2013年9月29日日曜日

番外固体「・・・早いもんだね三年って」

 
 ※未完作品
 
1以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/29(月) 19:18:43.69 ID:qwurJ5s0
・キャラ崩壊
・初ss
・だから色々おかしい
・読むには『脳内変換』、もしくは『脳内理解』が必要となります
・設定はロシア戦争が終わったあと


ではどうぞ
2以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/29(月) 19:19:02.25 ID:qwurJ5s0
真っ黒な闇がとある少年を包み込む。絶対的な…今度こそ絶対に逃れられない“永遠”という名の死が、少年を、包み込む
3以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/29(月) 19:19:36.08 ID:qwurJ5s0
「暇」

『黄泉川』というプレートが部屋番号の下に貼り付けてあるその家のある一部屋で、二十歳に近いと思われる少女が呟いた。

番外個体

そう呼ばれる少女だ。
三年前、ロシアでの戦争が終わり、番外個体は彼女に顔のよく似た今十三歳程の少女と、一緒になって居候さしてもらっている・・・まあ、ほぼ強制なのだが

「あら?暇なら私とお話しする?」

番外個体「…芳川?ミサカはニートじゃないんだから暇人の仲間にしないでくれる?」
4 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/29(月) 19:20:34.90 ID:qwurJ5s0
あら残念。
と、余り残念そうでもない口調で呟いたのは元『無敵能力者進化実験』研究員、芳川桔梗。
現在絶賛職業待ち受け中のニートである

芳川「でも、あなただって来年は二十歳なのよ?あなたには職があるのかしら?」

番外個体「あるよ。ミサカには、残念だったねぇ。きゃは」

意地悪な十九歳の言葉を受け、芳川は溜め息をつく。

芳川「私は甘いのよ。優しくなくて、甘い」

番外個体「…何回も聞いたよそれ」
    「ってかそれって三年前聞いたときなはいい台詞だったのに今聞くとただのニー
トだよ?職業無しのニートさん。にゃは」
芳川「そんなに言うことはないでしょう?今だって職業探しで忙しいのだから」

番外固体「ナニ?ポテトチップを法張りながらソファーで寝そべってる社会人がニート
     以外のナニであると?」
5 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/29(月) 19:21:13.98 ID:qwurJ5s0
場が凍りつく。
ポツリと先に芳川が口を開いた

芳川「…あれから三年。早いものね」


番外個体「…」

思わず、番外固体は目を見開く

芳川「あなたが来てから三年。打ち止めが来てから三年。居候して早三年。」

「…一方通行が消えてから三年」

やっぱり。と番外個体は心の中で呟いた
まだ、芳川にも、黄泉川にも喋っていないのだ。
そして、芳川は知りたがっているのだ
6 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/29(月) 19:22:49.98 ID:qwurJ5s0
三年前の、あの日の事
7 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/29(月) 19:24:56.65 ID:qwurJ5s0
芳川「ねぇ、そろそろ教えてくれないかしら?私も愛穂も

番外個体「うるさい!」

芳川が言い終わる前に怒鳴った。あれから三年。番外個体だって変わったのだ。負の感情だけではなくなった
番外個体は不安だった。
芳川が最後まで言ったら自分は…負の感情だけではなくなった自分は喋ってしまうのではないのかと
恐れたからだった。

妹達・・・厳密に言うと打ち止めと約束したのだ

あの事は誰にも言わないって・・・
8 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/29(月) 19:28:59.34 ID:qwurJ5s0
とりあえずここまで
書き忘れたんだけど、


かなりの遅筆


一週間以内でこられるよう、・・・に・・・・・・・・・・・・・・

14 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/30(火) 20:44:35.87 ID:O2zeg8Y0
こんな事は何回かあった

そのたびに番外個体と打ち止めはごまかしてきた。

例えば、二人があの日の事を聞いて来た時には芳川には『黄泉川がいるから』、黄泉川には『芳川がいるから』と言い訳をした

黄泉川だけが聞いて来た時には『思い出すのが辛い』

芳川だけが聞いて来た時には『今、ミサカネットワークが混乱して、忙しいの』

本気で問われたときには『魔術って信じる?』
そう言えば何とかやっていけたのだ。
15 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/30(火) 20:45:07.59 ID:O2zeg8Y0
だが今、番外固体は『暇』と言ってしまったのだ。

『ミサカネットワーク』で誤魔化す事もできないし、『魔術』で誤魔化す事も、恐らく無理だろう。

芳川を見る
そこには仕事無しのダラダラニートなんていなかった

真剣な、強い意志のある顔

「・・・っつ!」

どうする?
どう、誤魔化す?
何を言えばいい?

番外固体は急いで『ミサカネットワーク』へ繋いだ。
他の『ミサカ』に相談しようと思ったのだ。
16 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/30(火) 20:45:40.00 ID:O2zeg8Y0
だが・・・

『なんで繋がらないの!?』

あれから三年、番外固体が変わったように『ミサカ達』だって変わった。
それぞれが『自分』をもち、『考え』を持った。
『ミサカネットワーク』に繋ぐ者はほとんどいなくなってしまった。
記憶を共有する必要では無くなったからだった。

それは、一年前にわかったことだ

なのに何故、番外固体は繋いだのか
答えは簡単。

(ミサカ・・・もしかしてめちゃくちゃ焦ってる!?)
17 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/30(火) 20:46:09.37 ID:O2zeg8Y0
「教えて頂戴」

芳川が静かに尋ねる。
番外固体は固まる
どうしたらいい・・・?
そんな考えばかりが番外固体の頭の中で回っていた


22 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/06(月) 19:36:48.19 ID:APjKADI0
「む?ってミサカはミサカはいきなり疑問符を挙げてみたり」

「・・・?どうかされたのですか?上位固体。とミサカはミサカネットワークがほとんど壊滅状態なのに何故あなたがまだ上位固体であるのかという疑問を抱きつつも答えます」

『上位固体』と呼ばれた少女は“打ち止め”と呼ばれる第三位の超電磁砲のクローンで、十二、十三歳ほどの体型をしていた。
何故か少女の頭の上にはぴょっこりとアホ毛が元気よくたっていた。

打ち止めに答えたのは『妹達』の一人である10032号。
打ち止めと同じく、超電磁砲のクローンで、十五、十六歳ほどの体型をしていた。

打ち止めは答える。

「・・・うん。何だか『ミサカネットワーク』に誰かがアクセスしたような・・・?ってミサカはミサカは報告してみたり」

それはないでしょう

と、10032号は答えた。
23 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/06(月) 19:37:26.99 ID:APjKADI0
何故ならば、『ミサカネットワーク』を利用する固体はもういないはずだし、『ミサカ』と話そうと思う友達少なげな固体はいない。・・・はずだ

「でも、『ミサカネットワーク』自体はまだあるから、利用しようとした人が居るかもよ?
ってミサカはミサカは反論してみたり」

「では、何のために?とミサカはさらに反論します」

「そ、それは・・・ってミサカはミサカは・・・」

「え、えっと・・・カンニングするため?ってミサカはミサカは予測を」

「そんな事をやる固体はいないでしょう。いたらそいつを軽蔑しますが・・・」

「・・・強盗をするため?」

「馬鹿ですか?あなたは」

「料理の仕方がわからないから?」

「それはあなたでしょう?」
24 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/06(月) 19:38:02.48 ID:APjKADI0
「ん~。・・・じゃあなに?ってミサカはミサカは逆に問いかけてみたり」


 番外固体があんな事になっているのと同時刻、少女達はある喫茶店の窓側の席に座っていた。
 打ち止めはメロンソーダーを、10032号は紅茶をそれぞれ注文していた
メロンソーダーの上にはバニラアイスがあった。

「ねぇ、これ飲み終わったらさ、一方通行のお墓に行かない?ってミサカはミサカは提案してみたり」

さっきのことはもう切り捨てたのか、新しい話題を打ち止めは出して来た。

「…あなたは最初から行く気満々だったのでしょう?とミサカは上位個体の横にある花をみながら推測します」
25 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/06(月) 19:38:34.07 ID:APjKADI0
打ち止めの横には、綺麗…というより可愛い花々が置かれていた。
ピンクやオレンジなどの、明るい花々。墓にそなえるよりもなにかの発表会かなんかに似合いそうな花束だった。

「…いくら何でも明るすぎるのではないでしょうか?とミサカは助言します」

「え~。だって、暗い花よりも明るい花の方がいいじゃんってミサカはミサカは根拠のない事を言ってみたり」

確かに、暗い花よりも明るい花の方がいいだろう。
何故なら、彼は春が来ても、花は見れないのだから。
もしかしたら、打ち止めは一方通行と春には花見に行きたかったのかもしれない。
26 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/06(月) 19:39:00.80 ID:APjKADI0
「ところで打ち止め。また墓の前で泣くつもりなのですか?とミサカは尋ねます」

これまでにも、一方通行の墓に行った事がある。そのたびに打ち止めは
一方通行の死んだ『あの日』のことを思い出し、いつも泣き崩れていた。

「さ、さすがにそんなにお子ちゃまじゃないもんってミサカはミサカは否定してみるけどきっと貴方は聞いてないよね」

御坂妹と呼ばれるクローンはすでになにも聞いていなかった。
・・・というよりもう会計していた。

「あ、やった。もしかしてあなたの驕り?ってミサカはミサカは期待・・」

「勿論後で返してもらいます。と、ミサカは期待を破ります」



38 :番外個体編2010/12/09(木) 19:00:56.77 ID:FNB9iMg0
(どうしよう・・・)
と、思わず番外個体は服の裾を握る。
『あの日』のことは言えない。
誤魔化す事も、恐らくできない。
今の番外個体に誤魔化しを考える余裕があるのかさえも、定かではない。

さあ、どうしよう・・・?

(芳川に雷撃を・・・)
(ってだめだめ。芳川には打てない)

(打ち止めが帰ってきたら話すって言う?)
(でも、その前に黄泉川が帰ってくるかもしれない)
39 :番外個体編2010/12/09(木) 19:01:31.28 ID:FNB9iMg0
黄泉川が帰ってきたら、ますます誤魔化しにくくなる。
こんな時に、ミサカネットワークが繋がったら・・・!
と、番外個体は強く思う。

番外個体は更に強く裾を掴む。
その手には、汗がたまっていた。

芳川はずっとこっちを見ている。
恐らく、番外個体が喋るまで待つつもりだろう。
そう、喋るまで・・・

(・・・)
40 :番外個体編2010/12/09(木) 19:02:03.04 ID:FNB9iMg0
沈黙の末、番外個体は、ある方法を思いつく。
だが、もしかしたら芳川と話しにくくなるかもしれない。
芳川に軽蔑されるかもしれない。
最悪、黄泉川家を、追い出されるかも・・・

そんなのは嫌だ。

でも、話す訳にはいかない。

裾を握っている手を、ポケットへ。
ポケットの中には打ち止めからもらった髭のはえた変なストラップがあった。
ゲコ・・・なんだっけ?
なんでもいい。

覚悟は決めた。
41 :番外個体編2010/12/09(木) 19:02:37.97 ID:FNB9iMg0
ストラップをポケットからだし、芳川の横を目掛けて

投げた

芳川は驚き、思わず番外個体から目を離す。
視線という、鎖から解き放たれる。
番外個体は、このチャンスを利用して、重い足を動かして自分の部屋へと急いだ。

コン

ゴム製のストラップが壁にあたり、特有の音を出した

そんな事に気を取る暇などない

「番外個体!」

芳川がミサカの名前を呼ぶ。
Misaka_Worst『最悪のミサカ』という、ミサカの名前を

そんな事に気を取る暇などない
42 :番外個体編2010/12/09(木) 19:03:31.78 ID:FNB9iMg0
ほんの10メートルに、罪悪感と、後悔を抱くのは、初めてだった。
ほんの10メートルが長く感じられたのは、二度目だった。

ベージュ色の、扉を開く。
視界にチラリと芳川が走ってくるのが見えた。
芳川が幾ら頑張って走った所で、番外個体には勝てない。
何故ならば、番外個体は軍用クローンで、しかも一方通行を[ピーーー]ために生まれた学園都市一番の、軍用クローンなのだから。
ダラダラニートで陽の当たる所が嫌いなもやしっ子、芳川桔梗が敵うはずがない。

ガチャリ

ドアを閉める。
ドアとは、こんなにも厚いものだったのかと、思ってしまった。

番外個体、と呼ぶ声と、ドアを叩く音がする。
残念ながら、芳川にはドアを破る力もないし、器用に鍵(アナログ)を開ける事もできない。
43 :番外個体編2010/12/09(木) 19:05:19.97 ID:FNB9iMg0
「ごめんね、芳川・・・」

思わず、番外個体の口からポツリとでたその言葉は、以前の番外個体では、考えられない言葉だった。
それだけ、『あの日』から月日がたったという事なのだろうか?
足の力が抜けて、隣のベッドへ倒れる。
自然と、青いカバーが掛けられた枕へと手が伸びた。
確かこのカバーは三年前、芳川と選んで買った物だ。

「・・・」

枕へ顔を埋める。
『あの日』。
『あの日』、一方通行に出会わなければ番外個体はこんなふうにならずに済んだのにと、思いながら
44 :番外個体編2010/12/09(木) 19:06:04.25 ID:FNB9iMg0




静かに『あの日』の事を思い出す


45 :打ち止め編2010/12/09(木) 19:07:05.45 ID:FNB9iMg0
打ち止めと御坂妹は、学園都市でも数少ない、まともな墓地へ来ていた。

墓地。と言っても2つしか墓は建っていない。
学園都市で人が死ぬ事は、表ではほとんどないし、あっても両親か、肉親が引き取り、外で葬儀する。それが普通だ。

 ちなみに 『置き去り』は、使い捨てのモルモットなので墓ではなく、集団墓地へ“捨てられる”らしい

「相変わらず、ここは寂しい所ですね。とミサカは一方通行ではなく、隣の駒場さんへ話しかけます」

「せっかく一方通行の墓に来たんだから、そういう事は止めよう?ってミサカはミサカは10032号に注意してみる」

「全く、駒場さんの所にはいつも花が添えられているっていうのに。一方通行の墓は寂しいですね。とミサカは嫌みたっぷりに言います」
46 :打ち止め編2010/12/09(木) 19:07:52.32 ID:FNB9iMg0
そもそも、一方通行の墓なんかに供える人はいるのでしょうか?と、御坂妹は言った。
ミサカがいるし、NO problem(問題無し)だよ。と、打ち止めは言った。

そう言いつつも、花を供える打ち止め。
さすがに三年も墓の花の世話をしているためか、とてもスムーズに墓にそなえる事が出来た。
花が、ようやく水が来たと喜んでいる様に見えた。

御坂妹は、「何でミサカが」とか、「墓を壊したいのはこのミサカなのに」とか、ブツブツ言っていたが、ろうそくを立てて火を灯す。まだ、打ち止めはマッチに火を灯す事が出来ない。

ちなみに、一方通行の墓は、黄泉川が浄土真宗なのか日本で良く見かける判子のような墓石だった。

隣はキリスト教なのか平べったく、十字架が建てられていて、酷くアンバランスな墓地だった。
47 :打ち止め編2010/12/09(木) 19:08:24.72 ID:FNB9iMg0
しかも、隣の墓には『これで幼女の人気もの!サンタクロースセット』と書かれた赤い袋があった。・・・誰が供えたのだろうか?

「しかしまあ、良く墓が建てられましたね」

ふいに、御坂妹が言った。


「一方通行の遺骨が入っている訳でもないのに」


「・・・」

この墓に入っているのは一方通行の遺骨ではない。
一方通行が『あの日』着ていたジャケットの切れ端。

それも左腕の部分だけだ。
48 :打ち止め編2010/12/09(木) 19:09:15.70 ID:FNB9iMg0



「黄泉川と芳川が協力してくれたの」

打ち止めは少し大人っぽいバックから数珠を取り出す。
静かに両手に掛け、拝んだ。



それと同時に、『あの日』の事が、頭を横切る。



49 :ナニ編になるんだろ?2010/12/09(木) 19:10:26.54 ID:FNB9iMg0



同時刻、番外個体もちょうど『あの日』の一部を思い出していた


56 :打ち止め視点2010/12/15(水) 16:45:48.94 ID:tSVEtfQ0
ゴーーーー

新幹線と電車の音を割って足したような音が聞こえる。
ここは何処?ヨシカワは?ヨミカワは?

体が熱い。瞼がなかなか開かない。『ミサカネットワーク』も様子がおかしい。

どうなってるの?

