2014年4月29日火曜日

伏羲「桃が食いたいのう」禁書「お腹へったんだよ」上条「不幸だ…」 1

2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/02(火) 17:29:12.83 ID:JMGK5qASO
上条「天気が良かったので布団を干そうと思ったら」

禁書「お腹いっぱいご飯を食べさせてくれたら嬉しいな」

伏羲「桃が食いたいのう」

上条「コスプレ甚だしい格好の人が二人もベランダに引っ掛かってました」


……………………


禁書「ごちそーさまなんだよ!!」

上条「か、上条さん家の食料が……」

伏羲「結局なまぐさばかりでわしが食えるもんが無かったではないか!」プンスコ

上条「す、すみません……って何で俺謝ってるんだろう……じゃなくて!!お前ら何者だよ!!」

禁書「んーと、まずは自己紹介をしなくちゃいけないね。私の名前はインデックスって言うんだよ?見ての通り教会の者です」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/02(火) 17:32:11.10 ID:JMGK5qASO
上条「目次……って誰がどう聞いても偽名じゃねーか!!」

伏羲「わしは秘湯混浴刑事エバラじゃ」

上条「アンタもアンタで分かりやすい嘘つくな!!」

禁書「えばらって不思議な名前だね」

伏羲「おねしには負けるがのう。ところで禁書目録。日本では家で被り物をしたままだと将来ハゲるのだぞ」

禁書「そ、それは大変なんだよ!!」スポッ

上条「え?何?馴染めない上条さんがおかしいのでせうか?上条さんの頭が悪いだけ?」

伏羲「気にしたところで時間の無駄じゃよ」ニョホホ-
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/02(火) 17:34:17.52 ID:JMGK5qASO
上条「何だか釈然としない……で?何だってお前らはベランダに干してあったんだ」

伏羲「食い倒れた」

上条「おい」

禁書「干してあったんじゃなくて、落ちたんだよ。追い詰められて――隣の屋上へ飛びうつろうとした時背中を撃たれてね」

禁書「――私は『禁書目録』だから、私の持っている10万3000冊の魔道書、それが連中の狙いだと思う」

上条「連中……?」

伏羲「…………」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/02(火) 17:36:13.48 ID:JMGK5qASO





禁書「『魔術結社』だよ」




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15 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/02(火) 22:58:06.58 ID:JMGK5qASO
上条「まじゅつね、はあ……はぁあああ~~~~!!??」

伏羲「何じゃ何じゃ、騒がしい奴よのう」

上条「……ゴメン無理だ 。魔術は無理だよ」

上条「『世の中不思議な事なんて何も無い!』……とまでは言わないけどな。俺だって『発火能力』とか『透視能力』とか「異能の力」は知ってるし」

禁書「……頭ごなしに否定するって訳でもないんだね」

上条「そりゃあ、学園都市じゃ超能力は別にめずらしくもねーからな」

伏羲「ではまたどうして?」

上条「学園都市の超能力は一切合財科学で説明できるんだ。認めて当然だろ?」

上条「だからこそ『科学(ゲンジツ)』とは無関係な『代物(オカルト)』は信じられねーんだ。MP消費で死人が復活するなら誰も『育脳』なんてやらねーしな」
16 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/02(火) 23:00:12.77 ID:JMGK5qASO
伏羲「…………」

禁書「……でも、魔術はあるもん」

上条「つってもなぁ……」

伏羲「ふむ、夢があっていいではないか、魔術。わしは信じるぞ」

禁書「!!えばらは信じてくれるんだね!!どこかのウニあたまと違って話が分かるかも!!」フフン

上条「誰がウニだ誰が!そこまで言うなら見せてみろよ、魔術!!」

禁書「うっ、わ、私は魔力が無いから使えないんだよ……」

上条「ふーんだ!超能力なんてエラソーにっ」

禁書「君だって何が出来るって言うの?超能力は信じるのに魔術は信じないなんて、へーん」

伏羲「へーん」ニョホホホ

上条「」イラッ

禁書「あっ、いいこと思い付いたんだよ!!」トテテ

上条「?台所になんか行って何を……」

伏羲「信じられぬのなら刺す!!とか?」

上条「まさかそんな――」

禁書「」ホウチョウカマエ

上条「」
17 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/02(火) 23:02:11.23 ID:JMGK5qASO
上条「イ、インデックスさん!!?」

伏羲「これはもしや噂の「昼ドラ」というやつかのう」ホウ

上条「今そんなボケいらねーから!!」

伏羲「(違ったのか……)」

上条「悪かった!俺が悪かったから!!そんな鋭いモノ捨ててー!!」

禁書「刺してみて」

上条「へっ」

禁書「この修道服は『歩く教会』って言って、「教会」としての必要最低限な要素だけ詰め込んだ『服のカタチをした教会』なんだから!!布地の織り方、糸の縫い方、刺繍の飾り方まで……全てが計算されてるの!!」

上条「……」チンプンカンプン

禁書「布地はトリノの聖骸布を正確にコピーしたものだし……強度は『法王級(ぜったい)』なんだよ?銃で撃たれたって包丁で刺されたってへーきだもん!!」

伏羲「ほう、それはすごいのう」

禁書「えばらみたいなこすぷれじゃないもん!!」

伏羲「おい」

禁書「だからほら!これで私のお腹を思いっきり刺してみて!!」

上条「や、やめろー!バカ危ねーよ、ふざけんなこのファンタジー頭!!」

禁書「あっ」ポロッ サクッ

上条「うっおー!!?」アシガキレタ-!!?

伏羲「おぬしら何をしておるのだ……」

上条「!」

上条「――お前、俺に何が出来るかって言ったよな?」

禁書「?」
18 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/02(火) 23:04:10.81 ID:JMGK5qASO
上条「この右手、生まれつきなんだが『幻想殺し』つって、それが異能の力なら『超電磁砲』だろうが神の奇跡だろうが打ち消せるってシロモノでな、つまり――」

上条「――お前の話が本当なら、右手で修道服に触れれば木っ端微塵って訳だよな?」

禁書「……君のチカラが本っ当ならね?」フフ-ン

上条「ほぉー」

伏羲「(生まれながらにして太極図を身に宿しているようなものか……こやつ、一体……)」

上条「やってやろーじゃねーかぁー!!くr」

伏羲「ちょい待ち!!」

上条「えっ」

禁書「へっ」
19 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/02(火) 23:06:08.39 ID:JMGK5qASO
伏羲「よく考えて行動せいダアホ。ところで禁書目録、おぬしが今身に纏っているものは全て、「何から何まで」『歩く教会』なのか?」

禁書「?そうなんだよ?けどそれがどうしたっていうの?」

伏羲「そして先程の話によると、その服の生成は全て魔術的なものだと」

上条「……?」

伏羲「つまり、「布と布を繋ぎ留める糸も異能の力」であって――あとは分かるな?」

上条「え、それってどういう「あーっ!!」イ、インデックスさん?」

禁書「わ、私は危うく恥ずかしいことになるところだったんだよ……////」ハワワワワ

上条「……えーっとつまり?」

伏羲「服を縫いつけている糸が全てほつれて大惨事、ということじゃ。皆まで言わすな阿呆」
20 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/02(火) 23:08:05.99 ID:JMGK5qASO
上条「……!!え、うわっ、危うく俺とんでもないことを……!!で、でもこいつの言う魔術が嘘だったら――」

禁書「そ、そうなんだよ!!このウニの右手がウソっぱちだったら関係無いんだよ!!」

伏羲「本当だったらどうするのだ」

上条「うっ……」

伏羲「それにおぬしも、危険を犯してまで白黒つける必要はあるまい?」

禁書「……むう、しょうがないから、魔術も右手は今のところは保留にするんだよ」

上条「そうだな……ってああー!!」

伏羲「何じゃ急に」

上条「補習あったのすっかり忘れてた!!俺学校行くけどお前らどーすんだ?ここに残るんなら……おわっ」ズルッ バキッ

上条「け、携帯が……不幸だ……」

伏羲「ある意味器用だのう」
21 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/02(火) 23:10:07.18 ID:JMGK5qASO
禁書「不幸ってゆーよりドジなだけかも?」クスッ

伏羲「確かにそれは言えてるかもしれんのう」カカカ

上条「そ、そうなのか……?」ガックシ

禁書「じゃあね」スッ

上条「おい!どこ行くんだよ」

禁書「出てく。ここにいるといつ敵が来るか分からないし。ごはんありがとうね」ニコッ

上条「待てって!お前行くアテあるのか?事情は良く分かんねーけど、魔術師ってのがうろついてるならウチに隠れてりゃいーじゃねーか!」

伏羲「お人よしめ」

上条「いいだろ、別に」

禁書「だめだよ。『不幸』になるよ?さっきはドジなだけなんて言ったけど、『幻想殺し』ってのがホントにあるなら、神様のご加護とか運命の赤い糸とか『そういうの』もまとめて消してしまってるんだと思うよ?」

伏羲「(神、か……)」

上条「え……?それってどういう……」
22 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/02(火) 23:14:05.71 ID:JMGK5qASO
禁書「つまり君の右手は、どんどん『幸運』のチカラを消しちゃってるってコト」

上条「」ガ-ン ウナダレ

伏羲「むっ、おいそこには……」

上条「て、手をついたところに丁度ガムが……」フコウダ-

禁書「……ね?立ってるだけでソレなんだもの。私に関わったらなおさら……」

上条「いや、それとこれとは関係ない!危ない目に遭うって分かってて、お前を外になんか放り出せねーだろ!?」

禁書「――じゃあ、」




禁書「私と一緒に、地獄の底までついてきてくれる?」


上条「…………」


伏羲「………」


伏羲「ふむ、ではわしもご一緒しようかのう」
23 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/02(火) 23:16:06.64 ID:JMGK5qASO
禁書「へ……?」

伏羲「わしは色んな場所を見てきたが、まだ地獄には行ったことが無くてのう。是非案内していただきたいのだが」

禁書「だ、だめだよ……!!魔力も何も感じない、『ただの一般人』のえばらには危険なんだよ!!」

伏羲「なーに、いざとなれば何でも打ち消せるこやつを盾にすればいいのだ。のう?上条?」

上条「……ああ、そうだな。俺に打ち消せない異能は無いし、それに学園都市のことだって俺のほうがずっと詳しいぞ?」

禁書「…………」

上条「だから――」

禁書「ありがとうっ!!もう行くんだよ!!」

上条「ま、待てよ!!この先一人でどーしようってんだ!?」

禁書「だいじょーぶ!!教会まで逃げ切ればかくまってもらえるはずだからー!!ばいばーい!!」
24 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/02(火) 23:18:08.34 ID:JMGK5qASO
伏羲「残念、行ってしまったのう……」

上条「……ああ」

伏羲「あやつ、被り物を忘れてゆきおったわ」

上条「本当だ。取りにくるかな……?」

伏羲「そのときがわしが手渡すついでにあやつを捕獲しておいてやる。だからおぬしは安心してホシュウに出るがよい」ルスバンハマカセロ

上条「ハハ……あんたは誰かに追われてるとか、そういう事情はあるのか?」

伏羲「いや、わしは世界中をふらついてるだけじゃよ」

上条「ふーん、まあ、インデックスが来たらよろしく頼むぞ」

伏羲「おお。それよりさっさと行ってこい。時間がやばいのではないのか?」

上条「ああっ、そうだった!!やっべー!!!」イッテキマ-ス!!


伏羲「……ふむ、さて、これが西洋の仙術か」

伏羲「わしらの子孫が独自に編み出した仙術、いかようなものなのかのう」 
 
 
38 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/03(水) 16:46:10.42 ID:MlWeti+SO
禁書「…………」タタタタタ

――魔術師ってのがうろついてるならウチに隠れてりゃいーじゃねーか!――

禁書「…………ふっ」タタタタタ

――ふむ、ではわしもご一緒しようかのう――

禁書「…………ふぇっ」タタタタタ

――だから――

禁書「ヒック……グスッ……ふぇぇぇん」タタタタタ
39 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/03(水) 16:48:06.64 ID:MlWeti+SO
伏羲「うーむ、本来こういう分析はわしはあまり得意としないのだがのう……」

伏羲「ふむ、どんな衝撃も吸収しよる……まるで風を殴っておるかのように手応えを感じぬ」ポスッポスッ

伏羲「力を必要としない所を見るに、九竜神火罩より怠惰スーツが近いか。まあ九竜神火罩は捕獲用宝貝じゃが」

伏羲「わしの風や太極図でどうなるかは気になるが、『小さなな目』がそこらじゅうに浮いておるしのう」

伏羲「のう……おぬしはどう思う?王天君」

伏羲「紅水陣……ううむ、とどのつまり酸であるしのう」

伏羲「いや、駄目に決まっておろう!!折角始祖の力で『小さな目』から逃れておるというに、最悪楊ゼンたちにばれるわ!!」
40 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/03(水) 16:50:10.98 ID:MlWeti+SO
伏羲「冗談でも笑えんわ……まあ、事が済んだら『外』で試してみるか」

伏羲「とりあえず厄介な輩に嗅ぎ付けられる前に証拠を隠しておくかの」ヴン ポイッ

伏羲「ん?ああ、結局あの『歩く教会』とやらは、仙人骨を持たぬ者専用の宝貝、といったところかのう」

伏羲「今はまだ情報が不足しておるし、ヒルネじゃヒルネ」ゴロン

伏羲「……何故、今更になって、か……」

伏羲「きっと、興味を持ったときが知るべきときなのじゃよ。わしらにとっては」

伏羲「さてわしは寝るぞ王天君!考え事は後じゃ!!」


………………………


ガサゴソ ガサゴソ

伏羲「(物音……賊か?)」

ガサガサ ミツカラナインダヨ-

伏羲「(この声は……)」ムクッ コソ-リ

ハヤクミツケナイト……

伏羲「おお、禁書目録ではないか。今朝ぶりじゃのう」

禁書「うわわわわっ、え、えばら!!?え、えっと、違うんだよ!!私は捜し物をしてて……」
41 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/03(水) 16:52:05.17 ID:MlWeti+SO
伏羲「ふむ、それはおぬしのあの白い被り物か?」

禁書「!!そ、そうなんだよ!!えばら、知らない?どかに置いたかはちゃんと覚えてるのに無いんだよ!!早く回収しないと……」

伏羲「残念ながらわしはどこにあるのか分からぬ。その置いた場所とやらはおぬしの記憶違いではないのか?」シレッ

禁書「そんなことないんだよ!!私は一度見たこと、聞いたことは絶対忘れないんだから!!」

伏羲「(ほう……ならば)では、今朝上条が出かけた際にお決まりの不幸で部屋をめちゃくちゃにしてな、それでどこかへ行ったのやもしれん」

禁書「……えばらは、私に嘘をついてるね?」

伏羲「どうして?」
43 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/03(水) 16:54:20.84 ID:MlWeti+SO
禁書「さっき私は『一度見たこと、聞いたことは絶対忘れない』って言ったでしょ?この部屋は私が出ていったときと状態がほとんど変わってないんだよ。それなのにえばらは『部屋をめちゃくちゃにした』って言った」

伏羲「ああ、確かに上条が部屋を凄いことにしたが、その後急いでで片付けてから行ったのだ。じゃからまだ部屋は汚ないし、今朝のままに見えても仕方ないかもしれんの」

禁書「私の目は誤魔化されないんだよ。一回散らかして片付けたのなら物の位置が多少変わってるはずなのに全然変わってないんだもん。」

伏羲「ほう……どうやらおぬしの記憶力は本物らしいのう。さしずめ、『瞬間記憶能力』といったところか。いや、悪かった。少し試しておったのだ。嘘をついてはおらぬよ」

禁書「………………」
44 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/03(水) 16:56:05.73 ID:MlWeti+SO
伏羲「(では、禁書目録の所持しておるという魔道書は全て頭の中、ということかのう。この歳で10万3000冊も記憶するとは、一体どんなペースで読んだ、いや『読まされた』のであろうか)」

禁書「…………ねえ、えばら」

伏羲「ん、何じゃ?」

禁書「えばらは、何者なの?」

伏羲「うーむ、さしずめ煮物といっt」

禁書「その服装、変なんだよ。私の持ってる10万3000冊の中に一致するものは無いし、魔力も感じない。かといって学園都市でも見たことが無い。えばらの服は、こすぷれなの?」

伏羲「…………」

禁書「それに、えばらから何も感じないけど、それが不自然な感じがするんだよ。兎の群れに狼が混じってるのに、誰も気にとめてない、まるでそれが『当たり前』のような」

禁書「うまく言えないけどまるで――別の次元の人みた「ストップ」
45 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/03(水) 16:58:04.86 ID:MlWeti+SO
伏羲「そんなにわしの服がダサいか……?」ズ-ン

禁書「えっ……あ、そ、そういう意味じゃないんだよ!!」アセアセ

伏羲「しかも不気味と……」ズ-ン

禁書「ご、ごめんなんだよ!!さっきの私はどうかしてたのかも!!い、今は何ともないもん!!」ウンウン

伏羲「もうよい、もうよいのじゃ……ちょっくら着替えてくる……」トボトボ

禁書「ううっ、本当に申し訳ないことしちゃったんだよ……」
46 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/03(水) 17:00:12.27 ID:MlWeti+SO
伏羲「これでどうじゃっ!!」デンキヒツジ-ン

禁書「う、うん。シンプルでとってもいいと思うんだよ」

伏羲「かかか、これで上条も驚くこと間違いなし!!」

禁書「驚かせてどうするんだよ……って!!フード!!えばらも一緒に探して!!あの人が帰ってくる前に!!」

伏羲「…………そういえば、上条とひとつ約束をしてのう」アタマナデ

禁書「わわっ、急にどうしたのっ!?」アワアワ

伏羲「おぬしと会ったら……」グッ

禁書「えっ、どうして私の首に肘を……」

伏羲「しっかり捕まえておくとな!!」ガッチリホ-ルド

禁書「」


55 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 00:10:16.94 ID:Jc/QecJSO
上条「補習から帰ってみれば……」

伏羲「ようやく帰ってきたか!!遅いわダアホ!!どのぐらいの時間こうしたと思っておる!!!」ウガ-ッ

禁書「ああああもう帰ってきちゃったじゃない!!早く離して!!そしてフード返してもおおおおおお!!!」キシャ-ッ

上条「ハハ、なんじゃこりゃ」プッ



………………………………

上条「えーっと、まずどんぐらいインデックスは、えーっと……」

伏羲「秘湯混浴刑事エバラ」

上条「うん……エバラ……エバラに固められてたんだ?」

禁書「フード探しにきてから!かれこれもう二時間!はこうしてる!んだよ!」ゼェゼェ

伏羲「わしの根性を褒めろ。普段なら5秒で投げ出しておったぞ」ゲンナリ

上条「ご、ご苦労様。あと、何で……首?頭?をホールドしてんだ?別に胴とかでも……」
56 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 00:12:13.88 ID:Jc/QecJSO
伏羲「『歩く教会』から出てるのが首から上だから」サラッ

禁書「えばらは女の子をぞんざいに扱いすぎなんだよー!!」

上条「プッ、ククク、アハハッ」

伏羲「何じゃ何じゃついに壊れおったか」

上条「いや、何だろうな。……インデックス」

禁書「?」

上条「そういやまだ名乗ってなかったな。俺、上条当麻っていうんだ」

禁書「……」

上条「そんで、今朝の続き。今度は言わせてくれよ?」

上条「――お前の言う地獄に、俺も連れていってくれ。そんで、俺が何もかも、ぶち壊してやる」

禁書「…………」ジワッ

伏羲「」ニヤニヤ

上条「」キリッ




禁書「………――!!来た!!」

上条「来た?何が?」



ステイル「うん?僕達魔術師だけど?」
57 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 00:14:34.17 ID:Jc/QecJSO
上条「!!」

禁書「……」

伏羲「……」

ステイル「わざわざアミにかかりに戻ってくるとはね。忘れ物でもしたのかね?」

禁書「…………」キッ

ステイル「おお怖い怖い。まあ、いくら睨まれても君の持ってる10万3000冊の魔道書は回収させてもらうけどね」

上条「……っインデックスがどこに魔道書なんて持ってるっつーんだよ!!?」

ステイル「……『完全記憶能力』という言葉を知ってるかな?あるさ魔道書は――禁書目録の頭の中に」

伏羲「(やはりわしの読みは当たっておったか……)」

ステイル「君なんかには意味が分からないだろうけど、そいつはね、『使える連中』の手に渡ると少々やっかいな代物なんだ。だからこうして僕達が保護してやりに来た、と」
58 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 00:16:09.72 ID:Jc/QecJSO
上条「保護……?」

ステイル「そうさ、保護だよ。ソレにいくら良識や良心があったって拷問と薬物には耐えられないだろうしね。そんな連中に女の子の体を預けるなんて考えたら心が痛むだろう?」

上条「てっ……めぇ……ッッ、何様だ!!!!」ダッ

伏羲「!!あんのダアホ」ダッ

禁書「あ、ちょ、ちょっと!!」

ステイル「ステイル=マグヌスと名乗りたい所だけど、ここは『Fortis931』と言っておこうかな。」

ステイル「僕達魔術師は魔術を使う時に真名を名乗ってはいけないという因習があってね。魔法m」

伏羲「せいっ!!」ステミタックル

ステイル「ぐはっ!!?」

伏羲「外に出よ!!狭い場所では不利になるだけじゃ、早く!!」

上条「お、おう!!」ダッ

禁書「わかったんだよ!!」タタタッ

ステイル「クッ……『炎よ――巨人に苦痛の贈り物を』!!」

上条「うっ……わああああああああああ!!!?」ソゲブ!

ステイル「!?」

伏羲「炎か……尚更広い場所に出て正解だったわ」

禁書「い、今のが……とうまの右手……」

ステイル「チッ……もう一度!!」ゴバッ

上条「ふん!!」ソゲブ!
59 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 00:18:13.26 ID:Jc/QecJSO
伏羲「(あれが魔術……わしらの『術』に似ておる?いやしかし、燃燈の『術』と同程度の精度の炎を、仙人骨も持たぬただの人間が、どうやって?)」

伏羲「……禁書目録、少し下がるぞ。絶対の防御も、全てを打ち消す力も無いわしにここは少々暑い」

禁書「わかったんだよ。何かあったら、私が守るからね」

伏羲「これは頼もしいのう」ヴン

禁書「?今何か音しなかった?」

伏羲「気のせいではないか?」ニョホホ

ステイル「――『世界を構成する五大元素の一つ 偉大なる始まりの炎よ その名は炎 その役は剣 顕現せよ!我が身を喰らいて力と為せ』」

ステイル「殺れ、『魔女狩りの王』」

上条「邪魔だ……ッ?」

禁書「あ、危ない!!」

上条「う……ぐ……あちっあ熱ちちっ!!!」
60 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 00:20:07.57 ID:Jc/QecJSO
伏羲「ふむ……消滅した直後に再生をくり返しておるのか、あれではまずいのう」

伏羲「(わしは直接手助けしてやれん。特に魔術師とやらに正体がバレるようなことはあってはならん。わし一人のせいで仙人界が露見したら――)」

禁書「とうま!!ルーンだよ!!この辺りのどこかに刻まれてるはずだから、それをどうにかしないと『魔女狩りの王』は消えない!!それは本体じゃないんだよ!!」

上条「なっ……」

ステイル「『灰は灰に 塵は塵に』――」ボバァッ!!

