2013年2月14日木曜日

あまくさっ♪ すんどめ。 - 4

506VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/05(月) 21:32:42.12 ID:94AejJ+D0
それではあわきん話でいきます。次回は浦上メインね!

それじゃあボチボチ投下!
507第四話(21話)―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/05(月) 22:05:46.50 ID:94AejJ+D0
 ―――とある前日、AM08:45、学園都市第7学区、とある学校(上条の高校)・・・・・・



  キーンコーンカーンコーン・・・・・



月詠「―――……それではHR終了なのですよ。今日も一日頑張りましょう」コホッ・・・コホッ・・・

青ピ「ん? 小萌先生、調子悪いんですか?」ジー・・・

月詠「え……あ、ちょっと風邪気味かもしれませんね。でも心配要らないのですよ」コクッ・・・コホッ

吹寄「ふむ、そう言われても先生が風邪を引くなんて珍しい事ですから気にはなりますよ」ジー・・・

月詠「あらあら。過保護な生徒さんですね……けほっ」コホッ・・・

姫神「小萌先生。もしダメそうなら。早引きしなきゃダメよ」コクッ

月詠「ええ……コホコホっ……大丈夫なのです。咳だけですから」ニコッ・・・

上条「でもほら、免疫が付かない内に無理すると大人になってから後遺症が残るって」ウーン・・・

青ピ「あかん! 先生早く小児科に!」アタフタ・・・

月詠「先生は大人なのです! 馬鹿にし過……げほっ……あーごめんなさい。あまり興奮させないで欲しいのですよ」ハァ・・・テクテク・・・

生徒一同『…………、』タラー・・・

月詠「こほっ……とりあえず皆さん、一限の準備を……こほっ……教室移動でしょう。先生も準備がありますので」ガララ・・・


 シーン・・・・・


吹寄「……大分、元気が無いな」フム・・・

上条「まぁ先生も『7不思議』とはいえ人だからな。風邪くらい引くんだろ」ウンウン・・・

青ピ「うーん……滅茶苦茶心配なんやけど。仮にも大人とはいえ独身女性やしなぁ……あ! じゃあ僕今晩介護にぶべらぁ!!」ガンッ!!

上条「ごべっ!!」ガンッ!!

吹寄「自重しろ変態!!」ギロッ・・・

上条「うぐぐっ……な、何で俺まで」イタタ・・・

吹寄「すまん。いつものノリで」ペコッ

上条「酷っ!! 理不尽! 不条理! 鬼! 吹寄制理! 悪魔! おでこ!」ギャーギャー!

吹寄「貴様! サラッと人の名前を悪口みたいに言うな! あとおでこ出して無いわ!」ゴツンッ!!


 ギャーギャー・・・・・


姫神「……まったく」ハァ・・・

土御門「まぁこんなクラス受け持ってたら心身ともに疲労堪るわなぁ」ニャハハ

姫神「それは否定しないけど……ねぇ。淡希は?」チラッ・・・

土御門「は? いや、何でそこでアイツの名前が?」キョトン・・・

姫神「居候でしょう。小萌先生の具合見て。何も言わないの?」ジー・・・

土御門「んな事俺に聞かれても分かる訳無いぜぃ。まぁあの馬鹿女も小萌センセの心労の一つだってのは分かるがな」フンッ

姫神「…………、」ウーン・・・

508 :第四話(21話)―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/05(月) 22:47:43.42 ID:94AejJ+D0
吹寄「ったく……姫神さん。貴女からも言ってやって」チラッ・・・

姫神「え? あ。ごめん。聞いてなかった」サラッ・・・

吹寄「ぐっ……やれやれ」ハァ・・・

上条「痛てて……と、とりあえず、そっとしておいた方が良いんじゃないか?」タラー・・・

青ピ「問題児筆頭がよく言うわ」ジトー・・・

土御門「まぁカミやん……っていうか、カミやんとこの居候も心労の一つだろうけどにゃ」クイッ・・・

上条「インデックス? あーまぁ……確かにお世話になってるからなぁ」ポリポリ・・・

姫神「そういえば。インデックスが居る時。淡希如何してるの? 私と居る時は大人しく携帯弄ってるだけだけど」チラッ

上条「結標さん? うーん、インデックスが言うには……寝てるって」コクッ

土御門・姫神「「は?」」ポカーン・・・

上条「だから飯食ってる最中も寝てたってよ。バイトで疲れてたんじゃないか?」ウンウン・・・

土御門「……カミやん。それいつの話だ?」タラー・・・

上条「俺がお前に北欧連れてかれた時だから……一週間前くらいじゃないか? インデックス三日間預けた」ピンッ

土御門「バイトなんて……無い」ジー・・・

姫神「……如何いう事?」チラッ

土御門「アイツ、最近仕事入ってないぞ」フム・・・

姫神「つまり。何もしないで。ゴロゴロしてるだけ? 小萌先生に迷惑掛けて?」タラー・・・

上条「ハハハ。まるでインデックスみたいだな。結標さん」ハハッ

土御門「…………、」チッ・・・

姫神「あの。馬鹿」ジトー・・・

上条「ははは……って、あれ?」タラー・・・

吹寄「何だ? 小萌先生の不良児居候癖の話か?」チラッ

姫神「……確かに。淡希は。長過ぎる」ジトー・・・

土御門「ああ……問題だ」ジー・・・

青ピ「ま、まさか! 小萌先生が特定の誰かとイチャラブ的な話かぼぐふぅっ!」ゲフッ!!

吹寄「黙ってろ!」ギロッ・・・

姫神「……何でもない。この件は気にしないで」チラッ

吹寄「ん、そう。なら良いのだけど」コクッ


 キーンコーンカーンコーン・・・・・


土御門「…………、」ジー・・・

姫神「土御門くん。何考えてるかは分からないけど。淡希の問題は先生に任せた方が良いわ」チラッ

土御門「…………、」フンッ

姫神「出来れば。貴方は手を出さないで。必要なら私から言う」テクテク・・・

土御門「……女同士ってか? そういう問題じゃないんだぜぃ。姫神さんよぉ」クイッ・・・

509 :第四話(21話)―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/05(月) 23:36:19.97 ID:94AejJ+D0
 ―――とある前日(別日)、PM11:30、学園都市第7学区、とある仮眠室・・・・・・




海原「―――……ふぅ。久しぶりに『グループ』での仕事でしたね」ドサッ・・・

一方通行「ケッ。こちとりゃ単独任務だの何だのと忙しいっつゥのによォ」ハァ・・・

土御門「文句言うな。手前らのツケの分の仕事とグループの仕事は別モンだ」クイッ・・・

結標「ふぁあぁ……あー最後シャワー借りるわよ。もう銭湯閉まってる時間だし」グデェ・・・

土御門「…………、」ジトー・・・

一方通行「ンで……今日はもう解散で良いのか?」チラッ

土御門「ああ。オマエは帰って良いぞ……海原と結標は話がある。残れ」チラッ

海原「おやおや。残業ですか」フゥ・・・

結標「えー……メールじゃ駄目なの? 帰って寝たいわ」ハァ・・・

土御門「……散々寝てる分際で」ギロッ・・・

結標「な、何よ」タラー・・・

土御門「……テメェは最後だ。シャワー浴びてくるなり何なりしろ。その間に海原と話しとく」クイッ・・・

結標「……ふんっ」テクテク・・・


一方通行「……機嫌悪ィみてェだなァ、土御門」チラッ

土御門「まだ居たのか? さっさと帰れ」ジトー・・・

一方通行「へいへい。つれねェな」カツカツ・・・

土御門「……おい」ボソッ

一方通行「あン?」ピタッ・・・

土御門「オマエん家……、」ジー・・・

一方通行「は?」キョトン・・・

土御門「……いや、何でもない。帰って良いぞ」コクッ・・・

一方通行「……はいはい」カツカツ・・・


海原「如何したんです? 何か問題でも?」ジー・・・

土御門「オマエには関係無い事だ……それより仕事の話だ。前に話したチワワ州の魔術カルテルの件だが―――」

海原「気が立ってますね。まさか彼と彼女の交友関係について何か? もしかして『一線』を越えていたとか?」フフフ・・・

土御門「―――……黙って聞けボケ。メキシコの問題だっつーから手ぇ貸してんだろ駄阿呆が」ギロッ・・・

海原「おお、怖い怖い。話を続けて下さい」クスクス・・・

土御門「……チッ」ケッ・・・

510 :第四話(21話)―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 00:23:10.47 ID:Iglg8dLy0
  ――一寸後・・・・・



土御門「―――以上だ。合衆国政府(ペンタゴン)が乗り出す前に何とかしろ」コクッ

海原「麻薬と銃火器ですか……相変わらず好きですね、彼らは」ハァ・・・

土御門「核だのミサイルじゃないだけマシと思え……ただ、麻薬プラントは残せ。英国(ウチ)で『処分』する」クイッ・・・

海原「『処分』ですか……ははは。そうでしたね、英国も好きですものね」ククク・・・

土御門「勘違いすんな。魔術的利用だ、魔術的利用。ヤツらみたいに誰それ構わず売っ払う訳じゃねぇ」フンッ

海原「はいはい。それでは僕はこれで―――」


  ペタペタペタ・・・・・


結標「ふー! やっぱ個室のシャワーって良いわねー!」フフッ

海原「―――……帰ります」チラッ・・・タラー・・・

結標「……あ、まだ居たの?」ジー・・・

海原「ええ、すいません。今用件が済みました。直ぐ帰りますよ」コクッ

結標「あっそ。まぁ私の帰る時間が遅くなんなきゃ何でも良いわ……あれ? ココアソーダ補充して無いじゃん。水で良いかぁ」ガチャッ・・・バンッ

土御門「……あのよぉ」ジトー・・・

結標「ん……ぷはぁ。何?」チラッ・・・

土御門「……何でテメェは下着だけでウロウロしてんだ?」ハァ・・・

結標「あら、下着脱げっての? 変態」ジトー・・・

土御門「違ぇよボケが! そんなんだから麦野沈利とか窒素装甲に痴女痴女言われんだ!」ギロッ・・・

海原「仮にも歳若い女子でしょう。恥じらいを持って行動してくださいよ」ハァ・・・

結標「別にぃ……アンタらに見られたって如何って事無いし……ドライヤー何処だっけ?」キョロキョロ・・・

土御門「そういう問題じゃねぇ。粗末なモン見せんな阿呆が」ケッ

結標「うわぁ。本来なら5万は取るわよ。諭吉5人分の生肌よ。馬鹿じゃないの? 死ぬの? いや、死ね……あ、見っけ」ヴァアアァ・・・

海原「まぁ普段から半裸ではありますけどね」ヤレヤレ・・・

結標「ったく……まぁアンタらだって私の姿見て微動だにしないじゃない。てか童貞じゃないっしょ」クシクシ・・・チラッ・・・

土御門・海原「「…………、」」ピタッ・・・

結標「私も一方通行(アイツ)もそんくらい知ってるわよ。土御門は近親相姦。海原は年齢詐称で……本当は25越えてんでしょ?」クシクシ・・・

土御門・海原「「…………、」」チラッ・・・チラッ・・・

結標「キョドんなし……別に誰にも言わないっての。てか皆知ってるわよ。まぁ海原の義妹ちゃんは知ってんだか如何だか」ハハハ

海原「……つ、土御門。急用を思い出しました。ちょっと病院に」スッ・・・

土御門「あ、逃げ……チッ!」ダンッ!

結標「アハハハ。あ、一応私は処女だから。手ぇ出したら殺すかんね?」ニヤリ・・・

土御門「クッソ面倒臭ぇ女だ……良いから早く服着ろボケぇ!! 話あるっつってんだろ! 真面目な話だ!」チッ・・・

結標「はいはい」テキパキ・・・

511 :第四話(21話)―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 01:11:01.14 ID:Iglg8dLy0

 ドサッ・・・・・


結標「さってと……そんで? 仕事の話かしら?」チラッ・・・

土御門「いや、違う」テクテク・・・

結標「は?」キョトン・・・

土御門「じゃあ何の話だ、と聞かれちまうと返答に困るんだが……とりあえず聞け」ジー・・・

結標「ちょ、待った待った。え、何? 意味分かんない」ポカーン・・・

土御門「良いから黙ってろ……お前、小萌センセの家に居座ってどんくらいになる?」チラッ・・・

結標「は? どんくらいって……覚えてないわよ。てか何で小萌が出てくんの?」ジトー・・・

土御門「黙れ」ギロッ・・・

結標「っ……何よ」タラー・・・

土御門「率直に言おう……彼女ん家から、出て行け」フンッ

結標「なっ!? わ、っけ、分かんない! 何で私の私生活にまで干渉されなきゃなんないのよ!」ガタッ!!

土御門「喧しい。命令したって良い。出来るだけ早く出て行け」ジー・・・

結標「いっ……ざけんじゃないわよ! アンタには関係無いでしょう!」バンッ!

土御門「関係、無いだと?」ギロッ・・・

結標「私が堕落してるって言いたいの? 仕事で失敗なんかしてないじゃない! それとも何?! 小萌に被害が及ぶ様な事態でも出来た?」

土御門「テメェ……、」ギリッ・・・

結標「もしそうなったんなら上の失態でしょ! もしくはアンタのミス! 私には関係無い。アンタが兎や角言わないでよ」フンッ

土御門「……っ」グイッ!!

結標「っ! な、何よ……離しなさい」ビクッ・・・ギロッ・・・

土御門「……彼女が体調悪いの、知ってるか?」ジー・・・

結標「え……そう、なの? な、何か危険な病気なの!?」アタフタ・・・

土御門「チッ。ボケが」パッ・・・

結標「あ……ちょっと、土御門!」タラー・・・

土御門「……風邪だよ。多分、疲労からくる体調不良だ」フンッ

結標「そ、そう……良かった」ホッ・・・

土御門「良かった、だと」ギロッ・・・

結標「あ、いや、そうじゃなくて、重い病気じゃなくてって意味で……もぅ。脅かさないでよ」ハァ・・・

土御門「あのなぁ……本来、テメェが最初に気付く事なんだよ、このボケナスがっ!」ガンッ!!

結標「っ!」ビクッ・・・

512 :第四話(21話)―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 01:34:22.55 ID:Iglg8dLy0
土御門「なぁ……何で気付かねぇ?」ギロッ・・・

結標「何でって……えっと……その」モジモジ・・・

土御門「ハッ。そりゃ気付かねぇわなぁ。用が無ぇ日は一日中寝てりゃあよぉ」ジー・・・

結標「……何よ。私の勝手でしょう」フンッ

土御門「ああ勝手だ。テメェの私生活なんぞに興味は無ぇ。だがな……あの人に迷惑掛けんなら別だ、阿呆が」ジトー・・・

結標「別に……掛けてないわよ」ムゥ・・・

土御門「どの口言う。この寄生虫女」ケッ

結標「きせ……違うわよ! 私だってちゃんと選択したりゴミ出ししたり」アタフタ・・・

土御門「嘘だな。料理も出来ない。ゴミ出しの時間に、洗濯物干せる時間帯に起きない」ジトー・・・

結標「ぐっ……お、起きてるわ」ダラダラ・・・

土御門「嘘吐くなっつの。他でも無ぇ小萌センセが愚痴ってんだよ。後は禁書目録や姫神も言ってる」フンッ

結標「…………、」タラー・・・

土御門「……さっきも言ったが、テメェが私生活で何しようが勝手だ。学校行かなくても良いし、遊び歩いたって構わない」ジー・・・

結標「…………、」スッ・・・

土御門「だがなぁ結標……『俺の担任』を巻き込むのは許さねぇ。俺の私生活を脅かすようなら、テメェは敵だ」クイッ・・・

結標「なっ……そ、暴論よ」タラー・・・

土御門「暴論? テメェの横暴さには負けるな。ハッキリ言うぞ。あの人にとってテメェは害以外の何物でもない」フンッ

結標「違……、」グッ・・・

土御門「言い返してみろ。自分を正当化できるか? なぁ……出来ねぇだろ」ジー・・・

結標「…………、」ギリッ・・・

土御門「後はテメェの善意次第だ……すぐに出てけとは言わん。身支度して、キチンと理由言って、それから出て行け」クルッ・・・

結標「…………、」シュン・・・

土御門「必要なら部屋くらい準備してやる……駄々こねんじゃねぇぞ。もしこれ以上あの人の迷惑を続けるなら……分かってるな?」ギロッ・・・

結標「…………、」ジー・・・

土御門「以上だ……さぁ。帰れ」クイッ・・・

結標「…………、」トボトボ・・・

土御門「……おい。訂正だ」チラッ・・・

結標「え」ピタッ・・・

土御門「風邪が治るまでは一緒に居ろ……せめて、看病くらいしてから出てけ。それが礼儀ってもんだぞ」ジー・・・

結標「…………、」コクッ・・・


 ガチャッ・・・・・


土御門「ハァ……良い事した筈なのに、胸糞悪ぃな……あ、姫神に相談すんなっつーの忘れた」ヤベッ・・・タラー・・・

513 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 02:03:29.95 ID:Iglg8dLy0
 ―――とある前日(別日)、24:30、学園都市第7学区、とあるボロアパート(月詠宅)・・・・・・


  ガチャッ・・・・・


結標「電気、点いてる……ただいま」テクテク・・・

月詠「あ……結標ちゃん」スゥ・・・

結標「小萌……夜勤の日は寝てて良いって言ってるじゃない」スッ・・・

月詠「大丈夫、なのです……こほこほっ……ご飯、食べました?」ニコッ・・・

結標「コンビニでサンドイッチ買ってきたから……ほら、布団敷いて寝なさい」バッ・・・

月詠「それだけじゃ足りないでしょう。今お魚とお味噌汁温めて……げほげほっ!」トコトコ・・・

結標「良いから寝てなさい! 風邪引いてるんでしょう! もぅ……自分でやるから。お願いだから、小萌は寝てて」ハァ・・・

月詠「あらら……こほこほっ……心配掛けちゃってごめんなさいね」ポー・・・

結標「……病院行ったの?」チラッ・・・

月詠「ええ……生徒達に早引きさせられちゃいました。あはは……こほっ……酷いんですよー。強引な子ども達で先生困っちゃいます」フフッ

結標「風邪?」カチッ・・・カチッ・・・

月詠「ええ、ちょっと熱は無いのですけど喉から来たみたいで……こほこほっ……あ、そっちじゃなくカセットコンロの方なのですよ」コクッ・・・

結標「あ、うん……一度熱測りなさい」ボッ・・・

月詠「結標ちゃんは心配性ですね。大丈夫ですよ。お薬飲みましたから……けほっ」チラッ・・・

結標「良いから!」バッ・・・

月詠「……分かりました」コクッ・・・


 PiPi・・・・・


月詠「こほっ……平熱なのです」コクッ・・・

結標「見せなさい」ズズズ・・・

月詠「だ、大丈夫ですって」アハハ・・・

結標「よっと……8℃5分……って、39℃前じゃない!」シュンッ・・・ギョッ・・・

月詠「あぁ! 能力で体温計奪わないでください! そ、それは、計測ミスで……げほげほっ!」タラー・・・

結標「小萌……明日、仕事休みなさいよ」ジトー・・・

月詠「そ、そのくらいなら」アハハ・・・

結標「休みなさい!」バンッ!

月詠「っ……はい」シュン・・・

結標「……ごめん」ハァ・・・

月詠「いえ、謝らないで下さい……こほっ……先生の不養生が悪いんですから」ハハハ・・・

結標「っ……良いから、寝なさい」グッ・・・

月詠「はいはーい。怒られる前に寝ますよー……おやすみなさい、結標ちゃん」コホコホッ

結標「おやすみ」コクッ・・・



月詠「すぅ……くぅ……けほけほっ……うぅん」ムゥ・・・



結標「……ごめんなさい」シュン・・・

514 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 02:49:49.51 ID:Iglg8dLy0
 ―――とある前日(次の日)、AM08:40、学園都市第7学区、とある学校(上条の高校)・・・・・・



  ざわざわ・・・がやがや・・・・・



上条「なぁ……先生遅くないか?」チラッ・・・

青ピ「そうやなぁ。いつもはチャイムと同時に入ってくるんやけど」ウーン・・・


  ガララッ・・・・・


吹寄「来た……って、あれ?」チラッ・・・

黒妻「おはよーおはよー」テクテク・・・

生徒一同『……は?』キョトン・・・

黒妻「……おはよう」コクッ・・・

生徒一同『お、おはよう』タラー・・・

黒妻「『おはようございます』だろぉが。ったく、最近のガキは年上にまともに挨拶出来ねぇのか?」ヤレヤレ・・・

吹寄「い、いやいやいや! そういう問題じゃないでしょう! 何で事務の黒妻さんが!?」ビシッ!

黒妻「あー……人手居ないからって非教員のオレにHR任せた黄泉川さんに文句言え」ビシッ

青ピ「そういう問題やないんですけど」タラー・・・

土御門「黒妻センセ。小萌センセは?」ジー・・・

黒妻「風邪だとさ。昨夜悪化したって熱出した保護者から連絡着たぞ」コクッ・・・

姫神「保護……者……え???」ピクッ・・・

黒妻「結標ちゃん」サラッ・・・

上条「え」タラー・・・

黒妻「とりあえず月詠先生は今日休み。明日には戻ってくるんじゃないか」チラッ・・・

姫神「え……淡希が。看病してるの?」タラー・・・

黒妻「他に誰か面倒看る人居んの?」ハテ・・・

土御門「センセ……後生だ。奥さんか娘を看護に向かわせてくれ! 小萌センセが死んじまうにゃ!」アタフタ・・・

黒妻「奥さん言うなし! てか娘って誰だよ! 兎に角心配すんな……っつーのは無理だろうけど、如何こう言って治る訳じゃない」ジー・・・

生徒一同『…………、』ハァ・・・

黒妻「そんじゃ出席だけ取るぞ。災誤先生のジープにギザ10で傷付けたいと思ってる人、手ぇ上げてー」ジー・・・

生徒一同『はーい』バッ

黒妻「休み無しっと……そんじゃしっかり勉強しろよ。じゃないと俺みたいに中卒扱いなるからなー」ガララ・・・テクテク・・・



上条「……おい、姫神。確か結標さんって料理出来ないんじゃ」タラー・・・

姫神「まともには出来ない筈……私。帰りに寄らないと」タラー・・・

土御門「チッ……こうなったら」カチカチカチ・・・

上条「誰かに頼むのか?」チラッ・・・

土御門「『あまくさ家』にメール一斉送信する。誰か一人は行くだろう」ハァ・・・

上条「ああ、神裂と天草の若衆なら安心だな」チラッ・・・

土御門「多分ねーちんなら今頃洗濯モノ干し終えて、掃除機掛けてる頃だから頼める筈だぜぃ」クイッ・・・

上条「か、神裂……完っ璧に主婦だな」タラー・・・

515 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 03:08:10.70 ID:Iglg8dLy0
 ――一方、『あまくさ家』の対応・・・・・



 ヴヴヴヴヴヴ・・・・・



 <第1学区、理事校>


香焼「―――……ん、土御門から。仕事の内容じゃない……私用メール? 頼み事?」カパッ・・・



 <第7学区、学舎の園内部、とある女子高>


五和「『誰か小萌センセに行ってくれ。風邪引いてる。結標だけで看病してるんだ』……あー、そりゃ大変だ」ジー・・・



 <同上、とある女子中>


浦上「んー……まぁこういう時は、私達が動かなくても」アハハ・・・




香焼・五和・浦上「「「姉さん(暇人)が行くだろう」」」ウンウン・・・




 <第1学区、香焼宅>


神裂「―――へくちっ!」クシュンッ!

もあい「なぅ?」チラッ・・・

神裂「私まで風邪でしょうか……いや、生涯一度も風邪を引いた事が無い私が今更ですね」フム・・・

もあい「にゃー」コロコロ・・・

神裂「こら、もあい。掃除機を掛けている時にカーペットでゴロゴロしないの」メッ

もあい「みー」ジー・・・

神裂「やれやれ……これ掛け終わったら私は出掛けますから、大人しくしてて下さいね」ナデナデ・・・

もあい「にゃん」フシフシ・・・

神裂「あ、ついでに禁書目録(あの子)の所に寄りましょうか……やはり一緒にお出かけします?」チラッ・・・

もあい「みゃー」コクコクッ

神裂「はいはい。では急ぎましょうねー」テクテク・・・

もあい「んなー」トコトコ・・・




 <第7学区、とある高校(上条の高校)>


土御門「てな(↑)具合だと思うぞ」コクッ・・・

上条「ああ、容易に想像出来るな……いや、しかしインデックスに餌を与えて貰えるのは助かる」ハハハ・・・

土御門「寄生虫……いや、寄生人か……性質が悪いな」ハハハ・・・

516 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 03:31:35.74 ID:Iglg8dLy0
 ―――とある前日(次の日)、AM10:30、学園都市第7学区、とあるボロアパート(月詠宅)・・・・・・




月詠「すぅ……くぅ」Zzz・・・

結標「…………、」ジー・・・


 ピンポーン・・・・・


結標「っ……回覧板かしら。まったく、チャイム押すなんて……いつもみたいにポストに突っ込んどいてよ」テクテク・・・ガチャ・・・

神裂「こんにちは」ペコッ

結標「……え」キョトン・・・

神裂「土御門に言われてお邪魔しました。月詠さん、大丈夫ですか?」ジー・・・

結標「あ、うん。寝てるけど……土御門が?」ポカーン・・・

神裂「今朝、月詠さんが風邪で休んだから看病の手伝いを頼むとメールが……お邪魔でしたか?」チラッ・・・

結標「いや……助かるわ。ありがと」コクッ・・・

神裂「いえいえ。とりあえず、お粥を作りましょう。台所を借りますね」コクッ・・・

結標「お願い……あ、何か手伝う?」ジー・・・

神裂「いえ、寝てないのでしょう。目の下にクマが……一晩中看病を?」チラッ・・・

結標「……寝れなかっただけ」フルフル・・・

神裂「そう……銭湯(お風呂)に行って来ても良いですよ。今なら一番風呂かもしれません」フフッ

結標「ううん。大丈夫よ」ジー・・・

神裂「遠慮しないで下さい。困った時はお互い様です。香焼がいつもお世話になってますし……少し湯に浸かるだけでも違いますよ」チラッ・・・

結標「……ごめん」ペコッ

神裂「お気になさらず。一時間くらいのんびりしてきなさい……ん? ガスが?」カチッ・・・カチッ・・・

結標「あ。カセットコンロ使って」チラッ・・・

神裂「なるほど……流石同居人ですね」フフッ

結標「……違う」ボソッ

神裂「え?」キョトン・・・

結標「……何でもない。じゃあお言葉に甘えるわ。一時間くらいで戻ってくるから、それまでお願いね」テクテク・・・

神裂「……ふむ」ジー・・・


 バタンッ・・・・・

517 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 04:13:38.71 ID:Iglg8dLy0
 ――一寸後・・・・・



月詠「……ん」ピクッ・・・


 コトコトコト・・・グツグツ・・・・・


月詠「……結標、ちゃん?」ボー・・・

神裂「おや、目を覚ましましたか。おはようございます」ペコッ・・・

月詠「あ、れ……神裂ちゃん」キョトン・・・

神裂「無理しないでくださいね。結標さんは少々外に出かけてます。直に戻るでしょう」コクッ・・・

月詠「はぁ……けほっ……えっと、如何して?」ポカーン・・・

神裂「とある人から、月詠さんが風邪だと聞いたので見舞いに。あ、熱を測ってみて下さい」チラッ・・・

月詠「ええ……あ! 学校に連絡を!」タラー・・・

神裂「大丈夫ですよ。結標さんが一報してくれた様です。今日は安静にしてて下さい」フフッ

月詠「こほっ……はい」コクン・・・


 PiPi・・・・・


月詠「7℃2分……下がってます」ケホケホッ・・・

神裂「ピークは越えた様ですね。お粥を作りました。食せますか?」チラッ・・・

月詠「ありがとう……あ、一人で食べられるのですよ」コホッ・・・

神裂「では机を出しましょう。少々お待ちを」テクテク・・・


 コトコト・・・カチッ・・・・・


月詠「こほっ……いただきます」ペコッ

神裂「焦らず、どうぞ」コクッ・・・

月詠「ん……美味しい」モグモグ・・・

神裂「それは良かった。一応多めに作っておいたので、必要あれば温めて食べて下さい」フフッ

月詠「申し訳ありません……お世話を掛けてしまいました」コホッ・・・

神裂「いえ。普段、あの子……禁書目録と香焼、もあいがお世話になっています。困った時は何とやらですよ」コクッ・・・

月詠「ハハハ。神裂ちゃんは大人なのですね……そういえば、学校は?」モグモグ・・・

神裂「え、あ……午前の講義が休講になりましたから」ハハハ・・・

月詠「あら、大学生でしたっけ? 先生ド忘れしちゃってました」コホッ・・・

神裂「あはは……いえ、あまり知られてない事なので。(な、何つー嘘を……急場凌ぎとはいえ、我ながらキツい)」タラー・・・

518 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 04:31:25.76 ID:Iglg8dLy0
 ―――また一寸後・・・・・



結標「……ただいま」ガチャ・・・

月詠「おかえりなさい、結標ちゃん」チラッ・・・

結標「あ、うん。小萌起きたんだ」テクテク・・・

月詠「ええ。今さっき神裂ちゃんのお粥を頂いたのですよ」コクッ・・・

結標「うん……ありがと」チラッ・・・

神裂「いえいえ。お気になさらず……それではそろそろお暇します」コクッ・・・

結標「……助かったわ」ペコッ

神裂「どういたしまして。何か困った事があれば何時でも電話してください。私で良ければすぐ駆け付けますよ」チラッ・・・

結標「うん。そうする」ジー・・・

神裂「ええ。あ、一応台所におにぎりを準備しました。食べて下さい。お鍋の方にはお粥があります。其方は月詠さんに」ジー・・・

結標「了解。後で頂くわ……何から何までごめんね」ハァ・・・

神裂「いえ。食事を取った後にでも身体を拭いてあげてください……さて、あの子の昼食を作りに行かねばならないので失礼します」テクテク・・・


 ガチャッ・・・・・


結標「……薬、飲んだの?」チラッ・・・

月詠「ええ。熱も7℃くらいまで下がったみたいです」コクッ・・・

結標「良かった。でも休まなきゃダメよ」ジー・・・

月詠「分かっているのですよ……こほっ……次の日まで長引かせません」フフッ

結標「…………、」ジー・・・

月詠「折角なので、結標ちゃんもお昼を頂いたら如何です?」チラッ・・・

結標「うん……あ、一応プリンとゼリー買ってきたから」スッ・・・

月詠「ふふっ。ありがとう、結標ちゃん」ケホケホッ・・・

結標「大丈夫?」スッ・・・

月詠「ええ……こほこほっ……風邪を伝染すと悪いですね。救急箱にマスクが有ったと思うのですが」スッ・・・

結標「私が取るから其処に居て……無理しないでいいから」ハァ・・・

月詠「……すいません」フフッ

519 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 04:59:32.41 ID:Iglg8dLy0
 ―――はたまた一寸後・・・・・


結標「―――……美味しい」モグモグ・・・

月詠「ふふふっ。流石4姉弟の長女さんなのです」クスクス・・・

結標「……やっぱり、私」シュン・・・

月詠「そう落ち込まないで下さい。人には向き不向きがあるのですよ。先生だってそんなに料理が得意な方じゃないのです」コクッ

結標「そうじゃ、なくて」ジー・・・

月詠「ん……けほけほっ……如何しました?」チラッ・・・

結標「……ううん、何でもないわ。気にしないで」フルフル・・・

月詠「そう、ですか」ジー・・・

結標「……それにしても、小萌でも風邪引くのね」フフッ

月詠「そりゃ人間ですもの。あ、でも滅多には引かないのです。最後に引いたのは……二年前くらいかな」コホッ・・・

結標「そっか。頑丈ね」クスクス・・・

月詠「ええ。先生ですから! それにしても……何だか、久しぶりなのですよ」ジー・・・

結標「え?」ピタッ・・・

月詠「結標ちゃんと真面目にお話するのが、ですよ」フフッ

結標「そう……そうかもね」ジー・・・

月詠「こほっ……一緒に暮らしてるのに起きてる時間が合いませんからねぇ。まさに不良生徒さんなのです」クスクス・・・

結標「私より不良な輩なんてこの街には云千と居るわよ」ボー・・・

月詠「そうですか? 先生が見てきた中では結標ちゃんは屈指の悪い子猫ちゃんなのですよ」ジトー・・・

結標「っ……ば、ばーか。仮にも霧ヶ丘の生徒だっての」フンッ

月詠「あらあら……こほっ……ご機嫌損ねちゃいました」ジー・・・

結標「そりゃ、人を不良扱いすりゃ普通損ねるわよ。キレないだけマシと思いなさい」ケッ・・・

月詠「ふふふ……でも、先生は知ってますよ。不良って言われていても、本当は皆良い子なんです。勿論結標ちゃんもね」チラッ・・・

結標「…………、」ジー・・・

月詠「少々悪い子なくらいの方が、将来馬鹿をしません。良い子過ぎちゃうと逆に将来が不安なのです」ボー・・・

結標「訳、分かんない」ジー・・・

月詠「教師をしてきた感性(経験)なのです。おいそれと小娘に分かられて、たまるかってんですよー」ニヤニヤ・・・

結標「……熱でハイになってんじゃない? ちょっと寝なさい。起きたら身体拭いて上げるから」ハァ・・・

月詠「そんな事ありませんよ……こほこほっ……でも、そうですね。少し、寝かせて貰います」コクン・・・

結標「はいはい。おやすみおやすみ。あ、外の洗濯機回すけど、それくらいは勘弁してね」ヤレヤレ・・・

月詠「ええ。お願い……します……けほっ」スッ・・・


  すぅ……くぅ……


結標「私……屈指の、悪い子か」グッ・・・

520 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/06(火) 05:10:33.74 ID:Iglg8dLy0
はい、今回は此処まで。中々ギャグに出来ないなぁ……これ、ほのぼの? シリアル? 何にしろ、このペースなら四話は短めでいけるかも。


因みに……

・青ピと吹寄のセリフ如何でした。微妙に改善したんだけど、やっぱ違和感ある?

・今回姫神の立ち位置如何しようか。積極的に介入させて良いと思う?


とりあえず、質問意見感想罵倒御指摘リク等々コメントお願いします。ではまた次回! ノシ”
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/06(火) 07:32:16.70 ID:94fUelIao
乙!
青髪と吹寄の口調に違和感はなかったなあ

あと姫神は>>1が動かしやすい程度で介入させていいと思う
姫神も小萌先生のお世話になった身だしね
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/06(火) 14:43:21.95 ID:FPbYd40DO
乙! 『シリアル』では無かったぞww

口調は特には……寧ろ関西弁使ってる青ピに少々違和感が覚えるのは、アニメから入った組だからか?
姫神は任せる。 >>1の姫神とか風斬は好きだから出番やってくれ!

ちなみに、メインヒロインの香焼くんはどうすんの?
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/06(火) 15:26:13.89 ID:F+BdXoHIO
吹寄はもうちょい女の子っぽい話し方でいいかも(青ピはぶっちゃけどうでもいいw)

あと姫神さん好きな俺としては是非介入してほしいけどそこは>>1に任す
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/06(火) 22:27:35.66 ID:WAx+BHCCo
とりあえず吹寄、姫神、青髪の特徴をまとめてみた 確実じゃないけど少しは近づけるはず
そんで間違ってる部分も多いかもしれないから指摘してもらえるとありがたい
でも各キャラに説明させる痛い内容だから見たくない方はスルーを推奨する
と言うか書いてて痛いなーと思ったけどこうでもしないと説明しづらい

偉そうなこと言ってごめんなさい でも口調で叩かれ続けて荒れるのは見てらんないんだよ…
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/06(火) 22:31:10.32 ID:WAx+BHCCo
まずはあたし吹寄制理からね!

上条当麻に対する「貴様」という二人称のせいで勘違いしてるみたいだけど、あたしは至って普通の女性言葉よ。武士みたいな喋り方はあまりしないわ。
二人称も上条当麻以外の描写は少ないけど、姫神さんは「姫神さん」だし、フルネームor貴様は上条当麻限定っていうのが現在の定説ね。
イメージとしては「刀を持った生徒会長」じゃなくて「真面目でキツメな委員長」よ。もっとも委員長は青髪ピアスくんだから勘違いしないでね。
「不幸という屁理屈で人生に手を抜く輩は大嫌い」この言葉を本気ととるか照れ隠しととるかは読み手の捉え方次第ね。ただし、上条当麻の事は心の底から嫌っているという描写はないわ。
趣味として健康に関する知識や通販に目がないわ!健康オタクとも言える位ね。原作だと会話の至る所で栄養を取るよう上条当麻に薦めていたの。
「脳の栄養が足りてないのか。そうかそうか、なら今この場で最優先すべきは糖分の摂取ね!」ってかんじでね。
風邪ひきなんていう美味しいイベントなんだからこの面を強く出さないと健康オタクの名が泣くわ!
それと意外と衝動買いしてグッズを買ってしまうため金銭管理は良くないの。しかも買ったグッズは使わず腐らせてしまうことが多いのも事実よ。
これをうまく絡ませないとただの委員長キャラになるから気をつけなさい。
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/06(火) 22:32:19.31 ID:WAx+BHCCo
次は私。姫神秋沙。

最大の特徴は句点。あまり。女性言葉は使わない。文章の終わりは言い切りが多い。感嘆符とか接続詞の次も句点。これが基本。
女性言葉も読点も。使ったセリフはあったけど。それは過去の話。「わたし、またころしたのね」
本文中の例。「小萌先生。もしダメそうなら。早引きしなきゃダメよ。」→「小萌先生。もしダメそうなら。早引きしなきゃダメ。」こんな感じ。
難しいから。出しづらい。だから。影が薄くなる。ふふふ。これが運命。ウフフ。
ちなみに。影が薄いのは。公式。漫画でスルーされて。追悼企画をやった。ちくしょう。
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/06(火) 22:34:24.58 ID:WAx+BHCCo
最後は青髪ピアスことボクやね。

基本的にはあんま難しいことないで~。ボクの口調は「エセ関西弁」なんや。京都弁でも本場の関西弁でもないんやでー。もうこれでもかってくらいわざとらしい関西弁をつかうとええよ~。
正直ホンマに関西地方に住んでる人だと崩しづらいかもしれへんね。関西弁つこうてるけどあんまキツイ言い回しは使わへんでー。
それとボクがクラスの委員長やで。これは少しでも小萌センセーに会いたいというボクの熱い想いがそうさせたんや!
それとアニメでは無視された設定なんやけど、実は世界三大テノールもビックリの太い声なんやで。そんな声で「とうまぁ」なんて言われたカミやん…ご愁傷様やで…
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/06(火) 22:36:55.74 ID:WAx+BHCCo
書いてみて思ったけど書くのむっずいな でも大きく外れてはないはず 姫神はもっといいのがあるかもしれない
吹寄→武士言葉 姫神→女性言葉 青髪→標準語andリアルな関西弁が違和感の元だと思う

あとローラとか色々言われてた気がするけどアレは私も無理です。すいません
ローラを含めて他の方のSSを参照にするといいかもしれない
土御門は本気ブチギレモードになり過ぎなんじゃないかな。基本イギリス清教内でも巫山戯てるイメージがある
真面目モードでもそこまで棘はないよね

お目汚し失礼しました
532 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 23:08:56.05 ID:Iglg8dLy0
こんばんわ。短いけどボチボチ投下します。


>>521-523
姫神の処遇については考慮します。できれば出してあげたいね! 香焼は勿論メインヒロインですから出ますよ。
あと『シリアス』です! 敢えて突っ込むな!(苦笑)

>>524-525
土御門について。ブチ切れさせたのは『平穏』繋がりだからという意図が有りました。でもやっぱもう少し丸く修正していきますね。
因みに理由は此処での結標が抱いている『小萌(日常)』に対しての思い同様、土御門も『義妹・学級(日常)』を壊されたくない故に、です。

>>526-530
凄い、としか……参考になります。ありがとう!
まだちょっと分からないのは吹寄が3馬鹿(デルタフォース)の他二人に対してです。女性口調で良いのでしょうか?


とりあえず徐々に直していきます。また変なとこあったら、ドンドン指摘してって下さい! そんじゃスタート!
533 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 23:28:32.05 ID:Iglg8dLy0
 ―――とある前日(また次の日)、AM08:35、学園都市第7学区、とある高校(上条の高校)・・・・・・


  キーンコーンカーンコーン・・・・・


月詠「おはようございます、ヤロー共ー! 全員席に着くのですよー!」ガララッ・・・

青ピ「やっほーぅい! 小萌先生様々~!!」ガタッ!!

月詠「席に着けって言ったのに何で立つんですかー」ンモー

吹寄「そりゃまぁ二日も学校休まれたら心配しますよ」フフッ

上条「先生、もう完璧に大丈夫なんですか?」ジー・・・

月詠「ええ、もうピンピンなのです。しっかり寝てしっかり休みましたからねー! さ、出席取りますよ―――」フフッ



  ガヤガヤ・・・ざわざわ・・・・・


月詠「―――お休み遅刻共に無しっと。それじゃあ今日も一日頑張りましょうねー」ペコッ

生徒一同『はーい』コクッ・・・

月詠「さぁてと。それじゃあ私は3年生の科学の準備をー」トコトコ・・・

土御門「小萌センセー」テクテク・・・

月詠「はい? 何でしょう」チラッ

土御門「本当に大丈夫なのかにゃ? 休んでる間変な料理食べさせられたり杜撰な扱い受けたりしなかったかぃ?」ジー・・・

月詠「はぁ? 何がですか?」キョトン・・・

土御門「……あ、いや、何でもないぜぃ。気にしないで~」クルッ・・・テクテク・・・

月詠「ほぇ?」ポカーン・・・


土御門「……杞憂か」クイッ・・・

姫神「……土御門くん」ジー・・・

土御門「ん?」チラッ・・・

姫神「淡希。しっかり看病してた。何考えてるか分からないけど。早とちりしないで」ジー・・・

土御門「……はいはい」テクテク・・・

姫神「…………、」ジトー・・・

上条「おい、姫神。如何した?」チラッ

姫神「何でもない。ただ。ちょっと。彼が馬鹿な真似しそうだから。釘刺しといた」スッ・・・

上条「ん……まぁ仲良くな。喧嘩すんなよ」テクテク・・・


姫神「淡希は。味方少ないから……それでも。私と先生は。味方の……つもり」ボー・・・

534 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 23:39:34.59 ID:Iglg8dLy0
 ―――とある前日(また次の日)、AM11:30、学園都市第7学区、とあるボロアパート(月詠宅)・・・・・



  ポタポタ・・・ピチャン・・・・・



結標「―――ん……あ」ボー・・・



  チク・・・タク・・・・・



結標「もう、昼前か。小萌は……学校(仕事)行ったんだ」チラッ



  ポタポタ・・・ピチャン・・・・・



結標「また雨漏り……いい加減サランラップとガムテープだけで補修するんじゃなくて業者を……ん」スッ・・・



 『看病ありがとうございます! もう元気百倍なのですよー! 今日はお礼に甘いモノを買ってきてあげるのです♪』



結標「…………、」ジー・・・



 ガサゴソ・・・カキカキ・・・・・



結標「……ありがとう、小萌」テクテク・・・ガチャッ・・・



  バタンッ・・・カチャッ・・・・・

535 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 23:55:46.70 ID:Iglg8dLy0
 ―――とある前日(また次の日)、PM07:30、学園都市第7学区、とあるボロアパート(月詠宅)・・・・・





月詠「ふんふふ、ふんふふ、ふんふーふ~♪ シャトラのプリンシュークリーム買っちゃいましたよ~」テクテク・・・



 ガチャッ・・・・・



月詠「鍵閉ま……結標ちゃん出掛けてるのでしょうか? んもー机上に伝言メモ置いといたのにー……ただいま帰ったのですよー」カチャッ・・・



  ポタポタ・・・ピチャン・・・・・



月詠「結標ちゃーん、起きて下さーい。電気点けますよー」パチッ・・・



   ポタポタ・・・ピチャン・・・・・



月詠「あ、靴が無い! やっぱりお出掛けしちゃったんですねー……折角シュー買ってきたのですけど」ムゥ・・・テクテク・・・



    ポタポタ・・・ピチャン・・・・・



月詠「仕方ありませんね。夕飯作って待ってましょうか。流石に今日は甘いモノで釣ったから、遅くならないでしょう」トコトコ・・・



     ポタポタ・・・パシャン・・・・・



月詠「それにしても遅くなる時は一報してっていつも……ん? あぁ、また雨漏りが……って、あら? 私の書き置きじゃない―――」チラッ・・・



      ポタポタ・・・ポタ・・・ポタ・・・・・



月詠「―――の、で……っ!」バッ! Pi!



 『此方は●●●サービスです。お掛けになった電話番号は、現在電波の届かない場所に在るか、電源を落としているかで掛りません』



月詠「あの、お馬鹿娘さん!」パタパタパタッ・・・

536 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/07(水) 00:21:10.75 ID:1r7aVMTo0
 ―――とある前日(また次の日)、PM08:30、学園都市第7学区、とある公園(イカれ自販機在中)・・・・・




  パタパタパタパタ・・・・・



月詠「―――ハァハァ……っ」キョロキョロ・・・グッ・・・



  パタパタパタパタ・・・・・



月詠「ハァハァ……っ……居ない……です」キョロキョロ・・・


香焼「―――だから甑島と角力(すもう)のヤツに学校休むなって言わないと……ん? あれは……、」ピタッ・・・

五和「―――まぁまぁ。あの2人は昔からだし私から如何こう言っても……どったの? って……月詠さん?」ジー・・・

浦上「―――お姉だって意外と遊んでますからネー……って、あ。何か焦ってるみたいですヨ」フムフム・・・


月詠「っ……あ」キョロキョロ・・・ピタッ


香焼「こんばんは、月詠さん。如何したんすか?」テクテク・・・

月詠「こ、香焼ちゃん!」ガシッ!

香焼「え、あ、はい。な、何でしょう」タラー・・・

月詠「結標、ちゃん……お邪魔してませんか!?」グッ・・・

香焼「淡希さん? え、と、家に来る連絡は着てませんけど」ウーン・・・

浦上「まぁ結標さんは香焼の意志無視して遊び来ますけどネ。私達とか姉様も居ますし」ハハハ

五和「一応姉さんにメールで聞いてみますね」カチカチ・・・

月詠「す、すいません。お願いするのですよ」ハァハァ・・・

香焼「……淡希さん、如何かしたんすか? 家に居ないのはいつもの事なんじゃ」ポカーン・・・

月詠「そうなのですけど……今回はそうじゃないのですよ!」アタフタ・・・

香焼「え?」キョトン・・・

浦上「……訳有り、みたいですネ」ジー・・・


 Prrrr・・・・・


五和「あ、返信……来てないそうですよ。麦野さんだけだとか」ジー・・・

月詠「そう、ですか……ありがとうございます!」バッ・・・パタパタパタ・・・

香焼「あ、つ、月詠さん!」パッ

月詠「また後で連絡するのです! 今は急いでるので……失礼します」タタタタ・・・

浦上「行っちゃった……もう見えない。足速いですネー」アハハ・・・

五和「ねぇ……『仕事』の方、じゃないのかな?」ムゥ・・・

香焼「分かんない。でも……少し探った方が良いかも。とりあえず家に戻ってから姉さんと相談しよう―――」コクン・・・


537 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/07(水) 00:43:42.14 ID:1r7aVMTo0
 ――一寸後、香焼宅・・・・・



香焼「ただいまー」ガチャッ・・・

五和「ただいま帰りました」テクテク・・・

神裂「お勤め御苦労さまです。戻って早々で悪いのですが、建宮から伝言が」テクテク・・・

浦上「うわぁ嫌な予感」タラー・・・

神裂「何でも、五和及び浦上は明後日までに日本を発って欲しいそうです。因みに私も一緒との事で」ハハハ・・・

五和「あちゃー……また荷造りかぁ」ウヘェ・・・

香焼「自分は?」キョトン・・・

神裂「今回戻るのは私と、五和・浦上・平戸・西海のみですよ」コクッ

香焼「…………、」フム・・・

五和「……あ、今『何で自分はハブなんだ?』って思ったでしょ」チラッ

浦上「と同時に『久しぶりに姉さん達居ないのか……よっしゃー!』とも思った筈ですネ」ニシシ!

香焼「お、思ってないよ!」アタフタ・・・

五和「コウちゃん……とりあえずまだ中一なんだから責任取れない事やっちゃダメだよっておわぁ!!? あ、危ないわよ!」アタフタ・・・

香焼「何想像してんだか知らないがくたばれ」ジトー・・・

浦上「こらこら喧嘩しないの。お客さんも居るんだし……とりあえず上がりましょ。香焼も鋼糸(ワイヤー)しまいなさいナ」テクテク・・・

香焼「ぐぬぬ……、」ジトー・・・



  バリバリ・・・モグモグ・・・・・



麦野「んー? お帰りー」モグモグ・・・

香焼「この人は如何して他人の家のソファで平然と寝転がりテレビ見ながら煎餅貪ってるんだろう」ハァ・・・

浦上「説明乙!」ビシッ

五和「あれ? 最愛ちゃんは来てないんですか?」キョロキョロ・・・

麦野「映画行ったわ。確か『迷彩服とドラグノフ』とかいうヤツよ」バリバリ・・・ムシャムシャ・・・

香焼「何その当たり前なタイトル!? 面白味も何も感じられない……犠牲は浜面さんっすか?」タラー・・・

麦野「そーよ。そろそろアンタが代わってやんなさい」チラッ

香焼「……遠慮します」ダラダラ・・・

538 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 :2011/12/07(水) 01:30:35.56 ID:1r7aVMTo0
神裂「今ご飯出しますね。ところで……先程のメールは?」チラッ

五和「あぁ。えっと、月詠さんが結標さんを探しているみたいだったので、此処に居ないかと」コクッ

麦野「仕事じゃないのー?」バリバリ・・・

もあい「んなー」コロコロ・・・

神裂「麦野さん、もうご飯出しますから間食は止めて下さい」ヤレヤレ・・・

香焼「……淡希さん、遅くなる時は必ず一報してました」ジー・・・

麦野「ふーん……まぁ元々不良娘だし、どっかほっつき歩いてんじゃないの? 放っておけば腹減って帰ってくるわよ」ゴロン・・・ナデナデ・・・

五和「私達もそう思ったんですけど、月詠さんの様子がおかしくて」ウーン・・・

浦上「喧嘩したとか」ピンッ

香焼「それはしょっちゅうだけど、月詠さんは家飛び出したりしないよ。絶対帰ってくるの待ってる筈だから」ムゥ・・・

神裂「ふむ。病み上がりの月詠さんと喧嘩になるとは思えませんが……あれだけ必死に看病してましたし」ジー・・・

麦野「よく分かんないけどさぁ、一人暮らしでもしたくなったんじゃないの? ずっと先公の家居て窮屈だったんでしょ?」チラッ

もあい「にゃ?」チラッ

香焼「それは……無いと思います。何だかんだで、月詠さんに依存してたから」フム・・・

五和「……コウちゃん、結標さんに電話してみれば? 一応さっき私メールしたけど、返事無い。コウちゃんなら出るかもよ」チラッ

香焼「どうかなぁ―――」Pi!


