってはいない。
相変わらずクソッタレどものクソッタレな街であることもだ。
だが、親船最中を中心に刷新された統括理事による統治により徐々に変化を見せているのも認めなきゃならねェ… - 12 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/15(水) 21:04:08.03 ID:LGfG5B7r0
- この街の有様はざっとこんなもんかねェ…
俺も、胸を張って光の世界の住人と言えるようになった。
昔みたいに光に背を向けて、いじけた猫みてえに振る舞うことができなくなったともいえる。
ある意味で俺の「逃げ場」になっていた闇の世界はもう残っちゃいねェ。光の世界に一方通行ってやつだ。
カタギになるにあたっての努力も怠ってねェ…。…まだまだ修行中だがな。笑顔の練習だってしてるぜェ。
思ってたのより何倍も堅気の世界ッつーのは世知辛ェみてェだ…
________
「ここまでだ。行って来いクソガキ。」
クソガキがあーだこーだ騒いでるのにテキトーに相槌を打っているうちに小学校についた。
打ち止めはここで六年生やってる。
「うん!!ってミサカはミサカは天真爛漫さをアピールしてみたり!あなたも学校遅れないでねー!」
「あいよォ。さっさと行け。」
クソガキを小学校に送っていくのは俺の仕事だ。
帰り道は芳川が担当してる。まァニートでもそんくらいしねェとなァ…
さあてと俺も学校行きますかァ。…登校時間までに間に合わねえな…駅まで…いや学校まで能力で…
チョーカーのバッテリーを確認する。操作を試みると、電子音が鳴り響いた。
ピーピーピーピー
…ウソだろオイ…
バッテリー切れ…もしここで能力解放したら学校で動けなくなる…
昨日は充電したっけ?
…ああァそうだったよ畜生!!三下の家に充電器忘れてきたンだった!!!
…しょうがねェ…歩いていくか…まあ遅刻くらいどーってことねえしな…
…音楽聴いてこォ…
…スピッツ最高ォ…
… - 13 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/15(水) 21:05:48.08 ID:LGfG5B7r0
- …どォしてこうなった…
よォし説明しよう。
駅も目と鼻の先というコンビニの前、上下スウェットのチンピラが二人たむろしているところからイヤな予感はしていた。
俺の名は奴さんらの間ではよォく浸透してる。だが伝聞だけってやつもいくらでもいやがる。
それだけじゃねえ。俺の今のスタイルは長点上機のものといってもブレザーだ。着崩してねェからクソ真面目な坊っちャンに見えたのかもしれねえ。
三下から不幸体質が伝染でもしたのかねェ…感慨に耽ってると、甲高い声が鼓膜を打つ。
「坊っちゃん。カネもってそうだねえ…ちょっとバンザーイしてみい…」
続いて、野太い声。
「コココココ…可愛い顔してますねえ…肌もまっ白じゃないですか…いいですよ…私好みです。」
うるせえェ。でけェ。口くせえよ…
「ルアア!?聞いてんのかい坊っちゃん?びびって声も出ねえってか?」
「コココ…エレクトしてきましたよ…」
どォする…考えろ…能力は…駄目だ…!へたすりゃ学校まで持たねェ!能力解放しないとなると…
逃げる…?いや俺の足じゃ無理だ…能力なしで戦う!?…論外だ…武器がねえ…チンピラAはともかくこっちのホモチンピラはマズイ…
駒場級のガタイだ…
「コココココ…」
…あれはマズイ…フルボッコにされるとかそんなチャチなレヴェルじゃ断じてねェ…下手してもしなくても…
……確実に掘られる…!!!!
畜生…周りには……オイ…なァんで目を逸らすんですかァ…?こっちは一見障害者なんですけどォ…
「とりあえずここじゃないところにいきましょうか?…コココ…」
ちょ…ちょっとォ!?何だ何だよ何ですかァぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?シャレになんないんですけどォおおおおおおおおおおおお!!!!!?????
助けてェェエェエエエエエエエエ!!??ヒーローォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!
- 15 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/15(水) 21:11:43.37 ID:LGfG5B7r0
- ______「なああああああああにをやっている貴様らああああああああああ!!!!!!」
____その時。右方から飛来するものがあった。「それ」の拳は、目の前のチンピラ(ホモ)の顎先に突き刺さる。
「アニキいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!」
今まで数々の死線をくぐり、血で血を洗う戦いを数えれば限りのなかった俺にとっても、「それ」は天恵だった。
先ほどまでチンホモが立っていたそこに立つ「それ」、いや「彼女」は、俺に背を向けていた。
その時の俺の目に映る彼女は女神だった。…これは断じて誇張なんかじゃなかった…
はッ…!「最強」が聞いて呆れるぜ…
コイツを見たときほど、自分の力の信頼性を疑ってかかったことは今までなかっただろうよ。
天恵であり、そして天啓でもあった彼女は拳をさすりつつ、こちらを振り返る。そしてこう云った。
「逃げるよ。君。」
____それが、この俺、一方通行と、吹寄制理との出会いだった。
- 23 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/16(木) 23:57:56.74 ID:4jwUKcB60
- 投下します。
今回から独自設定入るかもしれません。矛盾があったら指摘して頂けたら嬉しいです。
教室のドアを開く。…この視線が一瞬集中して、すぐに離れるこの現象…名前はないのかねェ…
どうもこの居心地の悪さは慣れない。
ああ。今俺がいるこの教室は長点上機学園高等部二年A組。
こうやって机を並べて授業を聞く、という行為にも、そもそも学校という場所にも馴染みのない俺にとって、四月のアタマの復学当初は、
暗部の仕事の何倍も神経がすり減る日常だった。まあしょうがねェだろ。
生活に慣れてないとかそういう問題の前に、俺は悪い意味で有名すぎた。
もう新学期始まって二週間だ。この状況もなんとかしねえといけねえかもなァ…
打ち止めに、
「学校どうだった?ってミサカはミサカは尋ねてみる!」
って聞かれて、胃が痛い思いをするのももう散々だ。
つうか小学生に学校生活心配される第一位ってどうなのよ?あいつは天使だから小学校でも人気者なんだろうなァ…
まあ俺は悪意に対しては耐性があるから、ものの二日で慣れたわけだがな。 - 24 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/16(木) 23:59:35.27 ID:4jwUKcB60
- この前青ピの家で見たアニメだと、目つき悪くてもなんとかなってたんだがなァ…
つうかよォ…教師まで俺と目を合わすと逸らすってどうなの?センセイってやつァこういうもンなの…?
…はァ…まあ授業自体は聞く価値もねえ。知らねえことほとんどねえし。…やっぱ退屈だ…
寝ちまうと起きれねえからなあ…休み時間も寝ちまう…
休み時間、一人机でうずくまるレベル5とか嫌だろ?…寝れねェよ…絶対に…
…どうせ教員達も見て見ぬふりすンなら、ゲームとか本とかでももってくりゃあ良かったなあ…
…はァ…
…____________________
きーんこーんかーんこーん
チャイムの音。あァ長かった。昼飯の時間だ。
昼飯は一緒に…一緒とか言いたくねえが食う相手がいる。
廊下に出る。気持ち、教室の中が騒がしくなったような気がした。
…
……なんだかなァ…
自販機でコーヒーを買い、屋上に向かう。
「遅えぞ。クソボケが。」
屋上につくと、背後から声がした。 - 25 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 00:00:43.00 ID:V8Y1F53j0
- 「コーヒーかってたんですよォ。ていとくん?」
「うっせえよぼっち」
「てめえがいうなぼっち」
「…」
「…」
「やめようぜ…」
「あァ…」
誰もいない屋上(いなくなった原因は察しろ)の入り口、高みに腰かけ俺を見降ろすこいつ。
ご存知、垣根帝督。レベル5第二位。未元物質のていとくんである。
こいつは俺より学年が一つ上で三年生。まァ…あれだ…こいつはトモダチって呼んでもいいのかもしンねえ。
本人には口が裂けてもいえねえがな。
「ところでよ。」
「何ですかァ?」
「女紹介しろよ。」
「突然何ですかァあああああ!?頭わいちゃったんですかァ!?」
「いきなり大声出すなよ!!!…で…どうなんだ?」
「…俺に女の知り合いが多いように見えんのかコラ。三下に頼め」
「ああんだよ使えねえなあ!!」
「うるせェぞ童貞!!!」
「どどどっどどど童貞ちゃうわ!!!」
動揺しすぎだアホ。
「お前の童貞臭さはヤバい。マジヤバい。」
「ええ!!??マジかよ!!??つか童貞って匂うのかよ!?オイ!?」
…こいつマジで第二位なのか…?
「?…つうかテメエその鼻どうしたんだ?」
「鼻ァ?…ああこれか、今日通学中にチンピラに絡まれてな…」
「おいおいおい…チンピラごときに手傷かよ?」
「ちげーし!最後まで聞け…そんでよォ…」
時は午前中に遡る。 - 26 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 00:05:43.33 ID:V8Y1F53j0
- ____________
「逃げるよ。君。」
女は、そう言うと俺の手をとって走り出す。
…ちょ速い速い速いってェ!!!!
杖を必死に動かし何とかついていく。
助けてくれたのはありがたいんですケド…キツい…うおェ…
走る。走る。走る。
走るという慣れない行為は、俺の心臓をひどく圧迫した。
俺はなんとかついてゆく。
文句を言える状況でもねェし、そンな事考えてる暇もなかった。
そして、駅前の路地裏に入った。
息も絶え絶えだ、限界が近い。
ちょ…うぉえ…しむゥ…
「ここまでくれば大丈夫ね」
女の立ち止りかたはまさしく急の一文字に尽きた。
ちょ!急に止まるんじゃねェ!!バランスがっ
…その時の俺は三下の事を笑えなかっただろう。
俺は杖付きだ。もちろん急に止まるのは慣れてねえ。立ち止り、振り返った女を、俺は、
「ッ!!きゃっ」
「うお!」
- 27 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 00:06:33.84 ID:V8Y1F53j0
…
…
…顔が柔らかい者に包まれている…
眼前には双丘。…さァて問題です。これは一体なんでしょォ?
……
…
いい匂いがする…女ってなんでこういい匂いすんだろォな…神秘だな。
ほんのり混じる汗の匂い。悪くねェ…
うむ…。心地よい…。
ここが楽園ってヤツかよォ…クソッタレがァ…
……………
……
…
…はッ!!!!!!!
上体を起こし、女の顔を覗き込む。まず目に留まったのは、まっ白な額。
奇麗だな。ぼんやりと俺はそんなことを考えた。
それ以外に感想が浮かばなかった。
この時の俺の行動は、人生黒歴史ランキングのトップ8くらいには食い込むであろうものだった。
なンであんなことしたんだろうなァ…クソッ…
俺は後々ベッドの中でのたうち回る原因となるであろう行為に今、まさしく手を染めようとしていた。
そう。気がつくと、俺は女の額に右手を伸ばしていたンだ。- 29 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 00:11:03.87 ID:V8Y1F53j0
- 「え…?」
女が素っ頓狂な声をあげる。
前髪を掻き分け、親指で生え際と平行に額を撫でた。
滑らかだ…
………
……
…
視線を少し下げると、整った顔が真っ赤に紅潮し、心なしか小刻みに震えている。
これは…あれかァ?俺に対してキレてんのかァ?
…困ったぜェ…こういうときは何を言うべきなんだろうなァ……
そいいやァこの前打ち止めが…なんつッてたっけ?…クソっ思いだせ…
クールになれ!!!一方通行!!!!
腐っても俺ァ学園都市一位だ。過去の経験から今この場で利用できるものを徹底的に洗い出す。
灰色の脳細胞は、このとき存分に働いていた。
…はッ!!!
____________回想
「いーい?女のひととの話題ではとにかく褒めるの!!褒めちぎるの!!
ってミサカはミサカは教授してみる!!なにかの愚痴や悪口の話題もダメ!!
失敗したときはちゃんとフォローしてあげるんだよ!!
って女心のわからない一方通行にミサカはミサカは…ちょっと!!聞いてるの!!??」
___________回想終了
よォし!!!学園都市一位の頭脳をなめんじゃねェ!!!!この状況を打破し得る、最高のトークをぶちかましてやるぜェ!!!!!
保持する知識と現在の状況を照らし合わせ、俺は一秒に満たない時間の中で答えを導き出す。
模範解答は…
これだァっ!!!!!!!!!!!! - 30 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 00:15:31.37 ID:V8Y1F53j0
「ああァ…うン…そう…っそ、そうだァ!!!テメエの胸!!!最高だったぜェ!!!!!!!!!!!いい香りだったしよォ!!!!!これぞ聖母の抱擁ってヤツだァ!!!!!!思わず揉みあげたくなっちまったぜェ!!!!!
それとよォ!!おデコだよおデコ!!!!!!思わず汚したくなっちまうほどの美しさってなァ!!!!!絹のような滑らかさ!!!!!!
そしてその白さたるやスペインのカサレスの町並みの家屋の如k」
白い拳が見えた。
「貴様は何を言っているんだあァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
「ぎゃあァぁアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」
ダメでした。
鼻が熱い。痛いとかじゃなくて熱い。
…打ち止めァ…俺は悟ったぜ…この世にはなァ…取り返しのつかないことなんて、いくらでもあるんだってことをよォ…
…これもその一つだァ…
………あ…
……空が青いぜェ…
…
- 31 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 00:17:55.97 ID:V8Y1F53j0
- _______________
「本当に申し訳ございませんでしたァ…
助けていただいて感謝の言葉を選びようもございませェン。」
「…まったく…貴様は通報されても仕方ないようなことをしたのよ!?
「それだけは勘弁してくださァい…なんでもしますからァ…死にます…社会的に…」
黄泉川家にも居場所がなくなったら[ピーーー]る。打ち止めに嫌われたら…
イヤマジで。氏ぬじゃなくて死ぬ。
「…それにしても貴様体力ないのね。その制服、長点上機でしょ?
能力を使わなかったってことは…ココで入学したのね?」
そういって女はトントン、と軽く自らのこめかみを叩いた。
「まァ…そんな感じですゥ…」
能力のこと言うのはメンドクセェし…いいいよなこれで…
うあァ~!!!朝から最悪だァ~!!!なんでこんな面倒な…
…はあ…
口から自然と溜息が漏れた。
「だらしがないな!自分に情けなくなったのか?」
目を吊り上げて女が凄む。顔が近ェよ…
「あァ…似たようなモンだよ…」
「ふむ…」
そういうと女は腕を組んだ。
そして、考え込むような表情をすると、それっきり黙りこんでしまった。 - 32 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 00:19:34.71 ID:V8Y1F53j0
- …ン?つゥかこいつの制服、よく見りゃあ番外個体や三下と同じ高校の制服じゃねェか?
なに高校って言ったっけ?確か…
「よし!!決めた!!!!!」
「うォおお!!!!???」
ななな何なんですかァ!?いきなり!?
「貴様みたいな奴はほっとけないな!!!うん!頭ばっか良くてもダメだ!!!」
…えェー…何が起こっているンですの?つゥか顔近ェよ…
「なんだ?キョトンとして?貴様名前は?」
「鈴科だァ…いったい何なんですかァ?話についていけねえよ。」
「分からん奴だな!貴様を鍛えてやると言っているのよ!!」
「…はい…?」
「こう見えて私は健康にはうるさいの。貴様のように脆弱で薄弱で虚弱で貧弱な男を見て放っておくことはできないの!!!」
「おいいいいいィィィィィィィ!!!???流石にそこまで言われちゃァ黙っていられないンですけどおおおおおおおォ!?
つうか余計なお世話だ!!関係ねえだろうがよォォ!!!???」
俺が猟犬部隊をも怯ませる凶悪スマイルで応じても、この女は涼しい顔だ…
ふってえ肝っ玉してやがる…
「…いいのか…?」
「あァ?何がだ?」
女はニヤリ、と不敵な笑みを浮かべて呟いた。
「押し倒したな?」
「ッ!?」
「胸に顔をうずめた。」
「…」
「額を弄んだ。その上汚してやりたいなどとのたまったな…」
「…」 - 33 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 00:21:45.75 ID:V8Y1F53j0
- …このアマ…学園都市に七人しかいないレベル5の中でも突き抜けた頂点って言われてるこの俺を…
…魔術の理すら理解し、天使クラスのバケモノどもと互角以上に戦えるこの俺を…
うずめただの、弄んだだの、押し倒しただの、そんなチャチい理由で脅迫するつもりかァ?…
くかきけこきかこけかきここいきここここきけかきくくっきくきこかかききこくくかかくきこくこ!!!!!!
あはッ!ぎゃはッ!!ぎゃははははァッ!!!!いいねェいいねェ!!サイッコーだねぇ!!!!!!!!!!!!!!
「もう一度言うわよ。鍛えてあげましょうか?鈴科?」
「…」
はッ…答えるまでもねェよなァ…ああァそうだ。答えなんて決まってる。
「よろしくお願いいたしますゥ」
「よろしい。」
女は微笑んだ。
…ああ…そうだよ…
…悪いかよォ…
通報はイヤだろうがよォ…
俺はその日。始めて土下座なるものをした。
人生は何事も経験だ。そう思うことにした。
- 45 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 17:40:47.37 ID:V8Y1F53j0
- こんにちは!一方さんの名前はいろいろ考えたんですけど、やっぱりぼかすことにしますね!
貴重なご意見ありがとうございました!それでは投下します!
…アスパラベーコン巻はうめェなァ…
楽しみに取っておいた最後のひとつを口に放り込む。
…悪くねえ…ン?
先ほどから気にはなっていたのだが、垣根の箸が全く動いていない。
「オイていとくン。生姜焼き食わねえならくれよ。」
「…」
「エ?くれんの?今日は心が広いねェ…」
生姜焼きをかすめ取る。ちょっと味付けが濃いが美味だった。
…様子がおかしいな…?
「オーイ。ていとくゥン?イっちゃってんですかァ?」
仏頂面で黙り込んでいる。…ン?なァんか震えだしたぞォ…?大丈夫か?コイツ?
「オーイていとk「てめえは上条かあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!????」
「うォおう!!??」
「何!?なんなの!?それなんてエロゲ?そう言ってほしいのかよコラ!?ああん!?」
- 46 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 17:42:51.47 ID:V8Y1F53j0
- 「おお落ち着けよォ!!羽根出てる羽根!!!」
「え…?マジで!?…ホントだ!?…ふう…アブねえアブねえ…」
額の汗をぬぐうような仕草をしながら垣根は肩の力を抜いた。
能力の象徴である羽根は形を崩した。
こいつは、授業中におけるイライラで、羽根を出現させてしまい、、クラスを阿鼻叫喚の騒ぎに叩き込ンだという前科がある。
ただでさえ狭ェ肩身を自ら削り取るという失態を犯してからは、羽根に敏感になってやがるッつーわけだ。
「ふう……!そうだよテメエは上条か!?なあにフラグ立ててんだよ!!??」
「エー…まだ怒るンですかァ…?」
「で!?続きは?弱みを握られてからの濃厚なプレイだよ!!!踏まれたのか!?縛られたのかあああああああああああ!!?」
「落ち着けよバカウンチ!!話すよォ!話せばいいンでしょォ?」
やっと納得した垣根は腕枕を使い、ごろんと寝転がる。
えー…ごほン…。
「エェとォ…全力で土下座してェ…それから___________」 - 47 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 17:43:59.72 ID:V8Y1F53j0
- ___________________
「吹寄制理だ。」
女はそう名乗った。
…フム…
「ふゥん…せいりちゃンかァ…」
「いっ…!いきなり名前でよぶなあっ!!」
「ぶっ!!」
肩をグーで殴られた。
…ちきしょオ…これが…これこそが全国のリア充中学生の間で同時多発的に流行し…
とり行われるているという儀式…通称「肩パン」ってヤツかよ…
クソッタレがァ……噂以上の痛みだァ…
光の世界の恐ろしさの末端を味わった気分だぜ…。
「?…なにブツブツ言ってるのよ?いーい?私がこれから定期的にトレーニングしてあげるから。そう!健全な魂は健全な肉体に宿る!!!」
「科学の総本山でなァに世迷言を。勝手に決めんなァ!だいたい俺は」
「してあげるから。」
「…ハイ。」
なんだァ?この女と喋ってると調子が狂うぜ。俺にMッ気はねェはずなのによォ…
…つゥか今のちょっとエロかったよなァ… - 48 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 17:47:30.19 ID:V8Y1F53j0
- 「はいこれ連絡先。」
携帯端末を取り出す。端末情報が交換された合図である、軽快な電子音が鳴り響く。
「今日にも連絡するわ。」
「お、おゥ…」
「うん!これで今日から貴様は私の舎弟だ!鈴科!!」
「はァァァああああああああああああああああああああああ!!??」
吹寄は、胸を張って鋭く言い放った。
ふざけるな、と言う言葉が喉もとで止まる。
___
何でかは口じゃ説明できねェ。
その時俺は彼女の顔を見るだけで精一杯だった。
わっけわかンねェ。
緊張とかそンなンじゃねェ。
あいつの笑顔に目を奪われる。
打ち止めの太陽のような笑顔とはまた異質のそれ。
なンとなく、俺はそのときの吹寄の顔が、その笑顔が、たいへん貴重で重要で、大切で、そして、
______何より価値のあるものに映った。
…おかしいなァ…?どうしてだ?
… - 49 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 17:48:43.99 ID:V8Y1F53j0
- また会いましょう。学校遅刻してるから急ぐわね!!
「遅刻とは不健康ですねェ…」
「なにか言った?」
「イエ…なんでもございませン。」
「なら良し。またね。」
ポンっと俺の肩に手を置いた吹寄は、駅とは反対側の方向に走って行った。
……
…
…はァ~…なァにやってんでしょうねえ……
言葉にできない感情に、自然と溜息が洩れる。
あーあ…学校いくか…
……ン…?
その時、アパレルショップのガラスに映り込むものがあった。
笑顔だ。
誰の?
…
俺の?
笑顔が映り込ンでいた。
その笑顔が自分のものだと、信じられなくて。
見慣れているはずの自分の顔が、違う人間のように見えて。
…
「クソッタレが」
そうやって俺は吐き捨てた。認めたくない事実に目を背けようとするかのように。 - 50 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 17:50:01.44 ID:V8Y1F53j0
- 「__ッて感じだァ…どうだ満足かァ?」
「はいはい満足ですう。よかったねかわいいね吹寄タン。一方通行やっるうー。」
「てめェ…」
「落ち着けよ。テメエは今能力使えねえんだろ?まあ良かったじゃねえかよ?いいねえ~。女の子降ってこねえかなあ~。」
「青ピみてえなこと言ってんじゃねえよ…」
だめだコイツ…早く何とかしないと…
「ああそうそう一方通行。今日上条達とカラオケ行くんだけどテメエどうすんの?」
「ああ悪ィ。今日はパス。」
「…へ~え…愛しの吹寄タンとデート?」
「ぶち[ピーーー]ぞクソメルヘン…親船に呼ばれてンだよ…」
「…!統括理事長に?」
「落ち着けェ。物騒な話題じゃねえ。テメエにも話が来るかもしンねえぞ?パフォーマンスを兼ねての臨時講師の任務だと。」
「…ふ~ん?うけんの?それ?」
「あァ。俺が受け持つのは平均してレベルが低くて、その上問題の多い、上からの評判の今ひとつの学校だけらしいからなァ。低負担な能力開発の講師だとよ。」
レベル5を含め、旧暗部組織で協力する姿勢を取ってる者は、「理事会認可生徒」という肩書を与えられる。
これは、一部の任務や有事のときのみ、風紀委員や警備員をはるかにしのぐ権限をもあたえられる、ッつーことになってるらしい。
話を聞いた垣根はにやりと笑った。…どうしたンだ?気っ持ち悪ィ… - 51 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 17:51:05.90 ID:V8Y1F53j0
- 「いいじゃねえか。それ。俺が女子校とか行ったら間違いなく声援がふきあれるぜ。」
「悲鳴だけどなァ。」
「なんだとテメエ!!っつーか上条がからくりサーカス返せ返せって会うたびうるせえんだよ。俺にまで言ってきやがる。早く返してやれよ。」
「今三週目読ンでる。」
「読みすぎだクソボケ!!」
「うっせェェェェ!!ナルミ兄ちゃンは三下の心の師匠なんだぞォ!!!」
「まあ確かにあれは面白い。自動人形のデザインには常識が通用しねえ。」
「メルヘンだからなァ。」
「コロンビーヌには泣かさたぜ…」
「ロリコンがァ…」
マジで垣根くんはロリコンだと思います。
「テメエが言うな。鏡見てみろ。」
______________きーんこーんかーんこーん
昼休みが終わりを告げる。…昼休み短ェよ畜生…
「じゃァなメルヘン。」
「またなロリコン。おい。つーか俺も親船のとこ行く。連絡きてたぜ。」
「あァ。そうかい。授業終わったらメールしろや。」
……
…
あいさつもそこそこに教室に帰る。
…あ…三下に充電器返してもらわねェと…あと漫画か…
充電器等々の件で、冥土返しのところに寄ンなきゃなあ…
そう思いつつ、俺は教室の扉に手をかけた。
- 55 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 22:49:42.95 ID:V8Y1F53j0
- また来ちゃいました。
明日は来れるか分からないので、今日投下できるだけ投下します。
____同時刻;とある高校
四時限終了の鐘が鳴ると同時に、吹寄制理のクラスは、滝のように生徒を吐きだした。
彼女はというものの、彼らのように学食や、購買に向う必要などない。
いつものムサシノ牛乳と、能力アップ促進パン、そして新発売の、鮭原子崩しおむすび、という健康志向グルメである。
「そんなんばっかでよく飽きないねえ。ミサカには理解できないよ。」
「彼女に何を言っても無駄。健康バカ。もとい健康ヲタク。」
「…好き放題いってくれるわね。」
…ん?
彼女のクラスメイトである御坂希(みさかのぞみ)と、姫神愛沙が肩透かしを食らったかのような表情を浮かべる。
どうしたのだろうか?
「なによ…?私が何かおかしい?」
ミサカが人の悪い笑みを浮かべる。
「ご機嫌だねえ。何かいいことでもあったのかにゃ~ん?」
- 56 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 22:53:20.15 ID:V8Y1F53j0
- 「!…な、何もないわ!!」
「今日。何で遅刻したの?」
愛沙が鋭く踏み込んでくる。
「びょ、病弱な少年を助けてたのよッ!!」
「へ~え…」
「何よ!嘘は言ってない!」
「少年、ここがポイント。」
ッ!!
「ぎゃはッ☆制理ちゃんきゃっわゆーい!!顔真っ赤ぁ~。」
「茶化すな馬鹿ッ!!」
ミサカはひとをからかうときが最も活き活きとしているように見える。
わざと下品な口調と笑い方を弄するのだ。
「吹寄はその病弱なイケメンに母性本能とか他のイケナイ本能とかくすぐられちゃったワケなぁんだぁ~?」
「くすぐられてない!!」
「イケメン。これは否定しない。」
と、姫神さん。
「うッ!!!」
こいつら…こんなに息が合っていたとは…特に姫神…こんど覚えてなさい… - 57 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 22:54:04.36 ID:V8Y1F53j0
- 「これは大事件やでえ…」
ボソッと…胡散臭い似非関西弁が耳に入る。こいつ…
「大事件やあああ!!!上やんの体質が通用しなかった鉄の女、吹寄制理に春が来たああああああああああああ!!」
「ななっ何を言ってるんだ貴様あああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
「おおっと動揺しすぎだにゃー。これじゃあ事実を認めているようなもんだにゃー。」
土御門ォおおおおおおおおおおおおお~!!
「あれっ?何の話してるんだ?」
…ツンツン頭の馬鹿パート3も顔を出す。
「なあ教えてくれよ~。あと俺の体質ってどういう意味d「上条(かみやん)は黙っていろ!!!(にゃー!!!!)」
「ええー!!??上条さんはなにか悪いことしたのでせうか!?」
…ああ!もう!デルタフォースが騒ぎ立てるからクラス中が大騒ぎじゃないの!!!
「コラ!ミサカ!姫神さん!!あなた達のせいよ!!!」
「ミサカし~らなぁい☆」
舌をだして涼しい顔をしている…。この性悪女…
「良かった良かった。うらやま素晴らしい。」
「造語を作るな!」 - 58 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 22:54:31.83 ID:V8Y1F53j0
- チャッチャラッチャチャチャラ~♪ (そげぶのテーマ)
「あ、メールだ。…充電器…?…あああれか。」
「かみやん?女の子かにゃー?」
「いいや…一方通行から。充電器忘れたって。あと漫画返すってさ。」
…三馬鹿はなにやら話し込んでいる。どうだっていいけど。
「そうそう!小萌センセの補習のとき聞いたんやけどな?新統括理事直属の講師がこの学校にも来るらしいで?
楽しみやわあ~!!たまにはロリ以外も新鮮でええねん!!!」
女性だとは限らない、とは…もう誰も突っ込まないのね…
「来週からにも始まるときいたにゃ~。低負担の能力開発のカリキュラムを組むモデルにする目的もあるそうだぜい。」
「貴様たち!私たちの品位を貶めるような行動をとるのは許さないわよ!」
…正直…能力の開発には少し興味もあるし…
「吹寄はそのいかがわしい健康食品の是非を問ういい機会が訪れたってわけだねえ。ぎゃはッ☆」
「いかがわしくないわよ!」
きーんこーんかーんこーん
「うあああああああああああ!!昼休みいい!!」
上条がわめいてる。
……さてと、鈴科のトレーニングメニューでも考えるとしようかな。
「…やっぱ制理上機嫌。いつもよりかわいい。」
「きひひ…面白いネタが増えたね?」 - 59 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 22:54:57.30 ID:V8Y1F53j0
- ___________________
「ああ大丈夫大丈夫。もう杖は無くても平気だよ。あれ?言わなかったっけ?
「ァあ?知らねえよ?」
カエル顔の医者が些事のごとく言う。
すげェ重要な事だろそれ…まあいつの間にか違和感はあったけどよ…
日が沈みきるくらいの時刻、俺は冥土返しの病室にいた。
「チョーカーの機能が上昇したらしくてね?技術部の研鑽の賜物と言ったところだよ。」
「…そォかい…」
立ちあがり、病室を出ようとすると、背中に声が掛かる。
「それにしても急にどうしたんだい?運動がしたくなったなんて?」
「どォだっていいだろ。じゃあな。バッテリー御苦労さン。」
「次からはお金とるからね。大事に使うんだよ?」
病室の外にでる。
リノリウムの床、病院の匂いは、過去に所属していた研究所の匂いに似ている。
…帰るか。
飯はいつも当番制だ。今日は黄泉川の日だった。
明日は土曜日だ。惰眠を精一杯貪ってやる。
…コンビニでコーヒーでも買ってくかァ。
- 60 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 22:55:38.17 ID:V8Y1F53j0
- ________
「「いただきまァす。」」
夕食の合図。言わねえと黄泉川がしつこいからな。
味噌汁の香りがたまンねえ。…そうだ。一応黄泉川には言っかねえと…
「オイ黄泉川。」
「どうしたんじゃん?」
「てめェの学校の能力開発の授業の臨時講師やることになった。」
「はああああああああああああああああああああああああああああ!!??」
…やっぱなァ…うるせえよ番外個体。
「…それはまた…どうしてじゃんよ?」
鳩が豆鉄砲喰らったような顔で黄泉川が尋ねる。
「統括理事長直々のご命令でェす。」
「なんで愛穂の学校なの?」
ニートが喰らい付く。
「話せば長くなるからすっとばすが…非人道的な能力開発を全廃したッつっても、学園都市には能力者が必要ってことだよ。」
「別にミサカの学校じゃなくてもいいじゃん!!!間に合ってるし!!!」
「テメエはな。残念だが、お前らの学校は上からの風評は今一つってトコらしいぜ?」
こいつ不機嫌そうだなァ…そりゃそうか。
「良かったね!ヒーローさん達一緒だよ!ってミサカはミサカはグッドニュースを歓迎してみたり!!」
「グッドじゃねえし!!」
「ちゃんと協力してあげなさいよ?」
「心配すンな。低負担の能力開発は俺の得意分野だ。復学時の論文がきっかけで学位も持ってる。
どんなマヌケでも理解できるように説明してやるよ。」
「そういう意味で言ったんじゃないんだけど…」
芳川が溜息をつく。なンだどうした? - 61 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 22:56:12.01 ID:V8Y1F53j0
- つーか一方通行、今日はやけに機嫌がいいじゃん?」
「そうだよね!ってミサカはミサカは同意する!」
「はァ?どこが?」
「全部よ。」
「ミサカも思った。上機嫌すぎてキモチワルいよ。」
…ンなこたないだろ?
