2014年4月29日火曜日

伏羲「桃が食いたいのう」禁書「お腹へったんだよ」上条「不幸だ…」 2

559 ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/09/21(水) 18:59:18.19 ID:R6+T1NISO
――――×年前――――



少年「」ズリ……ズリ……

少女「あのコ、足をケガしてるの?」

研究者「いや、彼は筋ジストロフィーという病気なんだ」

少女「きん……じす?」

少年「」ドサッ

少女「あっ!!」

研究者「筋力が徐々に低下していく病気だよ」

少年「」ググッ……

研究者「彼はそんな理不尽な病を背負って生を受けた」

少年「」ガシッ ズリ……ズリ……

少女「立った!!」

研究者「しかし例えどんなに努力しても筋力の低下は止まらない」

少女「えっ……」

研究者「現在の医学に根本的な治療法は無く、やがて立ち上がることもできなくなり、最後には自力での呼吸も、心臓の活動さえ困難に……」

少女「…………」
560 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/09/21(水) 19:00:14.27 ID:R6+T1NISO
研究者「だがそれはあくまで今現在の話だ。君の力を使えば彼らを助けることが出来るかもしれない」

少女「」バッ

研究者「脳の命令は電気信号によって伝えられる。もし仮に生体電気を操る方法があれば、通常の神経ルートを使わずに筋肉を動かせるはず」

少女「…………」

研究者「君の『電撃使い(エレクトロマスタ-)』としての力を解明し植え付けることができれば、筋ジストロフィーを克服できるかもしれないんだ」

研究者「――――御坂美琴、君のDNAマップを提供してもらえないだろうか?」

御坂「……うんっ!」
561 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/09/21(水) 19:01:38.75 ID:R6+T1NISO
上条「はあ、補習疲れた……」フラフラ

伏羲「おお、上条ではないか」

上条「あれ、太公望?何でここにいんだよ?」

伏羲「うむ、学園都市の地理を頭に叩き込んでおったのだ。地図では建物の外装が分からんからのう。今はその帰りだ」

上条「へー……あ、じゃあジュース飲むか?今から買って帰ろうかと思ってたんだけど」

伏羲「それはいいのう!実はきなこ練乳とやらが気になっててな……」

上条「名前からして胸やけがしそうなんですが……お、あっあたった自販機」ニセンエンサツトリダシ

伏羲「今時二千円札……」

上条「いやあお釣りに渡されたんだけど、流石に人間相手に使うのは恥ずかしいから自販機で消費すっかなーって」

伏羲「めくるめく不幸の予感しかせぬが……」

上条「嫌なこと言うなよ……あれっ?」

伏羲「む?どうした?」

上条「ボタンを押せどもジュースが出てこない……げっ、返却されない!!」フコウダ-!!

伏羲「何と、貴重な桃代が!!ええい二千円があればいくつ買えると思っておるのだ!!」ガンガン

上条「あっこら!!自販機叩くな警備ロボが来るー!!」
562 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/09/21(水) 19:02:33.43 ID:R6+T1NISO
御坂「ちょろっとー、何やってんのー?」

伏羲「む?」クルッ

上条「お、ビリビリ中学生!」

御坂「私の名前は御坂美琴って言ってんでしょーが!いい加減覚えなさい!!」ビリビリ

上条「おわっ!?」バキン

伏羲「(ほう、今のが学園都市に七人しかいない『超能力者(レベル5)』の能力か……確か『電撃使い(エレクトロマスタ-)』だったか?なるほど、確かに魔術師含む一般人とは『回路』が違うな。しかし、今の力の感じ……もしや)」

御坂「ってアレ?そっちのは?」

上条「へ?ああ、あいつは太kエバラ!えーっと、俺の親戚なんだよ。かなり遠いんだけど」

御坂「ふーん?ま、いっか。私は常盤台中学の御坂美琴。よろしくね」

伏羲「うむ、わしはエバラ。長点上機に属しておるよ。よろしく」
563 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/09/21(水) 19:03:17.04 ID:R6+T1NISO
御坂「(わし……?)ところでアンタさ、自販機の前でボーっとつっ立って何してんの?」

上条「ああ、それが、金が飲まちまって……」

御坂「へー、いくら?」

上条「…………」

御坂「?」

伏羲「二千円だよ。もちろん二千円札でな」ニヤニヤ

御坂「!?うっそー、二千円札ー!?まだあったの?てっきり絶滅したかと思ってたわよー!!」アハハハハハ

上条「うう、言いたくなかったのに……」

御坂「笑って悪かったって、あーおっかしー!じゃあさ、アンタの二千円とり返してあげる」バチッ

上条「な、何だかイヤーな予感が……」タラリ

伏羲「うーむ、下手すると窃盗……」

上条「えっ」

ビリビリビリ!!!

ガラガラゴロガラ

自販機<ブシュ-……

御坂「あれー?おっかしいわね、手加減したつもりなのに……ねぇ二千円以上ジュース出て来たしこれでオッケー?」
564 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/09/21(水) 19:04:05.67 ID:R6+T1NISO
伏羲「」ダッ

上条「」ダッ

御坂「ってこら、待ちなさいって!どーすんのよこの大量のジュース!!」

上条「ボ、ボクには関わり無いことですー!!って足速っ!!エバラ逃げ足速っ!!」

伏羲「逃げ足には定評があるのだ!!」ワ-ッハハハハ

御坂「待てって言ってるでしょうがああああああああああ!!!」




………………………………………



御坂「ったくもー、あんたら二人して逃げ腰すぎんのよ。はい、元はあんたらの取り分でしょ」ポイッ ポイッ

上条「そうは言っても小心者の上条さんにはですね……」イチゴオデン……?

伏羲「窃盗はもっと目立たぬようにだな……」オオ、キナコレンニュウ!
565 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/09/21(水) 19:04:42.41 ID:R6+T1NISO
御坂「ち、違うの!あの自販機は私の一万円札飲んだからいいのー!!っていうか、アンタがそんなに逃げ腰じゃあ、アンタに負けた私の立つ背が無いじゃない!」

上条「俺の負けでいいって……」

御坂「よくない!とにかくホラ、お飲み!私からのプレゼントなんてウチの後輩なら卒倒もんよー」

伏羲「少女漫画じゃあるまいし」

御坂「フッ……女子校にはいろいろいるのよねー……私が常盤台で何て呼ばれてるか教えてあげよっか?引いちゃうわy」

「お姉様!!」

上条「へっ?」

黒子「こんなところにいらしたんですのねお姉さ……ま……」
566 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/09/21(水) 19:05:40.34 ID:R6+T1NISO
上条「?」

伏羲「?」

黒子「」

黒子「ああああああ……」ヨロ……

御坂「ちょ、どうしたのよアンタ!!」

黒子「まさか……お姉様が……殿方と密会をー!!!」シカモフタリ-!!

御坂「ちょっと待てぇー!!」

黒子「始めまして殿方さんたち。わたくしお姉様の『露払い』であり唯一無二のパートナー、もう一度言いますわよ唯一無二のパートナー白井黒子と申しますの。お姉様にちょっかい出す気ならまずわたくしを通してからにしてくれません?」ギロッ

上条「おおう……」

伏羲「女というのはいつの時代も恐ろしいものよ……」タジッ
567 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/09/21(水) 19:06:26.34 ID:R6+T1NISO
御坂「だーかーらー!!アンタは私が男二人侍らせるとでも思ってんのかー!!」ビリビリビリ!!

黒子「」ヒュンッ

上条「消え……街灯の上に!?」

黒子「ですわよねぇ。わたくしのお姉様に限って」ホッ

御坂「黒子っ!!」

黒子「それでは、くれぐれも過ちは犯さぬようにしてくださいませ、お姉様……」ギロッ ヒュンッ

上条「」ビクッ

伏羲「……」

御坂「『空間移動(テレポ-ト)』なんぞ使ってぇー!!」プンプン

上条「(これが学園都市全生徒憧れの的、超名門常盤台中学のお嬢様方の実態かよー!)」

伏羲「(あれが学園都市の『空間移動』……わしのとは気色が違うな。何のアクションも無く座標から座標への移動……やはり超能力とは)」

「お姉様」

上条「?」

御坂「――――!?」

御坂?「」ザッ 
 
 
591 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/07(金) 21:55:33.20 ID:qzc1FrFSO
とある記録




――――はっはァ!ンだァその逃げ腰は!!愉快にケツ振りやがって誘ってンのかァ!?

――――あ……ぐっ……

――――もう壊れちまったか。つまンねェ。

――――……ッ

――――退屈しのぎに、一丁ナゾナゾでもしてやろォか。

――――『一方通行(アクセラレ-タ)』は、果たしてナニをやってるでしょォかァ!?
592 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/07(金) 21:58:11.39 ID:qzc1FrFSO
上条「え、御坂2号?」

妹「いいえ、妹です。とミサカは認識を正します」

伏羲「にしてもそっくりだのう」

妹「遺伝子レベルで同じですから。とミサカは答えます。にしても、お姉様が窃盗の片棒を担うとは……」ハァ- ヤレヤレ

上条「ちょ、待てって!!俺じゃなくて御坂が主犯だから!!」

妹「電子で自販機表面を計測した結果、最も新しい指紋は貴方のものですが」

上条「えっそんなことも分かんの!?」

妹「嘘です」

上条「」

伏羲「すっかり振り回されておるのう」カカカ

上条「」タスケテ

御坂「――――アンタ、一体どうしてこんな所でブラブラしてんのよ!!!!」

上条「」キ-ン

伏羲「……?」
593 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/07(金) 21:59:15.50 ID:qzc1FrFSO
妹「研修中です」

御坂「けんっ……とにかく、ちょっとこっちきなさい」グイッ

妹「お姉様、ミサカにもスケジュールが……」

御坂「いいから、きなさい」

妹「……はい」





上条「……複雑な、ご家庭なのかなあ……」

伏羲「……む、いかん。今日中に回ろうと思っておった場所がまだあったことを忘れておったわ。すまぬが、わしはもう少ししてから帰ることにする」

上条「ん、そうなのか?わかった、夕飯までには帰ってこいよー」

伏羲「うむ。では」ヴンッ

上条「んじゃ、俺は帰るとしますか。えーっと、俺のカバンは……」キョロキョロ

缶ジュースの山<ヤァ!!

