2013年5月5日日曜日

絹旗「きぬはた荘、あふたー!」白井「あふたー?」~その5 1

40 ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:01:33.73 ID:u8Kzr9w/o


~研究所跡 西エリア付近~


麦野 「ちょっと、どういうことよコレ」

19090 「す、少し、お待ち頂けますか」

麦野 「まさか先客がいるなんて思ってなかったわね」

19090 「……MNWに関連情報がありました」

麦野 「で?」

19090 「今回標的となった少女と近しい人物8名が3手に別れ、21時より突入を開始したようです」

麦野 「近しい人物……あいつらか。先越されちゃったわね」

19090 「ど、どうしましょう」

麦野 「決まってるでしょ。暴れるわよ」

19090 「やはりそうきますか……」

麦野 「ここでさらに私らが加勢すれば4手。こっちが攪乱してやれば向こうにも有利に働くでしょ」

19090 「なるほど」フム

麦野 「あそこに非常階段が見えるな? あそこを使って2階から突入するから」

19090 「ら、了解」

麦野 「よし、いくよ」タッ
41 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:03:17.93 ID:u8Kzr9w/o

 :
 :
 :

麦野 「ところでアンタ、得物はそれだけ?」

19090 「それといいますと?」チャキッ

麦野 「そのアンチマテリアルライフルのこと言ってんの。それだけじゃ小回りが利かないだろ」

19090 「あとは、太もものホルスターにハンドガンが2丁。スタン警棒が1本ありますが」

麦野 「まあ、それならいいか。でもそれって人間相手に撃っていいシロモノでもないような」

19090 「う、撃ちませんよ!」

麦野 「は? じゃなんでそんなデカイの持ってきたんだよ」

19090 「その、大きいほうが示威効果があるかと思いまして」

麦野 「……そりゃそうだろうけど」

19090 「こんなので撃ったら死んじゃうじゃないですか。アホですか、しずりんは」

麦野 「」ガシッ ミシミシミシ

19090 「痛い! 痛いです! アイアンクローはやめてください!」

麦野 「たまに猛毒吐くわね、アンタは……よし。じゃ、3カウントでいくからな」

19090 「はい。ゴーグル装着」スチャ

麦野 「3、2、1」
42 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:04:42.40 ID:u8Kzr9w/o

麦野 「」バーン

19090 「」チャキッ

下っ端S 「!?」

下っ端T 「な、なんだ!?」

麦野 「あ、ゴメン。なんか修理中だった?」

19090 「ひどい、バラバラですね」

下っ端U 「クソッ、夕方といいさっきといい、今日はなんなんだ!」

19090 「う、動かないでください!」チャキッ

下っ端U 「」

麦野 「ふーん、どれどれ。これ、キャパシティダウンかな? で、こっちのは?」

下っ端's 「……」

麦野 「こ っ ち の は ?」コンコン

下っ端T 「……ジャ、ジャミング装置だ。とびきり高出力のな。元々はある能力者用の」

下っ端U 「バカ! しゃべりすぎだ!」

麦野 「ま、いいや、どっちでも。おい、やっちまいな」

19090 「修理頑張ってたところ、申し訳ありませんが」カキン


  ドカドカドカドカドカドカ

43 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:06:33.52 ID:u8Kzr9w/o

下っ端U 「あ、あー! それ全部でいくらしたと思ってんだよぉぉ」

下っ端S 「こうなりゃヤケだ! 身体で弁償しやがれ!」ガシッ

下っ端T 「俺の嫁ぇぇ!」グイッ

19090 「!? しずりん!」

19090 (しずりんと相手が近すぎる……撃てない……!)

麦野 「……ふん」


  ドカボカスカバキゴキャドカ


麦野 「汚ぇ手でさわんなよ、ウスラバカども」

下っ端's 「「「」」」ピヨピヨ

19090 (い、一瞬で……)ガクブル

麦野 「私はね、職業柄ケガ人を治すのも得意だけど、製造するほうがもっと得意なんだぞ☆」

下っ端U 「な、なんつう怪力だ……」バタッ

下っ端S 「……ターミネーターだ」ガクッ

麦野 「誰がターミネーターだ」ゲシゲシッ

下っ端T 「お、俺は何も……ごふっ」

19090 (絶対敵にまわさないようにしましょう……)
44 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:08:04.00 ID:u8Kzr9w/o


~研究所跡 正面ロビー~


番外個体 「よっと」ゲシッ

下っ端O 「げほっ」

一方通行 「ワースト、後ろだ!」

下っ端P 「おりゃぁぁぁ!」ブンッ

番外個体 「」ヒョイ


  スカッ


下っ端P 「なっ」ヨロッ

番外個体 「やん、ちょうどいい高さに顔面が」ゴキッ

下っ端P 「んごぉ!」

番外個体 「真後ろからこようたってムダ。レーダーには引っかかるんだから」

一方通行 「粗方片付いたか」コキコキ

番外個体 「ざーんねん。撃破数では負けちゃったか」ケラケラ

一方通行 「しっかしまァ、見事な蹴り技じゃねぇか。格闘の心得まであるとはねェ」

番外個体 「私だって元軍用だもん。戦いの"マナー"はいろいろ教え込まれてるんだから」
45 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:09:24.52 ID:u8Kzr9w/o

一方通行 「最近の学習装置ってなァ気が利いてやがる」

番外個体 「最近でもないけどね。ま、生まれて初めて学習装置に感謝してるよ♪」


<そこまでだ。


番外個体 「おや?」

兄者 「好き勝手に暴れてくれたな。容赦はせんぞ」

弟者 「俺たち兄弟が出てきたからには、お前たちの命運もここまでだ」

一方通行 「……なンだオマエら」

兄者 「人呼んで警棒の兄!」

弟者 「木刀の弟!」

兄弟 「「我ら兄弟二人で一つ! 向かうところ敵はない!」」ドン

番外個体 「おー、息はピッタリ」パチパチ

一方通行 「メンドくさそォな連中だな」ガシガシ

兄者 「決まったな、弟者」

弟者 「あぁ、流石だよな俺ら」

兄者 「さあ、覚悟はできたか!?」ダッ

弟者 「ゆくぞ!」ダッ
46 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:11:07.55 ID:u8Kzr9w/o

番外個体 「」ピシャーン

兄者 「あbbbbbb」

弟者 「あ、兄者ーー!?」

一方通行 「余所見してンじゃねェよ」ヒュン

弟者 「え、いつのm」

一方通行 「」ズビシッ

弟者 「ぎゃん!」ドサッ

下っ端Q 「うちの幹部クラスが一瞬で……?」

下っ端R 「ばっ、バケモンだ! かないっこねぇ!」ガクブル

いい男 「下がっていろ。後は俺が引き受けよう」ザッ

下っ端Q 「ぼ、ボス!?」

下っ端R 「ボス自らが出なくても、数さえ揃えれば……」

いい男 「いや、お前たちには荷が勝ちすぎている。あの白いのは第一位だ。横の姉さんもかなりの手練れと見える」

下っ端Q 「第一位!?」

下っ端R 「ど、どうりで、デタラメな強さだと……」ヘナヘナ

番外個体 「あなたがボス?」

いい男 「あぁ、そうだ。聞いてた通り、ここからは俺がお相手仕ろう」
47 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:12:38.77 ID:u8Kzr9w/o

一方通行 「……」

いい男 「お前さんが第一位か。なるほど、想像していたよりもいい男じゃないの」

番外個体 「は?」

一方通行 「あ?」

いい男 「第一位といろんな意味でお相手ができるんだ。この幸運に感謝しないとな」

番外個体 「……え? そっちの趣味の人?」

一方通行 「」ブルッ

番外個体 「やめてよね。この人に手は出させないよ」

いい男 「俺も一組織を束ねる立場だ。ここまでやられて、おいそれと引くわけにはいかないな」

一方通行 「オイ、油断はするなよ」

番外個体 「……そういえばあなた、前にスキルアウトのボスに負けそうになったんだっけね」

一方通行 「ンなことまで知ってンのかよ……」

番外個体 「私が元々何のために生まれたか考えれば分かるでしょうに」

いい男 (そう。過去にそういう男はいた)

いい男 (さて、仕入れた情報通りなら、第一位にはこいつが利くはずだが……)ゴソゴソ

番外個体 「どっ、どこに手突っ込んでんのさ!」

一方通行 「見るな。気にしたら負けだ」
49 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:13:55.64 ID:u8Kzr9w/o


~研究所跡 東ブロック~


男子C 「ファイアーボール!!」ボンッ

絹旗 「ちゃぶ台返しぃぃ!」ドゴ


  ボォォォォン


男子C 「防がれた……!?」

白井 「ちゃぶ台ではなく、テーブルですけどね」ヒュッ

男子C 「え」

白井 「はぁっ!」ゴキッ

男子C 「いだだだだだだ!!」

白井 「風紀委員仕込みの捕縛術、とくと味わってくださいませ」ギリギリギリ

男子D 「こ、この野郎!」


  【イス】三=- ヒュドォン


男子D 「うお!」コトン
50 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:15:47.34 ID:u8Kzr9w/o

婚后 「左右の確認はきちんとしろと、小学校で習いませんでした?」

男子D 「いってぇな……」

婚后 「それにしても頑丈ですこと。直撃を受けて涼しい顔をなさるなんて」

男子D (よく分からねぇけど、あいつは何かの力でモノを飛ばす能力だ)

男子D (今なら、周りに飛ばせそうなものはねぇ!)

男子D 「頑丈しか取り柄がねぇんだ。そういう能力なんでな」

婚后 (飛ばしたイスが彼にぶつかった瞬間、静かに落ちた……これは……)

男子D 「うぉぉぉ!」ダダダダ

婚后 「!」

男子D 「うぉらぁ!」ブンッ

婚后 「くっ」タンッ

男子D (避けられた……!)

婚后 「チェックメイトですわ」タッチ

男子D 「!?」

婚后 「貴方の能力は、"衝撃吸収"<ショックアブソーバー>。違いまして?」

男子D 「な、んで」

婚后 「ならば手加減はいりませんわね!」ヒュパッ
51 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:17:05.89 ID:u8Kzr9w/o

男子D 「風!? それでモノを飛ばしてたのか!」

婚后 「ご名答。快適な空の旅をお楽しみになって」


<ちくしょぉぉぉぉぉ!


絹旗 「……どこまで飛んでったんですか」

婚后 「おそらくは4~50メートルほど……まぁ、彼なら大丈夫でしょう」

白井 「容赦ないですの」ギリギリ

男子C 「」ブクブク

絹旗 「白井さん、白井さん。それ以上は超マズイですよ」

白井 「あ、あら。わたくしとしたことが」パッ

男子C 「……くっ……クセに、なる、かも……」バタッ

女子B (どっ、どうすればいいの、コレ! どうしようもないよぉ!)

女子B (私の能力はテレパスだから、何の役にも立たないしぃ……)グス


  [[携帯電話]]<Prrrr Prrrr


女子B 「は、はい、もしもし……」

女子B 「あ、クイーン! 助けてくださいよ! あいつら強すぎですよぉ!」ウェーン
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/01/30(月) 00:18:14.90 ID:u8Kzr9w/o

女子B 「……え? は、はい。そこまで誘い出せばいいんですね?」

女子B 「うぅぅ、怖いけどやってみます」

女子B 「あっ、アンタたち! いい気にな、なるな!」ビシィ

絹旗 「あれ? まだいたんですか?」

女子B 「ふーんだ! アンタたちみたいなチビばっか来たってなんも怖くないもんねー!」ベー

絹旗 「チビ!? 誰が超チビですか!」

女子B 「バーカチービバーカ! 悔しかったらこっち来てみろー!」ダダダダ

絹旗 「まっ、まてー!」ダダダダ

白井 「絹旗さん!……あぁ、もう」ハァ

婚后 「仕方ございませんわね。この辺の敵は片付けたようですし、後を追いましょう」

 :
 :
 :

女子B 「た、確かここです」

絹旗 「ようやく追いつきましたよ。覚悟は超できてますか」

白井 「絹旗さん! 先行はしないでくださいまし!」

婚后 「突出しては何があるかわかりませんわよ」

女子B (クイーン、早くしてくれないと私の本陣が陥落しちゃいますよぉぉ!)
53 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:19:29.59 ID:u8Kzr9w/o


  ガタンッ


絹旗 「……今何か」

婚后 「!? ゆ、床が!」

白井 「沈んでる!? これは……!」


  ゴォォォォン


婚后 「ひゃぁっ!?」

白井 「あっ……!」

絹旗 「お、落ちっ」


  \ヒューーー/


女子生徒 「お勤めご苦労さん」コツッ コツッ

女子B 「クイーン、私を囮にするなんてひどいじゃないですかぁ!」プンスコ

女子生徒 「ごめんなぁ」ナデナデ

女子B 「」フニャー

女子生徒 「……さぁて。彼女らにはちいとお仕置きせんと」
54 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:20:35.78 ID:u8Kzr9w/o


~研究所跡 西ブロック~


結標 「ダメか……そっちは!?」

エツァリ 「こちらの部屋にはいらっしゃいません」

浜面 「こっちもダメだ」

結標 「次行きましょう」ダッ

浜面 「分かってたことだけど、そう簡単には見つからないな」カンカンカン

エツァリ 「浜面さん、もう少し静かに走ってくださいよ」

結標 「そうよ、見つかっちゃうでしょ」

浜面 「あぁ、悪い。気を付けるわ」

結標 「あと1階で探してないのは……」

エツァリ 「あちらのフロアです」

浜面 「おそらくだが、ドンパチやってるところを除けばそこが最後だ」

結標 「急ぎましょう」

浜面 「……あ、ちょっと待ってくれ。あのドアは調べたか?」
55 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:21:50.84 ID:u8Kzr9w/o

結標 「私はまだ」

エツァリ 「自分もです」

浜面 「見てこうぜ」

結標 「そうね、何があるかわからないし」

エツァリ 「開けますよ」ガチャ

結標 「うっ……!?」

浜面 「ヒデェな、これ……」

エツァリ 「閉鎖するなら、後始末もしっかりしてほしいものですね……」

結標 「こんなところにはいないでしょ……さっさと行きましょ……」

浜面 「あぁ、賛成だ」

エツァリ 「しかし本当にひどい……」バタン

 :
 :
 :

浜面 「ここにもいない、か……」バタン

エツァリ 「一階はほぼ探し尽くしましたね」

浜面 「後は上に行くか、下に行くかだが……」

結標 「……地下にいきましょう。逃げづらい場所にするとしたらそっちでしょうし」
56 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:23:37.07 ID:u8Kzr9w/o

エツァリ 「そうですね。では、下に行くルートを探しましょうか」

浜面 「エレベータは使えないっぽいから、非常階段でもなんでも」


  スパーーン


浜面 「いってぇ!? おい、ツッコミをもらうようことはしてないだろ!」

エツァリ 「え? いや、自分は何もしていませんよ?」

浜面 「でもたしかに、お前がいた方向から」

結標 「ちょっと何やってるのよ。内輪揉めしてる場合じゃないでしょ」

浜面 「そ、そうだな。すまん……うお!?」ブシュー

エツァリ 「む、結標さん!? 何を……!?」

結標 「?」

浜面 「下! 下!」

結標 「下? って……キャァァ!?」バッ

エツァリ 「浜面さん、見ましたね……?」ゴゴゴゴ

浜面 「み、見てねぇ!」ポタポタ

結標 「だからやめなさい! もう、なんで風もないのにスカートが持ち上がってるのよ!」

浜面 「てっきり自分でつまみ上げてるもんだと……風のせいっていうには、上がったまま動いてなかったし」
57 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:25:55.59 ID:u8Kzr9w/o

エツァリ 「やっぱり見てたんじゃないですか」

浜面 「し、仕方ないだろ」

結標 「自分からそんなことするわけないじゃない!」

浜面 「いや、暑いのかなー、とか」

結標 「暑くてもあんなことしないわよバカ!」ムキー

エツァリ 「……まさか、誰かいる?」

浜面 「俺たちの他に、か? だけどよ」キョロキョロ

    「あらら。もう気づいちゃったですか」

結標 「!?」

エツァリ 「やはり……今のはあなたの仕業ですか」

    「せっかく仲間割れに持ち込もうとしたのに、失敗ですね」

浜面 「おい、卑怯だぞ! 姿見せやがれ!」

    「イヤですよ。そしたらやられちゃいますもん」

結標 「光学系能力者? 初めて見るわね。見えないけど」

エツァリ (参りましたね。声が反響していて方向もつかめない)

    「自分の姿を消すぐらいしかできることないですから。でも、十分ですよね?」

    「ともかく、これ以上先に進ませる訳にはいかないです」
58 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/01/30(月) 00:27:02.03 ID:u8Kzr9w/o

といったところで、今回はここまでです。
モブ祭りですいませんでした。次回からはボス戦なので緩和されるかと思います。
そういえば自分を消せる光学系能力者ってテレポ屋さんよりレアなんですよね。
書いてから気付いた。

次回投下は3日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/01/30(月) 00:28:19.02 ID:rvABLGQDO
乙です

60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)[sage]:2012/01/30(月) 00:28:48.00 ID:Ayo5Ms/M0

浜面は役得だなww
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/01/30(月) 00:29:07.28 ID:4conXu/DO
乙。
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2012/01/30(月) 11:10:02.57 ID:GGRjqB7p0

テレポーターは実用の域にない人まで含めて58人
光学操作は実用の域にある人、おそらくレベル3以上だけで47人
だからテレポーターの方がレアで間違ってないよ 
 
74 : ◆8GNB4AEvC.[saga]:2012/02/02(木) 00:50:56.22 ID:ePdpk7i4o

>>68
読み違えてました。光学系能力という区分でいれば
たしかにもっといそうですね。


少々遅くなりましたが、始めさせて頂きます。
前回の続きより。今回からボスモブ戦に入るようです。
しずりんチームだけは別行動ですが。
75 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 00:52:25.40 ID:ePdpk7i4o


~研究所跡 西ブロック2階~


麦野 「ねー、つまんにゃい」

19090 「ミサカに言われましても」

麦野 「なんでエンカウントしないのよー、せっかく乗り込んできたのに……」バシバシバシバシ

19090 「痛いっ、痛いですからっ! ミサカに八つ当たりしないでください!」

麦野 「私らが戦ったの、最初に出会った3人だけじゃん。どうなってるのよ」

19090 「おそらく、敵主力は1階の戦闘に割かれているのではないでしょうか」

麦野 「はー、くそ。なんていうか、なんかこうウズウズする」

19090 「抑えてください」

麦野 「もっとさー、なんていうか、こう」

19090 「?」

麦野 「敵に捕らえられて、複数人の豚どもに今まさに犯られる直前のアンタを助ける! とか」

19090 「イヤですよそんなの!」

麦野 「私に魅せ場があってもいいと思わない?」

19090 「気持ちはわかりますが」
76 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 00:53:50.92 ID:ePdpk7i4o

麦野 「つうわけだ。アンタ、武器と服を私に預けて敵陣に飛び込んで捕まってこい」

19090 「いっ、イヤですってば!」

麦野 「大丈夫大丈夫。アンタが快感に屈しそうになる手前ぐらいで助けてやるから」

19090 「完全に手遅れじゃないですか!」

麦野 「その頃にはレイプ目になってるかもね」

19090 「元からです!……だっ、大体、ミサカたちがここまで来た目的を忘れないでくださいよ!」

麦野 「分かってるよ。フレメアだろ? でも探した感じ、2階にはいないっぽいよね」

19090 「閉じ込めるなら地下と相場が決まってますから」

麦野 「あー、私としたことが完全にミスったな……最初から地下行っときゃよかった」ガシガシ

19090 「……?」

麦野 「どうした?」

19090 「しー……人の話し声が聞こえませんか?」

麦野 「……あぁ、向こうだな。行ってみるか」

19090 「用心しましょう」チャキッ

 :
 :
 :
77 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 00:54:59.61 ID:ePdpk7i4o

麦野 「この部屋だな」コソコソ

19090 「……なにか、すごく馴染みのある匂いが」コソコソ


<血が!血が出てる!俺死んじゃう!
<あほか!そんなん怪我の内に入らねぇよ!


麦野 「何やってんだ、あいつら」

19090 「どうやら、傷の手当をしているようです」

麦野 「野戦病院かっての」

19090 「似たようなものかと」

麦野 「……」

19090 「しかし、ざっと見た感じ急を要するレベルの怪我人はいないようですね」

麦野 「突入した連中も、ある程度は手加減してやったんだろ」

19090 「なるほど」フム

麦野 「……しっかしまぁ、なってないな。小学校の保健委員かよ、こいつら」

19090 「無理もないかと。処置や施術に慣れてる人間の方が少ないと思います」

麦野 「……」ウズウズ

19090 「しずりん、まさか」

麦野 「行くぞ」カツッ
78 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 00:56:13.86 ID:ePdpk7i4o

19090 「ちょ、ちょっと!」

麦野 「おい、そこの!」

下っ端G 「なっ、この期に及んで増援だと!?」

下っ端F 「お、おい、もう十分だろ!? こいつケガしてんだ、見逃してやってくれよ!」

麦野 「そうじゃねぇ。そうじゃねぇんだよ」カツカツ

下っ端F 「?」

麦野 「なんなんだよ、この包帯の巻き方。こんなんじゃすぐ外れるだろ」

19090 「確かに、雑とかいうレベルじゃないですね」

麦野 「あ、おいコラ! ガーゼ貼るより前に消毒だろうが!」ゲシッ

女子A 「いたっ! ご、ごめんなさいっ!」

19090 (あー、しずりんの特性が……先程の突入ポイントをミスと判断、そのミスをこっちでカバーしようとしてますね)

19090 (こうなってしまうと猪突猛進ですし。黙ってお付き合いするとしましょう)ウム

下っ端G 「なんなんだ、あんたたち」

19090 「え、ええと、通りすがりの看護師見習いです」ハイ

下っ端F (看護師見習いがなんでM82A1を担いで通りすがってんだよ……)

麦野 「もー、見てらんない! 重傷のやつから順番に並べ! ほら、手伝う!」

19090 「は、はいっ」
79 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 00:57:56.45 ID:ePdpk7i4o


~研究所跡 正面ロビー~


いい男 「おお、あったあった」スチャ

番外個体 「……?」

一方通行 「! オマエ」

いい男 「ほいよ、っと」ポイポイポイ


  パァン キラキラキラキラキラ


番外個体 「!? チャフグレネード!?」

一方通行 「ッ……」ガクッ

番外個体 「一方通行!」ガシッ

いい男 「ほう。こんなオモチャでも効果はあるか」

一方通行 「ク、ソッ……」プルプル

番外個体 「……」

いい男 「本当はもっと上等なジャミング装置があったんだが……生憎とそっちは破壊されてしまってな」

番外個体 「……一方通行。あなたはあっちで休んでて。そんな状態でウロチョロされても邪魔なだけだから」シッシッ

一方通行 「オ、オイ……」
80 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 00:59:17.62 ID:ePdpk7i4o

番外個体 「大丈夫だよ。……信じて」

一方通行 「……」

いい男 「姉さんが相手をしてくれるのかい? 悪いが、俺は女に興味は」

番外個体 「動かないで」チャリ

いい男 「……ほう」

番外個体 「ちょっとでも動けば、音速の2倍であなたを貫くよ」

いい男 「そうか。音速の2倍で後ろから貫かれたら、さぞ快感かもしれんな」

番外個体 (調子狂うなぁもぉぉぉ!!)