「ごちそうさン。」
「お粗末さまじゃん。」
さあてと部屋にもどって…
ヴー…ヴー…
メールか…? - 62 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/17(金) 22:58:24.83 ID:V8Y1F53j0
- 【DATE】4/15 20:03
【FROM 吹寄制理
【sub】明日
------------------------
7時に例の駅前ね。
運動できる格好で来なさい。
…早くね?せめて8時…と… ピコピコ
…
…ヴー…ヴー…
うお!?
【DATE】4/15 20:09
【FROM 吹寄制理
【sub】嫌なら
------------------------
6時がいい?
…ワカリマシタ。…と… ピコピコ
…
…
…ヴー…ヴー…
【DATE】4/15 20:15
【FROM 吹寄制理
【sub】よろしい
------------------------
朝ごはん食べてきなさいよ!
おやすみなさい。
…
…おやすみィ…と… ピコピコ
「なにやってるじゃん?」
「うおおォ!!」
お前らいつからそこにッ!!
「ニヤニヤしてたじゃん?」
「してねェーよっ!!」
「愛穂。彼にも気になる女の子くらい居るのよ?」
「ちげェよ!!」
「こいつとメールするなんて物好きだねっ」
「あなたにもそんな人ができたのねってミサカはミサカは…」
「勝手に話進めンな!!ああァもう!!風呂行く!!」
なンだってンだァ?こいつらは。
つゥか7時とか早すぎだろ…。
なァに考えてんでしょうねェ?…
…はあ…
…
目覚まし時計、セットしとかねえとなァ…
- 69 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/18(土) 21:19:25.14 ID:S9IC1D+z0
- 投下します。
寝坊した。
休日の学園都市の朝は静かだ。
車通りも人通りも少ない。
天気は快晴。四月にしては熱すぎるくらいだ。
…急がねェとな…もう時間がねえ。
能力をONにすると、昨日あれほど時間がかかったのがまるで嘘みてェだ。
瞬く間に駅が見えてくる。
能力をOFF。
どうしてか能力の事について話すのはためらわれた。
能力の事を話して、この関係にヒビが入るのが怖かったのかもしれない。
これについては、極力考えないようにした。
駅前広場、少女が一人腕を組み佇ンでるのが見える。 - 70 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/18(土) 21:20:21.90 ID:S9IC1D+z0
- 「悪ィ悪ィ。間に合って良かったぜェ!!」
「遅いわ!間に合ってない!」
言い放ち、少女、吹寄制理は広場に立つ時計を指さす。
時計の針は7時03分を指していた。
「三分くらい多めに見ろよ?こんな時間に起きなれてねェンだわ。」
「…その生活習慣から叩きなおす必要があるみたいね…」
溜息をつく。
「というか貴様、遅れそうなら急いできなさいよ!息一つ切らして無いじゃない!」
「あ~…一応急いできたンだが…」
「嘘!汗一つかいてないじゃない!!」
「…すみませン…」
ここは謝っておくか。面倒だし…
「…それにしても貴様…」
「?」
吹寄は、足元から頭頂にかけ、品定めでもするかのように俺を見つめた。
心なしか少し顔が赤い。 - 71 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/18(土) 21:21:04.65 ID:S9IC1D+z0
- ……
…
「…な、何だよ…」
「白いわね…それに無駄毛の一つもないじゃない?…剃ってるの?」
「剃ってねえよ!」
俺の格好は、学校指定の体操着、青いハーフパンツと白いTシャツだ。
ハーフパンツなんていつ以来だァ?足がスースーしやがる。
「まあいいわ…行くわよ!」
吹寄は一瞬納得のいかないような表情を浮かべると、彼女は背を向けた。
「行くってどこに?」
「走るの。これから朝のランニングは日課にしてもらうわ。昨日メールで聞いたけど、足はもう平気なんでしょ?」
「あァ。…日課!?毎日走ンの!?」
「当然よ!私も付き合ってあげるから。」 - 72 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/18(土) 21:21:50.40 ID:S9IC1D+z0
- 「えェーーーー!!睡眠時間は!!??」
「早く寝ることね。…なによ…筋トレとかもあるんだからね?このくらいで音をあげないで欲しいものだわ。」
「…マジかよ…」
「さっさと行くわよ!」
「ちょっ!こちとらついさっきまで障害持ちだったンだぞ!ペースが早ェ!!!」
「平気よ!私のペースに間違いはないはずだわ!この前だってついて これてたじゃない!」
「そりゃあそうだけどよ…」
朝からハードすぎンだろ畜生…
…このあと、杖なしでの走りかたを思い出しつつ、俺と吹寄は、朝の学園都市を二時間ほど走り回った。 - 73 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/18(土) 21:22:26.39 ID:S9IC1D+z0
- _____________________________
「…し、死ぬゥ…」
「だらしがないわね。」
息も絶え絶えとはこういうことかァ…
「お前…スタミナありすぎだろうが…」
「そんなことないわよ。はい、これ。」
そう言うと吹寄はスポーツドリンクを差し出す。
「いいのか?テメエのだろ?」
「水分補給を怠ると倒れるわよ?」
「…アリガト…」
受け取り、スポーツドリンクを仰ぐ。
俺の分はさっき無くなっちまったからな。
…うめェ…
やっぱスポーツドリンクはポカリ一択だよなァ…
満足し、ドリンクを吹寄せに突き返す。
次いで彼女もまた、それを仰いだ。
…ン…?
「…どォした?顔が赤いぞ?」
「そ、そんなことないッ。」
流石の彼女も疲れたのだろうか?
俺たちは今、公園のベンチに腰掛け、休憩を取っていた。
こんな動いたのは久しぶりだ。
不思議といい気分だなァ。
午前中特有の日差しってやつも嫌いじゃなかった。
昔の俺は完璧な夜型人間だったからなァ… - 74 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/18(土) 21:24:41.75 ID:S9IC1D+z0
- 「…赤いと言えば、貴様の眼、ハーフか何かなの?」
「ちげェよ。これは…まァ…能力の弊害みたいなもンだ。」
「ふーん…そうなの…白いから北欧系のハーフか何かだと思ったわ。」
…
「…気味悪いか…?」
「どうして?奇麗な色じゃない。私は好きだけど。」
何でもないように彼女は言った。
その時の俺はどンな顔をしていたんだろう。
この眼の色におびえる奴は星の数ほどいた、気味悪がる奴もなァ。
だが…
「な、なんて顔してるのよッ!…忘れなさい!気の迷いよ!」
吹寄は、そう言ってそっぽを向いてしまった。 - 75 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/18(土) 21:25:32.96 ID:S9IC1D+z0
- 「休憩はお終い!さーあ次はジムに行くわよ!」
「オイオイ…もうちょい休まねェか?」
「だめ!ほら立ちあがるのよ鈴科!まだまだ今日は半分残ってるんだから!!」
彼女は俺の手を取り、歩き出す。
…やれやれ…
…
いっちょ気合い入れますかァ。
_____________________________________
「身体中が痛ェ…」
畜生…筋トレって…拷問じゃねえか…
公園から20分ほど(走らされた)の場所にある、吹寄もたまに来るというジムにて、俺は地獄を味わった。
スポーツ選手専属のトレーナーさながら気合いの入った吹寄の言うがまま、俺は様々な器具に取りかかった。
「あと十回!これが終わったら上腕三頭筋よ!!」
ジムの客の目には、俺達はどンな風に見えたんだろォな…
身体中の内側が張り詰めているような、奇妙な感覚を味わいつつ、ファミリーレストランを後にする。 - 76 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/18(土) 21:26:34.83 ID:S9IC1D+z0
- 「今日はここまでね。お疲れ様。」
「あァ~こンなに食ったのはいつ以来だァ?」
フフン、と吹寄は微笑んだ。
「鈴科、今日は私がいたからいいものの、貴様もっと野菜を取りなさい!
栄養バランスが偏っているようじゃいけないわ!!」
「ハイハイ。わかりましたよォ。」
そうは言うが、ここ最近料理が当番制になってからは結構ヘルシーな食生活を送っている。
まァ肉大好きなのは変わンねえけどな。
「じゃあまた明日ね!あ、あと平日は六時に集まって、走った後学校だから!」
「六時!?」
「毎日じゃ辛いから…そうね…月、水、金にしましょうか!」
楽しそうに言いやがるなァ… - 77 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/18(土) 21:27:03.95 ID:S9IC1D+z0
- 「なンなンですかァ!!??俺はオリンピックでも目指すんですかァ!!??」
「い、イヤなの…?」
…う…
「…い、イヤじゃないですゥ…」
吹寄はにやりとすると、
「じゃあ決まりだ!遅刻は許さないわよ!鈴科!」
「おゥ…ってオイ!!!!!!!!!!!」
…
…行っちまいやがった。
飽きねえ女だぜ…まったくよ。
ヴーヴー…
…あァ?電話…三下か…
「俺だ。」
『一方通行!!??助けてくれええええええええええええええええ!!明後日の放課後追試なんだけど、
ぜんっぜんわかんねえんだよ!!』 - 78 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/18(土) 21:27:31.45 ID:S9IC1D+z0
- 「うるせえ…ちょっと落ち着けよ…」
『おちついて居られるか!インデックスがうるさくて集中できないしよ!なんとかしてくれえええええええ!!』
…はァ…
「…わかったよ…一度帰って打ち止め連れて行く。遊び相手がいれば静かになんだろ。」
『おお!!あなたが神か!!待ってるからな!!』ブツッ
…やれやれだぜ…
まあ丁度いいか。充電器取りに行けるし、漫画返せるし。
さあて帰るとしますかァ。
杖が無しで歩く。
二本足で「歩く」という行為をするのは新鮮だ。
ゆっくり行きますかね。
………
…ああそうだ。講師の件言い損ねた。
言わねえと後が怖ェなァ…
ま、明日でいいか。
あーあ疲れた。
だけど不思議といい気分だ。
あ。やっぱ身体痛ェ…泣きそう。
- 83 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/19(日) 21:42:10.70 ID:mfzkILC+0
- 投下します。今日は少なめ!ごめんね!
「お邪魔しまーす!!ってミサカはミサカは懇切丁寧に挨拶してみる!!いんでっくす~!!」
「丁寧じゃねェよクソガキが!お隣さンに迷惑だろうがァ!!」
三下ン家に上がり込んだ打ち止めは、そのまま奥の方へと走り行く。
打ち止めとシスターは親友と呼べるくらい仲が良く、しょっちゅう遊ンでるらしい。
「待ってましたよ!一方通行様!お荷物を預かります!!」
「気持ち悪ィよ三下…これ漫画ァ。」
「おう。どうよ?面白かっただろ?」
「正直泣きました。最古の四人格好良すぎだぜェ…」
「だろだろ?」
取りとめのない話を交わしつつ、上条の部屋へ。
クソガキどもの騒がしい声がリビングから響いてくる。 - 84 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/19(日) 21:42:55.15 ID:mfzkILC+0
- 「それにしても…」
三下がこちらをジロジロ見てやがる。
テメエもかよ…。オイ。
「お前、そういう格好似会うなあ。ちょっと前まで来てた特撮ブランドどうしたの?」
「あァ…あれか…クソガキにヤフオクで売られた…」
「ちょッ!?マジですか?」
お金は打ち止めの入学祝いになりました。
「なンか気に食わなかったみたいでなァ…禁止っていわれて、売られたァ…」
「打ち止めちゃんやるなあ…まあでもそういう格好の方がいいと思うぜ?」
「そうかァ?別に今日は気合い入れてねェぞ?」
今日の格好は、スリムジーンズにカットソー、その上にカーディガンをはおっただけのラフな格好だ。
「いやいや~非モテの上条さんからしてみれば羨ましいですよ!女の子の視線を一人占め!にくいねこの野郎!」
…こいつは後ろから刺されて死ぬンだろうなァ - 85 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/19(日) 21:43:24.53 ID:mfzkILC+0
- 「あ、そうだ三下。」
「何だ?」
「俺、月曜日からお前の学校で講師やるンでよろしくゥ。」
「ふ~ん。そうなんだ…ってえええええええええええええええええええええ!!!???」
こいつもか?うっせえなァ…
「えええ!?何故!?なに!?どうして!?」
「落ち着け…統括理事からの命令だァ…理由はいくつも心当たりがあるが、説明すんのも面倒臭ェ…」
「…」
「心配すンな…キナ臭いことはなンもねえよ。そう怖い顔すんなって。」
俺の言葉を聞いて安心したのか、上条はほっとしたような表情になる。
「そっか!なら良かったな!土御門や青ピもいるし、きっと楽しいぜ!」
「…あのなァ…俺がわざわざ出向くンだ…結果は多少出してもらうぜ?つーか俺が受け持つのは一番問題のあるクラスだ。
テメエのとことは限らねえ。」
そう言い、俺は唇を歪めるが、 - 86 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/19(日) 21:44:07.11 ID:mfzkILC+0
- 「あいつらには内緒にしとくか!つかお前だけ?垣根とかは?」
こいつ聞いちゃいねえ…
「あァ?あいつもかもなァ…元暗部連中から能力のあるヤツだけお呼びがかかってる。」
「そっか!よおし!つかウチのクラスより落ちこぼれのクラスなんてないって!!そうときまればッ…」
「…上条くゥン…?」
ギクっ…と三下は身体を震わせる。
「テメエは何の目的で俺をここに呼んだんだっけなァ?答えろよ…あァ!?」
「そそそそれは…」
「俺が来たからには、満点取ってもらわなくちゃあ割にあわねェ…そうだろ…?」
「ちょッ!上条さんは優しく教えてもらえると嬉しいのですが…」
…なァに馬鹿みてえなこと言ってやがるンですか?
「雑談の分…取り返しちまおうかい…やっるぞコラァァああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
「ぎゃああああああああああああああああああ!!不幸だあああああああああああああああああああああああああ!!!!」
こいつ、不幸って言葉と、自業自得って言葉の意味がごっちゃになってンじゃねえのか…? - 87 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/19(日) 21:44:52.60 ID:mfzkILC+0
- _______________________________________
身体の痛みはようやく消えた。
筋肉痛が消えねェおかげで、昨日はランニングだけだった。
結局臨時講師の件、言い忘れちまったなァ…
……
…まあいいか。俺が受け持つクラスにいるとは限らねえしな。
始めての授業となる今日は、臨時講師を集めて、最終確認がある。
俺と垣根は、時間ぴったり、午前九時に統括理事長室を訪れ、説明を受けた。
知らねえ顔が多かったが、結標のヤツを見つけた。
あいつに小学校を任せる親船はマジで病院いったほうがいいと思う。
垣根のやつは棚川中学とかいうとこだとさ。
「中学生かよ…俺はロリコンじゃあねえのによ…」
嘘つけ。 - 88 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/19(日) 21:45:22.69 ID:mfzkILC+0
- なんやかんやで今俺はとある高校にいる。
職員室に向い、挨拶をすませたとこだ。
黄泉川が驚いたような顔をしていた。
…はッ!第一位を舐めンなよ?
俺は社会に適応するためのスキルを毎日積み重ねて言ってるンだよォ!!
「あくせら…あー鈴科先生!こっちじゃん!」
黄泉川に連れられ、廊下を歩く。
「驚いたじゃん!スーツ着て、あの落ち着いた様子じゃあいつものアンタとは見違えるようじゃん!」
大袈裟だァ…こンくらい任せろってンだ… - 89 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/19(日) 21:45:53.30 ID:mfzkILC+0
- 「分からないことあったら何でもきくじゃん?月詠先生にも頼るじゃん!」
「ふン…俺を誰だと思ってやがる……」
「だから心配なんじゃん…」
そういって溜息をつく黄泉川。
お前は俺のおかあさンですかァ?
「ここまでだね。がんばってきな!」
「おうよ。」
黄泉川と別れる。
目的の教室に到着。
「…ここかァ…」
騒がしい声が聞こえる。
気負わず行くとしますか。
俺は、扉に手をかけた。
__とても自然な動作で。
- 93 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/20(月) 22:34:21.95 ID:M11h2Bso0
- 投下します。需要が無いぃ?そんなの知るかゴルァ!!!!
あ、今回から登場人物が多かったり、主役二人がいないところは台本形式です。
金曜日に来ると報告を耳にした臨時講師は、どうやら3馬鹿の知り合いであるらしい。
昼休みからあーだこーだとやかましい。
「えー?何かすんの?ミサカもやるーっ!」
「おーっ!大歓迎や!」
ミサカの知り合いでもあるらしく、彼女も絶好の嫌がらせの機会だと、目を輝かせていた。
3馬鹿の知り合いなのだからどうせロクな人間では無いのだろう。
いつもなら止めるのであろうが、そんな気も起らなかった。
…
それにしても鈴科のやつ…
何が「今日はどうしても無理」だ!調子が狂うじゃない!
早朝のランニングはもう日課になりつつあるのだ。
…
別に楽しみにしているわけじゃあないわ!?
…
…なんで弁解してるのよ…?私…
- 94 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/20(月) 22:35:00.92 ID:M11h2Bso0
- 「どうしたの。彼氏と喧嘩でもした?」
「ぎゃあっ!?ちょっいきなりなによ姫神さん!というかやつはそんなんじゃっ!…」
「顔に出てた。いいなあ。とてもうらやましい。」
……顔に?気をつけないと…
「そんな変な顔をしてた?」
「ううん。ちょっと機嫌悪そうだったから。」
…そんなことないわよ…私は別に__
_________きーんこーんかーんこーん
昼休み終了の鐘が鳴り響いた。
土御門「チャイムだにゃー!!準備は!?」
青ピ「ばっちりやで!!」
上条「いつでも来い!!!」
番外個体「ぎゃはっ☆今から第一位のマヌケ顔を激写しまぁす!!」
扉の前には幾重にも敷き詰められたトラップ。
裏の、裏の、そのまた裏まで突きとおすような、製作者の性悪さが具現化したかのような罠が敷き詰められていた。 - 95 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/20(月) 22:35:49.12 ID:M11h2Bso0
- 日頃三馬鹿の愚行を見慣れているはずのクラスメイトも、これにはちょっと引いている…
…
…大丈夫なの?…下手すりゃ死ぬわよ…?これ…
コツッ…コツッ…コツッ…
その時、教室の外から足音が響いた。
来たっ…!!!!
にわかに教室中が騒がしくなる。
それもそのはずだ。
三馬鹿の悪友。
それでいて、あの手の罠をお遊びで仕掛けても問題ない人間。
生徒が騒ぎ立てるのも無理はないだろう。
コツッ…コツッ…コッ。
教室の前で足音がとまる。
生徒達が息を呑む。
三馬鹿はニヤニヤしている。うざい。 - 96 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/20(月) 22:36:48.52 ID:M11h2Bso0
- そして前方の扉が__________________
_________ガラッ
______________________開かれた。 - 97 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/20(月) 22:37:31.04 ID:M11h2Bso0
- しかし、三馬鹿を含め、私達の思っていたような状況は起こり得なかった。
扉が開き切ると同時に、全ての罠が弾け飛んだのだ。
皆言葉を失う。。
カメラを携えるミサカも、どこか悔しそうにしている。
そして、どこかで聞いた声が響いた。
「まったくよォ…たいそうなお出迎えじゃァねえか…なァ…?テメエら?」
ここからは姿が見えない。まだ廊下にいるのだ。
三馬鹿、特に上条が青い顔をしている。
「演出御苦労。そう言いたいところだが…ちょォっとおイタがすぎたなァ…」
そう言いつつ男が入って来る。
その男は、黒いスーツに身を包み、まっ白な…
…
…って…え。…? - 98 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/20(月) 22:38:34.44 ID:M11h2Bso0
- 「そこの馬鹿どもはあとでお仕置きなァ。今日から能力開発の授業を担当する鈴科だ。宜しく。」
「…鈴科?」 - 99 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/20(月) 22:40:46.09 ID:M11h2Bso0
- __________________________一方通行サイド
「…鈴科?」
…
…やっぱりかああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
…正直そんな気はしてた…どうしよう…
なんか言わなきゃぶたれる…ぜってェぶたれるぜ…
…
よし!ここは自然にっ!それでいて正直に!!
一方通行のコミュ力なめンじゃねェ!!
……
…
…よし。 - 100 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/20(月) 22:41:48.79 ID:M11h2Bso0
- 「よォ!吹寄!!会いたかったぜェ!!」キリッ
かぁっ、と吹寄の顔が赤くなる。
風呂場で練習した笑顔で決める。
どうだァ!決まったぜェ!!これで他の生徒からの印象も…
…
…ン…?なんかまずかったかァ?
馬鹿三人がポカンとしてやがる。
番外個体の目がまるで汚物を見るようだ。
おい…やめてくれ…
あれェ?…笑顔間違えた?
思ってたのと違う!
さて肝心の吹寄はっ - 101 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/20(月) 22:43:06.83 ID:M11h2Bso0
- 「いきなりなんなんだァァァあああああああああああああああああ!!!!貴様はァァああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
「ぎゃァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
超ぶたれた。
超響いた。あァ…三下のそげぶ級だァ…
「何で!?どうして!?どうして貴様がこんなところに!?」
「ボクせんせーなンですゥーーーーーーー!!貴様じゃないんですけどォ!!!???」
エー ナニナニ チワゲンカー?
イケメーン
カレシッテアノヒトー?
ウッ… …フウ…
__________________
「ええと…改めまして鈴科です。宜しくお願いします。」ヨロシクオネガイシマース イケメーン ヴィジュアルケーイ - 102 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/20(月) 22:43:38.75 ID:M11h2Bso0
- クソッ…!なにがいけなかった!最初はうまく行ってたのに!
一瞬で俺の威厳はエンゼルフォールだこンちくしょう!!
三馬鹿はニヤニヤしてやがるし、吹寄は腕組んで真っ赤になって黙ってるし…
…いったいなンだってンだ…
土御門「鈴科先生に質問タ―イムだにゃーーーー!!!!!!!!!」
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」
一方通行「ちょッ!?勝手に進めるんじゃねえ土御門ォォォォォおおおおおお!!」
番外個体「はーいミサカからねっ。ロリコンだって聞いたんですけど~、本当ですか~?」
一方通行「ちげェよ!!クソ野郎!!」エー ウソー ロリコンバンハー
姫神「質問。何歳か知りたい。」
一方通行「16。テメエらと一緒だァ。」
青ピ「はいはいはーーーーーーーーーーーーい!!吹寄とはどんな関係なんやあ!!??」
…
「…えェと…その…なンていやあいいンだろうな?」
「言い淀むなっ!馬鹿っ!」 - 103 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/20(月) 22:44:14.43 ID:M11h2Bso0
- なんで機嫌悪いンですか?吹寄さぁン。
…糞っ!ていうかなンなンですかァ?テメエらのその下世話な視線は!?
ここはパスだ!
「吹寄ェ!任せた!」
「ええ!?」
「「…」」 ワクワク ←生徒の下世話な視線
「ちょっ!ええ!?…ええと…こいつは…鈴科は…」
「「…」」 ワクワク ワクワク
「あああああああああああああああああ!!もう!!大したことはない!!ただの舎弟だ!!
貴様らの期待していることなど何もなああああああああああああああああい!!!!」
「「…期待してることってなんだー?」」
「「さーあ?わかんなーい?」」
「あなた達ぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」
駄目だ…こりゃ…
…
もうどーにでもなれェー。 - 104 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/20(月) 22:45:08.04 ID:M11h2Bso0
「いいか。俺はテメエらとタメっつってもこの分野に関してはプロだ。右に出る者はいねえ。」
結局今日は雑談で終わっちまったが、最後はきちんと締める。
これは俺の義務でもあるわけだからな。
「これは誇張じゃねえ。つまりだ、俺の言うとおりにきちんと開発を受ければ、学園都市で最も効率良く能力が伸びる。」
…真剣に聞いてやがるな。
安心した。どうやらやる気はあるらしい。
「次回からは本格的にやるぞ。まあ肩肘はる必要なんてねえ。そンな厳しいことはやンねえからよ。
…よし…終わりにすんぞ。号令。」
「きりーつ。」
…青ピ…てめえかよ…
「礼。」
「「ありがとうございましたー。」」
__一息つくか、そう思ったその時、
「あ、先生。」
一人の生徒が質問を放った。
「先生の能力って一体何なんですか?」- 105 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/20(月) 22:45:56.45 ID:M11h2Bso0
…あは…
- 110 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/21(火) 22:21:12.68 ID:ceXVPu9Q0
- 来ちゃいました!投下します。
教室での反応は意外とあっさりとしたもので、大きなどよめく事はなかった。
彼らにとっては取るに足らない問題なのだろうか。
それとも驚きのあまり声が出なかったのだろうか。
それとも…
返答の後、生徒たちの顔を見ることなく。俺は教室を後にした。
…アイツは。
アイツはどんな顔をして俺を見ているンだろう。
恐怖、だろうか。それとも…
怖かった、嫌われるのが。
なにより、彼女に恐怖に染まった眼で見つめられるのが怖かった。
先延ばしにした結果がこれだ…クソッタレ…
どちらにせよ、俺は___
俺には、吹寄の顔を見ることができなかった。 - 111 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/21(火) 22:24:34.40 ID:ceXVPu9Q0
- 職員室に戻る。
ゴリラのように屈強な男性教諭とすれ違う際、会釈を交わした。
用意された専用の机につくと、後ろから声が掛かった。
「どうだったじゃん?」
黄泉川だった。
「悪くなかった。三下達のおかげで上手くいきそうだ。」
嘘を言ったつもりはねェ…だが…
「…そう。」
…コイツに嘘はつけねェよな…やっぱり。
さあてと、教材とカリキュラムの確認して帰りますかねェ…
作業に取り掛かる前に、と、コーヒーメーカーへと向かう。
「一方通行。」
「…何だよ…」
黄泉川の声は、子どもをあやすような声だった。
しょうがないやつだ、と言いたげな気色を孕んでいた。
「何を悩んでるかは分からないじゃん。だけど…」
「…」
「だけど…言いたいこと、伝えたいことは…その時伝えないと後悔する。」
「…」
「君はあたしの何倍も頭が良いんだから、わかるじゃん?」
「…」
口に運ぼうとしていたコーヒーが止まる。 - 112 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/21(火) 22:26:14.74 ID:ceXVPu9Q0
- 「黄泉川。」
「ん?」
「コーヒー飲むか?」
「もらってやるじゃん。」
黄泉川は微笑んだ。
コーヒーを黄泉川の机に置く。
…また繰り返すところだった。
いじけて、捻くれて、殻にこもって、すべて跳ね返して。
どうしてこう俺は後ろ向きなンだろうな。
「黄泉川。」
「はいよ?」
眼が覚めた。
俺は本当にクソッタレの大馬鹿野郎だ。
「ありがとうよ。」
__そう残して、俺は職員室を後にした。
向う先は、もう決まっている。 - 113 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/21(火) 22:26:59.51 ID:ceXVPu9Q0
- 鈴科からメールの着信があった。
内容はこうだ。
【DATE】4/18 14:43
【FROM 鈴科
【sub】
------------------------
放課後、体育館の裏に来てくれ。
話したいことがある。
…一体なんだろう…
…まさか…
「っ…!///」
思わず顔が赤くなるのが分かる。
…私は何を考えているんだろう。
でも…もしかしたら…
はあ…
自然と溜息が洩れた。
どちらにせよ向わないと。
放課後になると、姫神さんとミサカの誘いを断り、私は約束の場所に向った。 - 114 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/21(火) 22:27:34.82 ID:ceXVPu9Q0
- 指定された場所について三分ほど待つと、鈴科はやって来た。
「遅い!そちらから呼び出しておいて待たせるとは何事だ!」
「…すまねェな…」
心無し覇気がないな…?どうしたのだろう。
「…ふんっ!それで?私を呼び出した理由は一体なんなのよ?」
「…あァ…それなんだけどよ…」
本当に元気が無い…良く見ると、ひどく緊張しているようにも見える。
…まさか…!?まさかなの!?
どどどどどうしよう!?どうしたらいいの!?こういう時は!
「吹寄。俺は________________」
ちょ、ちょっと待ってえええええええええええええええええええっ!! - 115 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/21(火) 22:28:09.69 ID:ceXVPu9Q0
「レベル5の第一位、一方通行だ。」- 116 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/21(火) 22:29:12.41 ID:ceXVPu9Q0
- …
…え…?
「…鈴科…まさか…」
「…」
「…まさか…それだけ…?」
「…………エ…?」
「…答えなさい…それだけなの…?」
「…そうですけど……?」
「そんなことの為だけで私を呼び出したのか!!??」
「…そンなことって!…意味がわかってンのか!?俺は一方通行だ!聞いたことくらいあるだろ!!」
「あるわよ!学園都市で一番頭いいんでしょ!!??あぁ!もう!変な勘違いをさせるなあっ!!!!」
ああああああああああもう悔しいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!/// - 117 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/21(火) 22:29:40.75 ID:ceXVPu9Q0
- 「いいや分かってねェな!!テメエはっ」
良く見ると、泣きそうな顔をしている。
…浅はかな勘違いをした自分は、やはり愚かだったのだろう。
「そんなことどうでもいいだろう!!!!!!!!!!!!!」
「ッ…!!」
…こいつが元気なかった理由が分かったような気がする…そう…なんとなくだけど…
…全く…馬鹿なやつだ…
こいつは、さらけ出そうとしている。
ならば、私も。
「いいか鈴科…貴様は私の舎弟だろう?」 - 118 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/21(火) 22:30:31.20 ID:ceXVPu9Q0
- 「あァそうだよ!だけどッ!」
レベル5。この学園都市で彼らの存在を形容することばはいくらでもある。
時に、それは、「化物」という言葉であったり、「兵器」という言葉であったりもする。
鈴科はその一人である。その上、頂点を冠する存在でもある。
「だけども糞もあるか!貴様は軟弱で貧弱で虚弱で脆弱な私の舎弟だ!!ちょっと人より頭がいいからって言い気になるな!!」
その名がどれほど重いものだったのかは分からない。
私には到底理解できない孤独や、決して垣間見ることのないだろう闇を幾度となく味わってきたのだろう。
____でも。 - 119 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/21(火) 22:31:10.51 ID:ceXVPu9Q0
- 「そんなくだらないことで線を引こうとしてるんじゃないわよ!!」
鈴科は顔を歪める。
鈴科にとっては、口が裂けても下らないなんて言えないだろう。だけど___
「っ!…俺は…真っ黒だった!この都市の深淵を何度も何度も覗いた!お前は知らねェだろォが!!??」
「知らないわよ!そんなの知ったことじゃない!!」
そんなの、知らない。だってそんな風には見えないもの。
「お前はっ…吹寄はっ…!俺とはっ」
「勝手に推し量ってるんじゃないわよ!!!!!!!!!」
鈴科の表情が途端に幼くなる。
そんな顔もできるのね。
ほら、そんな顔のができるんだもの。
「私は貴様が言うような真っ黒で、さ、最強の一方通行など知らない!!」
貴様はそんなたいそうな人物じゃあないでしょう?
…ああ…もうまどろっこしくなってきた! - 120 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/21(火) 22:32:07.36 ID:ceXVPu9Q0
- 「わっ、私が知っているのは!私が好きなのは!虚弱で、まっ白で、体力のない、舎弟としての鈴科だけだ!!!!」
虚を突かれたような表情を一瞬浮かべると、鈴科は、実年齢よりぐっと幼く見える表情で微笑む。
そして、こういった。
「…本当にいいのかよ…?」
きっと、一度だけじゃないのだろう。
こいつは、何度も何度も壁を感じては、どうしたらいいか迷い続けていたのだろう。
でも、今日でおしまいよ。
「…しっ、しつこいやつだな!はい!この話はもうお終い!!」
鈴科は考え込むような表情を見せたが、それも一瞬だった。
そして__ - 121 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/21(火) 22:32:57.98 ID:ceXVPu9Q0
- 「ありがとな。」
「ッ…////」
ななななななんだ今のは!!!!???
