- 481 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:14:18.69 ID:v9AV2Y0B0
AM 11:40 ミサカネットワーク内
1.上条が一方通行を襲ってgwくぇおtgふ(1)NEW
2.上条「あくせられーたん!」(839)
3.【協力求む】あの人とヒーローさんをいいかんじにさせたいんだが18(722)
4.今日の上条207(521)
・
・
・
・
上条が一方通行を襲ってgwくぇおtgふ(813)
1 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
一方通行「あッ、やめ、触ンな…ッ!」
上条「触らなきゃどうしようもねぇだろ」
一方通行「ひ、ッ…!ィ、バカ、こンの…!」
上条「だーから能力使うなっつってんじゃねぇか」
一方通行「ぅあああ!!」
上条「大丈夫大丈夫。上条さんを信じなさい」
一方通行「や、やめ、ッ、て…!ゥ、い…っ、あ…」- 482 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:14:58.99 ID:v9AV2Y0B0
2 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
3 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
4 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
5 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
6 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
7 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
・
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・
181 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
まままっま待て皆、おおおお落ち着け
182 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
これが落ち着いていられるかァアアアア!!!!!!
一方通行さんが俺の一方通行さんがぁあああああああああ
183 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17182
うわああああああ上条がぁああああ!!!!
184 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13710
俺達の上条がぁああああああ!!!!!!!!
185 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10777
うっ…やはり遠距離というハンデを拭い去ること出来ずか
せめて一回くらい会って話してみたかったぁあああ
186 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17619
えっ ちょ 上条手ェ早くね!?!?!?
187 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
やめろぉおおおおおおお
- 483 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:15:27.55 ID:v9AV2Y0B0
・
・
・
・
283 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
イマドコ?>>1
284 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
ああああわかったわかった、俺わかった
これはアレだ、マッサージだろ
そういうオチだろ
285 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
イマドコ?>>1
286 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
そそそそれだ!!!!さすが!!!!>>284
287 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
あ、なんだそうか ビックリしたー
てっきり上条と一方通行がセッ
288 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
言わせねぇよ!?!?!?>>287
マッサージだよなマッサージ うん
一方通行さんすぐ肩とか懲りそうだもんな 血行悪そうだもんな
289 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
警告する
これはマッサージではない
繰り返す これはマッサージではない- 484 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:15:58.99 ID:v9AV2Y0B0
290 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
291 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17264
292 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
293 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
今どこだっつってンだよォオオ!!!!!
答えろこの三下がァアアアアアア!!!!!!
294 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
もう番外個体ったら、ここに来て何するつもり?
10032号も悪ノリしすぎだよってミサカはミサカは諌めてみる
一方通行「ゥあ、やめバカ、まだ痺れっ…!」
上条「大げさだなぁ一方通行は…。ちょっと足痺れただけだろ?
こうやってほぐした方がすぐ治るんだって」
一方通行「ゥ、ひぅ…!ちょ、もっとそっとやれよォ…」
上条「はいはい我慢我慢」
一方通行「ゥううううう………」
禁書目録「わかるんだよ…私も日本で暮らして初めて足が痺れた時
は死ぬかと思ったんだよ………」
打ち止め「頑張ってあなた!ってミサカはミサカはされるがままのあな
たを温かく見守ってみる」
ということですよ、ってミサカはミサカは肩を竦めてみたり
- 485 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:16:36.31 ID:v9AV2Y0B0
295 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
_,,:-ー''" ̄ ̄ ̄ `ヽ、
,r'" `ヽ.
__,,::r'7" ::. ヽ_
゙l | :: ゙) 7
| ヽ`l :: /ノ )
.| ヾミ,l _;;-==ェ;、 ,,,,,,,,,,,,,,,_ ヒ-彡|
〉"l,_l "-ー:ェェヮ;::) f';;_-ェェ-ニ ゙レr-{ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ヽ"::::''  ̄´.::;i, i `'' ̄ r';' } |
. ゙N l ::. ....:;イ;:' l 、 ,l,フ ノ | 屋上へ行こうぜ…
. |_i"ヽ;:...:::/ ゙'''=-='''´`ヽ. /i l" < 久しぶりに…
.| ::゙l ::´~===' '===''` ,il" .|'". | キレちまったよ…>>1
.{ ::| 、 :: `::=====::" , il | \________
/ト、 :|. ゙l;: ,i' ,l' ノト、
/ .| \ゝ、゙l;: ,,/;;,ノ;r'" :| \
'" | `''-、`'ー--─'";;-'''" ,| \_
296 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12192
ワロタ
仲良いなwwww>>294
297 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
屋上>>1
298 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
おい冗談が過ぎるぞ…>>1
299 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16882
壁殴>>1- 486 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:17:11.84 ID:v9AV2Y0B0
300 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
いいだろォオオオちょっとぐらいよォオオオオ
マリカーに必死になってたらふと台所から>>1が聞こえてきた時の
俺の衝撃に比べたらよォオオオオオ
これぐらいよォオオオオ
301 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka15128
確かにそれは驚くな……>>300
302 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
まぁ衝撃は身を持って味わったわ
303 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
いかにしてそこに混じるかまで真剣にシミュレートしたわ
304 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
だろ!?だろ!?!?>>301-302
しかもこの一方通行の顔
http://www.misaloda/moyashi-9.jpg
305 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
一方通行の怯えた顔…だと………(ゴクリ >>304
306 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
涙目のセロリたんペロペロペロペロ>>304
307 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13829
ああーこんな顔してると
か弱い女の子って言われても納得するな…
308 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
なんかズキンってなった>>304
いじめるのイクナイ
309 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
確かにあんな顔初めてみたかもってミサカはミサカは思い出し笑い
してみたり
あと20000号は自重してね
310 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
は、はい運営様!!!!- 487 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:17:44.67 ID:v9AV2Y0B0
311 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14111
ホントにこのモヤシさん、表情で印象違うよな…
312 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
いっつもカッコつけてる白モヤシだと思うとめっちゃ笑えるよなwwww
313 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
ビックリしてヒーローさんを蹴り飛ばそうとした10032号の台詞とも
思えませんなぁ
ってミサカはミサカはニヤニヤしてみたり
ミサカが止めなかったら流血惨事だったよ?(・∀・)
314 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
いや、あれはちげーし
モヤシの魔の手から上条守ろうとしただけだし
315 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
わかるわ>>314
俺もビックリして上条突き飛ばしたと思う
いくら上条でも
316 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
だから違うっつってんだろこの天然ちゃんはァあああ!!>>315
- 488 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:18:18.05 ID:v9AV2Y0B0
317 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
___ ━┓
/ ―\ ┏┛
/ノ (●)\ ・
. | (●) ⌒)\
. | (__ノ ̄ |
\ /
\ _ノ
/´ `\
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| |
え ごめん 何怒ってんの?>>316
___ ━┓
/ ― \ ┏┛
/ (●) \ヽ ・
/ (⌒ (●) /
/  ̄ヽ__) /
. /´ ___/
| \
| |
でもフクザツだなー だってやっぱり上条のこと好きだし
318 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
いや怒ってねーけど別に
あと言っとくけど俺の方が上条のこと好きですから>>317
319 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
まぁいいけど、ほどほどにしてくれよ>>1
あんま驚くとMNWに支障あるからな
320 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
う…まぁ、悪かったわ
なんかもうな、衝撃的過ぎてね……
321 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
うん 気持ちはわかるよ
けど>>316じゃないが、上条と二人じゃなくてよかったのか?
お前意外と溜め込むタイプだからな 無理するなよ
322 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17199
確かに
一方通行とも最近話すようになったばっかりだもんな>>1- 489 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:18:50.71 ID:v9AV2Y0B0
323 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
別にあんなモヤシ恐るるに足らずだっつーの
……大丈夫だよ
なんかやたら兄貴風 いや姉貴風?吹かせてくんのうぜーけどなwwww
324 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
あー 一方通行、ホント面倒見いいよな
こないだうっかり転んだところに一方通行通りかかって
小言いいながら傷口塞いでくれたよー
でも怒られてちょっと怖かった
325 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12117
おいwwww何転んでんだwww>>324
一応軍用クローンだぞ俺らwwwwwww
326 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11987
>>324
>>324
>>324
327 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
誰にでもうっかりはあるだろ!!!!
328 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16328
気をつけろよwwww>>327
あ、あ、あのさー>>1
確認だけど、今って上条の家にいんの?
329 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
うん>>328
今お昼の寄せ鍋食べてる うまー(゚Д゚)
上条って料理上手いんだな 上条ステキさすが上条ステキ
あとコタツってのに入ってる なんか変わってる
330 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16328
じゃ、じゃあ上条に聞きたいことあるんだけどさ
代わりに聞いてくれね?>>1
331 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10837
あ、ズルイ!!!>>330
お 俺も聞きたいことある!!!
332 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
いいけど 順番な
333 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17160
イェーイ!!
そんなん俺だってあるに決まってんだろ!!!
・
・
・
・
- 490 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:19:31.12 ID:v9AV2Y0B0
PM 12:49 第七学区 学生寮 上条当麻の部屋
グツグツ グツグツ
10032号「なるほどなるほど…。一端覧祭、ですか。とミサカは胸を躍らせます。あなたは去年は
どういった催し物に参加されたのでしょうか?」モグモグ
上条「え、えーと…なんだったかなー……」モグモグ
上条(うおおや、やっべー…何で今日はこんなに質問攻めなんだ!?さっきから7月より前に関
する話全然答えられてねーよ…)
禁書目録「」パクパクモグモグズズー
打ち止め「あなた、ミサカはお肉が食べたい!ってミサカはミサカは暗に器によそってほしいと
お願いしてみたり!」
一方通行「はいはい。ほらよ」ヒョイ
打ち止め「むー…ネギはあまり好きじゃない。ってミサカはミサカはお肉と一緒にネギと白菜も
一杯なことに不満を漏らしてみる…」
一方通行「野菜もちゃンと食べねェと大きくなれねェぞ」モグモグ
打ち止め「お肉ばっかり食べてるあなたに言われても説得力ないよ!?ってミサカはミサカは
あなたのために白菜を差し出してみたり!」アーン
一方通行「………」アーン パク
打ち止め「あなた、生野菜の青臭いかんじが嫌いなんでしょ?なら煮込んで甘くなったやつな
ら大丈夫なんじゃないかな、ってミサカはミサカは鋭い意見を述べてみる」
一方通行「…まァ、悪くねェ。オマエもちゃんと食えよ、ほら」アーン
打ち止め「はーい!ってミサカはミサカは元気よくお口開けてみひゃりー」アーン パクモグモグ
打ち止め「おいひい!」ニコ-
一方通行「そりゃ良かったですねェ」モグモグ- 491 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:20:00.05 ID:v9AV2Y0B0
上条「……微笑ましいというか、何というか」ハハハ
10032号「完全に親御さんの図だな。とミサカは呆れながらもあなたの答えをジッと待ちます。
昨年貰ったチョコレートの数はいくつですか?」
上条「え…えーとぉ…、ふ、二つかな…」(多分お袋と、あと一個くらいは誰かくれた といいな!)
10032号「……誰に貰いましたか?とミサカは質問を重ねます」
上条「!え、っと誰だったかなー…」(やべ、適当なこと言ったらその子に迷惑かかるよな!?)
10032号「…………」ジッ モグモグ
上条「えーと……」ダラダラ
一方通行「……おい上条」
上条「え!?何なに!?」
一方通行「肉は?」
上条「肉…?」
一方通行「さっき買った地鶏。この中入ってねェだろ。おいしく食わせてやるとか偉そォなこと
言ってたじゃねェか」
上条「あ、ああ…!そうだったそうだった、悪いな、すぐ作ってくるわ」スクッ スタスタスタ
上条(…助かった……)ホッ
10032号「ああ、まだ質問が途中なのに…とミサカは残された質問のストックが3501個もある
ことに先が思いやられます」モグモグ
一方通行「オマエよォ…」
10032号「何ですか。とミサカは呆れた顔の一方通行に視線を向けます。ロリコンは黙って幼
女の世話でもしてろや」モグモグ
一方通行「誰がロリコンだ。…あンま質問攻めにすンなよ。自分の言いたいことばっか言う
女は嫌われるぜェ?」- 492 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:20:39.02 ID:v9AV2Y0B0
10032号「お、お前に男心がわかるわけあるか!と流しつつも、そういえばちょっと迷惑だった
かな…?とミサカは反省します」シュン
一方通行「どうせMNW介して質問攻めにでも合ってるんだろォが…」ハァ
10032号「ギク バレバレですか」
一方通行「バレねェわけあるか。ほどほどにしといた方が身のためだと思うぜ」
10032号「ぅぐ……。とミサカは少し俯きます。お前にしては的確なアドバイス…と認めざるを
えません」グヌヌ
上条「おー、お待たせー」スタスタ ストン
打ち止め「わー、ずいぶん早いんだね?ってミサカはミサカは驚いてみたり!」
上条「下味は付けてあったからな。でも基本的に味は塩コショウで焼いただけだぜ。高い肉は
シンプルに食うのが一番うまいし」
禁書目録「おいしそうなんだよぉーー!!!!!」キラキラキラ
上条「こぉらダメだぞインデックス(ビシッ)。これは一方通行用だからな」
一方通行「ふゥーン……」ヒョイ モグモグ 「!」
一方通行「………」ガツガツガツ
打ち止め「おいしそうだけど鍋には合わないかな…ってミサカはミサカは一心不乱に骨付き肉
にかぶりつくあなたを見守ってみたり!あなたって食い合わせとか気にしないよね…」
一方通行「何と食ったって味は変わンねェだろ」ガツガツ- 493 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:21:11.20 ID:v9AV2Y0B0
10032号「おいおい手掴みて…油でベタベタになってるぞオイ。とミサカはその肉のカロリーに戦
慄を覚えます。ていうかお前は何故その調子で太らない?」
一方通行「体質だ」ガツガツ
10032号「ハッ そういえばこの鍋とやらのカロリーが正確に確認できません…。とミサカは重大な
過失に気付きます。これは早急に計算せねば!とミサカはネットワークに接続します」
上条「どうだ?うまい?」
一方通行「………マズくはねェ」ガツガツ
上条「!そうか!フフハハ上条さんは学んだぜ、お前の『悪くない』イコール『とっても気に入りま
した』だということをな!」
打ち止め「さすがヒーローさん!ってミサカはミサカはその通りだよと相槌を打ってみる!」
一方通行「うっせェなァ……」ガツガツ
禁書目録「ぅううう…………」ジィーーーー
一方通行「……」ガツガツ
禁書目録「………………」ジィーーーー タラリ
一方通行「……」ヒョイ
禁書目録「!?」バッ
一方通行「……」ヒョイ
禁書目録「!?」バッ
打ち止め「な、何してるの…?ってミサカはお肉で猫じゃらし状態のあなたとシスターさんを見守
ってみたり…」
上条「こ、こらインデックス!行儀悪いぞ!」
一方通行「……」ヒョイ
禁書目録「!?」バッ
一方通行「ほらよ」アーン
禁書目録「!!!!」バクッ!! モグモグボリボリモグ 「お、おいしいんだよ……」ジーーーン- 494 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:21:53.56 ID:v9AV2Y0B0
一方通行「……」ヒョイ
禁書目録「!!!!」バクッ!! モグボリボリモグモグ 「お、おいしいんだよ……」ジーーーン
一方通行「………ピラニアみてェ」ボソッ
上条「うう、お、お恥ずかしい…って上条さんは赤面して俯いてみたり」
打ち止め「大丈夫だよ、この人はシスターさんを気に入りました!」キリッ
上条「え?そなの?」
一方通行「……」ヒョイ
禁書目録「!!!!」バクッ!! モグモグモグボリボリ 「お、おいしいんだよ……」ジーーーン
一方通行「…………」プッ (おもしれェこいつ)
上条「あ、ホントだ。なんか楽しそう?」
禁書目録「本当においしいんだよ…。私にはすべてを完全に記憶する完全記憶能力があるせい
で、食べたいものが食べられない切なさハンパないんだよ…」モグモグ
一方通行「あァ?どういうこった?」
禁書目録「味、匂い、見た目、食感、すべてをカンペキにイメージで再現できるってこと。つまり今
まで食べたおいしいお肉の味が完全な形で想像されてるのに食べれなくてもう…死に
たくなるかも」
一方通行「あー…そォいうことか。俺もあるな」
禁書目録「え?あるの?あなたも?」キョトン
一方通行「俺もだいたい一度見たもの触れたものは忘れないからな。昨日なんかたまたま気に
入ってるメーカーのコーヒーなくて、探しながら味の成分一個一個再現していっちま
って最高ォーにイラついたわ…」
禁書目録「!!わかるんだよ!他にも、三日前の占いカウントダウンを一位から十二位までつ
い頭の中で再生しちゃったりするんだよ!何の意味もなくて悲しくなるんだよ…」- 495 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:22:31.89 ID:v9AV2Y0B0
一方通行「せめて答え合わせ出来るから意味あンだろ…。俺なんかこないだ風呂入ってる時、
同居人が見てたくっだらねェバラエティ一時間分再生しちまってよォ」
禁書目録「あはは、あるあるなんだよ!好きなテレビならともかく、すごい困っちゃうんだよ」
一方通行「一年くらい前に読んだ本、どんなんだっけかって思ったらつい最初から最後まで頭の
中で暗唱しちまったりな…」
禁書目録「それもよくあるかも…。全部隅々まで覚えてるから、好きな本を読み返す楽しみって
ものがないんだよ……」
一方通行「あァ、本を読み返す?その発想はなかったわ」
禁書目録「私もあいさに聞いて、そういう本の楽しみ方もあるんだって初めて知ったかも」
一方通行「ふゥン…。別に気に入ってようが気に入ってまいが全部覚えちまうからな俺は」
禁書目録「同じくなんだよ…。『あれ、この理論矛盾があるかな?』って思った本の内容までつ
い全部反芻しちゃったりするんだよ……疲れるんだよ…」
一方通行「あるな…。不快なのについ辿ろォとしちまうンだよな、何だろうなありゃ…」
禁書目録「なんだろうね?片付けしてたら、マンガが全巻揃ってるかつい確認したくなるような
ものかも!」アハハハ
キャッキャッ ウフフ
ホカニモヨー
ワカルンダヨー!!アトアトー
アーソレ アルワー
- 496 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:23:30.34 ID:v9AV2Y0B0
10032号「カロリー計算が完了したかと思ったら、白い二人が全く共感できない話題で盛り上が
っています。とミサカは現状を訝しみます」
打ち止め「完全記憶能力かー…。あの人もそういう能力があるって明確に言われてるわけじゃ
ないけど、近いものはあるんだろうね、ってミサカはミサカは分析してみたり」
10032号「まぁ、考えてみれば通常の人間一万人分の脳を使って、ようやく一方通行一人分の
演算能力になってるわけですからね。とミサカは頷きつつも、何故か嬉しそうなあな
たを不思議に思います」
上条「ん……?」ニコニコ
打ち止め「どうしてあの二人をそんなに嬉しそうに見てるの?ってミサカはミサカはごく率直に
質問してみたり」
上条「インデックスが笑ってると安心するし……。それに、あの能力のせいでアイツは色々と
大変な目に合ってるからさ。ああやって笑って話せてて、よかったなって」ニコ
10032号「……………」キュン
打ち止め「あなたはとっても優しいんだね。…確かに、あの人が自分の特徴と共感を示すな
んてとっても珍しいかも!ってミサカはミサカは同じく嬉しく思ってみたり」
上条「そっか。よかった」ニコ
打ち止め「うん!ってミサカはミサカはヒーローさんに満面の笑顔を向けてみる!」ニコッ
- 497 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:24:00.24 ID:v9AV2Y0B0
PM 5:30 上条当麻の部屋
ピロリロリー
ウィイイイン ピローン!
打ち止め「うぅううう!もう一回!もう一回!ってミサカはミサカは再戦を要求してみたり!」
10032号「またですか、とミサカは肩を竦めます。ていうか弱すぎですよ上位個体」
禁書目録「くくく…今のところ私が一番なんだよ!」
打ち止め「くっ…!あなたこういうの苦手そうなのに!ってミサカはミサカは当初の予想が外
れて悔しがってみる…!」
禁書目録「確かに操作は苦手だけど、全部のコースを覚えられる私に死角はなかった」フンス
打ち止め「ズルーイ!ってミサカはミサカはー!」
モウイッカイ-! ッテミサカハー!
ハイハイ トミサカハ シブシブウナヅキマス
フフン ナンドデモ アイテニナッテヤルカモ!- 498 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:24:34.93 ID:v9AV2Y0B0
一方通行「…………」ゴロゴロ
上条「一方通行、コタツ気に入ったのか?」
一方通行「別にィ」ゴロゴロ ファー…
上条「そのまま寝るなよ。風邪ひいちまう」
一方通行「眠くねェ…」ファ…
上条「ブッ、何でそんな見え透いた嘘つくんだよ」ハハッ
一方通行「うるせェ」ゲシッ
上条「いてっ、ちょっ、蹴るなって」
一方通行「黙れ」ゲシゲシ
上条「いてて、もう、足癖悪ィなお前!」ガシッ
一方通行「!?離せ三下ァ!」バタバタ
上条「一方通行は上条さんのスペシャルマッサージをご希望のようですねー?」足裏グリグリ
一方通行「いだ!?イダダダダダ!!なッ、なンだそれ、あッ、おまっ…!」バタバタ
上条「足裏マッサージされて痛い人は不摂生してるんだぞー」グリグリ
一方通行「ひッう!イッ、た、や、や、やめ!」ビクッ
上条「…………」ジッ グリグリ
一方通行「アッ、い、イッ…、~~~!!」ジタバタ
上条(…さっきも思ったけど、こんな風にしてると普通の高校生にしか見えないなー)
一方通行「こ、この三下がァ…っ」ジタジタ
上条「涙目で言っても迫力ありませんよー。っていうかむしろかわいいぞー」ジッ グリグリ
一方通行「はァあああ!?寝言は寝て、いッ、いッ、ぅあ…!」
上条(…………何かだんだん変な気分になってきた)アレ?- 499 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:25:04.72 ID:v9AV2Y0B0
打ち止め「はーいそこまでーってミサカはミサカはヒーローさんにタックルドーン!」ドーン!!
上条「うお…!?」ビクッ
10032号「オイオイお前らせっかくMNWが落ち着いたのに再燃量投下してんじゃねぇよ、と
ミサカはイラつきながらもモヤシをコタツから引き摺り出します」ズルズル
一方通行「…………はー、はー…」グッタリ
打ち止め「ちょっとヒーローさん!この人が無体された乙女みたいになってるでしょ!って
ミサカはミサカはYESラブラブNO無理矢理を掲げてみたり!」
上条「えっ、む、無体って!そそそそそんなつもりは決して!!」ブワッ
一方通行「はー…はー…殺す……」グター
上条「…た、確かに目が潤んでるし…頬っぺたピンク色になってるし…」ジッ
上条「っていうか一方通行…お前本当に色白いなぁ」マジマジ
一方通行「見ンな…殺す……」グター
禁書目録「……とうまぁあああああああ!!!」ギラリ
上条「ちょ、インデックスさん!?違うんです、誤解です!!」ダラダラ
フコウダーーーー!!!
- 500 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:25:36.54 ID:v9AV2Y0B0
思う存分ツンツン頭に噛み付いた白いシスターは、数分後にケロリと「おなかすいたんだ
よ」と呟いた。
じゃあ夕飯の分買出しに行くか、と噛み付きに慣れ切った無能力者もケロリと頷く。
何だコイツら、と思いつつ、騒いで暑くなっていたことやコーヒーが飲みたくなってきたこと
もあって、一方通行は一緒に買い物に出ることにした。
打ち止めや10032号も付いて来るなどと言っていたが、鬱陶しいので置いて来ている。
上条も特に反論しなかったところを見ると、まぁ同意見なのだろう。
年末も近づいた、午後六時。日は既に落ち、吐く息を街灯が白く照らした。紺の夜空に
星が瞬きつつあったが、学園都市の青白い光の方が明るい。
元々人通りの多い第七学区でも、学生の数は少なくなってきている。近所のスーパーへ
の短い道を、二人は並んで歩いている。
「いッ、てて…まだデコが痛いんですけど…」
上条が少々背を丸め、雑な仕草で額を撫でた。
「あァそォ。ぜってェ俺のが痛かった。間違いねェ」
二回も好きなように叫ばされた礼に、靴を履こうと屈んだ上条の背中を蹴飛ばしてやった
のだ。
身構える暇もなかった少年はそのまま正面のドアに激突して無様な悲鳴をあげ、一方通
行は少しだけ溜飲を下げた。- 501 :1[sage saga]:2011/06/12(日) 20:27:08.62 ID:v9AV2Y0B0
「いやぁ、ちょっと足が痺れたくらい、そんなに痛いモンでもないだろ?」
「痛いっつか気持ち悪ィンだよ!遠慮なくベタベタ触りやがってぶッ殺すぞクソ野郎がァ!」
「ぶぷ、思い出し怒りする一方通行とか」
何のツボにハマったのか、上条はケラケラ笑い出した。
「そ、そんなに足痺れたの辛かったのか?正座したことなかったのかよ、日本人だろ」
「イマドキそンな正座する機会なンかあるかよ。オマエこそそンな正座慣れなンかしてねェ
だろォが」
「…………、まぁ、そうだけどな」
上条が息を詰めたのは、二秒にすら満たなかっただろう。
しかし一方通行は気付いてしまった。左隣を見れば、上条もこちらを見ていた。
「…………」
気付いたことを気付かれたのだろう、と察する。頭の出来が良いとは思えない男だが、時
にひどく聡い。
冷たい風が吹いて、一方通行は目を細めた。
普段の自分ならば、このまま知らないフリをしていたかもしれない。知ったことか、俺には
関係ないと。
だが、目の前の真っ黒い、真っ直ぐな目をした少年は、本当に自分とは無関係なのだろ
うか。そして誰かにそう問われて、一方通行はYESと言いたいのか、NOと言いたいのか。
わからなかった。
「……上条」
けれど、唇を開いてしまった。
「オマエ、記憶喪失にでもなってンのか」
溢れた言葉は、二度と戻らない。
- 512 :1[sage saga]:2011/06/15(水) 22:43:15.10 ID:U0k6ARt+0
「一方通行………」
フッ、と表情が消えた。
一方通行が目にしたことのある、焼け付くような闘志を秘めた顔とも、明るい日中が似合
う笑顔とも、軽く文句を言ってやった時の困ったような顔とも、同居人の挙動に呆れた顔と
も、どれとも違っていた
「…やっぱり気付いてたか。今日、何度もフォローしてくれただろ?ありがとな」
上条は、見たことのない形に頬を緩めた。
「今年の七月の…後半あたりか。それ以前のオマエについての質問に、何も答えられてい
なかったな」
「はは…。今まであんなに質問責めにされたことって、意外になくてさ…」
あまり人の表情というものをきちんと見て来なかった一方通行には、それがどんな気持ち
を表したものなのかわからなかった。
ただ、例えば、予告した時間に帰らなかった時の、ぼんやりソファに座っている打ち止め
の表情に、少し似ていると思った。
こういう顔を、寂しそうと言えばいいのだろうか。
「…あのシスターは知ってンのか」
「ああ。…知ってる」- 513 :1[sage saga]:2011/06/15(水) 22:43:56.25 ID:U0k6ARt+0
一方通行は浅い溜息をついた。それが安堵の色をしていると気づいたのは自分よりも上
条の方が先で、その口元が微笑む。
舌打ちをして、今のはなかったことにした。
「なら、隠すことねェだろ。俺も打ち止めも10032号も、オマエと知り合ったのは八月以降な
ンだから」
「でもさ。俺が記憶喪失って知ったら、皆スゲー気まずいだろ?隠し事に荷担させるのって、
申し訳ねぇよ」
「…そンだけかよ」
「そんだけ」
「バカだな」
「かもな」
上条は、今度こそはっきりと苦笑した。ゆっくり歩きながら正面に向き直った顔には、一
切の迷いがないよう見えた。
「……オマエは…」
「…うん」
胸の奥から、冷たいような熱いような衝動が沸き上がってきた。
上条は一方通行の言葉を待っている。いつもの騒がしくマイペースな雰囲気は消え失せ
た、静かな横顔だった。
先日再会した時、この男は何と言った?
『お前に言った台詞は、全部俺自身にも当てはまることだったからさ』
では、ロシアでは何と言っていた?
『目の前で泣いて欲しくない人が泣いてるんだ!それだけで十分だろ!!立ち上がったっ
たっていいだろ!特別なポジションも理由もいらねぇ!!それだけあれば、もう盾になるよ
うに立ち塞がったって構わねえだろうがよ!!』- 514 :1[sage saga]:2011/06/15(水) 22:44:48.27 ID:U0k6ARt+0
特別なポジション。理由。この男が助けたかったのは、あのシスターだろう。確認したわ
けではないが、確信があった。
上条当麻にとってのインデックスは、きっと自分にとっての打ち止めに似たものだろうと。
「オマエは…。あのシスターを助ける『理由』と『ポジション』の記憶を失ったのか」
「………っ」
鋭く息を呑んだ気配に、一方通行も息を呑んだ。じわりと、不快な汗が髪の毛穴から滲
んだ気がする。
(何言ってンだ俺は……)
人の、しかも言ってしまうなら恩人の、明らかな傷口に塩を塗るような真似をしている。
「……………」
上条は沈黙を保ったまま、こちらを見つめている。眼差しは変わることなく真っ直ぐだ。
「……あ、……っ」
一方通行の喉の奥に、重苦しいような塊が支えた。手足の先が冷たく痺れ、心臓がガン
ガン鳴り響いてうるさい。頭の奥が焼けるようなのに、額を流れる汗は気持ちの悪い冷た
さだった。
自分がどういう状況にあるかわからず、一方通行は硬直する。
ただ、打ち止めが危機に陥った時の感覚に少しだけ似ていると思った。他には、黄泉
川が怪我をさせられた時。そこに吐き気と苛立ちを足せば、木原数多に能力が通用し
なかった時、垣根提督に能力の隙間を突かれた時、エイワスに打ちのめされた時。
要するに、緊張している。焦っているわけだ、と学園都市第一位の頭脳は結論を出した。- 515 :1[sage saga]:2011/06/15(水) 22:45:54.33 ID:U0k6ARt+0
だが一体、何にそんなに焦燥を感じているというのか。今現在打ち止めは当然無事だ
し、特に命の危機に晒されているわけでもない。緊張する理由も焦る理由も、自分には
ないはずだと思った。
今まで緊張や焦燥を覚えたことなど片手を越える程度、しかも現状にはこれまでのケ
ースと何の共通点もない。
「………………」
「………………」
ただ、目の前の、それほど親しくもない、ただずっと心の奥に居座っていた少年が、少
し頼りない顔をしているだけだ。
「………、…」
それが嫌なのだと、一方通行は唐突に悟った。
例えば打ち止めが泣いた時、番外個体が喚いた時、それに似ているような、全然違う
ような。
しかし打ち止めや番外個体になら何を言うべきであるかわかっていた。言いたいこと
は自然と自らの内にあった。
けれど今、何を言うべきなのか。何を言いたいのかなんて、全く思いつかない。
ただ焦燥だけが馬鹿みたいに募って、一方通行はそれに急かされるように口を開いた。
「…その『理由』が、知っていて幸せなもンだとは限らねェだろ」
「知っていて…?」
「………忘れていた方がいいことだって、ある」
吐き出して、ギリリと奥歯を噛み締める。- 516 :1[sage saga]:2011/06/15(水) 22:47:06.43 ID:U0k6ARt+0
(さっきから、何を言ってやがンだ俺は…!)
違うだろう。記憶とは、そういうものじゃない。
「忘れた方がいいこと、か。…お前にもあるのか、そんな風に思う記憶」
上条は特に不快そうな様子も見せず、少し好奇心にかられたような顔で首を傾げた。
「……ああ、あるな」
「…本当に?」
一瞬息が詰まった。
「……………ああ」
ようやく絞り出したような、格好悪い相槌だ。
「本当に?本当に忘れてしまいたいのか、お前は」
反射的に伏せていた目を上げれば、上条が相変わらずまっすぐにこちらを見ていた。
疑っているという風ではなく、むしろ不思議そうな声だった。うっかりミスを指摘
するような、気負いのないもの。
一方通行は力が抜けて、深々と溜息をついた。
「…いや。忘れちゃならねェし、忘れたくもない」
あの実験。一万三十一人を殺害した、一方通行を今の一方通行たらしめた記憶。
どれほど深く激しく後悔していたとしても、捨てていいものではなく、また捨てるつもりも
なかった。
一生抱えていくべきものだ。なくなってしまえば、真っ直ぐ立てなくなってしまうものだ。- 517 :1[sage saga]:2011/06/15(水) 22:47:45.46 ID:U0k6ARt+0
「そうだろ?」
上条は頷く。期待通りの反応だったのか、満足げに笑った。
「……っ」
あまりに自然体の反応に、今までの自分の緊張は何だったのかと、急にものすごくアホ
らしくなった。
「………変なこと言って、悪かったな!!!」
焦燥はそのままムカつきに変わって、最高に的外れなことを口にした居たたまれなさも
手伝い、勢いよくそっぽを向く。
「さっさと忘れろ、この脳天気野郎がァ!!!」
「…………」
しかし上条は一方通行がそっぽを向いた方にわざわざ回り込んで来て、目を合わせた。
「……なンだよ」
観察するような眼差しが居心地悪く、反対側を向けば、またそちらに回り込む。
「…なあ、一方通行」
イラッとして声を荒げようとした絶妙のタイミングで、上条が口を開く。
「ひょっとして今の…慰めようとしてくれたのか?」
「!!!」
ぐ、と息が止まった。
そうなのか?自分はそんな、らしくないことを試みようとしたのか?- 518 :1[sage saga]:2011/06/15(水) 22:48:47.95 ID:U0k6ARt+0
自問して答えを出す前に、目の前の顔がひどく嬉しそうに笑み崩れる。
「はは、不器用なヤツだな、お前。…でも、ありがとな」
「………………」
違うと言い張るのも余計に気まずくて、思い切り顔をしかめた。
「そんな顔しなくてもいいだろ」
「うっせェ、地顔だ」
悪態をつけば、上条が軽やかに笑う。
頼りなげだった気配はもうどこにもなくて、このツンツン頭にとってそれはもう乗り越えた
傷なのだろうと悟る。
(理由なンかなくても……か)
上条当麻とは、自分が縋るよすがを丸ごと失っていて、それなのにあれほど真っ直ぐに
走って行くことが出来るのか。
一方通行は、極寒の雪原で自分の幻想を壊した力強さを手元に返す。
「…………俺は…」
気がつけば、微かな声が漏れていた。
聞こえていなくても構わないと思ったのに、上条は「うん」と確かな相槌を打つ。
「…何かが少しでも違っていれば…。例えばお前が実験を止めていなかったなら、打ち止
めを殺していたかもしれないと、考えることがある」
「……!そんなこと、」
「今でも、例えばこの力が暴走したら。…ワケがわかンなくなっちまえば、あのガキを殺し
ちまうかもしれねェ」
自分で思った以上に昏い声音が溢れる。- 519 :1[sage saga]:2011/06/15(水) 22:49:30.19 ID:U0k6ARt+0
「一方通行」
叱咤するような声と共に、肩を掴まれた。真冬用のジャケットを通しても、暑苦しい体温
を感じて、気持ちが悪い。
「触ンな」
一方通行は軽く鼻を鳴らして、その日に焼けた手を払った。
そうしたら、その払った手を握り締められる。
「お前はそんなことしない。絶対だ」
「……どうしてそンなこと言える」
「だってお前は戦って来たじゃないか。詳しいことは知らないけど、でもロシアで見たお前
は、あの子を助けたくて苦しんでた。戦ってた。あんなでっかく広げた羽でも、あの子には
掠りもしなかっただろ!」
「…わかったような口を」
「わかる!!!あの時のお前を見て……今のお前と打ち止めを見たら、誰にでもわかる
ことだ!!」
間近に迫った真っ黒の目は、本当に真っ直ぐだ。
握られた手が熱かった。合わさった手から、得体の知れないものが流れ込んで来るよ
うな気がして、目を眇める。
「…………」
一方通行は、忸怩たる思いを噛み締めた。
「……そォだな」
一体、この男に何歩先を行かれているのだろう。- 520 :1[sage saga]:2011/06/15(水) 22:50:31.83 ID:U0k6ARt+0
「お前があンな風に…何も確かな理由なンかなくても、あンなに真っ直ぐ立ち向かえるの
なら」
「え……」
上条が、驚いたように目を見開く。
「人がそンな風に生きて行けるのなら、俺も…何もかも忘れちまったとしても、『俺』でいら
れるのかもしれないと思う」
目の前の真っ黒い瞳に、自分の顔が映っていた。自分でも、あまり見たことのない顔を
していた。
「お前と同じように。何を失っても、打ち止めと妹達を守って行くことが、出来るのかもしれ
ねェな」
「一方通行………」
上条は、呆然とした顔で一方通行を見つめた。
いつの間に立ち止まっていたのだったか。夜空にはとっくに星が瞬き、どこにでもあるよ
うな狭い道端で。
「……ああ、そうだな」
不意に、目の前の日に焼けた顔が微笑んだ。
「お前なら、そうだろうな」
いつもの明るい笑顔とは違う、何かを静かに噛み締めるような、深く微かなものだった。
「だから…お前と俺は似てるって、思うんだよ」
例え何も持っていなくても、大切のために盾になる。そういう魂を持っていると。
- 521 :1[sage saga]:2011/06/15(水) 22:51:24.07 ID:U0k6ARt+0
PM 9:16 黄泉川家 リビング
打ち止め「『今日のあの人』は、コーヒー飲んでる日常的一方通行で決まり!ってミサカ
はミサカはシャッターチャンスを逃さない!」カシャッ ピロリーン
一方通行「…………」ズズー
打ち止め「……あれ?怒らない?ってミサカはミサカはツッコミ待ちだったことを明かし
てみたり…」??
一方通行「…どォせそれ消したってどっかから持ってくンだろォが」ズズー- 522 :1[sage saga]:2011/06/15(水) 22:52:13.33 ID:U0k6ARt+0
打ち止め「………」ジー
一方通行「…なンだよ」ズズー
打ち止め「何か今日、ヒーローさんの家から帰ってきた後、ちょっとボンヤリしてない?
ってミサカはミサカは指摘してみる」
一方通行「……気のせいだろ」ズズー
番外個体「いーや違うね!ボンヤリしてるね!」ヒョイ
一方通行「急に出て来ンな」ズズー
番外個体「してるったらしてる!間違いないっつーの。な、な、な、な、な、何か、あ、あ、
あ、あったのかな!?!!?」
一方通行「はァ?何て?」
打ち止め「………」ジーッ
番外個体「だからァ、今日上条当麻の家で鍋なんかやったんでしょ!?その時に…っ」
番外個体(あっ)ピキーン
番外個体(やべェ、MNWから何かスゲー受信してる!!!)ウズッ
番外個体(上位個体と一方通行ばっかりあの人の家で鍋とかズルイズルイズルすごい
楽しそうで結局質問も全部答えて貰ってないしズルイズルイいやミサカはそ
んなこと思ってないんだけどああああああすごい数、数の暴力であああああ
ああああああ)ウズウズウズ
番外個体「うあああああ!!!」モウダメー
番外個体「一方通行ばっかり上条当麻と話してズルイんじゃないのぉおお!?!?」
一方通行「」- 523 :1[sage saga]:2011/06/15(水) 22:53:00.94 ID:U0k6ARt+0
打ち止め「えっ?」キョトン
打ち止め(あ、そっかー。下位個体達の嫉妬の気持ちが番外個体に行っちゃったんだ
ね、って突然の叫び声に理由を見つけて納得してみたり)ウン
番外個体「ズルイズルイズルイ!ミサカだって上条当麻に会いたいのにっていやいや
だからこのミサカはあんなウニ興味ねーって!!」ブンブン
一方通行「………」イラァ
一方通行「おい番外個体」
番外個体「へ、へっ?何かな!?勘違いしないでよね、ミサカは上条当麻なんてホント
興味ねーから!」ブンブン
一方通行「……まァ、オマエも妹達の一員だしなァ、アイツに興味持つのも自然かもし
ンねェが」
番外個体「だ、だからぁ!今のはMNWから…」
一方通行「……色気付くのはちょっと早いンじゃないですかァ?」ブゼン
番外個体「えっ………」
芳川「」ブフッ
黄泉川「」ブファッ
打ち止め「わ、笑っちゃダメだよヨシカワ、ヨミカワ!ってミサカはミサカはまるで思春期
の娘を持ったお父さんみたいなあなたをフォローしてみたり」
一方通行「誰がお父さンだァ!!」ギロリ
番外個体「…………ふゥ~ん…?」ニヤァ
一方通行「なンだそのニヤケ面は。下品だからやめろ」
番外個体「なぁに?第一位ってば焼きもち?上条当麻に焼きもち焼いてんのぉ?」ニヤニヤ
一方通行「はァ?寝言は寝て言え。オマエなンかに付き合わされるアイツが気の毒にな
っただけだっつゥの」チッ
番外個体「へぇ~~~?」ニヤニヤニヤ- 524 :1[sage saga]:2011/06/15(水) 22:53:53.17 ID:U0k6ARt+0
打ち止め「oh……思ったよりも不機嫌そう…ってミサカはミサカは将来彼氏が出来た時
のことが心配になってきたり…」
一方通行「か、彼氏ィ!?!?」ガタガタガタッ
芳川「」ブフッ
黄泉川「」ブファッ
番外個体「必死wwwwすぎるだろwwwwwwwww」ゲラゲラゲラ
一方通行「」ハッ ストン
番外個体「今更www取り繕えませんよwwww」ゲヒャヒャヒャ
打ち止め「しょ、将来の話だよ!ってミサカはミサカは、彼氏が出来てもでもずっとあな
たが一番だよって胸を張って宣言してみたり!」アセアセ
一方通行「そンなもン必要ねェだろ………」チッ
打ち止め「えっ!?必要性の問題!?!?」
一方通行「………………最低でも俺より強くないと許さねェ」ボソッ
打ち止め「無茶振りキターーーー!!ってミサカはミサカは!!!!!!」
芳川「あらあら大変ねぇ」クスクスクス
黄泉川「打ち止め、頑張るじゃん!!」アハハハハ
打ち止め「い、いいもん!ミサカはあなたに彼女になってもらうもん!ってミサカはミサカ
は名案を思いついてみたり!」ピコーン
一方通行「何を言ってンだオマエは」ハァ…
番外個体「はぁああ!?何言ってんのこのチビガキは!!」ビキビキ
アクセラレータハ ミサカノダモンー!!
