- 370 :>> にかわりましてカキネがお送りします:2011/07/10(日) 19:07:20.40 ID:bDFd73HO0
- こんばんわ。遅くなってスイマセン。
では次に注意事項。
・今から投下する話はR-18です。
・香焼が15%くらい『カミやん病:ゲス条症状』発症してます。
・『アンジェレネは清純な娘だ、穢すなボケ!』という方は見ない方が……
以上を踏まえて、ご覧下さい。ではどうぞ! - 371 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 19:17:20.75 ID:bDFd73HO0
- ―――とある日(一日目)、PM08:30、英国ロンドンシティ北部、日本人街、とあるアパート・・・・・
WWⅢ(第三次世界大戦)を終え、更に幾多の問題が過ぎ去ったとある未来。自分――香焼は嘗ての五和程の年齢になっていた。
天草内での立場は未だに変わらず平教徒。それが別に嫌だとか偉くなって出世したい等と急いてはいないが、
周りの同年代の友人たちを見るに、若干、置き去られた感が否めない。
さておき、今は7月棒日。日本では梅雨前後で厄介な時期だが、ロンドンではそんなに変わりない天候だ。
雨はしょっちゅうだし、湿気はまぁまぁ。暑くもなく、寒くもない。平均的な街だと思う。因みに今日も雨。
香焼「……はぁ」
この歳になって詩的な事を謳うつもりはないが、自分の心も雨模様。
残念ながらゲーテの言う様に、全部放っぽり出してその中を踊るのが自由だなんて到底思えない。
その心の雨雲――今、自分が抱えている悩みの理由は成り行きで……一匹の『犬』を拾ったからである。
アンジェレネ「わんっ」
本当に真似しなくていいから。
If.アンジェレネ・アフター
- 373 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 19:26:46.43 ID:bDFd73HO0
- アンジェレネ「おかえり。今日は遅かったね」パタパタッ
スリッパを鳴らし玄関に駆け寄ってくるわんこ……もとい、アンジェレネさん。
アンジェレネ「ご飯、作っておいたよ。インターネットで調べてミソスープ作ってみたの!」ペカー!
彼女がこの狭い1LKのアパート(しかも和風造り)に転がり込んできて約二週間。
何故『転がり込む』なんて表現を使うのかというと、現状アンが『勝手に居る』からである。
しかも居座ってから一度も家から出ていない様だ。当初着ていた修道服は、洗濯して以降、まるで袖を通していない様子。
アンジェレネ「先にシャワー浴びちゃう? あ、一応バス(浴槽)にお湯入れといたよ」
香焼「別にシャワーでいいのに」
アンジェレネ「だって日本人はオンセン好きなんでしょ。じゃあバスタブにお湯必要じゃない? それよりご飯どうしますかー」
香焼「温泉関係無いし……折角だから、先食べるよ」コクッ
アンジェレネ「りょーかいです! 温めるから荷物置いてきちゃって」パタパタッ
楽しそうにキッチンへ戻って行った。
香焼「……、」
男物の半袖パーカーとハーフパンツ姿。サイズが合っているのは3,4年前の僕のお古を何時の間にか引っ張りだしたからだ。
因みに髪は編んでいないので、ウェーブの掛ったストレートが無造作に揺れている。
不用心な彼女と帰って来た自分。傍から見ればまるで同棲している学生カップルに見えなくもないだろう。
だが、彼女と付き合っているという訳ではない。あくまで『成り行き』故だ。
アンジェレネ「コォヤギくーん。準備出来たよー」オーイ
とりあえず今は飯か。
香焼「何、かな。これは?」タラー・・・
アンジェレネ「ミソスープだよ。あとコッチはサシミサラダ。それからライス(米粉パン)、ツケモノ。全部和食にしてみたよ!」ニパー!
何故かミソではなく醤油の匂いがプンプンする味噌汁。そして米粉パン……もはやご飯じゃない。
刺身サラダ……って、紫蘇ドレッシング掛けたカルパッチョ。漬け物に至っては西洋漬け(ピクルス)である。
香焼「……アン。普通、味噌汁に醤油は使わないよ」ダラダラ・・・
アンジェレネ「え? ミソペースト(お味噌)が無いからソイソース(醤油)でも良いかなぁって。同じお豆(ビーンズ)でしょ」ポカーン・・・
香焼「ぇ……味見は?」ダラダラ・・・
アンジェレネ「うん。それなりに飲めた」コクンッ
まぁ喰えれば良いか。足りなかったら後で米早炊きして卵かけご飯でも食べよう。 - 374 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 19:34:22.34 ID:bDFd73HO0
- 香焼「それじゃあ、食べようか」
アンジェレネ「はいどうぞ。あ、箸(チョップスティック)必要だね。忘れてた」
香焼「別にフォークとスプーンでも良いよ」
また楽しそうな顔。僕が食前の祈をしてる最中も、ニコニコ。
香焼「―――……いただきます」
アンジェレネ「うん、召し上がれ」ニコニコッ
二人だけの夕飯。二人だけの、オママゴト。
アンジェレネ「おいしい?」ジー・・・
香焼「ん。食べれるよ」モゴモゴ・・・
アンジェレネ「酷いなぁ。感想欲しいのに」ムゥ・・・
香焼「……濃い、ね」アハハ・・・
世辞でも美味いとは言えん。
アンジェレネ「じゃあもっと修行だね!」ムンッ!
香焼「……、」
真っ当な料理を作れるようになるまで、居座る気なのだろうか。
香焼「あの、さ。アン」
アンジェレネ「あ。そういえば今日インターネットで学園都市の学校調べたの! コォヤギくんの学校、学力だけならTop10なんだね!」ニパー!
香焼「……アンジェレネ」
アンジェレネ「でも凄いよねー。私今までパソコン弄った事なかったけど、アレ有れば何時間でも時間つぶせるよ」フフフフ・・・
まるで、駄目人間……ではなくて、話を逸らすな。
香焼「今更だけど、これから如何するのさ」
アンジェレネ「えっと……如何って、その……うん」ボー・・・
香焼「ウチに誰か尋ねて来ないとも限らないし」
アンジェレネ「……隠れる」
香焼「馬鹿かぃ……あとオレだって3日後もすれば都市に戻るんすよ。その間、如何するの?」
アンジェレネ「……、」
俯いて難しい顔をする少女。
アンジェレネ「……鍵、預かる」チラッ・・・
香焼「駄目。どっちにしろ財布も携帯も持ってきてないから、此処に居ても生活出来ないだろ」キッパリ・・・
アンジェレネ「お金、貸して」ムゥ・・・
香焼「やだ」キッパリ・・・
アンジェレネ「……お願い」シュン・・・
香焼「……ハァ」
まるで駄目だ。アニェーゼ部隊に戻る気がサラサラ無いっぽい。
結局それから食事が終わるまで、無言が続いた。 - 375 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 19:45:52.50 ID:bDFd73HO0
- ―――とある日(一日目)、PM09:50、英国ロンドンシティ北部、日本人街、とあるアパート・・・・・
英国(こっち)のアパートは都市の便利なオール電化マンションとは違い、至って質素な作りである。
備え付けの食器洗い機やIHシステムなんかない。故に、食器の手洗いは当たり前である。
アンジェレネ「ふんふふ、ふんふふ、ふんふーふ~♪」カチャカチャ・・・
先とは一転、再び陽気に戻るアンジェレネ。何故か楽しそうに食器を洗っている。
アンジェレネ「コォヤギくん、今日は書類書き無いの?」
香焼「報告書は書き終えてきたよ。明日明後日はしっかり休みたいからね」ボー・・・
アンジェレネ「そっか。じゃあのんびーり、だね」ニパー!
食器を拭き終え自分の居るリビングへ。僕が座っていたソファの目の前にいきなり座ると、何気ない顔でリモコンを奪った。
そして勝手に天気予報を、バラエティ番組へ変える室内大型犬。
香焼「ちょっと」ジトー・・・
アンジェレネ「テレビよりネットの方が詳しい予報見れるでしょ」パタパタッ
香焼「……はぁ」
アンジェレネ「うーん、全部面白くない。モンティ・パイソンみたいなのやらないかなぁ」ムゥ
そのチョイスは奈何せん如何かと思う。
さておき……目の前の床にペタンと座る少女と真剣に話をせねばなるまい。
香焼「……ねぇ。アン。真面目に話そう」
アンジェレネ「むぅ……コォヤギくん、そればっか」
香焼「君が話逸らしてばっかだからだろ」
2週間前からずっとそうだ。只管、現実逃避。
アンジェレネ「……、」
香焼「皆心配してるよ」
アンジェレネ「……してないもん」ムスー・・・
香焼「してないわけないだろ。きっとアニーとルチアさんは特に――」
アンジェレネ「知らない」ザックリ・・・
香焼「――……あっそ」ハァ・・・
どうしようもないな。
香焼「勝手にしろ」スッ・・・
アンジェレネ「……、」
何も言わず席を立ち、バスルームへ向かう。今日はもうさっさと寝よう。 - 376 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 20:05:10.41 ID:bDFd73HO0
- アンジェレネ「何処行くの」
香焼「シャワー」テクテク・・・
アンジェレネ「私も行く」スゥ・・・
……。
アンジェレネ「駄目?」キョトン・・・
香焼「駄目」ジトー・・・
アンジェレネ「この前は一緒に入ってくれたのに」ブーブー!
香焼「……兎に角、駄目」テクテク・・・
自分が『最低』で有るのを自負した上で、彼女を拒絶する。
寂しそうな表情を浮かべるアンジェレネを後目に、自分は風呂場に向かった。
香焼「ったく……せめて大人しくしてて欲しいよ」ガチャッ・・・チャプン・・・
雨の日外から帰って来た後の風呂は、風邪が治った後浴びる熱い湯の感覚に似ている気がする。
体温が中途半端な状態になっているからだろうか……詳しい理由は分からない。
都市に戻ったらその手の能力者(専門家)にでも聞いてみよう。
香焼「ん?」チャポン・・・
ドアの前に気配。
香焼「……駄目だぞ」
アンジェレネ『まだ何も言って無いじゃん』ムゥ・・・
香焼「風呂場には入れない。鍵閉めてるだろ」
アンジェレネ『ふーん……ねぇ。身体洗った?』
香焼「は?」ポカーン・・・
アンジェレネ『身体と髪、洗ったの?』
香焼「まだ湯船だけど……え?」
嫌な予感。
アンジェレネ『ボトルの中』ボソッ・・・
香焼「おま……、」タラー・・・
アンジェレネ『ふふっ。ね、開けてー』トントンッ
策士め。だが、しかし。
香焼「石鹸取らなかったのは甘かったね。身体洗えるよ」フンッ
アンジェレネ『むぅ……髪は?』
香焼「明日朝シャワー浴びる」アハハハ
アンジェレネ『ずるーい!』ワーワー!
ずるくない。寧ろ狡いのはオマエだ。 - 377 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 20:30:50.21 ID:bDFd73HO0
- 香焼「だから諦めて大人しく……って」エ・・・
アンジェレネ『うーんっと……、』カチャカチャ・・・
嫌な音がした。この音は……五和のキーピックの音に似ている。
香焼「ちょ、待――」
アンジェレネ『よっと! 開いたー!」ガチャッ!
香焼「――……おい」ドキッ・・・
アンジェレネ「コォヤギくん帰ってくる前に事前練習しといて良かった!」ヤッホーゥイ!
一糸纏わぬ姿で堂々と風呂場に入ってくるアンジェレネ。
絹の様な肌。数年前と比べ幾らか膨らんだ乳房。淡い桃色の乳首。歳の割には薄い陰毛。
アンジェレネ「あはは。えっちー」クスクスッ///
香焼「っ」フルフル・・・///
満面の笑みでアホな事抜かしやがった。いくら暇人だからといってやって良い事と悪い事があろうに。
アンジェレネ「お邪魔しまーす」ニコニコッ
香焼「だ、や、来るな!」アワワワ・・・///
アンジェレネ「えへへ♪」チャポンッ・・・
あー、畜生……『また』だ。
アンジェレネ「ぶー! そんな嫌な顔しないでよー!」ツンツン・・・ウリウリ!
香焼「五月蠅い頼むから黙って……、」ミエナイミエナイミエナイ・・・///
狭い湯船に二人きり。無論、互いに裸。しかし何故か男である僕の方が股間を隠している。
アンジェレネ「コォヤギくん、足伸ばして良いのに」キツー
香焼「……伸ばしたらアン入れないだろ」ハァ・・・
アンジェレネ「私、コォヤギくんの上に座るから問題無いよ」ニパー!
大アリだ、馬鹿者。
香焼「やっぱ風呂出るよ」スッ・・・
アンジェレネ「何でー?」エー・・・
香焼「何でも糞も無い。駄目に決まってるだろ」
アンジェレネ「……ふーん」ジトー・・・
淡々とした声。まるで機械。彼女はいきなり身体を自分の向け、逃がさぬ様、詰め寄ってきた。 - 378 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 20:57:17.23 ID:bDFd73HO0
- そして告げる。
アンジェレネ「いまさら?」
何も、言えない―――
アンジェレネ「もう、Hしちゃったのに?」
―――言い返せない。
アンジェレネ「ねぇ、聖職者さん。何回ヤッたか覚えてる?」スゥ・・・
香焼「……、」ゴクッ・・・
アンジェレネ「ふふっ、もう4回だよ。射精の回数で数えたら11回かなー」ニヤッ・・・
彼女は卑怯だ。
アンジェレネ「倫理のお勉強? あー……うん。私は悪い子だからね」フフフ・・・
香焼「止め……、」
アンジェレネ「コォヤギくんは何も悪くないの。悪いのは、ぜーんぶ私。悪い子に『なった』私だよ」ペロッ・・・
笑顔で毒を吐きながら、自分の胸元を舐めてきた。
アンジェレネ「ん……大きくなってるの?」スッ・・・ギュッ・・・
香焼「っ、身体洗う!」ザバッ///
アンジェレネ「あ、逃げた。ふふっ」クスクスッ
彼女の『手』から離れる。
ペースに乗せられたら、また『して』しまう。何が何でも逃げなければ。
アンジェレネ「因みに扉は魔術で『ロック』してますよー」ヘヘヘー!
畜生。何から何までお見通しか。 - 379 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 21:21:40.19 ID:bDFd73HO0
- 緊張しながら身体を洗う。髪を洗い終え、今は身体。因みにアンはずっと笑顔で僕の方を見遣ってくる。
アンジェレネ「ふんふふ、ふんふふ、ふんふーふーん♪」ニコニコッ
香焼「……何でコッチ見てんの?」タラー・・・
アンジェレネ「楽しいから?」ウーン・・・
何故に疑問形。
アンジェレネ「かわいいー」ジー・・・
香焼「意味が分からない」ハァ・・・
アンジェレネ「男の子の身体って不思議だねーって。今は小さいのにHする時は倍々なんだもん」フフッ
何処見てんだオイ。
アンジェレネ「ドコでしょーねー。あ、身体流す?」ザバッ
香焼「別に良ぅぶはっ!!」バシャッ!!
アンジェレネ「かけちゃった♪」テヘッ!
香焼「……、」ダラダラ・・・
アンジェレネ「怒った? 叩く?」ニコッ・・・
香焼「っ……叩かない」グッ・・・
先日、今と似た様なケースがあったので心苦しくも手を上げてしまった。だが、効果が無い。
ただただ良心が傷付いていくばかりだ。
香焼「はぁ……ったく」
アンジェレネ「じゃあ次私洗っちゃうねー」ザバァッ・・・
恥じらいも無くバスタブから飛び出す彼女。目のやり場に困る。
アンジェレネ「私の裸なら沢山見たじゃん……す・み・ず・み・までっ♪」ニヤリ・・・
香焼「だからそういう事言わないでよ」カアアァ///
アンジェレネ「あはー! んもう、相変わらず女々しいなー。とりあえずコォヤギくんお風呂入ってて」トンッ
香焼「はいはい……ってかもう外に出してよ。オレが此処居る必要ないだろ」ポリポリ・・・
アンジェレネ「だめー。あ! 何なら私の身体洗ってくれても良いよ」フフフッ
だから止めろと言うに。
アンジェレネ「恥じらう女の子の方が好きなの? じゃあアニェーゼちゃんとかレッサーちゃんはドンピシャだね。二人とも実はヘタレだし」
香焼「おま……そういう問題じゃないから。もぅ、さっさと洗うなら洗って」ハァ・・・
アンジェレネ「はーい」ニコニコッ
鼻歌交じりで髪を洗いだす。とりあえず自分は気を逸らす為に天井の水滴を数える事にした。 - 380 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 21:43:57.09 ID:bDFd73HO0
- 自分が水滴を193まで数えた時、彼女が身体を洗い終えた。
アンジェレネ「ふぃーっと。コォヤギくん、明日コンディショナー買ってきてね」スッ・・・
香焼「リンスで良いだろ」ボソッ
アンジェレネ「癖っ毛直したいからリンスじゃ駄目なの」メッ!
リンスとコンディショナーとトリートメントの違いが分かりません。
香焼「ってか自分で買いに行きなって。コンビニならすぐ近くにあるっすよ」
アンジェレネ「ヤダ」キッパリ!
香焼「即答かい……ヒッキーめ」ハァ・・・
アンジェレネ「他の人に見つかったら拙いもん……コォヤギくんだってそうでしょ?」チャプンッ
香焼「それは、その……っていきなり入ってくんな!」アタフタ・・・///
アンジェレネ「ふふふふふー♪」ニコニコッ
何故か仁王立ち。色々モロ見え。兎に角、目を瞑る。
アンジェレネ「優しいねー。この場に至っても我慢するんだ」クスクスッ
香焼「我慢も何も無い! 良いから上がるなら上がってよ! じゃなきゃオレ外に出して」グヌヌ・・・///
アンジェレネ「どうしよっかなー」フフフッ
きっと目を開ければ、悪い笑みを浮かべている彼女の顔を見れるだろう。
アンジェレネ「……じゃあ」スッ・・・チャプチャプ・・・
香焼「っ!」ビクッ
彼女の手が僕の股間を掴み、そして……上下に動いた。
アンジェレネ「えへへー。きもちーの?」クスクスッ///
香焼「ちょ……止め」ゴクッ///
アンジェレネ「えいっ」キュッ・・・
香焼「っ!!」ビクッ!!
アンジェレネ「えへへ。やっと目ー開けたー」ニコニコッ
身体が密着し、ペニスを強く握られた所で目を開けてしまう。というか開けるなという方が無理だ。 - 381 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 22:02:22.20 ID:bDFd73HO0
- 身体を無理矢理引き離す。だが彼女の右手はブツうぃしっかり掴んで離さない。
アンジェレネ「むー。人とお話する時は、キチンと相手の方見なきゃダメなんだぞー」クスクスッ・・・チャプチャプ・・・
香焼「っ……、」ゴクッ・・・
アンジェレネ「コォヤギくんだって昔に比べたら大きくなったでしょ。毛も生えたしー」チャプチャプ・・・ジー///
香焼「見なくて良いから。あといい加減手離してよ……ぃっ」ハァ・・・ピクッ・・・
アンジェレネ「イヤだよー。私は毛薄いからなぁ。コォヤギくんも、男性の中では薄い方なの?」フフフ・・・
知りません。知りたくありません。
アンジェレネ「ノリ悪いなぁ……てか、思いっきり突き放さないんだ」ニヤッ・・・チャプチャプ・・・
香焼「っ。此処で、突き放したら……危ないだろ……っ……んっ」グッ・・・ピクッ・・・
アンジェレネ「やっぱりコォヤギくん、優しいよ……もしかしてイキそうなの?」チャプチャプ・・・///
香焼「……、」フルフル・・・
アンジェレネ「あはは。我慢してー。出してもいいよー、早いの知ってるんだよ」クスクスッ
それを言われると、男として落ち込みます……じゃなくて!
香焼「……止めろ」ギロッ・・・
アンジェレネ「んー……男の子は口で何言っても、心と脳ではHしたくて堪らないんだよねー。下心ってヤツかな」スゥ・・・
香焼「そんな、事……ッ」ピクッ・・・
アンジェレネ「レッサーちゃんが読んでた本に書いてたもん。あ、でもコォヤギくんの場合は特殊だね」クスクスッ
特殊?
アンジェレネ「口と心と頭は嫌がってても、身体は正直。女の子みたいだー」ニパー! スリスリ・・・
香焼「笑顔で何言ってんすか……って、オイ!」バシャッ///
アンジェレネ「はははは。『イヤらしい奴め。身体は喜んでるじゃないか!』ってこと?」ニヤリ・・・
香焼「あ、アンジェレネ!?」ギョッ///
アンジェレネ「レッサーちゃんとオリアナさんが読んでた本、前に見たの」クスクスッ
あの破廉恥淑女共……毒撒き散らすんじゃない。変な知識与えんな。 - 382 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 22:15:25.70 ID:bDFd73HO0
- 彼女は誘惑を続ける。
アンジェレネ「ねぇ……別に良いよ。ヤっても」ピタッ・・・
香焼「な……駄目だ」グッ・・・
アンジェレネ「私をこれ以上傷つけたくないとか考えちゃってるの? だったら心配しなくていいよ」クスッ・・・
香焼「違……、」
アンジェレネ「うそつきー。ずーっとそんな事考えてるくせにー」フフフ・・・
悔しいが図星だ。
付け足すとすれば、彼女を犯す度に……自分の良心も傷付く。結局のところ自分が可愛いから彼女と情を交えたくない。
アンジェレネ「でも追い出さない。でも犯しちゃう」ペロッ・・・
香焼「……、」ゴクッ・・・
アンジェレネ「欲望に負けちゃうのが悔しい」ペロペロ・・・
香焼「ぃ……、」
アンジェレネ「怒って良いよ?」フフフッ・・・
僕の身体を舐める彼女。上目遣いで、怒気と慾を誘う。
香焼「っ……のぼせるから、上がろう」グッ・・・
アンジェレネ「話逸らさないでよー。H、する? するならお風呂の方が良いなー。シーツ洗うの大変だし」チュッ・・・
香焼「だからしないって」ゴクッ・・・キッ!
アンジェレネ「……まだ我慢するの?」ニコニコッ
それなら。
香焼「……アンが真面目に話してくれるなきゃ、オレもアンの話聞かない」
アンジェレネ「えー、卑怯だよー」ブーブー!
香焼「卑怯なのはドッチだっつーの」タラー・・・
アンジェレネ「……じゃあ真面目に話したらHしてくれるの?」サラッ・・・
香焼「ぇ……ハァ!?」ダラダラ・・・
アンジェレネ「じー……、」
オマエは 何を 言ってるんだ ? - 383 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 22:36:17.52 ID:bDFd73HO0
- 再び無言で僕に迫り、今度は唇を重ねようとするアンジェレネ。
香焼「止め……アン。何でそうなったの? オレの所為なのか?」プイッ・・・
アンジェレネ「ん……違うよ」グッ・・・
香焼「オカシイよ……絶対」
アンジェレネ「自覚してるもん」
香焼「いや、してないよ」
軽く狂気すら感じる。
アンジェレネ「じゃあもうコォヤギくんの言う通りでいいから……キスしてよ」ギュッ・・・
香焼「っ……しないって言ってるだろ!」グググ・・・
アンジェレネ「……、」ジトー・・・
不服そうな眼。こっちがその視線をぶつけてやりたいわ。
アンジェレネ「……もういい」ザバッ・・・
香焼「アン……、」
アンジェレネ「先上がる」ガチャッ・・・
彼女の手がやっとペニスから離れた。機嫌を損ねたのか、そそくさと浴場から出て行く。
香焼「……助かった、のかな」フゥ・・・
心には色んな物が溜まったままだが、これでやっと足を伸ばせる。
香焼「やっぱ……最低だ」ハァ・・・
やり場のない怒りの矛先は何処にぶつければ良いのだろう……誰か教えてくれ。 - 384 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 22:50:18.57 ID:bDFd73HO0
- ―――とある日(一日目)、PM11:00、英国ロンドンシティ北部、日本人街、とあるアパート・・・・・
風呂から上がるとアンジェレネはベットで寝ていた。寝巻きは少し大きめの白い甚平。何年か前に五和と浦上からプレゼントされたものである。
彼女が来てからというものベットは彼女に渡して、自分はソファで寝る形となっていた。
香焼「一安心、か」ハァ・・・
偽善といわれようが構わない。彼女と身体を交えない日は心底安堵する。
冷蔵庫を開け牛乳を取り出す。勿論、ムサシノ牛乳。態々日本から取り寄せたモノだ。
ステイルや建宮さん程とはいわないが、せめて上条さんくらいの身長は欲しい。
香焼「……メール」チラッ
光る携帯。
香焼「仕事(天草)用は良いとして……最愛とアニー、か」カチッ
都市に居る妹分と女子寮に居る親友から。前者は他愛ない内容だが、後者は……後ろめたい。
【DATE】XX/XX 22:41
【FROM】アニェーゼ
【sub】RE7:
------------------------
そうですか・・・
何でも良いので、手掛かり
有り次第連絡下さい。
彼女は今も、アンジェレネを探している。
そして自分は匿っている事を隠している。
香焼「……ごめん」
始めは直ぐにでも教えようとしたのだが、アンジェレネの涙交じりの訴えにより、その事実を言えないでいた。
香焼「アン……、」
誰が悪いでもない。事の始まりは身内の問題だったらしい……――― - 385 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 23:00:20.90 ID:bDFd73HO0
- ―――とある日(2週間前)、PM07:30、英国、ランベス宮、女子寮・・・・・
その日はアニェーゼ部隊がとある難民キャンプから戻ってきた日だった。
部隊の全員に披露の色が見える中、特に顔色が良くない人物がいる。
ルチア「……ハァ」
部隊長補佐。応接室(サロン)のメインテーブルに書類を置き、どっかり座り込んだ。
フロリス「お疲れさん。どったの? 顔色悪いけど」
ルチア「……面倒事です。というかフロリス。何故居るんですか?」
フロリス「暇だったからルチアちゃんの顔でも見ようかなぁと来てあげんだよ」ニカッ
ルチア「……ったく。あ、シスター・オルソラ。少々手伝って欲しいのですが、御時間宜しいですか」ポリポリ・・・
オルソラ「あらあら。書き物でございますか? ではハーブティーでもお出ししましょう」
シェリー「私も頼む。んで、始末書かぃ? アンタにしちゃ珍しいわな」
ルチア「始末書じゃありません。ちょっと、色々と」ハァ・・・
そう言って頭巾を取り、テーブルに倒れ込んだ。
オルソラ「今回の任務の報告書でございましょう。はい、お茶でございます」カチャッ・・・
ルチア「ありがとう、シスター・オルソラ……ええ。その通りです」
シェリー「報告書って、そりゃアニェーゼ嬢の仕事じゃないのか? 部隊長なんだし」
ルチア「……、」
更に渋い顔。口籠る辺り何かあったらしい。
フロリス「何したのさ? 今回何処行って来たんだっけ?」
ルチア「中東のとある難民キャンプですよ。教皇庁から頼まれた慰安訪問で、要人と共に現地入りしました」
シェリー「へぇ。バチカン(アッチ)の指示だったり英国(コッチ)の指示だったり大変だねぇ」
フロリス「でもそれだけだったら特に問題起きないんじゃないの? 爺婆子供と遊んだり、看護手伝ったり、飯支給したりだしさ」
ルチア「紛争地帯の難民キャンプです。問題が起きても不思議ではないでしょう」
そういう場所だからこそ、武道派戦闘修道女集団であるアニェーゼ部隊が選ばれたのだろう。
シェリー「……火種が、オマエらんとこのキャンプ地に飛んだのか?」
ルチア「いえ……、」
フロリス「じゃあ如何したのさ。どうせ後で報告書出せばバレんでしょ。英国にも情報行くんだろうし」
ルチア「貴女は教皇庁と最大主教の職務室に入れるのですか?」ジトー・・・
フロリス「レッサーが何やらかんやらでアニェーゼとアンジェレネに聞くから、それを私が聞き出す」ニヤリ・・・
ふざけるなよ、カルテッ娘。 - 386 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 23:16:20.67 ID:bDFd73HO0
- さておき、ルチアが仕方なしと口を開く。
ルチア「ハァ……あんまり口外しないでくださいよ」
シェリー「多分しない」
ルチア「絶対するなっつの……地元の猿公共がウチのシスター数名に手ぇ出そうとしました」ハァ・・・
フロリス「えっと……英語でおk?」
シェリー「つまり慰安部隊だからって慰安婦と間違えられたか……下衆共め」フンッ
ルチア「ええ……だから私は有色人種がいる場所には――」
シェリー「……ふむ」
ルチア「――あ、ぇ、と……すいません……、」シュン・・・
シェリー「別に良いさ。オマエの性格は知ってる」ハハハ
軽く流してくれる器量の大きい大人の女性。
オルソラ「それで、如何なったのでございますか?」
ルチア「はい……隊長が、その、男性達に手を上げてしまいまして」
フロリス「あら、仲間思いね。駄目なのそれ?」
ルチア「……限度が」タラー・・・
オルソラ・シェリー・フロリス「「「あー」」」コクンッ・・・
リミッターが外れたアニェーゼの暴れっぷりは物凄い。
全般的に『F』口調。当たり構わず物を壊す。誰の声も聞き入れない。
ルチア「まぁその怪我の大小が問題では無くですね……はい」
オルソラ「難民に手を上げた事が問題、という訳でございますか」
仮にも教皇庁の遣いで訪問したのだ。そこで問題を起こしたら『上』の面子が立たない。
フロリス「うわー。だから組織勤めって嫌なのよねー」ゲェ・・・
ルチア「地元の方々は自業自得と擁護してくれるのですが……教皇庁の司祭(ジジイ)共が五月蠅くって」ハァ・・・
シェリー「ヴェントかアックアに言いなさいって。アイツらなら何とかしてくれんでしょ」
ルチア「一応お願いするつもりですが……報告書を如何するべきやら」ハァ・・・
シェリー「だから対応上手なオルソラ(コイツ)の助言が聞きたいってか。まぁ若いんだし頼っとけ」ハハハ
オルソラ「……シェリー?」ゴゴゴゴ・・・
シェリー「あ、あはは……何でもない。オルソラサンハ、ワカイデスヨ」タラー・・・
結局、始末書の様なものか。
オルソラ「因みに、シスター・アニェーゼは?」
ルチア「一度マグヌスの所へ。謹慎処分を下されてるでしょう。御蔭で私がとばっちりです」
フロリス「あー、不良神父と喧嘩して憂さ晴らししてくるのね」ハハハ
予想だとステイルの部屋は改装する羽目になるだろう。 - 387 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 23:21:03.26 ID:bDFd73HO0
- 報告書を書き始めて数分後、やたらデカい足音が聞こえてくる。
ついでに汚ない言葉も飛び込んでくる。一発で誰だか分かった。
アニェーゼ「[ピーーー]!! [ピーーー]!! あの木偶の坊糞っ垂れ不良神父がっ!!」ガンガンッ!!
レッサー「うへぇ。おっかねー」ニヒヒ!
アニェーゼ「『やり方あっただろ、単細胞』ですって!? あのゴリラ男共の[ピーーー]ナマスにしてやりゃ良かったんですかねぇ!!」ギリリ・・・
アンジェレネ「それでも問題無かったと思うよ」ニコニコッ
カルテッ娘、もとい一人ロシアに帰ってるのでトリオ・ザ・チビ娘。
アニェーゼ「畜生が……ん?」チラッ・・・
ルチア「……、」チラッ・・・
アニェーゼ「……ルチア。それ後で私ん部屋に持ってきなさい。アンタが書かなくて良いですよ」フンッ・・・
ルチア「いえ……隊長は早めにお休みを。疲れているのでしょう」カキカキ・・・
アニェーゼ「そりゃアンタも同じでしょう。良いから私の部屋に持って来――っておわっ!?」ギョッ!?
オルソラ「まぁまぁ。此処は一旦お部屋に戻って欲しいのでございます」ポンッ
アン・レッサー((ど、どっから現れた!?))ドキッ・・・
いきなり3人の背後から忍び寄った寮長(仮)。
オルソラ「シスター・ルチアも直ぐに寝せますからね。任せて欲しいのでございますよ」
アニェーゼ「でも……、」
オルソラ「心配しないで。貴女はちょっと不器用だっただけでございましょう。今日は安心して就寝して貰って構わないのでございます」
シェリー「周りが上手くカバーしてくれっからダイジョーブだぞー。多分マグヌスが特に頑張っから」ハハハ
必要悪の教会(ネセサリウス)『№1ツンデレ』こと、ステイル・マグヌス主教補佐。
オルソラ「とりあえず寝なさい」トンッ
アニェーゼ「……、」
オルソラ「んー……聞きわけない娘は無理矢理運ぶのでございまーす」ガシッ!
アニェーゼ「ちょ、待、あー……ぅー」ズルズル・・・
レッサー「はははは。お休みー」
苦い顔をしながら強制就寝させられる隊長殿16歳。
アンジェレネ「……、」ジー・・・
一寸後、オルソラが応接室に戻ってきた。修道服が乱れてるのは我儘娘を『粛清』してきたからだろう。
シェリー「やっぱオメェが一番怖ぇよ」タラー・・・
オルソラ「あの子は無理矢理そうしないと全部を自分の責任にしようとしてしまうのでございますよ。多少強引に寝付かせないと、ね」フフッ
ルチア「すいません、助かります」コクッ
隊長として、エースとしての責務。 - 388 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 23:27:18.75 ID:bDFd73HO0
- フロリス「やっぱ重責は分担されてる方がチーム上手く回るよねー」ハハハ
謂わばアニェーゼは若くして主将で4番でエースピッチャー。負担は大きい。
オルソラ「とりあえず今日はある程度書いて休みましょう。シスター・ルチアも疲れているのでございましょう」チラッ
ルチア「ええ。そうですね、キリの良い所で寝ます」コクッ
オルソラ「貴女達も、今日は早めに消灯するのでございますよ」チラッ・・・
アンジェレネ「……、」ジー・・・
フロリス「……アンジェ?」キョトン・・・
不動のまま、ルチアを見詰めるアンジェレネ。
レッサー「アンジェっち? どったの?」キョトン・・・
シェリー「おい、ルチア。チビ子がオマエにガン垂れてんぞ」ボソッ・・・
ルチア「放っておいて構いません」サラッ・・・
フロリス「え」キョトン・・・
オルソラ「……シスター・アンジェレネ。今日はもう休むのでございます」スッ・・・
オルソラが伸ばした手を潜り、ルチアの方へ近づく。
アンジェレネ「……、」ジー・・・
ルチア「何か」チラッ・・・
アンジェレネ「……、」ジー・・・
ルチア「用が無いなら寝なさい」カキカキ・・・
瞬間、ルチアの手元が揺れた。アンジェレネが……机を叩いた。
一同『っ!!?』ギョッ・・・
ルチア「……邪魔です」カキカキ・・・
アンジェレネ「そんなの、書く必要無いです」ギリッ・・・
ルチア「貴女が如何こう言う問題ではないのです。さっさと寝なさい」カキカキ・・・
アンジェレネ「如何して……っ」バンッ!
ルチア「邪魔」カキカキ・・・
ルチアはあくまで冷静。逆にアンジェレネのボルテージは上がっていく。
アンジェレネ「隊長は仲間の為に身体張ったんですよ! 何で馬鹿みたいに攻められなきゃなんないんですか!」キッ
ルチア「だからそれを皆でカバーすると言ってるんですよ。シスター・オルソラの話を聞いてなかったんですか?」チラッ
アンジェレネ「そんなの要りません! 隊長は何も悪くないんですからそもそも書く必要無いでしょう!」ガッ!
ルチア「事情があるんです。良いから貴女は寝なさい」カキカキ・・・
アンジェレネ「そうやって子供扱い……事情なんて現場を知らない司祭組の勝手でしょ! 付き合う必要ありません!」ドンッ!
レッサー「あ、アンジェレネ?」タラー・・・
アンジェレネ「レッサーちゃん、黙ってて……ちょっとルチア! 書かないでよ!」ビリッ・・・
ルチア「チッ……アン」ギロッ・・・
遂に報告書を破いたアンジェレネ。不穏な空気、高まる緊張。 - 389 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 23:38:34.64 ID:bDFd73HO0
- しかしルチアは未だ冷静を装う。
ルチア「アンジェレネ……少し頭冷やしなさい」ハァ・・・
アンジェレネ「ルチアがおかしいんでしょ! 如何してそんなに冷酷でいられるのよ!」ギリッ・・・
シェリー「おい、ちっこいの。良いから大人の言う事聞いとけ」ッタク・・・
アンジェレネ「だから子供扱いしないで下さい!」カッ!
シェリー「……、」ギロッ・・・
オルソラ「シェリー、駄目よ……シスター・アンジェレネ。とりあえず一服するのでございます。そしたらきっと――」
アンジェレネ「シスター・オルソラまで! 誰もアニェーゼちゃんの味方いないの!?」ギリリ・・・
レッサー「ちょ、あ、アンジェレネ……少し落ち着こうって」タラー・・・
怒りで何も耳に入らない状態らしい。
ルチア「アン。元はといえば貴女がダラしないのが原因でもあるのですよ」チラッ
アンジェレネ「は? 意味が分かりません」ギロッ・・・
ルチア「最近弛んでるでしょう。だから変態野郎に狙われるんです。今回良い薬になってでしょう。今後ちゃんと――」
アンジェレネ「私の所為にしないでよ! それって責任転嫁? 何も言えなくなったからって私の所為にする?!」ガンッ!
ルチア「――……、」ガタッ・・・テクテク・・・
オルソラ「シスター・ルチア!」バッ!
流石にキレたルチアが立ち上がり、アンジェレネの方へ歩み寄った。
今回の任務で襲われた隊員の一人が彼女である。しかも、イの一番だ。
アンジェレネ「そう……怒ったんですか?」ジー・・・
ルチア「……最近甘やかし過ぎましたね。少しお灸を饐(す)えましょうか」ギロッ・・・
オルソラ「二人とも! 止めなさい!」
アン・ルチア「「……、」」ギリリ・・・
睨み合う二人。そして……―――
パンッ
パンッ
―――乾いた音が二つ。
一同『っ!』ギョッ・・・
アン・ルチア「「……っ!?」」ビクッ・・・
互いでは無い。
アニェーゼ「……、」ギロッ・・・
手を上げたのは、隊長。 - 390 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 23:44:04.95 ID:bDFd73HO0
- 驚きで言葉が出ない。
オルソラ「あ……アニェーゼ」チラッ・・・
アニェーゼ「寝れる訳無ぇじゃねぇですか……こんな騒がれたらよぉ、ボケナス」ギロッ・・・
アンジェレネ「あ、ぇ……ぁ……、」ビクッ・・・
アニェーゼ「ルチア。やっぱアンタも今日は寝やがれってんです。それ明日やりましょう」フンッ
ルチア「……了解です」コクッ
固まる一同。
アンジェレネ「あ、アニェーゼ、ちゃん……」タラー・・・
アニェーゼ「……アン。皆の言うとおりです。少し頭冷やしなさい」ハァ・・・
アンジェレネ「……っ」グッ・・・
アニェーゼ「別に今回の件はアンが悪いとかそんなんじゃなくて、ただ――」
アンジェレネ「もぅ……良いよ!」ダッ!
アニェーゼ「――って、オイ!」ギョッ・・・
飛び出すように逃げ出した。
アニェーゼ「アンジェレネ!」バッ!
オルソラ「シスター・アニェーゼ」スッ・・・
アニェーゼ「お、オルソラ!?」ナ・・・
オルソラ「少し……一人にしてあげるべきなのでございますよ」ジー・・・
アニェーゼ「……、」グッ・・・
誰もが、動きを停めた。
オルソラ「貴女は寝なさい。また無理矢理寝かしつけられたいのでございますか?」
アニェーゼ「でも……アンを」ムゥ・・・
オルソラ「どうか私達に任せて欲しいのでございますよ。さぁ、今晩はベットに」ポンッ・・・
アニェーゼ「……何かあったら知らせて下さい。ルチアも、早く寝て下さいよ」チラッ・・・
ルチア「……はい」コクンッ
アニェーゼ「……レッサー」チラッ・・・
レッサー「ん……はいはい。アンジェっちを追い駆ければ良いんですよね」テクテク・・・
アニェーゼ「お願いします」コクッ
やれやれと頷きレッサーは応接室を後にする。
アニェーゼはそれを見送った後、深い溜息をつきながら部屋へ戻った。 - 391 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/10(日) 23:49:22.66 ID:bDFd73HO0
- 気まずい空気の中、残った面々は項垂れ眉間を押さえるルチアを見遣った。
ルチア「っ……、」ハァ・・・
シェリー「気ぃ病むな……まぁオマエさんは我慢した方だと思うぞ」ポンッ
オルソラ「シスター・ルチア。私が新しい用紙を貰っておくので、貴方はもうお休みになるべきでございます」
ルチア「……、」シュン・・・
フロリス「うん、まぁその……反抗期の身内持つと大変だな」ポリポリ・・・
反抗期。
確かに近年アンジェレネは少しずつ変わってきた。年相応の反抗期(ソレ)だが、部隊勤めで反抗期は禁忌(タブー)である。
ルチア「……本当は優しい良い子なんです、分かってますよ」ハァ・・・
オルソラ「ええ、私共も充に承知でございます。ただ今は、少々心が不安定な時期なのでございましょう」
シェリー「まるで母親の悩みだな」フム・・・
フロリス「まぁ普通だったらあの年娘は背伸びしたがっからなぁ。レッサーは結構昔から背伸びしたがってたけど」
ルチア自身、反抗期という物を経験していない。故に如何接して良いか分からない。
オルソラ「難しく考え過ぎなのでございます。心を開いて話を続けていけば大丈夫でございますよ」ニコッ・・・
ルチア「あの子が突っぱねるので、何とも……、」ムゥ・・・
シェリー「時間が解決してくれるの待つっきゃねぇな。もしくはアニェーゼが何とかするかもしんねぇし」
フロリス「そういえばアニェーゼは昔から変わらないよね。自分勝手で怒りっぽいのも昔からだけど」アハハ・・・
だが今も変わらず『隊長』なのだ。彼女は昔から『大人』である。
そうある必要があったから。
ルチア「……ごめんなさい」ハァ・・・
本来は年長たる自分が全ての責任を負うべきなのだが、相応の器ではない。
己の不出来さをルチアは嘆いた……――― - 392 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/11(月) 00:01:44.12 ID:Ht0ugU9y0
- ―――とある日(2週間前)、PM09:00、英国、ロンドンシティ、とある路地裏・・・・・
今にも降り出しそうな曇天の中、寮を飛び出した友人を追い駆ける嘱託魔術師の少女。
勿論仕事の範囲外だが、友情は金とか利害関係とかそんなんじゃないと誰か(甘ちゃん)が言ってたのを思い出し後を追う。
彼女が行きそうな所など宛ては無いが、とりあえずそう遠くは行っていまい。
レッサー「ホント、不器用なんですよね」ハァ・・・
アンジェレネの気持ちは良く分かる。個人的な関係ならまだしも、今回は『組織』的なメンツを保つために生じた問題。
元よりレッサーは組織的な柵(しがらみ)は好かぬ故、ドチラかといえばアンジェレネ寄りの思い入れだ。
レッサー「でも、アンタらは部隊(チーム)なんでしょーが」テクテク・・・
団体の輪を乱すのは悪い事。アウトローな自分でもその程度の事は分かる。
レッサー「……ん?」チラッ・・・
ふと、大通りから外れた道で修道服を着た女性を発見。
この空模様で傘も持たずに幽鬼の如くフラフラしてるのは彼女くらいしかいないだろうと、後を追った。
如何やら教会関係者の人目が行き辛い路地裏の娼館街へ入っていく模様。不用心ではあるが、考えたモノだ。
アンジェレネ「……、」トボトボ・・・
放っておいたら、ああいうのを『食い物』にする女衒師やら人身売買屋に掴まるだろう。
早めに取っ捕まえてやらねばなるまい。
レッサー「アンジェっちー……アンジェレネー」テクテク・・・
アンジェレネ「……、」ピタッ・・・チラッ・・・
レッサー「はい、ストーップ。捕まえましたよ」テクテク・・・
アンジェレネ「レッサーちゃん……何か用?」ボソッ・・・
レッサー「何って、迎えに来たんです。さぁ帰りますよ」スッ・・・
彼女の手を取る。だが、動かない。
レッサー「……アンジェレネ?」
アンジェレネ「……、」ボー・・・
レッサー「……はぁ、あのですねぇ」ポリポリ・・・
如何言ったものか。とりあえず多少なりとも人目があるので、無理矢理誰も居ない所へ連れて行く。
レッサー「ったく、家出したい気持ちも分からなくないですが、こんなとこ居たって意味ないでしょう」
アンジェレネ「……寮よりマシだよ」
レッサー「人の事言えないけど、ガキですねぇ……色々腹立つのは分かりますけど引くとこ引かないと。角立てても良い事ありませんってば」
アンジェレネ「……ヤダ」ボソッ・・・
これだからお年頃は、と内心嘆いた。 - 393 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/11(月) 00:24:17.86 ID:Ht0ugU9y0
- しかし自分は頼まれた。彼女を宜しくと。何とかせねばなるまい。
レッサー「まぁ庇うのは癪ですけど、ルチアだって部隊(チーム)の事思って嫌々始末書書いてんでしょ」
アンジェレネ「……、」
レッサー「もしアレ書かなかったら最悪部隊解散だって有り得るでしょう。誰が得するんですか?」
アンジェレネ「……そんなの、上の勝手だもん。部隊はアニェーゼちゃん中心なんだから上の命令なんて関係無いもん」ムスゥ・・・
レッサー「お馬鹿。今時スポンサー無しで自由に動ける組織なんてありません。アニェーゼ隊は私達んとこ(新たなる光)とは違うんですから」
仮にも十字教を冠する部隊だ。レッサー達の革命運動組織(結社)とは訳が違う。
アンジェレネ「だったら運動屋でも良いよ。それか魔術結社でも……250以上も隊員居るし」
レッサー「そりゃアンタの勝手な判断です。先の理屈だと結局はアニェーゼが如何思うかでしょ?」
アンジェレネ「……、」
レッサー「アニェーゼはルチアに賛同した。だからアンジェも二人に従う。それで皆幸せでしょ。おk?」ポンポンッ
されど納得がいかない御様子。未だにこの場を動こうとはしない。
レッサー「ハァ……そんじゃあさ、アンジェがフリーになれば良いでしょ。そうすればルチアの言う事聞く必要無いですし」
アンジェレネ「……、」
レッサー「でも独り(それ)が嫌なら大人しくしとくべきです。悧巧な判断しなさいって」
アンジェレネ「……レッサーちゃんは、悔しくないの」グッ・・・
レッサー「は?」タラー・・・
アンジェレネ「アニェーゼちゃん、悪い事してないのに……馬鹿にされて」
レッサー「いや、まぁその……アニェーゼのした事が悪いとは思いませんよ」
自分だって、友人や仲間が危険な目にあったら手を出す。
アンジェレネ「じゃあ非を認める必要無いよ」ギリッ・・・
レッサー「だからさぁ……始末書なんてモンは謝罪云々じゃなくて作業みたいなモンで」ポリポリ・・・
アンジェレネ「そんなのオカシイよ!」キッ・・・
面倒臭い。正直自分は気が長い方では無いのだ。女々しいヤツを見てると、イライラする。
レッサー「……アンジェレネ。アンタ、昔はもう少し物分かり良い子でしたよ」ジー・・・
アンジェレネ「知らないよ、そんなの」
レッサー「あっそ……まぁ良いや。さっさと戻りましょう。話の続きはその後にでも」グイッ・・・
無理矢理袖を引く。
アンジェレネ「離して……止めてよ!」バッ!
レッサー「っ……、」ピクッ・・・
アンジェレネ「はぁ……はぁ……っ!」キッ・・・
友である自分に対し、まるで『敵』を見る眼。 - 394 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/11(月) 00:37:33.44 ID:Ht0ugU9y0
- アンジェレネ「結局……レッサーちゃんも同じなのね」ギリッ・・・
レッサー「は?」イライラ・・・
アンジェレネ「レッサーちゃんも、アニェーゼちゃんの敵なんでしょ!」
オマエは何を言ってるんだ?
レッサー「あのさぁ……私今、何で此処に居ると思います? 言っちゃなんですけど、アニェーゼに頼まれたからですよ?」
アンジェレネ「アニェーゼちゃん自身、今自分が日和ってる事気付いてないの!」
レッサー「あ、アンジェレネ……アンタ」タラー・・・
アンジェレネ「だから、そのアニェーゼちゃんに従うレッサーちゃんはアニェーゼちゃんの事分かってない!」ギリッ・・・
駄目だ。今の彼女は正常な判断が出来ない。かなり危険な幻想を見ている……薬でもキマってるのか?
立て続けに彼女は続ける。
アンジェレネ「アニェーゼちゃんは自分に責任を押し付ける人は敵だよ……だから、私は正常なの!」ギロッ・・・
レッサー「わ、分かった。分かったから、少しトーンダウンしましょう……そうだ。通りのカフェで少しお茶でも、ね」
アンジェレネ「……レッサーちゃん」ボソッ・・・
レッサー「な、何でしょう?」ダラダラ・・・
アンジェレネ「……何言っても、私帰らないよ」ボソッ・・・
じゃあ如何したら帰るのだ。
アンジェレネ「……、」
レッサー「えっとさ、自分自身でも分かってないんでしょ? だったら最悪部屋に籠りっぱなしでも良いですから」
アンジェレネ「寮に、戻りたくない」
レッサー「じゃあアレです。仕方ないから私の部屋に招待しましょう。特別ですよ」アハハ・・・
アンジェレネ「……、」ジトー・・・
目が座ってらっしゃる。
レッサー「え、と……アンジェっち?」
アンジェレネ「……ヤダ」ボソッ・・・
レッサー「」ガーン・・・
アンジェレネ「レッサーちゃんの近くに居たら、何れはアニェーゼちゃんとルチアさんとこ戻らなきゃいけないもん」
レッサー「……戻りたくないんですか」ハァ・・・
アンジェレネ「戻らない」サラッ
レッサーは動けなくなった。目の前の少女の言動が理解できず、自らの耳を疑った。
彼女は冗談でも……アニェーゼの傍から離れたいとは言わない筈だ。 - 395 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/11(月) 00:40:04.77 ID:Ht0ugU9y0
- レッサー「……冗談、でしょ?」タラー・・・
アンジェレネ「本気」
レッサー「あ、ぇと……ぶ、部隊を抜けたいっていうなら、別の形でも……何なら新たなる光(ウチ)に入れば今後も」
アンジェレネ「そういう問題じゃないの」
レッサー「あ、アンジェレネは、アニェーゼの……ベッタリの……その、だから……うん」アタフタ・・・
自分でも言ってる事が分からない。それくらい混乱している。
アンジェレネ「……レッサーちゃん」スッ・・・
レッサー「え」
アンジェレネ「バイバイ」クルッ・・・
レッサー「へ」
いきなり、馬鹿言うな。再び彼女の袖を―――
「触らないで」パシッ
―――拒絶、された。
アンジェレネ「…――…、」ボソボソ・・・テクテク・・・
レッサー「な……、」ボー・・・
彼女は何処かへ消えた。最後に何か言った様だが聞き取れない。ただ友達(レッサー)を一方的に拒んで……去った。
レッサー「……、」ボー・・・
思考が戻る。
ああ、そうか。自分は引き留めに失敗したのか……我に戻ったレッサーは立ち上がり、近くの壁に寄り掛かった。
レッサー「……、」
消えた。蔑まれて、去った。
レッサー「ぁの……糞っ垂れ(ファッキン)!! 糞(ファック)っ!! 糞々!! 糞女郎(ファッキンビッチ)がぁあぁっ!!」ガンガンッ!!
近くにあった大型ダストボックスを蹴ったくる。感情のまま怒りをぶつける。
留めれなかった自分に。そして何より……彼女の眼。
レッサー「アホ小娘ぇ……メンヘラ気取ってんじゃねぇですよぉ! 自分に酔うのが恰好良いってか、キチガイ女ぁ!!」ギリリ・・・
確実に脳内麻薬でキマってる反抗期少女だ。手に負えない。
時間が解決するのを待つ? そんなんじゃない……アレは分かってて間違った方向に突っ走ってる眼だ。
レッサー「だあぁ!! もう知りませんっ!! 誰が助けてやるかってぇの!! 女衒師にでも取っ捕まって犯されろボケぇっ!!」ガスガスッ!
結局、何も出来ないまま、レッサーは寮へと退却する羽目になった……――― - 396 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/11(月) 01:02:03.30 ID:Ht0ugU9y0
- ―――とある日(一日目)、PM11:10、英国ロンドンシティ北部、日本人街、とあるアパート・・・・・
―――……と、此処までが人伝に聞いた話である。
そこから先は結局、自分と彼女しか知り得ない話。僕が彼女を拾うまでの話だ。
あの日の9時頃、アニェーゼから電話が来た。内容は短く『アンが家出した』と。
自身は今寮から出れない為、自分に代わってレッサーと共に探して欲しい。そう告げた。
その日の仕事は既に終わっていたので二つ返事で了承し、アンジェレネを探しに街へ出た。
ついでにレッサーと協力しようと考え電話をしてみたのだが、何やら様子がおかしい。
香焼「『あんな馬鹿娘、勝手に野垂れ[ピーーー]ば良いんです!』って……そりゃないよ」ポリポリ・・・
自分はもう関与しないと一方的に電話を切られ、僕一人で捜索する羽目に。
雨の中2時間くらい探し続け……ようやく、エンバンクメント駅付近の公園でずぶ濡れになっているのを発見した。
小刻みに震え、嗚咽を漏らす少女。
その時は事の経緯を知らなかったので、何を言って良いか分からなかった。そこで、とりあえず近づき傘をさしてあげた。
僕に気付いた彼女は……大声を上げて泣き出した。ただ『ごめんなさい』と繰り返し、僕にしがみ付いた。
香焼「……如何すれば良かったんだよ」グデェ・・・
何も聞かず、雨を凌げる場所に移動。
話を聞いてやっても良かったが冷静さを欠いていた彼女を見るに、そんな雰囲気ではなかった。
暫く泣かせてやる事しか出来ない。その時の僕には理解できない懺悔(ごめんなさい)を聞き続ける事しか出来ない。
そして数十分後、ようやく落ち着く。だがしかし何も喋らない。
会話は無駄だと察したので、とりあえずアニェーゼへ連絡しようとした時……携帯を奪われた。
少女は『連絡しないで』と震える声で頼みこんできた。
何故と尋ねると『戻らない。戻れない』と涙を流して訴えた。
香焼「その後……誰かに頼むべきだったんだ」ポリポリ・・・
これから何処に行くのだ、と聞いてしまった。彼女は何も言わない。そこで言ってしまった。深くは聞かず『とりあえず、家に来るか』と。
己の甘さというか、人の良さ、優しさが裏目に出た。
無論自身の甘ちゃんだとか善人だというのは未だに認めていないが、それでも、思い返せば周りの言葉が身に沁みた時だった。
あの時キチンと状況把握しておけば、今の事態にはならなかった……かもしれない。何れにしろステイル辺りに自業自得と怒られるだろう。
香焼「風呂入れて、寝巻き貸して、そして……、」ジー・・・
ベットを譲った。だがそこで……彼女の様子がおかしい事に気付く。始めは熱でも出したかと思ったが、違う様だ。
香焼「自分が……悪いんだ」グッ・・・
抱き着いてきた。
意味が分からなかった。正直、思考が止まった。彼女は何故泣きながら僕から離れようとしないのか理解できなかった。
『一人にしないで』
そう呟いた。アンジェレネ(自分)を、アニェーゼを、一人にしないでと。
香焼「でもそれは独り善がりっすよ」ボー・・・
確かにアニェーゼは重責塗れだ。ただ重責=『敵』という意味では無い。アンジェレネはそれを勘違いしている。
もう一つ……アンは自身(厄介事)が居なくなればアニェーゼの負担は減ると思いこんでる様だが、それこそ一番の勘違い。
独りは嫌だ。だから味方が欲しい。そしてその味方役を僕に頼んだ。今の僕なら確実に彼女を叱っている。だが、あの時は出来なかった。 - 397 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/11(月) 01:10:31.99 ID:Ht0ugU9y0
- あの時の彼女程、弱々しいモノはない。今にでも消えてしまいそうな、そんな儚い感じだった。
香焼「……、―――」ギリッ・・・
そこからは己が不貞を恨むばかり。その場のノリなんて言葉で片付けるのは甚だおこがましい。
しかし……それ以外の言葉が浮かばない。
引き寄せられ、口付けされた。離れようとしたが、放してくれなかった。そして……
堕ちた。
- 398 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/11(月) 01:14:04.38 ID:Ht0ugU9y0
- 真っ当な男子で有れば性に敏感な年頃。いくら健全を心掛けていても、欲望には敵わなかった。
1度目は泣いた。
2度目は慾を楽しんでしまった。
3度目で事実に気付いた。
4度目で、引き返せなくなった。
そして……
香焼「―――……っ!」バッ!
