2013年5月7日火曜日

絹旗「きぬはた荘、あふたー!」白井「あふたー?」~その6 2

476 ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:29:29.62 ID:JMEkR++Uo


~その頃 第7学区 とある病院~


麦野 「」ウトウト


<ガチャ


19090 「……ようやく、見つけました」

19090 「また掃除とゴミの廃棄をミサカに押し付け……よくも」

19090 「……」

麦野 「」ウトウト

19090 (もしやこれって、し、仕返しのチャンスなのでは?)

19090 (そ、そうですよね、いつも貧乏くじ引かされてるミサカにも、その権利は)

19090 (……あぁぁぁぁ、でもバレたときが、バレたときがすごく怖いです!)gkbr

麦野 「」スピー

19090 「……」

19090 (やりましょう、とミサカは決意を新たにします)キリッ

19090 (ちょうどここにマジックインキが一つ)スチャ
477 :8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:31:07.59 ID:JMEkR++Uo

19090 (先程まで段ボールに"可燃物"とか"業者行き"とか書いてましたからね)

19090 (さて、どうしましょう。ここは)

麦野 「」スピー

19090 (やはりスタンダードに、額に肉とでも……いえ、それはスタンダード過ぎです)

19090 (……)

19090 「」カキカキ

麦野 「んっ」ビクン

19090 「」ビクッ

麦野 「すぅ……」

19090 (お、起きたかと思いました……)ドキドキ

19090 (あと一文字で……完成です。インキは隠しておきましょう)コソコソ

麦野 「あ……?」

19090 「あっ…………みっ、み、見つけましたよ!」

麦野 「やん、見つかっちゃった」

19090 「またミサカに雑務を押し付けてあなたという人はぁ……!」プルプル

麦野 「悪かった、悪かったよ。そんな震えるほど怒らないで」

19090 (笑いを堪えているんです、とは言えません!)

麦野 「よーし、じゃ戻るとしましょうか」
478 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:33:20.55 ID:JMEkR++Uo

 :
 :
 :

麦野 「そういえば、あの悪人ヅラは? ここのところ見てないけど」

19090 「ワーストですか? もうすぐ仕事再開するかも、ってメールは来てましたよ」

麦野 「そっか。動けるようになったっつっても、手首だからな。元通りにはならなそうだけど」

19090 「なので、バイトが増えたとも言ってました」

麦野 「ふーん。じゃ、また今度売り上げに貢献しにいってやるか」

19090 「いいですね、是非行きましょう」

麦野 「アンタ、アイツが好きだもんなぁ」ニヨニヨ

19090 「しずりんも好きですよ」

麦野 「は……え?」

19090 「そ、その……しずりんの、その悪役女子プロレスラーのような気概と腕っぷしには憧れます」

麦野 「よーしよしよし、褒めてくれたお礼にパイルドライバーしてあげる」

19090 「や、やめてください! 頭から落とされたら死にます! 死にますってば!」

麦野 「ったく、私みたいなか弱い乙女捕まえて何を言うんだか」

19090 「か弱い? 脚が細い? 乙女?」キョトン

麦野 「ホント殴ってやろうかしら……待て、二つ目はなんだ」
479 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:35:10.80 ID:JMEkR++Uo

冥土帰し 「おぉ、キミたち。いいところに戻ってきたね?」

麦野 「なんかあるんですか?」

冥土帰し 「午後からの患者の問診を頼むよ」

19090 「了解しました」スチャ

麦野 「お、出たわね。伊達メガネ」

19090 「髪型を変えてメガネをかければ、お姉様に似てると気付かれにくいことに気付きました」フンス

麦野 「それだけで印象変わるもんね。失礼しまーす」コンコン ガチャ

青ピ 「あ、ども」

青麦 「「ひぃ!?」」

麦野 「って、アンタ人の顔見るなり"ひぃ!?"ってどういうことだコラ」

青ピ 「いやいや、そちらさんも言うとったやないか!」

19090 「お知り合いですか?」

麦野 「知らないわ、こんなヤツ」

青ピ 「え。僕は看護師さんのことよーく覚えてるで?」

麦野 「許可するから忘れなさい」

青ピ 「あぁもう、見た目通りにキツクールなところがたまらんなぁ」クネクネ

19090 「……そ、それで今日はどうされました?」
480 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:37:01.07 ID:JMEkR++Uo

青ピ 「あ、うん、ちょいと肩に違和感を感じてて」

麦野 「野球選手みたいなこと言うのね」

19090 「原因にお心当たりは?」

青ピ 「うーん……特にないかなぁ。敢えて言うなら、小麦粉の袋をよいしょと担ぎ上げた時にコキッって鳴ってたけど」

19090 「重かったのですか?」

青ピ 「30kgはあったんちゃう?」

麦野 「どう考えてもそれだろ」

19090 「場合によってはレントゲンでしょうか」カキカキ

麦野 「運が悪ければ折れてるかもしれないしね」

青ピ 「ええ? そないな簡単に折れるん?」

麦野 「鎖骨なんかは折れやすいから」

青ピ 「鎖骨もええね! 女の子がお風呂入ってるときに、あの窪んだところに溜まったお湯を飲ませてもらえるなら」

麦野 「ねえ、こいつ頭も診てもらった方がいいんじゃない?」

19090 「追記しておきましょう」カキカキ

青ピ 「ところで看護師サン、いっこ聞いてもええかな?」

麦野 「なに。休日の予定とか安全日とかなら聞いてもムダよ」

青ピ 「それもごっつ気になるところやけどな。おでこのそれは、なんかのおまじないなん?」

麦野 「? なんの話?」
481 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:39:10.00 ID:JMEkR++Uo

青ピ 「縦書きで"大往生"って書いてるやん。魔除けとか?」

麦野 「ふ? え?」ペタペタ

青ピ 「あ、ハンドミラーならあるで」ゴソゴソ

麦野 「スカートの中を覗くためか、このミラーマン」

青ピ 「いやいやいや、ボクは変態だけど紳士や! んなことするワケないやん! 身だしなみチェック用や!」

麦野 「どっちでもいいわ、貸して」

青ピ 「はい、どぞ」

麦野 「…………何よ、コレ」

麦野 「オイ、テメェかぁぁぁ!! って、あれ?」

青ピ 「もう一人の看護師さんなら、さっき凄い勢いで出ていったで?」

麦野 「あの命知らずには後で制裁を下すとして……なんで誰も言ってこないのよ」フキフキ

青ピ 「そういうファッションだと思ったんちゃう?」

麦野 「ねぇよ。なんかすれ違う人間がチラチラ見てくるからおかしいと思ったんだ」フキフキ

青ピ 「そりゃ看護師さんがLEVEL5級の別嬪さんやからや」

麦野 「……アンタさ、前回もそうだったけど、ナンパするなら頭使いなさい。
    そういう軽い文句が気に食わない女もいるんだからね」フキフキ

青ピ 「おぉ、やっぱ亀の甲よりなんとやら(ズビシッ)ボク患者やで……」ヒリヒリ
482 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:41:00.06 ID:JMEkR++Uo


~同日午後 第5学区 教育関係者の育成に強い大学~


滝壺 「楽しかったね」

結標 「色々驚かされたわ……貴方、先輩だったのね」

削板 「後輩だと言った覚えはないが」

結標 「さっきの会話の流れだと、新入生として説明会に来たように聞こえるじゃない」

削板 「それは言い方が悪かった。根性が足りなかったな」

滝壺 「アシスタントだったんだね」

結標 「ほとんど立ってるだけだったけどね」

滝壺 「でもあの質疑応答は面白かったよ」




 *** 回想 説明会の模様 ***


講師 「私からのお話は以上です。ご清聴ありがとうございました」

講師 「それでは本日はアシスタントとして生徒に来て頂いておりますので、質問のある方はどうぞ」

削板 (やっと出番か!)ムフ-
483 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:42:15.04 ID:JMEkR++Uo

男子 「大学生活で、あると有利なものとかありますか?」

削板 「根性だ!」

女子 「大学生活は充実してますか?」

削板 「根性にあふれているぞ!」

滝壺 「好きな人はいますか?」

削板 「は? ……あ、いやー……好きというか、パートナーのような、そういう人なら一人」


 *** 回想 ここまで ***



結標 「LEVEL5だから呼ばれたのかもしれないけど、絶対人選を間違えてると思うわ」

滝壺 「そうかな? 私はよかったと思うよ」

削板 「お褒めに頂き光栄だ!」

滝壺 「さてと、これからどうしようか」

結標 「お昼食べてないしね。何か軽く食べに行く?」

滝壺 「この辺にお店ってある?」

削板 「無くはないが、それならここの食堂を使った方が早いんじゃないか?」

結標 「え? 私たちでも使えるの?」
484 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:43:19.38 ID:JMEkR++Uo

削板 「問題なかろう。ここの関係者に違いはないからな」

滝壺 「行こう行こう」wktk

削板 「よし! 案内をしてやろう! つかまれ!」

結標 「歩けるから!」

 :
 :
 :

削板 「む、ちょっと待ってもらっていいか」

結標 「どうしたの?」

削板 「あそこに根性がないヤツがいるのでな。注入してやろうかと」

滝壺 「……あそこのベンチでぐったりしてる人?」

結標 (あら? あの人って……)

削板 「おい、そこのツンツン!」

上条 「……あ、はい、わたくしめでございましょうか」ゲッソリ

削板 「……お、おい、大丈夫か?」

上条 「いやー、少々お疲れでして」

滝壺 「何かあったの?」
485 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:44:41.17 ID:JMEkR++Uo

上条 「今日の説明会に来たのはいいけど、交通機関があの有様で……」

削板 「あぁ、まったくだ。根性がないよな」

上条 「遅れそうだったんで猛然とダッシュしまして」

削板 「水分補給はしたか?」

上条 「悲しいことに来る途中で財布をどこかに落としてしまいまして」

削板 「おい、水分補給を侮ってはいかんぞ!」

上条 「侮ってません! お金がないんです!」ウルウル

結標 「ねえ」

上条 「?」

結標 「私の顔に見覚えある?」

上条 「…………ええと、あるようなないような」

結標 (ま、そんなもんよね)

上条 「あ、あの、もしや前にご迷惑かなにか」

結標 「ううん、それはむしろ私」

上条 「?」

結標 「ね、彼もご一緒していいかな」
486 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:45:51.69 ID:JMEkR++Uo

滝壺 「私はいいよ」

削板 「構わんぞ!」

上条 「いやいや、先ほども申し上げた通りで、上条さんはお金が」

結標 (へー、上条っていうんだ)

結標 「いいわよ、一食分ぐらい出してあげるから」

上条 「さすがに見ず知らずの方にそこまでしてもらうのも」

結標 「見ず知らずじゃないの。貴方には借りがあるのよ」

上条 「……借り?」ハテ

削板 「おい、話がまとまったのなら行こうじゃないか。腹が減って死にそうだ!」

上条 「」<グギュルルルル

滝壺 「うん、行こう」

削板 「さて、今日の日替わりはなんだろうな」

滝壺 (ねえ)ヒソヒソ

結標 「ん?」

滝壺 (知ってる人?)ヒソヒソ

結標 (ずいぶん前にちょっとね。ひっそりと助けられたのよ)ヒソヒソ

上条 「ところで、みなさんはこちらの生徒で?」
487 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:48:04.86 ID:JMEkR++Uo

削板 「うむ、一年の削板軍覇だ!」

結標 「私は違うわよ」

滝壺 「私も。春から一年生」

上条 「あれ? てっきり3人とも先輩になる人なのかと」

結標 「残念ね、同学年よ」クスクス

滝壺 「私とむすじめは一浪してるから間違えられたのかもね」

上条 「あ、いや、決してそういうつもりではなく」

滝壺 「私はたきつぼ」

結標 「そういえば名前言ってなかったわね。私は結標」

上条 「上条当麻と申しますです、はい」

滝壺 「同学年だから、無理して敬語とか使わなくてもいいよ」

結標 「そうそう」

上条 「え? じゃあ、まあ、いつも通りに」

結標 「そこのそいつはセンパイだけどね」

滝壺 「そぎいたセンパイだね」

削板 「先輩として、なんでも教えてやるぞ!」フンス

結標 「あら、頼もしいわね」
488 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:49:37.84 ID:JMEkR++Uo


~その頃 第7学区 隠れ家的喫茶店(開店準備中)~


番外個体 「……冷蔵庫に飲みかけのジュースがいくつかあるんだけど、ショチトルの?」

ショチトル 「あぁ、私のだ」

番外個体 「あれ? 閉めてる間ってブレーカー落としてなかった?」

ショチトル 「」

トチトリ 「ショチトルは電化製品に弱いからな。冷蔵庫は電気で動くということを知らなかったのさ」

番外個体 「あぁ、なるほど」

ショチトル 「それぐらい知って……ない」

番外個体 「悪くなる前に飲んじゃってねー」

ショチトル (くそぅ……今に見てろ)

トチトリ 「ところでセンパイ、何か気をつけておくこととかあるか?」

ショチトル 「センパイと片仮名なのが気になるが……そうだな」チラッ

番外個体 「?」

ショチトル 「マスターは普段こそこんな感じだが、怒らせたら冗談抜きに怖いから気をつけろ」

トチトリ 「よし、そこは気をつけよう」

番外個体 「そういう話は本人がいない場でするもんだよ」
489 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:51:40.65 ID:JMEkR++Uo

トチトリ 「本人がいる前でするのもスリリングなものさ」

番外個体 「あ、うん。分かるなー、それ。醍醐味だよね」

ショチトル 「なんの醍醐味だ!?」

番外個体 「それはさておき、お二人さんよ。私から重大発表があるよ」

ショチトル 「まさか閉店とか?」

トチトリ 「だったら私はなんのためにここに来たんだ?」

番外個体 「違う違う。療養中にこそこそ準備してたんだけどさ」ガサガサ

トチトル 「「?」」

番外個体 「じゃーん☆」ジャーン

ショチトル 「服?」

トチトリ 「もしかして制服?」

番外個体 「その通り」

ショチトル 「ひどくシンプルだな」

トチトリ 「制服だからこんなものだよ。大きなお友達が集まる店なら別だろうが」

ショチトル 「? 大きなお友達?」

トチトリ 「知らないならそれでいいんだ」
490 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:52:55.49 ID:JMEkR++Uo

番外個体 「サイズは後で確認するとして、デザインに不満はある?」

トチトリ 「私は構わない、シンプルで好感が持てるね」

ショチトル 「白いブラウスに黒いスラックスか。ブラウスも黒やグレーならマスターのいつもの服装だな」ガサガサ

トチトリ 「それにしても、これまでは制服はなかったんだな」

ショチトル 「ああ、私服だった」

番外個体 「……節目だからね。用意するのもいいかと思ってさ」

ショチトル 「節目?」

番外個体 「前のマスターから私がここを引き継いで、そろそろ一年なんだよね」

トチトリ 「先代がいたのか」

番外個体 「うん、私だってもともとバイトだったんだもん」

ショチトル 「……なあ、私は先代のことをよく知らないのだが。どういったお人なんだ?」

番外個体 「そうだねぇ。口数が少なくて、渋くて、ガチムチで」

トチトリ 「……特徴的な人だな」

ショチトル 「顔は?」

番外個体 「顔? 精悍っていうのかな、ああいうタイプは」


<カランカラン♪

491 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:54:26.51 ID:JMEkR++Uo

先代 「邪魔するであるぞ」

番外個体 「あ、そうそう。ちょうどこんな感じふぇぇぇぇぇ!?」ガタッ

トチトル 「「?」」

番外個体 「マスター? なんでここに?」

ショチトル 「まさか、あれが先代の?」

トチトリ 「なるほど、言われた通りの人だな」

番外個体 「……あの、その花束と果物籠は」

先代 「怪我をしたと聞いていたので、用意してきたのであるが」

番外個体 「なんでそれを?」

先代 「電話で応対して頂いた従業員殿から」

番外個体 「まさか電話って……」

ショチトル 「あの電話は貴方だったのか」

トチトリ 「これは面白い偶然だな」

番外個体 「ま、まあ、座ってくださいよ」

先代 「うむ、失礼する。存外、元気そうで安心した」

番外個体 「明日から再開しようかってところでしたからね」

先代 「そうであったか」
492 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:55:52.85 ID:JMEkR++Uo

ショチトル (この人が初代マスター)ジー...

トチトリ (想像していたよりはいい男だな)ジー...

先代 「……何やら熱視線を感じるのであるが」

番外個体 「まあ、マスターを見るのは初めてですから」

先代 「彼女らが従業員であるか」

番外個体 「ええ」

先代 「そうか。私から言うのも差し出がましいが、これからも頑張ってほしい」

トチトル 「「は、はい」」

番外個体 「すいませんマスター、ご存知の通り今日まで休業してたんでなんも用意できないんですけど」

先代 「構わぬ、長居はしないであるからな」

ショチトル 「初代マスターは、今は何を?」

番外個体 「たしかお城で働いてるんですよね。ビデオ見ましたよ」

先代 「うむ、ウィンザー城であるな」

トチトリ (ウィンザー城……?)

先代 「時間ができたら、貴殿らも是非遊びに来てほしい」

番外個体 「行ってみたいですねぇ……ビデオで見ても、すごい綺麗でしたし」
493 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 00:58:03.17 ID:JMEkR++Uo

先代 「ときに、今は開店の打ち合わせ中であったか」

番外個体 「ええ。あ、見てくださいよ。とうとうウチでも制服を導入ですよ」ホラ

先代 「ほう……」

トチトリ 「先代の眼からみて、いかがだろう」

先代 「シンプルなのは良いが、一つアクセントがあっても良いのではないか」

ショチトル 「アクセントか……」

番外個体 「なるほど。それでオリジナリティを出す、と」

トチトリ 「それはいいかもしれないな」

番外個体 「例えば?」

先代 「それはこれから考えればよかろう」

トチトリ 「んー……何か思いつくかい、センパイ」

ショチトル 「そんなすぐには」

番外個体 「エプロンつけることを前提に考えてよね」

先代 「隠れてしまっては意味を成さない」

トチトル 「「」」ウーン

番外個体 「マスターのお土産の果物、おいしいですね」シャクシャク

先代 「奮発したであるからな」

ショチトル 「あ、ズルイ!」
494 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/18(金) 01:00:25.05 ID:JMEkR++Uo

といったところで、今回はここまでです。
あくまで幕間なので次ぐらいで終わります、多分。

次回投下は数日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/18(金) 01:02:33.76 ID:XJJ/LwBl0
おつ
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/18(金) 01:02:55.33 ID:L6TTycF/o
アクセント……ネコミミとかいいんじゃないですか!(提案)
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/18(金) 01:02:58.20 ID:X0ZooQalo
おつ
むぎのんの鎖骨は俺のな
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/18(金) 01:08:05.60 ID:cQaXIHs4o
乙! 
 
521 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 22:55:02.27 ID:kJL5krWwo


~その頃 第7学区 番外通行邸~


フレ止め 「「」」ガサガサ

一方通行 「……オイ、なンでわざわざ持ち込んでまでウチでやる必要があるンだよ」

浜面 「フレメアがなー、せっかくなら一緒にがいいって主張するもんだから」

一方通行 「チッ……」

浜面 「舌打ちとかしつつもあっさり家に招き入れる一方通行くん、マジツンデレ可愛い」

一方通行 「」ゲシッ

浜面 「イテェ!?」

一方通行 「蹴るぞ」

浜面 「蹴る前に言えよ!」

一方通行 「ったくよォ……大体なンで今日なンだよ。ンなもン前日でもいいだろォが」

浜面 「ダメだろ」

一方通行 「なンでだよ」

浜面 「そりゃお前、サイズの確認とか、セット揃ってますかとか、あるだろ」

一方通行 「……」

浜面 「入学する前日になってアレがありません、やっぱり足りませんじゃ間に合わんぜ」
522 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 22:56:25.42 ID:kJL5krWwo

一方通行 「……」ホゥ

浜面 「……え、俺なんか間違ってた?」

一方通行 「オマエ、年に一回ぐらい良いこと言うよな」

浜面 「一回!? いやいや、もっとあるでしょうよ! それに今の発言で"良いこと"レベルなの!?」

一方通行 「オマエにしちゃ上出来だ」

浜面 「お前、俺のことバカだと思ってんだろ」

一方通行 「おォ」

浜面 「チキショォォォ!」


<あ、すごい!
<ブレザーの裏地に名前の刺繍が!


浜面 「あ、そうそう。そこも間違ってないか確認しておけよ」

一方通行 「……スカート短くねェか?」

浜面 「今時の制服ならあんなもんだろうよ」

一方通行 「……」

浜面 「なんだ、心配か? 確かになー、小さい方の姐さんはあの年にしちゃ背高めだし、卒業する頃には脚もスラっと」

一方通行 「なァにガキ相手に欲情してやがンだ、浜面クンよォォォ!」カチッ

浜面 「なんでだよ褒めただけだろぉ! ちょっ、おい、危ねぇって!」
523 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 22:57:27.25 ID:kJL5krWwo

フレメア 「ね、試しに着てみていい?」

浜面 「着とけ着とけ、サイズが大体あってるか確認しとかんといかんからな」

フレメア 「大体いいって」

打ち止め 「じゃ、早速!」

一方通行 「オイ待て」

打ち止め 「え……ミサカはダメ?」

一方通行 「そォじゃねェ。山猿が見てる前で着替えるな、何されるか分からねェぞ」

浜面 「山猿って俺か!?」

一方通行 「着替えるなら自分の部屋でやれ」

打ち止め 「はーい」トテテテ

フレメア 「私も」トテテテ


<バタン


浜面 「……前から思ってんだけど、お前って過保護だよなぁ」

一方通行 「オマエが危機意識なさすぎンだよ。KYって知ってるか?」

浜面 「おお、よく言われるぜ!」ブイ

一方通行 「……そっちじゃねェよ」ハァ
524 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 22:58:30.85 ID:kJL5krWwo


~しばらくして~


一方通行 「やけに遅ェな」

浜面 「第2ボタンの交換でもしてんじゃねぇか?」

一方通行 「気が早すぎンだろ」


<カチャ


フレメア 「ねえ、浜面」ヒョコッ

浜面 「どうした」

フレメア 「大体ちょっと思ったんだけど、タイツって違反になるのかな?」

浜面 「違反? そんなんでキップ切られるわけないだろ」

一方通行 「アホ。校則のこと気にしてンだろ」

浜面 「あぁ、そっちか。派手な色とか網とかじゃなけりゃ大丈夫じゃないか?」


<大体大丈夫だって。
<心配しすぎちゃった。


浜面 「大丈夫だよな?」

一方通行 「知らねェよ」
525 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 22:59:58.69 ID:kJL5krWwo

打ち止め 「着てみた!」

フレメア 「どう? 変じゃないかな?」

浜面 「いいとは思うが、いざ通うときになったら帽子はアウトだからな」

フレメア 「えー」

打ち止め 「ね、似合う?」ヒラヒラ

一方通行 「……ま、いいンじゃねェの?」

フレメア 「シロ、大体それだけ?」

浜面 「他にあんだろ? 着慣れてない感じがいいとか、白いソックスが眩しいとか、黒タイツがセクシーだとか」

一方通行 「オマエ、本当にベランダから放り投げるぞ?」

打ち止め 「でもちょっと大きいような」

フレメア 「採寸して作ってもらったのにね」

浜面 「まだ成長する年齢だからな。そこを見越して、ちょいと大きめにしてんだろ」

打ち止め 「もっと背伸びるかな」wktk

フレメア 「出るとこ出るかな」wktk

浜面 「そこは将来に期待だろ。時間が経てば勝手に成長すると思うぜ」

一方通行 「オイお前ら。どこぞの誰かさンみたいに、図体ばっか成長して頭は成長しないなンてことのねェようにしろよ」

浜面 「どこぞの誰かさんみたいに、頭脳ばっか成長してもやしにならないようにな」

フレ止め 「「はーい」」
526 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:00:49.09 ID:kJL5krWwo


~その頃 第18学区 長点上機学園~


美琴 「はー、今日も終わった終わった!」ノビー

婚后 「終わりましたわね」

美琴 「長点上機って言ってもさ、毎日が復習ばっかで退屈よねー」

婚后 「まあ、常盤台で履修したところと範囲が被ってますから」

美琴 「しょうがないと言えばしょうがないのかもしれないけど」

婚后 「ところで、お昼休みに聞きそびれたのですが」

美琴 「何?」

婚后 「御坂さんのお弁当。あれはいったいどうして……」

美琴 「あー、それね……移動しながら話そっか」

婚后 「移動? あ、申し訳ございませんが、それは」

美琴 「?」

婚后 「この後、第7学区まで向かう用事がありますので」

美琴 「あ、ちょうどよかったじゃない」

婚后 「?」

美琴 「私もそっちに用事あるからさ」
527 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:01:55.61 ID:kJL5krWwo

婚后 「あら、奇遇ですわね」

美琴 「じゃ、とりあえずバス停まで行きましょ」

婚后 「ええ」



~バス車内~


  ブロロロロ...


