- 1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/08(日) 00:00:30.07 ID:Ru3iF620
- もしもサーシャがイギリス清教の一員になったらという話です
天草とステイル以外の男キャラは出ません
微弱な百合要素あり
ギャグ要素は少なめでシリアス中心
特にこれといった山場もカオス要素もありません
時間軸や原作設定、キャラ設定などはことごとくそげぶされています
第一の質問ですが、それでも書いていいですか? - 4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:03:32.65 ID:Ru3iF620
- サーシャ「亡命します」
ワシリーサ「えっ?何を言ってるのサーシャちゃんッッッッッ!!」
サ「第一の解答ですが、貴様が無理矢理着せてるこの変態的な衣装にいい加減うんざりしてるので亡命します。」
サ「第二の解答ですが、もう貴様の下で働きたくありません。解答の補足ですが、ッが多くてウザい」
ワ「そう、そんなに嫌だったの。ごめんなさい、サーシャちゃんの苦しみに気付いてあげられなくて…」
サ「気付くも何も確信犯だろクソボケ」
ワ「私はサーシャちゃんが嫌がることを続けさせるような血も涙も無いサタンじゃないのよ」
サ「そのセリフを主の前でも言える自信はありますか?」
ワ「分かったわ、じゃあその服は今日限りでやめにしましょう!」
サ「とか言いつつどうせ機動少女カナミンの衣装にするとか言うんだろ?」
ワ「もうサーシャちゃんたら、私がそんな酷い事すると思う?」
サ「Да」
ワ「今回はちゃんとした布地の多い服よ。」
サ「第一の質問ですが、それは本当ですか?」
ワ「ええもちろんよ。」
ワ「ほら!ミ○キーマ○スのきぐるみ♪」
サ「うわああああああああああああああああああ!!!」グシャッ!
サーシャはワシリーサがどこからともなく取りだした○ッキーの頭部を
ワシリーサごとバールで薙ぎ払った - 5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:07:41.24 ID:Ru3iF620
- サーシャ「さて、これから一体どこに行けば良いのでしょうか?」
早速だがイギリスはどうだろうか?
元ローマ正教の一部隊や日本の天草をまるごと受け入れたくらいだ。
きっと自分の身柄も保証してくれるだろう。
サーシャ「というわけでイギリスに亡命しましょう」
サーシャ「第一の質問ですが、あらすじは以上でよろしいですか?」
神裂「それが今あなたがここに居る理由であると?」
サーシャ「Да」
アニェーゼ「亡命ですか。服装的な意味で。」
ルチア「まさに着の身着のままですね。服装的な意味で。」
アンジェレネ「あれじゃあスカートめくりもできそうにありませんね。服装的な意味で。」
オルソラ「ロシアは非常に寒いはずですが、お体の方は大丈夫でございましょうか?服装的な意味で。」
シェリー「水着か?最近のガキは大胆だねぇ。服装的な意味で。」
サーシャ「第一の解答ですが、それがここに居る理由です。匿っていただけますか?」
「第二の解答ですが、Да。」
「第三の解答ですが、ドクサレ上司のせいで服が他にないのです。」
「第四の解答ですが、もうめくるとかめくらないとかの問題じゃないでしょう。服装的な意味で。」
「第五の解答ですが、このインナーはア○ダーアー○ー社製のコー○ドギアを魔術で強化したものですから問題ありません。」
「第六の解答ですが、スケスケネグリジェのお前が言うな。」 - 6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:10:25.57 ID:Ru3iF620
- そのころランべス宮殿では
ローラ「亡命?」
ステイル「はい、ロシア成教殲滅白書に所属するサーシャ・クロイツェフという者です。」
ローラ「へえ」
ステイル「いかがなされますか?」
ローラ「来たるものは拒まざることよステイル」
ステイル「しかし、今はロシアと学園都市の間で戦争が始まろうとしている状況です。
ロシア成教からの亡命者を受け入れるというのは…」
ローラ「アニェーゼ部隊や天草式の様な大所帯ならともかく、たかが猫を一匹拾うだけ。
そのくらいならこのローラお姉さんがどうにかしたるわ。」
ステイル(お姉…さん…?) - 7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:12:25.60 ID:Ru3iF620
- 神裂「先ほどバーコードから電話がありました。上から許可が下りたようです。
手続きも全て引き受けてくれました。」
オルソラ「そうですわね、モスクワでは35度を超える気温を記録したこともございますし。」
アニェーゼ「これで晴れて私達の仲間ですね」
サーシャ「ありがとうございます。やはりここに来て正解でした。では、さっそくこの忌々しい服を」
アニェーゼ「そのままでも良いんじゃねえですか?」
サーシャ「第一の解答ですが、それでは亡命した意味がありません。さあ早く修道服を!普通の修道服を!」
アニェーゼ「わ、わかりましたから!そんなに迫らねえでください!アンジェレネ、彼女の着替えを手伝ってあげてください」
アンジェレネ「は、はい!サーシャさん、こちらへ!」
サーシャ「Да」
これでようやく普通の格好に… - 8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sag]:2010/08/08(日) 00:15:44.30 ID:Ru3iF620
- サーシャ「………」
現在のサーシャの格好
黒地を基調とした上下分割の極めて布が少ない
例えるならきわどい黒ビキニにヒラヒラしたレースをつけたもの
さらに小さな悪魔の羽と尻尾もついている
頭にはネコミミのおまけつき
ルチア「アンジェレネ、これは一体どういう事です?なぜ着替える前よりも露出度が高くなっているのですか?」
アンジェレネ「えっと、なんででしょう…?」
神裂「何やら嫌なトラウマが…」
アニェーゼ「それは私の小悪魔ロリエロメイドしゃないですか。」
シェリー「なんでアンタがそんな物持ってんだよ」
アニェーゼ「上条当麻を落とすためです!」
オルソラ「あらあら、尻尾と羽までついているのですか。とても凝ったデザインでございますね。」
サーシャ「第二の解答ですが……グスッ…ひっく……もう嫌です……」
サーシャはとうとう泣き崩れてしまった - 9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:17:47.20 ID:xvxd8eg0
- 泣いたサーシャとか想像するだけで胸が熱くなるな
- 10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:19:05.18 ID:Ru3iF620
- ルチア「シスターアンジェレネ、あとでお尻百叩きの刑です。シスターアニェーゼも後でみっちりと話し合いましょう。」
アニェ&アン「…Да」
ルチア「申し訳ありませんサーシャさん。今度はちゃんとした修道服をお渡ししますから。」
サーシャ「……ほんと?」
ルチア「ええ。ですから機嫌を直してください。」
ルチアはへたり込んで泣いているサーシャに手を差し出した
サーシャ「……うん(ぎゅっ)」
サーシャはルチアの手を握り、もう片方の手で泣きはらした目をこすりながらルチアの後についていく
オルソラ「まるで姉妹みたいございますね。なんて微笑ましい光景でしょうか。そう思いませんか?」
神裂「思いません。」
アンジェレネ「百叩き百叩き百叩き(ガクブル)」 - 11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:22:27.86 ID:Ru3iF620
- ルチア「はい、どうぞ。」
サーシャ「第一の解答ですが、ありがとうございます…たしかに普通の修道服ですね。」
ルチア「出ていきましょうか?」
サーシャ「第二の解答ですが、すぐに終わりますから。それに、こちらの修道服を着るのは初めてですので、
色々とお手伝いしていただけるとありがたいのですが。」
ルチア「わかりました。」
サーシャはルチアの前で小悪魔ロリエロメイドを脱ぎ始めた
ルチア「……」
ルチア(下着…上は付けてないのですね。それもそうでしょう、あの拘束衣では。
それにしても、陶器肌というのでしょうか?真っ白でマシュマロの様に柔らかそうで、
思わず頬ずりをしたくなる様な……はっ!私ともあろうものが何とふしだらな!
しかも相手は女の子じゃないですか!しかし、あの絹の様な肌を見せつけられては……いけない、
これはきっと主が私めに与えてくださった試練です!試練なのです!!)
サーシャ「あの」
ルチア「はい!!」サーシャ(ビクッ!)
ルチア「ああすみません、少々考え事をしていたもので。」 - 12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:27:28.84 ID:Ru3iF620
- サーシャ「そ、そうですか。では第一の質問ですが、あなたがたの修道服はなぜ
ジッパーが取りつけられているのですか?ス○ィッキィフィンガーズですか?」
ルチア「季節によって半袖に切り替える事ができますし、戦闘の際には動きやすい様スカートを短くすることができるようにと、
まあそんな感じです。私とアニェーゼはデフォルトでミニスカですけど。」
サーシャ「なるほど、魔術だけでなく機能的な意味合いが込められているということですか。
では第二の質問ですが、スカートのジップを取り外すのを手伝っていただけないでしょうか?」
ルチア「はい、えっとスカートのジップはこうやって…」
サーシャ「ひゃっ!」
ルチア「どうかなされましたか?」
サーシャ「第三の解答ですが、すみません、太股が少しこすれて…」
ルチア「そうですか。ですが、すぐに終わりますので我慢してください。」
サーシャ「はい//// (もじもじ)」
ルチア(なるほど、弱点というわけですか。サーシャさんたらかわいらしく太股を擦り合わせたりして……フフフ)
サーシャ「ん////……まだですか…?」
ルチア「終わりましたよ。」
サーシャ「第四の解答ですが、ありがとうございました/////」
ルチア「いえこちらこそ本当にありがとうございました。」
サーシャ「えっ?」
ルチア「い、いえ!なんでもありませんっ!!」
- 13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:29:28.79 ID:Ru3iF620
- ルチア「というわけで、着替え終わりました。」
オルソラ「あらあら、とても良くお似合いでございますよ。」
アニェーゼ「ついでにこの厚底サンダルもどうですか?」
サーシャ「第一の解答ですが、歩きにくそうなので遠慮します。」
アンジェレネ「百叩き百叩き百叩き(ガクブル)」
神裂「二―ソはそのままなんですね。サーシャさん、ではこれを」
サーシャ「第一の質問ですが、これはイギリス清教の十字架ですか?」
神裂「はい。改めてこちら側に付くという事になるので、建前だけでも通していただかないと。」 - 15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:32:11.24 ID:Ru3iF620
- サーシャ「建前…?第二の質問ですが、この※八端十字架は捨てなくてもよいのですか?」
※ロシア成教の十字架
神裂「ええ。奇天烈に感じるでしょうが、イギリス清教はそう言った面に関しては寛容ですから。
ただし、イギリス清教のために働くという事が大前提ですが。」
ドクサレ上司の職権乱用に耐えられずにロシア成教を捨てたとはいえ
長年忠と信仰を尽くしてきたのだ。自分が常に身に着けていた
ロシア成教徒の証である八端十字架に愛着が無いと言えば嘘になる。
だからこの待遇は素直に嬉しい。それでも、イギリス清教の
十字架を前にすると、改めてロシア成教を捨てた事の重みが
自分の後ろ髪を引かれるというより、引っ張られる様な気分にさせられる。
サーシャ「たぶん、そういう思いを緩和させるためにこの様な処遇を…最大主教もなかなか侮れませんね……」
神裂「どうかしましたか?」
サーシャ「いえ、第二の解答ですが、ただの独り言です。第三の解答ですが、改めて、サーシャ・クロイツェフと申します。よろしくお願いします。」
神裂「ええ、こちらこそよろしくお願いします。」
こうしてめでたくサーシャはイギリス清教の仲間入りしたのでした
- 16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/08(日) 00:34:40.99 ID:Ru3iF620
- その頃、ロシア成教殲滅白書では
ワシリーサ「サーシャちゃん………」
シスターA「あの、ワシリーサ様?」
シスターB「ダメね、魂が完全に抜けてるわ。殲滅白書の仕事どうしよう…」
シスターA「ニコライ司教はなんと?」
シスターB「私達(殲滅白書)の方でなんとかしろだって。だけど、トップがこの有様じゃねえ……」
シスターA「それにサーシャが居ないと、何だかんだ言ってワシリーサ様を上手く扱えるのはサーシャしか居ないし。」
シスターB「首輪を付けられてるのはサーシャの方なのにね。さすがにあの服はちょっとねえ…」
シスターA「今まで良く耐えていたと思うわ。私だったら初日で辞めてそうだもの。」
ワシリーサ「てめえらサーシャたんの悪口言ってんじゃねぇぞ売女ァ!!!」
AB「言ってねえよ!!ちょ、暴れないでください!!」
深刻なサーシャショックが発生していた
- 17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:36:56.50 ID:Ru3iF620
- アニェーゼ「ところで、サーシャが着てた拘束服はどうするんです?」
バシン!ほわァ!
サーシャ「第一の解答ですが、燃やしましょう。」
バシッ!あうっ!
アニェーゼ「え?良いんですかい?」
バチン!そげぶっ!
サーシャ「ええ、第二の解答ですが、さすがにこの服に愛着などありません。」
バチコン!アッー!
アニェーゼ「わかりました。焼却炉まで案内しましょう。」
バシッ!だんだん気持ちよくなってきました///////
アンジェレネッ! - 18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:38:39.15 ID:Ru3iF620
アニェーゼ「さ、着きましたよ。」
サーシャ「そぉい!」バサッ!
アニェーゼ「1秒たりとも迷いを見せずに放りこみやしたか。よほど嫌だったんですね。」
サーシャ「終わった…我々の勝利です。」
アニェーゼ「いや、私らは全く関係ないでしょう。」
サーシャ「第三の解答ですが、共にこの喜びを分かち合ってください(ガシッ!)」
アニェーゼ「そう言われても…しかも抱きつかないで、泣かないでくださいよ。」
感動的な場面なのかそうでないのか、この二人の温度差が生み出すなんとも
奇妙な空間がそこにあった。- 19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:41:45.52 ID:Ru3iF620
- オルソラ「ところで、サーシャさんの好きな食べ物は何でございましょうか?」
サーシャ「第一の解答ですが、ガムです。」
オルソラ「ガムでございますか。それは少々難しい課題になりそうです。」
神裂「あのですね、実は今晩、寮の皆さんでサーシャさんの歓迎会を開こうという事になりまして。」
サーシャ「第二の解答ですが、そういう事は先に言っていただかないと、ガムと答えた私がKYみたいじゃないですか。」
オルソラ「まずはガムベースを購入し、それから果実エキスや香料を…」
神裂「すみません、では改めて好きな食べ物を教えていただけますか?」
サーシャ「第三の解答ですが、特にこれと言って思い浮かぶものもありませんが……
しいて挙げるとすれば、ありきたりですがボルシチですかね。」
神裂「なるほど、ロシア料理の定番ですね。」
特別ボルシチが好きというわけではない。
ただ、いつだったかワシリーサが自分にボルシチを御馳走してくれたのを思い出したのだ
あんなおちゃらけた上司だが、意外に料理の腕は高くて驚いた覚えがある
サーシャ「……」
神裂「サーシャさん?」
オルソラ「ガムの甘味料は、人工甘味料と果物の甘味料、どちらを使えばよろしいのでしょうか?
オリーブオイルでアレンジを加えるのも面白そうでございます。」
神裂「嫌ですよそんな噛む度に口が油まみれになるガム。想像しただけで吐き気がします。」
サーシャ「だいよ…かい…うえ…おぶっ!!!」
神裂「サーシャさんッ!!!」
オルソラ「ロシア料理と言えば、ビーフストロガノフも有名でございますよ。最も、私達は修道女なので肉食はできるだけ慎まねばなりませんが。」 - 20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:45:19.60 ID:Ru3iF620
- オルソラ「それでは、今宵の歓迎会の料理はロシア料理中心ということでよろしいのでございますね?」
神裂「ええ、というかロシア料理の方もレシピをカバーしているのですか?」
オルソラ「私に作れない料理はございません。」
神裂「さすがは原作者が嫁にしたいと公言しただけありますね。では、私が買物に行ってきますので、材料のメモを」
サーシャ「あの、第一の質問ですが、私に行かせてもらえないでしょうか?」
神裂「えっ!ですが、今日はあなたのための歓迎会ですよ?」
サーシャ「第一の解答ですが、寮周辺の地図を把握したいのです。ダメですか?」
神裂「しかし…」
オルソラ「まあまあ、よろしいではありませんか。せっかくですから、このロンドンの街並みを楽しんできてはいかかですか?」
サーシャ「第二の解答ですが、突然の要望を受諾してくださった事に感謝します。」
オルソラ「はい、これがレシピです。大型の食品店に行けば大抵のものは揃っているのでございますよ。」
サーシャ「第三の解答ですが、では、任務を果たしてまいります。」
オルソラ「ふふ、楽しんできてくださいね。」
神裂「……大丈夫でしょうか?今日ここに来たばかりだというのに。それに、旅の疲れもたまっているかもしれませんし。」
オルソラ「まあまあ、かわいい子には旅をさせろという言葉が日本にはございますよ?」
神裂「それは色々と間違っています。とにかく心配なので、五和に連絡しておきましょう。」 - 21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:47:49.15 ID:Ru3iF620
- 五和「というわけで女教皇様から連絡を承ったので、例のサーシャという女の子を探しているのですが…」
サーシャ「……」
五和「えっと、小柄で金髪で色白で、修道服を着ている女の子ですね。」
サーシャ「……」
五和「補足として、ミニスカ二ーソで胸は控えめと…」
サーシャ「……(ピキッ!)」
五和「それらしき人は見当たりませんが…」
サーシャ「第一の質問ですが、あなたのその二つある目と乳は飾りですか?」
五和「うわっ!等身大のフランス人形が喋りだしました!」 - 22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:50:48.84 ID:Ru3iF620
- サーシャ「第一の解答ですが、宣戦布告として捉えさせていただきます」
五和「あの、もしかしてあなたがサーシャ・クロイツェフさんですか?」
サーシャ「第二の質問ですが、まさか本当に今まで気付かなかったのですか?だとしたら信じられないくらいの天然ですね。」
五和「すみません。あの、私はイギリス清教並びに天草十字凄教に所属する五和と申します。」
サーシャ「第二の解答ですが、同僚というわけですか。あなたの服装から魔術的な匂いを感じたので、
こちらから接触してみたのですが、どうやら勘違いだったようです。」
五和「勘違い?もしかして、人探しでもしているのですか?」
サーシャ「いえ、第三の解答ですが、かくかくしかじか」
五和「亡命!!なるほど、女教皇様は、私に殲滅白書から狙われてるあなたの護衛を任されたという事ですね!」
サーシャ「第四の解答ですが、全ては私の勘違いですから。補足説明すると、取り越し苦労というやつです。」
五和「そうなんですか。では、なぜ女教皇様は、あなたに接触する様に指示を…?」
サーシャ「第五の解答ですが、迷子になりました。」 - 23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:53:01.52 ID:Ru3iF620
- 五和「それにしても、よく私が魔術師だって気付きましたね。天草は隠密行動に長けているので、
見つからない事には自信があったのですが。いえけして私が地味キャラだという事ではなくてですね」
サーシャ「第一の解答ですが、先程も述べた通り殲滅白書から逃げてきた身です。少々魔術の反応に神経質になっていたからでしょう。」
五和「さすがはプロという感じですね。ところで、なぜ亡命を?」
サーシャ「第二の解答ですが、どうかその事については触れないでください。」
五和「……?」 - 24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:55:33.10 ID:Ru3iF620
店員「では、いつも通り女子寮に配達しておきますね。夕方までには届けさせます。」
五和「よろしくお願いします。」
サーシャ「第一の解答ですが、助かりました。ありがとうございます。」
五和「いえいえ、同じイギリス清教の仲間じゃないですか。そうだ、もしよろしければ、この後私達の住み家に来ませんか?」
サーシャ「第一の質問ですが、天草のアジトですか?」
五和「そんな大それたものじゃないですよ。和洋混合の長屋みたいなものですから。」
サーシャ「NAGAYA?」
五和「あー、えーっと、要は寮みたいなものです。私達が治安維持と管理を任されている日本人街にあるのですが」
サーシャ「第二の質問ですが、イギリス清教に転身した身とは言え、昨日まではロシア成教に所属していました。
そんな私をあなたがたの拠点に招いてもいいのですか?」
五和「大丈夫ですよ!根拠はないけど。」
サーシャ「はあ、では第二の解答ですが、お言葉に甘えさせていただきましょう。」- 25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 00:58:10.45 ID:Ru3iF620
私、メリーさん、今あなたのマンションの前に居るの
香焼「教皇代理、チャンネル変えましょうよ……」
建宮「何言ってんの!そんなチンケな肝っ玉で天草の十字教徒がつとまるかってのよ!!」
野母崎「おい早く外に逃げろよ!何で部屋の中に隠れるんだよ!」
対馬(なんでイギリスで日本のホラー番組が放送されてるのかしら?しかもこんな真昼間から)
私、メリーさん
建宮・野母崎・香焼(ごくっ……)
今、あなたのウ・シ・ロ・ニ・イ・ル・ノ!!
「ぎゃあああああああああああああああああああ!!!」
対馬「ああうるさい…」- 26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/08(日) 01:00:34.90 ID:Ru3iF620
- 五和「ただいま戻りましたー。ていうか、みなさんなぜ雄叫びなど?」
対馬「ほっときなさい。ところで五和、その子は?イギリス清教のシスターさん?」
五和「ああ、彼女は」
建宮「おお五和ァ!今凄く怖い番組がやってたのよ!世の中俺達の知らない世界っつーもんがまだまだ沢山あんのよな。
お前にも見せてやりた……」
サーシャ「……」
建宮「……」
サーシャ「……?」
建宮「……(ダラダラ)」
香焼「ほんと怖かったですよねー。アレ、どうしたんですか教皇代理?そんな滝の様な冷や汗を……」
建宮「はぎゃあああああああーッ!!!!メリーさんが後ろにいいいいい!!!!!」
香焼「(ピクピク)」泡を吹いて気絶している
サーシャ「……」
五和「ちょっ、建宮さん!失礼じゃないですか!」
サーシャ「第一の質問ですが、初対面で等身大のフランス人形呼ばわりしたあなたがそれを言いますか。」 - 27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 01:03:09.31 ID:Ru3iF620
- 建宮「いやいや先程は失礼したのよ。俺は天草の教皇代理をやってる建宮っつーもんなのよ。」
サーシャ「第一の解答ですが、私はイギリス清教のサーシャ・クロイツェフです。」
五和「お茶がはいりましたよー。はい、サーシャさん、おしぼりです。」
サーシャ「第二の解答ですが、ありがとうございます。湿ったタオルを日本ではオシボリというのですね。」
野母崎「まさか五和、あの少年だけじゃなくて、その子まで……いかんぞ!確かにイギリスは同性愛には寛容だが、
上条少年に上手くアタックできないからとは言えそっちの方向に走ってはいかんぞッ!!」
五和「な、何言ってんですか/////!!まるでおしぼりが私の求愛行動であるかの様な発言はやめてください!!」
サーシャ「…?第一の質問ですが、一体何の(ry」
対馬「気にしないで良いから。ほら、せんべい食べる?」
サーシャ「第三の解答ですが、いただきます。これは日本式のクッキーみたいなものでしょうか?すごく硬そうです。
ところで、お砂糖はありますか?」
五和「はい、どうぞ。でも、お砂糖が必要な食べ物なんてありましたっけ?」 - 28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 01:06:26.49 ID:Ru3iF620
- サーシャ「ありがとうございます(ドバッ)」
一同「!!!!!!?」
サーシャは豪快に緑茶の中に砂糖をぶちまけた
サーシャ「第四の解答ですが、グリーンティーは初めてです。紅茶とはまた違った香りと味を楽しめますね。」
五和(緑茶にお砂糖ですか!?)
香焼(しかもあんなに沢山!)
対馬(でも甘茶とかあるし、案外いけるのかしら?)
建宮(うっ、きもちわるくなってきたのよ…)
初めての緑茶?を堪能するサーシャを尻目に、天草式一同はカルチャーギャップをこれ以上ないくらいに感じていた
サーシャ「第五の解答ですが、センベイと言いましたか?少し硬いですが、この香ばしさと、
コクがあってほど良いしょっぱさは病みつきになりそうですね(バリボリ)」
五和「そ、そうですか、喜んでいただけて何よりです……」
サーシャ「……?第二の質問ですが、私の顔に何かついていますか?」
五和「え!?い、いえ!なんでもありませんよなんでも!」
サーシャ「……?(バリバリ)」小首をかしげつつせんべいを噛み砕くサーシャ
五和「……(それにしても)」
お茶をすすりながらバリバリと煎餅を頬張るフランス人形の様に綺麗な顔をした修道服の美少女外国人。
「なんてシュールな光景なのだろう」とその場にいた天草式の誰もがそう思わずにはいられなかった。
- 29 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 01:13:26.08 ID:Ru3iF620
- サーシャ「第一の解答ですが、楽しいひと時を過ごさせていただき感謝します。続いて第一の質問ですが、また来てもよろしいですか?」
建宮「おう、こんなかわいいシスターさんならいつでも大歓迎なのよ!」
対馬「ロリコン?」
サーシャ「第二の解答ですが、ありがとうございます。では」
五和「女子寮まで見送りに行きますね。また迷子になったら大変ですから(ニヤニヤ)」
サーシャ「むっ、第三の解答ですが、五和は見た目に反してなかなか意地悪な方ですね。」
五和「くすっ、冗談ですよ(からかった時の反応が可愛いですね)」
野母崎「五和、襲うんじゃないぞ?」
五和「いい加減にしないとシバきますよ野母崎さん?(ニコッ)」 - 30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 01:15:03.63 ID:Ru3iF620
- 五和「ところで、サーシャさんはなぜ亡命を?あ、いえ、話しにくい事情があるのでしたらいいですけど。」
サーシャ「第一の解答ですが、その事については触れないでくださいと先程言った気がします。」
五和「えっ!そうでしたっけ!?すみません、やっぱり話したくないですよね、深刻な問題ですし…」
サーシャ「……第一の質問ですが、なぜ気になるのですか?私が亡命した理由など」
五和「そうですね…興味があるというのも確かなんですが、なんというかその…助けたい、いえ、力になりたいんです。あなたの。」
サーシャ「私の?第二の質問ですが、もう少し詳しい説明を要求します。」
五和「だって同じイギリス清教の仲間ですし、それに友達じゃないですか、私達。」
サーシャ「友達……?」
五和「ええ、友達ですよね。」
恋には奥手の五和だが、こういう時だけはなぜか妙に積極的だ
原作ではどうか知らないが - 31 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/08(日) 01:17:33.97 ID:Ru3iF620
五和「もしかして、嫌ですか?」
サーシャ「い、いえ、第二の解答ですが、あなたの認識に間違いはありません。私も…その……あなたを友人であると認識しています……/////」
五和「ではサーシャさん、あらためて」
サーシャ「第三の解答ですが、サーシャです。」
五和「はい?」
サーシャ「サーシャさんではなく、サーシャと呼び捨てしてください……/////」
五和(照れてる…かわいいなあもう!)ぎゅっ!
サーシャ「だ、第三の質問ですが!いきなり何を!むぎゅっ!く、苦しい…」
五和「よろしくおねがいしますねサーシャちゃん!(スリスリ)」
辛抱たまらなくなった五和に抱きしめられ、頬ずりをされるサーシャ
隠れ巨乳と噂される彼女の双丘の圧迫は、地味にそれでいて確実にサーシャの意識と体に
ダメージを与えていく
満足して開放した頃には、ある意味本当に物言わぬフランス人形の様になっていたという- 32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 01:20:00.64 ID:Ru3iF620
- 五和「それでは、この辺で。今度は一緒にロンドンを遊びまわりましょうね。」
サーシャ「第一の解答ですが、お見送り感謝します。第二の解答ですが、その時はまたよろしくお願いします。
補足させていただきますが、天草式の圧殺術をかけるのはもう勘弁してくだいさい。」
五和「す、すみません、サーシャちゃんが可愛過ぎたのでつい/////」
サーシャ「な、何を言ってるのですかあなたは/////」
赤面してうつむく二人
そこへ
アンジェレネ「大変!大変ですよー!大事件です!そこ!!女同士でなんか良い雰囲気出してる場合じゃないですよー!!」
五和「えっ!いえ!良い雰囲気とかそんなんじゃ!?」
サーシャ「第一の質問ですが、詳細な説明をお願いします。」
アンジェレネ「説明するより現場を見てもらった方が早いです!百聞は一見に如かずですっ!」
アンジェレネはサーシャの手を握り、その現場とやらに連れて行った
そこは、先程アニェーゼに連れられ、サーシャが忌々しい拘束衣と決別した焼却炉がある……いや、正確にはあったはずの場所だった - 33 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 01:21:53.75 ID:Ru3iF620
- 神裂「シスターアンジェレネ、サーシャさんを連れてきてしまったのですね…」
サーシャ「第二の質問ですが、一体何が?」
神裂「少しショッキングかもしれませんが…覚悟してください…」
焼却炉に来た時点ですでに嫌な予感はしていた
だが、もしかしたらそれは違うと、杞憂だと、僅かな希望にすがりたかった
神裂はサーシャの前から退き、サーシャはおそるおそる、その悪夢の光景を自分の目に映し、事実の認識に努めようとした
その悪夢の光景とは、その事実とは
なぜか焼却炉が跡形も無く木っ端みじんに爆破していたこと
そして、そんな大爆発があったにも関わらず、なぜかそれが、全てを焼き尽くす紅蓮の炎に投じたはずのそれが、
目立った傷一つなくホコリすらも寄せ付けず、まるで宝箱の中に大切に保管されていた物の様にそこに鎮座されていた
焼却炉「洗濯して干してアイロンがけまでちゃんとやっておきましたよ。ただし俺の命と引き換えにな!!」とでも言わんばかりである
一体、あの拘束衣にはどんな強大な聖骸布レベルの術式が施されていたのだろう
いや、もう考えたくない
サーシャ「はは…ははははは……」
サーシャは口を引きつらせ、抑揚の無い笑い声を発した後、暗転する視界と意識に身を任せた
同僚達が自分の名前を叫ぶのが聞こえたきがするが、なんかもういいや…… - 38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 01:32:44.45 ID:Ru3iF620
- サーシャ「!!!!!!?」
サーシャ「夢……ですか……」
たぶん今まで見た夢の中でワースト3位に入る悪夢だろう
ちなみにワースト1位は、先程の悪夢に出てきた拘束衣を上回る、もはや布がほとんど
無くて衣服として全く意味を成さないほどの服を着たまま戦死する夢だ。
あの時は本当に心の底から泣きつつワシリーサが呪われることを祈った覚えがある。
サーシャ「第一の解答ですが、当然のごとく眠れなくなりました。補足説明ですが、ついでにお腹も空きました。
って、誰も居ないのに誰に対して説明してるのでしょうか?」
あの大惨事を見た後、ショックで倒れてしまった。
亡命してきたことの疲労もあってか、そのままぐっすり寝てしまい、悪夢を見てしまったわけだが。
あれから何も食べていない。最後に何かを口にしたのは、天草の拠点で緑茶とせんべいを口にした時だ。
きゅるるとお腹からかわいらしい音が鳴るのが聞こえた
サーシャ「そう言えば、今日は私の歓迎会を開いてくれるはずでしたね。みなさんに悪い事をしてしまいました……」
サーシャ「ですが、今更悔いてもしかたありません。少し出歩くとしましょう…」
サーシャは夜中の暗い女子寮の徘徊を始めた
今度は「歩くフランス人形が!」とか言われて驚かれたりしないかと少し心配になったが、
西洋人を見なれない東洋人からすればそう見えるだけで、西洋人はそんな事を言ったりは
ルチア「……そこの歩くフランス人形の幽霊みたいなのは誰ですか?もう就寝時間はとっくに過ぎてますよ?」
サーシャ「……」 - 39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 01:36:12.01 ID:Ru3iF620
- ルチア「おや、サーシャさんではありませんか。」
ルチア「先程は心配しました。いきなり倒れたものですから。まああんな光景を見せられては無理もありませんが…」
サーシャ「ッ…!」
ルチア「どうかしましたか?」
サーシャ「いえ、第一の解答ですが、再びかくかくしかじか」
ルチア「確かに、それは酷い夢でしたね。心中お察しします。」
サーシャ「第二の解答ですが、もう私はダメかもしれません」
ルチア「え、いやそこまで思いつめなくても」
サーシャ「第三の解答ですが、私の灰は故郷に蒔いてください。灰になれば、
もうあの服を着る事もありませんから……フフフフフアハハハハハハハ」
ルチア「あ、あの、少しお話しませんか?話せば少しは楽になるかもしれませんし。」
修道女の寮で変死体が発見されるなどという最悪の事態を避けたかったのが本音である - 40 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 01:38:43.39 ID:Ru3iF620
- ルチア「どうぞ。」
サーシャ「第一の解答ですが、ありがとうございます。」
ルチアから紅茶を受け取るサーシャ
そして、その紅茶にこれでもかというくらいにミルクと砂糖を入れる
サーシャ「第二の解答ですが、ここは月が良く見えますね。まるでどこかの成金の別荘の様です。」
二人は今、女子寮最上階のテラスに居た
優雅に外の景色を眺めながらティータイムを楽しめる空間であり、休憩時には修道女達に人気の場所である。
しかし、今現在はすでに就寝時間を過ぎているため、そこにはサーシャとルチアしかいない。
サーシャ「ふぅ…第三の解答ですが、少し落ち着きました。」
ルチア「何となく誤解を招きそうな表現ですが、そこはスルーしましょう。」
サーシャ「……」
ルチア「後悔してますか?」
- 41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 01:40:46.48 ID:Ru3iF620
- サーシャ「第一の質問ですが、それはどういう意味でしょうか?」
ルチア「実は私も、元はローマ正教のシスターでした。あなたと同じ、自分の本来の信仰を捨てた身です。
アニェーゼやアンジェレネ達も。」
サーシャ「そうですか」
ルチア「特にアニェーゼやアンジェレネは孤児だった身を救われたのですから、ローマ正教を捨てるのは辛かったでしょう。
アニェーゼに至っては、ここに来た今でもローマの教えを貫いているくらいですから。それに、私だって辛かったですよ。
色々とあって最終的にはそうせざるを得なくなってしまいましたが。」
サーシャ「第一の解答ですが、私はあなた方とは違います。あなた方は捨てたくなかったのに捨てる事になってしまった。
しかし、私は自らの意思で捨てたのです。あなた方の信仰心は、私とは違い、とても気高きものであったと思います。」
ルチア「そんな事ありませんよ。それに、辛かったのに変りはないでしょう?」 - 42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 01:47:05.87 ID:Ru3iF620
- サーシャ「第二の解答ですが、少なくともここに来た事への後悔はありません。みなさんが私を受け入れて下さった事に対する感謝は、
言葉では表せないくらいです。補足しますと、友人も一人できましたし……」
ロンドンの街で出会った初めての友人の事を思い出し、少し顔が赤くなる
サーシャ「第三の解答ですが、私は友人と呼べる者は今まで居なかった気がします。
その事に改めて気付かされた時に、なぜかあの嫌な上司の顔を思い浮かべてしまったのです。
もとはと言えば、全てはワシリーサが元凶だというのに…」
サーシャは俯き、その顔を影が覆う
良く見ると、ティーカップの側面を包む様に持つ彼女の両手が、かすかに震えている様に
見える
サーシャ「なぜなんでしょうね?今更あの愉快なアホ上司の顔を思い出すと、こんなにも
胸が締め付けられるのは…」
結局、後悔してるのかしていないのか、辛いのか辛くないのか
それすらも曖昧なままで答えが出てこなかった
なぜか胸が苦しくなるので、考える事すら避けたかった
ルチア「たぶん、あなたはその上司の事が好きだったのかもしれません。だから、その苦しみはまだ続くでしょう。」
そういうと、ルチアはサーシャを抱き寄せ、優しく抱きしめてあげた…
- 43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 01:51:41.21 ID:Ru3iF620
- ルチア「気の利いた言葉は思い浮かびませんが、こうすると少しは楽になりませんか?