ウルセェチビガキーーー!!
ウルセェノハ オマエダーー!!
黄泉川家は今日も平和です。- 532 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:38:09.51 ID:v09CdZAw0
PM 3:40 ミサカネットワーク内
1.【実況】なんか白い二人が暗号言い合ってんだけど【上条の家から】(1)NEW
2.お前ら最近ハマってることって何?(239)
3.【協力求む】あの人とヒーローさんをいいかんじにさせたいんだが24(732)
4.今日の上条214(651)
・
・
・
・
【実況】なんか白い二人が暗号言い合ってんだけど【上条の家から】(68)
1 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
今上条んちに上位個体と来てるんだけどさー
白モヤシと白シスターが謎の言語で会話してんだけど何?(゚Д゚)
2 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
知らねぇーーよ!!
お前ばっかり一方通行さんと一緒に居てズルイ!!- 533 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:38:48.01 ID:v09CdZAw0
3 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14819
スレ終わらすなwww>>2
上条んち?でも上条学校あるんじゃねーの?>>1
4 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
うん 今は上条いない>>3
留守番してる白シスターと遊んでるだけ
5 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17182
あー そういやよく遊びに行ってるって言ってたな
上条がいないんならツマんなくね?
6 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
そうでもない
シスター結構いいやつだよ アホみたいに大食いだけど
上位個体とかスゲー仲良くなってるし
7 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10718
へぇー
えーとさ…水差すみたいで悪いんだが、俺らのことって…
8 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
あークローンだってこと?
すげぇ無邪気に「らすとおーだーとくーるびゅーてぃーは短髪の兄弟
なの?ものすごくソックリなんだよ!」って言われたから話した
9 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11839
ま マジか
何だって?- 534 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:39:22.69 ID:v09CdZAw0
10 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
「たいさいぼーくろーん?????????
えっと…つまりすっごく似てるけど別の人間ってことだよね?
わかったんだよ!」
だってさ
11 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13662
おいwwwwwわかってんのかそれwwwwwww
12 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18020
間違っちゃいないけどwwwww
13 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12810
ワロタwwwww
14 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16183
割と心配した気持ちを返せwwww
15 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
うん シスターいいやつだな!
心配といえば、その場に一方通行いたの?
一方通行のが心配しそうじゃね?
16 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
よくわかってんなお前>>15
上位個体と俺が白シスターに俺らのこと話してる時の一方通行
http://www.misaloda/moyashi-23.jpg
17 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12180
すwwげぇwwww見てるwwwwwww- 535 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:39:56.93 ID:v09CdZAw0
18 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19981
おいwwwww
ぜってーテレビ見てねーだろセロリwww
潔く顔こっちに向けろよwwww
19 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
いやでもこれ、すっげーチラ見だったんだよww
これやっとのことでこっち見てるとこ撮ったんだぜwwwwww
20 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12211
ワロタwwww
過保護かwwwww
21 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11820
まぁ過保護なのは知ってたけどさぁwwww
22 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
このいかにも「俺には関係ねェ話だから気にしてませんけど何か?」
って顔がまた笑えるよなwww
http://www.misaloda/moyashi-19.jpg
23 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17100
必要以上に真顔だなオイwwwwイケメンwww女だけどwwww
24 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
きゃーー!!!一方通行さんカッコイーーー!!!!(n'∀')η
25 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
カッコイイカナー?(゚Д゚) まぁ顔は整ってるよな普通にしてれば
※普通にしてれば※
そういやお前、ちょっと前に一方通行が女だってわかってキョドってた
けど、もう気にしてないのか?ww>>24- 536 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:40:30.43 ID:v09CdZAw0
26 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
あー 一方通行さんが女の人だったなんて!!俺と恋人になれる
確率0%になっちゃった!!!!
ってショックを受けたんだけど
よく考えてみたら元々恋人になれる可能性とか0%の俺に死角は
なかった(キリッ
27 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12199
(´;ω;`) ブワッ
28 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10039
14510号ェ……
29 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
あと俺は一方通行さんの生き方に惚れているので
あんなに必死になって上位個体や俺らを守ってくれた一方通行さんが
俺と同じ女だったんなんてますます尊敬する
一方通行さんマジかっこいい
30 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18192
まぁな…………
31 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16001
正面切って否定する気はねーけど
なんつーかwwww
32 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
上条の方がかっこいいもん!!!!!
俺のこと助けてくれたし優しいし!!!!
33 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17119
だよなー
上条のがなんつーか 正統派?
34 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19382
けどさ 上条って何考えてるかわかんなくね?
俺は今だったら困ったことあれば一方通行に言うわ
アイツはしかめっ面だけど結構わかりやすいし- 537 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:41:07.42 ID:v09CdZAw0
35 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13003
上条ディスってんのかコラ!!!!俺らの大恩人だぞ!?!?
36 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19382
いやいやいやそんなつもりじゃないゴメン>>35
もちろん俺も上条には感謝してるよ
ただ今となっちゃ結構距離感あるくね?って言いたかった
一方通行のが安心感あるっていうか
37 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10098
言いたいことはわからんでもない>>36
38 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
距離なんか関係なく助けてくれるのが上条
39 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12011
全面的に同意>>38
40 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10519
確かにそうかもな
41 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
上条優しいよな
でも一方通行も優しいと思う ちょっと怖いけど
兄弟いたらあんなかんじかなー
42 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11220
俺は上条がお兄ちゃんがいいな!!!
・
・
・
・
- 538 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:41:39.79 ID:v09CdZAw0
245 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
そういやなんか聞きたいことあるんじゃなかったのか?>>1
246 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
あ そうだった 完全に忘れてたわwwww
白モヤシと白シスターが暗号で会話してんだけど何コレ???
こないだからたまに言ってんだけど
247 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10382
本人に聞けよwwwww
248 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
わざわざ聞くなんてまるで俺がモヤシのこと気にしてるみたいじゃん
249 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18211
みたいてwwwww
250 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12010
前から思ってたがもう素直になれよお前(・∀・)
251 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
アーアー(∩゚д゚)キコエナーイ
こんなのなんだけどさー
モヤシ「e4」
シスター「c5」
モヤシ「Nc3」
シスター「Nc6」
モヤシ「g3」
シスター「g6」- 539 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:42:23.54 ID:v09CdZAw0
252 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12401
確かに暗号だなwww
253 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17812
ああ わかった
二人がやってんのはチェスだよ
とチェスの本場イギリス在住のミサカが答えます
254 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
何だその自己主張wwww>>253
教えてくれてありがとな!!
でもチェスってあれだろ?白黒の駒使ってやるやつ
二人とも何も持ってないんだけど
255 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17812
チェスに限らず、互いの対局者が行った手を順番に記入した記録を
棋譜って言うんだが
その棋譜の記録方法を利用して自分の駒の動きを表現することで
実際にチェス盤が無くても対戦することはできるよ
もちろん自分と相手の駒の配置と駒の動きを全部覚えられなきゃ
ダメだけどなwww無理ぽwwww
256 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
無理ゲーwwwww
しかし確かにモヤシとシスターにはそれぐらい朝飯前だろうな
257 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17812
棋譜の記入方法はこんなかんじ
・駒の動きは「駒」+「移動させる場所」で表現されてる
・場所の表現方法は、白を手前にして、チェスボードの左下のマス(a1)
を基点として
横方向(→)に a、b、c、d、e、f、g、h
縦方向(↑)に 1、2、3、4、5、6、7、8
・駒は K=キング Q=クイーン R=ルーク B=ビショップ N=ナイト
P=ポーン(通例、Pは省略される)
つまり二人の対戦はこんな様子
「e4=白(一方通行)はポーンをe4(盤の左から5番目、下から4番目)
へ移動させた」
「c5=黒(インデックス)はポーンをc5へ移動させた」
「Nc3=白(一方通行)はナイトをc3へ移動させた」- 540 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:43:14.84 ID:v09CdZAw0
258 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
(mー_ー)m.。o○ zZZZ
259 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12900
(。-ω-)zzz. . . (。゚ω゚) ハッ!ネテタ
260 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17812
オイコラwwww人に解説させといてwwww
261 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
冗談冗談 イッツミサカジョークHAHAHA
ふーん チェスやってたのかー二人とも
どおりでなんか楽しそうな顔してると思った
http://www.misaloda/index-5.jpg
262 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17812
おお シスターの食事風景以外初めて見た
そういやシスターって英国人だったよな
チェス好きなのかな?ちょっと親近感!
263 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
一方通行さんは!?!?!
一方通行さんの楽しそうな顔見たい!!!!!!
264 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
えーとモヤシはなー…
いてぇえええ!!!!!チョップされた!!!- 541 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:44:10.97 ID:v09CdZAw0
265 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13199
何でwwwwwwww
266 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
後ろにモヤシがいたから振り返ったらゴーグルがモヤシの側頭部を
直撃して怒られた
ああああ!!!!ゴーグル取り上げられた!!!分解された!!!
267 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18391
分解てwwwつか何で振り返っただけで当たるんだよww
268 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
あー俺わかった
お前一方通行の背中を背もたれにして座ってたんだろ?>>266
こないだ上位個体がやってんの見て羨ましそうにしてたもんな
269 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
お前はスネークか 見てんのか>>268
別に羨ましそうになんてしてねーし!
270 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16300
そういや運営は何してんの?
セロリの話題で出てこないなんて珍しいな
271 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
上位個体は今モヤシの膝枕で昼寝なう
http://www.misaloda/yojo-6.jpg
272 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
うらやましいいいいいい
俺も一方通行さんの白くて細い手でなでなでされたい!!!!
273 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12300
普段運営に撫でてってねだられても無視するクセに
こういう時だけ素直だなwwwww>>271
274 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18100
運営の寝顔幸せそうすぎるだろ- 542 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:44:41.53 ID:v09CdZAw0
275 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
ちょっとおおおお最終信号!!!!!
寝てんじゃねぇ!!起きろぉおおおおおお!!!!!!
276 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
おや末っ子 どうしたんだ?
277 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
末っ子言うな!!!!
変態が、変態があの人のパンツを盗もうと!!!!!!
ぐぬぬ レベル2のクセにミサカの鉄釘が当たらないってどういうこと!?
278 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13410
声出してワロタ
279 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11992
珍しく見かけねぇと思ったらwwwwwww
280 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12819
変態さすが変態
281 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13910
ミサカ達はネットワークで繋がってるからな~
末っ子の攻撃先読みしようと思えば出来るよなwww
頑張れ末っ子www
282 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:MisakaXXXXX
くっ 当たらな… パンツが!!あの人のパンツがぁあ!!!
おらぁああ!!!起きろチビガキィイイイイイ!!!!!
・
・
・
・
- 543 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:45:44.02 ID:v09CdZAw0
PM 5:40 第七学区 学生寮 上条当麻の部屋
一方通行「Kh1」
禁書目録「Rb8」
一方通行「……チッ」
禁書目録「降参かな?」
一方通行「…あァ。42手目にチェックされるな」
禁書目録「その手もあるけどそれは1985年Pavel Blatny VS Simen Agdesteinの棋譜かも。
私は34手目にチェックメイトするんだよ」
一方通行「チ、また既存の棋譜通りか。しかも読み違えるしよォ」ガリガリ
禁書目録「私は少なくとも400年分くらいのチェスプレイヤーの棋譜は読んだからね。いくら
あくせられーたでもチェスの歴史が相手じゃ分が悪いかも」フフン
一方通行「フン、言ってろ。…12手目のクイーンはデコイかァ?まだ引っかかっちまうな」
禁書目録「そうだよ!でももう五回に一回は負けちゃうかも。始めてまだ一ヶ月くらいなのに、
あくせられーたはすごいんだよ」ワクワク
一方通行「まァだ勝手掴んでねェよ。ボードゲームってのは今までやって来てねェジャンル
だからな」- 544 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:46:34.13 ID:v09CdZAw0
禁書目録「初心者にしちゃあえりない強さなんだよ…。私ももっともっと色んな棋譜読んで
勉強するんだよ!」フンス
一方通行「ンだコラ負けねーぞ。今に俺の方が強くなるぜ」フン
禁書目録「私だってまだまだ負けないかも!……でも、あくせられーたが色んな人の棋譜
を読んで勉強したら、さすがに敵わないんだよ。どうしてそうしないの?」
一方通行「別に今すぐ勝たなきゃ死ぬってワケでもねェからな。自分で考えてェンだよ」
禁書目録「……………」
一方通行(負けてもいい勝負、か……。生まれて初めてだな、こンなの)
禁書目録「…あくせられーたは優しいんだね」ニコ
一方通行「………バカ言ってンじゃねェよ。そンなワケねェだろ」フイ
禁書目録「どうして?あくせられーたは優しいよ。私とチェスを楽しんでくれるもの」
一方通行「……俺は…………」
10032号「………」
打ち止め「…………」スゥスゥ
一方通行「……………」
10032号(ハラハラ…とミサカは成り行きを見守ります)
一方通行「……何でもねェよ」チッ
一方通行(何考えてる…。何を話そうとしたンだ、俺は……)
禁書目録「あくせられーた」
一方通行「…ンだよ」- 545 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:47:34.31 ID:v09CdZAw0
禁書目録「私が知っているのは確かにあくせられーたの一部かもしれないけど、でもその
一部だって確かにあくせられーたなんだよ」
一方通行「……………」
禁書目録「私が知ってる優しいあくせられーたを、否定しないでほしいかも」
一方通行「……優しい、ね」フン
禁書目録「あなたは、あなたであればいい。ただあなたがあなたを抱えきれなくなったなら、
私があなたを支えましょう」
禁書目録「なんだよ!」ニコッ
一方通行「……はッ、そォいやオマエ、シスターなンだったな」
禁書目録「あくせられーたが話したくなったら、私はいつだって耳を傾けるんだよ」
一方通行「……余計な世話だ」
10032号「………」ホッ
10032号(とミサカは緊張が緩んだ雰囲気に胸を撫で下ろします。急にシリアスになるんじゃ
ねぇよこの白モヤシ……)
打ち止め「………」ホッ
一方通行「オマエもいつまで狸寝入りしてンだ」ビシッ
打ち止め「あぅ!バレてたの!?ってミサカはミサカはそれでもあなたの膝を譲らない!」ギュッ
一方通行「いい加減足が痺れて来たンですけどォ」
10032号「マジで?とミサカは指をワキワキします」ワキワキ- 546 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:48:28.18 ID:v09CdZAw0
一方通行「ヤメロ外道が。ゴーグル直してやンねェぞ」
10032号「ちょっ!お前が分解したんだろ!とミサカは慌てます。ミサカのアイデンティティが!」
一方通行「じゃあせっかくだから改造してやるわ。俺のすべてをかけて」
10032号「やめてェえ!!何か羽とか十字架とかドクロとかのモチーフ入れるのやめてェええ!
とミサカはモヤシの中二センスを恐れます!!」
一方通行「ケンカ売ってンのかコラァ」
ガチャガチャ
禁書目録「あっ!とうまだー!」タタタタ
10032号「上条帰ってキタコレ!!とミサカは玄関まで出迎えます!!」タタタタ
打ち止め「おかえりなさーい!ってミサカはミサカはお出迎え!」トテテテ
上条「おー、ただいま。なんだ、上条さん家族総出で迎えられた気分だなー」ハハハ
10032号「ならばこのミサカは妻ですねキリッ。お邪魔してます。とミサカは礼儀正しく挨拶します」
打ち止め「あの人と一緒におじゃましてます!ってミサカはミサカはあの人の分まで挨拶してみ
たり!」
上条「おおいらっしゃい」
禁書目録「今日もみんなが遊びに来てくれたから、すごく楽しかったんだよ!」
上条「そっか、よかったな。前はスフィンクスしか遊び相手いなかったもんな」ナデナデ- 547 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:49:29.41 ID:v09CdZAw0
スフィンクス「にゃーー」
打ち止め「『最近はお嬢さん達が遊びに来てくれるから俺は楽なもんだぜ』って言ってる気がする
ってミサカはミサカは的確に推測してみたり」
上条「一方通行、いつも悪いな」
一方通行「別にィ」
禁書目録「とうまとうまー、お腹すいたんだよ」
上条「はいはい。こないだジャガイモと牛肉安かったからな、今日は肉じゃがに…ってアレ!?
下ごしらえしてある!!!」
打ち止め「あっ、それはあの人がやってたよ!ってミサカはミサカはすかさず報告してみる!」
上条「お、マジか?ありがとな!助かったわー」キラキラ
一方通行「…まァ、材料からその辺だろって予想出来たからな」
禁書目録「とうま、早く早く!もう我慢できないかも!」グーキュルルッル
上条「はいはい!少しは我慢を覚えなさい!」
打ち止め「シスターさん、ミサカとマリカーして待ってよ?ってミサカはミサカは宥めてみたり」
禁書目録「!いいよ?らすとおーだーには負けないんだよ!」タタタ
打ち止め「ミサカだって負けないもんねー!ってミサカはミサカはテレサを極める!」キリッ
上条「なぁ一方通行、手伝ってくれよ」
一方通行「チッ、仕方ねェなァ」スタスタ
10032号(賑やかだなー。とミサカは狭い部屋で雑誌を読みます)ペラペラ
- 548 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:50:20.06 ID:v09CdZAw0
Be3。Nd4。Kh2。b5。Qd2。b5。
インデックスと一方通行が、交互に短い単語を繰り返す。
(…相変わらず何がどうなってんのか全然わかんねぇけど)
上条は、担任の先生からドッサリ出された課題を片付けながら、チラリを顔を上げた。
(楽しそうだな)
インデックスも一方通行も、座り込んで軽く目を閉じている。インデックスは膝を抱えて、一方
通行は胡坐をかいて頬杖をついて。細い膝の上には、夕飯を食べて眠くなってしまったらしい
打ち止めが寝息を漏らしていた。
時折、白く細い指が、手癖のように柔らかな茶色の髪を梳く。- 549 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:51:48.83 ID:v09CdZAw0
ミサカ10032号は、持参したらしいファッション雑誌を捲りながら、時折スフィンクスにちょっか
いを出しては嫌がられていた。
(しっかし、インデックスがこんなにチェス好きだとは)
穏やかな横顔は知的にすら見えて、少しおかしい。いや、別に彼女の頭が悪いと思ったこと
はないのだけれど、いつも賑やかなので意外だ。
(一方通行も、ゲームなんてするんだなー…)
ちらりと目を向けても、いつもなら睨み返されるのに、一方通行は目蓋を下ろしたままだった。
長く白い睫毛は白い頬に柔らかな影を落とし、華奢過ぎる身体つきの印象もあって、ひどく
儚げに見える。
(いやいやいやいや)
何回か殺されかけましたけどね、うん。
Nd1。Bd7。Bf2。Nec6。Nh4。f5。
鈴を振るような可憐な声と、少し掠れた滑らかな声が、重なって連なっていく。きれいな和音
みたいだな、と上条は思った。いつまでも聞いていたい。
凄んでないで、普段からこんな風に話せばいいのになぁ、と考えて、ふと目を瞬く。
『お前と同じように。何を失っても、打ち止めと妹達を守って行くことが、出来るのかもしれ
ねェな』
一月ほど前の年の瀬の、ある夜の記憶。
あの時の声に、少し似ているかもしれない。どうしてか理由はわからないけれど、上条は
あの時の一方通行の顔を何度も手元に返してしまうのだった。- 550 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:53:07.02 ID:v09CdZAw0
「……………」
ぼんやりと白く細い輪郭を眺めていると、不意に赤い目がこちらを見た。何の気なしに見た
のだろう眼差しはひどく素直で、ドキリと心臓が跳ねる。
「……ンだよ」
先日までは常にやぶ睨み状態だった目付きが、このところ少しだけ和らいだ気がするけれ
ども、どうだろう。
「あ、ああ。うん、そうそう、そうだ。あのさ」
インデックスも目を開けて不思議そうにこちらを見ていて、邪魔をしてしまったような、申し訳
ない気持ちになってきた。
(あー…どうだろ、やっぱり余計だったかも)
上条はカバンの中を漁って目的の物を取り出しながらも、やっぱり引っ込めたくなって来る。
「おや、それはチェスの…駒とボード?ですか?とミサカはあなたの手元を覗き込みます」
「!!」
ひょいとミサカ10032号が無邪気な仕草で手元を覗き込んでいて、引っ込めるに引っ込めな
くなってしまった。
「え、チェスセット!?!?」
インデックスが耳と尻尾を立てた子犬のように反応し、一方通行も瞬きをせずにこちらを見
詰める。
「あー……そんな期待されるようなもんじゃないんだけど」- 551 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:54:25.11 ID:v09CdZAw0
ゲームを買うというクラスメートと一緒に寄った、玩具屋の隅で見つけたチェスセット。
本格的な物とは遠いプラスティック製の、オモチャに近い安物だった。口頭だけで対戦する
インデックスと一方通行が思い浮かんで、つい購入したけれど。
考えてみればインデックスはチェスに随分詳しいようだし、一方通行も学園都市第一位の
財力を持て余しているような状況。
こんなチャチな安物なんか、使わない方がマシなのではないか、と今更ながらに思い至って
恥ずかしくなってきた。
「えーと…これなんだけどさ。二人にどうかなって。でも元々二人とも必要ないみたいだし、
無理して使わなくったっていいんだぞ?すごい安いし、つい買っちゃっただけで」
包装すらしていないで剥きだしの箱のまま、言い訳がましくオズオズと差し出すと、気が付
けばすでにインデックスの小さな手に箱が掲げられていた。
「ふおおおお!!!ホントにチェスセットなんだよぉおおお!!!!」
天に差し出すように高々と掲げたあと胸に抱いてクルクルと三回転し、まるで好物に襲い掛
かるような勢いで包みを開けていく。
「ふぉおお、駒だ!ボードだ!白い!黒い!ねぇ、見て見てあくせられーた!!」
あっという間にテーブルの上へ白と黒の駒が散らばり、インデックスは大きな碧眼をキラキ
ラと輝かせて両手に駒を握り締める。
「………ふゥン…」
一方通行は、細い指で白のキングを手に取った。- 552 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:55:19.41 ID:v09CdZAw0
掌に馴染ませるようにくるり、くるり、と回転させて弄び、マジマジと駒を眺める。安っぽく作り
の甘い駒は、やはり不似合いだったけれど、白のキングは居場所を見つけたかのように一方
通行の手の中に納まった。
「とうま、ありがとう!すっごく、すっごく嬉しいんだよ!!」
インデックスは喜色満面の、全開の笑顔で上条に飛びついて来る。
「ぅお、っと…。はは、お前が食べ物以外でそんなに喜んでるの、初めて見たよ」
「むっ、失礼かも!!」
暴れる少女をいなしながら、上条はおずおずと一方通行の顔を見る。
飽きずに安っぽい白い駒を眺めていた学園都市第一位は、視線に気付いて、数度目を瞬か
せた。
「……まァ、使ってやるよ。ありがたく思え、三下ァ」
薄く整った唇の端が、少しだけ緩んでいる。
上条は、ゆっくり笑み崩れた。
- 553 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:56:00.96 ID:v09CdZAw0
PM 11:00 黄泉川家 一方通行の部屋
一方通行の携帯<オーイアクセラレータ、デンワダゾー ッテラストオーダー、コレデイイノ?
一方通行「!?」ビクッ
一方通行(ったくあのクソガキ、何してやがる……)ピッ
一方通行「……何の用だ」
『久しぶりだな一方通行。元気にしてたか?』
- 554 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:57:31.06 ID:v09CdZAw0
一方通行「オマエの知ったことじゃねェよ。…土御門」
土御門『何だ、久しぶりなのに冷たいヤツだ。ちゃんと食べてるのか。偏食は感心しないぞ』
一方通行「だァから何で誰もかれも俺が偏食だって知ってンだよ」
土御門『そりゃお前、見ればわかるだろ』
一方通行「うるせェ、関係ねェだろ。……何の用だって聞いてンだよ」
土御門『だいたい検討はついてるだろう?だから俺の番号を着信拒否にしてなかったんだ
ろうし』
一方通行「…………」
土御門『安心しろ、俺は借りたモノは返す。褒美だろうが何だろうが…本当に舞夏に付いて
た監視の目は外れたからな』
一方通行「オマエみたいな小物に恩を売った覚えはねェな」
土御門『そう言うな。情報については、お前よりも色々な物を握ってるぜ』
一方通行「……何か動きがあったか」
土御門『多少な。第三次世界大戦以来、魔術サイドの三大宗派はある程度のバランスを
保って小康状態だったし、学園都市の上層部も様子見の段だったが…』
一方通行「動きがあるのはどっちだ」
土御門『…まだ確証は持てない。もう少し探ってみてからだ。今日は忠告だ。しばらくは気
を付けろ』
一方通行「忠告ねェ。ありがたいこって」ハッ- 555 :1[sage saga]:2011/06/18(土) 23:59:11.78 ID:v09CdZAw0
土御門『……ところで一方通行。お前最近、上条当麻と会っているだろう』
一方通行「それがどォした」
土御門『上条とお前じゃ、住む世界が違うと思うが』
一方通行「………あァ」
土御門『…一方通行?』
一方通行「…そォだな。俺もそォ思う」
土御門『………おい』
一方通行「あァ?」
土御門『…別に責めてるわけじゃない。何もそんなに落ち込まなくてもいいだろう』
一方通行「誰が落ち込ンでンだ、アホか」
土御門『えっ』
土御門(あんな声出しといて、自覚ない…だと?)
一方通行「?」
土御門『………いや…何でもない。また動きがあったら連絡する』ピッ
土御門(あるェ~~?今の一方通行の声…あるぇ~~~?どういうアレだにゃ~…??)
土御門(まさか上やん病は男にも効くのかにゃー!俺も油断出来んぜよ、舞夏ー!!)
- 576 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:48:32.73 ID:73K8Vbvp0
PM 4:45 第七学区 学生寮 上条当麻の部屋
禁書目録「………」コトン
一方通行「………」コトン
打ち止め「ん~…」ムニャムニャ スゥスゥ
禁書目録「………」コトン
一方通行「………」コトン ナデナデ
打ち止め「…………」スゥスゥ ニヘー
禁書目録「チェックメイト」コトン
一方通行「あァ」- 577 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:49:05.89 ID:73K8Vbvp0
禁書目録「私の勝ちなんだよ」フンス
一方通行「だな」チッ
禁書目録「……途中でリザインしなかったんだね。30手目くらいで、結果は予想してたでしょ?」
一方通行「ン…ヒューマンエラーに期待したンだがよォ」
禁書目録「ふーん?」クスッ
一方通行「…なンだ」
禁書目録「あくせられーたは、私が棋譜の記憶違いするなんて無いってわかってるんだよ。実際に、
二週間前までは負けるってわかった時点でリザインしてたかも」
一方通行「だからァ?」ガリガリ
禁書目録「とうまがこのチェスセットくれてから、あくせられーたはあんまり早めにリザインしなくなった
んだよ」ニコ
一方通行「………たまたまだろ」
禁書目録「そんなことないんだよ。私もあくせられーたの気持ちわかるかも。…こうやってチェス盤に
駒を置いて、移動させて、局面が変わっていくを見るのはとても楽しいんだよ」
一方通行「勝手にわかった気にならないでくださァい」
禁書目録「もう。あくせられーたって素直じゃないかも!」
一方通行「よく言われますゥ」スクッ スタスタ
禁書目録「…ど、どうしたの?もう一回しないのかな?」アタフタ
一方通行「コーヒー」スタスタ
禁書目録「あ…そ、そっかー。私も紅茶飲もうかな?」ホッ
一方通行「勝手に飲め」ゴソゴソ
禁書目録「勝手にするんだよー」ゴソゴソ- 578 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:49:56.28 ID:73K8Vbvp0
一方通行「………あ、インスタントコーヒーがもうねェし。買い置きは?」
禁書目録「え?ここに…あ、ない。とうまがたまたま買い置きし忘れちゃってたみたいなんだよ」
一方通行「チッ。使えねェ三下さンですねェ」
禁書目録「確かに、気が利かないかも」ウン
PM 5:03 第七学区 小型スーパー
上条(………何か理不尽なことを言われている気がしますよ…)ハァ
上条(どうせインデックスと一方通行だろうなー。あいつら最近妙に仲良いからな)
上条(チェスやってると間に入れないし…いや、楽しそうですごく微笑ましいんだけど)ウン
上条(それにチェスしてる時の一方通行は…すごく、なんていうか…ちょっと無防備っていうか…)
上条(眺めてんのは嫌いじゃないかな、うん…)
上条(……………)ボー
上条(あ、豚バラ安い。今日は回鍋肉にしようかな)
PM 5:10 第七学区 学生寮 上条当麻の部屋 台所
禁書目録「…あ!そういえば、コーヒー豆ならあった気がするかも!」ポム ゴソゴソ
一方通行「豆ェ?ここンちコーヒーメーカーないだろ」
禁書目録「うん、だからせっかく福引で当たったのに飲めなくて『不幸だー!』ってとうまが言ってた
んだよ。……あ、あったあった」トン
一方通行「ホントに豆だなァ。一応、焙煎はしてあるのか」ギュムギュム
禁書目録「そうみたいだね。でもコーヒーミルもないし、フィルターもないし、封も開けてないよ。…
ごめんね、出したはいいけど結局飲めなかったら意味ないかも」シュン
一方通行「ふゥン………」ジッ- 579 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:50:41.96 ID:73K8Vbvp0
禁書目録「あくせられーた?」
一方通行「よォするに、豆を粉砕すりゃいいンだろ」カチッ
パーーン
打ち止め「ひゃうっ!?」ビクーン
打ち止め「な、なにごとなのかな!?ってミサカはミサカは跳ね起きて台所に突進してみたり!」
一方通行「……加減間違えた」パラパラ
禁書目録「台所がコーヒー塗れなんだよ……」パラパラ
打ち止め「な、何してるのぉおお!?ってミサカはミサカはコーヒーの粉塗れのあなた達にビックリ
仰天!!!」
一方通行「なンだ起きたのかクソガキ」トンッ サラサラサラ
打ち止め「おおおおこんなに散らばった粉があっという間に袋の中に戻ってる!!ってミサカはミ
サカは目を丸くしてみたり…!」
禁書目録「oh……so fantastic!」キラキラ
打ち止め「でも埃とか入ってないの?ってミサカはミサカはそのままコーヒーの粉をカップに注ぐあ
なたが心配になってみたり。あなたお腹弱いでしょ?」
一方通行「そンなモン除けたに決まってンだろ。…よし、後は湯を入れればいいワケだ」コポポポ
打ち止め「な、なんだってー!!蛇口からあなたの指を伝った水が、お湯になってカップの中に!
ってミサカはミサカは反則なあなたに今更ながら驚きを隠せない……」ポカーン
打ち止め「(ハッ)ちょっとあなた!何でも能力ばっかり使うのダメってこないだヒーローさんに言わ
れたばっかでしょ!?ってミサカはミサカは告げ口を匂わせてみる!」
一方通行「なンで知ってンだよ……」ゲンナリ
打ち止め「そんなの直接聞いたからに決まっています。『なぁ、打ち止めも一方通行が心配だよ
な?』ってあんな顔で言われたら協力するのもやぶさかではない」キリッ
一方通行(…あンな顔ってどンな顔だ……?)
一方通行「うっせェなァ…オマエ、前に家庭的な俺が見たいって言ってたじゃねェか」
打ち止め「ミサカが言ったのは、こんな一家に一台便利家電的なあなたのことじゃないよ!?
ってミサカはミサカは大いなる誤解を訂正してみたり!」ガビーン- 580 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:51:19.81 ID:73K8Vbvp0
一方通行「はいはい」スッ
禁書目録「ちょっ、ちょっとあくせられーた!コップの中にコーヒーの粉を直接入れたら、こなこな
して飲めないんだよ!インスタントコーヒーじゃないから溶けないよ!?」アワワワ
一方通行「大丈夫ですゥ」ズズー
禁書目録「ああああ!!粉っぽいんだよ!?!?」
一方通行「……ン、味が濃くてイイ」ズズー
禁書目録「………あれ????」コナッポクナイノ?
打ち止め「…能力使って、粉が口の中に入って来ないようにしてるんだよ、ってミサカはミサカは
さすがにちょっと呆れてみたり…」ハァ
禁書目録「おお、便利なんだよ」
打ち止め「でも女子としてこういうコーヒーの飲み方はどうよ!!!大雑把過ぎるってレベルじゃ
ねーぞ!!って妹達一同からツッコミ入ってるなう」アホゲピーン
一方通行「大きなお世話だ」ズズー
ガチャガチャ
上条「だたいまー!うーさむさむ!」
禁書目録「とうまー、おかえり!」タタタタ
打ち止め「おかえりなさーいお邪魔してまーす!ってミサカはミサカはもはや恒例の挨拶をして
みたり!」
上条「おー、いらっしゃい。あれ、今日は御坂妹は来てないのか?」
打ち止め「10032号は今日は調整日なの、ってミサカはミサカは10032号もすごく来たがってた
ことをお伝えしてみる」
上条「またいつでも来いって言っておいてくれよ」ニコ
打ち止め「うん!!」ニコッ- 581 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:51:57.22 ID:73K8Vbvp0
上条「…ん?コーヒーの匂い?……あ!そういやコーヒー切らしてなかった!?もしかして
新しいの買ってきたのか、一方通行!?」
一方通行「いや。ここンちにあった豆使った」
禁書目録「ほらとうま、一ヶ月くらい前に商店街の福引でコーヒー豆当たったでしょ?」
上条「ああ、あれ…。ってちょっと待てよ。ウチにはコーヒーメーカーなんてないんですけど、
お前どうやって……」
一方通行「…………」フイ ズズー
上条「……おい、一方通行」
一方通行「…オマエも飲むか?」ズイ
上条「えっ」
一方通行「寒かったンだろ、外」
禁書目録「そっか、さっき入れたばっかだからまだ熱いよね、そのコーヒー。…あ、そろ
そろお湯が沸くんだよ」タタタ
上条「えっ…」
打ち止め(そんなことより、自分の飲みかけを差し出すあなたにドキドキが止まらない!
ってミサカはミサカはちょっと戸惑ってるヒーローさんをガン見してみたり!)ジッ
上条「じゃ、じゃあ…貰おうかな」スッ
一方通行「あー、でもダメだわ。これコーヒーの粉に直接熱湯入れたからなァ…」
上条「はぁ!?何だその前衛的なコーヒーは!飲めないだろンなもん!!ってか、それ
飲むためにお前さては能力」
一方通行「あー大丈夫だわ。俺が操作したやつオマエが飲めばイイ」スッ ギュッ
上条「えっ…?と、突然なんですか一方通行さん!?」ビクッ
打ち止め(おおお!あの人がヒーローさんの後ろから抱きついた!ってミサカはミサカ
はMNWに報告してみたら阿鼻叫喚なう)ユンユン
一方通行「あ、オマエはカップに触ンなよ」
上条(近い近い近い耳に息かかる!!!!せっ…背中にぃいい背中がぁああああ)
一方通行「俺がこうやって…後ろからカップ持って…と、ンー…これでイイかァ?」グイ- 582 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:52:36.37 ID:73K8Vbvp0
上条(バシャ)「あっつァああああああ!?!?」ブフー!!
一方通行「うォ、きったねェ」サッ
上条「お前なぁ!こんな熱いの一気飲みとか出来ないからね!?そういう量だったから
ね今の!!!無理だからね!!つかお前さっきから能力使ったこと誤魔化そう
としてるだろ!?ちょっと背中が…ゴニョゴニョ……だったからって誤魔化されない
からな俺は!!!!」
一方通行「はァ?背中が何だってェ?」??
上条「なんでもねェよぉおお!!そこだけ拾うな!!!」
打ち止め「おーい雑巾持ってきたよー、ってミサカはミサカはヒーローさんが零したコー
ヒーをお掃除してみたり」フキフキ
上条「あ、こりゃどうもすみませんね……」
一方通行「はッ、仕方のない家主ですねェ。あーコーヒーもったいねェ」
上条「お前なぁ……、」ハァ
禁書目録「とうまー、あくせられーたー、らすとおーだー」タタタ
上条「んー?」
禁書目録「紅茶が入ったんだよ。ご飯の前に、皆でお茶にしよう?」ニコー
上条「あ、ああ…うん、そうだな」
一方通行(ナイスだインデックス。コイツの説教なっげェからな)グッ
禁書目録「???」グッ
- 583 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:53:04.28 ID:73K8Vbvp0
PM 5:30 学生寮 上条当麻の部屋
禁書目録「おいしいんだよー…」コクリ
上条「だな。ホント、お前紅茶だけは入れるのうまいよなぁ」ズズ
禁書目録「だけ、は余計なんだよ!」コク
打ち止め「うぅ…あつい……紅茶は、音を立てたらダメなのよね?ってミサカはミサカは
イギリスのミサカに教えて貰ったルールを遵守してみる…」フーフー
上条「うっ…そ、そうなの?」ギクリ
禁書目録「うん、確かにそれがマナーではあるかも。でもマナーって、他の人を嫌な気
持ちにさせないためのものなんだよ」
打ち止め「いやな気持ち?」
禁書目録「うん。でも今はお家で、私達しかいないんだから、熱くて飲めないんなら啜って
もいいと思うんだよ。らすとおーだーが音を出しても、誰も不愉快になったりし
ないんだから」ニコ
打ち止め「……うん!!ってミサカはミサカは大きく頷いてみる!」ニコー
一方通行「……………」
上条「ああしてるとさ、姉妹みたいだよな。インデックスと打ち止め」コソ
一方通行「……あァ。そォだな」フ
上条「!」ドキ
打ち止め「あああーー!!今!今あなたが笑ったような気がしたりしなかったり!!」
一方通行「何だ急に…」- 584 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:53:39.27 ID:73K8Vbvp0
打ち止め「今!今の顔ワンスモア!ハリーハリー!ってミサカはミサカはあなた写真コレ
クション充実の瞬間を逃したことを全力後悔中なう!!!」キィー
一方通行「何言ってンのオマエ」ズズー
一方通行「」
一方通行「くっせェ…渋い…まずっ」カチャ
禁書目録「」ガーン
上条「え、えええ?そ、そうか?おいしいぞ?全然渋くないぞ!?」アセアセ
打ち止め「そうだよ!ミサカも全然渋くない、すっごくいい香りだよ!ってミサカはミサカは
渾身のフォローを試みたり!!」アセアセ
一方通行「午後ティーのがマシ。じゃあオマエ飲んでいいぞ、クソガキ」スッ
禁書目録「ペットボトルに負けた………」ガゴーン
打ち止め「ち、違うの!この人はいっつも缶とかペットボトルとかばっかりだから、直に入
れた香り豊かな飲み物に慣れてないだけなの!ってミサカはミサカはこの人の
チープな味覚を説明してみたり!!!」アセアセ
一方通行「誰がチープだコラ」
上条「ああ、そういう…確かにずっと豚と鳥ばっかり食べてると、たまに牛肉食べると何か
硬くて臭いみたいなのあるな」ウン
禁書目録「何か寂しい例えなんだよ……」ズーン
上条「でもな一方通行…、せっかくインデックスが俺達にって入れてくれたんだ。そんな言
い方ないだろ?」メッ
一方通行「はァ…?俺の口には合わねェ、それの何がダメなンだ」??
