上条×アイテム 絹旗「超敏感になったのは、当麻のせいですっ!!」
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- ※未完作品
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- 1 :アイテム好き[sage]:2011/06/24(金) 12:28:36.66 ID:Ul3jsQaAO
初めてスレ立てをさせて頂きます。
今回の作品のコンセプトは、以下の通りです。
*浜面の代わりに上条さんを投入。
*上条さんは、純粋な日本育ちじゃないらしく、戦闘経験値が高い。
*基本的に、【アイテム=上条ハーレム、上条=アイテムの共有財産(笑)】
*上条さんは、【アイテム】結成時からいるっぽい。
以上の設定を受け付けない皆様は、バックした方が良いでしょう(^^;
また、シナリオ書きが苦手なので、名前は無い方向で。
かなり実験的&gdgd&不定期な更新になると思いますが、それでもよろしければお付き合いください(__)
追伸
別スレ【誰か上条×アイテムで書いて】で、この作品のプロトタイプ(笑)を書いた【アイテム好き】と同一人物なので、あしからずです。
- 2 :アイテム好き[sage]:2011/06/24(金) 12:31:08.65 ID:Ul3jsQaAO
深夜の【学園都市】の一角、某研究所の前の道路にて…
そこには、闇に溶け込むように、一台の車が停車していた。
その車…盗難車の密売ルートで格安で手に入れたメルセデス・ベンツCシリーズの4ドア・セダン(正確にはAMGのC63)を、カールソン社がチューンした
【CK63S】のステアリングに寄り掛かかっていたのは、【上条当麻】という名の、ツンツンした黒髪が特徴の少年だった。
くわえタバコで、"同僚達"の帰りを待つ彼は、何となく絞まりの無い横顔に見える。
もっとも、本当に表情通り気が抜けてる訳ではなく、耳に付けたレシーバーに全神経を集中させているだけなのだが…
それはそうだろう。
通信機のみで安否確認が出来る"同僚"達は、今は目の前の研究所でドンパチやってる真っ最中だ。
ありていに言えば、今の当麻は、いつでも退却できるように車での待機を命じられていた。
- 4 :アイテム好き[sage]:2011/06/24(金) 12:32:56.86 ID:Ul3jsQaAO
『当麻、聞こえます?』
彼が暇にまかせて何本目かのタバコに火をつけようとした時、唐突にレシーバー越しに、既に聞き慣れた女性というより、少女そのままの若い声が聞こえた。
「はいはい。こちら上条さん。通信は、お前さんの肢体(からだ)並に超感度良好。どったの? "最愛"?」
『なっ!?』
通信の向こう側で、思わず絶句する気配。
『なんてこと言うんですかっ!? 超セクハラですっ! あと、私の口癖を超横取りしないで下さいっ!』
打てば響くような良いリアクションに、当麻は思わず嬉しそうに顔になり、
「口癖は、伝播するもんですよ~? それにこの間、イクたびに気持ち良さそうな顔で盛大に放尿しまくって、上条さんのベッドのシーツを、真っ黄色に染めあげてくれたのは、一体どちらのお嬢さんでせうか?」
『そ、それは当麻がいつもいつも、カテーテルで強制排尿させたり、ディルドーで掻き回したりするから、おしっこの穴が超敏感&超ゆるゆるになってるせいで、…その、当麻が全部悪いんですっ!!』
どうやら、最愛という少女(?)は、能力(ちから)以外にも、色々と"開発(ちょうきょう)"されているようだった。
- 5 :アイテム好き[sage]:2011/06/24(金) 12:38:04.56 ID:Ul3jsQaAO
『にゃーん♪ ほうほう、アンタらはいっつもそんなプレイを楽しんでるんだぁ?』
と、今度は別の…最愛より年上に思われる、どこか楽しげな艶っぽい女性の声が、通信に割り込んでくる。
「まあね」
『あっさり超肯定しないでください~っ!!』
さらっと言い切る当麻に、批難の声を上げる最愛だったが、艶やかな声の女性は、
『おっとその追及は、後回しにしてと…』
『後回しじゃなくて、超忘却の方向でっ!!』
悲痛な雰囲気すら感じるリクエストを無視しながら、女性は、
『当麻、そろそろ出番よ?』
不意に変わった声音に、当麻は懐に手を入れ、ショルダー・ホルスターに叩き込んでるリボルバー・タイプの大型拳銃…相棒の【バッシュ・ザ・スタンピート】の手触りを確かめ、
「了解した。"沈利"」
- 6 :アイテム好き[sage]:2011/06/24(金) 12:44:48.13 ID:Ul3jsQaAO
【バッシュ・ザ・スタンピート】…それは、暗部に堕ちて以来の当麻の"相棒"、左肩に吊るされた、学園都市謹製の中折れ式特注大型リボルバーの名だった。
使用する弾丸は、かの有名な44マグナム弾の倍以上のパワーがあるとされる"454カスール"弾の6連発。
フルチャージのカートリッジと、重量350グレインの【空力加工高速炸裂徹甲弾(HVAPHE)】弾頭を組み合わせた場合、その7インチ・ハーフのバレルで加速された銃口初速は、1850フィート/秒に達する…
まさに、拳銃弾の枠組みを超えた"化物"だ。
50ヤード以内であれば、"最愛"のような【例外】を除き、大抵の大能力者(レベル4)が演算を終わらせる前に、二度と演算できないような体にできると言っていい。
無論、威力も申し分なく、アンチスキルに支給されてる防弾ベストを、ティッシュペーパーのように貫通し、体の何処に当たっても、風穴どころか大穴を空けて命を奪えるレベルだ。
当麻は、懐から抜き出した"相棒(バッシュ)"に、454カスールのHVAPHE弾が、しっかりと6発装填されてるのを手早くチェックする。
それを抜き身のまま右手にぶら下げ、CK63Sを降りて研究所へとゆっくり歩き出すのだった…
そう、今日も愛しい"同僚達"と生き残り、刹那の【甘い夢(げんそう)】を楽しむ為に…
- 9 :アイテム好き[sage]:2011/06/24(金) 13:22:24.13 ID:Ul3jsQaAO
"カツ…コツ…"
少し前まで地獄絵図だった筈の研究所は、今は焼け焦げた壁や床、すえたような匂い、そして、原型をとどめぬ死体が、戦闘の激しさを無言に、何より雄弁に物語っていた…
(まぁ、主戦域はまだ先だしね~)
突入してから、既に1時間。
よほどのイレギュラーがあるならまだしも、このレベルの戦闘でまごついてるようなら…
(全員、再訓練確定だしなぁ…)
再び歩みを進める当麻だったが、
(やれやれ、まだ雑魚が残っていたか…)
物陰から様子をうかがっていた武装警備員に、当麻はそちらに顔を向けずに、撃鉄を起こしながら銃口のみを向け、いっそ無造作に見える動作で引き金を絞った。
"ズガァァァ--ッン!!"
密閉された室内では、落雷よりなお巨大に聞こえる銃声を立て秒速1850フィートまで加速された350グレインのHVAPHE弾は、警備員が何かを知覚するより早く防弾チョッキを射貫き、中で弾頭に高性能炸薬を炸裂させた。
かつて心臓や肺があった場所に、文字通り致命的損傷を受けた警備員は、なんらアクションを起こせないまま倒れふす。
一人の人生が終わったというのに、当麻の胸には、なんら感慨は沸かない…
何故なら、【銃によって殺された死体】なぞ、彼には見慣れた物に過ぎないのだから…
有るのは、漂う硝煙に感じた、微かな心地好さだけだった…
- 15 :アイテム好き[sage]:2011/06/24(金) 14:02:04.98 ID:Ul3jsQaAO
当麻は、何体かの死体を増産しながら、沈利と最愛、そして"もう一人"が待つ最前線へと足を進める。
(まぁ、そう簡単に殺られるとは思えないけど…)
心配なのは、残る一人…"滝壺理后"が、能力を使う度に、激しく消耗する事だった。
最前線へ着くと、当麻の予想通り、戦闘の趨勢は、既に決していた。
(後は、残敵掃討ぐらいかな…?)
スニーキングや静音殺傷術にも慣れてる当麻は、自然に消していた気配を意図的に出し、分かりやすく三人娘に近づく。
以前、気配と足音を消して背後に立った時、沈利の"電子崩し(メルト・ダウナー)"のフレンドリー・ショットで、危うくチン♪されかけた事があったからだ。
「いいタイミングよ♪ 当麻」
景気良く電子線ビームをぶっぱなす沈利の言葉に、当麻は苦笑しながら、
「お疲れ様、"理后"」
ピンク色のジャージがトレードマークの理后は、既に"薬(体晶)"の影響で、顔を青くしていた。
そして、当麻は彼女のおかっぱ風に切り揃えた黒髪の頭を、"右手"で撫でる。
その瞬間、
"パキィィィン"
イメージ的には、そんな音を立てて、当麻の"幻想殺し(イマジン・ブレーカー)"は、理后の"暴走する余剰能力"を、いとも容易く噛み砕き、喰らい尽くした…
- 37 :アイテム好き[sage]:2011/06/25(土) 05:55:56.70 ID:5GDf/jMAO
当麻に撫でられただけで、今にも倒れそうなぐらい真っ青だった理后の顔色は、見る間に回復し、頬にはうっすら赤みすらさしてきた。
「"とうま"、いつもありがとう」
それでも、まだしつこく残る偏頭痛に耐えるように、儚げに微笑む理后に、当麻は笑顔と呼ぶにはやや小さい表情変化で、
「気にするなって。これも、上条さんが"ココ"にいる理由の一つだろ?」
と、事も無げに返したのだった。
"普通の毒物"では、全く効果の無い"幻想殺し"ではあるが、理后の体内…いや、脳内で起こっていた【体晶による人為的能力暴走】は、欠片も残さずブレイクした。
【平行世界の当麻】なら分からないが、少なくとも"この世界"の【当麻と竜】は、体の中にある【異常な異能の力】すらも見逃さず、喰らい尽くすらしい…
- 38 :アイテム好き[sage]:2011/06/25(土) 05:56:56.71 ID:5GDf/jMAO
「沈利、もう理后は撤退して構わないんだろ?」
当麻が聞くと、沈利という名らしい美人は、緩やかなウェーブを描く髪に手櫛を入れて、いかにも機嫌良さそうに笑って、
「オッケーよ。どうせ、後は雑魚を丸焼きにしたら、任務完了だしねぇ~♪」
と、気楽な調子だった。
(コイツは~…)
だが、当麻は小さく嘆息すると、
"むにっ!"
