2013年12月1日日曜日

禁書「幻想」 上条「目録?」 2

531VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/10/30(日) 23:46:53.99 ID:f9R9W6TIo

上条「ああー、疲れたー」バタン

禁書「はー」ペタン

上条「畳はやっぱいいな」ゴロゴロ

禁書「こもえの部屋を思い出すかも」

上条「だなぁ」

禁書「……」

上条「……」

上禁「「あの」さ」

禁書「……とうまが先に言っていいんだよ」

上条「お前からでいいよ」

禁書「……ねえ、とうま」

上条「ん?」

禁書「私、ここに来て良かったのかな」

上条「……まだそんなこと言ってんのかよ」

禁書「だって。とうまのお祖父さん、とうまのこと良く覚えてないんだよ?」

上条「それがどうしたんだよ」

禁書「……とうまも、お祖父さんのこと覚えてないんだよ? もう、二人の間の思い出はどこにも無い」

上条「それは……」

禁書「私のせいなのに。本当なら私はここでのんびりしてる資格なんて」

上条「……あーもう、ジメジメしやがって鬱陶しい。不幸だフコウだふこうだー」

禁書「っ」
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/10/30(日) 23:47:58.90 ID:f9R9W6TIo

上条「そんなに嫌なら学園都市に帰るか? 面倒くせえけどそれでもいいぞ、俺は」

禁書「別に嫌なわけじゃ」

上条「じゃあそんな顔してんじゃねえよ。出るときに言ったよな、お前が楽しまないと意味ないんだよ」

禁書「……でも」

上条「でもじゃねえよ! 大体、一度でも俺が記憶喪失になったのはお前のせいだ、とか言ったか!?」

禁書「私のせいだもん! 私がとうまを頼らなければ、……とうまと出会わなければ」

上条「……おい。本気で怒るぞ」

禁書「でもっ」

上条「いい加減にしろよテメエ! んなこと俺が望むとか思ってんのか!!」

禁書「……思いたくない、けど」

上条「くっだらねえこと言いやがって。いいか、勘違いしてるみたいだから一つだけ言っとくぞ」

禁書「……?」

上条「俺は、お前を助けたことを一瞬たりとも後悔したことはねえよ」

禁書「でも、とうまはその時のこと」

上条「ああそうだな、覚えてねえよ」

禁書「なら」

上条「それでも断言出来る。例え最後に記憶喪失になることが分かってても、俺は絶対にお前を助ける」

禁書「……っ」

上条「記憶失うよりお前を失う方が怖かったって、それだけのことだろ。だから、お前が気に病むことなんて何も無い」

禁書「とうま……」

上条「それでも気になるなら、これから作ろう。無くしちまったもの以上に大切な記憶を」

禁書「――うん、分かった」
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/10/30(日) 23:49:08.24 ID:f9R9W6TIo

上条「はあ、まったくなんで旅先でんな話してるんだか」

禁書「ごめんねとうま。それで、何かな?」

上条「は?」

禁書「さっき何か言おうとしてたでしょ?」

上条「ああ……、いや、うん。いいや」

禁書「何かな、その濁し方は」

上条「や、だってもうなんか十分こっぱずかしい話したし。もう良くね?」

禁書「気になる」

上条「……」

禁書「……」ジー

上条「……いや、あの、ほら。アレだよ、その……ほら」

禁書「全然分からないんだよ」

上条「だから、その、下着屋とか、さっきとかの話でさ」ポリポリ

禁書「さっき?」

上条「……あれだ、お前は俺のなんなのか、みたいな話」

禁書「へっ?」カアッ

上条「ただの居候って言うとなんか違うし、友達ってのもしっくりこないし」

禁書「ま、まあそうかも。兄妹って感じでも無いし、親子じゃないし……」

上条「で、なんかそこんとこあんまり宙ぶらりんなのは宜しくないかなーって。いや深い意味は無いんだけど」

禁書「そ、それで?」

上条「いや、それだけ」

禁書「えっ」
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/10/30(日) 23:49:39.10 ID:f9R9W6TIo

上条「だって、じゃあなんなんだよ」

禁書「それは……その、なんだろう」

上条「だろ? もう分かんねえしいいやって」

禁書「なんでそこで投げちゃうのかな! なんだか杜撰に扱われてる気がするかも!」

上条「……ただ、その。アレだ」

禁書「?」

上条「――とりあえず一番大切ってことで、その」ゴニョゴニョ

禁書「……へ?」

上条「なんかそういう感じでいいんじゃねえかなって上条さんは思うわけでして! それだけ!!」

禁書「と、とうま。よく聞こえなくて聞き間違えたかもしれないから、もう一回言って欲しいかも」

上条「誰が言うか馬鹿!」

禁書「なんでそんなに真っ赤になってるのかな!」

上条「人のこと言えねえだろうが!!」

禁書「だって私は照れてるんだもん。ということはとうまも照れてるの?」

上条「ぐっ、あっさり認めやがった! 卑怯な!」

禁書「……ねえ、とうま?」

上条「な、なんだよ」

禁書「私もね、とうまが一番なんだよ」

上条「……お、おう」

禁書「ふふっ」ギュッ

上条「……」

禁書「……」
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/10/30(日) 23:50:23.39 ID:f9R9W6TIo

上条「……ん?」

ゴキ「」ヤァ

禁書「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁー!!」

上条「ってどああああああ!? でかっ! きもっ!!」ズザザザザザ

禁書「と、とうま! すぷれー!」

上条「どこにあるのか知らん!」

ゴキ「」カサカサカカサ

禁書「いやあああああ! ど、竜王の殺息! エリエリ!」カッ!

上条「だがMPが足りない! ってか速いしキモイキモイキモイ!!」

禁書「ととととうまああああ!!」ガッシリ

上条「と、とりあえず戦略的てった――」

祖父「なんじゃ」

禁書「わあ!」

上条「じいちゃん、いや、ゴキが」

祖父「ああ、ゴキブリか。えーと、おお、あったあった」E.ハエ叩き

禁書「あわわわわ! とうま、壁にぃぃぃぃ!!」

上条「うわあああこっちくんなあああああ!!」

祖父「ふんっ」バシーン

ゴキ「」ベチャ

祖父「それより当麻、大きくなったのう」ワシワシ

上条「今!? ゴキとの戦いを経て!?」

禁書「……」ポッ

上条「オイ待てコラ。ポッってなんだポッて」

536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/10/30(日) 23:52:41.82 ID:f9R9W6TIo
……それなりに重要な話なんだからもうちょっと練るべきだったな。ちょい荒すぎたような

まあなんか恥ずかしい感じだったのでゴキで中和してみました
これからも過剰にいちゃいちゃしだしたら不快害虫が出てくる感じになると思います。嘘です
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県)[sage]:2011/10/31(月) 00:01:47.44 ID:YD0j8+I+o
アシダカ軍曹はおらんのか
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/31(月) 00:22:56.87 ID:FWHUz43p0
スフィンクスがいないからがんばったんだな害虫・・・!!
特別大きな事件の渦中とかじゃなかったらこの二人にとってのその問題って
こんな感じでちゃんと話し合って決着がついてもいいと思う
つまり可愛くて萌え死んだので大丈夫問題ない 
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/09(水) 23:52:57.71 ID:QMKDALNJo

上条「ってかじいちゃん、話はもう終わったの?」

祖父「何を言っとるんだとうま、昼飯はさっき食べただろう?」

上条「……なんだろう、このやるせなさ」

禁書「呼びにも来ないんだし、もう少し休んでていいんじゃないかな」

上条「そーだな、そうするかー」グデー

祖父「ほっほっほ」スタスタ

禁書「どこかに行っちゃったんだよ」

上条「じいちゃんの家だしいいんじゃねえのー」

禁書「それもそうかも」

上条「それより、これからどうするよ」

禁書「どうするって、何を?」

上条「だから何するって」

禁書「何が出来るのかも分からないんだよ」

上条「それもそうか。まあ、ちょっと休んだらここらを散歩でもするか」

禁書「うん、じゃあそれがいい」

上条「なんかさ、アレなんだよ。若干ここら辺のこと覚えてるっていうか」

禁書「! それ、本当なの!?」

上条「ああうん、若干なんだけど」

禁書「よく理屈は分からないけど、それは良いことなんだよ!」

上条「ガキの頃の記憶だからエピソード記憶と意味記憶の境界があやふやだったとか」

禁書「そんなこと有りうるの?」

上条「記憶喪失自体珍しいだからなんとも……」
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/09(水) 23:54:16.75 ID:QMKDALNJo

禁書「それじゃあ、やっぱりここら辺を散策してみるべきかも!」

上条「ああ、もっと思い出せるかもしれないしな」

禁書「うん! それじゃあさっそく……」

上条「もうちょっと休んでからなー。あと山歩きするなら着替えた方がいいんじゃないのお前」

禁書「着替え? ああ、そういえばしいなが持ってきてるって」

上条「そー。母さん来たら聞いてみよう、多分車に積んでるんだろうから」

禁書「お洋服、どんなのがあるのかな?」ワクワク

上条「色々あるんじゃねえの? 母さんなんか楽しそうだったらしいし」

禁書「私も楽しみなんだよ!」

上条「……ってかお前、服とかに興味ある割にはいつも歩く教会着てるよな」

禁書「? だって私はシスターなんだよ?」

上条「普通のシスターはそんな真っ白な修道服なんて着ないと思う」

禁書「だって私普通じゃないし」

上条「そりゃ、そうか」

禁書「うん。必要悪の教会の禁書目録なんて何人もいたら大変かも」

上条「……まあ、アレだ。ここにいる間はそんなこと忘れて、休暇だと思ってのんびりしよう」

禁書「うん。最近は物騒な出来事もあんまり無いしね」

上条「ここまで攻めて来る魔術師も……流石にいないよな?」

禁書「それは分からないんだよ」

上条「まあ、来ないものと思って。お前まだガキなんだから、年中気を張ってたら疲れるだろ?」

禁書「子供扱いは止めて欲しいかも」

546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/09(水) 23:56:15.02 ID:QMKDALNJo


上条「んで、母さんはどこにいるかなっと」

禁書「まだお話し中かな?」

上条「んな長話をしてるとも思えないんだけど、母さん達も疲れてるだろうし」

祖母「当麻、少しは休めたかい?」スタスタ

上条「あ、ばあちゃん。父さん達は?」

祖母「ああ、今車から荷物を降ろしに行ったよ」

上条「ん、そっか。それならちょっと手伝いに行くか」

禁書「そうだね」

祖母「……ところで、当麻や」

上条「ん、何?」

禁書「?」

祖母「この子は、当麻の将来のお嫁さんなのかい?」

上条「」ブッ

禁書「」ゴン

上条「ごほっ……、っ何を突拍子も無く言い出してんだよ!」

禁書「そうなんだよ! そんなこと少しも言ってないかも!」

刀夜「なんだ当麻、違うのか。私はてっきりそのつもりで挨拶に来た感じなんだと」ドサッ

詩菜「あらあら。私としてはインデックスちゃんみたいな可愛らしいお嫁さんが来てくれるのは大歓迎なのだけれど」

上条「そっち二人も変なこと言ってんじゃねえ!!」
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/09(水) 23:57:29.03 ID:QMKDALNJo

祖母「それじゃあ、当麻は何でもない友達をわざわざこんなところまで連れて来たのかい?」

禁書「えーと、そもそも実は私は友達じゃないんだよ」

上条「実はその、一応、ウチに居候してるわけで」

祖母「? ああ、“将来の”が間違いだったんだね」

禁書「だからそうじゃないかも!」

上条「今も昔も違うから! 何にもないから!!」

祖母「それじゃあ、当麻は何でも無い女の子と一緒に住んでこんな山奥まで連れて来たのかい?」

上条「いや、それはその」

禁書「わ、私がわがまま言ったからなんだよ!」

上条「……あの、さ。さっきもそんな話をコイツとしてたんだけど」

禁書「へっ、と、とうま? そんな風に皆に言うとなんか意味合いが変わってくるような気がしないでもないんだよ」

上条「いやまあ、でもさ」

刀夜「おっ、なんだ当麻。ついにプロポーズしたのか!」

詩菜「あらあら、ウエディングドレスは流石に用意していないのだけれど。どうしましょう」

上条「何の話!? なんでそこまで話がすっ飛ぶんだよ!!」

刀夜「いやあ、私も二人はお似合いだと思ってたんだよ」

詩菜「当麻さんはまだ結婚出来る年齢じゃないから、婚約ということになるのかしら?」

上条「もしもーし!」

禁書「……」
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/09(水) 23:59:43.75 ID:QMKDALNJo

上条「……ってあれ、ひめ? 気持ち頬が赤くなってません?」

禁書「なっ、そんなことは無いかも!」

刀夜「ほら当麻、インデックスちゃんもお前の一言を待って」

上条「もう黙れよ! それより荷物運ぶんなら手伝うけど!!」

刀夜「ああ、荷物はこれだけだから大丈夫だ」

上条「そうかい! それじゃあちょっと俺インデックスとそこらをぶらついてくるね!!」

詩菜「あらあら、もうデートですか当麻さん」

上条「何なんださっきからなに言ってんだ!! アホか!! じゃあまた後で!!」グイッ

祖母「おや、行ってしまった」

祖父「ほっほっほ。若いですなぁ」

刀夜「いやあ、からかいがいがあるなぁ」ニヤニヤ

詩菜「人のことは言えないけれど、あんまりいじめちゃ駄目ですよ」クスクス



禁書「とうま、どこまで行くのかな?」

上条「え? ああ……さあ」パッ

禁書「適当に歩いてたの?」

上条「まあ、うろ覚えだし」

禁書「まったく。道はあるけど山の中なんだから、もう少し慎重に歩いた方がいいかも」

上条「……父さん達が変なこと言うから」ボソッ

禁書「……聞こえてるんだよ」

上条「さー進むぞー!」ダダッ

禁書「だからどこに行くのかな!?」

549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/10(木) 00:02:51.71 ID:A2z9QsR5o
まあ多分もう虫の出番はなさげなので安心してください
ガチトラウマな出来事とか別に書かないです

次はなるべく急ぎますつもりです
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/10(木) 08:46:55.22 ID:y0fGA6kIO
盛大に乙!
朝からキモいくらいニヤニヤしてしまった。
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)[sage]:2011/11/10(木) 08:48:50.75 ID:9ZtIoTQDO
ああん!かわいい!
いちおつ 
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/19(土) 05:31:22.29 ID:aWaXL9G8o

上条「って、お前着替えてねえし」

禁書「だってとうまが引っ張ったから」

上条「……まあ、ちょっと行ってすぐ戻るか。もう時間も遅いし」

禁書「そだね。あっ、カニだ」

上条「そういや、すぐ近くに川とかあったような気が」

禁書「へー」ツンツン

上条「こらこら、いじめてやるな。……いや、そういえば確か」

禁書「ん? 何か思い出し中?」

上条「……まあいいや、歩けば思い出す前になんか見えるだろ」スタスタ

禁書「そうかも」テクテク


上条「お」

禁書「へ?」

上条「ああそうだ、防火水槽だ」

禁書「ぼうかすいそう?」

上条「火事のときに水を汲むところ、って感じか。あの階段の下だな」

禁書「水槽があるの?」

上条「いや、コンクリの……ってか、ほとんど池みたいなもんだ。そもそも民家がそんなに無いから」

禁書「火事もほとんど無いから、ずっと使われてない?」

上条「そういうこと。水辺で適当に涼んで戻ろうぜ」

禁書「うん、分かった」
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/19(土) 05:32:14.45 ID:aWaXL9G8o

上条「ほれ、池だろ」

禁書「ほんとだ。普通に池だね」

上条「しかし涼しげってほどじゃあないか。でも悪くないだろ?」

禁書「うん。あ、カエルだ」

上条「ってかここ普通に色々生き物いるよな。こっから水汲んで火消したら色々焼けるような気が」

禁書「……使う羽目にならないことを祈るしかないかも」

上条「いやほんとに」

禁書「ていっ」ポチャン

上条「カエルもいじめちゃいけません」

禁書「別にいじめたわけじゃ……、あ」

上条「おー、蛇だ」

禁書「どっ、毒蛇?」

上条「いんや、こんなところに毒蛇はいないだろ。ってか刺激しなかったらこっち来ないから大丈夫」

禁書「ほ、本当かな……?」

上条「お、ほら。見ろよ」

禁書「へ?」

上条「リアル蛇に睨まれたカエルの図」

禁書「……、……あ!」

上条「この世は所詮弱肉強食。強いものが生き、弱いものが死ぬ。ああ無情に無常」

禁書「いじめてごめんなさい……」ナムナム

上条「やっぱいじめてたんじゃねえか」ペシッ
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/19(土) 05:34:19.11 ID:aWaXL9G8o


禁書「……」チャプチャプ

上条「……」ボケー

禁書「なんだか、やること無いね。蛇もどこかに行っちゃったし」

上条「む。インデックス、山での遊びってのは待っていても来ないんだよ」

禁書「何もないもんね」

上条「何でもあるだろう。例えばほら、適当な葉っぱで船を作ってだな」チョイ

禁書「……それで?」

上条「こう、流れに任せて」スイー

禁書「……とうま、つまんない」

上条「行く先が水路じゃあ追えもしなければ何の障害も無いな……ただの葉っぱでもすぐに視界から消えるわ」

禁書「というか葉っぱの船で喜ぶ歳でも無いかも。とうま、戻ろう?」

上条「そうだなー」

禁書「そういえば、何か思い出した?」

上条「んー、あの防火水槽の存在?」

禁書「……まあ、思い出すのはいいことなんだよ!」

上条「ぶっちゃけ微妙であった。もっと小さかった頃はなんかはしゃいでた気がするが」

禁書「泳げたりすればまた違ったと思うんだよ」

上条「一応、そういう予定も無きにしもあらず」

禁書「ほんと?」

上条「ん。川の水は綺麗だし目に入っても痛くないぞ。今日はもう行かないけどな」

禁書「楽しみかも」

上条「まー期待は裏切らないだろうよ、多分」
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/19(土) 05:35:31.04 ID:aWaXL9G8o

禁書「ねえとうま、ここら辺のお家はとうまのお祖父さんのところだけなのかな?」スタスタ

上条「少ないしちょっと離れてるけど、だけじゃねえよ。ほら、目の前にもあるだろ」テクテク

禁書「あ、本当だ。こんにちはー」

上条「ん?」

おばさん「こんにちは。まあ、外人さん?」

禁書「イギリス出身なんだよ」

おばさん「イギリス! まあまあ、本格的ねえ」

上条「どうも、こんにちは」

禁書「ほんかくてき?」

おばさん「はいこんにちは。……あらら?」

上条「はい?」

おばさん「もしかして、上条さんのところの……当麻くんだったかしら?」

禁書「そうだよ?」

おばさん「まあまあ、大きくなって! そのツンツン頭は相変わらずなのねえ」

上条「はあ、ええと」

おばさん「ああ、そうよね。あの頃はもう、これくらい小さかったから覚えてないわよねえ」

禁書「……とうまは昔はネズミの使い魔だったの?」

上条「んなわけあるか。あーすみません、昔のことあんま覚えてなくて」

おばさん「いいのよいいのよ、元気そうで何よりだわ。……それで、そっちの可愛らしい子は彼女?」

上条「なんか今日よく間違われるけど違います!」

おばさん「やるわねえ、おばさんこんな綺麗な子初めて見たわ。その髪の色は染めてるんじゃ無いわよね?」

禁書「う、うん。地毛なんだよ」

上条「ってかやりませんから彼女じゃありませんから!!」
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/19(土) 05:36:41.40 ID:aWaXL9G8o

おばさん「あら、じゃあお友達かしら? 何にしても素敵ねえ」ナデナデ

禁書「そんなに褒めても何もでないかも」

上条「素直に受け取っとけよ」

禁書「むぅ」ベシベシ

上条「いたっ、なぜ叩く」

おばさん「ごめんなさいね、傍から見てもとっても仲良しさんに見えたから。てっきり恋人かと思って」

禁書「……っ」ピタッ

上条「……あのー、さっきといいなんか挙動不審じゃないですかねインデックスさん」

禁書「……」グー

上条「って今度は空腹なんかい!」

禁書「お、お腹がすくのは仕方無いんだよ!」

おばさん「まあ、お腹がすいたの?」

上条「あ、いえお構いなく」

おばさん「ちょっと待っててね。いいものがあるから」

禁書「へ?」

上条「行ってしまった」

禁書「あ、戻ってきた」

上条「はやっ」
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/19(土) 05:37:24.75 ID:aWaXL9G8o

おばさん「おまたせ。はい、トマト」スッ

禁書「む。旬の野菜なんだよ」

おばさん「まあ、良く知っているわねぇ。うちで作ったの、食べてくれるかしら?」

上条「良いんですか?」

おばさん「いいのよいいのよ、沢山あるもの。そのままかぶりついちゃっていいから」

禁書「それじゃあ、いただきます」ガブッ

上条「いただきます」ガブ

おばさん「……どうかしら?」

禁書「とっても美味しい!」ニコッ

上条「うん、美味しいです」

おばさん「まあまあありがとう。お口に合ったようで嬉しいわ」

上条「いえ、こちらこそ」

禁書「はむっ、むぐ」ムシャムシャ

おばさん「……ねえ?」

上条「はい?」

おばさん「お持ち帰りはアリかしら」ガシッ

上条「ナシです不可です」ガシッ

禁書「?」モグモグ
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/19(土) 05:37:56.75 ID:aWaXL9G8o

おばさん「本当に可愛らしいわぁ。あ、それじゃあ写真は駄目かしら?」

上条「写真くらいなら別に構わないですよ」

おばさん「ありがとう! それじゃあちょっとカメラ取ってくるわね!」タタッ

禁書「あ、戻ってきた」ムシャリ

上条「なんつー健脚」モグ

おばさん「はいそれじゃあ、1+1は?」

禁書「? にー」

上条「に」

おばさん「」パシャッ

禁書「なんでいちたすいち?」パクッ

上条「に、の時の口の形が笑ってるっぽいからだろ」

禁書「なるほほー」モグモグ

おばさん「本当にありがとうね。はいこれお礼にもう一個」スッ

禁書「ありがとう! そしていただきます!」ハグッ

おばさん「……おばさんこんな愛らしい孫が欲しいわぁ」

上条「あげませんよ」

おばさん「あらあら、ごめんなさいね」クスクス

上条「……や、他意は無いですよ? 別にそういう意味じゃあ」

おばさん「あら、そういう意味ってどういう意味かしら?」ニコッ

上条「いやだからその」

禁書「? どしたの?」ムッシャムシャ

上条「いや、だからなんでもないけど」

禁書「?」モッグモグ

564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/19(土) 05:44:17.71 ID:aWaXL9G8o
防火水槽は実際に祖父宅の近くにあったのが元です
カエルも蛇もいました。食われはしませんでしたが
おばちゃんは特にアレです
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/19(土) 06:12:24.62 ID:FXA4Hi7Mo
乙ー
オレがインデックスをお持ち帰りするからおばちゃんは不可なのか
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(広島県)[sage]:2011/11/19(土) 06:24:30.52 ID:W3OvKBm8o
ほほえましい二人
いつまでも見守っていたくなるような 
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/27(日) 00:50:35.43 ID:RaGxwfPPo

おばさん「ふふっ。それじゃあまたね、お二人さん」

上条「どうもー」

禁書「ばいばーい」

上条「……、…………あー」

禁書「どうしたの?」

上条「なんか、ちょっと思い出した気がする。うっすらだけど」

禁書「さっきのおばさんのこと?」

上条「そう。そもそも小さいときのことだから、これ以上思い出すことも無いだろうけど」

禁書「やっぱり、小さい頃にお世話になってたの?」

上条「そうだなぁ。前にもトマトかなんか貰ったような、そうでもないような」

禁書「……」

上条「……さ、戻るぞ」

禁書「うん、そだね」

上条「……」

禁書「……」

上条「……一応言っとくが」

禁書「うん、分かってる。もう私のせいで、とか出会わなければ、とか言わない」

上条「分かってるならいいけど」

禁書「でも、それでももう思い出せないのは悲しいことかも」

上条「そりゃあ、な」

禁書「だから、それを悲しむのは正しいと思うんだよ。私だってとうまを忘れちゃったら悲しいもん」

上条「そうだな。俺も、もう忘れたくないよ」

禁書「うん。もう忘れさせたりはしないんだよ」
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/27(日) 00:53:55.75 ID:RaGxwfPPo

上条「でもそれは、お前にも言えるよな」

禁書「私は、そもそも環境がまるっきり違うからあんまり気にならないし」

上条「気にならなくてもそれは無かったことにはならないし、悲しいことだと思うよ」

禁書「それは、そうだけど」

上条「少なくとも、お前がもし俺のことを忘れて俺と一切関係無いところで暮らしだしても、俺は悲しい」

禁書「……」

上条「お前は何度も忘れてるみたいだし、色々単純にはいかないだろうけどさ」

禁書「うん。……正直、無くしちゃった記憶はあんまり思い出したく無いし、知りたくも無いんだよ」

上条「……怖いか?」

禁書「うん、怖い。私の知らない私がいて、私が傷付けたかもしれない誰かがいて、って考えたら」

上条「お前が悪いんじゃない――って言っても、なんの慰めにもならないか」

禁書「そういう問題じゃないんだよ」

上条「だよなぁ。……でも本当に、それに関しては必要以上に考える必要は無いと思うけど」

禁書「なんで、そう思うの?」

上条「忘れられるだけでも悲しいのに、その上苦しみだけ残していくなんて堪えられないから」

禁書「……」

上条「せめて自分のことを忘れていても、笑っていて欲しいって思うんじゃないか。これも俺だったら、だけど」

禁書「笑っても、いいのかな」

上条「いいに決まってるだろ。ってかもうアレだ、誰かじゃなくて俺が笑ってて欲しい。誰が許さなくても俺が許す」

禁書「……なにそれ。なんの答えにもなってないかも」

上条「俺の率直な思いだよ。ってか、もう今までのやりとり全部無し。折角遊びに来たんだし、難しいこと考えずに楽しもう。な?」

禁書「そもそも話を振ったのはとうまかも。……でも、そうするね。ありがとう、とうま」
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/27(日) 00:55:15.86 ID:RaGxwfPPo




詩菜「これなんてどうかしら?」

上条「いや、どうと言われても」

詩菜「それじゃあこれも一回着てみましょうか」

禁書「了解なんだよ!」ガラッ

上条「……楽しそうだなぁ」

刀夜「おお当麻、戻ってたのか」

上条「ついさっき。すぐ母さんに捕まってファッションショーが始まったけど」

刀夜「はは、楽しそうでなによりじゃないか」

上条「そりゃそうだけどね……もう今日は終わるんだから服なんてどうでもいいだろうに」

禁書「どうかな、とうま?」ガラッ

上条「……うわー、似合うわねー」

禁書「似合うわねー!?」

刀夜「インデックスちゃんの活発なイメージとは合わないかもしれないけど、似合ってるんじゃないかな?」

上条「ってかそれならさっきの普通の白ワンピの方がいいだろ。んなヒラヒラもっさりしたの着てどうすんだよ」

禁書「でも可愛いと思うんだよ」

上条「むしろ歩く教会の方が歩きやすそうだし、本末転倒じゃん」

禁書「機能性は二の次かも!」

上条「なおさら今着替える意味ねえじゃねえか!」

詩菜「それじゃあ、こんなのはどうかしら?」

上条「ヒラヒラが増えた!? もうそれゴスロリじゃないか!?」

禁書「あ、可愛いかも」
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/27(日) 01:00:48.43 ID:RaGxwfPPo

詩菜「でも、似合うと思わない?」ヒラヒラ

上条「そりゃその辺の日本人が着るよりは似合うだろうけど」

禁書「でもこれ、どうやって着るのか分からないかも」

詩菜「あら、確かにちょっと複雑かもしれないわね。これはまずここの……」

上条「母さん確実に着せ替え人形的な感じで楽しんでるだろ……」

詩菜「だって、銀髪碧眼の美少女なんていたら色々な服を着せてみたくなるのが女の性というものでしょう?」

上条「でしょう言われても」

刀夜「ははは。でも私は、母さんもインデックスちゃんに負けないくらい色々な服が似合うと思うよ?」

上条「我が父親ながらうぜえ」

詩菜「それじゃあ、これは後にして次はこっちを着てみましょうか」

禁書「うん!」ガラッ

上条「……いちいち試着せんでええがな」

禁書「どうかな!」ガラッ

上条「オーバーオールねぇ。良いんじゃねえの、山歩きにも」

禁書「そうじゃなくて、似合ってるか聞いてるんだよ」

上条「もう完全に趣旨が移ってるのな。まあだから、さっきまでのと雰囲気変わって良いんじゃねえの」

禁書「なんだか投げやりかも」

上条「お前は俺に何を期待してるんだよ」

禁書「むう……しいな、次!」ガラッ

上条「……」

禁書「どうっ!?」ガラッ

上条「猫の着ぐるみ!? もうネタに走っちゃうの!?」
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/27(日) 01:01:50.30 ID:RaGxwfPPo

禁書「どうかな?」

上条「いやだから、どうって言われても……」

禁書「……にゃーん」

上条「なぜ鳴く」

禁書「……」カァーッ

上条「なぜ照れる」

刀夜「これはこれで可愛らしいじゃないか、なあ当麻?」

上条「いや別にただの普通に着ぐるみってか」

詩菜「可愛らしいわよね、当麻さん?」

上条「何!? なんでプレッシャーかけてくるの!?」

詩菜「ところでここにもう一着サイズ大きめなのがあるのだけれど」ピラッ

禁書「あ、とうまにぴったりかも」

上条「ぴったりかもじゃねえよ明らかに狙ってんだろ! 俺は絶対着ねえぞ!!」

禁書「えーおそろいー」

上条「全然全く興味ないです」

刀夜「せっかくだから着ればいいじゃないか」

上条「いや着ないから」

詩菜「あらあら、それじゃあインデックスちゃんから根掘り葉掘りこれまでの話を聞いてしまおうかしら」

禁書「えっとね、まずとうまと会った時に歩く教会を壊されて全r」

上条「着ます着させていただきます着させてください」

詩菜「はい、当麻さん」

上条「父さん、アンタ怖ろしい人と結婚したな」

刀夜「なんだ当麻、今更気付いたのか」
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/27(日) 01:02:54.06 ID:RaGxwfPPo

禁書「とうまー、着たー?」

上条「……着たけど」ガラッ

禁書「……おー」

上条「なんだその反応」

刀夜「ぶっ、ははははは! 似合うじゃないか!」

詩菜「あらあら、二人揃って素敵じゃない」クスクス

禁書「正直ちょっとシュールなんだよ」

上条「お前……」

詩菜「そうだ、写真撮りましょうね」

上条「マジかよ。黒歴史形に残されちゃうの俺。なんでこんなことになってるの」

刀夜「まあまあ、折角なんでしいいじゃないか」

禁書「まあまあなんだよ」

上条「何の折角だよ……ってか、それならさっきまでのインデックスの方を撮れよ」

詩菜「あらあら当麻さん、欲しい?」

禁書「さっき着替えたときにちゃんと撮ってたんだよ」

上条「……いや別にいらねえけど。もういいからさっさと撮ればー」

詩菜「それじゃあ、二人とももっと近くに寄りましょうか」

禁書「はーい」ズイッ

上条「……」

詩菜「1+1はー?」

禁書「にー!」

上条「にー」

詩菜「」パシャ

580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/11/27(日) 01:05:51.40 ID:RaGxwfPPo
詩菜さんの口調はこれで良いんですよね……? なんか難しいな

因みに両方黒猫イメージです。でも白猫とかでも可愛いと思います
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/27(日) 02:46:39.16 ID:Y+C2HjdHo
乙!