美琴 「で、なんだっけ?」

婚后 「お弁当がなぜ、ご飯とエビフライだけだったのかと思いまして」

美琴 「エビフライがね……食べても食べてもなくならないのよ」

婚后 「手からエビフライを生み出す能力者でも?」

美琴 「違う違う。そういうのじゃなくてね。友達が賞品でもらってきたのよ、エビフライ一年分」

婚后 「エビフライを?」

美琴 「この間ね、大食い大会に飛び入り参戦して、そのまま優勝しちゃって。その商品がエビフライ」

婚后 「……あの、もしやその大会のお題もエビフライだったのでは」

美琴 「え? なんでわかったの?」
528 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:03:06.04 ID:kJL5krWwo

婚后 「その大会、わたくしは観客として観戦しておりましたので」

美琴 「じゃあ、婚后さんもあの会場にいたんだ。なんだ、知ってたら探してたのに」

婚后 「友人と一緒に来ておりましたし」

美琴 「へー。あ、もしかして、いつか見た絹旗さんとか?」

婚后 「えぇ、絹旗さんもおられましたわね」

美琴 「ますます探しておけばよかったなぁ。久しぶりに会うチャンスだったのに」

婚后 「チャンスなどいつでもこざいますでしょう」クスクス

美琴 「それもそっか。すぐお隣の学区にいるんだしね」

婚后 「それにしても気になるのですが」

美琴 「?」

婚后 「あの優勝した方なら、エビフライ一年分ぐらい軽く消費してしまうのでは」

美琴 「…………そう思うわよね。私もあの頃は、そう思ってた」フッ

婚后 (もしや聞いてはいけない話題だったのでしょうか……)

美琴 「ねえ、婚后さん」

婚后 「は、はい」

美琴 「まさか、食欲の権化たるあの子が"飽きた"なんて匙を投げる量が来るとは思ってなかったわ」

婚后 「それほどまで……?」
529 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:04:21.09 ID:kJL5krWwo

美琴 「私も私なりに工夫してみたの。卵でとじてみたり、カレーにのせてみたり、チョコでコーティングしたり」

婚后 「エビフライのチョコフォンデュ?」

美琴 「でも、エビフライは何してもやっぱりエビフライだった」

婚后 (なんて……物憂げで遠い目をなさるのでしょう)

美琴 「結局食べないとなくならないのよね、残ったのはその揺るぎない事実だけだったわ」

婚后 「大変ですわね」

美琴 「数が少ない伊勢エビフライはさっさと食べられちゃったし」

婚后 「伊勢エビフライ!?」

美琴 「いくら婚后さんでも伊勢エビはフライにはしないでしょ?」ケラケラ

婚后 「見たことないですわ……」

美琴 「そうだ! 婚后さんもよかったら手伝ってよ!」ゴソゴソ

婚后 「今お持ちなのですか!?」

美琴 「うん、人に押しつ……おすそ分けするために」ハイ

婚后 「冷凍でしたか……では、まあ、頂戴いたします」

美琴 「お勧めの食べ方は、タルタスソースね!」

婚后 「試してみますわね」
530 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:05:24.81 ID:kJL5krWwo


<ツギハ ダイナナガックチュウオウ


美琴 「あっ」

婚后 「着きましたわね」

美琴 「降りまーす」ポチッ



~同日 第7学区 バスターミナル~


婚后 「わたくしはここで待ち合わせですわね」

美琴 「じゃ、ここでお別れね」

婚后 「御坂さんはどちらに?」

美琴 「さっき話した二人……ええと、大学に受かったヤツとエビフライで優勝の子」

婚后 「3人で待ち合わせですか」

美琴 「うん、エビフライはもういいよって話になって、じゃ外食でもしましょうかって」

婚后 「本当に飽きておられるのですね」

美琴 「飽きるわよ、そりゃ」
531 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:06:38.94 ID:kJL5krWwo

婚后 「……もしよろしければ、この後合流する人にも渡しておきましょうか?」

美琴 「え? いいのかな」

婚后 「絹旗さんと白井さんですわよ」

美琴 「あ、じゃお裾分け、渡しといてくれる?」ハイ

婚后 「確かに預かりました」

美琴 「時間があるから、私もう行くね。二人によろしく伝えておいて」ノシ

婚后 「ええ、ごきげんよう」


<ドサッ


婚后 「あら……?」


<いたたたた……な、なんで超中途半端に上空にテレポしてるんですか!
<急かして押したりゆすったりするから座標がズレましたの!
<もっと正確にやってくださいよ、もー。
<そもそも空間移動しなければ間に合わないような時間に起きる方が問題ですの!
<ひっ、人を超寝坊したみたいに言わないでくださいよ!お昼寝してただけじゃないですか!
<寝坊であることに変わりはございません!


婚后 「こちらも到着したようですわね」クスクス
532 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:08:15.97 ID:kJL5krWwo


~その頃 第5学区 教育関係者の育成に強い大学~


削板 「食後のコーヒーは根性があるな!」

上条 「あるのか……?」

滝壺 「……みさわのお店には負ける」

結標 「だってあそこはコーヒーだけがウリなんだから」

滝壺 「店員さん目当てに行くお客さんもいるってきくよ」

結標 「お兄ちゃんが聞いたらどんな顔するかしらね」

削板 「それにしてもお前、見かけによらず小食じゃないか」

上条 「いや、身に着いた節約癖は中々落ちないっていうか」

滝壺 「今日の日替わり、おいしかったのに」

結標 「カロリー高そうだけどね」

削板 「カロリーなぞ気にしてたら根性あるモンは食えんぞ!」

上条 「日替わりはちょっと……」

滝壺 「えびふらい、苦手?」

上条 「好きか嫌いかで言ったら、好きなんだけどな」
533 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:09:35.61 ID:kJL5krWwo

削板 「ともかく腹も満たしたし、そろそろ出るとするか!」

滝壺 「そうだね、いこっか」

上条 「あのお支払いの方は」

結標 「食べる前に済ませたじゃない」

上条 「重ね重ね申し訳ない」

結標 「いいわよ、気にしないで」

上条 「これで終わりもなんだから、何か困ったことがあったら何でも言ってくれな」

結標 「……」

上条 「春からは同級生なんだしな。俺にできることならどんなことでも手を貸すぜ」

結標 「じゃあ、そのときが来たらお願いするわね」

 :
 :
 :

滝壺 「これからどうする?」

結標 「そうね……随分ゆっくりしてたけど、今何時?」

削板 「15時30分だ!」

上条 「え? わああああ!!」

滝壺 「どうしたの?」
534 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:11:39.81 ID:kJL5krWwo

上条 「いや、この後待ち合わせしてんだけど……遅刻確定だ」ガックシ

削板 「遅刻とは根性がないな。待ち合わせ場所はどこだ」

上条 「第7学区に16時でございます、はい」

結標 「今出れば十分間に合うわよ」

上条 「だから財布を落としたんだって!」

結標 「……ご、ごめん」

滝壺 「そういうことならむすじめの出番だね」フンス

結標 「ちょっとぉ!?」

削板 「お、どういうことだ?」

結標 「まあ……私、空間移動系の能力使えるから」

上条 「あー、それじゃムリだ」

滝壺 「なんで?」

上条 「俺の右手はな、異能の力を打ち消しちまうんだ。だから転移もできないんだよ」

結標 「…………ホントだ」

上条 「な?」

滝壺 「出来ないの?」

結標 「なんか分からないけど……できない」フルフル
535 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:13:23.16 ID:kJL5krWwo

削板 「……おい、ということは、だ」

上条 「?」

削板 「俺の攻撃も防げるのか!?」

上条 「攻撃の種類にもよると思うけど、できるんじゃないか?」

削板 「種類? 念動力だ!」

上条 「だったら大丈夫だと思うぜ」

滝壺 (念動力なんだ)

削板 「よし! ならば試しに手合わせでも」

結標 「待って待って! ええと、ほら、上条くんだって時間ないんだし、また今度にしたら?」

削板 「む……それもそうか」

上条 「そうだ時間!」ウワー

滝壺 「止めちゃうんだ」

結標 「絹旗さんと白井さんでも適わないようなヤツが大学の敷地内で暴れたら、面倒な騒ぎになるじゃない」

滝壺 「たしかに」フム

結標 「で、結局貴方は自分の足で移動するしかないってことね」

上条 「そうなるよなぁ」ショボン
536 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:14:38.26 ID:kJL5krWwo

削板 「つまりランニングだな! よし付き合うぞ!」

上条 「え、いや」

削板 「目的地は第7学区、ペースはそうだな……軽めで、3分1キロってところでいいか?」

滝壺 「3分で1キロって、相当のペースだよね」

結標 「時速にすると20km/h? 軽めとはいえないわね」

滝壺 「フルマラソンなら世界記録レベルだ」

上条 「上条さんとしてはですね、食べてすぐの運動は」

削板 「腹ごなしの運動というだろう!」グイグイ

上条 「アキレス健伸ばしてるってことはすごくやる気ってことですね!」

滝壺 「頑張って」

結標 「遠くから応援しておいてあげる」

上条 「不幸……なのか?」

削板 「よし、行くぞ!」

上条 「避けられない運命か……じゃ、二人とも、またいずれってことで」

滝壺 「これから世界記録に挑戦するかみじょうを応援してる」ノシ

結標 「死なない程度にね」
537 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:15:57.06 ID:kJL5krWwo


<野をー越え山越えー、夕日を目ー指ーし
<どこまで走らせるつもりでせうか!?


結標 「……私たちどうする?」

滝壺 「どうしよっか」

結標 「とりあえず第7学区まで戻るとして」

滝壺 「私たちも走るべきだった?」

結標 「やだ」

滝壺 「疲れちゃうもんね。……あっ」ピンポン

結標 「?」

滝壺 「みさわのところに行ってみる?」

結標 「え? でも明日からでしょ? 今頃準備……あ、そっか」

滝壺 「差し入れもって凸してみよう」

結標 「そうね、アイツが紹介したっていうバイトがどんな子なのかも気になるし」

滝壺 「まず何か買いに行こう」

結標 「最近鯛焼き屋できたでしょ? あそこいってみない?」

滝壺 「あの白いの? うん、いいよ」

結標 「じゃ、まずは第7学区まで戻りましょ」
538 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:17:44.21 ID:kJL5krWwo


~その頃 第7学区 隠れ家的喫茶店(準備中)~


トチトリ 「無難に行こうとすると、ネクタイかリボンだろうな」

ショチトル 「それではマスターがつけれないぞ」

トチトリ 「なぜだ?」

ショチトル 「ブラウスのボタン、いつも3つぐらいは開けてるからな」

先代 「ミサワさんは前からそのスタイルであるな」

番外個体 「いやー」

トチトリ 「ならば背中だな」

ショチトル 「背中?」

トチトリ 「エプロンをつけてもガラ空きだろう?」

ショチトル 「まあ、そうだが……」

番外個体 「背中ねぇ。"第一位上等"って縦書きででっかく刺繍してみるとか」

ショチトル 「なんの店だ?」

先代 「もっと日本らしさを前面に出して、ネオジャパネスクなデザインにしてはどうであろう」

番外個体 「ついでにアバンギャルドさもあるといいかもね」
539 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:19:15.07 ID:kJL5krWwo

ショチトル 「……もう何を言っているのか分からない」

トチトリ 「そうだな……背中にばーんと昇り竜でも刺繍するか」

番外個体 「……なるほど、それはありかもしれない」

ショチトル 「やめてくれ。違う店になってしまう」

先代 「貸すのである」

番外個体 「お、何かアイディアでも?」

先代 「デザインとは少々違うが、裏地に水の術式を施して夏でも快適に働ける服を……」

トチトリ (ウィンザー城で働いていると聞いて、もしやと思ったが)

ショチトル (この人、魔術師なんだ)

番外個体 「術式? ええと、つまり何が起こるんです?」

先代 「こちらの住人にも分かるように説明すると、常にナノミストに包まれていると思えばよい」

番外個体 「おぉ」

ショチトル 「待ってくれ。いくらこんな店でも夏場は空調を使っているから寒いぞ」

トチトリ 「おや? 今聞き捨てならない発言をしたな?」

ショチトル 「」

番外個体 「……」

ショチトル (あぁぁ、これは、これはマズイ!)
540 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:21:07.93 ID:kJL5krWwo

番外個体 「……マスターの上着についてるそれ、かっこいいですね」

先代 「これはダメである」

ショチトル (助かった……?)ダラダラ

番外個体 「ダメなんですか?」

先代 「エスカッシャンと言ってな、個人ではなく家柄に与えられる、由緒ある品である。
    いくらミサワさんでも、おいそれとは譲れない」

トチトリ (あれは紋章にも見えるが……)ヒソヒソ

ショチトル (何らかの意味は込められているだろう)ヒソヒソ

番外個体 「うーん、じゃしょうがないですね」

先代 「代わりと言ってはなんだが、夏でも快適に働ける服を」ゴソゴソ

ショチトル 「あの、それはやっぱり冷房ついてると寒そうなので」

先代 「切ればよい」

トチトリ 「客足が遠のく。こういう店は暑さ寒さから逃げるために来る客もいるからな」

先代 「確かに。なら仕方ないであるな」

番外個体 「なかなかまとまらないねぇ」

トチトリ 「こういうときはお偉いさんの意見を採用するものさ」

ショチトル 「ということは……第一位上等、か?」

番外個体 「……ゴメン。自分で言っといてなんなんだけど、それはどうかと思う」
541 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:22:51.56 ID:kJL5krWwo


~そんなこんなで~


先代 「ではこれで決まりであるな」

トチトリ 「私たちは襟元に色違いのリボンだな」

ショチトル 「私青系の色がいい」

番外個体 「ちなみにヒモみたいに細いタイプのリボンね」

先代 「主張しすぎないながらも、ワンポイントになるであるな」

トチトリ 「で、マスターは。これまた細いタイプのネクタイか」

ショチトル 「シンプルに無地、と」

先代 「これからはブラウスのボタンは上まで閉めておく必要が出たか」

番外個体 「ボタンあけてネクタイゆるめてたら、だらしないですもんね。それも私らしいかもしれませんけど」

トチトリ 「私たちと違って色は決めてないけど、黒はやめてくれよ?」

ショチトル 「縁起でもないからな」

番外個体 「無難に赤にでもしておこうか」

先代 「して、現物は用意できるのであるか」

番外個体 「これから買いに行きます」

ショチトル 「粗方準備はできている。いつでも出れるぞ」
542 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:24:34.03 ID:kJL5krWwo

先代 「ふむ、そういうことであれば私はそろそろ」

番外個体 「え、もう行っちゃうんですか?」

トチトリ 「すまないな、先代相手に大したもてなしもできず」

先代 「構わぬ。そもそも近況を聞きたかったであるからな。目的は達成された」

ショチトル 「そう言えば、元は電話だったのだな」

番外個体 「また来てくれます?」

先代 「むしろ、次はそちらが来る番である」

ショチトル 「イギリスか……行ったことないな」

トチトリ 「是非見物してみたいものだ」

番外個体 「まあ……いつかは行ってみたいですね」

先代 「学園都市の最新の航空機であれば、あっという間と聞いているが」

番外個体 「あの飛行機、あまりいい評判聞かないんですが」

先代 「手段は問わない。なんなら泳いでくればよい」

番外個体 「ムリですってば!」

トチトリ (たしかそんな術がなかったか?)ヒソヒソ

ショチトル (マスターには使えないだろう)ヒソヒソ

先代 「では失礼する、壮健にな」
543 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:26:30.55 ID:kJL5krWwo

3人 「「「お気をつけてー」」」


<カランカラン♪


番外個体 「……びっくりしたよぉ」

ショチトル 「先代を直に見たのは初めてだった」

トチトリ 「年上好きには好まれそうなタイプだな」

番外個体 「実際そうなんだろうね。さて、私たちも」


  [[携帯電話]]<テンメイニーイードミタータカウ ソレガサイゴノヤークソク♪


トチトリ 「おいおい、マナーモードにしてないのは誰だ?」

ショチトル 「す、済まない。私だ」ワタワタ

トチトリ 「これから買い物か?」

番外個体 「そうだね、さっき話した通りの」

ショチトル 「……マスター、待ってくれ。義姉さんと滝壺さんがこちらに向かってるそうだ」

番外個体 「え、マジで? じゃあ……来るのを待って、買い物に付き合ってもらっちゃおうか」

トチトリ 「義姉さん、ね……あの男のお相手か? これは一見の価値があるな」ニヨニヨ

ショチトル 「ケンカを売るようなマネはするなよ?」

トチトリ 「心得ておくさ」

番外個体 「じゃ、待ってるとしましょうか。ニート生活も今日までなんだし、せいぜいダラけとこ」
544 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/23(水) 23:30:03.89 ID:kJL5krWwo

といったところで、今回はここまでです。
幕間は今回をもって終了となります。
最近出番がない人たちが元気にやってるかをお送りするための
幕間でしたので場面転換が多かったと思いますが、ご容赦を。

書いてて思ったのですが、あわきんってもしかして幻想殺し知ってたかな。

次回からはちょいとおバカな話が始まります。ヒントは"ホワイトデー"。
次回投下は数日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/05/23(水) 23:33:26.74 ID:qzgXxUNBo
乙。今度はは寝坊しないよな…
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2012/05/23(水) 23:33:39.28 ID:Zo7WTVeoo
乙!