思い切り、沈利の両方の頬を引っ張るのだった!
- 39 :アイテム好き[sage]:2011/06/25(土) 05:58:08.76 ID:5GDf/jMAO
「いひゃいいひゃい! にゃにひゅるろよ~っ!?(意訳:痛い痛い! 何するのよっ!?)」
(おお~っ! 伸びる伸びる…)
引っ張る沈利の頬の、見た目以上にモチモチした感触を堪能した当麻は、
「う~っ!」
手の平で両頬を押さえながら、涙目で『なんてことすんのよっ!?』と訴える沈利に、
「油断と満身…いつも言ってるだろ? ソイツが、沈利の一番の弱点だって?」
「むぅ…」
むくれる沈利に、
「ついでに言っとけば、テンション上がると、論理的思考より感情を優先させがちも減点対象だぜ?」
そして、当麻は真っ直ぐに沈利の瞳を覗きこみ、
「どんな雑魚だって、ちょっとした武器と機転が有れば、沈利の綺麗な顔を跡形もなく吹き飛ばす事ができる…そんなの嫌だろ?」
- 40 :アイテム好き[sage]:2011/06/25(土) 05:59:34.98 ID:5GDf/jMAO
「そ…そりゃ、まぁ、そうだけど、さ…」
いつもよりずっと真剣な眼光に、沈利はたじろきながらも、吸い込まれるように視線を逸らせなかった…
ふと、当麻は瞳に微かに穏やかな物を混ぜると、
「上条さんだって、そんなんゴメンだからな~」
まだちょぴり赤い(紅い?)沈利の頬に、当麻は手を添え、
「これでも頼りにしてんだぜ? 【リーダー】」
「……バカ」
沈利は、抑えきれぬように自分から唇を重ねるのだった…
- 41 :アイテム好き[sage]:2011/06/25(土) 06:03:59.52 ID:5GDf/jMAO
とりあえず、今回のアップは終了です。
展開は遅いですが、元々あまり長い話では無いので、しばらくお付き合い戴けたら幸いです。
次回は、絹旗とフレンダにスポットを当ててみようかな?
- 42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/25(土) 08:17:40.01 ID:nvm/l1aDO
- 何かちょっと前のハードボイルド的な香りがする。
つか、この可愛いのは誰?
もはや麦のんじゃなくデレのんな訳か~!?
- 43 :アイテム好き[saga]:2011/06/25(土) 08:23:55.01 ID:5GDf/jMAO
- ずっと、【sage】てたんで、書き上がりホヤホヤを【saga】投稿。
「あ~、ゲフンゲフン! すっかり、私の事、超空気扱いしてません?」
わざとらしく、あるいは少し不機嫌に咳払いするのは、先ほど当麻に堂々のセクハラ発言をされた…
「あら? "絹旗"、いたの?」
「ヒドッ! ずっと超いたじゃないですかっ!?」
「あんまりちっちゃいから、視界に入らなかったにゃーん♪」
コロコロと鈴が鳴るような上品な沈利の笑い声に、"うがーっ!"と雄叫びを上げるのは、沈利や理后に比べるならかなりの"ちみっ娘"。
チームのマスコット的な立ち位置な【絹旗最愛】である。
「別に忘れちゃいないぞ? 俺にとっちゃあ、チームの誰もが大事だし」
と、最愛の頭をぽんぽんと撫でる当麻である。
「…当麻、まさかとは思いますが、私を超子供扱いとかしてませんよね?」
訝しげな最愛のジト目だが、当麻は、
「まさか。なりはちっこくても、最愛は"プロ"でしょーが? プロのチームメイトを子供扱いするほど、上条さんは失礼じゃないつもりですぜ?」
- 56 :アイテム好き[saga]:2011/06/25(土) 18:56:06.15 ID:5GDf/jMAO
「それに…」
当麻は、最愛の形のいい耳に唇を寄せ、
「子供だと思ってたら、"あんなこと"はできやしないだろ?」
耳に吐息を吹き掛けるように、そう囁いた。
そして…
"カリッ"
「みゃっ!?」
つい悪戯心を出した当麻に耳たぶを甘噛みされた最愛は、思わず突然、水をかけられた仔猫のような声を挙げてしまう。
「こ、こにょ超エロ大魔王…!!」
"開発"された場所を刺激されて、トマトよりもなお真っ赤になる最愛に、当麻はウィンクし、
「子供扱いじゃなくて、ちゃ~んと"女扱い"してるだろ?」
「…ま、まぁ、そういうつもりなら、特別に許してあげますっ!」
- 57 :アイテム好き[saga]:2011/06/25(土) 18:57:39.21 ID:5GDf/jMAO
「さてと、理后…」
当麻は"相棒"、大型リボルバーの【バッシュ・ザ・スタンピート】を、左肩に吊り下げたホルスターに戻し、
「そろそろ、俺達は撤退するとしますか?」
「うん」
理后が小さく頷くのを待ってから、
「よっと」
当麻は、ある部分以外は細い理后の身体を、ひょいっと抱き上げる。
いわゆる"お姫様抱っこ"という体勢だ。
「……役得♪」
と、当麻の腕の中で、理后はポツリと嬉しそうに呟いた。
「最愛、沈利のフォローを頼む。"学園都市最高ランク"の強さリーダーが、隙を突かれて倒されたとあっちゃあ、冗談にも洒落にもなんないしさ」
「ちょっ!? 当麻、アンタ私をなんだと…」
噛み付こうとする沈利に、当麻は、
「ん? 頼れる姉御肌のリーダーで、俺の知る限りじゃあ、学園都市でも指折りの美人…なんじゃないか?」
と、素で返した。
- 58 :アイテム好き[saga]:2011/06/25(土) 18:59:06.78 ID:5GDf/jMAO
「っ!? ふ、不意討ちはズルいわよっ!」
どうリアクションをとって良いか混乱する沈利に、
「ただ…さっきも言ったけどさ、沈利はなまじ"能力(ちから)"が強い分、力業に頼りがちで小技が苦手だし、イマイチ詰めが甘いからなぁ…心配なんだ」
と、当麻は【本気で心配してます目線】で追い討ち。
「うっ…」
台詞と視線のツイン・アタックで、二の句が継げない沈利であった。
「という訳で、もう一度念を押すけどさ、沈利のフォローは頼んだぜ? 最愛」
大事な事なので二度言いました的な当麻の台詞に、最愛は薄い胸を張り、
「超頼まれました! 私の"窒素装甲(オフェンスアーマー)"は、そう簡単に破れません!」
その言葉を聞くと、その場にいた四人は頷き、当麻は後方に駆け出した。
- 76 :アイテム好き[age]:2011/06/26(日) 13:13:56.84 ID:FaelBk/AO
しばらく当麻が理后を抱え、後方の安全地帯に向けて走っていると…
(……)
奪い奪われまた奪う…
滴り落ちる幾多の血をすすり、それを燃料に"街"は回っていた…
学園都市に逃げ込む前、当麻は"そんな場所"で生きていた。
両手両足の指では足りない数の死線を潜り抜け、生き延びた"右手"に並ぶ理由の一つが、
(いるな…)
比喩でなく、鉄火場で鍛え磨かれた"勘"だった。
- 77 :アイテム好き[age]:2011/06/26(日) 13:14:57.78 ID:FaelBk/AO
「理后…悪りぃけど、ちょっと降りてくれ…」
「…いるの?」
視線の先に言語化できない違和感を感じた当麻は、小さく頷き、
「多分、アンブッシュ(待ち伏せ)だと思うけどな」
その台詞と同時に、滑るような動作で、理后は当麻の腕より降りる。
本来、このような【見えない敵】探るのは、【能力感知(AIMストーカー)】を持つ理后の十八番(おはこ)だが、"体晶"を使用した直後は、例え当麻の右手で"解毒"したとしても、副作用の酷い頭痛が残り、理后は能力の要である脳内演算の処理速度が極度に落ちる。
言うなれば、この時が理后の【最も無防備な状態】となるのだった。
理后の"対能力者捜索/追跡能力"は、チームの要…だからこそ、無防備な理后を守る為に、異能に対しては、文字通り【無類の力】を発揮し、物理攻撃に対しても高い対象能力を持つ当麻が護衛にあたる事が多いのだった。
- 78 :アイテム好き[age]:2011/06/26(日) 13:16:12.97 ID:FaelBk/AO
それは、理后が床に足を付けた瞬間、
「チッ! まだ能力者が残ってたか…」
"ゴォッ!"
暗がりから、音を立てて飛んでくる火炎弾!
一撃で人間を消し炭…とは言わないまでも、炬(たいまつ)ぐらいにはできそうな威力が有りそうだ。
その能力(ちから)は、おおよそレベル3の"発火能力者(パイロキネシスト)"といったところだろうか?
常識では、防ぎようがないので回避しか手はないが、常識の外側にいる当麻は、真っ直ぐに炎の塊へとダッシュをかける!
- 79 :アイテム好き[age]:2011/06/26(日) 13:17:17.97 ID:FaelBk/AO
(そこか…!)
能力者には、それぞれの戦い方があり、また同時に長所や短所がある。
上位レベルの電撃使いなら電磁波をレーダーのように使い、空力使いなら空気の流れで、移動目標を察知する事ができる。
しかし、大抵の能力者は、普通の人間と同じように、目視による標的の確認が必要だ。
敵から見えるのならば、こちらからも見えるのが道理だ。
「うらっ!」
"キュイン!"
炎にぶつかる瞬間、当麻は勢い良く右拳を突き出し、異能の力を消し去る!