上条「おいおい…」(何この素直に不思議そうな顔…)
打ち止め「この人はちょっと情緒が未発達なとこあるの、ってミサカはミサカはヒーロー
さんにお伝えしてみたり。教えてあげてほしいな」ヒソヒソ
上条「な、なるほどな…(ヒソヒソ)。(コホン)じゃあ俺がさっきのコーヒー飲んだとして、マズイ
って言ったらお前はどう思う?」- 585 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:54:36.27 ID:73K8Vbvp0
一方通行「??別にィ。好みだしな。オマエがいらねェンだったら俺が飲むだけだ」
上条「oh…カッコイイなお前」
一方通行「??」(か、カッコイイって…)ドキ
打ち止め(そうか、ってミサカはミサカは納得してみたり)
打ち止め(あなたは今まで、何かが好きだっていう気持ちを、誰とも共有したことなんて
なかった。だから、自分が好きなものを否定された悲しさも、肯定された嬉
しさも、あなたの中には存在しないのね)
打ち止め(ってミサカはミサカは…でも、これからはきっと違うからって、信じてる)ジワッ
一方通行「!?!?ど、どォしたクソガキ!」ガタガタッ
打ち止め「な、なんでもないの。ちょっと紅茶が熱かっただけって、ミサカはミサカはあ
なたにしがみついてみる」ギュッ
一方通行「………????」
上条「……一方通行」
一方通行「何だよ…」
上条「インデックスはさ、紅茶が大好きなんだ。だからお前にも、自分の好きなものを
好きになってほしかったんだよ」
禁書目録「…………」
一方通行「…そンなことに何の意味がある?俺が好きだろうが好きじゃなかろうが、
味に変わりはねェだろ」
上条「変わるさ。お前だって、一人で食べるご飯より、打ち止めと食べるご飯の方が
おいしいだろ?」
一方通行「…………」チラッ
打ち止め「ミサカは、あなたと初めて会ったときに一緒に食べてくれたハンバーグが
大好き。だから、ミサカは今でもハンバーグが一番好きなの。ってミサカ
はミサカはヒーローさんの言葉に深く同意してみたり」ギュッ
一方通行「………そォか」
一方通行「俺には…正直わかんねェな、そォいうのは」
上条「そうか?」
一方通行「人間は感情で受ける印象が変化する生き物だ。それは知っている。自身
で脳細胞を走る電気刺激を制御するわけだな。……俺には無い経験だ」- 586 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:55:08.46 ID:73K8Vbvp0
上条「それは嘘だろ」
打ち止め「それは嘘!ってミサカはミサカは断言してみたり」
禁書目録「それは嘘なんだよ」
一方通行「………ンだよオマエら」チッ
上条「だってお前、ちょっとは味噌汁嫌いだっつってたけど、今は飲むじゃん?こな
いだとか作り忘れたら文句言ってたし」
打ち止め「あなた、こないだ10032号と一緒にクレープ食べてたでしょ?ってミサカは
ミサカは痛いところを突いてみる!」
禁書目録「あくせられーたって無駄なこと嫌いでしょ?さっきも言ったけど、とうまが
チェスボード買ってくれてから、リザインする回数が減ったんだよ」
一方通行「………………………………」
一方通行(……わかんねェ)
一方通行(確かにコイツらが言ったことは間違っちゃいない。だが俺は……)
上条「一方通行。そんな顔するなよ」スッ
一方通行「……触ンな」カチッ
上条「はいはい」キュイン ナデナデ
一方通行「触ンなっつってンだよ……」フイ
打ち止め「…………」ギュー
禁書目録「ねぇ、あくせられーた」
一方通行「……」
禁書目録「今度、香りがあんまりキツくない紅茶を入れるんだよ」
一方通行「………」
禁書目録「もっと渋みが薄いのとか、香ばしいフレーバーティーもいいかも。あくせら
れーたはどんな味が好きなの?」
一方通行「…何でそこまで」
禁書目録「知らないの?あくせられーた」
禁書目録「英国人にとって、好敵手とチェスをしながら一緒に飲む紅茶ほど、おいし
いものはないんだよ」ニッコリ
- 587 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:55:44.13 ID:73K8Vbvp0
PM 2:40 第七学区 ファミリーレストラン
土御門「よし、揃ったな」
結標「久しぶりね。別に見たい顔でもなかったけど」
海原「そうですねぇ」
一方通行「…わざわざ呼び出して、何の用だ。土御門」
土御門「今後の方針確認だ」- 588 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:56:12.68 ID:73K8Vbvp0
結標「方針?でも『グループ』は……」
土御門「そうだな。確かに今は誰かさんのおかげで開店休業状態だ。だが、いつまで
も上層部の『温情』が続くと思ってるワケじゃないだろう?」
一方通行「……ハッ。まァ、俺が脅したくらいで大人しくなるような、生易しい腐り具合
じゃねェことは確かだな」
結標「そうね…今はあの子達を見張る目は消えているけれど、油断はしてないわ」
海原「今後とも。僕達の目的は変わりないでしょう」
土御門「それはそうだが……もう少し根本的なところだ。極端な話、お前達は学園都
市を潰したいと思っているか?」
結標「!!!」
海原「ちょっ…!土御門さん、こんなところで!」
土御門「どこで話そうがどうせ『滞空回線』からは逃れられない。同じことだ」
結標「だからって、心臓に悪いでしょうが!」
海原「そうですよ……」ハァ
一方通行「……俺は学園都市そのものを潰すつもりはねェ」
土御門「ほう」
一方通行「ここには世界最先端の技術が集まっている。必要な時に、必要な措置を
受けさせることが出来る環境。それが俺には不可欠なンだよ」
結標「…私も同じようなものね。結局、ここは能力者にとって一番生き易い場所だも
の。あの子達が外に出てきた時のことを考えても、学園都市自体を潰すのは
得策じゃないわ」
海原「僕も同じです。…つまり、要するに」
土御門「全員が現状維持を望んでいる、ということでいいな」
一方通行「今更だな。で、それがどォした」- 589 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:56:59.34 ID:73K8Vbvp0
土御門「現状、学園都市内上層部と学園都市を取り巻く環境はそれぞれ小康を保っ
ている。ただそれはいつ崩れるかわからないほど危ういものだ」
結標「そうでしょうね」
土御門「俺達には失えないものがある。そのためにはやはり、情報を先んじて持つ
ことが肝要だろう」
海原「それはまぁ…」
一方通行「チッ、まどろっこしい野郎だ。何が言いたい」
土御門「特別なことじゃない。お前達も情報収集に協力しろって話だ」
結標「……協力?」
土御門「偶然にも、俺達は全員が違うコミュニティに属している。俺は多重スパイと
して…まぁ、色々だし。一方通行は学園都市最先端の研究者達と。結標は
外部組織に。海原は……」チラッ
海原「…まぁ、仰りたいことはわかりますよ」
結標「外部組織ねぇ…まぁ、コネが無いこともないけど、あの時アンチスキルに大概
潰されちゃってるわよ」
一方通行「あのクソッタレの研究者どもとまた付き合えってのか」
海原(…探りを入れても、仲間達が協力してくれる望みは薄いですがねぇ)
土御門「手段を選んでいる余裕はない。一方通行には言ったが、多少の動きはある
んだよ。完全に動き出されてからじゃ遅いんだ。今は『上』からの指示なんて
全く無い状況だからな。イコール、情報もゼロ」
結標「………」- 590 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:57:54.16 ID:73K8Vbvp0
土御門「別に強要はしないが。…まぁ、元々俺がメインで集めるつもりだった。ただ、
何か他の情報源があれば、進捗が良いだろうと思ってな」
一方通行「…………」チッ
海原「断れそうにありませんね…。何より、自分のために」
・
・
・
・
土御門「…分担は以上だ。今後は週一程度で報告会でも開くか」
一方通行「面倒くせェ」
土御門「レポートにまとめて提出してくれるんなら、それでも構わないが?」
結標「そっちの方が面倒よ。…いいわ、それで」ハァ
海原「僕はどちらでも構いませんけどね」
一方通行「情報収集ねェ……」ハァ
土御門「苦手なんて言わせないぞ一方通行。お前はやらせればなんでも出来るタイプ
だからな」
結標「(ブフッ)何その、『この子はやれば出来る子』みたいな」アハハハ
海原「」プッ
土御門「くっ……」ブルブル
一方通行「ぶッ殺すぞ」ギロリ- 591 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:58:48.93 ID:73K8Vbvp0
一方通行携帯<オーイ アクセラレータ、デンワダゾー
一方通行「」
結標「!?!!?」
海原「!?!?!」
土御門(上やんの声だにゃああああああああ!!!!!!!!)ブワッ
一方通行(ガッ ガタガタッ)「(ピッ)なンか用かこの三下がァああああ!!」
一方通行(設定変えンの忘れてた…っ、く、聞かれたか、聞かれたのか!?)チラッ
結標「」バッ
海原「」ササッ
土御門「」ダラダラ
一方通行(ちくしょォおおおお!!!!)「…はァ!?夕飯って…ああ行くって!クソガキ
そっちに置いてってンだろ、いちいち確かめ…あァ?…いいってそれでェ…
……はいはィ…」スタスタスタスタスタ
土御門「…今更席外したって遅いってもンだぜい……」シロメ
結標「……………え、何今の…夕飯…?何その所帯染みた…」シロメ
海原「…ていうかさっきの声…あれ?電話の相手の声も……あれ???」シロメ
・
・
・
・- 592 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 22:59:14.33 ID:73K8Vbvp0
一方通行「………………」スタスタスタ ストン
土御門「…………」ジッ
結標「…………」ジッ
海原「…………」ジッ
一方通行「(コホン)……待たせたなァ」キリッ
土御門「キリッ じゃないぜよぉおお!!誤魔化せるわけあるかぁ!!!!」クワッ
結標「今の誰?奥さん?あなた結婚してたの??」ワクワク
海原「いやぁ、電話の相手男の人ですよね?」
一方通行「うるせェな。オマエらには関係ねェだろ」
土御門「いや、あるぜよ!?俺上やんのクラスメートだしね!?!?」
土御門(あっ しまった口が滑っ…)
一方通行「えっ………」
土御門(うお、こんな素直に驚いた顔初めて見たにゃー)
結標「あら、知り合いなの?ていうかあなた、そんな怪しいナリして高校生だったの?」
土御門「はぁ!?お前にだけは格好のこと言われたくないぜよぉおおお!!!」
結標「なんですってぇ!これはね、私のポリシーというかアイデンティティというか多分
そういう深淵な意味とかあるのよ!」
海原「いや正直、どっちもどっちですよねー」ハハハ
土御門「ンだこらァ!文字通り他人の皮かぶってるヤツには言われたくないぜい!!」
結標「そーよそーよ!その皮丸ごと座標移動させてやろうかしらぁ?」ヒュンヒュン- 593 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 23:00:47.13 ID:73K8Vbvp0
海原「ええええ!?!?助けてショチトルぅう……!!」
一方通行「チッ、くっだらねェ。話はもォ終わっただろ。俺は帰らせて貰うぜ」ガタッ
結標「あっ、ちょっと待ちなさいよ……!!」グイッ
一方通行「!?」グラッ
結標「(軽っ!!!)あ、ごめんなさ…」ガシッ
フニ
結標「!??qwrpふにgphw-1?!☆1!?!?!?!」
- 594 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 23:02:03.34 ID:73K8Vbvp0
土御門「?」
海原「?」
一方通行「……離せ」グイ
結標「」
一方通行「次こンなバカ騒ぎすンなら二度と来ねェぞ」スタスタスタスタ
土御門「…誰のせいだと思ってるんだ」ハァ
海原「……結標さん?どうして一方通行さんを支えた姿勢のまま固まってるんです?」
結標「」
土御門「アイツの細さに女としてショック受けたんじゃないかにゃー」
結標「」
結標(………マジで……?)
結標(今、胸触ったら確かに、ふにっ って…いや、すごい小さかったけどあれは確実
に女の子の胸、つまりおっぱい)
結標(一方通行におっぱい)
結標(おっぱいが一方通行におっぱい)
結標(おっぱい( ゚∀゚)o彡゜おっぱい( ゚∀゚)o彡゜)
結標(ハッ)
- 595 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 23:04:05.15 ID:73K8Vbvp0
結標「…はァああああ~~~~……」ガックリ
海原「固まってたと思ったら、今度はものすごいガッカリした顔で溜息ですか」
土御門「何だその黄昏た顔は」
結標「ふ…大切なものは、失ってから初めて気付くのね……いや別に特に大切という
こともなかったのだけれど」フフ…
土御門「羞恥心のことかにゃー?服装的な意味で」
結標「そのグラサン、向こうのキッチンのシチュー鍋にブチ込んでほしいのかしら」
土御門「ヤメテ!」ブルブル
結標「はぁ………」
結標(私って…一方通行のこと………)
結標(結構、守備範囲内に入れてたのね…。ギリギリで)
結標(ああ~~気付いてみれば、ホントギリギリいけたわー。あの絶妙な細さといい、
華奢な首筋といい、クッ…どうして今頃気付いたの…っ!!)ギリギリ
結標(まぁでも、あの凶悪な顔で台無しなのよね。寝顔とかかわいいんじゃないかしら)
結標(あいつ、人が近づくと起きちゃうからなぁ…)
結標(はぁ……ま、今となっちゃどうでもいいか)- 596 :1[sage saga]:2011/06/23(木) 23:05:06.00 ID:73K8Vbvp0
結標(あっ…でも)
結標(一方通行とJKトークしてみたい!!!!今度トイレ誘おっかな!!!)ピカーン
- 620 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:47:58.86 ID:W6sFsPAg0
第七学区、大通りに面したカフェ。
落ち着いた内装と高めに設定したメニューは学生達には少し敷居が高く、主には学園都市
内で働く大人がメインターゲットの店だ。
そこでアルバイトをし始めてもうすぐ一年になる彼女は、軽やかなドアベルと共に訪れた二人
連れの客に一瞬目を奪われた。
(うわ…すごい、真っ白…きれい)
だがすぐに我に返って「お二人様ですか?」と声を掛ける。
真っ白の髪と雪のような肌、ひどく印象的な赤い目の…おそらくは少年?が、ぞんざいに頷
いた。
大雑把な仕草なのに、迷いのない所作はどこか貴族的に思える。
「テラス席と店内のお席がありますが、どちらにいたしましょうか」
「天気いいし、外の席のがいいかも。ね、あくせられーた」
もう片方の、まるでテレビで見た修道女のような格好をした外国人の少女が隣を見上げると、
白い人は「あァ」と自分に対するより少し丁寧に頷いた。
あまりに目立つ二人組みで、周りの店員達や常連客も、少し驚いたような顔をしてから自分
の仕事や作業に戻る。見られるのには慣れているのか、二人とも無反応だ。
「では、こちらにどうぞ」
身体に染み付いたマニュアルのまま、メニューを手に通りに面したテラス席へ案内する。- 621 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:48:25.95 ID:W6sFsPAg0
時刻は午後三時。今日は良く晴れているけれど、日が傾き始めている今少し寒いのではな
いかと思い、テラス席用の暖房器具の近くの席を勧めた。
白いシスターはその気遣いに気付いてくれたらしく、にっこり微笑まれる。珍しい碧眼がとて
もきれいだなと思った。
「エスプレッソ」
「私はダージリンがいいかも」
「かしこまりました」
メニューすら見ないまま、二人とも迷いがない。きっと白い人はいつもコーヒーで、白いシス
ターはいつも紅茶なのだろう。
頷いて席を離れ、カップを二つトレイに載せて戻れば、二人はテーブルの上にチェス盤を広
げていた。
浮世離れした二人には不似合いな、玩具屋にでも置いてありそうな、安っぽいボードと駒。
けれど、白い二人にとってはとてもとても大切なものなのだろうと、彼女は気付かされる。
「ふんふふ、ふんふふ、ふっふっふ~ん」
白いシスターは、ご機嫌な様子で小さく鼻歌を歌いながら、小さな両手に大事そうに黒い駒
を握っている。
相対する白い人は細い足を高慢に組んで、繊細な形の顎を華奢な手で支えていた。
もう片方の白い手が、白い駒をくるり、くるり、と弄ぶ。駒を手に馴染ませるような仕草で、盤
を見下ろす赤い目が少し細められている。
寒々しい時期の昼下がり、テラス席に他の客はいない。
下校ラッシュも少々先の現在、人通りはまばらだった。控えめな雑踏が柔らかなBGMのよう
で、真冬の薄い陽光が白い二人を浮かび上がらせる。
(きれいだな……)- 622 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:48:51.70 ID:W6sFsPAg0
細く柔らかそうな白い髪と、淡く輝く銀色の髪が、それぞれの顔に儚い影を落とした。
可憐な顔立ちのシスターと、端正な雪細工のような白い人が、黒い駒と白い駒を交互に置い
ていく。ふと彼女は既視感を覚えた。
しばらく考え込んで、ああ、と思い出す。
(あれだ…こないだテレビに出てた、ヨーロッパの教会とかにある…宗教画?みたい)
そしてすぐに、宗教のことなんて何もわからないのにと内心苦笑する。
ただ何となく、目を伏せた静かな表情は、祈りを捧げているようにも思えた。
誰も入ることが出来ないような、二人だけの静謐と思考の世界。
自然と、二人の邪魔をしてはいけない、と思う。
彼女は、そっとテーブルの端にトレイを置いて、足音を忍ばせて立ち去った。
外から店の中に戻り皿を洗っていた彼女は、突如、ビクリと打たれたように動きを止める。
(帰らなきゃ)
その考えで急に頭が一杯になり、他のことを全て思考の外へ追いやってしまう。
(帰らなきゃ、今スグ、迅速に、ナルベク不自然じゃナイ行動ヲ)
彼女は皿を置き、制服を着替え、バッグを抱えて足早に店を後にする。
ほんの数分前まで店員や常連客で賑わっていたはずの店内は、無人の静寂て満たされ
ていたが、不自然に思うことはなかった。
- 623 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:49:32.44 ID:W6sFsPAg0
「……紅茶来ましたけどォ?」
「んー?うん、そうだね」
当然ウェイトレスに気付いていた一方通行は、盤を眺めたままの白いシスターに声を掛
けた。
デミタスカップに指を伸ばし、少しだけ口に含んで香りを味わう。
「オマエが美味しい紅茶飲みたいとか駄々捏ねるから来たンだぜ。冷めたら台無しだろ」
ネットで適当に調べた、美味い紅茶を出す店だ。
チラリと時計を見れば、もうすぐ午後三時半。あのツンツン頭の下校時刻まであと少し。
あまり勝手に外には出るなと言われていると、インデックスが文句を漏らしていた。
それは自分が打ち止めに「勝手にウロつくな」と言い聞かせているのと、同じような心情と
理由のような気がする。
少女が「とうまには内緒ね!」と頼むものだから、上条には何の連絡もしていない。
しかしやはり、言っておくべきだったのではないか。今更遅いが、せめてあの男が帰って
来るまでには、寮に戻るべきだろう。
「んー…飲む、飲むんだよー」
現状、インデックスの黒が少々劣勢だ。頭の中でこの状況を引っくり返すための棋譜を
検索しているのか、瞬きもしないまま盤を凝視している。
しかしわざわざ来た目的を思い出したらしく、盤を見つめたまま小さな手をティーカップ
に伸ばした。
「…っ!あ、あつっ」
そのまま紅茶の中に指を突っ込んで、インデックスが飛び上がる。
「このバカ!」
一方通行は慌てて電極のスイッチを入れ、火傷の応急手当をするためにその小さな手を
取ろうとした。
「あっ!だ、ダメなんだよ!!」
が、伸ばした手を払われて、驚いて硬直する。
パシン、という乾いた音はどうしてか身体の芯まで響いて、一方通行は自分が何故ここま
で驚いたのか、理解出来ずに戸惑った。
「ち、違うんだよ…!」
「……?何が?」- 624 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:50:01.88 ID:W6sFsPAg0
「く、詳しくは言えないけど、私はイギリス清教『必要悪の教会』でとても重要な役割を任され
ているんだよ。だから、得体の知れない力が私に接触したら、魔術的な防御機能が起動し
てしまうかもしれなくて、だから…っ」
魔術。ここ最近ようやく知った、自分が生まれてから今まで世界の理だと信じていた『科学』
とは、異なる法則を持つ世界。
上条当麻がそこに深く関わっているらしいことは以前知ったが、この少女もそうだったのか。
ロシアで知り得た情報やインデックスの言葉から、『禁書目録』がひどく希少な役目を負って
いることは想像に難くなかったが、やはりと納得した。
「だから、そんな顔をしないでほしいんだよ、あくせられーた…」
だが納得する一方通行を余所に、白くて小さな手が伸びて、先ほど払ったばかりの、同じよ
うな色の手を、ぎゅうっと握り締める。
インデックスは悲しげな顔をしていて、お前の方こそそんな顔をするな、と一方通行は思う。
「あくせられーたはチョーノーリョクで私の火傷を治してくれようとしたんだよね?」
「……あァ」
「ありがとう、やっぱりあなたは優しいんだよ。でも、ダメなの。あくせられーたの力が私に干
渉したら、私はわたしでなくなってしまうかもしれないんだよ…。それが、すごく怖いの。……
ごめんね、あくせられーた」
「…別に、気にしてねェよ」
そもそも、ここまで必死で謝られるようなことをされた覚えもない。
そうさせたのは自分だとわかっていたけれど。
一方通行はこの戸惑いと、申し訳なさのようなものをどう返せばいいのかわからず、置かれ
ていたお絞りにお冷の氷を包み、インデックスの指先を包んだ。
異なる世界の理を話す彼女の言葉は理解し難い部分もあったが、つまり能力を使わず普通
に冷やす分には問題ないのだろう。- 625 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:50:55.21 ID:W6sFsPAg0
「痛むか」
「えへへ…。大丈夫なんだよ」
その予想は当たっていたらしく、インデックスは少し照れくさそうに笑う。
緩んだ丸い頬を見て、一方通行は浅く溜息をついた。
「………っ!!!」
だが、半瞬後に鋭く息を呑む。
ざらりと気持ちの悪い、胸を苛む圧迫感。ロシアで何度も味わった、危機を示すそれ。
一方通行は電極のスイッチを切ろうとしていた指先を止め、周囲を見回し警戒した。
「人払いの魔術…!」
インデックスが緊迫した表情で顔を上げる。
「魔術だと…?」
「そう、間違いなく狙われてるのは私!だからあくせられーた、逃げ…っ」
必死の形相が訴えたのと、ほぼ同時。
突如虚空に出現した白光が、一方通行の眉間に突き刺さる。当然反射膜を展開していた超
能力者は、とりあえず虚空に逸らそうとした。
「……っ!?」
だが、ぬるりとした嫌な感触と共に、向かって右側に逸れる。右側。インデックスの座ってい
た方へと。
「インデックス!!」
「きゃあっ…!!!」
白光は、二人の間にあったテーブルを粉々に破壊した。
その上に乗っていた、安っぽい作りの、チェスボードごと。
ボードの破片が少女の柔らかな頬を大きく裂いて、愛らしい顔がくしゃりと歪む。
「あ、と、とうまの、とうまがくれた……っ」
今にも泣き出しそうな碧眼に、一方通行の胸が突かれたように痛んだ。
気まずそうにチェスセットを渡してくれたツンツン頭の顔が、何時間も対戦し続ける自分達
を眺める嬉しげな顔が、目の裏に瞬く。
「……っ、俺が、また買ってやる!行くぞインデックス!」
そんなものじゃダメだ。例え数十万の高級品であっても、『これ』と代えることは出来ないと
わかっている。
初めて触れた娯楽としての勝負、その軽い感触も手に馴染んだ粗雑な作りの駒も、もう二
度と戻らない。
「クソが……ッ」
そんな感傷に浸っている場合ではないのに。
だが一方通行は生まれて初めてのそれを振り切ることが出来ないまま、インデックスを抱
えて地を蹴った。
- 626 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:51:31.05 ID:W6sFsPAg0
「な、んだって、魔術師が…っ!?」
授業を終えて帰宅しようとしていた上条は、緊迫した表情のクラスメートに呼び止められ
て、焦燥の滲む声を上げる。
多重スパイの持つ情報網が、学園都市内への魔術師の潜入を確認したというのだ。
「クソッ、ステイルも神裂もいないってのに!」
「禁書目録の居場所は?学生寮にはいないようだが」
「はぁ!?どこ行ったんだよあいつは…!」
「連絡は取れるか?」
普段の軽い口調を改めた土御門が、インデックスと連絡を取るよう催促する。
言われる前に携帯電話を取り出して発信するが、何度コールしても繋がらない。
「そうだ、GPS機能…!」
なかなか携帯電話に慣れないインデックス用にと、以前GPS機能がついたものを渡して
おいたのだ。
家に置き忘れていることを恐れたが、上条の携帯電話にインデックスの現在位置と思わ
れる光点が表示される。車にでも乗っているのか、高速で移動していた。
「だ、第七学区内だ!ここから近い!」
「よし、行くぜ上やん!」
促されるより先に、全力で駆け出した。下手にバスやタクシーを使うより、走って行った方
が恐らくは早い。
(インデックス……!!!)
吐き気を催すような焦燥が、上条の喉奥からせり上がって来る。
あの小柄な少女が笑っていないと、上手く息が出来ない。落ち着いて空を見上げることも
出来ない。
インデックスは自分にとって、『平和な日常』そのもの。記憶を失う前の自分がどんな日常
を送っていたのか知らないが、そんなことはどうでもよかった。
気が付けば、当たり前のように側で笑っていてくれた。それだけのことが、どれだけ力強く
自分を支えてくれていたか。- 627 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:52:01.27 ID:W6sFsPAg0
不意に、打ち止めを眺める一方通行の横顔が浮かぶ。
(そうだ、一方通行に……!)
この気持ちは、一方通行があの少女に向ける気持ちに、よく似たものだと知っている。
打ち止めが昼寝しているのを見下ろす顔や、インデックスと遊ぶ打ち止めを横目で眺める
顔が、自分に似ていると感じる。
それに一方通行はインデックスと仲が良い。学園都市最強が協力してくれれば心強いこと
この上ない。
「……………」
今日は来訪の連絡は受けていないが、電話をすればきっと駆けつけてくれる。
だが上条は、走りながら一端開いた携帯電話の画面を数秒眺めて、元の通りに閉じてポケ
ットに捻じ込んだ。
「上やん、何やってんだ!」
走るスピードが落ちた上条を、先んじていた土御門が叱咤する。
「ああ、今行く…!!」
腹の底から答えて、力強く地を蹴った。
(アイツは巻き込めない。…巻き込んじゃダメだ)
ロシアで自分と相対した時の顔を、手元に返す。
辛そうな顔をしていた。泣きそうな顔をしていた。
一方通行はきっともう、戦うことなんて好きじゃない。
けれど今までずっと、自分と同じように、大切な人の盾になりたくて戦ってきた。
だからこそ、上条は、一方通行に二度とあんな顔をしてほしくなかった。ずっと、例えばイン
デックスとチェスをしている時のような、穏やかな表情でいてほしかった。
(大丈夫だ、俺一人で!!)
ずっと、今までだってそうだった。どんなに協力者がいてくれても、インデックスを助けること
が出来るのは、いつだって自分だけだった。
(無事で居てくれよ、インデックス…!!!)
- 628 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:52:33.55 ID:W6sFsPAg0
一方通行は内心で歯噛みしながら、ビル群の上を移動していた。
「クソッ…!!」
何度弾いても尽きることのない白い光弾が、二秒の間も置かず、虚空を裂いて現れる。
白光は何度も一方通行の頭部を狙い、その度にあらぬ方向に逸れ、
「あぅ…!」
腕の中の白い少女を傷つけていく。肉の焼ける匂い。既に真っ白い修道服は血の色に
染められていた。
超能力と違い、魔術という『異なる法則』に則った力を、一方通行は正確に反射すること
が出来ない。
ロシアで『入力』し、自身で異なる法則の力を行使することによってある程度の理解はし
ていたつもりだったが、何故かこの光を反射することは敵わないのだ。
「だ、大丈夫なんだよあくせられーた!こんなの全然平気…!」
インデックスが一方通行の服を掴んで、場違いに明るく声を掛ける。
幾度も光が掠めた頬で笑えば痛むのか、その表情は少しいびつで、一方通行は奥歯が
砕けそうな力で噛み締めた。
「黙ってろ、舌噛むぞ!」- 629 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:53:04.76 ID:W6sFsPAg0
その気になれば一方通行は、音速を超える速度で移動出来る。
この攻撃が本当に光速であれば追いつかれるが、射程範囲外に脱出は可能。だが、何
の干渉も出来ない生身のインデックスの身体が、その衝撃に耐えることなど無理な話だ。
結果として、ごく常識的な、自動車程度の速度でしか移動できない。
(どうする…!どうやって敵の居場所を掴めばいい)
例えばライフルならばどんな遠距離からの狙撃でも反射出来るが、この光は何の前触
れもなく虚空から現れる。
学園都市第一位の能力でも知覚できないそれは、かろうじて視認できるだけだ。
白光は一方通行しか狙わないので、襲撃者はインデックスを傷つけるつもりはないのだ
ろう。
いっそのこと自分は離れた方がいいのかとも思ったが、この少女にまともな戦闘能力な
ど無いことは確認済みだった。
こんな方法で狙う輩に攫われて、五体満足のまま助け出せると思えるほど、一方通行は
楽観的ではない。
「………っ!!」
自分の左側頭部を狙った白光が逸れ、インデックスの肩口を裂く。どれだけ腕の中に深
く抱き込もうとも、何発かに一発は、白い少女を傷つけた。
だがインデックスは声を上げまいと、必死で唇を噛んでいる。
(…俺のためか、チクショウ…!)
何度自分を置いて逃げろと訴えても聞き入れられないから、せめて苦しむ様を見せまい
としているのだ。
「………っ」
噛み締めた唇から、血の味がした。- 630 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:53:48.59 ID:W6sFsPAg0
本当に、本当に、自分の力は、何かを守ることには向いていない。
守れるのは自分だけ。自分の身だけを守り、代わりに側にいる人を傷つける。たった今、
まさにそうだ。
資質がない。才能がない。
この身は『反射』の一方通行。
能力の特徴など関係ない、自分という人間の本質が、どこまでも他人を傷つける。
今まで幾度も幾度も突き付けられた事実は、一生変わらぬままだろう。
(だがそれがどうした、クソッタレ…!!!)
一方通行は、インデックスを抱き締める腕に力を込めた。
あの少年だって、上条当麻だって、自分を支える確かなものも、資格も持たないまま、
ただ湧き上がる気持ちを信じて行動しているのだ。
向いてないから何だ。才能がないから、一体なんだというのか。
もうそんな所に逃げないと決めた。とっくの昔に。
『だから…お前と俺は似てるって、思うんだよ』
何も持たないまま、あれほどまでに力強く拳を握ることが出来る男が、笑って手渡して
くれた言葉を、手元に返して握り締める。
この、希望に似た言葉を信じよう。
自分にもあんな風に、大切を侵す危機に、立ち向かえる強さがあると。
- 631 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:54:29.71 ID:W6sFsPAg0
(法則、逆算、解析……)
一方通行は意識を極限まで研ぎ澄まし、未知の法則を掴もうとしていた。
ロシアで『入力』した法則と、共通点はあるはずだ。勘でしかなかったが、このぬめる
ような感触はあれと酷似している。
恐らくは、水道の蛇口とシャワーのような関係。元となるものは同じ水、起こる結果も
似通っていて、その出口が少し違うだけ。
幸いにも異なる攻撃が来ることはなく、馬鹿の一つ覚えのように虚空から白光が襲う。
サンプルはある。似通った『法則』も得ている。出来ないはずがない。ロシアの時に比
べれば児戯に等しい。
(光の内容は208メガワットの赤外線。直径5.6mm、波長は2.8μm。虚空から出て来
ンのは減衰防止か?いや、自分の常識に置き換えンな)
そもそも赤外線は可視光線ではない。攻撃手段としては不可視の方が良いに決まっ
ているので、この白い光には重要な役割があるはず。
(白色光はすべての波長の可視光線を対等的、均質的に含んだ光。コレの中身は赤
外線だ、見え方と中身が矛盾している)
先ほどテーブルに着弾した時も、通常の赤外線レーザーであれば穴が空くだけのは
ずが、小規模ながら爆発した。
常識ではありえないが、この白色光自体が強力な赤外線と破裂を生み出す光共振
器の役割を果たしているのかもしれない。
(あの白色光の役割が、光共振器とレーザー媒質のようなものだとすれば)
反転分布。誘導放出。結果としてそれに似た現象を起こすには、と一方通行は新た
に得た『法則』内を検索する。
0.5秒も掛からなかった。
同時に、一方通行の前方三メートルの虚空に、白光が瞬く。
眉間を正確に貫こうとしたそれは、キン、と今までに無かった澄んだ音を立てて、真
っ直ぐ正面に『反射』された。
「…はッ、数打ってりゃいつか当たるってか?そンなワケねェだろォが」
演算通りの現象に、一方通行は会心の笑みを漏らす。
解析するための時間とサンプルを与えておいてどうにかなると思われていたのなら、
随分と舐められたものだ。- 632 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:54:55.52 ID:W6sFsPAg0
「あくせられーた…!」
「…悪ィな、時間かかった」
一回のやり取りの間にも数回白光が襲うが、すべて綺麗に反射される。
もう、腕の中の少女を傷つけることはない。
「大丈夫!」
インデックスが、固く閉じていた碧眼を開いて明るく笑う。
「少し待ってて。魔術は私の世界だから」
一方通行とは異なる世界の中心に座する少女は、それまでとは異なる穏やかな表
情で目を閉じた。
時間にして15秒。白光が焦ったように降り注ぐが、二人を傷つけることは出来ない。
「遠隔狙撃用術式『ラッキヌフォ』」
インデックスが目を開く。澄んだ碧眼が、真っ直ぐに一方通行を見上げた。
「L'arc qui ne faut?」
「Oui」
音から予想して仏語で発音すれば、軽く頷かれる。
「日本語に直訳すれば『無駄なしの弓』。ケルト神話の英雄トリスタンがイゾルデと
森で暮らしている時に作ったと言われる、『人間でも獣でも狙った場所に必ず当たる
弓』の概念を利用した魔術だよ」
「ケルト神話…ねェ」
一方通行には寝言のように聞こえるが、インデックスは真剣そのものだ。郷に入り
ては郷に従えと、大人しく耳を傾ける。
「あ、馬鹿にしたでしょ!元になる神話や概念がわかれば、その対処法も明確にな
るのが魔術なんだよ!」
「そりゃ悪かった。で、対処法ってのは?」- 633 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:55:26.26 ID:W6sFsPAg0
「まず、射程距離はトリスタンが暮らしたという伝承の残る森の半径12342メートル」
頭の中にある本を読み上げるかのように、解説はスラスラと淀みない。
「使用するのは0.8メートルの弓型と竪琴型の霊装。対象の捕捉は術式内に組み込
まれているけど、対象との間に障害物があってはならないんだよ。『弓』だからね」
「ふゥン…」
一方通行は、相変わらず降り注ぎ続ける白光を無視して、周囲をぐるりと見渡した。
半径十キロ強では肉眼での目視は出来ないが。
「つまりねあくせられーた、こうやって飛んで逃げるんじゃなくて、建物の中に入れ
ばひとまずは…」
「必要ねェよ」
一方通行は、適当なビルの屋上に着地した。
持ち上げた指を、軽く打ち鳴らす。
パチン、という軽い音の振動数を一気に引き上げ、高振動数の超音波として周囲
に拡散させた。
動物が自分が発した音が何かにぶつかって返ってきたものを受信し、それによっ
て周囲にある物の形や距離を知る、反響定位。
用いる動物の中で有名なのはコウモリだが、一方通行はまさしく同じような能力を
有する。
間に障害物があれば使えないけれど、それが無いと判明し、敵の姿形がわかった
今、使わない手はない。
「弓、竪琴ねェ……」
呆れたような溜息を吐き出す学園都市最強は、普段の調子を取り戻していた。
軽く目を閉じて反響してくる超音波を解析し、数秒で静かに目を開く。- 634 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:56:13.52 ID:W6sFsPAg0
「………見ィつけた」
ニィ、と。
引き裂くような形に薄い唇を吊り上げ、軽く地を蹴って飛び上がる。
屋上の隅に設置されていたパラボラアンテナを蹴り飛ばせば、直径二メートルほど
の皿状の物体が、対空ミサイルのように空を切り裂いた。
「え、えっ……!?」
突然の行動と、遠くから響いた爆音に、インデックスが忙しなく瞬きをする。
ほぼ同時に、降り注いでいた白光がピタリと止んだ。
「あれ、魔術の気配が消えた…!?あくせられーた、何したの!?」
「アソコ」
一方通行はキツく抱き締めていた小柄な身体を解放して、向かって右前方を指差
した。
ここから北北東、4821メートル地点。
白い指の差す方には、遠く林立する白いビル群。その一つから煙が上がっている
のが何とか視認出来る。
日が傾きかけた真冬の薄い青空に、不吉な色の灰煙が溶けていき、インデックス
は瞠目した。
「まさか………」
「ン。オマエの言う『0.8メートルの弓型と竪琴型の何か』を持った奴がいやがった。
こンな街で、ビルの屋上にそンなのがいれば、100%『犯人』だろォよ」
位置さえわかるなら、例え未知の技で攻撃したとしても、一方通行の敵ではない。
「メチャクチャなんだよ……」
建物内に入った後、どうやって敵の位置を割り出すか、というとこまで考えてたん
だけどなぁ。
インデックスは呆れたように大きな目を瞬いた。
- 635 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:56:43.75 ID:W6sFsPAg0
少し様子を見て追撃が来ないことを確認し、土御門に後始末をするよう連絡して、
第七学区のカフェに戻る。
一方通行が逸らした魔術の余波で、テラス席はひどい有様だった。
しかし幸いにも怪我人はいないようだ。というか、まったくの無人である。
怪訝そうな顔になる一方通行に、インデックスが魔術には有効範囲内の人間を遠
ざけるものもあると説明した。
「でも術者が意識を失ったんなら、そろそろ人が戻り始めるかも」
「ふン…。便利なもンですねェ」
軽口を叩きながら店内に入り、お絞りに冷水を掛けたものを持ってインデックスの
側に戻る。
傷だらけの、血だらけの、少女の側に。
「……………」
魔術師の攻撃は、肌の表面を削っただけで、命に別状はなさそうだが。
柔らかそうな白い頬や純白の修道服に引っ掻いたような傷が走り、血を滲ませて
いる様子は、あまりに痛々しかった。
冷やして血を拭うために布を持ってきたはいいが、触れていいのか、一方通行に
はわからない。きっととても痛いだろう。
早く病院に連れて行かなければ。
(守りきったとは…とても言えねェな)
最近は見慣れてしまったツンツン頭の無能力者が、この少女に向ける笑顔を思い
出す。
傷だらけのインデックスを見たら、怒るだろうか。悲しむだろうか。両方か。- 636 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:57:15.35 ID:W6sFsPAg0
当の本人は、先ほど座っていた場所に歩み寄って、粉々に砕けたチェスセットを見
下ろしている。
安っぽいプラスチックのボードは溶けて破損し、一目見て二度と使い物にならない
とわかる。
割れた駒の破片を見ると、一方通行の指先がキリキリと痛んだ。このところほとん
ど毎日、あの駒を触っていた指先が。
「え、えへへ……とうまに怒られちゃうね、あくせられーた!『せっかく買ってきたの
に、不幸だー!』、って…笑って…」
インデックスは、ハッと気付いたように、明らかな空元気でこちらを見上げた。
「とうまはきっと笑ってくれるから、…あ、あくせられーた…そんな顔しないでぇ…っ」
そして、大きな碧色の目から、堰を切ったように、大粒の涙を溢れさせる。
チェスが壊れようが、魔術でその身が危うくなろうが、決して見せなかった涙をポロ
ポロと零しながら、白い少女は小さくて白い手をこちらに伸ばした。
反射的に、一歩後ずさる。
どうしてなのか、理由はわからなかった。ただ、このきれいな柔らかそうな手で、自
分に触れるべきではないと思った。
「あくせられーた…?」
春の新緑に似た色の目が見開かれ、数瞬後に、ぶわっと更に涙を溢れさせる。
「あ、いや……、………っ」
焦燥と、戸惑いと、慙愧と、そんなものが喉に詰まって、上手く声が出ない。
「ごめんね、あくせられーた…!!」
だがインデックスは、一方通行の動揺などおかまいなしに勢い良く足を踏み出した。- 637 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:57:57.78 ID:W6sFsPAg0
「……っ」
どん、と温かな塊が胸の中に飛び込んで来て、少しよろけながら慌てて受け止める。
受け止められることを信じて疑わない、迷いの無い仕草。
「あくせられーただって女の子なのに、私のせいでこんな目に合わせちゃってごめ
んなさい!私はいつもそうなんだよ、とうまだって私のせいでいっつも…!!」
普段は明るく弾むような声が、悲痛な想いに引き攣れている。
背中に縋りつく細い腕。胸元がじんわりと温かく濡れていく。いつも天真爛漫な少女
だが、こんな風に気にしていたのか。
「オマエのせいじゃ、ねェだろ………」
例えこの白い少女が狙われているのが事実だとしても、『インデックスのせい』など
と思うわけがない。
「…アイツだって、そォ思ってる」
「う…うん…っ!うん…っ、っく」
鼻先にある丸くて白い頭を凝視して、一方通行は恐る恐る手を伸ばす。
例えば打ち止めやミサカ10032号のように、触れるのを躊躇すれば、傷つけること
もあるのだと、もう知っているのだから。
そうっと触れて撫でれば、インデックスが小さくしゃくり上げた。
「病院…行くか」
「こ、これくらい平気なんだよ」
「ダメだ。…………それに、アイツにも連絡…」- 638 :1[sage saga]:2011/06/26(日) 14:58:30.92 ID:W6sFsPAg0
「インデックス!!!……あ、一方通行!?一緒だったのかお前ら!!!」
背中に叩きつけられた声に、ビクンッ、と全身が竦み上がる。
何だこの過剰反応は、と自分のことながら笑いたくなった。
目の前の白い頭に置かれた手が、細かく震えている。
振り返るのが、怖かった。
- 685 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:23:12.07 ID:L1skdhGm0
見慣れた修道服の少女に白い細い後姿が寄り添っているのを見た時、上条は安堵
のあまり膝から崩れ落ちそうになった。
(あれ、俺……)
一方通行がインデックスの側にいてくれた。よかった、大丈夫だと。
ほぼ反射で思ってしまい、そんな自分に少し驚く。
「あっ、とうまー!!!」
細い影から、活き活きした笑顔がひょいとのぞいて、ぶんぶん勢い良く手を振った。
少し涙ぐんでいるし怪我もしているのはかなり心配だったが、元気そうだ。
「ごめんな遅くなって、大丈夫だったか?」
小洒落たカフェの石畳は破壊され、テーブルは引っくり返って壊れているが、辺りに
敵の姿も攻撃の気配もない。もう終わったのだろう。
上条が割れた石の破片を踏みしだきながら二人に歩み寄れば、インデックスは大き
く頷いた。
「うん!あくせられーたが守ってくれたもん!!」
「そっか………」
長く息を吐き出す。やっぱりそうだったか。
心臓が、ようやく落ち着きを取り戻し始めている。
「一方通行?」
どうしてか反応しない細い背に再度声を掛けると、いつも大雑把な仕草の一方通行が、
見たこともないほど、ぎこちなく振り返る。- 686 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:23:59.73 ID:L1skdhGm0
「……っ、あ、あァ…オマエか…」
叱られる寸前の、子供のような顔をしていた。
どうしてそんな顔をしているのか不思議に思うより前に、胸が締め付けられるようにな
って、一瞬言葉を失う。
「…………」
「…………」
それをどう取ったのか、白い顔が更にすうっと色を失って、赤い目が揺らいだ気がした。
「あ……」
自分でも何を言おうとしたのかわからないまま口を開くと、一方通行が唇を噛み締める。
「ったく、丸投げしてくれるな、一方通行。お前は学園都市側の切り札なんだ、あまり気
軽に外の連中に接触するんじゃない」
そこに、先ほどから方々に電話を掛けていて遅れていた土御門が、追いついて声を掛
けて来る。
すると、あまりに無防備だった白い顔が、カチリとスイッチを入れたように切り替わった。
「あァ?そンなら簡単に侵入されてンじゃねェよ。ここの警備はザルか何かか」
普段通りの不機嫌そうなしかめっ面に、上条は取り返しのつかない機会を逸したよう
な、ひどい焦燥に駆られる。
ただ何と言っていいのかわからず、目についたわかりやすい疑問だけを、ようやく口
にした。
「えっ…?知り合いなのか、二人とも!?」
「まぁ、少しな。…だいたい、禁書目録には防御機能が付いているだろう。わざわざお
前が戦う必要もなかったと思うが。アレに勝てる魔術師などほぼ存在しない」
『自動書記』のことを言っているのだと、上条はすぐに悟る。だが表情を強張らせたイ
ンデックスを見て、普段とは違う顔のクラスメートを睨んだ。
「土御門…!」
『自動書記』は、インデックスという個人とはまったく異なる、魔道図書館を守るためだ
けの魔術的な仮想人格。- 687 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:24:32.64 ID:L1skdhGm0
ただ「敵性」と判断した者を容赦なく破壊する。「入れ物」の少女がその「敵性」にどん
な想いを抱いていたとしても、まったく無頓着に。
気が付けば、大事に想っていた人が傷ついている。しかもそうしたのは自分自身。
繰り返されるそれに、インデックスが一体どれだけ打ちのめされたのか。上条には想
像することしか出来ない。
そして、だからこそ、『自動書記』を使え、と簡単に口にする土御門を見過ごすことは
出来なかった。
「防御機能?なンのことだ、土御門」
だが一方通行が上条の言葉を遮り、先を促す。
「何だ、知らなかったのか。そこの禁書目録は、イギリス清教の最高機密。他の魔術
結社に奪われることを防ぐため、敵対者への防御機能が備わっている。ま、例えて
言うなら、お前と戦ってもそうそう引けを取らないレベルだ」
「……へェ。そりゃ無駄骨折っちまったなァ」
学園都市側の最高機密は、低く吐き捨てた。
「ちがう、あくせられーた!!」
インデックスが悲鳴のような声を上げるが、一方通行は優しく白い少女を押し退ける。
「帰るわ」
一言だけポツリと呟き、トンと地を蹴った。
「一方通行!!待てよ、一方通行…っ!!」
上条は思わず駆け出してその細い腕を掴もうとするが、掌は空を切る。
「一方通行!!!」
どうしてもこのまま行かせたくなくて声を張り上げるが、白い顔は二度と振り向かなか
った。
薄闇に染まりかけた空に、華奢な背が溶け入る。
「……………」
追いかけようとしたけれど、ビルの屋上に跳躍したらしい影は、目で追うことすら出来
なかった。
「ぅぅううううぅううう~~~!!こ、このっ、けーわいグラサン!!!!」
「えええ!?そんなん生まれて初めて言われたにゃーー!」
インデックスが土御門をポカポカ殴るのを横目に、上条は一方通行の消えた夕空を
見上げた。
一方通行は、どうしてあんな顔をしていたのか。自分は、何を言おうとしたのか。
右手を硬く握り締め。
- 688 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:25:10.80 ID:L1skdhGm0
PM 8:20 黄泉川家 リビング
芳川「………」カタカタカタカタ
一方通行「…………」
芳川「……んー、PC画面で読むの面倒ね。紙に出力しちゃおうかしら」ピッ ウィーン ウィーン
一方通行「…………」
芳川「一方通行、あなたもコーヒー飲む?」スクッ スタスタ
一方通行「………あァ…」コク
芳川「愛穂、最終信号と番外個体を病院に迎えに行くって言ってたじゃない?」
一方通行「ン……」
芳川「仕事で少し遅くなっちゃったから、帰りに夕飯三人で食べて来るって。私達はどう
しようかしら?」コポポポ
一方通行「……いらねェ」- 689 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:25:36.81 ID:L1skdhGm0
芳川「そう。私もいいかな。お昼遅かったし。…はい、コーヒー」スタスタ ストン
一方通行「ン」
芳川「…………」ズズー ペラ
一方通行「…………」
芳川「…………」ズズー ペラ
一方通行「…………」
芳川「……あ、そうだ、これあなたも読む?この人の前の前の論文には目を通してたと
思うけれど」ペラ
一方通行「……あァ。コイツか。『外』の研究者の論文にしちゃ、見れたな」ペラ
芳川「そうね。一般的にクローン種が短命とされる理由、テロメアの短さを克服するため
の実証研究。テロメラーゼ無しにヘイフリック限界を超えることが可能か…」ペラ
一方通行「なかなか几帳面なヤツだ」ペラ
芳川「ええ、好感が持てるわね。ひとつひとつ、とても真面目に研究を続けてる。学園都
市で発見、実行されている方法とは、違う形のものを見つけるかも」ペラ
一方通行「違う形か………」ペラ
芳川「この人ね、元は考古学者だったらしいのよ」ペラ
一方通行「随分と畑違いなこって」ペラ
芳川「子供の頃から、古代遺跡世紀の発見…ってところを夢見ていたけれど、遺跡発掘
のため借金ばかりを抱えて破産寸前」ペラ
一方通行「アホだな」ペラ
芳川「ええ。それでたまたま友人の紹介で、今まで発掘した植物の化石の研究を手伝う
ことになったそうなのよ」
一方通行「ふゥン……」ペラ
芳川「元々真面目な性格だったんでしょうね。琥珀に閉じ込められた古代植物の遺伝子
についての研究で成果を出すまでに十年。けれどそこで実は考古学者としての経
験が役に立ったと聞くわ。そして、今では一角の遺伝子研究者というわけよ」ペラ
一方通行「………」ペラ- 690 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:26:05.75 ID:L1skdhGm0
芳川「子供の頃からの夢を追うのが理想の人生、という風潮があるけれど、私はそれば
かりが真実だとは思わない。一度志した道を失敗したからこそ、今を真剣に考える
ことが出来る」
一方通行「…………」
芳川「そして道を違えていてこそ、大事なものを見つけ出せることもある。そういうものだ
と私は思うわ」
一方通行「……何が言いたい」
芳川「ただの世間話よ。個人的に好感を持ってる研究者についての一見識」クス
一方通行「………」チッ フイ
芳川「……コーヒー、冷めちゃうわよ」ペラ
一方通行「…………芳川…」
芳川「なぁに?」ペラ
一方通行「…例えばの話だが」
芳川「ええ」ペラ
一方通行「……やっぱりいい」フイ
芳川「そこまで来たら言わんかい」ペシッ
一方通行「!?!?」
芳川「それで?」ペラ
一方通行「………だから…」
芳川「ええ」ペラ
一方通行「例えば…俺と黄泉川が出かけたとして…」
芳川「ええ」ペラ
一方通行「黄泉川が怪我をして、俺が無傷で帰って来たら、お前…どう思う?」
芳川「愛穂が心配ね。でも、あなたが無事でよかった」ペラ- 691 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:27:00.01 ID:L1skdhGm0
一方通行「……そンだけかよ」
芳川「ええ」ペラ
一方通行「…………」
芳川「不満かしら。じゃあ、そうね…。きっとあなた達は誰かに襲われて怪我をしたのでしょ
う?多分私のせいね。私がいたからそんなことになってしまったのね。私さえいなけ
ればあなた達は怪我をしたりしなかった。私には、こんなところでのうのうと幸せを
貪ってる資格なんかない。自分に甘いだけの私は、強くて優しいあなた達の前から
消えるべきなのでしょうね」
一方通行「芳川」
芳川「あら、怖い顔」クス
一方通行「…消えたりしたら、許さねェ」
芳川「その言葉、そっくりそのままお返しするわよ」ホホホ
一方通行「…………」チッ
芳川「一方通行」
一方通行「何だよ」
芳川「今度は何を怖がっているの?」
一方通行「誰に物言ってやがる」
芳川「強くて優しいけれど、とても臆病な女の子に」クスクス
一方通行「ぶっ殺すぞ」
芳川「ふふ、相変わらず強がりねぇ。…でも、私はあなたが本当に何かを…誰かを怖がって
いるのなら、嬉しいわよ」
一方通行「……何で」ムス
芳川「怖いのは、大切だから。失うことを恐怖しているから。あなたにまたそういう気持ちが
生まれたのなら、当然家族としては喜ぶべきことでしょう?」
一方通行「……アイツは、そォいうンじゃねェ」
芳川「アイツってどこのどちら様?」キラーン
一方通行「…最近出来たチェス仲間」
芳川「嘘ね。その子の話は聞いたことあるもの。素直に言ったってことは、あなたのことだか
ら、それはデコイでしょ。騙されないわよ」ウフフフ- 692 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:27:25.89 ID:L1skdhGm0
一方通行「うっぜェババァだな」チッ
芳川「言ったわね小娘」
一方通行「小娘って………」ハァ
芳川「あなたなんて小娘よ。家族以外が怖くてプルプル震えてる子ウサギちゃん」クスクス
一方通行「言ってろ」
一方携帯< prrrr
一方通行「!!」ビクッ
一方携帯< prrrr prrrr prrrr prrrr prrrr prrrr prrrr …
一方通行「…………」
芳川「…………」
一方携帯< prrrr prrrr prrrr …プツッ
一方通行「…………」ホ
芳川「ウサギちゃんは物音に敏感ねぇ。さっきから鳴りっ放しでああうるさいうるさい」ホホホ
一方通行「うぜェ」
芳川「誰からの電話?」
一方通行「関係ねェだろ」
芳川「あるわよ。あなたは私の…私達の大事な家族だもの」
一方通行「…………」
芳川「嬉しいとは言ったけれど、あなたが本当に怖いのなら、ずっと家の中に居なさい。私
と愛穂が守ってあげるわ。一生ね」
一方通行「過保護なババァどもですねェ」
芳川「あなたほどじゃないわねぇ」ペラ- 693 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:28:03.96 ID:L1skdhGm0
ピンポーン
芳川「あら、愛穂達が帰って来たみたい」スクッ スタスタ
ピンポーンピンポーンピンポーン
芳川「はいはい。せっかちねぇ」ガチャ
黄泉川「ただいまじゃーん」
芳川「おかえりなさい。………あら?」
「夜分遅くにすみません。一方通行居ますか?」
芳川「あなたは……?」
上条「あ、俺上条当麻っていいます。一方通行の友達で…」
芳川「友達。あの子の」パチクリ
上条「はい。電話しても出ないから、心配で…っていうか、俺どうしても会いたくて」
芳川「あら。熱烈ね」クス
上条「はい!?い、いやいやいやそういうんじゃなくて、俺はただ話が!!」アセアセ
芳川(あらあらこの反応……知ってるのね、あの子の性別のこと)マジマジ
打ち止め「あの人が電話無視するってこの人から相談があったから、じゃあ直接家に来
て会えばいいよって、ミサカがミサカが提案したのだ!」エヘン
芳川「電話?あなたが?へぇぇ~~……」マジマジ
上条「………?」- 694 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:28:33.84 ID:L1skdhGm0
芳川「ふふ。あなたは随分、人の目を真っ直ぐに見るのね。居心地が悪いくらい」
上条「え!?す、すみません…」
芳川「いいのよ。目を見られて居心地が悪いのは、その人に後ろ暗いところがあるから
だもの」
上条「え、えーと……」
打ち止め「そんなことはいいからヒーローさん、早く早く!ってミサカはミサカは手を引い
て駆け出してみたり!」タタッ
上条「あ、ああ。お邪魔します!!」タタタ
黄泉川「はいよ。絡み辛い同居人で悪いじゃん……」ハァ
芳川「失礼ね愛穂ったら」クスクス
番外個体「………………」ブスー
黄泉川「ほら番外個体、いつまで拗ねてるじゃん。早く入っといで」
番外個体「……別に拗ねたりなんかしてないし」ムスー
芳川「どうしたの、番外個体」
番外個体「最終信号が、上条当麻を勝手に家に呼んでさぁ」
芳川「無断で入って来たわけじゃないでしょう」
黄泉川「当然じゃん。マンションの前で待ち合わせして、なんだか見たことないくらい格
式ばって挨拶されたよ」ハハハ
番外個体「でも!でも、この家はミサカ達の家じゃん…!!他人が土足で入って来るな
んてイヤだよ」
黄泉川「上条はちゃんと靴脱いで上がっていったじゃん?先にリビング行くよ?」スタスタ
番外個体「そういうことじゃなくてぇ!!」キィー- 695 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:29:11.46 ID:L1skdhGm0
芳川「…あなたって仮にあの子が結婚したら、すごい小姑になりそうよねぇ」
番外個体「けけけけけケケケ!!?!?!?」ブワッ
芳川「変な笑い方みたいになってるわよ。あっ、普段通りだったわね」プッ
番外個体「ヨシカワぁああああ!!!!もうっ、聞いてよヨミカワ、ヨシカワがぁあ!!」タッ
黄泉川「はいはいはいはい。こら桔梗」ヨシヨシ
芳川「はいはい。冗談よ、冗談」
芳川(さて、上条くんだったかしら。あの子と全然違うタイプだけど、ちゃんと話せている
かしらね?番外個体と違って最終信号はすごく空気を読む子だけど…)スタスタ
上条「………」ポツーン
打ち止め「………」ポツーン
芳川「…あら?一方通行はどうしたの?」??