ちょっと浜面の目を潰してこようかな
インなんとかさんが飽きるほどのエビフライって・・・それ1年分じゃないよね絶対
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/05/23(水) 23:40:59.35 ID:gdkh1PyAO

幻想殺しの存在はあわきん知らないよ

スーパー素麺タイムでも飽きたつってたし食欲魔人インさんも飽きるのね 
 
564 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:26:18.84 ID:0pYDqzavo


  ――#11 ヲトコたちのホワイトデー戦争

565 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:27:28.04 ID:0pYDqzavo


~3月上旬 第7学区 とあるファミレス~


エツァリ 「いい天気ですねぇ」

浜面 「いや、まったくだな」

一方通行 「曇ってるぐらいで丁度いいンだよ」

浜面 「お前そんなだからいつまで経っても白いんだよ」

一方通行 「こいつ、曇りの日でも紫外線さンは遠慮しねェって知らねェだろ」

エツァリ 「女性陣ならばその手の情報には詳しいでしょうね」

浜面 「気にしたことねぇから分かんねぇな」ハハハ

エツァリ 「沖縄に行った時の女性陣の完全防備っぷりはすごかったですよ」

一方通行 「……そォなのか?」

浜面 「お前はあまり知らないだろうな。発電姉妹は普通に日焼けしてたし」

エツァリ 「学園都市製の日焼け止めというのは、どれぐらい強力なんでしょうね」

浜面 「俺も詳しくないけどな。CMとか見ると"フルコーティング"とか"肌に塗るタイプの宇宙服"とか言ってるよな」

一方通行 「宇宙服はどう考えても誇大広告だろ」

エツァリ 「JAROに連絡しなければいけませんか」
566 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:29:01.17 ID:0pYDqzavo

一方通行 「で、なンで俺たちは3人で面突き合わせる羽目になったンだ?」

浜面 「お、これお前の新作原稿? どれどれ拝見」ガサガサ

エツァリ 「もう創作物はやめて論文と参考書に絞ると聞いていましたが」

一方通行 「……」

浜面 「だってこいつ才能ねぇもん」

エツァリ 「論文と創作物では必要とされるスキルが違いますから」

一方通行 「……」ビキビキ

浜面 「なあ一方通行よ、ヒロインの登場台詞が"泣いて叫んで苦しんで、後悔しながら震えるザマを
    もっと見せてよ"なんていうのは俺は見たことないぞ」

エツァリ 「色々なヒロイン像があって良いではないですか。臓物をブチ撒けるヒロインもいるのですから」

一方通行 「俺の話を聞けェ!」ガオー

浜面 「よし、語ってくれ」

一方通行 「なンでオマエら、乱入してきやがってンだ! 俺の一人ファミレスタイムによォ!」

エツァリ 「外を歩いていたら、一方通行さんが寂しげに佇んでいるのが見えたものですから。友人として慰めようかと」

一方通行 「余計なお世話だ!」

浜面 「ここに来ればお前らのどっちかはいるかなーと思って」

一方通行 「よかったな、どっちもご在席でよォ」ヒクヒク
567 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:30:06.89 ID:0pYDqzavo

浜面 「でも丁度良かったわ。俺お前らに話があったんだよ」ガサガサ

エツァリ 「なんですか、それは」

一方通行 「遺書の添削か? しょォがねェ、引き受けてやる」

浜面 「違うわボケ! 読んでみろほれ!」バン

エツ通行 「「?」」



  【☆繚乱家政女学校主催 ヲトコのための製菓教室☆】


エツァリ 「……」ホゥ

一方通行 「……一応聞いておいてやる。なンだこれは?」

浜面 「いや、見ての通りだけど?」

エツァリ 「ホワイトデーを見越しての主催なのでしょうね」

浜面 「さすが分かってらっしゃる!」

一方通行 「……」

浜面 「俺たちさ、去年のホワイトデーで大失敗しただろ? 覚えてるよな?」

エツァリ 「忘れられませんとも。あの失敗のお蔭で、家庭内の自分のヒラエルキーは最底辺ですよ」

一方通行 「で? 今年はコレで巻き返そうってか?」ヒラヒラ
568 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:31:44.15 ID:0pYDqzavo

エツァリ 「なるほど……」フム

浜面 「まあ、それもあるんだけどよ。もう一つ」

エツァリ 「?」

浜面 「俺たちが先月もらったチョコは、全部手作りだ……まあ、一人は違うけどよ」

エツァリ 「ならばお返しも手作りにすべきと。こう言いたい訳ですね」

浜面 「その通り!」

一方通行 「……くっだらねェ」

浜面 「くだらなくないぞ。丹精こめた手作りの品ってのは素晴らしいもんだ」

一方通行 「なンでンなことが分かるンだよ」

浜面 「むしろ俺たちが一番分かってるべきだろ。先月あれだけもらったんだからよ」

エツァリ 「一理ありますね」

一方通行 「……」

浜面 「もちろん、手作り以外はアウトだなんてことは断じてない。大事なのは気の持ちようだからな」

浜面 「たださ、やっぱこう、上手く言えねぇけど、感謝の形ってのを自分で形作りたいって思わないか?」

エツァリ 「感謝、ですか」

浜面 「そうだ。いつもメシ食わせてくれて感謝、本を買うお金を出してくれて感謝、頭ナデナデしてくれて感謝ってな」

一方通行 「それオマエだけだろ」
569 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:33:34.94 ID:0pYDqzavo

エツァリ 「ですが、浜面さんの仰ることも分かりますよ。自分もお世話になってる部分の方が多いですからね」

浜面 「お前は主夫みたいなもんだからな。それに一方通行、お前もだぞ」

一方通行 「何がだよ」

浜面 「在宅ワーカーであるお前は、生活面で色々サポートしてもらってるハズだ、違うか?」

一方通行 「……否定はしねェけどな」

浜面 「だからこそ、ホワイトデーという絶好の機会に手作りの品で返礼しようって訳だ」ドン

エツァリ 「それでこの教室に参加しようと」

浜面 「悪い話じゃないだろ?」

一方通行 「俺が行って何ができるンだ。菓子なンざ作ったこともねェぞ」

浜面 「大丈夫、俺もだ!」エヘン

エツァリ 「恥ずかしながら自分もです」

一方通行 「……つってもなァ」

浜面 「何だ? やけに渋るじゃないか」

エツァリ 「自分のガラじゃないと思っているんでしょう」

浜面 「あー、たしかにな。一方通行が"プリンが焼けたぞィ"ってのは想像しづらいな」

一方通行 「分かってるンだったら」

エツァリ 「一方通行さん、貴方の手作りとなれば彼女らは」
570 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:35:17.30 ID:0pYDqzavo

浜面 「ああ、どれだけ喜んでくれるか。俺も想像できねぇな」

エツァリ 「少なくとも受け取り拒否などということはありえませんよ」

一方通行 「……そォじゃねェんだよ」

浜面 「じゃ、なんなんだよ」

一方通行 「……」

エツァリ 「何か心配事でも? 自分らでよければ聞きますよ」

一方通行 「さっきも言ったが、俺は菓子作りどころか料理もまともに作ったこともねェクズだ」

一方通行 「そんなヤツが作ったモン食って、あいつらが腹壊したらどォすンだ?」

浜面 「……なあ、なんでこいつこんなネガチブなんだ?」

エツァリ 「悪い病気ですよ」

浜面 「一方通行よ、そのための教室参加じゃないか。少なくとも食えるモンはできるはずだぜ」

エツァリ 「そうですよ。ましてや主催はあの繚乱です。間違いはないでしょう」

一方通行 「……分かったよ」

浜面 「よっしゃ、決まりだな! 申し込みは任せておいてくれ!」

一方通行 「で、何作りゃいいンだ?」

浜面 「お? そういえばそこまで書いてないな」

エツァリ 「当日のお楽しみということですね」

一方通行 (大丈夫なのかねェ……)ガシガシ
571 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:36:24.66 ID:0pYDqzavo

浜面 「あぁ、それでな。これは俺からの提案なんだけどよ」

エツァリ 「なんでしょう」

浜面 「いざその日、3月14日まで。このことは俺たちだけの秘密にしておこうぜ」

一方通行 「別にバレてやましいことでもねェだろ」

浜面 「わっかんねぇかなぁ。サプライズってヤツだよ」

エツァリ 「なるほど、良いかもしれません」

浜面 「正直言ってな、去年のこともあって俺たちのホワイトデーは期待されてないと思うんだ」

一方通行 「そこに心理的不意打ちをしかけようってか? 策士だねェ」

エツァリ 「ただ単にほいと渡すよりは効果があるかもしれませんね」

浜面 「だろ?」

一方通行 「いいンじゃねェか。あいつらがどンな顔するか見物だしな」ケケ

エツァリ (素直に驚いた顔が見たいと仰ればよいものを)

浜面 「よし、ここで話したことは他言無用ってことでよろしく」

一方通行 「あァ」

エツァリ 「了解しました」

 :
 :
 :
572 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:37:57.15 ID:0pYDqzavo

エツァリ 「さて、一方通行さんのお仕事の邪魔ですし、自分はそろそろ」

一方通行 「勝手に乱入してきて何ほざきやがる」

浜面 「あ、そうか。原稿広げてたってことはなんか作業中だったか」

エツァリ 「なので邪魔者は退散を」

一方通行 「いや、いい。三下2号のツラを見たら集中力も切れちまったし、俺も帰る」ガサガサ

浜面 「おいおい、どういう意味だよ」

一方通行 「そのまンまだよ」

浜面 「ったく。俺を妖怪かなんか間違えてんだろ、お前」

エツァリ 「まあまあ、それぐらいにして。出るとしましょうか」

一方通行 「会計はしとくから外行ってろ」

浜面 「なんか悪いな、ちょいちょい奢ってもらって」

一方通行 「奢りじゃねェ、施しだ」

浜面 「ヒドイ!」

店員 「いつもご利用頂き、ありがとうございます!」ペコリ

エツァリ 「あ、ご馳走様でした」

浜面 (いつも来てるからな、顔も覚えられてるか)

店員 「皆様の元に幸せが訪れますように!」

573 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:38:56.23 ID:0pYDqzavo


~同日夜 第7学区 浜滝邸~


滝壺 「お風呂入ってくるね」

浜面 「はいな」

フレメア 「ね、私も一緒にいい?」

滝壺 「うーん……ま、いっか」

フレメア 「じゃ準備してくる、にゃあ」トテテテ

浜面 「」ポケー

滝壺 「はまづら?」

浜面 「おお、なんじゃい」

滝壺 「? ううん、なんでもない」

フレメア 「お待たせー」トテテテ

滝壺 「じゃ入ろっか」


<バタン


浜面 「」チラッ
574 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:40:16.27 ID:0pYDqzavo

浜面 「思いがけずチャンスがやってきたぞおい!」ガサガサ

浜面 「今の内に申込み用紙を……」

浜面 「ええと、名前に……」カキカキ

浜面 「あれ? あいつって名前は……ま、一方通行でいいか」カキカキ

浜面 「あ、いけね。間違えて一方道行になっちった」


<……フレメア、それキツいんじゃない?
<えっ? そうかな? そうかな?


浜面 「ボールペンだから消せねぇな。いいか……ええと、後は」

浜面 「性別? 書かせる必要あんのか? これ」カキカキ


<やっぱり滝壺お姉ちゃんぐらいになりたい。
<こら、掴んじゃダメ。


浜面 「おし、書けた!」テッテレー

浜面 「後は封筒に詰めて……投函すれば終わりだな!」

浜面 「明日までどっかに隠しとかねぇとな。このナベの中でいいか」
575 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:41:31.76 ID:0pYDqzavo


~とある日 第7学区 番外通行邸~


一方通行 「あァ……ンなもンねェぞ?」

一方通行 「……必要になったことがねェからな」

一方通行 「そっちで用意しとけ」

一方通行 「あァ? オマエ、おい待て……切りやがった」チッ

一方通行 「当日はエプロン持参だァ……ンなフザけた話があンのかよ」

一方通行 「……待てよ。エプロンなら、あいつが職業柄いくつか持ってンだろ」

一方通行 「……」

一方通行 (だが。エプロン貸せっつって、あいつが素直に渡すか?)

一方通行 (渡すだろォな。こっちも色々と代償を払うことになりそォだが)

一方通行 (……仕方ねェ。明日朝イチで買いにでるか)ハァ


<お風呂でたよー!ってミサカはミサカは報告してみたり!
<こら待て!タオル一枚で走り回るな!


一方通行 (……そォいや、去年エプロン渡したっけなァ)
576 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:43:02.89 ID:0pYDqzavo

 :
 :
 :

打ち止め 「ねー、朝ゴハンできたよーってミサカはミサカは起こしてみたり」ガチャ

番外個体 「はーい……」フニャ

打ち止め 「あれ? あの人は?」

番外個体 「見ての通り、ここにゃおらんよ」ガシガシ

打ち止め 「あれ? あれ? あの人のお部屋にいなかったから、ワーストのお部屋だとばっかり……」

番外個体 「……は?」

打ち止め 「ワースト……シャツの襟になんかクリップでくっついてるよ、ってミサカはミサカは突っ込んでみたり」

番外個体 「え?……これ、あの人の字だ。書置き残す場所おかしいでしょ」カサッ


  どんなに遅くても11時までには戻ります。
  ドンパチやりに行く訳ではありません。
  平和的用事なので何卒ご心配なさらず。
                    3/8 5:54 一方


番外個体 「今何時?」

打ち止め 「7時、ってミサカはミサカは正確に答えてみたり」

番外個体 「なーにするつもりなんだか」ハァ
577 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:44:14.83 ID:0pYDqzavo


~とある日 第7学区 エツ標邸~


ショチトル 「……その雑誌」ジー...

結標 「読み終わったらラックに入れておくから、好きなときに読みなさい」ペラペラ

エツァリ 「あの、今よろしいですか?」

結標 「どうしたの?」パタン

エツァリ 「明日なのですが、朝から夕方まで不在の予定です」

結標 「何かあるの?」

エツァリ 「ええ、用事が少々」

結標 「そ、わかった。遅くなるようならちゃんと連絡してね」

エツァリ 「心得ています」

ショチトル 「」ジー...

結標 「あら。一日お兄ちゃんが出かけるから不機嫌?」クスクス

ショチトル 「何か隠しているな?」

エツァリ 「」ドキッ

結標 「……今のリアクションは何か怪しいわね」
578 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:45:36.10 ID:0pYDqzavo

エツァリ (まずいですね、これはまずいですね)

ショチトル 「吐け」ガシッ

エツァリ 「何もやましいことはないですよ」

ショチトル 「私の目を見て言え」

エツァリ 「ですから」

ショチトル 「何を隠しているー!」ユッサユッサ

エツァリ 「わ、ちょっと」

ショチトル 「あ、今目線を外したな」

エツァリ 「えぇ!?」

結標 「こら」ピコッ

ショチトル 「いたっ」

結標 「気持ちは分かるけど、信じて待つのも愛情表現よ」

ショチトル 「むむ」

結標 「ただ去年の今頃みたいなことやらかしたら……今度こそ許さないからね」

エツァリ 「心得ておりますとも」フカブカ
579 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:47:03.18 ID:0pYDqzavo


~そして当日 第7学区 某所~


浜面 「集まったか」

一方通行 「尾行されてねェだろォな」

エツァリ 「抜かりありません」

浜面 「よし、行くか。足取りはなるべく残したくねぇから、移動は徒歩だぞ」

エツァリ 「一方通行さん、大丈夫ですか」

一方通行 「問題ねェよ」カツンカツン

 :
 :
 :

浜面 「しかしあれだな。繚乱家政女学校か」

エツァリ 「普段は全く縁がないですね」

浜面 「なんか普段は警備がすごい厳しいらしいな」

一方通行 「一部の行き過ぎたメイドファンがなンかやらかすンだとよ」

エツァリ 「知り合いではないですよね」

一方通行 「さァねェ」

浜面 「そんな秘密の花園に入れるとなるとな。緊張しちまうな」
580 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:48:51.05 ID:0pYDqzavo

一方通行 「目的を見失うンじゃねェぞ、まいたけ」

エツァリ 「まいたけ?」

浜面 「どうやら俺のことらしい。まいたけ並の知能とか言ったんだぜ、ヒドイよな」クゥ

一方通行 「オマエが人のことをえのきだなんだ言うからだろォが」

エツァリ 「言い得て妙な表現ですね」

浜面 「ともかく、今の内に説明しておくことを説明しておくぞ」

一方通行 「なンかあンのかよ」

浜面 「つってもこれだけだ、ほれ参加券。入るときに見せるそうだ」

エツァリ 「はい、確かに」

一方通行 「そォいや参加費はねェのか?」

浜面 「」イソイソ

エツァリ 「なぜ今になって財布の中身を確認しているのですか」

一方通行 「まァ、いいけどよ。いくらでも」

浜面 「あ、そうそう、変動制なんだよ。どんだけ作るかで負担する材料費が変わるんだと」

エツァリ 「少なくとも人数分は作らなければいけませんよね」

一方通行 「一個二個じゃねェってのに」
581 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:50:36.17 ID:0pYDqzavo


~同日 繚乱家政女学校~


浜面 「あー、どこ行きゃいいんだ?」

エツァリ 「……随分と警戒されていますね」

一方通行 「あァ……下手に動かねェほうがよさそォだ」

生徒 「そこのご主人様方」コツコツ

3人 「「「?」」」

生徒 「本日はどのようなご用件でしょうか?」ニコニコ

浜面 「これに参加しに来たんですけれども」ピラッ

生徒 「……まあ、製菓教室の? ご参加頂き、ありがとうございます」ペコリ

エツァリ 「これはこれはご丁寧に」

生徒 「ではこちらを、よく見える位置にご装着ください」ハイ

一方通行 「なンだこりゃ」

浜面 「カードか?」

生徒 「そちらが、本日この学園の敷地内に立ち入ることを許可された証明となります。
    くれぐれも紛失なさらないよう、お気を付けくださいませ」

582 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:52:57.11 ID:0pYDqzavo

エツァリ 「なくしたら、再発行とかは」

生徒 「仰ってくれれば可能ですが、その、間に合わないかも……」

浜面 「間に合わない?」

生徒 「そちらのカードがないということは部外者、乃至は侵入者の扱いとなってしまいます」

一方通行 「なるほどねェ。つまり全力で排除されるって訳だ」

生徒 「排除だなんてそんな! ただ、校内を巡回している戦闘用メイド見習いの生徒により確保されて……あ、確保されます」

3人 「「「」」」

生徒 「繰り返しになりますが、そちらはくれぐれも紛失なさらないでくださいね、ご主人様」ニコニコ

浜面 「戦闘用ってのがいるのか……」

エツァリ 「護衛も仕事の内、ってことじゃないですか?」

一方通行 「護衛の範疇に収まってるのか怪しいもンだ」

生徒 「それでは会場の方にご案内させて頂きます。どうぞこちらへ」

浜面 「さーて、いよいよだな」

エツァリ 「何を作ることになるのでしょうね」

一方通行 「そォいやそれまだ分かってなかったンだよな」ハァ
583 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/05/28(月) 00:53:46.50 ID:0pYDqzavo

といったところで、今回はここまでです。
目には目を、手作りには手作りを、で教室参加となりました。
さて、ちゃんとできるでしょうか。

次回投下は数日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/28(月) 00:54:47.27 ID:s3g091l70
>>1
一方さん書置きの場所おかしいwwww
エツァリあぶないのぉ
浜面→死刑かもな
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/28(月) 01:02:04.05 ID:+gV6ecmYo


どこのサイバーダイン社製キリングメイドを育成してるんだ 
 
628 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 02:56:38.10 ID:Dsr5YnqOo


~同日 繚乱家政女学校 第一調理実習室~


生徒 「どうぞお入り下さい」

浜面 「おお」キョロキョロ

一方通行 「随分と凝った設備じゃねェか」

生徒 「設備に左右されることなく調理を遂行するスキルを身につけるため、ありとあらゆる調理設備を用意しておりますので」

エツァリ 「たしかに、キッチンの規模や設備の有無は場所によって大きく変わりますしね」

浜面 「だからか。ガスコンロとIHはともかく、中華料理屋にあるようなどでかいコンロまで置いてあるのは」

一方通行 「場所も設備も選ばないか。大したプロ意識じゃねェか」

生徒 「たとえロケーションがブルックス山脈だろうとユーコン川だろうと、ご必要とあらば食事の一つや二つは準備致しますよ」フンス

浜面 「なんでそんなサバイバルな状況に陥ってんだよ」

生徒 「それもお務めの一つですから。それでは、本日はこちらの作業場をご利用下さい」

エツァリ 「必要そうな物は一通り揃っている感じですね」

生徒 「時間になりましたら、本日担当させて頂く講師が参ります。それまではどうぞごゆるりとおくつろぎ下さい」ペコリ

浜面 「案内どうも」

一方通行 「ご苦労さン」

エツァリ (一方通行さんが労った!?)
629 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 02:58:37.75 ID:Dsr5YnqOo

浜面 「よしよし、今の内に手でも洗っておくか」

一方通行 「……なンだよ、缶コーヒーねェのか」ガチャ

エツァリ 「一方通行さん、冷蔵庫を開けるのはまだ早いかと」

浜面 「各作業台に冷蔵庫も配備って、至れり尽くせりだな」ジャブジャブ

エツァリ 「冷蔵庫といっても小型ですけどね」

一方通行 「随分念入りに洗ってるじゃねェか。何かしでかしてきたのか?」

浜面 「いや、むしろこれからだ。お前さん方も洗っとけよ」フキフキ

エツァリ 「そうですね、こういうのは清潔第一ですから」

浜面 「おい石鹸使っとけよ、えのき」ホレ

一方通行 「……お気遣いどォも、まいたけ」パシッ

エツァリ (数年前なら、ここで殴り合いが2~3回発生していそうなやり取りですね)ジャブジャブ

浜面 「しかしアレだな。結構人来てんだな」

一方通行 「メイド目当てのヤツが混じってンじゃねェだろォな」

エツァリ 「いない、と断言はできませんね」

浜面 「ま、他の人間のことそこまで気にしてもしょうがねぇだろ」

エツァリ 「そうですね、こちらはこちらの準備を進めておきましょう」ゴソゴソ

浜面 「お、エプロンか。よーし、俺も俺も」
630 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 02:59:29.38 ID:Dsr5YnqOo

一方通行 「……」

浜面 「そうだ。お前、電話で伝えたけどちゃんと持ってきたか?」

一方通行 「問題ねェよ」ガサガサ

エツ浜 「「」」ブッ

一方通行 「……ンだよ。似合わねェのは百も承知なンだよ」

浜面 「いや、そうじゃなくてな」

エツァリ 「なぜドクロ柄なのですか」

一方通行 「エプロンとしての機能に問題はねェだろ」

浜面 「まあ、本人がいいならいいけどよ」

エツァリ 「……そういえば、結標さんの愛用エプロンもこんな感じでしたね」

浜面 「お、そうなのか?」

エツァリ 「ハザードシンボルが大きくプリントされてますよ」

一方通行 「お似合いじゃねェか」ケケケ

浜面 (結標の姐さんは、何を思ってそのエプロンを選んだんだ……?)


<ガラッ

631 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 03:00:35.86 ID:Dsr5YnqOo

講師 「ビアンヴニュ! みなさんお集りねー」

眼鏡 「」コツコツ

エツァリ 「あちらが本日の……?」

浜面 「おお。見た目からは想像もつかんが、その分野ではかなり有名な人らしいぞ」

一方通行 「あァ? ンなこと言ってたか?」

浜面 「パンフに書いてあっただろ」

講師 「本日は、"繚乱家政女学校主催 ヲトコのための製菓教室"に集まってくれて感謝感謝♪
    あ、こっちのコはウチの生徒だけど、今日は助手として来てもらってるから」

眼鏡 「助手です」キリッ

講師 「さて、いいヲトコばっかりね。だからみんな分かってると思うけど」

一方通行 (なンつうか……暑苦しいヤツだな)

講師 「今日のこの教室は、熱いホワイトデーを迎えるために、このアタシ直々に企画させてもらったものなの」

浜面 (ま、そうだろうな)

講師 「本日ここで出来上がったものを、愛しの彼女に届ける! 燃え上がった二人は肌と肌をぶつけ合って」クネクネ

眼鏡 「先生、先に進めてください」ヒソヒソ

講師 「やん、ゴメンなさい。ちょっと熱くなりすぎちゃった」テヘ

眼鏡 「」ゲシッ

講師 「分かった、分かったから」
632 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 03:02:23.87 ID:Dsr5YnqOo

眼鏡 「いいですか? 普段の授業と違って、外からのお客様なんですから」ヒソヒソ

講師 「う、うん、そうね。気を取り直していきましょ」

エツァリ 「何か相談中でしょうか?」

浜面 「あれだ、今日の段取りだろ」

一方通行 「なンでそれを今更話し合うンだよ」

眼鏡 「それで先生! 今日はみんなで、いったい何を作るんですか?」

講師 「いい質問ね、助手! 今日皆さんに作ってもらうのは」コトッ

眼鏡 「先生、こちらは?」

講師 「このアタシが早起きして作ってきた見本よ。はーい、オープン☆」パカッ

眼鏡 「わー、きれーい☆」

一方通行 (……俺はこンな茶番を観るためにここに来たのか?)