  『此方は●●●サービスです。お掛けになった電話番号は、現在電波の届かない場所に在るか、電源を落としているかで掛りません』


香焼「―――……駄目だ」ハァ・・・

浦上「……姉様。土御門に聞いてみては?」チラッ

神裂「んー、なるべく都市の仕事については関与するなと言われているのですが」ポリポリ・・・

浦上「じゃあ話ついでに結標さんの事聞いてみるってのは如何でしょ。明後日以降の仕事の件で……ついでに、みたいな感じで」コクッ

神裂「成程……では少々外しますね」テクテク・・・

香焼「…………、」ムゥ・・・

麦野「やれやれ。色んなヤツに迷惑掛ける女だねぇ、アレも……坊やも絹旗(ウチの)といい、第5位といい大変だわ」ハハハ

もあい「みー」ペシペシッ

香焼「……大変だなんて、思った事無いっすよ」フンッ

麦野「にしては色々手ぇ込んだ真似するじゃない。暗部って知ってて知らないフリしたり、女装してまで接触したり」ニヤリ・・・

香焼「麦野さんこそ、何で自分達の事知ってて……他にばらさないんすか」ムゥ・・・

麦野「ばらして良いの?」フフッ

香焼「…………、」ジトー・・・

麦野「ハハハ。怖い顔しないでよー。一応、坊やん家(此処)は私の『平穏』の一部でもあるの。態々崩壊させないわ」クスクス・・・

香焼「……信じますよ」テクテク・・・

麦野「ええ。美偉にばらさない限りは、私もばらさないわ。私、平和主義者だもの」フフフ・・・

五和「平和、主義者……え?」タラー・・・

麦野「そうよー。私は皆平等に愛する([ピーーー])ものー」ボウヨミー・・・

浦上「ハハハハ。物騒なルビが見えましたけど、修正されましたネ」フフッ

麦野「まぁ今は火織の持ってくる答えに期待するしかないんじゃない? 坊やも落ち着いて待ってなさいよ」フフッ

香焼「……むぅ」ジー・・・

もあい「にゃん」トコトコ・・・

539 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 :2011/12/07(水) 01:55:46.67 ID:1r7aVMTo0
 ――一方、神裂side・・・・・



神裂「―――……つまり、麻薬プラントを抑えるついでに英国のモノに、と?」キョトン・・・

土御門『怒るなよ。処分については俺らが決める事じゃなく、MI6(秘密情報部)の上や提督さん(エリザードの旦那)が決める事だ』

神裂「それは分かっていますが……DEA(合衆国麻薬取締局)の対応は?」フム・・・

土御門『安心しろ。今FBI(連邦捜査局)との縄張り争いで忙しいからソッチに手は回らん。ま、詳しくはステイルに任せてある』

神裂「現地で聞け、と……まったく内輪揉めに助けられるとは……兎角、了解です」コクッ

土御門『ああ。それじゃ―――』

神裂「あ、そういえば……土御門」

土御門『―――ん? 何か』ピタッ

神裂「今日は仕事ですか?」

土御門『仕事……何を指してるか分からないが、家に居たぜぃ。義妹も一緒だにゃ。今日はデザートも準備しててくれてな!』ニャハハ!

神裂「そ、そうですか」タラー・・・

土御門『しかも心成しか給仕服のアイロン丁寧なんだぜぃ! これはもぅ今夜……ぐへへ』ニヤニヤ・・・

神裂「(またこの義兄は……いや、義妹の方もちょっとアレでしたね)……なら、良いのです」ハハハ・・・

土御門『ふふふふ……ん、そういやぁ何でそんな事聞くんだにゃ?』キョトン・・・

神裂「いえ、ちょっと気になった事がありまして……仕事じゃないなら結標さんは一緒じゃないのですね」コクッ

土御門『……アイツの名前出すな。胸糞悪ぃ』ケッ

神裂「何かありました?」フム・・・

土御門『何でもねぇぜー。ちょっとしたイザコザ程度だにゃ』ハァ・・・

神裂「なら、良いのですが……月詠さんが結標さんの事を探してましたからね」

土御門『何』ピタッ

神裂「もしかして連絡しないまま仕事に出ただけなのかと思いましたが、違ったようです」

土御門『…………、』タラー・・・

神裂「土御門?」

土御門『あ、いや……何でもない。ねーちんはこの件について放っておいて貰って大丈夫だぜぃ! 自分の仕事に集中してくれ』ハハハ

神裂「何か知ってるのですか?」ジトー・・・

土御門『いや……俺が知りたいっつーの。あの女郎、我らが小萌センセに迷惑掛けやがってぇ』ムムム・・・

神裂「……そうですか。何か分かったら教えて下さい」ジー・・・

土御門『ああ。俺にも教えてくれにゃ。んじゃまたなー』Pi!

神裂「……ふむ。電話越しでは真意は分かりませんね」ポリポリ・・・

540 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 :2011/12/07(水) 02:17:23.54 ID:1r7aVMTo0
 ―――再び、リビング・・・・・



五和「あ、姉さん。先に配膳してましたよ」チラッ

神裂「ありがとうございます」テクテク・・・

香焼「何か分かりました?」ジー・・・

神裂「いえ、何か知ってそうな雰囲気でしたが……これに関係しているか如何かまでは」フルフル・・・

浦上「……まぁそういう場合は大体隠してるモンですけどネ」フーン・・・

香焼「直接月詠さんに聞いた方が良いかな」ムゥ・・・

五和「でも、身内揉めかもしれないし……下手に他人が介入するのも難だよ」チラッ

神裂「しかし、なんとか月詠さんが心配してると一報出来ないものでしょうか」ハァ・・・

浦上「せめて結標さんの携帯が通じれば良いんですけどネ」フムフム・・・


 ウーン・・・・・


麦野「ホント……アンタら全員、姉弟してお節介焼きよね」アハハ・・・

香焼「そりゃ友人っすから捨て置けませんよ……麦野さんは心配じゃないんすか?」チラッ

麦野「別にぃ」サラッ

もあい「……なぅ」ジー・・・

五和「そんな薄情な」ムゥ・・・

麦野「痴話喧嘩でしょ。暫く放っておきなさい……それが最善だって」ヨッコイショ・・・ゴロン・・・

神裂「時間が、解決すると?」ジー・・・

麦野「仕事と違って『日常』から生じた問題なんてそんなモンよ……違う?」フフッ・・・

天草4姉弟『…………、』ムゥ・・・

麦野「兎に角、今手ぇ出すのは拙いわねー。結標みたいなヤツは直ぐ帰れみたいに言われたら逆に意地張るわよー」ニャー

もあい「にゃん」フシフシ・・・

香焼「……でも」ウーン・・・

五和「いや、一理あるわね。結標さんの性格考えれば確かにそうかも」コクッ

浦上「結構、意固地頑固で我儘ですからネ」ハハハ・・・

香焼「……そう、かな」ポリポリ・・・

麦野「そうそう。とりあえず今日はもう遅いし……早く飯喰わせろー」ウガー

神裂「……ええ。後で月詠さんに一報だけしておきましょう。3人共、今は食事を」コクッ

五和・浦上「「はい」」コクッ

香焼「……むぅ」ジー・・・

もあい「みー」ジー・・・

541 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 :2011/12/07(水) 03:21:55.24 ID:1r7aVMTo0
 ―――とある前日(また次の日)、PM10:30、学園都市第7学区、とあるボロアパート(月詠宅)・・・・・





  ガチャッ・・・・・



月詠「……やっぱり、帰ってませんね」テクテク・・・



  ポタポタ・・・ピチャン・・・・・



月詠「結標ちゃん……如何して」ジー・・・



   ポタポタ・・・ピチャン・・・・・



月詠「何で、急に……何で」ウルウル・・・



    ポタポタ・・・ピチャン・・・・・



月詠「理由があるのなら、引き留めません……でも……それでも……っ」ギュッ・・・



 『御世話になりました。今までありがとう。     あと、悪い子でごめんね』



月詠「こんなの……っ……誰も、納得しないのですよ……ううぅ」グズッ・・・



     ポタポタ・・・ポロポロ・・・・・



月詠「先生が……ぇぅ……嫌いに、なっちゃったんですか……っ」グッ・・・



      ポタポタ・・・ポロ・・・ポロ・・・・・



月詠「それなら、それでも良いのです……でも……っ……貴女は、何も解決していないのですよ……ぇ、ううぅ」クシャッ・・・



        ポロポロ・・・ポロポロ・・・・・



月詠「貴女の中で……何も……ううぅ……夢も、希望も、目標も……何も、見つかってないでしょう……っ……ばかぁ」ギュッ・・・



           ポタ・・・ポロ・・・ドシャアアアァ・・・・・



月詠「う、ぅ……うわああああぁんっ!! 結標ちゃんの馬鹿あぁー!」ドサッ・・・



                                    バシャアアアァ・・・・・―――

542 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 :2011/12/07(水) 03:58:04.61 ID:1r7aVMTo0
 ―――とある前日(また次の日)、PM11:00、学園都市第7学区、とある学生寮の一室(土御門家)・・・・・






舞夏「―――んー……あにきー、早く来ないと寝ちゃうぞー」ムニャムニャ・・・

土御門「ちょいっと待っててにゃー。すぐ終わるからー……『準備体操』して待っててくれぃ」ニカッ・・・テクテク・・・

舞夏「んもー……知らなーいっ」ゴロンッ・・・


 ガララ・・・・・


土御門「ったく、面倒掛けやがって……おい」Prrr・・・

海原『はいはい、こんな時間に何でしょう』Pi!

土御門「聞きたい事がある」ハァ・・・

海原『嫌です』キッパリ・・・

土御門「…………、」タラー・・・

海原『ハァ……まぁ聞くだけ聞きましょうか』ヤレヤレ・・・

土御門「すまん……結標の居所に心当たりないか?」ポリポリ・・・

海原『はい? 貴方の担任の家では?』キョトン・・・

土御門「……家出したらしい」チッ・・・

海原『……興味有りません。切りますね』スッ・・・

土御門「待て待て待て! あーその……なんだ。探してくれないか」ハァ・・・

海原『拒否します』サラッ・・・

土御門「金は出す。お前がダメなら妹達(シスターズ)に頼んでも良い」ムゥ・・・

海原『自分は嫌です。妹達に連絡付けたいなら自分で交渉して下さい。スネーク(17600号)の連絡先知ってるでしょう』ハァ・・・

土御門「知ってるが……アイツ、お前が動かないと動かんだろう」タラー・・・

海原『なら諦めて下さい。僕は理由も無く彼女と一方通行は追い駆けたくない……それから貴方もね』コクッ

土御門「ぐっ……薄情モン」チッ・・・

海原『その様子だと、どうせ貴方が蒔いた種でしょう? 嫌ですよ、絶対……黒妻さんにでも頼んだら如何です? もしくは服部さん辺り』

土御門「……理由を知られたくないんだぜぃ」ムググ・・・

海原『そんな都合の良い話、誰も乗りませんよ……頑張って自力で探して下さいね。それでは、おやすみなさい』Pi!

土御門「ちょ、待……糞っ!」チッ・・・テクテク・・・


  ガララ・・・・・


土御門「……すまん、待たせ―――」

舞夏「すぅ……むにゃ」Zzz...

土御門「―――た、にゃ……畜生……あの糞女がぁ……覚えてろよ」ムググゥ・・・

543 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 :2011/12/07(水) 04:18:36.61 ID:1r7aVMTo0
 ―――とある前日(また次の日)、時間は戻りPM01:30、学園都市第7学区、???・・・・・



  カツカツカツ・・・・・



少年A「―――んでさぁ。カーテンの色ピンクだから外から見てエロいの何の」ハハハ

少年B「いや、常識的に考えて馬鹿なだけだろ……って、ん?」チラッ・・・


結標「…………、」カツカツカツカツ・・・


少年A「な、う、ちょっ!?」ギョッ・・・

少年B「お、おいおい……幻覚見てる訳じゃねぇよな」タラー・・・

少女C「おーい、アンタらー。遊んでないで書類の整理手伝って、よ……あら?」チラッ・・・

結標「……うぃ」テクテク・・・

少年A・B「「あ、あわきん!?」」ギョッ・・・

結標「あわきん言うなし」ポカッ!!

少女C「……珍しいわね。こんな時間、連絡も寄越さず此処に足運ぶなんて」フフッ

結標「ちょっとね……邪魔するわよ」カツカツ・・・

少年D「如何した、C……って、淡希か」ジー・・・

結標「ええ。お邪魔するわ」コクッ

少女C「そんな他人行儀な。遠慮しなくて良いわよ、淡希。此処は貴女の『城』じゃない」クスクス・・・

少年D「ああ、些か久しぶりだがな。殿様の御帰還は何年ぶりだ?」ニヤリ・・・

結標「せめて姫って言いなさいよ。あと、大袈裟。二週間前くらいに一回来たでしょ」フンッ・・・

少年D「ハハハ、皮肉だよ。まぁいつも通り勝手気まま、好きに居座ってくれ」ニヤッ・・・

結標「ええ。そうさせて貰うわ」テクテク・・・

少女C「にしても……大荷物ね。まさかホントに御帰還だったりする?」フフッ

結標「そうね……そうかも」フッ・・・

少年D「……えー」タラー・・・

結標「何よ、その顔。私が殿様なんでしょ?」ジトー・・・

少年D「……まぁな」ハハハ・・・

少年A「あ、あわきんが帰ってきたぞおおおおぉ!!」パタパタパタ・・・

少年B「今回は本格的に腰据えるってよー!」ワーイ!

結標「ちょ、あ、アンタ達! 騒がないでよ!」アタフタ・・・


  エ? アワキンガ!? カエッテキター!! ヤッホーゥイ!! アワッペー! リーダーガモドッテキタゾー!! ヒャッハー! アワキサーン!! Oh good! ヤッター!


結標「……んもぅ」///

少女C「ふふっ。まぁまぁ、皆嬉しいのよ」クスクス・・・

少年D「さぁさぁ、入った入った。我らがリーダーさん……おかえり」フフッ

結標「ただ、いま……みんな」テクテク・・・/// 
 
554 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 :2011/12/10(土) 22:16:52.29 ID:dG8/hrtv0
 ―――とある日、AM08:40、学園都市第7学区、とある高校(上条の高校)・・・・・・



  キーンコーンカーンコーン・・・・・ガヤガヤ・・・ざわざわ・・・


上条「うーん……先生、今日も遅いな」ボー・・・

青ピ「ま、まさか風邪が再発したとかやないの!?」アタフタ・・・

吹寄「そう何度も何度も引くもんじゃないわよ。用事か何かで遅れてるんじゃないかしら」ジー・・・

上条「だけどさ、基本的に時間にはキチンとした人だし……土御門?」キョトン・・・

土御門「……ん? あー……さぁねぇ……すぐ来るんじゃにゃいか」ボケー・・・

上条「なら、良いんだけど」ムゥ・・・

姫神「…………、」チラッ・・・


  ガララッ・・・・・


吹寄「ほら見なさい」クイッ

月詠「…………、」テクテクテク・・・

青ピ「むむ? 先生の様子がおかしい……小萌せんせーい! もしかして今日も調子悪いやないですか!?」ガタッ

月詠「え……いえ、そんな事は……あはは、遅れちゃって申し訳無いのですよー」ペコッ・・・

姫神(……ん)ジー・・・

月詠「ちょっと所用で……気にしないで下さい。それじゃ出席取るのです―――」


  キーンコーンカーンコーン・・・・・


月詠「―――……それでは、今日も一日頑張りましょう」コクッ・・・

生徒一同『はーい』ガヤガヤ・・・

月詠「では……授業に……、」テクテク・・・


上条「……やっぱ様子変だな」ジー・・・

青ピ「な、何があったんやろぅ」タラー・・・

吹寄「気になるけど……先生から話さないって事はプライベートな事なんでしょ。私達生徒がズカズカ入り込む訳にはいかないわ」コクッ

上条「……そうだけどさ」ポリポリ・・・

吹寄「と・く・にっ! 貴様の事を言ってるのだ、上条当麻。貴様が関わると大体話が縺れるだろうが」キッ・・・

上条「ひ、酷い言われようだな」ムゥ・・・

土御門「……俺も吹寄の意見に賛成だぜぃ。必要なら先生の方から話すにゃー」ポンッ

青ピ「なら、良いんやけど」ハァ・・・

土御門「そうそう。それに、小萌センセもああ見えて女だぜぃ。もしかしたら『色々』あるのかもしれないにゃべらっ!!」ゴンッ!!

吹寄「最っっっ低! そういう事この場で言うなカス! [ピーーー]!」ゲシゲシッ!!

土御門「痛だだだだぁっ!! か、可能性としての話を言ったまでだわばぁっ!!」フシュー・・・

上条「今のはお前が悪い」キッパリ・・・

吹寄「ったく……ねぇ姫神さんからも……って、あれ? 居ない?」キョロキョロ・・・

青ピ「姫ちん、気配消して移動する癖止めて欲しいんやけどなぁ……何処行ったんやろ?」フム・・・

土御門「……ん」タラー・・・

555 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/10(土) 22:36:30.08 ID:dG8/hrtv0

  ガヤガヤ・・・ざわざわ・・・・・



月詠「―――……ハァ」トボトボ・・・

姫神「小萌先生」ヌッ・・・

月詠「え……あ、姫神ちゃん……如何しました?」チラッ・・・

姫神「……それは。こっちの台詞」ジー・・・

月詠「っ……えっとー、如何いう意味なのですか?」ピタッ・・・

姫神「何があったの?」ジー・・・

月詠「何って、さっきも言った通り所用なのです」コクッ・・・

姫神「…………、」ジー・・・

月詠「……じゃあ先生、授業がありますから一回職員室戻りますね。姫神ちゃんも一限の準備をしなきゃダ――」

姫神「淡希。ね」テクテク・・・

月詠「――メな、の……っ」テクテク・・・ピタッ・・・

姫神「もう一度聞きます。何があったの?」パシッ・・・

月詠「……結標ちゃんは……っ」ウルウル・・・

姫神「っ!! 淡希に何かあったの!?」ギョッ・・・

月詠「結標、ちゃんは……もう……っ……結標ちゃんが、家に……うぅ」ウルウル・・・

姫神「小萌先生!」ジー・・・

月詠「う、ううぅ……うわああああぁんっ!! 結標ちゃんがあぁ!! うええええぇんっ!!」ビエー!!

姫神「っ!! ちょ。せ。先生!?」アタフタ・・・



  ざわざわ・・・どよどよ・・・・・



生徒A「何だ?」ボソボソ・・・

生徒B「ん……あれ月詠先生じゃね? 何で泣いてんの?」ジー・・・

生徒C「隣に居る子って転校してきた一年生じゃない。まさか、泣かせたの?」ジトー・・・

生徒D「何々? 事件発生か?」キラキラ・・・



  ガヤガヤ・・・アーダコーダ・・・・・



月詠「うぇええーーーーーーーーーんっ!! わぁあああぁーーーーーーんっ!!」ビギャー!!

姫神「こ。小萌先生……あーもう……如何しよう」ダラダラ・・・


黄泉川「―――こらぁ! お前ら溜まるなっつってんじゃん!! さっさと教室戻って一限の準備しろ!!」ガオー!!

姫神「あ。よ。黄泉川先生!」ホッ・・・

黄泉川「ったく……ん? 姫神じゃん……まぁ話は後じゃん。小萌先生連れて保健室に行く。手伝って頂戴」コクッ・・・

姫神「……はい」チラッ・・・

月詠「えええぇーーーーーーんっ!! 結標ちゃああぁーーーーんっ!!」ギャースッ!!

556 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/10(土) 23:16:07.04 ID:dG8/hrtv0
 ――一寸後・・・・・



月詠「ひっく……えっぐ……ううぅ」ポロポロ・・・

養護教諭「月詠先生、きっと大丈夫ですからね。一先ず落ち着きましょう」ポンッ・・・


黄泉川「ハァ。ヤレヤレじゃん」ポリポリ・・・

姫神「…………、」ジー・・・

黄泉川「……んで? お前は一体小萌先生に何言ったじゃん?」チラッ・・・

姫神「……先生の。同居人の事」ジー・・・

黄泉川「あー……そっか。姫神はあの子と仲良かったのか。じゃあ勘付いてもしゃーないじゃんよ」テクテク・・・

姫神「黄泉川先生は。知ってたの?」チラッ・・・

黄泉川「まぁ昨夜の時点で……11時過ぎに幼女が歩き回ってるっつー通報受けて行ってみりゃ職場の同僚ときたじゃん」ハァ・・・

姫神「淡希を。探して?」フム・・・

黄泉川「らしいじゃん。まったく、ウチのドラ息子もそうだけど……あの不良娘も迷惑掛けやがって」ハァ・・・

姫神「……詳しい状況。聞いてるの?」ジー・・・

黄泉川「とりあえず書き置きだけして消えたとか。出ていくにしても顔見て礼言って出てくのが筋ってもんじゃん」チッ・・・

姫神「そう……なんだ」ムゥ・・・

黄泉川「別れが辛いから黙って行きたいっつー気持ちも分からんでも無いけど、それでも些か急過ぎじゃん」ジー・・・

姫神「ええ。多分。『誰一人』として。納得してない筈」ギリッ・・・

黄泉川「当の本人もってか? 何だそれ?」キョトン・・・

姫神「……ごめん。黄泉川先生。私。授業に戻る。後は。お願い」クルッ・・・テクテク・・・

黄泉川「ん、おぅ……態々すまないじゃん。ありがとな」コクッ・・・

姫神「いえ……此方こそ。ありがとう」ガララッ・・・テクテク・・・



 カツカツカツ・・・・・


姫神「…………、」Prrrrrr・・・・・

 『此方は●●●サービスです。お掛けになった電話番号は、現在電波の届かない場所に在るか、電源を落としているかで掛りません』

姫神「……チィ」ギリッ・・・


 カツカツカツ・・・・・ガララッ!



親船「―――このような置き換えを行って得られる自然数を『X n+1』とします……ん、姫神さん?」キョトン・・・

吹寄「姫神さん! 何処行ってたのよ!?」タラー・・・

姫神「……心配掛けたなら。ごめん。親船先生。後で理由を話します」チラッ・・・テクテク・・・

親船「え、ええ、席に着いて。隣の子、何処まで進んだか教えてあげ……って、何処行くの? 貴女の席そっちじゃないでしょう」キョトン・・・

上条「ひ、姫神?」ポカーン・・・

姫神「…………、」テクテク・・・

557 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/10(土) 23:30:21.04 ID:dG8/hrtv0
親船「ひ、姫神さん!?」タラー・・・

姫神「…………、」テクテク・・・ピタッ・・・ジー・・・

土御門「……あん?」チラッ・・・

姫神「…………、」ジー・・・

土御門「……何かにゃ?」フイッ・・・

青ピ「ひ、姫ちん? 何で土御門くんの前に突っ立ってるんや?」タラー・・・

吹寄「姫神さん?」タラー・・・


 ざわざわ・・・ガヤガヤ・・・


土御門「……あのー、姫神さーん。俺の授業妨害すんのやめてくれないかにゃー?」ジー・・・

上条「さっきまで寝てたくせに」ジトー・・・

姫神「…………、」ギロッ・・・

土御門「……何だよ」ジー・・・

姫神「……屋上」クイッ・・・

一同『っ!!?』ギョッ・・・

土御門「お、おいおい。姫神ぃ……愛の告白にしては大胆過ぎやしないかにゃ? 悪いが俺はこう見えて義妹一筋なん――」

姫神「黙れ。来い。来なきゃ呪い殺す」テクテクテク・・・

土御門「――だ、ぜぃ……っ」タラー・・・


  ざわざわ・・・ガヤガヤ・・・


親船「ちょ、待、ひ、姫神さん!? 授業中よ!!」アタフタ・・・

姫神「……体調が優れない。少々風に当たってくる」テクテクテク・・・

吹寄「待って姫神さん!」ガタッ・・・

姫神「来ないで。来るのは……彼だけで。いい」ギロッ・・・テクテクテク・・・

吹寄「っ……土御門! 貴様何をした!!」ギロッ・・・

土御門「知らないにゃ……あーもぅ……センセ、すいません。何か御指名受けちゃったんで行ってきまーす」ガタッ・・・テクテクテク・・・

親船「土御門くんまで!?」タラー・・・

土御門「あーダイジョブダイジョブ。あわよくば連れ帰ってくるぜぃ。んじゃそういう事でー」テクテクテク・・・

上条「……おい」チラッ・・・

土御門「……心配すんなって。多分『危険な事』じゃないぜぃ。安心しろって」ボソッ・・・テクテクテク・・・


  ガララッ・・・シーン・・・・・


親船「……んもー! 如何しろっていうのよー!」ウギャー!

558 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 00:08:46.96 ID:ynJZzkMAO
なんつーかキャラがみんな安いな
姫神の魅力が全消し
559 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 00:14:52.84 ID:zv2dtPkE0
 ――一寸後、屋上・・・・・



  カツカツカツ・・・・・


土御門「……はぁ」テクテクテク・・・ガチャッ・・・

姫神「…………、」ジー・・・

土御門「……何の用かにゃ?」ヤレヤレ・・・

姫神「……言いたい事。分かってるでしょう」ジトー・・・

土御門「さぁ。何の事やら」フイッ・・・

姫神「恍けて……如何責任取るつもり?」ジー・・・

土御門「おいおいおいおい。ちょい待て。勝手に話を勧めるなってーの」クイッ・・・

姫神「……私が男だったら。此処で貴方に拳の一発でも。入れてる所」ギリッ・・・

土御門「怖いにゃぁ……でも、俺には何の事やらさっぱりで――」ハンッ

姫神「私は言った。『先生が解決する』。『必要なら私から話す』……だから『貴方は口出しするな』と」ギロッ・・・

土御門「――……で?」フンッ

姫神「あくまで。しらばっくれる気? そう……なら。もう良い。私が何とかする」テクテクテク・・・

土御門「……ふんっ」チッ・・・

姫神「どんな意図があって。あの子に『どんな事』をしたのか。分からない。けど……――」テクテクテク・・・

土御門「あ?」チラッ・・・

姫神「――これが……小萌先生が泣いてる事実が。貴方が『招いた』結果よ。土御門くん」テクテクテク・・・

土御門「っ」ギリッ・・・

姫神「最っ低な男。どうせ。この悲しみも『先行投資だから仕方ない』とか。割り切りつもりでしょうけど……遺恨は。残る」チラッ・・・

土御門「……だから、何だ」クイッ・・・

姫神「私は上条くんみたいに。熱くも無いし。優しくも無い……土御門くん。『今』が辛いでしょう? 精々。苦しみなさい」テクテクテク・・・



 ガチャッ・・・・・



土御門「……クソっ!!」ガンッ!!



 カツカツカツ・・・・・



姫神「馬鹿な人……貴方も。淡希も」テクテクテク・・・

560 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 00:43:56.48 ID:zv2dtPkE0
土御門「チッ……俺が……悪いってのか? ザケんなっつの……あの糞女(アマ)のケジメの悪さだろうが」ギリリ・・・



 テクテクテク・・・・・



土御門「っ……何だ、お前か」チラッ・・・

風斬「…………、」ペコッ・・・

土御門「……見てたのか」フンッ

風斬「……ちょっとだけ、見てた」コクッ・・・

土御門「ふんっ……滑稽だって、笑いにでも来たか?」クイッ・・・

風斬「い、いいえ……私からは、何も言う事は……、」フルフル・・・

土御門「じゃあ何の用だ? 慰めでもしてくれんのか?」フンッ

風斬「……統括理事長から、伝言を」コクッ・・・

土御門「は? アレイスター?」キョトン・・・

風斬「はい。暇なら伝えてくれって、頼まれたの……で、でも伝えたら、すぐ公園(インデックスの所)に戻るわ」ジー・・・

土御門「いつからヤツの小間使いに……てかアイツも直接電話しろってーの」ハァ・・・

風斬「急ぎの用じゃないみたいだから、かな……最近『案内人』と連絡が取れない、だって」ジー・・・

土御門「はぁ!? な、あ、アイツ仕事休んでんのか!?」ギョッ・・・

風斬「そうみたい……だから色々困ってて、そろそろ強硬手段に出ても良いけど……一応、知人の貴方に伝えろって」コクッ・・・

土御門「な……い、意味が分からないにゃ」タラー・・・

風斬「ええっと……『彼女のお守は君の仕事だろう』……まんま、伝えたわ」ハァ・・・

土御門「ッ~~~~~~……あの、ボケナスがぁ」プルプルプルプル・・・

風斬「……と、とりあえず頑張ってね」アハハ・・・テクテクテク・・・

土御門「畜生めぇ……何で、俺ばっか」グヌヌ・・・

風斬「……えっと、ね」チラッ・・・

土御門「あ?」ジトー・・・

風斬「え、と……た、例え善意だとしても……私はインデックスに……上条くんの家から出て行った方が良いよ、だなんて……言えないかな」

土御門「…………、」ジー・・・

風斬「あ、あはははは……何でもない。じゃあ、私帰るよ……またね、土御門くん」テクテクテク・・・シュンッ・・・



 シーン・・・・・



土御門「チッ。俺が、憎まれ役か……今更だぜぃ」フンッ・・・テクテクテク・・・

561 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 01:28:30.75 ID:zv2dtPkE0

  キーンコーンカーンコーン・・・・・


親船「……じゃあ、此処まで」ハァ・・・トボトボ・・・


  ざわざわ・・・ガヤガヤ・・・


上条「……授業どころじゃ無かったな」ハァ・・・

青ピ「まぁ……仕方ないやろねー」タラー・・・


姫神「…………、」ガララ・・・


吹寄「っ! 姫神さん!! 何処行ってたの!?」バッ!

姫神「……ごめん」テクテク・・・

吹寄「大丈夫? 土御門に変な事されなかった?」アタフタ・・・

姫神「大丈夫。問題無い」シャキッ

青ピ「ところで……当の土御門くんは?」キョトン・・・

姫神「さぁ。もしかしたら。戻って来ないかも」フイッ

上条「なぁ。何があったんだ? 何ていうか、その……お前といい小萌先生といい、何か変だぞ」タラー・・・

姫神「……いつか。話す」ジー・・・

上条・青ピ・吹寄「「「…………、」」」ウーン・・・

姫神「それより。次。教室移動。早く準備しないと」スタスタ・・・


青ピ「……何やろうねぇ」ポリポリ・・・

吹寄「分からないわ……問い詰めたい所だけど、訳アリみたいだし……今は放っておくしかないんじゃないかしら」ハァ・・・

上条「…………、」ポリポリ・・・

  
  キーンコーンカーンコーン・・・・・

562 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 01:53:35.50 ID:zv2dtPkE0
 ―――とある日、PM06:30、学園都市第1学区、とあるマンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・






昨日の一件の所為で、まったく授業の内容が頭に入らなかった。
リビングでグダグダしている五和と浦上の表情を見るに多分、二人も僕と同じだったのだろう。
キッチンで味噌汁を作っているカオリ姉さんも、心成しか険しい雰囲気。


神裂「……五和、浦上。明日都市を発つ準備は済ませているのですか?」グツグツ・・・トントン・・・

五和「え? あ、はい……一応は」ボー・・・

浦上「今回は装備以外現場支給らしいですからネ」グデェ・・・

神裂「そう……なら、良いのですが」トン・・・トン・・・

もあい「んなー」コロコロ・・・


空気が、重い。


五和「あ、あの!」バッ!

神裂「……ダメです」キッパリ・・・

五和「え……あ、う」タラー・・・

浦上「お姉……気持ちは分かるけど、私ら明日4時起きですヨ」ハァ・・・


多分、この件に首を突っ込めば明日の昼になっても戻って来れないだろう。
だがしかし……このまま気掛かりを残したまま明日以降の任務に臨むのは、何処か居心地が悪いかもしれない。

一応、手の空いてる潜入学徒に淡希さんらしき人物を見かけたら知らせて欲しいと伝えてはある。
でも片手間程度の探索では、見つからない筈だ。


五和「……些か、都合が悪過ぎますよ」ハァ・・・

神裂「仕方が無い事です……固法さんにも相談はしておきました。何とかなるやもしれません」コクッ・・・

浦上「風紀委員(ジャッジメント)で手に負える人じゃないんですけどネ、結標さんは」ゴロン・・・

神裂「分かりませんよ。それに……彼女には、一、友人としてお願いしました。結標さんの『友人』として、ね」フフッ・・・

もあい「にゃー」ジー・・・


人間味溢れる言葉。


神裂「兎角、夕餉にしましょう。準備が出来ました。配膳を手伝って下さい」コクッ・・・

五和・浦上「「……はい」」コクッ・・・


その日のご飯は、折角姉さんが作ったモノなのに……何処か味気無かった。

563 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 02:23:50.57 ID:zv2dtPkE0
早く寝なければならないという事で、五和と浦上が先に風呂に入る。
僕は無言で携帯を握り……電話帳の『マ行』にカーソルを合わせ、画面を止めていた。


神裂「……出ないのでしょう?」コクッ・・・


静かに湯呑を傾ける姉さん。僕も無言で頷く。


神裂「複雑ですね……懇意にしている人達の日常に罅(ひび)が入る様を見るのは」ジー・・・

もあい「みー?」キョトン・・・

神裂「何とも、歯痒い。教皇だ聖人だと云われる女が、何もしてやれません」フッ・・・


そんな事は無い。寧ろ、それが人間だ。
碌に苦労もせず、こういった問題を指先一つで解決出来るのであれば……それは人の所業じゃない。
教皇や聖人っていうのは、象徴や力であって神や神の使いではないと、昔建宮さんは言った。


神裂「……そうですね。こういう葛藤が出来るという事は、私は人間なのでしょう」ジー・・・

五和「お先上がりましたよー……って、あれ? シリアス?」タラー・・・

神裂「いえ、そんな事はありませんよ。少々感傷に浸っていたくらいです」フフッ・・・

五和「はぁ……ところでコウちゃん。結標さんから連絡着た?」チラッ・・・


くる訳無かろう。僕ら4人で再三コールしてるのに……もし着てたら今頃長話中だ。


五和「あはは、そうだよね……ハァ」ムゥ・・・

神裂「……五和、貴女は寝なさい。忘れろ……とは言いません。忘れたくても忘れられないでしょうから。でも、しっかり身体は休めなさい」

五和「はい……姉さんもですよ。便をずらしたとはいえ、明日出発には変わりないんですから」コクッ・・・

神裂「承知してますよ。まぁ私は丈夫ですからね」クスクスッ

五和「もぅ、またそういう事を言う……羨ましいとは言いませんけどー、何か違うと思いまーす」ジトー・・・

もあい「なー」ペシペシッ

神裂「ふふっ。そうですね……所詮は人間ですから」フッ・・・


姉さんもこの家(此処)の中では、一人の『少女』なのだ。いや、この家が関係無くとも心は人間だろうに。


五和「そうですよ。姉さんは人間なんです……ところで話は変わりますけど、月詠さんには連絡したんですか?」チラッ・・・

神裂「いえ、昼間は仕事でしょうから。それに……、」コクッ・・・

五和「じゃあ今!」パッ!

神裂「待ちなさい。先にもいった通り、安易に首を突っ込む訳にはいきません……分かりますね」ジー・・・

五和「……でも」ウーン・・・

神裂「仕方ないのです。この件は固法さんに任せましょう。気が向けば、麦野さんも手を貸してくれるかもしれません」コクッ・・・

もあい「にゃん」コクッ・・・


確かに……固法さんは風紀委員の肩書抜きにして結構実行力あるし、麦野さんも気が向きさえすれば何でも出来る人だ。
僕らが下手に動くよりは確実かもしれない。

564 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 02:52:00.98 ID:zv2dtPkE0
一寸後、誰も寝てなかった。
それどころか床にさえ着いていない。ホットドリンクを啜ろうも、安眠作業をしようも……寝れないのだ。


神裂・五和・浦上「「「……ハァ」」」ドヨーン・・・

もあい「みゃー」フシフシ・・・


僕はまだしも、明日からメキシコ入りの姉さん達がこれでは拙い。


五和「……何してるのかなぁ。何処居るのかなぁ」グデェ・・・

神裂「危険な事をしていなければ良いのですが」ハァ・・・

浦上「せめて一報入れて欲しいですよネ」ムゥ・・・


想いは同じだが……頼む、寝て下さい。このままだと僕が怒られます。


浦上「もぅさぁ……お酒で潰れちゃいます?」チラッ・・・

五和「絶対無理。明後日まで残るくらいに、本気で潰れる程飲まないと寝れない気がするから」グッタリ・・・

神裂「私は酒で潰れません。というか、未成年がそういう発言しないの」メッ!

浦上「にゃはは……ねぇ、姉様。もう一度、土御門に確認だけでも取れないんですか?」ボー・・・

神裂「『まだ寝てないのか馬鹿女郎』と言われて終わりですよ」ハァ・・・

五和「でも……彼は何か知ってるんでしょう? 少しでも分かれば安心するんですけどね」ゴロン・・・

浦上「存外、この件の黒幕だったりしてー」ハハハ・・・

神裂・五和「「…………、」」ピタッ・・・

もあい「にゃん?」チラッ・・・

浦上「あ、れれ」タラー・・・


可能性としては大きい気がする。けど、断定できないしアイツも本音を漏らしたりしないだろう。


五和「うー……あーもぅ! 何処行ったのよ! 土御門も知ってるなら教えろー!」ムキャー!

神裂「仕事が終わって都市に戻ってきたら、意地でも見つけ出して説教確定ですね。ついでに土御門は現地(メキシコ)で説教!」グヌヌ・・・

浦上「あー……逆に火ぃ点いちゃいましたヨ」アハハ・・・


余計な事を言うな。
とりあえず自分は部屋(自室)に戻って、報告書(日誌)を片付けよう。そう思った矢先……メールが入った。


五和「む、結標さん!?」ガタッ!

神裂「ん……月詠さん、ですか」ジー・・・

浦上「どれどれ……『結標ちゃん、本当にお邪魔してないませんか? もし隠しているのなら意地悪しないで教えて下さい』……あぅ」タラー・・・


相当切羽詰まってる。たった一日でこの状態か……もう、見逃す事は出来ない。


香焼「……姉さん、すいません」スタッ・・・

神裂「ハァ。やれやれ、仕方ありませんね」クスッ・・・

五和「コウちゃん! 私達も行きたいけど……私達の代表として、しっかり解決してきなさいよ!」ビシッ

浦上「何か分かったらすぐ連絡してヨ……ふぁああぁ……これで幾らか不安が飛びましたネ」フフッ


元々、僕が行かなければならなかったのだ。仕事とか暗部とか、そういう色んなモノを抜きにしても僕は結標さんと向き合わねばならない。
先に寝てくれと言い残し、僕ともあい(勝手にパーカーの中に入ってきた)は三人に見送られ、家を飛び出した。

565 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 03:47:32.52 ID:zv2dtPkE0
 ―――とある日、PM09:30、学園都市第7学区、とある『通路』・・・・・







気配を消して、ビルの間や路地裏を駆ける。
このルートは基本的に天草式の潜入学徒しか通らない秘密の道だ。衛星カメラでも捉えられまい。

さておき、移動途中で月詠さんに電話を掛ける。


香焼「……もしもし」Prrrr・・・・

月詠『あ……香焼ちゃん』Pi!

香焼「先程のメールっすけど、結標さん、まだ帰ってないんすか?」タタタタ・・・

月詠『はい……やっぱり香焼ちゃんのお家には居ませんでしたか……勘繰って申し訳ないのです』ハァ・・・

香焼「いえ、気にしないで下さい」タタタッ・・・シュンッ・・・

もあい「にゃにゃ!?」グルンッ・・・


ビルの窓から隣の屋根へ飛び移った時、パーカーからもあいが飛び出そうになる。無理矢理抑えて先へ進む。


香焼「ところで……今、月詠さん家の近くの公園なんすけど、お邪魔して良いっすか?」タタタタ・・・クルンッ・・・

月詠『え?』キョトン・・・

香焼「淡希さんの事……おっと……詳しく、教えて貰いたいんすよ」シュタッ・・・スタタタ・・・

月詠『詳しくって……私も、知りたいですよ』ハァ・・・

香焼「えっと、そういう訳じゃなく居なくなった状況とかを……兎に角、あと10分くらいで着きます!」タタタ・・・タンッ!

もあい「みゃんっ!!?」ガクンッ・・・


最早有無も言わせない。可能な限り急いで月詠さん宅へ向かった。
そして約10分後……見慣れたオンボロアパートに到着。『着きました』と短くメールを入れ、ベルを鳴らす。


月詠「……香焼ちゃん?」ガチャッ・・・

香焼「こんばんは。夜分遅くに押し掛けてすいません……如何しても気になったので」ハァハァ・・・

もあい「なぅ」クラクラ・・・

月詠「そう。心配掛けてしまったのですね……ありがとう。とりあえず上がって欲しいのです」スッ・・・

香焼「失礼します」ペコッ・・・


些か不仕付けでもあるが、互いに心配する相手は同じ。四の五の言ってられない。
ただ、目の周りを真っ赤にして多少声が擦れている彼女の方が確実に心配の度合いに大きいだろう。

566 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 04:32:26.37 ID:zv2dtPkE0
玄関でふと、一足のローファーに目が止まった。
誰か居るのかと、気になって居間に目を向けてみると……一人の女性が、人形の様にチョコンと座っていた。


香焼「……姫神さん」チラッ・・・

姫神「ん……確か。香焼くん」ジー・・・


彼女も、今回の件に関係してるのか。


月詠「雨漏りとか色々大変で汚いままなのですが……どうぞ」テクテク・・・

香焼「はい」テクテク・・・


促されるまま座布団に座り、姫神さんの向かいに座る。


姫神「何しに……って。大体。分かるけど」ジー・・・

香焼「じゃあやっぱり姫神さんも」コクッ・・・

姫神「ええ。だけど。私は小萌先生も心配だったから」チラッ・・・

月詠「…………、」シュン・・・

もあい「……なぅ」トコトコ・・・

香焼「……あの、お話聞かせて貰っても良いっすか?」コクン・・・

月詠「……話せる範囲なら」ペコッ・・・


この様子だと、月詠さんは当事者でありながらまだ蚊帳の外状態なのか。


香焼「……まず、居なくなったのは昨日っすよね。何時くらいかは分かってるんすか?」

月詠「分かりません。朝の8時から夜7時半の間に……出て行っちゃったんだと思うのです」シュン・・・

香焼「……原因は?」チラッ・・・

月詠「…………、」フルフル・・・


無言で首を横に振り……そっと、一枚のメモを取り出した。

 『御世話になりました。今までありがとう。     あと、悪い子でごめんね』

クシャクシャで、更に濡れて字が滲んでいるが読み取れる。


月詠「……何か理由があったのなら、仕方ありません。やりたい事や今後の目的が見つかったのなら、仕方ないのです」シュン・・・

香焼・姫神「「…………、」」ジー・・・

月詠「でも……それでも、納得いかないのです……だって何も言わずに出てっちゃったんですよ。電話も出ないし……何で、そんな」ウルウル・・・

もあい「みー」ペロペロ・・・


確かに……何だかんだで義理堅い淡希さんにしては不可解な行動だ。
それに彼女は、彼女の『日常の中心』は月詠さん(この人)の筈なのに……此方も納得し兼ねる。

567 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 05:03:50.83 ID:zv2dtPkE0
それから暫く言葉が無かった。

とりあえず分かった事といえば先の話と、前日までの結標さんについて。だが実際別段変わった様子は無かったらしい。
尤も、ここ数日月詠さんは風邪を引いていた為うろ覚えだそうだが、その間は淡希さんが懸命に看病してくれてたとか。
それは姉さんからも聞いているし、僕もメールしている限りは普通だったと思う。


香焼「……分かりました」コクッ・・・

月詠「ごめんなさい……色々迷惑掛けちゃって」シュン・・・

香焼「いえ、迷惑だなんて思いませんよ」フルフル・・・

もあい「なー」フシフシ・・・


とりあえず、そうと分かれば長居は無用か。


香焼「じゃあそろそろお暇します」ペコッ・・・

月詠「ええ……特に持て成しも出来なくて申し訳無いのです」ペコッ・・・

香焼「いえいえ……姫神さんは」チラッ・・・

姫神「今日は此処に泊まる。小萌先生。心配だから」ジー・・・

月詠「大丈夫なのですよ、姫神ちゃん。先生は大人なんですから」フフッ・・・

姫神「関係無い。大人だろうが子どもだろうが。心配なモノは心配。大事な人なら特に……ね」コクッ・・・

もあい「にゃん」コクコクッ・・・

月詠「……ありがとう」クスッ・・・


此処は姫神さんに任せて大丈夫そうだな。とりあえず僕は結標さん探しに専念しよう。


香焼「それでは……おやすみなさい」ペコッ・・・

月詠「ええ、気を付けて……あと、それから……何か分かったら教えて欲しいのです」ジー・・・

香焼「勿論っす。姫神さんも、おやすみなさい」コクッ・・・

姫神「……待って。ちょっとコンビニで温かいモノ買ってくるから。一緒に外に出る。小萌先生は。横になってて」ポンッ・・・

月詠「え、あ、はい……遅くなっちゃダメなのですよ」コクン・・・

姫神「分かってる。それじゃ。香焼くん」チラッ・・・クイッ・・・

香焼「……ん」コクッ・・・

もあい「みー」ジー・・・


何か、話があるらしい。もう一度月詠さんに礼をして、僕らは外に出た。

568 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 05:23:51.33 ID:zv2dtPkE0
最寄りのコンビニまでの道、長い髪好きのもあいは姫神さんの肩の飛び乗り、無駄に猫パンチを繰り返していた。
対する姫神さんは静かにもあいを撫でるだけ。何かとても微妙な空気だった。


姫神「……ねぇ」チラッ・・・

香焼「え、あ、はい」コクッ・・・

姫神「何で。そんなに緊張してるの? 別に良いけど……貴方。本当に淡希の居場所。知らない?」ジー・・・

香焼「はい……何故?」キョトン・・・

姫神「…………、」フム・・・

もあい「にゃぅ」ペシペシッ


姫神さんは、何か知ってるのか。


姫神「……本当に。知らないんだ」ジー・・・

香焼「知ってたら喧嘩してでも月詠さんの所に引っ張ってきますよ」ジー・・・

姫神「ああ。そっか。上条くんと同じ部類か」ハハハ

香焼「……光栄っすね」ポリポリ・・・

姫神「貴方。ポジティブ」フッ・・・


馬鹿にされた気が……さておき、此方としても知ってる事を教えて貰いたい。


姫神「……土御門に。聞いたら如何?」チラッ・・・

香焼「え? 土御門……やっぱりアイツ何か知ってたのか!」ムゥ・・・

姫神「私も。彼が淡希に何を言ったのかは分からない。だけど。現状を作りだしたのは。絶対彼」ハァ・・・

もあい「みー」ペロペロ・・・


そして姫神さんは、月詠さんが風邪を引いた前日に起きた事を話してくれた。


姫神「―――……以上。100%。彼が口を挟んだ」ジー・・・

香焼「あの、道化師め」グッ・・・

姫神「かといって。彼は口を割らない。淡希を探すなら。自力で見付けるしかない」ムゥ・・・

香焼「見つけますよ。絶対に」ギリッ・・・

もあい「にゃん!」コクン・・・

姫神「……そう」スッ・・・


このままでは、誰も彼もが不幸なまま終わってしまう。まるで救いが無い……僕は我が家の『代表』として、それを認め得ない。

569 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 05:50:44.30 ID:zv2dtPkE0
僕が改めて決意を定めた時、姫神さんの歩が止まった。


姫神「私も……、」ジー・・・

香焼「……え」キョトン・・・

姫神「私も。淡希を探す」ジー・・・

香焼「…………、」ピタッ・・・


如何返事をして良いのか分からない。
確かにそれは姫神さん個人の勝手だし、人手が増えれば見つかる可能性も上がるから助かるので断る理由は無いだろう。
だがもし、淡希さんが『危ない場所』に居たら如何する。


香焼「……ええ。別々に探して、情報交換を」コクッ・・・

姫神「ううん。貴方と。行動する」ジー・・・

香焼「な……んで」タラー・・・

姫神「貴方と居た方が。淡希と会える確率が。上がる……気がする」ジー・・・

もあい「なぅ?」キョトン・・・


何だその良く分からない理屈。
それはさておき、仮にも必要悪の教会(ネセサリウス)の預かり扱い・要人たる姫神さん(吸血殺し)を危険な目に会わせる訳にはいかない。
此処はやっぱり、月詠さんに付いて居て貰った方が此方としては助かるのだが。


姫神「貴方も。理屈で動くタイプ」ジー・・・

香焼「……悪いっすか」ムゥ・・・

姫神「ううん。だけど。勿体無いと思う」フイッ・・・テクテク・・・


そういえば、軍覇が以前『原石(研究所の子ども達)』の『直感・予知』能力が如何こうとか言ってた。
分類があいまいとはいえ、姫神さんも確か原石の一人。そういう類のモノがあるのかもしれない。


姫神「私は純粋に。あの子の友人として。言いたい事を。言わせて貰うだけ」コクッ・・・

香焼「……姫神さん」ジー・・・

姫神「その為に。貴方の力が必要。お願い……私も一緒に探させて」チラッ・・・

香焼「…………、」ムゥ・・・

姫神「貴方だって。あの子の友人として。純粋に行動している……私も。同じ」テクテク・・・

もあい「なぅ」フシフシ・・・


僕の答えを待たずスタスタとコンビニへ向かう姫神さん。多分、僕が何を言っても連いて来る気だろう。
まったく……女性は強いな。


香焼「……色々と、約束してもらいますよ」ハァ・・・

姫神「ん……ありがとう」フフッ・・・

香焼「とりあえず今日はもう遅いっす……動くのは明日以降で。自分も情報収集しときますから」コクッ・・・

姫神「ええ。お願い。淡希が帰って来るまでの間。小萌先生の面倒は。私が責任持つから」グッ・・・

香焼「お願いします」ペコッ・・・

もあい「みゃーん」コロコロ・・・


こうして『淡希さん説教同盟』が結ばれた。色々と大変そうな相方だが兎角、皆の『日常』の為、共に健闘しよう……―――



581 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 00:37:36.08 ID:P/JfJSsF0
 ―――とある翌日、PM05:30、学園都市第7学区、とある公園(イカれ自販機在中)・・・・・




姉さん達が出発したこの日、都市に残った僕は姫神さんと行動を共にする事となった。
もしかしたら上条さんも手伝ってくれるやも、と淡い期待を持っていたのだが……彼は何故か姉さん達と同じくメキシコへ飛んだらしい。
何でも、今回の元凶さん(土御門)が『仕事・任務で必要だから』とまるで物扱いの如くで引っ張っていったとか。

兎角放課後、僕らはとある公園に集合した。


香焼「―――……すいません。遅くなりました」テクテク・・・

姫神「ううん。私の方が。公園近いから……貴方は。授業終わってから。そのまま来たの?」ジー・・・

香焼「はい。7限終わってすぐに」コクッ・・・


何かと面倒臭い学校に配属されたので……まぁ今では割り切っているが。


姫神「理事校……将来。役員にでもなる気? 魔術師なのに」ジー・・・フフッ・・・

香焼「色々あるんすよ。とりあえず自分の事は如何でも良いっすから、淡希さんの事を」コクッ・・・

姫神「ええ。ところで。宛てはある?」フム・・・

香焼「はい。今から情報提供者の所に向かいます」コクッ・・・

姫神「情報提供者?」キョトン・・・


昨日、カオリ姉さんが連絡しておいてくれた人の所だ。その人の居る場所は此処から近いので、数分歩く。


香焼「此処っす」クイッ・・・

姫神「風紀委員の。支部?」ジー・・・

香焼「知り合いが居るんすよ。あと、淡希さんと仲良い人もね」テクテク・・・

姫神「淡希が。風紀委員と仲良くしている姿。想像できない」タラー・・・

香焼「あはは……まぁ風紀委員としてではなく、姫神さんみたいに友人として仲良いんすよ。さ、行きましょう」テクテク・・・


促されるがまま僕の後ろを歩く姫神さん。確かに淡希さんは不良の部類だから、疑わしくはあるだろう。
さておき、今からこの支部に入るのだが、幾つか心配点がある。


姫神「ん……何だか。賑やかな声がする」ジー・・・

香焼「……あはは」タラー・・・


此処の喫茶店雰囲気、如何にかならないかなぁ。

582 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 00:58:11.68 ID:P/JfJSsF0
だが、入らない訳にもいかないので覚悟を決め、インターフォンを鳴らす。


香焼「……すいません」ピンポーン・・・

佐天『はいはーい! 此方風紀委員第177支部で……って、あれ? 香焼くんだ』Pi!