それと同時に空いた左手を腰の後ろに滑り込ませた。
そこにあるのは、45口径の軍用自動拳銃、米キンバー社の"ウォリアー(レフティー・モデル)"が収められたインサイド・ホルスターだった。
- 80 :アイテム好き[age]:2011/06/26(日) 13:18:15.94 ID:FaelBk/AO
居合を思わせる左手のクイック・ドローで"ウォリアー"を引き抜き、当麻は構えながら照準を能力者の"頭部"に合わせる。
「!?」
驚愕の表情を浮かべ、一瞬だけ頭が空白化する能力者。
無理もない。
自ら放った自慢の炎がカーテンになり、当麻の細かい動きが見えず、それが一瞬で掻き消されたと思ったら、いかにも殺傷能力のありそうないかつい軍用拳銃を握り飛び出してきたのだから。
(能力者を倒すコツは、演算が終わる前に…)
能力者がもう一度、炎を放とうと再演算が終わるより早く、
「演算部分を破壊する…!!」
- 81 :アイテム好き[age]:2011/06/26(日) 13:22:46.12 ID:FaelBk/AO
"タタンッ!!"
【バッシュ・ザ・スタンピート】に比べるなら、遥かに小さな銃声が二度、重なるように響いた。
それは、"ダブルタップ"という素早く二度引金を引き、一呼吸で二発撃ち込む、マッチでも実戦でも多用されるシューティング・スキルだった。
亜音速で能力者の頭部に飛び込み、衝撃で激しく変形した重さ約14gのホローポイント弾2発は、当麻の言葉通りに頭蓋骨を貫いた後に中身を原型を残さぬ迄に破壊した後、後頭部から抜けた。
能力者の強さの理由、その一つは"射程"だ。
多くの能力者は、近接武器以遠からの攻撃手段を持っている。
つまり、飛び道具を持たない無能力者の間合いの外側から、一方的に攻撃できる訳だ。
間合いを征する者が、戦いを征するのは、能力者だろうと無能力者だろうと変わらない。
銃は、その"能力者の間合い"を潰す為の武器だった。
- 82 :アイテム好き[age]:2011/06/26(日) 13:24:16.27 ID:FaelBk/AO
そもそも、HVAPHEという特殊弾頭の454カスール弾を発射する【バッシュ・ザ・スタンピート】は、能力者の更にアウトレンジから、ヤワな防御ならそれごと撃ち抜く為に、当麻が特注した拳銃だ。
しかし、バッシュは大きく重く反動も強く、お世辞にも取り回しやすい銃ではない。
また、チームメイトから【対戦車ピストル(笑)】と呼ばれるその大きさ故に、懐のホルスターに入れた状態では、速射性や即応性も悪い。
なら、どうするか?
バッシュを手に入れる前から多用していた対異能戦術、【右手を盾に、左手に矛を握る】戦術を取るだけだ。
- 83 :アイテム好き[age]:2011/06/26(日) 13:25:48.30 ID:FaelBk/AO
一人の人生を自らの手で強制終了させたというのに、当麻の感情は不思議なほど…あるいは、不自然なほど揺らぎをみせていなかった。
淡々と…まるで、見飽きた物を見るような冷静な瞳で死体を確認すると、当麻は安全装置をかけて"ウォリアー"をインサイド・ホルスターに戻した。
その時だ。
「結局、支援する暇も無かったって訳よ」
背後からかかる明るい少女の声に、当麻は微かに微笑みながら振り向き、
「"フレンダ"、そっちは終わったのか?」
全体的に細いラインの小柄な体に、わずかにクセのかかった長い金髪にベレー帽を合わせた少女、拳銃と爆弾という差はあれど、チームの中で当麻と同じく【物理武器】をメインに使うフレンダだった。
「こ~の"爆弾使い(パペット・ボマー)"のフレンダちゃんにとって、ほんの朝飯前って訳よ♪」
「なら、今回も【解体ショー】を堪能できるってことか?」
当麻の言葉に、フレンダはニヤリッと笑い、
「仕掛けは上々、仕上げは極悪非道って訳よ!」
と、見事なサムズ・アップを決めるのだった。
- 105 :アイテム好き[age]:2011/06/27(月) 19:02:25.41 ID:hqeGRZ9AO
当麻と抱えられていた理后、フレンダの三人は、その後は大した障害もなく、当麻の愛車(カールソンCK63S)の位置まで戻ってくる事が出来た。
まだ"体晶"の後遺症のしつこい偏頭痛に悩まされてる理后は後部座席に寝かされ、常備してある毛布がかけられていた。
当麻とフレンダは、車外にて臨戦状態で待機だ。
別命があるか、あるいはチーム全員が帰還するまで、この警戒体制は続く。
レシーバーから入ってくる声から判断する限り、程なく沈利と最愛も帰ってくるようだ。
当麻は、再び【バッシュ・ザ・スタンピート】をホルスターより抜いて右手に握り、いつでも撃てる状態にしていた。
一方、フレンダはと言えば…
「~♪」
やや大きめのヌイグルミを抱いていた。
いや、よく見ればそのヌイグルミに手を突っ込んでいて、中で何かを握っているようだ。
「相変わらず好きだなぁ~、パペットに武器を隠すの」
そう、フレンダが握っていたのは、"謎の生物(笑)"の中に仕込まれた武器、独H&K社の"MP7A1"というPDW(短機関銃の一種)だったのだ。
- 106 :アイテム好き[age]:2011/06/27(月) 19:03:19.76 ID:hqeGRZ9AO
MP7A1は、全長35cm重量1.2kgという小型軽量(当麻のバッシュより小さく軽い)なプラスチック製ボディを持ち、反動が小さく防弾服を貫く事に特化した特殊な小口径高速弾を発射する代物だ。
「ヌイグルミに武器を仕込むのは、私のアイデンティティーってな訳よ♪」
そう楽しげに言うフレンダ。
爆薬類の専門家だったフレンダは、かつてはヌイグルミに仕掛けた爆発物のみを武器にしていた。
しかし、当麻に『使える間合いとシチュが限定され過ぎる』と指摘され、その言葉通り、任務中に単独で爆弾を仕掛けてる時に銃撃を浴びて死にかけ、"冥土返し"の世話になる羽目になったのだ。
それ以来、フレンダは銃を携行するようになっていた。
実は愛用のベレー帽の中に、MP7A1と同じ弾を使う"UCP"という拳銃を、もう1丁隠し持っていた。
- 107 :アイテム好き[age]:2011/06/27(月) 19:04:17.93 ID:hqeGRZ9AO
「そういう当麻も結局、"全身武器庫(リーサル・ファランクス)"って訳じゃない?」
「否定はできねーわなぁ」
必然的に幼少期から見知らぬ土地で命の奪い合いを宿命付けられた当麻は、使える武器の携行数がそのまま手数の多さとなり、それが生死を分ける事をよく知っていた。
既に、"バッシュ・ザ・スタンピート"と"ウォリアー"という2丁の拳銃は出てきたが、それ以外にも当麻は、両袖の内側に手の平サイズの小型自動拳銃を隠
し、腰の後ろのホルスターと交叉させるように、湾曲した刃を持つククリ(グルカ)タイプのナイフを入れたシース(鞘)を差し、ズボンの左ポケットには"カ
ランビット"という嘴のような刃のフォールディング(折り畳み)・ナイフを突っ込んでいた。
- 108 :アイテム好き[age]:2011/06/27(月) 19:05:21.60 ID:hqeGRZ9AO
「拳銃4丁に、ナイフ2本…まさに現代版"ビリー・ザ・キッド"って訳じゃない?」
"ビリー・ザ・キッド"というのは、アメリカ開拓時代に実在した有名な無法者(アウトロー)で、常に4丁の拳銃を持ち歩き、21歳で21人を殺したと言われている。
「縁起でもねぇよ。だったら、上条さんは21歳までしか生きられないって事になってしまうんでせうよ?」
ビリー・ザ・キッドの最後は、21歳の時に友人でもあった保安官のパット・ギャレットに丸腰の時に闇討ちされ、射殺されるという悲惨な物だった。
「それに…」
当麻は、自嘲気味に苦笑して、
「日本に来る前に、とっくにキッドの生涯通算記録は超えてるさ」
当麻が初めて人を殺めたのは、年齢がまだ2ケタに届く前だった…
- 109 :アイテム好き[age]:2011/06/27(月) 19:06:24.39 ID:hqeGRZ9AO
「お待たせにゃーん♪」
「只今、超戻りました~」
存分に"シューティング・ゲーム"を楽しめたせいか、すこぶる機嫌の良い沈利と、いつも通りの最愛が戻ってきたのは、それから10分もしないうちだった。
見たところ目立った怪我もないようで、当麻は気付かれないように安堵の溜め息を突く。
当麻は、全てにおいて非情、もしくは冷淡という訳ではない。
ただ、仲間と"標的"の差を異常な迄に割り切り、線引きするだけだ。
こと"仕事"に関しては、特にその傾向が顕著になる。
まだ両親の庇護が必要な時代に異国ではぐれ独りになり、生き延びたとはいえ、血と硝煙と死臭が充満する世界の住人となった…
でも、そんなロクでもない場所にも、やっぱり仲間はいて…でも、
(もう、誰も失いたくはないからな…)
でも、当麻は…今は学園都市にいた。
「ん? 当麻、どうしたの?」
少し心配そうに覗き込む沈利に、当麻は柔らかな唇を重ね、軽く舌を絡めた。
「ありがとな、沈利。心配ないさ」
そして、少し名残惜しそうに唇を放してから、当麻はニコリと笑い、
「ただ、少し…"昔"を思い出しただけだ」
- 110 :アイテム好き[age]:2011/06/27(月) 19:08:37.00 ID:hqeGRZ9AO
「全員揃ったし、んじゃあそろそろ…フレンダ、」
当麻は、フレンダを見るとウィンクして、
「やっちまえ」
既にリモコンを取り出していたフレンダは…
「了解ってな訳よ♪ せ~の…」
舌舐めずりをするような表情で、
「発破ぁっ!!」
一瞬、当麻は何故かトミー・リー・ジョーンズが宇宙人役で出てくる、某缶コーヒーのCMを思い出した…
"ズゥゥゥゥ---ッン!!!"
