黒子「……好きにすれば、いいですの」 2
- 341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/19(日) 00:31:27.52 ID:r21hA3c5o
パタリ、と背中でドアが閉まると、流水の音はほぼ聞こえなくなった。
場末のビジネスホテルといえども、素材は学園都市製。『外』とは数十年レベルで差のある技術で造られた建材は防音効果も密閉効果も高い。
ドア一枚隔てただけで浴室内の音も何も、ほとんど通さないレベルである。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
バスルームから出てきた白井は、一糸纏わぬ身体を右腕で抱きしめて――左手には何かを包んだバスタオルを持っている――座り込みそうになるのを必死で耐えた。
彼女の瞳は潤み、頬やうなじが、否、全身が赤く上気している。吐息さえすでに熱く、甘く濡れていた。
今しがた終えた『拡張』で使うローション。それに混ぜられた媚薬は、もう三週間使い続けているにも関わらず、薬物耐性による効果逓減がない。
いやむしろ身体に馴染んでいくかの、性感が開花させられているようにも思える。
「んぅ……はぁ………はぁ……」
現実にいま。
ドアが閉じた際に起こった風が肌に当たるだけで、甘く疼くような感覚を得てしまうのだ。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
今日も待機の日。
昨夜、三日前の口淫を思い出さないようにしながら送ったメールへの回答は「補習があるから行けない」というやや情けないものだった。
しかし彼が来ないとは言え、何もしないという選択はできない。
動画撮影は続けるように言われており、さらに今日は、返信メールで指示のあったことを実行しなければならないのだ。
- 342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/19(日) 00:32:10.28 ID:r21hA3c5o
「んんぅ……ふぅん……」
身体を廻る欲望と衝動をなんとか押さえた白井は、ぼう、と霞がかった視線をベッドに向けた。
ほんの数歩で行ける距離。
しかしそれは、普段浴室で拡張を済ませ、そのままそこで薬が抜けるまで自らを慰めている白井にとっては、遠くすら感じてしまう。
しかも今日は、準備しなければならないことがあった。
「はぁ、はぁ、はぁ」
ふらふらと覚束さい足取りで、白井はベッドの横を素通りし、備え付けのテレビの前に立った。
左手に持ったバスタオルを開くと、その中には携帯電話、彼に手渡されたバイブレーターと、そしてなんに使うのか、ポータブルHDDが入っていた。
白井はまずHDDを取り上げ、テレビに接続して電源を入れる。テレビは瞬時に内部のデータを読み出し、DVDよろしく画面に再生チャプターを表示させた。
3×3のサムイネルは、すべて裸の女性がひざまづき、男性の股間に顔を埋めている静止画像だ。圧縮されているためか、ぼんやりとしか写っていないが、何をしているのかなど見ればわかる。
口淫の映像ばかりだ。
データの中身は、昨夜の返信メールに記載されていたURLからダウンロードしたもの。
『これを見ながらヤれば、上達もはやいんじゃないか?』
彼のメールに記載されていた言葉が、幻聴となって耳に響く。
- 343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/19(日) 00:33:04.70 ID:r21hA3c5o
「っ」と、白井。
唇をかみ締めようとするがしかし、早くなった呼吸がそれを許さない。
白井は一度首を振り、次にテレビの横に携帯電話を置いた。
撮影用のカメラがある先端をベッドに向け、小さなボタンを操作する。
手の動きは淀みない。
自分を汚す姿を撮影する準備にも、慣れてしまっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
撮影に、凌辱されることに慣れる。
その事実は相変わらず、胸の奥に昏い感情を呼び起こしている。
モードに切り替わり、撮影開始を示すLEDが点る。
「あんっ」
と同時に、背筋がブルリと震える。
震わせたのは、紛れも無い期待の感情。
ついさきほど――尻をほぐし、アナルバイブを突っ込む行為をする直前にも感じたものと、同じだった。
(……まるでパブロフの犬、ですわね)
自嘲する白井。
身体が覚えてしまったのだ。
準備が終われば快楽を得られるということに。
- 344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/19(日) 00:34:39.19 ID:r21hA3c5o
――もっと欲しい
「っ」
不意に耳に響く声。
ゾクリ、と先ほどより強く、痺れが駆け抜けた。
語りかけてきたのは、心に染みついた、黒い点――白井自身の、浅ましい欲望だ。
――気持ち良くなりたい
――我慢したくない
――身を任せたい
「んっ、ふぅっ、んんっ」
黒点が、いつかのように誘惑を囁いてくる。
- 345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/19(日) 00:35:36.98 ID:r21hA3c5o
己を抱きしめる右手に、さらに力をこめる白井。
だが呼吸がさらに早くなり、吐息は室内でなお白くなりそうなほど、熱を持ち始める。
しかめられた眉も、苦しげというよりはむしろ、もどかしさを顕しているように見えた。
(流されたのでは、だめですの……)
言い訳を作ってはならない。
一度言い訳をしてしまえば、それ以降は容易く快楽へと流され、屈服する鍵となる。
それはわかっている。
しかし。
「ふぁっ、んぁっ、んあぁ……」
もじもじと膝を、太ももを擦り合わせる白井。ジワリと小さな快楽が湧き上がり、僅かに尻を後ろに突き出してしまう。その乳房の先端は、触れてもいないのに、固く自己主張をしていた。
(身体の方はずいぶん素直にさせられてしまったようで。……完全に抵抗するのは難しそうですわね)
軋む理性の中で、僅かに存在する冷静な自分が分析する。
- 346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) :2012/02/19(日) 00:36:29.25 ID:r21hA3c5o
――薬のせいなのでしょう? 彼も言っていたではありませんか
――それに口でしてさしあげたときのことを思い出してくださいまし。積極的だった方が彼も喜んでいたはずですの
――彼が満足すれば、お姉様も護れますのよ?
「んふっ、んんっ……」
声に導かれるように、白井の表情がとろけていく。
擦りあわされ続けている太もも。その内側に、とろりとした感触。
蜜が溢れ出していた。
(……ここまで変えられてしまったら、感じないように努力することよりも、感じても理性を失わないことに力を注ぐ方が得策と言えそうですの)
性交渉は何もすべてが実である必要はないのだ。
特に男性側は、ある程度の結果が出れば満足するし、構造的に回数の限界がある。
しかし彼が限界を迎えるまでに、己を見失ってしまっては、それこそ本当に言い訳に流されてしまうかもしれない。
彼に促されて承諾したのでは、おそらくもう戻れない。妥協はどんどん大きくなり、どこまで彼の言いなりになってしまうのか、わからなくなる。
ならば今のうちに、己でそれを制御できるようになれば。
- 347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/19(日) 00:37:38.18 ID:r21hA3c5o
(わたくしが積極的になった方が事も早く終わり、満足もするのも事実)
擦り合わせられる脚。
流れ落ちた蜜は肌を滑り、もう膝にまで。
(……ここでこんなことをするのもそのため。そう考えれば、まだ気分的にマシですの)
そう結論付けた白井の指先がもどかしそうに持ち上がり、タッチパネル式の画面を適当につついた。即座に選択された動画の再生が始まる。
ダウンロードした段階でサムネイルまでは確認しているが、再生させるのは初めてだ。
一切の修正がなく、また、画質もそれほどよくない。
おそらく非合法に撮影されたものだろう。風紀委員の立場からすれば、この映像だけで調査を開始するべきものである。
映し出されたのは赤毛の女性と線の細い男性。いや、年齢だけを見れば10代半ばと言えるかもしれない。
「っ!」
(お姉様!?)
女性――少女を見た白井の息が一瞬止まり、目が見開かれる。
(い、いえ、違う……違い、ますのね……)
だがアップになった少女の顔を見て、白井は胸を撫でおろした。
- 348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/19(日) 00:38:45.49 ID:r21hA3c5o
とてもよく似ている、容姿のみならず雰囲気も。
実際、アップにしなければ白井にもわからなかったほどだ。
しかしよく見れば少女の髪はやや長く、年齢的にも美琴よりも少し上くらいか。
年齢が下ならば白井の心配は完全に晴れなかったかもしれないが、上であれば美琴という線は消える。学園都市ではいまだ完全な未来視能力者もいなければ、それを映像に残せる技術も存在しないのだから。
(でも、本当にそっくりですの……)
思わずマジマジとアップになった少女の顔を見る。
だがテレビの中の彼女が不意に妖艶に微笑み、右手で画面外からフレームインした『それ』を掴んだ瞬間。
「!」
一瞬だけ忘れていた性衝動が、再び燃え上がった。
「ああっ」
白井は思わず、両手で身体を抱きしめた。
取り落としたバスタオルが、中に包まったままのバイブレーターごと床に落ちる。
『んっ……』
その音に連動するように、画面内の少女がゆっくりとペニスに唇を寄せた。
「――っ」
お姉様。
潤み、霞んだ白井の目には、それはそうとしか映らなかった。
一気に情欲の火が燃え上がる。
「んんんっ! もうっ、だめですのぉっ」
白井はふらりとよろけ、そのまま背後にあるベッドに腰を落とした。
ゆるく開けた膝の間に右手が滑り込む。
水音と、嬌声は、一秒もたたずに部屋に満ちていく。
- 364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/25(土) 12:14:12.70 ID:e3Y7s9Iro
「ふぁっ、んんあっ、あっ、ああんっ」
白井があられもない喘ぎを零し、未成熟な身体を震わせる。
そのスイッチとなっているのは、細い指先の、小さな動きひとつひとつだ。
乳房の先の固くなった部分を人差し指と親指が摘み、クリクリと弄ぶ。
秘裂上部の、もう顔を出しかけた性感の豆粒を指の腹で包むようにしてやわやわと揉み揺する。
たったそれだけが、白井の身体に蕩けるような快楽を提供した。その繰り返しが、白井の秘裂から溢れる蜜を白濁した、粘度の高いものに変えていった。
(わ、わたくしは何を……これを、コントロールするつもりで……)
思考を体言するように、ベッドに腰掛けた白井は胸の痛みに耐えているかのような姿勢で背を丸めている。
だが、
「ああっ、お姉様、お姉様ぁっ」
想いとは裏腹に、赤い頬を持つ顔は俯くことがない。
視線はテレビから離れようとせず、展開されている口淫の映像を凝視し続けていた。
敬愛する相手の痴態。
興奮が視神経から直接性感覚に響いているようで、白井は己が指を止めることが叶わない。
- 365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/25(土) 12:15:01.20 ID:e3Y7s9Iro
(このままでは、このまま流されてしまったら……)
自ら抑制する、という理由で始めた行為だ。
それを『言い訳』にしないためには、身体が訴える渇望を理性側で制御しなくてはならない。
そうでなければ負けたも同然。『言い訳』を自分で作ったことになってしまう。
「はぁっ、あっ、ああんっ!」
(止まって……いえ、止まらずとも、勝手に動くのをやめてくださいまし!)
必死に指の動きを御しようとする。
薬で目覚めさせられた身体をまさぐるのは、紛れも無い自身の手指。
だがそれは他人に――彼にサレている時とは異なって、全てが己の心に依ると同時に、己の最も心地よいタイミングと強さを提供できることと同義であった。
そしていま、その指先を支配しているのは、心に染み付いた黒点の方だ。
「んんっ、んっ、んあっ、んっ、んんっ、んんんっ!」
白井に出来たことは、せめてもの抵抗とでも言うように、喘ぎ声を抑えることのみ。
しかしそれも、やがて身体の作用に侵食され始める。
- 366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/25(土) 12:17:53.63 ID:e3Y7s9Iro
――我慢せずに声を出せばいいじゃありませんの
――いまここにはわたくししかいませんのよ?
――公衆トイレのように、自室のように、彼に弄ばれている時のように、声を聞く人なんかいないんですのよ?
――彼に動画を見られる? ああ、そのようなもの、
(後で編集すればいいのではありませんか……?)
この一連のことを素直に送信する必要などない。
淫らに振舞っても、わかる者などいない。
我慢の必要はないのだ。
- 367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/25(土) 12:21:38.69 ID:e3Y7s9Iro
「っ!」
(だめ、ですの……こんなことを考えては……!)
いつのまにか心の声に迎合していた。
甘い誘惑を、白井は首を強く振ることで振り払おうと試みる。
だが。
「ひあっ!?」
乳房の先端を、自らの左手に強く摘まれて、仰け反る白井。
声への拘束はあっさりと打ち破られた。
「んふあっ、はあんっ、んんやあっ」
すぐさま振り払った誘惑を取り戻そうとするように、両手が動きを変えた。
左手が乳首を弄るのをやめ、掌全体を胸に押し当てる。
厚みに乏しい膨らみを撫でるようにこねまわし、五指の間を渡らせて乳首に刺激を与え、そうかと思えば、手首を浮かし、指先だけを触れるか触れないかの拍子を保ちながら、つつっ、と首筋から顎先まで逆になぞりあげ、同じ道をゆっくりと戻る。
一方の右手は、あえて動きを連動させない。
喉元に指が滑り間は強い刺激を味わえるよう、白濁の蜜を陰核に塗り付け、滑らせることでプルンと揺らす。
胸をこねまわす間は、陰唇の両内側を指紋で削るように、じっとりとなぞり回した。
それらの動きは、紛れも無く彼にそうされたことを、そのままなぞってのもの。
- 368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/25(土) 12:24:11.92 ID:e3Y7s9Iro
「ふあっ、あっ、あっ、ああんっ、ああっ!」
廻る刺激に耐えきれないように首を横に振る白井。
ビクビクと脚が震え、その拍子に、爪先が何かに当たった。
床に広がるバスタオル。その上のバイブレーター。
つい先ほど『拡張』時に口にくわえて舐め回した、張型の性具だ。
昨日も、一昨日も、風紀委員の休憩時間にトイレで咥えていた模擬男性器。
彼の言ったとおりの、本物に近い味と性臭が記憶から喚起され、味覚と嗅覚に香る。
『ん、ぷはぁ』
「!」
続いて響いた少女の声に、引っ張られて、白井はテレビに目を移した。
少女が口を離し、張り詰めたペニスをうっとりと見つめている。
『……ふふっ、おっきぃ』
淫蕩で、肉欲にまみれた笑みが、白井のよく知る顔に浮かび上がっていた。
ペニスの先端と少女の唇の間にかかった唾液の橋がプツリと切れ、再び少女が少年の股間に顔を埋めていく。
- 369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/25(土) 12:24:42.52 ID:e3Y7s9Iro
(お姉様……!)
美琴に似た少女の舌が張り詰めた起立に絡み、亀頭を弄び、唇が先端に被さる。
その美麗な横顔は、時折内側からペニスの先端に押し上げられてプクリと膨らみ、また、吸い上げる際にはひょっとこのように凹んだ。
(ああ、お姉様……お姉様が、あんな……)
情けなさすら感じる表情。
しかしそれを見る白井の唇は胡乱に開き、覗く舌先は少女の動きを追うように艶かしくのたうち、円を描き、口内に溜まった唾液を撹拌した。
「んはぁっ!」
左手が再び、右の頂を強く摘みあげる。パンパンに固く膨れた陰核を右手人差し指と中指が挟みこみ、小刻みにすり潰した。
もはやその刺激を、驚きではなく快感として受け止められるほど、白井は昂ぶっている。
トクトクと溢れ出す愛液は指を濡らし、太股を流れ、シーツに染み込む限界を超えて水溜まりと化していた。
「あっ、あっ、あっ、あっ」
目の前がチカチカとする。
声を抑えられない。抑えるという発想まで思考が動かない。
- 370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/25(土) 12:25:11.89 ID:e3Y7s9Iro
心の天秤が揺れる。
このまま溺れてしまえばいい。
黒点が囁きかける。
淫らになれば、彼はきっと満足する。
美琴を護ることができる。
自分も、いまよりずっと気持ち良くなれる。
- 371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/25(土) 12:25:43.30 ID:e3Y7s9Iro
――楽に、なれる。
- 372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/25(土) 12:30:40.29 ID:e3Y7s9Iro
- 「いやぁっ、あっ、あうっ、いやですのぉ!」
しかし。
このまま淫らに溺れてしまっていいのか、と理性が叫ぶ。
堕ちればもう、美琴の前に立つことはできなくなる。
欲望に折れた自分が恥ずかしくて、顔を見ることができなくなる。
彼に身体を許し、それを喜々とする己が許せなくて、笑いあうこともできなくなってしまう。
「あっ、くるっ、ああっ、あっ、ふぁあっ」
(だめです、だめです、だめです、だめですの)
股間から快感が突き上げてくる。
肩が震え出すのがわかった。口の端から唾液が零れたのがわかった。両足爪先が、ぎゅっ、と曲がるのがわかった。陰唇がパクパクと開閉し、ゴプリと蜜を吐き出したのがわかった。
「ああっ! あああっ! ああああっ」
折れないと誓ったはずだった。
もう大丈夫だと思ったはずだった。
それなのに、心とはこうも、弱いものか。
こんなにも、身体に引きづられてしまいものなのか。
目の前は真っ暗になった。
抵抗をやめない心を、黒い染みが支配していく。
そしてもはや抵抗をやめた身体は、決壊の絶頂に手をかけていた。
- 373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/25(土) 12:31:51.50 ID:e3Y7s9Iro
「もうっ、もうっ、わたくし、もうっ……!」
(だめっ、このままイったら、わたくしは……)
折れる。
(お姉様……!)
助けを求めるためではなく、己を支えるため。
目を閉じた白井の瞼の裏側。
望んだのは、今まで何度も折れそうになった白井を救った、美琴の笑顔。
だがいま浮かび上がったそれは、映像の少女が浮かべていた、淫らな笑み。
「!」
ギシ、と心にヒビが入る音がした。
願い虚しく快楽を紡ぐ手指が、そのヒビを押し広げる。
(あ……)
そして最後の快楽を押し込もうと、陰核にかかった指が――
- 374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/25(土) 12:32:29.27 ID:e3Y7s9Iro
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
- 375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/25(土) 12:33:03.48 ID:e3Y7s9Iro
(……んー)
最近お気に入りの喫茶店で読書をしていた美琴は、ふと、目の端に見慣れた人影が通った気がして顔をあげた。
しかしそこにいたのは、思い浮かべた白井ではなく、背格好の似通った同じ常盤台中学の女子生徒だ。
見慣れたように感じたのは、その女子生徒が茶色のツインテールで、さらには風紀委員の腕章をしていたからだろう。
「……」
(黒子は確か今日、非番だったわよね)
頭の中で後輩のスケジュールを思い起こしながら、携帯電話を取り出す美琴。
今日も白井は何か教養を入れているのか、学校が終わると同時にどこかに行ってしまっていた。
(また無理してなきゃいいけど)
三日前にも、公園で気を失ったばかりだ。
それにも関わらず、昨日も一昨日も彼女は風紀委員の仕事に出ている。
(……習い事終わったら、ちょっとお茶でもできるかな?)
同室の先輩で、かつ、もっとも親しい友人でもある。
体調は心配だ。
それに加えて、最近はちょっと付き合いが悪いようにも思う。
(淑女もいいけど、ちょっとはこっちにも気を回しなさいっての)
認めたくはないが、美琴としてもちょっと寂しいのである。
- 376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/25(土) 12:33:42.44 ID:e3Y7s9Iro
「お、わ、っ、た、ら、お、ちゃ、で、も、い、か、な、い、? ……と」
カチカチとメールを打つ。
そして送信ボタンを押そうとしたところで、
「……んー」
(もし静かにしないといけない教養だったら、メールはまずいかなぁ)
白井は風紀委員だ。役職上、そういう場でも携帯電話の電源を切らないでおくことが許容される立場にある。
マナーモードにしているのはしているのだろうが、もしも設定を忘れていたら、あまりいい顔はされないだろう。
知らないのであればともかく、習い事参加中ということを知っていながら緊急ではない連絡をするのもどうなんだ、という気もした。
(さて、どうしよっか)
①ま、いっか。送っちゃえ。
②黒子の邪魔しちゃ悪いわね
※選択によって過程とエンディングに変化があります。
※日が変わるまでのレスで選択数が多い方を採用。
- 377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/25(土) 12:37:05.82 ID:e3Y7s9Iro
まぁそんな感じで。強制はしないし別にそれで投下しないこともないけど。俺も間違ってあげることあるし。
それと選択形式を好む好まないは人によってあると思うが、ここは俺が好き勝手にしてみようと思ったので嫌いな人は許せ。
なお、最近投下できなかったのは、超電磁砲アニメの黒子のかっこいいシーンをいくつか見たせい。
だって、あんな、かっこいいんだから、ねぇ?
さーて、来週の黒子さんは、と。
- 378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/25(土) 12:38:24.00 ID:/PCTXUrIO
- ①でよろしくお願いします。
-
- 380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga sage]:2012/02/25(土) 12:44:37.48 ID:Wa1eDWhmo
- 2でおねがいします。
知らないところで堕ちてゆく黒子を読みたいです
- 412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/26(日) 08:11:15.12 ID:dIrsxvoso
そんなわけで制限時間内の選択でルートが決定しました。
いやほんとは日が変わったところでこれを書き込むつもりだったんだけど寝てた。
まぁ日替わり後の投票部分を含めても2だしなぁ。
なお、選択肢の解釈を書いてなかったけど、仮に1だった場合でも美琴さんはエロスに絡まない方向でした。
さて、ではこれから2パートの続きを書きますか。
- 414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/26(日) 20:42:47.49 ID:dIrsxvoso
「……」
結局、美琴は送信ボタンを押さなかった。
(黒子の邪魔しちゃ悪いしね)
未送信のメールは削除し、携帯をテーブルの上に置きなおす。
自慢の後輩ががんばっているのに、それを自分の我侭混じりで邪魔するわけにはいかない。
心配なのも本当であるが、それならお茶に誘うよりも部屋でゆっくりさせた方がいいだろう。
「ま、私もがんばりますかー」
一口、紅茶を飲んでから美琴は読書に戻った。
読んでいるのはAIMに関する研究の、基礎となる本。
基礎的な内容を高度に研究した『上級者向けの基本』を記したものである。
美琴は他のレベル5と異なり、レベル1から5まで上り詰めた存在だ。
それを考えれば、能力向上に基礎の習熟は重要な部分と言えた。
(私も負けらんないしね)
もう何度目かわからない言葉を苦笑とともに思い浮かべながら、美琴は読書を再開する。
- 415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/26(日) 20:44:17.54 ID:dIrsxvoso
――そして。
白井の下に、救いは来なかった。そんなものは、幻想でしかなかった。
蜜にまみれた指が、絶妙な強さを持って、陰核を圧迫した。
「あ――」
息を呑み、白井が一瞬だけ硬直する。
直後。
真っ暗だった目の前が、一気に白く染まり、
「ああっ! イクっ! イきますっ! あああああぁーっ!」
仰け反り、ベッドに倒れ、白井は声をあげた。
左手は右胸を掴み。右手は秘裂を掻き。
背筋を仰け反らせ。両爪先だけを床につけ。
大きく開いた膝の間の、その最奥から射精のように蜜を飛ばし。
光を失った瞳から、大粒の泪を零し。
「っ! っ! っ! っ!」
白井は腰を突き上げるように、何度も、何度も痙攣した。
その痙攣の度に絶頂した。
そして絶頂の度に、実感した。
- 416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/26(日) 20:44:50.07 ID:dIrsxvoso
「あぁぁぁ……」
白井が白い世界から降りてくる。
シーツから浮き上がっていた尻が、ベチャリと、蜜の泉に着地した。
「ああぁぁぁ……ああああぁぁぁぁ……あああぁぁぁぁぁぁぁ……」
続いて力の抜けた身体がベッドに沈む。
そのまま、白井は動かない。
蜜は、快楽の余韻を示すように、まだトクトクと漏れている。
しかし泪は止まっていた。
光を失った瞳は、泪を流すことすら許さない絶望に染まっていた。
「わた、くし…………わたく……し…………」
白井は実感していた。
自分は、自分で自分を折ったのだと。
彼に命令されたから。
美琴を護るためだから。
自分の大事なものを失わないためだから。
そう言った理由もなく、ただ、快楽を貪った。
それも、初めから最後まで、誰も介在しない、自分の意思で。自身の、欲望で。
「わたくし……うそつき……ですのね……」
何も映していない白井の瞳。
頬に張り付き、唇にかかった髪一筋に、とろりと、唾液が絡んだ。
- 417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/26(日) 20:46:09.23 ID:dIrsxvoso
ノックの後、数秒の間をとってから、部屋のドアが開いた。
「黒子?」
美琴はそろそろ読み終わろうとしている基礎本から顔をあげ、音のした方に目を向ける。
口調は疑問系だが、声の響きには確信しかない。
ノックの調子だけで白井か否かはわかる程度には、付き合いが深いのだ。
「ただいま戻りましたの」
と、白井が軽く頭を下げた。
「おかえり黒子。今日はどうだったの?」
相変わらず、どこか堅苦しさの抜けない白井に、美琴は苦笑しつつ問うた。
何の気のない、ただの質問。今日は非番だから、どこぞの教養に顔を出す。
そう聞いていたからこそのもの。
しかし。
「っ!」
白井は肩をビクリと震わせ、うつむいた。
「黒子?」
その様子に美琴が眉を顰めた。
今の質問に、何かおかしなことがあっただろうか?