上条「」

フコウダ-!!!
594 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/07(金) 22:00:12.81 ID:qzc1FrFSO
上条「ぐっ、先に太公望の亜空間に仕舞うか、家に送ってもらうべきだったな、このジュース……」ヨロヨロ

ボール<コロコロ……

上条「おっと、足元にボールが。危ない危ない、ここで転んだら大変なことになるからな……」スッ

ボール<コロ……コロコロ

上条「」ズルッ ガシャ-ン!!

上条「ってて……何ていうタイミングで風が……ってうわっ!ジュースが道路にまで!早く拾わないと。って、ん?」

御坂「…………」

上条「御坂?って!!」ズザザザザッ

御坂「必要ならば手を貸しますが」

上条「(縞パン……じゃなくて!!こっこいつさっき短パンじゃなかったっけ!?)」

御坂「――と、ミサカは提案します」
595 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/07(金) 22:01:02.72 ID:qzc1FrFSO
上条「あ、なーんだ、妹の方か。お前本当に御坂に似てんなあ。つーか、そのゴッツイ軍用ゴーグルは何なの?」

御坂妹「ミサカはお姉様と異なり電子線や磁力線の流れを目で追うスキルがないので、それらを視覚化するデバイスが必要なのです。と、ミサカは懇切丁寧に説明しました。」

上条「へー」

御坂「気温と湿度が高かったので装備を外していましたが、必要性を感じるならば装着しましょう」スチャ

上条「そーいや、お前姉貴はどーしたんだ?さっき一緒に帰っただろ?」

御坂妹「ミサカはあちらから来ただけですが。と指差します」ハンタイホウコウユビサシ

トラック<プォ-ッ!!

上条「おっとと、缶ジュースそのままだった!!」ヒョイヒョイ

御坂妹「」スッ ヒョイッ

上条「おっ悪い……な……」
596 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/07(金) 22:02:07.47 ID:qzc1FrFSO
御坂妹「このままでは道路交通法に抵触して十五万円以下の罰金を受ける可能性があります……何か?」

上条「(ぱんつみえてる)」ブンブンッ





とある学生寮


上条「あれ?」

禁書「」モゾモゾ

上条「何やってんだあいつ」

禁書「あーとうまだ。とうまおかえりーっ!って、横の女の人は誰なのかな?」

上条「知り合いの妹。ほらお土産。甘いのはた……エバラと半分こしろよ」ハイ

禁書「ジュースは好きだけどぷるたぶは嫌いなんだよ。とうま、開けて」

上条「はいはい。で、廊下で何やってたんだ?」カシュッ

禁書「スフィンクスにノミがいたから取ってたんだよ。とうまの布団の中とか大変なことになってると思う……」

上条「のあ゙あ゙あ゙あ゙!?きゅ、急に痒くなってきた!!」バリバリ

禁書「だいじょーぶ、すぐ駆除するから」ゴソゴソ

上条「雑草……?」
597 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/07(金) 22:03:06.18 ID:qzc1FrFSO
禁書「『セージ』って言うんだよ。案外そこらに生えてるんだけど知らない?これに火を点けて、燻して、煙でノミを追いはr……」ゴホッゴホッ

上条「ば、ばかっ!警報機鳴っちまうだろ!!」ガシガシ

清掃ロボ<ウィィィィィィィィィン

上条「今からノミ取り薬買ってきてやるから!そこ動くなよ!!悪い御坂妹!しよーもないことに付き合わせて」

御坂妹「ようは、猫に危害を加えず体の表面からノミを落とせばよいのですか、とミサカは確認します」スッ

上条「はい?」

御坂妹「」パリッ

スフィンクス「」ピクッ パラパラ……

御坂妹「特定周波数により害虫のみを殺害しました。とミサカは報告します。このタイプの虫よけ機械は学園都市で市販されているので安全面も問題無いでしょう」
598 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/07(金) 22:04:49.88 ID:qzc1FrFSO
御坂妹「それでは用が済みましたら――」クルッ スタスタ

禁書「とうまとうまっ!あれこそパーフェクトクールビューティなんだと思う!」

上条「少しは見習って下さいよー」ッテ、ムリカ……

シツレイナンダヨ-! ガブッ

ギャ-!!




亜空間


伏羲「うーむ、御坂の妹。やはりきな臭いのう……」

伏羲「『超電磁砲のクローンが軍用目的で開発されている』か……『能力を無効化する能力者がいる』という都市伝説が出回ってるあたり、もしかしたら、かもしれぬ」

伏羲「上条の不幸体質ならほぼ巻き込まれるであろうな」ウン

伏羲「不幸体質というか、トラブルを引き寄せるというか……とにかく、万が一の為に情報を集めるか」ヴンッ

伏羲「面に研究所だな。こういう時に自由に覗ける力は便利だのう。さあ、果たして……」
599 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/07(金) 22:05:42.32 ID:qzc1FrFSO
伏羲「………………ちょっと待て」

伏羲「クローンというからには複数人いることは覚悟していた。しかし……」

伏羲「まさか一万人近くもいるとは…………統括理事長は何を考えている?」

伏羲「そもそも何故クローンを作ったのかが分からぬな。それぞれの研究所は……ふむ、皆表向きは筋ジストロフィーの研究所なのか」

伏羲「この中で一番警備がちょろそうなのは……ここか。では、ちょっくらお邪魔するかのう」

ヴンッ

伏羲「ううむ、ハッキングの類は経験が少ないからな……不安が残るがまあよい」

伏羲「と、あったあった。何々?『妹達(シスタ-ズ)』?」

伏羲「ふむふむ、意図的に『超能力者』を量産しようという計画か。しかし『樹形図の設計者』による演算の結果、『異能力者』ぐらいしか生まれぬ故に凍結、と」

伏羲「しかし元にクローンは生まれておる……何か別の計画でも持ち上がったのか?ううむ、もっと大きな研究所に行ってみるか?」

伏羲「……いや、もう暗いし帰るか。そろそろ夕飯だしのう。あんまり遅くなると禁書目録に噛み付かれるからな」ヴンッ 
 
 
621 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/08(土) 23:54:09.54 ID:RsghO+iSO
とある思い出




――――みゃー。と鳴く生き物がピンチです。

――――何のことでしょう?とミサカはチョコミントの爽やかな余韻を味わいつつシラを切ります。

――――身体が冷えたので温かい紅茶が飲みたいところです。とミサカはさりげなくおねだりします。

――――お姉様、次は……

――――?それは何ですか?

――――この缶バッジは?とミサカは首を傾げます。

――――ゲコ太?

――――いやいやねーだろ、とミサカはミサカの素体のお子様センスに愕然とします。

――――この缶バッジはミサカの物です。ミサカに付けられた時点で所有権はお姉様からこのミサカに移り、無理矢理奪うのは強奪であるとミサカは訴えます。

――――屁理屈ではありません。それにコレは、お姉様から頂いた初めてのプレゼントですから。

――――もうちょっとマシなものはなかったのかよ、という本音を胸にしまってミサカは嘆息します。

――――それではさようなら、お姉様。

――――ぐっ……あ、あああああああ!!!!!

――――(ひ、左足、が…………)

――――(!?無い、缶バッジが、どこへ……!?)

――――(お姉様からの、贈り物、ミサカの、ミサカの……)

――――(あっ、た……と、ミサカは宝物を抱きしめ
622 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/08(土) 23:55:35.45 ID:RsghO+iSO
上条「あー今日も補習でしたよっと」フラフラ

上条「にしても、勉強漬けなんかでレベルが上がるんですかねー?」

上条「先生は御坂は『低能力者』から『超能力者』に努力で上り詰めた、つってたけどなぁ……」

御坂「…………」

上条「お、ビリビリ」

御坂「ああ、アンタね。今は疲れてるから勘弁してやるわ。で、用件は?」

上条「いやー、同じ方向ならなんとなく一緒に帰ろうかな、と」

御坂「ほう?常盤台のお嬢様相手にただ「なんとなく」と?ふっ、その位置に立つのに一体どれほどの男どもが努力を重ねているか……」

上条「自覚あるお嬢って最悪だよな……」

御坂「冗談よ馬鹿」ベーッ

上条「時に妹は一緒じゃねーの?昨日ジュース運んでもらったから礼とかしときたいんだけど」

御坂「妹って……アンタあの後あの子と会ったの?」

上条「あ?ああ……(マズったか?)」

飛行船<筋ジストロフィー関連の研究施設は相次いで撤退を表明しており、市場全体の底冷えが懸念されます。続きまして週間天気予報――

上条「おお!?見ろ御坂!休み中は晴れで『確定』だぞ!!(話題変えとこう)」
623 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/08(土) 23:56:28.16 ID:RsghO+iSO
御坂「…………私、あの飛行船って嫌いなのよね」

上条「はあ?なんでだよ」

御坂「機械が決めた政策に、人間が従ってるからよ」ギリッ

上条「そりゃ……なんだっけ。ツリー……」

御坂「『樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)』」

上条「(世界最高のスパコンで、「より完全な天気予報を行う為」に学園都市の人工衛生にのってんだよな。噂では学園都市の研究を予測演算させるとかいうのもあるけど)」
上条「機械が決めたねえ……てか噂だろ?いくらスーパーなコンピューターだって人の命令無しには動けねーだろうし、銀行のATMと同じだって」

御坂「アンタ……には……」ボソッ

上条「なに?」

御坂「」チョップ!!
624 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/08(土) 23:57:27.37 ID:RsghO+iSO
上条「痛ったぁ!!いきなり何すんだー!!」

御坂「あっはは~!アンタも夢が無いわよねー!SFコンピューターと人間の友情ドラマ。なーんてロマンがあると思わない?」

上条「はあ?」

御坂「例えばメイド型戦闘ロボとか」

上条「どっから仕入れた知識だそれ!」

御坂「あはは!じゃあ、私は用があるからもう行くわね。じゃあ」バイバイ

上条「おう…………ったく。わっけ分かんねえ。急に怒るわ黙るわ……ん?」

御坂妹「」チッチッチッ

黒猫「」ブルブル

上条「(御坂が去ってまたミサカ……)うっす。昨日はさんきゅーな」

御坂妹「謝礼が目的ではありません。とミサカは返答します」ササッ

上条「その菓子パン猫にやるんだろ?エンリョせずにやればいーじゃん」

御坂妹「別に、そういう訳では……。……不可能です」

上条「はい?」

御坂妹「ミサカはこの猫にエサを与える事は不可能でしょう。と結論づけます。ミサカには一つ致命的な欠陥がありますから」
625 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/08(土) 23:58:28.50 ID:RsghO+iSO
上条「欠陥って嫌な言い方すんなよ……」