いい男 「だが、お前さんは一つ思い違いをしていないか?」

番外個体 「……なにさ」

いい男 「俺がその釘を避けるのに、なにも音速の2倍以上の速度で動く必要はない」

番外個体 「……」

いい男 「せいぜいお前さんの知覚を超える速度で動ければ十分だ。そうだろ?」グッ

番外個体 「ま、それもそっか。でもそんなことができるなら」

いい男 「やってみろ、か?」ヒュドッ

番外個体 「え?」

いい男 「ふんっ」ゴスッ
81 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 01:01:06.87 ID:ePdpk7i4o

番外個体 「がぁっ!?」ゴキャ


  バラバラバラッ


番外個体 「なっ、なんでっ……!?」タンッ

番外個体 (何いまの!? 普通の人間が出せるスピードじゃ……つっ)ズキッ

番外個体 (左手首折れたな……ただのチョップなのに、鉄板で殴られたのかと思ったよ……)

いい男 「……お前さんも、根は優しいのだろう」

番外個体 「なに……?」

いい男 「動くななどと言わずに、有無を言わさず貫けばよかったんだ。そうすれば、既に勝負も決していただろうに」

番外個体 (……たしかにね。こっちに来てからの生活で私も極甘になったもんだよ。でも……)

番外個体 「私は……それを悪いこととは思ってないから」

いい男 「ほう」

番外個体 「だから、あなたは倒す。私の大切な人たちのためにも」

一方通行 「……」

いい男 「その意義やよし。ならば俺も全力でヤらせてもらおうじゃないの」

番外個体 「」バチバチ

いい男 「!」

番外個体 「くらえ!」ピシャーン
82 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 01:02:33.62 ID:ePdpk7i4o

いい男 「はっ」ダンッ

番外個体 「! そっち!」ピシャーン

いい男 「ではないぞ!」ダンッ

番外個体 「なんなの!? 雷撃を跳んで避けるって、どんなバケモノ!?」ピシャーン

いい男 「掌から雷を出すほうがよっぽどバケモノだと俺は思うがね!」ダンッ ダンッ ダンッ

番外個体 (こいつの身体能力、反射速度……人間離れしすぎてる……!)

番外個体 (全方位に無差別雷撃なら……でもそんなことしたら、一方通行まで巻き添え……)

いい男 (動きが鈍ったな……どれ、一発入れておくとするかい)ダッ

いい男 「はぁっ!」ゴッ

番外個体 「!?」


  ドキャッ


番外個体 「っ……!!ズシャァァ

いい男 「うむ、確かな手応え」

番外個体 「ぐ……う、げほっ……ごっ……うぅっ……」

番外個体 (車に撥ねられたみたい……ただの膝蹴りなのに……)

いい男 「無理はおすすめしないぞ? あとはそのまま休んでおけ」

番外個体 「……冗談」ヨロヨロ
83 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 01:04:52.13 ID:ePdpk7i4o

いい男 「……正直驚いている。アレを喰らっておいてまだ立つか」

番外個体 「あなたがそうであるように、私にだって引けないだけの理由はあるんだよ……!」

いい男 「大したもんだ……お前さんが男なら放っておかなかったのにな」

番外個体 「そりゃどうも。……ねぇ、あなたは一体なんなの? 本当に無能力者?」

いい男 「そうだな……知ったところで今のお前さんでは対処のしようもない、か」

番外個体 「……」

いい男 「発条包帯。聞いたことはあるか? 俺はそいつを全身にめぐらせることで身体能力を引き上げている」

番外個体 「ば、バカじゃないの……? そんなことしたら、骨と筋肉が耐えられない……!」

いい男 「その通りだ。その痛みと負荷に耐えるために、かなりきつめのドーピングも常用している」

番外個体 「……!」

いい男 「副作用と後遺症も強烈だがね。新陳代謝を早める作用もあるから、歳を取るのも早い。ついでに性欲も持て余す」

番外個体 「……なんで……そうまでして……」

いい男 「決まっているだろう? 無能力者の敵である能力者を駆逐するためだ」

番外個体 「……」

いい男 「もういいだろう。お前さんにはしばらく眠っていてもらうぞ。第一位が俺を待っているのでな」コキコキ

番外個体 (……今の私だと、あいつに攻撃をヒットさせる方法は一つだけ)

番外個体 (せめて、相討ちぐらいには持ち込まないとね……ゴメンね、一方通行)
84 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 01:06:19.27 ID:ePdpk7i4o


~研究所跡 東ブロック地下1階~


婚后 「いたたたた……」

白井 「お二人とも、ご無事で?」

絹旗 「いきなり床が抜けるとか、超何事ですか」

白井 「……あそこから落ちてきたのですね」

婚后 「困りましたわね。とりあえず上に戻りませんと」

絹旗 「ジャンプして……届きませんよね」ピョンピョン

白井 「ここはわたくしが」


<まあまあ、待ってくださいな。


絹白婚 「「「!?」」」バッ

女子生徒 「折角こないなとこまで来たんですから、うちとも遊んでもらわんと」ジャリッ ジャリッ

婚后 (この制服は、霧ヶ丘女学院……何者でしょうか)

絹旗 (登場の仕方といい、雰囲気といい、ボスに超違いないです)

白井 「貴女は何者ですの?」

女子生徒 「さっき上で打ちのめされた能力者たちのリーダー、と言えば分かる?」
85 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 01:08:02.32 ID:ePdpk7i4o

婚后 「では貴女が無能力者狩りの……!」

女子生徒 「そういうこと」クスクス

白井 「なぜそんなことを!」

女子生徒 「あー、口喧嘩しにきたん? 上での戦いぶりを見ると、そうは思わへんかったけどなぁ」

絹旗 「超上等じゃないですか。そこまで言うのなら、あなたが泣くまで殴るのをやめないですからね」

女子生徒 「おチビちゃんに殴られても、あまり痛そやないなぁ」

絹旗 「」ムカッ

絹旗 「だったら試してみますか!?」ダダダダ

女子生徒 (さてさて、相手は3人……一辺に片づけてもええんやけど、それじゃお仕置きにならへんし)

絹旗 「超ちっそぱーんち!」ブンッ

女子生徒 「」ヒョイ


  スカッ


絹旗 「!?」

女子生徒 「んな真正面から来られても」

女子生徒 (減らせるなら減らしたほうが楽、となると厄介なのは……やっぱりあいつやな)

女子生徒 (よし……)
86 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 01:09:25.91 ID:ePdpk7i4o

絹旗 「このっ!」ブンッ

女子生徒 「よっ」スカッ

絹旗 「あー、もー、フラフラとー!」ムキー

女子生徒 「ほらほら、こっちこっち」タンッ

絹旗 「おちょくってんですかぁ!」ダッ


  ボゴッ


絹旗 「えっ!?」ストン

婚后 「絹旗さん!?」

女子生徒 「ひっかかりよった」クスクス


  \落とし穴とか超卑怯ですよー!/


婚后 (……? あそこは、あちらの方も通っていた筈……)

白井 「油断なりませんわ。あの方、戦闘慣れしておられますの」

婚后 「え、ええ。困りましたわね、ここにはわたくしの能力で飛ばせそうなものが」

白井 「いえ、短期決戦で参りましょう。長引けばあちらの思う壺ですの」

婚后 「確かに。そうですわね」
87 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 01:10:40.50 ID:ePdpk7i4o

絹旗 「もー、超土まみれじゃないですか……」ヨイショ

女子生徒 「足元がお留守やから、こんな簡単な罠に引っかかるんです」


  ヒュンッ


白井 「そういう貴女は後ろがお留守ですわね」パシッ

女子生徒 「……あらあらぁ」


  ヒュンッ ヒュンッヒュンッヒュンッヒュンッヒュンッ


女子生徒 「……」ガッチリ

白井 「風紀委員ですの。どうぞそのまま大人しくしておいてくださいまし」

女子生徒 「困りましたなぁ。これじゃうち、昆虫標本やないですか」

絹旗 「地面に転位→釘で固定、白井さんの黄金コンボが超決まりましたね!」ピャー

婚后 (……あまりにもあっけない。こんなものなのでしょうか……?)

女子生徒 「まあ、こうなってしもた以上は……」

婚后 「白井さん。くれぐれも油断……?」ジャリ

婚后 (そういえば……どうしてここは屋内にも関わらず、剥き出しの地面が……?)

白井 「さて……貴女は何者で、何が目的なのか。聞かせて頂きますの」
88 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 01:12:11.74 ID:ePdpk7i4o

女子生徒 「……白井黒子。ほんに、空間移動というのは厄介な能力やわぁ」

白井 「!? 貴女、いったい……!」

女子生徒 「だからこそ、わざわざこうやって……」

婚后 (……まさか、彼女の能力は!)

婚后 「白井さん! そこから離れて!!」

白井 「え?」

絹旗 「婚后さん、急にどうし」

女子生徒 「」クス


  ザシュザシュザシュザシュザシュザシュッ


白井 「え? あ……」ブシャァァ

絹旗 「えっ」

婚后 「白井さん!」

婚后 (地面から土の刃が……やはり彼女は)

白井 「な、にが……」ドサッ

女子生徒 「よっこらしょ……ふふ、下から上に串刺しするも簡単やけど、流石に殺しは嫌やし」スッ

婚后 「絹旗さん、わたくしが彼女の気を引きます。その間に白井さんを」
89 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 01:14:24.54 ID:ePdpk7i4o

絹旗 「え、でも」

婚后 「頼みましたわよ!」ヒュパッ

婚后 (背中に噴射点を形成、このまま彼女の懐まで)

婚后 「推して参ります!」ゴォォォ

女子生徒 (速い!?)

婚后 「はぁぁぁ!」ブンッ

女子生徒 「この!」ザッ


  ガキィィィン


婚后 「……土を腕に貼り付けて盾に? 存外器用ですのね」ギリギリギリ

女子生徒 「さっきから優雅に扇いでるその扇子、まさか鉄扇やったなんて……おっかないわぁ」ギリギリギリ

絹旗 「白井さん、しっかりしてください! 白井さん!」

白井 「……も、申し訳ございません……肝心なところで……ミスを……」

絹旗 (出血がひどい……このままじゃ……とりあえず隅っこに)ズルズル

白井 「絹旗さん……」

絹旗 「喋らないで下さい。まだ止血してませんから」

白井 「それでも……これだけは……」

絹旗 「……?」
90 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 01:15:49.87 ID:ePdpk7i4o


~研究所跡 南ブロック~


結標 「参ったわね……」

エツァリ 「相手が見えないのでは手の出しようもないですね。それに……」


  バッシーン


浜面 「いってぇぇ!? クソ、こっちか!」


  スパーン


浜面 「あいたぁ! こっちか!」

結標 「なんで浜面くんばっかり狙われてるの?」

エツァリ 「結標さんだって、たまに思い出したようにスカート捲られてるじゃないですか」

結標 「」ギロリ

エツァリ 「なんでもないです」

結標 「ともかく、厄介なことに変わりはないわ」

エツァリ (しかし妙だ)
91 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 01:17:57.79 ID:ePdpk7i4o

浜面 「クソッ、だったらこっちも動き回って、おぉ!?」コケッ

浜面 「」ズコー

浜面 「テメェ、足ひっかけやがったなぁ!?」

エツァリ (姿が見えないというのは、シンプルな能力でありながら圧倒的有利)

エツァリ (防御を考えず、攻撃に専念できるというのはとてつもないアドバンテージだ)

エツァリ (にも関わらず)


  バサァァァ


結標 「……!? だから捲るなっての!」バッ

エツァリ (やってることはまるで子どもの悪戯だ)

エツァリ (本当に決するつもりなら、他にやりようはあるでしょうに)

浜面 「この……どうしろってんだ。姐さん、なんとかしてくれよぉ!」

結標 「そんなこと言ったって……どうにかして居場所が分かればなんとかなるけど」

    「無駄ですよ? ボクの"完全迷彩"<ミラクルステルス>は発動したが最後、
     ボクだけではなく服や持ち物まで隠してしまいますから」

結標 「っ……貴方は何か妙案はないの?」

エツァリ 「そうですね……」
92 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 01:19:10.57 ID:ePdpk7i4o

    「さて、そろそろ終わらせましょうか。大丈夫です、死にはしないですから」

浜面 「くるかっ!?」

エツァリ 「とりあえず散開しましょう! 固まっていては危険です!」

結標 「そうね」ダッ

浜面 「厄介なヤツにあたっちまったもんだ」

エツァリ (さあ……どうきますか)


  カチカチカチカチ...


浜面 「……なんの音だ」

結標 「さあ……」

エツァリ (……この音はもしや……一か八か、やってみますか)

エツァリ 「どうしました? 銃を持つ手が震えているようですが」

    「!? ふ、震えてなんかないです!」

エツァリ 「やはりそうですか……先ほどから思っていたことですが」

浜面 「?」

エツァリ 「あなたはなぜここにいるのですか?」
93 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 01:21:09.40 ID:ePdpk7i4o

    「む……無能力者を排除するためですよ」

エツァリ 「ならばどうぞ。自分は能力を持っていません。さあ、よく狙ってくださいよ」

浜面 「お、おい!?」

結標 「何やってるのよ!」

    「……」

エツァリ 「撃てませんか? そうでしょう。あなたはまだ、人を傷つける覚悟ができていないのでしょう」

    「そんなこと……ボクだって、その気になれば……!」チャキッ

エツァリ 「……どうして、そこまでしなければいけないのですか?」

    「…………ボクの居場所はここだけだからです。姿が見えないボクには、他の居場所なんてありません」

結標 (……もしかして、思ってたより子どもなのかしら)

浜面 (拗ねたガキか?……なんつうか、やりきれねぇな)

    「だから、あなたたちの足止めは成功させなければ……ここからも捨てられてしまいます」

エツァリ 「なるほど」

    「もういいでしょう。撃ちますよ? 本当に撃ちますよ?」

浜面 (何か、何か手はないのか……)

結標 「……」

エツァリ (さて、困りました。説得できればと思ったのですが、彼か彼女か、その心は想像以上に固まっているようですね)
94 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 01:22:57.99 ID:ePdpk7i4o

浜面 (どうにかしてやりたいが……話し合うにも、まず顔が見えねぇとな)

浜面 (能力を解除させることはできないか……)

浜面 (……お、そうだ)ピコーン

浜面 「なあ、ちょっといいか?」

エツァリ 「浜面さん、こんなときに」

浜面 (俺に考えがある。乗ってくれないか?)ヒソヒソ

エツァリ (考え?)ヒソヒソ

浜面 (説明してる余裕はねぇ。頼む)ヒソヒソ

エツァリ (……分かりました。乗りましょう)

浜面 「おい、姿が見えないんじゃ相手にしてもしょうがねぇよ。行こうぜ」タッ

結標 「え? ちょっと?」

エツァリ 「さ、結標さんも」グイ

結標 「痛いってば! 強くひっぱらないでよ!」

    「!? ま、待ちなさい! 行かせませんよ!」

浜面 (そうだそうだ、そうやって追ってこい)タッタッタッ

エツァリ (さて、浜面さんはどうでるのでしょうか)タッタッタッ

結標 「もう、なんだっていうのよ」タッタッタッ
95 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/02(木) 01:23:43.87 ID:ePdpk7i4o

といったところで、今回はここまでです。
さすがに全員無傷で帰投とはいかなかったようです。
人生はときに厳しい。

次回投下は3日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2012/02/02(木) 01:34:06.36 ID:zvq4HOKM0


治療の邪魔になるといけないから19090号の服は俺が預かっておこう
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage]:2012/02/02(木) 01:42:45.73 ID:oA7AHpIr0
おつ~

絹旗ちゃんは元暗部なんだからもうちょい警戒心を…
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/02/02(木) 01:49:15.87 ID:sTGzcR4ko
なんだろう、今までSS見てきたで一番ムカつく敵だな
クソみたいなことやってる癖にまともぶってるからかな
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/02/02(木) 01:52:30.37 ID:SFS3e4jDO
まぁ、この先どんな「やむを得ない理由」を話されても許す気にはなれないだろな

ともかく>>1乙。楽しみにしてる 
 
124 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:14:20.46 ID:onUEJev+o


~研究所跡 西ブロック2階~


19090 「これより消毒を開始します。あ、あの、もし沁みたらですね」

男子A 「はい」

19090 「我慢してください」プシュー

男子A 「ひょわぁぁぁぁぁ」

麦野 「何情けねぇ声だしてんだよ、男だろ。……ま、こんなもんか。後は自分でやりな」

下っ端A 「いや、あの、できれば最後まで……」

麦野 「あとコレ貼るだけでしょうが。それとも、その口に貼って塞いでやるか?」

下っ端A 「はい、後は自分でやるであります」

19090 「それにしてもあなたたちは実に幸運です」

下っ端B 「あ、ああ、まったく。アンタ方みたいなのが来てくれるなんてな」

厨二 (荒れ狂う"戦場"<いくさば>に舞い降りた天使というのはこういうのをいうのかもしれないな)

19090 「いえ、そうではなく」

下っ端B 「?」
125 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:15:51.31 ID:onUEJev+o

19090 「あなたたちが交戦したであろう相手が本気を出していれば、こんなものでは済まなかったかと」

麦野 「つまり相当手加減してもらってたってことね」ケラケラ

下っ端B 「た、確かにあいつらバケモンだ……20人相手にしても平然としてやがったし……」

厨二 「こ、こちらも選りすぐった精鋭がまる濡れ紙の如く……」

麦野 「アンタたちも、他の連中もだけどさぁ、これに懲りてもうこんなことやめたら?」

他全員 「……」

麦野 「いずれ後悔する日が必ず来るわよ。……必ず、ね」

19090 (しずりんも、かつては毎晩のようにうなされていましたね)

麦野 「ま、決めるのはアンタたちだし、どうするかもアンタたちの勝手だけどね」

下っ端B 「……俺、決めました。姐さん、舎弟にしてください!」ガバッ

麦野 「イラネ」ゲシッ

下っ端B 「んほぅ」


<お、俺も!俺も舎弟に!
<じゃ俺は嫁に!
<お姉様と呼ばせてください!
<じゃ俺はお館様と!
<全員いらねぇぇぇぇ!!


19090 「しずりん、大人気ですね」
126 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:17:34.73 ID:onUEJev+o

麦野 「まったく……にしても空気悪いな、ここ。換気しろよ」

19090 「窓はありませんし、排気システムも動作していないようです」

麦野 「んー……あ、なんかコンパネあるじゃん」ツカツカ

19090 「でもここ閉鎖されているんですよ? 電力は供給されているのでしょうか」

麦野 「アンタがいるじゃん。いざとなったら頼むからね」

19090 「こんな大きな建物を賄えるほどの出力はありません!」

知恵者 「あっしらスキルアウト組が持ち込んだ発電機と大容量バッテリがあるんで、心配ないでやんすよ」

麦野 「これの使い方は?」

知恵者 「そこまではちっと……ご覧の通り、文字盤のプリントもかすれてしやってるんで」

麦野 「ふーん。ま、いいや。適当にいじりゃわかるでしょ」ポチポチ

19090 「し、しずりん!」

麦野 「大丈夫だろ。自爆スイッチがあるわけでもなし」ポチポチ

19090 「それはそうですけども」

知恵者 「大丈夫でやんすよ。ミサイル発射ボタンとか毒ガス噴射ボタンとかはなさそうなんで」

19090 「あったら困ります!」

下っ端IH 「「……」」
127 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:18:35.76 ID:onUEJev+o

下っ端I 「……な、なあ、さっきから気になってるんだけどさ」

下っ端H 「みなまで言うな。俺にはわかるぞ」

下っ端I 「あの髪が長い方って……あの、リーダーだった女だよな」

下っ端H 「あぁ……俺たち、下部組織合流組のリクでボスが標的に加えてくれたんだよな」

下っ端I 「……あんな優しそうな顔してたっけ」

下っ端H 「……解散から2年経ってんだ。色々あったんじゃねぇのかな」

下っ端I 「……傷の手当てしてもらった」

下っ端H 「……あぁ、俺もだ」

下っ端IH 「「……」」

下っ端I 「なんかさ、もういいんじゃねぇかなって気分になってきちゃったわ」

下っ端H 「奇遇だな。俺もだ」

下っ端I 「……暗部の女王だったあの人でも、ああなれるんだな」

下っ端H 「……あぁ」

下っ端I 「……俺たち、まだやり直せんのかな」

下っ端H 「……やってみなきゃわからんな」

下っ端I 「そうだよな……ならやってみるか」

下っ端H 「そうだな……あ、きれてる。悪い、煙草あるか?」

下っ端I 「ほら、全部やるよ。とりあえず禁煙から始めてみるわ」
128 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:19:45.68 ID:onUEJev+o


~研究所跡 正面ロビー~


いい男 「ふんっ」ブォ

番外個体 「くっ……!」タンッ

いい男 「そら、次だ!」ゴッ

番外個体 「ッ!」ダンッ

いい男 「……ふむ、なかなか身軽だな。実はまだ余裕なんじゃないか?」

番外個体 「そう見える? さっきからイヤな汗が止まらないんだけどねぇ」ポタッ

番外個体 (磁力操作で移動力はカバーできてるけど、反撃の余裕がない……)

番外個体 (なにより……)ズキッ

番外個体 (アバラも折れてるなぁ……いつまで保つことやら)

いい男 「まあ、お前さんはよく頑張った方だよ。そろそろ」


  ビキッ


いい男 「ぐぬっ……!」

番外個体 「ははっ、やっぱりね。限界が近いのはあなたも同じでしょ?」

いい男 「……」
129 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:21:03.27 ID:onUEJev+o

番外個体 「発条包帯なんて無茶するからだよ。私、さっき言ったよね? 骨と筋肉がもたないって」

いい男 「……あぁ、そうだ。俺に残された時間は多くない。次で決めさせてもらうぞ」メキメキメキ

番外個体 「へぇ、伝家の宝刀ってヤツ?」

いい男 「それは下にあるこっちの方だ。安心しろ、こっちの宝刀を抜くのはいい男限定だからな」

番外個体 「ハッ、それ聞いて安心したよ」

いい男 「……ゆくぞっ!」ヒュドッ

番外個体 (磁力操作で!)

いい男 「ぬぉぉ!」ブォッ

番外個体 「」フワッ

いい男 「!? またそれか! 時間稼ぎもいつまでもつかね!」ダンッ

番外個体 「さて、ね」タンッ

いい男 (だが見誤ったな! そちらは壁際だ!)

いい男 「終わりにしようじゃないの!」ゴッ

番外個体 (来るっ!)