スフィンクス柄を思い浮かべていたが、黒猫も可愛いな
ていうかお前らが可愛いわ
白猫バージョンも着せていいんだよ?
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/11/27(日) 03:10:45.53 ID:2C+SHknE0
1のおかげでますます上条さんとインデックスと二人が好きになるよありがとう
前半のやり取りに目頭熱くしていたら後半のお着替えが可愛すぎて萌え死んだ
適度にいじりつつ見守ってる上条夫妻がまたいいな!!
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/11/28(月) 18:50:39.96 ID:03s0maN50
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/11/29(火) 10:12:47.01 ID:Qs+CUa8l0

素晴らしい 
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/12/03(土) 23:47:04.41 ID:lIsuYj81o

禁書「まったく、とうまはデリカシーが無いんだから」ムスッ

上条「ってか、え? 着ぐるみに着地しちゃうの? 明らかにおかしくね?」

禁書「別に問題ないんだよ。文句があるのかな?」

上条「いや、つか……」

禁書「……文句があるのかにゃ」

上条「……、暑くね?」スルー

禁書「真夏だろうと歩く教会を着込んでいる私には、晩夏の夕方なんて暑いに入らないんだよ」

上条「いいから脱げ」

禁書「いや」

上条「いいから脱がんかい! 顔真っ赤にしてやせ我慢すんな!!」

禁書「顔が真っ赤なのはにゃの方だもん!」

上条「何勝手に言って赤面してんだよ! ってか言いながら扇風機独占するんじゃねえ!!」

禁書「日本の夏は湿気てるから不快指数がうなぎのぼりなんだよ!」

上条「山だからある程度涼しいだろうが! ってかだから脱げよ!!」

禁書「脱げ脱げってとうまは婦女子に対して何を言ってるのかな! セクハラなんだよ!!」

上条「お前が変なことやってるからだろうが! ってかこれまでやらかしてきたことと比べたらこれくらい何でもないわ!!」

禁書「うわ開き直った! この人開き直ったんだよ!!」

上条「なんでもいいから脱げ! ってかもう脱がしたるわ!!」グイグイ

禁書「ひゃ! ちょっ、とうま! やめ――」

上条「ふんっ!」ズリッ

禁書「」スッポンポーン

上条「っでえええええええなっなんで全裸!? 肌直に着ぐるみとかおかしいだろよって不可抗力だから待ッ――」ガブッ
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/12/03(土) 23:48:42.27 ID:lIsuYj81o


禁書「まったく! とうまにはデリカシーってものが無いんだから!」ムッスー

上条「……はっ! んあ、結局歩く教会に着替えたのか」ガバッ

禁書「ふんだ」

上条「さっきからなに不貞腐れてんだよ」

禁書「つーん」

上条「つんつーん」プニプニ

禁書「……人のほっぺをつつくのは止めて欲しいかも!」バシッ

上条「だってお前が不貞腐れてるから」

禁書「ふつう、不貞腐れてる人のほっぺをつんつんしたら逆効果だと思うんだよ」

上条「それもそうか。えーと、それじゃあ」ナデナデ

禁書「……」ツーン

上条「うーむ、こうかはいまひとつのようだ」ナデナデナデ

禁書「……」ムスー

上条「んーそれじゃあ」パッ

禁書「………………」ムッスー

上条「……、……」ナデナデ

禁書「……」ムスー

上条「……こうかはばつぐんだ?」

禁書「……」ペシッ

上条「照れてんの?」

禁書「……とうまはまた噛まれたいのかな」

上条「そうカリカリしなさんな」ナデナデ
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/12/03(土) 23:49:58.71 ID:lIsuYj81o

禁書「むう。というかとうま、ちょっと暇かも」

上条「つってもそろそろ夕飯だと思うけど」

禁書「むっ、ごはん……」

上条「なんだろうなぁ」

禁書「お肉っ!」ハイッ

上条「何故お前が答える。そして多分そんなに肉々しいものは出ないと思う」

禁書「えー」

上条「ってかお前シスターなのに肉肉言うのはどうなの」

禁書「修行中の身なのです」

上条「都合いいよなお前。知ってたけど」

禁書「それよりとうま、ごはんまでどうする?」

上条「んー、じゃあトランプでもやるか」ゴソゴソ

禁書「えー、こんなところまで来てトランプ?」

上条「むしろこんな山奥だと娯楽が少ないのでトランプとかやるもんだ」パラパラ

禁書「そうなんだ」

上条「たぶん」

禁書「……まあいいや、それじゃあ何やるの?」

上条「なるべく運が絡んでこない奴」

禁書「……そんなのあるかな?」

上条「……いや、ババ抜きならいける!」シャバババ

禁書「二人で?」

上条「……うーん」バララララ
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/12/03(土) 23:51:10.75 ID:lIsuYj81o

禁書「トランプタワーでも作る?」

上条「じゃあもうトランプは止めよう。ってかこれ多分揃ってねえや」ペッ

禁書「文字通り投げたんだよ」

上条「もうてきとーにゴロゴロしていようぜー」ゴローン

禁書「一気に力抜き過ぎかも」

上条「スローライフスローライフ。無理に暇を潰さないで暇を満喫しよう」

禁書「スローライフってそういう意味じゃないと思うんだよ」ゴローン

上条「しらーん」ゴロゴロ

禁書「……」ジー

上条「なんだよ」

禁書「別になんでもないかも」

上条「……せいっ」ムギュ

禁書「あうっ」

上条「……」

禁書「とうまはさっきから何がしたいのかな! 人の鼻を摘むのは止めて欲しいかも!」ベシベシ

上条「いや、なんか物言いたげな目で見てたから」

禁書「説明になってないんだよ!」グイグイ

上条「ぶっちゃけなんとなくだ」

禁書「むうー! それなら私も考えがあるんだよ!」ガシィ

上条「ん?」

禁書「こちょこちょこちょ」ワサワサ

上条「だははははは! ちょ、待った待っははははは!!」
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/12/03(土) 23:54:14.15 ID:lIsuYj81o

禁書「待ったは無しかも!」コショコショコショ

上条「わかったわかった離した離した! だから止めぎゃははははは!!」バンバン

禁書「もうこうなったら教育的指導なんだよ」ノシッ

上条「乗っかってまでっふぶっはははははっ尻の感触がごほっごほぶふう!!」

禁書「なんだか大変なことになってるけど容赦はしないかも!!」コショコショショコショ

上条「ははははっはっは、ずぇい!」ゴロン

禁書「ひゃああ!」ゴロリン

上条「はっ、はっ、はー、やってくれましたなぁインデックスさーん?」ゴゴゴゴゴ

禁書「最初にちょっかいかけてきたのはとうまなんだよ!?」

上条「問答無用ッ!!」コショコショコショ

禁書「わひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」バタバタ

上条「お前が俺を一方的にくすぐれると思っているのなら、まずはその幻想をぶち壊す!」ワサワサコショコショ

禁書「あはははははは! とうまやめひぇ、はははは!!」ジタバタ

上条「止めぬ逃がさぬ手加減せぬ!!」コチョコチョ



刀夜「見てごらん母さん、私達の息子が女の子相手に馬乗りになってわきの下をくすぐっているよ」

詩菜「あらあら、微笑ましい光景ですね刀夜さん」パシャッ

刀夜「あ、また逆転した」ドタンバタン

詩菜「というか、私にはカップルがいちゃついているようにしか見えないのだけれど」パシャ

刀夜「ははは、本人達にその気が無いから面白いんじゃないか」

詩菜「お夕飯の準備が出来たから呼びにきたのだけれど、もう少し見守っていましょうか」カシャ

591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県)[sage]:2011/12/03(土) 23:56:11.56 ID:lIsuYj81o
上条さん着ぐるみなんてどうやって脱がしたんですかね
気になります
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/04(日) 06:40:51.94 ID:fJkkSKISO
ちくしょう!ここでもいちゃいちゃしやがって可愛いな!!
あと詩菜さん写真売って下さい
乙!
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都)[sage]:2011/12/04(日) 15:06:58.43 ID:LsmIn2Q+0
可愛すぎてお茶漬け吹いた
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(広島県)[sage]:2011/12/04(日) 15:35:36.04 ID:gx6W5WrQo
詩菜さんもかわいい 
600 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/20(火) 23:37:39.49 ID:b1Hnw9Ruo

禁書「ごっはん、ごっはん」カチャカチャ

上条「よっと、それこっちなー」ガチャ

禁書「? なにやってるの?」

上条「俺らの分のテーブル出してるの。そっちの小さいのじゃせいぜい四人くらいしか座れないだろ」ガチャガチャ

禁書「なるほど」コトッ

上条「折りたたみ式は場所取らなくて良いなぁ。あと、なんか他に持ってくるもんあった?」

禁書「残りは大丈夫だって」

上条「ん、了解」

禁書「ごっはん、ごっはん♪」

上条「テンション高いな、なんか特別美味そうなもんでもあったのか?」

禁書「えっとね、野菜炒めみたいなのと、なんかスープと、あと餃子!」

上条「めっちゃ普通じゃねえか。まあ、よく考えたら飯でやたらテンション上がるのもいつも通りか」

禁書「む。とうま、普通のご飯が食べられるってことは素晴らしいことなんだよ?」

上条「へいへい」

禁書「みんなで一緒に温かいご飯を食べる、これってとっても楽しいし幸せなことだと思うんだよ」

上条「まあ、そりゃそうだけど」

禁書「それに、みんなで食べた方がご飯も美味しくなるかも!」

上条「そうかい。それはなにより」

禁書「うんっ」

上条(……相対的に、俺と二人の飯は不味い? いやそういう意図は無いだろ。なんだその捻くれた考え)

禁書「~~♪」

上条(やっぱいつもより楽しそうだな。……ぐう、なんか若干引っ掛かりを覚える自分が嫌だ)ジー
601 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/20(火) 23:38:36.00 ID:b1Hnw9Ruo

禁書「いっただっきまーす!」

祖母「はいどうぞ、たんとお食べ」ニコニコ

詩菜「あらあら。急いでこぼさないようにね」ニコニコ

上条「いただきまーす」

祖父「おお、今日の朝食は豪華ですなあ」ホッホッホ

刀夜「父さん、もう晩飯だよ」

禁書「はぐはぐもぐむぐ」

上条「だからんなに急がなくってもいいって」

祖母「美味しそうに食べるねえ」ニコニコ

祖父「よく食べよく遊びよく寝る、それこそが子供の仕事」

禁書「む、私はそんなに子供じゃないかも!」

祖父「ほっほっほ、そうかそうか」ナデナデ

上条「口に物入れたまんま大声出すなっつの」

刀夜「手が留守だぞ当麻、こぼすなよ」

上条「へ? うわあぶなっ!」

禁書「とうまはまだまだお子様かも」

上条「ぐぬぬ……」

詩菜「あらあら」クスクス

祖母「二人は仲良しだねぇ」ニコニコ

祖父「仲良きことは、美しきかな」
602 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/20(火) 23:39:23.87 ID:b1Hnw9Ruo

禁書「? これなに、おつけもの?」

上条「ん? ……ああ、まあ食ってみろよ」

禁書「はむっ」

上条「どうだ?」

禁書「……にぎゃい」ウエー

祖母「それはにがうりの漬け物だよ。若い子にはちょっと苦かったかもねぇ」ニコニコ

上条「ゴーヤって呼び方の方がメジャーか。まあ苦いから米食え、米」

禁書「もぐもぐむぐむぐむぐ、うぅぅまだ苦いかも」

上条「どれ、俺もちょいと」パクッ

禁書「むぐむぐむぐもぐ」

上条「うっ、にっが」

禁書「お米食べるんだよお米」

上条「むぐもぐがうむぐ」

祖父「お米には一粒につき七人の神様が宿っているといわれていましてなぁ」

禁書「む! 確かに日本では古代から神をみ」

上条「へいゴーヤ追加!」グイッ

禁書「むぐー! にぎゃー!」

上条「ほら、米食え米」

禁書「むぐぐ……」ムシャムシャ

祖父「お米には一粒につき七人の神様が……」

上条「もうそれ聞いた! 次の話題に行こう!」
603 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/20(火) 23:39:49.97 ID:b1Hnw9Ruo

祖父「ばあさん、おかわりはありますかな?」

祖母「はいはい」

刀夜「ん、それじゃあ私も」

詩菜「刀夜さん、私が行きますよ」

禁書「私もおかわりー!」

上条「へいへい……ん? いや、うん」

禁書「うん?」

上条「いや、俺も食うし良いけど……流れ的にだな」

禁書「?」

上条「……まあいいや」スタスタ


上条「ほれ」コト

禁書「はりがほふほふは」ガツガツ

上条「だから口に物入れたまま喋んなってば」ペシ

詩菜「あらあらインデックスちゃん、そんなに美味しい?」ニコニコ

禁書「うんっ! やっぱり大人数で食べるご飯は美味しいんだよ!」

上条「……」ムーン

刀夜「どうしたんだ当麻、微妙な顔して? ははん、さてはしっ」

上条「シット!」バゴーン

刀夜「ごげぶっ!」

詩菜「あらあら。当麻さんはバイオレンスなスキンシップがお好みなのかしら」

禁書「食事中に暴れちゃいけないんだよ、とうま」
604 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/20(火) 23:40:38.46 ID:b1Hnw9Ruo

上条「ご馳走様」パンッ

禁書「ごちそうさま」

詩菜「それじゃあ当麻さん、早めにお風呂入ってくれると嬉しいのだけれど」

上条「ん、そっか、人数多いしな。俺一番でいいの?」

詩菜「私は片付けがあるし、刀夜さんは食後すぐには入らないし」

祖母「私とじいさんも後でいいよ、年寄りだからね」

祖父「風呂につかったらまず百秒かぞえて、それから……」アーダコーダ

禁書「私も後でいいかも」

詩菜「インデックスちゃんは後で私と一緒に入りましょうか」

刀夜「それじゃあ当麻、ここは私と一緒に」

上条「そんじゃ一番風呂貰うー」スタスタ

刀夜「……母さん、なんか最近当麻が反抗期気味なんだが」

詩菜「あらあら」

禁書「やっぱりとうまは思春期ちゃんなのかも」



上条(……うーむ、ってかもやもやしてる場合じゃないんだった)チャプン

上条(記憶喪失、かあ……一筋縄じゃあ解決しない問題だよなぁ)

上条(俺と一緒に風呂入ろうぜ! とか言えるはずも無いし……)

上条「……いやいや違う違う、何の話だ馬鹿か」

上条(……まあ、考え過ぎないようにしよ。あくまでメインは旅行だ)ザバー
605 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/20(火) 23:41:24.65 ID:b1Hnw9Ruo

上条「あがったぞー」ホカホカ

禁書「しいなー、とうまが出たんだよー」トタトタ

詩菜「あらあら、それじゃあ私達が二番風呂を頂きましょうか」

禁書「そうだね。行こ、しいな!」

上条「……」ムゥ

刀夜「どうしたんだ当麻、覗きでもするのか?」

上条「……」シラー

刀夜「うっ。当麻、なぜそんな冷たい目で見るんだ、ただの軽口じゃないか」

上条「……」フイ

刀夜「それで当麻、どうしたんだ?」

上条「なんでもー」

刀夜「母さんに懐いてるインデックスちゃんを見て独占欲を刺激されたとか?」

上条「だっ、だから別にそういうんじゃ……」

刀夜「分かるぞ当麻、好きな女の子が自分以外と親しくしてたら気になるものだ」

上条「だから違うっつってんだろクソ親父。自分の母親相手に嫉妬なんざしねえよ」

刀夜「まあ、それも青春の味だ。存分に嫉妬しなさい、それら全てが財産になるんだ」ウンウン

上条「人の話聞けよオイコラ」

刀夜「良いんだ。当麻くらいの歳ならば無意味なものなんて何も無いんだから」

上条「人の話聞かねえ奴の話なんざ意味のあるものに思えないんだけど」
606 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/20(火) 23:42:20.75 ID:b1Hnw9Ruo

禁書「……しいな、何か壁にひっついてるかも」

詩菜「あら、ヒルね」バシャー

禁書「ひる……」

詩菜「山の中だから、色々な生き物がいるわね」

禁書「いろいろ新鮮なんだよ」

詩菜「それはいいことね」クスクス

禁書「うん。あの街じゃ体験したことないことばかりなんだよ。二人で遠出した甲斐があるかも」

詩菜「……そういえばインデックスちゃん、当麻さんとの暮らしは楽しい?」

禁書「? 何で改まってそんなことを聞くのかな」

詩菜「そういえばあまり聞いたことがなかったな、と思って。大変なこととか無いかしら?」

禁書「大変なことばかりなんだよ。とうまはすぐ怪我して帰ってくるし、お財布無くしてくるし、女の子見つけるし」

詩菜「あらあら。やっぱり血は争えないのかしらねえ特に最後とか最後とか」

禁書「一種の病気かも」

詩菜「他には? 変なこととかされてない?」

禁書「……、とうまの名誉と私の尊厳の為に黙秘するんだよ」

詩菜「あらあら。やっぱり血は争えないのかしらねえうふふふふ」

禁書「しいな、ちょっと怖いかも」

詩菜「あら。……でもそうよね、やっぱり大変なことも多いわよね」

禁書「けど、楽しいこともいっぱいあるんだよ」

詩菜「例えば?」
607 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/20(火) 23:43:08.60 ID:b1Hnw9Ruo

禁書「うーん、例えばって言われたら困っちゃうけど」

詩菜「ちょっと意地悪な質問だったかしら、ごめんなさいね」

禁書「えっと、一昨日のことなんだけど」

詩菜「ええ」

禁書「とうまがね、お夕飯作ってるときにお塩とお砂糖を間違えちゃったんだよ」

詩菜「あらあら。それはまたベタな間違いをしてしまったのね」

禁書「ボーっとしてたみたい。それで、そのままじゃ食べれたものじゃなかったから、色々二人で工夫してみたんだよ」

詩菜「それは、またベタなフラグのように思えるのだけれど」

禁書「沢山お塩入れてみたり、マヨネーズで誤魔化してみたり、めんつゆの万能さに賭けてみたり」

詩菜「それで、結果は?」

禁書「美味しくなかったかも」

詩菜「案の定、といったところかしら」

禁書「でも、そんなこともなんだか楽しかったんだよ。ご飯も美味しくなかったけど、全部食べるの辛くなかったし」

詩菜「……」

禁書「とうまと一緒だと、そんなどうでもいいことも楽しいんだよ。何でなのかは、よく分からないけど」

詩菜「……インデックスちゃんは、当麻さんのこと好き?」

禁書「? うん、好きに決まってるかも」

詩菜「ふふっ、そうね。当麻さんも、インデックスちゃんのこと大好きだと思うわ」

禁書「……そうだといいな」

詩菜「あらあら。好きに決まってるじゃない。だから、ね? これからも当麻さんの傍に居てあげてね」

禁書「それこそ当たり前なんだよ」

608 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/20(火) 23:44:19.23 ID:b1Hnw9Ruo
コレジャナイ感を覚えたところで放置してもよく分からないからさっさと投下すべきですな
分かっててもなんだか慣れないものですが
609 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/21(水) 02:16:46.37 ID:mo6NqKH90
待ってましたひゃっほー乙であります!
このじれじれもだもだした感がたまらないのでもっとやれください

夕飯リカバリー大作戦楽しそうだな想像だけで悶えた 
612 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/26(月) 00:32:09.80 ID:nr3ZD9uRo

上条「突然だが上条さんは二日ほど寝込もうと思う」

禁書「……なんで?」

上条「どうしてもだ。それではグッバイ」

禁書「お風呂に引き篭もるのは困るから止めて欲しいんだよ」

上条「知らんしらーん!」

禁書「とうま、確かにこの国ではクリスマスは恋人と過ごす日になってるけど、本来は家族で過ごす日なんだよ?」

上条「そんなの何の慰めになるんだ! 上条さんがモテない街道まっしぐらだってことには変わりないじゃないですか!」

禁書「…………。……、……とうま?」

上条「なんだよ」

禁書「もう恋人がいないことは認めて、家族で過ごすといいんだよ」

上条「家族つっても父さん達は外だし」

禁書「だから私が家族の代わりに一緒にお祝いしてあげるかも」

上条「……」

禁書「……」

上条「……はぁ。まあいいや、引き篭もってても憂鬱なだけだし」

禁書「なんで不満げなのかな。私の方が色々いっぱい言いたいことあるけど全部飲み込んだ大人なインデックスさんなんだよ」

上条「なんだそれ。まあいいや、折角シスターさんもいらっしゃることだし、なんか適当に祝っときますかね」

禁書「適当って何なのかな! 何事にも全力で取り組むべきかも!」

上条「やる気出ない」

禁書「私、去年はまともにお祝い出来なかったから今年はちゃんとやりたいんだよ!」ベシベシ

上条「去年? 去年って……。あーだー」

禁書「?」
613 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/26(月) 00:33:09.96 ID:nr3ZD9uRo

上条「仕方ねえ、こうなったら全力でクリスマスるぞ!!」

禁書「クリスマスるって何!?」

上条「そう、何を隠そう実は俺はクリスマスの達人ッ!!」

禁書「クリスマスの達人って何!!??」

上条「さあまずは食い物だインデックス! いざゆかん!!」

禁書「! 食べ物!!」



上条「と思ったけどまずは飾りとかじゃね? と思った。食い物は最後だろ」スタスタ

禁書「……飾りつけとかやるの?」

上条「アレ? やりたくない?」

禁書「やりたいけど……二人でわっかの飾り作ってクラッカー鳴らして、って、ちょっと寂しい気がするんだよ」

上条「……うん、止めとくか。こんなことなら暇な連中あらかじめ誘っとけば良かったな」

禁書「時既に遅しかも」

上条「今から誘うのは流石になぁ」

禁書「だから、その分食べ物に全力を傾けるべきかも!」

上条「それが本音かよ! まあ確かに、今から飾りつけとか必死になってやるのも嫌だけど!」

禁書「そもそも私はクリスマスパーティーをしようとは言ってないんだよ。ただお祝いしようっていっただけかも」

上条「お祝いって何すんの?」

禁書「美味しいものを食べる」

上条「……流石インデックスさん、見習い力が高いですね」

禁書「む! 何かなその見習い力って!!」

上条「なんでしょーねー」
614 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/26(月) 00:35:16.96 ID:nr3ZD9uRo

禁書「あ! とうま、ケンタッ」

上条「自分で肉買って作るからいいです」

禁書「えーなんでー? 日本では定番だって聞いたんだよ」

上条「あのな、お前が知ってるくらい定番ってことは今更行っても二時間待ちとかに決まってるんだよ」

禁書「む」

上条「待つの面倒だろ。食い物はケーキだけ買って、あとは鳥含めなんか適当にそれっぽく作ります」

禁書「むう、まあとうまが作ってくれるなら文句は無いかも」

上条「それは何より。それよりケーキ買おう、二人だけど、どうせお前死ぬほど食うし小さめのホールでいいか」

禁書「とうま、私いちごの乗ったケーキがいいな!」

上条「はいはい、普通のやつな。どこのが美味いとか聞いとけば良かったな」

禁書「ねえ、とうま」

上条「はいはい、何ですか姫」

禁書「いるみねーしょん、って言うんだよね、このピカピカ光ってるの」

上条「そう、イルミネーション。流石に気合い入ってるな」

禁書「科学ってとっつきにくいけど、こういうのは綺麗で素敵かも」

上条「まあ、消費電力とか考えたら素直に綺麗だーって思えないけどな」

禁書「むう、やっぱりとうまはデリカシーの無いこと言う」

上条「デリカシーとケーキどっちが好き?」

禁書「ケーキ!」

上条「それならさっさとケーキとか買って帰るぞー。寒いし」

禁書「あ、とうま! 向こうの方も綺麗かも!」

上条「人の話を聞きなさいっ」グイッ

615 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/26(月) 00:37:55.64 ID:nr3ZD9uRo

禁書「せっかくのイベントごとなんだから、街の雰囲気まで楽しむべきかも」ブー

上条「寒い」

禁書「ロマンの欠片も無いんだよ!?」

上条「つってもなぁ。意気込んで出てきたはいいけど、カップルがわらわらいて目に毒だから正直早く帰りたい」

禁書「なんだか人が多いと思ったら、そういうことだったんだね」

上条「そうだぞインデックス、この国のつがいは神聖なクリスマスに街に出てイチャイチャすることに全力を費やしているんだ」

禁書「カルチャーショックなんだよ。でも確かになんだかロマンチックだし、気持ちは分からなくも無いかも」

上条「寒い中わざわざ人混みに出て行く意味が分からん」

禁書「それはちょっと言えてるかも」

上条「なー。この寒空の下でいちゃいちゃおアツいことで」

禁書「とうまはさっきから妙にひがみっぽいね。どうしたの?」

上条「この日に限ってはこの国の独り身は例外無くこうなるんだ」

禁書「カルチャーショックかも。あ、とうま、向こうもなんだか綺麗なんだよ!」

上条「だからあっちこっち行くなって。首輪とリードが必要ですかねインデックスさん」ガシッ

禁書「私は犬じゃないんだよ」

上条「じゃあ好き放題歩き回るなって。浮ついた雰囲気だからはしゃぎたくなるのは分かるけど」

禁書「それならとうまも一緒に来ればいいかも!」グイグイ

上条「引っ張るな!」

禁書「せっかくなんだから楽しまないと損なんだよ!」グイグイ

上条「押すな!」

禁書「むぅー。なんでとうまはそんなに及び腰なの」ベター
616 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/26(月) 00:41:25.91 ID:nr3ZD9uRo

上条「単純に気分が乗らないだけだよ」

禁書「……私と一緒のクリスマスは楽しくない?」

上条「なんでそうなるんだよ、別にそういうわけじゃ」

禁書「やっぱりまいかが言ってた、“みにすかさんた”を着るべきだったのかな」シュン

上条「なんでそうなるんだよ!? ってかあの兄妹マジでどうしようもねーな!!」

禁書「? サンタクロースの服装を模したものなんだよね? なんなら貸してくれるって」

上条「分かったそれじゃあ向こうのイルミネーション見に行こうそうしよう!」

禁書「ど、どうしたのかなとうま!?」

上条「ほーらインデックス、綺麗だなーロマンチックだなー」

禁書「今日のとうまはおかしいんだよ……でも、綺麗だね」

上条「……。ミニスカサンタか、アリだな」ボソッ

禁書「アリなの?」

上条「いやー綺麗だなぁはっはっは!!」

禁書「……やっぱりとうまは楽しくないのかな?」

上条「嫌だなあ超クリスマス満喫中ですよ上条さん」

禁書「無理に楽しまなくてもいいかも。帰ろっか、とうま」

上条「どうしたんだよ急に。さっきまであんなに楽しそうにしてたのに」

禁書「私一人で楽しんでも意味が無いんだよ。とうまが嫌がってるのに、わがまま言ってごめんね?」

上条「だから、別に嫌じゃねえって」

禁書「でも、さっきからとうま楽しそうじゃないし」

上条「それはだから」

禁書「大丈夫なんだよ、美味しいご飯が食べられればそれで満足かも! スフィンクスも待ってるし、帰ろ、とうま」
617 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/26(月) 00:44:33.20 ID:nr3ZD9uRo

上条「……あーもう。行くぞ」ガシッ

禁書「わわっ。どこ行くのかなとうま、おうちはこっちじゃ」

上条「確か、向こうの広場にでかいクリスマスツリーがあるらしいから。それ見に行こう」グイグイ

禁書「とうま、」

上条「わがまま言っても良い」

禁書「へっ?」

上条「どうせ、何かあったらお前に心配かけることになるんだし。何もない時くらい、わがまま言っても良い」

禁書「……」

上条「今日みたいに俺が乗り気じゃなくてもさ、本気で嫌だったら最初から来ないから。だから気にしなくて良い」

禁書「…………じゃあ、てれびーで紹介されてたフルコース食べたい」

上条「調子に乗るなっ」ペシッ

禁書「むうー、とうまの嘘つき!」ガブッ

上条「あだっ! おま、いきなり噛むな! 頭頂部がハゲる!!」

禁書「ふんだ、とうまのばか」

上条「お前なぁ……」

禁書「――でも、ありがと。とうま」ギュッ

上条「……おう」

禁書「じゃあ、そのツリー見に行こう?」

上条「他に行きたいところとかねえの。どこ行っても人多いと思うけど」

禁書「ううん、それだけでいいかも。とうまと一緒にいるのが、私の一番のわがままなんだよ」

上条「……そうかい。そういや、クリスマスのプレゼントとか何も用意してなかったな」

禁書「くれるの?」

上条「どうすっかなー、あんまり金無いし」

禁書「安物でいいから、何かくれると嬉しいんだよ」

上条「それならお前もなんかくれよ、期待してないけど」

618 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/26(月) 00:47:24.88 ID:nr3ZD9uRo
こんな感じで
まあ俺はなんもなかったですけどねーははっ
619 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage]:2011/12/26(月) 00:57:11.60 ID:Qzyv6WSx0
乙!
インデックスが可愛すぎてやばい…
620 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/26(月) 01:07:16.51 ID:ls9nZX1l0
乙乙!!
外から見てたらお前らもいちゃいちゃしてるわ度がたまらんww 
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/01/26(木) 23:16:58.45 ID:VH8mtePWo

上条「うごっ、ちょ、ギブギブ入ってる入ってる!!」バンバン

刀夜「ふはははは! 父親に勝とうなど百年早いぞ当麻!!」パッ

上条「ええいもう容赦しねえ! そっちがその気ならこっちも本気だオラァ!!」グワッ

禁書「……お風呂上りに何やってるんだよ」

上条「ふはははははは!! ほらほらどうしたお父上!!」ギチギチ

刀夜「ごぶ、と、当麻! これは家庭内暴りょ、ってかやば」バンバンバン

詩菜「あらあら。当麻さん、刀夜さんそろそろ本気で落ちてしまうわよ?」

禁書「というか、どうしてとうまはそんなに元気が有り余ってるのかな」

上条「ん、あがったのか。父さん次入るんじゃねえの」パッ

刀夜「ごふっ」バタッ

禁書「軽く無茶振りなんだよ」

上条「いやだって父さんがさぁ」

詩菜「それじゃあ、先にお布団を敷いてしまいましょうか」

禁書「そういえば、どこで寝るのかな」

詩菜「あらあら。ここに決まってるじゃない。川の字になって寝ましょうね」

上条「……え? マジで?」

禁書「川の字……」

詩菜「他の部屋は空いていないし、必然的にそうなるんじゃないかしら?」

上条「くそう、無駄に広いくせにいらないものがごちゃごちゃ置いてあるから……」

禁書「川の字……?」

上条「まあいいや、布団出してくる。向こうの押入れだよな?」

禁書「川……皮?」
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/01/26(木) 23:18:30.89 ID:VH8mtePWo

上条「よっ……と」ドサッ

禁書「ねえとうま、かわの字になって寝るってどういうこと? 何のかわ?」

上条「んー? 何のって、普通に漢字のリバー。こう、横に並んで寝たら川の字に見えるだろ」

禁書「……四人じゃあ川の字にならないんだよ」

刀夜「それじゃあ当麻はどっか他所で寝てもらおうかな……」

上条「いいから父さんは風呂入って来いよ。ってか別に四人でも川の字って言うんだよ」

禁書「アルファベットのMの字なら四人でも再現可能なんだよ」

上条「いやだからどうでもいいから」

詩菜「あらあら。それじゃあ誰が斜めになるか決めましょうか」

禁書「私じゃ多分身長が足りないかも」

上条「だから何の話だっつーの。いいから布団敷くの手伝えよ」

禁書「じゃあとうまはどうすればいいと思う?」

上条「どうにでもしろよ、州の字とか……いや今のナシで」

禁書「州の字……っ!?」

刀夜「州だと六人いるんじゃないか当麻」

詩菜「赤ちゃんが三人、大人が三人かしらね」

上条「いや……点二個は手とかで表現すりゃいいじゃん。んでもう一個はコイツが丸まって寝れば」

禁書「斬新な案なんだよ……!!」

上条「やらねえけどな」

詩菜「それじゃあお布団の順番は右から刀夜さん、当麻さん、インデックスちゃん、私 でいいかしら」

禁書「良いんだよ」

上条「いやちょっと待ったそれはおかしい。ってか唐突に決めるなよオイ!」
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/01/26(木) 23:20:20.33 ID:VH8mtePWo

詩菜「あらあら。でも川の字で寝るときは親は両の端だと決まっているし」

禁書「とうまは私の隣が嫌なの?」

上条「誰が決めたの!?」

刀夜「それじゃあ、私は風呂に入ってくるから」

詩菜「のぼせないようにね」

刀夜「ああ。とうまも我が侭を言うのは程々にな」スタスタ

禁書「だってよ、とうま」

上条「我が侭じゃねえし! 正論だし!!」

禁書「そんなに私の隣が嫌なのかな」

詩菜「あらあら当麻さん、いいことを教えてあげましょうか」

上条「は?」

詩菜「TPOによっては、正論でもただの我が侭になるのよ?」

禁書「独裁なんだよ」

上条「不条理だ!」

禁書「というか、とうまは二人を独占したい甘えんぼさんなのかな」

上条「んなワケねえだろ」

禁書「じゃあ、やっぱり私の隣が嫌なんだね」

上条「……だからさぁ、別に嫌ってわけじゃないけど、やっぱ」

詩菜「あらあら。それなら決定ね」

禁書「決定だね」

上条「オイ待て、話の途中だろうが」
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/01/26(木) 23:21:44.27 ID:VH8mtePWo

禁書「ふふっ、なんだか変な感じかも」

上条「押し切られたし」

禁書「ねえとうま、なんだかくすぐったいね」

上条「何が?」

禁書「こうやって川の字で寝るのが。いつもはスフィンクスと二人だし」

上条「……そっか、そうだよな」

禁書「――もしかしたら、小さい頃はこうやって寝たこともあるのかもしれないけど」

上条「……そうだな」

禁書「なんだかね、今目をつむったらすぐに寝ちゃいそうなんだよ」

上条「なんだよ、それなら早く寝ちまえば良いじゃねえか」

禁書「でも、なんだかまだ寝たくないんだよ」

上条「良いから寝てろって。移動長くて疲れてるだろ? ……別に、明日もこうやって寝るんだろうしさ」

禁書「いいの?」

上条「俺が嫌って言ってもどうせそうなるよ。だろ? 父さん母さん」

刀夜「そうだなぁ、他に部屋も無いし。自分の家に里帰りしたときは、こうやって寝るものだからな」

詩菜「そうねぇ。川の字で寝るときは子供達を間に挟むものだと相場が決まっているのだし」

禁書「でも、私は二人の子供じゃないかも」

上条「ばあちゃんも自分の家だと思ってくつろげって言ってただろ? だから細かいことは気にしなくて良し」

禁書「……分かった。えいっ!」ボスンッ

上条「どわっ! ばっ、人の布団に入って来んなよ!」

禁書「細かいことは気にしないかも」

上条「全然細かくないわ! さっさと戻れ!」
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/01/26(木) 23:22:39.35 ID:VH8mtePWo

禁書「どうせ寝てたらこうなるんだから最初からこうでも問題は無いかも」

上条「諦めんなよ! 自分のとこで寝ろって、暑苦しいから!!」

刀夜「良いじゃないか当麻。いっそ私もそっちに行こうか」ノソッ

詩菜「あらあら。それじゃあ私も」ノソノソ

禁書「ウェルカムなんだよ!」

上条「来るな暑苦しい!」ゲシゲシベシベシ

禁書「そんなに嫌がらなくても良いと思うんだよ。減るものじゃないし」

上条「増えるんだよ暑いんだよ夏だって言ってるだろ!!」

禁書「むぅ」

詩菜「あらあら。言葉の割にはインデックスちゃんはあまり邪険にしないのね」クスクス

上条「言っても聞かないだけだろうがぁぁぁぁ」グイー

禁書「わあああ。ふん、一回で諦めると思ったら大間違いなんだよ!」ゴロゴロ

上条「だから来るな! なんなんだ!」グイグイ

禁書「甘えたいお年頃なんだよ」

上条「うるせえ年齢不詳!」

詩菜「インデックスちゃん、甘えたいのなら私の隣も空いていますよ?」

禁書「しいなはこんなに優しいのに、その息子は心が狭いかも」ノソノソ

刀夜「当麻、私の隣も空いてるぞ?」

上条「二人まとめてうっせえ」

禁書「ふんだ、しいなと一緒に寝るからいいもん。とうまのばか」

上条「ってか見てるだけで暑苦しいってんだよ……まったく」

640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/01/26(木) 23:24:15.31 ID:VH8mtePWo
上インってか家族団らん的な何かですな

次はちょろっとシリアスパートっぽいものを挟む感じなんでまあ適当に流すと思います
少々立て込んでるんで遅くなる可能性も無きにしも非ず
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/01/27(金) 00:42:10.82 ID:1QO+BYxEo
待ってました乙!!!
>>1の上条さんとインデックスの距離感がもどかしくも可愛くて好きなので
無理せず自分のペースで投下してくれるとすごく嬉しい

州の字はなかなか難しいと思うぞ四人だと
スフィンクスが居ればずいぶん楽かもしれんがwwww
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/01/27(金) 01:42:03.13 ID:cxvGWfXSO
乙!乙!
家族団らんを楽しむインデックス可愛いな
ほのぼのな上条夫妻と上イン和む 
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/02/07(火) 23:55:26.36 ID:oU/25D9eo

禁書「ぐー……」スースー

上条(……でも絶対結局コイツ俺の布団にもぐりこんで来るだろうなぁ、まったく面倒な)

禁書「ぅん……」

上条「……トイレ行こ」

禁書「……」



上条「水洗じゃないと怖さ五割増しだな……インデックス大丈夫かこれ」

上条「――さて、と」スッ

上条「今、向こう何時だっけか」prrrr......