本当に辛い時は、誰かに甘える。焦る必要はありません。答えが見つからない時は、それを答えにしてしまえば良いのです。」
サーシャ「……」
不思議な温かさだった
ワシリーサとは根本的に性格が違うのに、なぜか同じ温かさを感じる
サーシャ「第二の質問ですが、もう少しこのままで居ても良いですか(ぎゅっ)」
ルチア「ええ、あなたの気が済むまで。」
結局のところ、答えは分からない
しかし、ここに来たという事だけは、間違いなく正解である
この温かさがそう教えてくれている
悪夢も苦しみも、今だけは全てを忘れ、ルチアの温かさに身を委ねてみようと
彼女はそう思った
- 44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 01:57:06.55 ID:Ru3iF620
- ここから先はエピローグ的なものです
サーシャ「第一の解答ですがルチア、ルチアはとても良い匂いです。優しくて懐かしい
匂いです。それに暖かくて、まるでお姉さんみたいですね。」
ルチア「そ、そうですか?でもサーシャさんもとても白くて綺麗でかわいいですよ?」
サーシャ「第二の解答ですが、うちのクソ上司もルチアみたいだったら良かったのですが」
ルチア「あなたの上司の代わりはできませんが、辛い時は遠慮なく私を頼ってくれて良
のですよ。それこそ、あなたのお姉さんみたいにです。」
サーシャ「第三の解答ですが、ありがとうございます、お姉様…(すりすり)」
ルチア(うっ、まずいですねこれは……)
ルチアはしっかりした性格で面倒見が良いため、年下に懐かれやすい。
アンジェレネもその一例なのであるが。
もちろんアンジェレネも可愛い。しかし、彼女の場合は手のかかる妹的な可愛さである。
そしてサーシャの場合は、それとはどこか違うベクトルの可愛さがある。
その可愛さは、なぜかルチアには「ここから先へ足を踏み入れたら戻れなくなりますよ?」
と警告されている様に思えてしまう
かつてロシアの殲滅白書のリーダーを魅了し、天草十字凄教の少女の理性を砕いた魔性の少女サーシャ
サーシャ「ルチアお姉様…(ぎゅっ)」
今、アニェーゼ部隊で最も厳格で禁欲的で理性的な敬虔なる修道女ルチアの理性をも砕こうとしていた - 45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 02:03:33.00 ID:Ru3iF620
- ルチア「(いけない、このままでは理性が…)サーシャさん、とりあえず、お姉様という呼
び方は変更していただけますか?」
サーシャ「第一の質問ですが、お姉様はダメなのですか?」
ルチア「むしろ良、いやダメです!」
サーシャ「そうですか。では第四の解答ですがシスタールチア(すりすり)、ルチアは
意外と胸が大きいですね。スタイルも良くて羨ましいです(ぎゅっ)」
サーシャはルチアの胸に顔をうずめる
ルチア「(いや、何も解決できてませんね。この可愛さは反則でしょう)修道女にはその
様なものは必要ありません。それに、胸ならシスターオルソラや神裂さんの方が」
オルソラ「お呼びでございましょうか?」
ルチア「……シスターオルソラ…いつからそこに?」
オルソラ「あらあら、逢瀬でございますか?どうやら私はお邪魔のようでございますね」
ルチア「お、おうっ!?一体どこをどう見ればそんな背徳的な表現につながるというのです!!」
オルソラ「でも満更ではないのでございますよね?」
ルチア「まあ確かに……って!そうじゃなくてですね!!」
オルソラ「そうそう、お料理の準備が整ってございますわ。」
ルチア「相変わらずですが、あなたの話には脈絡が無さすぎます。ていうか、何でこんな
時間に料理?」
オルソラ「とても微笑ましい光景で、思わず見とれてしまいました。」
ルチア「なぜそこに戻るのですか!?」
オルソラ「さあ、食堂へ参りましょう」
ルチア「もしかして寝ぼけてますか?」
オルソラ「みなさんお待ちかねですよ。」
ルチア「……」 - 46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 02:05:56.72 ID:Ru3iF620
- 寝ぼけてるのかまじめに言ってるのか、デフォルトでこんな感じのなのでイマイチ判断が難しい
しかし、もしオルソラの言ってる事が正しいのならば、こんな夜中に飲み食いをしている
不貞の輩どもに制裁を加えねばならない
というわけで、オルソラに連れられて食堂へと歩むサーシャとルチア
サーシャ「第一の解答ですが、何やら良い匂いがしますね。」
どうやらオルソラは寝ぼけていたわけではなさそうである
ルチア「オ・シ・オ・キ・カ・ク・テ・イ・ネ」
オルソラ「さあさあ、サーシャさん、主役はあなたでございますよ。」
サーシャ「第一の質問ですが、それはどういう」
質問を言い切る前に、オルソラが食堂の扉を開けた
そこには… - 47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 02:11:15.97 ID:Ru3iF620
- アニェーゼ「あ、やっと来ましたか。遅えですよ二人とも。」
アンジェレネ「シスターサーシャ!早く早く!」
シェリー「夜食を漁りに来たら私まで無理矢理参加させられたんだが」
そこには、さすがに大勢とは言えないが、こんな真夜中でも起きているシスター達が居た
オルソラ「さすがに御馳走とまではいきませんが、簡単な軽食をご用意させていただきま
した。日本で言う前祝いという奴です。」
ルチア「まったく、こんな夜中に飲み食いして馬鹿騒ぎする修道女が一体どこの世界にいるの
ですか」
アンジェレネ「まあまあ、良いじゃないですかシスタールチア。今日くらいは主も許し
てくれますよ。それよりも早く料理を」
ルチア「それに神裂さん、あなたまで。」
神裂「え、いや私はその…」
オルソラ「さあ、お二人とも、早く席についてください。お料理が冷めてしまうのでございますよ。」
ルチアはやれやれといった感じでため息をつき、オルソラに促されるように席に座る
五和「さ、どうぞ」
五和はサーシャのために椅子を引いてあげた
サーシャ「五和!?」
五和「えへへ、来ちゃいました。」
アニェーゼ「ところで、乾杯の音頭は誰がするんです?」
アンジェレネ「シスタールチアが良いと思いますっ!」
ルチア「アンジェレネッ!」
オルソラ「よろしいのではないですか?」
神裂「私も賛成です。」
シェリー「何でも良いから早く食いたいんだが」
ルチア「はぁ、これではまるでミイラ取りがミイラになってしまってるみたいですね」
アニェーゼ「細けえこたぁいいんですよ」 - 48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/08(日) 02:19:23.49 ID:Ru3iF620
- サーシャ「……」
何やら楽しそうに騒いでいるのを傍からぼーっと見ているのであるが、それも自分を歓迎するためのものだと考えると、
何やら妙な気分にさせられる
ルチア「では、本日はお日柄もよく」
アニェーゼ「夜ですよ?」
ルチア「サーシャ・クロイツェフさんはロシア成教殲滅白書に所属していたという事で」
シェリー「話が長いぞ部長」
ルチア「ぐぬぬ……わかりました!では簡潔にしますよ簡潔に!!」
神裂「そんなヤケにならなくても」
ルチア「私達の新しい仲間であるシスターサーシャと、主が与えて下さったこの素晴らしい出会いの奇跡に!!!」
全員「かんぱーい!!!」
五和「サーシャちゃん、おしぼりをどうぞ」
サーシャ「第一の解答ですが、ありがとうございます五和」
ちなにみ本格的な歓迎会は後日行われました
つづく? - 62 :1 [sage]:2010/08/09(月) 04:22:20.94 ID:4LgjpiI0
- サーシャがイギリスに来てから数日後
灰は灰に、塵は塵に…
ステイル「吸血殺しの紅十字!」
?「ぎゃああああああああ!!!」
ステイル「やれやれ、今日だけで三件か」
今日をーいっぱいーあーりーがーとー♪子羊のあく(ピッ)
ステイル「……土御門か。ああ、まただ。まったく嫌になる。ハロウィンはまだ先だというのに、化け者の相手ばかりだ。」 - 63 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/09(月) 04:26:17.28 ID:4LgjpiI0
- 「…呑気なものだな。こっちは深刻な人手不足だ。君の手も借りたいくらいだよ。」
「ああ、おそらく殲滅白書がまともに機能してないのだろうね。本来、
こういったこの世の“在らざるモノ“を始末するのは奴等の仕事なのだけど。」
「サーシャ・クロイツェフかい?彼女にも動いてもらってるよ。タダでさえ人が足らないんだ。
専門家を腐らせておく程の余裕はないさ。」
「それは考え過ぎだろう。たしかに彼女の戦闘力は高い。それに、大天使のテレズマをその体に納める程の潜在能力もあるだろうけど、
いくらなんでも彼女一人が欠けたくらいで殲滅白書がこれだけ堕ちるとは思えない。」
「まあ確かに無関係ではないのかもね。処理しきれない在らざるモノたちを、わざとこちら側に誘導させている可能性もある。
……ああ、大天使を身に納めた人間なんて魅力的な研究対象を手放したくはないのだろうね。」
「証拠さえ上がれば、癪だけど彼の力を借りる事になるかもしれないけどね。ああ、だけどそれ以前の問題さ。
最大主教は特に対策を打とうともしていない。一体何を考えてるんだか。」 - 64 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 04:28:26.78 ID:4LgjpiI0
- 「そうだね。とりあえずは、そっちの方に影響が無いならそれで良いさ。重要なのは彼女の安全だ。ああ、よろしく。」(ピッ)
電話を切ると同時に、何者かの足音が聞こえてくる
サーシャ「第一の解答ですが、こちら側は全て片付きました。」
ステイル「そうか、早かったね。さすがは元殲滅白書のエキスパートってとこか。」
サーシャ「第一の質問ですが、最近の異変は、やはり私に原因が」
ステイル「君のせいじゃないよ。最大主教だって黙認してるんだから。」
サーシャ「そうですか…」 - 65 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 04:29:12.97 ID:4LgjpiI0
- 「そうだね。とりあえずは、そっちの方に影響が無いならそれで良いさ。重要なのは彼女の安全だ。ああ、よろしく。」(ピッ)
電話を切ると同時に、何者かの足音が聞こえてくる
サーシャ「第一の解答ですが、こちら側は全て片付きました。」
ステイル「そうか、早かったね。さすがは元殲滅白書のエキスパートってとこか。」
サーシャ「第一の質問ですが、最近の異変は、やはり私に原因が」
ステイル「君のせいじゃないよ。最大主教だって黙認してるんだから。」
サーシャ「そうですか…」 - 66 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 04:32:39.67 ID:4LgjpiI0
- ミスりましたorz
【女子寮】
サーシャ「第一の解答ですが、ただいま戻りました。」
アニェーゼ「お疲れです。また例のあれですか?」
サーシャ「第二の解答ですが、その通りです。」
ルチア「最近やたら多いですね。そのうち、私達にも出動要請が回ってくるかもしれません。」
アンジェレネ「ええっ!!私、オバケとかそういうのはちょっと…」
ルチア「シスターアンジェレネ、その様な弱気な態度でどうするのですか。神の敵から人々を守るのも、
神に仕える我々シスターの役目なのですよ?」
サーシャ「第三の解答ですが、ご安心ください。あなた方を危険な目に遭わせたりはしません。絶対に…」
ルチア「シスターサーシャ…無理をしてはいけませんよ?」
サーシャ「第四の解答ですが、大丈夫です。心配は無用です。」
彼女達の気遣いが、口にする不安が、痛かった
サーシャはその場を逃げる様に浴場へと向かった
アニェーゼ「……」
- 67 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 04:35:35.75 ID:4LgjpiI0
- ところで西洋というのは、風呂の概念が日本とは異なる
あまり風呂というものに拘らない国や、蒸し風呂の国など様々であるのだが
この修道女の寮は少し特殊で、外観は洋風だが、形式は日本の公共浴場に近い
その理由としては、学園都市から送られてくる風呂により、風呂そのものにハマった
最大主教によるこだわりにより改装された事にある
サーシャとしては、洗い場と湯船が分離しているという日本特有の浴場は、この寮に来るまで経験した事なかったのだが、
最近ではわりと気に入っている
サーシャ「はぁ……」
仕事の後のひとっ風呂は良いものだな。と、やたら広い湯船に一人でつかりながら、
この年で日本のサラリーマンみたいなことを思っているわけだが、考えているのはそれだけではない - 68 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 04:37:04.50 ID:4LgjpiI0
- 最近イギリス各地で増えている”在らざるモノ”の事件
本来は、もともと彼女の所属する殲滅白書が中心となってそれらの処理を行っていたのだが
最近はどうも様子がおかしい。殲滅白書に何かあったのだろうか?あるいは…
いずれにせよ自分に関係がないとは思えなかった
そして何よりも、そのせいでみんなに迷惑をかける事が嫌だった。
彼女達を”在らざるモノ”との戦いに駆り出させて傷付けてしまう様な事など、絶対にあってはならない。絶対にむにゅっ
サーシャ「むにゅ?」
ふと、自分の脇から伸びてくる謎の二本の白く細い腕の存在に気付いた
謎の白くて小さい手が自分の胸を後ろから鷲掴みしている - 69 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 04:40:16.02 ID:4LgjpiI0
- むにゅ♪むにゅ♪
サーシャ「だ、第一の解答ですが……一体何を?」
アニェーゼ「アニェーゼ部隊恒例のドキドキ☆身体チェックですよ。」
アニェーゼ「ふむふむ、悔しいですが、私やアンジェレネより少し大きいですね。本当にほんのちょっぴりですけどね!」むにゅ♪むにゅ♪
サーシャ「あの…ん……そろそろ離して…ください…/////」
これがワシリーサなら何のためらいもなく金槌で殴っているだろう
アニェーゼ「悔しいのでもう少し揉みしだいてやります(もみもみもみ)」
サーシャ「ひっ、ひゃめてくだ、あぅ…/////」
アニェーゼ「ここか?ここがええんですかい?(むにゅむにゅっ)」
サーシャ「誰か…助け……あぅぅ…」
アニェーゼ・サンクティス
7巻のオルソラの件と18巻のとあるものを見てもらえばわかるが
彼女はかなりのドSである - 70 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 04:41:57.78 ID:4LgjpiI0
- サーシャ「ハァ…ハァ…/////」
アニェーゼ「すいません。正直調子にのり過ぎました。」
浴槽の壁にぐったりともたれ掛かるサーシャ
真っ白だった肌が、今は蒸気し、真っ赤になっている
サーシャ「第一の解答ですが、酷いです、もうお嫁にいけません…」
アニェーゼ「迷惑でしたか?」
サーシャ「第二の解答ですが、そんな当たり前の事を聞かないでください」
アニェーゼ「当たり前ですよね。迷惑をかける事なんて。」
サーシャ「第三の解答ですが、そういう意味ではなく」
アニェーゼ「当たり前なんですよ。」
サーシャ「……はい?」 - 71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 04:46:28.91 ID:4LgjpiI0
- サーシャ「第四の解答ですが、けしてそんな事は」
アニェーゼ「これでも252人の大所帯のリーダーやってんですよ。甘く見ねえでください。」
サーシャ「うっ…」
アニェーゼ「良いですかいサーシャ?アンタみたいな生真面目な人間は、いつもそうやって自分を追い詰めて勝手に苦しんでるんです。
大変なんですよ。傍から見たら平気そうな顔をしてるから、壊れちまうまで気付かねえこともあるんです。」
アニェーゼ「そういう仲間を見る度に、何でもっと早く気付いてやれなかったのか?助けてやれなかったのかって思っちまうんですよ。
分かります?それがどれだけ辛いことか。」
サーシャ「第五の解答ですが、あなたの気持ちはわかります。ですが、これは」
アニェーセ「これは自分の問題?私らには関係無いし、何もできない?分かっちゃいないんですよ!!
サーシャは私らに気を遣ってるのかもしんねーですけど、私らにとっちゃ、
サーシャが勝手に苦しんでるのを見せられる方が余程迷惑なんですよ!!」」
興奮し、湯船から立ち上がるアニェーゼ。一糸まとわぬ未成熟な肢体が露わになる
サーシャ「アニェーゼ…」 - 72 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 04:48:56.66 ID:4LgjpiI0
- アニェーゼ「私らは、在らざるモノとの戦いに慣れてるわけじゃねえですから、サーシャの力にはなれないかもしれません。
根本的なとこで協力できないのは悔しいです。」
そして、アニェーゼはガシッとサーシャの華奢な肩を掴み、鬱陶しい程に伸びた前髪の奥に隠れたサーシャの大きな瞳をまっすぐに見つめた
アニェーゼ「それでも、迷惑かける事を恐れないでください!!それが仲間ってもんでしょう?それとも、
私らはサーシャにとっては仲間じゃねえんですか?」
その質問に対する解答は、1+1よりも簡単だ
サーシャ「アニェーゼ…第一の解答ですが、私は、仲間だと思っています。みんな、大切な私の仲間です!」
アニェーゼ「だったら約束してください。私らの前で、弱みを見せる事を恐れないでください。良いですか?」
自分と年端の変らない少女が、なぜか自分よりずっと大きな存在に見えてしまう。
きっと、この歳で色んな経験をしてきたのだろう。
この世の不条理、無力、絶望、色んなものを見て苦しんできたのだろう
だから、彼女の言葉はただの表面だけ着飾った聞こえの良いだけの言葉で終わらずに、心にまっすぐと響いてくる - 73 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 04:53:54.23 ID:4LgjpiI0
- サーシャ「第二の解答ですが、わt」
アニェーゼ「約束できねえってんなら、分かるまでその体にとことん教え込んでやりましょうか」
サーシャ「え?」
アニェーゼは手をわきわきと動かしながら、不気味な笑顔と共にサーシャにせまる
アニェーゼ「たしか、太股が性感帯なんですよね?」
サーシャ「だ、第一の質問ですが、なぜそれを!?」
ぞくりとした寒気が背中を這うのを感じた
アニェーゼ「へっへっへっ」
アニェーゼはサーシャの太股をゆっくりと這う様に指を滑らせる
サーシャ「ひやっ!だ、だいさんの、ひぐっ!あうっ…」
サーシャはなんとか逃げようとするが、アニェーゼが後ろからガッチリとホールドする
アニェーゼ「逃がすと思ってやがるんですか?さあ、もっと良い声で鳴いてくださいよ」
サーシャ「ふにゃっ、ダメ…れす…そこは…ほんと…に…よわいんれす…はうっ…」
アニェーゼ「内側はかなり弱いみたいですねえ。こんなにも敏感なくせに、あんな拘束衣を着てさらけ出してるなんて、
サーシャは相当なドMってやつですかねえ」
サーシャ「ちが…あれはワシリ…サが…ひゃんっ!」
前言を撤回しよう
この少女は変態だ、ただの危ない人だ - 74 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 04:55:32.36 ID:4LgjpiI0
- このままではイケない、いやいけないと、サーシャは身をよじりながらなんとか逃れようとする
そして、身をよじらせながら抵抗してるその最中、サーシャは右手で柔らかい何かを掴んだ
それはちょうど、サーシャの手のひらに収まるくらいのサイズの…
アニェーゼ「きゃっ!」
サーシャ「……」
アニェーゼ「……あー、えーとその…」
アニェーゼ・サンクティス
彼女はドSである
しかし、同時に自分がスカートを捲られたり胸を触られたりするのを激しく嫌うほどの可憐な乙女である
なんて迷惑でタチの悪い性癖なのだろう
アニェーゼ「…あ、あはははは」
サーシャ「…第四の解答ですが、そういうことですか(二ヤリ)」
はよく見えないが、口は三日月の様に両端を釣り上げている
どうやらアニェーゼの胸を掴んだ右手は、サーシャに形勢逆転のチャンスをもたらす神の右手だった様だ - 75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 04:57:43.37 ID:4LgjpiI0
- 「ちょっ、どこさわってやがんですか!」
「第一の質問ですが、ここですね!」
「べ、別にそんなとこ触れてもあうっ!」
「第一の解答ですが、しっかり感じてるじゃないですか」
「おのれ、反撃です!」
「だだ、第二の解答ですが、付け根は反則です!」
「反則なんて文字は私の性書にはねえんですよォ!」
ルチア「なんですか騒がしい!聖書のどこにそんな盛り上がる場面があると……」
アニェーゼ「( ゚д゚)」
サーシャ「( ゚д゚)」
ルチア「……」
アニェーゼ「( ゚д゚ )」
サーシャ「 ( ゚д゚ )」
ルチア「(^ω^#)」 - 76 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 05:01:16.80 ID:4LgjpiI0
- ルチア「で、風呂場で乳繰り合っていたという事ですか。修道女が?」
アニェーゼ「いえ、乳繰り合っていたのは認めますが、別にイヤラシイ気持ちがあったわけでは」
サーシャ「うそつき」
ルチア「しかもシスターサーシャまで」
サーシャ「第一の解答ですが、面目ありません。」
アニェーゼ「あの、このジャパニーズセイザという奴はかなり足に負担がくるのですが。
それと、さすがに風呂上がりで長時間バスタオル一枚というのは体によくねえと思います。」
サーシャ「へくちっ!」
ルチア「ハァ……」
ルチアは額に手を当てながらため息をついた
たぶん性格からして、サーシャはとばっちりを受けたのだと思う
そしてこのアニェーゼ・サンクティスだが、厳格な上下関係は無いとは言え、
一応自分の上司にあたる修道女である
しかしながら、自分は本当にこの修道女と共に命懸けの戦いに臨んで良いものなのかと、本気で心配になった - 77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 05:04:42.98 ID:4LgjpiI0
- アニェーゼ「やれやれ、酷い目にあいました。」
サーシャ「第一の解答ですが、あなたのせいです。」
アニェーゼ「むう」
サーシャ「……ですが、先程の事は、素直に嬉しく思います。」
アニェーゼ「えっ、そんなによかったんですかい?サーシャも意外とスケベなんですね」
サーシャ「第二の解答ですが、大事な話をしようとしてる時にボケないでください。」
サーシャ「第三の解答ですが、どうやら私は、口では仲間だと言いながら、心ではあなた方としっかり向き合うという事を
恐れていたのかもしれません。」
アニェーゼ「サーシャ…」
サーシャ「補足説明しますと、私は仲間をもっと信頼すべきだと反省しています。これからは、
もっと積極的にあなた方に迷惑をかけようと思います。」
アニェーゼ「いや、別に無理してかけるもんでもないと思いますが。まあ、分かってくれたんならそれでいいですよ。」
どうやらこの件に関しては無事解決したようだ。たぶん。 - 78 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 05:06:16.75 ID:4LgjpiI0
【また別の日】
サーシャ「んっ……!」
カーテンから淡く差し込む光を浴びながら、サーシャは軽く背伸びをする
修道女の朝は早い
だが、今日はいつもよりも特別早かった
なぜなら、本日彼女は食事当番だからである
オルソラ「おはようございます、サーシャさん。」
無論、一人で食事の用意をするわけではない。今日はオルソラもその当番の一人だ。- 79 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 05:08:09.68 ID:4LgjpiI0
- サーシャ「第一の解答ですが、おはようございます。」
オルソラ「サーシャさん、はい、あーんしてください」
オルソラは塩ゆでしたエビのぶつ切りを一つ、フォークで刺し、サーシャの口元に差し出す
サーシャ「(ぱくっ…むぐむぐ)……第二の解答ですが、塩加減、茹で具合ともに申し分ないと思います」
オルソラ「そうでございますか。では、次はこちらのパスタを」
サーシャ「……第三の解答ですが、こちらも塩加減、茹で具合ともに申し分ないと思います。」
オルソラ「ふふ、ありがとうございます。それでは、次はこちらを」
モブA「サーシャ、こっちもこっちも!」
モブB「ダメよ、次はこっちを味見してもらうんだから!」
サーシャ「あの…」
モブC「ずるい!サーシャは私のものよ!」
モブB「サーシャちゃん、はい、あーんして」
モブA「ちょっとB!モブキャラの分際で抜け駆けしてんじゃないわよ!」
モブC「アンタもモブキャラでしょ!」
オルソラ「あらあら♪」
サーシャ「解せぬ」
なぜかサーシャは味見係という不動のポジションを獲得していた
別の言い方をすれば、餌付けされてるとも言う - 80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 05:11:46.74 ID:4LgjpiI0
オルソラ「主よ、わたしたちの日ごとの食物を、わたしたちに必要な糧を今日も与えて下さった事に感謝します……
それでは、主への感謝の思いを馳せながら、朝食をいただきましょう。」
サーシャ「……」
アンジェレネ「あれ、シスターサーシャ、随分と量が少ないですね。」
アニェーゼ「ダイエットですか?でもその体はむしろ栄養を必要としてると思いますよ。」
ルチア「彼女は暴食という大罪に惑わされていないだけです。アンジェレネも見習いなさい。
だいたい何ですか?朝からチョコレートドリンクにアイスって、神様にケンカ売ってるんですかあなたは?」
サーシャ「……」
言えない、味見しすぎて食べられないなんて口が裂けても言えない- 81 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 05:14:09.56 ID:4LgjpiI0
- 【科学vs魔術】
事件は突然起きた
アニェーゼ「大変です!洗濯機が!学園都市が誇るAIを搭載した全自動洗濯機が悲鳴を!」
アニェーゼは、何やらガタゴトと物騒な音を立てながら警告音を鳴らす洗濯機を指さし、その洗濯機と一緒に悲鳴を上げていた
ルチア「何ですって!あの布団まる洗いという荒業を成し遂げた洗濯機がですか!?」
アンジェレネ「一体何が原因なんですか…?」
てんやわんやと騒ぎながら例の洗濯機を見つめる彼女達
そして見てしまった
グルグルと回り続ける洗濯機の中に、かすかに見えるあの恐ろしい物を
サーシャの亡命の原因となったアレを
「またお前か!!!」
その場に居た誰もがそう叫んだ - 82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 05:15:57.67 ID:4LgjpiI0
- ルチア「誰ですか!あんな物騒なものを洗濯機に放り込んだのは!」
アンジェレネ「そもそもシスターサーシャは、いつもどうやってアレを洗濯してたんですか?」
サーシャ「第一の解答ですが、基本的には、インナー以外はいつも魔術関連の道具を手入れしてる人達にお任せしていました。」
つまり、普通の方法では洗濯されていなかったという事だろう
サーシャ「第二の解答ですが、あの洗濯機を止めるしかありませんね。」
サーシャは修道服の袖からバールと金槌を取り出し構える
するとそこへ
?「待ってください!」
何者かがサーシャを制止しようとする - 83 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 05:18:41.51 ID:4LgjpiI0
- 神裂「待ってください!そんな物騒なものを取り出して、彼に一体なにをするつもりです!」
サーシャ「(彼?)第三の解答ですが、洗濯機を破壊します」
神裂「破壊!?いけません!修道女がそんな暴力的な手段に出るなど!」
サーシャ「第四の解答ですが、あの焼却炉の悲劇を忘れたのですか?」
神裂「しかしっ!」
サーシャ「第五の解答ですが、このままではいずれ勝手に洗濯機は壊れるでしょう。彼は壊れるまで苦しみ続けるのですよ!」
神裂「うッ……」
サーシャ「第一の質問ですが、彼が苦しんでいる姿を前にして、まだ幻想にすがるのですか!?
助からないかもしれないけど、とりあえずそのまま苦しみ続けてくれだなんて言えますか!?」
神裂「……」
確かに、あの焼却炉の末路を考えれば、このまま彼を苦しめ続けるのは残酷な事の様に思える
今までの神裂ならここで諦めていただろう
しかし、彼女は知っている
自分達がずっと諦め、絶望していたにも関わらず
けして最期の最期まで諦める事無く闘った少年を
一人の少女を救うために闘い続けたあの少年を - 84 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 05:22:54.18 ID:4LgjpiI0
- サーシャ「第六の解答ですが、今すぐ楽にしてあげます!」
神裂「させません!」
サーシャ「第二の質問ですが、あなたは」
神裂「うっせんだよ!!ド素人がッ!!!」
サーシャ「!?」
神裂「苦しんでる?だから楽にしてあげる?違うでしょう!彼は…彼は闘ってるんです!あの拘束衣と闘ってるんですよ!
誰にも助けを求めずに、今この瞬間も彼は一人で闘ってるんですよ!それを、これ以上苦しまないために?あの悲劇を繰り返さないために?
そんな下らない理由で彼の想いを踏みにじるんですか!!勝手に彼を値踏みしないでください!!例え私達がどれだけ無力でも、
どんな理由を並べても、それで彼が殺されていい理由にはならないでしょうが!!!それでもまだ彼の闘いに水を刺そうとするのなら、
上から目線の勝手な決め付けで彼の想いを否定しようとするのなら!!」
神裂「salvere000!!この名にかけて私があなたの幻想をぶち殺します!!」
ルチア(神裂さん……なぜそこまで必死に?)
アニェーゼ(笑顔で洗濯機をピカピカに磨いてたり、よく一人で洗濯機に話しかけたりしてましたけど、そういう性癖ですか?)
アンジェレネ(目が怖い…)
サーシャ「……第一の解答ですが神裂、私が間違っていました。」
全員(えぇーっ!!!) - 85 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/09(月) 05:26:11.80 ID:4LgjpiI0
- サーシャ「あなたの洗濯機に対する信頼は、私も見習わなければならないと補足します。」
神裂「サーシャさん……共に、科学(洗濯機)と魔術(拘束衣)が交差して始まった物語の結末を見届けましょう!」
サーシャ「Да!」
結局、この戦いは洗濯機の粘り勝ちで幕を閉じたわけであるが
洗濯機「神裂さん、俺やりましたよ…」
神裂「よくがんばりました…グスッ…あなたって機械(ひと)は本当に…(ぎゅっ)」
サーシャ「第二の解答ですが、これが信頼というものなのですね…」
ルチア「いえ、違う…というわけでもないのでしょうか?あれ?」
その場で謎の感動に浸っているサーシャと神裂
洗濯機が凄い事は認めるが、この二人にはなんて声をかけてあげれば良いのだろうか?
天にまします彼女達の父に答えを求めても、けして返ってくる事は無かった
つづく - 98 :1 :2010/08/12(木) 01:14:16.92 ID:LS4xpa.0
- 【これは、サーシャがイギリスに来てまだ間もない頃の話です】
シェリー「おい、そこのやたら前髪が長い金髪のちびっ子」
サーシャ「…?」
シェリー「そう、お前さんだ。」
サーシャ「第一の解答ですが、長い前髪と金髪はともかく、ちびっ子には同意しかねます。
補足説明すると、私はサーシャ・クロイツェフです。」
シェリー「じゃあサーシャ、ちょっと頼みごとがあるんだが」
サーシャ「第一の質問ですが、頼み事とは何でしょうか?ゴスロリの君」
シェリー「私が名前で呼んでるんだから、アンタも名前で呼べっつーの。」
サーシャ「……」
シェリー「もしかして、私の名前を覚えてないとか?」
サーシャ「第二の解答ですが、そんな事はありませんよ。オリバー・クロムウェル卿。」
シェリー「それは元ネタだ!!ナメてんのかテメェ!!」
サーシャ「第三の解答ですが、良いリアクションをありがとうございますシェリー」
シェリー「くッ…このガキっ…」
頼みごとなど無ければ、この場でゴーレムを召喚してどつきまわしていただろう - 99 :1 [sage]:2010/08/12(木) 01:19:18.75 ID:LS4xpa.0
- サーシャ「第一の質問に戻りますが、頼み事とは?」
シェリー「アンタにモデルをやってもらいたいんだが」
サーシャ「第二の質問ですが、モデルですか?しかし、私の未成熟な体系で勤まるのでしょうか?」
シェリー「はあ?」
サーシャ「第三の質問ですが、もしやロリコン向けの雑誌のモデルとかそういうのですか?」
シェリー「確かに、ロリコンには需要ありそうだな。ロリコンには。」
その頃、遠く離れた東の島国では
一方通行「ぶぁくしょい!」(パァン!)
土御門「にゃっ!!」
結標「一方通行!なんで土御門を狙撃してんのよ!」
一方通行「いや、くしゃみで照準が…誰か俺の悪口でも言ってンのかァ?」
土御門「メイドさん……最高……ぜよ(ガクッ)」
海原「土御門さん、足をかすっただけですよ」
命に別条は無かったので特に問題になりませんでした - 100 :1 [sage]:2010/08/12(木) 01:20:42.19 ID:LS4xpa.0
- サーシャ「彫刻?」
シェリー「ああ。つーか、私がロリコン向けの写真を嬉しそうに撮る様な変態カメラマンに見えんのか?」
サーシャ「……」
シェリー「否定しろよおおおおおっ!!!」
サーシャ「第一の解答ですが、確かに彫刻家には見えません」
シェリー「そっちじゃねえ!!!」
サーシャ「第二の解答ですが、再び良いリアクションをありがとうございます」
シェリー「[ピーーー]ッ!このガキ絶対にぶっ[ピーーー]ッ!!」
ブチ切れたシェリーはゴーレムを召喚しようとしたが、神裂が後ろから羽交い締め
して止めたため事なきを得た - 101 :1 [sage]:2010/08/12(木) 01:23:08.83 ID:LS4xpa.0
- シェリー「はぁ……まあつまりだ、アンタに彫刻のモデルをやってもらいたいっつー事よ」
神裂「珍しいですね、あなたが誰かに作品のモデルを頼むなんて。」
シェリー「こいつを見た時から創作意欲ってもんが湧いてたんだが、なんかもう失せた。」
神裂「まあまあ、で?どうですかシスターサーシャ?シェリーは王立芸術院で美術講師を務める程の著名な彫刻家ですよ?」
サーシャ「第一の解答ですが、その世界の権威とかいうやつですか。凄いですね。」
シェリー「い、いや、まあそんな大それたもんでもねぇけどよ…///」
サーシャ「補足すると、人は見かけによらぬものと言う事ですか。」
シェリー「なあ、お前何か私に恨みでもあるのか?あるんだな?あるんだろ!?」
神裂「お、落ち着いてください!」
サーシャ「第二の解答ですが、またまた良いリアクションを(ry」
シェリー「エリィィィイイイイス!!!こいつを踏み潰せええええ!!!」
エリス「( ゚皿゚)ゴルァ!!」
神裂「こんなとこでゴーレムを召喚しないでください!!!」
そんなこんなで平和的にサーシャはモデルを引き受ける事になりました
- 102 :1 [sage]:2010/08/12(木) 01:26:19.32 ID:LS4xpa.0
シェリー「とりあえずそこの椅子に座れ……」
サーシャ「空気椅子ですか?」
シェリー「したけりゃ勝手にしてろよ」
サーシャ「ちなみに第一の解答ですが、背もたれ無しでも5時間くらいは余裕でいけます。空気椅子。」
シェリー「何気にすごいなお前。どうでも良いけどよ。」
サーシャ「ところで第一の質問ですが、彫刻なのになぜ絵を描くのですか?」
シェリー「絵って言ってもラフ画みたいなもんだ。こうするとイメージが固まるのよ。ああ、手は膝の上で重ねろ。」
サーシャ「……」
シェリー「………」- 103 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 01:27:56.65 ID:LS4xpa.0
一時間後
サーシャ「……」
シェリー「もういいぞ」
サーシャ「第一の解答ですが、さすがは芸術家なだけあって上手ですね」
シェリー「ごくろうさん。帰れ。」
サーシャ「第一の質問ですが、ヤル事やったらいきなり帰れだなんて酷すぎませんか?所詮は私の体が目当てだったのですね…」
シェリー「誤解を招く様な言い方するなっての。ほら、アメやるから。」
サーシャ「第二の解答ですが、また子供扱いですかとサーシャは不満を隠せません。」
シェリー「じゃあ撫でてやるよ(ナデナデ)」
サーシャ「第三の解答ですが、あなたが私をからかっているのはよく分かりました。あとアメはいただきます。」- 104 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 01:30:09.13 ID:LS4xpa.0
それから数日後
サーシャ「第一の解答ですが、お茶が入りました」
シェリー「ああ、その辺に置いとけ」
シェリーはサーシャの方を見向きもせず、鑿と玄能を手に夢中で真っ白な大理石を削っている
サーシャ「分かりました。第一の質問ですが、このクッキーはどこに置けば良いですか?」
シェリー「同じとこに置いときゃ良いだろ。わざわざ分離する意味が分からん。ジャパニーズオリヒメとヒコボシかよ。」
サーシャ「では第二の質問ですが、小腹が空いたので代わりに私がいただいても良いですか?」
シェリー「なんなんだお前はよォ!!どういう思考回路してのよォ!!」
サーシャ「第二の解答ですが、今日も良いリアクションをありがとうございます。」
シェリー「ああ、そうか。アンタは悪魔か。悪魔なら殺しても罪にならないわよね。」
サーシャ「第三の解答ですが、ストレスは体によくありません。悩みがあるなら私が聞きましょうか?」
シェリー「……はぁ…」
そのストレスの原因はオマエだ!と叫びたいところだが、もうどうでもいいかという気持ちの方が遥かに強くなった- 105 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 01:32:21.00 ID:LS4xpa.0
シェリー「やれやれ、しょうがねえから一息つくとするか」
サーシャ「第一の解答ですが、あなたとティータイムを共にするのは初めてですね。」
シェリー「何だ、ちゃっかり自分の分も運んで来たのかよ。つーかお前、砂糖とミルク入れ過ぎ。」
サーシャ「第二の解答ですが、私はこれが好きなのです。」
シェリー「お子ちゃまの味覚だねぇ。上等なダージリンのすすり泣きが聞こえるわよ。」
サーシャ「第三の解答ですが、それは幻聴です。更年期障害の可能性も視野に入れるべきでしょう。」
シェリー「あたしゃまだ二十代だ。」
サーシャ「えっ!?」
シェリー「えっ!?じゃねえ!!」- 106 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 01:36:17.82 ID:LS4xpa.0
そんなこんなで他愛も無い話をする二人
特に意味も無く、特に何かが起こるわけでもなく
ティーカップとソーサーの重なる音が、印象的に感じられるくらいの静かな時間が流れていく
まるで放課後の静かな美術室で、何をするでもなくただ寛いでいる様な感覚
そんな平和な二人の午後のティータイム
ふと一つの石像が目に留まる
大理石で作られた等身大の少年の像
台座には、「エリス」と英語で刻まれている
サーシャ「第一の質問ですが、あの石像は何でしょうか?」
シェリー「ん?ただの失敗作だ。」
サーシャ「第二の質問ですが、とても失敗作とは思えない出来です。理由を聞いても良いですか?」
シェリー「アンタは、あの石像が本物の少年に見えるか?」
サーシャ「第一の解答ですが、さすがにそこまで精巧には見えません。」
シェリー「だから失敗作さ。所詮はタダの石像でしかない。」
サーシャ「……?」
よくわからない。石像とは石を彫って作った作品の事ではないのだろうか?
