- ※未完作品
- 3 :nene2011/05/29(日) 22:39:39.31 ID:lvwSOCng0
- 某マンション
一方通行「オイィ、お袋ォ。俺、前にィ言ったよなァ。もう嫌だッてな」
小萌「……はい」正座
一方通行「なーんでよォ、息子の俺がァ、毎回、毎回、毎回ィィ」
一方通行「酔っ払ったお袋の同僚を介抱しねェといけねンだゴラァ!」ビシッ
黄泉川+その他大勢 チーン
小萌「あーくんの料理は美味しすぎてお酒が進んじゃうんですよ」
一方通行「ベクトルクッキングだからなァ、まあ、反則的にウメェのは分かる」ウンウン
一方通行「だが、この酒はいらねェ!!いつの間に持ち込みやがったこんなもん!」
>空瓶の山
小萌「これは全部黄泉川先生のお土産なのですよ」
一方通行「黄泉川ァッァァァァァ!」
一歩通行「お袋がァ体壊したらどうすんだボケェ!ちっせえからアルコール回るの早いに決まってんだろガァ!!」 - 4 :nene2011/05/29(日) 22:40:25.61 ID:lvwSOCng0
- 黄泉川「うーん、まだ気分悪いじゃん」
一歩通行「聞いてンのか!?テメェは人のお袋をアルコール中毒にする気かゴラァ!」
黄泉川「大丈夫じゃん」
小萌「そうですよー」
小萌「ちゃんと、あーちゃんとの約束通り、ビールは2本までです」
小萌「お母さんは約束を破らないのですよ」
一方通行「……なら、イイ」
黄泉川「相変わらずいい子じゃん。お姉さんのうちに来ない?」 - 5 :nene2011/05/29(日) 22:41:09.97 ID:lvwSOCng0
- 一歩通行「黙れババア」
黄泉川「まだ二十代じゃん!」
一方通行「四捨五入すれば、アラサーな」
小萌「あーちゃん。女の人にババアなんて言ってはいけません」メッ
一方通行「……チッ」
黄泉川「ちゃんと謝ることは大事じゃん」
一方通行「その前に材料費払いやがれェ。総額47万」 - 6 :nene2011/05/29(日) 22:41:48.20 ID:lvwSOCng0
- 黄泉川「お邪魔しました!」
一方通行「遅ェ」ガッシッ
小萌「え?」
黄泉川「なっ!?」
一方通行「伊達に一位やってねェ。最近は筋トレしてんだよォ」クククッ
黄泉川「確かに、男らしい香りになったじゃん」クンクン
一方通行「ッッッ!?離れろ変態!」
小萌「あーちゃん本当に逞しくなって。嬉しいけど、複雑なのですよ」
一方通行「…お袋ォ」
黄泉川「いい親子じゃん」
一方通行「とりあえず、テメェらは帰れ」 - 7 :nene2011/05/29(日) 22:58:11.74 ID:lvwSOCng0
- バタン
小萌「うふふふっふ、お疲れ様なのですよ」
一方通行「……さっさと寝ろよ、お袋」
小萌「はーい。シャワー先に浴びちゃいますね」
一方通行「オウ」
一方通行「……オヤスミ」
小萌「おやすみなさい。白ちゃん」
- 8 :nene2011/05/29(日) 23:05:29.53 ID:lvwSOCng0
- 一方通行の部屋
一方通行「メール?最愛か」カチカチ
From: 妹 I_love_white_rabbit@bbb.ne.jp
今日も超疲れました。宿泊先のご飯不味いです。土曜日帰りますので、早めにご飯お願いします。あと、毎晩言ってますけど、お兄ちゃんは女の人に声を掛けられても無視してくださいね。絶対ですよ。超絶対ですよ!
追記:もし、言い寄られたらその人の写真とってくださいね
おやすみなさい
最愛より - 9 :nene2011/05/29(日) 23:07:38.66 ID:lvwSOCng0
一方通行「へいへい」カチカチ
一方通行「ったくよォ。そもそも、俺がモテるわけねェだろうが」
一方通行「お袋に拾ってもらうまで、他人なんざ知らなかったんだからよォ」
一方通行「…今日の事は大目に見てやるか」ヤレヤレ
一方通行「オヤスミ。クソッタレに甘い、最高のお袋」- 10 :nene2011/05/29(日) 23:14:00.80 ID:lvwSOCng0
今晩は以上とさせていただきます。
もしも、今後需要があれば続けます。
今の所
1. 重度のブラコン(ブラ婚希望)の最愛ちゃん
2. 担任教師の息子に一目惚れてしまった吹寄さん
3. 茶飲み仲間の電波少女である滝壺さん
4. 上条さんに攻撃しているところを説教される御坂さん
を考えています。この中からみたいものがあれば書き込みしてください。- 11 :nene2011/05/29(日) 23:14:31.91 ID:lvwSOCng0
今晩は以上とさせていただきます。
もしも、今後需要があれば続けます。
今の所
1. 重度のブラコン(ブラ婚希望)の最愛ちゃん
2. 担任教師の息子に一目惚れてしまった吹寄さん
3. 茶飲み仲間の電波少女である滝壺さん
4. 上条さんに攻撃しているところを説教される御坂さん
を考えています。この中からみたいものがあれば書き込みしてください。- 12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/05/29(日) 23:15:53.51 ID:MDR63vMM0
- 乙!
私的には1がいいな - 13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[sage]:2011/05/29(日) 23:16:41.50 ID:hezlO+/AO
- 乙!