部屋の明かりは落ちた。
香焼「アン?」バッ・・・
何時の間にか、真後ろに彼女が立っている。物思いに耽り過ぎて気配を察せなかった。
顔は良く見えない。動きが読めない。
香焼「寝て、無かったの」ゴクッ・・・
アンジェレネ「寝れない」ジー・・・
香焼「そ、そう……何で電気消すのさ」
アンジェレネ「……、」スルル・・・
衣擦れ音……拙い。
香焼「あ、アン! 待って!」ギョッ・・・
アンジェレネ「……ヤダ」スッ・・・
香焼「駄目だ! もう駄目だよ!! イヤなんだ!!」タッ・・・
立ち上がる。がしかし、腕を掴まれる。
アンジェレネ「何で、逃げるの」グッ・・・
香焼「駄目だよ、こんなの……何も良い事無い! 麻薬と一緒だ!」ブンッ
アンジェレネ「……、」ギュウゥ・・・
本当は彼女だってこんな事望んでいない筈。僕は彼女が悔やんでいるのを知っている。
彼女は事後、寝言のように『ごめんなさい』と繰り返している。
それだけではない。
何を意味するかは分からないけど『私が男の子だったら良かった』とか、『アニェーゼちゃんと付き合わないの?』とか……間違ってる。
兎に角、快楽に溺れるだけの自傷などあってはならない。 - 399 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/11(月) 01:17:05.01 ID:Ht0ugU9y0
- アンジェレネ「いまさら?」
香焼「ああ、今更だよ。でも駄目なんだ……これ以上は――」
アンジェレネ「……勘違いしてない?」
香焼「――な、に……え?」
アンジェレネ「別に私、コォヤギくんに傷つけられてないよ」
香焼「……嘘だ」
アンジェレネ「えっと、『そんな事』で嘘ついて如何するの?」
そんな事って……何だよ。
アンジェレネ「セックスを『慰め』と取るか、『強姦』と取るか、はたまた『救済』と取るかはその人次第だよ」グイッ・・・トンッ
香焼「そんな事…――…っ」グラッ・・・
ソファに押し付けられた。彼女の腕が僕の首に回る……動きが取れない。
アンジェレネ「相変わらず、コォヤギくんは物事難しく考えるんだね」アハハ
香焼「そういう問題じゃないよ。アンは間違ってる」キッ・・・
アンジェレネ「ホント女々しいなぁ……これじゃ、どっちが男の子か分からないね」クスクス・・・
香焼「話を聞いてよ!」
アンジェレネ「ヤダ。長いから……黙ってよ―――」スッ・・・
口付け……狂ってる。
舌が入ってくる。拒む。しかし歯茎を蹂躙される。
アンジェレネ「―――ぷはっ」フフッ
香焼「けほっ……力(魔術)で押さえつけないと分からないか?」ギロッ・・・
アンジェレネ「うーん、私とコォヤギくんの魔術だったら同程度(どっこい)だよ」ハハハ
香焼「純粋な力なら、男(コッチ)に分があるだろ」
アンジェレネ「ふーん……野蛮。でもそういうの嫌いじゃないかも」クスッ
阿呆抜かすな。君は売女か。
いや、もしくは病気か、アッパー系のジャンキーか……何れにしろ、こんなアンジェレネは認めたくない。 - 400 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/11(月) 01:23:35.19 ID:Ht0ugU9y0
- アンジェレネ「多分お医者さんには処方箋出されないし、クスリもやってないよ」
香焼「……、」
アンジェレネ「ねぇコォヤギくん……貴方は私を裏切る? 貴方『も』私を裏切る?」
香焼「だから誰も君の事を裏切ってなんかいないよ……ホントは分かってるんだろ!」トンッ・・・
僕を押し付ける彼女を諭す。
香焼「もし本気でそう思ってるなら……周りを裏切ってるのが君だ」ギリッ・・・
アンジェレネ「……、」
香焼「一緒に謝ろう。オレも一緒にアニーとルチアさん、その他のみんなにも謝るから」スッ・・
アンジェレネ「如何して……そんなに、大人なの」ジー・・・
香焼「……え」
いきなり何を言う。
アンジェレネ「私はイヤだよ……認めるのはイヤ。それこそ本当はコォヤギくんだって分かってるんでしょ」グッ・・・
香焼「何が、さ」
アンジェレネ「私達……置いてけぼりなんだよ」スッ・・・スルル・・・
香焼「っ……、」グッ・・・
いつの間にか彼女は僕の下着を脱がし、小さな口で、愛撫を始めていた。
アンジェレネ「んぁ……独りに、しないでよ」ギュッ・・・チュッ・・・ペロ・・・
香焼「っ」ピクッ・・・
彼女の本音を理解した……今、彼女が己の非を認めたらずっと子供扱いされると勘違いしているのだ。
ステイルやアニェーゼ、サーシャやレッサー(レッサーは自由気ままだが)達は『先』へ行った。
残っているのは、僕と彼女。
アンジェレネ「レッサーちゃんには……酷い事しちゃったから、もう……許して貰えないもん」ギュウゥ・・・チュゥ・・・ペロペロ・・・
香焼「ぅ……っ……そんな事、無いよ」ポンッ・・・グッ・・・
アンジェレネ「……、」ピタッ・・・
香焼「キチンと謝れば、許してくれる。レッサーはそんなに器量の狭いヤツじゃないだろ」グイッ・・・
引き離し、話を聞かせる。
アンジェレネ「例えそうでも……今は、まだ無理」シュン・・・
香焼「無理じゃないさ」
アンジェレネ「……私、抜け駆けしたもん。ズルして……うん」ボソッ・・・ゴニョゴニョ・・・
香焼「は?」キョトン・・・
アンジェレネ「ぁ……何でも無い。今のは忘れて」タラー・・・
またよく分からない事を言う。抜け駆けって何だ? - 401 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/11(月) 01:36:18.78 ID:Ht0ugU9y0
- 香焼「え、と……兎に角、ベットに戻りな。絶対にやらないよ。ほら、服着て」スッ・・・
アンジェレネ「何で?」キョトン・・・
香焼「何でって……話聞いてた?」タラー・・・
アンジェレネ「聞いてたけど、意味分かんないもん」ジトー・・・
香焼「……えー」ダラダラ・・・
アンジェレネ「コォヤギくんの話で私納得して無いから」サラッ・・・
カチンと来る一言。
香焼「……もう知らん」グルッ・・・
アンジェレネ「じゃあ勝手にするー! こっち来てー!」ヤッター!
香焼「ちょ!? んな事誰も許して無いだろ!」ギョッ・・・
アンジェレネ「知らない=勝手にしろ、でしょ?」ポカーン・・・
そんなテンプレこそ知りません。ドサクサに紛れて抱き着くの止めて下さい。
さておき、今度は彼女が毒を吐いてきた。
アンジェレネ「ねぇ、じゃあこういうのは如何? 私達……皆より少し大人になっちゃったっていうのは。勿論、性的な意味で」ニヤッ・・・
香焼「クリスチャンにあるまじき言動っすよ」ジトー・・・
アンジェレネ「クリスチャン、ねぇ」ウーン・・・
纏わりついてくる彼女を押し退けながら、話は続いた。
アンジェレネ「環境の問題でしょ? クリスチャンか如何かなんて」スッ・・・ペロペロ・・・レロ・・・
香焼「環境? って、だからちゃっかりと……っ……続き、すんな!」ビクッ・・・
アンジェレネ「日本が無宗教なように、ローマは基督教。そこで拾われた孤児は自ずとその地域の風土に染まる」ペロペロ・・・レロレロ・・・チュウゥ・・・
香焼「ぃ、や……それ前に……ぐっ……オレが、教えた事っすよね……だから離れろ!」ジトー・・・グイッ!
アンジェレネ「ふん、ふぁっふぉふぉひゃふ……ぷはっ! うーん。納得しちゃったから小難しいけど覚えてたよ」ジュルル・・・カポ・・・チュプッ
一種の性悪説環境論。
アンジェレネやアニェーゼ達孤児が修道女になった様に、最愛や春上さん達『置き去り』が科学塗れになった。
アンジェレネ「私がもし学園都市で捨てられてたら、今頃能力者になってたかもしれないじゃん」ニコニコッ・・・スッ・・・シュッシュッ・・・
香焼「っ……でも、アンはクリスチャンだろ、ってだから……っ! 止めろ!」ピクンッ!
アンジェレネ「あはは、可愛い。あ、でもそういう考え嫌になったって言ったら、私を嫌う?」シュッシュッ・・・カプッ・・・ジュルジュル・・・
香焼「ぁ……っ! い、そんな事、無いけど……っ」グググ・・・
アンジェレネ「ひゃへひゃいひょー、っとうわっ! うーん、だったら良いじゃん……ね?」チュププ・・・クスッ
だが、貞操については別だ。宗教云々関係無しにふしだらであるべきではない。
たとえ『いまさら』であっても、幾らでもやり直しが効く筈である。 - 402 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/11(月) 01:41:25.17 ID:Ht0ugU9y0
- アンジェレネ「私だって宗教とか関係無く、コォヤギくんの事求めてるんだけど」ウーン・・・
香焼「だからそれは気の迷いで」ハァ・・・
アンジェレネ「あのさぁ……それ、本気で言ってる?」ジトー・・・
香焼「え」キョトン・・・
アンジェレネ「確かに淫らな事してるって自覚はあるし、罪悪感ってか背徳感はあるけど……でもさぁ」ジトー・・・
愛撫が止まったと思ったら、何故か不服そうな顔をしだした。
アンジェレネ「いいや……昔からそういう人だってのはイヤ程知ってる。でも、これだけは絶っ対に教えない」ハァ・・・
香焼「な、何だよ」ムゥ・・・
アンジェレネ「とりあえず……カミやん病滅びろ」ボソッ・・・
やはり偶によく分からない事を言う。
アンジェレネ「まったくもぅ……コォヤギくんの話聞くの疲れる」ドンッ
香焼「ちょ!」バタッ!
アンジェレネ「さっき『力なら自分の方が』って言ってたよね」フフフ・・・
香焼「そ、そりゃまぁ男なんだし」タラー・・・
アンジェレネ「だけど魔術対純粋な腕力だったら?」ニヤッ・・・
そりゃまぁ敵わない。
アンジェレネ「えいっ☆」ドンッ!
香焼「がっ……な、ぁ……アン?」ダラダラ・・・
アンジェレネ「コォヤギくん、今魔術使えないでしょ。何年間一緒に居ると思ってるの?」フフフ
僕の上に跨るアンジェレネ。不敵な笑顔が微妙に怖い。
確かに今の『手持ち』では天草特有の術式は組めない。だがそんなモノ幾らでもカバーしようがある。
アンジェレネ「今の私の魔力量分かってる?」ジトー・・・
香焼「え」
アンジェレネ「いつもの3倍はあるよ。全く使ってないし……コォヤギくんの『魔力』大分吸い上げたから」ニヤニヤ・・・
香焼「っ!! ちょ、待て待て待て!!」ゲェッ!!
アンジェレネ「待たないよー」フフフ・・・
彼女の腰が下りてきて……、
アンジェレネ「ん……ぁ……ふふっ……挿入ったね」グググ・・・
香焼「ぃっ……、」ジュブブ・・・
アンジェレネ「私の、勝ち……っ……だよ♪」ズプッ・・・ニュプッ・・・ユサユサッ・・・
香焼「」プツッ・・・
性器が……交わった。
こうなったら理性が効かない。アンの宗派(カトリック)なんて遠慮せず、都市製の避妊薬(ピル)とコンドーム使っとけば良かった――― - 403 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/11(月) 01:44:26.37 ID:Ht0ugU9y0
- ―――とある日(二日目)、PM00:15、英国ロンドンシティ北部、日本人街、とあるアパート・・・・・
虚無感。
香焼「あー……頭真っ白」ドヨーン・・・
気付けば二人してソファの上で寝ていた。
自分はTシャツ一枚、アンは甚平一丁……共に下を穿いていない。
香焼「最低だ」ハァ・・・
時計を見る。もう昼を回っていた。まったく以て堕落し過ぎだ。反省の念しか浮かばない。
アンジェレネ「すぅ……くぅ……」スヤスヤ・・・
珍しくグッスリ寝ている様だ。しかし、よくこんな狭いソファに二人で寝たモノだと苦笑せざるを得ない。
とりあえずシャワーを浴びずに寝(果)てしまったので『臭い』がキツい。さっさと何とかしよう。
香焼「アンの言うとおり、風呂でシとけばよかったかも」ハァ・・・
いや、そんな事を考えてはいけない。元々情を交える事事態が間違いなのだ。 - 404 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/11(月) 01:52:24.82 ID:Ht0ugU9y0
- アンジェレネが目を覚ます前にシャワーを浴び終えた。
香焼「ご飯と……掃除だな」ポリポリ・・・
パスタを茹で、氷で締めておく。それからサラダとドレッシングを準備。五和に教わったパスタサラダだ。
その後、洗面所から雑巾と消臭スプレーを持ってくる。これで準備OK。
後は……彼女を起そう。
香焼「もしもーし」トントン・・・
アンジェレネ「……んー」ムゥ・・・
香焼「おはよう。お風呂入ってこーい。入れといてやったから」
アンジェレネ「あー……一緒にー」ムニャムニャ・・・
香焼「いい加減にしろ。オレはもう入ったから一人で行ってきなさい。かなり臭うよー」ジトー・・・
アンジェレネ「うぇー……うぃ」グダグダ・・・
無理矢理起こして風呂場へ押し込む。彼女が風呂に入っている間にソファの掃除を終わらせてしまおう―――
ピンポーン・・・・・
―――と思った矢先の事だった。
香焼「ぇ……まさか」タラー・・・
嫌な予感。
天草の同僚か、もしくは……アニェーゼか。一応鍵は閉めている。最悪居留守を使う覚悟で玄関へ向かった。
香焼「……、」チラッ・・・
玄関の覗き穴からは見るに誰もいない。ふと、手紙がポストに挟まっている事に気付く。
香焼「誰から、か」スッ・・・
宛名を見ようと、手紙を引っ張り―――
『居るのであればお返事くらいして頂きたいのでございますよ』
―――……出せなかった。
香焼「な……お、オルソラ、さん?」タラー・・・
オルソラ『はい。お休みの所、お邪魔して申し訳ないのでございます』フフッ
覗き穴に写らない様、しゃがんで手紙を引っ張っていたのか。何という子供の悪戯。 - 405 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/11(月) 02:05:20.53 ID:Ht0ugU9y0
- 香焼「えっと、何か用っすか?」
オルソラ『ええ、少々。中に入れてもらいたいのですが』ニコニコッ
香焼「ちょっと、今日は、その……、」
オルソラ『あら……ガスメーターが回っているのでございますよ。貴方は此方に対応されているのに何故でございましょうね?』クスッ・・・
香焼「え、えっと……ヤカンでお湯を」タラー・・・
オルソラ「あら? シャワーの音が聞こえるのでございますよ」クスクスッ
ああ、畜生……お見通しか。
オルソラ『安心して欲しいのでございますよ。寮の皆さんには内緒で来ているのでございます』
香焼「……、」
オルソラ『私は貴方の味方です。というより、どうしようもない貴方の相談を聞きに来たのでございます』
香焼「アンジェレネを諭しに来たんじゃないんすか」タラー・・・
オルソラ『今の彼女は大人の言う事を聞かない筈でございましょう……あ、でも一目見るつもりではございましたよ』ニコニコッ
通して良いものか悩むんだが……結局、家の中に上げてしまった。どうも自分は押しに弱い。
アンジェレネが風呂から上がってきた時の言い訳を考えなければなるまい。
オルソラ「貴方がヘタれなのは昔からでございましょう」フフッ
香焼「……言わないで下さい」ハァ・・・
急いで拭き掃除を終え、臭いを誤魔化す為にキツめのお香(ブース)を焚く。
だがソファに座らせるのは気が引けるのでキッチンの椅子に腰掛けて貰う事にした。
オルソラ「お食事前でございましたか? 折角でございますから、御一緒しても宜しいかしら」ニコニコッ
香焼「あの……えっと、その……、」タラー・・・
オルソラ「あら? そのお香は日本のカトルセンコーでございますか? 日本人といえばそうでございましょう!」フフフ・・・
この人もどっかずれてる。元からだけど……じゃなくて、会話をしなければ。
香焼「お、オルソラさん。その、何故此処に……アンジェレネが居ると?」ポリポリ・・・
オルソラ「きんちょーる~……って、はい? ああ、ええっと虱(しらみ)潰しに当たったので此処で正解かと」クスッ
香焼「……は?」ポカーン・・・
オルソラ「家出少女の定番といえば男の家でございましょう? マグヌス神父の方に居なかったので此処かと」フフフ・・・
香焼「何すか、その偏った知識」タラー・・・
オルソラ「オリアナとレッサーが読んでいた(ry」アーダコーダ・・・
またアイツらか。 - 406 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/11(月) 02:10:23.47 ID:Ht0ugU9y0
- オルソラ「さておき……如何したものでございましょうね」
香焼「……、」コクッ・・・
オルソラ「時間が経てば帰ってくると踏んでいたのでございますが、如何です?」
香焼「居座る気っすね……自分は明後日から日本なんすけど、鍵貸せって」ハァ・・・
オルソラ「あらあら。単身赴任の夫を待つ奥方でございますのね。羨ましい」ニコニコッ
そういう問題じゃありません。
オルソラ「あら? いつから此方に居るのかは存じ上げないのでございますが、『手』を出して無いの?」エ?
香焼「手って……あの……、」タラー・・・
オルソラ「ふふっ、私がこういう事を言うのは変でございますか?」クスッ・・・
まぁイメージではしそうにない。女教皇様が積極的に猥談するくらい貴重だ。
オルソラ「神裂は意外にそういうノリ、興味津々でございますよ。彼女はムッツリさんなだけですので」ウフフ
香焼「それは知ってます」キッパリ
何処かで誰かがクシャミをした。
オルソラ「聖職者が恋愛沙汰や色恋沙汰話をしても、主は咎めないのでございましょう」クスクスッ
香焼「は、はぁ」ポリポリ・・・
オルソラ「それで……と、此処から先は彼女も交えてお話したいのでございます」チラッ・・・
真っ裸の少女Aが現れた。
アンジェレネ「……、」ジー・・・
オルソラ「うーん……色々ツッコむべきなのでございましょうが、シスター・アンジェレネ」クスッ
アンジェレネ「……何か」ジトー・・・
オルソラ「身体をキチンと拭かないで上がってくるのは昔と変わっていないのでございますね。風邪をひきますよ」クスクスッ
……。
香焼・アン「「はぃ?」」タラー・・・
オルソラ「それにしても毛が薄いのは羨ましい限りでござますね。あ、別に私が濃いという訳ではございませんから、想像しない様に」フフフ・・・
……。
アンジェレネ「……ええっと、コォヤギくん」チラッ・・・
香焼「ごめん、テンション負けした」ハァ・・・
オルソラ「あ、扇風機で身体を乾かしたらさぞ気持ちが良いのではないでございましょうか!」パアアァ!
香焼「違うよね。まず全裸指摘しようね」ハァ・・・
オルソラ「私は同性ですし、貴方には身体を許した間柄なのでございましょう? だったら問題無いのでございますよ」ニコニコッ
アンジェレネ「……、」チラッ・・・ジトー///
香焼「い、言ってない! 言える訳ないだろ!!」ダラダラ///
オルソラ「あらあら、若い若い。うふふ」クスクスッ
駄目だ、この人。親戚のおばちゃんテンションだ。 - 407 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/11(月) 02:14:02.18 ID:Ht0ugU9y0
- その後、アンジェレネがハーフパンツとTシャツに着替え、三人で昼食を取る事に。
暑い暑いとフードを取り、サラダパスタをニコニコ頬張るオルソラさんに反し、予想通りアンジェレネは無言を決め込んでいる。
オルソラ「もきゅもきゅ……うん、美味しい。流石、神裂と五和の弟でございますね」ニコニコッ
香焼「……あのー」タラー・・・
オルソラ「お話は食事を終えた後にね。あ、シスター・アンジェレネ。ドレッシングを取って頂きたいのでございますが」モキュ
アンジェレネ「……、」ドンッ!
香焼・オルソラ「「っ!?」」ギョッ・・・
かなりご機嫌斜めな様子。
香焼「あ、アン……すいません、オルソラさん」タラー・・・
オルソラ「いえいえ。どうも、シスター・アンジェレネ」ニコニコッ
アンジェレネ「……、」モグモグ・・・
結局、食事が終わるまで沈黙の食卓。
気まずい空気の中、食事を終え、三人分のアイスティーを準備する。
オルソラ「まぁまぁ、態々コーヒーまで。招かれざる客なのに、嬉しい限りでございますよ」ニコニコッ
香焼「いえ、そんな事は」タラー・・・
アンジェレネ「……、」フンッ
香焼「アン、いい加減にしてよ」ハァ
オルソラ「ふふふ……さて、ではお話を」チラッ・・・
アンジェレネ「話す事なんてありません」キッパリ!
香焼「……アン」ギロッ・・・
本気で怒るぞ。
オルソラ「そうカッカせずに。貴女に話す事は無くとも、私と香焼さんにはあるのでございますよ」チラッ・・・
アンジェレネ「……、」ジトー・・・
オルソラ「それは無論貴女についての話でございます。陰口の様な話し合いはしたくないので、貴女が聞いていても構わないのでございます」
アンジェレネ「……御勝手に」ムゥ・・・
流石大人の代表。物腰柔らかな対応だ。
オルソラ「ふふっ、ではまず……シスター・アンジェレネの今の処遇をお知らせします」スッ・・・
香焼・アン「「え」」
オルソラ「『特別任務3週間。秘匿事項により派遣場所は明記せず――』」キッパリ
一枚の紙。
香焼「え、それ……えっと」タラー・・・
オルソラ「『――尚、この任務は主教補佐直属の命によるものである』……やはりマグヌス神父はツンドラでございますね」フフフ・・・
アンジェレネ「……、」グッ・・・
オルソラ「まぁ実際はシスター・アニェーゼとレッサーが無理矢理書かせたものなのでございますが」クスクスッ
香焼「そう、ですか」ホッ・・・
その無茶を容認したステイルには感謝すべきだろう。 - 408 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/11(月) 02:18:18.65 ID:Ht0ugU9y0
- オルソラさんは、無言のアンジェレネに言い聞かせるように続ける。
オルソラ「つまり貴女はあと一週間は自由。考える猶予があるのでございますよ」フフッ
アンジェレネ「……知らない」プイッ
オルソラ「ただし問題として、香焼が日本へ行く明後日以降でございますね」
香焼「……はぁ」ポリポリ・・・
オルソラ「寮へ戻る気が無いと?」ジー・・・
アンジェレネ「サラサラありません」フンッ
オルソラ「……そうでございますか。では如何するおつもりで?」
アンジェレネ「此処に住んでます」キッパリ
ふざけろ、こんにゃろ。絶対鍵渡さない。
アンジェレネ「別に鍵なんて無くていいもん。勝手に居座ってるもん」ムスー・・・
香焼「いつまで馬鹿言ってんのさ」マッタク・・・
オルソラ「……では香焼。貴女は彼女を追い出すのでございますね」チラッ・・・
香焼「え"っ!?」ギョッ・・・
オルソラ「今の彼女は何処の誰の下に居座っても可笑しくない様に見えるのですが……宜しいのでございますか?」
香焼「そんな、事……、」チラッ・・・
アンジェレネ「……そうだね。素性聞かず養ってくれそうな人の所にでも居座ろうかな」フンッ
オルソラ「ほら」フゥー
そんな事したら、本気で殴るぞ。
オルソラ「あらあら」ウフフ
アンジェレネ「ぅ……じょ、冗談だよ」タラー・・・
香焼「冗談でも言うな」ギロッ・・・
アンジェレネ「え、と……ごめん」ムゥ・・・
オルソラ「ふふっ……しかし困りましたね。如何したらよいのでございましょう」ウーン・・・
さっきからオルソラさんの一挙一動が演技掛ってる様にしか見えない。今この人は道化師なのだろう。
解決策を持ち合わせているのなら早く提示して欲しい。
オルソラ「そういえば……泣いていたのでございますよ」ボソッ・・・
香焼・アン「「は?」」
オルソラ「シスター・ルチアが」チラッ・・・
アンジェレネ「っ……、」ドキッ・・・
オルソラ「彼女にしては珍しく弱気でございましたね。ずうっと『私の所為だ。ごめんなさい』と繰り返してばかり」ハァ・・・
誰も彼もが責任を引き受けたがる……敵なんかいない。悪者なんていない。
オルソラ「逆にシスター・アニェーゼが怒っていましたね。それはもう、マグヌス神父をサンドバックにするくらいに」アハハ・・・
香焼「……あはは」ダラダラ・・・
オルソラ「まぁでも、きっとアニェーゼも影で泣いているのでございましょうね……如何思いますか? シスター・アンジェレネ」チラッ・・・
アンジェレネ「……、」グッ・・・
オルソラ「二人だけではなく、寮全体の雰囲気も暗くなっているのでございますよ。まるで昨日の土砂降り曇天の様に」ハァ・・・ - 409 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/11(月) 02:20:47.94 ID:Ht0ugU9y0
- 結局のところ、僕らは子供なんだ。特に彼女はモラトリアムというか、反抗期を経験してみたかっただけなのかもしれない。
表情を見れば分かる。今の彼女の顔は……後悔塗れ。
アンジェレネ「……でも、私は」ボソッ・・・
オルソラ「あ、別に私は命令しにきたわけでも答えを聞きに来た訳でもございませんよ」クスクスッ
アンジェレネ「え」
オルソラ「後は御二人でお話して決める事でございましょう。私の『独り言』は此処まででございます」フフッ
香焼「うわぁ……ブン投げたっすね」タラー・・・
オルソラ「ふふふ。如何捉えるかは貴方達次第でございますが……大人は汚いのでございますよ」クスクスッ
アンジェレネに火を点けに来ただけかっての。
オルソラ「将来性のある子供には選択の機会を。では選択の機会とは何ぞや?」フフッ
香焼「機会の均等っすか。社会政策みたいな事を」ハァ・・・
オルソラ「それが自由(モラトリアム)でございましょう。いっその事、機会など与えず全て指示してくれば楽なのにとは思いませんか?」
アンジェレネ「そんなの……自由じゃないです」
オルソラ「そう感じられる内が子供なのでございます。それはそれは残酷な事かと」フフフ・・・
妙に哲学的だ。多分、アンジェレネは半分理解したかどうかだと思う。
オルソラ「他力本願は楽。自己選択は苦難……悩みなさい、子供達」ニコニコッ
香焼・アン「「……、」」
オルソラ「誰も彼も貴女の決定を恨んだりはしませんよ、シスター・アンジェレネ。それは貴女が望んだ事でございましょう」
アンジェレネ「……私は、組織に反したんですよ」
オルソラ「誰もその様な風には思っていないのでございます。ただ……貴女がいないと、寂しいですね」クスッ・・・
アンジェレネ「……、」
オルソラ「特に……アニェーゼとルチア。彼女達の寂しさは私などの比にはならない筈でございましょう。ね、シスターさん」
姉妹。
オルソラ「努々(ゆめゆめ)忘れぬ様。貴女は自分が思っているより重い存在なのでございます、シスター・アンジェレネ」
アンジェレネ「……、」ジー・・・
オルソラ「後は香焼」チラッ・・・
香焼「え、あ、はい」コクッ
オルソラ「手伝ってあげなさい。男の子でございましょう」ニコニコッ
香焼「あはは……ええ」コクンッ
性別を出されると何とも、断れない。 - 410 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/11(月) 02:31:39.57 ID:Ht0ugU9y0
- カラリと氷が鳴る。
自分は如何すべきか何となく分かった。アンジェレネも分かった筈。
オルソラさんは彼女の顔を見て微笑む。多分、こうなる様シナリオを立ててきたのだろう。流石寮長(仮)さんというべきか。
オルソラ「さて……私の話は此処まででございますよ。若者二人のお楽しみを邪魔する様な事はしたくありませんからね」ニヤリ・・・
香焼「……は? 楽しみ??」ポカーン・・・
オルソラ「あらあら、皆まで言わせるなんてー。香焼は神裂と違ってオープンなのでございますねー」フフフ・・・
意味が分かりません。
オルソラ「……あら?」チラッ・・・
アンジェレネ「何か」
オルソラ「……んー」チラッ・・・
香焼「えっと、はい?」タラー・・・
何故かニコリと笑い、人差し指と中指の間に親指を通すオルソラさん。
オルソラ「『しない』のでございますか?」ウフフ・・・
……。
オルソラ「あらら? シスター・アンジェレネが裸で出てきたものでございますから、てっきり……おほほ」クスクスッ
香焼「し、しません!」カアアァ///
アンジェレネ「……、」カアアァ///
オルソラ「まぁまぁ。隠さずとも宜しいのでございますよ。今時婚前性交禁止だなんて言わないのでございます」フフフ・・・
香焼「え、と……調子狂うなぁ」ポリポリ・・・///
オルソラ「ふふふふふ……初々しーのでございますねー」ニヤニヤ・・・
というか、この人こういう話するイメージが無いので違和感バリバリ。
あと……修道女たるアンジェレネと情を交えた事を公にする訳にはいかないだろう。
オルソラ「ふふっ。まぁ周りより早く初体験を済ませたとあっては、確かに恥ずかしい筈でございますからね」クスクスッ
香焼「えっと、その、そういう事じゃなくて……アンジェレネ的に」タラー・・・
オルソラ「え? ああ、そういう事……えっと、シスター・アンジェレネ」チラッ・・・
アンジェレネ「言う必要が無いと思ったので……てかコォヤギくん、まだそんな事言ってるの?」ジトー・・・
オルソラ「要は処女性を気にしていると?」ジトー・・・
香焼「……、」コクン・・・
罰なら受けるつもりだ。なんならルチアさんの前に出向いて去勢される覚悟もある。 - 411 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/11(月) 02:50:17.91 ID:Ht0ugU9y0
- 成り行きとはいえ、一人の女性の貞操を犯したのだ。それ相応の審判は必要だろう。
オルソラ「犯すって……呆れた。強姦じゃないでしょうに」ポカーン・・・
アンジェレネ「カミやん病マジ滅びろ」ボソッ・・・
オルソラ「ふむふむ。色々と順序が逆になってしまったのでございますね?」チラッ・・・
アンジェレネ「だって……私からは絶対に言えませんよ」ハァ・・・ゴニョゴニョ・・・
オルソラ「そりゃまぁ女性の口から告げるのはねぇ……香焼、とりあえずブン殴って宜しいのでございますか?」ニコニコッ・・・
香焼「え!?」ギョッ・・・
アンジェレネ「止めたげてください。悪気は無い筈なんです……結局、セックス誘ったのは私ですし」タラー・・・
二人は一体何を言ってるんだ。
オルソラ「ハァ……いいですか? まずですね、処女検査たるモノは無いのでご安心を」
香焼「それは分かってるっす。今の時代、それやったら人権委員会とか五月蠅いでしょうから」
オルソラ「うーん。それだけじゃなく……、」チラッ・・・
アンジェレネ「私は、というか孤児出身のシスターには、そういう履歴検査とか出来ないんだよ」
香焼「え」
オルソラ「孤児達の……『棄てられる前』は自己申告でございます。とてもデリケートで難しい問題でございますからね」
香焼「あ……はい」コクン・・・
孤児の種類は様々だ。
アニェーゼの様に親を亡くしたモノ。私生児。捨て子。そして今オルソラさんが暗喩した、虐待。
知られたくない過去を公開させない為、トラウマを喚起させない為にも自己申告制なのだろう。
アンジェレネ「誰かは言えないけど……私達(アニェーゼ部隊)の中にも孤児の頃に、虐待とか強姦された娘はいるよ」シュン・・・
香焼「そう、なんだ」
オルソラ「故に、検査など悪しき風習は過去のモノなのでございます。ただ聖職者の中にも心許無い者はございますので……何とも」ウーン・・・
アンジェレネ「私達の担当神父様は良い人だったから、魔術指導以外は何も」フルフル・・・
オルソラ「私の知り合いにはございますよ。祭司からセクシャルハラスメントとパワーハラスメントを受けた友人」ハァ・・・
十字教徒の性に関する悪習は今に始まった事では無い。汚れた部分だろう。
オルソラ「……とりあえず、貴方は責任の『取り方』は再考すべきでございますよ」ハァ・・・
香焼「だからそれなら、然るべき罰を」
オルソラ「違うっつってんのでございますよ、大馬鹿野郎」ゴゴゴゴ・・・
香焼「……う」タラー・・・
さっきからオルソラさんの僕を見る目が、悪人を見る目だ。怖い。 - 412 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/11(月) 02:53:26.69 ID:Ht0ugU9y0
- オルソラ「もぅ……あと『責任』なんて言葉は使うべきではございませんね。シスター・アンジェレネに失礼です」チラッ・・・
アンジェレネ「私は別に」アハハ・・・
オルソラ「いえ。まぁある意味貴女も素直に言えてないの悪いのかもしれませんが……全般的に彼に非があるので」ジトー・・・
それは認めるが、何か誤魔化されている気がしてならない。
オルソラ「やれやれ……兎に角、私はそろそろ帰るのでございます。後は二人で話すのでございますよ」
香焼「あ、はい」
オルソラ「シスター・アンジェレネ。最悪は『率直』に伝えるべきでございましょう。そうしないと彼にも毒が残ります」
アンジェレネ「……、」
オルソラ「シスター・アニェーゼに遠慮をしてるなら、それは間違いでございますよ」ボソッ・・・
アンジェレネ「っ!」ドキッ・・・
オルソラ「言っては何ですが『早い者勝ち』という言葉もあるのでございます。反則っぽいですが、割り切るのも女でございましょう」フフッ
アニェーゼが何だって?
オルソラ「お黙る」ピシッ
香焼「あ痛っ」テテテ・・・
オルソラ「何にせよ、私共の気持ちは変わりません。戻ってきてもらえたら、それはそれは嬉しい事なのでございます」フフッ
アンジェレネ「……、」
オルソラ「貴女が何を選んでも、私達は受け入れるのでございます。良き判断を」クスッ
そう言って、オルソラさんは立ち上がった。帰る様なので玄関まで彼女を送る。
アンジェレネは何か考え込むように軽く頭を下げ、その場で見送った。
玄関でフードを被りオルソラさんは、最後に、と告げる。
オルソラ「ヒント。鈍感は罪でございますね」チラッ・・・
香焼「え、ええっと……あはは」ポリポリ・・・
意図が読めない。 - 413 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/11(月) 02:56:19.08 ID:Ht0ugU9y0
- オルソラ「とりあえず、二人が寮に顔を出すまで内緒にはしておくのでございます」
香焼「えっと……はい。ありがとうございます」ペコッ
オルソラ「ただ、シスター・アニェーゼやマグヌス神父辺りは気付いてるやもしれませんよ」ボソッ・・・
香焼「匿ってる事っすか……覚悟はしてます」コクン・・・
オルソラ「宜しい」フフッ
もしかしたら生涯で一番大きな隠し事だ。
オルソラ「では、これで……あ、そうだ。大事な事を聞くのを忘れていたのでございますよ」ピンッ!
香焼「はい」
オルソラ「ちゃんと避妊はしてましたか?」チラッ・・・
香焼「……は?」ポカーン・・・
オルソラ「避妊」ニコニコッ
……。
オルソラ「……えー。今時の若者なのに、そういう知識も無いのでございますか。仮にも科学の街にも席を置く少年が」ジトー・・・
香焼「い、いや、だって……アンはカトリックで」タラー・・・///
オルソラ「いくらカトリックでも最近では表向き『性病防止』という名目で、教皇庁が避妊を認めているのでございますよ」ハァ・・・
香焼「あ」
そういえば、そんな話を聞いた気もする。
オルソラ「これはもう『もしも』があった場合、マジで『男』として責任問題でございますね。この件は神裂にも報告」ジトー・・・
香焼「い、一応……『中』にはしてないっすよ」ダラダラ・・・
オルソラ「お馬鹿。それでも身籠る時は身籠るのでございます。快楽主義や避妊よりも、堕胎の方が罪でございますよ」マッタク・・・
反論できない。
オルソラ「新装7つの大罪。他者を貧困にせしめる者……計画性の無い性行為は罪でございます。悧巧な貴方なら意味がわかりますね?」ビシッ
香焼「計画性無く無為に子を為す末路は貧困っすか……、」タラー・・・
オルソラ「今夜からでも構いません。キチンと『性病予防』なさい」メッ!
何も言えない。頭が下がるばかりだ。
オルソラ「やれやれ……学習しましたね。反省しろとは言いません。彼女に失礼でございますから」モゥ・・・
香焼「すいません」ペコッ
オルソラ「あと、それから……―――」フフッ
香焼「え」カアアァ///
オルソラ「―――……ふふふ。簡単な事でございますよ。それでは御機嫌よう」ペコリ・・・
彼女はまたもやよく分からないヒントを置いて帰って行った。
鈍感は罪。それから……性交の子作り以外の意義。如何いう意味だ? - 414 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/11(月) 03:06:09.47 ID:Ht0ugU9y0
- はい、今日は此処まで。次回『わっふるわっふる』沢山入るので良い子は回れ右してくださいね。
個人的には……アニェーゼ・アフターよりはエッチくないかなぁと思うよ。
でも絹旗アフターよりはエロいかも。
そんじゃ適当に感想よろしくです。
ちなみに、リクエストって訳じゃないけど『こういうプレイして欲しいなぁ』って希望があれば可能な限り反映するかも。
とりあえず、また明日ー! ノシノシ” - 415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/07/11(月) 08:03:55.81 ID:Db+1AzWW0
- 乙
ドロドロってこういう事か……何というか、皆色々とすれ違っちゃってるな
- 416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/11(月) 11:20:10.86 ID:GOAl5f4E0
- ここまで鈍感だと異性・同姓関係なく殴られても仕方が無いレベル
変に堅物過ぎる上に超の付く鈍感…全く共感できないなぁ - 417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/11(月) 15:48:36.42 ID:m3BiDc7DO
- 香焼にアンジェレネの行動は一時的な気の迷いと見えるのかもしれんが……さすがに鈍すぎね?
しかしアニェーゼやレッサーとアンのすれ違いといい、未だ出番すらないサーシャといい、バカルテットがここまでバラバラになるとは…… - 422 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 00:04:19.56 ID:hz0d4PSO0
- ―――とある日(二日目)、PM04:30、英国ロンドンシティ北部、日本人街、とあるアパート・・・・・
オルソラさんが帰って以降、無言が続いた。
自分はベランダで上の空。アンジェレネは心此処に非ずの状態でボーっとテレビを見ている。
ふと……彼女が呟いた。
アンジェレネ「大人にならなきゃ……駄目なのかな」ボソッ・・・
独り言なのか、僕に対しての問なのか。
アンジェレネ「むぅ……、」
香焼「……焦る必要は無いんじゃない」
アンジェレネ「でも周りは……、」
香焼「周りは周り。君は君」
アンジェレネ「よく、分かんないや」
振り向かずに口を出す。
歳の頃16,7程。自分らはまだ若い。
香焼「あとさ、ステイルやアニーが『大人』かって言われたら違うと思う」
アンジェレネ「……、」
香焼「大人だとか子供だとか、ツマんない事っすよ」
確かに彼らは重責重役。だが老若なんかに拘るだろうか。
無論、オリアナさんが言っていた事も真理だろう。しかし僕らは僕らだ。ちっぽけな枠組に捉われるのは間違いだと思う。
もし灰色の青春が嫌なら、逃げ出すよりも自分から変えてやらねば。
それが我々が『彼』から学んだ美学だろう。
香焼「『英雄』になれなくても、その真似事くらいは出来るさ」クスッ
アンジェレネ「……、」
香焼「尤も、オレは灰色だなんて思った事無いけどね」
僕達の今までを否定したくない。良くも悪くも想い出だ。
香焼「アンは、嫌なの?」チラッ・・・
アンジェレネ「やっぱり……コォヤギくんの話、難しくてよく分かんない」
香焼「……そりゃ悪うござんした」ハァ・・・
だけど彼女も分かってる筈。あとは認められるか如何か。 - 423 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 00:29:21.12 ID:hz0d4PSO0
- 一寸後、彼女は立ち上がり此方(ベランダ)へ歩んできた。
そして何も言わず僕の後ろに佇む。
香焼「気持ち、決まったの?」
アンジェレネ「一応、ね」コクン・・・
香焼「そう。良かった」クスッ
振り向き微笑む。その刹那――抱き着かれた。
香焼「な、ちょ……え」ドキッ・・・
アンジェレネ「……ごめんなさい」ギュウゥ・・・
香焼「え、と……謝らなくて良いよ」
アンジェレネ「……、」フルフル・・・
香焼「オレに迷惑掛ける分には構わないからさ」ポリポリ・・・
矮小な自分は、その程度の事しかしてやれない。
アンジェレネ「違うよ……助かったもん」ギュッ・・・
香焼「あはは……何とも」ポリポリ・・・
アンジェレネ「沢山甘えてごめんなさい」ペコッ・・・
そして彼女は、僕に頼んだ。
アンジェレネ「最後に二つ、我儘良い?」ボソッ・・・
香焼「叶えられる範囲ならね」コクッ
アンジェレネ「……アニェーゼちゃんに、電話して」キュッ・・・
香焼「直接、言いに行かないの?」
アンジェレネ「……、」シュン・・・
決心はついたが直接顔を合わせる勇気がない、か。
アンジェレネ「コォヤギくん……その……、」モジモジ・・・
香焼「……分かってる。ちゃんとオレも謝るから」ポンポンッ・・・
アンジェレネ「……ごめんね。私の所為で」ウルウル・・・
香焼「違うよ。オレの方が悪い」
何時だって男性の方が悪い。男としてケジメを、筋を通す。
自分の周りの小父貴・兄貴分からは、そう教わってきた。
アンジェレネ「……ありがと」クスッ・・・ギュッ・・・
香焼「どういたしまして」フフッ
小さな彼女を、純粋に笑わせたかった。ただそれだけだ。 - 424 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 00:35:14.09 ID:hz0d4PSO0
- ソファに戻り、電話を取る。アンジェレネは不安そうな顔で僕を見る。
香焼「……大丈夫、安心して」
微笑み、電話帳から『アニェーゼ』の番号を押す。
1コール・・・・・2コール・・・・・3コール……4……5…――
アニェーゼ『はい』Pi!
――9回目のコールでアニェーゼが出る。
香焼「もしもし。今大丈夫?」
アニェーゼ『大丈夫だから電話出たんでしょうが……んで?』
香焼「大事な話」
アニェーゼ『……アンの事?』
今の僕らには、その話題しかないだろう。
アニェーゼ『見つけたんですか!?』
香焼「……うん」
アニェーゼ『そう、良かった……コーヤギ、そこにアン居るんですか? 替わって下さい』ホッ・・・
香焼「……、」チラッ・・・
アンジェレネ「……、」シュン・・・
アニェーゼ『……コーヤギ?』
如何切り出すべきか。
香焼「アニー。あのね……、」グッ・・・
アニェーゼ『ん……待った』
香焼「え」
アニェーゼ『アンタは今如何でも良いんです。とりあえず、アンを出しやがれってんですよ』
香焼「……だから、さ。ちょっと」
アニェーゼ『うっさい。黙れ。いいから替われっつってんです、ボケ。あの子の声聞かせろ!』ガーガー!
駄目だ。冷静じゃ無い。
アンジェレネ「……コォヤギくん。自分で言うよ」フッ・・・
香焼「ん、分かった……アニー。今替わる」
アニェーゼ『あいよ』ムスー・・・
アンジェレネ「……もしもし」ボソッ・・・
アニェーゼ『ん』
アンジェレネ「えっと……ごめんなさい」ゴニョゴニョ・・・
アニェーゼ『……、』ホッ・・・
アンジェレネ「うん……、」ボー・・・
とりあえず、今は席を外そう――― - 425 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 00:57:04.09 ID:hz0d4PSO0
- アニェーゼ『アン』
アンジェレネ「……はい」
アニェーゼ『色々言いてぇ事はありますが……とりあえず、無事で良かった』グズッ・・・
アンジェレネ「……うん、ごめんなさい」ウルウル・・・
アニェーゼ『良いんです。謝んな……今、何処なんです?』
アンジェレネ「……、」
アニェーゼ『……コーヤギん家ですか』
アンジェレネ「……うん」
アニェーゼ『そう……いつから?』
アンジェレネ「……、」グッ・・・
アニェーゼ『怒らないから言いなさい』
アンジェレネ「……、」
アニェーゼ『そう……分かりました。予想通りっちゃ予想通りですね』ハハハ・・・
アンジェレネ「え」キョトン・・・
アニェーゼ『ずっと居たんでしょ』ハァ・・・
アンジェレネ「あ、ぅ……っ」
アニェーゼ『何となく、分かってましたよ。あの甘ちゃん坊やは嘘下手クソですからね……メールの内容見りゃ誤魔化してんの一発です』
アンジェレネ「あ、アニェーゼちゃん! その……コォヤギくんは悪くないの!」
アニェーゼ『別に誰も責めませんよ。んな器量狭い女じゃねぇですから……、』クスッ・・・
暫時、無言。
アニェーゼ『あー、えっと、さ……帰ってきなさい。すぐにじゃなくても良いから、必ず』
アニェーゼ『もしかして他の誰かに好きにしろとか言われてたかもしんねぇですけど……私は、イヤですからね!』キッ・・・
アニェーゼ『アンタは私の妹なんです! 勝手にどっか消えたら困ります! ずーっと離れるなんて許しませんから!!』ガアアァ!!
アンジェレネ「あ……ぅ……うぅ……っ」ポロポロ・・・
アニェーゼ『ルチアだって同じです。戻ってきなさい、馬鹿妹……勝手に、消えんな』グスン・・・
アンジェレネ「ぇぅ……ごめ、なさっ……、」ポロポロ・・・
アニェーゼ『泣くな、馬鹿……っ……皆、アンタの……うぅ……味方、なんです。帰って、来てよ』グズッ・・・
アンジェレネ「ごめん、なさい……ごめんなさい」ポロポロ・・・
アニェーゼ『もぅ……怒ってないですから』フフッ・・・
違う。それだけじゃない。
アンジェレネ「わ、たし……私、ね……っ」ウウゥ・・・
アニェーゼ『待った。アンの行動なんかお見通しなんです。何年姉貴分やってっと思ってんですか……後でしっかり聞きます』
アンジェレネ「あ、アニェーゼちゃん……、」ドキッ・・・
アニェーゼ『まずはコーヤギに替わりなさい。じゃなきゃ怒る……コーヤギを』キッ・・・
アンジェレネ「う、うん……分かった。ごめん」コクッ・・・
ベランダの香焼を呼び寄せ、電話を渡した。 - 426 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 01:04:30.00 ID:hz0d4PSO0
- ―――アンジェレネと何処まで話たかは分からないが、僕を御指名らしい。
覚悟を決め、電話を受け取る。
香焼「替わったよ」
アニェーゼ『おー、嘘吐きコーヤギ』Hahaha!
香焼「……あー」ダラダラ・・・
アニェーゼ『アンタ、メールの文章でも嘘が下手ですねぇ。あの子の事匿ってるの薄々気付いてましたよ? この大馬鹿野郎』ケッ!
香焼「あはは……ごめんなさい」
アニェーゼ『私ん中で一生覚えといてやりますよ。腹括れー』フフフ・・・
勘弁して下さい。
香焼「……えっと、アンと何処まで話したんすか?」ボソッ・・・
アニェーゼ『殆どです。まぁもうちょっと話はあるんですけど……先にテメェですね』
香焼「……、」
アニェーゼ『全部吐け。黙って聞くから』
口調は雑だが……それはまるで僕の懺悔を聞く修道女。
香焼「……彼女を、拾いました」
アニェーゼ『おう』
香焼「でも……救えたかどうかは、分からないっす」
アニェーゼ『んなモンはテメェの主観です。聞きてぇのはそういうこっちゃねぇんですよ……主は全てをお見通し。あーゆーおk?』フンッ
分かっているなら、皆まで言わせないで欲しい。
アニェーゼ『吐け。懺悔は全部ゲロるまで終わらねぇんですよ』
香焼「……彼女を」ゴクッ・・・
アニェーゼ『……あの子を?』フム・・・
香焼「……、」グッ・・・
アンジェレネ「コォヤギくん……、」タラー・・・
アニェーゼ『……言え』
犯しました。
アニェーゼ『……、』フーン・・・
アンジェレネ「な、こ、違う!」ギョッ・・・
アニェーゼ『……それも、主観ですか?』
香焼「いや……違う。嫌がる彼女をオレが犯した。何度も」ボソッ・・・
アンジェレネ「嘘言わないで! アニェーゼちゃん、違うの! 本当は」アタフタ・・・
アニェーゼ『アンジェレネー。電話口じゃなくても聞こえる程に騒がねぇでくださーい……おい、強姦魔。まだ言う事ありますか?』
香焼「いや、無いっす」
自分なりの、男としてのケジメ。 - 427 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 01:25:32.60 ID:hz0d4PSO0
- アニェーゼ『っ……テメェとの話は最後です。一度、アンジェレネに。あと、一回消えなさい』
香焼「分かった……アン」チラッ・・・
アンジェレネ「……、」ギロッ・・・
睨まれようが、自分にはこういう方法しか浮かばなかった。絞首台へ立たされるのも、覚悟の上である。
僕は再び、ベランダへ戻り審判を待った―――
アンジェレネは慌てて電話を受け取り、急いで香焼の言葉を訂正した。
アンジェレネ「アニェーゼちゃん、今のは違うの! 本当は、その……、」アセアセ・・・
アニェーゼ『んな事ぁ分かってますよ。アイツにアンタの事強姦できる度胸ある訳無ぇですからね』クスッ・・・
アンジェレネ「……え」
アニェーゼ『さて、さっきは姉妹の話でしたが……今度は女の話です』
アンジェレネ「あ、ぇ」
アニェーゼ『正直、アンタの事……本気で打ん殴ってやりたいですよ。ズリぃです……、』グッ・・・
アンジェレネ「っ……、」シュン・・・
妹(アンジェレネ)は、抜け駆けをした。しかも情に訴えるという卑怯な手段を用いて。
姉(アニェーゼ)の気持ちを知らない訳ではない。その他の少女達の気持ちもだ。
アンジェレネ「ごめんなさい……本当に、ごめん」
アニェーゼ『ん……情に流されたコーヤギも悪いっちゃ悪いですけど、やっぱこればっかはアンタが悪い。卑怯ですね』
アンジェレネ「……、」
アニェーゼ『まぁでも、私が男なら間違いなくアンタの事犯してますから……ギリギリまで我慢できたアイツは偉いんでしょう』クスッ・・・
アンジェレネ「っ……アニェーゼ、ちゃん」グッ・・・
修道女にあるまじき言葉。だが……純粋に、嬉しい。
アンジェレネ「私も……私も、男の子だったら……良かった。そしたら、アニェーゼちゃんの事……抱いてた」ポロポロ・・・
アニェーゼ『ありゃりゃ。嬉しい事言ってくれますねー。でも私の貞操はそう易々とくれてやんねぇですよ?』クスクスッ
アンジェレネ「無理矢理でも、モノにするもん」ウウゥ・・・
アニェーゼ『ははは。同性愛(レズ)は勘弁ですよ。ソッチの気は無いので』フフフ・・・
アンジェレネ「あはは、は……あの、ね……本当に……っ……ごめん」ポロポロ・・・
アニェーゼ『もう謝らねぇでください。私が惨めでしょう』ハァ・・・
とてもとても、残酷な話。
アニェーゼ『キチンと……皆に宣言なさい。もうアイツは、アンタのモノなんだから』クスッ・・・
アンジェレネ「それは……、」ポロポロ・・・
アニェーゼ『隠れて付き合うなんつーのは絶っっっ対ぇに許さねぇですよ。公言しやがれってんです』ケッ
アンジェレネ「え、と……そうじゃなくて」グシグシ・・・
アニェーゼ『……は?』
まだ、ドチラからも告白はしてない。 - 428 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 01:32:50.63 ID:hz0d4PSO0
- アニェーゼ『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ』ポカーン・・・
アンジェレネ「その……横暴やっといて、私から好きだなんて言えないし」タラー・・・
アニェーゼ『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・コーヤギ、アンタに告ってねぇんですか』キョトン・・・
アンジェレネ「……うん」シュン・・・
アニェーゼ『……、』
現状、恋人同士とは言えない。無論そんな話は納得できる訳も無いので……
アニェーゼ『ふ……っざけんなああああぁっ!!』ガアアァ!!
アンジェレネ「ひぅ」ビクッ!
アニェーゼ『オイ、ゴラァ……あの強姦野郎に替われ。サッサと替われボケ!!』ガンッ!
アンジェレネ「だ、だから、無理矢理やったの私の方だよ」ダラダラ・・・
アニェーゼ『じゃかましぃ!! 痛ぇ思いすんのは女の方なんだっつのアホンダラ!! 悪ぃのは野郎なんだ駄阿呆っ!!』ギリリ・・・
口調が拙い。アニェーゼは只今暴走モード。
アニェーゼ『ファックとアイラヴュの順序が逆になったのはしゃーねぇ。だがよぉ……セフレたぁ許せねぇぞボケこのタコ!』ギャオォ!
アンジェレネ「ご、ごめんなさい……そんなつもりは、無いんだけど……、」ダラダラ・・・
アニェーゼ『だからオメェは悪くねぇっつってんだろ馬鹿女郎が……いいからさっさと電話替われや』ギチチ・・・
アンジェレネ「……だ、だめ」フルフル・・・
アニェーゼ『あん?』
今替われば、アニェーゼは間違いなく香焼にブチ切れるだろう。
アニェーゼ『ったりめーじゃ糞っタレが。人様の妹分傷モノにしてから、のまま玩具代わりにしてただとぉ……殺すっつの!』ギチッ・・・
アンジェレネ「ち、違うの! 私が……悪いから。全部全部、私の所為だから!」グッ・・・
アニェーゼ『……、』
アンジェレネ「お願い……コォヤギくんの事、責めないで。好きって言わせなかったのも、多分私の所為だから」シュン・・・
彼には負い目があった。成り行きで情を交えてしまった事を悔いている。
彼も彼で、彼女に告白できない理由がある。
アニェーゼ『……はぁ。似た者同士が。罪庇い合ってんじゃ無ぇです。二人とも優し過ぎんですよ……昔から、ね』ヤレヤレ・・・クスッ・・・
アンジェレネ「ごめんなさい」
アニェーゼ『だから謝んなと……まぁ良いや。コーヤギに替わって下さい。アンタとの話は終わり』
アンジェレネ「え、ぅ……はい」シュン・・・
アニェーゼ『ったく……心配しねぇでください。アンタが危惧してる様な説教はしませんよ』クスッ・・・
アンジェレネ「……ありがとう、アニェーゼちゃん」ホッ・・・
アニェーゼ『こういう時は機転利かせて「お姉ちゃん」とでも言ってもらいてぇですね……次は寮で会いましょう』
アンジェレネ「うん、お姉ちゃん……あ、やっぱ駄目。違和感バリバリ」ウーン・・・
アニェーゼ『あらら。残念です』フフフ・・・
そして、同僚であり親友であり姉妹である二人は“またね”と告げた。 - 429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/12(火) 01:38:59.33 ID:0ELaRctDO
- >>428
まぁこれが普通の反応だよな。 - 430 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 01:44:23.74 ID:hz0d4PSO0
- ―――怒号が聞こえた。詳しくは分からなかったが、多分、アニェーゼはカンカンだろう。
やはりルチアさんの前で腹を掻っ捌く覚悟をした方が良いだろう。
数分後、再度電話を受け取る。
アニェーゼ『おう、強姦魔。よくもまぁ人様の妹君をよぉ……、』ギリリ・・・
香焼「……、」
アニェーゼ『ったく……まぁ今はあの子に免じて次の話に移ってやんよ』
香焼「え?」
アニェーゼ『さっきテメェはケジメと言いやがりましたね。そんじゃその具体的行動を教えなさい』
香焼「具体的って……責任は、その……任せるよ。煮るなり焼くなり好きにしていいさ」
アニェーゼ『駄阿呆。んな事になったらアンタ間違いなくルチアに去勢されますよ』
香焼「覚悟の上っす」
アニェーゼ『んなヤッスい覚悟要らねぇですよボケ。他人任せにすんなゲス野郎』ケッ
安いって、そんな……じゃあ如何しろと。
アニェーゼ『自分で考えろ! ……って言いたい所ですが、超鈍感のコーヤギにそれ言っても答えに辿り着くまで一生涯使いますね』ハァ・・・
香焼「むぅ……、」
アニェーゼ『二つです……一つは、もう二度と謝んな。アンジェレネを抱いた事、絶対! 何が何でも! 謝んな!!』ガアアァッ!!
香焼「な!?」キョトン・・・
アニェーゼ『もう一つは公言しろ。間違っても、強姦しました、じゃねぇですよ』フンッ・・・
では、何を宣言するのだ。
アニェーゼ『アンタ、アンの事嫌いなんですか? だったらルチアじゃなくリーアさん(リメエア姫)に今回の事言いますから』
止めて下さい。死ぬより恐ろしい事が待ってます。
香焼「えっと……嫌いな訳、ないだろ」ポリポリ・・・
アニェーゼ『……良かった。じゃあ後は自分で考えろ。これ以上は癪ですから絶っ対ぇ教えません』フンッ・・・
香焼「え、と……しゃく?」ウーン・・・
アニェーゼ『チッ……気付きなさいよ。アンタは、誰よりも……あの子を……っ』グスッ・・・
香焼「あ、アニー?」エ・・・
アニェーゼ『っ……ぅ……何でも、無ぇです……悔しいから、教えません……ぇっ』グズッ・・・
泣いてるのか。
アニェーゼ『うぅ……いい加減、あの子の気持ち……気付けってん、です……泣かせたら……っ、許さない……ううぅ……以上、ぇぅ』グズッ・・・
香焼「アニー……、」
アニェーゼ『っ……こほんっ! んん! はぁ失礼……理由は教えませんけど、多分他の娘も泣きますから。特に、サイアイはね』フゥ・・・クスッ・・・
香焼「え?」
アニェーゼ『ったく……後は互いに素直になりやがれってんです馬鹿野郎共!! テメェらなんか大っ嫌いで大好きだ!! じゃあな!』Pi!