こいつ!?能力を使ったのか!?心臓がおかしい!!!!
…というか、私、とんでもないことを無意識に口走ったような…
…
…まあ気のせいか…
「ところでよォ?」
「なによ!?」
「さっき勘違いしたって言ったが、何と勘違いしたンだ?」 - 122 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/21(火) 22:33:33.55 ID:ceXVPu9Q0
- ____________一方通行
__目が覚めた。
俺が、馬鹿だった。
なンも成長しちゃいなかった。
また勝手に闇に浸って、わかっちゃくれないといじけて
大事なものから手を離すところだった。
そうだよなァ…俺は最低だ。
俺は、吹寄をその程度の人間かもしれねェって疑ってたってことだもンな…
三下達や黄泉川みたいな人間もいるって言うのによォ…
自分のネガティヴ思考に嫌気がさす。
そうだ…そういやァ勘違いしたとかいってやがったな、この女。
いっちょ聞いてみるか。 - 123 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/21(火) 22:34:04.57 ID:ceXVPu9Q0
- 「さっき勘違いしたって言ったが、何と勘違いしたンだ?」
勘違いの理由を問いただす。
…ン?顔が赤いな…どうしたんだァ?
さっきから落ち着きのないやつだなァ。
ァーだのゥーだの唸ってやがるし…
…
…まあいいか。
「でェ…?さっきからソコで覗いてるアホみてえな三下共は何なンですかねェ~?」
「え?」
キョトンとしている吹寄は放っておこう。
チョーカーをONにし、かかとを踏み鳴らす。
足元から伝わった衝撃のベクトルが、茂みの裏へと直接叩きこまれる。
「「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」」
「!!貴様ら!!!!!」 - 124 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/21(火) 22:34:55.47 ID:ceXVPu9Q0
茂みから現れたのは、青ピ、土御門、三下だった。
「三下ァ…テメエは追試じゃねェのかよ…?」
上条「…いやあこれからなんですよ~。じゃあちょっと追試受けてきますね~ははははは~…」
土御門「…おおっとお!舞夏と約束があるんだったにゃ~…急がないと~」
青ピ「…ああそうだったぁー。今日は新作エロゲの深夜販売があるんだったんや~」
…白々しいンだよ…
でも、まあ…あいつら、心配してくれてたのかもな。
俺は、制裁は勘弁してやろう、そう思った。しかし。
「…待ちなさい…」
彼女の許しは得られなかったようだ。
まァ…当然でしょうね。…顔、真っ赤だし。
「「!!!!!!!!!!」」ギクッ- 125 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/21(火) 22:35:29.61 ID:ceXVPu9Q0
- 「貴様ら…言い残すことは…?」
吹寄が拳を鳴らす。
次の瞬間の惨劇が容易に予想できた。
上条「ちちち違うんだ!これは土御門が覗こうって!!」
土御門「あああああああああああん!?何言ってるんだにゃー!!??」
青ピ「観念するんやつっちー!ふっ、吹寄さぁん!全部土御門のせいなんや!!な!?ボクは関係ないの!」
…醜い…
まあ、全部言う必要ねェだろ。
おイタが過ぎた三下にはきっついお灸を据えねえとなァ。そうだろ?
- 129 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/22(水) 22:40:57.12 ID:9rJOlgjG0
- 来ちゃいました。投下します。
「短期共同学習ゥ?」
「そうだ。」
俺と垣根、そして海原はカラオケボックスに来ていた。
ジンジャーエールを机に置いて、垣根が言う。
<閉鎖空間での僕は~♪
「統括理事から派遣された講師が担当する学級が、一か所に集ってのおべんきょ―会するんだと。」
「はッ…なんでまたそんなこと?」
「素直になれよ。内心嬉しいくせに。」
「はァッ!!??何で俺が喜ばなきゃいけねェンですか!?」
<困りものです~♪
「ふざけんなよ!クソボケ!土御門から今日の事は聞いたぞ!!爆発しろ!!」
「はァ!?あのシスコン野郎!!つかいつだよそれ!?」
「なあに?やっぱ気になる?」
<マッガーレっ♪
「ふう…次はあなたですよ一方通行。」 - 130 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/22(水) 22:41:31.82 ID:9rJOlgjG0
- 海原がマイクを俺に突きつける。
「てめえッ!…あ、俺かァ…話はあとだァ!!垣根ェ!!」
_________一方通行熱唱中
垣根「ったく…」
海原「おやおや?一方通行さんからノロけられましたか?」
垣根「お前も今日の事土御門から聞いたか?」
海原「ええ。勿論。」
<君と出会った奇跡が~♪
垣根「…お前は参加したのか?臨時講師。」
海原「まさか!自分は御坂さんを見守る仕事で忙しいのです!」
垣根「…聞いた俺が馬鹿だったよ…ところでよ!!」
海原「何ですか?」
垣根「女子中学生コワイ…」
海原「…何があったんですか?」
<空も飛べるはず~♪
垣根「受け持ったクラスにいた女がよ…暗部にいた時殺しかけたヤツでよ…」
海原「…続けて下さい…。」
垣根「最初に言っとくと、一応許してもらえた。だがな…」
海原「良かったじゃないですか?それで? - 131 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/22(水) 22:42:10.29 ID:9rJOlgjG0
- 垣根「すっげえ怖い顔で脅迫された…なぜかそいつ…俺のPCのデータを完全に把握してやがったんだよ…」
海原「うわあ…それは…そうなると彼女でしょうね…」
垣根「やべえんだよ…もしデータが流出したら…学園都市を歩けなくなる…検索の履歴すら知られてんだぜ?」
<笑っていてほしい~♪
海原「それはそれは…というか何だかんだ言って、貴方も女性と話せて嬉しいんでしょう?」
垣根「待てよ!その女、俺の性癖把握してるようなもんなんだぜ!?笑えねえよ!!
今日なんてよ!ちょっとからかっただけで俺の一番お世話になってるAV女優を暴露しやがったんだぜ?
どこまで知ってんだよ…つうか何で知ってんだよ…おかげでクラスのクソ男子どもから垣根=フル勃起=帝督とか呼ばれてんだぜ?」
「オイオイ?何の話だァ?ていとくン?」
さっきからコソコソと何を話していやがる?
「テメエは関係ねえよ!!つうかお前がスピッツとか似会わねえな…やけに上手いのも含めて…」
「おっと?そろそろ時間ですね。出ましょうか。それはですね、垣根さんが…」
「チッ…!しょうがねえな!そんなに聞きたいなら話してやるぜ!」キリッ - 132 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/22(水) 22:42:36.90 ID:9rJOlgjG0
- 聞きたくなくなってきたァ…
海原が女どもには爽やかに見えるだろう笑みを浮かべる。
まあ、俺にとっては胡散臭さしか感じねェけどな。
「聞いてやって下さいよ。話したくてたまらないそうです。」
「ふん。しょうがねえ、話してやるぜ。…まず俺が天使の如く教室に現れるとこからだな__」
くっだらねえ…
でも、悪くねえな。 - 133 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/22(水) 22:43:04.03 ID:9rJOlgjG0
- 「ぎゃっはっはっは!!まさか吹寄のカレシが第一位だったとは…びっくりだねえ!!」
「かかか彼氏とかじゃないわよ!!!」
「確かにイケメンかも。hydeっぽい。」
…そう…こうして私は今、ファミレスにて姫神さんとミサカの集中攻撃を受けている。
「それにしても…」
…今度は何だ、ミサカ…
「『私が知っているのは!私が好きなのは!』」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!!!!!!」
ミサカあああああああああああ!!!貴様あああああああ!!!!!!!
結論から言おう。バッチリ見られてました。 - 134 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/22(水) 22:43:43.74 ID:9rJOlgjG0
- 「あーあ…」
笑い疲れたのか、ミサカは荒い息をしている。
…畜生…
「ミサカ。笑いすぎ」
姫神さん…あなたも笑ってたでしょう…
「まあでも、第一位をいじる新しいネタができたから良かったよ。」
さっきから気になってたんだけど…
「あなた、鈴科とどういう知り合いなの?」
「あれ、言ってなかったっけ?一緒に住んでる。」
………
……
…
え?
「はあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!??????」
「ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!!!!!!!!!!!」 - 135 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/22(水) 22:44:09.88 ID:9rJOlgjG0
- 「わわわ笑い事じゃない!!ちゃんと説明しろ!!!」
「はぁー…心配しないでいいよ?そういう関係じゃないし。他に同居人三人いるしね。」
「ふぅ…それならいいんだ…」
というか私!!なんで動揺しているのよ!!!
ヤツは別にッ…!
「同居人、三人とも若い女だけど。」
「鈴科ァあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!!!!!!」
「…吹寄。学習しない女。」
許さん!!問いたださねば!!!
携帯端末を取りだす。
…4コール、5コール……出た。
「おい!こら!!鈴科!!説明してもらおうか!!ミサカから聞いたわよ!!!貴様_____」 - 136 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/22(水) 22:44:41.02 ID:9rJOlgjG0
________________________________
「ばいばーい海原!!!ってミサカはミサカは別れを告げてみるっ!!」
「じゃあな海原ァ。もっとショチトルにかまってやれ。寂しがってたぞォ。」
カラオケを出て、垣根と別れた後、シスターと公園で遊んでいる打ち止めを拾った。
「ちょっ!一方通行さん!なんでショチトルと連絡とってるんですか!許しませんよ!!ぶち[ピーーー]ぞ!」
キャラくずれてるぞ…オイ…
「うっせェよシスコン。テメエの事でたまに相談のメールが来ンだよ。」
「お兄ちゃんの事大好きなんだよ!ってミサカはミサカは付け足してみる!」
「なんですって!?…ありがとうございます!小さいミサカさん!一方通行はもげろ!!」
そう言い残して海原は忙しなく走り去って行った。
「あの野郎…」
「へっへへ~♪」
どうした…?このクソガキ。
「どうしたンだ?ずいぶんご機嫌じゃねェか。」
「うん!ってミサカはミサカは同意してみる!」- 137 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/22(水) 22:45:08.55 ID:9rJOlgjG0
そう言って、俺の手を離れた打ち止めは振り向く。
そして、こちらへ眩しい笑顔をむける。
「あなたが楽しそうにしてると嬉しいの!ってミサカはミサカは内心を吐露してみたり!!」
「あーァ?どこがですかァ?」
「全部だよって!ミサカはミサカは_____________」
ヴー…ヴー…
「ン?電話だ。」
…
吹寄?何の用だ?
「俺だ。どうし____」
『おい!こら!!鈴科!!説明してもらおうか!!ミサカから聞いたわよ!!!』
「ひいィ!!声が出でけェよ!!落ち着けえええええええええええ!!!」
こ、鼓膜がァ…
『質問に答えてもらうわ!貴様、ミサカを含めた四人の女性と____』
「ちょォおおおおおおおおおっと待てェ!!!!!!!」
打ち止めの方へ眼を向ける。
…オイクソガキ。何ニヤニヤしていやがる?
「ふっふふぅ~ん♪おジャマなミサカは消えるねってミサカはミサカは急発進~♪」
「ちょっと待てェえええええええええええええええ!!!!打ち止めァァあああああああああ!!!!!」
『聞いているの!?鈴科!?おい貴様!!??鈴科ァあああああああああああああああああああ!!!!』- 138 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/22(水) 22:45:43.38 ID:9rJOlgjG0
- ________________________________
「__はい…そうです。お願いします…では、失礼しますね。」
プツッ…という音と共に、回線が遮断される。
「全く…血生臭くないことであっても、忙しさに変わりはないのですね。」
初老の女性がそうつぶやく。
しかし、誰に向けて発せられたということはない。
なぜなら部屋には彼女以外誰もいないからである。
「…」
学園都市、統括理事長・親船最中は、プランに追われていた。
「プラン」といっても、かつて学園都市を支配していた銀髪の男のそれのような大層なものではない。
「…これからの学園都市を担うのだもの…これは必要なことです。」
旧暗部関係者から臨時講師を送り込んだのには、いくつものねらいがあった。
英国教会と同盟関係にあるとはいえ、学園都市には強力な能力者が必要である。
そのための能力強化もその一つである。
「彼らには…『時間』がなかったのだもの…。」
そしてもう一つ、何より親船最中はこちらが重要だととらえていた。 - 139 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/22(水) 22:46:39.36 ID:9rJOlgjG0
- 旧暗部組織。彼らは深淵の人間だった。
彼らが「子ども」であることは決して許されなかった。
兵器であり、そして実験動物でもあった。
彼らは闇から解放された。しかし、それからどうするのだ?
牢から解放された彼らは、自ら行く手を模索することができるのだろうか?
「『子ども』である時間なしに、『大人』にはなれないものです。」
そう、親船は呟く。
自分は、彼らの道標に成らなければならない。
道に迷った彼らの手を引いてあげなければならない。
彼らに必要なのは、「闇」を忘れることのできる場所、そして、時間だ。
それらを作るのが我々大人の役割なのだ。
親船は、誰もいない部屋で、優しく微笑んだ。
- 145 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/23(木) 23:42:52.85 ID:jRD7rODE0
- 「_____っと、今日はここまでだァ。」
授業の終わりが告げられ、張り詰めていた空気が弛緩____というわけでもないようだ。
教室にはリラックスした雰囲気が漂っている。
…こいつら思ったより真面目に聞いてやがるな…
問題クラスと言っても、能力開発に消極的な訳ではないようだ。
「今回で座学は打ち止めだァ。しばらく実技に入るぞ。」
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」
喜びすぎだろォ…
「じゃァおしまい。青ピ、号令。」
「起立、礼。」
「「ありがとうございました!!!」」 - 146 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/23(木) 23:43:34.91 ID:jRD7rODE0
- ふゥ…さてと…
「オイ吹寄。…吹寄?」
今日のトレーニングの集合時間について話そうと、吹寄の机に向かうと、何やら考え込んでいた。
「…おーい?吹寄さーン…?」
「鈴科!!!!!!!!」
「うォお!!!」
ちょッ!いきなり立ち上がンな!!
「正直に答えてくれ!!私の___」
そういって立ちあがった彼女は、迷いを振り払うようかのように一息つき、こう言った。
「私の毎日食べている能力アップ食品は、本当に効果があるの!!??」
「…そんなことで悩んでたのかよォ…?」
溜息をつく。
悩むならすぐ聞けよ。 - 147 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/23(木) 23:44:07.10 ID:jRD7rODE0
- 「そんなことじゃすまないわ!正直に答えなさい!どうなんだ!?」
…これについては真剣に答えてやンねえとなァ。
「おいおいおい?そンなの答えるまでもねェよ。そンなの______」
ごくり。と、吹寄がつばを呑むのが聞こえる。
「効くにきまってるじゃねェか。」
「…へ…?」
「だから効くって…」
「ええええええええ!!??」
「そンなに驚くことかよ?だから毎日食べてたンじゃねえの?」
「それは…」
納得の行かないような顔をする吹寄。
…いい機会だ。クラスの目も集まっている。
「いいか。良く聞けェ。このパンは効く。呆れたヤツだぜェ…まさか知らないで食ってたのか?」
「だ、だって…!!」
まだ駄目か…こうなったら…
「効かないはずがねえンだよ。このパンの開発プロジェクトには、四月以降俺が関わってる。実験データもあるンだ。見たいかァ?」
「えええええええええええ!!??嘘っ!?」 - 148 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/23(木) 23:44:37.32 ID:jRD7rODE0
- もう一息だな。
「はーァ…いいか。能力を使おうとするときにこのパンのことを強く意識するンだ。このパンに関しての記憶中枢が自信のAIM拡散力場と
結びつくことによって能力の活性化が促されるンだよ。」
吹寄はキョトンとしている。
当然の反応だ。
「テメエらも聞いてたな!?このパンは能力開発にはうってつけってことだァ。」
そう言いつつ、俺はさっきから吹寄が眺めているパンをひったくり、頭上に掲げた。
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」
「マジかよ!?インチキかと思ってたぜ!」
「そうと決まれば今日からでも食わねえと!!」
「吹寄さんのあのセンスないパンが本当に効果あったなんてね!」
クラス中が沸き上がる。
ごめン。嘘ですよ。ハイ。
まあ、パン一つで「自分だけの現実」の強化につながるなら安いもンだよ。 - 149 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/23(木) 23:45:26.79 ID:jRD7rODE0
- それにしても…
「お前は馬鹿だなァ…」
そう言いつつ、吹寄の頭を撫でる。
「ッ!…ななななっ!!??///」
ゆでダコみたいだ。なにこいつおもしろい。
「そういう事は二人ン時に言えばいいだろ?そうすりゃあ付きっきりで手取り足取り教えてやンのに。」
「ふぇっ…!?…ききき貴様は…」
…はァ?何だそのリアクション?
こいつはすぐ赤くなるなあ。
……
…ン?なんだこの空気…
クラス中からの視線が痛い。
いつの間にか沸いていた教室が静まり返っている。
この流れにも慣れてきた。耐性がついたのかもしれない。
吹寄…これはどォいう…
「誤解を招くような事をいうなあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
俺の鳩尾に流れ星のような拳が突き刺さった。
っ!…いきがっ!息がァァァァああああ!!! - 150 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/23(木) 23:46:32.74 ID:jRD7rODE0
______________一方通行悶絶中
土御門「公衆の面前でイチャイチャしやがって!俺も舞夏ともっとイチャイチャしたいにゃー!!」
青ピ「くそおおおおおおおおおお!!ヤバい!ヤバいわ!!女っ気が無いのはもうボクだけや!!どないしよう!?」
上条「何いってんだよ?上条さんだって年中非モテですよ?」
青ピ・土御門「[ピーーー]ぞ。」
上条「ええ!!??最近俺へのあたりが非道すぎない!?つーか垣根はどうなんだよ!?」
青ピ「カッキーは最近羨ましいことに女子中学生の奴隷になったの!今日もゲームの深夜販売行かされるらしいで!」プンプン!
土御門「どこのお兄ちゃんだにゃー…」
上条「…でもまあ、能力開発で南の島行けるんだよなー。しばらく学園都市から出てなかったから楽しみだよな!」
土御門「今回ばかりは統括理事会も味な事をかんがえるにゃー。」
青ピ「南の島ね…楽しみやわ~。」ボケー
上条「つーか今日遊ぶか?一方通行は吹寄とデートだろ?垣根は奴隷。お前らは?」
土御門「パース。メイド服買いに行くにゃー。」
青ピ「ボクもパン屋の手伝いや~」
上条「畜生…海原はショチトルと買い物…浜面は滝壺とデート…みんな[ピーーー]ばいいのに…」
土御門「インデックスとか超電磁砲でも誘えばいいにゃー。」
上条「はあ!?何で!?インデックスと外出すると食費で財政破綻。御坂は電気放って来るし…しかも御坂と連絡とるとインデックスが怒るんだよ。
どうしてだろうな?」
土御門「…かみやんは一度死ぬといいんだぜぃ。」
青ピ「同感や。」
上条「ひどい!!愛が無いよ!!お前ら!!」
小萌「はーいみなさーん!ホームルーム始めるのですよー。…鈴科ちゃん?いつまで倒れているのです?」- 151 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/23(木) 23:46:57.60 ID:jRD7rODE0
- 「今週の木曜日から南の島行ってくる。」
食後の俺の第一声がそれだった。
「…それはまた…突然ね…」
芳川が驚いたような顔をしている。
「番外個体。テメエ言わなかったのか?」
「ええ~めんどくさいし~☆第一位が言ってるかと思ったぁ~」
「準備はっできてンのか?」
「バッチリでぇ~す!」
こいつ…
「ミサカもいくよっ!ってミサカはミサカは報告してみる!!」
「はァっ!!??聞いてねェぞ!?」
ぺろっと舌を出し、悪びれもなく打ち止めが言う。 - 152 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/23(木) 23:47:25.96 ID:jRD7rODE0
- 「うちのクラスにもムスジメっていう人が来てるの!って…って言ってなかったっけ?」
「…」
あのショタコン女ァ!!!!!!!
「まァ…つーことで頼むわ…旅費は俺に任せろ…」
「あいよ。わかったじゃんよ。…でも一方通行?」
「…何だよ…?」
「彼女さんとエッチなことしちゃダメじゃんよ?」
「はァあああああああああああああああああっ!!!??別にあいつはそンなンじゃねええしィいいいいいいい!!」
「あらあら、別に愛穂はどの子とは言ってないわよ?」
芳川ァ…テメエ…
「顔真っ赤だよ?ってミサカはミサカは心配してみる。大丈夫?」
「っつーかミサカの友達襲ったりしたら[ピーーー]けどね~ん…ぎゃはっ☆」
「…襲わねェよォ…ごちそうさン。」
共同開発旅行は結構な規模になるらしい。
強力な能力者の抜けた穴は英国から魔術師の救援が埋めるそうだ。
まあ旅行にいく生徒達のセキュリティーは問題ねェだろ。俺もていとくンもいるしな。 - 153 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/23(木) 23:48:31.23 ID:jRD7rODE0
- 足りねえものは…水着と…あと何だろうなァ…
…しおり見とこォ。
カラフルなしおりを自室の学生鞄から取り出す。
見たことあるセンスだ。製作者は…やっぱり。
『製作:初春飾利 デザイン他雑用:垣根帝督』
…あいつ…どこまで弱み握られてンだよ?
合宿の事を考えると、心の中の何かが抜け落ちているような、何か足りないような感覚を覚えた。
その物足りなさを味わうのは楽しかった。実際に行くまで、この感覚は消えないのだろう。
「楽しみ」という感覚はこのようなものを指すのか、ふと俺はそう考えた。
…
童心に帰るとはこういうのを言うのかねェ。
- 156 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/24(金) 22:13:34.66 ID:ZBp1H6Iu0
- あっと言う間に旅行の日はやってきた。
当日は、空港にて直接集合。
俺達が搭乗しているのは、もちろん音速旅客機などではない。
俺は今空の旅の途中だ。爆撃機には以前乗ったが、旅客機ってのは初めてになる。
空の旅は、終始快適と充分に言えるものだった。
垣根「テメエらモリは持ってきたか?」
一方「…」
上条「…」
海原「どうしたんですか垣根さん?頭にウジか何か涌いてしまったんですか?」
垣根「え?だって魚をヒュってやってグサッっとやるんだろ?学園都市の外の漁はそれがメインなんだろ?」
一方「無人島でも行く気かよォ?」
上条「…」マイクポップコーンウメエ…
海原「ちょっと!上条さん!自分のマイクを食べないでください!」
垣根「はー…それにしても疲れたぜ…パンフレットみたか?渾身の出来だ!」キリッ
上条「相変わらず奴隷なのか?」ムシャムシャ
垣根「おうよ。段々と罵られるのも気持ち良くなってきたぜ。」
一方「やっぱりロリコンだったかァ…」
海原「時代は女子中学生なんですよ。」
一方「…つーかテメェ何でここにいるンですか?」
海原「学生の護衛役ですよ。自分結構重要なんですよ?魔術サイドにも顔利きますし。」
上条「つーか驚いたよなぁ。御坂もいるんだぜ?レベル5ほぼ全員出張していいのかよ?」
一方「…大人の事情ってやつだァ…」
垣根「貴重な水着回だもんな。」
上条「…うっ!想像したらムラムラしてきたっ。」
一方「オイ三下…キャラが違うぞ!テメエはいかなる女に迫られても平然としている、賢者のようなキャラだったじゃねェか!」
上条「うるせえ!!お前にインデックスのせいで満足に[田島「チ○コ破裂するっ!」]すらできない男の気持ちがわかってたまるか!!」
海原「それを言うなら一方通行さんだって…」
一方「まァ…俺はホルモンバランスとかのせいでなんとかなるけどなァ…」
上条「ちんぽ出したろか!?すっごい[田島「チ○コ破裂するっ!」]見せたろか!!??溜まりに溜まった欲望を吐き出しちゃう?今?ここで?」
垣根「もはや誰だよ…」
一方「…」もきゅもきゅ
海原「!一方通行さん!自分のピュレグミを食べないでください!!」 - 157 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/24(金) 22:14:22.34 ID:ZBp1H6Iu0
- _____________________女子・サイドA
佐天「よかったですね御坂さん!!」
御坂「べべべ別にあいつはそんなんじゃないわよ!!」
初春「またまたぁ~」
白井「あの類人猿があああああああああああああ!!!」
佐天「ふふふっ……う~い~は~る~?」
初春「…何ですか佐天さん?」
佐天「何ですかじゃないわよぉ~。初春ったら最近垣根先生とべったりなんですから!」
白井「んまっ!話には聞いていましたけど先生なんですの!?」
佐天「教師と生徒!禁断の関係!」
白井「二人の、常夏の島でのアバンチュール…真夏の暑さにかすむ理性!火照る身体…」
佐天『垣根さん…もっとそっちに行っていいですか…』
白井『おいで…初春…』キリッ
佐天・白井「「キャーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」」
御坂「初春さん…大人…///」カァァ
初春「ななななななにをいってるんですかぁっ!/////垣根さんはそんなんじゃっ!奴隷ですよ!奴隷!いいように使ってるだけです!!」
白井「んまっ!そんなプレイまですでに!?」
御坂「ちょっ…//////」
初春「だから違いますってええええええええええええええええええ!!!!」 - 158 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/24(金) 22:14:52.37 ID:ZBp1H6Iu0
- _______________女子・サイドB
吹寄「…」ボケー
番外個体「…もーらい!」
吹寄「!…ちょ返せ!私のアルフォート!」
番外個体「ひゃひゃひゃひゃひゃ!!ぼーっとしちゃってさぁ!なに!?アイツのこと考えてたの?」
吹寄「べべべべつに鈴科の事なんかっ//////」
番外個体「え~?ミサカ『アイツ』としか言ってないんだけどぉ~。」
吹寄「っ!!っもう!知らない!!」
姫神「…怒っちゃった。」
番外個体「わっかりやすいねー♪…あっ!あーわき~っ」
結標「…あらっ。番外個体じゃない?ここにいたの?」カツカツカツ
姫神「…わす―と…。」
番外個体「あだ名見たいなものだよ~ん。あ、この子は結標淡希ね。」
結標「よろしくね。」
姫神「姫神愛沙。よろしく。」
吹寄「…はあ…吹寄制理です。よろしくね。結標さん。」
結標「姫神さんに吹寄さんね。宜しくね。」
番外個体「それでね淡希…ゴニョゴニョ…ゴニョリータ」
結標「…ふむ…ふむ…」ニヤリ
吹寄「…何の話をしているのよ…?」
結標「吹寄さんッ!!!!!!!!!!!!!」
吹寄「!ははははいっ!!!!」
結標「協力するわっ!!!」
吹寄「…はい…?」
姫神「…なるほど。」
結標「あいつは、どうしようもない性格してるけど、確かにいいところあるわ!あなたのその包容力なら…問題無いはずよ!!」
吹寄「…何を言っているの…?」
結標「貴方は運がいいわ!小学生に囲まれて絶好調の私は、レベル5級の働きができるはず!!間違いない!!」
吹寄「聞いちゃいないわ…ミサカ!彼女に何を言ったのよ!」
番外個体「すぐわかるよ。ぎゃははっ☆」
結標「あいつ確かに見てくれだけはいいからね…」ブツブツブツ…
吹寄「…ついてけない」
番外個体「大丈夫大丈夫っ♪」 - 159 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/24(金) 22:15:49.99 ID:ZBp1H6Iu0
- 「おおおおおおおおお!!!島や!島が見えてきたでええええええええええええええええ!!!」
青ピの叫び声を合図に、俺達はウィンドウシートに集まる。
ライトブルーの透き通った海。あれはサンゴ礁だろうか。
学園都市には、今見下ろしているような「夏らしい風景」はなかなかお目にかかれない。
「…南の島に常識は通用しねえ…」
ポカンとした表情で垣根が呟く。こればかりは同感だ。同意せざるを得ない。
まさか、学園都市の外へ、娯楽目的(厳密には違うが)で訪れることになるとは思っても見なかった。
空いた口が塞がらないとはこのことを言うのだろうか。
学園都市の外の海は、実際に目にしてみると、皮肉の言葉も思いつかなかった。
生徒達は、席を立って窓に張り付いている。
「何ポカンとしてるのよ?」
垣根が座っていたとなりの席。いつの間にかそこには吹寄がいた。 - 160 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/24(金) 22:16:37.23 ID:ZBp1H6Iu0
垣根が座っていたとなりの席。いつの間にかそこには吹寄がいた。
「海、奇麗だなァ。と、思って。」
自分で口にして少し後悔する。
俺らしくもない言葉だった。
「…そうね…」
そう言って彼女は微笑む。
その微笑みに嘲りの色合いは存在しなかった。
彼女の表情がここまで緩むのも珍しい。
「ねえ鈴科…」
「ン…?」
「楽しみなさいよ?」
「…あァ…」
「うん。正直で宜しい。貴様は青二才なんだからな。」
得意げな表情で彼女が言う。- 161 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/24(金) 22:17:14.28 ID:ZBp1H6Iu0
- 「青二才?また変な言葉を持ち出しますねェ?てゆーかお前も似たようなもンだろうが?」
「ふふん。少なくとも海では私の方が玄人だ。遊び方も私が教えてやろう!どうせ海水浴なんてほとんど経験ないんだろう?」
青二才ねェ。
茶化したような彼女の言葉は、不思議と勘に触らなかった。
彼女は、自分を慮ってくれているのだろう。
「あァ。よろしく頼む。頼りにしてるぜェ?」
とても自然に笑顔が作れた。
「うっ、とっ、当然だ!貴様は私の舎弟だからな!」
彼女の赤い顔はいいな。
俺は素直にそう考えた。
今、俺の周りは何もかも眩しい。
自分がこの光に溶け込めていることがなんとなく嬉しかった。
これから起こるかもしれない「何か」が、今の俺にとって楽しいことだと確信できた。
そう、素直に楽しいと考えていた。
- 167 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:00:41.52 ID:XzL/zKUf0
- 土御門「海だにゃあああああああああああああああああ!!!!」
青ピ「ビーチやあああああああああああああああああ!!!!」
上条「泳ぐぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
一方通行「なんてことにはなりませンでしたねェ。」
三人「「…」」
初日の学習が終わり、もう日が落ちている。
俺達は、割り当てられた部屋に向け、トボトボと廊下を歩いていた。
たった今夕食を済ませたところだ。
ハードな内容ではなかったが、こんな所まで来て、すぐに学習というのは納得が行かない。
それは、講師の俺にも当てはまった。
旅客機が空港についた後、バスで宿泊予定のホテルに向った。
しかし、すぐにビーチヘ直行、なんて事にはならなかった。
開発カリキュラムの一環で来ているという事のアピールなのかもしれない。 - 168 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:01:14.96 ID:XzL/zKUf0
- この島は、無人島だった島を学園都市が開拓したものであり、
南の島の保養地となる事を目的として作られた。
宿泊施設と、その為のショッピングエリアが建設され、他にもいくつか娯楽のための施設があるらしい。
しかし、まだほとんど手つかずのおかげか、海はこれ以上ないほど透き通り、施設は新品同様である。
一方通行「じゃあな。俺はこっちだ。」
上条「おう。また夜にな!」
青ピ「カッキーにもよろしくなぁ。」
挨拶もそこそこに俺達は別々の方向へと向かった。。講師のエリアと生徒のエリアは分かれているのだ。
「ここか…」
部屋は和室のようだ。講師の宿泊エリアは、ひとつの階に集中していた。
鍵は垣根のヤツが管理していた。
ノックをすると、声が返って来る。 - 169 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:01:40.96 ID:XzL/zKUf0
- 海原「おっと。遅かったですね。」
一方「海原…ていとくんももういンのかァ?」
垣根「おう!いるぜ!」
一方「早ェな。…喉が渇いたな。なんか貰うぜ。」
そう言いつつ、冷蔵庫を開ける。
一方「って、何だこりゃァ?」
垣根「はっ!俺の未元物質に常識は通用しねえ!」キリッ
一方「まさか未元物質の応用で運んで来たのか?」
海原「もはや何でもアリですね。」
大きめの冷蔵庫の中には多種多様なアルコール類が、これでもかというほど詰め込まれていた。
垣根「まあ、一階の売店にも売ってたけどな!一応持ってきたぜ!」
一方「アホくせ…」
上条「一方通行!来たぜ―!」
海原「早かったですね?」
青ピ「ていうかこれからどうするん?入浴も就寝も自由らしいで?消灯時間はあるみたいやけど。」 - 170 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:02:24.61 ID:XzL/zKUf0
- 垣根「ちっ…のぞき対策だな…まぁいい…」
土御門「そうだにゃー。オペレーションの実行は明日だぜぃ。」
上条「ホントにやるのかよ…」
土御門「おうともさ!明日宿泊するホテルには海原がカメラを設置済み…魔翌力依存の品だからな。学園都市には発覚しないぜぃ。」
一方「テメエら正気かァ…?俺も根回しはしたけどよ…半信半疑だったわ。」
海原「はあ!?あなたこそ正気ですか一方通行さん!?ここまでやってきて覗かないほうがおかしいですよ!」クワッ
垣根「気に入ったぜ海原。土御門。今日実行しないのは油断を誘うためなんだろ?」
土御門「流石第二位は話が早くて助かるにゃー。…協力してもらうぞ?」キリッ
上条「…俺も男だ…やる時はやってやる。」
土御門「作戦の詳細は練ってある。全員の協力が必要だ。」
青ピ「楽しみやあああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
一方「はァ…面倒臭ェ…」 - 171 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:02:56.94 ID:XzL/zKUf0
- 垣根「まぁそれは明日の話だ…どうする?酒もあるし、風呂あがったら飲むか?」
海原「いいですねえ。」
一方「酒かぁ…飲んだことねェしな…興味はある…」
上条「よぉし!決まりだな!」
土御門「積もる話もある事だしにゃー。」
青ピ「よし!じゃあ風呂あがったらここ集合ってことでお願いしますぅ。つまみはボクらが用意してくるわ!」 - 172 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:03:28.39 ID:XzL/zKUf0
- ______________________吹寄制理
先に風呂から上がったミサカは、部屋でくつろいでいた。
「姫神さんは?」
「しらにゃーい。ミサカが来たときはいなかったぁー。」
「そう…」
手持無沙汰なので、とりあえず冷蔵庫に向う。
ムサシノ牛乳を飲み干す。
風呂上がりの一杯は最高だ。
口元から、冷たい感覚が火照った身体を突き抜ける。
少しくどいくらいの濃い目の牛乳が、風呂上がりには丁度いい。
この感覚はたまらないな。 - 173 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:03:54.89 ID:XzL/zKUf0
- 「…その牛乳はバストアッパーの効果でもあるの?」
「…何馬鹿な事を言っているの?」
「それよりさ!」
「な、何よ!」
ミサカの目が輝いている。
…この目をする時、彼女は必ずあくどいことを考えている。
「もう少ししたらさ、第一位の部屋行ってみなよ。」 - 174 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:04:22.97 ID:XzL/zKUf0
- _________________常盤台&棚川ガールズ
佐天「いざ!勝負のときですっ!!」
初春「何を言っているんですか!もう…//」
佐天「今行かないでいつ行くのよ!さあ立つのよういはる!」
初春「で、でも!同室の人もいるんですよっ!」
白井「ふむ…しおりによると、鈴科さんと、エツァリさん?…外国の方ですかね?」
御坂「ああ。あくっ…鈴科なら知り合いよ?都合付けてあげよっか?」
佐天「御坂さん!ナイス!」
白井「お姉様ぁ!また殿方とぉっ!」プンスカ
御坂「あいつこそ何でもないわよ!」
初春「ちょっと!勝手に決めないで下さいよぉ~」
御坂「…あ、返事来たわ。」ゲコッゲコッ
佐天「なんて来たんですか?」 - 175 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:05:02.51 ID:XzL/zKUf0
【DATE】6/24 19:59
【FROM 一方通行
【sub】は?