講師 「コレが今日のお題、ルレ・オ・フリュイよ!」キラッ☆

浜面 「るれ……なんだって?」

エツァリ 「ルレ・オ・フリュイ、だそうです」

一方通行 「フランス語だろ……フルーツを巻いたケーキ、か?」

浜面 「お、さすが物書き」

エツァリ 「あぁ、わかりました。つまるところロールケーキですか」
633 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 03:04:02.01 ID:Dsr5YnqOo

講師 「さぁて、それでは手始めに。アタシが作ったこの見本を、皆さんに食べてもらっちゃおうかしら」

眼鏡 「そうですね。完成品の味は知っておくべきですよね」

講師 「で、アタシは皆さんをつまみ食」

眼鏡 「」ゲシッ

 :
 :
 :

エツァリ 「と、まあ、ケーキが運ばれてきた訳ですが」

浜面 「なんか見た目からして次元が違うぞ……こんな綺麗に作れるのか?」

一方通行 「キーピックマンであるオマエの器用さなら問題ねェだろォよ」

浜面 「その言い方は誤解を与えかねないからやめて」

エツァリ 「とりあえず頂いてみましょうか」カチャ

一方通行 「……甘さもこれぐらい控えめなら悪くはねェな」

エツァリ 「なんと言いますか、果物とクリームの甘さがマッチしているというか」

浜面 「なんだこりゃ! 近所のスーパーのロールケーキとはえらい違いだ!」

エツァリ 「比べるのも失礼でしょう」

講師 「食べてもらったところで、今日の手順をザックリと説明するわね。黒板に注目!」カキカキ
634 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 03:05:04.28 ID:Dsr5YnqOo

 1.生地を作る

 2.巻く


講師 「まあ、こんな感じね」

浜面 (ざっくり過ぎだろ……)

眼鏡 (見本と一緒に紅茶もお出しするべきだったかな)カチャカチャ

講師 「ところで、今の見本を食べて何か気付いたことのある人!」

講師 「……なんで誰も手あげないのよ。じゃ助手、誰か当てなさい」ムスー

眼鏡 「では……そこの白いご主人様」

一方通行 「……オイ、まさか俺か?」

浜面 「他に誰がいんだよ」

講師 「さあさ、どんな小さなことでも構わないわよ」

一方通行 「あー……甘さ控えめ?」

エツァリ 「なぜ疑問形なのですか」

一方通行 「分かるかよ、こンなの」

講師 「あらアナタ! いい線いってるじゃない。そう、クリームに乙女のヒ・ミ・ツがあるのよね」ルンルン

浜面 「クリーム? なんかあったか?」
635 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 03:06:19.97 ID:Dsr5YnqOo

講師 「じゃあ、次は……そこの三枚目!」

一方通行 「オイ、ご指名だぞ」

浜面 「おいおい。俺とは限らないだろ?」

講師 「おら、そこの金髪でくの坊! アンタよ!」

浜面 「俺かよぉぉ!」

エツァリ 「何か気付きました?」

浜面 「あー……何かねぇ……」

浜面 (お、そういえば……)

浜面 「外側が固かったよな」ウン

講師 「トレビアン! 顔に似合わず賢いじゃない!」クネクネ

浜面 (ほったらかして乾燥してそうなったのかと思ってたぜ)

講師 「今回、生地はバータ・ビスキュイと呼ばれるものを使うの。特徴の食感は食べてもらった通りね」

エツァリ 「なるほど、言われてみれば確かに」

一方通行 「ケーキなンざ普段食わねェから分かンねェよ」

講師 「さ、いよいよ始めましょうか。助手!」

眼鏡 「はい」カサッ
636 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 03:07:34.32 ID:Dsr5YnqOo

浜面 「お? こりゃなんだ」

眼鏡 「レシピです。講師からも説明はありますが、どうぞご参照くださいませ」

エツァリ 「おお、写真つきとは親切ですね」

講師 「今日はちょうど3~5人のグループばかりだし、うまく分担して頂戴ね」

眼鏡 「それでは皆様、お手元の資料、"生地作り"の項をご参照ください」

一方通行 「まず何からだ?」

エツァリ 「卵ですね。浜面さん、お願いします」

浜面 「卵だな」ガチャ

エツァリ 「前準備として、オーブンの過熱もありますね」

一方通行 「何度だ?」

エツァリ 「180℃だそうです」

一方通行 「やっておいてやる」ピッピッ

講師 「忘れがちだけど、プレートの準備もしておくようにね」

浜面 「プレートって、これでいいのか?」ゴトッ

エツァリ 「ええ、それでしょう」

一方通行 「卵は任せた」

講師 「卵は気を付けてね。黄身と白身に分けないといけないから」
637 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 03:08:32.06 ID:Dsr5YnqOo

浜面 「それってどうやんだ?」

エツァリ 「こう、卵を半分で割ってですね……こうトロトロっと」

浜面通行 「「……任せていい?」」

エツァリ 「いや、あの……結構数やらないといけないんですが」

一方通行 「片手じゃできねェし」

浜面 「俺やったらカラ入っちゃうし」

エツァリ 「……分かりました。その代り、この後の工程はお願いしますよ」

浜面 「任せとけ、予習しといてやる!」


  コンパカッ  コンパカッ  コンパカッ


講師 「あら、ここは特別順調みたいね」ルンルン

眼鏡 「最近は卵も上手く割れないご主人様が多いというのに……ご器用ですね」

エツァリ 「大したことではないですよ」

講師 「ちなみに貴方達も、ホワイトデーのお・か・え・し、なのかしら?」

浜面 「ええ、まあ」

眼鏡 「たくさん頂いてそうですものね」
638 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 03:09:55.86 ID:Dsr5YnqOo

一方通行 「さァねェ、数えてねェからな」

浜面 「ちなみに俺は9個だ」フンス

エツァリ 「自分は、ええと……8個ですかね」

浜面 「ほらほら、お前はどうなんだよ」

一方通行 「数や順位に価値があンのかよ」

講師 「そう! 大事なのはハートよね!」クネクネ

眼鏡 「でも気になります」

一方通行 「あー……数で言や7個か?」

講師 「あら意外」

眼鏡 「顔面偏差値ともらった数が綺麗に逆転してますね」

浜面 「メイドさん、見た目通りにキッツイこと言うのね」

眼鏡 「使用人たるもの、隠し事は厳禁です」キラリン

浜面 「知らない方が幸せなこともあんのよ?」

エツァリ 「さて、卵の準備は出来ましたよ」

講師 「じゃ、アタシたちは他のテーブルの進捗を見に行きましょうか」トテテテ

眼鏡 「何かありましたらお尋ねくださいね」コツコツ
639 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 03:10:57.99 ID:Dsr5YnqOo

一方通行 「で、どォすンだ?」

浜面 「手順書を見ると、それぞれまぜまぜするみたいだな」

エツァリ 「卵白でメレンゲを作るみたいですね」

浜面 「よし、そこは俺に任せろ!」

エツァリ 「真っ白になるまで混ぜてください」

浜面 「はいよぉ」カシャカシャカシャカシャカシャ

エツァリ 「ヒマそうな一方通行さんには、黄身をお願いできますか」

一方通行 「……しょォがねェ」

エツァリ 「混ぜ始めましたね。レシピによると、双方に砂糖を少々入れる、と」パッパッ

 :
 :
 :

浜面 「……おい、これであってるんだよね?」カシャカシャカシャ

エツァリ 「はい、角が立つぐらいが目安だそうです」

浜面 「中々道は長いぞぉ……一方通行は大丈夫か?」カシャカシャカシャ

一方通行 「」ウィーーン

浜面 「」
640 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 03:12:13.71 ID:Dsr5YnqOo

一方通行 「問題ねェよ。口より手動かせ」ウィーーン

浜面 「なに? それ」

エツァリ 「電動の泡立て器ですよ」

一方通行 「よし、こンなもンか?」

エツァリ 「固さは、まあこんな感じでしょうね」

浜面 「そんなもんあるなら俺に使わせろよぉぉぉ!!」

一方通行 「何ほざいてンだ。体力には自信あンだろ? 俺みたいなえのきと違ってよォ」

浜面 「根に持ってんのかよ、お前。まあ、いいからさ、その文明の利器を俺にも貸しておくれよ」

エツァリ 「一方通行さん、作業が滞ってもいけませんから」

一方通行 「さっさと済ませろ」ホイ

浜面 「このボタンか? お、おお。こりゃ便利だ!」ウィーーン

エツァリ 「一気に白くなってきましたね」

一方通行 「サボってた証拠だろ」

浜面 「だったらお前やってみろよ! 見た目より重労働なんだからな!」

一方通行 「コーヒーねェか?」

エツァリ 「残念ながら」
641 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 03:13:07.33 ID:Dsr5YnqOo


~しばらくして~


浜面 「こんなもんか。なんか髭剃りのアレみたいになっちまったが」

エツァリ 「もういいでしょう」

一方通行 「で、次は?」

エツァリ 「一方通行さんが混ぜた黄身に、浜面さんが作ったメレンゲを加えつつ混ぜるようですね」

眼鏡 「ここで一つ注意です」シュタッ

浜面 「注意?」

眼鏡 「電動の泡立て器は使わないで、泡をつぶさないように大きな動作で混ぜてくださいね」

エツァリ 「大きく、ですね。了解です」

浜面 「よし、じゃちょっとずついくぞ」

エツァリ 「いつでもどうぞ」

浜面 「ほいよ」ポイ

エツァリ 「はいはい」マゼマゼ

一方通行 (やることねェな)
642 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 03:14:06.72 ID:Dsr5YnqOo

エツァリ 「次お願いします」

浜面 「はいよ」ポイ

エツァリ 「それっぽくなってきましたね」

浜面 「これを焼けばアレになるのか? まだ分からんな」

一方通行 (そォいやオーブンどォなったかな)

浜面 「よし、これで最後だ」ポイ

エツァリ 「はいはい」マゼマゼ

一方通行 (210℃……あ、やべェ)


<足並み揃えるから、生地が出来たコたちは休憩してて頂戴ー


エツァリ 「こんなものでしょうか」

浜面 「まあ……味見してみる?」

エツァリ 「この段階で味見しても仕方ないでしょう」

浜面 「ですよね」

一方通行 (風を送り込んで……これでちっとは冷めるだろ)
643 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 03:15:58.39 ID:Dsr5YnqOo

 :
 :
 :

講師 「はい、みんな生地はできたわねー」

浜面 「ぃようし、次はいよいよ焼く段階か?」

エツァリ 「ええ、そうですね」

講師 「オーブンに入れるプレートはあるわね? そこに生地をひいていくから」

エツァリ 「オーブンは大丈夫ですよね?」

一方通行 「問題ねェ」

講師 「さて、これは今日のポイントよ。プレートに生地を流す時に」カキカキ


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講師 「こういう風に斜めにすること! そうすると、さっき食べてもらった見本みたいになるから」

浜面 「なるほど、こうやって作るのか」フム

エツァリ 「では始めるとしましょうか」
644 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 03:17:03.00 ID:Dsr5YnqOo

眼鏡 「先生、一つ忘れてます」

講師 「?」

眼鏡 「生地は焼いたら……」

講師 「あ、そうだ。生地は焼いたら膨らむから、ちょこーーっと間隔をあけるようにね!」ピッ

浜面 「さて、どうやって……」

一方通行 「コレ使うンだろォよ」

エツァリ 「クリーム絞り機ですね」

浜面 「俺やってみていい?」

エツァリ 「ええ、どうぞ」

浜面 「これに生地を詰めて、と……」

一方通行 「……なンか固くねェか?」

エツァリ 「そうなんですよ、そこが不安でして」

浜面 「焼くと固めのケーキなんだから、こんなもんじゃねぇの?」

エツァリ 「自分が心配してるのはそこではないんですよ」

浜面 「……お、なんだこれ。思ったようにのびねぇぞ、この生地」ムニュー

エツァリ 「やはり。プレートにのばしづらいですよね」

一方通行 「オイ、曲がってンぞ」

講師 (そう。コレは見た目以上に難しいのよねー)
645 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/03(日) 03:17:53.25 ID:Dsr5YnqOo

といったところで、今回はここまでです。
何作らせるか結構迷いましたが、無難なところで
フルーツロールケーキとなりました。

次回投下は1週間以内にできる限り早く。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/03(日) 03:36:39.59 ID:6AW0OM0IO
乙!

何故詳しい!?
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]:2012/06/03(日) 03:52:40.58 ID:MAI7YHuqo
バレンタインの時も思ったけど製菓関係詳しすぎだよ!
とにかく乙
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/03(日) 07:27:30.92 ID:w2I9ROcfo
結局乙って訳よ

>>1の料理スキルすごいなwwwwww 
 
690 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/21(木) 00:36:07.29 ID:4WPsBSyDo

エツァリ 「浜面さん、大丈夫ですか?」

一方通行 「生地だからな。ここで失敗したらこれ以上ないぐらいに台無しだ」

浜面 「やめて! プレッシャーかけないで! 頑張るから!」ムニュー

一方通行 「……」

エツァリ 「どうしました?」

一方通行 「プレート全体に生地を敷き詰めるンだよな?」

エツァリ 「ええ」

浜面 「ここからは長いぞ。落ち着け落ち着け……」ムニュー

一方通行 「足りるのか?」

エツァリ 「……これは、危ないかもしれません」

一方通行 「……ま、最悪端が欠けてもいいだろ」

エツァリ 「そうですね、ロールケーキなのですから。巻いてしまえば目立たないでしょう」

浜面 「あっ」

エツァリ 「え?」

一方通行 「オイ、どうした」

浜面 「絞り器、カラッポになっちまった」

エツァリ 「では足して続きを」
691 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/21(木) 00:37:19.87 ID:4WPsBSyDo

浜面 「上から詰めればいいんだよな……っておい、もう残り生地ってこれだけか?」

一方通行 「それでカンバンだ。ムダにすンじゃねェぞ」

エツァリ 「もう洗い物の必要がないってぐらいに使い切って下さい」

浜面 「元よりそのつもりだ。残すのは勿体ないからな」ムニュー

エツァリ 「ところで、これで大体何人分になるのでしょうね」

浜面 「プレートが結構デカイからな。中々のボリュームっぽいぞ」ムニュー

一方通行 「どォいう風に巻くかによっても変わるだろ。現時点じゃ分からねェよ」

浜面 「ロールケーキだろ? そりゃお前、断面図は渦巻きみたいに」グニャ

エツァリ 「わかりませんよ。某コンビニのロールケーキのように生地は外周だけかもしれません」

一方通行 「アレはうちのには大層不評だったな。食いづらいンだと」

浜面 「あ、分かるわ。がぶりと行こうと手に持ったら、柔らかくてぐんにょりってなっちゃうよな」

エツァリ 「スプーンで食べるのが正解でしょうね」

一方通行 「大体あの手のロールケーキは途中から甘ったるいクリームだけじゃねェか。何が嬉しいンだよ」

浜面 「クリーム好きにはたまらんだろうよ、そりゃ」

エツァリ 「脱線してしまいましたね。それで、これは何人分なのでしょう」

眼鏡 「何かお困りでしょうか」シュタッ

浜面 「お、ちょうどいい所に。これってさ、大体何人前になんの?」
692 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/21(木) 00:38:55.71 ID:4WPsBSyDo

眼鏡 「お一人様の配当が2cmとして、24~25人分になります」

浜面 「そんなにあんの!?」

エツァリ 「まあ、バーベキューもできそうなプレートですからね」

眼鏡 「ですがちょうどいいのでは?」

一方通行 「何がだよ」

眼鏡 「お三方がお返しをすべき相手の人数、合計でそれぐらいだったかと記憶しておりますが」

エツ浜通行 「「「」」

眼鏡 「……あの、もしかして"3人で一つ☆"とかするおつもりだったんですか?」

浜面 「いや、そうじゃねぇけどな」

エツァリ 「なんといいますか」

一方通行 「そこまで考えてねェ」

浜面 「つってもなぁ。3人それぞれで渡したって、出来上がるもんは同じだろ?」

眼鏡 「では……こうしてはいかがでしょう」


  ヒソヒソゴニョゴニョ


浜面 「なるほど。それはいいかもしれん」

エツァリ 「これならうまく差別化できそうです」
693 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/21(木) 00:40:00.31 ID:4WPsBSyDo

一方通行 「……」ウーン

眼鏡 「白いご主人様もいいですね?」

一方通行 「……わかったよ」

エツァリ 「決まりですね」


<さあ、いよいよ焼くところの説明に入るわよー


眼鏡 「あ、では私は戻ります」ペコリ

エツァリ 「ええ、どうも」

浜面 「言われてみれば、渡すのはどうするかなんて考えてなかったな」

エツァリ 「危ないですね。目的を見失うところでした」

一方通行 「だが小細工したところで結局同じなンだろ?」

浜面 「いやいや、これをやるだけでも大分違うと思うぜ?」

一方通行 「そンなもンかねェ」

エツァリ 「まあ、どの道。3人とも全く同じというのよりはベターでしょう」

浜面 「上手く被らないようにしないとな」

一方通行 「中に混入する果物を分ける、か。どれほどの効果があるのかねェ」
694 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/21(木) 00:41:08.63 ID:4WPsBSyDo

講師 「さ、それじゃ。いよいよ焼きの工程に入るわよ。オーブンの温度はみんな大丈夫ね?」

エツァリ 「大丈夫ですか?」

一方通行 「問題ねェ」

講師 「目安として10分と言っておくけど、オーブンの性能や機嫌で多少変動するからね。
    オーブンから出すタイミングは、きつね色に焼けたあたり!」

浜面 「きつね色つっても、幅があると思うが」

エツァリ 「手順書には写真もありますね。こんな具合だそうです」

浜面 「おー、こりゃたしかにきつね色だ」

一方通行 「どちらにしろ、見て判断しろってことだろ」

エツァリ 「休憩タイムかと思いましたが、目が離せませんね」

浜面 「つきっきりか、しょうがねぇやな。オーブンはいけるんだよな?」

一方通行 「さっきも言ったが問題ねェよ。なンなら入ってみるか?」

浜面 「いやいや、やめてくれよ! 俺をこんがり焼いて誰が得するってんだ!」

エツァリ 「浜面さん以外誰も得しませんよ」

浜面 「俺だって何の得もないわ。よし入れるぞ」


  【オーブン】<ガコン


講師 「みんな入れたわね? 本来ならここで別な作業をやるんだけど、焦がさないように
    今回はじっくり観察してていいわよ」パンパン
695 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/21(木) 00:42:31.89 ID:4WPsBSyDo


~その頃 第7学区 隠れ家的喫茶店~


滝壺 「……」ジー...

トチトリ 「はいよ、お待ちどうさま」カチャカチャ

滝壺 「……」ジー...

ショチトル 「またどうぞー」

滝壺 「ねえ」

番外個体 「ん?」

滝壺 「二人って、実姉妹なの?」

結標 「そう思うのもムリないわよね」

番外個体 「実際そう思ってる人もちょこちょこいるよ」

ショチトル 「え? そうなのか?」

番外個体 「"新しい店員さんはあれかい? お姉さんかい?"って何人かに聞かれたし」

滝壺 「なんて答えたの?」

番外個体 「そんな感じです」

ショチトル 「そこは明確に否定するところだろう!」プンスコ
696 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/21(木) 00:43:31.13 ID:4WPsBSyDo

番外個体 「てことは、実際のところ違うんだ?」

トチトリ 「冗談じゃないね。こんな可愛気もない小生意気な妹がいてたまるか」

ショチトル 「」カチン

ショチトル 「私だって、お前が姉だなんて想像できない」

トチトリ 「それは悪い方の意味でか?」

ショチトル 「当たり前だ」

滝壺 「いつもこんな調子なの?」

番外個体 「一日一回はね、バトっちゃうんだよね」

結標 「聞いた話だけど、小さい頃からこんな感じらしいわよ」

滝壺 「あ、幼馴染なんだ」

番外個体 「キッツイ冗談も言い合える仲ってことでしょ」

トチトリ 「まあ、お前には愛しのお兄ちゃんがいるんだからな」ニヨニヨ

ショチトル 「"愛しの"は余計だ!」ムキー

結標 「見てて思うんだけどさ、なんか貴女に似てない?」

番外個体 「え? そう?」

滝壺 「会話の端々に出るシニカルさだとかが似てるかもね」ウン

番外個体 「……私あんなんか」
697 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/21(木) 00:44:39.51 ID:4WPsBSyDo

トチトリ 「そういえば、今日はお兄ちゃんは一緒ではないんだな」

結標 「……ん? あ、私? あいつなら今日朝から出かけてるわよ?」

滝壺個体 「「あ、お兄ちゃんもなんだ」」

滝壺 「被った」

番外個体 「被ったね」

ショチトル 「と、いうことは?」

結標 「浜面くんも一方通行も朝から出かけてるってことね」

トチトリ 「いやはや、面白い偶然というのはあるものだな」

番外個体 「偶然かねぇ?」


<カランカラン♪


トチトリ 「はいはい、いらっしゃーい」コツコツ

結標 「もしかして何か企んでるのかしらね」

滝壺 「私、気になります」<○> <○>

結標 「なんで敬語?」

番外個体 「……」ウーン

トチトリ 「おい小娘、ツナトースト・ネギ抜きだそうだ」

ショチトル 「小娘っていうな」
698 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/21(木) 00:45:49.91 ID:4WPsBSyDo

番外個体 「まー、夕方まで待ってみたら? どの道、私はここ抜けれないし」

滝壺 「……」

結標 「やっぱり心配?」

滝壺 「心配というか、去年の今頃にあったこと思いだしちゃって」

番外個体 「あぁ、そんなこともあったよね。去年の今頃……ていうか」

結標 「ちょうど去年の今日よね……」

ショチトル 「できた。持っていけ」コトッ

トチトリ 「はいよ」

番外個体 「さて、どうでる?」

結標 「まだ動くのは早計よ」

滝壺 「そうだね。それに3人一緒だって決まった訳じゃない」

番外個体 「ま、待つことも必要か」

結標 「とりあえず夕方になっても連絡も、帰ってくる気配もなければ、また考えればいいでしょ」

滝壺 「大体、ここ閉まるぐらい?」

番外個体 「じゃ長丁場になるかな? ね、メニュー渡してあげて」

トチトリ 「はい、どうぞ。大量注文でも笑顔で受け付けるぞ」クスクス

結標 「ちゃっかりしてるわ」

滝壺 「でも居続けるだけも悪いから、何か頼もう」ペラペラ
699 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/21(木) 00:46:42.15 ID:4WPsBSyDo


~同日 繚乱家政女学校 第一調理実習室~


エツァリ 「……どうです?」

一方通行 「分からねェ」

浜面 「ドアの窓越しじゃイマイチ色が伝わってこんな」


 【オーブン】<ジリジリ


エツァリ 「膨らんできてるのは分かるんですけどね」

浜面 「だな。隙間空けといたのにもうくっついちまってる」

一方通行 「匂いで分からねェか?」

浜面 「いい匂いならさっきからしてるな」

エツァリ 「まだコゲてはいないようですよ」

一方通行 「コゲた匂いしてから出しても手遅れだろ」

浜面 「ちょっとオーブン開けてみるか?」

エツァリ 「大丈夫ですか? 温度が下がったりするのでは」

浜面 「ちょっと隙間から見るぐらい大丈夫だろ」
700 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/21(木) 00:47:58.39 ID:4WPsBSyDo