上条「いえ、あの、入って来た時には誰も……」
打ち止め「え!?やっぱりさっきまで居たのよね!?ってミサカはミサカは玄関にいた
時は間違いなくあの人の気配を感じていたことを明かしてみたり!」
芳川「え……?…あら、窓が………」
ヒュゥウウ……
芳川「さっきまで閉めていたのだけれど」カラカラ
打ち止め「…ハッ!まさか!ってミサカはミサカはベランダに走り出てみる!」タタタ
打ち止め「ああああ!やっぱり!ベランダに置いてあったあの人の靴がない!ってミ
サカはミサカは発見してみたり!!」
芳川「………逃げた?…あの子が?」ポカーン
番外個体「ぷ、はは、ひゃははは…逃げられてやんの、嫌われたもんだねぇ?」
打ち止め「妹よ、顔色が悪いぞ、ってミサカはミサカはツッコんでみる」ハァ
黄泉川「…上条。あの子に何したじゃん?」ギロリ
上条「な、何もしてませんよ!?い、いやしたかもしれないけど、わ、わかんなくて…
だから、話をしに、俺は……!」キッ
上条「………一方通行」
- 696 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:29:44.83 ID:L1skdhGm0
第十六学区。
学園都市内で最も発展した商業区画であり、屈指の高層ビルが立ち並ぶ。
この街特有の青白い光が、白いビル群を淡く浮かび上がらせていた。
「…………」
一方通行は、その中でも最も高いビルの、屋上の端に座り込んでいる。
真冬の夜だ。地上二百メートルのその場所には、強い寒風が吹き荒れていた。
白い髪を容赦なく掻き乱し、剥き出しの首筋や掌はどんどんかじかんでいく。
「……寒ィ」
ポツリと呟いた。- 697 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:30:10.27 ID:L1skdhGm0
能力を失ってから初めて過ごした冬だった。それまで一定以上の熱気も冷気も反射し
て来た一方通行にとっては、生まれて初めての冬と言ってもいい。
寒いというのは、こういうことか。顔も首も耳も手もジンと痺れ、吹きっ晒しの身体全部
がどんどん冷えていく。
ここに一人で来たのは、久しぶりだった。
以前は、例えば実験の後なんかに、よく一人で夜景を見下ろしていた。打ち止めが見
れば歓声を上げるが、一方通行はこの眺めを美しいと思ったことなど一度もない。
一般的に言えば壮観なのだろうと想像出来ても、実際に心が動いたことはなかった。
景色だけではない。どんなものにも、どんな色にも形にも、感銘など受けない。それは
きっと、自分の心が『人間』ではないからだと思っていた。
腹の足しにもならないものを見て感動するのは、恐らく人間特有のものだろうから。
例えば、動物の視界はモノクロに近いという。
一方通行の視界には、打ち止めやあの家の温もりの側にいたなら、少し色が付く。し
かしきっと、それが自分の限界。
(……ツマんねェ眺めだ)
青白い、青緑、そんな光の無数の集まり。この悪意が凝り固まったような街を動かす
源の色だ。
いつもここに来ていた理由は特にないと。
そう思っていたけれど、今考えれば、この場所と自分がどこか似ていると思っていた
からだと気付かされる。
他に誰もいない、誰の手も届かない、高い高い空間。文字通りの『無敵』である場所。
誰からも、悪意からも善意からも、遠い場所。
誰もいない。誰もいらない。誰も、俺の側に近づくなと。
以前とは少しだけ違うところに立っているからこそ、そう気付かされた。- 698 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:30:39.48 ID:L1skdhGm0
足音が聞こえる。
- 699 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:31:09.66 ID:L1skdhGm0
一方通行は、深く息をついた。
ふわりと白いもやが広がり、眺める間もなく闇に溶けて行く。
手の中にある黒い携帯電話が、着信を知らせて何度も明滅していた。
「何をやってるンだかなァ……」
玄関からあの少年の声が聞こえて、考えるよりも先に身体が動いた。電極のスイッチ
を入れ、ベランダから外に飛んだ。
逃げた。
それでいて、携帯電話は持って来ているという、みっともなさ。
一方通行は冷えすぎてほぼ感覚のない手で、明滅する光を握り締める。ただの金属
と樹脂の塊が、じわりと指先を溶かした気がした。- 700 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:31:36.53 ID:L1skdhGm0
足音が聞こえる。忙しない。
- 701 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:32:11.59 ID:L1skdhGm0
少し目線を上げれば、月が出ていた。真っ暗の中浮かび上がる白いその色に、あの
シスターを思い出す。
怪我は、どうだったのだろう。今頃痛んでいないだろうか。
本人は大丈夫だと言っていたが、バイタルサインも確かめられなかったから、本当の
ところはわからない。
『インデックス!!!』
背中にぶつけられた声を、胸元に返す。ぐ、と上から押さえつけられたように息がし
にくい。
とても心配そうな声だった。理解できる。打ち止めを呼ぶ時の、自分の声音に似てい
たから。
だったら、だったら、あの少年は自分のことをどう思っただろうか。- 702 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:32:40.08 ID:L1skdhGm0
足音が聞こえる。随分近くなった。
- 703 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:33:18.53 ID:L1skdhGm0
大切な少女の側にいたのに、学園都市最強などと呼ばれているクセに、守ることの
出来なかった自分を、どう思ったのだろう。
お前は俺に似ていると、渡してくれた言葉。それを撤回したくはならなかったか。
例えば一緒にいたのが一方通行じゃなく自分だったらと、あの少年は考えたのでは
ないか。
一度越えたはずのところを先ほども越えたはずで、今また同じところで蹲っている。- 704 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:33:47.39 ID:L1skdhGm0
足音が聞こえる。もうすぐ、そこ。
- 705 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:34:19.28 ID:L1skdhGm0
一方通行は思わず立ち上がった。同時に舌打ちして、拳を強く握り締める。
普通の人間のような機微を持てない自分の心が、あの足音の主をどう思っているか
くらい、芳川に言われるまでもなくわかっていた。
あの少年が頭に触れた、手に触れた、温かさが勝手に蘇って、胸と腹の境目辺りに
モヤモヤと重苦しい塊が渦巻く。
(気持ち悪い)
強い風が吹く。風の音しか聞こえないはずの、静かな場所だった。
誰もいない、誰の手も届かない、そんな自分に似た場所のはずだった。- 706 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:34:49.84 ID:L1skdhGm0
「一方通行!!!」
- 707 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:35:26.79 ID:L1skdhGm0
バンッ、と目の前の鉄扉を勢い良く押し開ければ、真っ先に白く細い後姿が目に飛び
込んで来る。
高層ビルの屋上は広く殺風景で、白い満月に浮かび上がる影が余計に印象的だった。
上条は驚かせないように気遣う余裕もないまま、掛け続けていた携帯電話のフリップを
閉じ、息を切らせて駆け寄る。
「は、はッ、はァ、ハァ、……ッ、やっと、見つけた…!」
「……よくここがわかったなァ」
平淡な声が返る。
「打ち止めに聞いて…、ハァ、はっ…、ネットワーク?に接続すれば、だいたい場所が
わかる、って……」
一方通行は振り向かない。
強い風が吹いていて、柔らかなことを知っている白い髪が、掻き乱されている。
「はァ…あのクソガキ」
小さな舌打ちは普段通り。けれど、普段通りなわけがない。
あの一方通行が、『普段通り』を装っているなんて。
「一方通行」
ようやく息が整い、上条は改めてその名を呼んだ。ピク、と細い肩が揺れる。
「一方通行、こっちを向いてくれよ」
「……………」
ゆっくりとぎこちなく振り向けば、白い顔はやはり、ひどく頼りなく、怯えたような。
「どうして、そんな顔すんだよ……?」
上条の胸が締め付けられて、思わず、言おうとしていたこととは違うことを口にしてし
まう。
「………アイツは…」
「え?」
「インデックスは……?」- 708 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:35:54.40 ID:L1skdhGm0
いつものふてぶてしい口調とはまるで異なる、無理に搾り出したような掠れた声。
胸の奥が更に押し潰される。
「あ、ああ…今は土御門に一緒に居てもらってる。あの後医者に連れてってさ。あい
つは大丈夫だって言い張ってたけど、やっぱ心配だろ?」
「ン……」
「ちょっと血が出てたけど、掠っただけだって。一、二週間で治るし傷も残らない」
「そォか………」
一方通行が長い溜息をついた。深い安堵の色をしたそれに、上条の目の奥が熱く
なる。
「あ…ありがとな、一方通行…。あいつのことそんな風に大事に思ってくれて、あ、
ありがとう…っ!!」
身体の芯から溢れた声音は、少し掠れていた。
赤い目が、驚いたように見開かれる。
「この街で、俺以外にインデックスを守ってくれるヤツがいるなんて、思わなかった」
科学と超能力の最高峰、学園都市。
この街には一国の軍隊とも戦えるような能力者がたくさんいるけれど、どれだけ凄
まじい能力を有していようが、誰一人、あの小柄な女の子を守ってくれる人間など
いない。
「インデックスは、何も悪いことなんてしてない。ただたまたま少し記憶力が良かった
だけなのに、いつもいつも誰かに狙われて…っ」
無邪気で優しい、ただの少女なのに、魔道書図書館としての機能だけを守る『自動
書記』などという魔術で軍事機密のように使われ、色々な幸いを奪われてきた。
「だから、ありがとう一方通行。インデックスを守ってくれて、ありがとな…」
ようやくこちらを真っ直ぐ見てくれた視線を離すまいと、上条は瞬きもせずに透き通
った赤色を見つめる。
「………アイツは……」
しばらくして、一方通行がポツリと呟いた。
「俺が…どこの誰だか知らない」
「どこの…?」- 709 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:36:58.22 ID:L1skdhGm0
「学園都市の第一位。『一方通行』だと知らないで、俺とチェスをする」
ふ、と一方通行が目を伏せた。月明かりを映す白い睫毛が、微かに震える。
「そンなヤツ、初めてなンだ……」
上条は、すぐには言葉が出て来なかった。
魔術の世界であまりに重要な立場のインデックス。科学の世界であまりに強大な能
力を有する一方通行。
二人の孤独はよく似ていたのかもしれないと、今更ながら気付かされる。
「一方通行……」
一方通行は確かに華奢な身体つきをしているけれど、普段は脆弱な雰囲気など欠
片もない。いつも指先にまで緊張感を漲らせ、常人ならば圧倒されるような凄味を
滲ませている。
なのに。
「…だから、オマエに礼を言われる筋合いなンかねェよ」
「そっか。…でも、インデックスは俺にとっても大事なヤツなんだ。あいつが無事じゃ
ないと、居ても立ってもいられないっつーかさ…。はは、情けねぇな」
「……俺も…」
「え?」
「俺も…俺は…打ち止めがいるから、化け物じゃなくて、人間でいられる」
俯いた一方通行は、ただ白く細く寂しい顔の…少女に見えた。
息が詰まる。ずっと胸を締め付けていた圧迫を食い破るように、激しい何かが込み
上げる。
熱すぎるそれを持て余し、上条は自分の胸元を掴んだ。
「だが俺は、オマエの大切を守れなかった」
「は、はぁ!?何言ってんだよお前!!」
急な言葉を理解しきれず、思わず素っ頓狂な声を上げる。- 710 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:37:25.60 ID:L1skdhGm0
「…………」
しかし一方通行は少し沈黙し、自分の掌を見つめた。上条には華奢で真っ白い手
にしか見えないけれど、あの赤い目には違う色が見えたのかもしれない。
「あンなに傷だらけにしちまった。インデックスは言ってねェだろォが、魔術師とや
らの攻撃は全部俺を狙ってたンだぜ。俺が上手く反射出来なかったから、アイツ
は……」
「そんなの関係ねぇだろ!」
「関係あるに決まってンだろ!!結果としてたまたま掠り傷だったかもしンねェが、
あれが十センチずれていたらどうなってた!?」
「関係ねぇ、絶対だ!お前はインデックスを守ってくれた、それだけだろ!!」
「………っ」
赤い目が揺らいだ。雪のような色の手を握り締め、薄い唇を震わせる。
「俺は…オマエとは違う」
「一方通行!」
「オマエみたいな、不可能を可能にする『ヒーロー』なンかじゃねェンだよ…!!」
血を吐くような叫びと共に、氷のような烈風が吹いた。
華奢な身体がふわりと浮き上がる。
自分が誰かの救いになっていることなんて、全く信じない。上条の言葉を端から
受け入れない。
そんなあまりに頑なに凍り付いた顔を目にした瞬間、上条の腹の奥がカッと燃え
上がる。- 711 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:38:02.25 ID:L1skdhGm0
「ふざけんじゃねぇ!!!!」
考えるより先に、思い切り手を伸ばし、細い腕を掴んで、地に引き摺り下ろした。
竜巻の形の翼が、澄んだ音を立てて砕け散る。
「ふざけんじゃねぇよ、勝手に人をヒーローにすんなって、言っただろ!!」
細く白い影は、夜の闇に溶けてしまうかと思った。そのまま、二度と会えないかと
思った。
ポカン、と子供のように無防備に口を開けたまま半端に浮いていた身体が、腕の
中に落ちてきて、受け止める。
「俺はヒーローなんかじゃねぇ!俺だって守りたいから守ってきただけだ、お前と
同じなんだよ!…そんな風に、俺との間に距離置くなよ…!!」
力の限り抱き締めたら、驚くほど冷たくて、か細かった。鼻先に触れた柔らかな白
い髪から、淡い香り。胸の奥で腹の奥で、重く密度のある熱が燃えている。
「俺から逃げるな、一方通行!」
腕に力を込める。力の抜けた一方通行の身体は柔らかい。
こんなにも頼りない少女の身で、今までたった一人戦ってきたのかと思うと、たま
らないものが込み上げる。
- 712 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:39:54.32 ID:L1skdhGm0
「……………」
なんだろうこの事態は、と一方通行は思った。
予想外過ぎて、指先一つ動かせない。
上条当麻は万力のような強さで自分を抱き締めたまま、動く気配すらなかった。
頬や耳に硬い髪が触れている。
痛いというか、苦しいというか、熱い。指先がビリビリする。
気持ち悪い。
穿つように真っ直ぐに見つめる真っ黒の目だった。こちらの『反射』などお構いなし
の言葉だった。
打ち止めのように無邪気にこちらの警戒をくぐるのでも、黄泉川や芳川のようにこ
ちらを気遣いながら包むのでもない。
ただ真っ向勝負でこんな風に正面からぶつかられたことなんてなくて、思考がフリ
ーズしている。
しかし考えてみれば、上条当麻とは最初からそんな男だった。すべてが真正面で、
真っ向勝負。
初めてのことだから、動くことが出来ないのだろうか、と自問する。
距離?離れるな?一体何を言っているのか。
自分の言ったことと、この少年が言ったことに、繋がりがないように思う、しかし。
(ヒーローなんかじゃない、か…)
本当はとっくに知っていたのかもしれない。
上条当麻は、勝つことを運命付けられたヒーローなんかじゃない。一方通行が言
い訳をするための曖昧な偶像でもない。
守りたいから立ち向かっているだけの、ただの、心優しい人間で。
ひとりの少年だと。- 713 :1[sage saga]:2011/07/03(日) 13:40:52.70 ID:L1skdhGm0
「なぁ、一方通行」
「………」
不意に、上条が口を開いた。先ほどの勢いはどこへやら、囁くような声音だった。
「お前の名前、教えてくれよ」
「……忘れたっつっただろ」
「嘘だろ?」
「………」
一方通行は返事をしなかったが、上条は追及しなかった。
代わりに、子供を宥めるような仕草で、髪を撫でられる。強風で絡んだ髪を解いて
いく指先が触れる度、何か違うものも解かれているような気がした。
上条の肩越しに、月が見えた。
きれいだと思った。
- 731 :1[sage saga]:2011/07/09(土) 20:55:44.81 ID:kjsZhp9A0
PM 11:25 第七学区 学生寮付近 通学路
上条「…………」スタスタ
一方通行「…………」カツカツ
上条「…………」スタスタ
一方通行「……いい加減、手ェ離してくれませんかねェ」カツカツ
上条「イヤだ」ギュッ
一方通行「うぜェ」イラッ
上条「いつまた飛んで逃げるかわかんねぇし、お前」
一方通行「…逃げねェよ」チッ
上条「だから見え透いた嘘やめろって…。お前結構逃げグセあるじゃん」
一方通行「はァ?この俺に逃げグセだと?」
上条「インデックスと俺から逃げただろ。さっきも逃げようとしたし」
一方通行「アレは……」フイ
上条「…まぁ、いいけど。お前って嫌いなヤツからは逃げないだろうし」
一方通行「はァ…?」
上条「お前の中で何か勝手に思いつめて、居たたまれなくなって逃げるんだろ」
一方通行「わかった風なクチ聞いてくれるじゃねェか」
上条「違うの?」- 732 :1[sage saga]:2011/07/09(土) 20:56:25.23 ID:kjsZhp9A0
一方通行「掠りもしてねェな」
上条「ふぅん…ま、そういうことにしといてもいいけどな」
一方通行「調子乗ってンじゃねェぞこの三下がァ」
上条「お前って結構メンドクサイよなー」
一方通行「殺す」ジャキッ
上条「うぉ!!街中で銃出すなっつぅの!!!」
一方通行「オマエが掴ンでっから能力使えねェだろォが」
上条「あれ!?コレ離しても離さなくても死ぬコース!?」
一方通行「そォだなァ」フン
上条「じゃあ離しません!!!!」ギュー
一方通行「イッ…!離せこのクソボケカス!!」ブンブン
上条「一方通行が銃しまったら離してあげませう」ウン
一方通行「チッ…、覚えてろよ三下…」シマイシマイ
上条「はいはい」パッ
一方通行「………………」ホッ
一方通行(…なァンか、気持ち悪ィんだよなァ。コイツに触られンの)
上条「なぁ一方通行」
一方通行「なンだよ」
上条「その『三下』っての、そろそろやめねぇ?俺には上条当麻って名前があるんですよ?」
一方通行「知ってるけど?」キョトン
上条「」ドキ
上条「じゃなくて!いやいや!何でお前の方が『何言ってんの?』みたいな顔になるんだよ!
名前で呼んでくれって話ですよ!」
一方通行「寝言は寝て言えよォ?」
上条「よりヒドイ!?たまに名前呼んでくれるじゃん!それをデフォにしてくれって!」
一方通行「名前…?勘違いじゃね?」
上条「不思議そうな顔すんな!お前って意外にシラッと嘘つくよねぇええ!?!」
一方通行「チッ、うっせェなァ。どォでもイイだろ呼び方なンか」ガリガリ
上条「どうでもよくありません!」キリッ
一方通行「…………面倒くせェ」ハァ
上条「はいはいメンドくさくていいから。名前で呼んで!ハリーハリー!」- 733 :1[sage saga]:2011/07/09(土) 20:57:04.93 ID:kjsZhp9A0
一方通行「………当麻さン」ボソッ
上条「」
一方通行「はッ、なンてな。冗談だよ。そンな固まンなくたってイイだろ」フン
上条「」
一方通行「オイ…?そンなに不気味だったかァ?」ノゾキコミ
上条「………………ビビったァああああ……」ハァアアアア…
上条「今俺の中の何かのアレが外れそうになったわ。何か危なかったわぁー」
一方通行「はァ?何がなンだって?」??
上条「………………………」ジッ
上条(ちょっと目ぇ伏せてしおらしくするだけで、こいつ、こいつ……こいつちょっと反則な
んじゃね…?普段こんな目付き悪いクセに、目付き悪いクセに…)
上条(いや…まぁこれはこれで…普段通りで安心するっていうか…)
一方通行「………?」
上条「名前かぁ…名前ねぇ……」グルグル
一方通行「何の話だ」
上条「お前の冗談、全然笑えねぇって話」ハァ
一方通行「オーケェ。死にたいンだな三下ァ」カチッ
上条「ものすごくデジャブー!?」ギュッ
一方通行「! 離せェ!!」ブンブン
上条「無限ループって怖いよなぁ!!」ギュー
ギャーギャー
- 734 :1[sage saga]:2011/07/09(土) 20:57:40.11 ID:kjsZhp9A0
PM11:45 第七学区 学生寮 上条当麻の部屋 玄関前
上条「ハイとうちゃーっく」スタスタ ピタ
一方通行「………」カツカツ ピタ
上条「そんな嫌そうな顔すんなよ。俺と手ぇ繋ぐの、そんなに嫌か?」
一方通行「嫌ですけどォ?」
上条「」ガーン
一方通行「今更ショック受けるンなら最初からすンな。気持ち悪ィだろ、常識的に考えて」
上条「…まぁ確かに、土御門とか青ピとは繋ぎたくないなぁ…」
一方通行「だろ」
上条「でもお前は別だろ?」
一方通行「何でだよ」
上条「別なもんは別なんだよ」
一方通行「俺だって嫌なもンは嫌なンだっつゥの」イラッ
一方通行(俺の手なンか……俺の手は)ジッ
一方通行(コイツが触っていいよォなもンじゃ………)
上条「一方通行。お前の手がお前にどう見えてるか知らねぇけど、俺にはただの白くて
きれいな手にしか見えないぜ」- 735 :1[sage saga]:2011/07/09(土) 20:58:07.71 ID:kjsZhp9A0
一方通行「眼球腐ってんじゃねェのかオマエ」
上条「そう見える?」ジッ
一方通行「……っ、うるせェなァもォ!」ブンブン
上条「はいはい。続きは部屋入ってから聞くわー」ガチャガチャ
上条「ただいまー」ガチャ
「あーっ!あなたぁああああ!!!!」トテテテ
「あっ!あくせられーたぁああ!!!」タタタタ
ドシーン
一方通行「ぐはッ…」フラリ
上条「おっと」ギュッ
禁書目録「あくせられーた!あくせられーた!!」グイグイ
打ち止め「もう!あなたったら、急にいなくなったら心配するでしょ!?ってミサカはミサカは
渾身の力であなたに抱きついてみたり!!」グイグイ
禁書目録「ほ、ほんとにそうなんだよ!私の話も聞かないであんな顔していなくなっちゃうな
んて、ひ、ひどいんだよ!!」グスッ
打ち止め「どうせあなたのことだから勝手に思いつめて勝手に居たたまれなくなっちゃったん
だろうけど、そ、そういうのもうやめてってミサカはミサカは…」グスッ
一方通行「…オマエら……」
禁書目録「………」ギュー
打ち止め「………」ギュー
一方通行「重てェ。苦しィ」ナデナデ- 736 :1[sage saga]:2011/07/09(土) 20:59:06.75 ID:kjsZhp9A0
上条「ぷっ、お前ってホントに素直じゃねぇよなぁ」ハハ
禁書目録「大丈夫だよ。私はあくせられーたがどんなに私を一生懸命守ろうとしてくれたか、
ちゃんとわかってる」フフ
打ち止め「ヒーローさんもシスターさんもわかってるぅ!ってミサカはミサカはあなたの理解者
が増えたことがとっても嬉しかったり!」
一方通行「チッ、好き勝手言いやがって…。……オマエ、怪我は?」ボソッ
禁書目録「全然平気だよ!ほら、バンソーコ貼ってもらって、それくらいで大丈夫だって」ニコ
一方通行「……痛くねェのか」ナデナデ
禁書目録「うん。…ありがとう、あくせられーた。あなたがどう思っていても、私はあなたにとて
もとても感謝してるんだよ」ギュ
一方通行「………ふゥン…とンだお人好しだな…」
打ち止め「なーんて憎まれ口を叩きながらちょっと口元の緩むあなたであった!ってミサカは
ミサカは激写!マジ激写!!」
一方通行「くォらこのクソガキィ!なーにこンな夜遅くに出歩いちゃってンですかァ!?」ビシッ
打ち止め「あいたぁ!ヨミカワに送ってもらったんだから大丈夫だよ、ってミサカはミサカは全
力で釈明してみたり!」グイグイ
一方通行「ぐッ…腹に頭押し付けンのやめろ!ただでさえオマエらとコイツに挟まれて苦しい
のによォ…」
打ち止め「きゃはは!あなたのお腹薄っぺらいもんね!ってミサカはミサカは更にぐいぐいし
てみたり!」グイグイ
上条「おーいお前らーそろそろ家の中入ろうぜ?よいしょっ」グイッ
一方通行「うォ!?」
禁書目録「わっ!」
打ち止め「きゃー!ってミサカはミサカはこの人ごとミサカ達を持ち上げるヒーローさんに驚
愕してみる!!」キラキラ- 737 :1[sage saga]:2011/07/09(土) 20:59:32.77 ID:kjsZhp9A0
禁書目録「とうまは結構力持ちだからね!」フンス
上条「なんでお前が威張るんだよ…。おらインデックス、一方通行の靴脱がせてー」ヒョイ
一方通行「何のつもりだゴルァアアア!!」ジタバタ
禁書目録「はーい」スタッ ポイポイ 「脱がせたんだよー」
上条「うむ、ごくろう」スタ
一方通行「調子乗ンなアホボケカス!」ガツン
上条「いてっ」
一方通行「~~~~~ッ…!!」ジンジン
打ち止め「あなた大丈夫ー?ってミサカはミサカは後頭部で頭突きしたら自分の方が痛かっ
たっぽいあなたを心配してみたり…」
一方通行「…ッせェな、全然何でもねェよ!」
上条「大丈夫かー?一方通行」ナデナデ
一方通行「触ンな、っつってンだよォ!」ウガー
禁書目録「あくせられーた!」タタタ
禁書目録「はい!寒かったでしょ?コーヒー入れてきたんだよ!」ニコ
一方通行「……ン…」スッ
一方通行「………」ズズー
一方通行(………何かいつもと味が違う気ィする)ズズー
禁書目録「私とらすとおーだーは紅茶で、とうまはコーヒーでいいよね?」
上条「ん、ありがとなインデックス」
打ち止め「ありがとうシスターさん!」
一方通行「……ァりが、と…な」ポソリ
禁書目録「え?なぁに?あくせられーた」キョトン
一方通行「……ッンでもねェよ!」フイ
打ち止め「大丈夫、ミサカはちゃーんと聞いてたよ!ってミサカはミサカは微笑んでニコニコ
頷いてみたり!」アノネーシスターサン
上条「大丈夫、俺も聞いてたぞ。と上条さんも頷いてみたり」ズズー
一方通行「オマエらさっきからうっぜェ…」ハァ
- 738 :1[sage saga]:2011/07/09(土) 21:00:12.70 ID:kjsZhp9A0
禁書目録「あ、そうだ!あくせらーた、見てほしいものがあるんだよ!」タタタ
一方通行(…走り方にも違和感ねェな。ホントに怪我は軽いもので済ンでたか)ホッ
禁書目録「ね!これこれ!」ジャジャーン
一方通行「……白のキングとビショップ…?だが、アレは…」
禁書目録「うん…私達のチェスボードと駒は壊れちゃったけど…でも、でもね!この白の
キングとビショップだけ、無傷だったんだよ」
一方通行「…………」
禁書目録「とうまがね…見つけてくれたんだよ」
禁書目録「私とあくせられーたの……」ウルッ
禁書目録「えへへ…ぐすっ、白のキングとビショップって、あくせられーたと私に似てるかも!
あくせられーたがキングで、私がビショップなんだよ」ニコ
一方通行「……………」
打ち止め「じゃあミサカはクイーン!ってミサカはミサカは名乗りを上げてみたり!」ドシーン
一方通行「ぐッ…随分大きく出ましたねェクソガキ」
上条「じゃあ上条さんはナイトー。って上条さんも名乗りを上げてみたり」
一方通行「……オマエなンかポーンがお似合いだろ」チッ
上条「俺にだけ冷たいのヤメテ!」
禁書目録「クス、違うよとうま。確かにポーンは単体では最も弱い駒、価値の低い駒かも。
だけど、チェスの駒の半数はポーンが占めていて、欠かすことのできない駒でも
あるんだよ」
上条「…まぁ、確かにそうかも」
禁書目録「それに、敵陣の最終列に達したポーンは、クイーン、ビショップ、ナイト、ルークの
どれか好きな駒に昇格させる事ができる『プロモーション』っていうルールがあるの」
上条「へぇ。将棋の『成り』みたいなもんか」- 739 :1[sage saga]:2011/07/09(土) 21:01:03.00 ID:kjsZhp9A0
禁書目録「そうだね。でも、チェスの駒の中でプロモーションが出来るのはポーンだけ」
上条「そうなんだ?」
禁書目録「うん。ポーンはチェスを指すならば一番と言ってもいくらい重要な駒。チェスの名手と
しても、チェスの名著を残したことでも有名なフランソワ=アンドレ・ダニカン・フィリ
ドールも『ポーンこそがチェスの魂である』という格言を残してるんだよ」
上条「……つまり」チラッ
一方通行「………」
禁書目録「それくらいとうまがあくせられーたにとって重要ってことかも!」フンス
一方通行「オイオイ黙って聞いてれば好き勝手言いやがってよォ…」
禁書目録「The analysis of the Philidor」
一方通行「……」ピク
禁書目録「こないだ言ってたよね~?古典だけど読み物としても面白かったって。さっきの格言
だってこの本に載ってるんだよ。忘れたとは言わせないんだよ?」ニヒヒ
上条「一方通行……」ジーン
一方通行「勘違いすンじゃねェよ三下がァ。オマエもペラペラペラペラ、随分元気そォですねェ?」ビシッ
禁書目録「あいたっ!?」
打ち止め「大丈夫?シスターさん。この人のチョップ痛いのよね…ってミサカはミサカは身震い
してみたり」ブルブルギュー
一方通行「オマエもいい加減動き辛ェンだよ」ビシッ
打ち止め「いたぁい!ってミサカはミサカは涙目で見上げてみる…」ウルッ
上条「大丈夫か、打ち止め。まったく進歩のない照れ隠しだな」ナデナデ
一方通行「ウチの打ち止めに触ンじゃねェよォおおお!」ドゴッ
上条「ぐっほォ!?」- 740 :1[sage saga]:2011/07/09(土) 21:01:41.19 ID:kjsZhp9A0
打ち止め「ウチの打ち止め……。ジーン…ってミサカはミサカは特別な響きに浸ってみたり…」
一方通行「……うっせェなァホント…」ハァ
禁書目録「ねぇねぇあくせられーた。ボードは無いけど、一局指してかない?」ニッコリ
一方通行「…いいぜェ」ニヤ
禁書目録「えと…で、でね?いつもは私が白を譲ってるけど、あくせられーたもずいぶん強くなった
んだし、今日は私に先攻を譲って欲しいかも…」モジモジ ギュッ
一方通行「嫌だ」ヒョイ
禁書目録「即答!?おとなげないかも!ってキングとビショップ返してー返してー」ピョンピョン
一方通行「オマエこそ初心者相手に白とか恥ずかしくないンですかァ?」タカイタカイ
禁書目録「むー!この私相手に三回に一回勝てる人が初心者とか、片腹痛いんだよ!」ピョンピョン
一方通行「だいたいボードも駒もないンだから、コレだって必要ねェだろ。白とか黒とか関係ねェ」
禁書目録「じゃ、じゃあ私が黒でそれ持ってても構わないでしょ!?」ピョンピョン
一方通行「それはそれェ。これはこれェ」
禁書目録「どれなんだよ!?もうっ、あくせられーたって意外と意地悪かも!!」ピョンピョン
一方通行「今頃気付いたのかオマエ?」ククク
セメテビショップダケ-!!