いい男 「はぁぁぁぁ!!」


  バゴォォォン

130 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:22:34.69 ID:onUEJev+o

番外個体 「……」パラッ

いい男 「……!?」

番外個体 「伝家の宝刀って左ストレートのことだったんだね。壁ブチ抜いて肩まで埋まるなんて、すっごい威力」

いい男 (しゃがんで避けられた!? まさか狙って)

番外個体 「」ダキッ

いい男 「!?」

番外個体 「つーかまえーたー」バチンッ

いい男 「しまっ」

番外個体 「うらぁぁぁぁぁぁぁ!!」バチバチバチバチ

いい男 「ぬうおおおぁぁぁぁぁぁぁl!??」ビビビビ


  ドサッ


いい男 「」プスプス

番外個体 「……ざまーみろ」

番外個体 「さて……」ヨロッ

番外個体 「一方通行ー、生きてるー?」

一方通行 「」
131 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:24:32.05 ID:onUEJev+o

番外個体 「返事がない……さすがにチャフでばら撒かれた粒子が濃かったかな?」

一方通行 「」

番外個体 「ちょっと待っててね。換気でもすれば」


  ガスンッ


番外個体 「いっ……!?」ドサッ

いい男 「まったく、お互いに油断大敵だな」シュゥゥゥ...

番外個体 「な、んで……?」

いい男 「いや、危なかったさ……事実、まだ痺れて思うように動かん」

いい男 「だが俺もタフネスさには自信と定評があるのでね」

番外個体 (そんなの、って……一方通行……ゴメン、わた、し……)ガクン

いい男 「……顔面ではなくこめかみを狙ったのは俺のせめてもの騎士道精神だ」

いい男 「さて、お待たせしてしまったな、第一位。お楽しみタイムといこうじゃないの」


  ゴゴンッ


いい男 「? なんだ?」
132 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:25:51.11 ID:onUEJev+o


~研究所跡 東ブロック地下1階~


女子生徒 「はっ!」ブォン

婚后 「くっ!」ザッ

女子生徒 「なんや、暗器振りかざして迫ってくるさかい、どれほどの心得もんかと思うたら」

婚后 (体術まで扱うなんて……一体何者……!?)

女子生徒 「せいぜい素人に毛が生えたぐらいやなんて」クスクス

婚后 (土でコーティングされた両拳で殴られたら、一撃ですわね……ここは回避に徹して……)タッ


  ドン


婚后 「ッ!?」

婚后 (土の壁!? しまった、退路を……)

女子生徒 「こんなときに余所見なんて、えらい余裕やないですか」

婚后 「まだです、まだこれk」

女子生徒 「うるさい」ゴスッ

婚后 「ご、はぁっ……!」

女子生徒 「女のよしみで、顔だけは勘弁してボディ狙いにしといたります」クスクス
133 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:28:05.28 ID:onUEJev+o


<そこまでです。


女子生徒 「うん?」ピタッ

婚后 「絹、旗さん……」

絹旗 「婚后さん、白井さんを超お願いします。後は私が」

女子生徒 「おチビちゃん、えらい自信やな」

絹旗 「"岩槍隆起"<アップヒーバル>、強度は4。超簡単に言うと"自分が立っている地面を操る能力"。
    ま、能力名の通り、相性が一番いいのは土みたいですけどね」

女子生徒 「!?」

絹旗 「あなたの能力については超聞かせてもらいましたよ」

女子生徒 「……ふぅん」

絹旗 「それと、あなたが元風紀委員だったということも」

婚后 「なっ……」

絹旗 「かつて最強の風紀委員と呼ばれていたあなたが、度を越えた暴力を繰り返して追放されたということも」

女子生徒 「またえらい懐かしい話を」

絹旗 「ええまあ、元風紀委員とかは今となっては重要じゃないです」

絹旗 「……あなたは」チラッ
134 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:29:22.10 ID:onUEJev+o

婚后 「白井さん、今止血を……う、げほっ」

白井 「お互いに……不甲斐ないですわね……」クスクス

絹旗 「あなたは、もォ絶対に許さないですからねェ!」ギンッ

女子生徒 「おお、怖い……これはうちもゆるりとしてはしてられへん」

絹旗 「そこを動くなァァァァ!」ダダダダ

女子生徒 「」クス


  ドカドカドカドカドカ


絹旗 「土の槍……!? 超ヌルイですね、こンな程度で」ゴッ


  バゴッ


絹旗 「私が止められると超本気で思ってンですかァァァ!」

女子生徒 (あのおチビちゃん、どうみても生身……どういう能力?)

女子生徒 (どちらにせよ、迂闊には近づけへんな)

絹旗 「」ダッ

女子生徒 (だったら足止めしつつ、遠距離戦に切り替えるのみ)タッ

絹旗 「ッ……逃げるしか能がないンですかねェ」
135 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:30:42.76 ID:onUEJev+o

女子生徒 「相手によって遠近切り替えるんが賢いやり方。おチビちゃんみたいに突っ込むばかりじゃあかんで?」

絹旗 「……」

女子生徒 「それと、うちの能力を聞いたんなら、足を止めるのがいかに危険なのか分かりそうなもんやけどな」

絹旗 「……」


  ザンッ


絹旗 「白井さンを切り刻んだ土の刃ですか……お気の毒。私には超通じませんンよ」バラッ

女子生徒 (これも効かない……? なんなん? 皮膚の表面を硬質化とか?)

絹旗 「……同じ風紀委員で、同じ大能力者の白井さンとはエライ違いですね。なンていうか、超しょぼいです」

女子生徒 「」ピクッ

絹旗 「ま、だからこそこンな穴倉でせこせこと 「うるさい」

女子生徒 「おチビちゃんにぐちゃぐちゃ言われとうない」ゴゴゴゴ

絹旗 「……」

女子生徒 「それにな、うちは風紀委員なんて称号に未練はないの。追い出されてむしろスッキリしたわ」

絹旗 「それで次に行き着く先が無能力者狩りだなンて、超底がしれてますね」

女子生徒 「……だって、そっちの方が有意義やん」

絹旗 「はァ?」
136 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:32:22.33 ID:onUEJev+o

女子生徒 「うちかて、頑張って頑張ってLEVEL4まで昇り詰めた。でもそれ以上に頑張ってもLEVEL5は全然見えへん」

絹旗 「……」

女子生徒 「風紀委員の活動を頑張っても、スキルアウトどもが起こす犯罪はなかなか減らへんし」

女子生徒 「能力開発を続けるのも、風紀委員として頑張るのも、もう何もかもアホらしい」

絹旗 「……」

女子生徒 「うちの持つ力をアホらしいことに消費するよりも有意義に使うべき、そうは思わへん?」

絹旗 「それが無能力者狩りだと……?」

女子生徒 「そゆこと。いわば犯罪の芽を事前に摘むボランティア」

絹旗 「……」

女子生徒 「うちも好きなように能力を行使できて快感やし。一石二鳥やね」クスクス

絹旗 「バッカじゃねェ?」

女子生徒 「あぁ?」

絹旗 「ま、あなたが超どォしようもないバカだってことはよくわかりましたよ。もォ喋らないでください」ハァ

女子生徒 「……」

絹旗 「そこまでの超バカになると殴っても治りそォにはないですけど」

絹旗 「それじゃ私の気が超済まないンで。これからこの絹旗サマ直々に超鉄拳制裁といきましょォか」ジャリ ジャリ
137 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:33:19.57 ID:onUEJev+o


~研究所跡 南ブロック~


浜面 「」カンカンカン

エツァリ 「」カンカンカン

結標 「ちょ、ちょっと……!」タッタッタッ

浜面 「あいつは来てるか?」

エツァリ 「えぇ」


<カンカンカン


エツァリ 「足音がすごく響く床というのも捨てたものじゃないですね」

結標 「どこまで行くつもりなのよ。そろそろ聞かせてよ」

浜面 「もいちょいだ、もうちょい!」

エツァリ 「見えてきましたよ」

結標 「……え? ちょっと、あのドアって!」

浜面 「ただいま、ってな!」ガチャ

エツァリ 「結標さんは隅っこに」

結標 「う……やっぱりヒドイ匂いね……」
138 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:34:35.94 ID:onUEJev+o

    「……逃げる先を間違えましたか? 行き止まりみたいですけど」

浜面 (来おったな!)

浜面 「エっツァん! 手伝え!」ガシッ

エツァリ 「……なるほど、そういうことですか!」

    「? なにを」

浜面 「まずは赤だ!」バシャァ

エツァリ 「では自分は青の塗料を」バシャァ

結標 「ちょ、ちょっと! 私にかけたら怒るからね! ただでさえシンナーの匂いに参ってるんだから!」

浜面 「緑なんてどうだ!」バシャァ

エツァリ 「黒などシックでよろしいかと」バシャァ

    「何をしているのやら……廃材の塗料を床に流したところで」

浜面 「バッチリ見えてるぜ。お前の足跡がな」

エツァリ 「そこの床だけ、塗料がついていない……なぜか靴底の形でくり抜かれたかのように」

    「!?」

浜面 「おぉっと、銃は撃つなよ? 絶対撃つなよ?」

エツァリ 「気化したシンナーに万が一にも引火してしまえば、貴方もただでは済みませんよ?」

    「……」
139 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:36:21.94 ID:onUEJev+o

結標 「動かないで……位置さえ分かってしまえば、私の能力が使えるんだからね……」スチャ

    「……くそ……くそぉ!」

エツァリ 「チェックメイトです」

浜面 「なあ、そろそろ顔ぐらいは拝ませてくれてもいいんじゃねぇか?」

    「……」

結標 「最後ぐらいは潔くしたら?」

完全迷彩 「どうやら……ここまでですね」スゥー

浜面 「……なんだ、ガキじゃねぇか」

エツァリ 「声が高いので女性かと思ってました」

完全迷彩 「こっ、こう見えても中学生なんですからね!」

浜面 (あー、なんかデジャヴを感じると思ったらアレだ。絹旗だ)

結標 「……ねぇ、なんでこんなことをしてるの?」

完全迷彩 「さっきも言ったじゃないですか……」

結標 「今ならまだやり直せるわよ。後悔する前に足を洗いなさい」

完全迷彩 「……」

結標 「せっかくそんな希少な能力を持ってるのに。それを犯罪の手助けに使うなんて悲しいと思わない?」

完全迷彩 「……でも、いまさら学校にも戻れないですよ」
140 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:38:26.37 ID:onUEJev+o

結標 「そんなことない」

完全迷彩 「……」

結標 「私も、過去に色々やったからね。相応のペナルティはあったけど」

完全迷彩 「……」

結標 「捨てる神がいれば、拾う神もいるの。貴方がちゃんとしようっていうのなら、必ず差し伸べる手もあるわよ」

完全迷彩 「この学園都市で神どうこう言うなんて、変なお姉さんですね」

結標 「そうかもね」クスッ

完全迷彩 「……金髪の女の子は地下2階です。ドアの前に見張りがいるんで、すぐ分かるハズです」

浜面 「そ、そうか!」

エツァリ 「情報の提供、感謝します」ペコリ

結標 「一緒に来る?」

完全迷彩 「……いえ、これから警備員のところにいきます。だから、ここでお別れです」

結標 「……そ」

完全迷彩 「あの、おこがましいのは承知なんですけど……警備員のところに行く決心がつかなくて」

結標 「?」

完全迷彩 「一回だけでいいんで……ぎゅーってしてもらえませんか?」

結標 「……仕方ない子ね」ムギュー

エツァ面 ((こんのクソガキィィィィィ!!))
141 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/05(日) 00:38:57.53 ID:onUEJev+o

といったところで、今回はここまでです。
フレメア奪還大作戦もいよいよ大詰めですよ。

次回投下は3日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage]:2012/02/05(日) 00:43:19.74 ID:2WwO676R0
おつ~

あわきんショタっ子に抱きつけてよかったね!
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage]:2012/02/05(日) 00:44:01.06 ID:fFra7i41o
乙!

>じゃ俺は嫁に!

流れ的に麦のんの嫁にしろって言ってるようにみえるよねこいつwwww
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/02/05(日) 00:46:44.64 ID:bzcxQq9Wo
俺(こんのクソガキィィィィィ!!)

しかし絹旗が本気になっちったな。乙でした
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2012/02/05(日) 00:48:40.67 ID:gq1/bAIho
乙!! 
 
187 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:12:27.13 ID:PCnyLOAqo


~研究所跡 西ブロック2階~


麦野 「♪」ポチポチ

19090 「……あ、あの」

麦野 「なんも起こらないわね。ホントに動いてるの?」

知恵者 「え、ええ。ここが緑に光ってるんで、動力は来てるはずでやんすが」

麦野 「ふーん」カチッ

19090 「あまり無暗にいじると」


  バツンッ


知恵者 「おほぉ?」

麦野 「やべ、電気消しちゃった。ええと、どのスイッチだ……」

19090 「……」

麦野 「きゃぁぁ!?」

19090 「どうしたんですか?」

麦野 「お前だよ!」ベシッ

19090 「ふぎゃ。え? なにが? なにがですか?」
188 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:13:44.08 ID:PCnyLOAqo

麦野 「この暗闇で、アンタのゴーグルだけ爛々と光ってて不気味なのよ!」

19090 「こっ、これは失礼しました」パチ

麦野 「驚かせんな……んー、たしかこの辺……」カチッ


  パッ


麦野 「あ、ついた。よかったー」

ヤンキー女 「」ポタポタ

19090 「ひっ!?」

麦野 「……どうした、アンタ」

知恵者 「あ、姉御殿!? どうしたでやんすか!?」

ヤンキー女 「……おトイレに入ってたら、いきなりスプリンクラーが動いた……」ポタポタ

麦野 (……な、なあ、もしかして私のせい?)ヒソヒソ

19090 (もしかしなくてもそうです)ヒソヒソ

ヤンキー女 「……へくちっ。ここ廃墟でしょ? なんでスプリンクラーが動くんだよ」

知恵者 「おそらく、雨水を貯めて再利用するシステムなんでやんすよ。だから動力さえあれば動く、と」

ヤンキー女 「なんだよ、それ……あと、どっか隙間空いてない? すっごい風感じるんだけど」
189 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:15:08.88 ID:PCnyLOAqo

知恵者 「いえ、そんな筈は……」

19090 「あそこでは?」

知恵者 「あ、あー。排気用の高窓がいつの間にやら全開……」

ヤンキー女 「へっくち……寒いっつうんだよ。こちとらびしょ濡れなんだぞ」ガクブル

麦野 「……」

19090 「しずりんがいじくりまわしたせいで、そこかしこの設備が動いているようですね」

麦野 「……しずりん、わかんない」テヘ

19090 「」ハァ

麦野 「まあまあ、大丈夫だって。別に爆発とかしてないでしょ?」

19090 「そ、そうかもしれませんが」

麦野 「それに。もしかしたらこれで助かるやつがいるかもしれないじゃん?」

19090 「いるんでしょうか」

麦野 「分かんないもんよ。こういうのは」

19090 「……あ、もしかしてピタゴラスイッチってヤツですか?」ウーム

麦野 「……そりゃちょっと違うかな」

ヤンキー女 「はっ……くしゅ!」
190 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:16:32.39 ID:PCnyLOAqo


~研究所跡 南ブロック~


結標 「……参ったわね」

浜面 「なんで下に行く階段が見当たらねぇんだ?」

エツァリ 「戦闘中の区画にあるか、あるいは……」

結標 「あるいは?」

エツァリ 「階段と呼べるものは、非常階段だけなのかもしれません」

結標 「普段はエレベーターを使ってるってことね」

浜面 「エレベーターか……望みは薄いな」

エツァリ 「いえ、エレベーターが見つかればなんとかなるでしょう」

浜面 「なんでだ? 動いてるとはあまり思えないぞ」

エツァリ 「シャフトを通って行くんですよ。それで最悪下には行けます」

結標 「……危険だけど、それしかないなら仕方ないわね」

浜面 「そうだな。敵地のど真ん中で危険を議論してもしょうがねぇや」

結標 「エレベーターはどこかで見た?」

浜面 「あっちだ。来るときにあったぜ」

エツァリ 「急ぎ向かいましょう」
191 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:17:25.99 ID:PCnyLOAqo

 :
 :
 :

結標 「あった、ここね」

浜面 「……あれ? これ使えるんじゃないか?」

エツァリ 「階数表示が灯ってますね」

浜面 「さっきは光ってなかったけどな……罠の可能性は?」

エツァリ 「否定できません」

結標 「……いいわ、行きましょう。罠だったら、罠ごとまとめて飛ばしてやるわよ」

浜面 「ま、シャフト通るつもりだったしな。どっちにしろ変わらんか」

エツァリ 「決まりですね。いきますよ」ポチッ


<チーン


浜面 「……中は何もなさそうだぜ」

エツァリ 「ワイヤーを切られたらたまりませんね」

結標 「大丈夫よ、そうしたらさっきのポイントまで戻る。座標は演算済みだから、いつでも行けるわ」

浜面 「地下2階だったよな」ポチッ
192 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:18:29.56 ID:PCnyLOAqo


  ウィーン


結標 「警戒して。ドアが開いた瞬間、何が来るかわからない」

エツァリ 「ご心配なく」

浜面 「心得てるぜ」


<チーン


3人 「」バッ

浜面 「……よし、何もねぇな」

結標 「急ぎましょう」タッ

エツァリ 「見張りがいる部屋でしたよね」タッ

浜面 「待ってろよ、フレメア!」タッ


~研究所跡 南ブロック地下2階~


エツァリ 「! お二人とも」

結標 「見張りが二人……どうやらあそこね」

浜面 「二人も護衛がついてるなんて、うちの姫はVIP待遇だな」
193 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:19:44.10 ID:PCnyLOAqo

エツァリ 「結標さんはこちらでお待ちを」

浜面 「俺たちで排除してくる」

結標 「気をつけて。得物を持ってないとも限らないから」

浜面 「よーし、エっツァん。せーのでスタートな」

エツァリ 「負けませんよ? かけっこは得意なんです」

浜面 「奇遇だな、俺もだ……よし、いくぞ。せーの」

エツァ面 「「」」ダンッ


  ダダダダダダ


見張り1 「!?」

見張り2 「な、誰だ!?」

浜面 「そぉい!!」バキッ

エツァリ 「はぁぁ!!」ドカッ

見張り12 「「」」ドサッ

結標 「二人とも、お疲れさま」コツコツ

エツァリ 「楽勝ですよ」

浜面 「ま、これぐらいはやっとかんとな」
194 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:20:38.42 ID:PCnyLOAqo

結標 「鍵は……かかってないわね!」ガチャ

浜面 「フレメア! いるか!」

フレメア 「!? 浜面!?」

浜面 「おお、浜面だぜ」

フレメア 「浜面ーー!」トテテテ

浜面 「悪い悪い、待たせちまったな」ギュゥ

フレメア 「……浜面、大体ヘンな匂いがする」

浜面 「えっ」

結標 「シンナーの匂いが染みついてるのよ」

エツァリ 「強烈でしたからね、あの匂いは」

フレメア 「? お兄ちゃんは誰?」

エツァリ 「ええとですね」

結標 「ゴメン、細かい話は後! まず脱出するわよ!」

浜面 「おう! フレメア、匂いは我慢してつかまってろ!」

フレメア 「」ガッチリ


  フッ

195 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:21:40.33 ID:PCnyLOAqo


~研究所跡 南ブロック外周~


結標 「よっと」スタッ

浜面 「おーし、戻ってきたな!」

エツァリ 「まだですよ」

結標 「このままお店の方角まで飛ばすから。二人はすぐに滝壺さんたちと合流なさい」

浜面 「了解した!」

フレメア 「だ……大体お姉ちゃんたちは!?」

エツァリ 「自分たちは他の方たちへの伝達と回収を」

結標 「そういうことだから。フレメア、また後でね」スチャ

フレメア 「……うん」コクリ


  フッ


結標 「後は連絡ね。陽動組の方はお願い」

エツァリ 「かしこまりました」カチカチ

結標 「さて、奇襲組もすぐに出てくれるかしら……」
196 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:23:44.26 ID:PCnyLOAqo


~研究所跡 正面ロビー~


いい男 「……気のせいか? 揺れたような気がしたが」

いい男 「まあいい。さて……ん?」

番外通行 「「」」

いい男 「せめて最期は互いの手を重ねあって、か……いいねぇ。映画のワンシーンみたいで泣けるじゃないの」クゥ

いい男 「……だが、現実は優しくない。勧善懲悪がまかり通るのはお伽話と時代劇だけだ。そうだろ? 第一位」

一方通行 「」ピクッ

いい男 「俺の方もこのままでは長くはもたん。早漏で申し訳ないが……あ?」ゴツッ ゴツッ

いい男 (黒い霧? さっきまでこんなものあったか?)


  ブォッ


いい男 「ごッ……!?」ドゴォ

いい男 (な、んだ……なぜ俺が壁に叩きつけられている……!?)

いい男 (一体何をされた……)

いい男 「!?」

一方通行 「……」ヒュォォォ
197 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:25:34.63 ID:PCnyLOAqo

いい男 (なに……?)

一方通行 「……ワースト」

番外個体 「」

一方通行 「クソッタレが……!」ギリ


<パチパチパチ


一方通行 「」ギロリ

いい男 「いやいや、王が妃をお姫様抱っこする画というのは、古今東西を問わず映えるもんだ」パチパチ

一方通行 「ちょっと待っててくれ」ポス

番外個体 「……ん、ぅ……」

いい男 「ところで第一位……お前さん、なぜ動ける?」

一方通行 「……」

いい男 「この空間には、今も目に見えるぐらいのチャフ粒子が漂っている。携帯電話も使えやしない」

一方通行 「……」

いい男 「なのに……なぜお前さんは平気なんだ!?」

一方通行 「オマエに教える義理はねェよな?」ゴボッ
198 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:27:19.23 ID:PCnyLOAqo

いい男 「!?」

一方通行 「コレ出すのも久々でなァ。加減間違えるかもしれねェけど、まァ許せ」


  ゴバァァァァァァ


いい男 「黒い翼……本当だったのか……?」

一方通行 「さァて、制裁タイムだ。……あー、もしもの話なンけどよ」

いい男 「!?」

一方通行 「壁のシミと床の水溜まりと空のお星サマ、なれるとしたら? オマエならどれにする?」

いい男 「ッ……!」ジリ...

いい男 (なんという圧迫感……理屈は分からんが、アレはヤバイ……本能が訴えているというヤツだ……)

いい男 (ここは引かせてもらおう。命あっての物種なのだからな)

いい男 「ふんっ!」ダンッ

一方通行 「オイオイ、ワーストにあれだけやっといて今更逃げの一手ってかァ?」

一方通行 「フザけてンじゃねェぞォォォォォ!!!」


  ドギャギャギャギャギャ


いい男 「あ」


  ズドォォォン

199 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:28:34.89 ID:PCnyLOAqo

いい男 「ごぼ、ぇっ……!」ゴキャッ

一方通行 「そォかいそォかい、壁のシミがご所望か。それならそォと言ってくれよ、なァ!!」

いい男 「あっ、がぁぁぁぁぁ!!」メキメキメキメキ

いい男 (軽く薙ぎ払っただけで……規格外にも程があるぞ……!?)ギリギリギリギリ

いい男 「このぉ……!!」グググ...