御坂妹「いえ欠陥で適切です。ミサカの体は常に微弱な磁場を形成します。人体には感知できない程度ですが――」

黒猫「」ビクビク

御坂妹「他の動物には影響があるようです」

上条「ふーん。つまり御坂妹は磁場のせいで動物に嫌われやすいって事か?」

御坂妹「嫌われているのではありません。避けられているだけです。とミサカは訂正を求めます」

上条「(…………可哀相になってきた…………)」

御坂妹「と、言う訳です。エサはあなたが与えなさい。と、ミサカは促します」

上条「お、俺が?」






上条「おぉーい結局このパターンかよ!!」ネコダッコ

黒猫「ニャー」

上条「こうなりゃ一匹も二匹も同じか!?大体ウチの寮ペット禁止なんですけど」

御坂妹「…………」

上条「そうだ名前。こいつお前の猫なんだから責任持ってお前が決めろよ」

御坂妹「……ミサカの、猫?」

上条「そう、お前の!」

御坂妹「いぬ」キッパリ

上条「」
626 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/08(土) 23:59:16.61 ID:RsghO+iSO
御坂妹「いぬとミサカは命名します。……猫なのに、いぬ」フフッ

上条「マジメに……てか大真面目なんだろうけど、もっと威厳あるのにしてやれよ!!」

御坂妹「では徳川家康と」

上条「偉すぎ!」

御坂妹「ではシュレディガーと……」

上条「あ、ちょっと寄ってくわ」

御坂妹「本屋ですか」

上条「お前も見たろ?うちの修道服。ノミ取りと称して通路で焚火するやつだからなー。正しい知識を仕入れてやらねば。んじゃ、こいつ頼む」ネコサシダシ

御坂妹「承諾しかねます。先刻申し上げた通りミサカが猫に触れることは――」

上条「パース!」ポイッ

御坂妹「!」キャッチ

上条「フツーに触れんじゃねーか。んじゃ」タタッ

御坂妹「……はあ、とミサカは溜息をつきます」コネコヲナゲルナンテ

御坂妹「(――触れなくても、ガマンしたのに)」

御坂妹「こんなに怯えられるなら――――」ハッ

少年「」ニヤァ
627 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/09(日) 00:00:24.85 ID:hpf7EQlSO
伏羲「気配を悟られぬ上に監視カメラの類にも写らぬ始祖の能力とはやはり便利なものよ。さて」

伏羲「どうして凍結されたはずの『妹達』が再開されたのか……」カタカタ

伏羲「おお、難航するかと思いきやすぐ見付かったのう。外部からのハッキングではなく内部から直接覗いたからか」

伏羲「なになに……『絶対能力者進化(レベル6シフト)』計画?」

伏羲「『樹形図の設計者』の演算によると、『絶対能力者』へと進化できるのは学園都市第一位の『一方通行』のみで、通常のカリキュラムなら250年もかかると。また『樹形図の設計者』か」

伏羲「しかし250年は時間がかかりすぎる故に、再演算」

伏羲「結果、第三位の『超電磁砲』を128回殺すことで『絶対能力者』になると。何故第二位では無いのだ?うーむ、まあよい。先に進むか」

伏羲「しかし第三位を128人も用意出来ない。当たり前だのう。そこで再演算したところ、『妹達』20000人で代用、と」
628 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/09(日) 00:01:52.27 ID:hpf7EQlSO
伏羲「ふむ、これで『妹達』が何故生まれたかは分かった。しかしまあ、十中八九真の目的は別のところにあるであろうな」

伏羲「さて、次は実験によっての一方通行の能力の伸び率だが……」カタカタ

伏羲「…………10030の実験を経て、変化無しか」

伏羲「半分を切っておるのにこの状態とは、やはり『絶対能力者』への進化はダウト。もっと別の目的があるはずだ」

伏羲「次は一方通行の経歴だな。何を思ってこの実験に荷担したのか……」

伏羲「……こやつ、向かってきたスキルアウトに対して『迎撃』してはおるが、『殺害』はしておらぬ……?」

伏羲「少なくとも初めから殺人鬼では無いのだな。もっと詳しく調べるか」




伏羲「ふむ、一方通行は能力が発現した時から『超能力者』。発現時の暴走を鎮圧すべく学園都市の軍隊が出動した」

伏羲「所属は長点上機。今まで特別クラスにいた為級友と呼べる者は存在しない。故に人との関わりが希薄」

伏羲「犯罪は犯したことは無い。『絶対能力者進化』の第一次実験が初の殺人」

伏羲「しかし、自分から殺しに向かったのではなく、『妹達』の不意打ちで放った弾丸を反射した結果」

伏羲「それまでは弾丸を逸らし続けていた」
629 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/09(日) 00:02:55.93 ID:hpf7EQlSO
伏羲「…………ふむ、使える情報はこのぐらいか?」

伏羲「能力が発現したと同時に暴走、とあったが、映像を見る限りあれは怯えてただけに見えたのう」

伏羲「自分の力が何か分からず、近寄る者が皆傷付き、発砲されたと思ったら相手が倒れてる。そうこうしているうちに戦車やヘリコプターが出動する。九歳の子供には恐怖でしかないだろうな」

伏羲「それに実験のことだが、最初は殺すつもりなど無かったのだろう」

伏羲「しかし次の実験からは躊躇なく殺めているところから、吹っ切れたのか?それとも……」

伏羲「……ふむ、学園都市上層部のねらいが『一方通行に20000人殺させること』なのか、『妹達を生み出すこと』なのかで実験を中止に追い込める確率がだいぶ変わるが、今はなんとも言えぬな」

伏羲「うむ、上条ならできるであろう。能力の無力化ぐらいならわしも出来るが、一方通行の実験は恐らく統括理事長も見ておる可能性があるからな。変に事を起こさぬほうがよいだろう」

伏羲「しかし、第一位か」

伏羲「宝貝の力を身に植え付けし者の頂点、果たしてどのような者なのかのう」 
 
 
662 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/24(月) 02:18:21.30 ID:yCUERwuSO
――とある実験



――――『一方通行』は果たしてナニをやってるでしょォかァ!?

――――反射ァ?

――――残念。そいつも合ってンだけど俺の本質とは違うんだよねェ!

――――っははァ!答えは『向き(ベクトル)』変換でしたァ~!!

――――デフォじゃ『反射』に設定してあるけどなァ!

――――だからよォ、オマエらの使う弾丸や電撃はおろか核ミサイルが直撃しようとも傷ひとつ付かねェンだわコレが、。

――――こいつを使うとさァ、こんなこともできるンだぜ?

――――俺は今血に触れている。

――――この血の『向き』を逆流させると、人間の体はどうなっちまうでしょうかァ?

――――正解者には安らかな眠りを♪
663 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/24(月) 02:20:21.21 ID:yCUERwuSO
上条「ん?」

黒猫「ウニャァ」

上条「ひとりか?御坂妹はどうした?」ダッコ

黒猫「ニャァ」

上条「……御坂妹のローファー?何で、片っ方だけ転がって――――」


路地裏


上条「おーい、そこにいるのかー?」キョロキョロ

上条「ミサ……」ジャリ

上条「(何だこれ、……ん?あの、赤いのは)」

??「」

上条「み、さ……か……?」

妹?「」

上条「」ヒュッ

上条「何だ、これ……」

上条「嘘、だろ?」

上条「だって、さっき、子猫を押し付けてやったとき」

上条「無表情な御坂妹の、口元は」

上条「笑ってるように、見えたのに……」ハッ

上条「(あの、ピンクと、白と、黄色の、ぶよぶよしたものって……)」

上条「うっ……ぐ、うぇっ……」

上条「(吐くな――御坂妹だぞ、アレは――――)」

上条「(…………血が、まだ乾いてない)」

上条「(事故?いいや、どう見たってこれは――)」

上条「(御坂妹は殺された。ほんの十数分の間に人一人をここまでにできる誰かに――)」
664 : ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/10/24(月) 02:25:35.90 ID:yCUERwuSO
上条「――能……力者……」



上条「もしもし、すぐ来てください」

上条「人が、死んでいます――――」


警備員「『警備員(アンチスキル)』だ。通報者は君かね?」

上条「はい」

警備員「少しで良いから中の様子を説明してくれると助かるんだが」

上条「……女の子、が。全身、ズタズタに引き裂かれた感じで。
……凶器とかは分からないです。もしかしたら何かの『力』なのかも」

警備員「……」

上条「その子、俺の知り合いなんです」

上条「出会って二日ぐらいしか経ってないけど、昨日も一緒にジュース運んでもらって」

上条「それが……何で、何だってこんな……っ、俺があの子を一人にしたから……!!」

警備員「もう良い、落ち着いて。君はできる限りのことはした。」

警備員「本来なら発見者にも同行してもらいたいところだが、どうする?」

上条「…………」

上条「行きます」


警備員「」ザッザッ

上条「……」

警備員「」ザッザッ

上条「…………?」
665 : ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/10/24(月) 02:27:04.97 ID:yCUERwuSO
警備員「どうかしたかね」

上条「いえ」

上条「(何か、違和感が……)」

警備員「照らすぞ!」パッ


上条「な……何もない……?」

警備員「君――」

上条「そこです!!」ビッ
上条「そこに死体が、あったはず、なんですけど……」

警備員「…………」

警備員「おい、いい加減にしないか。我々だって悪ふざけにつきあってるほど暇じゃないんだぞ!?」

上条「まっ、待ってください!ホントにここで人が死んでたんですよ!!」

警備員「……分かった。君の見たモノが本物だとして、それは間違いなくこの場所なのか?
記憶が混乱して他の場所と勘違いしているという事は考えられないか?」

上条「ッ」ダッ

警備員「君!」


上条「(どうなってるんだよくそっ!『アレ』が全部幻覚だってのか!?)」

上条「御坂ッ」バッ

シーン……

上条「……ほんとに何もないのかよ……」
666 : ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/10/24(月) 02:28:16.22 ID:yCUERwuSO
上条「か、勘弁してくれ~」ハァー