ようやく、瞼が開く。
視界がぼやぼやして、色が統一しない。
目に飛び込んできたのは『白』輪郭がはっきりしない。でも、打ち止めには分かった。

迷子の『超能力者』

弱くてもろい『最強』

一方通行(accelerator)と呼ばれる白い少年
57 :打ち止め視点2010/12/15(水) 16:46:31.92 ID:tSVEtfQ0
「ここはどこ?ってミサカはミサカは辺りを見回してみたり」

「列車の中だ」

「ヨミカワやヨシカワは?ってミサカはミサカは質問してみる」

「今はいない。でも絶対にすぐに会える。必ずだ」

「そっか」

今の会話から、打ち止めは大変な事になっていると、判断する。 具体的には分からない。

「みんな一緒だったら、ヨミカワにまた煮込みハンバーグを作ってもらえたのに、ってミサカはミサカはしょんぼりしてみる」

一方通行は答えない。

それでもいい。
言いたい事がある

「でも、良かった、ってミサカはミサカはホッとしてみたり。やっと、久しぶりに、」


「久しぶりに、あなたの顔を見られたから、ってミサカはミサカは手を伸ばしてみる」
58 :打ち止め視点2010/12/15(水) 16:47:23.72 ID:tSVEtfQ0
あなたの顔を見られたこと。
それが嬉しいの。

「・・・」

打ち止めは気づいていなかったが、打ち止めの手は伸びていなかった。

「また、みんなと一緒にご飯食べようね、ってミサカはミサカは提案してみる。ヨミカワの煮込みハンバーグは美味しかったんだよ、ってミサカはミサカは自慢してみたり」

にこり、と無理やり笑った。
頭も痛いし、言葉を出すのも辛いけど、あなたとはずっとずっと一緒にいたいから。

しばらくの間が開く。
途端に『ベコンッ!!』という音が頭上から聞こえてきた。
分厚い金属がへこむような音だった。

一方通行の顔つきが、変わった様におもえた。
59 :打ち止め視点2010/12/15(水) 16:47:57.15 ID:tSVEtfQ0
「どうしたの、ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

そう、尋ねて見たとき、『白』がミサカの目の前に来た。
布っぽいなにかをミサカの目の上に掛けたらしい。

「・・・・・・何でもねェよ」

返事は遅れて返ってきた。

「また、あんな風にケンカしたりしないよね、ってミサカはミサカは聞いてみる」

「・・・・・、あァ、約束する」

本当?
と、問いたかった。
60 :打ち止め視点2010/12/15(水) 16:48:51.17 ID:tSVEtfQ0

何故ならば、ドゴンッ!!という音が聞こえてきたからだ。

少しずつ、視界が狭まる。
薄れ行く意識の中、打ち止めは、思う。



(どうか、一方通行が無事でありますように)




ぷつり。


69 :番外個体編[sage]:2011/01/11(火) 17:49:03.63 ID:cgwJDWqP0
ロシアの冷たい風が爆撃機の横を掠める。
吹雪が凍えるメロディを奏でる。

そんなロシアの上空に、ミサカはいた。

別に、学園都市製の爆撃機のおかげで寒くもないし、冷たい風だって通らない。
でも、感じなくてもそう思うほど、ロシアは白かった。

雪を切り裂きながら、ミサカを乗せた、爆撃機はロシアの上空を国境関係なしに飛んでいた。

パイロットは、数分前に情報をくれた。

情報では、アイツは列車の上で、学園都市のクズと戦った。
らしい。

情報では、学園都市のクズが手に入れた・・・ロシア側にとって大切なものを、
もっていってしまった。らしい。

情報では、『大切なものが入ったトランク』の受け取り先にいる可能性が、高いとのこと。

嘘か本当か知らないが、『ミサカネットワーク』の情報とほぼ同じなため、恐らく真実なのだろう。

その一方通行が居るであろう中間地点に、ミサカは向かっている。
パイロットからの指令は、あれからない。
何故なら、ミサカの生み出された理由は、一方通行と打ち止めの抹殺であり、それ以外にはないからだ。

逆に言えば、


それが終わればミサカは生きる意味がないという事なのだが。


(どうせ、ミサカは使い捨ての負の人形。)

ならば、と番外個体は思う。

どうせなら、一方通行をめちゃくちゃにしてから、最も一方通行が嫌がる方法で、死のう。と。


70 :ヴォジャノーイ編[sage]:2011/01/11(火) 17:52:28.22 ID:cgwJDWqP0
気がつけば、『トランク』の受け取り先の施設が木っ端微塵になっていた。

右方のフィアンマからの命令により、ここから、他の中間地点に『トランク』を持っていくのが、ヴォジャノーイ達の目的だった。

(何があった?)

弾丸のあとを見つけたが、そこにあるべき弾丸が無かった。
人が降りたらしいのだが、足跡がきれいに消されていた。
爆撃機が通ったらしいのだが、その形跡すらない。

(学園都市か・・・?)

彼らには、科学サイドである『学園都市』について、ほんの少しだが、情報を貰っていた。
聞くところによると、学園都市は、自分達のテクノロジーが流失するのを
極端に嫌うらしい。

(だとしたら、学園都市がここを・・・)

そう思ったとき、

白い少年がいた。

少年も同じく、弾丸のあとを見ていた。
恐ろしいほどに白く、しかし雪の純白にはかなわない。
濁った純白。
丁度そんな感じの少年だった。
少年の腕には、10歳ほどの少女がいた。
さらに、少年は杖をついていた。

足が悪いから、逃げ遅れたか・・・捨てられたか・・・

そう思ったが、気にしない事にした。
静かに少年の周りを囲む。
少年と言えども、見過ごす訳にはいかない。

(許してくれ。仕事なんだ)

少年が顔を上げた。整った綺麗な顔だった。
可哀想だ。と思った。
71 :ヴォジャノーイ編[sage]:2011/01/11(火) 17:53:15.76 ID:cgwJDWqP0
「学園都市か?」

仲間の一人が厳しい口調で聞いた。
そうは聞いたが、答えが返ってくるかどうかは分からない。
普通の人間なら、怯えて喋られないだろう。

だが、


「そォ言うオマエの方こそ、この基地を襲った連中じゃねェのか?」


否定はしないのだな。
と、仲間が言った。
可哀想に。強がったところで、殺されるという運命には逃れられないのに。

このときの彼らの『ミス』は、少年を少年と見てしまったことと、紅い瞳が薄い刃のような、危ない殺気を持っているのを、見過ごした事だった。

「時間がねェンだ」

少年は首へ手をのばした。


「手早く済ませるが、構わねェな?」


手早く済ませたいのはこっちだ。と、思ったが、ヴォジャノーイ達は気づかなかった。

少年が、化け物に変わっている事を。


72 :番外個体編[sage]:2011/01/11(火) 17:55:12.46 ID:cgwJDWqP0
ドンッ!!という、地響きにも似た、爆音が聞こえた。

爆撃機を運転していた人間が、合図を出した。
ガッ!と、扉が開く。

ロシアの風が、番外個体の横を、通る。
ロシアの地上は白かった。
だが、番外個体は綺麗とは思わなかった。
綺麗だと思う感情がなかった。
そもそも、番外個体の意識は、別のところへと向いていた。
白いロシアとは違う、濁った純白の少年。

そう思った瞬間に、まさしく『瞬』に、攻撃がきた。だが、番外個体はミサカネットワークをモニターを、先読みしていたため、電気を爆発させ、緩やかに地上へと降りた。

能力を、隠そうとは思わなかった。
バレた所で、番外個体は困らない。

それすら、武器になるのだから。

一方通行へ、番外個体は向いた。
一方通行はなにか感ずいているようだった。

「第三次製造計画っていえばわかるかな?」

だからこそ、番外個体は言う。
呪いの言葉を。

「やっほう。殺しにきたよ第一位。
ミサカは戦争なんかに興味はない。そんなオーダーはインプットされていない。
ミサカの目的は第一位の抹殺のみ」

ミサカネットワークの感情を、そのまま。
恨みを、そのまま。

「そのために、そのためだけに、わざわざ培養機からほうり出されたんだからね」

78 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2011/01/21(金) 19:07:48.78 ID:Hjbgk9hR0
一方通行が、逃げ出した。

まあ、それは当然だろう。
と、番外個体は思った。
まあ、にげたところで、ミサカのやることは変わらない。

ポケットから、2センチほどの釘を取り出す。本来、釘とは材木、板などに打ち込むものだ。
だが、番外個体は人間に打ち込むために釘を使う。
堅い板ではなく、柔らかい、人の肉を討つために。

番外個体は標準を合わせる。そして、ミサカネットワークをモニターとして見て、次の一方通行の行く方向を予測。
バヂッ。と、紫電が風船を割ったような音をたてて釘を発射させた。
音源は番外個体の右手から。
そして、もはや武器と可した釘が、音速の速さで一方通行の左腕を貫いた。

「がァァァあああああああああああ!?」

79 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2011/01/21(金) 19:09:09.22 ID:Hjbgk9hR0
叫び声を上げて、一方通行は雪を乱しながら雪の上へと倒れた。
番外個体は、知っていた。
一方通行がもう妹達を殺したくないと思っていることも、一方通行が妹達を守ろうとしている事も。
番外個体はそんな感情を知らない。
ミサカには関係ない。
だから、負の感情のとうりに動く。


復讐する。一方通行を精神的にも、肉体的にも。
ミサカは、ミサカネットワークの死神として動く。


「おやおや。もしかして、ミサカの事守ってあげているとかって考えてるつもり?誰も頼んでないっつーの。さっさと『自滅』しちゃえば良いのに。勝手に作ったルールを破ればミサカを[ピーーー]事も簡単なのにさ」

怯えなんてない。
一方通行が一方的に妹達を殺したように。また、番外個体も一方通行を一方的に、全てにおいて殺せるという、自信があった。
そう、妹達の、暴力の数だけ分。

「これじゃ、ミサカが電極対策をしてきたのは余計だったかな」

バヂッ。前髪から紫電が出る。
最終信号からのストップ令が出たらしい。
そんなことをしたところで、ミサカには何の関係もないのだが。
80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2011/01/21(金) 19:10:27.91 ID:Hjbgk9hR0
ミサカネットワークのモニターが、攻撃を予知したらしい。
そう思ったときには、アッパーカットが放たれていた。
だが、番外個体は、それを簡単によけた。
ガン。というような衝撃が顔にきた。
即座に番外個体は理解する。


仮面が取れた。と。


顔に冷気が来た。
視界が広がった。
その視界の中に、驚いたような一方通行かがいた。

「む・だ。その電極は、ミサカ達のネットワークを利用して代理演算を行っているんだもの。第三次製造計画のミサカは、ミサカネットワークの稼働状況をモニターする事で、次の攻撃が先読みできる。手加減なんてしてられないんじゃない?やるんだったらミサカを[ピーーー]気で来ないと、ね。分かったんなら殺してみろよ。あ、できないんだっけ?だって今までの努力が水の泡になっちゃうんだもんねぇ。じゃぁ、黙ってボコボコにされちゃう?ぎゃはははは!!」

一方通行が再び立ち上がった。

「怖いよ。助けて」

それだけで、一方通行の行動は阻止された。
容易いものだった。

「ちなみに、ミサカには、シートやセレクター等と言ったものを体内に取り付けられている。無様に女の子にすがったところで、ミサカが止められることは、ない」

さらに番外個体は一方通行に追い打ちをかける。
そして伝える。
どちらかを、
番外個体か打ち止めかを捨てなければいけないということを。

そして、物語は少しずつ路線からはずれる。
ほんの少しずつ、ずれていく。
それが、悲劇への道だということを、だれも予想なんて、
・・・いや、思いたくもなかった。


89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/09(水) 15:41:22.08 ID:mBO7nNrg0
「名乗り遅れたくど・・・ミサカは差し詰め、番外個体といった所かな」

そう言っている間にも、番外個体は釘を撃っていく。
だが、一方通行は、脚力のベクトルを操作し、小刻みな超高速移動を行って番外個体の照準からそれていた。
(・・・なかなかあたらない)
番外個体は、莫大な高圧電流を使って空気を爆発させ、その勢いで、飛翔した。
一方通行は少し遅れて反応した。

「ほらもう一発」

真下に一方通行の顔があった。
あたりまえだ。自分が一方通行の真上にいるのだから。
そして二センチの鉄の釘を真下へ放った。
一方通行は真横へ飛んだが、鉄釘の方が速かった。
一方通行の足へ刺さる。致命傷にはならなかったらしい。
サグリ。と再び雪を踏み、上空から着地した。
その音は、人間を突き刺す音にも似ていた。
また、番外個体の口から言葉がでてくる。

「もっと逃げ回ってよ。無様に命乞いしてよ。もっと狂ってよ。普通に平凡に殺されるんじゃなくてさ。最低でも一万倍は人権を血に汚さないと帳尻があわない。いっておくけど、これは最低ライン。利子を付けるば三倍返しじゃすまないからね」

いいながら、番外個体は極限の笑顔をうかべる。
言葉がかってにででくる。
だが、その笑顔は火にあぶったビニールのように、歪み、溶けて、狂ったような『笑顔』だった。

「ミサカは別に生まれたくなかった。なのにミサカは無理やり培養器の中から引きずり出されて、最終信号からの通信を切断するために、色んな所を切り刻まれた。」

番外個体にとって、過去とは一方通行を糾弾するためにあった。
だって、そのために生まれてきたのだから。

「あなたがこんな選択さえしなければ。ミサカは生み出されなかった。痛いとか、助けてとか。そんな言葉がいえない所にミサカが生まれた。あなたのせいで。だからミサカには糾弾する理由もあるし、[ピーーー]権利もある。それに、ミサカ達は、ネットワークでつながった大きなミサカでもある。この感情は、ミサカネットワークの一部なんだから」

ガッ。と、番外個体の足が雪を乱し、一方通行の顔面へ入る。
一方通行の瞳は大きく開かれ、恐怖に満ちていた。

「どうして、最終信号や他の妹達があなたや最終信号を含めて他の妹達があなたを糾弾しなかったと思う?変だとは思わなかった?一万人、一万回も殺され続け ているのに、どうしと憎悪を抱かなかったかな。答えは簡単。ミサカ達は何もしないただ笑顔の人形なんかじゃない。ただ、理解し、表現するほどの『人間らし い感情の処理法』が不完全だったから。つまり」

番外個体は足を振り上げる。
そして呆けていり一方通行の脇腹へ蹴り入れた。

「ミサカ達が『人間らしく』なるばなるほどあなたの望む平和な世界は無くなっていく!ミサカ達が『人間らしく』なればなるへどあなたは糾弾され、地の果て まで狂うまで追いかけられる!だって、ミサカ達のもつ憎悪とは、それ程までに大きなものなのだから。そこにあなたの望むものはない!ぎゃははは!!」
90 :打ち止め編[sage]:2011/02/09(水) 15:42:52.43 ID:mBO7nNrg0
打ち止めは、朦朧とした意識のなか、音を聞いた。
ぐちゅ。ぐちゅ。
という、肉を打つ音。
二ヶ月前まで、よく聞いていた『音』
音の方を向く。そこには『誰か』と血まみれの一方通行がいた。
誰かが一方通行を殺そうとしている。
一方通行が傷ついている

それだけ分かれば十分だった。
打ち止めは手を伸ばす。
誰でもない、一方通行へと。
手を、のばす。

「---------------------------------------------------」

誰かの声がする。
ミサカに殺意が向けられる。
そのとき、一方通行が動いた。
動いてくれた。
打ち止めがなにをおもったのかはしらない。

なぜなら、打ち止めの意識は落ちたのだから。

91 :番外個体編(現在)[sage]:2011/02/09(水) 15:44:37.47 ID:mBO7nNrg0
今、あれから三年たって、馬鹿なことをしたと思う。
いまさら、何も変えられないけど。
過去の番外個体はいまも一方通行を蹴り続けているけど。
でも、もし、もし、
もっと早くに学園都市への反逆を考えておけば?
一方通行を糾弾する前に一方通行の手をとり、『協力するから協力しろ』とでも言っておけば?
一方通行の死ぬ確率は少しでも無くなっていただろう。


一方通行は、ミサカの手を握りしめてくれた。
一方通行は、ミサカを信頼してくれた。
一方通行はミサカを生かしてくれた。


でも、過去は止まらない。
番外個体は一方通行へ足をむける。
一方通行は血を吹き出す。
雪は血で汚れる。

後悔は血で汚れる




92 :打ち止め編[sage]:2011/02/09(水) 15:48:11.77 ID:mBO7nNrg0
次もまた、『音』によって打ち止めの意識が覚醒した。
今度の音は、心地よい音だった。

ロシアでは、冷たい風邪が、冷ややかなメロディーを奏でていた。
だが打ち止めは、そんな音ではない、もっと優しい、暖かい音で目を覚ました。
音の方には、血まみれの一方通行がいた。
何があったのかはしらない。
でも、心配はできる。

「大・・・丈夫?・・・ってミサカは・・・ミサカは・・・・・」

言葉がスムーズにでる。
体全体が軽い。
言い終わるころに、一方通行が打ち止めを抱き締めた。
一方通行は、暖たかった。

「・・・・・良かった」

ポツリと一方通行は言った

「ちくしょう。・・・良かった。本当に良かった!」

そう言って、一方通行は打ち止めをぎゅっと抱き締めた。
苦しいぐらい。
でも、打ち止めはとても嬉しかった。

やっと、戻ってきてくれた。
93 :打ち止め編[sage]:2011/02/09(水) 15:52:00.96 ID:mBO7nNrg0
「ねぇ。一緒に帰ろ。ヨミカワも、ヨシカワも、一方通行をまってるよってミサカはミサカはさらにあなたを抱き締めてみたり」