一方通行 「なンだったら中に入って確かめてこい」

浜面 「できるかっ」

エツァリ 「では、少し開けてみましょう」

浜面 「熱いから気を付けてな」


 【オーブン】<ガチャ


一方通行 「……オイ、これもういいだろ」

浜面 「濃いきつね色って感じだな」

エツァリ 「出しましょうか。これ以上はコゲかねません」

浜面 「これどうやって出すんだ?」

エツァリ 「これ使ってください」

浜面 「お、鍋つかみか。よし、こいつをはめて……よし、浜面いきまーす」


 【オーブン】<ガコン


浜面 「おい、どけどけぃ。熱いぞ!」

一方通行 「バカ、危ねェ!」
701 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/21(木) 00:49:11.80 ID:4WPsBSyDo

浜面 「よいしょー」ゴトッ

エツァリ 「お疲れ様です」

浜面 「で、これどうすんだ?」

一方通行 「このまま放っておくみてェだな。冷ます必要があるンだとよ」

浜面 「なるほど」

講師 「あら! いい色に焼けたわね!」

エツァリ 「わっ」ビクッ

講師 「後は冷ませばOKね。じゃ、その間にみんなこっちにいらっしゃい」チョイチョイ

一方通行 「……」

エツァリ 「……あの、浜面さんを代表して行かせますので」

浜面 「うおぉぉぉぉい!?」

講師 「なに? もしかしていけないこと考えちゃった? もー、男の子なんだから」クネクネ

眼鏡 「」ゲシッ

講師 「冷ましてる間、中に入れるフルーツを選んで頂こうと思うの」

エツァリ 「そういうことでしたか」

一方通行 「いちいち言い方が紛らわしいンだよ、こいつ」チッ

浜面 「と、とにかくそれなら全員で行くべきだな!」ウン

講師 「向こうで助手が準備をしてるハズだから、向かってあげて頂戴」
702 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/21(木) 00:50:37.11 ID:4WPsBSyDo

一方通行 「フルーツねぇ」カツンカツン

エツァリ 「ここは重要ですよ」

浜面 「平凡すぎてもつまらんし、奇抜すぎても失敗するからな」

眼鏡 「あ、いらっしゃいませ」ガサガサ

エツァリ 「おお、随分と揃えましたね」

一方通行 「多種多様が過ぎて、季節感の欠片もねェな」

浜面 「風情がないといえばそうかもしれんけどな。贅沢を言っちゃダメだ」

眼鏡 「どれでも、お好きなものを必要な分だけお持ちくださいませ」

エツァリ 「ちなみに何種類が目安でしょうか」

眼鏡 「そうですね……3種類でしょうか」

浜面 「3種類だな。よし」

一方通行 「……」ムー

眼鏡 「あの……何かお気に召さない点でもございました?」

エツァリ 「あぁ、お気になさらず。彼なりに真剣に考えてるんですよ」

浜面 「んー、あと一つをどうするか……」

エツァリ 「早いですね、もう決めたんですか」

浜面 「こういうのはフィーリングが大事だからな」
703 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/21(木) 00:52:23.94 ID:4WPsBSyDo

エツァリ 「ちなみになにを?」

浜面 「これとこれだ」ヒョイヒョイ

エツァリ 「……小玉スイカとドリアン?」

一方通行 「それはやめとけ」

浜面 「ダメか?」

眼鏡 「ダメではないですが……ええと、すごく奇抜で個性的なチョイスだと思います」

浜面 「遠回しにダメだって言ってるのは伝わったぜちくしょう!」

一方通行 「もうオマエはきのこでもいれとけよ」

浜面 「それもうフレオナントカじゃなくなっちゃうぞ!」

エツァリ 「さっきご自分で仰ってたじゃないですか。奇抜すぎても失敗する、と」

浜面 「これは奇抜だったか」ウーム

エツァリ 「奇抜かどうかはわかりませんが、とりあえずドリアンはやめましょうよ」

一方通行 「匂いがアレらしいからな」

浜面 「そうか……じゃやめたほうがいいか」

エツァリ 「しかし、こうもたくさんあると迷いますね」

一方通行 「」ヒョイ

浜面 「お、なんか決まったのか?」
704 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/21(木) 00:53:37.09 ID:4WPsBSyDo

エツァリ 「キウイですか」

一方通行 「色彩も考えれば妥当だろ」

浜面 「……お前変なところでセンスを発揮するよな」

一方通行 「ほっとけ」

眼鏡 「一つアドバイスさせて頂きますと、水分が少ない果物の方が向いてますね」

エツァリ 「スイカもアウトでしたね」

浜面 「くそ……振り出しか」

エツァリ 「水分が少ないとなると……この辺ですか」ヒョイ

浜面 「お、桃か」

エツァリ 「黄桃ですよ」

一方通行 「どォでもいいが、オマエら時間かけ過ぎるなよ?」

浜面 「分かってるっての」

エツァリ 「時間も限られていますしね」

浜面 「なあ、これなんかどうだ?」ヒョイ

眼鏡 「パイナップルですか? いいと思いますよ」

浜面 「おし、一個決まり」

エツァリ 「それぞれあと二つ、選びませんと」
705 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/06/21(木) 00:54:37.99 ID:4WPsBSyDo

といったところで今回はここまでです。
次回からケーキ作りも後半戦に入ります。

次回投下は数日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/21(木) 01:20:52.27 ID:oZjQcVgIO
乙!!腹減るなぁw
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/06/21(木) 01:21:53.93 ID:ZVpkPbFAO
乙なんだよ
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/21(木) 01:31:12.95 ID:HxxnSxXDO
>>1
明日の昼飯はコンビニスイーツにでもするかな… 
 
773 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:32:02.57 ID:pCwM9Vn+o


~しばらくして~


浜面 「よーし、うまい具合に被りなしか」


  一:キウイ、苺、ブルーベリー
  浜:パイン、オレンジ、バナナ
  エ:黄桃、アップルマンゴー、みかん


エツァリ 「ケチをつける気はありませんが、浜面さんのチョイスは黄色過ぎませんか?」

一方通行 「黄色のポジションってことだろ」

エツァリ 「あぁ、たしかに。浜面さんに色をつけるとしたら黄色でしょうね」

浜面 「なんだおい。まるで俺が表向きは喫茶店だけど地下にアジトがある店でカレーばっか食ってるみたいじゃないか」

エツァリ 「ミサワさんのところにアジトがあるとは驚きです」

一方通行 「アジトはねェし、メニューにカレーもねェよ」

浜面 「なんか小腹が空いた時向けにちょっとしたメシがあってもいいと思うのだが」

エツァリ 「そういえば、お米を使ったメニューはありませんね」

一方通行 「あの店に米が炊ける匂いは似合わねェだろ」

浜面 「俺はあの匂い大好きだが、確かに時と場合っつうのはあるよな」
774 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:33:07.77 ID:pCwM9Vn+o

講師 「さ、みんな厳選したわね? それじゃそろそろ次のステップに入るわよ」

一方通行 「次ってなンだ?」

エツァリ 「手順書によると……次はクリームを作るようですよ」

浜面 「クリームってどうやって作んだ?」

エツァリ 「さすがに一からではなく、ホイップクリームを使うとか」

一方通行 「お手軽で結構じゃねェか」

浜面 「そういや、生クリームの作り方なんか聞いたこともねぇや」

講師 「はい、注目! 次はクリームを用意するのだけれど、ちょっと補足するわね。
    生クリームは混ぜ加減で固さを調節するの」

講師 「ここで問題。さっき食べてもらった見本のクリームはどうだったかしら? はい、そこのアナタ!」


<ええと、どうだった?
<すごく……固かったです


講師 「んー、トレビアン! 今回は固め、八分立てから九分立てぐらいに仕上げてもらうわね」

浜面 「八分立て? ってつまりどんぐらいだ?」

一方通行 「俺が知る訳ねェだろ」

エツァリ 「持ち上げたらツノができるぐらい、とありますが画像はないですね」

浜面 「まあ、とにかく固めってことだろ」
775 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:34:08.28 ID:pCwM9Vn+o

講師 「ちなみにクリームはデリケートだから注意して頂戴。混ぜすぎても失敗するし、
    うっかり温度が高くなっても失敗するから」

エツァリ 「失敗は許されませんか。緊張しますね」

浜面 「さっきの生地もそうだが、一発ゲームオーバーの場面が多くないか?
    ハズレ選択肢を選んだらバッドエンドの小説みたいだな」

一方通行 (最近の小説には選択肢があンのか)

エツァリ 「とにかく始めましょう。まず、氷を出してもらえますか」

一方通行 「」カチッ

浜面 「待て待て待て! 何するつもりだ! 氷ぐらい冷凍庫に入ってるだろ!」

一方通行 「……それもそうか」カチッ

浜面 「ベクトルをどうすれば氷が出てくるんだよ……お?」ガチャ

エツァリ 「どうしました?」

浜面 「冷蔵庫に白いのっぺりしたのが入ってるけど、これなんだ?」

一方通行 「クリームじゃねェのか?」

浜面 「クリームのような、そうじゃないような……」

エツァリ 「用意されてるということは出番があるということでしょう」

一方通行 「だったら追求することもねェか」

浜面 「ま、それもそうか。今はとりあえずクリームを仕上げにゃならんか」
776 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:35:31.77 ID:pCwM9Vn+o

一方通行 「氷をどう使うンだ?」

エツァリ 「ホイップクリームを冷やしながら混ぜるそうですよ」

浜面 「てことは、さっきの文明の利器の出番か?」

眼鏡 「だめー!」ドン


<ドサーン


エツァリ 「ダメなんですか?」

眼鏡 「ハンドミキサーを使えば当然早くできますが、今回に関して言えば手でやったほうがいいです」

一方通行 「なンでだ?」

眼鏡 「手で混ぜたほうが空気を含ませやすく、より滑らかなクリームになります。それに、固さの調整もしやすいです」

エツァリ 「なるほど。ですが、時間がかかるのでは」

眼鏡 「そのための氷です。冷やしながらやればそれほど時間は要しません」

一方通行 「……手でやった方がいいだろ。混ぜすぎても失敗するっつってたしな」

エツァリ 「そうですね、細かな調整が必要なら手作業に勝るものはないでしょう」

一方通行 「幸い、そォいうのが得意そうなのもいるしよ」

浜面 「あいててて」

一方通行 「オイ、出番だぞ」
777 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:36:45.60 ID:pCwM9Vn+o

浜面 「おいおい、あの子"だめー"って可愛い声だしながらドロップキックしてきたぞ!」

一方通行 「気のせいだろ」

エツァリ 「そうですよ」

浜面 「気のせいの割には骨盤が痛いのだが……」

エツァリ 「それより、準備をしましょう。一方通行さん、ボウルを二つお願いします」

一方通行 「はいよ」ガチャガチャ

浜面 「二つも使うのか?」

エツァリ 「大きい方に氷を入れてですね」ザラザラ

浜面 「そこに小さいほうを乗せて使うって訳か」

一方通行 「よし、オマエの出番だ。コレ使え」

浜面 「泡立て器か? 電動じゃないんだね」

エツァリ 「今回はこちらです」

一方通行 「混ぜ過ぎンなよ。ここで失敗したら台無しだからな」

浜面 「それ生地のときも言われたぞおい!」

エツァリ 「ではクリームを入れますね」

浜面 「よし、始めるか」カシュカシュカシュ

一方通行 「……」

エツァリ 「どうしました?」
778 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:37:56.81 ID:pCwM9Vn+o

一方通行 「説明書見ると、混ぜながら砂糖入れるって書いてあンぞ」

浜面 「まあ、入れないと甘くならないわな」

エツァリ 「では適当に……こんなものでしょうか」ザラザラ

一方通行 「入れ過ぎじゃねェか?」

エツァリ 「大丈夫ですよ」

浜面 「つか、基本的に目分量だよな、俺ら」カシュカシュ

 :
 :
 :

浜面 「……なんかさ、手応えっていうか抵抗っていうか、固くなってきたぞ」

一方通行 「一旦止めろ」

エツァリ 「どんな感じです?」

浜面 「垂らしてみると……」ポテッポテッ

エツァリ 「おお、形が残るぐらい固いですね」

一方通行 「八分から九分立てつってたな。こンなもンか?」

浜面 「分からん」

エツァリ 「聞いてみましょうか」キョロキョロ

講師 「あら、お困り?」ルンルン
779 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:38:59.64 ID:pCwM9Vn+o

浜面 「九分立てってのはこんなもんですかね?」

講師 「ちょっといいかしら……まだ足りないわね。これだと七分ってところよ」

一方通行 「まだあンのかよ」

講師 「泡立て器を持ち上げて、みょーんってツノができるぐらいが目安ね」

エツァリ 「ツノになります?」

浜面 「……そこまでは持ちあがらないな」ポテッ

講師 「ここまでくればもう一息だから、頑張りなさい!」ナデナデ

浜面 「」ゾワッ

一方通行 「オイ、手が止まってンぞ」

エツァリ 「動きを止めると、不必要に固まってしまいますよ」

浜面 「ああ、悪い悪い」カシュカシュ



~しばらくして~


浜面 「おい、どうだこれ」ミュニー

エツァリ 「ツノが立ちましたね」

一方通行 「氷から離したほうがいいだろ。冷えても固まるぞ」

浜面 「それもそうだな。こっちに置いとくか」
780 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:40:18.74 ID:pCwM9Vn+o

一方通行 「で、次は?」

エツァリ 「まあ、待機でしょうね」

浜面 「要所要所で足並み揃えてるからな」ペロ

一方通行 「オマエ何やってンだよ」

浜面 「いや、泡立て器に残留したクリームをだな、味見を」

エツァリ 「せめて指に掬ってからやってくださいよ」

浜面 「お? これは……甘さ控えめだな」

エツァリ 「砂糖が足りませんでしたか?」

一方通行 「甘ったるいよりはいいだろ」

浜面 「そういえばお前、試食のときも甘さ控えめって言ってたよな」

エツァリ 「果物と合わせるなら、それぐらいがいいのかもしれませんね」


<はーい、ちゅーもーく!


浜面 「おっ」

エツァリ 「先に進むようですね」

一方通行 「ようやくか」
781 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:41:37.72 ID:pCwM9Vn+o

講師 「さて、ここまででクリームはできたわね」

講師 「でもクリームはこれで完成じゃないのよね」ノンノン

浜面 「おい、なんか忘れてたか?」

エツァリ 「ここまでは手順通りですが」

講師 「さっき言った通り、乙女のヒミツがあるのよ。
    冷蔵庫にヨーグルトがあるわね。まずそれを出して頂戴」

一方通行 「ンなもンあったか?」

浜面 「……あ、さっきのアレがそうか!」ガチャ

エツァリ 「この伸し餅みたいなのがそうですか」

講師 「そのヨーグルトは、クリームに混ぜるために予め水分を抜いておいた特別仕様よ!」ビシィ

講師 「じゃ、始めましょう。生クリームを混ぜつつ、そのヨーグルトを投入して」

一方通行 「なるほどな、かすかにあった酸味はこれか」

浜面 「酸味なんてあったか?」

エツァリ 「ありましたが、果物によるものだと思い込んでましたよ」

浜面 「でもこれは生クリームっつうかヨーグルトクリームだよな?」

一方通行 「別にどっちでもいいだろ」
782 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:42:49.77 ID:pCwM9Vn+o

講師 「混ぜすぎないようにお願いね。あくまでも馴染ませるぐらいでいいから」

浜面 「もう見た目にゃ分かんねぇな」マゼマゼ

一方通行 「味見でもしてみたらどォだ」

エツァリ 「いいですね、味見は重要ですよ。するとしないとで後々大きな差になることが多々あります」

浜面 「よーし、では肥えた舌(笑)をお持ちの一方通行さんに味見して頂こうじゃないの」

一方通行 「オイ待て。なンで(笑)をつけやがった。……あァ、いい。貸してみろ」

エツァリ 「ちゃんとスプーンを使うあたり、どこかの誰かさんとの違いが見て取れますね」

浜面 「ほっとけ。俺の味見はワイルドなんだよ」

一方通行 「」パク

エツァリ 「いかがです? 風味だとか甘味だとか」

一方通行 「……ま、こンなもンだろ。さっきの見本と比べると若干酸味が強いがな」

浜面 「ヨーグルトいれすぎたか?」

一方通行 「食ってみりゃいいだろ」

エツァリ 「そうですね。では失礼して」

浜ァリ 「「」」パク

一方通行 「どォだ?」
783 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:43:52.17 ID:pCwM9Vn+o

浜面 「なんというか、生クリームとヨーグルトを混ぜたみたいな味だな」

エツァリ 「何を今更なことを」

浜面 「口に入れた瞬間、広がる……ええと、うまいぜ」

一方通行 「オマエの語彙がどこまでも貧相だってことはよく分かった」

エツァリ 「まあ、これなら許容範囲だと思いますが。どうです?」

浜面 「俺的にはアリだな」

一方通行 「甘ったるいよりはいいだろ」

エツァリ 「ではクリームはこれで完成ということで」

浜面 「いよいよ大詰めだな。次はなんだ?」

一方通行 「消去法で考えりゃコレだろォな」ヒョイ

エツァリ 「フルーツの加工ですね」

眼鏡 「先生、そろそろ次に」

講師 「あ、いいかしら。じゃ、クリームができた班は冷蔵庫に入れといてねー。次に作業に入るわよー」パンパン

浜面 「冷蔵庫だってよ。入れとくぜ」ガチャ

講師 「次は主役のフルーツね。準備はいい? 各テーブルにフルーツナイフがあるから、それを準備して頂戴。
    ちっこくても刃物だから、扱いには気をつけてね」
784 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:45:19.26 ID:pCwM9Vn+o

エツァリ 「これですね。はい、どうぞ」

浜面 「なんだこりゃ。投げナイフ用ナイフか?」

一方通行 「暗器だろ」

エツァリ 「いえ、フルーツナイフですから」

講師 「必要であれば皮向いてタネを取って。一口サイズに切り揃えてね」

浜面 「そういやお前、片手で作業できるのか?」

一方通行 「……コレばっかりはこうするしかねェな」カチッ

浜面 「お、能力使用モード」

エツァリ 「そのほうが危なくなくていいですね」

浜面 「なあ、ちょっと待ってくれ。このナイフでこやつは切れるのか?」つ【パイン】

一方通行 「ムリだろォな」

エツァリ 「頭突きで割ってみては?」

浜面 「俺の頭の方が先に割れるわ」

講師 「あらあら。これは厄介なのを選んじゃったわね」

一方通行 「手に余るそォだ」ヤレヤレ

講師 「困難と分かってて困難に挑むなんてステキじゃない。さすがチョコの数一位だけあるわね」

浜面 「いや、まあ……ははは」
785 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:47:09.92 ID:pCwM9Vn+o

講師 「とはいえ、このまま留まってても全体の進捗に影響するからね。貸してごらんなさい」

エツァリ 「いいのですか? 今日の趣旨に反するのでは?」

講師 「パイナップルは専用のスライサーの方が加工しやすいのよ。それを用意しなかったのはアタシの落ち度だから」

浜面 「そういうことなら頼ませてもらうかな。正直、俺の手には余るし」

一方通行 「だったらなンで選びやがった。見通しが甘いンだよ」

講師 「それじゃ行くわよ。次からは自分でやれるように、技を見て盗みなさい」ガシッ

エツァリ 「掴んだ? あの、包丁ならこちらに」

講師 「ぬん!」ゴリュッ

エツ浜通行 「「「」」」

講師 「とまあ、後はこうやって引っ張れば芯がとれるから」

浜面 「な、なあ、今どうやったんだ?」

一方通行 「力任せに引っこ抜いたようにしか見えねェけどな」

エツァリ 「これも名人の技なのでしょうね」

浜面 「そうか、単なる力技に見せかけて実はすごいテクニカル……なのか?」

講師 「じゃ、後は自分でやんなさい。皮剥がして取り残した芯を取れば食べれる形になるから」

浜面 「あ、ああ、ありがとうございました」
786 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:48:58.59 ID:pCwM9Vn+o

エツァリ 「浜面さん、芯と皮ですからね」

一方通行 「オマエの基準で芯と皮を取ったら、後には何も残らねェかもな」

エツァリ 「それはいつぞや結標さんがタマネギでやってましたよ」ハハハ

一方通行 「誰とは言わねェが、触ったこともないタケノコでそれをやらかしたヤツがうちにいるな」

エツァリ 「皮むいたら食べる部分なくなっちゃった、って言われませんでした?」

一方通行 「言われた」

浜面 「だ、大丈夫だろ、多分。酢豚に入ってるアレみたいな感じに切ればいいんだろ?」

一方通行 「俺は認めねェぞ!」

エツァリ 「一方通行さん。酢豚にパインの是非は置いといて、自分たちも作業に入りませんと」

一方通行 「もォやってる」ショリショリ

浜面 「おい、ピーラーは反則だろ」

一方通行 「アイテムは有効活用してこそだろォが」

エツァリ 「……考えてみたら一方通行さんのチョイスは加工の手間が少ないですね」

浜面 「皮むく必要があるのはキウイだけか。さては狙ったな?」

一方通行 「偶然だろ」ショリショリ
787 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:51:04.31 ID:pCwM9Vn+o

浜面 「なんかヒゲ剃ってるみたいな音だな」ザクザク

エツァリ 「毛が生えてますからね、実際」

一方通行 「よし、次」

エツァリ 「順調ですね」

浜面 「順調なのはお前らだけだ、くそ。硬いぞ、これ」ザクザク

一方通行 「」ダンッ

エツ面 「「!?」」

浜面 「なした? 今」

一方通行 「あァ? 一口サイズに切ってるだけだぞ?」

エツァリ 「……あの、一方通行さん。そんな天高く掲げたナイフを真っ直ぐに振り下ろさなくても切れますから」

浜面 (なんか怒らせたのかと思ったわ)

一方通行 「普段使わねェから、どォにも力加減がわからねェンだよ」チッ

エツァリ 「左手でこう抑えつつですね、ナイフをあてて、スッと引く感じに」

一方通行 「」ストン

エツァリ 「いい感じですね。そうやって切っていってください」

一方通行 「あ、あァ」

浜面 (なんだこの光景)
788 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:52:32.97 ID:pCwM9Vn+o

 :
 :
 :

浜面 「よし、どうにかなったな」

エツァリ 「刃物を使う作業でしたが、怪我人が出なくてよかったですよ」

一方通行 「大袈裟だろ」

浜面 「一番危なっかしかったのはお前なんだけどな」プクク

一方通行 「よーし、わかった。これから浜面クンも切り分けてロールケーキにブチこんでやる」

浜面 「やめとけやめとけ。金もらっても食いたくねぇだろ、そんなもん」

エツァリ 「自分で言いますか」

講師 「さー、注目! いよいよ仕上げに入るわよ!」

浜面 「お? 呼ん 「でませんからね」

一方通行 「オマエはそれ何回繰り返せば気が済むンだ」ハァ

講師 「ブツは揃ったから、生地にクリームを塗ってフルーツを置いて巻き巻きする作業ね。ここが大事だから、しっかりね」

一方通行 「いよいよか」

エツァリ 「集大成といったところですか」

浜面 「……なあ、改めて思ったんだが、この大きさの生地をうまく巻けるのか?」

一方通行 「切りゃいいだろ」
789 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:53:51.49 ID:pCwM9Vn+o