ならばそれは、無粋な言い方をすれば石以外の何物でもなく、石像が石像の枠を超える事などあり得ないはずである
- 107 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 01:41:21.08 ID:LS4xpa.0
サーシャ「第二の解答ですが、よく見ると、ここには他の作品はありませんね。」
シェリー「そりゃあるわけないわよ。全部ぶっ壊してんだから。」
サーシャ「第三の質問ですが、なぜその様な事を?」
シェリー「失敗作なんか残したってしょうがねえだろ。」
サーシャ「完成品は無いのですか?」
シェリー「周り見りゃ分かんだろ。」
サーシャ「うーん……第四の質問ですが、ならば完成品とは何なのですか?」
シェリー「完成品ってのは…そうだな……例えるなら、唯一絶対的な美を持つ作品だな。芸術家ってのは、
みんなその境地を目指してんのよ。ルネサンス、バロック、新古典、ロマン、写実、印象。時代と共に現れたそれらの
形式や学派も、全ては試行錯誤の過程に過ぎないのよ。」- 108 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 01:43:51.51 ID:LS4xpa.0
シェリー「今に至るまで色んな芸術家が排出されたけど、本当の意味で完成品ってのを創った奴は居るのかどうか疑問だわ。
全てが完璧で、あらゆる推考も比較も、それを超える美の存在すらも永遠に許さない程の絶対的な作品なんて見たこと無い。」
サーシャ「では、シェリーにとっての完成品とは一体何ですか?」
シェリー「さあね。それが分かりゃ苦労しねえよ。もしそれが理解できたとしたら、それは死と同じだ。芸術家としての死さ。
それ以上求める物なんかねぇんだからよ。」
サーシャ「死…ですか。」
シェリー「ま、芸術家だけの話じゃねぇ。人間はみな死ぬまで勉強は続くんだよ。終わりのない冒険と一緒ってことだ。」
サーシャ「……第三の解答ですが、やはりよくわかりません。」
シェリー「ま、この話はお子様にはまだ早かったってことだな。」
シェリーの言う事はよくわからないが、ただ一つ想う事がある。
- 109 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 01:47:00.61 ID:LS4xpa.0
サーシャ「第一の質問ですが、シェリーはその作品が完成したらどうなるのでしょうか?」
シェリー「そんなのは完成してみなきゃ分かんないわよ。」
サーシャ「第二の質問ですが、失敗作だったらまた壊すのですか?」
シェリー「失敗作なんか残したってしょうがないだろ。」
サーシャ「そうですか……第一の解答ですが、なんだか複雑な気分です。本当の意味での完成がシェリーの死を意味するのなら、
私はそれを望みません。ですが、失敗作になってしまう事ももちろん望みません。第三の質問ですが、私はどうすればいいのでしょうか?」
シェリー「何だ?さんざん生意気な口を聞いときながら、私の心配をしてるのか?ハハッ、お前も可愛いとこあるんだなぁ。」
真剣なサーシャとは対照的に、笑いながらサーシャの頭を乱暴に撫でてくるシェリー
サーシャ「むっ、第二の解答ですが、別にそういう事ではありません。自分がモデルになった作品だから、少し心配になっただけです。」
口調は丁寧だが、声色は不満を明確に主張している
強引に撫でられながらも、彼女の頬は微かに紅く染まっていた- 110 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 01:48:49.98 ID:LS4xpa.0
シェリー「心配されんのは悪い気はしない。だが、これは私の問題だ。お前が気にする事じゃねえよ。」
サーシャ「ですが、一人で悩むのは良くありませんよ。」
それは、つい二、三日前にアニェーゼから指摘された事である
シェリー「そうかい。お前さんも少しは成長したんだな。だが、一人で抱える事と依存する事は違う。
信頼ってのは、する事も大事だが、される事も同じくらい大事なんだ。」
サーシャ「むぅ……」
シェリー「ま、要は私を信頼しろって事だ。」
シェリーはそう言うが、サーシャは首を傾げる事しかできない
結局のところ、サーシャにはあまりよく分からなかった- 111 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 01:50:46.92 ID:LS4xpa.0
他愛も無い話をする二人
意味があったのか無かったのかは分からない。特に何かが起きたわけでも無かった。
ティーカップとソーサーの重なる音が、印象的に感じられるくらいの静かな時間が流れていく
まるで放課後の静かな美術室で、何をするでもなくただ寛いでいる様な感覚
そんな平和な午後の二人のティータイム
そう言えば、一つだけ聞きそびれた事がある
シェリーが失敗作の烙印を押したあの石像
彼女はなぜ、あれを壊さなかったのだろう…
- 112 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 01:55:33.78 ID:LS4xpa.0
数週間後
オルソラ「失礼します……やはり起きていたのでございますか」
シェリー「ん?なんだ、アンタか」
オルソラ「差し入れでございます。」
シェリー「ありがとよ。ちょうど終わったとこだから、すぐに食わせてもらう。」
オルソラ「まあ!完成したのでございますか!」
そこには真っ白な大理石で作られた、等身大の修道女の石像があった
長い前髪から輪郭まで細かく再現されている。
石で出来ている事を忘れてしまいそうなくらいの透明間を感じる滑らかな肌は、
思わずその手で触れて、撫でたくなる誘惑に駆られそうになる
まるで、サーシャ・クロイツェフと言う名の少女が、本当にそこに静かに腰掛けている様な錯覚を覚えてしまう程だ
オルソラ「とても素晴らしい出来栄えでございますわ!この作品を一番最初に見る事ができた私は、とても幸運なのでございましょう。」
その言葉に嘘偽りは無い。オルソラは、その作品に対して素直に感動し、素直に敬意を表している。
だが
シェリー「どこがだよ。とんだ失敗作だ。アイツの1000分の1も表現出来ちゃいねえ。」- 113 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 01:58:12.56 ID:LS4xpa.0
オルソラ「そうなのでございますか……難しいものでございますね。」
素直に落胆の表情を見せるオルソラ
これのどこがダメなのか?おおよそ一般人には理解できないものである
オルソラ「残念でございますわ。これだけ素晴らしい作品なのに、壊してしまわれるなんて…」
シェリー「さて、どうしたもんかね…」
そう呟きながら、彼女は自分の作った失敗作を見つめ、後頭部を掻く
シェリー「……なんかコイツを見てると、今にも生意気な事を言い出しそうだな……
やれやれ、これじゃあ壊すに壊せねぇじゃねえかよ。」- 114 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 02:00:43.83 ID:LS4xpa.0
- オルソラ「ふふ、また壊すことのできない作品が増えたみたいでございますね」
シェリー「まったく、いい迷惑だ。造るんじゃなかったよ」
自分で依頼しておきながら何とも身勝手な発言ではあるが、信頼しろといった手前、サーシャの納得の行く選択をしなければならない
完成品には程遠いが、壊すには惜しい失敗作。だから壊さないでおいてあげたのよ。
とりあえずサーシャにはそう言っておくか。と考え、シェリーは紅茶に口を付けた
サーシャ「やれやれ、お子様の相手は疲れるねぇ。せめて、この紅茶の良さくらいは理解してもらいたいもんだわ。」
第一の解答ですが、これが私なりの紅茶に対する理解なのです。ミルクティー最高です。
目の前の修道女の石像は、シェリーの独り言に対してそう言いたそうな顔をしていた
- 115 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 02:05:55.63 ID:LS4xpa.0
【お酒は18になってから(by the Law of Britain)】
サーシャ「第一の解答ですが、ロシアではジャムとブランデーを入れた紅茶が定番です……とか思ってませんか?
それは間違いです。ロシアでは紅茶はストレートで入れ、ジャムを舐めつつ紅茶を飲むのであります。
紅茶の中にジャムを入れてしまうのは一般的ではありません。」
サーシャ「補足説明ですが、私は特にブランデーを大量に入れるのが好きです。
さらに補足しますが、別に酒好きというわけではなく、あくまでも紅茶というベースにブランデーを多めに入れるのが好きです。
冷え性な私には欠かせない嗜み方です。ちなみに、少量のブランデーを混ぜたジャムというのも中々イケます。」
オルソラ「というわけで用意してみたのでございますよ♪」- 116 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 02:08:35.05 ID:LS4xpa.0
サーシャ「第二の解答ですが、ジャムは入れずに、傍に置いておきましょう。」
オルソラ「はい♪」
サーシャ「ブランデーを垂らします」
オルソラ「量はお好みに合わせるのでございますね♪」
サーシャ「そして」
オルソラ「そして?」
サーシャ「飲みます」
オルソラ「いただきます♪」
サーシャ「……」
オルソラ「……」
サーシャ「……第三の解答ですが、妙に生温かいですね」
オルソラ「そうでございますか?」
サーシャ「それに、何か変った味がします。私の知ってる紅茶と違う。」
オルソラ「そうでございますか♪」
サーシャ「ま、いっか。」
オルソラ「そうでございますか♪」- 117 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 02:10:23.57 ID:LS4xpa.0
30分後
オルソラ「おかわりはいかがでございますか♪」
サーシャ「第一の解答ですが、いただきます」
サーシャ「……やはり、何かがおかしいですね…」
オルソラ「良いではありませんか♪」
サーシャ「そうですね」
1時間後
オルソラ「おかわりはいかがでございますか♪」
サーシャ「もう何杯目になるのか覚えてませんが、いただきます♪」
サーシャ「……何かが違う…」
オルソラ「良いではありませんか♪」
サーシャ「そうですね♪」- 118 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 02:12:32.58 ID:LS4xpa.0
アンジェレネ「あっ、ティータイムですか!?私も仲間に入れて下さい!」
オルソラ「どうぞでございます♪」
アンジェレネ「なんかいつもより若干テンション高くないですか?」
オルソラ「気のせいでございます♪」
アンジェレネ「へえ、ロシアの紅茶ですか、一度飲んでみたかったんですよねぇ」
アンジェレネ「えっと、まずはジャムを沢山入れて、ブランデーは少なめにしましょう……では、いただきまーす……ブフッ!!!」
オルソラ「あらあら♪」
アンジェレネ「あらあら♪じゃないですよ!何ですかこれ!まんまお酒じゃないですか!!」
オルソラ「テヘッ☆紅茶とブランデーを間違えてしまったのでございますよ♪」
サーシャ「なるほど、第一の解答ですが、通りで味が変なわけですか」
アンジェレネ「いや、一口目で気付きましょうよ!ていうか本場ロシア人のあなたが間違えてどうするんですか!!」
サーシャ「テヘッ☆」
アンジェレネ「テヘッ☆じゃないですよッ!!あなた達絶対酔ってるでしょ!酔っぱらってますよね!?」- 119 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 02:15:32.18 ID:LS4xpa.0
つまるところ、彼女達は人肌程度に温められたブランデーにブランデーを注いだ100%純ブランデーを飲んでいたわけで、
アンジェレネに至ってはそのブランデーにジャムをぶち込んでいたのである
ブランデーと言っても色々と種類があるので一律には言えないが、アルコール度数はおおよそ40から50度。
ちなみにビールは5度付近、日本酒は10から20程度である。
ところで、そもそもなぜオルソラは紅茶とブランデーを間違えたのだろうか?
実は、彼女は酒にあまり強くない(あくまでもここでの設定)
アルコール度数の高い酒は、匂いを嗅ぐだけで酔ってしまうほどだ
しかも、酔っても素面の時と性格が変らず、少し天然度とドジっ子度が上昇してしまう程度という微々たる変化しか見られない
サーシャもサーシャでなぜ気付かなかったのか?疑問ではあるが、
以前、着るまで小悪魔ロリエロメイドというゲテモノ服だと気付けなかったくらいだから、そういう事もあるのかもしれない- 120 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 02:18:06.46 ID:LS4xpa.0
アンジェレネ「なんでこんな悪魔みたいな飲み物を平気で飲んでいられるんですか!?信じられません!!」
その言葉にサーシャの眉(前髪に隠れて良く見えないが)がピクッと僅かに動いた
サーシャ「第一の解答ですが、聞き捨てなりません。あなたはロシアを愚弄しているのですか?」
アンジェレネ「むしろこの飲み物をロシアンティーだと主張する方がロシアに対して失礼なんじゃ…?」
サーシャ「第一の質問ですが、私の紅茶が飲めないというのですか?」
オルソラ「淹れたのは私でございます♪」
アンジェレネ「紅茶違うし!!茶葉とか一ミリも入ってませんし!!」
サーシャ「いいですよ…私の紅茶が飲めないというのなら……」
アンジェレネ「飲めないというのなら……?」
サーシャ「まずはそのふざけた幻想をぶち[ピーーー]!!」
- 121 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 02:20:45.91 ID:LS4xpa.0
アンジェレネ「その前にサーシャがそのふざけた幻想から目を覚ましてくd!!うわああああん!!絡み酒ぇッ!!!」
サーシャは驚異的な身体能力を駆使して、逃げようとするアンジェレネを取り押さえた
アンジェレネ「誰かーッ!!シスタールチアー!!助けて下さいーッ!!」
サーシャ「クスクス」
アンジェレネ「ひいいっ!!!」
これほど戦慄という言葉が似合う笑顔は、この世には存在しないだろう
サーシャは例の悪魔の飲み物を少量口に含めた
アンジェレネ「な、なにを…ムぐッ!」
喋る間もなくサーシャはアンジェレネの唇を塞ぐ
サーシャ「んっ……くちゅ…」
アンジェレネ「…あっ…んぐっ…んっ…ふあっ……」
液体が流し込まれ、ブランデーの匂いが口内に広がる
トク、トクと液体が喉を通る音が鳴る- 122 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 02:23:01.08 ID:LS4xpa.0
アンジェレネ「ぷはっ!(え…これキス……え……?)」
アンジェレネは真っ赤な顔をして、トロンとした目でサーシャの顔を見つめる
それがアルコールによるものなのかどうかは分からない
サーシャ「第一の解答ですが、続けましょう」
アンジェレネ「はい/////……え!違う!ダメですよ…こんな事……」
とか言いつつも静かに目を閉じるアンジェレネ
するとそこへ
ルチア「アンジェレネ!何があったのですか!先程の叫び声は一体何ですか!」
近くの廊下からルチアの声が聞こえてきた
だが、その声に反応したのは、ルチアに助けを求めていたアンジェレネではなくサーシャの方だった
サーシャは馬乗りで押さえつけてる状態からアンジェレネを解放すると、一目散に廊下の方へ走っていった
アンジェレネ「らめれすよサーシャ…私たち、女の子同士で……はれ?」
- 123 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 02:24:47.22 ID:LS4xpa.0
ルチア「どうやら、先程の声は食堂の方から聞こえてきたみたいですが…あら、サーシャ?」
前方からサーシャが走ってくる
ところどころ衣服が乱れているのは、一体どういう事なのだろうか?
だがそんな事は一切気にせず、サーシャはルチアに飛びつく様な感じで抱きつき、その胸に顔を埋めた
ルチア「シスターサーシャ!いきなりどうしたというのです!っていうか酒臭ッ!!」
サーシャ「お姉様…」
ルチア「……は?」
サーシャ「お姉様!ルチアお姉様!」
サーシャはさらに強く力を込めてルチアに抱きつく
ルチア「お姉…様…!?」
あの時の記憶が蘇る
理性を砕かれそうになったあの時の…- 124 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 02:27:32.11 ID:LS4xpa.0
- ルチア「こほん…シスターサーシャ、何があったのかは分かりませんが、その呼び方はやめてくださいと以前言ったはずですよ?」
そう言うと、サーシャは顔を上げ、抱きついたままルチアを見上げた
サーシャ「ダメですか…?ルチアお姉様は、サーシャの事が嫌いですか?」
長い前髪から覗き込む様に、サーシャの大きな瞳が、うるうると少し涙目になっている瞳がルチアに訴えかける
まるで、主人に甘える子猫の様に……
酒の勢いか、どうやら幼稚退行している様にも思えるが、そんなところが余計にルチアの母性本能を刺激する
ルチア「うっ……負けませんよ!これしきの事!!シスターサーシャ!!いいかげん離れなさい!!」
サーシャ「ルチアお姉様…」
誘惑と戦うルチアの怒声
しかし、それはサーシャには1ヘルツも耳に届かない - 125 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 02:31:41.76 ID:LS4xpa.0
- サーシャは軽くジャンプし、ルチアの首の後ろに両腕を回してぶら下がる様な感じで
引っ付いてきた
そして、その勢いのまま、サーシャはルチアの唇に自分の唇を重ねた
ルチア「……!」
サーシャ「んっ……」
そのままの状態で静止する二人
まるで、そこだけ時間が止まってしまったかの様である
サーシャ「ふぅ…クスクス、お姉様…」
ようやくキスから解放したサーシャ
相変わらず何がおかしいのか、クスクスと邪悪な笑みを浮かべている。、
唇を奪われたルチアはというと
ルチア「マ、マルコによるふくいんしょだいいっこう……ばぷてすまのよはねががこうやにあらわれて、くいあらため」
顔を真っ赤にしながら脱力し、ぐったりとその場にへたり込んで、なぜか聖書の暗唱をしていた
その後、神裂が、床で悶えているアンジェレネと、その光景を眺めながら「あらあら」と片手を頬に当てて微笑んでいるオルソラ、
そして真っ赤な顔でへたり込んで、御経の様に聖書を暗唱しているルチアと、そのルチアの膝を枕にして寝ているサーシャを発見した
それらの惨状を目の当たりにした神裂が何を思ったのかは想像に任せる
- 126 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/12(木) 02:41:30.91 ID:LS4xpa.0
- ちなみにその日以来、ルチアとアンジェレネはサーシャと顔を合わせる度に赤面し、、
しどろもどろになってしまっていたのだが、サーシャはそれを、自分が二人から避けられているのでは?と誤解し、
神裂やアニェーゼ、シェリー、オルソラに相談したという
神裂「え?あー、まあそのですね…えーっと……」
アニェーゼ「そのうち何とかなるでしょ。それよりもキスの感想を(ry」
シェリー「あのブランデー…空けたのテメェだったのか!!」
オルソラ「あらあら」
と言う事らしい - 133 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/15(日) 02:03:34.55 ID:h9i9L220
- 【殲滅白書】
ヴェロニカ「ようやく作戦の決行日が決まったわ。」
ローザ「いよいよってわけですね。」
オルガ「いやーこれでイギリス旅行も終わりってわけですねー!」
ローザ「遊びに来たわけではないのですよオルガ?」
アーニャ「……」
そこはロンドンの外れにあるカフェ
そのカフェの奥のテーブルに、現在4人の美少女が席についていた
そして、そのテーブルの周辺を覆う様に、魔術が展開されている。
彼女達の会話は、他者から見ればただの他愛も無い日常会話に聞こえる
魔術師が見ても、絶対に彼女達を魔術師だと判別することができないほどのレベルの高い
術式。発動させた人間がいかに強力な魔術師かが窺い知れる。
ローザ「部隊の人間は、すでにロンドンの内部に拡散し、待機させています。号令一つですぐにでも結集は可能です。」
ヴェロニカ「結局のところ、そこが一番苦労したわけよ。こんな魔術師の巣窟みたいなとこに、
殲滅白書の一部隊を感付かれる事無く侵入させるのがね。」
オルガ「でもさー、それって結局はこの作戦が失敗したらって事ですよねー?
誘拐が成功しちゃったら無駄無駄無駄ーって感じじゃないですかー」
ヴェロニカ「オルガ、無駄な戦いは避けるものよ。余計な血を流すのは双方にとって良くないわ。」
オルガ「えー?つまんないつまんないー」
駄々をコネながらとなりのアーニャに抱きつくオルガ
それに対し、若干ながら鬱陶しそうな表情をするアーニャ - 134 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:04:42.52 ID:h9i9L220
- ローザ「アンタはちょっと黙ってなさい」
アーニャ「……お腹すいた」
ヴェロニカ「店員さん、この子に何か作ってあげて。何でもいいわ。とにかくメニューに載ってるの全部持ってきて。」
店員と思しき人は少々戸惑いながらも、注文を受けて厨房へと消えていく
彼女らはロシア成教殲滅白書に所属するシスターだ
正確には殲滅白書のヴェロニカ部隊である - 135 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:06:41.10 ID:h9i9L220
- 【簡単なプロフィール】
ヴェロニカ
殲滅白書ヴェロニカ部隊のリーダー
年齢 18
身長 165前後
特徴:長い金髪、部分的に三つ編み
第一印象はどこかのお嬢様
モスクワ大学に飛び級で入学した秀才だが、殲滅白書の仕事が忙しくて去年退学
単位は半分程取っていて、全て優。羨ましい。
戦闘の時には強気で判断力もある優秀な指揮官だが、私生活ではレストランでメニューを決めるのに1時間近く悩むほどの優柔不断で、
わりと小心者
悩んだ末にローザに泣きついてくるため、ローザからウザがられている
ローザ
年齢17
身長165前後
特徴:黒髪ショート、胸は大きめでヴェロニカの嫉妬を煽っている
生真面目、ドS
魔術師の家系で本人も魔術の才能あり
しかし本人は魔術よりも科学者の道を進むためにモスクワ大学に飛び級入学
そして去年、その才能をヴェロニカに見出され、本人の意思に反して無理矢理退学させられた
ヴェロニカ部隊の財務大臣だが、私物を無理矢理経費で落とす様に懇願してくるヴェロニカとオルガが悩みの種
特にヴェロニカに依存されつつあるので、最近は部隊を移動しようかどうか真剣に検討中 - 136 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:07:43.40 ID:h9i9L220
- オルガ
年齢18
身長175以上180未満
特徴:銀髪ショートヘアーで側面だけ少し長い感じ
活発な印象、頭はあまり良くない
語尾を伸ばすとこがウザい
実家はロシアの実業家でリアルお嬢様
おてんばな性格を直すために修道院に送られたのだが、そこで才能を見出されて殲滅白書に入隊
身体能力はかなり高い
可愛い物が好きで、大量のぬいぐるみを経費で落とそうとしてローザに殺されかけた事もある
上記の理由でアーニャにもよく抱きつく
サーシャを見つけると同様に抱きつくが、その度にバールで薙ぎ払われる
アーニャ
年齢14
身長155付近
特徴:栗毛色で長いツインテール
口数は少なく人見知りが激しい
ツインテールは床に付くくらいに長く、たまに誰かに踏まれる(主にオルガ)
ヴェロニカ部隊最強の天才少女、食欲はインデックス級
テロに巻き込まれて両親を失い、修道院に送られ、そこでオルガと同様に才能を認められて殲滅白書へ
食べても全く太らないため、ヴェロニカとローザの嫉妬を煽っている
戦闘の時は髪が真っ赤に染まる
抱きついてくるオルガがウザい - 137 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:10:31.54 ID:h9i9L220
- オルガ「誘拐なんて回りくどい事しないでー大雑把にぶっ壊すのが殲滅白書のやり方じゃないですかー。
っていうか私の語尾ってウザいんですかー?」
ヴェロニカ「相手は在らざるモノじゃない、人間なのよ?私達は虐[ピーーー]るのが仕事じゃないの。
上は最初から文字通り殲滅する予定だったみたいだけどね。それよりもローザ、私の事密かにウザいって思ってる?」
アーニャ「もぐもぐ」
ローザ「誘拐対象の五和という少女ですが、彼女は天草十字凄教所属ですね。魔翌力自体はそれほど高いとは言い難いですが、
身体能力は中々のものです。今更気付いたのですかヴェロニカ?」
ヴェロニカ「誘拐は体力馬鹿に任せるとしましょうか。うすうす感づいてはいたわよ。反省はしてないけど。」
オルガ「誰が体力馬鹿だー!あと語尾がウザいっていうなー!アーニャもウザいって言うなー!」
アーニャ「もぐもぐ…ウザい」
ヴェロニカ「オルガ、あなたの実力を見込んでの事なのよ。これが失敗したら、本当に殲滅行動に出なきゃならないんだから。」
アーニャ「みなごろし?」
ヴェロニカ「そうね、まずはサーシャ・クロイツェフを引き渡す様に交渉するけど、交渉が失敗したら戦闘になるでしょうね。
加担したイギリスのシスターは共謀罪で全員[ピーーー]わ。ちなみにサーシャは殺さない様にね。上からも指示を受けてるから。」
ローザ「上は後始末をちゃんとやってくれるのでしょうか?あと少しは反省しろ。」 - 138 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:14:40.09 ID:h9i9L220
- ヴェロニカ「とりあえず、一連の行動は私達ヴェロニカ部隊の独断ってことになるわね。まあ要はトカゲのしっぽ切りよ。
でも、ロシア本国に生還できれば問題無いわ。適当に処罰しましたーですませるつもりでしょ。
たぶんイギリス側は私達全員の首を要求するでしょうけど、適当なスケープゴートを差し出せばいいのよ。
例え文句を言ってきたとしても、ロシア成教はローマと同盟関係にある。そしてイギリスはフランスと敵対する。
この三つを同時に敵に回す度胸なんてあるのかしら?それとだが断る。」
ローザ「そんなのはどうでも良いのですよ。問題は、ローマがロシアを裏切らないかどうかじゃないですか?」
ヴェロニカ「大丈夫よ。今回のサーシャ・クロイツェフ奪還作戦は、ローマ正教の最高権力者の肝入りなんだから。」
ローザ「教皇ですか?何でまたサーシャなんて欲しがるのでしょうか?」
オルガ「決まってるでしょーかわいいからですよー!」
ヴェロニカ「そんな下っ端じゃないわよ。」
ローザ「下っ端って、もろにヒエラルキーの頂点じゃないですか」
ヴェロニカ「人間のヒエラルキーではね。だけど、人間のヒエラルキーに属さない、それを遥かに超える存在が居るとしたら?」
ローザ「天使がローマ教皇を操ってるとでも言いたいのですか?そんな馬鹿な話が…」
話半分で聞いていたローザだが、一つだけ思い当たる節がある
ローマ正教の最深部、極秘中の極秘と呼ばれる部分の話だが、ローマ正教を実際に牛耳っているのは教皇や枢機卿及び教皇庁の人間ではない
その支配者は、人間を超えた存在。その名を知ったものは、知るにふさわしくないと判断されたら例外なく抹殺される。 - 139 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:15:42.85 ID:h9i9L220
- どこかで耳にしたそんな噂話
ローザ「しかし、それはオカルト的な話では?」
ヴェロニカ「科学者を目指してたあなたからすれば、魔術も十分オカルトに見えなくて?
オカルトのトップがオカルトってのも別に不思議じゃないと思うわよ?」
ローザ「まあそうですけど…」
オルガ「つまり安心してブッ殺せーってことですよねー♪」
ヴェロニカ「そゆこと♪」
アーニャ「おかわり」
ローザ「アーニャ、それ以上食べたらあなたの給料から引きますよ」
アーニャ「!?」
ヴェロニカ「まあまあ、ここは隊長権限で特別に必要経費にしてあげるから」
ローザ「じゃあヴェロニカの給料から引きます。」
ヴェロニカ「ちょ、おまっ!」
アーニャ「いただきまーす♪」
オルガの口調とテッラの口調は微妙に似ているが、両者の間に接点は無い - 140 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:17:58.71 ID:h9i9L220
- 【サーシャvs五和】
ここは天草十字凄教の教徒達の修練場
一見すると日本で言う道場の様に見えるが、魔術の威力に耐えられる様に特別な術式が施こされた魔術的な空間でもある
現在その修練場で、二人の少女が木制の槍を構え、対峙している
片方は五和
戦闘ではフリウリスピアという海軍用船上槍を扱うゆえに、槍術には長けている
槍術は流派にもよるが、段位は初心・仕掛・目録・許・印可の五つに分かれている
実戦経験が豊富な事も考慮すれば、五和は最低でも許の実力はあると思われる
ちなみに五和が構えている槍は、白蝋棍を身長程度に短くし、先端を重くカスタマイズしたもので、
彼女が普段使用している海軍用船上槍に対応させたものである
対するサーシャは段位で言えば初心。今日初めて槍を手にしたくらいだ。
手にしている槍は鞭杆という短くて扱いやすいものである。 - 141 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:19:34.31 ID:h9i9L220
- ところでなぜ二人は今、対峙しているのかというと、別にケンカしているわけではなく、
単に五和の槍術に興味があったサーシャからの申し出によるものである
建宮「はじめ!」
五和「はあッ!!!」
合図とともに気合いの入った声を上げ、同時にダン!と地面を蹴り、初撃をサーシャに撃ち込む
洗練された、全く無駄の無い一撃
対するサーシャは、持ち前の反射神経を駆使してそれを何とか食い止めた
五和「今の一撃を食い止めるなんてさすがですね。」
サーシャ「第一の解答ですが、ぶっちゃけビビりました」
五和「どんどんいきますよ!」
すかさず二撃、三撃と攻撃を繰り出す五和
対するサーシャは槍の扱いなど全く持って慣れていないため、防戦に徹するしかない
そしてついに、下段から上段へ、サーシャの槍を下から打ち付け、槍を空中し弾き飛ばした。 - 142 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:21:02.49 ID:h9i9L220
勝負あり。五和も建宮も瞬間的にそう判断した。
だが、サーシャは跳躍し、再び空中で槍を掴み直すと、そのまま宙に浮いた状態から片手で槍を振り回し、五和に叩きつけた
一体どんな運動神経と動体視力をしているのかと呆気にとられた五和だが、何とかそれを防ぐ
しかし、攻撃の主導権は完全にサーシャに移った
サーシャの槍術は滅茶苦茶で、例えるならスキルアウトが両手で鉄パイプを振り回している様な感じである
しかし、サーシャほどの運動神経と、実践で鍛え上げられた格闘センスの裏打ちがあると、ただの乱雑な攻撃が、
槍術の熟練者である五和にとっても脅威となる
確実に隙を突き、尚且つ隙を見せないサーシャ
逆に防戦一方となる五和
こりゃおもしろくなってきやがったのよと興味深そうに観戦する建宮
そもそもサーシャは在らざるモノとの戦闘においては、術式で強化された多種多様の拷問用霊装を使いこなす戦闘スタイルであり、
必然的に高い身体能力とマルチな戦闘能力を要求される。
そう言った面を考慮すると、身体能力や格闘センスは五和を凌駕すると思われる
身体能力とセンスでサーシャが押し勝つか、槍術熟練者の五和が巻き返すか- 143 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:22:25.11 ID:h9i9L220
しかし、どんなに身体能力とセンスがあっても、人間である以上必ず隙というものが生まれる
五和はその隙を創りだすために、サーシャが真横から振り出してきた槍を、同時に自分の槍を縦に構える事で防ぐ
だがそれだけではない。サーシャの槍が当たると同時に、自ら強く一歩前に踏み出した。
防ぐ事と前に出る事を同時に行う五和、そして押されて若干の隙を見せるサーシャ
その隙を逃すまいと、五和は体を旋回させ、その勢いで真横からサーシャの槍に一撃を加える
サーシャも瞬時に体制を立て直し、槍をスイングする
激しく槍同士がぶつかり合い、乾いた音が修練場内に響く
同時に、両者の槍が弾かれ、手から離れ、飛んで行った
イメージでいうと、打者二人が互いに互いのバットに目がけてフルスイングした様な感じである- 144 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:23:30.75 ID:h9i9L220
五和「はぁ…はぁ……参りました…さすがですね」
五和はわずかに息を切らせながらそう言う
一方サーシャの方は、目に見える範囲では全く疲労を見せていなかった
サーシャ「第一の解答ですが、最初に槍を飛ばされた時点で私の負けです。お見事です五和。」
五和「いえいえ、あなたの槍を弾き飛ばして油断していた時点で私の負けですよ。」
サーシャ「第二の解答ですが、実践なら私はあの時点で死んだも同然です。ですから(ry」
五和「いえいえ、それを言うなら」
サーシャ「第三の解答ですが(ry」
五和「いえ、絶対の私の負けです(ry」
サーシャ「第四の解答ですが(ry」
五和「第五の解答ですが」
サーシャ「真似しないでください」
建宮「あのう…お二人さん?」
どちらも延々と負けを譲らなかったので、とりあえずその場は引き分けと言う事になった
その後、軽くシャワーを浴びて汗を流し、着替えを済ませ、二人はロンドンの街へと繰り出して行った- 145 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:25:44.22 ID:h9i9L220
【本編です】
五和は横幅の短いカーテンの前で、何やら期待の眼差しをそちらに向けながらそわそわしていた
彼女達は今、ロンドンのとあるブティックに居る
せっかくの友人とのお出掛けを修道服で歩き回るのは少し味気無いと思い、五和の提案でサーシャは適当に服を調達する事になったのだ。
ちなみに従業員さんは、修道服で来たお客様に少々戸惑っていた
もしも修道服ではなく、例の拘束衣で入ってきたら一体どんな顔をするのだろうか?