香焼「ちょ、待……え?」タラー・・・
一方的に切られた。素直になれ、か。 - 431 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 01:59:05.34 ID:hz0d4PSO0
- ―――とある日(二日目)、PM08:30、英国ロンドンシティ北部、日本人街、とあるアパート・・・・・
気がつくと、静かな雨音……ソファの両端に各々が座って数時間。何から話せばいいか分からない。
時計を見ると、既に六時過ぎ。夕飯の準備やら何やらしなければなるまい。
香焼「……ご飯、作るよ」スッ・・・
アンジェレネ「あ、うん……手伝う?」チラッ・・・
香焼「大丈夫、座ってて」テクテク・・・
立ち上がりキッチンへ向かう。彼女は未だにボーっと放心状態。
香焼「……米(ライス)モノで良い?」
アンジェレネ「何でも良い」ボー・・・
香焼「じゃあ梅干しを」チラッ
アンジェレネ「そんな真似したら大声あげて泣くよ」ジトー・・・
香焼「あはは。冗談だよ」クスッ・・・
やれやれと苦笑し、やっと感情らしい感情を表すアンジェレネ。
一寸後、ゆらりと立ち上がりベランダの方へ向かった。如何やら洗濯物を取り込むらしい。すっかり慣れたもんだ。
アンジェレネ「そりゃ慣れるよ。二週間も居ればね」クスッ・・・
香焼「そだね」フフッ
アンジェレネ「……二週間も、居れば」ジー・・・
多分、それももう終わる。
アンジェレネ「私は……変かもしれないけど、楽しかったよ。この上なく馬鹿迷惑な家出だったけど、良い想い出になった」ハハハ・・・
香焼「まぁうん。正直言って迷惑だったさ」クスッ・・・
アンジェレネ「ありゃりゃ、酷いなぁ。嘘でも楽しかったって言って欲しいのに」クスクスッ
それは無理な願いだが、想い出という面では強く残る筈だ。
アンジェレネ「そっか……ねぇ、コォヤギくん」チラッ・・・
香焼「何?」
アンジェレネ「あのね……明日……帰ります」コクン・・・
香焼「うん……そっか」
アンジェレネ「もう、迷惑掛けないから安心してね」クスッ・・・
香焼「……、」ポリポリ・・・
少し寂しい。彼女の声も心成しか、寂しそうに聞こえる。
香焼「……一緒に、謝り行くよ」
アンジェレネ「アニェーゼちゃんに謝るなって言われたんでしょ。来なくて良いよ、怒られるから」アハハ・・・
香焼「だけど……うん」ボー・・・
まだ答えが、見つからない。 - 432 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 02:08:43.99 ID:hz0d4PSO0
- 夕食の準備を終え、後は米が炊きあがるのを待つ。
アンジェレネは雨音をBGMに洗濯モノをたたんでいる。僕はそれを見てるだけ。
香焼「……、」ジー・・・
アンジェレネ「ふんふふ、ふんふふ、ふんふーふ~……」パタッ・・・パタッ・・・
見るからに空元気。
アンジェレネ「ん」チラッ・・・
香焼「如何したの?」
アンジェレネ「ううん、何でも無いよ。コォヤギくんこそ、如何かした?」フフッ
香焼「うーん……分かんないや」アハハ・・・
何故か調子が狂う。重荷は降りたのにもかかわらず、ポッカリと心に穴が空いた感じ。
アンジェレネ「じゃあさ、もし……もしね」
香焼「うん」
アンジェレネ「コォヤギくんが家出っていうか、反抗期になったら如何なるかなぁ」
香焼「オレが?」
アンジェレネ「私みたいな馬鹿行動はしないと思うけど……如何なるんだろ」フフッ
想像したことが無い。
まず女教皇様の意に反する様な真似はしないだろうし、友人達の居る教会にはタテつかないだろう。
アンジェレネ「ははは、らしいっちゃらしいね。やっぱり優しい」クスッ・・・
香焼「うーん……まぁ卑怯者なんすよ。喧嘩嫌いだし、人に嫌われたくない。あと飼い犬の方が楽だから、逃げてるんだと思う」
アンジェレネ「シスター・オルソラが言ってたまんまじゃない?」クスッ
香焼「そうだね……ズルの味を覚えちゃったから、かな」ハハハ・・・
アンジェレネ「それは……違うでしょ。コォヤギくんは本当に優しくて良い子だから、良い子に育ったから、立派なの」
過大評価、買い被りだ。実際僕は沢山の事から逃げている。ステイルが言ってた……実現不可な理想論者に過ぎない。
アンジェレネ「世の中には綺麗事だけの人間も必要なんだよ……私は、逆を走ってみたかったのかもね」アハハ・・・
香焼「逆?」エ・・・
アンジェレネ「自分で言うのは何だけど、人に沢山迷惑掛けてみて……本当の意味で『普通』の女の子なりたかった」
香焼「普通、かな?」
アンジェレネ「あはは、方法間違っちゃったっぽいけどね。もしかしたら仕事したくなかっただけかも」ポリポリ・・・
簡単にいえば、年相応に憧れた、という事か。
香焼「昔のままでも十分、年相応だったと思うっすよ。人それぞれだしね」
アンジェレネ「ふふふ、ありがと……まぁ自分がしたい様に出来た二週間だったから、悔いは無いよ」
香焼「その言葉、本当は怒るべきなんだろうけど……良かったね」フフッ
アンジェレネ「……、」クスッ・・・
二度と、自分を軽く見る様な真似はしないでもらいたい。 - 433 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 02:13:06.43 ID:hz0d4PSO0
- 数分後……米が炊けた。作り置きしておいた麻婆豆腐と卵スープを再度加熱する。
その間にアンジェレネが食器を準備し、席に着いていた。
香焼「とりあえずスプーンで食べれるモノにしたから。辛さは七味で調節してね」
アンジェレネ「大丈夫、ありがと……あはは、やっぱ美味しそう。私とは違うや」クスクスッ
香焼「慣れっすよ。一人が長いと、ね……さぁ食べよう」フフッ
アンジェレネ「うん……―――」ゴニョゴニョ・・・
食前の祈。やっと彼女も『十字教徒』に戻ったようだ。
アンジェレネ「―――……頂きます」ペコッ
香焼「うん、召し上がれ」フフッ
アンジェレネ「もきゅもきゅ……おー。辛いけど美味しいです」クスクスッ
香焼「ありがと。作った甲斐あるっす」クスッ
優しい笑顔。楽しい食事。こんな食事は久しぶり……いや、ある意味初めてかもしれない。
アンジェレネ「うんうん。今度、料理教えてね」
香焼「自分より女教皇様やオルソラさんに習った方が良いよ」
アンジェレネ「良いの。コォヤギくんに教わりたいの……迷惑じゃなきゃ、ね」クスッ・・・
香焼「ははは、そっか。じゃあ喜んで」フフッ
そして彼女はおかわりまでして、旨そうに平らげてくれた。
そんな彼女の御蔭か、僕も自分の料理がいつもより美味しく感じられた。
アンジェレネ「――ふぅ……ごちそうさまでした」ニコニコッ
香焼「お粗末さまでした」クスッ
アンジェレネ「あ、食器は私片付けるよ」スッ・・・
香焼「良いよ、流し置いといて。オレ洗っとくから」
アンジェレネ「いーの。もう迷惑掛けないって決めたから」フフッ
香焼「そんな気使わなくても良いよ。その程度なら問題無しっす」
アンジェレネ「じゃあ一緒に洗お」ニパー!
では御言葉に甘える。アンジェレネが洗って僕が食器を拭く。流れ作業で効率アップ。
香焼「――……これで最後だね」カチャカチャ・・・
アンジェレネ「うん。あっという間でしょ」
香焼「ははは、お疲れさん」ジャー・・・
アンジェレネ「はいはい、おつかれさーん」
他愛無い事が新鮮に思える。やはり改心……といったら彼女に失礼だが、心境が変わった効果だろうか。
アンジェレネ「色々……終わっちゃった」アハハ・・・
香焼「……そうだね」
アンジェレネ「……、」ジー・・・
全部、終わり。 - 434 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 02:26:18.93 ID:hz0d4PSO0
- 後は寝て、起きて、一緒に寮へ行って、謝罪して……何もかもが元通り。
香焼・アン「「……、」」ボー・・・
何と声を掛けるべきか、言葉が見つからない。
香焼「とりあえず……シャワー浴びてきなよ」
アンジェレネ「……、」チラッ・・・
香焼「明日の何時に出るかは分からないけど、慌しくなるんだろうから早めに寝ときなって」
アンジェレネ「……、」モジモジ・・・
香焼「アン?」ポカーン・・・
様子がおかしい。
アンジェレネ「……あのね」モジモジ・・・
香焼「ん?」
アンジェレネ「一緒に……最後に、一緒に……、」チラッ・・・///
香焼「えっ」ドキッ///
アンジェレネ「駄目、かな」ジー・・・///
香焼「え、えっと……、」ゴクッ・・・
いけない。此処で飲まれたら、先までと変わらない。
香焼「だ……駄目」フイッ・・・
アンジェレネ「……そう。ごめん」アハハ・・・
香焼「もう終わったんだろ……良い子に戻るんでしょ」クスッ・・・
アンジェレネ「っ……、」ズキッ・・・
そんな顔、しないでくれ。
アンジェレネ「うん……っ……ごめん、なさい」ポロポロ・・・
香焼「……泣かないでよ」ムゥ・・・
アンジェレネ「っ……お風呂、いってくる」スッ・・・
香焼「……、」グッ・・・
やっぱり僕は最低だ。こんな時でさえ、如何していいか分からない。
誰かに縋って、応えを待つ方が楽なのだ。アンジェレネはサポート有りきも、自力で答えを出した。
結局……逃げているのは、僕だけになったのかもしれない。
ふと、今日言われた事を振り返る。
オルソラさんからは『鈍感は罪』、そして『性交の子作り以外の意味』を問われた。
それからアニェーゼには『もう謝るな』、『何かを公言しろ』と言われた。
香焼「正しい判断をしろ……正しい責任を取れ、か」ボー・・・
難しい。
香焼「正しい事って、何だろう」ムゥ・・・
救われぬモノに救いを……では無いか。今回はそうではないと思う。 - 435 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 02:31:22.31 ID:hz0d4PSO0
- アンジェレネ「難しく考え過ぎだよ」テクテク・・・
気がつくと、彼女が風呂から上がっていた。
香焼「アン……って、また服」プイッ///
アンジェレネ「あ……ご、ごめん。慣れで」アハハ・・・///
急いで服を着に行く彼女。寮へ戻ってから悪い習慣と化さなければ良いが。
香焼「……で」チラッ・・・
アンジェレネ「んーと……私から教えたら、駄目だから」ペコッ・・・
香焼「皆そればっかっすよ。自分で考えろって」ハァ・・・
アンジェレネ「難しい事じゃない、筈なんだけど……コォヤギくんには難しいのかなぁ」モゥ・・・
甚平を羽織って戻ってくる彼女。ワイヤレスのドライヤーで髪を乾かしながら歩んでくる。
ハッキリ言って欲しいが、どうせ応えてはくれないのだろう。
アンジェレネ「じゃあ、ホントは駄目なんだけど最後のヒントあげるよ」クスッ・・・
香焼「え」
アンジェレネ「とりあえずコォヤギくんもお風呂入ってきなって。上がったら教える」コクン・・・
香焼「……、」ウーン・・・
アンジェレネ「大丈夫だよ。今日は侵入したりしないから安心して」クスッ・・・
その心配はしてないのだが……何か、怖い。
香焼「……ホントに来ない」チャプン・・・
ホッとすると同時に、何故か寂しい。どうやら自分は本格的にゲス野郎へと堕ちた様だ。マジで去勢すべきだろうか。
アンジェレネ「馬鹿な事考えないの」ペシッ
香焼「あ痛っ」ムゥ・・・
上がって早々叩かれた。何したっていうんだ。
アンジェレネ「何となくお馬鹿な事考えたんじゃないかなぁって思ったの」
香焼「うっ……ごめん。やっぱり『ケジメ』で、切る?」タラー・・・
アンジェレネ「違うっつってんでしょ……まったく、数年前ならまだしも今のコォヤギくんの男の娘姿なんか見たくないよ」ハァ・・・
香焼「はい?」ポカーン・・・
アンジェレネ「何でもない。兎に角、自分を責めないの。私もなるべく自分を責めないから」モゥ・・・
またしても、アバウトな言葉。益々こんがらがりそうだ。 - 436 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 02:45:18.77 ID:hz0d4PSO0
- さておき、ヒントとやらを教えてくれ。
アンジェレネ「あ、うん。そうだったね」ポリポリ・・・
香焼「一体何なんすか」
アンジェレネ「えっとね……うーん、怒らないでね」チラッ・・・
香焼「怒る様な事がヒントなの?」
アンジェレネ「違くて、その……、」モジモジ・・・///
何故に頬を染める。
アンジェレネ「いや、昨日まで言ってきた言葉なんだけど……何だか恥ずかしくて」アハハ・・・///
香焼「恥ずかしい?」
アンジェレネ「……うん」コクン・・・///
香焼「え、と……うん?」
アンジェレネ「コォヤギくん……――」ジー・・・///
……。
香焼「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」ポカーン・・・
アンジェレネ「――……うん」モジモジ・・・///
香焼「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今・・・・・・・・・・・・・・・何つった?」タラー・・・
アンジェレネ「だから……二度も言わせないで!」カアアァ///
彼女は『一緒に、寝よぅ』と告げた。この期に及んでまだ言うのか。
アンジェレネ「如何してそう受け取るかなぁ」ハァ・・・
香焼「いや、駄目だよ」ッタク・・・
アンジェレネ「……如何して?」ジトー・・・
香焼「如何してって……駄目に決まってるだろ。『不貞腐れる』のはもう終わりだ」ギロッ・・・
アンジェレネ「……、」ジー・・・
香焼「何?」ジトー・・・
アンジェレネ「流石に殺したくなってきた。いや、この件では前々から殺したかったけど」ハァ・・・
物騒な事言うな。
アンジェレネ「あのさ……私、別に不貞腐れて無いけど。てか、それって所謂売女扱いだよね?」ジトー・・・
香焼「は?」ポカーン・・・
アンジェレネ「何で一緒に寝ちゃいけないの?」
香焼「何でって、それは……、」
アンジェレネ「それは何? 言っとくけど『僕達はまだ子供だから』とか抜かしたら本気で怒るからね」ギロッ・・・
香焼「い、いや、そんなんじゃなくて……その、セックスは好きな人同士じゃないと駄目、だから………………………………ぁ」ピタッ・・・
……あ。 - 437 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 03:01:22.57 ID:hz0d4PSO0
- 香焼「……っ!」ドキッ・・・
アンジェレネ「やっと気付いたの?」ハァ・・・
香焼「え……えぁ?!」ドキドキッ・・・///
アンジェレネ「どんだけ鈍感なのかなぁ……カミやん病マジ死滅しろ。『あの人(根源)』殺せばコォヤギくんのも治るかな?」ヤレヤレ・・・
ヒントが繋がる。それはとても単純な事。
香焼「う、そ……、」ダラダラ・・・
アンジェレネ「え……コォヤギくん、まさかマジで私の事……娼婦感覚で抱いてたの?」ジトー・・・
香焼「ち、違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違うっ!」アワワ・・・
アンジェレネ「良かった。肯定してたら殺してたよ♪」ゴゴゴゴ・・・
香焼「な、ちょ……、」カアアァ///
アンジェレネ「私だってさ……誰にでも簡単に身体許す訳じゃないよ。しかも初めてだし」クスッ・・・///
もしかしたら、気の迷いで抱いた。
もしかしたら、情に流されて抱いた。
もしかしたら、互いを慰める為に抱き合ってた。
……そう思ってた。
アンジェレネ「それも否定は出来ないよ……さっきまではだけど、ね」アハハ・・・///
でも今は違う。
アンジェレネ「あーあー……なんか結局私が告白しちゃったじゃない。このヘタレー。女の子に告白させんなー」クスクスッ///
香焼「……う、そ」ポカーン・・・
アンジェレネ「嘘じゃない。好きだから身体求めたの。コォヤギくん『気の迷いだ』とか言って、まともに聞かないでしょ?」フフッ
香焼「好、き……誰、が? 誰、を?」ポカーン・・・
アンジェレネ「……やっぱ殺していい?」ドドドド・・・
すいません。混乱してるだけです。許して下さい。
アンジェレネ「んもー……私馬鹿みたいじゃん。馬鹿だけど」ハァ・・・
香焼「え、と……その……いきなりで……、」ドキドキ・・・///
アンジェレネ「セックスの時より緊張してるって如何いう事なのかなぁ? 信じられないよ……で?」マッタク・・・
香焼「でって?」イウ?
アンジェレネ「皆まで言わせないでよ……返事は?」ハァ・・・
香焼「返事って……告白の?!」ギョッ・・・
アンジェレネ「それ以外何があるのかな?」ギロッ・・・
些か急な話だ。正直、驚愕のあまり頭が回らない。 - 438 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 03:24:17.65 ID:hz0d4PSO0
- 成程……鈍感は罪だ。もっと早くに気付いていれば、彼女を無闇に傷つける事は無かった。
セックスは好き合ってなきゃいけない。彼女は僕を純粋に求めていた。なのに僕は歪んだ解釈でそれを受け止めていた。
故にもう謝らない。誰に何を言われようが彼女と情を交えた『事実』と『気持ち』は偽りない。そして……公言する。
香焼「アン」ガシッ!
アンジェレネ「な、何ですか?」///
香焼「き、君が……好きだ!」ギュッ・・・
アンジェレネ「っ……その……混乱して、適当な事言ってるんじゃない? 随分急だったし」グッ・・・
香焼「嘘じゃない! 確かに、急過ぎて混乱してるかもしれないけど……だけど本気だ!」グイッ!
彼女と離れるのが寂しいと思えた。このまま一緒に居られたら嬉しいと感じた。
アンジェレネ「うん……・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私も……好き、です」クスクスッ///
香焼「あ、ありがと」///
両想い。『恋人ごっこ』じゃなくて、本当に……恋人同士。
アンジェレネ「でもね、本当は……コォヤギくんは、アニェーゼちゃんと付き合って貰いたかった」クスッ・・・
香焼「な……ぇ」ギョッ・・・
アンジェレネ「だって私が一番である必要が無いもの。コォヤギくんは私の何処が好きなの?」
それは……純粋に可愛いし、優しいし、それでいてしっかし芯がある娘だ。
アンジェレネ「それは他の子達も同じじゃない? 私、今とーっても意地悪な事言ってるよ。反論できる?」ジー・・・
香焼「それは……、」グッ・・・
アンジェレネ「……だからアニェーゼちゃんと付き合って欲しかった。『番(つがい)』になって、彼女を支えて欲しかった」フッ・・・
そんな大袈裟な。彼女が僕をパートナーとして選ぶ訳が無いだろう。
それはアニェーゼに限らず、チビで女々しくて何の取り柄も無い僕の事を好きになってくれる人なんてそうそういない筈だ。
アンジェレネ「えいっ☆」ゴチンッ!
香焼「痛ぅ!! な、何で殴んのさ!?」イテテ・・・
アンジェレネ「それってコォヤギくん選んだ私が貶されてるのと同じだよ!」ギロッ・・・
香焼「ご、ごめん。で、でも何でアニェーゼが出てくるのさ。彼女の番って……え?」タラー・・・
アンジェレネ「教えない……プライドの為にも絶ぇっ対に教えないっ!」ギロッ・・・イライラ・・・
香焼「む、ぅ」ポリポリ・・・
乙女心とは難しい。
アンジェレネ「自分を過小評価し過ぎってか鈍感過ぎるの! 多分サーシャちゃんなら今頃キレて拷問かけてるよ!」フンッ!
香焼「ご、ごめん」タラー・・・
アンジェレネ「はぁ……でも、もう良いよ。他の子の話はもう良いの」クスッ・・・ギュゥ・・・
香焼「……、」ドキッ・・・
アンジェレネ「私も覚悟決めたから……もう絶っ対、コォヤギくんの事諦めないよ。私が一番なの」ジー・・・///
僕も、男として……諦めない。責任とかではなく、純粋に彼女を愛す。 - 439 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 03:31:44.88 ID:hz0d4PSO0
- 香焼「大好きだ! アンジェレネ!」ギュウゥ・・・///
アンジェレネ「うん……っ……私も、大好きだよ……、」ポロポロ・・・///
本当に簡単な事だった。好きだから頼ってくれた。好きだから身体を重ねた……それだけの事だったのだ。
暫く、ソファの上で抱擁を続けた。彼女は僕の胸の中で涙を流していた。
それは二週間前の悲しみの涙とは違う……『喜び』なのだと思う。
アンジェレネ「あはは……泣いちゃって、ごめんね」クスッ・・・
香焼「ううん。良いんだよ」ポンッ・・・
アンジェレネ「うん……ありがとう」クスッ・・・
香焼「ちゃんと皆に報告する。隠したりしないよ。アンが自分の彼女ですって、公言する」ナデナデ・・・
アンジェレネ「あ、ぅ……よ、よろしくね」モジモジ・・・///
それが正しいケジメ。僕はもう間違わない。
アンジェレネ「……あはは」クスッ・・・
香焼「何か、恥ずかしいね」ポリポリ・・・///
アンジェレネ「……あのね」ジー・・・///
一度抱擁を解く。だが手を握ったまま……彼女の話を聞く。
アンジェレネ「改めて言うのも、恥ずかしいけど……、」キュッ・・・///
香焼「う、うん」ゴクッ・・・///
アンジェレネ「私を……抱いて、ください」カアアァ///
香焼「っ!!」ドキッ///
アンジェレネ「お願いします」ペコッ・・・///
思えば、いつも誘惑されて彼女を抱いていた。主体的に彼女を抱こうとした事は無い。
それは勿論付き合っていなかった所為でもある……だがしかし、今は違う。
僕達は『番』だ。
アンジェレネ「間違った形で処女を捨てちゃったけど、改めて……恋人として……『初めて』、抱いて下さい」グッ・・・///
香焼「アン……、」ポリポリ・・・///
アンジェレネ「……、」ジー・・・///
何も言わずに、抱き締める。
香焼「……行こう」ナデナデ・・・///
アンジェレネ「えへへ」モジモジ・・・///
恋人としての順番は違えてしまったけど、もう迷わない。僕達はベットに向かった……――― - 445 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 23:10:05.46 ID:hz0d4PSO0
- ―――とある日(二日目)、PM10:00、英国ロンドンシティ北部、日本人街、とあるアパート・・・・・
―――互いの顔もハッキリ見えない尾灯だけの、仄暗い部屋。
僕もアンジェレネもベットの上で向き合って正座し、妙に緊張している。
2週間で6回目とそれなりに数をこなした筈なのだが……何故だかやけに胸が熱い。
アンジェレネ「よ、よろしく、お願いします」ドキドキ・・・///
香焼「うん……よろしくね」ポリポリ・・・///
妙に恥ずかしい。何からしていいか分からない。
香焼「とりあえず……服、脱ごう」ドキドキッ///
アンジェレネ「そうだね……ちょっと後ろ向いててもらって良いかな」アハハ・・・///
香焼「わ、分かった」ゴクッ・・・///
今までの彼女とは違う。行動に恥じらいを感じる。
香焼「昼までは堂々と真っ裸で部屋歩いてたのにねー」クスクスッ
アンジェレネ「だ、だって……その……意地悪」モジモジ・・・///
香焼「ごめんごめん。そうだね」アハハ・・・
アンジェレネ「えへへ……ううん、良いの」シュルルル・・・
衣擦れ音。
アンジェレネ「こ、コォヤギくん……コッチ向いて良いよ」スッ・・・
香焼「う、うん……っ」ゴクッ・・・ジー・・・///
可愛らしいピンクのブラとショーツ。そして黄色人種(僕)とは違う、透き通るような白い肌。
アンジェレネ「ジロジロ見ないで……やっぱ何か恥ずかしいなぁ」ムゥ・・・///
香焼「はは、昨日までのオレの心境分かった?」クスクスッ
アンジェレネ「むー……良いからコォヤギくんも脱いでよ!」ガルルッ!
香焼「はいはい」フフッ
自分も下着一丁になる。そして向い合った。
アンジェレネ「……やっぱりコォヤギくん、女の子みたいな身体だね。綺麗だもん」クスクスッ///
香焼「そ、そんな事ないだろ」ムゥ・・・///
アンジェレネ「腋の毛とか全然無いじゃん。下の毛も少ないわふんっ!」モフッ!
香焼「ぐぬぬっ……これから生えるんだ! てか殆ど生えてないアンが言うな!」カアアァ///
アンジェレネ「ぷふー、あはは。じゃあコォヤギくんロリコンだねー」クスッ・・・
君、僕と大して年齢変わらないでしょ……さておき、いくらか和んだ。問題はこれから。
香焼・アン「「……、」」モジモジ・・・///
如何しようか悩む、が……これからは自分が引っ張らねばなるまい。 - 446 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 23:24:05.74 ID:hz0d4PSO0
- 昨日までとは違うのだ。僕が彼女を引っ張る。
香焼「キス……しよう」ジー・・・///
アンジェレネ「う、うん」カアアァ///
彼女の腕を引き寄せ、背中に左手を回す。そして右手を頬にそっと添え……――
アンジェレネ「ん……、」チュッ・・・
――優しく口付けする。
短いキスの後、彼女の両手が僕の両頬を挟んでくる。僕は彼女の首に腕を回す。
そして今度は深い口付け。
アンジェレネ「んっ……ぁ……っ……ぁぅ……、」チュッ・・・ピチャ・・・ピチャ・・・
互いの舌が絡み合い、艶かしい音が響き渡る。
アンジェレネ「あ、ぃ……んん……う……っ……こ、や……もぅ……ぷはっ!」ニュチュ・・・レロ・・・チュゥ・・・ハァハァ・・・
香焼「ハァ……ハァ……ご、ごめん」クチュ・・・フゥ・・・
アンジェレネ「ん……大丈夫だよ」ネチャ・・・フフッ///
苦しそうな彼女の吐息に気付き、唇を離す。熱中し過ぎて我を忘れてしまった。
互いの口に繋がる糸が尾灯に照らされ、生々しく輝く。
香焼「無理矢理しちゃいけないね」アハハ・・・///
アンジェレネ「ううん……ちょっとくらいの無理なら、嬉しいかも」ポッ・・・///
香焼「え」キョトン・・・
アンジェレネ「今までコォヤギくん、ちゃんと私の事求めてくれなかったでしょ。だから……嬉しいよ」クスッ
拙い。そんな事言われると、初めての時くらいドキドキする。
アンジェレネ「あはは。私はあの時より緊張してるかも」フフフ・・・///
香焼「……、」ゴクッ・・・///
アンジェレネ「あ……っ」グイッ・・・
再び腕を取り今度は多少強引に口付ける。口から頬へ、そして首へ……そして胸元へ。
アンジェレネ「ん……っ……ひゃぅ!」ピクッ・・・
香焼「アン……ん」ギュッ・・・
アンジェレネ「く……ぅ」キュウゥ・・・
全身を舐め回す様に、優しく撫でる。彼女は眼を瞑り、身体を強張らせていた。
息が荒くなる。身体が紅潮する。局部が徐々に堅くなる。 - 447 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 23:35:05.38 ID:hz0d4PSO0
- アンジェレネ「こ、ゃぎ……ぁ……、」ピクッ・・・
香焼「……っ」スッ・・・
アンジェレネ「ぃっ……あっ」ビクッ・・・///
彼女の局部に手を伸ばす。ショーツ越しに……ゆっくりと割目をなぞる。
アンジェレネ「あ、ぃ……っ!」ピクンッ・・・///
アンジェレネの膝立ちがペタリと崩れる。
そのまま押し倒して横にしたまま、優しく摩り……強引に擦る。その間に内太腿を舐めた。
アンジェレネ「やっ! っ……ぁんっ!」ヌチャ・・・ビクッ!
香焼「……ふふっ」クスッ・・・///
アンジェレネ「い、いじわる……ひぁ!」スリスリ・・・ピクンッ!
香焼「ん……強引な方が良いんでしょ?」クスクスッ///
アンジェレネ「し、知らないですっ!」カアアァ///
彼女の下着が少々濡れている。何故か妙な達成感。
今まで蹂躙され続けてきた反動か、彼女を嬲れる事に恍惚さ(エクスタシー)を感じてしまっているのかもしれない。
一度彼女を起し、髪を撫でる。それだけの事でも彼女は嬉しそうな顔をした。
香焼「じゃあ……下着を」ドキドキ・・・///
アンジェレネ「あ、うん……えっと、コォヤギくん」ジー・・・///
香焼「ん?」
アンジェレネ「ブラジャー……外して欲しいな」モジモジ・・・///
上目遣いでモジモジと口籠るアンジェレネ。まさに小動物の様。
香焼「っ!? ん、と……分かった」ドキッ・・・スッ・・・
彼女の背中に手を伸ばした。そしてホックを外してやる。
アンジェレネ「あれ? ……あのさ、何で手慣れてるのかな?」ジトー・・・
香焼「え!? あ、えっと、その……あはは」タラー・・・
馬鹿1号2号V3(姉達)の下着を洗濯していたので……はい。すいません。
アンジェレネ「神裂達の? へぇ、弄ってたんだ……えっち」ジトー・・・
香焼「し、仕方ないだろ。アイツらオレが男だっていうの気にせず洗濯籠ブチ込むんだから、洗う時に絡まらない様、その……、」ムゥ・・・
アンジェレネ「あー……まぁそれなら仕方ないね」アハハ・・・
因みにアンジェレネのブラは外すのが楽だ。女教皇様と五和のブラはホックが3つも有ってややこしい。
アンジェレネ「小さくて悪かったですねー。これでも大きくなったのに……はぁ」ムスー・・・
香焼「い、いや。世の中には小さい方が好きって人もいるし」アハハ・・・
アンジェレネ「……コォヤギくんは?」ウー・・・
香焼「え、えっと……どっちでも」タラー・・・
というか、好きな人の胸であれば大きさなんて関係無いだろう。 - 449 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/12(火) 23:56:27.84 ID:hz0d4PSO0
- アンジェレネ「逃げたね……なーんか納得いかないけど、とりあえずありがと」クスッ・・・
香焼「あはは……、」ポリポリ・・・
ブラを脱がす。小ぶりで綺麗な胸。軽く桃色に紅潮している。
アンジェレネ「……下も」ドキドキ・・・///
香焼「……うん」スッ・・・
横たわる彼女のショーツに手を掛ける。そしてゆっくり……降ろした。
恥部には白金色の薄い陰毛。秘所は尾灯の光で僅かに濡れているのが分かる。
アンジェレネ「……、」カアアァ///
丸まったショーツを表返し、ブラと一緒にテーブル脇に置く。
そして、自分も下着を脱ぎ……互いに全裸となった。
香焼・アン「「……、」」ゴクッ・・・///
身体を交える準備は出来た。
アンジェレネ「え、と……先にフェラ、する?」ドキドキ・・・///
香焼「いや……オレが舐めるよ」コクッ・・・///
今までは、彼女が僕のペニスを強引に舐め濡らし自らのヴァギナへ挿入れ込んでいた。
だが今日はそうはさせない。
アンジェレネ「別に気にしなくていいよ。コォヤギくん、早いんだから一回出してからでも」クスッ
香焼「駄目……それ許すと、また『暴発』あるでしょ」ポリポリ・・・
3回目の際に、彼女の口内へ射精してしまった。しかも事もあろうか精液飲み込みやがって。
アンジェレネ「あはは。でも……好きな人のだったら飲めるよ。顔に掛けられるよりもマシだし」クスッ
香焼「……でも、駄目だ」
アンジェレネ「ふふっ。じゃあ期待する」クスクスッ///
今日は頑張る。色んな意味で『耐える』と決めた。
アンの両足を掴み、股ぐらへ顔を近づける。そして小さな割れ目に、舌を伸ばす。
アンジェレネ「っ……んっ」ピクッ・・・
上手な愛撫の仕方なんか分からない。クンニリングスを試したのは今回でまだ2回目だ。
兎に角舐める。膣口を、尿道を、陰核(クリトリス)を、襞(ひだ)を、周りを……全体を舐め回す。
アンジェレネ「ぃっ……ぁ……んんっ……ひゃぅ!!」チュプ・・・ヌプ・・・ピチャ・・・ビクッ・・・
香焼「ハァ……ハァ……んっ」クチュクチュ・・・
アンジェレネ「あ……っ……ん、ぅ……ゅ、びは……ぃんっ!」ジュプ・・・ニチャ・・・クチャ・・・ピクンッ・・・
指で恥骨や陰核を撫でる度に、身体が小刻みに跳る。
ふと彼女の手が僕の頭を押し退けてきたが動きは止めない。更に加速させる。 - 450 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/13(水) 00:13:33.08 ID:lCdsEnAR0
- アンジェレネ「こ、ゃぎ……っ……くんっ……いっ! い、一回……止ま、て……ぃ……よぅ……んっ!」ヌチャ・・・ジュポ・・・ニュプ・・・ビクッ
香焼「やだ……、」スッ・・・ミチミチッ・・・ジュプッ
アンジェレネ「いっ……んんっ!!」ビク……ビクッ・・・///
膣口に指を入れ、蹂躙する。同時に陰核を舌と歯で弾く。
アンジェレネ「だめっ……いあっ! いっかぃ……っ……ひぁっ……らめてっ……ぁんっ!!」クチャ・・・ジュブブ・・・ヌプヌプヌプッ・・・キュウウゥ・・・///
香焼「っ」ハァハァ・・・カリッ・・・
アンジェレネ「ん……ぃ、あああぁアぁっ!!」ビクンッ!!
陰核を甘噛みした瞬間、彼女の身体が大きく揺れた。そろそろヤバいかと察し、一度動きを休める。そしてゆっくりと陰部から顔と手を離した。
彼女の艶かしい愛液と女性器独特の匂いが自分の右手に纏わりつく。
香焼「ふぅ……ごめん。やり過ぎた」ヌチャッ・・・ペコッ
アンジェレネ「ひぁっ……ハァハァ……変態……、」ムウゥ・・・///
香焼「あはは。でも自分も昨日までこういう事されてたんすよ」クスッ・・・
アンジェレネ「……もぅ」カアアァ///
昨日までの行いが、やっと身に沁みたか。
その後、少し水を飲み……本番へ。
アンジェレネ「コォヤギくんの方、舐めなくていいの?」チラッ・・・
香焼「うん。今日はゴム着けるから」スッ・・・
アンジェレネ「別に良いのに」クスッ
香焼「オルソラさんに怒られたからね。あ、性病予防って事で」フフッ
無論、詭弁だ。だが旧約派(カトリック)の彼女に対し、声を大にして避妊とは言えない。
アンジェレネ「あはは。まぁ……10日以内に生理来なかったら、連絡するから」クスクスッ///
香焼「うん。ちゃんと責任持つよ」ナデナデ・・・///
軽くキスをした後、コンドームを着ける。
アンジェレネは珍しそうにゴムを見詰めていた。まぁ見る機会はそうそう無いだろう。
アンジェレネ「レッサーちゃんが持ってたから見た事はあるんだけど……面白いね」ジー・・・
香焼「何でレッサー、そんなモン持ってるの?」タラー・・・
アンジェレネ「知らない。ベイロープさんの部屋に有ったのパクったとか言ってたよ」ハハハ・・・
香焼「……その事については深く追求しないでおこ」ダラダラ・・・
アンジェレネ「あはは……あの人、結構怖いからね」アハハ・・・
香焼「うん。ルチアさん並に」ポリポリ・・・
アンジェレネ「ふふっ……言っちゃおー」クスクスッ
勘弁してくれ。さておき、御喋りは此処までだ。彼女の両脚を持ち上げ……―――
香焼「それじゃあ……いくよ」ゴクッ・・・
アンジェレネ「ん」コクン・・・///
―――始める。 - 451 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/13(水) 00:32:47.90 ID:lCdsEnAR0
- 香焼「……っ」グッ・・・ズプププッ・・・
アンジェレネ「っ……ん」ジュポッ・・・
正常位からのスタートは初めての時以来だ。結構緊張する。
一度奥まで差し込んだ後、大きく息を吐いてゆっくりと動かし始めた。
アンジェレネ「ぁ……ん……無理、しなくて良いからね」ジュプ・・・チュプ・・・チュポ・・・
香焼「ん……してないよ」フゥー・・・
アンジェレネ「ぅ……ふぁ……っ……、」ニュプ・・・ジュブ・・・ジュブ・・・ジュブ・・・
香焼「……、」ユサ・・・ユサ・・・
徐々にスピードを上げる。
アンジェレネ「ん……っ……だいじょぶ?」ジュポジュポジュポッ・・・
香焼「……頑張る」フー・・・
アンジェレネ「我慢、しないで……ぁ……最初は……ん……すぐ……良いよ」プチュプチュッ・・・ニュプ・・・
ペースを工夫しながら努力する。
アンジェレネ「ふぁ……ぁっ……んっ……、」ヂュブッ・・・ジュプ・・・チラッ・・・
香焼「……、」ツッ・・・
アンジェレネ「……えいっ」グンッ!
香焼「っ! ちょ、アン!?」ドサッ・・・
いきなり身体を押し倒され、騎乗位に移られた。
驚くのも束の間、彼女が顔を近づけ優しく微笑んだ。
アンジェレネ「んっ……今は……繋がってられるだけで、嬉しいんだよ」ジュブブ・・・フフッ・・・///
香焼「な……っ」グッ・・・///
アンジェレネ「出そう、なんでしょ……んっ……我慢しなくて、だいじょぶ……っ……、」ヌチュ・・・ジュポジュポジュポッ
香焼「や、ぃ……っ」グッ・・・
アンジェレネ「気にしない、から……ぁんっ……いっぱい、出して」パンッパンッパンッパンッ・・・クスッ・・・
腰の動きが早まる。何度もトビそうになるが歯を食いしばって踏ん張る。
アンジェレネ「んー……っ……頑張ってるみたいだけど、私……ぁ……まだ、イケないよ」ヌプヌプヌプヌプッ・・・アハハ・・・
香焼「っ……ごめんっ」クッ・・・///
アンジェレネ「うん。良いよ……っ」チュプチュプッ・・・グンッ・・・
香焼「ぃ、あ……ッッ」ビクンッ・・・ブルッ・・・
アンジェレネが深く腰を落とした際に亀頭が子宮口へあたった。同時に限界―――
香焼「ふぁ……っ……ご、めん」トローン・・・
―――……射精。 - 452 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/13(水) 00:54:11.56 ID:lCdsEnAR0
- アンジェレネ「ふぅ……あはは。相変わらず可愛いねー。やっぱり女の子みたいだよ」クスクスッ・・・ヌチャ・・・
香焼「ハァ……怒るよ?」トローン・・・
アンジェレネ「艶っぽく潤んだ眼で訴えられても迫力無いですよー」ツー・・・
彼女はゆっくりとヴァギナからペニスを抜いた。
態と粘液の糸を見える様にしてくる辺り、やはり小悪魔的思考は残ったままなのだろう。
ついでにといわんばかりに、ゴムの先に堪った精液を興味津々に突いてきた。
アンジェレネ「へー。先っぽに精子が溜まるんだ。面白いね」ジー・・・
香焼「……そんなに見ないでよ」モゥ・・・///
アンジェレネ「あはは、ごめんごめん。でも沢山出たね……気持ち良かった?」クスッ///
香焼「まぁ……今まで無いくらいにね」アハハ・・・///
アンジェレネ「ふふっ、良かった」クスクスッ///
嘘ではない。
今まで外出しを続けてきたので、ゴム有りとはいえ射精の際に亀頭を刺激されるのはとても衝撃的だった。
加え精神的にも……果てた後に虚無感や罪悪感が無い。清々しく、どこか嬉しい。
アンジェレネ「うん……私も、いつもより嬉しい」フフッ///
セックスの最中、『好き』とか『愛してる』と言えない昨日までとは違う。
アンジェレネ「大好き」チュッ・・・
香焼「うん……僕もだよ」ギュッ・・・
アンジェレネ「あ、やっと僕って言った」クスッ
香焼「あ」タラー・・・
アンジェレネ「絶対『僕(そっち)』の方が良いのに。正直、『オレ』って似合わないもん」クスクスッ
ただでさえ童顔チビなのに、僕(その一人称)にすると更に女々しく思われるので嫌だ。
アンジェレネ「えー、良いじゃん。ムッサい男の人より美少年相手の方が嬉しいな」ハハハ
香焼「美少ね……後で覚えてろ」ジトー・・・///
アンジェレネ「はいはい。頑張って泣かせてねー」クスクスッ
生意気なわんこ。 - 453 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/13(水) 01:21:45.50 ID:lCdsEnAR0
- ―――とある日(二日目)、PM11:00、英国ロンドンシティ北部、日本人街、とあるアパート・・・・・
暫く休憩を兼ねベット上で雑談をした後、続きを始める。
アンジェレネ「―――じゃあ次……舐めていい?」スッ・・・
香焼「えっ」ドキッ///
僕の股間に彼女の手が伸びる。
香焼「でも……、」ムゥ・・・
アンジェレネ「あんまり気にしなくていいよ。別に愛撫(フェラ)イヤだと思った事無いし」クスッ///
そういう訳ではない。仕様も無い理由なのだが、あまり彼女の好き勝手は良しとしたくない。
此方のスパン的にも、男としてのちっぽけなプライド的にも。
アンジェレネ「あはは、男の子だねー」クスクスッ
香焼「また馬鹿にして……じゃあ、こうする」グイッ
アンジェレネ「ひゃっ!?」ドサッ・・・
右手で彼女の左脚を押さえ強引に彼女の股ぐらへ顔を近づける。そして、愛撫。
アンジェレネ「ん……っ……強気なの、嫌いじゃないよ」ピチャピチャ・・・クスッ
香焼「……指、挿入れるよ」グプッ・・・
アンジェレネ「ぁ……ふぁあ……っ」ピクンッ・・・
香焼「ん……痛かったら、言ってね」カプッ・・・チャプチャプッ・・・
アンジェレネ「ッッ!」ビクッ!
陰核を甘噛みし、舌先で転がす様に舐める。同時に右手の人差指と中指で、膣内をゆっくりと撫で回す。
アンジェレネ「ぃ……これ、は……あぅ……良い、かも……ッ」チャポチャポッ・・・ヌチャヌチャ・・・グッ・・・
香焼「頭、押さえないで」ジュルッ・・・カリッ・・・
彼女の両手がシーツを強く掴む。一寸表情を見遣ると……歯を食いしばり、出来るだけ吐息を漏らさぬ様に努力してる様だ。
陰核が弱いのか、それとも膣内の方でピンポイントに弱い部分が在るのか。
香焼「此処か……こっち、かな」ジュブチュ・・・クチュクチュ・・・
アンジェレネ「ふぁ……ひぁっ!」ピクッ・・・ビクンッ!!
香焼「(やっぱ核か……)じゃあ、もう少し」カプッ・・・クリクリッ・・・
アンジェレネ「や、ちょ……っ……そこぁ……ヤだ、ょぅ……ッッ!」ガクンッ・・・ヌピュッ・・・
香焼「……、」クスッ・・・
荒い息遣いと苦悶の声を聞く度に、嗜虐心が擽られる。
指で抓んだり、舌で弾いたりを繰り返してやった。
アンジェレネ「いじわ……ぅっ! しない、で……ッ!!」ジュブジュブ・・・ピチャピチャ・・・ギュウゥッ・・・
悲鳴にも似た嬌声を耳にする度、サディスティックな恍惚さを感じてしまう。
彼女を蹂躙している内に、いつの間にか再度勃起してしまっていた。 - 454 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/13(水) 01:38:14.02 ID:lCdsEnAR0
- 良い感じに彼女も感じてきている様なので、そろそろゴムを着けて挿入しようかと考えた。
だが……彼女もやられっ放しでは気が収まらない御様子。
アンジェレネ「うぅ……酷いよぅ」ジトー・・・///
香焼「昨日までのお返しっす」クスクスッ
アンジェレネ「むぅ……コォヤギくん、ゴム着ける前に、ベット座って!」グイッ!
香焼「あはは……じゃあお願いするよ」クスッ
僕がベットに腰掛けると、彼女は勃起したペニスを小さな口で咥えてきた。
アンジェレネ「んっ……ふぁぅ」カプッ・・・チゥチゥ・・・レロレロ・・・
香焼「ん……、」ピクッ・・・
アンジェレネ「んー。ふぃふぉひぃ?」チャプチャプ・・・ジュルル・・・
香焼「うん……っ……良いよ」グッ・・・クスッ・・・
あまり褒められた事ではないがフェラチオは大分し慣れている故、彼女の歯がペニスに当たる様な事は無い。
寧ろ、僕の弱い箇所を把握しているらしい。
アンジェレネ「んぁ……っ……あ、んっ」レロロ・・・スッ・・・クチュクチュ・・・
自然と、彼女は左手で自慰を掻き始めた。
アンジェレネ「ふぁ……ふぃは……っ……ん……はぃっ」ヂュプ・・・チゥチゥ・・・クチャクチャ・・・
香焼「ッ……アン」ビクッ・・・スッ・・・
アンジェレネ「ふぇ……何?」ピタッ・・・
香焼「おいで。自分で弄らないの」ナデナデ・・・
アンジェレネ「ぁ……ふぇ!?」ドキッ・・・カアアァ///
無意識だったのか。とりあえず彼女をベットの上に乗せ、『二つ巴(69)』の体勢を取った。
アンジェレネ「な、なんかこれ恥ずかしいなぁ……続けて良いの?」チラッ///
香焼「良いよ。オレも愛撫するから」クスクスッ
アンジェレネ「……ん」カプッ・・・
互いの性器を舐め、撫でる。粘液が摩れる音、それから嬌声交じりの吐息……淫靡な音が部屋中に響き渡る。
僕は先程知った彼女の弱い個所を重点的に攻める。彼女はペニスを舐め回しながら、ゆっくりと上下に扱(しご)く。
それを暫く続けた辺りで……彼女の手が止まった。
アンジェレネ「っ……ひぅっ!」ビクッ・・・
絶え間無く続けられる陰核攻めに耐えられなくなった様だ。
苦しそうな表情を見せるが、手と舌を休めない。更にはついでと言わんばかりに全体を刺激させる。
アンジェレネ「ごめ……っ……スト、ぷ……ぃっ!」ヌチャヌチャ・・・ビクンッ・・・
香焼「……ん」クリクリクリ・・・
アンジェレネ「止め……ひ、ゃあぁああアぁぁっ!!」ヌチュル・・・
香焼「……ふふっ」ヌブッ・・・グピュ・・・
アンジェレネ「そ、こっ……ッッ! お尻っ! ふぁ……ひゃわっちゃ、らめっ!!」ビクンッ・・・プシャ・・・///
肛門を刺激した瞬間、愛液が多めに流れてきた……そろそろ頃合いか。 - 455 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/13(水) 01:54:52.54 ID:lCdsEnAR0
- 一度離れ、再度ゴムを着ける。彼女はグッタリ気味だが、続けて良いモノだろうか。
アンジェレネ「ん……気にしないで」ハァハァ・・・トローン・・・
香焼「えっと……じゃあ、どの体勢が楽?」チラッ・・・
アンジェレネ「特に無いけど……折角だから後ろからお願い」スッ・・・
ベットの上で四つん這いの恰好を取るアンジェレネ。
僕は彼女の腰に両手を添え、ペニスをヴァギナに近づけた。
香焼「挿入れるよ……っ」グッ・・・プチュチュ・・・
アンジェレネ「んっ……動かして、良いよ」フゥ・・・
ゆっくりと動かす。一度射精してしまったので、先よりは大分楽だ。
アンジェレネ「あぅ……っ……んっ、ひゃぅ……いぃょ……んッ」ジュブッ・・・クチュッ・・・チャボッ・・・
香焼「う、ん……苦しく、ない?」ハァ・・・ハァ・・・
アンジェレネ「心配、しないで……ぁ、ぅ……っ! もっと……速くしたり、強く突いたり……っ……出来る?」ヌチャッ・・・ニュチッ・・・チラッ・・・
香焼「……、」ウーン・・・
アンジェレネ「出そうになったら、んっ……止めて、良いから……ふぁぅ」ジュボッ・・・ブチュッ・・・フフッ
避妊しているので誤射する失敗は無い。要望に応えてみるか。
香焼「じゃあ……っ!」グンッ!
アンジェレネ「あうっ! んっ……良い、よぅっ!」ビクッ!
香焼「腕、持つよ」スッ・・・グッ!
アンジェレネ「い、ぁ……んっ! ぁ、ぁ、ぅ……っ……ん"んぅっ!!」ズンッ・・・ギチギチギチギチッ・・・
掴む場所を腰から肩に移しペース速め、力強めにピストンする。次第に彼女の嬌声も大きくなる。
だが、僕の限界も近づく。
しかし此処で止めたら彼女に申し訳無い気がしてならない。
香焼「っ……アン……身体、持ち上げるよ」グイッ・・・
アンジェレネ「ぇ……っ!」ピクッ・・・
今度は手の位置を肩から乳房へ変え、そしてそのまま身体を持ち上げる。
俗にいう『絞り芙蓉』に似た形だ。
香焼「続ける、よ……っ」ズブッ・・・ギュッ・・・
アンジェレネ「ッ! ち、乳首は……ひゃぅっ!! 抓まないで……んぅ!!」ヌプヌプッ・・・ビクッ・・・///
香焼「……っ」スッ・・・クリクリッ・・・
アンジェレネ「い、ぁあアあぁあぅっ!! ら、らめてぇ!! そ、そこぁふぁめらよぉっ!!」ギチギチギチギチッ・・・ビクビクッ・・・///
ピストンを止めずに左手で彼女の左乳首を、右手で陰核を、口で首筋を刺激する。
彼女はヨがりながら止めて止めてと頼み込んできたが……絶対に止めない。こういう小細工でもしないとまた僕が先に果ててしまう。 - 456 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/13(水) 02:14:47.30 ID:lCdsEnAR0
- 暫くその体位を保ち、ピストンや愛撫を続けた。途中無理矢理此方を振り向かせ、濃厚なキスをする。
アンジェレネ「ぁんっ……ッッ!」ズッブズッブズッブ・・・ビクッ・・・
香焼「……、」レロレロ・・・ヌチュ・・・ハァハァ・・・
今までに無いくらい彼女を滅茶苦茶にしている……とはいいつつも、そろそろ僕の方も厳しい。
アンジェレネ「ん……ぁ……良い、ょ……私も、そろそろ……ッ! イけそぅ、ぽぃ……んッッ!」グチュグチュグチュ・・・ハァハァ・・・
香焼「(正直、助かる……)っ……アン、向き変えても……いい?」ピタッ・・・ハァハァ・・・
アンジェレネ「うん……んっ」ゴソッ・・・
繋がったまま、正常位の体勢へ。
アンジェレネ「ふぅ……座位のままでも、良いよ」ハァハァ・・・クスッ
香焼「アンが疲れるだろ……座位だと勝手に上下動くし」ジトー・・・
アンジェレネ「えへっ」ペロッ♪
彼女が上になる体勢だと毎回勝手に上下されるので、僕がペース調性出来ない。
という訳で、正常位で続けよう。
アンジェレネ「あはは……っ……コォヤギくん。キス、して……っ」ギュッ・・・ジュブブ・・・
香焼「ん……ぁ、ぅ」チュッ・・・ヌッチュヌッチュヌッチュ・・・
彼女の両腕が僕の首に回る。更に両脚までもがガッチリと腰に回り、完全な密着状態となった。
アンジェレネ「くぅ~ん、っ……んンぁっ……ぁ、ああアぁあぁ!! こ、やぎ……んっ! 離さなぃ、でぇ!!」ニチュニチュニチュニチュッ・・・ギュウゥ・・・
香焼「んっ……アンジェレネ……ぁ……好き、だっ……ッ」パンパンパンパンッ・・・ギュウッ・・・
アンジェレネ「うんっ……っ……わふぁしも……大、好きぃ、んくっ! らょ……っ、ふぁあぁあアぅ!」ズプズプズプズズプッ・・・
そろそろ、限界。
アンジェレネ「わたひ、も……ちょと……ッ!! ッ、あっあッ……がん、ばてっ……いっひょ、に……くぅううウんっ!!」ブルルルッ・・・・グッ
香焼「ッ……、」ギチギチギチギチギチッ・・・
アンジェレネ「んんんッ……イっ……こ、ゃぎく……す、きッ!! くウぅぅッ……~~~、」ジュブッ・・・ビシャッ・・・///
香焼「ッッ……~~~、」ギリッ・・・
ディープキスと抱擁を離さないまま―――
アンジェレネ「っ~~……ひ、ぅ……ッ、ん、ふぁあアああアぁあぁ~~~~ッっ!!」ガクガクッ・・・ビクビクンッ・・・--
香焼「ぃ~~……っ、く……ッッ~~~~……、」グンッ・・・ドバァッ・・・--
―――共に、絶頂を迎えた…… - 457 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/13(水) 02:37:29.88 ID:lCdsEnAR0
- ―――とある日(三日目)、PM01:00、英国ロンドンシティ北部、日本人街、とあるアパート・・・・・
あの後、彼女は暫く僕の上で果てていたので動けなかった。
動ける頃合いを見て、二人で一緒にシャワーを浴び、ベットに戻った。
因みに暑いので服は着ていない。
アンジェレネ「ふぁあ……疲れたね」クスッ・・・
香焼「うん。でも、良かった」ファサッ・・・
アンジェレネ「ふふっ、そだね……ぶっちゃけると、私今まで何回かしかイケてなかったもん」チラッ・・・クスッ・・・
香焼「知ってるよ……だからってお風呂とかトイレで自慰するのは止めて欲しかった」アハハ・・・
アンジェレネ「し、知ってたの!?」カアアァ///
申し訳ありませんが、毎度声聞こえてますよ。多分、僕が家に居ない時も一人で……それは考えないでおこう。
アンジェレネ「あわわ……わ、忘れてよー!」ウグゥ・・・///
香焼「ふふっ。どうしよっかなー」クスクスッ
アンジェレネ「ぐぬぬ……じゃあコォヤギくんがキチンと毎回私と一緒に絶頂イケるようなってよ! てか今からもう一ラウンドだー!」ガー!
香焼「」ダラダラ・・・
アンジェレネ「……ぷっ。冗談だよー、ヤルにしてももう少し休んでからねー」ニヤリ・・・
正直、今日は寝たいです。勘弁して下さい。
アンジェレネ「むぅ……これからもっとトレーニングだね! コォヤギくんの『早い』のも徐々に治していこう!」エヘヘ♪
香焼「余計なお世話っす」ッタク・・・
僕の横で楽しそうに寝転がる……恋人。
アンジェレネ「うん。コォヤギくんの恋人です」ギュウッ・・・///
香焼「ああ、そうだね」ナデナデ・・・
アンジェレネ「明日、ってもう今日かぁ……帰らなきゃいけないね」ジー・・・
香焼「ケジメは、大事だよ……、」ジー・・・
勿論、僕の男としてのケジメもある。
アンジェレネ「……やっぱり、コォヤギくんは来なくていいよ。シスター・ルチアに殺されちゃうかも」ムゥ・・・
香焼「審判は受けるつもりっすよ。キチンと今日までの事正直に話して、アンと恋人になった事も伝える」ポンッ・・・
多分怒られはするが、オルソラさんやアニェーゼが助けてくれると思う。
もし来ていれば五和や女教皇様も味方になってくれる筈だ。 - 458 :If.アンジェレネ・アフター [saga]:2011/07/13(水) 02:53:47.10 ID:lCdsEnAR0
- 香焼「てか、アニェーゼ部隊のシスターで彼氏持ち何人かいないっけ? 噂で聞いたけど騎士派や宮仕えの執事と付き合ってる人いるとか」
アンジェレネ「居るけど……情交わしたか如何かなんて知らないよ」
香焼「多分、聞かれないから言わないだけだろ」
アンジェレネ「じゃあ私達だって暴露する必要無いんじゃ」
香焼「オルソラさんとアニーにはばれてるだろ……聞かれるからキチンと応えるっすよ」
あの二人が空気を読んでそこまで言う必要無いと止めてくれたら、その行為に甘えよう。
アンジェレネ「というか、コォヤギくんの同僚さん達には報告良いの?」
香焼「まぁその……五和にばれれば皆にばれるから。そっちの方が手っ取り早いし」アハハ・・・
とんだ有難迷惑だ。
アンジェレネ「そっか。じゃあ私、挨拶いかなくても良いね」アハハ・・・
香焼「今回の件は色んな人に心配かけたから謝罪がメインで一緒に寮行くんだろ。付き合いましたってのがメインじゃないっす」
アンジェレネ「あ、なるほど」フムフム・・・
香焼「……ホントに分かってるのかなぁ」ハァ・・・
心配になってきた。
アンジェレネ「あはは、ごめんごめん……でもちゃんと謝る事は分かってるからダイジョブです」スリスリ・・・
香焼「レッサーにも謝るんだよ」
アンジェレネ「あ……サーシャちゃんとか都市の皆にも謝らなきゃ」ボソッ・・・
香焼「は?」ポカーン・・・
アンジェレネ「な、何でもない何でもない!」アハハハハ・・・
付き合っても尚、よく分からない事を言う。
アンジェレネ「兎に角……私、しっかり大人になります。もう我儘言いません」クスッ
香焼「あはは。まぁ急ぐ必要はないけど、反抗期は卒業しましたくらいでね」フフッ
アンジェレネ「は、反抗期じゃないもん! ちょっと、その……ルチアとの喧嘩の期間が長かっただけだもん!」ムゥ・・・
香焼「それを反抗期って言うんすよ」クスクスッ
アンジェレネ「ぐぬぬ……えいっ」ガブッ!
香焼「あ痛っ!! む、胸噛むな!!」イダダ!