上条「ちょ、うおあ!?」ガシッ ズルッ

ステイル「チッ、下の階に逃れたか……あっちは『魔女狩りの王』に任せるとして、君たちだ」

禁書「…………」ジリッ

伏羲「のう、ひとつ問うてもよいか?」

ステイル「答える義理は無いね」

伏羲「返答次第では禁書目録を引き渡そう」

ステイル「」ピクッ

禁書「ちょっ……どういうことなのえばら!?」
61 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 00:22:16.09 ID:Jc/QecJSO
伏羲「おぬしは先程禁書目録を不逞な輩から『保護』すると言ったが、わしからしてみればおぬしこそ不逞な輩にしか見えなくてのう」

ステイル「…………」

伏羲「おぬしは何を根拠に自分たちは潔白だと言い、エラソーにいたいけな少女を『保護』という名目で追い回しておるのだ?」

ステイル「『灰は灰に』……」ボソッ

伏羲「普通『保護』というのは味方に対して使う言葉で――」

ステイル「『塵は塵に』!!!!」ゴバッ

禁書「あ、ま、間に合わ――」

伏羲「どりゃっ!!!」ブンッ

禁書「!!あれは私のフード!!」

ボシュルルッ

伏羲「一か八かだったが、上手く相殺できたようだのう」フウ

禁書「やっぱりえばらが持ってたんだね!!えばらのウソつき!!」シャ-!!
62 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 00:24:06.61 ID:Jc/QecJSO
ステイル「何が分かる……」

伏羲「ん?」

ステイル「一体!!君に!!何が!!分かるっていうんだ!!」ゴウッ!!

禁書「させない!!」バッ ボシュルルルッ

ステイル「うっ……」

禁書「さっきはつい油断してたけど、これから先はえばらの髪の毛一本だって焦がさせないんだから!!」フンス

ステイル「うぅ……くそっ……くっ……」ギリッ

伏羲「……のう、おぬしにも、何か並々ならぬ事情があるのではないか?」

ステイル「……君に、何が」グッ

伏羲「分からぬ。今のわしには何も分からぬよ。だから、」

「少し、話をせぬか?」 
 
84 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 15:59:28.33 ID:Jc/QecJSO
ステイル「…………」

伏羲「ふむ、まずは自己紹介からゆこうか。わしは、まあ適当にエバラと呼んでくれ。学園都市の『空間移動』じゃ。長点上機に所属しておるよ」

ステイル「……ステイル=マグヌス」

伏羲「所属は?」

ステイル「『必要悪の教会』……その子と同じ、だよ」

禁書「えっ……」

伏羲「そうなのか?」

禁書「そ、そうなんだよ。確かに私も『必要悪の教会』……でも、」

伏羲「ふむ、では『保護』というのは間違いでは無いのう。では、どうしてそんな危なっかしいもんを振り回して追いかける必要があったのだ?仲間だと素直に名乗ればよいではないか」

ステイル「素直に名乗ったところで禁書目録がそう簡単にホイホイ着いてくると?」イライラ

禁書「し、信じられるわけが無いんだよ!!味方のふりをして、騙してるだけかもしれないんだよ!?」

伏羲「しかし、試す価値はあるであろう?わしは知らぬが、その『必要悪の教会』とやらに通ずる秘密の暗号や、そこに所属している者だけが知る秘密。そういったものを照らし合わせれば、味方という証明はできるではないか?」
85 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 16:01:05.68 ID:Jc/QecJSO
ステイル「……でも、禁書目録は僕達を見たとたんすぐに逃げて――」

伏羲「それはおぬしの顔が怖いからだダアホ。その図体で煙草くわえて睨まれたら誰だって逃げるわ!もっとにこやかにせい!!」ビシッ

ステイル「」グサッ

伏羲「それにおぬしのことだ。ちょっと背を向けたかからといって、すぐに炎を飛ばしたであろう?」

ステイル「…………」

伏羲「初対面の印象がモノを言うのだ、ばかたれ」

ステイル「」ズ-ン
86 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 16:03:09.25 ID:Jc/QecJSO
ステイル「……ハッ。ち、違う!僕の図体は関係無い!!禁書目録が僕が『必要悪の教会』の一員だということを覚えてないだけだ!!」

伏羲「はぁ~?何を言っておるのだ?先程「禁書目録には完全記憶能力」があると言ったのはどこのどいつじゃ!!禁書目録がモノを忘れるなどあるまい!!」

ステイル「いいや、あるんだよ。禁書目録は10万3000冊の魔道書のほかは、『ここ一年の記憶しかない』」

禁書「……何で、知ってるの?私、誰にもそんなこと言ってないんだよ」

伏羲「――もしや、」

ステイル「ああ、」




ステイル「禁書目録の記憶を消したのは、僕達だ」 
 
88 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 16:05:07.79 ID:Jc/QecJSO
禁書「…………ッッ」グッ

伏羲「どうしてそんなことをする必要がある?」

ステイル「……禁書目録には完全記憶能力がある。つまり普通の人がすぐに忘れるようなゴミ記憶だって、忘れることはできないんだ」

伏羲「それが何の関係があるのだ?」

ステイル「ただでさえ禁書目録の脳の85%は10万3000冊の魔道書の『知識』で埋め尽くされてるんだ。残り15%で『忘れる』ことのできない禁書目録が普通の生活を送るには、一年周期で『思い出』を削ってやるしかないのさ」

禁書「そん……な……」

伏羲「…………」

伏羲「…………」ガシガシガシ

伏羲「」ハァ-

伏羲「おぬしは、筋金入りの馬鹿のようだのう」
89 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 16:07:07.67 ID:Jc/QecJSO
ステイル「なっ……」

伏羲「禁書目録が?完全記憶能力を持っていて?更に人より多くの『知識』を持っているからといって?『思い出』を削るほかないと?しかも一年で15%ときた。かーっ、片腹痛いわ」

禁書「??」

伏羲「おいステイル、おぬしまともに計算もできぬのか」

ステイル「……ッ何が、言いたい。ふざけてるのか?」ギリッ

伏羲「それはこっちの台詞じゃたわけ。100÷15はいくつじゃ?答えてみい」

ステイル「……6と少しだろう?」

伏羲「ふむ、ではおぬしの理論でいくと」




伏羲「世界中の完全記憶能力者は皆、7歳の誕生日を迎える前に死んでしまうのだな」
90 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 16:09:12.26 ID:Jc/QecJSO
ステイル「――――」

禁書「」ハッ

伏羲「いやー知らんかったわ。まさかただの『体質』である『完全記憶能力』が実は6歳で死んでしまう『病気』だったとはのう。恐ろしい恐ろしい。これは世界中に発表して、完全記憶能力をもつ子供を集めて記憶を消してやらんとのう」

ステイル「う、嘘だ、嘘だ、そんな、そ、そんな……」

伏羲「……そんな馬鹿げた話、あるまい?どんなにしょーもない記憶を忘れられずとも、皆ピンピンして長く生きておるわ」

禁書「…………」

伏羲「……のう、おぬしにその『出鱈目な話』をしたのはどこのどいつじゃ?」

ステイル「……ァ、『最大教主』……『必要悪の教会』の、トップ……」

伏羲「ふむふむなるほど、禁書目録を逃れられぬように首輪をつけたのだな。いかにも悪どい権力者の考えそうなことじゃ」
91 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 16:11:45.69 ID:Jc/QecJSO
ステイル「――ッ、で、でも、いつも記憶を消して一年経つか経たないかで、禁書目録はひどい頭痛を訴えた!!」

伏羲「その辺はおぬしらのお得意の魔術ではないのか?後で禁書目録を隅々まで調べれば何か出てくると思うがのう」

ステイル「そ、そんな……」

伏羲「それに、事故か何かで記憶喪失になった者が歩き方を忘れた事例があったか?物の名前だって大抵覚えておるだろう。つまりそういうことじゃ。『知識』と『思い出』は別の入れ物に納まってると考えるのが妥当であろう」

ステイル「あ……あ……」
92 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 16:13:04.59 ID:Jc/QecJSO
伏羲「落ち着いたら一度禁書目録にかけられた『呪い』を探さねばならぬな……む?」ジリリリリリ ザァァァァァァ

禁書「わわっ、屋根があるのに雨が降ってきたんだよ!!」アワワワ ザァァァァァァ

伏羲「火災用のスプリンクラーじゃよ。上条のほうもそろそろ片付いたかのう?」ザァァァァァァァ

上条「よっ、エバラ、インデックス」

禁書「あ、とうま、『魔女狩りの王』は!?」

上条「跡形もなく崩れたよ」

禁書「えっ!?こんなしょぼい雨で消えたの!?」

上条「違う違う。いやールーンってのがコピー用紙で助かったよ」

伏羲「ふむ、スプリンクラーでインクを溶かしたのか」

上条「あーっ!!もう、上条さんの数少ない出番を奪わないでください!!」
93 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 16:15:03.81 ID:Jc/QecJSO
伏羲「とりあえずほれ、やることがあるのでは?」ユビサシ

ステイル「――――」ボ-ゼンジシツ

上条「!!ああ、そげぶ!!」バキッ

ステイル「ぐはあっ!!ハッここは……」

伏羲「戻ってきたか。どうする?今すぐ『呪い』を探すか?」

ステイル「いや、日を改めて来るよ……仲間にも伝えなければならないし、何より……少し整理をしたい」

伏羲「うむ。くれぐれも変な気をおこすでないぞ?」

ステイル「分かってるよ……」バッ

禁書「行った……」
94 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 16:17:09.77 ID:Jc/QecJSO
上条「??俺がいない間に何があったんだ?」

伏羲「ああ、詳しいことは中で話そう」

禁書「…………」

上条「……そうだな。早速俺の家に……って、ドアが溶かされてる!?」フコウダ-!!

伏羲「(少し、首をつっこみすぎた感があるが……今更見捨てることはできまい)」

伏羲「(ええい黙れ、こういう性分なのは分かってておろう!!)」

伏羲「(まあ、単にわしがあやつらを気に入った、というのが大きいのがのう)」

伏羲「(おぬしもあの右手が気になるのであろう?ではお互い気が済むまで関わっておればよいのだよ)」

伏羲「(誰にも縛られず、標があれば踏み倒して道をつくる。わしらの生き方は永遠に変わらんよ)」
95 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/04(木) 16:19:07.27 ID:Jc/QecJSO
上条「おい、何ボーッとしてるんだ?早く入れよー」

禁書「とうまにも大事なお話、するんだよ!」

伏羲「おお悪い悪い、これらが終わったら何か美味いもんでも食おうかと考えておっての。今行く」

禁書「おいしいもの!?今すぐでもいいんだよ!!」

上条「俺あんま金ねーからなー」ハハハ

伏羲「(色んなところで昼寝をしたり、美味いもんを食ったり、『神』となったあやつらを影でからかったりするのもいいが)」

伏羲「(たまにはこういう刺激もいいかもしれんのう)」 
 
 
115 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 00:35:08.89 ID:Eqqxz8lSO
禁書「カクカクシカジカ」

伏羲「シカクイム-ヴ という訳じゃ」

上条「ナンダッテ-!?おのれ魔術師(※略)そげぶ!!」

禁書「そういえばえばらって学園都市の能力者だったんだね。知らなかったんだよ」

上条「え、そうなのか?」

伏羲「うむ」

禁書「『てれぽーたー』でしょ?いかにも超能力!!って感じなんだよ!!」

上条「へー、それって学園都市でもレアな能力だろ?」スゲ-

伏羲「まあ、厳密にはおぬしたちの考えるようなものとは少し違うが」

上条「でも能力者ってことは無能力者の俺より奨学金が出てるんだろーなー」イイナ-

禁書「『のうりょくしゃ』っておかねがもらえるんだね」ヘ-

伏羲「いや、それが一銭も貰っておぬ」

禁書上条「「へっ」」

伏羲「いやー昔実験のときにやらかしてのう、研究所をまるまるひとつ駄目にしたのじゃ。今や奨学金は全て借金返済にあてられておるよ」サラッ

上条「エ、エバラにそんなことが……」

禁書「えばらも実は大変なんだよ……」
116 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 00:37:10.68 ID:Eqqxz8lSO
伏羲「オホン、で、じゃ。話を元に戻すが、恐らく禁書目録のどこかに魔術がかけられておる」

上条「だったら、早く見付けて破壊しねーと!!」

伏羲「落ち着け。安易に事を急いではならぬ。禁書目録の為にも慎重に行動すべきじゃ」

上条「そ、そうだったな……悪い」

伏羲「構わぬ。それで魔術のかけられている箇所じゃが、恐らく禁書目録の目の届かぬ所にある」

上条「えっと、口の中とか、頭のてっぺんとか?」

伏羲「そのように他の者から見付けられる場所にあれば良いが、最悪目の裏や心臓などといった場所も考慮せねばならぬ」

上条「」ゾクッ

伏羲「とにかく今は戦闘で疲れた体を休め、後日再び来ると言った魔術師たちも交え――」




禁書「――――ねえ、どうして私のためにそこまでしてくれるの?」
117 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 00:39:17.26 ID:Eqqxz8lSO
禁書「今朝会ったばっかりだし、ご飯までごちそうになって、えばらもとうまもあの魔術師と戦って凄く危険な目にあったんだよ」

禁書「一歩間違えれば、し、死んでたかもしれないのに、どうして?どうしてとうまはまたおうちに上げてくれて、えばらは私にかけられてる魔術に関して考えてくれるの?」

禁書「二人とも、魔術のことなんて今朝までさっぱりだったのに、こんな、こんな……」ジワッ

上条「――――ふざけるなよ」

禁書「」ビクッ

上条「お前が今言わなきゃなんねぇのは『そんな台詞』じゃないだろ?」





上条「『たすけてくれ』、だろ?」
118 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 00:41:09.51 ID:Eqqxz8lSO
禁書「………グスッ、っふぇ、ふえぇぇぇぇん」ウワァァァン

伏羲「あーあ泣かせおった泣かせおった、上条が泣かせおったー!」ニヤニヤ

上条「う、うるせーよ!だいたいな、遅いんだよお前は!もっと早くに話してくれりゃ無敵の幻想殺しで何とかしてやったのによー!!」アセアセ

禁書「だってとうま……魔術なんか信じないって言った……」

ア、アレハ-…… アレハ-、ジャナイモン!

伏羲「……やれやれ、先が思いやられるのう」フゥ
119 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 00:43:10.92 ID:Eqqxz8lSO
翌日

伏羲「思ったより早かったのう」フム

上条「よう、魔術師」

禁書「…………」

ステイル「何とか一晩で自分にケリをつけてきたよ。禁書目録の問題は一刻を争うからね」

神裂「初めまして、上条当麻、エバラ、……禁書目録。『必要悪の教会』所属の聖人、神裂火織です」

伏羲「はじめまして、わしがエバラじゃ」

上条「俺が上条当麻」

伏羲「して、聖人とは?」

禁書「聖人っていうのは、生まれながらにして『天使の力(テレズマ)』、つまり神の力の一端を宿してる人間のことだよ」

伏羲「ほう、その『天使の力』を宿しておると他とはどう違うのだ?」

禁書「いつも神様の加護がついていて、魔術も他とは比べものにならないかも。あと、力持ちだったり視力が良かったりするの」

伏羲「なるほど、やはり数は少ないのか?」

禁書「世界で20人といないんだよ」
120 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 00:45:11.03 ID:Eqqxz8lSO
上条「よくわかんねーけど、世界で20人といない体質のやつのうちの一人がいるってことか?」

禁書「ちょっと違うけど大体そんな感じかも」

伏羲「(今や天然道士は世界に20人とおらぬのか……辿るべき結果だとは分かっておるが、やはり寂しいのう)」

ステイル「……そろそろいいかい?」

伏羲「ん?おお、すまなかった。そろそろ始めようとするかの。そちらの神裂とやら、話は聞いておるな?」

神裂「はい……大丈夫です。一刻も早く、禁書目録を呪縛から解き放たねば――」
121 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 00:47:14.56 ID:Eqqxz8lSO
伏羲「うむ、では二人には禁書目録にかけられている魔術について調べてもらいたい。おぬしら二人は魔術のエキスパートだからのう」

神裂「分かりました」

伏羲「ああ、魔術は恐らく禁書目録の目の届かぬところにあるであろうからそういった場所を重点的に頼む。無論他の場所も、だが」

ステイル「君に命令されてると思うと気に食わないが禁書目録の為だ、いいだろう」

伏羲「命令などではない、お願いだよステイル」

ステイル「フン……」

禁書「少し緊張するかも」

上条「大丈夫だインデックス、ぜんぶ終わったらどっか遊びに行こうな」

禁書「……!!うん!!」

ステイル「…………」

神裂「…………」
122 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 00:49:11.90 ID:Eqqxz8lSO
伏羲「ふむ、ではステイルと神裂に全て奢らせるというのはどうかのう?」

ステイル「なっ……!?」

神裂「!!?」

伏羲「こやつらのせいで昨日わしらは散々な目にあったしのう、甘い甘ーいクレープやパフェ、アンマンの5つや6つ、安いもんじゃろ」

ステイル「あ、アンマン?」

伏羲「喉が渇いたら飲み物も奢り。遊びたければゲーム代も奢り。おぬしらにはわしらの財布となってもらうぞ」カ-ッカカカ

上条「……そうだな、滅多に贅沢のできない上条さんも、その日はハメを外しますか!!」

神裂「そんな、それって、でも、そんな……」

伏羲「のう?禁書目録、おぬしはどうするか?」

禁書「――――」




禁書「そうだね、すているやかおりにたくさんおごってもらって、動けなくなるまで食べちゃうんだよ」
123 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 00:51:10.32 ID:Eqqxz8lSO
神裂「あ、ああ、あああ…………」ポロポロ

ステイル「ぼ、僕たちは、あんな、何度も、あんなことを……!!」

禁書「迷える子羊たちを許してあげるのがシスターの役目だからね。それに、」



禁書「今までずっと私の為に悩んで、傷付いて、決断してきたんでしょ?ありがとう、そしておつかれさまなんだよ」ニコッ

神裂「う、わああああああああああああ!!!」ビリビリビリ

伏羲「い、いかん!!いつぞやの武吉とまではいかぬが相当の音波が!!」マルヒミミセンソウチャク

ステイル「」バタ-ン

上条「うわっ、ステイルが倒れた!!!!!」ミミオサエ

禁書「え、えーと、ふこうだー!?」マルヒミミセンソウチャク
124 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 00:53:05.04 ID:Eqqxz8lSO
神裂「あ、ああ、あああ…………」ポロポロ

ステイル「ぼ、僕たちは、あんな、何度も、あんなことを……!!」

禁書「迷える子羊たちを許してあげるのがシスターの役目だからね。それに、」



禁書「今までずっと私の為に悩んで、傷付いて、決断してきたんでしょ?ありがとう、そしておつかれさまなんだよ」ニコッ

神裂「う、わああああああああああああ!!!」ビリビリビリ

伏羲「い、いかん!!いつぞやの武吉とまではいかぬが相当の音波が!!」マルヒミミセンソウチャク

ステイル「」バタ-ン

上条「うわっ、ステイルが倒れた!!!!!」ミミオサエ

禁書「え、えーと、ふこうだー!?」マルヒミミセンソウチャク 
 
 
139 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 19:34:20.65 ID:Eqqxz8lSO
神裂「取り乱してすみませんでした……」シュン

ステイル「とんだ目にあったよ……」キ-ン

伏羲「全く、自分の力ぐらい制御できるようになれい」スポッ

禁書「えばらの耳栓ってすごいね!!ほとんど聞こえなかったんだよ!!」スポッ

上条「え、何で俺にだけ無いの?」

伏羲「とにかくどうじゃ、呪いは見つかったか?」

上条「えっ無視?」

神裂「あ、はい!発見しました!!どうやら口内にあるようで……」

伏羲「ふむ、やはり本人の目の届かぬ場所にあったか……何にせよ、右手の届くところにあって良かったわ」

上条「…………」

ステイル「見付けたんなら早く壊そう。上条当麻の右手なら可能だろう?」

伏羲「まあそう慌てるでない。檻や宝箱の前には番犬がいるのが定石、つまり『首輪の魔術』を解除すると同時に何らかのセキュリティシステムが発動する可能性が高い」
140 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 19:36:16.87 ID:Eqqxz8lSO
神裂「なっ……」

ステイル「……ふむ、無いとは言いきれないね」

伏羲「もちろんわしの思い過ごしが一番じゃが、警戒を重ねるに越したことは無い。最悪近隣の住民にも被害が出るであろうし、誰もいないような広い場所で破壊したほうが賢明であろう」

上条「じゃあ、俺が案内するよ。丁度いい場所知ってるから」ガチャッ

神裂「では彼に続きましょうか」スクッ

ステイル「ああ、そうだね」ゾロゾロ

神裂「……しかし、夢のようです」

ステイル「彼女を救い出せることがかい?」

神裂「ええ、……少し考えれば誰だって分かるはずだったのに、私達は最大教主の言葉を鵜呑みにしすぎていたようです」

ステイル「これからはもう少し警戒すべきだね」
141 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 19:38:05.26 ID:Eqqxz8lSO
禁書「えばら、私達もそろそろ行くんだよ!」

伏羲「うむ。……禁書目録」

禁書「?なあに?」

伏羲「さっきはすまなかったな。いくら心優しいおぬしとはいえ、きゃつらから受けた一年間の仕打ちは忘れまい」

禁書「…………」

伏羲「無茶ぶりして悪かった。そして応えてくれてありがとう」

禁書「……私ね、確かにえばらの言う通り、まだ完全にはあの二人を許せないんだよ。それぐらい私は怖かったし、寂しかった」

伏羲「…………」

禁書「でも、でもね。これからはえばらがいて、とうまがいる。それだけで、私は何だってできるし、何にだって立ち向かえるんだよ」ニコッ

伏羲「……うむ、うむ、そうか。どうやらわしの取り越し苦労のようだったらしいのう。では、わしらも行くとするか」

禁書「うん!!」
142 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 19:40:06.87 ID:Eqqxz8lSO
とある広場