研究所の構造的急所に仕掛けられたフレンダの体重を超える"セムテックス(C4等と同じくプラスチック爆弾の一種)"が同時に起爆し、腹に響く大音響の爆発と共に、建物は一気に崩れ去ったのだった…
参考までに言っておけば、とあるテロに使われたセムテックスは、わずか300g程度で、大型旅客機を空中分解させたと言われている。
- 120 :アイテム好き[age]:2011/06/28(火) 13:46:02.44 ID:01ujjczAO
「あはぁ…」
ふと、フレンダの口から甘い吐息が漏れる。
「…濡れた?」
当麻の言葉に、コクンとフレンダは頷いた。
フレンダには、一つ特殊な性癖がある。
ヌイグルミに仕込むような…精々、"クレイモア"程度の炸裂ならどうという事はないのだが、自分が仕掛けた"大発破"が成功した時、その達成感と解放感…何より爆炎の匂いと光景に、ひどく性的な意味の興奮を覚えるのだ。
誰かが言っていたが、基本的に殺人とドラッグとセックスは、基本的に同種の快楽らしい。
紅い頬に潤んだ瞳…
フレンダはそこに、射精感に似た爆発の感覚が加わっているのかもしれない。
「フレンダ…スカートをたくしあげろよ」
フレンダは、まるで当麻の操り人形のように、ミニスカートの左右をつまみ、躊躇う事なく上へたくしあげ、肩幅に脚を開いたのだった。
- 121 :アイテム好き[age]:2011/06/28(火) 13:47:02.15 ID:01ujjczAO
"クチュ…クチャ、クチャ"
「こりゃ、ビショビショの大洪水だなぁ~っと」
当麻は苦笑しながら、左手をフレンダの秘部に添え、ストッキングの上から、むしろもどかしくなるような手付きで愛撫する。
そして、下着を透過し、ストッキングまで浸透して濡らす体液の感触を楽しんだ。
「ひゃぐっ! はぅ…どうせなら、もっと…強いの…希望って訳…よ…ひぐぅっ!」
敏感になってるとこへの焦らすような愛撫に、火をつけられ息も絶え絶えなフレンダは、甘い甘い声で更なる快楽をねだる。
それに応えるように、当麻はストッキングとパンツを下にずらし、幼い造りだが、初めての時から比べるなら、随分と柔らかくなり、体液の分泌量も多くなった
そこを、小指から中指までの三本を別々の動きで入口や浅い部分をリズミカルにかき回し、同時に人差し指と親指で肉芽を挟み、擦り潰すようにして刺激する。
「ひぎゅっ! くひぃっ!」
幼いクレパスから、トプットプッと脈打つように粘液を溢れさせながら、フレンダは、感じるままに細く平たい肢体(からだ)をよがりくねらせた。
- 122 :アイテム好き[age]:2011/06/28(火) 13:48:28.01 ID:01ujjczAO
当麻とフレンダは、実は相性がいい。
単純な身体の相性という話ではなく、爆発に性的興奮をするフレンダと、戦闘が終わる度に自分で抑制できなくなるほど、女を求めたぎる…"雄として雌を貪り"たくなる当麻は、まさに需要と供給のバランスが取れていたのだ。
(俺も病気だな…)
フレンダの小柄な肢体に見合わぬ淫媚な反応に、当麻は堪らなく興奮しながら、それでも頭の一部でそう自己分析していた。
当麻は、"仕事現場"では、どれほど窮地に陥っても、不思議なほど冷静さを失わない。
勿論、メンバーの中で誰よりも鉄火場や修羅場に場慣れしてるというのもあるのだろうが…
それにしても、なんの感情の揺らぎも見せず、標的紙も人の頭も同じ感覚で躊躇いなく撃ち抜くというのは、些か不自然だ。
ならば、こう考えるべきだろうか?
感情を意識下で意図的に押し殺してるのではなく、表層意識に現れぬように、無意識で強制的に抑圧してるのでは、と。
- 123 :アイテム好き[age]:2011/06/28(火) 13:49:31.72 ID:01ujjczAO
当麻は、間違っても心が死んで、何も感じなくなった"脱け殻"ではない。
むしろ、"身内"と認定した四人の娘には、強い情愛を持ってるし、また日常生活における彼は、どちらかと言えば、感情も表情も豊かな…何処にでもいるような暢気な少年にみえる。
だが、"命を奪う時"は、まるで鎮静剤でも投与されたかのように平静に引き金を引き、或いは喉笛を切り裂く。
完全なマインド・セット(自己精神制御)と呼べなくもないが、正規の訓練や教練を受けた訳でもなく、半ば経験則からそうなってしまった当麻は、どこか歪んでいた。
ご存知だろうか?
戦場での戦闘後、兵士による現地住民への婦女(婦女だけに限らないが…)への性的暴行というのは、よく聞く話だが、それを引き起こす兵士は、シャバにいる時は、そのような性犯罪歴も性癖もない、暴力とはほぼ無縁だった者が、大半を占めている。
つまり、戦場という文字通り命懸けの戦闘で極度のストレスに晒され、それからの解放感と、著しく刺激された遺伝子を遺そうとする生存本能が混じり合い、シャバで身に付けた理性や道徳心をかるく破壊する為、戦場跡でのレイプは無くならないと言われている。
- 124 :アイテム好き[age]:2011/06/28(火) 13:50:48.69 ID:01ujjczAO
おそらく、当麻の精神に起きている事も、本質的には同じ物だろう。
いや、むしろ表層に現れない分、根は深いのかもしれない。
金を対価に、感情を微塵も揺るがせずに射[ピーーー]る当麻は、確かに狂ってるのかもしれない。
己の欲望のままに貪り、様々な特殊性癖を平然と行う当麻は、確かに壊れてるのかもしれない。
だが、それでも…
当麻は、どれほど飢えて渇いてとしても、当麻は沈利、理后、最愛、フレンダ以外は、"女であり、貪る雌"として認識することはない。
不条理な暴力で、本来の家族より切り離され、血と暴力が掟だった世界で生きても、結局、居場所を失った…
そんな、上条当麻という人間にとって、四人の少女達だけが、今となっては自分の認識できる身内…"家族"であり、耽溺し守るべき存在だった。
そう…
当麻にとっても、【アイテム】だけが、遺された"唯一の居場所"だったのだ。
- 125 :アイテム好き[age]:2011/06/28(火) 13:53:18.77 ID:01ujjczAO
「くひゅっ…ひぎゅっ…ぎひぃっ!」
何度目かの軽い絶頂に登らされたフレンダは、全身を小刻みに痙攣させ、当麻にしなだれかかった。
最早、全身に手足から自分の身体を支える程の力も抜け落ちているようだった…
しかし、当麻の愛撫は執拗で、フレンダに休養を許さない。
"グチュ…ニチャ…"
フレンダのクレパスから滴る液体の粘性が、ちょうどよい頃合いになった時、
「ほら、イッちまえっ…!」
フレンダの一番敏感な突起を、捻じ切るように摘まみ捻った!
「ぎひぃぃぃーーーっ!!?」
"ぷしゃああっ"
その瞬間、悲鳴じみた絶叫と同時に、フレンダは小柄で細い肢体を跳ねさせ、脚の間から匂いや粘度の違う体液を激しく放出させたのだった…
- 134 :アイテム好き[age]:2011/06/29(水) 18:30:52.23 ID:DX4AtgCAO
半ばフレンダの意識は、快楽に飲み込まれ、消失しかかっていた。
酸欠の金魚のようにパクパクしてる小さな口からは涎がだらしなく垂れ、焦点の合ってない碧眼からは、涙が溢れていた。
全身を弛緩させ、糸の切れたマリオットのように痙攣させながら、当麻に寄り掛かるフレンダ…
その弛んだ、普通ならみっともないとさえ表現できるフレンダの表情に、
(綺麗だ…)
当麻は抱き締めながら、素直な愛しさを感じていた。
そして、すっかりヌラヌラとフレンダの粘液にまみれた自分の指をペロリと舐めて文字通り"味見"し、
「準備、オーケーだよな?」
しかし…
"ゴリッ"
唐突に当麻の背中…正確には肩胛骨の間、心臓の裏側辺りに突き付けられる硬質な感触。
「り、理后さん…これは、どういう状況でせうか?」
両手をホールドアップしながら、冷や汗を頬から流す当麻に、
「"協定"違反は、駄目。私は、そんなとうまは応援できないよ?」
当麻の背後には、銃身にサイレンサーを装着した米軍の最新鋭半自動狙撃ライフル、ナイツ・アーマメント社製の"M110SASS(Semi Auto Sniper System)"を構えた滝壺理后が、ニコリと実にイイ笑顔で立っていたのだった。
- 135 :アイテム好き[age]:2011/06/29(水) 18:31:44.41 ID:DX4AtgCAO
どんな世界にも秩序という物がある。
それは、神仏の加護も法の庇護も届かぬ黒社会でも変わらない。
掟とか何とかと名前を変えて、秩序を守る"ルール"は存在するのだ。
規模も関係ない。
大は国家/民族/宗教間の繋がりから、小はほんの数名のグループに至るまで、人が二人以上集まれば、秩序が必要になってくる。
それは、麦野沈利、滝壺理后、絹旗最愛、フレンダ、そして上条当麻の僅か5人で構成される暗部の小グループ、始末屋である【アイテム】とて例外じゃあない。
そして、【アイテム】最大の"不文律(ルール)"こそが、【淑女協定(アイテム・アグリーメント)】だった。
沈利改め麦野にも、理后改め滝壺にも、最愛改め絹旗にも、勿論、フレンダにも、それぞれ当麻とのストーリーがある。
ある者は敗北の後の恋であり、ある者は居場所を見つけた安堵であり、ある者は命の恩人故の思慕であり、またある者は師であり道しるべから始まった想いだった。
その何れもが、比較できるものではなく、またお互いが理解できる物だった。
何より、経緯や時期の違いはあれど、一番重要な全員の想いは、一つ。
端的に言えば、惹かれ惚れてしまったのだ。
- 136 :アイテム好き[age]:2011/06/29(水) 18:32:35.73 ID:DX4AtgCAO
でなければ、誰も心も体も許したりはしないだろう。
そう四人とも、当麻が戦闘後に陥る"渇望"を潤したい、受け止めたいと願っていた。
だが、そこで問題が持ち上がる。
当麻が、誰かを選んでいれば、何も問題は無かった。
だが、いくらアプローチしても肝心の当麻は、誰も選ぶ気配がない。
いや、そもそも誰かを選んで交際するという発想そのものが、当麻には無かった。
当麻が学園都市に来る前に生きていた世界は、交際やその後に来るかもしれない婚姻なんて、夢物語やおとぎ話にしか思えない世界だったのだ。
飛んでくる弾は、性別を選んで当たってはくれない…
街自体が裏社会のようなそこは、誰もがいつどこで死んでもおかしくない場所だった。
大事な人を作る…わざわざ自分から、急所を作る馬鹿はいない。
だから、住人達の大半も後腐れない、シンプルで刹那的な関係を望んだ。
気が合うからつるみ、利害が一致すれば一緒に"仕事"し、利害が反すれば撃ち合い、たまれば飯でも喰うように無料(タダ)か有料かの違いだけで女(あるいは男)を抱く…両親とはぐれた後に当麻が生きたのは、例えば、そんな世界だ。
- 137 :アイテム好き[age]:2011/06/29(水) 18:33:44.98 ID:DX4AtgCAO
いくら暗部にいるとはいえ、当麻と四人の少女の感覚は、あまりに違い過ぎた。
ハーレムとは本来、どういう意味をもっていたか、ご存知だろうか?