------------------------
何?垣根?あいつはやめとけ。
変態だし。ロリコンだし。
いまは俺の部屋で酒飲ンでる。
ていとくんもいますよォ?
つかテメエ上条じゃねえの?
御坂「…ばっ!///」
佐天「御坂さん…この人にもバレバレなんですね。そんなことよりロリコンだって!良かったじゃん!初春!」
白井「ロリコンは良くは無いですけどね。」
初春「し、知ってますよぉ!だいたい垣根さんの性癖は把握してます!」
御坂「ちょっ!///」
佐天「う、初春!恐ろしい子…!」
白井「大胆ですわね…」
初春「って違ーーーーーーーう!!!データの話ですよ!データぁああっ!」- 176 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:05:36.15 ID:XzL/zKUf0
- 佐天「ともかく決まりですね!もう少ししたら行きますよ!もちろん御坂さんもです!」
御坂「わかったわ!後輩の恋路だもの!」
白井「黒子はお姉さまにお供しますの!」
_________________出来あがっちゃってる一方通行サイド
一方「…うぁぁ…気持ちいィー。」ポケー
垣根「ううう…イケメンイケメンっていうけどなぁ…どうせ俺なんてっ…」グスッ ヒグッ
上条「あああ!!!ちっくしょう!!!俺の内側から湧き出でるこの邪悪な欲望をどうしてくれよう!エレクトした俺のナニは何処へ向かえばいいのだ!」
海原「あっ…駄目ですよショチトル…ぅぁっ…そんなぁ…」
青ピ「…」スピー
土御門「…どうしてこうなったにゃー…」 - 177 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:06:05.16 ID:XzL/zKUf0
- __________ちょっと前
土御門「…よし…一方通行。」
一方「あァ?何だよ…」ゴクゴク←ハイボール
垣根「…やったのか?」
一方「ぶっふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
上条「ぎゃあ!!きったねえ!」
一方「ああン!?なんの話だ!?」
垣根「しらばっくれるなよ。吹寄さんだ。どこまでいったんだよ!?ああ!?」チビチビ…←スミノフ
一方「どこまでって…!なンもして…!」
上条「揉んだのか…?」ボソッ
一方「…はァ?」
上条「揉んだんだろ!?そうなんだろ!?あのけしからん乳を!蹂躪したのかよ!むしゃぶりついたのかよ!ええ!?」ソゲブッ
一方「痛ェ!!お、落ちつけ!まだ何もねえよ!」 - 178 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:06:31.78 ID:XzL/zKUf0
- 土御門「かみやん…酔ってるにゃー…」
上条「だいたいよぉ…垣根!お前も初春さんと濃厚なプレイをお楽しみなんだろ!?ああ!?奴隷だぁ?」ヒック
垣根「おいコラ!人聞きの悪いこというんじゃねえ!だいたいあいつはなあ…」
上条「うるせえ!ノロケなんて聞きたくねえ!」ウィック
垣根「ちょっ…お前が聞いたんだろ!?どうなってんだよテメエ?」
上条「土御門!てめえはどうせ妹を毎晩毎晩ヒーヒー言わせてんだろ!毎晩毎晩背中から刺す刃ってか!![ピーーー]ばいいのに!」
海原「…上手いこと言ったつもりですか?」
土御門「おっと。俺はまだ性行為には及んでないぞ。まだ身体的に危険だからな。」キリッ
上条「海原だってこの変態グラサンと同レベだ!ショチトルちゃんいい子だよね畜生!!健康的なエロスを一人占めかよぉ!![ピーーー]!」ヒック
海原「ちょっと!どういう意味ですか!?」
上条「ちくしょうっ!どいつもこいつもっ…」ウガー
一方「おい。いい加減こいつをどうにかしろ。」 - 179 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:07:04.53 ID:XzL/zKUf0
- 青ピ「ねえねえかみや~ん。」
上条「何だよ…」
青ピ「ボクには聞かへんの?」
上条「はっ…なんで…」ゴクゴク←バドワイザー
青ピ「ひどいわあ~。じゃあ勝手に話すね。ボク、彼女できたんよ。」
上条「」
一方「」
海原「」
土御門「」
垣根「」
青ピ「いや~。クールな子でね~。特技が尾行っていうまた変わった子なんやけど、そんなとこも可愛いの!」 - 180 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:07:31.00 ID:XzL/zKUf0
一方「オイ…青ピ…」
青ピ「なんや?」
一方「ほんと?」
青ピ「なんなら写真見る?」
垣根「…」
海原「…」
上条「…」
土御門「…」
「「嘘だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」」- 181 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:08:10.31 ID:XzL/zKUf0
- ______________________吹寄制理
どうしよう…
ミサカに囃し立てられ、結標さんに乗せられ、あれやこれやという内に、私は今、鈴科の部屋の前にいる。
なんとなく騒がしい気がするが、大丈夫なのだろうか…ん?
反対側の通路から、誰かが近づいてくる。
初春「佐天さぁん!やっぱいいですよぉぉ~」
佐天「ほらほらここですよ!ってあれ?」
吹寄「ん?ここの部屋の者に用があるの?」
佐天「あ、はい。この子が垣根さんって人に。あなたは?」
吹寄「私は鈴科ってヤツに…う…用って言うか…////」
なんだか恥ずかしくなってきた…
佐天「あ、この人たちは気にしないでください。私の事も。」
吹寄「え…あ、ええ…」
御坂「…一方通行のやつ…え~と…あく、鈴科とはどういう関係なんですか?」
吹寄「ええっ!?た、ただのクラスメイトよ!あなたは___」 - 182 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:08:55.60 ID:XzL/zKUf0
- 次の瞬間。
「テクパトルうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!!!!!!」
「「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」」
すごい形相をした男が飛び出したかと思えば、そのまま走り去って行った。
…というか半裸だったような…今の人…
「「…」」
初春「何だったんでしょう?」
御坂「さあ…?」
白井「大丈夫なのでしょうか…」
吹寄「あいつ鈴科の友人の…」
佐天「とりあえず入ってみましょうよ!」
白井「…不安になってきましたわ…」
私は扉を開けた。 - 183 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:09:28.24 ID:XzL/zKUf0
- ___________________________________
部屋にいるのは、鈴科と垣根さん、そして、寝ている青ピだけだった。
一方「あァ…誰だー。」ポケー
吹寄「す、すずし…な…?」
一方「おォー。吹寄だー。やったァ。」ボー
吹寄「ちょっ!貴様っ、いきなり何するんだっ//////い、いきなり抱きつくなっ!」
佐天「おおお!」
初春「うわあ…///」
白井「大胆ですの…」
御坂「ちょ、ちょっとアンタいきなりなにしてんのよ!!」
一方「……ダメ…なのかァ?」
吹寄・初春・佐天・白井・御坂「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」キュン
吹寄「(ちょちょちょ、ちょっと!?す、鈴科がおかしい!?)」
佐天「(なに!この可愛い生き物!?)」
初春「(やっぱり一方通行さんは受けですよね!溜まりません!)」テカテカ
白井「(うう!やばい!ヤバいんですの!私はお姉様一筋私はお姉様一筋…)」ブツブツ
御坂「(くっ…!不覚にもときめいてしまった!あの一方通行に!)」 - 184 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:10:41.19 ID:XzL/zKUf0
吹寄「ダメ…じゃ…ないけど…///」
一方「良かったァ。気持ちいい…」ポケー
吹寄「お、おい鈴科!////ひひひ人がみ、見て…」
佐天「わあ…すごい…男らしい…」
初春「いいなあ…」
御坂「…////」
白井「も、もう!!!!見てられませんの!!」ヒュンッ
佐天「ちょっ!どこに飛ばしたんですか!?」
白井「食堂ですの!もう誰もいないはずですわ!!あああああああああああ!!一生の不覚!!」
佐天「それは置いといて…」チラッ
垣根「ぅぅぅ…」ヒック←ガチ泣き
白井「…」
御坂「…」
佐天「初春…」
初春「はい?」
佐天「任せた。」ダッ- 185 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:11:18.45 ID:XzL/zKUf0
初春「ちょっと!佐天さん!?あ、白井さん達も!…もう」
垣根「ぅぅ…虐げられて…モテないまま一生を終えるんだ…俺はどうせギャルゲでいうところの友人キャラだよ…」グスッ
初春「…垣根さん?」
垣根「!…初春か…!」ゴシゴシっ
初春「どうしたんですか?なんか嫌な事でもあったんですか?」
垣根「べべべっつに何もねえよ!眼にゴミが入っただけだ!」
初春「…そうですか!それなら良かった!」ニコッ
垣根「…聞かねえのかよ」
初春「聞いてほしいんですか?」
垣根「…いいや…」
初春「ならこの話は終わりですね!」
垣根「…」
初春「何黙ってるんですかぁ!今日も手伝ってもらいますよ?次のイベントまであまり時間も無いんです!」
垣根「…はッ…またかよ…クソボケ。」
初春「今夜は寝かせませんよ!徹夜で手伝ってもらうんですから!」
垣根「お前が言うと色気ねえセリフだな。」
初春「…垣根さんのグーグル検索ワード、上位から…」
垣根「ああああああああああああああ!!俺が悪うございましたあああああああああ!!!」
初春「もう…どうしようもない人ですねー。」- 186 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:11:59.51 ID:XzL/zKUf0
- _________________________
…動けない。
まっくらで分からないが、どこかに飛ばされた私は、今身動きできない状態にある。
なぜなら、鈴科が上に乗っかったまま眠ってしまったからである。
あのツインテールの子はテレポーターだったのだろう。
…胸元で寝息を立てる鈴科に眼をやる。
真っ白な髪。触ってみると細く、非常に柔らかかった。
同年代の男性にしてはひどく細く、体重も驚くほど軽い。 - 187 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/25(土) 23:12:28.65 ID:XzL/zKUf0
- なんとなく女性的にも見える身体のラインを眼で追っていると、自分の頬が緩むのが分かった。
自分の前ではいつもボーっとしていて、今もこんなにも無防備な姿を晒しているこいつが、学園都市最強には思えなかった。
そのくせ教壇でのこいつは、隙を全く見せない、完璧な教師だった。
そんな、物語の登場人物のような彼が、自分の前だけでは無防備になってくれる。
それが無性に嬉しかった。
鈴科の、絵画のような寝顔を眺める。
_____________________________________!
そして、気付いてしまった。
いつの間にか、四六時中こいつを眼で追っている自分の姿に。
自分が鈴科に対して抱く、独占欲のような感情の根本にあるものが何なのか。
人はその感情を何と呼ぶのだろうか。
_____________!!
心の中のもやもやが一層強くなったようにも、晴れたようにも思えて
私は、気がつくと眠った鈴科を強く抱きしめていた。
- 195 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:04:50.76 ID:lR2lgVkn0
- ん…
蒸し暑さに目を覚ます。
ひどく暑かった。体も汗にまみれてびしょびしょだ。
自宅の布団とはまた異なる香りが鼻孔をくすぐる。
心を落ち着かせるような、かきまわすような、説明し難い不思議な匂いだ。
嫌いじゃない、私はそう思った。
………
……
…はっ!!!???
…そうだ…私、昨日あのまま…寝ちゃったんだ… - 196 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:05:24.89 ID:lR2lgVkn0
- 慌てて身を起こす。
真っ暗で分からなかったが、ここはどうやら食堂の床らしい。
とんでもないところに飛ばされたものだ。彼女はテレポーターだったのだろう。
…いつの間にか体勢が変わっている。昨晩は私が下だったのに…
…これは…
…今の状況を人に見られたら、どう思われるのだろう。
私は、鈴科の背中に手を回し、胸に顔を埋めるようにして眠っていたようだ。
身を起こした今は、彼の下半身に乗っているような状況だ。
……
…結構ヤバい状態なんじゃないだろうか?そういえば何か固いものがさっきから当たってるし…
冷静になってみると、恥ずかしさがこみ上げてくる。 - 197 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:05:53.77 ID:lR2lgVkn0
- これはヤバい。いろんな意味でヤバい。
鈴科を起こそう、そう思って顔を覗き込む。
しかし、鈴科の顔を見た途端、そんな気は消し飛んでしまった。
普段こいつは、人によっては眼を合わせるのを躊躇ってしまうほどのしかめっ面である。
まれに年相応の笑顔を見せることはある。しかし、こいつの寝顔は…
驚きだった。ここまで寝顔とは素直になれるものなのか。 - 198 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:12:34.61 ID:lR2lgVkn0
- これはヤバい。いろんな意味でヤバい。
鈴科を起こそう、そう思って顔を覗き込む。
しかし、鈴科の顔を見た途端、そんな気は消し飛んでしまった。
普段こいつは、人によっては眼を合わせるのを躊躇ってしまうほどのしかめっ面である。
まれに年相応の笑顔を見せることはある。しかし、こいつの寝顔は…
驚きだった。ここまで寝顔とは素直になれるものなのか。 - 199 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:14:11.57 ID:lR2lgVkn0
- 気がつくと、鈴科の顔に手を伸ばしていた。
頬をつねる。きめ細やかな肌だ。男性とは思えない。
「ンぁ…」
精一杯の抗議のつもりか。
「ふふふっ。」
思わず笑みがこぼれる。こいつ、可愛い。
それにしても何よこいつの肌…幼児のそれのような感触じゃない。
もっといじくりまわしてやろう。そう閃き、両手を鈴科の顔を包みこむようにして伸ばす。
その時、どこかで聞いた声が聞こえた。
「えぇ~。それじゃあお姉様なんにもなかったのぉー?ミサカつまんなーい。」
「なな何もって!何が起こるっつーのよっ!!…というか…どこにもいなかったのよ!あいつ。」
…そうだった…ここは… - 200 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:16:47.04 ID:lR2lgVkn0
- 「へぇ…お姉様も結構積極的だね?探しにはいったんだ~。」
「ちちち違うわよ!佐天さん達がうるさいか…ら…ってえええ!!??」
昨日の子だ。眼が合う。
「ちょちょちょ何してんのよ!!あ、あ、あ、一方通行と…えええ!?」
「…へえ…そこまでいっちゃんたんだぁ?良かったねえ吹寄?…ぎゃはっ☆」
「ち、違う!私は別にナニをしていたというわけじゃない!!///」
「…へ~え?その体勢で?騎乗位かー。吹寄ったらインラ~ン☆」
ミサカはいつも通りの悪意100%スマイルを振りまく。ぅぐっ… - 201 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:18:58.88 ID:lR2lgVkn0
- 「ン…朝かァ…?」
鈴科が眼を覚ます。
「っ馬鹿!!貴様このタイミングでっ!!」
「あれ?…やっとお目覚め?第一位…」ビリビリ
「…一方通行…///アンタ…///」ビリビリ
「…あァ?ンだよ…朝からうっるせえなァ…って痛ェ!!いきなりどうしたんだよ?吹寄?」
鈴科から飛び退く。…何でだろう…とてつもなく身の危険を感じる…。
「…あ。番外個体にオリジナルか?テメエらも…って…何でこんな所で寝てるんだ?」
「へーえしらばっくれるんだ…人の友達を傷モノにしておいて…」ビリビリ
「……き、ききき騎乗位…/////」パクパク
あ。駄目だこの子。
「はァ…?テメエはなに言って…」
「「ふにゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」」ビリビリビリ
「うぎゃァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
すまない…鈴科…
私には、黒コゲになってゆく鈴科を、ただ見つめる事しかできなかった。 - 202 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:21:01.60 ID:lR2lgVkn0
- _____________________________________________________________________________
垣根「素晴らしい眺めだな…」
海原「ええ…」
一方「……」
午前中いっぱいの開発特訓から解放された俺達は、ようやくビーチに来ていた。
…水着とは素晴らしい。
上条「おーい!」
三下が浮翌輪やらなんやらをごちゃごちゃともってやって来た。
上条「青ピと土御門は?」
一方「しらねェよ。それより、テメエオリジナル達と約束してやがったな。」
上条「ああ。ここで待っててだとさ。」
海原「御坂さんと!?」ピクッ
垣根「なんだなんだぁ?一方通行様は中学生の水着が楽しみでたまたねえってか?」
一方「はァ?それはテメエだろ?」
垣根「ははは…俺も女子中学生と濡れたり濡らしたりしたいけどよぉ…でも…眠くてそれどころじゃねえんだよ…」シュン
上条「ぐぬぬ…垣根てめえ…昨日初春さんと一晩過ごしたらしいじゃねえか…」
一方「なン…だと…」 - 203 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:21:47.71 ID:lR2lgVkn0
- 垣根「…色っぽいイベントなんてなんもねえよ…漫画の手伝いさせられただけだよ…はぁ…」
海原「そんなことどうだっていいでしょう!?御坂さんは…御坂さんはまだなんですか!?」クワッ
一方「顔が怖ェよ…」
上条「!来たみたいだぞ!お~い」
打ち止め「わーい!ってミサカはミサカはあなたに飛びついてみる~♪」←水色のワンピースタイプ
一方「ぐァっ!!!」
痛ェ。
番外個体「ひゃははっ☆相変わらず第一位ってロリコ~ン」←黒ビキニ
御坂「ちょっと!ワースト!引っ張らないでよっ!」←フリフリのビキニタイプ(アニレー参照)
海原「…ここが楽園か…」ゴクリ
白井「…全くですの…ハァハァ…」ジュルリ←白いワンピースタイプ、背中が大きく空いている(痴女水着は却下されますた)
上条「くぅっ!!耐えるんだ当麻!畜生!静まれっ!俺の中の獣!!」(前かがみ)
垣根「同志上条!ここは耐えるんだ!つかテメエはインポテンツか!?ああ!?第一位!?」
一方「…ベクトル操作ァ…」ムラムラ
打ち止め「ぶー。なんか一言ないの~?ってミサカはミサカは__」
__「ま、待たせたな!鈴科!!」___
そして、彼女がやって来た。 - 204 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:22:25.95 ID:lR2lgVkn0
- 真っ白で、健康的な肌。
豊かな胸部、引き締まったウエスト。
適度に筋肉のついた、細長い脚。
それらのパーツを飾るのは、上下の白いビキニタイプの水着だけ。
胸元のブラには、解いてください、と言わんばかりの結び目が___
吹寄「…?ん…?何?おなかでも痛いのか?」
一方「い、い、い、イヤあ…な、なンでもありませンよぉ?」
お、俺のベクトル操作をもってしても収まらないだとォ!!??
吹寄「…で…?」
一方「ン?」
吹寄「ど、どうかしら?」
頬を赤らめながら彼女が尋ねる。
そンな全裸みてえな格好してンのに、今更何恥ずかしがってンだか…
一方「似合ってるぜ。奇麗だよ。」
吹寄「ッ!!!!!////き、貴様は…どうしてこうっ///」
ぎゃはっ。やっぱイイなこいつ。面白ェ。 - 205 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:22:54.57 ID:lR2lgVkn0
- 「「…………………………」」
御坂「…何あれ…天然…?」
番外個体「狙ってやってるなら死ぬべきだよね…」
打ち止め「うー…美味しいところ全部もっていかれたってミサカはミサカは…」
御坂「…はぁ…なんか格差を見せつけられた気分…」チラッ←上条の方を気にする
海原「何をおっしゃいます!!皆さんとてつもなく素晴らしいお姿ですよ!!もう死んでもいいくらいです!!!」クワッ
白井「その通りですわっ!!!!!さあさお姉様達!!この黒子が全身いたるところ、あんな所やこんな所まで日焼け止めを塗りつくして差し上げますわ!!!」
上条「そうだよ御坂。俺はいいと思うけどな。」
御坂「そそそそうかしら!?///」パァァ
打ち止め・番外個体「わかりやすぅ!!!!!!!」
上条「よぉし遊ぶか!!」
垣根「悪いが俺はちょっと休むわ…はあ…」
吹寄「鈴科!まずは準備運動よ!!海を舐めると死ぬわ!!」
一方「お、おゥ!死ぬのか!?」ウミコワイ… - 206 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:23:54.45 ID:lR2lgVkn0
- 番外個体「愛沙~。日焼け止めぬって~」
姫神「…今の今まで描写なし。不公平。」←ネイビーのワンピースタイプ
御坂「佐天さん達は?まだなの?」
黒子「もうすぐ来ると思いますの。さあお姉様ぁぁぁん!!いざ!いざぁぁぁぁ!!」
御坂「ちょっ黒子!止めなさい!!…ぁっ///」
上条「素晴らしい…!!」
海原「ええ…もう思い残すことなどありません…」キリッ
打ち止め「ねえねえ!ビーチバレーやろうよ!ってミサカはミサカは提案してみる!」ワクワク - 207 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:24:58.04 ID:lR2lgVkn0
- _______________________________________
垣根「あー…眠いぃ…畜生…折角の海なのによぉ。」
垣根「…寝るか。パラソルにもぐって…と、…よし。」
初春「垣根さーーーーーーーーーーん!」
垣根「うぅお!なんだよボケ!驚かすな!」
初春「なんでこんな所にいるんですか?遊びましょうよ!ほらっ!これは命令です!」
垣根「ちょ、待て!眠ぃんだよ!こちとら一昨日もほとんど寝てねえんだよ!」
初春「えぇ~…まさか垣根さん…楽しみで眠れなかったとか…」
垣根「は、はぁ!?な、なわけねえだろ!」ギクゥッ
初春「ふふっ。眼が泳いでますよ?へぇ~…可愛いところもあるんですねぇ。」
垣根「ああ!うるせえよクソボケ!もうテメエは佐天達と遊んでろ!もったいねえぞ?」
初春「…いじけてるんですか?」
垣根「いじけてねえよ!」 - 208 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:25:48.26 ID:lR2lgVkn0
- 初春「…しょうがないですねー。私もここにいてあげますよ。」
垣根「はぁ?」
初春「わ、私もちょっとだけ眠いですしね。そ、それに垣根さんが哀れですっ!」
垣根「…はは~ん?」
初春「な、なんですか?気色悪いですね?」
垣根「そ~んな事言っちゃって、飾利ちゃんは俺と一緒にいたいだけなんじゃないの~?」ニヤニヤ
初春「ぬっふぇ!?そ、そんなことあるわけないじゃないですか!仕方なくですよ仕方なく!///」
垣根「はいはい…」 - 209 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:27:07.09 ID:lR2lgVkn0
- ___________________________________________________________________
御坂「スマーーーーーーーーーッシュ!!!!!!」
一方「おォっと!!三下ァ!!」トース
上条「そげぶっ!!!!」スマッシュ!
御坂「させないわ!ワースト!」トース
番外個体「喰らえ!」スマッシュ
上条「わ!一方通行!」トース
一方「おらァああああ!!!」スマッシュ
御坂「きゃあ!」
一方・上条「ルアア!!!!!!!」ハイタッチ
打ち止め「すごいすごい!ってミサカはミサカは大仰天!!」
吹寄「やるわね」
番外個体「…モヤシのくせに…」 - 210 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:30:36.52 ID:lR2lgVkn0
- 一方「はッ!吹寄に毎日鍛えられて二か月以上たつからな!もうモヤシなンて言わせねえ!」
上条「確かに、運動神経は上がったけど…」
御坂「うん…でも…」
姫神「相変わらず。モヤシ。」
上条「見た目は変わってないよな。」
一方「」ガーン
海原「いいじゃないですか。ガチムチの一方通行さんなんて誰も見たくないですよ。」サワヤカー
番外個体「そ、それには同意!ププッ…!」
一方「はァァ!?いろいろと記録は伸びてんだぞ!」
吹寄「そうね…でもまあ見た目が変わらなくてもいいじゃない。」
番外個体「今のままのアナタが好きっ!って?ぎゃはははははははは!」
吹寄「こ、こら!何言ってるのよ!///」
御坂「顔真っ赤ですよ!あはは!」
打ち止め「フキヨセ可愛い!!!」 - 211 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:33:21.00 ID:lR2lgVkn0
- 上条「チッ…リア充め…」ギロッ←一方通行を睨む
一方「…テメエが言うのかよ。」
姫神「…あ。白井さんたち帰って来たみたい。」
オオーイ
御坂「佐天さんも一緒ね。」
白井「ただいま帰りましたの!お姉様ぁ!!」
御坂「お疲れ黒子。佐天さん!遅かったじゃない?…あれ?初春は?」
佐天「よくぞ聞いてくれました!初春は垣根さんと二人っきりです!」
一同「「な、なんだってーーーーーーー!!!」」
上条「チッ…リア充め…」
海原「…だから…それをあなたが言うのですか??」イラッ
一方「ていとくン…適当な事言いやがってこれが目的かよォ」
御坂「ふ、ふふ二人っきりで…///」
吹寄「御坂さ~ん…?どうしたの?」
番外個体「あの花畑の子、純朴そうに見えて以外にやり手なんだね。」
姫神「ねえ。結標さんは?」
一方「あァ。ショタコンなら目を輝かせて小学生相手に遊んでたぞ。」 - 212 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/27(月) 22:35:45.69 ID:lR2lgVkn0
- 海原「…相変わらず彼女は歪みないですね…。」
上条「ああ!畜生!そんなことより続きやろうぜ続き!一方通行!俺達の友情の力を見せつけてやろうぜ!!」
一方「いいねいいねェ!サイッコウだねェ!!!」キラキラ
姫神「これが噂の…上一!」クワッ
御坂「…!」ゴクリ
黒子「…お姉様?」
吹寄「よし鈴科!私が相手になってやる!全力で来い!」
一方「よっしゃァ!!いつまでも昔の俺だと思うなよ!?」
海原「ふふっ。自分も参加しましょうか!」
上条「いっくぜえええええええ!一方通行ああああああああああ!!!!」
一方「いよおッしゃァァあああああああああああああ!!!!!!!」
打ち止め「あはははははっ!!」
夕方まで、日が傾くまで遊んだ。
俺はこの日、遊び疲れる、という言葉を、身をもって体験した。
- 217 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:31:59.38 ID:dxRqk2uq0
- ザー…
「こちらブルー。グループFがルートBを通過や。オーバー」
ザー…
「…こちらSOGEBU。、グループMがポイントFを右折。ルートBに合流するはずだ。」
ザー…
「あァー。こちらラビット。ショタコン女とクソガキがポイントDでグループFと合流。オーバー。」
ザー…
「よぉーし。プラン修正の必要はなくなったにゃー。メルヘン、アステカ、監視を怠るなよ。」
「アステカ了解。」
「…メルヘン了解っと。」
_俺達は、今。長い間練りに練って来た作戦行動を実行中である。
少し時を戻そう。俺達の鋼鉄の誓いがなされる、その時まで___ - 218 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:32:28.29 ID:dxRqk2uq0
- ________________ちょっと前
午後六時。夕食まで後一時間。俺達は、上条達の部屋で計画の最終確認を行った。
土御門「いいか。まず最初に言っておく。これは遊びじゃない。学園ラブコメみたいに教師の叱責だけじゃ済まない。
バレたら最後。普通に捕まると思え。」
土御門の言葉に、全員が息をのむ。そうだ、遊びじゃねェ。
土御門「今から一分やる。相応の覚悟が無いヤツはこの部屋を出て行くんだ。計画の詳細を知ったら、もう後戻りはできない。」
そして、一息おいてから_
土御門「ただし、覚悟を決めれば、俺達は楽園を享受する権利を得るだろう。それじゃあ今から__」
「止めろよ。」
土御門の続きを、遮る声の主、それは__
「今更何言ってやがる。この場から抜けるようなやつはいねえよ。それはテメエが一番分かっていやがるだろ?」
垣根だった。
土御門は、一瞬だけ呆けたような表情をすると、ふ、と笑った。
土御門「そうだな。すまなかった。」
そう言って、一同を見まわす。そう、俺達はこの時、ひとつになっていたのだ。 - 219 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:33:07.23 ID:dxRqk2uq0
- 土御門は、溜息をつき、呆れたような笑みをこぼす。そして、話し始めた。
土御門「よし、まずはカメラについてだ。カメラは魔術サイドの技術で動いてるとは言え、念を入れておいた。
これは、入浴時間のうち、八時から八時四十五分までしか作動しない。そして、映像の確認はこの部屋で行う。」
緊迫した空気が部屋を覆う。
土御門「超小型無線機を各自に配布する。連絡はこれで行う。そして、ここからが本題だ。作戦行動は夕食時から始まる
メインターゲットは2グループだ。仮称は吹寄達をグループF。超電磁砲たちをグループMとする。」
個人名が出る。しかし、決意を固めた俺達に罪悪感などは存在しなかった。 - 220 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:34:14.00 ID:dxRqk2uq0
- ___________________________________________
『いいか、罪悪感は捨てろ。まずグループF。これを時間通りに誘導するのは俺と青ピ、そして一方通行だ。
残りはグループM。夕食は一緒に取る。それが作戦の第一段階だ。俺は途中で理由を付けて抜ける。』
一方「あー…食いすぎた…」
吹寄「鈴科にしては食べたな。まあ男の子がたくさん食べるのはいいことだ。」
姫神「…それにしても。熱い。」
番外個体「ホントにねぇ…冷房壊れてんじゃない?っていうかついてるの?」
『迅速に入浴してもらう為、冷房の機能は一方通行に奪ってもらっている。食堂は蒸し暑いはずだ。』
土御門「…ホントだぜぃ。あー、喉が渇いたにゃー。」
吹寄「自販機が浴場のとなりにあったわよね。今から行かない?」
青ピ「さんせーーーーーい!喉がカラカラやもーん。」 - 221 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:35:00.24 ID:dxRqk2uq0
- 『ここで、垣根、一方通行、海原が作成に関わった部屋割りが効いてくる。両グループ共に__』
姫神「…生き返る…」
一方「コーヒーうめェ…」
吹寄「こんな時までコーヒーなの?スポーツドリンクにしなさい!」
番外個体「っぷはぁ!ねえねえ!部屋近いし、着替えとってそのまま風呂はいっちゃおうよ!」
『__自販機、そして浴場にもっとも近いエリアに部屋を取ってある。』
姫神「…いい考え。もう汗でべとべと。」
吹寄「いいわね。あ、美琴たちだわ。」
御坂「うーっす。…ってなんか昼のメンツほぼ全員集合ね。」
初春「私達はこれからお風呂入ろうって話だったんですけど、一緒にどうです?」
吹寄「ちょうどいいわね。一緒に行きましょ。じゃあ鈴科達、またね。」
一方「おゥ。」
番外個体「…覗いたらコロスからねっ♪」
一方「覗かねえよ…だいたい男子風呂は別の棟だろォが…じゃあな。」
『時間まで余裕がある場合のみ少し雑談で時間を稼げ、丁度いい場合は、引き上げだ。』
『健闘を祈る。』 - 222 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:35:41.93 ID:dxRqk2uq0
- ______________________________________
そして、俺達は全ての作戦行動を終え、部屋へと戻っていた。
垣根「お帰り。同志諸君。」キリッ
青ピ「同志垣根…聖戦の火蓋は切って落とされたんや…」
上条「いよいよだな…」
一方「あァ…」
海原「…この日のために、学園都市製の超高画質巨大スクリーンを用意しました。…では、土御門さん。」
土御門「おう。…スイッチを入れるぜ!!??…」
_____「変態ども!!!!!!!!!!!!!」
土御門のその言葉に、俺達は、氷の理性により閉じ込められていた獣を解き放った。
「「うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」
「いいぇぇぇぁぁあああああああああああああああああああ!!!!!」
「whooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo!!!!!!!!!!!!!!!」
「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
土御門「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!スイッチぃ!おおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!」
ピッ - 223 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:36:08.37 ID:dxRqk2uq0
- 一方「…まだ誰もいねェな…」
海原「いや、誰か入ってきましたよ…?」ゴクン…
垣根「おいおい…マジかよ…」
青ピ「……これは…キタああああああああああああああああああああああああああ!!!」ハァハァ
土御門「…よっしゃあ!我ながらGJ!だにゃー!」
上条「楽園の天使達の先鋒は…やはりロリかっ!!…」←イケメンAA
土御門「リモコンの番号を押せば指定したカメラに切り替わるぜぃ。」
最初に入って来たのは、打ち止めだった。
…ここから先は、変態空間だァ…
気分を害された方は飛ばしちゃって下さい… - 224 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:36:36.34 ID:dxRqk2uq0
上条「…打ち止め…タオルで隠そうとすらしないな…」
垣根「幼女に常識は通用しねえな。」
一方「このロリコンがァ…あ!あっぶねえ!転びやがった!」
海原「…」ピッ←カメラ切り替え
青ピ「…!!うっふぉおおおおおおおおおおお!!!ワレメきたああああああああああああ!!!!!!GJGJGJやああああああ!!」
上条「う、海原…恐ろしい子…」
海原「…滑らかそうだ。一点の汚れも見つからない清らかな肢体ですね。」
垣根「ああ…」
一方「実際滑らかだったしなァ。」
上条「さらっと恐ろしいこと言うなよ…」
土御門「それだけじゃないぜぃ。お前ら、胸を良く見るんだ。」
上条「…!こ、これは…」- 225 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:37:13.99 ID:dxRqk2uq0
- 上条「…!こ、これは…」
土御門「ああ!そうだ!!…おい一方通行…打ち止めはだいたい何歳くらいなんだ…?」
一方「実質O歳だが、肉体年齢てきには10歳くらいじゃねえの?」
土御門「そうだ!10歳だ…!…おい垣根。…10歳のそれを見たことがあるか?」
垣根「流石にねえよ。コラ。…だがな…だが、こいつは『育つ』ゼっ!!!!!!」
海原「くッ!!!御坂さんの遺伝子とは、かくも無限の可能性を秘めているものなのかッ!!…お、恐ろしいッ…!!!」
一方「…俺はお前の脳内が恐ろしいよ。」
上条「うぉぉい青ピぃ!かの聖幼女の『それ』の頂きに坐する物は一体何だあああああああああああ!!!!!」
青ピ「桃色の頂きにございます!!!同志上条!!!!!!!」ウッヒョウ!