上条「……じゃあ、やるぞ」

伏羲「うむ。魔術師たちも構えよ。鬼が出るか蛇が出るか、予想がつかんからのう」

神裂「ええ……」チャキ

ステイル「準備は出来ているよ」バラッ

禁書「」ア-ン

上条「インデックス、少し我慢してくれよ……!!」グッ

バキンッ

上条「あぐっ……!!」ズザァァァァ

神裂「大丈夫ですか!?」キャッチ

上条「ああ、悪い……ッ」

禁書「――警告」

伏羲「来るぞ!!」

禁書「Index-Librorum-Prohibitorum――禁書目録の『首輪』、第一から第三まで全結界の貫通を確認」

ステイル「『世界を構成する五大元素の一つ』――」





禁書「10万3000冊の『書庫』保護のため、侵入者の迎撃を優先します」
143 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 19:42:07.63 ID:Eqqxz8lSO
伏羲「(――凄まじい力じゃ。これは……『気』か?燃燈の術が一番近いな)」

禁書「――警告。第三章第三節。『首輪』の自己再生は不可能」

神裂「インデックス……」

禁書「対侵入者用の『特定魔術(ロ-カルウェポン)』、『聖ジョージの聖域』を発動します」

上条「亀裂の向こうから……何だ、アレは――」

伏羲「直視するな上条!!あれは良いモノでは無い!!」

禁書「」コォォォォォォォォ

ステイル「『竜王の殺息(ドラゴンブレス)』!!?」

神裂「何から何まで、『最大教主』は嘘を……ッッ」ギリッ
144 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 19:44:10.97 ID:Eqqxz8lSO
伏羲「(禁書目録の瞳に浮かぶ紋様と、それに連動して動く禁書目録の前方に展開された陣……下手をすると雷公鞭並の一撃を放っておるが、仙人骨による莫大なエネルギーの恩恵を得られない禁書目録がどうやって……)」

伏羲「(もしや、あの陣が仙人骨の変わりを果たしている?禁書目録の『魔力』を陣が増幅させる……わしら仙人は宝貝を使って強力な攻撃力を生み出しておるが、魔術師は『外付けの仙人骨』を使って強力な術を行使している、といった所か)」

伏羲「(ということは――)上条!!禁書目録の前に浮いておる陣を破壊せよ!!さすれば勝機は見えるであろう!!」

上条「ああ、分かった!!」ダッ

伏羲「二人は上条のサポートをしてやれ!!」

神裂「言われなくとも……『Salvare000』!!!」ズバッ

禁書「」グラッ ドォォォン

神裂「気をつけて!!それは『竜王の殺息』!!伝説にある聖ジョージのドラゴンの一撃と同義です!!」

伏羲「(西洋にはそんな凄まじい霊獣が……)」

神裂「余波の「光の羽」が当たっただけでも危険です!!インデックスのもとへ!!」
145 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 19:46:07.03 ID:Eqqxz8lSO
禁書「新たな敵兵を確認。戦闘思考の変更。戦場の検索を開始――現状、「上条当麻」の破壊を最優先します」ユラリ コォォォ……

ステイル「『魔女狩りの王』!!」

上条「助かった!!」

ステイル「行け、能力者!!」

上条「おう!!」

禁書「炎の魔術の術式の逆算に成功しました。曲解した十字教の教義をルーンにより記述したものと判明。対十字教用術式、『神よ 何故私を見捨てたのですか』 完全発動まであと10、9……」

伏羲「(頼む、上条……!!)」

上条「(この世界が神様の作った『奇跡(システム)』の通りに動いてるってんなら――――)」





上条「まずはその幻想を、ぶち殺す!!!」
146 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 19:48:11.61 ID:Eqqxz8lSO
パキィィィィィン

禁書「――こく、『首輪』――致命的なハカイ――最終――消――」ドサッ

上条「インデックス!!」ダッ

禁書「、…………」

伏羲「!!危ない!!」ヴンッ

上条「えっ」バキン

伏羲「しまっ――――」
147 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 19:50:15.86 ID:Eqqxz8lSO













.
148 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 19:52:07.37 ID:Eqqxz8lSO
とある病院

冥土帰し「面会だよ?お友達?」

禁書「…………」

上条「――――」






上条「部屋、間違ってませんか?」
149 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 19:54:18.40 ID:Eqqxz8lSO
禁書「――――」

上条「…………あの、ひょっとしてどこかで会った?」

禁書「…………」グッ

上条「君……」

禁書「わ……たし、わたしの名前はね、インデックスって言うんだよ?」

上条「はあ……なんか」

禁書「『偽名じゃねーか!』――って言ったんだよ……覚えてる?」

上条「不思議な名前ですね……」ハハ

禁書「…………」ジワッ






上条「ぶ、」
150 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 19:56:43.90 ID:Eqqxz8lSO
上条「ぶはははははっ!!!なーんて顔してんだよ!おまえは!!こんな古い手に引っかかるなよな~~」ププププ

禁書「???とうま?何で?え?「光の羽」のダメージで記憶全部ふっとんだってきいたのに……」

上条「そのダメージだって『魔術』によるもんだぜ?」

禁書「!!」

上条「そーゆー事!自分で自分の頭に向けて『右手』をブチかましゃーはいもとどーり!だ。細かい理屈はわかんねーけどな、相手は異能の力なんだから問題無し!!」

禁書「…………とうま……じゃあ、さっきの『大ボケ』は?」ユラリ

上条「お、面白くなかった……ですか?」

禁書「と~~ま~~」ギラリ
151 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 19:58:51.28 ID:Eqqxz8lSO
ギャァァァァァァ

伏羲「おっと?」

禁書「」ズンズンズンズン

伏羲「おう上条、見舞いに来たぞ」

上条「ああ、悪いな」

伏羲「行ってしまったな……それにしても、良かったのか?」





伏羲「『本当は何も覚えてないのだろう?』」
152 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 20:00:07.83 ID:Eqqxz8lSO
伏羲「医者から聞いたが、おぬしのケースは記憶喪失というより記憶破壊らしくてな……『忘れた』のではなく『物理的に脳細胞を損傷』したらしい」

上条「――良かったんじゃないかな。俺も手紙に書いてある事全部が真実なんて信じられねーけど、でも」

上条「あの子にだけは泣いて欲しくないなって、思ったんだ」

上条「案外、俺まだ覚えてるのかもしれないな」

伏羲「思い出が残ってる?脳細胞にか?」

上条「そんなの、決まってるじゃねーか」





上条「――心に、だよ」
153 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 20:02:08.93 ID:Eqqxz8lSO
冥土帰し「君達は一体何をしてるんだい?」ガチャ

上条「暇を持て余した」

伏羲「能力者たちの」

上条伏羲「「あ そ び」」

冥土帰し「はあ……」

伏羲「いや、禁書目録には悪いとは思ったがのう、こういう遊びは一生に一度あるか無いかであろう?」ニョホホホホ-

冥土帰し「第一、君の頭部の損傷は軽い打撲だけだったよね?」

上条「はい。いやー本当、あのときエバラが『「光の羽」を』空間移動してくれなかったらと思うと……」

伏羲「わしも最初焦りすぎて、右手のことを忘れて上条と禁書目録を空間移動しようとしてたしのう」

冥土帰し「全く、後で改めてあの子には謝っておくんだよ?」ガチャ バタン 
 
155 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 20:04:07.69 ID:Eqqxz8lSO
上条「…………」

伏羲「…………」

上条「……あのさ、エバラ」

伏羲「ん?」

上条「本当にありがとな。お前がいなかったら今頃、もっと怪我が増えてたと思うよ」

伏羲「わしは何もしとらんよ。おぬしが体を張って禁書目録を救ったのだ」

上条「そんなことねーよ。エバラと、俺と、あの魔術師たちと。皆で力を合わせてインデックスを助けてやれたんだ」

伏羲「……ま、今はゆっくり養生して、どこに行くか、そして……禁書目録にどう謝るかを考えておかんとの」

上条「だよな、「光の羽」のこと、何て説明しよう……」

伏羲「わしは知らーぬ」ニョホホ

上条「おまっ、エバラから言い出したんだろ!?」

伏羲「さてどうだったかのーう?では、わしは一足先に戻っておるぞ」ヴン

上条「あ、ちょっ……行っちまった……言い訳どうしよう」

ヴンッ

上条「お、一緒に言い訳を考える気になったか?」
156 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/05(金) 20:06:07.66 ID:Eqqxz8lSO
伏羲「……上条」

上条「……何だ?改まって……」

伏羲「わしは、『わしら』は、おぬしらを気に入った。可能な限り側に居たいと思うとる」

上条「(わし『ら』?)」

伏羲「しかし、わしらと共に過ごせば、おぬしらに危険が及ぶ可能性があるのだ」

上条「!?」

伏羲「そこで、わしは隠し事は無しにしようと思う」

伏羲「またあの家に三人揃ったときに話す。じゃからそのときに考えてほしい。では」ヴン

上条「……何だったんだ、今の……」

上条「――でも、例えお前がどんな奴だろうと、俺とインデックスはちょっとやそっとじゃ引かないぞ」 
 
 
183 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 11:31:46.90 ID:5dbedJ5SO
上条宅

伏羲「痛い、という感覚は久しぶりだのう……」ジンジン

上条「上条さんなんて歯型がついてない場所のほうが少ないですよ」ジンジン

禁書「本当はまだまだ足りないぐらいなんだけど、勘弁してあげるんだよ」フンス

上条「本当にその節はすみませんでした……」フカブカ

伏羲「この服装に感謝する日が訪れるとは……」カミツキニクイシ

上条「そういえばTシャツやめたんだな」

伏羲「あれは外出用じゃ。不用意に目立ちたくないしのう」

禁書「それがえばらの普段着ってこと?やっぱりこすぷれなの?」

上条「あ、それ俺も気になってた。何の漫画の何てキャラなんだ?」

伏羲「コスプレじゃないっちゅーに……まあよい、そこも含めて全て話すかの。わしが何者であるか、を」
184 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 11:33:13.78 ID:5dbedJ5SO
上条「」ゴクリ

伏羲「おっと、その前に少々『陣』を敷かせてもらうぞ」タイキョクズトリダシ

禁書「?魔法陣を敷くの?それにしたって見たことの無い霊装……霊装?」

伏羲「まあその辺も後々詳しく説明するよ……っと」カキカキ

上条「すげえ、文字が浮いてる……あ」バキン

伏羲「あっコラ右手で触れるでないダアホ!!書き直さなければならないではないか!!」プンスカ

上条「す、すみません……って、俺がその陣の中にいても大丈夫なのか?」

伏羲「おぬしが直接陣に触れねば大丈夫じゃ」カキカキ
185 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 11:35:15.64 ID:5dbedJ5SO
禁書「これは何の陣?私の中の10万3000冊の中にも無いんだよ」

伏羲「悪趣味な覗き防止かのう……っと、完成!!これでこの部屋で何が起こっても、直接扉を開けぬ限り誰も気付かぬ。監視カメラや盗聴器があっても『いつも通りの日常』しか映さぬよ~」

禁書「そ、そんな高度な魔術?を1分たらずででやっちゃうえばらって……」

伏羲「実は魔術では無いのだがのう。」

上条「?魔術じゃないにしてもこんな超能力きいたこと無いし、何なんだ?」

伏羲「まあ待て、これからわしについて説明するから、質問はその後じゃ」

禁書「わかったんだよ」
186 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 11:37:36.97 ID:5dbedJ5SO
伏羲「すでに察しておるとは思うが、もちろん「秘湯混浴刑事エバラ」は偽名じゃ。こんなふざけた名前があってたまっかい」

上条「ですよねー」

禁書「(信じてたなんて口が裂けても言えないんだよ……)」

伏羲「わしの本当の名は『伏羲』。他にも王奕だの色んな呼び名があるが、『太公望』と呼んでくれ。その名が最もわしに近い」

禁書「たいこーぼーにはどうしてたくさん名前があるの?」

伏羲「長く生きてるうちに自然とそうなった。まあ深く気にせずともよい」

上条「長く……って、俺よりちょっと上ぐらいにしか見えねーけど」

伏羲「『太公望』としての年齢は大体3000~3500かのう。不老不死の身としては年齢はさして気にすることでは無いのじゃ」

上条「」

禁書「」
187 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 11:39:42.27 ID:5dbedJ5SO
上条「待って、今一気に何個も爆弾発言された気がする。待って」

禁書「す、少し整理をする時間がほしいんだよ」

伏羲「因みにわしは仙人じゃ」

禁書「ええええええええええ!!!??」

上条「だから待ってってえええええええええええええええ!!!!」

伏羲「そして何とさらに」

上条「シャラァァァァァァップ!!本当!!整理をする時間をください!!」

禁書「せ、仙人……不老不死……」プシュ-

伏羲「おぬしらは本当に見てて飽きんのう」ニョホホホ
188 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 11:41:04.94 ID:5dbedJ5SO
間。



伏羲「落ち着いたか?」

上条「まあ、何とか……」

禁書「た、たいこーぼーの言ってることが全部ほんとうなら、とんでもないことなんだよ……」

伏羲「まあこの話は長くなるからひとまず置いておくとしよう。まず、わしが学園都市の能力者で、『空間移動』というのは嘘じゃ」

禁書「物凄い問題を脇に追いやられたんだよ……」

上条「あれ?でも何回か空間移動してなかったか?」

伏羲「あれはわしの力の一部に過ぎぬよ。本来のわしの力は『空間使い』といったところかのう。ルビは読者諸君に任せるぞ」
189 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 11:43:24.81 ID:5dbedJ5SO
禁書「『空間使い』って、具体的にどういう力なの?」

伏羲「空間移動は勿論のこと、わし専用の亜空間を持っておる。それと陣を敷くのが得意じゃ。陣は亜空間への入口も兼ねてるからのう。あ、陣の亜空間はわしの亜空間とは別じゃぞ」

禁書「こ、これが伝説の仙人……」クラクラ

上条「ち、因みに空間移動の飛距離は……」

伏羲「太陽系なら一瞬かのう?そこから外へは出たためしが無いからわからぬ」

上条「」
190 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 11:45:46.66 ID:5dbedJ5SO
伏羲「で、だ。空間をどうこうする能力の他にわしは風を操る力と力を鎮める力を持っておる」

上条「『多重能力者』……いや、『多才能力者』?チートじゃね?」

禁書「どのくらい風を操れるの?」

伏羲「竜巻をいくつか発生させる程度かのう」

上条「間違いない。おまわりさん、こいつチートです」

伏羲「落ち着け上条、おぬしだって掟破りな右手を持っているでは無いか」

上条「でも太公望の最後の『力を鎮める力』とか明らかに俺と同じだろ!!」

伏羲「いや、そうでも無い。わしに魔術は打ち消せぬ」

上条「へっ?」

伏羲「わしは特定の条件で発生した力しか鎮められなくてのう。魔術は条件外なのじゃ。それに、『鎮める』ことはできても『打ち消す』ことはできぬよ」
191 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 11:47:13.85 ID:5dbedJ5SO
禁書「……たいこーぼーの言う話が全部本当で、たいこーぼーが仙人だったら、道教の歴史を塗り替えかねないんだよ」

伏羲「ああ、その心配には及ばぬ」

禁書「?」

伏羲「『わし』という『仙人』と、おぬしの魔道書に載っておる『仙人』は少し違うのだよ」

上条「どういうことだ?」

伏羲「昔は仙人が空を飛んでいるのも珍しくはなかったが、時代が殷から周へ移り変わったときに、『わしら』仙人は皆奥に引っ込んだのだ。そのときに自分達 の書いた書物や巻物も一緒にな。しばらくすると『わしら』とは違うルーツを辿った仙人が現れた。これがおぬしたちのいう『仙人』だよ」
192 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 11:49:11.74 ID:5dbedJ5SO
禁書「ルーツの違いって?」

伏羲「わしらは『仙人骨』という特殊な骨格をしていなければ道士にはなれなかった。つまり才能ある者しかなれぬのだよ。才能無き者の為に生み出された魔術とは根っこから違うのじゃ」

上条「へー……いつの間にか魔術に詳しくなってないか?」

伏羲「おぬしが入院している間に調べての。基本的知識は大体叩き込んだ。使う気は無いがのー」ニョホホ

禁書「この短期間に……やっぱりたいこーぼーの存在自体が掟破りなんだよ」

伏羲「それで、ここからが大事な話なんじゃが」

上条「……」

禁書「……」




伏羲「わしは、存在が露見したら恐らく世界中から追われることになろう」
193 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 11:51:10.74 ID:5dbedJ5SO
禁書「!?」

上条「……」

伏羲「まず『魔術師たち』。禁書目録の首輪の件で分かったが、奴は相当の狐じゃ。利益に繋がることなら何でもするであろう。必要悪の教会以外の魔術結社も黙ってはおるまい」

禁書「……」

伏羲「次に『学園都市』。あまり詳しいことは言えぬが、上のほうは相当きな臭い。魔術師たちに対抗する可能性もある」

上条「…………ッ」

伏羲「他にも物好きなメディアや金持ち、歴史評論家など上げたらキリが無い。そうそう、ついでに言うなればわしは仙人界からも追われててのう。見つかったら最後、わしは死ぬじゃろう」

禁書「」ゾクッ

上条「なんで、そんな……!!」ギリッ
194 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 11:53:13.72 ID:5dbedJ5SO
伏羲「それが、わしなのだ。わしの力で3000年以上隠れていたが、いつ見つかるかは分からん。だから、騒ぎは起こせん。いくら能力があっても、使えるのは精々ちょっとした陣を引くのと空間をいじることぐらいじゃよ」

禁書「(いや、それでもだいぶ凄いんだよ)」

上条「…………それで、それで一体お前は何が言いたいんだよ?」

伏羲「……わしは、おぬしらを気に入っておる。危険な目にあわせたくない。しかし、同時に傍に居たいとも思うのだ、だから――」

上条「――だったら一緒に居ればいいだろ!!」

伏羲「……」

上条「お前のおかげで俺達がどれだけ助かったと思ってるんだよ!!お前がいたからインデックスの『首輪』に気付けた!!お前がいたから『光の羽』に当たらなくて済んだ!!」
195 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 11:55:07.03 ID:5dbedJ5SO
上条「お前がいたから今の俺達がいるんだ!!」

禁書「……そうなんだよ!!それに、わたし達を誰だと思ってるの?魔術のエキスパートに、神様の奇跡だって打ち消しちゃう人だよ!?」

伏羲「しかし……」

上条「しかしじゃねえ!!それにな、勘違いしてもらっちゃ困るぜ!!」

禁書「たいこーぼーだけじゃなくて、私達もずーっと一緒にいたいって思ってるんだよ!!」

伏羲「!!」

上条「――いいぜ、お前が俺達の前から姿を消そうってんなら、」

上条「まずはその幻想をぶち殺す!!」ブンッ
196 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 11:57:08.87 ID:5dbedJ5SO
伏羲「ってどわーっ!!!!!」ヒラリ

上条「おわっ!?」スカッ ドテッ

禁書「ああっ、スカしたとうまが顔面から転んだんだよ!!」

伏羲「このダアホ!!右手でわしに触れるなっちゅーに!!いいか、今わしは『力』を使って色んな『目』から逃れておるのだ!!おぬしが触れたら3000年の努力が台なしじゃろうが!!」キシャ-!!

上条「いてて……でもさ、俺、本当腹立ったんだぜ!?勝手に俺らの事値踏みされて、勝手にいなくなるとか、そんな……!!」

伏羲「ああ、すまぬ。しかし最悪の事態もありうるからな。騙し騙しでつきあっていきたくなかったのだよ。実際は余計なことさえしなければ誰かにバレるなど無いしのう」ニョホホ-

禁書「……でも、仙人界にバレたら……」

伏羲「ああ、それこそ地獄じゃ。避けなければならぬ。働くなんぞ死ぬほど嫌だしのう」

上条「えっ」

禁書「えっ」

上条「じゃあ、『死ぬ』っていうのは……」

伏羲「働くぐらいなら食わぬ!!」
197 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 11:59:16.93 ID:5dbedJ5SO
上条「……なんか」

禁書「一気に拍子抜けしたんだよ」

伏羲「まあ、とりあえずこれから上条は絶対右手でわしに触れてはならぬ。それさえ守れば後は大丈夫じゃ。わしは監視カメラにさえ写らぬしのーう」カカカカ

禁書「凄いんだか凄くないんだか……」

上条「でもまあ、これで太公望がこれから何を言っても驚かない自信はついたな」ハハハ

禁書「そうなんだよ」ハハハ

伏羲「おおそうだ、ひとつ大事なことを忘れておってのう」

上条「お、何だ!?」

禁書「どんと来いなんだよ!!」





伏羲「実はわし、魂魄が分裂して」

上条「もういいです」

207 :小話 ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 14:10:07.47 ID:5dbedJ5SO
亜空間<ギャ-ギャ-

上条「またやってるな」

禁書「なにで喧嘩してるんだろうね?」

ヴンッ

太公望「だーかーらー!!どうしておぬしはそうなのだー!!」

ヴンッ

王天君「お前は細けえことグチグチ気にしすぎなんだよ」

太公望「なにおう!?大体な……」

亜空間<ギャ-ギャ- ウルセエ>亜空間

上条「シュールだな」

禁書「シュールなんだよ」

上条「二人バラけたら隠れる力が使えないかもしれないからって」

禁書「亜空間を突き合わせて喧嘩してるのはやっぱり」

上条「シュールだな」

禁書「シュールなんだよ」

太公望「おぬしらからも何か言ってやれい!!」

上条「え?あ、あー。そのだな、王天君……」

王天君「ウニはすっこんでろ」

上条「ハイ、スミマセン……」
208 :小話 ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 14:12:10.30 ID:5dbedJ5SO
禁書「で、何で喧嘩してるの?」

太公望「おお、こやつがどうしてもこのジャラジャラしたのを見に店へ行きたいと言い出してのう……」

王天君「シルバーアクセだ」

上条「それぐらいいいんじゃないか?」

太公望「ええいこやつが店に行くと3時間はてこでも動かぬのだ!!」

上条「さんっ……」

王天君「ほぼ丸一日オメーの好きなようにさせてんだからそんぐらいいいだろ別に」

禁書「うーん、王天君がかわいそうかも。ちょっとぐらいいいんじゃないの?」

太公望「ぐっ……し、しかし、今日はわしに予定があるのだ!!」

上条「どんな?」

太公望「ヒ、ヒルネとか……」

禁書「王天君いってらっしゃい」

上条「遅くても夕飯までに帰ってこいよー」

王天君「ハッ」

太公望「裏切り者ー!!」 
 
 
217 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 16:38:59.47 ID:5dbedJ5SO
上条「えー、皆さんに重要なお知らせがあります」

禁書「……」ゴクリ

太公望「……」

王天君「……」



上条「我が家の財産が底を尽きました!!」

禁書「えええええ!?」ガ-ン

太公望「モモは?モモは無事なのか?モモは食えるのか!?」

王天君「無理だろ」

上条「原因はインデックスが一食につき3人前食べるのと、太公望が頻繁に桃を消費することです。桃は旬でも高いんだよ!!」

禁書「うっ、で、でも、あの一年間みたいにお腹が空くのはもう嫌なんだよ……」

上条「空腹がきついのは分かるけどそれでも食べすぎ!!」

太公望「わ、わしは燃費が良いからモモさえあればもやしでも構わぬ」

上条「その桃が高いんだよ!!無能力者の上条さんに四人を養うのは酷なんです……」グッタリ
218 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 16:40:49.12 ID:5dbedJ5SO
王天君「俺に金はかかんねぇだろ」フッキニナッテルホウガオオイシ