- 418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/26(日) 20:47:34.65 ID:dIrsxvoso
「……」
だが白井はうつむいたまま応えない。
その様子は、何かを耐えているような、そんな雰囲気だ。
「どうしたのよ?」
本を置き、立ち上がる美琴。
「お、お姉様……わたくし、わたくし……」
白井は、なんとか、という様子で美琴を呼んだ。
名前でも、苗字でも、二つ名でもない、しかし彼女にとって、それこそが御坂美琴を顕す呼び方で。
「!」
そこで美琴は気がついた。
白井が、肩を小刻みに震わせていることに。
(え、黒子、泣いて……?)
「黒子? ちょ、ちょっとどうしたのよアンタ」
美琴が白井に近づいた。
常盤台の寮室はそこそこに広い。
だが美琴の位置からドア近くの白井の場所までは10歩も進めば十分だ。
そして美琴が進み、己のベッドの近くまで来た途端、
「わたくし、もう我慢できませんのー!」
白井がいきなり美琴に跳びかかった。
- 419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/26(日) 20:48:45.83 ID:dIrsxvoso
「はあっ!?」
いきなりのことで咄嗟過ぎて反応できず、ルパンダイブよろしく、美琴はベッドに押し倒された。
「ああ! お姉様お姉様お姉様! この声この香りこの温もり! 久しぶりのお姉様ですのー!」
「ちょっ、な、こら、やめっ」
両手を美琴の両腕の外側に突き、顔を近づけて髪の香りをスンスンと嗅ぐ白井。
「ああ、なんと甘美な! なんと恍惚なのでしょう! お姉様ー!」
「こ、この、」
美琴が大きく息を吸い込んだ。
前髪に紫電が走る。
「淑女の話はどうしたー!!!!!!!」
空気を切り裂く音が室内に響いた。
- 420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/26(日) 20:49:27.72 ID:dIrsxvoso
「ったく……少し見直した、と思ったら」
美琴はシャワールームに入り、入浴のために服を脱ぎながらため息をついた。
白井を焦げ焦げにしてから、改めて狼藉の理由を聞いてみたところ、返ってきたのは「禁断症状がでましたの……」というふざけた言葉だった。
とりあえず電撃で動けなくなった白井はそのままに、先にシャワーを浴びてしまおうとしたのであるが。
「禁断症状って、薬物中毒かっつの」
ぶつくさ言いながらも、美琴の顔には僅かな微笑みが浮かんでいる。
いわゆる、あれが今までの、いつもの白井だったのだ。
ここ最近のおとなしさはそれはそれでありがたかったが、やはりああいうやり取りもどこか嬉しいものなのである。
もっとも、実際に何かされるとなると話は別であるが。
(お風呂出たら回復してるでしょうし、ご飯でも食べにいこっかな)
そんなことを思いながら、美琴は機嫌よくシャワールームに入った。
変わるのはいいことだと思う。
だが、自分にもっとも馴染み深い白井がきちんといることに、美琴は安心感と、嬉しさを禁じえないのであった。
- 421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/26(日) 20:50:26.64 ID:dIrsxvoso
「……」
シャワールームから水音が聞こえてきた。
それを確認してから。
白井は身を起こして、自分のベッドに腰掛けた。
胸に手を当て、そこにある痛みに耐える。
口元に浮かんでいるのは、哀しそうな、力のない、諦観の笑み。
うまくいった。
美琴は、いつもの自分だと、思ってくれたはずだ。
いつもの自分を、演じることができたはずだ。
――快楽に折れた情けない白井黒子だとは、気がつかなかったはずだ。
(これが……これしか、ないんですの)
美琴の前に立てない。立つ資格はない。
それでも現実問題、白井は常盤台中学校在籍であり、美琴と同室であり、何より美琴ともっとも親しい友人であるのだ。
会わないですむ選択肢はない。それに、仮に転校などしたところで、付き合いは続いていく。
美琴の性格上、それでさよなら、などとはならないだろう。
- 422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/26(日) 20:54:32.04 ID:dIrsxvoso
何より、
(……お姉様を、悲しませたくないですの」
折れた自分が、彼女を護ろうと考えるのは、おこがましい。そんな恥知らずなことなど、もう思えない。
それでも、美琴を敬愛する気持ちが、なくなるわけではないのだ。
哀しませたくは、ないのだ。
「……」
だったら、こうして『白井黒子』の仮面を被ればいい。
今後も、ずっと。彼女とつながり続けている限り。
そう、
(……彼と会うときと、同じように)
仮面を被ることで、身を汚されることを耐えていたときのように。
美琴の前で、自分を偽り続ければいいだけの話だ。
「……」
これからも、彼の相手をしなければならない。
彼の前で『御坂美琴を護る白井黒子』を演じなければならない。
これからも、美琴のパートナーでいなければならない。
美琴の前で『いつもの白井黒子』を演じなければならない。
「わたくし、うそつき、ですもの」
俯き、ポツリと呟く白井。
だから、出来る。
泪は、こぼれなかった。
- 423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/02/26(日) 20:59:05.94 ID:dIrsxvoso
つーか実は1のバージョンでお話くんでたから、これから先は一方通行……じゃなくて、これはこれとして草案レベルのやつをプロットに組み上げんといけなかったり。
草案あるだけマシか……なんで選択形式にしたかと言うとだな。ビールがだな。すべてだな。悪いのだな。
でもまぁ、こっちはこっちでいい修行になるからある意味いいかも。
というわけです。かしこ。
- 425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 23:44:22.43 ID:vSABr+uSO
- 堕ちたな…
淫乱黒子の出来上がり…
ゾクゾクするぅ
- 426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 23:50:31.52 ID:E9SPeN++o
- 乙
- 427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/27(月) 00:13:36.41 ID:KCat6UBs0
- 黒子堕ちた
上条さんとの絡みが楽しみ
- 447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:43:22.49 ID:V/cxlbTdo
朝。
「おはようございます、お姉様」
「おはよう黒子」
起床し、身支度を調え、朝食をとって学校に向かう。
今日は月曜日。週初めということもあってか、登下校する生徒たちの雰囲気はどこか重苦しい。
「昨日は楽しかったわねー。またみんなで行きたいわ」
しかし美琴の機嫌は上々だ。
昨日、久しぶりに四人で外出したのが、よほど楽しかったようだ。
「ですわね。四人揃うのは、久しぶりでしたの」
「次に休みが合うのって、いつだったっけ? あんたと初春さん」
「来週と、再来週は同じですが、」
白井は言葉を一瞬だけ切ってから、
「……来週はわたくし、用事が」
「そっかー。じゃあ再来週にしようかな?」
「再来週、どこかに?」
- 448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:43:57.59 ID:V/cxlbTdo
「次は4人で買い物に行きたいなって思ってさ。学校帰りに見てもいいけど、やっぱりみんなで行った方が楽しいもの」
「あら? お姉様はわたくしだけではご不満ですの?」
「不満というか不安というか」
「なっ、ひ、ひどいですのお姉様!」
「あんた一昨日の自分を省みてごらんなさい」
「あ、あれはっ……」
「なによ」
「……っ」
「黒子?」
「い、いえ……あれはただの間違い、ただの気の迷いですの。ちょっとした、そう、つい魔がさしたんですのよ」
「魔がさしたって言葉と禁断症状って言葉は同居しないと思うわ」
「お、お姉様。そろそろバス停ですの。降りる準備をなさったほうが」
「あんたねぇ……まぁ、いいけどさ」
- 449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:45:04.38 ID:V/cxlbTdo
夕刻、風紀委員活動中、休憩時間。
公衆トイレ。
便座に座った白井の目の前で、洗浄に使ったカテーテルが揺れている。
「んんんっ!」
両膝を持ち上げ、M字に開いた脚の付け根で、白井の右手が前後に動いていた。
ラバー製の器具が、柔らかく解れた後ろ側を出入りする。その度に、ぐちゅ、ぐちゅ、と音をたて、
「ふぅぅんっ! んんんんっ! んふぅんっ!」
白井がくぐもった声をあげる。
スカートと下着は洗浄の前に脱いでしまう。身につけているのは淡い青色のブラウスと、ふくらはぎ半ばまでの靴下と、スニーカーだ。
しかしブラウスは裾を大きくまくりあげられ、口にくわえられていた。その下のブラジャーは薄い膨らみに辛うじてひっかかる形で上にずりあげられている。
ほぼ露出した上半身前側。ぴん、と立った乳首を左指が摘み、しごき、押し潰す
。乳房を揉み、撫で回せば、小ささゆえにダイレクトに性感を刺激した。
「ふぅんっ! んんふぁっ! んんんっ!」
右手首のスナップはリズミカル。
器具が肛門を入り出る一往復が一往復が、白井の背筋に快感を流し、全身に熱を廻らせていく。
- 450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:45:55.73 ID:V/cxlbTdo
(こんなっ、なぜっ……前よりっ、気持ちいいっ……!?)
身体に響く快楽は、一昨日の同じ行為よりずっと強い。
そのことに白井は混乱しながらも、うっすらと汗の浮いた肢体は素直に反応を返した。
もう異物の挿入に抵抗を示さないすぼまりの上。いまだ純潔を保っている秘裂は、そうであると思わせないそぶりでパクパクとひとりでに開閉し、白濁した蜜を吐く。
どろりとしたそれは蟻の門渡りを通って肛門に達し、新たなローションとして機能した。
「んんんんっ! んんんんんっ! んんんんんんっ!」
ツン、とどこか甘酸っぱい性臭が己の股から鼻先に届き、白井は身体がさらに高ぶったのを自覚。爛れた欲情に油を注ぐかのように、右手のスナップの角度が深くなり、左手は強く乳首をすり潰し、そして何度もそれは繰り返される。
(いやらしいですのっ、はしたないですのっ……わたくし、こんなにお尻で……胸も固くなって……こんなにも、ここを濡らして……)
ほんの一月前の自分の常識では有り得ない肛虐の魔楽を自覚し、白井はゾクゾクと身を震わせた。
無意識はそのことを危機感として訴えるものの、
(ああっ! すごっ、気持ちいっ、お尻、気持ちいいですの……! わたくし、こんなに淫らで、情けない……!)
だめだ、という言葉は浮かんでこない。
口にくわえた裾のせいで満足に呼吸ができず、思考力の低下した白井は、それを自覚することができなかった。
ただ求める欲望と自虐の思いがそのまま言葉として頭に満ちる。
- 451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:46:44.13 ID:V/cxlbTdo
「ああっ!?」
サーモンピンクの乳首を、人差し指と親指の爪が、きゅっ、と抓った。
軽い痛み。それを数倍する快感。
あからさまな喘ぎが、思わず裾を離した白井の口からあがった。
両手は塞がっている。ぺちゃっ、と無駄な肉のない腹に落ちた裾部分が唾液の音をたてた。
手の形にもりあがった服の下でモゾモゾと指がうごめき、そのもりあがりに邪魔されて尻を犯す右手の動きが見えなくなった。
「ああっ、んんあっ、あああっ、あはあっ」
見えなくなった――視覚による興奮を得られなくなった白井の身体は、それをさらなる動きで代用しようとした。
ぐぽっ、ぐぽっ、と尻が音をたてる。空気の出入りを自覚して、白井の胸に羞恥がわき、
「だめぇっ! わたくし、あぅんっ、恥ずかしっ、あっ! ああっ! ああああっ!」
羞恥は瞬く間に自虐の快楽に変わった。
アナルバイブが引き抜かれるごとに、押し込まれるごとに空気の音が響き、あわせてグイグイと絶頂までの水域があがっていく。
何も考えられない――考えなくていい、真っ白の世界が見えてくる。
- 452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:47:32.89 ID:V/cxlbTdo
「あぁっ! だめですのっ! ああんっ! 声っ! だめっ! ひああっ!」
声が抑えられない。
それだけは、と微かに残った理性が、自制を叫ぶ。
白井の無意識はそれを拾い、頭の片隅に置くことを許した。
しかしそれは、外向きへは防衛意識であったが、内向きへは違っていた。
無意識の選択は、危険の自覚。味を覚えはじめた、別の快楽の火種。
声が個室から漏れてしまう。
トイレに響いてしまう。
誰かに聞かれてしまう。
人に、気がつかれてしまう。
- 453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:48:28.52 ID:V/cxlbTdo
こんな自分を、見られてしまう。
- 454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:49:30.38 ID:V/cxlbTdo
「――ふあっ!」
ゾクゾクゾクッ、と今までで最大の痺れが背中を撫でた。
「あっ、あっ、あっ、あっ」
グポグポと。クリクリと。
口元からよだれを垂らし、白井は霞んだ瞳で前を見る。
目の前にはドア。カテーテルのかかったドアは開いていない。
だが、白井の瞳には、立っている誰かが見えた。
ここを開けた誰かの驚いた顔。
次の瞬間に浮かぶだろう戸惑いの顔。
そして最後に浮かぶであろう、軽蔑の顔。
その顔は――
「っ!」
白井がそれが誰なのかを認識した瞬間、左手が乳首をつねりあげた。右手がアナルバイブを根本まで肛門に突きこんだ。
右手の親指が掬い上げるように動いて、包皮から完全に外に出た、グミのように固くなった陰核を、ぴん、と弾いた。
手の届きかけた絶頂が、転がり落ちてくる。
反射的な動きで上半身は身を縮め、M字の脚は限界まで引き寄せられた。
「イクっ! イクっ! あああああっ!」
顎をあげ、嬌声をあげる白井。
舌先から跳ねた唾液が、動きに引っ張られて、円弧の軌跡を描いた。
- 455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:50:33.93 ID:V/cxlbTdo
そして、休憩時間は、あと20分。
今から後始末をすれば、余裕をもって仕事に復帰できる時間だ。
こんなことで、焦らずにすむ時間だった。
だが。
「こんなの、だめですの」
「こんなの、あの人に見せられないですの」
「我慢できなかったことがわかってしまいますの」
「……」
「……これをくわえてもいませんし」
「……くわえてたら、声はたちませんの。彼に、ばれませんの」
「……消して、もう一度撮り直せば……」
「……もう、一度」
- 456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:51:26.55 ID:V/cxlbTdo
次の日。
昼休み。
「……・、……」
常盤台中学校のトイレ個室は、流石の施設だ。
完璧な防音密閉脱臭静穏機能は、背中側でドアが閉じる音を内部にも外部にも響かせない。
「……、……」
しかし中に入った白井は、背をドア内側にもたれかけ、右手で胸を押さえて俯いたまま。
その唇が、小さく動いていた。
何かを、繰り返し、呟いている。
『第三位の露払いを自称するなら、もっとしっかりした方がよろしいのではなくて?』
午前中に行われた能力測定。
散々な結果だった白井に、投げ掛けられたトンデモ発射場ガールの言葉。
きっとそれは、彼女なりの叱咤激励だったのだろう。
だが。
- 457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) :2012/03/10(土) 04:52:05.23 ID:V/cxlbTdo
「……、……」
空洞のような瞳で、繰り言を紡ぐ白井。
叱咤激励は、それを放った本人が想像もしていなかった影響を白井に与えている。
「……、……」
もう何度目かもわからない、言葉の繰り返し。
一度止まった唇が、再び開こうとしたところで、個室内に据え付けられた小さなスピーカーから、チャイムの音が響いた。
予鈴だ。昼休みが終わる。
「……」
白井はそこで呟きを止めた。
目を閉じ、息を吐いてから、顔をあげる。
「いつもの、わたくしですのよ」
うっすらと微笑みを浮かべた、『普段の白井黒子』の顔が、そこにはあった。
- 458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:52:50.53 ID:V/cxlbTdo
夕刻、風紀委員活動中、休憩時間。
ビジネスホテル。
「んっ、んんっ、んんむぅっ!」
右手で股間を押さえて数回。
僅かにのけ反り、天井を見ながら痙攣した後、白井は、何も纏っていない肢体から力を抜いた。
「――ぷぁ、……はぁ、はぁ、はぁ」
胸に当てていた左手で、口からバイブレーターを取り、そのまま横に置く。シーツに唾の染みがついた。
『んっ、んふっ、んむっ……』
備え付けのテレビから漏れる艶声――美琴によく似た少女が少年に奉仕している――だけを残し、室内に静寂が満ちる。
「……」
しばらくそのまま息を整えていた白井は、けだるげな動きで身を起こし、テレビの横に置いてあった携帯電話に手を伸ばした。その動きについていけなかった黒髪が一房、ふわりとその翻る。
小さなボタンを、蜜に濡れた指が押す。離れた指先からひいた糸が切れると同時に、撮影を示すLEDが消えた。
「……」
やるべきことを――風紀委員の休憩時間中に『拡張』し、その後の自慰行為も性具をくわえて行った白井は、ぽふりとベッドに座り込む。
丸みを帯びたというにはまだ乏しい尻を、ベッドはギシとも言わず受け止めた。シーツにシワがよる。
太もも内側の、蜜の跡。まだ渇き切っていないそこに、寄って盛り上がったシーツの一部が張り付いたのを、白井はまだ敏感な肌で感じ取った。
媚薬入りのローションは、変わらず白井の性感を短時間で開花させてくれる。
使えば、使うほど、早く。
- 459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:53:18.38 ID:V/cxlbTdo
「……」
数秒。
風紀委員の訓練で鍛えられた少女の呼吸は、もう調いかけていた。動画の保存も終わり、もはやこのホテルに用はない。
だが、目の前のテレビの映像を見る白井は動こうとせず、その目もどこか放心したように、ぼんやりとしたものだった。
(昨日は結局バタバタしてしまいましたし……広い分だけここは楽でしたの)
今までは公衆トイレだった休憩時間の行為を、今日ビジネスホテルにしたのは、昨日の失敗を踏まえてのこと。
狭い場所ではどうしても後始末に時間がかかり、シャワーがないため、ニオイ消しにも手間取ってしまう。その点、ここならばシャワーがあるだけ、楽なのだ。
休憩時間に入り、能力を使って着替えを済ませる。ビジネスホテルの近くで休憩時間になるように計算していた警らコースのため、チェックインまで3分。
そしていま、一連の手続きを終えて、残り時間は30分。
昨日よりは早く、動画も問題ない。
後始末はシャワーを浴び、身体の表面の水を転移させれば、すぐに済む。
これは、利便性を考えた末の結論なのだ。
「……」
白井のぼんやりとした表情に、自嘲の微笑。
(そう、ですの)
そのように、彼には説明するつもりだった。
「……」
だが白井は自覚している。
- 460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:53:55.64 ID:V/cxlbTdo
――それ以外の理由が、自分の中にある。
- 461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:54:29.29 ID:V/cxlbTdo
(わたくし……嘘ばかり、ですの)
いつの間にか下を向いていた視線を、再びテレビに向ける白井。
動画はいつの間にか、四つんばいになった少女が、少年に尻を向けて誘っている場面に変わっていた。
「お姉様……」
ポツリと呟く。
動画の少女が美琴ではないと確信している。
それでも浅ましい欲望は、どうしてもその声を、表情を、瞳を、美琴と重ね合わせてしまう。
「お姉様……」
僅かに、息が速度が上がる。
少女の尻を少年が掴み、押さえつけるようにして身体を寄せた。
ビクビクと震える唾液にまみれたペニスが、少女の股間にあてがわれた。
「お姉様……」
白井の左手が、ゆるりと胸に当てられた。
その行為の真意は、美琴に似た少女の痴態に胸が痛んだのか、否か。
視線の先で、アップにされたカメラが、ズブズブと肉裂に沈んでいくペニスを映し、少女の嬌声を的確に拾う。
- 462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:55:28.85 ID:V/cxlbTdo
「お姉、様……」
白井が右手を股間に添えた。
息がもうあがっている。
画面の中の少女はあられもない声をあげ、貫かれるだけでは足らず、自ずから腰を振りたてていた。
(あぁ……)
身体が燃え上がっていくのを感じる。
中途半端に餌を与えられた欲望の獣が、再び動き出すのを感じた。
先程は、彼に送信するために抑え気味の行為だった。
自身への愛撫も映像への注意もそこそこに、媚薬の力を借りて駆け上がったかのような絶頂。
ゆっくりと根本から持ち上げられた上での、極まったものではない。
『ああっ! あっ! ああんっ! もっとっ、もっと突いてっ!』
少女が短い髪を振り乱す。
後ろから少年に激しく貫かれるその様は、発情期の犬か何かのよう。
そしてその体勢はきっと、
(わたくしも、こんな風にサレましたの……?)
あの日、あの時、この場所で。
こんな風に正体をなくし、彼に。
- 463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:56:27.10 ID:V/cxlbTdo
「はぁ、はぁ、はぁ」
左手が、右手は動き出す。
時間は後27分。
(だめですの……これからでは、間に合わないかもしれないですの……)
20分で、終わらせられるだろうか?
7分で、シャワーを浴びて身支度を整えられるのだろうか?
27分後に『いつもの白井黒子』に戻れるのだろうか?