「ヨシカワの煮込みハンバーグ。美味しいんだよ。みんなで『いただきまーす』ってして、こんどこそ『ごちそうさまー』ってしようよってミサ・・・・・・・・・・・え?」

言い終わる前に、一方通行が打ち止めの耳元で囁いた。



現実は、ハッピーエンドでは終わってくれなかった。



「一方通行?」

答えはない。
あんなにかたく抱き締めてくれた腕がストンとおちた。

「一方通行?」

答えは、ない。
一方通行の体が傾き、打ち止めへ寄りかかる。
だが、一方通行の体は、驚くほど軽かった。

「あ、あぁ一方通行!?」

答えない。なんで?
ミサカはここにいるよ?
やっとつながったミサカネットワークが・・・
妹達が答えた。
【一方通行はもう、うごけませんよ】

「うそだよね。ねぇ。こたえてよ。・・・一方通行・・・」

一方通行からの最後の言葉それは

俺も、ずっと一緒にいたかった

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!」

打ち止めは、泣いた。
泣いて泣いて・・・
叫び続けていた。
97 :番外個体編[sage]:2011/02/18(金) 18:14:43.27 ID:kW0gTf4W0
番外個体は、その様子をながめていた。
そして、ゆっくりと手を一方通行の口元へやった。
少しだが、番外個体の手に暖かい息がかかった。
もしかしたら、あの『歌』の副作用なのかもしれない。

(・・・まだ、生きている)

そのことに、不思議と安心していた自分がいた。
残念だというミサカは、いなかった。
ただ、何も思わないミサカがいた。

(・・・今なら・・・まだ助かる)

今から病院まで。
そこまでもつかどうかはしらないが、行くだけ行こうと思えた。
番外個体は静かに立ち上がり、今も泣いている打ち止めへ、声をかけようとした時

ジャクザ。ジャクザ。ジャクザ。

番外個体は知っている。
この『音』を。
駆動鎧。
踏み出すたび、雪を溶かし、踏みつけるような、音。
〔駆動鎧】独特の音だ。
目的は恐らく、番外個体と最終信号、そして一方通行の回収。
いや、破棄か。
音からして、約500m後方。
数は・・・およそ20前後。
いくら番外個体が【強能力者】だからといって、
約20の【駆動鎧】を相手にできるかどうか・・・
しかも、こっちには最終信号と、倒れた一方通行もいる。
片手はつかえない。
98 :番外個体編[sage]:2011/02/18(金) 18:16:53.92 ID:kW0gTf4W0
守りながら戦ったら、全滅する。
ならば・・・

「・・・最終信号。ミサカと逃げるよ」

え?
という、間の抜けた返事が帰ってきた。
守りながら戦うのは不可能。
二人つれて逃げるには片手がたらない。
簡単な消去法だ。
大きい一方通行より、最終信号のほうが運びやすい。
番外個体は口をゆがめる。
つまりそれは一方通行は置いていくということだ。
せっかく。助けようとおもったのに。

「・・・言ってる意味。わかるんでしょ?逃げるよ」

「・・・え?・・・なんで?」

「なんでって。分からない?【駆動鎧】がきてるんだけど」

「!?」

最終信号は驚いたような顔をする。
そして、冷静になったのか一方通行の左胸へ、手を当てる。

「早く。ミサカのてにつかまって。飛ぶから」

「まって!!・・・この人、まだ生きてるよってミサカはミサカは報告!!」

「・・・ごめんけど。ミサカ達にそいつを助ける余裕なんてないよ」

「・・・そんな」

最終信号がまた泣き出した。
ずっと、名前をよんでいた。
99 :番外個体編[sage]:2011/02/18(金) 18:23:35.95 ID:kW0gTf4W0
ミサカは強引に打ち止めを引き剥がそうとした。
なかなか剥がれない。

「・・・いやだよう。ミサカ、・・・一方通行と居るんだから!!ってミサカはミサカは手を離さない!!」

番外個体の手から、電撃が洩れる。
その電撃は、一方通行の・・・打ち止めが摑んでいる少し上をこがす。
そしてもう一度引っ張った。焦げたせいで、布の生地が脆くなったのだ。

「!?」

打ち止めのもっていた一方通行の左腕部分の服がやぶける。
そして、打ち止めは、番外個体の腕のなかへ入らせた。

「・・・っ!まって。ねぇ!!一方通行が・・・まだ・・・まだいきてるんだよ!?
一方通行・・・一方通行!!」

じたばた暴れ、手やら足やらが番外個体の体に当たる。
番外個体はしばらく打ち止めをみて・・・・
それから『飛んだ』
正確には、『飛んだ』のではない。
莫大な高圧電流を爆発させただけ。だが、それだけで、何メートルもすすむ。
地面に触れたか触れていないかのところでもう一度爆発。というサイクルで、逃げていた。

100 :番外個体編[sage]:2011/02/18(金) 18:34:22.78 ID:kW0gTf4W0
『音』が、早くなると同時、『音』が近づいてきた。
ばれたか。
と、番外個体は思った。まぁ、仕方のない事だろう。
ピョンピョンはねる、戦闘服をきた人間を見て、気にならない馬鹿はいないだろう。
だが、番外個体には、逃げ切れるという自信が・・・まぁあった。
いくら音速で動く【駆動鎧】でも、ミサカ達を素直に追いかけることはできない。
だって、

[-----これ、---------------第-----い-----位------じゃねぇか------------------------------------------]

番外個体は、耳にイヤホンを付け、本来、本体に付けるべき端子を、
折れている右の手のひらにのせていた。右手の中で、紫電が踊っていた。

今、番外個体がやっていることは、簡単に言えば盗聴だ。
【駆動鎧】の壁は厚く、とても言葉なんて通らない。
そのため、【駆動鎧】同士で特定の無線をもち、連絡し合っているのだ。
番外個体は、その無線と無線から出る、電波を盗み、会話を盗聴しているのだ。その役割を右手でし、イヤホンで音が広がるのをふせいでいるのだ。

[---------!-------本当だ-----------どう-----------s-----------る----------------------------------]

[------------そうとう-----弱----って-------------------------------------]

[------肉体----は----持ちそうに----無い-----------面倒臭-----だ-----------------]



[----------------------------脳だけ--------持ち----------か-------------えろう--------------------------]



な・・・!
と、番外個体の心臓が止まりそうになった。
そうだ。学園都市は一方通行を[ピーーー]為だけにミサカを作った。
いかれた実験だって、黙認するようなところだ。
だからって・・・・
ここまで、腐っていいのだろうか?
101 :番外個体編[sage]:2011/02/18(金) 18:40:46.26 ID:kW0gTf4W0

[----------じゃぁ、------肉体生命-----------絶ち--------------------るぞ------------]

同時に、パァン!!という銃声が響いた。
その後は知らない。
番外個体の右手に、紫電はなかった。
最終信号は不吉なものを感じ取ったのか、さっきから黙っていた。
黙って、イヤホンを外した。
番外個体は悟る。


ハッピーエンドなんて、無かったのだと。

102 :打ち止め編 【現在】[sage]:2011/02/18(金) 18:41:55.25 ID:kW0gTf4W0
「・・・・・打ち止め。もう、気は済みましたか?と、ミサカはハンカチを片手に尋ねます」

ミサカ、ナニしてたんだっけ?
あ、そうか。一方通行の墓参りをしにきたんだったけ?
それで・・・

「・・・・・うん。・・・・ハンカチ、借りるよ」

墓には遺骨がない。
代わりに、あの日破れた布の切れ端が入っている。

「はやく、家に帰りましょう。ミサカは月詠に呼ばれているので」

「ツクヨミって・・・同居人の?って、・・・ミサカはミサカは尋ねてみる」

「えぇ。なんでも、今日の夕飯係である結標さんが『今日は帰らない』といったそうなので・・・」

「あ・・・そうなんだ。ってミサカはミサカはハンカチを返しながら言ってみたり」

「鼻水だらけのハンカチなんて要りません。あげますから」

「え~。でも、返さなきゃ・・・・」

「そのくらい良いですよ。そもそもそれはこうなる事を予測して買った、安物ですから」


103 :番外個体編 【現在】[sage]:2011/02/18(金) 18:42:53.33 ID:kW0gTf4W0
「たっだいまじゃぁぁん」

ドア越しに聞こえた黄泉川の声。
あ、帰って来たんだ。

「・・・あれ?番外個体は?」

「ミサカなら、ここにいるよ」

思い切ってドアを開けてみる。
そこには芳川と、黄泉川がいた。

「ふぅ。ようやく出てきてくれたわね。心配してたのよ?」

「全く。芳川から連絡うけて、心配してすっ飛んで帰って来たじゃん」

あ、そうか。
ここは学園都市で、光の中。
寒いロシアなんかじゃなかったんだっけ。

「あぁ。ごめんごめん。いやぁ気が付いたら眠っちゃってさ」

でも、これって、現実でいいのかねぇ。
・・もしかしたら。こんなこと考えてるのが、幸せなのかもしれない。
104 :グループ編 【現在】[sage]:2011/02/18(金) 18:47:55.79 ID:kW0gTf4W0
必要悪の教会。とある会議場

「-----------------------------以上が今後の動きでありけるの。」

「・・・」

「おや?あまり嬉しくなくて?土御門。例の計画がようやく動くのでありけるのよ?」

「・・・話は終わりか?」

「えぇ。終わりでありけるのよ」

そうか。
そういって、土御門 元春は会議場を出て行った。
土御門に、いつものひょうきんな表情はない。とてつもなく、険悪な顔だった。
彼は、すぐに学園都市は電話をかけた。

「・・・・結標か?」

「あぁ。今、会議が終わった。そっちは?海原と一緒に【あれ】の確認をしてきたんだろう?」

「・・・そうか。【まだ】か。」

「こっち?・・・最悪だ」

「この三年間、俺達グループはこの計画を止めてきた」

「・・・だが・・・限界のようだ」

105 :グループ編 【現在】[sage]:2011/02/18(金) 18:50:30.78 ID:kW0gTf4W0




「・・・【あれ】がなければ・・・学園都市は計画によって潰される」



106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 18:55:14.36 ID:kW0gTf4W0
以上で投下終わりです。
第一章(?)的なものは、ここまで!


107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 22:36:44.56 ID:xHL6ING+o
なん…だと…
死んでる場合じゃねえぞ第一位!


おつおつ

108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/24(木) 18:09:58.27 ID:6NzIsoqp0
相変わらずの遅筆ですいません
では、第二章に行きたいとおもいます。

では、投下
109 :番外個体編 【現在】[sage]:2011/02/24(木) 18:15:24.54 ID:6NzIsoqp0
打ち止め「ただいまぁ。ってミサカはミサカは笑顔でドアを開けてみたり」

黄泉川「お、おかえりじゃん」

芳川「おかえりなさい」

番外個体は読んでいた本を閉じ、打ち止めの方へと目線を向けた。
やっとご飯が食べれる。

「おかえり~」

・・・それにしても、『おかえり』、か。
いったい、いつからミサカはこんな言葉を言うようになったんだろう?
1年前・・・いや、ありえない。
なら、2年前?・・・まだ警戒してたかもしれない。
なら、今日?いや、一昨日、黄泉川に言ったはずだ。
まさか、一昨日から?でも、それよりも前に言っていたような気もする。
いつからだろう?
あは。ミサカ、平和ボケしてるよ。こんなくだらないこと思うなんてさ。

黄泉川「・・・おっ!丁度夕飯が出来た頃じゃん!」

うそつけ。
わざわざ10032号に連絡とって、何時分かれたか、とか、どこにいるのかとか、聞いてたくせに。
どうせ、何時帰ってくるか、予想していたんでしょ?

打ち止め「今日はなに?」

黄泉川「今日は・・・初心に帰って、煮込みハンバーグじゃん♪」

打ち止め「おぉぉぉ。懐かしいね。って、ミサカはミサカは微笑んでみたり」

・・・打ち止め、覚えてないの?
一方通行に言ったじゃん。『一緒に煮込みハンバーグ食べよう』って。
ま、覚えてなくて、普通か。
110 :打ち止め編 【現在】[sage]:2011/02/24(木) 18:22:14.54 ID:6NzIsoqp0
黄泉川「今日は何してたじゃん?」

打ち止め「10032号とお食事。それから、・・・ハンカチもらったの」

芳川「・・・ハンカチ?」

打ち止め「うん」

もちろん。黄泉川達に言える訳無かった。
いまだに、一方通行の話題が出るたび、黄泉川は涙ぐむのだから。

番外個体「ハンカチ・・・ねぇ。そういえば、10032号、元気だった?」

打ち止め「うん。すっごく元気だったよ!・・・でも、最近、お姉さまに会ってないや・・・」

黄泉川「あぁ、御坂だったら元気じゃんよ。いっつも上条といちゃいちゃしてるじゃん」

芳川「あら、あの二人、まだ健在だったのね」

上条は、失踪から1年後に帰ってきた。
お姉さまはすっごく嬉しそうだった。
妹達も嬉しそうだった。でも、ミサカは、なんだか嫌だった。
なんで、お姉さまの大切な人は帰ってきたのに、
なんでミサカの大切な人は帰ってこないんだろう・・・って。

黄泉川「まったく。上条が留年して良かったんだか、悪かったんだか・・・」

芳川「御坂美琴は元気になったんでしょう?どこがいけないの?」

打ち止め「お姉さまがハイテンションになりすぎるんだよ」

番外個体「あぁ。・・・そういえば、こないだも黄泉川の学校に雷が落ちてたねぇ」

黄泉川「そうじゃん!!子萌せんせも怒っちゃってさ。『上条ちゃんに御坂ちゃん!!調子りすぎです~!!』って」
111 :御坂妹編 【現在】[sage]:2011/02/24(木) 18:27:15.21 ID:6NzIsoqp0
子萌「まったく。結標ちゃんったら・・・最近、お出かけが多いですよね・・・心配なのです・・・」

御坂妹「ただいま帰りました。と、ミサカはドア越しに言います」

子萌「あ、ゴメンナサイなのですよ~。今鍵開けますからね~」

現在、10032号こと御坂妹は、ロリ教師、月詠子萌の所へ居候していた。
居候して、もう2年半になる。同時に御坂妹には友達ができた。
それは・・・

御坂妹「淡希から、電話はありましたか?と、ミサカは淡希のことを気にします」

そう、結標 淡希である。
勿論、最初から仲が良かったわけではない。結標自身、クローンなんかとは関りたくなかったらしいのだが・・・
まぁ、色々あったのである。色々。

子萌「ないのですよ~・・・はぁ。最近、お出かけが多すぎますよね・・・なにか、事件に巻き込まれていなければいいんですけど・・・」

御坂妹「そんな心配、彼女には無用でしょう。淡希は座標移動ですよ?痴漢がきても、そのクズ野郎を壁に埋めておしまいでしょう」

子萌「でも・・・心配なのです。・・・私は教師であって、・・・上手く言えませんけど・・・すごく、結標ちゃんが心配なのです」

子萌はこんな人だ。ミサカがちょっと血を流しただけで、大慌てして、『なにがあったのですか~』って問い詰める。
ミサカが嫌いだからやってるんじゃない。
ミサカを一人の人間として、好きでいてくれているからこそ。

御坂妹「・・・まぁ、ミサカも、心配でない。といえば嘘になりますが」

112 :グループ編 【現在】[sage]:2011/02/24(木) 18:32:25.37 ID:6NzIsoqp0
『窓の無いビル』
そこに、二つのシルエットがあった。
一つは大学生ほどの女性で、長い髪を二つに束ねていた。
もう一つは高校生ほどで、真っ黒なシルエットからでも清楚なイメージがもてる。

「・・・土御門には、報告したわ。・・・ついに、計画が動くらしいわよ?」

どうする?と、女性は高校生らしき人物のほうへ、話をふる。

「やはり・・・三年が限界でしたか・・・」

女性の方は、『座標移動』とよばれる能力者。そして、グループの構成員である。
高校生ほどの少年は、科学サイド・・・ではない。魔術サイドである。
そして、女性・・・結標は答える。

「まぁ、こうなることは大体想像できていたんでしょ?・・・だから【あれ】をわざわざあっちから捕ってきたんじゃない」

「・・・そうなんですけどね・・・」

「【これ】が三年たっても起きないっていうのは・・・想像していませんでしたね」

三年前とかわらぬ顔で、海原は言った。






117 :あさの出来事【現在】[saga]:2011/03/07(月) 18:05:57.10 ID:b4nvd/tc0


黄泉川家の朝は『ギリギリ』だ。

起きる時間は登校時間の15分前。黄泉川はなぜか打ち止めを起こしてくれない。

番外個体は一応バイトがあるのだが、やはりギリギリまで起きない。

芳川はやはりバイトがあるのだが、番外個体と同じくギリギリまで起きない。

そんな、いつもどうりの朝

118 :あさの出来事【現在】[saga]:2011/03/07(月) 18:09:41.22 ID:b4nvd/tc0
「------------------------------------------------」

だれかが呼んでいる。誰?ミサカの睡眠の妨害をするのは。

「---------------おい。起きろ番外個体」

・・・あぁ、一方通行か。やめてよね。ミサカ、まだ寝たいんだから。
起きたら虐めてあげるから。

「起きろって言ってンだろォが。殺されてェのか?」

だから・・・ミサカはまだ眠いんだって一方通行・・・
・・・え?
一方通行?


120 :あさの出来事【現在】芳川[saga]:2011/03/07(月) 18:10:57.99 ID:b4nvd/tc0
「おいクソガキ。起きろ」

んん?