エツァリ 「そうですね、3人それぞれでやればいいでしょう」

浜面 「なるほど、それならなんとかなりそうだな」

一方通行 「分かってると思うが、3等分じゃねェからな」

浜面 「あ、言われてみりゃそうか」

エツァリ 「先程のお話ですと、一人の配分は2cmということでしたね。つまり」


  浜:18cm
  エ:16cm
  一:14cm


エツァリ「ということになります」

浜面 「つまり比率で表すと1:……あー」

一方通行 「無理して難しいこと言わなくていいぞ」

エツァリ 「用意された調理器具の中にメジャーがありましたので、正確に測れますね」

浜面 「それ調理器具か?」

一方通行 「こォいう場面を想定してたンだろ」

エツァリ 「ここからここまで浜面さんの分ですよ」

浜面 「よーし、じゃ切り分けるとするか」チャキッ
790 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/08(日) 01:54:26.97 ID:pCwM9Vn+o

といったところで、今回はここまでです。
すっかり言い忘れてましたが、講師さんは逆裁3の本土坊シェフか、
乃至は時オカの大工さんを想像してください。>>1のイメージは丁度あんな感じです。

次回なるべく早く来れるようにします。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/08(日) 02:05:40.60 ID:wA96rqKa0
待ってた! >>1乙!
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/07/08(日) 02:20:30.67 ID:c+1Yoi3M0
乙!
もう大丈夫なんかいな
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 02:22:39.87 ID:PIdwkRnNo

814 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/13(金) 23:58:28.84 ID:2jkdwQLTo

一方通行 「せいぜい曲がらねェようにな」

浜面 「こういうのはな、アレと同じで迷いなくシュッとやったほうがいいんだよ」

エツァリ 「アレ?」

浜面 「学校の校庭に白線ひくやつ。ほら、なんかタイヤついてる箱に石灰を入れて引っ張っただろ?」

一方通行 「?」

エツァリ 「?」

浜面 「……あー、うん。ともかく切っちまうな」キコキコ

エツァリ 「おや、思ったよりやわらかそうですね」

一方通行 「最初に食った奴はもうちっと固かったと思うが」

浜面 「そうなんだよな。妙にふわふわしてるな」

エツァリ 「なにかしくじりましたか」

浜面 「別に食えなくはないだろ?」

一方通行 「そりゃそうだけどな」

エツァリ 「……あれ? これ裏側じゃないですか?」

浜面 「え? あ、ホントだ。そりゃやわらかいわな」

一方通行 「裏返したか?」

エツァリ 「さあ。どうなんです?」
815 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/13(金) 23:59:19.13 ID:2jkdwQLTo

浜面 「いや、俺は触ってないぞ。裏返るタイミングなんてどこにもないだろ」

エツァリ 「ならばどうして」

一方通行 「……オマエ、オーブンから出した後はどォした」

浜面 「え? そりゃお前、こっちに持ってきてだな。その後に紙をしいて」

エツァリ 「……あぁ」

浜面 「プレートを裏返して、生地をぽすんと置いた訳だ」

一方通行 「そンときだ、そンとき」

エツァリ 「そこで裏返った訳ですね。でも、いつの間にそんなことを」

浜面 「いや、熱々に型に入れっぱなしでも冷めねぇよなと思って」

一方通行 「やったなら言えよ」

浜面 「こりゃ失礼」

エツァリ 「ちなみに、今切り分けたところを裏返すと」

浜面 「……お、こっちはそれなりに固いぜ」

一方通行 「あァ、さっきの見本もこれぐらいだったな」グイグイ

エツァリ 「これならいい具合でしょう」グイグイ

浜面 「おいバカやめろ! これは俺の分だぞ!」
816 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/14(土) 00:00:17.31 ID:xdu0iukyo

エツァリ 「謎が解けたところで続けましょうか。ここまで一方通行さんの分です」

浜面 「じゃ、さくさく切っちまうか」キコキコ

一方通行 「……オイ、曲げンなよ」

浜面 「大丈夫だっての」キコキコ

エツァリ 「さて、クリームも出しておきましょうか」ガチャ

浜面 「いよーし、できたぞ」

一方通行 「……オイ」

エツァリ 「ではクリームを」

一方通行 「オイ!」

浜面 「なんだ、トイレか?」

一方通行 「オマエ、俺の分の生地が微妙に平行四辺形になってるのはどォいうことだ!」

浜面 「あ、ちょっっっっとだけ斜めっちゃったな」テヘ

エツァリ 「よく見てようやく気付くレベルですよ」

一方通行 「……」ヒクヒク

エツァリ 「まあまあ。巻いてしまえば分りませんよ」

浜面 「それにほれ、オマエの分って3つに切り分けたした真ん中だろ?
    それが平行四辺形ってことは、両側は台形ってことだ。イーブンだろ?」

一方通行 「……そのドヤ顔は心底ムカつくが、まあよしとしといてやる」
817 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/14(土) 00:01:20.79 ID:xdu0iukyo

浜面 「じゃ、いよいよここにクリームを乗せるわけだな」

エツァリ 「これ使ってください、ヘラです」ハイ

一方通行 「2号、そっち表だぞ」

浜面 「おお、やべぇ。そういえばさっき生地ひっくり返したんだったな」

エツァリ 「手順書によりますと、手前は厚めにクリームを塗るそうですよ」

浜面 「そりゃなんでだ?」ヌリヌリ

一方通行 「手前から巻いていけば、手前側が中心にくるからだろ」

浜面 「……お前はさてはロールケーキ作ったことあるだろ?」ヌリヌリ

一方通行 「ちと考えりゃ分かることだ」ハァ

浜面 「よし、手前が厚めだな」ヌリヌリ

エツァリ 「自分らの分のクリームは残しておいてくださいよ」

浜面 「分かってるって。……こんなもんか?」

一方通行 「もうちっと均等にできねェのかよ」

エツァリ 「上出来でしょう」

浜面 「で、次はフルーツだよな? なんか乗せる順序とかあんのか?」

一方通行 「ねェ」

エツァリ 「ええ、お好みでよさそうです」
818 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/14(土) 00:02:14.98 ID:xdu0iukyo

浜面 「じゃ、フィーリングでじゃんじゃん乗せちゃうぞ」

一方通行 「お好みつっても、巻けないと本末転倒だろ?」

エツァリ 「適度に程々が一番ですね」

浜面 「とはいっても、隙間ができるのもアレだからな」

一方通行 「敷き詰める感じだろォな」

浜面 「更に果物は3種類あるから、均等に並べないとな」

エツァリ 「手伝いましょうか」ヒョイヒョイ

一方通行 「ちと偏ってンだろ」ヒョイヒョイ

浜面 「おい。待て。待て待て」

エツァリ 「お、一方通行さん。ですね」ヒョイヒョイ

一方通行 「巻いちまえば分からねェけどな」ヒョイヒョイ

エツァリ 「一流は見えないところにも気を使うものですよ」ヒョイヒョイ

浜面 「おい、もういいから! ちょっと落ち着こう!」

エツァリ 「まだ浜面さんの果肉はありますが」

浜面 「俺の果肉って言うな!」

一方通行 「ま、こンなもンだろォな」
819 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/14(土) 00:03:11.88 ID:xdu0iukyo

エツァリ 「では巻きましょうか」

浜面 「いよいよか。始めるぞ」

一方通行 「手順書を見ると、巻き寿司を作る要領で、って書いてあるな」

エツァリ 「巻き寿司ですか。作ったことあります?」

浜面 「それなら大丈夫だ。ついこの間、家で手巻き寿司をな」

一方通行 「それ違ェだろ」

浜面 「ともかく手前から巻いていけばいいんだよな?」

エツァリ 「ええ」

一方通行 「せいぜい崩れねェようにしとけ」

浜面 「こうちょっと持ち上げて……くるくる、っと」

エツァリ 「前から思ってるんですが、浜面さんって見かけによらず器用な面がありますよね」

一方通行 「特技は鍵破りだからな」

浜面 「それ昔の話だから! 今は真っ当だから!」クルクル

エツァリ 「浜面さん、集中ですよ」

一方通行 「手元が狂うぞ?」

浜面 「だったら話しかけんな!」クルクル
820 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/14(土) 00:04:12.02 ID:xdu0iukyo

一方通行 「」

エツァリ 「」

浜面 「……無言で凝視されるつうのもやりづらいもんだな」クルクル

エツァリ 「無言の圧力なら滝壺さんで慣れているでしょう」

浜面 「ノーコメント。よし、できたぞ! どうだこれ!」ドドン


  @ ←ロールケーキ


浜面 「で、これどうすんだ? 冷やせばいいのか?」

エツァリ 「そのままにしておくそうです。クリームを落ち着かせるためだとか」

一方通行 「今下手に動かしたら形が崩れるだろォな」

浜面 「だったらここから俺の領地な、立入禁止だからな……って、お前ら何してたんだ?」

エツァリ 「つい浜面さんのロールケーキ捌きに見とれてしまいました」

一方通行 「遅れちまったな。俺たちもさっさと始めるか」

浜面 「あれ? これじゃ俺が人柱みたいじゃないの!」

エツァリ 「一番槍ともいいます」

浜面 「そう言われるとなんかかっこいいな」
821 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/14(土) 00:05:11.00 ID:xdu0iukyo

一方通行 「まずクリームだったか」

エツァリ 「手前が厚めですからね」

一方通行 「わかってる」

浜面 「クリームは思ったより固いぞ。辛かったら手伝うからな」

一方通行 「俺をどンだけ非力だと思ってンだよ」

エツァリ 「使い終わったら貸して頂けますか」

一方通行 「……こりゃ余るな」

エツァリ 「思ったより多かったですね」

浜面 「あ、そうなの? なんだ、じゃもっと使っときゃよかったぜ」

エツァリ 「果物も残りそうなんですよね」

一方通行 「生地は余らねェよな」

エツァリ 「ええ。ですので余った材料でもう一つとはいきません」

浜面 「なんかうまく活用できんもんかね」

一方通行 (やっぱり生地が平行四辺形じゃねェか、クソ)クルクル

 :
 :
 :
822 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/14(土) 00:06:20.66 ID:xdu0iukyo


   @ @ @ ←ロールケーキ


エツァリ 「完成です」フゥ

浜面 「終わった終わった」

一方通行 「洗い物があるだろォが」ベシベシ

浜面 「痛ぇ!? 痛えから杖で叩くな! お前は鬼姑か!」

エツァリ 「とはいえ、まず中身をなくさないと洗えませんよ」

一方通行 「どォすっかねェ」

眼鏡 「あ、完成されたんですか?」

浜面 「できたはいいんだけどな、余った材料ってどうすりゃいいんだ?」

眼鏡 「……そうですね。ちょっと貸して頂けますか?」

エツァリ 「ええ、どうぞ」

眼鏡 「まずフルーツをですね、クリームの中に」ドボボボボボボ

エツ浜通行 「「「」」」

眼鏡 「で、適度に混ぜまして……はい、どうぞ!」

浜面 「お、おう」

一方通行 「まあ、分かりやすくていいわな」
823 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/14(土) 00:07:27.60 ID:xdu0iukyo

エツァリ 「頂きましょうか。そうしないと片付けられませんし」

浜面 「では一口……お、これは中々」モキュモキュ

一方通行 「これに合わせるならコーヒーより紅茶かもしれねェな」

エツァリ 「そこはお好みでしょう」

浜面 「お、これなに?」

エツァリ 「ブルーベリーですよ」

一方通行 「まだあったのか」

浜面 「果物とクリームを混ぜただけでも全然うまいじゃないの」

エツァリ 「ヨーグルトを混ぜたクリームだからかもしれません」

一方通行 (コーヒー飲みてェ)

浜面 「おい、一方通行。これで最後だぜ」

一方通行 「あ? あァ」パク

エツァリ 「では洗い物に入りましょうか」

一方通行 「やれやれ、やっとか」

浜面 「でも今日はこれで終わりじゃないんだよな。完成品をお届けせんといかん」

エツァリ 「今日やってしまいます?」ジャブジャブ

一方通行 「面倒は早く済ませた方がいいだろ」フキフキ

浜面 「早ければ早いほどいいだろうよ」
824 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/14(土) 00:08:20.10 ID:xdu0iukyo


~しばらくして~


講師 「はい、ちゅーもーく! とりあえず全チーム完成できたみたいでよかったわね」

講師 「ご希望の人にはラッピング用品も用意してるから、欲しい人はもっていって頂戴」

講師 「以上、解散! 今日はありがとね!」


<アリアタシター


講師 「あ、そうそう。この後、助手が各テーブルを回って清算するから、終わった班から解散ね!」

エツァリ 「ラッピング用品ですか……このままお届けに行くとなると」

浜面 「あったほうがいいよな」

一方通行 「頂いていくとするか」

眼鏡 「と、その前に今日のお会計です」ハイ

エツァリ 「あ、はいはい」

浜面 「そういや払ってなかったな」ハハハ

一方通行 「いくらだ?」

エツァリ 「……いち、じゅう……え? えぇ?」

浜面 「どうしたんだよ。ちょっと見せtなんじゃこりゃぁぁぁ!?」

一方通行 「カード使えるか?」
825 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/14(土) 00:09:21.81 ID:xdu0iukyo

眼鏡 「はい、大丈夫ですよ」

浜面 「ちょちょちょ、待ってくれ! このプライスはなに!?」

一方通行 「こンなはした額で何を慌てふためいてやがる」

エツァリ 「いや、予想を遥かに上回る金額ですよ」

眼鏡 「内訳でしたら、大部分は果物です」

浜面 「果物か……高級品だったのか?」

眼鏡 「ご必要とあらば明細もご用意致しますが」

エツァリ 「お願いできますか」

眼鏡 「はい、後程お持ち致します」

一方通行 「これで頼む」つ【BLACK】

眼鏡 「お預かりしますね」

浜面 「あ、そうだ。どうせなら切って箱詰めして、一人一箱に分けるか」

エツァリ 「なるほど。その方が配り安そうですね」

浜面 「明細を待ってる間にその作業をさせてもらうか」

一方通行 「あ? まだなンかあンのか?」

エツァリ 「箱詰めですよ」

浜面 「よし、やっちまうか」
826 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/14(土) 00:10:23.57 ID:xdu0iukyo


~同日 第7学区 とあるファミレス~


浜面 「ふー、慣れないことすると疲れるな」

エツァリ 「しかし驚きましたね。このお値段」

浜面 「一方通行が使ったイチゴか。一個一万円ってなんだよ」

一方通行 「そンなもンだろォよ」ズズ...

浜面 「ねぇよ。どこの高級品だよ。イチゴと待ちがえてルビーでも使ったんじゃないだろうな」

一方通行 「それこそねェよ」

エツァリ 「さて、とりあえずここに、箱に詰められたロールケーキがたくさんある訳ですが」

浜面 「俺が作ったやつだけ入ってる箱あったよな? あれはどれだ?」

エツァリ 「こちらです」

一方通行 「それはオマエ用か」

浜面 「その通り、俺にだけくれた人へのお返しだぜ」フンス

エツァリ 「後は2種類入ってる箱に、3種類入ってる箱に……間違えたら大変ですね」

一方通行 「そォならないように箱の色で分けたンだろ。あ、すいませン、コーヒーお代わりで」

店員 「はい、ただいま!」
827 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/14(土) 00:11:40.08 ID:xdu0iukyo

浜面 「で、問題はどう配るかだよな」

エツァリ 「数がありますからね。車があれば楽でしょうが」

一方通行 「ならあいつの車使えばいいだろ」

浜面 「ランクルか? あればすげぇ助かるけど、いいのか?」

エツァリ 「鍵を取りに戻って鉢合わせ、となりそうですが」

一方通行 「この時間ならまだ帰ってねェよ」

浜面 「よし、じゃ決まりだな」

エツァリ 「運転はお願いしますよ」

浜面 「まかされよう」

一方通行 「あァ、待て」

エツァリ 「どうしました?」

一方通行 「お代わりが来てねェ」

浜面 「……じゃ、それ飲んでからにするか」

エツァリ 「では浜面さん、自分は烏龍茶で」

浜面 「ドリンクバーぐらい自分で行けぃ!!」

エツァリ 「冗談ですよ」フフ
828 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/14(土) 00:12:38.40 ID:xdu0iukyo


~同日 第7学区 番外通行邸~


一方通行 「スペアキー取ってくるからここで待ってろ」

浜面 「……一方通行さん」

一方通行 「?」

浜面 「お手洗いを貸して頂けると助かるのですが」

一方通行 「……来い」ハァ

エツァリ 「自分はどうしましょう」

浜面 「ついでだ。来いよ」

一方通行 「オマエが言うな」ベシッ

浜面 「いたぁ!?」

 :
 :
 :

一方通行 「」ガチャ


<あれ?ドアの音した?
<でもまだ時間じゃないよ?


エツァリ 「え? 今の声は……?」
829 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/14(土) 00:13:37.00 ID:xdu0iukyo

一方通行 「あ」

浜面 「そうだ、あの二人がいるんだった!」


<パタタタ


打ち止め 「あ、お帰りー」

フレメア 「浜面、どうしたの? まだ予定の時間より大体早いよ?」

エツァリ (予定?)ヒソヒソ

浜面 (夕方帰るときに迎えに来る約束だったんよ)ヒソヒソ

打ち止め 「……なんか甘い匂いする」

フレメア 「……なんかケーキの気配がする」

一方通行 「」

浜面 (おぉぉぉい、どうすんだこれ。予定外だぞ)ヒソヒソ

エツァリ (もういっそこのまま食べてもらいましょう。一方通行さんもいいですね?)ヒソヒソ

一方通行 「……あー、ガキども。とりあえず中入れ」

フレ止め 「「?」」

一方通行 「さっさとしろ!」

フレ止め 「「はーい」」パタタタ
830 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/14(土) 00:14:12.17 ID:xdu0iukyo

といったところで、今回はここまでです。
ようやく完成しましたので、次回からはお届け行脚に入ります。
数間違えてるかもしれないけど、まあなんとかなるでしょう。

次回投下は数日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 00:15:23.44 ID:KBDhqAvDO
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 01:59:48.39 ID:/eVqBbAJ0
>一方通行 「そォならないように箱の色で分けたンだろ。あ、すいませン、コーヒーお代わりで」

あれ、なんか妙な文字が
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 12:13:24.78 ID:RJPv05Q40
乙!

840 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/16(月) 02:41:02.92 ID:YukT8+GTo

一方通行 「そこに座ってろ」

フレメア (なんか怒らせるようなことした?)ヒソヒソ

打ち止め (してない……と思う。思いたい)ヒソヒソ

一方通行 「あー……なんていうかな」

浜面 「なんだもう、じれったい! 見れられん! 代われ!」

エツァリ 「あ、ご心配なく。貴女方にとって悪い話ではないですから」

フレ止め 「「?」」

浜面 「二人とも聞いて驚け。一方通行がな、お前たちにホワイトデーのケーキを作ってきてくれたぞ!」

打ち止め 「……え?……え、え?」

フレメア 「ケーキ? シロが?」

浜面 「なんかリアクション薄くない?」

エツァリ 「驚きを通り越して、どう反応していいか分からないのですよ」

打ち止め 「ホントに!? あなたがケーキ、ってあれ?」

フレメア 「シロは?」キョロキョロ

浜面 「……あいつどこいった?」

エツァリ 「照れてるんですよ、まったく」
841 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/16(月) 02:42:17.27 ID:YukT8+GTo

一方通行 「」コソッ

浜面 「あ、お前肝心なときにどこ行ってんだよ」

一方通行 「これだ」コトッ

エツァリ 「……缶コーヒーですね」

一方通行 「ケーキにゃつきものだろ」

浜面 「だからってお前、この二人相手にブラック無糖は」

打ち止め 「ねー、ケーキ作ってくれたの!?」ドーン

一方通行 「ぐほォ」

打ち止め 「すごい頑張ったんだね! カップ焼きそばも作れないあなたなのに!」

浜面 「……お前、それはちとひどいぞ」

一方通行 「アレは違ェ! 寝呆けててお湯捨てる前に間違えてソース入れちまっただけだ!」

フレメア 「ねー、ケーキはー?」ユサユサ

浜面 「よしよし、こいつだ。三つ入ってるから、うまいぐあいに二人で分けてくれ」

エツァリ (一人一箱では?)

一方通行 (いいンだよ、甘いモンの食いすぎは体によくねェ)

打ち止め 「……三つあるってことは」

フレメア 「もしかして一人一つ作ったの?」
842 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/16(月) 02:43:04.49 ID:YukT8+GTo

エツァリ 「おや、よく分かりましたね」

打ち止め 「あなたのは? あなたのはどれ?」wktk

一方通行 「別にどれだっていいだろ」

浜面 「一方通行センセイの作品はな、イチゴとキウイのやつだ」

打ち止め 「じゃこれもーらい!」

一方通行 「オマエなァ」

浜面 「なんだよ、なんか問題あるか?」

フレメア 「大体、浜面のは?」

浜面 「パイナップルとバナナが入ってるのが浜面Verだぜ」

フレメア 「じゃ私はこれ」

打ち止め 「てことは、この1個は半分こだね」

エツァリ 「自分のが半分ですか。予想どうりの展開ですね」ニコニコ

フレ止め 「「」」ハモハモ

浜面 「お味はいかがですかな? お嬢様方」

打ち止め 「おいしい!」

フレメア 「大体おいしい」
843 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/16(月) 02:44:04.61 ID:YukT8+GTo

エツァリ 「よかったですね。お墨付きですよ」

一方通行 「そォかい」

打ち止め 「手作りだから余計においしんだよ、きっと!」

フレメア 「浜面とかシロがケーキ作ってくるなんて想像もしてなかったもんね」

浜面 「褒めてんのか? それは」

エツァリ 「最上級の賛辞ではないですか」

一方通行 「……オイ、さっさと次行くか」ソワソワ

エツァリ (褒められることに慣れてない人が挙動不審ですし)

打ち止め 「あれ? どっか行っちゃうの?」

エツァリ 「他にもですね、それをお届けする方がいるのですよ」

フレメア 「ここで待ってればいい?」

浜面 「あぁ、また夕方に来るからな」

打ち止め 「あまり遅くならないようにね? また怒られちゃうから」

一方通行 「分かってる」

浜面 「怒られるって、ミサワの姐さんか? ん?」ニヨニヨ

エツァリ 「権力構造というのはどこも似たようなものなのですね」

一方通行 「うるせェよ、さっさといくぞ」
844 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/16(月) 02:45:20.05 ID:YukT8+GTo

 :
 :
 :

浜面 「本日は浜面交通をご利用頂きありがとうございます。快適な陸の旅をお楽しみください」カシュシュシュブルルン

エツァリ 「いや、車だけでなくクーラーバックも確保できるとは。助かりました」

一方通行 「ほっぽってあったのを引っ掴ンできただけだ。で、最初はどこだ?」

浜面 「そうだな。とりあえず、俺専用を渡しに行っていいか?」

エツァリ 「浜面さん作の一つだけが入ってるのですよね。構いませんよ」

一方通行 「だからどこだって聞いてンだよ」

浜面 「焦んな焦んな。じゃ向かうとするか」

エツァリ 「安全運転でお願いしますよ」

浜面 「そうだな。人様の車だし、壊れ物も積んでるし。いつも以上に気をつけないとな」

一方通行 「壊れ物?」

エツァリ 「一方通行さんのことではありませんよ」

一方通行 「なンも言ってねェだろ」

浜面 「ケーキだ、ケーキ。衝撃に弱いだろうからな」

エツァリ 「まあ、大丈夫でしょう。ベクトル業界の覇者たる一方通行さんが傍らにおられますし、少々の衝撃など」

一方通行 「能力オフの俺に何を期待してやがる」
845 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/16(月) 02:46:42.51 ID:YukT8+GTo


~同日 第7学区 とある病院~


浜面 「じゃ、ちょっと行ってくるわ」

エツァリ 「自分たちはそこの自販機コーナーでお茶でも」

一方通行 「コーヒーがいい」

エツァリ 「ではコーヒーにしておきましょう」

浜面 「さてさて、どこにいるのかね」

浜面 「あー、考えてみたら事前にいるかいないかぐらいの確認はしといてもよかったかもな」

浜面 「いまさら言ってもしょうがないか」

浜面 「適当に歩いてればどっかでエンカウントするだろ」

麦野 「エンカウントって、まるでモンスター扱いね?」

浜面 「ま、麦野だしな」

麦野 「そうかそうか。よーし、分かった」

浜面 「」

麦野 「ベッドの空きならあるからな。何泊でもしていけよ」ゴゴゴゴゴ

浜面 「こ、これ、受け取ってください!」ズイ
846 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/16(月) 02:47:46.47 ID:YukT8+GTo

麦野 「え……何よ、これ」

浜面 (と、咄嗟に差し出しちまったが……ええい、ままよ!)