ステイル『何か用か』

上条「ああ悪い、ちょっとな。今大丈夫か」

ステイル『手短に済ませろ』

上条「……インデックスの、記憶喪失のことなんだけどさ」

ステイル『……ああ』

上条「夕方にさ、ちょっとインデックスと話をしたんだ」

ステイル『記憶喪失の?』

上条「そう。それで、アイツが自分の記憶について『思い出すのは怖い、誰かを傷付けたかもしれないことが怖い』って言ってて」

ステイル『……何と返したんだ』

上条「“忘れられて傷付いていたとしても、お前まで悲しい顔をしたら余計に悲しい。だからお前は笑っていて良い”みたいなことを言った」

ステイル『ふん、勝手なことを。まあ良い、君が守るべきは僕や神裂じゃなく彼女なんだからな』

上条「……でもさ。本当に、それで良いのかな」

ステイル『何?』
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/02/07(火) 23:56:50.72 ID:oU/25D9eo

上条「お前らはインデックスが苦しむようなことを望まないのは分かってる。でも、それを俺が言って良かったのかな、とか」

ステイル『まあ、正直鬱陶しいけどね。それでも、何の罪も無い彼女が悲しむよりはマシだよ』

上条「罪、か」

ステイル『そうだ。彼女から記憶を奪い、その運命から解放出来なかった罪。それは僕達だけが背負えばいいものだろう?』

上条「……本当に、それで良いんだろうか」

ステイル『だから、君はさっきから何を』

上条「あいつが記憶を失うことを止められなかったのは、あいつ自身も同じじゃないか」

ステイル『…………、それで? 君は彼女も罰を受けるべきだと?』

上条「……分からない」

ステイル『…………仮に、だ。彼女自身にもそういう罪があったとして。――その罰を受けるべき彼女は、もう死んでしまったよ』

上条「…………」

ステイル『かつての彼女と今の彼女が別人だとは言わない。それでも、その贖いを今の彼女に求めるのは間違っているだろうさ』

上条「それは、分かってるけどさ」

ステイル『ともかく、それは僕達の問題だろう。君が気に病むことじゃない』

上条「……」

ステイル『とにかく君は彼女を悲しませないことだけを考えろ。君には多数前科があるからな、次は無いぞ』

上条「……そうだな。分かった」

ステイル『ふん。用件はそれだけだな、切るぞ』ブツッ

上条「……はぁ」

上条「記憶喪失、か」
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/02/07(火) 23:57:46.56 ID:oU/25D9eo

上条「……」フー

祖父「……」ホー

上条「うわっ、じいちゃん居たの!?」

祖父「なんじゃ、藪から棒に」

上条「いやそれはこっちの台詞で」

祖父「ほっほっほ、星が綺麗ですなぁ」

上条「話題の切り替え強引だな!」

祖父「ふむ。何やら悩んでいる模様」

上条「え、ああ、まあ色々と……」

祖父「ときに当麻、愛とは何か分かるかな?」

上条「ってぶった切られた!?」

祖父「当麻や、お前は誰かを愛しているか? 例えば、あのお嬢ちゃんとか」

上条「……だから、インデックスとはそういうんじゃないって」

祖父「それはいけませんなぁ」

上条「なんで」

祖父「当麻や、お前は今年でいくつになるんだったかな?」

上条「今十五……ん? あーいや違うな、十六で十七になるのか」

祖父「そうかそうか。当麻、大きくなったなぁ」ワシワシ

上条「いやそれはもう分かったから! いやこの場合正しいのか!?」

祖父「小さくなったのか?」

上条「なってない!」
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/02/07(火) 23:58:45.33 ID:oU/25D9eo

祖父「子供というものはな、皆愛されて生まれ育つものじゃ。悲しいことに例外もあるがな」

上条「……は、話が繋がってるのか? まあ飛躍はしてないか」

祖父「何しろ、子供には愛することは出来ないからな。純粋な愛情と言えば聞こえは良いが、それは生物としての根源的な欲求に過ぎず」

上条「このじーさん本当にボケてんのかな。かなり疑わしくなってきたぞ」

祖父「まあ、子供のうちはそうやってただ愛されるだけで良いんじゃ。守られ愛され育つのが子供だからの」

上条「ってかこれ俺に話しかけてるんで良いんだよな?」

祖父「当麻や、お前もまだまだ子供だ。だから守られ愛され育ってもいい」

上条「あ、うん。うん?」

祖父「だがな、お前が何か大切なものを見つけたのならば話は別じゃ。例えば、あのお嬢ちゃんとかな」

上条「え、ああ」

祖父「当麻、お前はあのお嬢ちゃんが大切なんじゃろう?」

上条「まあ、そうだけど」

祖父「ならば、お前はもう受け取るだけではいかん。何かを与えられるような人間にならねばならんのじゃ」

上条「……何かを与えるねえ」

祖父「その与えるもののことを愛というんじゃ。といっても、別に好きになれということじゃ無いぞ」

上条「じゃあどういう?」

祖父「まあもう好きなんじゃろうが」

上条「質問に答えろよ」

祖父「そうじゃなぁ。それじゃあ当麻、恋とはどんなものか分かるか?」

上条「恋って言われても……だから、だれかを好む気持ちのことじゃないの?」

祖父「そうじゃな。だから恋というのは一人で出来るんじゃ。通い合わずともその心は嘘になどならないからの」

上条「はあ」
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/02/07(火) 23:59:36.58 ID:oU/25D9eo

祖父「だが愛は違う。仮に自分が愛だと思ったものでも、受け取った側によってはそれは愛でなくなることもあるんじゃ」

上条「例えば?」

祖父「極端な例じゃが、ストーカーとかが一番分かりやすいかの」

上条「あー……」

祖父「愛の定義は愛す側と愛される側、二人の間で決まる。だから、愛なんて不確かで曖昧なものじゃ」

上条「……でもさ、そんな風に言われるとなんか、こう釈然としないんだけど」

祖父「ほう?」

上条「真剣にそいつの為に何をしてやれるのか、何が出来るのか考えて動いたのなら、それはもう愛で良いじゃん」

祖父「受け取った人がそれを迷惑に思ったのなら、それは自己満足でしか無いんじゃあないか?」

上条「ぐぅ」

祖父「真剣に考えた結果、それが迷惑でしか無いこともある。何気ない一言が、愛に満ちた言葉に聞こえることもある」

上条「……そんなもんなのかな。なんだかやるせないけど」

祖父「そんなもんじゃよ。そして、それでもな、当麻」

上条「?」

祖父「お前さんが言った通り、真剣に考えてやるのは間違いじゃない。それはその時点では、間違いなく愛なんじゃ」

上条「……どういうこと?」

祖父「渡せば変わってしまうこともある、ということじゃ。それでも、愛というのは一人で抱えていられるものじゃない」

上条「なんか、堂々巡りだな」

祖父「それでいいんじゃ。愛に答えなど無い。それを渡そうと真剣に考えて、駄目ならまた一から考えて。きっとそれが愛というものなんじゃ」

上条「……」

祖父「まあそれでも間違った方向に愛しまくってしまう人もいるんじゃがな」

上条「まあ、うん」
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/02/08(水) 00:00:21.00 ID:HMUjmRM3o

祖父「さて、それじゃあ改めて聞こうか。当麻、お前はあのお嬢ちゃんを愛しているか?」

上条「……愛してるよ。何をしてやればいいのか、未だに良く分からないけどさ」

祖父「そうか。――大きくなったな、当麻」

上条「まだまだ子供だけどね」

祖父「精一杯悩むと良い。それはきっと糧になる」

上条「うん。分かった」

祖父「さて。それじゃあ、夕飯を頂きに行きましょうか」ホッホッホ

上条「じいちゃん、夕飯はもう終わったよ」



禁書「……ぐぅ」ギュウ

詩菜「……すぅ」ナデナデ

上条(……仲がよろしいことでなにより。けっ)

禁書「……んー、もお、ったらぁ」

上条「ん?」

禁書「しいなー……」

上条「…………」イラッ

禁書「とうまが、とうまで、とうまなんだよ……」

上条「……………なんだよそれ。あ、そういやカメラどこだカメラ」ゴソゴソ

禁書「まった、くぅ……」グー

上条(まあ別にインデックスの写真が欲しいわけじゃないけどほら思い出的なやつがあれだから。お、あったあった)

禁書「……」

上条「って、今どきフィルムカメラだと……?」
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/02/08(水) 00:01:02.62 ID:HMUjmRM3o

禁書「ん……」

上条「……」グーグー

禁書「ぅん……」ムクッ

詩菜「……あら? インデックスちゃん、どうしたのかしら?」

禁書「といれ……」

詩菜「あらあら。それじゃあ一緒に行きましょうか」

禁書「んー……」ボテボテ

上条「ぐえっ」

禁書「……ん?」

詩菜「あらあら。当麻さんを踏んじゃあ可哀想よ? さ、行きましょうか」

上条「うぐ……ぐー」

禁書「んぅ……」


上条「……」スースー

禁書「……」ポテポテ

上条「……」グーグー

禁書「……ん」ゴソゴソ

詩菜「あら?」

上条「んぁ……?」

禁書「……ぐぅ」ギュッ

上条「ん……」スッ

詩菜「……あらあら。そっちは私達のお布団じゃあありませんよ?」クスクス

656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/02/08(水) 00:03:23.32 ID:HMUjmRM3o
答えなんて出なくても悩み続けるのが愛だよね、ってことで一つ
中途半端に触れるのも気持ち悪かったけど、あんまシリアス話やっててもアレなんで一区切りということで

次は釣りに行く話かなんかそんなんです
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage]:2012/02/08(水) 00:10:59.11 ID:4sO0ekOo0
おつ~
こういうのもいいな
次も楽しみにしてます!! 
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/02/16(木) 23:40:26.81 ID:2XxXipzqo

上条「……ん?」パチッ

禁書「……」グーグー

上条(案の定じゃねえかああああ)

禁書「……ん?」パチッ

上条「お、おはよう」ニコッ

禁書「……?」

上条「……」ニコニコ

禁書「……」ガブッ

上条「ぎゃー!」

禁書「おはよう、とうま」

上条「インデックスさん、そのとりあえず噛んでみるの止めようか!」

禁書「だって目が覚めていきなりとうまが近くにいたらびっくりするんだよ」

上条「俺だってびっくりしたよ! お前がこっちに転がり込んで来てるの!」

禁書「……? いつの間にしいなのところから移動したのかな?」

上条「こっちが聞きたいわ! まあ、想定の範囲内だったけどさ」

詩菜「あらあら。おはよう、当麻さんにインデックスちゃん」

刀夜「おはよう二人とも。ご飯出来てるから、顔を洗ってくるといい」

禁書「おはようなんだよ! ごっはん、ごっはん」

上条「あれ、俺達そんなに寝てた?」

詩菜「やっぱり疲れてたのね、二人ともぐっすりだったわよ」

禁書「確かに、なんだかよく寝たかも」
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/02/16(木) 23:43:02.06 ID:2XxXipzqo

上条「んー、そっか。まあバタバタしてたしな」

刀夜「もしくは、特別寝心地が良かったとかな」

禁書「?」

刀夜「母さん、写真撮っていたよね?」

詩菜「あらあら。ちょっと待って下さいね」ピコピコ

上条「ってデジカメあんじゃん!」

禁書「しいなはずっとあのカメラ持ってたよ?」

上条「くそう、あのフィルムカメラはダミーか!」

詩菜「あらあら。単に両方持ってきているだけなのだけれど。というか当麻さん、カメラに興味があったのかしら?」

禁書「あったの?」

上条「え? ……い、いや別に? ただフィルムカメラ持ってきてるなーって思ってただけで」

詩菜「あら、そう? 私はてっきりインデックスちゃんの写真が気になったのかと思ったのだけれど」

禁書「私の写真って、色々なお洋服着てみたときのかな?」

上条「っていうかそんなことより何の写真見せるつもりだったんだよ、それとなんでフィルムカメラなんて持ってきてるんだ? そっちを詳しく」

刀夜「デジカメの方が便利だけれど、やっぱりフィルムカメラの方が思い出を残すのには良い気がしてね」

詩菜「えーと、ああこれね」ピコピコ

禁書「あれ。私ととうまが寝てるところなんだよ」

上条「いや何撮ってんだよ! 消せ今すぐ消せ!!」

刀夜「はっはっは。こんなにしっかりと抱き合って眠っているなんて、二人は仲良しだなぁ」

詩菜「あらあら。こんなに可愛らしい写真を消すのは勿体無いでしょう? それにどうせ向こうのカメラでも撮っているし」

禁書「……ちょっと恥ずかしいかも」

上条「ぐうう……じゃあせめて誰にも見せるなよ! 絶対だからな!!」
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/02/16(木) 23:44:06.69 ID:2XxXipzqo


禁書「いただきまーす!」パンッ

上条「いただきます」

禁書「はむっ、もぐもぐ」

刀夜「そういえば当麻、今日はどうしようか」

上条「んー、今日はコイツと釣りにでも行こうかと思ってるんだけど」

禁書「ん?」

刀夜「釣りか。そうだな、私達は少しこの家を掃除しようと思っていたし、ちょうどいいかな」

祖母「この歳になると隅々まで、とはいかなくてねぇ」

祖父「何を年寄りのようなこと言っとるんだばあさん」

祖母「年寄りだよじいさん」

上条「そっか、手伝わなくても大丈夫?」

刀夜「ああ。そこまで本格的にやるわけでも無いし、行ってきなさい」

禁書「とうま、釣りって何を釣るの?」

上条「魚」

禁書「そんなこと分かってるかも!」

上条「まあ、それは行ってみてのお楽しみだな」

詩菜「当麻さん、お夕飯を一品増やして下さいね」

禁書「とうま、とうま。今から釣りに行くお魚って美味しい?」

上条「それも食べてからのお楽しみだな」

禁書「そればっかりかも」ブー
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/02/16(木) 23:46:23.58 ID:2XxXipzqo

上条「そうそう、それで服どうするよ」

禁書「? 歩く教会じゃ駄目?」

上条「駄目じゃないけど、これからもそれ着てたいならオススメはしないな」

禁書「むう」

上条「ってか山登るわけじゃないけどそれなりに歩きづらいとこ行くから、動きやすい格好が望ましい」

禁書「動きやすい格好だね、分かったんだよ」

上条「ん、まあまず朝飯を片付けちまえ」

禁書「そうするかも」モグモグ



上条「で、その白ワンピで行くの?」

禁書「だめ?」

上条「……いや別に駄目じゃないけど駄目とか言ってないけど。でも虫除けとかちゃんとしとけよ」

禁書「すぷれー怖いかも」

上条「こんなの全然ハイテクでも何でもねえだろうが! SLの蒸気と一緒だと思っとけ!!」

禁書「SLなんて恐怖の対象でしか無いかも!」

上条「お前の感覚は産業革命以前かよ!」

禁書「神話の時代なんだよ!」

上条「歩み寄れる気がしねえ!!」

禁書「っていうのは冗談だけど、ちょっと怖いのは本当だからとうまやって」

上条「ったくお前は本当に……ほら、腕貸せ。なんなら目とか閉じとけ」

禁書「んー」ギュー
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/02/16(木) 23:47:56.64 ID:2XxXipzqo

上条(……しかし細くて白いな)シュー

禁書「スーってするんだよ」

上条「さいで。ほら、もう一方も」シュー

禁書「おしまい?」

上条「足も。あと首周りとかもやっとけ」

禁書「首周りは怖いから遠慮するかも」

上条「俺にやらせるんだから要求は無視する」

禁書「とうまのいじわる」ブー

上条「いじわるじゃねえ。ほら足やるから、一応口も閉じとけ」シュー

禁書「……」ムー

上条(……スカートだし、なんかこう、微妙にエロいなこの状況。……あまり深く考えないようにしよう)シュー

詩菜「」パシャッ

禁書「あ、不意打ちなんだよ」

上条「っておいいいいい何撮ってるんですかねえお母サマ!?」

詩菜「あらあら。何って自分の子供達ですよ?」クスクス

禁書「とうまって写真嫌いだったっけ?」

上条「そういう問題じゃねえよ! 明らかにタイミングに悪意を感じるッ!!」

禁書「あくい?」

詩菜「あら当麻さん、悪意って何のことかしら? 別にインデックスちゃんの綺麗な足に少しドキドキしてたとかいうわけじゃ無いでしょう?」

上条「…………悪意なんて無かった」

禁書「? 足?」

668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/02/16(木) 23:51:58.90 ID:2XxXipzqo
以上。まだ家出てもねえし

ところで信じられますか
>>452から200レスくらい、このスレ全体の三分の一弱使っときながらまだ一日くらいしか経ってないんですよ
三泊前後の予定なんですがこのスレ終わるんじゃねこれ
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2012/02/16(木) 23:52:42.68 ID:/+dUQSeAO
続いてくれたら嬉しいんだよ! 
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/04(日) 23:16:28.66 ID:yYO7JXtoo

上条「んじゃ行くか。インデックス、準備は良いな?」

禁書「大丈夫なんだよ」

刀夜「道とかは分かるか、当麻」

上条「ああ、歩いてればなんとなく思い出すと思う」

詩菜「転ばないようにねインデックスちゃん。川辺は特に滑るし」

禁書「靴も替えたし、平気かも」

上条「……しかしあれだな、そこまで来ると麦わら帽子とか欲しいな」

禁書「麦わら帽子?」

上条「ああいやほら、日差しも強いだろうし」

詩菜「あらあら。確かにこの格好には麦わら帽子が似合いそうねぇ」

刀夜「どこかにあったような気がするな。どれ、探してこよう」

禁書「とうま、麦わら帽子ってどんなの?」

上条「こんなの」スーッシャッジャキーン

禁書「なんだか強そうなんだよ……!!」ワナワナ

上条「まあ嘘だけどな」

禁書「なんでそんな嘘つくのかな」

刀夜「あったぞ当麻、ほら」

上条「……どこからこんないい感じに女の子したのが出てきたんだ」

禁書「あ、なんだか面白いかも」

詩菜「ああ、そういえば持ってきていたわねぇ」

上条「やっぱ母さんが持ってきてたんじゃねえか。最初から出しとけよ」

禁書「とうま、早く被らせて欲しいんだよ」
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/04(日) 23:17:32.84 ID:yYO7JXtoo

上条「ん、ほれ」ポスッ

禁書「わっ」

刀夜「おっ、似合うじゃないか」

詩菜「ええ、とっても素敵ね」

上条「……」

禁書「とうま、どうかな?」クルッ

上条「……まあ、似合ってるんじゃありませんかね」

禁書「ほんと?」

上条「そんな嘘つかないってのー」

禁書「……ふふっ」ニコニコ

上条「何笑ってんだよ」テレ

詩菜「はいチーズ」パシャ

禁書「あー、また不意打ちなんだよ」

上条「だー! だから言ってから撮れよ!!」

詩菜「あらあら。だってシャッターチャンスを逃してしまっては元も子も無いでしょう?」

刀夜「ははは、そうだなぁ」

禁書「なんだか釈然としないかも」

上条「そうだそうだ! 肖像権の侵害で訴えるぞ!」

詩菜「あらあら。それじゃあ、表に出てもう一度ちゃんと撮りましょうか」

禁書「全然聞いてないんだよ」

上条「あらあら、じゃねェー!!」
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/04(日) 23:18:08.22 ID:yYO7JXtoo

詩菜「それじゃあ改めて、はいチーズ」ピピッ カシャ

禁書「」ニコー

上条「」ムスー

詩菜「あらあら」クスクス

刀夜「おやおや」ニヤニヤ

禁書「と、撮れた?」ニコー

上条「もう笑わなくていいぞー」

詩菜「ええ、とっても可愛く撮れたわよ」

刀夜「ああ、見たいかい?」

禁書「見たいかも!」

上条「ハイハイ、もうさっさと行くぞ」ガシッ

禁書「えー、そんなに急ぐこともないと思うんだよー」ズルズル

刀夜「当麻、何も道具を持たないで何をしに行くつもりだい?」

上条「……」クルッ

禁書「忘れてたの?」

上条「うっせうっせ」ズルズル


刀夜「いやぁ、母さん。私達の息子は案外可愛げがあるじゃないか」

詩菜「大きくなったと思っていたけど、やっぱりまだまだ子供ですねぇ」

刀夜「なんだか、やっぱりからかいたくなるなぁ」

詩菜「そうですねぇ。当麻さんもインデックスちゃんも、純粋ですもの」

刀夜「……さあ、それじゃあ私達も掃除を始めようか」
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/04(日) 23:19:56.65 ID:yYO7JXtoo

禁書「さっかな、さっかな、おっさっかな~」

上条「そのリズム妙に聞き覚えあるんだけど」

禁書「ねえとうま。川に行くんだよね?」

上条「そりゃあな。海釣りはやったことないと思う」

禁書「やっぱり、こんな山の中だと水きれい?」

上条「下流と比べればな」

禁書「やっぱり飲んだら美味しいのかな?」

上条「……多分まだこの辺のは飲めないと思うけど。いやまあ飲めなくもないだろうが、腹壊すぞ」

禁書「えー。でも大丈夫かもしれないし!」

上条「お前腹は頑丈だもんな。ってか、美味しい水っていっても味があるわけじゃないんだって前学んだろ?」

禁書「味がついてなくても美味しいかもしれないんだよ!」

上条「いやそりゃ不味くは無いだろうけどさ。飲み水にするならもっと上流に行かないと駄目だろ」

禁書「えー、ここも結構山の中だと思うんだよ」

上条「ってか、上流ならどこでも飲めるってのは間違いだと思うけど」

禁書「そんなものなのかな?」

上条「多分なー。水清ければ魚棲まずとも言うし」

禁書「ふーん。あっ、とうま! またカニがいるんだよ!」ズビシッ

上条「カニを指差しちゃいけないって習わなかったかー。習わなかったかー」

禁書「昨日のカニと同じ子かな?」

上条「さすがに違うんじゃね。同じ種類っぽいけど」

禁書「えー、私は同じ子だと思うんだよ」ツンツン

上条「だからつつくなって言ってるだろー」
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/04(日) 23:20:51.11 ID:yYO7JXtoo

禁書「とうま、ここは右か左どっちかな?」

上条「えーと、ちょっと待ってろ思い出す」

禁書「……」

上条「……」ウーン

禁書「……ちょっと疲れたし、休憩にしよっか」

上条「んー、そうするか。喉元まで来てるんだけどなぁ、どっちだっけ」

禁書「それにしても、今日はすっごく夏って感じだね。お天気も良いし」

上条「そんだけ暑いってことだけどな。ま、遊ぶにゃいい日かもしれないけど」

禁書「それにしても、こんな山の中でも案外道ってあるんだね」

上条「どんなとこでも案外人の出入りってのはあるもんだからな」

禁書「ちゃんと舗装もされてるしね」コンコン

上条「もっと上行ったら獣道みたいなのばっかだろうけどな」

禁書「どんなとこにでも道ってあるものなんだね」

上条「誰かが歩いた跡を道を言うんだよ」キリッ

禁書「唐突にそんなこと言ってもかっこよく無いかも」

上条「いやいや本当に。まっすぐ歩けば道が出来るもんなんだよ」

禁書「……何でもそんな風に単純にいけば良いんだけどね」

上条「……ああ。そうだな、何なら試してみるか」

禁書「へ?」

上条「思い出した。ここ真っ直ぐだ」

禁書「でも、道が無いかも」

上条「ほら、向こうに何か見えるだろ?」

禁書「……あ、川だ」
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/04(日) 23:21:42.07 ID:yYO7JXtoo

上条「そういうこった。さあ行くぞ」

禁書「どこかに道は無いの?」

上条「あっても大差ねえよ。そんなに草が生い茂ってるわけでも無いし大丈夫だって」

禁書「とうまがそう言うなら、いいけど」

上条「んじゃ行くぞ」スタスタ

禁書「わわ、待って」

上条「ん、行けそうだ。ってかこれ人が通った形跡があるような」

禁書「でも足場は悪いかも」

上条「結構斜面になってるから、転ぶなよー」

禁書「わっ!」グラッ

上条「フラグ回収早いな!」ガシッ

禁書「あ、ありがとう……」

上条「ったく、気をつけろよ本当に」

禁書「分かってるんだよ」

上条「ってどわぁっ!」ガクッ

禁書「ひゃあ!」ガシッ

上条「あっぶね、さ、サンキューインデックス」

禁書「いいから早く体勢を立て直して欲しいんだよ……」プルプル

上条「あ、ああ悪い。っと」

禁書「はぁ。まったく危なぁ!?」ズルッ

上条「あだっ! 危なっ!!」ゴッチン

禁書「なんで連鎖してるのかな!」

上条「知るか!」
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/04(日) 23:22:26.27 ID:yYO7JXtoo

禁書「なんとか下りられたかも……」ゼエゼエ

上条「ったく……誰かさんが馬鹿みたいに転びそうになるから……」ゼエゼエ

禁書「それはこっちの台詞なんだよ! 頼もしいこと言ってたのに何回バランス崩したのかな!?」

上条「いや言わせて貰うけどな! お前がすぐ転びそうになるからそっちに意識が行ってて足元が疎かに」

禁書「文字通り本末転倒かも!」

上条「はぁ……まあとにかく、川に着いたわけだが」

禁書「ここで釣るの?」

上条「もっと足場とかちゃんとしてるとこがいいな……っと、向こうのでかい岩の上行こう」

禁書「でも、川の向こうなんだよ。橋も無いし」

上条「ほら、そこにおあつらえ向きに渡れそうな岩が」

禁書「……ご都合主義?」

上条「けっこうあるもんなんですことよー。それが渡りやすいかは別だけどな」

禁書「罠とか仕掛けられて無いかな?」

上条「誰がこんなどうでもいいところに罠仕掛けるんだよ。いいからさっさと渡るぞ」スタスタ

禁書「大丈夫かなぁ」

上条「とりあえず俺が先行くから、俺が渡りきったら来い」

禁書「わかったかも」

上条「んじゃ、よっ、ほっ、うぇ!?」ズルッ

禁書「とうまー!?」ジャボーン

上条「っと、あっぶねぇー……」

禁書「思いっきり足は濡れてるかも」

上条「転んでないからギリギリセーフ、きっとセーフ」
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/04(日) 23:22:58.01 ID:yYO7JXtoo

禁書「じゃあ、私も行くね」

上条「その三つ目の奴が超滑るから気をつけろよ」

禁書「侮らないで欲しいかも! それくらい分かってるんだよ!」ヒョイ

上条「転ぶなよー」

禁書「やっ、とっ、ほわぁ!?」ズルッ

上条「あっ、馬鹿!!」

禁書「ひゃあ!」バッシャーン

上条「あーあー派手にコケやがって」ヒョイヒョイ

禁書「いたたたた……」

上条「大丈夫かインデックス、怪我は?」

禁書「おしりが痛いかも……」

上条「……、他には?」

禁書「全体的にひんやりして涼しいんだよ」

上条「そりゃそうだ。まあ大丈夫なら良いや、ほら」スッ

禁書「ん、ありがと」ギュッ

上条「……」ジッ

禁書「?」

上条(白いワンピース一枚だと濡れ透けがやべぇ。ぶっちゃけエロい)ジー

禁書「どうしたの?」

上条「あーまーアレだ、ちょっと絞ってりゃその内乾くだろ夏だし。ほら行くぞ」ヒョイヒョイ

禁書「わわ、待って」
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/04(日) 23:23:49.99 ID:yYO7JXtoo

上条「ん、ここで良さそうだ。魚もいそうだし」

禁書「なんで分かるの?」

上条「ここみたいに、水がちょっと上から流れ落ちてるような所はいるもんなんだよ」

禁書「……でも見えないかも」ジー

上条「水面が揺らいでるからな。よく見れば見つかるんじゃないか」

禁書「むむむ……」ジーッ

上条「……もう落ちるなよ?」

禁書「言われなくても落ちないんだよ」

上条「んじゃ、釣ろうかね」ゴソゴソ

禁書「とうま、それってどう見てもこういうところで使う釣り竿じゃないよね」

上条「リールとかつける所あるしな」カチャカチャ

禁書「それで良いの?」

上条「なんか本格的に竹切り倒して作っても良かったんだけど、面倒だし良いじゃん」カチャカチャ

禁書「イマイチ雰囲気が無いかも」

上条「よし出来た。あとはエサつけて垂らすだけだ」

禁書「エサは何なの? ……虫とか?」

上条「んー? いくら」カパッ

禁書「……とうま、私そっちの方が」

上条「これ釣り餌用の奴だから食っても美味しくないぞ」

禁書「……いくら」

上条「いいから釣るぞーそれっ」チャポン

禁書「ああ、いくらがぁー」

685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/04(日) 23:26:39.35 ID:yYO7JXtoo
中途半端ですがここまでで
因みに釣りに関しては小さい頃に父親に連れられて行ってたくらいの初心者です
さほど凝った描写は無いので問題ないですが
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/03/04(日) 23:32:16.21 ID:k6mf05UJo
乙でした!写真下さい!
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage]:2012/03/04(日) 23:34:16.43 ID:G/xAaEG3o
乙!
水に濡れた白ワンピインちゃんの絵
誰か描いてくれ 
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/16(金) 23:51:01.46 ID:4sN6cTMDo

上条「……」

禁書「……」

上条「……」ムーン

禁書「……とうま、まだ釣れないのかな?」

上条「……」ノーン

禁書「……」

上条「ッ!!」カッ

禁書「!」ビクッ

上条「せいっ!」バシャア

禁書「おおー」パチパチ

上条「ふふん、どんなもんだインデックス!」バーン

禁書「それなんてお魚?」

上条「ウグイだろ。比較的釣りやすい奴だな」

禁書「美味しい?」

上条「……食ってからのお楽しみだな」

禁書「美味しくないの?」

上条「いやそんなことは無いけど。とりあえずそこらに適当に生け簀でも作って放しとくか」プラーン

禁書「ちょっと可哀想かも」

上条「……そういやお前、仮にもシスターさんなのに釣りとかしてもいいの?」

禁書「……娯楽じゃなくて生きる糧を得る為だから問題ない気がするんだよ」タラタラ

上条「……ま、いっか」

禁書「うん」
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/16(金) 23:52:34.65 ID:4sN6cTMDo

上条「それにホラ、この針返しついてない奴だからちょっとだけ良心的」

禁書「返し?」

上条「針の先端に引っ掛かる部分を作ってる奴の方が釣りやすいんだよ。なかなか抜けないから」

禁書「なるほど。じゃあなんで返しの無い針を選んだの?」

上条「なかなか抜けないから。初心者には釣ること自体より針外す方が難しかったりするし」

禁書「なるほど」

上条「ほら、返し無いから簡単に外れるだろ。それだけ簡単に逃げられるってことだけどな」パシャ

禁書「へー」

上条「んじゃ、次はお前やってみろよ」

禁書「え、大丈夫かな」

上条「今の見てたろ? 別に何も難しいことは無いよ」

禁書「じゃあ、やってみたいかも」

上条「ん。まずいくらを針に刺して」

禁書「……」ジッ

上条「食うなよ」

禁書「食べないかも!」

上条「出来たら、魚がいそうなところ狙ってそっと糸を垂らす」

禁書「どこにいそうかな?」

上条「さっきも言ったように水が流れ込んでるところとか、あと向こうの淀みとかだな」

禁書「分かったんだよ。えいっ」ポチャン

上条「さ、インデックスさんは魚釣れるかなー?」

禁書「……」ジー
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/16(金) 23:53:46.24 ID:4sN6cTMDo

上条「魚が食いついたら釣り竿にも振動が伝わるから。竿の先と手元に集中しろ」

禁書「……」ギュー

上条「んな強く握らなくて良し」

禁書「……まだ?」

上条「まだだろ」

禁書「…………まだかな」

上条「まだまだー」

禁書「………………釣れないかも」

上条「決して諦めるな、自分の感覚を信じろ!」

禁書「なんで急に熱血なの?」

上条「いいからほら、集中集中」

禁書「…………うーん? なんだか感覚が変わったような?」

上条「一回竿上げてみろ。魚が餌だけ持って行ったりもするし」

禁書「分かっ……!?」ガクン

上条「ん?」

禁書「わわっ、なんだか全然動かないかも! とうま、これってもしかして大物がかかったのかな!!」

上条「……どうやら、とんでもない大物がかかったみたいだな」

禁書「ま、まさか、これが噂に聞くヌシなの!?」

上条「ヌシよりずっと大物だ」

禁書「ヌシより!? それって一体」

上条「地球」

禁書「地球!?」ガンッ
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/16(金) 23:55:10.45 ID:4sN6cTMDo

上条「根がかりって言ってな。針が底か何処かにひっかかってるんだよ」

禁書「魚じゃないんだね……」ガッカリ

上条「まあ釣りやったら誰でも一回はやる、釣り竿貸してみ」

禁書「お願いするんだよ」スッ

上条「ほっと」プッ

禁書「あ、とれた」

上条「ん、すぐ取れたな。んじゃ仕切りなおしだ」

禁書「何が駄目だったのかな?」

上条「流れがあるからな。ほっとけばある程度は流される」

禁書「ふむふむ」

上条「デカイ魚釣るわけじゃないから、魚が食いついたのか水の流れなのか分かりづらいし」

禁書「なるほど」

上条「まあ慣れろ。以上」

禁書「最後おざなりかも!?」

上条「いやだってコツとか教えられるほど習熟してねえし。さっきのマグレだからな」

禁書「あ、そうなんだ」

上条「当たり前だろ。釣りなんて最後にしたの何年前だと思ってるんだよ」

禁書「でも、少しずつ思い出してるんだね」

上条「まあな。感覚的なことは特に、体が覚えてるもんだし」

禁書「私も体に覚えさせるんだよ!」

上条「おう、頑張れ」
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/16(金) 23:56:12.79 ID:4sN6cTMDo

禁書「……」

上条「……」

禁書「……」ムーン

上条「……上げてみ」

禁書「……、また餌だけ食べられてるんだよ」

上条「ほれ、もう一回」

禁書「……」

上条「……」

禁書「……てーい!」チャポーン

上条「はずれ。ってか勢い良く上げすぎだ」

禁書「さっぱりかも!」

上条「大声で騒ぎ過ぎたかもなー」

禁書「むうううう、一匹くらい釣りたいんだよ」チャポン

上条「どれ、上条さんが文字通り手を貸してやろう」ギュッ

禁書「むううう……」

上条「……」

禁書「……きた?」

上条「まだ。…………きたっ!」

禁書「ていっ!」バシャッ

上条「お見事」

禁書「わ! 釣れた! でもとうま、これどうすればいいのかな!?」プラーン

上条「落ち着け落ち着け。まず針から外してだな」
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/16(金) 23:57:31.21 ID:4sN6cTMDo

禁書「あっ」スルッ

上条「あ」ポチャン

禁書「……」

上条「……」

禁書「あー!!」

上条「返しが無いからなぁ」

禁書「ああああ……」

上条「まあそんなに気落ちするな、また釣れば良いんだから」

禁書「うん……」ショボン

上条「あらよっと」ポチャン

禁書「あ、また私やりたいかも」

上条「ん、おう」スッ

禁書「ありがと、う?」

上条「お?」

禁書「とうま、引いてる気がするんだよ」

上条「上げてみろよ」

禁書「わっ、やっぱりかかってるかも!」

上条「えらく早いな! せーの、ほっ!」バシャア

禁書「……あれ、これさっきの子じゃないかな?」

上条「マジで?」

禁書「私の記憶力を舐めないで欲しいかも」

上条「なんて学習能力の無い魚なんだ……いや空気を読んだと褒めるべきか」

698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/03/16(金) 23:58:55.37 ID:4sN6cTMDo
ビリリダマとか描くの得意ですね。ええ

しばらくスローペース投下が続くかもですが、お付き合いいただければ幸いです
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/03/17(土) 00:04:54.70 ID:vUhZzl/mo
乙です! 絵日記風味かわいいwwwwww
ゆっくりでもいくらでも待ってるんだぜ 
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/04/20(金) 23:32:02.00 ID:4Q8Anea4o

禁書「……」

上条「……」

禁書「……、」ヒョイ

上条「まだ付いてるな」

禁書「……」チャポン

上条「……」

禁書「……」ジー

上条「……」

禁書「……、」ヒョイ

上条「まだ」

禁書「……」チャンポン

上条「……」

禁書「……」ムー

上条「……」

禁書「……、」ヒョイ

上条「食われてるなぁ。ちょっと貸してみろ」

禁書「……ちょっとほっとしたかも。もういなくなっちゃったのかと思った」スッ

上条「ふやけて水に流された可能性もあるけどな」ゴソゴソ

禁書「……いなくなっちゃったのかも?」

上条「いや流石にいるだろ。たぶん」チャプン
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/04/20(金) 23:33:44.51 ID:4Q8Anea4o

禁書「はー、釣れないと退屈かも」

上条「渓流釣りは特になぁ」

禁書「眠くなる感じでもないし、なんだかまったりするんだよ」

上条「マイナスイオンとか出てるんだろ」

禁書「まいなすいおんは嘘だっててれびーで言ってたかも」

上条「インデックスに科学知識で駄目出しを食らった……!?」

禁書「そこはかとなく馬鹿にしてるね?」

上条「いえ滅相もありませんですはい」

禁書「でも、本当に何か出てるんじゃないかって思うくらいリラックスしちゃうんだよ」

上条「水辺だからそれなりに涼しいし、ボケーっとしとくだけでも悪くはないな」

禁書「そうだね。たまにはこういうのも悪くないかも」

上条「学園都市もある程度自然を残してあるとはいえ、ここまでザ・自然みたいなところはあんま無いしな」

禁書「未だにあの街にはあんまり慣れないんだよ」

上条「嫌いか?」

禁書「……正直、街そのものとしては好きではないかも」

上条「そっか。やっぱ科学の街だから、お前とは相容れないもんかね」

禁書「でも、あいさやまいかやこもえがいる。ひょうかにとってはあの街は生命線みたいなものだし」

上条「……」

禁書「それに、私の帰る場所はあの街のあの部屋だから。そういうの全部ひっくるめるなら、私はあの街が大好きなんだよ」

上条「……ん、そうか」
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/04/20(金) 23:34:36.44 ID:4Q8Anea4o

禁書「とうまは?」

上条「だいたいお前と同じだよ。元々そんなに嫌いじゃないけど」

禁書「とうまは変わり者かも」

上条「全肯定って訳じゃないがな。育ちが科学側なんだから当然だろ」

禁書「そんなものかな」

上条「そんなものだよ。色々きな臭い話もあるけど、基本俺はあの街が好きだよ」

禁書「ふーん」

上条「学校の連中とか風斬とか、あと御坂とか妹とか白井とかちっちゃい方の妹とか居るしな」

禁書「……なんでそこで女の子の名前がずらずら出てきちゃうのかな」ハァ

上条「知り合いの名前を羅列しているだけで深い意味は無い」

禁書「別にいいけどね。とうまだし仕方無いんだよ」

上条「その“とうまだし”っていうの止めない? なんかすごい色々ひっくるめて諦められてるみたいで」

禁書「紛うことなくすごい色々ひっくるめて諦めてるから大丈夫なんだよ」

上条「あーそれなら大丈夫だー、っていやだから」

禁書「そういえば、とうまって不幸だから学園都市に行ったんだよね?」

上条「ん? ああ、そうらしいな」

禁書「でもそのお陰で、私はとうまに出会えたんだね」

上条「まあ、そういうことになるのか」

禁書「……。とうまが不幸で良かったかも」

上条「そうだなぁ」

禁書「……怒らないの?」

上条「なんで怒るんだよ」
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/04/20(金) 23:36:05.58 ID:4Q8Anea4o