上条「買い物帰りにうっかりシルバーアクセを見ると伏羲の足を止めて買うまで動きませんよね?」

王天君「」フイッ

上条「とにかく!!泣いても笑っても上条家にはお金がありません!!そこで、」


上条「三人に働いてもらおうと思います!!」

禁太「ナンダッテ-!?」

上条「王天君お前もだからな!!」

王天君「……」

上条「とにかく脱ニートしていただきます!!解散!!」

王天君「くだらねぇ」ヴンッ

太公望「あ、逃げるな王天君!!しかしいやじゃ~いやじゃ~働くのはいやじゃ~」ジタバタ

禁書「いい歳して見苦しいんだよ……でも、とうまの家に住んでるんだし、迷惑はかけられないかも」
219 :小話 ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 16:42:12.40 ID:5dbedJ5SO
太公望「何故そんなにやる気なのじゃ~嫌じゃ~働くぐらいなら食わぬ!!!!」ジタバタ

禁書「妄言吐いてないで行くんだよ。あんまりしつこいととうまの右手で引きずり出すかも」

太公望「うう、仕方ないのう……どれ、王天君と融合してくる……」トボトボ

禁書「長いニート生活は人を駄目にするんだね、恐ろしいんだよ」

伏羲「どれ、用意したぞ。ああ、嫌じゃ嫌じゃ……」デンキヒツジ-ン

禁書「ほら、もたもたしないで行くんだよ」グイグイ

伏羲「分かった分かった。ああ、王天君はずるいのう……」ズルズル
220 :小話 ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 16:44:06.84 ID:5dbedJ5SO
とある街頭

伏羲「で、何をするのだ?」

禁書「えっとね、占いなんてどうかな?ちょっとだけなら出来るんだよ!」

伏羲「ふむ、占いか。わしも朝歌でがっぽり稼いでた時期があったな」

禁書「31世紀前からって、たいこーぼーの占いに年季を感じるかも」

伏羲「まあ今も昔もそう変わらんよ。では始めるか」

禁書「うん!!」

【占います】

禁書「なかなか人が来ないんだよ」

伏羲「まあ、科学の街だしのう。……む?」

ミテミテ-ウイハル-!オモシロソウジャナイ?
ウラナイナンテメズラシイデスネ-、ヤッテミマス?サテンサン

佐天「あのー、占ってほしいんですけどー!!」

初春「ちょっと佐天さん、先に行かないで下さいよー」

禁書「いらっしゃいなんだよ!!」

伏羲「ふむ、おぬしの名は?」

佐天「えっと、佐天涙子です!!」

禁書「お名前を教えてください、なんだよ!」

初春「かわいー!えっと、初春飾利っていいます!!」
222 :小話 ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 16:46:10.16 ID:5dbedJ5SO
伏羲「では風のマジシャン、ミスターエバラが、カードで占いをしてしんぜよう」タイキョクズトリダシ

佐天「『風力使い』なんですねー」

禁書「あ、風が起こるからかざりはちょっと移動するんだよ」

初春「はーい」

伏羲「疾っ!!」フワッ

佐天「す、凄い……大能力者……?」

伏羲「……ふむ、おぬしには今伸び悩んでいるものがある」

佐天「!!」

伏羲「それは芽すら出ずに諦めかけているが、将来必ず花が咲くであろう」

佐天「私にも……」

伏羲「しかし」

佐天「?」

伏羲「芽を出すには血の滲むような努力を要するであろう。与えられた課題をただこなすだけではおぬしに眠る才能はただ腐るのみよ」
223 :小話 ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 16:48:05.63 ID:5dbedJ5SO
佐天「…………」

伏羲「道のりは険しく、そして長い。しかし、無限では無い。いつか必ず道は開ける」

佐天「……ハハ、何それ。説教?」

伏羲「いーや、占いの結果を読んだまでじゃ」

佐天「ふーん。ま、似たようなこと言われてきたけど、何か元気が出てきたよ!……ねぇ、私にも才能、あるのかな?」

伏羲「うむ。おぬしにはわしと同じ、風の才がある。芽生えるその日を楽しみにしておるよ」

佐天「……うん、ありがと!代金置いておきますね!初春ー!!いくよー!!」

初春「あ、ちょっと待ってくださーい!!あっ、ありがとうございました!!」

禁書「また来てねー!!」
224 :小話 ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/06(土) 16:50:09.23 ID:5dbedJ5SO
伏羲「ああ、何かもういい気がしてきたのう……」グテ-

禁書「まだ早いんだよ!!」

伏羲「久しぶりに宝貝を使ったからもうやる気が起きーぬ」

禁書「普通にやればいいのにたいこーぼーが勝手に使ったんでしょー!!」プンスコ

伏羲「ええいわしは元から働きたくなんぞ……ん?」ザワザワ

子供A「にーちゃん凄ーい!!」

子供B「もっと見たーい!!」

子供C「『大能力者』の『風力使い』なんて初めて見たー!!」

ワイワイ

禁書「あわわ……目立っちゃったんだよ!!たいこーぼー大丈夫なの!?」

伏羲「なに、物を破壊したりせぬ限り見つからんよ~」ニョホホ

禁書「本当?」

伏羲「うむ」

禁書「じゃあ大丈夫だね!!皆ついてきてー!!今からこの人が公園で超能力を使ったマジックをするんだよ!!」

子供達<ハ-イ!!

伏羲「なっ、おい、どういうことじゃ!!」

禁書「一人300円なんだよ!!」

伏羲「」

子供達<300エンナラナントカ… ゾロゾロ

伏羲「……こういう時に言うのかのう?」

フコウジャ-!! 
 
 
247 :小話 ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/07(日) 20:28:11.85 ID:4CB+ymFSO
禁書「トランプをして遊ぶんだよ!」

上条「お、いいな」

伏羲「ふうむ……神経衰弱はどうじゃ?」

上条「それなら不幸な上条さんでもまだマシか……?」

禁書「賛成!さっそくカードを配るんだよ!」

伏羲「待つのだ!」

禁書「?」

伏羲「昨日七並べをしたであろう?ある程度並んでしまっておるから、わしが特別な切り方をしてバラバラにしてみせよう」タイキョクズトリダシ

禁書「またあれをやるんだね!!」

上条「つくづく太公望は能力の無駄遣いだよなあ……」

伏羲「おほん、では、ミスタータイコーボーのショー、ご覧あれ!」ブワァァァッ

上条「すげー」

禁書「いつ見ても圧巻なんだよ」

伏羲「ふむ、では王天君……は、「やってらんねぇからパス」だそうじゃ。昨日の七並べのときはあんなにノリノリであったくせに……」

~~~~~~~~~~~~~~~

昨日の王天君

王天君「9のトランプが欲しけりゃおねだりしてみな」

~~~~~~~~~~~~~~~~

禁書「王天君の意外な一面を垣間見た瞬間だったんだよ」
248 :小話 ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/07(日) 20:30:05.46 ID:4CB+ymFSO
伏羲「じゃんけんするぞー。じゃーんけんポン!」チョキ

禁書「ぽん!」チョキ

上条「ほいっ」パ-

禁書「まあ、お約束なんだよ」

伏羲「ではわしと禁書目録でじゃんけんをして……っと、わしからだな」

禁書「くやしいんだよー」

伏羲「まず……コレとコレ!!」ビシッ ビシッ

上条「おお、揃った!!」

禁書「むむむ……たいこーぼーの幸先が良いんだよ……」クヤシイ

伏羲「次はコレとコレ!!」ビシッ ビシッ

上条「まただ!」

禁書「ど、どういうことなの?」

伏羲「フフフ……わしにカードを切らせたのが間違いであったのう……」ビシッ ビシッ 
 
251 :小話 ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/07(日) 20:33:03.95 ID:4CB+ymFSO
禁書「ま、まさか……!!」

伏羲「お、もう気付いたか?」ビシッ ビシッ

禁書「さっき風でカードを巻き上げたときに、マークと位置を全部覚えたの!?」

伏羲「フハハハハ!!その通り!!わしの優れた動態視力と暗記力があってこその成せるイカサマ!!」ビシッ ビシッ

上条「今堂々とイカサマって言ったぞ」

伏羲「ああ何て楽しい神経衰弱であろう!!」ユカイスギテハイケイニハナガサキソウ- ビシッ ビs

禁書「私だって黙っていられないんだよ!!」ステミタックル!!

伏羲「ああっ!何をする!!お陰で間違えたカードをひっくり返したではないか!!」

禁書「たいこーぼーが手段を選ばないなら、私だって選ばないんだよ!!これとこれ!!」ピラッピラッ
252 :小話 ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/07(日) 20:35:06.96 ID:4CB+ymFSO
上条「揃った!!」

伏羲「……まさか、おぬし!!」

禁書「ふふん、さっきカードの位置を覚えたのはたいこーぼーだけじゃないんだよ!!」ピラッ ピラッ

伏羲「くっ……禁書目録の動態視力を侮っていたわ……」グギギ

上条「あれ?これって完璧上条さん負け戦じゃね?あれ?」

禁書「ずっとわたしのターン!!なんだよ!!」ピラッ ピラッ ピラッ ピラッ

伏羲「じえい!!」トッシン!!

禁書「わわっ!!」ドンッ

伏羲「勝つためなら手段を選ばない……それはわしも同じよ!!」

上条「なんてやつだ」

伏羲「『歩く教会』を着ている禁書目録に遠慮はいらーぬ!!」ハハハハハ!!

禁書「でもその『歩く教会』をちょっとだけど破って私に衝撃を与えるたいこーぼーってやっぱりちーとなんだよ」
253 :小話 ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/07(日) 20:37:18.65 ID:4CB+ymFSO
上条「一応俺の番だけど……」ピラッ ピラッ ハズレ デスヨネ-

伏羲「どれわしの番!!」ビシッビシッ

禁書「えい!!」モロハノズツキ!! ピラッピラッ

伏羲「なにおう!!」アフロブレイク!!

上条「また揃いませんでしたー」

こうして神経衰弱はいつの間にか伏羲とインデックスの動態視力バトルになっていったという 
 
 
 
271 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/08(月) 21:45:39.28 ID:ueepYA2SO
TV<エ-、ダイナナガックデハシンショウヒンノアイスガ……

禁書「」ジ-ッ

上条「」ミナイフリミナイフリ

禁書「」ジ-ッ

伏羲「(ああ美味い……モモはなんて美味いのだ……)」ムシャムシャ

禁書「」ムムム

TV<アイスデアツイナツヲノリキロウ!!

禁書「!」ピコ-ン

禁書「とうま!!たいこーぼー!!今こそ約束を果たすときなんだよ!!」

上条「約束?」

伏羲「む?」ムシャムシャ

禁書「終わったら遊びに行こうって!!今すぐ行くんだよ!!」

上条「確かにそんな事言った……が、ステイルたちが今度来てからなー」アンマカネネ-シ

禁書「待ちきれないんだよ~!!」ジタバタ

伏羲「おぬしはただアイスが食いたいだけであろう」ムシャムシャ

禁書「む、たいこーぼー、別に私は一言たりともアイスを食べたいなんて言ってないよ!?」

上条「でもさっきからテレビのアイス特集に釘付けだよな」
272 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/08(月) 21:47:02.40 ID:ueepYA2SO
禁書「う、そ、それに私は修行中の身、お酒や煙草は元より、珈琲紅茶に果物デザート氷菓子、その他もろもろ嗜好品の摂取は一切禁じてるんだから!」

伏羲「では仕方ないのう、諦めるほかあるまい」ムシャムシャ

禁書「た、確かに私は修行中の身だけど、あくまで修行中の身なので完全なる聖人の振る舞いは難しかったり!だから誤って口の中にアイスがほうり込まれる可能性も無きにしもあらずなんだよ!!」

上条「うーん、最近インデックス頑張ってるしなあ」

伏羲「しかしクーラーの利いた部屋から出るのはのう……」ムシャムシャゴクン

禁書「(もうひと押しなんだよ!!)」

TV<シンショウヒンノモモヲフンダンニツカッタアイスハ……

伏羲「よし行こう!!」

禁書「やったー!!」

上条「シスターも仙人も自由だなぁ」
273 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/08(月) 21:49:17.36 ID:ueepYA2SO
街中

禁書「♪」フンフンフ-ン

上条「暑くないのか?その格好」

禁書「『歩く教会』は必要以上の熱を通さないんだよ!!」フフン

上条「へー便利だなー」

禁書「まあ、暑くないだけで涼しいわけじゃないし、顔はあついんだけどね……」

伏羲「(怠惰スーツ>歩く教会か。まあ怠惰スーツは人を駄目にする呪いがかかっておるからのう)」

上条「何のアイス食う?最近財布に余裕が出てきたから、一人二個は食えるぞ」

伏羲「王天君はいらないそうじゃ」

禁書「おーてんくんのぶんは私がもらうんだよ!!」

上条「一体どこに入っていくのやら……」

禁書「アイス~アイス~♪」フンフンフ-ン

上条「(ま、いっか)」

禁書「とうま、たいこーぼー、どのお店に入る!?」

上条「そうだなー……」

青ピ「なかなかに素敵な相談中なんやけどな、ちなみにそこの子誰なんカミやん?」
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2011/08/08(月) 21:49:33.62 ID:yR6ZwJpQo
おお?リアルタイム更新中?姫神登場ですね?
275 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/08(月) 21:51:07.76 ID:ueepYA2SO
上条「青ピ!」ゲッ

伏羲「上条、知り合いか?」

青ピ「あ、どーもボクカミやんの友達やってます青髪ピアスでーす」

伏羲「おお、わしは秘湯混浴刑事エバラという」

青ピ「混浴!?」

上条「おいそこ食いつくな。こいつはインデックスっつって、ただの居候だよ」

青ピ「なっ……いそうろう?居候!?テメェ今女の子のイソーローに向かって『ただの』とか言いやがったかカミやん!!アンタはお菓子の食い過ぎでお米のありがたみが分からなくなった小学生かーっ!!!」

伏羲「若いのう」ノホホン

上条「うるさーいっ!!本当に何もねーの!!それに居候はこいつだけじゃねーし!!た……エバラもだから!!」

青ピ「ま、まさかカミやん、そっちのケが……」ドンビキ

上条「んなわけあるか!!勝手に引くな!!あーもう店入るぞ店!!」

青ピ「誤魔化したなカミやん!!真相を確かめるべくボクもついて行くで!!」

禁書「アイスなんだよ!!」

伏羲「現代の甘味!!」
276 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/08(月) 21:53:13.58 ID:ueepYA2SO
とあるファーストフード店

禁書「どうしてここなの!?」プンスカ

上条「早いとこ店に入りたくて……」

伏羲「文句を言っておる割にシェイクを3つも頼んでいるではないか」

青ピ「うーん、見たとこ満席やなあ。すんませーん店員さーん、空いてる席ありますー?」

店員「申し訳ありませんが無いのでどうしてもと言うなら相席していただくしか……」ユビサシ

上条「どれどれ……うっ!?」

伏羲「なるほど、コスプレとは席が空いている理由も分かるのう」ミコフクトハ

上条「よし、帰ろう」

伏羲「待て、あやつらはもう着席しておるぞ」

上条「」
277 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/08(月) 21:55:11.31 ID:ueepYA2SO
禁書「」シェイクオイシンダヨ-

青ピ「」ミコサンニシスタ-サン……ハァハァ

伏羲「どうする?あれを放っておくのか?」

上条「分かりましたよ行きますよ……うう、不幸の予感がする……」オソルオソル

巫女「」ピクッ

上条「」ギクッ

巫女「く、――――」

伏羲「く?」






巫女「――――食い倒れた」 
 
 
300 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/18(木) 15:39:06.74 ID:ZN0p5zKSO
窓の無いビル



アレイスター「ここに呼び出した理由はすでに分かってていると思うが――まずい事になった」

ステイル「『吸血殺し(ディ-プブラッド)』、ですね」

アレイスター「能力者だけなら問題はない。あれは元々私が保有する超能力者の「一つ」だ。この街で起きたこの住人の事件ならば、それを解決・隠蔽する手段など7万と632程度の手段は揃えてある」

ステイル「……」

アレイスター「問題なのは、この事件に本来立ち入ってはならない『魔術師(キミタチ)』が関わった事だ」

ステイル「(「とある生き物」を殺す『吸血殺し』。それを保有する「学園都市」の少女が「魔術師」に監禁されてる、か……)」

アレイスター「ふむ。相手がこの街の「外」の人間だとすると、少し事情は厄介になる。別に230万もの能力者を使い総力戦になれば魔術師の一人二人、潰す のは容易いだろう。問題はそういう所ではなく、『科学者(ワレワレ)』が『魔術師』を倒してしまうという一点に尽きる」

ステイル「(確かに、『魔術師(ボクタチ)』の技術が科学サイドに漏れるのは好ましくない。逆もまた然り、だろうけど)」
301 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/18(木) 15:41:12.73 ID:ZN0p5zKSO
ステイル「そうなると、そちらの増援を迎えるのも難しそうですね」

アレイスター「指揮権や技術の漏洩で揉めるだろうしな」

ステイル「なるほど、それで魔術師を殺す為に魔術を学んだ、例外たる私を呼んだという訳ですが」

アレイスター「魔術師が魔術師を倒せば何も問題はあるまい。それで、問題となる「戦場」の縮図だが」パッ

ステイル「(三沢塾、か)」

アレイスター「建設時の設計図と、衛星の各種映像から内部を分析した。魔術的な仕組みについては不明。畑が違うからな」

ステイル「……」

アレイスター「「三沢塾」というものに対しては少々特殊な環境にある。元々、学園都市とは大小数百を超える学校の集まった一大教育機関だ。そしてその『時間割り(カリキュラム)』の中には「超能力開発」も含まれる」

ステイル「……」

アレイスター「全国規模の進学塾がここに支部校を置いたのは、その学習法を盗んでくるための企業スパイ色が強かった。が、半端にかじっただけで変に感化を 受けてね。「自分たちだけが知ってる、つまり自分たちは選ばれた人間」というくだらない妄言にとりつかれたらしい。そして暴走し、挙げ句の果てには「教 え」に従って件の少女を監禁、と」
302 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/18(木) 15:43:14.22 ID:ZN0p5zKSO
ステイル「けど、何で「三沢塾」は『吸血殺し』を監禁したんでしょう?十六世紀のカルト教と同じく、カインの末裔に自ら身を差し出し不老不死となる事を目的とする教義とか?」

アレイスター「否。「三沢塾」は特に『吸血殺し』に執着は持たない。単に「この世に一つしかない、再現不能の能力者」であれば誰でも良かったようだ」

ステイル「?」

アレイスター「『学園都市(コノマチ)』における『序列(チカラ)』とは、「学力」と「異能力」の二種によって分類される。そういう意味で『吸血殺し』を 保管し、研究するのは意味ある事だろう。「限りなく珍しい能力を量産する事ができる」という触れ込みは、自身の平凡な能力に劣等感を持つ『異能力者』や 『良能力者』を釣るには良い出来かもしれない。……まったく、一度発現した能力を別のモノに変更する事など脳を異色しても不可能だというのにな」

ステイル「(おかしな話だ。レアな能力がここではステータスになるとして、科学まみれのこの場所で、オカルトに属する「ある生き物」など信じられないだろうに)」
303 :>>302 ×異色 ○移植 ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/18(木) 15:45:19.68 ID:ZN0p5zKSO
アレイスター「とにかく希少価値がある、と認められれば話の種ぐらいにはなるだろ。『幻想殺し(イマジンブレイカ-)』を始めとする「正体不明の能力 者」はいくらでもいるし、「強大な力の持ち主ゆえに、誰も本気を出している姿を見た事のない能力者」などという種類も存在する」

ステイル「(問題は処分される直前、『吸血殺し』が狙いの魔術師がやってきて、「三沢塾」をそのまま乗っ取ってしまったという事か……しかし、230万もの『能力者(センリョク)』が溢れかえる街中でただ一人の孤独、か。少し愉快だな)」

アレイスター「そうでもない」

ステイル「(……思考を探る装置でもあるのか?)」

アレイスター「『魔術師』にとって天敵となる「一つ」を、私は保有している」

ステイル「(――『幻想殺し』!!)」ギクッ
304 :>>302 ×異色 ○移植 ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/18(木) 15:47:03.39 ID:ZN0p5zKSO
ステイル「けれど、魔術師を倒すのに超能力者を使うのはまずいのでは?」

アレイスター「それも問題ない。まず始めに、アレは『無能力(レベル0)』であり、価値ある情報は何も持っていない。続けて、アレは魔術側の技術を理解し再現するほどの脳も無い」

ステイル「(――このタヌキが。あの『幻想殺し』ぎ役立たずなどではない。確かにパッと見で仕組みは分からないが、学園都市も同じだと信じたい――)」

ステイル「……『吸血殺し』。そんなものが、ここには本当に存在するんですか?もし仮に、存在するのであれば、それは――」

アレイスター「ふむ。『非現実(オカルト)』は『科学者』ではなく『魔術師』の領分だと思うのだがね。君達でも容認できぬ非常識がある訳か」
305 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/18(木) 15:49:05.19 ID:ZN0p5zKSO
ステイル「(当然だ……ッ。魔術師の使う「魔力」は寿命や生命力といった「原油」を呼吸や血流、瞑想などで使いやすい「ガソリン」に精製するようなもの。 もちろん際限はあるのに、「ある生き物」――カインの末裔、吸血鬼にはそれが無い。不老不死という馬鹿げた属性なんぞ持ってるからね)」

アレイスター「説明ごくろう」

ステイル「?仰る意味がわかりかねますが……」

アレイスター「分からなくていい。分かったところでどうにもならない。ところで、それ以前に君は我々の言う「超能力」が何であるか分かっているのか?」

ステイル「……、何ですか?」

アレイスター「ただの認識のズレだ。君は「シュレディンガーの猫」という話を知っているか。世界で一番有名な動物虐待なんだがな」

ステイル「……?」
306 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/18(木) 15:51:13.73 ID:ZN0p5zKSO
アレイスター「詳しい話は省くが、要は「この現実は、それを見る者の思う通りに歪んでしまう性質を持つ」との事らしい。もっとも、ミクロとマクロでは物理法則も異なるので一概には言えんがな」

ステイル「……、仰る意味が、分かりかねますが?」

アレイスター「今度こそ理解しなくていい。理解すればここで君を殺さなければならない」

ステイル「」ゾッ

アレイスター「……ところで、一つ君に尋ねたいことがある」

ステイル「……?」

アレイスター「君たちがつい先日『暴れた』際、その場には『誰がいた』?」

ステイル「……私と、『必要悪の教会』の神裂と、上条当麻と、禁書目録ですが……?」

アレイスター「本当に、それだけか?」

ステイル「ッはい」ゾクッ
307 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/18(木) 15:53:19.37 ID:ZN0p5zKSO
アレイスター「ふむ、そうか……」

ステイル「(あ、れ……?何か、足りなかった、ような……)」

アレイスター「ならいい。対して気にも留める必要の無い違和だ」

ステイル「はあ……」

アレイスター「――さて。『吸血殺し』が吸血鬼の存在を証明したと言うならば、あの『幻想殺し』は一体何を証明してくれるのだか、ね」



ステイル「かなり無理矢理シメましたね」

アレイスター「ふふ、案内人を永遠に呼ぶまいか?」
308 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/18(木) 15:55:30.31 ID:ZN0p5zKSO
上条「えーと、上条さんは思うところがあるんですが?」

伏羲「何だ?」

禁書「なあに?」

青ピ「何や?」

上条「このテーブルが四人掛けというのは分かる。巫女さんが先に座ってたから、後三人しか座れないのは分かる」

青ピ「それが何や?」

上条「何で俺が立たされてるんだよ!!」ムキ-!!