また楽しみが増えた
とりあえず全部頼もうか
- 67 :nene2011/05/31(火) 00:40:23.39 ID:2xYpuwt70
- 雨粒が屋根に当たりコンコンとリズミカルな音を奏で、冷たいコンクリートの床を何故か少しはマシなものに思わせてくれた。誰も居なくなった部屋の剥き出し
のコンクリートの床で、ただ、天井を見上げて、雨音を聞いていた。何分か、何時間か、何日か、どれくらいの時間その姿勢でいたのか覚えていないが、感覚と
感情が麻痺し始めていたことを覚えていた。
「遅くなってごめんなさい」
雨は冷たい。コンクリートも冷たい。なのに、この小柄な人が流す水はどうして温かいのだろうと、不思議に思った。麻痺しかけていた好奇心で、温い、それの発生源に手を伸ばして、しばらくその感覚を弄っていたのをよく覚えている。
この日、自分は、『一方通行』は『月詠小萌』に拾われたのだから
- 68 :nene2011/05/31(火) 00:41:06.18 ID:2xYpuwt70
- 「…夢か」
「どうかしましたか?」
ゴソゴソという音と共に一方通行が横になっている布団からショートカットの一人の少女が顔を出した。幼いが、どこか敏捷な小動物を連想させるその顔立ちは同じ年頃の少女達には無い鋭さと知性を備えていた。
「何で当然のように人の布団に入り込んでいるんですかァ?」
「超気持ちいいからです」
確認するまでもないことだと言わんばかりに、少女は一方通行に抱きついた。腰に回した手に力を入れ、最大限に密着し、相手の体温と匂いを堪能する。 - 69 :nene2011/05/31(火) 00:42:54.75 ID:2xYpuwt70
- 「そうかァ?」
「はいっ!ズルいですよ。こんなに超スベスベなんて、反則です」
「へいへい。起きるぞ。お袋が起きる前に飯作らねェと」
「もうちょっとだけ。超少しだけでいいですから」
全く指に絡まない手入れの行き届いた髪の毛を一方通行が梳くと気持ちよさそうに少女は目を細める。
「…最愛」
「分かりました」
- 70 :nene2011/05/31(火) 00:44:34.97 ID:2xYpuwt70
-
最愛と呼ばれた少女は渋々としかし、素早く布団から這い出すと台所へと向かった。名残惜しそうな表情に若干の罪悪感を抱きつつも、一方通行は低血圧のため、重たく感じる身体をゆっくりと伸ばした。
「…雨降らねェのかよ」
なんとなく雨の音が聞きたかったが、空模様はただの曇りであり、まだ雨が降り出しそうな様子は無かった。
「お兄ちゃん?」
「今行く」 - 71 :nene2011/05/31(火) 00:45:21.68 ID:2xYpuwt70
- 手際よく、スクランブルエッグとトーストを用意し、冷蔵庫から残り物のポテトサラダを取出す。そして、自分にはコーヒーを、妹にはミルクを、母親には紅茶
を用意する。狭い台所で最愛と一方通行がぶつからないのは互いにこの一連の動作がもはや習慣の域にたっしているからだろう。
「おはようなのです」
「おはようございます」
「お袋、顔洗って来い」
眠たげな母親に対して、一方通行は苦笑しながらも食器をテーブルに並べ、だらしなく椅子に腰かけ新聞を捲りつつ、コーヒーを啜る。
「いただきます」
「オウ」
「あ、いただきます」
- 72 :nene2011/05/31(火) 00:49:35.94 ID:2xYpuwt70
特に誰かが口を開くことなく、静かに朝食は進む。それが何時もの流れであり、一方通行はこの静かな時間が好きだった。なんとなく、オルゴールを聞いているようなこの感覚が心地よく、温かった。
「あ、私がお皿洗いますね」
最愛が手早く食器をまとめ、小萌は相変わらず眠たげに紅茶を飲んでいる。猫舌なのか、覚ましながら慎重に飲んでいる。これも一方通行にとって見慣れた光景だ。
「最愛。皿洗い頼む」
「はぁ!?ちょっとお兄ちゃんどこ行くんですか?」
「あーちゃん?」
普段、一方通行が朝早く家を出るなどということは無い。それを熟知している二人からは疑問の声が上がったが、ヒラヒラと一方通行は左手を振って玄関に向かった。
「くっだらねェ、悪戯だよ」
一方通行は悪戯猫のような、ニヤニヤとした嫌な笑みを浮かべていた。
- 73 :nene2011/05/31(火) 00:58:24.27 ID:2xYpuwt70
- 「風流操作開始」
外に出た一方通行は目を閉じて自分の能力を行使することに集中した。穏やかだった風が急に強くなり、道路沿いを歩いていた人々はふと空を見上げた。先程まで、若干曇っていた程度だった空模様が今にも泣きだしそうな様子だった。
そして、ポツリ、ポツリと水滴が地面を濡らし、やがて、土砂降りの雨へと変わった。
「カッハハハハッハッハハハ」
濡れ鼠に成りながら、楽しそうに一方通行は両手を広げ、空から落ちる雨を受け入れた。そのまま、数分そのまま佇み、満足したのか雨宿りを始め、カンカンっと雨が弾ける音を赤い瞳を閉じて黙って聞き入っていた。
- 74 :nene2011/05/31(火) 01:02:20.85 ID:2xYpuwt70
「もうっ」
静寂が唐突に破られ、一方通行は目を開いた。ふと、横に視線を向ければ、雨に濡れた女性がハンカチで顔を拭いていた。染めた気配の無い黒髪が腰近くまで伸ばされており、モデルの様なボディラインが濡れたシャツにより露わになっていた。
「…乾いたぞ」
「えっ?」
一方通行はその場からほとんど動いていない。しかし、にも関わらず、その女性の服と髪は乾ききっていた。その不思議な現象を女性は唖然とした表情のまま確認していた。それを見て、更なる悪戯を思いついた一方通行は再度雨の中に踏み出した。
- 75 :nene2011/05/31(火) 01:03:01.50 ID:2xYpuwt70
「割れろ」
足元の水たまりが水柱となり、空高く上り、数秒後に鋭い炸裂音が響いた。
「……うそ」
その光景が信じられないのも無理もない。
つい先程まで黒々としていた雨雲が割れ、その隙間から青空と太陽が顔を覗かせていたのだから。
そして、その隙間からオーロラのように差し込む太陽光の中で、一方通行は大成功と言わんばかりの満面の笑みを浮かべていた。
これが吹寄制理と一方通行の初めて出会った日のできごとだった。
- 97 :nene2011/05/31(火) 22:48:07.88 ID:gU5LgVEq0
- 皆様、たくさんのアドバイスありがとうございました。
少しは見やすくなったと思います。
今から本編を投稿します。
今日は最愛ちゃん編です - 98 :nene2011/05/31(火) 22:50:21.05 ID:gU5LgVEq0
ガバッという音が本当に聞こえそうな勢いで最愛は頭を上げた。
その顔には焦燥が張り付いている。瞳孔が開き切り、額からは汗が
ダラダラと流れている。そんな状況の中、震える声でこう呟いた。
「今、アホみたいに巨乳で不器用なツンデレで健康マニアな委員長が、
雨雲を真っ二つにする悪戯に成功して子供っぽく笑う超カッコイイ
お兄ちゃんに一目惚れした気がします」
当然の奇行に傍で新聞を読んでいた母親が慌てて近寄って来たが
最愛の視界には彼女の姿は入ってなかった。物凄い勢いで戸棚を漁り
DANGERと大きく書かれた黒々とした小瓶を取出した。
「この超ヤバい薬をとうとう使う時が来ましたか」
「最愛ちゃん!?最愛ちゃーん!?」