禁書「ふつう、『あなたが不幸でよかった』とか言われたら怒るかも」

上条「そりゃ意味が違うじゃねえか、要は俺と出会えてよかったってことだろ。そりゃ光栄だし俺も同意見だよ」

禁書「……」

上条「散々酷い目にもあったけど、だからこそ手に入ったものもあるし。不幸ばんざーいって感じだな」

禁書「……散々酷い目にあうのはもう勘弁して欲しいんだよ」

上条「そりゃ痛いのは嫌だけど」

禁書「なんて言っても、とうまは行っちゃうんだろうけどね」

上条「いや、んな簡単に切り捨てられるものなら切り捨てるけどさぁ」

禁書「説得力が無いんだよ」

上条「ぐぬぬ」

禁書「まあ、いいけどね。とうまだし仕方無いかも」

上条「だからですね」

禁書「そんなとうまに、私は助けてもらったから。だからそれを否定したりはしないんだよ」

上条「……」

禁書「でも、あんまり無茶はしちゃ駄目なんだからね?」

上条「おう」

禁書「……ん?」

上条(なんか照れくさいな。なんでこんな話になったんだ)

禁書「ねえ、とうま」チョイチョイ

上条「ん?」

禁書「釣り竿」

上条「……忘れてた。そして食われてた」チャプ
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/04/20(金) 23:37:26.49 ID:4Q8Anea4o

禁書「まだ二匹しか釣れてないんだよ」

上条「釣りってのんびりするのが本懐みたいなとこあるから良いじゃん。何なら針真っ直ぐにするか」

禁書「ご飯がかかってるんだから真剣にやるべきかも!」

上条「魚屋行って買って食ったほうが早いし美味いぞ」

禁書「身も蓋も無いんだよ!」

上条「のんびりやろうぜ、のんびり。ほれっ」チャポン

禁書「むぅ……のんびりやるのは良いけど、せっかくだからちゃんと釣りたいんだよ」

上条「別に焦らなくても時間はたっぷりあるだろー」

禁書「それはそうだけど」

上条「…………。ん? お、おお?」

禁書「? どうしたのとうま、釣れた?」

上条「ぐおっ!? やばいなんかやばいのかかった!!」

禁書「また根がかりじゃないの?」

上条「いや違うマジなんか来たって! おかしいだろ何だこれ!」ググググ

禁書「はっ! まさかヌシなのかな!?」

上条「その可能性が高いッ!! インデックス手伝ってこれまじ」グググググッ

禁書「わかったかも!」ガシィッ

上条「せーので引くぞ!」

禁書「わかったんだよ!」

上条「せーのッ!!」グッ

禁書「えーいっ!!」グイッ

上条「ってまあ嘘なんですけどね」パッ

禁書「」ボテッ
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/04/20(金) 23:38:42.29 ID:4Q8Anea4o

上条「ちなみにインデックス。ヌシ的な魚がいるのかは知らんが、んなデカイのはまずいないから」

禁書「なんでどうでもいい嘘つくのかな……」ガックリ

上条「やーなんかだれてきたなーと思って」

禁書「よく分からないけど、釣りなんて常にエキサイティングしてるものじゃないと思うんだよ」

上条「それもそうか」

禁書「というか、のんびりするのが本懐とか言って無かったかな」

上条「ほら、俺完全記憶能力とか無いし」

禁書「舌の根が乾くくらいまでは覚えておくべきかも!」

上条「ごめんごめーん」

禁書「むうう……」

上条「……。そうだなインデックス、じゃあ勝負でもしないか」

禁書「勝負?」

上条「ああ。時間決めて、多く釣った方の勝ち。負けたほうは罰ゲーム」

禁書「罰ゲームって何するの?」

上条「勝った方のいうことを何でも一つ聞く、とか」

禁書「こう言うのもなんだけど、不幸なとうまがそんな勝負やって勝てると思ってるのかな?」

上条「ははん、一匹釣るので精一杯なインデックスさんが何をおっしゃる」

禁書「分かった、受けて立つんだよ! 後で許してって言っても知らないんだから!!」

上条「よしそれじゃ俺からな、ほい一匹」パシャッ

禁書「なっ! ずるいんだよとうま、さてはさっきから食いついてたんだね!!」

上条「ははは、逃がさなかったのは上条さんの実力ですよーだ」

禁書「ぬぬぬぬ、ま、まあ一匹くらいハンデあげても大丈夫かも!」
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/04/20(金) 23:40:30.88 ID:4Q8Anea4o

上条「ほっと」パシャ

禁書「……」

上条「五匹目だったかな。いやー順調順調」

禁書「……なんで急に釣れ出したんだよう」ブー

上条「はっはっは、これが俺の真の力だ」

禁書「というか、ウグイばっかりかも」

上条「しゃーない。釣れやすいし」

禁書「むう……とうまの持ち時間あと何分?」

上条「ええと、あと三分ってことか」

禁書「もう釣らせないんだよ!」

上条「妨害はノーだぞインデックス」

禁書「……」ブツブツ

上条「……いやインデックスさん、シスターさんらしく祈るのはいいけどさ」

禁書「……」ナムナム

上条「それどっちかっつうと呪いだよね? シスターさんならせめて祝おうよ」

禁書「見習いだから仕方無いんだよ」

上条「いや絶対見習い関係無いからね! その言い訳もそろそろ止めようか!」

禁書「じゃあお魚の無事を祈るかも」

上条「……お、六匹目きたわ」パシャッ

禁書「あれっ」
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/04/20(金) 23:41:41.10 ID:4Q8Anea4o

上条「いやぁさすが見習いですねインデックスさん」

禁書「そ、そんなはずは無いかも! 祈りは届くんだよ!」

上条「またまたぁー」

禁書「またの意味が分からないかも!」

上条「そんじゃお祈りしてみろよ、ウグイ以外の魚が釣れますようにって」

禁書「望むところなんだよ!」ムー

上条「そーい」ポチャン

禁書「……」ムムムー

上条「……お? マジで来たかこれは」

禁書「!」

上条「そっ!」パシャァ

禁書「あ! ウグイじゃない!」

上条「おーヤマメげっと。やるなインデックス」ピチピチ

禁書「ふふーん! とうま、私をあまり見くびらない方が良いんだよ!!」ドヤァ

上条「でもお前結局魚が釣れる方願っちゃうのな。勝負的にも修道女的にもどうなんだそれは」

禁書「あっ」

上条「あとヤマメは二点で良いよな?」

禁書「どさくさに紛れて何を言ってるのかな!」

上条「そうか。このヤマメ俺が釣ったんだから俺が一人で全部食うかな」

禁書「仕方無いから二点でいいんだよ」
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/04/20(金) 23:43:24.23 ID:4Q8Anea4o

上条「結局あれで最後か。まあ上出来だな、ほいじゃあインデックス頑張れ」スッ

禁書「……ねえ、とうま」

上条「うん?」

禁書「今更気付いたけど、これって後攻すごく不利じゃない?」

上条「そりゃそうだろ。釣った分魚の数減るし」

禁書「場所を変えるんだよ!」

上条「あんまウロウロしたらまた川に落ちるぞ」

禁書「ちょっと上に行くだけかも!」

上条「どうせ釣れないくせに……」

禁書「ん?」ギロリ

上条「なんでもないです」

禁書「ふんだ!」スタスタ

上条「あーほら、待てって」



禁書「……」

上条「たいむあーっぷ」

禁書「移動とかでロスタイムが」

上条「ない」

禁書「ううう……」

上条「はいそれじゃあインデックスさん、何匹釣れましたか?」

禁書「……さんひき」

上条「はい勝者俺ー」
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/04/20(金) 23:44:41.07 ID:4Q8Anea4o

禁書「……負けるとは思わなかったんだよ」

上条「インデックス、お前の敗因は上条さんを見くびり過ぎたことだ」

禁書「そうだよね、とうまはこういうときは妙に強いんだもんね」

上条「なんで俺を非難する流れなんですかね」

禁書「良いよ、約束は約束だからね。煮るなり焼くなり好きにするといいかも」

上条「いや別に魚じゃないんだし煮も焼きもしないけど」

禁書「じゃあ脱がすの?」

上条「脱がさねえよ! お前の中の上条さん像はどんだけ歪んでるんだ!!」

禁書「信用出来ないんだよ」

上条「この勝負はあくまで釣りを楽しむ為のものであって、そういう下心とかは一切無いから!!」

禁書「前科が多すぎるんだよ!」

上条「確かに偶発的なアレやソレはごめんの一言だけど計画的犯行は皆無だから!!」

禁書「偶発的とか言うけど、ほとんどは不幸というより不注意じゃないかな」

上条「本当ごめんなさい反省してます。でも人の布団に潜り込んでくる人に言われたくないです」

禁書「ごめんって言いながら反撃するのはどうなのかな!?」

上条「考えてみろよ、立場逆なら確実に色々な危機だぞ」

禁書「そ、それは悪いと思ってるけど」

上条「ま、別に俺はそこまで危機じゃないからいいけどさ」

禁書「うん……ってなんでとうまが許す流れになってるのかな!!」

上条「チィ気付きやがったか! だがそもそも俺が責められる流れになってるのが納得行かないッ!!」

禁書「だからそれは自業自得の天に向かって吐いた唾なんだよ!!」
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/04/20(金) 23:45:24.12 ID:4Q8Anea4o

上条「はあ……まあいいや、それじゃあそろそろ戻ろうぜ。けっこう釣れたし」

禁書「そういえばおなか減ったね」

上条「罰ゲームはそのうちなんか適当にそんなに厳しくないのにしてやるから」

禁書「なんだか施しを受けてるみたいで腹立たしいんだよ」

上条「じゃあ脱ぐか?」

禁書「ついに本性を現したねとうま!」

上条「ジョークだ馬鹿」

禁書「私だって冗談なんだよ」

上条「へいへい。んじゃとっとと行くぞー」

禁書「あ、ねえとうま。私ゆっくり帰りたいかも」

上条「んー、なんで?」

禁書「だって、ほら。もう来ないかもしれないし」

上条「……別にその気になればいつでも来れるだろ」

禁書「そうかもしれないけど、それでも」

上条「完全記憶能力もあるんだし」

禁書「完全でも不完全でも記憶はあくまで記憶なんだよ」

上条「そんなもんかね」

禁書「そんなものかも」

上条「ふーん……。ま、とりあえずはまた転んで濡れないようにな」

禁書「そっか。またあそこ通るんだね」

716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2012/04/20(金) 23:47:05.71 ID:4Q8Anea4o
キリがいいとこまで書こうと思ってたらちょい長いですよね
半分くらいで一回投下するべきだったか

しかし上条さんがやけに軽快
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/04/21(土) 00:01:16.11 ID:4wQQymoko
待ってた超待ってたよ乙でした
相変わらずのかわいい二人をありがとう 
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/18(金) 23:46:09.29 ID:Ip90JOjYo

***


上条「とうっ!」バッ

禁書「っ」ギュッ

上条「! ってうわぁっ!」ズルッ

禁書「わああああ」バシャーン

上条「……。良し!」

禁書「何も良くないかも! 結局二人ともびしょ濡れなんだよ!」プンスカ

上条「うーん、まさかここまでダイナミックに転ぶとは予想外だった。まあこれが他力本願の限界じゃないですかね、姫」

禁書「そもそも提案したのはとうまかも!」

上条「つかよくよく考えたらおんぶの方が良かったかもな」

禁書「無計画も甚だしいんだよ」

上条「時は戻らない、それが自然の摂理。んなことよりさっさと渡ろうぜ」ジャブジャブ

禁書「むう…………、というかこれ濡れて透けてる!?」

上条「そりゃ透けるよね」

禁書「行きの時なんだか挙動不審だったのはこういうことだったんだね! とうまのすけべ!」

上条「だからわざわざ帰りは濡れないように策を講じてやったんだろうが! 裏目だけど!」

禁書「まったく。誰かとすれ違ったりしたらどうしてくれるのかな」

上条「乾くまで誰にも出会わないことを祈るしかないな」

禁書「仕方無いから、とうまのシャツ貸して」

上条「嫌だよ、俺マッパじゃねえか。どうせ誰もいねえってこんな山の中」

禁書「誰もいなくても透け透けのままウロウロするのは抵抗があるんだよ」
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/18(金) 23:47:44.19 ID:Ip90JOjYo

上条「んじゃ脱げよ、絞るから。ちょっとはマシになるだろ」

禁書「とうまの変態!」ガブッ

上条「ぎゃー! なんだよお前噛み付き自主規制中なんだと思ってたのに!!」

禁書「そうしようと思ってたけど限度ってものがあるかも!」

上条「んじゃどうしろって言うんだよ」

禁書「だから、とうまが服を貸してくれればいいんだよ」

上条「俺の服も濡れてるし、そもそもそれなりに汗臭いと思うけど」

禁書「別に気にしないんだよ」

上条「……。……んじゃ俺のを貸すから絞ってる間だけ着てろよ」

禁書「むう、まあそれが妥協点としては妥当かな」

上条「んじゃ、ほれ」ゴソゴソ スッ

禁書「ん」

上条「……」クルッ

禁書「……」ゴソゴソ

上条(……またなんか卑猥なシチュエーションだとか考えたら墓穴臭いから考えないようにしよう)

禁書「……。はい、お願い」スッ

上条「おう」

禁書「……」モゾモゾ

上条「ふっ」ギュー

禁書「……」

上条(しかし謎なシチュエーションだなこれ)
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/18(金) 23:49:44.27 ID:Ip90JOjYo

禁書「……」クンクン

上条「……インデックスさん?」

禁書「ひゃいっ!?」

上条「……いや、別に良いんだけどさ」

禁書「臭いなんて嗅いでないんだよ!!」

上条「ああ、うん、ほら、絞ったぞ」スッ

禁書「あ、うん。ありがとう」ヌギヌギ

上条(……なにインデックスさんまでなんで動揺してるんですか。余計に意識してしまう)

禁書「はい」スッ

上条「んー」

禁書「……」モゾモゾ

上条「……」モゾモゾ

禁書「……」

上条「……着た?」

禁書「う、うん」

上条「よ、よーし!それじゃあ早く帰るか!」

禁書「そうだね! おっひるーおっひるー」

上条「……」クン

禁書「とうま!」

上条「いやいや! 上条さんのシャツだから上条さんの臭いしかしないからね!?」
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/18(金) 23:51:32.95 ID:Ip90JOjYo

禁書「……」

上条(なんか気まずい)

禁書「あ」

上条「あん?」

禁書「またまたカニなんだよ」

上条「どんだけカニ出て来るんだよ。いい加減食っちまうか」

禁書「美味しいの!?」

上条「知らねえけどコイツじゃ食えるとこ少ないだろうな」

禁書「じゃあいいや」

上条「いや真剣に検討すんなよ」

禁書「食に大して真剣になるのは当然かも。生命が関わってるんだから」

上条「まあ三大欲求だけれども。つってもお前他二つに関しては……、……」

禁書「……」

上条(良い感じにいつもの雰囲気に戻りつつあったのに華麗に墓穴を掘った)

禁書「……そういえば、とうま真冬もお風呂場で寝てたよね」

上条「へ? ああ、えーとそうだっけか。まあ仕方無いだろ」

禁書「仕方無くないかも。別に寝るスペースくらいいくらでもあるんだし」

上条「お前が寝ぼけて潜り込んでくるから仕方無いの」

禁書「睡眠は大事なんだよ!」

上条「じゃあ邪魔すんな!」

禁書「べ、別に邪魔しようと思って潜り込んでるわけじゃ」

上条「でも結果邪魔されてるから」
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/18(金) 23:52:30.35 ID:Ip90JOjYo

禁書「……別に私のことなんて気にしないで寝ればいいのかも」

上条「それが出来たら苦労はしねえっての」

禁書「なんで?」

上条「それはお前……だから、その、三大欲求的なあれが」

禁書「……とうま」

上条「いや別にお前がどうこうってわけじゃなくてだな。ホラ上条さん思春期だからお前みたいなメリハリ無しボディでも」

禁書「がぶっ」

上条「だー!! そういえばこんなやりとりを前にもやった覚えがー!!」

禁書「女性にそういう物言いは失礼だっていい加減学習するべきなんだよ!!」

上条「すみませんごめんなさい本当はインデックスさんの体に興奮してます欲情してますー!!」

禁書「」ピタッ

上条「ハッ、噛み付きが止んだ。正解? 驚くべき速さで学習しちゃったの俺?」

禁書「……」プルプルプル

上条「……あれ? インデックスさん?」ツンツン

禁書「……」カーッ

上条(駄目だ俺学習してなかった。むしろ状況悪化してるじゃねーかってかさっき何口走ったよ)

禁書「かっ」

上条「か?」

禁書「帰る!!」

上条「いや、最初から帰ってますけど」

禁書「とうまのへんたいー!!」ダッ

上条「ちょっ、インデックスー!?」
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/18(金) 23:53:07.98 ID:Ip90JOjYo

禁書「……」ゼエハア

上条「……」ゴホゴホ

禁書「……暑い」

上条「そりゃこの気温でこんだけ走ればな……」

禁書「あっ」

上条「あっ?」

禁書「ゆっくり見ながら帰りたかったのに」

上条「ああ、そんなこと言ってたな」

禁書「……まあ、仕方無いかも。今から戻ってる時間も無いよね」

上条「またいつでも行けるんだし、そもそもそんなに見るべきものも無いだろ」

禁書「何か特別なものが見たいわけじゃないんだよ」

上条「ふーん」

禁書「ま、いっか」スタスタ

上条「……」

禁書「ねえとうま、お昼食べたらどうしよう?」

上条「ノープラン」

禁書「どこか行って楽しいところとかある?」

上条「ない。あと滝と別の川しか無い」

禁書「そんなことないと思うけど……」

上条「ない。もうなんも無いマジで無い全然無い」

禁書「じゃあ、のんびりしてよっか」
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/05/18(金) 23:53:46.91 ID:Ip90JOjYo

上条「ただいま」

禁書「ただいまー」

刀夜「おお、お帰り。釣れたかい?」

上条「けっこう釣れたよ。ウグイばっかだけど」

詩菜「あらあら。さっそく下ごしらえしましょうか」スタスタ

禁書「ねえしいな、お昼ご飯は何かな?」テクテク

詩菜「そうねえ、何にしましょうか」

上条「だー疲れた。ってかお前散々濡れたんだからまず着替えろよ」

禁書「あ、すっかり乾いちゃったから忘れてた」

上条「なんならシャワーとか浴びとけーって俺もだな」

刀夜「なんだ、二人とも川で転びでもしたのか」

禁書「とうまが転んだのに巻き込まれたんだよ」

上条「その言い方は語弊があるぞ。大体その前に一回転んでたじゃねえか」

禁書「そういえば行きにも転んでたんだったね」

刀夜「駄目だぞ当麻、ちゃんとエスコートしないと」

上条「んな山の中でエスコートとか言われてもしっくり来ない」

禁書「駄目なんだよとうま」

上条「良いからさっさと着替えて来いって」

禁書「ぶーぶー」

上条「はー、しかし飯食ったら何すっかね」

733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/05(火) 23:08:11.47 ID:4Xe7kC0vo

禁書「それで、どうしようか?」

上条「んー、すること無いな」

刀夜「当麻、暇なら掃除を手伝うか?」

禁書「だってよ?」

上条「だが断る。ってかそんなに大変なの?」

詩菜「もう大方終わってしまったわねぇ」

禁書「じゃあ二人も暇なんだね」

刀夜「実はそうなんだなぁ」

上条「じゃあいいや、なんか思いつくまで適当に暇潰してよ」

禁書「そのまま夜になりそうなんだよ」

上条「それはそれで一興。なんかあるかなーっと」ゴソゴソ

禁書「勝手に漁って良いの?」

上条「お、ジグソーパズル発見」

禁書「Puzzle?」

上条「急に英語発音するの止めてビビる。とりあえずこれで暇潰すか」

禁書「勝手にやってもいいのかな」

上条「ばーちゃーん、ここにあったパズルやっても良いー?」

祖母「ええよー」

禁書「良いみたいだね」

上条「んじゃやるか。この箱の絵になるみたいだな」
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/05(火) 23:09:37.72 ID:4Xe7kC0vo

禁書「出来た!」

上条「はやっ。完全記憶能力すげえな、んな細かい色合いまで判定出来るのかよ」

禁書「ピースの嵌める部分の形も合わせて見れば簡単なんだよ?」

上条「……俺に完全記憶能力があっても多分無理だわ。お前やっぱ素で頭良いよな」

禁書「なっ、なに唐突に褒めてるのかな」

上条「いや本当にさ。応用力もあるし、これで科学技術とかにも精通してたら完璧だろ」

禁書「か、科学はよく分からないかも。化けの方ならまだ分かるけど」

上条「あれ、化学分かるのか」

禁書「当然かも。化学の基礎は錬金術で発展したと言っても過言じゃないし、魔術師なら必須知識なんだよ」

上条「はー、なんか色々繋がりがあるんだなぁ」

禁書「魔術師としての、だから限定的なんだけどね。私が苦手なのは主に機械関係なんだよ」

上条「ふーん。因みにインデックス、あそこで回ってる扇風機がどういう理屈で動いてるのか分かるか?」

禁書「さっぱりかも」

上条「ですよねー。覚えようと思えばすぐだと思うんだけどなぁ」

禁書「せんぷーきーは涼しいから好きだけど、指とか切れそうで怖いんだよ」

上条「家庭用のにそこまでの破壊力無いっての。そりゃちょっとは痛いけど」ガッ

禁書「わあ! 何やってるのかなとうま!!」

上条「全然大丈夫だよ。『弱』だし」

禁書「ええと、消毒消毒……あれ、でも血が出てないから消毒じゃなくて何かで固定して」

上条「いやいや、無傷ですよーインデックスさーん?」

禁書「またとうまはそうやって無茶しようとして! いいから大人しくしてるといいかも!!」
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/05(火) 23:10:26.72 ID:4Xe7kC0vo

上条「だから最初から無傷だと言ってたじゃないですか」

禁書「紛らわしいことするとうまが悪いんだよ」

上条「へいへーい」

禁書「大体とうまは不幸なんだから、もうちょっと用心深くなっても良いと思うんだよ」

上条「用心って、扇風機相手に何を用心しろと」

禁書「とうまのことだから、指を入れた瞬間『強』スイッチ押しちゃって怪我することも考えられるかも」

上条「…………。用心します、ハイ」

禁書「む」

上条「まあそれは置いといて、次は何するかな。なんかあるかなパート2~」ゴソゴゴソ

禁書「だから勝手に漁って良いのかな?」

上条「トランプが出てきた」

禁書「それはもうやったんだよ」

上条「正確にはやる前に投げた。こっちは揃ってそうだけど、まずは七並べとかするか」

禁書「そうしよっか」


上条「……ダイヤの9って」

禁書「私が止めてるんだよ」

上条「ハートの5」

禁書「私」

上条「ハートの8」

禁書「それとクラブの8も私かも」

上条「止め過ぎだろ! いじめか!!」

禁書「別にパスしてまで止めてるわけじゃないし、私が出さざるを得ない状況を作れば良いんだよ?」

上条「……出来たら苦労しねえよ。不幸だ」
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/05(火) 23:11:26.85 ID:4Xe7kC0vo

禁書「あれ? とうま、手札が足りないね」

上条「これも揃ってねえのかよ! ってかよりによってエースとか最後まで分からない奴だし俺の負けだし!!」ベシッ

禁書「じゃあやっぱりトランプは無しだね」

上条「無いのが一枚なら出来なくは無いけどな。さーてなんかあるかなパート3~」ゴッソゴソ

禁書「もうつっこまないんだよ」

上条「……こ、これはッ!?」

禁書「とうま、なにそれ? なんだか不穏で暴力的な感じがするんだよ」

上条「これは駄目だ……見なかったことにしよう」

禁書「や、やっぱり何かまずいものなのかな?」

上条「ああ、これは怖ろしいものだ……これに俺がどれだけ苦しめられてきたか」

禁書「なんでそんなものがここにあるのかな……」

上条「……まあ、一回だけやってみるか」

禁書「とうま!? 大丈夫なの!?」

上条「いや別に死にはしねえけどさ、罰ゲームとかあるとほぼ俺が受けるから嫌なんだよな」カチッ

禁書「これどうやって遊ぶの?」

上条「この剣刺して、中の人形が飛び出したら負け。ほら行くぞせーいっ」ポーン ボテッ

禁書「……これだけ?」

上条「いや、うん。上条さんクオリティだから。本当はもっと盛り上がるんだ」

禁書「なんだかよく分からないんだよ」

上条「因みに本来のルールは飛び出したら救出成功で勝ちらしいけど、そっちでやると絶対飛び出さないんだよな」

禁書「よく分からないけど、つまりとうまが不幸だってことなんだね」

上条「うむ」
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/05(火) 23:12:16.13 ID:4Xe7kC0vo

禁書「なかなか暇つぶしになるものが無いね」

上条「ひとえに俺が不幸なのが悪い気がしてきた」

禁書「うん」

上条「ひでえ。なんかねえかなパート4-」ガサガサ

禁書「なんだか雑になったんだよ」

上条「……なんだこれ」

禁書「なにそれ?」

上条「……。なんだこれ」

刀夜「それはバーコードバトラーだな」

禁書「わっ」

上条「何それ?」

刀夜「ざっくり言うとバーコードを読み込ませたら色々数値が出て戦うんだ」

禁書「ざっくり過ぎて全然分からないんだよ」

上条「壊れてるっぽいしどうでもいいや」ペイッ

刀夜「酷いな! バーコードバトラーは私の青春の」

禁書「もうお散歩でもしようか?」

上条「そうすっかね。やることねえし」

禁書「それじゃあ行こっか」


刀夜「なんで最近私の扱いが妙に悪いんだ……」

詩菜「きっと反抗期ですよ」
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/05(火) 23:13:03.04 ID:4Xe7kC0vo


上条「……暑い。やっぱりトランプしよう」

禁書「暑いからってひきこもってたらもやしになっちゃうんだよ」

上条「そんな言い回しどこで学んだんだ」

禁書「番外個体が言ってた」

上条「一方通行に?」

禁書「うん」

上条「あれと比べられるのは心外だ――とか言ったらぶん殴られそうだな」

禁書「愉快なオブジェにされるかも」

上条「……あいつらと仲良くなったのは良いが、変な語彙が増えてるのは心配だ」

禁書「?」

上条「こっちの話。それよりどうするよ、ブラブラするっていっても何も無いぞ」

禁書「飽きたら帰ればいいかも」

上条「なんというスローライフ精神」

禁書「スローライフってその使い方であってるの?」

上条「知らん。じゃあとりあえずこの奥のほう行ってみるか」

禁書「こっちには何があるのかな?」

上条「多分何も無いんじゃないだろうか」


禁書「何も無いね」

上条「そうだな。んじゃ戻るか」

禁書「……精々十分くらいなのにすごく時間を浪費した気分なんだよ」
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/05(火) 23:14:19.66 ID:4Xe7kC0vo

上条「道無き道を行こうとしたのがまず間違いなんだよ。普通に道がある方に行けば」

禁書「何があるの?」

上条「民家」

禁書「……」

上条「コンビニはおろか自販機すら無いぞ、ここ本当に日本なのかな」

禁書「とうま、私達って都会っ子だったんだね」

上条「なにせ天下の学園都市だから」

禁書「科学様々なんだよ」

上条「まったくだ。でも折角だからこの何も無さを堪能しよう」

禁書「コンビニアイスが恋しいかも」

上条「因みに一番近いとこでも山下りないといけないから、徒歩で行くと干乾びるな」

禁書「うう……」

上条「ああでも、アイスならどっかで売ってたな。なんかどこぞの綺麗な水と搾りたての牛乳で云々ってのが」

禁書「食べたい!」

上条「だが残念財布を持ってきていない」

禁書「とうまー……」ガックリ

上条「でも確かばあちゃんが箱に入ったのを買っといたとか言ってたような気が」

禁書「とうま、そろそろ帰ろっか」

上条「はっはっは、もやしになりますよインデックスさん」

禁書「背に腹は抱えられないんだよ! もやしになってもアイス食べたい!!」

上条「まあまあ。帰った時のお楽しみってことで」

禁書「ううー。美味しく食べる為に精一杯お散歩するんだよ」
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/06/05(火) 23:14:59.26 ID:4Xe7kC0vo

禁書「とうま、どうしたの?」

上条「いや、そろそろカニが出てくる頃合だと思ったんだが」

禁書「そういえばいないね」

上条「さっき食うぞって脅したから恐れをなして逃げたかね」

禁書「カニって人の言葉分かるの?」

上条「アイツは俺達と友達になりたかったのかもしれないのにな……」

禁書「カニと友情って芽生えるの?」

上条「大切なものってのは無くしてから気付くものなんだな……」シミジミ

禁書「なんだか本当に悪いことをしちゃった気がしてきたんだよ……」

上条「今から謝っても遅いのかもしれない、それでも俺は例え許されなくとも」

禁書「あ、カニだ!」

上条「出やがったなこの野郎! 今日が年貢の納め時だ!!」

禁書「とうま!?」

上条「というか本当にコイツよく見かけるけど、魔術絡みじゃないだろうな」ヒョイ

禁書「んー、そんな感じはしないかも。とうまの右手にも反応してないし」

上条「はっ、まさか学園都市で開発された人造カニ!?」

禁書「カニである必要性が全く無いかも!?」

上条「いやーでもコイツ不思議じゃね? 学園都市まで持って帰って調べてみるか」

禁書「かわいそうだから駄目なんだよ」

上条「かわいそうも何も。別に本当に持って帰ったりしないけど」チョコン

禁書「居たい場所にいられるのが一番なんだよ」

上条「それもそうだな」

749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/10(火) 00:24:11.50 ID:YfjgZ5c/o

禁書「それにしても暑いね」

上条「そうだなー天気良いからなー」

禁書「……ねえとうま、知ってる?」

上条「うん?」

禁書「唐突に天候の話題が出る時って、大抵まだ打ち解けて無いか他に話題が無い時なんだって」

上条「インデックスさんって素敵な人だから、私なんかがお話しても良いのかしら……」

禁書「変な小芝居は止めて欲しいかも。大体なんで女の人の口調なのかな」

上条「そういうイメージだよイメージ」

禁書「どういうイメージなのかな」

上条「どういうって、だからそういう」

禁書「だからそういうっていうのが」

上条「だからそういう感じの」

禁書「会話に中身が無さ過ぎるんだよ! いくら何も無いからってもうちょっと何か無いのかな!?」

上条「何も無いんだから何かも無いわ」

禁書「言葉遊びがしたいわけじゃないのかも!」

上条「かもしれないけどそうじゃないのかもしれないじゃないか」

禁書「とうとう人の口調にまで手を出すんだね」

上条「俺口癖とかあんま無いから反撃の心配も無いし」

禁書「良いんだよ、とうまが反撃されないと思っているのならまずはその」

上条「分かった俺が悪かった」

禁書「む」
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/10(火) 00:25:41.11 ID:YfjgZ5c/o

上条「やること無いなぁ、戻るか」

禁書「んー、でも戻ってもやること無いし」

上条「それもそうだけど」

禁書「どうせ日が暮れたら戻るんだし、しばらくぶらぶらしてても良いと思うんだよ」

上条「そうだなぁ……ん?」

禁書「? どうしたの?」

上条「あー何か……あー」

禁書「だ、大丈夫なのかな」

上条「いや大丈夫だけどさ。……確か、こっちだったかな」

禁書「?」

上条「良いから付いて来いって」

禁書「うん、分かった」



上条「よし間違えた。回れ右」

禁書「えー……」



上条「お、ここだな」

禁書「わあっ」

上条「良いだろこの景色、山の斜面からふもとの町、海まで一望できる」ボスッ

禁書「きれいだね……」トスッ

上条「もうすぐ日が沈むだろ、それ見たら戻ろう」

禁書「うん」
751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/10(火) 00:26:33.36 ID:YfjgZ5c/o



上条「……」

禁書「……ねえ、とうま」

上条「ん?」

禁書「とうまは、きっと前にもここでこうやって景色を見てたんだよね?」

上条「そうだろうなぁ」

禁書「きっと一人じゃないよね。しいな達と一緒に見てたのかな」

上条「そうかもなぁ」

禁書「それも私のせいで忘れちゃったんだよね」

上条「お前のせいじゃねえよ」

禁書「……。二度目の初めてになっちゃうけど、一緒に見るのが私なんかで良かったのかな」

上条「だからお前、卑屈になるのもう止めろよ」

禁書「卑屈なんじゃなくって。私とで良かったって言って欲しかった――って言ったら、怒る?」

上条「…………そりゃ怒るよ。一々そんな恥ずかしいこと聞くなってな」

禁書「ふふっ、ごめんね」

上条「そもそも聞かなくても分かるだろ。ってか分かれ」

禁書「聞かなくても分かることでも、聞きたい時だってあるのかも」

上条「そんなもんか」

禁書「うん。そんなもの」

上条「……それでも、俺の答えは一つだよ。聞かなくても分かれ」

禁書「ありがと、とうま」
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/10(火) 00:27:22.19 ID:YfjgZ5c/o


上条「夕陽沈んじまったな」

禁書「終わっちゃったね」

上条「それじゃあ、帰るか」

禁書「……もうちょっとだけ、良いかな」

上条「良いけど、もうすぐに何も見えなくなるぞ」

禁書「だから、完全に見えなくなるまで」

上条「そんなに必死になって見なくても」

禁書「次があるのかも分からないんだし、精一杯楽しまないと損なんだよ」

上条「楽しもうっていうのは良い心がけだけども」

禁書「何ならとうま、先に帰ってても良いんだよ。道は覚えたし」

上条「別に早く戻りたいわけでもねえよ。良いよ、少しくらい待つから」

禁書「ん、ごめんね」

上条「ごめんじゃなくてありがとうだろうが」

禁書「ありがとうはさっき言ったし。良い言葉だけどあんまり乱用するのもどうかと思うんだよ」

上条「細かいこと気にすんな」

禁書「それじゃあ、ありがと」

上条「おう」

禁書「……」

上条「言わないと分からないこともある、みたいだなあ」

禁書「?」
753 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/10(火) 00:27:51.02 ID:YfjgZ5c/o


上条「……」カックン カックン

禁書「とうま、とうま」

上条「うぅ、何?」ゴシゴシ

禁書「そろそろ戻ろうか」

上条「ん? ……あー、寝かけてたわ」

禁書「真夏とはいえ、こんなところで寝てたら風邪ひいちゃうかも」

上条「そうだな、戻ってメシ食って寝よう」

禁書「そういえばお魚が待ってるんだよ」

上条「あー、そういやそんなものもあったな」

禁書「今朝釣ったんだよ?」

上条「もうなんか忘れてたわ。まあ良いやんじゃ戻るかー」スクッ

禁書「ごっはんーごっはんーおっさっかなー!」スッ

上条「……もう事前に言っとくけど、あんま期待し過ぎるなよ」

禁書「え?」

上条「さかな」

禁書「えっ」

上条「うん」
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/10(火) 00:28:48.08 ID:YfjgZ5c/o



禁書「……むぅ?」モグモグ

上条「どうよ」

禁書「なんだか、不思議な感じかも」

刀夜「川魚だからね。海魚とはちょっと違うかな」

上条「正直ウグイってあんま美味くないよな」ムグムグ

詩菜「あらあら。もう少し風味付けした方が良かったかしら」

禁書「そんなことは無いんだよ。美味しいかも」

上条「ニジマスとかは結構美味いって聞くけど、食ったこと無いしな。無いよな?」

刀夜「無いなぁ。今度釣り堀にでも行くか」

禁書「ニジマスって虹色なの?」

上条「どっか一部がそうなんじゃなかったっけ。お、ヤマメはなかなか」

禁書「あ、私も食べたい」



上条「ごっそさーん」

禁書「とうま、お行儀が悪いんだよ」

上条「良いの良いのー。それよりさっさと風呂入って寝るぞ」

禁書「そんなに急がなくてもいいかも」

上条「いやいや、明日はハードスケジュールだからな」

禁書「そうなの?」

上条「そうなの」

755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/10(火) 00:29:47.35 ID:YfjgZ5c/o