「ふぁ……あ、あっ、だ、だめ、ですのにぃ……」
クチュクチュと音が立ち始めた。
瞳が再び霞み始める
白井の脳内で、映像の少女が美琴の姿から彼に犯される自分自身に変わっていく。
- 464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:57:40.96 ID:V/cxlbTdo
ここに入る前。
休憩時間でも、ビジネスホテルを使おうと決めた、そのときに思ったこと。
(声が、漏れたら困りますもの)
(不自然ではありません。今までも、公衆トイレが使えないことはありましたし……)
(万が一、声を押さえられなくても大丈夫ですから……)
それは、もう自覚できるレベルで、声を抑えきれないということ。
- 465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:58:23.87 ID:V/cxlbTdo
そしていま。
「ああんっ、ああっ、わたくしっ、あああっ!」
あられもない声は、映像の他に。
もうひとつ。
- 466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 04:59:29.11 ID:V/cxlbTdo
夕刻。
風紀委員、○○支部。
「白井さん、警らですか?」
「ええ、そうですの。貴女は今日は、珍しく外出のようでしたけれど?」
「そうなんですよ。なんでも支部の端末でいくつか妙なエラーが出たらしいんです。今日はそれの修復と対策ですね」
「ウィルスや、ハッキングの線はありませんの?」
「そっちの心配はありません。ただ、ついこの間更新された業務システムの一部との相性が悪いみたいです」
「システム化も良し悪しですわね」
「まぁ、相性だけはいつまでもなくならない問題なのかもしれませんねぇ」
「貴女なら大丈夫でしょうけど、がんばってくださいまし」
「はい、ありがとうございます」
「では、わたくしは行ってまいりますの」
「あ、白井さん」
「はい?」
「いえ、特にたいしたことじゃないんですけど」
「はあ」
「最近よく、そのバッグ持ってますよね。」
「え……」
「いえ、今までは白井さんって、基本的に手ぶらで警らが多かったじゃないですか。それなのに最近、そのバッグを持ってますから。ちょっと気になっただけなんですけど」
「……」
- 467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:00:09.80 ID:V/cxlbTdo
「? 白井さん?」
「あ、い、いいえ、なんでもありませんの。これはその……着替え、ですわ」
「着替、ですか? でもなんでまた」
「この間、空間移動した時にうっかり泥水の真上に着地したことがありましたの。その時は帰り道だったので良かったのですが、活動中にそんなことになってはいけませんので。……取り締まる側の服装が乱れていては、説得力にかけますの」
「はー、なるほど。確かに足元まで見て跳ぶのは難しそうですもんねぇ。それに説得力の維持ですかー。やっぱり現場の人は色々なことまで考えるんですね」
「ええ、そうですのよ」
「あ、今から仕事なのに、つまらないことですみませんでした」
「いえ、構いませんわ。では、行って参ります」
「警ら、気をつけてくださいね」
「あら、誰に向かって言ってますの?」
「あはは、ですよね。白井さんが負ける人なんて、それこそ数えるほどしかいませんもんね」
「……ええ、そうですわね」
- 468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:00:50.25 ID:V/cxlbTdo
夕刻。
風紀委員待機日。
ビジネスホテル。
メールには彼から「今日は行く」との返信。
「ご、ご奉仕、いたしますの」
「ああ」
お互いにシャワーを浴び、お互いに全裸のまま。
昨日、休憩時間ギリギリまで自慰による快楽を貪ったベッドの傍らに正座した白井は、その真正面に立った彼のペニスに唇を寄せた。
「ん……」
ちゅっ、と醜悪な先端に瑞々しい唇が触れる。
僅かに押し当てられ、すぐに離れ、またすぐ押し当てられる。
実際の音は小さなものだ。
しかし鳥が果物を啄ばむがごとく、少しだけでも触れ合えば、そこに音は生まれる。
それを自覚してさえいれば、音は脳が勝手に作り出してくれる。
ちょうど漫画で、無音の場面を『シーン』と表現するように。
ビジネスホテルの部屋の中、白井の耳には、ちゅっ、ちゅっ、と男性器の粘膜と、女性の唇の触れ合う音が響いていた。
- 469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:02:09.41 ID:V/cxlbTdo
「んぅ……」
尿道から、亀頭。
亀頭からカリ首。
カリ首から、裏筋。
裏筋から、根元まで。
キスの雨がペニスに降らされ、その後、
「は……ん……」
ちろちろと、小刻みに左右に動きながら、舌先が先端まで駆け上がる。
そして再びキスの雨。
また、小刻みな駆け上がり。
何度も繰り返される口淫。
それは単一の動きではなかった。
正面から降りていき、その道を逆に返るだけではなく、時には右から、あるいは左から。
登るときも同じ道と、異なる道を、ランダムで選択した。
押し当てるものもキスだけではなく、時に頬であり、舐め上げるのも舌先だけではなく、ぬろぉっ、と舌全体を使う。
- 470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:03:03.73 ID:V/cxlbTdo
「っ」
右手を当てた彼の左腿と、左手を添えた彼の右腿が、彼の飲み込んだ声とともに震えるのを感じる。
「……」
目を閉じた白井は、彼の表情を視認することはできない。
それでも、その反応が何を示しているのか、わからないわけがなかった。
(……次、こうすれば)
顔を傾け、ちょうどフルートを吹くように、ペニスを横から唇で甘く加え、そのまま唇を滑らせる。
根元から先端まで。そしてそのまま逆側の根元まで。
繰り返す、繰り返す、繰り返す。
彼の脚が震える。彼の脚が震えた。彼の脚が、震えを返す。
(……)
手を沿えた自分はそれをどう感じているのか。
白井はそれにあえて目を向けない。
向けてしまったら『彼に陵辱される白井黒子』が、剥がれてしまうかもしれない。
そうなってしまえば、もしかしたら、泣いてしまうかもしれない。
- 471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:03:31.98 ID:V/cxlbTdo
自分は魔女だ。
嘘つきで、二枚舌どころか三枚も四枚も舌を持つ、己のもっとも敬愛する人も、もっとも憎い人もだます、魔女。
しかし魔女は泪を流せば、その力を失ってしまう。
ただの娘に戻ってしまった本当の『白井黒子』は、どんな顔をしているのか。
それは、知りたくなかった。
だから白井は目を閉じる。彼の反応を、少しでも見ないために。己の心に、何も浮かばないように。
そして白井は目を閉じる。頭の中で、動画の少女の動きを少しでも思いだせるように。少しでも早く彼が絶頂に至ってこの陵辱が終わるように――そう、白井が思っていると、彼にも、白井自身にも疑わせないために。
「くっ……白井、そろそろ咥えてくれ」
「はい……」
彼の指示に、一瞬だけ躊躇う素振りを見せてから、白井はペニスを口腔に納めた。
この数日、自慰の時にバイブレーターを口に宛がっていたためだろう。自分でも驚くほど深くまで飲み込むことができて、そして臭いにも味にも大きな拒否感を感じなかった。
- 472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:04:19.24 ID:V/cxlbTdo
今日は待機の日だ。
時間制限は、呼び出されることがなければ、門限だけ。
「いいぞ白井。っ……、うまくなったな」
彼の右手が前後に揺れる白井の頭に置かれた。
、相対的な動きではなく、彼自身の右手が優しく柔らかく、乾ききっていない白井に髪を解いていく。
それを、彼女はどう思ったのか。
彼の右手と、腿と、そしてペニスから伝わる熱を、どう感じたのか。
「んんっ……んふっ……んっ、んっ……」
白井は、それを考えない。
考えてはいけないと、考えていた。
- 473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:04:59.94 ID:V/cxlbTdo
「あの……もしかして白井さん、ですか?」
「!?」
休憩時間。
私服に着替えて髪を解いた白井の耳に、予想もしていなかった声と言葉が飛び込んできた。
動揺、焦り。
反射的に振り向いた結果、後悔が追加される。
どこか自信なさそうにこちらを見ているのは、
「佐天さん!?」
思わず名前を呼んでしまった。
まずい、と思った時は手遅れだ。
「やっぱり! どうしたですか白井さんそんな格好で!」
一瞬にして迷いある視線から好奇心で埋め尽くされた視線に。
四人組の中で最も好奇心の強い彼女――涙子は、身を乗り出すようにして白井に半歩近づいた。
「い、いえ、その、これは」
「にっひっひー。もしかしてあれですか白井さん。彼氏さんでも出来たんですか?」
- 474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:06:03.46 ID:V/cxlbTdo
「っ!」
彼氏。
男性。
彼。
白井の表情が強張る。
涙子はそれを見逃さなかった。
「おおっと、その反応。えー、いつですか白井さん。いつの間に男の人に興味を? というか御坂さんはこれ知ってるんですか? そんな格好してるのはやっぱり学校が厳しいからですよね? これから秘密のデートとかですか?」
矢継ぎ早に畳みかける質問。
相手の動揺がなくならないうちに頭を一杯にさせて混乱させる。
そうなれば相手は質問への理解と、答えを考えることに終始しなければならない。それが後ろめたいことならなおさらだ。混乱は混乱を呼び、受け答えは曖昧になる。
パソコンでいえば処理落ちさせると言ったところか。
この状態から漏れる言葉は真実であることが多く、仮に嘘であってもその場凌ぎで深く練られていないため、容易に看破できるのだ。
これが美琴相手で、話題が『好きな人』だったら高い効果をあげたに違いない。
しかしここにいるのは美琴ではなく白井であり、そして白井は誰よりもこのことを他人に――美琴に知られたくないと願っている人間だ。
こんなときにどうするか、考えていないわけがなかった。
白井は即座に右手で涙子の口を塞ぎ、そのまま空間移動した。
直近のビル――いつも使うビジネスホテル――の屋上に移動すると、すぐに手を離して、今度は彼女の両手を、ぎゅっ、と握った。
- 475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:06:52.51 ID:V/cxlbTdo
「佐天さん。わたくし、今は秘匿捜査の最中ですの」
「え……」
一瞬で風景が、さらに白井の表情が極めて真剣なものに変わったことで、おちゃらけていただけの涙子の目が驚きの色を浮かべる。
白井は言葉を続けた。それこそ、先の処理落ちの仕返しのように。
「詳しいことは言えませんが、これは風紀委員でも極秘のものですの。初春も知りません。わたくしがこんな格好をしているのも、常盤台の生徒は常に制服であ
るという心理的盲点をつくためですの。実際、佐天さんもわたくしであると確証が持てなかったでしょう? そういう点と、何かあっても離脱の容易なわたくし
がこの捜査に従事することになりましたの」
「そ、そうなんですか」
「初春でさえ、今日この時間、わたくしは警らに出ているものと思っています。仲間にも存在を隠さなければならない類のものですの」
「……」
ようやく理解が追いついたのか、涙子の表情が引き締まった。
「ですから、このことは初春にも、お姉様にも秘密にしてほしいんですの。今日ここでわたくしと接触したことも、絶対に漏らさないでくださいまし」
「はい、わかりました」
即座に涙子は頷いた。
「このことは絶対、誰にも言いません。初春にも、御坂さんにも。もしどこかでまた白井さんを見かけても、その格好をしてる限りは知らんぷりした方がいいんですよね?」
期待どおり、涙子は真剣に確認をとってくる。
彼女も何度か、命の危険を孕んだ事件に遭遇している。なんのかんの言っても、白井の仕事の重要性は知っているのだ。
「ええ、お願いします」
頷く白井。
この様子ならば、彼女から漏れることはないだろう。
――それを見越して嘘をついたのだから、当たり前なのだが
- 476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:07:49.13 ID:V/cxlbTdo
夕刻。
風紀委員活動中休憩時間。
ビジネスホテル。
「ああっ! ふああああっ! だめぇっ! ああっ! 強いですのっ! んふぅあああっ!」
浴室で、白井は四つんばいで大きく喘いでいた。
とうに『洗浄』は済ませ、その後の自慰も終わらせている。
撮影用の行為は『彼に陵辱される白井黒子』が済ませた。
そしていまは『いつもの白井黒子』に戻る前の、空白の時間。
「あはあっ! ああっ! いいっ! いいですのっ! あっ、こんなっ、すごっ、あっ、あっ、あっ!」
力抜けた腕は上体を支えず、膝を立てた尻は高く上がり。
固くなった乳首を先端に持つ乳房は、小さく揺れ。
媚薬入りローションゆえ、あるいは、白井自身の身体の作用でぐしょぐしょに濡れた秘裂は右手が弄び。
その尻たぶの間からは、もう使い慣れたと言っていいアナルバイブが突きこまれ、肛門はそれを放すまいと強く締まり。
そして左手に握られた、四角形のリモコンのスイッチは、ONになっていた。
今まで一度たりとも使わなかった、アナルバイブの遠隔操作用のリモコンが。
- 477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:08:59.09 ID:V/cxlbTdo
「んんっ! んぁっ! くぁっ! もっとっ! もっと、強くっ! ああぁっ!」
グネグネと、尻から映えた性具が蠢いている。
腸内をかき回す振動。肛門入り口を押し広げようとする動き。どんなに力をこめても、徐々に引き抜けていく刺激。
潤みきった白井の瞳は何も映していない。
何も見えていない――いまここで喘いでいる淫らな『自分』はなんなのか、白井自身にもわからなっていない。
白井に意識の中にあるのは、ただ尻穴から突き上げる快感と、昨日、彼に奉仕したときに口内に満ちた白濁液の味と臭い。
「あっ、あっ、あっ! ああんっ! 当たってますのっ! 奥にっ!」
彼は昨日、口淫以外は何もしてこなかった。
口で、二回。
いずれも白井が彼を導き、無理に動かされることすらなかった。
彼にされたことはただ、頭を撫でられることのみ。
確かに拒否の態度は示した。憎悪の視線を向けた。憎まれ口をたたいた――いずれも、尻の奥が疼くのを隠しながら。
しかし、白井に拒否権はないのだ。
彼がその気になれば、尻も。
純潔も。
「あっ! ああっ! はぁぁっ! だめっ! イクっ! イッちゃうっ! イッちゃうぅっ!」
白井は上り詰めていく。
何を考えているのか、何を望んでいるのか、それをあたかも遮断するように。快楽で塗りつぶしてしまうように。
白井の左手がカチリとメモリを『最強』に移動させるとともに、右手が陰核を強く強く摘みあげた。
- 478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:09:36.06 ID:V/cxlbTdo
午前中。
常盤台中学校。
校庭。
今日は能力誤差修正訓練。
先の測定で落差が大きかった生徒が受ける訓練だ。
「はー、こんなものですのね」
呟きながら白井は、手の中のA4の紙をピラピラと振った。
書かれているのは修正訓練結果。
いずれの数値も、元来の白井の測定値に戻っている。
「調子が戻ってきた、ということか?」
担当の教師が微苦笑しながら問うてきた。
- 479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:10:21.68 ID:V/cxlbTdo
それに白井は、同じような苦笑を返し、
「まぁ、オンナには色々とありますのよ」
と、言った。
教師も女性だ。それだけで何が原因なのかを把握したらしい。
「それはちょっとどうしようもないが、極力、体調は万全にな? 特に白井は風紀委員もしているのだから」
「お気遣い痛み入りますの」
ペコリ、と優雅に頭をさげる白井。
体操服であっても、仕草は完璧だ。
そう、まさに、いつもの彼女。
いつもの、彼女である。
- 480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:11:22.63 ID:V/cxlbTdo
夕刻。
風紀委員活動中休憩時間。
ビジネスホテル。
電子音がなっている。
音源は、テレビの横に置いてある、白井の携帯電話。
4回ほどコールが鳴った後、粘液に濡れた手がベッドから伸びて、携帯を取った。
「も、もしもし。ああ、初春、ですの?」
「休憩時間は過ぎてっ、ぅぁっ、はいっ、申し訳ありませんのっ、すぐに……」
「い、いえ。っ! ちょっと、体調不良でっ……すのっ」
「そこまではっ、はいっ、ええっ、ぅぅんっ、少しだけっ、休んでもっよろしいですのっ?」
「っ、っ、っ……はいっ、お願いしますっ、の。ええっ、またっ、っ、連絡を入れますのっ」
通話が終わり、携帯電話は即座に投げ捨てられた。
粘液の水音と、何かが振動する機械音。
そして艶やかな声。
- 481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:12:26.39 ID:V/cxlbTdo
下校中。
風紀委員準勤務日。
カフェテラス。
(……)
「黒子? どうしたのよぼーっとして」
「えっ!? な、なんですのっ?」
「わっ!? びっくりした!」
「あ、え……あ、も、申し訳ありませんのお姉様」
「いや、いいけど……どうしたのよアンタ。なんかさっきからぼーっとしちゃって」
「いいえ、特に予定はありませんけれど……、わたくし、そんなにぼんやりとしてましたの?」
「ぼんやりっつーかなんつーか。……もしかして今日、なんか用事でもあった? それともこの喫茶店、気に入らなかった?」
「そ、そんなことありませんの! わたくし、お姉さまのお誘いでしたら、火の中水の中電撃の中! どこにでも駆けつけますわ!」
「いやそれは自重しなさい」
(……あれ? いつもの黒子だ。おかしいわね。なんだかさっき、やけに見慣れない黒子がいた気がしたんだけど)
「はー……お姉様はつれないですの。いったいいつになったらわたくしを受け入れてくださるのやら」
「流し目送ってくんな! 私はノーマルだって言ってるでしょうが!」
- 482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:13:25.85 ID:V/cxlbTdo
「まぁまぁまぁ。お姉様、いけませんわ。世界では場所によっては同性婚も認められているのですわよ?」
「そ、そりゃそうかもだけど……でも私はそういう趣味はないんだから!」
「うえへへへへ、でもお姉様。いやよいやよも好きのうちと……っ!?」
「? 黒子?」
「あ、あ、い、いえ……なんでもありませんわ」
「いや、なんでもないって顔じゃなかったわよ? アンタ、ほんっとーに大丈夫なの? やっぱ疲れてんじゃ……」
「そ、そんなことありませんの! ちょっと自分の台詞で思い出したことがあっただけですの! お姉様が心配することなど、何一つありません!」
「いや一応、頭こっち出しなさい。ちょっと体内電流で簡単にだけど体調チェックしてあげるから……」
「……」
「黒子?」
「……お姉さまに心配していただけるなんて、黒子は! 黒子はー!」
「だー! また禁断症状かあんたわぁぁぁぁぁ!」
空気を切り裂く音が、カフェテラスに響く。
- 483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:14:10.08 ID:V/cxlbTdo
そして、その次の朝。
朝食が終わり、美琴が恒例の漫画立読みに出かけてから。
らしくなく、なんとなくゴロリとベッドに寝転がった白井の携帯に、着信があった。
「……」
枕の横にある携帯。
これもまたらしくなく、ノロノロと手にとり、スイッチを押す。
すすっ、と出てきたシート状の画面には、メール着信を示す表示。
『午後から』
簡単な、たった一文だけのメール。
「……」
だがそれは、らしくなくぼんやりと天井を見つめていた白井を、すばやくベッドから立ち上がらせるのに十分な内容だった。
今日は風紀委員は休みの日。
なんの予定も入れてない日。
二週間ごとに来る、彼からの呼び出しの日。
- 484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/10(土) 05:14:45.28 ID:V/cxlbTdo
「……」
白井はシャワー室に向かう。
うつむいたその表情は、前髪に隠されて、見えない。
今の彼女は、どの彼女なのか。
それは怒りで赤くなった白井の首筋が顕している。
それは羞恥で赤くなった彼女の耳が示している。
それは屈辱に噛み締められた少女の唇が訴えている。
だが真実は。
仮面の下にある『白井黒子』は。
赤くなった、オンナの頬だけが、知っている。
- 498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/15(木) 22:03:34.89 ID:DxSflK0bo
午後0時になる10分前に、白井は寮を出た。
メールの指定は午後から。ホテルは空間移動すればほんの数分で辿り着ける場所にある。
しかし空間移動系能力者は学園都市でも希少だ。着替えているとは言え、自分に繋がる確率を少しでも減らすためには歩くのが無難だった。
いつものように制服姿の白井は、最寄の公園に脚を運び、その公衆トイレの個室に入った。
ここではまだ着替えない。不自然にならない程度の時間をおいて、何もせずに出る。
そのまま誰も入らないことを視界の端で確認しながら、精密転移限界距離まで徒歩で離れて、そこから能力を使って再度個室に。
こうしておけば『白井が入った個室から別の人物が出てきた』という目撃を減らすことができる。
個室の中で着替えた後は、普通に出る。
今度は転移先が見えない以上、迂闊に能力は使えない。それに『突然出現した私服姿の少女』が目撃されては、白井にたどり着く可能性が残ってしまう。
「……」
もはや流れ作業のように、いつものこととして一連の作業を終えた。
(……もう、これも習慣化してますのね)
個室のドアを内側から押し開ける白井の口元に、ふっ、と自嘲と諦観の笑みが浮かぶ。
しかし、どうすることもできない。
耐えるしかないのだ。
彼からの凌辱にも。
……美琴からの笑顔にも。
- 499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/15(木) 22:04:29.50 ID:DxSflK0bo
「っ」
出入口までの短い通路を歩く白井が、眉を詰めて胸を押さえた。
(……お姉様、申し訳ありません。黒子は、お姉様を騙していますの)
安らぎを感じる相手の笑顔はいま、それと同時に痛みを伴うようになってしまっている。
昨日も、カフェテラスで心配をしてくれた。
いや、昨日だけではない。
心配をかけまいと意識している白井の小さな変化にも気がついてくれるほど、美琴はいつも気にかけてくれている。
「……」
だが、白井にはそれが辛い。
(……なぜ、わたくしはお姉様にあのようなお顔をさせてしまっているんですの? お姉様の笑顔だけは、護りたかったはずですのに)
折れた情けない自分を隠してでも護りたかったものは、いま自分のせいで曇ることが多い。
これまでの白井だったら、たとえそれでも美琴の持つ彼への幻想を殺させないために、と考えられるだろう。
(わたくしのせいでお姉様に無用の心配をかけていますの……わたくしのせいで……わたくしが……)
しかし、今日はダメだった。
今日は、思考は止まってくれない。
- 500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/15(木) 22:05:06.71 ID:DxSflK0bo
ただでさえ汚される屈辱を感じ、また事情はどうあれ美琴の想い人と同衾する罪悪感にさらされてきた白井だ。
そこにこの数日間は折れた自分を取り繕い、嘘ばかりをついている。しかも、嘘をつくことになれてきてさえいる。
今までは支えとなっていた美琴に対しても安らぐことのできなかった白井の精神は、彼女自身が想像している以上に憔悴していた。憔悴しきっていた。
(……わたくしが抵抗してもしなくても、彼に身を委ねていればお姉様の身は護れる。わたくしがお姉様の前から消えれば、お姉様は憂えることもなくなる)
疲れからの思考が――胸の中の多くを覆ってしまった黒いナニカが、どんどん自分自身を追い詰めていく。
言葉が頭の中に響くのに伴って、白井の顔から、最後まで残っていた抵抗力が失せていった。
(お姉様は強く、魅力ある方……わたくしがいなくとも、すぐに笑顔を取り戻し、すぐに人が集まって……)
そこまで考えたところで通路は終わった。
出入口を出れば、後はホテルに向かうだけ。
ふらりと、まるでそのまま消えてしまいそうな様子で外に出た白井が――ふと、公衆トイレから出たところで脚を止めた。
後ろめたい人間の心理として、入ったときとは逆の出口から出たせいで、最初は見えなかったモノが、目に飛び込んできたのだ。
「……お姉様?」
ポツリと呟く白井。
その視線の先にあったのは、美琴の姿。
こちらに気がつくことなく、公園の子供たちと追いかけっこをしている御坂美琴が、そこにいた。
- 501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/15(木) 22:06:00.73 ID:DxSflK0bo
「……」
きっと公園でジュースでも飲んでいたところを、子供らに無理矢理引っ張りこまれたのだろう。
相手は5、6人ほどの男女取り混ぜたグループで、歳のころは10歳になるかならないか、という子供たちだ。流石にやりづらいのか、手加減しながら逃げ回っている美琴は、どこか困ったような雰囲気である。
それでも、彼女の顔に浮かんだ微笑みは、本物だった。
それは白井がずっと見ていたいと思った、笑顔のひとつ。
護りたかったモノだ。
今でも、護りたいモノだ。
(そう……そうですの)
それを見つめていた瞳に、僅かに光りが灯った。
(わたくしは何を考えているんですの? わたくしが姿を消したとして、あのお姉様が哀しまないとでも、わたくしのことを忘れてしまうとでも、そんな方だと、本気で思っていますの?)
答えは否だ。
御坂美琴は、そんな人間ではない。
納得のいく理由があったとしても、会えなくなれば必ず哀しむ。
仕方のない事柄で離れてしまっても、絶対に忘れてなどくれないだろう。
「お姉様……!」
白井の顔に生気が戻る。
白井は自分の中で腐りはじめていた何かが、急速に蘇生していくのを感じた。
救えないところまで堕ちた自分に誇りが戻ってくるのを、明確に確信した。
- 502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/15(木) 22:07:16.61 ID:DxSflK0bo
自分は強くなかった。むしろ弱かった。
だが、
(お姉様とて、決して弱さがないわけではありません。いえむしろ、弱さを知っているからこそ、お姉様は、敬愛すべき優しさと強さを持っているんですの)
視線の先で、美琴を追い掛けていた子供が、盛大に転び、これまた盛大に泣きはじめた。
美琴は心配そうな顔でその子供――男の子だ――を抱え上げ、ベンチに座らせる。周囲に、心配そうな顔をした他の子供が集まった。
ベンチに座っても泣きじゃくるその子供の前に膝をついて屈み、美琴は努めて苦笑を浮かべ、「男の子がその程度で泣くもんじゃない」とでも言うように、そしてどこかの誰かを彷彿させる仕種で、男の子の頭を撫でる。
(弱かったからと言って、それだけでお姉様の前に立てないなどと、それこそお姉様への侮辱ですの! 御坂美琴を、見損なうんじゃありませんのよ白井黒子!)