イヤデスゥー
モー!!アクセラレータ!!
上条「平和だなぁ……」ゴロゴロ
打ち止め「えへへ…あんなにハシャいでるあの人はなかなか見られないんだよ、ってミサカはミサ
カは嬉しくなりながらコタツで寛いでみたり…」コロコロ
上条「やっぱあれハシャいでんのかー」ゴロゴロ
打ち止め「そうだよー?あ、そういえばあの人に殴られちゃったお腹は大丈夫?ってミサカはミサ
カはヒーローさんを心配してみる」コロリ
上条「ん?ああ全然。手加減してくれたんだろ」ニコ
打ち止め「そっかぁ……えへへへ」ニコ
- 741 :1[sage saga]:2011/07/09(土) 21:03:15.82 ID:kjsZhp9A0
時計の針は深夜を過ぎ、辺りはシンと静まり返っていた。
吐く息は白く、二人分のもやが薄っすらと漂って消えていく。
「…寒くねェか」
カツ、カツ、と澄んだ杖の音。
「大丈夫!あなたの手があったかいもの、ってミサカはミサカは繋いだ手を握り締めてみる」
打ち止めは、手袋越しに一方通行の手を握り締めた。本当は手袋なんて外して、直接この人
の冷たい温かい手を握りたいのだけれど。
上条が散々送って行くと主張したが、一方通行は必要ないと言い張り、最終的には何かあれ
ば能力で飛んで帰ると約束して、ようやく二人で玄関を出ることを許された。
「それにしてもヒーローさん、すごい不満そうだったね?ってミサカはミサカは思い出し笑い」
「ったくアイツは俺のこと何だと思ってやがンだよ…」
はぁ、と一方通行は溜息をつく。呆れたような声音と裏腹に、眉間の皺は普段より浅い。
「あなたが強いのは知ってても、ただ心配なんだよ。ってミサカはミサカは教えてあげてみる」
「心配、ねェ……」
白い横顔が夜空を見上げる。- 742 :1[sage saga]:2011/07/09(土) 21:03:42.97 ID:kjsZhp9A0
繊細な輪郭を、白い月が照らしていた。白い髪が微かに光るようで、打ち止めは少しぼんやり
してしまう。
「どォした、ボーッとして」
気が付けば、赤い目が不思議そうに見下ろしている。打ち止めは我に返って、満面の笑みを
浮かべた。
「あなたに見惚れてたの!ってミサカはミサカは恥ずかしげもなく明かしてみる」
「はァ?」
「前から言ってるでしょ?ミサカのヒーローは誰より美人さんだもん!」
「アホなこと言ってンじゃねェよ」
「アホじゃない!ってミサカはミサカは心外な評価に憤慨してみたり!きれいなものをきれい
って思うのは、人間なら当たり前でしょ?」
「…………」
言ってから、打ち止めは、あ、と気が付いた。
(しまった!失言しちゃったぁああ!ってミサカはミサカは今更口を塞ぐわけにも行かなくて
冷や汗を流してみたり!!)
自分は、一方通行が、普通の人なら見て感動するものを見ても心を動かすことをしない…
いや、出来ない性質だと知っている。
そして、この人がそれをどこかで自嘲していることも。
単に、機会がなかっただけ。例えば、生まれたばかりの赤ん坊に夜景など見せても反応しな
いのと同じ。
幼い頃から実験ばかりで、芽吹くはずの情緒がまだ育っていないだけだと打ち止めは思って
いるけれど、この人はどうせ、『自分が人間じゃないから』とかなんとかお得意の自虐癖を発
揮しているだろう。
(うううここで変なフォロー入れたら、ミサカが気付いてることに気付かれちゃうだろうし…!
ってミサカはミサカは結構鋭いこの人が油断ならないことを懸念する…)
「なァに冷や汗かいてンだクソガキが」
チラリと様子を伺うのと同時、脳天に軽い痛みが炸裂する。
「あいたぁ!?ってミサカはミサカは……」- 743 :1[sage saga]:2011/07/09(土) 21:04:10.52 ID:kjsZhp9A0
「オマエなァ。言っとくけどオマエも隠し事下手な部類だからなァ?」
「ななな何のこと!?ってミサカはミサカは動揺を押し隠しながら尋ねてみたり!」
「だァから隠せてねェから……」
一方通行は再び長い溜息を吐き出して、打ち止めの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「ガキが余計な気ィ使ってンじゃねェよ」
「………」
華奢で大きな手。大好きな手が、乱暴に撫で続ける。
打ち止めが大人しく撫でられたままでいれば、一方通行がまた空を見上げた。
「月が出てる」
「…うん、そうだね。ってミサカもミサカも見上げてみたり」
学園都市の夜は明るい。青白い光が照らす夜空は、真の闇とは言い難い。けれど、濃紺の
空に浮かぶ月は、やはり澄んで美しい。
(きれいだなー、ってミサカはミサカは見惚れてみたり)
「……きれいだな」
ぼそりと、小さな囁きが落ちた。
「!!!!!」
打ち止めは弾かれたように顔を上げ、一方通行の横顔を凝視した。赤い目は、白い月を真
っ直ぐに見上げている。
きれいだと思っているのだろうか。自分と同じように、自分が一方通行を見上げた時と同じ
ように、胸の奥から溢れる、澄んだキラキラで満たされているのだろうか。
何かをきれいだと思える幸いを、この人も手に入れたのだろうか。
「一方通行……」
「何て顔してンだ、オマエ」- 744 :1[sage saga]:2011/07/09(土) 21:04:46.75 ID:kjsZhp9A0
赤い目が細められ、眉が顰められる。
「…抱っこ……」
「はいィ?」
「抱っこぉ!ってミサカはミサカは両手を上げて待ちわびてみるぅう!!!」
「…ったくしょォがねェなァ……このガキは」
一方通行は杖を器用に使って屈み、望みどおりに打ち止めを抱き上げてくれる。
細い首にしがみ付いて、柔らかな髪に顔を埋める。花のような淡い香りを、胸いっぱいに
吸い込んだ。
温かい。いい匂い。この温もりも感触も何もかも、打ち止めにとっての幸せと同じ意味だ。
「飛んで帰ろ?ってミサカはミサカはおねだりしてみる!」
「とンだワガママさンですねェ?」
呆れた声が耳元で揶揄をするが、軽い機械音と共に杖が縮む。
「打ち止め、電極」
「はーい!ってミサカはミサカは両手が塞がったあなたの代わりに電極のスイッチオン!」
目の前にあるスイッチを能力使用モードに切り替えれば、ふわりと風が吹いて、ゆるやか
に浮き上がる。- 745 :1[sage saga]:2011/07/09(土) 21:06:20.98 ID:kjsZhp9A0
あっと言う間に家々がミニチュアのような大きさになり、光の粒にしか見えなくなった。
二人だけの月夜の散歩。今は自分だけの一方通行。
(この人に、月をきれいだって思わせてくれたのは、やっぱりヒーローさんかなぁ)
真っ直ぐな目をした、力強い笑顔を手元に返す。
怪我をしていたインデックス。急に連絡が取れなくなった一方通行。そして、この白い手を
握って連れてきてくれた上条当麻。あの会話。何があったかは、想像に難くない。
自分には与えることの出来なかったものをこの人に渡してくれて、ありがとう。そんな感謝
と、少しの悔しさに、打ち止めはしがみ付く腕にますます力を込めた。
「なンだ、今日はどォした?」
肩口に額をぐりぐり擦り付けると、擽ったそうな声音が耳元に返る。いつもなら鬱陶しいと
怒られるのに、こんな風に許してくれるのは、自分のちょっと狭量な気持ちがバレている
からだろうか。
「仕方ないじゃん、ミサカ子供だもん…ってミサカはミサカはもっとギュッってしてってワガ
ママ全開なの!!」
「ホントーにオマエらは都合のイイ時ばっかそれだな」
文句を言いながら、細い腕が強く抱き締めてくれる。華奢すぎるほどの身体付きの一方
通行だが、こんな風にくっつけばしなやかで柔らかだ。
この感触をあの人にも知られる時が来るのだろうか。- 746 :1[sage saga]:2011/07/09(土) 21:08:48.06 ID:kjsZhp9A0
「基本的にめっちゃ応援してるけど、でもちょっとだけ邪魔しちゃおうかな~って、ミサカ
はミサカは小悪魔な気持ちが湧き上がってきたり!」
「はァ…?」
「なんでもないの!ってミサカはミサカは慌てて誤魔化してみたり!」
「あァそォかい」
耳元に強い風の音。頭上には星空と白い月。眼下には青白い光の海。
「きれいだねー。ってミサカはミサカは同意を求めてみる」
「ああ……そうだな」
小さな囁きが返る。今まで決して得られなかったものが。
(ありがとう、ヒーローさん)
打ち止めの視界に広がる光の粒が、少しだけ滲んだ。
- 763 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 11:54:52.82 ID:dNok6O3w0
AM 1:45 黄泉川家 リビング前廊下
コレデドォダ クソガキ
ンー ダイジョーブ ッテミサカハミサカハ
番外個体(……ん?よーーやく帰って来たんだ、第一位と最終信号…)
番外個体(今から帰るって連絡あったと思ったら黄泉川と芳川はさっさと寝ちゃうし、まったく
甘いって言うかさー)
番外個体(もっと色々言うべきでしょ?勝手に出てくなとか、家族以外を家に入れるなとか、
最近ちょっと外出多いんじゃね?とか)イラァ
番外個体「……ちょっとくらい、イジメとかないと気が済まないにゃーん?」ビキビキ
バターン
番外個体「やっほう第一位!!おっそいお帰りですねぇ、え、ええええええ?」
打ち止め「あ、番外個体!待っててくれたのー?ってミサカはミサカはこの人に抱っこされた
まま元気にたっだいまー!」ヤッホー
一方通行「なンだオマエ、まだ起きてたのか。さっさと寝ろよ」
番外個体「な、なんであなたはそこのおチビを抱っこしてコーヒー飲ませてるわけ?」
打ち止め「ミサカは練習台なんだよ。このコーヒー、粉に直接お湯入れてあってねー、粉が
口の中に入って来ないようにこの人が能力で調整してくれてるの、ってミサカはミ
サカは懇切丁寧に説明してみたり!」
番外個体「いや、意味わかんないし!!」???
打ち止め「うう、やっぱにがぁい!!ってミサカはミサカはお砂糖とミルクを要求してみる」
一方通行「しょーがねェなァ。ちっと待ってろ」スッ スタスタスタ パタン
番外個体「無視して台所行くなゴルァアアアア!!!」- 764 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 11:56:04.79 ID:dNok6O3w0
打ち止め「まぁまぁ。きっとあなたの分もお砂糖とミルクたっぷりのカフェオレ入れてきてくれ
るから、ミサカと待ってよう?ってミサカはミサカはお姉さん風を吹かせてみたり」
番外個体「チッ…!覚えてろよな第一位!」ストン
打ち止め「ごめんね、心配してた?ってミサカはミサカは末っ子を覗き込んでみる」
番外個体「はぁ?誰が?」
打ち止め「番外個体が!ってミサカはミサカは顔に出てるよーって教えてあげてみるー!」
番外個体「何言ってんのかなこの幼女はぁ…。言っとくけどミサカは」
打ち止め「あの人のカフェオレ楽しみだな~♪」フンフン
番外個体「人の話聞きなよ!」キー!!
打ち止め「ねぇねぇ、今日は月がきれいだね?ってミサカはミサカは窓の外を指差してみたり」
番外個体「は、はぁ?月ぃ?…別に普通じゃないの?」
打ち止め「あの人が月を『きれい』って言ったから、今日はミサカ記念日!ってミサカはミサカ
はそう決めた!」
番外個体「さっきから話見えないんだけどぉ!!っていうかミサカ全体の話にしないでくれない
かな!?記念日って意味わかんない!」
打ち止め「あの人が、今日初めて月を見てきれいって言ったの。ってミサカはミサカは衝撃の
大ニュースを教えてあげてみる!」
番外個体「はい…?そんだけ?」
打ち止め「そうだよ?すごいでしょ!!」フンス
番外個体「……何がぁ??」ポカン
打ち止め「あなたは月を見て、きれいって思う?ってミサカはミサカは確認してみる」
番外個体「えぇー……?どうでもいいじゃんそんなの」
打ち止め「いいから教えてよぉ、ってミサカはミサカは駄々を捏ねてみたり!!」ネェネェ
番外個体「うざいなぁこのおチビはぁ」チッ- 765 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 11:56:30.69 ID:dNok6O3w0
打ち止め「…………」ウルウル
番外個体「はぁ……まぁ、きれいなんじゃないの?」
打ち止め「…そっか!そうだよね!ミサカもそう思う!ってミサカはミサカは満面の笑顔で頷
いてみる!」
番外個体「あなた何でさっきからそんなにテンション高いの?ウザいんだけど」
打ち止め「うーん…そうだなぁ。一言で言うなら、あの人の側で笑ってくれる人が増えて嬉しい
な!ってとこかな?ってミサカはミサカは頑張ってまとめてみたり」
番外個体「………………」イラッ
打ち止め「どうしたの?しかめっ面ー」プニ
番外個体「だー!突っつくな!…最終信号はさぁ、何であの人の側に人が増えて嬉しいって
思うの?」
打ち止め「……?大事な人に大事な人が出来たら、嬉しいのは当たり前じゃないかな?って
ミサカはミサカは首を傾げてみる」
番外個体「あ、当たり前ぇ…?こないだも言ったけどさ、あの人はミサカ達のでしょ?あなた
だってあの時泣き出しちゃったじゃん!」
打ち止め「えへへ…ってミサカはミサカは思い出し照れしてみたり。確かにちょっと寂しいし、
ミサカに出来ないことをあの人にしてあげるヒーローさんがちょっと妬ましいけど」
番外個体「げっ、上条当麻があの人に何したってェえええ!??」ガタガタッ
打ち止め「落ち着け妹よ。具体的にはまだ特に何もしてないよ、ってミサカはミサカは捕捉説
明してみたり」
打ち止め(うーん…多分、してない、かな?ってミサカはミサカはちょっと疑問符!)
番外個体「まだって何さ!まだって!!」
打ち止め「気になるんだったら、今度一緒に来る?ってミサカはミサカはお誘いしてみる」- 766 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 11:57:03.04 ID:dNok6O3w0
番外個体「………イヤだね」プイ
打ち止め「素直じゃないなー。まぁ気が向いたら一緒に行こ?ってミサカはミサカは言っておく」
番外個体「…………」
打ち止め「ミサカは…あの人に、世界はあの人が思ってるよりも優しいって、知ってほしいの」
番外個体「はッ、何言ってるの?世界なんて悪意に満ちてる。このミサカがその証拠だよ」
打ち止め「始まりが悪意であっても、今あなたはここでミサカとあの人のカフェオレを待ってる。
ってミサカはミサカは始まりなんて関係なことを断言してみる」
番外個体「………そんなの、だって」
打ち止め「そうだね。あの人がすっごく頑張ってくれたから。ってミサカはミサカは頷いてみたり」
番外個体「……」
打ち止め「あの人はとても臆病。人に自分の心の奥を見せるのがとても怖がっている。でも、気
持ちを渡したら、人は返してくれるものだって、もっと知ってほしいの」
番外個体「そうとは限らないんじゃないの?最終信号の言ってるの、キレイゴトでしょ」フン
打ち止め「ミサカがそのキレイゴトを信じられるのは、あの人のおかげだから。ってミサカはミサ
カはあの人との出会いを思い出してみる」
番外個体「ああ、あの路上で全裸にされたヤツ?」ケラケラ
打ち止め「もう、それは言わないで!ってミサカはミサカは赤くなってみたり!」プンスカ- 767 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 11:57:53.12 ID:dNok6O3w0
打ち止め「…あの人は、その日会ったばかりのミサカを家に泊めてくれた。いただきますをさせ
てくれた。ただのクローンでしかないミサカの命を、自分の命を掛けて助けてくれた」
番外個体「…………」
打ち止め「あの人に見えている世界は、多分あなたに近いのかもしれない、ってミサカはミサカ
は予想してみる」
打ち止め「悪意の中で生き続けていたあの人が、ミサカを助けてくれた。自分が貰ったこともない
ものを、ミサカに渡してくれた」
打ち止め「どれだけ苦悩しただろう?どれだけ勇気を振り絞っただろう?ミサカはミサカは、それ
を考えると、涙が出そうになる」
打ち止め「人は優しい。人は温かい。世界は優しい。何か辛いことがあっても、きっと皆が笑顔
になれる。そんな風にミサカが人を信じられるのは、あの人がいたから」
打ち止め「あの人がミサカに渡してくれたものを、ミサカも渡してあげたいの。優しい世界の姿を」
打ち止め「……ってミサカはミサカは決意表明!」ニコッ
番外個体「…………。世間知らずの子供の寝言だね」
打ち止め「そう言われると反論できないなぁ、ってミサカはミサカはシュンとしてみるんだけど…」
番外個体「何ヘコんでんの」ビシッ
打ち止め「あいたぁ!?ってミサカはミサカはまさかの妹チョップに驚いてみたり!」
番外個体「あんな凶暴で捻くれた人殺しの極悪人にそんな夢見がちなこと言えるの、あなたくらい
のものでしょ」
打ち止め「む!!あの人は凶暴でも捻くれても極悪人でもないもん!!ってミサカはサカは前言
撤回を要求してみる!」
番外個体「人殺しってとこは否定しないんだね」
打ち止め「それは事実だからね、ってミサカはミサカは神妙に頷いてみたり。あの人がミサカ達を
10031回殺したことは事実。ミサカ達は決して忘れない」- 768 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 11:59:01.58 ID:dNok6O3w0
打ち止め「……あの人のためにも。ってミサカはミサカはミサカ達の死に様を噛み締めてみる」
番外個体「あの人のため…?」
打ち止め「ミサカ達があの人の罪を忘れてしまったら、あの人はきっと命を投げ出してしまう気が
するの。ミサカの安全だけ確保して、いなくなってしまう気がするの…」
打ち止め「だから…。ってミサカはミサカは…ミサカは嫌な子かな?自分勝手な子かなぁ…」グス
番外個体「…そんなに難しいこと聞かないでよ、お姉チャン」
打ち止め「!!!!ねぇねぇ、今のもう一回言って!?ってミサカはミサカは今泣いた鴉が笑って
みたり!」
番外個体「えっ、何この子変わり身早い」ヒキギミ
一方通行「お話終わりましたかねェ」ゴスゴス
打ち止め「いたぁ!?」
番外個体「いだ!なんでミサカまでぇ!!」
- 769 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 11:59:31.63 ID:dNok6O3w0
打ち止め「あ、あれ!?もしかして聞いてたの!?ってミサカはミサカはちょっと照れてみたり」
一方通行「何にも聞いてませェン」ズズー「甘……」ウゲ
番外個体「あひゃひゃ!第一位ったら気まずくって誤魔化そうとしてるのかにゃ~?このタマなし
野郎…ってタマ無かったねそういや」ヒャヒャヒャ
一方通行「下品」ビシッ
番外個体「いだぁ!!」
一方通行「おらよ、オマエの分」スッ
番外個体「えっ…ほ、ホントに持ってきてくれたんだ…。ふ、ふーん。まぁ飲んであげるけど」コク
番外個体(…甘い)ニヘ
打ち止め「ねぇねぇ、早くミサカもー!ってミサカはミサカは催促してみたり!」
一方通行「はいはい」ストン
打ち止め「わーい!ってミサカはミサカはあなたの膝によじ登ってみる。後ろ向きのがいい?」
一方通行「ン」
打ち止め「じゃー後ろから抱っこして飲ませてくれる?ってミサカはミサカは要求してみる」
一方通行「わァったよ」
番外個体「」
打ち止め「んー…」コク
一方通行「カップの傾け方、こンくらいかァ?」
打ち止め「うん!あまい!おいひい!ってミサカはミサカはご満悦!」
番外個体「ななな何してんのかなぁ!?赤ちゃんじゃないんだからさぁ!!」- 770 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 12:00:08.05 ID:dNok6O3w0
打ち止め「え?さっき言ったでしょ、このコーヒー、粉が入ってるからこうしないと飲めないん
だよ、ってミサカはミサカは繰り返し説明してみたり」
番外個体「いや!そういうことじゃなくて、フィルターかコーヒーメーカー使えばいいのに、何で
わざわざ抱っ…そこまでしてその方法で飲む必要があんの!?」
一方通行「バカオマエ、これうまいンだぜ?」
打ち止め「それでね、だからミサカ達にも勧めてくれたんだよ、ってミサカはミサカはこの人の
気持ちが嬉しくてたまらない!」キャッホー
番外個体「ミサカ…達?このミサカ、そんなん言われてませんけど!」
一方通行「あー、あとインデックスと…三下」
番外個体「三下?誰?」
一方通行「三下は三下だろ」
番外個体「あなた『俺以外全員三下』みたいなかんじじゃない。わかるわけないっての」
一方通行「……上条」
番外個体「」ガタガタッ
番外個体「なん、なななな」
一方通行「?どォした」
番外個体「(ハッ)………っっていうか、それならこのミサカの方が練習に適してるんじゃないの
かな!?体格的な意味で!このミサカはもちろん嫌だけど!!」
一方通行「別に無理強いするつもりはありませンけどォ?」
打ち止め「あらあらウフフ。ねぇあなた、番外個体もこれ飲ませてあげたらいいと思う!ってミ
サカはミサカは妹に助け舟を出してみたり!」
一方通行「あァ?」
チョッ!!ベツニミサカハ
マァ カマワネェガ
エ!!マジデ!!!
- 771 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 12:01:58.66 ID:dNok6O3w0
深夜二時半を回った。シンと冷えた冬の夜は、朝にはまだ遠い。
「…オマエら、そろそろ寝れば?」
一方通行は、ソファの両隣に座ってウツラウツラしている二人を交互に見やる。
「えー!?ってミサカはみしゃかは…不満を露にしてみるぅ…」
「ミサカ別に…眠くないもん……」
欠伸を必死に噛み殺す打ち止めと、目がほとんど閉じかけている番外個体。
「…………」
ミエミエのやせ我慢に、浅く溜息を付く。
(ったく情けねェなァ、この俺としたことが。ガキどもに気ィ使わせるとは)
呆れたように、それでも自分の服の袖を握った小さな手を華奢な手を引き剥がせず、ただ窓
の外を眺めた。
月は中天を過ぎている。
(今日は……寝ても多分、起きる)
確信があった。
(あの夢を見る)
自分でも、アレをどういうタイミングで見るのか、当然わかっている。
(アレを見ることが、怖いわけじゃない。アレは、俺という人間の確認作業)
人形だと、壊すのが楽しいと、思っていた。引き千切り、血液を逆流させ、壊し、抉り、殺した
自分という人間の軌跡。
打ち止めの言っていた『サイン』とやらを自分が本当に発していたのか、自分にはわからない。
ただ、殺した事実は違いなく、そして、…後悔していることも、紛れも無い真実だった。
だからあの夢は、浮かれそうになる自分を戒めるために必要なもの。
(……だと、思ってたンだがな)
『俺から逃げるな、一方通行!!』
何度も手元に返してしまう、真っ直ぐな目。夜の色をしているのに、どうしてか太陽を思い起こ
させる眼差し。
(……何でだろォな…。今日は、アレを見たら、アイツに……なんだ…?)
説明の付けられない、漠然とした浮き上がるような沈むような不可解なモヤがある。
(…悪い、というか…違うな、…………)
ただ、アレを見るのは今はダメだ、という結論だけが頭に渦巻く。キンと硬い想いが。
忘れることなど出来るわけはなく、忘れたいとも思わないが、今だけは。- 772 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 12:02:30.15 ID:dNok6O3w0
(あ~~~~…気持ち悪ィ…)
一方通行はガリガリと頭を掻き毟った。不可解なものが自分の中にある、何かが。
(それに…)
チラリと目をやれば、段々とこちらに寄りかかってくる、温かな体温。
「だいじょおぶぅ…。今日はいっしょにずっと起きてるってぇ、ミサカはぁ…」
「うひひ…寝かせないぞーっていう嫌がらせ…」
「半分どころかほとンど寝てンじゃねェか……」
再度溜息を吐きながら。アレを見たくないなら、眠らなければいい、という己の結論が見抜か
れていることに気まずくなる。
「クソガキども………」
一方通行はポツリと毒づいて、両側の茶色い頭を軽く叩いた。
AM 8:40 黄泉川家 リビング
黄泉川「ふぁ…おっはよーじゃん…ってアレぇ?一方通行達、もう起きて…」ヒョイ
打ち止め「…んー…あくせられー…」スカースカー
番外個体「……むにゃ…」スゥスゥ
一方通行「………」スースー
黄泉川「」カワイスギルジャン
黄泉川「桔梗ォおおお!!カメラ!!早くカメラもって来るじゃぁああん!!」ダダダダ
黄泉川家は今日も平和です。
- 773 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 12:04:08.45 ID:dNok6O3w0
PM 3:12 第七学区 ファミリーレストラン
土御門「揃ったな。では俺から報告するが、いいな?」
海原「異議なしです」
一方通行「さっさとしろ」
結標「よろしく」- 774 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 12:04:56.15 ID:dNok6O3w0
土御門「先日一方通行が接触した外部からの侵入者だが、同日他に五名が侵入に失敗
していることが判明した。全員が魔術師だ。目的は一様に禁書目録」
結標「魔術師ねぇ…前から海原には聞いてたけど、イマイチピンと来ないわ」
土御門「深く考えるな。発火能力者の炎も魔術師の炎も大差はない」
海原「まぁ、同じ言葉を英語で言うか日本語で言うかの違い程度ですよ。意味は同じです」
一方通行「ンなこたァどォでもいい。続きを報告しろ」
土御門「一方通行が倒した魔術師も入れた六人の素性は不明。ケルト系、ローマ系、ロシ
ア系等、魔術の系統がバラバラでな。通常、魔術結社は同系統の魔術師が集ま
るものだから、全員が同じ結社の所属ということは考え難いが…」
一方通行「偶然同じ日に同じ目的で侵入しよォとした、とでも言うつもりか?」
土御門「そう怖い顔をするな、わかっているさ。引き続き調査中だ。俺の報告は以上」
一方通行「何も掴ンでねェも同然だな」
海原「そう言われると自分も報告し辛いのですが…。やはり、組織は現状ほぼ瓦解してい
る状態ですので、あまり目立った情報は掴めませんでした」
土御門「中南米は広いし、十字教の影響も欧米に比べれば薄いからな。牛耳る者がいな
ければ情報も掴みにくいか」
海原「ええ。ただ、元々組織に属していた魔術師や能力者で、行方知れずの者が多いと
の話があります。どこかにヘッドハンティングされたのかもしれません」
結標「あー、似た話なら私も聞いたわ。私が関わってた組織の中でも、急に羽振りが良く
なって連絡が取れなくなった人がいるって」
土御門「新たな組織…?そういう話は聞いていないが…留意しておこう」
一方通行「じゃあ残りは俺だな。俺は昔関わっていた研究所の連中に当たってみた」
土御門「あ、あれ!?ホントにやったの!?予想外だにゃー。いい子だな一方通行」
一方通行「殺すぞクソメガネ。…ヤツらが言うには、学園都市の兵器開発が新たな局面
に入っているそうだ」- 775 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 12:05:27.39 ID:dNok6O3w0
土御門「『ファイブオーバー』か…」
一方通行「それもその一つ。超能力を基にした工学技術の実用化だとよ。試行実験も終
えて、量産体勢にもだいたいの目処が立っているようだな」
結標「へぇ…あれだけ人を研究材料にして、兵器?馬鹿にしたものね」フン
土御門「元々、能力研究は工業利用への転用目的も兼ねているからな」
海原「しかし、よく素直に教えてくれましたねぇ」
一方通行「ま、アイツらはこの世で最も俺の力を理解している人種だからな。ちょっと『相
談』すれば洗いざらい教えてくれたぜ」
土御門「『相談』ね…。あまりえげつないことはやってくれるなよ。後始末は俺に回ってくる
んだ」
一方通行「黙れ役立たず。オマエはあンだけ偉そォに言っといて一番収穫ないじゃねェか
よ。タマついてンのかクソボケ」チッ
土御門「お前は本当に口が悪いな…」ハァ
結標「本当ね」
結標(女の子なのに。女子高生なのに)
結標「ブフッ」
土御門「と、突然どうしたのかにゃー?」
海原「何かおかしかったですか?」
一方通行「きめェ」
結標「い、いえちょっとこっちのことで…。報告もひと段落したし、休憩にしない?」
土御門「まぁ構わないが…」
海原「自分もです」
結標「うん。ねぇ、一方通行」
一方通行「ンだよ」- 776 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 12:05:58.63 ID:dNok6O3w0
結標「一緒にトイレ行きましょ?」キリッ
土御門「」
海原「」
一方通行「はァ?何言ってンだオマエ」
結標「いいからいいから。ちょっと付き合いなさいよ」ガッ ズルズル
一方通行「オイ、引っ張ンな。…わァかったっつゥの、おい結標!」ズルズル
土御門「む、結標…………?」ブルブル
海原(ショチトル、大変です。結標さんがショタコンなだけじゃなく痴女でした…!)ブルブル
- 777 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 12:06:38.05 ID:dNok6O3w0
PM 3:35 ファミリーレストラン トイレ前
一方通行「一体何のつもりだ、結標」
結標「いいからいいから。あなたが女だってわかった以上、トイレくらい一緒に行かなくちゃ」
一方通行「あ?……どォしてわかった」
結標「こないだ私、あなたの胸触っちゃったじゃないの。そりゃ気付くわよ。悪かったわね、
その節は」
一方通行「……よくわかったなァ?俺の胸なンかあるよォなないよォなもンなのによ」
結標「わかるに決まってるでしょ!確かに小さかったけど、感触が男とは全然違うもの」
一方通行「…………」
結標「何その不満そうな顔」??
一方通行「俺の胸触って、気付かなかったヤツがいるンだが……」
結標「(プッ)え、ホント?それはよっぽど鈍感か、よっぽどあなたに興味ないかどちらかね」
一方通行「……ふゥン…」
結標(えっ…?これ、アレ?もしかしてヘコんでる?どこぞの誰かが自分に興味ないって思
ってこんな顔してるの?あの一方通行が?)
結標「………」マジマジ
一方通行「なンだ」ギロリ
結標「…それ、アレかしら?触られたの、あなたの好きな人ってヤツかしら?」キラキラ
一方通行「はァ?」- 778 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 12:07:25.69 ID:dNok6O3w0
結標「ねぇちょっと!相談乗るわよ!!私、相談に乗るわよ!!!」キラキラ
一方通行「はいィ?」
結標「応援するから!相談に乗るから!早く話しなさいよ!!」キラキラキラ
結標(一方通行の恋バナ聞きてェえええええ!!!!!!!!!)ワクテカ!!
一方通行「何の話だよ…。てかオマエ何だそのテンション…」ドンビキ
結標「え?女子だったら恋バナに興味津々なのは当然でしょ?女の子は恋バナと甘いモノ
には目がないものよ!」フンス
一方通行「こいばな?」キョトン
結標「え、知らないの…?」
一方通行「どの分野の専門用語だ?俺は基本化学と物理と生物学くらいしか把握してねェ」
結標「えぇー……」ポカン
結標(…そっか。でも、考えてみたら当たり前か)
結標(学園都市第一位の話は昔から有名だった。昔から…つまり、一方通行はもっとずっと
小さい頃から実験漬けの生活しかしてなかったんだ)
結標(年頃の女の子みたいに、友達と恋バナなんて……)
結標(あるわけ、なかったのね)
結標「…恋バナっていうのはね、恋の話のこと。女の子同士で、好きな人について相談したり
時には愚痴ったり、ノロケたり悲しんだりするの」
一方通行「何が楽しいンだそれは」
結標「楽しいわよ?自分の好きな人のこと、誰かに聞いてもらうの」
一方通行「意味わかンね。つゥかオマエさっきっから何だその薄ッ気味悪いツラは」
結標「ひどくない!?慈愛の微笑みでしょ!?!?」ガビーン
一方通行「慈愛ィ?ハッ、その露出狂グセ改めてから出直しやがれこのイカレ女」- 779 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 12:08:05.83 ID:dNok6O3w0
結標「あなたに服装のことは言われたくないわよ!!…っていうかそういえばあなた、その格
好で女子トイレ入って大丈夫なの?」
一方通行「あァ…誰か居合わせても、ちょっと二度見されるだけでスルーされるわ」
結標「あ、あ~~~~…確かにね、うん、一見男にしか見えない女の人、いるものね…。変に
騒ぎにして実際男じゃなかったら、すっごい罪悪感だし……」
一方通行「そォいうワケだ。ったくどいつもこいつも善人だよ」ハッ
結標「そんな決め顔で言われても困るわ」ハァ…
一方通行「まァ女子便が混ンでたら男子便行くこともあるけどな」
結標「うォおおおおい!?!?!?」ガタガタッ
一方通行「そンな驚くことかァ?つゥかオマエやったことないの?」
結標「あるわけあるかァああああ!!!!!ちょっとあなたどうかと思うわよ!どうかと思う
わよ私は!!!!色んなモン見ちゃうじゃないのよ!!!」
一方通行「別に他人の粗チン見ても何とも思わねェけど?」
結標「思えよ!!そこは思えよ女子高生として!!!!あと粗…ムグムグ、そういう言葉遣い
も感心しないわよ!!」
一方通行「黄泉川かオマエは。鬱陶しィ」スタスタ
結標「ヨミカワって誰…、ってちょっと、待ちなさいよ!」タタタ
パタン
- 780 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 12:10:36.25 ID:dNok6O3w0
PM 3:50 ファミリーレストラン トイレ横 パウダールーム
一方通行「まだかよ………」イライラ
結標「もうちょっとー。先行っちゃダメよ?まぁ行こうとしたら能力でここに戻すけど」パタパタ
一方通行「何でダメなンだ」イライラ
結標「普通待ってるものなのよ、こういう時は。ここ、パウダールームがトイレと別になって
るの、いいわねー。気に入ったわ」ヌリヌリ
一方通行「普通ねェ…わっかンねェなやっぱり」ハァ
結標「そんなご大層なことじゃないわ。友達がいれば、自然とわかるようになるわよ」
一方通行「トモダチィ…?」
結標「そ、友達。私と友達になりましょ?一方通行」ニコ
一方通行「はァ……?」ポカン
結標「そんなに驚くこと?」
一方通行「いや意味わかんねェよ。オマエ俺のこと同僚としか思ってないだろ」
結標「結構嫌いじゃないわよ?有能な同僚だもの。……あなたこそ私のこと、嫌いかしら?
最初が最初だったしね」
一方通行「別にィ。オマエみてェな三下が何企んでよォが、潰すだけだからな」- 781 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 12:11:10.07 ID:dNok6O3w0
結標「ふふ、あなたのそういうとこが嫌いじゃないって言ってるのよ。あなたが女なら尚更」
一方通行「理解不能だ。俺が女だから何だってンだよ。俺は俺だ」ギロ
結標「潔癖症ね一方通行。男だと思ってた人が女だとわかって印象が変わるのは普通の
ことでしょ。それがイヤなんて、結構かわいいとこあるじゃないの」クス
一方通行「調子に乗ってンじゃねェぞ結標…」
結標「凄んでも無駄よ?伊達にあなたの側で一緒に仕事してたわけじゃないもの。あなた
は理由も無く自分より弱い者を傷つけることが出来ないって、もう知っているわ」
一方通行「ムカつく三下は例外ですけどォ?」
結標「顔面はもう勘弁してほしいわね。…ねぇ、今度一緒にショッピング行かない?」
一方通行「俺胸にサラシとかゴメンなンでェ、ちょっと……」ドンビキ
結標「普通の服に決まってるでしょ!!これは戦闘服なの!気合入れるためなのよ!!」キー
一方通行「意味わかンねェ。どォ見ても痴女」
結標「うるさいわねぇ、あなたこそ何でそんな格好してるのよ!!!」
一方通行「趣味」
結標「え、マジで?男装趣味?」ヒキギミ
一方通行「ンなワケねェだろ、アホか」
結標「え、えっ…?何、どういうこと??好きで男の格好してるワケじゃないってこと?」
一方通行「好きでしてンだよ、悪ィか」
結標「どっちよ!!!!」
一方通行「さァな」フン- 782 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 12:12:02.92 ID:dNok6O3w0
結標「もう……。女だっての隠してるってことでいいの?」
一方通行「別に隠しちゃいねェけど」
結標「じゃあ土御門とか海原にも言っていい?」ワクワク
一方通行「それはヤメロ」
結標「何でよ」
一方通行「オマエみてェに鬱陶しィことになっからだよ…」ハァ
結標「否定できないわね」ウフフ
一方通行「」イラッ
結標「ねぇ、じゃあその口調は?」
一方通行「あァー…。昔俺の能力開発担当してたクソったれの研究者の影響だな。と思
うと死にたくなるなァ…」トオイメ
結標「なぁに、育ての親ってかんじなの?あなたにそんな人がいたなんて意外ね」
一方通行「育ての親ねェ…。俺には似合いのクソ野郎だってことは間違いねェが」
結標「またまたー。まだ反抗期なの?クソ野郎って言い方はどうなのよ」
一方通行「年端も行かねェクソガキを暗部に攫わせて、ウィルスぶち込む程度にはクソ
野郎だぜ?ま、俺がこの手でブチ殺してやったけどなァ」
結標「…………」
一方通行「…………」- 783 :1[sage saga]:2011/07/16(土) 12:12:53.19 ID:dNok6O3w0
結標「気まずいこと山の如し」
一方通行「鬱陶しィこと火の如し」イラッ
結標「で、ショッピングいつ行く?」
一方通行「オマエ意外とめげねェのな……」ハァ
結標「私、あなたはショートパンツとか似合うと思うの」キリッ
一方通行「何で俺の周りは人の話聞かねェ野郎ばっかなんですかねェ?」ビキビキ
結標「それはあなたが人の話を聞かないからよ!!」ババーン
一方通行「ぶち殺すぞ」
結標「ふ、やってみなさいよ。私にはあなたの服と自分の服を一瞬で交換することだって
出来るのよ?」ドヤァ
一方通行「反射したらどォなンのかなァ~?」カチッ
結標「あなたのズボンが私のミニスカになるに違いない。似合うと思う」キリッ
一方通行「うぜェええええ!!!見たことないくらいうぜェえええ!!!!!」ウガー
ツチミカドォオオ コイツクビニシロォオオ!!!
エッ!? ムムムスジメノヤツ ナニヤラカシタンダニャー!?(ビクッ
ナニモシテナイワヨー ウフフ
ショチトルゥウウウウ…
- 827 :『その絆の名は』[sage saga]:2011/08/31(水) 20:43:21.58 ID:yCfBCBYz0
9月某日 PM 3:40 第七学区 病院
TV<『はーい!では今日はとある小学校に取材に来ましたー!イマドキッズの関心事は~?』
打ち止め「ふんふふんふんふふんふっふっふ~ん♪あっ見てみて一方通行!ミサカと同じくらいの
子達だよ!ってミサカはミサカは画面を指し示してみたり!」
一方通行「だから何だよ」
打ち止め「ミサカは十歳児くらいの設定なんだって!でもホントは0歳児だけどね?ってミサカはミサ
カは、ミサカが大人びて見えることを自慢してみる」フンス
一方通行「誰が大人びてンだチート」ビシッ
打ち止め「あいたァ!?ってミサカはミサカはビックリしてみたり!なに?今のなになに?」キョトン
一方通行「……………チョップだ」
打ち止め「へぇ~?痛いけど、あんまり痛くないのね、ってミサカはミサカはチョップが生まれて初め
てだったことを明かしてみたり」ニコ
一方通行「……そォかよ」
一方通行(…まァ、俺も初めてだけど)
一方通行(殺さないつもりで、触れるのなんて)ジッ
打ち止め「ジッと手を見て、どうしたの?ってミサカはミサカはあなたの手をぎゅってしてみたり」キュ
一方通行「!!!」ビクッ
打ち止め「えっ?ど、どうしたの?ってミサカはミサカは」
一方通行「離せクソガキ!!」バッ
打ち止め「ご…、ごめんね…。ってミサカはミサカは申し訳なく思ったり…」シュン
- 828 :『その絆の名は』[sage saga]:2011/08/31(水) 20:44:19.03 ID:yCfBCBYz0
一方通行「……っ」ズキ
打ち止め「……お、怒ったの?ってミサカはミサカは悲しくなってみる」シューン
一方通行(なンだ…何だ?胸ンとこが……)ズキズキ
一方通行(痛ェ)ズキズキ
一方通行(このガキに触られた手も)ズキズキ
一方通行(温かくて)ズキズキ
打ち止め「…………」
一方通行「…………」
打ち止め「…………」
一方通行「…………」
打ち止め「…ま、まだ怒ってる?ってミサカはミサカは恐る恐る見上げてみたり」ウル…
一方通行「!!!……別に、怒っちゃいねェ」ズキズキ
打ち止め「ほんと?よかった!ってミサカはミサカは安心した!!」パァッ
一方通行(あ)
一方通行(痛くなくなった)ホッ
一方通行「………急に触ンな。俺は触られンの嫌いなンだよ」
打ち止め「そっか。急に触られてビックリしただけなんだ?ってミサカはミサカは納得してみる」ウン!