「起きろって言ってンだよ。殺されてェのか?」

あなたがミサカを殺すわけないじゃんって・・・ミサカはミサカは一方通行に向かって言おうとおもっても眠くて口が開かなかったり

「・・・眠てェンなら目が覚めるように水でもぶっ掛けてやろォか?」

それは困るかもってミサカはミサカは起きる姿勢になってみたり。だから一方通行、水はやめて!!黄泉川におこられ・・・
へ?
一方通行?

121 :あさの出来事【現在】芳川[saga]:2011/03/07(月) 18:17:17.21 ID:b4nvd/tc0
「おい芳川。起きろ」

・・・・・・・・・・

「起きろって言ってンだよ。殺されてェのか?」

あら?一方通行。あなたに私が殺せるのかしら?

「・・・眠てェンなら目が覚めるように水でもぶっ掛けてやろォか?」

別にいいけど、誰が後始末すると思っているの?言っておくけど、私はやらないわよ。
一方通行

「・・・どォやったら起きるンだよ。こいつ」

そりゃぁ起きるわけないじないの。まぁ、一方通行が帰ってきたぐらいのサプライズがあれば、別だけど

「俺ァここにいンぞ」

あら?


126 :あさの出来事【現在】[saga]:2011/03/08(火) 19:20:24.20 ID:ZigMWP/H0
「・・・」

番外個体は新型の目覚まし時計を持っていた。
だが、何故か目覚まし時計はボロボロで、釘が刺さった様な跡があるし、ぶつけたような凹みがあった。

「・・・ったく、間際らしいたらありゃしない」

ボロボロだというのに、目覚まし時計は動いていた。 。 。 。・・・秒針の音が、微かに聞こえる。
恐らく、中にあるデータもまだあるのだろう。

「おかげで遅刻しっちゃったじゃん」

時は夕方。番外個体はバイトから帰って来ていた。
家には番外個体の他に、だれもいない。

「・・・間際らしいんだよ。人の心は演算出来ないワケ?このポンコツが」

番外個体の手のひらから、紫電がゆっくりと出てくる。
攻撃するためでは無く、データを読み取るために。詳しく言うと、どっかの誰かさんの音声データを取るために。

127 :あさの出来事【現在】[saga]:2011/03/08(火) 19:21:48.61 ID:ZigMWP/H0
時間は、少し前に戻る。
そう、今日の朝に・・・



目覚まし時計の仕事はこのグータラ三人組を起こすことだ。
ちなみに、いままで目覚まし時計とぐだぐだ三人組の勝負は五分五分。
起こしてはいるが、余裕がない。目覚まし時計とは、余裕をもって起きるためにあるのだ。(多分。黄泉川曰く)
そこで挫ける学園都市製最新型旧式モデル目覚まし時計ではない。
なんと、最新型には、小さいながら外部のコンピュータに匹敵する演算力をもっている。
勝負暦、約1200日。
それまでの勝負暦から最も余裕のもてた目の覚ませ方。
そして、-----------演算を開始。最も目が覚める方法を導き出す。
目覚まし時計だって、伊達に約1200日間を過ごしてきたのではない。最新型のこの目覚まし時計は録画機能まであるのだ。小さな小型の『子機』を家に何十個とばら撒かせ、『子機』から情報を得ることが出来るのだ。
いままでの映像を参照。最も目を見開いていたのは・・・

9ガツ30ニチ。アクセラレータガ風呂ヲ覗イタトキ。

だが、それでは駄目だ。残念ながら、目覚まし時計には映像を映し出す機能はない。

×ガツ○○ニチ。ラストオーダーガ、近所ノ子供達ノ為二『星二代ワッテオ仕置キヨ』ト、ノリノリデ言ウ。

それでもだめだ。だって、芳川がおきそうにない。

××ガツ○ニチ。ヨシカワガコーヒーヲ零ス。

先程書いたとうり、映像化はできない。

128 :あさの出来事【現在】[saga]:2011/03/08(火) 19:22:59.02 ID:ZigMWP/H0
もう一度データーを参照。それ以外で、目が覚めるもの。
驚くもの。音声。三人が興味をしめすもの。なんだ?キーワード追加。嬉しいもの。

嬉しいものの反対は、悲しいもの。悲しかったことは?

目覚まし時計は演算する。そして、一つの答えを出す。最も三人が、共通して『悲しい』と感じたもの。
黄泉川と打ち止めは号泣し、番外個体は口を歪め、俯き、涙を必死に隠し、芳川はハンカチを目に当てていた。
そう。悲しかった事を覆す事によって、驚きが起こるはずだ。
目覚まし時計は映像化をするという能力はない。だけども、



音声データを使い、人間でいう『声まね』を、することが出来る。





129 :あさの出来事【現在】[saga]:2011/03/08(火) 19:23:25.47 ID:ZigMWP/H0
ジリリリリリリリリリ!!

目覚まし時計の超アナログな音が鳴り響く。発信源は、打ち止めの枕元から。

ジリリリリリリリリリ!!

目覚まし時計の『子機』が二つの部屋から鳴る。発信源は、番外個体の部屋と、芳川の部屋から。

だが、当然その程度で三人が起きる分けなかった。因みに、今、目覚まし時計の音は、軽く近所迷惑になる程の音量なのだが、・・・何故か起きない。

ジリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!

さらに音量を増加する。警察に訴えられても仕方がない。というレベルの音量だ。
それでも三人は起きない。耳栓してるとか、難聴というわけではない。三人の耳は健康だし、耳栓のような物もしていない。
彼女達はただ単に安らかな夢のなかにいるのだ。
ここまでは、目覚まし時計も予想していた。というか、計算どうりだ。
目覚まし時計は音声データをフォルダから取り出す。
ここからが、本番である。

130 :あさの出来事【現在】[saga]:2011/03/08(火) 19:31:09.15 ID:ZigMWP/H0


目覚まし時計は台詞を考える。

「オイ【名前】。オキロ」

「オキロッテ言ッテンダよ。殺サレテェノカ?」

「・・・眠テェンナラ目ガ覚メルヨウニ水デモブッ掛ケテヤロォカ?」

「・・・ドォヤッタラ起キルンダヨ。コイツ」

「俺ァココニインゾ」

起きなかった場合=もう一度リピート。




131 :あさの出来事【現在】[saga]:2011/03/08(火) 19:40:57.48 ID:ZigMWP/H0
「本当に間際らしい」

バチバチと紫電を撒き散らし、番外個体はつぶやく。
データを読み取っていく。

「・・・コレ使うの、止めよっかな」

あの後、学校とか、バイトとかほったらかして一方通行を探した。
で、布団に芳川が倒れると、目覚まし時計が作動。(この目覚まし時計は起きても1時間は
二度寝防止のために布団に寝たり、倒れたりしたら鳴るようになっている)
いっせいに目覚まし時計へ攻撃して、急いで学校やらバイトやらに行って・・・現在に至る。

「だったら、新しいの買ってこなきゃ」

もう、うんざりだ。
この時計はきっとまた一方通行の声を使ってくる。
上手く言えないが、とにかくいやなのだ。

バチバチ!!と音がして、時計の針が止まった。

週末にでも、みんなで買い物に行こう。
今度は、いらない機能が無いやつを。




のために、布団に 
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[saga]:2011/03/22(火) 18:44:43.06 ID:fi312ezb0
「たっだいまじゃぁん~・・・ってありゃ?」

返事がこない。
この時間帯は、番外個体と打ち止めがもう帰っているはずの時間帯だ。
いつもなら、『おかえり~って、ミサカはミサカは早速ご飯を待つたま、イスに座ってみたり!!』だの、『うるさいなぁ。ミサカ、今から打ち止めを虐めるところだったのに・・・』とか、素直じゃない返事が来るはずだ。
おかしい。絶対おかしい。
靴を確認する。番外個体の物も、打ち止めのもあった。
物音もしない。ただ、静寂。

「・・・・・・」

黄泉川は、優秀な【警備員】であり、その優れた直感は、《おかしいぞ》と、告げる。

警戒しつつも、廊下を歩く。
あぁ、そうだった。と、黄泉川は二人について思い出す。
あの二人はとても危ない位置にいる。何故ならば、クローンだ。
それだけで、人権も何もかもひったくられそうだというのに、打ち止めは9970人のトップである。
さらに、番外個体に関しては、クローン初の【大能力者】である。研究者が知れば、どうしてでも手に入れたい【実験動物】だろう。
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[saga]:2011/03/22(火) 18:45:09.94 ID:fi312ezb0
リビングに入る。

電気はついておらず、カーテンも締め切ってあった。

ギシ。ギシ。と、フローリングが音をたてる。
無駄に時間が長くなったようなきがした。
すると、カタン。という、物音がした。
そこで、黄泉川は緊張をといた。
なぜならば、

『・・・なにやってんの、打ち止め!!あれ程物音たてるなっていったよねえ!』

『あぐ・・・あ、あれはしかたない!!ってミサカはミサカは反論してみたり!!』

『なぁにが仕方がないだ。ばれちゃうじゃないかっ!!』

『というか、元々はアナタが悪いんじゃん!!』

思いっきり会話が聞こえてくるからだ。
本人達は、聞こえていないと思っているかもしれないが、
黄泉川の所まで会話が筒抜けである。
なにがしたいのだろう?と思い・・・
そして、机の上に目覚まし時計を発見した。
見ると、その横には何十個もの『子機』が積み重ねられていた。
目覚まし時計はボロボロで、何かが貫通したような跡があったり、焦げ目があったり、
何かで叩いたか、どこかに投げたかのような跡もあった。
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[saga]:2011/03/22(火) 18:46:07.91 ID:fi312ezb0


データは?


急いで分解し、小さなチップを取り出す。
そして、ノートパソコンへ挿した。
さすが学園都市製。すぐさまに窓がでてくる。
が、

〔error〕

さらにクリックを繰り返す。
だが、

〔error〕

〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕 〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕 〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕 〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕 〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕〔error〕・・・

「うそ・・・」

出されるのは、ただ〔error〕のみ。
この目覚まし時計を買ったのには、二つ理由があった。
一つは、黄泉川自身がたかが携帯電話のアラームでは起きられないということ。
そして、もう一つは、
三年前に来た、新しい家族の記録を得るために・・・
これなら、三年前にきた赤い瞳をした少年に断られず、
白髪の少年に気づかれることもなく、ホームビデオが撮れる。と思ったのだ。
少年との思い出。
消えた。
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[saga]:2011/03/22(火) 18:46:33.87 ID:fi312ezb0
そう思ったとき、目に飛び込んできたのは、とある小さな白い紙だった。

【ごめんなさい!!目覚まし時計、壊しちゃった・・・
本当にごめんなさい!!
by。打ち止め
ごめん。
by。番外個体】

「・・・ふふ・・・・・・」

こいつらか。なぁ~んだ。
ならいいや。
・・・まったく、番外個体は相変わらずじゃん。

「あはははは!もういいじゃんよ!!隠れてないで、出てきたら!?」

「え・・・ばれてた!?ってミサカはミサカは驚愕をあらわにしてみたりっ!!」

「あたりまえじゃん。物音たてられたら嫌でも気づくに決まってるじゃんか」

「ああぁ。打ち止めのせいでばれちゃった」

「えぇっ!?全部ミサカのせい!?」

結論。
9970人のトップがいようが、クローン初の【大能力者】がいようが、
ともあれ黄泉川家は平和である。


148 :御坂曰くデートに行く前の話。[saga]:2011/04/01(金) 21:34:44.77 ID:1cUwVm+G0
とある喫茶の前で、とある少女が、とある少年を待っていた。
少女は高校生らしく、制服を着ていた。
少女を知るものは、こういうだろう。
御坂美琴。超電磁砲。常盤台の超電磁砲。七人しかいない超能力者の第三位。
お姉さま。

「遅い・・・」

少女の年齢には似合わない、カエルの携帯電話の時計を見ながらつぶやいた。
かなり不機嫌そうに。
前髪から紫電を出しながら。
そして体中から黒いオーラをだしながら。
ここはすぐ後ろに裏通りがあるため、少女が一人でいると、大変危険なのだが・・・
彼女を見て、不良が絡んでこないのはそのせいなのかもしれない。
彼女は、彼女の母親に似てきた。
活発そうな顔立ちはそのままだが、化粧をしているようではない。
彼女の顔立ち自体、とても整っているのだ。
また、手足はすらりと長く、胸は・・・まぁ、ここだけは母親には似なかったらしい。

「・・・(ったく、なにほっつき歩いているのやら)」

もう一度、カエルの携帯電話の画面を見ながら、もう一度深い溜息をついた。

149 :御坂曰くデートに行く前の話。[saga]:2011/04/01(金) 21:35:14.20 ID:1cUwVm+G0
そのとき、何かが燃える音が、裏路地から聞こえた。
裏路地と言っても、すぐそこだ。
そこには、ガラの悪そうな男が数名。恐らくそのうちのだれかが能力者で、発火能力者なのだろう。
その先には、十三歳ほどの少女。
金髪の巻き毛で、人形のような服をきた、少女。・・・なぜだか見覚えがあるような気がするのだが、気のせいか。
そして・・・

プチン。

御坂美琴、十六歳。
超電磁砲の異名を持つ、七人しかいない超能力者の一人。
そんな少女の頭の血管がきれた。
バチバチ!!と紫電が少女に纏わりつく。
黒く、地面から出ているのは・・・砂鉄か。
そして少女は電撃とともに、言葉を放つ。

「あんたはまた女の子にフラグをたてんのかぁ!!」

わりと、全力で。

150 :御坂曰くデートに行く前の話。[saga]:2011/04/01(金) 21:35:40.87 ID:1cUwVm+G0
****

上条「いえ。本当にごめんなさい。この上条さんが女の子にフラグを建てるわけないじゃありませんか。ですからその手の中にある紫電の塊みたいなのを元に戻してくださいマセ、御坂みk・・・ってうおわぁ!?」

バチバチバチバチ!!!!!と心臓に悪そうな音が鳴り響く。
だが、その電撃は少年にはあたらない。
幻想殺し。少年に宿る不可思議な能力によって消されたのである。
その電撃により、不良は既に逃げていた。・・・まぁ、妥当な判断だろう。
一方、金髪の女の子はというと、驚いて声が出せなくなっていた。

御坂「そんな突っ込みどころ満載な台詞をはくんじゃない!!」

上条「え!?じゃぁ上条さんはどういえば宜しいのでうか!?」

うっさい!!と、またもや電撃が走る。
そこでようやくその女の子が口を開いた。

「え~っと・・・あの、大体、ありがとうございました。にゃぁ。・・・っ!では!」

だだだだだ・・・と逃げるように女の子はどこかへいってしまった。
理由は簡単。
御坂がものすごい形相で睨んでいたからである。

151 :御坂曰くデートに行く前の話。[saga]:2011/04/01(金) 21:36:07.85 ID:1cUwVm+G0
御坂「・・・んで、遅れた原因は?」

上条「え~と、・・・どこから話せば良いのやら・・・」

御坂「ぜ・ん・ぶ」

上条「え~っとですねぇ。まず、土御門に電話で呼ばれて、・・・まぁ色々話して、それが長引いて、急いで御坂のとこに行く途中でさっきの可愛い女の子が不良に絡まれていましたので・・・」

御坂「・・・助けた。と」

上条「そのとうりでございます」

ふぅ。と御坂はため息をついた。
こいつは変わらない。何かあればすぐ突っ込む。
そのおかげで救われた人はたくさんいるが、・・・かならず誰かにフラグを立てる。
まぁ、そこが好きな理由の一つなのだが。
ちなみに、まだ御坂は上条と付き合っていない。
とっとと手を打たなければ・・・とは思うのだが、何故かブレーキがかかるのだ。
だが・・・

152 :御坂曰くデートに行く前の話。[saga]:2011/04/01(金) 21:36:43.45 ID:1cUwVm+G0


御坂「・・・もういいわよ。んで?私を『誘った』ワケってなに?」

そう、誘われちゃったのだ。
上条当麻に。
連絡は昨日。気持ちを落ち着けることに時間がかかった。
連絡が来たときは『これって・・・でででででででデェェェェェェトよn・・・ふにゃぁぁぁ』
と、なったが。

上条「あ、そうそう。御坂。お前ってさ、ケーキとかに詳しかったりする?ほら、常盤台のお嬢様だし」

御坂「一応。人並みにはね」

冷静な態度をとる御坂だが、中では自分と自分とで戦い中だ。
そっか。と上条は何気なしに答えた。

御坂「ケーキがどうかした?」

上条「いやぁ。実は・・・」


「インデックスが一ヶ月ぶりにこっちに来るからさ、ケーキでも準bぎぅぁ!」


・・・まぁ、フラグを建てまくる変な能力をもった野郎と学園都市の頂点の少女が喧嘩しようが、上条当麻の世界は平和である。



157 :とあるファミリーレストランにて[saga]:2011/04/08(金) 18:56:57.00 ID:eM9GRIam0
上条と御坂がいちゃいちゃ(?)する少し前。
とあるファミリーレストランにて・・・

***

「・・・・・・・ふ~ん。そんな事になってんだ」

「質問などはありますでしょうか?」

『ない』と、麦野が答えると、『そうですか。では』
と、16歳ほどの少年が簡潔に答え、
赤毛でツインテールでとてもステキな格好をしたお姉さんが能力を使い、(おそらく空間移動系の能力者だったのだろう)2人は虚空に消えてしまった。