ガクガクと小柄な母親に肩を揺すられるが、最愛は据わった目で薬を眺めている。
やるか、やらないか。さて、どうしようか。本人の頭の中ではそれだけがグルグルと
回っていた。
- 99 :nene2011/05/31(火) 22:51:37.58 ID:gU5LgVEq0
「この滝壺印の身体成長薬で超大人の体になるしか」
「駄目です!」
素早く薬の入った瓶が最愛の手から叩き落され、ゴロゴロと床を転がり、その中身を散らせた。
「あー!!何するんですか!?」
「そんなお薬使っちゃ駄目です」
厳しい表情の小萌に対し、最愛は憤りつつも、きちんと母親に従った。
義理の母親に勝てないのは分かっているし、自分が動転している自覚もある。
自分の行動が稚拙であることもキチンと理解している。家族として愛されていることも。
全部理解している。しかし、それでも尚、欲しかった。
- 100 :nene2011/05/31(火) 22:52:35.67 ID:gU5LgVEq0
「超欲しい」
喉が干上がって、心拍数が急上昇して、彼しか見えない様に自分の眼球の中に閉じ込めたいほどに欲しい。
「超超超好き」
最愛の記憶は『灰色』から始まる。
床
天井
ベッド
壁
人間
薬
メス
モニター
チューブ
スモークガラス
死体
乾いた血液
無感情
全部、全部『灰色』だった。薄汚れて、一遍の輝きも無い。
いっその事真っ黒であれば簡単に壊れることができただろう。
でも、『灰色』であるが故に狂うことができなかった。
- 101 :nene2011/05/31(火) 22:54:02.60 ID:gU5LgVEq0
『灰色』の世界は『白』と『黒』によって壊され、最愛は初めて青空を見た。
『黒い』翼を生やした『白い』堕天使によって、『灰色』の檻は塵と化した。
恐ろしかった。堕天使ではなく、果てしない青空が。
何かも吸い込んでしまいそうなあの蒼が。
怖かった。ただ、怖かった。押しつぶされそうで。
でも、堕天使は、実験動物である子供たちの死体を見て
泣いて、怒って、悲しんで、憤り、死体を空に還した。
文字通り、塵にして、青い、果てしない空に飛ばした。
その時の堕天使の表情があまりにも悲しそうだったから、
その後、しゃがんで自分に目線を合わせてくれた紅い瞳が優しかったから、
その紅い、紅い宝石が、自分を写してくれたから、
『最愛』最も愛されますように。忘れていた自分の名を思い出した。
- 102 :nene2011/05/31(火) 22:55:15.25 ID:gU5LgVEq0
それから自分は彼にしがみ付いた。他の子供たちのように、
学園都市の外での生活という選択肢も捨てて、彼の元に残った。
たくさんの初めてをもらった。幸せだと自然と思えるようになった。
全部、全部、愛しい人から貰ったもの。
欲張りな自分はきっと何も手放せない。
だからこそ、『最も愛されたい』
恋愛感情という名の堕落的で蠱惑的なモノで
グルグルと縛って欲しい。
純粋で、積りに積もった彼女の想い。
届くのかは、神すらも知らない。
ただ、これだけは断言できる。
「超大好きです」
『絹旗最愛』、改め、『月詠最愛』は一途で純情である
- 103 :nene2011/05/31(火) 22:55:56.30 ID:gU5LgVEq0
- 本日は以上です。
最愛ちゃんの心情描写でした。 - 104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage]:2011/05/31(火) 23:00:39.31 ID:cDAqhWAco
- ヤンデレじゃねえかwww
乙 - 105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/05/31(火) 23:01:50.12 ID:ZyKv/xir0
- いいねいいね最高だねェ!!!!!!!!
- 113 :nene2011/06/02(木) 23:20:00.15 ID:ynkD69cA0
クラゲのようにユラユラと揺れる。
AIMの海の中をユラユラと揺れる。
あの人は緑、この人は黄色、私はピンク。
むぎのはオレンジ、ふれんだは青。
さいあいは赤。うさぎさんはよく分からない。面白い。
人が多いと混ざって見える。パレットの絵の具みたい。
どろどろ。ぐちゃぐちゃ。まぜまぜ。何色?
「絵の具はよォ、全部混ぜると黒くなるんだぜ」
うん。そうだね。でも、あんまり黒くないよ。
- 114 :nene2011/06/02(木) 23:21:33.83 ID:ynkD69cA0
みんな動いてるから、黒くならない。べたべたの斑模様。
「へえ、オレは何色だ?」
しろっぽくて、あかっぽい、ほわほわして、くろぶちのつんつんした色。
「…意味ワカンネェ」
大丈夫。そんなうさぎさんを私は応援してる。
「アリガトよ」
うん。
- 115 :nene2011/06/02(木) 23:22:17.17 ID:ynkD69cA0
「で、このゴミどもどうする。愉快なオブジェにしてやろうかァ?」
ほっとく。今もおぶじぇ。
「そうか。オマエ結構不良に狙われるよな」
そうかな?
「オウ」
でも、大丈夫。むぎのとふれんだがいるから。
- 116 :nene2011/06/02(木) 23:22:51.16 ID:ynkD69cA0
- あと、うさぎさんもいる。
「ケッ」
赤いうさぎさん。かわいい
「ウルセエ」
ふふふ、おねえちゃん嬉しい。
「ナニ言ってるんですかァ」
だめ?
「…好きにしろよ」
うん
- 130 :nene2011/06/04(土) 11:42:30.37 ID:hsnZQK370
本編の投稿を開始します。
*なお、ここより先は御坂及び上条さんの扱いが悪いので、
それが嫌だという方はブラウザの戻るを選択してください。
VS第三位編
開始です。
- 131 :nene2011/06/04(土) 11:43:19.09 ID:hsnZQK370
ああ、また今日も雨が降りそうだと、薄黒く濁った空を
教室の窓からぼんやりと眺めながら、『吹寄制理』は憂鬱そうな
ため息を吐いた。普段、生真面目もとい異常なまでに頑固な
彼女がこのような態度を取ることは非常に珍しい。しかし、
彼女の気分が晴れることはなく、本当に、本当に珍しく、
彼女は集中力というものを欠いていた。
「吹寄ちゃん。大丈夫ですか?」
ふと視線を戻せば担任教師である『月詠小萌』が自分の席の
前で心配そうに自分のことを覗き込んでいた。
「す、すいません」
慌てて頭を下げて謝罪するが、それ以上のことをする気分に
なれなかった。後頭部の辺りで鈍痛が響き、気分が重かった。
「保健室行きますか?」
「お願いします」
- 132 :nene2011/06/04(土) 11:44:03.23 ID:hsnZQK370
ああ、また今日も雨が降りそうだと、薄黒く濁った空を
教室の窓からぼんやりと眺めながら、『吹寄制理』は憂鬱そうな
ため息を吐いた。普段、生真面目もとい異常なまでに頑固な
彼女がこのような態度を取ることは非常に珍しい。しかし、
彼女の気分が晴れることはなく、本当に、本当に珍しく、
彼女は集中力というものを欠いていた。
「吹寄ちゃん。大丈夫ですか?」
ふと視線を戻せば担任教師である『月詠小萌』が自分の席の
前で心配そうに自分のことを覗き込んでいた。
「す、すいません」