久しく忘れていた活力が胸の中から沸き上がるのを感じ、頬が笑みを形作った。
俯いている場合ではない。
一度折れたからと言って、それがなんだというのか。ただ一度の失敗ですべてを諦めるのは、明らかに間違っていることだ。
自分の中にある、護りたいという想い。それを信じられないようでは、それこそ何を信じればいいのか。
白井は、己の中にある何かを取り戻した。そう思って、笑うことができた。
そしてそれは、
- 503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/15(木) 22:07:43.16 ID:DxSflK0bo
しかし、ただの幻想でしかなかった。
- 504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/15(木) 22:08:28.41 ID:DxSflK0bo
傷を確認しようとしたのか、美琴が男の子の頭を撫でるのをやめて、血の滲む膝に顔を寄せる。
その光景を見た瞬間。
「っ!?」
ゾクリ、と白井の背筋に何かが走った。
ベンチに座った年端のいかない少年。
その前にひざまづき、膝に手をかける美琴。
それはまさに。
いつもホテルでの『拡張』を終えた後に見ている、奉仕する直前の少女のようで。
- 505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/03/15(木) 22:09:23.23 ID:DxSflK0bo
白井の姿が掻き消えた。
視界の端にあったコーポの屋上に転移し、そこからさらにテレポートする。
周りのことを気にしていられない。
自分に繋がる確率を少しでも減らすという、そんな思考は働かない。
ただ一刻も早く、その場を離れたかった。一瞬でも早く、その光景から目を背けたかった。
しかし、自身が可能な最大速度で公園から離れても、白井は逃れられなかった。
自身が纏っている私服の下で。
興奮で固くなった乳首が、ブラジャーを僅かに押し上げていたのだから。
堪えることを忘れた秘裂が、下着を肌に張り付かせてしまっていたのだから。
いや、それよりも何よりも。
ほぼ衝動的な空間移動であったにも関わらず、到着した場所が――白井の無意識が選択した場所が、誰にも見られず、誰にも知られず、欲望を掻き捨てることのできる、いつものホテルだったのだから。
- 520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:36:47.98 ID:+APUuW9Zo
ガチャリ、と部屋のドアが開いたのは、午後1時を少し回った時刻だった。
「?」
入って一歩。そこで彼は僅かに首をかしげた。
いつもであれば廊下に立ってこちらを振り向く白井の姿が、そこにはない。
「白井?」
呼び掛けながら数歩進む。
短い廊下を抜け、壁の曲がり角の陰から覗き込めば予想通り。
「……」
白井は背中を向ける形で、ベッドに腰掛けていた。
だが、様子がおかしい。
いや様子というよりも、一目見ていつもの彼女ではなかった。
「珍しいな。シャワー浴びて待ってるなんて」
白井は、バスタオルを体に巻いただけで、そこにいた。
ウェーブのかかった髪はしっとりと濡れており、うなじも、肩も、そして彼の立ち位置からはよく見えない両脚も、汗とも湯の名残ともつかない湿り気を帯びている。
「……」
呼び掛けられても白井は無言。
揃えた太もも――そこにタオルを挟み込むことで出来た溝に両手を置いた姿勢で、身じろぎひとつしない。
- 521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:37:39.61 ID:+APUuW9Zo
「でもどうしたんだ? 別に雨が降ったわけじゃないし、なんかあったのか? ……もしかして、風紀委員の仕事かなんかか?」
僅かに心配の色を帯びた彼の声色。
「……」
ぴくっ、と白井の肩が動く。
「まぁ、お前が負ける相手なんかほとんどいないと思うけど、気をつけろよ? なんかあってからじゃ遅いんだからさ」
「……」
「?」
「……」
「白井? どうしたんだ? やっぱりどっか、怪我でも「どうしてですの?」
白井が背を向けたまま、彼の言葉を遮った。
「え?」
彼が聞き返す。
それに返ってきたのは、平坦な声だ。
「……どうして、そんなことをおっしゃるんですの? どうして貴方がわたくしの心配なんてなさるんですの?」
「なんで、ってそりゃ」
彼は軽く驚いた表情を浮かべた後、ガリガリと頭を掻いた。
「誰だって知り合いの様子がおかしけりゃ心配くらいするだろ。そいつのこと、嫌っているんなら別だろうけどさ」
- 522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:38:23.28 ID:+APUuW9Zo
「……」
彼の言葉に、白井は無言。
だがよく見れば、先程一度だけ震えた肩が、いつの間にか小刻みに揺れ始めていた。膝の上に置かれた両手も、ぎゅっ、と握り締められている。
数秒。
「……ですの」
ポツリと、小さな声が響いた。
「?」
「……ないですの」
「白井?」
一歩、彼がその背中に近づいた。
瞬間。
「……ふざっけんじゃないですのっ!」
怒気ととも叫び、白井が立ち上がった。
唐突かつ激しい動きについていけなかったバスタオルが身体から離れる。
一糸纏わぬ姿が見えたのはほんの一瞬。
振り返りながら跳ね上がった彼女の左手がタオルを掴んだ。
はためいた黄色の布が視界一杯に広がり、彼と白井との壁となる。
- 523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:39:31.36 ID:+APUuW9Zo
「!」
彼が反射的に腰を落とし、右手を構えた。
同時にタオルのど真ん中が何かで突かれたように紡錘形となって彼の顔に迫った。
拳。
それを認識した瞬間、彼は背後にバックステップ。
届かなかったタオルは白井の腕が伸びきると、バサリとはためいて壁に張り付き、床に落ちた。
「どの口が心配などとおっしゃりますの!」
裸身を隠そうともせず、白井が前に跳ぶ。
ステップ直後で体勢の整いきらない彼に肉薄し、身体に染み付いたコンビネーションを放った。
拳、蹴り、フェイントを織り交ぜた鋭い連撃が彼を襲う。
「!」
短く狭い廊下。回避はできない。
数発の手応えが白井の拳に、脚に響いた。
- 524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:40:52.98 ID:+APUuW9Zo
だが駄目だ。舌打ちする白井。
彼女の攻撃は確かにヒットしたが、それはすべて『当たっても当たらなくてもよい』攻撃だけだ。それらの中に隠しこんだダメージとなる打撃は、すべて防がれてしまっている。
逆に最低限の動きしかしていない彼は、その間に体制を整えていた。
今度は彼が一足で接近する。
「くっ」
白井の姿が掻き消え、ほぼ同時にベッドの上――置き時計や性具の置かれたベッド枕側に出現した。
「貴方さえいなければこんなことにはなりませんでしたのに!」
白井はそれら備え付けてある物品をビンタするようにして片端から空間転移。
すべて無くなってしまうと、今度はテレビのある位置にテレポートして、同様に転移させた。
行き先はすべて彼。
彼の頭、心臓、頚椎――即死する急所だ。
「甘ぇ!」
しかし身体を調度品が破壊するより早く、彼は右手を前面で×字に振り回した。
その軌跡上から突如、置き時計が、性具が、そして最後にガチャンとテレビが床に落ちる。
空間移動能力は、空間を無視しているのではない。
11次元を移動させることで、3次元の制約に囚われないようにしているだけだ。
その別次元を移動中の物体に右手が触れたことで、転移が解除されたのである。
- 525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:42:03.73 ID:+APUuW9Zo
「!?」
予想外のことに目を見開く白井。
打撃も能力も防がれた白井は、思考が空転し、次に何をすればいいのか一瞬だけ判断できない。
攻撃か、防御か。
いやそもそも、衝動的に動いた彼女は、まず己の行動と結果を認識する努力で精一杯だったのだ。
動けなかった。
それが命取り。
彼が跳躍。
テレビの残骸を踏み越え、さらに床を蹴り、彼が接近する。
そして彼が目の前に。
「――!」
「っらあっ!」
白井が身構える暇もなく、能力を打ち消す右手が水平に打ち振るわれ、その円を描く軌道上で白井の顎先を僅かに掠めた。
「!?」
一瞬で白井の目の前が真っ暗になる。
脳を急速に揺さぶられた彼女は、ただそれだけで床に崩れ落ちた。
- 526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:42:56.32 ID:+APUuW9Zo
最初はゆっくりと浮き上がるような感覚。
「ん……」
まず思ったのは、やけに苦しい、ということ。
体勢がおかしいせいだ。
仰向けの状態だということはわかった。
しかし 両膝は曲げられて胸につくかというくらいまで引き寄せられている。
それだけではなく、両腕は伸ばされて手首がそれぞれの足首に触れていた。
苦しさから腕を曲げようと、なぜか動かせない。
(わた……くし……?)
体勢の苦しさと動かせない不思議さにうっすらと目を開くと、一本の棒のようなものに括りつけられた両手首と両足首が見えた。
「……?」
それがなんなのかわからず、視線をさ迷わせる白井。
脚、腕、身体。
見えるのは、素肌。
全裸である自分。
それを把握しつつふと視線を真正面に向けた。
- 527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:43:40.80 ID:+APUuW9Zo
「!」
そこに映った――天井は鏡張りに加工されている――己の姿を見た瞬間、白井の意識は急速に覚醒した。
M字開脚。
俗にそう言われている格好に、拘束されている。
ベッドの下端ぎりぎりに、荷物のように留め置かれていた。
「な、なんですの!?」
背を伸ばそうとするが、それも無理だ。
標準よりも小さな体格とは言え、手首と足首が同じ直線上に――しかも手首に揃えて――あれば、背中が丸まってしまうのは道理である。
反射的に手首と接している棒を転移させようとするが、能力がまったく働かない。
その原因は簡単だった。
「お、目が覚めたか?」
軽い調子で声をかけてきた彼の右手が、肩に触れている。
「貴方っ……!」
「おっと、動くなよ白井。まぁ、動けないと思うけどさ」
「くっ」
ギチッ、と革の擦れる音がする。
棒と両手足首は単純に縄で留められているわけではなかった。
頑丈な革製の輪を持つリストバンド、アンクルバンドと、おそらくそれらと対になるように設計された専用の棒。
決して身動きが取れないように、しかし被拘束者が多少抵抗しても怪我をさせないように設計された器具だ。白井の腕力で解けるようなものではなかった。大の大人でも無理だろう。
- 528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:44:46.16 ID:+APUuW9Zo
「それよりも、さっきはどうしたんだ? 飛んできた物とか、ちょっとどころじゃないくらい危なかったんだけど」
「!」
ギクリ、と白井が震えた。
「あ、あれは……」
釈明しようとするが、言葉が続かない。
徹頭徹尾衝動的な行動だったのだ。ただただ自分が情けなくて、憎らしくて、惨めで。
そんなところに、その元凶からの予想外の言葉をかけられた。
なんでこんなことにんっていると思ってるのだ。
こんなことになったのは誰のせいだ。
誰が自分を、こんな風にしたのだ。
彼からの心配は己の境遇をはっきりと知らしめるとともに、そうなったことへの罪悪感がないということを明確に語っていた。
自分に絶望した白井は、もう虚ろな精神に浮かび上がった感情を止めることができなかったのである。
どうしよう彼を怒らせた。どうしよう約束を反古にした。どうしようこれでもし美琴の身に危険が迫ったら……ここまで堕落した意味は、なんだったのだろう。
白井の表情が恐怖に青くなり、唇が小刻みに震える。
言い訳をしようとするが、声がでない。なんとか彼の怒りを納めようとするが、言葉を創ることができなかった。
だが、そんな白井に向けて彼は、
「まぁ、いいんだけどな」
と、言った。
- 529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:45:52.39 ID:+APUuW9Zo
「え……」
呆気にとられる白井に苦笑し、彼は続ける。
「お前との約束は、お前を好きにする代わりに美琴に手を出さないってだけだろ? お前が俺の要求以外のことで何しても、約束とは関係ない。もっとも、」
彼はそこで間を溜めるように一息置いた。
楽しげな視線が、怯えに陰る白井を映す。
「俺に何かあったら――お前が俺を殺したら、美琴が哀しむはずなんだけどな」
「っ!」
ギクリ、と再び白井の顔が強張った。
「いやいや、安心しろよ。べつに約束が反古だ、なんて言うつもりはねぇよ。いま言ったろ? 約束と今日のお前の行動は無関係だって。俺が言いたいのは、もっと別のことだ」
「……」
沈黙する白井。
彼が何を言いたいのか、わからない。
「わかるか? わからないだろ? 教えてやるよ、白井」
笑う彼は動けない白井の前髪を掴み、「ひっ」顔を上向かせ、その瞳を覗き込んだ。
そして告げる。
「お前はもう、美琴のことなんかどうでもいいんだよ」
「!」
- 530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:46:57.16 ID:+APUuW9Zo
「お前は俺を殺したかった。そして実際殺そうとした。さっきの転移とか、おもいっきり急所だったろ? それも即死コースの」
「ち、ちが「ははっ」
白井の必死の抗弁を、彼の笑い声が遮る。
「じゃあ美琴の顔を見てるつもりで言ってみてくれ。『わたくしはお姉様のために殺そうとしたんですの』みたいな台詞を」
「っっっ!」
ギリッと音がしたかのように白井の顔が強張った。
美琴のため。
その言葉が、とてつもない罪悪感をもって胸をえぐる。
「結局お前は、美琴を見捨てたんだろ? 俺が死んで哀しむ美琴を見捨てたってことだよな?」
- 531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:48:06.30 ID:+APUuW9Zo
――そんなことありません、見捨ててなんて
「美琴が大事だから。あいつを護るためなら。今のお前はそう思うことで、自分の本心から目を逸らしてたんだよ」
――違いますの、ソンナわけがナイですの
「確かに最初は美琴ためだった。最初は、お前は間違いなく美琴のために犠牲になってたよ。俺が認めてやる。でも、」
――駄目、ソレ以上言わないで
「今はどうだ? 美琴のため? 違うだろ? 違うよな? お前はもうそんなこと考えてない」
――イヤ、聞カセナイデ
「お前が言葉にできないなら、俺が代わりに言ってやるよ」
――ヤメテ
「……」
そこで彼が言葉をとめた。
そのまま、すっ、と白井の耳元に唇を寄せる。
- 532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:49:14.54 ID:+APUuW9Zo
「お前は美琴のためなんかじゃない。お前は、白井黒子は今、美琴の『せい』で俺を殺そうとしたんだよ。」
- 533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:50:16.44 ID:+APUuW9Zo
「ぅぁ……」
喉の奥から漏れたのは、小さな小さな呻き声。
しかしそれに篭められたのは、真っ黒な絶望だ。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
沈黙が数秒、横たわる。
やがてゼンマイ仕掛けの人形のように、白井の目がゆっくりと彼に向き、
「……」
彼が、それを微苦笑とともに見返した。
視線が合う。
それが合図となって、
「違いますのっ!」
白井が絶叫した。
「そんなはずありませんの!」
目を閉じ、
「絶対に違います!」
首を振り、
「わたくしがっ、このわたくしがっ!」
拘束された手足に力を篭め、
「お姉様をっ、そんなことありませんのよっ!」
塞げない耳の代わりに声で彼の発言を掻き消そうと言うのか、全力で叫ぶ。
- 534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:51:27.68 ID:+APUuW9Zo
だが無駄だ。
目を閉じても、うかんでくるのは公園で見た美琴――子供への奉仕の幻想。
首を振っても、それは瞼の裏から消えてくれず。
手足を動かそうにも、革製の器具はミシミシと音をたてるだけでまったく緩む様子はない。
声をあげても、いちど耳に響いた言葉は記憶に残る。
「違いますのよぉっ! わたくしっ! わたくしっ!」
もう白井は自分が何を言っているのかもわからない。
しかし――白井にはそんなことどうでもよかった。
叫び、暴れ、喚き、当たり散らす。
それら一瞬一瞬に縋り付かなければ、全てがバラバラに壊れそうだった。
彼女はいま、ただ己を保つだけで精一杯。精一杯であることに気がつくだけの余裕もない。
だから気がつかなかった。
彼の右手が髪を放し、彼がベッドから降りたことにも。
ベッドに寄り添うように床に置かれたタライにも。
そのタライの隣に転がっている、大人の腕ほどの太さのある浣腸器を彼が取り上げ、その先端を白井の剥き出しの尻に向けたことにも。
- 535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:52:38.51 ID:+APUuW9Zo
「ありえませんのっ! お姉様のせいだなんてっ、わたくしがそんなことを思うわけが…はうっ!?」
肛門から響いた衝撃に白井の声が止まる。
何が起こったのかは、視線を向ける必要がない。
天井は鏡張りだ。驚きに見開いた目が、そこに映った彼の行動をすぐに捉えた。
彼が顔を上げた。天井を見た彼の目が、鏡越しに白井の目と合った。
口元の笑み。
突きこまれた浣腸器のシリンダーを、彼の手がゆっくりと、押し込んでいく。
「あっ!? ああっ!? あああっ!?」
響く白井の声には戸惑いの色。
今まで何度も経験した――そしてつい数時間前に洗浄したときにも感じた――薬液が入ってくる感触だが、今日のそれは今までとは異なり、液と表現するには粘度が高かった。
ずるり、ずるり、とゼリーのような何かが腸内を逆行する。
彼の右手がシリンダーを完全に押し込んだ。
中身がすべて白井の腹に収まったのを確認し、一息に抜く。
- 536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:53:42.41 ID:+APUuW9Zo
「はあっ!? なっ、あっ、ひぐぅっ!?」
しかし彼はすぐに、もう一本床に置かれていた浣腸器を取り、同じように先端を突きこんだ。
「あがっ!? うああっ! ああああっ! やめてくださいましっ! 無理っ! もう無理ですのっ! もう限界っ……!」
白井が目を見開き、口をパクパクと開閉させる。
二本目はもう、腸に収まるという量ではなく、そして粘液はそう簡単に奥まで滑り込まない。
結果として、白井の腹は、二本目のシリンダーが押されるに従って、徐々に膨らんでいった。
「なっ、かっ、ひっ」
十数秒。
シリンダーは無慈悲に動き、中身が全て収まった。
「抜くぞ白井」
「待っ、そんなっ、こんなっ……!」
白井が天井を見ながら切れ切れの声を出す。
それを意に介することなく器具をゆっくりと引き抜く彼。
ツルン、と抜け出た先端と肛門の間で、薬液のゼリーが糸を引く。
- 537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:54:40.70 ID:+APUuW9Zo
「……よし、じゃあ白井。ちょっとしたゲームをしよう」
彼は用済みになった浣腸器を床に置き、空いた右手を白井の膨れた腹の上に置いた。
同時に、グルルル、と腸内で音がする。
限界以上に異物を投入された腸は、もうすでにそれらを排斥しようと動き出していた。
「ひぃっ!」
ぞっとするような悪寒が白井の全身に回り、一気に血の気が引いた。
生理的な排泄欲求により悪寒だけではない。
手足を縛られ、彼の右手に触れられた自分。
この段階ですでに、全力で肛門を締めて置かなければ、すぐにでも出ていきそうな腸の中身。
ベッドの下端に転がった自分の尻の真下に設置されたタライ。
それが何を意味しているかは、明白だった。
いくら洗浄していようが、どうだろうが関係がない。今まで何度も動画を送っているが、それは排泄した後の拡張シーンと、その後始末の自慰行為だけだ。
『出す』ところは、誰にも見せていない。いや、見せてはいけない。
(うそ、ですのよね……そんな……まさか……)
声を出すだけの余裕もなく、鏡に映った光景を目にしながら、それでも白井は一縷の希望を模索する。
何かの間違いではないのか。
これはただの脅しで、すぐに拘束を解いてくれる――あるいは、右手をどけてくれるのではないか。
白井はさっきまでの己の狂乱も忘れ、縋るような瞳を彼に向けた。
いまの彼女の中には、美琴のことは浮かんでいない。美琴のことで己を見失いかけていた思考は、どこにもなかった。
- 538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:55:43.55 ID:+APUuW9Zo
無理もない。
『御坂美琴を敬愛する白井黒子』のそもそもの根幹。『白井黒子』自身の、尊厳の危機。
そんなところを誰かに見られてしまったら、もう駄目だ。
白井が人間として最低限持っていたかったモノが、なくなってしまう。
「……」
少女の視線を受け止め、彼がゆっくりとその腹を撫でた。
「いまさっき、お前は美琴を見捨てない、って言ってたよな? だから試してやるよ」
しかし放たれた言葉は、最悪の形で白井の耳に届くことになる。
「ルールは簡単」
ぴ、と彼は左手人差し指を立てた。
「美琴を好きにしていい、と一言言えば、オレはこの右手をどかせてやるよ」
「!?」
「能力が回復すれば、拘束具を転移させることが出来る」
グルグル、と腹がなった。
「いや、この部屋のトイレの位置はわかってるんだから、直接そこにテレポートしたっていいすればいい」
悪寒に、カチカチ、と白井の歯が音をたて始める。
「どうしても無理なら、それこそ腸のなかにあるものだけを便器に飛ばせばいいんだ」
恐怖に、ブルブルと白井の肩が震えはじめた。
- 539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/03(火) 23:57:12.35 ID:+APUuW9Zo
「簡単なゲームだろ?」
彼が目を細めて、笑う。
「美琴を護りたいんなら、お前が漏らせばいいんだよ。ここで、この中身をな
彼の手が、もう一度腹を撫でた。」
その言葉と手の感触に、淡い希望という幻想が打ち消されたのか。
「いっ、」
ギシ、と革の軋む音とともに、
「いやっ! いやっ! いやっ! いやあああああっ!」
白井の悲痛な叫びが、部屋に響き渡った。
- 547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 14:45:05.98 ID:uqUH6D8no
「嫌です! 絶対に嫌ですのっ!」
白井が半狂乱になって叫ぶ。
必死に拘束具から逃れようと暴れる勢いは、さきほどまでとは較べものにならない。
リストバンドとアンクルバンド、それに棒とを結ぶ革が、軋むというよりも悲鳴をあげているような音をたてていた。
「トイレに行かせてくださいまし! 右手をどけてくださいまし!」
しかしそれでも、身体は自由になってくれない。演算を組み立てても、能力は応えてくれない。
「……」
それを無言で見下ろす彼。
絶対的な優位と余裕の表情は、膨れた腹をゆっくりと撫でる手の動きと連動して、いっそ優しげにも見えた。
この男は、許すつもりはない。
そう確信した白井の背筋を肉体的なものと精神的なものの、双方による悪寒が貫き、脂汗がどっと噴出した。
「お願いですの! なんでもします! 舐めろと言われればどこでも舐めますの! お尻を差し出せというのなら、どんなに犯しても構いません! 純潔を捧げろと言うのならお好きになさってください!」
一息に、唾を飛ばすことも気にせず白井が言葉を重ねる。
「だからお願いしますの! トイレに行かせてくださいまし!」
「何言ってんだよ白井」
彼は苦笑。
「なんでも、なんかする必要はないって。言ったろ? 『美琴を好きにしろ』って一言でいいんだよ」
ぐっ、と彼の右人差し指が、幼児のように膨れた腹を押した。
- 548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 14:45:48.71 ID:uqUH6D8no
「ああっ!」
ガクン、と白井が顎を上げた。
白い首筋が数瞬、小刻みに震え、
「だ、だめですのっ! やめてくださいましっ! 出てしまいますの!」
「おいおい、こんなのでもう駄目なのか? 早いとこギブアップしないと、本気で間に合わなくなるぜ?」
彼の言葉を証明するように、白井は己の恥ずべき窄まりがヒクヒクと震えているのを感じていた。
力を抜いた瞬間に、すべて出てしまいそうだ。
「っ!!!」
間に合わない。
その言葉が、いよいよ現実的な事実として白井に圧し掛かってくる。
しかしソコを締めているのはボルトやネジではなく、括約筋という筋肉だ。
常に力をいれていても、息継ぎのように力が抜ける瞬間がある。
締める、勝手に抜ける、締める、勝手に抜ける。
それは我慢でありながら、腸の蠕動を誘発してしまう。
確実に、破滅への階段をあがっていた。
「い、いやですのぉ……! 許して……許してくださいまし……! トイレに……右手を……お願いですのぉ……」
徐々に白井の声と身じろぎが弱まっていく。
諦めたわけではない。
自分で暴れた衝撃ですらも、己を追いつける要素になってしまっているのだ。
- 549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 14:47:07.66 ID:uqUH6D8no
「ひあああ……だめぇ……もう……もう……」
奥歯を食いしばり、息継ぎのように声を漏らしながら白井は必死に耐える。
半狂乱だったときとは違う、理性のある懇願。
痛みで気を失うことができれば、いっそ楽かもしれない。絶望で気が触れたのならば、むしろ幸せなのかもしれない。
だが腹部から立ち上がる苦痛と、そして何よりも白井自身の強靭な精神力は、それを許してくれなかった。
彼女は彼女のまま、追い詰められていく。
「いやぁ……そんなの……そんなところを見られたら……わたくしはもう……」
諦められない。
いやだ。
絶対にそれだけは。
我慢しなければならない。
乏しくなった自分の誇りを護るために。
しかし同時に白井は、この我慢が絶対に長続きしないということも自覚していた。
いくら人為的原因とはいえ、生理現象だ。永遠に我慢することはできない。遠からず限界がくる。
もしも漏らしてしまったら。
もしも彼に全部見られてしまったら。
きっと『白井黒子』は完全に屈服してしまう。彼に逆らうことができなくなってしまう。
そんな確信に近い予感が、白井の中にあった。
- 550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 14:48:07.69 ID:uqUH6D8no
それを防ぐ手段はただひとつ。
美琴を見捨てるしかない。
自分可愛さに、美琴を彼に売り渡すしかないのだ。
売るのか?