アンジェレネ「ひゃあ、ひたはんだほうふぁひぃ?」チラッ・・・
何言ってるかさっぱり分からん。 - 459 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/13(水) 03:15:09.73 ID:lCdsEnAR0
- アンジェレネ「……別のとこ、噛んだ方良い?」フフッ
香焼「そういう問題じゃないよ……この2週間で分かったけど、アンって結構S寄りだよね」モゥ・・・
アンジェレネ「うーん。というか臆病だけど腹黒いんだよ」アハハ
香焼「自分で言うな」ポンッ
アンジェレネ「えへへ♪」カプッ! ペロペロッ!
香焼「ひゃんっ!? ちょ……乳首舐めんな!」ビクッ・・・ガアアァ!!
アンジェレネ「あははー。女の子みたーい! やっぱ私達が男の子でコォヤギくんとステイルくんが女の子だったら良かったんだよ」ケラケラ!
何その妄想怖い。お願いですから止めて下さい。
アンジェレネ「あははは。まぁ……そうだね。貴方が男で、私が女で……だから今、幸せなんだね」フフッ・・・
そ自然と口数が減った。ただ互いの身体(股間以外)を抱き締めたり、撫でたり、舐めたり……キスをしたり、優しく微笑んだり。
香焼「ん……あむっ」カプッ・・・ペロッ・・・
アンジェレネ「ふぁぅ……おっぱい、大きかったら……んっ……もっと楽しい事、出来たのになぁ」ピクッ・・・フフッ・・・
香焼「別に良いよ。これ以上アンに武器要らない」タラー・・・
身体が持ちません。
アンジェレネ「だってコォヤギくん、実は胸ばっかり吸って……おっぱい星人なの知ってるんだぞー」ジトー・・・
香焼「え!? そ、そんな事ないよ」タラー・・・
アンジェレネ「やっぱ神裂と五和に囲まれて過ごしてきたからそっちに目が行くのね……豊胸マッサージしてみよう!」グッ・・・
香焼「馬鹿な真似しなくていいから。そのままで良いよ」ナデナデ・・・
アンジェレネ「コォヤギくんの『下のサイズ』は身長の割に大きいから、私の『下の口のサイズ』だとキツいんだよね?」チラッ・・・
香焼「何言ってんだ、このお馬鹿。そんな事気にしなくていいから。どんなんでもアンはアンだろ。サイズの問題じゃないっす」ポンッ・・・
アンジェレネ「身長が1[ピーーー]㎝なのに下が16㎝くらいって事は大体10分の一サイズ?」ウーン・・・
香焼「ぐっ……身長の話は出すな!」ペチッ!
アンジェレネ「にゃはは。まぁ私とかアニェーゼちゃん達もこの歳で150前後だし、コォヤギくんだけじゃないよ」クスクスッ
深刻な悩みなんです。アソコのデカさとか早漏なんか如何でも良いので、身長下さい。
香焼「ったく……そろそろ寝ないと拙いっすよ。明日は長くなるっす」スッ・・・ファサッ・・・
アンジェレネ「うん……ねぇ、コォヤギくん……キス、して」ギュッ・・・
香焼「ん……おやすみ」チュッ・・・ナデナデ・・・
アンジェレネ「おやすみなさい」フフッ・・・
手を繋ぎ、頬を口付けをして、彼女は僕の腕を枕に目を瞑る。
2週間前、ずぶ濡れの犬を拾ってきた筈が、いつの間にか恋人になっていた。まるで御伽噺の様。
ページを捲ると決して良い話とはいえないけれども……それでも僕らの中では色濃い物語り(想い出)となった。
家出少女は『大人』の自覚を持ち始め……そして僕は大事な『人』を見つけた。
アンジェレネ「くぅ……すぅ……、」キュッ・・・
もう迷わない。自分を蔑まない様、心掛ける……大事な人の為に……――― - 460 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/13(水) 03:45:44.25 ID:lCdsEnAR0
- ―――とある日(約二週間後)、PM08:40、学園都市第7学区、某所……
数日後、都市での休暇中にて……とある数名に公言した。
香焼「―――……以上っす」コクン・・・
上条「へぇ……色々あったんだな」
ステイル「本っっっ当に、馬鹿だよコイツは……一人で抱え込んだ挙句、意味不明な事になってる」ハァ・・・
土御門「にゃははははっ! 流っ石、カミやん病感染者だぜぃ!」ケラケラケラ!
どうして上条さん宅にこの面子が……と野暮なツッコみは無しだ。
上条「まぁでも、おめでとうだな。だけど……ルチアとか大丈夫だったのか? あと生理は?」
香焼「えっと、はい……勿論怒られましたけど、オルソラさんが止めてくれたので。他の皆も同じような対応っす」
上条「ははは、皆大人で良かったな」クスクスッ
香焼「生理は、幸か不幸か来ませんでした」ハハハ・・・
ステイル「呆れてモノも言えん状態だな」ッタク・・・
土御門「んまぁでもぉ、裏で一番手回ししてくれたのはステイルだってぇ噂だがぁ、そこんとこ如何なん?」ニヤリ・・・
香焼「確かに、迷惑掛けっ放しで」アハハ・・・
ステイル「し、知らん! 自分の職務上で面倒事を回避する最善の手がそれだっただけだ」ケッ!
上条・土御門「「……ぷふー」」ニヤニヤ・・・
ステイル「燃やすぞゴラァ」ギロッ・・・
苦笑。
土御門「あ、そういやぁセンセの所にはもう伝えに?」
香焼「……黒妻さん達は問題なかったんすけど、最愛が」ハァ・・・
上条「絹旗?」
香焼「多分、幻滅したんだと思います。色々順序とかが不純でしたから……兄貴分として嫌われたんじゃないかと」ムゥ・・・
上条「ん……まぁ時間が解決してくれるさ。固法さんも色々宥めてくれると思うし」ポンポンッ
そうなる事を願う。
土御門「……オイ、ステイル。コイツ、英国でもアニェーゼ達に同じ事を?」チラッ
ステイル「ああ、言ってたよ。やはりコイツは一度刺された方が良いんじゃないかと思うね」ジトー・・・
物騒な事言わないでくれ。 - 461 :If.アンジェレネ・アフター :2011/07/13(水) 04:08:55.10 ID:lCdsEnAR0
- 土御門「ま、香焼は一区切りついたしー……後はカミやんが如何なるか期待だぜよ」ニシシ!
上条「は?」ポカーン・・・
ステイル「……貴様は未だに風に揺られてフラフラ状態だからな」ジトー・・・
上条「え、えっと……、」チラッ
香焼「お、オレ見られても」アハハ・・・
上条さんの恋愛事情はカオス過ぎて把握できない。
上条「と、兎に角その……『運命的』な出会いが有れば、うん」アハハ・・・
土御門「カミやんまだフラグ建てるつもりですたい」ジトー・・・
ステイル「コイツも刺されなければ分からないだろうな」ハァ・・・
上条「お、おっかない事言うなよ」ダラダラ・・・
土御門「はいはい、さーせん。もてる男は辛いねぇ」ジトー・・・チラッ
何故僕を見る。
香焼「つ、土御門だって黙ってれば恰好良いっすよ。てか舞夏さんいるんじゃ」アハハ・・・
土御門「……そこはタブーで」ジトー・・・
香焼「ステイルだって実際もててるのに何でもかんでも跳ね除けてるから」
ステイル「君に、言われたくないな」ジトー・・・
何か嫌な空気。
上条「ま、まぁまぁ。今日はオレと土御門が奢るからさ。お祝いって事で」ニカッ!
土御門「な!? 俺までカウントすんな! カミやん一人で奢りやがれ!!」ギャー!
ステイル「土御門、感謝するよ」ニヤリ・・・
土御門「てめ、ステイル関係無ぇだろ!!」ウガー!
ステイル「一番の功労者云々と言ってくれたのは君だろう? だったら奢れ、やれ奢れ、ほら奢れ」ニヤニヤ・・・
土御門「ぐぬぬぅ……リア充爆発しろっ!! 後で海原と結標と二次会じゃああぁ!!」ガアアァッ!!
ちょっと前まで『リア重』だったが、確かに今は充実してるのか。
上条「ん……香焼」チラッ
香焼「はい?」
上条「少し……背、伸びたな」ポンッ
香焼「っ……ありがとうございます」ペコッ・・・
上条「ははは。まぁ男として如何こう難しいのは建宮や黒妻さんから聞くだろうから……とりあえず大事な人の為に、頑張れよ」クスッ
香焼「……はい」コクン・・・
その言葉が自分には嬉しい。僕は……とある一人の為に、小さな英雄になれたのかもしれない――― - 462 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/13(水) 04:12:32.20 ID:lCdsEnAR0
- はい。お疲れ様でした。
そんなにエロくなかったよね? 微妙にしょーもないギャグ入れたし(苦笑)
次回は本編です。アンジェレネの話やっといて何だけど、絹旗と香焼の話だよ。
クーデター前日前々日辺りなので……そろそろキリつけるかもね。
とりあえず、適当に感想やら罵倒やら質問意見等々下さい! そんじゃまた次回ー! ノシノシ” - 463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/07/13(水) 04:23:38.71 ID:/5wvQb7Lo
- ・・・ふぅ
早いとダメなのかね
童貞だから分からんのです
それはそうと乙 - 464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/13(水) 06:50:08.51 ID:UI5cpeeDO
- ふぅ‥‥‥相変わらずエロかったよ、>>1乙。
次は誰アフターか分からんけど期待してるぜ。
あとそろそろ女装香焼期待! - 465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/14(木) 16:24:16.17 ID:S90KJwXDO
- 次はいよいよレッサー、もしくはサーシャのターンだな!
- 472 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/22(金) 22:01:01.17 ID:MC+bhyz30
- ―――十月七日、PM10:00、フランス、パリ、シャルル・ド・ゴール国際空港・・・香焼side・・
10月。
世界中のローマ正教徒達による反科学デモが起き始めた。勿論、主なる理由は学園都市をはじめとする『科学サイド』への糾弾。
その混乱の最中、霊装『C文章』が元凶であると英国、必要悪の教会(ネセサリウス)は嗅ぎつけた。
そこで僕達―――天草式十字凄教はフランス各所へ飛び、その原因を探り当てる任務に着く。
建宮「―――……とりあえずオマエら、御苦労さんなのよな。特に五和、良くやった」チラッ
五和「い、いえ。上条さんがいなければ、はい」ポリポリ・・・
ジョーカーが伏せられていたのは五和が担当したアビニョン。そこの教皇庁宮殿。
ローマ正教、神の右席が一人―――『左方のテッラ』と死闘を繰り広げ、何とか『C文章』の破壊に成功したらしい。
尤も、今回もまたあの『英雄』さんが手を貸してくれた様だが……何にしろ一難は去った。
そして現在、フランス首都パリのシャルル・ド・ゴール国際空港、通称『ロワシー』に教徒52名+αが集合した。
牛深「ふぅ……やっとロンドンに帰れんのかぁ」グデェ・・・
野母崎「折角パリに来たってのに土産の一つも買えないで帰るってのも如何なのかねぇ」ウヘェ・・・
対馬「あら、要領悪いわね。既に何人か土産買い終えてるわよ」
野母崎「え!? マジ?! ちょ、教皇代理ー! 土産買ってきて良いー?」ハイハーイ!
建宮「じゃあ俺の分も買って来い」ビシッ!
牛深「あ、じゃあ俺のもー」ビシッ!
諫早「おい、三馬鹿少し黙れ……建宮、先に話終わらせなさい」ギロッ・・・
建宮・牛深・野母崎「「「ぅ……、」」ダラダラ・・・
この人達は、此処に何しに来たつもりなのだろう?
建宮「はぁ……しゃーねーのよな。じゃあとりあえず残念な話から伝えよう。まぁ一部の人間だけなんだけどな」
一同息を飲む。
建宮「学徒一同。それから大人も数名」チラッ
五和・浦上「「……え?」」ポカーン・・・
『学徒』とは所謂、成人していない学生教徒の面々だ。付け加えれば学園都市の学生として潜入している連中である。
建宮「五和は急がなくていいが、それ以外の輩。直ぐにでも都市へ戻って貰う」サラッ・・・
学徒s『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ!!?』ギョッ!!
浦上「ちょ、きょ、教皇代理!? な、何故にですか!?」ゲェ・・・
建宮「上からの指示なのよな……『上条当麻が都市に戻るから、お前らも早く何人か戻しとけ』ってねぇ」ハァ・・・
重要度が高まっている『幻想殺し(上条当麻)』の保護監視、という訳か。仕方ないな。 - 474 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/22(金) 22:20:49.30 ID:MC+bhyz30
- 建宮「という訳で、都市への直行便がスタンバってるのよね。急げ若者ー」ノシ
五和「た、建宮さん。私も行きますよ。特別扱いってのは……同じ学徒ですし」チラッ
建宮「……、」チラッ・・・
浦上「やれやれ……お姉ー、ちょっとこっち来てくださいネー」コクンッ・・・
五和「え、あ、うん」テクテク・・・
無理矢理でも休ませる、か。正しい判断だろう。
建宮「それから……申し訳無いが対馬。引率、頼めるか?」チラッ
対馬「ったく……お願いじゃなくて命令して下さい。教皇代理」ハァ・・・
建宮「ああ、すまん……学徒一同。五和が都市へ戻るまでは対馬が現場責任者とする。いいな?」
学徒s『はーい』グデェ・・・
皆、お疲れの御様子。上手くシフトを組んで監視を回さねばならないな。
牛深「しっかし、こんなエッグい任務、誰の指示だ? 最大主教さん?」チラッ
建宮「上は『上』だ。一々詮索しないで欲しいのよね」チラッ
建宮「兎に角……30分後には出発する。荷物なんて要らないのよな。都市戻れば色々あるんだろ?」
野母崎「まぁ学徒は都市のアパートの方が立派だしなー」
建宮「そんじゃあ……対馬、それから爺さん(諫早)。ちょっとこっちに。今後の話だ」チラッ
対馬・諫早「「……、」」クイッ・・・
それから三人は物陰へ消えていった。入れ違えるように戻ってくる五和と浦上。
五和「はぁ……まぁ、うん。ウラ、頼んだわ」ポリポリ・・・
浦上「大丈夫だって。お姉は一日二日でもしっかり休んでから都市来なさいナ!」ポンポンッ!
五和「うー……ごめんなさい、上条さん……、」グデェ・・・
仕事熱心というか、一途馬鹿というか、何ともな。
浦上「やれやれー……香焼、御土産とかは良いのカナ?」チラッ
香焼「別に、今回は仕事だって伝えてあるし」
浦上「ツマんない子だねー。ピンバッジの一つでも買って行ってあげりゃー可愛げも有るっていうのに」
別に可愛いなんて思われたくないっつの。 - 475 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/22(金) 22:42:08.02 ID:MC+bhyz30
- ―――十月七日、PM10:10、フランス、パリ、シャルル・ド・ゴール国際空港・・・建宮side・・
一方、物陰にて。
対馬「……で? 話って何かしら? メールじゃ駄目なの?」チラッ
建宮「重要事項だからな、口で伝えておくのよね」
本来であれば自分(建宮)や神裂(聖人)が向わなければいけないモノだ。
残念ながら『立場』という厄介な壁が邪魔をしてしまう……因みに諫早も『相談役』としての肩書きを持っている。
建宮「一難去ってまた一難だ」
対馬「ん?」
建宮「今回の指示は一応、女教皇様をを通して最大主教からの命なんだが……ちょっと面倒な訳有りでなぁ」
対馬「その裏に更に都市そのもの……人質、ね。何もそんなに急ぐ必要はないでしょうに」ハァ・・・
諫早「いや、今回は人質として学徒を欲している訳ではない」
対馬「え? いつもと違うの?」
普段は――表向きは――学徒を『潜入工作員』として都市に置いている。
実際は……都市への人質、所謂アレイスターの掌の上に必要悪の教会の人間を置いておくといった裏がある。
これは統括理事長殿と最大主教の勝手な約束だ。主教補佐次席たる女教皇(神裂火織)は口を出せない。
さておき、話を戻す。
建宮「嫌なニュースってかタレコミが入ってな……土御門も知らん事よ」ハァ・・・
対馬「……それはまぁ、何とも」
建宮「結論から言うとだな……都市で内戦が興るやもしれんのよ」ボソッ・・・
対馬「……は?」ポカーン・・・
諫早「所謂クーデター。能力者連中や科学兵器での大規模なドンパチが興るかもしれないんだ」
呆気に取られた顔をする対馬。無理も無い。俺らだって信じられないのだから。
建宮「先に言うが……任務は二つ。一つはいつも通り上条当麻及び禁書目録の監視・保護なのよな」
諫早「もう一つは、街の様子見。もしかしたら旗取りに変わるかもな」フム・・・
対馬「ちょ……マジで?」タラー・・・
建宮「残念ながらな。ぶっちゃけ、五和を行かせられない理由の一つでもある。下手すると上条当麻が動いてアイツも動くからな」
万全の状態でない以上、能力者達と半分私情でドンパチやらせるわけにはいかない。 - 476 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/22(金) 23:06:35.22 ID:MC+bhyz30
- 建宮「まぁ一つ目の任務は半分無視して良い」
対馬「え、な……やっぱ文章にして報告して欲しいわ。ハッキリ言ってこんがらがる」ハァ・・・
諫早「まぁまぁ。とりあえず、上条当麻は『病院』の一部屋に缶詰させる。これで分かったかい?」
対馬「……冥土帰し?」フム・・・
一日二日、少なくとも天草本隊が都市入りするまでは冥土帰しが彼をベットの上で保護しておいてくれるという訳だ。
建宮「つまりメインは……都市の『危ない動き』を見張っとけっつー最大主教の読みなのよな」
対馬「……女教皇様は?」
諫早「動ける訳がなかろうて。建宮も動けんよ」
建宮「他の教徒も数名付けようかと思ったが、一度に何人も大人連中が都市に入ったらヤツらに変に勘繰られるからな」
諫早「今回は代表として対馬、オマエが行ってくれ。オマエが一番大人だからな」ハハハ
女は強い。実際、男の何倍も役に立つ。
対馬「ハァ……とりあえず学徒達は『緊急事態』って事で動かせばいいのね?」
建宮「そゆ事。だが旗取りだけだぞ? 介入はさせるな……言わなくても分かってるとは思うがな」
旗取り……所謂、戦況図記録・報告だ。
建宮「とりあえず以上なのよな。もっと細かいのは浦上辺りにメールして持って行かせる」
対馬「……あの子、直ぐ気付くわよ?」
建宮「大丈夫だ。浦上は空気を読める……五和はいないから、他に危ねぇのは『坊や』なのよね」ハァ・・・
対馬「坊や……ああ、香焼ね」フムフム・・・
あのガキは少々、危ない所へ首を突っ込み過ぎだ。
諫早「任務となれば私情は挟まないとは思うが、あの子の動きは良く見ておきなさい。馬鹿しそうな時は止めるんだぞ」
対馬「オーライ。そんじゃ準備を……っと、ビジネスホテル取ってくれてるの?」
建宮「あ……、」タラー・・・
忘れてた。
対馬「まったく計算高いんだけど何処か抜けてるのよね……五和の部屋借りるのは忍びないし」ウーン・・・
諫早「やれやれ。建宮、急いで現地の協力者に連絡を」
建宮「……あ!」ピコーン!
対馬・諫早「「ん?」」
一石二鳥の手が浮かんだ。 - 477 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/23(土) 00:24:07.39 ID:dw9mEDkA0
- ―――十月七日、PM11:00、フランス、パリ、シャルル・ド・ゴール国際空港・・・香焼side・・
建宮「そんじゃ先行組、宜しくなー。対馬の言う事聞くのよねー」ノシ
学徒十数名と対馬さんが特別機に乗り込む。
凡そ五時間(所要時間約11時間)で成田に着き、朝の7時には都市入りできるだろう。
時差ボケは厄介だが、実質半日近くも休憩が取れるのだ。文句は言うまい。
ふと、自分の隣に浦上が座し、話しかけてきた。
浦上「やれやれ、忙しい事この上ないネ」アハハ・・・
香焼「仕方ないだろ。仕事だし」
実際、同年代のステイルやアニェーゼ達はもっと過酷なスケジュールをこなしている。
そう考えると大した働きもしてない自分が、此処で弱音を吐くのは何だか忍ばれた。
浦上「殊勝なこって。せめて機内ではしっかり休んでおくんだよー。ほら、他の学徒は安眠グッズ常に携帯してるし」クスッ
香焼「世界各地飛び回る生活なんだからそのくらいの知恵は回るさ……浦上は寝ないの?」
浦上「うーん……まぁその内。あ、そういえばさぁ。お友達の主教補佐さんに今回の任務内容秘密裏に聞けたりしないの?」ニヤッ・・・
香焼「……そんな真似、しないっすよ」ムゥ・・・
友達とはいえ、公私混同はしない。
自分は一介の平教徒で、アチラは大本(ネセサリウス)の主教補佐。立場は間違えない。
浦上「ありゃ? プライドってヤツ?」
香焼「違うよ……五月蠅いなぁ」ハァ・・・
浦上「あはは、悪ぅござんしたー。そういえば……到着した次の日、都市の独立記念日ダヨ」クスクス・・・
香焼「……10月9日か。そういえばそうだったね」
都市に居る人間は羽を伸ばす日なのだろう。だが自分等は仕事である。
対馬「そうね。そのくらい割り切ってくれると助かるわ」スッ・・・
浦上「あ、どもども」フフッ
浦上の横に対馬さんがやってくる。気だるそうにやれやれと腰掛けた。 - 478 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/23(土) 00:41:42.26 ID:dw9mEDkA0
- 浦上「いやはやー、大変デスね」フフフ
対馬「まぁね。でも子供達だけで危険な都市に放り込む様な真似出来ないでしょ」チラッ
香焼「危険って、今までだって学徒だけでやってこれましたし」
対馬「そういう事じゃなくて……、」フム・・・
何やら言葉を選んでいる。
対馬「今回のデモ事件、都市から治安維持部隊が派遣されたでしょ」
浦上「そういえば、確かに。駆動鎧やら都市製の装甲車やらを見かけましたネ」
今回の事件で科学とは無関係の黄色人種が襲われる事態も起きた。
狂信的なカトリック信者達が『日本人っぽい』=『科学信者』と勝手に決め付け、襲いかかってきたのだ。
対馬「それで、都市関係者を守るっていう名目で治安部隊が海外に派遣されたのよ」
浦上「だから警備員の数が減ってる今の都市が危ないと? そのくらいじゃ別に如何って事無いんじゃないカナ? 風紀委員も優秀だし」
対馬「……とりあえず、色々あるのよ」
物憂げな表情。何かを隠している様だ。
とりあえず、深く詮索するのは止めておこう。必要とあらば彼女の方から何か告げてくるだろうし。
今は溜まっていたメールやら電話やらの返事を……――
対馬「あ、そうそう。香焼、部屋綺麗にしてた?」
香焼「え?」ポカーン・・・
――……突然何を仰る?
対馬「だから部屋綺麗なの?」
香焼「え、ま、まぁ……浦上(コイツ)と五和が無駄に荒して無かったら綺麗な筈っす」
浦上「……ふむふむ」ニヤニヤ・・・
一体全体何でそんな事を聞くのだ。
対馬「じゃあ問題無いわね」コクッ
香焼「へ?」
浦上「対馬さん、冷蔵庫のチューハイ勝手に開けたら五和怒りからネ。あと床下の日本酒も女教皇様のだから飲んじゃ駄目デスよ」フフフ
香焼「……へ!?」
対馬「はいはい、ちゃんと自分でビール買って飲む……って、アンタら未成年でしょうが! てか女教皇様まで何してるの!」ガアアァッ!!
浦上「てへ☆」ペロッ♪
……What’s!? - 479 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/23(土) 00:58:27.87 ID:dw9mEDkA0
- 不穏な単語が飛び交ってる気がする。
対馬「んもー、察し悪いわね。流石カミやん病患者」ジトー・・・
香焼「い、いやいやいや! そういう問題じゃなくて……ええぇ!?」ギョッ!
ウチ、来るの!?
対馬「だって建宮、私のホテル取るの忘れてたんだもの」ハァ・・・
香焼「な、ま、だってまだ間に合うでしょ! 日本はもう朝方っすよ!?」
対馬「ゴダゴダうっさいわね……アンタの部屋学徒の中で一番広いんでしょ? しかも立派だし」
浦上「まぁ私とお姉と女教皇様が一緒に泊まりますからネー」アハハ
香焼「オマエは黙ってろ! い、いや、駄目とは言いませんけど……いきなりで」ハァ・・・
対馬「何よ、別に気ぃ使わなくていいわ。それとも……見られちゃ拙いものでもあるの?」ニヤリ・・・
そんなモノはない。断じて無い。
対馬「そんじゃあ実は彼女と同棲してるから叔母役が来るのは困るとか?」ニヤニヤ・・・
香焼「い、いません!」グヌヌ・・・
浦上「まぁ香焼なら英国と日本に別々の彼女が居ても可笑しくないけどネー。あの子とかあの子とか……ふふふ」ニヤリ・・・
ブッ飛ばすぞ?
浦上「あ、因みに香焼の『素敵』類は全部自室なので、絶対見つけられませんヨ」アハハ
対馬「あー、噂の鉄壁プライベートルームってヤツね。なーんだ、つまんない子ね」クスッ
浦上「妹モノが多いだろうって予想してました! もしくは幼馴染系。姉モノが無いのは姉貴分としてちょっとぶわふっ!!」ゴツッ!
香焼「黙ってろ! 手前ぇの予想なんざ聞きたくないわ!」ガアアァッ///
対馬「ふふふふふ……じゃあ私がこっそり調べといてあげるわ」ニヤリ・・・
浦上「何なら私も泊まりに行こー!」ニヤリ・・・
香焼「来んな! 対馬さんも寝床は貸しますけど、余計な事しないでくださいよ!」モゥ・・・
浦上・対馬「「えー」」ブーブー!
香焼「……面倒臭ぇ」ハァ・・・
これはまた五和や女教皇様とは違う悩みの種が飛びこんできそうだ。 - 480 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/23(土) 01:17:22.56 ID:dw9mEDkA0
- ―――十月七日、AM01:00、特別機内・・・香焼side・・
周りの教徒の殆どが寝静まった頃、自分はまだ寝付けなかった。
ふと、携帯を開く。何だかんだでメールやら電話着信に目を通せてなかった。
香焼「メールは……結標さんに、佐天さん、那由他に、最愛……固法さんも」ジー・・・
佐天さん、那由他、固法さんは海外に行ってる事に対してのメール。及び独立記念日は都市(コッチ)に戻ってくるのかという質問。
だが、結標さんと最愛は……少し違う。
香焼「『無事?』……か」ムゥ・・・
互いの素性がある程度ばれている関係。
自分がフランスにいると伝えただけで危険な任務についているという事を察したのだろう。
とりあえず『問題無い』と、無事のメールを入れておく。
香焼「次に電話は……女子寮と、黒妻さん……また結標さんか」アハハ・・・
因みに結標さんには猫(もあい)を預かって貰っている。確かに心配をかけざるを得ないが、そこまで心配して貰わなくても。
香焼「……女子寮は、まぁアニェーゼがまた愚痴る為に電話したんだろ」アハハ・・・
夜分遅くに『F(素)口調』全開のアニェーゼが書類仕事やらステイルに対しての愚痴を吐いてくる。
偶にアンジェレネとも普通の会話をするが、これももう慣れたモノだ。
香焼「……黒妻さんは、何だろう」フム・・・
男の彼は心配だから如何とかいう事で連絡をつけてきたりはしない。
考えられる一つとしては打ち止めちゃんに頼まれて電話を掛けてきた、といった所か。
もしくは……それ以外の『非常事態』。
香焼「まぁ……空の上じゃ何とも、ね」ハァ・・・
兎に角、成田についてから連絡を取ろう。今は次の任務に備え眠りに着くべきだ。
自分は後ろに座る教徒が迷惑にならないか確認を取り、椅子を後ろに倒して目を瞑った……――― - 481 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/23(土) 01:38:33.40 ID:dw9mEDkA0
- ―――十月七日、AM01:30、特別機内・・・浦上side・・
香焼が寝た様だ。
浦上「さて……対馬さん、起きてる?」ボソッ・・・
対馬「……何?」ムゥ・・・
浦上「香焼の監視、必要カナ?」チラッ
対馬「……その話、明日じゃ駄目?」ハァ・・・
そりゃまぁ眠いか。
浦上「じゃあ大事な話を」
対馬「ん」コクッ・・・
浦上「都市の治安維持部隊、戻ってくるのはいつ頃になると思います?」
対馬「……、」
浦上「独立記念日(明日明後日)には間に合わないでしょうね。一週間後か、もっと先か」
『C文章』無き今でもまだデモが続いてる場所は有る。それが終わってから駆動鎧等回収作業をしたら大分遅くなる筈。
浦上「その間……『何も』無ければ良いですネ」ボソッ・・・
対馬「建宮はアンタが都市に独自のコネ持ってても可笑しくは無いって言ってたけど……何か知ってるの?」
浦上「いえいえ、買い被り過ぎですよ。ただ……路地裏や廃屋でオッカナイ事してる連中が騒がしくなってるなぁって事くらいカナ」フフッ
対馬「……、」
浦上「そのくらいは学徒皆知ってますヨ。ただそこから異臭を感じてるのは私とお姉くらいです」
対馬「香焼(この子)は?」
浦上「……一番『近い所』に居るけど、気付いてないでしょうネ。まぁこれについては女教皇様が半分公認してますケド」
複雑な表情をする大人(対馬さん)。
対馬「明日明後日、女教皇様は如何すると思う?」
浦上「まぁ……『カオリ姉様』も都市のお友達が心配でしょうネ。でも、此方には向えないでしょうが」
第4位……いや『御友人』の麦野沈利さん。
浦上「でもねぇ……必然は起きちゃうんですヨ。どんなに足掻いちゃってもネー。回避できない運命ってのカナ?」ハハハ・・・
対馬「……詩的な事言うのね、って褒めるべき? それとも厨二病、って呆れてあげた方が良い?」ジトー・・・
浦上「あはー。お好きにどうぞー……とりあえず、起こしてすいませんでしたー」クスッ
不思議な顔をして眠りに戻る対馬さん。
浦上「……第4の壁を越える役回りってのは、辛いですネ」ボー・・・
この物語に『英雄』は現れない、ってね……――― - 482 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました :2011/07/23(土) 01:44:24.87 ID:dw9mEDkA0
- はい、今日は此処まで。
先に言っておくと、クーデター編やアックア編での歴史改変はしません。
ただ『見えない所』で何かが起こっているのかもしれない、というだけです。
まぁ今回はクーデター前で終わるんすけどねー。
とりあえず、次は久しぶりに香焼が都市で一日を過ごします。
ノホホンとした日にするつもりなので、てきとーな具合でいきましょう。
そんじゃ適当に感想やら罵倒やら質問意見等々下さい! そんじゃまた次回ー! ノシノシ” - 483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/23(土) 02:18:55.34 ID:ADPzJuBDO
- つまり色々悪い方にしか転ばないんだな‥‥特に、このりんとねーちんは。
とりあえず香焼は絹旗助ける為に奔走して欲しいぜよ。
黒妻さんは、任せる。 - 484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 15:21:53.10 ID:AtPm2XQDO
- いつの間にか更新しとる…
>>1乙
クーデター編で完結すんの? - 485 :>>1にかわりましてカキネがお送りします。 :2011/07/24(日) 21:32:18.72 ID:NSZJEJUv0
- こんばんわ。ボチボチ投下します。
>>483・・・ねーちん・このりんについては、むぎのんがどんな姿になっても友達止めないと思うよ。
>>484・・・固法『先輩、―――』シリーズは終わりです。というか『WWⅢ編』は兄貴とこのりんまったく出番無くなるから……はい。
んじゃスタート! - 486 :>>1にかわりましてカキネがお送りします。 :2011/07/24(日) 21:43:50.64 ID:NSZJEJUv0
- ―――十月八日、AM07:30、学園都市第7学区、とあるアパート(黒妻宅)……
この街には独立記念日なる物がある。
日本国内にありながら一つの『国家』の様な存在である学園都市の建立(建国?)記念日。
それが明日……十月九日。また中途半端な時期に建立したものだ。
固法「先輩には関係ないでしょ?」
那由他「ですよねー」アハハ
就学無し定職無しには無関係だと、昨日泊まっていった後輩兼彼女と妹・娘分が辛辣な言葉を投げつけてきた。
固法「第一、何で今日まで休みにしてるのか分からないんですけど」
黒妻「……バイト休みなんだっつの」
那由他「明日も?」
黒妻「明後日も」サラッ
固法「……呆れた」ハァ・・・
そんな顔をされてもシフト入ってないものは入ってないのだ。
主に仕事を斡旋してくれる麦野さんは此処の所忙しい様だし、土御門も如何やら日本に居ない御様子。
黄泉川さんも昨今のデモやら戦争ムードやらで逐一オレに構ってられない様だし、半蔵と雲川は何やら『宜しくない』動きをしている。
固法「いや、人に頼らないで自分で職安行くなり求人誌読むなりして」
黒妻「あのなぁ……低学歴で、しかも前科持ちを普通の職場が雇うか?」
固法「……はぁ」
という訳で、とりあえず新しい部屋探しが優先だ。アパート情報誌に手を伸ばす。
固法「絶対順番可笑しいですって」
黒妻「しゃーねぇじゃん。そろそろこの部屋(学生寮)から出てけって催促も来出したし」
固法「……え"。何それ聞いてない」タラー・・・
黒妻「言ってねぇもん」サラッ
那由他「……あーあ」ハァ・・・
次の瞬間、ぎゃーぎゃー騒ぎ出す彼女。
『どうして相談してくれなかったんですかー!』とか『書類見せろー!』とか……朝っぱらから面倒臭い。
とりあえず……オマエらパジャマ着換えろ。話はそれからだ。
固法「っ! わ、忘れてた! 急がないと!」アタフタ・・・
那由他「さ、先に洗面所借りまーす!」ドタバタ!
まったく、学校遅れるぞ? - 487 :>>1にかわりましてカキネがお送りします。 :2011/07/24(日) 22:13:31.21 ID:NSZJEJUv0
- 何やかんやで、朝食。
因みに今日は時間が無いのでトーストとムサシノ牛乳、フルーツゼリー(198円)の簡易朝食。
那由他「そういえば最近最愛姉さんと香焼兄さん忙しそうだね」モキュモキュ・・・
固法「打ち止めちゃんは病院だし……何だか皆大変ね」ゴクゴク・・・
黒妻「ん」ゴキュゴキュ・・・
香焼は英国へのショートステイ、最愛は研究が忙しいと嘘を付いている。
実際は共に『仕事』。それもあまり褒められたモノではない職種。
固法「あ、でも今朝香焼くん日本に着いたってメール来たわ。多分、夜にでも来るんじゃない?」クスッ
那由他「じゃあ無理にでも姉さん誘おー」ニパー!
黒妻「来るのは無理って、オマエら急いでる時電話きた。最愛ちゃんも明日明後日くらいまでは忙しいって」モグモグ・・・サラッ
固法・那由他「「……」」ジトー・・・
黒妻「……な、何だよ」
那由他「……黒妻さん、報告遅すぎです」ハァ・・・
固法「まったく、全部そうなんだから」ハァ・・・
もし、子供を作るとしたら男の子を作ろう。味方が欲しい。
黒妻「因みに、オマエら明日は忙しいの?」
固法「ええ、残念ながら。祭日ですから学生が遊び歩くでしょ。忙しいんです」ハァ・・・
那由他「同じく。しかも私は先進教育局のシンポジウムにも参加……『MAR(先進状況救助隊)の今後』とか訳分からない」ハァ・・・
固法「それって……まさか、代理?」チラッ
那由他「テレね……伯母は関係無いよ。まぁ一部の人間は嫌みってか『責任(一族関係)』で参加させたのかもしれないけどさ」
MARって何ですか? MMRの親戚?
固法「はぁ……でもまぁ先輩みたいな人、MAR向きだと思うんですけどね。体力あるし。駆動鎧操れるし」
那由他「あー、無理だと思う。新体制になってから入隊・転課試験難しくなったし」
黒妻「どうせ馬鹿ですよーだ……無駄口良いからオマエらさっさと喰い終われ。遅刻するぞ」ジトー・・・
固法「おっと、危ない」アタフタ・・・
那由他「あわわ! 早く薬飲まないと!」パタパタ・・・
二人もバイクで送れないからな。 - 488 :>>1にかわりましてカキネがお送りします。 :2011/07/24(日) 22:39:44.17 ID:NSZJEJUv0
- ―――十月八日、AM09:00、学園都市第7学区、とあるアパート(黒妻宅)……
結局、美偉がオレのバイクを半ば強引に借りて二人で登校していった。
何が『これでパチンコ行けませんね!』だ、余計な御世話だっつの。
さておき……ベランダへ出る。目的は、餌やり。
黒妻「……飯だ」ゴトッ
スフィンクス「みゃー」トコトコ・・・
『ひゃっほーう! 一晩ぶりの飯だー!』と言わんばかりにガッツく子猫。
飼い主は『所用』で不在。因みにその隣人も不在である。
禁書「……くろづまー」ブラーン・・・グギュルルルルゥ・・・
黒妻「出たな、妖怪ハラヘッター。オレにブラ=サガリは利かんぞ」カチッ・・・フゥ・・・
禁書「ぶわっ!? 煙草喫わないでほしいんだよ!」ゲホゲホッ!
妖怪退治の一環です。
禁書「うぅ……人を妖怪(モンスター)扱いするー。私はアンデットとは真逆の善なる清き修道女なんだよ!」プンスカ! ギュルルル・・・グルポッ・・・
黒妻「んな変な腹の音鳴らした修道女が居てたまるか」
禁書「せーりげんしょーです」フンッ! グルル・・・ギリリリ・・・
黒妻「意味分かって言ってんのか? ったく……ってか土御門妹が今日の昼飯分まで作り置きしててくれてたんじゃねぇの?」
禁書「昨日の夜の時点で空鍋なんだよ」
呆れてモノも言えない。仕方ないので哀れな乞食にトースト3枚とカップゼリー2個、牛乳1,5ℓを恵んでやった。
『まだ足りぬ!』といった表情で子猫の猫まんままで手を出しそうだったので、早々に煙で追い払った。
昼は……油増し増しチャーハンでも持ってってやろう。
黒妻「とりあえず日課終了だな」フゥ・・・ジジジ・・・
ペットの餌やり・植物への水やり感覚である。 - 489 :>>1にかわりましてカキネがお送りします。 :2011/07/24(日) 22:56:57.35 ID:NSZJEJUv0
- 次は、その隣の部屋だ。
今度はベランダからではなく、階段を上り正面玄関からその部屋を訪ねる。鍵は預かっているので下手な心配は無い。
黒妻「……ん?」ピタッ・・・
ドアノブを回した瞬間、違和感。どうやら元々鍵が開きっ放しだった様だ。
ということは、もう帰って来たのか?
黒妻「邪魔するぞ」ガチャッ・・・
閉じたカーテンの隙間からの木漏れ日程度しか明かりが無い仄暗い部屋。
ベットの上に……一匹のメイド。
黒妻「……おい、妹」ハァ・・・
舞夏「む……なんだい?」ムグゥ・・・
黒妻「昨日の夜、インデックスちゃんに餌あげて帰ったんじゃなかったのか? 兄貴の部屋に泊まったのか? 学校は?」
舞夏「……私の勝手でしょー」ゴロゴロ・・・
勝手は勝手だが、よくもまぁこんな無機質で男臭い部屋に居座っているものだ。
黒妻「因みに、何してんだ?」タラー・・・
舞夏「兄貴の匂いクンカクンカー」モフモフ・・・
やはりこの兄妹……もとい義兄妹は、どこか歪んでいる。
舞夏「ねー」チラッ
黒妻「ん?」
舞夏「昨日はエッチしてないのかー?」
黒妻「今日アイツ学校だろ? それに那由他も泊まったし」サラッ
舞夏「ぐっ……つ、つまらん。普通に返す辺り大人の男の余裕を感じられる……香焼なら『何馬鹿な事聞いてんすかー!』とか赤面するのにー」
黒妻「あはは。アイツの真似上手いな」ケラケラ!
舞夏「因みに絹旗最愛は『そ、そんな超ハレンチな真似する訳ないでしょう! 超々々ーっ変態っ!!』だぞー」ケラケラケラ!
的を得ている。大したものだ。 - 490 :>>1にかわりましてカキネがお送りします。 :2011/07/24(日) 23:16:09.35 ID:NSZJEJUv0
- とりあえず、コイツが居るならまた後で邪魔すれば良いだろう。
黒妻「あ、そうだ。まだ居るんだったら後でインデックスちゃんに朝飯やってくれ。食パンだけじゃ足らないとかほざいてたからな」
舞夏「あ、あの食欲魔人め。多めに作ったんだぞ……はぁ」グデェ・・・
黒妻「ご愁傷さん。んじゃ兄貴帰って来た頃にまた来る」クルッ・・・
舞夏「んー……なぁ、黒妻綿流」ゴロゴロ・・・
黒妻「何だ?」チラッ
舞夏「……兄貴、何処?」ボソッ・・・
応えられない。
舞夏「上条当麻と一緒に、どっか行ったのかー?」ボソッ・・・
黒妻「……さぁ」
舞夏「もしかして『本家』とか」ボソッ・・・
黒妻「は? ほんけ?」ポカーン・・・
舞夏「……何でも無いぞー」ムグッ・・・
不貞腐れた様に布団に包まる義妹さん。
舞夏「何にしろ……危ない事してるんでしょ?」モゴッ・・・
黒妻「んな事知らねぇよ。兄貴に聞け」
舞夏「聞いても教えてくれないもん」ムグゥ・・・
黒妻「オマエに教えない事をアイツがオレに教える訳ねぇだろ」ハァ・・・
舞夏「……そっかー。ごめんねー」アハハ・・・
黒妻「いや。まぁ頼りにならなくて悪かったな……んじゃ」テクテク・・・
舞夏「おー。またなー」テクテク・・・
義妹殿が兄貴の『素敵本』の束を熟読し出したので退散する事にする。
黒妻「あの子にゃ悪いが……まぁ難儀なもんだな」ポリポリ・・・
実際は薄らと分かっている。詳細は聞いては居ないが、上条と一緒に海外へ飛んだらしい。確実に危ない事をしているだろう。
因みにこれは雲川情報である。
土御門には『一応、変な輩が侵入してないか確認を頼む』と頼まれただけだ。
『変な輩って何だ?』と聞くと、『裏側の馬鹿』とだけ返事が帰って来た。
道化師の楽屋は何人たりとも荒させない、との事。オレは所謂、『自宅警備員』だとか。良い意味で。
黒妻「ま、とりあえず生きて帰って来てくれよー……ってね」ハハハ・・・
あんなのでも、居なくなると寂しいからな。 - 491 :>>1にかわりましてカキネがお送りします。 :2011/07/25(月) 00:25:55.95 ID:/TyJRzvl0
- ―――十月八日、AM09:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・
三時間前に成田に到着。一時間半前に第23学区のステーションへ入関。そして三十分前に我が家へ帰宅。
疲れた。横になりたい……正直な今の感想だった。
対馬「我慢なさい……私だって寝たいわ。疲れてんのは皆一緒よ」ハァ・・・
香焼「とか言いつつ、ソファ占領しないで欲しいっす。思いっきし休んでんじゃん」ジトー・・・
対馬「あ~……アンタらの任務時間振り分け(シフト)組まないと」ウヘェ・・・
香焼「対馬さーん、無視すんなー」オーイ・・・
対馬「香焼ー、ノートPC貸しなさい。あ、別に『色々』覗くとか野暮な真似はしないから安心して。資料作るだけよ」グオォ・・・
駄目だ、この大人。
香焼「まったく……というか、任務っといっても実際上条さん病院に居るんすよね?」
対馬「ん。まぁだから病院近辺と彼の家……要は禁書目録の監視が主な仕事になるわ」
香焼「成程……楽っちゃ楽っすね」
対馬「A級任務&長旅直後にハードな任務押し付けないわよ。一先ず本隊が合流するまでは、ね」
本隊が合流したら、ハードな仕事が待っているのか。何ともなん。
対馬「最大主教さんの読みが当たれば数日内に『神の右席』が動くってんだから、仕方ないでしょう」
香焼「どうだか……この街に二度も『神の右席』が侵入するっすかねぇ。アレイスターもそこまで馬鹿じゃないでしょ」ムゥ・・・
対馬「侵入は容易でしょ。その後を如何するかは都市側の勝手だけど、とりあえず信用無んないから私達が動く。OK?」
香焼「それはそうだけど……もしかしたら暗部が動くかも」
対馬「無いんじゃない? 能力者って『対魔術』の相性悪いし。未だ衝突した例が少ないから何とも言えないけどさ」
確かに……だが高位の能力者なら或いは。
対馬「さぁ。そこの判断は首脳陣がする事よ……兎に角、PC貸せ。資料作っちまうわよ。あとビール一本出しといて」ハァ・・・
香焼「……はぁ」テクテク・・・
どうして、ウチに来る女性陣は皆だらけてしまうのだろう。変な魔術でも掛っているのか? - 492 :>>1にかわりましてカキネがお送りします。 :2011/07/25(月) 01:11:29.58 ID:/TyJRzvl0
- 一寸後、対馬は朝っぱらからビール片手にPCと睨めっこを始めた。
傍から見れば実にシュールな光景である。
香焼「酒は控えろと……ん?」
携帯が鳴っている。自分の私用携帯の方だ。相手は……黒妻さん。
一度対馬に目配せし、ベランダへ出る。
香焼「もしもし」Pi!
黒妻『おう。五体満足か?』
香焼「ええ、御蔭さまで」ハハハ
黒妻『なら結構。今は家か? 学校?』
香焼「家っす。ちょっと開けられなくて」
黒妻『仕事かい』
香焼「まぁそんなとこっす……如何しました?」
黒妻『ん。特に如何って事ぁ無ぇが、美偉と那由他が寂しがってたぞ』
そういえば、此処の所彼女達の声を聞いていないな。
黒妻『少しでも時間作れたら夜にでも遊びに来い。明日は風紀委員の仕事で忙しいってからな』
香焼「はい、可能ならそうします」
黒妻『おう……そういえば最愛に連絡したのか?』
香焼「一応。ただ忙しいみたいで返事はまだっす……もしくは昨晩忙しかったから今寝てるのか」
黒妻『じゃあメールじゃなくて電話してやれ。多分、オマエと一緒で今色々大変みたいだからな』
それは、あまり好ましくない。
黒妻『……分かってると思うが、あんまり深く追求すんなよ』
香焼「……、」
黒妻『今はまだ、な。いずれ何とかすっから、とりあえず今は互いに無事だって事確認して安心しとけ』
香焼「……はい」
ジレンマとでも言うのだろうか。正直、辛い。
黒妻『それじゃあ、ウチ来る時は一報しろ。一応オレは今日……てか三日間は暇だから』アハハ
香焼「三日って……それ大人として如何なんすか?」ジトー・・・
黒妻『うっせ。今は週休6日がモットーだ。んじゃまず、またな』Pi!
この人も大概だな。というか週休6日ってどんな仕事だよ、とは名誉の為に突っ込まないでおく。 - 493 :>>1にかわりましてカキネがお送りします。 :2011/07/25(月) 01:33:29.86 ID:/TyJRzvl0
- 電話を切り、今度は電話帳を開く。カ行を下へ……『絹旗最愛』の項目。
出るか出ないかは分からないが、一応コールする。
香焼「やっぱ寝てるかな?」Prrr・・・
40秒近く鳴らした所で、呼び出し音が止まった。
絹旗『え、えっと……香焼?』Pi!
香焼「うん。おはよう。もしかして寝てた?」
絹旗『い、いえ。大丈夫ですよ』
心成しか彼女の声が疲れているようにも聞こえた。
絹旗『えと、如何しました? 電話してくるなんて超珍しいですね』
香焼「あはは。まぁ特に意味は無いんだけど……ごめん。迷惑だったよね」
絹旗『ううん。超暇してましたから』ハハハ・・・
香焼「そっか……えっと、昨日は『仕事』なかったの?」
絹旗『午前の仕事でしたから。今日は休みです……でも明日も仕事。最近、出勤回数超増えてきてるんで超大変なんですよ』ハァ・・・
香焼「……うん」
絹旗『デモだか何だか知りませんけど、学園都市見限って外の組織に乗り換えようとか考える輩が……って、あ、ご、ごめん』
最愛の口から、あまりそういう話は聞きたくない。
絹旗『と、兎に角、ちょっと今は忙しいかなぁって感じですよ……香焼は? 海外飛んでたんでしょう?』アハハ・・・
香焼「うん。自分は大丈夫だよ。忙しいのは同じみたいだけど……嫌な世の中だってのは同意っすね」アハハ・・・
絹旗『あはは。ですね、ホント……皆仲良くすれば良いのに』ハァ・・・
心底そう思う。
絹旗『あ、えっと……香焼。今日はこれから忙しいの?』
香焼「うーん、今任務……じゃなくて、シフト組んでる最中だからそれ次第かな」
絹旗『も、もし暇だったら……暇だったらで良いんですけど』モゴモゴ・・・
香焼「……うん。時間できたら公園行こっか」クスッ
絹旗『っ! は、はい!』ニパー!
やっと彼女の元気そうな声が聞けた。出来得るならずっとそうであって欲しい。
それから二言三言告げて、電話を切った。 - 494 :>>1にかわりましてカキネがお送りします。 :2011/07/25(月) 02:08:41.78 ID:/TyJRzvl0
- そういえば結標さんからも電話が来てたという事を思い出し、コールしてみる。
あの人も夜行性だから寝てるかもしれないが一応……
香焼「伝言残せば――」Prr・・・
結標『はいはい!』Pi!
香焼「――早っ!?」ギョッ!
僅か2秒。
結標『香焼くん、大丈夫!? ホントに怪我して無い?! 今何処!? もう家に着いたの!?』ガーガー!
香焼「あ、あははは……も、もう家っす。ホントに大丈夫っすよ」タラー・・・
結標『そう……良かった』ホッ・・・
香焼「結標さん、この時間帯起きてるのは珍しいっすね」アハハ・・・
結標『夜勤から帰って来たばっかなのよ。最近無駄に「円柱(ビル)」への客が多くてね』ハァ・・・
案内人、だったか。その仕事が忙しいらしい。
結標『まぁさっきは土御門がアレイスターに報告あるってんで座標移動(案内)してきたの……ったく、人が寝ようって時に』グヌヌ・・・
香焼「あれ? 土御門ももう都市に帰って来てたんすか?」
結標『あら。一緒に帰って来たんじゃなくて?』
香焼「あの人の動きは正直分かんないっす……とりあえず、結標さんもお元気な様で安心しました」
結標『あらあら、嬉しい事言ってくれるわね。嬉しいついでに今から私の抱き枕にこない? ギャラ弾むわよ』フフフ・・・
香焼「んな女衒師(ホスト)みたいな真似お断りっす」タラー・・・
結標『あはは。ざーんねん。とりあえず……近い内遊びにいらっしゃい。小萌も喜ぶわ』クスッ…ファアアァ・・・
香焼「はい。就寝前に電話してすいませんでした」
結標『良いの良いの。身体に気を着けてね。無茶しない事。何かピンチの時は連絡寄越しなさい。可能であれば手を貸してあげるから』
この人は良くも悪くも味方で居てくれる人だ。自分にとっては五和達や固法さんとは別の意味で、良い姉貴分である。
兎角、眠りを妨げるのも忍びないので早めに電話を切った。
香焼「後は……女子寮だけど」カチッ・・・
今現在、ロンドンは深夜帯である。電話は控えよう。 - 495 :>>1にかわりましてカキネがお送りします。 :2011/07/25(月) 02:52:10.54 ID:/TyJRzvl0
- 部屋に戻ると……空き缶が4つ。更に何故か一升瓶まで蓋が開いている。
香焼「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、ああああぁっ!!?」ギョッ!
対馬「っさいわねぇ」カタカタ・・・グイッ・・・
香焼「五月蠅いじゃないっすよ! それ五和の氷結っすよ!? あとその日本酒女教皇様のっす!!」アワワワ・・・
対馬「だってビール切れたんだもん。てか女教皇様、白鷹吟醸なんてコアいもんを隠して」ヤレヤレ・・・
香焼「あーもうツッコみが追い付かない」ダラダラ・・・
現在昼前10時。人の酒を勝手に開け、チャンポン呑みを仕出かす淑女一名。
対馬「大体ねぇ……未成年の癖に平然と酒持ち込んでる方が間違いなのよ。しかも中坊の家。ねぇ香焼、私何か変な事言ってる?」ジトー・・・
香焼「ぐっ……そ、それは」タラー・・・
対馬「しかもアンタは基本食前酒(ワイン)くらいしか飲めない筈でしょ? 何でアンタが飲まない酒が此処にあんのよ」
香焼「……え、えと」ダラダラ・・・
対馬「これが私じゃなくて爺さま(諫早)なら完全説教よ? 黙って勝手に飲んでるだけの私と丸一日説教の爺さん、どっちがマシかしら?」
何も言えない。だが、アンタも間違ってるのは確かだ。
対馬「私は良いのよ。仕事捗(はかど)らせる為の栄養剤みたいなもんだから」ヘーン
香焼「昼前からビールとチューハイ(ストレート15%)と吟醸酒をチャンポンするのが栄養なんすか!?」
対馬「んなの私や建宮達からすれば朝飯前よ。それより、このExcelバージョン変だからVer.2015くらいに下げてよ」
香焼「はぁ……都市Verの方が多機能で便利っすよ」ッタク・・・
対馬「私は基本古い(都市外の)人間なのよ。良いからさっさとバージョン変更して。あと書き込みで終わりなんだから」アーダコーダ!
何だかんだでシフトは考え終えたらしい。この人は凄いんだか馬鹿なんだか分からない。
対馬「そういえば、さっき誰と電話してたの?」
香焼「え……友達っすよ」
対馬「ふーん……まぁ良いや。兎に角、さっさとして。あと布団の準備も宜しく。書き込んでメール送信終わったら少し寝るわ」グデェ・・・
香焼「監督代行がそんなんで良いんすか?」ジトー・・・
対馬「中途半端にダラつくよりもしっかり休んだ後フル稼働した方が効率良いでしょ。ほら、小間使い急げー」ワーワー
何が小間使いだ。手間賃取ってやろうか。この堕落女郎。
対馬「……折角今日は空きシフトにしてやろうかと考えたのに、やっぱアンタ今日明日夜勤ね」カタカタ・・・
香焼「すいませんでした。素直に言う事聞くので善処して下さい、対馬お姉さま」バタバタ・・・
対馬「うん、宜しい。ついでにビールももう二三本所望しよう……ってアンタじゃ流石にアルコール買えないか」ハハハ・・・
今背丈見て苦笑したな、こんにゃろ……いつか目にモノ見せてやる。覚えてろ。 - 496 :>>1にかわりましてカキネがお送りします。 :2011/07/25(月) 03:56:19.48 ID:/TyJRzvl0
- ―――十月八日、AM11:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・
それから約一時間後……対馬は作業を終え、爆睡状態に。
自分は晴れて一日休暇をゲット。尤も、明日の昼から本隊が集合するまでフル任務なので何とも言えない。
一先ず今日のうちに、此処最近の疲れを取れると考えれば幾分か楽である。
香焼「そんじゃあ、公園行こうかな」
対馬が飲み散らかした空き缶空きビンを片付けた後、最愛にメールを入れる。
その後軽めの軽食を取って、鍵を閉め家を出る。
佐天さんや春上さんは学校なので、久しぶりの二人きりかもしれない。
香焼「まぁもしかしたら軍覇が居るかもしれないけどね」アハハ・・・
学園都市No.1と言っても過言ではない不思議少年、削板軍覇も偶に一緒になる。
香焼「アイツも忙しいのかな」
自分達と同じく戦争ムードの所為で自警活動が忙しくなってたりするのやもしれない。
残念ながら、暫くは『平和』な日常を期待できないだろう。
香焼「暗い顔してちゃ、駄目だね」パシッ!
自分は今から『平穏』を求めに行くのだ。例えそれが僅かな時間であれ、ネガティブな感情で臨みたくはない。
無論、それは此方からも提供すべき事でもあるので、やはり翳りを持ったままでは……
香焼「って、こんな事考えてるから理屈っぽいって言われるんだよな」アハハ・・・
……あーだこーだ、頭で悩むのは止めよう。もはや邪推の域だ。
香焼「とりあえず、バス乗って、公園向かって、最愛に会って……それで良いんだ」
後は彼女が望む事を出来得る限りで叶えてあげよう。それで十分だ。
その後に黒妻さんの家に向かって、ウチに帰る。それだけの事。難しく考えない。
ミュージックプレイヤーでアップテンポな曲を選択し、テンションを上げて、妹分と待ち合わせた公園へ目指した……――― - 501 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/26(火) 21:13:42.61 ID:+mLA8bes0
- ―――十月八日、AM11:30、学園都市第7学区、都市立ホテル『Alexander』、VIPプライベートルーム・・・・・
統括理事長の名を冠した高級ホテル。
そのとある一室に見目場違い・歳にして不釣り合いな少女達が居座っていた。
麦野「あー……んどくせー」カタカタ・・・
滝壺「ホント、最近忙しいね……はい、むぎの。お茶」コトッ
麦野「うぃ」カタカタ・・・
暗部『アイテム』。簡単にいえば『粛清』を専門とする裏組織だ。
リーダー・麦野沈利は『上』への報告書並び必要経費の申請に追われる日々。
本来ならデスク専門を一人雇っても良いところなのだが、中途半端な輩が来ても邪魔なだけなので自分が全てをこなしている。
フレンダ「てかさぁ結局、纏まった休暇は暫く貰えない訳なの?」グデェ・・・
麦野「仕方無いでしょ。上も外も、やれ戦争やれデモ運動だのでゴダゴダ状態なんだから」ハァ・・・
滝壺「緊急要請の回数も増えてきたし、困ったね。休める時休んでおかないと」アハハ・・・
絹旗「……、」カチカチ・・・
ここ数日の内に緊急出動5件。堪ったものではない。
麦野「しかも駆動鎧部隊が抜けたのを良い事に三下共が猪口才なコソ泥行為働かせてるみたいだし……マジうぜぇ」ヤレヤレ・・・
フレンダ「ぶっちゃけそんなのは下っ端やら警察(警備員・風紀委員)に任せればいいんじゃないかと思う訳よ」ブーブー!