黒猫「ニャァア」

上条「ああ、ゴメンな怖がらせて」

ザリッ

上条「ッ誰だ」

御坂妹「………」

上条「御坂、妹」

御坂妹「申し訳ありません。作業を終えたらそちらへ戻る予定だったのですが、と」

上条「無事だったのか!!」

御坂妹「……」

上条「あー悪い!お前にとっちゃ気分悪い話だろうけどさ、今の今までお前が危ない目に遭ってるんじゃないかって思ってたんだ!」

御坂妹「…………」

上条「けど良かった!なんともないみたいだし」

御坂妹「……あなたの言動には理解しがたい部分があるのですが」


御坂妹「ミサカはきちんと死亡しましたよ。とミサカは報告します」

上条「」ギクリ

御坂妹「……」

上条「(何だ、御坂妹の抱えてる荷物から、細い糸の束が――)」ハッ

上条「ちょ、ちょっと待て!お前一体何抱えてんだ?その寝袋何が入ってんだよ!」

??「その寝袋に入っているのは『妹達』ですよ、とミサカは答えます」

上条「!?」
667 : ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/10/24(月) 02:29:16.54 ID:yCUERwuSO
??「黒猫を置き去りにした事については謝罪します」コツ

御坂妹「……」

御坂妹?「……」

上条「(御坂妹がふた、り――)」ズザッ

??「ですがミサカの都合で動物を巻き込むのは気が引けました、とミサカは弁解します」

上条「(さんに――)」ギョッ

??「『実験場』に入っている時点で関係者かと思いましたが」

??「どうやらあなたは完全な部外者のようですね」

??「詳細は機密事項となっているため説明できませんが」

??「『「実験」の残骸の後始末をしていただけです』とミサカは補足しておきます」

上条「――――」

「ここにいるミサカは全てミサカです「警備員に通報したのもあなたですね、とミサカは確信します」ミサ」

「どうやらあなたには無用な心配をかけてしまったようですね」ミサカは」

「アドレナリンの分泌」

「心拍数が」

「ミサカ「血液なら凝固剤を使えば一分前後で固められると――」

「発汗量の上昇「を確認しました」

「サカ「黒猫は大丈夫でしたか」事件性はありませんとさらにミサカは補足して」

「ミサカは」

「ミサカ」

「ミサカは問い」

「ミサカ」

「ミサカ」

上条「――――」
668 : ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/10/24(月) 02:30:31.99 ID:yCUERwuSO
御坂妹「――現在あなたは極度のストレス状態にある、とミサカは判断します」

上条「ッ」

御坂妹「心配なさらずとも今日まであなたが接してきたミサカは検体番号10032号。つまりこのミサカです」

御坂妹「『ミサカ』は電気を操る能力を応用し、互いの脳波をリンクさせています。
他のミサカは10032号の記憶を共有しているにすぎません」

上条「ミサ――、……お前は、『誰なんだ?』」

御坂妹「学園都市に7人しか存在しない超能力者。
『お姉様(オリジナル)』の量産軍用モデルとして作られた体細胞クローン」

御坂妹「『妹達』ですよ」

上条「――――」
669 : ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/10/24(月) 02:31:26.13 ID:yCUERwuSO
御坂妹「本実験にあなたを巻き込んでしまった事には重ねて謝罪しましょう。とミサカは頭を下げます」クルッ スタスタ

上条「――ま、待て……」

妹達「」グルッ

上条「っ」

妹達「」スタスタ

上条「…………」




上条「バス……来たな。こんな時間でも通ってるとか、流石名門私立」

上条「(インデックス、腹すかしてねーかな。いざというときは太公望が桃あげると思……いや、どうだろう)」

――――アンタ、どうしてこんな所ブラブラしてんのよ!!

上条「(あいつ――全部知ってたのか?)」

バス<ツギハトキワダイチュウガクガクセイリョウマエー

上条「……」ゴクリ


上条「(えーっと、御坂は208号室か)」キョロキョロ

上条「…………」

上条「(208、と)」カチッ

インターホン『――はい?』
670 : ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/10/24(月) 02:32:16.69 ID:yCUERwuSO
上条「……上条だけど、御坂か?」

インターホン『はあ、カミジョーさんですの?』

上条「あ、やべ。部屋間違えたか?」

インターホン『いえいえ。お姉様でしたらすぐお戻りになられるかと。
ご用がおありでしたら』

扉<バキン ギィィィィィ

インターホン『中に入って待つことをお勧めしますわ』


上条「……」キョロキョロ

上条「スッゲー。シャンデリアだ……」キョロキョロ

上条「208……あった」コンコン

「どうぞ。鍵はかかってませんのでお入りになって」

上条「」ガチャ

黒子「――あら?」

黒子「…………」ウッワー

上条「昨日の!えっとたしか……しろくろ……」

黒子「白井黒子ですわ殿方さん。お姉様とは相部屋ですの。で!」

上条「?」

黒子「やってくれますわね!?お姉様をつけ回すに飽き足らず、部屋にまで押しかけてくるなんて!!」
671 : ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/10/24(月) 02:33:26.76 ID:yCUERwuSO
上条「お、押しかけ!?違う違う!そんなんじゃねーよっ!!」アタフタ

黒子「あ゙あ゙あ゙ーわたくしとしたことが大失態ですのーッ!
こんな馬の骨をわたくしとお姉様の愛の巣に招き入れてしまうなんてー!!」

上条「……御坂は?いつ帰ってくるんだ?」

上条「(そういえば、あいついつも一人で何やってんだ?
夜遊び――って感じでも無かったけど)」

黒子「…………つっ立ってないで腰掛けたらどうですの!隣のベッドなら空いてますわよ」

上条「いいのか?勝手に」

黒子「ご心配なく。そちらはわたくしのベッドですの。でもっ!!
お姉様のこのベッドだけは!!譲れませんわよ!!」ハァハァ

上条「あぁ……そうですか」

黒子「――それで、あなたはお姉様と頻繁に諍いを起こしている殿方でよろしいんですの?」

上条「諍いっつーか、あっちが勝手にビリビリしてきてだな……」

黒子「ふーん?ま、噂の『あの馬鹿』さんとは、一度じーっくりお話したいと思ってましたの」
672 : ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/10/24(月) 02:34:42.08 ID:yCUERwuSO
上条「ば……あいつそんな事言ってたのか」

黒子「ですの」

――――あーもうムカつく!!あの馬鹿!!

――――ったく逃げ足だけなら『超能力者』並よね。私の渾身の一撃も効果なしよ?なんなのあの馬鹿

――――でさ、あの馬鹿ってば自販機にさ~、聞いてる?黒子

黒子「――と折りに触れ、そりゃもー楽しそうに!」

上条「(そーとー嫌われてんなこりゃ……)」ショボン

黒子「まったく、こんなのを支えにしなくてもお姉様の力になりたい人間ならここにもいますのに!」

上条「ってか目の敵にしてるだけだろ?」

黒子「チッ、不粋ですわねー。おさるさんにも理解できるように言いますわよ!?」

黒子「『超電磁砲』御坂美琴は学園都市第三位にして常盤台のエース。
選ばれた存在であるお姉様は人の輪の中心に立つことはできても、
輪の中に混ざることは出来ない」

黒子「そんなお姉様にとって重要なのは、『自分を対等に見てくれる存在』」

上条「……」

黒子「とまあ、こんな所だと思いますのよ」
673 : ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/10/24(月) 02:36:00.96 ID:yCUERwuSO
上条「(――自販機に蹴り入れるふざけた『お嬢様』。
異常な「実験」の『協力者』)」

上条「(どっちが本当の御坂美琴なんだ――?)」

??「」コツコツ

上条「(帰ってきた!?)」

黒子「……まっずい。寮監の抜き打ち巡回のよつですわね!」

上条「え?」

黒子「本来なら男子禁制ですので、見付かると大変なことになりますわ!
その辺に隠れていてくださいの!」ボソボソ

上条「隠れるったって……」ボソボソ

黒子「ええい面倒臭い!もう『空間移動』で――」ボソボソ ガシッ

上条「………」

黒子「……あら?あなたどうしてわたくしの力が働かないんですの?」

上条「そりゃ多分俺の右手が……」

コンコン

黒子「!!早く大人しくベッドの下にでももぐり込んでろですの!!」

上条「うわっと」バタバタ

ガチャッ

寮監「白井。夕食の時間だ、食堂へ集合せよ」

黒子「はぁーい」
674 : ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/10/24(月) 02:37:17.14 ID:yCUERwuSO
寮監「――御坂は?」

上条「(せっ、狭い……ん?ヌイグルミ?御坂のか?……?首元から、書類が何か――)」

『量産異能者「妹達」の運用
超能力者「一方通行」の』

上条「これは――」





御坂「……どうして、こんなことになっちゃったのかな」

御坂「私にできる、これ以上ひとりも犠牲者を出さない手段……」

御坂「でも……それでも止まらなかったらもう……」

御坂「…………て」

御坂「たすけてよ……」ギュッ

ミャー

御坂「(……ネコ……?)」

上条「何やってんだよ、おまえ」



御坂「――――」

御坂「……フン。何よいきなり。何してようが私の勝手でしょ?夜遊び程度でアンタにとやかく言われる筋合い――」

上条「やめろよ」

御坂「やめるって何を?今更夜歩きぐらいで……」

上条「」ガサッ

御坂「ッ(実験の、レポート……)」

上条「御坂妹の事も『妹達』の事も『実験』の事も『一方通行』の事も知ってるから、だからお互い無駄な事は省こうぜ」
675 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/24(月) 02:38:38.01 ID:yCUERwuSO
御坂「…………あーあ。アンタ何者よ?昨日私のクローンに会ったばっかでもうそこまでたどり着くなんて、探偵になれるわよ?」