一方「流石にこれには反応しねえがなァ…何度も見てるし、ロリコンじゃねェし。あといたづらしたら漏れなく[ピーーー]。」
垣根「ここまで来るとペドフィリアだな…青ピ…。」
海原「むっ!…また誰か来たようですね。」
上条「…ぐへへ…」
一方「…」 - 226 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:38:10.01 ID:dxRqk2uq0
- 次鋒・結標
土御門「…結標のようだにゃー。」
上条「流石にタオルで前を隠してるな。」
海原「結標さんは普通にスタイルいいですからね。」
青ピ「細くスラリと伸びた脚が艶めかしいぃぃ!!…くそっ!タオルが邪魔や!タオル発明した人去ねえええええええ!!」
一方「落ち着け。テメェらはわかっちゃいねえ。胸や脚以外でもアイツの素晴らしい部分は残ってる。」ピッ←リモコン
垣根「…なるほど…」
一方「そうだよていとくン。オイ。」キリッ
青ピ「はぃぃ!!!」ビクッ
一方「答えろ同志青ピ。」
青ピ「えええ、え、え、えと…」
青ピ「!」ピコン!
青ピ「わかったで!!!それはおまん…」
一方「粛清。」ベクトルパンチ
青ピ「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」 - 227 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:39:00.97 ID:dxRqk2uq0
- 一方「俺はあいつと仕事してきて、何度かムラムラしちまったことがあった。だがそれは、胸や脚なんてもンにじゃ断じてねえ。」
一方「それは………肩だよォ!!!!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」
土御門「……!」ハッ
一方「あいつの頼りない、女らしい肩にだ!よォく見てみるンだな。」
海原「な、なるほど…!」ハッ
一方「考えても見ろ。ヤツは暗部組織で、闇の中をサラシ一枚で駆けずり回り数多の男たちをぶち抜く露出狂女だ。
結標には一見『恥じらい』というエロスが決定的に欠けているように見えちまうかもしれねェ。でも、でもだ。」
青ピ「………」ゴクリ
一方「アイツの肩には、アイツの頼りない肩には、アイツに欠けているように見える『恥じらい』や『女らしい弱さ』が
凝縮されてンだ!!!!!!お前らがアイツにエロスを感じてたならそれは乳や脚にじゃねェ!!!!」
一方「アイツの『肩』にだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」ドーン
「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」ガビーン
垣根「確かに…これは…クるな…」
土御門「くっ…いつもなら平気なのに…しずまれ愚息よ!!!!!!」
上条「そこに気づくとは…やっぱ第一位は格が違った。」
海原「…まさか結標さんにerectioする日が来るとは…!く、屈辱です!!!!」
青ピ「…!扉が開いた!また誰か来るで!」
- 228 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:39:28.16 ID:dxRqk2uq0
- 三番手・四番手 番外個体・姫神
一方「番外個体と…」
上条「姫神だな…シャワーに向った。」
一方「…このカメラがベストだな。」ピッ←リモコン
土御門「…姫神って、意外とスタイルいいんだぜ?」
海原「ええ…彼女、髪をまとめていますね…これは…」
垣根「…真っ白いうなじが高ポイントだな…」
上条「指でなぞりたくなるよな。…タオル!もうすこしでおっぱいが…あっ!クソ!」
青ピ「ああやってタオルまくと谷間がエロいわあ…」 - 229 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:40:18.66 ID:dxRqk2uq0
- 上条「番外個体は、大人っぽいな。モデル体型っていうか…」
土御門「ああ。でも出るところは出てる。スラリとして、でもって女性的…」
海原「非の打ちどころがありませんね。…早く乳晒せやコラ…ボソッ」
一方「…!テメエら!!番外個体のタオルが!下の方!もうちょい!もォちょい!」
垣根「…必死すぎるぞ。お前…あ。」
「「な、なんだってえええええええええええええええええええええええええ!!!???」」
青ピ「う、うそや…まさか…」
海原「…ぱ、ぱぱ…」
上条「パイパンだと…」ゴクリ
垣根「どういうことだ!?剃ってんの!?ねえ!?教えて!!??」
一方「ちょ、落ち着けェ!!!!……あいつ生まれた境遇がちょっとアレだから…まだしばらくは下の毛生えないはずなンだよ。」
青ピ「マ○毛が生えない境遇ってどんなやねん!?」
上条「…もうどうでもいいや…それはそれで…」
土御門「ああ…」
垣根「…萌えるしな。」
一方「アダルトな外見に似合わず…下の『それ』は…」
海原「ええ…下の『それ』は幼い子のそれ…いいですね。たまりません…流石御坂遺伝子です。」
青ピ「………ケケケ…」
一方「…テメエ…ちょっと邪悪に笑いすぎだろォ…流石の俺もそれはしないわ…」
上条「…うっ。そろそろ限界が…」
垣根「我慢だ!終わったあと何度でもしろ!まだ楽園の扉は開いたばかりだぞ!!!!」
一方「また誰か来るみたいだな。」 - 230 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:40:58.69 ID:dxRqk2uq0
- 五番手・六番手 佐天・初春
垣根「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!きたああああああああああああああああああああああ!!!」
土御門「はいはい垣根くん!日頃の鬱憤を視姦という形で返す時が来たんだぜぃ!」
上条「…ほう…」
一方「ていうかよォ…佐天って子、まだ中二だろ?」
海原「そうですよ。」
一方「二年前までランドセルしょってたンだろ?」
青ピ「…」ゴクリ
一方「発育良すぎじゃねェ?何だよあのあふれんばかりの乳は!!??」
土御門「確かに!!これはけしからんにゃー!!」
上条「ランドセルと名札付きのプレイまで妄想した!うおおおおお!!いいねいいね最高だね!!」
一方「俺のネタ取ンなよ…」
海原「あの健康的ふともも…肉の付き方…じゅるり…」
一方「…じゅるりとか言うやつに始めて遭遇した。」
青ピ「…はさんでもらいたいわあ。」
土御門「…何をとは聞くまい。ところでさっきから垣根が一言も発してないんだが。」 - 231 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:41:31.91 ID:dxRqk2uq0
- 一方「愛しの彼女の裸体に色々とやばいンだろォ?」ニヤニヤ
垣根「…」←血走った目
上条「初春さんはまだ幼い体つきだなー。」
海原「ええ。…頼りのない、幼く、細い体つきです。しかし…」
青ピ「細いんやけど、丸みを感じるような…不思議な感じやあれは…どう言えばいいんやろ?」
一方「抱きしめたくなる、とか守ってあげたくなる。ってかンじだろ?」
上条「ああ!!初春さんに『お父さん!』って甘えてもらいたい!」
土御門「…かみやん。シスコンよりよほど敷居が高いにゃー…おい…垣根?」
垣根「…え!?…あぁ!!??…うん…」ポケー
上条「…大丈夫か?」
土御門「そのうちかえってくるにゃー。…ん?また来たぞ?」
一方「…」ゴクリ
上条「…」ムラムラ - 232 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:41:58.28 ID:dxRqk2uq0
- 副将 御坂
海原「イヤッホオオオオオオオ!!!!Yes!!!Yes!!!whoooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo!!!!!!!!!」
上条「う、海原?キャラが崩れて目も当てられない事に…」
垣根「…ほっとけ。」
土御門「戻ってきたのか。」
一方「オリジナルかァ…あれ?おかしいな。変態の姿が見えねェぞ…」
青ピ「…ふむ…やはり隠すんか。」
垣根「スレンダーって感じだな。程よく筋肉もついてる。スポーツか何かやってそうだ。」
一方「胸も悲観するようなもンでもねえと思うがなァ。」
海原「ええ。去年より確実にバストアップされています。自らの胸の慎ましさに懊悩する彼女もそれはもう素晴らしいものでしたよ。」
上条「…なるほど…これはなかなか…」
土御門「…背中がいいにゃー。」
垣根「ああ…思わず背後からから抱きしめたくなるような背中だ。こいつの背中が『Fuck me!!!!!』って叫んでやがる。」
一方「ヤるならバックが推奨ってかァ?」
海原「み、御坂さん…あなたは、左肩から体を洗うんですね…!じ、自分も今日からそこから洗いますよ…」ハァハァ
青ピ「光貴クン…歪みあらへんな…」 - 233 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:42:25.54 ID:dxRqk2uq0
- 一方「俺としてはやっぱり指だなァ。」
上条「…お前。異常にマニアックだな…」
海原「そこに気付くとは!やはり天才か!!!」
土御門「細長くてキレイな指だぜぃ。」
垣根「ああ…ニギってもらいてえな…」ゴクリ
上条「確かに…あ、一方通行…!ついに…!」
一方「!」 - 234 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:43:07.52 ID:dxRqk2uq0
- 大将 吹寄
一方「…」ポカーン
海原「こ、これは…す、素晴らしい…!」
垣根「…っく!非の打ちどころがねえじゃねえか!」
青ピ「真っ白な肌…その長身に見合った長い脚…」
土御門「引き締まったウエスト…湿った長い髪が肩にかかってるのも色っぽいにゃー…そして、何より…」
上条「お、お、おおお、おっぱい!!!!おっぱい!!!!!おっぱいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!」ウヒョー
海原「チッ…タオルが邪魔ですね!!どいつもこいつも!!」
垣根「…!いや!待て!番外個体がタオルを!」
土御門「GJだぜぃ!!!がんばれ!!あとちょっと…!!」
上条「……!!うおおおおお!!きたああああああああああああああああああ!!!!!」 - 235 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:43:48.29 ID:dxRqk2uq0
- 海原「!!!!こ、これは…美しい!!!!!」
青ピ「完璧な形と大きさや!!それに加えて…」
上条「ああ!!乳輪の美しさ!!!あれほど素晴らしいものの持ち主…この目で拝めるとは…」
垣根「ああ!今まで見てきたどんなAVより素晴らしい!!!」
海原「羨ましいですねぇ~。あれを一人占めですからね~。…なんかしゃべってくださいよ一方通行…。」
一方「…///」ポカーン
垣根「これは世界規模のおっぱいだな…つかこいつらレベル高えよ…」
上条「だめだこいつ…さあこれで全員か?他の子もぼちぼちはいって来たな。」
青ピ「そうみたいやねぇ。さあ!時間までゆっくり鑑賞しよー!!」
上条「…ちょ、ちょっと俺…トイレに…」コソコソ
土御門「…ちゃんと手洗うんだぜぃ。」
垣根「…大事な事を忘れているような…」 - 236 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:44:17.81 ID:dxRqk2uq0
- _____________________________at 女湯
カポーン
結標「いいお湯ねー。」
御坂「そうね。気持ちいいー…こら打ち止め!泳がないの!」
打ち止め「えええええええ!!!…ミサカはミサカは納得がいかないけど仕方なく従う。」
姫神「よっこらしょ。」
吹寄「…姫神さん。おっさんくさいわよ…。」
姫神「!」ガーン
番外個体「ぎゃはは!…はーあ…ミサカこんなに広いお湯って始めてぇ~。気持ちいいねー。」
佐天「そういえば、白井さんは…?」
初春「…さあ…?」
御坂「…黒子がいるといろんな意味で危ないから…縛っといたわ。しばらくは身動きとれないはず…」
「甘い!甘すぎですわ!!お姉様っ!!!!!!!!」 - 237 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:44:47.89 ID:dxRqk2uq0
- 「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」
御坂「…く、黒子っ!!!ど、どうやって抜け出したのよ!!!!!!」
白井「ふふふっ。お姉様ったらぁ…黒子の能力をお忘れですの?」
御坂「…!そうか!っく!」
白井「お姉様に喰らってしまったおあずけの分…黒子は…」ギロッ
一同「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」ゾクッ
白井「皆さんにも気持ちよくなってもらいますのよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
「「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」」 - 238 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/29(水) 23:45:16.41 ID:dxRqk2uq0
- _______________________________________
一方「…」
上条「…」
海原「…」
垣根「…」
青ピ「…」
土御門「…」
上条「なぁ…」
一方「何だ…」
上条「俺もう死んでもいいわ…」
垣根「…ああ…白井が女神に見えるぜ…」
一方「白井。テメエ知らねえところで神になってンぞ…。」
青ピ「…最高やぁ。……うっ……ふう…。」テカテカ
土御門「…録画データが欲しかったらいつでもいうんだぜぃ。」
上条「いらねえなんてやつがいるかよ…」
一方「あァ…そいつは同感だ。」
土御門「あ。でも誰かにバレたら全責任はそいつのものな。」
海原「…死が怖くて変態がやってられますか。御坂さんを守ると決めたその日から、自分の意志は揺るぎませんよ。」キリッ
垣根「…お前…最っ高に格好いいよ…」
ある作家が言っていたンだ。
肉の欲望ほど論理的なものはないってな。
- 254 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/30(木) 23:58:29.17 ID:o7tZum210
- 夜の砂浜は、まっくらだ。
暗闇には慣れていたつもりだった。
しかし、今感じているほどの暗さというものは体験しようがなかった。
科学の街にも、光の当らない場所など腐るほどあった。それでも、ここほど暗くは無かった。
同じ暗闇でも、俺はこの闇を闇と呼ぶのが躊躇われた。
日本列島の南洋に浮かぶ島。ここの暗闇は、16年ちょっとの人生で、感じたことのない匂いを放っていた。 - 255 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/30(木) 23:58:55.39 ID:o7tZum210
- いつからか俺は、暗闇を歩くことを義務のように感じるようになった。
何故かは忘れた。きっと必要なことだったのだろう。
暗闇というものは、自分にとって様々なものを想起させる。
怒り、悲しみ、諦観、血の匂い、硝煙の匂い、薬品の匂い。
何が何でも光から手を離さないと誓った今の俺にも、それらを思い起こすのは容易い。
しかし、熱帯夜の砂浜と海を覆うこの巨大な暗黒は、それらを想起させるにはいささか情熱的過ぎたンだろう。
俺は、この闇から、人間的な昂奮を感じ取っていた。
海の匂い、夏の匂い、人間の匂い。 - 256 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/30(木) 23:59:24.98 ID:o7tZum210
- 「たまやあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
三下の叫び声が響き渡ると共に、現実に引き戻された。。
俺としてはあり得ないほど放心していたようだ。
上条が光と音を呼んだのかとさえ思った。
真っ暗な砂は、いつの間にかお祭り騒ぎになっていた。
能力と花火を組み合わせる垣根。
それを蔑んだ瞳で見つめる初春。
佐天が笑う。土御門が笑う。
いつの間にか仲良くなったのか、テレポーター二人は、花火を空に瞬間移動させ、どちらが芸術的か競っていた。
電気三人娘はカエルの顔がついた花火に夢中だ。なにやら議論も始まった。
それを温い視線で見つめる海原。
三下と青ピは、大きめの花火を鳴らし、散らし、叫ぶ。
吹寄に姫神はちいさな花火を処理している。 - 257 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/06/30(木) 23:59:57.02 ID:o7tZum210
- それだけじゃなかった。
学園都市の生徒達は、皆笑っていた。
男も女も、生徒も臨時の講師も。
皆、みんな笑顔で、今だけを見つめていた。
その時、俺の中で様々な感情がはじけた。
不思議な気分だった。
名状しがたい感情が俺の中を駆け抜けた。
自分の中に、激しい感情が渦を巻き、それと共に羞恥が体を駆け巡った。
俺は、気付くと走り出していた。 - 258 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/01(金) 00:00:54.00 ID:uuP76eTG0
_____________吹寄生理
風呂から上がると、ちょっとしたリクリエーションがあるとの知らせが入った。
外に出ると、生徒達が集まっていた。
どうやら花火をするようだ。
梅雨もあけずに湿気っちゃいないかと心配だったが、学園都市にとっては些細な問題だったようだ。
旅行に入ってから馴染みの面子と共に、存分に花火を楽しむ。
花火が久しぶりどころか、始めての連中も多くいたようで、皆のはしゃぐ様子は、幼児のようだった。
その時は、鈴科の様子がおかしかったのは、ただ疲れているだけだと判断した。- 259 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/01(金) 00:01:41.88 ID:uuP76eTG0
- 「どうなの。吹寄」
「へっ。」
手持ち花火で砂を熱しながら姫神さんが尋ねる。
「へっじゃない。鈴科先生のこと。進展あったの?」
「し、進展って…まあ…少しは…」
しどろもどろになってしまう。
今になって思う。私は本当に奥手な人間だったのだと。
「へ~え。もう『そんなんじゃっ』とか否定するのはやめたんだぁ~。」
ミサカが口を挟む。手には、カエルの顔が取っ手になった花火が握られている。
「…うん…」
今更なにを隠し立てすることがあるのだろう。
私にはもう断言できた。
「…うらやましい。私はアピールどころじゃなかった…」
「…あの朴念仁はいつになったら治るんでしょうね…」
二人して溜息をつく。
きっとこちらも同じようなものなのだろう…
「うひゃひゃひゃひゃ!ま~あそうだよねぇ~☆だって朝っぱらから騎乗いっ!!!???」
慌ててミサカの口を塞ぐ。なにを垂れ流してやがるこのクソ女がァ。 - 260 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/01(金) 00:02:22.15 ID:uuP76eTG0
- 「…騎乗…。…何?」
「何でもないのよ?姫神さん。ほんとーに。」
姫神さんに弁解する。偽物臭い笑みを浮かべているんだろうな、と心底思った。
「………?」
その時、鈴科の姿が見えないことに気付いた。
近くにいた垣根さん達に尋ねる。
「垣根さん。鈴科知らない?」
「ん?一方通行?知らねえなぁ。…あいつなんか外でてから元気なかったからな。トイレにでも言ったんじゃね?」
やはり元気が無かったのは気のせいではなかったのだ。
「私、見ましたよ。」
佐天さんが答える。
「鈴科さんなら、あっちのボートレンタル場の方へ走って行くのが見えましたよ!」
「急ぎの用事が何かあったんでしょうか?」
「…」
初春さんのように楽観的になるのも仕様が無いだろう。
しかし、先ほどの鈴科の様子を見た後では、そうもいってはいられまい。
「…私、ちょっと見てくる。すぐ戻るから!!」
そう言って駆け出す。
後ろから茶化すような声が聞こえたような気がしたが、気にしてもいられなかった。 - 261 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/01(金) 00:02:57.41 ID:uuP76eTG0
_______________________________________________
どこもかしこも、嗅いだ事のない匂いが漂っていた。
海の匂いだろうか、それともこれは砂浜の匂いなのだろうか。
ふ、と自嘲の笑みが浮かぶ。
幼い子供でも知っているはずの事を、俺は知らない。
体験の伴わない知識の何と薄弱な事だろう。
星空を眺めながらそんな気分になった。
しかし、自分でも驚くほど清々しい気分である。
こんな気分になるのも久しいことだった。- 262 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/01(金) 00:03:25.04 ID:uuP76eTG0
- 「よォ。どうした。何か用か。」
「…用が無ければ来ちゃいけないの…?」
暗闇に声を掛けると、案の定声がした。
声の主は吹寄だった。
いつもより幾分か穏やかな声だ。
吹寄は、俺の右手に並ぶ。肩と肩が触れ合いそうな距離をとる。
「…奇遇だな。テメエも散歩か?それとも心配しちゃったンですか?」
「…」
冷やかしにも反応がない。どうしたのだろう。
「…オイ。」
彼女は、じっと俺の事を見つめている。
原因を探ってみるが、心当たりは無い。
…マジでどうしたンだ…? - 263 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/01(金) 00:04:06.39 ID:uuP76eTG0
- 「…よかった。」
彼女が口を開く。
俺にはさっぱりだ。
「貴様のことだから、またひとりで落ち込んでるのかと思ったわ。でも…」
そう言って、彼女は視線を空へと移した。
「心配はいらなかったようね。うん。良かった。」
彼女の横顔に目を奪われる。
嘘のない顔だった。
「…吹寄…」
「ん?どうしたの?」
話したいことがあった。
誰でもいい。話を来てもらいたかった。 - 264 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/01(金) 00:04:33.79 ID:uuP76eTG0
- 「俺はよ。憧れてたんだよ。ヒーローってもんに。」
「…」
一瞬怪訝そうな表情を作ったものの、彼女は話を聞くことにした。
「いつからかもわからねェ。何がきっかけかもわからねえがな。きっと、ガキのころたまたま目にしたTVかなンかがきっかけなんだろうよ。」
いつもなら顔から火が出るほど羞恥を感じるであろう話を、俺はまったくの抵抗感なしに吐き出していた。
「理想のシチュエーションとしてはよ。ヒーローになった俺が、助けたガキにこう言うンだよ。『キミもヒーローになれるさ!』ってな。」
俺が笑うと、吹寄も笑った。
「いい夢だな。」
「ははッ。そうだろ?」
はぁーと深呼吸。
「でもな、それを思い出したのはつい最近だ。不思議なもンだ。急に思い出すんだもんなァ」
「…」
「…俺は…俺が戦ってきたのはその夢の為でも何でもなかった。失敗し、勘違いし、それでも何とか俺は光を手にした。」
彼女はなんの話をしているのかさっぱりだろう。それでも聞いてくれていた。
「それでよ。俺はさっきの砂浜で見たンだよ。不思議な気分だ。」
「…見たって、何を見たの?」
「…学園都市の生徒達だよ。あいつら、笑ってた。」 - 265 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/01(金) 00:04:59.68 ID:uuP76eTG0
- 「うん。笑ってたな。皆。楽しそうに。」
吹寄が笑う。
「俺は思ったんだ。俺はアイツらのために戦ったわけじゃねえ。でもよ、俺は結果的にヤツらを救ったンだ。」
__そうだ。
「俺は、救った。それが嬉しくてよ。」
吹寄は笑っている。
「俺、俺がやつらと一緒に笑っていられることが嬉しいンだ。」
いい気分だった。
「嬉しい。俺は、嬉しい。」
呼吸が不安定になる。頬を熱いものが流れ落ちる。
熱い。熱い。これは何だろう。
「…あ?何だこりゃ?」
吹寄は、笑っている。
しかし、彼女の瞳に嘲りの色は無い。
「良かった。本当に。」
そう彼女は呟いた。
「お前、うれし泣きとかするのね。」
「…泣く?俺が?」
「…うん。」 - 266 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/01(金) 00:05:26.24 ID:uuP76eTG0
- 「はッ。馬鹿言ってンじゃねえ。誰が泣いて…」
そうか、これは涙だったのだ。
そして、俺は泣き顔を見られるのが恥ずかしかったのだ。
「どうみても泣いてるじゃない。」
吹寄が溜息をつく。
「泣きたいときは、一杯泣いた方がすっきりするわよ。」
彼女はどんな顔をしているのだろう。
一瞬だけ、何かにためらうような表情をしていたように見えたが、よくわからなかった。
そして、気がつくと、俺は彼女に抱きしめられていた。
「は、はァ?な、何を…」
「はいはい、黙ってなさい。誰にも言わないから。」
頬から流れ出る熱いものが枯れるまで、彼女はそうしてくれていた。 - 267 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/01(金) 00:05:54.46 ID:uuP76eTG0
- _______________________________________
「…」
「…」
…気まずい。
というか、やばい。死にたい。
黒歴史を一つ生産してしまった。
涙が収り、体を離して以降、吹寄と俺は、黙り込んだままだった。
暗闇に目が慣れているのに気付く。
…なんて切り出そう。
そう考えていると、吹寄が口火を切った。
「案外甘えんぼなんだな。鈴科も。」
「なっ!!!」
彼女が笑顔を向ける。
いたずらっ子のような笑みだ。 - 268 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/01(金) 00:06:20.75 ID:uuP76eTG0
- ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
はずい!!死にてェええええええええええええええ!!!!