一方通行 「……」

いい男 (ビクともしない、か……なんなんだ、これはっ……!)

一方通行 「気は済ンだかァ?」

いい男 「……まだ、やりたり、ないか? お前さんもとんだ絶倫、だな」ゴフッ

一方通行 「ハッ、そのブレねェ減らず口だけは認めてやンよ」


  ゴォッ


一方通行 (……なァ、ワースト。オマエ言ってたよな……)

一方通行 「じゃァな。もォ顔を合わせることもねェだろ」


  ボギャッ

200 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:29:41.37 ID:PCnyLOAqo

 :
 :
 :

番外個体 「……ん」

一方通行 「起きたか」

番外個体 「……起きたらあなたの腕の中だなんて、最悪の目覚め」

一方通行 「よく言いやがる。今まで何回俺の腕の中で目覚ましたと思ってンだよ」

番外個体 「あいつは?」

一方通行 「ン」クイ

いい男 「」

番外個体 「……壁にめり込んでるように見えるんだけど……死んでるの?」

一方通行 「一応生きてる。が、本人的には死ンだ方がマシかもしれねェが」

番外個体 「何したの?」

一方通行 「ドサクサに紛れて、神経を何本か切らせてもらった」

番外個体 「つまり?」

一方通行 「アイツのアレは生涯使い物にならねェよ」

番外個体 「」
201 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:31:07.32 ID:PCnyLOAqo

一方通行 「ま、子孫を残すつもりもなさそォだったしなァ。問題ねェだろ」キシシ

番外個体 「えげつねー……でも、意外。あなたならバラバラにしちゃうと思ったけど」

一方通行 「オマエ、最初に言おうとしてただろ。無暗に殺すなってよ」

番外個体 「……だって、これ以上あなたに背負うもの増やしてほしくなかったから」

一方通行 「……そォかい」


  シュゴォォォォォ...


番外個体 「なに?」

一方通行 「排気扇……排煙システムか。どこのどなたか知らねェが、遅すぎンだクソッタレ」ケッ

番外個体 「……」スリ...

一方通行 「?」

番外個体 「お互い無事で、ひとまずはよかったねぇ…」

一方通行 「何が無事だアホ! 俺如きのためにこンな目にあいやがって」

番外個体 「……そうだ、後のお楽しみは? 今なら血の味だよ? AB型の」

一方通行 「まだいい。もっと後のお楽しみにしておくから、今は休ンでろ」

番外個体 「そっか」クス...
202 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:32:34.01 ID:PCnyLOAqo


  [[携帯電話]]<Prrrr Prrrr


番外個体 「電話……」

一方通行 「チッ、邪魔しやがって……もしもしィ?」ピッ

エツァリ 『あっ、やっと出てくれましたね。なかなか繋がらないから焦りましたよ』

一方通行 「……あァ、この部屋全体が電波妨害受けてた。ようやく解消したみてェだな」

エツァリ 『電波妨害!? あなたは大丈夫だったんですか!?』

一方通行 「……ワーストがやられた」

エツァリ 『ッ!?』

一方通行 「こっちもバッテリ残量がやべェ。……悪ィが回収を頼む」

エツァリ 『……結標さんに向かってもらいます。そのままお待ちを』

一方通行 「おい待て。ガキはどォなった」

エツァリ 『すでに保護して、浜面さんと共にミサワさんのお店に向かっておられますよ』

一方通行 「……ならいい」

エツァリ 『言いたいことは山ほどありますが、ひとまずはこれで』ピッ

番外個体 「聞こえたよ……フレメア、助かったんだね……」

一方通行 「あァ……とりあえず任務完了、だな」
203 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:33:57.62 ID:PCnyLOAqo


~研究所跡 東ブロック地下1階~


婚后 「ひとまずはこんなものでしょう。しかし白井さんのこの薬、便利ですわね」

白井 「あくまで非常用ですが……これならば塗るだけですみますの」イソイソ

婚后 「とはいえ、応急処置の域は出ないのですから。激しく動いたりはなさらないでください。……さて」


女子生徒 「そら」ボゴンッ ボゴンッ

絹旗 「いつまでそォやって」


  バカッ


絹旗 「バカの一つ覚えを続けるつもりですか!」


婚后 (彼女の攻撃は、絹旗さんのアーマーを貫くことはない……ですが)

婚后 (地面を操るという能力の特性上、足止めは得意中の得意)

婚后 (事実、自分の身体以上のリーチを持たない絹旗さんの攻撃もまた彼女には届かない……)

婚后 (膠着状態ですわね……ここはわたくしが今一度介入して)


  ドゴンッ


婚后 「!?」
204 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:35:09.36 ID:PCnyLOAqo

婚后 「か、壁……考えてる側から分断されるなんて……」ドンドン

婚后 「ッ!」ガンッ

白井 「……婚后さん。そんな殴り方では拳を痛めますの」ヨロッ

婚后 「白井さん……! まだ動き回っては」

白井 「わたくしだけのうのうと休んでいるなど……できませんのよ」

婚后 「……」

白井 「大丈夫ですの。婚后さんの応急処置のお蔭で、彼女を倒すぐらいまでは持ち応えられますの」

婚后 「止めても聞く耳持たないのでしょうね」ハァ

白井 「ええ、勿論。……それに、彼女は許すことができそうにありません」

婚后 「同感ですわ」

白井 「さて……彼女の能力を突き崩す方法を考えませんと」

婚后 「地面を操っての足止め、防御、面制圧……隙がございませんわね」


<ピチョンッ


白井 「?」

婚后 「今の音は……?」
205 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:36:59.87 ID:PCnyLOAqo

白井 「壁のバルブでしょうか。隙間から水が漏れていますの」

婚后 「……? 先ほどまで、水漏れなどしていなかった筈……」

白井婚后 「「あっ」」

婚后 「バルブということは水の配管……白井さん、もしかしたらこの部屋は」

白井 「……奇遇ですわね。わたくしも同じことを思いつきましたの」

婚后 「もしかしたらですが……彼女を弱体化させることができるかもしれませんわね」

白井 「それも含めて、わたくしに考えがございます」

 :
 :
 :

絹旗 「……くっ」ザッ

女子生徒 「あらぁ? 鬼ごっこはもう飽きた? うちまだ一回もつかまってへんよ?」

絹旗 (追いかけても追いかけても、壁やら土の槍でブロックされて)

絹旗 (こっちの間合いに全然持ち込めないですね……超ムカつきます)


  ポタッ


女子生徒 「つめたっ。なに?」


  ドザァァァァァァァァ

206 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:39:25.06 ID:PCnyLOAqo

絹旗 「え? あ、雨? こンなところで?」

女子生徒 「なっ、なんで!? なんでスプリンクラーが動くん!?」


<わたくしがバルブを解放しましたの。


女子生徒 「!?」

絹旗 「し、白井さン!?」

白井 「先ほどはどうも、"先輩"」

女子生徒 「どうして……あの傷で、空間移動の演算なんてできる筈……!」

白井 「"逃げ"に走った先輩には伝わらないでしょうが。人間、死ぬ気になればなんだってできますのよ?」チャキ

女子生徒 「!?」ダンッ


  ヒュンッ  チャリンチャリン...


白井 「残念。わたくしと同じところに打ち込んでさしあげようとしましたのに」

女子生徒 「……この……!」


<シュパァァァァ

207 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:41:15.71 ID:PCnyLOAqo

女子生徒 「!?」

婚后 「はぁぁぁ!」

女子生徒 「っ……次から次へと!……あ、あれ?」

婚后 「先ほどのお返しですわ!」ドゴ

女子生徒 「がは!」ドシャッ

絹旗 「婚后さンも!? 大丈夫なンですか!?」

婚后 「ご覧の通り、ですわね」

女子生徒 「な、どうして……あ、あぁ!? 地面が……?」グチャ

婚后 「お気づきになりまして? 貴女はご自分に有利なフィールドに誘い込んだおつもりでしょうが……」

婚后 「裏目に出ましたわね。むき出しの地面、上からも下からも供給される水……ここは実験用農場だったのでしょう」

白井 「貴女の能力は端的に言ってしまえば"地面を操る"ということ」

白井 「つまり、どのような事象を起こせるかは今自分が立っている地面に依存するということです」

女子生徒 「……」

絹旗 「で、どォします? もォ超水浸しですけど、泥団子でも作って超投げつけてみますか?」

女子生徒 「ふざけるなぁ!!」

白井 「……」
208 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:42:43.29 ID:PCnyLOAqo

女子生徒 「地面がぬかるんだところで、うちの有利はかわらへん!」


  ズブズブズブズブ


絹旗 「あ、足元が……」

婚后 (随分と思い切ってきましたわね……)

女子生徒 「うちかて一線は超えとうなかったのにな、もういい……そのまま全員生き埋めになってまえぇぇぇ!!」

婚后 「白井さん! わたくしの身体が沈みきる前に早く!」ズブズブズブ

白井 「最後の力です……参りますの!」ヒュンッ


  パシッ


絹旗 「し、白井さン……」ズブズブ

白井 「絹旗さん、一発ブチかましてやりますの」クスッ

絹旗 「?」

白井 「飛びますわよ!」ヒュンッ

女子生徒 「!? ちょこまかと鬱陶しい!」
209 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:44:13.96 ID:PCnyLOAqo

白井 「婚后さん!」

婚后 「お任せになって!」

絹旗 「婚后さンは助けないンですか!?」

婚后 「それは後! さあ、絹旗さん。久々にかっ飛ばしますわよ」バシッ

絹旗 「! それ使いますか!」

婚后 (噴射角は絹旗さん0度と白井さん30度……これで)

婚后 「さあ!」パシッ

白井 「」ヒュンッ

女子生徒 (上空に転移?……どうせまたさっきの釘。あんなもん、ちょっと身体ずらせば)

婚后 「お行きなさい!!」

白井 「」バシュゥゥゥ

女子生徒 「!? 噴射!?」

絹旗 「こっちも!!」バシュゥゥゥ

女子生徒 「嘘っ……」

女子生徒 (速い、間に合わな)

白井絹旗 「「うりゃああああああ!!!!」」ゴォォッ


  ドグシャァァ

210 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:45:52.14 ID:PCnyLOAqo

女子生徒 「ぎゃ、んっ……!」ズシャァァァァ

婚后 (絹旗さんのちっそぱんちと白井流ライダーキックをエアロ噴射、受けた方はただでは済まないでしょう)

女子生徒 「うっ……あ……」ピクピク

婚后 (顔面と鳩尾に一撃、容赦ないですが……せめて彼女には良い薬となることを祈りましょう)

白井 「……っ」

絹旗 「白井さん!」

白井 「ご心配なく。傷口が少し開いてしまったようで……」ジワ

絹旗 「また出血が……あんなことするからですよ」

白井 「わたくしだって、たまには……あんなことしてみたくなりますの」

絹旗 「」ハァ


<絹旗さーん


絹旗 「?」

婚后 「あの、申し訳ないのですが、引っ張り上げて頂けないでしょうか」

絹旗 「わっ、太ももまで超埋まっちゃってるじゃないですか……つかまってください」ハイ

婚后 「お手数おかけします」ガシッ

絹旗 「よいしょー!」ズボッ
211 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:48:18.26 ID:PCnyLOAqo

婚后 「あー……泥だらけでびしょ濡れですわね。白井さん、大丈夫ですか?」

白井 「どうにか……さすがにこれ以上の転移は難しいですが……」

婚后 「ともかく、この部屋から出ましょう。自分が蒔いた種とはいえ、この"雨"は堪えますわ」


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絹旗 「あっ……はい、絹旗です」

結標 『絹旗さん? そっちは大丈夫』

絹旗 「ええ、まあ……全員超無傷とはいきませんけど」

結標 『そう……フレメアは保護したから。合流ポイントまで来れるかしら』

絹旗 「ええと……」

絹旗 (いくら結標さんでも、白井さんは転移できないんですよね……)

絹旗 「どうにかしますよ」

結標 『そう? わかったわ。……ところですごい音するけど、何?』

絹旗 「いやー、こっち超土砂降りでして」

結標 『え? 土砂降り?』

絹旗 「ええもう……へくちっ」
212 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/09(木) 23:49:59.51 ID:PCnyLOAqo

といったところで、今回はここまでです。
ボスモブ撃破で戦闘は終結です。
3チームそれぞれで違う趣の戦闘シーンにしようとしたのですが、
うまく表現できず違和感となったのは>>1の実力不足の成すところです。
今回頂いたアドバイスは、また戦闘シーンを書くことがあれば
活かせるようにしたいと思います。

あ、あと、一方さんの黒翼については原作読み直しても分からない部分が
あったので、少々の独自解釈が入ってます。

次回投下は数日以内に。遅くなるようなら別途ご連絡させて頂きます。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2012/02/09(木) 23:51:10.86 ID:g+arIpc7o
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2012/02/09(木) 23:51:20.03 ID:9aD+C8KWo

エっツァんっていいな
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]:2012/02/09(木) 23:51:39.39 ID:5JmLyZWd0
乙! 
 
236 : ◆8GNB4AEvC.[saga]:2012/02/12(日) 02:22:40.92 ID:Akw0bTxGo


~研究所跡 西ブロック2階~


19090 「はっ」キュピーン

麦野 「あ、ミサカアンテナ。何があったの?」

19090 「上位個体よりブロードキャスト。誘拐された少女は無傷で保護されました。
     "協力してくれた個体ありがとー! ってミサカはミサカは感謝してみたり!"とのことです」

麦野 「……えっ、それって終わっちゃったってこと?」

19090 「そういうことになります」

麦野 「えー、私なんもしてないじゃん……」

19090 「怪我人の治療をしました」

麦野 「そうじゃなくて、もっと貢献したような何かは」

19090 「え、えっと……あ、対能力者兵器の修理を阻止しました」

麦野 「まー、それはやったけども……」

19090 「……ええと」

麦野 「うん、いいや。そういうことならここに長居する必要もないわね。帰ろう」

19090 「そ、そうですね。帰投しましょうか」
237 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:24:19.84 ID:Akw0bTxGo

知恵者 「……あのー、今誘拐された少女がどうのって聞こえたでやんすが」

麦野 「残念だったわね、救出されちゃったらしいよ?」

知恵者 「」

下っ端B 「結局、あのカチ込みしてきた奴らにしてやられたって訳か……」

麦野 「アンタ達、相手が悪かったんだよ。あのガキに手だしたら……」

知恵者 「出したら?」

麦野 「LEVEL5が二人とLEVEL4の集団が血眼になって取り戻しに来るから。今回みたいにね」

知恵者 「」

19090 「そ、そうですよ。それにこちらにおわす方こそオーガと名高い学園都市第」

麦野 「余計なこと喋んな」ベシッ

19090 「ぎゃふん」

麦野 「じゃ私ら帰るから。この先どうするかは自分たちでよーく考えることね」

他全員 「……」

19090 「お邪魔しました」ペコリ

麦野 「ほらさっさと行くよ」カツン カツン

19090 「こ、こんなところに置いてかないでくださいよ」トテテテ
238 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:25:39.52 ID:Akw0bTxGo


~その頃 第7学区 隠れ家的喫茶店(臨時休業)~


フレメア 「」ギューー

打ち止め 「くる、し……」

滝壺 「フレメア、寂しかったんだよね」ナデナデ

フレメア 「大体……もう帰れないのかもと思ってたから」

ショチトル 「ムリもない。丸一日以上、軟禁されていたのだからな」

浜面 (マクアなんとかを肩に担いで座る姿が妙に凛々しいのだが)

ショチトル 「おい、聞いているのか」スチャ

浜面 「は、はい、聞いてます!」

ショチトル 「今後、こんなことがないようにしないといけないぞ」

浜面 「……あぁ、わかってる」

滝壺 「できる限り傍にいるようにするからね」

フレメア 「……うん」コクリ

ショチトル 「とりあえず、何か用意しよう。あ、持っててくれ」

浜面 「おぉ、はいはい。……意外と重いな」
239 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:26:58.91 ID:Akw0bTxGo

ショチトル 「ホットミルクでいいか?」

フレメア 「うん、それがいい」

ショチトル 「了解した。そういえば、他の人たちは?」カチャカチャ

浜面 「結標の姐さんとエっツァんで回収してくるそうだ。じきに戻るだろ」

ショチトル (エ、エっツァん……?)

浜面 「大丈夫だ。あいつら、俺なんかよりずっと強いんだからな」

フレメア 「みんなも来てくれてたの? 絹旗とかシロとかも?」

滝壺 「うん、みんなで助けに行ってくれたんだよ。私は戦力にならないから、ここで待ってたけど」

ショチトル 「拠点防衛という仕事をしていたじゃないか。デッキブラシを構えて」

フレメア 「みんなが……」

ショチトル 「できたぞ。火傷しないようにな」カチャ

フレメア 「いただきます」フーフー

打ち止め 「……あっ、そうだ! フレメア!」

フレメア 「?」
240 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:28:07.50 ID:Akw0bTxGo

打ち止め 「あのね、ミサカはクローンなの」

フレメア 「クローン?」

浜面 (前置きなし!?)

打ち止め 「ええと、だからその……黙っててゴメンなさい」ペコリ

フレメア 「……ねえ」

打ち止め 「な、なにかな」

フレメア 「クローンでも、私と仲良くしてくれる?」

打ち止め 「え? そ、それ、ミサカが言うべきセリフ」

フレメア 「してくれる?」ジー...

打ち止め 「……あ、も、もちろんだよ!」

フレメア 「じゃあいい!」

打ち止め 「……フレメアー」ギュー

ショチトル 「私たちもじゃないか?」

滝壺 「……うん。ねえ、フレメア、これからちょっと大事な話があるの」

フレメア 「?」

滝壺 「フレメアにとってはショックなこともあるかもしれないけど、聞いてほしい」

フレメア 「……わかった、にゃあ」
241 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:29:32.22 ID:Akw0bTxGo


~研究所跡 正面ロビー~


結標 「」スタッ

一方通行 「……遅かったじゃねェか」

結標 「……これはどういうことよ」

一方通行 「?」

結標 「貴方がついていながら、なんでことになってるのよ!」

番外個体 「ちょ、ちょっと淡希」

結標 「笑わせないでよ。大切な人一人もちゃんと護れないで何が第一位よ」

一方通行 「……悪かった。返す言葉もねェ」

番外個体 「やめてってば!……この人がいたから、生き残れたのも事実なんだよ」

結標 「……貴女がそう言うならいいけど。立てる? つかまりなさい」

番外個体 「これは申し訳ないねぇ……っつ」ズキ

結標 「どこか痛む?」

一方通行 「左手首と左第七肋骨を骨折。頭にも一発もらってるが、頭蓋骨や脳波に異常はねェ」カツン

結標 「なんでそこまで分かるのよ」

一方通行 「さっきまで触ってたじゃねェか」
242 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:31:35.97 ID:Akw0bTxGo

結標 「骨をくっつけることはできないの?」

一方通行 「修復を促進させることならできるがな……どのみち、能力はあと5分程度しか使えねェよ」

結標 「ま……とりあえず戻りましょうか。ここに長居する理由もないわ」

番外個体 「他の人たちは?」

結標 「んーと、後は絹旗さんたちね。そっちは自力で合流するって言ってたけど」

番外個体 「向こうには白井さんもいるし、大丈夫でしょ」

結標 「……」

一方通行 「どォした」

結標 「いや……今になって絹旗さんが言ってたことが引っかかるのよね」

番外個体 「?」

結標 「"どうにかします"って言ってたのよ。絹旗さんなら"白井さんがいます"って言うんじゃない?」

一方通行 「被害状況は聞いてねェのか?」

結標 「詳しくは……全員無傷とはいかなかった、とは言ってたけど」

番外個体 「こりゃマズイかもね」

一方通行 「程度にもよるがな。最悪の場合、空間移動が使えなくて立ち往生してる可能性もある、か」

結標 「とにかく戻りましょう。最早イヤな予感しかしないわ」


  フッ

243 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:33:04.49 ID:Akw0bTxGo


~研究所跡 南ブロック外周~


エツァリ 「……遅いですね」


  ストッ


結標 「戻ったわ。絹旗さんたちは?」

エツァリ 「まだです」

一方通行 「……」チッ

エツァリ 「そちらもまた痛々しい姿ですね」

番外個体 「はは……こめかみから流血した痕をそのままにしてたらそう見えるか」

結標 「消毒もなしに触らない方がいいわよ」

エツァリ 「絹旗さんたちが気がかりですね。白井さんがおられるのですから、ここまで時間がかかる筈……あ」

一方通行 「イヤな予感とやらは的中か」

番外個体 「白井さんが、能力を使えない状態になってる?」

結標 「11次元演算だもの。ちょっとのケガでも支障をきたすわ」

番外個体 「ともかくほっとくのはマズくない?」

エツァリ 「まず状況を把握しましょう。居場所もわかりませんから」

結標 「そうね……もう一度電話してみましょう」カチカチ
244 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:34:47.36 ID:Akw0bTxGo


~研究所跡 東ブロック地下1階~


絹旗 「バルブは閉め直して水は止めましたけど……へくしゅ」

婚后 「上に戻る道がありませんわね……っくしゅ」

白井 「」ガクガク

絹旗 「白井さん、大丈夫ですか?」

白井 「も、もも、申し訳ございません……わたくしが、ここ、こんな有様なばかりに」ガチガチ

婚后 (白井さんは先ほどのケガで少々貧血気味……加えてこの寒さに濡れ鼠状態)

婚后 (これは、わたくしが思ってるよりもずっと不味い状況なのでは……)


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絹旗 「あっ……はい、もしもしっくしゅ!」

結標 『あ、絹旗さん? ねえ、遅くない? 何かあったの?』

絹旗 「え、ええとですね」

結標 『そっちには白井さんもいるハズよ? なのに、こんなに遅いってことは』

絹旗 「……ええ、つまりそういうことなんです」

結標 『そう……いまどこにいるの?』
245 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:36:37.74 ID:Akw0bTxGo

絹旗 「東ブロックの地下1階です」

結標 『東ブロックの地下1階? なんで地下?』

絹旗 「敵の罠に超誘い込まれちゃいまして。……あの、でも結標さんじゃ白井さんは」

結標 『それはそうなんだけど……あ、ちょ、ちょっと!? どこ行くのよ!』

絹旗 「?」


<ズドン


婚后 「はっ!?」ビクッ

一方通行 「……グズグズしやがって。バッテリもギリギリだってのよォ」カチッ

絹旗 「あ、一方通行……」

白井 「第一位様……ま、まま、まさか、助けに来てくださって……」ガチガチ

一方通行 「違ェ。オマエたちがさっさと戻らねェと、うちのを病院に連れていけねェンだよ」

婚后 「ミサワさんもお怪我を?」

一方通行 「そォいうこった。オマエたちにチンタラされると困るのはこっちなンだ」

絹旗 「そんな言い方モゴッ」

婚后 「申し訳ございませんでした。急ぎ戻りたいので、ご助力願えますか?」

一方通行 「……そのために来たンだろ、アホ」
246 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:38:13.74 ID:Akw0bTxGo