一方通行「人を小動物みたいに言うンじゃねェ」チッ
打ち止め「えへへ。でも、あなたってウサギさんみたいだよねぇ?ってミサカはミサカは発見してみ
たり!」
一方通行「誰がウサギだコラァ」ビシッ
打ち止め「あた!ええーでもでも真っ白で、目も真っ赤だし、髪の毛ふわふわしてる?ってミサカは
ミサカはナデナデしてみる!」フワフワ
- 829 :『その絆の名は』[sage saga]:2011/08/31(水) 20:45:15.94 ID:yCfBCBYz0
一方通行「!!!」ビクッ「触ンなって言ってンだろォが!」バッ
打ち止め「あっ!ご、ごめんね、つい…ってミサカはミサカは反省してみる……」シューン
一方通行「……っ」ズキ
一方通行(まただ。痛い、何か、なンだこれ…このガキの泣きそォな顔見る、と)ズキズキ
一方通行(さっきガキが触れたとこ、が、温かくて)ズキズキ
一方通行「俺、は……」
打ち止め「?」
一方通行(何だ。何言おうとしてる?)ズキズキ
一方通行「ずっと、反射してた……から、……」
一方通行(だから何だ。何だよ、何だってンだ?)ズキズキ
打ち止め「そっか!慣れてないから、余計にビックリするんだね!ってミサカはミサカは再度納得
してみる!」ウンウン
打ち止め「じゃあ、急にじゃなかったら、ぎゅってしてもいい?ってミサカはミサカはしっかり確認!」
一方通行「ヤだ」フイ
打ち止め「ええ~!?ってミサカはミサカは抗議の悲鳴をあげてみたり!」
一方通行「………」ゴロリ ペラペラ
打ち止め「ねぇねぇ無視しないでよ!ってミサカはミサカは寝転がって本を読み出すあなたの横に
転がってみる」コロリ
一方通行「…ンだようっせェなァ……」ゴロリ
打ち止め「もっとお話したいな!ってミサカはミサカはあなたの背中に引っ付いてみる!」コロリ ピト
一方通行「!!!」ビクッ
打ち止め「あったかいなー……」
- 830 :『その絆の名は』[sage saga]:2011/08/31(水) 20:46:01.08 ID:yCfBCBYz0
打ち止め「自分で自分の背中を触ってもあったかくないのに、なんであなたのはこんなにあったかい
のかな?さっきの検温だと、あなたはミサカよりも平熱低いのにってミサカはミサカは不思
議に思ってみる」スリスリ
一方通行(………温かい?俺が?………俺が…そんなのまるで)ズキ
一方通行(俺が普通の人間みたいだ)ズキズキ
一方通行(そンなわけねェのに)ズキズキ
一方通行(そンな、わけ…っ)ズキズキ
一方通行「っせェなァ!!オマエ頭おかしィンじゃねェの!?」ガバッ
打ち止め「あう?」コロリ
一方通行「俺がオマエ達に何やったか忘れたのか!?俺が…俺がオマエ達に何をしたか、オマエは
全部知ってンだろォが!俺に触るな!俺の手は、……ッ」
打ち止め「……………」
一方通行「…………」ハァハァ
一方通行(何キレてンだ俺は…。コイツに怒鳴ったって仕方ねェだろ)
一方通行「……っ、だから、触ンなっつってンだよクソガキ…」フイ
打ち止め「一方通行」ギュッ
一方通行「っ!!」ビクッ
打ち止め「あなたの手はあったかいよ。冷たいのに、ミサカにはあったかく感じるの。あったかいのって
気持ちいいんだね、ってミサカはミサカは今知ったよ」
打ち止め「人はひっつくとあったかいんだ、ってミサカはミサカは発見してみる」ニコ
一方通行「…………」
打ち止め「ねぇ一方通行。人間の体温が約36度前後だっていうのは、ミサカも知ってたよ。でも、
なんだかあなたにくっつくと、ミサカは胸の奥の方までほわってなるの」
一方通行「…あァそォかい」
打ち止め「うん、そぉなの!ってミサカはミサカは大きく頷いてみる!」ニコー
- 831 :『その絆の名は』[sage saga]:2011/08/31(水) 20:46:47.01 ID:yCfBCBYz0
一方通行(………胸の奥の方、が……)
打ち止め「ん?胸に手を当ててどうかした?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」
一方通行「…別にィ。何でもイイから邪魔すンな。テレビでも見てろクソガキ」ゴロリ
打ち止め「はーい。ってミサカはミサカは大人しくテレビに視線を戻してみる」フンフン♪
TV<『引き続き、イマドキッズにインタビューを続けてまーす!ねぇみんな、将来の夢を教えてくれ
るかな~?「けーきやさん!」「公務員!」「野球選手!」』
打ち止め「将来の夢、かぁ…ってミサカはミサカは考えてみる」ウムム
一方通行(将来の……。クローンは短命だって言うが、このガキはいくつまで生きられンのかねェ…)
一方通行(………)ズキ
一方通行(……後であの医者に聞いてみるか)
打ち止め「よし!決めた!!ってミサカはミサカはベッドの上に立ち上がってみたり!」スック
一方通行「何だ鬱陶しい」ペラ
打ち止め「ミサカの将来の夢は、あなたのお嫁さん!!きゃっ!ってミサカはミサカは照れながら宣
言してみたりぃ!!」
一方通行「あァ?そりゃ無理だな」ペラ
打ち止め「ガーン!速攻即答大否定!?どうしてどうして!?!?」
- 832 :『その絆の名は』[sage saga]:2011/08/31(水) 20:47:27.16 ID:yCfBCBYz0
一方通行「俺が女だから」ペラ
打ち止め「」
(十五分後)
一方通行「………」ペラ
打ち止め「」
一方通行「………」ペラ
打ち止め「はッ…!ってミサカは我に返ってみたり!!」
一方通行「あァ…?ンだ?」
打ち止め「あ、あなた女の人だったのね…ってミサカはミサカはショックを隠しきれなったり……」
一方通行「まァな」ペラ
打ち止め「……どうして男の人みたいな格好と話し方してるの?ってミサカはミサカは純粋に疑問
に思ってみたり。……うん、女の子だって思ってみたら、あなた美人さんなのにね?」??
一方通行「ガキのクセに世辞はヤメロ。口が曲がるぞ」ペラ
打ち止め「ホントだよ!ミサカ嘘ついてないよ!ってミサカはミサカは慌てて言い募ってみる!あな
たの真っ白い髪も真っ赤な目も、とってもきれいだよ?」
一方通行「こンな不自然な髪と目のどこが」ペラ
打ち止め「自然とか不自然とかどうでもいいの!きれいだもん!!ミサカのお嫁さんにしたいくらい
だもん!ってミサカはミサカは!!」
一方通行「何で俺がオマエの嫁なンだよ………」ハァ
打ち止め「だって…だって、だって」ウル
一方通行「」ギク
打ち止め「だって、結婚したらずっと一緒なんでしょ?ってミサカはミサカは一般常識を確認してみ
たり……」グス
- 833 :『その絆の名は』[sage saga]:2011/08/31(水) 20:48:53.67 ID:yCfBCBYz0
一方通行「……………」ズキ
打ち止め「結婚したら、ここから退院しても、ミサカはどこかの研究所じゃなくて、あなたの側にいて
もいいんでしょ?ってミサカはミサカは…」グスッ
一方通行「……別に…」ズキズキ
打ち止め「………?」
一方通行「夫婦じゃなくても、そォいうのは…あるだろ……」
打ち止め「…夫婦じゃなくても………」キョトン
一方通行「………」
一方通行(……家族、とか……)ズキ
一方通行(チッ、何考えてやがンだ俺は、気持ち悪ィ)ブルブル
打ち止め「夫婦じゃなくても一緒……」ウーン
一方通行「もォいいから、アホなこと言ってねェで黙ってろ」ペラペラペラ
打ち止め「あ、わかった!ってミサカはミサカはすごい受信!!」ピコーン
打ち止め「家族!!家族だったら、ずっと一緒だよね!ってミサカはミサカは満面の笑顔を浮かべて
みたり!」ニコー
- 846 :1[sage saga]:2011/09/03(土) 16:08:34.49 ID:3naz+GC30
一方通行が軽く腕を振れば、薄汚れた壁へ血色の三日月が描かれた。
「……ま、悪くねェか」
刃渡り二十センチほどの小ぶりのナイフ。ここ最近使っているが、銃に比べて予備動作が少なく
て済むこと、残弾を気にしなくていいことがメリットだ。
「ぐ、……ッ、化け物が……」
足元から掠れた声が響き、一方通行は無言で鳩尾を蹴り上げた。
潰れた小動物のような悲鳴を上げて気絶した輩に、赤い目を眇める。
先日は尋問しようとしたら自殺されてしまい、まったくの情報ゼロで終わってしまったので、さっさと
気絶させておくに限る。
「土御門か。今日は三人だ。場所はわかってンだろ。さっさと回収しろ」
携帯電話で短く指示を出し、一方通行は細く息を吐き出した。白いもやがふわりと舞う。
冬の夜、第八学区の路地。
表通りの明るい街灯が届かない場所は、闇に沈んでいる。そしてその闇の中がふさわしい者達も、
そこで蠢く。
- 847 :1[sage saga]:2011/09/03(土) 16:11:27.47 ID:3naz+GC30
先日、インデックスを狙った魔術師と戦ってから三週間が過ぎていた。
その間、一方通行が襲撃されたのが三回。すべて魔術師と呼ばれる者達が刺客だった。
最初はインデックスの近くにいてたまたま出くわしたのかと思い、土御門経由で警備を強化させた。
だがすぐに気付いた。奴らの今の狙いはインデックスではない。一方通行だ。
(先に邪魔な俺を消そうって腹か…?)
しかしそれにしては生温い。だが、偶然にしては出来すぎている。嫌な感じがした。
杖を付き、路地をゆっくりと歩きながら、口元を拭う。袖に血が付いた。
「チッ……とンだ平和ボケだ」
一方通行は忌々しげに吐き捨て、切れた唇と鼻血を拭う。
魔術の『法則』は理解している。だが奴らが持つ魔術の『法則』にはかなりの種類が存在し、例えば
ケルト系かギリシャ系かで大きく異なる術式体系を持つ。
結果として系統が違えば毎度毎度解析を行う必要があり、今日は完了までの時間をショートカット
しようとして加減を間違った。
とはいえ、顔に殴打を数発食らった程度のダメージだ。どうということもない。
それなりには痛むが気になるほどでもなかった。元々痛みには鈍い方だ。染み入るような冷気が、
神経を凍らせているようにも思う。
二月末。春はすぐ側に来ているが、今夜は零下に達するという予報が出ていた。そのせいか、まだ
午後八時を過ぎたくらいなのに、街に人通りはほとんどない。
細く息を吐く。白いもやが流れる。
手も首も剥き出しだが、あまり寒いとは思わなかった。
(ああ……久しぶりだなァ)
少し前までは、慣れた感覚だった。闇と、血の匂い。自分の他には誰もいない。自分の他はすべて
闇で、だから自分も闇の一部だと知る感覚。
人を殺すことも傷つけることも、もう楽しくはない。ただ泥のような灰が、爪先から身体の中を埋めて
いく。
痛みも寒さも空腹も薄い膜でも通したように遠く、視界の赤と黒だけがやけにクリアで、呼吸が楽だ
った。
そう、楽だ。自分だけしかいない、自分の他はすべて死体の闇の中は、一方通行を傷つけない。
だが、顔を上げれば、表通りの明かりが見える。
その白い光に、一方通行は奥歯を噛み締めた。
(しっかりしろ。俺が死ンだらあのガキどもはどうなる)
一方通行の小さな光。見上げる無邪気な笑顔を手元に返す。
この頃はその光の数も増えた。- 848 :1[sage saga]:2011/09/03(土) 16:12:20.75 ID:3naz+GC30
闇の奥から見れば小さな光の集まりはあまりに眩しくて温かく、真っ直ぐに見ることは出来ない。
光に近付けば、自分の闇は深くなる。自らとの違いに絶望し、同時にひどく安堵する。
一歩一歩近づけば、明かりに触れる指先がジンと痛むのだ。寒さに麻痺した感覚が、急に戻るか
のように。
光に全身が晒されれば、激痛のようなものを感じる気していた。いつも、打ち止めの側に戻る時
には、いつも。
生身への痛みと違って、心の奥が感じる痛みには慣れることが出来ない。けれど痛いからといって
不幸なわけじゃない。痛くないからといって幸せなわけじゃないのと同じに。
ただ、少しインターバルを置きたかった。以前なら、こうしたコトの後には数日を置いて、連日念入り
に風呂に入り、血の匂いを完全に消してからから戻るのが常だ。
だから必然的に、このところ打ち止めや…あの男の顔を見る回数が減っている。
『俺から逃げるな、一方通行!』
(……誰が、逃げてるってンだ)
不意に耳の奥に熱い声が響いた気がして、一方通行は眉を顰めた。
再度携帯電話で時刻を確かめる。着信を知らせるランプが光っている。何度も何度も。
午後八時二十五分。
真っ黒いくせに太陽のような目を思い出せば、何故か息が詰まる。
それを無理矢理吐き出すと、闇に白いもやが溶けた。
真っ白い自分が吐き出すものも白く、このまま息を吐いていれば自分自身も白いもやになって、
闇に溶けて消えるのだろうかと思った。
- 849 :1[sage saga]:2011/09/03(土) 16:12:56.07 ID:3naz+GC30
上条当麻は、チラリと自室の壁時計を見上げた。
「…………」
上条の傍らでは、賑やかな三人の少女が顔を付き合わせてレースゲームに夢中だ。
「とりゃああ!ってミサカはミサカは赤甲羅を発射してみたり!」
「ふ、甘い。とミサカはすかさずスターを発動します」
「ちょ、ちょっと!何も私に体当たりしなくてもいいんじゃないかな!?」
「戦いに情けは無用です。とミサカは華麗に単独トップを独走します」
「ず、ずるいよ10032号!!……ってあれ?ヒーローさん、さっきから時計ばっかり見てどうし
たの?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」
いつもなら微笑ましい三人に口元を綻ばせるはずの上条が、黙って時計を何度も見上げてい
ることに気付き、打ち止めが不思議そうな顔になる。
相変わらず、無邪気な見た目に反して人の気持ちに聡い子だな、と上条は思った。
だからこそ、あの一方通行の心を守ることが出来るのだろう。もう知っている、一方通行が打ち
止め守っているのと同じ、打ち止めがあの強くて脆い心を守っていると。
自分と同じだ。インデックスの笑顔が自分の心を守ってくれているのと同じ。
「ん…?あー、一方通行遅いなってさ」
「そういえばそうなんだよ。八時には迎えに来るって言ってたのに…っ、て、あああ!甲羅が!」
「そして今一位でゴオォオオオル!!ヒャッフー!とミサカはガッツポーズをとりつつ、そういえば
遅いですねあの白モヤシ、とあなたの振った話題に乗ります」
「……最近さぁ、あんま来ないよな。一方通行」
ポツリと呟けば、丸くて茶色い目がゆっくり瞬きをする。- 850 :1[sage saga]:2011/09/03(土) 16:13:59.48 ID:3naz+GC30
- 「………」
「そうなのですか?とミサカは上位個体に確認を取ります。一週間前は一緒に来ましたが」
「そういえば三週間くらい前まで、三日に一回くらいは来てくれたのに…。最近ご無沙汰かも。来て
もらすとおーだーとくーるびゅーてぃー連れてすぐ帰っちゃうし」
「な、なぬ?とミサカは思わぬ頻度に目を見開きます」
「そうなんだよな、そうだよ、週に二回は来て一緒に飯食ったりしてたのに、最近そういうの少ない
よな?」
何となく漠然とモヤモヤしていたものを口に出すと、改めてはっきりと思い知らされる。インデックス
が「少ないんだよ!」と頷いてくれて、自然と眉が寄った。
「人が調整に入っている間に一体何が…とミサカはウラシマ効果を体感しています」
何故だか細っこい身体をブルブルさせる10032号を不思議に思いつつ横目に見て、上条は打ち止
めに視線を止めた。
「打ち止め、何か知らないか?」
「……何も聞いてないよ?ってミサカはミサカは知らないことをアピールしてみる」
小さな手が、コントローラーをギュッと握り締める。
「あの人は、聞いても教えてくれないから」
真っ暗な窓の外を見上げる横顔は、寂しそうだった。
「打ち止め……」
「あの人はミサカにとても優しいけど、ミサカを危険に晒すって思ったら躊躇わずに嘘をつくの。
ミサカが嘘に気付いていてもお構いなし、ってミサカはミサカは思い出しムカッてしてみたり」
大きな茶色い目が上条を見て、言葉とは裏腹にいたずらっぽく笑う。
「……あなたが聞いてみたら、あの人は何て答えるかな?」
冗談めかしているけれど、打ち止めの目は真剣だった。
「あ……」
上条が口を開こうとした時、不意にドアベルが鳴り響く。
「一方通行!?」
反射的に立ち上がり、駆け寄った玄関のドアを開けて、息を呑んだ。
「……ガキどもは?」
冷たい風が吹き込む。普段なら首を竦めてさっさと部屋に招き入れるのに、目の前の白い顔
から目が離せない。白い髪、白い顔、赤い目。
「一方通行……そ、の顔……っ」
赤黒く色を変えた頬、切れて血の滲む唇、鼻血を拭いた跡。
心臓が掴まれたみたいに喉が詰まって、上条は思わず手を伸ばした。
「何だよ、どうしたんだよ!どうしたんだ、誰にやられた!?」
「触ンな。あー…転んだ」
パン、と手を払われ、痛々しく腫れた唇が、投げやりな口調で吐き捨てる。 - 851 :1[sage saga]:2011/09/03(土) 16:14:34.02 ID:3naz+GC30
「バカ言うな!お前何でそう時々バレバレの嘘つくんだよ!」
「っせェな。関係ねェだろ、オマエには。…オイ、帰ンぞクソガキども」
一方通行が不機嫌な表情のまま顎をしゃくれば、いつもなんだかんだと残りたがる打ち止めと
10032号が大人しく歩み寄って来る。
自分と目の前の白い少女の間の不穏な空気を察しているのだろうと思い、だが引き下がること
は出来なかった。
「一方通行。お前がこないだからウチに来ないのは、その傷をつけた奴らのせいか?」
稀有な赤い目を真っ直ぐに見れば、細い眉が胡乱げに顰められる。不愉快そうな反応に、図星
だと確信した。
「なんで…ッ、何で助けを呼ばねぇんだよ!!今日だって、何度も電話しただろ!?」
「はァ……?助け…?」
白い小作りな顔が、理解不能だとでも言いたげに歪む。
一方通行が上条当麻に助けを求めるなど、夢にも思わない。そういう表情。
(なんで)
ぐつり、と腹の奥が煮えた。
ぐつぐつ煮えるマグマが、喉奥にせり上がる。
「意味わかんねェ。助けだと?寝言は寝て言えよ」
鬱陶しげな言い方は、普段とそれほど変わるものじゃない。もう慣れた、と思っていたのに、何故
だか今日は、上条の胸の奥にイラァッと赤いもやが湧き上がる。
「意味?わかるだろ、それくらい。そんな怪我して心配掛けて、ほっとけるわけねぇだろうが!呼ん
でくれりゃ助けに行ったのに!魔術師だろ!?俺の力が役に立つって!!」
「……そりゃ、この俺が一人じゃ魔術師には勝てねェって言ってンの?」
赤い目が眇められる。スゥと据わった双眸には、苛立ちと怒りが冷たく凝っていた。
「何でそうなるんだよ!お前が強いのは知ってるよ、でも二人で戦った方がいいに決まってんじゃ
ねぇか!!」
一方通行が学園都市最強だということくらい知っている。だがそうじゃない。そんなことは関係ない。
ただ、例えば自分が呑気に夕飯を作っている間に、一方通行が一人で戦っているなんて許せない。
こんな風に、白い顔に、こんな傷が。赤黒い痣を見ていると、腸が煮えくり返って吐きそうだ。
「俺だってずっと魔術師と戦ってきたんだ!お前一人で戦わなくっても、俺はお前を…っ!」- 852 :1[sage saga]:2011/09/03(土) 16:15:09.48 ID:3naz+GC30
「…調子乗ってンじゃねェぞ無能力者…………」
不意に部屋の空気が重く冷える。
ハッと瞠目すれば、一方通行は見たこともないほど冷たい目で上条を睥睨していた。ゆらりと揺れ
る白い髪が高温の炎のようだ。
「ハ、俺よりオマエのが強いって?だから守って差し上げますってかァ?あンまり俺を舐めンじゃねェ」
「そうじゃねぇよ!!そうじゃねぇ、どっちのが強いとかそんなんじゃなくて…!」
「黙れよ…!!!」
急に、一方通行が叩きつけるように怒鳴った。
半瞬後、我に返ったように目を眇め、フイと視線を外す。
「……結局、オマエは俺を…」
認めてねェってことだろ。
言葉の後半はごく小さな声で、ほとんど拾うことは出来なかった。けれど、その揺らいだような頼りな
い声に、上条は焦燥にかられる。
「一方通行!違うって、俺の話を聞けよ!!」
一歩踏み出し、その華奢な肩を掴もうとする。だが一方通行はその分後ずさり、顔を上げた。
先ほどの揺らいだ声音が幻だったかのような、苛立ちと怒りに眇められた硬質な眼差し。
「俺はこのクソガキどもを守る。オマエはインデックスを守る。それが領分ってヤツだ」
「……っ、そんなの関係ねぇよ!領分とか、だってお前だってインデックスを守ってくれたじゃねぇか!
俺だってお前を…!!」
「ふざけるなよ上条当麻。あンまりバカげたこと抜かしてるとブチ殺すぞ」
ズ、と殺気のような威圧感が増す。だが上条は一歩も引かなかった。
ロシアの時とは違う。あの時は、一方通行のことはよく知らなかったが、ただあの悲痛な言葉が放って
おけず、自分の苦悩とシンクロしていたから。
今は、一方通行のことを知っている。少なくとも、その強さと脆さを。柔らかな髪も身体も。
「一人で戦うなって言ってるだけだ!お前が一人で戦って傷ついて、そんなの俺は嫌なんだよ!!」
「……オマエには関係ねェことだ」
「関係ないって……悲しいこと言うなよ、一方通行…」
胸の奥が鈍く痛んだ。くしゃりと顔が歪んでしまい、けれど一方通行も一瞬戸惑ったような表情をする。
だがすぐにその白い顔は苛立ちと怒りに塗り潰され、カツ、と最終宣告のような杖の音が響いた。
「……話は仕舞だ、無能力者。くだらねェこと言ってねェで、しっかり足元を見るンだな」
上条に背が向けられる。まっすぐに伸びた力強い、けれどとても細い背中。
打ち止めは黙って一方通行の袖をきゅっと握り、その後に続く。10032号は無表情ながらも途方に暮
れたように何度も上条と一方通行の後姿を見比べ、だが打ち止めが一度振り返ったのを見て、白い
背に続いた。- 853 :1[sage saga]:2011/09/03(土) 16:16:10.44 ID:3naz+GC30
「一方通行……!!」
思わず後を追おうとしたら、くいと小さな、だが確かな力で袖を引かれる。
「とうま」
「インデックス!?何だよ、飯ならもう食っただろ!!」
「違うんだよ。……今追いかけても、きっとあくせられーたは逃げちゃうだけかも。あんな風にのんびり
迎えに来たんだから、きっと今危険はない。だから焦らないで」
それまでただジッと黙っていた白い少女が、大きな碧眼で見上げている。
「……けど、けどさぁ…」
上条はうな垂れた。
こんなに自分の気持ちが伝わらないとは思わなかった。
「…んで、わかってくれねぇんだよ……」
すると、そっと背中に温かな手が触れる。顔を上げれば、インデックスがにこっと笑う。
それだけで少しだけ肩から力が抜けて、上条はガリガリ頭を掻いた。急にさっきの自分のテンション
の高さが恥ずかしくなってくる。
「インデックス。俺…何か言い方マズかったかなぁ?」
「ううん、そんなことないんだよ。私もらすとおーだーもくーるびゅーてぃーも、とうまがただ心配だった
こと、わかったから」
「そ…うか?じゃあ、何でアイツは……」
「私には、あくせられーたの気持ち、少しだけわかるかも」
「え」- 854 :1[sage saga]:2011/09/03(土) 16:16:36.27 ID:3naz+GC30
驚いて小さな顔を見る。上条の視線を受け止めて、インデックスはまた笑った。優しい笑顔だ。普段
はただ無邪気なのに、この白い修道女は周りの人が弱っていると、とても頼もしくなる。
「私はずっと追われてたでしょ?事情はわからなかったけど、追って来るのが特殊な人達だってこと
は理解してたんだよ。毎日必死で逃げて……」
イギリス清教の魔道書図書館は、ゆっくりと瞬きをする。もう遠くなってしまった辛さや苦しさを、あえ
て手元に手繰り寄せるように。
「誰かに助けを求めるなんて、思いつかなかった」
「インデックス…」
「だって、それまで誰も、私を助けてくれなかったから」
静かに呟いて、そして上条を見上げて笑った。
「とうま以外、誰もね」
「………」
何も言えずに見下ろすと、インデックスはぽんぽんと宥めるように背を叩いて、悲しげに目を伏せる。
「きっとあくせられーたも……今まで誰も、助けてくれる人なんていなかったんじゃないかな」
ああ、そうなのだろうなと上条は思った。
「誰も…誰も助けてくれなかったから、ずっと自分一人でなんとかして来たのかも。だから、誰かに
頼る発想がないんだよ。……頼ることも、信じることも、あくせられーたの選択肢には入らない」
頑なな背が、まっすぐに伸びた細い背が目の裏に焼きついている。
上条は、ぐっと拳を握り締めた。手にも腕にも頬にも、三週間前の夜に触れた感触が残っている。
いつまでも消えない。
「けど…けどさ…、そうだとしても、俺のことだけは頼ってくれてもいいじゃねぇか」
「とうま」
インデックスが、何故だか驚いたように目を見開く。
「何でアイツは、俺のこと信じてくれねぇんだ……」
今までのことなんて関係ない、他の誰を信じなくてもいい、自分のことだけは信じて、頼ってほしい。
そうしたら、俺は。
(……俺は)
- 855 :1[sage saga]:2011/09/03(土) 16:17:14.80 ID:3naz+GC30
土御門元春は、視線の先に見慣れたツンツン頭を見つけ、軽く手を上げた。
「おーい上や~ん。待たせて悪かったにゃ~」
第七学区、午後五時。下校から間もない大通りは、賑やかな学生達で溢れている。
待ち合わせ場所のファーストフード屋の前で、上条は「おう」と片手を挙げて応えた。
とりあえず店内に入って注文を済ませ、明るい窓際の席につく。
「で、話って何かにゃ?」
頬杖をついてポテトをつまみ、まぁあの禁書目録のことだろうなとわかっていた。
一ヶ月ほど前、魔術師に禁書目録が襲撃されている。その時は居合わせた一方通行が撃退したが、
直後に上条に「どういうことだ」と詰め寄られた際には「調査中だ」とだけしか答えなかった。
いい加減に痺れを切らしたということだろう。もっとも、渡せる情報はほとんど無いのだが。
ターゲットを変えたのか、ここ数度は一方通行を襲撃している。なるべく生かして捕えてはくれるけれ
ども、なかなか上手く情報が上がらなかった。
「ああ、悪かったな。急に呼び出して。でも、もうお前に聞くしかなくてさ」
上条はいつも明るい笑顔を、らしくなく強張らせている。焦れたような色はあまり見たことはなくて、
あれ?と少しだけ違和感を覚えるが、それだけ禁書目録のことを心配しているのだろうか。
とりあえず、禁書目録の側には配下をつけてあるから安心しろ、と言いかけて。
- 856 :1[sage saga]:2011/09/03(土) 16:17:44.03 ID:3naz+GC30
「一方通行の居場所、知らないか」
一瞬何を聞かれたのか理解できず、「……は?」と間の抜けた声が出る。
「だから一方通行が今どこにいるか、知らないか?ここ一週間くらい、全然連絡つかねぇんだよ」
「一方通行の、居場所…?」
マジマジと目の前の、これ以上ないくらい真顔の友人を見詰める。
(何でコイツが一方通行の居場所を知りたがる?)
しかもこんな顔で。
「お前、一方通行の知り合いなんだろ?打ち止めと御坂妹以外で、共通の知り合いなんか他にい
ねぇし。……てかさ、土御門」
「へ?」
「お前、一方通行とどういう関係なんだ?」
睨まれている。
いつもは真っ直ぐで素直な黒い目が眇められ、鋭い視線が突き刺さる。
(ん、んんん…?)
「関係?っつっても、にゃー…。別に」
「……お前、学園都市側の奥深くにも関わってるって言ってたよな。何か、他に言えないようなこと
に関わってて…アイツも、そうなのか」
不意を打たれて、思わず息を呑んだ。これでは肯定したも同然だ。自分らしくもない失態に、土御
門は小さく舌打ちをする。
「一週間前、一方通行が怪我してた。魔術師と戦ったらしい。お前、何か知ってるんだろう?」
確信を得たらしき上条は、熱を押し込めたような低い声音で問い詰めるが、それよりも言葉の内容
に引っかかった。
「怪我?一方通行が?」
「そうだ、怪我してた。殴られたみたいに頬が腫れて、すっげぇ痛そうだった…!」
上条が、自分の方が痛そうに顔を顰める。
「らしくないミスだな。イレギュラーでもあったのか…?」
もはや取り繕う意味もないので、土御門は顎を撫でて首を傾げた。
そういう報告は受けていないが。一週間前も三日前も、首尾よく気絶させただけの魔術師を回収し
ただけだ。
「土御門!やっぱり何か知ってるんだな!?教えてくれよ!」- 857 :1[sage saga]:2011/09/03(土) 16:18:25.64 ID:3naz+GC30
上条が食いつくように身を乗り出すのに、サングラス越しに目を眇めた。
「ダメだ。一般人には教えられない事情ってのがある」
「一般人って…!そりゃ、確かに俺はただの高校生だけど、そんなの関係ねぇだろ!?インデックス
だって襲われてんだぞ!!」
「禁書目録には護衛をつけてある。勘違いするなよ上やん、今のところお前さんは狙われてないよう
だが、お前さんだって機密事項の一つなんだぜ。首を突っ込まれちゃ迷惑だ。俺も、一方通行もな」
「………っ、じゃ、じゃあ居場所だけでいい!知ってんだろ!?」
「ダメだ。部外者には教えられない」
一方通行は今『グループ』の隠れ家の一つを点々としているようだ。10032号は冥土返しに、打ち止め
は番外個体に任せ、自らの守る者とは距離を取っている。
それは土御門にも理解できることだ。目の前の正義感に悪気が無いのはわかっているが、巻き込む
わけには行かないだろう。
「部外者……?」
しかし、上条は常にはないような苛立たしげな表情で拳を握り締めた。
(あれぇ…?)
今日、ずっと土御門に付いて周っている違和感が強くなる。
ふと考えてみれば、一方通行はこのところ上条とよく顔を合わせていると聞いている。
だがあの一方通行と上条当麻だ。水と油のように反りが合わないだろうし、目の前の気のいい友人も、
普段のお人よしぶりを発揮しているだけだろう、と思っていた。
「俺は一方通行にとって部外者で、お前は違うっていうのか?」
「……まぁ、そうなるな」
『グループ』は仕事仲間で、現状を維持するために協力し合うという意思確認を行っている。そういう
意味で、当然部外者じゃない。一方通行が戦いやすいように、色々手配もしているし。
けれども上条は一体どういう意味に取ったのか、ギリギリと歯を食い縛っている。
(おいおい)
「……ッ、なら、お前はアイツをちゃんと手助けできてるってのかよ?」
「はぁ……?手助け?一方通行を?」
ひどく悔しげな表情に、ポカン、と。また間の抜けた声が出てしまう。あの学園都市最強、魔術師を相手
どっても引けを取るわけがない第一位と、『手助け』という単語は、そぐわないこと甚だしい。
「何言ってるんだにゃー、上やん。そんなもんあいつに必要ないぜい?」
思わず普段通りの口調で肩を竦めれば、真っ黒い目がギラリと光った。
「必要、ない……?」
賑やかなファーストフード店にそぐわない、低く押し殺した声。それで、ああ、このどこまでも人の好い
少年には気に障る言い方だったかと苦笑した。
「誤解するなよ。あいつの能力は強すぎる。俺らが側にいても邪魔になるだけだ。助けになんて行った
ら、ぶっ殺されちまうよ」
「そりゃ、確かにアイツは強いかもしれない。でも……」
「俺が見てきた限り、あいつは油断とも驕りとも無縁だ。確実に相手を仕留めるし、躊躇いもない。覚悟
が違う。現に、指示したことが完遂されなかったことは一度もないしな」
一見柄が悪く大雑把な一方通行だが、現状を正しく認識する力、何が必要でどうすればよいか瞬時に
判断する力、そして実行力はズバ抜けている。その辺りはさすが第一位の面目躍如と言ったところだ。
以前『ドラゴン』と対峙し全員が気を失った後でさえ、一方通行は一人で無事に乗り切り、ロシアに渡り、
目的を達したと聞いている。
ひどく器用で、やらせれば何でも出来る。飲み込みも早く、必要なら行動は本当に早い。
『グループ』の主力、戦略兵器。一方通行。
あの男が助けを必要とする姿など、土御門には全く想像が付かない。
「お前の優しさはわかる。だが、よく考えろ。あの一方通行に助けなんか必要だと思うか?」
笑って肩を叩けば、何故か真っ黒い目が更にズシリと据わった。
「…………お前が」
「ん?」
「お前らがそんなだから、アイツは…っ!!」
ダン、と上条が激しくテーブルを叩く。
一瞬店内が静まり返り、しかし土御門が慌ててヘラヘラ「すいませぇーん、何でもないにゃ~」と笑顔を
振りまくと、すぐに喧騒が戻った。
「おい上やん、何……」
「一方通行は!!」
ジリジリと、こちらの肌が焼けるような焦燥と怒り。
「一方通行は怪我してたんだぞ!?能力なんて関係ない、あんなに華奢で細くて、……ッ、アイツは、
女の子なのに!!!」
「…………………は?」
学園都市とイギリス清教の二重スパイ、暗部や裏の事情に精通し、知らないことの方が少ないとよく
評価される土御門元春は、今度こそ完全に固まった。
- 871 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:24:38.86 ID:gKt+Mcga0
PM 4:32 第七学区 ファミリーレストラン
海原「……というかんじで、自分の魔術はイギリス清教などの十字教に根ざした魔術とは大きく異なり
ますね」
結標「へぇ~…。色々あるのねぇ」
一方通行「鬱陶しィ…」チッ
土御門「……………」ジーッ
一方通行「だが神話や伝承をベースにしているところは共通点だな」
海原「ええ、そうですね。自分が知っている限り、魔術とはそういうものです」
結標「あ、パフェ頼もうっと」ピンポーン
一方通行「俺もコーヒー」
土御門「……………」ジーッ
土御門(…こいつが女、ねぇ……)ジーッ
一方通行「後は、仕掛けや道具など事前準備をほぼ必ず必要とする。違うか?」
海原「ご明察」パチン
結標「指鳴らさないでよキモイ」
一方通行「ああ、きめェ」
海原「ひどくないですか?」
土御門(………うーん…確かに、体格は男だか女だかわからんし、顔は…まぁ…美人か…)ジー
店員「お待たせしました~。フルーツパフェと深煎りコーヒーのお客サマ~?」
結標「あ、私パフェ。こっちがコーヒー。はい、一方通行」カチャカチャ
一方通行「ン」ズズー
土御門(あー…指細いな。女にしては大きな手だが男にしちゃ小さい)ジー
土御門(言われて見れば女にも見える…気がする。ま、上やんが言うんなら本当なんだろうが)ジー
一方通行「……さっきから何見てやがるクソグラサン。愉快なオブジェにでもなりてェのか?」ギロ
土御門「しかし目付き悪すぎだにゃー。あと柄悪っ」ウン
結標「(プ)何あなた突然本当のこと」ウフフフ
一方通行「殺す」
土御門「はぁ…そう殺す殺す言うもんじゃないぞ一方通行」- 872 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:25:10.10 ID:gKt+Mcga0
一方通行「何なンださっきからオマエは」ビキッ
土御門「女の子だろ?ちょっとはそれらしくした方がいいぜい?」
結標「」ブッッッ
海原「」
一方通行「あァ…?……………結標ェ」ギロリ
結標「わわわ私じゃないわよ!!私言ってないわよ!!!!」ブンブン
土御門「何だ結標も知ってたのか。道理で最近仲良いと思った」
一方通行「仲良くねェ」チッ
海原「」
土御門「ああ、結標に聞いたわけじゃない。誤解するな」
一方通行「じゃあどこで知った。胸か股でも触らねェとわかンねェだろ、普通」
結標「まッ!!!あなたなんてこと言うのよ!!!」ガタガタッ
土御門「…………是非とも恥じらいも持った方がいいにゃ~…」ハァア…
一方通行「うるせェ。質問に答えやがれ」
土御門(上やんは『お前知らなかったのか!?』ってすげぇ慌ててたし、ここは上やんから聞いたって
ことは言わない方が良さそうだぜい)ウン
土御門「こないだ別件で特力研のこと調べててな。警備員が始末し損ねた資料の中にお前のことが
あったぞ」
一方通行「……あそこか」チッ
土御門「資料はお前のも含めてもう始末したから安心しろ。それが指示だったからな」
一方通行「………ふン」
土御門(どうやら誤魔化せたにゃー)ウン
一方通行「で?」
土御門「ん?」
一方通行「俺が女だから、何だっつゥの?」ギロリ
土御門(あ、死ぬわコレ。上やんみたく『女なんだから身体大事にしろ』とか言おうもんなら殺される
わ~。間違いないわ~絶対だわ~)
土御門「いや、別に?資料の信憑性を確認しただけだ。特に何もない」キリッ
一方通行「……わかってりゃいいンだよ」ズズー
結標「ねぇ一方通行、パフェ食べる?食べる?」ホラホラ
一方通行「いらねェよ死ね」ズズー
海原「」- 873 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:25:58.27 ID:gKt+Mcga0
海原「」
土御門(うーん。しかし俺らに性別バレても、特に動揺もしてないようだにゃー)マジマジ
土御門(…ま、そうだよな。男だろうが女だろうが一方通行は一方通行だ。ちょっと上やんの剣幕に
毒されちまったぜい)ヤレヤレ
土御門「ああそうだ一方通行、上条当麻が」
一方通行「っ」ガタッ ガチャン
土御門「………………」
結標「………………」
一方通行「………………」
海原「」
店員「あ、お客様大丈夫ですよ~。こちらで片付けます。今代わりをお持ちしますね~」フキフキサッサ
一方通行「……どォも」
店員「お待たせいたしました~ごゆっくり~」カチャ
一方通行「………で、何だ?」ズズー
土御門(……表情は普通だな。手が滑っただけか?)
土御門「上条当麻がお前のこと探してたから、第六学区と第八学区の隠れ家の場所教えたぞ」
一方通行「っ!?」ガタッ ガチャン
土御門「………………」
結標「………………」
一方通行「………………」
海原「」
店員「あ、お客様大丈夫ですよ~。こちらで片付けます。今代わりをお持ちしますね~」フキフキサッサ
一方通行「……どォも」
店員「お待たせいたしました~ごゆっくり~」カチャ
土御門「………………」
結標「………………」
一方通行「オマエ、何考えるんだアホか。一般人に暗部の隠れ家教えてどうするつもりだ死ね。その
グラサン目から後頭部に貫通して死ね」ズズー- 874 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:26:32.61 ID:gKt+Mcga0
土御門(動揺してる?)
結標(動揺してるわね)
海原(自分も引き続き動揺してます)
結標「ねぇねぇ土御門、上条当麻って誰?男?男よね?何なに?一方通行の何?」ワクワクテカテカ
土御門「俺のクラスメートだにゃー。そんで一方通行の…何だろうにゃ~?」ニヤニヤ
一方通行「ただの知り合いだ。そのクソウゼェ面やめろクソども」イラッ
結標「あっ、わかった!!ねぇアレでしょ、あなたの胸触ったのに女だって気付かなかったのってその
人でしょ!?」ピーン!!
土御門「へぇえ~~~!!ほぉおおお…」マジマジ
土御門(いや気付いてるにゃ~って知ってるけど面白そうだから黙っとこう)ウン
一方通行「見ンな殺すぞ。つか結標オマエ何なンだテレパス?多重能力者?」
結標「ふ、女の勘よ」ウフフ
一方通行「意味わかンねェ……」ドンビキ
土御門「あ、上条当麻に隠れ家教えたってのは冗談だ。暗部の隠れ家を一般人に教えるわけないだろ」
一方通行「……。笑えねェぞクソッタレ」
結標「あら、ホッとした?ホッとしたでしょ?なぁに~何か揉めてるの?相談乗るわよ!!」ワクワク
一方通行「」イラッ
土御門「けどここの場所教えたから多分あと五分くらいで来るな」
一方通行「っ!?」ガタガタッ
土御門「というのは冗談だ」キリッ
一方通行「」
結標「あははははは!!!その顔!!!」ヒーヒー
一方通行「……………殺す」ビキビキ
ソウダンノルワヨーーウフフフ
イヤーカミヤンニセメラレマクッテ タイヘンダッタニャーハハハハ
イーカゲンダマレ クソッタレドモ
ジブン マジクウキ
- 875 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:27:20.93 ID:gKt+Mcga0
PM 8:45 ミサカネットワーク内
1.【協力求む】あの人とヒーローさんをいいかんじにさせたいんだが38(172)
2.最近出来た友達を報告するスレ(812)
3.【初めての春】なぁ、もう春物着てるヤツいる?【でもまだ寒い】(672)
4.今日の上条264(491)
・
・
・
・
【協力求む】あの人とヒーローさんをいいかんじにさせたいんだが38(252)
127 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12942
で、こないだのプラン38「一方通行のワードローブにこっそりカワイイ服を
仕込んじゃおうぜ!」はどうなったんだっけ?>>運営
128 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19281
おーそういやそんなのやったなぁ
結局何入れたんだっけ~
129 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
黒のショートパンツとロングブーツ
黒のボレロとグレーのカットソー シルバーのブレスとか
130 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18192
あーそうだそうださすが>>129
何だかやたらモノトーンの一方通行の好みに合わせてみたんだよな
131 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
ああ……
あの人結構適当に引っ張り出して着てるように見えたんだけどねー
さすがに買った覚えのない服だと気付くみたい
ってミサカはミサカはあの人の記憶力のことを失念してたり…
132 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13818
またダメだったのか?>>131
もうさー、上位個体が頼み込めば着てくれそうじゃね?