「…絶対人にいうなよォ…ホント…マジで…」
「ふふふ。分かってるわよ。」
…本当だろうか。
「…そろそろ、皆の所に戻ろうか?」
彼女が言う。すぐに戻るとでもいっておいたのだろう。
少し慌てた様子だった。
彼女が立ち上がる。
「待てよ。」
衝動的だったとも言える。
俺は、彼女の手を掴んでいた。
「…」
「…」
吹寄と視線がぶつかる。
視線を交わしたまま、俺達は一言も喋らなかった。
「しょ、しょうがないわね。」
彼女は根負けしたようだ。
地に腰を下ろす。 - 269 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/01(金) 00:06:46.40 ID:uuP76eTG0
- 「…一方通行先生の夏の星座学習タイムと行きますかァ…」
「…なんなのよそれ…」
「ちょっとやかましいのは気分じゃねえンだ。付き合えよ。」
「…うん。期待していいの?」
「はっ。俺を誰だと思っていやがる。」
ひたすら、吹寄に蘊蓄をたれた。
吹寄は、時には感心しつつ、感想を交えながら、俺の話を聞いてくれた。
こういう時間をなんとよぶのだろうな、ふとそう考えた。
- 279 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/02(土) 21:32:23.45 ID:HXz5Spub0
- 「…夢だ?」
「あァ…」
夏の学園都市。
俺の横に並ぶのは、制服をだらしなく着崩した垣根だ。
未だ梅雨の明けていないここ学園都市には、じめじめとした空気が漂っていた。
「…夢っていうかよォ…異常にリアルで…なんかこう…実際あったような…」
「どんな感じだよ。話してみ。」
「>>217~>>238って感じだ。」
「…やけに具体的だな。」
昨夜みた夢の話など、取りとめのない話をしながら、俺達は歩く。
長点上機の正門が見えてくる。
「まあ夢だって。だって俺達、食後すぐ花火いっただろ?な?覚えてるだろ?」
「そりゃあそうなンだけどよォ…」
正門をくぐると、いつも通りの視線が纏わりつく。 - 280 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/02(土) 21:32:52.81 ID:HXz5Spub0
- 好意的な視線も中にはあるのかもしれない。
しかし、恐怖や畏怖という感情が一番読み取りやすかった。
「今月で講師も終わりだな。」
「あァ…そうするとこの辛気臭い学校一本になっちまう。」
このままでも構わないが、可能なら何とかしてこの状況を改善したいものだ。
「お前、クラスでどうなンだ?」
「…テメエは…俺にそれを聞くのかよ…」
同時に溜息をつく。
「じゃあな。また昼休みな。」
「おォ。」
垣根と別れ、階段を上がる。
旅行の疲れがあるからという理由で、朝のトレーニングは中止だった。 - 281 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/02(土) 21:33:24.95 ID:HXz5Spub0
- 今までの俺なら、疲れが未だ残っていたのかもしれないが、流石に今は違う。
体を鍛え始めてから、いくらか前向きに物事を考えられるようになった気もする。
健全な魂は健全な肉体に宿るというのも、あながち間違いではないのかもしれない。
そんなことを考えているうちに、教室に到着した。
突き刺さる視線を受け流し、席に着く。
手持ち無沙汰だったのは最初のうちだけだ。
俺は迷わず鞄から文庫本を取りだした。
「あ、あの、す、鈴科くん?」
女の声がした。 - 282 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/02(土) 21:33:53.69 ID:HXz5Spub0
- 「あン?」
「ご、ごめんなさい!お邪魔でした?」
背の低い女だった。色が白い。
華のある美人ではないが、品のある顔立ちだ。
小さい顔の上にちょこんと、ショートボブにした黒髪が乗っかっている。
「いや、邪魔じゃねえけど…何か用か?」
女は、視線を泳がせながら何かを言いたそうにしていた。
そういえばコイツ、クラス委員の女だ。名前は忘れたが…
「落ちつけよォ…別に取って食おうってわけじゃねえンだ。」
「う、うん…」
すー、はー。と、女は深呼吸をすると話し始めた。
「あ、あのですね、これ、鈴科くんが臨時講師に行ってた分の授業のノートなんだけど。私、クラス委員だから頼まれてたの。」
そう言いつつ、一冊の大学ノートを差し出した。 - 283 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/02(土) 21:34:45.12 ID:HXz5Spub0
- 「…」
…親切なヤツもいるもンだ。
「…あ、あの…?迷惑だった?」
女がこちらの表情を伺いながら尋ねる。
「…いや。そンなことはねェよ。」
「そう!良かったです!じゃあ、わ、私はこれで…」
「待てよ。」
背を向けようとしていた女が振り返る。
…そう硬くなるなよ。まったく…慣れっこだからいいものの…
「ありがとよ。」
「…へ…?」
さらに固まってしまった。
「だからありがとうって…どうしたンだ?硬まって。…」
「…///」
どうしたンだよったく…
「一限終わったら返すから、それまで我慢な。」
「ははははい!!」
彼女はようやく落ち着いてくれたようだった。 - 284 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/02(土) 21:35:18.83 ID:HXz5Spub0
- …………
しかし、こんな感じでみーんな話しかけてきてくれたらいいンだがなァ…
俺に最も欠けているのはコミュ力のはず…体力もそこそこ付いてきたしな…
そんなことを考えているうちに教員がやって来た。
明日、大覇星祭の実行委員を決めるとか、そンな話をしてHRは終わった。 - 285 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/02(土) 21:35:45.00 ID:HXz5Spub0
- _______________________________________________________________________
親船は、よほど俺たちの仕事を増やしたいらしい。
近頃は、携帯に「親船最中」の名前が浮かぶだけで憂鬱な気分になるほどだ。
「はァ…」
「ん?どうした鈴科だらしが無い。溜息なんて。」
今俺が溜息をついているのは、ジムでのトレーニングが厳しかったからではない。
ましてや、右手のクレープの甘さに辟易しているからというわけでもない。
今俺達は、いつぞやの公園でくつろいでいた。
「何から何まで押しつけやがってよォ…クソッタレが…」
「…クレープ、いらないの?」
俺の呟きも右から左へ、吹寄は、俺の手元のクレープに視線を注ぐ。
…お前のはさっき食い終わったばかりじゃねェかよ…
「…一口いるか?」
「う、うん。」
俺の差し出すクレープに口をつける。
「…うまいか?」
「…お、おいしい…。」
「そォか。」 - 286 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/02(土) 21:36:35.25 ID:HXz5Spub0
- ………
なぜ黙る。オイ。
沈黙が息苦しさをまとうのは久しいことだった。
彼女もこれを厭ったのか、あわてたように切り出した。
「そ、そういえば!もうすぐ大覇星祭だな!全力でやらないと許さないわよっ。」
「…それなんだけどよ…」
「ん?どうしたのよ?」
「俺。実行委員やらなきゃいけないらしい。」
「あ、そう。」
それだけかよォ… - 287 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/02(土) 21:37:05.91 ID:HXz5Spub0
- 「イヤ…あ、そう。って…」
「別にいいじゃない。私もやるし。それに丁度いいわ。貴様には立候補してもらうつもりだったから。」
「ええー…」
吹寄はしれっと言い放った。
「やるからには、全力でやる事!いい?」
「はいはい、仕様がありませンねェ…」
気は乗らないが、これも経験だ。
そう思う事にした。
まあ、垣根とかも強制らしいし、我慢するとしよう。
「…鈴科?」
「…何だよ…?」
「競技のほうも、全力よ?いいわね?」
「…」
彼女は、笑ったような、睨んだような複雑な表情を浮かべつつ、俺に念を押した。
そして、急に大覇星祭が心配になって来た。
- 296 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/05(火) 22:43:39.66 ID:9GvDXY5h0
- 「__と、今日はここまでだ。」
終業のチャイムが鳴り響いた。
「そろそろ特別授業も終わりだ。講習を受けたクラスは身体検査を行うからな。それじゃァ号令。」
「起立。礼。」
「「ありがとうございましたーーー。」」
鈴科が教室を後にする。
辺りを喧騒が包み込む。
「身体検査やるの?」
「そうらしいなあ。」
「今なら俺イケる気がする!!」
「うおお!楽しみになって来たあ!!」
皆、力が入っている。 - 297 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/05(火) 22:44:05.39 ID:9GvDXY5h0
- 言うまでもないが、鈴科の授業は好評である。
生徒達は着実に自信を付けているようだ。
「もうあーくんの授業も終わりかぁ~。寂しくなるわ~。」
デルタフォースの一角の似非関西弁がそうこぼす。
…私は、いつでもあえるし…
「寂しいって…貴様達は私生活でも交流あるんでしょ?」
「俺達はなぁ。…でもそうじゃないやつらもいるんだよな。」
上条は教室を見回し、こちらに目配せをしてきた。。
「それでそれで吹寄さん…」
「何よ…気持ち悪いわね…」 - 298 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/05(火) 22:44:44.42 ID:9GvDXY5h0
- 気色の悪い視線だ。
本来、回りくどいのは好みじゃない。
「だぁぁあああ!!わかるだろ?一方通行!このクラス!お別れ!」
「…なるほど。そういうことね。」
…言いたいことは分かった。
つまりこいつは、私に仕切ってほしいのだろう。
こいつは、自らの鶴の一声で誰しもが動くと言うのに、何故私を通すのだ?
「え?何?上条!?なんかやんの!?」
「いいね!そろそろ誰かが何か言いだすころかと思ってたよ!!」
教室が一層騒がしくなった。元来お祭り好きな連中なのだ。仕方が無い。
………
…いいだろう。
- 299 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/05(火) 22:46:07.98 ID:9GvDXY5h0
- 今回ばかりは、鈴科の事だから、言いだすのは私か上条達が適任だ。
私はざわめく教室の中、邪魔な髪をまとめ上げた。
「「!!!!!!!!!!!!!」」
「こ、これは!!!!!!!!」
いつも疑問に思うのだが、私が髪をまとめることの、何がそんなに面白いのだろう。
「ふ、吹寄おでこDeluxe!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
黙れ、上条。
私は、道を塞ぐ生徒を押しのけ、教卓の後ろにまわる。
そして、教師が生徒にするような調子で声を張り上げた。
「聞きなさい!あなた達!!!」
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」
「私がこれから言うことは分かってるわね!!!!!!!!さあ!!意見を頂戴!!!!」 - 300 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/05(火) 22:46:36.28 ID:9GvDXY5h0
______________一方通行
「はぁ…疲れたぜ…勘弁してほしいぜ。全くよ…」
「…その割には顔がニヤけてンぞ。…つか、何があったかは聞かねェぞ。」
「あのよ、初春の漫画の手伝いまたやらされてよ。昨日は締切が近いとかで超激務でよ。…おい。聞いてんのか?」
…聞いてなくても話し続けるンだろうがよ…
コントローラーを握る手に力が入る。- 301 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/05(火) 22:47:03.02 ID:9GvDXY5h0
- 俺達が雑談に興じるここはファミリーサイド、つーか俺ン家。
「いつの間にかアシスタントの仕事は完璧にこなせるようになったぜ。どうだ凄かろう。」
「…はいはい凄いでェす。…つかテメエまたパイロットプルツーかよ!!!!」
「よっしゃ!800撃破!!…いいだろうが別に。プルツー可愛いじゃねえか。」
「他の奴のレベルも上げろよメルヘン!!」
「はあ!!??それならテメエだってさっきからデスサイズヘルしか使ってねえじゃねえかよ!!」
「やかましいわ!格好いいからいいンですゥ~。」
「…厨二病が。」ボソッ
「オイ。今なんつった。」
「何でもねえよ。っつかゼロカスねえとかなめてやがるな…」 - 302 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/05(火) 22:47:30.57 ID:9GvDXY5h0
- 俺達はただゲームやりながらくっちゃべっているわけではない。
まあそれもあるがそれだけではない。
「つーか浜面の野郎おっせえな…海原も来るんだろ?」
ピンポーン
「あァ。…言ってるそばから来たみたいだぜ。」
俺達が集まったのは、浜面から相談事があるというからだ。
俺の家が集合場所なのはたまたま垣根がウチに来ていたから、それだけだ。
「…はいはい。出りゃあいいンだろ?でりゃあ。」 - 303 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/05(火) 22:47:57.38 ID:9GvDXY5h0
- 相談事という言葉も聞きなれない。
浜面の事だから、きっと滝壺のことだろうな。
その手の話で有益な話ができるとは到底思えないが、浜面は俺達を頼った。
どうするかはともかく、話くらいは聞いてやろう。
そう思って玄関の扉を開く。
悪い気は、しなかった。
- 307 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/09(土) 20:16:34.84 ID:cafl6g7i0
- 後悔してもしきれない。
自分とあろうものがどうしてこうも簡単に口車に乗せられたのだろう…
冷静に考えてみれば、自分がこうする必要もなかったのかもしれない。
「…畜生…」
いつも通りの憎まれ口も、この声ではしまらない。
アニメに声を当てる声優の如き女の声だ。
…ああそうだ。今の俺の声は自分の声じゃねェンだよ。畜生。 - 308 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/09(土) 20:17:05.31 ID:cafl6g7i0
- 周囲からの、やけに眩しいものを見るような視線も気にならなくなってきた。
「…帰りてェ…いや、もう死にてェ…」
今、俺がこのような状況に立たされているのには理由がある。
時を少し戻そう。 - 309 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/09(土) 20:17:35.14 ID:cafl6g7i0
- _________________________________
「「滝壺の様子がおかしい?」」
「ああ…」
見るからに落ち込んだ様子の浜面を前に、俺、垣根、海原は眉をひそめた。
ちなみにここは俺の部屋である。
うちにこうして集まるのも、そこまで珍しくも無くなってきた。
垣根「思いすごしじゃねえのか?どうおかしいのよ?」
海原「そうですね。具体的に話していただかないと…」
浜面「それなんだが…」
ちら、と俺の方にも目配せをすると、浜面は話し始める。 - 310 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/09(土) 20:18:30.26 ID:cafl6g7i0
- ちら、と俺の方にも目配せをすると、浜面は話し始める。
浜面「俺と滝壺は、同棲しようか、ってことにもなったんだが、無能力者の俺とレベル4の滝壺とじゃ奨学金も違うし、
なんか申し訳なくなって、俺がまっとうな職に就けるまで別々に暮らすことにしてるんだ。ちなみに無職じゃないぞ。
バイトしてる。」
一方「知ってンよ。自慢すんな。[ピーーー]ぞ。」
垣根「爆発しろ。浜面のくせに。」
海原「爆発するべきですね。」
浜面「いつものことだがひでえなオイ!!…話を戻すぞ。それでも、近くに住んでて、晩御飯は一緒に食べてるんだが…」 - 311 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/09(土) 20:18:56.69 ID:cafl6g7i0
- 言葉を詰まらせた浜面は、表情を曇らせた。
浜面「最近…断られる事が多くて…麦野達に聞いてみても知らねえし…」
垣根「直接滝壺に聞けよ」
浜面「聞いたんだよ!そしたら、『浜面はしらなくていいよ。』って…」
海原「…ばっさりですね。」
一方「あの女、結構容赦ねェからな…」
浜面「…なあ!どうしたらいいんだ!?最近気になって何をするのにも集中できねえんだ!今日もバイトでミスの連続だったし…」
………
そうとう来てるな。キモさがいつもの三割増だァ…
俺達は黙り込んだ。 - 312 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/09(土) 20:19:33.25 ID:cafl6g7i0
- こんな浜面でも一応友人だ。やれるだけのことはしてやる。
そして、最初に切り出したのは海原だった。
海原「…尾行しかありませんね」
一方「最初にそこに来るのかよ!!」
垣根「…オイオイマジかよ…」
やっぱりか…そんなことかと思ったよ。
知ってたけど、ただの変態だよ…
浜面「…尾行…か。」
一方「心が揺れているゥ!?」
海原「だってそれしかないでしょ?安心してください。僕はプロですので。」
垣根「それは知ってる。…海原がやるのか?」
一方「オイオイ。滝壺にも知られたくない秘密の一つや二つあるンじゃねえのか?」 - 313 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/09(土) 20:20:21.67 ID:cafl6g7i0
- 浜面「…」
垣根「そうだな。このまま見逃すのも愛かもしれねえ。」
海原「あなたが愛とか言うと気持ち悪いですね…」
垣根「ほっとけ!!」
一方「…で?どうするよ浜面?」
浜面は、うつむきがちに目を泳がせ、考え込むような顔を作った。
しかし、次の瞬間には心を決めたようだ。
浜面「それでも心配なんだ!危ないことしてないとわかったら!切り上げる!それならいいはずだ!」
一方「そォかい。」
垣根「…決まったはいいが、誰がやるんだ?全員か?」
海原「それは危険でしょう。一名が先行。他のものはそれをカヴァーという方向で。」
浜面「あ、言い忘れてたんだけど、滝壺の行き先はわかってるんだ。」
垣根「は!?先に言えやクソボケ!!」 - 314 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/09(土) 20:20:51.39 ID:cafl6g7i0
- 一方「で、どこなンだよ?」
浜面「正確にはわからねえんだけど、学舎の園の中なんだ。そこまでなら見送ったことがある」
海原「そうなると…その中の女学生しか入れませんか…」
一方「簡単じゃねェか。海原。アステカチェンジだ。」
海原「何言ってるんです!皮剥ぐんですよ!?できません!」キリッ
一方「あァ~…そうだったな…じゃあどうすンだよ?」
「「………」」
部屋が沈黙に落ちる。
打つ手なしか、誰もがそう思った時、扉は開かれた。
番外個体「話はきかせてもらったよ!!!」
「「番外個体!!!!」」 - 315 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/09(土) 20:21:19.58 ID:cafl6g7i0
- 死ぬまでに一度は言ってみたいと評判のセリフを吐きつつ、番外個体が押し入ってきた。
…ずっと扉の前にいたンだよな。
海原「今日もso beautifulですねミサカさん!それで!なにかいい考えがあると?」
番外個体「もちろんだよ!!ミサカを舐めないでほしいね!」
そういって腕組みする。
正直、イヤな予感しかしない…
垣根「で?考えってどうなんだ?もったいぶらず言えよ。」
番外個体「ふっふっふ…それは…」
「「それは…!!??」」
息をのむ俺達。 - 316 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/09(土) 20:21:47.57 ID:cafl6g7i0
番外個体「女装にきまってんじゃーーーーーーーーーーーーん!!!」
「「な、なんだってっーーーーーーーーーーーーーーー!!!!????」」
やっぱりかちっくしょォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!
浜面「おいおい女装って、誰が…」
海原「そうですよ…そんなの…」
垣根「俺はやらねえぞ。俺は…」
番外個体「…」
………
……ン?
何故こっちをみているンですか?- 317 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/09(土) 20:22:13.47 ID:cafl6g7i0
- 一方「……て、テメエら…まさか…」
身の危険を感じ、部屋の出口に視線をやる。
しかし、次の瞬間には、俺の両肩は、がっしりとホールドされていた。
番外個体「どっこ行くのかな~?第一位~?」
海原「逃がしません!チョーカーには触れさせませんよ!」
一方「番外個体ォお!!テメエ!!これの為に!!謀ったなァァああああああああああ!!!!」
浜面と垣根に救援を頼もうと目配せをする。
しかし… - 318 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/09(土) 20:22:45.45 ID:cafl6g7i0
- 浜面「…。」ピュー←口笛
垣根「…。」ニヤニヤ
ちくしょう…
ちくしょう…
一方「テメエらァああああああああああああああ!!!!!!」
番外個体「はいは~い♪お着替えとお化粧の時間でっすよ~♪ぎゃはははははははは!!!」
俺の黒歴史に、新しい1ページが加わった。
…わけがわからないですよ、カテジナさん… - 319 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/09(土) 20:23:17.41 ID:cafl6g7i0
_______________________________________
「「…………」」
一方「…な、何だよォ…その目は…」
なンかこいつらの視線が怖い…割とマジで…
番外個体「(MNWで話題にはなってたけど、まさかこれほどとは…)」
浜面「(あ、一方通行…だよな…)」
垣根「(ヤバいだろ…これはヤバいだろ…)」
海原「(………)」- 320 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/09(土) 20:23:49.40 ID:cafl6g7i0
- 現況報告だァ…
…番外個体に化粧させられ、ヘアピン止められ…
…海原に着替えさせられ…なンでセーラー服とか持ってンだよ?
…垣根好みの声にするため、声帯をベクトル操作させられ…
…浜面にキモい視線で愛撫させられるように見つめられ…浜面キモい。
………どうしてこうなった。 - 321 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/09(土) 20:24:21.77 ID:cafl6g7i0
- 番外個体「(…私より真っ白できめ細やかな肌…畜生…だんだん笑えなくなってきた…)」ゴクリ…
海原「(もともと体つきは中性的でしたからね…いやしかし、人目を恥じらうように紅潮した頬…)」ゴクリ…
垣根「(スカートが慣れないんだろうな…やけに内股になって脚をこすり合わせているのも…また…)」ゴクリ…
浜面「(ど、どどどどう見ても超美少女だ…第一位、恐るべしっ!!!!)」
一方「…て、テメエら黙ってないで…さ、作戦とか考えようぜ…」
これ…ホントに自分の声か…?
「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」
海原「え、ええ…そうですね」
番外個体「ミ、ミサカも協力するよ…あ、あはは…」
垣根「………」
浜面「…おい…垣根…大丈夫か?」 - 322 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/09(土) 20:24:58.39 ID:cafl6g7i0
- 一方「あ、そうだ。」
垣根「な、なんだよ?」
一方「短パン下にはくわ。いいだろォ?オリジナルとかも履いてンだし。」
そう言いつつ、垣根に目をやる。
…スースーして落ち着かねえからな。
垣根「う、上目使いで見つめんじゃねえ!!!///」
…どうしたンだコイツ。気持ち悪ィな…
- 329 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/15(金) 21:51:58.63 ID:DNLI+TXX0
- 尾行のコツは暗部で習得済みだ。
滝壺から一定の距離を保つ。ただ目的地を同じくしているようにしか見えないだろう。
耳元の無線機を操作しつつ、現状を報告する。
「対象に異常はなし…。」
『ザー…了解です。』
返答したのは海原だった。
…あいつらは俺から少し距離を置いて後ろを付けてきている。
何なンですかこの構図…
もうなンかいろいろと言いたいことはある。うン。間違ってる。
「…………」
最近、押しに弱くなってきたような気がする… - 330 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/15(金) 21:52:28.53 ID:DNLI+TXX0
- ______海原サイド
海原「異常は無いようですよ。それにしても…こうも簡単に彼が引き受けるとは…」
垣根「アイツ最近は頼み込めば大抵の事はやってくれるからな。」
浜面「協力はすげえありがたいんだか…お前ら楽しんでないか?」
番外個体「あったりまえじゃ~んっ!ぎゃはっ☆MNWにうp!うp!」
海原「…ははは。これが目的ですか…」
垣根「つーか番外個体が先陣のほうが早かったんじゃねえのかよ?」
番外個体「ヤだよ~。めんどいもん。それに浜面だし。」
垣根「ああそうだよな浜面だもんな。」
浜面「ひどい!!!俺になんか恨みでもあんのかよ!!」
『ザー………対象がスーパーに入った。』
海原「りょ、了解です。…というか何ですかこの声?顔が見えないともう何が何だか…」 - 331 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/15(金) 21:52:56.84 ID:DNLI+TXX0
- 垣根「素晴らしいだろ!」ドヤッ
浜面「…人目引くな…あいつ…」
番外個体「あいつのことジロジロみてる男どもに教えてやりたいね~。あいつ男でしかも第一位だよっ!って。」
『ザー…オイ。滝壺はきっと浜面に料理を…』ブツッ
垣根「ん?今なんか言ってなかったか?」
海原「あ、はい。買う物が雑多すぎて何しようとしているか分からないそうです。」
番外個体「……ふーん。」ニヤニヤ
垣根「あー…スーパー涼し…つうか学舎の園入っちまったらどうやって尾行するんだ?」
番外個体「そうだね。何か策はあるの?」 - 332 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/15(金) 21:53:24.74 ID:DNLI+TXX0
- 浜面「…あのー…。なんか目的忘れてない…?」
海原「ふふふ…当然策はありますよ…これを見よ!」
一同「「こ、これはっ!!!!!!!!!!!!!!!!」」
海原「そう!!滞空回線・アステカremix!!!!アレイスターの滞空回線の技術を応用して、技術部に作らせました!
通常の物より格段に大きく一センチほどになりますが、映像の鮮明さ、集音性を究極まで高めた代物ですっ!!」アッタマテッカテーカー
一同「「……………………」」
海原「…ん?どうしました?…リアクションが薄いですね?」 - 333 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/15(金) 21:54:05.62 ID:DNLI+TXX0
- 浜面「…いや…」
垣根「…うん。流石だよ…海原…」
番外個体「…ちなみにタダで作ってくれたの?」
海原「はははっ。イヤだなあそんなの、映像をていkおっぶうううううし!!!!!!」ナグラレタ
垣根「おい!動きがあるぞ!…あ、あれは!!」
番外個体「ぎゃははははっ!面白くなりそー!」
___________一方通行
…あァー。涼しい。
なンかもう慣れたな。うン。
ジロジロ見られるのは慣れてるンだが、視線の感触がいつもと違うンだよな~。
滝壺は食品を中心にカゴに投げ込んでゆく。
野菜に肉。果物。チーズ。胡椒。やわらぎメンマ。納豆。
………メンマ?納豆?オイオイオイ…一体どうする気ですかァ?
料理をするのだろう。それは分かる。でも何を…。…つーかオチがよめたわチクショウ。 - 334 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/15(金) 21:54:32.76 ID:DNLI+TXX0
- 海原につなぐ。だいたいこんな所だろうと予想はついてたよ。
「ザー…オイ。滝壺はきっと浜面に料理を…ブツッ…オイ。聞いてんのか?おーい?」
あれェ?調子わるい?
…いや。そンなはずはねェ…
「おい!!テメエ!!海原!!どういうつもりだ!!」
駄目だ。でねェ…
その時。
「アンタ…何やってんの…?」
「きゃあああああああああああああああああああ!!!!!」
悲鳴が上がった。…え?俺の声ですかァ?
目の前の事態より、自分自身の声への違和感の方が大きく感じた。
目の前の少女・御坂美琴は何が何だかわからないだろう。
「あああ…あ、………え、えと…こ、これはデスネ…」
「てゆーかアンタ…一方通行よね…」
打ち止めと同じ顔をした少女がこちらを睨みつける。
その視線に入り混じる怪訝、軽蔑、絶望。…お願いやめて。
口元にひきつった笑いが浮かぶが、目が笑っていない。 - 335 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/15(金) 21:54:59.77 ID:DNLI+TXX0
- 「あ、ああ!俺は確かに一方通行ですとも!だがなァ…」
「もういい。わかった。アンタの性癖を疑ったことはあるけど、ここまでの超ド級の変態だったなんてね…」
「わかってねえええええええええええええええええええええええええええええッェェェェェ!!!!!!!!!!!!!!!」
その場を後にしようとしている御坂美琴の首根っこを捕まえる。
「な、何よ!?あたしにはアンタみたいな変態に割く時間は存在しないの!!放しなさい!」
「全然わかってねェンだよ!!話を聞いてください!!お願いしますゥゥ!!!」
「わ、わかったわよ…というか何よその声…違和感どころの騒ぎじゃないわよ…」
俺は事情を説明した…
ああ…もう…イヤだ…助けて打ち止めァ。
___カクカクシカジカ_____ウンタラカンタラ_______
「…ふーん。なるほどねぇ~」
「はァ…分かってくれたか…」
口を動かしつつも尾行は怠らない。
滝壺の買い物かごは一杯になっている。重さに耐えきれなかったのか、今はカートを押している。 - 336 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/15(金) 21:55:26.48 ID:DNLI+TXX0
- 「アンタ。結構イイとこあるじゃん。友達の為にここまで体張って…」
「…うるせェ…」
オリジナルめ…ニヤニヤしやがって…
「それにしても…」
「…な、なンだよ…」
う、またこの視線かよ…勘弁してくれ…
「アンタ…実は女なんてことはないわよね?」
「はァ?ンなことあるわけねーだろ。」
「そうだよね……………くっ!!」
「あ?どうしたンだよ?」
「あー…何でもないわ…自分にちょっと自信が無くなっただけ…さっさといくわよ。」
「あァ。そうかい。………って!!テメエも来るのかよ!」 - 337 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/15(金) 21:55:53.01 ID:DNLI+TXX0
- 「うん。面白そうだし。ヒマだし。女の子つけるなら、女の子いた方がいいでしょ?」
「…………はァ…」
「ほら!見失うわよ!」
オリジナルが仲間になったァ。わーい。………。
………。
「それとアンタ、折角可愛いんだから言葉遣い直しなさいよ!…ん~と…じゃあとりあえず丁寧語ね!わかった?」
「…………はッ…馬鹿ですか?面倒臭ェ…」
「えーと写メ写メ…」
「はい!分かりました!」
「…よろしい…」
………………………
「ザー…イレギュラーが起こったァ…」
「起こりました。でしょ?」
「起こりましたァ。無視できるレベルなので、引き続き尾行を続行しますゥ…」
スーパーを出る頃には、丁寧語が板についていた。
…誰かが言っていた。大人になるという事は、諦めると言うことなんだと…
- 343 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/22(金) 21:57:28.31 ID:7ZXWXspr0
- オリジナルが(無理矢理)合流し、しばらく歩くと、滝壺が学舎の園の入り口にさしかかろうとしていた。
尾行に適切な距離を取りつつ、携帯電話を取りだす。
一方通行「…俺だ。」ワタシデショ!
海原『はい。何か用ですか?』
一方通行「…まだやる必要あんのか?どうみてもアイツ料理作ろうとしているようにしか見えねェぞ?」
海原『…そうですね…』
一方通行「大方、浜面に料理でも振る舞ってやるつもりなンだよ。これ以上は必要ねえって。」
海原『……一理ありますね…少々お待ち下さい。浜面さん達と話をまとめてみます。』
御坂「…尾行なんてされていい気分じゃないわよね~…でも終わりかぁ~。…楽しそうだったのになぁー」
一方通行「………」
この女… - 344 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/22(金) 21:57:55.47 ID:7ZXWXspr0
- ______________________________________
海原「クソッ…!一方通行!!御坂さんと二人きりなんてなんてうらやまけしからん!!…真面目な話、どうします?浜面さん?」
垣根「決めるのはテメエだぞ。浜面。」
浜面「そうだな~…もういいかもなぁ。あとでちゃんと確認すれば答えてくれそうだしなぁ。」
番外個体「…………」
海原「…そうですか。わかりました。では今一方通行に連絡を__」
番外個体「ちょぉっと待ってくれる?」
垣根「ん?どうかしたのか?」
番外個体「尾行はやめてもOKだけどさ…くひひっ…折角第一位を女装させたのにここでお終いも味気なくない?」 - 345 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/22(金) 21:58:43.67 ID:7ZXWXspr0
- 海原「……」
垣根「……」
浜面「……」
番外個体「ミサカにちょいと考えがあるんだけどさっ。どう?乗ってみない?」
垣根「それもそうだな…今日を逃してアイツが女装なんぞすることもねえだろうし…」
海原「ふふっ。自分には断る理由もありません。」
浜面「……オイオイオイ。俺のせいとかにするんじゃねえぞ…?」
番外個体「…決まりだねっ。ぎゃはっ☆」
浜面「でも具体的にどうするんだ?」
番外個体「そこはミサカに任せてよ!作戦はね、ゴニョゴニョ…」
「「……ふむふむ…」」
番外個体「いい案でしょ?」
垣根「悪くねえな。だが超電磁砲は言う事聞くのか?」
番外個体「それについてもアテがあるよ!ミサカはお姉様のフリすれば学舎の園は問題ないしね♪」
海原「なるほど…流石です!素晴らしいですよ!ミサカさん!!」
番外個体「ふふん!じゃあ早速電話いれるね!」
番外個体「_________あ、もしもし?吹寄?ミサカだよん。」 - 346 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/22(金) 21:59:11.67 ID:7ZXWXspr0
- ________________________________________
つうかよォ。
結論から言おう。女装する必要、なっすぃンぐでした。
いくら女とは言え、全ての学生が入れるわけじゃねェし…
てゆーか俺はレベル5で、しかも統括理事の認可を受けてるから入れるわけだ。オリジナルは言うまでもねェ。
「……………ど、どーぢよ…おおおおじづいで…」
隣のオリジナルは、海原達からの連絡が来て以来どうも様子がおかしい。見ててムシャクシャするレベルだ。
浜面も満足したらしく、尾行はこれにて終了となった。が…
「浜面の野郎…色気付きやがって…面倒臭ェ…」 - 347 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/22(金) 21:59:54.43 ID:7ZXWXspr0
- なにしろ、
『滝壺にプレゼントを贈りたい。しかし、それは学舎の園の中のとあるショップでしか取り扱っていない。
後生ですから買ってきてください。』
だとよ…
しかし、ひとつ不自然な事がある。
「オイ。オリジナル。」
「……あー///も、ももももし…こんなことや…あんなこと…きゃー///うそっ////」
「………おーい?」
「んぎゃあっ!!!ななな何よ!!」
これはやはりおかしい。うン。絶対おかしい。
「なんでお前素直に俺に付き添ってンだ?いつものお前ならほっといて帰るだろ?」
「…!…ま、まあ他ならぬ妹の頼みだからね!しょ、しょうがなくよ!」
まァ…そうだろうな。
しかし、なーンか前もって用意してた答え臭ェんだよな…ま、いいか。 - 348 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/22(金) 22:00:38.13 ID:7ZXWXspr0
- 「あ、いつの間にかついてたわ。入ンぞ。」
学舎の園の中だけあって、普通の学生には敷居の高そうな店の雰囲気だ。
「ちょっ。待ってよ!…というか躊躇ないわね…普通入りにくいとか思わない?」
「はァ?こちとら今まで散々一人でファミレス入って来たンですよ?今更なァに言ってンですか?」
「…あー。わかるわぁー…その気持ち…」
お目当てのものは、ネックレスのトップらしい。オリジナルが商品の詳細を聞いてたから直ぐに見つかった。
値段は…
「おいおいおい…」
俺達にとってはお茶の子さいさいだが、浜面ェ…
アイツのお財布事情ってこんなに裕福だったか?