麦野「しゃーないでしょ。表に出せない秘密握ったド低脳共が阿呆してるんだから」
フレンダ「まったく、下請けが好きかって暴れるなんて……結局『上』の連中は興味本位で風呂敷広げ過ぎな訳だと思うわ」ハァ・・・
広げた結果、都市や理事会を見限って『外』の組織と提携しようなんて輩が増えている。
暗部、特に『粛清』担当からすれば願い下げの状況だ。
麦野「とりあえず今夜は仕事入ってないからしっかり休んどきなさい。緊急あるかもしんないけど……出来るだけ蹴るわ」フゥ・・・
フレンダ「わーい、むぎのんのそういうとこ大好きー」アハハハ
滝壺「はまづらにもしっかり休む様連絡しとくね」
寝れる時に寝ておかないと、正直疲れが取れない。付け加えればお肌の大敵。
女性である彼女達からすると厳しいモノだった。 - 502 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/26(火) 21:50:04.83 ID:+mLA8bes0
- とは言いつつも、リーダーたる麦野は書類仕事を終わらせねばならない。
滝壺とフレンダも仕事に必要な『道具』の準備や『資料』に目を通したりしている。
故に、まだ休む事は出来ないので正直、憔悴状態もしくはご機嫌斜めである。
絹旗「……あの、麦野」トコトコ・・・
麦野「ん?」
先程から無言で携帯を弄っていたチーム最年少の大能力者が歩み寄ってきた。
絹旗「出かけてきても良いですか?」
麦野「買い物? 浜面にでもパシらせなさいよ」カタカタ・・・
絹旗「……じゃなくて」モジモジ・・・
麦野「こんな時に映画行きたいとか言うんじゃないわよ。どうしても見たいならPCかホテルの有料チャンネルでも見てなさい」
絹旗「……、」ムゥ・・・
口籠る絹旗。戸惑った表情を浮かべる彼女を見て、滝壺が何かを察し口を挟んだ。
滝壺「……大丈夫だよ、きぬはた。行っておいで」
麦野「……、」チラッ・・・
絹旗「えっと……でも」タラー・・・
滝壺「遅くならなきゃ大丈夫だよ。何かあったらはまづらが迎えに行くし、好きにすると良いよ」トンッ・・・
リーダーの顔色を伺う。
麦野「……遊び疲れましたなん言ったらブッ飛ばすからね」カタカタ・・・
絹旗「っ! あ、ありがとうございます!」パアアァ!
フレンダ「台詞だけ聞くと絹旗がMっ娘に聞こえる訳よ」アハハ
滝壺「……フレンダ」ニコニコッ・・・
フレンダ「お、おぅ……さーせん」タラー・・・
さておき、絹旗少女は急いで外出支度をして部屋から飛び出していった。
残った三人はヤレヤレと各々元の作業に戻った。 - 503 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/26(火) 22:35:32.09 ID:+mLA8bes0
- 人形に火薬を詰める作業をしていたフレンダが、ふと呟いた。
フレンダ「お優しいこって」チクチク・・・
麦野「……別に。仕事に差し支えなけりゃ如何でも良いわよ」カタカタ・・・
フレンダ「ふーん」チクチク・・・
絹旗が何をしに行ったのかは大体見当がついている。
滝壺「リフレッシュになるなら、此処に居るより良いと思うよ」パラッ・・・パラッ・・・
フレンダ「リフレッシュかぁ。そんなもん?」
滝壺「多分、ね。二人も気分転換にお出かけしてみるの、アリだと思うよ」クスッ
麦野「じゃあアンタがこの書類の山片付けてくれんの?」ハァ・・・
滝壺「あはは……そだね」タラー・・・
決して暇ではないのだ。
麦野「あの坊やも暇じゃない筈なんだけどねぇ……火織も、忙しそうだし」ボソッ・・・
今現在『裏』の人間に暇は無い。
絹旗が会いに行った友人の姉貴分で、自分の『とある友人』も、この戦争ムードで骨が折れる忙しさだそうだ。
滝壺「嫌な感じだね。戦争って」ハァ・・・
フレンダ「稼ぎは増えても、結局自由は増えない訳よねー」アハハ・・・
麦野「……チッ」カタカタ・・・
いけ好かない。何が、という訳ではないが……何故か気に喰わない。
滝壺「むぎの……甘いものでも買ってこよっか?」チラッ
麦野「んなモンはデリバリーで十分よ……良いから休んでなさい。フレンダも」カタカタ・・・
フレンダ「……あいよ」ポリポリ・・・
これ以上、リーダーを刺激しない方が良い。二人はそう感じ、そそくさと別室へ移動した。
麦野「……ったく」グデェ・・・
カレンダーを見る。明日は独立記念日……ふと、携帯を開く。
麦野「『今度の祝日、久しぶりに遊ばない(@ω@)??』って……休みなんて無ぇわよ」ハァ・・・
先日入った友人からのメールを無視し、作業を続けた。 - 504 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/26(火) 23:00:57.74 ID:+mLA8bes0
- ―――十月八日、PM00:00、学園都市第7学区、とある公園・・・・・
平日昼間の都市の公園は静かなモノである。
都市外であれば小さな子供を連れたママさん達が集まったり、御老人達が憩いの場として利用したりするのだが、此処は学生の街。
基本的には皆学校に行ったり、数少ない大人達も仕事の真っ最中だろう。
絹旗「……私の方が先着いちゃいましたか」テクテク・・・
故に、この場に居るのは彼女くらいだ。
手にはコンビニで買ったサンドイッチと菓子パン、ムサシノ牛乳、それから猫缶である。
絹旗「うーん……警備ロボが増えましたね」チラッ
人は少ないがロボは多い。最近多発している軽犯罪の所為だろう。
絹旗「猫達、今日は少ない」ジー・・・
普段、公園をウロウロしている野良猫野良犬達。だが今日は数匹しか見当たらない。
昨今の物騒な雰囲気を野生の勘で感じ取ったか、はたまた……保健所の職員が『迎え』に来たのか。
何れにしろ、どこか寂しい。
自販機近くのベンチに座って、一寸後、待っていた少年が現れた。
香焼「あ、もう来てる」テクテク・・・
絹旗「超遅刻ですね。罰金100万です」フフッ
香焼「ごめんごめん。昼飯買ってきたから遅れた」ポリポリ・・・
言ってくれれば一緒に買いに行ったのに、と少女は苦笑した。
香焼「……久しぶり」
絹旗「え、あ、うん。そうですね……お久しぶりです」クスッ
顔を合わせるのは、久しぶりである。
絹旗「とりあえず、ご飯食べませんか?」ガサッ
香焼「そうっすね。食べながら話しよう」コクッ・・・
コンビニの袋から昼食を取り出す。互いにムサシノ牛乳が入っている辺り何処か虚しくもあり、可笑しかった。 - 505 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/26(火) 23:47:23.37 ID:+mLA8bes0
- 少年はおにぎりを頬張りながら呟いた。
香焼「平和だね」モグモグ・・・
少女はサンドイッチを咥えながら頷いた。
絹旗「そうですね」モキュモキュ・・・
ほんの昨日前まで血腥い所に立っていた。だが今は、恐ろしい程に平和だった。
絹旗「えっと……フランス、でしたっけ?」チラッ
香焼「え? あ、うん。今朝方学園都市に戻った」
絹旗「超ハードスケジュールですね」
香焼「あはは。慣れだよ……最愛は……、」
絹旗「私も、超忙しかったです。まったく、ヤになりますよ」ハァ・・・
溜息か苦笑しか漏れない。
絹旗「ずっと平和なら良いんですけどね」
香焼「うん……そうだね」
平和なら、彼女も暗殺者の様な仕事をしなくて済む。自分も、普通の学生でいられる。
絹旗「どうして戦争なんてするんでしょうか?」ムゥ・・・
香焼「哲学的っすね」クスッ
絹旗「まぁ事の優劣決めたり所有権だの主義思想だの主張したりで争いになるのは分かりますけど……でも、その根っ子が分かりません」
香焼「そんなの、神様だけが知ってる事じゃないかな」
絹旗「じゃあ神様って超最悪ですね」ベー!
何とも言えない。
絹旗「第一、ローマでしたっけ? 宗教如何こうで今更学園都市(ウチ)と戦争しようって気を起す意味が分からないんです」
香焼「……、」ポリポリ・・・
絹旗「そこのところは、香焼詳しいんじゃないですか?」
香焼「そうでも、無いっすよ」ボー・・・
詳しいっちゃ詳しいが、教えられる話ではない。 - 506 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/27(水) 00:51:02.40 ID:JwtT1Etc0
- 絹旗「そんなに科学が嫌いなんですかねぇ。じゃあローマ教の人達は原始人みたいな生活送ってるんでしょうか?」
香焼「科学が嫌いっていうより、ドチラかといえば都市の在り方が気に喰わないんじゃないかな」
絹旗「在り方?」
香焼「行き過ぎた技術(オーバーテクノロジー)。人の身に余る所業って事だよ」
絹旗「そんな事言ったらアイツらだってそうでしょう。『魔術』でしたっけ? 科学的超能力開発機関とかいう胡散臭いヤツ」
先日、学園都市発で『ローマ正教にはトンデモ機関が存在する』というニュースが世界中に報道された。
言ってしまえばコレがデモやら何やらの風潮を拡大させた原因なのだが、触り(真相)を知るモノとしては複雑な心境である。
香焼「最愛は、そんな馬鹿げた組織あると思うの?」
絹旗「否定は出来ないでしょう。学園都市っていう超SF都市がありますし、何より私も『0930』事件の資料は見てます」
0930事件……前方のヴェントがテロを起した日。
絹旗「学園都市(ココ)の技術じゃ証明できない超技術です。『魔術』だか何だか知りませんが、アチラも超SF機関なんでしょうね」
香焼「SFかぁ。便利な言葉っすね」クスッ
絹旗「サイキックでファンタジー。サイコでファンシー。超面白いじゃないですか。B級モノの常套句ですよ」フフッ
確かに『SF』で片付ければ、超能力も魔術も一括りだ。
絹旗「ただ、その『SF』の所為で私の仕事が増えるってのは嬉しくないですね。SFは見るモノであって経験するモノじゃないです」ムゥ・・・
香焼「そうだね……自分も、困ってる」
絹旗「いっその事、学園都市の理事連中とローマの御偉いさん達を打ん殴れば全部終わる話じゃないんでしょうか」ハハハ
香焼「アニェーゼみたいな事言うなよ」アハハ
絹旗「そんじゃ、アニェーゼと私で超打ん殴りに行きますよ」ニャハハ!
コイツらならやりかねないからオッカナイ。
絹旗「そういえば超気になってた事あるんです……聞いて良いですか?」チラッ
香焼「うん、何?」
絹旗「前にアニェーゼ達が都市に来た時、同僚ってか仲間って言ってましたよね」 ※『おはようございます』参照。
香焼「……、」コクッ・・・
絹旗「……やっぱり、そうだったんですか」フム・・・
彼女は僕が『裏』の人間だと知っている。つまり……アニー達も『裏』だと察したのだ。 - 507 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/27(水) 01:09:27.01 ID:JwtT1Etc0
- それを知ったからといって、今更驚いたりはしない。
だがしかし、大分思う所はある。
絹旗「彼女らも、忙しいんですか?」
香焼「多分、自分よりも」
絹旗「多分って、部署が違うの?」
香焼「うん……、」
ドチラかというとアニェーゼ達の方が忙しいと思う。
現在微妙な立ち位置に立たされているアニェーゼ部隊は汚れ仕事を回される事が多い。
その点は、絹旗と似ているっちゃ似ているのやもしれない。
香焼「誰も彼も、被害者っす」
絹旗「……そっか」
嘆かわしい。
絹旗「早く、終わると良いですね。また兄貴さんの家でご飯食べたいです」
香焼「うん。皆でね」
固法さんや那由他も忙しい。皆が揃える機会が減っている。
絹旗「ところで……フランス土産とかは無いんですか?」ニヤリ・・・
香焼「え!? あ、その……ごめん」タラー・・・
絹旗「あはは。冗談ですよ。超忙しいのにそんなの強請りませんって」クスクス・・・
香焼「こ、今度は何か買ってくるよ」ポリポリ・・・
絹旗「ふふっ。期待しないで待ってます」クスッ
浦上の言うとおり適当に何か買っておけば良かった。
絹旗「気にしなくて良いですよ。香焼ばっかに土産とかプレゼント貰ってばっかですし、超申し訳無いですから」アハハ・・・
香焼「別に見返り求めてる訳じゃないっすよ」
絹旗「ははは。優しいんだか何なんだか」クスッ
彼女が無事でいてくれるだけで、十分幸せである。 - 508 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/27(水) 01:26:49.75 ID:JwtT1Etc0
- その願いは、彼女も同じである。
絹旗「……超弱っちい癖に、人の心配ばっかして」クスッ
香焼「むぅ……、」ポリポリ・・・
絹旗「私は超強いんですから心配ご無用ですって。香焼の方が心配ですよ」フフフ
香焼「……馬鹿にしないでよ」モゥ・・・
自分だってそんなに弱くは無い……と強がっておく。
絹旗「だって香焼って、どっちかっていうとデスク組じゃないですか。頭で解決する方」
香焼「まぁ、話し合いで解決できるのであればそれに越した事は無いっすよ」
絹旗「私はそういうの、超苦手ですもん」グッ・・・
拳を握り前に突き出す少女。見ていて嬉しいモノではない。
彼女にその『拳(能力)』は何の為か、と問うのはナンセンスである。以前、この街最強の能力者が言っていた。
香焼「そういう風にしか……生きられない」ボソッ・・・
絹旗「はい」クスッ・・・
違う。それ以外の生き方をしてこなかっただけだ。知らないだけで『今から』覚える事は可能だ。
絹旗「それ以外の、生き方ですか?」
香焼「本来は『守る』為の能力なんでしょ?」
絹旗「まぁ……でも、守りっ放しってのは性に合いませんけどね。攻撃を超無効化して、そんでもってコッチは超ドデカいパンチ!」アハハ
香焼「……、」
やはり性格も矯正していかないといけないのか。
香焼「そんなの……仕事、イヤにならない?」
絹旗「疲れるのは超嫌いですよ。でも仕事(それ)で『ご飯』が食べれるんです。仕方ないじゃないですか」アハハ
香焼「それ以外の仕事も……ごめん、何でも無い」シュン・・・
これ以上は聞けない。また彼女を情緒不安定にしてしまう。
『殺し屋』として育てられた彼女は、それで生計を立てる様教育されてきているのだ。
彼女の中(根本)で『何か』きっかけが無い限り、変わる事は出来ないだろう。 - 509 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/27(水) 01:43:27.18 ID:JwtT1Etc0
- 小難しい顔をする少年の表情を見て、苦笑する少女。
絹旗「相変わらず超甘ちゃん(猛毒)ですね……私に出来る仕事、『殺し』以外に思い付きます?」クスッ
香焼「……それを考えるのが、僕達の年頃だろう」
絹旗「そういうもんなんですかね。私には分かりません」
当たり前の事が当たり前では無い少女。彼女に必要なのは母性と教育。心底この街の『闇』を呪う。
絹旗「おまんまに有り付ければ万々歳。違いますかねぇ」カパッ・・・モグモグ・・・
デザートのカッププリンを頬張りながら、彼女は可愛らしく小首を傾げた。
香焼「そんなの、知識人じゃないっすよ」
絹旗「うーん……忙しい事を抜かせば、衣食住は充実してますし、娯楽は十分足りてます」モグモグ・・・
香焼「……もう、分かんないっす」
絹旗「超珍しいですね、香焼が折れるのは」クスクス・・・
彼女と生命倫理の話が出来ない以上、これ以上は話せない。少なくとも『今はするな』と黒妻さんと第1位に口止めされている。
絹旗「兎に角、心配する必要ありませんよ。私は超々々々ぉー最強なんですから! って……アレ?」キョトン・・・
香焼「自分から最強とか言うヤツは大抵馬鹿っすよ……どうしたの?」ン?
絹旗「……んー」ジー・・・
香焼「え?」キョトン・・・
椅子の上に置いていた紙パック牛乳。どちらも同じ500mlのモノだ。
絹旗「……、」タラー・・・
香焼「どっちでも良いんじゃない?」
絹旗「な、何言ってんですか!?」ガアアァ///
香焼「ご、ごめん」タラー・・・
先程までのシリアスな彼女ととは一転、年相応の反応に戻る絹旗少女。
これこそ如何でも良い問題だろう……香焼少年は溜息をついた。 - 510 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/27(水) 01:55:34.96 ID:JwtT1Etc0
- されど少女にとっては大問題。一歩も違えれば俗にいう間接キスという事になってしまう。
絹旗「重さは……大体同じ」ウーン・・・
香焼「ストロー取れば同じっすよ」
絹旗「そういう問題じゃないんです!」ムゥ・・・
乙女心を分かっていない。人の仕事云々を気にする前に、自分の鈍感さに気付くべきである。
絹旗は内心毒づいた。
香焼「……じゃあコッチ」スッ・・・
絹旗「あ! ちょ、待った!」グッ!
香焼「わっ! あ、危ないなぁ」
絹旗「……そ、そっちが私のです」ダラダラ・・・
香焼「どっちでも良いよ」ハァ
絹旗「よくないの!」カアアァ///
胃に入ってしまえば同じだろう。呆れる。
香焼「じゃあソッチね」スッ・・・
絹旗「っ!」ガシッ!
香焼「なっ!?」ギョッ・・・
絹旗「ま、待って下さい……それが、私のです」ダラダラ・・・
香焼「どっちだよ」ッタク・・・
絹旗「……ええい! 超コッチです!」バッ!
やっとの事選択決定した少女。たかが牛乳でどれだけ悩むのだ。
香焼「変なの」ポリポリ・・・
絹旗「ぐぬぬぬ……っ」ジトー・・・///
少年は少女の気持ちを余所に、開け口を唇元に……―――
絹旗「やっぱ駄目ええええぇっ!!」ガンッ!
香焼「ぶぼぁっ!!」ガバッ!!
―――……ぶちまけた。 - 511 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/27(水) 02:31:13.27 ID:JwtT1Etc0
- ―――十月八日、PM01:00、学園都市第7学区、とある公園・・・・・
絹旗「……ごめんなさい」ショボーン・・・
牛乳塗れになったパーカーを水道で洗い、近くの柵に干した。
流石にTシャツ一枚は肌寒いが、仕方あるまい。
絹旗「……ごめん」シュン・・・
香焼「もう良いよ」ポリポリ・・・
ずっと項垂れる彼女に微笑み、顔を上げさせる。
何を持って牛乳をブっ掛けられたかは知らないが、もう済んだ事だ。
香焼「悪気があった訳じゃないんだろ……いや、あったのかもしんないけど」アハハ・・・
絹旗「顔面に白いのブっ掛けっちゃったんですよ……しかも超生ぬるくなったヤツ」プッ・・・
香焼「そういう言い方すんなコラ」ジトー・・・
やっぱ許さない。
絹旗「じょ、冗談ですって。ごめんなさい」アタフタ・・・
香焼「ったく……はぁ」ブルルッ
臭いは取れたが髪がベトベトする。
絹旗「じゃあ……これを」スッ・・・
香焼「え?」
絹旗「動かないでくださいねー」ピタッ・・・
ヘアピン。両サイドを留めて、おでこが出る形に。
絹旗「よいしょっと……あら可愛い」クスッ
香焼「……やだ」パラッ
絹旗「あー、超もったいない」アララ・・・
香焼「可愛いって言われるの大っ嫌いなんすよ。知ってるだろ?」ジトー・・・
絹旗「あはは。まぁねー」クスクスッ
まったく意地が悪い。本当に反省しているのかどうか疑わしかった。 - 512 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/27(水) 03:07:30.90 ID:JwtT1Etc0
- 絹旗「……んー」ジー・・・
香焼「今度は何さ」ハァ・・・
絹旗「香焼って、華奢な割に筋肉あるんですねー」ジー・・・
二の腕辺りをマジマジ見詰める少女。実にシュールだ。
香焼「一応、鍛えてるからね」アハハ
絹旗「……身長伸びなくなりますよ?」
香焼「ぐっ……た、多分、大丈夫」タラー・・・
絹旗「私は適度に動く程度ですから心配ありませんけど、香焼、仕事の上に筋トレなんてしてたらチビのままですよ」クスクス・・・
香焼「そ、そんな事ないよ! 最愛こそ、能力に頼ってばっかじゃ丸くなっちゃうっすよ」ジトー・・・
絹旗「ぐをっ……だ、大丈夫な筈、です」タラー・・・
彼女の能力は凄腕の魔術師顔負けの実力だが、自身の筋力体力その他諸々は並の少女以下かもしれない。
現に能力無しの腕相撲では打ち止めとドッコイである。
絹旗「わ、私の装甲はそう易々と破れません!」ムンッ!
香焼「AIMジャマーや攪乱の羽(チャフシード)展開されても?」ジトー・・・
絹旗「……えっと」ダラダラ・・・
香焼「一皮剥がされただけで普通の少女以下なんだから、用心しないと」ッタク・・・
絹旗「う、ぐぅ」ムゥ・・・
香焼「……ホント、怖いよ」ハァ・・・
彼女の装甲が破れ、銃弾の雨にさらされたら……彼女の装甲が破れ、鋭利な刃の餌食になったら……
そんな恐ろしい『If』が浮かぶ。
香焼「能力は絶対じゃないし、完璧じゃない。無能力者の自分にでも分かる事っす」
絹旗「私だって、理解してますよ……心配しなくても事前情報で敵が『対能力者兵器(ジャマー)』使ってるかどうかは調べられます」
香焼「……だけど」
絹旗「人の心配する前に自分の心配してくださいよ。弱者が負ける。これが理でしょ。実際私は超強い」ピンッ!
香焼「あ痛っ」ゴンッ!
少女のモノとは思えない威力のデコピン。
香焼「つぅ……いきなり酷いなぁ」ジトー・・・
絹旗「気ぃ抜いてるからです。ま、私が傍に居れば超SPで雇われてやりますけどね。ボディーガード料は超高価ですけど」フフフ
香焼「そりゃ頼もしいこって」クスクス・・・
可愛い殺し屋なんて渾名よりも、可愛い守護者の方が誉れだろう。 - 513 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/27(水) 03:39:53.91 ID:JwtT1Etc0
- それから少女は『いつも』の様に猫達へ餌やりを始めた。
普段は十数匹いるのだが、今日は4,5匹程度。
絹旗「皆、どこ行ったんでしょうか」ムゥ・・・
香焼「……、」
絹旗「保健所に連れて行かれたのかな」シュン・・・
香焼「……きっと、出かけてるだけだよ」
猫達が俯く少女を見上げる。
絹旗「……此処で殺してあげた方が、この子達は」ジー・・・
香焼「っ!」ガシッ・・・
絹旗「ぁ……、」タラー・・・
彼女の不謹慎な発言に、思わず腕を掴んでしまった。
香焼「思っても無い事、言うな」スッ・・・
絹旗「……ごめんなさい」シュン・・・
残酷。彼女にとって殺生はゲーム感覚なのだろうか。
絹旗「別に……そんな事、思ってませんって」
香焼「楽しんでたり、しない?」ボソッ・・・
絹旗「まさか! 基本、仕事以外での殺しなんてしませんよ。殺人狂じゃあるまい、スナック感覚で人は殺めません」クスッ
香焼「……そう」
だが、殺しの善し悪し・是非は否定しない。彼女はそこまで深く考えない。
絹旗「……気になってたんですが、香焼こそ、人殺した事無いんですか?」ジー・・・
いきなり何て事聞くんだ。
香焼「絶対しない」キッパリ・・・
絹旗「超変なの」フーン・・・
香焼「……は?」
絹旗「実際、香焼がどんな仕事してるか知らないけど……戦場に立つんでしょう?」
香焼「それがどうしたのさ」
絹旗「戦場に立つのに、人殺さないんですか? もしかして基本は非戦闘要員だとか?」キョトン・・・
相変わらず可愛らしい顔で恐ろしい事を告げる少女。
質問が、おかしい。もはや狂ってる。 - 514 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/07/27(水) 04:16:02.52 ID:JwtT1Etc0
- 絹旗「うーん……こればっかしは香焼の方が超謎ですよ。だって規模の大小、公式非公式は別としても戦場でしょう?」
香焼「違う……そういう問題じゃないよ」
絹旗「え?」
香焼「如何して、そういう質問をするの?」
流石に許せない。
絹旗「純粋に、気になっただけなんですが……その……うん」ムゥ・・・
香焼「じゃあ応えるけど『戦場に血が流れない様にする為』に戦場に居る」
絹旗「……意味が分かりません」ポカーン・・・
香焼「助けを求める人の為にだけ戦うんだ。そこに見返りなんてない」
絹旗「答えになってない様な」ポリポリ・・・
香焼「……兎に角、護る為に戦う。綺麗事かもしれないけど正義とか平和の為。冗談とかじゃなく真面目にそう考えてるっすよ」
救いの手。
絹旗「じゃあ、何の為のナイフなんですか?」チラッ
香焼「誰かを守る為の短刀だよ」
絹旗「じゃあ誰かを守る為に、また別の誰かを殺さなきゃいけない場合は如何するんですか?」
香焼「そ……れは、二人とも死なない手段を考える」
絹旗「……、」ポカーン・・・
呆気に取られた顔。自分でも馬鹿な事を言っているのは分かっている。
だが、そういう教えしか受けていない。
絹旗「香焼……そんなんじゃ死んじゃいますよ。香焼も、助けるべき人も」
香焼「……それでも、殺さない」
絹旗「仲間も全員そうなんですか? それとも香焼だけそんな超馬鹿なんですか?」キョトン・・・
香焼「……そういう仲間もいるし、そうじゃない仲間もいる」
天草式は基本的に非殺傷。だが必要悪の教会としては、別。
絹旗「よく……今まで生きて来れましたね」ジー・・・
香焼「余計なお世話っすよ」フンッ・・・
絹旗「……是非とも香焼の戦場ってのを見てみたいです。不殺(コロサズ)っての、超気になりますね」ヘー・・・
やはり、狂ってる。 - 515 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/27(水) 04:48:05.48 ID:JwtT1Etc0
- 絹旗「狂ってるのは、同じですよ」
香焼「っ」
絹旗「殺さない。でもきっと殺されない……そんな考えで戦場立ってませんか?」
香焼「まさか」
絹旗「有り体の言葉ですが『やらなきゃやられる』って、知ってます?」
香焼「だからって殺し云々は関係無いよ」
絹旗「……香焼の組織ってどんな教育してから兵士を戦場に送るんですか? 超不思議ですね」
正反対。
人の命を軽く見る少女と、自分の命を軽んじる少年。
戦場での常識を貫いてきた少女と、まるで兵士とは思えない言動をする少年。
絹旗「申し訳無いんですけど、命の重さ云々を香焼に語って欲しくないです。人の事如何こう言えた立場じゃないでしょう?」
香焼「……、」
絹旗「同じく、戦場立たない方が良いですよ……言っても無駄でしょうけど、一応言っておきます。死んでほしくないですから」
まったく同じ事を言われた。だが含む意味は大分異なっている。
絹旗「ホント、疑わしいですよ。でも『裏』の人間だっていうのは本当みたいですからね」ハァ・・・
香焼「自分は確かに弱いっす。でも」
絹旗「はぁ……この話、もう止めましょう。膨らましても良い事ありませんね」
香焼「……ん」コクッ・・・
今の僕では彼女を論破できない。
せめて五和か教皇代理程の腕前があれば、非殺傷を平然とする実力が伴っていれば……彼女に声高らかに反論出来た。
正直言って、悔しい。
絹旗「一つだけ」ボソッ・・・
香焼「……、」
絹旗「懐のナイフ、自分に突き立てる様な真似だけはしないでくださいよ」チラッ
香焼「は?」
絹旗「マーダージョークですよ……分かんなかったら良いんです。気にしないで下さい」ポリポリ・・・
殺人鬼ジョークなんて分かってたまるか。 - 516 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/27(水) 05:21:56.82 ID:JwtT1Etc0
- それから暫く、何も言えなかった。
平静を装ってはいるものの内心ネガティブになっているのはバレバレの様で、絹旗は偶に此方を見ては苦笑していた。
絹旗「あー……ごめんって」スッ・・・
香焼「……別に」
絹旗「機嫌直して下さいよ。そんなしかめっ面されたままじゃ超つまんないですよー」バサバサッ
パーカーの水気を掃おうとする少女。
絹旗「見てて下さいよー。私の能力を持ってすれば超雑巾絞りの要領で」グッ!
香焼「ちょ、馬鹿――」
絹旗「ふんっ! ……ぇ」ブチッ!
香焼「――……はぁ」
やりやがった。
絹旗「あ、あははは……えっと、穴は開いてませんよ」タラー・・・
香焼「超伸びてるじゃん」ジトー・・・
絹旗「ろ、ロングパーカーってヤツです。今年はきっと男性モノのロンパーも流行りますって!」アタフタ・・・
香焼「……最愛」ジトー・・・
絹旗「うっ……ごめんなさい」ポリポリ・・・
やっぱ彼女からは一度能力を取り上げた方が良い。
絹旗「それは超勘弁願いたいです」アハハ・・・
香焼「君は一度でいいから普通に学生してみるといいよ。世界変わるから」バサッ・・・
絹旗「ぜ、絶対無理です。超無理。すんごい無理」ガタガタ・・・
香焼「……超人見知り」ハァ・・・
彼女の場合、心を開くまでに時間が掛り過ぎる。困ったモノだ。
いっその事、人間も野良猫の様に見れば良いのではなかろうか。
絹旗「無理ですね。人間はこの子達と違って超醜いですから」ナデナデ・・・
猫が『にゃー』と絹旗に擦り寄る。『純心』故に、残酷か。昔の児童心理学者がそんな事を謳っていた気がする。
集まってくる猫達を拾い上げ、撫で続ける少女。いつの間にか少年の方へも子猫が攀じ登ってきたので、持ち上げて膝の上に置いた。
何をするでもなく、のんびりと、余計な事を考えるのを止め……少年と少女はベンチで猫と戯れた……――― - 521 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/29(金) 22:51:07.29 ID:97XMW6PS0
- ―――十月八日、PM02:00、学園都市第10学区、共同墓地…(黒妻side)…
一日中家で寝転がっているのも無為である。そう考えブラリとバイクを走らせた。
第七学区から南に数十分向う。
黒妻「……誰も居ねぇな」ザッ・・・
閑散とした共同墓地。その中にある『K』区画へ足を進める。
黒妻「おう」カツカツ・・・
声を掛ける。だが勿論、返事は無い。死人に口は無い。
黒妻「線香代わりに煙草で良いか」スッ・・・
甚だ罰あたり。だが墓参りの正しいルールなんか学んではいない。
そもそも宗教とは無縁のこの街に、墓参りの流儀なんて有りはしないのだ。
神だろうが仏だろうが科学だろうが、信じてなければタダの単語に過ぎない。
黒妻「人の名前使って勝手な事しやがって、って怒るか?」カチッ・・・ジジジ・・・
紫煙を点し、線香(煙草)を備える。
黒妻「戦争だかデモだか知らねぇが……嫌な世の中だな。如何思う?」カチッ・・・フゥ・・・
自分の分の煙草に火を点け、上の空気味に呟く。
答えが無いと分かっていても語りかけてしまうのは、取り残されてしまった人間だからなのだろうか。
本来、自分は『彼』と同じく死んだ筈の人間。
こんな事を言っては仲間や後輩、彼女に怒られるだろうが……幸か不幸か生き返らされてしまった。
よくよく振り返ると、自分の時は2年前で止まっているのかもしれない。
黒妻「……真相を墓穴まで持っていきやがって」ボソッ・・・
詳細は分からないが『彼』は無能力者(レベル0)の為に立ち上がり、命を落としたという。
心許無い能力者の横暴。それを知りつつ救いを寄越さない理事会。それが許せないとはいえ……無謀である。
だが『彼の行動』は波紋を起した。
少なくともあの『第1位』に想いを託したとみえる。 - 522 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/29(金) 23:10:00.54 ID:97XMW6PS0
- 第1位だけではない。加えて『志』を引き継いだ後に残された者……仲間達がいる。
自分もまた、その一人。
黒妻「ところで、耳にしたんだが……クーデターだとよ」ハッ・・・
先日耳にした不吉な言葉。
黒妻「オマエのはクーデターってよりは『発破』だったのかもな。だが今から起きそうなのは……オレにゃ分からん」フゥ・・・
政府(理事)への不満は同じだが、決起するのは『暗部』らしい。
自分達の地位の為という点では似ているかもしれないが、多分労働抗議の様なモノだと思われる。ぶっちゃけ下らない。
そんな低レベルな主張の為に犠牲になる人間がいるかと思うと、呆れてモノも言えない。
黒妻「ま、起こっても無ぇ事だから本意は知らねぇけどな」ハハハ・・・
何故、全ての人間が仲良く出来ないのか……流石に綺麗事か。
黒妻「オレは如何すればいいかなぁ」ポトッ・・・ケシケシ・・・
無論、この期に便乗してテロ紛いな事をする気は無いし、かといって喧嘩の仲裁に入るつもりも更々無い。
自分の様な半端者が介入して良い様な問題では無いのだ。
力有る者らが自分の主義主張を訴える為に暴れ回る。そしてきっと、皆、勝手に死んでいく。
だが、無視出来る話でもない。
黒妻「……とりあえず、やれるだけの事はするさ」ジー・・・
巻き込まれる無関係な人間、そして自分の大切な人達……第1位ほど役には立てないが、出来るだけの事はするつもりだ。
無能力者、力無き者、争いを好まぬ者達を守りたい。この街が好きだから、戦える。
学園都市は御偉いさん方の理想で成り立つのではない。民(学生)の日常(当たり前)から出来上がるのだ。
黒妻「ん……あばよ、ダチ公」クルッ・・・
落ち着いたらまた足を運ぶ。今度は酒でも持ってこよう……――― - 524 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/29(金) 23:26:14.41 ID:97XMW6PS0
- ―――十月八日、PM03:30、学園都市第7学区、風紀委員第177支部・・・・・
殆どの学生が授業を終え放課後を迎えたであろう時間帯、常盤台中学一年の白井黒子も例外ではなかった。
尤も、名門常盤台となれば7限目だったり課外授業だったりと並以上の授業スタイルなのだが自分は特例。
とりあえず風紀委員を優先して良いという事になっている。
最近パトロール要請が増えているので尚の事、治安活動を優先せよとの事だ。
白井「ほーんと、戦争ムードだからって世紀末気分のお馬鹿さん達にはつける薬が無いですわね」トボトボ・・・
軽犯罪から強盗、暴行、強姦、過激な学生運動、暴走行為などなど……此処のところ逮捕・補導件数が軒並み上がっている。
その理由の一つとして戦争ムードというのもあるが、別の一つに『警備員』の減少という点があげられる。
何でも海外の都市関係者を守る為だとか何とか。
白井「ぶっちゃけ人手不足ですの。人員増加は不可能ですかねぇ」ハァ・・・
独り言を呟きながら支部までの道のりをヨレヨレと進む。傍から見ればちょっとした不思議ちゃんだろう。
白井「だからといって無闇矢鱈に研修生(アマチュア)なんかを前線に出す訳にはいきませんし」ボー・・・
いくら『数』が欲しいとはいっても、警察組織として『質』は落とせない。
白井「あと、何でしたっけ……『自警』? あれも可笑しな話ですの」ポリポリ・・・
一部の武装無能力集団(スキルアウト)や能力者達が『自警団』、『自警行為』を称して治安維持活動を行っている。
政府(理事会)からの嘱託ならまだしも、自主的にそんな事をしてしまえば『暴力団』、『喧嘩屋』と変わりなかろう。
警察組織で無いのにも拘らず能力等で犯罪を捩じ伏せれば、それもまた『犯罪』である。
因みに……自分が慕う先輩もそうなりかねないので恐ろしいところだ。
白井「お姉さまも然り婚后光子も然り、その他の『ヒーロー気取り』も然りですが、理事会は『公認英雄』なんて設けていませんの」ッタク・・・
英雄を監視者と呼ぶのであれば、その監視者を監視するのは誰がする? という問題も生じる。有名な言葉だ。
英雄行為をしたいのであれば御上(理事)に従け。これが『正義』の鉄則である。
白井「……なーんて、別に哲学者を気取りたい訳じゃありませんものねー」
実際は猫の手でも借りたい。
品性倫理道徳が立派でなければならないなんて事は望まないから、『筋』が通ってる人間を手伝いに回して欲しい。 - 525 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/29(金) 23:42:52.17 ID:97XMW6PS0
- 例えば『超電磁砲(お姉さま)』や『幻想殺し(あの殿方)』の様な『筋』の通った人間を……
さておき数分後、支部に到着。昼勤風紀委員との引き継ぎを終え、自分一人が支部に待機。
白井「初春も先輩も、まだ来れない様ですのね」カチカチッ・・・
4時前。
風紀委員本部や警備員から何か連絡が入っていないか、支部長(固法)のPCチェックする事にする。
白井「1,2,3,4・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数えるの止ーめた」グデェ・・・
訓示の様なモノから過去の出動要請分まで。全てに目を通していたらキリがない。
とりあえず重要そうなモノと気になる情報だけピックアップする。
祭日の風紀指導について、理事の講演会の護衛について、戦争ムードに乗じたテロ行為の警戒……連日似たメールばかり。
白井「結局、普段と変わらない休日って事。まぁ私達風紀委員はそれなりに忙しいけど、ね」ハァ・・・
グッタリと背凭れに身を預け仰け反る。
白井「……あ」ヤベッ・・・
固法「……ったく」ヤレヤレ・・・
いつの間にか小姑、もとい先輩が来ていた。
白井「えっと……お早いですのね」オホホホ・・・
固法「人の席で何してるのかしら? しかもPC勝手に開いて」ジトー・・・
白井「あ、あの、ほら! 風紀委員の支部長様がいかがわしいデータを保有していないかチェックを!」
固法「もし本気でそんな事考えてるなら寮監さんに引き渡すわ」キラン・・・
白井「すんませんですのおおおおぉ!!」ガダッ!!
即座に空間移動(テレポート)で天井まで移動、落下しながらスタイリッシュ土下座。
この間わずか2,4秒……プライドは重力と共に堕ちるモノである。 - 526 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/30(土) 00:04:11.83 ID:3moh/jgC0
- あまりの潔さに呆れ半分哀れみ半分の思いで固法は自分の椅子に座った。
固法「ったく……で? 勝手に何してたの?」ハァ・・・
白井「その、暇だったもので、つい『上』からの報告メールを……さーせんですの」ペコッ
固法「ならパトロールでもしてきなさい。最近じゃ一時間に3件ペースで逮捕・補導者出てるんだから」
白井「ぐぅ……了解」スッ・・・
ユラリと立ち上がり、腕章を持って玄関へ向かう。
それでは散歩がてらにパトロールでも、と『鉄針』を持ち、支部を出ようとした時だった。
固法「とりあえず、初春さんが来てからもうちょっと『深く』調べましょう」チラッ・・・
白井「……、」ピタッ・・・
何やら不穏な事を呟く先輩。
白井「……先輩も、大概危ない橋渡るの好きですわね。『上』に怒られるのは勘弁ですのよ」クスッ・・・
固法「大丈夫よ。初春さんの『腕』は信頼してるし、もしもがあったら私の責任だから」フフッ・・・
白井「逆探される心配は無いですか? あらら。頼もしくなったものですわね、初春(ルーキー)も」ヤレヤレ・・・
堅実な人生も素晴らしいが、時にはスリルも必要との事。
悪い男の味でも覚えた女みたいなセリフを……悪い男?
白井「……先輩。先輩の先輩さん、今日は仕事で?」チラッ
固法「え? 何で?」
白井「なんとなく」
固法「……家でゴロゴロしてるんじゃないかな」ハァ・・・
やっぱり悪い男に掴まってたか。
固法「うっさい。さっさと行け!」ダー!
おー、怖い怖い。 - 527 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/30(土) 01:04:42.14 ID:3moh/jgC0
- ―――十月八日、PM04:00、学園都市第7学区、とある公園・・・・・
犯罪率が上昇しているといっても、時と場所ってものがある。此処ら辺は第7学区の中でも比較的平和な区域だ。
理由としては怒らせるとオッカナイ人間がゴロゴロ居るからである……超能力者とか警備員・風紀委員のエースとか。
因みに風紀委員のエースとは白井(自分)の事ではなく、先進教育局のエリート風紀委員の事である。
悪童達の一部からは白井黒子こそ『風紀委員の白黒(モノクロ)悪魔』と呼ばれ畏怖の権化とされているが、本人は知らんぷり。
さておき、今現在は公園に到着。平日の公園だ。人は殆ど居ない。
丁度良い。初春が支部に着くまでジュースでも飲みながら時間を潰そう。
白井「……ん?」チラッ・・・
自販機近くのベンチ。
白井「……リア充か」ケッ!
自分と同い年くらいのカップルが肩を寄せ合っている。
こんな渡世だからだろうか。何故か無性に腹が立つ。
白井「あーあー……やってらんないですの」トボトボ・・・
自分もお姉さまと、あんな事やこんな事をしたいモノだ。
兎角、イチャついてる輩の顔なんぞ見たくも無いので、その場を離れる事にする。
腹いせに銀行強盗や誘拐犯の一人や二人しょっ引いて帰ろう。そうしよう。
* * * * * * * * * * * * * *
一方……そのベンチはというと。
ぬこs『なー』クルクル・・・
香焼「すぅ……くぅ……」コクン・・・
絹旗「ん……ふぁぅ……」コクコクッ・・・
何故か少年少女が疲れて寝ていた。 - 528 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/30(土) 01:39:44.37 ID:3moh/jgC0
- ―――十月八日、PM04:30、学園都市第7学区、とある病院・とある教授(冥土帰し)の部屋……
濃いめのコーヒーを啜りつつ、とある患者のカルテを見る。
名は『上条当麻』。もはや常連となりつつある患者だ。
彼の『諸々』については深く関与しない様にはしているが、やはり如何したものかと頭を悩まされる限りである。
土御門「まぁそう言わんで欲しいにゃ」ポリポリ・・・
冥土帰し「言わない訳にはいかないだろう。僕は医者だ」ハァ・・・
土御門「恰好良く言えば大義の為、だぜぃ」ニャハハ
そんなモノ、犬にでも喰わせておけ……とは言えない。
目の前に居る『道化師』もまた、犠牲者被害者、患者である。
土御門「本来はカミやんの事、ずぅっと此処(病院)に置いておきたいんだけどにゃぁ」ポリポリ・・・
冥土帰し「彼は『火種』なのだろう? 他の患者まで巻き沿いには出来ない」コトッ・・・
土御門「残酷ですたい」クスクス・・・
冥土帰し「それに、彼自身が此処には居たくない。学校へ行きたいと言うのだから仕方ないだろう」チラッ・・・
土御門「ん……まぁカミやんは『普通の高校生』であるべきなんだよ」クイッ・・・
それは君もだ。
土御門「にゃはは。俺は良いの良いの」ケラケラ!
冥土帰し「……既に『博士号』を持ってるからという訳ではない。『年相応』という意味でだ」
土御門「……、」
加え、誰よりも傷付いて運ばれてくる機会が多い道化師。
もしかしたら『英雄』達よりも傷付くペースが早いのではなかろうか。
土御門「甘ぇ事言ってられないんだ。分かってくれ。今は世界中大変なんだよ……知ってんだろ?」
冥土帰し「ローマだろうがロンドンだろうが学園都市だろうが……結局、最後に力を振うのは僕達(医者)だ。知ってるだろ?」テクテク・・・
土御門「……、」
冥土帰し「自分が傷付くても、涙を流す人間が居ないから……とは考えてないだろうね?」コポッ・・・
土御門「……そんなメルヘン染みた思考は持ち合わせてないな」
冥土帰し「少なくとも、彼は涙を流してくれるよ。それから……親族も。ほら、カップが空いている」コトッ・・・
彼の分のコーヒーを足す。 - 529 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/30(土) 02:03:29.43 ID:3moh/jgC0
- 若者たちの自由の街。
若者たちが率先して駒扱いされる街。
若者たちがモルモットとして被検体になる街。
海外から見ればそういうイメージを持たれているのが、この学園都市だ。
彼はその最たる例かもしれない。
冥土帰し「土御門くん……君の『親父さん』だって、君が死ねば泣くよ」ボソッ・・・
土御門「……、」
冥土帰し「お家の為、義妹の為に生きるのは素晴らしい事かもしれない。だからといって自己犠牲が激しいな」
土御門「……説教は勘弁してほしいぜぃ」
冥土帰し「君だけじゃない。君の周りの若者は基本的にそうだろう? マグヌス然り、神裂然り、『彼ら』然り」
否定できない。
冥土帰し「無論、止める事は出来ない。それが君(ら)が掲げる『必要悪』なら」
土御門「へぇ……アンタは必要悪について如何考えてるんだ?」
冥土帰し「別に僕は潔癖症じゃない。全てが正義であれとは言わない」
だが、『死者』を出す行為(暗部)には絶対に賛同できない。それは僕ら(医者)へのアンチテーゼである。
冥土帰し「平和の為に犠牲は必要。だけどね、土御門……僕は医者なんだ。その質問をされるのは苦痛だよ」
土御門「……ああ、すまない」コクン・・・
冥土帰し「生きている限りは救おう。だから僕は、死ぬな、としか言えない」
これ以上の生死・正義云々については不毛の討論だ。
土御門「とりあえず完治するまではカミやんを頼む」
冥土帰し「ああ。僕の患者である内は『使徒』が来ても手は出させないよ」
土御門「はははは……んじゃ、またにゃ」テクテク・・・
冥土帰し「……土御門」ボソッ
土御門「ん」
冥土帰し「分かってると思うが、能力を過信するな……今更言う事でも無いが、君の能力は完璧では無い。無茶をするな」
土御門「にゃはは。あいよー」ガチャッ・・・
肉体再生。とある国の超人計画から引っ張ってきた能力開発カリキュラム。
彼に無理矢理詰め込む羽目になったのは、自分の責任でもある。
冥土帰し「中心は『英雄』達だけじゃない。君みたいな狂言回しだって、中心なんだ」ボー・・・
それはそれは残酷な話。 - 530 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/30(土) 02:38:30.07 ID:3moh/jgC0
- 土御門が出て行った直後、電話が入る。
急患かと思いきや、案の定、地下に居座らせている暇人からの内通だった。
冥土帰し「僕まだ仕事中なんだけど」ハァ・・・
テレス『用件直ぐ終わるわよ』ケッ
特殊精神障害扱いの患者――テレスティーナ・木原・ライフライン。
犯罪者を匿う為の口実というモノもいるが、何と言われようが『上』が患者と看做したのだ。患者は患者である。
冥土帰し「で?」
テレス『垣根は如何した』
冥土帰し「……、」
テレス『此処最近見ないんだけど』
冥土帰し「……後で、下に行く。その時詳しく話そう」
彼女と同じく特殊な患者扱い……だった、少年。
テレス『……さっさと来い』ブツッ・・・
そそくさと電話を切るテレスティーナ。多分、彼女も分かっている筈。
冥土帰しは内線でナースセンターへ一報入れてから、重い腰を上げ、地下へ向かった。
途中で『妹達』と自分に会いに来た木山春生と鉢合わせる。
木山「先生、どうも。先日お借りした資料を帰しに……ん、如何しました?」
冥土帰し「じゃじゃ馬姫がお呼びでね。時代劇宛ら『爺は何処じゃ!』って感じに」ハァ・・・
御坂妹「相変わらず自分勝手な女ですね、とミサカはあの魔女を酷評します」ムンッ・・・
木山「い、妹くん」マァマァ・・・
冥土帰し「……とりあえず研究室で待っていてくれ。10032号、彼女にコーヒーでも出してあげて」テクテク・・・
木山・御坂妹「「……、」」ジー・・・
元々大きくない彼の背中が、更に丸くなって見えた。 - 531 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/30(土) 03:11:48.21 ID:3moh/jgC0
- ―――十月八日、PM04:45、学園都市第7学区、とある病院地下、隔離病棟・・・・・・
地下の駄々っ広い空間。檻も監視カメラも無いこの部屋に、彼女は『収容』されている。
そのある一角に彼女が座って待っていた。
冥土帰し「……待たせたね」テクテク・・・
テレス「御託は良いから本題に」
冥土帰し「そうかい」スッ・・・
紫煙を吹かそうとした彼女を目で制止し、口を開く。
冥土帰し「その前に、何故彼の事なんて聞くんだい?」
テレス「別に拘ってる訳じゃないけど、居なきゃ居ないで静かだから」
冥土帰し「……それだけ?」
テレス「何が言いたい?」ギロッ・・・
冥土帰し「何でも無いよ」クスッ・・・
舌打ちするテレスティーナ。早く本題に入れと机に足をブン投げた。
実にはしたない。
冥土帰し「彼の寝室、行ったかい?」
テレス「行く訳無いじゃない」ケッ
冥土帰し「行ってみるといい」
テレス「……は?」
冥土帰し「まずは見てきなさい。話はそれからだ……入った事は無くても場所は知っているんだろ? すぐそこの扉だ」
テレス「……変なモン置いてたら打ん殴ってやるわ」スッ・・・
面倒臭そうに立ち上がり、彼―――垣根帝督の部屋に向かうテレスティーナ。
冥土帰しは、ただ悲しそうに、彼女の背中を見詰める。 - 532 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/30(土) 03:55:43.66 ID:3moh/jgC0
- テレスティーナは自ら一度も開けた事のない垣根の部屋の戸に手を掛ける。
『カキネ様の部屋♪』と書いてある時点で気色悪いと毛嫌いしていたのだが、今回ばかしは仕方あるまい。
鍵も掛けずやけに軽い扉。中は、やはりというべきか……暗かった。
テレス「居る訳無ぇか……ん?」ジー・・・
目を凝らす。
テレス「……爺さーん。電気点けるわよー」
冥土帰し「御勝手に」
部屋の電気スイッチを探し、ボタンを押す。そこには……
テレス「っ」
冥土帰し「……別に見てもいいよ」カツカツ・・・
テレス「書類……何、これ」
冥土帰し「見れば分かる」
書類の山。企画書というか、計画書というか……恐ろしい程の枚数の紙が部屋一面に散らばっていた。
とりあえずテーブル上の目立つ大文字表紙の紙を手に取る。
テレス「な……アイツ、馬鹿じゃね」
冥土帰し「僕も、そう思う」
テレス「死にに行ったようなもんじゃねぇか……、」
デカデカと目に飛び込んできた文字……『反攻作戦』、『第一候補(メインプラン)』、『交渉権』。
つまりは、理事会に対してのクーデター。
テレス「爺さん……止めなかったのか」ギロッ・・・
冥土帰し「止めても無駄だろう」
テレス「……アンタなら如何とでも仕様があっただろ」グッ・・・
冥土帰し「君の言葉を借りるけどね……『必然』だよ。君だって分かってるだろ?」ボー・・・
テレス「っ」
変えられない未来(決定事項)。
冥土帰し「男のプライドだって……何ともね、残念ながら……そういうの見せられると男として止め辛いんだよ」ハァ・・・
テレス「下んねぇ」ギリッ・・・
冥土帰し「彼然り、土御門然り、他の男子一同然り……どうして若いくせに」ボー・・・
テレス「……意味分かんね」グゥ・・・
冥土帰し「テレスティーナ……ベットの上を」チラッ・・・
ベットの上……無駄に丁寧に畳まれた布団の横に、手紙と、マーブルチョコレートの山。 - 533 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/30(土) 04:37:19.95 ID:3moh/jgC0
- 唖然。
冥土帰し「因みに、僕には未元物質(超合金)新ゲコ太ーロボ・エンペラーのプラモを置いていったよ」ハァ・・・
テレス「」
冥土帰し「……とりあえず手紙読んだら?」
茫然。
テレス「……あ」パラッ・・・
愕然。
冥土帰し「……先に戻る」クルッ・・・
踵を翻す冥土帰し。テレスティーナは放心状態のまま手紙を開いた。
『多くは書けないんで……色々楽しかった。さいなら!』
それだけ。
テレス「……そう」スッ・・・
手紙を置く。幽鬼の様に元居た場所へ戻る。
冥土帰し「あっさりだね」
テレス「アイツ……何処行ったの?」
冥土帰し「止める気かい?」
テレス「……、」
冥土帰し「分かってるだろ。彼は統括理事長に喧嘩を売りに行く……多分、アレイスターもこうなる事は先読みしてる筈だ」
彼は、死ぬのか。
冥土帰し「さぁ……死なない限りは、助けてやるつもりだよ」
テレス「爺さん、アンタ残酷ね」
冥土帰し「医者ってのはね。そいつが『患者』になって、初めて、そいつと向き合えるんだよ」
テレス「……、」
暫し無言。 - 534 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/30(土) 04:52:24.84 ID:3moh/jgC0
- 医者は、淡々と告げた。
冥土帰し「彼の計画を見させてもらった。多分、明日は忙しくなるだろう」ボソッ・・・
テレス「……理事会に密告しないの」
冥土帰し「無粋だよ」
テレス「そうすれば死傷者が減るわよ」
冥土帰し「無駄だよ……アレイスターは、こういう狂乱騒ぎが好きなんだ。敢えて実行させるだろう。成功失敗は別としてね」
この街を作った意味……『計画』の為に。
冥土帰し「君は如何する」チラッ・・・
テレス「アンタは?」
冥土帰し「言っただろう。『忙しくなる』って……で、君は?」
医者として動く他無い。
テレス「私は……どうすればいい」グッ・・・
如何するべきか、分からない。
冥土帰し「君は動くべきではないだろうね。立場的にも、感情的にも」
テレス「……、」
冥土帰し「予想だが、君が垣根くんに肩入れ又は制止に入った場合、アレイスターが君を消しにかかるよ」
テレス「……じゃあ、何をすれば良い」
冥土帰し「何もしない、がベスト。だけど、ね」チラッ・・・
整備済みの彼女専用駆動鎧を見る。
冥土帰し「はぁ……仕事をやろう」テクテク・・・
テレス「え」
冥土帰し「放っておいたら、君、飛び出して行きかねないでしょ? 君が出れば確実に死傷者が増えるだけだ」チラッ・・・
テレス「……何を」
冥土帰し「とりあえず、あの駆動鎧を万全の状態にしておいてくれ。夜にでも指示を出す」ウィーン・・・
禿げた頭を掻きながら部屋から出ていく冥土帰し。
テレスティーナは、無言で垣根の部屋へ。手紙とマーブルチョコの束を拾い上げ、駆動鎧の方へ向かった……――― - 542 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/31(日) 22:47:17.32 ID:9sZwdw/b0
- ―――十月八日、PM04:30、学園都市第7学区、とある廃ビル・・・(黒妻side)・・・
やる事も無いので『とりあえず』半蔵の下へ行く。
ヤツの所に居れば退屈はしない。あわよくば稼ぎ話なんかも飛び込んでくるので儲けものだ。
半蔵「んな都合良い話、こっちが欲しいくらいですっての」ハァ・・・
と大量のPCディスプレイと睨めっこしてる少年がぼやく。
黒妻「忙しいのか?」
半蔵「見りゃ分かるでしょうに」チラッ
黒妻「何か手伝う?」
半蔵「じゃあ部屋掃除して下さ……冗談です。グー作らないで」タラー・・・
偉くなったもんだ。
黒妻「んで、結局のところ何してんだ?」
半蔵「……色々」カタカタ・・・
黒妻「は?」
随分アバウトな返事だ。というか帰ってくれオーラがプンプンする。
郭「いわば『縄張り(シマ)』の管理ですよ、兄貴さん……はい、コーヒー」コトッ
黒妻「さんきゅ。縄張り、ねぇ」フーン・・・
半蔵「……んな大それた事じゃないですけど、ならず者が顔大きくして歩いて貰っても困るんでね」ハァ・・・
郭「半蔵様、それを縄張り管理っていうんですよ」
学園都市最大級の武装無能力集団(スキルアウト)ともなれば運営が忙しいって事か。
郭「本来、警備員がしっかりしてくれていれば問題無いんですけど、今の渡世ですからねぇ」ヤダヤダ・・・
半蔵「ったく、戦争だか何だか知らねぇけどピーピー小賢しい事しやがって……こちとら良い迷惑ですよ」ポリポリ・・・
だが、責任感と要領はある。そんなキレ者の半蔵だからこそ、黄泉川さんも自警を黙認しているのだろう。 - 543 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/31(日) 23:11:47.43 ID:9sZwdw/b0
- というか、こういう時こそ【駒場(仮面)】が活動すべきではなかろうか。
少なくとも駒場の名前を知っている奴らに対し、抑止効果にはなるだろう。
半蔵「無駄ですね。最近じゃ余所者も平和ボケして暴れ甲斐の有る第7学区に流れ込んできてる」
黒妻「だがよぉ」ムゥ・・・
半蔵「本当にヤバい時はお願いしますが、兄貴はなるべく小さな事では動かないで下さい」
腑に落ちない。
郭「英雄(ヒーロー)の数に対して悪役(ヴィラン)の数が異常に多いんです。此方も無能力とはいえ集団(数)で攻めるしかないでしょう」
黒妻「……そうかい」カチッ・・・ジジジ・・・
郭「幸い、縄張り内ではコソ泥や車上荒らしが殆どですし。我々でも対応できます」
黒妻「だがデカい事件とかもさぁ」
半蔵「そっちに関しては問題ありません。公になれば警備員や風紀委員動きますし、裏でも⑦(削板)が出しゃばってくれるので」
超能力者か。
半蔵「能力者にも人格者はいますよ。固法さんの後輩(御坂美琴)だって抑止効果として良い具合に暴れ回ってくれますし」
郭「裏側では第1位が顔を利かせてますからね。流石この街の二大看板」クスッ
黒妻「ならいいが……『狂人』は?」
半蔵「今のところは無し。まぁ皆ピリピリしてる中でそんなデカい事する度胸有るヤツもいませんよ」
郭「雲川(頭脳)の方からも連絡ありませんから、大丈夫でしょう。兄貴さんは然るべき時の為に英気を養っといて下さいな」
然るべき時。それはきっと近いと思う。
郭「ん……失礼、電話です」テクテク・・・
半蔵「あいよ。A班だったら出店の準備に戻って来い。B班ならモノレールに沿って北上しろって言っといて」
郭「了解です」ガチャッ・・・
黒妻「……慣れたもんだな」クスッ・・・
半蔵「元々、駒場の兄貴も浜面のヤツもこういう事務的な事ぁ俺任せにしてましたからね」ハハハ・・・
黒妻「だがトップ&参謀兼任で良くやってるよ」
半蔵「本来、俺はカリスマなんてもんコレっぽっちも無いんですがねぇ……早く浜面に戻って来て貰いたいですよ」
先天性のカリスマ程先読み(周り)が見えなくても、後天性の方が内部(下から上まで)が良く見える。
人は付いていきやすいだろう。 - 544 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/07/31(日) 23:45:17.75 ID:9sZwdw/b0
- ところで、浜面についてだが。
半蔵「ああ。アイツが戻ってくる気あるなら俺らはいつでも歓迎しますよ」コクッ
黒妻「でも、大丈夫なのか?」
普通に考えればアイツは組から逃げた様にも見える。
半蔵「んー……別に。下請けでアイツが駆り出されてるって考えれば、そうは思いませんよ」
黒妻「でも数日間とはいえ一国のトップだぞ」
半蔵「下請け勧誘してくる『上』の連中にすりゃ、頭も尻も同じスキルアウトですよ。階級なんか関係無い」
黒妻「そりゃそうだがよ……何つーかさぁ」
半蔵「まぁ言いたい事は分かりますが……駒場の兄貴の『遺言』もありますから」ハハハ・・・
遺言?