初春『さーてーんさーんっ!! 何で風紀委員でも無いのに勝手にインターフォン出てるんですか!』ウガー!

佐天『あはは、ごめんごめん。あ、入ってー』カチャッ・・・

香焼「……行きましょう」チラッ・・・

姫神「私が知ってる。風紀委員と違う」タラー・・・


相変わらずフリーダム。


香焼「失礼します」ペコッ・・・

固法「いらっしゃい。待ってたわ」コクッ・・・

佐天「え? 固法先輩に用事があったの?」キョトン・・・

香焼「うん。ちょっと、ね」ポリポリ・・・

白井「あら? 後ろの女性は?」チラッ・・・

香焼「えっと、今回の相談で一緒に色々と」アハハ・・・

姫神「……みんな。中学生くらい。何このキャピキャピ空間」ジー・・・


確かに風紀委員の詰め所とは思えない雰囲気だろう。


固法「とりあえず座って頂戴。初春さん、お茶を」チラッ・・・

初春「はい。温かい方で良いですか?」

香焼「はい、お任せします」コクッ・・・

姫神「……香焼くん。此処に居る全員が。関係者?」キョロキョロ・・・

固法「あはは、ごめんなさいね。半分くらいは一般人よ。風紀委員は私と、今お茶を持ってくる子と、そっちのツインテール娘」クイッ・・・

姫神「他の子は?」ポカーン・・・

固法「さぁ。何故か喫茶店感覚で屯(たむろ)してる娘達よ」アハハ・・・


此方お構い無しにトランプ(大貧民・大富豪)をしている……佐天さん、春上さん、白井さん、御坂さん、そして打ち止めちゃん?


春上「むむむ……御坂さんが、またジョーカー持ってるの」ジトー・・・

御坂「さぁ如何でしょうねぇ」ニヤニヤ・・・

白井「お姉さまの幸運値は高過ぎますの……しかし! これで行ける! 革命ですの!!」ビシッ!!

打ち止め「ふふふふ……ふーはっはっはっはっ! ってミサカはミサカは大悪党っぽく革命返ししてみたり!」バンッ!!

白井「うんぎゃああああぁっ!! ち、小姉さま! 待った! 待ったですの!!」ガーン・・・

佐天「いっひっひっ! ダーメっ! はい、8切りの……ジョーカー! んで5のトリプルで上がりー! 打ち止めちゃんナイス!」グッ!

春上「あー! ジョーカーは佐天さんなの! むぐぐぅ……初春さーん! 初春さんの番なのー!」チラッ・・・

初春「はいはーい。今行きますねー……はい、粗茶ですが」コトッ・・・コトッ・・・

香焼「どうも」ペコッ・・・

姫神「……マジカオス」タラー・・・

固法「言わないで下さい。頭が痛くなる」ハァ・・・


お察しします。

583 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 01:57:25.72 ID:P/JfJSsF0
さておき、淡希さんの件だが……この面子の前で話して良いのか?


固法「そうね。白井さんと初春さん以外は御退場願いたいけど」チラッ・・・

姫神「いつも何時くらいまで。屯してる?」ジー・・・

固法「6時過ぎには帰ると思います。そろそろかな……みんなー、もう6時だからキリ良い所で終わりなさーい」オーイ・・・

超電磁砲組『はーい』ワヤワヤ・・・


まるでお母さんだな。


固法「まだ早いわよ」フフッ・・・

香焼「ははは。ところで……何処まで調べられましたか?」ジー・・・

固法「街中の監視カメラで発見はしたわ」コクッ・・・

姫神「っ! じゃあ!」グッ・・・

固法「慌てないでください。それだけですから。何処に住んでるとか隠れてるとか、そういうのは分からないんです」フゥ・・・

姫神「でも。現れるポイントを予測できれば。待ち伏せとかも出来る。筈」ウーン・・・

固法「……難しいですね。定期的に現れる場所なんてありません。しかも人混みで発見したものばかりですから、如何も」ウーン・・・


そうなると、やはり寝床を付き止め此方から向かうしかない。


佐天「せんぱーい。片付け終わりましたー」テクテク・・・

固法「ええ。それじゃ遅くならない内に帰りなさいよ」チラッ・・・

春上「はいなの。あ、香焼くんはまだ帰らないの?」ジー・・・

香焼「うん。自分は用事があって」アハハ・・・

佐天「んー何々? もしかして巨大な悪の組織に絡まれているとか何とか!?」キラキラ・・・

香焼「あははは……その時は佐天さんに相談するよ」クスッ・・・

固法「こーら。今回は単に『迷子』探しなのよ。此処からは風紀委員(私達)の仕事なんだから邪魔しないの」メッ

春上「え? じゃあ初春さんと白井さんも居残りなの?」チラッ・・・

初春「そうなりますね。すいません、二人は先に帰っててください」ペコッ・・・


そして佐天さんと春上さんは去っていった。


白井「お姉さまも、申し訳ありませんが……寮監に私は仕事で遅れると伝言お願いしますの」コクッ・・・

御坂「……ん」ジー・・・

打ち止め「ミィー。私はー? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」ジー・・・

固法「もう少しで那由他ちゃんが迎えに来るから待っててねー」ナデナデ・・・

御坂「じゃあ那由他が迎えに来るまで残ってます……打ち止め、スピード勝負しましょ」フフッ・・・チラッ・・・

打ち止め「おー! 今日こそ御姉様に勝っちゃうぜぃ! ってミサカはミサカは自慢の蟷螂拳を御披露目してみる!」シュバババッ!

固法「……ありがとう」チラッ・・・


御坂さんは打ち止めちゃんが此方の仕事の邪魔をしない様、相手をしてくれるらしい。
空気を読んでくれたのか、それとも聞き耳立てて『面倒事』に首を突っ込みたいのやら……どっちだろう。まぁ良いか。放っておく。

584 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 02:29:07.25 ID:P/JfJSsF0
場所を移動し、僕らはパソコンの前に集まる。
初春さんがキーボードを弄り、僕と姫神さんに画面を見せた。


香焼「……これは?」ジー・・・

固法「昨日の内に撮影されたモノよ。セブンスミスト前、銀行通り、米国大使館付近……全部第7学区ではあるけど、広いから何とも」ジー・・・

姫神「確かに。何の解決にもならない」ムゥ・・・

初春「しかし、彼女の過去の経緯を考えれば予想は出来ます」カタカタ・・・

香焼「過去、の?」キョトン・・・

白井「彼女は……結標淡希は、武装組織のリーダーですの」ジー・・・

固法「白井さん!」バッ!

香焼「別に大丈夫っす……知ってますから」コクッ・・・

姫神「私も。その程度じゃ驚かない」コクッ・・・


姫神さんも一般人とはいえ、相当な修羅場を掻い潜ってきた人だ。


固法「ハァ……兎に角、私達の考えは二つあります」スッ・・・

香焼「二つ?」キョトン・・・

固法「ええ。一つは、私の私情込みでの純粋な迷子捜索。神裂さんにも頼まれてるし、友人として捨て置けないわ」コクッ・・・

姫神「もう一つは?」フム・・・

固法「……あくまで、可能性の話なのだけど」ウーン・・・


口籠る固法さん。何か悪い話か?


白井「彼女が、再度『運動』を決起する気ではないか……最悪の展開も考慮に入れてます」キッパリ・・・

香焼・姫神「「え?」」キョトン・・・

白井「つまり、彼女がまた犯罪行為(テロ紛い)をするんじゃないかって事です」コクッ・・・

固法「だから昔の仲間の所に、もしくは新しくメンバー集めをしてるんじゃないかって……勿論杞憂で済めば良いんだけどね」ジー・・・

香焼「そ、そんな」タラー・・・

姫神「淡希は。追い出された……当事者の意志とは別に。無理矢理。引き離された。だから。彷徨ってる筈」ムゥ・・・

固法「言ったでしょう。可能性の話よ……でも、もし後者であれば」フム・・・

白井「手加減はしませんよ。例え、貴方達の前であっても」グッ・・・


それは、仕方ないい……もし犯罪に手を染めようとしているのであれば、僕らだって彼女を止めなければならないだろう。

585 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 03:03:16.00 ID:P/JfJSsF0
兎に角、分かった事は……第7学区内に居るだろうという予測。そしてもしかしたら武装組織の下に居るのではないかという推測。


姫神「……アバウト過ぎる。結局。地道な捜索作業」フム・・・

香焼「そうっすね。にしても路地裏かぁ」ウーン・・・


僕だけならまだしも、姫神さんを連れていくのは気が引ける。


初春「……確かに、地道な手段もあります。しかし、此処はやはり手っ取り早く動くべきでしょうね」カタカタ・・・

香焼「え?」キョトン・・・

初春「蛇の道は蛇に聞くのが一番です」チラッ・・・

固法「…………、」ポリポリ・・・


固法さん?


白井「……私と初春は少々、外しますね」テクテク・・・

初春「コンビニでホットドリンクとケータリングでも買ってきます」テクテク・・・


何故か席を立つ二人。固法さんはそれを見て苦笑した後……携帯に手を伸ばした。


固法「あー……今から見聞きする事は内緒にしてくださいね」アハハ・・・

香焼・姫神「「え?」」ポカーン・・・

固法「……もしもし、郭ちゃん」Prrrr・・・・

郭『あれ? 姐(あね)さん! こんな時間にお電話なんて珍しいですねー!』Pi!


誰かに電話?


固法「ちょっと調べたい事があって……半蔵くん、近くに居るかしら?」ジー・・・

郭『おやおや? 成程、我々の力が必要なのですねー! 畏まりましたっ。直ぐに呼んできまーす』

固法「私用なのにごめんね」

郭『いえいえ。普段から兄(あに)さんや姐さんにはお世話になってますからー! 今度ゆっくりお茶でも飲みましょう』フフッ

固法「ええ。是非に」クスクス・・・


知人、か。だがしかし、何故2人が外したのかは分からない。

586 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 03:24:40.40 ID:P/JfJSsF0
一寸後、電話の相手が変わった様だ。


半蔵『もし。今代わりました』ガチャッ

固法「こんばんは。あんまり馬鹿やってないわよね」フフッ

半蔵『ハハハ。兄貴に比べれば可愛いモンですよ……それで? 調べ物ってのは?』

固法「一応人探しなんだけど……結標淡希って、知ってる?」

半蔵『結標……ですか』フム・・・


間が空く。言葉を選んでいるのか、それとも単に分からないだけなのか。


半蔵『……ソイツが、如何かしたんですか?』

固法「迷子なのよ。居候の家、飛び出しちゃったの」ハハハ・・・

半蔵『は?』ポカーン・・・

固法「だから探してるの。出来れば連れて帰りたいんだけど……だから顔が広い半蔵くんに電話したわ」コクッ・・・

半蔵『やれやれ……まぁ俺に電話したって事は、結標淡希がどんな人物か大体知ってるんでしょう?』ハァ・・・

固法「ふふっ。って事はやっぱり知ってるのね」クスクス・・・

半蔵『そういうカマの掛け合い止めましょうって。固法さんには似合わないですよ』ハハハ・・・


軽快な言葉とは裏腹に、固法さんはメモ用紙を準備し勢い良くメモを始めた。


固法「まず、結標さん自身だけど……居場所知ってる?」

半蔵『それは分かんないですね。嘗てのヤツらの根城なら知ってますが……近付かない方が良いですよ』タラー・・・

固法「如何して? 既に活動はしてないんでしょう? それとも、また動き出したとか?」

半蔵『いえ、活動はしてませんけど……アイツら、そんじょ其処らの武装無能力者集団(スキルアウト)と違いますから』ハァ・・・

固法「確か、能力者も多かったんですっけ?」

半蔵『ええ。人数も多いし、アメリカの科学結社から武器も仕入れてたから結構厄介なんですよ』アハハ・・・

固法「半蔵くん達のチームとは対立してないの?」

半蔵『はい。というか今のアイツら蛻の殻ですよ。リーダー居ませんし、目標意識も無い。ただの不良集団と化してますね』

固法「危険性は無いって事?」

半蔵『そうですね……まぁもし結標淡希が戻ってきたら話は別でしょうけど。だけど兎に角、ウチとアッチは事を構える気は無いですよ』

固法「ふふっ。そうよね、幾ら能力者の集団でも学園都市最大級のスキルアウトを相手に喧嘩は売らないわよね」クスクス・・・

半蔵『煽てても何も出ませんって。別に勢力拡大した訳じゃないですし、自分達の身だけを守ってたら勝手に対立組織が潰れてったんですよ』

固法「知将がよく言うわね」フフフ・・・


白井さん達が出てった理由が分かった。風紀委員(固法さん)とこの話相手(スキルアウト)が通じている事を知ってはならないからだ。

587 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 03:49:14.61 ID:P/JfJSsF0
それから2,3話し終えて、電話を切った。


固法「……とりあえず、宛てが出来たわ」スッ・・・

香焼「例の武装組織に?」キョトン・・・

固法「ええ。此処に居なかったら……あとはやっぱり地道な散策ね」ムゥ・・・

姫神「それにしても……貴女は。何者?」ジー・・・

固法「私? 何処にでも居る女子高生の風紀委員よ」フフフッ


最近の風紀委員は皆、スキルアウトと繋がりがあるのか。


固法「ほら、マルボウの刑事がヤクザと話するくらいは普通じゃない」ピンッ

香焼「普通……じゃないっす」タラー・・・

固法「そうかなぁ。黄泉川先生も結構スキルアウトの子達と仲良いんだけど」ポリポリ・・・

姫神「黄泉川先生は。異常だから仕方ない。でも。貴女は何故? 見た目は。優等生オブ優等生なのに」ジー・・・

固法「あははは。ありがとう。でも……もしかしたらトンデモなく悪徳な風紀委員かもよ」クスクス・・・


それはないだろう。貴女が悪徳レベルなら麦野さんはどんなレベルだ。
と、一通り話し終えたところで白井さんと初春さんが戻ってきた。固法さんは無言でメモを初春さんに渡す。


白井「発見しましたのね。流石先輩。私達には出来ない手段ですの」フフフ・・・

固法「いえいえ。貴女達も追々コネを作っていけばいいわ」クスクス・・・

姫神「……コネで。風紀委員とスキルアウトが。繋がれるモノ?」フム・・・

白井「無いですね。先輩の場合は特別で……まぁ、アレです。極道の妻ですの」ニヤリ・・・

姫神「は?」ポカーン・・・

固法「誰が極妻だ、誰が」タラー・・・

白井「あらら? 学園都市屈指の素手戮(ステゴロ)喧嘩人『大蜘蛛』の奥方こと固法美偉先輩の事でむぎゅうぁ!?」グニグニ・・・

固法「……黙りなさい」グヌヌ・・・


そういえば、あの強面の彼氏さんが居たな。


姫神「成程。奥様は女子高生」ウンウン・・・

固法「ツッコむ場所違うわよ! そっちじゃないでしょ!」ンモー

姫神「『私って清楚に見えて実は不良(オラオラ)系の強面男子が好きなの!』的な。感じ?」ニヤリ・・・

白井「イッエスッ!! そして毎週末は第10学区のモーテルでわっふるわっふりゃあああああああぁ!!」ゴガンッ・・・

固法「ッ~~~~……変態っ!! 変態淑女っ!!」フシュウゥー・・・///

姫神「ふむふむ……貴女。色んな意味で。『大人』って訳」ニヤニヤ・・・

固法「違うわよ!」ウガー!!

香焼「…………、」アハハ・・・


えっと……聞かなかった事にしよう。

588 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 04:34:17.32 ID:P/JfJSsF0
さておき、初春さんが何やら画面を表示し此方に見せてきた。


初春「お待たせしました。先輩、此処で合ってる筈です」タンッ・・・

固法「あ、うん。ありがとう……結構、大きい場所ね」ジー・・・

香焼「……これは?」ジー・・・


衛星写真だろうか。小奇麗な建物が写っている。


固法「結標さんの……嘗ての根城よ。多分今も御仲間さん達が居座ってるらしいわ」コクッ・・・

白井「残党と言った方が分かり易いかもしれませんね」ジー・・・

姫神「……そう」フム・・・

初春「しかし、節穴でしたね。逆に堂々と表通りに根城を構えているとは……こういう組織は大体路地裏に溜まってるモノだとばかり」ジー・・・

白井「此処の、具体的な場所は?」チラッ・・・

初春「○○大通りの×××高校付近……旧三沢塾の分校ですよ。此処からだと30分掛らずで着く場所ですね」コクッ・・・

姫神「……何の。因縁かしら」フッ・・・


三沢塾……資料でしか読んだ事は無いが、確かに姫神さんにとっては因縁の場所だろう。


固法「OK、分かったわ……とりあえず今後の方針を決めましょう」コクッ・・・

香焼「え? 場所さえ分かれば自分達だけでも」キョトン・・・

固法「さっきも言ったでしょう。私も彼女の友人よ。それに……風紀委員でもある」ジー・・・

白井「一応、彼女の真意を確かめさせて貰いますわ」ジー・・・


再度決起か……杞憂で終わると思うけど。


固法「兎に角関わってしまった以上、危険度が高い此処に一般人である貴方達だけを向かわせる事は出来ないわ」コクッ・・・

香焼「…………、」チラッ・・・

姫神「別に私は。構わない。私は淡希を。説得……説教出来れば。それでいいから」コクッ・・・

香焼「……自分も同じっす」コクッ・・・

固法「私も基本的にはそのつもりよ」チラッ・・・

白井「私は……逆に、その説得説教云々とやらには興味はありませんの。しかし、再び私と相対する存在になるのであれば……ええ」コクッ・・・


風紀委員として、行動する。彼女らしい。


固法「そういう訳で……明日は休日だから丁度良いわね。12前に、もう一度此処に集合しましょう」ジー・・・

香焼「今すぐ行動するんじゃないんすか?」キョトン・・・

固法「いえ。喧嘩売りに行く訳じゃないんだもの。あくまで日中、真っ当に出向くの。良いわね?」チラッ・・・

姫神「私は。何時でも良い」コクッ・・・

白井「私も非常事態にならない限りは先輩に従いますの」コクッ・・・

初春「それじゃあ私はいつもの様にバックアップですね」コクッ・・・


皆がそのつもりなら、僕も従おう。
今後の方針が決まった所で、今日はお開きに。明日に備えて、各々万全を準備する事とした……―――

589 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/12(月) 04:41:57.74 ID:P/JfJSsF0
はい、今回は此処まで。

次は如何しようかなぁ……姫神とこのりん一緒だからあんま危険な展開にしたくないけど『黒子vsあわきん』は熱いよなぁ。

何か希望あったら御意見下さい。あと例の如く御指摘・感想・質問頂けると助かります。それではまたね! ノシ”
591 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 12:06:47.36 ID:ASwlMc86o
乙!
口調の違和感は大分減ったと思うよ 個人的に

>>590
そこは仕方ないんじゃないか?無表情が基本の妹達も二次じゃそういう描写多いし
そもそもブラ外しの時とか普通に表情あったし
593 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 13:31:41.14 ID:N/plJfTAO
まあ姫神らしくはないなー。
594 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/12(月) 19:27:32.50 ID:P/JfJSsF0
こんばんわ。ボチボチ書きます。


・姫神は話し終わった後、「――」の後の効果音を派手にしない方が良いって事かな? 精々『フッ・・・』とか『クスクス・・・』程度?


とりあえず投下します。

595 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 19:44:50.38 ID:P/JfJSsF0
 ―――とある翌々日、PM00:30、学園都市第7学区、風紀委員第177支部・・・・・



前日の打ち合わせ通り、僕らは風紀委員の詰め所に集合した。
固法さんは素のままだが、白井さんは『腕章』を着けて行くつもりらしい。威圧にならなければ良いのだが。
初春さんは詰め所に残り、非常時に備えオペレーター役をするとの事。未成年とはいえ流石学園都市の警察組織。役割分担を徹底している。

一応、僕も装備(暗器)を固めてきた。喧嘩にならなければ良いが、最悪、姫神さんを守れる様にという意味合いだ。
因みに、姫神さんも『魔法のステッキ(スタンロッド)』を持ってきてる。護身用にしては物騒な品だこと。

さて出発しよう……と、思ったのだが、問題が一つ。


御坂「……むんっ!」ドーン・・・


何で居るの?


御坂「私も行きます」グイッ・・・

一同『…………、』ジトー・・・

御坂「……何よ」フンッ・・・


全員で白井さんを見る。


白井「私ではございませんの。ていうか、ややこしくなるの分かってるのに、お姉さまには伝えませんわ」ハァ・・・

固法「やっぱり、昨日残って聞き耳立ててたのね」ハァ・・・

御坂「大丈夫です。邪魔しませんから」コクッ・・・


絶対邪魔するでしょう。多分、喧嘩しに行く気でしょう。


固法「御坂さん、今回のは公の任務であり……香焼くん達のプライベートでもあるのよ」ハァ・・・

御坂「じゃあそこの2人がOKすれば良いんですか?」チラッ・・・

香焼・姫神「「…………、」」タラー・・・

白井「……嫌ですって」ハァ・・・

御坂「何でよ!」ムググ・・・

香焼「何でって……そりゃ御坂さんが居れば非常時は助かりますけど」ウーン・・・

姫神「私達。喧嘩しに行く訳じゃない。貴女。咋(あからさま)に。戦闘狂(バトルジャンキー)の類に見える」ジトー・・・

御坂「んなぁ!? し、失礼なっ! 私だって!」ビシッ・・・


とりあえず興味有るって事で首突っ込みたいって訳ですね。貴女は猫ですか?

596 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 20:04:35.50 ID:P/JfJSsF0
一応、何故か目を輝かせている御坂さんに問うておく。


香焼「……何で、ついて来たいんすか?」ハァ・・・

御坂「手伝いよ」キリッ・・・

香焼「……それだけ?」ポカーン・・・

御坂「他に理由がいるの? 純粋に助っ人よ」コクッ・・・

一同『…………、』タラー・・・


理由が要るから問うてるのだ。僕らには各々目的がある。

確かに御坂さんは白井さん同様に、淡希さんと因縁があるらしい。僕も淡希さん本人から聞いた。
もし再度決起しようとしているなら、絶対に止めに入るだろう。

だがしかし、先にも言った通り今回は喧嘩しに行く訳ではない。
白井さんは僕らと違い、淡希さんの意志を確認しに行くが別に鼻から喧嘩腰という訳ではない。
御坂さんの事になると視野が曇るが、公務の際の白井さんは非常に大人で中立な立場を取る。その点が我欲の強い御坂さんとの違いだ。


固法「あーはいはい。分かった分かった」ヤレヤレ・・・

白井「せ、先輩!?」ギョッ・・・

御坂「やったー! ついてって良いんですか!!」キラキラ・・・

固法「いいえ。御坂さんは此処で待機よ」コクッ・・・

御坂「うぇ!? 何で!?」バッ・・・

固法「指示があるまで待機って事。初春さんと一緒にね」チラッ・・・

初春「あははは……一緒にオセロでもして待ってましょう」タラー・・・

御坂「ぐっ……ぬぅ」ウググゥ・・・

香焼「えっと……あ、ほら。秘密兵器って事で。ヒーローは遅れて登場するもんすよ」コクッ・・・

御坂「ん……ふ、ふむふむ……まぁ言われてみれば、確かに」ジー・・・


軍覇レベルの⑦(単純さ)。


御坂「まぁ……そうね。関係者でも無い私がプライベートに口出しすんのは野暮っちゃ野暮か」ウーン・・・

白井「そうですの。私も別に彼女とお友達という訳ではございません。其方の話は先輩達にお任せしますわ」チラッ・・・

固法「ええ、そうして貰えると助かる。まぁでも、もし……結標さんが危険な事をしようとしている時は……良いわね?」チラッ・・・

姫神「ええ。私は構わない。あの子が。また馬鹿な道に走ろうというのであれば。貴女に任せる……超能力者(レベル5)」ジー・・・

香焼「…………、」ムゥ・・・


僕は、なるべく御坂さんには関与して欲しくない。例え、最悪のケースだったとしてもだ。


固法「さぁ。そういう訳だから、行きましょうか」クイッ・・・


固法さんを先導に、僕達は目的の場所……三沢塾○○通り分校舎へ向かった。

597 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 20:25:25.31 ID:P/JfJSsF0
 ―――とある翌々日、PM01:20、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校・・・・・






人混みで賑わう街中。そこから一本だけ外れた通りに、その校舎は建っていた。
旧三沢塾本校の様なビル型の校舎ではなく、田舎にありそうな小規模の小学校くらいの大きさ。

一応『工事中』の貼り紙が貼ってあるのだが……人の気配はする。


白井「で……如何しますの?」チラッ・・・

固法「正面入り口が開いているのであれば、堂々と挨拶するわよ」コクッ・・・

香焼「自分もそれで良いと思います。もし開いてなかったら、開いてる場所を探しましょう」


という訳で、正面入り口に向かう。


姫神「……やっぱり。開いてない」ジー・・・

固法「となると裏口かしら」キョロキョロ・・・

姫神「分かれて探す?」チラッ・・・

白井「それは止めた方が良いでしょう。一応、此処は武装集団の根城ですから非常時にバラバラだと危険ですの」コクッ・・・

香焼「……それに」クイッ・・・

固法・白井・姫神「「「え?」」」キョトン・・・


玄関ホールの天井を指差す。


白井「監視カメラ……作動してる?」ジー・・・

香焼「はい。多分、僕らが此処に来た事が知れましたね」コクッ・・・

固法「……兎に角、入口を探しましょう。もし誰かが出てきても高圧的に出ちゃダメよ―――」テクテク・・・


そして固法さんは数歩下がり……『何か』をした。


固法「―――……二階奥の方と、一階東側の方に人が溜まってるわ。多分、東側が入口ね」テクテク・・・

白井「了解です……先輩、一応腕章をしてくださいませんか?」チラッ・・・

固法「私としては、白井さんに外して貰いたいのだけど」テクテク・・・

白井「やれやれ……香焼さん、姫神さん。一応、私の後ろに」クイッ・・・

姫神「……貴方は。守られる側?」チラッ・・・

香焼「……自分はあくまで『一般人』っすよ」コクッ・・・


少なくとも固法さんと白井さんの前では、そう演じなくてはならない。

598 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 20:32:31.53 ID:P/JfJSsF0
一寸後、東側の管理室らしき場所に着く。インターフォンが付いているが、通じるだろうか。


固法「私が出るわ……すいませーん、何方か居ませんか?」ピンポーン・・・


返事は無い。そもそも何処に繋がってるかも分からない。


固法「……仕方ないわね」ハァ・・・

白井「先輩、私が中から開けましょうか?」テクテク・・・

固法「空間移動(テレポート)して中に入る……ちょっと危険な気もするけど」ウーン・・・

姫神「……如何する?」チラッ・・・

香焼「…………、」ウーン・・・


此処は……―――


①白井さんに入ってもらう

②僕がキーピックで開ける

③叫んでみよう!


                    >>600

599 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 20:33:17.61 ID:6QC2Ao3wo
3
600 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 20:53:27.12 ID:fHD/d3aDO
601 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 21:13:21.58 ID:P/JfJSsF0
―――……無理矢理侵入するのは、警戒心を持たれる。
潜入任務ならまだしも、堂々と話し合いをしに来たのであれば此処で争いを起すべきではなかろう。


香焼「固法さん、白井さん」ジー・・・

固法・白井「「ん?」」チラッ・・・

香焼「任せて下さい」テクテク・・・

姫神「何する気?」ジー・・・


簡単な事。


香焼「ふぅ……すいませーん! 開けて下さーい!」ドンドンドンッ!!

固法・白井「「なっ!?」」ギョッ・・・

姫神「……お馬鹿」ハァ・・・


自分でも馬鹿な方法だと思う。だが、これが一番効果的だと判断した。



 <一方、内部にて>


 ドンドンドンドンッ・・・・・


門番A「ちょ……如何するよ?」チラッ・・・

門番B「如何するって……分かんねぇよ。アイツら何者だ? 一度あわきんに報告するべきじゃね?」タラー・・・

門番C「いや、あわきんの手を煩わすまでも無いだろ……つっても、アイツらの正体と目的が分かんねぇからなぁ」ウーン・・・

門番長「如何した?」テクテク・・・

門番A「あ、班長。何か喧しいのが来てて……如何しましょう」タラー・・・

門番長「ふむ……一応、無人の建物って事になってるのになぁ……此処に人が居るって知ってるって事は、何者だ?」ジー・・・

門番B「例の忍者が頭張ってるスキルアウトかの使いか、暗部の連中じゃないですか? やっぱあわきんに報告した方が」ムゥ・・・

門番長「待て待て。もし役場の職員とか一般人だったら如何する……俺が管理業者装って対応するよ」コクッ・・・

門番C「一応、あわきんに報告は?」ジー・・・

門番長「……遊佐さんと高松さん辺りに報告しろ。とりあえず、まだ淡希さんには内密に」コクッ・・・

門番C「了解です」テクテク・・・

門番B「でも……班長、その恰好で良いんですか?」ジー・・・

門番長「あー、流石にジャケットじゃ拙いな……おい、A。事務所に作業用ジャンバーあったろ。取って来てくれ」

門番A「あいよー!」テクテク・・・

602 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 21:32:41.09 ID:P/JfJSsF0
数分間、ドアを叩き続けたが反応は無い。白井さんが痺れを切らして空間移動で中に入ろうとした時―――


 ガチャッ・・・・・


固法・白井・姫神「「「あ」」」ピタッ・・・


―――ドアが開いた。中から出てきたのは、ジャンパーを来た固法さんくらいの男性。


男「ったく……さっきから五月蠅いなぁ。オタクら、何方?」ジー・・・

香焼「あ、すいません」ペコッ・・・

男「あのさぁ、此処廃校なんだけど何の目的で来た訳? 君ら、何処の学校の生徒?」ジー・・・

白井「そういう貴方こそ、何者で――んぐっ!」ガシッ!

固法「白井さん、黙ってて……失礼。少々お聞きしたい事がありましてお邪魔しました」ペコッ・・・

男「え? あ、そう」キョトン・・・


白井さんの口と腕章を抑える固法さん。ナイス判断だ。
今にも風紀委員の名を出そうとしてたからな。


固法「私達、人を探してるんです。ちょっとした口コミで、その人が此処に居ると聞きまして」ペコッ・・・

男「ふーん……の前にだ。さっきから尋ねてるんだけど、アンタら何者?」ジー・・・

固法「その人の友人です。用が済んだらすぐ帰ります」コクッ・・・

男「……生憎、このビルに人は居ないよ。確かに少しは居るけど、俺みたいな管理業者の人間とか解体業者だぜ」クイッ・・・


中々ボロは出さない。大分場馴れしている様だ。ならば仕方あるまい……此方から口火を切る。


香焼「……結標、淡希さんといいます」ジー・・・

男「っ!!? そ……そんな人、居たかなぁ」ポリポリ・・・


明らかに動揺した。どうやら当たりらしい。


固法「……確認して来てもらえますか? 私達は此処で待ってるので」コクッ・・・

男「……ああ、待っててくれ」ガチャッ・・・テクテク・・・

白井「……ぷはぁ! んもー、先輩酷いですの」ジトー・・・

固法「ごめんごめん。でも、なるべく穏便に済ませる為にね……あと、やっぱり腕章はしまいなさい」コクッ・・・

香焼「そうっすね。多分今ので、中が相当ピリピリする筈っすよ」ジー・・・

白井「やれやれ、私が何の為に腕章(コレ)を持ってきたのか分からなくなりますわ」ハァ・・・

姫神「……さておき。やっぱり。淡希は居る」ジー・・・


十中八九、居ると思う。例え居なくとも、何かを知ってる筈だ。もし中に居れば今頃本人か幹部陣に連絡がいってる頃。
今後の確認を取りながら、気長に待つ事にする。

603 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 22:03:00.72 ID:P/JfJSsF0
 <一方、内部にて>


 ざわざわ・・・ガヤガヤ・・・・・


門番長「―――……という事なんですが」ハァ・・・

遊佐「……困ったわね」ムゥ・・・

高松「ソイツら、確かにあわきんの友人を名乗ったのか?」ジー・・・

門番長「はい。確実に此処に人が居る事を知ってる感じでした」コクッ・・・

高松「うーん……如何思う?」チラッ・・・

竹山「素性を隠している可能性もありますね。直接淡希さんに会わすのは危険やもしれません」クイッ・・・

野田「んなもん関係無ぇ!! ブっ飛ばして本心聞いてやりゃ良いんだ!」ガンッ!

岩沢「脳筋は黙ってなさい……でも、コイツの言う事も一理あるわ。一度私達の誰かが会って、確認してから通しましょう」コクッ・・・

竹山「それが賢明でしょうね。ただ、問題が」ジー・・・

松下「何だ? すぐ済みそうだが」フム・・・

竹山「誰が行きます?」キョロキョロ・・・

一同『…………、』タラー・・・

野田「良し! 俺が行こぶだばっ!!」ゴガンッ!

椎名「却下」ベシッ!

松下「暗部という線も拭えない以上……冷静且つ臆せずに対応できるヤツが行くべきだろう」フム・・・

竹山「だから、僕らの中でそれが出来る人間は?」ジー・・・

一同『…………、』タラー・・・

野田「だから俺が行くっつてぶりゃ!!?」ゴシュッ!!

椎名「黙ってろ」ゲシゲシッ

藤巻「……直井と立華は?」チラッ・・・

高松「あ、オマエ居たのか?」キョトン・・・

藤巻「ぐっ……テメェ!」ジトー・・・

岩沢「あーはいはい。喧嘩しないの。立華は音無とTK、あとユイ以外のウチのメンバーと買い出しに出てるわ。直井は居た筈よ」コクッ・・・

松下「それじゃあ決定だな」フム・・・

竹山「では直井君と……一応、非常時に備え椎名さんも付いていて下さい」チラッ・・・

椎名「了解」コクッ・・・

遊佐「じゃあ……直井君を呼んでくる」テクテク・・・

竹山「他は非常時に備え武装待機。君は彼らを一階の応接室に通してください」チラッ・・・

門番長「分かりました」コクッ・・・



 <その頃、あわきん>



結標「―――……ま、待った! やっぱ遊びでお金を掛けるのは良くないわ!」アタフタ・・・

直井「待ちません。はい、王手です。これでツケ3万ですよ」フフフ・・・

結標「ゆ、諭吉さんが……三人も」ガーン・・・

直井「別に良いでしょう。貴女は稼いでいるのですから。安心して下さい。このお金はチームの為に役立てますから」クスクス・・・

結標「ぐぬぬぅ……コヤツめぇ」ワナワナ・・・

604 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 22:28:54.22 ID:P/JfJSsF0
一寸後、再度ドアが開き中に案内される。
やはりピリピリした雰囲気だ。不安、警戒……中には殺気も籠っている。下手な動きをすれば一気に襲われるだろう。


門番長「此処です。どうぞ、中に」ガチャッ・・・


促されるまま『相談室』と書かれた部屋に入る僕達4人。
一つの教室程の大きさだが、円卓とホワイトボードしかない質素な部屋。そこに2人の男女が居る。淡希さんではない。
一人は堂々と上座に坐した学帽を被った少年。もう一人、少年の後ろに立つ少女は……武人のオーラを醸し出している。

部屋に入ったのは良いが、如何も言動し辛い。


直井「ふふふっ……そんなに畏まらないで下さい。どうぞ、近場の席に」スッ・・・

固法「……はい。失礼します」テクテク・・・


固法さんに続き、僕らも坐す。


直井「……女性が、4人ですか。何とも華がありますね」コクッ・・・

香焼「なっ!?」ギョッ・・・

固法・白井・姫神「「「ぷっ!!」」」クスクス・・・

直井「ん? 如何しました?」キョトン・・・


こういうやり取り、何度目だろう。


香焼「……自分は男っす」ジトー・・・

直井「おや、それは失礼。いやぁ、僕も男子制服と学帽を着けてないとよく女性に間違われるんですよ」ハハハ

香焼「…………、」ムゥ・・・

直井「さておき……自己紹介がまだでしたね。僕は直井。此方の彼女は椎名さんです」クイッ・・・

椎名「…………、」ペコッ・・・


明らかに、僕らと同年代。管理業者や解体業者には見えない。


直井「いやいや、こういう作業服なのかもしれませんよ。そういう貴方達こそ、何者ですか?」ジー・・・

固法「先程お話しましたが、私達は結標淡希さんの友人です」コクッ・・・

直井「……はぁ」ポカーン・・・


『誰それ?』といった表情。先程の男性は明らかに動揺してたのに。


直井「むすじめあわき……ですか? その少女を、貴方達が探しているのは分かりました。それで?」ジー・・・

固法「それでって……話がしたいんです。会わせて貰えませんか? その筋の知人から、此処に彼女が居ると聞かされました」コクッ・・・

直井「……待って下さい。話がよく分かりませんね。その知人とは誰の事ですか? というか、話を?」キョトン・・・

白井「……話を逸らしてますわね」ボソッ・・・


はぐらかそうとしてるのは分かる。だが、何故そんな真似を? うっとおしいならさっさと追い払えば良いのに。

605 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 22:40:31.71 ID:P/JfJSsF0
固法さんと少年の平行線な話が進む中……姫神さんの眉が動いた。


香焼「如何したんすか?」ボソッ・・・

姫神「ん……何だか。嫌な感じ」タラー・・・

香焼「え?」キョトン・・・

姫神「あの男の眼」ジー・・・


少年の目……何が?


姫神「……ちょっと。試す」ジー・・・

香焼「姫神さん?」ポカーン・・・

固法「―――……だから、居るんですか? 居ないんですか?」ジトー・・・

直井「―――居るも居ないも、話が見えない……ん?」チラッ・・・

姫神「少しいい?」スッ・・・

直井「何を―――」ジー・・・


瞬間、少年が胸を抑えた。


直井「―――ッッッ!!」ガタッ・・・・グラッ・・・

椎名「直井!」バッ!!

姫神「……やっぱり」ハァ・・・


一同茫然。直後、部屋に大量の人が溢れ込んで来た。


野田「だっしゃああああぁっ!! テメェら何しやがったああぁっ!!」バリーンッ!!

香焼・固法・白井・姫神『っ!!?』ギョッ・・・

松下「直井! 大丈夫か!?」タラー・・・

椎名「貴様ら……動くな」スチャッ・・・

固法「っ……ナイフ」タラー・・・

高松「抵抗するなよ。したら、容赦無く引鉄を引く」カチャッ・・・

藤巻「おい、遊佐に連絡した方が良いんじゃないか?」チラッ・・・


囲まれた……結局こういう事になるか。白井さんの目が完璧座ってるよ……厄介だなぁ。

606 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 23:01:00.84 ID:P/JfJSsF0
それにしても姫神さん、一体何をしたんだ?


姫神「……呪詛返し」ボソッ・・・

香焼「は?」キョトン・・・

姫神「彼。読心能力者」ジー・・・

固法「なっ!?」ギョッ・・・

白井「チィ……まんまとやられましたね」タラー・・・


一同の視線が直井少年に集まる。


竹山「直井君、大丈夫ですか?」タラー・・・

直井「っ……大、丈夫だ……みんな、矛を収めてくれ」チラッ・・・

野田「はぁ?!」キョトン・・・

直井「収めろ……命令だ」ギロッ・・・

野田「うっ」タラー・・・

高松「……直井、如何してだ?」ジー・・・

直井「いや、なに……大体分かった。彼らは無害だよ」スッ・・・テクテク・・・


一同、銃器を降ろす。


直井「見破られた時点で此方の負けだ。それに、本当に純粋なお客人だったらしい……下賤な真似をして申し訳無い」ペコッ・・・

固法「……いえ。因みに、何処まで覗きましたか?」ジー・・・

直井「家出娘に説教しにきた事。それから……風紀委員である事」ジー・・・

チーム一同『っ!!』バッ!!


再度武器を構える淡希さんの仲間達。


直井「止めろと言っている! 事を荒立てるな! 彼女らは喧嘩しに来たのではない。それどころか、今回の件は黙認する気だ」ギロッ・・・

藤巻「は? マジで?」ポカーン・・・

直井「……少なくとも、眼鏡の彼女はそのつもりだ。小さなレディの方は分からないですけど、ね」チラッ・・・

白井「……私とて、空気くらい読みますの」フンッ・・・


スカートの下に突っ込んでいた手を外に出す白井さん。鉄針を出すつもりだったか。


直井「はぁ……こうなった以上は、腹を割って話しましょう。今度は読心などしませんよ」テクテク・・・

白井「武器を持った輩がギラギラして周りに居る……これでは信用なりませんの」ジー・・・

直井「……全員、武器を」チラッ・・・

野田「んでもよぉ」タラー・・・

直井「同条件でなければ、アチラもコチラも信用出来ない。幾らビニール手袋以下の存在でも、そのくらい分かるでしょう?」フンッ・・・

野田「ビニールて……オマエよぉ」ピキピキ・・・

松下「あーはいはい。喧嘩すんな……分かったよ。武器は降ろす」ポイッ・・・


全員直井少年の指示に従う。この人は……淡希さんの副官みたいな存在なのだろうか。とりあえずこれで話が進むな。

607 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 23:02:42.45 ID:fHD/d3aDO
気が付いたらABとのクロスオーバーになってたでござるwwww
608 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 23:25:51.73 ID:P/JfJSsF0
一気に増えた相談室の中、僕らの話は続いた。


直井「大山が遊佐に伝えに行ったか……まぁまだ淡希さんの耳に入らなければ問題ないでしょう」フンッ・・・

固法「まだ、結標さんには会わせてくれないの?」ジー・・・

直井「それは僕が決める事ではありませんからね」コクッ・・・


学帽を深く被り直す。


直井「それにしても、彼女に友人が居たとは……しかも風紀委員。驚きです」フフフ・・・

固法「そういう立場は関係無くってよ」フフッ

岩沢「そうだね。アイツは私らみたいなの全員と仲良くやれる女だし」ハハハ

白井「ところで……此処は、何の集まりですの?」キョロキョロ・・・

直井「おや? 知っているのでは?」キョトン・・・

白井「『残骸(レムナント)』争奪戦の武装組織……元、が付きますか?」ジトー・・・

竹山「そこまで知っているなら、その通りでしょう」コクッ・・・

白井「ですが……捨て置けませんわね。武装組織であるなら尚更ですの。その武器、お遊びの品では無いのでしょう?」チラッ・・・


何で喧嘩腰なのかなぁ。また雰囲気悪くなったよ。


直井「やれやれ……まぁあくまで自衛手段の物と思って下さい。昨今、色々と物騒ですからね」コクッ・・・

白井「しかし武器を持って集団を成していれば、それは立派な犯罪組織ですわ」ジー・・・

直井「僕らにその気はありませんよ。あくまで、我々は結標淡希の『チーム』ですから」フッ・・・


周囲一同が頷く。個々に目的は無い。結標淡希という『カリスマ』に引かれた者達という訳か。


白井「ですが警察組織でも無いのに武器を持つのは犯罪です。幼稚園児でも分かる理屈でしょう」チラッ・・・

直井「……その理屈が、幼稚園児のモノだな。いや、君は潔癖過ぎるのか」フンッ・・・

白井「な、にを」ピキッ・・・

直井「その点、其方の彼女……固法さんといいましたか。貴女は大人ですね」チラッ・・・

固法「どの範囲まで覗かれたかは分からないけど……此処の場所を教えた人物も分かったの?」ジー・・・

直井「ええ……まさかあの『最大勢力』の頭(ヘッド)とは……一介の風紀委員が、凄いコネを持っていますね」ハハハ


どよめきが起こる。確か『半蔵さん』という人だった筈。その名の通り『伊賀』の末裔か。


直井「それに、其方の……姫神さん」チラッ・・・

姫神「…………、」ジー・・・

直井「いや、何でも無い」フルフル・・・

香焼「……姫神さん、何したんすか?」キョトン・・・

姫神「さっき言った通り。呪詛返し……いや。覚返しといった方が。良いかも」コクッ・・・


つまり、直井さんにトラウマになりそうな『何か』を見せた訳だ。
しかしよく気付いたモノだ……やはり軍覇のいっていた『原石の直感』は嘗めてはいけないのだろう。

609 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 00:09:51.00 ID:VBr+1o/AO
あわきんの中の人繋がりかwww
610 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 00:33:54.40 ID:Ae1IoWPh0
それにしても、此処に居る人達は基本学生なのか? やはり僕らと歳が大差無い様に見える。


直井「ええ。皆中学、高校生ですよ」チラッ・・・

白井「……私と会った時は、大人も居た様に思えましたが」ジトー・・・

直井「貴女と?」キョトン・・・


残骸(レムナント)事件で相対した時の事だろう。


直井「……誰か、彼女を覚えているか? 僕は前線に出てなかったから分からない」チラッ・・・

高松「ん……まさか」ピタッ・・・

松下「こ、このおチビさん……例の」タラー・・・

直井「やはり知っているのか?」フム・・・

藤巻「……お前、名前は?」ジー・・・

白井「常盤台中学一年、白井黒子。風紀委員ですの」フンッ・・・

高松・松下・藤巻「「「や、やっぱり!?」」」ギョッ・・・

野田「ほぉ……テメェがあん時のテレポーターか」ギロッ・・・

白井「ガンつけられても困りますの。今は如何か分かりませんが、あの時は確実に……貴方達は私の『敵』でしたから」サラッ・・・


強気な態度。穏便にして欲しいが……正義感故だろう。


直井「へぇ。君が噂の」ジー・・・

椎名「……風紀委員のエース。『白黒の悪魔』か」ジー・・・

姫神「……渾名?」チラッ・・・

固法「一部の人間からそう呼ばれて恐れられてるのよ。小悪党なら白井さんの名前を聞いただけで逃げるわ」ハハハ・・・

高松「お、おい……生きて明日の朝日を拝めないんじゃないか?」タラー・・・

松下「それだけならまだマシだ……生きたままグリーンベレーの拷問より酷い地獄を見させられるかもしれないぞ」ダラダラ・・・

藤巻「遺言書いておいた方が良いかもな」ハァ・・・


噂の尾ヒレ背ヒレは凄いな。


野田「はんっ! 弱気になるなよ……コイツ、あわきんに負けたって話だぜ?」ニヤリ・・・

白井「…………、」ピクッ・・・

竹山「確かに……死闘の末、淡希さんが勝利したとの事……野田さん、調子に乗らない方が良いと思いますよ」ジトー・・・

岩沢「そうだよ。アンタじゃ淡希に指一本たりとも触れられないでしょうが」ジトー・・・

野田「喧しいっ! 兎に角『あわきんに負けた=俺らに負けた』なんだよ! 嘗めんなチビタコ頭がっ!」フンッ・・・

白井「…………、」フツフツ・・・ワナワナ・・・

固法「し、白井さん」タラー・・・

白井「ダイジョウブデスノ。キレテマセンノ」ギリギリ・・・


髪逆立ってますよ。あと何故鉄針を指に持ってるんでしょうか?

611 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 00:53:33.24 ID:Ae1IoWPh0
白井さんを宥めつつ、中々現れない淡希さんを待つ。


野田「やーい! チービ! 悔しかったら言い返してみろー!」ベー!

白井「……ド低脳の類人猿以下の臭いがプンプンします。口を開かないで頂けますか」ジトー・・・

野田「んだと糞ガキぃ!!」ガンッ!!

藤巻「沸点低っ! 言い返されたくらいでキレんなや」ジトー・・・

野田「オイ、チビ! 俺はテメェが気に食わねぇ! 何かテメェだけ周りの連中と違うみてぇだからなぁ」ギロッ・・・

白井「ええ。先輩と違って『風紀委員』としてこの場に来ましたから……尤も、貴方みたいな三下を相手にしに来たのではありませんよ」ジー・・・

野田「」プツン・・・


何処からともなく大斧(ハルバートか?)を取り出す短気さん。一同慌てて彼を取り押さえる。


直井「ハァ……無理矢理黙らせなければ、駄目か?」ギロッ・・・

野田「るっせぇ!! このガキはなぁ……このガキさえ邪魔しなければ、俺らはバラバラにならずに済んだかもしれねぇんだよぉ!」ギリリ・・・

一同『っ……、』ピタッ・・・


全員の動きが止まる。僕らも息を飲んだ。


野田「あの時、邪魔する輩が居なければよぉ……並の風紀委員や警備員が相手なら、任務は成功してたかもしんねぇのになぁ」ギリリ・・・

松下「お、お前」ジー・・・

岩沢「……やめなよ。見っとも無い」ジトー・・・

野田「テメェらだって悔しいだろうがっ! ソイツや超能力者の所為で……俺らはバラバラにさせられたんだ! 分かってんだろ!?」ギロッ・・・

一同『…………、』シュン・・・


やつあたり……だが、気持ちは分かる。


白井「……だから、私に如何しろと? 土下座でもしてみせましょうか?」フンッ・・・

野田「て、めぇ」ガンッ・・・

白井「己惚れるな下郎! 貴様らのやってた事は犯罪だ! 幾ら主義主張があろうとも、悪は悪っ!」バンッ!!

一同『っ!!?』ギョッ・・・

白井「信念を貫きたくば正しい態度で示せっ! 外法を用いるなんて知識ある人間として最低の行いですの!」フンッ・・・


潔癖過ぎる。だが彼女は『正義』に属しているし、『チカラ』もある。


白井「彼女が私の敵になるのは必然でしたわ。従う貴方達ともまた然り。相容れなかったのは当然。理解しろという方が無理がある」ジー・・・

野田「綺麗事を」グヌヌゥ・・・

直井「確かに、綺麗事だ……だが事実、僕らは負けた。正義が彼女に在ったのも事実」チラッ・・・

野田「ぐっ……でもよぉ……それでもなぁ……納得しろって方が無理なんだよぉ!」ゲシッ!!


最早、理屈では語れない敗者の叫び。聞くに堪えない。

612 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 01:09:30.36 ID:Ae1IoWPh0
いつだって敗者は虐げられる。彼らもまた、救いなく嘲られたのだろう。


直井「……すいません。此方から取り乱すなんて、見っとも無いですね」ペコッ・・・

固法「いえ……此方も高圧的になり過ぎましたから」チラッ・・・

白井「……反省しろというのは筋違いですよ、先輩。私は貴女と違ってプライベートではありませんから」フンッ・・・

固法「んもぅ……如何してそうなるかなぁ」ハァ・・・


未だにガンを飛ばし合う2人。


岩沢「ええっと……それで、其方の2人は? 淡希とは如何いう?」アハハ・・・

香焼「え、あ、自分は友達っすよ」コクッ・・・

姫神「私も。同じく」コクッ・・・

直井「同じ学校では無い様ですが……其方の黒髪の女性は高校生なので分かります。でも、君は?」チラッ・・・

香焼「あーえっと……色々と」アハハ・・・


言えない関係(※)です。    ※あまくさっ! 第4話参照。


直井「ふふっ。まぁ彼女も不思議な性格ですからね。もしかして此処に入る様誘われた口ですか?」ニヤリ・・・

香焼「あはは……最初は確かに」ポリポリ・・・

固法「そうだったの!?」ギョッ・・・

香焼「え、ええ……でも断りましたよ。自分も色々忙しい身なので」ハハハ・・・

白井「賢明な判断ですわね。私と相対さなくて良かったですの」フッ・・・

野田「テメェは一々一言多いんだよ、糞チビが」ケッ・・・

白井「まぁ、貴方達も馬鹿では無い様ですね。話してみて分かりました……一人除いて」フンッ・・・

固法「白井さん!」ガシッ!