しばらくすると、試着室のカーテンが開かれた
そこには、修道服の時とはまた違う印象の、可愛らしい女の子が立っていた
- 146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:28:06.08 ID:h9i9L220
上はタイト気味で、薄い生地の黒い長袖ニットチュニック。
Ⅴ字に開いた胸元の下は真っ白なインナー
下は袖口が広く、少し大き目のインディゴライトのデニムショートパンツ
頭には何かないと落ち着かないという本人の希望により、黒のキャスケットを被っている
足元は黒のハーフブーツと黒の二―ソックス。
全体的に黒を基調とした格好で、サーシャの金髪がより美しく映える
長袖チュニックの袖口からは、白い指だけがちょこんと出ていて可愛らしい
ブーツとショートパンツとの間に挟まれた太股と膝小僧も可愛らしい
緩めのショートパンツなので太股全体が露出されているわけではないが、むしろそれがサーシャの足の細さを強調する
アクセサリーはイギリス清教のロザリオをそのまま付けているが、それだけでは物足りないので他数点
どう見ても俺の趣味ですほんとうにあ(ry
サーシャ「第一の解答ですが……どうでしょうか?」
サーシャは後ろで手を組み、もじもじと太股を擦り合わせながらそう尋ねるが、
返答するよりも早く五和はサーシャに抱きついていた
五和「て、店員さん!この子いくらですか!?」
サーシャ「ひゃわっ!い、五和っ!ほっぺが!ほっぺがまさつで!!」
店員「お客様!?」
最近ではこの二人の間ではよくある光景である
ちなみに服の代金の請求書は天草十字棲教に送られました- 147 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:29:38.01 ID:h9i9L220
サーシャ「第一の質問ですが、本当に良かったのですか?」
五和「ええ、先程練習に付き合っていただいたので、特別講師料と言う事で経費で落としときます」
サーシャ「第一の解答ですが、五和がそう言うのならお言葉に甘えましょう。ありがとうございます。」
五和「いえいえ(ニヤニヤ)」
サーシャ「……」
五和「ふふ…(ニヤニヤ)」
サーシャ「……第二の質問ですが、なぜこちらを見てニヤニヤしているのでしょうか?」
五和「いやぁ、やっぱりかわいいですね。もう一回抱きついていいですか?」
サーシャ「五和……最近ワシリーサに似てきましたね……」
そんなわけで、二人は色々な場所を歩き回ったのであった
時間も移動範囲も限られているのが五和にとっては少々残念であったが、
それでもサーシャとのデートもといこうしてお出掛けできる事が素直に嬉しかった- 148 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:31:22.25 ID:h9i9L220
サーシャ「第一の解答ですが、そろそろお腹が空きました」
五和「そうですね、じゃあ、この近くにある広場でお昼ご飯にしますか」
二人は今、広場の噴水の前に腰掛けている
五和「実はですね、なんと今日はお弁当を作って来たんですよ!」
五和は鞄からバスケットと水筒を取りだした
サーシャ「第一の質問ですが、その大きさの鞄によく入りましたね。確か、五和の海軍用船上槍も一緒に入ってるのでは?」
五和「収納スキルです。細かい事は気にしないでください。はい、まずは恒例のおしぼりをどうぞ」
サーシャ「第一の解答ですが、もはやあなたのアイデンティティーですね」- 149 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:32:49.43 ID:h9i9L220
バスケットの中身は透明なタッパーごとに分けられたおにぎりとおかずが入っている
サーシャ「第二の質問ですが、これがジャパニーズライスボウルですか」
五和「おにぎりは初めてですか?気に入ってもらえるといいのですけど…」
サーシャ「(ぱくっ)……大変おいしいです。中身はツナですか」
五和「他にも色々な種類がありますから。あ、それとおかずもどうぞ。」
サーシャ「はい、では次はこれを……むぐっ!!!」
五和「サーシャちゃん?」
サーシャ「だ、だいさんのしつもんですが、このあかくてすっぱいのは…?」
五和「それは女教皇様特性の梅干しですよ。」
サーシャ「UMEBOSHI!?」
五和「ああ、サーシャちゃんにはちょっと慣れない味かもしれませんね。はい、お茶をどうぞ。」
サーシャ「いただきます」
五和「お砂糖もありますよ」
サーシャ「気が利きますね。」
五和「サーシャちゃん、頬っぺたにご飯粒が(ひょいパクッ)」
サーシャ「五和は良いお嫁さんになりそうですね」
五和「そんな、お嫁さんだなんて/////」
サーシャ「お茶が美味しい……」
両手を頬に当てて赤くなっている五和
特にそれを気にする事なくお茶を嗜むサーシャ- 150 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:35:39.54 ID:h9i9L220
その後、サーシャオリジナルの砂糖たっぷり緑茶が注がれた水筒の蓋を膝に置き、改めて広場を見まわし、一息ついた
サーシャ「ここは静かですね」
五和「そうですね。観光スポットとはあまり縁の無い場所ですから。でも、私は良い場所だと思いますよ。」
サーシャ「第一の解答ですが、同意します。」
五和の言うとおり、この広場は、例えばトラファルガー広場の様な知名度も立派な建物も無い。
下町的な空間と言ったところだろうか。
人気もあまり多くないため、人ゴミが織成す喧騒も感じられない
噴水から溢れる水の音、風に揺れる木々のざわめきがよく聞こえる
頭上を見上げると、まるで傘の様に視界いっぱいの緑が広がる
その隙間から零れる木漏れ日が心地良く感じられる
サーシャにとっては、ガイドブックに載っている観光スポットよりも、
そのガイドブックに頼ってるだけでは絶対に巡り合えないこういう静かな場所の方が好きだ- 151 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:37:00.61 ID:h9i9L220
五和「いいですね…」
サーシャ「そうですね。良い場所です…」
五和「いえ、そうではなくてですね」
サーシャ「?」
五和は前方を指差した
そこでは、二人の女の子が楽しそうに追いかけっこをしていた
身長の差から考えると、おそらく姉妹なのかもしれない
五和はその二人の女の子が遊んでいるのを羨望に近い眼差しで見つめていた
五和「私、妹が欲しかったんですよ」
サーシャ「妹…ですか…?」
五和「ええ。だって楽しそうじゃないですか。いつも一緒に居られるってところも良いですねー。」
サーシャ「そういうものなのでしょうか…」- 152 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:39:56.05 ID:h9i9L220
五和「あーあ、私もサーシャちゃんみたいな妹が欲しかったなー。サーシャちゃんもウチに生まれてくれば良かったのに。」
サーシャ「それはまた奇妙な発言ですね。第一の解答ですが、日本人の親からこんな金髪の女の子が生まれてくるなんて想像もどうかと。」
五和「良いじゃないですか。突然変異って事で。」
サーシャ「第二の解答ですが、突然変異の前に奥さんの浮気を疑うべきでしょう。
それに、突然変異でこんなのが生まれたら、みんな気持ち悪がりますよ。」
五和「そんな事ないですよ。」
サーシャ「ありますよ…」
五和「……?」
サーシャ「あるんですよ……こんな目の赤い子供が生まれたら、誰だって気味悪がりますよ。」
五和「サーシャちゃん、あの…」
サーシャ「そう言えば、五和にはまだ話した事がありませんね。と言ってもこれを自分から話すのはあなたで二人目になるのですが。」
普段は前髪で隠れてあまりよく見えないのだが、意識して確認してみると、サーシャの目は赤い
五和はその事を微塵も気にしていなかったし、指摘された今、改めてその事を認識したくらいのものなのだ。
もしかして地雷でも踏んだのだろうか?- 153 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:42:20.54 ID:h9i9L220
- サーシャ「第三の解答ですが、人間の虹彩はイエロー、ブラウン、ブルーの三つが基本色となります。
赤い目は、本来であれば自然界には存在しないのです。本来であれば。」
赤い目は先天性白皮症に見られ、動物などに先天的に発症する。人間にもこれが発症する事はあるが…
サーシャ「補足しますと、私は俗に言うアルビノというものでは無いとの診断を受けました。
医学でも完璧に証明できないのです。」
五和「えっと、それはつまり…」
サーシャ「では第一の質問ですが、現代の科学ですら説明できないこの目を持って生まれた私は、
あなた方から見たらどの様に映るのでしょうか?」
サーシャはその赤い目で真っ直ぐに五和を見据えた - 154 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:46:15.78 ID:h9i9L220
今でこそ先天性白皮症も医学で証明され、それを正しく知る人間は差別などという愚行を犯さない
だが、それ以前はどうだったか?日本でも見世物にされていたという記録がある。
そして現代においてさえもその知識や、そもそも医学が先進国並みに浸透していない地域ではどうだろうか?
アフリカでは、先天性白皮症の人間が今でも迫害されている。耳を疑いたくなるような悲劇も起きている。まるで現代の魔女狩りの様に。
人間は、自分達と異なる者に違和感を持つ
同時に、人は自分の知識が及ばない物や事象については恐怖感を抱く
その二つを同時に兼ね備えた彼女の赤い瞳は…
もしかすると、彼女の前髪が長いのは、その赤い目を隠すためなのかもしれない
仮にそうだとしたら、少なくとも彼女は持って生まれたその赤い目で良い思いをした事は無いのだろう
サーシャ「……」
サーシャは依然変わらずに赤い瞳で五和を見つめ続ける
同時に心の中では、彼女は後悔していた
なぜムキになってこんな下らない事を言ってしまったのかと
五和は良い人だ。
こんな事を言って空気を悪くしてしまったにも関わらず、彼女はきっと優しくフォローしてくれるだろう。
「私はそんなの気にしない。誰にだって悩みの一つはある。何らかの障害を持っていても、明るく強く素晴らしい人生を歩いている人は居る。」
まあそんなところだろう。とても道徳的で素敵な言葉だ。
まるで聖者が愚者に隣人愛を説いている様だ。心の中では憐れみ蔑みながらも。
そんな言葉は、五和の口からは聞きたくなかった
果たして彼女はどんな同情の言葉をかけてけくるのか……- 155 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:49:41.54 ID:h9i9L220
五和「私はサーシャちゃんが好きです。」
サーシャ「……はい?」
五和「サーシャちゃんがどれだけ苦しんできたかも分かりませんし、そもそもどうすれば良いのか?
どう答えるのが一番良いのかなんて私には分かりません。私なんかにそれが分かるくらいなら、
きっと世界中から差別や偏見なんて無くなってるしょうから。」
サーシャ「……」
五和「ですから、これが答えじゃダメですか?目が赤いからどうとか言われたって、
好きなものは好きなんだからしょうがないじゃないですか。」
それは、サーシャの予想していた答えとは全く違っていた
簡潔に言えばその答えは、“どうでも良いし興味無いです”といった感じか。
そんな稚拙で冷たいとも受け取れる様な答えだ。
別の言い方をすれば、それを特別な事だと思っていないとも言える
そう言えば、以前ワシリーサにも自分からこの事を話した事がある
ワシリーサは何を言ったかと言うと「へえ、そう?まあ可愛いから良いんじゃない?可愛ければ正義なのよ!
赤い目もキュートなのよ!サーシャちゅわああん!!」とか言いながら飛びついて来たのでバールで薙ぎ払った覚えがある
サーシャ(やはり、この人はワシリーザに似てきていますね。いや、あるいは最初から…)
五和「え?何か言いましたか?」- 156 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:52:22.87 ID:h9i9L220
サーシャ「第四の解答ですが、何でもありません。」
そう言うと、サーシャはトスンと寄りかかり、五和に体重を預けた
サーシャ「少し、疲れました。」
五和「じゃあ、向こうのベンチで休みましょうか」
ベンチに座ると、サーシャは五和に膝枕を要求してきたので、五和は快くそれを受け入れた
サーシャ「第一の解答ですが、五和は相変わらず胸が大きいですね」
膝枕のアングルだとかなり強調されるようだ。胸が。
五和「サーシャちゃん、それセクハラですよ」
サーシャ「第二の解答ですが、私の職場では日常茶飯事でした」
五和「こんな年端もいかない子にそんな事するなんて、一体どんな変態なんですかその同僚は」
サーシャ「五和に似てますよ。良い意味で。」
五和「私はそんな事してませんよ!」
サーシャ「補足しますが、良い意味で、ですよ。」
そう言うと、サーシャは意地悪な笑みを浮かべた- 157 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:55:17.23 ID:h9i9L220
静かな昼下がりの広場
優しく自分の体を撫でる様に吹く風を感じながら、その風が奏でる木々の揺れる音に耳を傾けながら、
五和の膝枕で穏やかに寛ぐ。
多分、今この瞬間は、サーシャにとっては最期の審判の向こうにあるという神の国にも劣らない世界になっているのだろう
そしてもしも五和がその神の国に居ないのならば、サーシャは迷わず十字架を捨てるだろう
こんなに穏やかな気持ちになれたのは、ここに来た初めての夜にルチアに抱きしめられた時以来かもしれない
五和の膝の柔らかさが心地良かった
彼女の頬笑みも優しさも
時々、温かい手でそっと自分の頭を撫でてくるのも
全てが愛おしかった- 158 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 02:57:23.05 ID:h9i9L220
サーシャ「五和、私は五和の友人になれた事を誇りに思います。」
五和「えっ!?いきなり何ですか?そんな恥ずかしいセリフを言うなんて」
五和は僅かに顔を赤くしながらそう言う
サーシャ「自分でも驚いています。第一の質問ですが、五和はどうですか?」
五和「もちろん、サーシャちゃんの友達になれて、ううん、それ以前にサーシャちゃんに出会えた事が嬉しいです。」
サーシャ「ありがとうございます…五和……」
サーシャはそっと目を閉じた
そして、そんなサーシャのおでこを、五和は優しい頬笑みを浮かべながらそっと撫でた- 159 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 03:00:27.79 ID:h9i9L220
サーシャ「第一の解答ですが、もしも自分が男性だったら、この場であなたにプロポーズしているでしょうね。」
五和「プ、プロッって!?もう、さっきからおかしいですよ!?」
先程の恥ずかしいセリフの時よりもさらに、今度は誰が見ても明らかなくらいに顔を真っ赤にする五和
サーシャ「本心ですよ。五和は同性の私から見ても良い女です。」
五和「そ、そんな事ないですよ。私なんて、サーシャちゃんみたいに可愛いわけでもないし、
女教皇様みたいな武器(胸)も度胸(堕天使)も無いし、目立たないし、それに…」
サーシャ「それに?」
五和「…守れなかったんです。大切な人だったのに、私は何も出来なくて……
本当は私がその人を守らなきゃならないはずだったのに、逆に私はその人に守られてしまったんです。
それで、その人はボロボロに傷付いて……」
いつかの神の右席との戦いを思い出し、五和の顔が曇った
そんな五和の様子から、サーシャは察してみた
多分、その人というのが好きなのだろう。彼女にとっての大切な人なのだろう。
だからこそ、きっと大切な人を守れない自分の無力さが許せないのかもしれない。- 160 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 03:03:42.77 ID:h9i9L220
サーシャ「第二の解答ですが、大丈夫です。五和は美人ですよ。私より胸も度胸もあります。目立つかどうかはともかく。」
五和「そこは否定してくれないのですね」
サーシャ「それに、戦いの強さだけが強さではありません。五和の優しさも強さです。誰かを傷付ける強さよりも、
誰かを幸せにできる強さの方が尊いものだと思いますよ。」
五和「ですが、私には、誰かを幸せにできるほどの力なんてありませんよ。」
サーシャ「ありますよ、ほら」
そう言うと、サーシャは五和に膝枕されている状態から右手を伸ばし、
そっと五和の頬に触れた
サーシャ「第三の解答ですが、私はこんなにも幸せじゃないですか。」
反則だった
その時のサーシャは、今まで見たことの無い様な優しくて無邪気な頬笑みを浮かべていた。
例えるなら、天使の頬笑みという表現がしっくりくるかもしれない
その表情を見た時に、五和は不覚にもドキッとしてしまった- 161 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 03:06:40.21 ID:h9i9L220
サーシャ「私は、こんなにも五和を愛しく感じているのです。あなたの想い人にも同じ優しさを向けてあげれば、
きっとあなたに振り向いてくれるはずですよ」
五和「サーシャちゃん…」
嬉しいのやら恥ずかしいのやら、五和にはもはやよく分からなくなってしまっている
五和は自分の頬に当たっている白くて小さなサーシャの手の甲に、そっと自分の手を重ねた
そうすると、不思議と感情が落ち着いていく
自然と表情が柔らかくなっていくのを自分でも感じられる
この感覚を覚えておこう
たぶん、これがサーシャの感じている優しさであり、幸せなのだと思うから
それがあの人にも伝わるのなら…
サーシャ「第四の解答ですが、もしもその想い人が五和を泣かせたら、私があらゆる手段を持って
その人に“死んだ方がマシ”というふざけた言葉の意味を教えてあげましょう。」
五和「いえ、そこまでしなくてもいいですから。」
天使の様な頬笑みが邪悪な笑顔に変る瞬間を五和は目撃した
- 162 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 03:08:16.76 ID:h9i9L220
その頃遠く離れた東の島国では
上条「(ぶるっ!)な、なんか妙な寒気を感じる。上条さんは誰かから呪われてるのでしょうか?」
Dedicatus545「心当たりは沢山あると思うんだよ。」
上条「不幸だ……俺が何したってんだよ」
545[とーまは立て逃げしまくりなんだよ]
いつものことです- 163 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 03:09:23.61 ID:h9i9L220
その後、一休みした後にロンドン巡りを再開した二人
五和「最後はとっておきの場所を紹介してあげましょう。フフフ」
サーシャ「第一の解答ですが、なんだか自信あり気ですね。ちなみにここはウェストミンスター宮殿です。
現在でもイギリスの国会議事堂としての役割を担っています。」
五和「ウェストミンスター宮殿と言えば、ビッグベンですね。世界で最も有名な時計塔の
一つに数えられています。」
サーシャ「宮殿に併設されているあの高い時計塔ですね。高さは96m。しかし、一般人は
登る事ができないという残念な観光名所でもあります。」
五和「ですが、もしも登る事ができるとしたら?フフフ…」
サーシャ「なるほど、だからその薄ら笑いですか。」
五和「と言っても実は私も登るのは初めてなんですけどね」- 164 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 03:11:36.80 ID:h9i9L220
- 【時計塔前】
五和「一応、ビッグベンは国会議員の紹介があれば登れるのですが、今回はその議員でも知らないルートから登ってみましょう。」
サーシャ「裏ルートとかいうやつですね。」
五和は時計塔の壁をくまなく調べている
サーシャ「……結界?」
五和「ええ、ありました。どこかで聞いた噂通りです。だいぶ古くなっていますから、これくらいなら、
こうやってこうやってここをいじって……おっ、いけましたよ!」
ガラスの割れる様な音が響いた
サーシャ「元はそれなりに強い結界だったみたいですね。しかし、どうしてここに魔術の痕跡が?」
五和「どうやらこの時計塔は、議会を裏から掌握する王室派の方達のための建物だったのかもしれませんね。
正確には、こっちが表ルートみたいです。現在では王室派の方達もこの時計塔を使用していないみたいですけど、
それでも一般人に公開しないのは、王室派の影響力の痕跡がばれるのを防ぐためなのかもしれません。」
サーシャ「なるほど、不思議ではありませんね。そもそも議会になる前は宮殿だったのですから。」 - 165 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 03:13:12.01 ID:h9i9L220
結界が完璧に崩れると同時に、壁しか無かったはずの場所に一つの扉が現れた
年季の入ったその扉を開けると、その奥にはまた扉があった。
そしていくつかの扉を開けていき、いくつかの結界を破壊し、たどり着いた先には、一つの魔法陣が床に描かれていた
五和「これは…なんの魔法陣でしょうか?」
サーシャ「第一の解答ですが、攻撃的な術式は組まれていないみたいです。おそらく、大規模な転移魔術を可能にする魔法陣でしょう。」
五和「なるほど、王室の方々にこの塔を登らせるなんて事をするわけにはいきませんからね。」
サーシャ「第二の解答ですが、年季はありますが、どうやらまだ機能しているみたいです。行きましょう。」
サーシャは五和の手を引っ張り、魔法陣の中心に立った
手を握ったまま二人の体はどこかへと移転されていく- 166 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 03:15:25.44 ID:h9i9L220
移転された先には、広い空間と三つの扉があった
それぞれ開けて確認してみたが、一つは王室派の従者の待機室
もう一つは、王族のための豪華な部屋
最期の一番大きな扉の向こうは、部屋の中心に高そうなテーブルが置かれた会議室の様な場所だった
おそらく、昔は本当のイギリス政治の中心だったのかもしれない
二人は王族のための部屋に入り、その部屋に備え付けられたテラスに出た
五和「……すごい…絶景かなって感じですね」
サーシャ「……」
実際に階段を登って来たわけではないので実感が湧かなかったが、どうやらここはビッグベンの最上階であるらしい
右を見ればテムズ川を一望できる
左はロンドンの名所や街並みが一望できる
世界最大の観覧車であるロンドンアイには及ばないが、それでもこの景色は彼女達に感動を与えるのに十分だった
サーシャ「第一の解答ですが、100年前の王族の方々も、きっとここからこの景色を眺めていたのでしょうね。まさに英国の頂点として……」
こんなにも有名な観光スポットなのに、この景色は絶対に誰も見る事ができない。
そう思うと、ますますこの景色が感動的のものに見えてくる。- 167 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 03:17:31.51 ID:h9i9L220
サーシャ「第二の解答ですが、いつかあなたの想い人にも見せてあげられるといいですね。」
五和「そうですね。前途多難ですけど……」
サーシャ「もしもダメだったら、その時は私が貰ってあげますよ」
五和「ふえっ!?」
サーシャ「冗談です。第三の解答ですが、良いリアクションをありがとうございました。」
五和「でも、それも良いかもしれませんね。」
サーシャ「…え?」
五和「もしも私が男だったら、きっとここでサーシャちゃんにプロポーズしちゃってますよ。こんなに良い景色があるんですから。」
サーシャ「あの…五和?」
五和「クスクス、冗談です。良いリアクションをありがとうございます」
サーシャ「……」
五和「あれ、サーシャちゃん?もしかして怒ってます?」
サーシャ「別に(ぷいっ)」
五和「でも、もしも本当に私が男だったら惚れていたかもしれませんね。」
サーシャ「騙されませんよ」
五和「もう、可愛いんだから(ぎゅっ)」
サーシャ「第四の解答ですが、またですかっ!」
五和「ああ柔らかい…」
人気の無いというより、全く人の居ないこの秘密の部屋のテラス
もしも五和が男だったら、色んな意味で本当に危なかったかもしれない- 168 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 03:23:47.37 ID:h9i9L220
五和「では、また一緒にどこか行きましょうね。あとさよならのハグをしても良いですか?」
サーシャ「第一の解答ですが、昔のあなたが懐かしく感じられます。」
日も完全に沈んだ時間帯だ。随分と長い時間あの場所に居たのだろう。
サーシャは女子寮へ、五和は日本人街へ、二人は別れて帰路に着いた
五和「サーシャちゃん今日も可愛かったなあ。今度はネコミミとかつけてみようかな♪」
?「えー、アタシは犬耳の方が好みかなー」
五和「そうですか?でもサーシャちゃんなら両方……誰ですか!?」
?「誰でも良いじゃないですかー?あなたの身柄にだけ用があるんですから」
五和「……魔術師ですか?そう言えば、先程から人の気配が…」
?「余所見しちゃだめですよー?」
五和「えっ…」
気付いた時には目の前の長身の少女は五和の目の前に来ていた
そして五和が言葉を上げるよりも早く、鳩尾に一撃をたたき込む
(ドゴッ!)
五和「ガフッ…!」
全身の酸素が無理矢理引き抜かれる様な感覚に襲われる
そのまま、五和の意識は途切れていった
オルガ「身体能力が高いって聞いたけど、大した事なかったですねー。よっこいしょ。」
オルガは五和を担ぐと、そのまま夜のロンドンの街並みに消えていった- 173 :1 :2010/08/15(日) 23:52:10.14 ID:h9i9L220
- 【殲滅白書その2】
そこは、先程までサーシャと五和が居た時計塔だった
五和「うーん……ここは……ッ!」
目を覚ますと、自分が椅子に座らされ、ロープで体を固定されている事に気付いた
ヴェロニカ「お目覚めかしら?五和さん。」
五和「何の真似ですか!こんな事!」
ヴェロニカ「暴れない方がいいわよ。タダのロープじゃないから。」
五和「ッ…!」
ヴェロニカ「それよりも、早いとこ話を進めましょう。単刀直入に話すけど、
あなたにサーシャ・クロイツェフにここに来るように言ってほしいの。
本当はサーシャを直接誘拐した方が手っ取り早いのだけど、彼女は中々強いし、
たぶんオルガ一人じゃ勝てなかったでしょうから。出来るだけ穏便に事を運びたかったのよ。」 - 174 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/15(日) 23:56:21.38 ID:h9i9L220
五和「で?それを私が承諾するとでも?あなた達は一体何者なんですか!?」
ヴェロニカ「はぁ、めんどくさいわね。こういう強気で正義感のある人って本当にめんどくさい。私達は殲滅白書のシスターよ。」
五和「殲滅白書!?ということは!」
ヴェロニカ「そうよ。理解してもらえた?ならさっさと指示に従ってくれるかしら?」
五和「聞いてなかったんですか?私は嫌だと言ったんですよ?」
ヴェロニカ「そう。じゃあ、ここで死ぬけど良い?」
五和「そんなものが脅しになると思ってるんですか?」
ヴェロニカ「へえ、面白い事言うじゃない。」
ヴェロニカ「じゃあ、ここであなたが断れば戦争になるけど、それでも良いかしら?もちろんあなたにもここで死んでもらうわ。」
五和「戦争ですって!?」
ヴェロニカ「私達はそれを避けるために取引してるのよ。一体戦争でどれだけの人間が無意味に死んでいく事か。
私は嫌だし、あなただって嫌でしょ?」- 175 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:03:48.97 ID:ct3zcQY0
五和「……」
ヴェロニカ「この作戦が成功すれば、誰も死ななくて済むの。平和的でしょ?だかr」
五和「ふざけるな!!!」
ヴェロニカ「!?」
五和「何が平和的ですか!そもそもあなた達が勝手に人殺しを始めようとしてるだけじゃないですか!!
サーシャちゃんを引き渡せば誰も死なない?だから平和的?ぜんっぜんおかしいですよ!!」
ヴェロニカ「そう。じゃあ戦争しかないわね。あなたのせいで無関係なシスターさんが沢山死ぬのね。心が痛むわ。」
ヴェロニカ「そう言えば、サーシャはあなたの友人だったかしら?友情と多くの人間の命、はたしてどっちが重いのかしらね?」
五和「サーシャちゃんは……あなた達から逃げて来たんですよね……?あなた達が誰も助けてくれないから、
だから私達に救いを求めてきたんですよねぇ!!だったら答えなんか最初から決まってます!!
例えどんな人でも、どんな事情があっても、敵でも味方でも、友達でもそうじゃなくても!!
救いを求める人に手を差し伸べるんですよ!!」
五和「救われぬ者に救いの手を!!それが私の唯一の信念であり、戦う理由ですから!!」
ヴェロニカ「……」
五和「戦争でも何でも勝手に起こせば良いじゃないですか!!
私達は、自分の命惜しさに仲間を売る様な弱い集団ではありませんから!!
あなた達みたいに、痛む様な心なんて持ってない人達には負けませんから!!」- 176 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:07:06.83 ID:ct3zcQY0
その目に確かな意思が宿っているのをヴェロニカは感じた
どんな言葉も脅しにも屈しない、そんな強い目をしている
ヴェロニカ「クッ…この…!」
ローザ「ヴェロニカ、落ち着いてください。」
ヴェロニカを宥め、五和の方を向くローズ
ローズ「戦争を起こしたくないというヴェロニカの言葉は本当です。
そして、彼女は本当はこんな手荒な真似もしたくはなかったのです。
もう一度考え直して下さい。本当に私達の申し出を断るのですね?」
五和「しつこいですよ」
ローザ「そうですか。」
そう言うと、ローザは透明な液体の入った小瓶と、口紅を取りだした
最初にその小瓶に薬指を軽く入れ、指先に付いた透明な液体を唇に薄く塗った
そして次に、紫色の口紅をその上から塗る- 177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:09:38.95 ID:ct3zcQY0
ローザ「こちらとしてもあまり時間を掛けたくはありません。これも少々手荒な真似になりますが…」
ローザは五和に顔を近づけた
五和「一体なにをむぐ…」
五和の唇を塞ぐローザ
すると、ローザの唇の紫が、五和の唇へと移っていく
五和「これは…」
ローザ「自白剤みたいなものですかね。宗教裁判や魔術師の尋問で、本当の事を喋らせる薬みたいなもの…
といっても、実際は単に人の心を操って都合のいい事を喋らせたりするだけの薬ですけど。」
五和「心を操る!?」
ローザ「似たような薬はイギリスの処刑塔でも使われていたみたいですけど?まあもっとも、
今はこれに対抗するための薬もありますし、裁判や尋問での使用が確認されたら判決が無効になってしまいますが。
効果時間もせいぜい一時間程度と長いとは言えませんし。」
ローザ「ですから、手っ取り早く私の指示に従ってもらいましょうか。」
五和「うっ…」
視界がぐにゃりと歪んだ
自分というものがどこかへ消えていきそうな感覚…
覚えているのはそこまで
ローザ「では、早速ですがサーシャ・クロイツェフをここに呼び出してもらえますか?」
五和「はい」
五和の目には、先程の様な強い意志は微塵も無く、光すらも感じられない- 178 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:11:35.42 ID:ct3zcQY0
Prrrrr
サーシャ「おや、誰からでしょう?」
ディスプレイを確認すると、発信者は五和だった
なんとなく嬉しくなって顔がニヤけてしまう
サーシャ「第一の質問ですが、どうかしましたか五和?」
五和「……さい」
サーシャ「第二の質問ですが、よく聞き取れないのでも少し」
五和「時計塔の最上階へ来て下さい。」
サーシャ「第三の質問ですが、今からでしょうか?しかし、もう遅い時k」
五和「来てくれないと私……死にますよ?」
サーシャ「五和?…一体どうしたのですか!?」
五和「ちなみに、一人で来て下さいね。もしも誰かと動向を共にしていたり、
周囲に魔術師およびシスターの存在を確認したら、すぐに死んじゃいますから。」
サーシャ「五和!?いt!!」
そこで電話が途切れた- 179 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:14:18.99 ID:ct3zcQY0
サーシャ「五和……」
アニェーゼ「どうしたんですか?なんか叫んでたみたいですけど」
ルチア「五和という言葉が聞こえましたが、天草式のですか?彼女に何が?」
サーシャ「第一の解答ですが!すみません!ちょっと用事が!」
アニェーゼ「サーシャ、私達は仲間ですよ。それを分かってますよね?」
サーシャ「……第二の解答ですが、それでもこれは私一人で行かなければなりません。」
そう言うと、サーシャは二人の前から逃げるように走り去って行った
ルチア「…アニェーゼ、これは」
アニェーゼ「分かってますよ。サーシャは一人で抱えたりはしません。おそらく、誰にも言えない状況なんでしょう。
そう脅されてるんだと思います。部隊で今すぐ動ける人間を集めて下さい!それと、すぐに天草の方に連絡を!」
ルチア「分かりました!」- 180 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:16:33.93 ID:ct3zcQY0
サーシャは無我夢中で走っている
どう考えてもおかしい。五和があんな事を言うはずが無いし、それ以前に明らかに友人を呼び出す様な口調ですらない
嫌な予感がする
唯一心当たりがあるとすれば、彼女がかつて所属していた殲滅白書…
サーシャ「はあ…はあ…」
さすがに寮から時計塔までは、遠くは無いがそれなりに距離はある
全速力で走って来たので、さすがのサーシャでも両手を膝小僧に乗せて体重を掛け、息を切らしていた
それでも止まるわけにはいかない
サーシャは時計塔の壁を調べ始めた。すると、今日自分と五和が発見した秘密の扉はすぐに発見できた。
帰り際に結界を修復して元通りにしたはずなのに、その結界が再び破られ、扉が露わになっている。
サーシャ「間違いありませんね。」
サーシャはいくつかの扉を開け、再び巨大な魔法陣の中心に立った
サーシャ「五和、今助けに行きますよ。」
サーシャの体は最上階へと移転されていった- 181 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:17:58.86 ID:ct3zcQY0
サーシャ「……やはり、あなた達でしたか。」
オルガ「やっほー♪久しぶりだねー!」
サーシャ「第一の解答ですが、馬鹿を相手にしてる時間はありません。」
オルガ「酷ッ!」
サーシャは移転先で最初に遭遇したオルガを無視し、中央の一番大きな扉を開けた
ヴェロニカ「あら、早かったわね。」
サーシャ「第一の質問ですが、どういう事でしょうか?」
ヴェロニカ「安心して、彼女は傷付けてないから。ちょっと心を操らせてもらってるけど。」
サーシャ「五和!」
五和「……」
親友の声にも全く反応しない。
彼女の右手にはナイフが握られている。- 182 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:20:36.99 ID:ct3zcQY0
ヴェロニカ「さて、おとなしくロシアまで同行してもらえるかしら?」
サーシャ「第一の解答ですが、私はイギリス清教所属のシスターです。
こんな真似が許されると思ってるのですか?それに、なぜ私なんかを?」
ヴェロニカ「大義名分ってやつ?それなら問題無いわ。あなた、国際指名手配犯だから。」
サーシャ「なぜ…?そんな…」
ヴェロニカ「容疑は国家機密情報の漏洩に関する何とかかんとか。まあ身に覚えは無いだろうし、
嘘なんでしょうけど。その他にもテロ計画や国家反逆罪とかまあ適当に寄せ集めて色んな容疑をかけられてるみたいよ?
とんでもない冤罪ね。当然、国籍の離脱なんて却下されてるわ。」
サーシャ「第二の質問ですが、どうして私ごときのためにそんな…」
ヴェロニカ「あなたを欲しがっている人が居るみたいよ?まあどうでも良いけど、そう言う事だから大人しく連行されてもらえないかしら?」
サーシャ「第三の質問ですが、拒否した場合は?」
ヴェロニカはローザを一瞥した
すると五和は、手にしたナイフの切っ先を自分の喉に当てた- 183 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:23:00.87 ID:ct3zcQY0
サーシャ「……!」
ヴェロニカ「さーて、どうする?」
サーシャ「……分かりました。あなたの言う通りにします。」
ヴェロニカ「そ、物分かりが良くて助かるわ。ローザ、サーシャに手錠と拘束衣を」
ローザ「つまらないです」
ヴェロニカ「ローザ?」
ローザ「もっと抵抗すると思っていたのですが、何ですかその腑抜けた態度は?」
サーシャ「…何が言いたいのですか?」
ローザ「以前のあなたは、もっと自分のすべきことに対して冷徹で一途だったはずです。
いつからそんな顔をする様になったのですか?」
サーシャ「質問を繰り返します、何が言いたいのでしょうか?」
ローザ「甘いと言ってるのですよ。まさか友情とかいう幻想に絆されて
こんなにもあっさり受け入れるなんて、甘過ぎるのですよあなたは。」- 184 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:25:17.81 ID:ct3zcQY0
サーシャ「幻想なんかじゃありませんよ。」
ローザ「幻想ですよあんなもの。簡単に壊れるし裏切られる。ちょっと信頼して心を許したら、
いつのまにか勝手に退学届を出された上に除籍処分になってるんですから。」
ヴェロニカ「うっ…」
オルガ「それはヴェロニカが悪いですねー」
サーシャ「第一の解答ですが、あなたには理解できないだけです。」
ローザ「理解したくありませんし、殲滅白書にはそんなもの必要ありません。」
ローザ「と言うわけで、目も当てられないほどに腑抜けになってしまったあなたを矯正する必要があるみたいですね。五和!」
五和「はい」
ローザの命令で、五和はナイフを捨て、代わりに槍を構えた
練習用では無い。殺傷能力を持つ海軍用船上槍だ。
ローザ「サーシャ、今からあなたに彼女と戦ってもらいます。もちろん、ちゃんとトドメをさしてもらいますよ。」- 185 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:27:41.39 ID:ct3zcQY0
ヴェロニカ「ちょっとローザ!あなたいい加減n」
ローザ「黙れ。」
ヴェロニカ「はい。」
オルガ「あちゃー、完全にドSモードに入っちゃってますねー」
アーニャ「眠い…」
サーシャ「第二の解答ですが、あなたは馬鹿ですか?私がそんな事をするわけ無いでしょう?」
ローザ「じゃあ今すぐ五和には死んでもらいましょうか?言っておきますが、本気で戦わなかったら殺します。
あなたがとどめを刺さないなら私が殺します。10分以内に決着を着けなかったら殺します。
ちなみに気絶させるのは無駄ですよ?もともとは尋問用の薬なんですから、気絶なんて生易しい事を許すはずが無いでしょう?」
サーシャ「……第三の解答ですが、私はあなたが大嫌いですこの腐れ外道。」
ローザ「私は昔のあなたなら結構好きでしたよ?五和!」
ローザの合図と共に五和が突進してきた- 186 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/08/16(月) 00:31:27.97 ID:ct3zcQY0
サーシャ「!」
頬を海軍用船上槍の先端が掠め、僅かに血が出る
サーシャ(速い、今日の練習の時よりも格段に速いですね)
それはつまり、五和が本気でサーシャを殺そうとしているという事だ
サーシャ「どうすれば…!」バキン!