禁書「とうまの席は円環の理に導かれたんだよ」ア-メン

上条「嘘おっしゃい!!というか円環の理って何だ!!首から上が無くなりそうだからやめなさい!!」

青ピ「まあ気にするなやカミやん。なんか下宿先の店長さんからお手伝いの要請が入っとったし、ほんじゃまた」ガタッ

上条「えっ?あ、ああ、またな」

禁書「じゃあねなんだよ!!」

伏羲「帰り道は気をつけるのだぞー」
309 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/18(木) 15:57:22.48 ID:ZN0p5zKSO
青ピ「じゃあなー!」バ-イバ-イ

上条「一体何の為にあいつは……」ハッ

巫女「」ツップシ

禁書「」ジ-ッ

伏羲「」ジ-ッ

上条「な、何だよその「お前が話かけろ」的な視線は!!ここは公平にジャンケンだろ?ってかインデックス、神妙な顔して十字切ってんじやねぇ!」

伏羲「はいはい、じゃーんけんほいっ」パ-

禁書「ぽいっ」パ-

上条「うぉらっ」グ-

伏羲「ほれ、結果など端から決まっておったのだ」ニョホホ

禁書「がんばれとうまー」シェイクウマ-

上条「くっ、覚えてろよ……あの、もしもし?」

巫女「」ピクッ

上条「あ、えーっと……食い倒れたって何ざましょ?」

巫女「一個58円のハンバーガー。お徳用の無料券がたくさんあったから」

上条「うん」

巫女「とりあえず30個ほど頼んでみたり」

上条「お徳すぎだ馬鹿」
310 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/18(木) 15:59:06.61 ID:ZN0p5zKSO
巫女「」シュン

禁書「」ア-ア

伏羲「」アチャ-

上条「あー、いや違うんだ。『馬鹿だ、しかし何故そんな事を?』ということであってそんな目で見るなーっ!!」ウワ-ン

巫女「やけぐい」

上条「は?」

巫女「帰りの電車賃。400円。全財産。300円」

上条「……、その心は?」

巫女「買いすぎ。無計画」

上条「……」

巫女「だからやけぐい」

上条「…………ってか、お前300円分でも電車乗ればいいじゃん。そうすりゃ歩く距離は100円分なんだし。それ以前に電車賃ぐらい誰かに借りられないのか?」

巫女「それは良い案」ジ-ッ

上条「上条さんは貸せませんよ二人も養ってる上条さんにそんな余裕もありませんよ」フイッ

巫女「けち。甲斐性なし」
311 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/18(木) 16:01:07.94 ID:ZN0p5zKSO
上条「何と言われても上条さんは動じません!!」

伏羲「(モモが食いたい……)」

上条「大体巫女さんがそういう真似を――」

巫女「私。巫女さんでは無い。」

「は?」

上条「えっと、巫女さんじゃないなら、お前一体どこのどなたのナニ子ちゃん?」





巫女「私。魔法使い」
312 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/18(木) 16:03:09.66 ID:ZN0p5zKSO
禁書「魔法使いって何!!」バンッ

禁書「カバラ!?エノク!?ヘルメス学とかメルクリウスのヴィジョンとか近代占星術とか!!『魔法使い』なんて曖昧な事言ってないで専門の学派と魔法名と結社名を名乗るんだよオバカぁ!!」

巫女「??」

伏羲「(……む?)」

上条「ちょ、ちょっとインデックス落ち着――」

禁書「この程度の言葉も分からず魔術師を名乗っちゃダメ!大体あなた卜部の巫女なんだからせめて陰陽道の東洋占星術ぐらいのホラ吹かなきゃダメなんだよ!!」

巫女「うん。じゃあそれ」

禁書「じゃあ!?あなた今じゃあって言った!?」バンバンバン

伏羲「まあ上条、禁書目録も魔術師なりの誇りがあるのだろう。まあヒートアップし過ぎであるが」
313 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/18(木) 16:05:09.18 ID:ZN0p5zKSO
上条「はあ、……そこの巫女さん改め魔法使いなのは良く分かったからちょっと黙」

禁書「なっ!?とうま、私の時とは明らかに態度が違うんだよ!?」

上条「もう『非現実』は知ってるしな。それに本人がそう言いたいんだからそれでいーじゃねーか。別に実害ある訳じゃねーし、そっとしとけよ」

禁書「うぐぐ……もう!!」プンプン フイッ

上条「い、痛い痛い!足踏むなって!!」ドカドカ

禁書「あ」

伏羲「……」

上条「え?……人?――――ッ?(10人近く……も……?)」

伏羲「(周囲の客も大人数がひとつのテーブルを取り囲んでいる事に全く気付いておらぬ。気が散っていたとはいえ違和感に気がつくのを遅らせるとは……)」

巫女「あと100円」

黒服「」スッ

上条「え、あ、何だよ?この人達って知り合いなのか?」

巫女「…………ん。塾の先生」スタスタ

黒服「」ゾロゾロ


伏羲「…………けど、何故塾の教師が生徒の面倒を見るのじゃろうか?小学生の生徒指導でもあるまいし」 
 
 
331 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 01:19:10.97 ID:kLKlRNXSO
夕暮れ



上条「あー遊び倒したぁ……」

禁書「アイス美味しかったんだよ!食べ足りないけど」

伏羲「アンマンもいいがアイスもいいのう」

禁書「あっ」

伏羲「おお、」

捨て猫「」ニャ-ン

禁書「とうま、たいこーぼー、ネ――」

上条「ダメ」

禁書「……とうま、私はまだ何も言ってないんだよ?」ムスッ

伏羲「禁書目録、生き物を飼うというのはそれ相応の覚悟がだな……」

禁書「うっ……やだ!!飼うー!!飼うったら飼うー!!」

上条「だぁーもう駄目です!!太公望の言う通り生き物を飼うということは重大な責任と義務とお金が伴うんです!!!」

禁書「あぁっ!!とうまの大声にびっくりしてネコが逃げたんだよ……」シュン

上条「ううっ……もう諦めろ、な?」

禁書「――とうま、たいこーぼー」
332 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 01:20:24.70 ID:kLKlRNXSO
伏羲「む、どうした?路地裏から猫が帰ってでも来たか?」

禁書「何だろう……属性は土、色彩は緑。この式は……地を媒介に魔力を通し、意識の介入によって――――ルーン?ちょっと見てくる!!二人は先帰ってて!!」ダッ

伏羲「おい、待て!!」ダッ

上条「えっちょっ……」




ステイル「久しぶりだね、上条当麻」
333 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 01:22:21.33 ID:kLKlRNXSO
上条「ステイル!?久しぶりなとこ悪いけど、インデックスが――」

ステイル「ああ、あの子なら気にするな。そこらに『人払い』のルーンを刻んだからね、魔力の流れを見付けて調べに行っただけだろう」

上条「ああ……ってかお前!!来るなら連絡しろよ!!」

ステイル「はあ?何で僕が君と連絡をとり合う仲にならなければいけないんだい?」イライラ

上条「お前、インデックスと遊びに行くときに全部奢らせるって約束しただろ!!さっきまで遊んでたんだぞ!!」プンスカ

ステイル「……僕たちに、そんな資格があるとでも?」

伏羲「ほう、資格などカッコつけて、実際は財布が寂しいだけでは無いのか?」ヒョコッ

上条「おわっ!!?いつの間に戻ってきたんだよ、たいkえぐぅっ!!?」ミゾオチニエルボ-ッ

伏羲「ついさっきじゃよ」マッタク……

上条「インデックスは?」イテテ……

伏羲「途中から猫を探しはじめたから自由にさせたわ」

上条「」
334 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 01:24:15.51 ID:kLKlRNXSO
ステイル「うん?エバラか。ん、んん?何か忘れてるような……」

伏羲「なーに、どうせたいしたことではあるまい。それよりおぬしらはどう足掻いても財布確定じゃ。日頃おぬしらが来るのを心待ちにしてアイスを我慢してる禁書目録の目を見て断れるなら別だがのう」ニョホホ

ステイル「クッ……わかったよ。いつか神裂も呼ぶ。これでいいだろう?全く……本題に入らせてもらう前に」チラ

伏羲「ん?」

ステイル「君には退出願うよ」ゴバァッッ

上条「ちょっ……!!」ソゲブ!!

伏羲「おお、助かったぞ上条!」

上条「エバラに何すんだテメェ!!」

ステイル「相変わらず忌ま忌ましい右手だね……なに、彼の存在が今ここでは邪魔だっただけさ」

上条「だからって……!!」

伏羲「よい、上条。では、わしは去るとしよう」ヴヴン
335 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 01:26:20.82 ID:kLKlRNXSO
ステイル「ふん。――『行け』」シュッ

上条「封筒が飛んでくるとかこれぞテンプレ魔法」

ステイル「魔法じゃなく魔術だ。『受け取るんだ』」ビリッ

上条「(勝手に封が空いて中から書類が出て来る……ハ○ー・ポッターみたいだな……流石イギリス)」

ステイル「『三沢塾』って進学予備校の名前は知ってるかな?一応、この国ではシェア一位を誇る進学予備校らしいけどね?」

上条「へえ、受験とか今はあんま興味ねーしな。で、その『みさわじゅく』に何の用があるってんだ?お友達を紹介すると授業料でもまけてもらえんのか?」





ステイル「ああ、それね。そこ、女の子が監禁されてるから。どうにか助け出すのが僕の役目なんだ。」
336 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 01:28:07.52 ID:kLKlRNXSO
上条「!!?」ギョツ

ステイル「ふん。資料を見てもらえばわかるとは思うけどね。見取り図と実寸の食い違い、電気料金表。出入りする人間のチェックリスト。そして、最後の目撃情報。今の『三沢塾』は科学崇拝を軸にした新興宗教と化しているんだそうだ」

上条「科学崇拝……?って、あれか?神様の正体はUFOに乗ってやってきた宇宙人とか、聖人のDNAを使ってクローンを作ろうとかっていう……?」

ステイル「教えについては不明だけどね。それに正直、『三沢塾』がどうなっていようが知った事じゃないんだ。現在はもう潰れている事だしね」

上条「?」

ステイル「端的に言って、『三沢塾』は乗っ取られたのさ。科学かぶれのインチキ宗教が、正真正銘、本物の魔術師――いや、チューリッヒ学派の錬金術師にね」

上条「本物……?(話についていけない……)」

ステイル「ああ、胡散臭い響きだとは『魔術師(ボク)』でも思う……って、ちょっと待て」
337 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 01:30:07.22 ID:kLKlRNXSO
上条「何だよ?」

ステイル「……少し、物分かりが良すぎないか?君、僕が何を言ってるかわかってるかい?」

上条「なっ……馬鹿にすんなよ!!あ、あれだろ!?チューリップを……こう、金に変えて貴族を……」

ステイル「……………………本題に入るけど、重要なのはその錬金術師が『三沢塾』を乗っとった理由さ」

上条「(今ものすごく可哀相なものを見る目で見られた)」

ステイル「ま、一つは簡単だ、元々ある『三沢塾』って『要塞(システム)』をそのまま再利用したいと思ったんだろうね。『生徒(シンジャ)』のほとんどは『校長(キョウソ)』の首がすげ替わってることにも気付いていないはずだよ。けどね、」




ステイル「錬金術師のそもそもの目的は、『三沢塾』に捕らえられていた『吸血殺し』なんだ」
338 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 01:32:42.56 ID:kLKlRNXSO
上条「『吸血殺し』?」

ステイル「そう。元々、『三沢塾』では巫女としての役割を持たせるために監禁してたらしいけど」

上条「……」

ステイル「かねてから『吸血殺し』を狙っていた錬金術師なんだけど、『三沢塾』に一歩先を越されてね。ヤツの、秘密裏に『吸血殺し』を奪って学園都市から逃げる計画が台なしさ」

上条「つまり、『三沢塾』から強引に手柄を奪い返したって訳なの……か?」

ステイル「そうだね、錬金術師、いや、全ての魔術師。あるいは人類全ての悲願かもしれないからね」

上条「??」

ステイル「あれは『ある生き物』を殺す能力であり、実在するかも分からない『ある生き物』を生け捕りにできるかもしれない唯一のチャンスでもある」

ステイル「ある生き物っていうのはね、僕達の間じゃカインの末裔なんて隠語が使われているけれど」





ステイル「簡単に言えば、吸血鬼の事だよ」
339 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 01:34:08.05 ID:kLKlRNXSO
上条「お前、それ本気で言ってんのか?」

ステイル「……冗談で言ってられる内は、幸せだったんだけどね」ギリッ

上条「……」

ステイル「ふん。吸血鬼を殺す為の『吸血殺し』が存在する以上、『殺されるべき吸血鬼』がいなければ話にならない。悪循環だけど、こればっかりは絶対だ」

上条「……って、何だよそれ?そんな絵本みてーな吸血鬼が、まさかホントにいるってのか?」

ステイル「それを見た者はいない――――それを見た者は死ぬからだ」
340 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 01:36:05.25 ID:kLKlRNXSO
上条「……」

ステイル「もちろん僕だって鵜呑みにしている訳じゃないけどね。誰も見た事はない、なのに吸血殺しの存在がそれを証明してしまった。相手がどれだけ強いのか、どれだけの数か、どこにいるかも分からない。分からないづくしだ。そんなモノには手が出せない」

上条「(よくわかんねーが……世界中に散らばった見えないテロリストを相手にするようなモンか)」
ステイル「けど、分からないモノには同時に未知の可能性があるのさ。上条当麻、君は『セフィロトの樹』という言葉には……覚えがあるはずないね」

上条「……んな事言われたって傷はつかねーけどな」

ステイル「結構。『セフィロトの樹』っていうのは神様、天使、人間などの『魂の位』を記した身分階級表さ。簡単に言えば、人間は修行すればここまで昇れる、けれどここから先に人間は踏み込んじゃいけないよ、という感じだね」

上条「……で、人けなしておいて何が言いてーんだよ?」

ステイル「傷付いてるかい?僕が言いたいのはね、人間には『どれだけ努力しても辿り着けない高みがある』という事さ。それでも↑に昇りたいのが人間だ。たどり着きたいと思うからこそ魔術師だ。なら、どうすれば良いか」





ステイル「簡単さ、人間以外の力を借りればいいだけだ」
341 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 01:43:08.22 ID:kLKlRNXSO
上条「――」

ステイル「吸血鬼ってのは不死身だからね。えぐり出した心臓を魔剣に組み込んだって『生き続ける』。差し詰め生きる魔道具って感じかな?事の真偽は関係無い。そこにわずかな可能性があるならば、それを試すのが学者という生き物だ」

上条「(つまり、吸血鬼がいようがいまいが、それを信じて事件を起こした人間がいて、誰かが解決しなきゃならないってことか)」

上条「それじゃ、結局吸血鬼なんてのは『いるかどうか分からない』ままなのか?」

ステイル「元々『あるかどうか分からないモノ(オカルト)』を扱うのが僕達の仕事だからね。『三沢塾』も錬金術師も本気みたいだよ?本気で吸血鬼と交渉しようとしてる。そのために切り札が必要だから『吸血殺し』なんてものが入り用なのさ」

上条「……」

ステイル「それと、吸血殺しの過去を知ってるかい?あの子は元々京都の山村に住んでたらしいけど、村はある日全滅したそうだ。最後に通報した村の人間はよ ほど錯乱していたらしく、化け物に殺されると言ったらしいけどね。それで駆け付けた人間が見たものは無人の村て、立ち尽くす一人の少女と――――村を覆い 尽くすように、吹雪のごとく吹きすさぶ白い灰だけだった、って話さ」
342 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 01:44:06.95 ID:kLKlRNXSO
上条「(吸血鬼は死ぬと灰になる――まさかそんな、ゲームや漫画みたいな)」

ステイル「確かに吸血鬼なんて『いるかどうかも分からないモノ』なんだけどさ。良く考えてご覧よ。『吸血殺し』とは『吸血鬼を殺す力』だ。ならば、まずは 『吸血殺し』は吸血鬼と出会わなければならない。是が非でも吸血鬼に遭遇したいと願う者なら、まずは『吸血殺し』を押さえておく事に越した事はないんじゃ ないかな。……もっとも、『吸血鬼を殺すほどの絶大な力』の持ち主をどう御するかは大きな問題だとは思うけどね」

上条「(最早異世界――長く聞いてると、常識が歪んじまいそうだ)で、さっきから散々『内緒話』やってっけど、お前結局は何が言いたいんだよ?」

ステイル「ああ、そうだね。お互い時間は無い、さっさと済まそう。とまぁ、端的に言って、僕はこれから『三沢塾』に特攻をかけて『吸血殺し』を連れ出さないとまずい状況にある」

上条「」ウン




ステイル「簡単に頷かないで欲しいね。君だって一緒に来るんだから」

伏羲「話は聞かせてもらったぞ!!!!!!!!」バ-ン!!!

上条「えっ、ステイル今何て、えっ、た、エバラ!!?」

ステイル「」

上条「一体どういう……というかステイル!!目を覚ませ!!戻ってこいー!!」 
 
 
 
 
350 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 23:11:09.23 ID:kLKlRNXSO
禁書「ねえたいこーぼー」

伏羲「む、何じゃ?」

禁書「『太公望』で『伏羲』ってどういうこと?同一人物だなんて『原典』には載ってないんだよ」

伏羲「恐らくその『原典』が適当なのであろう」ウン

禁書「ええっ!?」ガビ-ン

伏羲「というか『伏羲』の名が後世にまで残ってるこっちが驚きじゃ」

禁書「ということは、『ジョカ』は?」

伏羲「ああ、いるぞ。お転婆がすぎるわしの妹じゃ。妻ではない」

禁書「」

伏羲「なに、地球に残ってる仙道の類はわしだけだから安心せい」

禁書「え、じゃ、じゃあたいこーぼーは術を使えるの!!?」

伏羲「術は大分昔に廃れてのう。殷~周のあたりでは一晩水を酒に変えるぐらいしか残ってなかったわ。術なんぞ使わなくとも宝貝で何でも出来たからな。因みにレベルの高い仙人なら空を飛べる」
351 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 23:12:12.29 ID:kLKlRNXSO
禁書「宝貝って凄いんだよ……たいこーぼーも飛べるの?」

伏羲「まあの。気配はしないし衛星や監視カメラの類には写らぬとは言え、肉眼では確認されてしまうから移動手段にはあまり使わぬが、ほれ」フヨフヨ

禁書「魔力も何も感じないのに、凄いんだよ!わたしも!わたしも!!」ダッコダッコ

伏羲「ほい」ヒョイ

禁書「天井まで浮いてみるんだよ!」ハヤクハヤク

伏羲「はしゃぎすぎじゃ……どれ」フヨヨ~

上条「どうしたんだー?」ガチャ

禁書「これが!仙人の道術!!」キャッキャッ

伏羲「道術というほどでも無いのだがのう……お、上条、おぬしもこい」コワキニカカエ

上条「うわっ!?」ジタバタ

伏羲「右手で触れられたらうっかり上条だけ落としてしまうかもしれぬー」ボウヨミ

上条「は、はい……」ピタッ
352 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 23:14:05.45 ID:kLKlRNXSO
禁書「このままさっきの続きをするんだよ!いい?」

伏羲「構わぬよ」

上条「え、俺脇に抱えられたまま?」

禁書「『封神演義』では、『太公望』より『姜子芽』って呼ばれてたし、『姜子芽』が本名じゃないの?」

伏羲「いや、違うよ。それに『姜子芽』と呼ばれたことは無い。皆わしのことは『太公望』と呼んでおったよ」

禁書「『太公望』は周の太公が望んでいたから『太公望』って名前を貰ったって、本当?」

伏羲「太公など知らぬ。太公望の名は崑崙山の原始天尊さまがくださった名じゃ」

禁書「げげげ原始天尊!?あの!?」

伏羲「因みに『伏羲』の魂を割って『太公望』と『王天君』にした張本人じゃ」

禁書「」

上条「(さっぱり分からん……)」
353 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 23:16:07.98 ID:kLKlRNXSO
禁書「え、じゃあ、話を一番始めに戻すけど、『太公望』と『伏羲』は同一人物なの?」

伏羲「大体そうじゃ」

禁書「事実と原典がこんなにも違うなんて……」

伏羲「まあ、実際のわしらを知らぬ奴が書いたものだしのう。他の面子も神聖さのかけらも無い濃い奴らじゃ」

禁書「」ヘェ-

上条「……というか、結構な時間俺らを抱えてっけど、大丈夫なのか?」

伏羲「仙人は身体能力も一般人より少し上なのだよ。とはいえ聖人とまではいかぬがのう……どれ、そろそろ降りるか」ヨット

上条「久しぶりの床だー」

禁書「うーん、ちょっと頭の中の真実が信じられなくなってきたかも」

伏羲「なに、真実が正しく伝わるほうが少ないのじゃよ。というかわしらが特例すぎてだな……」
354 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/20(土) 23:18:30.21 ID:kLKlRNXSO
禁書「?どういうこと?」

伏羲「わしらは『仙人として記録された』書物や巻物を『全て』地球上から消したからのう。憶測で書いたものが完全に正しい訳あるまい」

禁書「なるほど」ヘェ-

上条「おーい、難しい話は後にしてそろそろ飯にするぞー!」

禁書「ご飯なんだよ!」ダッ

伏羲「桃は!?」

上条「しばらく無し!」

伏羲「」

ワ、ワシノイノチガ…… オオゲサナンダヨ- ホラホラ、ミンナテヲアワセテ……

「「「いただきます!」」」

おわり



367 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/25(木) 00:00:24.55 ID:dNJbj33SO
上条「ていうか、どういうことだよ!?さっき『空間移動』したんじゃ……」