いやだ。
もらすのか?
いやだ。
「あぁぁぁ……あああぁぁぁぁ……」
ガリガリと己が削れていく。
ゴリゴリと最後の誇りが小さくなっていく。
そうして出来た隙間は瞬く間に黒い染みが埋めつくし、そして白井に囁いてくる。
もう諦めよう。もう諦めたい。
自分はここまでよく頑張った。これ以上頑張れなんて誰も言わないはずだ。
誰が聞いても、絶対に同情してくれる。誰に言っても、情けないだなんて思われない。
- 551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 14:48:55.97 ID:uqUH6D8no
いやそもそも――言わなければ誰にもばれないのだ。
いままでだって、誰にもばれていなかったのだ。
ばれないのだ。
周りにも。
初春にも。
佐天にも。
美琴にも。
ばれるのはただ一人。
目の前にいる、彼に、だけ。
唇を奪われ、肛門を犯され、自慰を見られた相手に、これ以上何を隠すというのだ。
だから諦めよう。
彼にだけ情けない自分を曝け出せば、自分は護れるのだ。
たった一言だ。
言ってしまおう。
言おう。
「あぁぁぁぁ……いやぁ……いやぁ……」
弱々しく首を振る白井。
心の声に、もはや言い返すことすらできない。
彼女はもはや幼子のように、聞きたくないことをただ拒絶することしかできなかった。
- 552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 14:49:46.73 ID:uqUH6D8no
「……」
彼は何も言わない。
促すことも、諭すことも、貶めることもない。
ただ待っている。
「ふあっ、ひぐっ、うぅぅぅぅ……ううぅ、でちゃいますっ、もれちゃいますっ、ひぐぅ……!」
ついに白井の瞳に泪が浮かび、上擦った声が吐き出された。
「お願いです……お願い、ひくっ、しますのぉ……もう虐めないでください……ひぅ、ぐすっ……黒子が悪い子でしたから……良い子になりますからぁ……ひぅぅ……ひぅぅぅぅ……」
歯を食いしばった白井の頬を泪が流れていく。
白井は己の肛門が、ぽっこりと膨らんでいるのを感じた。おぞましい最期が、もうすぐそこまで来ているのだ。
そして。
グルルル
苦痛と絶望の中で、それでも抵抗をしていた白井の腹は、己が主の意思を完全に裏切って声をあげた。
「!」
白井が泪で濡れた目を見開いた。
今までの音とは異なったのは、その音が、腸の動く感触とともに生々しく背筋に響いたこと。
- 553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 14:51:02.17 ID:uqUH6D8no
「――っ」
白井が小さく息を呑み、
「ああああっ! だめっ! だめっ! だめっ! だめっ! だめぇっ!」
不意に叫びはじめた。
己の我慢の限界も無視した叫びとともに、強く、強く首を振る。
「はうっ、ひあっ、はぁ、ぁ、ひぅぅ……ううう、ううぅぅぅぅ……」
しかしその叫びもすぐに途切れた。
細く、ゆるく息を吐く白井。叫ぶことすら、いや、呼吸で肺が膨らむことすら耐えられない。
目の前が白く、心は黒く染まっていく。
もう、本当に駄目だ。
もうこれ以上がまんできない。
もう漏れてしまう。見られてしまう。
なんでこんなことになったのだ。
なんでこんなに苦しんでいるのだ。
どうすれば、この絶望から逃れられるのか。
真っ白になった精神の中、ただこの苦痛と絶望から逃れたかった白井の耳に。
声が響いた。
- 554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 14:52:03.58 ID:uqUH6D8no
――美琴を好きにしていい、と一言言えば、オレはこの右手をどかせてやるよ
- 555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 14:53:05.51 ID:uqUH6D8no
「ぁ……」
パキッ、と白井は、己の中で決定的に何かが折れた音を聞いた。
絶望が心を全て飲み込んでくのを感じた。
「っ、っ、っ……」
白井の口が、一度それを言いかけて、すぐに躊躇い、しかし再び口は動き。
「お、お姉様を」
ポロリ、と瞳から泪を零し、白井はついに、その一言を言った。
「……お姉様を貴方のお好きになさってください」
「……」
「……」
一瞬の沈黙
「……はははっ」
彼が笑った。
「あぁぁ……言いました……言いましたのぉ……だから早く右手をどかせてくださいまし……お願いですのぉ……」
彼の笑いが何を意味しているのかを理解しながら、それでも白井は懇願した。
自分を助けてくれ、と。
そんな彼女の目を彼は覗き込む。
- 556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 14:54:09.69 ID:uqUH6D8no
「いいのか白井。本当に、美琴のことはもういいのか?」
かみ締めるような問いに、白井は即座に頷いた。
「はい……もういいですの……もう諦めましたのぉ……ですから、わたくしを、もう、許してください……」
「ははっ」
彼はもう一度笑ってから、
「ああ、いいぜ」
頷き、白井に負担がかからないようすっ、と右手を浮かせた。
「ぁ……」
その途端、自分の中で空回りしていた能力演算が明確に像を結んだ感覚を白井は得た。
その瞳と心に、微かな希望が浮かぶ。
いける。大丈夫。まだ間に合う。
最後の力を振り絞り、白井は能力を使って己を転移させようと――その直前。
グルルル……
「あっ!?」
腹が鳴り、今まででもっとも強い痛みが、白井を貫いた。
- 557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 14:55:43.41 ID:uqUH6D8no
額に浮かんだ脂汗の玉が、一気に大きくなる
「はっ、あうっ、ああっ!?」
さらに白井はビクリと痙攣した。
肛門がヒクヒクと蠢いたのを感じた。
細身ながらも柔らかさを湛えていた身体はいま、全力を振り絞ってカチカチに固まっていた。
そこまでの力をもって制御していたはずの肛門の筋肉がいま、白井の制御を離れて痙攣したのだ。
「だめっ、だめっ、まってっ、とまってっ」
もう後は跳ぶだけだった演算は、一気に0へと戻ってしまった。
己を汚してまで 色々なものを失ってまで護ろうとした美琴を売り渡し。
その美琴を敬愛する自分自身をかなぐり捨てて。
そこまでして護ろうとした『白井黒子』を救うための演算式が、消えてしまった。
極限まで高まった排泄欲求が、演算を霧散させてしまった。
「そんなっ、そんなのっ、待ってくださいまし、そんなっ」
白井が叫ぶ。
手足を拘束する革が、ミチリ、と鳴いた。
そして、その後に。
小さく、小さな音が響いた。
それは腸内で暴れていたゼリーが、肛門をこじ開ける音だ。
- 558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 14:57:09.20 ID:uqUH6D8no
「あ……」
その瞬間、白井の顔から、いっさいの表情が失せた。
失望、絶望、諦観。
美琴を売ったのに。
誇りを捨てたのに。
全てを諦めたのに。
「もう、だめですの」
ポツリ、と白井が呟いた。
泪に濡れた瞳に瞼で蓋をして、食いしばっていた歯から力を抜き、最後まで残っていた『白井黒子』を脱ぎ捨てたその表情は、あたかも天使か何かのように、透明で、美しく、はかなくて――
一拍。
そして、己の肛門がたてた汚濁そのものの音を聞いた白井は、
「いやあああああああああああああああああああああああああああああああ!」
一瞬でその神々しさを絶望に染めて全力で絶叫し、
「いやっ! いやっ! いやっ! いやあああああああっ! いやあああああああああっ!!!」
そこで、プツン、と意識を失った。
- 559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 14:58:07.47 ID:uqUH6D8no
再び意識を取り戻した白井が最初に感じたのは、頭を撫でてくる手の感触だった。
「んぅ……」
ゆっくりと、労るように髪を梳く指の動きは存外にここちよくて、思わず、額を押し付けるように、小さく頭を動かしてしまう。
「起きたのか?」
「ぇ……」
不意に響いた声に、白井が間の抜けた声を出した。
撫でていた手が、ゆっくりとどかされる。
「大丈夫か? 手とか脚とか、痛くないか?」
僅かに心配そうな色をもって覗き込んでくる彼。
「ぁ……ぇ……わた、くし……?」
一瞬、ここがどこで、なにがどうなっているのかわからなくなる。
「ああ、安心しろよ。ここ、さっきと違う部屋だから。荷物とかはチェックアウトするときにフロントで渡して貰えるように言ってるし」
「え、あの……? え、と……」
「身体の方も、シャワーで綺麗にしといたからさ。まぁお前、完全に寝てたから、俺がやったんだけど」
「その、え、シャワーって……なぜ、その、わたくし……今はまだ寮にいたはずでは……」
「ほ、本当に大丈夫か? さっき漏らした拍子に記憶まで出てったんじゃあ……」
「え……」
呆けた表情を浮かべる白井。
一瞬後、
「っ!」
その顔が一気に強張り、青ざめる。
思い出した。
- 560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 14:59:12.54 ID:uqUH6D8no
「わたくし……わたくし……」
ガクガクと白井の身体が震え始める。
瞳からあらゆる意思が、表情からあらゆる意志が失せていく。
美琴を売った。
なのに結局、自分を護れなかった。
漏らした。
人間として持っていたかったものを亡くしてしまった。
「あ……あ……あ……」
目の前が真っ暗になった。頭の中はグルグルと廻るような錯覚。
掻きむしりたくなるほどの哀しみが胸を塞ぎ、しかしどういうわけか頬は笑みを形作ろうとする。
「あは……あはは……」
自分が壊れていく。
ボロボロと、笑い顔の中で泪が零れるたびに『白井黒子』がなくなっていく。
だらりと手足が弛緩し、肺はひとりでに大きく息を吸い込んだ。
最期の叫びの準備だと、千々に砕けた理性が自覚させた。
この息を悲鳴と否定に変えれば、すべて終わり。
『白井黒子』はもう消え去る。
壊れた精神は、二度と彼女を元に戻さないだろう。
しかし――。
- 561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 15:00:13.20 ID:uqUH6D8no
-
「白井」
白井の精神が崩壊を告げるよりも一瞬早く、さらりと、彼の右手が泪を一滴掬い上げた。
そして、思いもしなかった声が降りてくる。
「今までよくがんばったよな。えらいよ、お前は」
言葉とともに、叫びの発生源である少女の唇に、ふわりと彼のそれが重なった。
「!」
包み込むような、柔らかく、温かい接吻。
舌を絡めることもなく、ただ重なっただけのキスだ。
(ぁ……)
しかしそれは、もう発狂するだけしかなかった、疵だらけで皹だらけの『白井黒子』にとって、すがりつくのに十分な優しさを持っていた。
自分から全てを奪った憎むべき相手。
にも関わらず、白井はもう彼にすがりつくしかなかった。彼がかけてくれた言葉と口づけが甘い毒だとわかっていても、それを否定することができなかった。
すべてが凍りような冷たい心の中、白井は必死にその温もりにしがみ付いた。
- 562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 15:01:19.37 ID:uqUH6D8no
「んんっ」
彼の唇を自ら追い掛ける白井。
両手で彼の頭を掻き抱き、深く、深く口づける。
目を閉じると、間近で感じるのは彼の体温と、彼の鼓動。
ポロポロと、さきほどまでとは異なる理由で泪が零れはじめる。
(もうだめですの……全部見られてしまった……全部知られてしまった……もうわたくしは、この人のものになるしかありませんの……こんなわたくしを知って、それでも褒めてくださるこの方しか、もう残されていませんの……)
閉じた目の端から、零れる泪は止まらない。
それは今までのような、絶望の泪ではなかった。
そこに篭められているのは、圧倒的な安堵。
その泪の珠が頬を滑り落ち、襟足を濡らし、シーツに次々と吸い込まれていく。
「……」
彼の右手が、優しく首筋を撫でる。
その感触に紛れも無い安らぎを感じながら、白井はゆっくりと唇を離した。
そして彼を見上げる。
間近にある彼の顔。その向こうの鏡張りの天井に映るのは、全裸でベッドに転がる自分と、その自分に腕枕をしている服を着たままの彼。
それはまるで、恋人との情事の前のよう。
んくっ、と唾を飲み込む白井。
それから、
「お願いですの……」
呟くように言いながら、白井は胸の中から彼の顔を見上げた。
- 563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 15:02:38.64 ID:uqUH6D8no
ゆっくりと、両脚を開いていく。
膝を曲げ、膝の裏にそれぞれ両手を入れて、しかし視線は彼を見たまま。
「……」
彼は動かない。何も言ってくれない。
しかし白井は構わない。
さきほど拘束されていたときと同じ格好を自らとりながら、白井は言葉を続けた。
「わたくしを、犯してください……」
「……」
白井はもう一度唾液を飲み込んでから、言葉を続ける。
「わたくしの純血を散らしてください……」
最後に残された清らかな部分を自ら晒しながら、獣が服従するポーズで、白井は、いままで一度も言わなかった呼称をもって、彼に告げた。
「わたくしを、上条さんのモノにしてくださいまし……」
- 564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/11(水) 15:08:14.48 ID:uqUH6D8no
ようやく完堕ち! 長かった! というか、ここまでの表現方法がなくなってて繰り返しになって書いてるこっちが「この表現多いぞなもし」とか思ってた!
個人的にはやっぱし調教系は長いこと苦しんで、最後は一気に、が王道だと思うのですよ。
あるいは徐々に信念が腐っていって、そんな自分を自覚しつつもとまれない、とか。
まぁ個人的な趣味はともかく、次の散花シーンを書けるだろうか…いや、ラブ(偽)エロスなんぞ苦手なんだが……。
- 565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/04/11(水) 19:55:50.23 ID:oMDi4M4AO
- 乙
- 566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage saga]:2012/04/11(水) 20:39:48.63 ID:cvpUQr880
- いちもつ
キターとか大人気ないこと言ってしまった…。次回すごい楽しみにしてる。
- 567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/11(水) 21:28:19.81 ID:Sf9b48nDO
- 黒子の純潔が散る前に俺のパンツが散ったわ
- 568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/04/11(水) 22:09:56.88 ID:SFGEASqc0
- 乙
クズ条は黒子が美琴を売るのも、その後失敗してこうなるのも分かってて追い込んだんだろうか…こえー
- 569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/11(水) 22:19:47.08 ID:ETZVDFW2o
- 黒子かわいいよおおおおお
- 580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/21(土) 21:25:35.55 ID:WlXjLqk9o
「んっ……」
一度は離れた唇が再び重なり、白井は鼻に抜けるような声を漏らした。
両脚を抱え込んだ姿勢は崩さないまま、真正面のキスをそのまま受け入れる。
「ふ……んん……」
彼の右手が髪に、左手が頬に添えられて、深く、深く、口の端がお互いに触れ合った。
一度目は契約代わりに。
二度目は凌辱の始まりに。
その後は弄ばれる最中に、何度も。
そんな風に奪われるだけだった唇を捧げ、白井はいま餌を与えられた小鳥のように、彼からの温もりを味わっていた。
「んぅ……んむ……ん……」
もっと深く。
そう言うように、僅かに顎をあげる白井。
しかし、両肩の外側にそれぞれ置かれた彼の肘は、その願いどおりには動かなかった。
彼が体重をかけ、肘がシーツに刻む皺が深くなる。
それを感じた次の瞬間、彼は僅かに頭を上げ、接吻は終を告げた。
- 581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/21(土) 21:26:32.93 ID:WlXjLqk9o
「ふぁ……」
小指の先ほどの隙間に細い唾液の糸を残し、吐息だけが交わる。
「やめないで、くださいまし……もっと……お願いしますの……」
僅かに霞み、多いに潤んだ瞳で彼を見上げる白井。
ボロボロになった心を包み込む柔らかな感触を失うのが、不安なのだ。
「……」
ふっ、と彼が笑う。
情を湛えた微笑み。
慈しむようで、愛でるようで、暖かな眼差し。
だがそれは対等の人に向けられたものではない。
その笑みは、愛玩動物に注がれる類のものだ。
(あぁ……)
篭められた感情がなんなのか。
それを正確に理解した白井は、
(それでも構いません……いいえ、捨てないでくださるなら、黒子は貴方の望む黒子になりますの……)
哀願と媚びの視線で彼を見上げてから、そっと目を閉じた。
家畜のように、ただ餌を与えられるのを待つ。
- 582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/21(土) 21:27:54.78 ID:WlXjLqk9o
彼がもう一度微笑む感覚。
笑みの息が頬を滑り落ちると同時に、再び唇が合わせられた。
「んっ」
今度は、ただ重なるだけではない。
首の角度を変え、時に啄むように、時に左右に滑らせて。
手を擦り合わせるように強く、しかしねっとりと濃密に唇を支配されていく。
目を閉じた視界には、当然覆いかぶさる彼の姿が見えることはない。
それでも間近にある体温と吐息は、彼に組み敷かれていることを実感させてくれる。
股間を自分から晒した姿で男の下にいるのだと、どうしても意識してしまう。
(もっと……ほしいですの……)
ドキドキと駆けはじめた動悸。
乱れはじめた呼吸の中、唇を割って口内に侵入してくる感触。
彼の舌。
- 583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/21(土) 21:29:18.87 ID:WlXjLqk9o
「んんむっ、んぁっ、ふぁん……」
喜々としてそれを、己の舌で迎える白井。
いつかのように絡んでくるそれを今度は抵抗することなく、逆に自ら進んで囚われていく。
ぬるり、ぬるり、ぬるり。
「んんっ、んんぅっ、んふぁ……」
口の中で吐息と唾液と、微かな媚声が混じり合い、溢れた余剰が漏れ零れる。
吐息は鼻腔を擽り、唾液は頬を彩り、声は部屋の空気を艶めかせた。
「んぁっ……」
彼の右手が髪から離れ、首筋をそろりと撫でた。
続いて肩に添えられていた左手が胸へと滑る。
ピクリと震える少女の身体。
恐怖は微塵もなく、ただ不意な驚きと胸に湧いた期待によって。
(胸、もう固く……)
自分の胸の先端が、キスだけで立ち上がっていることに気がついた。
今までのように極力意識から外していたときと異なり、全てを受け入れた今。
不安や嫌悪や畏れ、そして何より誇りと目的と失った心は、その隙間ゆえに逆に彼女にそれを気づかせるだけの余裕を与えていた。
- 584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/21(土) 21:30:30.07 ID:WlXjLqk9o
「ぅんっ」
左手が到達し、膨らみに押し当てられる。
人差し指から小指までの第二間接を押し当てた手の形は、ちょうど掌の中央あたりが乳首に触れる格好となっている。
手が動き出す。
指先が鎖骨を左右に撫で、指の内側が膨らみを押し、そして掌が乳首を刺激する。
それは薄さゆえに揉むというよりも撫でるに近い。
連動して右手が首筋を上下にはい回った。
それは場所ゆえか、触れるか否かギリギリの位置を保ったままの擽りに近い。
それでも、
「んんっ……はぁ……ふぁ……」
性感に直結する部分と、そうではない――少なくとも未発達のいまは――部分とを同時にせめられて、白井は身を震わせた。
「んくっ……んっ、んぁっ、あっ…」
左手が一度円を描く度に、ぴくんっ、ぴくんっ、と白井が小さく跳ねる。右手が一度上下する度に、重なったままの唇の隙間から小さく喘ぎ漏らした。
彼の目が細まり、口の中で舌が解かれた。
上下の歯茎の裏をゆっくりと舌先がなぞってから、ぬるりと大きく糸をひいて唇が離れる。
今度は白井も抵抗しない。
なぜか――あるいは隙間だらけの心の余裕ゆえか――彼の意思がわかったからだ。
声を聞きたい。
そう言っているのだ
- 585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/21(土) 21:31:50.27 ID:WlXjLqk9o
「はぁ、はぁ、はぁ、あ、ああっ、はぁっ」
だから白井は我慢しなかった。
今までであれば抑制していた衝動を、嬌声に変えて解放していく。
「あんっ」
彼が右手も胸にあてがい、入れ代わりに首元に顔を埋めた。
さっきまで口内を巡っていた舌が白い首を舐め、唇が吸い付く。
吸われる肌。
「あっ、そ、それはだめですの……跡がついて……ばれてしまいますの……」
少し困ったような声色と口調で、白井が首を竦めた。
「……」
その言葉に彼の動きが止まる。
唇も、両手もだ。
「ぁ……」
途切れた温もり、白井が薄く目を開けた。
見下ろしてくるのは、真剣な表情。
「だめか?」
と、彼が問うた。
- 586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/21(土) 21:33:01.00 ID:WlXjLqk9o
「あ、その……」
承諾しなければ見捨てるぞ、というような脅しの意思は微塵も感じさせない、真正面からの瞳。
美琴という取引材料も効力を失い、代わりとなる白井の心に訴えるわけでもない。
その行動が意味するところを、先程と同様に白井は悟った。
求められている。
そうすることを。
そうする自分を。
それも強制ではなく、自身の意思をもって、だ。
(そう、ですの……わたくしは、上条さんのモノになるのですのに)
今から、今までのようにこの身体を弄ばれて、そして今までとは違う過程と終わり方をするに違いない。
これはその第一歩だ。
(……)
トクン、と心臓が高なったのがわかった。
「……」
頬を染め、視線を外す白井。
くい、と自分から首を晒した。
- 587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/21(土) 21:34:43.85 ID:WlXjLqk9o
「ど、どうぞ」
掠れるような声。
「……」
彼は無言のまま、再び首に顔を埋めた。両手もまた動き始める。
「んっ、ああっ、」
今度は逃げることなく、彼の為すがまま。
ちゅっ、と枕詞のような音とともに、左鎖骨の上を強く吸われる。
「ん……」
(ああ……刻まれてます……上条さんの物という印を、衆人に見えるところに……)
諦観とは程遠い陶然とした表情が白井の顔に浮かぶ。
確実に跡が残るだろうほどの時間がたった後。
「あっ!? あっ、あっ、ああっ、あはあっ」
その跡をなぞる動きを起点として舌先での愛撫が再開された。
胸の手も変化する。
ただ撫でるだけから、指先であるかなしかの乳房をこねる。
尖った乳首を、人差し指と親指で優しく摘み、上下にリズミカルにしごく。
これまでの陵辱は白井の身体を変化させていた。
強いと思えるような、痛みを伴ってもおかしくない刺激を、快楽として入力できるだけのモノに。
- 588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/21(土) 21:35:39.67 ID:WlXjLqk9o
「あっ、あっ、うぅんっ、くっ、ひあっ」
はふ、はふ、と嬌声の隙間で呼吸を繰り返し、白井はその全て受け入れる。
少しの痛みもなく、ただ『気持ちよい』と感じれる自分に一抹の戸惑いと、彼に変えられたという背徳的な喜びを感じながら。
「あっ、ああんっ、やあっ、んっ、んんーっ」」