ペルシア的世界においては、女性の社会的地位が低くく、特に男性の庇護下でなければ、困窮するような時代が長く続いた。
例えば、絶え間無かった異教徒との宗教戦争で、若くして夫を無くした未亡人や侵攻した土地に住んでいた奴隷階級になってしまった女性を保護する為の受け皿になっていたのも、またハーレムだったのだ。
当麻が多感な時代を過ごした場所は、娼婦やその予備軍が、商品のように売り買いすらされる場所だった。
ならば、娼館の主人(所有者)などは、現代版の"ハーレム・キング"と言っても、あながち間違いではないのだろうか?
- 138 :アイテム好き[age]:2011/06/29(水) 18:34:41.01 ID:DX4AtgCAO
当麻が拾われ、所属していた"組織(シンジケート)"は、裏社会のご多分に漏れずに、いくつもの娼館を経営してたし、また、ボスは幾人もの美しい少女や美女をはべらせていた。
それが、一種のステータスだったのだ。
そして、その座を狙い、銃で自分を守れない庇護と豊かで贅沢な生活を求める女達が、むしろ自らから売り込みをかけていた事も、また事実だった。
そんな街で育った当麻が、"日本における、まともな恋愛感"を持ってる方が、むしろおかしい。
だから、彼は心を許した"家族(ファミリー)"は無条件無制限に、そして"平等"に愛してしまうのだった。
- 139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)[sage]:2011/06/29(水) 18:40:50.10 ID:Mdd1bUvAO
- 句読点多すぎ
- 140 :アイテム好き[age]:2011/06/29(水) 18:41:06.03 ID:DX4AtgCAO
だが、たまったものじゃないのが、麦野達だ。
繰り返すが、暗部にいるとはいえ、暗部に入る前は良家のお嬢様だろうが"チャイルド・エラー"だろうが、日本人の少女ないし幼女だった事に、変わりははない。
恋愛できるできない別にして、普通の恋愛感を根底から忘れ去るには、麦野ですらも幼すぎた。
先も書いたが、四人にはそれぞれ当麻との物語(ロマンス)ある。
危機的状況において、種の保存本能に起因する男女の疑似恋愛感情を示す、"吊り橋効果"なる言葉が世にはある。
喉元過ぎれば熱さも忘れるというが、えてしてその手の事で結び付いたカップルは、危機的状況の余韻が過ぎれば、普通は自然と冷めてくるもんだ。
しかし、生憎、彼女達は【アイテム】。
"吊り橋効果"を期待できる剣呑なイベントに事欠かない部署だ。
冷める前に次の"吊り橋効果"イベントが起きれば、更なる好感度として乗算されて、それが度重なれば、ニセモノの恋愛も、いつしかホンモノに変わる。
想いというのは、良くも悪くも積み重ねなのだ。
- 141 :アイテム好き[age]:2011/06/29(水) 18:42:35.22 ID:DX4AtgCAO
『私達も、運が無いわね? あ~んなロクデナシに、よりにもよって全員が惚れちゃうなんてさ』
かつて、苦笑しながらそう切り出したのは、麦野だった。
相手は、誰か一人を選ぶなんて発想が、最初っからない。
独占なんてできようもない。
『結局、どいつもこいつも、惚れた弱みって訳よ』
と、フレンダ。
だけど、だからといって諦めたり、切り捨てたりするには、既に当麻は近くなりすぎていた。
『当麻が超アテにできないのなら、私達でルールを決めるしかないです。嫉妬合戦や取り合いで、【アイテム】の空気がギスギスするのは、超御免ですから』
誰も選ばないという事は、逆に言えば、誰ともスィーツ(笑)な空気になれるという事だ。
正直、それを延々と見せ付けられるとしたら、残る三人はたまったもんじゃない。
『とうまは、誰にとっても必要だから…だから、きぬはたの言う通り、ルールが必要だね? みんなが不公平にならないように』
そう閉めたのは、滝壺だ。
こうして始まったのが、当麻抜きのアイテム会議。
そして、決まったのが…
『さしずめ、【淑女協定(アイテム・アグリーメント)】ってところよね~』
- 142 :アイテム好き[age]:2011/06/29(水) 18:44:16.10 ID:DX4AtgCAO
"協定"の根幹を要約すれば、【日替わりで当麻を"優先的に独占"する権利】だ。
どんなにラブイチャ(笑)されても、自分のローテーションが来ると分かっていれば、欲求不満も小さいし、我慢もできようという物だ。
ただし、あくまで優先的なだけで、"当番"の娘は、ある程度の妥協と許容はすべき…と、付け加えられてはいるが。
まぁ、ここで重要なのは、一見すると"当麻のハーレム"に見える【アイテム】だが、実は"夜を楽しむプレイ内容"とかは別にしても、当麻にはなんら選択権が無いという事だ。
だから、正確に言うなら、当麻はハーレムの主というより、むしろ【アイテムの共有財産】に近いのかも知れない。
それに、普通は"ハーレム・マスター"が、ハーレムの娘から背中に銃口を押し付けられるとか有り得ない。
「とうまの上着が防弾なのは知ってるけど、零距離から7.62mmNATO弾を撃たれたら、流石に貫通できるよね?」
- 143 :アイテム好き[age]:2011/06/29(水) 18:45:16.96 ID:DX4AtgCAO
小首をかしげる仕草が、やけに可愛い滝壺だが、当麻は背筋に冷たい汗をかきながら、
「あはは…服どころか、上条さんの体ごと貫通して、フレンダに当たったりしますけど~」
ちなみに当麻、数々の武器を隠し持つ為に、真夏でも必ず薄手の上着をジャケットを着用している。
ジャケットやウインドブレーカーなど、色や形の違う何種類か持ってて、どれもユニク○で売ってそうなデザインなのだが、見た目の安さに反して、しっかりと軽防弾防刃仕様の特注品だ。
ただ、見た目の普通さや軽量さを優先して繊維だけで作ってるので、アンチスキルのゴツい装備品みたいに積層防弾プレートとか入っておらず、防げるのはナイフや標準的な軍用拳銃弾、手榴弾の破片ぐらいまでだ。
フレンダのMP7A1の特殊弾や、ましてや貫通力が比較にならないほど高い軍用ライフルなんて食らったら、ひとたまりもないだろう。
「大丈夫。撃つなら、フレンダに当たらないようにするから」
冷や汗を垂らす当麻の胸の中で、さっきまで意識を飛ばしてた筈のフレンダが発した、"チッ!"っと小さな舌打ちが妙に印象的だった…
- 144 :フレンダ[age]:2011/06/29(水) 18:49:43.37 ID:DX4AtgCAO
本日の投下は、これにて終了です。
次回は、まだ一文字も書いてないんで未定。
日常パートとか、当麻と麦野達が出会った頃の話とか、需要があるなら書こうかな?
基本は、原作合流に向かいます。
- 153 :アイテム好き[saga]:2011/06/30(木) 16:18:45.83 ID:rJ2V02kAO
「今日の"当番"が私だって思い出してくれた? それなら、許してあげる」
「も、もちろん思い出したですともっ! ハイッ!」
そんなやり取りの後、とりあえず滝壺から銃弾は放たれる事はなく丸く収まり、メンバーはCK63S(当麻の愛車の一台)に乗り込んだ。
どうやら、"淑女協定(アイテム・アグリーメント)"には、【横取りや抜け駆けを防止するなら、戦力消耗を抑える為にメンバー同士で争いは控え、極力本人(当麻)を止める事】ともあるらしい。
四人が当麻に惚れてるように当麻もまた四人に惚れてるのし、当麻の頑丈さは折り紙付きなので、ある意味、合理的な判断なのかもしれないが…
"Vooooom!!"