慌てて頭を下げて謝罪するが、それ以上のことをする気分に
なれなかった。後頭部の辺りで鈍痛が響き、気分が重かった。
「保健室行きますか?」
「お願いします」
- 133 :nene2011/06/04(土) 11:46:09.05 ID:hsnZQK370
ああ、また今日も雨が降りそうだと、薄黒く濁った空を
教室の窓からぼんやりと眺めながら、『吹寄制理』は憂鬱そうな
ため息を吐いた。普段、生真面目もとい異常なまでに頑固な
彼女がこのような態度を取ることは非常に珍しい。しかし、
彼女の気分が晴れることはなく、本当に、本当に珍しく、
彼女は集中力というものを欠いていた。
「吹寄ちゃん。大丈夫ですか?」
ふと視線を戻せば担任教師である『月詠小萌』が自分の席の
前で心配そうに自分のことを覗き込んでいた。
「す、すいません」
慌てて頭を下げて謝罪するが、それ以上のことをする気分に
なれなかった。後頭部の辺りで鈍痛が響き、気分が重かった。
「保健室行きますか?」
「お願いします」
- 134 :nene2011/06/04(土) 11:46:58.60 ID:hsnZQK370
普段なら問題ないと保健室に行くことを拒んだだろうが、
これ以上この場に居ても空気を乱してしまうだろうと、
吹寄は席を立った。同じタイミングでポツッ、ポツッと
水滴が窓に張り付き始めた。梅雨らしい気候だった。
「先生も一緒に行きますので、ちゃんと自習ですよー」
軽い調子の担任教師に若干笑みがこぼれつつ、吹寄は
後に続いた。少し目を閉じて雨音でも聞きたい気分だった。
本当に自分らしくないと吹寄は再度ため息をついた。
「吹寄ちゃん。ため息は幸せが逃げちゃうのですよ」
相変わらず小さいなと思いながらも吹寄は黙って頷いた。
「うちのあーちゃんにもよく注意してるのですよ」
ペットでも飼っているのだろうか。
- 135 :nene2011/06/04(土) 11:47:27.75 ID:hsnZQK370
「ああ、あーちゃんは先生の自慢の息子ですよ」
「恥ずかしいこと堂々と言ってんじゃねェよ」
男性の声にしては静かな響きを伴ったその音は吹寄の
体を硬直させた。特徴的な発音は嫌でも耳に残る。
そして、振り返ると白いヒトガタがビニール傘を手に
佇んでいた。紅い眼といい、白い髪といい、誰が忘れることが
できようか。その姿はあまりにも個性的で、異常。
そして、雨雲を無邪気に叩き割る純粋な笑顔。
一度見れば忘れられないほどに絵になる光景を、あの日から
吹寄は雨雲を見るたびに自然と脳裏に描いていた。
それは思慕や恋心というものでは無く、感動的な風景を見た感覚
に近い。
- 136 :nene2011/06/04(土) 11:49:01.94 ID:hsnZQK370
「あーちゃん!学校はどうしたのですか!?」
「休み時間だ。傘持ってきたぞ。お袋」
お袋。その発言に今度は喉が枯れた。お袋という言葉から
二人は親子関係であることが推測できる。だが、それは到底受け入れ難い。
『その体格で一体どうやって出産したの!?』
思わず吹寄が叫びそうになったのは無理もない。何せ、月詠小萌の
身長は小学生程度であり、とても、出産が可能な体格ではないからだ。
「ああ、あーちゃん。ちょっと、この子を診てもらえますか?」
「どうした?」
「お義母さんの生徒さんなんですけど、体調が悪いみたいで」
「ああ、分かった」
混乱気味の吹寄を余所に二人は一方的に会話を進めていた。
- 137 :nene2011/06/04(土) 11:50:19.32 ID:hsnZQK370
「オイ、聞いているかァ?」
「え、あ、はい?」
唐突に声を掛けられ、吹寄は戸惑い気味に顔を上げた。
「うちのお袋が世話になってる」
「…一応お義母さんは先生なのですけど」
そんな抗議を余所にあーちゃんと呼ばれていた白い青年は
吹寄に手を伸ばした。
「デコ触るぞ」
反発すべきか迷ったが、端正な顔が近づいてくるのを見て
吹寄は頬を赤らめてしまった。普段なら頭突きで跳ね飛ばすが
白い指が気になってしまい機会を失った。
「オマエ何か変なモノ喰ったか?」
難しそうに顔を顰めた白い青年はなんとも言えない表情だった。
その表情に後押しされ、吹寄は素直に従った。
「健康食品を少し」
「吐け」
誰かが何かを言う暇も無く、吹寄は強い嘔吐感に襲われ、胃の中身を
吐き出した。留まることなく吐き出された嘔吐物は床を汚すこと無く、
空中で球体上で留まった。ボコボコと表面が泡立つ- 138 :nene2011/06/04(土) 11:51:09.42 ID:hsnZQK370
「あーちゃん!?」
「全員動くんじゃねェ!」
そのあまりに真剣な表情に誰も声を発することができなかった。
そして、球体となり、宙に彷徨っていた嘔吐物が形を変えた。
「ナニあれ?」
思わず、自分の口からそんな声が漏れることを止めることが出来なかった。
それは一言で表現するなら『蟲』だった。機械仕掛けの。
アレは食べた記憶も、見た記憶もない。
しかし、現にあれは自分の胃から出てきた。
表現しがたい感情に支配される。叫びそうになる前に腰に
手が回されていた。担任教師の月詠小萌だ。
「吹寄ちゃん。大きく息を吸って」
過呼吸になる前にかろうじて持ちこたえることができた。
自然と少し気持ちが納まった。その間に自分の髪がクシャと
白い青年に撫でられていた。
「安心しろ」
細く、冷たい指であるにも関わらず、頼もしさを感じさせるその
感触に吹寄の目は自然と細くなった。- 139 :nene2011/06/04(土) 11:52:32.68 ID:hsnZQK370
「学園都市第一位『一方通行』だ」
堂々と第一位は名乗りを上げた。
「この蟲はよォ。昔の第三位の能力『共存共栄』だ」
未だに閉じられた球体から逃れようとする蟲が潰れた。
体液が飛び散るが床を汚すことは無く、その場に留まっている。
そんな怪奇現象よりも、『一方通行』は際立って以上だった。
「前に、オレの妹とお袋を狙ったクソ野郎の能力」
完璧に潰したけどなと口の中で小さく呟く。
そして、第一位は絶対的な力で問う。
「その健康食品どこで買った?」
恐る恐る吹寄は携帯電話を取り出し、健康食品を
購入したホームページを開け、差し出した。
「…ふざけやがって」
そこに描かれていたのは今の第三位『御坂美琴』お勧め
という尤もらしい広告だった。
「最愛か。オレだァ。今すぐお袋の学校だ」
淡々と携帯電話で話しながら、一方通行は指示を出す。
「お袋にも、お袋の生徒にも、何もさせねェよ」
怒気を露わにしているにも関わらず、一方通行の後ろ姿は
とても寂しげだと吹寄は思った。
- 140 :nene2011/06/04(土) 11:53:42.57 ID:hsnZQK370
以上です。後篇に続きます。
冒頭に操作ミスがあったことを心よりお詫びします。
申し訳ありませんでした。
不快な思いをされた方もいらっしゃるかもしれませんが、継続させていただければ幸いです
- 141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 12:01:36.64 ID:w3C1D4n5o
- 乙
- 142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]:2011/06/04(土) 12:07:11.86 ID:GXH9LMDp0
- 乙
期待している!