浜面 「なんというか、いわゆる一つのな、ホワイトデーのお返しに」

麦野 「別に気にしなくてよかったのに」

浜面 「ケーキを作ったんで、よろしければ食べて頂ければ」

麦野 「……は? 作った? アンタが? 似合わないマネするのね」

浜面 「僭越ながら」

麦野 「…………ま、ケーキに罪はないしね。それに幸いここは病院だし」

浜面 「どういう意味だよ」

麦野 「最悪ハラ壊しても大丈夫だって言ってんのよ、分かれよ」

浜面 「うぉい、ひでぇな! いくらなんでもそこまでひどくはないぞ!」

麦野 「はいはい、休憩時間にでも食べておくから」

浜面 「相変わらずつれねぇな。じゃ、お仕事中にお邪魔したな。人待たせてるんで、もう行くぜ」

麦野 「じゃあね」

麦野 「……」

19090 「しずりん、何をたそがれているんですか」

麦野 「別になんでもないわよ」
847 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/16(月) 02:48:58.56 ID:YukT8+GTo

19090 「……なんだか甘い香りがしますね」

麦野 「あぁ、これでしょ? 今貰ったケーキ」

19090 「ケーキ? 貰ったのですか? その割には嬉しくなさそうですが」

麦野 「うるさいわね。アンタには関係ないでしょうに」

19090 「貰って嬉しくないケーキだったら、ぜひミサカが」

麦野 「ダメ、それは絶対ダメ。ていうか嬉しくないなんて一言も言ってないでしょ!」

19090 「普通ケーキを貰ったとなれば諸手を挙げてジャンピングして喜びを表現するものです!」

麦野 「それはアンタだけよ! いや、アンタがそんなことやってんのも見たことないわ!」

19090 「であるからして、それはミサカの胃袋にて処理を」

麦野 「ダメだっつってんでしょ! これは今日寝る前に一人静かにゆっくり味わって食べるって決めてるの!」

19090 「だったらミサカも一口混ぜてください!」

麦野 「後で飴買ってやるから」

19090 「飴とケーキでは違いすぎではないですか!」ムキー

麦野 「食いたけりゃ自分で買ってこい! これだけは譲らないからね!」ガオー

19090 「むう……金持ちはケチというのは本当なのですね」

麦野 「なんとでも言いなさい」
848 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/16(月) 02:49:48.41 ID:YukT8+GTo


~その頃~


浜面 「お待たせー、待った?」

一方通行 「遅ェ。40秒で戻れつっただろォが」

浜面 「言ってないよな!?」

エツァリ 「手ぶらで戻ったということは、うまく渡せましたか」

浜面 「あぁ、ちっとヒヤヒヤしたけどな」

一方通行 「で、次はどこだ?」

エツァリ 「そうですね。常盤台などいかがでしょう」

浜面 「あの二人か。今日はいるかな」

一方通行 「風紀委員の方はいるかどうか怪しいモンだが」

エツァリ 「そうしたら絹旗さんに預けるほかないでしょうね」

浜面 「よし、ちっと連絡してみるか」ポチポチ


  Prrrr Prrrr Prrカチャ


絹旗 『お掛けになった番号は浜面ブロックが掛けられて』

浜面 「なんだそのサービス聞いたことねぇぞぉぉ!?」
849 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/16(月) 02:50:57.03 ID:YukT8+GTo

絹旗 『相変わらず超うるさいですね。何の用ですか』

浜面 「つかぬことを伺うけどな。お前今どこにいる?」

絹旗 『家……というか、寮ですけど』

浜面 「そうかそうか。お前だけか?」

絹旗 『白井さんも一応いますよ』   『なー、誰から?』

浜面 「お、そりゃ朗報だな」

絹旗 『はい? どういう意味ですか』   『絹旗ちゃーん?』

浜面 「いやなんでもない、こっちの話だ。……というか、二人か?」

絹旗 『何がですか』   『おい、無視すんなよ!』

浜面 「さっきから後ろで騒いでんの誰だよ」

絹旗 『黒夜ですよ。超気にしないでいいですから』   『久しぶりなんだからちょっとぐらい喋らせろよ!』

浜面 「黒い方もいたのか。ま、いいや。今から行くから」

絹旗 『はい? ちょっといきなり何を』

浜面 「じゃ、後でなー」

絹旗 『待っ』ピッ

浜面 「よーし、行くぞ」ブロロロ

エツァリ 「ずいぶんと強引なアポイントメントですね」

一方通行 「殴られるのは承知なンだろォよ」
850 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/16(月) 02:51:45.49 ID:YukT8+GTo


~同日 第7学区 常盤台新寮付近~


エツァリ 「ここで待て、とのことでしたね」

浜面 「あぁ」

一方通行 「路駐とられたりしないだろうな」

浜面 「すぐ動かせる場合はセーフ、つまり俺がここにいる限りは大丈夫だ!」ドン


<あ、おられましたの。
<車つきですか、超浜面なのに。


一方通行 「来たか」

浜面 「なんだ、えらく普通に登場したな。テレポでヒュンって来ると思ったのに」

白井 「寮内で能力はおいそれと使えませんもの」

エツァリ 「やあ、ご無沙汰してます」

絹旗 「いえいえ。どうしたんですか? 今日は」

浜面 「その前にお前、黒い方はどうしたんだ?」

絹旗 「あぁ、部屋で留守番 「ちょーーっと待ったーーー!」

一方通行 「一匹増えたぞ」

エツァリ 「……黒夜さん、なんでそんな猫まみれなんですか」
851 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/16(月) 02:52:55.81 ID:YukT8+GTo

黒夜 「うるせぇ。あーもう、そろそろ離れてくれよぉ!」ニャーニャーニャー

絹旗 「私と白井さんがですね、荷物の整理をするにあたって、黒夜がユリコたちの面倒を超見ててくれると」

黒夜 「オマエが私の服と髪にマタタビの粉をぶっかけたからこォなってるンだろォがァァ!!」ニャーニャーニャー

浜面 「荷物の整理……? 追い出されるのか?」

白井 「もうすぐ卒業ですので。そうしたら部屋は引き払わないといけませんの」

エツァリ 「言われてみればそんな時期ですか。早いものですね」

絹旗 「超あっという間でしたね」シミジミ

黒夜 「一年しか通ってないんだからあっという間だろうよ」ニャーニャーニャー

白井 「ところで、今日はどうされましたの?」

一方通行 「……持ってけ」ポス

白井 「?」

エツァリ 「はい、絹旗さんにも」

絹旗 「なんですか? これ」

浜面 「ホワイトデーのお返しってことでな。俺たちでケーキを作ってみた!」

絹旗 「え、浜面が? 超似合わないにもほどがありますよ」

浜面 「なんでみんな同じこと言うんだよ!」

白井 「まあ、わざわざ作って頂けるなんて。ありがとうございますの」
852 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/16(月) 02:54:22.42 ID:YukT8+GTo

黒夜 「……私にはないの?」ニャーニャーニャー

一方通行 「オマエからなンかもらった覚えはねェぞ」

絹旗 「先月の14日、黒夜は不参加だったじゃないですか」

黒夜 「……そうだけどさ」ニャーニャーニャー

浜面 「あー……俺ら三人分ってことで一箱に三切れ入ってるからさ。うまく分配してくれ」

絹旗 「いいんですか?」

エツァリ 「想定外とはいえ、必要数を用意していなかったのはこちらの落ち度ですし」

白井 「黒夜さんには荷物の整理をしている間、ユリコたちの面倒をみてもらいましたし。
    そのお礼ということでもよろしいのでは?」

絹旗 「まあ、私はいいですけど」

黒夜 「いいの? さっすが」キラキラ

白井 「それでどのような……まあ、これは手の込んだものを」

黒夜 「どんなの?」

絹旗 「フルーツのロールケーキですか」

エツァリ 「お口に合うとよろしいのですが」

白井 「この後、さっそく頂きますの。ありがとうございました」ペコリ

絹旗 「わざわざ超ありがとうございます」
853 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/16(月) 02:55:38.62 ID:YukT8+GTo

黒夜 「……あのさ」

浜面 「どうした?」

黒夜 「……来年は、期待しといていいから」

一方通行 「期待させるだけなら簡単だ」

黒夜 「うるせぇ! 用が済んだなら帰れ!」ギャース

エツァリ 「おおっと、では自分らは次のお届け先に向かいますか」

白井 「まさか、全員のところをまわっておられるのですか?」

浜面 「まあな」フンス

絹旗 「じゃ次は誰ですか?」

エツァリ 「そうですね……婚后さんは今日はご在宅でしょうか」

絹旗 「出かける用事がなければ、家にいると思いますよ」

一方通行 「そりゃそォだろうよ」

浜面 「まあ、連絡ついたら行ってみるわ。つうわけで、今日はこれで」

白井 「申し訳ございません。おもてなしもできずに」

エツァリ 「仕方ないですよ。自分らじゃ常盤台の寮には入れませんから」

絹旗 「あ、浜面。後で感想をメールしますんで超覚悟しといてください」

浜面 「はいよ。せいぜい覚悟しときますよ」
854 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/16(月) 02:56:11.46 ID:YukT8+GTo

といったところで今日はここまでです。
女子キャラのやり取りを書いたのはえらく久々な気がします。

次回投下は数日以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 02:59:08.82 ID:wwW/xfkDO
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage saga]:2012/07/16(月) 03:48:37.71 ID:59PHRpGN0
乙乙
何回も読み返してしまうのはきぬはた荘くらいだぜまったくどうしてくれるんだこの>>1め!
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/07/16(月) 08:09:22.84 ID:zRpCsBaYo
乙 
 
902 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/24(火) 00:19:17.03 ID:dkjaS1MUo


~移動中の車内~


浜面 「連れて行っておくれ どこまでも 高気圧ガール」~♪

エツァリ 「ご機嫌ですね」

浜面 「やっぱドライブってのは楽しいもんだ」

一方通行 「ドライブじゃなくて配達だけどな」

エツァリ 「まあ、お通夜のような雰囲気で外回りするよりはいいではないですか」

一方通行 「俺はどっちでもいいけどよ」

エツァリ 「それで、婚后さんとは連絡は?」

浜面 「大丈夫だ。お待ちしてます、だとさ」

エツァリ 「ということは今向かっているのは第18学区ですか」

浜面 「迷子にならないように気をつけないとな。あそこは前後左右どっちむいても同じような景色だからよ」

一方通行 「住みやすさなンざ考慮してねェだろうな」

浜面 「趣がないよな、趣が。建物も道路も規則正しく並び過ぎててさ」

エツァリ 「規則正しい街並みでも、京都やアムステルダムは趣があると思いますよ」

浜面 「行ったことねえからピンとこないけど、何が違うんだろうな」

一方通行 「……生活感があるかないかで与える印象は違うだろォな」
903 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/24(火) 00:20:23.75 ID:dkjaS1MUo


~同日 第18学区 とあるマンション~


エツァリ 「ここですか」

浜面 「ええとこれで呼べばいいんだよな」ポチポチ


<ピンポーン
<はい。


浜面 「あ、すいません。先程ご連絡させて頂きました浜面ですけども」


<はい、どうぞお上がりください。


浜面 「え? あれ?」

エツァリ 「なんですか。早く通らないと閉まってしまいますよ」

浜面 「いや、俺ここで渡すつもりだったんだが」

一方通行 「オマエ、下まで取りに来させるつもりだったのかよ」

エツァリ 「頂けませんね」

浜面 「いや、倫理的に問題ないか? 一人暮らしの令嬢の部屋に男三人押しかけるつうのはさ」

エツァリ 「……まあ、確かに」

浜面 「どこからともなく老執事が現れて俺ら制裁されたりしないよな?」
904 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/24(火) 00:21:41.82 ID:dkjaS1MUo

一方通行 「なンだ、ワイヤーで真っ二つにでもされンのか?」

エツァリ 「いやいや、狼に変身して襲い掛かってくるかもしれませんよ」

浜面 「むしろシンプル且つ強烈な蹴り技で瞬間KOかもしれん」

エツ浜通行 「「「……」」」エート

エツァリ 「老執事はともかく、誤解を招くような行動は慎むべきですね」

浜面 「そうだ、慎もう」

一方通行 「ドアの前で用事を済ませればいいだろ」

浜面 「それだ。中に入らなけりゃいいんだ」

エツァリ 「それがベターですね。そうしましょうか」



~10分後 第18学区 婚后邸 リビング~


一方通行 「……なァ、俺らがさっき決めた方針もう忘れたのか?」

浜面 「しょうがねぇだろ。お茶を用意して待ってたって言われてるのにさっさとUターンするのも失礼だろが」

エツァリ 「最初から八方塞がりだった訳ですよ」ハハハ

浜面 「それにほれ、こいつが俺に絡んできて離さなかったし」

エカ 「(゚-゚)」フシュル

一方通行 「首に大蛇下げて登場するなンて、予測できる訳ねェよな」
905 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/24(火) 00:22:53.66 ID:dkjaS1MUo

エツァリ 「あのお店の猫たちもそうですが、浜面さんは好かれるオーラでも出してるんでしょうかね」

一方通行 「エサだと思われてンだよ」

浜面 「お前それ前にも言われたぞ」

婚后 「申し訳ございません、お待たせしてしまって。さ、どうぞ」カチャ

エツァリ 「どうぞお構いなく」

浜面 「ええと、こいつはお嬢のペットというか、ご家族で?」

エカ 「( ゚-゚)」ウン

婚后 「ええ。……あの、お邪魔ではないですか? 来客は珍しいので、はしゃいでしまっているようで」

浜面 「最初はびっくりしたけど、こう間近でみると可愛いもんだ」

エツァリ 「相変わらず見事な手触りですね」ナデナデ

一方通行 「……」ズズ...

婚后 「あ、第一位様は紅茶よりコーヒーのほうが」

一方通行 「いや、構わねェ」

浜面 「おお、うまい」

エツァリ 「結構なお点前で」

婚后 「恐縮です」

エカ 「(゚-゚)」
906 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/24(火) 00:24:08.15 ID:dkjaS1MUo

婚后 「それで、本日はどうされたのですか?」

エツァリ 「では早速本題に入りましょうか」

一方通行 「早速でもねェけどな」

浜面 「こちら、お納めください」ズイ

婚后 「こちらは?」

エツァリ 「バレンタインのお返しです。作ってきました」

婚后 「え? わざわざ作ってきて頂いたのですか?」

一方通行 「大したことはしてねェよ」

婚后 「手作りというだけでも嬉しいものですわ。開けてみても?」

浜面 「どうぞどうぞ。こら、お前はダメだ」

エカ 「(。。)」

婚后 「まあ、ルレ・オ・フリュイですか?」

エツァリ 「そういえばそんな名前でしたね」

一方通行 「忘れてたのかよ」

浜面 「生地からクリームから、全部手作りだ」フンス

婚后 「大変でしたでしょう。それにしても……」
907 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/24(火) 00:26:27.95 ID:dkjaS1MUo

エツァリ 「それにしても?」

婚后 「わたくし如きがここまでのものを頂けるのですもの。本命用の品物はさぞかし……」

一方通行 「」

エツァリ 「」

浜面 「」

婚后 「?」

エツァリ 「いやぁ、ははは」

浜面 「そこまで考えてなかった……」orz

一方通行 「……同じでも大丈夫だろ」

婚后 「あらあら……差し出がましいのは承知で申し上げますが」

浜面 「はい」

婚后 「本命向けには、もう少し色を付けてもよろしいのでは? 好いてる殿方から特別扱いされると嬉しいものですわよ」

エツァリ 「色ですか」

一方通行 「つっても、今からじゃ作り直しもきかねェ」

婚后 「そこは……そうですわね」

浜面 「お、なにかアイデアでも?」
908 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/24(火) 00:27:31.40 ID:dkjaS1MUo

婚后 「いいえ?」

浜面 「」ズコー

婚后 「重ねてご助言してもよろしいのですが、それはやりすぎというものです」

一方通行 「自分で考えろってことか」

エツァリ 「手厳しいですね」

婚后 「皆さんがご自分で用意してこそでしょう。ですからわたくしは」

浜面 「わたくしは?」

婚后 「こちらのケーキをじっくりと味わうに留めておきますわね」クスクス

エツァリ 「ええ、それはぜひお願いします」

一方通行 「時間も押してるな。俺たちはそろそろ行くか」

浜面 「おーい、ちょっと助けてくれぃ。こいつ離れねぇよ」

エカ 「♪」

婚后 「こら、困らせてはいけませんよ」

エカ 「(゚-゚ )~~~」シュルシュル

エツァリ 「おお、賢いですね」

浜面 「お前結構力強いんだな。血圧測定のアレみたいだったぞ」

一方通行 (やっぱエサだと思われてンじゃねェか?)
909 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/24(火) 00:28:36.21 ID:dkjaS1MUo

 :
 :
 :

浜面 「さて、車の中に戻ってきた訳だが」

エツァリ 「このまま向かう訳にはいかなくなりましたね」

一方通行 「思いつかねェな。そこいらの店に入って誕生石でも」

浜面 「お前にとっての"そこいら"はどんなレベルなんだよ」

エツァリ 「それはなんと言いますか、なんか違う気がするのですが」

浜面 「そうだよな。高価なアクセサリーとか、そういう話じゃないだろ」

一方通行 「だったらなンだよ」

エツァリ 「せっかくケーキは作ったんですから、添える品も手作り感溢れるといいかもしれませんね」

浜面 「じゃケーキを乗せる皿か?」

一方通行 「今から皿を焼く気か? オマエどンだけ悠長なンだよ」

エツァリ 「それは時間がかかり過ぎというレベルではないので却下です」

浜面 「それなら、似顔絵を描いてだな、いつもどうもという手書きメッセージと共に」

一方通行 「ガキの宿題かよ」

エツァリ 「それを貰っても逆に困りそうです」
910 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/24(火) 00:30:23.52 ID:dkjaS1MUo

浜面 「むう、難しいもんだな」

エツァリ 「時間的に今から手作りは厳しいとしても。最低限、貰って嬉しいものですよ。向こうの立場で考えませんと」

一方通行 「……そういやアイツ」

浜面 「お、なんかあんのか?」

一方通行 「洗剤がなくなりそうだとか言ってたな」

浜面 「……それはまた今度にしよう」

エツァリ 「もういっそ花束でも渡しますか」

一方通行 「新装開店する訳でもねェのに渡してどうすンだ」

浜面 「お前、何を想像してんだ? 花束って、パチンコ屋の前に置いてあるようなヤツじゃないからな?」

エツァリ 「一方通行さんは区役所に行って婚姻届をもらってきて、記入した上で渡しては? きっと大喜びですよ」

一方通行 「オマエとうとう頭イカれたのか!?」

浜面 「あー、ここでこうしててもまとまらん。ちと移動するか」カシュシュブルルン

一方通行 「当てもねェだろ」

浜面 「だからだよ。ニトリとかさ、ああいうところに行けばヒントがあるかもしれないだろ?」ブロロロ

エツァリ 「ニトリはともかく、大手雑貨店に行くのはいいですね」

一方通行 「行くんだったら急げ。日が傾き始めてンぞ」

浜面 「そうだな。姐さんの店が閉まる前に行きたいよな。多分あそこにいるだろうし」
911 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/24(火) 00:31:36.64 ID:dkjaS1MUo


~同日 第7学区 大型雑貨店~


浜面 「ほう、いろいろあるなぁ」

エツァリ 「なにかインスピレーションをもらえるといいのですが」

一方通行 「」ピンポン

浜面 「おい、今なんか聞こえたぞ」

一方通行 「俺は一足先に買ってくるぞ」カツンカツン

エツァリ 「いったい何を」

一方通行 「……企業秘密だ」カツンカツン

浜面 「行っちまった」

エツァリ 「自分たちもゆるりとはしていられませんね」

浜面 「とりあえず、歩きながら考えてみるか」

エツァリ 「あっ」ピンポン

浜面 「お前もかよ!」

エツァリ 「お気づきですか。では、自分もちょっと行ってきます」タタタ

浜面 「……これはいよいよ焦らなきゃいかんか」
912 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/24(火) 00:32:51.48 ID:dkjaS1MUo

浜面 「貰って嬉しいものとか……」ウーン

浜面 (つまりアレか? 実用性があるものって解釈でいいのか?)

浜面 (滝壺が今必要としているもの、と考えてみると……)

浜面 「」ブッブー

浜面 (あれ? 俺だけ音が違う?)