絹旗 (なんで止めるんですか)ヒソヒソ

婚后 (あれはきっと照れ隠しですわ)ヒソヒソ

白井 「お、おお、大きいお姉様まで……なんと、いうこと……」ガチガチ

一方通行 「……オマエは自分の身体の心配した方がいいぞ」

絹旗 「こっちもこういう状況なんで、超さっさと戻りましょう」

一方通行 「じゃ、チビは右腕、そっちのは左腕、オマエは背中から肩に掴まれ」

婚后 「では後ろから失礼いたします」ガシッ

白井 「失礼いたしますの……」ガシッ

絹旗 「また超ポッキリと折れちゃいそうな右腕ですね……っくしゅん!」

一方通行 「ほっとけ。離すなよ、それと喋るな。舌噛むからな」カチッ

3人 「「「はーい」」」


  ダァァァァン


~研究所跡 南ブロック外周~


結標 「アイツ、貴女ほっぽりだしてどういうつもりなのかしら」

番外個体 「助けに行ってくれたんだよ」

エツァリ 「一言言えばいいものを……とことん不器用な方ですね」
247 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:39:43.78 ID:Akw0bTxGo


<スタァァァン


一方通行 「到着だ」カチッ

婚后 「助かりましたわ、第一位様っくしゅ」

絹旗 「……や、やべ……外超寒い……」

白井 「ああ、大きいお姉様……お身体の具合は……」ガチガチ

番外個体 「いやいや、まず自分の心配して!」

結標 「ど、どうしたのよ貴女達!」

エツァリ 「なぜお三方揃ってズブ濡れに……」

絹旗 「くちゅん……いやー、超土砂降りでして」

結標 「地下で……? 婚后さんに至っては脚が泥まみれじゃない」

婚后 「ふふ、名誉の負傷ですわね」

番外個体 「みんな、ケガは?」

一方通行 「チビガキは無傷。そいつは右脇腹に内出血だ。一番重傷なのは風紀委員だな」

エツァリ 「便利ですね。そこまで把握済みですか」

結標 「白井さんはもう見たまんまよね……」
248 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:41:15.60 ID:Akw0bTxGo

一方通行 「全身に7カ所の裂傷。それと右足首の捻挫だ」

絹旗 「捻挫!?」

婚后 「それは初耳ですわよ!?」

白井 「……あの時のキック……少々しくじってしまったようで……」

絹旗 「なんで黙ってるんですか、もう……」

結標 「どうしましょうか……よりにもよって重傷人を私が運べないなんて……」

婚后 「白井さん自身もとうに限界です。ご自分でも転位はできないかと」

絹旗 「こうなれば、私がこのまま超かついで」

番外個体 「ま、待って……」

エツァリ 「どうしました?」

番外個体 「あなたがエスコートしてあげなよ」

一方通行 「……オマエ」

番外個体 「バッテリ、病院まで飛ぶぐらいは残ってるでしょ」

白井 「そ、それは少し……申し訳ないと言いますか……」

結標 「……そうね。それが今できる最善策ね。ね、白井さんをお願い」

一方通行 「……」

結標 「大丈夫よ、こっちは私が責任を持って引き受けるから」
249 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:43:18.02 ID:Akw0bTxGo

一方通行 「……それ以上、悪化させてみろ。オマエも同じ場所を折ってやるからな」

結標 「怖い怖い。この子が絡むと必死なんだから」クスクス

一方通行 「当然だろォが。オイ、チビガキ、それ寄越せ」

絹旗 「超頼みましたよ」

白井 「モノ扱いは……エスコートとは言いませんの」

一方通行 「怪我人は黙って運ばれてりゃいいンだよ」

白井 「で、では……大きいお姉様、第一位様を少しお借りしますの……くちゅん」

番外個体 「どうぞどうぞ。そいつ、いいとこ掻っ攫っていっただけで全然働いてないから、じゃんじゃんコキ使って♪」

一方通行 「頭から血ダラダラ流して、手首とアバラ折られながらピーピー泣いてたヤツがなにを」

結標 「貴方がしっかりしてればそんな怪我もせずに済んだのにね」ジトー

一方通行 「わ、悪かったっつってンだろ……」

エツァリ 「結標さん、お気持ちはよーくわかりますが、今は急ぐべきです」

婚后 「そ、そうですわね……お二人の怪我もございますし……わたくしもそろそろ……」ガチガチ

絹旗 「……ち、超さむい、です……へっくち」ガチガチ

結標 「この寒空の下でその格好だと寒いに決まってるじゃない……じゃ、病院の方角に向かうわよ」

一方通行 「一足先に行ってるぞ。オイ、俺がいいっていうまで喋るな。理由はさっきと同じだ」カチッ

白井 「は、はいですの」ガシッ


  ダァァァァン

250 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:44:21.06 ID:Akw0bTxGo

結標 「……にしても、よく愛しの彼を貸す気になったじゃない?」

番外個体 「今この場で、一番早く白井さんを連れていけるのはあの人だからだよ。
       私のワガママで白井さんの寿命縮めるのもイヤじゃん? それに」

婚后 「?」

番外個体 「白井さんなら、人の男に……というか世の男に手出さないよ」ニャハハ

絹旗 「超言えてるかもですっくしゅん」

結標 「じゃ、私たちも向かいましょ」スチャ


  フッ



~同日 第7学区 とある病院~


19090 「ようやく帰って来ましたね」

麦野 「はーぁ、なんか結局消化不良ね。全然暴れてないじゃーん」

19090 「少女は無傷で保護されたとのことですから、喜ぶべきでしょう」

麦野 「そうだけどさー」BooBoo


<ズドン

251 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:45:58.35 ID:Akw0bTxGo

190野 「「?」」

一方通行 「着いたぞ」

白井 「し、死ぬかと思いましたの……」

一方通行 「既に死にかけてンだ。気にすンな」

白井 「気にしますの!!」

麦野 「あれ? アンタ……」

19090 「あなたは確か……」

白井 「あ、麦野さんに……お姉様……?」ハテ

19090 「あ」

一方通行 「関係者か? ちょうどいい。見ての通り怪我人だ」

麦野 「……おい、先生に声掛けてきて」

19090 「はっ、はい」トテテテ

麦野 「何があったかは聞かないわよ。どうせ、どこぞの廃墟でドンパチでもやってきたんでしょ」

白井 「え? あ、ええと」

麦野 「ありがとな、フレメアのこと」

一方通行 「……オイ、まだ追加注文が来るぞ」

麦野 「派手にやったわねぇ。あーぁ、そっち混ざればよかった」
252 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:47:34.73 ID:Akw0bTxGo

一方通行 「オマエ……第4位、だったか? まさか」

麦野 「さて、受け入れの準備でもしてきますかねー」ソソクサ

一方通行 「……」チッ


<スタッ


結標 「到着、っと」

番外個体 「つぅ……」ダラダラ

絹旗 「はっ……くしゅん!」

エツァリ 「お二人とも、大丈夫ですか?」

婚后 「ミサワさんや白井さんの手前、強がっておりましたが……正直、限界ですわ」ガチガチ

結標 「貴女も、なんか顔色悪化してるけど……」

番外個体 「気が抜けたからかな……なんかこう、一気に痛みが……イヤな汗が止まらないよ」ズキズキ


<待たせたね。


冥土帰し 「おや、これは団体さんだね?」

エツァリ 「先生、お願いできますか」

冥土帰し 「……とりあえず、そことそこの二人が優先のようだね?
       あとずぶ濡れの二人は速やかに浴室に向かうようにね?」
253 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:49:16.24 ID:Akw0bTxGo

絹旗 「は、はい……っくしゅ」ズビー

婚后 「あぁ、ようやく……」

一方通行 「オイ」

冥土帰し 「なんだい? 急いでいるのはわかるだろう」

一方通行 「……頼ンだ」

冥土帰し 「……まったく」ハァ

冥土帰し 「僕を誰だと思っている?」

19090 「せ、先生ー! 処置室確保しましたー!」トテテテ

麦野 「先生、レントゲン技師が捕まらなーい」

冥土帰し 「連絡を続けて。ダメそうなら、叩き起こしてきて」

麦野 「りょーかい、"叩き"起こしてきまっす♪」

結標 「……後は任せましょう。あ、そうだ。浜面くんに連絡しといて」

エツァリ 「そうですね、今も帰りを待っていることでしょうから」カチカチ

結標 「にしても、どこから説明したものかしらね」

エツァリ 「包み隠さず言うほかないでしょう」
254 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:50:36.50 ID:Akw0bTxGo


~その頃 第7学区 隠れ家的喫茶店(臨時休業)~


滝壺 「……これで全部」

フレメア 「……」

打ち止め (フレメア……)

浜面 「なあ、フレメア」

フレメア 「……隠し事してたのは、大体ズルイ」

浜面 「そりゃ……スマンかった」

フレメア 「でもみんな私の大事な人だし……なによりも」

フレメア 「みんなで私を助けに来てくれた。だから悪い人じゃないのはわかる」

ショチトル 「……」

フレメア 「ええと、だから、なんて言うのかな……うん、これで許す!」ビシィ

滝壺 「……ありがとね、フレメア」

浜面 「それに応えるためなら、なんでもさせてもらうぞ!」フンス

打ち止め 「よかった……よね」


  [[携帯電話]]<ナーゼナーラ オレハハラガヘルー ヒハマタノーボルー♪

255 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:52:22.64 ID:Akw0bTxGo

浜面 「はい、浜面……おお、どうし……なぁにい!?」

滝壺 「?」

浜面 「わ、わかった……じゃあ、ええと……今行くから!」ピッ

打ち止め 「ど、どうしたの……?」

浜面 「残りのメンバー、全員病院にいるらしい」

ショチトル 「なんだと……!?」

フレメア 「……!」

滝壺 「ケガしたの?」

浜面 「あぁ、全員じゃないが……怪我人は治療中だそうだ」

フレメア 「わ、私たちも行こうよ!」

打ち止め 「……帰ってきてね、って……言ったのに……」

浜面 「ともかく、俺たちも行こう。来いとは言われてないが、じっともしてられないからな」

ショチトル 「なあ」

浜面 「なんじゃい、急いでる時に」

ショチトル 「これをマスターから託されている。もしものときに使うように、と」チャリッ

浜面 「! 車の鍵か!」
256 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:53:42.17 ID:Akw0bTxGo

ショチトル 「今がもしものときだと判断した。車は表通りに停めてあるそうだ」

浜面 「ありがてえ!」

滝壺 「はまづら、みさわの車だから、ぶつけたりしないように急いで安全運転でね?」

浜面 「任せとけ、運転にゃ自信がある」

フレメア 「浜面! はやく!」

打ち止め 「私たちも行こう!」

ショチトル (マスター……大丈夫なのか……?)

浜面 「よし、行くぞ!」

滝壺 「それで、どこの病院?」

浜面 「いつもの病院つってた。おそらくあそこだろう」

ショチトル 「あそこなら腕のいい医者がいるからな」


<カランカラン♪


滝壺 「あ」

浜面 「こら! 先走るなお前らぁぁ!」ダダダダ

ショチトル 「焦れているということだ。私たちも急ぐぞ」
257 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/12(日) 02:54:43.72 ID:Akw0bTxGo

といったところで、今回はここまでです。
たぶん次ぐらいで#8も終わりそうです。

次回投下は3日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage]:2012/02/12(日) 02:56:28.49 ID:NMKEriQB0
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2012/02/12(日) 02:56:44.03 ID:6o7jGEwOo

夜更かしもたまにはいいもんだ
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2012/02/12(日) 02:57:11.02 ID:BT0i64gs0
>>1 おつです!!

楽しみにしているものがあると時間って長く感じますよね。
更新待ってます! 
 
290 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:32:02.36 ID:ptOyL2j3o


~同日 第7学区 とある病院~


浜面 「さて、どこ行けばいいんだ?」

滝壺 「手術中、とかじゃないよね」


<誰かお探し?


フレメア 「あ、麦野お姉ちゃん」

打ち止め 「あの、ケガしてここに来てる人が……」

麦野 「……今は処置中だ。面会なら、終わるまで待ってもらうことになるけど」

ショチトル 「構わない。待たせてもらっていいか?」

麦野 「適当に座ってな。それほど時間はかからないよ」

打ち止め (……そうだ! 19090号にダイレクトメッセージ……ケガしてる人は……?)ミョンミョン

打ち止め (…………えっ?)

打ち止め 「そんな……」

フレメア 「どうしたの?」

打ち止め 「ええとネットワーク……能力で、ケガしてる人が誰か聞いたの」
291 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:34:40.65 ID:ptOyL2j3o

浜面 「そ、そうか! で、誰かヤバイのか?」

打ち止め 「……お姉ちゃんが骨折、白井お姉ちゃんが全身ズタズタって……」

ショチトル 「マスターが……!?」

浜面「まさかそこまでとはな」ガシガシ

フレメア 「……私の、せいで……」

打ち止め 「フ、フレメアのせいじゃないよ!」ワタワタ

浜面 「そ、そうだ。本当に悪いのは、ええと、悪いヤツらだ!!」

ショチトル 「あっ……お兄ちゃんと義姉さん」

結標 「貴方達……」

エツァリ 「おや、おいででしたか」

浜面 「なあ、現状どうなんだ? 二人ばかし重傷と聞いたが」

エツァリ 「ミサワさんと白井さんのことですね? 処置は済んで検査は結果待ちです」

結標 「今は鎮静剤の作用で寝てるわ。あの様子だと朝まで起きないと思う」

滝壺 「峠は越えたってこと?」

結標 「ええ。そう思ってもらって大丈夫」

打ち止め 「よかった……」ヘナヘナ

フレメア 「うぅ……」ヘナヘナ
292 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:36:03.53 ID:ptOyL2j3o


<あれ?浜面たちも来てたんですか?


浜面 「おお、絹旗にお嬢か。そっちは無事そう……なのか?」

婚后 「申し訳ございません、こんな服装で」

滝壺 「患者衣、だよね? 二人もケガしたの?」

絹旗 「いえ、私たちは諸事情で全身超びしょ濡れになっちゃって。お風呂借りてたんですよ」

婚后 「制服もひどい有様でしたので、服もお借りしたという次第です」

結標 「でもどうするの? その格好で帰るの?」

絹旗 「あー……」

婚后 「どういたしましょう……」


<ここに泊まるといいね?


婚后 「あ、先生」

絹旗 「いいんですか?」

冥土帰し 「年頃の娘さんをその格好で返すわけにもいかないからね?」

絹旗 「……あ、でも……」

冥土帰し 「常盤台の寮監殿には僕から連絡しておくね? 心配しなくていい」

絹旗 「超すいません、お願いします……」ペコリ
293 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:37:35.46 ID:ptOyL2j3o

打ち止め 「ね、ねえ、ワーストはどこなのかな」

19090 「私がご案内しましょう」シュタッ

打ち止め 「あ、う、うん、お願い!」


<最終信号、気持ちはわかりますが廊下は走っちゃダメです。
<うー。


浜面 「……あの人が、ミサワの姐さんの話にあったクローンさんか」

滝壺 「びっくりした。本物のみさかがナース服着てると思っちゃった」

冥土帰し 「さて……話は聞かせてもらっているよ?」

フレメア 「?」

冥土帰し 「強いストレスから、心身ともに摩耗している恐れがある。念のため、診させてもらえるかな?」

フレメア 「」サササ...

浜面 「お、おい、フレメア。大丈夫だから」

滝壺 「うん、私たちも一緒だから」

フレメア 「……分かった」

婚后 「結標さんたちはどうされます?」

結標 「そうね……一旦帰る。それで、明日の朝また来るから」
294 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:39:09.15 ID:ptOyL2j3o

エツァリ 「色々物入りでしょう。こちらで揃えてきますよ」

ショチトル 「……な、なあ」

結標 「どうしたの?」

ショチトル 「二人の様子を、一目確認させてもらえないか?」

エツァリ 「そうですね、行きましょうか」

絹旗 「あ、じゃ折角なので私たちも」

婚后 「そうですわね、ひとまずお見舞いもしておきましょう」

冥土帰し 「君たちは、一度診察室の方に」

滝壺 「はい、お願いします」

浜面 「さあ、フレメア。これで今日の仕事は終わりだぜ」

フレメア 「うん」

冥土帰し 「さて、僕ももう一仕事だね?」

フレメア 「……終わったら」

冥土帰し 「うん?」

フレメア 「終わったら私もお見舞いする」

冥土帰し 「うん、それがいいね?」
295 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:41:13.00 ID:ptOyL2j3o


~翌朝 第7学区 とある病院 病室~


  チュン...
   チュンチュン


白井 「……あっ」

白井 「……」ムクリ

白井 「朝ですか……おや?」

婚后 「」スピー

白井 (婚后さんも入院を……?)

白井 「はあ……それにしても、思ったよりも長い夜でしたわね」


<ガラッ


絹旗 「わわわ、わす……あ、白井さん! 目が覚めたんですね!」トテテテ

白井 「え、ええ、今しがた……絹旗さん」

絹旗 「超よかったですー」ギュー

白井 「あいたたたた! 傷! 傷が!」

絹旗 「あ、超失礼しました」
296 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:42:49.84 ID:ptOyL2j3o

白井 「こ、殺す気ですか!」ムキー

絹旗 「超感動の再会じゃないですか」

白井 「再会って……そういえば絹旗さん、その服装は……」

絹旗 「あ、コレですか? 私と婚后さんもお風呂借りてそのまま泊まったんですよ」

白井 「ああ、そういうことでしたの。制服もびしょ濡れでしたものね」

絹旗 「そういうことです。……後で先生から説明があると思うんですけど、白井さんは超入院ですよ」

白井 「……仕方ございませんわね」

絹旗 「あ、私いま自販機に行こうとしてたんですけど、何か飲みます?」

白井 「そうですわね、喉も乾いておりますし。では、お水を一つ」

絹旗 「いちごおでんでいいですか?」

白井 「お水を一つ」

絹旗 「超了解でーす」トテテテ

白井 「まったく……」ハァ

婚后 「……ん……」ゴロン

白井 (なんとあられもない姿で……余程お疲れでしたのね。無理もございませんの)
297 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:44:30.70 ID:ptOyL2j3o


~その頃 別な病室~


番外個体 「……はーぁ」

一方通行 「」スピー

打ち止め 「」スピー

番外個体 「二人して人の太モモ枕にしやがって……痺れて感覚がないと思ったら、こういうことだったのか」

通行止め 「「」」スピー

番外個体 「朝まで付き合ってくれたのは、嬉しいんだけどさ……お節介なんだから、二人して」

番外個体 「……んー」コキコキ

番外個体 「頭が重いのは寝過ぎたからか、鎮痛剤の作用か……」

打ち止め 「……ふにゃ」パチ

番外個体 「あ」

打ち止め 「?」キョロキョロ

番外個体 「ほらー、戻ってこーい」コツン

打ち止め 「いたっ! ってミサカはミサカは……今なにでぶったの?」

番外個体 「左手のギブス」
298 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:45:59.81 ID:ptOyL2j3o

打ち止め 「あ、危ないよ! ってミサカはミサカは注意を促してみたり!」

番外個体 「大丈夫だよ、ここの先生なら。それより疲れてない?」ナデナデ

打ち止め 「ぐっすり寝てたから大丈夫! ってミサカはミサカは全身で元気をアピールしてみたり!」

番外個体 「ならばよかろう」クスクス

打ち止め 「で……ワーストは約束破ったよね?」

番外個体 「え?」

打ち止め 「ミサカ、ちゃんと帰ってきてねって言ったのに」ジトー

番外個体 「帰ってきたじゃん」

打ち止め 「怪我してるもん!」ムキー

番外個体 「無傷でとは言われてないよ!?」

打ち止め 「そっ、そこは言われなくても分かるべき! ってミサカはミサカは姉妹なら当然と主張してみたり!」フギャー


<ガラッ


絹旗 「なーに騒いでんですか」

打ち止め 「あ、絹旗だ」

番外個体 「あれ? 絹旗さん? どうしたの?」
299 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:47:20.80 ID:ptOyL2j3o

絹旗 「前を通りかかったら声が超聞こえてきたので、ちょっと覗こうかと」

番外個体 「……ゴメン、外まで響いてたか」

絹旗 「あ、そうだ。私、自販機行こうとしてたんですけど、ついでに何か買ってきましょうか?」

番外個体 「コーヒー」

絹旗 「超即答ですか」

番外個体 「ついでに、コレの分もお願いしていい?」ナデナデ

一方通行 「」スピー

絹旗 「超了解です。2本ですね」

打ち止め 「あ、じゃミサカも行くよ。ってミサカはミサカは絹旗一人じゃ持ち切れないことを見越して名乗りでてみたり」

絹旗 「なっ……ま、まあ、お願いしましょうか」

打ち止め 「じゃ、行こ行こ」スタッ

番外個体 「」ジー...

絹旗 「? どうしたんですか?」

番外個体 「いや、並べてみて分かったんだけどさ……アホ毛込みだと絹旗さんのほうが背低いんだね」

絹旗 「なんと!?」

打ち止め 「」ピーン

絹旗 「いやいや、なんでアホ毛が超まっすぐ天に向かって伸びてるんですか! 超ズルですよ!」
300 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:48:59.76 ID:ptOyL2j3o


~自販機コーナー~


絹旗 「」ピッ ガコン

打ち止め 「これで全部だねー」ヨイショ

絹旗 「? あなたはどうするんですか」

打ち止め 「いいよ、お金持ってないから。ってミサカはミサカは遠慮して慎ましい女をアピールしてみたり」

絹旗 「どこが慎ましいんですか。いいですよ、一本ぐらい」

打ち止め 「……じゃあ、コーヒー牛乳」ピッ ガコン

絹旗 「今度こそコレで全部ですね。じゃ、戻りましょうか」


<おや、ちょうど良かった。


絹旗 「あ、先生」

打ち止め 「おはようございまーす」ペコリ

冥土帰し 「うん、おはよう。これから君たちが付き添っていた患者の病室に行くところだったんだね?」

絹旗 「説明ですか?」

冥土帰し 「そんなところだね?」

打ち止め 「それじゃ、一緒に戻ろっか」
301 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:50:36.17 ID:ptOyL2j3o


~同日 番外個体病室~


冥土帰し 「ギプスが取れるまでは3週間が目安、手首に関しては元通りになるにはもう少し時間がかかるね?」

番外個体 「あー、なんとなく分かります。右腕で経験済みなんで」

絹旗 「お、ミサワさんこれで両手制覇ですよ!」ピャー

番外個体 「嬉しくないし!」

一方通行 「右腕ンときと同じようにリハビリにゃ俺も付き合う。普通にやるよりは戻るのも早ェだろ」

番外個体 「……じゃ、ギプスが取れた後はお願いさせてもらおうかな」

絹旗 「ベクトルリハビリですか。超効きそうですね」

冥土帰し 「頭の傷は、出血の割には大したことはなかったね? そちらは数日で塞がるだろう」

打ち止め 「ねー、お店どうするの? ってミサカはミサカは素朴な疑問をぶつけてみたり……」

番外個体 「それはおいおい考えるよ。それとも、あなたやってみる?」

打ち止め 「む、無理」

絹旗 「"マスターが超ちっちゃくなっちゃった!"とか思われますよ、きっと」

一方通行 「それはそれで愉快かもしれねェな」ケケケ

打ち止め 「無理だってば!」ムキー
302 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:52:56.86 ID:ptOyL2j3o

冥土帰し 「続けるね? 大事を取って一晩泊まってもらったが、大丈夫そうだし、
       もういつでも帰宅してもらって構わないね?」

番外個体 「はーい。次はいつ来ればいいですか?」

冥土帰し 「そうだね。何事もなければ3日後に。痛みが強いようならすぐに来なさい」

番外個体 「はいはい。じゃお腹も空いたし……ねー、着替えるの手伝って」パサッ

一方通行 「世話の焼ける……」ハァ

打ち止め 「しょうがないよ、怪我してるんだもん。ってミサカはミサカはクリーニング済みの服を用意してみたり」ゴソ...