野田「殺す!!」バッ!!

高松「止めろ野田!」バッ!!


眼鏡さんが手を伸ばしたが……遅かった。


短気「フンっ!!」ブンッ!!

白井「っ!!」チッ・・・


短気さんは自分の体重程もありそうなハルバートを此方に投げ飛ばして来た。しかも、横薙ぎで。
ハルバートの大きさを考えるに、丁度その先の僕ら4人に直撃する!

613 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 01:34:26.85 ID:Ae1IoWPh0
あまりに突然の事態でフリーズする一同。咄嗟に反応出来たのは……僕と白井さんと忍っぽい女の人だけだった。


白井「くっ……先輩!」ピタッ・・・

固法「え、あ―――」シュン・・・


白井さんは固法さんを連れテレポート。だが姫神さんは危険なまま……最早、止む終えない。


姫神「っ!」ビクッ・・・

香焼(……術式展開!)バッ!!


鋼糸(ワイヤー)を広げ、魔力を込める。即興の魔術防壁。


香焼「ぐっ……止まら、ない」ガリガリガリガリガリガリガリガリッ!!

椎名「っ……失礼っ!」ガシッ!

姫神「え。あっ」バッ・・・


忍っぽい女の人が姫神さんを抱えて逃げてくれた。これで……如何にか出来る。
白井さんと固法さんが見ているが、この際仕方あるまい。


香焼「……ふっ!!」ガキンッ!!


即座に短刀二本を取り出し、歪な刃の中に突っ込む。無理矢理回転を止め、床に叩き落とした。
まったく……普段五和の海軍用船上槍(フリウリスピア)相手に模擬戦させられてなかったら危なかったな。


松下「ち、力馬鹿の野田ハルバートを止めただと!?」ギョッ・・・

高松「あの少年がか!? 身体強化の能力者か!」タラー・・・


一部の人間にしか短刀を見られてない様なので急いでしまう。鋼糸(ワイヤー)は5本くらい切れてしまったので、後でこっそり回収しよう。
兎角、一同安堵した……のも束の間、白井さんが動いていた。


白井「……ふんっ」シュバッ!

野田「がっ……にっ!?」グイッ・・・バンッ!!

白井「……凶器保持および殺人未遂で逮捕します」ガシッ!!

野田「なっ……ざけんなよテメェ! 元はといえばテメェが……ガァッ!!」ドンッ!!

白井「見逃せませんわね。やり過ぎですの……大人しくお縄に着きなさい」シュンッ・・・


鉄針を短気さんに向ける白井さん。同時に全員の銃口が白井さんに向いた。


白井「……何の真似ですの? 全員纏めて豚箱入りがお望みで?」チラッ・・・

直井「白井さん。全面的に此方の非礼です。謝罪もしますし、必要ならば謝金も払います」ジー・・・

白井「賄賂は受け取りませんわ」フンッ・・・

竹山「一時の感情的行動です。許して下さい……出来るだけ、穏便に。これ以降は今の様な馬鹿げた行動はさせませんから」タラー・・・

白井「…………、」チッ・・・チラッ・・・

固法「…………、」タラー・・・


上官(固法さん)の指示待ちの様だ。一同、手は動かさないまま視線を固法さんに集める。
此方もなるべく穏便に済ませたいが……見てしまったのは事実だ。捨て置けまい。如何する?

614 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 01:48:49.95 ID:Ae1IoWPh0
今にも一触即発の雰囲気の中……声が響いた。


結標「馬鹿共!! 銃を収めなさい!!」バンッ!!


全員が武器を降ろす。


チームメイト『あ、あわきん(淡希)!?』ピタッ・・・

香焼・固法「「淡希さん!!」」バッ・・・

白井・姫神「「…………、」」ジー・・・


一度溜息を吐き、無言で白井さんの下へ歩み寄る。


白井「……何か」ジー・・・

結標「……ちょっと退いて」ジー・・・

白井「え? 何を……っておわぁ!?」ビクッ!!

結標「ゴラァっ!! アンタ私の知り合いに何物騒な真似してんのよっ!!」ゲシッ!!

野田「ぶべらあぁっ!!?」ブチュッ・・・


白井さんが馬乗りしていた短気さんの頭を勢い良く……踏み潰した!?


野田「」チーン・・・

結標「ったく……ごめんなさいね。白井さん。ウチの脳筋バカが粗相したみたいで」フゥ・・・

白井「あ……えっと」タラー・・・

結標「あぁコイツ? 大丈夫大丈夫。5分もすればピンピンし出すから。大山くん、高松くん。コイツ運んじゃって」ハハハ

大山・高松「「は、はい」」タラー・・・


一気に場の雰囲気が変わった。


直井「ハァ……まったく、貴女って人は」ヤレヤレ・・・

結標「あのねぇ直井くん。如何して私に直接話を通さないのよ? すぐ聞いてりゃこんな事態にならずに済んだじゃない」ハァ・・・

直井「そう言いますが、彼らがもし危険な連中だったら如何するんですか? 貴女を狩りに来た輩だったかもしれませんよ」ジトー・・・

結標「そんなん帰り打ちに決まってるじゃない」サラッ・・・

直井「……はぁ」ポリポリ・・・


さて、と此方に向き直る淡希さん。


結標「何て言えば良いのかしらね……とりあえず、ようこそ。私の『城』に」フフフ・・・

一同『…………、』タラー・・・


こうして僕らは、淡希さんの元まで辿り着いた。

615 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 02:08:17.22 ID:Ae1IoWPh0
 ――一方その頃、風紀委員第177支部・・・・・



 パチッ・・・パチッ・・・・・



初春「―――……今頃、結標淡希(ホシ)に会えましたかね」パチッ・・・

御坂「…………、」パチッ・・・

初春「連絡、着ませんね」パチッ・・・

御坂「…………、」パチッ・・・

初春「何時くらいに帰ってくるでしょうか」パチッ・・・

御坂「…………、」パチッ・・・

初春「あーぁ……今日この仕事入らなければ佐天さん達と買い物だったのになぁ」パチッ・・・

御坂「…………、」パチッ・・・

初春「もしかして、白井さん達……全員しょっ引いてたりして」パチッ・・・

御坂「…………、」ピタッ・・・

初春「あ、でも逆も有り得ますね……思わぬ罠に嵌まって、全員捕まってたり。それで同人誌みたいに酷いこぶばぁっ!!」バラバラバラ・・・

御坂「それだっ!!」ビシッ!!

初春「い、いきなり板引っ繰り返さないで下さい! あとそこは『縁起でも無い事言わないでよ!』って怒るとこでしょう!?」タラー・・・

御坂「連絡が無いのはピンチだからよ!」コクッ・・・

初春「いや、知らせが無いのは元気な証拠とも言いますけど」アハハ・・・

御坂「これは! 遅れて登場する系ヒロインとして急がないと!」ガタッ!

初春「何その行間ヒロイン亜種みたいな微妙な役目……って、行こうとしないで下さい! 私が怒られますよー!」ガシッ!

御坂「ええぇい! 離せぃ! 離さんかぁ! 仲間のピンチは捨て置けぬ!」グヌヌ・・・

初春「何キャラ!? 崩壊酷っ!? 御坂さん、自分を保って下さい!」アタフタ・・・

御坂「うわーん! だって私だけ置いてけぼり喰らったのよー! しかも結標淡希関係なのにぃ!」ギリギリ・・・

初春「こんな反応してるからでしょうが! 少し落ち着いて下さ―――」


 ピンポーン・・・・・


初春「―――い……って、ほら。お客さんです。見っとも無いですから落ち着いて下さい」ヤレヤレ・・・

御坂「……ぐぅ」ハァ・・・

初春「んもぅ……はいはい。此方風紀委員第177支部です。何方ですか?」Pi!

打ち止め『こんにちわー! その声はお花のお姉ちゃんだね! ってミサカはミサカは挨拶してみたい!』ヨッ!

初春「あら、打ち止めちゃん。一人で来たんですか?」キョトン・・・

打ち止め『ううん。この人も一緒だよ、ってミサカはミサカはばらしてみる』チラッ・・・

????『うっせェ。てか何で俺まで付いて来なきゃなンねェンだっつゥの……今から用事有るっつってンだろ』ハァ・・・

打ち止め『今ソッチ行くねー! ってミサカはミサカは貴方の手を引いて突撃してみたりー!』ワーイ!

????『おま、止めろ馬鹿!! つ、杖が!? 階段にってゥぐおォッ!!』ギャー!!


初春「……あるぇ?」タラー・・・

御坂「……良いわ。アイツも道連れよ」ケッ・・・

616 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 02:28:22.46 ID:Ae1IoWPh0
 パチッ・・・パチッ・・・・・


御坂「…………、」パチッ・・・

一方通行「……なァ」パチッ・・・

御坂「…………、」パチッ・・・

一方通行「……何で俺はテメェと仲良子良でオセロ打ってンだ?」パチッ・・・

御坂「うっさい」パチッ・・・

一方通行「……意味が分からない」ハァ・・・パチッ・・・


初春「ごめんなさいね。今日は先輩お仕事なんですよ」コトッ・・・

打ち止め「別に良いよ。御姉様も居るし。ていうか今日は元々あの人とお買い物に行く約束だったの! ってミサカはミサカは睨んでみる!」

一方通行「ンな約束してねェよ」ケッ・・・

打ち止め「酷い! 私の事、あんなに大事にしてくれるって約束したのに! ってミサカはミサカは悲劇の昼ドラヒロインを演じてみる!」

御坂「酷いヤツねぇ。旦那の風上にも置けないわ」フンッ・・・

一方通行「ぐっ……糞姉妹が」タラー・・・

初春「あはは……えっと、とりあえず第1位さんは用事を済ませる為に、打ち止めちゃんを預けに此処へ?」タラー・・・

一方通行「まァそンなとこだ」コクッ・・・

打ち止め「むぅ! 私知ってるもん! ホントはアワキン探しに行く予定だったんだよ! ってミサカはミサカは告げ口してみたり」フンッ・・・

一方通行「てめ、黙ってろ!」ギロッ・・・

御坂「…………、」ピタッ・・・

打ち止め「行っても良いけど私も付いてくーって言ってるのにぃ。この人、最近仕事でアワキンの顔見ないから寂しいんだって」ジトー・・・

一方通行「ンな事一言も言ってねェだろォが! アイツが居ねェと仕事量増えて困ンだっつゥのっ!」チッ・・・

打ち止め「そんな事言ってぇ。貴方結構アワキンとイチャイチャしてるじゃーん! ってミサカはミサカは暴露してみ……おりゃ?」チラッ・・・

御坂「…………、」スタッ・・・

打ち止め「……御姉様?」キョトン・・・

一方通行「あン? 何立ち上がってンだ? 負けそうだからって待った無しだぞ。無様に敗北しやがれ」フンッ・・・

御坂「……初春さん」ジー・・・

初春「は、はい」タラー・・・

御坂「打ち止めの事、宜しく。あと打ち止め……コイツ、借りるわよ」チラッ・・・

打ち止め「はぇ?」キョトン・・・

一方通行「お前何言ってやがン……え?」ガシッ・・・

御坂「行ってきまーす!!」スタタタタタ・・・バタンッ!!

一方通行「ちょ、オマ!? 引っ張ンなオイっておわぐべェっ!!?」ゴガンッ・・・チーン・・・ズルズルズル・・・

打ち止め「お、御姉様!? あー……行っちゃった」ポカーン・・・

初春「って……あああぁ!! 御坂さん逃げたあああぁ!! 急いで白井さん達に伝えないと!?」アタフタ・・・

打ち止め「2人で御出掛しちゃうなんて……あ、でも2人ともアワキンの居場所知らないんじゃないかなってミサカはミサカは推測してみる」

初春「あ……まぁ良いや。放っておきましょうか……打ち止めちゃん、オセロしましょう」コクッ・・・

打ち止め「はーい」テクテク・・・



御坂「結標淡希ー! 待ってなさーい!」ダダダダダダダダ・・・・

一方通行「……不幸だ」アbbbbbbbbb・・・・

617 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 02:45:01.87 ID:Ae1IoWPh0
 ―――とある翌々日、PM03:00、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎内・・・・・






部屋を移動し、職員室の様な場所へ案内された。
塾時代の名残なのか、旧式の電子機器が稼働している。此処は所謂講師控室だったのだろう。


結標「入って」ガララ・・・クイッ・・・

固法「……失礼します」コクッ・・・


先程のメンバーと、それから他に数名居座っていた。


結標「そこの応接席に適当に腰掛けて頂戴。あ、遊佐。お茶出して上げて」クイッ・・・

遊佐「もう準備してた」コクッ・・・コトッ・・・

香焼「ありがとうございます」ペコッ・・・

白井「…………、」ジー・・・

結標「白井さん、そんなに邪見しないで。危害を加えるつもりはサラサラ無いわよ」チラッ・・・

白井「……私は、先程の事を許していませんの」チラッ・・・

固法「白井さん」タラー・・・


未だに、白井さんが話すと場に緊張が奔ってしまう。


結標「だからその点については謝るわ。まぁでも……分かってたけどね」フフフ・・・

白井「何が、ですの?」チラッ・・・

結標「野田君程度じゃ貴女に傷一つ付けられないわ。そして他の3人も貴女が守るでしょう」クスクス・・・

白井「…………、」ムゥ・・・

結標「それに香焼くんも居るしね。誰一人傷つかないわよ。まぁサシなら直井君と椎名に分があるけど……野田君じゃ無理でしょう」フッ・・・


当たりがざわめく。それだけ淡希さんが、白井さんを評価してるという事だろう。


日向「ん? その坊主も? 白黒の悪魔だけじゃなくて?」キョトン・・・

結標「ええ。まぁアンタ達じゃ誰も彼には敵わないでしょうね」ハハハ

香焼「そ、そんな事無いっすよ! (淡希さああぁん! 余計な事言わないでえええぇ!!)」ダラダラ・・・

白井「……香焼さんが?」ジー・・・

結標「ええ。彼、私の事押し倒したくらいだもん」フフフ・・・


殺気が一気に僕に向いた。ホント、勘弁してくれ。あの時は貴女が悪いんでしょうが!

618 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 03:08:20.09 ID:Ae1IoWPh0
唯でさえ小さいのに、もう一回り縮こまって姫神さんの横に隠れながら話を聞く。


結標「……兎に角、許して頂戴。私の謝罪と、貴女の器量に免じてね」コクッ・・・

白井「貴女の謝罪に価値など感じませんが……良いでしょう。過ぎた事ですわ」ハァ・・・

結標「流石白井さん。私の好敵手(理解者)ね」フフフ・・・

白井「そのルビ、気に入りませんの」ッタク・・・


テレポーター同士、通ずるモノがあるのか。


結標「それにしてもアンタ達……この牛乳(うしちち)眼鏡に怪我させなくて良かったわね」テクテク・・・

固法「牛ち……結標さん」ジトー・・・///

岩沢「そのボインさんが如何かしたの? まぁ風紀委員だから危害加えちゃ悪いのは分かるけど」チラッ・・・

直井「……ああ、なるほど。先程心を読んだ時、知人に『半蔵』が居ました。流石に最大勢力と事を構えたくはありませんからね」コクッ・・・

松下「それに、聞いた限りじゃ2人とも超電磁砲と知り合いらしいからな」フム・・・

結標「違うわよ」ハァ・・・


コーヒーを一啜りして、固法さんを指差す。


結標「ソイツ、麦野沈利のマブダチよ」クイッ・・・

メンバー一同『ブウウウウゥッ!!?』ギョッ・・・

固法「む、麦野さん、そんなに危険な人じゃないってば!」アタフタ・・・

結標「……はいはい」ヤレヤレ・・・


知らぬは本人のみ、か。
無論、白井さんと姫神さんもキョトン顔だが……まぁ裏に通じてる者なら『原子崩し(メルトダウナー)』の危険性くらい把握してるだろう。


ゆい「そ、それは……助かりましたね」タラー・・・

結標「あとそれから、もっとヤバいの後ろに居るから」コクッ・・・

竹山「だ、第4位以上に?!」ギョッ・・・

結標「ソイツの旦那」チラッ・・・

固法「む、結標さん!!」アタフタ・・・

竹山「旦那? 彼女は既婚者なのですか? 僕らと同い年くらいに見えますが」ジー・・・

結標「彼氏って意味よ。てか銃向けた事ばれたら面倒な事になるわね」ハハハ

岩沢「誰なの? まさか重役理事のお忍び愛人とかじゃないわよね?」ジー・・・

ゆい「何そのレディース漫画展開! 超熱いんですけど! 俺様系役員の奥様は女子高生みたいな!?」キラキラ・・・


何か一人浮いてる女性が居るが……放っておこう。


白井「先輩の彼氏さん、そんなに凄い人でしたの? ヒモなのに?」チラッ・・・

結標「ええ、凄いわよ。都市の不良なら誰でも知ってる伝説よ。ヒモだけど」コクッ・・・

姫神「貴女の旦那。ヒモなの?」チラッ・・・

固法「ヒモヒモ言うな! 先輩だってバイトしてます! あと凄くも何ともないから! ただのフリーターだから!」ウググゥ・・・


あの強面の彼氏さん、固法さんのヒモなのか。

619 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 03:30:18.22 ID:Ae1IoWPh0
そんな事はさておき、話に入りたいのだが。


ゆい「それでそれで! どんな彼氏さんなんですか!? 実は超能力者さんとか!?」キラキラ・・・

姫神「……何で。この子一人で。盛り上がってるの?」チラッ・・・

結標「あーそういうメルヘンな頭してんのよ……日向君。連れてって」ハァ・・・

日向「はいはい。おい、邪魔すんなってよ」グイッ

ゆい「夢も希望も収入も無い先輩は黙ってて下さい!」バシッ!

日向「ぐっ……収入関係無ぇぞ!」グイグイ・・・

ゆい「はーなーしーてーくーだーさーいー! 私は純粋に恋バナに興味有るんですー!」ゲシゲシッ!!

日向「痛たたぁ!! てめ、ざけんなボケナス!」ポカッ!

ゆい「殴ったぁ! 最っ低です! 変態! 暴力男! アッチ行け! 音無さんとイチャイチャしてて下さいよ!」ガルルルゥ・・・

日向「音無関係無ぇだろっ!! んな役割は直井に任せときゃ良いんだよ!」ウガー!

直井「ふむ。燃え尽きたマッチ以下の存在にしては中々良い事を言った。褒めてやる」ポリポリ・・・///

日向「赤くなんなキメェ! てか、ユイ……お前、俺の事そういう目で見てるのか」タラー・・・

ゆい「現実の先輩と妄想(アダルティック)な先輩は別物です。あ、もしかしてぇ……心配したんですかぁ?」ニヤニヤ・・・

日向「ばっ!? ち、違ぇし!」アタフタ・・・

ゆい「あはははは。心配しなくても、ユイは先輩の事……ふふっ!」ポッ・・・///

日向「ば、ばーか」ポリポリ・・・///


何、この……何? 微妙にレッサーっぽい子と割と普通な男子の間に出来てる桃色空間。


結標「アンタらねぇ……余所でやれ、馬鹿ップル」クイッ・・・

日向「ち、違ぇしぃ! そういうアレじゃねぇしぃ!」カアアァ///

姫神「今更恥じらわれても。対応に困る……見せつけやがって」ケッ・・・

香焼「ひ、姫神さん?」タラー・・・

ゆい「そんな事より! 私は牛乳お姉さんの恋バナが聞きたいんですっ! ねぇあわきんさん! 焦らさないで教えて下さいよ!」キラキラ・・・

岩沢「ユイ。アンタ淡希の話聞いてたの?」ハァ・・・

ゆい「え? 危険な恋なんでしょ?」キョトン・・・

一同『…………、』タラー・・・

結標「……まぁこういう娘も居るのよ。世の中にはね」ハァ・・・


慣れてます。


ゆい「そーれーでっ!?」キラキラ・・・

結標「……如何すんの?」チラッ・・・

固法「貴女の所為でしょうが! 私こういう展開何度目だと思ってるの?!」ンモー・・・

結標「知ったこっちゃない。愛した旦那の所為でしょう」ハハハ

固法「ぐぅ……勝手にして!」ウガー!


もう半ば自棄になったな。あーめん。

620 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 04:03:08.90 ID:Ae1IoWPh0
という訳で、何故か淡希さんの解説が入った。


結標「まぁ初めに行っとくと、この女は元ビッグスパイダー出身よ」クイッ・・・

固法「そ、そこから言う事無いじゃない」タラー・・・


ざわめき。僕も固法さんがスキルアウトに所属していた事は知っているが、チーム名までは知らなかった。


ゆい「んー……それって凄いんですか?」キョトン・・・

岩沢「アンタはコッチ入って間もないから知らないだろうけど……伝説の走り屋集団だよ」コクッ・・・

ゆい「走り屋? 武装無能力者集団(スキルアウト)なのに? ていうか、牛乳のお姉さんは能力者なんじゃ?」ポカーン・・・

竹山「スキルアウトにも種類はあります。喧嘩屋、運動(テロ・デモ)屋、そして走り屋など」クイッ・・・

松下「能力者や無能力者ってのは、リーダーの考え方次第だ。俺らの中にも無能力者は居るだろう」コクッ・・・


要は能力者か無能力者、ドチラが頭を張るかで名称が変わるだけの事。


直井「更にビッグスパイダーといえば『曾露門』や『亜・罵汚亞・空』。そして後継の『是断』や『悪死洲』を潰した事で有名です」コクッ・・・

白井「そ、そろもん? あばおあくー? ぜだん? あくしず?」ポカーン・・・

固法「昔……スキルアウト全盛期に、一般人の迷惑考えずに暴れてたスキルアウトとか心許無い能力者集団よ」コクッ・・・

日向「その話は知ってる。アレだろ? 第7位が自警活動する前だから……『大猿』と『大蜘蛛』、『大鷲』、『大鰐』とか」

藤巻「化け物クラスの無能力者が跋扈してた時代だな」フム・・・

結標「そう……中でも『大蜘蛛』と『大猿』は名を馳せていたわ」フフフ・・・

白井「先輩の先輩って、やっぱり凄い方ですのね」チラッ・・・

固法「止めて……そんな肩書、就職活動で使えないのよ。寧ろそんなの書いたら一発で不採用決定」ハァ・・・


元不良の悩みだな。


直井「しかし、既に『大猿』も『大蜘蛛』も……亡くなったと聞いていますが」コクッ・・・

結標「ええ。私もそう思ってた……ソイツに会うまでわ」チラッ・・・

岩沢「え? 如何いう事?」キョトン・・・

ゆい「……あ! ユイ分かりました! その『オオクモ』さんが牛乳お姉さんの彼氏さんなんですねっ!!」ビシッ!!

一同『…………、』シーン・・・

ゆい「あ、るぇ?」ポカーン・・・

日向「お前馬鹿か。今直井が既に故人だって言ったろ」ハァ・・・


あれ? そういえば何で生きてるんだろう?


白井「……確かに、何で生きてたんでしょうね?」チラッ・・・

固法「分からないわ……本人は火傷治して逮捕されてたって言うけど、絶対嘘よ。あの空白の二年間、何してたか教えてくれないの」ハァ・・・

姫神「ああ。黒妻さんの……ただのヤンキー事務員だとばかり。思ってた」フーン・・・

結標「……ってな感じで、生きてるの。そんで、コイツは黒妻綿流の嫁」クイッ・・・

ゆい「す、凄い! 死んで尚愛する者の下へ戻ってきたんですね! チョ~ロマンティックで、す……って、あれ? 皆さん?」キョトン・・・

メンバー『』チーン・・・


顔面蒼白にして、固まってた。

621 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 04:42:28.04 ID:Ae1IoWPh0
因みに、固法さんは『またこの反応か』みたいな呆れ顔。


結標「……アンタら、コイツに銃ブっ放さなくて良かったでしょ?」フフッ


レッサー似以外のメンバーが……暴走し始めた。


直井「お……女子どもを優先的に地下のシェルターに避難させろ!!」バッ!!

竹山「この事が知れた場合、伝説のZⅡを用いれば5分以内に攻め込んできますね」タラー・・・

松下「今すぐ野田を叩き起こせ! 逃走時間確保の為に人手が要る!」アタフタ・・・

遊佐「……銃火器が足りません。これの3倍は必要です」ダラダラ・・・

岩沢「急いでトラップの確認を! バリケードも組み直せ! 非戦闘員も手伝いな!」バタバタ・・・

日向「くっ! 人手が足りない! 音無達はまだ戻って来ないのか!?」

大山「え? え!? な、何事なの!? 何で皆バタバタしてるの??」アタフタ・・・

椎名「……浅はかだった。私達は、売ってはならない喧嘩を売ったらしい」スタタタ・・・

藤巻「あの女の旦那は大蜘蛛……黒妻綿流だったんだとよ」チッ・・・

野田「なぁっ!!? あ、あの『帝嘆洙(ティターンズ)』を崩壊させた伝説の男!?」ギョッ・・・

斉藤「そう。自分に仇なす生者には等しく死を。死せる者にも鞭を打ち、その先祖子孫まで末梢されるという噂の……うまーぅ!」コクッ・・・

高松「駆け抜けた地には雑草一つ生えず、女子供を蹂躙し、死体を工作しインテリアとして飾るという、あの大蜘蛛!?」ダラダラ・・・

日向「ユイ! お前は隠れろ! 大丈夫……安心しろ。無事生きて再開出来たら、その時は……映画を観に行こうぜ」パアァ・・・

ゆい「んー、良く分かんないけど……先輩それメッチャフラグです! あとテンプレで……お前、消えるのか……わぁ言っちゃった!」キャー!


大混乱。固法さんはソファの上で膝抱えてるし……淡希さん収拾つけて下さいよ。


結標「あははは。私としては面白いんだけど……まぁそろそろ良いか。おーい、アンタ達ー」フフフッ

メンバー『っ!』ダラダラ・・・

結標「特別に許してやっても良いってよ」チラッ・・・

メンバー『ほ、本当っ!?』バッ・・・

固法「……ない」ボソッ・・・

結標「え?」キョトン・・・

固法「絶対……許さない!」ムスー・・・ギロッ・・・

結標「……あちゃー」アハハ・・・

固法「迷惑掛けてるの、分からないんですか? 帰ったら(私や神裂さんが結標さんの事)タダじゃ済ませませんからね!」ジトー・・・

メンバー『こ、殺されるうぅっ!!』ギャー!!


この後、メンバーの誤解を解くのに15分。固法さんの機嫌を直すのに30分以上も掛けてしまった。


姫神「大人しそうに見えて。存外。怖い女」ジー・・・

白井「ええ、私達の詰め所の中で怒らせると一番面倒ですから」ハハハ


呑気にお茶啜ってないで、固法さんの機嫌取り手伝って下さいよ!!

622 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/13(火) 04:53:42.26 ID:Ae1IoWPh0
はい、今回此処まで。次回で終わるかも。


・あわきんの仲間の『モデル』は、皆さんの予想通りです!
・黒妻さんの過剰な『イメージ』は、天上天下という漫画の俵文七と棗慎の噂色々を取って付けた感じです


次回はやっと説教サイド入ります。多少あわきんと香焼ちゃん喧嘩させようかなぁ。
あと私は御坂&一方通行に何をさせたいのだろう? 我ながら謎ですw

とりあえずは此処まで。例の如く質問意見感想指摘お願いします! それじゃまたね! ノシ”

623 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 06:49:00.73 ID:enKwgPmAO
ここのミコっちゃん偉くフリーダム

624 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 08:41:02.54 ID:a00V3C5O0
おつつ

黒子が残念すぎる
まあ、アクシデントがないとつまらんか… 
 
630 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/14(水) 20:47:42.90 ID:EJ4DpSvq0
こんばんわ。ボチボチ書きます。


・黒子についてですが、ぶっちゃけ男だったら惚れますよね! ってくらい美琴に対してのアレ以外は好きですw

・あーくん&みこっちゃんについてですが……このコンビ、見たい? 需要あれば行間で書きますw


そんじゃ、ゆっくりみていってね!
631 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 21:10:36.37 ID:jEqdIi490
みこっちゃんのホームグラウンド(行間)での活躍が見たいぜ!
632 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/14(水) 21:22:44.93 ID:EJ4DpSvq0
 ―――とある翌々日、PM04:00、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎内・・・・・




一波乱の後、淡希さんのお仲間さん達が皆恐怖(固法さんにのみ)し出したので、場所を移す事に。
色々機材が置いてあった職員室から、ゆったりとした空間の塾長室に移動した。

僕ら4人と淡希さんの他にさっきまでのメンツの中で連いてきたのは、
そして僕らを危険人物と決めつけ淡希さんの護衛(本人は必要無いというのに)を名乗り出た直井さんと椎名さん、
それから今さっき戻ってきたばかりだという男女2人組の計9人。


結標「さて、と……それじゃあ改めて本題に入ろうかしら」ヨッコイショッ!


ゆったりふかふかしてそうな皮張りの塾長席にドッカリ座り、机に足を乗せ、まるで他人事の様に言い放った。


音無「ちょい待て……なぁ淡希。状況が読み込めないんだが、何で俺と奏が此処に連れて来られたんだ?」キョトン・・・

結標「何でって、暇そうだから」サラッ・・・

音無「は? それだけ?」ポカーン・・・

結標「あとは他の連中が臆しちゃったからアンタらが代表って事で」コクッ・・・

立華「……その『代表』っていうのが分からないのだけど。何故彼らに臆する様な事態が? それから、彼らは何者?」ジー・・・

結標「あーもう面倒ね……直井くん、説明してあげて」ハァ・・・

直井「何で僕が」フンッ・・・

音無「頼むよ直井」コクッ・・・

直井「誠心誠意お伝えします!」キリッ!!


とりあえず直井さんが2人に説明。
如何でも良いが、白井さんが『彼(直井さん)からは私と近い匂いがする』とかほざいてる。実に如何でも良い。


直井「―――以上です」コクッ・・・

音無「ふーん……って、いやいやいや。全っ然分からん! 大蜘蛛? 淡希の友人を騙る刺客?」キョトン・・・

白井「随分な偏見説明ですこと」ジトー・・・

結標「その大蜘蛛ってのは知らなくても良いわ。とりあえず、彼らは私の客人なの……何の用か今話すとこだったのよ」チラッ・・・

音無「あ、そう……って、やっぱり俺ら関係無ぇじゃん」ジトー・・・

結標「喧しい! 黙って座ってなさい!」ギロッ・・・

音無「……はぁ」ヤレヤレ・・・


目の前の人(音無さん)から上条さんと同じ匂いがするのは気の所為だろうか……さておき、話を進めよう。

633 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/14(水) 21:51:17.11 ID:EJ4DpSvq0
話は二つだ。一つは白井さんの疑念。もう一つは僕と姫神さん、固法さんの説得・説教……どちらから話そうか。


白井「では、私から」チラッ・・・

香焼「え?」チラッ・・・

白井「私の話の方が先に終わりますわ。尤も……彼女の返答次第ですが」ジー・・・


答えが如何あっても、説得する気は無いらしい。絶対に相容れないという確執からか。


固法「……良いわ。先に話して」コクッ・・・

白井「そうさせて頂きます……では」スッ・・・

結標「ん? 白井さんからなの? まぁ良いわ。どうぞ」フフッ・・・

白井「私の質問は単純明快ですわ」ジー・・・

結標「……なぁに?」コクッ・・・


暫しの間。一同息を飲む……そして―――


白井「再び私の敵になるか、結標淡希」ジー・・・

結標メンバー『っ!!?』ギョッ・・・

結標「…………、」フーン・・・


―――単刀直入、言い放った。


結標「意味が分からないわね。敵、とは何を意味しているのかしら?」クスクス・・・

白井「恍けないで下さいませ。これ程分かり易い聞き方はございませんわ」ジトー・・・

結標「……そうね」ニヤリ・・・

音無「お、おい待てよ。やっぱ意味が分からない……コイツら淡希の客、ってか友人じゃないのか? 何で物騒な話になってんだよ」タラー・・・

白井・結標「「外野は黙ってろ」」キッ・・・

音無「うっ……、」ダラダラ・・・


そう言いたくなる彼の気持ちは分かるが、今は黙っておいた方が良い。その方が身の為だ。
至って真剣な白井さんに反し、何処か楽しそうな表情を見せる結標さん。ただ、双方とも内心は火花を散らしているのだろう。


結標「そうね……なる、と言ったら?」ニヤリ・・・

白井「言葉遊びも冗談も要りません。真面目に答えろ」ギロッ・・・

結標「やれやれ。じゃあ……ま、悩み中よ」ハァ・・・

白井「戯言を」ギリッ・・・

結標「本当よ。だってコレばっかしは私一人で決められる事じゃないし」チラッ・・・


この場に居る仲間達の方を見る結標さん。確かに、此処は彼女一人の組織ではない。言ってる事は正しいだろう。

634 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/14(水) 22:28:37.84 ID:EJ4DpSvq0
一寸間が空き……今まで沈黙していた椎名さんが答えた。


椎名「私達の中で、答えを出せる者は居ない」ボソッ・・・

固法「え」キョトン・・・

音無「まぁそうだな。俺らのリーダーは淡希だし、淡希の言う事に従うよ」コクッ・・・

直井「音無さんがそう言うなら、僕もそういう事で」コクッ・・・

立華「私も、結弦の言うとおりに」コクッ・・・


誰一人自分の意見を言わない。


音無「多分、他の連中も同じだぞ。皆淡希に従うだろうな」ハハハ

姫神「……まるで他人任せ。他力本願」ジー・・・

結標「ハァ……ま、そういう事よ」ハハハ・・・

白井「何が如何いう事ですの? 意味が分かりませんわ……まったくもって、私の質問に応えていません!」キッ・・・

結標「だからさっき答えたじゃない。悩み中で、コイツらと相談して決めるって」コクッ・・・

白井「はぐらかさないで下さいませ!」バンッ!


机を叩き立ち上がる白井さん。対称に、結標さんは不動のまま不敵の真顔。
攻撃するのではないかと警戒した椎名さんがクナイを構えたのを見て、固法さんが白井さんを宥めた。


結標「じゃあさ……逆に聞くけど、何でそんな事聞くのかしら?」ジー・・・

白井「は?」ピタッ・・・

結標「その答え、急がなきゃダメなの? 焦り過ぎじゃない?」グデェ・・・

白井「何を、言ってますの……その気があるのか無いのか答えるだけでしょうに」キッ・・・

結標「……ハァ」ヤレヤレ・・・


結標さんは面倒臭そうに腕を組み、声を荒げる白井さんに、まるで幼稚園児を微笑ましく見守る様な目を向け、告げた。


結標「要は……敵が、欲しいんじゃないの?」フフッ・・・

白井「……はい?」キョトン・・・

結標「そうにしか聞こえないもの。今の貴女、私が何を言っても悪者にしようとするでしょう」ジー・・・

白井「な……そ、んな事」グッ・・・

結標「私が『敵にはならない』っつっても、貴女は『嘘を言うな!』って無理矢理自己解決しようとしてたんじゃない? 違う?」チラッ・・・

白井「し、しません!」タラー・・・

直井「結標さんの言うとおりですね。付け加えれば深層心理で『願わくば敵である事』を心待ちしてましたよ。嬉しそうにね」コクッ・・・

白井「そ、そんな事があるものですか!」ギッ・・・

結標「白井さん……正義の味方(ヒーロー)が、悪役(ヴィラン)の登場を願ったら余も末よ。それは幼稚園児の理屈だわ」ジー・・・

白井「っ!!」ギリッ・・・


その逆はあっても、平和を脅かす存在を風紀委員が願ってはならない……確かにそうだろう。

635 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/14(水) 22:57:04.07 ID:EJ4DpSvq0
誰も、何も言わなかった。固法さんすら白井さんを擁護しなかった……出来なかった。
白井さんを論破するかの如く言い放った結標さんの確信は誰もが正しく思えた。

多分、言った本人……白井さんも悔いてる筈。下唇を噛むその表情で理解できる。


姫神「……本当に。そう思ってる?」チラッ・・・

香焼「え」キョトン・・・

姫神「……貴方なら分かるかと思ったけど。その反応からして。分からなかったみたい」フーン・・・

香焼「何、が」ポカーン・・・


視線を白井さんに移す。


姫神「……いいえ。貴女は間違ってない」ジー・・・

一同『は?』キョトン・・・

結標「秋沙、何言ってるの?」ハァ・・・

姫神「これが。悔いてる顔? 違う……口惜しいだけ。歯痒いだけ」ジー・・・

白井「…………、」ギリリ・・・


如何いう意味だ。


姫神「確かに。彼(直井)の言った事は正しい。多分。深層心理まで読み取れるクラスの。能力者みたいだし」チラッ・・・

直井「……ええ、一応大能力者(レベル4)です」コクッ・・・

姫神「白井さんも。それは認めてる筈」ジー・・・

音無「ええっと……何言ってるんだ? その子は淡希っていう悪者を望んでたんだろ? だったらそれは悪い事じゃないのか?」フム・・・

姫神「……言葉で説明出来ない。でも白井さんは。『分かってる』」コクッ・・・

結標「……何を」ジー・・・


全員の視線が一つに集まる。


白井「……ええ。確かに、私は貴女が敵である事を望んでいますわ」コクッ・・・

固法「し、白井さん」タラー・・・

白井「でもそれは……正義の味方だとか悪者だとか、そんなのじゃありませんの」ジー・・・

結標「……へぇ」フーン・・・

白井「兎に角……私は貴女を許容できない」キッ・・・


全員がキョトン状態。理解してるのは本人と姫神さんだけだった。


白井「……予想通り、貴女は何も変わってません。それだけは分かりました」スッ・・・

結標「人間はそう易々と変わらないわよ」ジー・・・

白井「……そういう態度が、嫌いですの」グッ・・・

結標「貴女のそういう所が好きよ、白井さん」フフッ・・・


先程から変わらぬやり取り……だが、僕も何となく分かってきた。

636 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/14(水) 23:44:05.72 ID:EJ4DpSvq0
多分、彼女達は互いに引かれ合ってる。共感……共振してるとでも言うのだろうか。


姫神「……分かった?」ジー・・・

香焼「何となくっすけど」コクッ・・・


彼女らの『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』は非常に近い位置に在る。
それが何なのかは本人達のみが知るモノ。ただ『テレポーター』として存在している以上、似た世界を視ている筈だ。
だが一方は都市に従ずる一介の風紀委員、他方元だが都市に反するレジスタンスのリーダー。

互いに好き合ってれば、または嫌悪し合っていればこうはならなかったのだろう。


姫神「クドい。60点」ジー・・・

香焼「はぁ」ポリポリ・・・

姫神「理屈じゃない。大体合ってる。けど。精神論で語るのも間違い」ジー・・・

香焼「……何で分かるんすか?」タラー・・・

姫神「見える。ただそれだけ……なんちゃって」フッ・・・

香焼「……ふむ」ジー・・・

姫神「ん……意外。貴方。呆けないんだ」ジー・・・


軍覇の言ってた事……『原石理論』を思い出した。彼彼女らは視てるモノが違う、と。見えないものが視える、と。


姫神「……ま。そんな事は良いとして。淡希。もう少し真面目に。答えなきゃ駄目」ジー・・・

結標「んー真面目なんだけど……いや、ホントよ。まだ迷ってるの」チラッ・・・

白井「…………、」ジトー・・・

結標「ハァ……目標も無いまま行動出来ないでしょう。そういう事よ」ヤレヤレ・・・


先延ばしという訳か。だが、白井さんはまだ不服な御様子。


結標「正直、今度動くとしたら真面目にコイツらの意見も取り入れたいの。だけど、コイツらは『私の言うとおりにー』とか言うし」ハァ・・・

固法「それじゃあ近郊線よ。答えが出ないままね……あと、それって組織として成り立ってないわ」フム・・・

結標「当たり前じゃない。私が組織だなんて思ってないし」サラッ・・・

白井「は?」キョトン・・・

結標「前の時は、私が行動したら勝手に連いてきた連中だもの。いつの間にか組織規模になってた」グデェ・・・

香焼・固法・白井・姫神『…………、』ポカーン・・・

音無「まぁこういうヤツなんだ」ハハハ・・・

直井「カリスマなんですよ、彼女の」ヤレヤレ・・・


では如何して、目的が無い筈のこの集団がバラバラにならない……というのは野暮な考えか。
彼らは純粋に、淡希さんに陶酔しているのだろう。それがいつしかコミュニティとなった『だけ』か。恐ろしい人だな。

637 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 00:33:52.24 ID:2btBrYgd0
それで、結局のところ……結論は?


結標「まぁはっきり言って欲しいなら、今は御上(都市)に刃向かう気は無いわ」フフッ

白井「……『今』は、ですのね?」ジー・・・

結標「ええ……何れ、私かもしくはメンバーが主義主張を出せば、貴女の望みも無きにしも非ずよ」ニヤリ・・・

固法「む、結標さん!」タラー・・・

結標「ふふっ。だって、公言して欲しかったんでしょう? じゃないと納得しないものね」クスクス・・・

白井「……何だかんだ言って私の『予感』通りになった訳ですね」ジー・・・

結標「ま、これもハッキリ言っておくと……私はまだ恨んでるわよ。多分、此処に居るメンバーは全員そう」コクッ・・・

白井「まだそんな腑抜けた事を!」ガタッ!!

結標「だけど安心なさい……あの時、貴女が言った事は正しいわ。悔しいけど正論。不幸を能力の所為にしてたのは確かね」ボー・・・

メンバー『…………、』ジー・・・

結標「何故自分が、如何してこんな力が……そんな事はもう考えない。この力を使うのは私自身だもの……そうでしょう? 白井さん」チラッ・・・

白井「……ええ」コクッ・・・


なら、何故まだ捨て切らない。


結標「それと、御上に不服があるのとは別モノよ。貴女達だって分かるでしょう?」ジー・・・

白井「……何を」ジー・・・

結標「御坂美琴……他には誰かしら? ああ、貴女達は『木原』にも関わっていたんでしょう」チラッ・・・

白井「テレスティーナの事を言っていますの? それとも、那由他さんの事を?」フム・・・

結標「どっちもよ……テレスティーナの方は加害者として。サイボーグ小学生は被害者として」コクッ・・・

白井「……え?」キョトン・・・

固法「っ! 結標さん! 止めて!」キッ・・・


立ち上がり結標さんの言動を遮る固法さん。何があった?


結標「え……まさか……知らないの?」チラッ・・・

固法「……お願い。言わないで」コクッ・・・

白井「先輩? え……何の話ですの?」ポカーン・・・


正直、僕らも付いていけないんですが。


結標「そう……だけど、分かった……白井さん。貴女は視野が狭いわ」ジー・・・

白井「な、何を」ピタッ・・・

結標「……これ以上は言えない。聞きたければ先輩さんに聞きなさい」チラッ・・・

白井「……先輩?」ジー・・・

固法「白井さん……いずれ、ちゃんと話すから」ジー・・・

白井「…………、」ムゥ・・・

香焼「……えっと」ポカーン・・・

結標「香焼くんにも分かり易く言うと……絹旗最愛とか、土御門みたいに『実験台(モルモット)』になった。または、したって事よ」ボソッ・・・

香焼「っ……、」タラー・・・


この街の裏……というか、一部の狂人(大人・科学者)の犠牲者達という事か。

638 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 01:05:18.40 ID:2btBrYgd0
結標さんは一度大きな溜息を吐き、再度白井さんを見た。


結標「それじゃあ分かり易い輩で言うと……木原幻生って科学者は知ってる?」ジー・・・

白井「ええ。先進教育局木原研究所所長、胤河製薬特別顧問、鎚原病院木原研究室教授、他にも多数の役職を持っていた科学者」コクッ・・・

結標「そうね。著名な科学雑誌とか能力開発誌、医学専門書を見れば大抵名前が載ってる男よ」コクッ・・・

白井「しかしその実、絶対能力進化(レベル6シフト)実験を行っていた狂科学者ですの」ジー・・・

結標「流石にそのくらいは知ってる訳ね……じゃあ良いわ」コクッ・・・チラッ・・・


扉の方を見遣る結標さん。


結標「今、あそこ(扉前)で聞き耳立ててるヤツらは……殆どそういった馬鹿な大人の玩具にされた連中よ」ジトー・・・

扉前『なっ!!?』ギョッ・・・

白井「…………、」チラッ・・・

結標「そして、此処に居る4人も……私も」ジー・・・

直井「……貴女は大概、プライバシーを守る気無いですよね」ハァ・・・

結標「あら、別に良いでしょう。このくらい」フフッ


『このくらい』で済ませる辺りが結標さんの図太さ。いや、もう割り切ってるのか。


結標「傷の舐め合いやってる悲劇のヒーロー・ヒロイン気取ってるって言いたいなら言っても良いわよ」チラッ・・・

白井「……いえ」フイッ・・・

姫神「私は思うけど」サラッ・・・

結標「秋沙は色々あり過ぎんのよ。アンタと比べないで……兎角、そんな連中が御上に恨み辛み憎悪の心を抱かない訳ないでしょ」ハハハ

白井「…………、」ムゥ・・・


白井さんも悩んでいる様子。


結標「……ま、でもそれもちょっと薄れちゃったんだけどね。此処に居る馬鹿ップル2人の所為で」チラッ・・・ジトー・・・

音無「い、いや、俺見るなよ……なぁ」ポリポリ・・・

立華「別に。私達、悪い事した訳じゃないから」コクッ・・・

固法「……何をなさったんですか?」チラッ・・・

音無「いや、その……そういうのの為だけに戦うのは、悲しいだろって」ムゥ・・・

立華「宛ら、亡霊だったもの。皆ね」フフッ・・・

結標「くっ……言ってくれるじゃない」アハハ・・・


良かった……此処には『救い』があったのか。道理で結標さんは最愛程すれてない訳だ。


立華「でも、私も彼女達に救われた。これも事実」コクッ・・・

音無「まぁ最初は敵だったからな……ただ、アレは目的をハッキリ言わなかった奏が悪いんだぞ」チラッ・・・

立華「……反省してるわ」ポリポリ・・・

結標「イチャつくな馬鹿共……兎角私達はそういう境遇の人間を受け入れ続けるわ。勿論それ以外にもウェルカムね」コクッ・・・


『被害者の会』みたいなモノか。別に悪くは無いと思うが……武装している以外は。

639 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 01:25:42.25 ID:2btBrYgd0
全員がこの話題はもう良いだろうと思っている中、未だ一人微妙な顔をしている白井さん。まだ納得しないのか。


白井「……でも」ムゥ・・・

結標「白井さん……分かって頂戴。みんな、貴女みたいに強い訳じゃないの」スッ・・・

白井「そんな、事……私だって、まだまだですわ」フイッ・・・

結標「いいえ。貴女は私の中では屈指のレベルの強さよ……能力的にも、精神的にもね」テクテク・・・


淡希さんは白井さんを認める。だけど、白井さんは淡希さんを認めない。


白井「……今居る仲間を救う為に、研究所などを強襲した事は?」ジー・・・

結標「さぁ。有るかもしれないし、無いかもしれない。でも、もししていたとしても悔いは無いわ」フフッ

白井「犯罪でも?」ジー・・・

結標「糞喰らえよ。法が全てじゃないわ……あぁ正式な手順を追って如何こうしろって事?」フーン・・・

直井「例えば、それが理事会直轄の研究施設だったら如何します? 正式な手順を踏んも突っ撥ねられるだけです」ジー・・・

結標「白井さん……この街は、腐ってるわ。全てとは言わない。でも大半の科学者は外道を行ってる」テクテク・・・

香焼「だから……必要悪」ボソッ・・・

結標「ふふっ。流石香焼くん。良い事言うじゃない」ニヤリ・・・


しかし……それは私(わたくし)でするものじゃない。


結標「……でも、例えどんな場合でも、貴女は私の敵になるのでしょうね」ハァ・・・

白井「…………、」コクッ・・・

結標「ええ……それで良いわ。それでこそ私の理解者(好敵手)。真っ直ぐだけを行く人が居なきゃね」フフフッ

姫神「……馬鹿淡希」ジトー・・・


その笑みは……『最後』に、裁いてくれる人がいるという安心感か。


結標「安心して。行動を起す時は何らかの形で宣戦布告するから。全力で止めてみせなさい」ジー・・・

白井「無論ですわ」ジー・・・

結標「ふふふっ……あ、でもそれ以外では仲良くしましょうよー。ガミガミし合うのは好きじゃないもの」クスクス・・・

白井「……お断りしますの」ケッ・・・

結標「じゃあ……偶に模擬戦の相手するくらいなら?」ニヤリ・・・

白井「……場所と使用武器によっては、考えますの」フンッ・・・

結標「さっすがぁ♪」ハハハ


これも一種の『愛』の形なのかもしれない……相当歪んでるけど。とりあえず一件落着か。

640 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 01:59:15.61 ID:2btBrYgd0
 ――一方その頃、街中にて・・・・・



  ざわざわ・・・ガヤガヤ・・・・・



御坂「…………、」ジー・・・

一方通行「…………、」グデェ・・・

御坂「……だあああああああぁっ!!」ビリビリビリビリッ!!

一方通行「うっせェボケェ!! 叫ぶなド阿呆!!」ウガー!

御坂「だって場所分かんないんだもんっ!!」ウギギィ・・・

一方通行「馬鹿。バカ。ばーか」ジトー・・・

御坂「喧しい! てかアンタも結標淡希探しに出て来たんでしょ! 何で居場所知らないのよ!」ギロッ・・・

一方通行「知らねェから探し歩いてたンだろ駄阿呆が」ケッ・・・

御坂「つっかえない! ホント使えないわねっ」チッ・・・

一方通行「お、ま……ホント良い性格してるわァ。姉妹揃ってそっくりだぜ」ジトー・・・

御坂「褒め言葉として受け取っといてやるわよ……てかホントに何処居るのよぉ」ウウゥ・・・

一方通行「だから知らねっつってンだろォが……帰って良いか?」ハァ・・・

御坂「逃げたら殺す。物理的にじゃなくて社会的に殺す」キッ・・・

一方通行「外道。マジ外郎……てかその前にテメェ殺すぞ糞女(アマ)」ジトー・・・

御坂「……ふんっ!!」ガシッ!!

一方通行「ちょ、オマ!? 何でチョーカー掴んでンだ!?」ギョッ・・・

御坂「打ち止めから聞いたわ。不意打ちしてコレ、握りればあの人一発! って……ね!」フッハッハッハッ!!

一方通行「糞ガキいいいいいィっ!!」ウギャー!!

御坂「ねぇ……コレ、握り潰して良い? もしくは電撃流してショートさせても良い?」ニヤリ・・・

一方通行「…………、」ダラダラ・・・

御坂「良いから黙って言う事聞きなさい! じゃなきゃ……ふふふっ」ジトー・・・

一方通行「……オメェ碌な死に方しねェよ」ハァ・・・

御坂「何言っても無駄よ。さ、行くわよ」グイッ!