浜面 「そんなことはどうでもいい! とにかく思いついたぞ!」ダダダダ



~しばらくして~


一方通行 「あ、ようやく見つけたぞ」

浜面 「お、一方さんじゃないか」ホクホク

一方通行 「どこぞへと消えやがって。探すほうの身にもなりやがれ」

浜面 「最初に消えたのはお前のほうだけどな」

一方通行 「で、もう一人はどこ行った」

浜面 「これから探すんだろうが」

一方通行 「ったく、しょうがねェな」

浜面 「まあまあ、そう言ってやるなよ」
913 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/24(火) 00:34:09.60 ID:dkjaS1MUo

一方通行 「……オイ、インフォメーション行くぞ」

浜面 「なんでだ?」

一方通行 「てっとり早く探す方法があるだろ」

浜面 「いや別に携帯でも使えば」

一方通行 「いいから来い」ニヤー

浜面 (あ、これはなにか企んでる顔だ)


<ピンポーン
<迷子のお呼びだしです。


一方通行 「!?」


<第7学区よりお越しの一方通行様、浜面様。
<お連れ様がインフォメーションカウンターにてお待ちです。


一方通行 「」

浜面 「おいおいおい! 迷子扱いかよ!」

一方通行 「先を……越された」

浜面 「随分と地味な嫌がらせだな。誰か知り合いが聞いてたらどうすんだよ」
914 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/24(火) 00:35:56.91 ID:dkjaS1MUo

一方通行 「……さっさと行くか」カツンカツン

浜面 「で、お前もこれやるつもりだったのかよ」

一方通行 「うるせェ。もう手遅れなンだよ」

浜面 「どっちにしても俺は迷子の称号確定なんだけどな畜生!」

 :
 :
 :

エツァリ 「あ、お早いですね」

浜面 「お前何してくれてんだぁぁ!」

一方通行 「……オマエも購入済みか」

エツァリ 「ええ、この通り」ガサッ

浜面 「ひとまず、これで準備OKって訳だな」

一方通行 「ならここに留まる理由もねェな。行くとするか」

エツァリ 「行き先はミサワさんのところで?」

一方通行 「うちのはともかくとして、後の二人はいるのか?」

浜面 「滝壺は家に一人で退屈であれば、そっちに行ってると思うぜ」

エツァリ 「こちらも似たようなものです。それに」

浜面 「それに?」

エツァリ 「もう一人、渡さなければならない相手もいますしね」
915 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/24(火) 00:37:31.96 ID:dkjaS1MUo


~同日 第7学区 隠れ家的喫茶店~


浜面 「さて、おるかな」

エツァリ 「こればかりは入ってみないと分かりませんよ」

一方通行 (事前に電話なりで確認すりゃ済む話だったと思うが)


<カランカラン♪


トチトリ 「あ、いらっしゃい」

ショチトル 「おに……いらっしゃいませ」

浜面 「あれ? なんか増えてる?」

エツァリ 「そうでした、浜面さんが対面するのは初めてですか」

浜面 「この肌色的に考えて、お前さんの知り合いか」

トチトリ 「従業員2号だ。よろしくな、でかぶつ」

浜面 「またご挨拶だな。上司の教育の賜物か?」

ショチトル 「済まないな。そこのそれは元からそういう女だ」

一方通行 「……なンだ? 客も含めて、オマエら二人だけか」
916 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/24(火) 00:39:31.82 ID:dkjaS1MUo

ショチトル 「マスターに用事があるのか? 直に戻るぞ」

トチトリ 「という訳で注文を伺おうか」

一方通行 「いつものヤツでいい」

トチトリ 「?」

ショチトル 「ホット、マンデリンな」

トチトリ 「あぁ」

エツァリ 「紅茶はさっき飲みましたし……冷たいお茶で」

浜面 「水」

一方通行 「……オイ、そこのそれも俺と同じヤツでいいからな」

トチトリ 「はいよ」

浜面 「一方通行さんマジ気前良すぎ」gkbr

一方通行 「コーヒー一杯で大袈裟なンだよ」

エツァリ 「さて、今の内に。貴女にこれを」

ショチトル 「? なんだこれは? びっくり箱?」

エツァリ 「まあ、開けてみてください」

ショチトル (なんだろう……)
917 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/07/24(火) 00:40:23.55 ID:dkjaS1MUo

といったところで、今回はここまでです。
男どものお届け行脚もいよいよ佳境に入ります。
ここまでの反応は上々ですが、本命には喜んでもらえるでしょうか。

次回投下は1週間以内になるべく早く。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/07/24(火) 00:42:07.09 ID:ZOIk4nhEo
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/24(火) 00:43:42.67 ID:9yhTaJTYo
乙! 
 
951 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:04:16.68 ID:Qbd9icj7o

トチトリ 「怖いのなら私が開けてやるか?」

ショチトル 「いや、いい。あっち行ってろ」

トチトリ 「つれないね。はい、お待ちどうさま」

浜面 「お、どうも」

エツァリ 「頂きますね」

一方通行 (やっぱこれだな)ズズ...


<なー!


トチトリ 「何やってるんだ」

ショチトル 「いや……ケーキ……まさか作ったの?」

エツァリ 「ええ。作ってきました」

浜面 「手作りだ、手作り。早起きしてだな、頑張りに頑張りを重ねて」

一方通行 「オマエの出番じゃねェだろ。黙ってろ」

ショチトル 「……」ホワー

エツァリ 「お口に合うとよろしいのですが」

トチトリ 「食べてやったらどうだ? お前、今日昼抜きだったし」
952 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:06:20.02 ID:Qbd9icj7o

ショチトル 「え? だが、今は……」

トチトリ 「"今は"客もマスターもいない。チャンスだろ?」つ【皿】

ショチトル 「……」カチャ

トチトリ 「ついでにお兄ちゃんにあーんでもしてもらえ」ニヨニヨ

ショチトル 「黙ってろコンコンチキ!」スタスタ

浜面 「隅っこにいっちまったぞ。怒らせたんじゃないか?」

一方通行 「邪魔されたくねェだけだろ」ズズ...

浜面 「あ、ホントだ。食い始めた」


<……いただきます。


エツァリ 「あぁ、あの表情なら安心ですね」

トチトリ 「甘いものを食べるときは本当に嬉しそうに食べる、小さいころから変わってないね」

浜面 「しかもお前が作ったんだから、余計だよな」

トチトリ 「ごもっともだ」ケラケラ

一方通行 「シナジーエフェクトってヤツか」

エツァリ 「だとしたら素敵ですね」ニコニコ
953 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:08:22.55 ID:Qbd9icj7o

 :
 :
 :

ショチトル 「ごちそうさま」

トチトリ 「それだけか?」

ショチトル 「あ、ああ……おいしかった」

エツァリ 「それを聞いて安心しました」

トチトリ 「その緩んだ顔を見れば、言われなくてもわかりそうだがね」

ショチトル 「!?」バッ

浜面 「言ってやるなよ、意地が悪いんだから」

ショチトル 「知らない、もう!」

浜面 「なあ、この二人っていつもこうなのか?」

エツァリ 「いつもというか、昔からというか」

一方通行 (新しい店員は私みたいなの、っつってたのは強ち言い過ぎでもねェよな)

トチトリ 「さて、そろそろ帰ってくる頃かと思うが」

一方通行 「ようやくか」
954 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:10:18.68 ID:Qbd9icj7o


<カランカラン♪


トチトリ 「おや、どうやら帰ってきたようだな」

番外個体 「だからさ、私たち何度も言ったじゃん」

滝壺 「おいしいもの+おいしいもの=すごくおいしいもの、とは限らないんだよ」

結標 「うーん、理に適ってると思うけどなぁ」

ショチトリ 「お帰り」

番外個体 「うん、ただいm……あれ? なんでいんの?」

一方通行 「……野暮用だ」

滝壺 「あ、はまづらも」

結標 「どうしたのよ、雁首揃えて」

浜面 「おー、やっぱり二人もいてくれたか!」

エツァリ 「こちらも今日は行動を共にしていたものですから」

トチトリ 「……んー? この組み合わせと雰囲気はもしや」

ショチトル 「あぁ、そのもしやだ」フキフキ

トチトリ 「私にチャンスは巡ってこないということだな」ケラケラ
955 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:11:24.42 ID:Qbd9icj7o

ショチトル 「マスターたちはおろか、私にすらバストサイズでコールド負けしているお前ではムリだろうさ」フキフキ

トチトリ 「……いいのさ。私の武器は身長と脚線だ。むしろお前が育ち過ぎなんだ」

一方通行 「買い物だったのか」

番外個体 「うん、牛乳なくなっちゃったからさ」

ショチトリ 「今日はいつもより客が多かったからな」カチャ

滝壺 「私たちもついでに夕飯の買い物」

結標 「……」

浜面 「? 姐さんは違うのか?」

結標 「荷物がもしかさばったら、ってことで連れてかれたのよ」

一方通行 「便利な能力だよな」キシシ

結標 「貴方には言われたくない」

滝壺 「それで、今日は三人一緒だったの? 朝から?」

浜面 「あ、おお、そんなところだな」

エツァリ 「なぜうろたえてるんですか」

結標 「今日は帰りは?」

エツァリ 「もう戻りますよ」

結標 「あ、そうなんだ」
956 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:12:45.19 ID:Qbd9icj7o

トチトリ 「……じれったいな」

ショチトル 「口出し無用だぞ」

一方通行 「オイ」

番外個体 「何? 肉なら入ってないよ」

一方通行 「違ェ! これだ」ガサッ

番外個体 「?」

トチトル ((一番手キター))

番外個体 「何これ?」

一方通行 「……3月14日」

番外個体 「!」

滝壺 「ホワイトデーだ」

結標 「ね、何入ってるの?」

番外個体 「開けていい? 公開処刑になったりしない?」

一方通行 「好きにしろよ」

浜面 「あーっと開けるその前に!」

エツァリ 「自分らからもありますので」

トチトル ((いっぺんにキター))
957 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:13:57.75 ID:Qbd9icj7o

滝壺 「……もしかして、今日朝からいなかったのって」

結標 「これを用意するために?」

エツァリ 「ご明察です。3人で作ってきました」

滝壺 「作った? なんだろ」ガサガサ

浜面 「まあ、作ってきた方は自信作だぜ」フンス

結標 「……ロールケーキ?」

番外個体 「作ったの? あなたが? 本当に?」

一方通行 「どこに疑う要素があるンだよ」

番外個体 「だってこの間、カップ焼きそば」

一方通行 「その話はもう許してくれ」

トチトリ (おい、お茶の準備だ。あと皿な)ヒソヒソ

ショチトル (分かってる)ヒソヒソ

結標 「ケーキと別に何か入ってるけど……」

エツァリ 「お気持ちです」

滝壺 「開けていい?」wktk

浜面 「お、ここで開けちまうか? なんか照れるな」
958 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:15:54.53 ID:Qbd9icj7o

番外個体 「あ、バレッタだ」ガサガサ

浜面 「ハンドガンなんて売ってたか?」

トチトリ 「それはベレッタ」

一方通行 「オマエ、髪伸びてからまとめることも多くなっただろ」

番外個体 「うん」

一方通行 「どうせならンな安っぽいゴムじゃなくて、それぐらい使っとけよ」

番外個体 「……ありがと」

浜面 (お、嬉しそうな顔。ここまで喜んで貰えれば大成功だわな)

滝壺 「みさわ、今結んでもらおうよ」

番外通行 「「はあ!?」」

エツァリ 「そうですよ。自分だって結標さんの髪を」

結標 「余計なこと言わない」ベシッ

エツァリ 「いたっ!?」

ショチトル (髪を伸ばせばいいのか!)ピンポン

トチトリ 「この小娘の考えてることが分かるか?」

浜面 「あぁ、俺でも分かる」
959 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:17:33.70 ID:Qbd9icj7o

一方通行 「チッ。そこ座れ」

番外個体 「……本気? 分かった。じゃお願いね」


<いたたた!引っ張りすぎだバカ!
<いいからじっとしてろ!


結標 「さて、私のは何かしら。箱の形からして同じものではないっぽいけど」

エツァリ 「長く使えるものをセレクトしました」

結標 「……あ、これって」

浜面 「なんだなんだ?」

トチトリ 「……小奇麗なケースに入ってはいるが……ペン、か?」

エツァリ 「ええ、シャープペンシルとボールペンです」

トチトリ 「なんだ、随分と色気がないな」

エツァリ 「実用的なものを、と思いましたので」

結標 「でもこれ、すっごい高級品よ」

浜面 「そうなのか? 使いづらそうな形してんけど」

結標 「何言ってんの。人体工学の研究所が資金集めのために売り出したんだから、使いやすさは折り紙つき」

ショチトル 「……やけに詳しいな。もしかして」
960 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:18:48.34 ID:Qbd9icj7o

結標 「うん、こういうの欲しかったの」

エツァリ 「先日、大学に提出する書類を書いているときに、使いづらい字が擦れるとイライラしておられましたから」

浜面 「それで高級ペンか。気が利きすぎだろ」

トチトリ 「ただ、なあ。ホワイトデーというか、入学祝いっぽいが」

結標 「私が喜んでるんだからいいじゃない。それにもうじき入学だからいいのよ」

エツァリ 「喜んでもらえてホッとしました」

滝壺 「むすじめのことだから、二人きりになったときにもっとお礼言ってくるよ」

結標 「ちょっと滝壺さん!」

トチトリ 「夜になって自分の存在を疑問に感じたら、私の部屋に泊まりに来てもいいぞ」

ショチトル 「結構だ」

浜面 「あれ? 滝壺? お前」

滝壺 「?」

浜面 「もうケーキ食ってんの!?」

滝壺 「店員さんがお皿とフォークとお茶持ってきてくれたから。おいしいよ」

結標 「あ、私にも」

トチトリ 「はいよ」
961 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:20:03.22 ID:Qbd9icj7o

滝壺 「じゃ、いよいよ私の番だね」

浜面 「お、開けちゃう?」

滝壺 「うん、はまづらが選んでくれたものだから、私は大丈夫だよ」

浜面 「?」

滝壺 「例え人前で見せるのが恥ずかしいものでも」

浜面 「そういうんじゃないから安心して」

トチトリ 「店の中を鼻血と死体で汚してみろ。ただじゃおかないぞ」

ショチトル 「変にリアリティがあるからやめてくれ」

滝壺 「……あっ」ペリペリ

結標 「なになに?」

エツァリ 「革製の……ケースですか?」

浜面 「携帯ケース兼カバーだ」

滝壺 「ピッタリだ」

浜面 「携帯買い換えたらケースが使えなくなったって言ってたからな」

滝壺 「しかもケースに入れたまま操作できる」テッテレー

結標 「これ、高そうな革使ってるわね」
962 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:21:31.43 ID:Qbd9icj7o

浜面 「こういうのはな、ケチらないほうがいいんだよ。長持ちするからな」

エツァリ 「浜面さんらしからぬセリフですね」

浜面 「格安の定期入れ使ってたらニ週間で切れた。これを四回繰り返した俺だからこそだ!」b グッ

トチトリ 「ニ回目で学びなよ」ハァ

滝壺 「これ、長く使えるようにするね」

結標 「それこそ形見になるぐらいまでよね」クスクス

滝壺 「何十年後かな」

トチトリ 「何週間モゴッ」

ショチトル (縁起でもないこと言うなバカ!)ヒソヒソ

結標 「じゃ、次はケーキのほう……なんだけど」

トチトリ 「食器なら用意してあるぞ」

結標 「それもなんだけど。あっちいつまでかかってるのよ」

ショチトル 「あっち?」


<だから、そこで束ねて一回クルッて
<こ、こォか?


ショチトル 「……そうか。大体の男の人は不慣れなんだな、ああいうの」
963 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:23:40.15 ID:Qbd9icj7o

結標 「見てられないけど、手を出すのも無粋なのよね」ウズウズ

浜面 「ここは生暖かく見守ってあげないとな」

滝壺 「ねえ」

浜面 「なんだ、滝壺もポニテにするか? それともツインテールか?」

滝壺 「ううん、そうじゃなくて。浜面が作ったケーキってこれであってる?」

浜面 「……なんでバレたん?」

滝壺 「なんとなく」

結標 「あ、これ三切れあって全部中身が違うのね」

エツァリ 「ええ。三人で三種類ですよ」

トチトリ 「お前は、お兄ちゃんの作品はどれか分かったか?」

ショチトル 「……なんとなく」

トチトリ 「私は分からなかったな。どれなんだ?」

結チトル 「「これ」」ビシィ

エツァリ 「おお、ご名答です」

浜面 「ちなみに決まり手は?」

滝壺 「決まり手じゃ相撲だよ」
964 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:25:47.15 ID:Qbd9icj7o

ショチトル 「形だな」

結標 「うん、言葉にしづらいけど"なんかこいつっぽい"のよ」

滝壺 「形というか巻き加減も三つ微妙に違うよね」シゲシゲ

トチトリ 「……おそらくだが、腕力や握力がそのまま反映されているんじゃないか?」

滝壺 「たぶんそう。だから浜面のが一番ちっちゃかった」

浜面 「ちっちゃ……そ、その分だけ凝縮されてるってことだな! 俺の愛とかな!」

トチトリ 「」ウワァ

浜面 「なんだよその顔」

番外個体 「あ、ずるい。もう食べてやがる」

ショチトル 「終わったのか」

結標 「……ふーん、それなりに見れる形にはなったわね」

番外個体 「でもブチブチ抜かれたよ。私がハゲたらこいつのせいだから、みんな覚えておいてね」

一方通行 「悪かったっつってンだろ」

エツァリ 「そうだ。ミサワさんにも聞いてみては?」

番外個体 「?」

結標 「ケーキ、三種類あるでしょ。どれがこいつのか分かる?」

番外個体 「これでしょ? キウイ入ってるヤツ」
965 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:27:04.03 ID:Qbd9icj7o

トチトリ 「みんな即答で正解じゃないか。これが正妻スキルってことかね」ニヨニヨ

ショチトル (私だって正解だった)ムー

一方通行 「なンで分かった?」

番外個体 「あなたの考えることだもん、分かるよ」

一方通行 「……」

浜面 「よかったなぁ、おい。理解してもらえてて」ポンポン

エツァリ 「第一位冥利な散り様ですね」ポンポン

一方通行 「散ってねェ」

番外個体 「あ、おいしい」

滝壺 「おいしいよね」

結標 「甘さがしつこすぎないところがいいわね」

トチトリ 「なあ、白い人。コーヒーぬるくなってないか? 次の一杯はいかがかな」

一方通行 「もらおうか」

トチトリ 「少々お待ちを。あ、お代わり自由じゃないから別料金なのでよろしく」

一方通行 「……ちゃっかりしてやがる」

浜面 「いやぁ、無事終わってよかったな。成功と考えてもよかろう」
966 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:28:40.21 ID:Qbd9icj7o

エツァリ 「ええ。あ、携帯電話は確認されました? レスポンスが来てましたよ」

浜面 「おお、どれどれ」カチカチ


 差出人:お嬢(大)
      <kongo-air@comodo.ne.jp>
 件名:先程のケーキ
 日付:20yy/3/14 16:12
 ───────────────
 大変美味しゅうございました。
 来年に弥が上にも期待して
 しまいますわね。


浜面 (恐縮です!)ピッ


 差出人:お嬢(小)
      <ku-shirai@comodo.ne.jp>
 件名:本日のお礼
 日付:20yy/3/14 15:20
 ───────────────
 本日はお疲れ様でした。
 頂いたケーキは残さず美味しく頂
 きましたの。


浜面 (しかしこの二人のメルアドは覚えやすくていい。性格が現れんのかね)ピッ


 差出人:絹旗
      <notmoai@comodo.ne.jp>
 件名:
 日付:20yy/3/14 15:11
 ───────────────
 超可愛い私の画像だと思いました?
 残念、黒夜でした!

 [添付ファイル:0314-011.jpg]

967 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:30:01.74 ID:Qbd9icj7o

浜面 「……約一名、何がしたいのか分からんやつがいるが機嫌がいいのは分かった」

エツァリ 「浜面さんの仰る通りですね。成功と考えて良さそうです」

一方通行 「こンだけやったンだ。これで酷評だったらトラウマレベルだ」

浜面 (そういや、麦野からはなしか。お眼鏡に適わなかったかな?)

トリトリ 「はいよ。そっちの二人はいいのか?」カチャ

エツァリ 「そうですね。同じのを」

浜面 「あー……じゃ俺も」

トチトリ 「はいはい、大人しく待っていろ」


<もうこれ、ここの正式メニューにしちゃったら?
<はまづらに定職のチャンスが。
<うーん、そう簡単にいくかなぁ。


エツ浜通行 「「「」」」

ショチトル 「上手く断らないと後が怖いぞ?」

浜面 「ムリだろ……」

エツァリ 「厳しいですよね……」

一方通行 「冗談じゃねェぞ……」

ショチトル 「私は皿洗いでも」
968 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:32:42.86 ID:Qbd9icj7o


~しばらくして~


番外個体 「そろそろカンバンだよー」

エツ浜通行 「「「」」」グテー

トチトリ 「おい、なんだ燃え尽きた灰どもは」

滝壺 「燃え尽き症候群だよ、きっと」

結標 「今日一日、早朝から頑張ってたみたいだしね」

ショチトル 「慣れないことをすれば疲れもする」

番外個体 「待ってくれるのは嬉しいけど、片付けの間は外で待っててよ」

浜面 「じゃ車で待ってるかー」

滝壺 「車?」

一方通行 「あァ、使わせてもらったぞ」

結標 「こんな長時間、どこに停めてるのよ」

エツァリ 「そこの通りに」

番外個体 「……100パー、切符切られてるわ」

エツ浜通行 「「「あ」」」

トチトリ 「さーて、モップモップ」

ショチトル (茶渋が落ちない……漂白剤コースかぁ)ゴシゴシ
969 : ◆8GNB4AEvC. [sage saga]:2012/08/05(日) 00:33:42.12 ID:Qbd9icj7o

といったところで、今回はここまでです。
もうちょっとだけ続くんじゃよ。

次回投下は1週間以内の予定です。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/08/05(日) 00:40:04.12 ID:D1RgCFxAO
投下乙


期待して待ってるぜよ☆
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/05(日) 00:51:49.52 ID:Xzpfbk3Qo
乙!
最後にうっかりかw
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/05(日) 07:30:37.92 ID:uhZIs3KV0
>>1乙!
>もうちょっとだけ続くんじゃよ。
某漫画のようにまだまだ続くという伏線か!?

白井のアドレスはmisaka-loveかと思ったが既に一通さんに使われてたんだったな
後アドレス出てないのはエツァリ・浜面・フレメア・麦野・ショチトルぐらいか?
どんなの設定してるか気になるな
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/05(日) 10:15:06.65 ID:UR9J6A4Vo
絹旗がnotmoaiなら、

黒子はnotpandaだろ、と思った

974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/05(日) 11:23:12.43 ID:PzBGC0xNP
ショチトルの可愛さが半端ない回だった
prpr 
 

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