冥土帰し 「……さて、次は君の方だね?」

絹旗 「あ、はい。超お願いします」



~同日 白井病室~


冥土帰し 「ご加減はいかがかね?」

白井 「あ、先生。お陰様で良好ですの」

絹旗 「あれ? 婚后さん、何一人だけ超着替えてるんですか」

婚后 「いえ、あまりここに長居もできないかと思いまして」

冥土帰し 「さて、君に関しては深い傷があった。右足首の捻挫もあるし、
       3~4日はここで過ごしてもらうことになるね?」
303 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:54:18.89 ID:ptOyL2j3o

白井 「了解しましたの」

婚后 「あの、先生……痕は残ってしまうのでしょうか」

冥土帰し 「問題ない。処置をするのは僕なんだからね?」

婚后 「それを聞いて安心しましたわ」

絹旗 「まあ、白井さんは超ゆっくりしてるといいですよ。あいつら全員まとめて
    捕まったらしいですから、風紀委員の仕事も超ちょっとは減るでしょうし」

冥土帰し 「彼らは第7学区を荒らしまわっていたからね? 要警戒リストにも入っていたらしい」

白井 「では、お言葉に甘えておきますの」クスッ


<ガラッ


番外止め 「「やっほーう」」

婚后 「まあ、ミサワさん」

絹旗 「もう帰っちゃうんですか?」

番外個体 「うん、帰る前に白井さんの顔見とこうかなと思ってね」

打ち止め 「白井お姉ちゃんは大丈夫? ってミサカはミサカは心配のあまり手を握ってみたり」ギュ

白井 「」

打ち止め 「?」ニギニギ

白井 「こ、これはきっと頑張ったわたくしへのご褒美……」
304 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:55:43.77 ID:ptOyL2j3o

打ち止め 「え?」

白井 「小さい大きいお姉様、ぜひわたくしに元気注入のベーゼを」キラキラ

打ち止め 「ベーゼ?」

冥土帰し「さて、とりあえず検温と血圧の検査をしようかね? おーい、頼むよ」


<ガラッ


麦野 「はーい、おはよーございまーす」

19090 「最終信号、少し下がっていてくださいね」ホラホラ

白井 「はっ、お、お姉様!?」

婚后 「……もしや貴女様は」

番外個体 「あ、うん。私が話したクローンの子」

19090 「え? あ、は、初めまして! ミサカの検体番号は」

打ち止め 「ちょっと待って! そっちじゃない方がよくない? ってミサカはミサカはナース服を引っ張ってみたり」

麦野 「番号じゃ愛着もわかないだろうよ」カチャカチャ

19090 「え、えーと、ミサカには"瑞琴"という個体名が与えられています……あの、ど、どうぞよろしくお願いします」ペコリ

婚后 「本当に御坂さんと瓜二つ……とそれは当然ですわね。御坂さんの友人の婚后と申します」ペコリ
305 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:57:14.61 ID:ptOyL2j3o

絹旗 「にしても麦野、その格好似合わないようで超似合いますね」

麦野 「そうか、お前から検温されてぇか。よし、ケツの穴出しな」スチャ

絹旗 「な、なんで今時水銀式なんですか!」

白井 「……は、恥ずかしいですが、ナースお姉様のためあらば」

19090 「だ、だ、大丈夫ですよ! 耳で測るタイプもありますから!」ホラホラ


<超やめて!脱がさないで!
<ははは、無駄な抵抗はやめときな。


番外個体 「……じゃ、婚后さん。私たち一旦帰るね」

打ち止め 「またお見舞いにくるからね! ってミサカはミサカは約束してみたり!」

婚后 「ミサワさんも怪我人なのですから、ご無理はなさらぬように」

番外個体 「うん、ありがと」

打ち止め 「ミサカがついてるから大丈夫! ってミサカはミサカは膨らみかけた胸を張ってみたり!」フン

婚后 「まあ、頼もしいこと」クスクス

番外個体 「じゃ、昨日から連続でお疲れ様でしたー」

麦野 「おつかれー」

冥土帰し 「麦野さん、もう許してあげなさい」
306 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 21:58:36.06 ID:ptOyL2j3o


~同日 第7学区 とある病院 ロビー~


番外個体 「待ったー?」

一方通行 「待った」

打ち止め 「ゴメーン、ってミサカはミサカは誠意を込めて謝ってみたり」

一方通行 「どこに誠意が込もってンだ」ズビシッ

打ち止め 「ふぎゃ」

番外個体 「さて、と。お腹空いてるから、帰る前に」


<あれ?マスター?


番外個体 「?」

ショチトル 「出歩いて大丈夫なのか?」タタタ...

番外個体 「お、ショチトル。うん、帰っていいって言われたから」

結標 「大丈夫なの? 入院しなくて」

番外個体 「うん、いいみたい。腕はこの有様だけどね」ヒラヒラ

一方通行 「オマエら、雁首揃えて何してンだよ」
307 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 22:00:13.16 ID:ptOyL2j3o

エツァリ 「自分たちは昨夜一度帰ったんですよ。それでまた来たと」

浜面 「俺らも夜中までいたんだけどな。フレメアも疲れてるからって先生に勧められて、顔だけみて帰ったんだよ」

滝壺 「それで、戻ってきて病院の前で出会った」

フレメア 「」トテテテ

番外個体 「あ、そういえばフレメアと会うのもあの日以来だね。大丈夫だった?」

フレメア 「お姉ちゃんは……お姉ちゃん?」

番外個体 「?」

フレメア 「だってお姉ちゃん、私より年下」

番外個体 「お、もうそこまで知ってるんだ」

フレメア 「……これ、大丈夫?」ナデナデ

番外個体 「大丈夫、ほっときゃくっつくよ」ワシャワシャ

フレメア 「にゃあ。えっと……ゴメンなさい、私が」

結標 「フレメア、ごめんなさいじゃなくて」

滝壺 「ちゃんと何言うか、決めてたよね」

フレメア 「……うん、助けてくれてありがとうございました」ペコリ

番外個体 「どういたしまして」クスクス

浜面 「姐さんたちは帰るところか?」
308 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 22:01:49.54 ID:ptOyL2j3o

一方通行 「あァ」

滝壺 「じゃあこれ持って帰って。お見舞いに買ってきたケーキ」ハイ

打ち止め 「ありがとー、ってミサカはミサカはうやうやしく受け取ってみたり」

フレメア 「……やっぱり、大体その口調可愛い」

浜面 「それでな。姐さんの車、ここの駐車場にあるんだが、どうするよ」

番外個体 「あ、使ったんだ」

ショチトル 「昨夜、ここに来るのにお借りした」

番外個体 「んー、今の私じゃ運転できないしねぇ」

滝壺 「みさわ、帰るんだよね? じゃはまづらに運転してもらえばいいよ」

浜面 「そりゃ名案だな! で、車もそのまま置いてくると。……あれ? 俺帰りは?」

エツァリ 「ご自分の足で走ってきてください」ニコニコ

浜面 「ですよねー」ガックシ

結標 「無理しないようにね。まだギプスはめたばっかりなんだから」

ショチトル 「そういえばマスター。店はどうするつもりだ?」

番外個体 「お休みかなぁ……なんなら、ショチトル一人でやっててもいいよ?」

ショチトル 「……済まないが、まだこなせる自信はない」
309 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 22:02:43.35 ID:ptOyL2j3o

結標 「あ、じゃ私が代わりに入ろうか?」

ショチ個体 「「お気持ちだけ」」

結標 「ハモって即答しなくても」ショボン

一方通行 「オイ、いい加減邪魔になってンぞ」

番外個体 「こりゃ失礼。じゃ滝壺さん、浜面さんお借りするね」

滝壺 「はまづら、ちゃんと送ってあげてね」

浜面 「任せろい!」フンス

エツァリ 「どうぞご自愛ください」

打ち止め 「じゃ、またね! ってミサカはミサカはケーキに気を配りつつ手を振ってみたり」ノシ

結標 「さて、じゃもう一つのお見舞いの方行きましょうか」

滝壺 「そうだね、行こう」


~同日 第7学区 とある病院 白井病室~


<コンコン


婚后 「はーい」
310 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 22:04:23.12 ID:ptOyL2j3o


<ガラッ


結標 「元気?」

滝壺 「お見舞いに来ました」

フレメア 「」ヒョコッ

白井 「あら、フレメア。ご無事そうで何よりですの」

ショチトル 「……なあ、これはなんだ?」

布団 「シクシクシクシク」

エツァリ 「誰か中におられるようですが」

婚后 「そっとしておいてあげてください……」

布団 「もう超嫁にいけないです……体温計は回避しましたけど、あんな大勢の前でお尻見られて……」

婚后 「みんなで温泉にも行った仲ではないですか。そこまで恥ずかしがらなくても」

布団 「温泉で裸になるのと部屋の中で裸にされるのは別じゃないですか!」ムキー

エツァリ (そっとしておいた方がよさそうですね)

結標 「にしても、貴女もひどくやられたわね」

白井 「こんな程度、結標さんとやりあった時に比べればかすり傷ですの」クスッ

結標 「あら、言ってくれるじゃない」クスクス
311 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 22:05:49.02 ID:ptOyL2j3o

フレメア 「……お姉ちゃん」トテトテ

白井 「フレメア、お身体は大丈夫ですか?」

フレメア 「大丈夫、みんなのおかげ。それでね」

白井 「?」

フレメア「私のこと、助けてくれてありがとうございました」ペコリ

白井 「あら、勿体なきお言葉ですの」

フレメア「早く元気になってね?」

白井 「ええ、その暁には退院祝いをお願いしますわね」

エツァリ 「あ、退院祝いではないですが、こちらお見舞いです。お三方に」

婚后 「まあ、わたくしにまで?」

白井 「申し訳ございません。頂きますの」

絹旗 「超ありがとうございます」ガバ

結標 「白井さんは入院だっけ? 必要なものがあったら言ってね」

白井 「お心遣い感謝いたしますの」

婚后 「……絹旗さん、白井さんのお着替えを取りに戻りませんと」ポムポム

絹旗 「そうですね。私たちも一旦戻りましょうか」
312 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 22:07:28.98 ID:ptOyL2j3o

白井 「絹旗さん、お願い致しますの。それと……」

絹旗 「?」

白井 「寮監によろしくお伝えくださいまし」

絹旗 「」

婚后 「……あ、あの、なんならわたくしも同行いたしますので」

絹旗 「ちょ、超おねがいします……あぁ、先生が連絡したとはいえ、何を言われるやら」ガクブル

フレメア 「ね、滝壺お姉ちゃん」

滝壺 「どうしたの?」

フレメア 「明日もお見舞い来る。あと、シロの家にも」

ショチトル 「あ、私も行くぞ。マスターにも用事があるしな」

白井 「そんな毎日来て頂くなんて申し訳ないですの」

滝壺 「いいの、フレメアが来たいって言ってるから、しらいさえよければ」

白井 「わ、わたくしは構いませんが」

エツァリ 「フレメアさんは健気ですね」

フレメア 「だって……大体みんな、私の大事な人だから」
313 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/15(水) 22:08:01.58 ID:ptOyL2j3o

といったところで、今回はここまでです。
#8も今回と以て終了となります。
いきなりシリアス風味な話やってすみませんでした。
ただ>>1としては完結前にどうしてもやっておきたい話でも
あったので、やってよかったと思っています。

次回からは、また平和ボケがより一層加速するような話に戻ります。

次回投下は3日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2012/02/15(水) 22:08:30.23 ID:8AdYWQ1Po
朝チュンきた……これで勝てる!
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県)[sage]:2012/02/15(水) 22:12:46.41 ID:82jKfduuo
完結だと・・・
そんなばかなー
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/02/16(木) 10:34:12.60 ID:2NEDsg68o
他の奴らは暗部時代の事バラしてたのに、一方さんだけ黙っとくのか
なんか中途半端
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/02/16(木) 22:56:41.16 ID:BRdNPpCK0
冥土帰しが「麦野さん」って呼んでるのがなんか違和感・・・
本編で名前で呼んでるところあったっけ?
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/02/18(土) 21:24:40.35 ID:yEOUe7PPo
ほのぼのに半端にシリアス混ぜると怪我するぜって事だな
>>1待ってますよ
353 : ◆8GNB4AEvC.[saga]:2012/02/18(土) 23:50:31.68 ID:3LqLr3gEo

>>332
多少長くなってもやっておけばよかったかなぁとも思ってます。
中途半端に思わせてしまって申し訳ないです。

>>338
19090号のことも「19090号さん」って呼んでましたし。

>>352
#8はほのぼの成分はかなり抑えたつもりでいましたが、
読み返してみるとそうでもないという。今回は勉強になりました。


さて、今回一つ幕間に黒子退院シーンをお送りしたいと思います。
それでは、始めさせて頂きます。
354 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/18(土) 23:51:44.28 ID:3LqLr3gEo


  ――幕間 黒子、退院す

355 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/18(土) 23:52:57.63 ID:3LqLr3gEo


~1月中旬 第7学区 とある病院~


白井 「お世話になりました」ペコリ

冥土帰し 「うむ、やはり若いと治りも速いね?」

絹旗 「あの、あっちのほうも診て頂けました?」

白井 「?」

冥土帰し 「診たことは診たが、医学的見地からは特に異常はみられないね?」

絹旗 「そんなハズ……」ウーン

白井 「なんの話ですの?」

絹旗 「いえ、ときどきですね」

白井 「はい」

絹旗 「白井さんの頭が超心配になることがあるので、ついでに診てもらえませんか、と」

白井 「」グリグリ

絹旗 「痛いっ、痛いですってば!」

冥土帰し 「うむ、すっかり元気なようで何よりだ」

白井 「そういえば、麦野さんとナースお姉様にご挨拶をしておきたかったのですが」
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/02/18(土) 23:53:10.56 ID:ZNN+GNW7o
これ以外の黒歴史の出し方が思い付かなかっただけだろ
357 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/18(土) 23:54:22.95 ID:3LqLr3gEo

絹旗 「言われてみれば、麦野をまだ見てませんね」

冥土帰し 「彼女らは今日は夜番だから、夜に備えて休んでいると思うね?」

白井 「そうですか……では、よろしくお伝えしてくださいまし」

絹旗 (なんだかんだで入院中は超お世話になりましたもんね)

白井 「とてもよい思いをさせて頂きました、と」ポッ

絹旗 「」

冥土帰し 「あー、キミが想像してるようなことは起こってないから安心するといいね?」

絹旗 「想像なんてしてませんよ!!」

白井 「絹旗さん……まだ中学生なのですから、節操の無い振る舞いは謹んでください」

絹旗 「その言葉、超そっくりお返ししてやりますとも」



~同日 第7学区 とある大通り~


絹旗 「そういえば、寮監が見舞いに行きたいから場所教えろって言ってましたけど」トテトテ

白井 「ええ、いらっしゃってました。病室を教えたのは絹旗さんでしたのね」コツコツ

絹旗 「私、てっきり入院の期間が超3倍ぐらい延びちゃうかと思ってましたよ」

白井 「わたくしも寮監の顔を見たとき、それを覚悟しましたの」
358 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/18(土) 23:56:02.72 ID:3LqLr3gEo

絹旗 「で、実際のところ何ゴキャされたんですか?」

白井 「いえ、1ゴキャもされておりませんが」

絹旗 「え?」

白井 「いい機会だからゆっくり休め、とは言われましたが」

絹旗 「……」

白井 「そう言えば絹旗さん。病院から帰った後、寮監と何事もございませんでしたか?」

絹旗 「超怒られました。あと、今月一杯は平日休日を問わず17時以降の外出を禁止されてます」

白井 「まあ、ムリもないかと……」

絹旗 「カエル先生がうまく説明してくれたからこの程度、らしいですよ」

白井 「謹慎処分でもおかしくございませんでしたもの」

絹旗 「あ、あと超反省文の提出です」

白井 「? わたくしはそれは求められておりませんが」

絹旗 「入院してるし、超寛大な処置ってことじゃないですかね」

絹旗 (本当は白井さんの分も私が書かされたんですけど)

白井 「ともかく、事情が事情だったとはいえ、卒業も近い時期に少々大立ち回りが過ぎましたわね」

絹旗 「いいじゃないですか、フレメアが元気なんですから」

白井 「それは仰る通りですの」クスクス
359 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/18(土) 23:57:29.78 ID:3LqLr3gEo

絹旗 「で、そろそろお昼時ですけどどうしましょ」

白井 「そうですわね、ここ数日は味気ない病院食ばかりでしたので」

絹旗 「あ、じゃ白井さんの退院祝いも兼ねて超豪勢にしときましょうよ!」ピャー

白井 「え? そこまでして頂かなくても」

絹旗 「まあまあ、ここは私が奢りますから」

白井 「……そうですわね、ではお言葉に甘えておきましょうか」

絹旗 「そうと決まれば、超早速移動しましょう」

 :
 :
 :

白井 「そういえば、適当に歩いていてふと気付いたのですが」ハイ

絹旗 「はい、白井さん」

白井 「一本向こうの通りに、確か大きいお姉様のお店がございましたわね」

絹旗 「あ、言われてみれば」

白井 「……どうなさっているのでしょう」

絹旗 「そういえば聞いてないですね。私も最近は反省b……超忙しかったので外出してませんでしたし」

白井 「ちょっと覗いてみませんか?」

絹旗 「そうですね。超丁度いいって感じですし、行ってみましょう」
360 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/18(土) 23:58:46.98 ID:3LqLr3gEo

白井 「……あら? あちらは」コツコツ

絹旗 「おっ」トテトテ

ショチトル 「」ガサガサ

絹旗 「ショチトルじゃないですか」

ショチトル 「ん、お前たちか。もう大丈夫なのか?」

白井 「ええ、お蔭様で今日退院いたしましたの」

ショチトル 「そうか、それはよかった」

絹旗 「もしかして、オープンですか?」

ショチトル 「いや、掃除だけだ。営業はしなくとも埃はたまるからな」

白井 「やはり……大きいお姉様はまだお店に立てる状態では」

ショチトル 「ないだろうな」

絹旗 「左腕が使えない状態ですからね」

白井 「あぁ、なんとおいたわしい……ここはやはりわたくしが左腕代理として」

ショチトル 「邪魔なだけだろう」

白井 「ヒドイですの!」

絹旗 「実際、ミサワさんはどんな状態なんですか?」

ショチトル 「普段通りだそうだ。ちょっと生活が不便なだけで」
361 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/19(日) 00:00:16.59 ID:AQICwu0Lo

絹旗 「不便といいますと、食事とか着替えとか?」

ショチトル 「あぁ。必要に応じて、白い人や小さいマスターが手伝っているらしい」

白井 「やっぱりちょっと行ってきますの」

絹旗 「落ち着け」

ショチトル 「せっかく通り掛かったんだ。何か飲んでいくか? というか飲み物ぐらいしかないが」

絹旗 「じゃ、喉も乾いてたんでお言葉に超甘えて」

白井 「お邪魔いたしますの」



~第7学区 隠れ家的喫茶店(休業中)~


ショチトル 「なにせ最短でも3週間は開けられないからな。食材は処分してしまった」カチャカチャ

絹旗 「さすがに3週間はもたないですよね」

白井 「お一人でやればよろしいですのに」

ショチトル 「マスターにも言われたが、さすがにこなせる自信はない」

絹旗 「まあ、休暇をもらったと思えばいいじゃないですか。毎日がエブリデイを超満喫ですよ」

白井 「毎日はエブリデイですの」

ショチトル 「まあ、手持無沙汰ではあるが、悪くもないか」クスクス
362 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/19(日) 00:01:28.10 ID:AQICwu0Lo


<カランカラン♪


絹旗白井 「「?」」クルッ

黒夜 「あ」

絹旗 「お」

黒夜 「やってる?」

ショチトル 「やってない。が、まあ座ってくれ」

黒夜 「失礼しまーす」

絹旗 「あ、そうだ。黒夜、この間は超お手柄だったじゃないですか」

黒夜 「何の話?」

白井 「対能力者兵器を破壊したとか。おかげで助かりましたの」

黒夜 「何勘違いしてんの? 私はただムシャクシャして暴れてただけで、それは結果論ってヤツだから」

黒夜 「つまり私は別に絹旗ちゃんたちの手助けがしたいとか決して思ってないからな」プイ

他3人 (((分かりやすー)))

黒夜 「で、マスターはどうしたのよ。ケガしたんで休みますって張ってあったけど」

ショチトル 「骨折だ」

黒夜 「え、マジ?」
363 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/19(日) 00:03:17.72 ID:AQICwu0Lo

白井 「マジですの。左腕と肋骨を折ってしまいまして」

黒夜 「あちゃー……」

ショチトル 「それで思い出した。マスターが黒夜さんに聞きたいことがあると言ってたぞ」

絹旗 「黒夜に? 期待しないほうがいいですよ」

黒夜 「せめて質問内容聞いてから言えよな!」プンスコ

ショチトル 「黒夜さんの腕って、ハンズかロフトに行けば売ってる? とのことだが」

黒夜 「……あ、あるワケねぇだろ!」

絹旗 「まさかミサワさん、機械義肢に付け替えるつもりですか」

白井 「それは思い切りすぎでは……」

黒夜 「やめとけやめとけ。定期メンテは必要だし、体臭はグリスとオイルになるし、なんもいいことないぞ」

白井 (黒夜さんからほのかに漂うオイルの香りはこのためでしたのね)

ショチトル 「分かった。そう伝えておこう。まあ、マスターも本気ではないと思うが」コポコポ

黒夜 「大体、マスターが機械義肢なんかにしたら、自分の能力で壊しちゃうだろ」

絹旗 「言われてみりゃそうですね」

ショチトル 「できたぞ。おまちどうさま」コトッ
364 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/19(日) 00:04:30.24 ID:AQICwu0Lo

 :
 :
 :

ショチトル 「済まない、賞味期限直前のクッキーが見つかったんだが、消費してもらえないか?」

黒夜 「ばっちこーい」

白井 「考えてみれば、甘いものも久しいですの」

絹旗 「超お手伝いしますよ」

ショチトル 「済まないな、頼むぞ」ドッッッサリ

黒絹白 「「「」」」

ショチトル 「私も参戦せねばな」サクサク

黒夜 「え、ちょっと待って。なにこの量」

絹旗 「お徳用ってレベルじゃないですよ」

白井 「なるほど、業務サイズという感じですわね……」

黒夜 「まあ、手をつけないとなくならないよな」サクサク

絹旗 「もうこれがお昼ごはんになっちゃいますね」サウサク

白井 「あ、おいしいですの」サクサク

ショチトル 「ちなみに一枚あたりの単価に換算するとすごい安価だから、お代は気にしないでくれ」
365 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/19(日) 00:05:32.93 ID:AQICwu0Lo

黒夜 「あ、なんか食べたことあると思ったらアレだ。オマケ」サクサク

白井 「オマケ?」サクサク

絹旗 「オマケなんてありましたっけ?」サクサク

ショチトル 「飲み物だけを頼んだ客には、オマケで2枚添えている」サクサク

絹旗 「……私、出されたことないんですが」

ショチトル 「絹旗さんは飲み物意外に何かしら頼んでいるではないか」

絹旗 「……今度は飲み物だけにしておくんで、かならずつけてくださいよ」

黒夜 「なんか本末転倒だな」ズズ...