禁書「ふいー。良いお湯だったんだよ」ホッカホカ

上条「……」ボッケー

禁書「とうま?」ペチペチ

上条「ハッ、また寝てた」

禁書「さすがにちょっと早いかも。まだお風呂から上がったばかりなんだよ」

上条「いや俺はその前に入ったからもう寝てもいいわけだが」

禁書「むー」

上条「なんだ、トランプでもするか」

禁書「揃ってるトランプ無いんじゃなかったっけ?」

刀夜「それじゃあまずは大富豪でもやろうか」シャッシャッ

詩菜「あらあら。トランプなんて何年ぶりかしら」

上条「どこから沸いて出てどこからトランプを取り出したんだよなんでそんなにノリノリなんだよ」

刀夜「ここは父さんの実家なんだからトランプの場所くらい分かるさ」

禁書「最初から聞けば良かったね」

詩菜「ルールはどうしましょうか。ローカルルールが色々とあると思うのだけれど」

上条「まあ適当でいいだろ。……ってか大富豪ってなんか嫌な予感が」



大富豪「お、またあがりっ」ペッ

富豪「あらあら。当麻さん大富豪は得意なのかしら」

貧民「……むう」

大貧民「ぐう……なんだか妙に引きが悪いな」

大富豪「よくよく考えると、革命有りの大富豪ってあんま運絡まないよな。一回大富豪になれば強い札貰えるし」
756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/10(火) 00:30:48.03 ID:YfjgZ5c/o

大貧民「まあ一回大貧民になっちゃったらこの有様なんですけどね」

大富豪「あーがりっ」ペイッ

富豪「あらあら。なかなか大富豪になれないわねぇ」

貧民「ははは。インデックスちゃんはなかなか強敵だなぁ」

大貧民「もう完全にはまったよこれー別のやろうぜー」



禁書「次は何しよっか?」

上条「んー、運が絡まない奴で」

詩菜「それじゃあ神経衰弱でもしましょうか」

刀夜「確かに、神経衰弱なら実力でどうにかなる範囲が大きいね」

禁書「しんけーすいじゃくってどんなの?」

上条「父さん、母さん」

刀夜「?」

詩菜「?」

禁書「?」

上条「それは負け戦だ」



禁書「これとこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれと」ペラペラペラペラペラペラペラペラ

刀夜「おお……すごいな」

詩菜「あらあら……」

上条「既に傷とかで全部覚えてたか、恐るべし完全記憶能力」

禁書「ねえとうま、これって楽しいのかな?」ペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/10(火) 00:31:44.36 ID:YfjgZ5c/o

上条・禁書「「スピード!」」

上条「ふははははははは!!」ズババババ

禁書「わわわっ」

上条「普段から電撃とか受けてる上条さんの反射神経に勝とうなど百年早いわぁ!!」ババババ

禁書「ぐぬぬ……」



上条「ダウト」

禁書「ぐぬぬ……。いちっ」ペッ

刀夜「これもけっこう得意そうだな、当麻」

上条「やっぱり運はあんま絡まないしな。にー」

禁書「でもそれダウトなんだよ」

上条「……復讐は何も生まないぞインデックス。いーち」ペイッ

刀夜「ふむ。に」

禁書「……」チラッ

上条「……」コクン

禁書「ダウト!」

刀夜「二人で結託するのは卑怯じゃないか! いち!」ペッ

詩菜「あらあら。に」ニコニコ

上条「……」チラッ

禁書「……」フルフル

刀夜「しかしこれは母さんが敵無しのようだな……我が妻ながら笑顔の裏が読めない」
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/10(火) 00:33:07.41 ID:YfjgZ5c/o

上条「じゅういち!」

禁書「ダウト!」

上条「ぐああああ! くっそ何枚だよこれ!」

禁書「とうまの嘘なんてお見通しなんだよ」

上条「それこそ嘘だろ。馬鹿みたいにテレビの怪しい情報とか信じるくせに」

禁書「とうまはすぐ無茶しようとする習性があるから、私がしっかり嘘を見抜かないと」

刀夜「はっはっは、言われてるぞ当麻」

詩菜「当麻さんは生傷が絶えないようで心配だったけれど、インデックスちゃんがいれば安心ね」

上条「何言ってんだか……はいもうトランプ終わり! 寝るぞ!」

禁書「自分が不利だからって」

上条「もう良い時間だろうが! 明日は予定詰まってるんだからホラホラ!」

禁書「だから、明日何があるのかな?」

上条「川と祭りとなんか」

禁書「お祭りあるの? そういえば前に言ってたかも」

詩菜「ふふ、水着も浴衣も用意してありますからね」

上条「楽しそうだなオイ」

禁書「楽しみかも!」

上条「そりゃお前は楽しみにしてくれないと困るわ」

刀夜「よし、それじゃあもう電気消すぞー」
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/10(火) 00:33:49.60 ID:YfjgZ5c/o


禁書「ねえ、とうま」

上条「んー」

禁書「そういえば、帰るのって明日なのかな」

上条「いや、明後日。まあその日はもう帰るだけだから実質明日までだけど」

禁書「そっか」

上条「どうした」

禁書「そういえば聞いてなかったなって思っただけなんだよ」

上条「そうか」

禁書「うん、それだけ。おやすみなさい」

上条「おやすみ」



禁書「……」

上条「……」

禁書「とうま、まだ起きてる?」

上条「んー」

禁書「……。ううん、なんでもない」

上条「なんだそれ」

禁書「……七月も、もうすぐ終わりだね」

上条「……」

禁書「そしたらきっとすぐに終わっちゃうね、夏」

上条「……まだまだこれからだよ、夏は」

禁書「そうかな。そうだと良いな」


768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/08/19(日) 23:53:00.43 ID:WAR+1lkso

上条「……」パチッ

禁書「とうま……」ギュウ

上条「……、暑い」グイグイ

禁書「むぅー……」ギュー

上条「……。……はぁ、もっかい寝よ」

禁書「……ぐぅ」パシャ

上条「ってオイ今撮ったの誰だ!!」ガバッ

禁書「ひゃっ!?」

詩菜「あらあら。おはよう当麻さん」

刀夜「おはよう当麻」

上条「共犯か! 現行犯だフィルムを出せおらぁ!!」

禁書「んぅ……どうしたのとうま。朝から騒いだらご近所迷惑なんだよ」ゴシゴシ

上条「近所なんぞ近くに無いわ!」

禁書「日本語がおかしいかも」

刀夜「当麻、元気が有り余ってるならさっさと顔でも洗ってきたらどうだ?」

上条「ええいはぐらかすな!」

詩菜「あらあら。当麻さんったら寝ぼけているんじゃあないかしら?」

禁書「ほらとうま、私と一緒に顔を洗いに行くんだよ」グイグイ

上条「寝ぼけてねえよ俺は確かに見たぞ! ちくしょう覚えてろよー!!」ズルズル

刀夜「良い写真が撮れたなぁ、母さん」

詩菜「そうですねぇ。出来上がった写真は後で送ってあげないと」
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/08/19(日) 23:54:05.63 ID:WAR+1lkso



禁書「ご馳走様」パンッ

上条「んで父さん、もう出発する?」

刀夜「いや、そんなに遠くないし少しゆっくりしてからで良いだろう」

禁書「お祭り?」

上条「の前に川で泳いで涼む。まあもうちょい日が高くなってからの方が良いな」

詩菜「それじゃあインデックスちゃん、ちょっとこっちにいらっしゃいな」チョイチョイ

禁書「?」

上条「……」



禁書「ど、どうかな」モジモジ

上条「……いいんじゃないでしょーか」

禁書「あ、あれ? 駄目かな?」アセアセ

刀夜「当麻、女の子が水着姿を披露しているというのにその薄い反応は何だ」

上条「いやちゃんと褒めてるじゃん」

禁書「えっと、じゃあ次の着てくるんだよ」ワタワタ

上条「案の定複数あるのかよ。父さんよ、母さん無駄遣いしすぎじゃね」

刀夜「何を言っているんだ当麻、こういうときは出し惜しみをせず全力で楽しむべきだろう」

禁書「どうかな?」

上条「いいんじゃないでしょーか」

禁書「とうま、ちゃんと見てる?」

上条「見てる見てる」

禁書「むぅ」スタスタ

上条「見てるから! 来るな寄るなマジ可愛い色っぽい世界一ぃ!!」
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/08/19(日) 23:55:03.35 ID:WAR+1lkso

禁書「コメントが白々しいかも」ジトー

上条「大体俺の意見なんて気にせず好きなの着れば良いだろ!」

禁書「……。だって、意見を聞いておいでってしいなが」

上条「どれでも一緒だって!」

禁書「……ふんだ。いいもん、好きなの着るから」スタスタ

刀夜「やれやれ。育て方を間違えたかなぁ」ハァ

上条「なんだよ!」

刀夜「いいか当麻、女の子の水着なんてそんなに安定供給されるものじゃないんだぞ?」

上条「別にそんなこと思ってねえよ」

刀夜「それならなんでそんな淡白な反応なんだ。次があるのかも分からないというのに」

上条「……さっきから誰かみたいなこと言いやがって。しかも内容はまるで別だし」イラッ

刀夜「大体な、女の子がどうかなって言ったら可愛いよって返すべきだろう!」

上条「知らねーよ! どうでもいいだろ、もういいからほっといてくれ!!」

刀夜「まったく。それじゃあ父さんも一緒に水着を選んでくるかな」

上条「おい待てやこのエロ親父」

刀夜「どうでも良いんじゃなかったのか」

上条「それとこれとは話が別だ」

刀夜「可愛いの一言も言ってやれないどころかロクに見もしない奴に何を言われてもな」

上条「関係ねーだろ!!」

刀夜「私達の前だからって照れることは無いんだぞ、存分にいちゃつけば良いんだ」

上条「いちゃつかねーから!! んなこと生まれてこの方やったこと無いわ!!!」
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/08/19(日) 23:55:52.92 ID:WAR+1lkso

禁書「とうま、また喧嘩したの?」

上条「うっせー」

禁書「もう、お父さんとは仲良くしないといけないんだよ?」

刀夜「ノンノン、インデックスちゃん」

禁書「?」

刀夜「“お父さん”じゃなくて“お義父さん”」

禁書「同じなんだよ?」

上条「よーし上条さん本気出しちゃうぞー」

禁書「めっ、なんだよとうま。これから泳ぎに行くんだし、怪我したら大変かも」

刀夜「そうだぞ当麻」

上条「うぜえ」

刀夜「よし、それじゃあそろそろ出ようか」

禁書「そうだね、しいな呼んで来るんだよ」

上条「そういやインデックス、お前は水着決まったのかよ」

禁書「……とうまには関係無いかも」

上条「……さいで」

刀夜「当麻、お前もちゃんと水着持っていけよ?」

上条「言われなくても。ってか着ていった方がいいんじゃね。更衣室なんてねえだろ」

刀夜「それもそうか。それじゃあ、先に車で待ってるぞ」

上条「インデックスー、お前も着てから来いよー」
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/08/19(日) 23:56:39.25 ID:WAR+1lkso

禁書「ねえとうま」

上条「なんだ」

禁書「川ってこの間のところ?」

上条「あれとは別の川の、ちょっと広いとこらしいけど。だよな」

刀夜「一般的には河川プールとかって呼ばれているね。けっこう大きな滝とかもあるぞー」

禁書「滝なんて見るの初めてかも」

上条「修行が出来るぞ、修行が」

禁書「しゅぎょう?」

上条「修行」



滝「ドドドドト」ドドドドドドド

刀夜「やるか、修行」

禁書「やるの?」

上条「やらない」

詩菜「ちょっと危なさそうな感じですねぇ」

禁書「修行ってどうやるの?」

上条「滝にうたれて精神修行って定番じゃね?」

禁書「とうまがやったら石とか流れてきそうだね」

上条「そういうこと言うなよ悲しくなるから」

禁書「危ないから修行禁止なんだよ」

上条「だからやらねえっての。ほらプールはこっちだぞ」
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/08/19(日) 23:57:31.91 ID:WAR+1lkso

禁書「おお、けっこう広いんだよ」

上条「人あんまいねえな。しめしめ」

禁書「ねえ、泳いでいいのかな?」

上条「まず服を脱いで水着になれ」

禁書「脱いだんだよ!」バサッ

上条「…………。日焼け止め塗ったか?」

禁書「塗ってきたんだよ!」

上条「なら良し、滑って転ばないように気をつけるように」

禁書「わーい!」バシャバシャ

上条「とその前に軽く準備運動くらいしとけーって遅かったか、まあ大丈夫ならいいや」

禁書「水が冷たくて気持ち良いかも!」

上条「んー、どれどれ」

禁書「それっ」パシャッ

上条「うわっ! ってマジで冷たっ!! 人が少ない理由ってこれか冷てえ!!」

禁書「とうまはちょっとオーバー過ぎるかも。暑いからちょうど良いんだよ!」バシャァ

上条「ってまだ服脱いでねえんだから水掛けんな!」ビシャッ

禁書「ひゃっ!」

上条「べっつにどうせすぐ乾くからいいけどさぁ」ヌギヌギ

禁書「……」ソーッ

上条「ん?」

禁書「やー」テローッ

上条「背中冷たっ!? 地味な攻撃やめんかい!!」バチャバチャ
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/08/19(日) 23:58:16.93 ID:WAR+1lkso

詩菜「楽しそうですねぇ」

刀夜「若いなぁ。定番過ぎて見てるこっちが恥ずかしいくらいだ」

詩菜「あら、そういえばあれがまだ車の中ですよ」

刀夜「おお、そうだったそうだった。川の水で冷やしておこう」ゴソゴソ


禁書「はー、生き返るんだよ」プカー

上条「お前は仕事から帰ってビール飲んだサラリーマンか」

禁書「とうまと違ってお酒飲んだこと無いから分からないかも」

上条「よし、この話はやめよう」ビシュッ

禁書「ひゃっ!」

上条「我ながら水鉄砲とか懐かしいな」ビシャー

禁書「とうま、私もそれやりたい」

上条「何でも教えて貰おうとするでないぞインデックス。見て技を盗むべし」

禁書「ええと、手をこうやって交差させて……ひゃあ!」ベシャァ

上条「自分の顔に向けて撃ってどうすんだ」

禁書「げほっ……鼻に入ったんだよ……うう」

上条「なにやってんだよまったく、ほら大丈夫か」

禁書「てい」ビシュッ

上条「ぶふぉ!?」

禁書「ふふん、こんなの簡単なんだよ」

上条「おーけいおーけいそっちがその気なら徹底抗戦だ泣こうが喚こうが止めねえからな」

禁書「望むところかも!」


781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2012/09/13(木) 23:52:44.18 ID:UhBSH5r6o

上条「……争いは何も生まないな、インデックス」プカー

禁書「……そうだね、とうま」プカカー

上条「せめて勝利条件とか考えてやればよかった」

禁書「生きるか死ぬかの真剣勝負だったんだよ」

上条「けっきょく共倒れじゃねえか」

禁書「我慢比べの消耗戦なんだよ」

上条「不毛過ぎた」

禁書「それじゃあ不毛じゃないことやりたいかも」

上条「なんかそれはそれでハードル高い気がするな。不毛じゃないって何だ」

禁書「有意義ってことかも?」

上条「有意義……。溺れた時の対応でも学ぶか」

禁書「それは何か違うと思うんだよ」

上条「うーん、とりあえず向こうにいってみよう」ジャバジャバ

禁書「わわ、待って」ジャブジャブ

上条「滑って転ぶなよー」

禁書「わあ!」バシャーン

上条「言ってるそばから転びやがった」

禁書「むうう……」ポタポタ

上条「大丈夫かよ。ほら、行くぞ」グイ

禁書「また鼻に入ったんだよ……」ケホケホ
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2012/09/13(木) 23:53:27.19 ID:UhBSH5r6o

上条「あれ、こっちはもう普通に川なのか」

禁書「そうだね、ちょっと深そうなんだよ」

上条「うっかり沈むなよ」

禁書「本来そういうのに気をつけるべきなのはとうまかも」

上条「自慢じゃないが上条さんは水没するのには慣れてるんだ」

禁書「ほんとに自慢でも何でもないね」

上条「幸せになりたい」

禁書「まずは目の前の時間を存分に楽しむべきなんだよ」

上条「うむ。お?」

ワー ドボーン

禁書「とうま! 人が落ちたんだよ!」

上条「いやあれ自分で飛び込んだんだろ」

禁書「へ? あ、そうみたい」

ツギムコウイコウゼー ワー

上条「飛び込みねえ、あんな高いとこから飛び込んだら痛いだろうに」

禁書「ねえ、とうま」

上条「やらない」

禁書「でも楽しそうかも!」

上条「上条さんはあれよりスリリングな飛び込みやってるから今更やりたくないです!!」

禁書「じゃあ私だけでもやってくるんだよ」ジャバジャバ

上条「お前も行くなよ」ガシッ

禁書「なんでー!」
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2012/09/13(木) 23:54:54.46 ID:UhBSH5r6o

上条「なんでも何も危ないだろ」

禁書「私だってヴェネチアでアドリア海の女王と一緒に海に落ちたことあるんだよ」

上条「嫌なことを思い出させるな。あとほら、その」

禁書「?」

上条「……水着、脱げるぞ」

禁書「!? なななっ、なに考えてるのかな! とうまのすけべ!!」バッ

上条「だってお前それビキニじゃん! 脱げるだろ!」

禁書「大丈夫なんだよ! ちゃんと押さえてれば平気かも!」

上条「いくら体の凹凸が少なくて水の抵抗が無いからって」

禁書「がぶっ!」

上条「ぎゃー余計なこと言ったいやあああああ!!」

禁書「すぐ気付くなら言う前に一回咀嚼してみるべきなんだよ!」

上条「分かった分かりましたから俺の頭を咀嚼するのは止めて下さいお願いします!!!!」

禁書「別にそんなに強く噛んでないかも」パッ

上条「……水着なのにくっついてきたり、何かと無防備だから心配なんだっつの」ボソッ

禁書「? そんなに痛かった?」

上条「大して痛くねーよ。それより、ほんとにやるのかよ」

禁書「やりたい」

上条「はぁ……脱げても噛み付くなよ」

禁書「だからちゃんと気をつけてれば大丈夫なんだよ!」
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2012/09/13(木) 23:56:11.12 ID:UhBSH5r6o

上条「……けっこう高いな」

禁書「5mも無いと思うけど」

上条「いやそれでもけっこう高いって」

禁書「男は度胸かも!」ピョーイ

上条「お前女だけどな! ええい!」ピョーン

禁書「っ!」バシャーン

上条「ぐぇっ!」ズバシャーン

禁書「――っぷはぁ! ひゃー、思ってたよりスリリングだったかも!」

上条「――ごふっ、変な風に着水した」

禁書「大丈夫?」

上条「ああ、それよりお前水着は平気かよ」

禁書「見ての通りへっちゃらなんだよ!」

上条「それは良かった。それじゃあ、上条さんの水着を探そうか」

禁書「えっ」

上条「良く見れば分かるけど見なくて良いけど上条さん今マッパですうっかり脱げましたから探して下さい」

禁書「えっ」

上条「ハリー!」

禁書「え、えっと、あ! あそこに浮いてるんだよ!」ビシッ
785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2012/09/13(木) 23:57:21.41 ID:UhBSH5r6o

上条「こんなクソ田舎で公然猥褻物陳列罪で捕まるところだった」

禁書「まったく、人にあれだけ言ってて自分のが脱げちゃうなんて」

上条「なんたる不幸」

禁書「不注意かも」

上条「ぐっ」

禁書「それじゃあとうま、次はどうしよっか」

上条「って、お前今ので髪ほどけてるじゃん」

禁書「へ? あ、本当だ。折角しいなに纏めてもらってたのに」

上条「それじゃあ泳げないだろ。いったん戻ろうぜ」

禁書「そうだね。ちょっと疲れてきたし、一休みなんだよ」

上条「というかそろそろ飯時かな」

禁書「ごはん!」

上条「目に見えてテンション上がり過ぎだ」

禁書「運動した後は美味しいご飯なんだよ!」

上条「筋肉ムキムキになるぞ」

禁書「ムキムキは嫌だけど、もうちょっと付いて欲しいかも」

上条「お前無駄に細いもんなー。あんだけ食ってるのはどこに行ってるんだよ」

禁書「とうまはけっこう筋肉付いてるよね」グイグイ

上条「そりゃま、あんな生活してればな」

禁書「私の方がいっぱい食べてるのに、理不尽なんだよ」
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2012/09/13(木) 23:58:20.99 ID:UhBSH5r6o

上条「体質的なもんもあるし、男の方が付きやすいだろ。筋トレでもすれば」ザブザブ

禁書「目標はとうまに腕ずもうで勝てるくらいなんだよ」ジャブジャブ

上条「それお前の体格だとけっこうムキムキだと思うけど」

禁書「そうなればとうまも私を置いて一人で無茶したりしないようになるかも」

上条「ははは、それはどうだろうなー」

禁書「馬鹿にしてられるのも今のうちなんだよ!」ズビシ

上条「そんなパンチ痛くも痒くもありませーん」ツン

禁書「ひゃふっ」

上条「……。……」ツンツン

禁書「ふひゃっ、おっ、お腹つっつくのは駄目なんだよ! くすぐったいかも!!」ベシッ

上条「じゃあ耳とか」ナデリ

禁書「ひゃんっ」

刀夜「見てごらん母さん、私達の息子が水着姿の女の子にセクハラかましてるよ」

詩菜「あらあら」

上条「はっ。……よしっ、飯にするか」

禁書「……とうま」

上条「顔真っ赤にして睨んでも怖く無いぞ、待て分かった噛み付くならこのおにぎりにするんだ」
787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2012/09/13(木) 23:59:43.46 ID:UhBSH5r6o


禁書「……」ムスー

上条「むすっとしながらおむすびを食すインデックス」

刀夜「面白く無いぞ、当麻」

上条「うるせえ」

詩菜「インデックスちゃん、こっちはしそおにぎりですよ」スッ

禁書「美味しいんだよ」ムシュー

上条「若干口元が緩んでますよインデックスさん」

禁書「むっ」キリッ

上条「キリッとしてどうする」モグモグ

禁書「……とうまがへんなことするからいけないのかも」ムー

上条「キオクニナイデス」フイ

刀夜「当麻、何がどういう経緯であれちゃんと認知をするのが男の責任ってもんだぞ」

禁書「そうなんだよ」

上条「何の話だよ! インデックスもよく意味分からずに同意するな!」

禁書「む、失礼しちゃうんだよ。それくらいの日本語は分かるかも」

上条「分かってないんです! 母さんそっちのウインナーも食って良いんだよな!」パクッ

詩菜「はいどうぞ当麻さん」

禁書「あ、ずるいかも」

詩菜「あらあら。たくさんあるから取り合ったりしちゃいけませんよ」クスクス

788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]:2012/09/14(金) 00:00:35.34 ID:1soIYNJyo

上条「ごっさん」

禁書「ごちそうさま」

刀夜「さて、それじゃあ食後のデザートと行こうか」スタスタ

上条「ん?」

禁書「デザート?」

刀夜「ほら」ザバー

上条「スイカか」

禁書「すいか!」

刀夜「どうだ立派だろう、昨日ご近所さんから分けてもらったんだ」

上条「あの近所とはいえない距離にあるご近所さんか」

禁書「あれ? でもどうやって切るの?」

詩菜「はい、当麻さん」スッ

上条「何このおあつらえ向きな棒とちょうど良いサイズの布」

禁書「おばあちゃんの知恵袋的切り分け方かも?」

刀夜「さあ、早く目隠しを付けるんだ」

上条「川辺でスイカ割りってどうなんだ」

禁書「スイカ割るのに目隠しするの?」

上条「そういう……遊び?」

禁書「食べ物で遊んじゃいけないんだよ!」

刀夜「いけないんだぞ当麻」

詩菜「あらあら当麻さんったら」

上条「おいてめえら」

789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/09/14(金) 00:04:02.17 ID:1soIYNJyo
ここまで
俺も二人まとめてセクハラしたい
790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/09/14(金) 00:06:17.92 ID:lATbevbKo
乙でしたリアルタイムやっはー
いやいややはりここは俺らで二人まとめてセクハラで 
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/09/28(金) 22:34:06.02 ID:WI4kaxn7o

禁書「もっと右、かも?」

上条「……」ジリ

詩菜「あらあら。当麻さんったら真後ろを向いていますよ」

刀夜「もっと前だぞ当麻」

禁書「嘘ばっかり言っちゃ駄目なんだよ!」

上条(どう考えても親二人は信用出来ない、そしてこの場合食欲魔神のインデックスは嘘を吐かない筈。つまりみ)

禁書「というかこれ、みんなで嘘言ってたらすいか食べられないんじゃないかな?」

詩菜「それもそうですねぇ」

上条「って左かい!」スパコーン

禁書「あ、当たった」

刀夜「おお、すごいじゃないか当麻。一発で当てるなんて」

上条「会話が筒抜けだっつの」

禁書「そんなことよりすいかを食べるんだよ!」

上条「俺この一番大きい奴な」

禁書「む、ずるいんだよとうま」

上条「だって割ったの俺だし」

禁書「むうう」ジー

上条「……良いよ、じゃあ俺こっちの甘そうなの食うから」

禁書「味が違うの?」

上条「場所によって微妙に」
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/09/28(金) 22:35:51.46 ID:WI4kaxn7o

禁書「~♪」シャクシャク

上条「めちゃくちゃ甘いなこれ」シャクシャク

禁書「おいしい!」

上条「そして種が多いな」プププッ

禁書「おお、とうますごいかも」

上条「スイカの種飛ばしは日本人の標準スキルだ。お前もこの国に住む者なら習得しないとな」

禁書「分かったんだよ。せーのっ」ベチャ

上条「汚ねえなおい」

禁書「……もったいないかも」ショボン

上条「もっとこう溜めて放つんだよ、種だけにして」プププププ

禁書「う、うーん?」

詩菜「あらあら。二人とも、それこそ食べ物で遊んではいけませんよ」

上条「だってよ」

禁書「……とうまがやれって言ったんだよ」

刀夜「ふぅ――プッ!」ビシューピピピッ

上条「種飛ばしで水切り……なんという無駄に高度な技を」

禁書「なんだか馬鹿らしくなってきたんだよ」

上条「普通に食おう、普通に」シャクシャク

禁書「そだね」シャクシャク

刀夜「ふっ、圧倒的な実力差に恐れをなしたか」
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/09/28(金) 22:38:04.63 ID:WI4kaxn7o

上条「そういや母さん、今何時くらい?」

詩菜「もうすぐ二時になるところかしら」

禁書「もうそんな時間なんだ」

上条「ふむ、もう少し時間あるな。それじゃあもうひと泳ぎするか」

禁書「私はちょっと休憩したいかも」

上条「ああ、そういえば確かにだるいな」グテー

禁書「いきなりだらけ過ぎなんだよとうま」

上条「しかし夕方からの予定的に、ここで体力を使い果たすのはあんまりよろしくないぞ」

禁書「そうなの?」

上条「そうなの。だからだらっとタイム」

禁書「それなら私いっそのことお昼寝したいかも」

刀夜「何なら早めに切り上げて、戻ってからゆっくりした方が良いんじゃないか」

上条「それもそうか」

禁書「だね」

上条「んじゃもっかい行って来るわー。はー、だるいだー」

禁書「不幸だーみたいに言っても訛ってるようにしか聞こえないんだよ」

刀夜「気を抜きすぎて溺れるんじゃないぞ」

詩菜「インデックスちゃんも気をつけてね」

上条「分かってるって」

禁書「私がちゃんと見てるから大丈夫かも」

上条「お前は俺の保護者か何かかよ」
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/09/28(金) 22:41:12.63 ID:WI4kaxn7o



禁書「はー、楽しかった」クテッ

上条「なんで俺ら最後あんなガチで泳いでたんだろうな」

禁書「とうまから始めたんだよ」

上条「いやお前がなんか挑発するようなこと言ったんだったろ」

禁書「それを言うならその前にとうまが……まあいいや」

上条「あー良い風吹いてきた。縁側良いな、学園都市じゃなかなか無いけど」バタッ

禁書「そもそもあの街は和風の一軒家自体ほとんど無いんじゃないかな」

上条「それもそうか。でも良いと思わないか、縁側で風鈴が鳴っててって」チリーン

禁書「うん。日本人じゃない私にも日本の風情っていうのがよく分かるかも」

上条「そうだろそうだろー」

禁書「ここでスイカが出てきたらもっとよく分かったかも」

上条「さっき食ったじゃねえか、いや確かにスイカな感じだけど」

禁書「だいぶ日が落ちてきたし、のんびりするのには良いね」ゴロン

上条「んだなー」ゴロゴロ

禁書「……」ジッ

上条「なんだよ」

禁書「なんでもないかも」ジー

上条「だからなんだよ」

禁書「なんでもないんだよ」ジロー
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/09/28(金) 22:42:09.36 ID:WI4kaxn7o

上条「……」ジー

禁書「……」ジー

上条「……」

禁書「……」

上条「……」ビシッ

禁書「ひゃっ」

上条「なんなんだよだから」

禁書「我慢出来なかったからとうまの負け」

上条「何の勝ち負けだよ」

禁書「むぅ」ズイッ

上条「近いんですけど」

禁書「はぐっ」

上条「ちょっ、ばっ」

禁書「うー?」

上条「人の鼻噛む奴があるか!」グイッ

禁書「甘噛みだから大丈夫かも」

上条「そういう問題か! ったくお前はほんとに……」

禁書「そんなに怒らなくても良いのに」ブー

上条「うっせ」
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/09/28(金) 22:43:34.22 ID:WI4kaxn7o

禁書「……。ねえ、とうま」コツン

上条「な、なんだよ」

禁書「もう今日もお終いだね」

上条「……まだメインイベントが残ってるんだけどな」

禁書「そしたらもう帰っちゃうんだよね?」

上条「なんだ、俺だけじゃあ不満か」

禁書「そういうわけじゃないけど、やっぱりちょっと寂しいなって」

上条「そうかい」

禁書「どれだけ楽しい時間を過ごしても、いずれ終わりは来ちゃうんだよね」

上条「そりゃそうだ」

禁書「仕方無いよね、分かってるかも。でも、寂しいなって思ったんだよ」

上条「それも誰だってな」

禁書「とうまも寂しい?」

上条「だったら何なんだよ」

禁書「寂しいのもとうまと一緒なら、それがちょっとだけ嬉しいになるかも」

上条「ちょっとだけ、ねえ」

禁書「どうかな」

上条「別に寂しくないっ」

禁書「……ここは嘘でも同意しとくところなんだよ」

上条「嘘でも同意する気は無いな」
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/09/28(金) 22:44:51.82 ID:WI4kaxn7o

禁書「とうまのばか」

上条「馬鹿でけっこー」

禁書「あほー」

上条「アホでもけっこう」

禁書「むうううう」バシバシ

上条「それ以上やったら脇に手を伸ばすぞ」

禁書「とうまのえっち!」

上条「正当防衛だッ!」

禁書「じゃあもういっかい噛み付く」

上条「悪化してるじゃねえか。鼻は止めろよもげるから」

禁書「まぶた」

上条「なんだその器用な噛み方は。千切れたら嫌だから却下」

禁書「じゃあ下唇」

上条「……お前そこ噛んだらどういう状態になるのかよく考えて言ってるか?」

禁書「え? ……あ」

上条「気付くのおせえ」

禁書「とうまのえ」

上条「ッチなのはお前だ!」ベシッ

禁書「ぬ、濡れ衣かも! 誘導尋問なんだよ!」

上条「誘導も尋問もしてねえよ! ってかいつの間にか噛むの前提になってるおかしい!」

807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/10/15(月) 00:32:56.17 ID:Hwkstk3Wo

禁書「じゃあ吸血鬼っぽく首筋噛んでみるんだよ」アー

上条「口を開いて覆い被さってくるな! ってかだから何で噛まれる流れになってるの!?」

禁書「かぷっ」

上条「ひいっ」

禁書「はむはむ」

上条「やっやめろなんかこれはこれでおかしなことになってる変な感じが」

禁書「む?」

詩菜「あらあら」パシャッ

上条「あらあらじゃねえ! ってまたこのパターンか!!」ガバッ

禁書「わひゃあ」ズルッ

詩菜「あら、流石に近づき過ぎたかしら」

上条「ずっと撮ってやがったのかよ!」

禁書「しいなは写真が好きだね」

詩菜「お邪魔してごめんなさいね、当麻さん。私に構わず続けて下さいな」

上条「誰が続けるか! 止めろってずっと言ってたわ!」

禁書「ずっとは言ってないかも」

上条「うるせえ!」

詩菜「あらあら。それじゃあ、インデックスちゃんをちょっとだけ借りて行ってもいいかしら」

禁書「?」

上条「ん、ああ。何、もう行くの?」

詩菜「一度合わせて見ようと思って。お披露目はまだですけどね」ニコニコ

禁書「二人は何の話をしてるの?」
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/10/15(月) 00:34:29.09 ID:Hwkstk3Wo


上条「お、どうだった?」ゴロ

禁書「どうだったって言われても……自分じゃよく分からないかも」ストッ

上条「サイズとかさ」

禁書「それはぴったりだったんだよ」

上条「着心地とか」

禁書「ちょっと変な感じだったけど、嫌いじゃないかも」

上条「柄」

禁書「綺麗だったよ」

上条「似合ってた?」

禁書「……一言目に戻るかも」

上条「ん。それじゃあ大丈夫だな」

禁書「大丈夫なのかな。浮いたりしない?」

上条「普段から浮きまくってる奴が何を言ってるんだか」

禁書「いつも通りで浮くのとじゃ話が違うかも」

上条「大丈夫だって。人多いし、浴衣も多いし」

禁書「なら良いけど」

上条「ん。それじゃあもうちょいゆっくりしてから行くか」

禁書「お祭り?」

上条「おう。前に言ったろー」ゴロゴロ

禁書「そういえば聞いた覚えがあるんだよ」
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/10/15(月) 00:35:33.87 ID:Hwkstk3Wo



上条「……う、うぅ」

刀夜「起きたか当麻」

上条「インデックスが中年オヤジになってる……不幸だ」

刀夜「寝ぼけてないで顔でも洗って来い。そろそろ出るぞ」

上条「……あれ、俺いつの間に寝てたんだ」ムクッ

刀夜「こっちが聞きたいくらいだな」

上条「インデックスは?」

刀夜「着替え中だ。っと、噂をすれば」

上条「着替え? ああ確か」

禁書「……とうま?」

上条「……」ボケー

禁書「ど、どうかな」

上条「……」ボー

禁書「と、とうま? 変なのかな?」

上条「可愛いし綺麗で――」

禁書「へっ!?」カアッ

上条「――じゃなくて! えーやっぱ和服は体に凹凸が無い方が映えるなぁって思いました!」

禁書「……とうま」

上条「なんだどうしたインデックス俺を噛むのかそうか来いよ!」

禁書「……いい。その前に褒められたから許してあげる」

上条「ぐっ。いやさっきのは寝ぼけてただけで実際にそういう感想を抱いたわけでは」

禁書「なんでも良いんだよ、嬉しかったから」ニコ
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/10/15(月) 00:36:15.06 ID:Hwkstk3Wo