伏羲「おぬしの背後に手の平サイズのこれを残して盗み聞きしてました」ヴン

上条「流石『空間使い』……」

ステイル「……ハッ!いやいや!!何の為に君を……!!」

伏羲「んー?内緒話であろう?まあわしが全部聞いたから内緒もクソも無いがな」ニヤニヤ

ステイル「」

伏羲「さて上条、どうせおぬしは強制参加であろうし、わしも同行させてもらうぞ」

上条「なっ……ちょ、ちょっと待てって!俺は……」

ステイル「ああ、もちろん拒否権は無いよ。従わなければ禁書目録を回収する方向になるから」

上条「!」

伏羲「……」
368 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/25(木) 00:02:19.41 ID:dNJbj33SO
ステイル「君の役割は『首輪』の外れた禁書目録の裏切り防止の『足枷』だ。君が教会の意に従わないなら効果は期待できないし、僕も気兼ね無くあの子を回収できるよ」

上条「……テメェ、本気で言ってやがんのか、それ?」

ステイル「……ふん。殺し合いなら『三沢塾』に潜む錬金術師を仕留めてからにしよう。それと、『吸血殺し』の本名は『姫神秋沙(ヒメガミアイサ)』だ。写真を確かめるといい」スッ



上条「――――え……?」




上条「(昼間の――――巫女さん?)」
369 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/25(木) 00:03:12.06 ID:dNJbj33SO
上条「(ど、うし、て――――)」

巫女『帰りの電車賃。400円』

上条「(――――まさか)」

巫女『全財産。300円』

上条「(――まさか)」

巫女『やけぐい』

上条「う、あ……ッ」

伏羲「待て、落ち着け上条。取り乱すでない」

上条「でも俺、あいつの『希望』を……っ!『最後の希望』を踏みにじって……っ!!」

伏羲「冷静に考えろダアホ。恐らくあやつが欲した100円は逃走資金ではなく『三沢塾』までの電車賃だ」
370 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/25(木) 00:04:11.56 ID:dNJbj33SO
上条「へっ?」

伏羲「あのあと『先生』とやらに100円を貰っておっただろう?追っ手から逃走資金を調達できる訳あるまい」

上条「いや、でも、やけぐいって……」

伏羲「どうしても逃げたかったらもっと必死に食いついてきたであろう。それほど100円を欲していたようには見えなかったがな」

上条「でも、そんなの変じゃ……」

ステイル「何だ、君たちは『吸血殺し』に面識があるのかい?」

伏羲「今日の昼ごろファーストフード店で食い倒れておったぞ」

ステイル「」
371 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/25(木) 00:05:11.19 ID:dNJbj33SO
上条「なあ、やっぱり変じゃねえか?まるで姫神が自分から進んで監禁されてるみてーじゃねえか」

伏羲「もしかしたら錬金術師とやらと協力関係にあるのやもしれぬぞ?」

ステイル「それはまたどういうことだい?」

伏羲「今姫神に会ったのだが、無理矢理監禁されておるようには見えんかった。錬金術師の配下と思しきやつらに囲まれたときも恐怖の類はなかったように見えたし、食い倒れるぐらいだしのう」

上条「でも、やけぐいってのは?」

伏羲「現時点では詳しいことは分からぬが、そうだのう、姫神は何か錬金術師と交換条件を出して協力しているが、その条件がまだ果たされて無いか、果たされそうに無いか」
372 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/25(木) 00:06:03.43 ID:dNJbj33SO
上条「条件付き……ってそうだよな。もし二人が協力関係にあるならそうだよな」

ステイル「『もし』そうならね。実際のところどうか分からないけど、どれほどの力を持っているか分からない『吸血殺し』を敵に回すのは避けたい事態だ」

伏羲「姫神に会ったら詳しい事情を聞き出して、うまくこちらに引き込めればのう」

上条「確かに、今日会ったばっかのやつとは戦いたくねーよな」

ステイル「そんなことできるのかい?」

伏羲「手持ちのカードが少なすぎるが、まあやってみるよ」
373 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/25(木) 00:07:04.91 ID:dNJbj33SO
ステイル去った後


伏羲「『三沢塾』に行くとしての最大の問題は」

上条「どうインデックスに言い訳するかだよなあ……」

伏羲「いくら『歩く教会』があるとはいえわざわざ巻き込む理由も無いし、これ以上人数が増えるとステイルの胃に穴が空きそうだ」

上条「だよなあ……」

伏羲「まあ禁書目録は機械類に極度に弱いから出かける際に適当に専門用語を羅列すれば思考放棄するに違いない」

上条「いやいやいくらなんでもそれは……ありえるな」

伏羲「駅の券売機の『いらっしゃいませ』に頭を下げるほどだしのう」

上条「機械オンチのシスターさんと現代機器を巧みに操る仙人って何だろうこの取り合わせ……」
374 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/25(木) 00:08:10.17 ID:dNJbj33SO
伏羲「仙人とて山に篭りきりでは無いわ」

上条「格ゲーしてる姿が似合ってるのがなんとも……」

伏羲「その時代を謳歌してこそよ。話を戻すが、、禁書目録を適当な言葉の羅列で攻めた後、おぬしは許可を出すのだ」

上条「許可?」

伏羲「うむ、猫を飼う許可だ」

上条「」
375 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/25(木) 00:09:08.97 ID:dNJbj33SO
上条「ちょ、猫を飼う許可ってどういうことだよ!?」

伏羲「大分時間が経ったのにも関わらず禁書目録は帰って来ないだろう?確実にルーンなどではなく猫を探しに行っておるわ」

上条「でもなあ……」

伏羲「なあに、最近禁書目録も頑張って稼いでおるであろう?もし部屋の都合が悪ければわしの亜空間をひとつ貸してやってもよい」

上条「マジで!?」

伏羲「マジだ。それに猫を飼う許可を出せばそれに気を取られ、上条のことなど気にならなくなるであろう」

上条「それはそれで……というか、太公望は?」

伏羲「わしは上条と少し時間を空けて行く。二人揃って出かければ、いくら猫がいるとはいえ禁書目録は置いてゆかれるのをよしとせぬじゃろう」

上条「それもそうだな……おっ、来た来た」
376 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/25(木) 00:10:40.53 ID:dNJbj33SO
禁書「おまたせー」テテテ

伏羲「遅かったではないか」

禁書「ごめんなさいなんだよ」

上条「よし、じゃあみんな帰るか」

禁書「うん!」

伏羲「そういえば禁書目録、野良猫というのは大抵不潔で、ばい菌やノミがついておる」

禁書「そ、それが何なのかな?」ギクッ

伏羲「おぬしの『歩く教会』の中、今頃どうなっておるであろうな?」ヒソッ

禁書「」 
 
377 : ◆nJ0d13hWy/I7[sage]:2011/08/25(木) 00:14:29.77 ID:dNJbj33SO
これで、今回の投下は終了です。
時間が無いため駆け足の投下となってしまいましたが、これからもこのぐらいのペースで投下させていただきます。

次はいよいよ『三沢塾』へ向かいます。アウレオルスは伏羲と非常に相性が悪いですね。合掌。

では、書き溜めができ次第来ます。

何かあればどうぞ 
 
 
386 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/25(木) 19:40:40.21 ID:dNJbj33SO
禁書「ねえ、たいこーぼー」

伏羲「む、何じゃ?」

禁書「あのね、怒らないで聞いてほしいんだけど……」

伏羲「うむ、言ってみるがよい」

禁書「『ふっき』じゃなくて『たいこーぼー』のときって、もしかして……とうまより小さい?」

伏羲「」

禁書「ふっきのときはとうまと同じがちょっと大きいくらいかな?って思ってたんだけど、おーてんくんと離れると……」

伏羲「いや無い!そのような事はあってはならぬ!ええい爆笑するでない王天君!!おぬしだってわしとそう変わらぬくせにーっ!!」

上条「何だ何だ、どうしたんだ?」

禁書「あっ、ちょうどいいところに来たんだよ!とうま!こっちこっち!たいこーぼーの横に並んで!!」グイグイ
387 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/25(木) 19:41:36.21 ID:dNJbj33SO
上条「おわっと、何だ?」

禁書「まっすぐ立って!たいこーぼーは背伸びしちゃダメだからね!……やっぱりとうまと同じぐらいかな?もしかしてちょっと小さい?まさか……」ウ-ン

上条「??あっ、もしかして身長のことか!?」ピコ-ン

伏羲「みなまで言うでないわーっ!!」

禁書「うーん、次はおーてんくん抜きで背くらべしてみたいけど、とうまは亜空間に入れないよね……」

伏羲「という訳でこの話はここでおしまい!」ヴン
太公望「全く、くだらぬことに時間を割きおっ……て……?」アレ?

王天君「折角だしいいじゃねぇか」クツクツ

太公望「」
388 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/25(木) 19:43:16.73 ID:dNJbj33SO
禁書「いつもと違ってちょうどたいこーぼーの背の高さと同じ高さで亜空間が切れてるからわかりやすいんだよ!!」

太公望「裏切り者ー!!というか狭っ!この亜空間狭っ!!奥行き皆無ではないか!!」

王天君「奥行き作ったら引っ込むだろ?つー訳でいい加減現実を見ろ」ニヤニヤ

上条「あ、本当だ。俺より背低い」←168cm

太公望「」←168cm以下

禁書「やっぱり!!」


王天君「最ッ高じゃねぇか」ゲラゲラ

太公望「ええーい!!12歳で仙人界入りしたのだ!!しょうがないであろう!!」ムキ-!!

禁書「ご、ごめんね。でもたぶんわたしよりは大きいんだよ」アセアセ

太公望「全然慰めになっとらんわ……」サメザメ

禁書「はわわ、今更だけど本当に申し訳ないことしちゃったんだよ……!」アワワワワ
389 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/25(木) 19:44:23.89 ID:dNJbj33SO
上条「お、おい、大丈夫か?俺もちょっと無神経だったよ……」

太公望「よい……よいのだ……どうせわしは背も小さく童顔で……昔は仙人ということで対して気にされなかったのだが……うう……」サメザメ

王天君「(……ん?アイツ……)」

禁書「ご、ごめんね!私のおやつをあげるから泣かないでほしいんだよ!!」つクッキ-

太公望「ううう……」サメザメ ムシャムシャ

王天君「(間違いねぇ……)」

上条「今度!今度桃を買ってやるから!な!?」

太公望「桃だけではわしの傷ついた心は癒えぬ……」サメザメ

上条「よし!丼村屋のアンマンも買ってやるから!!」

太公望「それなら……」ピタッ

王天君「(泣いたフリしてたかってやがる……!流石俺の半身、転んでもタダじゃ起きねぇな)」
390 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/25(木) 19:45:19.16 ID:dNJbj33SO
禁書「一時はどうなるかと思ったんだよ……本当ごめんね?」

上条「俺もごめんな」

太公望「もうよい、気にしておらぬよ」ケロッ

上条「いや、本当無神経で……あっ」バキン

太公望「」ドサッ

禁書「あっ」

王天君「は?」

太公望「ってどわーっ!?王天君!!」

王天君「チッ」ヴン

禁書「と~~ま~~?」

上条「悪い!!本っ当に悪い!!うっかり亜空間に触っちまった!!他意は無いんです!!本当ごめん!!」

禁書「心臓が止まるかと思ったんだよー!!」ガブッ

上条「ギャー!!」

太公望「口から心臓が飛び出るかと思ったわ……」バクバク

王天君「日頃の行いが来たんだろうな」

太公望「全く……融合するか。コソコソするのも疲れるしのう」

王天君「そうだな」ズムズム

太公望「」ウヒャヒャ-クスグッタイノ-

禁書「そういえば一瞬出ちゃったけど大丈夫なのかな?」

上条「」チ-ン

伏羲「うーむ、一瞬であったし大丈夫だと信じたいが……」
391 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/25(木) 19:47:19.05 ID:dNJbj33SO
窓の無いビル


アレイスター「……ん?今『空中回線』の映像にブレが……」パッ

アレイスター「何だ、『幻想殺し』の部屋か」

アレイスター「全く、プランの一部であるとはいえ目に余る行動は控えてほしいものだな」

アレイスター「…………」

アレイスター「何か見落としてる気がするが……」

アレイスター「気のせいだろうな。うむ、不思議とそんな気しかしない」

アレイスター「全く、今度調整するか」



~そんなこんなで大丈夫なのでした~ 
 
 
398 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 02:12:52.23 ID:RF8kzxlSO
上条宅

禁書「とうま?」

上条「…………」

禁書「……とうま?」

伏羲「(今だ!)」

上条「ちょっとこれからチョーハイテクプライマリーカルチャー施設行ってくる。え、ついてくる?やめとけやめとけお前機械オンチだから超磁力式大脳皮質検 出器の使い方とかわかんねーだろそんなんじゃドアのオートロックに閉じ込められるぞセキュリティレベル4だし塩基調べてエクソン未登録だったらお前ビリビ リするぞビリビリマイナスイオンビームーッ!!」

禁書「ギャーッ!」

伏羲「(よし、まずは成功だのう)」

上条「んじゃ夕飯は冷蔵庫の中にあるから、太公望とレンジでチンして食えよ。あ、今後の為に自分の分は自分ですること」

禁書「うう、頑張るんだよ……ところでたいこーぼー」

伏羲「む、何じゃ?」

禁書「さっきのとうまが言ってたことって……」

伏羲「おお、おぬしが行くべきところでは無いぞ。何せおぬしはエクソン未登録な可能性は否定できぬ上学園都市のカリキュラムIDも持ち合わせておらぬしそ れではオートロックにブロックされた後ファイアウォールでセキュリティセコムがハウスガードイコールニートでビリビリマイナスイオンビームーッ!!」

禁書「」
399 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 02:13:40.04 ID:RF8kzxlSO
上条「(科学側の人間としてはすげえシュールだ)」

禁書「うう……とうまもたいこーぼーもいじわr「ニャ-」……」

上条「……」

伏羲「……」

禁書「……にゃ、にゃー」

上条「さて、インデックスさん。選択の時です。1.素直に白状する。2.俺の右手で『歩く教会』をそげぶする。さあどっちだ?」

禁書「う、うう~……こ、この猫は、スフィンクスは『教会』が保護するんだもん!!」

上条「駄目です!!ペットが増えるっつーことは人ひとり増えるのと同義なんです!!つまりお金がかかる!!」

禁書「今まで以上に頑張るもん!!」

伏羲「もう一声!」

禁書「スフィンクスの世話はぜんぶわたしがするよ!!」

上条「言ったな?言ったな!?言質とったぞ!!」
400 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 02:14:16.81 ID:RF8kzxlSO
禁書「言ったもん!!言ったもん!!うそじゃないもん!!」

上条「よし!飼ってよし!!」

禁書「………………ほんと?」

上条「本当!その変わり餌やりトイレのしつけフロ全部お前がやるんだからな!?」

禁書「やったー!!やるやる!!やるんだよー!!」

上条「じゃあ明日色々揃えに行くからな。買うもの考えておけよ?んじゃ行ってくる」ガチャッ

禁書「いってらっしゃいなんだよー!!」

伏羲「じゃあのー」

禁書「えへへ、スフィンクスよろしくね!」

スフィンクス「ニャ-」テコテコ

伏羲「む?」

スフィンクス「ニャア」ゴロリ

禁書「むむむ、たいこーぼーばっかりずるい……どうして早速懐いてるのー!?」

伏羲「うーむ……わしの同胞が、土にも、水にも、風にも、生き物にもいるからかのう……」ナデ

禁書「?」

スフィンクス「ニャ-」ゴロゴロ
401 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 02:15:04.00 ID:RF8kzxlSO

・・・・・・・・・・・・・・・・



上条「何やってんだアンタ?」

ステイル「見ての通り、ルーンで結界を張り神殿を築いている。僕達が『三沢塾』にかまかけてる間に他の魔術結社が来ないとも限らないし、逃げに丁度いい『空間移動』は事もあろうに僕達と同行するからね」ペタペタ

上条「へー。あ、アイツは時間を空けてくるって」

ステイル「いっそ来ないほうがいいんだけど……まあ良い。この一枚を貼れば『魔女狩りの王』は準備完了だ。僕達も『三沢塾』へ向かおう。まったく、魔術師を退けるための結界だというのに、強力すぎると気付かれてしまうから世話が焼ける」フッ

上条「(言う割には嬉しそうなこって……ん?)お前、インデックスが好きなの?」

ステイル「ぶっ!?」

上条「(あ、顔真っ赤)」

ステイル「なな何をいきなり言い出すんだ君は!ああれは保護すべき対象であり、けっ決して恋愛対象には――ッ!」

上条「へーえ、ふーん、ほーお」ニヤニヤ

ステイル「くっ、君もエバラに少し似てきたね……ほ、ほら!ここで騒ぐのも時間の無駄だ、どうせあいつはすぐに瞬間移動して追い付くんだろう!?笑ってる暇があったら足を動かしたらどうだ上条当麻!!」グイグイ
402 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 02:16:06.34 ID:RF8kzxlSO
禁書「でんしれんじーって、中に物を入れればいいんだよね?」

伏羲「うむ」

禁書「ううっ……えっと、次はぼたんを……これでいいのかな?」

伏羲「大丈夫じゃ」

禁書「え、えい!」ピッ

レンジ<ヴ-……

禁書「こ、これでいいのかな?」

伏羲「うむ。何だ、おぬしにも出来るではないか。今度はわし抜きでこれを温めてみよ」スッ

禁書「さりげなく自分の分をサボろうとしても無駄なんだよ」

伏羲「くっ……む?よく見れば、わしのぶんにまでなまぐさが入っておるではないか!」

禁書「あっ、本当なんだよ!」

伏羲 「っつー訳で、ちょっくら買ってくる。わしの分はおぬしが食ってかまわんよ。うー、着替えんとのう……」ヨボヨボ

禁書「やったー!」

伏羲「うむ、では行ってくる。ついでに切らしたモモも買ってくるから帰りは遅くなるやもしれぬが、スフィンクスと留守番を頼んだぞ」デンキヒツジ-ン

禁書「了解なんだよ!たいこーぼーがいなくてもれんじを使えるって事を証明してみせるんだから!」

伏羲「じゃ、行ってくる」ヴン

禁書「いってらっしゃーい」

スフィンクス「ニャ-」
403 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 02:16:59.69 ID:RF8kzxlSO
ヴンッ

ステイル「ん?」

上条「おっ、きたきた」

伏羲「さっきぶりだのう、上条、ステイル」ズルリ

ステイル「その不気味な登場はどうにかならないのかい?」

伏羲「こればっかりはのう……で、早速だが歩きながら敵の情報を整理したい」

ステイル「ああ、敵の名前はね、アウレオルス=イザード」

上条「?」ポカ-ン

伏羲「アウレオルスとは?」

ステイル「……そうか、君達は魔術側に疎いんだね。だがいくら何でもパラケルススという言葉ぐらいは聞き覚えがあるだろう?」

伏羲「スイスの医者で自称錬金術師、ぐらいかのう?最も最後には流されたとか」

上条「??」サッパリ-

ステイル「自称じゃなくて彼は本物の錬金術師だ!知名度なら世界で1、2を争うほどね!」イライラ
404 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 02:17:59.49 ID:RF8kzxlSO
上条「へー。って事は何か、そいつってメチャクチャ強いのか?」

ステイル「『アレ』自体は大したこと無いが、『吸血殺し』を抑える何か、もしくは『ある生き物』を手中に納めてる可能性があるからね」

伏羲「本人が大したこと無い、とは?」

ステイル「ああ、アウレオルスの名は一流だが、力は衰えてるし錬金術師なんて職業は無い」

上条「?つまり?」

ステイル「占星、錬金、召喚。これらは君達で言う国語、数学、歴史なのさ。国語の先生だって、他の教科も勉強するだろう?魔術師は一通りかじって、自分に 合うものを見つけるんだ。アウレオルスは錬金術師と呼ばれてるのはそれ以外能が無いからね。しかも、錬金術は未完成の学問だ」
405 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 02:19:05.89 ID:RF8kzxlSO
上条「へー。って事は何か、そいつってメチャクチャ強いのか?」

ステイル「『アレ』自体は大したこと無いが、『吸血殺し』を抑える何か、もしくは『ある生き物』を手中に納めてる可能性があるからね」

伏羲「本人が大したこと無い、とは?」

ステイル「ああ、アウレオルスの名は一流だが、力は衰えてるし錬金術師なんて職業は無い」

上条「?つまり?」

ステイル「占星、錬金、召喚。これらは君達で言う国語、数学、歴史なのさ。国語の先生だって、他の教科も勉強するだろう?魔術師は一通りかじって、自分に 合うものを見つけるんだ。アウレオルスは錬金術師と呼ばれてるのはそれ以外能が無いからね。しかも、錬金術は未完成の学問だ」
406 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 02:19:43.58 ID:RF8kzxlSO
上条「錬金術って、鉛を金に変えるやつじゃないのか?」

ステイル「それは実験に過ぎない。科学者は『作る』ことが目的じゃなくて定理だの法則を『知る』ことだろう?錬金術師の本質は『創る』ことではなく『知る』ことなのさ」

伏羲「なんとまあ、傲慢なものよ。副産物がもたらすものは計り知れぬというに」

ステイル「そうだね、だが錬金術師には究極的な目的が存在する――――世界の全てを頭の中でシミュレートすることさ。」

上条「?そんな事して何になるんだ?世界を脳内シミュレートして、天気予報みたいな未来を知るための精密機械が欲しいのか?」

ステイル「いいや違うね。」



ステイル「仮に自分の頭の中に思い描いたモノを、現実世界に引っ張り出せたらどうなると思う?」
407 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 02:20:27.53 ID:RF8kzxlSO
ステイル「魔術の世界では『頭の中の想像を現実に持ってくる』のはそう珍しくないんだ。だとすれば、『頭の中で世界を思い浮かべる』のは強大な意味を持つ。神や悪魔を含む『世界の全て』を己の手足にできるからね」

ステイル「もちろん、世界には数え切れないほど膨大な『法則』がある上、一つでも間違いがあればアウトだから、とても難しい」

伏羲「(わしや『蓬來島』は世界に含まれておるのかのう?もしそうなら、完成はまずありえぬが……)」

上条「けど、それって逆に言えば完成したら手の打ちようがねーじゃねーか。世界の全てが相手なんて、勝てっこねーぞ」

ステイル「だから、大丈夫だ。錬金術はまだ完成されて無いと言ったろう?」
408 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 02:21:18.15 ID:RF8kzxlSO
上条「は?」

ステイル「例えば、世界の全て……砂粒の一つ一つから夜空の星々の一つ一つに至るまで、その全てを語ってみろと言われたら――君なら何年かかると思う?100年や200年では済まないと僕は思うけどね」

上条「……」

ステイル「そういうことさ。呪文自体は完成しているけど、それを語り尽くすには人間の寿命は短すぎる。呪文から無駄な部分を削ろうにも、無駄なんて存在しないし、親から子へ、子から孫へと少しずつ詠唱させても伝言ゲームのように呪文が歪む」