白井 「クッキーが食べたいのなら、素直に注文すればよろしいですのに」

ショチトル 「と思うだろうが、メニューにクッキーはない」

黒夜 「つうことはオマケ限定ってワケだ」

白井 「飲み物を一つ頼んで、ようやく2枚食べれるクッキーを山のように
    頂けるというのは、考えてみたら贅沢かもしれませんの」

絹旗 「そう言われると、超得した気分になってきました」サクサク

黒夜 「よーし、食っとけ食っとけ」サクサク

ショチトル (それ全部でも元値は1000円しないんだけどなぁ)
366 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/19(日) 00:07:29.00 ID:AQICwu0Lo

絹旗 「そういえば、結標さんとお兄さんは変わりありませんか?」

ショチトル 「何も変わらない。義姉さんは知った上でお兄ちゃんを選んだのだからな」

白井 「愛の前に外見の差異などちっぽけな問題ですの」クスクス

黒夜 「? 何の話?」

絹旗 「海原さん、知ってますよね?」

黒夜 「あぁ、あの優男?」

絹旗 「それは変装で、最近になって超素顔で過ごすようになったんですよ」

黒夜 「マジ!?」

白井 「マジですの。わたくしたちも知ったときは驚きましたが」

黒夜 「へー、どんな顔なの?」

絹旗 「ショチトルが男装したと思えば」

ショチトル 「なんだその表現は……ほら、写真だ」

黒夜 「お、イケメン」

白井 (パスケースにツーショット写真……)

絹旗 「この顔なら、ショチトルのお兄ちゃんって感じしますよね」

ショチトル 「みなそう言うが、血縁ではないぞ?」

黒夜 「あれ? そうなの?」
367 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/19(日) 00:08:41.33 ID:AQICwu0Lo

絹旗 「お兄ちゃん的存在ってことですか」

ショチトル 「そうだな、例えるなら……」

白井 「絹旗さんから見た浜面さんですの」

絹旗 「はぁ!?」

ショチトル 「そうだな。外見は別にすればそれがしっくりくる」

絹旗 「な、な、なんでそういうことになるんですか!」

黒夜 「立ち位置っていうか、なんかそんな雰囲気すんじゃね?」

白井 「共同生活時代、なんというか兄妹のようなやり取りをいつも」

絹旗 「違いますから! あくまでも超上下関係ですから!」

ショチトル 「ま」

黒夜 「そういうことに」

白井 「しておきましょうか」

絹旗 「なんでそんな息ピッタシなんですかもー!」ムキー

 :
 :
 :

黒夜 「今気付いたんだけどさ」
368 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/19(日) 00:09:57.22 ID:AQICwu0Lo

絹旗 「いいですよ、気付かなくて」

黒夜 「おい」

白井 「気付いたといいますと?」

黒夜 「この4人が集まるのって初めてじゃね?」

ショチトル 「言われてみればそうだな」

絹旗 「……もしかして、全員同い年ですか?」

ショチトル 「私は年齢を意識されることがあまりなかったな。学校にも通っていないし」

白井 「あら、見事にカルテットになりましたわね」クスクス

黒夜 「ここはアレだ、鬼嫁3人組と野郎3人組に対抗して4人の同盟だな」

ショチトル (私はすでに妹ポジの同盟に勝手に組み込まれているような気もするが)

絹旗 「何を対抗するんですか」

黒夜 「まあ、色々? にしても、考えてみれば店員さんも同い年か……なのに」

絹旗 「なのに?」

黒夜 「同い年って感じがしなかったのは、その言葉使いと発育の差か」ジー

白井 「どこで差がついてしまったのでしょう」ジー

絹旗 「なんていうか超不公平です」ジー

ショチトル 「……!! どっ、どこを見て言っているんだ!」バッ
369 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/19(日) 00:11:20.81 ID:AQICwu0Lo

黒夜 「やっぱあれかな、ブラコンパワーかな」ヒソヒソ

絹旗 「超侮れないですね」ヒソヒソ

白井 「お姉様のみならず、お兄様も持たなくてはいけないのでしょうか」ヒソヒソ

ショチトル 「お、おい」

黒夜 「絹旗ちゃんにはハマーがいるからいいよな」

絹旗 「だからアレは違いますってば。そういう黒夜にはシルバーさんがいますよね」

白井 「お兄様候補……どなたか……」

ショチトル 「ブラコンは関係ないだろう! というか誰がブラコンだ!」

黒絹白 「「「違うの?」」」

ショチトル 「」プルプル

ショチトル 「貴様ら……」チャキッ

黒夜 「え、なにそれ!?」

絹旗 「ええとなんでしたっけ、マクアなんとかです!」

白井 「た、退院したばかりでまだ振り出しに戻るのはイヤですの!」

ショチトル 「許さぁぁぁぁん!!」


  ワーワー
   ギャース

370 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/19(日) 00:13:03.51 ID:AQICwu0Lo


~同日夕方 第7学区 常盤台新寮~


絹旗 「はー、超疲れました」

白井 「退院した初日から体力使いすぎましたの……」

寮監 「おお、戻ったか」

絹旗 「え? ま、まだ17時にはなっていないですよ!」

寮監 「……あのな、退院して戻ってくる生徒を出迎える私はそこまで不自然か?」

絹旗 「あ、いえ……」

寮監 「白井、お前も少々向う見ずな行動が過ぎるぞ」

白井 「はい、申し訳ございません」

寮監 「最高学年としての自覚をもって行動するように」

白井 「肝に銘じておきますの」

寮監 「分かってはいるだろうし、それはともかくとして……」

絹旗 「?」

寮監 「よく帰ってきてくれた」

白井 「りょ、寮監……」

寮監 「以上だ。質問がなければ部屋に戻れ」

絹旗白井 「「し、失礼します!」」ペコリ
371 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/19(日) 00:14:55.07 ID:AQICwu0Lo


~同日 常盤台新寮 301号室~


<ガチャ


白井 「ふう、たかが数日なのにすごい久しぶりに帰ってきた気分ですの」

絹旗 「たかが数日、されど超数日ですよ」

白井 「仰る通りですわね」

ユリコ 「( ( ( ( ・ω・)」ポテポテ

白井 「あら、ユリコ。いい子にしておられましたか?」ナデナデ

ユリコ 「( ・ω・)ノ」

白井 「さて、着替えの片付けだけでもしておきませんと」

テスラ 「」ガブガブ

絹旗 「いてててて。あ、そうか。そろそろ夕飯の時間でしたか」

リック 「」スリスリ

ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」ベシベシ

絹旗 「こ、こら! 今準備しますから!」

白井 「……あら? 絹旗さん」

絹旗 「はい?」
372 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/19(日) 00:16:24.59 ID:AQICwu0Lo

白井 「着替えを持ってきてくれたのは感謝しますが、クローゼットはちゃんと閉めてください」

絹旗 「あー……違うんですよ、超閉めれなかったんですよ」

白井 「?」キィ...

アスカ 「!」ピョーン

白井 「ひゃっ!?」

絹旗 「白井さんがいない間、アスカはずーっと白井さんのクローゼットで過ごしてましたから」

アスカ 「♪」スリスリスリスリ

白井 「あらあら……寂しい思いをさせてしまいましたわね」ダッコ

絹旗 「まあ、今日は一緒に寝てあげてください」

白井 「もちろんそうしますの。今日も冷えますし、ね?」

アスカ 「オマ」

絹旗 「もー、超大変でしたよ。白井さん探しに脱走しようとするし、白井さんの服とか下着とかもぐもぐするし」

白井 「アスカ……それは淑女にあるまじき行為ですの」メッ

アスカ 「?」

絹旗 「飼い主に似たんですかね」

白井 「どういう意味ですか」
374 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/19(日) 00:17:26.07 ID:AQICwu0Lo

 :
 :
 :

白井 「ふう、片付けも落ち着きましたの」ポスン

アスカ 「」ゴロゴロ

絹旗 「超お疲れ様です」

テスラ 「」ポリポリ

リック 「マーーー!!」

絹旗 「ほらテスラ! 他人のご飯横取りしちゃダメですよ!」

白井 「飼い主に似たのでしょうね」クスクス

絹旗 「どういう意味ですか」

ユリコ 「( ・ω・)=3」

白井 「……先ほど寮監に言われて、改めて実感したのですが」

絹旗 「?」

白井 「この部屋でこうして過ごせる時間も、あと僅かですのね」ハゥ

絹旗 「なんか……超いろいろありましたね。一年も経ってないのに」

白井 「あら、振り返るにはまだいささか早いかと」

絹旗 「それもそうですかね。せいぜい残りの期間を超有意義に過ごせるように心掛けましょう」

白井 「ええ、悔いの残らぬように」
375 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/19(日) 00:18:12.74 ID:AQICwu0Lo

といったところで、幕間ここまでです。
ショチトルの年齢は>>1の妄想です。
海原(エ)のことをお兄ちゃんって呼ぶぐらいだから、
黒絹白と同じぐらいかなぁ、と。

次回からは鉄板ネタですが、バレンタインネタに入ります。
次回投下は3日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage]:2012/02/19(日) 00:21:10.32 ID:OsIAGSYio
>>1
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2012/02/19(日) 00:21:28.92 ID:8WJsaZiYo
相変わらずのクオリティありがとうございます
次はまた殴壁展開か
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2012/02/19(日) 00:45:18.91 ID:9q1yW3clo
乙!!
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage]:2012/02/19(日) 01:37:56.62 ID:NoN2ZsTgo
ラジオ聞いてる間に投下キテタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!!!
>>1超乙
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2012/02/20(月) 17:40:02.88 ID:aPLCDg230
窒素姉妹はポップンの腕前どれぐらいなんだろう
後他の音ゲーはやるのだろうか
397 : ◆8GNB4AEvC.[saga]:2012/02/21(火) 23:46:56.96 ID:KjSVvLDro

>>392
ポップンの適正レベルはクロちゃんLv40、絹旗Lv34、
という独自設定でした。クロちゃんがギターで超上級だったのは、
機械の腕って超精密動作が可能っぽいなと個人的に思ったからです。
あと、結構やりこむタイプっぽいから。

なんでここまで決めてるかっていうと、過去に窒素姉妹が
音ゲーやるだけの話を書いたからです。ゲームやってない人は
完全に置いてけぼりなので消しちゃいましたけども。


長々と失礼しました。
それでは、始めさせて頂きます。
今回からは#9、バレンタインネタです。
398 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/21(火) 23:47:41.27 ID:KjSVvLDro


  ――#9 甘々と苦々、どちらがお好み?

399 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/21(火) 23:49:11.63 ID:KjSVvLDro


~2月初旬 第7学区 とある大通り~


絹旗 「ようやく特別門限措置が解除されましたね」トテトテ

白井 「とはいえ、言い方は悪いですが目を付けられていることに変わりはございませんの」

絹旗 「分かってますよ。卒業までは超大人しくしましょう、って言いたいんでしょう」

白井 「おわかりなら話は早いですわね」

絹旗 「まあ、特に何も起こらなければ私だって……おっ」トテテテ

白井 「?」

絹旗 「白井さん、チョコの特設コーナーできてますよ」

白井 「あぁ、そういえばそんな時期ですのね」

絹旗 「よっぽど売れてないんでしょうね」

白井 「絹旗さん、時期を考えてくださいまし」

絹旗 「…………そっか。バレンタインですか」

白井 「浮わついた話題の気配もない絹旗さんにはピンと来ないかもしれませんが」クスクス

絹旗 「いわゆる殿方に超興味のない白井さんには言われたくないです」

白井 「なっ、何を仰います! 人を同性愛者か何かかと」
400 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/21(火) 23:50:30.34 ID:KjSVvLDro

絹旗 「違うんです?」

白井 「わたくしの愛は、お姉様とその属性を持つ方のみに向けられる極めてピュアなものですの!」

絹旗 「……ええ、まあ」

白井 「それはそうと……昨年は作りあって食べあったりましたわね」

絹旗 「あー、やりましたね。アレ今年も超やりたいです」

白井 「それは同感ですが、昨年とは皆さん状況も変わっておられますし」

絹旗 「そうなんですよねー……誰かの家にそこまで長時間居座るのも超悪いですし」

白井 「それに、昨年ほどのスペースと設備を望むのは難しいかと」

絹旗 「あの家のキッチンだったら、3人が超余裕をもって作業できるぐらいありましたからね」

白井 「となると、今年はやはり」

絹旗 「あっ!」ピコーン

白井 「?」

絹旗 「私に一つ妙案があります!」

白井 「妙案?」

絹旗 「早速交渉してみましょうか」カチカチ

白井 「?」

絹旗 「あ、もしもし? 絹旗です。あのですね、ちょいとお話が……」
401 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/21(火) 23:51:31.11 ID:KjSVvLDro


~同日 第7学区 番外通行邸~


絹旗 「えーと、ここですかね」

白井 「まさか呼ばれるなんて……」

絹旗 「私も電話で超済ませるつもりだったんですが」

白井 「考えてみたら、ここを訪問するのも初めてですの」

絹旗 「私もですよ。じゃ、凸しましょうか」ポチットナ


<ピンポーン
<ドタタタタ


打ち止め 「はーい!」ガチャ

絹旗 「あ、すいません。来ちゃいました」

白井 「突然来てしまいまして、申し訳ございません」

打ち止め 「話は聞いてるよ。入って入って! ってミサカはミサカは促してみたり」

絹旗白井 「「お邪魔しまーす」」

打ち止め 「ねー、二人がきたよー」

番外個体 「え? 早かったね」
402 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/21(火) 23:53:28.01 ID:KjSVvLDro

絹旗 「調子はどうですか」

番外個体 「ご覧の通り。ピンピンしてるよ」ニャハハ

白井 「あぁ、なんと痛々しいお姿……やはりわたくしが左腕の代わりに」

番外個体 「白井さんは既に絹旗さんの右腕じゃん」

白井 「えっ」

絹旗 「でもよかったんですか? 超お邪魔しちゃって」

打ち止め 「あの人がね、長話するぐれェなら呼ンじまえって言うから、
       ってミサカはミサカはお茶を出しつつ事情を説明してみたり」カチャカチャ

白井 「どうぞお構いなく」

絹旗 「そういえば、それ言い出した一方通行の姿が超見えませんが」

番外個体 「ちょっと用があってさっき出かけた。まあ、だからこそ呼べとか言ったんだと思うけど」

白井 「そうですか、ご挨拶しておきたかったのですが」

打ち止め 「それで今日はどうしたのかな? ってミサカはミサカは本題を促してみたり」

絹旗 「あ、そうそう。今日はお願いがあってですね」

番街個体 「お願いって?」

絹旗 「ミサワさんのお店、休業中ですよね? 一日貸してほしいんです。ちゃんとショバ代は出しますんで」

白井 「あぁ、なるほど。そういうお考えでしたのね」
403 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/21(火) 23:54:42.15 ID:KjSVvLDro

番街個体 「え、なに? 絹旗さんと白井さんでオープンしてみる?」

絹旗 「しませんよ。ちょっとキッチンとそれなりのスペースが超欲しいんです」

番街個体 「?」

白井 「絹旗さん、順を追ってご説明しませんと」

絹旗 「ええとですね……」

 :
 :
 :

番街個体 「バレンタインの、ね。なるほどねぇ」

絹旗 「どうでしょうか」

番外個体 「いいよ」

打ち止め 「決断はやっ」

白井 「よろしいので?」

番外個体 「使わなくてもホコリが溜まるばっかだしね。その代わり、作業前後の掃除はやってね?」

絹旗 「超もちろんですとも」

打ち止め 「ミサカも! ミサカも参加してみたい!」

番外個体 「付け加えるなら、この子も連れてってくれるのが条件かな」クスクス

白井 「はい喜んで!」
404 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/21(火) 23:55:54.38 ID:KjSVvLDro

番外個体 「で、去年みたいにまたみんなでやるの?」

絹旗 「来れる人には来て欲しいなぁと思ってます。その方がたくさんの種類食べれますし」

番外個体 「じゃ使うのは来週ぐらいだね」

白井 「それぐらいで丁度良いかと。あまり早く作っても痛んでしまうでしょうから」

絹旗 「ちなみに言うまでもないですが」

白井 「男子禁制、ですわね」クスクス

打ち止め 「今から楽しみー、ってミサカはミサカはうきうきしてみたり」



~その頃 第7学区 とある路地~


エツァリ (やれやれ、妙なものを見てしまいましたね)

エツァリ (あのカフェにいるのは、間違いなく一方通行さん)

エツァリ (なのですが、向かいに座るスーツの男性は……?)

エツァリ (そして机の上に広げられた無数の書類)

エツァリ (……まさか、とは思いますが)

エツァリ (裏の仕事を引き受けるおつもりでは)

エツァリ (彼が選んだならばそれも……いや)
405 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/21(火) 23:57:09.93 ID:KjSVvLDro

エツァリ (今の一方通行さんがそんなことをすれば、心配し悲しむ人がいる)

エツァリ (友人として止めなくてはならないでしょう)

エツァリ (む、スーツさんが出て行かれましたね……一つ、話してみましょうか)

 :
 :
 :

エツァリ 「やあ、奇遇ですね」ニコニコ

一方通行 「……なンだ、オマエか」ガサガサ

エツァリ 「おや、お取込み中でしたか?」

一方通行 「構わねェ、終わったところだ」

エツァリ 「一体何をなさるおつもりで……」

一方通行 「丁度いい、ちょっと見てもらえるか」

エツァリ 「え? あ、はい。では失礼して」ペラペラ

一方通行 「……」ズズ...

エツァリ 「参考書の原典のようですが」

一方通行 「俺が書いた」

エツァリ 「一方通行さんが?」
406 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/21(火) 23:58:36.22 ID:KjSVvLDro

一方通行 「前に話してただろ。在宅ワークだよ」

エツァリ 「これが、ですか?」ガサッ

一方通行 「参考書やらのライター、それと論文や小説・映画の翻訳」

エツァリ 「では先ほどまでここにいた方は」

一方通行 「見てたのかよ……ありゃ出版関係の人間だ」

エツァリ 「なるほど、そういうことでしたか。しかし、なぜ物書き稼業に?」

一方通行 「家から出なくていいし、締切さえ守っときゃ仕事の時間はこっちの勝手だろ」ズズ...

エツァリ 「仰る通りですね。第一位の頭脳も有効活用できて、天職じゃないですか」

一方通行 「独力じゃこんな手早く進まなかった。知り合いの教師や研究者の伝手に頼ったがな」

エツァリ (素直に人を頼り、しかもそれを人に話すとは……良い意味で変わりましたね)

一方通行 「で、どォだ? それ」

エツァリ 「さあ……難しすぎて自分の頭では」

一方通行 「……そォか、相当簡単にしたつもりだったンだが」

エツァリ 「貴方の基準で簡単と言われても、大多数の人間はついてこれませんよ」

一方通行 「メンドくせェ」ガシガシ

エツァリ 「浜面さんにでも見てもらったらいかがです?」

一方通行 「爆発しちまうだろ。あいつの頭が」
407 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/22(水) 00:00:22.88 ID:PL2fxwzVo

エツァリ 「左様で。……おや、こちらの原稿は毛色が違いますね」ガサッ

一方通行 「そりゃ論文の翻訳だな。原本はドイツ語だ」

エツァリ 「専門用語等入ってると、翻訳も大変でしょう」

一方通行 「まァ、日常会話のようにはいかねェわな」

エツァリ 「……小難しい話ですね。天文学の心得はありますが、宇宙物理学は専門外でして」

一方通行 「俺だって得意じゃねェよ。なんかイラッとくる単語が何回も出てくるしよ」

エツァリ 「単語?」

一方通行 「……暗黒物質」

エツァリ 「あぁ、なんとなく……こちらは、論文でも参考書でもないですね」ガサッ

一方通行 「あー……そりゃ映画の翻訳だな」

エツァリ 「字幕用ですか。……?」

一方通行 「なンだよ」

エツァリ 「お言葉ですが……映画や小説の翻訳は受けないほうがよいかと」

一方通行 「なンかマズかったか?」

エツァリ 「ヒロインはこんなチンピラみたいな汚い言葉使いで喋らないでしょう」

一方通行 「……それ、さっきも言われた」ハァ

エツァリ 「得手不得手は誰にでもあるものですよ」ニコニコ
408 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/22(水) 00:02:04.10 ID:PL2fxwzVo


 [[携帯電話]]<Prrrr Prrrr


エツァリ 「おっと失礼」カチカチ

一方通行 「ごゆっくりィ」


 差出人:浜面氏
      <siage-age@comodo.ne.jp>
 件名:緊急
 日付:20yy/m/d 15:50
 ───────────────
 な、なんか分からんが家を追ん出
 されそうなんだ!来週の金曜は家
 にいなくていいって言われた!!
 なんて言って謝ればいい!?