御坂「でもそれ持ってるって事はアンタ私の部屋に勝手に上がり込んだのよね?ぬいぐるみん中まで探すなんて、死刑よ死刑」

上条「……」

御坂「それで、アンタは私が心配だと思ったの?それとも許せないと思ったの?」

上条「――心配したに決まってんだろ」

御坂「……ぁ……ま……、ウソでもそう言ってくれる人がいるだけ、マシってとこかしら……ね」

上条「ウソじゃねえよ」

御坂「な、に?」

上条「ウソじゃねえっつってんだろ!」

御坂「――――」

上条「…………」

御坂「――あの子達、ね、平気な顔で自分達の事を『実験動物』って言うのよ」

上条「……」

御坂「『実験動物』。ラットやモルモット。研究の為に身体中弄くられて、用済みになったら焼却炉へ」

御坂「あの子達はね、『実験動物』ってのがどんなものかを正しく理解してる。
分かっていながら自分達の事を『実験動物』って呼んでるのよ」
676 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/24(月) 02:39:25.49 ID:yCUERwuSO
御坂「そんな状況を生んだ原因は私。だからあの子たちは私の手で助け出さなきゃいけないの」スッ

上条「……どこに行く気だ?」

御坂「今夜も実験は行われる。その前に私の打てる手で、一方通行に『決着』をつけてくるわ」

上条「……」スッ

御坂「……?何よ」

上条「勝てるのか?」

御坂「…………」

上条「コイツには185手でお前が死ぬっていう『樹形図の設計者』の予測演算が書かれている。
本当に一方通行ってヤツに勝つつもりで行くのか?」

御坂「……そうね。残念だけど私じゃ逆立ちしてもアイツには歯が立たない。だけど、」

御坂「私にそれだけの価値がなかったら?」

上条「――――」

御坂「最初の1手で私が負けて、185手で私が死ぬっていう予言を覆したら。
それを見た研究者達が『妹達』の計画のシミュレーションを見直すとしたら」
677 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/24(月) 02:40:16.07 ID:yCUERwuSO
御坂「こんな私にもまだ使い道が残ってるんじゃない?」

上条「……お前、死ぬ気なのか?そんな事で計画が止まるとでも思ってんのか?」

御坂「ええ。あの計画は私に当て馬になる程度の力はある事を前提にしてる。
なら私が最初の1手で敗北して、地を這って尻を振って無様に逃げ転がる事しかできなかったら?」

御坂「研究者達はきっとこう思う」

伏羲「素体がこの程度ならクローンにはもっと価値が求められない。
維持する必要も見いだせないし、即刻廃棄処分をするか、別の人体実験に回すべきだ、とな」

御坂「!?」

上条「た、太公……エバラ!?何でここに……」

伏羲「上条がまた厄介事に首を突っ込む気配がしてのう。場所が分かったのは、『超電磁砲』が『電撃使い』であることと、
学園都市の風力発電の風車は、風が無くとも周囲の電気に影響されて動く性質を照らし合わせて探し出したのだ」

御坂「アンタ、昨日の……。何よ、急に出て来て。何の用なの?」バチッ

伏羲「放っておくと上条が無闇に突撃していらぬ傷を負いそうでな。こちらの被害を抑えつつ実験を終了させる方法を伝えに来た」
678 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/24(月) 02:41:49.54 ID:yCUERwuSO
御坂「…………は?な、によ、そんな、都合の良い話が……」

伏羲「あるのだよ。わしらには、一方通行ですら反射できぬ――能力が通じぬジョーカーがおる」

御坂「能力が通じない……ま、まさか」クルッ

上条「あ、ああ。俺の『幻想殺し』なら、神様の奇跡だって打ち消せる。一方通行の能力だって、例外じゃないぜ!!」

御坂「だ、駄目!!そんな、でも、無理よ!アイツは私なんかとは次元が違うのよ!?」

伏羲「しかし、一方通行は他の人間には無いバッドステータスを負っておる」

上条「?」

御坂「そんなのがある訳……」

伏羲「よいか?あやつは小さな頃に能力が発現し、その時からずっと『反射』をに守られて生活しておった。
転んでも膝はすりむかない。どこかにぶつけても、痣になることは無い。つまり――」

上条「――もしかして、メチャクチャ打たれ弱い?」
679 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/10/24(月) 02:43:14.72 ID:yCUERwuSO
御坂「」ハッ

伏羲「そう。そして恐らく殴り合いなどの喧嘩もした事あるまい。それにまさか反射を破られるとは思いもせぬであろうから、間違いなく混乱する。
上条が右手で反射を破った瞬間、確実に相手の動きが鈍るから、ひたすら右手で殴打してやれ」シュッシュッ

上条「お、おお!何かむちゃくちゃ簡単に思えてきた!!」

伏羲「油断はするなよ。近付くまでが勝負だ。遠くからひたすら物を投げられたらかなわんからのう」

上条「うっ、分かってますのことよ」

御坂「……うそ。こんな、こんなことって……」

上条「何だ御坂、まだそんな事言ってんのか?大丈夫、泥舟に乗った気持ちで構えてろって!!」

御坂「馬鹿、それじゃ沈むでしょ……」グスッ

伏羲「さあ、ゆくぞ。実験開始まで時間が無いからな」

御坂「ええ」

上条「ああ!」 
 
 
680 : ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/10/24(月) 02:44:00.26 ID:yCUERwuSO
以上、ここまで。

うーむ、もしかしたら書き直すやもしれません。

何かあればどうぞ

では、書き溜めが出来次第来ます 
 
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/24(月) 02:52:46.85 ID:STOZXR6SO


 
 
714 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/01(火) 23:47:24.18 ID:PKl2/AmSO
――――のう、おぬし。

――――おぬしは――――



御坂妹「…………」

御坂妹「(何だったのでしょう、夕方にエバラと名乗る男が残したあの問い掛けは。とミサカは思案します)」

御坂妹「(ミサカ達は実験動物。ボタンひとつでいくらでも作れる模造品)」

御坂妹「(絶対能力進化で殺される為に生まれてきたミサカに、あんな問い掛けをするとは――――)」

??「よォ」

一方通行「お前が次の実験のダミー人形って事で構わねェンだな?」

御坂妹「はい。ミサカの検体番号は10032号です、とミサカは返答します」

御坂妹「現在時刻は午後8時28分7秒。あと1分53秒で実験を開始します」

一方通行「チッ、1万回も繰り返してっとイイ加減飽きが回ってくるよなァ。
まァ俺が強くなる為の実験に付き合わせてる身で言えた義理じゃねェンだけどさ」

一方通行「ちっとは何か考えたりしねェのか。この状況で」

御坂妹「……午後8時30分。これより第10032次実験を開始します」ザッ


715 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/01(火) 23:49:36.91 ID:PKl2/AmSO
一方通行「ハッ、のこのこ歩いてきやがって、ンなに痛みが好きならたっぷり鳴かせてやるから喉飴でも舐めてろ!!」ダッ

御坂妹「」バッ

一方通行「あァン?チョロチョロ逃げ回りやがって、この後におよんで時間かせぎかよ!無駄だっつってンだろォが!!」ハァッ

御坂妹「」パチチッ パリッ

一方通行「(妙に息が……?)」ゼェッ

御坂妹「今夜は風が無いのですね。ならばミサカにも勝機があるかもしれません、とミサカは言い捨てます」パチッ

一方通行「はァン、なるほどね。酸素(O2)を電気分解してオゾン(O3)にってかァ?」

御坂妹「……」パチッ

一方通行「だ・け・ど」

御坂妹「ッ」

一方通行「オマエが追いつかれちまったらお終いだよなァ!?」ドンッ

御坂妹「(一瞬で……ッ)」

一方通行「おら、死ぬ気で避けねェと。ホントに死んじまうぞ?」トンッ

御坂妹「がっ……」ドッ!! ズザザザザッ

一方通行「……おい。この場合『実験』ってなァどォなっちまうンだ?」

「離れろ」

ザッ

上条「御坂妹から離れろっつってんだよ」

伏羲「……」ザッ

御坂「一方通行……ッ」ギリッ


716 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/01(火) 23:50:22.20 ID:PKl2/AmSO
一方通行「はン、オリジナルに……ありゃオマエの知り合いかよ」

御坂妹「…………」

御坂「アンタ、私の妹に!!」バチバチッ

伏羲「待て御坂。おぬしの電撃の出番はここではない」スッ

一方通行「おいおい頼むぜ。関係ねェ一般人なンざ実験場に連れ込ンでンじゃねェよ」

一方通行「秘密を知った一般人の口は封じるとかってェお決まりの展開かァ?くそ後味悪ィな。
なンせ使い捨ての人形じゃなくてマジモンの人間――」

上条「ぐちゃぐちゃ言ってねぇで離れろっつってんだろ三下!!」

一方通行「」ピクッ

上条「」ギッ

一方通行「――へェ。オマエ、面白ェな」

御坂妹「な……にを、やってるんですか、とミサカは問い掛けます」

上条「…………」

御坂妹「ミ、サカは、いくらでも替えを作ることができる、模造品です」

――――御坂……妹?

――――昨日はさんきゅーな!