ステイル「逆に言えば……『寿命を持たない生き物』ならば、不可能が可能になる。そういう意味でも『あの生き物』は脅威なのさ」

上条「(……っつーことは)」チラッ

伏羲「(わしならウン百年に渡る詠唱なぞ頼まれてもやらんぞ)」メンドクサイ

上条「(すげえ嫌そうな顔してる)」デスヨネ-
409 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 02:22:14.32 ID:RF8kzxlSO
ステイル「まあ、錬金術は確かに脅威だけど、今のアウレオルス=イザードに出来るのはせいぜいモノ作り……『三沢塾』を要塞化し、トラップを用意するのが関の山さ」

伏羲「何だ、おぬしアウレオルスとやらと知り合いなのか?」

ステイル「そりゃそうさ。イギリス清教とローマ正教。宗派は違うけどね。『必要悪の教会』が例外中の例外なら、奴は『隠秘記録官(カンセラリウス)』という特例中の特例だ。魔女に対する注意書きなどを記した魔道書を書く人間で、体育会系ではなく文系なのさ。」

伏羲「ふむ、しかし膨大な知識は時に力より大きな武器になるがのう。ま、頭の良さとはまた別の話だが」

上条「ふーん。ま、話してる間に見えたぞ、戦場だ」
410 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 02:23:31.13 ID:RF8kzxlSO
伏羲「しかしまあ、ヘンな形よのう。四角く配置された4つのビルが空中の渡り廊下で繋いであるとは」

ステイル「とりあえず最初の目的地は南棟の5階、食堂脇だね。このビルには隠し部屋が17あるから、虱潰しに探していくよ」

上条「ふぅん。見た感じじゃそんな怪しい忍者屋敷には見えねーけどな」

伏羲「(いや、あそこには妙な術がかけられておる。それそこわしが隠れる為に使っている『力』のような……まあ、まだ未完成だがの。あと空間にも妙なものを施しておる……自動ドアが『生徒』のみすり抜ける『陣』の入口か。しかし……)」チラ

ステイル「……怪しくは見えない、ね」

上条「あん?」

ステイル「何でもないさ。実際、怪しいところなんて見当たらない。専門家の僕がキチンと見てるのに、怪しいところなんて何にも見当たらないんだ」ギリッ

伏羲「(後からどうにでもなるし、ここは黙っておくべきか)」
411 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 02:24:19.54 ID:RF8kzxlSO
上条「……入っても大丈夫なのか?」

ステイル「大丈夫なはずがない。けど、入るしかないだろう?ビルごと炎に包んでもいいって言うなら大助かりだけどね」

伏羲「何だおぬし、無策なのか」

ステイル「仕方ないだろう?君が僕達を各隠し部屋まで超能力で連れていけばいくらかはマシかもしれないけど、そこの忌ま忌ましい右手に阻まれるからね」

上条「じゃあステルス迷彩的な『魔術』とかねーのかよ?」

ステルス「あるっちゃああるけど、いくら透明人間になろうと『ステルス=マグヌスが魔術を使った』魔力だけは誤魔化しようがない」
412 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 02:25:24.10 ID:RF8kzxlSO
上条「は?」

ステルス「君達は魔術に疎いからいちいち説明するけど、例を挙げれば赤色の絵の具一色の絵画があったとする。で、この赤色の絵の具はあのビルに充満するア ウレオルスの魔力だ。この赤一色の絵画に僕の青色の絵の具を塗り付けたら誰だって気付くし、君なんか絵の具をごっそり拭き取る魔法の消しゴムときた」

伏羲「(そしてわしは渇いた絵筆でなぞっているようなものよ)」ニョホホ

上条「なんだよ、つまり俺達は仲良く腰から発信機ぶらさげながらテロリストのお宅訪問すんのか!?」

ステルス「その為の君だろう?蜂の巣になりたくなかったら死ぬ気で右手を盾にしろ。ああ、『光の羽』をどこかへ追いやった君の『窓』も使えるかもね」

伏羲「わしら完全に盾かい」

上条「ふざ、思いっきり他人事じゃねーか!」

ステルス「聖ジョージの竜の一撃をも防ぐ右手一歩あれば充分だろう?『魔女狩りの王』は置いてきたし、自分の身は自分で守ることだね」

上条「本当に何も考えてねーな!!」

ステルス「じゃあどうする?君はお留守番でもするかい?」

上条「……ッ」

ステルス「……行くよ」



423 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 17:30:05.96 ID:RF8kzxlSO
自動ドア<ウィィィィィィン

上条「……普通だな」キョロキョロ

ステイル「ふむ……」

伏羲「……してやられたな」

ステイル「どういうことだい?」

伏羲「説明は後だ。とにかく人の少ない所に移動するぞ。くれぐれも、人に触れぬように」

上条「もしかして、何かあるのか?」

伏羲「ああ……と、ここらへんなら大丈夫か。ステイル、ちょっと啣えておるタバコを壁に押し付けてみてくれ」

ステイル「君が言うなら何かあるのだろうけど、…………これは」

上条「焦げ跡どころか、煤すら付いてない……!?」

ステイル「例えるなら『コインの裏と表』だね。このビルと生徒が『コインの表』で、僕達が『コインの裏』。『コインの裏』の人間は『コインの表』に干渉できないんだ。自動ドアも『コインの表』だから、自分達で開けることもできない」

上条「っつー事は何だよ、俺達閉じ込められたのかよ!?そうだ、俺の右手で……ッ」ゴチン

上条「」
424 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 17:31:00.71 ID:RF8kzxlSO
ステイル「何をやってるんだい?こういうのは大抵『コインの表』に核となる術式があるんだ。しかし、君の右手で穴すら空けられないとは……」

伏羲「フッフッフ……そこでわしの出番よ!!」

ステイル「確かに『空間移動』で『三沢塾』の外に出られるかもしれないけど、それまでだ。中に入ればまた『コインの裏』に逆戻りだろうね」フン

伏羲「ところがどうかのう?わしの『空間移動』は、座標軸上の点から点への移動ではなく、空間と空間に……と、理屈の前に実物を見たほうが早いか」ピッ

上条「指先に光の玉が……?」

伏羲「」ピ-ッ

ステイル「光が尾を引いて宙に円を……何をしているんだ?」

伏羲「じえいっ」ゲシッ バコッ

上条「空間が円形に切り取られた!?」スゲ-!!

伏羲「ニョホホ、ほれ、穴が閉じてしまう前にくぐるのだ」ヒョイッ

上条「わっと」ヒョイッ

ステイル「ふん」ヒョイッ
425 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 17:32:08.19 ID:RF8kzxlSO
伏羲「ほれ、これでどうだ?」