流行りの"Eco"という単語を真っ向から否定するような、6.3リッターの排気量から565馬力を絞り出すV型8気筒エンジンが目覚め、カーボン製ボンネットの下で低い唸り声を上げる。
ちなみに、助手席は常に麦野だ。
これだけは、本人的譲れない一線らしい。
そして、漆黒の車は街の闇に溶け込むように走り出した。
- 154 :アイテム好き[saga]:2011/06/30(木) 16:19:36.61 ID:rJ2V02kAO
まぁ、それでどこに行くのかと言えば、行き着けの24時間営業のファミレスってあたりはご愛敬だ。
隅っこにあるボックス席に陣取り、デブリーフィング(事後報告会兼反省会)を行うのが、【アイテム】の慣例だった。
そして、それぞれが思い思いの注文をした後、当麻は車から持ってきたノーパソを開いてOSを立ち上げる。
そして、軽い食事が終わった後に、
「ほんじゃあ、消耗した装備を各自言ってくれ」
「弾丸や装備の消耗は特にないわ。いつも通りに、"電子崩し(メルトダウナー)"だけで片付けたもの」
と言う麦野を皮切りに、
「"体晶"を1パッケージだけ」
「私が撃つ前に、ほとんど麦野に超バーベキューにされたので、"Mk43Mod0(M60E4)"用の200連発弾帯の半分ぐらいです」
滝壺に続き絹旗。
そういう描写は無かったが、絹旗もかなりの頻度で銃器を使用するし、その場合、かなりの戦闘力を発揮する。
なんせ、元々"窒素装甲(オフェンスアーマー)"に起因する無類の防御力とパワーを発揮する絹旗だ。
持ち前の怪力で、窒素不足さえ起こさなければ、大型大重量の高威力火器も問題なく使える。
そういう時の絹旗は、殆ど"移動トーチカ"だ。
- 155 :アイテム好き[saga]:2011/06/30(木) 16:20:58.85 ID:rJ2V02kAO
「"セムテックス(プラスチック爆弾の一種)"を52kg! 今回は、かなり景気良くぶっ飛ばしたって訳よ♪」
〆は、久々の大規模爆破(建物ごと破壊するようなミッションは、意外と少ない)と、中断にはなったが、当麻の愛撫で上機嫌なフレンダだった。
「俺は、HVAPHE(高速炸裂徹甲弾)弾頭のカスール6発に45ACP2発っと…セムテックスは当たり前だけど、カスールとベルトリンク(弾帯)の7.62mm弾も、補充しておいた方が良いかな? 次の次あたりのミッションで、在庫が怪しくなりそうだし」
そして、腕を組みながら、
「"体晶"は、自宅管理だと経時劣化が激しいからなぁ…発注は、次回ぐらいが妥当か?」
誰かに言う訳でもなく当麻が呟くと、麦野は鮭定食の後のデザートに頼んだストロベリー・サンデーをつつきながら、
「そのへんは当麻にお任せにゃーん♪ なんせ、"電話の女(レイディ・コール)"も当麻をお気に入りみたいだしねぇ~」
当麻は思わず苦笑しながら、
「あれは、お気に入りとかってモンじゃないと思うぞ?」
- 156 :アイテム好き[saga]:2011/06/30(木) 16:22:40.99 ID:rJ2V02kAO
それは以前のミッションのこと。
フレンダがドジを踏んで、少女追い詰められた時の事だ。
いち早く駆けつけた当麻が、フレンダを庇って全身に弾幕射撃を食らってしまったのだった。
まぁ、何となくフラグイベントっぽいような気がしないわけじゃないが、当麻はそのまま"カエル顔の医者(ヘヴンキャンセラー)"へ、そのまま強制送還されてしまう。
防弾服を着用してたせいもあり、幸い大事には至らなかったが、入院コースは確定だった。
そして、入院三日目のこと…
『さっさとアンタ、現場復帰しなさいよ! あのメスガキどもときたら、事後報告書は出さねーわ、消耗品の補充はバラバラに出すわ、オマケにアンタがいないと腑抜けてるわで、クソの役にも立ちはしないわよっ!!』
- 157 :アイテム好き[saga]:2011/06/30(木) 16:23:29.73 ID:rJ2V02kAO
原則として携帯禁止の病院内、当麻は妙なとこが常識人なので電源を落としていた。
すると、どうやら連絡がつかない事に業を煮やしたらしく、見舞いと称して病室に飛び込んできた妙齢の女性…
喚き散らすその声に、どうも聞き覚えがあると思えば、
『もしかして、"電話の女(レイディ・コール)"さんですか?』
当麻がどこか間抜けな声で聞くと、女性は大きく頷いた。
実は当麻、本人も知らないところで、非常に地味な戦いでも【アイテム】の主戦力として期待されていた。
その戦いの名は、"デスクワーク"。
- 158 :アイテム好き[saga]:2011/06/30(木) 16:27:30.23 ID:rJ2V02kAO
考えてもみてほしいのだが、
麦野→お嬢様
滝壺、絹旗→社会経験不足
フレンダ→ドジっ娘
こう言ってはなんだが、とても地味で地道な書類整理とかを期待できる面子じゃない。
いや本来、デスクワークは"電話の女"の仕事だろうとツッコまれそうだが、まだ当麻と麦野の二人きりの頃…
【アイテム】結成その時に、「とりあえず報告書と装備請求書、その他必要書類のフォーマットください」という当麻の台詞にいたく感動した"電話の女"に何を言っても無駄だろう。
ちなみに当麻が書類処理を当然と考えていたのは、学園都市に逃げ込む前に所属していた"組織(シンジケート)"にて、その"右手"と銃や体術を組み合わせた戦闘力から、最年少の"準幹部"扱いだった事が大きい。
社会の裏であれ表であれ、組織において偉くなればなるほど否応なく書類整理が増えるのは、必然である。
- 159 :アイテム好き[saga]:2011/06/30(木) 16:29:49.36 ID:rJ2V02kAO
デスクワークを呼吸するように当たり前だと思ってる当麻は、リーダーの麦野とは違う意味で【アイテム】の要と言えるだろう。
もっとも、あくまでそれは実務向きのスキルで、学校の成績にはほぼ反映されない事が悲しくもあるが。
なんせ、話すのはともかく、海外育ちの当麻の日本語読み書き技能は、かなり怪しい。
実際、書類関係は殆ど英文で書いてるぐらいだ。
それはともかく、そんなわけで当麻は【アイテム】で唯一、"電話の女"の顔を知る人物となり、また、今日も今日とて事後書類処理に勤しむのであった。
蛇足ながら、パソコンを叩いてる時の真剣な横顔が、隣に座る麦野の密かなお気に入りだと追記しておこう。
彼女がファミレスでも、当麻の隣を死守する理由の大半がこれなのだった。
- 172 :アイテム好き[saga]:2011/07/01(金) 23:16:04.45 ID:CGhQe1mAO
「そういやさ、経費で落ちるか微妙だから、多分実費になっちまうけど…欲しい銃とか装備とかあるか? 俺も"外部"に発注したい物あるから、一緒に注文するけど?」
「超有ります!」
当麻の進言に、元気に手を挙げたのは絹旗だった。
「M134D"ミニガン"の個人携行できるタイプが、超欲しいですっ!」
という絹旗の台詞に、麦野は呆れるように溜め息をついて、
「ま~た、この娘はくだらない映画に影響されたんでしょ?」
「ムムッ! くだらなくなんて無いですっ! この間のデートで、"当麻と"観にいったリバイバル上映【ドキッ☆マッチョだらけの某州知事特集】で、"肉食獣"と"未来から来た殺人サイボーグ"の二作目に出てきた名銃です!!」
殊更、【当麻と】を強調する絹旗である。
M134Dとは、簡単に言えば滝壺のM110SASSやMk43Mod0と同じ弾を使う、6銃身をレンコンのように束ねたガトリング・ガンだ。
"ミニガン"というペットネームに反して、人間が持ち運べる限界の大きさと重さを誇り、毎分3000発(50発/秒)という発射速度で弾丸をバラ撒く為、反動も凄まじい。
- 173 :アイテム好き[saga]:2011/07/01(金) 23:17:00.42 ID:CGhQe1mAO
それというのも、"ミニガン"という名前の由来は、これの元ネタ(構造の原型)になったM61シリーズ"バルカン"砲よりは小さいという意味らしい。
蛇足ながら、バルカン砲は20mm機関"砲弾"を使う、主にジェット戦闘機なんかに搭載する正真正銘の"機関砲"だ。
「あっ、TVの洋画劇場とかで何となく見たことあるかも…"ぶうぉぉぉ~"ってレンコンみたいな銃身が回転するやつ、だよね?」
「結局、予算A級で内容C級、間をとってB級映画って訳よ」
滝壺の表現もどうかと思うが、フレンダの評価は意外に辛辣だ。
「まぁ、確かに絹旗なら州知事の皮を被った殺人サイボーグとガチで殺り合えるかもしれないけどさぁ~」
「ムムッ! "闇落ちジェダイ騎士"を超瞬殺しそうな麦野に言われるのは、超心外です!」
「"星間戦争"ネタはやめい。それはともかく、他には?」
- 174 :アイテム好き[saga]:2011/07/01(金) 23:18:05.70 ID:CGhQe1mAO
「とうまの贔屓にしてる外部の密売屋さん…"鍛冶猫"さんだっけ? どんなのがあるの?」
首をかしげる滝壺は、どこか舌っ足らずにそう聞くと、
「米軍の横流し品が強いかな? あと、アメリカで流通してる銃なら、大抵は手に入るんじゃないかなぁ…それに、本人も銃の改造や調整やる"ガンスミス(銃職人)"らしいから。直接、会った事は無いけど腕はいいぜ」
「当麻の"バッシュ"も、その人の作品って訳?」
「そっ。素材の名前は忘れたけど、学園都市名物(笑)のなんとかって特殊鋼を要求されて送ったら、『その金属で部品作って1丁組みあげてみたから、試しに使ってみてくんない?』って感じで送られてきたのが…」
「結局、バッシュって訳ね?」
フレンダの言葉に当麻は頷き、
「正解」
「それ、超試作品のモニターじゃないですかっ!?」
「そうとも言うな」
初めて聞く"対戦車ピストル(笑)"の由来に驚く絹旗に、当麻はあっさり肯定した。
- 175 :アイテム好き[saga]:2011/07/01(金) 23:19:24.82 ID:CGhQe1mAO
「米軍の横流し品かぁ~…当麻、"MGL140"とか手に入る訳?」
フレンダの言った固有名詞に、当麻は少し頭を捻り、
「たしか、6連発のグレネード・ランチャーだったっけ? 最近、米陸軍が導入したって話の?」
「その通りって訳よ♪」
「ん~、断定はできないけど、聞いとくよ。フレンダと最愛だけでいいのか?」
「私は…そうね、"原子崩し(メルトダウナー)"発射までのタイムラグ埋めたいし、ショットガン(散弾銃)でも発注しようかしら? あれなら、取り敢えず敵に筒先向けて引金ひけば、当たるでしょ?」
麦野がそう微笑むと、当麻は納得したように、
「なるほど…牽制ぐらいにはなるし、上手くやれば逆に相手の隙作れるからな」
「そんな難しい事は考えてないわよ? スクロール前の弾のバラ撒きは、シューティングゲーの基本だしね~」
…もしかしたら、麦野は意外と懐ゲーとか好きなのだろうか?