――――無事だったのか!お前が危ない目に遭ってんじゃないかって思ってたんだ

御坂妹「そんなもののために、何をしようとしているのですか、あなたは――――」

上条「黙ってろ」


717 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/01(火) 23:51:39.21 ID:PKl2/AmSO
御坂妹「っ、ミサカは必要な器材と薬品があればボタン一つでいくらでも自動生産できるんです。
作り物の体に、借り物の心。単価にして18万円。
在庫にして9968体の余りあるモノのために『実験』を中断するなど――――」

御坂「そんな言い方――」

上条「関係ねぇよ」

上条「俺はお前を助ける為にここに立ってんだよ。
作り物の体とか、いくらでも替えがきくとか、そんな小っせぇ事情なんてどうでもいいんだ」

上条「お前は世界でたった一人しかいねぇだろうが」

御坂妹「――――」

上条「だから、勝手に死ぬんじゃねぇぞ。お前にはまだまだ文句が山ほど残ってんだ!」

御坂妹「……あ…………」

御坂妹「…………今、分かりましたよ。あなたのメッセージの意味が」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・



伏羲「(ふむ、10032号のことは上条に任せて、と)
さて、一方通行よ」

一方通行「あン?」

伏羲「おぬしは何故絶対能力者を目指すのだ?」


718 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/01(火) 23:52:10.75 ID:PKl2/AmSO
一方通行「オマエに話す義理はねェだろ」

伏羲「別に隠す必要もあるまい?」

一方通行「……チッ、俺はよォ、この街で一番強い能力者だし、そいつはつまり世界最強って事なンだろォけどさァ、
結局は『まだ最強止まりなンだよ』」

伏羲「最強では駄目なのか?」

一方通行「あァ駄目だね。『最強』じゃァ足りねェ。
『挑戦しよう』と思うのも馬鹿馬鹿しいぐらいの、
『戦おう』って思うことすら許さねェほどの、絶対的なチカラ。それが『無敵(レベル6)』なンだよ」

伏羲「ふむ、なるほど。では、『絶対的なチカラを手に入れておぬしは何がしたいのだ?』」

一方通行「……はァ?」

伏羲「『無敵』がどういうモノかは分かったが、肝心の『おぬしがどうしたいか』が分からなくてのう。良ければ教えてもらいたいのだが」

一方通行「それは、決まって――――」

一方通行「(――――あれ?)」

一方通行「(俺、は――――)」

一方通行「(どォして、『無敵』に――――)」


719 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/01(火) 23:54:09.04 ID:PKl2/AmSO
御坂妹「…………きたい」ポソッ

伏羲「む?」

御坂妹「……あなたの問いの、答え、です。生きたい、生きたい、です、と、ミサカ、ミサカは――――」

一方通行「」ピクッ

御坂「あ、あん……た……?」

御坂妹「ミサカは、そうです、ミサカは、お姉様と沢山お話して、いぬの世話をして、恋をして、ミサカは、ミサカは――――」

伏羲「………」

一方通行「――――」

御坂妹「死を待つだけの人形は、嫌です!と、ミサカは高らかに宣言します!!」

一方通行「ッ」

上条「っよし!よく言った!!」ガシガシ

御坂妹「、わっ」

御坂「あ、あんたって子は……!!」グスッ

伏羲「……一方通行」

一方通行「…………」

伏羲「もう一度問おう。『無敵になっておぬしは何がしたいのだ?』」

一方通行「………………」

――――誰も近付かなければいいと思った。

――――自分の能力は、悪意が無かろうとも、触れる者皆傷付けるから。

――――皆が恐れる最強になればいいと思った。

――――それでも足りなかったから、自分は――――

一方通行「……………………」

一方通行「…………もォイイ。興冷めだ。帰る」クルッ


720 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/01(火) 23:55:10.31 ID:PKl2/AmSO
上条「待てよ、『最強(サイジャク)』」ガシッ

一方通行「!?なンで掴めて……」

上条「俺の『最弱(サイキョウ)』はちっとばかし響くぞおおおおおおおおおお!!!」ソゲブッ

一方通行「げぶァッ!?」

上条「いいぜ、お前がこのまま何の落し前も無く帰ろうだなんて言うんなら……」ガシッ

一方通行「ィ、いでェ……ァ、何だその右手……!?」

上条「まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!!」ブンッ

<ギャァァァァァァァァァァァ

<コレハミサカイチゴウノブン!!コレハミサカニゴウノブン!!

御坂「」ポカン

伏羲「よく言ったな、10032号よ。あの言葉で一方通行の心を揺さぶることが出来た」 コレハミサカサンゴウノブン!コレハミサカヨンゴウノブン!

御坂妹「…………思えば、」 グッ、ガッ、ゴッ、モ、モォ……

伏羲「む?」 コレハミサカゴゴウノブン!コレハミサカロクゴウノブン!

御坂妹「一方通行は初めからミサカ達が何か言うことを期待していたのでしょうか、とミサカは思案します」 イ゙ッ、グゥッ、ヤ、ヤメ……

御坂「なっ、それはどういう……!!何、あんなやつの肩を持つっていうの!?」バチッ コレハミサカナナゴウノブン!コレハミサカハチゴウノブン!

御坂妹「いえ、そういう訳ではありません。ただ、実験中に何度もミサカたちに話し掛けてきたのは、
今のような言葉を望んでいたからではないでしょうか、とミサカは回想しつつ推察します」 ギッ、グッ…………

 
722 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/01(火) 23:58:06.89 ID:PKl2/AmSO
御坂「何よそれ、今更本人は嫌々でした、何て言うの!?」 コレハミサカキュウゴウノブン!コレハミサカジュウゴウノブン!

御坂妹「お姉様、ミサカ達はお姉様がいたからこの世に生まれてくることが出来たのだと思っています。
それと同時に、一方通行もいたからこそミサカ達は今ここにいるのだと思います、
とミサカは自らの考えを述べます」コレハミサカジュウイチゴウノブン!コレハミサカジュウニゴウノブン!

御坂「何よそれ……アイツに殺された『妹達』は!!」コレハミサカジュウサンゴウノブン!コレハミサカジュウヨンゴウノブン!

御坂妹「……ミサカ達は、以前話した通り、殺される為に生まれた実験動物。
計画の礎以外に価値は無い。ずっとそう思ってきました」コレハミサカジュウゴゴウノブン!コレハミサカジュウロクゴウノブン!

御坂妹「――――先程、上条当麻にガツンと言ってもらう前までは」 コレハミサカジュウナナゴウノブン!コレハミサカジュウハチゴウノブン!

御坂「…………」 コレハミサカジュウキュウゴウノブン!コレハミサカニジュウゴウノブン!

 
724 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/01(火) 23:59:11.97 ID:PKl2/AmSO
御坂妹「本当に、彼には感謝しています。殺されることに何の疑問も抱かず、
当たり前だと思っていたミサカ達を変えてくれたのですから」 コレハミサカニジュウイチゴウノブン!コレハミサカニジュウニゴウノブン!

御坂妹「ですが、10031号までのミサカは死ぬことが目的であり、生存価値でした」 コレハミサカニジュウサンゴウノブン!コレハミサカニジュウヨンゴウノブン!

御坂妹「ですから、目的を果たしただけですのでミサカ達は彼を『恨んでいないのです』」 コレハミサカニジュウゴゴウノブン!コレハミサカニジュウロクゴウノブン!

御坂「……は、なにそれ、どう、いう……」 コレハミサカニジュウナナゴウノブン!コレハミサカニジュウハチゴウノブン!

伏羲「…………」 コレハミサカニジュウキュウゴウノブン!コレハミサカサンジュウゴウノブン!

御坂妹「すみません。ミサカ達の知識や感情は『学習装置』で焼き付けたもの。
まだ未熟ですし、お姉様たちとは考えがズレているかもしれませんが、これがミサカなのです」 コレハミサカサンジュウイチゴウノブン!コレハミサカサンジュウニゴウノブン!

 
725 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/02(水) 00:00:10.82 ID:JHtJzicSO
御坂「でも……っ!!」 コレハミサカサンジュウサンゴウノブン!コレハミサカサンジュウヨンゴウノブン!

伏羲「御坂、気持ちは分かるが10032号を否定してやるな」 コレハミサカサンジュウゴゴウノブン!コレハミサカサンジュウロクゴウノブン!

御坂「っ……分かったわ。でも、私は絶対一方通行のことを許さないから!!」 コレハミサカサンジュウナナゴウノブン!コレハミサカサンジュウハチゴウノブン!

御坂妹「はい、お姉様。ありがとうございます」 コレハミサカサンジュウキュウゴウノブン!コレハミサカヨンジュウゴウノブン!

伏羲「うむ……さて、そろそろ上条を止めに行くか。いくら何でもこのままでは上条が殺人犯になってしまう」 コレハミサカヨンジュウイチゴウノブン!コレハミサカヨンジュウニゴウノブン!

御坂妹「10031発殴り終えたときの一方通行の顔も気になりますが、とミサカは溢れる好奇心をなんとか押さえ付けます」 コレハミサカヨンジュウサンゴウノブン!コレハミサカヨンジュウヨンゴウノブン!

御坂「……アンタって結局許してるの?許してないの?」 コレハミサカヨンジュウゴゴウノブン!コレハミサカヨンジュウロクゴウノブン!


726 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/02(水) 00:01:30.65 ID:JHtJzicSO
御坂妹「それはそれ、これはこれ、とミサカは便利な日本語を使います」エッヘン コレハミサカヨンジュウナナゴウノブン!コレハミサカヨンジュウハチゴウノブン!

御坂「…………はぁー」ガクッ コレハミサカヨンジュウキュウゴウノブン!コレハミサカゴジュウゴウノブン!

伏羲「おい上条、その辺にしておけ」

上条「これはミサカ00051の……って、止めるな太公望!まだ一割も――!!」

伏羲「やめんかいっ!」ゴツンッ

上条「ってえ~!!」ジンジン パッ

一※通行「」ドサッ ピクピク

伏羲「やりすぎだダアホ」

上条「うっ……ごめん。今までのミサカの仇をとろうと思ってさ」

伏羲「物事にも限度があるっちゅーに……よっと」ヒョイッ

上条「?一方通行を背負ってどうすんだ?」

伏羲「どっかの誰かがやりすぎたから病院に連れて行くのだ。では、腹を空かせた禁書目録は頼んだ」ヴンッ

上条「えっ、ちょ、待って!さらっと爆弾発言を残して行くなー!!」イカナイデー!