上条「……それじゃ父さん、さっさと出ようか」

刀夜「お、どうした当麻。顔が赤いみたいだけど」

禁書「赤いかも」

上条「うっせ! そもそもお前も赤いわ!」

禁書「わ、私はちょっと浴衣着たから緊張しただけなんだよ!」

刀夜「かあさーん、カメラ持ってきてくれー」

上条「良いから行くぞ! どうせ向こうでも撮るんだからここで無駄使いすんなよ!」

禁書「そうなんだよ! 早くお祭り行きたいかも!」

刀夜「勿体無いじゃないか、せっかくのシャッターチャンスなのに」

上条「良いから!」

禁書「早く!」

刀夜「はいはい。息がピッタリだな、仲のよろしいことで。それじゃ、車出してくるから」

上条「……」

禁書「……」

上条「……」チラッ

禁書「……」ビクッ

上条「……まあ、でもアレだ」フイ

禁書「え?」

上条「その。寝ぼけて無くても、似合ってる、と思う」

禁書「う、あ、ありがとう」

上条「……」

禁書「……」
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/10/15(月) 00:38:10.85 ID:Hwkstk3Wo

詩菜「」パシャパシャ

上条「……ツッコミするの疲れてきた」

禁書「そうだね」

詩菜「あらあら」

刀夜「お待たせ。それじゃ、行こうか」ブロロ

詩菜「あら。そういえば、当麻さんはそのままの格好で行くつもりかしら」

上条「は? んなこと言っても、大体こんな感じの服しか持ってきて無いけど」

禁書「とうまはいつも似た様な服着てるよね」

詩菜「それじゃあ当麻さん、お着替えしましょうか」

上条「……いや、だから俺……え?」

禁書「しいながとうまのお洋服持ってきてるの?」

詩菜「いいえ、和服ですよ。といっても普通の甚平ですけどね」

上条「俺そんなの別にいらないのに」

詩菜「あらあら駄目ですよ、せっかくインデックスちゃんも浴衣着てるんですから」

刀夜「お前が普通の洋服じゃあ雰囲気が出ないだろ」

禁書「そうかも?」

上条「別に雰囲気なんて無くてもいいじゃん……まあ頑なになる理由も無いけどさ」

詩菜「それじゃ当麻さん、ちょっといらっしゃいな」

禁書「待ってるね、とうま」
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/10/15(月) 00:40:34.83 ID:Hwkstk3Wo


詩菜「はい、どうぞ」

上条「しかし準備いいっすねお母様」

詩菜「あらあら。これくらいは当然ですよ」

上条「……あれ、これをこっちに結べば良いんだよな?」

詩菜「ええ。甚平は簡単な作りだし、実際に着てみればすぐ分かると思うわ」

上条「んー。それじゃ着てくる」

詩菜「それはそうと、ちょっと良いかしら当麻さん」

上条「ん、何?」

詩菜「インデックスちゃんが少し元気無かったようですけど、何かあったのかしら」

上条「ああ。いや、別に何かあったってわけじゃ無いと思う」

詩菜「そう。それなら良いんですけど」

上条「なんつーのかな。あいつ能天気っぽいけど結構感傷的っていうか、後ろ向きなとこあるから」

詩菜「いつも笑顔だけれど、繊細な子よね。あの年頃は少なからずみんなそうだと思うけれど」

上条「あいつも色々と事情とかあるからさ。でもまあ何とかなるよ」

詩菜「そうね、インデックスちゃんのことは当麻さんに任せておけば安心ですね」クス

上条「……殊更にそういう言い方しなくても良いだろ」

詩菜「あらあら。からかっているわけではありませんよ」

上条「どうだか。それじゃ着てくるから」スタスタ
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/10/15(月) 00:41:27.25 ID:Hwkstk3Wo


刀夜「そういえば、インデックスちゃん。ちょっといいかな」

禁書「へ? 何かな」

刀夜「…………。いや、やっぱり良いか。ごめん、何でも無いよ」

禁書「?」

刀夜「……私も母さんも、何だかんだ一人息子の当麻のことが心配でね」

禁書「そうだよね、当然かも。ごめんなさい、とうまをいつも危ない目に」

刀夜「ああいや、そういうことじゃないんだ。むしろ当麻が心配だからインデックスちゃんも心配だって話なんだけど」

禁書「私が?」

刀夜「ああ。でもね、私達は当麻のことが心配だけど、同時に信頼もしているんだ」

禁書「……」

刀夜「だから、私から余計なことは言わないでおくよ。当麻に任せよう」

禁書「……なんだかよく分からないかも。別に私は大丈夫なんだよ?」

刀夜「ああ、大丈夫だ。なにせ私達の息子が一番傍にいるんだからね」

禁書「……」



詩菜「それじゃあ、改めて出発しましょうか」

刀夜「そうだね」

上条「……どうしたインデックス、父さんにセクハラでもされたか」

禁書「別になんでも無いかも」

刀夜「私をなんだと思っているんだ」
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/10/15(月) 00:42:18.68 ID:Hwkstk3Wo


上条「……」ボケー

禁書「なんだか賑やかになってきたね」

刀夜「お祭り会場はもう少し先だけれど、もうこの辺りから浮ついた雰囲気が伝わってくるね」

上条(しかし、なんかいつもと雰囲気違うから変な感じだ。おのれ浴衣め)ソワソワ

詩菜「あらあら。当麻さんは別のことで落ち着かないみたいですね」

禁書「……とうま、どうしたの?」

上条「はひっ? な、なにが?」

禁書「何だか気もそぞろって感じかも。そんなにお祭りが楽しみなのかな」

上条「あ、ああ。そのほら、祭りって町が全体的に華やかになるっているかなんていうかで」

禁書「分かるかも。みんなふわふわしてるよね」

上条「それに引き摺られてっていうか、なあ?」チラ

禁書「?」

上条「いやその、要は落ち着かないってだけですはい」

禁書「変なとうま」

上条「お前だってさっきからちょっと変だろ」

禁書「私は普通かも」

815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/10/15(月) 00:44:07.24 ID:Hwkstk3Wo
上条さんも浴衣で良かったけどまあちょっと不都合かもなんで甚平です
金髪は微妙だけど銀髪は浴衣とか似合うと思います
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/10/15(月) 08:18:57.61 ID:jkXjxFLS0
浴衣キターー!可愛くて綺麗って柄はどんなのでしょうか!!
そして詩菜さんのアルバムにそろそろR15が混じらないか心配になってくるレベル
そしてそして息子愛の強い刀夜さんにああ言ってもらえたってことが、読んでる側として純粋に嬉しい

821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/11/01(木) 00:27:47.88 ID:LYNMl0MJo



上条「おお、思ってたより賑やかなんだな」

禁書「来る前に自分で人多いって言ってたのに」

上条「覚えてねえし覚えてたとしても前来たの昔過ぎて覚えてねえし。イメージだイメージ」

禁書「でも本当に賑やかだね。とうま、迷子にならないようにするんだよ」

上条「だからお前は俺の保護者かよ。こっちの台詞だっつの」

刀夜「とりあえず一枚撮っておこうか。ほら、そこの鳥居が良いんじゃないか」

禁書「二人は?」

詩菜「私達は良いから、さあ当麻さんも」

上条「そんな改まって撮らなくても」

禁書「一々反抗しなくてもいいと思うんだよ」

上条「……いやそうだけどさ」

詩菜「はい二人とも、笑ってー」

禁書「はっ、この匂いはお好み焼き!?」

上条「今それに反応しちゃうの!?」

詩菜「あらあら」パシャ

禁書「良い匂いがするからお腹が減ってきたんだよ」

上条「今のでちゃんと写ったのかよ」

刀夜「はは、まあ少々ブレていても一興だろう」

詩菜「全部同じように笑っていても面白みがありませんからね」

禁書「そこまで計算のうちかも?」

上条「語尾上がってるじゃねえか」
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/11/01(木) 00:29:09.24 ID:LYNMl0MJo

詩菜「それじゃあ当麻さん、気をつけてね」

禁書「あれ、二人は一緒に来ないの?」

刀夜「私達は少し見て回ったら場所取りをしておくから」

上条「祭りではしゃぐような歳でも無いしなー」

詩菜「ええ、若い人達の邪魔をしてはいけませんからね」ニコニコ

禁書「別に邪魔じゃないんだよ?」

刀夜「それじゃ母さん、あとは若い二人に任せて」ニヤニヤ

詩菜「あらあら」クスクス

上条「一々人を茶化さないと喋れねえのかよ」

禁書「?」

刀夜「じゃあな当麻、小遣いはやったけど無駄遣いするなよ?」

上条「それは俺じゃなくてこいつにいってやってくれ」

禁書「なっ、私は無駄遣いなんてしないかも! 私は清貧を旨とする修道女なんだよ!」

上条「それじゃあ今日は出店で買い食いするのは無しな」

禁書「見習いだからこんなに誘惑の多いところで欲に打ち勝つのは困難を極めるんだよ」

上条「困難に打ち勝ってこそ道は開けるもんだ」

禁書「道を開くより焼き鳥が食べたいかも」
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/11/01(木) 00:31:20.64 ID:LYNMl0MJo


上条「さて、まずはどうするか」

禁書「イカ焼き! 焼き鳥! 焼きとうもろこし!」

上条「食い物ばっかじゃねえか」

禁書「わたがし! りんご飴! あんず飴!」

上条「帰るか」

禁書「とうまぁ!?」

上条「いや嘘だけど。少しは食べ物以外にも目を向けても良いんじゃないですかね」

禁書「お腹が満たされれば自然と他の物にも目が行くかも」

上条「例えば何」

禁書「たとえば……あ、ほらお面とか」

上条「お面か、確かにお祭りっぽいけど」

禁書「とうま、私カナミンのお面欲しい!」

上条「カナミンか……お前の年齢でそれはどうなんだ」

禁書「えー」

上条「他に何か無いのかよ」

禁書「そもそも大抵アニメか特撮かも」

上条「だなぁ」

禁書「あ、じゃああれが良い」

上条「ん? おー、狐のお面か。渋いな」

禁書「でしょ?」
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/11/01(木) 00:33:26.16 ID:LYNMl0MJo

上条「ひょっとこかおかめかって感じだよな」

禁書「白狐だから多分稲荷神の使いだろうね」

上条「稲荷神ってあれか、油揚げが好きな狐の神様」

禁書「とうま、人の話聞いてた? 狐は使いであって神様では無いし、油揚げが好きなのも狐なんだよ」

上条「正直いい加減なイメージで語りましたごめんなさい」

禁書「もう。稲荷神は日本ではかなりポピュラーな神様で、農業とか産業の神様なんだよ」

上条「へー。なんで狐が使いなんだ?」

禁書「狐は昔から神聖なものと言われてたからね。それと狐って字の古い読み方とかが関係してるのかも」

上条「ほーん。まあ詳しいことはよく分からないから良いや」

禁書「……とうま。半端に聞いといてそれは無いかも」

上条「いやだって折角祭りに来たんだし、時間が勿体無いだろ。普段ならいくらでも付き合ってやるけど」

禁書「私だってそこまで長々と話したりはしないんだよ」

上条「そうですかっと。すみませーん、その狐面下さい」

禁書「別に細かい由来とかは良いけど、有名な神様なんだから大まかな知識くらい持ってても損しないかも」

上条「それもそうだ。ほらよ、じゃあ続けて」スッ

禁書「ありがと。まあとにかく、その有名な稲荷神の使いが白狐なんだよ」モソモソ

上条「神様の使い、ってことは天使みたいなもんか。あんま良いイメージねえな」

禁書「イメージとしてはそんな感じだけど、十字教は一神教だし色々違うかもね。もっと可愛いかも?」

上条「可愛い、ねえ」

禁書「ねえとうま、似合ってる?」

上条「……。まあまあじゃね」
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/11/01(木) 00:35:09.59 ID:LYNMl0MJo

禁書「まあまあって言われてもあんまり嬉しくないかも」ブー

上条「んじゃ何か食うか。俺もちょっと腹減ってきた」

禁書「ごはん! えっと、あ、とうま! あんず飴売ってるんだよ!」

上条「それ腹膨れねえじゃねえか」

禁書「あんず飴!」グイグイ

上条「……はぁ、一個だけだぞ」

禁書「やった!」

上条「すみません、あんず飴をひと」

禁書「十個!」

上条「アホか! すみません、一つで良いです」

禁書「えー」

上条「ほら。どうせお前あれもこれもって食いたくなるんだから、あんず飴ばっか食っても仕方無いだろ」スッ

禁書「むー」ペロペロ

上条「というか、そうじゃなくても十個は多いだろ。絶対お前飽きるね」

禁書「そんなこと無いかも。私あんず飴大好きだし」ムグムグ

上条「どうだか」スタスタ

禁書「……」モグモグ

上条「……」

禁書「……ねえとうま、一口欲しい?」

上条「もう飽きたの!?」
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/11/01(木) 00:37:25.61 ID:LYNMl0MJo

禁書「次は何食べよっか。あ、わたあめ!」

上条「だから甘いものばっか食うなって。腹膨れるもん食おうぜー」

禁書「じゃあ……あ! たこやき!」

上条「お、たこやきか。祭り特有のなんか雑なたこやき」

禁書「とうまも食べるでしょ?」

上条「そうだな、買うか。すみませーん、一つください」

禁書「たっこやきー!」

上条「どうも。ほれ」スッ

禁書「ありがとう! そしていただきます!」パクパクッ

上条「一個ずつ食えよ。んな一気に食ったら熱いだろ」

禁書「はふっはふっ」

上条「言わんこっちゃない」

禁書「ふひぃー。熱々だったんだよ」

上条「別に逃げたりしないからゆっくり食えよ。あと俺にもくれ」

禁書「はいとうま、あーん」フーフー

上条「……いや、自分で食えるんで」

禁書「じゃああーげない」パクッ

上条「何故お前に選択権を握らせなければならんのだ」

禁書「はいとうま、あーん」フーフー

上条「……あー」

禁書「はい」

上条「あふっあふいあふい」

詩菜「あらあら」パシャッ
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/11/01(木) 00:39:42.58 ID:LYNMl0MJo

禁書「わっ」

上条「……場所取りは?」

詩菜「しばらく見て回ってから、ですよ」クスクス

禁書「そういえば場所取りって何の場所?」

上条「そりゃアレだよ」

禁書「どれなのかが分からないのかも」

上条「つか母さん、写真撮るならせめて何か言ってくれると嬉しいんだけど」

禁書「びっくりするんだよ」

詩菜「さっきも似たようなことを言ったけれど、身構えていない自然なワンシーンを切り取った方が素敵でしょう?」

上条「そういうことを言ってるんじゃねえ」

禁書「むう、一理あるかも」

上条「説得されてんな」

詩菜「それじゃあ二人とも、またどこかで」

禁書「行っちゃった」

上条「またどこかでって旅人かよ」

禁書「多分そのまんまの意味なんだよ」

上条「なんか監視されてる気分だ」

禁書「気にしても仕方無いかも」

上条「そうだけど……気が抜けないっていうか、なんかなぁ」
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/11/01(木) 00:42:20.25 ID:LYNMl0MJo


禁書「それじゃあとうま、次は何食べよっか」

上条「インデックスさん、重ねて言うようだけど祭りは食べるだけじゃないんですよ」

禁書「でもまだお腹いっぱいにならないかも」

上条「お、射的あるぞ」

禁書「しゃてき?」

上条「あの銃でコルクの弾撃って、あそこに並んでるのを倒せたらそれを貰えるって奴」

禁書「へー……あ、とうま。あのぬいぐるみ見て!」

上条「ん、あの猫っぽい奴か?」

禁書「うん。スフィンクスに似てないかな?」

上条「……ああ、まあ、確かに」

禁書「あれを取ってスフィンクスへのお土産にしたいんだよ!」

上条「果たして猫は自分と似たぬいぐるみを貰って嬉しいものだろうか」

禁書「駄目かな?」

上条「とりあえずやってみるか」

禁書「うん!」

上条「すみません、まずは一回分」チャリン

禁書「一回四発……とうま、当てれる?」

上条「ふっ、お前は俺がどれだけの修羅場を潜り抜けてきたと思っている?」

禁書「えっ、とうま銃なんて撃ったことあったの?」

上条「一度も無いッ!!」

禁書「駄目かも!?」

833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/11/20(火) 23:51:15.39 ID:KrBuYhTeo


上条「すみませーん、もう一回お願いしまーす」チャリン

禁書「案の定だったね」

上条「いや惜しかったんだけどな。あとちょっとこう」

禁書「全然惜しくなかったかも。ねえ、私やってみてもいいかな?」

上条「……ほれ」

禁書「ありがと。……むぅ」ジッ

上条「……」

禁書「えいっ」スパコーン

上条「あ」

禁書「わあ! 倒れたんだよとうま!」

上条「……」

禁書「とうま?」

上条「はいはいすごいすごい」

禁書「なんだか杜撰かも」

上条「それよりあと三発撃っちまえよ。なんか適当なの狙って」

禁書「あ、うん、そうだね。えいっ」スパスパスパコーン

上条「…………」

禁書「私射的の才能あるかも!」

上条「けっ」

禁書「とうまの仇は取ったんだから、そんなに不貞腐れなくても大丈夫なんだよ?」
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/11/20(火) 23:53:49.24 ID:KrBuYhTeo

上条「てか結局あと三つは全部お菓子じゃねえか」

禁書「はっ、無意識だったんだよ。決してお腹が減ってたとかじゃなくて」

上条「……おなか減ってないなら向こうのお好み焼きの屋台には寄らなくて」

禁書「お腹減った!」

上条「厚顔無恥って言葉に覚えはありますかインデックスさん」

禁書「さっぱりかも」

上条「じゃあ鳥頭か何かだな。適当に三歩くらい歩け、それで空腹も忘れるから」スタスタ

禁書「完全記憶能力だからこの空腹はそうそう忘れないかも」テクテク

上条「その前の自分の発言に責任を持て。すみませーん」

禁書「あ、とうま! 向こうに焼き鳥もあるんだよ!」

上条「せめて目先の食い物に集中しろよ……ほれ」スッ

禁書「わあ、美味しそうなんだよ!」

上条「流石に歩きながらじゃ食い辛いか、どっか座ろう」

禁書「とうま、それならやっぱり他にも色々買ってから食べたいかも!」

上条「……まあ、そうだな。飲み物くらい欲しいし」

禁書「それじゃあまず焼き鳥なんだよ! あと向こうに焼きとうもろこしもあるかも!」

上条「落ち着け慌てなくても屋台は逃げないから。売り切れはするけど」

禁書「じゃあやっぱり急ぐべきなんだよ!」ダッ

上条「だから落ち着け、お前一人で行っても金持って無いだろ」

禁書「とうま、早く早く!」グイグイ

上条「っと。……ったく、そんな引っ張るなよ。肩痛くなるだろ」
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/11/20(火) 23:55:12.73 ID:KrBuYhTeo



禁書「いただきまーす」パンッ

上条「……やっぱり何か間違っているようなそうでもないような。インデックス補正?」

禁書「お祭りの出店で色々食べるのくらい普通かも」

上条「お前お祭りなんて行ったことねえだろ。俺も覚えて無いけど」

禁書「だいはせーさいとか」

上条「あれは一応体育祭じゃねえか、メシ食うイベントじゃねえよ。夏祭りの話」

禁書「もちろん無いんだよ。でもこんなに美味しそうなものが売ってるんだし」

上条「楽しみ方の一つではあるけどさぁ、メインにしちゃうと違うよな」

禁書「じゃあ何がメインなの?」

上条「なんかこう、雰囲気そのもの?」

禁書「空を掴むような話だね」

上条「……まあいいか。とりあえず食おう」

禁書「もう食べてるかも」モッショモッショ

上条「おい待てそっちの豚バラは俺のだ」

禁書「はいパイナップルま」

上条「パイナップルま!? ねぎまじゃないの!?」

禁書「パイナップルはお肉を柔らかくするんだよ」

上条「いやだからって焼き鳥は違うだろ……なんでこんな冒険を」

禁書「買うときに気付かなかったの?」
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/11/20(火) 23:56:15.41 ID:KrBuYhTeo

刀夜「おっ、美味しそうだな」

詩菜「あらあら。色々買いましたね」

上条「俺らの分しかねえぞ」

禁書「しいな達も食べる?」

刀夜「母さん、私達の息子は冷たいなぁ。それに比べてインデックスちゃんの優しいこと」

詩菜「大丈夫ですよ、私達は私達で色々食べていますから」

上条「ほーん」ズルズル

禁書「あ、私も焼きそば食べたい」

上条「ほれははみひょーはんのれーす」ズルズル

詩菜「当麻さん、インデックスちゃんにも分けてあげなさいな」パシャ

禁書「しいなの言う通りかも」

上条「言いながら写真とるなよ。だってこいつさっき俺の豚バラ食ったし」

禁書「パイナップルまあげたのに」

上条「以外と美味かったけど許さん」ズルズル

刀夜「パイナップル?」

禁書「パイナップルまなんだよ」

上条「……むぐっ!?」

禁書「とうま?」

刀夜「おいおい、大丈夫か当麻」

詩菜「あらあら」パシャ

上条「のごぬぬぐぐがぐぐぐぐ」ドンドン
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/11/20(火) 23:57:54.35 ID:KrBuYhTeo

禁書「わ、喉に詰まったの!? はい、お茶!」

上条「ごぶっごごぐがぐ」ゴクゴクゴク

禁書「もう、そんなにがっくつからなんだよ」

上条「っはあ、死ぬかと思った、不幸だ……そしてお前に言われたくない」

禁書「不幸じゃなくて不注意だしそんなこと言ってる場合でも無いかも」

上条「ってか母さんよ、アンタ人が苦しんでる時ものんきに写真撮ってなかったか」

詩菜「喉に詰まっても焼きそばなら大丈夫だと思って、つい」

禁書「焼きそばでも十分危ないんだよ」

刀夜「当麻。焼きそば詰まらせるくらいなら良いが、不注意は冗談で済む範囲にしてくれよ」

詩菜「そうですよ。当麻さんは少しそそっかしい所がありますからね」

上条「なんで俺が叱られてるんだろう」

禁書「心配してるのかも。とうま、気をつけてね」

上条「……ってか、あんま言われると逆に不安になってくるんだが」

禁書「少し不安に思っておくくらいがちょうど良いのかも。羽目を外し過ぎちゃ駄目なんだよ」

上条「いやそりゃそうだけど、そうじゃなくてフラグ的な意味でだな」

禁書「人ごみだから落し物とかには気をつけるべきかも」

刀夜「それじゃあ当麻、私達はそろそろ行くから。気をつけろよ」

上条「分かってるって」

禁書「私もよく見ておくんだよ」

詩菜「当麻さんをよろしくねインデックスちゃん」
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/11/20(火) 23:59:34.45 ID:KrBuYhTeo

上条「そういや、場所取りとか言ってたけどどうやって合流すんだよ。俺どこだか知らねえぞ」

刀夜「おお、そういえば待ち合わせ場所とか教えてなかったな」

禁書「けいたいでんわーで連絡すれば良いかも」

上条「こんだけ人が多いと繋がらなかったりするんだよこれが」

禁書「そうなの?」

上条「そうなの」

刀夜「そうだな、時間になったら漠然と向こうに歩けば見つかるだろう」

禁書「大雑把なんだよ」

上条「なんとかなるだろ、お前目立つし。見つけたらそっちから声掛けてくれよ」

禁書「やっぱり、目立つかな?」

上条「銀髪は目立つよそりゃ」

刀夜「分かった、それじゃあ私はそろそろ向こうに合流してくるよ。後でな」スタスタ

禁書「向こう?」

詩菜「昔の知り合いがいるんですって」

上条「どうりでウロウロしてると思った。先に場所取って貰ってたのか」

詩菜「積もる話もあるでしょうから、しばらくは私も刀夜さんとは別行動ね」

禁書「しいなは私達と一緒に来る?」

詩菜「あらあら。嬉しい申し出なのだけれど、当麻さんが照れてしまうから」

上条「誰が何で誰に対して照れるんだよ」

詩菜「それに、やっぱり不意打ちの方が良いですからね。それじゃあ」スタスタ

禁書「しいなも何だか楽しそうだね」

上条「我が母親ながら面倒極まりないな」
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/11/21(水) 00:00:55.42 ID:ZqAXCjnSo


禁書「ごちそうさまー」

上条「因みに今腹何分目くらい?」

禁書「んー、六分?」

上条「ちょっと大食いの男でも腹いっぱいになるくらい買った気がするんだけどな」

禁書「私はけっこうたくさん食べるんだよ」

上条「けっこうってレベルじゃねえよ。続きはまた後だな」

禁書「ん。それじゃとうま、次は何やるの?」

上条「歩いてたらなんかあるだろ。行くぞー」

禁書「あ! ベビーカステラ!」

上条「それ食い物だからね?」

禁書「えーああいうちょっとつまめるものくらい」

上条「だめ」

禁書「とうまのけちー。あ、型抜きだってよとうま」

上条「それも駄目」

禁書「へ?」

上条「型抜きは駄目」

禁書「な、なんで? あれは普通にお祭りの遊びじゃないかな?」

上条「だって俺がやったら絶対砕けるもん。待つのも暇だし、だから駄目」

禁書「なんだかよく分からないけど、やってみないと分からないかも」

上条「どうせあと一歩ってとこでくしゃみとか出るんだろ。ふふ、俺分かってるもんね」

禁書「なんだか暗いんだよとうま」
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/11/21(水) 00:03:50.23 ID:ZqAXCjnSo

上条「んお、金魚すくい発見」

禁書「金魚を救うの?」

上条「多分字が違うがあながち間違いでも無い。ポイっていうのを網みたいに使って掬うんだ」

禁書「ふむふむ。それでそのすくった金魚が貰えるの?」

上条「そういうこと。でもなー、持って帰るわけにもいかないし」

禁書「スフィンクスが食べちゃうかもね」

上条「……まあ良いか、こっちに置いていっても良いし」

禁書「良いの?」

上条「金魚くらいならじいちゃん達でも大丈夫だろ。すみませーん、とりあえず一回」

禁書「それがポイ? なんだか手鏡みたいだね」

上条「手鏡っていうか……なんだろうな。まあ良いや、ほら」

禁書「私がやってもいいの?」

上条「上条さんがやったら金魚が特攻してきて破れると思う」

禁書「なるほど、それが破れちゃったら駄目なんだね。とうま、コツとかあるかな」

上条「俺もあんまり詳しくないけど……水面となるべく平行に動かすとか」

禁書「ふむふむ」

上条「あとすくうのが簡単そうな奴を選ぶとか。大きさとか位置とかな」

禁書「なるほど。大体イメージ出来たんだよ」

上条「よし、頑張れ」

禁書「せいっ!」シュパ

上条「あ」

禁書「あ」ビリッ

849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/22(土) 00:30:39.13 ID:HRy39wWWo



上条「……三度目の正直で行こうか。これ以上やっても仕方無いし」

禁書「……今のは惜しかったから、次はいけるんだよ」

上条「因みにだが、全部駄目だったとしても二匹くらい貰えたりするぞ」

禁書「それはなんだか癪に障るんだよ! 絶対自分ですくってみせるかも!」

上条「その意気や良し。でも力任せにやってポイ破くなよ」

禁書「分かってるんだよ!」

上条「あ、あいつとか良いんじゃないか。確か隅に追い込んですくうと良いとか聞いたし」

禁書「むむむ……」ジリ

上条「……」

禁書「ほあっ!」パシャッ

上条「おっ」

禁書「わ、やった! やったんだよとうま!」ピチピチ

上条「やったけど落ちるぞ、早くお椀に入れないと」

禁書「わわ、そうだね」

上条「やりゃ出来るじゃねえか。あとニ匹は欲しいな」

禁書「ふふん、任せて欲しいんだよ! 次はあのおっきいのを狙っちゃうかも!」

上条「慢心は負けフラグだぞ」

禁書「あっ」ビリッ

詩菜「あらあら」パシャ

上条「うわっ、出た」
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/22(土) 00:32:22.48 ID:HRy39wWWo


禁書「それにしてもとうま、出たなんて言い方は失礼なんだよ」

上条「いやだってさっき別れたばっかりだし」

詩菜「金魚すくいは是非とも撮らないとですからね」

禁書「どうせならすくった瞬間を撮って欲しかったかも」

上条「それやったらお前逃がしそうだけどな」

禁書「そんなことは無いかも」

詩菜「あらあら」パシャッ

上条「もう声かけてるんだから言ってから撮れよ」

詩菜「それもそうね。それじゃあ二人とも、ちょっとそこに立っていて下さいな」スタスタ

禁書「……結局この子しかすくえなかったね」

上条「ん? ああ、そうだな」

禁書「寂しくないかな、一人で」

上条「……、」

詩菜「撮りますよー」パシャッ

禁書「なんちゃって。大丈夫だよね、金魚だし」ニコッ

上条「……金魚だしってなんだよ。出汁か」

詩菜「もう一枚くらい撮りましょうか。はいチーズ」パシャ

禁書「さっきも撮ったし、そんなに撮らなくても大丈夫かも」

詩菜「あらあら。金魚が良い味出してるからついね」

上条「だから出汁とったみたいに言うなよ」

禁書「良い出汁でるの?」

上条「出ねえよ、たぶん」
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/22(土) 00:34:35.51 ID:HRy39wWWo


禁書「またしいなどこかに行っちゃったね」

上条「もう次会ってもスルーするくらいの心意気でいきたい」

禁書「……そういえば、とうま」

上条「なに」

禁書「ずっと思ってたんだけど、出店の色々な匂いに混じって潮の香りがするんだよ」

上条「そりゃすぐそこ海だし」

禁書「海なの!?」

上条「言ってなかったか。ってか車から窓の外よく見てれば分かっただろ」

禁書「全然気付かなかったんだよ」

上条「鈍い奴だな」

禁書「とうまに鈍いとか言われるのは心外かも。ねえ、向こう行ったら砂浜に出るかな」スタスタ

上条「そっちはちょっとした崖みたいになってるから無理」

禁書「む、ほんとだ。ここを滑り降りるのはちょっと難しそうだね」

上条「多分、砂浜に出たかったらぐるっと回っていかないといけないんじゃないか」

禁書「遠いの?」

上条「近いようで近くは無い。そんなに行きたいなら帰りにでも寄るこったな」

禁書「なんだか歯がゆいね」

上条「そんなもんだ」
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/22(土) 00:38:59.42 ID:HRy39wWWo




禁書「むー、結局カナミン当たらなかったね」

上条「祭りのクジなんかに期待する方が悪い。そういや、今何時だ。けっこう経ったと思うんだけど」

禁書「あんまり星が見えないから分からないんだよ」

上条「お前に聞いた俺が馬鹿だった、ケータイに頼ろう。多分そろそろだと思うんだけど」ゴソゴソ

禁書「浴衣なんだし時計なんて持ってるはず無いかも。何かあるの?」

上条「んー、だからさっきから言ってるあの――」ツルッ

禁書「あっ」

上条「うおっ、とっ、っと!?」ズルッ

禁書「とうま、危ないっ!」ガシッ

上条「ばっ、どわあああああああ!?」ズシャアアアア

禁書「わああああああ!」ゴロゴロゴロ




上条「いっ、つ……」

禁書「とうま、大丈夫!?」ユサユサ

上条「大丈夫だけど、痛いから揺らすな……」

禁書「ご、ごめん」

上条「……。ほらインデックス、海だぞ海。そして砂浜」フイ

禁書「そんなこと言ってる場合じゃないんだよ!」

上条「不幸だー」

禁書「半分くらい不注意だけどね」
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/22(土) 00:40:14.78 ID:HRy39wWWo

上条「つかインデックス、お前まで一緒に落ちてきてどうすんだよ」

禁書「とっさに引っ張ろうとしちゃったんだから仕方無いかも」

上条「仕方無いっつってもさぁ……いてて」

禁書「自分だって危ないのに、なんで人のこと庇っちゃうかな。頼んでも無いのに」

上条「とっさにだ、とっさに。仕方無いだろ」

禁書「もう。それよりこれからどうするのかな」

上条「体中痛いからしばらく動きたくないです」

禁書「けーたいでんわーは?」

上条「さっきも言ったけど、通じないだろうなぁ」

禁書「それじゃあ、私だけ戻って二人を呼んで来ようか」

上条「……あのさ、インデックス」

禁書「何?」

上条「あんま触れたくなかったんだけど、その、浴衣が結構はだけてる」

禁書「へっ!?」バッ

上条「……実は完全記憶能力のお陰で自分で直せたりしない?」

禁書「そんな都合の良い話は無いかも」グイグイ

上条「それじゃ無理だな、休憩たーいむ」

禁書「呑気なんだから」

上条「焦っても仕方無いだろ」
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/22(土) 00:41:35.81 ID:HRy39wWWo


禁書「あっ」タタタッ

上条「ん?」

禁書「とうま、どうしよう。何か、代わりになるものとか」

上条「どうしたんだよ」

禁書「金魚が、袋が、破れて……」

上条「……あー」

禁書「……」

上条「あんま意味無いと思うけど、海に放してやろう。干からびるよりはいくらかマシだろ」

禁書「……うん、そうだね」

上条「……ごめんな」

禁書「別に、とうまのせいじゃないんだよ」

上条「俺が変なとこでドジったから」

禁書「私だって一緒に落っこちたし」

上条「そうだけど」

禁書「…………ねえ、とうま」

上条「どうした?」

禁書「……私は、いつまで――――」


ドンッ


上条「うわやべっ、始まった!」パラパラ

禁書「な、なに? 魔術?」

上条「花火!」

禁書「花火?」
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/22(土) 00:44:42.29 ID:HRy39wWWo

上条「あーくそ、ここ思いっきり反対側じゃねえか!」ヒュー ドンッ

禁書「あ、ほんとだ。ちょっとだけ見えるね」

上条「くっそ、本当何やってんだよ俺は。今からでもぐるっと回って向こうに」

禁書「私この状態であんまりウロウロしたく無いかも」

上条「うぐっ」

禁書「とうまも無茶しない方が良いかも。大した怪我はなさそうだけど」

上条「……そうだな」

禁書「林が邪魔でよく見えないけど、二人でゆっくり見れるから悪くないんだよ」ヒュー ドンッ

上条「つってもほとんど隠れてるじゃねえか。せめてもうちょい海側に下がるか」サクサク

禁書「そうだね」サクサク

上条「……」

禁書「……たーまやー」

上条「これがメインイベントのつもりだったんだけどな」

禁書「雰囲気は楽しめなくも無いかも」

上条「もっと楽しめるはずだったんだけど、今更言っても仕方無いか」

禁書「そうだよとうま。何だってあるもので満足するしかないのかも」

上条「……なんか、それは嫌だな」

禁書「仕方無いのかも。無いものを欲しがってもやっぱり無いんだから」

上条「……。じゃあ今日の食事はこれまでで良いんだな」

禁書「それとこれとは話が別なんだよ」
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/22(土) 00:49:12.81 ID:HRy39wWWo

上条「音だけはすげー響くな」ドンッ

禁書「ねえ、とうま」

上条「ん?」

禁書「この花火終わったら、どうするの?」

上条「どうするのって、帰るに決まってるだろ。祭りも終わるし」

禁書「そっか」

上条「なんだ、ちょっくら泳いでいくか?」

禁書「そういうことじゃないけど」

上条「……寮まで帰ったら何するよ?」

禁書「何って、別に」

上条「別にってことは無いだろ。折角の夏休みなんだし」

禁書「んー、私としてはお家でのんびりしてられれば良いんだよ」

上条「駄目だねぇインデックスさん、若いのに夏を怠惰で無為に過ごしたら怒られるぞ」

禁書「怒られる筋合いは無いかも」

上条「前途洋々な若人には無駄にして良い時間なんて無いんだよ」

禁書「……前途洋々って、前途多難の対義語だよね?」

上条「ん? ああ、大体そんな感じ」

禁書「のんびりするのだって無駄な時間では無いんだよ。海にだって果てはあるんだから」

上条「逆じゃね?」

禁書「いずれ終わる時間なんだから、怠惰はともかく無為なんて有り得ないかも」
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/22(土) 00:51:51.85 ID:HRy39wWWo