「という訳で当麻、適当によさげなのを見繕っといてにゃーん♪」
「はいはい。全てはリーダーの仰せのままに」
- 176 :アイテム好き[saga]:2011/07/01(金) 23:20:22.51 ID:CGhQe1mAO
「私は、今のところ間に合ってるから。あっ、でも拳銃…」
「「「ダメっ! 絶対っ!!」」」
同時に麦野、絹旗、フレンダから声があがる。
言うまでもない事だが、滝壺は普段から低血圧気味にボ~ッとしてるとこがある。
まぁ、それが本人のキャラだし、チャームポイントでもあるのだが…
「な、なんで…?」
「…滝壺、作戦前のミーティングの時、ファミレスのトイレに拳銃置き忘れたのって、誰だったかしら?」
「うっ…」
麦野の台詞に思わずたじろく滝壺であった。
そして、【アイテム】が店を出た後に別の客が見つけ、オモチャかと思ったら本物(実銃)だとわかり、アンチスキルまで出てくる大騒ぎになったのだ。
結局、それが【"外部"から持ち込まれた銃】だったので、スキルアウトが置いていった物と断定され、捜査は打ち切られた。
実は、当麻が【アイテム】の使用銃を"外部"の物に限定してるのは、自身が扱い慣れてるせいもあるが、同時に足をつきにくくする為でもある。
だから、わざわざ旧知の"鍛冶猫"…割高でも信頼できるブラック・マーケットから仕入れているのだ。
- 177 :アイテム好き[saga]:2011/07/01(金) 23:23:24.41 ID:CGhQe1mAO
しかし、上からの然り気無い横槍で捜査は打ち切られ、銃から出てきた指紋もこっそり改ざんされたのであるが、当然のように【直属の上司("電話の女")】が知るところとなり、おかげで1ミッションのギャラが減俸になってしまったのだ。
「しょぼ~ん…」
「ま、まぁ、お前には"M110SASS(狙撃ライフル)"があるんだし…上条さんは、そんなドジっ娘な理后も応援してるぞっ!」
当麻の励ましに滝壺は、
「…言葉だけ?」
「へっ? 俺にどうしろと…?」
そして、ねだるような上目使いで、
「今日の夜…とうまがいつもより激しく可愛がってくれたら、元気出るかも」
(((うっ、上手いっ!!)))
滝壺理后…雌としての悦びを覚えると同時に、"女"として逞しく成長してるようだ。
- 200 :アイテム好き[saga]:2011/07/03(日) 15:20:02.90 ID:D6MAhzsAO
メンバーからの残る発注やら要望やらを取りまとめ終え、当麻は電源を落としてパソコンを閉じた。
"電話の女(レイディ・コール)"へ提出する報告書の作成は、どうやら翌日以降へ回したようだ。
「それじゃあ、みんなお疲れにゃーん♪」
麦野の言葉と同時に、デブリーフィングは終わった。
これで各自解散となるわけだが…
"ぎゅっ"
滝壺が立ち上がる当麻の左腕に肢体を押し付けるように抱き付いた。
当麻は勿論、振り払う気もなければ、麦野達も止める気はない。
自分のローテーションが回ってくるのは分かっていても、二人の背中を見送りながら、ただ少し羨ましいと思っただけだ。
滝壺は、本日の"当番"だ。
ミッションのせいで、随分と短くなってしまった"今日"を堪能しようとしてるに過ぎない。
当麻と滝壺の夜は、まだ始まってもいなかった。
- 201 :アイテム好き[saga]:2011/07/03(日) 15:21:00.49 ID:D6MAhzsAO
とある学生寮の一室にて
一度も出席した事は無いが、一応は当麻も学籍があり、無名の高校の学生だった。
実際、その高校には学園都市では大きな意味を持つ"学生"という表向きのカバーを得る為、暗部の関係者も少なからず在籍しており、何かと融通が効いた。
だから、当麻もこうして寮の一室に住めるのだった。
そして、その浴室では…
「あはぁ…」
左右の手首を、左右それぞれの足首に拘束具…レザー製の手枷と足枷が短い鎖で繋がれ、抵抗できないような姿にされた滝壺が、尻を突き上げるようにうつ伏せに転がされていた…
「ひぐっ…うくぅっ!」
さっきから上がる滝壺の甘い声の正体は、当麻が二本の指で、滝壺の"後ろの壷"をかき回されていたからだ。
本来なら排泄器官である筈のそこは、今夜だけに限らない度重なる"開発"で、性感帯としてすっかり馴染んでいた。
人差し指と中指を根本まで挿入され、焦らすような緩急を付けた動きをする度に、滝壺は身をもどかしげにあるいは、ねだるように身を捩らせる。
当麻によって開花させられた滝壺の肢体は、尻のヒダを爪で軽く引っ掻かれる度に、前からもとめどなく粘液を滴らせていた…
- 202 :アイテム好き[saga]:2011/07/03(日) 15:21:59.04 ID:D6MAhzsAO
「もう、いいかな?」
そう言いながら、当麻はヌトォっと腸液に濡れた指を引き抜いた。
そして、ねだるようにヒクつく穴を横目に見ながらおもむろに"とある器具"を握る。
具体的に言うなら、"針のついてない巨大な注射器"だ。
シリンダー式、エマジェリン式のシリンダー式の方と言えば、勘の良い人なら、どんな時に使う器具なのか想像がつくだろうか?
そして、洗面器になみなみと注がれたグリセリン溶液をシリンダーに目一杯吸引させながら、
「理后、いくぞ」
滝壺はコクンと、淫欲と期待に満ちた瞳で頷いた。
- 203 :アイテム好き[saga]:2011/07/03(日) 15:22:53.75 ID:D6MAhzsAO
「ひきゅっ…!」
腸内に強制注入される冷たい液体に、滝壺は背筋をゾクゾクさせながら駆け上がる快感に身を任せる。
当麻は、ピストンを最後まで押し込んだ後も、
「まだまだ、これからだぜ?」
そしてもう一度、シリンダーに溶液を入るのだった。
「ひゅごい…ぐひゅ!…赤ちゃんが、いる…うくぅ、みらい…」
何度かの注入ののち、身を起こされた滝壺は、既に強い快楽で呂律の妖くなった言葉で、風呂場の鏡に映る自分をそう評した。
"後ろの口"の部分には、液漏れを防止する為にかなり大きめの数珠状にプラスチックの球が連なった"玩具"が栓代わりに挿入され、溶液と腸液、更に腸内こびりつく半固形化した排泄されるべき物体を溶かしながら撹拌するように、ゆっくりと中で動いていた。
- 204 :アイテム好き[saga]:2011/07/03(日) 15:24:35.43 ID:D6MAhzsAO
体内に入れるには大きすぎる球体が時折腸壁にぶつかり、その度に滝壺の肢体がビクンと震える。
胸以外は全体的に細い造りの滝壺だけに、その異様に…リッター単位で計測できるほどグリセリン溶液が詰め込まれ膨らんだ下腹部は、ひどく目立っていた。
「いつか、そんな日が来るといいな…」
滝壺のボテッとだらしないほど膨らむ腹をなでまわしながら、当麻は滝壺の耳許で囁いた。
でも、その表情は希望的観測に満ちた"諦め"だった。
【アイテム】に限らず、その前…学園都市に来る前から、避妊なぞどこに吹く風の当麻だったが、一度たりとも子を成した事はない。
病院で調べてみても原因は、不明のままだ。
「わらひが…おかあひゃん?」
どこか嬉しそうに言う滝壺…
彼女の過去を考えるなら、親という存在は嫌悪してもいいのかもしれない。
でも、だとしても簡単に捨てられない何かが有るのだろう。
- 205 :アイテム好き[saga]:2011/07/03(日) 15:28:40.10 ID:D6MAhzsAO
だが、またしても"右手"のせいかは不明だが、自分が父親になれそうもないと諦めの心境に近い当麻は、答える代わりに滝壺の身体を前へと倒し、再びうつ伏せにした。
そして…
「いくぞ」
振り抜くように一気に栓代わりのアナル・ビーズを引き抜いた!