133 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
「寒ィからイヤだ」だって!!!キィー
ってミサカはミサカはオシャレは我慢よ!!って訴えても通じなかったことを
明らかにしてみたり…- 876 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:28:15.44 ID:gKt+Mcga0
134 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka15221
wwww
135 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
あと「スースーするのもイヤだ」とも言ってたよ… はぁ…
136 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12931
スースーてwwww女装した男子かwww
137 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19223
一方通行がスースーするてwww
そこは「こんな女の子らしいの俺には似合わない…」とかそういういじらしい
感じの拒否じゃないのかよwwww
138 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17182
頑なに男の服しか着てないから、てっきりそういう感じだと思ったんだがなぁ>>137
僕の気持ちを裏切ったな(ギリギリ
139 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17118
あの白モヤシに何求めてんだよwww>>138
あーじゃあさ、上位個体が青のシフォンワンピも入れてたじゃん?
アレだったらあったかいから着てくれんじゃね?- 877 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:29:01.43 ID:gKt+Mcga0
140 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
それがねぇ、ダメだったんだよ
ってミサカはミサカは以下詳細に説明してみたり
(とある昼下がり 一方通行の部屋)
20001「ねぇねぇ、あなた!今日はこの服にしてみようよ!」ピラリ
一方通行「あァ?……却下」ゴソゴソ
20001「えぇ~何で何で!?ってミサカはミサカはワンピを持ってウロウロしてみたり!!」
一方通行「気に入らねェから」アッサリ
20001「ガーン…!!!ミサカあなたに似合うと思って一生懸命選んだのに!!って大きな
ショックを受けてみたり!!」
一方通行「駄々捏ねても着ねェぞ」
20001「うっ…そんなに気に入らなかったの……」シューン
一方通行「………」
20001「………」シューン
一方通行「はァ…あのなァ、人には似合う服似合わない服ってモンがあンだよ」ピシッ
20001「あいたっ!で、でもミサカ、あなたのほっそーいプロポーションをカバー出来るように
ふわふわっとしたデザインにしたんだよ?ってミサカはミサカはちゃんと考えたことを
アピールしてみる!!」キリッ
一方通行「ン、まァそれはいい。けど色がな」
20001「青?あなた色が白いから、この海みたいな色似合うと思ったんだけど…」
一方通行「俺は確かに白いが、逆に白過ぎンだよ。白・黒以外のこういう原色に近い濃い色
のモン着ると、顔に影が出来てますます不健康で疲れて見えンだっつゥの」ハァ
20001「え!!そんなこと!!ってミサカはミサカはとりあえず当てがってみた…り…あぅ…」
一方通行「わかったかァ?あと普通にシュミじゃねェわコレ」
20001「うぅ~…似合うと思ったのになぁ…ってミサカはミサカは」
一方通行「オマエには似合うだろ、それ。髪と目の色に合ってるぜ」ポンポン
20001「……ミサカが何年かしてこれ着るの、きっと見てくれる?ってミサカはミサカは一生懸命
見上げてみたり」
一方通行「………………そォだな」
141 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
って目を逸らしたけど小さく頷いてくれて、ミサカと一緒の未来をちょっとでも考えてくれたことが
ミサカは本当に嬉しくてね、ミサカはミサカは- 878 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:29:32.71 ID:gKt+Mcga0
142 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
zzzz
143 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16221
ネムー ( ´ρ`)。o ○
144 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17112
こっくり(-_-)(_ _)(-_-)(_ _).。oOOこっくり
145 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
もおおお!!ちゃんと聞いてよみんな!!ってミサカはミサカは憤慨してみたり!
146 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10046
おい丸め込まれてんぞ運営www
147 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12317
だな
結局着てないし
148 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
ハッ(゚Д゚)
149 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11900
つか俺はあのモヤシの なんだ その 独特のセンスの服からして
こだわりはあると思ってたぜ
150 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18110
まぁ 似合ってはいるよな……
151 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
「シュミじゃない」って言ってたからには、一方通行の趣味を聞き出せばいいんじゃないか?
152 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
えー ダメだよ!それじゃいつもの通りの細身のパンツとTシャツになっちゃうもん!
ってミサカはミサカはそれじゃカワイイ服でヒーローさん悩殺って目的が果たせないことを
危惧してみたり!!
153 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
………………あっ そういやそういう目的だったな
154 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10098
完全に忘れてたwwwww
155 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10046
カンペキに手段が目的化してたな俺ら- 879 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:30:06.70 ID:gKt+Mcga0
156 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
もー!!真面目に考えてよみんな!!!o(`ω´*)oプンスカ!!
157 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
このスレまだ続いてたのかよwwwww無駄な努力乙www
158 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
お?
上条派筆頭じゃないか、珍しいな>>157
159 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11092
どうしたんだこんなとこに
お前も一緒に遊ぶ?
160 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
面白くねー遊びだなww>>159
つかお前らって何派なの?上条派とか一方派じゃないんだろ??
161 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10046
上条のことは尊敬してるし好きだよ
一方通行には まぁ頑張れ 的な
何派と言われれば 面白ければ何でもいい派(キリッ
162 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11092
俺もww>>161
163 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10098
俺もだな
一方通行が実は女だったとか、ネタにせざるをえんだろjk
164 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12317
俺は普通に意外とお似合いなんじゃね?て思ってるよ
他人の恋愛応援するとか、普通の女子中学生みたいで楽しいし
165 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12808
つかそもそも、一方通行って別に上条のこと好きじゃないだろwww
ということが明らかになってる件>>164
166 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10883
みんなスッカリ信じ込んじゃってたからあん時はビビったよなぁ
167 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17221
末っ子容赦なしだったな………- 880 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:33:16.64 ID:gKt+Mcga0
168 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
う 嘘ついたわけじゃないもん!!
あの人がヒーローさんを特別に思ってることはあの時点でも絶対確実だったもん!!
169 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11990
まぁそれはわかるが、上位個体の先走りなのは間違いなかっただろ
「言っとくけどあの人は上条当麻なんて全然好きじゃないから!!全然だから!!!」
って一時期色んなスレにコピペしまくってたよなwww
170 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17812
俺の立てた 白モヤシと白シスターのチェスを見守ってチェス覚えようぜ ってスレが
これのせいで完全に話題乗っ取られた(#^ω^)ビキビキ
171 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14100
ドンマイ>>169
そのスレ興味あるから立て直せよ
172 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
あーそれ、その件なんだがな>>「一方通行って別に上条のこと好きじゃない」
こないだの出来事を聞いてくれるかね
173 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13889
ふむ 続けたまえ
174 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
ちょっと前にさ、上条の家に上位個体と一緒に遊びに行ってたらさ、
一方通行が顔にスゲー痣作って来てさ
175 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
マジでか>>174
176 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
マジマジ 鼻血とか出てたしマジビビったわ
あの白モヤシ真っ白だから赤いのとか青いのとかすっげー目立つのなんの
そんで何でかわかんないんだけど上条が一方通行に怒り出してさ…
・
・
・
・
- 881 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:33:56.40 ID:gKt+Mcga0
182 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
…ってわけなんだけど
こいつをどう思う?
183 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11022
すごく…意識してます……>>175
184 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18110
しかも…お互いに……>>175
185 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12900
なんつーか 不器用だな二人とも
上条ももうちょっと言い方あったろうに
一方通行は一方通行で、そんな怒らなくてもいいだろ 上条かわいそうだ
186 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19003
一方通行はプライド高いからなぁ
違う意味で上条のことずっと意識してただろうし
187 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
ミサカもあの人があんなに怒ったのには、ちょっとビックリしたよ
番外個体が同じようなこと言っても鼻で笑うだけなのに
188 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16113
実際の戦闘能力は関係なく、末っ子は一方通行にとって完全に守る対象
だからだろ
0歳児から「おねえちゃんは私がまもるよ!」って言われても微笑ましいだけだ
189 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
※あの人の>>188曰く「微笑ましいと思ってる顔」
http://www.misaloda/accela-23991.jpg
190 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
嘲www笑wwwwwww>>189
191 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18990
表情だけでこんだけバカに出来るってスゲーなwww>>189
192 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12110
末っ子カワイソスwwww
193 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
しかし何だ えーと 嘘から出た真ってことか?
一方通行はどうでもいいやつにそんな反応しないだろうし
上条も一方通行のことそれなりに大事に思ってるってことだろ
恋愛的な意味かはわからんが- 882 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:34:30.06 ID:gKt+Mcga0
194 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20001
ぶっちゃけミサカもその辺はよくわかんない>>恋愛感情かどうか
つかあの人はもちろんだけどヒーローさんもすごい鈍そうだし
ってミサカはミサカは、まぁあの人を大事にしてくれるんならそこはどうでもいいのだ
195 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
どうでもよくねぇえええ!!!!!!!!!!(゚Д゚)
196 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka20000
どうでもよくねぇえええ!!!!!!!!!!(゚Д゚)(゚Д゚)
197 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14510
どうでもよくねぇえええ!!!!!!!!!!(゚Д゚)(゚Д゚)(゚Д゚)
198 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11928
おい、何か不穏な噂聞いたんだが!!上条と一方通行がががgg
199 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17110
ちょ あれデマじゃなかったのかよ!?!?
俺達の上条がぁああ
200 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17713
嘘だろおお!!!!!上条おおおおお
201 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12100
一方通行が え?うそ
・
・
・
・
613 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10046
はーやれやれ 上条派と一方派の乱入でエラい目にあったぜ
614 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13120
運営が隔離しに行ってくれて助かったな
上条派のテンションの高さパネェwwww
615 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14870
隠れ一方派のウザさもなかなかのものである
女だってわかって減るどころか逆に増えてる感なのは何なのイミフ
616 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
さっきから10032号が喋ってないけど生きてるか?
617 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
生きてる…けど…
えー 何だろう 俺どうすればいいかな?- 883 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:35:08.27 ID:gKt+Mcga0
618 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
お前は今どういう気持ちなんだ?
619 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
うーん… 胸んとこがモヤーっていうか…
でもそれだけでもなくてさ
うーん上手く言えん
620 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
今北産業
621 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
一方通行が怪我してきたら
上条がスゲー心配して怒ったので
10032号がヘコんでいる
622 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
へー(´・∀・`)
10032号って上条のこと好きなんだっけ?
623 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
うん>>622
624 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
じゃあさ、一方通行に「もう上条と会うな」って言えば聞いてくれるんじゃね?
625 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17102
oh ……
626 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14890
おま 天然のくせして鬼畜だなオイ>>624
しかし確かに俺らが頼んだら黙って頷きそうだわあの白モヤシ
627 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka15189
最近読んだ少女マンガにそういう悪役が出てきた件
628 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11299
いや待てよ
そんな甘いこと言ってる場合か!恋は戦争だ!!(・∀・)
629 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
お前ら面白がるなよ- 884 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:35:39.92 ID:gKt+Mcga0
630 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
>>624が今読んでいる雑誌の特集が
『先手必勝☆気になるカレを手に入れるための裏技テク100』
である とミサカはネタバラシします
631 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
ちょ 返せよー!!
ま、まぁいいじゃん、一方通行って上条のこと嫌いなんだろ??
632 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16572
!?!?!?
633 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka15220
>>631
>>631
>>631
634 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka12109
どういう判断だ>>631
635 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
え だってさー 三日前に偶然上条見かけてさ
すっげー怖い顔してたから、気になって後つけてみたら一方通行がいて
一方通行がすごいしかめっ面になってどっか行っちゃったから
一方通行って上条のこと実は嫌いだったのかーって
白シスターと仲良いだけじゃね?
こないだ末っ子も言ってたし
636 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13190
お前な……
俺らん中じゃ感情豊かな方だと思ってたんだがなぁ
637 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
表情と情緒は多少豊かだがその分論理的思考能力に欠けるっぽい>>635
638 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
失礼な このミサカがバカだと言うのか!!
639 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
うん まぁ>>638
640 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
ガ━━Σ(゚Д゚|||)━━ン!!
641 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
冗談は置いといて
10032号はどうしたいんだ?
一方通行と上条を引き離したいのか?- 885 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:36:22.51 ID:gKt+Mcga0
642 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
うーーーん………
わからんけど 違う と思う
643 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
ここでくらい正直になっても誰も責めないぞ
嫉妬は人間らしい感情だって研究員に聞いた
ミサカ達は人間らしくありたいと思ってるし、お前もそうだろ?>>642
644 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
……嘘は、ついてないかな
俺、上条の彼女になりたいって思ってたけど
ちょっと前のさ、上条の家で一方通行と白シスターと上位個体でいるのも楽しくて
上条が帰ってきて、皆でご飯食べたり
上位個体が「いただきますってやってみたかった」って一方通行に言ってたの
ちょっとわかった気がしたりとか
一方通行とか上位個体とか白シスターとかいなくて、上条と二人っきりのがいいのか
っていうと 何か違うっていうか…
上条の顔見てると、胸があったかくなるけど
645 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
うん
646 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka17012
いっつも楽しそうだもんな、お前
ちょっと羨ましいよ
647 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
一方通行がこないだゴーグル返してくれたんだけど、横のとこに『10032』って
小さくロゴが入ってて
あと、何か軽くなっててさ
軽量化?してくれたっぽくて理由聞いたら「いつも重そうにしてるから」みたいなこと
すごいしかめっ面で言われて 何か
648 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13901
優しwwwいwwwwww
いいなー
649 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
俺大事にされてるのかな?って思ったら
なんか胸んとこがギュッてされたみたいになってさ
時々だけど上条の家で
俺と上位個体と白シスターが遊んでて、横で一方通行が本読んでたり機械いじったり
俺は雑誌読んでて、上位個体は昼寝してて、一方通行と白シスターがチェスしてたり
そういうとこに上条が帰ってきて、「おかえり」って言ったり- 886 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:37:28.07 ID:gKt+Mcga0
650 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
うん
651 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
あの家から一方通行がいなくなるのは、やだな……
あー わかんね
俺、結局自分の気持ちもよくわかってねーや
652 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka14889
焦んなくていいだろ
整理ついてやっぱり上条のこと好きなんだったら、
改めて一方通行にまた宣戦布告してやれよ
653 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13820
あの泣きながらビンタしてクレープたかりながらやったやつなwwww
654 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka11290
wwwwwww
655 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
ちょwwwやめろよwwww- 887 :1[sage saga]:2011/09/06(火) 23:38:02.61 ID:gKt+Mcga0
656 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
なんか早とちりしてゴメン
10032号は一方通行と上条が両方好きでどっちが本命か迷ってるって話だったんだな!
そういうことならこないだ雑誌にそういう特集がなー
657 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
(#^ω^)ビキビキ>>656
658 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka18210
おい
おい>>656
659 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka13577
何だこの残念なミサカは>>656
660 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka19090
えっ 違う?
でも10032号って一方通行のこと好きだよね??
661 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka10032
.┌、 r┐ r┐ヾ> (_ / ミ
!. | ヾ> || lニ コ 〈/`ヽ _ ミ
|. ! ノ| | レ! _| |. ,イ,.- 、 |  ̄_ ̄丁 '' ー┬‐- -ミ
ヽ二/ .ヽ/(___メ> /,|.l l ! ( ) ! (´ ) ! r‐
ry'〉 ,、 /イ,! `ー' _L =- --┴-ニ二ト、_'ー'
lニ', r三) (( |'J」-''_二 =-- ‐一 ー‐t‐-ト、 二__
|_| )) レ'/´ィ 、_________ ヾミ| l
_r┐ __ (( V ,、 F≡三r一tァー, | l:.:. .::
└l. レ',.-、ヽ )) |ノ^>、 '^ミ二´ | l:.:.:.::
ノ r' __,! | (( V/イソ .::ヽ、二_
└'!_| (_t_メ.> )) | / ,' _ .:.:.:.::i|,)ノ
r-、 (( |.〈、 、 _〉 `丶、 ;:ィil| ノ
,、二.._ )) | 笊yfミミミミヾ、 '!l|il|li!fj'
ーァ /. (( ヽ |i''r ''_二二ニミ;ヽ、 ,|l||il|l|,「゚|
ん、二フ )) |,l| V´ :::::::::;;/ トi|l|i|i|l|!Ll
,.-─-.、 (( |i! ゞ=-‐''" ,i||i|l|l|l|!|i{
/ /l .i^ヽヽ ` |il! ーォii|「、 ,,.,.ィi||l|i|l|l|i|l|シ'
. | .レ' / l.| ヽ二ニ,ヽ ,/i|l||livil|||l|i|l|l|lil|l|i|l|i|i|i|l|l|l|{'
. ヽ/ ノノ <ノ {l|!|l|i|l|i|l|i|||i|i|l|i|i|i|i|l|l|!|l|l!r'
r┐,.─-、 / 7 ヾ!||i|i||i|i|l||l||i|i|l|l|l|l||l|l!イ
||し'^) ,! ┌‐' 'ー┐ト、 ``,ヘi|l|i|l|i|l|l|i|r''`''"´ i ,
|_| l´r' 7 /_7 / 」__〉 (_~`^~"゙'ヾ ノ / ,
[_] [_] 〈_/ヽ_/ .ト─' ノ / /i
659 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします ID:Misaka16192
そこはいい加減素直になれよwww>>661
- 901 :1[saga]:2011/09/18(日) 15:09:08.58 ID:Q3vQ7IW70
午後六時。第十九学区。
夕闇に、古臭く寂れた街並みが沈みかけている。
一方通行は杖を付き、カムフラージュを混ぜながら『グループ』の隠れ家へ向かっていた。
「………」
最後の日の欠片が、吐き出す息を微かに白く照らす。
魔術師の襲撃で不覚にも怪我をし、上条当麻と仲違いをしてから、二週間。あれを「仲違い」と言うもの
なのかわからなかったし、違えるような仲だったつもりもないが。
そもそも、一方通行は他人とケンカなどしたことがない。殺し合いしか、したことがない。
だいたい、学園都市最強の第一位と『敵対』したものなど数えるほどで、敵じゃなければ大概は一方通行
の言いなりだった。そこに多少の画策や交渉、駆け引きはあるにせよ、真っ向から一方通行の意に沿わ
ぬことをするものなどいなかった。
真っ向から、真正面から、「お前のそういうとこがダメだ」と叩きつけてくる者など。
ああ、苛々する。唇を噛み締める。
「一方通行…!!見つけたぞ!!!」
背を打つ熱い声に、杖を掴む手がピクリと震えた。
そろそろ来るかと思っていたし、驚きもしなかったのに震えた指先に、一方通行は懲りずに苛立ちを感じる。- 902 :1[saga]:2011/09/18(日) 15:09:49.83 ID:Q3vQ7IW70
「……何なンだよ、オマエは」
わざわざゆっくり振り返れば、脳裏に嫌でも思い浮かんでいた、真っ黒い目がこちらを見据えていた。黒だと
いうのに、夕闇には決して沈まない、逆に浮き上がるような。
上条当麻は、真っ直ぐに駆け寄ってくる。
「こないだから一体何の用だってンだ。俺はオマエの面なンて見たくねェンですけど?」
「お前、まだ魔術師と戦ってるんだってな?打ち止めに聞いた、ずっと家に帰ってないって」
苛立たしさを音にしたような声音にも怯まず、上条は一方通行の前に佇む。
「………」
「魔術師の狙いはインデックスなんだろ。何度でも言うぞ。俺もお前と一緒に戦う」
「うるせェ」
一言のもとに切り捨て、赤い目を眇めた。
「誰に向かってモノ言ってやがる。寝言は寝て言え、三下」
「一方通行!!」
「うるせェっつってンだよ…!」
伸ばされる日に焼けた手を、思い切りはねつける。
二週間で、十回。上条当麻が一方通行の前に現れた回数だ。頭の中から消し去ってしまいたくても、無駄
に克明な記憶が忘れさせてくれない。
『怪我はどうなんだ』『何で一人で戦うんだ』『お前が心配だ』『打ち止めもインデックスも心配してる』『それ
痛いだろ?』『ちゃんと手当てしたのか』『何で俺に連絡しないんだよ』『お前と一緒に戦いたい』『お前を』
『お前を助けたいんだ、一方通行』
何度も何度も何度も何度も、真摯な目で声で顔で、飽きずに繰り返す。追って来る。何度も。
(何なンだよコイツは、一体何なンだ)
わからない。飽きずに同じやり取りを繰り返す自分のことも。
学園都市最強。暗部『グループ』の主力、戦略兵器。第一位、『一方通行』。
怪物と同じ意味を持つこの身を、まるで一人で無茶をする普通の人間のように扱う無能力者。
上条当麻を、どう扱えばいいのかわからない。
苛々する。このところ、ずっと苛々して、ムカつきが消えない。
「なぁ…俺、何か変なこと言ってるか?一人で戦うより二人で戦った方が心強いだろ?」
当の無能力者も、少しだけ途方に暮れたような顔で首を傾げる。
その『当たり前のことを言っているような』表情が、一方通行を戸惑わせ、苛立たせた。
「バカじゃねェの。オマエなンか足手まといだ。俺は一人で戦うのが一番やりやすいンだよ」
「そんなの、やってみなきゃわかんねぇだろ!」
「やンなくてもわかンだよ、そンなことは!!」- 903 :1[saga]:2011/09/18(日) 15:10:35.88 ID:Q3vQ7IW70
真っ黒の目と、睨み合う。常にはないほど目元にも下腹にも力を入れ、そうしないと後退ってしまいそう
な自分に気付いて、ぐらりと頭の芯が揺れた。
自分の赤い色など、この黒に簡単に呑み込まれてしまいそうで。
「お前なンか必要ねェっつってンだ!おとなしく一般人は黙って家に帰ってろ…!!」
「一般人とか暗部とか、関係ねぇよ!!俺は…っ」
(暗部の、ことを)
土御門が話したのか、と思い至り、腸が煮えくり返りそうになった。この無能力者は一般人で、魔術や科学
の中心に関わっていたとしても、『グループ』とは違う。光の世界の住人なのに。
「…クソッタレ、土御門の野郎…!」
思わず吐き捨てると、ふと上条の表情が変わった。
「……一方通行は、土御門になら頼るのか?」
それまでのただひたすらに真摯でひたむきだったものが、やや険悪に歪む。
「はァ?」
「俺はいらないのに、土御門の手は借りるのかよ?」
押し殺した低い声に、一方通行は思わず間の抜けた反応をしてしまう。
「借りてねェよ、あンなクソグラサンの手なンか」
「でも土御門はお前の居場所知ってんだろ?俺にも打ち止めにも教えてくんねぇのに…っ」
「何言ってンだオマエは。オマエらとアイツは違うだろォが」
土御門は暗部で、目の前の男と打ち止めはそうじゃない。当然だ。
訝しげに眉を顰めると、上条が歯を食い縛った音が聞こえた。
「……確かに、違うかもしれねぇけど」
だったらさっさと帰れ、と吐き捨てようとして、その目の色にギシリと喉が詰まる。
「俺は!俺の方が、お前のことわかってる!!」
叩きつけるように叫ばれ、一方通行は瞠目した。
「土御門は『お前に助けなんか必要ない』って笑ってたんだぞ!?助けになんか行ったら自分が殺される、
なんてふざけたこと!!」
怒り心頭の上条の表情に、数瞬で我に返り、苛立ちが込み上げる。
また、この男は。一体どれだけ自分を舐めきっているのか。一国の軍と戦っても負けはしない自分への
評価として、土御門と上条と、どちらが正しいかなど明らかだ。
「……ッ、そォだ、それでいいンだよ!あいつはよくわかってる、それが正しいンだ!!」
「正しくなんかねぇだろ!たった一人で戦って、こないだみたいに怪我したらどうすんだ!?」
「アレはたまたまのイレギュラーだっつったろォが!」
「そのイレギュラーで次は致命傷を負わない保証なんかどこにもないだろ!」
「そン時は一人でどォにでもするし、今までもそォして来れたンだっつゥの!」- 904 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:11:12.73 ID:Q3vQ7IW70
一方通行はずっと一人で戦ってきた。状況に応じて他人と手を結ぶことはあったが、頼りにしていたのは
自分の力だけ。それでよかった。何の問題もなかった。
「これまでそう出来たからって、これからも出来るとは限らないだろ!?何でそんなに頑なに一人になろう
とするんだよ、この意地っ張り!!」
「い……っ!?」
思わず絶句してしまう。
意地っ張り、とは。素直でなく、自分の考えなどに固執して、それを通そうとすること。
脳裏に国語辞書的なフレーズが流れて行き、その、まるで普通の友人にでも使うような平凡な言葉に、
カッと頭に血が昇った。
これほどに自分にふさわしくない表現があるだろうか。それを当然のように言い放つ無能力者が理解で
きない、心底理解できない。頭の芯が痛む。何かが破裂しそうだ。
「うるッせェんだよ…!!何なンだ、何なンだよオマエはァ!!!」
ドン、と地に足を打ちつけると、半瞬でアスファルトに細かな皹が入り、上条の足元で炸裂した。
静かな夕暮れに爆音が響き、もうもうと土煙が上がる。
「………っ」
一方通行はぜぇぜぇと荒い息をつき、土煙が晴れていくのを、成すすべもなく見詰めていた。
十秒も経たないうちに、土埃は辺りの空気に溶けて消える。後には、剥がれて割れたアスファルトと、
上条当麻が少しだけ驚いた顔で佇んでいた。
無傷で。元の場所からは、一歩も動いていない。
つまり、一方通行の攻撃は上条を傷つけるものではなかったと、誰の目にも明らかで。
奥歯を強く噛み締める。ごりり、という鈍い音がして不快だ。
イメージ、出来なかった。能力を行使するためには、『自分だけの現実』を明確に構築しなければなら
ない。今更確認するまでもない不文律。
(なンで)
けれど一方通行は、『目の前の男を血塗れにする』という『現実』を思い描くことが出来なかった。出来
なかった、どうしても。
(何でだ?どォして)
この無能力者が、能力を無効化することは知っている。だが確認するまでもなく、上条は右手の指一
本動かしていない。一方通行が、自分で勝手に衝撃を逸らしただけ。
自分が理解できなかった。耐えられない、何かがブチブチと千切れていく気がして、叫び出しそうだ。
壊れてしまう、と思った。きっと壊されるのは、今までの自分。
戦うのは自分だけ、頼れるのは自分だけ。そう信じる学園都市最強の化け物。
今までの『一方通行』が壊れてしまう。
例えば打ち止めを助けた時のように。- 905 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:11:48.79 ID:Q3vQ7IW70
「一方通行」
呼ばれて目が合うと、上条は不意に笑顔になる。
「打ち止めに聞いたんだ。お前、俺にあの変なコーヒー飲まそうとしてくれたんだって?」
「は、ァ…?」
「淹れる方法は変だけど、おいしいんだってな。自分がおいしいと思ったから、俺にも飲ませてくれよう
としたんだろ?そういうのわかんないって、前言ってたのに。わかるようになったってことなんだろ」
嬉しそうに、真っ黒の目を細める。
ささいな出来事だった。インデックスが勧めた紅茶を一方通行がマズイと言って、上条と打ち止めに
咎められた。自分の好きなものを周りの大事な人にも認めてほしい、そういう気持ちがわからないと
思った。
そうだ、わからなかったのに。
ごく自然に、おいしかったから、このツンツン頭にも飲ませてやろうと思った。
どうして?理由なんてない。ただ、そうしたかった。
「お前は俺に、自分がおいしいと思ったものを飲ませてくれようとした。それって、……少しは俺のこと、
認めてくれてるってことだよな?」
ガン、と頭を殴りつけられたような衝撃が襲う。
(認める?俺が?コイツを?こンな、……コイツは)
コイツは、俺を認めていないのに?あンな雑魚の魔術師なンかに、俺がやられるって思ってるのに?
じわじわと、頭が締め付けられるような気がする。嫌な感触の汗が滲んで、短い息をついた。
「…一方通行?大丈夫か、顔色悪いぞ?」
上条はごく当たり前のように、心配そうな顔で手を差し伸べる。
「触ンな…っ!!」
再度、その手を思い切り払おうとした。だが、軽い音がして、受け止められてしまう。そのまま握り締め
る日に焼けた手は乾いていて、ひどく熱かった。
「うわ、お前手ぇ冷っ!何だ、具合悪いのか!?」
悪い。今まで経験したことがないほど、頭も痛いしグラグラするし、ここ最近ずっとそうだ。ホルモンバラ
ンスの崩れた身体は外部刺激に予想もつかない反応をしているようで、だがそんな弱みを他人に悟ら
れるはずがないのに。
普段通りの、学園都市最強だったなら。
「うるせェ、その哀れンだ顔をやめろ!たった二回俺に勝ったからって、図に乗ンじゃねェ!!」
「図に、って…心配してるだけだろ!」
目の前の黒い目が、いかにも心外そうに眇められる。どこまでもまっとうな反応で、掴まれた手が焼き
切れそうに熱い。痛い。頭が。
「それが図に乗ってるっつゥンだよ、この俺を心配、とかバカじゃねェの!?」
「心配するのに能力の強さなんか関係ねぇだろ、何でわかんねぇんだよ!!じゃあお前は打ち止めが
お前より強い能力持ってたら、怪我してても、怪我するかもしんなくても、心配しないってのか!?」
「………っ」- 906 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:12:18.85 ID:Q3vQ7IW70
そんなわけがない。
頭で考えるよりも先に心が応えて、一方通行は言葉に詰まった。
反論せずにただ固まっている白い顔を見て、上条が少し安堵したように笑う。
「……だろ?心配するだろ?そうだよな」
畳み掛けるような声は、温かい。温もりを移したように、耳まで熱くなってくる。気持ちが悪い。
「俺だって、お前が俺より強いことくらいわかってる。でも、心配なんだ。お前が心配なんだよ、一方通行…」
手を握り締めたまま、日に焼けた健康的な顔が近づく。苦しそうな表情だった。
一方通行は瞬きもせずに、真っ黒の目を見詰める。
「もう一人で戦うな。俺も一緒に」
一緒に?
この『反射』の一方通行と一緒に戦う、などと言っているのだろうか、この無能力者は。
一方通行は唇を噛み締めた。喉の奥が痛い。
「本当に、バカじゃねェのか……」
「何でだよ」
「オマエも俺の能力を知ってるはずだ」
「ベクトル操作、だっけ?」
「そォだ。あらゆるもののベクトルを操作可能。基本的に攻撃はすべて反射する。反射すれば、能力だろ
うが魔術だろうが周囲に拡散する。戦闘中に俺の周りにいればどォなるか、わかるだろォが…」
そう、例えばインデックスのように。守ろうとしてすら、あれほど傷つけてしまうというのに。
一方通行が搾り出した声は罅割れて、歪んでいた。自分で聞いても、聞き苦しい声音だった。顔は引き攣
っていて、呼吸は浅く、冷や汗は滲んだまま。
「なんだ」
だが上条は、パッと弾けるように笑った。夕闇の中で、沈んだはずの太陽が昇ったような気がした。
「なんだよ、一方通行。お前も俺のこと、心配してくれてたのか?」
「………っ」
「上条さんは大丈夫!絶対だ、約束する!!」
半瞬の迷いもなく、やたらと力強く宣言する。何が嬉しいのか、満面の笑顔だ。
息が詰まる。
「………………」
そんな何の根拠もない言葉を、鵜呑みに出来るわけもないのに。ふざけるなと、一蹴すればいいのに、
言葉が出て来なかった。
一体こいつは何なのだろう。何度も繰り返した問いを、答えなど出ていないから、また繰り返さなければ
ならない。
上条当麻は、『敵』でも『暗部』でも、もはや『一般人』でも、しかし『守るべきもの』でもない。
一方通行の認識するカテゴリーに、分けて整理してしまうことが出来ない存在なのだと、今更ながらに気
付かされた。
何もかもがイレギュラー。学園都市最強の怪物に力技で勝てるのも、それでいて単なる平凡な人間と接
するような態度も、真っ直ぐで強靭な心も。
「何なンだよオマエは……」- 907 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:12:44.26 ID:Q3vQ7IW70
俯いて同じ言葉をもう一度呟けば、途方に暮れたような頼りない声音になった。
目の前の男のことがわからない。
だがもっとわからないのは、自分のことだ。
能力を封じられていても、こんな無能力者、どうにでも出来るはずなのに。手を振り払うこともせず、突き
放すことも出来ず。
一方通行が棘だらけの目付き、表情、声音、何よりも最強の能力を剥き出しにすれば、相手は必ず敵意
を返すか、恐れた。どちらでもないこの男を、どうすればいいかわからない。
どうしたいかも、わからない。
どうすればいい?殺せばいい?それはダメだ、ならどうすれば?
「一方通行?」
上条が心配そうに顔を覗き込もうとする。顔を背け、一方通行はかろうじて震える指先に力を入れ、自分の
手首を掴む上条の指を引き剥がそうとした。
俯いたまま、一本一本、日に焼けた指を外していく。
「…………」
「…………」
なかなか力の入らない細い指先を振りほどくことは簡単だったろうに、上条はじっと一方通行の行動を見詰
めていた。
ようやくすべての指を外し終わったときには、数分は経っていたように思う。熱い掌が外れた手首は生白く、
自分で見てもひどく不健康そうだ。
「一方通行」
「うるせェ。俺に話しかけンな。俺の前にその面見せンじゃねェ」
顔を上げないまま、一方通行は低く声を絞り出した。
ぐらぐら、ぐらぐら。今まで頭の先から足の先まで通っていた芯が、揺れる音すら聞こえてきそうだ。
壊れてしまう。壊されてしまう。この一見、何の変哲もない無能力者に。
守るべきもののために、一人で戦い続ける決意が、『一方通行』として、ひとりで真っ直ぐ前を見据える力が。
何より、壊される、などという被害者ぶった意識に吐き気がした。
気持ちが悪い。目の前の男は完全なる善意で、悪気などないことはわかっている。一方通行が一人で勝手
に脅威を感じているだけだ。何という被害妄想。異常だ。なんて情けない。
下腹に力を入れ、奥歯を噛み締め、杖を握り締めて、顔を上げる。睫毛が震えた。
「二度と、俺に近づくな。上条当麻」
星のように輝く黒い目を見据え、ゆっくりと言葉を吐き出していく。
そして、何の前触れもなく地を蹴って飛び上がった。「一方通行!!」という声が遥か足元から響いたが、決
して振り返らなかった。
まるで必死に、逃げるかのように。
- 908 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:13:18.62 ID:Q3vQ7IW70
PM 6:48 第十九学区 路地裏
ピッ ピピ プルルル プルルル
上条「…あ、打ち止めか?うん、俺。えーと、ごめん。またダメだった……」
打ち止め『あららー、仕方ないなぁあの人は。ってミサカはミサカは肩を竦めてみたり!』フゥ
上条「一回手ぇ捕まえたんだけどさぁ……」
上条(あんな顔されたらなぁ)ズキ
上条(あんな、泣きそうな顔されたら、無理強いなんて出来ねぇよ…)ズキズキ
打ち止め『………』- 909 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:13:45.26 ID:Q3vQ7IW70
上条「でも、次こそ説得する。俺は諦めねぇから」
打ち止め『うん、それでこそヒーローさん!…あの人、まだ十九学区内にいそうだよ?ってミサカはミサカ
は相変わらずふわっとした位置情報をお伝えしてみたり』
上条「そっかー。この辺にも隠れ家ってあんのかねぇ」テクテク
打ち止め『さぁ、どーだろ?こないだシスターさんと一緒にいた時にツチミカドっていう怪しいグラサンが来
たんだけど、何聞いても教えてくんなかった!ってミサカはミサカは大プンプン!』プンプン
上条「あれ土御門に会ったのか?珍しいな、お前らが来てる時には顔出さないのに」
打ち止め『ミサカが怪しい気配をキャッチしたのだ!ってミサカはミサカは自分の電磁レーダーを自慢
してみたり!…したかったのだけど、気付いたのは番外個体だよー』ショボーン
上条「番外個体か。話だけ聞いてたけど、俺はまだ会ったことないんだよな」
打ち止め『あの子があなたに会いたがらないんだよね、ってミサカはミサカは溜息をついてみたり。まっ
たくワガママな妹です』ヤレヤレ
上条「上条さんってば会ったこともないのに、何で嫌われているのでせうか!?」ガビーン
打ち止め『あなたが悪いんじゃないから気にしないで、ってミサカはミサカは気休めを口にしておく』
上条「気休めなのかよ!」
打ち止め『うーん、あなたは悪くないけどあの子があなたを嫌いなのはあなたのせいだからってミサカは
ミサカはお茶を濁してみたり』
上条「???……まぁいいか。打ち止めとインデックスは大丈夫ってことでいいんだよな?」
打ち止め『うん!ってミサカはミサカは力強く頷いてみる!あ、でもシスターさんから伝言あったんだ!』
上条「ん?インデックスが?何だろ、俺が帰って直接言えばいいのに」??
打ち止め『「これでいつも私がとうまのこと心配してる気持ちわかったでしょ?」だって!ってミサカはミサ
カはものすごく身につまされてみたり』ウンウン
上条「うっ……、すいませんでした……」
打ち止め『うむ、素直が一番。ってミサカはミサカは重々しく頷くのだ』ウム
上条(あー、心配してんのに連絡付かないのってこんな不安なんだな……確かにインデックスが怒るのも
わかるわ)
上条「よし、今日は奮発してインデックスに肉でも食わしてやるか」
打ち止め『食べ物で懐柔!?ってミサカはミサカはガビーンってなりつつも、それが一番喜ばれそうだな
って結局は同意してみたり…』
上条「だろ?けど今日はもうちょいだけ探そうかな。一方通行の居場所、わかるか?」
打ち止め『うん!あの人の位置情報、また頑張って検索してみる!!』キリッ
上条「頼むな。お前だけが頼りだから。アイツ、全ッ然ケータイ出ねーし」
打ち止め『まかせなさい!ってミサカはミサカは元気よく笑顔で頷いてみたり!』エヘヘ
上条「……なぁ、打ち止め」
打ち止め『なぁに?ってミサカはミサカは突然優しい声になるヒーローさんを不思議に思ってみる!』
上条「無理するな。一方通行にずっと会えてなくて寂しいんだろ?アイツに言ったりしないから、無理して
明るく振舞わなくってもいいんだぞ」
打ち止め『な…、何のこと?ってミサカはミサカは…』- 910 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:14:14.68 ID:Q3vQ7IW70
上条「お前、一ヶ月前だったら、電話とかしてたらすぐ、『今日あの人が』とか『前にあの人が』とか一方通
行のこと話してただろ?最近、それ全然しないからさ」
打ち止め『そ、そんなの……だって…』
上条「ああ、しょうがないよな。もう二週間だ。そんなにアイツに会わないの、久しぶりだろ」
打ち止め『…………』
上条「御坂妹にも聞いたんだ。MNW内でもあくまで普段通りだって。……元気なさそうにしてて、それが
アイツに伝わったら心配かけるって思ったんだろ、打ち止め」
打ち止め『……っ、ミサカは…』
上条「大丈夫だ。二人だけの秘密にする」
打ち止め『う……っ、』
上条「大丈夫だ」
打ち止め『……っ!……ひ、っく…』グスッ
上条「寂しいか?」
打ち止め『う、うん…!寂しい…って、ミサカはミサカは正直に答えてみたり…』ヒック グスッ
上条「ああ、わかる。俺も寂しい。また早くお前らに遊びに来てほしいよ」
打ち止め『うぇえ…あの人に会いたいよぉ……夜中に起きた時、あの人にくっつくとすっごく安心する、
のに……今は起きても一人ぼっちなの…会いたいよ…」グス
上条「うん。アイツも同じだと思うぜ」
打ち止め『そうかなぁ…?ミサカのことがあの人の負担になってないかなぁ…?ってミサカはミサカは』
上条「アイツが選んで背負ったんだ。それがアイツの支えなんだよ。俺も同じだから、わかるんだ」
打ち止め『支え……』グスッ
上条「重いなんて思ってねぇよ。逆なんだ。それがなかったら、俺なんか風に吹かれて飛んでっちまう。
インデックスは、俺をこの世界に繋ぎとめてくれる絆なんだ。きっと一方通行にとってのそれが、
お前なんだろうさ」
打ち止め『……っ、ぅうう…あくせられーたぁ……』ヒック
上条「大丈夫。俺が必ずお前の絆を連れて帰るよ」
打ち止め『絶対…?約束してくれる?ってミサカはミサカは、すっごく期待してみたり』グス
上条「ああ、絶対。約束だ。お前の絆は、俺の絆でもあるんだからな」
打ち止め『……あの人、手強いよ?ってミサカはミサカは経験談から忠告してみるんだけど』- 911 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:15:09.53 ID:Q3vQ7IW70
上条「だよなぁ…。って上条さんも肩を竦めてみる。意地っ張り過ぎだろ、アイツ」
打ち止め『い、意地っ張り…。それ直接言ったら、あの人のすごい顔しそうかも』
上条「言ったけど?」
打ち止め『ええ!?言ったの!?…見たかったなぁってミサカはミサカは想像してみたり!』クスッ
上条「すっげぇ怒られた」
打ち止め『ですよね~!ってミサカはミサカは超納得。能力でぼっこぼこにされてても驚かないよ?』
上条「あー、一回攻撃された」
打ち止め『えっ!?!?』ヤッパ オドロクヨ!