上条「よく分からん考え方だ」

禁書「ねえ、とうま。晩年って言葉分かるよね?」

上条「なんだよ藪から棒に。年寄りになってから死ぬまでの時間のことだろ」

禁書「うん、半分正解。正確には人生の終わりの時期のことだね」

上条「半分も何も普通に正解だろ」

禁書「でもねとうま、二十歳で死ぬ人にとっては、十代の日々は既に晩年と言えるんだよ」

上条「……そうだな」

禁書「人はいつ死ぬか分からない。ならば私達は今、晩年を生きているのかもしれない」

上条「……」

禁書「って、前読んだ本の受け売りなんだけどね」

上条「それが、さっきの話とどう繋がるんだよ」

禁書「何もせずのんびりと過ごす日々だって、明日にはもう手に入らない大切な時間かもしれないってこと」

上条「…………」

禁書「って、あれ? なんだか暗い感じになっちゃったね。別にそういう話じゃなかったんだけど」

上条「そりゃ晩年とか言い出したら暗くもなるだろ」

禁書「それもそっか。……ね、とうま」ヒュゥゥゥ

上条「ん」

禁書「でもこの花火も、もう晩年だね」ドンッ
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/22(土) 00:53:00.76 ID:HRy39wWWo

上条「……。アホか、花火なんて終わるために始まるようなもんだろ」

禁書「そうかな」

上条「そうだよ、んでまた来年同じようにやるんだろ。そういうもんだ」

禁書「そっか。それじゃあ、晩年なんて言い方はちょっとおかしいね」

上条「当たり前だ。ほら、最後に連発来るみたいだぞ」ヒュゥゥゥゥゥ

禁書「わぁ、すごいんだよ! ほとんど隠れてるのにこんなに……」ドンドンドドンッ

上条「――――」ドドドドドンッ

禁書「え、何とうま? 花火がうるさくて――あ、終わっちゃった」ドンッ

上条「来年も、一緒に見よう」

禁書「え?」

上条「花火大会は来年もあるから、一緒に来よう。それで今度はもっとちゃんと見えるとこで見よう」

禁書「……とうま」

上条「何が晩年だ、これからだろうが。なに一人で感傷的になってんだよ」

禁書「でも私は禁書目録だから。来年もこうしていられるとは限らないんだよ」

上条「知るかよ。お前も父さんや母さんにからかわれる程度のガキだろうが、んな過剰な責務なんて負ってられるか」

禁書「……」

上条「そんな建前は聞いてねえ、お前はどうしたいんだよ。花火見たくねえのか」

禁書「私、は」

上条「来年の夏も、今日と同じように一緒に祭り見て回りたくねえのかよ」

禁書「そんなの! ……そんなの答えるまでも無いかも」

859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/22(土) 00:55:21.38 ID:HRy39wWWo

上条「なら決まりだな、来年も一緒に来よう。――いや、一緒に来てくれ、だな」

禁書「なんでわざわざ言い直すのかな」

上条「俺がお前に一緒に来て欲しいんだよ。嫌か?」

禁書「嫌なわけは、無いけど」

上条「それじゃあ約束だ。来年も、再来年も一緒に来よう」スッ

禁書「……約束は出来ないんだよ」

上条「どうして」

禁書「私は、私のことを保証なんて出来ないもん」

上条「……、じゃあそれでも良いよ。俺だけ約束だ、ほれ」

禁書「……」ギュッ

上条「来年も再来年も、その更に先も。絶対お前をここに連れて来てやる」ギュッ

禁書「右手なんだね」

上条「殺せるものなんて無いだろ」

禁書「そうだと、良いな」

上条「指きりげんまん、嘘吐いたら針千本のーます。指切った」パッ

禁書「約束してもらうのは私なのに、とうまが言うんだね」

上条「そんなのどっちでもいいだろうが」

禁書「……来年も再来年もその更に先も、か」

上条「なんだよ」

禁書「なんだか、プロポーズみたいかも」ニコッ

上条「な、ばっ」カーッ

禁書「へ? あっ、いや、その別にみたいだねってだけで深い意味は」ワタワタ
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/22(土) 00:56:43.31 ID:HRy39wWWo

上条「……そういえばお前、指切りなんて知ってるのな」

禁書「あ、うん。指きりの由来はね、遊女が約束を守る証に小指を切って渡していたことなんだって」

上条「こわっ」

禁書「げんまんは拳に万で一万発殴るってことだし、針も千本飲ますわけだから怖いどころじゃないかも」

上条「うげぇ、もちろん実際にはそこまでやって無いよな? な?」

禁書「さあ? とうま、やってみる?」ニコッ

上条「嫌だよ、一生やらねえから安心しろ」

禁書「ふふっ」ギュッ

上条「……体中痛いんだから抱きつくなよ」

禁書「さっきまで右腕は痛がって無かったと思うけど」

上条「実は痛いんです! ほら離れた離れた!」ペイッ

禁書「むー」

上条「さーてこれからどうすっかなー。人が減ったらケータイも通じると思うんだけど」スッ

禁書「くるまのところにいたら合流出来るんじゃない?」

上条「……さっきから思ってたが、お前今自分がどんな格好だか忘れてるだろ」

禁書「へっ? あっ」バッ

上条「なんでこんなところで花火見たと思ってるんだよ、まったく」

禁書「そもそもとうま、戻る道分かるの?」

上条「そこまで長距離転がったわけじゃないし、多分大丈夫だろ」

禁書「ほんとかなぁ」
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/22(土) 00:58:00.87 ID:HRy39wWWo

詩菜「あら、こんなところにいたんですね」

上条「あれ母さん、何でこんなところに」

詩菜「何でも何も、花火が始まっても二人が来ないから探していたんですよ」

禁書「ごめんねしいな、向こうから落ちちゃって」

上条「足場悪くて上れないし、こいつこんなだしさ」

詩菜「あらあら。大分崩れてしまったわね」

禁書「自分じゃ直せなくて、それでずっとここで見てたんだよ」

上条「公然わいせつ罪だからな」

禁書「なんだかそう言われると心外かも」

詩菜「それじゃあ当麻さん、脱ぎましょうか」

上条「えっ」

禁書「へ?」

詩菜「ここで直すのにも限度があるし、車の中でちゃんとやった方が良いでしょう?」

上条「いや、だからと言って脱ぐ必要は」

詩菜「あらあら。当麻さんったら、こんな姿のインデックスちゃんを人前に晒しても平気なのかしら」

禁書「私はなるべく遠慮したいんだよ」

上条「いや、だからって俺が脱ぐ必要は……、なんですかねお母様その無言の圧力は。良いよ脱ぐよほら」バサッ

禁書「とうま、公然わいせつ罪」モゾモゾ

上条「うっせ、早く着とけ。車あっちだよな母さん、さっさと行こうぜ」スタスタ

禁書「あんまりゆっくりしてたらとうまが風邪引いちゃうね」

862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/22(土) 00:59:45.84 ID:HRy39wWWo
シリアスパートだから一気でした
晩年が云々は舞姫通信って本です。読んだの結構前だからよく覚えてませんが
もうちょいでこの無駄に長くなってしまった田舎編もおしまいの予定です
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/22(土) 01:13:56.46 ID:+3w+T88so
世界救ってくれてさんきゅ、投下もさんきゅ
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/22(土) 02:18:38.20 ID:E45deWrao
救世主乙!
切なくて甘くてキュンとした。ありがとう 
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/25(火) 23:20:31.87 ID:9WdUyLdyo

上条「はーコタツがぬくい」グテー

禁書「ぬくいんだよ……」クテー

上条「補習も無いし、今日はこのままダラーっとしてよう」

禁書「そうだね」

上条「みかん取ってくれ」

禁書「はいとうま」

上条「さんきゅー。やっぱこたつにはみかんだなぁ」ムギムギ

禁書「柿の種もあるんだよ」ガサガサ

上条「あ、これすっげー甘い」モグモグ

禁書「いっこちょーだい」

上条「ほれ口開けろ」

禁書「あー」パクッ

上条「どうだ甘いであろう」

禁書「甘くて美味しいんだよ……ありがととうま」モグモグ

上条「日本の冬はやっぱこうだな」ムグムグ

禁書「そうだねー」

上条「インデックス、あそこのリモコン取って」

禁書「うう、なんであんなところにあるのかな」ノビー
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/25(火) 23:21:27.18 ID:9WdUyLdyo

上条「頑張れインデックス、あと少しだ」

禁書「はー、届いたんだよ。はいとうま」

上条「さんきゅー」

禁書「何か見たい番組でもあるの?」

上条「特にないなー。ニュースとか天気予報くらいか」ピッ

禁書「ふーん」ポリポリ



TV『今日はクリスマスということで、学園都市でも各所で――』



上条「……」

禁書「……」

上条「って今日クリスマスなんだ!?」ガタッ

禁書「そういえばそうかも!?」ガタッ

上条「って寒い立ったら寒い」ゴソゴソ

禁書「あわわわ、スフィンクスごめんね」ゴソゴソ

上条「はー、すっかり忘れてたぞクリスマス」

禁書「私もなんだよ」

上条「……お前は忘れちゃっても良いのか」

禁書「……お呼びが掛からなかったんだから仕方無い、かも?」ダラダラ
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/25(火) 23:23:11.79 ID:9WdUyLdyo

上条「んでどうするよ、どっか行くか?」

禁書「えーと、スフィンクスが膝の上に乗ってるから私はここを動けないんだよ」

上条「俺もコタツから出たくないなー」

禁書「のんびりしてよっか」

上条「んだなー、と言いたいところだけどお前本当にそれで良いの?」

禁書「仕方無いかも、この街にはイギリス清教の教会は無いみたいだし」

上条「イギリスでなんかやるんじゃねえの」

禁書「勿論ミサなんかはやるだろうけど、呼ばれても無いし、何より遠いしね」

上条「そんなもんか。修道女にとっちゃクリスマスって一大イベントじゃねえの?」

禁書「私個人の信仰としてはそのつもりだけど、教会側としては私をそう扱う気はあまり無いんじゃないかな」

上条「禁書目録だから?」

禁書「それ以前に魔術師だしね。あまり衆目の目に晒されるべき存在では無いのかも」

上条「……」

禁書「それとね、とうま。ミサはあるけど、イギリスも以外とそういうのに行く人はそんなに多くないんだよ」

上条「へ、そうなんだ? てっきり向こうの人は教会に行くもんだと思ってた」

禁書「勿論そういう人もいるけどね。基本的にはお家で家族と過ごすものなんだよ」

上条「へえ。ああでも、ちょっと聞いたことある」

禁書「お店なんかも大抵閉まっちゃってて、街がちょっとゴーストタウンじみた雰囲気になるくらい」

上条「日本とは大違いだな」

禁書「そうだね、同じイベントでもこっちとは全然違うかも。どちらかというと大晦日に近いかな?」
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/25(火) 23:24:04.83 ID:9WdUyLdyo

上条「そういやお前、家族って」

禁書「さあ、多分いないんじゃないかな」

上条「多分て」

禁書「探したこと無いけど、今まで何の音沙汰も無いし」

上条「一応神裂とかに聞いてみるとか」

禁書「イギリスにいた時にも全くそんな話無かったんだよ? 結果は分かりきってるかも」ガサガサ

上条「まあ、そっか」

禁書「待ってる家族もいないなら帰っても仕方無いよね。今更孤独を嘆いたりはしないけど」ポリポリ

上条「……家族ならいるだろ」

禁書「へ?」

上条「いやなんつーか家族代わり、みたいな」

禁書「誰のこと? あ、スフィンクス?」ナデナデ

上条「ちげーよ! お前わざとやってるだろ!?」

禁書「じゃあ、とうま?」

上条「おう、そうだよ」

禁書「……」

上条「なんだよ、人の家に居座っといて他人ですとか言わせねえからな」

禁書「……前々から思ってたんだけど」スッ
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/25(火) 23:25:40.42 ID:9WdUyLdyo

上条「な、ちょっ」

禁書「うん、やっぱりこうやったら背中もあったかくて良いかも」ボスッ

上条「お前っ、どこに座ってるんだよ」

禁書「とうまの膝の上? 足の上かな?」ゴソゴソ

上条「いやそうじゃなくて」

禁書「前はスフィンクスとこたつ、後ろはとうまで完全防御なんだよ!」フンッ

上条「それも聞いてねえよ!」

禁書「ねえ、とうま」

上条「なんだ!」

禁書「とうまが家族なら、やっぱりお兄ちゃんかな? お父さんってほど離れても無いし」

上条「……インデックス、家族には生育家族と創設家族ってのがあってだな」

禁書「?」

上条「いややっぱ今の無しで」

禁書「むう、なんなのかな」

上条「兄貴じゃねえの。いくらなんでも父親はねえだろ」

禁書「じゃあ、とうまお兄ちゃん?」

上条「……俺はどこぞのシスコンとは違って妹属性とか無いからな」

禁書「よく分からないかも」

上条「そもそも何故そんな分かりやすく形から入るんだ」

禁書「なんとなく」
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/25(火) 23:26:50.23 ID:9WdUyLdyo

上条「そもそもお前いくつなんだよ」

禁書「そっか、私がお姉ちゃんって可能性もあるね」モグモグ

上条「それ俺のみかんなんだけど」

禁書「えっと、じゃあとうま、君?」

上条「……現実の姉はきっとそんなに優しいもんじゃないと思う」

禁書「そうなの?」

上条「いやいないから知らないけども」

禁書「そういえばとうまも一人っ子だったね」

上条「そうだな。いとことは割と仲良かったみたいだけど」

禁書「それじゃあ、姉妹のいなかったとうまの為に今日一日私が」

上条「遠慮します」

禁書「まだ言い終わってないんだよ!」

上条「そういうの良いから、もう普通にしてようぜ。あと俺の上からどいてみかんを返せ」

禁書「やだもーん」モグモグ

上条「力ずくとくすぐられるの、どっちが良い」

禁書「どっちもやだ」

上条「やっぱお前は姉じゃなくて妹だな、わがままな妹だ」

禁書「とうまは心の狭いお兄ちゃんだね。妹が膝に乗るのくらい受け入れてくれても良いのに」

上条「現実の兄妹はそんなことしないの!」

禁書「でもまいかはもっとすごいことしてるって」

上条「あいつらは例外! ってかんなカミングアウト聞きたくねえよ気まずいわ!」

禁書「例外なの? 仲良しなのに」
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/25(火) 23:28:27.27 ID:9WdUyLdyo

上条「はあ、もういいからせめてみかんだけでもくれ」

禁書「いいよ。はいとうま、あーん」

上条「」ビクッ

禁書「どうかした?」

上条「振り返ったら顔が近過ぎると思いませんかインデックスさん」

禁書「……そ、そうだね」

上条「ってことでどかない?」パクッ

禁書「それはやだ。スフィンクス寝ちゃったし」

上条「早くどかないとケーキとか無しだぞ」

禁書「えー。十字教徒としてケーキは食べないとなんだよ」

上条「向こうでも食べるもんなのか」

禁書「クリスマスプディングっていうのを食べるよ。十字教関係無いけど」

上条「関係無いんじゃねえか」

禁書「とにかくケーキは食べたい」

上条「じゃあどけ」

禁書「でも寒いから動きたくないし、外に出るのはもっと嫌」

上条「俺だって寒いし」

禁書「私をゆたんぽ代わりにしてもいいから」

上条「それじゃあ適度に冷えた手を首筋に」ピトッ

禁書「きゃー!」

上条「まあいいか、ケーキは後で売れ残りを買いに行けばー」グテー

禁書「とうま、重い」クテー

上条「先に乗っかってきたお前が言うな」

禁書「肩がこっちゃうんだよー」

875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/25(火) 23:30:03.77 ID:9WdUyLdyo
何の区切りもなくおしまい
あー猫飼いたい
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/25(火) 23:36:56.14 ID:D9McQCpao
サンタクロース乙!
可愛すぎて和んだ。けどナチュラルにいちゃつき過ぎもっとやれ
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/12/28(金) 19:22:34.88 ID:oCgdxRCE0
>>1乙!
本当にこの二人が幸せになってほしいと思う
もちろん新約でも 
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/02/26(火) 01:00:17.28 ID:VQKPJsbDo

刀夜「そうか、大変だったな当麻。怪我とかは無いのか?」

上条「あるけど大したことねえよ」

刀夜「それなら良かった」

上条「ま、ちゃんと話は出来たし結果オーライってことで」

刀夜「インデックスちゃんのことか」

上条「大したことは言ってないけど、多分もう大丈夫だろ」

刀夜「当麻もやれば出来るじゃないか、さすが私の息子だな」

上条「それで、ものは相談なんだけど」

刀夜「ん?」

上条「ちょっと今から行って欲しい場所があるんだ」

刀夜「どこだ? 行ける範囲なら構わないが」

上条「いやどこって聞かれると困るんだけどさ」

刀夜「?」



禁書「終わったんだよ」ヒョイ

上条「ん、そうか」

禁書「というか、今からもう帰ってお風呂なんだしここで直す必要無かったね」

上条「そうでも無いんだなこれが」

禁書「へ?」

上条「花火の代わりにって言ったらちょっと違うけど、良いものを見せてやる」
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/02/26(火) 01:01:42.77 ID:VQKPJsbDo


禁書「ねえ、どこに行ってるのかな?」

上条「俺も知らん」

禁書「……本当にどこに行ってるのかな」

上条「まあまあ、そんなことよりこれを見るんだ」

禁書「これってどれ?」

上条「指」

禁書「それで?」

上条「えーと、それじゃあ指ずもうでもするか」

禁書「なんで唐突に指ずもうが始まるのかな」

上条「買ったら後で菓子でもやろう」

禁書「た、食べ物で釣ろうなんてしても無駄なんだよ」

上条「ぐだぐだ言ってないで始めるぞ、ほら」

禁書「むう……怪しい」ジー

上条「はいいーちにー」ギュー

禁書「戦意が無い相手を手にかけるなんて恥ずかしくないのかな!」バッ

上条「戦意が無いのなら戦場に立つな!」クワッ

禁書「無理矢理引きずり出されたのかも!?」


詩菜「それで刀夜さん、どこに向かっているのかしら?」

刀夜「ん? ああ、まあどこっていうようなところでも無いんだけど」コソッ

詩菜「……あらあら、当麻さんは結構ロマンティストなんですね」クスクス
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/02/26(火) 01:03:08.69 ID:VQKPJsbDo


上条「ごじゅーしー、ごじゅー……ん、着いたか」

禁書「親指が痛いんだよ……」

上条「ほら、出るぞ」ギュッ

禁書「なんで目を隠すのかな!」

上条「良いから。転ぶなよ」

禁書「むぅー」テクテク

上条「さーんにーいーち」スッ

禁書「もう、こんな山奥で何が……わぁ」

上条「うわっ、予想以上にすげえ」

禁書「すごい……暗いところの方が少ないかも」

上条「ここまで輝いてると、上手いこと言葉が出ねえな」

禁書「うん……圧倒されるんだよ」

上条「……」フゥ

禁書「……」ボー

上条「……花火とはだいぶ違うけど、今年はこれで我慢してくれ」

禁書「我慢なんて必要ないかも。こんな綺麗な星空をとうまと見れたんだから」

上条「来年は花火も見ような」

禁書「うん。約束なんだよ」

上条「おう」

891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/02/26(火) 01:05:05.10 ID:VQKPJsbDo

禁書「ねえ、とうま」

上条「ん、どうした?」

禁書「私ね、昔――1年と少し前くらい前は、星があんまり好きじゃなかったんだよ」

上条「なんでまた」

禁書「仲間がいっぱいいるから。私と違ってひとりぼっちじゃないから」

上条「……」

禁書「そんなことを考えちゃうのも嫌だったから、こうして夜空を見上げることなんて殆ど無かった」

上条「でも、今は違うだろ」

禁書「うん。とうまがいてくれる今となっては、あんなこと考えてたのが馬鹿みたいかも」

上条「俺だけじゃない、父さんも母さんも。じいちゃんやばあちゃんだっている」

禁書「……うん」

上条「学園都市に戻れば風斬とか姫神とか舞夏とか、大勢いるだろ。もう一人ぼっちでも二人ぼっちでもねえよ」

禁書「女の子の名前ばっかりだね」

上条「ただ知り合いの名前を羅列しただけ――ってお前の友人なんだから当然じゃねえか! なんかこの流れ覚えがあるぞ!」

禁書「ふふ、そういえば昨日釣りしてたときもこんなこと話してたね」

上条「ったく、人が真面目に話してるのに茶化しやがって」

禁書「ね、とうま?」

上条「なんだよ」

禁書「みんな掛け替えの無い大切な人達だけど、私が一番隣にいて欲しいのはとうまなんだよ」

上条「…………なっ、なんだよ改まって」

禁書「さっきからとうまばっかり優しいから、バランス悪いかなと思って」

上条「なんだそれ」
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/02/26(火) 01:07:44.31 ID:VQKPJsbDo

禁書「ただいまー」

祖母「おお、おかえり」

上条「はあ、なんやかんやと疲れたな。明日も長いこと電車だしとっとと寝よう」

禁書「川の字!」

上条「へいへい川の字川の字。一画多い川の字なー」

禁書「それじゃあ、しいなとお風呂入ってくるね!」

上条「へいへい、後がつかえてるからさっさとしろよー」



禁書「ふふふふーん」ゴロゴロ

上条「ええい鬱陶しい、少しは落ち着きやがれ」

禁書「やだー」バタバタ

上条「ああもう、昨日までのしょんぼり感はどこに行ったんだよお前」

禁書「どっか行っちゃった」

上条「そりゃ良かった。じゃあもう早く寝るぞ、明日は帰るんだから」

禁書「えー」ブー

上条「えーじゃねえよ今何時だと思ってるんだよ」

禁書「明日すぐに出ちゃうの?」

上条「別にそこまで急ぐ必要はねえけど、早いほうが良いだろ」

禁書「じゃあちょっとくらい夜更かししても良いかも!」

上条「眠いんだよ俺が!」

禁書「とうま、頑張って!」

上条「うるせえ!」
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/02/26(火) 01:10:56.40 ID:VQKPJsbDo

禁書「そういえばとうま、さっき星見てたとき予想以上にとか言ってたけど」

上条「ん? ああ、父さんにどっか適当に星がよく見えそうなところ連れてってくれって言っただけだから」

禁書「なんだ、とうまの秘密のスポットとかじゃないんだ」

上条「こんだけ周囲に明かりが無かったらさぞ綺麗だろうって思っただけだよ」

禁書「実際すごく綺麗だったけどね。でもほら、ここからでも十分」モゾモゾ

上条「ん、まあ学園都市とは比べ物にならないわな」

禁書「あの街は夜でも結構明るいもんね」

上条「科学の街だからなぁ」

禁書「いつも明るいっていうのもそれはそれで良いと思うけどね。でもやっぱり星空は綺麗かも」

上条「田舎の特権だな」

刀夜「お、なんださっきの続きかい?」

詩菜「あらあら。ここからでも十分に綺麗な星空が見えますからね」

禁書「しいな達も一緒に見る? 私星座とか詳しいんだよ」

上条「いや、そろそろ寝ようよ。俺眠いんだって」

禁書「でもこれで見納めなんだし」

上条「来年もあるだろ。あんま見ると飽きるぞー」

禁書「……そうだったね、とうま。それじゃあもう寝ちゃおうか」

上条「おう、そうしろ」

刀夜「なんだ寝るのか。まあそうだな、二人とも疲れているだろうし」

詩菜「それじゃあ、お布団敷きましょうか」
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/02/26(火) 01:12:15.56 ID:VQKPJsbDo

禁書「はー、でもやっぱり明日で帰っちゃうのは寂しいかも」

上条「帰ったらそれはそれで落ち着くもんだ」

禁書「そんなものかな?」

上条「そんなもんだろ」

禁書「そっか。でもそうだね、スフィンクスが待ってるしね」

上条「あいつ、舞夏に甘やかされて太ったりしてねえだろうな」

禁書「ふふ、思い出したら早く会いたくなってきたかも。お土産もあるし」

上条「そういや射的でぬいぐるみ取ったんだったな」

禁書「喜んでくれるかな?」

上条「とりあえず猫パンチに一票」

禁書「ありそうなんだよ」

上条「はぁ、なんか俺も学園都市が恋しくなってきた」

禁書「ほんの数日離れてただけなのにね」

上条「こういうのは時間の長さは問題じゃないんだろうな」

禁書「そうだね、ここでの出来事が楽しかったから余計に恋しいのかも」

上条「ま、悪いことじゃないだろ。さっさと寝てさっさと帰ろうぜ」

禁書「でもやっぱり帰っちゃうのは寂しいんだよ」

上条「それも悪いことじゃないから存分に寂しがれば良い。俺は寝る」

禁書「ね、とうま。もうちょっとお話しよう?」

上条「父さんも母さんももう寝てるだろ。お前もとっとと」

刀夜「何か言ったか当麻」

詩菜「あらあら」

禁書「わっ」
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/02/26(火) 01:13:25.95 ID:VQKPJsbDo

上条「……起きてたならなんで黙ってたんだよ」

刀夜「大人は夜更かしで嘘つきなんだぞ当麻」

禁書「ね、二人もお話しよ?」

上条「母さんはともかく父さんは車の運転あるだろ、ちゃんと寝てろよ」

刀夜「私は最高で三日三晩寝なかったことがある。だから平気だ!」

禁書「おおー」

上条「もう若くないんだから無茶すんなよ……」

詩菜「刀夜さん、ほどほどにですよ?」ニッコリ

刀夜「あ、ああ」

禁書「えっと、それじゃ何の話が良いかな?」

上条「何か話したいことがあるんじゃねえのかよ」

禁書「特に無いんだよ」

刀夜「それじゃあ、私が子供の頃の話でもしようかな」

上条「あんま興味ないです」

禁書「ちょっと興味あるかも」

詩菜「あらあら。刀夜さんったら、私との馴れ初めとか話してしまうのかしら」ポッ

上条「興味ないです」

禁書「興味あるかも」

上条「親のそんな話聞かされてどうしろってんだよ! なんか気まずいわ!」

刀夜「そうだな、あれは私が当麻くらいの歳の頃――」

禁書「ふむふむ」

上条「始めんなよ! ああ畜生、なんか変な夢見そうだ」

896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/02/26(火) 01:15:22.58 ID:VQKPJsbDo
ここまで。ド田舎の山の中で見る星空は凄まじいくらいですが、やっぱ宇宙から見た方が綺麗ですかね
帰りは書く事も無いしバッサリやっちゃう予定なので、多分次でこの話はラストです
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/02/26(火) 01:19:01.97 ID:xvsci2kLo
待ってましたあああああ超乙!!
花火のかわりに星空とはやるな上条さん
ここの上インは愛おしいって言葉がぴったりで
かわいくて癒されて萌えて忙しいよ
続きも楽しみにしてます!
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/02/26(火) 09:23:23.04 ID:X5skwXLto
乙でした 
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/03/11(月) 00:53:09.03 ID:xLgZIuB7o


禁書「ううーん、おはようとうま」

上条「……おはよう」

禁書「けっきょく遅くまで話し込んじゃったからまだちょっと眠いね」

上条「おかげさまで寝不足です」

禁書「私もかも」

上条「まあ良いや。それじゃ朝飯食って暫くしたら出るから、今のうちに忘れ物とか無いか確認しとけよ」

禁書「うん、わかった」




上条「それじゃじいちゃんばあちゃん、三日間と少しお世話になりました」

祖母「気をつけて帰るんだよ」

祖父「おお当麻や、釣りにでも行くのかい?」

刀夜「帰るんだよ父さん」

禁書「ね、ねえ! ……また来ても、良い?」

祖母「いつでもいらっしゃいな、待っていますよ」

上条「何を今更改まって聞いてるんだよ、恥ずかしい奴だな」

禁書「……むう」ゲシゲシ

上条「なぜ蹴る」

祖父「ほっほっほ。それじゃあまたな、二人とも。それと詩菜ちゃんも」

禁書「うん、またね!」

上条「来年の夏に来る予定だからよろしく」

詩菜「それでは、失礼しますね」ペコリ

刀夜「父さん、わざとやってないかい」
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/03/11(月) 00:53:54.13 ID:xLgZIuB7o

禁書「……」ジー

上条「後ろ見たってもう見えないだろ」

禁書「……」ウトウト

上条「って眠いだけなんじゃねえか」

禁書「そんにゃことないんだよとうま」

上条「舌回ってねえぞ。もう寝とけば良いんじゃね、暫くは車だから」

禁書「ううーん……やだ」

上条「無駄に意地張らなくてもよかろうに」

禁書「とうまこそ、眠いんじゃないの?」

上条「ははん、上条さんは少々寝不足な程度でどうこうなるほどお子様では無いのです」

禁書「む、それは私をお子様だって馬鹿にしてるのかな?」

刀夜「そんなこと言ってないで当麻も寝ていたらどうだ。来る時も寝てて電車を乗り過ごしたんだろう?」

上条「それはそれ、これはこれ」

禁書「とうまもお子様かも」

上条「うるせえ」

詩菜「駅に着いたら起こしますから、二人とも寝ていても良いんですよ?」

禁書「それじゃ、お願いねしいな」

上条「本当に大丈夫なのに……」

禁書「とうまがそういうこと言うと嫌な予感しかしないんだよ」

上条「ははっ、まさか」

禁書「……」

905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/03/11(月) 00:54:41.65 ID:xLgZIuB7o






上条「はっ」ガタン ガタン

禁書「……」クー

上条「…………、」

禁書「……」クカー

上条「……っはあ! ここどこだ!?」ガタッ

禁書「ううん……どうしたのとうま、もう着いた?」コシコシ

上条「……あー、うん」

禁書「?」

上条「どうやら思いっきり行き過ぎました寝過ごしました」

禁書「……」ジトー

上条「いや本当すみませんでした」フカブカー

禁書「別に謝らなくても良いかも、とうまが寝不足だったのは私の責任だし、私も寝てたし」

上条「そういやそうだ、お前のせいじゃねえか!」

禁書「即座に掌を返すのはどうかと思うんだよ」ガブッ

上条「すんませんでした」

禁書「それでとうま」

上条「はい」

禁書「夜までには帰れるの?」

上条「……たぶん?」
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/03/11(月) 00:55:37.49 ID:xLgZIuB7o



禁書「はー、やっと着いたね」ノビー

上条「深夜にならなくて良かった……下手すりゃ入れて貰えないところだった」

禁書「ついでに外でお泊りっていうのも一興だったかも?」

上条「んな予算ねえよ」

禁書「それもそっか。あれ?」

上条「ん?」

禁書「ほらとうま、短髪がいるよ」

上条「あ、本当だ。バケツなんて持って何やってんだあいつ」

禁書「おーい、たんぱつー」

御坂「お、ちょうど良い所に。よーっす、こんな時間に何やってんのアンタ達」

上条「何してるって……ま、まあ別に?」

御坂「つまり暇ってことで良いのね?」

禁書「特に忙しくは無いけど、なんなのかな」

御坂「アンタ達、別に花火嫌いとかじゃないわよね?」

上条「なんだよいきなり。むしろ好きなくらいだけど」

禁書「それがどうかしたの?」

御坂「うっしなら決定ね。今から向こうの河原で花火大会やるから、アンタ達も参加しなさい」

上条「花火大会?」

禁書「花火大会!」
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/03/11(月) 00:57:14.87 ID:xLgZIuB7o

上条「って、なんでまたいきなり花火なんだ」

御坂「福引きで大量に当たったから」

禁書「すごいんだよ短髪、どっかんどっかん打ち上げるんだね!!」

御坂「いや、流石に取り扱うのに資格とかいるようなのは無いけどね」

上条「大量にって、どのくらい当たったんだよ」

御坂「十キロ単位。いや数十キロ単位?」

禁書「……どっかんどっかん打ち上げるの?」

上条「……お前テロでもすんの?」

御坂「違うわよ馬鹿。なんか実験品とか試作品とか試供品とか在庫処分とかゴッソリ詰め込まれてんのよ」

禁書「手に持つ花火なんだよね?」

御坂「基本はね。噴き出す奴とか打ち上げもあるけど」

上条「それにしたってゼロが二個くらい多いだろ」

御坂「私に言うな、私だって持て余してるのよ」

禁書「だから花火大会なんだね」

御坂「そ。知り合いに片っ端から声かけてるから、アンタ達の知り合いも結構いると思うわよ」

上条「へー。まあそんだけあったら人数いたほうがいいわな」

禁書「確かまいかと短髪って知り合いだったよね?」

御坂「土御門? いるわよ。あとホラ、なんだっけあの眼鏡の」

上条「眼鏡っていうと、風斬?」

禁書「ひょうかもいるの?」

御坂「そうそうひょうか。なんかいたから拉致っといたわよ」

上条「いや拉致るて。あいついきなりそんな人のいるところに連れて行かれたら怯えてるんじゃねえか」
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/03/11(月) 00:58:06.94 ID:xLgZIuB7o

御坂「まあとにかく、来るでしょ。何なら他に知り合い呼んでも良いわよ」

禁書「喜んでなんだよ!」

上条「行くのは良いけど、色々大丈夫なのかよ」

御坂「警備員には妹通して許可貰ったわ。ゴミの処理なんかも大丈夫」

禁書「じゃあさっそくゴーなんだよ!」

御坂「ああでも、多分バケツが足りないわね」

上条「バケツ? それくらいなら俺も持っていけるけど」

御坂「それじゃ、バケツ持って集合ね」

禁書「了解なんだよ」

上条「それじゃ、後で」

御坂「ばっくれるんじゃないわよー」



禁書「ただいまー」ガチャ

上条「さて、バケツバケツっと」スタスタ

禁書「久しぶりに帰ってきて、すぐ出て行くことになるとは思わなかったね」

上条「だな。お、バケツ発見」

禁書「でも、花火は嬉しいかも」

上条「一切合切来年までお預けってのも寂しいしな。少しぐらい前借りしても良いだろ」

禁書「二人で、じゃないけどね」

上条「一緒にとは言ったけど、二人でとは言ってないぞ」

禁書「嫌?」

上条「……ま、それは来年までお預けだ」

禁書「ふふっ、そうだね。それじゃ行こっか、とうま」

上条「おう」

909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/03/11(月) 00:59:39.03 ID:xLgZIuB7o
―完―
次から一年以上ぶりの通常更新に戻ります
ネタ溜まってたけどもう殆ど忘れちゃったわどうしよう
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/03/11(月) 01:07:25.28 ID:Kg1BK9uTo
乙でした!
舞台が違って上条夫妻たちがいるからこそのやりとりとか
すごい萌えさせてもらって一年間楽しかった
通常更新も正座で待ってる頼む思い出せください
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/03/11(月) 01:11:49.93 ID:6ESB/8zjo
おつ!
ここの上インは雰囲気も良くて参考にもなるしいいなあ
詩菜さんもかわいいしもうね
ふおおおおお

大人しく待つのでがんばって思い出してください
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/03/11(月) 15:49:41.29 ID:6LupDVrq0
田舎編お疲れ様でした。本当にここの幻想目録はすばらしい。目の保養になりました。


917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/29(月) 00:32:12.20 ID:KgUkixW6o
なんか討ち死にしたみたいな嘘残してサボっててすんません
色々あったりなかったりで中々進まないので、最初に暫定最終回として書いてたの投下します
前に書いたのとちょっとばかしやりとりが被っちゃったんで
このスレ終わるまであと100レスも無いですけど、まあそのときはまた別のなんかを 
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/04/29(月) 00:34:18.55 ID:KgUkixW6o

小萌「あれ? 皆さんお揃いでどうしたんですかー?」

上条「いや、俺が携帯無くしちゃって……」

青ピ「ホンマカミやんは安心と信頼の不幸やなあ」

土御門「油断するんじゃないぜい。カミやんの場合、それがそのままフラグに直結することもあるからにゃー」

吹寄「なんていうか、やっぱり上条当麻なのね」

上条「なんで俺が非難される流れなの!? いや探すの手伝ってくれてるのは感謝してるけれども!」

姫神「というか。君が一緒に探してると。一生見つからない気がする」

土御門「確かにそんな気もするぜい」

上条「お前ら、人のことを何だと……」

青ピ「フラグ職人?」

土御門「不幸の権化?」

上条「なんだよその偏りまくった評価は!」

吹寄「口ばっかり動かしてないでちゃんと探しなさい!」

上条「イエスサー」

土御門「了解だぜい」

青ピ「はー、これが女の子の携帯ならマッハで見つけられるんやけどなぁ」
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/04/29(月) 00:36:12.77 ID:KgUkixW6o

小萌「先生もちょっと時間が空いたので、探すのをお手伝いするのですよー」prrr......