「・・・ちっ。まぁさかこんなことになるなんてねぇ」

「・・・まぁ、浜面達が2年前に超やらかした事がバレるよりは・・・超いいですけどね」

「大体、話がとびすぎてるじゃない。ってか、大体、浜面達ってアr・・!?」

「フレメア、だめよ。こんな公共の場でそんな事言っちゃぁ」

「ムグ・・・・!?ムグムグムグ!!!!!」

「まぁ、聞いたときはさすがの私でも超驚きましたからね・・・麦野と滝壷さんは超知ってたみたいですけど」

「ムグムグ!!・・・・・・・・・・・・ムグ!!!!」

元、アイテムはとあるファミリーレストランに集まっていた。
とは言っても、元アイテムの構成員であるフレンダはもう死んでいるワケなのだが、
姉の意思を継ぎたい。姉がやっていた事をやりたい!!と、フレンダの妹であるフレメアがかなり麦野に頼み込み、まぁ、もうアイテムは活動してないし・・・いっか。
ということで、フレメアはフレンダの代わりに、アイテムの構成員となったのだ。

158 :とあるファミリーレストランにて[saga]:2011/04/08(金) 18:57:32.28 ID:eM9GRIam0

アイテムはもう活動していない。

何故か。と、麦野に滝壷が聞いたが、わからない。
と、解答が返ってきた。
浜面はなにか知っているようだが、口を割らない。

「・・・・で、麦野。何時になったらフレメアの口と鼻を押さええいる手を超退けてあげるんですか?」

「え?・・・・・・・・・・・っあ!!ごめん、フレメア!!」

「ぷっふぁぁぁ・・・・・ハー・・・・ハー・・・」

「だいじょうぶ。そんなフレメアと麦野を応援してる」

「・・・い、今、・・・・・河の向こう岸で・・・・おねえちゃんが・・・・呼んでた・・・にゃぁ」

「・・・・超大丈夫ですか!?フレメア!!」

「おいコラ浜面。なんとかしろ」

「え!?今回は空気で居ようとしていたのに、いきなり無茶振り!?」

とりあえず、背中をさすって・・・
と、浜面は超浜面なりにフレメアの体調を気遣い、背中をさする。
だが、

159 :とあるファミリーレストランにて[saga]:2011/04/08(金) 18:58:12.16 ID:eM9GRIam0

プチン、と、何かが外れる音(ヒント;フレメアのブラジャー)と、4人の少女の血管が切れる音がした。

「超はまづらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「ほほう。殺されたいのかにゃん?はぁまづらぁぁ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(怒)」

浜面の背筋になにか冷たいものをかんじる。
ってか、フレンダとか垣根帝督とか駒場さんとかが呼んでいる気がする。
まだそっちに行くわけにはいかない。
まだ俺にはやるべき事があるんだ。
そうだろう?MY エンジェル.滝壷?

「負け犬上等ォおおおおおおおおおおォォう!!!!!」

瞬間、浜面は全力で店内を駆け抜け、外へでた。
・・・?という三人の乙女は、即座に行動を開始した。
ターゲットは、浜面。
ぷちっと潰すか、浜面を抱きしめる(滝壷)かしたら勝ち。
3人の乙女は出撃する。
お金を払わず・・・・・

「え?大体、どうしろっていうの!?」

とりあえず、あの3人を見つけよう。
と、代金を払い、店を後にする。
その後、不良に絡まれる。
だが、そこにツンツン頭の少年が来て・・・・

160 :********[saga]:2011/04/08(金) 18:59:41.80 ID:eM9GRIam0
***
フレメアが御坂から逃げたころ。

ファミリーサイドというとあるマンションの玄関で、

とある平和な家に、





ピンポーン。と、チャイムがなった。







161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[saga]:2011/04/08(金) 19:04:29.27 ID:eM9GRIam0
以上で投下を終わります。
ちょぴっと次回から新展開する予定です。

【多分予告的ななにか】

チャイムがなったので、いつもどうりに接客しようとする打ち止め。
家の中ではいつもどうり、芳川はゴロゴロしていて、黄泉川は書類の整理をしていて、
番外個体は自分の部屋で何かを聞いていた。

打ち止め「は~い。どなたですか?」

だが、その客は・・・!?
黄泉川家の平和はどこまで保たれるのだろうか?


162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/08(金) 21:51:44.98 ID:nzBxSAzKo
気になる切り方だぜぇ…
ともかく乙期待してます
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/08(金) 22:13:58.58 ID:LxPJ5xbb0
おつ、にゃあ 
165 :元の道と言う名の異常 01[saga]:2011/04/11(月) 19:57:10.87 ID:95HXy82e0
「ん?お客さんじゃん?芳川~私は今、始末書とか始末書とか始末書とか資料の整理で忙しいじゃんか。一番暇そうな芳川がでて欲しいじゃん」

「あら?私、これでも忙しいのよ?番外個体に頼んではどうかしら?」

「番外個体はあれから、部屋から一歩もでてないじゃん」

「あの子、なにをしているのかしら?」

「さぁ、『イヤホン借りていくね~』って言ってたから、音楽でも聞いているんじゃない?」

「打ち止めはどうかしら?」

「あぁ、その手があったじゃん!!打ち止め。ちょっと接客頼むじゃん♪」

「ミサカ?いいよ。暇だしねってミサカはミサカは応じてみたり」

打ち止めは言うや否や玄関へ行き、いつもの調子でこういった。


「は~い。どちらさまですか?」


166 :元の道と言う名の異常 01[saga]:2011/04/11(月) 19:58:33.27 ID:95HXy82e0


・・・・。

答えはない。
よほどシャイなのだろうか?

「あの・・・どなたですかぁ?」

沈黙が続く。
すこし不信感を持った打ち止めは黄泉川達に目配せする。
黄泉川達の雰囲気が変わる。
打ち止めは靴箱から押しピンのケースを取り出し、2、3個手に取った。
残念ながら打ち止めには鉄釘を撃てるほどの能力はない。
鉄釘が撃てないのなら、押しピンにしちまえ。by.番外個体
ということで、日常でよく使われるおなじみの押しピンは、打ち止めにとっての唯一の武器となったのだ。
いつの間にか黄泉川は警備員用の銃を持ち出していた。
芳川は番外個体を呼びにいっていた。
黄泉川と打ち止めはアイコンタクトを取ると、黄泉川は銃を構え、打ち止めはドアをほんの少し開けた。
そして、バン!!と一気に扉を開けた。

そこにいたのは・・・

167 :元の道と言う名の異常 01[saga]:2011/04/11(月) 19:59:27.38 ID:95HXy82e0

そこにいたのは・・・


そこにいたのは・・・・・・・・・・






そこに・・・・・・・・・・










168 :元の道と言う名の異常 01[saga]:2011/04/11(月) 20:00:11.16 ID:95HXy82e0


打ち止めは無言で扉をしめた。
黄泉川に関しては放心状態である。
打ち止めは思う。
これは夢だ。そうだ。そうに違いない。疲れたんだ。今日は早めに寝よう。
後ろを向いて、・・・でもなんとなくだが扉の向こうが気になって気になって仕方がない。
どうせ、何もないんだ。
そう。さっきのは幻覚だ。
そう思い、もう一度扉を開けた。

いる。

閉めようとしたとき、その『客』によって阻止された。
ドアをつかまれたのだ。
少年・・・いや、青年か。
『客』は三年前とほとんど変わってなかった。
少し、髪が伸びたのか、後ろで束ねていた。
それだけ。
あ、背が上条を同じくらいに伸びているか。
青年は言う。


「・・・なァに無視しちゃってンですかァ?クソガキ」


一方通行。

だ。

169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[saga]:2011/04/11(月) 20:05:45.51 ID:95HXy82e0
雑な文章でごめんなさい!!
コメントしていただいている方々にもう一度感謝を。
次回はなるべく早く投下できるかと思います。

【次回予告的ななにか】
一方通行が戻ってきた。
それだけで黄泉川家は大騒ぎ。

黄泉川「こんのぉ・・・・・馬鹿者ォォォォォォォォォ!!」

芳川「えぇっと、あなたは一方通行でいいのよね?鈴科百合子ちゃんだったりしないわよね?」

打ち止め「hさkbhshkっみう・・・・」

番外個体「・・・・・・・・・・・・はぁ!?」
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県)[sage]:2011/04/11(月) 20:54:43.88 ID:ke4HjkJyo

175 :元の道と言う名の異常 02[saga]:2011/04/16(土) 18:35:29.96 ID:aONYQn6I0
打ち止め「ええ?あ・・・・」

一方通行「ったく、なに人の顔見るたびにドアを閉めンだよ・・・」

打ち止め「あ・・・・あのさ・・・・・」

一方通行「?」

打ち止め「ほ、ほほほほほほんとに一方通行ぁ?」

一方通行「他に誰に見えるンだよ・・・なンだァ?三年たったら忘れ・・・って、おいクソガキ。ショートしてンぞ」

打ち止め「hさkbhshkっみう・・・・」

一方通行「おい。大丈夫なンかよ」

そこに、ドガァン!!!!と凄まじい音とともに、芳川が現れる。
番外個体も一緒だ。

芳川「打ち止め大丈b・・・・・・ってえぇ!?」

一方通行「あン?・・・・芳川かよ」

芳川「ちょっと待って。あなたの名前は?」

一方通行「おまえらもう俺のこと忘れt「えぇっと、あなたは一方通行でいいのよね?鈴科百合子ちゃんだったりしないわよね?」

一方通行「鈴科百合子って誰の事だァ!?」

芳川「え?本当に一方通行なの?ねぇ、本当?」

一方通行「だからそうだって言ってンだろォが!!何ですかァ!?俺が居ない間にナニボケちゃってンですかァ!?」

176 :元の道と言う名の異常 02[saga]:2011/04/16(土) 18:35:58.74 ID:aONYQn6I0

芳川「ボケてなんか無いわよ!!ただ私は本人かどうかの確認を・・・・!!」

一方通行「・・・本人以外のなンなンだよ。俺は」

番外個体「芳川。なぁにそんなにはしゃいでんの?」

と、部屋の中から番外個体。

芳川「そ、それが、一方通行が帰ってきたのよ!!」

番外個体「・・・・・・・・・・・・はぁ!?」

芳川「本当なのよ!!」

番外個体「ほぉ~?だぁれが一方通行なのかにゃぁ?」

一方通行「・・・・」

番外個体「・・・・・・・・・・・・・・」

一方通行「・・・」

番外個体「・・・・・・・・・・・・・・」

一方通行「・・・オイ」

番外個体「あ、あ、あ、あ、、あ、あ、あ、あf、sあ、dsf、svs、あgぼbdjkgdkんがjkんhfgvmらcみあvsんふmほあsd」

一方通行「・・・・・おまえ、ロシアの時から性格かわったな」

177 :元の道と言う名の異常 02[saga]:2011/04/16(土) 18:36:38.79 ID:aONYQn6I0
***
4人が話している間に黄泉川は起きた。
厳密には打ち止めがショートしていた時から起きていたわけだが、
黄泉川は、一方通行になんと話しかけるべきか。
なんて説教するべきか。
それともおかえりと、言うべきなのか。
と、いろいろ迷っていた。
が、黄泉川は拳ですべてを解決するとんでも教師である。
結論。

「こんのぉ・・・・・馬鹿者ォォォォォォォォォ!!」

といいながら本気で一方通行の頬をぶん殴る。

無言で木の葉のように舞う一方通行。
・・・どれだけの力で殴ったのだろうか?
ドサッ。と帰還直後に床へと落ちた、哀れな一方通行。
だが、彼は哀れではなかったらしい。

何故ならば、黄泉川がギュゥ!と抱きしめたからだ。

一方通行は驚いて声が出せないようだが、
黄泉川はそんなの関係なしに更に腕に力をこめる。
それは、どこにでもいる、優しい母親のようだった。
実際、傍から見れば、親子にしか見えないだろう。



「・・・おかえり。一方通行」



「・・・・あァ・・・・・・・・・・・・・」


178 :元の道と言う名の異常 02[saga]:2011/04/16(土) 18:37:06.05 ID:aONYQn6I0
****

???「はっぁ~い。【白雪姫】。【いばら姫】は成功したっぽいよ。」

???『あら、そう。あなたは?』

???「ん~とりあえず、【いばら姫】の様子を伺う。」

???『そう。【人魚姫】は?』

???「わたしに同じ。」

???『そう。いい報告を待っているわ』

・・・・・・・


179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)[saga]:2011/04/16(土) 18:42:55.09 ID:aONYQn6I0
投下の前にコメントするのを忘れていました・・・・
いつも観覧してくださっている方々、ありがとうございます!!
コメント、とても励みになっております。

これから、オリキャラがでて来ます。
苦手な方、すいません。

>>171
>>172のおっしゃる通りです。
説明下手ですいません。

あ、ちなみに、『この』黄泉川家でハッピーエンドを迎えるつもりはありません。

180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/04/16(土) 18:47:01.44 ID:O5daLeQK0
>>1乙!

『この』黄泉川家ってのが意味深で気になるぜ 
183 :元の道と言う名の異常 03[saga]:2011/04/19(火) 20:59:11.73 ID:9EmTVmfE0


番外個体、打ち止め、そして、一方通行は黄泉川家の台所に立っていた。
理由は簡単で、いつもご飯を作ってくれている黄泉川が今手が放せないからであり、
芳川が息をするのだけで精一杯とほざいたからであり、
番外個体よ打ち止めはまだ混乱しているのか一人で作るのには無理があるからであり、
結果、一方通行が作ることになった。
ただ、4人共、一方通行がエプロン装備で料理をするところなんか見たことが無いので、
とりあえず、番外個体と打ち止めが一方通行の補佐をする事になったのだ。

番外個体「・・・・・まだ信じらんない」

一方通行「・・・・何がだよ」

打ち止め「fjvgflc、ss、gjm、。xfsみsだdっさささあわわわわわわわわ」

番外個体「・・・・・・・なんでさ、」


「エプロン装備してるの!?」


一方通行「常識じゃねェのか?」

184 :元の道と言う名の異常 03[saga]:2011/04/19(火) 20:59:50.18 ID:9EmTVmfE0

番外個体「だって!?あなたそんなキャラだった!?」

打ち止め「jfsぢfj;いお、;xみさかsみあsみあしさkjdかsjdkさjkj」

芳川「・・・・ここは番外個体に同意するわ。・・・・男性用のエプロンが無いとはいえ、・・・・なんで黄泉川のピンクエプロン!?」

一方通行「あァ?なンか悪かったのか?」

黄泉川「いや、悪くないじゃん。・・・・なんでそんなに似合ってるじゃぁん!?」

番外個体「あとさぁ、なんで皮むきそんなに上手なワケ!?はっきり言って、ミサカ達より上手じゃん!?」

一方通行「・・・・・・ロシアでこの手のスキルを学んで来ただけだ」

なんで!?
と、番外個体がさらに叫ぶ。
黄泉川がこっそり持ってきたカメラで、こっそり一方通行のエプロン装備姿(ピンク)の写真を撮っていた。
・・・後で貰おう。と、芳川は片手をグッ。と握った。

185 :元の道と言う名の異常 03[saga]:2011/04/19(火) 21:00:36.46 ID:9EmTVmfE0

一方通行「おい、クソガキ。ぼさっとせずに火加減見て来い」

打ち止め「fdsもぬいsdc・・・はっ!?ミサカはナニを・・・・!???」

番外個体「だ・か・ら・・・・なんでそんなキャラになったの!?」

黄泉川はふと、顔を上げる。
そこには打ち止めが望んだ『打ち止めの世界』があり、
同時に黄泉川が望んだ光景があった。

もしかしたらまだ、【あの9月30日】に戻れるかもしれない。

と、黄泉川は思った。

190 :元の道と言う名の異常 04[saga]:2011/04/24(日) 14:52:27.51 ID:jKOsUm1Z0
「「「いただきま~す」」」

「いただきまーす」

「・・・・・いただきますゥ」

5人は手を合わせた。
目の前にあるのは一方通行がロシアで学んだ料理だ。

打ち止め「ふおぉぉぉ。美味しそう!って、ミサカはミサカは歓喜をあげてみたり!!」

番外個体「・・・悔しいけど、ミサカが作るより美味しそうかも・・・・・・・もやしのくせに」

一方通行「あァ!?なンか言ったかァ!?番外個体!」

番外個体「べっつにぃ?ミサカは正論を述べただけだけど☆にゃは」

三年もたったのにお前は変わってねェ!!!!
と、一方通行は叫ぶ。
それを見て、黄泉川と芳川がクスリと笑う。
まるでどこかの家族のようだった。
お肉を箸でつまみながら、打ち止めが今までの事を説明し始めた。
番外個体はその話にときたま突っ込みを入れながら食べていた。
黄泉川や芳川は食べ物を堪能していた。