半蔵「あの人、死ぬ前に『もしもがあったら、次のリーダーは浜面だ』って言ってました」
黒妻「もしもって……そうか」フム・・・
半蔵「古参連中は色々言ってましたけど、あの人キチンと説得しましたし。何より今は俺が頭なんで、文句言わせませんよ」ニヤリ・・・
黒妻「……アイツも、良いダチ持ったな」
半蔵「ホーント、俺ってば何て友達想いなんでしょうねぇ。あ、でも浜面のヤツには今の話内緒にしてくださいよ。恥ずいんで」ハハハ!
流石駒場。良い後輩達を持った。オレは……色々失敗しちまったからな。
半蔵「まぁ……黒妻兄貴の場合は突然でしたからね。駒場の兄貴は『決死』でしたから後の準備も万端で……はい」
黒妻「蛇谷達はまだ塀の中だからな……、」
半蔵「……あんまり自分を責めんでくださいよ。跡目問題なんてのは時と場合にもよりますから」
オレは、何も残せなかった。結局は後ろを振り返らず自分勝手にアクセル回して、後続諸共大破した。
半蔵「んな事無いですって。兄貴の後輩達も塀から出てくれば色々改心してる筈ですから」ポリポリ・・・
黒妻「……そうだな」フム・・・
とりあえず、今は目の前の事から片付けよう。
半蔵「ま、今んところ兄貴が出張る様な異常は無いんで安心して下さい」スッ・・・
黒妻「おう。ところで……所長さんからフルセット届いたのか?」カチッ・・・
半蔵「あ、ども……はい。今やってる作業一段落着いたら見せますよ」ジジジ・・・フゥ・・・
紫煙を点し、資料を自分に回した。 - 545 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/01(月) 00:04:15.76 ID:CsjNTYVl0
- 軽量化、運動性を主にした革ジャン。それから新素材の発条包帯(ハードテーピング)。
詳細資料に目を通そうとした時……電話が鳴った。
黒妻「(雲川か)……ちょっと電話」チラッ・・・
半蔵「りょーかいです」カタカタ・・・
多分、半蔵に聞かせられない話とやらだ。部屋から出て非常階段の扉を開け、電話に出る。
黒妻「あいよ」Pi!
雲川『今何処』
黒妻「開口一番何様だオマエ」ハァ・・・
雲川『良いから言え』
黒妻「……半蔵んとこ」
雲川『馬鹿な事、言ってないだろうな?』
黒妻「言う訳無ぇだろ……で?」
雲川『例の件。情報が入ったけど』
クーデター。
黒妻「ガセじゃねぇだろうな」
雲川『態々嘘吐く為に電話するくらいなら図書館で昼寝してるけど』
黒妻「……何が分かった」
雲川『色々。もし学校来てたんなら直接言おうと思ったけど、仕方ないわね』
黒妻「暇だから行ってもいいぞ」
雲川『結構。精々休んでおきなさい。あ、今日絶対彼女とセックスしちゃダメだけど』サラッ
……。
黒妻「……あのよぉ」ハァ・・・
雲川『何?』
黒妻「いや、オマエはそういう女だよな」ヤレヤレ・・・
雲川『ふーん……セックスするなよー。彼女とラブプロレスするなよー。お触りすら禁止だぞー。リア充爆発しろー』フフフ・・・
黒妻「うっせぇ!」ガアアァ!!
女性が何度もアホな事言うな、ボケナス。 - 546 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/01(月) 01:24:24.89 ID:CsjNTYVl0
- さておき、要は『明日』って事だな。
雲川『ええ』
黒妻「ソースは?」
雲川『暗部の連絡会がゴダゴダしてきたけど。やはり2,3つ、言う事を聞かない班が出てきてる』
黒妻「それだけか」
雲川『あと、やたら外部組織が動いてるらしいな。協力を仰いだか、便乗するかだと思うけど』
何でも理事会の連絡網を聞き渡ったらしい。流石というべきか。
雲川『お褒めの言葉は嬉しいけど。ただねぇ……厄介なんだ。ヤツら部外者への被害は計算に入れてないと見える』
黒妻「は?」
雲川『よく言うだろ。大義の下には犠牲が必要。夢関係者も巻き込む可能性がある』
黒妻「……、」
雲川『主力治安部隊が抜けている今がチャンスと踏んだのだろう。まったく、困ったものだ』
そんな楽観的で良いのか。
雲川『楽観視なんかしてないけど。馬鹿じゃない?』
黒妻「喧しい。兎に角、オレは明日に備えておけば良いんだな」
雲川『ええ……あ、先に重要事項を幾つか伝えておくけど』
黒妻「ん」
雲川『優先度の話だ』
まずは一般人の保護だろう。
雲川『んな事ぁ既存の警備員や風紀委員、服部んとこのスキルアウトにでも任せときなさい』
黒妻「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?!」
雲川『あのねぇ、貴方一人で大多数は守れないけど。そのくらい分かるだろ』
黒妻「そりゃそうだけど……でもよ」
雲川『口答えするな。忘れたの? 貴方、公に顔出せないのよ?』
確かにそうだが……弱者を守るのが本来の目的の筈。 - 547 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/01(月) 01:54:20.92 ID:anX9DFfg0
- だが、雲川の言う事も正しい。【駒場利徳】は表に出せない。
雲川『【仮面】は警察組織から目ぇ付けられてるんだぞ。決して公認されている訳じゃないんだ』
黒妻「……うい」
雲川『暗部とも別枠で動いている。後見人は貝継と神氏、私らだけ。融通利かないだろう』
黒妻「分かったよ……じゃあ話聞かせろ」
雲川『大人しく聞きなさい。で、貴方にして貰うのは今のところ3つ、だな』
黒妻「ん」
雲川『一つ目は親船最中。彼女の監視』
護衛じゃなくて?
雲川『必要無いけど。アレは所謂、偶像だ。新聞やニュース見てれば知ってるだろ』
親船最中。子供思いの真面目な理事だと記憶している。
この街では珍しい『左寄り』な人間だが、それ故に弱者層からの支持も厚い。
雲川『兎角、ヤツらが本気ならアレが犠牲の口火になる筈だけど』
黒妻「ちょ、ちょっと待て。分かる様に話せ」
雲川『はぁ……明日、独立記念日の式典で講演会やるだろう。アレが絶好の的だ』
黒妻「的……クーデター成功の暁には尤も邪魔な存在だからか。盛大な開幕アピールとして、とか?」
雲川『ま、次第点だけど……政治屋共の汚い駆け引きだ。今の貴方が知る必要は無い』
とりあえず指示は分かった。だが内容は容認できない。
黒妻「殺されるのを見す見す見逃せってのは、無理な相談だな」
雲川『チッ。面倒なヤツ……悪いんだけど、如何暗殺するとかも掴んで無い。だから手の打ちようがないけど』
黒妻「狙撃とか爆破とかじゃねぇのか」
雲川『知らない。だけど暗殺なんて、この学園都市の技術を用いたなら幾らでもやりようがあるんだけど』
黒妻「下手に動けない、か」
雲川『本当に親船がターゲットか如何かも核心は無い。狙われる%が一番高いだけで、もしかしたら他の理事に奇襲をかけるかもしれないけど』
黒妻「でもとかもしとかばっかだな」ハァ・・・
雲川『うっさい。あまりに漠然とし過ぎてるんだ。だから思考回路を回すきっかけが欲しいんだけど』チッ
完全に後手じゃないか。 - 548 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/01(月) 02:09:42.85 ID:anX9DFfg0
- だが、と雲川は続ける。
雲川『怪しい単語を見かけたけど』
黒妻「単語?」
雲川『人材派遣(マネージメント)っていうんだけど……多分、「狂人」ね』
黒妻「じゃあ、オレが!」
雲川『動くな。コレに関しては暗部を使う……そうだな。土御門を手駒として動かしてみようか』ククク・・・
この女、根性腐ってらっしゃる。
雲川『兎も角、貴方は指示があるまで監視任務がメインだ。分かったな』
黒妻「はいはい」ハァ・・・
拒否権は無いのだろう。
雲川『それから二つ目……明朝、冥土帰しの所へ行け』
黒妻「病院? 何で?」
雲川『仕事だ……多分、今までで一番辛いぞ。精神的にだけど』
黒妻「意味分からん」
雲川『……負傷者回収任務。先程、アチラの方から連絡が来た。貴方を貸して欲しいとの事だ』
衛生兵?
雲川『つまりは銃弾がめり込む瞬間を見過ごしつつ、負傷者を病院へ担ぎ込め、という訳だけど』
黒妻「……、」
雲川『拒否権はある。だけど、これを逃したらもうクーデターには関与できない筈だけど』
それは困る。だが衛生兵が、人の傷付く瞬間を見逃せというのも可笑しな話だ。
雲川『クーデターを起したヤツらなんか……戦闘不能状態になって貰った方が助かるの。分かるな?』
黒妻「悪魔だな……だが利には適ってる」
雲川『納得する必要なんかない。理解したら肯定とさせてもらうけど』
黒妻「ああ」
とりあえず、参加してしまえば冥土帰し公認の看板を背負って好きに動ける。
それから最愛や仕上達の救出に向かえば良い。 - 549 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/01(月) 02:26:32.43 ID:anX9DFfg0
- そんな事を考えてると、お見通しだと言わんばかりに口を挟んでくる頭脳明晰天才少女。
雲川『何考えてるか知らないけど、貴方にも監視はつけるからな』
黒妻「はいはい。んで、最後は?」
雲川『……土御門舞夏を隠せ』
黒妻「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
これまた意味が分からない。
雲川『今晩中にでも良い。クーデターが起る前には絶対に安全な場所へ移せ。良いな』
黒妻「ちょ、な……それ、土御門の為か?」
雲川『違う……厄介な連中までこの街に引き入れたくないんだけど』
黒妻「厄介?」
雲川『土御門の家……ん。兎に角、知る必要は無い。この街が日本に在って欲しいと思うならそうしろ』
土御門? 日本?
雲川『深く考えるな……とりあえず以上だ。後は出たとこ勝負だけど』
靄が残るが、とりあえず整理する。
病院へ行き冥土帰しと会う。講演会にて親船最中の監視。そして土御門舞夏の安全確保。
雲川『よろしい。それじゃ、また連絡する』
黒妻「ああ……ところで半蔵達には?」
雲川『別口で動いて貰わねばならないんだ。それにヤツらも出たとこ勝負……負担は増やさないけど』
黒妻「分かった。黙っとく」
雲川『うん。では……今晩は彼女とセックs――』Pi!
皆まで言わせるか、このデコビッチ。
黒妻「はぁ……ジャケットと包帯引き取ったら帰るか」
きっと明日が修羅場になるだろう。 - 550 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/01(月) 03:06:19.63 ID:anX9DFfg0
- ―――十月八日、PM06:00、学園都市第7学区、とある廃ビル・・・(黒妻side)・・・
必要な道具一式をトランクケースに詰め込み、お暇する事に。
黒妻「忙しい所悪かったな」
半蔵「いえ、御気になさらず」
黒妻「……明日も今日と同じ作業か?」
半蔵「基本的には同じだけど、明日出店しますから的屋の見回りしに外出ますよ」
黒妻「そうか」
コイツの事だから臨機応変に動いてくれるとは思うが……やはり心配だ。
半蔵「良かったら手伝い来ますか? 普通にバイト代出しますよ」ハハハ
黒妻「行きたかったんだが用事出来ちまってなー。悪ぃ」ポリポリ・・・
郭「ふふふふ、姐さんですかぁ?」ニヤリ・・・
黒妻「ばーろー。美偉も風紀委員で忙しいってよ」
半蔵「一般学生の為の祭日であって、俺らは平日以上の稼ぎ時ですからねー」ハァ・・・
その道を選んだのは、自分達だ。
郭「まぁ少しでも時間出来たら寄って下さいよ。私達はコンサートホール前広場ら辺に居ますから」
黒妻「あいよ。ガキ共連れて行けたら行くさ」クルッ・・・
半蔵「……お子さん方は、皆ご無事で?」
黒妻「まぁ疲れてるが元気みたいだよ。打ち止めちゃんだけは病院だか何だか増えて大変っぽいけどな」
郭「一番小さい子が可哀想に」
そういえば黄泉川さんから可能であれば迎え頼めるかとか言われたけど、多分無理だろう。断りの電話を入れておかねばなるまい。
黒妻「とりあえず、何かあったら連絡しろ」テクテク・・・
半蔵「兄貴も」
郭「御気を付けて」ペコッ
明日以降もまた無事に会いたいものだ……――― - 551 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/01(月) 03:45:07.29 ID:anX9DFfg0
- ―――十月八日、PM06:30、学園都市第7学区、風紀委員第177支部・・・・・・
初春が着いたとの連絡を受け白井が支部に戻ると、御坂美琴、佐天涙子、春上衿衣が支部へ遊びに来ていた。
この糞忙しい時であってもまだ彼女達は此処を喫茶店か何かと勘違いしているらしい。
例の如く喋り続けていると、いつの間にか最終下校時刻間近となっていた。
固法「ほら、そろそろ帰り支度しなさい」
御坂「え? ぁ……うげ。門限ヤバいかも」タラー・・・
初春「相変わらず寮生は大変ですね」アハハ・・・
春上「でも一日中素敵な洋館に、お友達と一緒に居れて楽しそうなの」
白井「あそこはそんなメルヘンチックな所じゃありませんわ。ドチラかというとゾンビ館の方の洋館に近いかと」ハァ・・・
佐天「相変わらず寮監さんの事苦手なんだね」アハハ・・・
この街で一番怖い人間です。
御坂「そういえば明日、寮監さんにボランティアの手伝い頼まれてたんだった」
佐天「ボランティア? もしかして、あすなろ園の?」
御坂「うん。祭日だから手伝い来ないかって……でも私一人だと正直アレでさぁ」アハハ・・・
白井「残念ですが、風紀委員は忙しいので」ポリポリ・・・
一人、顔をキョトンとさせているのは春上少女。
春上「あすなろ園?」
初春「13学区の……児童保護施設ですよ。大圄先生がボランティアしてるって言ってたでしょう。あそこの事です」
白井「そういえば大圄先生、入籍はもう?」
佐天「あはは。式はまだだけどね」クスッ
春上「ほぇ?」ポカーン・・・
自分の担任が如何したのだ、と言いたそうな顔。見かねて初春と佐天が詳細を話した。
春上「わぁ。それはそれはロマンチックなの!」キラキラ・・・
寮監の事も有り何とも言い難いので、発言は控える面々。 - 552 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/01(月) 04:00:52.34 ID:anX9DFfg0
- さておき、御坂は再度確認を取ってみた。
佐天「私はアケミ達と出かける約束してたんですよね」スイマセン・・・
春上「私は大丈夫なの。大圄先生の奥さん、見てみたいの!」パアァ!
御坂「あ、あはは」タラー・・・
無論、それだけではない。
春上「ねぇ……その施設の子供達は『元気』なの?」
初春「……勿論ですよ、心配は要りません」コクッ
『置き去り』として、利用されてたりなどしない。
御坂「……、」ポリポリ・・・
白井「これで逃げれませんね、お姉さま。頑張って下さいまし」ボソッ
御坂「え!? あ、いや、別にバックレようだなんて思ってなかったわよ!」ダラダラ・・・
固法「ふふっ。頑張りなさい」クスクス・・・
春上「御坂さん。明日はよろしくなの!」キラキラ・・・
御坂「え、ええ……(寮監さんと春上さんのコンボを私一人で、か)」アハハ・・・
気持ちは分かるが風紀委員組としては悩みの種が減って助かった。
明日辺りお祭り気分でドンチャン騒ぎしそうな能力者と喧嘩される心配がなくなる。
固法「上条くんのお見舞いは、夜にでもこっそり行きなさい。インデックスちゃん預かっといてあげるから」フフッ
御坂「な、何でアイツが出てくるんですかぁ!!」カアアァ///
白井「む、きいいいいいぃっ!! お姉さま!! あの家畜人ヤプーの所へ夜這に行くなんて許しませんのおおおおぉ!!」ギャー!!
御坂「よ、夜這、ば、馬鹿な事言わないでひょ!!」マッカッカアァ///
佐天「まーた始まった」アハハ・・・
いつもの超電磁砲組(私達)。 - 553 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/01(月) 04:33:32.20 ID:anX9DFfg0
- 一般人4人を帰した所で、風紀委員組はPCに向かった。
初春飾利が書庫(バンク)への侵入を試みている。
初春「うーん。いつもより規制(ブロック)が堅くなってますね」カタカタ・・・
白井「御託は結構。貴女にしてみればその程度朝飯前でしょう」
初春「はいはい……一応、踏み込みましたよ」タンッ
警備員背広組クラスの情報事項。
固法「やっぱり警戒度がマックスね……テロの危険、かぁ」
初春「0930事件の事もありますからね。『魔術』からの攻撃に備えるのは妥当でしょう」
白井「日本カトリック教会からの運動も怖いところですわね……ん?」ピタッ
白井の目に気になる文字が止まる。
白井「『第13学区の重点警備』……いつも以上に?」
固法「幼稚園や小学校が多いのは確かだけど。警備を強化するなら理事長の居る第7学区(此処)じゃないのかしら」
初春「分かりませんね……『内部犯(スパイ)の可能性』も気になります」
白井「それは流石に警備員(身内)で処理して欲しいものですの。私達には如何しようも」ハァ
とりあえずこんな所だ。これ以上は理事役員レベルの情報。流石にそこまでの深入りはしない。
固法「実際起こるかどうかは分からないけど、危険度は高いわね。気を抜かない様に。些細な事でも連絡マメにね」チラッ
白井・初春「「はい」」コクッ
今は警備員の関所班を信用するしかないだろう。後は賽の目次第だ。
固法「今日の所はこれで上がりよ。お疲れ様」
白井「明日は支部員全員7時集合ですわね」
初春「うへぇ……起きるのシンドイですよ」ハァ・・・
固法「皆同じよ。今日は早く寝なさい」クスッ
白井「先輩こそ、彼氏さんと夜遅くまでニャンニャンしてちゃブリゃあっ!!」ガンッ!!
固法「……喧しい」ゴゴゴゴ・・・
余計な御世話だ。互いにそこまで性欲に飢えちゃいない。 - 554 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/01(月) 04:48:13.03 ID:anX9DFfg0
- と、噂をすれば何とやら。先輩からの電話だ。
白井「ほら見ろ」ニヤニヤ・・・
固法「何が見ろだ……はい、もしもし」Pi!
黒妻『おう。仕事終わったか?』
固法「今終わる所です」
後ろでヒソヒソ話している後輩二人を打ん殴りたい。
黒妻『忙しかったら今日ウチ寄らなくても良いぞ』
固法「いえ。バイク返しに行かないと」
黒妻『良いよ。駒場のV-MAX借りてたし』
固法「……は?」
黒妻『V-MAX』サラッ・・・
何言ってんだ、この人。
固法「……先輩のZⅡは?」
黒妻『半蔵んとこ。代わりに駒場の古いヤツ借りてた。オマエ暫くZ-1000持ってて良いぞ』
固法「呆れた……どっちにしろ、先輩の家にはお邪魔しますよ。じゃないとカップラーメンか雑な創作料理でしょ」
黒妻『別に良いだろ』ブーブー!
固法「他の子達も食べるんだから駄目です」キッパリ!
黒妻『……オレの心配じゃねぇのな』ハァ・・・
そういえば香焼くん達は如何したのだろう。
黒妻『那由他ちゃんしか連絡来てないぞ。もし二人が来るようなら迎え来て欲しいだって』
固法「……了解です。何にしろもう少しで帰ります」
電話を切り、後ろ二人にサブミッションを決めた後、香焼くんと最愛ちゃんにメールを入れる。
固法「元気なら、それでいいけど」ムゥ・・・
便りが来ない内は元気な証拠というが、彼らはまだ幼い。片や理事校生、片や強能力者(本来は大能力)といえど子供なのだ。
ママゴトと言われようが、母親として、子供が心配なのである……――― - 558 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/01(月) 23:07:29.22 ID:Mm6LgAOn0
- ―――十月八日、PM07:00、学園都市第7学区、とある公園・・・(鉄網side)・・・
秋中・寒露の日の最終下校時刻。星の明かりが消えるくらい月明かりが勝っている夜。
警備員が下校指導を始める時間帯、鉄装綴里も第7学区のとある公園を巡回していた。
明日は祝日という事で夜遊びをする学生がいても可笑しくはない。本部からは普段より一層警戒を務める様にと訓示が来ていた。
だがしかし、街中や路地裏は騒がしいかもしれないが、此処の様なのどかな公園に屯する様な子供は居ないだろう。
そう考え、夜の散歩気分で巡回を続けていた。
鉄装「明日は忙しいから早めに上がりたいなぁ……って、あれ?」チラッ・・・
ふと、自販機近くのベンチを見遣る。二つの人形……の様な少年少女。
鉄装「えっと……え?」タラー・・・
ピクリとも動かない。
自分がもしホラー映画のモブキャラなら、確実にこの二人(?)に不意を突かれて御釈迦にされるだろう。
鉄装「そ、そんな訳ないか」アハハ・・・
此処は科学の街。そんなオカルト染みた話があってたまるか。
ぬこ「……フシャー!」ザッ!
鉄網「ひっ!!」ビクッ!!
茂みから猫の声。ますます恐怖度が。
鉄装「あ、あはは……あ、えと……うん」ポリポリ・・・
警備員として話しかけるべきなのだろう。自分の先輩ならきっとベンチに一発蹴りを入れる所だ。
絹旗「ん……、」モゾッ・・・
鉄網「う、動いたあああぁっ!!?」ギョッ!!
傍から見たら『彼女は何に怯えてるんだ?』状態である。 - 559 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/01(月) 23:21:47.28 ID:Mm6LgAOn0
- ―――(香焼・絹旗side)・・・・・
何やら騒がしい。それから、寒い。
朦朧とする意識の中、絹旗少女は薄ら目を開き、ボンヤリと周りを見た。
絹旗「……ぁ」ボー・・・
鉄網「あ、え、えっと……こんばんわ」アハハ・・・
絹旗「……ん」ジー・・・
鉄網「だ、大丈夫? どうかしたのかな?」アセアセ・・・
目の前の女性は何だ?
鉄網「えっと、警備員ですよ。最終下校時刻なので下校指導してまして、はい」ポリポリ・・・
絹旗「最終下校じ……っ!!?」ギョッ!!
香焼「ふぇっ?!」ドサッ!
急遽立ち上がる。そして携帯を取り出し時間を確認。
鉄網「良かった。幽霊じゃなかった」ホッ・・・
絹旗「え、あ……えっと……その……、」シュン・・・
鉄網「あ、何でもない何でもない……えっと、此処で何してるのかな? もしかして迷子かしら?」
絹旗「……、」シュン・・・
鉄網「……ん?」ポカーン・・・
極度の人見知り故、一人では話せない。
鉄網「うーん……隣の子はお友達かな?」タラー・・・
絹旗「……、」コクッ・・・
無言で香焼を揺する。その香焼もいきなり起こされたので何が何だか把握できていない模様。
香焼「え……あれ?」ポカーン・・・
絹旗「……香焼」ギュッ・・・
香焼「へ?」ボー・・・
鉄網「あのー、大丈夫?」ポリポリ・・・
……状況解析中。 - 560 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/01(月) 23:54:35.52 ID:Mm6LgAOn0
- 一寸後・・・・・色々把握。
香焼「す、すいません! 急いで帰りますので!!」アタフタ・・・
鉄網「あはは、そういう事なら仕方ないわ」クスクス・・・
最愛が猫と戯れた後、ベンチで寝む掛けしだした。
その時3時くらいだから少しだけ寝かせてあげようと思い肩を貸したのだが……自分も寝てしまっていたらしい。
鉄網「でも吃驚したー。誰も居ない公園でまったく動かない二人が幽霊か何かに見えたから」クスクス・・・
絹旗「……超人間です」ムスー・・・
香焼「さ、最愛」タラー・・・
鉄網「兎に角、早く帰るのよ。夜のデートは素敵だけど、最近は物騒だから」フフッ
絹旗「で、デートじゃないです! 馬ぁ鹿っ馬あああぁ鹿!!」カアアァ///
香焼「最愛、相手警備員さんだよ」ダラダラ・・・
鉄網「あはは。女の子同士なのに真っ赤ね。冗談よ」
香焼「自分は男っす!」ガアアァッ!!
鉄網「あ、あれ。ごめんごめん……と、とりあえず私はこれで。寄り道しちゃダメよー」テクテク・・・
また女扱いされた。
絹旗「超失礼な眼鏡です。きっとあの眼鏡が本体なんですよ。姉貴さんみたいに」ジトー・・・
香焼「違うからね。固法さん普通に視力悪いだけだから。あと能力制御」アハハ・・・
オマエは今まであの人をそういう目で見ていたのか。
香焼「それより……もう行ったよ。隠れる必要無くない?」チラッ・・・
絹旗「あ……す、すいません」モジモジ・・・///
香焼「もう七時だ。知らない間に3時間以上も寝ちゃってた」アハハ・・・
絹旗「むぅ……ごめんなさい」ペコッ・・・
香焼「良いよ、気にしないで。自分も良い休養になった」クスッ・・・
互いに疲れていたのだ。
先の昼寝は身体は冷えてしまったが、精神的な疲労は軽くなった。素直に嬉しい事だ。 - 561 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 00:50:11.29 ID:I09iOaXY0
- それにしても……寒いな。
絹旗「超寝てたから余計に超寒いです」ブルル・・・
香焼「装甲は?」
絹旗「窒素が温かいと?」
香焼「……成程」アハハ・・・
自分は魔術で簡易保温を掛けれるからまだしも、彼女は厳しいだろう。
香焼「って……実は寒いの弱点なの?」チラッ・・・
絹旗「うっ」ギクッ・・・
香焼「……そう考えると、最愛の能力って万能じゃないんだね」クスクスッ
絹旗「な、ちょ、超最強ですよ! ただ、その……装甲関係無い精神操作系とか音波系はアレなだけで」タラー・・・
それを弱点というのではなかろうか。
絹旗「う、五月蠅いです! ブッ飛ばしますよ!」ムキー!
香焼「あはは。ごめんごめん。最愛は最強だねー」フフッ
絹旗「超馬鹿にしてる!」フシャー!!
馬鹿にはしてない。寧ろ褒めてる……と言ったらおかしいかもしれないが、正直嬉しい。
絹旗「……私は弱いなんて言われても嬉しくないですよ。てか、香焼も超変です。何で私が弱いと嬉しいんですか」ジトー・・・
香焼「それだけ最愛が普通の女の子って事だろ」クスッ
絹旗「……よく分かりません」ムゥ・・・
可愛らしく小首を捻る彼女の背中に、そっと手を置く。そして……数節詠唱。
絹旗「っ!!?」ドキッ!!
香焼「……あったかい?」チラッ・・・
絹旗「え、あ、う、うん。な、そ……ふぇ!?」オドオド・・・
香焼「手品(マジック)だよ」クスクス・・・
絹旗「あ、ああ……ふぉあぁ」ヌクヌク・・・
身内に見られたら確実に説教されるだろう。自己満足の魔術使用。 - 562 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 01:14:01.35 ID:I09iOaXY0
- ―――十月八日、PM07:30、学園都市第7学区、とある公園・・・・・・
ふと、携帯を見る。メールが数件入っていた。
同時に最愛も同じような反応。
香焼「『飯は?』ってあの人(対馬)……自分で作れよ」タラー・・・
絹旗「麦野……『何処?』って三文字だけで送らないで下さい。超怖いです」タラー・・・
そろそろ帰らないと拙い様だ。
香焼「あ」カチカチッ・・・ピタッ・・・
絹旗「あらら……姉貴さんから来てましたね」ヤバイ・・・
香焼「今からお邪魔するのは流石に迷惑だろうし」ウーン・・・
絹旗「電話入れときます?」
香焼「そうしよっか」カチカチ・・・Pi!
履歴から固法さんの番号をクリックする。
絹旗「もしかして夕飯中かもしれませんね」
香焼「うん……また掛け直そう」スッ・・・
電話を切ろうと瞬間……声がした。
黒妻『ん。よう』Pi!
香焼「あれ? 黒妻さん?」
絹旗「え?」
黒妻『美偉料理中で手ぇ離せないから代わりに』
香焼「成程。あ、えっと」
黒妻『来れるのか?』
苦笑。
黒妻『そうか……まぁ、時間出来たら遊びこい』
香焼「はい……あ、最愛と変わりますか?」
黒妻『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・オマエ、何でこの時間に最愛ちゃんと一緒に居んの?』ハ?
一緒に昼寝してました、とは言えない。 - 563 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 01:35:30.72 ID:I09iOaXY0
- さておき、一応最愛と変わる。
黒妻『よう。香焼に変な事されてないか?』ハハハ
絹旗「こんばんわ。超お久ですね。大丈夫ですよ、何かされる前にし返しますから!」フンッ!
本気で言ってそうだから怖い。
黒妻『おう。最近忙しいみたいだからな。オレもお邪魔してないし』
絹旗「兄貴さんならいつでもウェルカムですよー……と言いたい所ですが、色々と立て込んでるので」アハハ・・・
黒妻『行ったら怒られるか?』
絹旗「うーん……麦野がピリピリしてますから控えた方が良いですね。機嫌良くなったら私か浜面が連絡するので」
黒妻『ん、分かった……あ。美偉変わるって。ちょっと待って』
固法さんの手が空いた様だ。
固法『もしもし。最愛ちゃん?』
絹旗「ええ、私です。超御無沙汰してます」
固法『うん。思ったより元気そうで良かった』ホッ・・・
絹旗「あはは、心配掛けてすいません。姉貴さんこそ、今風紀委員で忙しいんじゃないですか?」
固法『私は大丈夫。それより貴女や香焼くんの方が心配よ。あと……麦野さんも』
絹旗「……麦野は大丈夫ですよ。超忙しいのは確かですけど、体調崩したとかそういうんじゃないんで」
固法『そう。まったくメール帰って来ないから心配で』ハァ・・・
そういえば女教皇様も麦野さんからメール帰って来ないとか心配してたな。
絹旗「……後で超キツく言っておきます」ハァ・・・
固法『別に返事しろとは言わないけど、身体に気をつける様言ってね。あと神裂さんには連絡してあげてとも』
絹旗「超了解です。じゃあ香焼に変わります」チラッ・・・
電話を手渡され、久しぶりと挨拶をする。
固法『最愛ちゃんに変な事してないわよね?』
夫婦して開口一番同じ事言わないで下さい。 - 564 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 02:03:46.08 ID:I09iOaXY0
- 固法『冗談よ。そんな度胸無いでしょ』フフフ・・・
香焼「……何だかなぁ」ハァ・・・
固法『ふふっ。とりあえず香焼くんも元気そうね』
香焼「ええ。御二人も元気そうで何よりっす」
固法『神裂さんも元気?』
香焼「忙しいみたいっすけど、とりあえず問題無いかと」ハハハ・・・
書類の山に頭を突っ込んで寝る毎日だとか何とか。
固法『そっか。皆大変ね……、』
香焼「……きっと大丈夫っすよ。近い内に平穏戻りますから」
固法『そうね。そう願ってる……那由他ちゃんも打ち止めちゃんも会いたがってるから、また皆でご飯食べましょ』
香焼「はい。お邪魔させて貰います」
それを成す為に僕らも尽力する。
固法『よろしい。それじゃあ、ちゃんと最愛ちゃんの事送り届けるのよ。良いわね』
香焼「ええ。責任持って見送ります」
固法『うん。じゃあ……あ、先輩が話あるって』
まだ何かあるのか。
黒妻『悪い悪い……なぁ。最愛ちゃんの様子、いつもと違ってなかったか?』
香焼「忙しくて疲れてるって事以外は特に……、」チラッ・・・
絹旗「ん?」
黒妻『そうか……分かった。因みに明日の予定は?』
香焼「明日はフルで仕事っすよ」
黒妻『……、』
急に黙った。様子がおかしいのは黒妻さんの様な気がする。如何したのだろう。 - 565 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 02:16:58.77 ID:I09iOaXY0
- 数秒して、深刻そうな声で口を開いた。
黒妻『最愛ちゃんも……明日仕事か?』
香焼「ええ、そう言ってましたよ」
黒妻『……どんな仕事だ? オマエも教えろ』
それは流石に秘匿事項なので教えられない。例え親しい中であっても公私混同は出来ない。
黒妻『……教えろ』
香焼「く、黒妻さん?」タラー・・・
半分怒っている様な声。まるで『別人』。
彼の迫力に蹴落とされて、曖昧に返事を帰してしまう。
黒妻『……街中での仕事か?』
香焼「え、えっと……とりあえず、そんな感じっす」
黒妻『「力」使う仕事か? 偵察とかSPとかそっちか?』
香焼「こ、後者かと」
黒妻『……なら良い。最愛もか?』
最愛に今の内容を説明し、回答を貰う。
香焼「とりあえず『仕事』が有るとだけ……状況によって変わる内容だから、待機しといて臨機応変に動くとか言ってます」
黒妻『……そうか』
香焼「黒妻さん。あの……何かあったんすか?」
黒妻『何も無きゃ良い。それだけだ』
怖い……本気で怒った時の教皇代理の様な雰囲気が電話越しで伝わってくる。
黒妻『何かあったら絶っっ対連絡しろよ。良いな?』
香焼「え、ええ」
黒妻『……うん。それじゃあ気を付けて帰れよ。冷えてきたから風邪引かない様にな』
香焼「はい。それでは」Pi!
絹旗「……如何したんですか?」
香焼「分かんない……でも、何か怖かった」フム・・・
あまり良い予感はしない。だが深く考えるのも拙いだろう。 - 566 :>>1にかわりましてカキネがお送りします :2011/08/02(火) 02:36:01.55 ID:VwxvoNBo0
- さておき、最愛帰りは如何するのだろう。
絹旗「今日は『ビル』の超近くのホテルなので歩いて帰れます」
香焼「じゃあ途中まで送るよ。そこから近くの駅で電車乗るから」
絹旗「悪いですよ。バス拾って貰った方が良いんじゃ」
香焼「あはは。ビルの屋上駆けて……ん。何でも無い」コホンッ・・・
絹旗「へ? ビルの屋上?」ポカーン・・・
天草学徒専用路の事をばらす訳にはいかない。
香焼「兎に角送るよ。気にしないで」
絹旗「あ、うん。ありがと」
干していたパーカーを着て、ゴミを捨て、帰り支度。
香焼「でも『ビル』の近くって、理事長宅(アレイスターんとこ)の近くだろ?」
絹旗「はい。『あれくさんだー』ってホテルです」
よく女教皇様やステイルが泊まるホテルだ。プライベート使用なら一泊20万5000円。
絹旗「あそこそんな高いんですか?!」ギョッ!!
香焼「知らないで止まってるの?」タラー・・・
絹旗「む、麦野が勝手に予約してるので……給料から引かれてたら如何しましょう」アワワ・・・
香焼「……因みに、最愛の月給聞いて良い?」
絹旗「月に拠りますけど、平均して[禁則事項です]万円です」サラッ
香焼「」
自分の[ピーーー]倍だ。
絹旗「だってまぁ仕事内容が……ね」アハハ・・・
香焼「っ……ごめん。この話止めよう」
絹旗「……そうですね」コクッ・・・
折角楽しく話していたのに、嫌な事をぶり返すのはナンセンスだ。 - 567 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 02:58:50.28 ID:VwxvoNBo0
- ―――十月八日、PM07:45、学園都市第7学区、とある大通り・・・・・・
明日が祭日なので街中では夜遊びをしている学生が居るかと思いきや、そうでもなかった。
戦争ムード故に自粛傾向なのか、それとも明日はしゃぐ為に大人しくしているのか。まるで嵐の前の静けさの様だ。
絹旗「ま、暴れてる連中の殆どは路地裏でしょう」
香焼「そうなのかな」
絹旗「表通りはいつも以上に警備員やら風紀委員が目を光らせてますからね。デカい事出来る勇気が有るヤツなんて居ませんよ」
確かに。良い事だ。
絹旗「……あ」チラッ・・・
香焼「ん? どうしたの?」
絹旗「……あれ」スッ・・・
コンビニを指差す。立ち読みをしてる人?
香焼「あ……御坂さん」ウワー・・・
絹旗「超能力者(模範生徒)が聞いて呆れますね。普通に週刊誌読んでますよ。姉貴さんに言いつけてやりましょうか?」ハハハ
香焼「放っておいてあげようよ」アハハ・・・
絹旗「こっち気付いてませんし、もうちょっとだけ観察しません?」クスクス・・・
香焼「えー(何か嫌な予感しかしない)」タラー・・・
確かにコンビニで立ち読みしている人を観察するのは面白いが、自分が立ち読みしてる時の事を考えさせられるのでオッカナイ。
絹旗「ぷっ。今ニヤってしましたよ、ニヤって」プププー
香焼「最愛止めようよ……ぷっ」クスクス・・・
絹旗「今度は何か呟いてる! 超呟いてます! 超恥ずかしー!」ウェヒヒ!
香焼「今度は赤くなってるし……って、外で見てる自分らかなり怪しいっすよ」タラー・・・
誰かに見られたら確実に変人である。
絹旗「あはは! 超思いっきり顔近づけましたよ! 何か超気になる展開だったんでしょうか!」ケラケラ!
香焼「さ、最愛。そろそろ……―――」
御坂『……ん』チラッ・・・
香焼・絹旗「「―――……ぁ」」ピタッ・・・
現在、最愛が御坂さんを指差して笑っている所で停止中。
三者、暫時フリーズ。 - 568 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 03:16:56.23 ID:VwxvoNBo0
- そして……先に此方が始動。
絹旗「超エスケープ!!」ダッ!
香焼「な、に、逃げるなよ! 怪しまれるだろ!」アワワ・・・
刹那、後ろからビリビリしたプレッシャー。
御坂「待てええええええええぇっ!! 変人兄おおおおぉ妹いいいいいぃ!!」ビジバジ!!
香焼「ほら追ってきたああああぁっ!!」ギャアアアァッ!!
絹旗「うわぁ! こっち来ないでくださいってばああぁ!!」ウワアアアァ!!
その形相、雷神の如く。そこまで怒るか?!
御坂「何人の顔見て笑ってんのよおおおおぉ!! 死ねええええぇっ!!」ビリビリッ!!
香焼「ご、ごめんなさい! 御坂さんがコンビニ居るの気になって……最愛も謝って!」アタフタ!!
絹旗「漫画見ながら超ニヤニヤして超ー気持ち悪ーですねー。エロ漫画でも見てたんでしょうか?」アハハハ!
御坂「……殺すっ!!」カアアアァッ///
香焼「ぎゃあああっ!! 余計に火ぃ点けて如何すんのさああっ!!」ウワアアァンッ!!
絹旗「やーい。超ムッツリすけべ超電磁砲(レールガーン)! 最終下校時刻過ぎにエロ本読んでるスケベ絶対能力者(レベル6)ー」ベー!
御坂「百回殺す! 千回死なす!!」ビジバジバリバリッ!!
勘弁してくれ!
絹旗「へへへー。こうなったら力で黙らせてやりましょうか!」ピタッ・・・ニヤリ・・・
香焼「怒るよ! 良いから謝って逃げるぞ!」ガシッ! グイッ!
絹旗「うわっと!? ちょ、手引っ張んないでくださいよ!」アタフタ・・・///
御坂「馬鹿にするだけじゃなくてイチャイチャしやがってぇ……私だってしたいのに……真ヒロイン(笑)を嘗めんなああぁっ!!」ガー!!
香焼「すれば良いでしょうが!! あと自分で『(笑)』とか付けないでください!」タッタッタッタッ!
絹旗「い、イチャイチャなんかしてないです! ヴぁかヴぁーかっ!!」ギャーギャー!!
香焼「下らない事で喧嘩すんな!!」ダアアアァッ!!
結局、路地裏に逃げ込んでしまい……大きなお兄さんや魅惑的なお姉さんに絡まれそうになりながら、御坂さんを巻いた。
後方で雷が落ちる様な音や『すごいパーンチ』とかいう声がしたが、聞かなかった事にしよう。 - 569 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 03:40:19.65 ID:VwxvoNBo0
- 一寸後……何故かとあるビルの屋上に逃げ込んでいた。
正直疲れたので動きたくない。
絹旗「あーあ。折角の休日に、最後の最後アイツの所為で超疲れましたよ」ハァ・・・
香焼「最愛の所為でしょうが」ッタク・・・
絹旗「まぁ私は喧嘩買ってやっても良かったんですけどね」
香焼「いや、だから売ってただろ」ハァ・・・
彼女らしいといえば彼女らしいのだが、不思議な性格だ。
好意を寄せているか苦手か、両極端には感情豊かに対応する。微妙なラインは人見知り。不器用なこって。
絹旗「あー……超稲妻走ってますね。アソコら辺に居るんでしょうか」オー・・・
香焼「多分、軍覇来た気がするから喧嘩になってるんじゃないかな……止めるべきかなぁ」ハァ・・・
絹旗「チッ。削板のヤツに獲物取られました……大丈夫でしょう。これだけ暴れれば警備員が来ます」
香焼「獲物って……まぁサイレンの音聞いてあそこに居る人達散ってくれれば良いんだけどね」ヤレヤレ・・・
絹旗「心配症ですね。路地裏民ってのは逃げる事にかけては天才的ですから大丈夫ですよ」クスクス・・・
香焼「何だかなぁ」ポリポリ・・・
あそこの人達に申し訳ない。
絹旗「あ! あのホテルですよ。『ビル』の左奥のヤツ」ピッ!
香焼「うん、知ってるよ」アハハ・・・
絹旗「なーんだ。超つまんないのー」ブー!
口を尖らせ柵の方へ歩み出す最愛。それから寄り掛り、空を見上げた。
絹旗「えっと……アレが『おりおん』でしょ。アレが『ぽーらスター』」ビシッ・・・ビシッ・・・
香焼「うん、詳しいね」ハハハ
絹旗「香焼が教えてくれたんじゃないですか」クスッ・・・
そんな事も有った様な……無かったような? まぁドチラでも良いか。
香焼「この時間だと北極星(ポーラ)から定距離に……北斗七星(ディッパー、ピロー)っすよ」
絹旗「あ、知ってますよ。横に8つ目の星が見えるヤツですよね」ニコニコッ・・・
香焼「……冗談だよね?」タラー・・・
絹旗「あははは。勿論」クスクス・・・
苦笑。 - 570 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 03:57:26.50 ID:VwxvoNBo0
- それから騒ぎが収まるまで屋上で待機。
互いに身内には『ゴダゴダに巻き込まれたから身を潜めてるから、帰りが遅くなる。心配するな』と一方入れた。
絹旗「……星見ってのも楽しいですけど、寒くない準備しとかないと駄目ですね」ブルル・・・
香焼「……、」スッ・・・
絹旗「ふぇ!? だ、大丈夫ですよ!」アワワワ・・・///
最愛の肩にパーカーを掛ける。自分は『保温魔術』があるので幾分か我慢できる。
絹旗「あ、ありがとう……、」キュッ・・・
香焼「流石に夜は七分袖じゃ寒いでしょ」ハハハ
絹旗「香焼だって半袖ですよ。見てる方が超寒いです」ジー・・・
香焼「こう見えても鍛えてるから大丈夫だよ」
絹旗「……身長止まりますよ?」
余計な御世話だ、バカヤロー。
香焼「……あ、来た」チラッ・・・
絹旗「え?」キョトン・・・
サイレンの音。これで少しは収拾がつくだろう。
香焼「やれやれ……後で御坂さんに謝らなきゃダメだよ」メッ!
絹旗「何で」
香焼「最愛」ジトー・・・
絹旗「うっ……まぁその、その内」タラー・・・
仲良くしないと打ち止めちゃんに怒られる。
絹旗「それは超困ります」ウー・・・
香焼「じゃあ仲良くする事。OK?」
絹旗「……はい」ムゥ・・・
すまない、とフードを深く被ってみせる最愛少女。舌を出して笑って無ければ完璧だったが、許してやろう。 - 571 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 04:12:51.68 ID:VwxvoNBo0
- 頃合いを見計らって下に降り、大通りに戻る。
途中コンビニで買い物したので夜食でも買いに来た兄妹くらいに見えるだろう。職質はされまい。
あんまんを美味しそうに頬張る彼女の横顔を見る。
普通の女の子。
だが……しかし……
絹旗「もきゅもきゅ……ん」チラッ・・・
香焼「……、」ボー・・・
絹旗「……えいっ」ムギュッ!
香焼「ひゃっ!?」ギョッ!
いきなり頬を抓られた。
絹旗「また超難しい事考えてたでしょ」モキュモキュ・・・
香焼「え」
絹旗「超顔に出てます。相変わらず超分かり易いですね」フフッ
読まれたか。
絹旗「……私だって、もう、何が正しいのか分かんないんです。考えたら負けなんですよ」クスッ・・・
香焼「最愛……、」
絹旗「兄貴さんが前に言ってました―――」
『世界がもう少しだけ私(最愛ちゃん)に優しければ、君は普通に学校へ通い、普通に友達とショッピングへ行く女の子だった』と。
絹旗「―――……そう思ってくれる人が少しでも居るってだけで、超嬉しいんですよ。十分世界は優しいです」ニコッ・・・
香焼「……そんな」シュン・・・
絹旗「それよりも……香焼や兄貴さんに娼婦を憐れむ目で見られる方が……悲しいんです。特に貴方には」ハハハ・・・
香焼「っ……、」グッ・・・
アニェーゼと同じ事を言われた。良かれと思って考えている事が全て自分に酔っているだけ。
レッサー曰く、『正義の味方的な俺カッケー』状態だったか……まさにそれだ。
絹旗「だから深く考えないで下さいよ……自己嫌悪してる香焼も嫌いですって」ムンッ
香焼「……ごめん」
ホント、最低だ。 - 572 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 04:33:06.69 ID:VwxvoNBo0
- 絹旗「はぁ……香焼」クスッ・・・ギュッ・・・
香焼「ぁ……え!?」キョトン・・・ドキッ///
手を握られた。
絹旗「お返しです……帰りましょう」ニカッ!!
香焼「う、うん」ポリポリ・・・///
『いつ』のお返し(仕返し?)か分からないが、そのまま最愛のホテル付近まで歩く事に。
暫く無言。先程の様な気まずさはなかったが……何か恥ずかしい。
次の曲がり角を曲がったら到着というところで、最愛が口を開いた。
絹旗「例えば……例えば、ね」ボソッ・・・
香焼「……うん」コクッ・・・
絹旗「私が殺されそうになったら、如何します?」
香焼「っ!!?」ギョッ!!
いきなり何を言う。
絹旗「あはははは……やっぱ超驚きますね」アハハ・・・
香焼「な……縁起でも無い」タラー・・・
絹旗「……ううん。忘れて」ニコッ・・・
香焼「……助けるよ」
絹旗「私より弱いのに?」クスッ・・・
香焼「そういう問題じゃない。助けるって言ったら助ける」ギュッ・・・
近くに居る限り、必ず助けに行く。それが例え学園都市の超電磁砲(第3位)や一方通行(第1位)でも。
絹旗「近くに居なきゃ助けてくれないんですね。超ショックです」クスクスッ
香焼「その時は……友達とか仲間を頼るよ。誰か最愛を助けてくれって。軍覇然り、那由他然り……自分らより強いだろ」コクッ
誰かに『助けを求める』のも勇気。自分は一人ではないのだ。 - 573 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 04:54:17.12 ID:VwxvoNBo0
- それは彼女にも訴えたい。
香焼「助け、呼んでよ。絶対に……何かあったら必ず」ギュゥ・・・
絹旗「あんまり期待しないで待ってます……香焼こそ、助けてって言って下さいよ」クスッ・・・///
彼女が弱音を吐く時……本当に『救い(助け)』を求めた時こそ、自分が『手』を差し伸べる。
それが彼女に対しての真意(気持ち)であり、望み(想い)である。
香焼「それからお願いなんだけど……えっと、命令かも」チラッ・・・
絹旗「え? あ、うん」ハテ・・・
香焼「もしローマの『魔術(科学結社)』と戦う仕事回されたら……絶対断って。何言われても断って」グッ
絹旗「は?」ポカーン・・・
香焼「もし強制的に参加させられそうになったら逃げて。必ず逃げて」ジー・・・
絹旗「ちょ、な、何で」タラー・・・
香焼「良いね? 隠れる場所に困ったら郊外の『オルソラ教会』って所に逃げれば安全だから……分かった?」
絹旗「え、ええ」コクン・・・
畳み掛ける様に言い放つ。こればかりは有無を言わせない。
彼女を死駒にさせる様な組織に、彼女を置かせはしない。
香焼「……うん。迫ってごめんね」ペコッ
絹旗「いえ……それより、その『魔術』だかっていう結社について何か知ってるんですか?」
香焼「……皆まで言えないけど、一人ひとりが『C・D(キャパシティ・ダウン)』を使うと思って」
絹旗「なっ……そ、そんなの、能力者側が勝てる訳無いじゃないですか!」ギョッ・・・
科学的に証明できない『魔術』を彼女達能力者が防ぐのは不可能だ。
現に今僕がナイフに魔力を込めて、彼女の脇腹に突き刺せば『装甲』を突き破り、ハラワタを抉る事が出来る……だろう。
香焼「だから頼む……戦わないで」
絹旗「俄かには信じがたいですけど……分かりました。頭に入れておきます」ムゥ・・・
科学と魔術が交差しない様、必要悪の教会(自分ら)も努力する。 - 574 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 05:11:48.84 ID:VwxvoNBo0
- 話している間にホテルの門前に到着。
絹旗「次いつ会えるか、分からないですよね」アハハ・・・
香焼「うん。互いに決まった休みなんて貰えないだろうから」ポリポリ・・・
今生の分かれという訳ではないが、いつ何時『最悪』があるやもしれない。
香焼「……死なないで」ギュゥ・・・
絹旗「自分の心配して下さいよ」モゥ・・・///
香焼「……、」クスッ・・・
手を、離す。
絹旗「……えっと」ジー・・・
香焼「……うん」ジー・・・
絹旗「……、」モジモジ・・・
名残惜しいが、明日も互いに忙しい。
香焼「また、ね」スッ・・・
絹旗「ぁ……、」シュン・・・
香焼「……大丈夫。電話するよ」ニコッ・・・
絹旗「うん……分かりました」ニコッ・・・
……。
香焼「っ……最愛、ちょっと待って」カキカキ・・・メモメモ・・・
絹旗「え?」
香焼「……これ、本当に非常時に電話して」スッ・・・
『077』から始まる電話番号。
絹旗「これは?」
香焼「……非常時用。いつもの番号で電話出なくても、こっちなら必ず出る」コクッ・・・
絹旗「……うん。ありがと」クスッ・・・
仕事用。悪用される心配はしてない……心配なのは彼女の安否だ。
香焼「それじゃ……またね」ノシ
絹旗「うん。ばいばい」ノシ
また無事に会えると信じて……――― - 575 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 05:33:54.39 ID:VwxvoNBo0
- ―――十月八日、PM09:00、学園都市第7学区、都市立ホテル『Alexander』、VIPプライベートルーム・・・・・
ガチャッ・・・・
絹旗「……ただいま」ソー・・・
麦野「遅ぇっつのバカヤロー。早く帰って来いっつったろ」ギロッ・・・
絹旗「っ……すいません」ビクッ・・・
滝壺「むぎの……きぬはた、おかえり。ご飯食べてきた? 食べて無かったらデリバリーするから先にお風呂入っちゃってね」ポンッ・・・
絹旗「食べてません……超簡単なものでいいので、お願いします」トコトコ・・・
麦野「チッ」ゴクゴク・・・
滝壺「むぎの……カッカしないで」
麦野「……してないわよ。遅く帰ってきたから叱っただけ」フンッ・・・
フレンダ「ま、まぁまぁ。とりあえず炭酸ガブ飲みでもしてリフレッシュしとこー」コトッ
麦野「……明日以降の任務で、あの子が躊躇ったり怪我したりしたら、あのガキ(香焼)如何してくれようか」ガキッ・・・
フレンダ「む、麦野!?」ギョッ・・・
滝壺「むぎの。落ち着いて……大丈夫。こんな時期にきぬはたの心揺さぶる様な危険な事しない筈だよ。あの男の子、利口だもの」トンッ・・・
フレンダ「そ、そうね。絹旗の事少しでも知ってれば結局、あの子がブレて命取りになる様な事言う筈無い訳よ」アハハ・・・
麦野「チッ……、」スッ・・・
着信アリ・・・『固法美偉』、『神裂火織』。
麦野「……寝る。明日は昼前にファミレス集合よ。遅れたら殺すからね、フレンダ」テクテク・・・
フレンダ「じゃあ泊めてくれたりなんかして一緒の布団でニャンニャンと……あ、冗談です、睨まないで。帰ります」アハハ・・・タラー・・・
滝壺「……私はきぬはたがご飯終わるまでは居るよ」チラッ・・・
麦野「御勝手に。私は寝る。じゃーな」ガチャッ・・・
滝壺「……ハァ」ヤレヤレ・・・
フレンダ「結局麦野、かなりフラストレーション溜まってる訳よ。飛び火は御免だわ……にしても、早くパァーっとやりたいモンね」フゥ・・・
滝壺「……、」ジー・・・
ジャアァ・・・・・
絹旗「パーカー……借りパクしちゃいましょうか」フフフッ/// - 576 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 05:52:42.32 ID:VwxvoNBo0
- ―――十月八日、PM09:20、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・
ガチャッ・・・・・
香焼「ん? 靴が多い……浦上来てるのか」テクテク・・・
対馬「……やっとお馬鹿が帰って来た」チラッ・・・
香焼「ただいま」
浦上「香焼、ご飯は?」
香焼「食べてない」
浦上「じゃあ早く食べちゃって。あと直ぐ寝た方良いヨ」
対馬「アンタ、明日フル勤務って言ったわよね。忘れたの?」ジトー・・・
香焼「超電磁砲と軍覇の喧嘩に巻き込まれたんだから仕方ないっすよ」ムゥ・・・
対馬「……4時半には起きなさい。幸いローマの動きはないって連絡来たから、警戒を緩めるわ」
香焼「ありがとう」コクッ・・・
浦上「とりあえずシャワー浴びておいでヨ」
香焼「うん」ガチャッ・・・
対馬「……危ないわね」ハァ・・・
浦上「何とも……一応、私バックアップ入るんで。本体が合流するまでは大丈夫かと」
対馬「明日が『ポイント』って決まった訳じゃないけど……気は抜けない状態だからしっかりして欲しいわ」
浦上「外からは大丈夫でも内側が怖いですネ」チラッ・・・
対馬「賽の目次第よ。非常時に誰か一人でも動けないって事態は困る」
浦上「ダイジョブです。体調に関しては問題無いですヨ……心配なのは……、」
対馬「……建宮が居てくれれば一番良いんだけど。兎に角、今あの子の対応はアンタに一任するわ」
浦上「まかせろー」ブイブイ!