727 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/02(水) 00:02:26.40 ID:JHtJzicSO

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


一方通行「…………ン?」パチッ

伏羲「おお、目が覚めたか?」

一方通行「!?」ビクッ

伏羲「何もそう驚くでないよ」

一方通行「…………ココは何処だ」

伏羲「病院だよ。おぬしは上条にしこたま殴られてのう」

一方通行「……何の用だ」

伏羲「…………のう、一方通行」

一方通行「…………」

伏羲「わしとメアド交換をせぬか?」スッ

一方通行「…………ハァ?」

伏羲「ここで会ったのも何かの縁。別にメールアドレスなどすぐ変えられるし、交換しても構わぬだろう?」

一方通行「交換して何の得になンだよ」

伏羲「損にもなるまい?」

一方通行「何の為に」

伏羲「友になる為に」

一方通行「……それマジで言ってンのかァ?だとしたら脳内お花畑ってレベルじゃねェだろ」

伏羲「マジも大マジだ。別によかろう?」

一方通行「よくねェ」


728 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/02(水) 00:03:15.16 ID:JHtJzicSO
伏羲「どうして?」

一方通行「当たり前だろ」

伏羲「何が当たり前なのかさっぱり分からぬな。という訳で」ピピッ

一方通行「ちょ、何勝手に人の携帯使ってンだよ!!」

伏羲「にしても、電話帳が4件……しかも全てが研究所関連とは」アワレミ

一方通行「勝手に覗き見てンじゃねェよ!!返せ!!!!」

伏羲「病院」シー

一方通行「何だ何だよ何なンですかァこの釈然としねェ感じ」イラッ

伏羲「まあよいであろう。わしの名はエバラ。暇な時にでもメールをしてこい。わしも暇さえあれば送り付けるからな」ポイッ

一方通行「意味分かンねェ」キャッチ

伏羲「ではまたな」ヴンッ

一方通行「…………ンだよ。ワケ分かンねェ」

一方通行「とりあえず電話帳……秘湯混浴刑事エバラァ?ふざけてンですかァ?
まァいい、削除……あン?何でパスワード認証が……ってァあ!?何でパス変わってンだァ!?クソッ、消せねェ!!だァァァァァクソがァ!!」

オシズカニー!!

…………チッ



 
 
755 : ◆KCQ8CDqDlFI5[saga]:2011/11/03(木) 12:25:01.37 ID:STHgSVpSO
一方通行「…………」

携帯<ユメノクニヲサガスキミノナヲ~♪

一方通行「」パカッ

一方通行「…………」カチカチカチカチ

一方通行「」パタン

一方通行「………………………………」

携帯<ユメノクニヲサガスキミノナヲ~♪

一方通行「」パカッ

一方通行「…………」カチカチカチカチ

一方通行「」パタン

一方通行「………………………………」

携帯<ユメノクニヲs

一方通行「だあああああうぜェ!!なンなンですかァ!?送って来すぎだろォがメール!!」パカッ

一方通行「随分ヒマ人なンですねェ!!お陰でなァンにも手ェ付けられねェっつゥの!!」カチカチカチカチ

一方通行「…………いや、予定ねェけど…………」

一方通行「アレだ、イイ加減突き放す時だな。も、う、お、く、っ、て、く、ン、な、っと」カチカチカチカチ

一方通行「よォし、送信…………」

一方通行「…………最後の一文、消すか……」カチカチカチカチ

一方通行「送信」カチッ

一方通行「………………………………」

携帯<シーン

一方通行「…………………………………………」

携帯<シーン

一方通行「………………………………………………………」ソワソワソワソワ

携帯<y

一方通行「返信の時間だぜェェェェェクッソ野郎がァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」ヒャッハー!!!!
756 : ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/11/03(木) 12:26:13.33 ID:STHgSVpSO
以上、ここまで。

ぼっちっちだった一方通行はメールをした事無いので舞い上がってるようです

何かあればどうぞ

それでは、書き溜めが出来次第来ます 
 
 
766 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/04(金) 12:49:36.63 ID:IAVZ4TQSO
どうもこんにちは。レスありがとうございます、はげみになります。

一方さんが好評でなによりです。ぼっち可愛いよぼっち。

傾国の人は出すかどうか絶賛悩み中です。どういう風に出すかもやーっとしたビジョンはあるのですが、まあ本誌の展開次第ということで。

小ネタがふっと湧いてきたので4レスほど。

では、投下します 
 
767 :小話 ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/04(金) 12:51:09.02 ID:IAVZ4TQSO
15010「じゃんけんで勝ち取ったチャンス、絶対モノにしてみせます!とミサカはここに現れるというあの人を待ちます」ソワソワ

15010「にしても青果店とは、果物が好きなのでしょうか?とミサカははやる気持ちを抑えつつ店内を見渡します」キョロキョロ ソワソワ

自動ドア<ウィィィィィィィィン

伏羲「ったく上条の奴、『モモを買うならついでに』と買い物を押し付けおって……」ブツブツ

15010「キター!!とミサカはおおお落ち着いて深呼吸すーはーすーはー……よし。あっあっあの!!」

伏羲「む?おお、おぬしは御坂……ではなく妹達か。どうした、何か困り事か?」

15010「(ゴーグル外してたのに妹達だと分かってもらえました!とミサカは歓喜に震えますイヤッホー!!)」

15010「あ、あの、ミサカは験体番号15010号と申します。そ、それで本日は、お伺いしたい事があって来ましたとミサカはなんとか用件を伝えます」

伏羲「ふむ。で、15010号よ。用件とは何だ?」

15010「(名前呼ばれちゃいました)」テレテレ
※無表情

15010「あの、あなたの細かいプロフィールを教えて下さい!とミサカはエバラ派の総意を伝えます!」

伏羲「わし派?ちょっと待て、妹達でどんな内部派閥が――――」

15010「問答無用!とミサカはあらかじめ立てられていたMNW内の質問スレを……あ、3スレ越えてら」

伏羲「」
768 :小話 ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/04(金) 12:52:09.74 ID:IAVZ4TQSO



…………………………………………………………

とあるファミレス

15010「ふむ、好物はモモを筆頭に甘味全般なのですね、とミサカはMNWに報告……あ、また質問が増えました。
それは置いておくとして、あなたは犬派ですか?猫派ですか?とミサカは――」

伏羲「もういいだろう……」グッタリ

15010「む、『立ち話はアレだから』とミサカをファミレスへ誘ったのは長期戦を見越してでは無いのですか?とミサカは質疑応答にかこつけて少しでも長く一緒にいたい事をひた隠しにして尋ねます」

伏羲「難儀な口調よのう……確かに店で立ち話はアレと言ったが、数時間も拘束されるとは完全に誤算だった。しかも1/3ほどは上条への質問ではないか」

15010「自重出来なかった上条派のミサカですね。しかし、あなたたちと会話する機会がなかなかとれないので仕方ないことだと思います。とミサカは他の妹達をフォローしつつ次の質問に入ろうとします」

伏羲「遊びに来ればよいではないか。調整さえ受ければ後は暇なのだろう?」

15010「!?!?そそそれは言外にお部屋デーtいやいや落ち着け、とミサカはヒッヒッフー」

伏羲「(妹達にも早速個性が出てきたのう、いい事だ)」

15010「で、ではあなたの住所を教えてください!とミサカは事あるごとに『空間移動』をする為どうしても特定できないあなたの住所をついに聞き出してしまいます。どきどき」ワクワク

伏羲「聞き流すぞ。わしの住所はこれこれこうで……」

15010「……ん?とミサカはある疑問に首を傾げます」
769 :小話 ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/04(金) 12:53:18.29 ID:IAVZ4TQSO
伏羲「何だ?」

15010「ここ、上条当麻の住所とぴったり同じではありませんか?とミサカは17000号の情報を思い出しつつ首を捻ります」アレー?

伏羲「おいちょっと待て、上条がおぬしらに住所を教えたという話は聞いておらぬが」

15010「スネークが一晩でやってくれました、とミサカはそれより真偽のほどを確かめたいのですが」

伏羲「……まあよい。その通りだ。わしは上条の家に居候しておる」

15010「何という盲点……!!シスターがいる事は知っていましたがまさかエバラまで……!!とミサカは……待て11801号自重しなさいあなたの妄想はいいんです自重しろ」

伏羲「ま、という訳だからいつでも遊びに来い。上条もおぬしらを心配しておったし、禁書目録も待っておるぞ」

15010「はい!とミサカはスケジュールに空きがある日は毎日突撃をしようと固く誓います」

伏羲「電車賃もあるから、財布と相談しながらだぞ。ほら」スッ

15010「?携帯がどうかしたのですか?」

伏羲「アドレスと電話番号をメモしておけ。これでいつでも連絡が出来るからな」

15010「で、電話番号ゲット……だと……?とミサカは騒ぐエバラ派を尻目に感覚共有を切ってからメモします」メモメモ

伏羲「他の妹達にも教えてやれよ。後、上条のぶんは本人に聞くように」

15010「分かりました、とミサカは前半部分を聞き流しつつメモを大事に仕舞います」

伏羲「おい」
770 :小話 ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/04(金) 12:54:08.58 ID:IAVZ4TQSO
15010「今日のところは引き止めてすみませんでした。では、そろそろ病院の門限ですので、名残惜しいですがミサカは席を立ちます」

伏羲「もうこんな時間か。今日のことはかまわぬよ。時間を持て余しておるしのう」

15010「ありがとうございます。絶対遊びに行きますからね、とミサカは宣言しつつ店を出ます。では」

伏羲「うむ。では」




15010「ふ、ふふ……ミサカだけ、ミサカだけの……」フフフ

「そうは問屋が卸しませんよ、とミサカは一人抜け駆けしようとする15010号の肩を掴みます」ガシッ

「さっきはよくも途中で感覚共有を切ってくれましたね、とミサカはもっとエバラたんの吐息を味わいたかったのにと歯ぎしりします」

15010「な、何なんですか!これはミサカはじゃんけんの末……!!」

「じゃんけんで選んだのは代表であり、代表は情報を開示する義務があります。とミサカは15010号を路地裏につれ込みます」

「切ってからの数分間のこと、洗いざらい吐いてもらいますよ。とミサカはもう片方の腕を掴み逃げ道が無い事を示します」

15010「や、やめ、ミ、ミサカはああああああああ!!!!!!」ズルズル

ギャー ウルサイデスネ、トミサカハシタウチシマス 
 
771 : ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/11/04(金) 12:56:04.87 ID:IAVZ4TQSO
以上、ここまで。

15010号は「太公望」を無理矢理こじつけてこの数字になりました。
あと二人ほど本編に絡める伏羲派の妹達が欲しいのですが、験体番号が浮かばず……いい数字ありませんかね?

10032、10033、11801、14010、17000、20000号はちろっと出るかもしれませんので、それ以外で。

あ、あと変態好きです。黒子しかりあわきんしかり10033号しかり20000号しかり変態は正義だと想います

何かあればどうぞ

それでは


793 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/06(日) 20:39:41.90 ID:IJ+/LxbSO
どうもこんばんは。レスありがとうございます、はげみになります。

ビーナス号についてあれこれ考えてたらちょっと書けたので放出します

では、投下します 
 
794 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/06(日) 20:40:59.97 ID:IJ+/LxbSO
エバラサマー!!