ステイル「『コインの表』に戻っている……?」

上条「すげー!!」キョロキョロ

伏羲「しかし相手の裁量次第ですぐ切り替えられると思うから、早く進むぞ。一々穴を開けるのはめんどくさいしのう」

ステイル「そうだね。『コインの結界』の魔力の出所は分からないし、当初の予定通り食堂横の隠し部屋に行くよ」ダッ

上条「おう!」ダッ


~~~~~食堂~~~~~

ザワ……ザワ…… ナニアノヒトタチ…… チュウガクセイ? フリョウモイルゾ…… アタマワルソウ……

伏羲「当然の結果とはいえ、やはり目立つのう……」チラッ

上条「そうだな。アウェー感がこう……」チラッ

ステイル「僕が目立つのは自覚してるからこっちみんな。これだけ注目されたら隠し部屋も探しにく……ッ!?」

生徒達「「「」」」ジッ……
426 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 17:33:05.53 ID:RF8kzxlSO
上条「えっと……さっきまでチラチラ様子を伺うようだった皆さんが一斉にこっち見てません……?」

ステイル「このただならぬ空気は……」

伏羲「――コインの裏に切り替わったぞ。構えよ!!」

生徒「熾天の翼は輝く光、輝く光は罪を暴く純白――」

伏羲「……これは……?」

「純白は浄化「の証、証は行動の結」果――」

「結「果は未来、未来」は「「時間、時間は一」律――」――」

「一律は全「て、全てを創るのは過去、過去は原」因、原因は「一つ、」一つは「「罪、罪は人、人は」罰を恐れ、恐れ」るのは罪「悪、罪悪とは」己の中に、 己「「「の中に忌み嫌うべきものがあ」るなら」ば、熾天の翼に」より「己の罪を暴」き内から弾け飛ぶべし――ッ!」ポウ……
427 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 17:33:58.93 ID:RF8kzxlSO
上条「眉間からピンポン玉ぐらいの青白い光が……?」

床<ジュッ

伏羲「それひとつなら火傷で済みそうなレベルだが……」チラッ

ステイル「そら、『最強の盾(イマジンブレイカ-)』。君の出番だ!」

上条「なに?……って、光の津波!?」

伏羲「いくらなんでもこんなもんいちいち相手にしてられっかい!!」ダッ

上条「右に同じ!!」ダッ

ステイル「な……、オイ逃げるな!全く何のための盾なんだ、その右手なら『竜王の一閃(ドラゴンブレス)』だって防げるだろうに!!」ダッ

上条「良く言うぜ!質はともかく量が絶望的だ!あんなもん右手ひとつで対処できるか!!」ダダダダ

伏羲「追尾機能があるのか、廊下に出ても的確にわしらを追ってきよる!!ステイル!!あれは何だ!!」ダダダダ
428 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 17:35:01.78 ID:RF8kzxlSO
ステイル「『グレゴリオの聖歌隊』、のレプリカさ。元はローマ正教の最終兵器で、3333人の修道士を聖堂に集めてその『聖呪(イノリ)』を集める大魔術。太陽の光をレンズで集めるように、魔術の威力を激増することができるんだ」ギリッ

伏羲「ここの生徒数は約2000……対処法は!?」

ステイル「『グレゴリオの聖歌隊』は2000人もの人間を同時に操らなければ成功しない。その同調の鍵となる『核』を破壊すればいいのさ。階段――行くよ」ダッ

伏羲「ふむ、ではわしと上条でこやつらを引き付けておるから、おぬしで『核』を破壊してこい!」

ステイル「」ポカン

上条「は!?引き付けるって……」

伏羲「上条、おぬしは歩く発信機であろう!ほら、ぐずぐずするな!わしらは下に行くから、上は任せたぞ、ステイル!」ダッ
429 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 17:35:58.21 ID:RF8kzxlSO
ステイル「ふん……最初からそのつもりさ」ダッ

上条「最初からって、あいつ俺を使い捨ての囮にするつもりだったのかよ!!」ムキ-!

伏羲「憤ってる暇は無いぞ!走れ上条!!」

上条「ああ!っておわっ!?」ズルッ

伏羲「!こんのダアホ……!!」ガシッ

上条「悪い!――って」

上条「(光の津波が――もうそこまで――)」

ピタッ

上条「…………?」

フ……ッ

上条「(光が……一つ残らず消えた?)」

カツン

上条「……?」クルッ

伏羲「――おぬしか、姫神秋沙」

姫神「…………」
430 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 17:37:39.84 ID:RF8kzxlSO
ステイル「これでおしまい」ボバァッ

ステイル「少しでも歪みがあれば、僕の炎を流し込める。完璧な防御が欲しかったらビニール袋にでも詰めて口を縛るべきだったね」スパ-

ステイル「それにしても、血路とはまた見ない間に錬金術師も歪んだものだ。超能力者と魔術師とでは『回路』が違うというのに。無理矢理魔術を使うから魔力が暴走して全身の血管と神経をズタズタに引き裂かれるんだ」フウ

カツン、カツン、カツン――

アウレオルス「自然、『偽・聖歌隊(グレゴリオ=レプリカ)』を使えば『核』の元までおびき出せるとは思っていた」カツン、カツン、カツン――

アウレオルス「当然、侵入者は二人だったはずだが……。もう一人はどうした、現然、貴様の使い魔は『偽・聖歌隊』に呑まれたのか?」カツン、カツン、カツン――

ステイル「呑まれてくれれば大助かりだけどね。あいにく、あれは想像以上にしぶとく、それと『使い魔(ファミリア)』と呼べるほど可愛らしいものでもない」
431 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 17:38:27.03 ID:RF8kzxlSO
アウレオルス「……」ピタリ

ステイル「それで、戦闘向きでないお前がどういうつもりなんだい?今日は何十の『魔道具(マジックアイテム)』を持ってるんだ、『骨董屋(キュリオディ-ラ-)』?」

アウレオルス「全然。貴様、今の私が魔道具を持たぬ事にも気づかんのか」

ステイル「だろうね。何せこの建物自体が巨大な魔道具の塊だ。周りが勝手にお前を補強する。ふん、それで?結局お前は何がしたい?黙っていても聖域が勝手 に戦ってくれる。しゃしゃり出ても聖域の力を借りるだけ。そら、結局お前はここにきて何がしたいんだ?いや、『一体お前に何ができる?』」フン

アウレオルス「貴様」

ステイル「俄然やる気が湧いてきました、という顔だが、あいにく僕は『お前に用は無い』。そら、どけよ」

アウレオルス「厳然、貴様――ッ!!」ズルリ
432 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 17:39:05.95 ID:RF8kzxlSO
ステイル「(袖の下から……鏃(ヤジリ)?大木さは小ぶりのナイフほど……投擲用に作られた暗器か)」

アウレオルス「リメン――マグナ!!」ビュンッ

ステイル「ッ!?」バッ

生徒「」グチャッ

パンッ

ステイル「(鏃が刺さった生徒の体が、純金になって弾け飛んだ……)」

アウレオルス「自然、何を驚いている?我が役は錬金の師。その名の由来、当然分からんとは言わせんよ」ヒュンッ パシッ

ステイル「……」

アウレオルス「我が『瞬間錬金(リメン=マグナ)』はわずかでも傷をつけたモノを即座に純金へと強制変換する。防御は無効、逃避も不可能。そら、貴様も 得物を出せ。その『魔女狩りの王』、実体なき炎の化身すらも変換できるかどうか、俄然そるはそれで興味がある」ズルリ
433 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 17:40:45.57 ID:RF8kzxlSO
ステイル「……」

アウレオルス「ふむ。必然、『瞬間錬金』の前では愕然せざるを得んだろうが、5秒前までの貴様の態度、あれは万死で済まされるものではない」

ステイル「……驚くなって、そりゃあ無理だ」





ステイル「お前、何だってそんな無駄な事をしてるんだい?」




アウレオルス「な……」

ステイル「何を驚いているんだ?魔術とは『実験』であり『結果』ではないだろう?ふむ、例えば5秒で薬を作る職人がいる。けれど薬の効果には何の優劣もないだろうに」ハァ

ステイル「お前のやっている事はそれだよ。『瞬間錬金』?くだらない、そんなもの、人間に強酸をぶち撒けて溶かしているのと何の違いがある?」

アウレオルス「……必然」
434 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 17:41:54.95 ID:RF8kzxlSO
ステイル「お前が努力したのは分かったけど、これに『魔女狩りの王』は弱い者イジメが過ぎる」

アウレオルス「……必然、失笑!」ビュンビュンビュンビュン

ステイル「」バラバラ

アウレオルス「ふん、全身蜂の巣になり、ルーンも散らばったか――」

ステイル「――それに、何だこれは?『お前自身が魔道具の一つにすぎない事も気づけないのか?』」

アウレオルス「な――――んだ、それは!」ビュビュビュビュンッ

ステイル「基礎物質にケルト十字を使ったテレズマの塊とは、いかにもマニアックな造形だが、用があるのはアウレオルス=イザードなんだ。悪いけど『錬金の真似事(アウレオルス=ダミ-)』は引っ込んでくれないかな?」ユラユラ

アウレオルス「何だ、それは?自然、それでは第一の前提から破綻する。当然、『瞬間錬金』は私が開発した私の錬金法だ。必然、そうでなければこの力の源は何だと言うのだ?」
435 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 17:43:15.47 ID:RF8kzxlSO
ステイル「もちろん、『本物のアウレオルス=イザード』に決まってる。ならば一つ質問だ、アウレオルス=ダミー。お前ら一体何の為に錬金を学んだんだ?」

アウレオルス「……知れた事。錬金の目的は真理の探究に他ならない。私の専門は人が人のカタチを維持したままどこまで高みに昇れるかだ」

ステイル「ならば、何故『吸血鬼』などという『人間の外にいるモノ』に触れようとする?」

アウレオルス「……」

ステイル「ふん。ほら、お前には分からない。アウレオルス=イザードがやろうとしている事。あらかじめ入力されただけの偽物は、本物が己の信念をねじ曲げてまで行おうとする予想外を理解することができない」

ダミー「――――」

ステイル「そして、その『瞬間錬金』。調べ物をするための魔術だというのに、結果ではなく魔術そのものを誇るなんてアウレオルス=イザードではありえない」

ダミー「ぅ、あ……」
436 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 17:44:08.17 ID:RF8kzxlSO
ステイル「だから何度でも言う、偽者。僕が用があるのはアウレオルス=イザードだ、『お前じゃない』。失せるなら早々に失せると良い」

ダミー「――――」



ステイル「それに、本当は分かってるんだろう?錬金術師アウレオルス=イザードは、こんなにあっさり負けるほど弱くないはずだ、って」



ダミー「(背後から……ッ!?つまりさっき我が『瞬間錬金』が貫いたのは蜃気楼……!?)」バッ

ステイル「遅い」ズバァッ

ダミー「ぅ、が」

『それに、本当は分かってるんだろう?錬金術師アウレオルス=イザードは、こんなにあっさり負けるほど弱くないはずだ、って』

ダミー「が、ぁああああああああああああああああああああ!!!!!!」ビュビュビュビュビュンッ

ステイル「!?てんで狙いが定まって無い……ッチッ!!純金の飛沫が……ッ」ボバァッ

ステイル「……爆煙に乗じて逃げたか……辺り一面高熱の純金。ま、このビルは空中の渡り廊下で繋がってるし、遠回りでも行けない所は無いだろう」スタスタ
437 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 17:44:59.38 ID:RF8kzxlSO
上条「無事みてーだな、よし、姫神。帰るぞ!」

姫神「?」キョトン

伏羲「姫神よ、わしらはおぬしが監禁されてると聞いて助けに来たのだ。長居は無用、ほら、帰るぞ」

姫神「…………」ポカン

上条「何だよ?なんか俺達変な事言ったか?」

姫神「…………何で?」

上条「何でって、理由がなけりゃ人も助けられないのか?」

姫神「…………だけど、私は」

伏羲「!!」

ズル……ズル……

「くそ、くそっ!断然、何だこの重さは。たかが材料のくせに足を引っ張るとは……。くく、足、か。足を引っ張ると来たかアウレオルス=イザード!今の自分 に引っ張る足もないだろうに!あは、あはは、どいつもこいつもそいつもあいつも馬鹿にしおってからに、必然全て溶かし尽くしてくれる……っ!!」
438 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/08/28(日) 17:46:00.73 ID:RF8kzxlSO
伏羲「姫神、あの声の持ち主は?あと大分イッちゃっておるようだが……」

姫神「アウレオルス=イザードの偽者。たぶん。気付いてしまった。偽者だということに」

伏羲「ふうむ……」

上条「うっ……」

伏羲「恐らくステイルが左腕と左足を切断したのであろう。義手、義足代わりに突き刺しておるあれは……うう、痛そうだのう……」

ダミー「は、何だこれは?」


ダミー「何故、ここにいる、少年達!!」 
 
 
 
446 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/02(金) 21:32:03.42 ID:PF8c0KgSO
禁書「お知らせなんだよ!!」

禁書「沸き上がる封神熱でスレを立てたはいいけと、完全に見切り発車でバタフライ効果とか>>1は一切考えてなかったんだよ!!ばかだね!!」

禁書「今まで戦闘フラグとか、霊装破壊フラグとか、とうまの大怪我フラグとかをちょくちょく折ってるだけなんだけど、これからちょっと真面目に考えるんだよ!!」

禁書「たいこーぼーはあくまで私達とのんびりだらだら過ごしたいだけだから周囲にあまり影響を与えないかもしれないし、逆にしょーもないことをしたつもりでも大きなフラグを折ったりするかもしれないし、そこんところを考えるんだよ!!」

禁書「だから、本編はちょっとお休みなんだよ!!」

禁書「でも、考えてる間何も投下が無いのは寂しいから、小話をちょこちょこ放出するんだよ!!」

禁書「そこで、ネタを募集してみるんだよ!!」

禁書「ねたばれになっちゃうものは出来ないけど、質問があればそれも小話にするんだよ!!貪欲なんだよ!!」

禁書「さしずめ『禁書・伏羲のこのスレ何でも質問Q』なんだよ!!」

上条「えっ、俺は?」

禁書「じゃあ、待ってるんだよー!!」 
 
448 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/02(金) 21:39:40.36 ID:PF8c0KgSO
はい、ということで本編は少し休止ということで……

大まかな設定とか、ちょっとした先の展開などは考えているのですが、せっかくのクロスオーバーを生かしきれてない気がするのでこの結論に至りました。

まあゆるゆるーっとやってきたので、愚考した結果このまま変わらずゆるゆるぐだぐだ続ける可能性もあります。

では

 
452 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/02(金) 23:09:20.87 ID:PF8c0KgSO
>>447,>>449

禁書「たいこーぼーの他に仙道っていないの?」

伏羲「昔は沢山居たんだがのう。今はどうかわからぬ」

伏羲「(なにしろあれから3000年以上も経っておるしのう……ほぼ『仙人』ではなく『神』になっておるであろうな。)」

禁書「もしかして、たいこーぼーとおーてんくんしかいないの?」

伏羲「いやそれは無い」スパッ

禁書「どうして?」

伏羲「どうしても」

禁書「気になるんだよー」

伏羲「(確実に申公豹は封神されておらぬ。肉体を失う理由が無いし、物好きだから地球におるのは間違いあるまい……!!無駄に力なんぞあるから……)」

上条「あ、そうそう。話変わるんだけどさ、学園都市の新しい都市伝説って知ってるか?」

伏羲「『クローン』だの『何でも無効化する能力者』とかか?」

禁書「今更だけど仙人が俗っぽくて何とも言えないんだよ。っていうか後者は確実にとうまだよね。それがどうかしたの?」

上条「それがさ、内容が今までのとは何か毛色が違うっていうか」

伏羲「ほう、して?」

上条「『空飛ぶ猫ピエロ』っていうんだけど」

伏羲「」 
 
453 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/02(金) 23:10:10.13 ID:PF8c0KgSO
禁書「そらとぶねこぴえろ?」

上条「ああ、何でも、動物の能力開発実験の被害に遭った猫の怨霊が、夜な夜なピエロの格好をして学園都市の空を漂ってるとか……」

伏羲「」

禁書「どうなったらそんなヘンテコな噂が広まるかのほうが気になるかも」

上条「だよなあ。見たってやつはほんの数人らしいんだけど、あんまりにもインパクト強すぎて広まったらしい」

伏羲「」

上条「そして、服装のセンスにケチをつけると呪われるとか」

伏羲「よし数世紀ほど旅に出てくる」

上条「はい!?」

禁書「お、落ち着くんだよ!」

伏羲「ええいこれが落ち着いていられるか!!よりによってこんなに早く嗅ぎ付けられるとは……!!」

禁書「えっ、もしかして『ピエロ』と知り合いなの?」

伏羲「知り合いなんという生易しいもんでは無いわ!!あやつはわしを勝手にライバル認定をし、暇さえあればちょっかいをかけてくるのだ!!」プンスカ

上条「別に慌てる必要あっか?」

伏羲「うむ、そうだのう。上条、おぬしにちょっかいをかけてくる中学生がおるであろう?」

上条「ああ、ビリビリか」

禁書「?」 
 
454 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/02(金) 23:11:06.04 ID:PF8c0KgSO
伏羲「あやつが『超電磁砲』の威力の優に10倍を超える雷を、涼しい顔で絶え間無く放ち続けて来たら?それを相手は『ちょっかい』程度にしか認識していなかったら?」

上条「逃げますハイ」

禁書「?つまりどのぐらい?」

伏羲「中国全土を覆うぐらい」

禁書「」

伏羲「それにあやつは面倒臭い性格をしておって、勿体振るクセに構ってほしがるというか……」ピカッ……ピシャァァァアゴロゴロゴロ

外<ウワッ、ナンダ-!?ハレテルノニキュウニカミナリガ!!

上条「……」

外<ノウリョクシャガアバレタノ!?

禁書「……」

伏羲「そして千里眼を持つ霊獣に乗っておる……」ゲンナリ

禁書「わ、私の『歩く教会』が通じるか分からないんだよ……」ガクブル

上条「『魔女狩りの王』みたいに打ち消すのが間に合わなかったら……」ガクブル

伏羲「くっ、ここはしばらく陣を敷いておかねば……幸い細かい場所はぼかせておるようだし」カキカキ

禁書「仙人はやっぱり規格外なんだよー!!」






申公豹「フフフ、黒点虎。やはり太公望をいじるのはやめられませんね。わずか数名とは言え人前に姿を晒した甲斐がありました」フフフ

黒点虎「申公豹ってさ……暇人だね」

申公豹「……」 
 
 
456 : ◆nJ0d13hWy/I7[sage]:2011/09/02(金) 23:21:38.67 ID:PF8c0KgSO
以上、申公豹は何千年経っても通常運転でした

他の仙人……は、後でぼちぼち出す予定です。仙人か神かは、内緒ということで

スープーって少なくとも1500歳越えてても子供(未成年)扱いなのできっと元気にやってますね

仙人界については伏羲はあんまり禁書とかに喋れないと思うので小ネタじゃなくて普通にレス返しになるときがあります。すみません 
 
457 : ◆nJ0d13hWy/I7[sage]:2011/09/02(金) 23:31:05.57 ID:PF8c0KgSO
>>455
申公豹さんは3000年の月日と、日々発展していく人間界で自由する為に隠れるのがうまくなりました
アレイスターへの誤魔化しは自分でも出来ますが上手いこと伏羲に押し付けてます 伏羲が申公豹を嫌がる理由のひとつです 
 
 
496 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/16(金) 17:20:06.97 ID:MDQ7VyESO
大変遅くなりました。レスありがとうございます、はげみになります。

最近小ネタスレでちょくちょくフジリューを見かけるようになりましたね、嬉しい限りです。皆スレ立てればいいのに

さて、ようやく本編の書き溜めができたので来ました。絶対能力者編~闇咲襲撃編までの構想は出来てるのにダミー戦がまったく浮かばず……

あ、あと、申公豹やその他もろもろの仙人の登場については考えておきます。本当は伏羲しか出す予定が無かったので……
実はみなさまのレスに展開が影響されまくってたり。そういった意味ではこのSSはスレの皆で作っているようなものですね

では、投下します 
 
497 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/16(金) 17:21:03.78 ID:MDQ7VyESO
伏羲「(先程『材料』と言っておった……恐らく引きずっておる生徒を元に何かしでかすのであろう。錬金術師だからさしずむ金に変えるとか?だとしたら申公豹の服のセンスより悪趣味だのう。
偽者が真の目的を有している可能性は低い……恐らく、戦法も違うであろう。わざわざ手の内を曝す理由が無いしな。となれば――)」

伏羲「上条。わしが機会を作るから、その隙におぬしの右手であやつを殴れ。上手くいけば消滅、少なくとも弱体化ぐらいはできるであろう」ヒソッ

上条「ああ」ヒソッ

ダミー「夷然。何故私という脅威の前で平然としていられるのだ!!」

姫神「かわいそう。気付かなければアウレオルス=イザードでいられたのに」

ダミー「き、さま!!」ヒュヒュンッ

伏羲「っと、危ない」ヴン
498 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/16(金) 17:22:11.95 ID:MDQ7VyESO
ダミー「!?依然、何をした!?『材料』が一気に消失するとは!!」

上条「人を『材料』なんて、フザけてんのかよ……!!」ギリッ

伏羲「ここは科学の街。自ずと答えは出てくるであろう?」

ダミー「忌ま忌ましい能力者か!しかし我の『リメン・マグナ』の前では児戯に等しい!!」ヒュヒュンッ

伏羲「ほいっ」ヴン トプン

ダミー「!?『壁』、いや、『窓』……?どちらでもいい!!何故だ!!我が『リメン・マグナ』が傷を付けた物は例外なく全て黄金へと錬金されるはず……!!」

伏羲「おぬしはどうやって空気や水面を傷つける?つまりそういうことだ。解説ごくろうさま、と」クサリガシッ

ダミー「しまっ……」

伏羲「そっちは階段の上。こっちは階段の下。袖から鎖を出してる状態で引っ張ればどうなるか、のっ!!」グイッ
499 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/16(金) 17:24:09.01 ID:MDQ7VyESO
ダミー「ぐっ!!」グラッ

伏羲「今だ上条!!」

上条「くらえ、そげぶッ!!」ドゴッ

ダミー「がはっ……!!」ミゾオチッ

伏羲「よし!」

ダミー「あ、ああああああああああ!!!」バタバタ

上条「あ、逃げた!!」

伏羲「もう戦うだけの力はあるまい。あやつの攻撃も既に見切ったことだし、放っておいてもかまわんだろう。して、姫神よ」クルッ

姫神「……」

伏羲「おぬしは何故アウレオルス=イザードと手を組んでおるのだ?」

姫神「……」

伏羲「ふむ、質問を変えるか。姫神よ、吸血鬼とはどのような奴なのだ?」
500 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/16(金) 17:26:17.53 ID:MDQ7VyESO
姫神「?」

上条「何だ急に?」

伏羲「誰も知らない吸血鬼を、こやつだけが知っておるのだぞ?気になりはせぬか?」

上条「あー確かに!確か日の光は平気なんだよな?フツーに人間みてーなのか、それともやっぱりゾンビみてーな――」

姫神「――違う」

姫神「吸血鬼も人と変わらない。寿命が無くて。噛まれた人が吸血鬼になってしまうけれど。それ以外は人間と全く同じ。笑って。泣いて。喜んで。悲しんで。皆優しくて。気さくで。いい人たち」

姫神「でも皆死んでしまった。私の血は吸血鬼を殺す。私の血の甘い香りに吸血鬼は抗えない。どうしても飲みたくなってしまう。死んでしまうと分かっていながら。私の力のせいで……」ギュッ

伏羲「その力を抑えるすべを探し、あやつと手を組んだのか」

姫神「」コクリ
501 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/16(金) 17:28:10.99 ID:MDQ7VyESO
伏羲「しかし、まだそれは果たされておらぬと」

姫神「」コクリ

伏羲「ふむ、ではわしらが役立たずの錬金術師の代わりに力を封ずる手伝いをしよう!のう、上条?」

姫神「!?」

上条「俺らにそんなことできんのか?あ、右手で触っても、能力は消えねーぞ?」

伏羲「おぬしの右手ではない。ほら、わしらの身近にあるであろう?『法王級(ゼッタイ)』の守りを有する物が」

上条「『歩く教会』!!」

伏羲「そう。それさえあれば例え香りを完全に抑えられずとも、吸血鬼は血を吸えぬ」

上条「そっか!インデックスみたいな白い修道服だと目立つから、何か身につけるタイプのほうがいいよな?」

伏羲「そうだのう。もしイギリス清教が渋ったら、禁書目録の『歩く教会』を着せればよい。早くよこさねば禁書目録が危険だと脅しをかけるのだ」ケケケ 
 
503 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/16(金) 17:30:09.68 ID:MDQ7VyESO
姫神「」ポカン

上条「よし、じゃあいつまでもここにいる理由は無いな。帰るぞ、姫神!」

姫神「あ……」

伏羲「さて、錬金術師に出くわすと面倒だし、一度ステイルと合流するかのう」

上条「そうだな」

姫神「……ありがとう」

伏羲「なに、ここでおぬしを見捨てたら禁書目録がうるさいしのう」ニョホホ

上条「終わったらいつでも遊びに来いな?昼は騒いでたけど、インデックス楽しそうだったし」

姫神「……うん」




アウレオルス「依然。どこへ行く?『吸血殺し』」 
 
511 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/18(日) 20:25:10.34 ID:zHqkvAySO
上条「ッ」

伏羲「先程とは比べものにならぬ威圧感……姫神、こやつが」

姫神「そう。本物のアウレオルス=イザード」

アウレオルス「喟然。私を裏切るのか?姫神」

姫神「あ…………」

アウレオルス「ふむ、姫神よ。『来い』」

上条「!?」

伏羲「(何だ?まるで始めから姫神が錬金術師の横にいたような……いや待て、まさか)」

上条「テメェ、姫神を返せ!!」ダッ

アウレオルス「当然。返すも何も姫神は元よりこちら側だ。『これ以上、貴様らはこちらへ来るな』」

上条「な、んだ、こりゃ……?」ダダダダダ

伏羲「(確かに走っておるのに距離がいっこうに縮まらぬ。先程の姫神の件といい、もしや……)」

伏羲「おぬし、錬金術を完成させたのか?」
512 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/18(日) 20:27:11.34 ID:zHqkvAySO
上条「?どういう……」ジリッ

上条「(!一歩後ろに下がったのに距離が変わらない……それより、錬金術の完成って)」

アウレオルス「炎の魔術師の入れ知恵か。いかにも。私は『金色のアルス=マグナ』を完成させた。必然、少年たちに勝ち目は無い。早々に立ち去るがいい」

伏羲「ふむ、それだとどうしても腑に落ちぬことがあるのう」

上条「?何がだ?」

伏羲「――おぬし、一体何の為に吸血鬼を欲すのだ?」

上条「!そうだ!もうその錬金術が完成してんなら、長ったらしい呪文を唱える必要ねーよな!!」

アウレオルス「当然、人間のまま高みを目指す錬金術師に吸血鬼の力など私には不要」

上条「じゃあ、どうして……」

アウレオルス「憮然、問わねば分からぬか。つまらんな、少年。もう終わりだ」スッ
513 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/18(日) 20:29:08.32 ID:zHqkvAySO
伏羲「ふむ、これは鍼かのう?精神安定の類か」ヒョイッ

アウレオルス「!?いつの間に、いや、何故私の後ろにいる!?」

上条「(空間移動って便利だなー)」ホエ-

伏羲「科学の街でいちいち驚いていたらキリが無いぞ、と。では戻るか姫神。これは貰ってゆくぞー」ジャラッ

アウレオルス「なっ!?まさか……鍼が一つも無いだと!?」ゴソゴソ

伏羲「失礼」ヴンッ

姫神「わっ」

アウレオルス「待て!!くっ、『来い、少年!!』」

伏羲「何だ、言葉遊びか?」ケロッ ニヤニヤ

姫神「…………どういうことなの……?」

上条「ええと、エバラならではのチートといいますか……つーかあのオールバック最初の余裕無くなってきてんな」

アウレオルス「憤然!馬鹿にするな少年!!それより、何故我がアルス=マグナが効かない!?」
514 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/18(日) 20:31:08.30 ID:zHqkvAySO
伏羲「簡単な話よ。『わしはおぬしの描き出した世界に組み込まれていない』、ただそれだけだ」

アウレオルス「必然、この金色のアルス=マグナは世界を全て知り初めて掌握できるもの!!万にひとつ見落としなど……!!」

伏羲「果たしてそうか?伝説にのみ伝わる幻獣や妖精は?おるのかおらぬのかはっきりせぬ存在はどうするのだ?常に古き流れは滅び、目まぐるしく新たな流れが生み出されるこの世をおぬしは全て把握しておるのか?」

アウレオルス「それは……」

伏羲「出来るはずもあるまい。未完成なアルス=マグナは不安定で、すぐ術者の影響を受ける。そのくせ無駄に力があるから、おぬしは鍼に頼り精神の安定を計るのだ。自らを滅ぼしかねない力を制御する為に」コツ コツ
515 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/18(日) 20:33:08.00 ID:zHqkvAySO
上条「(雰囲気が、違う……)」

姫神「(少し。怖い…………)」

アウレオルス「く、来るな!!『そこより一歩もこちらへ近付くな!!』」

伏羲「そしておぬしはその精神安定剤も奪われてしまった」ペキッ コツ コツ

アウレオルス「あ、ああ、き、貴様、一体何者だ!!」

伏羲「肝心のアルス=マグナは『わしに絶対届かぬ』。さあ、唯一の攻撃手段が『完全に無効化』されてしまったぞ?そしてその状態では『後ろの上条や姫神にもアルス=マグナを使えない』」コツ コツ

アウレオルス「ざ、戯れ事を……!!」

伏羲「『使えない』。例え他の何人に通じようとも、かつて通じたとしても、『あやつらだけには何度念じても届かない』。そう、『このわしに全く通じぬように』」コツ コツ
516 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/18(日) 20:35:13.51 ID:zHqkvAySO
アウレオルス「(本当に、後ろの少年たちにも使えな――まて、考えるな。速やかに思考を停止しろ!!負け――否!!)」

伏羲「『万に一つも勝利はありえない。何故ならアルス=マグナを看破されてしまったから。自分はもう目の前の男の言葉に躍らされるしかない』」コツ コツ

アウレオルス「(思考停止思考停止思考停止――!!)」

伏羲「さて、セフィロトの樹の下層者よ」ピタッ

アウレオルス「(もう、すぐそこまで――)」

伏羲「不老不死の秘を、知りたくないか?」 
 
 
533 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/19(月) 16:41:05.47 ID:GLql4nBSO
アウレオルス「な、に……?」

伏羲「人の身でここまで昇るとは大したものよ。どうだ?知りたくは無いか?おぬし次第では教えてやってもよいぞ?」

上条「(なんつー飴と鞭……っていうか仙人って特別な骨無いと駄目なんじゃないのか?んんん?)」

アウレオルス「……貴様、何者だ?」

伏羲「さてのう?おぬしの強い意志に引かて来た、『道を体言した者』とでも言っておこうか」

アウレオルス「『道』――――ま、まさか!そんなはずは……!!」

伏羲「先程言ったであろう?『わしはおぬしの描き出した世界に組み込まれていない』と。つまりそういうことだ」

アウレオルス「…………」

姫神「(つまり。どういうこと。もしかして。私だけ置いてきぼり?)」

伏羲「さあ錬金術師よ、おぬしは誰が為に力を欲す?何の為に不老不死を望む?」

アウレオルス「…………必然、私の手に及ばぬ少女がいる。私には救えぬ少女がいる。その少女を、どうしても助けてやりたいのだ」
534 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/19(月) 16:42:06.81 ID:GLql4nBSO
伏羲「ふむ……具体的には?」

アウレオルス「少女は他の者には考えられないほどの『知識』を有している。その上、一度見た物、聞いたことは絶対に忘れることはできない」

上条「(…………ん?)」

アウレオルス「そのうち『記憶』に脳が圧迫され、一年周期で記憶を消さねば生きられぬ身となってしまった」

上条「(…………まさか)」

アウレオルス「――――名を、禁書目録という」

上条「――――」

アウレオルス「彼女は『忘れたくない』と涙を流して訴えた。必然、私は考え、そして到ったのだ。」

伏羲「悠久の時を生きる吸血鬼になり不老不死を手に入れれば、記憶を消す必要が無いと?」

アウレオルス「ああ……」

伏羲「うむ。わしなら確かにその少女を救えよう」

上条「っおい太公ぼ――」

伏羲「」シィ

上条「ッ……(インデックスはもう『呪縛』から解かれた……何をどう救うっていうんだよ!?)」
535 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/19(月) 16:44:06.48 ID:GLql4nBSO
伏羲「では最後の質問だ。同時に最大の質問でもある」

アウレオルス「」ゴクリ

伏羲「――――おぬしはそやつを救いたいのか?それともそやつを救った恩人になりたいのか?」

アウレオルス「――――」

伏羲「小さなようで大きな違い。そして更に言うならば『今禁書目録の隣にはかけがえのない人がいる』。このまま禁書目録を呪縛から解き放とうとも、おぬしは『恩人』以上にはなれぬ」

アウレオルス「――――」

伏羲「それでもおぬしは禁書目録の幸せを願えるか?多くの世界を敵に回してまでただの『いい人』で止まる覚悟は?」

アウレオルス「――――」

伏羲「………………」

伏羲「」ピクッ

伏羲「(空気が張り詰めて――――!?)」

伏羲「上条!!窓の外を見よ!!」

上条「へっ?ってうわっ!?何だよこれ!?千人はくだらねー数の全身鎧が!?」

伏羲「まずい!!」ヴンッ

姫神「わっ」ヴンッ

アウレオルス「――」ヴンッ
536 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/19(月) 16:45:11.25 ID:GLql4nBSO
上条「な、何だ!?」

伏羲「二人を別々に亜空間へ隠した!!上条、これからおぬしを抱き抱えて飛行する故、絶対にわしに右手で触れるなよ!!」ガシッ フワッ

上条「うわっ、わかった!!」フワッ

伏羲「舌を噛まぬように!ひとまず渡り廊下まで飛ぶぞ!!」ギュンッッ

上条「ッッ」

カッ

ドォォォォォォォォォォン

伏羲「(直撃したのは南棟……なら、北棟まで!!)」ビュンッッ

上条「(ふ、風圧で目が開けられ……)」

伏羲「(西棟と東棟も巻き込まれて……!!くっ、間に合え!!)」ビュォォォォォ

上条「――――」




……………………………………

伏羲「あー心臓に悪かったのう……」バクバク

上条「よ、酔った……」グラグラ

伏羲「しかし悲惨だのう……」

上条「この北棟を除いて全壊……ほんと、太公望がいなかったら瓦礫に押し潰されて死んでたよな……ありがとう」
537 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/19(月) 16:47:09.15 ID:GLql4nBSO
伏羲「礼を言われるまでも無いよ。では……」ヴンッ

姫神「あっ」スタッ

アウレオルス「……」スタッ

伏羲「錬金術師よ、力を見せてみよ」

姫神「!?これは。ひどい……」

アウレオルス「しかし、私に…………」

伏羲「『おぬしになら出来る』。『ビルを元通りにするのは造作ない』。ほれ、やってみい」

アウレオルス「――――『元に戻れ』」

姫神「うわ…………」ポカン

上条「ビデオの巻き戻しみたいに、全部元に戻っていく……」

アウレオルス「…………」

伏羲「…………決心は着いたか?」

アウレオルス「…………ああ」

アウレオルス「――禁書目録を救ってほしい。例え、彼女が私を覚えていなくとも。隣に、私がいなくとも」

伏羲「……それが答えか?」

アウレオルス「………………ああ」

上条「…………」

姫神「…………」

伏羲「……よし、では禁書目録を人のまま救おう」

アウレオルス「!?そんなことが……」

伏羲「わしになら出来る。そして、おぬしの逃亡生活にも手を貸そう」
538 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/19(月) 16:48:09.88 ID:GLql4nBSO
上条「!」

アウレオルス「それは……?」

伏羲「なーに、わしの力をもってすれば人ひとりの気配を誤魔化すことぐらい造作ないことよ」カカカ

アウレオルス「な、何故……」

伏羲「仙人の気まぐれだ。あ、くれぐれも魔術は使わぬように。魔術の痕跡は誤魔化せぬしな。アルス=マグナも同じく。あと適当に髪型を変えるなり肌を焼いてみたり、とにかく印象を変えろ。ああ、ステイルはこちらから誤魔化しておく故」

アウレオルス「…………当然、礼を言う」

伏羲「うむ。では必要最低限の荷物を持ってこい。その後適当な地へ飛ばすからのう」

アウレオルス「ああ……」



…………………………



上条「なあ、本当にあれで良かったのかな」

伏羲「分からぬよ。しかし、真実を告げ、あやつが壊れてしまう様を見たくなかった。わしのエゴだよ」

姫神「……エゴでも。いいと思う。茫然自失みたいな感じだったけど。やり直しの機会があることは素敵なこと」
539 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/19(月) 16:49:11.70 ID:GLql4nBSO
伏羲「そう言ってもらえると助かるよ。ありがとう姫神」

姫神「ううん。こちらこそ。それに。と……友達。だから」

上条「そうだな、じゃあ、この後一旦家に帰ってインデックス連れて来た跡、皆でファミレス行こうぜ!!」

伏羲「そういえばわしら何も食ってないしのう」

姫神「わたしも丁度。アウレオルスからお小遣をくすねてきたから。お金はある」

伏羲「そうと決まればゆくぞ!!待っておれわしの桃パフェ!!」




一方そのころ


ステイル「くっ、どこにいるんだアウレオルス=イザード……!!どこを探してもいないじゃないか!!おまけに生徒も増えてきたし……上条やエバラ、『吸血殺し』まで見当たらないとはどういうことだい」イライラ

警備員「ちょっとそこの君、少しいいかな?」ポン
ステイル「」

キミ、ココノセイト?ッテイウカガクエントシノヒト?IDハ?チョットシタマデ……

ステイル「(…………こういうときに言うのかい?)」

フコウダ-!! 
 
 
540 : ◆nJ0d13hWy/I7[saga]:2011/09/19(月) 16:51:26.30 ID:GLql4nBSO
以上、ここまで。

アウレオルスさんにSalvere000とか考えてたからこんな展開になりました。

あとIDがGLなんですがこれは迷っている自分へのお告げなのでしょうか……

何かあればどうぞ

では、書き溜めが出来次第きます 
 
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/19(月) 17:03:56.51 ID:JTilWQ7SO
ステイルさんマジ空気
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/19(月) 17:19:19.15 ID:SILd8/5Bo
おつ
ほとんどバトルなしに進みそうだなww
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2011/09/19(月) 18:05:02.61 ID:IWLyy7BBo


ステルスさんマジステイル
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/19(月) 18:36:59.11 ID:F1zytEQz0
交渉、ペテン、言葉責めが通じる相手である限り
師叔の話術に巻き込まれて直接的な戦闘は起きないだろうね

…本物の馬鹿以外は相手になりそうにないな、うん
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/09/19(月) 18:49:26.37 ID:d9bv4u2To
お疲れ様でした。 
 

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