対馬「はぁ」ヤレヤレ・・・
浦上「任せて……『全部、分かり切ってる事』デスから」ボソッ・・・
ジャアァ・・・・・
香焼「……何事も有りませんように」ジー・・・ - 577 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 06:16:48.37 ID:VwxvoNBo0
- ―――十月八日、PM09:30、学園都市第7学区、とある病院、とある病室(個室)……
ガラッ・・・
冥土帰し「……失礼するよ」スッ・・・
御坂妹「……、」シー・・・
上条「……、」スゥ・・・クゥ・・・
冥土帰し「うん……良く寝てる様だね」ボソッ・・・
御坂妹「はい。まるで仮死状態の様ですね。とミサカは小声で返答します」ボソッ・・・
冥土帰し「強めの睡眠薬で長めに寝て貰う事にしたからね。彼には『明日』起きて貰っては困る」
御坂妹「何故?」
冥土帰し「『運命』や『必然』、『決定事項』と言ったら詩的かい?」
御坂妹「今時は詩的とは言いません。厨二というらしいですよ、とミサカは先生に当て嵌まる適切な言葉をレクチャーします」ジトー・・・
冥土帰し「手厳しいな。まぁ『上』からの指示、とでも言っておこうか」
御坂妹「『上』、ですか……、」ムゥ・・・
冥土帰し「『君達』が『上』を嫌っているのは知っているが、我慢してくれ。私もこれが彼の為になると思う」ジー・・・
御坂妹「先生がそういうのであれば、とミサカは渋々納得します」フム・・・
冥土帰し「ありがとう……あと、先程伝えたが……明日は皆大丈夫かい?」
御坂妹「都市在住の妹達(シスターズ)を全員病院へ、ですね。数名返事無しですが9割方OKです、とミサカは回答します」
冥土帰し「蛇(17600号)と管理人(18413号)辺り? 仕方ないな……明日は忙しくなるからね。申し訳無いが頑張って貰うよ」コクッ・・・
御坂妹「イエッサー、とミサカは軍隊の真似事をしてみます」ビシッ!
冥土帰し「……テレスティーナ。君もだよ」チラッ・・・
テレス「……、」フンッ・・・
冥土帰し「……今日は早めに休んでくれ。二人とも、ね」テクテク・・・ガラッ・・・
御坂妹「はい。夜勤担当と引き継ぎ終わり次第、休ませて貰います。とミサカは眠気眼で返事をします」ムニャムニャ・・・
テレス「ジィさん……垣根が動いたら絶対起こせよ」テクテク・・・
冥土帰し「分かってる。だが……手は出さない約束だぞ。良いね」ギロッ・・・
テレス「チッ……、」カツカツカツ・・・
御坂妹「まったく……居ても居なくてもトラブルメーカーですね。第2位は……とミサカはある意味同類の貴方に愚痴ります」クスッ・・・
上条「……、」クゥ・・・スゥ・・・ - 578 :>>1にかわりましてカキネがお送りします [saga]:2011/08/02(火) 06:42:07.12 ID:VwxvoNBo0
- ―――十月八日、PM10:00、学園都市第7学区、とあるアパート(黒妻宅)ベランダ……
黒妻「……、」カチッ・・・ジジジ・・・フゥ・・・
固法「悩み事ですね」テクテク・・・チラッ
黒妻「……そうかもな」ボー・・・
固法「私に話せる範囲?」
黒妻「絶対無理だな」クスッ・・・
固法「そう言うと思った」フフッ・・・
黒妻「……打ち止めちゃん、明日昼頃検査終了だったな」チラッ
固法「迎え、行けるの?」
黒妻「無理だな。何だかんだで仕事入っちまった。黄泉川さんに断りの連絡入れたよ……中々全員揃わねぇな」ジー・・・
固法「そう……早く平和になって欲しいですね」ギュッ・・・
黒妻「ああ……、」フゥ・・・ジジジ・・・
固法「……居場所」ボソッ・・・
黒妻「ん?」
固法「『自分が自分で居られる場所』……先輩の言葉」
黒妻「そうだな」
固法「あの子達にとって……此処は『居場所』になってるかな。私と先輩の……ママゴトセットで終わってないかな」ジー・・・
黒妻「……心配すんな。皆『らしく』在れてるよ」ポンッ・・・
固法「だと、良いけど……、」ムゥ・・・
黒妻「美偉は、アイツらが無事に『ただいま』言える環境(居場所)を守ってくれ」フゥ・・・ケシケシ・・・
固法「……先輩は?」
黒妻「オレは、アイツらの尻叩いてでも此処に戻すのが仕事だ」ハハハ
固法「よく分かんないです」ムゥ・・・
黒妻「大丈夫だ。アイツらも麦野さんも纏めて元通りにしてやっから」ナデナデ・・・
固法「……、」ギュッ・・・
黒妻「もう寝よう……明日、早いだろ」クルッ・・・
固法「はい」コクン・・・
スフィンクス「にゃーん」フシフシ・・・
黒妻「……おやすみ」ポンッ・・・
固法「おやすみなさい」チュ・・・ - 579 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました [saga]:2011/08/02(火) 06:50:13.32 ID:VwxvoNBo0
- お疲れ様でした。これにてこの章の本編終了です。
次章で一応『先輩――』シリーズ最終章。原作からはなるべく反れない様、書いていくつもりです。
まぁ実際如何なるかはアヤフヤですけどね。
とりあえず次回は、まるっきり別枠なのでアンケート取りからスタートするかも。
もしくは……『あまくさどうでしょうっ!』を親戚から借りて安価形式再びとか(苦笑)。
それでは質問意見感想罵倒リクエスト等々(※特にリクエスト)お願いします! じゃ、おやすみ! - 580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/02(火) 10:29:17.78 ID:EEVb90UDO
- >>1
乙
まさに決戦前夜という感じだね
ワクワクする
残りあと500レス程度で足りるの?
ここでキリよく新スレ立ててもいいと思うよ - 581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/02(火) 16:38:03.71 ID:CzF5MDeDO
- >>1乙! 結末変えないのか‥‥フレ/ンダ、工場長‥‥
次スレ行っても良いし、小話入れてもOK。
リクエストはアメコミでパニッシャー風兄貴とか、打ち止め・禁書メイン話がみたいぜよ! もちろん『どうでしょう!!』もアリ! - 582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/02(火) 22:50:26.44 ID:zXuf+UuDO
- 1乙ー
リクエストは、まさかのカッキーとテレスの話が読みたいです - 585 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/03(水) 23:34:50.60 ID:cMf558BC0
- こんばんわ。今日はアンケだけです!
の前に、謝罪数点。
・美琴アフターについてですが・・・私の中では「美琴→上条」は絶対なんです。申し訳無い。
・イギリス組については、なるべく香焼の争奪戦みたいのはして欲しくないので今回はすいません。
ではアンケート。
①香焼くんと削板くん。
②あまくさどうでしょうっ!! ~姉×3と真剣勝負!?~
③もし黒妻兄貴が銃を使ったら!(パニッシャーorロアナプラ風禁書)
④Ms.テレスティーナと垣根さんの割とヴァイオレンスな一日。
⑤その他。(注文をどうぞ)
⑥おまけは良いから、さっさと次スレに移れ!
ご協力お願いします! - 586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/03(水) 23:48:54.20 ID:4uyDI5gDO
- ②の詳細が凄ぇ気になるww
だけど④で! てか400近くレス残ってんだからチョイチョイにして全部書けば良いさ! - 587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/08/03(水) 23:53:25.68 ID:cal8tn0AO
- 3
- 588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/04(木) 00:48:02.37 ID:21CDL4mr0
- ②ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいい!!!
- 589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/08/04(木) 01:12:08.95 ID:eq8DRf/uo
- 2
- 590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/08/04(木) 01:13:58.37 ID:2N7rNFHvo
- 3
- 591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/04(木) 01:22:35.68 ID:mP7AHo2DO
- ④
- 592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/04(木) 01:23:35.55 ID:85CX481AO
- 3
- 593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/04(木) 06:41:41.09 ID:BWz3XX5DO
- 4!4!
- 594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/04(木) 06:50:47.06 ID:pYN+vM6AO
- 2
- 595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/08/04(木) 15:09:49.21 ID:z9FucE3e0
- 4
- 596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/08/04(木) 15:10:14.66 ID:z9FucE3e0
- 4
- 597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/08/04(木) 15:12:10.99 ID:z9FucE3e0
- 連投してしまったorz
スマソ - 598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/04(木) 22:32:01.85 ID:hrgEpDfho
- 2
- 599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/05(金) 03:38:22.06 ID:mEi3yNOv0
- 4
- 600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/05(金) 06:09:43.37 ID:ENXEBd9/o
- 4
- 601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/08/05(金) 21:50:32.51 ID:nagLBEM00
- てか、前々からちょっと気になってたんだけど、チャフシードって電波だかを乱反射させて電子機器とかを使えなくするもんじゃなかったですっけ?
- 602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/06(土) 03:50:43.83 ID:ZlsL1M/DO
- 4
- 603 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/06(土) 22:13:02.34 ID:puhgvW3n0
- こんばんは。アンケは④ですね。
・攪乱の羽(チャフシード)についてですが、要はチャフグレネードの高機能版の様でしたね。
一方通行みたいに補助演算に頼ったり、クーデター後のむぎのんや那由他みたいにAIM義肢使ってたりすると危ないのかも。
もしくは触蜂ちゃんや電子電波系能力者みたいなのもアウトかもしれないけど・・・普通の能力者じゃ意味無いのかもね。
今後気を付けます。
とりあえずグダグダ書きます。んじゃスタート。 - 605 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/06(土) 22:35:46.49 ID:puhgvW3n0
- ―――とある日、AM10:30、学園都市第7学区、とある病院、特任教授(冥土帰し)研究室……
眠い。
とある医師―――冥土帰し(ヘブンキャンセラー)は革張りの椅子に背を預けながら呟いた。
只でさえ忙しい学園都市の病院なのに、此処最近更に患者の数が増えてきている。
万年医者不足に悩まされる現代社会とはいえ、この街のそれは異常だ……そう思う。
だが決して不満は漏らさない。
医者になると決めた時から我が身の運命は現場に預けたも同然である。
自分が他の医者の世話になるその日まで……だが、少なくとも自分はまだピンピンしている。
冥土帰し「だけど……僕も歳なんだよね」ハァ・・・
若くは無い。老体に鞭を打って頑張っている。厳しいモノだ。
御坂妹「失礼します」コンコンッ
冥土帰し「ん? ……どうぞ」
看護師の一人が研究室の戸を叩く。『妹達(シスターズ)』の長姉、とでも言うべきか……10032号。
御坂妹「内科の――先生から、403号室○○さんのレントゲンを回して欲しいとの事です。とミサカは業務連絡を伝えます」
冥土帰し「ふむ……一報くれればメールで送ったのに」
御坂妹「と、言われましても」クスッ・・・
未だにローテク(アナログ)な医師も多い。やはり新しい風が欲しいモノだ。
冥土帰し「君、医大に行ってみない?」
御坂妹「御冗談を。考えた事ありませんよ。とミサカは再度苦笑します」
だがしかし、妹達の演算機能を持ってすれば医師技術の習得など容易いのではなかろうか。
御坂妹「いえいえ。御姉様(オリジナル)ならまだしも、妹達(クローン)では先生の要求なさるレベルに達するまでは時間が掛り過ぎますよ」
冥土帰し「まぁアプリ的に医師技能を組み込むのも胡散臭いだろうからね……はぁ」
御坂妹「この街にも医科大はあるのでしょう。とミサカは初歩的な確認を取ります」
在るには有るが、殆どは『研究』の為の医科大だ。職業医の養成校など2,3在るか無いかだろう。 - 606 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/06(土) 22:54:43.16 ID:puhgvW3n0
- では、と10032号が続ける。
御坂妹「直接御弟子を取ってみては如何でしょう? とミサカは提案してみます」
冥土帰し「弟子ねぇ。僕自身まだまだ未熟だというのに、そんな恐れ多い事はできないよ」ハハハ
御坂妹「……先生が未熟なら、世界中の全ての医者が生卵状態ですよ。とミサカは呆れてみます」フゥ
冥土帰し「大袈裟な……仮に弟子を取るとしても、君がなるかい?」
御坂妹「いえいえ。先程も言った通り……芳川女史や木山女史は如何でしょう? とミサカは安直なところを示してみます」
冥土帰し「確かに彼女達は優秀だが……、」
残念ながら別の夢がある。無闇にそれを奪う事など出来ない。
御坂妹「教師と兼任は如何でしょう。恰好良いと思いますが」
冥土帰し「医療の現場も教育の現場もそんなに甘くは無いよ。簡単な話じゃないんだ」
御坂妹「ふむ……難しいものですね。とミサカは小首を傾げます」
ただ個人的には、空間移動能力者(テレポーター)と透視能力者(クレアボイアンス)の医者が居れば心強いな、とは思っている。
レントゲン無し、メス無しの画期的・先未来的な手術。
冥土帰し「……高望みというか、SF思考過ぎるかな」ハハハ・・・
御坂妹「いえ。ただこの街に不可能はありませんから……ただその両名が都合よく医者に、というのは難しいでしょう」ト、ミサカハ・・・
だろうね、と呟き。冷めたコーヒーを啜った。
冥土帰し「ま、現実逃避は止めてそろそろ次の仕事に移ろうか」
御坂妹「そうですね。と、その前にレントゲンを」コクッ
冥土帰し「ああ、うん。えっとデータから落として……―――」
ゴガンッ!!
冥土帰し「―――……、」ピタッ・・・
部屋が……いや、多分病院全体が揺れた。
御坂妹「じ、地震!?」ギョッ・・・
冥土帰し「いや……『いつも』のだ。地下だろ」ハァ・・・
御坂妹「え……あ……でも、昼間ですよ!? とミサカはあの『二人』の非常識っぷりを……あ、いつもの事だ」タラー・・・
冥土帰し「ハァ……ちょっと行ってくる」テクテク・・・
地下に拘束・監視室(という名の遊び場)を与えている『二人』の所為だろう。
まぁ病院内に上がって来ないだけマシだと考えよう……じゃないと、やってられません。 - 607 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/06(土) 23:10:06.83 ID:puhgvW3n0
- ―――とある日、AM10:45、学園都市第7学区、とある病院、地下隔離施設……
テレスティーナ「―――……んー、如何?」ガチャンッ・・・プシュウウウゥ・・・
垣根「うーん、やっぱあんまり変わってねぇな」バサバサ・・・
テレス「そんじゃあもう一段階だけ上げてぶっ放してみるわ」Pi・・・キュイイイイィ・・・
垣根「砲身持つの?」ポリポリ・・・
テレス「前よか頑丈」ジジジジジ・・・・
垣根「あいよー」バサバサ・・・ファサッ・・・
冥土帰し『……、』タラー・・・
テレス「じゃあもう一発イくわよー」ガチャコンッ!!
垣根「カモーン!」ファサッ・・・コイヤー!!
テレス「……ッ―――」ガジュンッ!!
ビジバジバリバリゴギャンギギギギィ・・・・・ズドンッ!!
垣根「ふぃ~」バサバサッ!! ジュウウウゥ・・・・
テレス「―――……今度はー?」ガチャンッ・・・プシュウウウウウゥ・・・
垣根「威力は上がってるけどさー……砲身曲ってんぞ?」ジー・・・
テレス「大丈夫大丈夫。予備準備してあるから」ガチャッ・・・ゴトッ・・・
垣根「ありゃりゃ。何時の間に……まぁオレら暇だもんな」アハハ
テレス「御託は良いからもう一発付き合って。次予備電の半分使ってみるからー」カチャカチャ・・・Pi!
垣根「やれやれ。懲りないね」Hahaha!
冥土帰し『……君達。何してんの?』
垣根「あ、ジジイ」チラッ
テレス「見て分かんないのー?」カタカタカタ・・・タンッ!
冥土帰し『しかも……自家発電機(予備バッテリー)使って』
テレス「だから見たまんまよー……よし! 垣根ー。次こそドテっ腹に風穴開くわよー」ガチャンッ!
垣根「言ってろー。俺の未元物質(ダークマター)は贋作超電磁砲(レールガン・ダミー)なんぞじゃ傷も付かねぇぜー」ケラケラケラ!
冥土帰し『……、』ポチッ・・・
垣根・テレス「「あbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbッッ!!」」ビリビリビリッ! - 608 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/06(土) 23:25:47.60 ID:puhgvW3n0
- 一寸後・・・・・
垣根・テレス「「」」プスプスッ・・・プスー・・・・・
冥土帰し「……で?」ゴゴゴゴ・・・・・
垣根「だからぁ、テレスティーナのババアが贋作超電磁砲の発射テスト付き合えってぶべらぁっ!!」ゴンッ!
テレス「テレスティーナ『御姉様』、でしょ?」ゴゴゴゴ・・・
垣根「だからって焼き付いた砲身で殴るのって非常識じゃね?!」ギョッ!
テレス「存在が非常識なアンタに言われたくないわよ!」キー!
冥土帰し「喧しい」ギロッ・・・
垣根・テレス「「……うぃ」」ショボーン・・・
冥土帰し「ハァ……あのね。確かに僕は『地下内なら好きに暴れて良い』と言ったよ」
テレス「ええ」コクッ
垣根「言ってんじゃん」ブーブー!
冥土帰し「最後まで聞け不良少年……だがしかし、病院(上)に迷惑掛けて良いとは言ってない」
テレス「揺れの話? 避難訓練でもやっとけば良いじゃない」
垣根「スモーク焚く程度の何も起こらないツマんねー訓練よりマシだろー」アハハ
冥土帰し「……それだけじゃない。予備電に手を出すのは甚だ非常識だろ。『最悪』が起きたら責任取れるのかい?」
垣根「監督責任はジジイの役目なので俺らは無罪放免。はい、論破」キリッ!
冥土帰し「……、」ポチッ・・・
垣根「あbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbッッ!!」ビリビリッ!!
テレス「ぷふー! ざまー!」キヒヒヒッ!
冥土帰し「だから注意しにきたのだろう! ったく……正直、僕の身が持たないよ」ハァ・・・
テレス「歳だものねー。そういえば、アンタと御爺様(糞ジジイ)とどっちが上なの?」
冥土帰し「幻生くんの方が上じゃないかな……ってそんな事は如何でも良い」ジトー・・・
テレス「ノリノリじゃないの」クスッ・・・
冥土帰し「……、」スッ・・・
テレス「ああ、ごめんなさい! 何でもない、何でもない」アハハ・・・
垣根「くっそぉ……あの『御仕置きボタン』さえ奪えればなぁ」グヌヌ・・・
冥土帰し「邪な事考えるな。兎に角だ、自重してくれ。僕は君達に不自由はさせてないだろ?」ハァ・・・
垣根・テレス「「ふじゆーだー」」ブーブー!!
冥土帰し「……ハァ」ポチッ・・・
ぎゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・---
- 610 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/06(土) 23:53:39.24 ID:puhgvW3n0
- 冥土帰し「はぁ……駄目だ。付き合いきれない」グデェ・・・
テレス「クッソ! いってぇなぁ、オイ……、」シュウウゥ・・・
垣根「だって暇なんだもん! 俺ら部屋ROM専ちゃうもん!」ムキー!
冥土帰し「君ら立場分かってる? 犯罪者だよ?」ハァ・・・
垣根「じゃあ脱獄すっぞ! あ、嘘ですからボタンから手ぇ離してくぁbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbッ!!」ビリビリッ!
テレス「まぁ待遇良いのは知ってるけどさぁ……どうせ『懐け』でしょ?」
冥土帰し「懐けって……一応、精神病患者だよ。危険なね」
テレス「『上』が私達の事『飼い子』に出来るかもしれないって思って下した恩情だろうけどさぁ……無駄よ」
垣根「俺を飼い慣らしたきゃぁ理事長の椅子寄越せぉらっ!」ギャーギャー!
テレス「……そうね。私は超電磁砲の首が欲しいかも」ニヤニヤ・・・
垣根「あ。じゃあ俺も追加で一方通行の首ー」ニヤニヤ・・・
冥土帰し「もはや……神くんの所に送った方が良いかい?」スッ・・・
テレス「げっ!? 元革命軍切り込み隊長のキチガイ脳医学者……じょ、冗談よ。ま、せめて偶には外に出して欲しいわね」タラー・・・
垣根「え? 冗談?」ポカーン・・・
冥土帰し「……外出は認められない。規則だ」
テレス「じゃあ新しい規則を設けなさい」
冥土帰し「は?」
テレス「そうね……社会復帰練習・研修なんて如何?」
冥土帰し「そんなの詭弁だろう」
垣根「ふーん……でもさぁ。遠隔操作でビリビリ出来る様にすりゃ問題無いんじゃね?」
冥土帰し「……例えそうしても、君達が社会復帰できる可能性は皆無だよ」
テレス「だから詭弁で良いって言ってんでしょ。要はリフレッシュの為に外出させろ。無論暴れないから。そういう事」
垣根「なんなら警備員でも風紀委員でも第一位でも第三位でも、監視つけて良いぜ」ハハハ!
冥土帰し「……ったく。少し待ってってくれ。確認取ってくる」
垣根・テレス「「イィヤッホーゥイッ!!」」Yes!! - 611 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/07(日) 00:21:41.89 ID:Wf4h1E7b0
- 約一時間後・・・・・
冥土帰し「はぁ」ウィーン・・・
テレス「……で?」チラッ
冥土帰し「『病院内で断続的に地震を起こされるよりはマシ』だそうだ」ポリポリ・・・
垣根「そんじゃあ!」ガタッ!
冥土帰し「待て待て……普通じゃ外に出せないよ。やっぱり君らは危険すぎる」
テレス「あら、首輪(ネックレス)でもくれるのかしら?」クスクスッ
冥土帰し「大体合ってる……手錠(ブレスレット)だ」
垣根・テレス「「は?」」ポカーン・・・
冥土帰し「今から外出における条件を言う……―――」
①犯罪行為の禁止。 ②都市外へ出る事は禁止。 ③能力の『私用』は禁止。 ④駆動鎧の持ち出しは禁止。
冥土帰し「―――……まぁ常識の範疇だろう」
垣根「『私用』ってのが気になるが……もしルール破ったら?」
冥土帰し「手首吹っ飛ぶよ。しかも連帯責任」コクッ
テレス「なっ!!? 意味分かんない! 勘弁してよ!」ダラダラ・・・
冥土帰し「あ、そうそう言い忘れたけど……⑤互いに200m以内から離れちゃダメだよ」
垣根・テレス「「嘘っ!?」」ギョッ!!
冥土帰し「ツーマンセル。絶対。別々のとこ行かせると収集付かないからね」
垣根「冗談キツいぜ」ハァ・・・
冥土帰し「あと外に出てからの君達の監視は衛星カメラで『上』が直接行う。もしくは誰か風紀委員・警備員が行くかもしれない」
テレス「こういう場合どうせ超電磁砲のダチとか来るんでしょ?」
垣根「いやー、案外なゆたんかもしんねーぞ? もしくは鉄装の姉ちゃんとか」ハハハ!
冥土帰し「さぁね。兎角、くれぐれも馬鹿はしない様に。分かったかい?」
テレス「爺さん。車貸してくれんのかしら?」
冥土帰し「無事返すなら貸すよ。壊したらテレスティーナの著作(キャパシティダウン)費用から弁償だから」
垣根「ざまぁ!」pgr!
テレス「……銃の携帯の許可が欲しいわ。もしコイツがカメラ外で強姦紛いな事してきた時の正当防衛の為に」ギロッ・・・
冥土帰し「無いとも言い切れないか……テーザー銃(スタンガン)だけ預けておこう」コクッ
垣根「食指が動かねぇっつの!」ベー!
テレス「チッ……後で泣かす」ギリリ・・・
冥土帰し「はぁ……ホント、君らの為にも、この街の為にも暴れないでくれよ」タラー・・・
垣根・テレス「「はーい(棒)」」
冥土帰し「……不安だ」ハァ・・・ - 615 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/14(日) 21:35:39.73 ID:f9syeuYc0
- <前回のあらすじ>
・垣根とテレスティーナが病院の地下で暴れまくったから、追い出されるよ。
―――とある日、AM11:30、学園都市第7学区、とある病院、関係者専用駐車場……
冥土帰し「いや、追い出す訳じゃないからね。キチンと帰って来なきゃダメだよ」
垣根「うい」ボー
冥土帰し「もし12時間半以内に病院の敷地内へ帰って来なかったら、自動的にその『ブレスレット』がドカンだからね」
テレスティーナ「はいはい。わーってる」
冥土帰し「はぁ……不安だ」
垣根「心配すんなよ。ガキじゃねぇんだから」
冥土帰し「君達はそん所そこ等の悪童よりも性質悪いから注意してるの……手首から先、無くしたくないでしょ」
テレス「あら、心配してくれるの。お優しい事」
冥土帰し「君らに巻き込まれる人達の事が心配なの。あと僕の車」
垣根「ははは。防弾加工のクラウンがそう易々と傷つかねぇだろー」
冥土帰し「君達に『絶対(常識)』は通用しないでしょ」
垣根「だはははは! まーなー」
テレス「とりあえずちゃんとガソリン満タンにして返すから安心なさいよ」
冥土帰し「……はぁ」
垣根「ジジイ、考え過ぎだって。別に俺ら過激運動家みてぇな脳味噌してねぇからよ。兎に角、時間勿体ねぇからさっさと行こうぜ」
冥土帰し「……一応、親切心として犯罪手前な事しそうな時は『警告』してあげるよ」
テレス「は? 警告?」
冥土帰し「これ」ポチッ
垣根・テレス「「アbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbb・・・…」」ビリリリリリリリッ!!
冥土帰し「……OK?」
垣根「……ご親切に、あんがとよ」プスー・・・
テレス「チッ……気ぃ付けるわ」プスー・・・ - 616 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/14(日) 21:50:02.72 ID:f9syeuYc0
- 一寸後・・・・・
垣根「はぁ……外に出られたのは嬉しいが、手前ぇとデートたぁ何ともなぁ」
テレス「まんまお返しするわよ」
垣根「……んで? 行く宛ては?」
テレス「私は最後に墓参り行ければ良いから。まずアンタの好きなとこで」
垣根「じゃあラブh……冗談だっつの。睨むな」タラー・・・
テレス「あのさぁ、例え私がトチ狂ってアンタと寝たとしても、それを監視(他人)に見られんのはゴメンだわ」
垣根「十分狂ってるっつの……てか、誰が俺ら監視してんの?」
テレス「さぁね。衛星でも暇そうな役人でも、何でも同じよ」
垣根「いっその事、間近に居てくれた方が気楽なのにな」
テレス「それはそれで御免よ。超電磁砲の妹達(クローン・トルーパー)が後ろ座席座ってたらイヤでしょ?」
垣根「んー……春子(14510号)や御坂丸(10039号)ならアリだな。デートしても良い」
テレス「アンタ、妹達(シスターズ)の違い分かるの?」エ・・・
垣根「会った事あるヤツらならな。あ、スネーク(17600号)とかファイズ(15555号)は無理だぞ。怖ぇから」アハハ・・・
テレス「……まぁ良いわ。で、とりあえずアンタ何処行きたいの?」
垣根「そんじゃあ……―――
・安価! >>618 (行きたい場所、もしくは会いたい人)
- 618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/14(日) 22:26:50.60 ID:gspgpTaDO
- キテター! とりあえず広場で昼飯とか。
んで、超電磁砲組! - 619 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/14(日) 22:35:39.71 ID:f9syeuYc0
- 垣根「―――……まぁ昼飯食おうぜ」
テレス「昼飯? ……そうね。そんな時間か。メニューご希望は?」
垣根「ジャンクフードいっぱい」キッパリ!
テレス「……あのさぁ」
垣根「ホットドック。バーガー。山盛りポテト!」ビシッ!
テレス「……久しぶりの外よ? レストランとか」
垣根「安っぽいのが喰いてぇ! 病院の健康食みたいなのじゃなく脂っこいの!」ニャー!
テレス「……はぁ。ファミレスか大広間、ね」
―――とある日、AM11:50、学園都市第7学区、コンサートホール前大広間……
テレス「はい、とーちゃく」キキッ
垣根「んーっ!! この平凡な賑わい! 久しいねぇ!」ウイー!
テレス「……私、そこのカフェでサンドイッチでも頼むからアンタ勝手に出店回りなさい」
垣根「あいよー」テクテク・・・
テレス「あ、そうだ。あんまり離れ過ぎるんじゃないわよ。爆発したくないから」
垣根「わーってる。飯買ったらオマエんとこ戻るからさ。オープンカフェにでも座ってろ」バタバタ・・・
テレス「……何だかんだ言っても、ガキか」フッ・・・ - 620 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/14(日) 23:03:01.82 ID:f9syeuYc0
- 一方・・・・・
御坂「あー……あづぃ」グデェ・・・
白井「同じく、ですの……あ、クラッとした」クラァ・・・
佐天「んもー。いっつもクーラーガンガン利かせて寝てるからですよ」ムンッ!
初春「いや……そういうの抜きでも暑いですよ」ウハァ・・・
春上「初春さんの髪飾りのシナシナさが物語ってるの」ウー・・・
佐天「やれやれね。仕方ないから私がフローズンでも買ってきてやりますか」グイッ!
御坂「え、いや、悪いよ。私も行くって」スッ・・・
佐天「良いから木陰で待ってて下さい。あ、とりあえず味は私チョイスで良いですよね」ニカッ!
白井「では、御言葉に甘えましょうか」
春上「佐天さんの分は皆でカンパなの」
佐天「えへへ。ありがと」クスッ・・・
御坂「……佐天さん、何であんなに元気なの?」
白井「クーラー使わないからとか……じゃないですわよね」
初春「純粋に体力の差かと……能力抜けば私達の中で一番スタミナとか根性ありそうですからね」アハハ・・・
春上「もしかして……この後のデートかも、なの」ボソッ・・・
御坂・白井・初春「「「なんぞ!?」」」ガタッ!!
春上「あ、あははは。冗談なの。憶測にすぎないの」タラー・・・
初春「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あの男娘、佐天さん魅了したら泣かす」ギリリ・・・
御坂「……で、でーと」ポー・・・
白井「んぎゃあああああぁっ!! お姉さまがあのウニ猿野郎とドッキュンな自分を妄想してトランスしなすったあああぁっ!!」ウギギギ!
春上「……何だかんだ言って、皆元気なの」アハハ・・・ - 621 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/14(日) 23:32:14.95 ID:f9syeuYc0
- <かき氷屋>
佐天「ありゃりゃ……混んでるわ」タラー・・・
垣根「もごもきゅもぐ……ん? かき氷か……喰いてぇけど並ぶの面倒だな」チラッ・・・
店員「―――お待たせしました。ご注文をどうぞ」
佐天「えっと……ストロベリーとブルーハワイ、レモンを二つずつ」
垣根「アセロラ梅酒練乳マシマシ味とブルーチーズはちみつあずき味も追加だ。あとストロベリーサンデーは別の袋で寄越せ」
店員「え、あ、と」ポカーン・・・
佐天「な、はい!?」ギョッ!?
垣根「金は全部俺が出すから。万札で悪いな。釣りは全部この子に」バンッ!
店員「え、えっと……かしこまりました」タラー・・・
佐天「ちょ、あ、その……はぁ?!」ポカーン・・・
垣根「悪ぃ。並ぶの面倒臭ぇから割り込ませて貰った。金は迷惑料って事で取っとけ」モキュモキュ・・・
佐天(な、何この人……両手いっぱいにジャンクフード抱えて訳分かんない事言ってる)タラー・・・
垣根「おーい、聞いてる?」モキュモキュ・・・
佐天「え、あ、あははは……何と言って良いか」タラー・・・
店員「……あー、そのお客様。申し訳ありませんが『アセロラ梅酒』は未成年には販売が」タラー・・・
垣根「……あー」
Ppppppppp!
垣根「げっ、こんなんも犯罪に……じゃ、じゃあキャンセルで」ダラダラ・・・
店員「はぁ」コクン・・・
垣根「……のかわり、さっさと持って来い。俺がフライドチキン喰い終わる前までにな」
佐天(何この人……非常識っていうか、変人っていうか)アハハハ・・・
垣根「ん? フランクフルト食うか?」
佐天「い、いや……結構です。(この糞熱い時によくそんなものを)」タラー・・・
垣根「じゃあ俺のフランクフルトをお食【Ppppppppppppp!】なあああぁんでもない!!」ダラダラ・・・
佐天「は、はぁ?」ポカーン・・・
テレス「腕輪、鳴ってる……あんの糞野郎。連帯責任とかマジざけんなよ」ビキッ・・・ - 622 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/14(日) 23:55:10.19 ID:f9syeuYc0
- 一寸後・・・・・
店員「お待たせしました。此方ストロベリーサンデーの袋です。ありがとうございました」
垣根「あいよ、どーもね」テクテク・・・
佐天「えっと……ありがとうございます」
垣根「後ろの客に恨まれる役を押し付けたんだ。金で謝礼だよ、謝礼」
佐天「はぁ……あの、お一人ですか?」
垣根「……今時の若い娘は逆ナンするの?」
佐天「い、いえ! そういうんじゃなくて!」アタフタ・・・
垣根「あはは。まぁ一人っちゃ一人だし、二人っちゃ二人だな」ケラケラ!
佐天「え?」
垣根「物理的な意味でも哲学的な意味でも……んー、二心同体?」
佐天(な、何この人。頭大丈夫かなぁ)タラー・・・
垣根「んで、オマエさんは?」
佐天「え、あ、私は友達と……ほら、あそこの面々です」チラッ・・・
垣根「ふむ」ジー・・・
白井「あ~……融けますのぉ~」グデェ・・・
御坂「うぁ~、佐天さんまだかなぁ」ダラァ・・・
春上「……あ、佐天さん来たの!」
初春「何か連れも居ますね。男のひ……、」
佐天「ごめーん、お待たせ」テクテク・・・
垣根「……ふむふむ」ジー・・・
初春「」
白井「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うげっ。人間災害男」タラー・・・
御坂「だ、第2位(未元物質)」ダラダラ・・・
春上「ん?」ポカーン・・・ - 623 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/15(月) 00:30:10.47 ID:6OQYEC0j0
- 御坂「サテンサン……ソイツ」タラー・・・
佐天「え? あ、そうそう。この人、割り込みした謝礼にって奢ってくれたんだよ」
春上「む! 割り込みはいけないと思うの! でも奢って貰ったから何ともなんなの」ムゥ・・・
白井「えっと……うーん」チラッ・・・
垣根「もぐもぐ」ボケー・・・
白井(お、お姉さま)ボソッ
御坂(え、あ、うん……だ、大丈夫だと思うわよ。爆弾は導火線に火ぃ点けなきゃ爆発しないし)コクッ・・・
垣根「……ん?」チラッ・・・
白井「っ!! お、おほほほほ」タラー・・・
垣根「……ふむ」チラッ・・・
御坂「ど、ども」アハハ・・・
佐天「そういえばお名前をまだ聞いてなかったですね」
垣根「んー……エンジェル☆カッキーです。サインいる?」モグモグ・・・
佐天「え、あ、あはは……遠慮しときます」タラー・・・
垣根「そりゃ残念。んじゃ俺は自分のかき氷貰って帰るから」コクッ
御坂「……ほっ」タラー・・・
初春「……、」ジトー・・・
垣根「あ……何で俺ガン飛ばされてんの?」
佐天「へ?」ポカーン・・・
白井「う、初春!?」ギョッ・・・
御坂「ちょ、ま……え、えと、この子普段からこういう目付きで」ダラダラ・・・
垣根「……ふーん」ジー・・・
初春「……早く冷蔵庫に戻れ」ボソッ・・・
春上「はぅ?」ポカーン・・・
白井「な、ちょ、初春!?」ダラダラ・・・
御坂「こ、この子暑さで頭ん中ハワイアンになっちゃってるんです。気にしないで」アワワワ・・・
垣根「……、」ジー・・・
初春「……過去の人(笑)」フフフ・・・
垣根「」ビキッ・・・
白井「んなっ、ちょ、アンタ何でそんなに喧嘩腰なの!!?」ダラダラ・・・
御坂「お兄さーん、押さえて押さえて」ダラダラ・・・ - 624 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/15(月) 01:33:02.27 ID:6OQYEC0j0
- 春上「えっと、初春さん」タラー・・・
初春「……、」ジトー・・・
佐天「ちょっと、この人何もしてないってば」タラー・・・
垣根「……んー」ポリポリ・・・
白井(ど、どうしますのぉ!?)タラー・・・
御坂(チッ……最悪、意表ついて『弾丸(コイン)』ぶっ放せば)グッ・・・
Ppppppppppppppppppp!
一同『え?』
垣根「……は?」
テレス「こんのぉ……死ねボケナス!!」ガンッ!
垣根「うごっ!!?」ガンッ!
一同『なっ!!?』ギョッ・・・
テレス「ったく。少し目ぇ離せば犯罪行為を……って、あら」チラッ・・・
御坂「げっ……面倒なの二人目」タラー・・・
白井「人間災害女(テレスティーナ)!!?」タラー・・・
春上「っ」グッ・・・
テレス「……やれやれ、ね」ハァ・・・
垣根「……こんの、糞ババア! いきなり何しやがる!! ゴミ箱で頭殴んじゃねぇ!!」ギロッ!!
テレス「喧しい。テメェ、何度アラーム鳴らしゃあ気が済むのよ! 連帯責任忘れたの!」ギロッ!!
御坂「え、と……え」タラー・・・
佐天「ちょ……誰か今の状況詳しく」タラー・・・
白井「……応援呼んだ方が良いのかも」
春上「多分……那由他ちゃんに連絡した方が早いの」ウーン・・・
初春「……迷惑人間共」ジトー・・・ - 625 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/15(月) 02:15:34.85 ID:6OQYEC0j0
- 御坂「えっと……て、テレスティーナ」ジー・・・
テレス「あん?」チラッ・・・
御坂「何でアンタ、此処に……あと第二位も」タラー・・・
テレス「……外の空気吸って来いって追い出されたのよ」フンッ・・・
白井「信じがたいですわね」タラー・・・
テレス「じゃあ爺さん……冥土帰しにでも聞いてみなさいよ。マジだって言うから」ケッ
垣根「ったく……勘弁してくれよな」チッ
テレス「うっせぇ。ロリコンメルヘン犯罪者。死ぬならテメェ一人でおっ死ね」
垣根「そりゃコッチのセリフだ! 狂気のマッドサイエンティスト!」ベー!
テレス「どこぞの厨二病みたいな呼び方するんじゃねぇ! 良いからさっさと行くわよ」グイッ!
垣根「いぢぢぢぢっ! 耳引っ張んな!!」ウギャー!
御坂「……随分、大人しいわね」ジー・・・
テレス「『首輪』掛けられてるから暴れられないのよ。私もコイツも……だから『喧嘩』はまた今度ね」クスクス・・・
御坂「いや、遠慮しとくわ」タラー・・・
テレス「あら、最近じゃ第4位と喧嘩相手(ラブラブ)してるそうじゃない。好敵手(前妻)としては悲しいのよ」ククク・・・
御坂「うっさい! 早く塀の中に戻っとけ」タラー・・・
白井「ラブラブ……前妻……ジェラスイィィイイイイイイィッ!!」ムキー!
初春「痴女は黙ってて下さい」ビシッ!
テレス「……ま、近い内にね。そちらの無能力者さんや絶対能力者(仮)さんも」ニヤッ・・・
春上「っ……、」ビクッ・・・
佐天「……会わない事を願ってます」ジトー・・・
垣根「……俺空気なの」ショボーン・・・
佐天「あ、えっと、エンジェル☆ポッキーさんも、さようなら」ペコッ
垣根「」チーン・・・
テレス「ぷっ……行くわよ、ポキネ」プルプル・・・
垣根「う、うっせぇ死ね」ムキー!
佐天「はぁ……嵐みたいな人達ですね」アハハ・・・
御坂「実際『災害レベル』の犯罪者だから」タラー・・・
春上「……あの人、やっぱり怖いの」
垣根「ったく……そういえば、絶対能力者(仮)って何ぞ?」
テレス「失敗作。所詮、異~強能力(レベル2,3)止まりでしょうね」
垣根「は?」
テレス「……絶対能力(レベル6)なんて御伽噺、って事よ。兎に角、車戻るわよ」テクテク・・・ - 626 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/15(月) 03:18:20.80 ID:6OQYEC0j0
- <車内・・・・・>
垣根「んじゃ、次オマエ選べよ」
テレス「アンタ選べば良いでしょ」
垣根「何だよ。行きたい場所無ぇのか?」
テレス「……色々在り過ぎる。でも別にメールのやりとりですむ場所ばっかだから」
垣根「は? ビジネス?」
テレス「アンタと違って獄中で無為徒食してるわけじゃないのよ」
垣根「ふーん……まぁ良いや。兎に角オマエが選べよ。ビジネス関係でも、プライベートでも良いからさ」
テレス「そんじゃ……―――
>>628 - 628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 06:48:56.27 ID:aJBvp5X70
- 美術館で、固法と麦野&絹旗、その後心理定規
- 630 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/16(火) 20:02:05.04 ID:2ctRio0K0
- テレス「ちょっと気になる『モノ』があるから、そこ寄っていい?」
垣根「気になる物?」
テレス「近くの美術館よ。興味無かったら車で寝てなさい」
垣根「美術館ねぇ。怪盗ごっこでもするのか?」
テレス「アホ。手首フッ飛ばしたくは無いわよ」
垣根「ははは。純粋な興味って事ね。どーぞどーぞ」
――とある日、PM01:30、学園都市第12学区、都市立第二美術館……
垣根「第12学区か……何で9学区の第一館の方じゃないんだ?」
テレス「気になるモノが有るって言ったでしょ。アッチには用は無い」
垣根「ふーん……で? 何見んの?」
テレス「……、」テクテク・・・
垣根「教える気無し、と……やれやれだねぇ」ハァ・・・
< 碑石館 >
垣根「……しっかし、気色悪い品ばっかだな」キョロキョロ・・・
テレス「この学区は何処もそんなモノばっかでしょ」
垣根「神学を科学側からアプローチね。何か分かるのかよ。てか何調べてんのかもよく分かんねぇな」
テレス「あら? アンタの得意科目じゃないの? 此処に有る『モノ』の多くは『未元』な物ばかりじゃない」
垣根「何て言うかさぁ……俺自身、自分の産み出す『物質』は理解し切れてないんだ。だから此処に有るモンだって分かんねぇって」
テレス「へぇ……そこの岩石とかは? まさに『未元物質』じゃない。まるで知らないの?」
垣根「だからああいうの、如何見たってオカルトだろ。隕石だか魔石だか知らねぇけど、何でこの街(科学側)で取り扱ってんだ」
テレス「考古学=科学って括りなんじゃない?」
垣根「じゃあ尚更知らない。俺は考古学者でも民俗学者でも無ぇからな」
テレス「……使え無いヤツ」
垣根「うっせぇ。さっさとお目当ての品んとこ行け」チッ・・・ - 631 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/16(火) 20:34:01.38 ID:2ctRio0K0
- 一寸後・・・・・
テレス「……此処ね」
垣根「なぁにこれぇ?」ポカーン・・・
テレス「さぁ。とりあえず未元物質(ダークマター)」
垣根「一緒にすんな……えっと『化合石』?」
テレス「それは科学側からの呼名でしょ。そこの資料見てみなさい」
垣根「『Azoth』……あぞっす? 何……オカルト誌?」
テレス「アゾット。研究資料よ」
垣根「えっと……医学……錬金術……黄金……000……00,0……何ぞ?」
テレス「それ『アインソフオウル、アインソフ、アイン(000 00 0)』って読むの」
垣根「……で?」
テレス「医術や科学ってのは一部の賢者しか知り得ぬ知識だった。故に昔は奇術だの魔術だのオカルト扱いされてた」
垣根「あー……魔女の理屈?」
テレス「『魔術師・賢者=科学者・医者』論。その理屈でいくと『絶対能力者=魔法使い』なの」
垣根「まほ……へ???」
テレス「『神ならぬ身にて天上の意思に辿り着くもの(SYSTEM)』の長ったらしい説明を、この6文字で省略できる……って考え」
垣根「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ???」
テレス「……アンタ、統括理事長(アレイスター)の論文読んだ事ある?」
垣根「んー……絶対能力論か? オマエ、まだ固執してんの?」
テレス「アンタも、でしょ」チラッ・・・
垣根「……別に」
テレス「どうだか。ま、兎に角最近これが入ってきたって聞いたからどんな『モノ』か気になったの」
垣根「ふーん……それだけ?」
テレス「盗めるなら盗んで研究したいけど、残念ね」
垣根「……俺の能力で産み出せるなら出しても良いけどよ」
テレス「アンタの能力で出せる物質ってランダムでしょ? 『この石』は規則に法った物質……の筈」
垣根「ランダムってか『昔』出した物質=『今』出した物質なのかすら把握できない」
テレス「相変わらず非常識ね……それって『原石』じゃないの? てかアンタ、超能力者になる前も未元物質使えたの?」
垣根「うーん……兵士ってのは銃を使う時、その銃がどんな物質で構成されてるか逐一把握するか?」
テレス「とりあえず『手段』としての『能力』なのね。そりゃまぁ科学者泣かせなこって」ハハハ・・・ - 632 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/16(火) 20:50:51.56 ID:2ctRio0K0
- テレス「まぁ良いわ。とりあえずどんな『モノ』か見れたから」クルッ・・・
垣根「ただのグミみたいな石みただけかよ……つまんねー」
テレス「つまんない事の積み重ねこそが知『識』なのよ。ガキには分からないでしょうけどね」クスッ
垣根「へいへい、ガキですよー」
< レストラン >
垣根「とりあえず一服しようずら」
テレス「何その語尾。キモい」
垣根「うっせぇ……って、おろ? 珍しいのがいる」チラッ・・・
絹旗「むぅ……こう、ですか?」カキカキ・・・
麦野「おま……えー」タラー・・・
固法「……あはは」タラー・・・
テレス「……超電磁砲のツレの牛乳眼鏡だわ」
垣根「あとむぎのんと絹旗だな絡んで(弄って)くるか」テクテク・・・
テレス「じゃあ私煙草喫ってくる……あ、腕輪鳴らしたら打っ殺すから」ニコリ・・・
垣根「大丈夫大丈夫。安心しろ」
テレス「……はぁ」
絹旗「ぐぬぬぅ……どうしろっていうんですか」カキカキ・・・
麦野「だからこんなモンはネットのコピー張れば問題無いのよ。態々摸写するなんてアホみたいな」ハァ・・・
固法「まぁまぁ。こういう勉強は大事よ」クスッ
垣根「じー」チラッ・・・
絹旗「てか、こんな課題出されるなんてこれっぽっちも思いませんでしたし」
固法「普通の学校はこういう社会見学とか美術見学みたいなのやるものなのよ」
麦野「え? マジ?」
垣根「俺はしてないな」
絹旗「ほら、二人もしてないの、が、ぃ……た」ピタッ・・・
麦野「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」タラー・・・
垣根「こんにちわ。エンジェル☆カッキーです。願い事を3つだけ叶えてください。お願いします」ニヤリ・・・
固法「叶えて貰う側なんだ」タラー・・・
麦野・絹旗「「」」チーン・・・ - 633 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/16(火) 21:05:51.55 ID:2ctRio0K0
- 麦野「なっ……何でテメェが!!」ガタッ!
垣根「それはコチラのセリフでございますです」スッ・・・
麦野「ちょ! 何で私の席座るんだボケぇ!!」
垣根「えー。だって立ったじゃん。『ガタッ!』って」
固法「あー、えっと……こんにちわ。珍しいですね」タラー・・・
垣根「おう。お互いにな。蜘蛛の兄ちゃん元気?」
固法「うーん……多分」ポリポリ・・・
絹旗「今日はスロットデーなので諭吉三枚握って超朝早くから超長者の列並びに出かけむごぉっ!!」
固法「さ、最愛ちゃん、余計な事言わないで!」アワワワ・・・
垣根「……○モな彼氏持つと大変だな」
固法「ひ、ヒ○じゃありません!」カアアァ///
絹旗「ニートじゃないだけマシでしょう!」ムンッ!
麦野「絹旗。ヒ○モはニートと同じ様な物よ……って、だから何でアンタ此処にいんだっつの!」ギロッ!
垣根「居ちゃ悪い?」
麦野「チッ!」ビキッ!
固法「あー、押さえる抑える……垣根さん。何で美術館にいるのかなぁって」
垣根「テレスティーナが此処来たいっていうからついてきた。特に意味は無かった。以上」サラッ
麦野「ムキー! 何で美偉の質問には応えんのよ!!」ギリリ!
絹旗「物腰と人間性の差でしょうねってぁキャンっ!」ゴンッ!!
固法「こら、麦野さん。そんな牙剥き出しにならないの」メッ
垣根「そーだそーだ」ニヤニヤ・・・
麦野「ぐににぃ……、」メラメラ・・・
固法「垣根さんも喧嘩売らないの。小学生の男の子みたいよ」メッ
垣根「……うぃ」ショボーン・・・
絹旗(相変わらず姉貴さんは対超変人相手には超強いですね)アハハ・・・ - 634 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/16(火) 22:34:40.45 ID:2ctRio0K0
- 垣根「んで? オマエらは?」
麦野「誰が教えるか!」フンッ!
固法「最愛ちゃん教えても良いの?」チラッ
絹旗「うーん……まぁ別に邪魔にはならないので構いませんよ」
固法「あはは……最愛ちゃんの宿題の為に来たんです」
垣根「は?」
絹旗「これ」スッ・・・
【形容しがたい何かの絵】
垣根「……未元物質?」タラー・・・
絹旗「絵巻物の……えっと……演奏会? だかの絵を描きました」
垣根「……えっと」タラー・・・
固法「あー、その、社会のレポート課題なんだって。奈良・平安時代の貴族について、だっけ?」
絹旗「はい。オマエだけ社会見学で美術館行ってないから行けってセンコーに言われました。パンフレットと絵日記を提出だそうです」
垣根「……何それ」タラー・・・
固法「普通の宿題ですよ。ね?」クスッ
絹旗「はい」ニカッ!
垣根「あー……ちょっとむぎのん。こっち来い」ボソッ
麦野「むぎのん言うな! ったく……アンタら続きやってなさい」テクテク・・・
固法「はいはい」
絹旗「帰ってくるまでに終わらせときますよ」カキカキ・・・
麦野「……んで、何?」
垣根「絹旗何やってんの?」
麦野「だから説明通りじゃない」ハァ・・・
垣根「じゃなくてさぁ……何つーか」ポリポリ・・・
麦野「……、」ムゥ・・・
絹旗「ふむ……やっぱ色鉛筆よりクレヨンの方がベタ塗りしやすいですね」カキカキ・・・
固法「あ、あははは……(ベタ塗りとかそれ以前に、絵心が……最早画伯よ)」タラー・・・ - 635 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/16(火) 23:01:02.90 ID:2ctRio0K0
- 麦野「……宿題なんかする必要ない、って言いたいんでしょ?」チラッ・・・
垣根「そういう事った」
麦野「研究と仕事だけしとけば自動的に博士号まで取れる……私達みたいなのはそうよね」
垣根「いや、まぁ勉強すんなとは言わねぇけど……何であんな無意味な事してんのかと」
麦野「ほんと……無意味よね」ジー・・・
絹旗「あ。黄色の芯が殆ど無くなりました」アリャリャ・・・
固法「鉛筆削りは……無いのね。じゃあカッター貸して。削っといてあげるから」
絹旗「カッターで削るんですか?」ポカーン・・・
固法「カッターで芯削るの意外と面白いのよ。今度教えてあげるから今は別の色塗りなさい」フフッ
絹旗「はい。りょーかいです」カキカキ・・・
垣根「……んー」ポリポリ・・・
麦野「絹旗のヤツ、学校から郵送されて来たプリントを美偉に見せたのよ」
垣根「ん」コクッ
麦野「それで色々聞かれて、呆れられて……一緒に美術館行きましょうって事になったの」
垣根「一人で行けっつの」
麦野「無理よ。絹旗って……実は一人じゃ何も出来ないタイプ。人見知りだし、一般常識欠けてるし」
垣根「でもなぁ」
麦野「アンタが思ってる事は私も思ってるわ。でもね……、」ハァ・・・
絹旗「何で帽子の色が一人一人違うんですかねぇ。微妙な色なんて持ってませんよ」ムゥ・・・
固法「烏帽子(えぼし)っていうの。色によって階級を示していて紫が一番偉い……だったかな。香焼くんが詳しいから後で聞いてみなさい」
絹旗「ふむふむ。でも女性は誰も『えぼし』被ってませんよ?」
固法「政治に関わる女性は少なかったからね。その代わりに華やかな着物で着飾ってるでしょ。十二単っていって名前通り12の―――」
絹旗「へぇ。超動き辛そうですね……でも和服かぁ―――」
垣根「……見る限り、ただのガキだな」
麦野「能力無きゃ、社会不適合でコミュニケーション障害持ちの理系だけズバ抜けて出来る学習障害児ね」
垣根「オマエ、相変わらず言葉悪ぃな」
麦野「ほっとけ……とりあえず『普通の女の子』にしたいんだとさ」
垣根「普通、ねぇ。それをオマエが良しとするのか?」
麦野「……さぁ」
垣根「オマエは普通の女の子宣言しないの?」
麦野「そいつはテメェがインテリ優等生宣言する様なもんだわ」ケッ
垣根「ボクは知的で瀟洒な学園都市第二位の天才児ですよ」キリッ
麦野「くたばれ」
垣根「……オマエはやっぱ普通にゃなれねぇな」ハッ - 636 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/16(火) 23:21:09.15 ID:2ctRio0K0
- テレス「―――……さて、そろそろ行くか。垣根は……ん?」チラッ・・・
垣根・麦野「「……、」」ジー・・・
固法「うーん……最愛ちゃん。もう少し作文の書き方勉強しましょうね」アハハ・・・
絹旗「え? これじゃ駄目なんですか?」ポカーン・・・
固法「報告書(レポート)じゃなくて絵日記だから……あと『貴族』とか『平安』、『和歌衆』くらいは漢字で書きましょう」
絹旗「むぅ……PCじゃないんで変換できません」
固法「えっと……あとで辞書の引き方も覚えましょう。今は携帯で調べていいわよ」
絹旗「超面倒臭いです」ブーブー!
固法「だーめ。ちゃんと国語や社会も最低限は覚えましょ。じゃないと高校行ってから大変よ」
絹旗「兄貴さんみたいにですか?」
固法「えっと……先輩は中二レベルで勉強諦めたから」アハハ・・・
絹旗「成程。最低高卒じゃ無きゃ仕事に就けなくなりますね! 兄貴さんや浜面みたいに」
固法「え、えっと……そ、そうね。だからしっかり勉強しましょう(先輩、浜面くん。ごめんなさい)」タラー・・・
垣根「……暗部の仕事は如何したよ。一生食いっ逸れないぞ」
麦野「無駄よ。あの子、美偉と居る時は仕事の事一切頭に無いから」
垣根「……何だかな」ポリポリ・・・
テレス「……歪んでるわねぇ。アンタ達」ジー・・・
麦野「をわっ!?」ギョッ・・・
垣根「ヌッと現れんな! オマエは妖怪か何かか!」タラー・・・
テレス「んな非科学なモンに例えんな」
麦野「……あー」タラー・・・
テレス「ん? 第4位、何かしら?」
麦野「……何でもないわ」
テレス「そ。じゃあ垣根。そろそろ行くわよ」
垣根「ん、おぅ」コクッ - 637 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 00:01:49.15 ID:r6bw5nOG0
- 垣根「そんじゃ挨拶してっかな……おーい、ボイン眼鏡と超ペッタン娘ー」Ppppppppp!
テレス「腕輪鳴らすなボケナスっ!!」
絹旗「な、せ、セクハラです!」カアアァ///
固法「ったく……あ、テレスティーナ」チラッ
テレス「……ん」コクッ
絹旗「あ、那由他の叔母ちゃんです」
垣根「ぶっ……オバちゃん……、」プルプル・・・
テレス「チッ……先車行くわ」
垣根「ひゃはは。ひー、まぁ怒んなよ。俺も行くって。とりあえずじゃあな。絹旗、勉強頑張れよー」
絹旗「言われなくても超頑張ります。天才少女の私を嘗めないで下さい」フンッ!
垣根「自分の名前と能力名を漢字で書けるようになってから天才自称すんだな」テクテク・・・
絹旗「なっ!?」カアアァ///
固法・麦野「「同感」」コクッ
絹旗「むぅ……へ、変換出来れば良いんですよ! それか読めれば良いんです! N2って書けば良いんですよ!」ウガー!