一方通行「オマっ!? 犬のリードみてェに引っ張ンじゃねぐぼォっ!!」グエッ・・・

御坂「なーにー? 聞こえなーい」ズルズル・・・




浜面「ん? アレ、第一位と第三位じゃね?」ジー・・・

滝壺「……お忍びデート?」キョトン・・・

浜面「にしては堂々と主従プレイしてるみたいだけど……って、滝壺さん? 何写メってんの?」タラー・・・

滝壺「『第一位と第三位の秘密の関係激写なぅ』……OK。ツブヤイッターに上げたよ」ニヤリ・・・

浜面「……知ーらね」タラー・・・

641 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 02:22:36.08 ID:2btBrYgd0

 パッパー・・・ブーン・・・ブロロロォ・・・ガヤガヤ・・・・・


御坂「……んで? 私達は如何すりゃ良いのよ」チラッ・・・

一方通行「だからそれを俺に聞くなっつゥの!」ウガー!

御坂「何か案出しなさいよ! 第1位でしょ! 超能力者(レベル5)でしょう! 天才なんでしょ!」ギロッ・・・

一方通行「テメェだって超能力者だろォが! ハァもゥ……何でテメェと漫才やンなきゃなンねェンだよ」グデェ・・・

御坂「まったく、我儘ね……あ、そうだ。初春さんに電話しよう」Pi!

一方通行「鼻っからそうしとけっつの」タラー・・・

御坂「……あ、もしもし。初春さん」Prrrr・・・・

初春『うわぁやっぱり掛ってきちゃいました』Pi!

御坂「何それ?」ジトー・・・

初春『い、いえ……それで、何ですか?』タラー・・・

御坂「結標淡希の居場所教えて」サラッ・・・

初春『駄目です』キッパリ!

御坂「何でよ!」ジトー・・・

初春『非常事態があるまで待機でしょう! 忘れたんですか?』ハァ・・・

御坂「きっと非常事態よ! 全然連絡来ないもの!」フンッ・・・

初春『……先程連絡着ました。無事、会談中だそうですよ』ヤレヤレ・・・

御坂「うぇ?!」ギョッ・・・

初春『この調子だと何事も無く帰れそう、だとか……つまりお疲れ様でした、御坂さん。さっさと帰って来て下さいね』フフッ

御坂「ぐっ……まだだ! まだ終わらないわ! 物語は最後の最後まで何があるか分からないモノなのよ!」キリッ!

初春『(面倒臭ぇ)……じゃあ第一位さんだけでも戻して下さい。打ち止めちゃんが騒いでます』ミサカハミサカモミサカッテミサカネ!

御坂「駄目よ」ムゥ・・・

初春『え?』ポカーン・・・

御坂「今手ぇ放したら絶対仕返しされるから」チラッ・・・

一方通行「分かってンなら最初っからすンじゃねェ!!」ギロッ・・・

初春『ええっと……じゃあもう2人で戻ってくれば良いんじゃないですかねぇ! 仲良くお手々繋いで!』ンモー!

御坂「だから駄目なのよ! 黒子立がピンチなんでしょ!」ムンッ

初春『うわぁこの人話聞いてないです……もぅ責任取りませんよ』グデェ・・・

御坂「さっすがぁ♪」ニパー!

一方通行「オイ馬鹿やめろ。言うンじゃねェ!」ダラダラ・・・

初春『場所は三沢塾の―――』Pi!

御坂「OK! 把握したわ! 行くわよ忠犬鈴科号! 場所は三沢塾!! 此処から近いわ!」ダダダダッ!

一方通行「だから引っ張るなああああああァ!!」アbbbbbbbb・・・・




初春「―――○○通り分校、舎……って、切っちゃった……ま、多分本校ビル行っちゃうけど皆さんの邪魔にならないなら良っか」ハハハ・・・

打ち止め「ねーえー! 御姉様とあの人はまだ帰って来ないのー!? ってミサカはミサカは騒いでみるー!」ジタバタッ!

初春「うーん……2人は……ランデブー? してますよ」ハハハ

打ち止め「ほぁあああああああぁっ!!?」 Σ(( ゚д゚))"!!?

642 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 02:41:30.83 ID:2btBrYgd0
 ―――とある翌々日、PM05:00、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎内・・・・・




一つ目の用件が思いの外長引いてしまった為、一度休憩を挟んで、僕達の用件に移る。

因みに、白井さんはもう興味無しといった風で、呑気に紅茶を啜っていた。他のメンバーさんも身内話という事で空気を呼んで捌けている。
ただ固法さんは『中立』という立場で間に入る様だ。淡希さんの言い分次第だろう。


結標「さて、と……貴方達の方は……まぁ予想はついてるわよ。再三電話掛けて来てたしね」フフッ

姫神「なら。何故出ないの?」ジトー・・・

結標「……さぁ」ボー・・・


先程とは一転、アンニュイな表情。


香焼「……淡希さん、何故黙って出て行ったんすか?」ジー・・・

結標「黙ってじゃないわ。書き置きしたもの」チラッ・・・

香焼「詭弁っす。それだけじゃ貴女は月詠さんに筋を通した事にならない」フイッ・・・

結標「…………、」ジー・・・

姫神「直接顔を合わせて。別れを告げるのが寂しいからなんて。腑抜けた事。抜かさないで」ギロッ・・・

結標「……悪い?」ボー・・・

姫神「っ……馬鹿な事を」ジー・・・


自分可愛さに月詠さんを泣かせた、か。


香焼「……如何して?」ジー・・・

結標「色々あったのよ……分かってとは言わないわ」ボー・・・

香焼「月詠さんが嫌いになったとか、オンボロには住みたくないとか――」

結標「冗談ッ!!」バッ・・・

香焼「――……、」ピタッ・・・

結標「っ……違う。そうじゃない……冗談でも、小萌は嫌いになれない」フイッ・・・


真剣。


結標「ゴメン……兎に角、引き戻そうって考えなら無駄――」

姫神「……土御門くん」ジー・・・

結標「――……なっ!?」ギョッ・・・

香焼「……やっぱり」ハァ・・・


あの道化師め……後でカオリ姉さんに『犯人はやっぱ身内でした』と電話しよう。

643 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 03:13:47.31 ID:2btBrYgd0
固まる淡希さんへ追い打ちを掛ける様に、姫神さんは続けた。


姫神「何を。言われた?」ジー・・・

結標「い……べ……つ、に」タラー・・・

姫神「『いつまで居候やってんだ? 先生に迷惑掛けんじゃねぇ、この糞女!』……そんな。感じ?」ジー・・・

結標「っ……、」タラー・・・

姫神「しかも言われたのは。先生が風邪を引いた日。もしくは。その前後……違う?」ジー・・・

結標「ちが、ぅ……わ」フルフル・・・


明らかに動揺している。


姫神「違わない。だって。私と彼が。貴女について話をしたのが。その日前後」ジー・・・

結標「そ、な……ち、違うわよ! 私は私の意志で!」バッ!

姫神「……そう」ジトー・・・


冷ややかな目を向ける姫神さん。あくまで冷静だが……内心、彼女と土御門に対する怒りでいっぱいだろう。


姫神「じゃあ。何故。出て行ったのか。『色々』とか『訳アリで』とか。曖昧な事言って誤魔化さず。答えて」ジー・・・

結標「っ……そ、れは」タラー・・・

姫神「……何?」ジー・・・

結標「私が……寄生虫で……ぐぅたらで……迷惑しか、掛けないから」シュン・・・

姫神「…………、」ピキッ・・・

結標「私は……小萌に何もしてあげられないのに、邪魔ばっかして、害になってて……それで……っ」ジー・・・

姫神「貴女の……意思じゃない」ギリリ・・・


そう……それは土御門の押し付け。


姫神「あの人が。見返りを求める様な人に。見える? だったら。貴女の目は。伽藍の粉いモノ」ジー・・・

結標「……でも!」グッ・・・

姫神「ハァ……呆れる」ジトー・・・


僕に目線を振る姫神さん。まったくもって同意見だから、何も言う事が無いのだが。


白井「……バカバカしい」フンッ・・・

結標「っ……貴女は、関係無いでしょう」ギロッ・・・

白井「ええ、実に如何でも良い。茶番にすら思えますの」テクテク・・・ガチャッ・・・


カップを持ったまま、他のメンバーさん達が居る職員室へ退出しようとする白井さん。


白井「……貴女は、やっぱり変わってない。愚痴愚痴グチグチと逃げてばかり」フンッ・・・

結標「っ」グッ・・・

白井「そんな姿じゃ、誰も連いて来ませんわよ……自称カリスマさん」ガチャッ・・・テクテク・・・


言うだけ言って消えて行った……辛辣だが、彼女の言う事も正しい。

644 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 03:39:47.70 ID:2btBrYgd0
暫く無言だった。いや、この無言こそ全て。
口に出さずとも既に淡希さんの本音は分かっている。本当は、まだ月詠さんと一緒に居たいのだ。
だけど彼女は人に流され易い。そのくせ頑固だから性質が悪い。しかし自由人。でも人を引き付けるチカラは持ってる。

よくよく考えればかなり厄介な性格だな。


固法「……ねぇ結標さん」チラッ・・・

結標「…………、」ジー・・・

固法「此処は、アナタにとってどんな場所?」ジー・・・

結標「……え」キョトン・・・

固法「人を使えて気楽? それともリーダーとして重責を課せられる?」ジー・・・

結標「……分かんないわよ」ムゥ・・・

固法「何でもいい。教えて」コクッ・・・


一寸悩み、答える。


結標「……大変だけど、楽しいわ」ジー・・・

固法「そう。じゃあ、香焼くんの家は?」チラッ・・・

香焼「え?」キョトン・・・

結標「……カオスってるけど、面白いわね」フッ・・・

固法「ええ。私もそう思うわ」フフッ


まぁ確かに……家主としては些か忙しいけど。


固法「それじゃあ……月詠先生の家は?」ジー・・・

結標「っ」ピタッ・・・

固法「貴女にとって、どんな場所?」コクッ・・・

結標「……言わせ、ないで」グッ・・・

固法「言わなきゃダメ」ジー・・・

結標「っ……言えない」ギリリ・・・


悲痛の表情。言葉にする事で、決心が揺らぐのが怖いのだろう。


固法「……十分よ。通じたわ」コクッ・・・

結標「…………、」ジー・・・

固法「結標さん。貴女が……自分が自分で居られる場所は、何処に在る?」ジー・・・

結標「自分が、自分で?」キョトン・・・

固法「うん。貴女の『居場所』よ……勿論、一つとは限らないわ」フフッ

結標「…………、」ジー・・・


それが、此処であり(何故か)僕の家であり……そして月詠さんの家か。

645 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 04:04:54.96 ID:2btBrYgd0
固法さんは微笑み、告げる。彼女は強要しない。


固法「貴女の葛藤は理性的なモノよ。人の為を思っての事。貴女がそれを正しいと思うなら反論しない」コクッ・・・

結標「…………、」ジー・・・

固法「でも、我慢するのはきっと辛いわ……居場所があるなら、そこに帰りなさい。幸い、貴女には沢山帰る場所がある」フフッ

結標「……でも」ムゥ・・・

固法「ずっと居ろなんて言わない。でも偶に、遊びに行ってみたら? そのくらいなら良いんじゃないかしら」コクッ・・・


成程。一時だけでも、か……徐々に心を戻そうという作戦らしい。


結標「……っ」グッ・・・

固法「駄目かしら? これなら月詠先生が困る訳じゃないし、逆に教え子が遊びに来てくれた感覚で嬉しいんじゃないかな」コクッ・・・

結標「で、も……っ……駄目」フルフル・・・

固法「……そう」ハァ・・・


そこまで、怖いか。何を恐れている。


結標「これは……私の我儘なのよ。その方が、小萌は助かるのよ!」ギッ・・・

姫神「憐れな女……どうせ。彼が言った口八丁の。善意紛いに騙されて。意固地になってる」ジー・・・

結標「違う! 私の意志よ! 私がそうしたいからそうしたの……だから私は此処に居るのよ!」ギリッ・・・

香焼「……淡希さん」ジー・・・

姫神「チッ……じゃあ。もういい。せめて。小萌先生に。謝罪して。今回の件でまた。心労掛けてる」ジトー・・・

結標「っ……手紙、送るから……もう良いでしょう」シュン・・・

香焼・姫神・固法「「「…………、」」」ハァ・・・


もう、何を言っても無駄か。
皮肉だが、流石陰陽博士……『呪い』の扱いは一級品だな。あのグラサン道化師め。

一度時間を置いた方が良いのではと固法さんと視線を合わせる。しかし、姫神さんは合わせない。


姫神「そう。分かった……じゃあ。私も我儘を言う」ジー・・・

香焼・固法・結標「「「え」」」キョトン・・・

姫神「首輪付けて。縄で縛って。気絶させて。引き吊ってでも。連れて帰る。今日は元々。そのつもりで来た」ジー・・・

香焼・固法「「なっ!?」」ギョッ・・・


場が凍る。温厚に見える姫神さんからそんな台詞が出るなんて、誰も思いもしなかった。


結標「あ、アンタ……何言ってんのよ?」タラー・・・

姫神「……もう一度。言わなきゃ駄目? 貴女を。小萌先生の家に。連れ帰るって。言った」ジー・・・

結標「あ、秋沙が……は、はははは。い、いやぁ……面白い冗談ね」タラー・・・

姫神「……冗談。じゃない」ガシッ

香焼「え」ビクッ・・・


何故、僕の肩を掴んでいるのでせうか?

646 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 04:34:00.03 ID:2btBrYgd0
至って真面目な姫神さん。乾いた苦笑を浮かべる淡希さん。今の状況に戸惑う固法さん。
そして、何故か……淡希さんの方に押し出された僕。何これ?


姫神「淡希」ジトー・・・

結標「な、何よ」ジー・・・

姫神「決闘」ジトー・・・

香焼・固法・結標「「「はぁ!?」」」ポカーン・・・


その一言と同時に、扉から、窓から、天井から、床下から、戸棚から……色んな所からメンバーさん達が身を乗り出してきた。
『おい、決闘だってよ!』とか『あわきんと!? 無茶だぜ!』とか『はい倍率は、あわきん<9:1>黒髪嬢ちゃん、だぞ!』とか聞こえる。


結標「ちょ、ちょっと……いやいやいや……アンタ、何言ってるか分かってんの?」タラー・・・

姫神「勿論。小萌先生の為。だから」キリッ・・・

結標「……勝負にならないわよ。アンタ、弱いじゃん」ハァ・・・

香焼「そ、そうっすよ。淡希さん、希少能力者とはいえ戦闘向きじゃないんすから」ハラハラ・・・

固法「えっと、何か格闘技でもやってるからそんな豪語するのかしら」タラー・・・

姫神「……私は。ズブの素人」ムンッ・・・

香焼「いやいや。威張る所じゃないっすよ」ハァ・・・

結標「ったく……冗談言わないでよ……とりあえず、帰りなさい。あと、間違っても小萌連れて来ないでよ。門前払いに―――」

姫神「誰が。私が相手するなんて。言った?」ジー・・・

結標「―――したく、な……へ?」キョトン・・・


嫌な予感しかしない。


姫神「ん」グイッ・・・


僕を突き出す……一同、再び、唖然。


香焼「な……なんでさああああぁっ!!?」ギョッ・・・

結標「……横暴だわ」タラー・・・

固法「ひ、姫神さん。流石にそれは」タラー・・・

香焼「ちょ、姫神さん! 何でこんな事を!?」ダラダラ・・・

姫神「戦いなさい。先生の為。私達の為……そして。淡希の為に」ジー・・・


土御門の『呪い』と、戦えという事か。


香焼「え……ぅ……えっと……い、いやでも、やっぱりそういうのは」チラッ・・・

結標「……良いわ。受けて立つ」ジー・・・

香焼「ほら、淡希さんだってこう言ってまぁあんだって?」ハッ!?

結標「……秋沙。後悔するんじゃないわよ」フンッ・・・

姫神「吠えてなさい」フンッ・・・

香焼「うぇ!? お、ちょ!? ぐっ……あーめん!」キョロキョロ・・・オドオド・・・ウワーン!


周りを見るも……助けが居ない。もう皆勝手に盛り上がってる。
白井さんは『やっぱ茶番ですの』とか如何でも良さそうにそっぽ向いてるし、固法さんは苦笑してお手上げのジェスチャーしてるし。

こうして『決闘』とかいう馬鹿な流れになってしまった……―――

647 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 04:42:34.06 ID:fA8G9b4Wo
ちょっと昔の雰囲気に戻ってうれしいでござる
投稿中失礼
648 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 05:12:19.99 ID:2btBrYgd0
 ――一方その頃、三沢塾本校ビルにて・・・・・


  シーン・・・・・


御坂「……やけに静かね」キョロキョロ・・・

一方通行「いや、お前今普通に不法侵入してっかンな。一応売りビルだかンな、此処」タラー・・・

御坂「ビビってんじゃないわよ。女のくせに」ジトー・・・

一方通行「テメェの目と耳は節穴ですかァ?! 今更俺の事女扱いしてンのは初期段階で女性設定してるSSくらいだっつの!」ウガー!

御坂「訳分かんない事ばっか言わないの。安心なさい。電子ロック解除すんのと共に、電脳ハックして監視カメラ止めてるから」テクテク・・・

一方通行「能力の無駄遣い! 電脳ハック? それ何て公安Q課!? それとも○モイカネ!?」ハァ!?

御坂「オモイ●ネとか言わないの。年齢がばれるわよ……あ、メガ◎ンもそうか」フムフム・・・

一方通行「いやツッコめよ! それこそ何訳分かンない事言ってンのよ、とか、メタい事言わないで、とか言うモンだろォが!」ギャーギャー!

御坂「はいはい、五月蠅い五月蠅い……しかし、こうも広いと探すの疲れるわね。二手に分かれ……ちゃ駄目ね」フム・・・

一方通行「チッ。帰ろうと思ったのによォ……何でテメェそういう無駄なとこだけ頭切れンだ?」ハァ・・・

御坂「とりあえず悪者は高いとこか低いとこに居るものよね……どっちだと思う?」チラッ・・・

一方通行「話聞いてねェし」チッ・・・

御坂「会話の一方通行ね……誰が上手い事言えなんつった!」グイッ!!

一方通行「ンもォどォでも良ィですよォ……マジ面倒臭ェ女。あと一々興奮してチェーカー引っ張ンなよォ」グデェ・・・

御坂「あ、ごめん。さて……真面目に如何する?」ジー・・・

一方通行「ハァ……監視カメラジャック出来ンなら見付けられるンじゃねェのか?」ヤレヤレ・・・

御坂「その手があったか。流石私」テクテク・・・

一方通行「……後で、有る事無い事三下に話しとこう」ジトー・・・

  Pipppp・・・ウォン・・・・・


???『―――……ぃ……ントに……―――ばれな…………また……勘弁―――』ggg・・・

???『――……丈夫だ……――――――……此処から…………れば……―――いに、ナパー・弾が……―――』ggg・・・

???『――――――が、結社は…………薬も手に……―――れで理・会相手……ぅ渉…………――易い』ggg・・・


     Pi!

御坂「何か、映ったわね……黒尽くめの集団。30~40人くらいかしら? 明から様に悪者ですよ的な連中ね。武器持ってるし」ジー・・・

一方通行「……なァ。今のって絶対ェ結標と関係無――」タラー・・・

御坂「絶っっっ対に! 結標淡希と悪の一味よね!」キラキラキラ・・・

一方通行「――ェ……えー」ジトー・・・

御坂「行くわよ! やっぱ予想通り結構上の階だったわ! 殲滅よ、殲滅! あ、でもまず優先は人質4人の救出よ」コクッ・・・

一方通行「おま……マジな顔して……本気で、それ、言ってンのか?」ダラダラ・・・

御坂「当たり前でしょ! こっから先は真剣勝負よ……手も放してあげるわ。真面目に付き合いなさい……でも、殺しは駄目よ」ジー・・・

一方通行「マジボケ程面倒なモンは無ェ。そン時の俺はそう思った」ボー・・・

御坂「何現実逃避してんのよ! 完っ璧銃とか爆弾とかロケット弾持ってたでしょう! 討伐対象じゃない!」グッ・・・

一方通行「……結標は?」タラー・・・

御坂「だーかーらー! きっと結標淡希は特別席みたいなとこに坐してワイングラス片手にニヤニヤしてんでるのよ!」フンッ・・・

一方通行「どンな悪役イメージだっつの……あ、でも結標なら想像付く」タラー・・・

御坂「御託は此処までよ……さぁ、行きましょう! レッツパアァリイイイィッ!!」バッ!!

一方通行「……あァ糞ったれェ! 何で姉妹揃って暴走ン面倒見なきゃなンねェんだよおおおォ!!」ウガアアァッ!! カチッ・・・ブンッ!!
649 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/15(木) 05:19:43.65 ID:2btBrYgd0
うい、此処まで……余談だけど『原石』ってゲッター線とかNTとか、何かそんな感じのイメージがする。
というか、見直してみると独自解釈凄ぇなぁと大反省。黒子とあわきんが、アムロとシャア的なノリになってた……だから行間で憂さ晴らし!

次だけど『決闘』は如何しよう。黒子の戦闘も見たいですか? 香焼だけで良い?
ぶっちゃけあんまり戦闘描写自信無いんだよね……あ、一番自信無いのはエッチ描写。だって書いた事ないもん☆


兎に角、寝ます! おやすみ!ノシ”

650 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 05:36:17.68 ID:fA8G9b4Wo

一方通行がキャラ崩壊しているがそれは気にしないでおく
652 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 09:37:47.59 ID:AvXPYQk0o

行間もさりげに陰謀の影が見え隠れしてるなww
656 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/15(木) 19:58:14.51 ID:ToD0hfgC0
こんばんわ。みんなスケベだねぇw


・キャラ崩壊は仕様です! 特に超能力者は人格破綻します★

・確かに土御門が正しいです。でも皆が皆それで納得しませんから・・・


そんじゃボチボチ投下!

657 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 20:34:13.95 ID:ToD0hfgC0
 ―――とある翌々日、PM05:30、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎横・おんぼろ屋内テニスコート・・・・・




成り行きで、トンデモない展開になってしまった。

僕は戸惑う間もなく淡希さん他一同に、旧分校の横に在る都市営のテニスコートに案内された。
そこはテニスコートが二つ分しかなく、外装内装共にボロボロ、おまけに管理人すら居ないときている。


白井「……此処は、運営していますの?」キョロキョロ・・・

直井「一応。ただ最早理事会の管理から離れていますよ。多分、忘れ去られているのでしょう」コクッ・・・

岩沢「都市創設当初からある建物らしいからね。立地も微妙な所だし、買い手もいない」ハハハ


入口のガラスは無残にも壊されている。警備システムすら作動しないのか。


松下「俺らが破った訳じゃないさ。とうの昔からこうだったみたいだぞ。因みに、監視カメラすら動いてないらしい」ジー・・・

固法「……それで、運営してるっていうの」タラー・・・

結標「利用する為の券売機だけ生きてるわ。まぁ何処に提出する訳でもないけど」テクテク・・・


しかし、律義に団体券を買う淡希さん。それを窓口にチョコンと置いた。
よくよく見ると何枚か溜まって山になっている。使用する時は一々お代を払ってるのか。偉いな。


姫神「守銭奴の淡希が。よくもまぁ。御利口に」ジトー・・・

結標「うっさい。あ、竹山君。今の経費で出してね。2000円よ」チラッ

竹山「分かっていますよ」ヤレヤレ・・・

結標「やっぱ。守銭奴」ハァ・・・


さておき、全員で奥へ進む。そこにはテニスコート……というより、網が張ってないので多目的ホールの様な場所が広がっていた。


姫神「……此処で。決闘?」チラッ・・・

結標「そうよ」コクッ・・・

香焼「……テニス勝負で」タラー・・・

結標・姫神「「馬鹿じゃないの?」」ジトー・・・


馬鹿は貴女達だ畜生! 何で決闘……というより、喧嘩なんかするんだ。しかも僕が代理っておかしいですよ?


姫神「私。非戦闘員」ムンッ

香焼「だから威張らないで下さいって……ねぇ淡希さん。やっぱり止めましょうよ」チラッ・・・

結標「香焼くん。私、貴方のそういうウジウジしたところ、嫌いよ」ポンッ・・・

香焼「くぅ……固法さん、白井さん」チラッ・・・

白井「御勝手に」シレッ・・・

固法「あはは……大怪我しない程度にね」タラー・・・


何でこう、僕の周りは女性の方が物騒なの? 

658 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 21:09:01.56 ID:ToD0hfgC0
それから色々言い訳したのだが、決闘する流れからは逃れられなかった。
というか、決闘って何を如何するきなのだ?


結標「キチンとルールくらい決めるわよ。殺試合にするつもりはないもの……でしょ? 秋沙」チラッ・・・

姫神「当たり前」コクッ・・・

香焼「でも……それならテニスとかスポーツでも」ウーン・・・

結標「駄目よ。私テニス出来ないもの」キッパリ・・・


近くにテニスコートがあって、しかも常連のくせにそれを抜かしますか?


結標「それじゃあルールだけど……―――」


・能力(魔術)の使用はOK
・銃の使用はNG
・屋内コート内:縦30m×横30m×高約20m、は全て使用可能
・相手が気絶、または戦意喪失により戦闘続行不可となった場合に勝敗決定


結標「―――こんな感じでOK?」チラッ・・・

白井「殺しもNGですの。貴女なら能力次第で如何とでも人を殺せるでしょうに」ジトー・・・

結標「そのくらい分かってるわ。審判は……直井君と椎名、あと白井さん。頼めるかしら」ジー・・・

直井・椎名「「…………、」」コクッ・・・

白井「私? 先輩の方が良いのでは?」キョトン・・・

結標「駄目よ……ソイツ、多分少し血が出たくらいで止めるでしょう」チラッ・・・

固法「流血沙汰になるくらいなら最初からさせません」キッパリ・・・

結標「……ほら」フゥ・・・


いや、僕も固法さんと同意見なんだけど。


白井「……そうですね。骨折くらいまでは見逃しますわ」コクッ・・・

香焼・固法「「白井さん!?」」ギョッ・・・

結標「さっすが話が分かるわね♪ そんじゃあこのルールで決定よ」フフッ・・・

直井「それでは10分後、開始としよう。ギャラリーは二階に上がれ。2人は準備を」コクッ・・・

姫神「私。彼のセコンドに入るから。一緒に下に居る」チラッ・・・

香焼「姫神さん!?」ギョッ・・・

姫神「代理させといて。オズオズ隠れたり。しない」ジー・・・

結標「ふふっ。流石良い根性してるわね。じゃあ私は……奏。セコンドお願い」チラッ・・・

立華「……了解」コクッ・・・


こうして、本格的に戦う羽目になった……一体如何しろっていうんだよ。

659 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 21:37:43.54 ID:ToD0hfgC0
互いに広いリングサイドの対角で、決闘の準備をする。
ルール通り、戦意喪失したら負けという時点で既に僕は負けているのだが……それを言うと姫神さんが静かに怒る。


姫神「……上条くんは。男女平等に。殴る」ジトー・・・

香焼「上条さんと比べないで下さい! 自分は彼ほど強くないっす」タラー・・・

姫神「魔術師のくせに?」ジー・・・

香焼「ハァ……いや、貴女が見てきた魔術師が強すぎるだけっすよ」タラー・・・


土御門にステイル、オリアナさん、そして稀代の狂人錬金術師:アウレオルス=イザード。誰も彼も『天才』以上の魔術師だ。
それに比べたら僕は……オケラ程度。


姫神「……でも。魔術師は。能力者相手に。優位。違う?」ジー・・・

香焼「それはまぁ秘匿性の問題上、優位っすけど」ウーン・・・

姫神「なら。問題無い。勝ちなさい」ジー・・・

香焼「無茶苦茶な……いや、そう問題じゃなくて」タラー・・・

姫神「理由が無ければ。戦えない。と? なら。さっきも言った通り。小萌先生と。淡希の為に。戦いなさい」コクッ・・・

香焼「だからって、争わなくても」ムゥ・・・

姫神「女みたいなヤツ……あの子はもう。言葉じゃ分からない」ジー・・・


対角サイドで、立華さんと何やら相談してる淡希さんを見遣る。


姫神「目を。覚まさせてやりなさい」チラッ・・・

香焼「……ハァ」タラー・・・


一寸、悩んだ末……携帯を取り出す。


香焼「ちょっと待ってて下さい……――」Pi!

姫神「電話?」キョトン・・・

香焼「―――……あ、夜分遅くすいません。任務お疲れ様っす」Prrrr・・・・

神裂『いえ、先程終えた会議が終わったところです……如何しました』Pi!


メキシコで任務中の姉さんに電話。時差的に今は……午前1時半くらいだろう。


香焼「先程メールで送った通り……淡希さんを見つけました」コクッ・・・

神裂『ええ、読みました。やはり土御門の所為でしたね……安心して下さい。此方は私と上条当麻で「お話」しましたから』ニヤリ・・・

香焼「ありがとうございます。それで実は……―――」


 少年説明中.....


香焼「―――……という状況で」ハァ・・・

神裂『ふむ……では、吸血殺し(ディープブラッド)……いえ、姫神さんに替わって下さい』ジー・・・

香焼「え?」キョトン・・・

神裂『お願いします』コクッ・・・


よく分からないが、言われた通り姫神さんに携帯を渡した。

660 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 21:59:20.96 ID:ToD0hfgC0
姫神さんも、何故自分に電話を渡されるのかと戸惑った様子を見せたが、姉からだと伝えるとすぐに電話に出た。


姫神「もしもし」Pi!

神裂『こんばんは、姫神秋沙。この度は土御門が馬鹿な真似をして申し訳ありません』ペコッ

姫神「……いえ。彼も色々考えての事だと。思う」ハァ・・・

神裂『ええ。だけど……誰が如何見ても余計な事でしたね』フゥ・・・

姫神「そして。あの子はそれを。真に受け過ぎた」コクッ・・・

神裂『……決闘、ですか』ジー・・・

姫神「あの子を。土御門くんの呪縛から。救う為」ジー・・・

神裂『……そう』フム・・・


探せば、他の手段がある筈。


姫神「無理。あの子は。一度方針を決めたら。成功するか。大失敗するまで。止まらない性格」ジー・・・

神裂『…………、』ムゥ・・・

姫神「弟さん。借りる」ジー・・・

神裂『……香焼に、戻して下さい』ハァ・・・


再度電話を替わる。


香焼「……もしもし」コクッ・・・

神裂『香焼……自分では決められないから、私に電話したのですね』ジー・・・

香焼「……ごめんなさい」コクッ・・・

神裂『まぁ仕方ありません。貴方は意味も無く人を、ましてや女性を殴れないでしょうから……でもね、香焼』ジー・・・

香焼「…………、」ジー・・・

神裂『貴方は課せられているのですよ……これが、一種の「試練」でしょうね』コクッ・・・


試練?


神裂『無論、救心や希望を背負っているという意味もあります。しかし、貴方がこの先進む道には同じ様な選択肢が多々現れるでしょう』

香焼「如何いう事っすか」タラー・・・

神裂『絹旗さんを救うには、この道を避けられません』キッパリ・・・


頭の中に衝撃が走った。


神裂『彼女と結標さんを比べるのは些か失礼ですが……それでも彼女の場合は、最悪、殺し合いになるでしょう』コクッ・・・

香焼「…………、」グッ・・・

神裂『傷付ける勇気を持ちなさい。無論、殺しではありませんよ。必要最小限の攻撃で、相手を助けなさい』ジー・・・


やらなきゃ……駄目か。


神裂『では、香焼……女教皇(プリエステス)として命令です―――』


彼女を、救え。

661 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 22:29:20.46 ID:ToD0hfgC0
 ―――一方その頃、旧三沢塾本校ビルにて・・・・・



 ズガーン! ドゴーン! バゴーン! ズババババッ!!



黒尽くめA「て、敵襲ううううぅ!! 敵が来たぞおおおおぉ!!」ウワアアアァ!!

黒尽くめB「なんだとっ!? この計画……『炸裂★ナパームパーティー!』プロジェクトがばれる筈は無いのに!!?」ギョッ・・・

黒尽くめC「チィ! 敵は何人だ!? 風紀委員か!? それとも警備員!? まさか暗部じゃあるまい!」ダラダラ・・・

黒尽くめD「敵の数は……なん……だと……っ?!」タラー・・・

黒尽くめB「如何した!? そんなに数が多いっていうのか!? 私達の人数を越える人員を今都市は割けない筈なのに!!?」グッ・・・

黒尽くめD「下っ端の報告によると……ふ、2人」ボソッ・・・

黒尽くめ's『ハァ!?』ポカーン・・・

黒尽くめC「か、監視カメラは如何した!? 何故侵入に気付けない!?」ダラダラ・・・

黒尽くめE「じゃ、ジャックされています! カメラだけではありません! 電子類全てです!」アタフタ・・・


  ギャーギャー! モウダメダー! オシマイダー! タスケテカーチャンッ!


黒尽くめ長「沈まれぃ!!!」ガンッ!!

黒尽くめ's『っ!!? ぼ、ボス!?』ピタッ・・・

黒尽くめ長「何をそんなに怯える必要がある! 俺らは最強の科学結社『X=クメ(クローズ粂)団』だぞ! 例え超能力者が来ようと――」

黒尽くめE「か、監視カメラが一つ動きました! ヤツら、此方に挨拶する様です!」Pi!

黒尽くめ長「――平気……何!? 自ら身を晒し宣戦布告という訳か……ふざけおって! すぐ映せ!」バッ!


    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

下っ端①『うぎゃあああぁあbbbbbbbbbbbbbbbbbbっ!!?』ビリビリビリビリ・・・

下っ端②『ひぃいぎいいいいぃっ!! ほ、骨がぁ!! 骨がああぁ!!』バキバキ・・・

下っ端③『あ、悪魔だ……悪魔が来たああああぁっ!!』ウギャアアァ・・・

下っ端④『ぼ、ボスっ!! 助けぶぼらばっ!!?』ベコンッ!!

御坂『喧しいわよ。早くリーダー呼びなさいよ』フンッ・・・ビリビリ・・・

一方通行『だから今テメェが踏み付けた野郎、頭呼ぼうとしてたじゃねェか』ハァ・・・

御坂『うっさい……あ、カメラ此処ね! こらああぁ! 結標淡希! 隠れてないで正々堂々出てきなさい!』ギロッ・・・

一方通行『だから絶対ェ此処に居ねェって……おっと』キュイイィン・・・・バシュッ!!

下っ端⑤『うぎゃああぁっ!! かた、肩がああぁっ!! ひいいいぃ!!』ジタバタ・・・

一方通行『るっせェな、オイ。テメェで撃った銃弾だろォが。男ならピーピーギャーギャー泣くなっつゥの』ヤレヤレ・・・

御坂『ちょっと五月蠅いわよ! 少し黙ってて! あーこほんっ……兎に角、早く出てきなさい!! あと人質解放しなさい!』ダンッ!!

  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


黒尽くめ's『…………、』ダラダラ・・・

黒尽くめF「な、なぁ。アレって……超能力者じゃ……しかも、2人も」ダラダラ・・・チラッ・・・

黒尽くめ's『』チーン・・・

黒尽くめ長「きゃ……キャパシティダウン持ってこおおおおぉいっ!!」ウギャアアァッ!!

黒尽くめE「だ、駄目です! 先手を打たれて館内音響システムが壊されています!!」ダラダラ・・・

黒尽くめ長「\(^o^)/」オワタ・・・

662 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 22:56:05.41 ID:ToD0hfgC0
 ――一寸後・・・・・


御坂「この部屋にヤツらが居るのね。良い? 第一優先は人質の安全よ。その後結標淡希をケチョンケチョのビーリビリにしてやる」チラッ・・・

一方通行「まァ俺らを攻撃してた連中の首脳陣は居るだろォな……ンもォ好きにしろ。俺が何言ったって聞きやしねェンだし」ハァ・・・

御坂「ふふっ。ま、頑張った御褒美として帰りにクレープでも買ってあげるわ」クスクス・・・

一方通行「なァ。何でそこで無駄にフラグ建てンだ? 今のワザとだろ?」ジトー・・・

御坂「あ、ばれた? 一度やってみたかったの」テヘッ♪

一方通行「くたばれ」ジトー・・・

御坂「酷っ! アンタってホンっトにゲスぃ性格してるわよね」フンッ・・・

一方通行「どの口言いますかァ? 人を散々盾代わりにしといてよォ。てか、戦闘中くらいチェーカーから手ェ放せっつの!」ハァ・・・

御坂「放したら逃げるでしょ? 例えこの状況下であっても」ジトー・・・

一方通行「あァ全っ力で逃げるねェ。テメェの全身の血管大爆発させた後にな」ケッ・・・

御坂「アンタそれ本気で言ってるの?」ジトー・・・

一方通行「本気で言ってたら此処まで付いてきてねェよ」ジトー・・・

御坂・一方通行「「…………、」」ジー・・・

御坂「だ……駄目よ! 貴方には奥さんが居るじゃない!! 私の妹という奥さんが!!」アタフタ・・・///

一方通行「だあああァかあああああァらああああああァボケンなよォ!! ツッコンで下さいっつってンだよおおおォ!!」ウギャアアァッ!!

御坂「つ、突っ込むとか突っ込まないとか言わないでよ……変態」ジトー・・・///

一方通行「あのさァ!!? え? 何? 俺の言語中枢の演算狂ってっからコイツと会話出来ねェの?! 俺正常だよなァ!?」ウググゥ・・・

御坂「大丈夫よ。今は私がアンタの脳味噌をジャックしてるもの……コイツでね!」スッ・・・ ← <チェーカーを握った手>

一方通行「シスタアアアアアアアアアァズッ!! 助けろおおおおおおおおおおおォ!!」ウガアアァ!!

御坂「五月蠅いわよ! 敵前真っ只中なのよ!? アンタ馬鹿じゃない?」ジトー・・・

一方通行「……てェゐ!」ベシッ!

御坂「あ痛ぁ! た、叩いたわね!!」ギロッ・・・

一方通行「……流れ弾だ」フンッ・・・

御坂「あったまキた! 握り潰してやるわ!」グッ!!

一方通行「…………、」ジー・・・

御坂「……に、握り潰すわよ!」グイッ!

一方通行「……やれよ」ジー・・・

御坂「え」ピタッ・・・

一方通行「潰してみろっつってンだ」グイッ・・・

御坂「つ、潰しちゃうわよ……ホントに! 潰すからね!」タラー・・・

一方通行「さっさとしろよ」ドンッ!!

御坂「あ、ぅ……な、何よ」ドキドキ・・・///

一方通行「……ケッ」チッ・・・


  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


黒尽くめ長「現状報告!」チラッ・・・

黒尽くめD「そ、それが……第一位が第三位に……壁ドンしてます。でも逆に第三位が第一位の首輪? を握ってます」タラー・・・

黒尽くめE「なんか、修羅場っぽいけど第三位の顔が何故か赤いです。とても気拙い雰囲気です」タラー・・・

黒尽くめ's『ハァ!?』ポカーン・・・
663 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 23:01:11.25 ID:Nl75YTiIO
なんだろ…某動画の上琴漫才が頭に浮かんだw
664 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 23:17:10.41 ID:ToD0hfgC0
黒尽くめB「ボ、ボス! 空気を読まない感じですが今がチャンスです!」チラッ・・・

黒尽くめ長「そ、そうだな……この対人ナパーム砲の餌食にしてくれる!」ガチャンッ!!

黒尽くめA「で、出た! ボスの対人ナパーム砲! 直線状に放出される圧縮された高熱ガスが人に当たった瞬間燃え広がるバズーカ!」ジー・・・

黒尽くめC「出力の調整はマックスです! 壁ごとブチ抜けます!」コクッ・・・

黒尽くめ長「よしっ! それじゃあファイヤアアアアァッ!!」ボゴオオオオォ!!



 ボガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァ・・・・・・・・...・・・・・・・・キュイイイイィンッ!!



黒尽くめ's『え』ピタッ・・・



 くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこききくこくくけくかきくこけくけくきくきくきこきかかか―――――



黒尽くめ's『……え』タラー・・・



一方通行「――……あのよォ。今、マジで説教中なンだわ」テクテク・・・

御坂「うるさい、ばーか……アンタが言う事聞かないから悪いんだもん」ムスー・・・

一方通行「テメェはガキか? 妹みてェな事言うな」ジトー・・・

御坂「……ばーか」ムスー・・・

一方通行「それ以外喋ンな、ガキ。これからテメェはガキだ、ガキ」テクテク・・・

御坂「……言えるわ、ぼけぇ」ムスー・・・

一方通行「屁理屈を……あのなァ。別にこンな真似しなくても懇切丁寧に頼まれりゃ付いてくるかもしンねェンだ。分かるか?」ジトー・・・

御坂「……あほぉ」ムスー・・・

一方通行「『お願いします一方通行さん。仲間を助けたいので付いてきて下さい』……簡単だろ? 何でバイオレンスな手段取ンだ?」ジー・・・

御坂「……おかまぁ」ムスー・・・

一方通行「ふんっ」グー・・・バッ!

御坂「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」アタフタ・・・

一方通行「……糞っ。調子狂う」ハァ・・・


黒尽くめ's『……えっと』ダラダラ・・・


御坂「……だって、アンタ、普通に言ったら付いてきてくれないじゃん」ムスー・・・

一方通行「あァ付いて行かねェ。こンな馬鹿な事する女について行く気なンねェ」ジトー・・・

御坂「…………、」ムスー・・・

一方通行「ったく……あ、これ返すわ」ヒョイッ!


黒尽くめ's『うぇ!?』ギョッ!!



  ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァ・・・・・...


665 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 23:51:20.49 ID:ToD0hfgC0
    ―――はたまた一寸後・・・・・


 ピーポーパーポー・・・・・黒尽くめ's『』チーン・・・ピーポーピーポー




黄泉川「ビルで大爆発があったって聞いてみりゃアンタらが居たときたじゃん……慈善活動じゃん? アンタにしては珍しい」フフッ・・・

一方通行「うっせ……成り行きだ」フンッ・・・

黄泉川「あぁ……御坂の御蔭か。成程成程」ニヤニヤ・・・

御坂「……え」キョトン・・・

黄泉川「御坂がコイツ引っ張って事件解決手伝わせてくれたんでしょ? いやぁ感謝感謝」ハハハ

一方通行「違ェっつのババァ」フンッ・・・

黄泉川「照れるな照れるな。まぁ街をナパームで焼き尽くす計画建ててたとかいうからなぁ……ホント感謝じゃん」ポンッ・・・

御坂「……え? あーぱーむーん?」キョトン・・・

一方通行「ナパームだ、ナパーム。何だそれ?」タラー・・・

御坂「あ、いや……って! 黒子達は!? あと結標淡希は何処!?」バッ!!

黄泉川「は? 白井? 結標淡希?」ポカーン・・・

一方通行「……おま、まだ気付いてなかったとか」タラー・・・

黄泉川「えっと……白井は来てないじゃん。結標は……アレでしょ。最近小萌先生の家から家出した家出『家出少女』」コクッ・・・

御坂「え……え?」チラッ・・・

一方通行「だァかァらァ! 俺は再ッッッ三言いましたァ!! 此処に居る訳無ェだろ!」ギロッ・・・

御坂「うっ……あぅ……で、でも三沢塾って」ダラダラ・・・

一方通行「三沢は三沢でも分校合わせりゃ都市ン中に10件は在るっつゥの……ほンッッと馬鹿だな」チッ・・・

御坂「」チーン・・・

一方通行「ケッ……おい、黄泉川」チラッ・・・

黄泉川「んー? なーにー? あ。安心するじゃん。ウチの連中(黄泉川家)には内緒にしとくから」ニヤニヤ・・・

一方通行「意味が分からない……じゃねェよ! 糞……第7学区にある三沢の分校舎って何処だ? 何件在る?」フンッ・・・

御坂「……え」キョトン・・・

黄泉川「5件くらいかなぁ……あ、でも廃校舎混ぜれば7件じゃん」コクッ・・・

一方通行「その廃校舎って何処だ?」ジー・・・

黄泉川「二隣の大通りと、北部……第1学区に近いとこに一件じゃん。でも何で?」キョトン・・・

一方通行「……近い方だろォな」クルッ・・・テクテク・・・

黄泉川「あ、ちょ、アンタ一応重要参考人なんだけど!」アタフタ・・・

一方通行「……テメェの手柄にしろ。家賃代わりだ」フンッ・・・テクテク・・・

黄泉川「え、あ、じゃあ貰うじゃん」コクッ・・・

御坂「軽っ! じゃなくて……ちょっと待ちなさいよ!」タラー・・・パタパタ・・・

一方通行「……付いてくンなし」ケッ・・・

御坂「ふんっ……感謝なんかしないんだからね、とか言わないんだからね! とか言って貰いたんだろうけど言わないわよ!」テクテク・・・グイッ・・・

一方通行「…………………え? それって感謝してなくね? 解釈出来ねェ日本語使うンじゃねいぇって! 裾引っ張ンな!!」ヨロヨロ・・・

御坂「うっさい! 黙って付いてこい!」グイグイッ・・・

一方通行「……やっぱ面倒臭ェ女」ヤレヤレ・・・


黄泉川「『第一位と第三位のお忍び継続なぅ』……イッヒッヒッ! 各所からツブヤイッターで呟かれてる噂は本当だったじゃん!」ニヤニヤ・・・
666 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/16(金) 00:18:18.90 ID:05AJv+EP0
 ―――とある翌々日、PM06:00、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎横・おんぼろ屋内テニスコート・・・・・






時間になった。セコンドと共に、ホール中央に歩み寄る。


直井「ルールの確認は必要か?」チラッ・・・

結標「要らないわよ」コクッ・・・

直井「そうか。因みに、ギャラリー! 流れ弾等は自力で何とかしろ! 怖いなら見るなよ!」ジー・・・

一同『はーい』ビシッ


といっても、防球用のネットだけなのだが大丈夫なのか?


椎名「問題無い。皆我が身を守る術くらい持っている」コクッ・・・

結標「あと、アンタら! 間違っても手ぇ出すんじゃないわよ……出したら殺す」ギロッ・・・

日向「出さねぇよ。決闘なんだろ」フフッ

さわ子「淡希ー! アンタに全額賭けたんだから勝ちなさいよー!」ハハハ

TK「Me too,Yeah!!」ビシッ!

遊佐「因みに、オッズは変わらず<9:1>です」コクッ・・・

野田「オイ誰だ! あのガキに賭けたヤツぁ!!」ギロッ・・・


何か上は楽しそうだな。これから物騒な事始まるのに。


直井「ではセコンドは所定の位置に……ん? 立華さん?」チラッ・・・

立華「私は彼女(姫神さん)の横に居る」コクッ・・・

姫神「え?」キョトン・・・

結標「私が頼んだのよ。秋沙、防衛手段ないでしょ。奏の近くに居なさい」コクッ・・・

姫神「……彼女の?」チラッ・・・

結標「安心なさい。馬鹿な真似はしないわ。それに、その子私達の中で一番強いし」フフッ


見た目的に一番か弱そうなんだけど……まぁ人は見た目に因らないしな。最愛もそうだし。


白井「尚、私と椎名さんはホール端対角上に立ちます。直井さんはお二人の前です」コクッ・・・

結標「了解よ……さ、準備は良いわよね」フフッ

香焼「……その前に」スッ・・・

結標「へ?」キョトン・・・


僕は、淡希さんに……携帯を差し出した。

669 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/16(金) 01:03:15.51 ID:05AJv+EP0
 ※ただまそ。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


一同、皆、総キョトン。


結標「……何?」ポカーン・・・

香焼「姉さんっす」スッ・・・

結標「……五和が?」キョトン・・・

香焼「んな訳無いでしょう……カオリ姉さんっすよ」コクッ・・・


一瞬苦い顔をした。もしかして受け取らないのかと思ったが……ゆっくり受け取り、電話に出た。


結標「……こんにちわ」Pi!

神裂『其方も既に、こんばんはの時間でしょう……お久しぶりですね』コクッ・・・

結標「……何かしら?」フンッ・・・

神裂『ごめんなさい』ペコッ・・・

結標「え」キョトン・・・

神裂『自分の物差しだけで世界を見るな、と……土御門に言って聞かせました』コクッ・・・

結標「っ!!? あ、アンタ……ど、何処に……ってか、何で」タラー・・・

神裂『今メキシコのチワワに居ます。土御門も一緒ですよ。仕事が無ければ私も其方に赴きたかったのですが……彼が代表です』コクッ・・・

結標「め、メキシコ……アフリカに居るの!?」キョトン・・・


淡希さん……メキシコは中米ですよ。


神裂『……でも、しかし……土御門は謝りませんでした。何故か、分かりますか?』ジー・・・

結標「あ……ぅ」コクッ・・・

神裂『私も、彼の話を聞いて……少々ガッカリしました。彼が怒るのも仕方ありませんね』ジー・・・

結標「…………、」タラー・・・

神裂『ですが……それでも、私は、私達は……貴女に戻って欲しい』

結標「都合……良過ぎんのよ」ギリッ・・・


確かに、そう思う。


神裂『善意なのでしょうね。その葛藤は人間として正しい。そして、彼女の元から離れると決めた貴女の決断は崇高なものです』コクッ・・・

結標「だったら! もう……構わないでよ」グッ・・・

神裂『嫌です』キッパリ・・・

結標「な……意味、分かんない」タラー・・・

神裂『お節介焼きなんですよ。我が家は特にね……』フフッ

結標「っ……ホント、馬鹿みたい」グッ・・・


流石長姉殿。僕とでは重みが違う。

670 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/16(金) 01:18:43.95 ID:05AJv+EP0
一寸の無言の後、淡希さんが口を開いた。


結標「……貴女の弟、ボコボコにするわよ」チラッ・・・

香焼「…………、」ジー・・・

神裂『ええ、構いませんよ……出来るものなら』フフッ

結標「それから……勝ったら、彼を私達のチームに貰おうかしら」ニヤリ・・・

一同『なっ!!?』ギョッ・・・


トンデモ発言。


結標「だってそうでしょう? 私が勝った時の賞品が無いもの……ねぇ」フフフ・・・

神裂『人をモノの様にトレード品にするのは、些か野蛮です』ジトー・・・

結標「あら、其方だって……私の今の心を無視して、連れ帰ろうとしてるのよ?」ジー・・・

香焼・姫神・固法「「「…………、」」」タラー・・・


それとこれとは違う気がするのだが……横暴だ。


神裂『良いでしょう』コクッ・・・

結標「ふふふ……良いってよ。香焼くん」ニヤリ・・・

香焼「なっ!?」ギョッ・・・

神裂『彼に……此処で負ける程度では、救える者も救えませんよ……そう伝えて下さい』フフッ・・・

結標「っ……弟想いね。まったく、アンタら大概シスコン&ブラコンだわ」クスクス・・・

神裂『失礼な。共に暮らす家族が大事じゃない訳無いでしょう……月詠さんの気持ちと同じです』ジー・・・

結標「……そう。それじゃ、切るわよ」フフフ・・・Pi!