首と胸から注ぎ込まれる刺激はどんどん身体を廻り、全身の熱を高め、やがて下腹部に溜まっていく。
(すご……すごいですの……今までと、全然……)
否定と忍耐に塗れた情事とはまったく異なる高ぶり。
白井は己の吐息がはっきりと甘く熱くなっているのを感じる。
「ふぁっ、んんっ」
彼の舌が、一度だけ顎(おとがい)まであがり、次いで首からさらに下がり始めた。
左手はそのままに。
右手は胸から離れ――何の手入れもなくとも滑らかな腋を一撫でしてから――するすると少女の左上腕に移動した。
「あっ、あっ、あっ」
舌の動きを意識した白井の胸に、紛れもない期待が浮かび上がる。
コクリ、と愛撫を失った喉がなった。
- 589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/21(土) 21:36:46.53 ID:WlXjLqk9o
(今から、キスだけで固くなったような、敏感なところを……)
唇で。
啄ばまれ。
舌で。
舐られ。
歯で。
挟まれ。
「ぅんっ」
ジン、と疼きが背筋を駆け上がる。
与えられるだろう快感を想像した白井の、いまだ姿勢を保ったままの両脚の付け根がヒクと動き、クチ、と微かな水音をたてた。
- 590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/04/21(土) 21:38:35.26 ID:WlXjLqk9o
「ぁ……」
(もう、濡れて……)
「濡れてるな、白井」
「っ」
音が聞こえたのだろう。
思った瞬間に告げられ、白井が反射的に彼を見る。
今更ながら沸き起こった羞恥に思わず膝を抱える手を放しかけるが、
「いや、いいぜ? 俺がしたことで悦んでくれた方が俺も嬉しいからな。そのまま素直に感じてるところを見せてくれよ」
彼はちらりと股間を見てから、左胸の先端を口に含んだ。
「あんっ、は、はい、わかり、あっ、わかりましたの、あっ、あっ、ああっ」
乳首を舐められる感覚に喘ぎを漏らしながら、視線を天井に向ける。
鏡張りの天井。
視力のよい白井には、溶けかけた己が顔がはっきりと見えた。
「あんっ! あっ、あんっ、あぅんっ!」
(恥ずかしがらずに、わたくしははしたなく、淫らになってもいいんですの……そのほうがいいんですの……上条さんがそれをお望みで、それにもうわたくしは、何も隠す必要がないのですから)
排泄を見られるという最大限の恥辱と誇りを棄てるという最上級の屈辱。
それをもってなお自分を包んでくれた彼が、淫らな自分を望んでいる。
「んはぁっ、あっ、あっ、あっ、ああぁっ!」
(もっと見てください……もっと聞いてくださいまし……いやらしい黒子を……)
じっとりと肌が汗を浮かばせ、ねっとりと秘裂が蜜を湛えている。
それを実感しながら、白井は両脚をさらに開いた。
秘裂が淫らさを讃えていることを彼により見せ付ける――いや、見てもらえるように。
- 604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/03(木) 18:58:35.17 ID:k7kRX80Ho
彼の左手は右胸に。
彼の顔は左胸に。
「んっ……んあっ……んふぅ……あんっ」
舌が動く度に、ぴくん、ぴくんと跳ねるは、白井の背。
ぷくりと立ち上がった桃色の乳首はいま、彼に存分に味わわれている。
物理的な快楽に加え、彼に望んで身を委ねているという、今までの自分に対する背徳感――たとえ心が変わろうとも記憶は消えない――がゾクゾクと白井の何かを刺激していた。
その何かをマゾヒズムと呼称することまで、今の彼女は思い当たらない。
乳首の根本。乳房との境界を、唾液に濡れた舌先がくるりと円を描き、
「あっ、ああっ」
そこからなだらかな稜線を、少しだけ押すほどの圧力で、つ……と降りた後、
「やっ……んっ、んんーっ!」
一転、舌全体で力をこめ、ゆっくりと舐めあげられた。
「んんっ、ああっ」
そして弾力の限界で掬うように上がった舌の先端が、乳首を弾く。
「やんっ!」
強い刺激。
白井の股間から、くち、と新たな水音。
それが消えるか消えないかの狭間に、彼の唇が乳首を覆った。
- 605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/03(木) 18:59:19.50 ID:k7kRX80Ho
「んっ、んっ、んっ、あっ、はぁっ」
グミのような弾力に負けないよう、やや強く甘噛む。
「くぅっ、んんっ、あっ、あっ」
しかしそれは歯ではなく、唇のみの刺激だ。
ふにふにと、むしろ唇側が押し負けているそれは、優しく、柔らかい。
「あっ、あっ、ああんっ」
彼の左手が繰り返すこねる動きと対照的な、繊細な口の動き。
そして快楽の喘ぎを繰り返す白井は、その中でふと気がついた。
どちらかと言えば緩い動きにも関わらず、胸元を擽る彼の呼吸が速くなっていることに。
それに気がつけば、他のこともまた気がつく。
彼の体温が高い。
彼の鼓動が早い。
それが意味するところはひとつだ。
「……」
自分を求めてくれている。
興奮してくれている。
……欲情してくれている。
「んんっ」
こぷっ、と股間が大きく蜜を吐いた。
- 606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/03(木) 19:00:28.12 ID:k7kRX80Ho
白井は胸元の彼の頭を抱きしめたい衝動に駆られ、しかしそれは叶わない。
その腕は、脚を支えているから。
だから代わりに、白井はもっと脚を――股を開こうとする。
両脚がやや前に出た姿勢から、もっとよりM字を描くように。膝の外側が、シーツに着くかというほどに。
(ぁ……)
とろり、と粘質の液体が秘裂の端から零れたのを感じる。
開脚に伴ってさらに口を開けた秘裂が、湛え溜めていた蜜を支え切れなくなったのだ。
重力に引かれた蜜の珠はぬるり蟻の門渡りを舐め、そのまま肛門に達する。
そうした蜜はさきほどの『おもらし』のせいでやや腫れたすぼまりの、その皺に次々に染み込まれていった。
「あっ、あっ、あっ、ああっ、あああっ、んんんっ、ああっ」
白井の声の質が変わる。
快楽の吐露だけではなく、快感を予感し、望む色。
媚びの響きだ。
胸から入り込む痺れるような性感は、己が舌先が届かぬゆえに慣れていない。
しかし粘液が肛門にまぶりつき、ぬめりを帯びるのは、紛れもなく慣れ親しんだ快楽の予兆。
秘裂が吐き出す蜜が、さらに増える。
「んんっ、あっ、だめっ、んはっ、んくぅっ」
白井の息はもう、甘い甘い桃色吐息。
彼の黒髪を見る瞳は欲情と媚びに濡れ、餅のような柔らかさと滑らかさを持った尻は、快楽をねだって半ば無意識にシーツに擦り付けられ、むにゅりと歪む。
- 607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/03(木) 19:02:09.27 ID:k7kRX80Ho
――と。
「白井」
不意の声とともに、彼の口が乳房から離れた。
「はぁ、はぁ、は、はい……」
快楽が途切れた胸に切なさを感じながらも、白井が尋ねる。
やめないでください。もっと舐めてください。
そう言うような視線には、かつて彼を睨みつけ、決して折れないと誓っていた勇ましさは微塵も残っていなかった。
「……」
彼は何も言わないまま、白井に見せ付けるように、たっぷりと唾液を載せた舌を出す。
「あはぁ……」
汚れた希望の光が瞳に点った。
舐めてもらえる。また気持ち良くしてもらえる。
はっ、はっ、と荒くなる白井の息。
その舌は、彼女の見ている目の前でゆっくりと高度をおとし、ぺたりと、鳩尾に降りた。
「んっ!?」
性感帯ではない肌の上。
期待した快楽が与えられないことに、白井がせつなげな眼差しを送る。
彼はそれに目を細めると、
「……」
ゆっくりと、その舌を動かしはじめた。
- 608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/03(木) 19:03:41.29 ID:k7kRX80Ho
下方に。
「あ……」
下に、下に。
ゆっくりと、ゆっくりと、ゆっくりと。
視線を、白井から離さないまま。白井は、視線を逸らせないまま。
「あっ……あっ……」
白井の口から細切れの喘ぎが漏れる。
しかしそれは快楽によるものが原因ではなかった。
(そっちは、そっちにあるのは……)
その源泉は、期待。
このまま降りていけば、舌はどこに達するのか。
胸から腹に。
腹から下腹に。
下腹から脚の付け根に。
そしてそこから……。
(……)
秘裂から蜜が溢れる感触。
- 609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/03(木) 19:05:12.73 ID:k7kRX80Ho
「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ」
快楽への期待は、ナメクジが這ったような跡が延びていくに従って痺れるような疼きになっていく。
やがて跡は無駄な肉のない腹に届いた。
そのまま、つぅ、と流れるように近づくのは、
「あっ、あっ、そこは、だ、だめですの、そこを舐めては、あん、ひゃうんんっ」
形のよい臍に舌先が達する。淵をくるりとなぞり、唾液がとろりと窪みに流れ込む。
「やあぁっ、は、恥ずかしっ、ですのぉっ」
臍を舐められる。
すべてをさらけ出しているにも関わらず、みょうな羞恥心が沸き上がり、白井の頬をさらに羞恥の染が彩る。
しかしそれでも白井は視線を逸らさない。
普段は意識もしないところを、性的な意味をもって弄ばれる。
白井はそのことに、羞恥と、えもいわれぬ背徳を感じてしまっていた。
「……」
彼が口の端を歪めた。
そして。
- 610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/03(木) 19:06:48.04 ID:k7kRX80Ho
「ひゃあんっ!?」
臍から離れた舌は、水切りの石のように一越えに、白井の脚の付け根に跳んだ。
臍への刺激で気がそれて、それでなくても、今までのゆっくりとした動きによって腹の次は下腹と思い込んでいた白井は、その刺激に対応しきれない。
驚きと、無自覚に起こった快楽の予感に、白井の手が緩んだ。
脚を支えていた手が離れ、左右のシーツに着地する。
「あっ」
慌てて手の位置を戻そうとするが、
「ひゃっ!?」
それよりも早く彼の両手が両の太ももを押さえた。
普段は自分でも触れることの少ない太ももの裏に指が食い込む感触に、白井が大きく震えた。
「はっ、はっ、はっ」
中途半端な位置で手を止めた白井は、同じように太ももを押さえたまま、右足の付け根――女陰部分に辛うじて入らない位置――に唇をつけたままの彼を見る。
「……」
彼は唇を押し当てたまま白井の目をしっかりと見返すと、
「……」
そこを啄ばみながら、徐々に、徐々に、左方向に顔を滑らせていく。
- 611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/03(木) 19:08:49.76 ID:k7kRX80Ho
「あっ、あっ、あっ、あっ」
彼の頭がずれていく。その先にあるモノは、もはや考えるまでもない。
白井は両手を、手首を逸らせ、肘を曲げ、ちょうど掌が頬に当たるか否かのところまで引き寄せて。
動くたびに高まっていく期待に、小さく声を漏らすのみ。
動きは遅い。一度肌を啄ばまれた後、ほんの数ミリだけずらされ、また啄ばまれる。
ジリジリと近づくその行為の意味を、焦らしだと理解するだけの思考は、いまの白井にはない。
いまもトクトクとひとりでに蜜を吐き出すはしたない秘裂に、いずれ彼の唇は到達する。
そして必ず、そこを舐められるのだ。
蜜を舐めとられ、陰唇を弄ばれ、そしてまだ誰の侵入も許していない『そこ』を舌先で嬲られ。
「ああっ、ああっ、ああっ、ああっ、ああっ」
白井の両手の指がもどかしげに空気を掻く。
唇が近づく。
もはや触れている領域は、ただの肌から性感に繋がる部分に変わっていた。
啄ばまれるたび、顔がずれるたび、神経には弱い快楽が響いている。
しかもそれは、だんだんと大きくなっていっていた。
そして――
ちゅるっ、と音が響き、
「っ!」
がくんっ、と白井の顎がのけぞった。
- 612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/03(木) 19:14:59.26 ID:k7kRX80Ho
そんなわけで死ぬほど難しいこの一連の流れ。
過去から今に至るまで濃厚なラブエロ記述の経験がないので、結構悩みつつ悩みつつ。
まぁここで経験と勉強不足を把握できれば収穫か。
とりあえず、たぶん次回には突っ込めるかな……うん、たぶん。
じらしてないよ!(Working!の種島さん風に)
- 614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) :2012/05/03(木) 19:16:39.11 ID:k7kRX80Ho
- >>603
後ろ手に手錠を嵌められ、脚は足首を縄で縛られ、口には布を噛まされ、ベッドに仰向けに転がされ。
そうして見上げるのは、自分の両膝を跨ぐようにして立つ、ツインテールの少女。
「どうされたんですの? そんなに怯えた顔をして」
彼女の顔に浮かぶのは、余裕の笑みと、ほんの僅かな興奮。
それは補食者の表情と言い代えてよい。
何をするつもりだ。
そう言いたいが、声にはならなかった。
口は、薄い何かの布でさるぐつわを噛まされているのだから。
「ご安心くださいな。わたくし、風紀委員ですの。手荒な真似をするつもりは毛頭ありません」
クスクスと笑い、
「まぁ、いまの状況がすでに手荒と言えばそうなのですが」
ゆっくりと右脚を――細く、すらりとした脚を持ち上げる白井。
ここはベッドの上だ。
片足をあげてバランスを取るのは容易ではない。
にも関わらず彼女は平然と、腰に手を当て、右膝を90度まで曲げた姿勢を取り、そのまま維持している。
脚の意図を知ろうと、視線をあげ――
「!」
ビクリ、と身体が震えるのを自覚した。
要因は二つ。
ひとつめは、いまの白井の体勢が、まさにこちらの股間を踏み潰すのにちょうどよい姿勢であると言うこと。
そしてもうひとつは、
「ふふ」
こちらの視線に気がつき、妖艶と微笑む少女の、そのスカート。
脚を持ち上げた拍子にふわりと持ち上がったその下に、あるべき布がない、ということ。
見えたのだ。
いや、見えているのだ。
否、見せ付けられているのだ。
何も履いていない、スカートの、その中を。
「どこを見てますの?」
「!」
やゆの声。僅かに不機嫌な口調。
危険を感じ、慌てて視線を逸らす。
「あら、目を逸らしてもよろしいのですか? わたくしが、これから脚をいつ、どこに降ろすのかを見ずとも」
「!?」
歌うような声。少しだけ楽しむような口調。
畏れを覚え、あわてて顔を元に戻す。
不意の衝撃よりも、まだ自覚のある衝撃を。来るのがわかっていれば、堪える準備もできる。
だから『その場所』とともに、少女の顔を見上げるしかない――見ると言う行為が、彼女の牙を磨くことになるかもしれなくとも。
「……大きくなっておりますわね」
少女がこちらの股間を見ながら言った。
常盤台という誰もが知る名門校の制服の裾から覗く、中学一年生の秘裂。
なんの陰りもないそこはただ縦の筋のようで、しかし、それはオンナの部分であるのだ。
欲求が、状況とは裏腹に男性の生理現象を促してくる。
「まったく……わたくしのような子供の身体に欲情するなんて、本当に救いようがない方ですのね」
視線と言葉に嫌悪が混じったのがわかった。
慌てて動こうとする。踏み潰すならば、まさにこのタイミングだ。
だが。
「ふふ」
少女は一転、笑みを浮かべた。
圧倒的な精神的高さから、こちらの目を覗き込んでくる。
「怖いでしょう? おそろしいでしょう? 殿方の最もデリケートを、踏み潰される恐怖に曝されて」
一息。
「でも安心してくださいまし」
白井は一度足首をくるりと回したかと思うと、
「きっと癖になりますのよ?」
笑みを浮かべたまま、脚を踏み降ろした。
- 615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/03(木) 19:17:29.00 ID:k7kRX80Ho
- >>603
「!」
思わず目を閉じる。歯を食いしばる。
そして響いた衝撃は、
ふにゅ
「!?」
まったく、弱いものだった。
「大丈夫、ですのよ?」
まるで羽根のように、ただ置くだけのように降ろされた足は、恐怖に少し萎えかけた陰茎に、ズボン越しに触れるのみ。
靴下をまとった彼女の足親指の裏が、亀頭の丸みに沿うように当てられているだけだった。
「っ、っ、っ」
口の布がなければぜーぜーと呼吸しているだろうこちらの顔を見て、クスクスと白井は笑った。
「いやですの、そんなに息を荒くされては」
見下ろしてくるは、興奮が大きくなった流し目。
少女が唇を舐める。
「……貴方のお口の中に、わたくしのニオイが染み付いてしまいますのよ?」
するりと、白井は左手で己の秘裂を撫で上げた。
「!」
ドキリ、と心臓が跳ね上がる。
――いま突っ込まれているこの布は、まさか
「そうですの」
あっさりと頷く白井。
「ですから、あまり一生懸命吸い込まないでくださいまし。今日は体育があったのですから」
いいながら、彼女の右足が一度上下に動いた。
「っ」
ジワリ、と陰茎から伝わる刺激。
見える少女の秘裂。口と鼻腔に広がる甘酸っぱい香り。そしていましがた響いた直接的な快感。
それらすべてを無視できるほど我慢強くない。
「ご存知ですの?」
再び足が上下する。スカートが動き、見える。
こちらの動揺を無視して白井が続けた。
「人は、苦痛はある程度耐えられますの。当たり前ですわよね? 苦痛は命に直結するのですから、耐えられなければ生きていけません」
再び足が上下する。呼吸が荒くなり、布の――白井の下着のニオイが、さらに強くなる。
「でも逆に、与えられる快楽に抗うことは容易ではありません。特にそれが与えられ、中途半端に止められてしまうのは、いっそ苦痛と言えますの」
再び足が上下する。グニグニと足指が波立つように動き、快楽が強くなる。
彼女の足の裏にある怒張は、もう圧力を跳ね返そうかというほど、膨らみきっていた。
「恥ずかしいですわ。汗に塗れた下着のニオイを胸いっぱいに嗅いで、スカートの端から秘所を覗き見ながら、わたくしのような子供に足でここを扱かれて、こんなになってしまっているなんて」
左手の指先をねっとりと舐める白井。
紅い舌が指に絡む光景に股間がさらに膨らみ、少女の足を押し返す。
「また大きくして……情けないですのね。男の意地も沽券もないのですか?」
ぐりん、と足をひとまわし。
痛みは一切なく、的確に快楽だけを与える絶妙な力加減に、下着で塞がれた口の奥から我知らず声が漏れた。
ふう、と白井はため息。
「まぁ、いいですの。むしろ手間が省けて好都合ですし」
そして笑う。
「いまからたっぷりと、躾てさしあげますの」
妖艶に、挑発的に、そして、淫靡に。
「せいぜい、愉しませてくださいまし?」
……こういうのは得意なんだけど。
ってageちまった! ぎゃあああああ!
- 616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/03(木) 19:24:33.97 ID:u0Gf2tmeo
- うおおおもっと踏んでくれぇ~~~
おまけも乙です
- 617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/03(木) 23:42:24.32 ID:QRtnymcAO
- このスレから始まって堕ちたり壊れたりする黒子を見るのが最近たまらん訳で
- 622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:24:47.17 ID:nC23R6yao
「はんっ! んああっ! んあぁ! あっ! あっ! あっ! あああっ!」
白井の口の端からよだれと喘ぎが零れる。
脚の付け根のちょうど中央。とくとくと蜜を吐き出す秘こうの左右を、上下に動く柔らかな感触は、今まで以上にダイレクトに快感を白井に提供していた。
「ひゃあんっ! あっ! ふあっ! ああんっ!」
陰唇の右側を舐め上げられ、左手を強く握る。
左側を舐め下ろされ、右手がシーツを掴む。
蟻の門渡りを擽られて腰が跳ねる。
鼻先で陰核を押し潰され、腰が引ける。
上下だけではなく、秘こうを中心に右周り、左周り。
舌先や鼻先で線を引くようにすることもあれば、舌全体や、それこそ口で陰部を覆うようにしながら、顔を振る。
「んはぁっ!」
耐え切れなくなり、左手もシーツを掴んだ。
右手がシーツを握ったまま上に反り、皺を深く刻む。
そのタイミングを図ったかのように、彼が口を付けたまま、ぐっ、と両腕を押した。
「きゃっ!」
白井の身体はその圧力を柔軟性で対処する。
結果として白い背中の、腰後ろ辺りまでがシーツから浮き上がる。
そうしてできた、シーツと白井の背中の隙間には、彼の膝が滑りこんだ。
屈曲位。
直後、今まで『そこ』の周囲を巡っていた彼の舌が、にゅるりと膣口に差し込まれた。
- 623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:26:02.44 ID:nC23R6yao
「ひあっ!」
すぐさま舌はのたうち始める。
「んんんっ! あああっ! んはぁっ! あっ! ああんっ! んんっ! ああああっ!」
上下、左右、前後、方形、円形。
もはやスライムのごとく柔らかくなった媚肉と、奥から溢れ出る白濁した愛液を残らず舐め取ろうかというように縦横無尽に、しかし、決してある一定以上奥には入らぬように。
「ああっ! ああっ! あああっ!」
快楽は波のように身体を巡る。
しかしそれは漣ではなく、津波のような大きな痺れ。
今までに秘裂は何度も弄ばれた。膣口を舐められたことだってなかったわけではない。
だがここまで膣口の中にまで――たとえそれが純潔の証に届かない範囲だとしても――何かの侵入を許したことはなかった。自分を慰める時でも、もし万が一という恐怖のために中に触れることはなかったのだ。
未知の感触と、
(舐めっ、中っ、気持ちいっ、っ、っ、もっ、イッ、あっ)
そうまでされているという認識が、感じる悦楽を助長する。
全開の蛇口から水を注ぐがごとく、快楽は瞬く間に白井の許容量を満たしていった。
「あっ、だめっ、だめっ、だめですのっ! もうっ、ああっ!」
ビクビクッとシーツを掴む左右の手の、その肘が引き付けられる。
「あっ、あっ、ああっ! ああぁっ! くるっ! きますっ! あっ! イクっ! あっ、あっ、イクますのっ! イッちゃいますのぉっ!!」
絶頂はあっさりと訪れた。
「イクっ! あああああっ!」
押さえられたままの両脚をピンと伸ばし、白井が大きく震える。
腰が無意識に突き上がり、彼の顔が媚肉に埋まる。
膣口が差し込まれた彼の舌をぎゅうと締め付け、締め付け、締め付けた。
一瞬だけ、音が室内から消える。
- 624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:26:29.08 ID:nC23R6yao
「はっ」
白井が息を吸い込み、
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」
重力に引かれて、力の抜けた脚が降りてくる。
引き寄せていたシーツも、ゆっくりと皺を失っていった。
だが。
「あっ!?」
ぐりんっ、といまだ差し込まれたままの舌が円を描いた。
掻き出された蜜が肛門に垂れるのを感じると同時に、再び舌が動きはじめた。
「あっ!? ああっ!? 待っ、わたくしっ、もうっ、あっ、あっ、あっ!」
絶頂に達し、敏感になった秘裂は即座に反応し、再び白井に快楽を注ぎ込む。
まだ降りきっていなかった身体は、容易にさきほど駆け上がった位置にまで白井を押し上げた。
左右に激しく首を振る。ツインテールが解け、白いシーツの上に髪が広がって綾を為した。
「駄目ぇっ! イクっ! またっ、あっ、ああんっ、イッちゃいますっ! イクーっ!」
再びの絶頂。
両脚は指先まで伸ばされ、シーツは破れるほど引っ張られる。彼の舌は、それこそ手で握られるほど強く締め付けられた。
「あっ……! かっ……! はっ……!」
身体の硬直は数秒。
一度目よりも長く、深い絶頂の前に、白井は白を通り越して、眩しさを覚えた。
「あっ……、ああっ……はぁぁぁ……」
そして白井が、嵐のような快楽から再び意思の世界に戻り――
「はひぃ!?」
だが、それでもなお舌は止まらなかった。
- 625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:27:59.40 ID:nC23R6yao
(っ!? っ! っ!! っ!!!)