術式で強化したノコギリで槍を受け止めたが、その刃が耐えられずに折れてしまった
ローザ「どうしたのですか?あなたなら簡単に殺せるでしょう?」
サーシャは今すぐローザの綺麗な顔にバールをぶち込んでやりたい気分になった
ローザ「余所見なんてらしくないですね」
ドスッ!
サーシャ「うッ!」
槍の柄の部分で思い切り腹を殴打されて、そのまま吹っ飛び、壁に叩きつけられた
ドガッ!
サーシャ「ぐっ…がハッ…!」
背中に鋭い痛みが走る。脇腹は、肋骨をやられたかもしれない
だが、そんな事情などで待ってはくれない- 187 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:34:03.31 ID:ct3zcQY0
五和は倒れ壁にもたれ掛かってるサーシャを完全に刺殺しようと、凄い勢いで槍を突いてくる
サーシャはそれをバールを打ち付けてそらし、さらに槍を下から思いっきり蹴り上げる。
そして五和の体重が後ろへグラついた瞬間を逃さずに、すかさず足払いをして五和を後ろへ転倒させた。
ローザ「どうしたのですか?転んだ今なら殺せますよ」
サーシャ「ぐっ…!」
体がふらつく
それでも今ならあのムカツク女を殺せるだろうか?
しかし、そんな事を考えている間に再び五和は立ち上がり、サーシャを殺そうとしてくる
ローザ「はぁ…とんだ期待外れですね。薬の効果もあと持って3分ってとこですか。人を操るのは難しいものです。」
その言葉はサーシャに希望の光を与えた。あと3分持ちこたえればこの状況から…
ローザ「残り2分間を戦わせて、殺せなかったら残り一分の間に自殺してもらいますか。」
希望の光は一転して絶望に変った
ローザはそれをわざと狙ってこの様な言い方をした事は、彼女の悪魔の様な笑顔から分かる- 188 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:36:12.17 ID:ct3zcQY0
どうする?後一分で五和を殺さなければ、どのみち五和は自害する
考えている間にも五和に壁際まで追いつめられる
サーシャ「そう言えば、五和には好きな人がいるんですよね…?」
五和「……」
サーシャ「第一の解答ですが、あなたにはまだやらなきゃならない事があるはずです。私と違って…」
カラン!
ヴェロニカ「サーシャ…どういうつもり?」
サーシャは握っていたバールを離し、床に落とした
そして、両腕をゆっくりと広げた。まるで全てを受け入れるかのように
ヴェロニカ「いけない!ローザ!」
ローザ「五和!攻撃中止!」
だが遅かった
ドスッとサーシャの肉を貫く音が部屋に響く
- 189 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:38:14.43 ID:ct3zcQY0
サーシャ「がふ…!ぐっ…がはっ!!」
大量の血を吐き出すサーシャ
腹部を海軍用船上槍で貫かれている
五和は槍を引き抜こうとしたが、サーシャは最期の力を振り絞ってそれを阻止する
サーシャは渾身の力で海軍用船上槍の柄を握ったまま、壁を背にして床に崩れ落ちた
そこでちょうど三分
魔法が途切れ、五和が絶望する時間が始まる- 190 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:40:06.86 ID:ct3zcQY0
意識が戻った時、最初に目に飛び込んできたのは、大量の血液が目の前の壁にペンキの様に塗られていた事
次に、その血を絵をなぞる様に下を向くと、金髪の少女が崩れ落ちているのを確認した
あまりにも変わり果てた姿だったので、最初はそれがサーシャだとは気付けなかった
そして、サーシャの腹部には三股の槍が刺さっている
その槍を先端から順にたどっていくと、そこには自分の手が……
五和「あ、ぁ…あ…あ…ああああああああ!!!!」
五和は槍から手を離し、頭を抱えて膝を付いた
どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?なぜ!?
なぜ自分が大切な友達をこんな……
- 191 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:41:47.27 ID:ct3zcQY0
サーシャ「いつ…わ…」
血まみれのサーシャが口を開いたのを聞き、五和はとっさサーシャの方を見た
サーシャ「に…げて……早く……逃げて……!」
しかし五和はそれを無視する
五和「ああ…早く……早く応急処置を!!回復術式を!!」
五和はヴェロニカ達をどけて自分の鞄を漁り始めた
ヴェロニカ達はそれを見ている事しかできなかった
ローザ「……なぜです…サーシャ・クロイツェフ…なぜそこまで出来るのですか?たかが友人のために……理解できない…」
ヴェロニカ「仕方ないわ。ここは五和を始末し、早急にサーシャを奪還しt」
?「させませんよ!」- 192 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:44:46.32 ID:ct3zcQY0
オルガ「あれー?」
ヴェロニカ「なっ…なぜあなた方が!」
そこには蓮の杖を構えたアニェーゼとルチア他部隊のシスター達が居た
建宮「五和!」
そして天草式も同行している
アニェーゼ「どうやら、サーシャの予想通行ルートに殲滅白書のシスターを何人か待機させていたみたいですね。
そのうちの一人をとっちめて吐いてもらいましたよ。後は簡単な誤認術式を発動させて、
10人一組でバラバラにわけて殲滅白書の魔術師を探させました。みんな蜘蛛の子を散らすように逃げやがりましたよ。」
殲滅白書の方は、せいぜい3人一組程度に分かれて監視していた
そこに10人一気に来られてはたまらない
ちなみに隠れた殲滅白書の魔術師を探し出す役割は天草式の術者が担った。
もともとが隠密行動を得意とする天草式は、逆に隠密行動を行う魔術師を探し出すのにも長けている。
そうしないと、自分達を狙う幕府から生き残れなかった天草式の歴史の賜物だ。- 193 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:47:05.30 ID:ct3zcQY0
ヴェロニカ「くっ…ここは一端引きましょう!」
アニェーゼ「させませんよ!」
アニェーゼはナイフを取り出した
しかし
ヴェロニカ「アーニャ!」
アーニャ「どーん」
突然アーニャの周辺に炎が巻き起こり、その炎を壁にぶつけた
凄まじい破壊音と共に壁が崩れる
アニェーゼが術式を発動するよりも早く、四人はそこから素早く逃走していった
ヴェロニカ「まったく、対象を殺しかけるなんて何を考えてるのよ!」
ローザ「すみません、つい…」
オルガ「サーシャが死んじゃったらどうするんですかー?アタシのサーシャが。」
ヴェロニカ「今はサーシャの無事を祈るしかないわね。作戦を練り直すわよ。すぐに部隊の人間を呼び集めなさい!」
作戦は失敗した
それはすなわち、殲滅白書とイギリス清教の小規模な戦争の勃発を意味している- 194 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:51:44.62 ID:ct3zcQY0
五和はサーシャの前に膝をついている
彼女の目は涙で赤く腫れていた
五和「サーシャちゃん、どうしてこんな…」
サーシャ「いつわ……これでいいのです…」
五和「良くありませんよ!こんなことって…」
涙が止まらなかった
自分の犯してしまった誤ちも、またしても大切な人を守れなかった自分の弱さも
全てが自分を責め立ててくる
サーシャ「泣かないでください……あなたは…何も悪くない…」
なぜそんな事が言える
なぜそんな笑顔でいられる
五和には理解できない
五和「サーシャちゃん……意味無いですよ、やっぱり……優しさなんて…誰も守れないじゃないですか!!!
あなたをこんな目に遭わせてしまうなら、優しさなんてなんの価値もありませんよ!!
こんな優しさなんて!!誰かを傷付けるだけじゃないですか!!!誰も幸せになんてなれないじゃないですか!!」
- 195 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 00:59:09.51 ID:ct3zcQY0
泣きながら激昂し自分を責め立てる五和を、サーシャは優しく諭す
サーシャ「そんな事ありませんよ……」
サーシャは自分の血で濡れた手を伸ばし、五和の頬に触れた
サーシャ「あなたの優しさに、私は助けられました……もしも五和を殺していたら、
私は一生後悔していたでしょう……一生苦しみ続けていたでしょう……そんな地獄から…あなたは私を救ってくれた。
……あなたに出会う前の私なら、きっとあなたを殺していた……しかし、あなたが教えてくれた優しさが、
正しい答えを教えてくれたのです……ありがとう、五和……。」
サーシャの顔には苦しみも怒りも無い
ただただ穏やかで、優しかった
あの時、そう天使の様な頬笑みを見たあの時と同じように
五和「どうして……どうしてあなたはそんな顔ができるのですか…?なぜあなたを殺そうとした私にありがとうなんて……」
サーシャ「決まってるじゃないですか…」
サーシャは再びにっこりと笑う
サーシャ「第一の解答ですが、私はこんなにも幸せじゃないですか……」
五和はたまらずサーシャを抱きしめた
サーシャは声を上げて泣く五和を宥めるように、よしよしとその頭を優しく撫でてあげる- 196 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/16(月) 01:13:39.04 ID:ct3zcQY0
- こんな最期も悪くないと思えた
こんなに穏やかな気持ちで死んでゆけるなら、それはきっと幸せな事なのだろう
ありがとう、五和……
幸せというものをあなたは教えてくれた……
顔から血の気が無くなっていく
だんだんと痛みも感じなくなってきた
疲れたので、ちょっと眠ろう
もしかしたら、もう目を覚ます事は無いかもしれないけど
それでもこんなに幸せな気分で最期を迎えられたのなら
きっと永遠に幸せな夢を見続ける事ができるかもしれない
できる事なら、今度は幸せな夢の中で五和に会いたい
もしもまた会えたなら、また私と友達になってくれるだろうか?
大丈夫、彼女は優しいから
またあの時計塔に、広場に、一緒に……
- 202 :1 :2010/08/16(月) 23:52:09.00 ID:ct3zcQY0
- 戦闘シーンとか書くの苦手だから肩が凝る…
というわけで、鬱な展開を払拭するために小ネタを投稿します
ちなみに原作を読んでいない人はネタバレに注意してください
21巻のネタバレはありません - 203 :1 [sage]:2010/08/16(月) 23:55:44.86 ID:ct3zcQY0
【一本千円で】
サーシャ「良いお湯でした。」
アニェーゼ「うおっ、金髪貞子!」
サーシャ「第一の解答ですが、失礼ですね。」
アニェーゼ「サーシャは前髪長すぎませんか?湯上りだとドザエモンみたいですよ?」
サーシャ「あなたも普段はオールバックですが、元に戻すと似たようなものじゃないですか」
アニェーゼ「そうですか?じゃあ二人でコンビ組みませんか?その名もザ・ドザエモンズです」
サーシャ「第二の解答ですが、何だか呆れを通り越して懐かしさを感じますね。」
アニェーゼ「サーシャ、私がドライヤーで乾かしてあげましょう」
サーシャ「第三の解答ですが、お願いします。」- 204 :1 [sage]:2010/08/16(月) 23:58:00.45 ID:ct3zcQY0
アニェーゼ「……」
サーシャ「……」
サーシャ「第四の解答ですが、随分と静かなドライヤーですね。」
アニェーゼ「学園都市の製品ですよ。うるさい音は一切ありません。しかも最新のAIが搭載されているので会話することもできます。」
サーシャ「第五の解答ですが、マジですか!?」
アニェーゼ「マジですよ。なんなら話しかけてみてください。」
サーシャ「第六の解答ですが、では、こ、こんにちは…」
「こんにちは(裏声)!ぼくどらいやーです(裏声)」
サーシャ「……」
アニェーゼ「サーシャちゃん!ぼくとお話しようよ(裏声)」
サーシャ「……」
アニェーゼ「くきき、サーシャちゃんの今日のパンツは何色かなァ?(裏声)」
サーシャ「……」
アニェーゼ「その幻想をぶち[ピーーー](裏声)」
サーシャ「黙れ」
アニェーゼ「あれ?怒っちゃいましたか?やだなあ、ちょっとしたジョークじゃないですか。ブリティッシュジョークですよぉ」
サーシャ「第一の解答ですが、あんたイタリアンだろ。」
アニェーゼ「イタリアもイギリスも変らないじゃねえですか。」
サーシャ「最初のイと四文字なとこだけは変りませんね。英字だとその条件すら当てはまりませんが。」- 205 :1 [sage]:2010/08/17(火) 00:00:01.91 ID:CgYA6aQ0
アニェーゼ「ところでサーシャの髪は綺麗ですね。」
サーシャ「そうですか?」
アニェーゼ「しかも良い匂いですね。シャンプー変えました?」
サーシャ「第二の解答ですが、昨日から新しいのを使ってます。」
アニェーゼ「ああ、良いにおいですね(クンクン)。いいねいいね最ッ高だねェ!たまンねェなァおい(クンカクンカ)」
サーシャ「あなたはワシリーサと同じ生き物ですか?」
アニェーゼ「冗談ですよ、ブリティッシュジョークですよぉ」
サーシャ「だからあんたはイタリアンだろ。あとイギリス人に謝れ。」- 206 :1 [sage]:2010/08/17(火) 00:02:27.64 ID:CgYA6aQ0
アニェーゼ「ところで、サーシャの前髪は長いですね」
サーシャ「そうですね」
アニェーゼ「ちなみに後ろもちょっと長くないですか?」
サーシャ「確かに長めだとは思います。」
アニェーゼ「知ってますか?髪って売れるらしいですよ?」
サーシャ「……」
アニェーゼ「相場はだいたい50ユーロから250ユーロだとか」
サーシャ「……」
アニェーゼ「サーシャは前髪が少し長すぎませんか?」
サーシャ「第一の解答ですが、売りませんよ。」- 207 :1 [sage]:2010/08/17(火) 00:05:25.30 ID:CgYA6aQ0
アニェーゼ「いやあ最近暑いですねえ、さっぱりしたいと思いませんか?」
サーシャ「売りませんよ。」
アニェーゼ「ショートヘアーのサーシャも可愛いと思いますよ。」
サーシャ「売りませんよ。」
アニェーゼ「お礼は体で払いますから。ちなみに初めてなので優しくしてください/////」
サーシャ「あなたはそうまでして人の髪で金を稼ぎたいのですか?」
アニェーゼ「確かに、良く考えたら自分の体を売った方が手っ取り早いですね。」
サーシャ「第一の質問ですが、あなたは本当に修道女ですよね?」
アニェーゼ「ちなみに布教中の神の子は、沢山の売春婦を抱えていたとか。」
サーシャ「第二の解答ですが、売春という行為を戒め、正しい道を教えるためにです。
その言い方ではまるでイエスキリストが女たらしみたいじゃないですか。」
アニェーゼ「別の言い方をすればやりチn」
サーシャ「シャーラーップ!!」
アニェーゼ「冗談ですよ、イタリアンジョークですよぉ」
サーシャ「だからあんたはブリティッシュ……あれ?」
アニェーゼ「やーいひっかかったー♪」
サーシャ「ぐぬぬ…」
アニェーゼ「ちなみに途中までは割と本気でした。」
サーシャ「えっ」
アニェーゼ「えっ」
サーシャ「第一の質問ですが、どのあたりまでは本気だったんですか?」
アニェーゼ「さ、乾きましたよお客さん。」
サーシャ「問いを繰り返しますが、一体どのあたりまで(ry」- 208 :1 [sage]:2010/08/17(火) 00:09:10.70 ID:CgYA6aQ0
【ちよこれいと】
アンジェレネ「あっ、シスターアニェーゼ!チョコレートですか!?」
アニェーゼ「さっきオルソラからもらったんです」
アンジェレネ「私にも分けてください!」
アニェーゼ「良いですよ。三個で良いですかい?三個ですか?甘いの三個欲しいのですかぁ?」
アンジェレネ「四個!四個です!」
アニェーゼ「四個欲しいんですかぁ?このいやしんぼめ!」
アンジェレネ「早く早く早く!」
アニェーゼ「じゃあ四個一気に投げますよお!」
シュッ!
パクッ!パクッ!パクッ!パクッ!
アニェーゼ「おお、本当に全部食べやがったですよ。」
アンジェレネ「う~ん、とろけます~♪」- 209 :1 [sage]:2010/08/17(火) 00:11:25.62 ID:CgYA6aQ0
ルチア「凄いのやら情けないのやら。もっと清貧というものを学ぶべきですよアンジェレネ。」
サーシャ「第一の解答ですが、私もチョコが欲しいです。」
ルチア「……」
ごそごそ
ルチア「実は、私も先程オルソラからチョコレートを貰ったのですが、食べますか?」
サーシャ「(0゚・∀・)」
ルチア「チョコ一つでなんて笑顔を見せてるんですかあなたは。はい、どうぞ」
サーシャ「あーん」
ルチア「あの…食べさせるのですか?」
サーシャ「あーん」
ルチア「……////」
サーシャ「ぱくっ♪」
ルチア(唇がちょっと当たりました。柔らかいですね。)
ぺろっ(溶けたチョコレートがついた自分の指を軽く舐めるルチア)
ルチア(良く考えたらこれって間接キスですか?/////)
後日、本当にキスすることになるとは夢にも思っていないだろう- 210 :1 [sage]:2010/08/17(火) 00:14:10.03 ID:CgYA6aQ0
アニェーゼ「ひゅーひゅー♪お熱いですねールチア♪チョコレートより甘いですねー♪」
ルチア「随分と古いひやかしですね、お尻叩かれたいですか?」
アンジェレネ「ルチア、私にもください。」
ルチア「お尻叩きをですか?」
アンジェレネ「違います!チョコですよ!」
ルチア「あなたはさっき四つも食べたでしょ。」
アニェーゼ「サーシャに口移ししてもらったらどうですか?」
アンジェレネ「ええっ/////」
サーシャ「食べますか?」
アンジェレネ「いりません!/////」
後日、本当に口移しすることになるとは夢にも思っていないだろう- 211 :1 [sage]:2010/08/17(火) 00:16:08.01 ID:CgYA6aQ0
【上やん公会議】
アニェーゼ「ああ、上条当麻に会いたいです。」
サーシャ「第一の質問ですが、上条当麻とはどのような人物なのですか?」
アニェーゼ「私の夫です。」
サーシャ「既婚者だったのですか!?」
神裂「嘘はよくありませんよ」
アニェーゼ「そうですねえ…顔は滅茶苦茶かっこいいというわけではないですね。」
ルチア「あと、セリフがクサイですね。よくあんなセリフを素で言えるものです。」
アンジェレネ「しかも説教好きです。」
サーシャ「第一の解答ですが、聞いた限りではあまり好印象ではないですね。ちなみにどんなセリフを言うのですか?」
- 212 :1 [sage]:2010/08/17(火) 00:21:09.86 ID:CgYA6aQ0
ルチア「私の時は、”断言しろよ、ルチア。その手伝いが出来るなら、俺はこんなクソつまらねえ幻想なんていくらでもぶち壊してやる。
だから断言しろよ!コイツが今ここにいて良かったなって思える一言を!歯を食いしばるだけの価値はあったんだって信じられる一言を!”
って感じですかね。不覚にもドキッとしてしまった自分が情けないです。」
アニェーゼ「私は”ありがとうな、お前がオルソラを守ってくれなかったら、きっと大変な事になってた”ですね。
てっきり怒られるものと思ってたんですが、ヒーローみたいに助けに来てくれた上に、こんな風に優しく言われたら惚れるしかねえですよ。」
アンジェレネ「私は…ないです。」
神裂「私も色々なセリフを聞きましたね。有名所では”テメェらずっと待ってたんだろ”
ってやつです。彼には本当に借りが沢山できてしまいましたよ。」
オルソラ「堕天使エロメイドを着て御奉仕したくらいでございますものね。」
神裂「シスターオルソラ!なぜその事を!?」
オルソラ「ちなみに私は252人のシスターに囚われて集団暴行を受けていたところを助けてもらったのでございますよ。」
アニェーゼ・ルチア・アンジェレネ「うっ…(ズキズキ)」- 213 :1 [sage]:2010/08/17(火) 00:23:13.34 ID:CgYA6aQ0
- オルソラ「たった一人で拳一つで勇ましく乗り込んできたところは、本当に素敵だったのでございますよ。」
アニェーゼ「その事については反省してますよ……悪かったです。」
ルチア「本当に申し訳ありませんでした。でも、殴っていたのは主にアニェーゼですよ。」
アンジェレネ「ごめんなさい。でも私は一回もそんな暴力なんて振るってませんよ?
アニェーゼが楽しそうに蹴ったりしてたのを止めなかったのはイケない事だと反省してますけど。」
アニェーゼ「うわー皆さん見て下さいこの薄情な部下を。」
オルソラ「まあまあ、もう済んだことではございませんか。
私はこれっぽっちも気にしてはいないのでございます。うふふ」
ルチア「笑顔が怖い…」 - 214 :1 [sage]:2010/08/17(火) 00:25:06.99 ID:CgYA6aQ0
アニェーゼ「そ、そうだ!上条当麻と言えば、色々とエッチな出来事もありましたよね!」
神裂「話題を逸らしましたねアニェーゼ。確かに、私は一度裸を見られた事があります。」
オルソラ「それに、堕天使エロメイドもそうでございますね。」
神裂「その話はもうやめてください」
オルソラ「私も裸を見られかけた事があるのでございますよ。」
アンジェレネ「私とルチアは裸にひん剥かれました。ただ、その時は幸い上条当麻の意識は無かったんですけど。」
ルチア「私なんてアンジェレネにスカートめくりをされて、上条当麻を含む多くの男性の前で下着を晒すという痴態を……
ああ、思い出したらムカムカしてきた。アンジェレネ!」
アンジェレネ「ひいっ!あ、あれは仕方なかったんですよぉ…」
アニェーゼ「なんですかそんくらい。私なんて上条当麻に直接裸にひん剥かれたんですよ?
それだけじゃありません。M字開脚で上条当麻の眼前でパンツを披露した事もありますし、
それに生まれたままの姿を見られた事もあるんです!なんですかこの待遇は!
お色気担当は私じゃなくてルチアがやるべきでしょう!」
ルチア「なんで私なんですか!」- 215 :1 [sage]:2010/08/17(火) 00:27:29.25 ID:CgYA6aQ0
アニェーゼ「清楚なキャラを気取ってるくせに、なんですかそのイヤらしい太股の露出は!誘ってンですかァ?」
ルチア「イヤらしいとか言うな!それに、太股なら神裂さんの方がイヤらしいじゃないですか!」
神裂「わ、私は好きで露出してるわけではありません!ちゃんと左右非対称を意識した魔術的な意義があるんです!」
サーシャ「第一の質問ですが、つまりイギリス清教のシスターは淫乱という事ですか?」
アニェ、ルチ、堕天使「違います!!!」
アニェーゼ「ていうか、サーシャの拘束服が一番淫乱じゃないですか!!」
サーシャ「第一の解答ですが、確かにその通りです。」
神裂「否定しないのですね。」
ルチア「大人げなかったですね。私達…」
アンジェレネ「何だかサーシャが大きく見えます」
サーシャ「第二の解答ですが、というよりも拘束衣の話を蒸し返してほしくないだけです(ガクブル)」
神裂「ああ……」
アニェーゼ「そうだ、拘束衣といえb」
サーシャ「鬼ですかあなたは!!」
オルソラ「あらあら」- 216 :1 [sage]:2010/08/17(火) 00:29:58.86 ID:CgYA6aQ0
- サーシャ「ところで第二の質問ですが、結局のところ上条当麻とはどの様な人間なのでしょうか?」
アニェーゼ「スケベ」
ルチア「素でクサイセリフを言う」
アンジェレネ「えーっとえーっと」
神裂「恩人です」
オルソラ「勇敢なヒーローでございます」
神裂「それと、忘れてはいけませんが、とてつもなく不幸な人間ですね。」
サーシャ「第三の解答ですが、まとめると英雄色を好むという事ですか?」
ルチア「色を好むという感じでもないのですが」
神裂「結局のところ、上条当麻とは一体何者なのでしょうかね?」
その頃遠く離れた東の島国では
上条「そげぶッ!風邪かぁ?ツイてねえなあ」
一方通行「テメェ…唾が飛ンだぞこの野郎…」
上条「げえっ!一方通行!つーか唾くらい反射しろよ!」
一方通行「スイッチ入ってねえンだよ!とりあえず[ピーーー]やオラァ!」
上条「だあーっ、不幸だあー!!」
一方通行「逃げてンじゃねェぞ三下ァ!愉快に素敵にぶち殺してやるぞコラァ!!」 - 217 :1 :2010/08/17(火) 00:31:50.67 ID:CgYA6aQ0
- 何にも考えないで書いてみるとこんな感じになります
というわけで小ネタ終わりです
本編の方はまた後日 - 220 :1 :2010/08/19(木) 06:39:08.73 ID:uSIr8tY0
- 必要悪の教会vs殲滅白書前半戦を投下します
かなりの原作設定崩壊や突っ込み所があるかとは思いますが、あくまでもここでの設定
と言う事で大目に見てやってください
私なりの解釈が多分に含まれていますが御了承を - 221 :1 [sage]:2010/08/19(木) 06:42:01.72 ID:uSIr8tY0
そこはどこまでも深い青色の世界だった
青と言うよりは、ネイビーやコバルトと言った方が正確かもしれない
空は星が一つも無く、月だけが唯一その暗く青い空を照らしている
だが不思議な事に、その月は赤く輝いている
下はどこまでも水が広がっている
前も後ろも右も左も、どこを見渡しても水平線ばかり
ここは海なのか?
しかし、水は自分のふくらはぎの辺りまでしか浸かっていない
海にしては浅すぎる
浅いとは思うのだが、底は全く見えない
それにしても、随分と殺風景だ
静かというよりは、ほとんど無音に近い
ここは天国なのか地獄なのか?
そもそも自分は誰なのか?
名前すらも思い出せない
存在してるのかしていないのかも曖昧だ
自分は何者で、この世界で何をすれば良いのか……- 222 :1 [sage]:2010/08/19(木) 06:44:22.55 ID:uSIr8tY0
そんな事を考えていると、突然目の前に何者かが現れた
修道服を着た金髪の少女
長い前髪から僅かに見える、こちらを覗く金色の瞳
それは本来の月の光にも似ている
自分はこの少女を良く知っている気がする
しかしどこか、ほんの些細な部分が違う気がする
?「nips天ergn世sigd」
何を言ってるのか理解できない
?「sbrg未snmt死phish失exdrspi」
なるほどわからん
?「nth戻ggbvrfl」
だからなんて言ってるのか分からないってば- 223 :1 [sage]:2010/08/19(木) 06:47:04.89 ID:uSIr8tY0
サーシャ「日本語しゃべれよ日本語ォォオオオ!!!(がばっ!)まあ私はロシア人ですけど」
五和「サーシャ…ちゃん……?」
サーシャ「五和…?」
五和「サーシャちゃああああん!!!」
サーシャ「むぎゅっ!なぜか目が覚めたらいつものホールド」
五和「ぐすっ、本当に…よかった…良かったですっ!!!」
サーシャ「第一の解答ですが、どうやらここが本当の死後の世界ですか。望み通り、また会えましたね。
いや、会えたという事は、もしや五和は……」
五和「グスッ、何をいってるんですか?サーシャちゃんは助かったんですよ?」
サーシャ「助かった?……第二の解答ですが、たしか腹部に…」
確認してみたら、確かに傷はまだ残っていた
五和「どうやら、サーシャちゃんは回復術式と相性が良かったみたいです。」
サーシャ「つまり、運が良かったという事ですか。」
それとも、先程見た夢のおかげか?
水を司る、青を象徴とする力
赤い月
サーシャの目の前に現れた謎の人物…
サーシャ「第三の解答ですが五和、顔が酷い事になってますよ。まあそれでも可愛いと思いますが。」
五和「ばかぁ!誰のせいだと思ってるんですか!(ぎゅっ)」
サーシャ「五和…そんなに強く抱きしめられると傷口が……」
どうやら五和の話によると、サーシャはあの後寮に運ばれて回復術式による治療を受けたらしい
しかも驚くべき事に、短時間で息を吹き返し、傷口も殆ど塞がったとか
誰もがまさに神の奇跡だと喜んだという- 224 :1 [sage]:2010/08/19(木) 06:49:44.98 ID:uSIr8tY0
その頃、寮の外では
アンジェレネ「みなさーん!シスターサーシャが目を覚ましましたよー!」
アニェーゼ「本当ですか!」
ルチア「良かった…本当に…」
アンジェレネもアニェーゼもルチアもみんな目が赤くなっている
それはけして寝不足で充血してるわけではない
アニェーゼ「ぶっちゃけあの傷を見た時はもうダメかと思いましたけど、奇跡ってのはやっぱりあるんですね。」
ルチア「神様が敬虔な教徒であるサーシャに加護を与えて下さったのです。
ああ、今日ほど十字教を信仰して良かったと思う日はありません」
?「ほんと良かったわ。死んだら私の首も一緒に飛ぶところだったのよ。」
全員「!?」
その声を聞いた瞬間に、一気にその場が和やかなムードから張り詰めた空気に変った
アニェーゼ「やはり来ましたか。」
アニェーゼは蓮の杖を構える- 225 :1 [sage]:2010/08/19(木) 06:53:33.07 ID:uSIr8tY0
ヴェロニカ「早速ですが、サーシャ・クロイツェフの引き渡しを要求します。彼女は国際指名手配犯。
まさか神を信ずるあなた方が、罪人を匿ったりはしませんよね?」
アニェーゼ「あんたら如きが神を語るなんて、十字教文化も舐められたもんですね。
罪人は見捨てるものじゃない、教えを諭し、正しい道を歩ませるものなんじゃねえですか?」
ヴェロニカ「なら、その役割は我々に引き受けさせてもらいましょうか」
アニェーゼ「いいえ、あなた方も我々が正しい道へと導かねばならない対象ですよ?
安心してください。あなた方みたいなクソッタレの猿頭にも理解できる様に分かりやすく教えてあげますから。
少々痛い思いをするかもしれませんけどね。」
ヴェロニカ「どうあっても我々殲滅白書と対峙すると?」
アニェーゼ「いちいち言わないと分からねえんですか?」
その言葉を皮切りに、前方の闇から隊列を成した足音が響いてくる
現れたのは、ヴェロニカを中心とした殲滅白書のシスター達だ
先頭のヴェロニカは白い修道服を着ており、赤い修道服で統一された他のシスター達の中で浮いていた
ヴェロニカの修道服はまっさらな雪の様に白く、その上から体を包む様に羽織っている外套も白い。そして、その外套を胸の当たりで留めている金色の装飾物がある
双頭の鷲だ
かつては神聖ローマ帝国を統べるハプスブルク家の紋章であり、イヴァン三世が第三のローマを称し、
ロシアの主権を主張すると共にロシアで採用された守護聖獣
現在もロシアの象徴として国旗に描かれている- 226 :1 [sage]:2010/08/19(木) 06:57:39.99 ID:uSIr8tY0
ヴェロニカ「宣戦布告と見なしても良いですね?」
アニェーゼ「さっさとかかってきやがれってんですよォ!!!」
必要悪の教会と殲滅白書の戦争がここに受理された
ヴェロニカ「オルガ!ローザ!それぞれ部隊を左右に展開!アーニャは中心を固めなさい!術式が完成するまで持ちこたえるのよ!」
アニェーゼ「ルチア!ローザの方をやっちゃってください!残りは部隊を二つに分けて、
一方はあの頭悪そうなデカ女を、もう片方は私と一緒にあの白い猿をぶっ潰しますよ!」
アニェーゼ部隊のメンバーは総勢252人
それに対してヴェロニカ部隊のメンバーはその四分の一にも満たない
数ではアニェーゼ部隊が圧倒的に多い
オルガ「へっへっへっ、やっと自由にうごけますねー♪」
彼女は術式強化された鉄パイプの様な長い棒を振り回し、アニェーゼ部隊のシスター達を薙ぎ払っていく
もしも修道服に防御術式が無ければ大変な事になっていただろう
ローザ「русалка、その名は美しき水の精霊、惑わし人を溺れさせる水の精霊、水は恵みであり脅威となる」
ローザの詠唱と同時に、彼女の周囲に水の塊が集まる。
その水の塊が、まるで散弾銃の様にシスター達に襲いかかった
ルチア「罪の無いものに罰は下らぬ、罪のある者にこそ罰は下る!」
ルチアの抱えていた車輪が爆発し、こちらも散弾銃の様に殲滅白書に襲いかかる
木片と水の塊は撃ち合い、相殺し合う- 227 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:00:11.07 ID:uSIr8tY0
ローゼ「やりますね。聖カテリナの車輪伝説ですか?」
ルチア「あなたのは水の精霊ルサールカですね。水難事故の原因とされ恐れられていたとか。
水属性の精霊の加護を基に、水の脅威の面を術式として構築したと言ったところでしょうか?」
ローザ「なるほど、ロシアの民間伝承に関する知識があるみたいですね。なら、これも分かりますか?」
ローザの周りに集まっていた水の塊が、突然光り出し、バチバチとした音が鳴り響く
同時に水の塊は一匹の蛇の形になり、ルチアに襲いかかる
ルチア「これはッ!」
電気を帯びた水の蛇がルチアに絡みつき、縛り上げる
ローザ「ツモクという稲光を起こす蛇を模したものです。」
ギリギリとルチアの体を縛り付ける水の蛇
同時、体中から放電する
ルチア「ぐっ…あああッ!」
ローザ「良い眺めですね。防護術式のかけられた修道服が無ければ黒こげになっていたでしょうに。」
ルチア「こんな……ものッ!」
ルチアは縛られながらも右手を動かし、周囲に散らばった車輪の木片を自分の体を締め付ける水の蛇に向けて集める
大量の木片の襲撃を食らった水の蛇はバラバラの水の塊となり飛散した- 228 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:03:01.98 ID:uSIr8tY0
ルチア「大した事ありませんね!!」
ローザ「なッ!」
ルチアは鋭い目つきでローザを睨む
ルチアの周囲には、木片の集合体が一定の軌道を描きながらグルグルと渦巻いている。
まるで、木でできた龍が彼女の周りを飛んでいる様だ。
ルチアが右手を振ると、木片はまるで生き物の様にローザに襲いかかる
ローザ「ルサールカ!」
自分の周りに水の塊を集め、木片の襲撃を防ごうとする。だが
ローザ「…ッ…防ぎきれないっ!」
幾つかの木片は防ぎきれず、ローザの体に刺さる
ローザ「うっ…!なんてこと……」
ルチア「まだまだこの程度では終わりませんよ。」
シスターモブ「シスタールチア、いつの間にそんな技を使えるようになったのですか?」
ルチア「二次創作では全ての設定はそげぶされるのです!」- 229 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:08:59.11 ID:uSIr8tY0
アニェーゼvsアーニャ
アニェーゼ「私の推測ですが、たぶんあなたが部隊で一番強いんじゃないですか?」
アーニャ「がおー」(ゴオッ!)