姫神「小萌。自分の携帯鳴ってる」

小萌「あれ、なんでしょう? はい、もしもしー」ピッ

吹寄「上条、本当に学校に来るまでは持っていたのね?」

上条「んー確かにあった筈なんだけど。もっかい鳴らしてみるか?」

小萌「はい? ええ、シスターちゃんは私の知り合いですが」

上条「……小萌先生、インデックスが何かやらかしたんですか?」

小萌「へ、交通事故!?」

上条「なっ!? ちょ、小萌先生事故っていったいどういうことですか!!!」ユサユサ

小萌「おおおお落ち着いてください上条ちゃぁぁぁん」ガクガク

上条「事故って、怪我してるんですか!? 今どこにいるんですか!? 病院!? いつものカエル先生のとこ!?」ガクガク

小萌「え、ええいつもの病院にお世話になってるってぇぇぇ」ガタガタ

上条「くそっ、インデックス!!」ダッ

吹寄「ちょっ、上条!?」

小萌「うえーあいー、だいじょーぶなのれすよー。今上条ちゃんがそちらに向かってますー」グラグラ

姫神「小萌。大丈夫?」

小萌「ううう、まだちょっとグラグラしますけど、大丈夫なのですよ」

姫神「それで。あのシスターは?」

小萌「ちょっと待って下さいねー。ええ、全然平気なのです。それで――」
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/04/29(月) 00:37:30.55 ID:KgUkixW6o

青ピ「インデックスって、大覇星祭の打ち上げのときいたあのちっこい銀髪の子?」

土御門「そうだぜい、まあカミやんの身内みたいなもんぜよ」

吹寄「いつかすき焼き食べにいったときにもいたわよね。あの食べっぷりは見事だったわ」

青ピ「てかカミやん、ちょっと慌て過ぎやない?」

土御門「ま、なんていうか色々あるんだにゃー。色々、な」

吹寄「というかなんであんたはそんなに訳知り顔なのよ」

小萌「はい、はい。分かったのですよー。わざわざありがとうございますー」ピッ

姫神「それで?」

小萌「ちょっと擦りむいたのと、軽い捻挫くらいだそうなのです」

姫神「そう。それなら。お見舞いに行くまでもない」

小萌「自転車とぶつかりそうになって転んじゃったみたいですね」

青ピ「なんや、やっぱりカミやんの取り越し苦労かいな」

吹寄「なんか過保護っていうか……。というか、なんで小萌先生の携帯にかかってきたんです?」

小萌「上条ちゃんの携帯が繋がらなかったからじゃないですか?」

土御門「そういや携帯は捜索中だったにゃー……あ、あった」

姫神「やっぱり。上条君と一緒に探そうっていうのが。そもそも間違いだった」

吹寄「まったくね」

青ピ「んで、その携帯どうしますん? カミやん鞄も残ってるけど」

小萌「土御門ちゃんは上条ちゃんのお隣さんでしたよねー?」

土御門「まあちと面倒だけど届けといてやるぜい。どうせ取りには戻らないだろうからにゃー」
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/04/29(月) 00:38:45.54 ID:KgUkixW6o



上条「インデックス!!」バンッ

カエル医者「……ん? 早かったね?」

上条「先生、インデックスは」

禁書「あ、とうまだー」

カエル医者「後ろだね?」

上条「……インデックス?」

禁書「どうしたのとうま、そんなに息を切らせて」

上条「大丈夫なのかお前、事故ったって聞いたけど」

禁書「ちょっと足が痛いけど全然平気なんだよ?」

上条「…………はーぁぁぁぁぁ。なんだよそれ、心配して損した」

禁書「むっ、何かなとうま、その言い草は」

上条「あーしかも学校に荷物置きっぱなしだし……」

禁書「というか、なんでとうまはそんなに急いできたの?」

上条「何でってお前が……あれだよ、医療費的なあれが心配で」

禁書「……ははーん。とうまってば、インデックスさんが心配で心配でたまらなかったんだね?」

上条「……は、ハッ、誰がお前みたいな食ってばっかの厄介な居候を心配するもんですか」

禁書「またまた照れちゃって、とうまも可愛いところあるんだね」ニヤニヤ

上条「……お前は可愛くないヤツだな。まあいい、大丈夫ならさっさと帰るぞ」

禁書「うん、分かったんだよ」

上条「あ、先生すいません。またご迷惑をおかけして」

カエル医者「ま、このくらい別に構わないけどね? 因みに治療というほどの事もしてないから、治療代はいらないよ?」

上条「すみません、ありがとうございます。ほら、いくぞインデックス」
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/04/29(月) 00:40:03.35 ID:KgUkixW6o


禁書「ねえとうま、今日の晩御飯は何かな?」ヒョコヒョコ

上条「もう飯の話かよ。気が早いにもほどがあるだろ」

禁書「そんなこと言ったって気になるものは気になるんだよ」ヒョコヒョコ

上条「……インデックス、足痛いのか?」

禁書「へ? ああ、大したこと無いから大丈夫かも」

上条「……車椅子、は流石に大げさだよな」

禁書「? とうま、おうちに帰らないの?」

上条「タクシー……高い。バス……そもそも財布が無い」

禁書「とうま、私が大怪我してたら治療代どうするつもりだったの?」

上条「……しゃーない。ほら、インデックス」スッ

禁書「? とうま、なんでしゃがみ込んで背中を向けてるの?」

上条「なんでって、おんぶだよおんぶ。そのままじゃ歩くの辛いだろ」

禁書「へ!? い、いいんだよ、別に歩けるし」

上条「なに遠慮してんだよ、ここから寮まで結構あるんだぞ。ほら」

禁書「うぅ……、そ、それじゃあ失礼するかも」スッ
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/04/29(月) 00:41:08.97 ID:KgUkixW6o


上条「よっと、足大丈夫か?」

禁書「だ、大丈夫だけど……手の位置には気をつけて欲しいかも」

上条「ん? 何で?」

禁書「いいからっ!」

上条「何だ? もしかして照れてんの?」

禁書「ふえっ!? そ、そんなわけないんだよ!!」

上条「ははーん。なんだ、インデックスさんも可愛いところあるじゃないですか」

禁書「ぅ、ううううう!!」グワッ

上条「おっと、噛み付くなよ? 二人一緒にすっ転ぶのなんて御免だからなー」

禁書「……家に着いたら覚えておくといいかも!」

上条「へいへい、どうぞご自由に」

禁書「うう……」

上条「……っていうか、そんな意識されたら俺としてもなんか」ボソッ

禁書「う?」

上条「なんでもー」
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/04/29(月) 00:42:38.76 ID:KgUkixW6o

禁書「……ね、とうま?」

上条「んー?」

禁書「こうされてるとね、とうまに会った日を思い出すんだよ」

上条「っていうと、俺が忘れてることか」

禁書「うん、そう。とうまはね、小萌のところまで大怪我した私を背負っていってくれたんだよ」

上条「はー。そうか、魔術使える人間がいなかったから」

禁書「うん、私もとうまも魔術は使えないからね」

上条「しっかしまあ、出会ったその日から随分とハードな経験をしてたわけだな」

禁書「ふふっ、そうかも」

上条「これからもどんなトラブルが転がり込んでくることやら」

禁書「とうまは不幸だもんね」

上条「言っとくが、お前も大概だからな?」

禁書「む、とうまよりはマシかも」

上条「五十歩百歩だっつの」
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/04/29(月) 00:43:37.94 ID:KgUkixW6o

禁書「……でもね、とうま」

上条「ん?」

禁書「私はね、今とっても幸せなんだよ?」

上条「……」

禁書「ひょうかがいて、あいさやこもえやまいかもいて。他にも一杯、皆と一緒にいられて」

禁書「そして、とうまと一緒にいられて。もうそれだけで、インデックスは誰よりも幸せ」

上条「……ふんっ」ゴンッ

禁書「あいたっ! と、とうま! 何急に頭突きしてくれてるのかな!?」

上条「さっきからこっ恥ずかしいこと言いやがってこの野郎……」

禁書「こっ恥ずかしくないもん!」

上条「……俺もだよ」

禁書「へっ?」

上条「俺も幸せだ。そりゃトラブルや食費は減ってくれるに越したことは無いけど」

上条「それでも、俺は今お前らと――お前と一緒に日々を過ごせて、幸せだ」

禁書「…………ふんっ!」ゴンッ

上条「あだっ!! なにすんだお前っ」

禁書「がぶっ!」

上条「ぎゃー! おまっ、あだー!!」
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/04/29(月) 00:44:03.85 ID:KgUkixW6o

禁書「こ、こっ恥ずかしいこと言った罰かも!!」

上条「ちょ、お前だからこんな状態で噛むな! 転ぶぞ!!」

禁書「ぐうう……」

上条「まったく、お前はほんと相変わらずだな」

禁書「とうまだって。初めて会ったときから全然変わってないかも」

上条「記憶ないのに?」

禁書「記憶ないのに」

上条「――そっか」

禁書「うん、そうだよ」

上条「なあ」

禁書「何?」

上条「その、なんだ。……これからもよろしくな、インデックス」

禁書「うん。よろしくね、とうま」 
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/04/29(月) 00:46:23.23 ID:KgUkixW6o
―完―

といきたいところですがもうちょい続きます
PC新調したしHDDも生きてましたからもーまんたいです
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/04/29(月) 00:49:53.91 ID:4eoYplXio
おつおつおつ!
おつ!!

とてもほっほりしました 
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/21(日) 00:02:40.92 ID:t9iJP9gjo
今日は上条さんとインデックスが出会った日ですn……日付変わってら
そんなわけでまったく関係ないの投下します 
937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/07/21(日) 00:03:41.30 ID:t9iJP9gjo

禁書「……38度4分だって」ピピッ

上条「……風邪かな」ゴホゴホ

禁書「病院行く?」

上条「そこまで大ごとじゃねえだろ」

禁書「それじゃ、明後日になっても良くならなかったら病院いこ」

上条「ならなかったらな」ゴホ

禁書「学校も休むでしょ、こもえに連絡しとくね」

上条「あー、でも出席日数が」

禁書「そう思うならちゃんと休んで早く治すこと、なんだよ」

上条「うーい……」

禁書「ご飯どうしよう、私おかゆとか作ろっか?」

上条「いいよ、俺やるから」フラッ

禁書「駄目っ!」グイッ

上条「うおっ」ボスッ

禁書「とうまは病人なんだから余計なことはしなくて良いんだよ!」

上条「つっても、お前に料理とかさせたら不安で寝てられないし」

禁書「むう、失礼な……それじゃまいかに頼もっか」

上条「舞夏か……まあ舞夏なら少々頼っても」

禁書「今日も来るって言ってたから、ちょっと探してくるね」

上条「うーい」

禁書「……ちゃんと大人しくしてるんだよ?」

上条「はいはい」
938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/07/21(日) 00:05:11.68 ID:t9iJP9gjo

上条(あー頭痛い気持ち悪い。殴られたりすんのとは別の辛さがあるな)

上条(つか、なんだ。俺風邪とか何気に初経験か。当然記憶消える前はあったんだろうが)

上条(……これって症状重いのかな。38度ってそこまででも無いイメージだけど)

上条(普段と2度くらいしか変わらないのにこんなキツイんだ)

上条(喉乾いた……インデックスまだかな)

上条(ああでも今口にもの入れたら吐くかも)

上条(なんていうか、落ち着かないというか、気が滅入るというか)ゴホゴホ

上条(とりあえずインデックス早く戻ってこねえかなぁ)

上条「……飲み物くらい自分でなんとか、っとと!?」ズルッ

上条(これはもう俺は駄目かもしれない)グテー

禁書「ただいま……ってとうまどうしたの!?」

上条「いや、なんか飲もうと思って」

禁書「もう、ちゃんと寝てないとダメなんだよ!」グイグイ

上条「いつもすまないねぇ」

禁書「なんだかおじいちゃんみたいになってるんだよとうま」

上条「あれ、そういえば舞夏は?」

禁書「今ちょっと取り込み中みたい。でもすぐ来てくれるって」

上条「そっか」

禁書「それでとうま、飲み物何が良い? あ、どうせなら買い物とか行って色々買ってきた方が」

上条「え。いやいや、そんなわざわざ出掛けなくても麦茶とかで良いよ。舞夏待ってないとだしな」

禁書「……そう? なら良いけど」
939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/07/21(日) 00:07:47.22 ID:t9iJP9gjo


舞夏「おーい、きてやったぞ上条当麻ー。生きてるか―」

上条「そこまで酷ぐぇっへっごほっ」

禁書「ああもう、無理して大きな声出すからなんだよ」

舞夏「おお、なんだか思ったより弱ってるんだなー」

上条「やっぱそこまで酷いかもしれない」

舞夏「とりあえずおかゆ作ってやるから、少し待ってろー」

禁書「お願いするんだよ」

上条「ああそれと、インデックスにも何か作ってやってほしいんだけど」

舞夏「そうかー、シスターは何かリクエストあるかー」

禁書「それじゃあ、私もおかゆが良いんだよ」

上条「なんだよ、変に気遣わないでいいぞ」

禁書「そういう気分なのかも」

舞夏「それじゃあ、おかゆ六食分くらいまとめて作っとくかー」

上条「サンキュー舞夏」

禁書「まいか、ありがとう」

舞夏「気にするなー。困ったときはお互い様だし、兄貴がいつも世話になってるからなー」

940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/07/21(日) 00:09:01.20 ID:t9iJP9gjo


上条「……」プルプル

禁書「とうま、大丈夫? こぼさないようにね?」

舞夏「シスターが食べさせてやれば良いんじゃないかー」

上条「飯くらい自分で食えるから……」モッシャモシャ

舞夏「それじゃあ、私はそろそろ行くなー」

禁書「ありがと、舞夏」

舞夏「また何かあったら呼んでくれー。それじゃーなー」

上条「……」

禁書「とうま?」

上条「……ッ」ゴクン

禁書「とうま、大丈夫? あんまり食欲無い?」

上条「いや、なんかこう、飲み込むのが辛い感じ」

禁書「喉が腫れてるのかな……。そうだ、口移しで」

上条「ごほっ、発想が飛躍し過ぎだド阿呆。ゆっくり噛んで飲み込めば平気だよ」

禁書「そう? ならいいけど……」

上条「……」ムグムグ

禁書「……」

上条「……、……ッ」ゴクン

禁書「やっぱり口移し」

上条「いいから」
941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/07/21(日) 00:10:19.15 ID:t9iJP9gjo

禁書「ごちそうさま」

上条「……ごち」

禁書「とうま、平気?」

上条「正直しんどい。寝る」

禁書「あ、それなら濡れタオル持ってくるね」

上条「頼んだー」



禁書「んしょ、っと」ギュー

上条「……」

禁書「はい。それじゃとうま、おやすみ」ペチ

上条「つってもさっき起きたばっかだから眠くはないんだが」

禁書「つべこべ言わず体を休めるべきかも」

上条「へー、ごほごほっ」

禁書「ほら」

上条「……、それじゃ寝るから、お前はどっか行ってたらどうだ」ゴホゴホ

禁書「暇なのにも慣れてるし、ここにいるかも」

上条「まあ特に行く場所も無いかもだけどよ」

禁書「私がいたら休みづらいかな? それなら離れとくけど」

上条「別にそういうわけじゃあ無いけど。……うつるぞ」

禁書「私は大丈夫なんだよ。だから、ここにいて良い?」

上条「……好きにしろ」

禁書「うん、ありがととうま」
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/07/21(日) 00:13:03.50 ID:t9iJP9gjo

上条「……」

禁書「……」ペラッ

上条「……それ前にも読んでなかったか」

禁書「これ? うん、もう何度も読んでるんだよ」

上条「お前の記憶力なら、一回で全部憶えちゃうんじゃねえの」

禁書「記憶はあくまで記憶かも」

上条「そんなもんか」

禁書「とうまだって、昨日のハンバーグの味の記憶でごはん食べられないでしょ?」

上条「そりゃそうだ。それだけじゃお腹がすくわな」ゴホゴホ

禁書「そういうこと」

上条「……」

禁書「……」ペラッ

上条「……そういや、それどんな話だっけ」

禁書「うーん、竜と人間の話、かな?」

上条「あー、思い出してきた。確かその世界の竜は忘れることが出来ないんだよな」

禁書「そうだね。だから仲良くなった人間が死んじゃった悲しみに耐えられなかったんだよ」

上条「それで最後に竜と人間は共に生きるべきじゃない、って結論になるんだったか」

禁書「そんな感じだね。少しニュアンスが違うけど」

上条「なんか寂しい話だよな」

禁書「違う世界を生きるものを無理矢理に同じ枠組みに押し込んではいけない、ってことだと思うんだよ」

上条「でも、俺は違う世界だろうと仲良く出来るならそうしたいけどな」

禁書「自然にそうあれるならそれが一番なんだろうけどね。難しいところかも」
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/07/21(日) 00:14:51.07 ID:t9iJP9gjo

上条「……」

禁書「……」ペラッ

上条「……お前って、髪長いよな」ワサワサ

禁書「うん? そうだけど、どうかした?」

上条「なんか拘りとかあんの」

禁書「特に無いけど」

上条「へー」クルクル

禁書「もう、私の髪で遊んじゃ駄目かも」

上条「だって暇で、っごほっごほっ」

禁書「手持ち無沙汰なのはわかるけど、無理しないで大人しく寝るべきなんだよ」

上条「しんどいけど眠くは無いんだなこれが……」

禁書「体力だって落ちてるし、力抜いて静かにしてれば寝ちゃうかも」

上条「今寝たら夜寝れなさそうだし」

禁書「それはそうかもだけど」

上条「深夜に一人でぼんやりするよりは、少々辛くても今起きてた方が良いよ」

禁書「……」

上条「なんだよ」

禁書「もう、仕方なぁとうまは」ノソッ

上条「いやなにやってんですかねインデックスさん」

禁書「添い寝してあげるからちゃんと寝ようね、とうま」ボスッ

上条「いやいやいやいや」
944VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/07/21(日) 00:16:22.79 ID:t9iJP9gjo

禁書「嫌?」

上条「いや嫌じゃなくて、なんでそうなるんだよ」

禁書「だってとうまが無理して起きてようとするから」

上条「それがなんで添い寝になるんだ」

禁書「だから、私も一緒にお昼寝したら夜も一人じゃないかも」

上条「いやそういう問題でもなくてだな。ってかそれ別に添い寝である必要ないんじゃ」

禁書「病人をお風呂場で寝かせるわけにもいかないでしょ? それならどのみち一緒なんだよ」

上条「ああ、なるほど。ってここぞとばかりに開き直りおった!?」

禁書「もう、また大声出して。いいから寝るんだよとうま!」ギュウギュウ

上条「ぐぶぉ!? 病人に枕押し付ける奴があるか!!」

禁書「とうまが静かに寝ようとしないからかも。じゃあなにで口を塞げば良いのかな」

上条「……。えっ」

禁書「?」

上条「あ、いや……違う違う何考えてんだ俺は」

禁書「どうしたのとうま?」

上条「よっしそれじゃー寝るかー」

禁書「変なの。それはそうと、風邪はひき始めが肝心なんだよとうま」

945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/07/21(日) 00:16:50.49 ID:t9iJP9gjo




禁書「うーん……」

禁書(……これは、ちょっと困ったことになったかも。どうしよう)

上条「……」スースー

禁書「と、とうま?」

上条「……」グー

禁書(良く寝てるみたい)

禁書(……まあ、それならいっか)

禁書「早く治るといいね、とうま」
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/07/21(日) 00:17:41.82 ID:t9iJP9gjo



上条「……ぅ」モゾッ

禁書「……」スースー

上条「うん……?」

禁書「ん……」パチッ

上条「ああ、結局寝てたのか……」

禁書「おはよう、とうま」コシコシ

上条「ああ、おはよう」

禁書「えーと、それでね、とうま」

上条「んー?」

禁書「出来れば、離してもらえると助かるんだけど」

上条「……えっ、あ」

禁書「ほら、その、おトイレに行きたいから」

上条「あ、ああ……」

禁書「ごめんね、ありがと」トトトトッ

上条「……」

上条(思いっきり抱きしめてたよな、俺)

上条(………………あいつが戻ってきたらどんな顔すりゃ良いんだ)

上条「ってあれ、風邪治った?」

947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/07/21(日) 00:19:03.83 ID:t9iJP9gjo



禁書「うう……」ピピッ

上条「38度3分。案の定風邪だな」

禁書「見事にうつっちゃったね」

上条「だから離れてろって言ったのに」

禁書「だってとうまがすごく不安そうな顔してたから」

上条「断じてしてねえ!」

禁書「じゃあそういうことにしておいてあげるかも」ゴホゴホ

上条「変なこと言わないで良いから、大人しくしてろ」

禁書「……ねえとうま」

上条「なんだ」

禁書「今日は、早く帰ってくる?」

上条「何言ってんだお前」

禁書「……ううん、何でもないかも。ごめんね、変なことばっかり言って」

上条「なんで俺が学校行くこと前提になってるんだよ。今日も自主休校だ」

禁書「へ、なんで?」

上条「なんでって、俺も完治したわけじゃないからな。熱はほぼ下がったけど、無理してぶりかえしても馬鹿らしいし」

禁書「別に私は一人でも大丈夫なんだよ」

上条「病人が余計な気を遣わないでよろしい」

禁書「でも出席日数が」

上条「そう思うならちゃんと休んで早く治すこと、だろ」

禁書「……そうだね。分かったかも」

上条「よろしい」
948VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/07/21(日) 00:19:50.55 ID:t9iJP9gjo

禁書「暇だね」

上条「俺も昨日暇だった」ペラッ

禁書「私も本読みたい」

上条「良いから寝てろっての」パタン

禁書「……」コホコホ

上条「……」

禁書「……」ポケー

上条「……」ボケー

禁書「……ねえ、とうま」

上条「どうした」

禁書「暇?」

上条「暇だな」

禁書「じゃあ、暇なのは嫌?」

上条「別に嫌でも無いけど」

禁書「私はあんまり暇なのは好きじゃないんだよ」

上条「そうかい」

禁書「でもとうまがいてくれるなら悪くもないかも」

上条「そうか」

禁書「それならずっと風邪でも良いかも」

上条「いや、それは流石に困るだろ」

禁書「それもそうだね」コホコホ

949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/07/21(日) 00:22:29.48 ID:t9iJP9gjo
例によって中途半端に終わり
このスレあと2、3個は投下出来そうですかね。まあ今ちょっとアレなんで予定は未定ですが 
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/07/21(日) 01:24:51.63 ID:KZDVnn8ao

一緒の日常は和む
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/07/21(日) 06:37:22.21 ID:XOojVTMDO
乙!
相変わらずかわいいな~この二人は

952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2013/07/21(日) 14:01:39.57 ID:MygYQYlGo
乙でした 
957 :以下、新鯖からお送りいたします2013/09/02(月) 21:27:42.30 ID:XXjZUlyKo

もう色々込み入った話するほど残りが無いんでまたすげー起伏のない話を
ほのぼのが一番ですよ 
958以下、新鯖からお送りいたします[sage]:2013/09/02(月) 21:28:35.38 ID:XXjZUlyKo

上条「あー良い風ー」

禁書「気持ちいいー」

上条「あー止んだ……」

禁書「あつい……」

上条「うーん、やっぱりこのクソ暑い中自然の風だけでしのぐのには限界があるな」

禁書「間違いないんだよー」ダラーン

上条「仕方ない、出掛けるぞインデックス」

禁書「!? プール!? そういえばまいかが第六学区に新しいおっきなプールが出来たって!!」ガバッ

上条「スーパーに買い物に」

禁書「とうま! 私スケートやってみたい! アイススケート!!」

上条「まだちょっと早いけど今から行って涼みながら夕方のセールを待てば良い感じに」

禁書「分かったんだよ! 贅沢言わないからその辺のプールで良いから!!」

上条「おいてくぞー」

禁書「とうまぁー」

上条「あーはいはい、プールもスケートも今度連れて行ってやるから。今から行っても時間無いだろ」

禁書「ほんと?」

上条「ああ。だから今日はスーパーでしのごう」

禁書「……一応買い物もするから良いけど、納涼目的にすーぱーに行くのはおかしいかも」

上条「だってクーラー効いてるじゃん」

禁書「その理屈は短絡的過ぎるんだよ」
959 :以下、新鯖からお送りいたします[sage]:2013/09/02(月) 21:31:57.96 ID:XXjZUlyKo


上条「あー行くまでの道があぢー」

禁書「ねえとうま、今日のお夕飯は何かな?」

上条「んー、そうめん」

禁書「やだ! お昼もそうめんだったんだよ!」

上条「じゃああったかいにゅうめん」

禁書「もっとやだ! なんでわざわざあったかくして食べないといけないの!?」

上条「そうか、あったかいのは嫌かー。それじゃあハンバーグも駄目だな」

禁書「やっぱり暑いからこそ熱いものを食べないとだねとうま」

上条「シスターって嘘ついていいの?」

禁書「嘘じゃなくてフレキシブルなだけかも」

上条「フレ……なんだって?」

禁書「ジャパニーズ臨機応変?」

上条「ああ……最初からそう言えよ、回りくどいな」

禁書「それを言うならとうまも最初からハンバーグって言って欲しかったんだよ」

上条「その回りくどさ含めてコミニュケーションだろー。あとハンバーグはあくまで一例だ」

禁書「とうま、早速フレキシブルな発言してるところ悪いけどコミニュケーションじゃなくてコミュニケーションね」

上条「……」

禁書「私いつも日本語ばかり使ってるけど、とうまの為にももう少し英語を織り交ぜた方が良いのかな?」

上条「いやうっかり言い間違えただけだから。大丈夫です、はい」

禁書「そもそもコミュニケーションなんて英語っていうほどのものでもないよね」
960以下、新鯖からお送りいたします[sage]:2013/09/02(月) 21:33:42.05 ID:XXjZUlyKo

上条「あー良い木陰」

禁書「……とうま、そんな一々休憩してたら日が暮れちゃうんだよ」

上条「日が暮れた方が涼しくていいじゃん」

禁書「夕方のセールとか言ってなかった?」

上条「そういやそうだった」

禁書「まったくもう。家計を握るものとして責任を持ってほしいかも」

上条「なにかと高いものを食べたがるインデックスさんに言われたくない」

禁書「言うだけならタダなんだよ」

上条「タダより高いものは無いという」

禁書「じゃあタダより安い高級なお肉食べたい」

上条「いつかな」

禁書「いつかっていつ!? 心なしか今度よりは遠い気がするんだよ!」

上条「いつの日か、な」

禁書「もっと遠のいたかも!?」

上条「今日は鶏のムネ肉で我慢だ」

禁書「トップクラスにお安い肉なんだよ」

上条「食べ方を工夫すれば美味しくいただけるから良いだろ」

禁書「じゃあとり天がいい」

上条「えー……めんどい」

禁書「大分名物!」

上条「大分行ったこと無いだろ。俺も無いけど」

禁書「心は大分県民なんだよ」
961 :以下、新鯖からお送りいたします[sage]:2013/09/02(月) 21:34:43.01 ID:XXjZUlyKo


上条「あー……生き返る」

禁書「さっきからとうま、あーって言ってばっかりかも」

上条「お前みたいに扇風機に言ってるわけじゃないしー」

禁書「そこはかとなくもなく馬鹿にしてるね?」

上条「さーて、まずは何を買うんだっけインデックス」

禁書「私をメモ帳代わりに使おうって魂胆は別に構わないけど、残念ながら何も聞いてないんだよ」

上条「あ、それ以前にカゴ取ってくるの忘れた」クルッ

禁書「買うもの以前の問題だね」

上条「さーて、改めて何買うんだっけ」カチャ

禁書「鶏ムネ肉だけはさっき聞いたんだよ」

上条「肉かー。クーラー効いてるとはいえ肉は後回しだな」

禁書「じゃあまずはお野菜とか」

上条「とりあえずもやしでも買っとくか」

禁書「安いからって何の見通しも無くもやしを買うのは浪費かも」

上条「別にそのままで茹でても一品増えるんだから無駄ではないだろ」

禁書「もやしだけで食べてるとなんだか空しいんだよ、美味しいけど」

上条「美味しいなら問題ないな、十袋くらい買おう」

禁書「そ、そんなに?」

上条「あっても困らないからなー」ドサドサ

禁書「山盛りもやし……」
962以下、新鯖からお送りいたします[sage]:2013/09/02(月) 21:35:48.93 ID:XXjZUlyKo

上条「お、芋を薄く切って油で揚げた菓子が安いな」

禁書「ほんとだ、うすしお味を基本にのりしおやコンソメ等様々な味付けがあるお菓子が安いね」

上条「でもポテチは大抵一気に食っちまうからあんまりなー」

禁書「やめられないとまらない、だねとうま」

上条「主犯はお前だけどな。そしてそれはポテチじゃねえ」

禁書「別に専売特許ってわけでも無いかも」

上条「まあ良いや、ポテチ買っとこう」ポイポイ

禁書「とうま、やめられないとまらないがあったよ」

上条「それは今日安くないから買わない」

禁書「えー」

上条「いや別にスナック菓子ばっかり沢山買ってもいいけど、それならアイスは買わないことになるぞ」

禁書「それは死活問題なんだよ」

上条「暑いからって冷たいもんばっか食うのも体に良くないけどな」

禁書「人間は理屈だけでは動けないんだよ」

上条「せめてアイスの天ぷらとか」

禁書「……そういえばそんなのあるんだってね。あれってあったかいの?」

上条「知らん」

禁書「駄目かも」

上条「そしてやる予定も無い」

禁書「もっと駄目かも」

963 :以下、新鯖からお送りいたします[sage]:2013/09/02(月) 21:36:49.26 ID:XXjZUlyKo

上条「さーて次はっと」

禁書「パンがあるんだよとうま」

上条「パンかー、明日の朝食にでも買うかー?」

禁書「とうまは何パンが好き?」

上条「食パン」

禁書「……地味なんだよ」

上条「なんだとう!? 安いし万能だろうが!」

禁書「華が無いかも」

上条「じゃあ華があるパンってなんだよ」

禁書「……アンパンとかメロンパンとか?」

上条「地味じゃねえか」

禁書「でも代表格かも!」

上条「代表は代表でも庶民代表な気がする」

禁書「むう……じゃあ、フランスパン?」

上条「おお、庶民代表から国の代表にランクアップした感が」

禁書「でもフランスパンも地味だよね」

上条「見た目はけっこうインパクトあるだろ」

禁書「サンドイッチとか」

上条「サンドイッチは何か違わねえ? フレンチトーストとかどうだ」

禁書「それもなんだか違うかも」
964以下、新鯖からお送りいたします[sage]:2013/09/02(月) 21:38:30.78 ID:XXjZUlyKo

上条「お、ウナギだ」

禁書「どうせ買わないんでしょ」

上条「なんでそんな諦めモード全開なんですかねインデックスさん」

禁書「だってとうまがウナギなんて買うはず無いんだよ」

上条「いやいや、でもこれならお手頃だし」スッ

禁書「え、ほんと?」

上条「ほら」

禁書「……『微生物が一切寄ってこないだから永遠に腐らないバイオウナギ』」

上条「580円。お手頃っ」

禁書「……すごく怖いんだよ」

上条「大丈夫だって多分」

禁書「とうまは何でこういう危なそうなものを食べたがるのかな?」

上条「危ないも何も店で売ってるもんだし」

禁書「過信するのは良くないかも」

上条「何でも疑うくらいなら何でも信じた方が良いじゃん」

禁書「見えてる罠にかかるのはただの馬鹿なんだよ!」

上条「かかるまでは罠かどうかは分からないだろ!」

禁書「とうまはおばかさんなんだね! いつも危ないことしないでって言ってるのに!」

上条「それとこれとは話が別だろ! なんの話だよ!」

禁書「自ら率先して罠を試すなんて危ないこと以外の何物でもないんだよ!!」
965 :以下、新鯖からお送りいたします[sage]:2013/09/02(月) 21:39:20.06 ID:XXjZUlyKo

上条「飲み物は……良いか」

禁書「とうま、私たんさん飲みたい」

上条「炭酸かー、飲んだら歯が溶けるから止めた方が良いなー」

禁書「とうま、それは迷信だっててれびーで聞いた」

上条「ちっ」

禁書「科学方面のことなら何でも騙されると思ったら大間違いなんだよ」

上条「ちなみにこれは本当の話だが、炭酸水を高空から散布すると雨が降る」

禁書「嘘かも」

上条「いやマジで」

禁書「本当に?」

上条「本当に」

禁書「……シュワシュワしそうなんだよ」

上条「しねえよ」

禁書「というか、科学サイドは人工的な天候操作も可能にしているんだね!?」ガタガタ

上条「まあ、昔から飛行機飛ばして雲散らすくらいはやってたし」

禁書「恐ろしいことなんだよ……世界を思い通りに操ろうなんて」

上条「十万三千冊って世界を自在に歪めることが出来るんじゃなかったっけ」

禁書「そういえばそうだったんだよ」

上条「平和ボケし過ぎじゃないですかねインデックスさん」

禁書「だって私魔術使えないし」
966 :以下、新鯖からお送りいたします[sage]:2013/09/02(月) 21:40:40.32 ID:XXjZUlyKo

上条「さて、怪しい実験品野菜も肉も買ったしこんなもんか」

禁書「普通のお野菜がいいんだよ……」

上条「あ、アイス買ってないな」

禁書「アイス!」

上条「いる?」

禁書「いる!」

上条「じゃあ適当に安いの買うか」

禁書「とうま、ハー」

上条「黙れよ!」

禁書「そんなに嫌なの!?」

上条「だってお前それ高いアイスの代名詞的な奴だろ」

禁書「それはそうだけど、しょせんはその辺で売ってる程度のものかも」

上条「もっとこう袋に入ったかき氷的な奴を」

禁書「そんなのあるの?」

上条「あるらしい、見たこと無いけど」

禁書「そういえばかき氷食べたいんだよ」

上条「そういえばかき氷作る奴ウチにあったような」

禁書「食べたい」

上条「じゃあかき氷シロップだけ買って帰るか」

禁書「それはそれとして二つに折るアイス買って欲しいかも」
968 :以下、新鯖からお送りいたします[sage]:2013/09/02(月) 21:41:28.31 ID:XXjZUlyKo

上条「だあー帰りの道もあぢー」

禁書「日が暮れるまで時間潰してた方が良かったかも?」

上条「駄目だ暑すぎる。アイス食べよう」ガサガサ

禁書「私もー」

上条「ほい」パキッ

禁書「ありがとー」

上条「ああー……生き返るようなそうでもないような」ガリガリ

禁書「この暑さだとすぐに溶けちゃうね」チウチウ

上条「早く帰らないとアイス以外も色々ヤバそうだな」

禁書「ねえとうま、帰ったらなにしようか」

上条「とりあえずさっさと冷蔵庫に入れるものは入れて」

禁書「その後!」

上条「んー留守番のスフィンクスを転がす」

禁書「そんなのいつでも出来るかも」

上条「つってもやることないしー」

禁書「……今更なんだけど、この暑さの中スフィンクス一人で大丈夫かな」ソワソワ

上条「窓開けといたし大丈夫じゃね」

禁書「暑くて蒸し焼きになってたら一大事なんだよ!」ダッ

上条「このクソ暑い中走らなくてもー」ダラダラ

禁書「そんなこと言ってる場合じゃないかも! ダッシュなんだよとうま!!」ダダダッ

969以下、新鯖からお送りいたします[sage]:2013/09/02(月) 21:43:38.84 ID:XXjZUlyKo
なんか若干時期を逃した感。まあいいか
映画の特典のインちゃん可愛すぎてリゾート地に旅行に行った上イン書きたくなったけど
海外とか全然行ったこと無いから書けないんで誰か書いてください 
970以下、新鯖からお送りいたします[sage]:2013/09/03(火) 00:04:11.26 ID:QF6ZLdrjo
乙でしたまってました
この日常まったりかけあい感たまらん
海外じゃなくても国内リゾートでいいんじゃないかな!
971以下、新鯖からお送りいたします[sage]:2013/09/03(火) 12:05:11.10 ID:0DGfoo2DO
乙!待ってた!!
相変わらずほのぼのはかわいいなあ
特典は写真撮ってんのが上条さんで二人一緒に旅行してるようにしか見えんかった
972以下、新鯖からお送りいたします[sage]:2013/09/04(水) 06:47:30.45 ID:/0ByrQLDO
乙 

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