垣根「当分残念な子のままだな」アハハ・・・
テレス「あんなんが大能力者ってんだから可笑しなモンよ」ハァ・・・
垣根「まぁ能力強度(レベル)については個人の人格やら倫理常識には依らないからな」
テレス「アンタが良い例よね」クスッ
垣根「うっせ。まぁでも……強度進化(シフトアップ)よりは人格矯正の方が楽かもな」
テレス「どうやって?」
垣根「どうやってって……うーん」ポリポリ・・・
テレス「……アンタも悲しいガキね」
垣根「喧しいわ。そんじゃあオマエは如何すりゃいいか分かるのかよ」
テレス「分かるわよ。大人だもの」
垣根「……あのさ。子供扱いすんなとは言わねぇが、そういうのに大人だの子供だの関係無いだろ」
テレス「うーん……そうね。とりあえず人生経験の差よ。学習装置(テスタメント)なり刷り込み(インプリンティング)なり」フフフ・・・
垣根「それは矯正じゃなく強制だろ」タラー・・・
テレス「冗談よ。兎に角、普通の子に育てるには普通の『温もり』が必要なの。あの子にはそのチャンスがある」
垣根「……らしくないな」
テレス「あら。私は一応『普通の家庭』を経験してるのよ。思春期辺りに色々あったけど……あの頃は何処にでも居る可愛いガキだったわ」
垣根「自分で可愛いとか言うなよ。気色悪い」
テレス「うっせぇ。オマエよりはマトモなガキだったって事よ。つっこむな」ケッ - 638 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 00:23:40.66 ID:r6bw5nOG0
- < 駐車場 >
垣根「……まぁ絹旗はさておき、問題は麦野だろ」
テレス「知らねぇし、興味無いわ」
垣根「……オマエの姪娘、アイツらと仲良いんだろ?」
テレス「那由他は那由他。私は私よ。第4位があの『置き去り少女』を如何しようが知ったこっちゃないのよ」
垣根「冷てぇのな」ケッ
テレス「……例えば、第4位が柔和になったとする。そしたら私にデメリットが生じるのよ」
垣根「は?」ポカーン・・・
テレス「『能力体結晶』……今は『体晶』ね。第4位、お得意さんだから」
垣根「……クスリか」
テレス「一応私の特許品なの。牢の中でも少しは私の利益になるわ」
垣根「表に出せないクスリなのに?」
テレス「理事会は『体晶』のデータ、重宝してくれてるみたいよ。需要が有る。研究者としてはそれでOKって訳」
垣根「……やっぱマッドサイエンティストだな。撃った銃弾の行く先は何処でも良いってか」
テレス「基本アフターケアはしない主義なの。研究者の本分ね。自己満足。自慰行為。それの何が悪い? って事よ」
垣根「オッカネェな、おい」ハハハ・・・
テレス「でもまぁ……今んところ、研究したい事無いし、する気力も無いけどね」
垣根「ふーん……じゃあもし俺の事を絶対―――」
????「はーい♪ ボスぅ☆」カツカツカツ・・・
垣根「―――能、力……ありゃ?」チラッ
テレス「……ん?」ピタッ・・・
垣根「……今はボスって呼び方、して欲しくないね」
テレス「……、」フーン・・・
心理定規「ツれないわね。折角会いに来たのにー」クスクス・・・
テレス「……監視、か」
垣根「かもな……まぁ、御苦労な事って」ポリポリ・・・ - 639 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 01:04:14.06 ID:r6bw5nOG0
- 心理定規「ソチラのお姉さんは……木原の暴走令嬢ね」ペコッ
テレス「……、」
心理定規「私は彼の部下、かな?? そんなとこよ♪ よろしく~☆」
垣根「まったく……んで? 何か用有ったんじゃないの?」
心理定規「まぁ色々とぉ……まずコレをボスにー♪」スッ・・・
垣根「ん……メールで送ってくれりゃ良かったものの」
心理定規「だって病院居ないんでしょ? メール届かないじゃなーい。それに御顔も見ておきたかったの」クスクス・・・
垣根「ほぉ。殊勝な事って」
心理定規「うーん、問題無さそうねぇ。でも少し垢抜けしたかしら??」
垣根「元々垢なんて無いぜ」ハハハ!
テレス「垢塗れだろ。心も体も」ケッ
垣根「うっせ。ったく……それで、外部に委託出来たか?」ボソッ・・・
心理定規「順調順調♪ しかも周りも便乗しそうな雰囲気にぃ」フフッ・・・
垣根「……派手になりゃそれだけアイツを困らせる事が出来るからな」
テレス「……エンジン掛けとくわ」テクテク・・・
心理定規「あらぁ? 空気読んだのかしらん?」
垣根「……放っておけ。とりあえず他に今伝えなきゃならない事は?」
心理定規「そのチップの中に全部詰め込んだわよ♪ 私ってば敏腕でしょ」クスクス・・・
垣根「上出来だ。この後も頼むぞ」スッ・・・
心理定規「毎度ぉ☆」クスクス・・・
垣根「因みに……これだけか?」
心理定規「え?」
垣根「いや……もしかしたら監視かと思ってな」
心理定規「ああ……それなら貴方達ずぅっと付けられてるわよ」
垣根「はぁ!?」
心理定規「……内緒♪ そんじゃね。残り数時間楽しんで頂戴☆」テクテク・・・
垣根「……けっ」キョロキョロ・・・ハァ・・・ - 640 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 01:40:46.28 ID:r6bw5nOG0
- 垣根「……お待たせー」ガチャッ・・・
テレス「大して待ってないわよ」
垣根「行って良いぞ」
テレス「ん? 監視じゃないの?」
垣根「いや、とっくにツケられてるって」
テレス「……そ。根暗な連中ね」
垣根「まったくだ。堂々と同席して欲しいもんだ。心理定規(アイツ)くらいふてぶてしくても良いのに」
テレス「そうね。でもアンタと同じくらい御喋りなのは勘弁よ」
垣根「……アイツは俺以上に御喋りだよ」
テレス「まぁ14,5歳くらいって考えたら仕方ない、か……アンタ、あの子に手ぇ出してたら犯罪よ?」
垣根「出す気無いけど、多分アイツ俺よりエロいよ」
テレス「んな事ぁ聞いてない。アンタの問題を言ったのよ」ハァ・・・
垣根「はいはい……んで、次は?」
テレス「アンタが決めなさいよ」
垣根「えー」
テレス「いいからさっさとしなさい」
垣根「……じゃあ―――
>>642 - 642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/17(水) 01:48:05.09 ID:oTJqvroDO
- ちょいと公園ぶらりしてたら削板軍覇と遭遇
- 643 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 02:43:59.16 ID:r6bw5nOG0
- 垣根「―――そんじゃとりあえず、どっか公園にでも寄ってくれ」
テレス「は? 何で?」
垣根「……何となく」
テレス「意味分かんない」
垣根「……日和てぇだけだ」
テレス「……あっそ」
―――とある日、PM03:30、学園都市第7学区、とある公園・・・・・
テレス「此処でいい?」
垣根「ああ、何処でもいい」
テレス「……何するの?」
垣根「ボーっと……オマエ今の内に墓参り行って来ても良いぞ」
テレス「500m以上離れたらアウトでしょ」
垣根「あ、そうだっけ」
テレス「しっかりしてよ……とりあえずブラブラしてきたら」
垣根「オマエは?」
テレス「気が向いたら外出る」
垣根「へいへい。そんじゃあ行ってきます」バタンッ・・・
テレス「……ほんと、行動っていうか思考読めない男ね」フッ・・・ - 644 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 02:53:47.61 ID:r6bw5nOG0
- 垣根「……平和だなぁ」テクテク・・・
子供「ワーイ♪ゝ(▽`*ゝ)( ノ*´▽)ノワーイ♪ ((*´∀`))((*´∀`))ケタケタ ((*´∀`))ヶラヶラ (^0^)ノヾ(@^▽^@ )ノわはは」
垣根「平和だねぇ……ベンチに座ってジュースでも飲むか」テクテク・・・
チャリン・・・Pi・・・ガタンッ・・・
垣根「ヤシの実ソーダがメジャーだな」ヨイショッ・・・
??「そのヘルシーMixプロテインもイケるぞ!」ビシッ!
垣根「……あん?」チラッ
削板「いょう!」ニカッ!
垣根「……⑦(メンドイの)がいる」ハァ・・・
削板「はははは! まぁそういうなよ。メルヘン兄ちゃん」ケラケラ!
垣根「オマエこそ何でこんなとこに居んだよ、スポ根野郎」テクテク・・・
削板「パトロールだ! って、俺に奢ってくれないの?」チラッ
垣根「いや、自分の金は?」
削板「財布は持たない主義だ!」
垣根「……ほれ」ピンッ!
削板「お! さんきゅー! おつりは貰って良い?」パシッ!
垣根「図々しいヤツだなぁ……勝手にしろ」
削板「おう。いつか借りは返そう」ビシッ!
垣根「やれやれ。期待できねぇな」スッ・・・ - 645 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 03:00:18.51 ID:r6bw5nOG0
- ワヤワヤ・・・・・
垣根「……、」チラッ
削板「ゴキュゴキュ……ぷはぁ! 拙い!」カアアァ!!
垣根「何で隣座ってるの?」エ・・・
削板「駄目か?」
垣根「……五月蠅くしないなら別に良いよ」
削板「おう」ビシッ!
シーン・・・・・
削板「……むぅ」ムズムズ・・・
垣根「……、」ボー・・・
削板「ぐぬぬぅ」ポリポリ・・・
垣根「……、」ボケー・・・
削板「な、なぁ」ボソッ
垣根「あん?」
削板「何してんだ?」
垣根「何もしてないをしてる」
削板「お、おう」タラー・・・
垣根「……つまんねぇだろ。どっか行けよ」
削板「そう言われると、なぁ」ポリポリ・・・
垣根「因みに今俺能力使えないからな。喧嘩出来るかもと思って近づいたのかもしんねぇが諦めろよ」
削板「ベ、別に俺はそんな戦闘狂(バトルマニア)じゃねぇよ」
垣根「どうだかなぁ」ハハハ・・・
シーン・・・・・
垣根「なぁ」ボソッ
削板「お、おう! 何だ?!」ビクッ・・・
垣根「……オマエ、友達居ないだろ」
削板「」チーン・・・ - 646 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 03:16:16.71 ID:r6bw5nOG0
- 削板「い……居るぞ! 多分な! 最近増えてる!」ダラダラ・・・
垣根「ふーん……まぁ心配すんな。俺も少ない」ハハハ
削板「そ、そうか。その、ドンマイ」
垣根「というかさ、超能力者(レベル5)なんてそんなもんじゃね?」
削板「それは……アレだろ。人間性だと思うぞ」タラー・・・
垣根「じゃあアレか。超能力者たる輩は皆人格破綻者か」ケケケケッ
削板「……その理屈で言ったら、序列が高い程壊れてるって事になるぞ」ムゥ・・・
垣根「そんなんじゃね?」
削板「いや、まぁアンタと白いの(第一位)はそうかもしんねぇが……第三位はよぉ」
垣根「分かんねぇぞ。俺らの知らない所で色々壊れてるかもしんねぇし」
削板「……アンタ変な事考えるんだな。やっぱメルヘンだ。それともメンヘラってヤツか?」
垣根「メンヘラの意味分かって言ってるのか?」
削板「香焼の友達のノッポ神父はメンヘラ、らしいぞ」ウンウン・・・
垣根「……とりあえず知らないらしいな」
削板「兎に角だ。アンタ変だぞ」
垣根「オマエは物事簡潔に言うから気持ち良いな」ハハハ
削板「だはは。褒めるなよ」ポリポリ・・・
垣根「皮肉だよ」ケケッ
削板「ソイツは失礼」ケッ
ワヤワヤ・・・・・
垣根「俺も、原石扱いされてたら変わってたのかなぁ」ボソッ
削板「お? 仲間入りするか?」ニカッ!
垣根「そういう話じゃないっつの……オマエはホント独特だから調子狂うんだよ」ハァ・・・
削板「だけど兄ちゃんさ、悪ノリとか大好きだろ? 俺はアンタのそういうとこ好きだぜ」
垣根「悪ノリね……まぁそうだな。メルヘンでコミカルな人生を送りたいのかもしれねぇ」
削板「よしっ! じゃあ俺と一緒にヒーロー活動を!」ビシッ!
垣根「俺はヴィランの方が好きだ」
削板「えー。アークエンジェルよりエンジェルの方が似合ってるぞ」
垣根「同一人物じゃねぇか……まぁどっちでも良いか。オマエは如何見ても超人(スーパーマン)だもんな」ハハハ
削板「まぁ不殺で全てを救うのが最高の正義の味方だからなー。全部根性で乗り切る! 根性論こそが人間の源だ!」ムンッ!
垣根「成程ね。それがオマエの宗教か。ソイツぁ素敵だ」ハハハ - 647 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 03:45:23.47 ID:r6bw5nOG0
- 削板「でもよ、兄ちゃんの中には正義は無いのか?」
垣根「俺の正義かぁ……考えた事無いかもな」
削板「うーん、まぁ野良犬をその日の気分次第で助けたり殺したりしそうだからなぁ」
垣根「んな狂っちゃいねぇさ。とりあえず俺が正義で、邪魔なのが敵だ」
削板「ジコチューだな」
垣根「オマエの正義だって似た様なモンだろ?」
削板「……でも如何していいか分かんない時は、ちゅんと人に聞くぞ。信頼できる人間にな」
垣根「信頼ねぇ。オマエ存外大人なんだな」
削板「また皮肉か?」
垣根「いや、素直に褒めてるよ」
削板「ありがとう。それじゃあ良い事教えてやるよ」
垣根「はいはい、教えて超人先生」
削板「ふむ! 根性だ! 以上!」
垣根「どーも……良い言葉だが、参考にならんわ」ハァ・・・
削板「死ぬ気でやれ。死なないもんだから、な!」ハハハ!
垣根「ははは……そうだな。死なないモンかぁ」
削板「ああ。正義に順じて死ぬ気でやれば死なないもんだぞ!」ビシッ!
垣根「……暗部とかでも」
削板「胡散臭いのは嫌いだが、この街の為に働いてるんだろ? イケない事か?」
垣根「そう言われると、何ともなぁ」
削板「まぁその中で非人道的な事してるんだったら『歯止め』が入る。そうだろ?」
垣根「歯止め?」
削板「『ヒーロー』の事だ。悪事はそう長続きはしない。絶対に救いが入る。運命ってか必然ってヤツだ!」
垣根「……ホント、楽観的だな」
削板「だけど、そういうモンだろ。世の中に悪が栄えた試しが有るか?」
垣根「じゃあ悪って何だっつの」
削板「大多数から見ての『敵』。この街のシステムだって同じだ。大多数が正義だろう」
垣根「この街自体が悪だとしたら?」
削板「そりゃ別の話だ。だけど少なくとも、この街の多くの人間(一般人)は悪じゃないだろ」
垣根「……、」
削板「とりあえず兄ちゃんの考えは間違って無いぞ。自分が立ってる場所が正義。んで何を味方にするか、護るモノとするかが課題だ」
垣根「それを違えたら?」
削板「誰かが止める。でも大抵残った方が正義だ。勝てば官軍、だっけか? 強ち間違いじゃねぇよ。だって悪は栄えないもん」ドンッ!
垣根「……良いな。その根性論ってか英雄論」ハハハ・・・
削板「よしっ! だったら今日から兄ちゃんもヒーローとして俺と一緒に!」
垣根「それは断る」ビシッ
削板「……おぅ」タラー・・・ - 648 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 04:05:06.44 ID:r6bw5nOG0
- ―――一寸後、ワヤワヤ・・・・・
テレス「ん……何してんのよ、アイツ?」タラー・・・
子供A「ねぇ、こんじょーマン! さっきのスーパージャンプやって!」キラキラ!
削板「おう、見てろ……ふんっ!!」ブンッ!!
一同『おー』
子供B「……落ちてこないよ?」ジー・・・
垣根「大丈夫だ。飛んでる訳じゃないから自由落下で落ちてくる」
子供C「……あ! ホントだ! すんごい早さで落ちてくるよ!」
子供D「わー! えんじぇる兄ちゃんの後ろにかくれろー!」
子供s『きゃーきゃー!』ザザッ
削板「――……・・・・・・・・ぁぁぁあああアアアア、そぉいっ!!」ゴガンッ!!
子供s『うきゃぱー!』キャッキャッ!
垣根「……はぁ」ファサッ・・・
子供A「おー! やっぱスゲェな! じしょー超能力者(レベル5)は!」キラキラ!
削板「自称じゃない。マジもんだ!」フンッ!!
子供B「えー。でも能力に名前ついてねぇんだろー。じゃあ能力者じゃねぇじゃん。まー、すげーからカンケーねぇけど」ジー
子供C「それよりコッチのお兄ちゃんのツバサかっこいいよ!! もう一回出せないの!」キラキラ!
垣根「あー、えっと……オマエらがピンチの時にしか起動しないんだぜ。自動防御ってヤツだ」アハハ・・・
子供D「つまんねぇの。でも見た目カッケェから許してやるよ」ウンウン!
垣根「全力出せば飛べるんだぞ。そこのインチキジャンプと違って滞空ってヤツでな」ムンッ!
子供s『うそだー』ジトー・・・
削板「兄ちゃん、嘘はいけないぞ」ウンウン・・・
垣根「……泣けるぜ」ハァ
ワヤワヤ・・・・・
テレス「何だか……楽しそうね」クスクス・・・ - 649 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 04:37:43.17 ID:r6bw5nOG0
- ワヤワヤ・・・・・ワヤ・・・
子供s『じゃーねー!』ノシ
削板「気を付けて帰れよー。悪者に襲われたら俺を呼べー」ノシ
垣根「素直に風紀委員か警備員呼べよー」ノシ
子供s『はーい』パタパタ・・・
垣根「ふぁあ。疲れたな」グデェ・・・
削板「子供と遊ぶのは並の筋トレより体力使うからな。良いトレーニングになるぞ」ハハハ!
垣根「オマエのポジティブさが羨ましいよ」ハァ・・・
テレス「……珍しいわね」テクテク・・・
垣根「あ? まぁ……かもな」
削板「ん? 誰コレ?」
垣根「この街の有名なヴィランだぞ」
削板「へー。見た目は垢抜けしてんよ?」
テレス「貴方は第7位くんね。有名人とお会いできて光栄です」クスクス・・・
削板「えっと、はじめまして。削板軍覇です。好きな言葉は根性。嫌いな言葉は根性無しです。そうぞよろしく」コクッ
テレス「あらら。じゃあ私達二人とも嫌いな類じゃないかしら?」クスクス・・・
垣根「うっせ。俺は根性無しじゃねぇっつの。テメェだけだろ」ケッ
削板「あー……兄ちゃんの彼女?」チラッ
垣根「ただのカキタレの一人でぶぉ痛たたたたぁっ!!」ギュウウウゥッ!
テレス「……同僚、みたいなもんよ」フフフ・・・
削板「お、おぅ」タラー・・・
テレス「物分かりの良い子で嬉しいわ……さて、そろそろ帰るわよ。ボンクラ」ギロッ・・・
垣根「きゅぅ……こんにゃろー」グヌヌ・・・
テレス「君も、早いところ研究所に帰りなさい。所長さんが心配するんじゃなくて?」
削板「ジジイは俺の心配なんかした事ねぇぞ……って、ジジイ知ってるのか?」
テレス「私のお爺様(糞ジジイ)とも知り合いだったもの。相変わらずお元気? ギラギラしてる?」
削板「元気だぞ。ギラギラっていうよりキリキリしてるな」
垣根「あー、例の危険な所長か? 原石担当の」
削板「ジジイってそんな有名人なの?」ポカーン・・・
テレス「この街の開発当初から関わっていた人よ。見た目以上の年齢だから今度歳聞いてみなさい」フフッ
削板「……怖くて聞けません」タラー・・・ - 650 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 04:52:58.40 ID:r6bw5nOG0
- 削板「まぁとりあえず、夜のパトロールに移動するよ。街中の方がチンピラ多いしな」スッ・・・
垣根「ん。頑張れよー」
削板「おう。兄ちゃんもなー」テクテク・・・
テレス「……不思議な子ね」
垣根「不思議っていうか、信じられねぇほど純粋なんだよ。そんでもって実際馬鹿じゃねぇ」
テレス「アンタみたいなもん?」
垣根「オレは純粋じゃねぇだろ」
テレス「……そうね」クスクス・・・
垣根「……行こう。十分日和った」テクテク・・・
テレス「了解っと」テクテク・・・
垣根「次は……って、そろそろ墓参り行かないと拙いか」チラッ
テレス「そうね……墓参り行って、夕飯食べて帰りましょ」カチッ・・・
―――とある日、PM05:30、学園都市第10学区、共同墓地……
垣根「墓場、かぁ」テクテク・・・
テレス「車で待ってなさい」チラッ
垣根「……掃除くらいは手伝うよ」テクテク・・・
テレス「掃除は、無駄よ」ボソッ
垣根「は?」
テレス「……、」テクテク・・・
寸・・・・・
垣根「……成程。こりゃ無駄だわな」ジー・・・
【・・・ざまぁ!! 死んで当然っ!! 天誅っ!! 百辺死ね!! 名前すら残すな!! この街の汚点っ!! ■■■■■!!・・・】
テレス「前よりは綺麗なモンよ……ただ、どんなに綺麗にしても墓荒しする馬鹿な連中が居るわ」テクテク・・・
垣根「オマエも那由他も、この墓に入るのか?」チラッ
テレス「さぁ。どうしようかしらね」カチカチッ・・・
垣根「……、」ボー・・・
テレス「悪の末路……逆に清々しいんじゃない?」フフッ・・・ - 651 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 05:27:55.68 ID:r6bw5nOG0
- カー・・・カー・・・・・
テレス「……、」ジー・・・
垣根「……、」ボー・・・
テレス「……行くわ」スッ・・・
垣根「線香だけで良いのか?」
テレス「キリが無いもの。清掃はバイトを雇うわ……丁度良いのがいるから」
垣根「ん……なぁ」
テレス「何?」
垣根「この街から出てけば、荒されないんじゃねぇのか」
テレス「……この街の研究者はね。死んでも、この街から出れないのよ」
垣根「那由他もか?」
テレス「……気にする必要無いわ。死んだら終わりでしょ。実際、キチンと骨埋められた親族なんて数えられるほどしかいないし」
垣根「いや、でも残されたモンがさ……オマエらみたいに」ポリポリ・・・
テレス「じゃあ此処に入るのは、私で……最後よ。那由他は何れ何処かに養子に出すわ。児童相談所に動くよう冥土帰し(ジジイ)に頼めば」
垣根「……寂しいヤツ」フンッ
テレス「……言われなくても分かってるわよ」
垣根「死者に鞭打つのは、俺的には御法度だな」テクテク・・・
テレス「……何してるの?」
垣根「此処『K』ブロックだろ……あ、此処なんか目立つな。あれ? 『黒妻』って……何で蜘蛛男の墓あるの?」タラー・・・
テレス「アイツ戸籍上死んでるからよ……空き探し?」
垣根「俺だって死ねばこの下だろ。多分、木原(オマエ)んとこみたいに荒されるかもな」ハハハ・・・
テレス「……、」
垣根「でもよ……死んだ後くらい『普通』に暮れてぇよ。違うか? 非常識人その2」ボー・・・
テレス「……そうね」
垣根「もしオマエ死んだら、墓、街の外に移動させてやるよ。そんでもって那由他もそっちに送ってやる」
テレス「きっとアンタの方が早死にするわよ」クスッ・・・
垣根「はははは。そん時は線香の一本でも上げてくれ。あ、その前に墓作って貰えんのかなぁ。俺の死体って貴重そうじゃん?」アハハ
テレス「……腐れ縁って事で作ってやるわ。アンタにお似合いなのをね」
垣根「そりゃ頼もしいな。任せたよ」テクテク・・・
テレス「……その歳で死後の事考えるなんて世も末ね」
垣根「如何生きたか。如何死ぬか。永遠のテーマだろ? 動物は死に場所を求めて生きるんだよ」
テレス「アンタが哲学的な事言ってもメルヘンにしか聞こえないわ」クスッ
垣根「うっせ。帰るぞ」フンッ・・・ - 652 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 06:11:40.15 ID:r6bw5nOG0
- ―――とある日、PM08:30、学園都市第7学区、とある病院、特任教授(冥土帰し)研究室……
冥土帰し「……ふぅ。一応終わりだな」グデェ・・・
御坂妹「お疲れさまでした、とミサカは労いの言葉を掛けます」
冥土帰し「君も上がって良いよ。夜勤じゃないでしょ?」
御坂妹「はい。しかしまぁ……平和でしたね、とミサカは当り前な事に苦笑します」
冥土帰し「あの二人か……ホント気が楽だよ」ハハハ・・・
御坂妹「今頃はご飯でも食べてる頃でしょうか、とミサカは推測します」
冥土帰し「そうかもね。僕もカップラーメンでも食べようかな」
御坂妹「先生、レトルトや肝移植は控えて健康的な物を食べて下さい、とミサカは医者の不養生を注意します」メッ
冥土帰し「はいはい、手厳しいね」ポリポリ・・・
御坂妹「……そういえば質問が」
冥土帰し「ん?」
御坂妹「あの二人って如何いう関係なのですか? とミサカは少々アダルティな答えを期待しつつ質問します」フフフ・・・
冥土帰し「……自称ヴィラン同士で良いんじゃない? 仲は良くも悪くもない」
御坂妹「……それだけですか?」
冥土帰し「もしかしたら一度くらい『寝てる』のかもしれないし、互いの部屋にすら入り込んで無いのかもしれない」
御坂妹「つまり知らない、と」
冥土帰し「そういう事。聞く気無いし、調べる気も無い。興味があるなら本人達から聞いてみれば」クスッ
御坂妹「……遠慮します」タラー・・・
冥土帰し「ははは。でもまぁ……あの二人は色々互いに共感してる部分はあるみたいだよ」
御坂妹「共感? 精神感応(テレパス)か何かでしょうか? とミサカは先生の謎掛けにヒントを求めます」
冥土帰し「謎掛けって程じゃないさ。言ったろ、彼らはヴィランだ。それも中途半端なヴィランじゃない」
御坂妹「悪役……ふむ」ポリポリ・・・
冥土帰し「結構似た者同士だよ。ただプライドは高いだろうから傷の嘗め合いに為りかねない性交はしないんじゃないかな」フム・・・
御坂妹「……私には、良く分からない」
冥土帰し「理解されても困るんだ。深く考えないでくれ」
御坂妹「はい」コクッ
冥土帰し「それじゃあ二人が帰ってくるまで仮眠を取るよ。車がついたら夜勤担当の妹達に僕を起すよう伝えてくれ」
御坂妹「了解しました。ではミサカはこれで失礼します」ペコッ・・・
冥土帰し「……ヴィランは敗れる決まり、か。だが生きてれば悪役だろうが英雄だろうが助けるんだよ」ボー・・・ - 653 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 07:18:22.51 ID:r6bw5nOG0
- コンコンッ・・・・・
冥土帰し「ん?」
御坂丸「失礼します」
冥土帰し「まだ何か……ああ、10039号かい?」
御坂丸「はい。先生、今さっき先生の車が到着した模様です、とミサカはいきなり報告します」
冥土帰し「思ったより早いな。車に外傷無い?」ハァ・・・
御坂丸「ええ。如何しますか?」
冥土帰し「……すぐ行くよ」ヤレヤレ・・・
御坂丸「ご一緒しましょうか? とミサカはお疲れの先生に提案します」
冥土帰し「いや、大丈夫だ。通常業務に戻って良いよ」テクテク・・・
御坂丸「了解です。何かあればミサカのPHSに連絡お願いします」ペコッ・・・
冥土帰し「……さて、何してきたのやら」フム・・・テクテク・・・
< 関係者用駐車場 >
冥土帰し「……御帰り」テクテク・・・
垣根「出迎えどうも」
テレス「ちゃんとガソリン満タンにしておいたわよ」
冥土帰し「そりゃ殊勝。それより、思ってたより早かったね。もうちょっと夜遊びしてくるのかと思ったよ」
テレス「コイツと二人で夜遊びなんて色んな意味でオッカナイ」
垣根「失礼なヤツ。俺ぁ神士だっつの」
冥土帰し「まぁとりあえずは問題無し、と……この調子で地下でも大人しくしててくれ」
垣根「気分次第だな」
テレス「そうね。暴れそうになったらまた外出してよ」クスッ
冥土帰し「度し難い連中だね」ハァ・・・
垣根「はいはい、さーせん。そんじゃあオレは先寝るぜ。お休みさん」テクテク・・・
冥土帰し「……変わった事は?」
テレス「さぁ。相変わらずメルヘンだった。ま、ちょっとだけネガティブだったかも」
冥土帰し「そう……とりあえず君も休みなさい。研究したい事があるならまた明日からね」
テレス「ねぇ」チラッ
冥土帰し「ん?」
テレス「私達は貴方の、患者? それとも別の何か?」
冥土帰し「……偽りでもカルテがある以上は患者なんじゃない?」クスッ
テレス「適当なんだか、優しいんだか」
冥土帰し「少なくとも今は敵じゃない。それで良いだろ……あとまぁ、嫌いじゃないさ。二人ともね」テクテク・・・
テレス「……ジジイも大概、メルヘンかもね」クスッ・・・ - 654 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 07:21:42.24 ID:r6bw5nOG0
- お疲れさまでした。グダグダだったけどこの小話(?)終わり。
次は次に票が多かった『あまくさっ!ぷらすっ!』をちょこっとやろうかと思ったけど……どうしようね。
とりあえずまた次回。質問意見感想罵倒等などよりしくねー。では! ノシ” - 655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/17(水) 10:26:54.38 ID:oTJqvroDO
- >>1
乙
面白かった
即興でできるってすごいね - 656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/17(水) 15:57:54.60 ID:I4rKZZPDO
- 乙。垣根からものすごく死亡旗臭がする‥‥お前、消えるのか‥‥
あまくさっ! の小話キボンネ! - 657 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 21:32:50.63 ID:r6bw5nOG0
- こんばんわ。小話投下します。
これが終わったらHTML化お願いすると思う。
そんじゃスタート! - 658 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 21:47:28.13 ID:r6bw5nOG0
- ―――とある休日、PM00:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・
カタカタカタカタ・・・・・
香焼「……はぁ。レポート終わったぁ」グデェ・・・
香焼「もうお昼回ってるよ。如何しよっかなぁ……多分、五和達呼んで無いのに来るだろうし」ハァ・・・
香焼「……、」ボー・・・
香焼「少し、昼寝しようかなー」グダッ・・・
香焼「……あ、メール返さなきゃ」スッ・・・
香焼「……、」カチカチッ・・・
香焼「……ふぁぁ」クタリ・・・
・・・・・寸・・・・・
香焼「……くぅ」ペタン・・・
約三十分後・・・・・
五和「おっ邪魔っいかーんっ!!」ガチャッ!!
浦上「お姉、そんなバタバタ走ってったら香焼に怒鳴られるヨ」ンモー
五和「大丈夫大丈夫。害虫を見る様な冷ややかな目をされた後、溜息吐かれるだけだから!」
浦上「分かってるなら反省しなさいって」タラー・・・
五和「謝りはしよう! しかし私は反省しない! って事でこんちわー!」ガチャリンコッ!
香焼「……くぅ……すぅ」zzz...
五和「んなっ!!?」ギョッ!!
浦上「ん? アレレ? 珍しいですネ。五和の騒音聞いて起きないなんて……相当疲れてるのカナ??」
五和「くっ……ウラ。これはトラップです。香焼が私達を陥れる為に態とあんな無防備な姿を曝け出して誘っているんです!!」ガタガタ・・・
浦上「なぁにそれ……いや、普通に昼寝してるだけっしょ? かーなーり、グッスリと」ジー
五和「……ほぅ」ニヤリ・・・ - 659 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 22:00:40.25 ID:r6bw5nOG0
- 五和「よしっ。現状確認!」ビシッ!
・ソファの上にグッスリの香焼。
・開きっ放しのノートPC。
・放置された漫画雑誌数冊。
浦上「いや、そこまで大したモンじゃないですヨ」
もあい「なー」フシフシ
五和「ふふふ……ウラ。これはチャンスなのです! コウちゃんに色々とあんな事やこんな事をしたり、調べたり!」ムフフフ・・・
浦上「あ。もう少しでカオリ姉様来るってー」ナデナデ
もあい「にゃ?」
五和「無視するでない! ウラ、聞きなさい……よくよく考えるとね、これほど無防備なコウちゃんの現状は無いんだよ!」
浦上「一応、聞いて上げる」ハァ
五和「あのね! 普段、コウちゃんのPCなり本は自室……あの『開かずの間』の中にある!」
浦上「うんうん」
五和「その中には例え大人の対馬さんや女教皇様たるカオリ姉様さえも入れない!」
浦上「まぁ自室だからねー。無闇矢鱈に入れないっしょ」
五和「あの部屋にはコウちゃんが眠る今であっても入れない。しかし! 今、普段は見られないこの子のPCが此処にあるのよ!」ビシッ!
浦上「……えっと」タラー・・・
もあい「にゃー」ジー・・・
五和「ふふふふふ……、」キランッ!
浦上「止めときましょうヨ。起きたら大変ダヨ。只でさえ今騒いで起きるかもしれないってのに」ポリポリ・・・
五和「お黙る! レッツチャレンジングよ!」ビシッ!
浦上「うーん……そっち(PC)じゃなくてもさぁ、香焼自身に悪戯すれば良いじゃん」ニヤリ・・・
五和「な、なんと!?」ギョッ・・・
もあい「なぅ?」ポカーン・・・ - 660 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 22:17:50.15 ID:r6bw5nOG0
- 浦上「お姉……この部屋には私達の私物も結構置いてあるよネ」
五和「そ、それが如何したの」
浦上「私はふと、思い出した……先日姉様と買い物行って、化粧品買ったばかりだなぁ、と」フフフ・・・
五和「ま……まさかっ!!?」ギョッ!!
浦上「……その通り」ニヤリ・・・
もあい「……みゃう」トコトコ・・・
浦上「だがしかし! 私はお姉の判断に任せよう」ウンウン・・・
五和「なっ!!」
浦上「PCを弄るも良し。香焼をメイクアップするも良し……もう少しでカオリ姉様来るから大人しくしとくも良し」コクン・・・
五和「そ、そうか……姉様が来た時の事を考えると、拙いわね」ゴクリ・・・
浦上「さぁどうするっ?!」ビシッ!
もあい「にゃー!」ベシッ!
五和「じゃ、じゃあ……―――
①香焼のPCを色々調べちゃう!
②香焼の寝顔をメイクアップしちゃう!
③大人しく神裂を待つ。
④その他!(具体例を!)
>>663 - 661 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 22:18:33.50 ID:r6bw5nOG0
- 浦上「お姉……この部屋には私達の私物も結構置いてあるよネ」
五和「そ、それが如何したの」
浦上「私はふと、思い出した……先日姉様と買い物行って、化粧品買ったばかりだなぁ、と」フフフ・・・
五和「ま……まさかっ!!?」ギョッ!!
浦上「……その通り」ニヤリ・・・
もあい「……みゃう」トコトコ・・・
浦上「だがしかし! 私はお姉の判断に任せよう」ウンウン・・・
五和「なっ!!」
浦上「PCを弄るも良し。香焼をメイクアップするも良し……もう少しでカオリ姉様来るから大人しくしとくも良し」コクン・・・
五和「そ、そうか……姉様が来た時の事を考えると、拙いわね」ゴクリ・・・
浦上「さぁどうするっ?!」ビシッ!
もあい「にゃー!」ベシッ!
五和「じゃ、じゃあ……―――
①香焼のPCを色々調べちゃう!
②香焼の寝顔をメイクアップしちゃう!
③大人しく神裂を待つ。
④その他!(具体例を!)
>>663 - 662 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 22:20:34.85 ID:r6bw5nOG0
- ごめん、ダブった。 >>665 で。
- 665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/17(水) 22:32:54.19 ID:rVMNe79ho
- kskst
- 666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/17(水) 22:33:00.35 ID:tTAF0EHN0
- 無論、①だぁぁぁぁぁぁぁぁ!
- 669 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/17(水) 23:41:04.99 ID:r6bw5nOG0
- 五和「―――……決まってるでしょ!」ビシッ!
浦上「おー、PCに行きますかぁ」ニヤッ・・・
五和「ふふふ……見よ! コウちゃんはシャットダウンすら忘れて寝入ったのだ。何たる僥倖!」
浦上「駄目だよ香焼ー。敵は身内に有りなんだからシッカリ閉じとかないとー」ムフフ・・・
五和「ではではー! さっそくネットを開きましょー」カタカタ・・・
浦上「……あ。お姉ー、姉様来たら如何するの?」
五和「心配無いわよ。弄ってるんじゃなく、私の私用でネットを開いてる事にすれば良いんだから!」
浦上「……まぁあの人機械音痴だし、適当言えば何とでも誤魔化せますネ」ハハハ・・・
五和「と、いう訳で!」カチッ・・・
浦上「何調べるの? Dドラ? ネット履歴?」
五和「……まずはブクマよ」ニヤリ・・・
浦上「うわぁ。いきなり攻めるネ」タラー・・・
五和「さて……では御開帳!」
寸・・・・・
五和「……うわぁ。クッソつまんねー」ジトー・・・
浦上「何期待してるのサ」
五和「ヤホーのトップで、ゴーゴル先生、ようつぼ、あーまーぞーんっ!」
浦上「まぁこの子らしいよネ」
五和「何かこうさぁ……ドキドキニャンニャンする様なモノは!」
浦上「……えー」タラー・・・
もあい「なぅ」ジトー・・・
ピンポーン・・・・・
浦上「あ、姉様来たヨ」チラッ - 670 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/18(木) 00:23:08.03 ID:NQqd4aHS0
- >>668・・・こまケぇ事はいいんだよ!
・・・・・寸・・・・・
五和「ぐぬぬ……、」カタカタカタ・・・
神裂「……五和は何をしてるのですか?」タラー・・・
浦上「うーん……ネット、ですかネ」アハハ・・・
もあい「なー」
神裂「ネット、とはインターネットの事ですか?」
浦上「ええ。女子寮にもPCありますよネ。回線繋いでる筈ですケド」
神裂「私はPCを弄らないので……そんなに熱中できるものなのですか」フム・・・
浦上「今の時代、ネットあれば何でもできちゃいますからネ」
神裂「へー……それより、香焼は」チラッ
香焼「すぅ……くぅ……、」zzz...
浦上「珍しく昼間から爆睡です」
神裂「……タオルケットくらい掛けてあげなさいよ」
もあい「みゃー」コクンッ
五和「だあぁ……駄目だ! 履歴すら残って無い!」グヌヌ・・・
神裂「五和、一体インターネットで何をしてるんです?」
五和「あ。姉様。何時の間に」ピクッ
浦上「お姉、熱中し過ぎ」タラー・・・
五和「ちょっとした調べ物ですよ……でも見つからない」ハァ・・・
浦上「もう諦めたら?」
五和「でもさぁ……何も出て来ないのよ? これっぽっちも! ウラだって気になるでしょ?」チラッ
浦上「気になるけどサ」フム・・・
神裂「???」ポカーン・・・
香焼「……むぅ」グルッ・・・
五和「うをっ!」ビクッ・・・
浦上「ビビり過ぎだって」ハァ・・・
もあい「んな」ゴロゴロ・・・ - 671 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/18(木) 00:34:15.13 ID:NQqd4aHS0
- 五和「ふぅ……もしかして、コウちゃんまだそういうの目覚めて無いのかな」チラッ
浦上「まぁ中一だからネー。目覚めるか目覚めないか微妙な時期じゃん」
五和「かなぁ」ハァ・・・
神裂「な、何の話をしてるのですか?」
五和「え、えっと……うーん」ポリポリ・・・
浦上「……香焼の思春期についてですヨ」
神裂「思春期?」
五和「因みにウラは?」
浦上「私? えっとねぇ……建宮さん達の馬鹿話聞かされて来たからナー。小4くらいかも。お姉は?」
五和「早いわね……私は父さんの隠してあった『本』見つけたのが中一だったわ」
浦上「ほら、大体気付くか気付かないかの瀬戸際なんだって」
五和「でもさぁ香焼って建宮さんや牛深さん達に囲まれて過ごしてるんだよ。何ていうかこう……早そうじゃない?」
浦上「まぁねぇ……てか最低小5で保健の勉強入るだろうし」
神裂「え、あ、その……何??」ポカーン・・・
五和・浦上「「……、」」ジトー・・・
もあい「にゃん」ジトー・・・
神裂「な……え?」タラー・・・
五和「姉さん……少し腹を割って話しましょうか」キリッ・・・
神裂「い、いつに無く真剣な眼差し……い、いいでしょう。話して下さい」コクッ・・・
浦上「……あーあ。知ーらない」タラー・・・
・・・・・寸・・・・・
五和「―――……という訳です!」
神裂「」カアアァ///
浦上「やっぱりムッツリ姉様には無理な話ですヨ」ポリポリ・・・
もあい「みゃう」コウコクッ・・・
香焼「……、」グデェ・・・ - 672 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/18(木) 00:52:09.67 ID:NQqd4aHS0
- 五和「と、言う事で、コウちゃんのそういう事情気になりません?」チラッ
神裂「き、気になるとかならないとかそういう次元じゃなくて! こういうのは本人抜きに出来る話では!」アタフタ・・・
五和「でも本人交えたらもっと出来ない話ですよ?」
神裂「ぐっ……し、しかし」タラー・・・
浦上「話戻すけどサ、香焼の周りを考えたら絶対『目覚め』は有る筈なんですヨ」
五和「周り?」
神裂「そ、そんな! この子に限って」アタフタ・・・
浦上「仲の良い連中で考えると……学校の友達はまず無い。香焼、自分の学校には友達いないから」サラッ・・・
神裂「言わないで上げましょうよ」タラー・・・
浦上「んで、天草で考えれば基本馬鹿な男衆と一緒にいます。その時点でアホな話には混ざっている筈」
五和「それは同意する」コクッ
浦上「それから英国で考えたら、尚更でしょ。ステイル神父、サーシャ、アンジェレネは別として……アニェーゼとレッサーに絡まれてますネ」
神裂「あの二人は、まぁ……知識は無駄に多いですからね」コホンッ・・・
浦上「そしてコレが本題なんですケド……リアルに……オカズがいっぱいある」ボソッ
五和「そ、それは!!?」ギョッ!!
神裂「おかず??」ポカーン・・・
浦上「まぁだから紙媒体やデータ媒体での『餌』が要らないのかもしれませんが……妄想で『可能』な程、香焼は偏ってるとは思えない」
五和「ちょ、ちょっと待って……り、リアルの『オカズ』って、その……えっと」カアアァ///
浦上「普段、お姉に冷たく当たってるけど……もしかしたら……、」ニヤリ・・・
五和「だ、駄目よコウちゃんっ!! 私達義姉弟じゃない!! それに私には心に決めた人がっ!!」イヤアアァッ///
神裂「喧しい! ったく……この子は何に悶えているのですか?」タラー・・・
浦上「……姉様。耳貸して」スッ・・・
神裂「ん?」
ゴニョゴニョ・・・・・
神裂「い、いけません!! 私達は血が繋がっていなくとも肉親の様なモノです!! そんな不埒なっ!!」ウアアアァッ///
浦上「でもまぁ妄想内ですから。妄想内ではあんな事やこんな事したりされたりでも自由ですヨ」ハハハ
五和「禁断の愛なんていけないわ!! 姉ちゃんをそんな風な目で見るなんて……コウちゃんったら」カアアァ///
神裂「これからどうやってこの子に接していけばいいのか……ああぁ」カアアァ///
浦上「……アンタらの方が危ないですヨ」タラー・・・
もあい「なぅ」コクコクッ・・・ - 674 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/18(木) 01:31:47.38 ID:NQqd4aHS0
- 浦上「はぁ……仕方ないなぁ」ポリポリ・・・
五和「な、何よ」ジトー・・・
浦上「要は香焼が『健全』な青少年の様に、それ相応の本や画像、映像を見ていれば妄想してないって事になる?」
神裂「そ、それは……そうなのですか?」
五和「ま、まぁ不安は減るわね」
浦上「……じゃあお姉、そこ退いて」
五和「何するの?」
浦上「履歴調べるヨ」スッ・・・
五和「履歴って……さっき調べたよ」
浦上「クッキーまで弄ったりした?」
五和「くっき……へ?」
神裂「???」ポカーン・・・
浦上「ちょっと待ってて。香焼の紙でも弄って遊んでて下さいナ」カタカタ・・・
神裂・五和「「お、おぅ」」タラー・・・
もあい「……なぅ」ジトー・・・
・・・・・寸・・・・・
五和「コウちゃん髪伸びたねー」ワシャワシャ・・・
神裂「あ。おでこ出すと余計幼く見えますね」アハハ
香焼「う、うーん……、」ムニャムニャ・・・
浦上「……よしっ。とりあえず契約時から利用してきたURL全部見れるよ」チラッ
五和「お!」ガタッ!
浦上「待て待て……一から見てったらキリがないからそれっぽいモノを開いていこう」カチッ・・・
神裂「私は良く分からないので二人にお任せします」プニプニッ
香焼「くぅ……むぐっ」ウーン・・・
もあい「にゃぅ」ムニャムニャ・・・
浦上「あ。これ何かは?」カチッ・・・
五和「何々?」
浦上「R18だネ」フフフ・・・
神裂・五和「「っ!」」ガタッ!
浦上「落ち着きなさいな……そんじゃ御開帳ー!」カチッ! - 675 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/18(木) 01:49:09.77 ID:NQqd4aHS0
- サイト名 < 刃モノの森 >
五和「……なぁにこれぇ」タラー・・・
浦上「え、えっと……日本のサイトじゃないね。多分アメリカ」カチッ・・・
神裂「軍用ナイフや儀礼用短刀。あら、日本刀も取り扱ってるんだ……あの、これは?」タラー・・・
浦上「実際通販で販売してるんですネ。もしかしたら購入履歴あるかも」
五和「……つまり、刃モノ買ってると?」
浦上「まぁ香焼短刀マニアだからネ」タラー・・・
香焼「……くぅ」グデェ・・・
三姉妹『……、』チラッ・・・
もあい「うなー」キュー・・・
五和「……か、カオリ姉様の所為ですね」コホンッ
神裂「わ、私!? な、何故ですか! 関係無いでしょう!!」ギョッ
五和「コウちゃんの得物選んだの姉さんでしょ。しかも幼い頃から自分の趣味に付き合わせて刃モノの魅力を云々」コクコクッ
神裂「わ、業(ワザモノ)の刃の美しさを否定する理由など……じゃなくて、それは関係ありません!」アタフタ・・・
五和「だって『ぼく、大きくなったらぷりえすてすみたいに長モノふるうんだ!』ってずっと言ってましたよ」ジトー・・・
神裂「そ、それは幼子の憧れに過ぎないでしょ! 私はこの子を洗脳する程光りモノを推した事はありません!」
浦上「まぁまぁ……兎に角、このサイトで買った刃モノは『開かずの間』に隠されてますヨ」チラッ
五和「多分このサイト以外で買ったモノもあそこに保管されてそうですよね」ジトー・・・
神裂「それが本当なのであれば、キチンと注意せねばなりませんが……って五和。だからその目を止めなさい!」
浦上「とりあえず別にサイト飛んで良いですか?」チラッ
神裂・五和「「どうぞ」」ハァ・・・
香焼「むぅ……ん……、」ウウン・・・
もあい「くぅ」ムニャ・・・ - 676 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/18(木) 01:59:17.22 ID:NQqd4aHS0
- サイト名 < 厳選AV館 >
浦上「これはまた……何とも」タラー・・・
五和「つ、遂にキタのか!?」グイッ!!
神裂「咋(あからさま)過ぎるタイトルですよ」タラー・・・
浦上「しかも18禁じゃないし……一応見てみますか」カチッ・・・
『通が選んだ厳選動画! ……幼娘との戯れ』
神裂「い、いけませんっ!! 犯罪です!!」カアアァ///
五和「こ、コウちゃん……まさかのロリコンなの」タラー・・・
浦上「とりあえず一つ再生してみよう」ポチッ・・・
『にゃー……うにゅぅ……みゃんっ! にゃーん』
もあい「なうっ」ピクッ!
三姉妹『……は?』
『ふにゅ……みゃーう。にゃっ。にゃっ!』
もあい「んなー」ジー・・・
五和「……子猫の、動画」
神裂「……その様ですね」
浦上「……AV(アニマルビデオ)か」
『なーぅ』
もあい「なーぅ」フシフシッ
香焼「ん……くぅ」zzz...
浦上「釣られましたネ」タラー・・・
神裂・五和「「」」チーン・・・ - 677 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/18(木) 02:21:28.07 ID:NQqd4aHS0
- ―――とある休日、PM02:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・
香焼「……ん」グズッ・・・
浦上「―――さぁ、もう無いんだって。諦めようよ」ハァ・・・
五和「―――有る筈! このままではコウちゃんが私達で、その……禁断は駄目なの!!」カアアァ///
神裂「―――やはり、まだ目覚めてないのではないでしょうか。それならそれで、安心ですが」ムゥ・・・
香焼「……何してるの?」ジー・・・
五和「ウキー! 分かった! もう履歴には頼らない! きっと借りてきたDVDとかを焼いてるのよ! もしくは受信保存!」
浦上「でも流石にダウロードフォルダとかDドラはロックされてるっしょ」
神裂「そ、そんなに探らなくても……変に此方から刺激して目覚めて貰っても困りますから」
もあい「なぅ」ジー・・・
香焼「……、」ジー・・・
五和「目覚めも何も……あ。分かった! 携帯だ! 携帯で見る様にしてるのよ! コウちゃんの携帯!」バッ!
香焼「これ?」スッ・・・
五和「そうそう! この私用携帯のデータフォルダかSDカードの中に、あ……る」ピタッ・・・
浦上「……あーあ」タラー・・・
神裂「こ、香焼!」ギョッ・・・
五和「」チーン・・・
香焼「……何してた。洗い浚い話せ」ポンッ・・・ニコリ・・・
五和「きょ、拒否権は」ガクブル・・・
香焼「拒否ったらオバさん(五和の母親)に有る事無い事言いつける」ゴゴゴゴ・・・・
浦上「わ、私達はこれで」アハハ・・・
神裂「そ、そうですね。二人でごゆっくり」タラー・・・
香焼「神父様(浦上の育て親)と固法さんにも有る事無い事言う」ジトー・・・
神裂・浦上「「」」チーン・・・
もあい「……にゃん」トコトコ・・・ - 678 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/18(木) 03:09:27.28 ID:NQqd4aHS0
- ・・・・・寸・・・・・
香焼「……下らない」ハァ・・・
五和「……だってぇ」ムスゥ・・・
香焼「そんなモノ知って如何するんすか」
神裂「貴方が、その、健全というか年相応というか……そういうのが歪んで無いかとか」モジモジ・・・
香焼「少なくとも姉さんよりは知識有りますし、間違った方へは進んでません」ッタク・・・
浦上「でも実際さぁ、香焼ってまったくそういうの表に出さないじゃん。普段一緒にいるのにそういう匂いとか気配全然だヨ」
香焼「良い事じゃんか。てか、むやみやたらと他人にそういうもん見せないのがマナーだろ」
五和「……じゃあ持ってるの?」ジー・・・
香焼「……さぁ」フンッ・・・
神裂「持ってないんですか?」ジー・・・
香焼「如何でしょうね」フンッ・・・
もあい「なー」カリカリ・・・
五和「……やっぱり妄想族なんだ。ムッツリなんだ」ジトー・・・
香焼「は?」
神裂「わ、私達の事をその……そういう目で見る事があるのですね」ジトー・・・
香焼「……え?」タラー・・・
浦上「つまり『オカズ』という意味だヨ」ニヤリ・・・
香焼「……ば、馬鹿じゃないんすか!!」カアアァ///
浦上「あ。真っ赤になった」ニシシ!
五和「だ、駄目よ! 禁断の関係なんてフィクションの中だけ! 例え妄想でもそれは許されないわ!」モジモジ!
香焼「や、喧しい! んなトチ狂った真似出来るかぁ!!」カアアァ///
神裂「では誰を、そういう……『おかず?』でしたか。それにしてるのですか?」ポカーン・・・
香焼「だぁ!? な、何言ってんすかこの変態!!」カアアァ///
神裂「へ、変態!?」ギョッ!
浦上「最愛ちゃん? それともカルテッ娘の誰か? 私達の知らない娘? それとも……複数?」ニヤリ・・・
神裂・五和「「ふ、複数!!?」」カアアァ///
香焼「するかボケぇ!! 人をそんな目で見れるかっての!!」カアアァ///
もあい「……なぅ」ハァ・・・ - 679 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/18(木) 03:44:36.34 ID:NQqd4aHS0
- 浦上「まぁそこは問わないとして……とりあえず物的証拠が無いと色々心配なんだヨ」
香焼「だから余計な御世話だと」ハァ・・・
浦上「じゃあ見せろとは言わない。有るの? 無いの?」
香焼「えー」タラー・・・
神裂・五和「「じー」」グイッ・・・
香焼「……、」タラー・・・
浦上「ほれほれ。応えなさいナ」
香焼「……あ、あるよ」コクッ///
神裂・五和「「お、おおぅ」」グイッ!
香焼「近寄んな!!」グググ・・・
浦上「自室に有るって事? ベット裏とか押し入れの中とかに本とかDVDがあるの?」ニヤリ・・・
香焼「……そうだよ。悪いか」フンッ・・・///
五和「い、いや」ホッ・・・
神裂「安心しました……その言葉、信じましょう」ウンウン・・・
香焼「何だこの羞恥プレイは」ハァ・・・
浦上「ふむふむ。じゃあジャンルとか媒体とか詳しく……おっと。まぁこれ以上聞くのは二人にとって刺激が強過ぎるので止めときましょう」
神裂・五和「「何っ!?」」ギョッ・・・
香焼「……言えるかボケ」カアアァ///
五和「あ、姉モノなの!? 姉モノなのね!!?」グイッ!!
神裂「い、いけませんよ! 私達は義姉弟! 邪な感情はタブーです!」
香焼「んなモン無い!! 普通のだ! 普通の!」カアアァ///
神裂「普通……普通というのは、その……えっと」チラッ
五和「あ、あれですよ。多分、その……ノーマル?」タラー・・・
浦上「興味有るんなら……今度、建宮さん達に見せて貰ったら如何です? それかいっその事上条さんにお願いして」ニヤリ・・・
神裂・五和「「か、借りれる訳無いでしょう!」」カアアァ///
浦上「あ。麦野さん辺りならネタで持ってそうですヨネ。最近女性向けってのも出てきたし」アハハ
神裂「む、麦野さんなら、確かに貸してくれそうですが……、」ムゥ・・・
香焼「『え……ねぇ。火織ぃ。それ何に使うの? ねぇねぇ。お姉さんに言って御覧なさい』ニヤリ……ってなりますね」ウンウン・・・
神裂「む、無理無理無理!」カアアァ///
五和「オリアナさん……は余計無理か。あ……フロリスならいける!」グッ!
神裂「ちょ、何一人で解決策を! ……って、浦上。貴女、実は持ってるとか言わないですよね?」チラッ
浦上「見ようと思えばDL等で如何とでもしますカラ」アハハ
神裂・五和「「それ見せろ!」」ギャーギャー!
香焼「人ん家のPCで義姉達がAV観賞会……不幸だ」ハァ・・・
もあい「なーぅ」フゥ・・・
香焼「もあい……上条さん家逃げよう」テクテク・・・
もあい「にゃう」トコトコ・・・
ギャーギャーギャー・・・・・
- 680 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/18(木) 04:11:24.34 ID:NQqd4aHS0
- ―――とある休日、PM05:00、学園都市第7学区、とある学生寮(上条宅)・・・・・
上条「―――……んで、逃げてきたと」
香焼「すいません」ハァ・・・
上条「いや、別にいいよ……ってかアイツら何考えてんの?」タラー・・・
香焼「自分にも分かんないっす」ポリポリ・・・
ステイル「良い事を教えてやろう。必要悪の教会(ネセサリウス)の女性陣は基本変態だぞ」モグモグ・・・
上条「オマエは偶にウチ来ると思ったら何勝手に○ロリーメイト食ってんだ」タラー・・・
ステイル「禁書目録(彼女)は不在だ。問題無い」モグモグ・・・
上条「そういう問題じゃ無く……あー、うん。そうだね。日本語は通じないね」ハァ・・・
ステイル「まぁアレだ。最大主教(トップ)が弩変態だからな。下も変態になるんだろ……おい、お茶寄越せ」パサパサ・・・
香焼「その理屈だとオマエや自分も変態っすよ……あと○ロリーメイトはお茶じゃなくて牛乳が合うよ」
ステイル「だから先程言っただろ。基本女が変態なのだ。男性陣は紳士で……おい、牛乳無いぞ」ガチャッ・・・
上条「え? 何? 自称紳士の天才14歳は一般常識学んできてないの? 義務教育クリアしてない所為?」ジトー・・・
香焼「あ。ほら! やっぱり上条さんも言うじゃん。ステイルも学校通おうよ」ウンウン
ステイル「馬鹿言え。そんなモノ僕には必要無いね……仕方ない。麦茶貰うぞ」フンッ・・・
上条「……いや、真面目に通うべきだ。そんでもって煙草の害悪と一般常識、あと理系分野をみっちり勉強して来い」ジトー・・・
ステイル「必要無い」ゴクゴク・・・
香焼「……もし、禁書目録も同じクラスって言ったら?」ニヤリ・・・
ステイル「ブボォッ…………、」ダラダラ・・・
上条「おお、良いじゃん。インデックスもマトモに義務教育受けて無いし、お前ら一緒に学校行けよ」ハハハ
ステイル「……冗談キツイぞ」タラー・・・
上条「ほら。アニェーゼ達も学校通って無いみたいだし、いっその事皆で一緒にさ」ハハハ
香焼「あ。それ良いっすね」ハハハ
ステイル「非常識……いや、そんな常識的な事今更できるかっての」ハァ・・・
上条「英国の力使えば各所に圧力掛けて可能なんだろ?」
香焼「多分、はい。自分が楽々理事校に転入出来たんで」コクンッ・・・
ステイル「あのなぁ……はぁ。何言っても無駄か……それより神裂達だが」スッ・・・
香焼「あ、話逸らした」ニヤリ・・・
上条「なぁステイル。勉強は面倒臭いけど学校は楽しいぜ」ニカッ!
ステイル「……やれやれだね」ハァ・・・
もあい「にゃん」オワレ! - 681 :>>1にかわりましてカキネがお送りしますん [saga]:2011/08/18(木) 04:16:35.40 ID:NQqd4aHS0
- うい。お疲れ様でした。さて今後の方針ですが……
①クーデター、アックア戦、開戦直前まで。
②親戚の『あまくさっ!?』の手伝い。
③絹旗世代の学生物語。
かなぁ。途中で頓挫するかもしれないですが、とりあえず頑張ります。
質問意見感想等などよろしくお願いします! ではまたいつか! ノシ - 682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/18(木) 09:35:44.12 ID:NRVZg6jDO
- >>1
乙
このスレ内に確実に収まるなら①
そうじゃないなら②で - 683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/08/18(木) 12:18:41.01 ID:Sy4oubGAO
- 3で
- 684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/18(木) 12:33:34.46 ID:3SofSkFDO
- あれ? HTML化してから別スレで、って話じゃないの?
どっちにしろ>>1乙。次も楽しみにしてる!
2013年5月14日火曜日
固法「――……風紀委員です。先輩」 2
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