「……カードで…」
浜面め…あいつちゃんとあとになって金返せるンだろうな… - 349 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/22(金) 22:01:10.10 ID:7ZXWXspr0
- 「さァて用も済んだし帰るか…」
「ちょ、ちょっと待ってよ!あたし寄りたい所があるの!」
肩の荷が下りたと安心した途端、オリジナルが噛みついてきた。…いや。これは噛みつくちがうけど…
「…べ、別に構わねえよ…わかったから落ち着け!」
「わ、わかればいいのよ…行くわよ!」
そっぽを向いて行ってしまう。
「ァあー…もう…待てって…」
おかしい。絶対おかしい。
俺とアイツは和解したとはいえ、二人で仲良くお買いものするような関係ではない。
それは向こうも充分に理解しているはずだ。
それに、オリジナルの動揺の仕方…あれはまるで… - 350 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/22(金) 22:01:39.29 ID:7ZXWXspr0
- そう…まるで…三下に対するような…
その刹那、俺の頭の中の映像をそっくりそのまま切り取ったかのような映像が目の前に現れた。
オープンカフェになっている喫茶店のイスに腰掛けるツンツン頭。
「…三下…?」
「お!御坂!それと………どちら様で?」
………
「あんた…わかんないの…?」
「ええ!上条さんにはそんな可愛い子の知り合いなんていませんのことよ!お名前は!?」
「…えェ…?」
「誰だよこの子?紹介してくれよ!御坂!」
あ…イヤな予感…
つゥかなンか複雑な気分…
あいつが最近割とがっついてるのは知ってたが、ここまでとはな~。
オリジナルはオリジナルで、呆れてるンだか怒っているンだか、非常に複雑な表情を浮かべている。
はいそうですよォ。お察しの通り、隣でバチバチいってますよォ。
「自分の友達を…」バチ
「…はい?というか御坂さん?まさか怒っていらっしゃる…?」
「あたしの目の前で…」バチバチッ
「ちょちょちょストーーーップっ!!!なにがなんだかわからない!!助け___」
「口説いてんじゃあないわよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!」
学習しろよ。もう、説明の必要もねェな。
一瞬…上条とダチでいるのが本気で怖くなった。…口にはしないけどな…。 - 351 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/07/22(金) 22:02:06.29 ID:7ZXWXspr0
- _____________________________________________________
「__っつーわけだ。話は理解できたな?つゥかテメエひとりか?どうやってここまで来た?」
「こらっ!股開かないの!中見えるわよ!」
「ッ///……って!短パン履いてンよ!…三下ァ!!!顔を赤らめるなァァあああああああああああああ!!!」
本気で友情について考えっぞ!!!
「あ、ああ…もう二人連れがいるんだが…あ、来たぞ。おーい。」
女の子二人連れですか?言い身分ですねェ?なーンて思いつつ俺は振り返った。
「……鈴科…………?」
そこにいたのは、この世界で最も面白い物を見つけた、といわんばかりの表情で、常盤台の制服に身を包んだ番外個体。
そして______
あは…。しにてェ…。
吹寄制理が、そこにいた。
- 358 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/03(水) 17:33:48.01 ID:TZprCLt10
- ちょっとこれは…どういう事なのよ…
急にミサカから呼び出されてみれば、なぜか常盤台の制服を着た彼女と、上条がいた。
理由は聞いても答えてくれないし。あれやこれやという内に学舎の園へ連れて行かれた。
カフェで一休みしようしているときに…これだ…
…言葉が出てこない…うん。正直見惚れた…
反射的に口をついて出た言葉は、我ながら間抜けなものであった。
「…趣味なの…?」
「違ェェェェし!!!!」
……………
はあっ!?ちょっと!何で声まで変わってんの!?
顔を瑞々しい白桃のように真っ赤に紅潮させた鈴科は、キョロキョロと周囲を見回している。
何かを探しているのだろうか?……ああ…きっとミサカだ…なんとなくわかってきた。
というか、自分の落ち着きようが不思議でならない。
普通は、仲の良い男性がノリノリで女装していたら、ドン引きするか、なんらかのリアクションを取るはずだろう。
しかし、そんな気分にはならなかった。 - 359 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/03(水) 17:34:15.73 ID:TZprCLt10
- 髪の色から体つきまで、完璧に鈴科だ。声は…分からないが…声…ホントどうやったのかな…
彼、いや、現在は彼女と言ってもいいかもしれない。
そう、鈴科の女装は、通常「女装」と言うであろうそれのレベルを逸脱していた。
鈴科という人物の要素をそっくりそのまま抜き取って、性別だけを自然に転換したとしたら、今目の前にいる「彼女」と全く同じ姿になるだろう。
…そう。もう、「女装のわりには」というレベルではないのだ。ここまで来ると、もう…冷静になるしかない。本当に。
「あのォ…吹寄さーン…」
「…ん?」
腰が引けている姿に思わず笑いそうになる。なにこいつ、かわいい。
「さっきから黙っていらっしゃるンですけど…や、やっぱり怒っていらっしゃるンですか…?」
別に怒ってはいないが…そう見えるのか。…いや、ここはそういうことにしておこう。
「怒ってたらなんだっていうんだ?…でも安心して。私は貴様の醜態を他人に吹聴してまわったりはしないから。」
と、尊大を装って笑って見せる。
「しゅ、醜態…こ、これには理由があンだよっ!だいたい何でテメエがここに…ああ、もう!ちっくしょう!番外個体の野郎ォ!」
その声で凄まれても、誰も怖がってくれないわよ…
「…そんな態度でいいの?」
「へ。」
「確かに私は言いふらしたりはしたくは無いけど…その格好を正当化させられても困るなぁ。」
「う…」
よし。もうひと押し。 - 360 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/03(水) 17:34:42.83 ID:TZprCLt10
- 「私、なんの説明もなく学舎の園に引っ張られてきたのよ?ミサカは消えたし…こ、このまま帰れっていうのもなぁ…」
「………どういう意味だァ…?」
あああ!もう!説明するまでの事ぉ!?
「だ、だからっ!私にも何か役得があってもいいでしょ!だ、だから…その…」
「…あー…なんか奢れと?案内しろと?」
「そうよ!何!?駄目なのっ!?言いふらすわよ!?送りつけまくるわよっ!」カシャッ パシャッ
「ちょっ!やめろォ!撮るな!分かったって!駄目とはいってねェだろ!」
「ならいいでしょ!もう…さっさと行くっ!あとその声禁止ぃ!」
「えェー…女装していつもの声とかホラーでしかねェよ…つゥかそれだけでホントにいいのかよ?俺、全く損しねえよ?」
「いいの!」
「あいよ…」 - 361 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/03(水) 17:36:39.45 ID:TZprCLt10
- 全く…というか、ホント憎たらしいくらいこいつの女装は様になっている。周りにも女同士の口論に見られてるのかも…
「さあ、とりあえず何か食べるわよ!ていうかここのメニュー高すぎよ!コーヒー一杯いくらすんのよ!……久しぶりに洋服とかも見たいわね…あっ!健康用具もチェックしないと!」
「義務かよォ…」
「あら、鈴科も同じの買うのよ。うん、そうね。これは義務よ。」
「俺にとっても義務かよ!…つゥかそんな胡散臭いもンが売ってる店、学舎の園にあるのか?」
「あるわよ!………た、多分…」
「はァ…テッキトーすね…ほら、改めて行くぞ。健康用品はともかく、服とメシくらいは奢ってやる。詫びだ。」
「あ、ありがと…」
「…ドウイタシマシテ…」
…これはデートのはず…デートよね?相手女装してるけど…
「…やっぱ俺着替えて来るわ。脚がスースーして死にそう…つうか死にたいわ…なにこれ…冷静になるとホント何なの…」
「じゃあ、私が見つくろってあげるわよ!それまで我慢すること。いい?」
「はァい…」
前向きに考えることにしよう。ここはあの性悪女ミサカにも感謝しておく。
今日という日は、終始鈴科との会話の主導権を握れる珍しい日である。そうだ、楽しもう。今日という貴重な一日を。 - 362 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/03(水) 17:37:11.93 ID:TZprCLt10
________________________________________________
番外個体「たっだいま~♪どう?カップルズは?」
海原「お帰りなさい!ああミサカさん!自分を慰めていただけませんでしょうか?ぐぶぅッ!!」
番外個体「いきなり抱きついてくるなっ!///いきなり発情してどうしたのさ!?アンタ変態だけど物理的な変態的行動は取らない男だったはずでしょっ!?」
海原「も、申し訳ないです!あ、あまりにも…モニターの映像が…」
垣根「つーかマジで、ね。リア充爆発しろ。」
番外個体「えーっ!なんかエッチなハプニングあったぁ~?」
垣根「ねえよ。やつら…手もまともに繋がねえ…だが…だがなぁ…」
浜面「…初々しいなぁ…」ポケー
海原「ええ…なんというかこう…もどかしくなってきますよ…ええ…」
番外個体「ふ~ん…これで奴らももっと正直になればいいんだけどにゃー。」
「「…………………………」」- 363 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/03(水) 17:37:37.61 ID:TZprCLt10
- 番外個体「…ん?なになに?この空気?ミサカ変なこと言った~?」
浜面「いや…別に…」
垣根「ただ…なあ…?」
番外個体「なにー!?はっきりいいなよ!」
海原「皆さん、ミサカさんが彼らを心配して行ったことに驚きなんですよ。それで意外だな~っと。」
垣根「そうそう。」
浜面「うんうん。」
番外個体「…ふーん。ぎゃははっ。ミサカもよくわかんないやっ☆」
浜面「ああぁぁあ!!!俺も滝壺とイチャイチャしてえ!!……あ、メールだ…」♪トキヲッツコーエーロッ←てつを
垣根「ブラックかよ…」
浜面「…おい…海原…一方通行からの請求のメールなんだが…」
海原「はい。どうかしましたか?」
浜面「み、見たことない額が乗ってるアルネ。」
垣根「うわぁ…」
海原「さ、さすがはお嬢様のチョイス…羽振りがいいのレベルを超えてますね…」
浜面「み、ミサカちゃ~ん?」
番外個体「ミサカしっらな~い♪」
浜面「う、うわああああああああああああああああああ!!!不幸だああああああああああああああ!!!!」
垣根「爆発しろ。」
海原「もげろ。」
番外個体「屋上から飛び降りろ。」
- 368 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/05(金) 19:21:43.93 ID:AUIGIPVm0
- 一方通行「今日は__いや、俺の授業はここまでだ。」
このチャイムの音を聞くのも最後になるのか。長点のはちょっとちがうからなァ…
一方通行「身体測定の結果、楽しみにしてるぜ。_まァ、もう一度話す機会は貰えるらしいから、今日はお終い。青ピ。」
青ピ「起立。___礼。」
この一連の動作も見納めか…そう思った次の瞬間。
「「すき焼き屋行くぞゴルァァアアアアアアアアアああああああああああああ!!!!!!!!」」
……………はァい?
大音響が響き渡る。
「「うおぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」
「「よっしゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!!」」
騒音の剣林弾雨の中、吹寄が歩み寄る。そして、俺のネクタイを掴み、顔を寄せ、こう言った。
「お別れパーティーよ!今日の夜は空いてるはずよね。」 - 369 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/05(金) 19:22:11.91 ID:AUIGIPVm0
______________________________________________
送別会は、男女全員が参加した。
それが鈴科への人望によるものか、イベント好きの血に由来するものかは定かではないが…
………
それにしても…クラス内に風紀委員がいなかったからいいものの…
一方通行「ぎゃはっ!あはっ!ぎゃはあははははっ!!」
青ピ「天誅でござる!天誅でござる!」
上条「そげぶ!そげぶ!そげぶ!」
番外個体「…愛沙ぁ……ミサカ…我慢できないよぅ…」もじもじ
姫神「それ以上喋らないで…ミサカ…聞かれている…そう…歴史の道標にっ…!」キリッ
みんなできあがっています…本当にありがとうございました…- 370 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/05(金) 19:22:44.62 ID:AUIGIPVm0
- 土御門「ひゃっひゃは!それにしても一方通行~!今日はやけに機嫌が悪かったにゃー。何かあったのか?」
女子A「あーっ!あたしも気になる~!」
男子A「おう!俺も!いつもの二割増しで人相悪かったから!」
一方通行「あァ!それなァ!ぎゃははは!たーいしったことありませぇ~ン!俺が統括理事直轄で、大覇星祭の実行委員なのしってンだろ?」
みな、騒ぎつつも、鈴科の話に耳を傾ける。
吹寄「あれ…おかしいわね?」 - 371 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/05(金) 19:23:12.75 ID:AUIGIPVm0
- ____________________________________________
時遡り、午前中。長点上機学園会議室。
一方通行「__と、以上の通りでございます。本校の出場種目全てに、この私鈴科と、三年の垣根帝督は出場せよとの統括理事会からの通達があります。」
俺のこの言葉に、会議室は静まり返った。表情も、妹達のように抜け落ちている。
垣根のヤツは溜息をついている。「やっぱりな。」とでも言いたげな顔だ。
一方通行「…議長。進めて頂いて結構ですよ?」
議長「え、ええ…はい…」
一方通行「では、僕達はこれで失礼致します。非常に申し訳ございませんが、能力講師の授業がはいっておりましてですね。」
穏やかな笑みを作りつつ、会議室を見回す。途中、俺のクラスのショートボブ子ちゃンと目が合う。
こいつは、最初っから味方でいてくれてるみてェだな。少しだけ、嬉しくなる。
一方通行「あ、すっかり、言い忘れていましたよ。僕達が参加したからには、今年度の優勝杯はもらったものと確信して頂いて結構ですよ。」
ドアに出を掛け、トドメだ。
垣根「それと、本校の風評を損なうような、非人道的な行為は一切慎みますので、ご安心ください。では、大覇星祭を楽しみにしていてください。」
二人して、会議室を出る。……決まったッ!!!
そして、一瞬の間の後_______
「「うぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」」
会議室からは、扉を決壊させまいとするかのような声の洪水が、轟き渡って来た。
……計画通りッ…! - 372 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/05(金) 19:23:42.24 ID:AUIGIPVm0
_________________________________________
一方通行「__ッつーことがあってよォ!ぎゃはは!機嫌よくて機嫌よくて!!!ドヤッ!ってやつゥ?」
吹寄「そうよね。機嫌よさそうだったわよね。」
納得納得。
上条「あれって機嫌良かったのかよ…」
女子B「それがわかる吹寄って一体…」
男子B「流石熟年夫婦だな~。」
女子C「ねえねえ~っ。吹寄ぇ。先生とどこまでいったの~?」
吹寄「ちゃっ、茶化さないでよ!ばかっ!」
青ピ「_あ、そろそろ時間や。皆っ!かみやん!」
時間か…早かったわね。
クラスの皆は、立ち上がる。そして__- 373 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/05(金) 19:24:43.34 ID:AUIGIPVm0
上条「鈴科先生っ!!」
一同「「ありがとうございましたっ!!」」
一方通行「ぇっ………」
上条が前に出て、一言付きの色紙を渡す。
上条「授業。タメになったぜ。皆も楽しかったって言ってる。これは気持ちだ。」
一方通行「……」
そして私の番。
吹寄「はい、お祝いよ。…ほらっしゃきっとするっ!」
一方通行「ぁ…あァ…すまン…」
「「ぎゃはははは!!!」」
「夫婦乙!!」
「ありがとーっ!」
「ちょっとだけ好きでしたーっ」
「ロリコーン」
「今度は生徒としてあそぼーぜー!」
……
こいつ、表情が抜け落ちてるわね。
…無理ないか。誰かに、それもこんな大勢に、感謝されるなんて初めてなのね。
吹寄「鈴科…?ほら、何か言って?」
一方通行「…おう…すまねェな…」
彼は一歩前に出る。そして、言葉を紡ぎ始めた。- 374 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/05(金) 19:25:16.34 ID:AUIGIPVm0
- 一方通行「…俺はテメエらと年は変わらねェ…だから人生の相談相手になれるかどうかはわからねェ…
つゥか、学校の事だの、人間関係の事だのについては…言いたかねェが、テメエらのほうが向いてるかもな…けどなァ…」
そう言うと、鈴科は一息ついた、
一方通行「クソッタレなことながら、能力関係の事なら、俺は学園都市の奴らの誰よりも熟達してる。そう、それの恐ろしさも含めてな。」
クラス全体が、話に集中している。
無理もない、学園都市一の頭脳の、貴重な言葉なのだ。
一方通行「俺はテメエらに能力の扱い方、伸ばし方を伝授した。だがそれをどう使うかはテメエら次第だ。
悲しいことに、俺は一度、この絶大な力の使い方を間違えたことがある。…それを忘れるつもりは絶対にねえ。」
鈴科は、上条と目を通じ合わせ、互いに頷いきあった。
一方通行「まァ…これ以上言うことはねェか…テメエら皆、そこのクソッタレ女たらしツンツン頭みてえな、真っ直ぐな眼ェしてるからな。」
上条「女たらしって…だれのことでせうか…?」
吹寄「…貴様は黙ってなさい。」 - 375 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/05(金) 19:25:59.82 ID:AUIGIPVm0
- 一方通行「い、以上だ…ぁー…青ピ、纏めといてくれ。ここは全額俺が奢ってやるよ。最後の大サービスだ。うっ……俺は…便所ォ…っす…」
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」
「さっすが!!」
「出来る男は格が違った!」
「抱いてー!」
鈴科は、紙幣を数枚青ピ押し付けると出口の方へ向ってしまった。
…そっちは便所じゃないわよ。鈴科?
吹寄「…ま、ここは貸にしといてやるかな?」
私以外の連中も、口にはしないが彼が何し行ったか気付いていたのかもしれない。
十分後、鈴科は戻って来た。
言うまでもなく、彼の眼は、いつも以上に真っ赤だった。
- 380 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/15(月) 18:49:24.54 ID:dg4+JgI50
「てゆーかおい。どうすんだよ、大覇星祭」
垣根が尋ねる。
いつも通りの帰り道。…そう、大覇星祭はもう明後日だ。
「どーもこーもねェよ。本気でやる。それだけだァ」
「いやいや…お前格好よく言ってもよ、俺らが本気出したら死人出るだろうが」
「………」
…
……一理ある。
吹寄との約束があるからな、本気でやらざるを得ないンだが…考える必要もあるかもしれない。
「俺ら何でるンだっけ?」
「あー…チョイ待ち…」
そういいつつパンフレットを取りだす。
今回もあのフラワー女がパンフに一枚噛んでるらしい。
「えーと…棒倒し、かりもの走、大玉転がし、障害物走、綱引き…あと…」
「オイオイオイ…いくつあンだよ…」- 381 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/15(月) 18:49:55.75 ID:dg4+JgI50
「考えたくねえな…可能な限り入れてくれ、とかノリで言っちまったからなぁ」
「オイテメエ聞いてねェぞ!俺達がそんなに出て本気出したら競技になンねェだろうが!」
「知るかよ!お前だって会議室で『キリッ』とか格好つけてただろ?それに吹寄ちゃんにいいとこみせるチャンスじゃねえか!」
「逆に引かれるわ!…ちっくしょォ…どうやって手を抜くかを考えないとな…」
「てゆーかよ…」
垣根はそこで大きなため息をつき、こちらを呆れるような目で見つめてきた。
「テメエら、まだ付き合ってねえの?どう見てもイチャついている様にしか見えねえのによー」
「…ほっとけ…テメエだってあの花畑と…」
「…まずはテメエの話だ。いいか?あんまし先延ばしにすっと面倒なことになるぜ?ウジウジしてねえで、言葉にしてさっさとキメちまえよ」
「…その言葉、そっくりそのままテメエにお返しするぜェ…」
「…」
「…」
奇妙な沈黙が流れる。- 382 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/15(月) 18:50:36.61 ID:dg4+JgI50
……
…
「「…はぁ」」
同時にため息が漏れ出でた。
…自分のことは自分が一番良くわかってるってことだよ…クソ野郎…
「…おい一方通行。」
「あンだよ?ていとクン」
あさっての方向を見つめながら垣根は呟く。
互いに痛いところを突っつきあったのだ、気持ちは良く理解できた。
「…大覇星祭が終わったらよ…」
「どォみても死亡フラグですゥ。本当にありがとォございましたー」
「おい!最後まで聞けよ!…ま、言いたいことはわかっただろ?」
「…あァ」- 383 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/15(月) 18:51:17.39 ID:dg4+JgI50
この祭りが終わったら、はっきりさせる。
…甚だ不本意ながら、やっぱりコイツとは波長が合うのかねェ。
「…ったくよォ…学園都市最強の二人とあろうものがなっさけねェな…」
「…まったくだ…それと、一方通行」
「今度は何だよ?」
垣根は、何かを悟ったかのような瞳で、俺の目をじっと見つめる。
そして、こう言った。
「俺、やっぱりロリコンだったみたいだわ」
「…知ってたよ」
今更何言ってやがるンだよ。コイツ。- 384 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/15(月) 18:51:46.99 ID:dg4+JgI50
______________________________________________________________
「…こんなところね。っんーーーーーーっ!疲れたぁ」
そう叫び、自室のベッドに体を投げ出す。
明後日はついに大覇星祭、その運営上の最終確認を行っていた。
「…あいつ、どうしてるのかな…?」
ここ最近、一週間ほど鈴科に会っていない。
互いに忙しいようで、トレーニングはしばらく行わないということになったのだ。
「すずしな、すずしなかぁ」
反射的に、手持ち無沙汰になると彼のことを考えてしまう。
どうしてだろう?そんなことは考えることまでもない。- 385 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/15(月) 18:52:21.32 ID:dg4+JgI50
「………」
白髪のモヤシ野郎。
学園都市最強、ついでに最高のインテリゲンツァ。
鈴科。一方通行。
「…私は、どうするべきなんだろう…」
窓の外の目をやる。
日は、いつの間にか暮れていた。
「…いつまでたっても、涼しくならないな」
九月も下旬にさしかかろうと言うのに、暑さはなりを潜めない。
去年の大覇星祭は、散々だった。
あいつは、鈴科は、去年何をしていたのだろうか。
そもそも、鈴科を強制的に全面参加させたのは、正解だったのだろうか。
「…はぁ」
止めよう。最近はいつもこうだ。
何もすることがないと考え込み、負のスパイラルに陥る。本当に、私らしくもない。- 386 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/15(月) 18:52:51.56 ID:dg4+JgI50
「…何か、変わるわよね。きっと」
半ば自分に言い聞かせるようにそう呟く。
イベント好きを自負しているのだ、こんな状態じゃいけない。
ひとっ走りして、シャワーでも浴びよう。
運動不足だから、こんなこと考えるのだ。
「…あ」
玄関に出ると、運動靴の紐が切れていた。
「…ふ、不幸だ」
気に入らないことに、口をついて出た言葉は、あのツンツン頭の口癖だった。
- 391 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/21(日) 11:29:38.07 ID:Q7k8VHKD0
九月十九日。学園都市の『学園』らしさを外部に誇示するような、超大規模な体育祭が行われる。
大覇星祭。物々しい名前のこの祭りは、もちろん普通の学校が行う体育祭とはわけが違う。
「能力者同士の大規模干渉のデータを収集する」という名目で、学園側が能力仕様を推奨しているため、場合によっては大怪我をする人間すら出てくるのである。
ただいまの時刻午前十時半。学園都市中で、各校ごとに決起集会を行っているところだ。
ここ、長点上機学園も例外に漏れず、決起集会が始まろうとしていた。
- 392 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/21(日) 11:30:05.19 ID:Q7k8VHKD0
去年の大会のベスト3の学校は、その様子が学園都市中に生放送されるため、時間をずらして決起集会が行われる。
実況『さて!優勝候補である常盤台の出番が終わり、各校の決起集会も残すところ去年の優勝校・長点上機高校を残すのみとなりました!』
学園都市中が更なる熱気に包まれる。
ただいま行われた御坂美琴による常盤台中学の決起集会が、異常な盛り上がりを見せたのが原因だ。
実況『去年の優勝校である長点上機!しかし、今年は戦力不足との噂が流れております!去年に比べ、大能力、強能力者の割合が少ない長点は、一体どのように戦っていくのか!?』
統一された体操服を着込み、精悍な顔立ちで並び立つ学生たちが、巨大スクリーンに映し出される。- 393 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/21(日) 11:31:32.62 ID:Q7k8VHKD0
吹寄制理ら、とある高校の面々も、この様子を巨大スクリーンで見守っていた。
上条「おっ!長点だ!一方通行と垣根のトコだろ?」
土御門「今回はアイツらもでるらしいぜぃ?ま、俺たちもやるだけやるにゃー」
青ピ「なんか一方通行は実行委員らしいね?結構やる気なんよね?」
番外個体「今日の朝も、『ぜってェ負けねえ』とか張り切ってたし!ぎゃははっ!」
吹寄「ふぅん…け、結構やる気になってくれてるんだ…」
思い思いの感想を抱く彼らであったが、誰もが次の瞬間言葉を失うことになった。
巨大スクリーンに、激励の演説を行うお立ち台がアップで映し出される。
上条「えっ」
土御門「あ」
青「うそやん」
番外個体「ぎゃはっ」
吹寄「…」- 394 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/21(日) 11:32:06.82 ID:Q7k8VHKD0
透き通るような白い肌に、真っ白な頭髪。
真っ赤な眼を輝かせるその男、このクラスなら誰もが知る男、そう、そこに立っていたのは一方通行だった。
一方通行『…』
学生達『…』
気圧される生徒たちや、騒ぎ立てる生徒たち。彼を知るものも知らないものも思い思いの反応を示した。
しかし、どれもこれも時間がたてば黙り込み、演説に対し注意を向ける。
そのタイミングまで一方通行は黙っていた。演説において、過去の偉人たちも利用した手法である。
充分に彼に視線が集まった後、彼は口を開いた。- 395 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/21(日) 11:32:33.24 ID:Q7k8VHKD0
一方通行『学生諸君。君たちはは内心穏やかでは無いかもしれない。当然だ、大能力、強能力者の割合で、今年、我々はついに常盤台を下回った』
学生達『…』
一方通行『それでも、三連覇のため、栄光を失わぬ為に、努力を、そして研鑽を惜しまぬ諸君らは素晴らしい。まさしく名門校たる長点上機に相応しいといえよう』
学生達『…』
彼の表情は柔らかかった。
いつもの人を寄せ付けず、瞳で人を射殺せそうなほど鋭い目付きはなりを潜めていた。
彼の現在の表情は爽やかであり、常時この表情であったなら、中世的な美少年としか見えないであろう。- 396 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/21(日) 11:33:04.60 ID:Q7k8VHKD0
上条「あっ、一方通行!?で、でも…」
土御門「きゃ、キャラがちがうにゃー…」
青ピ「えぇー…うそやん…」
姫神「…その前に、彼が引き受けたのに驚き。吹寄、聞いてた?」
吹寄「……」
番外個体「ぎゃはははははははははははっ!!!ちょっ!これはマジでMNWに配信するしかないっしょ!!」
思い思いの反応をする生徒達。
吹寄など、言葉が見つからないようである。
生徒達の中には黄色い歓声を上げるものも非常に多かった。
何も知らない女性達は、美しい彼の顔に見惚れていたのだ。- 397 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/21(日) 11:33:32.22 ID:Q7k8VHKD0
しかし、次の瞬間に空気は一変する。
一方通行『…なァンて、言うとでも思ったかァ?』
彼の表情は、元来の不遜なものへと戻り、表情が歪み、目つきも鋭さを増す。
一方通行『テメエら聞いたかァ?さっきの常盤台の演説をよォ?』
一方通行『長点の時代は終わったァ?今年の優勝は常盤台ィ?去年の屈辱を晴らすゥ…?…やれやれ…哀れだなァ。本気で言ってンなら、抱きしめたくなっちまうほど哀れだぜェ』
心底呆れた、そう語るような表情を浮かべつつ、一方通行はひとつ、大きな溜息を吐いた。
一方通行『あの客寄せパンダの静電気女は、俺達のことを見誤っただけじゃねェ。侮辱したンだ』
一方通行『俺達を名門の名に縋り付いてるだけの、お使いもできねェ甘ちゃんだと侮辱したンだよ』
学生達『…』
学生達の怒りが、激情が、熱気が、スクリーンごしにも伝わってくる。
それは、単に侮辱されたことだけに対する怒りなどではないのかもしれない。
頂点としての誇り、エリートとしての自尊心。
なにより、能力=力量という方程式に腹を立てたものが最も多かったのかもしれない。
長点上機は、無能力者でも一芸で入学する事が可能であるため、コンプレックスを刺激されたものも多いはずである。- 398 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/21(日) 11:34:11.36 ID:Q7k8VHKD0
一方通行『…見たンだろ?どうする』
学生達『ッ…』
一方通行『やつらをどうすればいいンだ?』
学生『許さない…』
学生『馬鹿にしやがって…』
一方通行の扇動は、長点の学生達のプライドに火をつける。
激情が激情を呼び、ひとつの大きなうねりとなって行く。
学生『[ピーーー]ッ…』
学生『叩きのめす…』
学生『ぶち[ピーーー]ッ…』
一方通行『あァ?テメエらにできンのか?』
学生『できますッ!』
学生『俺達のほうが強い!』
学生達の叫びはもやは誰にも止められない。
一方通行は、口角の端を吊り上げる。その笑みは悪魔のようだ。- 399 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/21(日) 11:34:38.60 ID:Q7k8VHKD0
一方通行『そうだ!テメエらは強い!』
一方通行『なぜなら奴らは世間知らずのお嬢様の集まりで、俺達は学園都市の頂点だからだッ!!』
一方通行『テメエらは何だ!?』
学生達『『長点上機!!!!!!!!!』』
一方通行『俺達長点上機は地上最強だ!!!!!!!!』
一方通行『どォした!!!言ってみやがれ!!!!!!!!!!!』
学生達『『長点上機はッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』』
『『『地上最強ォォォォォォォォォォォォぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』』』
一方通行の言葉は、男女問わず全ての学生を揺さぶった。
スクリーンを見つめるものは、誰もが言葉を失った。
あるものは恐怖に。
あるものは興奮に。
あるものは羨望に。- 400 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/21(日) 11:35:09.42 ID:Q7k8VHKD0
とある高校の面々も、その例外に漏れなかった。
上条「…っす、すげえ!!!!すげえよ一方通行!!!!!くぅぅっ!俺も燃えてきたぁあ!!!!」
土御門「び、びっくりだにゃー…こ、これは血潮がたぎるぜぃ!」
青ピ「少佐どのもびっくりや!やるなぁー」
番外個体「…」
姫神「彼、意外に熱いひと」
吹寄「す、鈴科…///」
だれもが驚いていた。
そして、白髪の少年に対し興味を抱いた。- 401 : ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/21(日) 11:36:37.16 ID:Q7k8VHKD0
美琴「ちょっと!!アンタ!!」
上条「おお御坂!すっげえなぁ!一方通行!!!感動しちまったぜ!」
美琴「_良かったわね、って良くないわぁ!!あああ!!誰よもお!あいつを焚きつけたのは!!常盤台のコ達怯えちゃって大変なんだからっ!!」
吹寄「…」
土御門「吹寄~。なんか言うにゃー」
吹寄「しっ、知るかっ!」
実況すら言葉を失った決起集会。
大覇星祭初日、一方通行の顔が一気に広まった瞬間。
一方通行『奴らを捻り潰せェ。俺達を侮辱したことを後悔させてやるぞ』
この日、彼の顔は学園都市中に広まることとなった。
- 408 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:33:59.17 ID:N381qY2q0
一方通行「おい…何でそンなに不機嫌なンだよ」
吹寄「…」
どうしてかあまりいい気分では無かった。
その理由は、鈴科が自分で作ってきた弁当が私のよりずっと美味しかったからではないし、さきほどの競技でうちのクラスが惜しくも敗北したからでもない。
いや、理由は目の前の男にあるのだ。それだけははっきりしている。
しかし…その理由と言うのが…
「あっ。あれ一方通行様よっ」
「ホントだ!素敵ぃ~」
「真っ白~」 「隣にいる子誰?彼女さんかな?」
吹寄「……」
一方通行「黙り込むなよォ。俺が何かしたか?」
- 409 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:34:43.28 ID:N381qY2q0
…べっつになぁんにもしてないけど?
一方通行「ったくよ…。さっきの競技みたかァ?圧倒的だっただろ?こりゃあ優勝は__」
「一方通行ーーーーーーー!!!」
彼の言葉は叫び声と、横から飛んできた少女によって断ち切られた。
打ち止め「映像みたよ!アナタって、あんなこともできたのねっ!ミサカはミサカは感動したよっ!」
一方通行「…褒めても何も出ねえぞ」
打ち止め「まったく素直じゃないんだっから~。こんにちはフキヨセ!」
吹寄「こんにちは打ち止めちゃん。一人なの?」
打ち止め「ううん!ヨシカワも一緒だよ!」
「へぇ…あなたが噂の吹寄さん?」
打ち止めちゃんの保護者だろうか?ストレートのジーンズに、洗いざらしたTシャツという飾り気の無い格好をしている若い女性だった。
少し幸が薄そうな雰囲気だが、化粧気のない顔だが、一目みて美人と分かる女性だった。
- 410 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:35:30.04 ID:N381qY2q0
一方通行「家出たの何ヶ月ぶりだ?ニート女。暑いなかよく出る気になったな?」
芳川「一週間ぶりよ。ヤンジャンが出る日は家を出てるわ。そうね、自分自身を褒めてやりたい気分だわ」
一方通行「…皮肉のつもりだよクソッタレ」
吹寄「鈴科?この方はどなた?」
一方通行「芳川桔梗。同居してるニート」
吹寄「…同居?」
…おい。
芳川「よろしくね吹寄さん。愛穂から話は聞いてるわ。」
吹寄「は、はぁ…っていうか鈴科!同居ってどういう意味よ!?」
一方通行「そのまンまの意味だが…」
吹寄「よし鈴科。貴様の家の住人をひとりずつ挙げるのよ!今すぐ!」
一方通行「えェー…何なンですかいきなりー…」
吹寄「いいから!」
- 411 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:37:03.14 ID:N381qY2q0
一方通行「わ、わかった!え、えと俺、打ち止め、番外個体、それにこのニートと黄泉川。合計五人だな」
吹寄「…」
一方通行「あァ?どォしたンだよ」
す、鈴科以外全員女…だと…?