上条「あ、大丈夫大丈夫、全然当たんなかったから。無傷無傷!」
打ち止め『そ、そっか…。ってミサカはミサカはホッとしてみる…。でも、あの人の攻撃が当たらなかった
っていうのは変だよ、ってミサカはミサカは鋭く指摘してみたり』キリッ
上条「……変じゃないんじゃね?だって最初っから、当てるつもりなかったんだろうしさ」
打ち止め『なんだ、わかってるんだね。ってミサカはミサカはちょっと悔しがってみる』
上条「アイツの方がビックリした顔してたけどなー、はは。何でわかんねぇんだろうな。アイツが俺にそんな
ことするわけねぇのに」
打ち止め『うん、そうだよね!ってミサカはミサカはしたり顔で頷いてみたり!』ウンウン
上条「だよなぁ」ウン
打ち止め『……きっと自信がないんだよ。ってミサカはミサカは、ミサカの予想をお披露目してみる』
上条「自信?いやいやいや、俺アイツほど自信満々なヤツ見たことねぇけど!」
打ち止め『自分の能力には世界一自信持ってると思うよ?でも、自分の人間性…ていうのかなぁ。人として
の自分にきっと自信が持てないんだよ、ってミサカはミサカは考えてみたり』
上条「人としての…」
上条(……ああ、そうか。前にも言ってたな。アイツがインデックスを助けた時、アイツ自身は助けたんじゃ
なくて傷つけたって思ってるみたいだった)
打ち止め『ミサカとしても学習装置の受け売りなんだけど、人は経験を元に判断を重ねて、その判断の結
果を基準にして次の判断を行うものなんでしょ?』
打ち止め『あの人の判断の結果は、いつも誰かを傷つけるものだったから。…って、あの人自身は思って
るんじゃないかな』
上条「何言ってんだ、そんなことないだろ!」
打ち止め『ミサカはそう思ってないよ!でも、あの人はまだ経験の積み重ねが薄いから。インパクトが
強かったものが残ってしまってても仕方ないかな…ってミサカはミサカは思ってみる』- 912 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:15:37.64 ID:Q3vQ7IW70
上条「インパクト?」
打ち止め『絶対能力進化実験』
上条「……っ、でも、アイツはもうあの頃とは違うじゃねぇか!!」
打ち止め『うん、違うよ。ミサカを助けることで、あの人はそれまでの自分を否定したんだと思う。きっとすご
く苦しかった。でも、否定しても自分は自分だから……』グスッ
上条「打ち止め。…大丈夫だ。一方通行は、例え何も持ってなくても、大事なものを守ることが出来るはずだ」
上条(お前自身が…俺が記憶喪失のまま戦ってるって聞いた時、自分で言ったんだぞ、一方通行)
上条(あれで俺がどれだけ励まされたか、お前にはわからないんだろうな)
上条「経験や根拠なんてなくても、自分を信じることは出来る。必ずだ」
打ち止め『うん、ってミサカはミサカは同意してみる。だってミサカを助けてくれた時のあの人は、そうだった
から……』
上条(……一方通行。お前が自分で言ったことも忘れたって言うんだったら)
上条(俺が思い出させてやる)
上条「アイツを俺達の元に取り戻す。身体も、心もな。約束だ、打ち止め」
- 913 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:16:10.74 ID:Q3vQ7IW70
一方通行は混乱していた。
目の前には二人の魔術師。相変わらずズルズルと動き辛そうな黒いローブを頭から被り、顔はよく
見えない。
(なン、だ…こりゃ……っ)
眼前に炎を放たれ、適当にかわして銃弾を打ち込む。予想はしていたが、鉛玉は炎の壁に阻まれた。
炎は魔術の発現の形としてはオーソドックスなものだ。
(意味、わかンね…)
ズグン、と目の奥と下腹が同時に痛む。足先がフラつき、慌てて地を踏みしめようとして爪先に力を
入れた。
胸の奥からは、容赦のない吐き気が込み上げる。酸味のある唾液を何度も飲み下した。
頭の天辺から足先までのすべてが重怠く、組み上げようとする演算が端から崩れていく。
(能力、が……ほとンど使えねェ…)
じわじわと、衝撃と驚愕が押し寄せた。
目の前の魔術師など何でもない、脅威でもない、……普段ならば。
原因不明の体調不良、そしてその程度のことで能力の発現が阻害されている事態に、一方通行は
混乱していたのだった。- 914 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:16:40.65 ID:Q3vQ7IW70
第十九学区。日はすっかり暮れた。薄暗い街灯は、光の届かぬ闇を更に深くしている。
三人の魔術師からの襲撃があったのは、上条当麻と別れて約一時間後のことだった。
能力を使ってあの無能力者を振り切り、大通りから外れた路地で、どんどん色を濃くしていく夕空をボン
ヤリと眺めていた時だ。
闇から滲み出るように、三人の魔術師が現れた。すでに胸を圧迫する気配を感じていた一方通行は、
薄い唇を歪めて笑った。
「ったく切れの悪ィ小便みてェにダラダラダラダラ…。いい加減纏めて片付けさせてくれませンかねェ?」
一人目は何なく倒した。基本的に不意打ちに弱い魔術師の長は遠距離攻撃があるはずだが、彼らは初回
のインデックス襲撃以外であまりそういう手段を取らない。
好都合ではあるが、何らかの意図を感じて不快だ。しかし今日に限っては好都合だった。上条と対峙して
以来、このところの体調の悪さに拍車が掛かっている。とにかく早く蹴りを付けたかった。
最初は魔術の系統を計るために様子見をすることが多いけれど、今日はさっさと銃とナイフで行動を不能
にし、次の魔術師に狙いを定めた時だった。
人生最大級と言ってもいい頭痛と腹痛が、一方通行を襲ったのだ。
単純な怪我の深さであれば、例えば天井に頭を撃ち抜かれた時、またはエイワスに反射を切り裂かれた時
の方が重傷だっただろう。
だが、今の頭痛・腹痛は種類が全く異なっていた。更に込み上げる吐き気。手足の先が痺れ、貧血の症状
で視界がブレる。
見た目はひ弱で不健康そうな一方通行だが、実は全くの健康体である。風邪一つひいたこともなく、自分で
身体のメンテナンスが出来る第一位の辞書には、体調不良の文字などない。はずだったのに。
「……、は、…っ」
呼吸が浅い。滲んだ冷や汗が、顎を伝って落ちる。
演算を組む端から、ボロボロと崩れていく。痛みで、吐き気で、複数の事象を起こすような、複雑な演算が
出来ない。演算など、どんなものであったとしても、普段なら息を吸って吐くよりも容易いことなのに。
気が付けばこの有様で、体内変化を確認することすらままならないなど、考えられない事態だ。
魔術師の一人が軽く腕を振れば、出現した火炎弾が襲い来る。もう一人は奇妙な杖を振って雷撃を出現
させた。
何とか系統を解析し、反射を適用させれば、炎も雷も虹色の光になって消える。最低限の反射と、そこそこ
の身体移動。
可能なのはそれくらいで、信じられないほどの弱体化だ。普段の力を100とするなら5の出力も無いだろう。
一方通行は間違いなく、今までの人生で最弱の状態にあった。
- 915 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:17:34.02 ID:Q3vQ7IW70
路地裏を、魔術師達とある程度の距離を保って逃げる。
廃ビル群の隙間は暗く沈み、まばらな街灯がかろうじて足元を照らしていた。
弱体化した能力でも、全力で逃げに徹すれば振り切ることは可能かもしれないが、そうするわけには行か
ない。
何故ならば、彼らの本当の目的はインデックスなのだから。
ここで一方通行が逃げてしまえば今後脅威と見なされず、直接あのか弱い少女に矛先が向けられてしまう
だろう。それだけは避けなければならない。
「…はーっ、はー…っ、…っ、く」
浅い息が荒く、喉がヒリヒリと乾く。冷や汗は既に脂汗に変わり、眉間を流れるのを手で拭った。べちゃりと
手の甲に張り付く。
先ほどから、尻ポケットに入れている携帯電話の感触を強烈に意識してしまのが、我慢ならなかった。
『もう一人で戦うな。俺も一緒に』
耳の奥で響く熱い声を、必死で無視する。
(バカが…)
携帯電話に伸びそうになる指を握り締めた。これで、一体何をするつもりなのか。何を。
必要ない。そんなものは今も、これまでも、これからも必要ないはずだ。一方通行は唇を噛み締めた。
炎と雷は断続的に襲ってくる。同時に捌く度に頭の奥が締め付けられ、吐き気が込み上げた。
胃液の味がする生唾を吐き捨てる。走りながら震える腕を堪えて、無言で追い縋る魔術師の膝下に銃口を
向けて打つ。
銃弾は炎の壁には阻まれるが、雷の術師のローブには穴を空け、同じ歩幅だった彼らの足並みが乱れた。
(雷を操るが、発電能力者のように磁力までってワケじゃないようだな)
反応といい、恐らく炎の術師の方が腕は上なのだろう。
襲撃された場所から、直線で北に二百メートルほど移動しているが、彼らに焦りは見られない。淡々と追い
掛け、淡々と攻撃を繰り返す様はロボットのようだ。
距離にして約五メートル。遠距離から風や周囲の物で攻撃することが多い自分のことを知っているらしい、
絶妙な中距離だ。- 916 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:18:04.47 ID:Q3vQ7IW70
それを確認し、一方通行は懐からもう一丁の拳銃を取り出して、強く地を蹴った。
宙返りの要領で魔術師達の後ろに回り込み、両手の拳銃で同時に二人へ連射しながら走り寄る。
「な……っ!?」
雷の術師が慌てて雷撃を乱射し、そのいくつかは銃弾を飲み込み、いくつかは地に突き刺さって弾けた。
一方、炎の術師は目の前に炎壁を出現させて銃弾を防いでいる。ダメージを与えることは出来ていないが、
土煙が舞う中、戸惑ったように軽く後ずさった。
(よし)
厄介な方の足止めに成功した一方通行は、そのまま雷の術師の懐に潜り込み、思い切り腹を蹴り上げる。
「ぐ、は…っ!?」
まさか急に近接戦で来られるとは思っていなかった、とローブの下から露になった男の顔が歪んでいた。
膝を折りかける魔術師の右手を、銃のグリップで強かに殴りつける。能力で強化された一撃は強烈で、骨
の砕けた音と悲鳴が響き、握られていた杖を取り落とした。
一方通行はすかさずそれを踏み付けて圧し折り、そのまま路地の奥へ蹴り飛ばす。
術師の表情が狼狽に歪んだのを確認すると同時に、鳩尾を殴って気絶させた。
(やっぱあの杖が媒介か)
魔術師は魔術を行使するのに、ほぼ必ず何らかの道具や仕掛けを必要とするという。例外もあるが、早い
話がその媒介さえ壊してしまえば魔術は使えない。
場所そのものに仕掛けがある可能性もあるが、逃げる一方通行を妨害しないのでそれはないだろうとアタ
リをつけた。そうなればあからさまに怪しい杖をどうにかすればいい。
「……はぁ…っ、は…」
一方通行は頭痛と吐き気を飲み下す。
一人は片付けた。もう片方の炎の術師は軽く舌打ちしたが、動揺した様子はない。しかし間を置かずに続
いていた攻撃が止んでおり、こちらの状況を伺っているようだ。
敵に一見した特長はなかった。武器も道具も持っていない。あのローブを剥げば何かわかるかもしれない。
風を起こそうとする。途端に視界が揺れて、下腹に力を入れて足を踏ん張った。
(イ…ッてェ……)
力を入れると、下腹もズグリと痛む。頭痛は頭の中でデカい鐘でも打ち鳴らされているかのようだし、何とも
不快な味の唾液が喉奥からせり上がる。
目の前に黒い斑点が明滅し、視界が狭まる。貧血の際の症状だという知識を探り当てるのに、らしくもなく数
分を要した。手足の先がぼんやりと痺れ、感覚が消えてていく。
気が付くと壁に背を預けていて、安いコンクリートの感触に寒気がした。
「は……、っ、かはっ?」- 917 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:18:45.68 ID:Q3vQ7IW70
息を大きく吸おうとした瞬間、不意に妙な呼気が漏れる。
ぜひゅ、ぜひゅ、と出来損ないの笛のような音が自分の喉からしていることに気付くのに、数秒掛かった。
「…っ、か、ひゅ…っ、は…っ!」
息が出来ない。空気を吸おうとする度、胸を押されるような圧迫感が増し、目眩や手足の痺れが劇的に酷く
なる。
(過呼吸…?この、俺が)
一般には、過呼吸症候群と呼ばれる。何らかの原因で呼吸を必要以上に行うと、呼気からの二酸化炭素の
排出が必要量を超え、動脈血の二酸化炭素濃度が減少して血液がアルカリ性に傾く。
この状態では息苦しさを覚えることがあり、神経系や意識が酸欠状態として誤認した結果、さらに激しい呼吸
を行ってしまい、より症状が強くなるという悪循環から引き起こされる、というもの。
主な症状は、息苦しさ、呼吸が速くなる、胸部の圧迫感や痛み、動悸、目眩、手足や唇の痺れ。
原因は、精神的な不安、ストレス。
(不安、ストレス、か)
この学園都市第一位の、化け物が。まるで繊細な少女のような症状にあることに苛立つ。
その苛立ちがまたストレスに繋がるのをわかっていても、というか普段なら血中の二酸化炭素濃度くらいどう
にでも出来るというのに、今は無理だと思い知らされたのが腹立たしい。
「……、っ、ふ、ぅぐ…」
いよいよもって目の前が暗い。目は見開いているはずなのに、うぞうぞと黒い斑点が蠢いてほとんど何も見え
なかった。
銃のグリップを握る手が痺れる。指先の感覚はとうに失せている。
(マズいな)
この意地っ張り、という声が聞こえた気がした。
(うるせェよ)
どこもかしこも冷えきった身体の中、あの心配そうな表情だけがひどく熱く胸に返る。- 918 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:19:11.28 ID:Q3vQ7IW70
魔術師が動く気配を感じた。こちらが何も仕掛けないのに痺れを切らしたのか、それともこちらの状況を把握
されたのか、それすらわからない。
だが、諦めるわけには行かなかった。
自分がやられれば、インデックスが危ない。打ち止めは誰が守る。
……あの少年は、どんな顔をする。
朦朧としたままの頭で、あまり悲しい表情をされたら嫌だなと思った。
何も見えないまま、魔術師の気配を睨み据えた。
幸いにも、と言おうか、魔術独特の圧迫感は身体的な不具合によるものとは全く性質を違えているので、位置
くらいは把握出来る。
肌に熱気を感じ、また炎が生み出されたと理解した。
(何とか避けるしかねェな)
反射膜は作用しないかもしれない。今までの攻撃パターンから、あの火炎放射器のような炎だろうとアタリをつ
けた。違ったらその時だ。
(……っ、来る!)
ぞわ、と嫌な気配を感じ、真横に飛ぶ。飛ぼうとした。
「っ!?」
がくっと膝から力が抜ける。慌てて能力で補強しようとするが、チリと産毛が焼けた気配がする。間に合わない。
目を見開いたまま、歯を食い縛る。
澄んだ音が、路地裏に響いた。
- 919 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:20:07.76 ID:Q3vQ7IW70
魔術師が動く気配を感じた。こちらが何も仕掛けないのに痺れを切らしたのか、それともこちらの状況を把握
されたのか、それすらわからない。
だが、諦めるわけには行かなかった。
自分がやられれば、インデックスが危ない。打ち止めは誰が守る。
……あの少年は、どんな顔をする。
朦朧としたままの頭で、あまり悲しい表情をされたら嫌だなと思った。
何も見えないまま、魔術師の気配を睨み据えた。
幸いにも、と言おうか、魔術独特の圧迫感は身体的な不具合によるものとは全く性質を違えているので、位置
くらいは把握出来る。
肌に熱気を感じ、また炎が生み出されたと理解した。
(何とか避けるしかねェな)
反射膜は作用しないかもしれない。今までの攻撃パターンから、あの火炎放射器のような炎だろうとアタリをつ
けた。違ったらその時だ。
(……っ、来る!)
ぞわ、と嫌な気配を感じ、真横に飛ぶ。飛ぼうとした。
「っ!?」
がくっと膝から力が抜ける。慌てて能力で補強しようとするが、チリと産毛が焼けた気配がする。間に合わない。
目を見開いたまま、歯を食い縛る。
澄んだ音が、路地裏に響いた。
上条当麻が魔術師と対峙する一方通行を見つけた時、路地裏を炎が赤く照らしていた。
(一方通行!!!)
考えるより先に全力で駆け、何とか炎と細い白い身体との間に右手を押し込めば、魔術は跡形もなく砕け散る。
「な…っ、誰だ!?」
黒いローブの魔術師が狼狽した声をあげる。
上条は返答の代わりにギロリと睨み据え、思い切り地を蹴った。
「…っ!クソッ、こんなの聞いてないぞ!」
魔術師は次々と炎を生み出すが、異能を打ち消す右手の前には何の意味もない。
一歩、二歩、三歩、四歩目で右手を大きく振りかぶり、振り下ろした。
「が…っ!!」
中肉中背の身体は勢いよく吹っ飛び、壁に激突して地に崩れ落ちる。それを見届けるより先に、上条は一方通行
の元に駆け戻った。
それまでかろうじて立っていたのが、ズルズルと地に座り込む。- 920 :すいません、919前半コピペミスです…[saga sage]:2011/09/18(日) 15:22:15.52 ID:Q3vQ7IW70
「……、誰、だ…」
焦点の合っていない赤い目に、息を呑む。ひどい顔色。死人のようだ。だがそれでも殺気は失っていなかった。
(ったく、コイツは…!)
「見えてないのか、一方通行!?俺だ!」
「……っ!?か、みじょう…か……」
ふぅ、と張り詰めた覇気が緩む。そのまま華奢な身体がふらりと傾いで、上条は慌てて受け止める。あまりに軽い。
「魔術、師は…?アレ、は…インデックスを…」
ひどく苦しげな息の下から、それでも無力な少女を案じている一方通行に、胸が痛くなった。
「心配すんな、俺が倒した!!」
「…は、そ…かよ……」
頬はひどく青白い。真っ白い睫毛が震えている。
「それよりお前どうしたんだ!?だ、大丈夫か…っ!?」
聞いてから、舌打ちしそうになった。大丈夫か、と聞いて、この一方通行が素直に答えるわけがない。むしろ
意地を張って、更に無理をするに違いない。たまったものじゃなかった。
(今度こそ逃がさねぇからな!)
能力で逃げられないよう、右手でしっかり一方通行の手を掴もうとする。- 921 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:23:53.21 ID:Q3vQ7IW70
「かみじょ……、無、理…っ」
- 922 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:24:21.82 ID:Q3vQ7IW70
だが、不意に耳元で消え入りそうな声が囁いて、上条は固まった。
抗うように学ランの胸に置かれていた白い細い指が、縋るように黒い布地を握り締める。
白い顔が、力なく肩口に埋められた。すり、と微かに頬が摺り寄せられる。
柔らかな白い髪が上条の頬に触れた。
「……後、任せ…、た……」
掠れた小さな声は、夜気に溶けて消えそうで。しかし、確かに上条の耳に届いた。
「……一方、通行…」
呆然としたまま見下ろせば、いつも鋭い眼差しは力なく閉じられている。睫毛も白い。
手だけが勝手に動いて、頼りない背を抱き締める。細い。冷たい。熱い。そして、柔らかい。
(一方通行が。俺に、)
上条が無理に捕まえたわけじゃない。一方通行が、自分の意思で、上条を選んで、身を任せた。
あの一方通行が。目の前にいるのが上条だと知って、警戒を解いた。身を任せた。
「一方通行…!!」
凄まじい全能感が全身を包んだ。世界のすべてを手に入れたような、指先まで求めていたものに満たされて
いる感覚。
ぎゅう、と力の限り華奢な身体を抱き締める。
爪先までが太陽になった気がした。今なら何でも出来る。何だってしてやる。何でもだ。
「俺に…、俺に任せろ、一方通行!!」
お前が望むなら、何だって。
- 923 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:24:54.88 ID:Q3vQ7IW70
「は…?しょ、初潮……?」
「うん、間違いないね」
上条は、ポカーン、と口を開けた。
第七学区の病院。普段から望んでも無いのによく世話になっている病院にとりあえず駆け込めば、馴染んだ
カエル顔の医者が対応してくれた。
血相を変えて飛び込んだ上条に最初は驚いていた医者だったが、「では預かろう」と一方通行を連れて行って、
数分もしないうちに戻ってきたのだった。
「い、いやだってアイツ…いくつだ?知らねぇけど、俺とそんな変わんないですよね?」
「そうだね。確かに本来なら何年も前に迎えているはずだけれど、彼女は少し特殊なんだよ」
「特殊って…。もしかして、能力の影響で?」
「よく知っているね?まぁ、その通りだ。彼女はつい最近まで紫外線や何やらの外部刺激をすべて反射していた。
それによってホルモンバランスが崩れて、性別的特徴が薄い身体になっていたんだね」
医者は頷き、手元のディスプレイにいくつかのカルテを呼び出した。- 924 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:25:41.30 ID:Q3vQ7IW70
「けれどその反射が失われ、今は他の人とほとんど同じように外部刺激を受けている。それによって本来機能す
べき器官が役割を思い出している、といったところだね」
「そ、そうなんですか……」
上条は、滔々とした説明を口を開けたまま聞き入る。医者は少しだけ憂鬱そうに溜息をついた。
「以前検査したときに、少し心配していたんだよ。今後、身体が急に本来の成長を取り戻せば、負担がかかるか
もしれないとね?」
「え!?あ、アイツ大丈夫なんですか…っ!?」
椅子を蹴倒す勢いで立ち上がると、宥めるように片手を上げられる。
「ああ、大丈夫だ。月経は人によっては頭痛や腹痛、吐き気などの辛い症状をもたらす。初めてということもあって、
彼女の身体もビックリしただけだと思うね。いたって健康だよ」
「そうですか…。……………………」
一方通行の容態が心配ない、とようやく確信を得て、次にじわじわと頬が熱くなってくる。
女の子にそういうものがあるのは知っていたが、改めて一方通行が「今」「そうなんだ」と思うと、なんか。
「どうしたんだね上条くん。顔が真っ赤なんだね?」
「な、なんでもないです!!!」
- 925 :1[saga sage]:2011/09/18(日) 15:28:14.98 ID:Q3vQ7IW70
夜も更けた。
個室に移された一方通行は、まだ眠っている。寝顔は安らかで、上条はひどく安堵した。
眩しいかと思って、部屋の明かりは消したままだ。今夜は月が明るいから、あどけない寝顔もよく見える。
「あくせられーた、怪我してないんだよね?とうま」
一足先に駆けつけたインデックスが、そうっと白い髪を梳く。打ち止めにも連絡したところだ。すぐに駆けつける
だろう。
「ああ。ちょっと衰弱してるけど心配ないって、先生が」
「よかったんだよ…」
白いシスターが、長い溜息をついた。月明かりが銀色の髪と、白い髪を照らしている。
「ああ、よかった。ほ、んとに…っ」
急に喉の奥が熱くなって、声が詰まる。
「とうま?」
インデックスが驚いたように見上げてきて、上条は慌てて瞬きを繰り返した。滲みかけていた視界が戻る。
「コイツ、さっきホント顔色悪くてさ…、でも、それでもお前のこと心配してて」
青白いを通り越しかけた頬、荒い息。今にも崩れ落ちて二度と目を覚まさない気がして、生きた心地がしなかった。
「俺はもう、コイツを一人で戦わせたくない」
今までこの強く脆い少女は、たった一人で戦ってきた。どんなに傷ついても、自らの背に庇ったもののために。
一人で、誰かに頼ることも思いつかないような。
そんなことはもう許すことが出来ないと思った。
一方通行の寝顔を見詰める。どうしてか、目が離せない。
「俺は…一方通行は、俺と同じ方向を向いてると思う。だからコイツとなら、同じ方向を見て、一緒に歩いて行ける
気がするんだ」
「とうま」
インデックスは驚いたように目を見開いた後、少しだけ寂しそうに微笑んだ。
「……そういう言葉を残した作家がいたかも」
「作家?」
「なんでもないんだよ。そうだね、とうま。あくせられーたなら、とうまと肩を並べていられると…思うんだよ」
銀髪の少女は銀色の睫毛を、祈るように静かに伏せた。
- 948 :1[sage saga]:2011/09/27(火) 18:48:46.05 ID:9FB5Idr80
一方通行が目を覚ました時、最初に視界に入ったのは白い天井だった。
窓の外は青い空。明るい室内。
一瞬混乱しかけたが、0.1秒後に自分のことを思い出し、0.2秒後に自分がどこで何をしていたのか思い出し、
0.3秒後にここがどこで何故ベッドに寝かされているのか検討を付け、そして約一秒後には毛布の中で頭を
抱えていた。
(………………………………死にてェ)
意識を失う寸前、あの熱血バカに何を言って、どんな風に縋ったのか明確に記憶している。
勘弁してほしい。ああいうのは、後になったら覚えていないものだと相場が決まっているだろう、常識的に考えて。
「あなた、起きたの!?ってミサカはミサカは毛布に飛びついてみたり!」
「あくせられーた、大丈夫?」
甲高い声がステレオで聞こえて、被っていた毛布が引っ張られる。- 949 :1[sage saga]:2011/09/27(火) 18:49:38.13 ID:9FB5Idr80
「………………」
「あ、あれ!?あーなーたー!どうしたの!?ってミサカはミサカは渾身の力で毛布を引っ張ってみたりぃいい」
「あ、あくせられーた?どうしたのかな?」
左右からグイグイと引っ張る力はそれほど強くはない。
別に抵抗しようと思えば出来たが、その後のことを考えると果てしなく気まずいものがこみ上げたので、さりげなく、
小さな少女達が反動でひっくり返らないように力を抜いた。
「…なンだようっせェなァ……」
さも今起きました、という表情で毛布から顔を出せば、潤んだ大きな栗色の目と緑色の目が覗き込んでいた。
目が合えば、いかにもホッとしたように目元が緩む。
「ん、夜よりも顔色良くなってるんだよ。気分はどう?」
「別にィ」
「別に、じゃわかんないんだよ!あのね、あくせられーたはね…」
「わかってる。大丈夫だ」
「ホント?大丈夫、ならいいんだよ」
自分の状況は理解している。普通に頭痛と腹痛と吐き気があるが、たいしたことはない。鎮痛剤でも打たれている
のだろう。
「……上条は」
「え?とうま?」
「上条は知ってンのか、…俺の状況」
一方通行は、真っ白い天井の継ぎ目を目で辿りながら尋ねた。
「う、ううん、先生が気を使ってくれてね、私が聞いただけかも。とうまは貧血か何かだと思ってるみたい。今はあく
せられーたのご飯貰いに行ってくれてるんだよ」
「ふゥン…」
あのツンツン頭の無能力者は、自分が女だということをまだ知らないようだ。
何故だか、少しホッとしたような溜息が漏れた。- 950 :1[sage saga]:2011/09/27(火) 18:50:06.69 ID:9FB5Idr80
ふと、いつもなら一番うるさいだろう少女がおとなしいことに気づき、ベッドの向かって右側に視線をやる。
「どォした、打ち止め」
名を呼べば、勢い良く顔を上げる。
「えーとね……」
おずおずと毛布の中に小さな手を入れ、一方通行の手を握り締めた。
「久しぶりね、あなた。ってミサカはミサカは、あなたの顔が見れてすごく嬉しかったり」
「…………」
打ち止めははにかむように笑った。いつも天真爛漫な笑顔しか見せないこの子供には、珍しい表情だ。
「怪我とか…してなくて、よかった。あなたはいつもミサカに『俺は大丈夫』って、嘘を付くんだから」
「嘘なンかついてねェよ」
「それが嘘!ってミサカはミサカはふくれてみたり!あなた結構平気な顔でしれって嘘つくんだもん!ミサカだって」
打ち止めが、ぎゅうっと握りしめる指先に力を込めた。
「あなたがミサカを心配してくれるのと同じくらい、ミサカもあなたが心配なの。あなたはミサカを助けてくれるけど、
じゃあ誰があなたを助けてくれるの?ってミサカはミサカは、ずっと…」
一方通行は黙って手を握り返した。
それだけで、空から幸せが降ってきたような顔になる少女を、知っていた。
「あくせられーた」
左隣から優しい声が降ってくる。
見れば、白いシスターが一方通行の左手を握っていた。
「誰かを頼ることは、弱くなるってことじゃないと思うんだよ」
「……何の話だ」- 951 :1[sage saga]:2011/09/27(火) 18:50:39.09 ID:9FB5Idr80
「私の話なんだよ。私はずっと一人で逃げてて、誰かに頼ったらダメなんだって思ってた。でも、とうまが助けてくれ
て、守ってくれるから、私は自分が死にそうになっても『死んじゃダメなんだ!』って思えるようになったんだよ」
「わ、わかる!ってミサカはミサカは力強く同意してみたり!」
「一人だったら、すぐに諦めてたかも。でもとうまと二人だから。こういうの、強くなったとも言えるんじゃないのかな?」
「……………」
自分の話、と言われれば、否定するのも違うだろう。
一方通行は黙ってインデックスの顔を見上げた。普段は幼いシスターの表情は、誇らしげに大人びて見える。
「あくせられーただって、本当はわかってるんでしょ?」
インデックスは打ち止めの顔を見る。一方通行も、自分が生まれて初めて見つけた光に視線を向けた。
小さな少女は、二人分の視線を受けても臆すことなく、にっこり笑った。先ほどのインデックスと同じように、誇らしげに。
(このガキを助けて、俺は弱くなったのか)
自問して、部分的には「イエス」と回答する。けれど、ならば後悔しているかと更に自問すれば、迷い無く「ノー」と答える。
答えることが出来る、そんな自分を少しは誇らしく思う。
何度見ても、この子供の笑顔は見飽きない。
『そうしたらいつか、あなたは自分を好きになれるでしょう?』
いつだったか、何もかもわかったような顔の子供に言われた。
自分を好きに。なんともセンチメンタルで夢見がちで、現実感のない表現だと思った。
ただ、そうあってほしい、という打ち止めの気持ちは温かく感じたのだ。
しばらく、三人とも黙っていた。
握られた両手は温かく、差し込む冬日は明るく、茶色い髪と銀色の髪をキラキラと照らしていた。- 952 :1[sage saga]:2011/09/27(火) 18:51:12.55 ID:9FB5Idr80
「……あ、そうだ。あくせられーた。昨日は看護婦さんがつけてくれたみたいだけど、一晩経つし…そろそろ代えた方がいいかも
」
ふとインデックスは時計を見て、白い正方形のものを差し出した。
「あァ……」
一方通行は一度赤い目を瞬かせ、いわゆる生理用ナプキンというやつだ、と判断出来たようだ。
自分の状況は理解している。口にした言葉のまま、ややぎこちない手つきでそれを受け取った。
インデックスはその様子を見て一瞬(大丈夫かな?)と心配になったが、一方通行のことだ、大丈夫だろうとすぐに思い直す。
「じゃ私はその間、お薬とお水もらってくるんだよ」
そのまま踵を返し、部屋を出ようとした。ひらりと白い修道服が翻る。
急に、くい、と後ろから引っ張られ、「ん?」と振り返った。
「あ……」
白く細い手が、修道服の裾を掴んでいた。赤い目が、自分で自分に驚いたように丸く見開かれている。
「あくせられーた?」
「あ、あァ…」
パッ、と気まずげに離された手を、今度はインデックスが握る。
「どうしたの?」- 953 :1[sage saga]:2011/09/27(火) 18:52:08.75 ID:9FB5Idr80
「…………いや、…」
いつも迷いの無い眼差しが、戸惑ったように伏せられ、うろうろと布団の上をさまよう。
急かさずに待っていれば、やがて途方にくれたような顔がインデックスを見上げた。
「……これ…どうやって付けりゃいいンだ……?」
普段の不遜さが嘘のような不安げな表情に、インデックスの胸がきゅん、と締めつけられる。
次の瞬間、自分でもビックリするほどの猛烈な庇護欲が沸き上がった。
「わ、私に任せなさい!!」
やけに勢い込んで進み出ようとすると、ベッドを挟んで反対側では「ミサカが手伝ってあげる!ってミサカはミサカは自分もよく
わかんないけど手を上げてみたり!!はいはーい!」と打ち止めが万歳をしている。
「ら、らすとおーだーより私の方が…」
適任かも、と言いかけたところで、バターンと勢い良くドアが開け放たれた。
「そんなガキ共よりもこのミサカが!このミサカの方が適任だよね!!」
仁王立ちになっているのは、目の前の小さな少女を大きくして目つきを悪くしたような。
「いや、ミサカは第一位に教えるなんて面倒でイヤだけど、どうしてもって言うんなら考えてあげるよ!?ていうか今頃初潮とか
爆笑だね第一位!!ぎゃは!」
「もう、番外個体は!今になって入ってくるなんてズルい!ってミサカはミサカは暗にずっとドアの外に居たの知ってるよーって
指摘してみたり!」
「え、わーすと、どうして入って来なかったの?」
「そ、そんなことはどうでもいいよ。ミサカは別に一方通行のことなんて別に心配してないし別に!」- 954 :1[sage saga]:2011/09/27(火) 18:53:24.21 ID:9FB5Idr80
「じゃあやっぱり私が教えるんだよ!」
「いやいやミサカがやるって、しょうがないから!だいたいそーんな貧相な身体して、あなたちゃんと生理来てるの?」
「し、失礼かも!?毎月順調なんだよ!!」
小さな白い物体を求めて、大中小の三人の少女達がわいわいと言い争いを始める。
「……何でもいいから、早く教えてくれませンかねェ…」
一方通行は、頭の上を飛び交う賑やかさに閉口気味に呟いたが、三人の口ゲンカにすぐにかき消されてしまった。
- 978 :1[sage saga]:2011/10/07(金) 21:59:39.61 ID:tqUwH5NY0
PM 1:40 第七学区 とある病院 402号室
禁書目録「とうま遅いね?もう30分くらい経ってるんだよ」
打ち止め「この人のご飯取りに行ってくれてたんだよね、ってミサカはミサカは確認してみたり」
禁書目録「うん。私ちょっと見て来ようかな」ガタッ
一方通行「おい。行くンなら飯はいらねェって伝えとけ」
打ち止め「え、ダメだよ!どうせ昨日も食べてないんでしょ!?ってミサカはミサカは断固阻止!!」
一方通行「いらねェ。食欲ねェ」フイ
番外個体「ご飯食べないで薬飲んだら胃を悪くするって黄泉川が言ってたよ?その年で胃痛とかウケるー」ギャハハ
一方通行「俺胃腸丈夫だから問題ねェ」フン
禁書目録「ほんとに!?人は見かけに寄らないんだよ!」
一方通行「どォいう意味かなァ~?」ムニー
禁書目録「ふえ、ひゃひふふんはー!」ジタジタ
一方通行「あ、ッテテ……」パタッ- 979 :1[sage saga]:2011/10/07(金) 22:00:23.72 ID:tqUwH5NY0
打ち止め「きゃー、あなた大丈夫!?てミサカはミサカはベッドに倒れ込んで丸くなったあなたの顔を覗き込んでみた
り!」
禁書目録「わ、私が暴れたせいであくせられーたが…」アワワ
番外個体「あなたのせいじゃないでしょ。この人がひ弱なだけだよ。鎮痛剤効きづらいタイプの子っているしね」フン
一方通行「……………」ズキズキ
一方通行「……………」カチッ
打ち止め「あ、能力使う気なのね、ってミサカはミサカは意外と我慢弱いこの人の一面を知ってみたり」ウン
禁書目録「でもでも、顔色悪いし冷や汗かいてるし、何とか出来るんならした方がいいかも」
番外個体「堪え性ないんだねぇ第一位!!」ギャハハハ
一方通行「うっせェなァ…。普通の怪我と違ってなンか気持ち悪ィンだよ…」
一方通行(………神経物質の操作でいいか?ン…よし)スーー
一方通行「………」ホッ
打ち止め「あ、痛くなくなった?ってミサカはミサカは心配そうにのぞき込んでみる」
一方通行「まァな…」
番外個体「んーでもそれってさ、ミサカの頭痛の時とおんなじで、バッテリー切れたらまた痛くなるんじゃないの?」
一方通行「あ」
打ち止め「……今気付いたの?ってミサカはミサカは珍しくうっかりさんなあなたにビックリ仰天」
禁書目録「らしくないんだよ…」- 980 :1[sage saga]:2011/10/07(金) 22:02:10.83 ID:tqUwH5NY0
番外個体「ちょっと股から血が出てるくらいで弱りすぎじゃないのー?」アヒャヒャ
一方通行「下品な言い方はやめろっつってンだろォが…」
番外個体「うるさいなぁ、最終信号だけじゃなくてミサカにも親御さんぶるのやめてよね!」
一方通行「はァ………」モゾモゾ
一方通行(あーヤバい、バッテリーあと22分か…)
番外個体「ちょっと聞いてるの第一位!?っていうかさぁ、そんなに痛いんだったら子宮取っちゃえばぁ?
どうせ男だか女だかわかんない見た目なんだし!ぎゃはっ☆」
一方通行「おー」ピコーン
一方通行「オマエ天才だわ」
番外個体「へ?」
一方通行「どォせ今まであるンだかないンだかわかンねェ臓器だったしな。取っちまえばいい」ウン
番外個体「」
打ち止め「」
禁書目録「」
一方通行(ンー、まず腹の辺り麻痺させて…あ、これか子宮か。やっぱ切開するのが早いか?)
一方通行「風呂がイイな、血ィ出るし」ムクリ- 981 :1[sage saga]:2011/10/07(金) 22:04:22.91 ID:tqUwH5NY0
打ち止め「うわぁあああ何考えてるのあなたァあああ!!!!」ガバーーー!!
番外個体「バカじゃないのあなたバカじゃないのぉおお!?」ガバーーー!!
禁書目録「ダメなんだよあくせられーたぁああ!!」ガバーーー!!
一方通行「うォ、なンだオマエら」ムギュッ
打ち止め「何だじゃないよ何だじゃ!ってミサカはミサカはあなたが本気だってわかってる分、半泣きになってみたりぃい!!」ウルル
番外個体「ば、ばばば、バカじゃないの!!本気にしないでよバカじゃないの!!!」アセアセ
禁書目録「女の子にとって大事なものなんだよ!?将来赤ちゃん生めなくなっちゃうんだよ!?!?」ウルウル
一方通行「えー…いいわ別に、子宮に用事ねェし。盲腸みてェなもンだな、俺にとって」
禁書目録「もう!虫垂に生理機能がないって考えられてたのは昔の話で、今は胃腸の免疫機能に大きく関与してるって見方もあるんだよ!?
どうせ知ってるクセにあくせられーたってば!」プンスカ
一方通行「例えですゥ」フン
打ち止め「やだよ、やめてよー、痛いよ、血がいっぱい出たら怖いよ…ってミサカはミサカは涙を堪えてみる…」ウルッウルッ
一方通行「何でオマエが泣くンだよ……」ハァ
番外個体「いきなり子宮取るとか言うからでしょ、常識が通用しないのは何の自慢にもならないんじゃなかったの?
まったくもう」ブツブツ- 982 :1[sage saga]:2011/10/07(金) 22:07:02.29 ID:tqUwH5NY0
禁書目録「わーすとの言う通りなんだよ!」
一方通行「はいはい、悪ゥござンしたァ」ゴロリ
一方通行「…………っ」ズキッ
一方通行(ってェなクソがァ…内蔵グッチャグチャにされてるみてェ)ズキズキズキ
打ち止め「………」スッ ナデナデ
一方通行「…何だよ、クソガキ」
打ち止め「あのね…。前ミサカが転んだ時、あなたが撫でてくれたでしょ?そしたらちょっと痛くなくなったの、
ってミサカはミサカはあなたのお腹をなでなでしてみる」ナデナデ
禁書目録「あ、それはいい考えかも!私もとうまに撫でてもらったらたんこぶ痛くなくなったことあるんだよ!」ナデナデ
番外個体「………。これで頭痛の時の借りは返したからね」ナデナデ
一方通行「………………」
一方通行(…こンなの、効くわけねェのに……)
一方通行(何だこれ………なンか…)
打ち止め(ねぇねぇ番外個体……)
番外個体(えぇ?やだよミサカ覚えてないもん)
打ち止め(うそつき、ってミサカはミサカは指摘してみたり。録音したの時々聞いてるの知ってるんだから!)
番外個体(……チッ、しょうがないなぁお姉ちゃんはぁ)- 983 :1[sage saga]:2011/10/07(金) 22:07:43.55 ID:tqUwH5NY0
打ち止め「…We pray for our fathers, pray for our mothers…Wishing our families well~♪」ポン ポン
番外個体「………We sing songs for the wishing, of those who are kissing But not for the missing…」
一方通行「おい…ガキか俺は」
一方通行(……この歌は、前に俺が子守唄に歌った…)
禁書目録「きれいな歌だね。おなかポン、ポン、てされるのってあったかいよね」ニコ
一方通行「…………」
打ち止め「So this one's for all the lost children,This one's for all the lost children~♪」ポン ポン
番外個体「When you lay me down sleeping and my heart is weeping…」ポン ポン
打ち止め「Because I'm keeping a place~♪♪」ポン ポン
番外個体「…For all the lost children,This is for all the lost children……」ポン ポン
打ち止め「This one's for all the lost children, wishing them well,And wishing them home~♪♪」ポン ポン
一方通行「…………」
一方通行(…なんだ…?……眠くなってきた…)ウトウト
一方通行「……ヘタクソども…」スゥ
- 984 :1[sage saga]:2011/10/07(金) 22:09:40.24 ID:tqUwH5NY0
気配を感じて、一方通行は目を覚ました。
部屋の中には寝息と、低いヒーターの音。遠くから病院の雑踏。
時計を見る。まだ一時間と経っていない。
背中と腹がやけに温かくて見てみれば、腹に抱きつくようにして打ち止めが、背中から抱きかかえるようにして番外個体が眠っている。
いつの間にベッドに上がってきたのやら。狭苦しい、とついたはずの溜息は柔らかだった。
インデックスは、と探せば、枕元にメモがある。
『スフィンクスにご飯あげてないから一回帰るね!また来るんだよー。お大事に』
冬の日の昼下がり。窓からは薄い陽が入る。埃がキラキラと舞っていた。
外は寒いだろう。だがこのベッドの中は、温かい。
打ち止めと番外個体が落ちないように、少し寝返りを打って抱き寄せる。
いつの間にか、腹痛はだいぶ和らいでいた。
ドアの方に目をやる。- 985 :1[sage saga]:2011/10/07(金) 22:10:55.32 ID:tqUwH5NY0
二十センチだけ開いたドアの向こうに、上条が佇んでいた。
予想はしていたので驚かない。こちらが目を覚ますのを待っていたのだろう。
どれだけ気まずいだろうかと少しだけ危惧していたけれど、それほどでもないのが意外だ。
目が合うと、上条は笑った。
見慣れたはずの笑顔。
なのに、急に時間が止まった気がした。
二つの寝息も、ヒーターの音も、遠い病院の雑踏も、聞こえない。
瞬きさえ忘れているうちに、上条はヒラヒラと日に焼けた手を振った。
ぱくぱくと口だけ動かす。打ち止めと番外個体を起こさないためだろう。
またな、という上条の声が聞こえた気がした。
一方通行は数秒それを眺めてから、ゆっくりと小さく手を振った。
そして同じように、唇を動かした。
またな、と。
- 986 :1[sage saga]:2011/10/07(金) 22:12:12.11 ID:tqUwH5NY0
- 今日はここまででー。
いやはや、長い間お付き合いありがとうございました。(まだ終わってねーけど)
次スレでもよろしくお願いします。
次スレ立てたらここに案内URLを貼りにきますね! - 987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/07(金) 22:28:04.84 ID:pPAvjhVSO
- 乙
- 988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/10/07(金) 22:36:51.81 ID:9MgOivw9o
- 乙
次スレも楽しみにしてる
2013年12月8日日曜日
打ち止め「あなたはヒーローさんが好きなんでしょって(ry」一方「はァ?」 2
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