一方通行「・・・・ほォ。・・・・ンで、芳川はまだちゃんとした仕事が無いンかよ」

芳川「・・・・・返す言葉が無いわ」

191 :元の道と言う名の異常 04[saga]:2011/04/24(日) 14:53:06.83 ID:jKOsUm1Z0

一方通行「ってか打ち止め、お前ちゃんと学校に入れたンだなァ・・・・」

打ち止め「うん。ミサカにはまず、データーが無いから、ミサカは黄泉川の養子として学園都市の『書庫』に登録してもらったの」

一方通行「大変じゃ無かったか?」

打ち止め「そりゃぁ・・・・でも、他の妹達とか、番外個体とか、ヨシカワ、ヨミカワや、お姉さま達がサポートしてくれたんだよ!!って、ミサカはミサカは報告してみたり!」

一方通行「そりゃァ良かったじゃねェか」

番外個体「・・・・このロリコンクソもやしめ・・・・」

一方通行「?なンか言ったか?番外個体」

番外個体「なんでもない」

一方通行「あっそ」

一方通行「そォいやァお前、就職先決まってるンだって?」

番外個体「まぁねぇ」

一方通行「・・・・・お前みたいな根っこ真っ黒なヤツでも受け入れてくれる所があンのか?」

番外個体「え?なに?なんですかぁ?ミサカは意外と真面目だよ?」

192 :元の道と言う名の異常 04[saga]:2011/04/24(日) 14:53:37.19 ID:jKOsUm1Z0

一方通行「・・・・最初の言葉に果てしなく悪意が込められているような気がするンだが・・・」

そんなふうに、適当な会話をしていたとき、
黄泉川が現実的な話題をだいしてきた。

黄泉川「一方通行、当然、ここに住むじゃん?」

一方通行「はァ?俺は学園都市には住むつもりだが、別の「住むじゃん?」・・・・・」

黄泉川に言葉を遮られる一方通行。
どうやら一方通行は別の所で住む予定だったらしい。
だが、黄泉川はここに一方通行を住まわせるつもりらしい。

芳川「・・・となると、色々と買う必要があるわね」

打ち止め「あと、お部屋の問題も、あるかも・・・」

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

芳川「打ち止めと番外個体が一緒の部屋っていうのは?」

打ち止め「ミサカは全然いいけど?番外個体は?」

番外個体「別にいいけど?」

193 :元の道と言う名の異常 04[saga]:2011/04/24(日) 14:54:12.48 ID:jKOsUm1Z0

一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おい」

黄泉川「あと、他には・・・・」

打ち止め「日常で必要なものって、いつ買いに行く?」

一方通行「オイこら」

番外個体「今週の日曜日とかは?」

黄泉川「・・・・土曜日はどうじゃんか」

一方通行「ちょっと待て。もう俺がここに住むことが前提になってンのか?」

黄・芳・打「「「当たり前(じゃん!)(よ)(だよ!!)」

一方通行「・・・・・・・まじかよ・・・・」

番外個体「にししし。これで一方通行と一緒n・・・って違う!!」

・・・いつのまにか、一方通行はここに住むことになっているらしい。
多少強引だが。

黄泉川「・・・・で、それはもう決定として・・・・三年間、ナニをしていたじゃん?」

一方通行「・・・・・・」

打ち止め「そうだよ。なにしてたの?」

一方通行「・・・・・・・・色々だ」

番外個体「色々って、ナニ?」

194 :元の道と言う名の異常 04[saga]:2011/04/24(日) 14:54:44.74 ID:jKOsUm1Z0

一方通行「・・・・あァ、三年前、学園都市に殺されそうになった時に、向こうのヤツが助けてくれてなァ。怪我はすぐに直ったンだが、・・・番外個体と打ち止めは知っているだろォが、、俺は別の技術を使ったンだ」

別のぎじゅつぅ?
と、黄泉川と芳川は首をかしげた。
詳しい説明は、省く。と、一方通行は付け足した。

一方通行「・・・で、当然、部外者が使って良いものじゃねェンだ。俺は数ヶ月間、牢屋にブチ込まれた」

番外個体「はぁ!?」

一方通行「だが、エリザリーナ共和国の設立者が抗議してくれてなァ。牢屋からは出ることが出来た」

打ち止め「じゃぁ、なんで早く帰って来なかったの?」

一方通行「話を最後まで聞け。・・・・だが、条件があってなァ。その【別の技術】を使って三年はエリザリーナ共和国から出てはいけない・・・・そォいう事だ」

芳川「なるほどねぇ・・・・」

話はそこで途切れた。
番外個体はふと、あの銃声を思い出す。


あれは、学園都市製特有の銃声だったはずだ。


頭に疑問符を浮かべながら静かにまた、食べ始めた。

黄泉川は、一方通行が肉を食べていないことに気が付いた。
だが、言わないことにした。
エリザリーナで味覚が変わったのかもしれない。

206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/05/10(火) 20:43:45.71 ID:nGFc4qzQ0

打ち止めは、枕元に置いた携帯を開いた。
時刻は現在、6時27分。
まだ、平均的な中学年は起きているかいないかの時間帯だ。
だが、打ち止めにとって、この時間は『寝ている』時間なのだ。
打ち止めは、毎朝7時から7時15分の間に起きる。
彼女はギリギリまで寝ていたい派だ。
いつもならば、携帯を放り投げて二度寝をする打ち止めなのだが…

(……まだこれだけしかたっていないんだ…)

前に時間を見たときは、6時25分だった。
その前に見たときには、6時19分だった。
つまり、彼女は寝ていないのだ。打ち止めはこの夜、一睡もしていないのだ。
原因は一つ。


【あの人】が帰ってきたから。



現在時刻、6時30分。
布団に潜っている打ち止めだが、そろそろ腰やら頭が痛くなってきた。
ずっと寝っ転がっているせいである。
しぶしぶ、いつもより30分早いが、起きる事にした。
ゆっくりベッドから降りて、ドアを開けた。
黄泉川はもう学校に行っているらしいが、番外個体と芳川はまだ寝ているようだ。
リビングに行くと、【あの人】がいた。

【あの人】はまだソファーで寝ていた。
昨日、【あの人】は強引に黄泉川家に住むことになったらしい(らしい。というのは、【あの人】の意見をほとんど聞かずに決定したからだ)
だけど、すぐに部屋が開けられるワケでもなく…
結局、黄泉川の進めによって、【あの人】はソファーで寝る事になった。
もちろん、【あの人】は反対したのだが、黄泉川が涙ながらに『また、この家から出て行っちゃうのじゃん?また、私達から離れる気じゃん?』と言ったせいで、【あの人】はソファーで寝る事になった。
…黄泉川はズルいと思う。
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/05/10(火) 20:44:23.54 ID:nGFc4qzQ0


今、ミサカの目の前に、【あの人】…一方通行がいる。


三年間、探し続けた【迷子】がいる。
三年間、見られなかった【寝顔】がある。
三年間、待ち続けた【一方通行】がいる。
三年ぶりに見た一方通行の寝顔は、変わっていなかった。
子供みたいな、素直で可愛いキュンとする表情…ってなにを思っているの!?ミサカ!!

「……………………うにゅ…」

ビクッと、打ち止めの肩が分かりやすく上がった。
見つめすぎちゃったかな?
と、やや反省ぎみになる。
が、何時までたっても起きそうにないし、表情が何時もの(三年前と同じ?)仏頂面でないことから、まだ夢の中かと推測される。
ほぅ。
と、打ち止めは溜め息をついた。


パンを焼くために、食パンを炊飯器に入れる。
ちなみに、この家で炊飯器以外の電化製品を使っての料理は出来ない事になっている。
家主である黄泉川のせいだ。

ミルクを温めるために、もう一台、炊飯器を起動させる。
牛乳パックを冷蔵庫から(冷蔵庫は許可されている。冷蔵庫はもちろん。『シャープ』や『東芝』にならぶ『ていとくん』だ)
そして、炊飯器に牛乳をコップ一杯分入れる。慣れているので、わざわざコップに入れなくても、目測で計る事が出来る。
そして、スイッチを押す。
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/05/10(火) 20:45:09.63 ID:nGFc4qzQ0

『オレニジョウシキハツウヨウシネェ!オレニジョウシキハツウヨウシネェ!オレニジョウシ』

ピッ。
どうやらトーストが出来たらしい。
…起こして、ない…よね?
冷蔵庫からバターを取り出す。

『オレニジョウシキハツウヨウシネェ!オレニジョウシキハツウヨウシネェ!オレニ』

ピッ。
ミルクが出来た。
一々『オレニジョウシキハツウヨウシネェ』と言う必要があるのだろうか?もう少し可愛いお知らせ音とか無いのだろうか?

「…いただきまぁす」

ヒソヒソ声で言った。
中学年になったら『いただきます』を言わない子が多くなるらしいが、打ち止めはそんなことを気にしていない。
ちゃんと言うべきだと思う。

食べ終えて、歯磨きして、学校の支度をして。
『行ってきます』の前に、今もなお、眠り続ける一方通行に話しかける。
眠りの姫みたい。
と打ち止めは思った。
でも、逆だ。王子様がお姫様を起こさないといけないのに、王子様が寝てしまっている。
じゃぁ、お姫様は王子様を起こすの?
そんなの無理に決まっている。
起こせない。起こすのがもったいない。
でも。


口付けだけなら。起きない。よね



「行ってきまぁす」

打ち止めは学校へ向かった。
何時もより少し早い登校だった。



220 :元の道と言う名の異常 06(前回が05です。すいません)2011/05/30(月) 18:54:41.78 ID:IFiNXDj60
10039号は、『働くミサカ』と呼ばれている。
彼女は現在、ちょっとした洋服屋に住み込みでバイトしている他、コンビニでバイトしていたり、学舎の園内で植物の世話を任されていたり、銭湯でバイトしていたり、デパートでこっそり働いていたり…とまあ、多忙なミサカなのだ。
別に彼女はお金で困っているワケではない。
ただ、働く事を生きがいとしているのだ。
さらに、彼女には彼氏がいるらしい。(らしい。というだけで、明確ではない)
さらに彼女には、“いぬ”と呼ばれる猫の世話を妹達に任されている。
毎日毎日、“いぬ”の世話をしつつ、複数のバイトをこなし、さらに彼氏とそれはそれは楽しい話をしている(らしい)のだ。

ようするに、リア充だ。

そんな彼女は今朝、4時に起きて、本日の予定を確認した。
4時に起きるのはもはや習慣だ。
さすがは『リア充ミサカ』である。

(…おや?今日は何も無いのですか?)

確かに今日は洋服屋の定休日だし、携帯に表示されている予定を見るからに、今日のバイトも、仕事も(彼氏との約束も)無いのだ。
うえーい。やったー!
と普通なら思うだろうし、
ここで二度寝をする。という人もいるだろう。
だが、忘れてはいけない。


221 :元の道と言う名の異常 06(前回が05です。すいません)2011/05/30(月) 18:56:03.20 ID:IFiNXDj60


彼女は『リア充ミサカ』であり、『働くミサカ』である。


(…何も予定が無い。というのは一気にミサカの格が落ちた。ということでしょうか?あぁ、人生終わりです。予定が…仕事が無いなんて…『リア充ミサカ』という名前が『非リア充ミサカ』になってしまいます。どうしましょう…神よ。ミサカに[ピーーー]と申すのですか?嫌です。ミサカはまだ死にたくありません。ミサカはニートにはなりたく無いのです。10040号のようにはなりたくないのです)


10040号とは、10039号とほぼ同時刻に『生まれた』ミサカであり、10039号と敵対関係にあると同時に、数少ない10039号の友達(既に親友の域に達しているかもしれない)である。
10039号が『働くミサカ』からば、10040号は『無職のミサカ』だろう。

10040号は妹達唯一の『ニートミサカ』だ。

仕事が無いだけでなく、一日中布団の中で携帯をいじり回していたり、ご飯の準備を同居人にやらせ、ご飯を自分の布団まではこばせたり、一日中パソコンの前にいたりと、まさに堕落した生活をしていた。

10039号の生活とはまるっきり逆である。

だから二人は敵対関係にあるのだ。

10039号は10040号のようにはなりたく無いし、
10040号は10039号のようにはなるつもりがない。
だからこそ。
仕事が無い。というのは彼女にとって、『負け』に等しいのだ。

どうしよう。
と、頭を静かに抱える10039号。いぬはまだ寝ている。
そこで、携帯が鳴った。
メールだ。


(…仕事?)

携帯を開く。
アドレスは、仕事関係のアドレスでは無かった。
表示には『クソニート』と書かれていた。
今、もっともミサカが会いたくないミサカだ。
内容は、

━━━

━━━━━

━━━━━━━━━━

222 :元の道と言う名の異常 06(前回が05です。すいません)2011/05/30(月) 18:56:37.79 ID:IFiNXDj60


from:クソニート
title:暇?
本文:暇だからメールしてみた。
お前なら今起きてるだろ?
返信たのむ(^◇^)┛

to:クソニート
title:Re.暇?
本文:暇じゃない。
ってかお前は年中暇だろ。
なっさけね。

from:クソニート
title:Re.暇?
本文:にしては早い返信だね。
ミサカは暇じゃねぇし。パソコンでネットしり、布団でゴロゴロして雑誌みたりと忙しいんだっつーの
お前、仕事どうした?

to:クソニート
title:Re.暇?
本文:午後から。
…同居人に迷惑かけてないだろうな?

from:クソニート
title:Re.暇?
本文:迷惑かけて無いのにパソコン持ってかれた。
ミサカ、なんか悪いことしたか!?

to:クソニート
title:Re.暇?
本文:働けニート。
ってか思いっきり迷惑かけてるだろ。
ってか、二年半ぐらい会ってないけど、まだ外国にいるのか?

from:クソニート
title:Re.暇?
本文:二年半前から学園都市。
向こうで知り合った子が、学園都市に住みたいっ!
ていうから、ミサカが付いてきてあげた。
外国からだと学園都市に住むのは難しいしな。
当時、10歳だったし…

to:クソニート
title:Re.暇?
本文:まじで!?
今の今までニートニート言って悪かったな…

from:クソニート
title:Re.暇?
本文:いや。
なんかさ、たった二ヶ月で学園都市のこと把握しちゃって。
料理はもともとできたからさ。
もう、ミサカいらねぇんじゃね?っていったら、
「……知ってるよね?大体、わたしには家族がいないの。もう、ミサカはわたしにとって、家族に等しいの。だから、……一緒にいて欲しいかなぁって」
って言てもらったからさ。
遠慮なく居座ってる。

to:クソニート
title:Re.暇?
本文:いい子だな。その子。
お前最悪だろ。

from:クソニート
title:Re.暇?
本文:いい子だろ?すっげぇかわいいんだ。
あの子のためなら死んだっていい。
……って、あの子来た。
じゃぁな。

━━━━

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223 :元の道と言う名の異常 06(前回が05です。すいません)2011/05/30(月) 18:57:28.61 ID:IFiNXDj60


「あいつ。学園都市に居たのか。と、ミサカはいままでそんな事を言わなかったニートに愚痴ります」

携帯電話を持ち、ボソリとつぶやく。
勘違いしてはいけない。
彼女は決して百合とか、レズとかではない。
ただ……妹達のなかで一番仲の良いのがニートミサカなだけだ。
そこで、ニートという言葉で思い出した。
今、自分は仕事がないのだ。(今日だけ)
しかも、携帯電話を持つ前までは体操座りだったというのに、今、自分は布団にもぐりこみ携帯電話を弄っているではないか。

ニート。という文字が浮かぶ。

……ちなみに彼女はニートという言葉を彼女は間違えて覚えている。
彼女の言う『ニート』だと、休日にゴロゴロしているお父さんがたを入れてしまう。
彼女にとっての『ニート』は恐らく『今現在、仕事が無いもの』といういみだろう。
それだと、大半の人が当てはまってしまうが。

(あばばばばばばば!!ど、ど、どど、どうしましょう!?)

慌てふためく彼女のよこで、
みゃーと、いぬが鳴いた。
ゆっくり、彼女はいぬのほうを向いた。
そして、なにかに目覚めたかのようにいぬの横の箱を探る。
キャットフードの入っている箱だ。

「……あと残りわずか」

ニタリと黒い笑みを浮かべ、外へでる準備をし始めた。
目的ができた。

「……さて、いぬのキャットフードを買うために。散歩もかねて行きますか」

テーブルに手紙を置き、財布を確認。



「行ってきます」


現在時刻4:38


227 :元の道と言う名の異常~妹に、百点を!!~2011/06/06(月) 19:33:52.50 ID:pRqb48000
今回はちょっと番外編っぽいかも?
では、投下。
よろしくお願いします。
228 :元の道と言う名の異常~妹に、百点を!!~2011/06/06(月) 19:34:39.08 ID:pRqb48000







to:仕事虫
title:Re.暇?
本文:いい子だろ?すっげぇかわいいんだ。
あの子のためなら死んだっていい。
……って、あの子来た。
じゃぁな。








229 :元の道と言う名の異常~妹に、百点を!!~2011/06/06(月) 19:35:16.52 ID:pRqb48000


「こらぁぁぁ!!大体、16歳の乙女が朝からゴロゴロするなぁぁぁぁぁ!!」

ズガァァァァァン!!と、ミサカの荒れた部屋に、可愛らしい少女が突っ込んできた。

「えぇ?なにか悪かった?とミサカはとぼけます」

扉を開けて、朝から怒鳴っているのは、フレメア。
同居人にして、ミサカの家族だ。

「ってか、何でこんな時間帯に起きたの?我が妹」

「……PCは取り上げたけど……」

「携帯は取り上げてなかったから?大切な大切なミサカがゴロゴロしているのが見るのに耐えなかったから?……ミサカ、愛されてるなぁwwwwwwww」

この、ミサカと同居してはや二年半。
最初の『と、ミサカは~』という口調は取れ、
そのうち、わたしを『妹』と呼ぶようになった。
そして、ミサカはニートになった。
なんで、ニートになっちゃったの?
と、聞いたことがある。
ミサカは、答えなかった。話題を変えられた。

「うん。そうだよ。……さ、大体、携帯だして」

なにやらミサカがうだうだ言っているが、スルーである。


230 :元の道と言う名の異常~妹に、百点を!!~2011/06/06(月) 19:36:05.66 ID:pRqb48000
「えぇぇぇぇぇぇ~ミサカはコレがないと生きていけません~」

「はいはい。大体、携帯早く出して」

スルーである。
ミサカはは渋々gdgdうだうだ携帯を差し出した。
意外と素直なニートの同居人である。
が、

「……でも、渡せないにゃぁぁ!!」

「この!!」

「渡して欲しいのなら、ゲーム攻略本買ってこい我が妹ぉぉぉぉぉぉおおおおおお」

「やなこったァぁぁぁぁぁああああああああああ!!!」

携帯争奪戦。開始!