一方通行「おい。さっきからテメエおかしいぞ?」
吹寄「そっ、そんなことないわよ…それより、そろそろ競技始まるわよ?ほらっ!行った行った!見ててあげるから!」
一方通行「…わかったァ。何なンだよ…まったく…」
そう言いつつ彼は走っていった。能力を使えば間に合う距離だろう。
芳川「…まったく、彼も女心がわかってないわね?」
吹寄「べ、べつにそんなんじゃっ」
芳川「いいのよ?隠さなくっても。彼を宜しくね?私達は『家族』であって、男と女ではないわ」
芳川さんは微笑んだ。余裕を感じさせる大人の笑みに見えた。
- 412 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:38:11.28 ID:N381qY2q0
打ち止め「ヨシカワ…たまには格好良いこといえるのね…」
芳川「ええ。我ながらいい事言ったと思ったわ」
打ち止め「…台無しだよ?って、ミサカはミサカはがっかりする」
…『家族』か。
鈴科め、いい家族に恵まれたのかもね。
打ち止め「フキヨセ!一緒にあのひとの勇姿を堪しよー!」
吹寄「…うんっ!」
なんだかバカらしくなってきた。
…別にアイツは悪いことしてないしね?
- 413 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:38:39.25 ID:N381qY2q0
実況「さぁ!間もなく開幕するのは、本日最注目のカード!優勝候補同士の直接対決です!」
大覇星祭で最も優勝に近い三校のうちの二つがぶつかるという機会に、会場は人で満ち溢れ、巨大スクリーン前にも多くの人が集まっていた。
それだけ注目のカードなのである。その顔ぶれは、一般生徒から保護者達、学園都市外の入学希望者など、多種多様であった。
実況「去年の優勝校にして、今までに無いほどの快進撃を続ける優勝候補筆頭長点上機学園!対するは前年三位!これまた優勝候補!霧が丘女学院だです!」
実況役の生徒の声にあわせ、学園都市各地で歓声が湧き上がった。
一方通行のいる本会場においては、耳をつんざくほどの勢いを誇っていた。
一方通行「…おいおいおい…ここまで盛り上がンのか?」
垣根「見ろ!一方通行!カメラカメラ!頂いたぜ!」キリッ
一方通行「うわァ…カメラ目線かよ。あとが怖ェな」
垣根「お前だって満更でもねえんだろ?つーかカメラ慣れし過ぎで納得がいかねえ…」
一方通行「カメラ慣れだァ?そンなの知らねえよ」キリッ
垣根「いやいやいや!それだよそれ!!超キメ顔じゃん!」
- 414 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:40:08.88 ID:N381qY2q0
実況「さあっ!各校の紹介に…って、え…?何をするやめぐぁ!!!!…」
実況役の生徒の突然の異変に対し、各地で動揺が走る。
一体何が起こったのだろう?
実況「…………ピー……ガガッ……マイクテス…マイクテス…」
……
………
実況「…申し訳ありませんでした!実況の本庄さんにやむを得ない事情が生じたため、実況の担当を変更します!」
一方通行「おい…平気か…?」
垣根「…ま、そんな対したことは起こらねえだろ。セキュリティだって以前と違いザルじゃねえんだし」
実況A「実況を担当させて頂きますのは、エツァリ.a.k.a.金星の貴公子と!」
実況B「つっちーa.k.a.妹命サージェントだにゃー」
一方通行・垣根「ふざけんなああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!」
- 415 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:41:59.37 ID:N381qY2q0
人々にとっては、陽気な二人の様子が好印象に映ったらしい。
以前の実況より、人々は活気付いているようだ。
霧が丘陣営においても、長点サイドの二人と似た反応を示した人物がいた。
???「い、嫌な予感しかしないわ…あれ、絶対あの二人よね…」ブツブツ
???「…だ、大丈夫。きっと気のせいよ…気のせいだから…」ブツブツ
実況A「さて、早速ですが各校の主力生徒二名の紹介です!まずは長点上機学園!
学園都市の白い悪魔とか言われてた黒歴史も遠い過去!一時はロリコン説まで流れたものの、実は巨乳好きだったことが最近判明しました!!」
実況B「長点を率いる、学園都市最強!一方通行だにゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!」
ウオー キャー アクセラレータサマー ダイテー キャー キャー ジョソウシテー
ケッコンシテー キャー ウオオオオー ステキー
一方通行「アイツらぁああ!!絶対[ピーーー]!ブチのめす!!」
- 416 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:42:41.08 ID:N381qY2q0
垣根「……」
実況A「お次も長点上機!チャラい外見に宿すは、プリティでキュアキュアなメルヘンハート!最近ロリコン疑惑が濃厚な男!」
実況B「天使のごとき六枚羽根は、似合わないと評判!第二位・未元物質!垣根帝督だにゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
ウオー キャー ロリコーン メルヘーン ステキー
コウジョウチョウー テイトクーン キャー ステキー
垣根「…おーけー…よほど愉快な死体になりたいと見える…」ビキビキ
一方通行「…同感だァ」
実況A「はいはいもう面倒ですからまとめて紹介霧が丘!」
実況B「エースは露出狂ショタコン女、結標淡希!さすがに体操着はちゃんと着てるぜぃ!」
結標「ちょっと!あたしの説明投げやりすぎない!?てゆーかショタコンちゃうわ!!」
実況A「ちなみに、料理下手なぶきっちょあわきんは、14才以下の彼氏募集中です!」
結標「だからショタコンちゃうって!?あ…でも、か、彼氏は欲しいかも…///」
- 417 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:44:05.53 ID:N381qY2q0
実況A「競技内容は棒倒しです!さあみなさん!死人が出ない程度に本気でやっちゃってください!位置について!」
ルールそのものは単純である。
クラスごとに一本の棒を立て、それを守りつつ相手側の棒を倒すといったものだ。
実況A「用意____」
しかし、それを行うのは学園都市の能力者、しかも高位能力者ばかりである。
この場合____
実況B「スタートだにゃー!」
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」」
競技の内容は、必然的に血で血を洗うような狂気じみたものとなる。
一方通行「ぎゃはっ」
垣根「守りは任せとけ。さっさとカタをつけちまえ」
開始の合図とともに繰り広げられた光景は、まさに地獄の釜が開いたかのようだった。
各校の発火能力者、風力能力者、発電能力者など、遠距離攻撃が可能な能力者は、合図と共に能力を発動した。
一方通行も、開始と共に足元の衝撃をベクトル操作し、相手の陣営の棒に伝える形で、攻撃を行った。
- 418 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:44:57.36 ID:N381qY2q0
「きゃっ」
「ぐぁ」
「がぐ!」
学生達が飛び交う。これは比喩ではなかった。
最高クラスの学校同士がぶつかると、ここまでのものになるのである。
観戦する観客たちも、恐らく言葉がないであろう。
実況B「おーーーーーーっと!開始と同時にほとんどの棒が脱落!霧が丘、長点共に、残り一本だぜぃ!」
実況A「双方後がありません!ていうかあっさりしすぎて面白くありません!」
一方通行「ぁあ?」
一方通行は怪訝そうな表情を浮かべた。
彼の計算では、全て倒したはずだったのだ。
こちらの棒も、垣根が未元物質でガードしていた一本を残し、全滅してしまった。
- 419 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:46:10.05 ID:N381qY2q0
結標「納得がいかないようね?一方通行?」
一方通行の目の前に「突然」結標が現れた。
一方通行「結標かァ。…トラウマは克服できたのかよ」
結標「…完全ではないけどね?」
生き残った生徒たちは、自らの陣地の棒の前に集結している。
文字通り「死守」する心構えのようだ。
結標「合図と同時に、棒の一つを座標移動させたのよ。どうやら思ったとおりだったようね?」
一方通行「…今日はずいぶンとまともな格好だな。露出は卒業したのかァ?」
結標「これをどうやって気崩すのよ!?ていうかそのネタ引っ張りすぎよ!」
両陣営は睨み合いを続ける。棒を守る集団に属していないのは現在、結標と一方通行だけである。
- 420 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:48:46.42 ID:N381qY2q0
一方通行「ついでにショタコンも卒業したらどうだァ?つゥかよ…いつまで俺の邪魔する気なンだ?」
結標「ふん…あたし、結構がんばって練習とか参加したのよ。どくわけには行かないわ」
生徒たちが、彼らのやりとちに注目する。
最強のレベル5と、ほぼレベル5の正面対決が始まろうとしているのだ。これには誰もが息を呑んだ。
一方通行「…力づくが好みってかァ?あわきンはマゾヒストだったンですかァ?」
結標「…っふ。言ってくれるわね。アナタにあたしを倒すことができるかしら?」
結標は、不敵な笑みを浮かべる。それは、一度自分をコテンパンにした相手に向けるには、いささか似つかわしくないものであった。
一方通行「…何が言いたい?」
結標「決まってるわっ!」
結標の表情は、自分が負けることは無い、そう信じきっている様子だった。
- 421 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:49:16.08 ID:N381qY2q0
結標「アナタ、女ができたんでしょう?もう骨抜きにされてるらしいじゃない?」
一方通行「…オイ。誰から聞いた?」
実況A「わたしです」
実況B「俺だぜぃ」
一方通行「…(あいつらマジで死なす)」
結標「ふふふ…きっとその子は、このゲームを見てるわ?アナタ、ここであたしをボコボコにしてみなさい?ドン引きされるわよ?」
一方通行「…」
実況B「おーっと!結標汚い!流石結標超きたない!」
実況A「一方通行への精神攻撃!いったい一方通行はどうするのでしょうか!?」
「…一方通行さん…」 「大丈夫なのか?」 「汚い真似をッ…!」
「以外に紳士っぽいしな…」 「俺ならあんな可愛い子殴れねえよ」
「一方通行きゅんどうするの?」 「一方通行様…」
長点陣営が動揺を見せる。
「くだらねえな。」
しかし、それを引き裂くかのような言葉が響いた。
それは、彼を良く知る、親友ともいえる人物によるものであった。
生徒A「か、垣根さん?そ、それはどういう意味ですか?」
垣根「その通りの意味だよ。結標とかいう女は、ヤツのことを全く分かっちゃいねえ。なぁに、見てりゃあわかる」
- 422 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:50:25.20 ID:N381qY2q0
結標「さあ、そこをどきなさい。勝利は霧が丘がいただいたわ。」
一方通行「…_え」
結標「…何?」
一方通行「くだらねえって言ってンだよ。テメエ、またトラウマ増やしにきたのか?」
一方通行は、一歩踏み出す。
彼女の言葉など、耳に入っていないかのように。
結標「しょっ、正気なの!?や、やめて!こないでよっ!」
一方通行「けひひゃっ!いいねいいねェっ!サイッコウだね!その顔!その顔が見たかったんだよ」
一方通行の頬が醜く歪む。
恐怖に歪む結標の表情を心から愉しんでいる様子だ。
一方通行「確かに俺は平和ボケしたかもな。以前のような闇へのこだわりもねェ。吹寄とつるむうちに腑抜けたってのも否定はできねえ…」
一方通行「けどよォ…」
そして、次の瞬間___
一方通行「ひひははっ!」
結標「ッ!ひ。」
- 423 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:52:47.76 ID:N381qY2q0
まさに、音速であった。
一瞬のうちに結標の懐に入り込んだ一方通行は、彼女の首を片手で掴み、中へ吊り上げた。
一方通行「俺の本質は変わってねェンんだよクソッタレが!はァ~い?なンか最後に言うことはありますかぁ~?」
結標「な、やめてっ!お願い!あたしが悪かったから!ね?ちょ、ホントにお願い!」
助けを請う結標、しかし、一方通行には容赦がない。
その理由を、垣根は知っている。
垣根「基本、アイツはドSだ。加虐主義者だ。…最近の様子じゃ、忘れるのも無理はねえけどな」
一方通行は、拳を振り上げ、狙いをつける。
以前のようなトラウマを植えつけるのは流石に気が引けた。
威力を調節する。
- 424 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:54:00.89 ID:N381qY2q0
一方通行「悪ィが、こっから先は一方通行だァ!おとなしく尻尾巻きつつ鳴いて無様に元の居場所へ引き返しやがれェェ!!」
結標「やめっ_ぐっはぁぁあああああああああああ!!!!!」
彼女の鳩尾に、一方通行の拳が突き刺さる。
結標は、そのまままっすぐ敵陣営の棒を守る集団の方向へ突っ込んでいった。
実況A「おっとぉ!一方通行の情け容赦のない男女平等パンチ!これはトラウマものだぁぁあああああああああああ!!!」
「む、結標さまぁ」 「結標さん!」
「う、うちのエースが!」
一方通行「あー…久しぶりに殴ったわ…たまにはイイかもなァ…」
- 425 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:54:30.26 ID:N381qY2q0
背を向ける一方通行。
敵のいない彼の背後へ向かうのは、もう一人のレベル5。
垣根「あっららぁ~。容赦ねえな」
一方通行「お生憎サマ、俺はフェミニストじゃあないンでね」
垣根「…ゴミ掃除は任せろ。」
一方通行「気が利くじゃねえか」
すれ違う彼ら。
垣根の視線の向こうには、茫然自失とした霧が丘の生徒達が集まっている。
垣根「さぁて…」
霧が丘の学生達の前で、彼は立ち止まった。
垣根「愉快で素敵な最ッ高のオブジェにしてやるよ…ははっ…楽しみだなぁ。おい」
彼の口角がこれでもかと言うほど釣りあがる。
彼もまた、一方通行と同じだった。
- 426 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/08/31(水) 14:55:46.63 ID:N381qY2q0
____________「さあ、ショウタイムだぜ」_______________
霧が丘に、戦意が残されているはずも無かった。
- 435 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/09/07(水) 18:05:02.09 ID:brZHTeXr0
「…いてェ」
「…自業自得でしょ?あれはやりすぎよっ!」
思いっきり女性をぶん殴るとは、いささかやりすぎだろう。
流石に褒めてやることはできなかった。
「本気でやれって言ってたのは、どこのどいつだよ全くよォ…」
「結標さん泣いてたのよ?」
「あっちゃァ~、痛くないようにやったンだけどなァ」
「…」
どうやら、全く反省はしていないようだ。
…自分にも責任の一端があることは認めざるを得ないので、あまり強く言うのも止めて置くことにする。
「あ、つゥか、テメエそろそろ競技あンじゃねえの?吹寄」
「まだ少し余裕があるのよ。それより、女の子の顔面殴っといて、あなたの風評被害は平気なの?」
「あァ、それなんだけどよ」
結標さんに男女平等パンチをくれておいて、彼の爆発的な人気はどうしてか落ちることがなかったらしい。
- 436 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/09/07(水) 18:06:02.02 ID:brZHTeXr0
「…どういう状況よ」
「さァ、よっくわかンねえ」
聞いた話によると、
『そのドSっぷりが素敵』だの、
『勝利のためになら女性をも手にかける筋の通ったところが素敵』だの、
『俺達にできないことを平然とやってのけるッ!!そこに痺れる憧れるゥッ!!!!』
と言った評判が立っているらしい。
こうも人間とは、盲目的になれるものなの…?
「そォ言えば、テメエ俺のこといま『あなた』って呼ンだよな?いつもなら『貴様』だったのに。」
「え?…そ、そう?意識してなかったからわからなかったわ…」
本当に意識してなかった。
こちらをキョトン、とした顔つきで見つめる鈴科。
心の中で、「何この顔可愛い…」とか思ってしまったのは内緒だ。しかし、それも一瞬のことだった。
直ぐに、いつも以上の人の悪い笑顔を浮かべる。- 437 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/09/07(水) 18:06:52.99 ID:brZHTeXr0
「…あっれェ?吹寄ちゃんってば、どォいう心境の変化なのかな~?」
「はぁっ!?////べ、別に何でもないわ!心境の変化もへったくれもないし、そもそも『あなた』なんていってないし!」
「顔真っ赤だぜェ?つゥか言ったし。俺、一度聞いたこと忘れないしィ」
「うっさい!」
ニヤニヤとしやがって!あああああああああ!!こいつ、ホントに分かってないの!?
それとも私のことわかっててやってんの!?
大覇星祭も後半戦に突入して、もうクライマックスを迎えようと言う時になっている。
ランキングは、第一位の長点を僅差で常盤台が追うと言った展開だ。
今年度の常盤台は圧倒的で、設立以来最強との呼び声が高かったが、誰もが予想し得なかった長点の躍進に、第一位の座を未だに奪われたままである。
私達の学校は、真ん中くらい。いつも通り、可もなく不可もなく、と言ったところだ。
恥ずかしさを無理やり隠すようにムサシノ牛乳を吸い上げる。
今日も天気に恵まれた。さっさと飲み終えないと、温くなってしまう。
「おーい。吹寄~、そろそろ競技の時間だぞー」
どこぞのツンツン頭が視界に入る。- 438 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/09/07(水) 18:07:28.04 ID:brZHTeXr0
どうやらそろそろ時間らしい。
「おっ、一方通行も一緒か!さっきはいろんな意味で凄かったな!後で俺達のクラスんとこ来いよ!みんな会いたがってたぞ!」
「そォか、時間が空いたらいくわ」
「んじゃ、吹寄借りてくぞ」
「あいよ、ちゃンと返せよ?」
「な、なな何言ってんだバカ!!」
鈴科は、相も変わらずニヤニヤ笑いを止めない。
「はははっ!わかってるって」
こ、こいつっ!今日はどういうつもりなんだ?な、なんか、いつもより意地悪というか…なんというか…
「じゃ、じゃあね鈴科」
「おう、せいぜい頑張ってきな。ちゃァンと見ててやるからよ」
「…それじゃ」
「ってオイ!これどうすンだよ!」
ぐい、と、飲みかけのムサシノ牛乳を押し付け、上条の背を追う。
競技場はここなので、もうクラスのみんなは集まっているはずだ。
あいつが、見ててくれる。
そう思うだけで、血が騒いでしまう、そんな自分が、なんとなく悔しかった。- 439 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/09/07(水) 18:07:54.63 ID:brZHTeXr0
____________________________________________________________________________
「おうおうおうおう!見せ付けてくれちゃって羨ましいね!」
「…相変わらず天をつく勢いでうぜェな…メルヘン野郎」
さきほどまで、ハルマゲドンが来たかのように消沈した面持ちだった垣根だったが、現在は打って変わって、うっとおしいほど機嫌が良い。
「何か愉快なことでもあったのかよ?ニヤニヤとしまらねえツラ晒しやがって…」
「あ!聞いちゃう!?それがよ!」
霧が丘との試合で、花頭に説教され、機嫌を損ねられてしまったていとくンだったが、花頭の出場競技で、終始叫びっぱなしで応援しまっくたらしい。
恥も外聞も投げ捨てた様子に心を打たれた(?)花頭は、何とか許してくれたらしい。
「…まァ、てめえアレはやりすぎだよ…流石の俺も擁護できねェ」
「…安心しろ。自覚はある」
霧が丘の出場者達は、トラウマを植えつけられた記念日としてあの日を心のカレンダーに刻み付けることになるだろう。
「はッ、仲がよろしくて結構ですねェ」
「てめえだって人の事いえねえだろ…?さっきの借り物競争みたぜ?つーか、女の子にお姫様だっこされるレベル5ってどうなの?」
「うるせえ!その話はお終いだァ!」
「だが断る!はははっ!今日と言うこの日を忘れんじゃねーぞ!週一で思い出させてやるからな!」
「…テメエ」
…上機嫌だ、気持ち悪いほどに。- 440 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/09/07(水) 18:08:28.18 ID:brZHTeXr0
しかし、ふと気付くと垣根は、一我に返ったような、神妙そうな、何か、遠くを見ているかのような表情を浮かべていた。
「…突然だけどよ」
「…何だよ」
大覇星祭も、今日を含めて残り二日だ。
おそろいの体操着に身を包んだ俺達に、強い日差しが差し込む。
九月も下旬だというのに、去年はこうも熱かっただろうか。
「なんかよ…こうしてると、闇だなんだ、直接交渉権が何だだの言ってたころの自分が、アホらしくなってくるよな」
「…なァンだ、そンなことかよ」
垣根も俺も、今更自嘲めいた笑みなど浮かべない。
それをさせないだけの時間と経験が、俺達の中で息づいているのだろう。
「結局、十台そこらのガキが、闇だの悪党だの言ってンのがアホらしかったンだ。これが当たり前、俺達のあるべき姿ってことなンだろォよ」
「…ははっ。違いねえな」
「そォ言うことだ…ははっ」
はははははは、と、二人して笑い飛ばす。- 441 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/09/07(水) 18:09:02.07 ID:brZHTeXr0
そうなのだ、結局は同じものなのだ。
昨日やらかしてしまったことも、吹寄にお姫様だっこされてゴールすることになった借り物競争も、在りし日の、過去の自分も。
勿論、なかったことにしてはいけない。
犯した罪は消えない。俺達は、これと一生付き合っていくことになるのだろう。
しかし、それだけだ。
道は、続いている。
「斜に構えて、格好つけんのもそろそとおしまいだな…」
「…あァ。この話も、これで最後だ」
立ち上がった垣根が、手を差し伸べる。
「…ンだよこの手?」
「たまにゃあ良いだろ?ほら、そろそろ競技の時間だ。行こうぜ?」
「…」
「何黙ってんだよ?斜に構えるのはお終い、じゃねえのか?」
「…っち」
垣根の手を取り、立ち上がる。- 442 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/09/07(水) 18:09:50.27 ID:brZHTeXr0
「…」
「…あれ?何か視線が集まって…っちょ!ヤベえぞ!俺達そっち系だと思われてるっぽい!ああ!違うんです!こいつはただの友人で_」
垣根の必死の弁解など右から左だ。
…はは、どうしてか、楽しくなってきた。
こうなったら、やれるだけ楽しくやってやろう。
「うるせえぞクソメルヘン…ほら、さっさと行くぞ」
「ちょっ!テメエ手ェ放せ!何か女性の方々からなんともいえない視線が__オイ!話聞けよコラ!」
自分勝手な理屈かもしれない。
俺は、とんでもなく無責任な人間なのかもしれないし、本当は幸せになる資格なんてないのかもしれない。
「…それでも」
幸せになってやる、これは意地だった。
もし、誰かの不幸の上には、幸福が成り立たないのだとしても、俺は、幸せになりたかった。
誰かを言い訳に使うことなど、二度としてたまるか。
- 462 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/10/01(土) 11:33:18.69 ID:EaodqPVD0
九月二十五日。晴天、雲ひとつ見当たらない。
一週間なんてあっという間だ。
「あれほど目立つことしたのは、初めてのことかもしンねェな」
この七日間で、良くも悪くも有名になった。
以前の悪評にだけ逃げ込むことも出来ないだろう。
逃げも隠れも出来ないとはこのことだ。
午前九時が競技開始の時刻だったが、最終日の今日は統括理事会から軽い演説があるらしく、学園都市中の学生と言う学生がスクリーンにかじり付き、発表を聞く羽目になった。
現在時刻は八時五十三分。俺は長点の連中と、お行儀良く競技場の席の一つに腰掛けている。- 463 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/10/01(土) 11:33:48.32 ID:EaodqPVD0
「しっかし、統括理事も面倒なことをしやがるぜ。テメエもそう思うだろ?」
「…まァ、仕方のねェことだろ。理事会の首がすげ変わって、初めての大覇星祭だ。学園都市の『変化』を、世界に発信するチャンスになるンだからな…」
「…そーだけどよ、なんかこう…ぶっちゃけめんどくさい」
「それが本音かよ」
俺達長点は現在首位だが、残りの競技数は一つ。
次の種目で敗北し、僅差で二位である常盤台が勝利したという結果になった場合、優勝を逃すことになってしまう。
「…」
「…どうしたんだよ?すげえツラしてんぞ?毒電波でも放ってんの?」
「違ェよ…何でもねェ…気にするな」
「ぁ?…わっけわかんねえ…ま、いいけどよ」
「あっ、時間だぞ!」
一生徒が騒ぎ立てた。時計の針はいつのまにか九時を指していた。
話自体は、想像していた通りの退屈なものだった。- 464 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/10/01(土) 11:34:16.74 ID:EaodqPVD0
_____________________________________________
実況A「本日も実況を勤めさせて頂くエツァリです!さて、間もなく始まりますのは本日最注目のカード!」
優勝候補校の最後の競技とあって、会場は、学園都市の中心部に設けられ、その上最も多くの観客を動員可能な場所が選ばれた。
否が応にも激しい展開が繰り広げられるであろうこの試合を観戦するのは、会場に詰め掛けている人間だけには留まらない。
大覇星祭で最後の競技であり、優勝校を決定する試合だ。
今までの地上波放送を見送ってきた人々も、この競技は見逃すわけには行かない、という意思の元、チャンネルを変えるということがあるのも当然のことだろう。
実況A「さて、現在の暫定首位は常盤台中学校!先の試合は見事白星を挙げました!さすが御坂さんですね!そのため、長点上記学園が優勝するには、引き分けか黒星ではいけないということになっています。…ま、優勝するのは御坂さんですよ。優勝は御坂さんです。はい。」
「ちょっとアレなんなの?」
「あの実況の飽くなき御坂美琴への愛はどこからきてるんだ?」
「優勝が御坂美琴って何だよ…仮に俺達が負けても優勝は常盤台だよ…」
一方・垣根「「…………」」
実況A「…ということで、優勝はきっと御坂さんだと思うので、長点の紹介はカットっ!!対戦校の紹介に移ります」- 465 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/10/01(土) 11:34:44.29 ID:EaodqPVD0
「おい!」
「ふざけんな!」
「ぶっ[ピーーー]ぞ!」
吹き荒れるブーイングの嵐。
実況A「さてさて!対戦校はっ!…え。…えー?マジかよ…うわー…ヤだなー説明すんの…シャレになんねー…幻想殺しいるじゃん…」
「「…」」
そろそろ、会場の空気がおかしくなってきている。運営は、何故この男を実況に選出したのか?
誰もがそう思った次の瞬間だった。
実況A「いやぁ、どうしましょうか?……いいでしょう!もう紹介はおわっ」ブツ
「………」- 466 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/10/01(土) 11:35:25.31 ID:EaodqPVD0
???「はーい!お聞き苦しい雑音を響かせてしまいまして申し訳ございません!十四歳以下少年の皆ぁ!こーんにちはー!実況解説を変わりましたぁ!あわきんでぇーす!私のことは、あわきお姉ちゃんって呼んでねーーっ!」
一方「ッてオイ!!ふざけンなァあああああああああああああああああああああああ!!!!!」
激しく動揺する一方通行とは対照的に、長点の生徒達は至って落ち着いている。
「いい声じゃね?」
とか「絶対美人だって!」
とか「十四歳以下?」
とか、詮索する様子は見られたが。
実況M「…こ、こほん…///さ、さっさと次に行きましょうか…。つ、次!対するはここ!高位能力者が不在ながらも、まずまずの好成績を残してきた学校です。長点の不敗神話を打ち砕くことが出来るのかしら?_____高校!!通称・とある高校!」
「うおおおおおおおおおおおおおお!!!がんばれええええええええええええ!!!」
「キャーーーーーーーーーーーー!!!」
「お願い!!がんばってぇええええええええええ!!!!」
臓腑を内側から揺さぶるような、音と言うには少々激しすぎる轟音が鳴り響く。
長点が優勝だと面白くないという生徒が多いのだろう。
黄色い歓声は、主に、開場の一角を文字通り占拠した常盤台の生徒達のものだ。- 467 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/10/01(土) 11:35:55.15 ID:EaodqPVD0
実況M「注目の競技内容は騎馬戦です!ルールはサバイバル方式!最後に立っていた騎馬の属している学校の勝利と言う形式よ!」
超名門の長点と、「とある」という名で呼ばれることが多いことでもわかるような、良くて中堅レベルの学校。
存在の基盤自体が乖離した存在同士であるにも関わらず、不思議と両校には、互いに互いを中傷したり、理解し合えないものとして、突き放すような空気は存在しなかった。
一方通行「…」
垣根「…」
吹寄「…」
上条「…」
土御門「…」
青ピ「…」
番外個体「…ひひ」
姫神「…」
それどころか、互いがこうなることを理解していた様な空気が、互いが互いを崇敬しているかのような雰囲気が漂っていた。
これは、外野から見れば、相当不思議な光景に写ったであろう。
一方通行「…いよいよ、最後だ」
垣根「おうよ」
一方通行と垣根の二人は、いつものように互いに愚痴を言い合ったり、汚い言葉で罵り合うのでもなかった。- 468 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/10/01(土) 11:36:54.34 ID:EaodqPVD0
一方通行と垣根の二人は、いつものように互いに愚痴を言い合ったり、汚い言葉で罵り合うのでもなかった。
白い歯を見せ、歳相応とも取れる笑顔を浮かべあった。
一方通行「…上条のヤツは任せろ。他はテメエに任せた…」
垣根「…はっ…『任せた』ねえ…テメエらしくねえな…」
一方通行「…」
垣根「だが、悪い気分じゃあねえ。オーケイ。任されたよ。ただし、負けたら承知しねえぞ?」
一方通行「誰に向かって言ってやがるンだ?」
ぱちん、と、手のひら同士が乾いた音を立てた。
上条「うおっしゃあ!相手はあの一方通行だ!!作戦なんてどうせ意味はねえだろうよ!とことんやるぞ!」
土御門「それは同感だ。アイツの頭脳にかかれば、小細工なんて一切が無駄だ」
番外個体「ここまで来たら、あの第一位の泣き顔を地上波配信しなきゃ気がすまないっしょ!ぎゃははっ!!」
吹寄「…」- 469 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[age]:2011/10/01(土) 11:37:29.72 ID:EaodqPVD0
会場の反対側。表情はおろか、顔すら見えない中だった。
それでも、吹寄制理は、彼、一方通行と視線がぶつかっていることが何の努力もなしに感じられた。
___がんばったね鈴科。私も、がんばるから、もう少しだけがんばろう?
実況M「さて、両校準備が整ったようです!それでは、学園都市統括理事会主催、大覇星祭!最終試合、長点上記学園対___高校!!位置について、用意…」
九月下旬、季節の変わり目。
白い獣が吼える。
___それは、自らの背負う十字架に対しての慟哭でもない。
___それは、一人の少女を闇から救いだす為でもない。
そう、何の為、誰の為でもなかった。
安っぽい、乾いた火薬の音が鳴り響く。
- 470 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ[saga]:2011/10/01(土) 11:38:23.01 ID:EaodqPVD0
- 本当に遅くなって申し訳ありません!
次は一週間以内には来たいです!
- 471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/10/01(土) 11:40:47.61 ID:gPD69OCAo
- 乙!
- 472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県)[sage]:2011/10/01(土) 11:59:04.30 ID:2p56VCNy0
- 乙
一方さんが楽しんでると漏れも楽しいお - 473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]:2011/10/01(土) 16:36:55.30 ID:4TPXk84s0
- >>1乙そして久しぶり
上条の演説がな…
- 485 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/26(月) 16:37:49.91 ID:qJIKel1c0
- はよしてよー
- 486 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/29(木) 03:12:11.60 ID:l5u4RmTb0
- そろそろ不味いんじゃないか…?
- 490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2012/01/16(月) 18:46:05.56 ID:ja5eWdlno
- いや待て待て たぶん>>1は受験生だ
つまり、二次試験が終わるまで待てば・・・
2014年4月8日火曜日
とある一位は青二才
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