ふざけた言葉を吐いている様に思えるが、同時に灼熱の炎が彼女の口から放たれるからシャレにならない
アニェーゼはそれを横に飛んで回避する。
アーニャの舌には魔法陣が刻まれている。
それだけではない。背中にも二カ所に対比する様な形で魔法陣が刻まれており、そこから炎が噴き出している。
まるで、一対の炎の翼の様だ。
彼女の魔術は、スラヴ神話のスヴァローグという炎の蛇が元になっている。
スヴァローグはスラヴ神話の太陽神であり、炎の翼を持つドラゴンの姿で描かれているのだが、
東欧に伝わるにつれ、悪竜とされたり守護竜とされたりと色々と形が変って来た。
ちなみに聖ダミアヌス、聖ミカエルなどはこのスヴァローグと同一視されており、復興異教主義においては最高神に列せられている。
まあ何が言いたいかと言うと、非常に格式の高い神様であり、そんな神様を模した魔術を使えるアーニャは凄いという事だ
舌に一つ、背中に二つ、そして右手に一つの合計四つの魔法陣が体に刻まれているアーニャ
魔道書の原典の恐ろしさを知る者なら分かるだろうが、体に魔術のノウハウである魔法陣を刻む事は、
自分自身が原典と同じレベルの負荷を背負う事と同じであり、非常に危険な事である。
それを平気な顔して耐えているところがアーニャの天才と呼ばれる由縁でもあるのだ。
インデックス級の彼女の食欲は、もしかしたらその反動なのかもしれない- 230 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:12:04.94 ID:uSIr8tY0
アーニャ「もえろー!もっと熱くなれよ!!」
背中の炎の翼が無茶苦茶に暴れまくる
アニェーゼ「あちち…これじゃ近づけませんね。こんな化け物を中心に置いて白猿を守らせているという事は、
やはりあの白猿が部隊の要の様ですね。」
アーニャ「そ、そ、そ、それはちがうよ?」
アニェーゼ「無茶苦茶動揺してんじゃねえですか」
アーニャ「いずれにせよあなたはヴェロニカには近づけない」
アニェーゼ「随分と舐められたもんですね。」
アニェーゼは再び蓮の杖を構え、詠唱する
アニェーゼ「万物照応。五大の元素の元の第五。平和と秩序の象徴『司教杖』を展開。
偶像の一。神の子と十字架の法則に従い、異なる物と異なる者を接続せよ。」
詠唱すると同時に、杖に衝撃を与える
アーニャ「あうっ!」
見えない力がアーニャを吹き飛ばした
アニェーゼ「万物全ての属性を持つエーテルを操る私の杖と、強大な炎を操るあなたの術式、はたしてどっちが強いんでしょうねえ。」
アーニャ「ぐぬぬ。」
アニェーゼ「さて、さっさとそこをどいてもらいましょうか?」- 231 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:14:05.13 ID:uSIr8tY0
オルガ「アッハッハッハ!散れ―飛んでけー!」
シスターA「なんなの?あの孫悟空みたいなのは!」
シスターB「だめ!束になっても抑えられない!」
オルガ「はいそこー!お喋りしてる余裕はないよー!」
シスターB「きゃっ!」
一人のシスターの頭上に鉄の棒を振り下ろすオルガ
ガキッ!
シスターB「ひっ!……あれ?」
サーシャ「随分と好き勝手しくれましたね。」
いつのまにか、オルガの一撃を片手に握られたバールで受け止めるサーシャがそこに居た- 232 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:16:39.56 ID:uSIr8tY0
サーシャ「第一の解答ですが、もう大丈夫ですよ」
シスターB「サーシャちゃん/////」
オルガ「サーシャちゃん、もう動いて大丈夫なのー?」
サーシャ「ええ、第二の解答ですが、おかげさまでね!!」
サーシャはもう片方の手に金槌を握り、横からオルガの体を殴りつけて吹っ飛ばした
オルガ「ゴッハァアッ!!」
そして、オルガが吹き飛んでいく先には、五和が槍を構えている
五和「これはさっきのお返しですっ!!」
まるでバッティングの要領でオルガに槍を打ち付ける
オルガ「なんですかそりゃあー!!へぶっ!!」
さらにそのまま反対方向へ吹っ飛んでいくオルガ
それを見て動揺する殲滅白書のシスター達
戦局はイギリス清教側に有利な展開になっていた- 233 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:19:42.41 ID:uSIr8tY0
ヴェロニカ「むむむ、不味いわね。あと少しで完成するんだけど。」
?「何だ貴様ら!」
?「きゃあッ!」
後ろが何やら騒がしい
建宮「やれやれ、後方の守りは薄いみたいなのよ」
ヴェロニカ「おや、天草式ですか?」
どうやら先程の声は、ヴェロニカの後ろを守らせていたシスター達の悲鳴だった様だ
建宮「さて、指揮官であるお前さんを倒せば、全て終わるってわけだが。」
ヴェロニカ「あ、そう。」
建宮「ここで降参するってんなら命まではとらんのよ。」
ヴェロニカ「そう言えば、私の部下が五和という少女を痛めつけてしまったわね。
我慢しないで一発くらい殴ったらどう?降参する気なんてどうせ無いし。」
建宮「そうかい。じゃあ少し痛い目にあってもらうのよ!」
建宮はフランベルジュを構え、ヴェロニカに斬りかかった
しかし[ピーーー]つもりは無く、あくまでも剣の平らな部分を打ち付ける
バギン!
建宮「なにっ!!」
なぜかヴェロニカの修道服に剣を打ち付けると同時に、剣の方が真っ二つに折れてしまった- 234 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:23:14.58 ID:uSIr8tY0
ヴェロニカ「守護聖獣の加護を受けた法衣。名前はそのまんま”双頭の鷲”よ。
今回の任務のために上が用意してくれたの。羨ましい?」
ヴェロニカ「イギリス清教では10万3000冊の魔道図書館を守るために、”歩く協会”っていう
最高の防御力を誇る修道服を着せてるみたいだけど、この双頭の鷲はそれに勝るとも劣らない防御力があるのよ。」
建宮「クソッタレ!」
ヴェロニカ「それと、あなた達が後方から攻めてくる事なんて最初から分かってたわ。
守りの薄いとこを攻めるのは戦いの基本でしょ?だけど、あえてそれを罠にするのも戦術の基本なのよ。」
牛深「教皇代理!早く逃げて下さい!その女の周辺に、防衛術式が展開されてます」
ヴェロニカ「遅いわよ。双頭の鷲は絶対的な権力と支配の象徴。楯つく者を全て駆逐する。」
突然ヴェロニカの周りに風が巻き起こり、強風となって建宮を襲う
建宮「ぐあっ!」
強風だけではない、それに加えてかまいたちの様なものも襲いかかる。まるで、巨大な鷲の鉤爪に裂かれた様だ。
ヴェロニカの前から吹き飛ばされた建宮は、体中に切り傷を負ってボロボロになっていた- 235 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:26:45.84 ID:uSIr8tY0
ヴェロニカ「絶対的権力の象徴である双頭の鷲を着た私に攻撃することは、絶対的権力者に反抗する事と同じ。
あなたが私に攻撃すれば、それは権力者への反逆に対する罪となってあなた自身に返っていくのよ。
あなた達、いつまで寝てるの?術式が完成したわよ?」
その言葉を聞き、先程建宮達に倒されたはずのシスター達がむくりと起き上がる
ヴェロニカ「遥か昔、キエフを守護する英雄に希望の光を与えた三人の老賢者。
歩けない者には足を、目の見えぬ者には光を、耳の聞こえぬ者には歌を、そして、弱きものには全てを覆す力を」
ヴェロニカが詠唱を始めたその瞬間から、今まで押されていた殲滅白書のシスター達の目の色が変った
サーシャ「第一の解答ですが、遅かった…非常に不味いです…」- 236 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:28:55.41 ID:uSIr8tY0
オルガ「あはっ!すごい!力が湧いてくるー!!」
オルガは鉄の棒をサーシャに打ち付けた
先程は片手で防げた筈の一撃
しかし、バールで受け止めたはずの一撃は、威力を殺せずにサーシャの体ごと吹き飛ばした。まるで交通安全に使われる人形の様だ。
五和「えっ?これは一体どういう事…」
オルガ「こういうことー♪」
速い、いつの間にか目の前に現れて、五和もサーシャ同様に薙ぎ払われた
おかしい、明らかにスピードもパワーも先程までとは格段に違う
ルチア「何ですか…これは……?」
ルチアの前には、うわばみと言えるくらの巨大な水の蛇が立ち塞がっている。
こちらも今までのローザでは考えられないくらいの力だ。
ローザ「どうやら、ムウロメツの薬が完成したようですね。今までのお返しです。」
巨大な水の蛇は、目にもとまらぬ速さでその巨大な尻尾でルチアを弾き飛ばした- 237 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:31:04.34 ID:uSIr8tY0
アーニャ「……」
アニェーゼ「……」
アニェーゼの額に嫌な汗が浮かぶ
ヴェロニカ部隊最強の少女は、さらに手がつけられない状態になっている
巨大なニ対の炎の翼
手にはこれまた巨大な炎の剣
見た目だけでなく、その威力も格段に上がっている。
イメージで言うと、機動力を得たイノケンティウスだ。
アニェーゼは蓮の杖にナイフで傷を付け、目に見えないの力をぶつけようとするが、
アーニャは巨大な炎剣を一振りしてその力ごとアニェーゼを吹き飛ばした
アニェーゼ「ぐっ!…やばいですね…こんな時に幻想殺しが居てくれたら…」
サーシャ「本当は、こうなる前に終わらせたかったのですが……」
五和「サーシャちゃん、これは何なんですか?なぜみんな先程とは比べ物にならないくらいに強くなってるのですか!?」
サーシャ「第一の解答ですが、これがヴェロニカの魔術の真髄です。
自分が味方であると認識した者の身体能力と魔翌力を爆発的に高めるドーピングの様な魔術。
彼女はこれをムウロメツの薬と呼んでいます。」
五和「ムウロメツの薬……ってなんですか?」- 238 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:34:16.73 ID:uSIr8tY0
サーシャ「イリヤ・ムウロメツという英雄伝を知っていますか?ロシアでは有名な民話です。
とある子宝に恵まれない老夫婦の間に一人の子供が生まれたのですが、その子供は生まれつき足が悪く、歩けなかったのです。
しかし三十歳になったある日、三人の老賢者が彼の前に現れて、彼に薬を与えたのです。すると、歩けなかったはずの彼は
超人的な力を手に入れ、その後キエフを守るために異民族と戦う英雄になったという話なのですが…」
五和「要するに、その伝承を元に組み上げた身体魔翌力強化の術式というわけですか。対策は何か無いのですか?」
サーシャ「第二の解答ですが、この術式はヴェロニカを中心に展開されています。
そしてヴェロニカの魔翌力が途切れると、自動的にムロウメツの薬による効果は消滅します。」
五和「つまり、ヴェロニカを倒せばどうにかなるのですね!」
サーシャ「第三の解答ですが、それが出来たら苦労しません。
まず、彼女の元に辿り着くためにはアーニャを倒さねばなりません。彼女も非常に強いです。
そして、ヴェロニカの着ている真っ白な修道服は、おそらく双頭の鷲というものでしょう。
あれは、歩く協会に匹敵するくらいに強力な防護服です。その上、攻撃してきた者を自動的に強力な魔術で排除する機能も付いています。」
五和「何ですかそのチート性能、もはやどうにもならないじゃないですか。」
サーシャ「第三の解答ですが五和、オルソラのもとに行って下さい。彼女なら、何か対策を打てるかもしれません」- 239 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:35:58.02 ID:uSIr8tY0
五和「でも!」
五和の脳裏に、先程の死にかけたサーシャの姿が浮かぶ
サーシャ「第四の解答ですが、私は大丈夫です。もうあなたを悲しませたりはしません。」
五和「絶対……絶対ですよ!約束してください!」
サーシャ「約束します。父と子と精霊の御名において」
五和はサーシャの元を離れ、寮の内部へ向かう
オルガ「あはっ♪みーつけたー!」
五和「しまっ」
五和の姿を確認して襲いかかるオルガ
だが、攻撃が届く前にサーシャがオルガに横からとび蹴りを食らわせた
サーシャ「五和!早く!」
オルガ「ぜーんぜん効いてないよ?」
その言葉の通り、オルガには全くダメージは無かった- 240 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:38:32.08 ID:uSIr8tY0
オルガ「ねえサーシャちゃん、ヴェロニカ部隊に来ない?そうしたら、ここでボコボコに痛めつけるのは勘弁してあげるよー?」
サーシャ「第一の解答ですが、あなた方の仲間になるくらいなら恥ずかしい服を着てワシリーサの下で働いたほうがマシです!」
(ガギッ!)
鉄の棒とバールがぶつかり合い、つばぜり合いになる
ガリガリと鉄と鉄が擦れ合い、削れる音がする
オルガ「じゃあアタシの物になりなよ。アタシの実家は金持ちだからさー、何でも好きなもの買って上げられるよー?」
サーシャ「口説くならもう少しマシな言葉を聞きたいものです。そんなんじゃ虫けら一匹落とせやしませんよ!」
オルガ「もう、つれないんだから。でもそんなところが可愛いよねぇッ!!!」
鉄の棒を薙ぎ払い、サーシャの体が簡単に弾かれる
サーシャ「くっ…五和…ッ!」- 241 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:41:12.16 ID:uSIr8tY0
五和「オルソラさん!」
オルソラ「五和さん!御無事でございましたか!」
オルソラは非戦闘員のため、シェリーと共に寮内で殲滅白書に関する様々なデータを集めていた
シェリー「やれやれ、こんな時に神裂でも居りゃ良いんだが。」
五和「残念ながら、女教皇様は別の任務についています。」
シェリー「在らざるモノか。どうやらここ最近の在らざるモノの事件は、あの殲滅白書の奴等が原因ってことで間違い無さそうだな。」
五和「どういう事ですか?」
シェリー「分からないか?奴等が何らかの方法で在らざるモノをイギリス各地に流し込み、
実力のある魔術師達を各地に分散させてるって事だ。つまり、この戦争に神裂みたいな
聖人クラスの魔術師を介入させないために、わざと事件を各地に起こる様に仕組んだってことよ。」
五和「そんな事が可能なのですか?」
シェリー「殲滅白書は在らざるモノに関する知識も魔術もトップクラスの機関だ。在らざるモノを誘導させ、
罠を仕掛ける魔術を転用させればこんくらいの事は可能だろ。
まあ、証拠が見つかっちまえば国際問題に発展する事は間違いねえけどよ、
そんなヘマを犯さねえ辺りが奴等の実力を示してるのかしらね。」
五和「なるほど…」
シェリー「感心してる場合かよ。で、アンタは何しに来たんだ?逃げ帰ってきたわけじゃないわよね?」- 242 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:44:07.21 ID:uSIr8tY0
五和「そうでした!オルソラさん、ムウロメツを御存じですか?」
オルソラ「ええ、ロシアの民話でございますね。」
五和はサーシャから聞いた話をオルソラに伝える
オルソラ「なるほど、ムウロメツの伝承を元にした術式でございますか…」
五和「何か手はありますか?」
オルソラ「ムウロメツは……確か、天軍にも勝てるという慢心の言葉を吐いた事により、
最後は後悔の祈りと共に石像になってのでございます………良い案がございますわ!サーシャさんをここに連れてきてください!」
五和「はい!わかr」
シェリー「私が行くよ。」
五和「シェリーさん!」
シェリー「アンタはここに残ってオルソラの手伝いをしろ。」
そう言うと、シェリーは白いチョークを握りしめ、戦場へ向かっていった
五和「シェリーさん…」
オルソラ「五和さん」
五和「はい?」
オルソラ「あなたに聞きたいことがございます。」
五和「はい!私の知っている事ならなんでも!」
オルソラ「では神の右席について、あなたの戦った経験を詳しく話してください。」- 243 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:47:35.00 ID:uSIr8tY0
オルガ「どうしたのー?張り合いがないなー!」
サーシャ「うっ…」
そろそろ体力の限界が来ている
このままでは…
オルガ「そろそろ終わりにしようかな。楽しかったよー?サーシャちゃん♪」
オルガは気絶させる程度に計算された力でサーシャに渾身の一撃を食らわせようとする
もはやそれを防ぐだけの力はサーシャには無い
サーシャ「五和、すみません…守れそうにないです……」
シェリー「シケた面してんじゃないわよ!」
サーシャ「えっ」
突然巨大なゴーレムが現れ、オルガの体を殴り飛ばした
シェリー「やれやれ、なんだよそのザマは」
サーシャ「シェリー……ありg」
シェリー「良いからさっさと五和の元に行け!お前が必要らしい。」
サーシャ「第一の質問ですg」
シェリー「質問なんかしてねえでさっさと行けって言ってんのよ!」
サーシャ「はい!」
シェリー「さーて、そこの銀髪。ガキと楽しそうに遊んでくれたみたいね?」
オルガ「だから何ですかー?」
シェリー「ムカツクガキを痛ぶってくれて感謝するわ。でもガキはお疲れみたいだから、今度は私が相手をしてあげる。行くよエリス!」
エリス「グオオオオオオオオ!!!」- 244 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:51:09.83 ID:uSIr8tY0
サーシャ「五和!」
五和「サーシャちゃん!オルソラさん、来ましたよ!」
オルソラ「ええ!サーシャさんも御無事でなによりでございます!」
サーシャ「はぁ…はぁ…別に無事というわけではないですが、それで、私に用とは…?解決の糸口が見つかったのですか?」
オルソラ「はい。早速ですが、イリヤ・ムウロメツは、味方の一人が天軍に勝てると慢心したのが衰退の原因なのでございますよね?」
サーシャ「第一の解答ですが、その通りです。」
オルソラ「では、ここイギリスで言う天軍とは?」
サーシャ「第二の解答ですが、ヘンリー8世の天使軍でしょう。現在の王国騎士団ですね。」
オルソラ「その通りでございます。そして、その天使軍を象徴する武器と言えば」
サーシャ「……まさか、※カーテナを?」
※王家の者しか使えない慈悲の剣で英国最大の霊装。術者は天使長としての力を宿すことで強化され、
その剣からは全次元切断術式の発動できる。つまりヤバい剣。
ちなみにヘンリー8世が天使長を名乗ったのはローマ教皇に対抗し、教皇こえる地位であるとアピールするため
詳しくは禁書原作17巻と18巻を
サーシャ「あれは王家の者にしか使えませんよ?」
オルソラ「ええ、ですからあなたに女王様になってもらうのでございます。」
サーシャ「……はい?」
この人はいきなり何を言い出すんだ- 245 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:53:53.06 ID:uSIr8tY0
オルソラ「簡潔に言えば、今すぐここで即位式をやってもらいます」
サーシャ「あの…話が見えてこないのですが…」
オルソラ「もちろん本物の即位式ではありません。全部偽物で代用し、
あなたにはたった一度だけの仮初の女王様になってもらうのでございます。」
サーシャ「第一の解答ですが、それでカーテナの力など使えるのですか?」
オルソラ「おそらくたった一度しか使えないでしょう。全て偽物なのですから。」
つまり、即位ごっこと女王様ごっこでカーテナの力を借りるというわけだ
サーシャ「成功する可能性は?」
オルソラ「他に方法がございましたら、そちらを選択させていただきます。」
サーシャ「……」
オルソラ「では五和さん、先程指示した物を用意して下さい。」
五和「あ、はい!」- 246 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:57:04.44 ID:uSIr8tY0
- サーシャ「第二の解答ですが、あなたの案に賛同しましょう。ですが、なぜ私がクイーンを?」
オルソラ「はい。失礼ながら、サーシャさんの事を調べさせていただきました。
どうやら、あなたは神の力、後方の青を司る大天使ガブリエルをその身に宿した事があるのでございますよね?」
サーシャ「そこまで調べたのですか…?」
オルソラ「そして、その時にミーシャと名乗ったと?」
サーシャ「覚えは無いのですが、そう聞いています。」
オルソラ「やはりそうですか。本来、大天使が自分の名前を変えて名乗ることなどあり得ないのです。
なぜならその名は神の力と性質を示すのですから、勝手に名を変える事は神への冒涜になるのでございます。」
オルソラ「ですが、あなたの体に宿ったガブリエルは、ロシア語でミカエルの名前を示すミーシャと名乗った。
これは明らかにおかしいことでございます。」
サーシャ「確かに、ミカエルの火とガブリエルの水では、全く性質が異なります。」
オルソラ「なぜこの様な現象が起きたのかは分かりません。しかし、もしも私の推測が正しいのならば、
今この世界では四大元素の歪みが起きているのではないかと思います。」
サーシャ「例えそうだとしても、それと私に何の関係があるのですか?」
オルソラ「ガブリエルは青と水の象徴。しかし、この歪みにより赤と火による浸食を受けてしまったのです。
ミカエルの属性に浸食されつつある中で、あなたはガブリエルにとって宿主として最適だと判断されたのでしょう。」
サーシャ「それはつまり…」
オルソラ「あなたには、ミカエルに似た性質があるのではないでしょうか?」
サーシャ「……」 - 247 :1 [sage]:2010/08/19(木) 07:59:49.93 ID:uSIr8tY0
話がぶっ飛び過ぎて付いていけない
オルソラの仮説はこうだ
まず第一に、大天使のテレズマを丸ごと身に納める事は普通の人間にはできない。
例えるなら、安い電卓にパソコンの機能を全てぶち込むのと同じ事だ。
そして過去に莫大なテレズマを身に納めた特別な人間として、聖母マリアがいる。
第二に聖母崇拝と言うものがあるが、これによると聖母は神の子を身に宿した時点で原罪から免れたという。
つまり、大天使のテレズマを受け入れられるかどうかは、その宿主の原罪の濃さに影響があるという事だ。
第三に、原罪を薄め、神や大天使の力の一部を行使できる者達が居る。神の右席だ。
彼らは四人居て、それぞれミカエル、ウリエル、ガブリエル、ラファエルと同じ性質を持ちあわせている。
オルソラ「つまりサーシャさん。あなたは生まれながらにして原罪を免れる者であり、
ミカエルと同等の性質を持って生まれて来たのではないでしょうか?
そしてあなたの目が赤いのは、赤を象徴とするミカエルの性質の名残ではないかと思うのでございますよ。」- 248 :1 [sage]:2010/08/19(木) 08:02:36.72 ID:uSIr8tY0
五和「しかし、大天使の性質を持つ者は、普通の人間の魔術は使えないはずですよ?」
オルソラ「はい。ですが、アックアとの戦いを思い出して下さい。彼は聖母の原罪を免れる性質を転じて、
普通の魔術が使えないというルールから免れる事ができたはずでございます。」
オルソラ「神の右席は、原罪を薄めるという事で力を得ています。
つまり、原罪から逃れられぬ者がそれに抵抗するという事になります。ですが、サーシャさんの場合、
初めから原罪の束縛を受けぬ者として生まれたのではないでしょうか?
だとしたら、性質がガブリエルの生母の慈悲ではなくても、ルールから逸脱する事は可能でございます。」
五和「逃れる者と縛られぬ者の違いですか……とすると、もしかしたら女教皇様よりも強いのでは?」
オルソラ「受け入れる器があるという事と、その器がミカエルに似ているというだけの話でございます。
力を行使できるだけの能力があるかどうかはまた別の話になるのでございましょう。」
サーシャ「第一の解答ですが、こんな原作ガン無視な設定を上げてますが、結局凄いのか凄くないのかは微妙なところですね。」
オルソラ「そんな事はございませんよ?」
サーシャ「?」- 249 :1 [sage]:2010/08/19(木) 08:07:13.07 ID:uSIr8tY0
- オルソラ「これも私の推測ですが、本質がミカエルとは言え過去にガブリエルを身に宿したあなたは、
今はガブリエルの性質の方が濃くなっているはずです。ガブリエルは最期の審判において終焉のラッパを吹き、
死者を復活させる天使でございます。つまり、神の理を無視した力を行使できる天使でもあるのでございますよ。」
サーシャ「もしかして第一の質問ですが、私が助かったのは、回復術式との相性が良かったというわけではないという事ですか?」
オルソラ「ええ、おそらくはガブリエルの加護によって死から逃れたという事でしょう。
おそらくガブリエルはまだ四大元素の歪みによる影響から解放されていないため、
運良く見つけたあなたという器を失うわけにはいかなかったのかもしれません。」
サーシャ「第二の解答ですが、なんだかさっきから話が飛び過ぎていて、まるでとんでもな物語でも聞かされている様な気分です。」
それもそうだろう。自分がミカエルと同等の性質だの、原罪を免れる者だの、
あまつさえ自分のコンプレックスだった赤い目はその影響だのと言う話だ
納得して全てを受け入れろと言うのも無茶である
オルソラ「全てが正しいというわけではありませんし、もしかしたら全部まちがっているのかもしれません。
ですが、私はあなたに可能性を見出しているのでございますよ。」 - 250 :1 [sage]:2010/08/19(木) 08:10:31.15 ID:uSIr8tY0
オルソラ「カーテナの力の性質は天使長であるミカエルと同義。つまり、
ミカエルと同じ性質を持つあなたなら、擬似的なカーテナの力を振るえるのではないかということでございます。」
サーシャ「第一の解答ですが、私がクイーンの役をやる理由は分かりました。
私に出来るのであれば、喜んで引き受けさせていただきます。」
オルソラ「まあ!ありがとうございます!」
五和「えーっと、これで全部揃ってるでしょうか?」
五和が用意した戴冠式ごっこのレシピ
指輪
白い手袋
赤いペンキで塗られ、先端に棒磁石を埋め込んだ杖
白い杖
サーシャの着てた拘束衣の赤い外套
椅子
正方形の座布団みたいな石(シェリーの作業場から拝借)
香油
聖水
サーシャの修道服のベール
カーテナの力を移すための聖水で清めたナイフ- 251 :1 [sage]:2010/08/19(木) 08:14:08.22 ID:uSIr8tY0
オルソラ「では、蝋燭を西に、聖水の入った小瓶は南に、北はアニェーゼさんの部屋から拝借した小型扇風機、
東にシェリーさんが彫刻に使っていた石を。」
オルソラの指示通り、それぞれの場所に、赤い蝋燭、青いビンに入れられた聖水、
黄色い絵の具で塗られた扇風機、そして緑色に着色された石が置かれた
戴冠式のための簡単な儀式場を作ったのである。
しかし、何かがおかしい
サーシャ「第一の質問ですが、風と黄色を象徴とするラファエルは東方の性質を与えられています。
位置が違うのでは?あと、それアニェーゼに怒られますよ。」
オルソラ「先程も説明した通り、四大元素に歪みが生じてる可能性があります。
大天使の四大元素の力を行使する神の右席では、前方が黄色と風を象徴とするウリエル、
左方が土と緑を象徴とするラファエルになっていたのでございます。」
サーシャ「一体どうなってるのでしょうかね?」
オルソラ「きっと神様の国で痴話喧嘩でもあったのでございますよ。さて、ではサーシャさん、部屋の中央に来て下さい。」
サーシャ「はい。」
オルソラ「では、五和さん、サーシャさん、よろしいでございますか?戴冠式の真似事とは言え、
カーテナの力を宿すための儀式でございます。道具は全て偽物ばかりのなんちゃって戴冠式ですが、
あなた方の英国と神への忠誠は本物である事を証明しなければなりません。」
オルソラ「覚悟はよろしいでございますか?」
サーシャ・五和「はい…(ごくっ)」
今、世界で一番滑稽な戴冠式が始まった
- 256 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:01:29.09 ID:IltzVlE0
ルチア「まったく、一体何なんですか!」
ルチアは不条理な状況に文句を垂れつつ車輪を巨大な水の蛇に向けて、両手と体全体を使って円盤投げの要領で投げる
。
そして、巨大な水の蛇に車輪がぶつかると同時に爆発する
巨大な水の蛇は爆発によって頭部が木っ端微塵に吹き飛んだ
ルチア「やった!?」
ローザ「無駄ですよ。」
木っ端微塵に吹き飛んだ蛇の頭は信じられないくらいのスピードで再生する
ローザ「ツモク!」
ローザがその蛇の名を叫ぶと、巨大な蛇の口に光が溜まり始める
ローザ「消し飛びなさい!」
巨大な蛇の口から極太の光線と化した電撃が放たれた
まるで荷粒子砲の様だ
ルチア「……!!?」
蛇の口が光り始めた時点で危険を察知したのか、ギリギリでかわす事が出来たルチア
あんなものをまともに食らったら、髪の毛一本すらこの世に残らないだろう
ローザ「さあ、いつまで避け続けることができるでしょうか?」
再び蛇の巨大な口が光り出す- 257 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:04:22.85 ID:IltzVlE0
アンジェレネ「シスターアニェーゼ、ここは一端引きましょうよぉ…」
アニェーゼ「無理ですよ、あのスピードからは逃れられません。アンジェレネ、危ないから下がってください。」
アンジェレネ「シスターアニェーゼッ!」
アーニャ「吹き飛べ」
アーニャは上空からとてつもないスピードでアニェーゼに向かって滑空してくる
そしてその勢いのまま、自分の身長の倍近くある炎の剣の切っ先を向けてアニェーゼを潰そうとしてきた
アニェーゼ「クソ暑苦しいんですよぉ!!!」
アニェーゼも負けじとナイフで傷付けた蓮の杖を振り回す
しかし、その力を持ってしても相[ピーーー]る事すら敵わずに、炎の剣の爆発に巻き込まれる
爆発とともにアニェーゼの体は吹き飛ばされた
アンジェレネ「シスターアニェーゼ!!!」
まるで道路に打ち捨てられたゴミの様に、吹き飛ばされその体は地面を跳ねる様に叩きつけられる
アニェーゼ「…対火術式なんて…これじゃああってもなくても同じですね……」
来ている修道服は焼け焦げてボロボロになっている
それだけならまだ良いが、アニェーゼの柔和な白い肌も裂傷や火傷だらけで痛々しい姿だ- 258 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:05:50.18 ID:IltzVlE0
アンジェレネ「ぐっ……!(ぎりっ)」
奥歯を噛みしめるアンジェレネ
腰につけている硬化袋を取り外し、十二使徒の一人、徴税者マタイの名を唱えながら硬化袋を頭上に投げる
すると、硬化袋から六つの羽が生え、同時に中から数枚の硬化が弾丸の様なスピードでアーニャに向かって発射された
しかし、アーニャのもとに辿り着く前に硬化は燃え尽きてドロドロに溶けてしまう
当のアーニャは「良く見てなかったけど、何かしたの?」とでも言わんばかりの表情をしていた。
悔しかった
何もできない自分が
目の前で傷ついてる仲間が居るのに、何もできない無力な自分が
彼女も五和と同じだ- 259 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:08:10.86 ID:IltzVlE0
建宮「くそっ……」
半分に折れた剣を手に、ボロボロに傷付いた体を庇いながら、建宮はふら付く足で立ち上がりヴェロニカを睨みつける
他の天草式の連中は、後方の防衛を任されていた殲滅白書のシスターと戦闘していた
先程は難無く撃破できたはずなのだが、今はヴェロニカの魔術のせいで苦戦を強いられている
ヴェロニカ「もう諦めたら?どんなに頑張っても私には傷一つ付けられないわよ?
それなのにそんなボロボロになるまで頑張るなんて無駄じゃないかしら?」
建宮「黙れってんのよ……テメェには、どうしても一発ぶちかましてやらねえと気が済まねえのよ!
テメェらに利用され、自分の友人をその手で殺しかけるなんて事をさせられた、
どんな拷問よりも地獄に落ちる事よりも耐え難い絶望的な思いをした奴がいるんだよ!!
こんなとこで諦めたら、俺は五和にも女教皇様にも他のみんなにも顔向けできねえのよ!!」
ヴェロニカ「へえ、あなた随分と部下思いの上司みたいね。そういう上司は大好きよ。」
建宮はヴェロニカの話など全く聞いていない
すべき事は、あの澄ました端正な顔に一撃を与える事
建宮はヴェロニカに向かって突撃し、剣を振るう
しかし、ヴェロニカは簡単な動作でそれをかわした- 260 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:11:47.30 ID:IltzVlE0
もはやボロボロでまともに剣を振るう力すらない建宮の一撃など、
わざわざ注意して避けるまでも無い。
そもそも双頭の鷲の加護があるので避ける必要すらないのだが。
ヴェロニカ「私も二年前までは良い上司の下で働いてたの。あなたとは違っておちゃらけた感じの人。
まああなたも普段はどうなのか知らないけれどもね。変態的な趣味の持ち主で変な服を着させられてたけど、
それでもドライでギスギスした殲滅白書の中では、珍しく人懐こくて明るい人だったわ。」
建宮「おらァ!!」(ブンッ!)
今の自分に出せる全力の一撃
しかし、そんな建宮の奮闘など微塵も意に介さず
まるで頑張りを嘲笑うかの如く簡単に避ける
いや、避けているいうよりは、むしろどいているという感じだ- 261 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:16:09.19 ID:IltzVlE0
ヴェロニカ「実力を認められて、一部隊を任せられた時は嬉しかった。
同時に、絶対にその人を超えてみせるってヤル気まで湧いてきた。私にとっては憧れの様な人だったのかもしれない。」
建宮はヴェロニカの話に耳を傾ける事は無い
それでもヴェロニカは建宮の剣を避けながら、話を続ける
誰も聞いてはいない
なのに、なぜこんな身の上話を建宮の前でするのか、彼女自信も疑問に感じていた。
もしかしたら、建宮の部下を想う姿に何か感じ入るものがあったのだろうか。
ヴェロニカ「あなたには分かるのかしらね?自分の行動や言動だけじゃない。
その態度や表情の細かい部分一つ一つ、本当に自分でも意識していない部分でも、
それは部下に影響を与えるの。上司を心から信頼し、その指導を仰ぐ部下にとってはね。」
ヴェロニカ「上司の笑顔や褒め言葉一つでいつもの百倍は頑張れる様な気がする。
逆にため息や暗い顔ひとつで部下は不安な気持ちになるのよ。
だから、私は彼女達の前では極力明るく振舞う様にしてるわ。
人望なんて大して無いかもしれないし、憧れなんてこれっぽっちも持たれてはいないかもしれないけれど。」- 262 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:20:16.17 ID:IltzVlE0
ヴェロニカ「上司ってそういうものなの。特に憧れ信頼してる上司は。だから分かる?
そんな上司の落ち込んでるとこなんて見たくないっていう部下の気持ちが?