もはや白井にはまともな思考をする余裕がない。
閃光が頭の奥で激しく明滅するような感覚に、全身に力をこめ、嬌声をあげ、髪を首を振り乱す。
そうすることは彼女の意思ではなかった。
少しでも己を保とうと、無意識のうちに限界を超える快楽を逃がそうとしているのだ。
だが痙攣でもするかのような上半身に対して、太股と尻の境目を彼の両手で強く押さえられて固定された下半身は、快楽を真正面から受け止めざるをえない。
「おねがっ、もっ、ゆるしっ、あっ、くあっ!」
白井が尻を上下に振る。
それは逃れようとも見える仕種だが、この状況では逆効果だ。
だがその意図はともかく、尻が動くことは結局、溶けた秘所を彼の顔に押し付け往復させることにしかならなかった。
三度目の絶頂。
屈曲した体勢でありながら背中を反り返らせる。
もはやあげる声もなく目を見開いた少女の秘裂から、白濁の蜜とは別の透明な液体――潮が吹き出し、彼の前髪を濡らした。
「っ、っ、っ」
二秒と、少し。
「――――はあっ! ――――はあっ、あはあっ、はぁあっ」
全身から力が抜けた白井は、くたりとベッドに身を投げ出した。
「……」
そこまで待ってから彼は舌を膣口から引き抜き、唇を陰唇から離した。
次いで太ももを押し上げていた手からも力を抜く。膝を少し開いて身を引くと、彼の両足の間に、白井の尻が滑り込むように軟着陸した。
- 626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:29:16.43 ID:nC23R6yao
「はあっ、はあっ、はあっ、あっ、はっ、ああぁ」
理性の光を失った表情で天井を見上げながら激しい息切れを繰り返す。
天井鏡に映っているのは、両のふくらはぎが彼の肩にそれぞれかかった仰向けの自分。
もちろん彼女はそれに羞恥を感じるだけの意思がない。
今の彼と彼女の体勢が、どういう行為の正に直前に見えるかなど、判断がつくはずもなかった。
「はあっ、はあっ、あはあっ、はあっ、んんっ、はああぁ」
苦しげに息継ぎをしながらも、白井の顔にあるのは蕩けた多幸感。
快楽の余韻にモジモジと腰を動かしながら、うわごとのように喘ぎの名残を、甘く熱く染まった吐息とともに吐露し続けた。
「……」
彼はそんな白井に声をかけることも、髪を撫でることもしようとせず、肩にかかった彼女のふくらはぎに手を回して、逆に上から脇に抱え直した。
ぐっ、とそのまま引き寄せる。
「ふあっ」
秘裂に何か熱く硬いものが当たる感触に白井が喜色を滲ませた声をあげた。
解けたツインテール。髪の先が汗で頬に張り付いて、口元で唾液と絡まって幸せの表情に淫靡な色を追加している。
「はぁ、はぁ、あ、わ、わた、くし……?」
呼吸が落ち着きはじめて、ようやく白井の顔に理性が戻り始めた。
何も映していなかった瞳に光が灯る。
「……」
「上条、さん……?」
ぼんやりと彼を見上げてから、呟く白井。
不思議そうにいちど首を傾げかけて――一気に視線の焦点が結ばれた。
- 627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:30:57.59 ID:nC23R6yao
「あ、わ、わたくし、いま……」
「ああ」
彼は薄く笑い、
「俺の顔だけじゃなくてベッドがビチャビチャになるくらいだったぜ?」
尻の下にあるシーツの感触は、湿っているというよりも濡れていると言っていい状態だ。
そして記憶が途切れる直前までの自分の状況と、微かに残っている、何度も達した感覚。
「~~~っ!」
白井が、両手で顔を覆い、さらに背けた。
汗の浮いた首筋に浮かぶキスマークが映える。
「じゃあもういいか?」
「え……」
「いいか?」
「あ、あの……?」
「……」
無言のまま、白井の脚を抱え直す彼。
「んっ!」
股間に当たったモノが動き、小さな快感が走る。
ぴくっ、と白井の肩が震え、
「ぁ……」
そこでようやく気がついた。
いま自分の秘裂に当たっているものが、なんなのか。
そしていまのこの体勢が意味することが、なんなのか。
- 628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:32:14.62 ID:nC23R6yao
「……」
こくっ、と口の中の唾液を飲み込んだ。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「白井」
名を呼ばれた。
「は、はい」
返事をする。声が震える。身体が震える。
彼が告げる。
「今から、お前を犯すぞ」
『抱く』でもない。
『もらう』でもない。
女性の幻想を殺す言葉を投げ掛けられ、白井は確かに息を呑んだ。
今から彼にこの身を汚される。
自分の尻に、口に突きこまれた、あの太くて硬くて熱いモノで。
純潔を散らされる。
- 629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:33:18.88 ID:nC23R6yao
(……っ)
ゾクリと背中を走るは背徳――本当に堕落したのだと言う実感。
ドキリと胸に響くは期待――もう後戻りができないという予感。
ジワリと心に染み込むのは安堵――彼に全てを委ねることへの。
甘い。
甘い。
依存。
- 630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:33:58.00 ID:nC23R6yao
「……」
すうっ、と息を吸い込み、白井は彼を見る。
「はい」
頷く。
彼女は、自由になっている両手を股間にそろそろと伸ばすと、
「黒子を犯してくださいまし」
『そこ』を左右に引っ張った。
くちゅっ、と水音が響く。
眉根を下げ、媚びと欲情に塗れた表情で、
「黒子を、お好きなように、してくださいまし」
と、白井黒子はそう言った。
- 631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:35:11.18 ID:nC23R6yao
最初は押し広げられる感触。
それはすぐに、中を割り開く感覚へと取って代わる。
彼の袖を掴む手にひとりでに力が入った。
入り口を越え。
先ほどまで舌を差し込まれていた位置を超え。
そして、その奥にある――
そこで、一度止まった。
数秒。
何かあったのか。
ぎゅっ、と閉じていた目を開ける。
落ちてくる視線。そこには情がある。
口付けをされていた時と同じモノ。
ほんの僅かだけ感じた哀しさは、誰へのモノか。
捨ててしまった敬愛する相手か。
堕ちてしまった自分にか。
それとも、彼のその眼差しに対してか。
だがそれはもう考えない。これ以上考えない。これから先は考えない。
- 632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:36:27.94 ID:nC23R6yao
もう自分の大事なものはなくなったしまった。
今後、もし何か見つけることがあったとしても、絶対にそれを確信することはできないだろう。
だって自分はもう捨てたのだから。嘘だとわかったのだから。
あの想いは命よりも大事と思い込んでいただけだったと、思い知らされたのだから。
彼だって、自分の大事なモノではない。そんな不遜なことを思うわけにはいかない。
彼は、壊れた自分を拾ってくれているだけなのだ。
だからその『情』――ナサケだけを貪ればいい。
雛鳥のように与えられるのを待つ。そして与えられるように、彼にすがりつく。彼の憐憫と愛玩を得られるように。
再び目を閉じる。
暗くなった視界で、彼が笑う気配。
嘲笑う気配。
自分の有様が、彼の自尊心を満足させた。
ただそれだけで満足を感じ、口元に安堵の笑みが浮かぶのがわかった。
再び嘲笑の気配。
ついで、止まっていた己の中の彼が、ぐっ、と前に進んだ。
- 633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:37:19.76 ID:nC23R6yao
「あっ」
「あっ、あっ、あっ」
「あ……ああああああっ!」
- 634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:38:36.39 ID:nC23R6yao
常盤台中学校学生寮。
「ん……んぁ……あふ……ん……んん……」」
艶やかだがくぐもった声と小さな水音が、数十分前から響いていた。
「ああっ、あっ、あぅ、ん、はぁ」
ベッドに寝転がるのは、赤毛の少女。
ルームメイトからは『子供っぽい』と評される下着だけをつけた姿。そしてその下着と肌の間には、左右それぞれの手が滑り込んでいる。
左手は胸。右手は股間に。
「んっ、んぅっ、んふっ、あっ、あっ、んんっ」
普段の彼女――第三位であり、常盤台のエースと称される彼女からは想像もできない、甘く蕩けた声。
誰にも聞かせたことのない嬌声は、徐々に熱を高め、音を高め、そして、
「んんんっ! んんんっ! イクぅっ!」
胎児のように身体を丸め、ビクビクッ、と震える美琴。
「あっ、はっ――」
詰める息を最後に、刹那だけ部屋から音が消え、
「はあっ、はあっ、はあっ」
息切れが再び響き始めた。
- 635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:39:33.86 ID:nC23R6yao
(はぁ……またやっちゃった……)
右手を下着から引き抜き、目の前に。
トロリとした透明な粘液が絡み付いている。
(今日は遅くなるって黒子から連絡があったから、つい……)
この寮は二人部屋だ。はっきり言って、こういう風にベッドで出来る機会はほとんどない。
基本的にはシャワー室(流石にトイレは自重)で行うが、寝転がれない上、あまり時間をかけられないのだ。
「ん……後始末……しなきゃ」
ぼんやりとしていた虚脱感を振り切り、身を起こす美琴。
遅くなる旨の連絡があるときの白井は、本気で遅い。具体的には門限どころか就寝時刻もすっとばすほどに。
だからこのひと時は、いつしか美琴にとって己を慰める時間として機能していた。
しかしそうは言っても、シタ後は早めに後始末をすることにしていた。
なにしろ白井は空間転移ができる上に、仕事が早めに終わることもないではない。
連絡があった上で早く帰ることができる時などは必ず携帯に連絡があるのだが、過去に一度夢中になりすぎてそれに気がつかず、事後直後に帰宅されて非常に焦った経験があった。
そのため、最中は必ず直近に携帯を置き、終わった後はすぐに後始末をするように決めていた。
今日は携帯はなっていない。だからすぐに後始末を――
- 636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:40:30.56 ID:nC23R6yao
トントン
ノック。
「!?」
ガチャリ
ドアが開く。
「!!??」
「っ!」
右手を見る。
蜜が付着しっぱなし。
下着を見る。
股間部分が、濡れたまま。
室内の空気。
声を漏らさないために窓は閉めていたので、ニオイが。
「ただいま戻りまし――」
白井が、ドアの向こうから顔を出し、
「だああああああっ!」
バリバリバリ! と破裂音にも似た音が大きく響いた。
- 637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:42:38.85 ID:nC23R6yao
寮内の能力使用で寮監に見つかる前に手を洗って強引に制服を着込んで液体入浴剤をわざと零し、そして寮監に見つかって15分正座した後。
「お、お姉さま、わたくし、何かしまして?」
「ご、ごめんね黒子」
ベッドに寝ている白井の腕をマッサージしながら、美琴は頭を下げた。
幸いというか、以前からの慣れもあって白井に怪我はなかった。しかし流された電流は、慌てていたこともあっていつもより出力が高かったようだ。
スタンガンを食らったあとのように、まともに身体が動かないらしい。美琴への罰が正座15分で終わったのも、白井の面倒を見ろ、という意味合いが強いのだろう。
「ちょっと、着替えてたところだったからびっくりしちゃって、つい、ね」
不自然ではない理由を捏造することに罪悪感を覚えないでもないが、まさか本当のことを言うわけにもいかなかった。
「そうでしたの……いえ、それではわたくしも返事を聞く前にドアをあけてしまいましたし……そもそも連絡を忘れておりましたのが悪いので、お顔をあげてくださいまし」
「う、うん」
(……禁断症状を誘発するかと思った)
むしろこっちを気遣うようなことを言われて驚きを禁じえない。
一時期納まっていた変態的行為も、ここ最近は蓄積が爆発するような形で何度か発揮されていた。
だから着替えの言葉に反応するかとも思ったのだが。
- 638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:43:51.94 ID:nC23R6yao
「……お姉さま、何を考えてますの?」
「うぇっ!?」
「わたくしが禁断症状を出すとでも考えたのではありませんか?」
「あ、な、そ、そんなこと考えてないわよ?」
「ふふっ、そうでしょうか?」
微笑みを浮かべる白井。その笑みを彩るように、髪が一筋、サラリと頬を撫でた。
「っ」
ピタリとマッサージしていた腕が止まる。
完全にこちらの思考を読んだ言葉と、
(な、なんて綺麗に笑ってんのよ。子の子ったら、いつの間にこんな)
何よりも同性であるのにドキリとする微笑に、動揺を隠し切れない美琴。
「……お姉さま」
不意に、白井の真剣な声。
「な、なによ」
笑顔からいきなりまじめな視線を当てられ、さらに動揺する。ついドモリが入ってしまうのはご愛嬌。
「……」
だが自分から話しかけておきながら、白井は口を閉ざした。
美琴を見るその眼差しは、どこか哀しそうで、しかし何か決意を秘めた、不思議な視線。
それは確か、以前カフェで見た『決意の表情』に似ていて、決定的に、何かが違っていた。
「? 黒子?」
妙な色を持つ瞳に、美琴の中に違和感が生まれ、
「その……お、お手洗いにいきたいのですけれど……う、動けませんの。肩を貸してくださいませんか?」
ガクリと美琴が突っ伏した。
- 639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:44:28.48 ID:nC23R6yao
「よっ、と」
肩を貸して立ち上がる。
白井の方もまったく動けないわけではないらしい。こちらにあわせて身を起こそうとしてくれたので、比較的簡単に立ち上がることができた。
「よし、じゃあ行くけど、いい?」
「はい、お願いしますの」
なんとか体勢を整え終えた。
ヨタヨタと"妙に脚を気にする"白井とともに、備え付けの化粧室に向かう。
ほんの数歩進んだところで、
「……ありがとうございました、お姉さま」
と、白井が言った。
「何言ってんのよ。元々私が悪いんだから。こっちこそごめんね黒子」
苦笑とともに目を向けると、恥ずかしいのか、白井は目を閉じている。
(ま、そりゃそうよね)
連れて行かれるだけとはいえ、トイレのお願いというのは恥ずかしくないわけがない。
- 640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/07(月) 00:45:09.26 ID:nC23R6yao
「……」
白井は横目で、己に肩を貸してくれている美琴を見た。
美琴はこちらの視線に気がつくことなく、転ばないように注意しながら、バランスを取ってくれている。
「……」
ふと、白井の表情が曇った。
白井のその横顔に、ほんの僅かだけ浮かび上がった、煩悶の表情。
おそらく、美琴が白井を掬いあげることができたかもしれない、最後のシグナル。
それを、
「ととっ、あぶな」
美琴は、まったく気がつくことが、なかった。
「……」
ゆっくりと、目を閉じる白井。
美琴は、気がつくことが、なかったのだ。
- 658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 02:44:46.40 ID:e7oiSUbqo
抜けるような青空の下、いつもの公園のいつものベンチに、美琴は腰をかけていた。
座った彼女の隣には、いつもの蹴撃で吐き出されたいつものヤシノミサイダーが汗をかいている。
缶の数は二つ。両方ともに口は開けられていない。
いつものようにさっさと飲まず、気温にあてられて温くなるのに任せているのは、何より美琴自身がいつもの彼女からはほど遠い心持ちだからだった。
真っ赤に染まった顔を伏せ、両手は握って膝の上。肩は力がはいりっぱなしで、前髪には時折紫電が走る。
(お、落ち着きなさい私。ちょ、ちょっと買い物に行くだけよ? そ、そうよ、黒子たちと一緒にいくのと、全然変わらないんだから)
この状態の原因は簡単だ。
今日の午後、上条と買い物に行く。
その約束のせいである。
「手紙を書いてみてはいかがでしょうか?」
事の発端は、一昨日の、白井の発言。
白井突然帰宅ビリビリ事件から約二週間。
どうやら本当に淑女化に成功したらしい白井に、そう提案されたのだ。
- 659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 02:45:30.16 ID:e7oiSUbqo
カフェで彼女の決意を聞き、上条相手に素直になろうと決めて奮闘していた美琴だったが、何しろ今までが今までで、そして美琴は美琴である。そう易々と上手くいけば苦労はない。
会っていきなり喧嘩腰になるようなことはなくなったものの、あまりにも鈍い対応しかしない上条に、結局喧嘩(というか美琴が一方的に攻撃する)になってしまう日々。
対する白井はもう禁断症状も起こさず、かつ、美琴を敬う態度は前以上。しかもあれほど嫌っていた上条にも「二度も体調不良を助けて頂いたのですから悪い方ではないと思いますの」と理解を示す見事な変化ぶり。
後輩は成長し、自分は成長が見られない。
そんな風に落ち込んでいた内心を、どうも見抜かれたらしい。
手紙という提案には当初、この学園都市で何をアナログな、とやや否定的だった美琴であったが、言いたいことだけを言葉にできるし、何より『先に書くので見直しできる』という利点を説明されて考えを変えることにしたのだ。
(だ、だけどでも、やっぱり……は、恥ずかしい、わよ)
ポケットの中にある封筒が気になって仕方がない。
なるほど、確かに文章にするのは有効だった。ぎゃーぎゃー悶えながらも、普段は言えない感謝の気持ちを言葉にすることができたのだから。
少なくともこの内容を面と向かって言うのは、
(ぜ、絶対無理……)
文面には色恋を匂わせる内容は一切入っていない。というか、何度も何度も何度も見直して極力その要素は排除した。
それでも普段から憎まれ口しか言えない美琴にとっては、照れ臭いやら恥ずかしいやら。手紙を入れる封筒を茶色の業務用封筒にしたのは、せめてもの抵抗と言うか、意地というか、照れ隠しである。
そんな有様なので、渡すことを想像する以前に、自分のそんな言葉が明確な形でそこにあるというだけで平静ではいられなかった。
いっそ渡さないという選択肢も散らつかないではなかったし、それはそれで魅力的な考えだったが、
(黒子にここまでしてもらっといて、渡さないわけにはいかないし)
流石にそんなことをすれば、白井に顔向けができない。
彼女がそれくらいで自分に幻滅したり、友人であることを止めたりしないとは思う。
むしろこれは意地や面子、そして何より、白井に置いていかれたくないという美琴の内面の問題である。
そもそも、今日これからの買い物の予定だってそうだ。これは美琴が段取りしたのではなく、これまた白井の助力に依るものである。
手紙を書き終えたあと、今度はそれをどうやって渡すかで二の足を踏みまくっていたところに、どこをどうしたのか上条に渡りをつけてきてくれたのだ。
- 660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 02:46:17.83 ID:e7oiSUbqo
(そ、そうよ! あの黒子がここまで気を遣ってくれてんだから! ちょっと買い物行って、で、別れ際に手紙渡すだけなんだから!)
キリッ、と表情を整えて顔を上げる美琴。
そうだ。考えてみれば手紙を渡すだけなのだ。
それも、何度も推敲した言葉を、だ。まともにお礼を言うよりも、ずっと正確で、誤解がない。
(それにアイツのことだから、絶対この手紙で変な誤解はしない! そう! 私は純粋にお礼を言いたいだけで、それ以外のことなんて、ぜんぜんないんだから!)