姉さん、何で……茫然する僕に淡希さんは告げた。


結標「今の私に負けるくらいなら『殺人人形』とかは救えないってさ。まったく……私がアイツより弱いみたいな言い方じゃない」フフッ・・・

香焼「っ……、」グッ・・・

結標「安心なさい。私のモノになれば、あんなガキ余裕でブッ倒せるくらい強くしてあげるから」ニヤリ・・・

香焼「……勝ってから、言って下さい」ギロッ・・・

結標「ふふふ……やっと火が点いたわね。あ、ついでに秋沙も貰うから」クスクス・・・

姫神「ついで……ふふ。ふふふふふ……ほざけ。淡希……香焼くん。負けたら……呪うから」ジトー・・・


もう、引くに引けなかった……やるしかない。

671 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/16(金) 01:38:38.85 ID:05AJv+EP0
セコンド・審判が位置につき、合図を待つだけとなる。


結標「あ、その前に……香焼くん」チラッ・・・

香焼「え?」

結標「……ふっ!」シュバッ・・・

香焼「え……おわっ」ポカッ・・・


側頭部に何かが当たった。これは……テニスボール?


結標「コルク抜きとか釘とか刃物は使わない。代わりに……コレらを使う」バラバラバラ・・・

香焼「はい?」ポカーン・・・

野田「で、出た!! あわきんの弾幕地獄だ!!」ギョッ・・・

固法「え……何それ?」ポカーン・・・

音無「淡希の周りを見てみろ」ジー・・・


テニスコートなのに、様々な種類のボールがある。
野球の硬球軟球、ソフトボール、サッカー(フットサル)、バスケット、バレー、ゴルフ、中にはスーパーボールまで。


固法「な、何でそんなにバラバラなモノが」タラー・・・

大山「僕達が遊ぶからですよ」ハハハ

高松「まぁ多目的ホール代わりだからね」コクッ・・・

白井「……流石、ホームグランド。準備相応という訳ですのね」キョロキョロ・・・

藤巻「一番痛いのはアレ……ボーリングの玉だ」ジー・・・

固法「ぼっ!? だ、駄目駄目! 結標さん、ソレ使っちゃダメだからね!」キッ!!

結標「うーん……香焼くん的に如何?」チラッ・・・

香焼「構いません」コクッ・・・

結標「だってさ」ハハハ

固法「っ……白井さん! 判定早めにしなきゃ駄目よ」タラー・・・

白井「はいはい……旦那は喧嘩好きの癖に、奥方はハト派ですの」ヤレヤレ・・・


しかし、何故そんな事を教えたのだ?


結標「……貴方の、得物は」ジー・・・

香焼「…………、」タラー・・・


一番迷ってた所だ。短刀(暗器)類を使うべきか、鋼糸(ワイヤー)と『この身』だけで戦うべきか。
正直いって、使いたくない。風紀委員2人の手前というのもあるが……刃物は彼女を傷つける。


結標「言っとくけど……武器と『海原みたいな能力(魔術)』無しで勝てると思わないでね」ジトー・・・


そんな事、百も承知だ。だがそれでも……迷うモノは迷う。

672 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/16(金) 02:11:11.39 ID:05AJv+EP0
固法さんと白井さんの方を見る。
多分、固法さんには僕が暗器を隠し持ってる事ばれてるんだろうけど、白井さんが居るので黙っててくれてる筈だ。
しかし、一度公開してしまえば……白井さんに言い訳は出来ない。


結標「安心なさい……一応、記憶改竄のスペシャリストが居るから。第5位程じゃないけどね」チラッ・・・ボソッ・・・

直井「…………、」コクッ・・・

結標「あと、直井くん! もし彼の心覗いても、黙ってなきゃ駄目よ」ジー・・・

直井「あくまで公平に、ね」フフッ


読心能力者か……携帯アプリのスタンガン(※対みさきち用)使おうかなぁ。魔術云々見られるのはヤバいし。


結標「大丈夫よ。口は固いから。それに……能力者(私達)じゃ『魔術(それ)』を理解出来ないんでしょ?」ニヤッ・・・

香焼「……ええ」コクッ・・・

結標「そんじゃ準備は良いわね。直井くん、合図を」コクッ・・・

直井「了解。では双方、審判とは逆の対角に位置に……このテニスボールが落ちたらスタートだ」スッ・・・


距離をおけるのは助かる。尤も、彼女の座標移動(ムーブポイント)にとって、距離は無いに等しいが……それでも足掻ける。


竹山「ふむ……しかし、彼はそれほどの能力者なのですか? 淡希さんが決闘を受け入れるなんて相当ですよ」ジー・・・

固法「……彼は、無能力者(レベル0)よ」ジー・・・

一同『え!?』キョトン・・・


辺りがざわめく。そりゃ普通の無能力者(ザコ)が相手だったら驚くだろう。


ゆい「し、椎名さんみたいにビュンビュン凄いとか?」タラー・・・

固法「よく分からない……彼女のお姉さんは凄いんだけどね。超能力者の第4位がタメ張れるって言ってたくらいだから」ジー・・・

遊佐「……麦野沈利と?」ビクッ・・・

岩沢「でも、アイツじゃないんだろう?」ジー・・・

固法「だから未知数なのよ……私もこれが初見」ジー・・・

松下「でもさっき、力馬鹿の野田さんのハルバート投躑を止めたぞ?」ジー・・・

高松「ああ。如何やって止めたかは分からないが……アレを受け止められるのは、俺らの中じゃ天使……立華だけだ」ジー・・・

白井「…………、」フム・・・


そう……これで、僕が何者なのか2人に知れてしまう。


直井「ではなるべく正々堂々と……は無理だろうが、節度を持って喧嘩しろ」チラッ・・・チラッ・・・

香焼・結標「「…………、」」コクッ・・・

直井「行くぞ―――」スッ・・・


ボールが上がり、地面に落ちる。もう始まってしまう。僕の作戦は……―――

686 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/19(月) 21:40:53.68 ID:hN8TWIG20
 ―――とある翌々日、PM06:10、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎横・おんぼろ屋内テニスコート・・・・・






―――ボールが落ちる5秒前。淡希さんは既に軍用の懐中電灯を取り出している。
彼女の能力で注意すべきは大きく二つ。

・武器(今回はボール)を飛ばしてくる事。
・僕自身が飛ばされる事。

彼女自身も単体で空間移動出来るらしいが、何らかの理由でそれをしない。
それが悠々と出来たら超能力者(レベル5)級の脅威だろうが……今回はそれを考慮しない。

因みに、僕自身が何処かに飛ばされる事については危険視しない。例え高さ20m上に放り出されても『如何にか出来る』からだ。
問題は……スピード予測が出来ないボール類。特にボーリングの玉とゴルフボール、野球の硬球、バスケットボールは脅威だ。


香焼(もうボールが落ちる!)スッ・・・


鋭利なモノを飛ばされる心配はないが、頭上に落とされたりしたら痛いじゃ済まないモノがある以上、手加減は危険か。
淡希さんの手は……未だ懐中電灯を構えているだけで、分からない。

だったら僕は……―――


①様子見をする為、ダガーの準備。ボールが飛んできたら迎撃。

②初っ端鋼糸(ワイヤー)を使って天井と壁に回避。

③開幕、七教七刃。



                      >>688

687 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 21:49:17.14 ID:fhQgLY9DO
②!
688 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 21:50:01.43 ID:OU+Ht78Co
689 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/19(月) 22:33:49.12 ID:hN8TWIG20
―――初手で、墜とす。



 ポンッ・・・・・



ボールが落ちた。
瞬時に、人があまり溜っていない場所を見極め術式を展開させる。


香焼「ッッ―――左奥の皆さん! 手前に走って!!」グググ・・・

メンバー『へ?』キョトン・・・


もう止まらない。淡希さんの右下、頭上、前方から鋼糸(ワイヤー)を集めて―――


結標「馬鹿じゃないの?」ブンッ!!

香焼「―――え、ガっ!!?」ゴンッ!!


―――KOを狙った。僕は今確実に鋼糸を放とうとした。
だが気付いたら目の前に淡希さんが居て、気付いたら淡希さんの右足が目の前にあって、そして気付いたら……左胴体が蹴られてた。

一体、何が起こったのか、分からない。


結標「痛たた……そのパーカー堅いわね……あのさぁ。開幕早々何するつもりか分からないけど、ボーっとしてるなんて阿呆の所業よ」ジトー・・・

香焼「ゲホッ……何、が」タラー・・・

結標「しかも上の連中に叫ぶなんて意味不明な真似を……やる気ある?」ジー・・・

香焼「…………、」ダラダラ・・・

結標「何されたか分からないって顔ね。簡単よ。突っ立ってた香焼くんを私の目の前に『移動』させて蹴ったの。それだけ」フンッ・・・


抜かった。格闘では自分が上手と驕ってしまった。


日向「あっちゃー……馬鹿だなぁ。あわきんが女だからって普通の喧嘩が出来ないと余裕かましたか?」ジー・・・

竹山「松下五段や椎名さんの様に武術の心得は無いとはいえ、それなりに強いですからね」ジー・・・


なるほど……だが、所詮は女性の蹴りだ。不意打ちだったのでそこそこ痛かったが、その程度。
女教皇様や五和レベルの格闘家ならいざ知らず、これならまだまだ持ち堪えられる。急いで態勢を立て直し、格闘戦の準備を―――


結標「ハァ……椎名レベルの相手に組み付く訳無いじゃない」フンッ・・・ブンッ!!

香焼「―――あれ? っておわっ!!?」パッ・・・


―――した瞬間、壁際に戻された。前言撤回だ。僕自身が飛ばされるのは危険極まりない。


白井「……点で雑魚ですの」ジトー・・・

椎名「今の所は、な……浅はかなり」ジー・・・

直井「…………、」フム・・・

立華「……何か見たの?」チラッ・・・

直井「訳も無く、突っ立ってた訳ではない様だ……しかし『アレ』は何だ?」ジー・・・

姫神「何を覗き見たかは分からないけど。考えても無駄。貴方には……いえ。私達には理解し得ない『モノ』」ジー・・・


直井は、その読心能力で香焼が初手に何をしようとしていたかは理解出来た。
しかしその『用途』やら『使用法』やらはまるで分からなかった。まさにタネの無い『手品(マジック)』を見せられた様だ。

690 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/19(月) 23:10:07.07 ID:hN8TWIG20
結標淡希は直井の表情を見て、何となく理解した。
香焼が初手にしようとしていた事は多分、ちょいとタメが必要な『必殺技』みたいなモノだろう。

多分それを喰らったら、自分は一発KO。更に周りに被害が及ぶ程の『何か』であったに違いない。


結標「やっぱ……怖いわね」フフフ・・・


自分(能力者)が知り得ない『何か』。あの小さな少年がそれを駆使する。
少年は再度態勢を立て直し、此方に向き合ってきた。


香焼「…………、」ジー・・・

結標「でもやっぱり、甘いわよ。殺す気で来なさい。私も……殺す気でいくから」ニヤリ・・・

香焼「……口数が多いっすよ」ジー・・・

結標「抜かすわ……ねっ!!」ブンッ!!


懐中電灯(ライト)を振う。刹那、香焼の頭上からバスケットボール。
出所不明、回避不能の砲丸投射。確実に当たった……誰もがそう考えた。しかし―――


香焼「っ!!」バッ!!


―――避けた。死角から迫る砲丸を、サイドステップで避けた……ボールが虚しくバウンドする。


高松「なっ!? は、速い……というより、何で反応出来たんだ?」キョトン・・・

藤巻「……やっぱ身のこなしは、椎名レベルだったな」ジー・・・


今度は結標の方が理解出来ない。アレは人間である以上、避ける事が出来ない筈の攻撃。
直井の様に此方の意志を先読み出来たり、奏や椎名の様な規格外の人間なら避けれよう。彼に当て嵌まるのは……多分、後者か。


結標「……どうやって、避けたのかしら? ご教授願いたいわね」ジー・・・

香焼「…………、」ジー・・・

結標「話す気無し、か……まぁ正しいけどさ。じゃあ……こういうのはっ!」ハハハ・・・バババッ!!


今度は四方からの投射。
先読み出来る直井でも身体が追い付かず当たるし、奏や椎名でも切り払い無しでは防ぎえない技だ。


香焼「っ……、」バッ!!

一同『なっ!!?』ギョッ・・・


今度こそ……と思いきや、ボールが全て彼に当たる直前で止まった。


立華「直井くん。何か分かった?」チラッ・・・

直井「いや、その……『障壁』を張ったという事は分かった」ジー・・・

立華「念導力(サイキック)? 風力障壁(エアーブラインド)? それとも他の能力?」ジー・・・

直井「……どれでもない」タラー・・・

立華「え?」ポカーン・・・

姫神「だから。私達には。理解できない『何か』。考えるだけ無駄」ジー・・・

立華・直井「「…………、」」タラー・・・


直井に分かった事はワイヤーの様なモノを身の周りに展開させた事だけだった。
しかし普通それだけでは足止め程度にはなっても、あの様にピタリと止まったりしない筈……訳が分からない。

691 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/19(月) 23:35:48.87 ID:hN8TWIG20
一方、香焼は悩んだ。これでは身は守れても決定打に欠ける。
予め鋼糸で魔力防壁(バリア)を張っていれば殆どのボールは防げる。だが速かったり重かったりするボールには対応できない。


結標「……チィ!」バババッ!!


今度は立て続けに乱射してきた。数発避けた後……動き回る事にする。


固法「なるほど。動けば座標を固定出来ないって考えた訳ね」ジー・・・

音無「……でも、淡希にそれは通じないぜ。というか逆効果かもしれない」ジー・・・

固法「え?」チラッ・・・


移動ルートを予測し、その場所にボールを打つけたり落としたり出来ない訳が無い。
仮にも『座標移動』の大能力者(レベル4)だ。その程度の事お手のモノ。


結標「そう……ならっ!!」バッ!!


走る香焼の目の前にソフトボール。距離はほぼ0。そのスピードで走って居れば確実に額に直撃―――


香焼「グッ!!」バッ・・・ブンッ!!

一同『ハァ!?』ギョッ・・・


―――何を考えたか右方に腕を振った香焼。そんな事をしても直撃は免れない。
しかし……直角に、右へ曲った。しかもスピードを落とさずにだ。


直井「今のは分かった」ジー・・・

立華「何?」チラッ・・・

直井「ワイヤーだ。壁を見ろ」ジー・・・


彼が曲った右方の壁を見る……何かが刺さっていた。


結標「……やっと、出したわね」ニヤリ・・・

香焼「…………、」フゥ・・・


短刀(ダガーナイフ)。それに目には見えないくらいのワイヤーが括ってある。


直井「だが理解出来ない。質量重量を考えれば、ナイフが抜ける筈だ」ジー・・・

姫神「私達は。何事も物理演算で済ませてしまう。でも。『彼ら』はそういう『理屈』じゃ収まらない」ジー・・・

立華「……彼ら?」チラッ・・・

姫神「あ……何でも無い」タラー・・・


なるべく出したくは無かったが、使ってしまった。ふいに、白井さんの方を見る。


白井「…………、」ジトー・・・

香焼「……あはは」タラー・・・

結標「ったく……だから気にしないで使いなさいっての。本っ当にブチ殺すわよ」ジトー・・・

香焼「ええっと」チラッ・・・

白井「……今日見た事は、忘れますの」ヤレヤレ・・・


と言われても、やはり気が引ける。だが出してしまったモノは仕方が無い……次からはナイフも使う。

692 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 00:05:06.10 ID:3OtMmBZ+0
改めて、短刀を構える。今度は此方から接近戦を仕掛けさせて貰おう。組み入ってしまえば此方のモノだ。如何とでも出来る。


結標「さぁて……それじゃあ次はエグいのしようかしらね……来なさい、甘ちゃん坊や」ニヤリ・・・

香焼「…………、」バッ・・・


駆ける。目に見える範囲のボールを避け、直前に出てくる罠(ボール)を緊急回避し、そして―――


結標「ほれっ」スッ・・・

香焼「―――ギ、が……アぅっ!!?」ズキンッ・・・ズサァ・・・


―――今度は……何を、された? 以上に脇腹が痛い。


結標「何もしないどいてあげるから、服の下、見てみなさい」フフフ・・・

白井「……グロい真似を」タラー・・・

固法「な、何したの?」タラー・・・

野田「……あわきんの本領だ。てか、空間移動能力者のチート中のチート技だろ」ジー・・・

固法「え……あ!」ピタッ・・・


急いで左脇腹を擦る。そこには『何か』が……埋まっていた。

白井黒子も犯罪者への脅し文句で『心臓に鉄針を撃ち込む』と告げる事がある。
相手を殺す事になるので実際には心臓にブチ込むなんて所業を行わないが……強敵の場合には、仕方なく足や手に撃ち込んだりはする。


結標「因みに、ゴルフボールよ。皮膚の表面くらいかしら? 良かったわね。内臓とかじゃなくて」ニヤリ・・・

香焼「っ……狙った訳じゃないんすね」タラー・・・

結標「当たり前じゃない。チョコマカ動く回る貴方相手、正確に表面狙える筈無いわ。とりあえず『体内』狙ったのよ」フフフ・・・

香焼「…………(本気で、殺される)」ゾッ・・・

結標「安心なさい。頭と上半身に高低座標(ポイント)は合わせないから……でも、骨に入ったりしたら……ねぇ」ニヤリ・・・

固法「や、止めなさい! 白井さん、止めて!」チラッ・・・

白井「……彼次第ですの」フンッ・・・

結標「だってよ。降参する?」ニヤリ・・・

固法「降参とかじゃなくて、大怪我する決闘なんて許せる筈が無いでしょう!」タラー・・・

香焼「続け、ます……い”ッ!! つ……ふぅ」グッ・・・ブシャッ・・・

一同『っ!!?』ギョッ・・・


彼は左脇腹を……切開した。コロンと……血濡れたゴルフボールが転がる。
香焼は急いで簡易な治癒魔術と痛覚遮断術式を展開させ、向き直る。


結標「うわぁ……やっといて何だけど、痛くないの?」タラー・・・

香焼「…………、」ジー・・・スチャッ・・・

結標「あのさぁ……口数少ないのは正しいんだろうけど、続行確認の為にも喋ってくれない?」ハァ・・・

香焼「……超痛いっす……でも、頭が冴えました」ジー・・・

結標「もしかして真正のマゾ?」タラー・・・

香焼「……御想像に」ジー・・・


見るからに痛々しいが、彼の顔は平然としていた。それが恐ろしい……だが、嬉しくもある。

693 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 00:46:06.57 ID:3OtMmBZ+0
そこからは一方的だった。

結標がボールを乱射し、先程の様な罠を仕掛ける。香焼はそれを切り払い、紙一重で躱す。
近付こうとしても近づけない。たとえ、もう少しの距離まで近付いても彼自身が『座標移動』で後ろに戻される。

治癒魔術を用いて入るが出血は酷いままだし、スタミナだって限られてる筈。
もし香焼がもう少し高位の魔術師だったり回復魔術に特化していたら、即座に治せただろう。しかし、所詮は三流。


岩沢「……こりゃ酷いわね」タラー・・・

松下「ああ。後は審判がいつ止めるかを待つだけか」ジー・・・

固法「もう早く止めてよ!」チラッ・・・

白井・椎名・直井「「「…………、」」」ジー・・・


彼が戦意を失っていない以上、止める必要はなかった。現に動いている。
殆どの人間が固法や松下と同じ意見を持つ中……数名は、疑問を抱いていた。

まずは対戦相手の結標。それから審判3人。そしてセコンド2人。

審判3人と奏の疑問は『何故動けるのか?』だ。これは魔術を知らない彼らには理解し得ない事。
逆に結標と姫神は魔術を『何でもアリのチートパワー』と捉えている節があるので、気にも留めない。

そして、それとは別にこの2人が抱いている疑問は『何故攻撃しないか』である。
魔術師(何でもアリ)であれば攻撃手段なんぞ幾らでもあろう。回避の為に短刀を投げたりしているが直接結標を狙ったりはしない。


結標・姫神((まだ……甘えを))ジトー・・・


故に、血を流しながら戦う彼を決して憐れなどとは思わなかった。寧ろ、腹が立つ。

さておき、それを抜きにしても全員共通の疑問があった。『何故避けれるか?』だ。
一方的に見えるこの戦いだが、実際は結標の攻撃を殆ど避けたり切り払ったりしている。
先程大ダメージを負わせたも然りだ。寸前の所で、立ち止まったり、直角回避している。


椎名「何故、避けられる?」ジー・・・

白井「他のもそうですけど、アレは特に視覚予測出来ない攻撃でしょうに」フム・・・


白井黒子はその脅威を誰よりも知っている。自身の鉄針も避けられた事は無いというのに……何故だ?


立華「これも、理解出来ない『何か』なのかしら?」チラッ・・・

姫神「……分からない。でも。こればっかりは。先読み読心でもしなきゃ。多分無理な筈」ジー・・・

立華「彼が読心してる可能性は?」チラッ・・・

直井「それは無いな。僕に容易に心を読まれる様なヤツだ」ジー・・・


その通り、読心魔術なんて高位中の高位魔術を香焼が使える訳が無い。では、如何してか。


直井「……勘、だろうな」タラー・・・

姫神・立華「「え?」」ポカーン・・・

直井「先程から彼の心を読んでいるが、『体内座標移動』に関しては勘で避けている。しかも殆ど当たってる」タラー・・・

立華「……淡希の手(ライト)の動きや目線、クセを掴んでとかではなく?」タラー・・・

直井「君は彼女の手の動きやクセだけで座標を特定出来るか? 無理だろう……勘なんだよ、アレは」タラー・・・


結標が持つ軍用の警棒電灯(ライト)。所詮アレは補助具に過ぎない。
実際ライトの光は何処までも伸びるし、手を振るえば何処に罠を張ったかなんて特定出来る訳も無い。

もしクセがあったとしても即座に反応発見するのは不可能だ。
しかし……『偶然』たる『勘』が全て当たるのは、それはもう『必然』である。
故に避けられる『確証』があるので『勘』を信じるのだろう。

694 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 01:18:52.03 ID:3OtMmBZ+0
不可解過ぎる『勘』に理由を欲した直井は、姫神の方を見て……尋ねた。


直井「あまり、こういうのは好ましい行為じゃないが……彼の『深層』を見て良いかい?」チラッ・・・

姫神「…………、」ジトー・・・

直井「無論、余計な個所までは覗かない。この『勘』に関する事だけだ。今使用しているコレについてなら、比較的浅い所にあるだろう」ジー・・・

姫神「……他言無用」コクッ・・・


勿論門外不出だ。許可が出たので……彼の『勘』についての『深層』を覗かせて貰った……―――



   <回想>


アニェーゼ「―――待ちやがれってんですよぉ!! わんこーーーーーーヤギィイイイッ!!」ブンッ!!

香焼「うぎゃあああぁっ!! 止めてよおおおおぉ!!」ヒョイッ!!

アニェーゼ「てめぇ、避けんじゃねえぇですよおぉっ!! 大人しく潰されろってんです!!」フンッ!!

香焼「な、何でだよっ!! 当たったら危ないどころじゃ済まないだろっ!! うわっ!!」シュンッ!!


 ズドンッ!! バギィンッ!! ズゴゴゴッ!! ガゴンッ!! バリーンッ!! ガガガガッ!!


アニェーゼ「ぐぬぬぅ……生意気なぁ……死ねええええぇっ!! 死にやがれってんです!!」ゴガンッ!!

香焼「再三謝っただろおおぉ!! 大して悪くないのにさぁああぁっ!! おわぁっ!!?」ゴロンッ!!

アニェーゼ「うるさいうるさいうるさーーーーーいっ!! 黙ってボコボコにされろってんですよおおおぉっ!!」グルンッ!!


 ドッカーン!! ギジジジッ!! バリバリバリ・・・ズドーンッ・・・・・


レッサー「あーあ……こりゃ酷いですね」ハハハ・・・

サーシャ「うわぁ……食堂が地獄です。第一の質問ですが、コーヤギー、今回は何をしでかしたんですか?」タラー・・・

アンジェレネ「えっとねぇ……コォヤギくんがアニェーゼちゃんに渡す漫画間違えたの」アハハ・・・

サーシャ「それだけで?」ポカーン・・・

アンジェレネ「いや、普通の漫画だったら良かったんだけど……建宮達に渡す様な漫画で」アハハ・・・

サーシャ「え?」キョトン・・・

レッサー「察し悪いですねぇ……要はえっちぃシーンとかも入ってるアダルティックな漫画だったんですよ。濡れ場です。濡・れ・場」ニヤリ・・・

サーシャ「……あー」ポリポリ・・・///


 ズギャギャギャギャギャギャギャッ!! ガリガリガリガリッ!!


香焼「ちょ、3人とも見てないで助けてよおおおおぉ!!」ビエエエェンッ!!

アニェーゼ「当たれぇっ!! 当たれってんですよおおおぉっ!! 避けんなあああぁっ!!」ブンブンブンッ!!

香焼「うわあああああぁんっ!!」タッタッタッタッ!!


  <回想中断>



直井「……何だ、これ」タラー・・・

姫神・立華「「え?」」キョトン・・・


色んな意味で理解出来ない『何か』が見えた。

695 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 01:49:53.86 ID:3OtMmBZ+0
姫神と奏が何を見たのか問うて来たのだが、ぶっちゃけ言葉に困る。何と言って良いか分からない。


直井「ま、待ってくれ……もう少しだけ見てみる」ジー・・・


再び、相変わらず走り回る香焼を覗いた……―――



  <回想再開>


 ゴンッ!! ガンッ!! ズドンッ!! バギンッ!! ゴリリリッ!!


サーシャ「―――やれやれ……第一の観測ですが、アニェーゼ、割と本気で怒ってますね」タラー・・・

アンジェレネ「最初は『蓮の杖(ロータスワンド)』使う程じゃなかったんだけど、コォヤギくんが言い訳したり逃げ回るから」アハハ・・・

サーシャ「……相変わらず沸点が低い」ハァ・・・

レッサー「これだからエロに耐性無いドS気取りのお嬢ちゃんは。私ならコウヤギと一緒にそれ読んでムフフなんですけどねぇ」ハハハ

アンジェレネ「レッサーちゃんも大概口だけだけどねー。実際押されると弱いですし」ハハハ

レッサー「ぐっ……そ、そんな事無いですよ。そりゃもう私のテクに掛ればビンビンがギュンギュンでアタフタな!」タラー・・・

サーシャ「はいはい。内心純情少女(ピュアガール)お疲れ様です……それにしても第一の疑問ですが、このやり取り何回目ですか?」タラー・・・

アンジェレネ「24回目。あ、『杖』取り出したのは丁度10回目かな!」ハハハ

サーシャ「うわぁ……第一の意見ですが、もう完全に慣れてますね。コーヤギー……不可視の『座標攻撃』避けてますよ」タラー・・・

レッサー「身体が覚えちゃったんでしょう……ハッ! いつの間にかアニェーゼに調教されていた!? わ、私も負けてられません!」グヌヌゥ・・・

アンジェレネ「でもレッサーちゃん……毎回コォヤギくんに、尻尾掴まれて逆に調教されてるよね?」ジトー・・・

レッサー「んななななんぁっ!? そ、そんな事ありませんっ!! わ、私は超ド級のSです! こ、コウヤギはMでしょう!?」アタフタ・・・

サーシャ「いや、第一の反論&客観ですが……レッサーに対しては結構Sですよ。しかも『ド』が付くくらいに」チラッ・・・

レッサー「くっ……悔しい、ですっ」グヌヌゥ・・・

アンジェレネ「でも、感じちゃうんでしょう? 『ビクンビクンッ』って」ニヤリ・・・

レッサー「そ、そそしょしょんな訳にゃ、無いでしょおおぉ!!」ダラダラ・・・///

サーシャ「レッサー……第二の意見ですが、超動揺してますね。そんなに此処(尻尾)が良いんですか?」フフフ・・・スッ・・・

レッサー「さ、触るなぁ!!」ギョッ・・・

アンジェレネ「えいっ☆」ギュッ!

レッサー「ひゃあぁっ!!?」ビクンッ・・・

アンジェレネ「ふふふふ……コォヤギくんの『熱いの(魔力)』気持ち良かったですって認めないとぉ……ふふふふ」ニヤリ・・・

レッサー「お、鬼! アンタら鬼畜です!!」ウギャアアァッ!!

サーシャ「第三の意見ですが、サディストはアンジェレネだけですよ。私は……って、ちょ!? コーヤギー! こっち来た!!?」ギョッ・・・

アン・レッサー「「うぇ!?」」ギョッ・・・


 ―――エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド・ベオーズス・ユル・・・・・


香焼「ど、退けてえええぇっ!! アニェーゼが壊れたあああぁっ!! 逃げろおおおおぉ!!」ドドドドッ!!

アンジェレネ「う、わ……その詠唱は!!?」ギョッ・・・

レッサー「あ、アンジェレネ! 尻尾離して下さい!! 逃げられませんって!!」アタフタ・・・

サーシャ「あー……第一の傍観ですが、この詠唱、私の魔術障壁でも避けられませんよ」ダラダラ・・・


 ―――スヴュエル・カノ・オシェラ・ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・・・・・

696 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 02:16:08.31 ID:3OtMmBZ+0
アニェーゼ「―――ベオークン・イル……覚悟は、出来てやがりますよねぇ?」ゴゴゴゴゴ・・・

香焼「み、皆、食堂から離れろおおおおぉ!!」ウワアアァッ!!

アン・レッサー・サーシャ「「「ぎゃあああぁっ!!」」」ダダダダッ!!


 キュイイイイイイイイイィン・・・・・


アニェーゼ「……エクスゥウウゥ―――」グイッ・・・

ステイル「やれやれ、疲れた……ん? 何だこの有り様は……って、香焼? また貴様か」ハァ・・・

香焼「おま、邪魔すんなああああぁっ!!」ドンッ!!

アンジェレネ「うわあああぁっ!! ステイルくんが壁になってつっかえましたああぁっ!!」キャー!

レッサー「こ、この木偶の坊おおおおおぉ!!」ピギャアアァッ!!

サーシャ「……神は、死んだ」チーン・・・

ステイル「は? って……え」チラッ・・・ダラダラダラ・・・・・



アニェーゼ「……○ロオオォジョオオオオォンッ!!」ブンッ!!

一同『ちょ、待―――』


 ちゅどーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんっ・・・・・―――


  <回想終了>



―――……何だ、こりゃ。


直井「か、彼は……何者なんだ!?」ダラダラ・・・

立華「直井君?」チラッ・・・

姫神「……忘れた方が。身の為」ジー・・・

直井「え、い、や……訳が、分からない」ダラダラ・・・


とりあえず、今見た事を2人に話した。


立華「……念導力ではないの?」タラー・・・

直井「念導力であんなに強力な爆発は起こせない……というか、あの修道服の少女達は何者だ!? 何だあの破廉恥なコスプレ集団」ダラダラ・・・

姫神「そこに突っ込んだら負け」コクッ・・・


しかし彼が『勘』を信じる理由が分かった。彼にとって『座標攻撃』は日常茶飯事なのだ。
つまり……結標は、知らずの内に不利条件だったのだ。


立華「な、慣れの御蔭? 信じられないのだけど」タラー・・・

直井「しかし、彼は本能的に空間攻撃を……しかも『真に見えない座標攻撃』までも回避できる様になっている」ダラダラ・・・


そう……香焼は、幸か不幸か『アニェーゼ=サンクティス』という沸点の低いドSな友人の御蔭で耐性が付いていたのだ。
科学(物理攻撃)と魔術(エーテル攻撃)の違い。だが結局のところ、座標で攻撃される事には変わりない為、慣れている。

結標とアニェーゼの違いは大きく3つ。
・結標は物理的なモノであれば『殆どのモノ』を移動させられる。それが人間や自分自身であっても可能。
・アニェーゼは物理的な移動は不可能だが、その他に『四大元素』全てを扱える天才魔術師(アベレージ・ワン)なので実際色々出来る。
・後は単純に性格の問題。香焼に対して熱くなるアニェーゼと、クールになる結標。ぶっちゃけどっちも面倒。

ただ、暴走してドデカい一発出さない結標の方は決定打に欠ける。尤も、一向に短刀投躑をしない香焼も勝ち目は無いのだ。

697 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 02:37:42.77 ID:3OtMmBZ+0
さておき、今の話を聞いた姫神と先程からヒョイヒョイ避けられる結標は腹が立っていた。


結標「……何故、攻撃しない」ギリッ・・・


攻撃したくない訳ではないらしい。実際難とか近寄ってくるのを見る限り、如何しても接近戦がしたい様だ。
だがそれが不可解。彼の得物が短刀である事は既に周知。普通は投躑(ダガー)を用いる筈だ。

ふと……一度、大きく彼を飛ばしたところで、ボールの乱射を止めた。


結標「……何のつもり? まさかダーツが下手とかそういう理由じゃないんでしょう?」ギロッ・・・

香焼「…………、」ハァハァ・・・

結標「答えなさい! これじゃあずっと平行線なのよ!」グヌヌゥ・・・

香焼「……ふぅ」ジー・・・

姫神「……香焼くん」ジー・・・

香焼「…………、」チラッ・・・

姫神「もしかして。貴方……まだ。迷ってる?」ジー・・・


刃物は……人を傷つける。しかし、格闘戦なら加減が出来る。


直井「っ……何て、甘い」タラー・・・

白井「あら……存外、風紀委員向きの性格ですのね」クスクス・・・

結標「っ……秋沙。この子、勝負にならないわ」チラッ・・・

姫神「……はぁ」ポリポリ・・・

香焼「……じゃあ、僕の勝ちっす」ジー・・・

一同『え?』ポカーン・・・


いきなり、何を言う。


香焼「審判! 彼女は戦意喪失しましたよ」ジー・・・

白井・椎名「「なっ」」タラー・・・

直井「き、君は……トンチ合戦がしたいのか」タラー・・・

結標「い、良い度胸……してんじゃない」ピキピキ・・・

姫神「……その屁理屈なら。端っから戦う気の無い。貴方の不戦勝」ヤレヤレ・・・

香焼「自分はありましたよ。現に向かって行ってました」コクッ・・・

立華「詭弁ね」タラー・・・


いきなり喋り出したかと思えば……馬鹿げた事を。


結標「……如何したら、貴方は本気を出すの?」ジー・・・

香焼「自分はいつだって本気っす」ジー・・・

結標「何処がよ! 逃げ回ってるだけじゃない! 偶に私に近付いて、短刀壁に投げたり天井に向かって投げたりするだけで―――」ギロッ・・・


気付けば至るところにワイヤーだらけ―――


結標「―――……あ」ピタッ・・・


―――気付いた時には……遅かった。

698 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 03:22:13.38 ID:3OtMmBZ+0
結標は……『蜘蛛の巣』の中に居た。


直井「な……ただ逃げ回っていただけじゃなかったのか」タラー・・・

立華「これじゃあ淡希は身動き取れないわね」ジー・・・

椎名「……浅はかなり」タラー・・・


元々結標は移動しながら戦うタイプではない。自分を『基点』にして戦うタイプだ。故に……余裕を持ってその場に留まり過ぎれば、こうなる。


結標「っ……で、でも、今までと何ら変わりないわ。今まで通りボールを乱射して弾幕張ってれば―――」


 シュッ・・・・・


結標「―――……え」パシュッ・・・

一同『なっ!?』ギョッ・・・


羽織っているだけだった結標のブレザーが……後方に吹っ飛んだ。上部後方のワイヤーに引っ掛かりユラユラ揺れている。
よく見ると、裾と腕の部分に風穴(刺し傷跡)の様なモノが空いていた。


香焼「誰が……甘ちゃんで?」スッ・・・

結標「ふ……ふふふっ」ニヤリ・・・


両手には6本のダガー。


香焼「……自分は弱いから、絡め手とか使わないと格上には勝てないんすよ」テクテク・・・

結標「あら? 一勢攻転した途端に饒舌になるのね?」ブツッ・・・


だったらワイヤーを切れば良い。名前通り『鋼糸』故に素手や軍用ライトでは切れないが、座標移動を用いれば無理矢理引き千切れる。
とりあえず邪魔な真横のワイヤーの上にボーリングの玉を乗せ、強引に切った―――刹那、まったくの反対方向からナイフが飛んできた。
慌ててそれを彼の方に座標移動させる。これで彼の足に風穴が……え。


野田「だ、ダガーが……消えた?」キョトン・・・

香焼「咄嗟の反応は流石っす。今の仕掛け(ワイヤートラップ)は初歩中の初歩とはいえ、普通じゃ対応出来ないっすよ」フフフ・・・

結標「え? あ、いや……ちょ……今、私、ナイフ『返した』わよね」タラー・・・

香焼「ええ。戻ってきましたよ」フフフ・・・


尤も……『折り紙』を媒体とした魔力生成の銃剣(バヨネット)なので、主導権を奪われた時点で魔力を遮断すれば『紙』に戻る。


香焼「何で消えたかは教えられませんね……ただワイヤーを切れば、今のが飛んできますよ」ニヤリ・・・

結標「な、なら何度でも返してやるわ!」ギロッ・・・

香焼「じゃあその間に……もっとワイヤー張りますね」シュバッシュバッ・・・ストンッストンッ・・・


結標の足元と途方も無い四方八方に、鋼糸と折り紙を括ったナイフを投げる。そしてその鋼糸の他方端は香焼が持ったままである。
片一方のワイヤーが切れたと同時に銃剣(折り紙)に魔力が籠り、刃が飛んでくる仕様だ。

結標は一度にワイヤーを何本も切れなかった。理由は単純。
まずはボーリングの玉がそこまで多い訳ではないから。そして、予測不能の方向から飛んでくるダガーをそう何本も同時に対処出来ない。
彼女が戸惑う間にも香焼は幾多もの鋼糸を張り巡らせる。


結標「……っ」タラー・・・

白井「あらら……ま、『私なら』逃げる事が出来ますけど、貴女は如何するのでしょうねぇ」ニヤリ・・・


蜘蛛の巣に絡まった虫。網に掛った魚。籠から出られない鳥……そんな心境だった。
699 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 04:07:47.06 ID:3OtMmBZ+0
セコンド側に姫神秋沙は複雑だった。彼の意図を理解したからこそ、複雑だった。
自分が知り得る魔術師というモノは、もっと派手で優雅に戦っていたと思う。

だが彼は違った。ド派手にナイフと砲丸の弾幕戦を行うでもなく、華麗に斬撃を飛ばす訳でもない。
無論、罠を用いる魔術師も知っている。だがそれはあの『錬金術師』の様に事前の準備があってこそ。
戦いの最中にこんな馬鹿な真似は、彼だってしない。

しかし香焼は……地道に、せこく、ジワジワと、搦め手を用いて……まるで無能力者の様に戦った。


姫神「本気で……手加減。した」ジー・・・


圧倒的な力量で敵を屈服させる訳でもなく、地味に相手を追い詰めた。
なるほど、戦法としてはそういうのもあるのだろう。だが……これだけ優位に立てるのであれば、簡単に彼女を追い詰められた筈だ。


立華「そうね……淡希を、直接狙っていればだけど」コクッ・・・

直井「態々降伏させようとしている。確かに、遠回りで馬鹿げているよ」ハァ・・・

姫神「そう……それが。貴方の『救い』なのね」ジー・・・


極力、無傷で、敵を倒す。なんて……矛盾。しかしそれが彼なりの『教義』の解釈なのだ。
気付けば、手持ちの鋼糸が残り4本になる程のワイヤートラップを敷いていた。


香焼「……如何します?」ジー・・・

結標「っ……ふんっ!」ブンッ!!


無駄な足掻きと知りながら、ボールを香焼に投射する。だがやはり……避けられ、撃ち落とされる。
しかも今度は曲芸紛いの―――ワイヤー渡りまで用い出した。


白井「器用ですのね」フフフ・・・

椎名「……出来る」ジー・・・


『平面』の戦闘だけではない。彼は『空間』を移動できる様になった。更に厄介。
こうなった原因は二つ。彼が『対座標攻撃』に慣れていた事。そして……彼に『巣』を作る時間を与え過ぎた事だ。

だがしかし……これでも尚……彼は攻撃しない。


香焼「降参して下さい! 貴女の負けっす。もう動けないでしょう……戦闘不能です」ジー・・・

結標「……阿呆抜かさないで。私はまだ傷一つ負ってないわよ。此処から動けなくてもボールは乱射出来るわ」ギリッ・・・

香焼「当たりませんよ」ジー・・・

結標「嘗めた事を……だったらこの勝負は引き分けよ」チィ・・・


引き分けじゃ意味が無い。しかしこれ以上は戦いたくない。実のところ、魔力は空っぽに近い。
最初に『七教七刃』を失敗させたのが痛かった。実際、あそこで圧倒出来ていれば搦め手を使う必要も無かったのだが……まぁ結果論か。

均衡する最中、ふと……後ろから声が聞こえた。


立華「……淡希」ジー・・・

一同『っ!』チラッ・・・

立華「セコンドとしてアドバイス、というより叱咤よ……いつまで『飛ばない』気? 嘗められっ放しで良いの?」ジー・・・

結標「っ……、」タラー・・・

立華「飛びなさい……何かあったら私がすぐ助ける。間違って乱雑解放(ポルターガイスト)起しても、私が皆を守るから」コクッ・・・

結標「奏……あはは……まぁその、ありがと……お言葉に甘えるわ」ハハハ・・・ギロッ・・・


刹那、目の色が変わった。籠の中に居た小鳥が、猛禽類になった様な目……底知れぬプレッシャー。

700 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 04:32:33.05 ID:3OtMmBZ+0
彼女は一度大きく深呼吸した。そして―――


結標「―――」シュンッ・・・

香焼・白井「「なっ!!?」」ギョッ・・・


―――消えた。


結標「―――フンっ!!」ゲシッ!!

香焼「え? あ……ぃ、ガァッ!!」ゴリッ・・・


背後から蹴られた。


音無「……飛んだか」ジー・・・

日向「ああ……飛んだな」ジー・・・

固法「なっ……出来ない筈じゃ!?」ギョッ・・・

ゆい「んー……危険、ってだけで出来ない訳じゃないですよ」コクッ・・・


座標移動ではない。自身の……単体ジャンプ(空間移動)。
今の蹴りでワイヤーに引っ掛かりながら地面に落されてしまった。一方、淡希さんは元々僕が居た方に着地している。


香焼「痛つつ……、」チラッ・・・

結標「―――っ……ハァ……ハァ」ダラダラ・・・


一度のテレポートでかなり精神を削っているらしい。


結標「ふぅ……形勢、逆転ね」ニヤリ・・・

香焼「…………、」ジー・・・

結標「さぁ、今度こそ武器使わなきゃ勝てないでしょう?」フフフ・・・


御名答。ワイヤートラップ様に使える鋼糸は余ってないし、魔力も残り少ない。
だがしかし……また新たな小細工を考えれば問題無い。


結標「そう……じゃあ、こういうのは」ヒュンッ・・・


相変わらずの砲丸乱射。しかし、先程までと状況が違う。今僕が居るのは自分で作った『巣』の中……高速で動き回れない。
だけど、今の僕は三次元に動け―――


結標「でも、さっきより遅いから予測は容易い……ドラァっ!!」シュンッ・・・ゲシッ!!

香焼「い、ギぃッ!!」ズサァ・・・


―――る筈だった……しかし、甘かった。
目の前に彼女の足がある。つまり……蹴られる。考えた時にはもう遅い。側頭部に激痛。トゥーキックがモロに入った。

幸運だったのは、彼女が『体内座標攻撃』をしなかった事。今されていたら確実に負けていた。


結標「甘いわ。だから結局、こうなるんじゃないの? 本気の手加減の『驕り』なんて、良い茶番ね」ジトー・・・

姫神「自業自得……まったくもって。その通り」ジー・・・


何とか意識を立て直し、彼女と向き合う。案の定、距離は近い。
こうなったら一か八か、僕自身に座標を合わされるのを回避しつつ、彼女と取っ組み……接近戦に持ち込むしかない。

再度乱射されるボールの中、僕は前に踏み込んだ……―――

701 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/20(火) 04:44:30.77 ID:3OtMmBZ+0
はい、此処まで。やっぱ戦闘描写苦手だ。逆にアニェーゼ達の下りを書いてて、楽しくてしょうがないw

色々ツッコミ所は多いと思いますが、御了承を。


Q.あわきんがこんなに圧倒される訳無いじゃん!
A.対魔術師相手(理解不明な相手)&『香焼とアニェーゼの関係』

Q.香焼やってる事って雑魚魔術師なの? 何か凄く強そうに見えたけど?
A.ステイルなら開幕早々消し炭にしてるし、神裂・五和なら神速・瞬歩・縮地で当て身して倒せてます


とりあえず今回は『100%のあわきん』に対して手加減しては勝てない、という場面までです。
でも色々質問御指摘意見反論下さい。直せる部分は直していきます。

次回は短いけどナイフ使わせます。絶対に。そんじゃ……眠い。おやすみ。 ノシ”

702 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 04:54:44.13 ID:KSmVrKn9o
乙!
703 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 09:57:54.86 ID:LAxxKl4DO
乙。アニー→コーヤギ→レッサーの流れで調教か……kwwsk!

しかしまぁ甘ちゃんだなぁ。第8小隊の隊長さんより甘い……それが美点でもあるんだろうけど
カミやん病と神裂の教えのハイブリッドだから、こうなのかな? 
 
707 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/23(金) 19:27:58.04 ID:bFHl++E20
 ―――とある翌々日、PM06:30、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校・・・<電磁通行side>・・・


   カツカツカツ・・・・・


御坂「此処ね……そんじゃあ一発!」ピンッ!!

一方通行「あァ此処だな……って、止めろド阿呆! 挨拶代わりに超電磁砲(レールガン)ブッ放そォとしてンだボケェ!!」パシッ!!

御坂「あ。コイン掴んだ!? 何してんのよ!」ジトー・・・

一方通行「何が『何してンのよ!』だァ!? テメェさっきの件、まっっっったく反省してねェだろ?」ギロッ・・・

御坂「ぐっ……で、でもさぁ。黒子達が捕まってるかもしれないんだし」タラー・・・

一方通行「だったら尚更だろォが駄阿呆。超電磁砲で建物貫く途中に人質居たら元も子もねェっつゥの」ハァ・・・

御坂「そ、そのくらい分かってるわよ! だから威嚇射撃って事で……玄関壊す程度に」タラー・・・

一方通行「事大袈裟にして警備員に取っ捕まりてェならそうしろ」フンッ

御坂「……じゃあアンタ何か良い案あんの?」ジトー・・・

一方通行「……とりあえず、表は閉まってる。どっか開いてそうな場所から入るしかないだろォな」カツカツ・・・

御坂「中入るの?」ムゥ・・・

一方通行「寧ろそっちの方が事荒立てずに済む。テメェと違って俺はタカ派じゃねェンだよ」カツカツ・・・

御坂「わ、私だって平和主義者よ!」グヌヌ・・・

一方通行「どの口言うか……まァ確認しとくが、俺は結標を取っ捕まえて帰れりゃ良い。テメェは?」チラッ・・・

御坂「……え?」キョトン・・・

一方通行「……あのよォ」ハァ・・・

御坂「え、あ、いや、冗談よ! 冗談……黒子達がピンチだから助ける! ついでに結標淡希をボコる!」グッ・・・

一方通行「あっそ。てか気になってたンだが……マジで、テメェの後輩達ピンチなのか?」カツカツ・・・

御坂「え? うん……多分。詰め所に連絡着てないって言うし」タラー・・・

一方通行「それ、いつの時点よ」ジトー・・・

御坂「え……あ」ピタッ・・・

一方通行「……もし捕まってなかったら如何すンの」ハァ・・・

御坂「うっ……あ、貴方様の、お、お手伝いとして」ダラダラ・・・

一方通行「要らね。帰れ」フンッ・・・

御坂「ぐっ! い、いーやーだー! 連れてってー!」ガシッ!!

一方通行「うっっっっっぜェ! お前、打ち止め(妹)よりウザい!」ウワァ・・・

御坂「……だって、無駄骨はヤダもん」モジモジ・・・

一方通行「知ったこっちゃねェし……って、いい加減裾放せボケ!!」ブンブンッ!!

御坂「……アンタ」ジトー・・・

一方通行「あン?」ジトー・・・

御坂「……実は、もうバッテリー残ってないでしょ。あと何回能力使える?」ジトー・・・

一方通行「…………、」ピタッ・・・

御坂「マジで私の事うっとおしかったら、能力で弾いたり何なりしてるもんねー」グッ・・・

一方通行「……だから、何だ?」タラー・・・

御坂「ふっふっふっ……しょうがないなぁ。私がボディガードして上げるわ。感謝なさい!」ニカッ!!

一方通行「有難迷惑極まりないンですけどォ……ってぐえっ!!? ちょ、チョーカー引っ張ンな!!」ズルズル・・・

708 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/23(金) 19:49:48.05 ID:bFHl++E20

 カツカツカツ・・・・・


御坂「……此処の裏口、開いてるわ」Pi・・・

一方通行「あっそ」ジトー・・・

御坂「ノリ悪いわね……行くわよ!」テクテク・・・グイッ

一方通行「……はァ」カツカツ・・・


 シーン・・・・・


御坂「妙ね……人が居ない……恐れをなして逃げたのかしら?」キョロキョロ・・・

一方通行「……俺らが来る事を事前に把握してたってか? そりゃ無ェな……まァまたハズレ引いたンじゃね」ハハハ

御坂「え……マジ?」ダラダラ・・・

一方通行「可能性としては大だな……ただ」ジー・・・

御坂「何よ……って、え?」ジー・・・

一方通行「……そこの部屋だ」クイッ・・・ガチャッ・・・

御坂「部屋に……銃器?!」ギョッ・・・

一方通行「……アジトってのは確実だ。結標のチームか如何かは分からねェけどよォ」スッ・・・

御坂「この武器の数……やっぱアイツ、またテロ紛いの事を企ててるんじゃ」グッ・・・

一方通行「だから分からねェって……っ……止まれ」スッ・・・

御坂「え」ピタッ・・・

一方通行「足音だ……隠れろ」コクッ・・・


 テクテクテク・・・・・


大山「はぁ……あわきん達の決闘長引き過ぎだよ。あの少年、何であんなに持ち堪えるのかなぁ」テクテク・・・

入江「さぁ。男の子の意地ってヤツじゃないかなぁ」フフフ・・・

関根「私達がお茶菓子持って帰る前に終わってなきゃ良いけどね」クスクス・・・


御坂(ん……どうやら、アタリね。でも決闘? 何それ?)チラッ・・・

一方通行(さァな……だが、アイツら捕まえりゃ結標の居場所が割れンだろ)ニヤリ・・・

御坂(……そうね)ニヤリ・・・


 ガンッ!!


大山・入江・関根「「「っ!!?」」」ビクッ!!

御坂「……動くな」スッ・・・ビリビリ・・・

大山「え、あ、な、何!?」アタフタ・・・

入江「し、侵入者!?」ダラダラ・・・

一方通行「悪ィがテメェらの質問に応える義務は無ェ。だが……テメェらにはゲロって貰うぜ」バンバンバンッ!!

関根「ひゃあっ!?」ペタン・・・

御坂「ちょっとアンタ。幾ら威嚇ったって、か弱そうな女の子に向かって発砲する事無いでしょう」ジトー・・・

一方通行「超電磁砲スタンバってるテメェよかマシだろ……まァンな事ァ些細だな……さァ色々聞かせて貰うぜィ」ジトー・・・ニヤリ・・・

709 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/23(金) 20:22:16.52 ID:bFHl++E20
 ―――とある翌々日、PM06:40、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎横・おんぼろ屋内テニスコート・・・・・






誰が如何見ても『拷問』だった。
先程の様にボールが乱射され、香焼が避けて打ち落とす作業に変わりはない。だが立ち位置が決定的に違う。
鋼糸(ワイヤー)の網(巣の中)に嵌まっていた結標は空間移動によって、香焼が立っていた位置に。香焼はその逆。網に絡まった状態。

再度反対側にも網を張ろうとワイヤーをセットしようとするも、早い段階でそれを切られてしまっては無為に終わる。


香焼「ぐっ……ハァハァ」ダラダラ・・・

結標「ホラホラ! 止まったら当たるわよ!」シュッ・・・

香焼「ッ! くっ……っそ」グルンッ・・・バッ!!