上に立つ者は絶対にそういう雰囲気を出しちゃいけないし、不安な言葉を吐く事も弱みを見せる事もしちゃいけない。
なのに、自分の憧れていた元上司がそんな情けない姿を晒している事がどれだけ耐え難い事か。」
斬りかかって来た建宮を、右腕を軽く翻すだけで風を起こして吹き飛ばした
それでも立ち上がる建宮斎字
建宮「分かんねえわ、そんなの…うちはあんたらみたいにデカイ組織じゃないからよぉ……
部下である以前に、上司である以前に仲間なんだよウチらは……確かに……アンタらの組織の体裁は立派だとは思うが……」
ヴェロニカ「あら、聞いてたの?」
建宮「うおおおおおお!!!」
再びヴェロニカに向けて突進する
ヴェロニカ「はぁ……無駄だと言うのn!?」
ビュン!と何かが高速で顔の横を通り過ぎた
建宮が最後の力を振り絞って投げた剣だ
建宮が投げた折れたフランベルジュはヴェロニカの頬を掠め、修道服のベールごと遠くに吹き飛ばした
建宮「修道服の外側は鉄壁でも、内側はそうでもない…か……そういうもんなのよ、アンタらの関係は……」
何度でも立ち上がって来た建宮は、最後の一撃がようやく届いた事を確認し、そのまま倒れ伏した- 263 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:23:02.64 ID:IltzVlE0
ヴェロニカ「……」
倒れた建宮を見つめるヴェロニカ
絹の様に滑らかで白い肌に、一つの赤い線ができている
そこから血が流れてくるが、彼女は気に留めていなかった
ヴェロニカ「建宮さんと言ったかしら……私も昔はそうだった。自分が上に立つ様になってから、
それを忘れてしまったのかもしれないわ……あの人の弱り果てた姿は、あの人の下を去ってから初めて見たから……」
ヴェロニカは、普段は部下に明るく振舞っている。部下からの暴言だって許している。
頼りないが近寄り易い上司を演じている。自分の憧れたかつての上司がそうであった様に。
演じているのだ。どこまでも演じているだけで、その枠を超える事は無いのだ。
それは例え苦しい事があっても悲しい事があっても、いつも同じ仮面を被って同じ自分を演じなければならないのと一緒。
けして自分の本質をさらけ出してはいけない。
体裁なんか気にしない様に見えるが、実際はその関係など体裁の塊に過ぎないのだ。
ヴェロニカ「もしかしたら、私はあの娘に嫉妬していたのかもしれないわね……」- 264 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:28:27.02 ID:IltzVlE0
その頃、バッキンガム宮殿では
エリザード「ん?……カーテナが…?」
騎士団長「カーテナがどうかしましたか?まさか変な細工したとか壊したとかそんなんじゃないでしょうね?
エリザード「どんだけ主君を信用してないんだよお前は」
英国王家の者だけが手にするカーテナ・セカンド
英国女王エリザードは、そのカーテナに違和感を覚えた。
まるで面白そうな者を見つけた好奇心旺盛な動物の様に、カーテナに宿る力が何かに反応しているのを感じる。
騎士団長「ウエストミンスターの清教派の女子寮で抗争が確認されました。
どうやら、襲撃者はロシア成教殲滅白書の一部隊の様ですが…」
エリザード「知らんよ。そういうのはアイツの領分だ。あの女の事だ、
むざむざとロシアの連中の侵入を許したわけでも無いだろうし、何か企んでるだろうね。まあ大方予想は付くが。」
騎士団長「ちなみに、あの女子寮周辺で強力な結界も確認されたそうです。どうやら、
戦争が始まると同時に発動する仕掛けで、外側から援軍を送る事ができない状態になっています。
範囲は限られているとは言え、あれだけの密度の高い結界ですから、
最低でも一カ月近くかけて念入りに調整を施したのでしょう。解除するには最低でも一日は要するかと。」
エリザード「だから知らないよそんなの。あの女がどうにかなるって判断したんだろ。」
騎士団長「しかし、最近の在らざるモノの事件の急激な増加もありました。
この様な事態になるまで放置した最大主教には責任という物があると思いますが?」
エリザード「大切なのはこの国の国益だ。最終的にどう転ぶかを見届けるまでは判断できん。」- 265 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:31:34.99 ID:IltzVlE0
(戴冠式とか見た事ないので詳細は分かりません。というわけで割愛します。)
サーシャ「これは……?」
オルソラ「どうやら成功したみたいでございますね…」
サーシャはカーテナの代用品であるナイフを右手に握っているのだが、そのナイフが異様な光を帯びている
五和「まさか本当に成功するなんて……」
オルソラ「ええ、私も半信半疑でございました。」
五和「いや、オルソラさんが考えたんでしょ」
オルソラ「とにかくサーシャさん。今この時だけ、あなたは英国女王と同等であり、
天使長ミカエルの力を有しています。ただし、その擬似カーテナは一度しか使えません。」
サーシャ「第一の解答ですが、分かっています。さあ、行きましょう!反撃開始です!」
- 266 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:34:31.88 ID:IltzVlE0
ヴェロニカ「さて、そろそろ決着がつきそうですね。予備のために組み込んでおいたコレも必要無かったみたいです。」
戦局は完璧に殲滅白書優勢
ムウロメツの薬の力を得た殲滅白書のシスター達は、一人で10人分の働きをする。
アニェーゼもルチアも、みんな傷だらけで辛うじて生きている様な状態だ。
シェリー「エリス!」
オルガ「無駄ァー!」(ドゴン!)
エリス「ゴオオォォ…」
ゴーレムがオルガの一撃で簡単に崩れ去っていく
シェリー「クソッ!化け物かアイツは!」
ローザ「さて、そろそろ終わらせますか。今まで避け続けた事は素直に賞賛します。まあ、全て無駄に終わりそうですけど。」
ルチア「はぁ…はぁ……ッ…!」
体中が痛む
極太のレーザーみたいなのは運よく一撃も当たっていないが、あの巨大な蛇には何発かテールアタックを食らってしまった
もしかしたら、わざと一撃必殺の技を当てないでじわじわと痛めつけていたのかもしれない- 267 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:37:21.09 ID:IltzVlE0
- アンジェレネ「アニェーゼ!起きて下さい!目を覚ましてください!」
アニェーゼ「……」
もはや戦える状態では無い
生きている事が不思議なくらいボロボロになってしまっている
アーニャ「もう終わり?つまらない」
巨大な炎の翼を背負い
巨大な炎剣を携え
喋るたびに口から炎がこぼれる
そんな怪物がアンジェレネとアニェーゼの前に迫ってくる
アンジェレネ「……絶対に」
アンジェレネは、アニェーゼを庇う様に両手を広げ、立ちふさがる
アンジェレネ「絶対にアニェーゼを殺させたりはしませんよ!!」
足が震える
恐怖が全身を駆け巡る
敵わないのは分かってる
このままでは自分は確実に死ぬ
それでも彼女は逃げようとは思わなかった
逃げたところで、このまま生き延びたとこでその先に幸せなど存在しない
ルチアやアニェーゼ達が居ない世界に幸せなど無い
彼女はその幸せを守るために戦う
アーニャ「邪魔。」
例え彼女の小さな幸せと大きな勇気が、アーニャの振り上げた炎剣の前に簡単に消えてしまうとしても
アーニャの炎剣がアンジェレネの頭上にギロチンの様に振り下ろされる
一瞬で灰と化すだろう……と思われた
アンジェレネ「ひっ!………あれ?」 - 268 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:39:39.54 ID:IltzVlE0
アンジェレネの頭上で、その炎剣は止まる
熱気でアンジェレネのフードの先が少し焦げ、アンジェレネは頭上の炎剣の圧迫感に思わず腰を抜かしてしまった
アーニャ「おかしい……」
自分の振るう力に違和感を感じる
その違和感を感じていたのはアーニャだけではない
ヴェロニカ「何かしら……さっきから魔翌力が乱れて……」
そして気がついた
今もイギリス清教と殲滅白書のシスター達が戦っている戦場
その奥に、異様な光が見える
それはサーシャ・クロイツェフと、右手に握られている謎の武器
その武器が異様な光を放っている
ヴェロニカ「……何よアレ…?」
あれは良くないものだ
本能でそう感じる
しかし、対策が思い浮かばない。
なぜなら、あれがどういうものでどの様な影響があるのかを理解できないからである
サーシャ「第一の解答ですが、これで終わりですよ、ヴェロニカ。」
- 269 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:44:09.38 ID:IltzVlE0
カーテナ・イミテーション
サーシャはたった一度だけ使える偽物の慈悲の剣を天に翳した
カーテナの力は地球という惑星から英国領土を切り離し、その内部を制御管理できるというもの。
まさにイギリスを支配する国王に相応しい剣だ(原作参照)
しかし、偽物ゆえにその力はカーテナ・セカンドの1割あるかどうかと言ったところだが。
それでも、「ムウロメツの薬をヴェロニカの全ての魔翌力ごと根こそぎ打ち消す」くらいは簡単にできる
ヴェロニカ「なっ!一体どうなってるの!」
ヴェロニカの体から魔翌力が光となってあふれ出てくる
あふれ出た魔翌力が全て空へと登り、消えて行く
まるで光るシャボン玉を見てる様な気分だ……
アーニャ「あれ…?」
アーニャの手から炎剣が消えた
同時に背中の炎も消える
ローザ「どういうこと……?」
ローザの水の蛇も形を維持できなくなり、崩れた
オルガ「力が…抜けてく…」
エリス「グオオオオオオ(すごいパーンチ)」
オルガ「ビブルチッ!」
ドガーン!- 270 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:47:54.84 ID:IltzVlE0
ルチア「これは……サーシャ!」
アニェーゼ「いたたっ…どうやら……再び私達に勝機が訪れたみたいですね……アンジェレネ?」
アンジェレネ「すみません、腰が抜けて立てません……」
五和「やった!やりましたよオルソラさん!」
オルソラ「ええ!まさに奇跡でございます!」
まだ戦争が終わったわけでもないのに二人ははしゃいでいた
殲滅白書のシスター達は誰もが負けを確信した
そもそも元々の戦力差が違うのだ
ヴェロニカのムウロメツの薬が無ければ勝てない戦いである
どんな時でも、辛い時でも悲しい時でも、例え負けそうになって絶望しても、絶対に上に立つ者はそれを隠さなければならない
上司とはそういうものだと高説垂れていたヴェロニカ
ヴェロニカ「あはっ……あははははははははははっ!」
サーシャ「どうしました?敗北が確定して気でも狂いましたか?」
サーシャは、全ての魔翌力を失い立てなくなってその場に座り込んでいるヴェロニカの前に立った- 271 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:50:45.82 ID:IltzVlE0
ヴェロニカ「違うわ。素直に満足してるの。まさかここまで私が追いつめられるなんて、今まで無かったもの。」
サーシャ「第一の解答ですが、やはり狂ったみたいですね。」
ヴェロニカ「そうじゃないって言ってるでしょ?」
突然、ヴェロニカの足元に青白い光が溢れだし、その光がヴェロニカを包んでいく
サーシャ「……!?」
ヴェロニカ「ふふっ、予備のために術式を組んでおいて正解だったわ。
まさか、私がムウロメツの薬を破壊された時のための対策を立てていない思ってたのかしら?」
サーシャはヴェロニカを殺そうと、カーテナの効力を失ったタダのナイフでヴェロニカの額に切りかかる
しかしヴェロニカはそれを避け、ナイフはヴェロニカの修道服に当たった
双頭の鷲への攻撃は、自分へ返ってくる
強風とかまいたちで切り傷だらけになったサーシャの体が吹き飛んだ
ヴェロニカ「さて、第二ラウンドと行きましょうか」
サーシャ「うっ……」- 272 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:54:35.74 ID:IltzVlE0
ヴェロニカ「ねえサーシャ、スヴェントヴィトって知ってるかしら?」
サーシャ「スラヴ神話の…軍神…」
ヴェロニカ「そうよ。スヴェントヴィトにも色々と逸話があるけど、私はその中で、
戦士達が戦いで得た戦果の一部をスヴェントヴィトに捧げていたエピソードを元に術式を組んだのよ。」
サーシャ「……まさか、自分が相手に負わせたダメージの一部を、自分の魔翌力に還元する……?」
ヴェロニカ「さすがはあの人の直属の部下ね。でも惜しいわ、その程度ならそこらの三流でも組める術式ね。
私の術式は、自分の味方全員が相手に与えたダメージが、ムウロメツの薬を通じて全部そのまま私の魔翌力となるの。」
ヴェロニカ「ローザみたいな性癖は無いけど、あなた達の感じた痛みや苦しみ、絶望が全て私の力になるのよ?」
要するにこそこそと魔翌力を集めて予備電源みたいなものを貯めていたらしい
ムウロメツの薬が再起動した
殲滅白書のシスター達の目に再び光が宿る
どうやらイギリス清教の敗北は確定した様だ
ヴェロニカ「あなたはそこで見てなさい。あなたのせいで死んでいくイギリス清教のシスター達を。」- 273 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:57:39.85 ID:IltzVlE0
絶望に形があるのなら、きっとこんな感じなのだろう
ゲルニカというスペイン内戦を題材にしたピカソの絵画がある
彼はきっと、こんな光景を見て絵にしたのだろう
遠くでルチアが車輪を抱えた右腕ごと光線を受けて、華奢な腕が消失したのが見えた
痛そうに苦しみもがいている
アニェーゼとアンジェレネがまとめてアーニャの炎で焼き払われるのが見えた
きっと死体は原型すらとどめていないだろう
ほかにも、戦いで敗れ、死んでいく仲間の姿が目に映る
もうやめてほしい、戦わないで、死なないでほしい
たぶんサーシャがそう懇願しても、イギリス清教の仲間達は止まってはくれないだろう
彼女達は仲間のためなら命をかける。かつて、何の関係もない自分達を命懸けで救ってくれた少年の様に。
そしてもしもサーシャが彼女達と同じ立場だったら、間違いなく自分も命をかけて仲間のために戦うだろう
サーシャは再び立ち上がり、ヴェロニカに立ち向かう
しかし、彼女も建宮と同じ様に軽くあしらわれる
ヴェロニカ「黙って見てなさい。」
サーシャ「あぐっ…!」
サーシャはうつ伏せの姿勢のままヴェロニカに頭を踏まれ、地面に縫いつけられた- 274 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 03:59:03.95 ID:IltzVlE0
サーシャの視線の先には五和が居た
海軍用船上槍を構え、オルガと対峙している
シェリーの安否は確認できないが、もうゴーレムは尽きたらしい
やめて……勝てるはずがない…
五和はオルガに向かって突撃する
もうやめてほしい、どうか死なないでほしい
五和の槍は簡単にオルガに弾かれた
神様、どうか自分の命と引き換えに、五和を助けて下さい、どうか…
しかし願いは届かない
二人の勝負は早々の決着がついた
オルガの棒が五和の胸を貫き、呆気なく五和はそのまま倒れた
五和の体から引き抜いた棒には、彼女の鮮血がべっとりとこびり付いている
オルガ「あはっ♪サーシャちゃんを串刺しにしたんだらか、当然の報いだよねー?アハハハッ!」
その瞬間、サーシャの中で何かが切れた
- 275 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 04:02:11.85 ID:IltzVlE0
もがき、力づくでヴェロニカの足をどけると、ナイフでヴェロニカの体を切り裂く
しかし、当然攻撃は通らず、強風とかまいたちがサーシャを襲う
サーシャ「がっ、ぐっ、があああああああああああ!!!」
幾つもの裂傷を浴びて吹き飛ばされても、すぐに立ち上がり襲いかかる
もはや理性など欠片も無い獰猛な獣の様に牙をむく
ヴェロニカ「無駄だって言ってるでしょうがッ!!」
ヴェロニカは手を翻して風を起こし、サーシャに叩きつけた
しかし、サーシャはけして怯まない
おそらく腕が捥がれても足が千切れても、ヴェロニカに襲いかかるだろう
ヴェロニカは上からサーシャを[ピーーー]なと指示を受けているが、このままではサーシャの方が双頭の鷲の加護で自滅しかねない
ヴェロニカは再び風を叩きつけ、サーシャが地面に転がったところを取り押さえ、首を絞めた
そして立ち上がり、サーシャを、首を両手で絞めたままの状態で持ち上げる
サーシャ「ぐがっ!あがっ!があああああッ!!」
ヴェロニカ「まるで獣みたいね。」
サーシャの赤い目の瞳孔が猫の様に細くなっている
首を絞められながらも、サーシャはヴェロニカに噛み付こうとしていた- 276 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 04:04:52.64 ID:IltzVlE0
ヴェロニカ「落ち着きなさい」
サーシャ「あがっ!!ぐっ!ああッ!!」
ヴェロニカはサーシャの首を絞める力をさらに強くする
ヴェロニカ「無駄なの?分かる?もうあなたの仲間はみんな死んだの?あなたが戦う意味は無いのよ?」
サーシャ「jfhrpl黙jduoa!!!」
声にノイズが走る
ヴェロニカ「もう終わったの。結局あなたの努力は無駄だったのよ?」
サーシャ「sbrg;snmtp|hish!」
ヴェロニカ「みんなあなたのせいで死んだの」
?「nipsergnsigd」
ヴェロニカ「だからいい加減に……」
?「nthggbvrfl……」
そこでおかしな事に気付いた
先程から、サーシャの声にノイズが混じっている
何かを喋っている様だが、言葉の意味は理解できない
そして、先程までの獣のような獰猛さが感じられない- 277 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 04:06:49.25 ID:IltzVlE0
ヴェロニカ「まさか、死んd」
その刹那、サーシャの目が鋭く見開かれた
ヴェロニカ「なッ、ぐあっ!」
何が起きたのか分からず、謎の力でヴェロニカはサーシャの前から弾かれる
?「Sjhdtdplk起qlhg」
ヴェロニカの手から解放されたサーシャはそのまま空中に登って行く
突然、彼女の背中から黒い黒曜石の巨大な翼が現出した
赤かった目は、月の様に黄色く輝いている
ヴェロニカ「サー…シャ……?」
?「解一、私はサーシャではない。補足、私を示す適切な記号はミーシャ」- 278 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 04:10:07.52 ID:IltzVlE0
ミーシャ「私見一、人間の下らない争いに興味は無い。私見ニ、下らない願いにも興味は無い。
しかし私見三、私はこのサーシャ・クロイツェフの体を失うわけにはいかない。」
ミーシャ「結論、よってサーシャ・クロイツェフの敵となる者を排除する。」
その瞬間、夜空から星が消えた
いや、正確には夜空を濃紺色に塗りつぶされたのだ
同時に、空一面に複雑な紋様の巨大な光の魔法陣が描かれる- 281 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 05:33:58.68 ID:IltzVlE0
水の象徴、月の守護者にして後方の青を司る神の力、名をガブリエルと言う
それは最期の審判にて終焉のラッパを吹き、死者を蘇らせる大天使
それゆえに、神の定めた摂理をも覆す力を行使する事もある
ミーシャ「……」
ミーシャはその右腕を軽く振るった
ただそれだけで生と死の理が覆される
消滅と再生が逆転する
ルチア「腕が…治ってる……?」
アニェーゼ「あれは…サーシャですよね?」
アンジェレネ「私に聞かれても…」
五和「サーシャ…ちゃん?サーシャちゃんなのですか!?」- 282 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 05:35:17.59 ID:IltzVlE0
ミーシャ「戦え。お前たちには加護がある。」
死んだはずの者が一人残らず復活していた
傷も全て回復している
ミーシャ「戦え、この少女を守りたくば。」
アニェーゼ「言われなくとも、百倍返しでやってやりますよ!!!」
今度こそ、本当に奇跡と共に形勢は逆転した
大天使は神の命令なしに人を傷付けたり殺したりする事はできない
ミーシャが唯一その掟を破るのは、彼女が正しい位置に還るチャンスがある時のみ
この争いに興味が無いと言っていた通り、彼女はこの戦いで直接的に相手を傷付けたり殺したりするつもりは無かった
それゆえに、五和達が復活したのは自分の代わりに戦わせるためであって、慈悲と言う物はそこには無い- 283 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 05:37:15.03 ID:IltzVlE0
ヴェロニカ「あれは…大天使ガブリエルの…そんな……」
ヴェロニカの頭に初めて敗北と言う言葉がよぎる。
大天使とまともに戦って勝てる可能性が1%でもあるのなら、
初めからわざわざ聖人である神裂の居ない時を見計らって襲撃するという作戦など立ててはいない。
ローザ「ツモク!どうしたの!」
ローザの巨大な水の蛇は、再び崩れ去った
水を司るミーシャにその力を奪われたのだ
ルチア「水が使えなければただの人ですよね、あなたも」
ローザ「!?」
ルチアは魔術を行使せず、ローザの顔にハイキックをお見舞いした
ローザ「がはッ!」(ドサッ)
一撃で気絶したローザ
ルチア「こんな雑魚に構っている暇はありません!」
ルチアは一番苦戦していると思われるアニェーゼの元へ向かった- 284 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 05:39:04.70 ID:IltzVlE0
五和「さっきはよくもやってくれましたね。」
オルガ「うわっ、ちょっタイム!」
五和「死んだ後ならいくらでもあげますよ?」
オルガの棒が弾かれ、体は壁に叩きつけられた
オルガ「ま、待って!ねえ待ってってば!」
五和の目は本気だ
本気で殺しに来ている
オルガは尻込みしながら命乞いをする
綺麗な顔立ちは恐怖で歪みに歪んでいた
五和「さようなら」
五和は本気の一撃を当てた。
オルガの顔のすぐ隣の壁にだ。海軍用船上槍が壁に深々と突き刺さっている。
オルガ「う……ア……」
オルガは恐怖のあまり、泡を吹いて気絶してしまった
五和「ま、これでチャラって事にしてあげますよ。」
五和は槍を引き抜き、アニェーゼの援護に向かった- 285 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 05:42:32.02 ID:IltzVlE0
アーニャ「うぐっ…」
アニェーゼ「どうしたんですかい?さっきの方が百倍手強かったですよ?」
アーニャの魔術は火だ
それゆえにローザと同じくミーシャ属性による干渉を受けているため、思う様に力が機能しなかった
それでも脅威である事に変りは無いが
ルチア「アニェーゼ!アンジェレネ!」
五和「アニェーゼさん!」
アニェーゼ「ルチア!五和!」
五和「アニェーゼさん、こちらは全て片がつきました。ですから」
ルチア「あなたはヴェロニカを倒してください。ここは私と五和さんがどうにかします。」
アニェーゼ「分かりました。私は優秀な部下を持てて幸せです!」
五和「私は部下じゃないですけどね。」
アニェーゼはアーニャを二人に任せて正面突破しようとした
アーニャ「逃がさない」
アーニャはアニェーゼにむけて灼熱の炎を吐く
しかし、ルチアが車輪を投げつけ、アーニャの前で爆発させる
攻撃はアーニャの炎で全て防がれてしまったが、それでも車輪の爆発にアーニャの注意が向けられたおかげで炎の軌道を反らす事はできた
アーニャ「邪魔…」
ルチア「あなたの相手は私達ですよ!」- 286 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 05:43:46.02 ID:IltzVlE0
五和「アンジェレネさん!」
アンジェレネ「はいっ!」
五和「あなたにお願いがあります。私とルチアさんだけでは彼女を倒すことはできないでしょう。」
アンジェレネ「でも、私の攻撃も全く通用しませんでしたよ?」
五和「大丈夫です、彼女の力は以前よりも落ちています。」
アンジェレネ「で、でもでも!」
五和「アンジェレネさん!あなたにしかできないんです!ルチアさんも私もあなたを信頼しています!」
五和はアンジェレネにとある作戦を簡潔に話した
アンジェレネ「……わ、分かりました!」
五和「大丈夫!あなたなら絶対にできますよ!」
アンジェレネ「頑張ります!」
アンジェレネはその場から離脱していった- 287 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 05:45:06.59 ID:IltzVlE0
五和「ルチアさん!」
ルチア「はい!?うおっ!」
ルチアはアニェーゼが投げつけてきた炎の塊を避けながら返事をする
五和「アーニャを、寮の近くまで誘導してください!」
ルチア「良く分かりませんが、なにか策があるのですね!?」
五和「はい!(お願いしますよアンジェレネさん、そしてサーシャちゃん!)」
ミーシャ「……?」
ルチアは五和の指示通り、アーニャの攻撃を掻い潜り、アーニャを女子寮に近づける様に仕向けた
五和「アーニャさーん!あなたの技って大した事ありませんね!!」
アーニャ「……?」- 288 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 05:47:20.65 ID:IltzVlE0
五和「ぶっちゃけステイルさんの方が100倍凄いですよ?あなたの技って100円ライターよりしょぼくないですか?
マッチですかそれ?あ、マッチに失礼でしたね。」
アーニャ「……(ビキッ!)」
ルチア「あの…五和さん?」
五和「悔しかったらあなたの全力を見せて下さいよ!どうせ大した事ないと思いますけど!!」
アーニャ「ナメてやがるな、よほど愉快な焼死体になりてぇと見える」
在庫一掃セール並みの安い挑発にキレたアーニャは空に向けて炎の剣を高くかざした
すると、突然彼女の背中の翼が膨らみ始めた
かざした炎剣も同時にさらに巨大化する
そして、巨大な炎剣は球体となり、天にかざしている右手の上で太陽の様に激しく燃えている
アーニャの持つ全ての力をこめた必殺の一撃を繰り出そうとしていた
ルチア「で、五和さん、アレどうするんですか?」
五和「……ぶっちゃけヤバいかもしれません」
ルチア「おい!」- 289 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 05:49:23.90 ID:IltzVlE0
上空のアーニャから巨大な炎の塊が放たれた
たぶん逃げても逃げ切れないだろう
ルチア「オワタ」
五和「サーシャちゃん!今です!」
ミーシャ「……チッ」
同じく上空に浮かぶミーシャの黒曜石の様な巨大な翼が伸びてきて、巨大な炎の塊を簡単にズタズタに潰してしまった
五和「サーシャちゃん!やっぱり助けてくれましたね!」
ミーシャ「解一、私の名前はミーシャ。」
五和「ありがとうございますミーシャちゃん!」
ミーシャ「解ニ、別にあなたを助けたわけではない。あとちゃんはやめろ。」
ルチア(ガブリエルってツンデレなんですか?)- 290 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 05:52:39.68 ID:IltzVlE0
アーニャ「……どういうこと?」
はっきり言ってここら一帯が焼け野原になってもおかしく無い様な大魔術なのに、
あの上空のミーシャと名乗るサーシャが呆気なく簡単に消してしまった
本当はプライドも一緒にズタズタにされた様な気分で落ち込んでいるが、次の攻撃に備えなければならない
そう、あれだけの大技を使ったのだから、自分の力が弱っているのだ
巨大な羽も小さく萎んでしまっている
アーニャ「じゅうでんかいし…」
アーニャ再び力を貯め始める
今度はあのミーシャごと愉快に素敵に吹き飛ばせる一撃をお見舞いしてやろうと
しかし、彼女は気付いていない
背後の女子寮の屋上から、弱って力の落ちているアーニャを狙っている人物が居る事を
五和「今です!アンジェレネさん!」
アンジェレネ「発射ー!!」
アンジェレネの羽の生えた硬貨袋から、何枚もの硬貨が弾丸の様なスピードで飛び出てきた- 291 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 05:54:49.51 ID:IltzVlE0
アーニャ「!?」
前に同じ攻撃をした時は、硬貨がアーニャの炎で溶かされてしまった
しかし、今のアーニャは力が弱くなっている
ガン!ゴン!と何枚もの硬貨がマシンガンの様に上空のアーニャの体に直撃する
かなり痛そうだ
アーニャ「くっ…まけない…」
ゴン!
最後の硬貨の一枚がアーニャの額に直撃した
アーニャ「きゅう~」
そのまま上空で気を失い、墜落するアーニャ
五和「やりましたね♪」
五和は屋上のアンジェレネに大して親指を立てて合図する
アンジェレネ「イエ―イ♪やりましたよ!私やりましたよ!」
同じく五和に向かって笑顔全開で親指を立てた- 292 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 05:57:09.23 ID:IltzVlE0
アニェーゼ「やっと辿り着きましたよ…」
ヴェロニカ「ぐっ……!」
どうしてこうなった?
戦局は9割方殲滅白書に傾いていたはず
もはや勝利は確定していたはず
そして何よりも、イギリス清教のシスターは殆どが戦闘不能かあるいは戦死したはず
なのに、なぜ生きてる?なぜ形勢が逆転してこちらが負けそうになっている?
そしてなぜ、サーシャ・クロイツェフにガブリエルが?
ヴェロニカ「ふざけてんじゃないわよ!何なのよこれは!」
アニェーゼ「神様が私らに勝利する様に仕向けた。戦争に勝った方が正義なんて考えは気に食わねえですけど、
それでもあんたらよりは私らの方が正しいのであり、勝利するのに相応しいと主が判断されたんですよ。」
ヴェロニカ「主の御考えを知った様な口で語るとか何様のつもりよ!」
アニェーゼ「アニェーゼ・サンクティス様のつもりですよ!!純粋に仲間を助けたいだけの私らが負けるなら、
そんな結末を与える神様なんて初めから信仰してねえんですよ!!」
蓮の杖に衝撃を与え、エーテルによる見えない攻撃をヴェロニカにぶつける
しかし、双頭の鷲の防御力には及ばず、攻撃はアニェーゼへと還る- 293 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 05:58:57.10 ID:IltzVlE0
アニェーゼ「へえ、修道女のくせに良いモン着てますねぇ。どこのブランドですか?」
ヴェロニカ「部隊の要なんだから当然でしょ?」
アニェーゼ「そうやって自分は安全な場所に立って、危険な事は部下にやらせるんですか。」
ヴェロニカ「それが私達の戦術なの。」
アニェーゼ「そうですかい。私には性に合わねえですよ!」
アニェーゼは再び蓮の杖を振るうが、当然の如く防がれ、逆に強風とかまいたちを浴びせれる
ヴェロニカ「学習しないわねほんと。」
アニェーゼ「なるほど……四大元素を統べるエーテルも防がれるという事は、全ての属性の攻撃に対して強い耐性があるってわけですか。」
アニェーゼはかまいたちで付けられた頬の傷から流れる血を軽く拭った
ヴェロニカ「当然、打撃斬撃もよ。たぶん核ミサイルも防げるんじゃない?」- 294 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 06:00:17.52 ID:IltzVlE0
アニェーゼ「サーシャ!」
ミーシャ「解一、サーシャじゃなくてミーシャだから。お前らいい加減名前覚えろよ。」
アニェーゼ「私に力を貸してください。」
ミーシャ「メンドクセ」
ヴェロニカ「大天使は神の命令無しに人を殺せないのよ。一体何をする気かしら?」
アニェーゼ「こうするんですよ!」
アニェーゼは蓮の杖を振った。
すると今までとは違い、青い光の塊が放出され、ヴェロニカに直撃する
ヴェロニカ「だから、無駄だと言ってるのに。」
ヴェロニカは手を翻して風を起こし、アニェーゼめがけて投げつけた
アニェーゼはそれを避け、再び同じ様に青い塊をヴェロニカにぶつけた
ヴェロニカ「一体なにがしたいのかしら……」
そこでおかしな点に気付く
さっきからアニェーゼの攻撃を受けているはずなのに、攻撃がアニェーゼ還らない
本当なら強風とかまいたちがアニェーゼを襲うはずだが、それが無いのだ- 295 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 06:02:58.76 ID:IltzVlE0
アニェーゼ「くらいやがれってんですよぉ!」
ヴェロニカ「うっ……ッ!まさか!?」
気付いた時には、ヴェロニカの真っ白な修道服が青く染まっていた
アニェーゼ「どうですか?大天使の水の加護は!」
アニェーゼの蓮の杖はエーテルを含む火、水、土、風の全ての属性を操る事が出来る
それを利用し、水を司るミーシャことガブリエルの水の加護を、蓮の杖を仲介してぶつけていたのだ
アニェーゼのぶつけていた青い光の塊は、攻撃ではなく回復魔術と同義であり、当然双頭の鷲はアニェーゼを排除しようとはしない
アニェーゼ「大天使レベルの水の加護を受けたあなたの修道服は、水の攻撃に対しては最強の防御力を得ているでしょうね。
ですが、その代わり他の属性の攻撃に対しては極端に弱くなっているはずですよ。強すぎる加護というのも考え物ですね。」
アニェーゼ「さあ、覚悟は良いですか?万物照応。五大の元素の元の第五。平和と秩序の象徴『司教杖』を展開。
偶像の一。神の子と十字架の法則に従い、異なる物と異なる者を接続せよ。」- 296 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 06:05:05.77 ID:IltzVlE0
ヴェロニカ「クッ…負けて……たまるものかッ!!」
ヴェロニカは周囲に風を起こし、それを手に集める
ヴェロニカ「この私が…常勝のヴェロニカ部隊が!負けてたまるものかァァッ!!!」
有らん限りの魔翌力を手に、体を引き裂く暴風をアニェーゼに向けて投げつけた
自分のプライドにかけて、彼女達の上司としてのプライドにかけて負けるわけにはいかない
だが負けられない理由はアニェーゼにもある。
たった一カ月そこそこ一緒に生活してきただけの仲間
しかし、仲間であるという事に時間や素情など関係無い
サーシャは命を懸けるに値する大切な仲間だ- 297 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/08/20(金) 06:09:44.62 ID:IltzVlE0
アニェーゼ「教えてあげますよ。私達が何度でも立ち上がれる理由を、例え無駄だと分かっていても立ち向かえる理由を。
この気持ちは、この絆は絶対に幻想なんかじゃないんですから。」
アニェーゼは渾身の力で蓮の杖を地面に叩きつけた
あまりの力に蓮の杖の方が耐えられずに折れてしまう
しかし、その威力は死ぬ事なく、
彼女の激情の全てをぶつけるかのようにヴェロニカに向かって飛んでいく
アニェーゼ「大切な誰かのために戦う人間はァッ!!!ぜーーーーったいに負けたりしないんですよぉッッ!!!!」
水も火も土も風さえも、全ての属性を統べる万物の象徴たるエーテル
その本気の一撃は、ヴェロニカの強風を粉々に穿つ
そして彼女の激情の全てを込めた一撃は、権力と統治の象徴である双頭の鷲の加護なんかでは止められない
アニェーゼの攻撃が直撃したヴェロニカは派手に吹き飛び、声を上げる事さえも敵わずに気絶した- 304 :1 [sage]:2010/08/22(日) 08:17:29.06 ID:r.fmOw.0
ルチア「終わりましたね…まだ戦いますか?」
殲滅白書のシスター達「うっ……」
今度こそ本当に殲滅白書のシスター達は武器を捨て、完全に戦意は失われていた
アニェーゼ「最大主教に連絡は付きますか?処刑塔の方から人を呼んで、全員連行してもらいます。」
アニェーゼは気絶したヴェロニカの襟首を掴み、ズルズルと引きずっている
その光景を見てまだ抵抗しようと思える者は居ないだろう
五和「サーシャちゃんは、どうなるのでしょうか?」
アニェーゼ「それは上が判断する事です。それよりもッ!!」
五和「!?」
ダンッ!と地響きが起こる
だがそれは地震ではない、ミーシャが上空から黒曜石の様な翼で攻撃してきたのだ
巨大な黒曜石の様な翼の一部が離脱し、地上に雨の様に突き刺さる
五和「サーシャちゃん?」
ミーシャ「私見一、あなた方に再び生を与え、この戦いの勝利のためにあなた方は神の力を借りた。私見ニ、その代償を要求する。」
ルチア「だ、代償ですって!?」
アニェーゼ「やっぱ、みんな生き返ってハッピーエンドですなんてわけにはいかねえみたいですね。
一体何が望みなんです…?っていうか二人称を統一してください。」- 305 :1 [sage]:2010/08/22(日) 08:19:25.41 ID:r.fmOw.0
ミーシャ「解一、生死の理を覆し、あなた方に生命を与えた。ならばそれに等しい代償を要求する。」
アンジェレネ「等しい代償って、誰かの命ですか!?」
ミーシャ「私見三、それも一つの選択。提案一、あなた方の敵の命でも構わない。」
その言葉を聞き、ルチアは殲滅白書のシスター達の方を見た
すると、彼女等は怯え、目を逸らし、或いは誰かの後ろに隠れるなどとにかく目立つ事を避けようとした
当然だ、誰だってこんなところで生贄にされて死にたくはない
アニェーゼ「命に等しい代償は、他には無いんですか?」
ミーシャ「解ニ、あると思うのならそれを示されよ」
五和「もしも代償を差し出さなければ?」
ミーシャ「解三、全ての命を理において本来あるべきところに戻す。サーシャ・クロイツェフはそのために使わせてもらいましょう。」
つまり、全員死ぬという事だろうか- 306 :1 [sage]:2010/08/22(日) 08:21:00.91 ID:r.fmOw.0
ルチア「誰かが犠牲になれば、それを避ける事ができるのですか?」
ミーシャ「解四、それを代償とする事を認める。」
ならば誰が死ぬ?