- 146 :nene2011/06/04(土) 22:14:02.85 ID:Hr4vn3G60
『御坂美琴』という少女は優秀な努力家だ。
強い信念を持ち、継続的に努力し、苦境に立ち向かう精神を持っている。
不器用な面もあるが、他人に対する思い遣りも強い。
一つ欠点を挙げるとするならば、彼女は『軽卒』だということだ。
もちろん、手加減しているが、軽い気持ちで能力を振るってしまう。
コントロールしているから大丈夫。とあるツンツン頭の少年に対しては
殺傷能力のある電撃を日常的に放っている。
『人を殺してしまうかもしれない』
どれだけこの可能性を『御坂美琴』という少女は考えたことがある
だろうか。少なくともツンツン頭の少年が『死ぬ』ということは考えて
いない。彼女の行動を顧みればそれは明らかだ。
- 147 :nene2011/06/04(土) 22:14:43.64 ID:Hr4vn3G60
経験が足りないが故にこうした軽率な行動はいた仕方がないのかもしれないが
凶器を持った子供がその自覚無しにそれを振るうという行為を『一方通行』は
何よりも嫌っていた。
『凶器はあれば使いたくなる。自制できるからそれを理性と呼ぶ』
一方通行が母親から学んだ一番大切なことの一つがそれだ。
一方通行は知っている。自分が凶器であることを。
一方通行は自覚している。自分が簡単に人を傷つけることを。
一方通行は理解している。自分の危険性を。
一方通行は約束した。自分の力は、兵器にはならないと。
故に、一方通行は簡単に能力を振るう暴力的な人間を嫌う。
短絡的な思考が傷つけるのは本人ではなく、周囲の人々だと
母と、妹から何度も教わったから。
- 148 :nene2011/06/04(土) 22:15:32.73 ID:Hr4vn3G60
「オマエは自分の能力が人を[ピーーー]かもしれないって考えたことあるか?」
そう淡々と一方通行は問う。自分自身の高いプライドと誇りである
電撃を反射され、自分が振るっている凶器の感触を初めて味わった少女に。
「な、なんなのよ!アンタ!」
「学園都市第一『一方通行』だ」
「ウソッ!?」
だが、それは事実であることを相手の雰囲気と佇まいから美琴は
察していた。
「オマエはいつも話しかけられただけで、攻撃するのか?」
ちょっといいかァ。そう話しかけただけだった。呼びかけた一方通行に対し、
美琴はいきなり人を拒絶するような電撃を放ったのだ。
威力は微弱とはいえ、ペースメーカをつけているような人間が
相手なら命に別状が出ていたかもしれない。
- 149 :nene2011/06/04(土) 22:17:38.61 ID:Hr4vn3G60
「そんなわけないでしょ。ちょっと、イライラしてたのよ」
とあるツンツン頭の少年を下校時間まで待ち伏せしていたが、
一向に表れる様子は無く、美琴は機嫌が悪かったのだ。
「もう一回聞く。オマエは自分の能力が人を[ピーーー]かもしれないって
考えたことあるか?」
「ちゃんと注意しているわよ」
実際に美琴のコントロールはかなり精密だ。しかし、彼女が感情の
制御を失った時に暴発する可能性が高い。
「最近、停電が多い。地面から飛び出る雷とか、焦げたコンクリートとかなァ」
一方通行の指摘通り、それは美琴と某ツンツン頭との鬼ごっこという名のデスゲームが原因だ。
- 150 :nene2011/06/04(土) 22:22:19.72 ID:Hr4vn3G60
「オマエか第三位?」
「かもしれないわね。ちゃんと弁償するわ」
少し申し訳なさそうだが、反感を露に美琴は非を認めた。
「…馬鹿野郎」
そう第一位は第三位にいった。
「イロイロ聞きたいことがあったんだけどよォ!オマエはここで潰す!」
「な、なんなのよいきなり」
いきなりキレた一方通行に美琴は戸惑いを隠せずにいた。
意味が解らないというのが正直な見解だ。
「雷を纏った女が高校生を日々追っている。そんな都市伝説知ってるかァ」
一方通行の背中から黒と白が混ざった斑模様の羽が飛び出す。
「この前、ソイツが引き起こした停電が原因で入院中の
近所の爺さんが亡くなったんだよォ」
むろん、病院などの施設には緊急時の非常電源が備えられている。
しかし、最新技術でも切り替わるのにコンマ数秒の時間を要する。
コンマ数秒はあまりに命の前では重い。
故意ではなく、悪意も無く、自覚も無かった。ただ、『御坂美琴』という少女は
知らなかっただけなのだ。自分の能力の恐ろしさが。
簡単に雷を落とし、建物を破壊し、ネットワークを支配する。
そんな力。それが周囲にもたらす被害を、彼女は考えていなかった。
「うそでしょ?」
「町だってタダじゃねェし、この前ぶっ壊れた橋は小学校の通学路だ
アレもオマエか?」
一方通行は既に相手に興味を失っていた。現役の第三位と昔の第三位の
繋がりを疑っていたが、その可能性は極めて低い。一方通行から見れば美琴は
頭の良いが、精神が脆い子供だ。大方、良いように利用されたのだろうと推測した。
- 151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/04(土) 22:26:36.43 ID:hL/9Ch7SO
- 割り込んですまないがメール欄にsaga入れた方が良いぜ
- 152 :nene[saga]:2011/06/04(土) 22:32:47.51 ID:Hr4vn3G60
「超能力者にはそれなりの責任ってモノがあるんだよォ!この馬鹿野郎がァ!」
超能力とは殺傷能力であることを一方通行は誰よりも知っている。
知っているが故に、その簡単な事実を考えようとしない存在を憎む。
斑の羽が美琴の横を掠めた。
「このクソガキもムカつくけどよォ。テメェみたいな外道はもっと許せねェ!」
その羽は美琴の真後ろに表れた人物の腹部を突き刺していた。
「く、黒子?」
美琴のルームメイトである少女の腹部に羽が突き刺さっている。否、その
腹部の中にいたナニかに。
「寄生虫野郎ォ!」
一方通行の攻撃から逃れる為か、意識の無い白井黒子という名の少女
の口からあまりにおぞましく、グロテスクな存在が這い出した。
「キシシシシシ」
ムカデの様な姿をしたソレは頭部に無数の複眼を持っていた。
そして、ワサワサと音を立てて動く箒上の足と牙を鳴らしながら
一方通行を威嚇した。- 153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/06/04(土) 22:42:01.01 ID:CfEKWYqAO
- なんだ!?バイオハザード!?