確かに、攻撃が当たらなければ結標にも勝ち目は無いのだが、それも時間の問題。
常時全力で動いている香焼のスタミナは限界に来ている筈。加え、魔力も殆ど残っていない。


結標「いい加減、攻撃してきたら如何? ナイフ、まだ沢山余ってるんでしょ?」ニヤリ・・・

香焼「…………、」タタタタッ・・・

結標「不利になると話さない、かぁ……器が知れるわね」フフフ・・・


香焼は攻撃しない。だがその理由は彼が『甘いから』の他に、もう一つだった。
放ったダガーナイフを彼女が座標移動させる可能性がある。それがもし自分の方へ返されたらボールとは違い……致命傷になる。
加え、とんでもない方向に移動させられて、間違ってギャラリーに当たる最悪の場合も考えられる。

故に……如何しても、接近戦で片を付けたいのだ。


香焼(だけど……近付けない)ダラダラ・・・


近付けば、自分自身が飛ばされる。自分が張った動き辛い網の方へ戻される。


姫神「……自分で。自分を。苦しめた結果」ジー・・・

直井「しかし、勝算が無い訳ではない様だ……現に、ボールを見れば分かる」ジー・・・

立華「……ナイフで裂ける類の玉は、壊して回ってるわね」コクッ・・・


空気を入れるタイプのボールは殆ど裂き墜としている。
ただボーリングの玉やゴルフボールなどはまだまだ残ったままだ。だが……それで十分。


香焼「っ……ぐっ!!?」ゴンッ・・・

結標「あら、ボーリングの玉に当たっちゃった?」ニヤリ・・・

香焼「ゲホゲホッ……ごほっ」ヨロヨロ・・・

結標「大丈夫? お腹直撃したように見えたけど」フフフ・・・

香焼「はぁはぁ……っ……まだ、動ける」ギッ・・・

結標「ふふっ……その目、嫌いじゃないわ」

香焼「っ……もう……ボールは、殆ど無いっす」ジー・・・

結標「だから? 後は貴方のスタミナ切れを待てば私の勝ちよ」ニヤリ・・・

香焼「それは……自分も同じっすよ」グイッ・・・


結標とて、能力を多用すれば疲れる筈。現に一度『単体ジャンプ』をした時点でかなりの精神力を削った。
しかしそれでも……香焼の方が厳しい状況下に置かれていた。

710 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/23(金) 20:52:59.86 ID:bFHl++E20
優勢になった自分達のリーダーの活躍に声援も大きくなるギャラリー。
だが、数名……中でも一人……いい加減にして欲しいと冷ややかな目でこの決闘を見遣っている。


固法「…………、」ジー・・・

音無「ん……まぁ、その……なんだ」チラッ・・・

固法「馬鹿ね……ふざけてる」ジー・・・

音無「確かに、風紀委員のアンタからすりゃそうだろう……俺も実際、こういう馬鹿な騒ぎは好きじゃないよ」コクッ・・・

固法「…………、」ジー・・・


審判を任された後輩を見る。何故、彼女は止めない。


白井「…………、」フンッ・・・


そんな先輩の視線に気付かない訳がない。今すぐ止めろとでも言いたそうな目。
しかし……それは無理な相談だ。今止めるのは些か野暮だし、それに……自分はあの少年を好かない。


白井「彼は……自分に制限を掛けて、その状態を本気と謳い……それで負けて後悔するタイプですわ」ジトー・・・

椎名「浅はかなり」ジトー・・・


半ば呆れた目で決闘を見守る……ふと、彼の側頭部にゴルフボールが当たった。
軽い脳振頭を起したのだろう。その場に膝をついた。


結標「……審判。そろそろ、じゃない?」チラッ・・・

直井「……彼次第ですね」コクッ・・・

香焼「ハァ……ハァ……っ!」ギロッ・・・

白井「……続行ですの」ハァ・・・

固法「っ!! 白井さん! 止めなさい!!」バンッ!

白井「先輩……口を出さないで。見たくなければ外でお待ちを」コクッ・・・

固法「っ……姫神さん!」ギリッ・・・

姫神「戦ってもらう。勝って貰わなきゃ。困る……それに。彼は。本気を出してない」ジトー・・・


故に、結標は……姫神は腹が立つ。


香焼「げほっ……本気、っすよ」ヨロヨロ・・・

結標「……これ以上は、死ぬわよ」ジトー・・・

香焼「淡希さんこそ……本気、出してないんじゃないっすか」ゲホゲホッ・・・

結標「ええ、出す必要がないもの。私達の差は歴然じゃない」ジー・・・


持久戦になれば、魔力とスタミナを酷使させる香焼が不利に決まっていた。


結標「もしかして、まだ私と接近戦出来るかも……とか思っちゃってるの? しないし、させないわよ」フンッ・・・

香焼「…………、」ダラダラ・・・

結標「香焼くんはこのまま逃げ回り、そんでボールでフルボッコ喰らって……疲労困憊満身創痍で負けるのよ」フフフ・・・

香焼「……負けません」グッ・・・

結標「吠えるわね……そろそろ、流石にウザいわ」ジトー・・・


香焼が結標に取り付く。そうすれば形勢逆転……だが、そうする為には色々エネルギーが足りない。

711 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/23(金) 21:26:48.72 ID:bFHl++E20
魔力が欲しい。体力は魔力で補える。痛覚や疲労を遮断し、身体を酷使すれば良いだけの事。

天草式の術式は『マナ』を『オド』に変換させる事を得意とする。だがそれは特定の条件を揃えてこそである。
正直、この廃屋は『マナ』が溜らない。故に、少ない『オド』のみで戦わねばならないのだ。


直井「まな? おど? ふむ……RPGの様な事を考えてるのか」ポカーン・・・

姫神「だから。幾ら頭の中を読んでも。私達には理解出来ない……え?」キョトン・・・

直井「如何した?」チラッ・・・

姫神「オド……魔力切れ。か」ジー・・・

立華「まりょくきれ?」ポカーン・・・


短い期間だが、アウレオルスと過ごしていた姫神には魔術の基礎的な知識はある。
『マナ』と『オド』は基礎中の基礎。彼がそれを考えてるという事は……答えは一つ。ガソリンが足りないのだ。


姫神「仕方ない……セコンドとして。働くしかない」スッ・・・

直井「え? ひ、姫神さん?! 何処へ?」ポカーン・・・

姫神「審判。淡希。タイム」テクテク・・・

一同『え?!』ギョッ・・・


立ち上がるなり、有無を言わさず決闘の最中に歩み寄る姫神。一同総キョトン。


結標「ちょ、秋沙!? アンタ何してんの!?」タラー・・・

姫神「タイム。セコンドとして働く」チラッ・・・

結標「い、いやいやいや……直接出向くセコンドとか馬鹿じゃない!?」ギョッ・・・

姫神「別に。攻撃したきゃ。していい」テクテク・・・

結標「うっ……い、良いわ。そのくらいのハンデ。さっき私も奏に助けられたし」タラー・・・


あまりに非常識。突飛押しも無さ過ぎる行動に審判も戸惑う。だが誰より戸惑っているのは……香焼。


香焼「っ……姫神、さん」チラッ・・・

姫神「無様……情けない」フンッ・・・

香焼「……これが、自分の戦いっす」グッ・・・

姫神「それは独り善がり。『俺カッケー!』で済ませてるだけ。貴方以外誰も納得しない戦い」ジトー・・・


だが……譲れない。


姫神「頑固過ぎる……まぁ良い。勝算。ある?」ジー・・・

香焼「……近づければ」タラー・・・

姫神「それが出来ないのは。周知の事実。誰が見ても分かる。どうやったら。それが出来るのか。聞いてる」フンッ・・・


魔力が欲しい。もう一度、七教七刃を放てれば……或いは。


姫神「魔力があれば。攻撃する?」ジー・・・

香焼「……彼女自身には当てません。でも、それで近付ける筈」コクッ・・・

姫神「もし。近付けなかったら……魔法なり。ナイフなり。何使ってでも。勝ちなさい」ジー・・・


何を言ってるのか……理解できない。

712 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/23(金) 21:38:32.03 ID:bFHl++E20
大体、魔力が無いから困ってるのに、その問いかけは―――


姫神「黙れ」ゲシッ!

香焼「ゲフっ!? がぁッ!」ゲホゲホッ!

一同『っ!?』ギョッ・・・


―――……突然、僕の喉に手刀を入れる姫神さん。


結標「ちょ、あ、秋沙!?」タラー・・・

姫神「淡希。今。戦わせるから。待ってて……っ」ガリッ・・・

固法「ひ、姫神さん!?」ギョッ・・・

立華「自分の指を……噛んだ」タラー・・・


指から血が出ている。そして―――


姫神「マジカル……どーぴんぐっ!!」ゲシッ!!

香焼「ゴボぉッ!!?」ブチュッ!!

一同『はぁ!?』ギョッ・・・


―――血が流れている指を、香焼の口の中にブチ込んだ。


結標「な、何してんのよ!?」アタフタ・・・

白井「あ、新手のプレイですか?」タラー・・・

岩沢「随分と、まぁ……危ないアレだねぇ」タラー・・・

ゆい「先輩、ああいうのってカニバリズムって言うんですよね?」チラッ・・・

日向「い、いや、違うと思うぞ」タラー・・・

遊佐「……吸血プレイ」ジー・・・


全員ドン引きしていた。


姫神「……させとけば良い。貴方だけ。この行為の意味が。分かれば良い」タラー・・・

香焼「っ」グッ・・・


口の中に、血の味が広がる。


姫神「香焼くん……1滴。数百万円。分かってる?」ニヤリ・・・


やっと、意味が分かった。


姫神「そう……じゃあちゃんと。舐めなさい。負けたら。借金数億」フフフ・・・

香焼「はい……ありがとう、ございます」チュウッ・・・

直井「え……うぇっ?!」タラー・・・

立華「何か分かった、の……って、あぅ?!」タラー・・・///


ドン引きからの……驚愕恐怖。
強引に突っ込まれた姫神の指を……いつの間にか、従順に……吸っていた。

713 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/23(金) 22:36:54.09 ID:bFHl++E20
  <回想>


ステイル「―――『吸血殺し(ディープブラッド)』の血?」ジー・・・

サーシャ「ええ。第一の興味です。非常に考え深い」チラッ・・・

ステイル「ふむ……言葉通り、吸血鬼・吸血種を殺す血だ。その吸血鬼が居るか居ないかとかの問答は勘弁してくれよ。ややこしい」コクッ・・・

サーシャ「第一の補足です。『吸血種(ヤツら)』については、英国の人間よりイタリアの人間に聞いた方が良いでしょう」チラッ・・・

アニェーゼ「トップシークレットですよ。てか、サーシャ……そっちについては色々知ってんでしょう?」ニヤリ・・・

サーシャ「……さぁ」フフフ・・・

ステイル「やれやれ……話はそれだけか?」チラッ・・・

サーシャ「あ、では第二の疑問です……彼女の血を、正常な人間が吸った場合は如何なるのでしょうか?」ジー・・・

ステイル「如何もならん。感染症の危険があるだけだ。あ、梅毒とかエイズじゃないぞ。彼女はそういう病気は持ってない」コクッ・・・

レッサー「あららん? 主教補佐殿は何でもお見通しですかぁ? 3サイズとかも知っちゃってるんですかぁ?」ニヤニヤ・・・

ステイル「知ったから何だ。興味無い……あ、アンジェレネ。そんな目で見るな」サラッ・・・

サーシャ「ふむ……では第三の疑問です」ジー・・・

ステイル「まだあるのか?」タラー・・・

サーシャ「多分、ラストですよ……その血を我々魔術師が飲んだら、如何なるのですか?」ジー・・・

アンジェレネ「か、カニバリズムですか?」タラー・・・

サーシャ「いえ、そういう考えではなく……マグヌス?」ジー・・・

ステイル「……それは多分、アウレオルスが試した手だろうね」コクッ・・・

アニェーゼ「例の、黄金錬金?」フム・・・

レッサー「だろうねって、随分あやふやな答えですねぇ。聞き出して無いんですか? それか実験したりとか」ジー・・・

ステイル「聞き出す前に記憶を消した。加えて、彼女の血で実験だの何だのしようとすると、五月蠅い輩が居るからな」ハァ・・・

アンジェレネ「あはは、なるほど……確かにグーパン喰らっちゃいますね」タラー・・・

サーシャ「では……第四の質問です。マグヌス、貴方の仮説を聞かせて下さい。多分私と同じだと思いますが、一応」チラッ・・・

ステイル「……彼女の『血』は、僕ら魔術師にとって劇物だろうね。仮説としては3つか」コクッ・・・

サーシャ「まず、魔力の塊である……これは私も同意見です」コクッ・・・

ステイル「ああ。神秘性の高い彼女の血は、例え1滴であっても、莫大な魔力値を表すだろう……という仮説1」フム・・・

アニェーゼ「ま、マジですか? それが本当なら色んな魔術師から狙われますよ」キョトン・・・

ステイル「劇物だと言っただろう……起源からして人間の血とは違う。それを人道ならざる魔道の魔術師が吸う」コクッ・・・

レッサー「え……ま、まさか魔力のオーバーフローで死ぬ、とか?」アハハ・・・

ステイル「有り得なくもない。それが仮説2……そして魔術師が吸った場合、最悪『死徒』化。これが仮説3だ」タラー・・・

アンジェレネ「そ、それじゃあ吸血殺し自体が死徒って事になっちゃうんじゃ」タラー・・・

ステイル「いや、分からない。正直、彼女の血は謎が多過ぎる。それを詳しく調べた筈の魔術師は……既に廃人さ」ハハハ・・・

サーシャ「第一の常識ですが……体液交換は魔力を満たせる。相手が魔術師じゃなくとも、然り、と」フム・・・

ステイル「故に、神裂やシルビアら聖人。それから異様な魔力(神の力)を有するサーシャ自身の血……あとは……ふむ」ジー・・・チラッ・・・

アニェーゼ「うっわぁ……今絶対エロぃ事考えやがりました! 変態! 変態主教補佐! セクハラです! こっち見んなってんです!」ジトー・・・

ステイル「喧しい。貴様が変態だ……まぁ何だ。貴様の血も『鍵』の素質がある為、神秘性は高い……つまり」コクッ・・・

サーシャ「第一の解答です。神秘性の高い体液(血)=高魔力の塊=『吸血殺し』も然り、ですね」フム・・・

ステイル「そうなるだろう。ま、そんなに単純な話じゃ済まない筈だが……一時でも、魔力は満タンになる筈だよ―――」


  <回想終了>
714 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/23(金) 23:49:28.95 ID:bFHl++E20
どのくらい、そうしていたか分からない。

どのくらい、それを傍観していたか分からない。

どのくらい、その行為を続けていたのかは分からない。


結標「ちょ……あ、アンタ達」ダラダラ・・・///


止めようと思った。だけど誰も、その異常な行為を止められない。


香焼「ん……ぁ……ぅ」レロ・・・チュプッ・・・

姫神「…………、」ジー・・・


艶かしい音が響き渡る。少年が少女の指を舐め、指から滴る血を啜る。
まるで、赤子が母親の母乳を欲する様にも見え……映画で見る吸血鬼が婦女の首筋から血を吸う様に見える。


姫神「……んっ」ピクッ・・・

香焼「あ……んぅ……あぁ」ジュル・・・チュルルッ・・・


因みに、ギャラリーは唖然としつつも……如何しても見てしまう。


ゆい「ほ、ほわぁ……何なんですか、あれ」カアアァ///

日向「ゆ、ユイ! 見るな!」アタフタ・・・///

高松「な、何してんだよ、あれ……戦いの最中だろ」タラー・・・

さわ子「うわぁ……エっロぃわね」ジー・・・///

松下「……竹山。何で録画してんだ?」チラッ・・・

竹山「先程から録画してましたよ……まぁアレです。不可解な行動が起きたので其方を集中的に撮っているだけです」キリッ・・・

野田「不謹慎なヤツ……ってか、オイ! 直井! 椎名! 止めろよ! 審判だろ!」バッ!!


しかし、審判陣も対応に困っていた。


椎名「……淡希」チラッ・・・

結標「と、止めてよ! 私だって意味分かんないんだから」アタフタ・・・

白井「しかし……いや、何とも」タラー・・・

立華「……直井くん。あの行動に意味はあるの?」ジー・・・

直井「……分からない。あるらしい、けど、理解出来ない」タラー・・・


当たり前だ。姫神と香焼本人も、これに意味があるかどうか理屈で分かっていないのだ。
ただ可能性を信じているだけ。そしてその可能性が……確信に変わったからこそ、香焼は舐め続けている。


結標「あ、秋沙! いい加減にしないとボーリングの玉ぶつけるわよ!」ムキー!

姫神「……香焼くん。そろそろ。良いんじゃない?」チラッ・・・

香焼「あ……はぃ」ヌチャ・・・ハァハァ・・・


血と涎が混じり、糸を引く。姫神は急いで指を拭い、常備している絆創膏を指に張った。


姫神「身体に。変化は無い?」ジー・・・


今の所は無い。口の中が鉄臭いだけだ。それにしても……甘ったるい感じがした。何となく、吸血鬼がやみつきになる理由が分かる。

715 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 00:07:53.40 ID:LeAx7eMv0
身体の疲れは取れていない。だが、やはり……魔力値に変化があった。


姫神「……どのくらい溜った?」ジー・・・

香焼「多分……満タンっす。オーバーフローしそう」トローン・・・

姫神「そ。相性が良かったみたい」フフフ・・・

香焼「あ、相性?」ポカーン・・・

姫神「アウレオルス(あの人)が言ってた事だけど……吸血者の起源に。少しでも吸血に関する事があれば。灰になる」ジー・・・

香焼「っ!?」ギョッ・・・

姫神「アウレオルスは。試しに少し吸った……今の貴方と同じ反応だった」コクッ・・・


なるほど……危険な賭けだったのか。


香焼「って……それ分かってて無理矢理血を吸わせたんすか!?」ギョッ・・・

姫神「ウジウジしてた罰。でも。結果的に大成功」ヴイッ!

香焼「…………、」サー・・・


一気に血の気が引いた。


姫神「それじゃあ……ブチのめしなさい」チラッ・・・

香焼「え……あ」キョトン・・・

姫神「そういう『契約』。破棄したら。この事。土御門くんに告げ口するから」ジトー・・・

香焼「へ……えぇ!?」ギョッ・・・


それは拙い。第一級の秘匿物たる姫神の『血』を啜ったのだ。それがばれれば……クビじゃ済まないだろう。


香焼「ず……ズルいっすよ!」アタフタ・・・

姫神「何とでも言うといい。とりあえず。これで勝てるんでしょう?」ジー・・・

香焼「……多分」コクッ・・・

姫神「そう……手段は貴方の勝手。でも。さっきみたいに。魔力を無駄にしたら……分かってる?」ギロッ・・・


逃げ続けるのは止めろ、という事。


姫神「……負けたら。あの子の思うが儘。終わる」ジー・・・

香焼「分かってますよ、それくらい」コクッ・・・

姫神「分かってない……そろそろ。あの子を助けなさい。何の為に。私が貴方に賭けたと思ってる?」ジー・・・

香焼「え」キョトン・・・

姫神「多分。上条くんでも無理。あの子を救えるのは。小萌先生と。貴方だけ……だから。賭けてる」グッ・・・

香焼「……何故」キョトン・・・

姫神「鈍感な貴方自身には。分からない……でも。そういう事。私や淡希には。分かる事」コクッ・・・


抽象的過ぎて理解出来ない。


姫神「じゃあ。言葉をぶつけなさい。貴方はそっちの方が。合ってる……セコンドとして。最後のアドバイス」テクテク・・・


よく分からない。だが……出来る限り、戦う。

716 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 00:26:34.35 ID:LeAx7eMv0
姫神さんが所定の位置に戻り、再び、2人は向き合った。


結標「……随分と、待たせてくれるじゃないの。しかも訳分かんないモンを見せつけてくれて」イライラ・・・

香焼「すいません」テクテク・・・


距離にして15m程。審判は再開と見て、全体を見渡せる位置へ移動。


結標「それで、さっきの短時間で何をしてたのかしら? まさか本当に指チュパしてただけ?」フンッ・・・

香焼「…………、」ジー・・・

結標「答えられない、と……まぁ良いわ。言った所でどうせ私にゃ理解出来ないんでしょうから」ジー・・・

香焼「すいません」ペコッ・・・

結標「何で謝るのよ」ハァ・・・


いつの間にかフッ飛ばした筈のブレザーを羽織っている淡希さん。


結標「……今度こそ、まともに戦ってくれるのよね?」ジー・・・


姫神さんの言葉を思い出す。『言葉』をぶつけろ。


香焼「その前に……何故、自分らは戦ってるんすか?」ジー・・・

結標「今更ね。私を無理矢理小萌んとこに戻そうとしてるから、決闘になってるんでしょう」ジトー・・・

香焼「……無理、矢理」ジー・・・

結標「……何よ」フンッ・・・


思い出した。


香焼「……そうか。それが、分からなかった」コクッ・・・

結標「何一人で納得してんのよ……それより、さっさと始めましょう。直井くん、また適当にボール投げて」チラッ・・・

直井「では……これを」スッ・・・


割れたソフトボールの片割れを拾い、上に放った。


結標「悪いけど、私多少キレてるから……さっきより乱射させるわよ」グイッ・・・

香焼「…………、」スッ・・・

結標「……ふんっ!!」シュバッ!!

香焼「―――」グイッ・・・


半球が……―――……落ちた。


結標「テェヤァ……って、あ、れ?」キョトン・・・

白井・椎名「「速い!?」」ギョッ・・・


いきなり横に捌けた香焼。元居た場所に虚しく落ちる硬球ら。そして……網の方に駆け出すと―――


一同『え!?』タラー・・・


―――天井に向かって、駆け出した。

717 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 01:10:38.64 ID:LeAx7eMv0
 <――一方その頃、電磁通行・・・・・>


  カツカツカツ・・・・・


御坂「―――……本当に此処に居るんでしょうね?」ジトー・・・

大山「い、居るけど……穏便にって約束だよ!」アタフタ・・・

御坂「アイツ次第よ。アンタらの話が嘘って可能性だって捨てきれない以上わね」グイッ・・・

入江「ほ、本当だよぉ」タラー・・・

関根「私達、アンタらみたいに卑怯じゃないもん!」アタフタ・・・

御坂「……別に卑怯じゃないでしょ」フンッ・・・

一方通行「卑怯でも何でも良い。さっさと行くぞ」カツカツ・・・

御坂「あ、ちょ……ほら、アンタらもサクサク歩きなさい」ジトー・・・

大山「……はぁ。僕達叱られるかなぁ」タラー・・・

入江「れ、超能力者2人相手に如何しろっていうのぉ?」ハァ・・・

関根「無抵抗無抵抗無抵抗……ひぅ!」ビクッ・・・

御坂「正直に話して何もしなけりゃ気害加えないって言ってるでしょ」ヤレヤレ・・・


 カツカツカツ・・・・・


一方通行「……オイ、どっちだ」チラッ・・・

入江「こ、コートで決闘中だから……上のギャラリー席に行って貰えると助かります」タラー・・・

御坂「じゃあコートで」テクテク・・・

大山「ちょ、待って!」ダラダラ・・・

一方通行「待てコラ」ガシッ・・・

御坂「ぐへっ……は、謀ったわね!? 裏切るの!? この下郎!!」ズテンッ!

一方通行「喧しい……二階行くぞ。案内しろ」チラッ・・・

大山「え、あ、はい」キョトン・・・

関根「あ、待って下さい!」ビシッ

一方通行「あン?」ジー・・・

関根「……そこで、券を」チラッ・・・

 ~~券売機~~

一方通行「……え?」キョトン・・・

関根「遊観料のチケットです。一人100円になります」コクッ・・・

一方通行「……あの、よォ」タラー・・・

御坂「あ、アンタら立場分かってんの!?」ビリビリ・・・

入江「で、でも規則ですし……皆お金払ってますから」コクッ・・・

一方通行「……知らね」カツカツ・・・

大山「ま、待って下さい! 淡希さんに怒られますよ! 百円払えばすぐですから!」アタフタ・・・

一方通行「あのよォ……なああああああああァンでェタカが100円如きでアーダコーダ言われなきゃなンねェンだ!!」ウガー!

御坂「五月蠅いわねぇ。私券買ったから先行くわよ」テクテク・・・

一方通行「ちょ、オマ!? こういう時だけ何故駄々こねねェンだ!? 意味分かンねェ! え? 俺が間違ってンの? は!?」ハァ・・・

718 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 01:36:02.26 ID:LeAx7eMv0
 ―――とある翌々日、PM07:00、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎横・おんぼろ屋内テニスコート・・・・・





確かに、コート内全てを用いて戦って良いルールだ。
だがそれはあくまで空間(三次元)を使って戦う結標の為に敷かれたルールだった筈。
香焼は平面(二次元)で動き回るモノだと、誰もが思っていた。


直井「―――いや、これは、何とも」タラー・・・

立華「さっきからワイヤーの上走りまわってたとはいえ……これは困ったわね」アハハ・・・


天井。


結標「くっ……考えたわね」タラー・・・

香焼「―――」


鉄骨の上を動き回る香焼。これではボールを乱射出来ない。
有効なのは『体内座標攻撃』だけだが……それは相変わらず避けられる。勘だけで避け切ってるのだから堪ったもんじゃない。


椎名「これでは……チョイチョイ見失うな」タラー・・・

白井「常時彼の位置を把握しているのは透視能力持ってる先輩くらいでしょうね」タラー・・・


彼が移動する時、物音がしないのだ。それだけではない……気配も無い。
これは殺気云々で戦う暗部経験者にとっては辛いところ。


直井「宛ら、忍者・暗殺者(アサシン)だな」フム・・・


何の因果か……土御門や海原に教わった戦い方。


結標「っ……でも、攻撃しないんじゃさっきと同じよ」ギリリ・・・

香焼「―――」


簡単に声を出したり、攻撃してしまっては位置がばれる。その手には乗らない。


姫神「今頃。トラップ作りでもしてる筈」ジー・・・

直井「だろうね」

立華「今淡希に出来る事は……鉄骨の間に無駄撃ちする事くらいかしら」


だが、それも慎重に行わねばなるまい。最悪、ボールが鉄骨の間に挟まってしまって落ちて来なくなる。
そうなると一々面倒な作業を踏む羽目になるだろう。


結標「くっ……じれったい」グヌヌゥ・・・


審判を除けば、フィールドに結標一人。しかも何も起こらない……傍から見れば異様な光景。


一方通行「……何してンだ?」ジー・・・

御坂「さぁ。てか黒子も何してんの? あ、先輩までギャラリー混じってるし」チラッ・・・

一同『え!?』バッ・・・


極自然に、変なの2人(と、首根っこ掴まれてる大山・入江・関根)がギャラリーに混じっていた。

719 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 01:55:18.67 ID:LeAx7eMv0
超能力者二名の乱入。これは色々動揺する。


白井「うぉ!? お姉さま!?」ギョッ・・・

御坂「うぃ」ビシッ

固法「う、初春さん……抑えきれなかったのね」ハァ・・・

結標「ちょ、あ、アンタ!? 何しにきたのよ!!」ダラダラ・・・

一方通行「あン? どの口言うかボケ……無断で仕事休みやがってよォ」ジトー・・・


話がややこしくなる。如何したモノか。


結標「チッ……アンタら、話は後よ! 牛乳眼鏡! あの2人何とかしなさい!」チラッ・・・

固法「はぁ……えっと、何でこうなってるか説明するから」テクテク・・・

御坂「知ってます。決闘でしょう。だったら手は出すような野暮な真似しませんよ」ジー・・・

一方通行「ケッ。随分とまァ殊勝な事言いますねェ。さっきまでのテメェとは思えねェな」ハンッ

御坂「うっさい。私はいつだって優雅でエレガントなのよ」フンッ・・・


白井と固法と第一位が『嘘を言うな』みたいな目で見てる。


固法「……じゃあ、一方通行くんも?」チラッ・・・

一方通行「知ってっけど黙ってみてる必要性が無ェ」フンッ・・・

御坂「バッテリー残ってない癖に」ボソッ・・・

一方通行「ぐっ……ま、まァ精々下ンねェ茶番劇見させて貰うとしますかァ」タラー・・・


結標に視線を降ろす。


結標「……何よ」ジトー・・・

一方通行「いや……何と戦ってンだ?」キョロキョロ・・・

御坂「そういえば、そうね」キョロキョロ・・・

結標「見りゃ分かんでしょ」ハァ・・・

電磁通行「「見ても分からない」」キッパリ・・・


彼女の目の前に『敵』がいません。


固法「はぁ……上よ」クイッ・・・

御坂「え? 上って……何処です?」ポカーン・・・


目視は不可能だろう。今香焼の位置を完全に把握してるのは固法だけ。


結標「うがああぁっ!! いい加減姿現しなさいよ!! これじゃ戦いなんないじゃない!!」ムギギィ!

香焼「……そろそろ、出ますよ」スッ・・・

御坂「おわぁ!? 天井に逆立ちしてるわ!?」ギョッ・・・

一方通行「アレ、お前も俺も出来ンだろ。鉄骨磁石にしたり、重力ベクトル逆にすりゃ可能じゃね」ジー・・・

御坂「あぁ。それもそうね」コクッ・・・


会話の次元が違う。香焼は鉄骨周りに魔力を通した鋼糸を敷き詰めたからこそ、これが出来るのだ。彼らの様に意図も容易く出来たりしない。

720 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 02:37:21.94 ID:LeAx7eMv0
さておき、身を現した香焼へ向けてさっさく一発ボーリング玉をブチ込む結標。
だが、軽く避けるだけで重力落下。地の利は香焼に在る。

それではと、香焼に直接座標を合わせて地に落とそうとしたのだが……天井を走り回り出した。これでは簡単に捉えられない。


結標「あぁもぅ……それでも、貴方が攻撃して来なきゃ何も変わらないでしょう!」ジトー・・・

香焼「ええ……そろそろ、しますよ」ジー・・・

結標「…………、」フンッ・・・


丁度真上辺り。


香焼「淡希さん……自分は、ずっと考えてました」テクテク・・・

結標「何よ今更」シュバッ・・・

香焼「っと……何で淡希さんが逃げたのか」ヒョイッ・・・

結標「……は?」キョトン・・・


意味が分からない。何から逃げたのだ?


香焼「……貴女は今、戦ってる今が楽でしょう」ジー・・・

結標「言いたい事が理解出来ないんだけど……さっ!」ブンッ!!

香焼「ふっと……他の事、考えずに済むから、楽なんでしょう?」カキンッ・・・

結標「……あのさぁ。戦いの最中に、余計な事色々考えてる方が変でしょうに」ジトー・・・


確かに。だが……それだからこそだ。


香焼「貴女は、逃げたいから戦った。月詠さんの事や、土御門から言われた事を考えたくないから戦ってる!」テクテク・・・

結標「……だから、何よ」ギロッ・・・

香焼「それだけだ! それだけなんだよ! 貴女の戦ってる理由は! だから重みがない……だから、戦いたくないんす」ジー・・・

姫神「……だから。躊躇ってた。と」ムゥ・・・


『だから』尽くし。意味の無い戦いが出来ない男。


香焼「貴女だって、この戦いは意味がないって分かってる筈だ!」キッ・・・

結標「でしょうね。決闘なんてモノは、ただの喧嘩の延長みたいなモンよ」フンッ

香焼「違う、そうじゃない……貴女は、本当は何もかも分かってる筈なんす!」ジー・・・

結標「……は?」キョトン・・・


声を荒げる。


香焼「自分の言いたい事は、さっき三人が言ってくれたと思ってた。自分もそれで良いと思ってた」フルフル・・・

結標「……何よ。だから何なのよ」ギリッ・・・

香焼「でも、そうじゃないんだ! 白井さんの時、貴女は『自分が如何したら良いか分からない』から皆で決めるって言った!」コクッ・・・

結標「そうよ。それの何が悪いの」ジー・・・

香焼「良いとか悪いとか、そういうのじゃない……貴女がこの組織に居続けるっていう事自体が答えなんでしょう」コクッ・・・

結標「っ……馬鹿じゃないの」チッ・・・


ギャラリーが首を傾げた……ただし、幹部陣数名は彼の言葉に納得した。

721 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 03:01:13.08 ID:LeAx7eMv0
固法さんが言った……『居場所』の問題だ。
この『チーム』も彼女の居場所である以上、やりたい事だとか何だとかは関係無い。

やりたい事があって行動起こしたら勝手に皆が付いてきた。ただそれだけなら、目的終了と同時に解散させればいい。
だが彼女はしなかった。つまり……このチームを自分の『居場所』と定めたからだろう。

そこに目的だの主義だのは関係無い。そういう意味で、白井さんの訪問は無駄だったと言えよう。


結標「……居る事が、答え? 何それ……訳分かんない」ジトー・・・

香焼「人は居場所に、理由を求めたりしないでしょう……そういう事っす」コクッ・・・

結標「それと、戦いと、何が関係あるのよっ!!」ブンッ!!

香焼「っ……、」クルッ・・・


結標の攻撃は当たらない。彼自身への座標も中々定まらない。


香焼「月詠さんの下に、帰りたくない……そんなの嘘だ」ジー・・・

結標「っ……黙りなさい」ギロッ・・・

香焼「土御門から言われて……それを切っ掛けに、貴女が誇大解釈してしまった……姫神さんが言った様に、確かにこれは呪いだ」ジー・・・

結標「黙れっ!!」ブンッ!!

香焼「黙りませんよ!! 貴女の善意とやらは、誰も幸せにならない!!」スタッ・・・

結標「五月蠅あああああぁい!!」ガガガガッ!!


最早ボールだけではなく、其処ら辺に落ちてるモノを乱射させる。


香焼「自分が居なくなれば最善? 月詠さんの負担が減る? 自分が我慢すれば良いだけの事?」スタタタ・・・

結標「五月蠅いのよ!! 関係無いでしょう! 私が居なくなって、小萌が新しい居候を見つける……これで万事解決じゃない!」グググッ・・・

香焼「ありますよ! 如何してそういう極端な……直線的な考えしか出来ないんすか!!」シュバッ・・・

結標「だって……私は邪魔なのよ!! 私が居なきゃ小萌は!!」グッ・・・


姫神「……小萌先生は?」ジー・・・


結標「小萌、は……楽に」タラー・・・


姫神「彼女は。泣いてる」ジー・・・


結標「それは、一時、で」タラー・・・


姫神「今でも探し回ってる。多分。貴女を見つけるまで。ずっと」ジー・・・


結標「でも……次の子を、見つけたら、私は、お払い箱に」グッ・・・


姫神「ならない。先生は。そんな中途半端な事はしない。少なくとも。一度に3人4人は預かる」ジー・・・


結標「…………、」ピタッ・・・


姫神「貴女の。自分が本当にやりたい事を。見つけるまで……先生は。貴女を見放したり。しない……いえ。出来ない」ギロッ・・・


結標「……ぁ」ジー・・・


彼女の動きが……止まった。仕掛けるなら、今しかない。

722 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 03:31:08.12 ID:LeAx7eMv0
瞬時、香焼は結標の真上から飛び降りた。


立華「っ! 淡希、真上!!」バッ!

結標「え、あ……っ!!」ブンッ!!


急いで彼を転移させる……が距離感が掴めない故、座標が固定出来ない。
やっとの思いで移動させたと思いきや……飛んだのはパーカーだけ。


結標「良―――くっ!!?」ギョッ・・・

立華「淡希! 逃げなさい!!」タラー・・・

香焼「遅いっ!!」スタッ!!


完璧に手の届く位置。これなら掴める。


結標「嘗め……るなぁっ!!」ブンッ!!

香焼「…………、」カキンッ・・・

結標「あ……っ!!」グッ・・・


警棒代わりにもなる軍用電灯(ライト)をナイフで弾き飛ばす。
結標は急いで格闘に移ろうとしてが……もう遅い。

羽織っているだけのブレザーを器用に掴まれ、そのまま手も出せず大外刈り。


結標「ぐっ!!」ドスンッ!!

香焼「審判! 自分の勝ちだ!」チャキッ・・・


彼女に跨り、首元にナイフを立てる。


白井「……私は、決定打かと」チラッ・・・

椎名「……同じく」コクッ・・・

直井「……立華(セコンド)」チラッ・・・

立華「……彼女次第よ」ジー・・・

姫神「ええ。あの子はまだ負けてない……第一。これ以上。香焼くんが攻撃しないって分かってる」フンッ・・・


香焼のセコンドたる貴女が言うか、みたいな目を向けられた。


結標「っ……刺しなさいよ。多分私が怪我の一つでもしない限り、止めないわよ……ふんっ」ギロッ・・・クイッ・・・

香焼「動くな……これは殺試合じゃない。だからもう終わりっすよ」ジー・・・スチャ・・・

結標「動くわよ。刺さないって分かり切ってるもの……ほらっ」ブンッ・・・


香焼に直接、体内座標攻撃を仕掛ける。結標の跨った状態では避けようもあるまい。だが彼は大きく避け……態勢を整えた。


結標「良いの? 簡単に逃がしちゃって」フンッ・・・

香焼「良いんすよ。逃がしてませんから」クイッ・・・

結標「え……きゃあぁっ!!?」ゴロンッ!!

野郎共『おおおぉ!?』ギョッ・・・


突如、結標が『蝦剃り』体勢になった。よくよく見ると鋼糸で身体を縛ってある。
胸とか尻とか、非常に際どい状態……ついでに野郎共も視線釘付け状態。

723 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/24(土) 04:59:00.77 ID:LeAx7eMv0
 ねむ、い


             うま


727 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/24(土) 20:15:48.24 ID:LeAx7eMv0
こんばんわ・・・バイト前まで書こうかな・・・
728 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 20:47:01.89 ID:LeAx7eMv0
鋼糸が結標の身体に巻き付く。引き離そうとしても、並の力で引き千切れるモノではない。
日頃、馬鹿姉達を縛っている(?)香焼にとって捕縛術はお手のモノだ。


結標「ちょ!? や、止めて……解きなさいよ!」アタフタ・・・///

香焼「解きません。降参して下さい」グイッ・・・

結標「ひゃぁ!!」ギュウゥ・・・


動けば動く程に絞まっていく。純粋な技術たる捕縄術と、魔術たる拘束術式(バインド)の二枚掛け。


高松「き、際どい……サラシ、ずれてないか?」マジマジ・・・

松下「うらやま……けしからん!」フンヌー!

野田「こ、ごらあああぁっ!! 糞ガキいいぃ!! あわきんに何て真似してくれてんだああぁ!!」ギラギラ・・・

日向「……竹山。後で焼いたの回して」ボソッ・・・

藤巻「俺も……幾らだ?」チラッ・・・

竹山「一枚2,500円で如何です?」キランッ・・・

ゆい「死ね!! 先輩、死ね!! 13回くらい死んでください!!」ゲシゲシッ!!

TK「It's Fantastic!!」カシャッ!

さわ子「こらあぁ! 野郎共! 見てんじゃねぇ!!」ガンッ!!

音無「いや、まぁでも一応戦いだしさぁ」ポリポリ・・・

岩沢「音無……奏と直井が睨んでるよ」タラー・・・


何故か上が騒がしいが……無視無視。そろそろ降参して欲しいのだが。


香焼「……淡希さん、お願いします」コクッ・・・

結標「く、ぁ……い、やだ」ギュウウゥ・・・

香焼「……絞めますよ」クンッ・・・


肉を切らない寸前の所まで締上げる。同時に、淡希さんの悲鳴が上がった。


白井「……エグい真似を」タラー・・・

椎名「三本のワイヤーで『小目掛け』と『直伸腕縛り』か……逃れられまい」フム・・・

直井「……終わったな」コクッ・・・

姫神・立華「「…………、」」ジー・・・


脱出は不可能。刃物無しじゃ五和だって逃げ切れない。


御坂「えっと……SM勝負だった、とか?」モジモジ・・・///

一方通行「……なァ。コイツって基本こうなのか?」チラッ・・・

固法「えっと……たまーに、何処か抜けてるとこはあるけど」アハハ・・・

一方通行「あっそ……まァしかし、茶番だな」フーン・・・

固法「……そうかもね」ハァ・・・

御坂「真面目な話、色々疑問があるんですけど……香焼くんって、あんなに強いの?」ジー・・・

固法「……良く分からない。でも、考えは改まったかも」ジー・・・


流石、神裂の弟分。ギリギリの戦いではあったが、並ではないという事だろう。

729 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 21:20:56.52 ID:LeAx7eMv0
結標の悲鳴が上がる中、三人の審判が顔を合わせる。
香焼に攻撃する気が無いとはいえ、これは如何見ても結標の戦闘不能状態。結果は見えた。


直井「立華、良いね?」チラッ・・・

立華「……むぅ」ジー・・・

姫神「私も……腑に落ちない。でも……仕方ない」ジー・・・


姫神は未だに、香焼の甘っちょろい考えに賛同できない。
立華は立華で考える所がある。


香焼「……審判!」ギロッ・・・

白井「ええ。私は認めましょう」コクッ・・・

椎名「同意」コクッ・・・

結標「ま、だ……よっ!!」ンギギィ・・・

直井「結標……君はもう戦闘不能だ」ジー・・・

結標「まだ、よっ!!」ギチギチ・・・


無理矢理捕縛から逃れようと全身に力を込める。だが、虚しくも、それは痣となるだけ。
少年の顔は至って真剣。こんなもので、こんな形で、負ける……これで、負けるのか。
ふと……顔を上げた。そして……とある顔が目に入った。


一方通行「―――」ジー・・・


見下した目。短く口が動いた。


結標「な……『情けねェな』……ですって……ッ」ギリリ・・・


確かに、此処までの流れを見ていない彼にとって……結標の今の姿は無様に他ならないだろう。
いや、結果そうなったのだ。無様以外の何物でもない。


結標「っ……、」スゥ・・・

香焼「ん……諦めてくれましたか」ジー・・・


急に大人しくなる結標。だが、言葉を発するまで縄は解かない。


結標「ええ……そうね……私が馬鹿だった」コクッ・・・

香焼「…………、」ジー・・・

結標「ほんとは、全部分かってた……私は小萌から離れたくないんだって事」ボソッ・・・

固法「……結標さん」ジー・・・


本音の吐露。


結標「でもね、土御門(アイツ)の言ってる事は正しいのよ……所詮、私は日蔭者。小萌は真逆の指導者さん」ジー・・・

香焼「だから、相容れないと? それは違う……分かってる筈だ! 現に貴女は今まで過ごせて来れた!」ギリッ・・・

結標「ええ。でも『最悪』が無いとも限らない」チラッ・・・

御坂「アイツ……馬鹿ね。貴方に何かを求めてるわよ」チラッ・・・

一方通行「……俺はそンなに甘かねェよ」ジトー・・・


日向だとか日陰だとか、そう考えだした時点で……その人の人生はマイナスへ向かってしまう。
730 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 21:46:05.62 ID:LeAx7eMv0
つまり、この論争に『悪』は居なかった。ただ『迷い』だけがあったのだ。
本音が正しいとも限らない。正論で納得出来る訳じゃない……だからこそ、この戦いで答えを出して貰いたかった。


姫神「他力本願……でも。それしか方法を知らない。いや。その方法すらも。踏ん切りが付かなかった」ジー・・・


だからこそ、姫神は煽った。発破を掛けたのだ。


結標「でもね……私にとって、此処も居場所なのよ」ジー・・・

メンバー『…………、』コクッ・・・

香焼「それは……分かりました」ジー・・・


結束は固い。メンバーの支えが結標である以上、それを無理矢理奪おうとは思わない。


香焼「だけど、それとこれとは別っす! そのくらいの理解はあるでしょう」コクッ・・・

結標「…………、」チラッ・・・


誰も、結標を拘束したりしない。


日向「……別に、淡希の住む場所まで指定出来ないよ」コクッ

岩沢「ま、元々自由気ままなヤツだってのはメンバー全員把握済みさ」フフッ

野田「ずっと此処に居てくれるならそれに越した事ぁ無ぇけどよ……それがあわきんの本心じゃねぇなら何ともなぁ」フンッ 


全員が頷く。


音無「淡希。お前の好きにしろ。こんな時まで適当なメンバーだが……お前が本心で動かない方がもっと嫌だぞ」コクッ・・・

立華「誰も貴女を縛ってない。自分を縛ってるのは自分、でしょ」フフッ

結標「……アンタ達」ジー・・・


要するに……戻りたい場所に帰れ、と。


結標「ったく……薄情モンね」フフフ・・・

直井「僕らは端っから拘束してる気は無かった。分かってるだろう? まぁ君も君で優柔不断が過ぎるけどな」クスクス・・・

香焼「……良い仲間じゃないっすか」フフッ

結標「……当たり前でしょう。誰がリーダーやってっと思ってんの」ニヤリ・・・

香焼「そうっすね……じゃあ、決着という事で―――」

結標「あ、それはヤダ」キッパリ・・・

香焼「―――……は?」キョトン・・・

一同『え?』ポカーン・・・


この期に及んで何を言う。


結標「……負けるのは、嫌よ」フンッ

香焼「で、でも……審判が」チラッ・・・

結標「……帰ってやるけど、でも負けんのはヤダ」ジトー・・・

香焼「えー」タラー・・・


何その我儘。というか無駄な足掻きすら出来ない状態でよくそんな事をほざくものだ。

731 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 22:21:09.86 ID:LeAx7eMv0
もはや戯言にしか聞こえないが、話は続いた。


結標「……貴方は甘いわ」ジー・・・

香焼「負け惜しみにしか聞こえないっす」ジー・・・

結標「そうね。実際私はこうやって捕まって行動不能……でも、これが窒素装甲にも通じる?」ジー・・・

香焼「……関係無いでしょう」チッ・・・

結標「いいえ。アイツはこのワイヤー程度、引き千切れるわ」コクッ・・・

香焼「……関係無い」ギリッ・・・


最愛は、関係無い。


結標「……今のままでは、貴方はアイツにボロ負け。それで終わりよ」コクッ・・・

香焼「そんなの、分かりませんよ」ジー・・・

結標「分かるわよ……あの姉の下に居続ける限りは、その甘さは拭えない」フフッ・・・

香焼「それこそ、関係無いっす!」ギリッ・・・

結標「貴方は、やっぱり私の下で戦うべきよ」ジー・・・

香焼「お断りします」キッパリ・・・

結標「矯正が必要だって、自分でも分かってるんじゃない?」ジトー・・・


必要無い。僕はこの教義を完(まっとうする)。


結標「……無理矢理でも、そうさせなきゃ駄目ね」チラッ・・・

香焼「貴女は既に負けてるんだ。その条件は当て嵌まりませんよ」フンッ

結標「……そう」ハァ・・・


ふと、セコンドサイドの方を向いた。


結標「……奏」チラッ・・・

立華「……これ以上は危険よ」ジー・・・

結標「だから……後は任せる」コクッ・・・

立華「はぁ……好きになさい。皆は私が守ってあげるわ」フフフ・・・

結標「あんがと」ニヤリ・・・


何を―――


結標「最後の悪足掻き(テスト)よ……私を倒しなさい……ッッッ」グッ・・・


―――消えた。


白井「っ!? まさか!?」ギョッ・・・

一方通行「……ほォ」フーン・・・

御坂「え……嘘!? アイツ飛べるの!?」ギョッ・・・

固法「に、2回目をするの!?」タラー・・・


何処に消えた?

732 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 22:35:27.35 ID:LeAx7eMv0
一寸の間……そして―――


結標「―――お望み通り、格闘してあげるッ!!」ゲシッ!!

香焼「ぐっ!!」ゴンッ!!


―――二回目の空間移動(テレポート)。かなりの負担が掛る筈。
にも拘らず、初撃を放った後……また飛んだ。


香焼「……っ!!」ゴキッ!!

結標「―――遅い!」ブンッ!!


三回目。傷口(左脇腹)を蹴られた。


姫神「……空間移動の乱用。大丈夫?」チラッ・・・

直井「拙いよ……トラウマというモノは完全に克服できるモノではないからな」タラー・・・

立華「……直井くん。私そろそろ動くから、後よろしく」スッ・・・

直井「乱雑解放(ポルターガイスト)、始まったか」ジー・・・


四回目、五回目の空間移動……と同時に、周囲のモノが不規則に動き出した。


香焼「っ!? あ、淡希さん! 止めて下さい!! 危険っす!」グッ・・・

結標「―――ッ……黙って……ぅ……戦えっ!!」ゲシッ!!

香焼「チィ!!」グッ・・・


遂に、ボールやら何やらが縦横無尽に浮かび始めた。そして……爆ぜる。


白井「―――ちょ、結標さん! 止めなさい! 周りへの被害が!」シュンッ!!

椎名「っ……大丈夫」チラッ・・・

白井「……え」チラッ・・・


ギャラリーの方を見る。


音無「うをっ!? ボーリングの玉が降ってきた!?」ビクッ・・・

松下「音無! 頭を低くして下手に動くな!」バッ!!

ゆい「流石淡希さん……って、あれ? これ能力じゃないの?」キョトン・・・

日向「ユイ! 危ないから立つな……って、前! 前だ!」ギョッ・・・

ゆい「へ? あ」ピタッ・・・


ゴルフボールの嵐が少女に襲いかかる。が、しかし―――


立華「ディレィ……ディストーション」カキンッ!!