誰が犠牲になる?
どう転んでも後味は悪くなるが、このまま全員死ぬのはごめんだ
ルチア「どうします?シスターアニェーゼ」
アニェーゼ「……」
アニェーゼはもう一度殲滅白書のシスター達を一瞥した
確かに彼女らには死ぬほど恨みがある。むしろ死んだのだから。
五和「ですが、彼女らのうち誰かを差し出して、私達が生き残るのも…」
アンジェレネ「……」
アニェーゼ「分かりました。死ぬのは一人でいいですか?」
ミーシャ「……」
アニェーゼ「だったら、アニェーゼ部隊の代表として私が犠牲になります!」- 307 :1 [sage]:2010/08/22(日) 08:24:46.41 ID:r.fmOw.0
ルチア「アニェーゼ!」
アンジェレネ「そんな、シスターアニェーゼ!」
ミーシャ「承諾、あなたの申し出を受け入れましょう。では」
五和「待って下さい!」
ミーシャ「?」
五和「サーシャちゃんは私の友人です。ですから、サーシャちゃんを助けるためにも、ここは私が犠牲になるのが筋ってものでしょう。」
アニェーゼ「五和、何言ってやがんですか!サーシャだけじゃない、私の部隊全員の命も懸ってるんです。
ここは私が犠牲になるべきでしょう!」
ルチア「ならば、私がなりましょう。同じイギリス清教とは言えど、我々部隊の人間が助かるために
部外者の五和さんを犠牲にするわけにはいきません。五和さんがなるというのなら、私も犠牲になりましょう。」
アンジェレネ「じゃ、じゃあ私も!アニェーゼやルチアが犠牲になって死んだら、アニェーゼ部隊は終わりです!
私はそんなの嫌です!二人が居ない毎日なんて嫌です!だから!」
ルチア「アンジェレネ……」
アニェーゼ「ああもう、話がこじれてきたじゃないですか!」- 308 :1 [sage]:2010/08/22(日) 08:26:10.10 ID:r.fmOw.0
五和「ですから、ここは私が!」
「小さなアンジェレネが勇気を出してんのに、私達がここで怖気づくわけにはいかないわ!私がなります!」
「だったら私だって!」
「いいえ、ここは私が!」
「じゃあ私がなります。」
「どうぞどうぞ」
「おい!」
もはや収集が付かなくなってしまっていた
殲滅白書のシスター達はポカーンとした顔で不思議なものでも見るかのような目で彼女らの様子を見ていた
それもそうだろう。なんで自分から進んで死にたがるのやら。
なんでアニェーゼ部隊の人間は、ここまで自分の命を犠牲にしようと思えるのやら- 309 :1 [sage]:2010/08/22(日) 08:27:25.61 ID:r.fmOw.0
ミーシャ「……」
アニェーゼ「ここは私が犠牲になればいいんですよ!」
ルチア「あなただけに良い格好はさせませんよ!」
五和「私がなりますよ!確かにまだ上条さんにこ、こ、告白とかしてないのが悔やまれるけど…」
アンジェレネ「こ、こうなったら、ミーシャに決めてもらえばいいんじゃないですか!?」
アンジェレネの一言でその場の全員がミーシャの方に視線を集めた
全員「(じろっ)」
ミーシャ「(ビクッ!)」
アニェーゼ「神の力であるあなたの決定は、神の決定も同義。さあ、誰でも好きな娘を指名して下さい!」
五和「キャバクラじゃないんですから…」
ミーシャ「……」
アニェーゼ「……」
ミーシャ「……」- 310 :1 [sage]:2010/08/22(日) 08:31:52.63 ID:r.fmOw.0
ミーシャ「…………………(くすっ)」
全員(鉄仮面が笑った…)
ミーシャ「私見、とても面白い解だった。あなた方の命は最期の審判まで預けておく」
そう言うと、ミーシャの黒曜石の様な翼がバラバラに砕け散り、遥か遠くの空へと消えていった
そして、翼を失ったサーシャが落下する
五和「!」
五和は誰よりも速く駆け出し、落下するサーシャを受け止めた
五和「サーシャちゃん!」
サーシャ「………い」
五和「サーシャちゃん!大丈夫ですか!?」
サーシャ「五和……無事…だったのです…ね…」
サーシャは安心した様な笑みを浮かべると、そのまま目を閉じた
五和「サーシャちゃん…?サーシャちゃん!サーシャちゃん!!!そんな、こんな結末なんて!サーシャちゃん!」(ぎゅっ!)
サーシャ「ぐえっ」
ルチア「あの、五和さん?キマってますよ?」
五和「サーシャちゃん!目を覚ましてください!」
サーシャ「ちょ、ギブ……ぐふっ」
五和「サーシャちゃあああああん!!!」
アニェーゼ「なるほど、犠牲はサーシャということですか」- 311 :1 [sage]:2010/08/22(日) 08:36:18.85 ID:r.fmOw.0
- 【後日談】
サーシャ「第一の解答ですが、五和は本当に心配症ですね。」
五和「仕方ないじゃないですか、トラウマなんですから本当に。」
アニェーゼ「まあ良かったじゃねえですか。あれだけの戦いだったのに、こっちも相手も一人も死人が出なかったんですから。」
アンジェレネ「ほんと、奇跡ですよね。」
ルチア「生き返っただけでも主の復活レベルの奇跡なのですが。
結局、ミーシャは誰一人代償を取らずにどっか行ってしまいましたね。あれは一体何だったのでしょうか?」
オルソラ「その事でございますが、ガブリエルと言えば慈悲や受胎告知に見られる様な天啓、それから知恵の象徴でございます。
イメージ的には穏健な大天使ですが、一度だけ神罰として破壊を行った事がございますよね?」
ルチア「旧約聖書のソドムとゴモラですね。一夜にして都市も文明も全てを焼き尽くしてしまったと書いてありますが。」
オルソラ「ソドムとゴモラは背徳の街とされ、七つの大罪、主に色欲に溺れ、神様の怒りを買ってしまったのでございます。
そして、ガブリエルは神の意志を表す大天使ですから、神様の代わりに神罰を下したのでございます。」
ルチア「それと私達の例は、どうつながると?」
オルソラ「ガブリエルは復活を象徴する天使でもあり、また死を象徴する天使でもあります。
ですが、本来は最後の審判というものは、大天使のうち、まずはウリエルが冥界の門を開け、死者に審判を受けさせます。
そしてミカエルが魂の行き先に判決を下し、ガブリエルはその判決に従って終焉のラッパを吹き、死者を蘇らせ、神の国へ導くのです。」 - 312 :1 [sage]:2010/08/22(日) 08:39:13.16 ID:r.fmOw.0
オルソラ「ですから、私達の場合、正確には復活したとは言えないのではないでしょうか?
復活と言うよりは、蘇生という方が的確だと思うのでございます。」
ルチア「……?」
オルソラ「つまり私達の場合、ガブリエルは審判による判決無しに独断で復活させたという事になりますよね。
ですが、それはあり得ない事でございます。なぜなら、死者は冥界に送られ、冥界を司るウリエルの管轄になるのでございます。
そうなるとガブリエルは死者に対して干渉する事はできません。」
」
オルソラ「そして、ミカエルの審判は神の国へ行ける者と地獄へ堕ちるものを分けるのでございます。
しかし、私達の魂はあくまでも現世に蘇ったのでございますよね?」
ルチア「そうなりますね。」
オルソラ「と言う事はつまりです。ガブリエルは冥界へ行くはずだった私達の魂を、
その摂理に反して再び私達の肉体に戻したという事になるのでしょう。
ですから、復活ではなく蘇生と言った方が正しいのではないでしょうか?
ガブリエルは死を司る天使でもありますから、そのくらいの事は独断で出来るのでしょう。」- 313 :1 [sage]:2010/08/22(日) 08:41:13.65 ID:r.fmOw.0
ルチア「アニェーゼやアンジェレネは炎で灰になりましたし、五和さんは心臓一突きでしたよ?」
オルソラ「おそらく大天使にとっての死とは、冥界に魂が送られたか、或いはまだ現世に魂が残っているかが判断基準となるのでしょう。
体が木っ端みじんになっても、魂さえそこにあれば彼らにとってはまだ生きているも同然なのだと思いますよ。」
ルチア「なんか無茶苦茶ですね。まあ仮にそうだとして、ガブリエルは私達に復活…いえ蘇生の代償を求めてきましたよね?」
オルソラ「あれはおそらく嘘でしょう。私達は大天使にからかわれたのでございます。」
ルチア「what!?」
オルソラ「考えてもみてください。本来、代償を要求するのは天使ではなく悪魔でございます。
私達人間ごときが大天使に対して払える代償などありましょうか?
大天使に対して偉そうに代償などと呼べるものなど、私達は持ち合わせてはいないのでございます。」
ルチア「よく考えてみれば、確かにそうかもしれませんね。じゃあ私達は本当にからかわれただけだと?」- 314 :1 [sage]:2010/08/22(日) 08:43:22.40 ID:r.fmOw.0
オルソラ「正確には試されていたのでございましょう。先程のソドムとゴモラの例を思い出して下さい。
二つの都市と文明は、背徳によって滅ぼされました。それと同じように、私達の徳というものを試されていたのではないでしょうか?」
ルチア「つまり、私達が本当に神の摂理を覆してまで蘇生させるほどの価値があるかどうかということですか」
オルソラ「はい。要するに最後の審判の模擬テストで、問題作成者と試験官はガブリエルと言う事でございます。
もしもあの時、殲滅白書の誰かを差し出すから私達の命は助けてくれと答えていたら……」
ルチア「ソドムとゴモラの様に、イギリスの地図からロンドンが消えていた可能性もあるということですね……(ゾクッ)」
オルソラ「うふふ、大惨事でございますね♪まあ流石にそこまではしないと思いますが」
ルチア「笑い事じゃないですよ…」- 315 :1 [sage]:2010/08/22(日) 08:46:04.48 ID:r.fmOw.0
サーシャ「それともう一つ、第一の質問ですが、なぜ再びガブリエルは私に宿ったのでしょうか?
エンゼルフォールの時は、魔術の影響で天界から人間界に堕天してしまったので、元の天界に帰るために私に憑依し、
術者を殺そうとしたと聞きました。」
サーシャ「しかし、今回はわざわざ自分から人間界に降りて私に憑依しましたよね?」
オルソラ「そうでございますね。これも四大元素の歪みが原因なのでございましょう。
結局は天界に帰っても歪みはそのままなのですよ。例えるなら、普通の幸福な家庭だったはずなのに、
今は父親は酒飲みの暴力亭主、母は家に他の男を家に連れ込んで、姉はヤンキー、兄は暴走族、弟は引きこもり、
ペットの犬にすら警戒されてるという状態で、家に帰っても居辛いという状況なのでございます。」
五和「もう少しマシな例えは無いんですか……?」
オルソラ「サーシャさんは、この四大元素の歪みを元に戻すための鍵の一人としてガブリエルに目を付けられたのではないでしょうか?」
サーシャ「第一の解答ですが、人のいや天使の家庭事情を私にどうしろと?」
オルソラ「これも運命なのでございますよ。」
アニェーゼ「まあ何と言うか、頑張ってください。」- 316 :1 [sage]:2010/08/22(日) 08:48:24.09 ID:r.fmOw.0
- 【処刑塔】
ステイル「おや、来たかい。中に居るから。」
処刑塔の尋問部屋
そこは石造りの部屋で、イメージで言うと岩窟王モンテクリスト伯の独房の様な部屋である。
明かりは壁に設置された燭台のみ
部屋の中央には簡素な木の机が一つある
そしてサーシャから見て机を挟んだ向こう側に今回の事件の首謀者
殲滅白書のヴェロニカが居た
尋問による目立った外傷は無いが、顔は憔悴しきっており、白くて綺麗な肌も端正な顔立ちも、もはや見る影も無い
ステイルの話によると、役70時間近く一睡もしないままロープで椅子に縛り付けられているとか
唯一トイレの時のみ解放されるが、それ以外はずっと手足も動かせない状態で座ったまま尋問を受けるというのも
考えただけでゾッとする話だ - 317 :1 [sage]:2010/08/22(日) 08:50:17.04 ID:r.fmOw.0
ヴェロニカ「……」
サーシャ「第一の解答ですが、ロシア成教側は今回の事件をあなたの独断であるという認識を示しています。
あなたの身勝手なテロ行為という扱いになっていますね。」
ヴェロニカ「……」
サーシャ「第一の質問ですが、なぜあなたは今回この仕事を引き受けたのですか?
ちなみに今は記録官は居ないので、あなたの発言は全て記録に残りません。」
ヴェロニカ「……あの人のためよ」
サーシャ「……あの人とは?」
ヴェロニカ「言わなくても分かるでしょ?私も元は彼女の部下だったんだから。」
サーシャ「……ワシリーザは元気ですか?」
ヴェロニカ「元気だったらこんな仕事してないわよ。」
サーシャ「そうですか…」
ヴェロニカ「ねえサーシャ、お願いだから戻ってきてくれない?もうあの人が悩んでるのを見るのは耐えられないわ。」
サーシャ「……」
ヴェロニカ「あなたの気持ちは分かるけど、でもあなただって、あの人が嫌いなわけじゃないでしょ?」
サーシャ「私は……」
がちゃっ
ステイル「まだ話の途中かい?」
サーシャ「いえ」
ステイル「そうか。サーシャ、君に話がある。最大主教からの大事な話だ。良いかな?」
サーシャ「……はい」- 318 :1 [sage]:2010/08/22(日) 08:52:47.11 ID:r.fmOw.0
その夜
サーシャ「……」
サーシャは寮の最上階のテラスに居た
季節は10月の中ごろ
イギリスは基本的に日本よりも気温が低い。
9月の中旬を過ぎれば朝晩の冷え込みも強くなり、天気の良い日中でも薄手のコートが必要になる
サーシャは薄手のカーデガンを羽織り、ブランデーの大量に入った紅茶を両手で包む様に持ちながら月を眺めていた
例えどんなに離れていても、見ている月は同じたった一つの物
同じ気持ちで同じ月を見る事ができるなら、どんなに距離が離れていても、その人を近くに感じる事ができるのではないだろうか
などと、誰かに聞かれたら鼻で笑われそうであり、「時差があるから無理だろ」と冷静にツッコミを入れられそうな事を考えていた・
たぶん普段の自分なら同じような事を言いそうだ。
なのに、今になって何でこんな可笑しな話が自分の心を惹きつけるのだろう。
なぜこんなにも魅力的な話に聞こえてしまうのだろう。- 319 :1 [sage]:2010/08/22(日) 08:57:22.01 ID:r.fmOw.0
夜風がサーシャの髪を軽く揺らす
前髪から時折垣間見える彼女の赤い瞳には、ぼんやりとした光を纏う月が映っている
ただそれだけで魅力的な絵になりそうなほどの神秘的な瞳だ
軽く髪を揺らす程度の風なのだが、それでもこの時季の屋上の夜風は、肌に纏わりつく冷気がある
こんなとこを誰かに見られたら、「こんな寒いのに、そんなとこで何をしてるのですか?」
と問われそうだ。差し詰めその答えは「月を見てるのです」くらいしか思い浮かばないが、
実際にそう答えたらどう思われるだろうか?風流な人間と思われるか、或いは変人と思われるか。
ルチア「寒くないのですか?」
早速来たようだ
なぜいつもこの人なのか?と疑問に思うが、実験してみようか
ルチア「涼むにしては少し寒すぎる気もしますが。」
サーシャ「第一の解答ですが、月を見ているのです。」
ルチア「月を?………そうですか。ご一緒しても良いですか?」
サーシャ「寒いですよ?」
ルチア「その時はサーシャに抱きついて暖を取りますよ。」
サーシャ「その答えは了承しかねますが、どうぞ。」
実験の結果は不明だが、どうやらこれで彼女も自分と同類と言う事になりそうだ- 320 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:00:07.34 ID:r.fmOw.0
その晩、ルチアは寮の戸締りをしていた
一応、グループで分担しているのであり、屋上のテラスに来たのは戸締りを確認しに来たのであって偶然ではない。
まあ戸締りなどしなくとも、戦闘力のある修道女達の寮に忍び込んで狼藉を働く様な度胸のある人間が存在するのかどうかは甚だ疑問ではあるが、殲滅白書との戦いがあったのだから、その考えは戒めねばならないだろう。
偶然なのは、ここでサーシャを見かけた事であった
まず最初に思い浮かんだ言葉は「寒くないのか?」だ
ルチアは迷わずその問いを口にした
返ってきた言葉は「月を見ている」だった
普段なら、変り者ですね。そんなに月が好きなのですか?とまあそんな感想が浮かんでくるところだろう
だが、今回はちょっと違った- 321 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:03:40.87 ID:r.fmOw.0
人工的な明かりの無いその部屋は、唯一月の光だけが差し込み、暗く青く神秘的な空間を形成している
まるであの時、そうサーシャいやミーシャが現れた時に似ている
月の光を受けたサーシャの髪は、淡く金色の光を帯びていた
こちらを向いた時に、僅かに前髪から覗く物憂げな赤い瞳
彼女の美しい金色の髪と同様に、
月の薄化粧に飾られた、青い夜の闇に浮かぶ白く透き通った肌
いっその事、背中に白い翼でも付いていた方が自然なんじゃないかと思えてしまう
西洋では月は人を惑わし狂気を誘う魔性があるとされており、太陽と同じく神秘的な意味を付加されているのだが
それをこれほど実感させられた事は今まで無かったかもしれない
月とは、これほど人を神秘的に魅せてしまうものなのかと、ルチアは改めて月に対する見方を変えさせられた
そう考えれば、こんな寒い夜でも月を眺めてみるのは良い事なのかもしれないなどと思えてしまうくらいに- 322 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:07:25.35 ID:r.fmOw.0
ルチア「今夜の月はどうですか?」
サーシャ「第一の解答ですが、素晴らしい満月だと思います。」
ルチア「確かに生まれてからほぼ毎日見ているのに、この美しさはなぜか飽きが来ませんね。」
ルチアはサーシャの方を見た
何とも物憂げな表情で月を見上げるその顔は、
風流で満月を楽しむと言うよりも、かぐや姫の様に月という故郷に思いを馳せている様に見える
ルチア「シスターサーシャ、最近のあなたは、柔らかくなりましたね。」
サーシャ「第一の質問ですが、それは太ったという事ですか?」
ルチア「いえ、表情の話です。ここに来たばかりの時は、まるで仮面を被っている様でした。
無理をして自分の感情を隠しているみたいに。ですが、今のあなたは表情が豊かになったと感じています。」
サーシャ「第二の解答ですが、それはここにいる事が楽しいからでしょう。みなさんのおかげです。」
ルチア「いえ、あなたが溶け込もうとした努力の結果です。」
サーシャ「第三の解答ですが、皆さんが私を受け入れてくれたから努力できたのです。」
ルチア「じゃあ両方とも頑張ったという事にしておきましょう。」
サーシャ「そうですね。」
わざわざ平行線な議論をする様な話でも無い- 323 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:11:00.74 ID:r.fmOw.0
ルチア「ところでシスターサーシャ、以前あなたに訪ねた事がありましたよね?」
サーシャ「そうでしたか?」
ルチア「ええ。ここに来て、ロシア成教を捨てた事を後悔していないかと」
サーシャ「……」
そう言われてみればそんな事もあったなと、今になって思い出した
ルチア「答えは見つかりましたか?」
サーシャ「……第一の解答ですが、はい…今なら答えられそうです。」
サーシャ「第二の解答ですが、ここに来た事に対する後悔はありません。この答えは変わらないでしょう。
ロシア成教を捨てた事への後悔も、たぶん無いと思います。どこに居ても、どんな形でも自分の信仰を貫けば良いのですから。」
ルチア「そうですか…では、これからも」
サーシャ「ですが、第三の解答ですが、ある人を苦しめてしまった事は後悔しています。」
ルチア「……」
サーシャ「あんなふざけた服を着せてセクハラしてくる様な変態馬鹿上司でしたが、それでも私はあの人が、
ワシリーサが大切な上司だったと思います。いえ、ただの上司じゃなくて、
皆さんと同じように心から信頼できる大切な人だったと思います。」
ルチア「………答えを見つけられたという事は、やはりあなたは変ったという事ですね。」
サーシャ「第一の質問ですが、私はいい方向に変れたのでしょうか?」
ルチア「ええ、私もサーシャを見習わなければなりません。」
そう言いながら微笑むルチア
しかし、どこか寂しそうな頬笑みだった…- 324 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:13:16.72 ID:r.fmOw.0
サーシャ「第一の質問ですが……ルチア、少し寒くないですか?」
ルチア「寒いのは最初から覚悟の上でしょう」
サーシャ「急に寒くなってきたのです。」
そういうと、サーシャはルチアに寄り添い、体を預けた
ルチアは何も言わず、サーシャの細い肩を抱いた
とても温かかった
あの日と同じように、不安な心がやすらいでいく
普段は厳しいルチアだが、アンジェレネもきっとこの温かさががあるからルチアに懐くのだろう
五和は妹が欲しかったと言っていたが、サーシャはどちらかと言えば姉が欲しいと思った
サーシャ「一つ聞いても良いですか?」- 325 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:15:50.24 ID:r.fmOw.0
ルチア「何ですか?」
サーシャ「第一の質問ですが、例えどんなに離れていても、見ている月は同じたった一つの物です。
同じ気持ちで同じ月を見る事ができるなら、どんなに距離が離れていても、その人を近くに感じる事はできると思いますか?」
ルチア「素敵な話だとは思いますが、時差と言う物がありますし、位置によって月の見え方も変ってくるでしょうから。
どうなんでしょうね?」
サーシャ「そうですよね…」
ルチア「ですが、想いは離れていても通じるものはあると思いますよ。」
サーシャ「…?」
ルチア「私達十字教徒は、世界中色んな所へ布教し、教えを広めてきました。
上の人間は勢力拡大の意図もあったのでしょうが、実際に現地で布教活動を行う宣教師やシスター達は、
純粋に自分達の信じる物、矜持、或いは想いというものを遠く離れた国の人達とも共有したかったのだと思います。」- 326 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:18:06.53 ID:r.fmOw.0
ルチア「離れていても想いは繋がる。祈る事でそれは紡がれる。だから私達十字教は教えを広める事ができたのですから。」
サーシャ「その想いは、いつか消えてしまう事はないのですか?」
ルチア「自分が消そうとしなければ、いつまで消える事はありません。だから2000年もの時を超えて十字教は今も信仰されているのです。」
サーシャ「そうですか…参考になります…」
そう言うと、サーシャはさらに距離を縮めてルチアに身を寄せた
いつまでも消えない様に、初めてここに来た時の心細さや不安から救ってくれた温かさを忘れない様に
きっとこれが最後になるかもしれないから…
- 327 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:21:46.05 ID:r.fmOw.0
五和「いやー今日も良い天気ですねー。」
サーシャ「第一の解答ですが、今日は運よく温かいみたいですね。
10月以降はサマータイムが終わるのでかなり寒くなるのですが、俺の二次創作に常識は通用しねえって奴ですね。」
五和「はい?」
サーシャ「第二の解答ですが、これが最後のメタ発言です。」
二人は例の時計塔の秘密の部屋に来ていた
あんな悲劇があった後で、実は別の部屋にはまだ大量のサーシャの血痕が残っているのだが、
それでもまたこうして二人で時計塔最上階から素晴らしい景色を見られる事が嬉しかった。
サーシャ「第一の解答ですが五和、膝枕してください。」
五和「え?あ、はい。良いですよ。」
そう言うと、五和は長椅子に腰かけ、膝をぽんぽんと叩いた
サーシャは椅子の上で横になり、五和の柔らかい膝に頭を乗せる- 328 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:24:55.78 ID:r.fmOw.0
サーシャ「第二の解答ですが、やはり五和の膝枕は良いですね。五和は膝枕の天才です。」
五和「うれしい様なうれしくない様な…」
サーシャ「一家に一つは欲しい枕です。」
五和「私の体は一つしかありませんけどね。」
サーシャ「第三の解答ですが、膝だけで良いですよ。」
五和「私って膝以外に魅力無いんですか……ショックです……」
サーシャ「第四の解答ですが、五和の魅力を知ってるのは私だけで良いのですよ。」
五和「サーシャちゃん、何カワイイ事言ってくれてるんですかー?(ぷにぷに)」
サーシャ「つつかないでください」
五和「赤ちゃんみたいなもち肌ですね。どんなお手入れをしたらこんな肌になるんですか?」
サーシャ「第五の解答ですが、手入れなんて面倒な事してませんよ。」
五和「世の女性を敵に回しそうな発言ですね。悔しいのでもっとつついちゃいます(ぷにぷにぷに)」
サーシャ「うぐ……」
しっとりしたマシュマロの様な感覚を堪能する五和
集中攻撃を受けた部分の肌だけ、まるで蚊に刺された後の様に赤くなっている- 329 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:28:28.18 ID:r.fmOw.0
五和「そう言えば、あの後連行された殲滅白書の人達ってどうなったんでしょうかね?」
サーシャ「気になりますか?」
五和「それはまあ自分も直接関わった事ですから。」
サーシャ「第一の解答ですが、彼女等は処刑塔と送られました。ですから、文字通り全員処刑」
五和「えっ!?」
サーシャ「と言う事にはならなかったのですが」
五和「紛らわしい言い方しないでください!」
サーシャ「全員ロシアへ返還される事になりました。」
五和「そうなんですか。でもよく無条件で返還なんてできましたね。内部から不満の声は無かったのでしょうか?」
サーシャ「第二の解答ですが、無条件で返還されるわけではありません。
返還の見返りとして、ロシアとイギリスの間で不戦条約が結ばれる事になりました。」
- 330 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:31:13.38 ID:r.fmOw.0
サーシャ「ローマ及びロシアと学園都市の間で戦争が始まろうとしている状況で、
イギリスは学園都市との間に協力関係がありますよね?公にはされていませんが、
それがあってかイギリスは今現在戦争における立ち場を示さねばならない状況になっています。
戦争が始まれば、イギリスはロシア、ローマ、フランスと敵対する事になるでしょう。
その可能性を一つでも排除しておくために、ロシアとの間で不可侵条約が締結されるという事です。」
サーシャ「第三の解答ですが、不可侵条約とは言っても、一方的にロシアの方がイギリスに対して攻撃できないというものですけどね。」
五和「ロシアの方もよくその条件を呑みましたね。」
サーシャ「……」
五和「……サーシャちゃん?」
サーシャ「第四の解答ですが、実は、ロシアがその条件を呑んだのには理由があるのです…」
五和「何ですか?」
サーシャ「殲滅白書ヴェロニカ部隊の返還。そして同時にサーシャ・クロイツェフの身柄をロシアに引き渡すことです…」
- 331 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:34:54.57 ID:r.fmOw.0
五和「え……?」
耳を疑った
まるで悪い冗談でも聞いてるかのようだ
サーシャ「第五の解答ですが、どうやら今回の件も含め、大天使の力を身に宿した私を手放したく無いようです。
ロシアだけではありません。ローマも私の身柄に興味があるみたいで、事はローマとロシアの同盟関係の存続にまで発展しているのです。」
五和「そんな…何で……」
理不尽だった
サーシャの言葉は、自分との別れを意味する
しかし、それが政治的な理由である事が納得できなかった
どうしてそんな事に巻き込まれなくちゃならないのかと
サーシャ「第六の解答ですが、イギリス清教にとってもこうせざるを得ないのです。」
サーシャ「残念ですが、お別れしなければならないみたいです…」
- 332 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:38:52.45 ID:r.fmOw.0
五和「そうですか…」
サーシャ「五和…?」
五和「もちろん残念ですし、悲しいですよ。でも、例えサーシャちゃんが遠くへ行ってしまったとしても、
私達が友達である事には変り無いじゃないですか。」
サーシャ「……」
五和「もう、そんな顔しないでください。私達は、あの戦いで生き残ったんですよ?
生きている限り、また会えるチャンスはいくらでもあるじゃないですか♪」
サーシャ「……そうですね、あなたの言う通りです。」
五和「ふふ、さあ!これからどこへ行きますか?最後ですから思い出作りのために思いっきり遊びましょう!」
サーシャ「第一の解答ですが、安心しました。五和、やはりあなたは明るい方が似合ってますね。」
五和「当然じゃないですか。さ、時間がもったいないですよ?早く行きましょう!」
お別れは辛い
勿論出来る事なら離れ離れになんてなりたくない
でも、これはもう決まった事だ
泣いたって仕方無い。だから、せめて最後くらいは笑顔でいよう。
最高の思い出作りには、湿っぽい涙なんて邪魔になるから
- 333 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:41:44.86 ID:r.fmOw.0
五和「サーシャちゃん!早く早く!」
サーシャをせかす五和
さあ、これからどこへ行こうか?
どこでも良い。どこだってサーシャとなら良い思い出が作れる気がするから……
やっぱり無理だ
サーシャ「五和……?」
五和は突然立ち止まると、振り向き、サーシャの方へ駆け寄って来た
そして、力いっぱいサーシャは抱きしめた
五和「ごめん…やっぱ無理です…」
いつもの様に可愛さから思わず抱きしめてしまうのとは違う
まるで、駄々をこねる子供の様に
どこかへ行ってしまいそうなサーシャを引き留めようとするかの様に- 334 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:45:50.37 ID:r.fmOw.0
五和「無理ですよ…!こんなの!こんな別れ方……嫌に決まってるじゃないですか……!!」
抱きつきながら泣きじゃくる五和
そう言えば、あの時もそうだった
サーシャ「また……泣かせてしまいましたね……約束したのに…ごめんなさい…」
五和「なんでサーシャちゃんが謝るんですか!謝るくらいならどこにも行かないでください!!」
サーシャ「五和……以前も言いましたが、やはりあなたの友人になれて良かったです…」
サーシャはそう言うと、自分のために泣いてくれる親友を抱きしめ反した
どんなに泣いても
どんなに足掻いても
これはもう決まった事なのだ……
- 335 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:47:54.53 ID:r.fmOw.0
【それから】
まさか、またこの服に身を通す事になるとは思わなかった
全ての元凶である拘束衣
だが、この拘束衣のおかげでみんなに出会えたのだ
その点については、この拘束衣に感謝しよう
なんて思えるわけは無いのだが
神裂
あなたの洗濯機に対する友情と信頼は忘れません。色々とお世話になりました。
でもあの梅干しは正直私の口には合いません。
オルソラ
いつも笑顔で天然でしたね。私もよく天然だと言われますが、あなたには敵いません。
料理は凄く美味しかったです。でもオリーブオイルで作ったガムを食べさせられた時は
、本当に死ぬかと思いました。
アンジェレネ
ルチアの言う事をしっかり聞いて、立派なシスターになってください。あなたならきっとなれます。
でも、甘いものは控えた方が良いですよ?私も人の事は言えませんが。
あと、覚えがないのですが、キスって何の話ですか?- 336 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:53:13.60 ID:r.fmOw.0
アニェーゼ
殲滅白書との戦争では美味しいとこを持ってかれました。
いつもセクハラされていた覚えがありますが、たまに見せるあなたの強さには尊敬しています。
あなたのおかげで信頼とは何かを理解することができました。
別れ際に無理矢理253人目のアニェーゼ部隊に加入させられてしまいましたけど、雑用係とか性的な役割とかそういうのはやめてくださいね。
ルチア
結局最後までお姉様とは呼ばせてくれませんでしたね。
でも、私にとっては今でも頼りになる姉の様な存在です。あなたを見るとつい甘えたくなってしまうくらいです。
あと、キスって何の話ですか?
シェリー
結局、失敗作と言いつつも壊さないでおいてくれましたね。
正直うれしかったです。ミルクティーも良いものだと思いますよ?
五和
今でもあなたは私の大切な友達です
ずっとずっと何があっても友達です
だから、あなたがピンチの時は、例えどんなに遠くに居てもあなたの元に駆けつけますから
今度こそ、もうあなたを悲しませたりはしないと約束します
サーシャはイギリス清教での思い出を胸にしまい、扉を開けた
ワシリーサの執務室だ
全ての始まりの場所であり、そして新たな始まりの場所- 337 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:55:38.31 ID:r.fmOw.0
サーシャ「第一の解答ですが、ただいま戻りました。勝手にあなたの下を去った事を謝罪します。
つきましては、不服ではありますがどんな懲罰も受ける覚悟はできています。」
ワシリーサ「……」
サーシャ「あの…ワシリーサ?」
ワシリーサ「……あはッ…♪」
ワシリーサ「いひゃはははははははははははははははッッッ!!ダメだ、もォ抑えらんねェよ!
サーシャたんの写真や抱き枕だけじゃ止まンねェんだよォ! ぎゃはははは!全部ぶっ壊してェ!
片っ端からなぎ払いてェ!こんなモンで私が満足すると思ってるよォな連中も、サーシャたんを囲って「幸せ」っつーモンを
手に入れている連中も!一人残さず!一人残さずゥ!ぎゃはははははははははははははははははははは!!!!!!!!」
サーシャ「おい」(ゴンッ!)
ワシリーサ「おゴッ!…この……この懐かしい金槌の感触は…」
サーシャ「繰り返しますが、ただいま戻r」
ワシリーザ「サーシャちゃん…サーシャちゃんサーシャちゃあああああああああああん!!!!!!!!」(ドスッ!)- 338 :1 [sage]:2010/08/22(日) 09:59:00.71 ID:r.fmOw.0
抱きつくと言うよりはタックルに近い
サーシャ「[ピーーー]気か」(ゴン!)
ワシリーサ「ああこの感触が懐かしい!会いたかったよサーシャちゃん!ごめんねサーシャちゃん!もう絶対に離さないんだからね!」
相変わらずな上司の反応
だが、どこか懐かしくも感じる
サーシャ「まったく、あなたは私が居ないとダメですね……」
離れてこそ分かる大切さというものもあるのだなとサーシャは思った
もしもそれが正しいとすれば、イギリス清教の仲間達は自分の事を忘れたりはしないだろうし、
自分もいつまでも彼女達の事を大切に思えるだろう。
遠く離れていても、同じ想いで繋がれるのだから。
サーシャは子供みたいに泣きつく上司の頭を、やれやれとため息を吐きながら優しく撫でた
サーシャ「亡命します」【完】
- 339 :1 [sage]:2010/08/22(日) 10:02:18.44 ID:r.fmOw.0
【おまけ】
サーシャ「第一の解答ですが、今まで離脱していた分を取り戻すために頑張らないとなりませんね」
ワシリーサ「ああ、えーっとね、実はその事についてなんだけど……」
ワシリーサは一枚の紙をサーシャに見せた
ウォ○ト・ディ○ニーカンパニーより
○○教会宛て
あなた方が当社のマスコットキャラクターである
ミッ○ーマ○スを無断で使用した事を確認しました
よって、知的財産の使用許諾料及び無断使用による
知的財産権への侵害に対する損害賠償として
10000000000ドルを請求します
ミ○キー「ハハッ!愉快に素敵に払いやがれってンだよォ!」
サーシャ「……」
ワシリーサ「というわけで、実は殲滅白書の存続自体が崖っぷちなのでした!テヘッ☆」
サーシャ「……」
ワシリーサ「あれー?サーシャちゃんどうしたの?どうしてそんなに眉間に皺が寄ってるの?
青筋がたってるよ?ほら、スマイルスマイル♪かわいいお顔が台無しよ?」
サーシャ「……亡命します」
ワシリーサ「え?」
サーシャ「亡命します」
ワシリーサ「え!?ちょっ!サーシャちゃああああああああん!!!」
【つづく?】
2014年2月1日土曜日
サーシャ「亡命します」 1
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