いや、メン・イン・ブラックか!? - 154 :nene[saga]:2011/06/04(土) 22:46:48.89 ID:Hr4vn3G60
「常磐のクソガキ共を操りやがったか」
いつの間にか一方通行と御坂美琴の周りには人が集まっていた。
とある高レベル能力者が集まる女子学校の学生が大半だが、
小学生や若い女性も多く含まれている。
『共存共栄』通称、『ライフサイクル』と呼ばれる元第三位の能力は
能力者個々人が強力な戦闘兵器となる通常の能力とは大きく異なり、
大群を作り出すことができる。自己の細胞から寄生虫を産出すという
命を創造するこの能力は、使い方によってはバイオハザードを起こすことが
できる。
「汚ェ」
憑りつかれたのは全員女子供ばかり、だが、その多くは高能力者だ。
「「「640人の能力者相手にオメーさんはどうするよ」」」
「「「殺すか?犯すか?壊すか?それとも死ぬか?」」」
憑りつかれた全員が一斉に口を開く、それはまるでオカルト宗教の
儀式の様な光景だった。- 155 :nene[saga]:2011/06/04(土) 22:47:49.58 ID:Hr4vn3G60
「傷つけずに、助けるに決まってんだろうがァ!」
道路から標識を引き抜き、一方通行は構えた。
「女に傷はつけねェ。テメェだけ潰してやる」
堂々と第一位は構える。
「リアルマトリックスだ!」
道路標識を槍の様に構え、一方通行は美琴に振り返った。
「オイ、第三位」
「な、なによ」
あまりにグロテスクな光景に未だ思考が追いつけない美琴に
一方通行はこう言い放った。
「あの爺さんの話な、アレは老衰だ」
「え?」
「でもよォ。テメェはいつかその能力で人を殺す。
事故でも、間接的でも、能力ってのは兵器だ」
「…」
「だからよォ。先輩が見せてやるよ」
憑りつかれた人々が一斉に各々の能力を振るい、一方通行に襲いかかる。
「正しい。超能力の使い方ってをよォ!」
同時に一方通行も飛び出す。
「来いッ!三下ァ!ここから先は一方通行だ!」
第一位と元第三位が激突した。
- 167 :nene[saga]:2011/06/05(日) 02:16:53.32 ID:J+hBvpcP0
引き抜いた道路標識を一方通行は武器として振り回す
恐らく、槍か棍棒の様にして攻撃するのだろうと美琴は
そう予想していた。しかし、美琴の予想は大きく外れた。
「オラァァァ!」
一方通行は黒と白の斑模様の羽を広げ、道路標識を盾に
していた。自分を守るための盾ではなく、憑りつかれた人々が
同士討ちで傷つくことが無いよう、彼女らを羽と標識の部分で
花火のように飛び交う能力を防いでいるのだ。
「「「そう来たか」」」
一方通行に向かって、火球が、水の塊が、雷が、不可視の力が放たれる。
それを避けることなく、全て上空に打ち上げ、周囲への被害をゼロにする。
そして、憑りつかれた人々を翼と道路標識を盾にして流れ弾から守る。
「重力操作ァ!」
憑りつかれた人々がアッパーカットでも喰らったかのように空中に
投げ出されていく。まさにマトリックスのワンシーンそのものだ。
ただし、誰一人として傷ついていない。
「終わりだ。クソ野郎」
当たり前の事だが、大人数で誰かを囲み飛び道具を使えば必然的に
同士討ちが生じる。一方通行が恐れていたのは炎や雷による火傷のような
消えない傷と眼球など重要な器官への攻撃。それを防ぐためには人々を分散させる
必要性があった。故に空中に様々な高度に人々を散らした。
- 168 :nene[saga]:2011/06/05(日) 02:17:45.85 ID:J+hBvpcP0
「「「オマエがな」」」
無数のその声と共に、道路が割れ、地中より這い出た巨大なムカデが
一方通行を飲み込んだ。さらに一方通行を飲み込んだムカデをより大きな
個体が、また大きな個体がと連続して共食いを始めた。
「「「窒息しろ」」」
一方通行が簡単に出て来れない様に共食いを繰り返し、窒息死に追い込む
単純だが実に合理的な作戦だった。
「効かねェ」
飲み込まれた際に手にしていた道路標識を打ち出すことで
一方通行はムカデの腹部を連続で貫き、危機を脱した。
「「「オレの勝ちだ」」」
「ほざいてろ、三下」
「「「そこから動けば此奴らを自害させる」」」
未だ有効な重力操作により浮いている人々は自身に掌や能力で生み出した
凶器を向けていた。寄生虫の命令ひとつで己の命を絶つだろう。
- 169 :nene[saga]:2011/06/05(日) 02:18:29.41 ID:J+hBvpcP0
「チクショウ。テメェ初めからソレが狙いか」
「「「違うこっちだ」」」
近くに散乱していたムカデの残骸が突如ガスを噴き始めた。それを一方通行は
風流操作で拡散させる。
「ぶっ壊れろ」
「「「いいのか。周りが全滅するほどの猛毒だけど」」」
「クソッタレ」
「「「さあて、どこまで貧弱なお前が耐えられるか、体力勝負だ」」」
その発言の直後に続けて新たなムカデの大群が地中より這い出してくる。
それを一方通行は容赦なく叩き潰し、風流操作で毒ガスの拡散を完全に抑える。
単体の一方通行に対し、相手は大群。人質を取られているため、一方通行は防御に
徹することしかできない。- 170 :nene[saga]:2011/06/05(日) 02:19:28.47 ID:J+hBvpcP0
「見てられないわ」
加勢しようと美琴は動き出す。しかし、彼女の行動は残念ながら助けに
ならない。何故なら…
「「「引火するぞ」」」
元第三位は現役の第三位の特性を十分に把握しているからだ。
「この卑怯者」
「「「毎日、殺人未遂を犯しているキチガイが何を言う」」」
「…クッ」
「「「無警戒だったオマエのIDを使って、オレの卵入りの
健康食品をばら撒いてやった。オマエも十分に共犯だ」」」
「よくも、皆を」
「「「オマエが無防備で助かった。アリガトよ間抜け」
美琴は悔しかった。自分の不注意で後輩やクラスメートがこんな
ことに巻き込まれてしまったことが許せなかった。
「「「所詮はガキ」」」
「黙りなさい」
怒りつつも美琴には対抗手段が無い。一歩間違えば大爆発を起こしてしまう。
最近、ツンツン頭の少年を倒すために戦闘系統のトレーニングのみを行ったことが
仇となっていた
- 171 :nene[saga]:2011/06/05(日) 02:20:36.53 ID:J+hBvpcP0
「キリがねェ」
一方通行は徐々に追い詰められていた。倒すだけなら余裕だが、
さすがにこれだけの数がいれば、彼でも勝てない。そう誰もが思うだろう。
しかし、一方通行は得意げな笑みを浮かべていた。
「なあ、超能力ってどうやって使うか知ってるか?」
実に楽しそうに一方通行は問いかける。
「こうやって使うんだよ、ボケ」
次の瞬間、一方通行が指を鳴らした。すると人質に憑りついていた寄生虫が
口から次々を吐き出され、害の無い破片に変わった。
「段々とうまく使えば薬になるってな」
これが月詠家の教えだった。極端ではなく、小さく積み上げて、完成させる。
危険な能力も考えて、慎重に使えば、誰かの助けになる。- 172 :nene[saga]:2011/06/05(日) 02:21:39.48 ID:J+hBvpcP0
「「「直接食い殺してやるよ」」」
巨大なムカデが一方通行と人質に迫る。だが、それすらも一方通行は嘲笑う。