エツァリ 「…………一方通行さん」

一方通行 「ン?」

エツァリ 「来週の金曜日はお暇ですか? 浜面さんを爆発させるチャンスですよ」

一方通行 「はァ?」

エツァリ 「どうでしょう?」

一方通行 「別に予定は……いや、午後からだな。午前中はうちのに付き合って病院行ってくる」

エツァリ 「丁度いいですね。浜面さんに動いてもらっては?」

一方通行 「あいつがいいのなら俺は構わねェがな。来週の金曜……2月13日だな」カキカキ
409 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/22(水) 00:04:15.13 ID:PL2fxwzVo


~同日夜 第7学区 常盤台新寮~


白井 「お風呂空きましたの」ホコホコ

絹旗 「はいはーい、ってまたそんな格好でウロウロして……」

白井 「まだ汗が引ききっておりませんので。それに絹旗さんだって、下着同然ではないですか」

絹旗 「私のコレは部屋着ですけど、白井さんのそれはモロ下着じゃないですか!」

白井 「あら、絹旗さん。まさかわたくしの下着姿が」クネ

絹旗 「ありませんから。超ありませんから、ポーズ決めないでください」

白井 「されても困りますの。ところで、首尾はいかがですか?」ポスン

絹旗 「みんな来るって返事来てますよ」

白井 「それはそうでしょう。一人でもくもくとやるよりは大人数の方が楽しそうですもの」

絹旗 「やっぱみんな超ヒマなんですね。入れ食いですよ」

白井 「こら」ペシッ

絹旗 「いたっ」

白井 「呼びかけておいてその言い草はなんですか」

絹旗 「いやいや、超冗談じゃないですかぁ」
410 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/22(水) 00:06:00.40 ID:PL2fxwzVo

白井 「冗談でも言っていいことと悪いことがあるでしょうに」

絹旗 「うー、気をつけます」

白井 「まったく……読んでいるのは、また映画の雑誌ですか?」

絹旗 「違いますよ」

白井 「C級映画の専門誌なんて、世界中探しても読者は絹旗さんだけでしょうに」

絹旗 「だから違いますってば! あと他にも超いっぱいいますってば!」

白井 「では何を?」

絹旗 「コレですよ」ハイ

白井 「……手作りチョコレートのムックですか」

絹旗 「ミサワさんの家から帰るとき、コンビニ寄ったじゃないですか。そのときに」

白井 「バレンタイン特集号……ははぁ、この時期らしい本ですわね」ペラペラ

絹旗 「逆にこの時期でもないと超売れやしないでしょうね」

白井 「この本を参考になさるおつもりで?」

絹旗 「ええ、どんなのを作ろうかなーと」

白井 「なるほどなるほど……」ペラペラ

絹旗 「なんか変わり種というか、超面白いのないですかねー」
411 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/22(水) 00:07:53.94 ID:PL2fxwzVo

白井 「そうですわね……クジを入れてみるとか」

絹旗 「クジ? 当たったらどうなるんですか?」

白井 「三等賞が絹旗さんとキスする権利、二等賞が」

絹旗 「すいません、もういいです。聞いた私が超アホでした」

白井 「絹旗さん、これぐらい身体を張りませんと!」

絹旗 「いやいや、張ってどうするんですか!」

白井 「それぐらいしないと、意中のお相手を射止めることはできませんのよ?」

絹旗 「もう何年もお姉様に超片思いしてる白井さんに言われても」

白井 「」ヒュンッ

絹旗 「あ」

白井 「あぁ、お姉様。なぜわたくしの気持ちが……」

絹旗 「あー、ウソです、超ウソです! ウソですからテレポしてまで壁に向かって体育座りしないでください!」

白井 「ま、それはともかく」ヒュンッ

絹旗 (さすがに立ち直りが超早いですね)

白井 「絹旗さん、いつものメンバー以外に渡す予定はおありで?」

絹旗 「いえ、特には。異性の友達なんてあの三バカぐらいしかいませんし」
412 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/22(水) 00:09:20.36 ID:PL2fxwzVo

白井 「たしかに……絹旗さんからは殿方の気配がしませんものね」

絹旗 「超ほっといてくださいよ。そういう白井さんはどうなんですか」

白井 「入院中にお世話になりましたので。麦野さんとナースお姉様の分は確保しておこうかと」

絹旗 「……あれ? なんか違くないですか?」

白井 「と申されますと?」

絹旗 「カエル先生には?」

白井 「あぁ……それも考えたのですが」

絹旗 「なんかマズいんですか?」

白井 「麦野さんとナースお姉様がお話していたのですが」



 *** 回想 入院中の病室にて ***


19090 「テレビのニュースでやっていたのですが、もうすぐバレンタインですね」

麦野 「まだ一ヶ月近く先だろ……気の早いこって」

白井 (バレンタインですか……)

19090 「今年は先生は大丈夫なのでしょうか」
413 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/22(水) 00:10:57.56 ID:PL2fxwzVo

麦野 「さあねぇ。去年も相当苦労してたし」

19090 「"僕を糖尿病にして病死させようとする勢力がいるね?"とか仰ってましたね」

麦野 「それがシャレに聞こえないからすごいんだよ」

19090 「……今年は壊れせんべいでもお渡ししましょうか」

麦野 「私、味付け海苔にするつもり」


 *** 回想 ここまで ***



絹旗 「はー、医者はすごいですね」

白井 「あの先生のお人柄も加味されているでしょう」

絹旗 「じゃ、カエル先生には味付け海苔ですか?」

白井 「さすがにそれは……そこは少々決めあぐねてますが」

絹旗 「……アレですよ、アレなんかどうです?」

白井 「アレ?」

絹旗 「去年ミサワさんが使ってたチョコレート」

白井 「あぁ、あのすっごい苦いヤツですわね」

絹旗 「甘いものと苦いもので相性超バッチリじゃないですか」

白井 「でも甘さ苦さの違いこそあれ、どちらもチョコレートではないですか」
414 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/22(水) 00:12:08.84 ID:PL2fxwzVo

絹旗 「それを言ったら超おしまいですよ」

白井 「ん、苦いもの……その手がございましたわね」

絹旗 「? 何か思いついたんですか?」

白井 「ええ」

絹旗 「なんですか、教えてくださいよ」

白井 「そこは敢えてヒミツですの」クスクス

絹旗 「えー、超ケチです」

白井 「絹旗さんも、ご自分のアイデアを練っておいてくださいまし」

絹旗 「んー……」パラパラ

白井 「あ、ちょっとお待ちになって」

絹旗 「?」

白井 「」ピト

絹旗 「ちょっとちょっと、なんで私の本にポストイット貼ってるんですか」

白井 「よいではないですか」

絹旗 「しかもこのページ……なんですか、"これで超イチコロ! 媚薬チョコ!"って」

白井 「要チェックですの」

絹旗 「超ダメですよ、こんなワケ分からないの!」
415 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/22(水) 00:13:30.87 ID:PL2fxwzVo

といったところで、今回はここまでです。
話の大筋は前回のバレンタインと大差ないですが、
場所だとか参加メンバーが多少違ってきます。
導入部なので登場人物控えめですが、これから増えますよ。

次回投下は3日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage]:2012/02/22(水) 00:15:52.58 ID:b9wWYFNJo
乙!
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)[sage]:2012/02/22(水) 00:16:26.70 ID:IPyVEpzCo
今までまとめで読んでたけどはじめてリアルタイム遭遇!!
乙です
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県)[sage]:2012/02/22(水) 00:16:34.38 ID:W6SUZWmW0
乙!
今年は賑やかなチョコ作りになりそうだね
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2012/02/22(水) 02:28:34.56 ID:HqWOwf8mo
この間話題になってた禁書の数1A2Bの参考書、
あれ一通さんが書いたのかなるほど 
 
453 : ◆8GNB4AEvC.[saga]:2012/02/25(土) 23:05:55.14 ID:RCbILTRLo

>>424
ググってみた。こんなのあったのか……。


遅くなってすみません。風邪ひいてました。
熱も下がり始めたので、投下させて頂きます。
前回の続きからです。
454 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:06:47.49 ID:RCbILTRLo


~その頃 第7学区 浜滝邸~


フレメア 「」クルクル

滝壺 「ねえ、はまづら。ちょっいいかな」

浜面 「はいな」

滝壺 「来週の金曜、出かけてほしいって言ったけど」

浜面 「おぉ、どうしようかプランを練ってるぜ」

フレメア 「」ピョコピョコ

滝壺 「ごめんね、やっぱりなし。のーかん」

浜面 「え? あ、そ、そうか」

滝壺 「その代わり、私とフレメアが一日いないから」

浜面 「」

フレメア 「いないから」

浜面 「ま、まさかアレか! 実家に帰らせて頂きますってヤツなのか!」ウォーン

滝壺 「帰る実家がないよ」

フレメア 「……浜面、もしかしてやましいことがある?」

浜面 「えっ」
455 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:08:29.89 ID:RCbILTRLo

滝壺 「そうなの?」

フレメア 「だから焦ってる? にゃあ」ジー

浜面 「ない! 断じてないぞ!」

滝壺 「そうだよ、フレメア。はまづらは隠し事が下手だから」

フレメア 「」ジー

浜面 「?」

フレメア 「うん、大体そうだね。ウソついたりごまかしたりすると顔のアレが動くのに、今は動いてない」

滝壺 「ね?」

浜面 「え、ちょっと待って。なにそれ」

フレメア 「ねーお風呂! 今日はお姉ちゃんと入る」

滝壺 「そうだね。そろそろ入ろうか」

浜面 「ねえ、顔のアレってなに?」

フレメア 「浜面、お先に、にゃあ」シュタッ

滝壺 「先入るね」

浜面 「お、おう、ごゆっくり」


<ガチャ バタン

456 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:09:39.15 ID:RCbILTRLo

浜面 「……鏡、鏡」

浜面 「うん、今日もイケメンだな……いや、違うだろ」


 [[携帯電話]]<ナーゼナーラ オレハハラガヘルー ヒハマタノーボルー♪


浜面 「なぁ、顔のアレってなんだ?」ピッ

エツァリ 『はい?』

浜面 「いや、すまん。こっちの話だ。忘れてくれ」

エツァリ 『は、はあ』

浜面 「で、いかがした?」

エツァリ 『夕方にメール頂いた件についてなのですけど』

浜面 「あー、それか。すまん、追い出されなくて済みそうだ。代わりに出て行かれるが」

エツァリ 『一体何をやらかしたんですか』

エツァリ (いや、そうじゃないのは分かるんですけどね。日付的に考えて)

浜面 「いやー、心当たりないんだよな……強いてあげるとしたら」

エツァリ 『あげるとしたら?』

浜面 「フレメアのプリンを食っちまったことかな」
457 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:11:08.55 ID:RCbILTRLo

エツァリ 『……』

浜面 「食い物の恨みってなぁなんとやらってことかねぇ」

エツァリ 『ま、どうでもいいです。それはそれとしてですね』

浜面 「おいなんか冷たいぞ!!」

エツァリ 『来週の金曜日なんですけど、お暇なことに変わりはありませんよね?』

浜面 「そりゃ、な」

エツァリ 『バイトしませんか? 浜面さんでもできる簡単なお仕事です』

浜面 「なんだよ、そりゃ。まあ、一応聞いておこうか」

エツァリ 『護衛と送迎です。対象は一方通行さんとミサワさんの2名』

浜面 「……それ別に、俺が護衛するまでもないだろ。むしろ邪魔だろ」

エツァリ 『仰る通りかもしれません』

浜面 「つまりアレか? アッシーくんやれってことか?」

エツァリ 『これは驚きです! 結果的にそうなってしまいました』ニコニコ

浜面 「何が驚きだ! 最初からそのつもりだっただろ! ちくしょう!」

エツァリ 『で、どうでしょう』

浜面 「暇だからやる」ウン

エツァリ 『承りました』
458 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:12:14.90 ID:RCbILTRLo


~その頃 第7学区 エ結邸~


エツァリ 「はい、それでは失礼します。健やかな夜を」ピッ

結標 「……」ジトー

エツァリ 「どうされました?」

結標 「サイッテー」

エツァリ 「え?」

結標 「なんで、もう寝る準備して、消灯して、ウトウトし始めたその隣で電話し始めるのよ」

エツァリ 「あ、電話するの忘れてた。と思い出してついつい」

結標 「」ムスー

エツァリ 「いやー、ははは」

結標 「知らない」ゴロン

エツァリ 「マナー違反だったことは謝罪します。機嫌を直してくださいよ」

結標 「……」

エツァリ 「」チョンチョン

結標 「……明日の朝食メニュー次第では直るかもね」
459 ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:13:40.93 ID:RCbILTRLo

エツァリ 「プレーンオムレツなどいかがでしょう」

結標 「……」

エツァリ 「サラダもつけましょう」

結標 「……もう一声」

エツァリ 「では手間を惜しまずフレンチトーストなど」

結標 「……アレ、カロリー高いんだけど」

エツァリ 「もう少し余裕があったほうが、なんといいますか、触り心地が」

結標 「」スパーーン

エツァリ 「いったぁぁ!?」

結標 「誰のためにこっちが日々努力してると思ってるのよ!」

エツァリ 「失礼しました、今のは失言でしたね」

結標 「……まあ」

エツァリ 「?」

結標 「それでも、朝食は大事だし……貴方が手をかけて作ってくれるんだし……」

エツァリ 「ええ」

結標 「わかった。じゃそれで許しといてあげる」

エツァリ 「ありがたいことです」
460 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:15:15.42 ID:RCbILTRLo

結標 「これ以上ケンカしてるとまたあの子に殴りこまれちゃうからね」クスクス

エツァリ 「最近は夜更かし気味なので、余計に気を付けませんと」

結標 「あぁ、早起きの必要がないからとか言ってたわね」

エツァリ 「生活のリズムが崩れます。そういう意味でも、ミサワさんには早く復帰してほしいですね」

結標 「来週ぐらいにはギプスとれるらしいけど」

エツァリ 「その後はリハビリが待っているでしょう。……あ、来週といえば」

結標 「?」

エツァリ 「来週の金曜、いらっしゃいませんよね?」

結標 「あれ? なんで知ってるの? もう話したっけ?」

エツァリ 「分かりますとも」ニコニコ

結標 「なんか腑に落ちないけど……その通りで、朝から晩までいないから」

エツァリ 「了解しました」

結標 「あの子も一緒にね」

エツァリ 「ええ、よろしくお願いしますね」

結標 「……ゴメン、限界。寝ましょ」

エツァリ 「ええ、お休みなさい」

結標 「寒いんだから、もう少しこっちきてよ」グイ
461 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:16:24.61 ID:RCbILTRLo


~数日後 第7学区 常盤台新寮 カフェテリア~


絹旗 「……はー、暇ですね。超暇ですね」グテー

白井 「進路が決定していて、尚且つ卒業判定に問題がない者は早い春休みに入っておりますものね」ズズ...

絹旗 「あ、そうだ。今日の午後でしたっけ」

白井 「ええ、現地で待ち合わせですの」

絹旗 「遅れないようにしませんと」

白井 「そちらの準備も大事ですが。絹旗さん、どのようなものを作るか決まっておりますの?」

絹旗 「うぬ」

白井 「まだですか……まあ最悪、溶かしてハートの形にでも固めれば見てくれはそれなりになるでしょうから」

絹旗 「そんなの超つまらないですよー。もう一ひねりほしいです」

白井 「……難しいですわね」

絹旗 「いっそ白井さんの顔を模して作りましょうか」

白井 「それに何の意味がございますの」

絹旗 「白井さん! 新しい顔です!」

白井 「この顔はチョコ製でもなければ取り換えもききませんの!」
462 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:17:55.31 ID:RCbILTRLo

絹旗 「そんなこと言って、ペロッとしたらチョコ味だったりするんじゃ」

白井 「……いいでしょう。そこまで仰るなら」ガタッ

絹旗 「?」

白井 「ご自身の舌で確かめてみればいいですの」

絹旗 「え?」

白井 「さあ、どうぞ」

絹旗 「いやいや、いいです! 超いいですから!」

白井 「まったく……突飛もないことを言い出すかと思えば」

絹旗 「だって白井さんの歯磨き粉、チョコ味じゃないですか」

白井 「」

絹旗 「アレでチョコ成分を超補充してるのかと」

白井 「あっ、あれは偶々そういう気分だから何とはなしに買ってみただけですの!」

絹旗 「ふーん……まあ、確かに。なんで? っていう味の歯磨き粉たくさん売ってますもんね」

白井 「そこは学園都市クオリティかと」

絹旗 「もっと超マシなものを作ればいいのに……ワサビ味の歯磨き粉なんて誰が使うんですか」

白井 「期待するのも酷でしょう」ズズ...
463 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:19:43.26 ID:RCbILTRLo

絹旗 「そういえば白井さん」

白井 「?」

絹旗 「私、何人かからチョコくださいって言われたんですけど」

白井 「何人かと申しますと?」

絹旗 「ここの生徒ですよ! 毎年こんな感じなんですか?」

白井 「重く考えすぎです。女子が集まって甘いものを食べあっているだけですの」

絹旗 「むー……」

白井 「そういう意味では、わたくしたちがやろうとしていることと変わりございません」

絹旗 「まあ、そうなんですけどね」

白井 「中には本気で絹旗さんを狙っている方もおられるかもしれませんが」ズズ...

絹旗 「やめてくださいよ……」

白井 「そうですわね。絹旗さんには既に黒夜さんがおられますもの」クスクス

絹旗 「アレはそういうアレじゃないですってば!」

白井 「まあ、義理として渡すだけならば悪いことではないでしょう」

絹旗 「一目見て"超義理!"って分かるようなのにしなくちゃいけないですね……」
464 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:20:52.27 ID:RCbILTRLo


~同日午後 第7学区 隠れ家的喫茶店(休業中)~


<カランカラン♪


ショチトル 「む、来たか。時間通りだな」

絹旗 「また超掃除中ですか?」

ショチトル 「ああ」

白井 「何かお手伝いいたしましょうか?」

ショチトル 「いや、大丈夫だ。私の仕事だからな」

絹旗 「まあまあ、そう言わずに」

白井 「遠慮しあう仲でもございませんでしょう」

ショチトル 「……そうか。では、床の掃除を頼む。それで掃除は全部なんだ」

絹旗 「任せといてくださいよ。これ使えばいいですよね」【デッキブラシ】スチャ

ショチトル 「違う違う違う! こっちだこっち!」【モップ】

白井 「絹旗さん、そんなもので床を擦ったら傷だらけになってしまうでしょう」

絹旗 「じゃなんでデッキブラシなんてあるんですか」
465 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:22:48.32 ID:RCbILTRLo

ショチトル 「悪漢撃退用の護身具の一つだ」

絹旗 「……別にミサワさんがいれば、得物なんてなくても超よさそうですけど」

ショチトル 「マスターならばな。私はそうもいかない」

白井 「水を汲んできましたので使ってください」ゴトッ

絹旗 「あ、コレ一回やってみたかったんですよ。モップ絞るローラーつきバケツ」ジャブジャブ

白井 「存外アナクロなものを使っておられますのね。スチームモップやスイブルスリーパーなどの方がお手軽では」

ショチトル 「マスターの先代のマスターの趣味らしい。レジや電話もあの通りだからな」

絹旗 「ガチャガチャチーンってなるレジ、映画でしかみたことなかったですよ」ゴシゴシ

白井 「もはやアンティークですの」

ショチトル 「慣れると悪くないぞ」

絹旗 「確かに、味がありますよね」

白井 「うーん……」

絹旗 「あ、気にしないでください。白井さんは未来マニアなんで」

白井 「未来マニアってなんですか」

絹旗 「最新鋭っぽい、っていう理由であーんな変な携帯電話使ってるじゃないですか」ゴシゴシ

ショチトル 「あぁ、アレか……私は二度と持たないと決めた」
466 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:24:18.57 ID:RCbILTRLo

絹旗 「正直私も使い方が超わかりませんし。あの携帯電話」

白井 「なっ、慣れればそれなりに使いこなせますの」

ショチトル 「私はこれで十分だ」

絹旗 「うわっ、これって」

白井 「電話とメールだけ残して、極限まで機能を削りに削ったモデルですの」

ショチトル 「別に不便でもないぞ」

絹旗 「カメラとかWebぐらいあってもいいんじゃ」

ショチトル 「必要ない」キッパリ

白井 「本当に……」

絹旗 「……同い年?」

ショチトル 「なぜそこでその疑問が湧いてくる!?」

 :
 :
 :

絹旗 「掃除超終了です」ドン

ショチトル 「助かったぞ」

白井 「では、そろそろ本題に入りましょうか」
467 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:26:01.54 ID:RCbILTRLo

ショチトル 「調理器具の説明だったか」

絹旗 「はい、当日超スムーズに作業するために聞いておこうかと」

白井 「どこになにがどうしまってあるか、まったくわかりませんものね」

ショチトル 「当日は私も来るつもりだが……手が埋まってる可能性もあるからな」

絹旗 「やっぱり作るんですよね? 超お兄ちゃんに」

ショチトル 「……去年は買って済ませてしまったから今年は、と思っているところもある」

白井 「確か、昨年の今頃は入院なさっておられたでしょう。仕方ございませんの」

絹旗 「超お兄ちゃんなら喜んでくれますよ。世の中の男はみんな妹好きですから」

ショチトル 「それは初めて聞くが……まあいい。ついてきてくれ」

絹旗 「」トテトテ

白井 「カフェのカウンターの内側……これほど近くて遠い場所もございませんわね」

ショチトル 「大体のものは、ここの扉を開けたところに入っている」カパッ

絹旗 「カウンターの下ですね」

白井 「鍋にフライパンにボウルはここと」

ショチトル 「細かいものはここの引き出しだ」ガラッ

絹旗 「菜箸に計量スプーンですか」

白井 「これも必須ですわね」
468 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:27:29.36 ID:RCbILTRLo

ショチトル 「……あとは、何かあるか?」

白井 「クッキングペーパーがあると助かるのですが」

ショチトル 「ああ、それなら後ろの棚のここだ」ガチャ

絹旗 「お、ありましたね」

白井 「大体これで足りるでしょうか」

絹旗 「アレはないんですか?」

ショチトル 「アレ?」

絹旗 「あのー、型とか冷やす用のトレイとか」

ショチトル 「さすがに型はないな」

白井 「必要なものは各自で用意するという話だったでしょう」

絹旗 「ええ、まあ。材料とか必要なものは用意するようにってことになってますけど」

ショチトル 「……そうか、型か」

白井 「そういえば、わたくしたちもそっちの器具はございませんわね」

絹旗 「超ちょうどいいじゃないですか。この後で見に行きましょうよ」

白井 「そうですわね、3人で参りましょう」
469 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:29:08.88 ID:RCbILTRLo

ショチトル 「わ、私もいいのか?」

絹旗 「むしろダメって考える理由があるんですか?」

白井 「ええ、お時間があるのならぜひ」

ショチトル 「そ、そうだな……私はそういうのに疎いから、教えてもらうのも」

絹旗 「え? カフェ店員なのに?」

ショチトル 「分かってると思うが、ここは自作菓子まではやっていない」

白井 「やる予定は?」

ショチトル 「マスター次第だ。現状では時間と設備の問題があるらしいが」

絹旗 「まあまあ、今の内から練習しておけば超役に立ちますってば」

白井 「そうですの、ゆくゆくは暖簾分けで独立もできるかもしれませんの」

ショチトル 「今はそこまで考えが及ばないが……役に立つというのは同意だな」

絹旗 「それに、お菓子作りが得意な女の子とくればお兄ちゃんも超イチコロですよ」

白井 「結標さんからお兄様を取り戻すなんてことも」

ショチトル 「……それはないな。私自身の心変わりが起きない限りは」

絹旗 「まあともかく、行きましょうよ」

白井 「そうですの。あまり遅くなってしまってもいけませんし」

ショチトル 「それもそうだな。では、行くとしよう」
470 : ◆8GNB4AEvC.[sage saga]:2012/02/25(土) 23:29:38.96 ID:RCbILTRLo

といったところで、今回はここまでです。
今気付いたけど、海原がエツァリに戻ったので
海浜通行という表記は二度と使えませんね。
ちょっと残念。

次回投下は3日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)[sage]:2012/02/25(土) 23:31:51.14 ID:1cipx4iKo
乙!
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2012/02/26(日) 00:06:23.46 ID:Pda06Hps0
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage]:2012/02/26(日) 00:08:38.44 ID:KUAVizooo
乙!!
 

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