━━━━━━━数分後━━━━━━━━━

「ふっはっはっは!!もうお手上げかなぁ?フレメアちゃん?」

テンションマックスのミサカの声。
だが、大事なのは、そこではない。

「にゃ、にゃんで……」

か、勝てないの!?
フレメアは、姉であるフレンダほどの身体能力はあるし、学校では陸上部のエースだ。
不良二、三人は素手でなんとかなる。
……高位能力者だったら無理だけど。
ミサカは、詳しいことは聞いたことがないが、ここ二年ほど引きこもっている。
つまり、二年は運動していない。
だというのに、事実、ミサカはフレメアに圧勝しているのだ。


231 :元の道と言う名の異常~妹に、百点を!!~2011/06/06(月) 19:36:42.18 ID:pRqb48000


「ふっ……ミサカに勝とうなんて、100光年早いZE☆」

「いや、ちょっと……大体、なんでそんなに強いのぉ!?」

「だって、フレメアちゃん。寝不足でふらふらじゃない」

「!?」

「……ミサカにばれていないとでも、思ってた?」

「だ、大体、……ちょっと、面白い本があっただけで……それに、ミサカも心配だったし。
それだk

「……ミサカ心配なだけ?本当に?」

茶色い、宝石みたいなミサカの瞳。
いつも目線が別次元を見ている瞳。
だけど、今は、まるで、フレメアの事を見透かすように見つめている。

言ってはいけない。

「ほれほれ。ミサカに言ってみぃ」

いえない。
でも……




232 :元の道と言う名の異常~妹に、百点を!!~2011/06/06(月) 19:37:23.07 ID:pRqb48000




「『うなばら』っていう人から学園都市の事、聞いて……」

あまりに衝動的だったから。
と、フレメアは付け足した。
ふわふわした金髪。人形のような美しい顔立ち。サファイアのような瞳。
そう。彼女の姉、瓜二つだ。
おそらく、『うなばら』とは、『海原』の仮面をかぶった、エツァリの事だろう。
と、適当に予測する。
たしか…何号だったかのミサカとよくつるんでいるやつだ。
真意が見えない。
ただ、微笑む道化師。
それが、彼の第一印象だった。

「よしよし」

「にゃ。にゃぁぁぁぁ!?」

「よく言えました!!」

まぁ、ほんとうなら、学園都市の事も聞きたいところだが。
素直に言えた妹に。百点。


「さて、一緒にゲームしよっか」

「…….こんのぉ!!一瞬でも尊敬したわたしが馬鹿だったぁぁぁあああ」

「ほぉ?尊敬してくれた?いっえーい!!こんなニートなミサカを尊敬してくれたぜ!!」

「だれがあんたなんか尊敬するかぁぁぁぁぁああああ!!!仕事しろこのニートぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!」

「仕事をするなんて常識、ミサカには通用しねぇ!!!」

「なんかわかんないけど、その台詞は大体、だめな気がする!?」

ちなみに、現在、四時三十分。
お隣さんから「寿命中断!!」と、きつく怒られたのは、また別のはなし。


240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国)2011/07/08(金) 19:48:09.65 ID:85pHWlEAO
「し、しまった……!!と、ミサカはミサカの馬鹿ぁ!!と、ミサカはミサカの精一杯の力ミサカを罵ります!」

朝か真夜中か区別の付かない四時の世界で一人のミサカが叫んだ。
迷惑もいいところである。
さて、ニートだけはいやだぁぁぁぁぁああああああ!!と、飛び出した迷惑なミサカこと、10039号であるが、
現在時刻、4:40。
……もう一度書いておくが、現在、朝か真夜中か区別の付かない四時の世界である。
ぶっちゃけ、まだお天道様まのぼられていない。
いや、真っ暗ではないが。街頭がついているが。
それらを頭に置いて、さて、問題です。


241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国)2011/07/08(金) 19:49:52.63 ID:85pHWlEAO










そんな時間帯に、店が開いているでしょうか?










242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国)2011/07/08(金) 19:50:19.54 ID:85pHWlEAO
24時間開いている店ならいいが、彼女はいつも、わざわざ【学びやの園】付近のペットショップに売ってある餌を買っている。
営業時間は確か、7:00から。

「か、開店まで、あと三時間ちょっと……」

そのペットショップまで徒歩一時間半。
それでも、それだけ時間を多く見積もろうが、最低一時間半は暇になってしまう。
さらに、この時間帯に女の子が一人で出歩くのは非常に危険。
一応、ミサカは【強能力者】であるし、元々軍用クローンだったこともあり、素手である程度は対応できる。
それでも、だれがなんと言おうが、彼女はカヨワイオンナノコだ。

(……出るんじゃなかった)

かといって家に戻ろうとは思わない。
それはそれで癪だ。
だが、戻らなければ大事なモノが奪われるかもしれないのだ。
この間、ミサカが居候さしてもらっている服屋に来た、迷惑以外何者でもない人を「ちょっと表でろや」といって打ちのめしたとしても。
超にこやかスマイルの光輝く同い年のストーカーを来るたびに痛めつけたとしても。
誰がなんと言おうが、

彼女は『か弱い』『女の子』だ。

243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国)2011/07/08(金) 19:50:51.47 ID:85pHWlEAO
仕方がない。帰るか。
と、ようやく決断して、くるりとUターン。
大事なモノを奪われたくないしね。
と、見切りを付けて潔く一歩を踏み出す。
帰ったらなにしようか。
いぬの毛繕いでも---

ぴーーーーーーー。

「----!?」

ミサカは右へ体ごと向き、違和感の正体を掴もうと、五感に集中させる。
まるで、自分の、いや、自分達の常識を越えた『違和感』
それでいて、自分達に危害を加えるものでない。と、直感が告げる『違和感』
自分達の常識でない筈だというのに、不思議と、自分達のすぐ近くのような『違和感』

『違和感』の正体は、【音】

ミサカが向いたところには、スピーカーがあった。
今も、鳴り続けている。
鳴り続けて居なければ、一生見つからなかっただろう。と、ミサカはそっと胸をなで下ろした。

(……故障?あるいはマイクテスト?)

可能性はゼロではない。
むしろ、そう思う方が正しいだろう。
だけど、どうしても、この『違和感』は拭い去れない。
そのとき、バタン!!という音が、……今度は背後から聞こえた。
ガッ!と靴を鳴らし、振り返ると、そこには……


「……イン、デックス?」


244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国)2011/07/08(金) 19:51:27.08 ID:85pHWlEAO
―――

―――――

――――――――――


「大丈夫ですか?と、ミサカはハンカチで扇ぎながら尋ねます」

「うん。大丈夫です。ありがとう、クールビューティー」

ん?と、どこかインデックスに対して疑問に思うリア充ミサカだったが、どうでもいいか。と、スルーすることにした。
……インデックスとは、二年半前に出会った。
上条当麻が帰って来た日に。
インデックスに食べ物を取られた哀れなミサカ。by.番外個体。
それが、10039号だった。
たった、それだけ。

「ミサカはクールビューティーじゃぁありません。と、ミサカは丁寧に否定します」

「?……短髪?」

とりあえず、道路でばったり倒れていたインデックスを近くにあったベンチへと寝かせ、
現在に至る。

「短髪?……あぁ、お姉様の事ですか」

「違うの?」

「違います。……まぁ、二年と半年も前に一度合っただけですから。覚えてなくても仕方ありません」

「ん~……20000号?」

「ミサカをどう見ればあの変態に見えるのですか」

「あ、最終信号?」

「ミサカは現在、十六歳ですから。打ち止めは十三歳ですから!」

「最悪個体?」

245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国)2011/07/08(金) 19:52:14.31 ID:85pHWlEAO



「……ミサカの目つきってあんな感じだったのですか?あと、『最悪』個体ではなく、『番外』個体です」

「そういえば、なんで『番外』なのに『ワースト』なのかな?なんで『exception(エクサプシェン)』じゃないの?」

「む、ミサカに言われましても……ほら、『ミサカエクサプシェン』より、『ミサカワースト』のほうが、……覚えやすいから?」

「ミサカエクサプシェン(笑)」

「ぷっ」

「ミサカエクサプシェン(笑)」

「おぶっ!」

「ミサカエクサプシェン!」

「ぶふぉ!」

「いでよ、漆黒の魔神!ミサカエクサプシェン!」

「…っ!……!」

「ミサカエクサプシェンでアタック!」

「……っ!ふっ…!ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」


―――

そのころ黄泉川家。

番外個体「はくちゅん!」

番外個体「……なんか寒気がする」

番外個体「……寝よう」モソモソ


―――

「ぜーぜー……これで、番外個体の顔が見れなくなったらどうすればいいのですか!?」

「私には関係ないもん」

「……本当にシスターなのですか?あなた」

「私はれっきとしたシスターだよ!」

ふぅ。とゆっくりため息をついた。
なんなんだコイツ。



246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国)2011/07/08(金) 19:53:23.30 ID:85pHWlEAO
「でも、アナタの名前は思い出せない。……教えてくれるかな?」

「ミサカは…」

ふと、自分の名前は何か。と考えた。
【10039号】はいやだ。その名前は嫌いだし、名乗ろうとも思わない。
【リア充ミサカ】は、気に入ってはいるが、それは彼女にとって皮肉になりかねない。
【ミサカ】という名前もある。彼氏にはそう呼んで貰っている。
でも、『ミサカ』を複数知っている彼女にとって、混乱の要因にしかならないのではないか。
【御坂勤美】という、仕事や、データにて使っている名前もある。
だが、偽名は偽名。
自分を『ミサカ』と知っている人間に、偽名を教えるのは気が引ける。


「……ミサカは、ミサカは、『御坂丸』とでも呼んでください」


「御坂丸。だね」


「分かった!また、よろしくね、御坂丸!」


白い修道服を着た少女は、花がさいたような笑顔をして、そう言った。

「あ、そろそろ時間だ。またね!御坂丸!」

「ええ、また。インデックス!」



現在時刻5:02
現在地点第十六学区。 
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国)2011/07/15(金) 20:48:27.24 ID:bBmUtl3AO




さて、話を戻して、10039号こと御坂丸がインデックスと雑談し、別れて約30分後、
打ち止めが黄泉川家から顔を真っ赤にして出てきた。
理由は簡単。

(き、……ききききぃすぅ。キスしちゃった)

三年間行方不明だった、一方通行が帰ってきた。
で、なぜか頬に口付けを。
どうせなら唇にして……ってなに考えてるの!
そのためか、打ち止めの足並みは、早い。
というか、かなり早い。
めちゃくちゃ早い。
まぁ、街中で叫んだり、マンションで姉妹喧嘩するよりかは迷惑にはならないだろうが。

(jagjtkptwwpjtjgミwpjrecuhhtyxgalsukbenxqhcfoyvrはilaサカjtwmdgp)

頭の中では、関ケ原の合戦並みの合戦が繰り広げられている。
ふらふらとした足は、どこへ行くのか分からない。
瞳は視点があっておらず、顔からは湯気が立ち上っている。
僅かにだが漏電もしている。
他人から見れば、ラリっているようにしか見えない。

迷子の迷子のミサカ(の足)ちゃん。
学校どこだか分からない。
にゃんにゃんにゃんにゃーん。
にゃんにゃんにゃんにーゃん……。

(……え?)

まいごのまいごの ミサカちゃん
あなたのがっこう どこですか
ほうこうみいても わからない
がっくをみいても わからない
ニャンニャン ニャニャーン
ニャンニャン ニャニャーン



252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国)2011/07/15(金) 20:50:03.15 ID:bBmUtl3AO




ニャンニャン ニャンニーャン

「ま、迷子ぉ?」

気が付けば、知らない道にいた。

「ど、どうしよう」

知らない道。
そもそも、ここは本当に第七学区なのだろうか?
裏路地?
表?
お店。×。
ビル。○。
ビルの裏?
横?
廃ビル?
武力集団。可能性あり。
危険。
危険。
警備ロボット。数→少ない。

(と、取りあえず歩かなきゃ)

カツカツと学校指定の黒い革の靴を鳴らして、打ち止めはさまよい始めた。



まいごのまいごの こねこちゃん
あなたのおうちは どこですか




253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国)2011/07/15(金) 20:52:17.89 ID:bBmUtl3AO



10039号は、ちょうど第七学区と第八学区の間らへんにいた。
インデックスと別れた後、再びペットショップを目指して歩き出していたのだ。

(第八学区~通過~)

ふふふ。
と一人で笑いながら第七学区へと足を入れる。
そのとき、

「よ~よ~。そこの中学生ちゃんよぉ。なぁんで俺達の縄張りに勝手に入ってんのかなぁ?」

典型的な不良の声が、きこえた。
ついでに、

「そ、そんな事ミ、ミサカサカはしらないもん」

思いっきり怯えた、自分そっくりな少女も。

(……アホですか。あの上位個体)

こんな時間に歩くとか、馬鹿すぎだろ中学生。
取りあえず、助けなければいけない。
馬鹿な中学生であろうと、ミサカの妹である。
そう思い、
小さな石を、不良に向けて思いっきり投げた。





257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/07/28(木) 17:01:26.20 ID:F3I5Le1r0

もちろん、ただの小石ではない。
磁力をもつ磁石だ。
だれでも、実験した事くらいあるだろう。
磁石のN極とN極をくっつけようとしたら、まるでなにか壁があるかのように離れてしまう現象。
それを利用し、ただ投げるよりも早く、標的の額へ飛ばす。
認識した頃にはもう、カッ。という小さな、額へ当たった音が聞こえていた。

不良のリーダー(多分)「いってぇぇぇぇえええええええええええええええええ!!」

かっこわるいっす。リーダー(多分)。
唖然とする打ち止め。
不良達は急いでリーダーの元へ駆け寄る。
……という事は無く、いっせいに此方を見た。
何のようだ。と瞳で語る不良達のほうへ、悠々と足を進める。
打ち止めも此方に気づいたのか、花のような笑顔を見せた。
ニコリと微笑み、不良へ語る。

「……ミサカの妹に手ぇ出しといて……おまえら、覚悟してるだろぉなぁ?」

いつかの、ナントカ実験の、とあるもやしな被験者を思い出しながら。


258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/07/28(木) 17:02:37.99 ID:F3I5Le1r0


数分後、所々に軽い火傷を負ったあの不良達が倒れていた。
倒したのは勿論、絡まれていた少女瓜二つの姉(?)である。

「ところで、どうしてこんな時間帯に、こんな場所にいるのですか?不良中学生」

「ミサカは不良さんじゃぁないかも!!って、ミサカはミサカは憤慨してみたり!」

「こんな時間帯に動くなんて、……堕ちましたね、上位個体」

「だぁかぁらぁ!堕ちてないし、不良でもない!!」

「まったく、まさか、妹達のなかで一番最初に不良になったのが上位個体だったとは……」

「ミサカは不良じゃないよ!!」

「じゃぁ、なんで、こんなところに、こんな時間帯にいるのですか」

「……ど、どこから話せばいいのやら………….わかんないかも」

「全部話せ」

「ふむぃ~」


うむむむむむ。
と、打ち止めは額にてをあてて、なにか考え始めている。
話をまとめているのだろうか?と、適当に考える。


「……どこから話せばいい?って、ミサカはミサカは頭の中がぐちゃぐちゃ」

「全部はなせって言ってんだろぉが、このアホミサカ」

「ひどい!!?」

ふむむむむむむむむむむむむむむむ。
と、再び額にてをあてて、なにか考え始める。
いい加減説明しろ。

「えっとね、家のチャイムがなったの」

「ほう」

259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/07/28(木) 17:03:33.96 ID:F3I5Le1r0


「ヨミカワはね、忙しかったの」

「ほうほう」

「だからね、」

「ほう?」

「ヨシカワに頼んだの」

「ほう」

「でもね」

「ほう」

「っそのね」

「ほう?」

「えっとね」

「ほう?」

「言いにくいんだけどね」

「ほうほう」

「あのね」

「ホ~ホ~」

「ヨシカワはね」

「ポッポー」

「あのね」

「ホーホケキョ」

「……あれ?なに言おうとしてたっけ?」


「ふざけんな」


260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/07/28(木) 17:04:36.34 ID:F3I5Le1r0

「あ、そうそう」

「?」

「ヨシカワはね










ゲーム攻略本をよんでいたの」









「どうでもいい。三行で説明しろ」
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/07/28(木) 17:05:41.20 ID:F3I5Le1r0



「ヨミカワは忙しかった
ヨシカワも忙しかった
でもヨシカワはまだゲームを攻略できてない」

「……芳川さんがゲーム攻略できなかった事と、てめぇがここにいる理由はつながってんのか?」

「つ、つながってない」

「……そろそろ切れるぞコラ」

「あわわわわわわわ! まってまって! っていうか、アナタそんなキャラだったの!?」

「………….はい、三行で説明」

「なかぬなら
家に入れよう!
ホトトギス」

「だれがそんなもん作った」

「えっと、徳川秀吉?」

「小学校からやりなおせこのどアホ中学生。これはてめぇのオリジナルだろくだらねぇ」

「あなたのキャラが行方不明!?」

「…………とっとと説明しろ。三行で」

「一行でいい?」

「それでいいから説明しやがれ」

「一方通行が帰ってきたの」

「あっそ…………ん?」



ん?
あくせられーた?