「悪イ。守護天使召喚がいるから無駄だ」
ムカデと新たに現れた蟲の大群は一瞬にして細かな肉片に変わった。
「超可愛いを前に付けてください」
一方通行は家族に恵まれている。そして、信頼している。
『月詠最愛』という名の大切な彼女を家族として、戦友として。
「私の超大切なお兄ちゃんに蟲風情が触らないでください」
最愛が手を振るたびに離れた位置にいる蟲がバラバラになっていく。
最愛の手には何も握られていない。だが、彼女は何かを振るっている。
- 173 :nene[saga]:2011/06/05(日) 02:24:29.02 ID:J+hBvpcP0
「毒ガスは任せろ」
「はーい。超頑張っちゃいますから後でご褒美ください」
「何でも言え、お袋は大丈夫か?」
「超問題ないですよ。生徒さんも全員無事です」
そんな会話を交わしつつも、二人は着々と敵を殲滅している。
「窒素クラッシュ」
最愛が両手を合わせただけで、重力に押し潰されたかのように蟲が
地面に縫い付けられる。
「「「オマエの能力は『窒素装甲』じゃないのか?」」」
最愛の能力は『窒素装甲』と呼ばれる能力であり、本来ならば窒素を身に
纏うことで、防御と攻撃双方を成す、バランスに優れた能力だ。
- 174 :nene[saga]:2011/06/05(日) 02:26:41.59 ID:J+hBvpcP0
「バァーカ、誰の妹だと思ってやがる」
「そう、私は第一位の妹にして超将来の嫁。月詠最愛ですよ」
再び最愛の手が振るわれる。それに合わせて一方通行の斑の翼から羽が
弾丸となり、打ち出される。決まった演技のパターンを実行するように慣れた動作。
「お兄ちゃんと私の努力と超深い愛の結晶『窒素操作』に勝てるわけがありません」
最愛の能力は有効範囲が非常に限定されているという欠点があったが、
一方通行とのトレーニングにより、その欠点は解消された。
- 175 :nene[saga]:2011/06/05(日) 02:31:40.21 ID:J+hBvpcP0
本人命名『窒素操作』有効範囲半径20メートル以内で自由自在に操ることができる。
例えば、不可視の刀やハンマーを作り出すことも可能であり、背後から
攻撃することもできる。また、窒素を体内に取り込み、異物を取出すことも
できる。対象が窒素に限定されているが、最愛の精密操作はもはや兄に匹敵
すると言っても過言ではない。
「今回は逃がさねェ」
そして、先程放った道路標識が一方通行の手元に落ちてきた瞬間、それは再度
弾丸と化し、近隣のビルの壁を貫通した。鈍い音と誰かが倒れる音が
僅かだが外部に漏れた。
「「「何で、わかった?」」」
「音だ。蟲には蝙蝠ってな。便利なんだよ迷子探すのにな」
「ソレ、超昔の話じゃないですか!」
抗議する妹を余所に一方通行は淡々と被害者が全員無事であることを
確認した。そして、改めて敵に向かいなおった。
- 176 :nene[saga]:2011/06/05(日) 02:41:25.20 ID:J+hBvpcP0
「よお」
「オレの負けか」
虫ピンにより標本にされた昆虫のような恰好で元第三位は顔を挙げた。
「テメェやっぱりそうか」
その男の体は完全に異形と化していた。自分自身を蟲に変えてまで
一方通行に挑み、そして、敗れた。最低のゲスだが、こうなってしまっては
どうしようもない。
「なあ、アレイスターの『プラン』って知ってるか?」
「…ああ、少しな」
「アレイスターが『月詠最愛』を欲しがってんぜ。分かってるな。
『月詠最愛』がプランのコアなんだよ。奪いにくるぜ」
「そん時はつぶしてやるよ。それにオレの妹は誰かに負けるほど弱くねェ」
「そうかい。なら足掻けよ惨めに汚く、本物の化物相手にな」
そして、元第三位は崩れた。元々限界だった体が崩れ、ただの蟲の
死骸となった。- 177 :nene[saga]:2011/06/05(日) 02:47:03.17 ID:J+hBvpcP0
「超能力ってのは兵器にも薬にもなるってな。お袋の言う通りだな」
「ホント、超そうですね」
元第三位は従来、蟲を使った特殊な治療方法を開発したことで評価された
人物だった。それが最終的には人を襲う狂人となってしまった。何故か、
手にしていた凶器を使いたくなってしまったのだ。
「第三位。テメェも、もう少し使い方考えろよ。いいもん持ってんだからよォ」
悔しそうな美琴にそう告げると一方通行は最愛と共に背を向けた。まだ母親が
職場で待っている。被害者の生徒にも事情を説明しなければならない。
「ぶち壊してやるよ。この箱庭をよォ」
不敵に大胆に、一方通行は嗤う。
- 178 :nene[saga]:2011/06/05(日) 02:50:03.56 ID:J+hBvpcP0
以上です。
最愛ちゃんが強化されています。(麦野さんより強いかもしれません)
ここで安価をお願いしたいと思います。
時間の都合上、幕間を一つに絞りたいと思います。
申し訳ありませんが、全部は無理ですのでどれか一つお好みの内容をお選びください。
1. 最愛ちゃんの暴走日記
2. 吹寄と初々しいデート
3. 滝壺とダラダラ
4. 上条さん登場
よろしくお願いします。
- 179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/05(日) 02:55:33.56 ID:3oGUCFv7o
- 2
- 180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/05(日) 02:57:01.86 ID:0EY2cP7wo
- 乙
プランに絹旗だと……単純に立場変えただけじゃなく色々と設定が変わっていそうだな
アンケは2!2!2! - 226 :nene[saga]:2011/06/05(日) 19:30:57.11 ID:MJJOzh2c0
皆様、たくさんのご回答ありがとうございました。
作者は素人のため、レスの番号で区切るということを知りませんでした。
以後、注意します。本当に申し訳ありません。
幕間は前編、後編構成となっており、
前編『最愛ちゃん無双』
後編『吹寄さんとデート』
になっております。
なお、今夜は前編のみですので予めご了承ください。
- 227 :nene[saga]:2011/06/05(日) 19:31:53.96 ID:MJJOzh2c0
皆様、おはようございます。月詠最愛です。
って、誰に話しているのでしょうか。まあ、今日も朝一番に
お兄ちゃんのこの白い肌を満足するまで堪能しましょう。
もちろん、堪能と言ってもただ頬擦りするだけではありません。
まず、指で肩から、腰まで何回かなぞります。スベスベ過ぎて本当にスッーって
音が聞こえるんですよ。超女の敵です。でも、くすぐったそうな寝顔が
可愛すぎて怒れません。チートです。超反則です。
次に鎖骨です。これもう芸術です。白い肌と少し浮きでた鎖骨が
間近で見つめると氷原みたいな感覚です。でも、温かいのが不思議。
この滑らかな感触が最高です。
そして、背骨です。このゴツゴツした手触りがもう中毒になりそうです。
最近、筋肉もついてきて、ますます、手触りがよくなってます。掌で丸く
回す様に撫でるのがコツです。
- 228 :nene[saga]:2011/06/05(日) 19:32:29.34 ID:MJJOzh2c0