ゆい「……ふぇ?」ポカーン・・・

音無「奏!」チラッ・・・

立華「大丈夫……でも動かないで一ヶ所に塊ってて貰えると助かるわ。守り易いから……ハンドソニック」ザシュッ・・・

音無「お、おぅ……ありがとう」ハハハ・・・


―――純白の翼を生やした少女が、メンバーを守っていた。

733 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 22:58:41.55 ID:LeAx7eMv0
傍から見ていた超能力者2人は、その少女の姿に唖然とする。


一方通行「……あの女、何モンだ?」ジー・・・

御坂「絶対超能力者以上の動きしてるわよ」ビジバジ・・・

固法「確かに気になるけど……御坂さん、器用ね。電磁バリア張りながら会話って」アハハ・・・

御坂「一度張っちゃえばオートなんで……それより、あの子」ジー・・・


肉眼で視認できる動きという事は、単純に高速移動か。
しかし何らかの力場(バリア)やソニックウェーブを発している所を見る限る、普通の能力者ではないと見える。

何より……あの『翼』。


一方通行「……天使、か」ジー・・・

御坂・固法「「え」」キョトン・・・

一方通行「いや……何でもねェ」フンッ・・・


見ていて不可解……そして不愉快だった。


姫神「彼女の御蔭で。淡希は全力を出せるみたい」ジー・・・

直井「ええ。我々の中で、立華は一番強い」コクッ・・・

姫神「……何者?」チラッ・・・

直井「さぁ……だけど、僕らは彼女を『天使』と呼んでいた。彼女はあまり過去の事を話さないからな」ジー・・・

姫神「貴方は。覗かなかったと?」フーン・・・

直井「覗いても……おっと……分からなかった。多分、打ち明けたのは音無さんくらいだろう」フフフ・・・


別にリーダーが最強とは限らない。色々ありつつも、彼女もまた結標を慕う一人のメンバー。ただそれだけ。
さておき……戦っている2人は、時間の問題だった。


結標「―――……ッ」ダラダラ・・・

香焼「ハァ……ハァ……っ」ギッ・・・


ボロボロの香焼。そして嫌な汗を掻いている結標。両者ともにかなりの疲弊。
多分、香焼がこのまま持ち堪えれば結標が勝手に自滅するだろう。しかし捨て身の結標の攻撃は嵐の如くだ。


結標「―――う、ぇ……ッ……いい加減……ナイフ、使いなさいよ」ダラダラ・・・

香焼「っ……必要無いっす」ギリッ・・・

結標「捕まえられないでしょう……っ……私の事」ダラダラ・・・

香焼「……捕まえます」グッ・・・


空間移動というモノは、高速移動と違い『気配』がない。故に動きを読めない。
座標攻撃に慣れている香焼だが、直接身体を打つけてくるヒット&アウェイ戦法は初めての戦いだ。


姫神「……迷っているのは。彼の方」ジー・・・

直井「そのようだ」ハァ・・・

姫神「……私の血が。無駄になるかも」ジトー・・・


この期に及んで尚、手加減……腹立たしい事この上ない。

734 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 23:18:19.04 ID:LeAx7eMv0
暫く、結標の尽力空間移動が続く。それが長引く程に乱雑解放が酷くなる。既に建物全体が軋んでいる程だ。
多分香焼は結標の気絶を待っているのだろうが……彼女は気絶してでも、戦い続けるだろう。

見るに見かねた姫神は香焼に檄を飛ばす。


姫神「……淡希は。全力を出してる! 何故貴方は。全力を出さない!?」ギロッ・・・

香焼「ッ……ぐっ……全力……出してます、よ」ヨロヨロ・・・

姫神「嘘! 失礼極まりない。戦い方!」ジトー・・・


武人としてはそうかもしれない。しかし、それでも……僕は武人じゃない。


姫神「淡希の苦しそうな姿と。周りの被害が。分からない?」チッ・・・

香焼「っ」チラッ・・・

結標「―――」ダラダラ・・・


顔色が悪くなっている淡希さん。そして、天井の鉄骨が外れかかってるコート内。


姫神「タイムアップなんて。狙わないで……貴方の手で。引導を渡しなさい」ジー・・・

香焼「…………、」グッ・・・

姫神「目の前に。救いが必要な人が。居る……見えないの!?」バンッ!!


吠えた。珍しく感情的に。


香焼「…………、」タラー・・・

結標「―――ギ……ぁ……ッ」ガンッ!!


最早、何処に空間移動しているかも定まっていない。


姫神「撃ちなさい! 誰も救わぬまま。終わる気なの?!」ギリッ・・・

香焼「ふぅ……っ」スチャッ・・・

姫神「撃てえええぇ!!」ガァアアァ!!

香焼「う……ぁ……あああああぁ!!」グイッ!!


魔力生成の銃剣(バイヨネット)を、構える。


結標「―――っ……撃……ち……さぃ」ボソッ・・・

香焼「っっ!!」スッ・・・

結標「もぅ……甘ちゃん(アマチュア)は……卒業、しよ」クスッ・・・

香焼「い……あ、わき……さっ!!」ブンッ!!


一投。そして―――


結標「―――」ザシュ・・・

一同『っ!!?』ピタッ・・・

香焼「あ……あぁ」ペタン・・・


―――……全てが、止(終)まった。

735 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/24(土) 23:21:10.33 ID:LeAx7eMv0
はい、此処まで。次回で四話終わります。

なんか戦闘でgdgdになったなぁ……ユニコーン見直したのが悪かったと思う。

因みに、五話は『ルチア・浦上・フロリス』話だよ。全然英国編やってなかったからなぁ。


それじゃあ……メリークリスマス。良い夜を! ノシ”

736 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 04:56:11.56 ID:UF224DFDO
乙……撃てませえええぇん、てかww

久しぶりの英国編、楽しみにしてるぜぃ!
737 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 09:31:16.14 ID:854HAbzUo
姫神さんが嫌な方向にキャラ崩壊しまくってんぞ
今んとこ4話が一番微妙かも…
738 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 14:26:52.69 ID:aU+Qy+j3o
上に同意だな
変に戦闘絡ませないで
ほのぼのとした奴をのんびり書いていくほうが>>1にはあってる気がする

あと>>1のエロ描写はちょっと好きだったりする
739 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 21:27:07.35 ID:QuUh0leAO
乙!
740 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 12:25:03.26 ID:YslRVE5e0
姫神さんマジDQN、つーか基本的に全編通してチンピラが多くて微笑ましい

>>1はそういうの好きなん?
741 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/27(火) 23:00:11.70 ID:zMQgJ9NY0
こんばんわ。ボチボチ投下。


・姫神さんを目立たせたいあまりに変な方向へ行ったのは確かです。だけど……あんまり悔いはない!

・エ、ロ・・・・・・? そんなの書いた覚えないなぁ……

・DQN、チンピラ好きですよ。クローズ系・湘南系とか大好きです。


そんじゃ書きます。

742 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/27(火) 23:20:47.56 ID:zMQgJ9NY0
 ―――とある翌々日、PM09:00、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎内・・・・・







決闘から小一時間後……敗者が目を覚ました。


結標「……ん」スッ・・・

姫神「動かないで」ピタッ・・・

結標「秋沙……えっと、あれ?」キョトン・・・


自分が何故校舎内(此処)に居るのか、何故気絶していたのか分かってない模様。


結標「……負けたのよね」ハァ・・・

姫神「…………、」コクッ

結標「そう……最後の方まったく覚えてない」ハハハ・・・


今淡希さん以外で部屋に居るのは、姫神(私)と岩沢さんと遊佐さんだけだ。
白井さんや固法さん……香焼くん達には別室で待機して貰っている。


岩沢「最後、アンタのセコンドちゃんが止めに入ったのよ」テクテク・・・

結標「え?」キョトン・・・

遊佐「彼が放った短刀が、淡希さんの眉間に刺さりそうになりました」コクッ

結標「……え」ギョッ・・・

姫神「淡希。最後の最後は。乱雑解放(ポルターガイスト)だけ起して。突っ立ってるだけだったから。恰好の的」ジトー・・・

結標「……うぇ!?」バッ・・・


慌てて自分の額を擦る。だが外傷は無い。


岩沢「だから止めに入ったって言ったろ。奏が坊やの短刀掴んで、そんでそのままアンタの事気絶させたのよ」ハァ・・・

結標「か、奏が……そう」タラー・・・

遊佐「あのまま放っておいたら乱雑解放が止まりませんでしたから、正しい判断かと」コクッ

結標「……感謝ね」ホッ・・・


ホッと胸を撫で下ろし、立ち上がろうとする。だが……未だヨロヨロ状態。


姫神「当たり前。疲労困憊。おまけに酷い筋肉痛。暫く能力は使えない」ジー・・・

結標「……歩けりゃ十分よ。皆は何処? 職員室?」チラッ・・・

遊佐「はい。そのまま待っていて貰えれば彼らを呼んできますよ」コクッ

結標「結構。私は敗者でしょう」ヨロヨロ・・・

岩沢「ったく……肩貸すよ」ヤレヤレ・・・

結標「悪いわね」フフッ・・・

姫神「…………、」ジー・・・


救護室にいた4人全員で、職員室へ移動した。

743 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/27(火) 23:52:52.29 ID:zMQgJ9NY0
一寸後、職員室に移る。何だか異様な空気だった。
超能力者2人と白井さんが来客用の椅子に深々と座り、ピリピリオーラを放っている。
メンバー達が襲ってくるかもしれないと警戒しているのだろうか。誰もそんな気など無いのに……皆怖がって近付こうとしない。

他方、3人に呆れつつ妙にフレンドリーな固法さん。これはこれで違和感がある。


遊佐「失礼します」ガララッ

一同『っ!』バッ・・・

結標「……心配掛けたわね」トコトコ・・・

野田「あ、あわああわあ、あわ、あわあわああわわわわきんっ!! だ、大丈夫なのか!?」アタフタ・・・

結標「多分問題無いわ」ヨロヨロ・・・


主任席に移動し腰を掛け、白井さん達に向き直る。


結標「さ、てと……早速疑問。何でアンタと御坂さんが居るの?」チラッ・・・キョトン・・・

メンバー『っ!?』ギョッ・・・


敢えて誰もツッコまなかった事を堂々と尋ねるリーダーさん。


御坂「何よ? 居ちゃ悪い?」ジトー・・・

固法「悪い」キッパリ・・・

白井「悪いですの」キッパリ・・・

御坂「ぐ、ぬ……ちょ、黒子達は私の味方でしょう!」バッ・・・

固法「私は、命令があるまで、詰所から出るなと……言ったわよね?」ジトー・・・

白井「申し訳ありませんが、今回は弁護する気は毛頭ございませんよ」サラッ・・・

御坂「えっとぉ……うぇい」ダラダラ・・・


何をしに来たのか、まったくもって不明な第3位さん。では筆頭さんは?


一方通行「…………、」フンッ・・・

結標「……笑いに来た、と」フフッ・・・

一方通行「さァ。もう如何でも良い」ボー・・・

御坂「あ、コイツ仕事でアンタが居ないと寂しいから迎えに来たんだってさ」チラッ・・・


場が、凍った。数秒間が空き……ゲンコツ一発。


御坂「痛あああぁいっ!! なぁにすんのよ!」バンッ!!

一方通行「だあああァれがンな馬鹿な事言いましたかァ!?」ギロッ!!

御坂「アンタが言ったんでしょ! 『結標が居ねェと、俺ァ駄目だ……』ってぅ痛たたたたったぁっ!! 抓るなああぁ!!」ムギャー!

一方通行「し・ご・と・が! 大変だっつったンだろォが!! アイツの分まで俺がやらにゃなンなくなっから!」ウガー!

白井「ちょ! お姉さまの柔肌になんて真似を!!」アタフタ・・・

一方通行「テメェもコイツの頬引っ張れ!! 保護者として反省させろ!!」ギュウウゥ・・・

白井「そんな真似出来る筈、が……うわあああぁ! 手が勝手にいいいぃ!! はうわぁっ!!」モミモミモミモミ・・・ゴンッ!!

御坂「何処触ってんのよ変態!!」ゲシッ!!


とりあえず、ラブラブなのか。

744 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 00:22:59.51 ID:4d6+nZOj0
場違いな三人はさておき、淡希はメンバーと固法さんの方に視線を送った。


結標「悪い。負けちゃった」ハハハ・・・

音無「良いよ。別にお前は超人って訳じゃないしな」コクッ

日向「とりあえず、相変わらず強いなってのは思い知らされたけどよ」ハハハ

結標「はいはい……あ、奏。ありがとね」チラッ・・・

立華「ううん。約束通りになっただけ」コクッ

岩沢「約束?」キョトン・・・

立華「もし空間移動(テレポート)を使う事になって『限界』が来たら……皆を守って私を止めろって」ジー・・・


予め空間移動を使わざるを得ない事を予見していたのか。


結標「あはは……因みに、6回までは数えてたんだけど、私何回飛べた?」ジー・・・

立華「11回。随分持ったんじゃないかしら」フフッ・・・

結標「そうね」ポリポリ・・・


トラウマも徐々に軽減してきているらしい。


結標「……さて、そんじゃ本題だけど」チラッ・・・

音無「やっぱ『家』から此処(アジト)に通う、か?」フフッ・・・

結標「ええ、そうさせて貰う。悪いわね」ペコッ

直井「構わないさ。今までだってそうだった。僕達の中にも通いの輩は居る」コクッ

松下「あわきんの好きにしてくれ。な、野田」チラッ・・・

野田「……ふんっ」コクッ

藤巻「良いってよ」クスクス・・・

結標「あらら。野田にまで追い出されちゃったわ」ハハハ


満場一致で『リーダーの好きにしてくれ』だそうだ。相変わらず他力本願なチーム。


結標「ありがとう……あとは、甘ちゃん坊やに……って、あれ? そういえば香焼くんは?」キョロキョロ・・・

姫神「そういえば。此処に入った時から。見てない」ジー・・・

竹山「彼なら電話するといって出て行ってから、戻って来ていませんよ」コクッ

高松「もしかして、あわきんと顔を合わせるのが気拙いから帰ったとか」チラッ・・・

大山「あはは……ありえるかも」タラー・・・


普段の彼ならありえないが、彼女を『殺し損ねた』今の彼なら、それはあり得る。
淡希をふと、固法さんに目線を送った。

彼女は無言で……天井を指差した。


結標「そう……秋沙。悪いけどもうちょい付き合って」チラッ・・・

姫神「……がってん」コクッ

結標「アンタらは此処で待ってなさい。私と秋沙だけで行くわ」テクテク・・・


私達2人は……屋上へ向かった。

745 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 02:58:51.10 ID:BhVE6QGIO
寝落ちかな
746 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 03:16:45.02 ID:4d6+nZOj0
本来立ち入り禁止の屋上。だが、叱るべき大人が管理している施設では無いので、メンバー達が好き勝手出入りしている。
彼も、誰も居なかった此処を見つけ、誰にも聞かれぬ様電話していたのだろう。

しかし煙と何とかは高いとこが好きと聞くが……彼はその何とかだろうか。態々貯水タンクの横まで上がってる。


結標「まったく……何黄昏てんだか」ハァ・・・

姫神「あの子。精神シャープっぽい」ジトー・・・

結標「やれやれ。あそこまで上がるの面倒なんだけどなぁ」ジー・・・

斉藤「能力で引き寄せれば良いだろう」ジー・・・


何か……変な人が居る。


結標「斉藤さん、此処に居たの?」タラー・・・

斉藤「俺はいつも屋上に居るぞ。あ、今はウォッチャー斉藤だから」グッ

結標「はいはい。あー、今からあの子と大事な話あるから中入ってて。人に聞かれたくないの」コクッ

斉藤「承知した」テクテク・・・


変な人。


結標「彼は気にしないで。私もよく分かんないの」ハァ・・・

姫神「はぁ……それより」チラッ・・・

結標「……呼んで、降りてくると思う?」フム・・・

姫神「さぁ。貴女は如何か分からないけど。多分。あの子の中では。気拙いんじゃないかと」ジー・・・

結標「……ったく」スッ・・・


能力使うなと言ったにも関わらず、軍用ライトを取り出す淡希。仕方あるまい。
腕を一振りして……目の前に彼を召喚する。


香焼「―――……ぁ」ピタッ・・・

結標「はぁい……って、もしかして泣いてたの?」タラー・・・

香焼「い、いえ! そんな事……、」グシグシ・・・

姫神「分かり易い子」フッ・・・


淡希と目を合わせず、口も開かない香焼くん。やはり微妙な空気だった。
しかしこのまま黙ってても意味が無いので、近場のベンチに移動し、彼を中心に挟んで無理にでも口を開かせる方針に。


結標「さて……私を迎えに来た筈の貴方が、逆に迎えに来られて如何すんのよ」ハァ・・・

香焼「……すいません」ジー・・・

姫神「淡希。約束通り。帰ってくれるって」コクッ

香焼「……はい」ジー・・・

結標「あのさぁ。気拙いのは分かるけど、アレは止むを得ない事だし、第一、貴方が撃ってなかったら決着どころか被害が広まってたわ」コクッ

香焼「…………、」ジー・・・

姫神「何か言ったら如何?」ジトー・・・

香焼「……何を言ったら良いのか、分かりません」ジー・・・

結標・姫神「「ハァ」」タラー・・・


分かってはいるが、納得できない、腑に落ちないといった不満の御様子。自分で撃ったくせに……この期に及んで我儘な子だ。

747 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 03:49:30.90 ID:4d6+nZOj0
  <香焼side>



言葉が、浮かばない。


結標「勝ったけど、不服?」フム・・・

香焼「……分かりません」ジー・・・

結標「やれやれ。負けた私の立場が無いわね」ハハハ

香焼「……勝ちとか負けとか、そういうんじゃない」ジー・・・


自分でも分からない。
確かに、僕は彼女を止めなければならなかった。結果としてそれは成功した。
だがしかし、それでも……僕は彼女を殺しそうになった。


結標「そりゃまぁ話聞かされた時はゾッとしたわね。まさかヘッドショット狙うなんてね」クスクス・・・

香焼「殺しそうに! なったっす……死にそうになったんすよ」ジー・・・

結標「日常茶飯事よ。実力あって、運が良いから死なないの」フフッ

姫神「運って」チラッ・・・

結標「運よ。廻り合わせ。じゃなきゃ白井さんとか一方通行(アイツ)にあった頃に……いや、研究所居た頃に死んでるもの」フフフ・・・


死生観が、違う。


結標「潔癖症ね。何はともあれ、貴方の勝ち。それで良いじゃない」コクッ

香焼「…………、」ジー・・・

結標「ハァ……『過程』で、私を殺してしまった事を悔いてるの?」

香焼「悔いない筈が無いっす」ボソッ・・・

結標「良く分からない子。海原とか土御門は簡単に殺るわよ。香焼くんも同類なんでしょう?」ジー・・・

香焼「同類なんかじゃない!」グッ・・・


僕と彼らでは志(教義)が違う。


結標「私には違いが良く分かんないけど……不殺(ころさず)ねぇ」フーン・・・

姫神「この子が特例。他の魔じゅ……同類達は。殺しを躊躇わない筈」コクッ

香焼「躊躇いますよ! 躊躇わない訳無いでしょう……少なくとも、姉さん達は躊躇います」ギリッ・・・

結標「貴方が異常なんだと思うわ。仮にも裏の人間なんでしょ」チラッ・・・

香焼「そうっすけど……でも」ジー・・・


裏だから殺しをしなくちゃならないなんて道理は無い。


結標「じゃあ、何故頭を狙ったの?」ジー・・・

香焼「……分かりません」グッ・・・

結標「適当放ったらそうなった?」

香焼「分かりませんよ……自分でも何で足とか肩とか狙わなかったのか、悩んでるんす」ウルウル・・・

結標「……そう」ジー・・・


言い訳になるかもしれないが、我武者羅だった。
何処を狙えば相手が止まるかと考えた時、ふと浮かんだのが四肢動体ではなく……頭だった。ただそれだけだ……それが、問題なのだ。

748 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 04:09:37.27 ID:4d6+nZOj0
咄嗟に浮かんだにしては、危険すぎる思考。まるで土御門や海原さんの様な考え。


結標「そりゃアイツらに師事受けてんだからそうなるんじゃないの?」フーン・・・

香焼「一線は守るって決めていました。彼らに師事を受けつつも、彼らの様にはならないぞって」ギリッ・・・

結標「無理よ。そんな器用な真似出来る訳無いじゃない。アレの師事って事は暗殺者になる為の訓練だもの」コクッ

香焼「それでも……嫌なんす」ボー・・・

姫神「それでもとか。でもが。多過ぎ。人生そんなに。甘くない」フンッ・・・


御尤もだ。しかし、だけど、嫌なモノは嫌なのだ。


結標「……何にしろ、貴方は『処女』を切った。半分だけどね」フフフ・・・

香焼「っ」グッ・・・

結標「その初めての相手が私ってのは、微妙に嬉しいかな……おめでとう。甘ちゃん坊や」クスクス・・・

香焼「……そんな」ギリッ・・・

姫神「淡希。言い方が。卑猥」ジトー・・・


分からない。殺していたのは事実。でも死んでないのも事実。


結標「でも……『死』とか『殺し』が実感出来たでしょう。良い収穫じゃない。私もそれを教えたかったのよ……君にね」ポンッ・・・

香焼「っ……うぅ」ポロポロ・・・

結標「やれやれ。泣くんじゃない」ナデナデ・・・

姫神「どっちが敗者か。分からない」ハァ・・・


僕だって、分からない・勝ったのに負けた気分だ。


結標「本当はこの『実感』をもう少し丁寧に教えたいから、貴方をスカウトし続けてるんだけど……負けちゃったからなぁ」ハハハ

香焼「もぅ……嫌っす」ポロポロ・・・

結標「そうよね。貴方は甘くて……優しいもんね」フフフ・・・

香焼「うぅ……っ……優しく、ない」ポロポロ・・・

結標「いいえ。人を殺して、泣けるって事は優しい証拠よ。染まり切った輩は二度と泣けなくなる」ギュッ・・・

姫神「…………、」ジー・・・


じゃあ僕は、泣けなくなるのか。


結標「この気持ちを永遠に忘れなければ、泣けるわよ。そして、如何に『不殺』を極めるか……『私達』に見せて頂戴」ポンッ・・・

香焼「っ……でも」グスッ・・・

姫神「気にするのは良い。でも。気に病むのは駄目。淡希を殺させたのは。私」コクッ

香焼「ち、がぅ」フルフル・・・

姫神「いいえ。私。貴方に発破を掛け続けた。最悪の事態も考慮せずに」チラッ・・・

結標「……そうかもね。タカ派の秋沙が悪いのよ」クスクス・・・

香焼「違います……っ……そんな、責任を擦り付ける様な真似……うぅ……出来ません」フルフル・・・

姫神「無理矢理『血(魔力)』を飲ませて(供給して)戦わせた。これで半殺し分」コクッ


それじゃあ、姫神さんが全部持って行く事になる。そんな責任を押し付けられない。

749 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 04:38:27.69 ID:4d6+nZOj0
僕の話が面白かったのか、余程面白い顔をしていたのか分からないが、姫神さんは微笑んだ。
そして淡希さんの顔を見て、一寸間を空け……夜空を見た。


姫神「『殺しに染まり切った輩は二度と泣けなくなる』……成程。確かに」ジー・・・

結標「……秋沙?」チラッ・・・

姫神「地球から……人間の目で見える星の数は。大体7500個くらい」ジー・・・

香焼「え」キョトン・・・

姫神「……そのくらい『死』に染まれば。涙も出ない」フフフ・・・

香焼・結標「「っ……、」」タラー・・・


この人は……そうか。


姫神「淡希が殺した人間の数なんて。私からすれば。屁みたいなもの。ましてや香焼くんなら。塵芥程度」ジー・・・

香焼「……姫神、さん」ジー・・・

姫神「だから……淡希の分は。私のカウント。その代わり―――」ジー・・・


淡希さんの顔をみた後、僕の顔を見て……苦笑する。


姫神「―――今日。貴方が吸い。血肉となった。私の『血』は……1万近くの人。じゃないけど。命を殺した『血』……忘れないで」コクッ


スケールが大き過ぎる。


結標「そうね……でも、秋沙。そういう突飛をしもない事をサラッと言わないで。心臓に悪いわ」タラー・・・

姫神「てへっ」ペロッ♪

結標「ったく……まぁそういう事よ。経験だと思って割り切りなさい。今日貴方は私と秋沙から死を学んだ。OK?」ポンッ・・・

香焼「…………、」ジー・・・

結標「はぁもうウジウジ考えるな! 貴方のそういうとこ、嫌いよ。理屈で考えないの」メッ!

香焼「割り切るのは、無理っす」ムゥ・・・

姫神「それで良い。悩むのを止めた瞬間から。鬼になる。考えるのを止めた瞬間から。機械になる」コクッ

香焼「……はい」ジー・・・


多分、僕は一生悩み続けるだろう。


結標「でしょうね。だけど、そういうところに……皆惹かれるのよ。私も……あの『N2爆弾』も」ギュゥ・・・

香焼「あ……ぅ」モジモジ・・・

結標「あらら。さっきまでワンワン泣いてたのに、今になって照れてやんの」ナデナデ・・・フフフ・・・

香焼「え、あ、その……すいません」ダラダラ・・・///

姫神「……淡希。まだ熟れてない子どもに。手を出すのは。駄目」ハァ・・・

結標「ふふふ。唾付けとくだけよ。2,3年後の為にね」クスクス・・・

姫神「ハァ……2,3年後は。多分。まんま上条くんになる」ジトー・・・

香焼「なれませんよ!」アタフタ・・・///

姫神「その曖昧さと。甘さが無くなったら。上条くんみたいなモノ……あ。身長が足りない」フフフ・・・

香焼「ぐっ……あと、20cmは伸びますよ!」ウガー!


そうして暫く2人にからかわれた後、僕らは下へ戻って……帰り支度を始めた。

750 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 05:34:50.12 ID:4d6+nZOj0
 ―――とある翌々日、PM09:50、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎内・・・・・







それでは帰る前に、と淡希さんはメンバーの皆さんに挨拶した。


結標「そんじゃまぁ今まで通りって事で」コクッ

直井「また気が向いたらふらっと現れるという事だな」フンッ・・・

結標「そゆ事。あとは適当にやりたい事思い浮かんだら連絡するから」チラッ・・・

白井「……何故私を見るんですの」ジトー・・・

結標「心配しなくても、ちゃんと白井さんに宣戦布告してあげるからね」クスクス・・・

日向「態々敵に塩送るんかい」ハハハ・・・

結標「だって約束しちゃったんだもん」フフフ・・・


好敵手、か。


結標「じゃ、直井くん。後は宜しく。奏も引き続き頼むわよ」コクッ

立華「分かってる。此処は私が守るから、安心して」フフッ

結標「ええ……おやすみ、みんな」テクテク・・・

メンバー『おやすみー!』ノシ”


帰路に着く。ところで……この後、皆は如何するのだろう。
僕と姫神さんは淡希さんと一緒に月詠さんの家に向かうが、白井さん達は?


白井「私は寮に帰りますの」コクッ

御坂「私も……って、あ!? 寮監!!」ダラダラ・・・

白井「……私は風紀委員の仕事で遅れると、報告しました。お姉さまは知りません」サラッ・・・

御坂「」チーン・・・


真っ白になる御坂さん。あの様子だと多分、帰ったら死より恐ろしい事になるんだろう。


固法「私も帰るわ。もう詰め所の初春さんも帰ってる筈だし」コクッ

電磁通行「「あ」」ピタッ・・・

結標「どったの?」キョトン・・・

一方通行「……いや」タラー・・・

御坂「……その」タラー・・・


歯切れが悪い物言い。まぁ大体何の事か見当は付く。


固法「はぁ……因みに、打ち止めちゃんは那由他ちゃんが迎えに来てくれました」ジトー・・・

一方通行「うっ……ど、何処居ンだ? 黒妻(オマエ)んとこか?」タラー・・・

固法「ちゃんと黄泉川先生のマンションまで帰ったって」ヤレヤレ・・・


やっぱり打ち止めちゃんを置き去りにしっ放しだったか。色々拙いな。

751 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 05:57:57.45 ID:4d6+nZOj0
脂汗をダラダラ流す2人へ、追い打ちとばかりに告げる固法さん。


固法「あと、伝言……『アナタ、御姉様……話があるので2人ともマンション来なさい! ってミサカはミ(ry』だそうよ」ハハハ・・・

一方通行「……あ、それじゃあ今日バイトあるンでこの辺で」ガシッ!!

御坂「…………、」ダラダラ・・・

一方通行「……離せよ」タラー・・・

御坂「今、打ち止め、機嫌、最悪。私一人、ヤダ。行きたくない」ガタガタ・・・

一方通行「何で片言なってンだっつの! てか、嫌なら行く必要無ェだろ!」タラー・・・

御坂「行かなきゃ行かないでもっと険悪な感じになるでしょ! 早めに解決しなきゃアカンでしょ!」ギャーギャー!


せやな。


白井「まぁ……妹の急用で帰れませんと言えば、幾分、寮監にも言い訳が付くでしょうね」チラッ・・・

御坂「ほれ見ろ!」バッ!!

一方通行「何を見ろってンだ! あァもォ……いや、てか悪ィのテメェだろ。誤解される様な出発の仕方、テメェが」ハァ・・・

御坂「うっさい! タクシー拾ってさっさと帰るわよ!」ズルズル・・・

一方通行「あがががががっ……誰か、止めろ……ぐべっ!」ゴチンッ・・・


そういえばバッテリー切れらしい。あーめん。


結標「……やれやれね」ハァ・・・

白井「あの方も、お姉さまが本音をぶつけられる数少ない殿方ですからね……それでは私もこの辺で」チラッ

香焼「あ、はい。今日はありがとうございました」ペコッ

白井「貴方に頭を下げられる謂れはありませんの……無論、今日の事は内密にしておきますわ」チラッ・・・

香焼「そうして貰えると……助かります」タラー・・・

白井「佐天さん達にばれると何かと厄介なのでしょう? まぁ……その力を悪用しない事を信じます」ジー・・・


勿論、この魔術(力)は『救い』の為だけに使う。


固法「……じゃあ私も此処で」コクッ

白井「あら? 先輩のアパートはもっと先じゃ……あ、そういえば今日は明日も休日でしたね。丁度風紀委員もお休みですしぃ」ジー・・・ニヤニヤ・・・

固法「……だから、何よ」グヌヌ・・・

結標「あぁ。アイツん家か」ハハハ


彼氏さんか。


姫神「ふーん……にゃんにゃん? 何回。にゃんにゃん? ホテル? それとも彼ん家?」ニヤリ・・・

固法「し、しないわよ!」カアアァ///

結標・白井「「絶対嘘だ」」ニヤニヤ・・・

固法「ぐっ~~~~~~~ッッ!! 知らない!! 帰る!!」スタスタスタ・・・

結標「学生ん内はちゃんと避妊なさいよー。まだ祝儀なんて渡したくないからねー」ハハハ

固法「馬鹿!! 最っ低!! 変っ態!!」グヌヌゥ・・・///


半ばキレ気味で去っていった固法さん。そりゃまぁこんだけからかわれれば怒るわな。
一方楽しげに半笑いを浮かべる白井さんも寮の方へ帰って行った。それじゃあ僕らも……戻ろう。月詠さんの家に。

752 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 06:16:56.41 ID:4d6+nZOj0
 ―――とある翌々日、PM10:30、学園都市第7学区、とあるオンボロアパート(月詠宅)・・・・・






数分歩き、見慣れたオンボロ荘に到着。月詠さんの車も置いてある。


結標「…………、」ジー・・・

姫神「淡希。今更行かないは。無し」チラッ・・・

結標「分かってるわよ……だけど、ね」ジー・・・


気持ちは分かる。僕も喧嘩して家出した時は、似た心境だ。
まぁ僕の場合は大抵アイツら(五和&浦上)が悪いんだけど。


姫神「安心して。香焼くんも。ついていく」チラッ・・・

香焼「え? 姫神さんは?」キョトン・・・

姫神「私は此処でお別れ。上条くんに。インデックスの事。頼まれてるから。そろそろ行かなきゃ」テクテク・・・

結標「あ、秋沙」ジー・・・

姫神「……身から出た何とやら。最後の最後まで。私の力を借りちゃダメ」コクッ

結標「……ありがと」ペコッ

姫神「アラフラ海風DXジャンボマンゴーパフェ一杯で」フフッ・・・


それ一杯3,500円するヤツじゃ……とツッコもうとしたが、もう居なかった。
僕と結標さん2人っきり。またもや気拙い。


結標「……えっと」ポリポリ・・・

香焼「あ、あはは」ポリポリ・・・

結標「……行く?」タラー・・・

香焼「……行きましょうか」タラー・・・


錆付いた階段を上り、月詠さんの部屋に。


結標「……先、入ってくれないかしら」ジー・・・

香焼「はい」コクッ


インターフォンを鳴らす……数秒後、気の抜けた感じで『は~い』という声が返って来た。


月詠「はいは~い……どなたなのれすかぁ?」ガチャッ・・・

香焼「酒臭っ! あ、えっと……こんばんは」タラー・・・

月詠「ふぁあぁ! 香焼ちゃんなのれす!」ギュッ・・・

香焼「あ、ちょっと……もぅ」ハァ・・・

月詠「今日はれすねぇ……んもー自棄酒なのれすぅ! 一緒に呑みましょ~」ニヘヘェ・・・

香焼「自分未成年っすよ」ヤレヤレ・・・

月詠「私の酒が呑めないっていうんれすかぁ!!」ウガー!


普段なら酔ってっても絶対言わない様な事を口走ってる。
少々部屋の中を覗かせて貰ったが、凄い量の空き缶と空きビンだ。寂しさからお酒に逃げたらしい……仕方ないな。

753 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 06:33:11.13 ID:4d6+nZOj0
僕にへばり付く月詠さんを見るに見かねて、淡希さんが歩み寄ってきた。


結標「…………、」カツカツ・・・

月詠「んー……あるぇ? おかしいなぁ……結標ちゃんが見えちゃってます! 先生、少し呑み過ぎたかなぁ」アハハハ・・・

結標「……そうね。呑み過ぎよ」コクッ

月詠「あはは、やっぱり……声まで聞こえちゃいましたぁ」ハハ・・・ハ・・・

香焼「……月詠さん」ジー・・・


幻想なんかじゃない。現実だ。


月詠「……あ、れ」ポカーン・・・

結標「中、入るわよ……って、酒くっさぁ……あーあー煙草もこんなに喫っちゃって」ヤレヤレ・・・

月詠「……結標、ちゃん」ジー・・・

結標「香焼くん。悪いけどゴミ袋持ってきて。トイレ脇にある赤い方」テクテク・・・

香焼「はい」ガサガサ・・・

月詠「……え」キョトン・・・


状況が呑み込めないのも無理は無い。いきなり過ぎる。


月詠「……結標、ちゃん?」ジー・・・

結標「何よ」セカセカ・・・

月詠「…………、」ボー・・・

結標「暇なら小萌も手伝いなさい。ってかコレ、アンタが出したゴミの山でしょ」ハァ・・・

月詠「……うぅ」ウルウル・・・

結標「ちょっと聞いてるの……ってうわぁ!!」ドサッ!!


淡希さんに抱き着く月詠さん。そのまま床に倒れ込んだ。


結標「こ、小萌?」タラー・・・

月詠「う、うぅ……うわあああああああぁんっ!! うぇええええええぇんっ!! 結標ちゃあああああぁんっ!!」ビエー!

結標「な、泣かないでよ! 近所迷惑でしょ!」アタフタ・・・

月詠「わぁああああぁんっ! 帰ってきたあああぁっ!! ふぇええええぇんっ!!」ビエー!

結標「も、もぅ……はぁ」ポンッ・・・ギュウゥ・・・


優しく、抱擁。


結標「……ごめんね」コツン・・・

月詠「うぅ……許しません、よ」グズグズ・・・ギュウウゥ・・・

結標「あはは……困ったわ」チラッ・・・

香焼「……自分は片付けやっと来ますよ」フフッ

結標「ありがと……小萌、お茶淹れるから少し落ち着こ」クスッ・・・

月詠「えぅ……っ……、」コクッ・・・


これじゃあどっちが子どもか分からないな……容姿は元より。
とりあえず僕は空気を読んで部屋の片づけを続けよう。

754 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 07:12:19.61 ID:4d6+nZOj0
一服した後、2人は卓上に向かい合って座っていた。
僕は未だに部屋の掃除を……というか、この人どんだけ呑んだり喫ったるしてるんだ? ゴミ袋足りないぞ。


結標「……何から言って良いか、分からないわね」ハハハ・・・

月詠「まず、聞かせて下さい……何故、出て行ったのですか?」ジー・・・

結標「……私が居ない方が、小萌は楽かと思った」ジー・・・

月詠「とんだ勘違いを」ハァ・・・

結標「そうみたいね。部屋を見れば分かる。他人には嫌って程入り込むくせに、自分の事はからっきしだもんね」クスクス・・・

月詠「そ、そういう問題じゃないのです!」ムググ・・・


淡希さんは垢抜けて飄々とした感じだ。


結標「ええ、分かってる……でも私が迷惑掛けてたのは本当でしょう」ジー・・・

月詠「掛けて貰って結構なのです。その為の『先生』なのですから」ジー・・・

結標「……そう」ボー・・・


この人の器量は、僕らが思っている何倍も大きい。


月詠「結標ちゃん……もし、貴女が真剣にやりたい事を見つけたのであれば、先生は止めません」ジー・・・

結標「…………、」ジー・・・

月詠「でも、未だに見付けられないのでしょう? というか、普段の生活を見るにやりたい事を見つける気があるのか如何かさえ」ジトー・・・

結標「あはは……こんな時まで説教?」タラー・・・

月詠「……失礼。でも、そう見えたって事は見付けてる筈が無いって事なのですよ」コクッ

結標「……そうね。私はまだ、自分が何したいのか分かってない」ボー・・・


淡希さんに限らず、この街の多くの若者が抱えている悩みだ。


結標「だけど……私は小萌に、面倒掛けたくないって、思っちゃった」ムゥ・・・

月詠「馬鹿な事を……子どもがそんなに殊勝な事を考える必要はありません。5年早いのです」ハァ・・・

結標「……ごめん」ペコッ・・・

月詠「……反省している様なので、多くは言いません。どうやら香焼くんが代わりに説教してくれたみたいですからね」チラッ・・・


僕だけじゃない。彼女の友人達が解決したのだ。


月詠「ただし、その自覚があるなら規則正しい生活を初めてみて下さい。それから……自分探しもね」フフッ

結標「……努力するわ」ポリポリ・・・

月詠「ええ……それじゃあ話は終わりなのです。あ、2人ともご飯食べましたか? お鍋にうどんが残っている筈なのです」チラッ・・・


カセットコンロの中に……微妙に残ったうどんがある。


月詠「シスターちゃんが『ご飯喰わせろー』って幽鬼の様に現れてお鍋にしたんですけど……そっちは全部食べられちゃいました」ハハハ・・・

結標「あの暴食魔人か」ハァ・・・

香焼「まぁ……御飯だけ早炊きすればオジヤ作れますから」ハハハ・・・

月詠「それじゃあレトルトのご飯出しちゃって下さい。私もお腹空いちゃったのですぐ食べましょう」ヘヘヘ


という訳で、3人仲良くオジヤパーティ。淡希さんの悩みも、いつの間にかすっかり消え去ってしまった様だった。

755 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 07:28:13.20 ID:4d6+nZOj0
それからオジヤを食べ、月詠さんはすぐ横になった。まるで泣き疲れた赤子の様に。
ではそろそろ僕もお暇しよう。


結標「……泊まっていかないの?」ジー・・・

香焼「野暮っすよ」フフッ

結標「別に……小萌、寝ちゃったし」チラッ・・・

月詠「すぅ……くぅ」Zzz...


しっかり傍に居てあげて下さい。


結標「……そう、ね」ポリポリ・・・

香焼「僕も、家がありますから」コクッ

結標「でも、今日は誰もいないんでしょ……泊まってって良いわよ」スッ・・・

香焼「……今日は遠慮します」フフッ

結標「そう……あーあ、ふられちゃった」クスクス・・・


そういう事じゃないっての。


結標「……アンタの姉貴達にも感謝ね」コクッ

香焼「いえいえ。自分らは単なるお節介っすから」クスクス・・・

結標「……ありがと」ペコッ

香焼「お気になさらず……それより、僕こそ―――」ペコッ

結標「謝らないで」ピタッ・・・

香焼「―――ごめ、ん……、」ジー・・・


これ以上は、月詠さんに対して失礼か。


結標「……それは抜きにしても、必ず借りは返すわ」ギュッ・・・

香焼「わっ……ちょ、もぅ」ポリポリ・・・///

結標「……んー、抱きたいとかそういう要望も、今ならアリよ?」ニヤリ・・・

香焼「抱きません」ハァ・・・///

結標「つれないわねぇ。据え膳食わねば何とやらって知らない?」フフフ・・・

香焼「女性を据え膳と思う様な男になりたくないっす」ムゥ・・・

結標「そう……立派よ」チュッ・・・


額に……柔らかい感触。


結標「他意は無いわ。純粋に、感謝の気持ち」ナデナデ・・・

香焼「あ、ぅ」モジモジ・・・///

結標「ふふふ……それじゃあ、またね。今度、五和達が居る時にお邪魔するから」ノシ”

香焼「……はい」ハハハ・・・

結標「一応、貴方からも説得しといてね……それじゃあ、おやすみ」クスクス・・・


おやすみなさい……良い夢を。

756 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 07:56:02.32 ID:4d6+nZOj0
 ―――とある数日後、PM06:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・



   にゃーん・・・・・



神裂「―――……それで、その後彼女は?」フム・・・

香焼「多少、夜型から昼型に改善してるみたいっすよ。仕事の日は仕方ないみたいっすけど」コクッ

五和「ハァ……一段落ね。安心しました」ホッ・・・

浦上「それにしても土御門も野暮な真似しましたよネ」ハァ・・・

神裂「彼の日常と彼女の日常が交差してしまった故に、生じた事故です。ドチラが悪いとは言えませんよ」コクッ

五和「それでもですよ……家から出てけなんて」ムゥ・・・

香焼「自分はしょっちゅうオマエに言ってるけどな」ジトー・・・

五和「それは、ほら。コウちゃんのは愛があるし」ムンッ

香焼「は?」ジー・・・

五和「え?」キョトン・・・

香焼「…………、」ジトー・・・

五和「……あるぇ」タラー・・・

浦上「まぁまぁ……とりあえず、交差したからには思いが強い方が勝つんでしょうネ」ピシッ

神裂「ええ。今回は偶々土御門が前半リードして、後半結標さんが巻き返した形となっただけです」コクッ

五和「むぅ……でも、なんか納得いきません」ポリポリ・・・

神裂「もしこの先、彼が義妹と離れろと命令が下った場合……同じ様な事が起きると思いますよ」フフフ・・・

香焼「そうかもしれませんね……、」コクッ・・・

五和「ふむ……それはさておき……ちょっと疑問点が」チラッ・・・

香焼「何だよ」ムゥ・・・

浦上「香焼、魔力値跳ね上がってない? 魔力値というか、魔力色もですけど……対馬さんくらいるヨ」タラー・・・

香焼「え? そ、そうっすか」ポカーン・・・

五和「私が知り得る限り、天草式の魔力じゃない……もしかして誰か(何か)と『契約』したの?」ジトー・・・

香焼「契、約……ぁ」ピタッ・・・

神裂・五和「「…………、」」ジトー・・・

浦上「因みにぃ、契約の方法は様々ですがぁ、最もポピュラーなのは『体液交換』な訳でしてぇ……つまりはぁ」フフフフ・・・

香焼「ちょ、待、え、うをぃ!?」アタフタ・・・

五和「コウちゃんっ!! 貴方一体誰とせ、セ、せく、セック……にゃんにゃん! 交わったの!! 白状なさい!」ガシッ!!

神裂「香焼……貴方が決めた女性なら駄目とは言いませんが、せめて先に紹介して貰いたかったですね」ハァ・・・

香焼「ね、姉さん!? ちょ、飛躍し過ぎっす!」タラー・・・

五和「誰だあああぁ!! コウちゃんの貞操奪ったのはああぁ!! レッサーか! アニェーゼか! まさかの結標さんかああぁ!!」ウガー!!

浦上「いやいや、やっぱ最愛ちゃんって可能性も……あ、でも魔力色まで変えるなら相手魔術師か。じゃあカルテッ娘ですネ」フフフ・・・

神裂「責任は取らねばいけませんよ。先方の保護者にも挨拶しないと……そ、それより、その……ちゃんとデキましたか?」モジモジ・・・///

香焼「ムッツリ! ああぁもう! 違うって……でも、説明出来ない……うがああぁ!! あんまりだああぁ!!」フコーダー・・・


もあい「にゃーん」オワレ!



757 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 08:18:41.42 ID:4d6+nZOj0
        <おまけ!>


 ―――三沢塾分校を後にし、黄泉川宅にて・・・・・


一方通行「…………、」タラー・・・

御坂「…………、」タラー・・・


打ち止め「…………、」ゴゴゴゴ・・・


芳川「ねぇ、アレ何してんの?」チラッ・・・

番外個体「もやし(アイツ)とオリジナルが最終信号の前に正座してる」タラー・・・

黄泉川「んー……説教? 修羅場? まぁそんな感じじゃん」ハハハ

芳川・番外個体「「は?」」ポカーン・・・


打ち止め「……ねぇ」ボソッ・・・

一方通行「っ!」ビクッ・・・

御坂「は、はい……何でしょうか。妹様」ダラダラ・・・

打ち止め「……御姉様とアナタは、私を捨て置いて何処に言ってたの? ってミサカはミサカは問い詰めてみたり」ジトー・・・

御坂「え、と……だから、その、再三申しています様に、結標淡希の捜索にですね」タラー・・・

打ち止め「へぇ……嘘だッ!! ってミサカはミサカは激怒してみたり!!」バンッ!!

一方通行「……嘘じゃねェし」ボソッ・・・

打ち止め「ほぉ、しらばっくれると……じゃあコレを見ろ! ってミサカはミサカは携帯を突き着けてみたり!」バッ!

御坂「えっと、ツブヤイッター? え……こ、これは!?」ギョッ・・・

一方通行「ン……ハァ!? 俺と第三位が堂々白昼街中デートだァ?!」ギョッ・・・


番外個体「あ、それミサカも見たわ」コクッ・・・

芳川「そういえば皆で騒いでてお祭り騒ぎだったわね。私も愛穂から知らされた時は驚いたわ」ハッハッハッ


一方通行「じょ、冗談キツいンですけどォ!! 何思って俺がコイツみてェなアバズレと付き合わなきゃならねェンだ!」ダラダラ・・・

御坂「あばず、今は我慢……ら、打ち止め。そんなデマ信じる訳無いわよね。私がこんな都市伝説クネクネ男とデートする訳無いでしょ」タラー・・・

一方通行「クネクネって街中じゃ……じゃなかった。コイツの言うとおり、結標探しに行ってただけだ! テメェだって知ってンだろ」ハァ・・・

打ち止め「私は……2人に騙されたのだ。ってミサカはミサカは絶望と嫉妬と怒りに飲み込まれてみたり」グヌヌヌゥ・・・

一方通行「ちょ、マジ番外個体みてェな事言ってンぞ」アタフタ・・・

御坂「打ち止め! 信じなさい! 私が妹の旦那を取る様な、そんな昼ドラ的危険なアクション起すと思う!?」タラー・・・

一同(起しそうだなぁ)タラー・・・

打ち止め「……もう良い。分かった」トコトコ・・・ヨイショッ・・・

一方通行「お、おい。リュックなンか背負って何する気だ」チラッ・・・

打ち止め「アナタと御姉様が反省するまで、ミサカは実家に帰らせて貰います。ってミサカはミサカは淡々と告げてみる」サラッ・・・

一同『えっ!?』キョトン・・・

黄泉川「ら、打ち止め? 実家って……何処じゃん?」タラー・・・

打ち止め「実家は実家です……それではアデュー、ってミサカはミサカは家出してみる」テクテク・・・バタンッ・・・

一同『…………、』タラー・・・

番外個体「……あ、2人とも口から煙みたいなの出してらぁ」ハハハ

758 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 08:44:19.32 ID:4d6+nZOj0

  ―――???・・・・・


打ち止め「―――……絶っっっ対に、反省するまで帰らないもん! ってミサカはミサカはブチ切れてみたり!」プンスカ!

黒妻「で、此処(ウチ)来た訳ねぇ……くっだらね」ハァ・・・

打ち止め「クロヅマ! 娘が不倫されたの怒るの普通でしょう! ってミサカはミサカは何故か微妙に汗ばんでるシーツを叩いてみる」バンッ!

固法「ら、打ち止めちゃん。そういう事言わないで貰えるかなぁ……恥ずかしいから」アハハ・・・///

打ち止め「ふぇ?」ポカーン・・・

黒妻「いや、まぁ……不倫ねぇ」ポリポリ・・・

打ち止め「んもー! これだから男の人って! ミィなら分かるでしょう! ってミサカはミサカは何故か薄着のミィに尋ねてみる!」ムンッ!

固法「だからそういう事言わないで欲しいなぁ……恥ずかしい」ハァ・・・

打ち止め「恥ずかしいならミサカも脱ぐから真面目に答えてよ! ってミサカはミサカは脱ぎながら詰め寄ってみたり!」ヌギヌギ・・・

固法「あぁもう私が着るから! えっと……浮気はしてないと思うわよ。2人ともちゃんと結標さんの所に来たし」ポリポリ・・・

打ち止め「……まぁじで?」ピタッ・・・

固法「うん。その場でちゃんと目的も言ってたし……本当に結標さん探しに来ただけじゃないかな」ポンッ・・・

打ち止め「うっ……で、でも御姉様は」タラー・・・

固法「御坂さんはああいう性格だし……それでも私達がピンチだと思って駆け付けてくれた節もあるわ」ナデナデ・・・

打ち止め「……むぅ」ジー・・・

黒妻「はぁ……まぁアレだ。男の馬鹿な行動目ぇ瞑ってやんのも、良妻の役目じゃねぇか」カチッ・・・フゥ・・・

打ち止め「りょ、良妻!? ミサカ、良妻なの!?」グイッ・・・

固法「うん、良妻良妻。だからそろそろ帰ろうか。黄泉川さん呼んであげるからね」ナデナデ・・・

打ち止め「う、うーん……でも、まぁ……どの面下げて帰れと申すか、ってミサカはミサカは悩んでみたり」ハァ・・・

黒妻「まぁ……確かに」ハハハ・・・

打ち止め「クロヅマ、ミィ……今晩泊めてね♪ ってミサカはミサカは皺くちゃシーツのベットにダイブしてみたり!!」ドーン!

固法「だからそういう事言わないで……って、はぁ」ドヨーン・・・

黒妻「あははは……今晩はお預けって事で」ポリポリ・・・

固法「ハァ……生理前だったのに……前戯で終わった……超消化不良」グデーン・・・



打ち止め「すぅ……くぅ」ムニャムニャ・・・



固法「……ハァ」ジー・・・ナデナデ・・・

黒妻「ん? そんなにシたいの?」ケケケッ

固法「ばーか……それにしても、浮気かぁ」チラッ・・・

黒妻「……何だよ」タラー・・・

固法「別にぃ。先輩の場合飲み屋とかクラブとかキャバクラとかデリヘルとかの名刺見つかっても『仕事』で片付くからなぁ」ジトー・・・

黒妻「い、行かねぇよ……多分」ボソッ・・・

固法「……じゃあ、私に携帯見せられます?」ジー・・・

黒妻「そ、それは……色んな意味でパス。じょ、女性関係じゃなくて……色々」タラー・・・

固法「ふんっ、信じてやります……おやすみなさい。私、打ち止めちゃんとベットで寝ますから、先輩床に寝て下さいね」ゴロンッ・・・

黒妻「……おぅふ」ヤレヤレ・・・

759VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/28(水) 08:49:59.43 ID:4d6+nZOj0
はい、第四話終わりです。また無駄に長かったなぁ……戦闘シーン省いても良かったかなぁ。

固法さんが何しようとしてたか? 嫌だなぁ……KENZENなレスリングです!


さて次回は何か特別な要望が無ければ浦上話です。安価も取るかも。
メインはルチア・フロリス・浦上かな……そこでドンチャン予定。微エロ程度なら入れようか。


じゃあ例の如く質問意見感想罵倒指摘リクエスト等々、宜しくお願いします。それではまた次回! ノシ”

760 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 09:41:18.74 ID:L8zlDiyDO
乙! 早くニャンニャンを書く作業に入るんだ! 可能ならそろそろ……あわきんアフターをだなぁ!

さておき、やっと英国編かぁ。今回都市編ばっかだったからなぁ。
どんな話になるか分からんけど、次回も楽しみにしてるぜぃ!
761 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 11:29:01.94 ID:824bvvSAO
一寸で笑う
762 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 12:05:59.57 ID:od8YOcQIO
乙でした
今回は俺の姫神も活躍できたことだし(ある意味香焼とのフラグも立ったっぽい?)まあまあ良回だった
ただ後日談みたいなのがなかったので若干消化不良…
とりあえずしばらく出てきそうにない土御門、姫神、電磁通行がこの後どうなったのか簡単でいいから教えてほしいかも(後日談あるなら書いてもいいのだけどチラッ)

さて次回はようやく英国編…なんだか中途半端なメンツだなw
こいつらがメインだとある意味予想がつかないから楽しみっす 
 
 

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