262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/07/28(木) 17:06:48.45 ID:F3I5Le1r0

「……もう一回言って」

「一方通行が帰ってきたの」






「はぁぁぁぁあああああああああああ!?」






ここまで来るのにこの下りは果たして必要だったのだろうか?
という突っ込みがきそうだが、スルーしていただければ嬉しい。
ただの出来心である。






「おちついた?って、ミサカはミサカは聞いてみる」

「……」

落ち着けるわけねぇだろ。と、思わず言いそうになったがグッと飲み込む。
これ以上無駄にレスうを消費したくない。

「……一方通行が帰ってきたって?と、ミサカはようやくキャラが戻りつつあります」

「おぉ!戻ったか!!って、ミサカはミサカは「とっとと話せガキが」はいすいません」

「そのまんまの意味だよって、ミサカはミサカは話してみたり」

はきはきと喋る打ち止めに対して、10039号は首をかしげた、
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/07/28(木) 17:08:24.72 ID:F3I5Le1r0



「彼は死んだのでは?と、ミサカは三年前のアナタの言葉を思い出します」

「でも、帰ってきたの!!」


うむむ?と、10039号はさらに首をかしげる。


「ですが、番外個体は一方通行が学園都市の刺客によって殺された。離れていたが、銃声もきちんと聞いた。と言っていましたが」

「でも、でも帰ってきたの!! あれは一方通行だもん!!!!」


あへ?と、さらに首をかしげる10039号。そろそろ90度に近い。


「なら、何故、すぐにアナタの元へ帰って来なかったのですか?」

「ちょっと、色々あって、エリザリーナ共和国に三年間閉じ込められていただけだもん」


あらららららら?と、またもや首をかしげる。
耳が肩にぴたりとくっつく。


「国際電話は?ありましたか?いくらエリザリーナ共和国だからといって、電話が無い訳ではないでしょう?それに、あのロリコンが電話しないわけありません」

「な、なかった……でも!!」


ふぅ。と溜息をつき、首を元の位置に戻す。
だんだんと、打ち止めの瞳が潤んできているのを見た。


「……おかしい。と思わなかったのですか?」

「……そんなこと、思わない」

「なにか、三年前と違うこと。あったのではないですか?」



264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/07/28(木) 17:11:17.70 ID:F3I5Le1r0



そう言われれば、思い当たる事は、幾つかある。

一方通行は三年前、肉が好きだった。
でも、昨夜は全く食べていなかった。

一方通行は三年前、エプロンなんて似合わない。といっていた。
でも、昨夜は自分からエプロンをつけていた。

一方通行は三年前、コーヒーをこれでもか!!というほど飲んでいた。
でも、昨夜は……


「…………彼は、本当n「それでもっ!!!」










「帰ってきたの!!!!!!」











265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/07/28(木) 17:13:04.96 ID:F3I5Le1r0




「あの人は、一方通行は、帰ってきたのっ!!!!!!!!!!!」




でも、

三年前、泣き叫んでいたヨミカワは、

三年前、顔を真っ青にしていたヨシカワは、

三年前、呆然とした、それでいて悲しい瞳をした番外個体は、

昨日、笑っていたじゃないか。

帰ってきたじゃないか。
そうだ。三年もたったんだ。
変わっていても仕方がないじゃないか。

妹達だって、変わった。


一方通行だって……




「もう、10039号なんて知らない!!」








現在時刻 5:28
現在地点 第七学区

271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/08/07(日) 18:51:11.39 ID:iGzXwZPP0










ざーz――――ざーー↓
ーーざざz―ちゅんちゅ→――こぽぽぽp……こぽ。↓
ぴゅん→ちゅんちゅちゅちゅん↑            ピ―ピピ↓
↑かか。ざぶん←ガギィィィィィィィ ←ピピピピピピ



あぁ、


ががががが→ピーーピーーピーーピーーピーー↓
         ↓こぽ。←カポ……こぽぽぽぽぽぽ♪
  ちゅおぃぃぃぃぃぃぃん、↑くいぉぉっぉぉおぉォォォォォォォォォぉ?



ここは、どこだ?


ざーz――――ざーー↓
ーーざざz―ちゅんちゅ→――こぽぽぽp……こぽ。↓
ぴゅん→ちゅんちゅちゅちゅん↑            ピ―ピピ↓
↑かか。ざぶん←ガギィィィィィィィ ←ピピピピピピ
ががががが→ピーーピーーピーーピーーピーー↓
         ↓こぽ。←カポ……こぽぽぽぽぽぽ♪
  ちゅおぃぃぃぃぃぃぃん、↑くいぉぉっぉぉおぉォォォォォォォォォぉ?↓
                           きききききききききkkk……。







272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/08/07(日) 18:53:39.21 ID:iGzXwZPP0












「み、ミサカが嫌われた……だと?」

あれから数十分。
この言葉だけを壊れたレコードのように繰り返している。
黒い負のオーラがまとっている。

「嫌われた」

もはや三点リーダーも付けるのが面倒だ。
というか、喋るのも面倒だ。
更に言うと、呼吸するのも面倒だ。


ぽかん。


と、口が半開きになる。
口からふわふわとなにか……。

273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/08/07(日) 18:54:16.95 ID:iGzXwZPP0








「お、おい!御坂妹(?)!? 大丈夫か!?」
























「ミサカは10039号です。と、ミサカは突っ込みます」

「復活はやっっっ!!! 上条さんはびっくりでうよ!!!!」





274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/08/07(日) 18:55:43.31 ID:iGzXwZPP0


「……で、なんであなたがいるのですか? と、ミサカは質問します」

「いや、ちょっと街の……パトロール!?」

「ぱとろぉるぅ?」ジト‐

ジト目で見つめる10039号に対して、
疑うなよ!!
と、上条当麻が突っ込む。

「はん。パトロール。ねぇ?」

「……こんな黒い妹達は上条さん、初めて見ましたよ!」

「く、黒いとは心外です。と、ってか、ミサカは番外個体じゃねぇし」



---

-----

番外個体「はくちゆん!」

番外個体「……風邪、ひいたかなぁ?」

---

-----



「……ってか、ミサカとは、初めて会いましたっけ? と、ミサカはかわいらしく首を傾げます」

「自分でかわいらしくとかいうな。な?黒御坂妹」

「黒御坂妹……これって、<くろみさかいもうと>と、読むのですか?」

「黒御坂妹<ブラックみさかいもうと>じゃないのか?」

275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/08/07(日) 18:57:55.48 ID:iGzXwZPP0

「それはなんとなく他の作品とかぶります」

「? そんなもんあったっけ?」

「ブラック羽川……って、知ってます? あれは番外個体に少し似ている気がしますが」

「……いま、番外個体のこと、なんて呼んだ?黒御坂妹」

「番外個体<ミサカエクサプシェン>ですが」

「なんですかそのあだ名……」



---

-----

番外個体「ふぇっくしょん!!」

番外個体「くしゃみ止め買おうかなぁ……?」

-----

---



「じゃなくて、どうしてなんか魂がでそうになっていたのでうか!?」

「……嫌われたのです」

誰に?
と、上条は首をかしげる。

276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/08/07(日) 18:59:30.97 ID:iGzXwZPP0










「たしかに口は悪いが、そんな嫌われるほどじゃないきがするのでうが?」

「……そんなにミサカは口が悪いのですかぁ!?」

ふえぇぇぇぇえええええええ!!
と突然泣き出した黒御坂妹。
えぇぇぇえぇえええ!?上条さんはどうしたら!?
と、上条うろたえる。

「そ、そりゃぁ…ヒグッ…ちょ、ちょっとはあれかもしれないけど……グズン」

「ちょ、ちょっとちょっと!!!」

「じゃないと個性がきまらないもんんんんんんん!!!!!!ふえぇぇぇぇえぇぇええええええええええええ!!!」

「……いや、十分個性的だと上条さんは思いまうよ?」


「ヒグッ……ほんと?」

「上条さんはうそをつきません!」

「ほんとぉ?」

「本当でうよ!! そんなに口は悪くないと、上条さんは思いまうよ!」
















277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/08/07(日) 18:59:58.73 ID:iGzXwZPP0

































「あっそ」

「嘘泣き!?」

「ミサカはなかねぇし。ってかめそめそ泣くかよ」

278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/08/07(日) 19:00:39.46 ID:iGzXwZPP0
なにこの黒い妹達!?
と、再びつっこんだ。

「ミサカは今かなり傷ついているので、そっとしておいてもらえますか?」

いや、それを聞いているのでうがぁ!?
と心の中で叫び、
もう一度質問する。

「なにかあったのか?」

「簡単なことです」

なにが?
とは、聞かなかった。



「死んだと思ってたある人間が、帰ってきて」



「打ち止めは、その人が帰ってきたって、信じて」



「でも、帰ってきたその人には不信な点が多すぎて」



「偽者じゃないかって、聞いたら……」






279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/08/07(日) 19:01:29.42 ID:iGzXwZPP0
上条は、心当たりがあった。








「なぁ、……それって、




一方通行?」
















280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/08/07(日) 19:02:16.52 ID:iGzXwZPP0
ここまで。
やっと、次回からグループ編!?
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/08/07(日) 22:13:47.80 ID:kpX72s6b0
乙!はたしてこの一方通行は本物なのか偽物なのか……
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/07(日) 23:26:14.96 ID:yb+15MSDo
まぁ本物じゃないフラグしか立ってないわけで 
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/08/18(木) 17:31:38.34 ID:YtsLE7CI0




「な、なんでわかったのですか!?とミサカは驚きます」

「い、いや、土御門から連絡が......」

つちみかどぉ?と、キョトンとする妹達をみながら、

(まさか、一方通行に化けて情報を探ろうとしているやつらが居るかもしれないからパトロールしとけ
って言われた事、言えないよなぁ)

話はちょっと巻き戻り、
国境を越える。




288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/08/18(木) 17:32:36.12 ID:YtsLE7CI0
聖ジョージ大聖堂。
イギリス清教の本拠地。
数分前まで【とある計画】について話し合われていた場所だ。
学園都市のグループという暗部は【とある計画】を潰すために、現在進行形で動いている。
そのグループの一員である海原は、話し合いに紛れ込んでいた。
勿論、化けて。

「もしもし。土御門さん。只今話し合いが終了しました」

声を潜めて携帯電話に話しかけているのは、四十代の男性。
しかし、声は十代の青年の声だった。
その声さえ、本物かは怪しい。

『そうか。…どうだった?』

帰ってきた声もまた、青年の声だった。
同僚の、土御門の声。
わずかに緊張感のある【裏】の声だ。

「どうって…残念なことにもう止める事は難しいかと」

『…そうか』

ただ、と、四十代の男性魔術師の皮を比喩抜きで被った青年は続けた。

「…ローラは、学園都市の理事長、アレイスターの存在を恐れていました」

『そりゃあ良かった』

言葉とは裏腹に、同僚…土御門は吐き捨てるように続けた。

『…アレイスターなんざもう居ないんだがな』

「…まぁ、そうですけど。アレイスターは存在している。と思われているようですね」

まぁ、アレイスターを『消した』二年ほど前から自分達が隠しているからなんですからなんですけど。
と、付け加える。

『…怪しんでいないのか?』

「近い内にスパイを送るそうです」

289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/08/18(木) 17:33:21.23 ID:YtsLE7CI0
チッ。と舌打ちが聞こえる。
自分に当たられましても。

『具体的にいつだ?何という名前だ?』

「具体的には言っていませんでした。名前というか、組織名は確か…【童話の魔女】というものらしいです」

『…聞いたことないな』

「聞いたことのないスパイ組織の方が信用できませんか?『聞いたことがない』と言うのはイコール失敗したことがない。という事でしょうから」

『詳細を』

「自分の知識はスルーですか。…構成員は,リーダーの【白雪姫】をはじめ、【いばら姫】、【人魚姫】、【親指姫】の四人グループですね」

『どんな魔術を使うんだ』

「さぁ? ただ、ロシア聖教のワシリーサと同じような魔術と考えてよいのではないでしょうか? 多少違いはあるかも知れませんが」

『…それで、その魔女らの目的ってのはアレイスターの存在確認だけか?』

「…やっぱりスルーですかこんちくしょう…いえ、あと2つ」



「一つは危険因子である上条当麻、浜面の排除」


「もう一つは、一方通行の生存確認です」



『まぁ、かみやんや浜面の排除は予想していたが、まさか一方通行まで探るとはな』

「…一方通行死亡は本当なのか。と、複数の魔術師から声が出てましたからね」

『まぁ、一方通行がいるかいないかで大きく勝ち負けが左右されるからな』

『…そう言えば、ヤツらは変装は出来るのか?』

「出来るらしいですよ」

『なら、…お前がもし、その【童話の魔女】だとか言うやつだったら、どうする?どう、行動する?』

「何故自分に?」

『てめぇもスパイで、変装が出来る。…似てるなら、行動が予測出来るんじゃないかと思ってな』

なるほど。と、海原(仮)は納得する。

「そうですねぇ…自分なら」

はたと、気づく。
もし、自分なら。

「…土御門さん。あなたは今、どこに居ますか?」

『イギリスだ。言ったはずだが』

「結標さんは」

『今、隣に居るが。それがどうかしたか?』

「…土御門さん。もし、もしも、自分なら、―――――――――――――――――――」



290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/08/18(木) 17:35:00.49 ID:YtsLE7CI0
すぐさま通話が切れる。
恐らく、土御門は学園都市へ行く準備をしているだろう。
海原は自然を装い、外へと出る。
内心は勿論、とっとと学園都市に飛んで帰りたい所だ。
だが、
その前に…

「こんにちは。ご気分はどうですか?」

そこに居たのは縛られ、猿轡をさせられた四十代の下着姿の男性だった。
四十代のおっさんが、下着姿で、縛られている。
その状況のみを見たら、ただのマゾな変態だろ。と思うかもしれない。
だが違う。
縛ったのは海原だ。

「ありがとうございます。お陰様で任務を遂行する事が出来ました」

四十代の男性はどういう事だとでも言うように、海原を睨みつけた。
それでも、海原は笑顔を外さない。
慣れている。

「自分の任務は終わりました。この仮面はもう要りません。お返しします」

海原は顔に手を掛け、顔を引きちぎった。
正確には、仮面を。
そして、褐色の顔が晒される。
相手は自分が若いことに驚いているようだった。
そんな、驚いて声も出せないおっさんに、もはや何か分からなくなった仮面を投げる。

「おっと、顔を見られてしまいましたね。それに、あなたが居ては都合がわるい」

それでもまだ強気に、褐色の青年へ睨み付ける。
もしかしたら逆転のチャンスとやらを狙っているのかもしれない。

「言っておきますが、自分は隙を作るほど甘くはありませんよ?」

それでも、睨み付ける魔術師。だが、若干ながらその瞳は恐怖の色をしていた。
青年は静かに皮を自分の皮膚へ貼り付ける。姿は変わり、日本人独特の柔和な笑みを浮かべる好青年へとかわった。

「そうそう。頼みがあります」

にこりと、優しげな……それでいて不気味な笑みを浮かべて言った。


「自殺、してくれますか?」


自分が殺してもいいのですが、後々面倒なので。と、青年は付け加えた。
黒曜石のナイフで魔術師の縄を解く。
瞬間、魔術師の武器なのかたくさんの文字が書かれたナイフが青年へと突きつけられる。
が、

「なっ!!」

ナイフは魔術師へと向く。
訳も分からぬまま、ナイフは魔術師の頭部へと刺さった。

「さて、戻りますか」

ナイフには粉が付いていて、
日本人となった青年の足の中指は無かった。


291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/08/18(木) 17:35:43.93 ID:YtsLE7CI0



「もしもしかみやん」

「起すな?冷たいにゃぁ、かみやんは」

「俺? 今イギリス」

「そのとうり!! 厄介なことだにゃぁ」


「パトロール、して欲しいんだけど」




292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/08/18(木) 17:37:01.04 ID:YtsLE7CI0
短いですが終了。
次回は長くする予定です。
なにかあったらバンバン言ってください。

次回の投下も不定期。

では。

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