- 肌も超いいですけど、髪も最高です。艶々なんですよね。全く、油っぽくない
反則です。これはヤバいです。どのくらいヤバいかというと、弄り出すと手が止まらなく
なります。お兄ちゃんも私に対しては完全無警戒だから、絶対に起きません。
今まで何度この髪を弄って徹夜したことか…
最後に頬擦りです。全身に私の匂いをマーキングします。これでよってくる人
も少ないでしょう。グリグリと胸板に頭を押し付ければお兄ちゃんが起きてくれます。
超超控えめに説明しましたが、このボディーは反則です。反則なんです。
「おいコラ」
「はい!」
「離せ」
「い・や・で・す」
「最愛」
超ちくしょうです。今日はここまでのようです。でも、ちゃんとマーキングしました。
- 229 :nene[saga]:2011/06/05(日) 19:33:00.81 ID:MJJOzh2c0
「オマエなァ」
「はい?」
「…なんでもねェ」
照れてるのが、バレバレなんですよ。私も昔よりはだいぶ発育良くなりましたから。
けど、まだまだですね。お兄ちゃんの好みは大きめですから。
「また、アイコラしましょうか?」
「止めろ。頼むから止めてくださいお願いします」
面白いです。この前、部屋に隠していたエロ本の中のグラビアを全部
私の顔にアイコラした時のお兄ちゃんの表情と言ったら、まさに絶望。
「この前のご褒美ください」
あの蟲野郎にこの件だけは感謝です。
「今日は客が来るからまた後でな」
「お客さん?」
「言ってなかったか?」
「超聞いてませんよ」
「お袋の生徒。この前の奴」
「そうなんですか?」- 230 :nene[saga]:2011/06/05(日) 19:33:27.91 ID:MJJOzh2c0
「オウ」
壮絶に嫌な予感がするんですけど。前に滝壺さんと炬燵で一緒に寝ているのを
見つけた時の様な。腕枕とか超ズルいです。私は毎晩してもらってますけど。
風邪ひくからという理由で炬燵で腕枕は無いんです。
「あの蟲野郎の時に体調不良訴えたのアイツだけだろ」
「そうらしいですね」
お義母さんの学校で他にも憑りつかれていた人が何人かいましたが、
気づいていませんでしたし。
「感応系か、感覚系の能力持ちか、特殊体質だろうなァ」
「へー、珍しいですね」
「気になるし、お袋の教室で暴発したら、シャレになんねーしなァ」
「なるほど。検査ですか?」
「半分実験だ」
まさか、脱がせたりしませんよね。いくら検査だからといってさすがに。- 231 :nene[saga]:2011/06/05(日) 19:33:58.36 ID:MJJOzh2c0
「…隙見て揉みますか」
「揉まねえよ!何ふざけたこと言ってんだァ!」
「大きいの超好きですよね?」
「単なる生物的欲求だァ!」
「不潔」
「マジで泣くぞ。ってか、もう泣いていいか?」
「グラビア、酔った黄泉川先生、ラッキースケベ、ラリアット」
「待てェ!なんで知ってんだよォォォ!」
「何でもは知りませんけど、お兄ちゃんのことなら何でも分かります」
こんな風に話しつつもまだしがみ付いてマーキング続行。
この話術に抜かりはありません。涙目の第一位とか、私だけのモノです。
母性本能がくすぐられるこの感覚。たまりません。
「……負けだ」
「ふふん」
ざまぁみろ。滅茶苦茶面白いです。- 232 :nene[saga]:2011/06/05(日) 19:34:34.57 ID:MJJOzh2c0
「飯」
「はーい」
その後はいつも通りに当番制で朝ご飯を作って、お義母さんを
起こして終わりです。まあ、お義母さんの生徒さんに手を出すわけ
にはいきませんし、お兄ちゃんに暴力なんて振るえませんしね。
まあ、もし誰かと一線超えたら、切り落とすかもしれませんけど
何故か隣でマフィンを焼いていたお兄ちゃんが真っ青になってます。
どうしたんでしょうねぇ。怯えた小動物みたいで可愛いです。
- 233 :nene[saga]:2011/06/05(日) 19:38:30.85 ID:MJJOzh2c0
「吹寄ちゃん。いらっしゃーい」
どうやらお義母さんの生徒さんが来たみたいですね。
まあ、今日はこのぐらいで大人しくしておきましょう。
「失礼します」
ふむ。この吹寄さんという方いい身体してますね。
運動でもしているんでしょうか。
「最愛、茶出せ」
「はーい」
アレ?この人、なんかお兄ちゃんを見る眼がなんか熱っぽくないですか?
- 234 :nene[saga]:2011/06/05(日) 19:39:32.60 ID:MJJOzh2c0
以上で前編は終了です。
後日続編を投稿しますので、暫しお待ちください。
- 235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]:2011/06/05(日) 19:50:10.58 ID:R+7iBg+AO
- この絹旗、やりおるわい…
フェチズムを理解しておられる
乙 - 236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/06/05(日) 19:54:21.77 ID:0EY2cP7wo
- 乙
途中まで「あれ、ヤンデレじゃなくて変態?」と思ってたがそんな事はなかったぜwwwwww
ってか滝壺に腕枕とか……ぐぬぬ - 237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)[sage]:2011/06/05(日) 21:06:23.68 ID:f6wGfLcAO
- 滝壺との関係をくやしく
- 238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2011/06/05(日) 21:11:22.93 ID:dbFpppNko
- 最愛ちゃん超アイアイ
- 254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/07/23(土) 03:02:17.73 ID:BlkQc2YN0
- 余程焦らすのが好きと見える
- 255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/05(金) 19:32:39.53 ID:jVCmFWxW0
- 2か月か…来るのかねぇ?
- 256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/08/09(火) 10:22:05.63 ID:EdyjueFC0
- このスレのこと忘れてるんじゃないだろうな…
作者の目につきそうな時間帯にageたら戻ってきたり…したらいいなあ。 - 258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]:2011/09/07(水) 02:24:41.58 ID:pfB3eI160
- もう来ないのかね…
2013年11月4日月曜日
一方通行「お袋ォ、あんまり無理すんなよ」小萌「大丈夫ですよー」
ラベル:
とある魔術の禁書目録,
一方通行,
小萌,
未完結
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