「……」
脳裏に浮かぶのは、夕日の公園。
約束は午後から。
買い物に行き、それから適当にフラフラとして、おそらくこの公園に戻ってくることになるのだろう。
それから、渡すのだ。ポケットにある、この封筒を。手紙を。
(……)
だが、手紙を渡すだけで終わらなければならないことはない。
手紙を渡して、その上で、何か言うことがあっても、それは美琴の判断によるものである。
何を、言おうとも。
「ぜ、ぜんぜん、な、ないんだから。べつに、そんな、アイツに伝えたいこと、なんて……伝えたい、なんて……」
ゆっくりと俯きながら、膝の上で両手の指をモジモジと擦り合わせる。
制服上着の裾から覗く腕時計が指し示す時間は、午前9時。
約束は、午後。
13時から、である。
- 661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 02:46:49.96 ID:e7oiSUbqo
同時刻。
スキルアウト御用達のホテルの一室。
水音が響いている。
何かを舐めているときに起こるであろう、水音が。
「……ってことは、佐天って娘の方はそれなりに順調なんだな」
「んっ、ぷあ……はい、大丈夫だと思いますの。この二週間で、7回は成功しておりますし」
ベッドに腰掛けた全裸の彼の両膝の間で、その股間に顔を埋めていた制服姿の白井が口を離して返事をした。
頬にかかった髪を掻き揚げ、耳にかけながら彼を見上げながらも、その繊手は起立したペニス――彼女自身の唾液に塗れている――に絡み、ゆるりと上下に動いている。
手の動きに合わせて、ツインテールが小さく揺れ、指の間から跳ねた唾液とカウパー氏腺液が、常盤台中学校制服の胸元に染みこんでいった。
「じゃあ明日からは」彼はちらりとベッドのサイドボードに目を向け、そこに置いてあるカプセル型錠剤を見た。「あれを『投与』するんだ。それをまた二週間続けてくれ」
『投与』。
あの日。
心が折れ、そして救われなかった日から二週間。
白井は、彼の命令で佐天涙子の体内に媚薬を転移させ続けていた。
涙子が飾利に会いに支部に来るたびに、遅溶解性のカプセルに入った媚薬を、だ。
流石に毎日ではない。しかし、この二週間で言えば7回ほど。
おそらく涙子は『投与』された日の夜、とても身体の疼きを抑え切れなかったはずだ。そしてまた、回数を重ねるごとに、自らが貪ることのできる快楽が増大していくことに気がつき、戸惑い、そして――期待しているはずである。
その心理が、白井には手に取るようにわかる。何しろ、自分が歩んでみた道なのだから。
明日からはそれがさらに効果の強い薬に代わる。
佐天涙子はどうなってしまうのか、それは想像に難くない。そしてそれがどういう意味を持つのかも。
だが――
「はい、わかりましたの」
頷く白井。
その瞳には、一切の迷いがなかった。
友達で、仲間を裏切っているというのに。
言われたことをそのまま実行しようとする、純粋な承諾だけしか、そこにはないのである。
- 662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 02:47:58.53 ID:e7oiSUbqo
「……」
彼は、ふっ、と微笑み、ツインテールを解かないままの彼女の頭に、ぽん、と手を置いた。
それの意図を正確に解釈した白井は、すぐに唇をペニスに寄せる。手淫は口淫に移り変わり、水音が再び部屋に響き始めた。
「んぷ……んっ……んんん……」
口を開くというよりも、唇で陰茎の直径よりも大きめの円をつくり、そこに挿入するように口内に迎え入れる。
反り返っているため、上あごの内側に先端が触れた。白井は正座の脚を少しだけ浮かせて、上から覆いかぶさるようにして、さらに奥に。
顔を左右に傾けて口内粘膜に擦り付けながら、ギリギリまで飲み込んだときには、鼻先が彼の陰毛に触れていた。
「ん、んぐ、んむ……ん、んむ、んんん……」
何も言われないうちに、少女の頭が前後を始めた。
後ろに引くときは唇を締め、飲み込むときはやや開く。その間にも、口内ではペニスの幹部分に舌を絡め、また、左右に動かす。
口で作った空洞の中を動かすというよりも、吸い付くようにする口淫。
最初はゆっくりと。徐々に、徐々に、本当に徐々に早く。
じゅる、じゅるとすする音。口の端から顎を使う唾液を空気とともに口内に戻し、それを使ってさらにペニスを刺激する。
「んっ、んぶっ、んぐ、んんっ」
奉仕を続けながら、白井は左手を彼の右太ももに置いたまま、右手を床についた。
少し腰を浮かした正座から、両脚を後ろにずらし、四つんばいの状態に体勢を変える。
そしてそのまま、膝と左手で身体を支えながら、右手をスカートに包まれた自分の尻に当てた。
「んぐ、んん、むぐ、ちゅぶ、ふぅん」
そのまま、撫で上げるようにしてスカートの裾を捲り上げる。
下から現れたのは、彼女が好む薄い下着ではなく、白く丸い尻。
いや、正確には尻がよく見える――いわゆるTバックという種類のものだ。
元々アダルティな下着を好む白井だが、この手の下着をつけたことは、いままでなかった。
「言い付けどおりだな」
彼が目を細める。声には褒める響き。
「んっ、んちゅ、ちゅっ、ちゅっ」
いったん口からペニスを抜き、亀頭にキスの雨を降らせる白井。潤んだ瞳には、彼の言葉に対する喜色が浮かんでいた。
彼の視点から尻の円みがよく映えるように、さらに腰を後ろに突き出す。尻たぶの合わせから細い布地部分が覗くのが、えもいわれずエロチックだ。
白井の目の前で、彼のペニスがヒクと震えたのがわかった。
- 663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 02:48:30.23 ID:e7oiSUbqo
「んふっ」
れろん、と根本から先端まで舐めあげ、再び口の中に咥え込む。
「んっ、んんっ、んふっ」
そして先ほどよりも早い調子で頭を前後させる。
ぐぷっ、ぐぷっ、という空気の音とじゅるじゅるという水気の音が、白井の唇から何度も響いた。
口内のペニスが熱さと硬さを増していく。
添えた左手が感じる彼の身体には、やや力が入っていた。
絶頂が、近い。
だから白井はもっと強くしようと――だがそこで、頭に乗せられたままの右手に、ぐっ、と力が入った。
「ぅんっ!」
無理やり前後運動を止められ、白井がうめき声を上げる。
彼はそのまま右手を伸ばし、「んんっ、ぷぁ……」彼女の口からペニスを抜いた。
その拍子に太い粘性の橋が唇とペニスの間にかかる。
引いた唾液の糸はすぐに、その中央で己の重みに耐え切れず、切れる。
「はぁ、はぁ……ど、どうされたんですの? わたくし、何か粗相を……?」
口元に右手を当て、白井が問うた。
彼を見る視線には先ほどとは打って変わって、見たものが惨めさを感じるであろうほどの、不安と媚び。
「……」
彼はそれに何も応えないまま、つい、と視線を白井の背後――部屋の壁に向けた。
「ぁ……」
それだけで、彼の求めているものを理解する白井。
表情が、ぱっ、と明るくなった。
そこに手を突け。
彼はそう言っている。
決して、自分が何か失敗したわけではないのだ。
そして、その体勢が今、何を意味しているか。
- 664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 02:49:29.43 ID:e7oiSUbqo
「はぁ、はぁ、はぁ」
白井は立ち上がり彼に背を向け、指示どおり壁に両手をつき、スカートに包まれた尻を突き出した。
壁に跳ね返って己の鼻に香る吐息は、甘く甘く甘い。
その甘さにさらに身体が昂ぶるのを感じながら首を巡らし、背後――彼に潤んだ流し目を送る。
濡れた情欲と、嘲笑いたくなるような媚びと、屈服の悦びを湛えた隷属の視線だ。
調っていながらも幼さの残る彼女の顔立ちは、頬の赤みと相俟って、異様なほどの淫らさを映し出していた。
「……」
彼が立ち上がる。
引き締まり均整の取れた体駆の中心でそそり立つペニスに、白井の喉がコクンと動いた。
一歩、二歩、三歩。
彼の足音が響くごとに白井の中の衝動は、疼きは、強くなっていく。
無意識に腰が左右に動き、呼吸は、はー、はー、と早く深く変化していった。
たった二週間。
あの日から、15日足らずの間。
その間に与えられた媚薬は、性感と性欲を促進し。
その間に行われた野外露出や性具をつけての生活は、彼女の常識と理性を覆し、背徳と被虐と屈服の快楽を教え。
これまでの抑圧からの解放は、彼女に堕落の道を否定させず。
何より、全てを彼に委ねる安堵と捨てられる恐怖を知った精神は、彼の望みのままでいることを無上の悦びだと、白井に認識させていた。
(あぁぁ……垂れてますの……わたくし、いやらしいですのぉ……)
くりん、くりんと尻が小さく円を描く。
彼の指示で履いた、尻を覆う面積がほとんどない下着は、その布地の少なさゆえに吸水量も応じて少ない。
貫かれることを想像し、太ももの内側を蜜が垂れていくのがわかった。
そして彼の両手がスカートの上から尻を掴む。
「んぅっ」
ぴくん、と顔をあげる白井。
「くぅんっ……んっ、んんっ……」
まだ薄く、しかしオンナの柔らかさの予感を感じさせるそこを乱暴にこねられて、白井は小刻みに身を震わせた。
- 665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 02:50:15.68 ID:e7oiSUbqo
「なんだよ白井。期待してたのか?」
彼の手によって布地がこすりつけられたからか。
尻の丸みに沿って甘やかな曲線を描くスカートの、その中央付近が、じわりと濡れていた。
下着がほとんど吸い込んでいないとはいえ、スカートにまで染みるだろう蜜の量は、とても今しがたの愛撫だけとは思えない。
「あ、は、はい……期待して、いました……」
はにかみ、頷く白井。その仕草はまるで純情な乙女のよう。
しかしそこに篭められているのは、爛れた感情のみ。
「いつからだ?」
彼はさらに問う。
「あはぁ」
白井が甘い屈服の声を上げた。
曖昧に誤魔化すことも、許されない。
だから白井は正直に口を開く。
「ご奉仕している時から、ずっと、疼いておりましたの……」
言った瞬間、背筋をえもいわれぬ感覚が駆け上がった。
己の浅ましさをはっきりと自覚させる、それは背徳と被虐の痺れ。
そして、痺れに反応した膣内がさらに蜜を吐き出していく。
白濁したものが混じりはじめた液体が、太ももの内側から膝まで伝いおりていった。
「……」
彼は声をたてないように笑む。
そして、ペニスの先端をスカートの向こう側にある、秘裂に位置に向けた。
「あんっ!?」
不意に秘裂に固い感触を得て、白井はその白い背中をうねらせた
「んっ……んっ……んっ……んくっ……」
分厚いスカート越しにグリグリと押し当てられ、白井が肩を震わせる。
常盤台中学校指定スカートの、ちょうど股間に押し当てられている部分の染みが拡がっていった。
- 666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 02:50:49.27 ID:e7oiSUbqo
名門校で、おそらく、ほんの少し前までは白井の誇りの一部であった制服に、淫らな紋様が刻まれていく――そして白井がその行為から逃げることなく、むしろ積極的に尻を押し付けてくることに、彼の笑みはさらに深くなる。
そして、
「あっ!」
スカートからペニスが離れると入れ替わりに、彼の手がスカートの裾から入り込み、剥き出しの尻たぶを掴んだ。
払いあげるようにしてスカートを捲くり、白桃のような丸みが顕わにするとともに、腰後ろにある横紐の部分、ちょうどTの字の交点に指をひっかけた。
真上に引く。
一度、二度、三度、それ以上に。
「あっ、あっ、上条さん、んくぅっ、あっ、だ、だめですのっ……」
くいっ、くいっ、と断続的に下着が食い込み、ニチュ……ニチュ……と水音がなった。
後ろ側と違い、前側部分は紐というほど細くはない。しかし腰のT字部分が浮き上がるほど引っ張られたら、前側も相応に食い込むというものだ。
「はみ出てるな」
「や、やぁっ! そんなところ見ないでくださいましっ!」
下着が食い込んだところ――秘裂に食い込んだ下着の両脇から濡れた媚肉がはみ出す様に視線が当たるのを感じ、羞恥に頬を染める白井。
しかし彼の指は止まらない。
むしろ少女の反応を楽しむように、何度も、強弱をつけて下着を引っ張った。
「んんんっ、んっ、んはぁっ、あっ、あっ、あっ、ああぁっ」
白井の吐息の熱があがっていく。
(ああぁ……すごいですの……気持ちいいですのぉ……アソコも、お尻の穴も……)
瑞々しく柔らかな唇から、だらしなく涎を零し、快楽に身を浸す白井。
秘部に食い込み――いや、むしろ秘部が咥えこんだかのごとく埋まった下着は、その前側布地を以って陰核と膣口を、そして元より紐状の後側で十分以上に開発された肛門を、同時に刺激する。
とろぉり、と布の脇から糸を引いて床に落ちる蜜。すでに白井の身体は男性を迎え入れる準備は整いきっていた。
(でも、でも、上条さんがわたくしを苛めてくださるのはきっと、)
「ひゃぅんっ! ああんっ! んくぅっ! あはあっ!」
(見てください……見てくださいましぃ……わたくしが浅ましく快楽を貪るところを……わたくしのだらしない絶頂の顔を……)
ビクビクと白井の身体が小刻みに震え始め、目の前が真っ白になっていく。
絶頂の余震。
「あっ、あっ、あっ、あっ」
(イク……イク……イッてしまいますのぉ……!)
ごぷっ、と陰口が、下着を押しのけるように白濁の蜜を吐き、
「いくぞ白井」
だが、そのタイミングをまるで待っていたかのように、彼の指がT字部分を横に引っ張った。
- 667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 02:51:44.56 ID:e7oiSUbqo
「えっ、あっ!?」
媚肉がねじれ、毛色の違う快楽が起こり――
「ああああああああっ!?」
辺りはばからぬ大声をあげて仰け反る白井。
ずらされた下着の紐の、その真横。
陰唇を割り開いて、胎内を進む 熱く、硬く、太い感触。
そして尻たぶには、彼の下腹部の感触。根元まで埋まっている。
しかしそれは即座に動き出す。
細いウエストをがっちりと両手で押さえられたかと思うと、パン、と音が響いた。
「んはぁっ!」
電流のように入った快感に白井が目を見開いた。喘ぎとともに唾液が壁に散る。尻の間からは、蜜が弾けた。
腰は動き出し、それはどんどん勢いを増していく。
「あっ、あっ、あっ、ああっ! ああああっ!」
一突きごとに、嬌声は高く、早く、甘く、熱く。
いっそ乱暴な動き。
しかしそれを身に受ける白井の声には一片の苦痛なく、ただ快美感のみ。
「んんんぅっ! あっ、ああっ! 激しっ、激しいですのっ!」
二週間の調教の間、数え切れないほど咥え込んだゆえに、白井はもはや交わりの快楽を余すことなく享受することができるように変えられていた。
「んはぁっ! いいっ! 気持ちいいですっ! ふぁぁっ! んんんああっ!」」
暴力的と言ってもいい快楽の津波が股間から背筋を駆け上がり、脳の天辺に達してから全身を巡る。
前後運動はとまらない。
腰をあわせて拍子をとろうにも、完全に腰を固定された白井には叶わぬ行為。逃れる術なく、細い身体をただくねらせた。
「っ」
彼が歯を食いしばる音が、パンパンと肉と肉がぶつかる音と、グチュグチュと粘質の音が鳴る音と、
「あっ、ひっ、あはぁっ! ぅうんっ! ああっ! あんっ! あぁんっ!」
白井の喘ぎの影に響く。
- 668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 02:52:21.88 ID:e7oiSUbqo
「どうだ白井。気分は、どうだ?」
荒い息を押さえつけるように彼が問う。
「んんんっ! 気持ちいいですっ! 気持ちよくてっ、とけてしまうそうですのっ! もっと、もっと激しく黒子を突いてくださいましっ!」
「はははっ、今のお前、半月前にお姉さまお姉さま言ってたお前からは想像もできないよな。男に突きぬかれて、尻振ってさ」
「い、言わないでくださいっ、そんなっ、ああっ、前のことっ、ひああっ、もうわたくしはっ、わたくしはっ!」
「わたくしは、なんだよ?」
「んあっ、わ、わたくしはもうっ、上条さんのモノですのっ! ああんっ、黒子は今もっ、お姉さまをっ、敬愛、しておりますけれどっ、ああっ、今のわたくしはっ、貴方のモノですのっ! 貴方のためでしたら、なんでもっ、しますのっ!」
「……本当か?」
「んっ、んんっ、んぁっ! くぅっ、ああっ、はいっ、はいっ、本当ですのっ! お姉さまをっ、ああんっ、貴方に売ることだってっ! なんだってっ!」
「じゃあ」
「ああんっ!?」
彼は腰の動きを止め、白井の背中に覆い被さった。
はー、はー、と続く呼吸音の中。
髪の間から覗く小さな耳に唇を寄せ、囁く。
「もしも俺以外の誰かに抱かれろって言ったら、どうするんだ?」
「え……」
「お前、今から外に出て行って、適当な誰かを誘惑して、抱かれて来い。……そう言ったら、従うんだな?
「そ、それは……」
白井の瞳が僅かに泳ぎ、
「どうするんだよ、白井?」
「はうっ!」
再び腰が打ち付けられる。
先ほどよりも、まだ早く、強く。
「ふぁぁぁっ! わたくし、わた、くしっ」
(べ、別の男……!? 上条さん、以外の……!?)
頭を垂れ、己の脚の付け根がたてるグポグポという音を聞く白井。
「あっ、あっ、あっ、あっ」
その胸の内が、
(見ず知らずの殿方に、犯され――)
――路地裏で、スキルアウトの集団に輪姦される、己の姿
「あっ」
危険な屈服感に、確実に疼いた。
- 669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 02:54:28.57 ID:e7oiSUbqo
「ああぁっ!」
白井がかぶりを振る。
しかしその仕草は、己が胸の内を否定するものではない。
その証拠に、壁に向けられている白井の顔に浮かんでいるのは、明らかな陶酔の表情。
ごぷっ、と完全に白濁した蜜があふれる。
そして続く言葉は、
「あああっ、しますっ、わたくし何でもしますっ! 上条さんのためなら、誰にでも、何でもっ! ああっ! ああっ! ああああっ!」
「――ははっ、今の言葉忘れるなよ?」
「はいっ! 忘れませんの! わたくしはもう貴方のモノですの! あっ、あっ、あっ、も、もうダメですっ! イクっ! もうっ、イっちゃいますっ!」
ぎゅうっ、と膣が、己の内部のペニスを締め付けるのがわかった。
そしてその締め付けゆえに快楽がさらに増し、そして、ペニスがぐぐっ、と膨れたのも把握させる。
「いいぞ、イけ。俺も出すぞ」
「く、ください! 精液、黒子の中に! 黒子の一番奥に、たくさん出してくださいっ! ああ! あん! あん! あああっ」
「くっ!」
彼が息を詰める。
「イク、イク、イク、イク、イきますのっ!」
白井の全身に力がこもる。
同時。
「あっ!?」
どっ、と爆発するように、白井は身体の奥に、何かが撒き散らされる感触を得た。
熱い。
その感覚が、白井の理性を焼ききった。
「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ! 中に! 中に出てますっ! ああああああっ! イ、イクぅーっ!」
がくっ、と海老のようにのけぞり、白井は大きく開けた口から絶叫と涎を垂らし、絶頂した。
ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ、と何度も何度も痙攣し――やがて、唐突に動きがとまった。
一秒と、半分。
「ああぁぁぁ……あぁぁぁぁ……」
直後、全ての悦楽を味わいきった白井が己を支えきれず、崩れ落ちた。
部屋の絨毯の上に、倒れこむ白井。
その格好は、つぶれたカエルか何かのような、みっともない、情けない、ガニ股のうつ伏せ。
「あ、ああぁぁぁ、ああぁ、あ……ああああぁぁぁ……」
その股間から。
流れ出る蜜と膣の力加減と、そしてその量によって。
こぷっ、と精液が吐き出され、床に、白溜りを作った。
- 670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 02:55:23.13 ID:e7oiSUbqo
その『荷物』が部屋に届いたのは、白井が目を覚まし、腰がたたないまでも、上半身を床から起こしたときだった。
不意になった、部屋の内線電話。
電話をとった彼が、頼んでいたルームサービスが来た、と言って全裸のまま部屋を出て行き、そして戻ってきたときに抱えていたのが、その『荷物』だった。
彼が、どこかに手を回して『準備』させたらしい。
その『荷物』がなんなのか、白井には一目でわかった。
それは白井にとって、よく見知った相手だったのだから。
- 671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 02:56:10.51 ID:e7oiSUbqo
「んーっ! んーっ!」
両手首は後ろ手に、両足首は揃えて、それぞれ布で縛られ。
視覚はアイマスクに、言葉はボールギャクで封じられ。
両の耳たぶは洗濯バサミのように挟む形のイヤホーンが装着されて、白井にまで聞こえるほどの大音量の『喘ぎ声』――おそらく美琴に似たビデオのものだ――が流されている。
「んふーっ! むぅぅぅ! んんんっ!」
そして何より、彼女の頬と、その口元と、両の太もも。
頬は真っ赤に染まり。
ボールギャクの穴からは唾液が流れ。
太ももはせわしなく擦り合わされ。
薄手のブラウスとチェックのスカートで包んだ幼い体躯をクネクネと動かし続ける、明らかに媚薬を与えられているのだろうその少女の頭には。
まるで花瓶か何かのように、大量の花飾りが乗っている。
「初春……」
己が置かれた状況への混乱と身体の中で渦巻く欲望に身悶える少女――初春飾利を見ながら、白井はぼんやりとその名を読んだ。
今日はお互いに非番の日。
確か涙子と予定があわなかったので、一人で買い物に出る、と言っていた記憶がある。
「んふーっ! んんんーっ! んんんんーっ!」
荒れ狂う性欲と快楽への渇望に堪えられなくなったのか、飾利が身を捻り、俯せになったかと思うと、ベッドにグリグリと股間を押し付けはじめた。
しかし、ホテルのグレードとしては不釣り合いなほど上等なベッドは、真上からの圧力を効率的に逃がしてしまう。また、揃えられた両脚ゆえに、その刺激は極めて限定されたものでしかない。
ただ、スカートが捲れてしまうだけである。
「んんんっ! んんんんんっ! んんんむむむっ!」
花飾りの頭をブンブンと振り乱す彼女は、己の境遇まで思考が回っていないようだ。
まるでまな板の上の鯉のように動く少女をちらりと見てから、彼はその隣に腰を下ろした。
「確かこの娘も美琴やお前や、あと佐天だっけ? その友達だったよな」
質問の言葉だが、口調は確認、そして声には確信の色。
「は、はい」
飾利のあまりの暴れ具合に若干驚きながらも、すぐに頷く白井。
彼は、ふん、と鼻を鳴らすと、白井に向けて己の両膝を開いてみせた。
- 672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 02:56:59.18 ID:e7oiSUbqo
「ぁ……」
愛液と精液に塗れたペニスを向けられて、白井の顔がトロリと解ける。
先程、荷物を取りにいってしまったためにお預けにされた『後始末』。
コクンと唾液を飲み込んだ白井が女の子座りのままズリズリと彼に近づき、
「お掃除、いたしますの」
股間に顔を埋めた。
「はむっ、んっ、ちゅるっ、んちゅ……」
目を閉じ、ペニスに舌を絡めて粘液を舐めとる白井の顔からは、もはや飾利に驚いていた表情はない。
前後するツインテールの頭に再び右手を置き、彼は隣の転がって未だ股間をベッドに擦り付けようとしている飾利に視線を向けた。
「白井。俺はこれから美琴と会ってくるからさ」
「んっ、ふぁい」
答えながらも、白井の口淫は淀みない。
当たり前だった。
彼の指示で、今日の彼と美琴のデートを設えたのだから。
「お前、俺が帰ってくるまで、この娘を楽しませてやってくれ。ギャグは取ってもいいけど、目隠しやイヤホンは取るなよ? お前がやってるってわからないようにな?」
「っ」
一瞬、白井の動きが止まった。
(わ、わたくしが初春を?)
自分の手で。
自分以上に幼く、まだ情欲という言葉はかけらも似合わない彼女を。
「……」
わたくしが。
初春を。
この手と、舌と、身体で。
彼女に快楽を与える。
「っっっ」
ゾクゾクと、白井の背筋を快感とも畏れとも異なる感覚が貫いた。
それは白井の中に潜む支配欲。
白井の瞳と頬が確かに笑みを浮かべる。
- 673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 02:57:52.17 ID:e7oiSUbqo
美琴を陥れようとしていることも。
涙子に『投与』していることも。
結局、彼の命令で、最後は彼が手を下すものと考えていた。自分がその一部であっても、直接的に、という感覚は、どこか空ろだった。
しかしこれから行うことは違う。
彼の命令というところでは同一でも、飾利自身をどうしてしまうかは、白井の裁量にかかっているのだ。
快楽を与えることも、与えないことも。
焦らすことも、欲望のままに求めさせることも。
汚すことも。奪ってしまう、ことも。
(初春を、わたくしの自由に……)
「んっ、ぷあ……」
白井がゆっくりとペニスから口を離し、彼を見上げた。
そして、まるで犬かなにかがじゃれるように、目の前の『綺麗になった』男性器にほお擦りをしながら、
「はい、黒子に、お任せてくださいまし」
と欲望と興奮に塗れた声で、白井は言った。
- 674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 03:00:51.22 ID:e7oiSUbqo
「……」
シャワーを浴び、服を整えてドアノブに手をかける。
ノブを捻り、ドアを開け、外に一歩踏み出したところで、彼は背後を振り返った。
「ああんっ! あっ、あっ、あっ、ああっ! す、すごいですっ! ああっ! いいですっ! 気持ちいいですっ! ふああっ! もっと! もっとしてください!」
「うふふ……可愛いですの、初春……たっぷり愛してあげますから、楽しんでくださいまし……」
嬌声とともに震える少女と、それに絡む少女。
「……」
数時間内に、花飾りの少女はこれまでの生活では想像もしなかった快楽を知ってしまうのだろう。
数週間後に、花飾りの少女の親友だという少女は、これまでの自分が信じられなくなるほどの欲望に取り付かれるだろう。
数ヶ月後にはきっと、美琴の3人の友人たちは、今までとは考えられないような、淫らな関係で結ばれているのだろう。
その中で。
ただひとり、夢見る少女でありつづける美琴は、どうなるか。
「……」
彼が、声もなく笑う。
彼女たちの友情が、どんな幻想で終わるのかを想像し。
彼は笑う。
白井はこんな風に変わった。
涙子は、いま変えられつつある。
飾利は、これから変えられる。
そして。
美琴は、どんな風に、変わるだろうか。
「……」
彼は、音もなく、笑い続ける。
- 675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage saga]:2012/05/22(火) 03:11:10.36 ID:e7oiSUbqo
というわけでお疲れ様でした。
このお話はこれにて終了です。
最後、白井完堕ちあたりからちょっとグダッたかなー、という反省はあれども、まぁ、完結できてよかったよかった。
ラブエロ気味なのはやっぱ苦手ですな。要修行というところで。
いやしかしこれ、本気で終わりまで書くとはおもわなんだー。
そもそも最初が乗っ取りで『こっそり書いてやろうふひひ』とか思ってたらうっかりageちまってこっそりも何もなくなったのはいい思い出。
そんな感じで始まったから、最初は本気で着地地点考えてなかった。
なんとか再構成して、せっかくだし練習してやれ、と色々書き方試してみたり、ついでに『書き手の想定外』ということで安価でルート決定してみたりと、個人的にはよい勉強になり、また楽しかったですな。
というわけで思い出話を書き連ねるのもなんですので、このくらいにしときましょうかねぇ。
ってなわけで、読んでくださった方々、ありがとうでした。
数日したらHTML化依頼出す方向で。
では、またどこかで。
そして次回は、
「た、滝壷さん? ど、どこを超触って、ちょ、待っ」
「きぬはた……かわいい……」
みたいにAIMを妨害されて能力の使えない絹旗とレズもいける滝壷さんのお話……いや、書かないけどね。構想はしたけど。
- 676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国) [sage]:2012/05/22(火) 03:24:28.92 ID:HzVS3PNAO
- 蛇足もなくスッキリ終わって良かったよ
乙でした~
- 677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2012/05/22(火) 07:58:49.18 ID:9xBwRi6fo
- ┌─────┐
│い ち お つ.│
└∩───∩┘
ヽ(`・ω・´)ノ
- 678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/05/22(火) 10:47:23.47 ID:UIoqFy3Ro
- 乙でした。すごかった… 黒子可愛すぎる…
絵を見たい
- 679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/22(火) 11:54:13.42 ID:qIk9qyXIO
- 乙、エロかったぜ!
- 683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/05/22(火) 16:41:38.21 ID:x7U7vXmso
- 乙~
調教モノの堕ちる過程やっぱいいものだ
- 684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/05/22(火) 21:51:03.56 ID:2fNCY7v+o
- ふぅ…
いや、楽しませてもらったよ
- 686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/05/23(水) 08:13:12.48 ID:tbGKWe8AO
- ここまで調教モノを上手く書けるやつはじめてみたわ
乙
- 692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/05/27(日) 18:07:11.51 ID:awEIQb5Do
- いちもつ
11月に始まったのが5月末に終わったのか。長かったけどいい作品だったわ
改めて乙
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