「ぎひゃあぁぁぁーーーっ!!」
普段の滝壺からは考えられぬほどの大きな絶叫…
快楽に支配されていた脳に、浣腸で鋭敏になっていた肛門に、それはあまりに強すぎる刺激だった。
それに過剰に反応した滝壺の腸は、異物が引き摺り出された事を幸いに、一気に収縮し"ブパァッ!"と中身を放出させる。
滝壺との夜伽は常に風呂場から始まる…その理由が、この"いつもの風景"だった。
- 206 :アイテム好き[saga]:2011/07/03(日) 15:30:05.60 ID:D6MAhzsAO
薬液と汚臭の入り混じった匂いが風呂場を漂うが、当麻は大して気にもならない。
それこそ、慣れた事だ。
むしろ、白眼を剥き、涎や鼻水を垂らした顔…絶頂を迎え、壮絶と呼んでいい滝壺の笑顔にひどく愛着を感じた。
同時に、汚物にまみれた肢体も美しいと…
(フレンダの口癖じゃねぇけどさ…)
「結局、俺は誰も救えないって訳だな…」
滝壺に限らず、【アイテム】に…暗部に堕ちてきた娘達の"心の奥底にある願い"など、自分は叶える事などできやしない。
本当に力があるなら、"表の世界"にだって戻す事もできるだろう。
- 207 :アイテム好き[saga]:2011/07/03(日) 15:31:20.55 ID:D6MAhzsAO
しかし、そんな力は何処を探したって自分には無い。
それに、
「俺だって、"表の世界"の事はよく知らないしな…」
小学校に入るか入らないかの頃に両親とはぐれ、異国の地で血と暴力に満ちた"組織(シンジケート)"の一員として生き残ってきた当麻…
去年までは日本という"祖国"でさえも、想像に過ぎなかった当麻にとり、【彼女達が生きていた筈の世界】は、正直理解の範疇外だった。
温めのシャワーで、排泄物や体液で汚れた滝壺の屍体を、当麻はむしろ優しい手付きで洗う…
失神してる筈なのに、洗うほど身体を痙攣させる滝壺…
結局、どっぷり首まで浸かった闇の住人でしかない自分が彼、女達にできる数少ない事として当麻が選んだのは…
頭の中が空白化する程の、その瞬間だけは何もかも忘れられる"刹那の快楽"だった。
それは、どこか虚しく儚い…泡沫(うたかた)夢に似ていた…
- 228 :アイテム好き[saga]:2011/07/05(火) 23:12:49.32 ID:XmAe0egAO
狂宴…という程では無いが、滝壺との情事は、後ろと前を同時に責められ続けた滝壺が再び失神した事で、呆気なく幕を閉じた。
(敏感になりすぎるのも、良し悪しだなぁ…)
当麻は苦笑しながら、失神したままスヤスヤと眠ってしまった滝壺に毛布をかけ直した。
その寝顔は赤ん坊のように安らかで、先ほど後ろの穴を当麻の"愛銃(生身)"でシワが延びきるほどに抉られ続け、涙や鼻水でぐしゃぐしゃになりながらよがり狂っていた面影は残ってなかった…
もうすぐ、明け方と呼んでいい時間帯だ。
当麻は、報告書や請求書、そして【Medical Report】と名前の付けられたフォルダに書きかけの文章を放り込み、パソコンの電源を落とした。
(俺もそろそろ寝るとするかなぁ~)
ふわぁ~とアクビを一つし、当麻は滝壺の眠るベッドへと潜り込む。
入った途端、滝壺に抱き枕にされ『実は、起きてるんじゃないか?』とも思ったが、まあそれも悪くない気分だった。
- 229 :アイテム好き[saga]:2011/07/05(火) 23:13:55.54 ID:XmAe0egAO
翌朝。
当麻の部屋にしては珍しく、味噌汁のいい匂いが漂う中で彼は目を覚ました。
寝惚け眼を擦りながら台所へ行けば、想像通り滝壺が朝食を作っていた。
期待していたら申し訳ないが、断じて裸エプロンとかではない。
それは、別のメンバーの芸風(?)だ。
滝壺の白のTシャツにピンクのジャージ、それにシンプルなデザインのエプロンという組み合わせは、不思議とむず痒いような感覚を当麻に抱かせた。
なんというか…
自分がいる世界とは縁遠い世界の風景の筈なのに、それがあたかも日常の一コマのような…
(いやいや、そりゃねーよ)
凶情持ちの物心ついた直後から裏稼業まっしぐらの自分が、まるで無害な一般人みたいな幸せなんて望んじゃいけない…少なくとも、当麻はそう思っていた。
だから、こんな彼女が朝食を作ってくれるなんてシチュエーションは、仮初めの幻(げんそう)に過ぎないと…
- 230 :アイテム好き[saga]:2011/07/05(火) 23:15:09.56 ID:XmAe0egAO
「とうま、おはよう。冷蔵庫の中身、勝手に使ってるよ?」
「あっ、ああ、おはよう。構わねーぞ? むしろ、助かるし」
当麻の部屋の冷蔵庫は、わりと中身が潤沢だ。
任務が無い時の【アイテム】の娘達との日替わりデートじゃあ、買い物はわりと定番で、またメンバーだって女子力(笑)をアピールできる機会をみすみす逃す手はない。
何気に【アイテム】が、(驚くべき事に)麦野を筆頭に自炊派なのは、存外この辺りが原因なのかもしれない。
「じゃあ、顔を洗ってきて。もうじき、できると思うから」
「わかった」
やっぱり何かむず痒いな…と言い表しにくい感覚を感じながら、当麻は洗面所に向かった。
和食拵えの朝食も済み、洗い物を手伝おうとしたらやんわりと滝壺に断られたので、のんびりとリビングで食後のコーヒーを楽しむ。
和食なら日本茶が定番だが、当麻はコーヒー党だった。
そして、タバコに火をつけながら寝室から持ってきたノーパソを開く。
洗い物を終えたら、今度は洗濯。
滝壺に限った話じゃないが、実にかいがいしい。
- 231 :アイテム好き[saga]:2011/07/05(火) 23:16:10.57 ID:XmAe0egAO
当麻は、ひょっとしたら俺よりこの家に詳しいんじゃないか?と疑問を感じていたが、普通に下着まで含めた【アイテム】の着替えがクローゼットに置いてある現状で、何を今更である。
やがて、洗濯を終えた滝壺が戻ってきて、
「とうま、今日はどうするの?」
「いつも通りだぜ? 午前中は書類の作成で、午後は"カエル顔"のとこ。夜は未定だけど、飲みにでもいくさ」
ミッションの翌日は、当麻は原則として休みとなる。
正確には、報告書を始めとする書類の作成と提出、必要なら事後処理やら何やらの為に開ける必要があるという事だ。
それ以外の当麻の休み(フリー)となると、"淑女協定(アイテム・アグリーメント)"に関しては何度か話が出てきたが、基本は麦野→滝壺→絹旗→フレンダの順番で、一巡すると一日休みってローテーションだ。
当麻を独占できるのは、基本的に"当番"の日の午後から翌朝までという感じになる。
いくら無自覚の先天的"フラグメーカー"体質の当麻とはいえ、これだけスケジュール管理をされていれば、そうそうアチコチにフラグは乱立しないだろう。
いや、それでも万全と言えない辺りが、旗立て職人の旗立て職人たる由縁なのかもしれないが…
- 232 :アイテム好き[saga]:2011/07/05(火) 23:17:01.24 ID:XmAe0egAO
「じゃあ、私は午前中はこうしてようっと」
"ぴとっ"
と、当麻の背中におぶさるように張り付く滝壺。
ふにょっと潰れる二つの膨らみを中心にした柔らかい感触が、当麻の背中全体に包みこむように広がった…
「理后は、どうするんだ?」
「私? 私もいつも通りだよ? 午後から、みんなでいつものファミレスに集まってガールズ・セッション。だから…」
滝壺は、クスクスと笑い、
「だから、それまでこうしてる…とうま分、補給♪」
「コラコラ」
と、口ではそう言うが、満更でもないらしい当麻だった。
- 233 :アイテム好き[saga]:2011/07/05(火) 23:19:31.45 ID:XmAe0egAO
「ん? それって、発注書?」
と、当麻の肩越しに画面を覗き込む滝壺。
英文だから全部わかる訳じゃないが、何となくなら内容は理解できる。
「ああ」
「そう言えばとうま、何か注文するって言ってたね?」
「まあな。消耗パーツの交換や通常メンテで"バッシュ"を持たせるのが、そろそろ限界でね…あちこちガタがキてるし、いい加減オーバーホールが必要かなってさ」
「その"代銃"…?」
「そういうこと。出来れば、同じ454カスール弾を使う6連発のリボルバー…"スーパー・レッドホーク"とかがありゃいいんだけどさ…」
画面の発注書には、こう記してあった。
Request:
Ruger"Super Redhawk"
Custom:
7.5inch Heavy Bull Barrel(include Muzzle Brake)
- 234 :アイテム好き[saga]:2011/07/05(火) 23:20:24.62 ID:XmAe0egAO
【アイテム】の戦う相手は、必然的に能力者が多くなる。
当然だが、能力者は例え非武装だとしても油断していい相手じゃない。
無能力者が能力者を迅速かつ簡単に倒すコツは、相手より先に発見し、能力の有効射程外から接近され演算を終わらせられる前に、文字通り"頭を潰す"事だ。
拳銃の分際で、ライフル並の高速で弾丸がスッ飛んでいくカスールは、当麻にとっては都合のいいエモノだった。
頭に命中すれば一撃ザクロ。
よしんば頭に命中しなかったとしても、体のどこに当たっても大穴が開き、演算どころの騒ぎじゃなくなる。
「とうまは、ライフルとかは使わないの?」
「実は上条さん、ライフルとか長物の扱いは、あんまり上手くないんですよ」
と、当麻は苦笑した。
「私達に銃の撃ち方を教えてくれたのは、とうまなのに?」
「どうも、長物とは相性が悪くてさ…すぐにジャムるんだよ」
- 235 :アイテム好き[saga]:2011/07/05(火) 23:21:07.86 ID:XmAe0egAO
正確には、"両手もしくは右手で扱う自動装填式銃器との相性が、かなり悪い"だ。
どういう作用かは不明だが、当麻が右手で握ったオートマチック式の銃器は、かなりの確率で動作不良…中でも、装弾不良(ジャム:弾詰まり)を起こすのだ。
そもそも、当麻が右手で使う銃をリボルバーに限定してるのは、使う弾丸の威力云々より、オートマチックに比べてリボルバーは単純な構造で動作不良が起きにくく、原理的にジャムが無いからだった。
「って訳で、必要無い限り極力使いたくないし、使うにしてもオートじゃないタイプにすんよ」
「大丈夫。私は、そんなオート・ジャムな当麻もずっと応援してる」
背中から抱き付く滝壺の腕の力が、ぎゅっと少し強くなる。
そして、当麻の耳許で小さく囁いた。
「とうまのそばが、"私の居場所"だから…」
- 236 :アイテム好き[saga]:2011/07/05(火) 23:24:31.26 ID:XmAe0egAO
本日の投下は、これで終了です。
次回の投下は未定ですが、明日は多分無理。
- 250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/11(月) 18:33:28.22 ID:KUqKiUT20
- >>1来なくなったじゃねえかァー
- 251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/11(月) 21:41:05.78 ID:476K7oKSO
- 続きはまだかのう
- 262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/07/28(木) 08:07:13.86 ID:wd7g69k3o
- なんだ逃げたか
- 263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/08/07(日) 20:41:20.27 ID:478fb+0p0
- 来てくれよ
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