伏羲「っ!何だ、この思わず既視感を覚える地鳴りのような声は……」ビクッ キョロキョロ

11174「エバラさまー!!とミサカは諸手を上げて突撃します!!」ドドドドドド

伏羲「なっ!?まさかビーナsゲブゥッ」ドーン!!

11174「名乗る前から分かっていただけるとは、これが運命……とミサカは頬に手を当て体をくねらせます//////」クネクネ ムキムキ

伏羲「ふ、吹き飛ばされたわしはスルーかい……」ヨロヨロ

11174「申し遅れました、ミサカは『ビーナス号』こと11174号です。とミサカはナース服をアピールします」ムキッ

伏羲「(小麦色の肌に全身余すことなくついた筋肉、それにわしより頭ひとつかふたつ抜きん出た身長……!!何故だ!!ビーナスと名の付くものは皆筋骨隆々になるのか!?これが魔術の偶像崇拝の理論なのか!?)」タジッ

11174「おや、ミサカとお話することが恥ずかしいのでしょうか。とミサカはエバラさまに一人の女として見てもらえている事を確信します////」ムキムキ

伏羲「す、すまぬ。少し考え事をしていた……(こ、これは……個性として受け入れてやるべきなのか……)」ダラダラ

11174「もう、『婚約者(フィアンセ)』であるミサカの前で他の女性の事でも考えていたのですか?とミサカは頬を膨らまします」ムキッ

伏羲「……待て、今何と?」

11174「まさか本当に他の女性について考えていたのですか!?とミサカは憤然とします」プンプン ムキムキ

伏羲「いや、その前だ」

11174「?あなたにとってミサカはフィアンセと」ムキ?

伏羲「いつからそういう事にー!!!!」ヒィィィィィィィ

11174「前世からの運命(さだめ)ですわ。と、ミサカは何を今更と思いつつ告げます」ムキッ

伏羲「」



蓬莱島


ビーナス「太公望さまが浮気をしていらっしゃる!!」ガタッ

クイーン「馬鹿な事言ってんじゃ無いわよビーナス」

マドンナ「あああああああああ」
795 : ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/11/06(日) 20:42:50.70 ID:IJ+/LxbSO
短いですが、ここまで。

他の仙人について追い追い出す予定でしたが、まさか一番乗りが雲霄三姉妹とは……わからないものです。

本編投下は明日あたりにでも

何かあればどうぞ

それでは 
 
817 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/07(月) 22:32:31.64 ID:BsImrSmSO
私の家からも光が見えましたよ

どうもこんばんは。レスありがとうございます。はげみになります

空飛ぶ猫ピエロに関しては別に忘れなんかいませんよええ蓬莱島の仙人の中で一番乗りという意味であって本当うっかり失念してたとかそういうのじゃないんでハハハ

ちょっと短めですが放出します

では、投下します 
 
818 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/07(月) 22:33:28.97 ID:BsImrSmSO
上条「何か一方通行をフルボッコした件が学園都市中に広まってるらしいので、情報操作するからしばらく『外』に出てろって言われました」ピラッ

伏羲「学園都市はセキュリティも情報もゆっるいのう……」

禁書「外!つまり海って事だよね!?」ワクワク

上条「ああ。まあ太平洋にクラゲが大量発生してる今に海とか悪意しか感じられねーけどな」

伏羲「禁書目録はIDを持っておらぬが、わしの空間移動を使えば問題無いな」

禁書「うみ!うみ!そうと決まれば早速水着を買いに行くんだよ!!」

上条「げっ、監視がどーので親も一緒なのか……まぁいっか。んじゃ二人とも、買い物行くぞー」

禁書「浮輪も買うんだよ!!」

伏羲「モモが切れたから買い足すかの」




 * * *


海の家『わだつみ』

深夜

伏羲「モモならいくらでも食えるぞ……」ムニャムニャ

伏羲「」ピクッ

伏羲「」ガバッ

伏羲「(……何だ?……ッ)」ヴンッ
819 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/07(月) 22:34:06.52 ID:BsImrSmSO


翌日


「おにーちゃーん!起きろー!!」

上条「んん……乙姫のやつ来たのか?にしても聞き覚えのある声だったような……」

「おにーちゃーん!もー、起きてってばー!」ガチャッ

上条「はいはい今起……き…………」

御坂「?おにーちゃんどうしたの?」

上条「み、さか……?え、何でお前ここに!?しかも何だ妹キャラまで付けて!!」

御坂「何言ってるの?遅れるって言ってたじゃん、ヘンなの。じゃ、一階で朝ご飯だから」バタン

上条「……遅れるって、何だ?御坂のやつ、俺のいとこになりきってんのか?」

伏羲「…………」ヴンッ

上条「あっ、居ないと思ったら何でまた亜空間に?海の家は合わなかったのか?」

伏羲「……上条、何かがおかしいぞ」
820 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/07(月) 22:35:04.17 ID:BsImrSmSO
上条「何かがって……、!もしかして、さっきの御坂も!?」

伏羲「御坂がどうかしたのか?とにかく、今地球がおかしい……何だかあべこべな感じがするのだ。夜中に嫌な気配がしたものだから亜空間に隠れておったが……」キョロキョロ

上条「そう!どっからどー見ても御坂なのに、中身は俺のいとこの乙姫みたいであべこべだったんだよ!これって何なんだ?」

伏羲「やはり魔術かのう?うう、時々意識が遠退きそうになる……よし」

上条「?どうしたんだ?」

伏羲「仙人の力をこう、適当に使って地球の影響をどうのこうのした」

上条「アバウトすぎでさっぱり……」

伏羲「分からなくてよいよ。さて」パカッ カチカチカチカチ

上条「朝っぱらからケータイで何してんだ?」

伏羲「一方通行におはようのメール。すっかり仲良くなってのう。このままではわしに依存しそうであまりよろしくないが……」カチカチカチ ピッ パタン

上条「(一方通行がメール……まったく想像出来ない)」
821 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/07(月) 22:36:04.48 ID:BsImrSmSO
階下<オニーチャーン!

上条「今行くー!!うう、御坂ボイスでオニイチャンとは、何だか…………」

伏羲「さて、わしもモモを持って降りるか」



海の家『わだつみ』一階


上条「」

伏羲「こ、これは…………」

青ピ「おはよう、とうま、えばら」

ステイル「おう、おはようさん!このトウモロコシはまだ焼けてねえからな。おい魔黄!お客さんから注文取って適当に出しな!!」

御坂妹「ちょ、お客さんの前で適当とか言っちゃ駄目だろ父さん!」

小萌『えー次のニュースです。脱獄した死刑囚、火野神作の行方は現在も掴めていないようです』

刀夜「当麻、エバラくん、おはよう」

禁書「当麻さん、エバラさん、おはようございます」

伏羲「禁書目録が青髪ピアス、海の親父がステイル、その息子が御坂妹、上条詩菜、上条刀夜はそのままか……いやはや」
822 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/07(月) 22:37:12.75 ID:BsImrSmSO
青ピ「とうま?えばら?」クビカシゲ

上条「ぐぼあっ!あ、青ピ!お前何て――――」

伏羲「ちょっと来い」グイッ

上条「おわっ!?」

伏羲「……ここなら大丈夫か?」キョロキョロ

上条「何なんだ?」

伏羲「いいか上条、恐らくこれは魔術だ。それもテレビを見るに世界規模のな。恐らく入れ替わりでも起こっておるのだろう」

上条「入れ替わり……?んな、アホな…………」

伏羲「しかし現状を鑑みるにそれが一番妥当であろう。だから、見た目がどうであれ、本人として扱ってやるのだ……」チラッ

青ピ「」トウマモエバラモツメタインダヨー

上条「ぐっ、がっ!!くそっ、せめて女の子だったら……ッッ」

伏羲「現実を見よ、上条!!わしだってしなを作ったり舌足らずな口調のむさい男など見とうないわ!!」

上条「くっ……太公望、強く生きような。俺一人だったら挫けてたよ」
823 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/07(月) 22:38:15.61 ID:BsImrSmSO
伏羲「太公望と呼ぶなっちゅーに。まあよい。どうせ原因究明の鍵は向こうからやって来るしのう」

上条「?どういう事だ?」

伏羲「そのままだよ」ニョホホー




上条「はあ、一体どーなってんだか」

伏羲「さあのう」ムシャムシャ

上条「海来てまでモモ食わなくてもいいだろ……折角海パン穿いたんだし泳がないのか?」

伏羲「別によかろう。海の幸はなまぐさ故食えぬしな。水着なのはおぬしも同じだろうて」ムシャムシャ

上条「そこは難儀だよなー仙人って」

伏羲「燃費がいいし、モモが食えるし酒も飲めるから別に何とも」タネペッ

上条「はたから見たら明らかに未成年の飲酒だよな」

伏羲「ほっとけ。どれもう一つ……」 ヴンッ

上条「(モモを亜空間に仕舞うとか便利だけど何とも言えない)」

「うにゃー、やっと見つけたんだぜカミやーん」

上条「……ん?この声は土御門!?何で『外』に!?」クルッ
824 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/07(月) 22:39:08.10 ID:BsImrSmSO
土御門「それよりカミやん大変だにゃ……あり?」

伏羲「おお、いつだか妹が風邪ひいたと突撃した隣人土御門ではないか」

土御門「……もしかして」



神裂「見つけましたよ上条当麻!!あなたが『御天堕し(エンゼルフォール)』を引き起こしているのは分かってます!!さあ今すぐ元に戻しなさい!!」ガシッ

上条「い、いだだだっ!?ちょっとちょっと神裂さんちょっとぶりに会ったというのに随分な挨拶じゃありませんのこと!?」ギチギチギチ

神裂「!!私が『神裂火織』に見えるのですね!?決まりです、今ここで七天抜刀の錆になるか、今すぐ『御天堕し』を解除するかの選択しなさい」スラァ

上条「なっ、ちょ、どういうことだよ!?」

伏羲「落ち着け神裂。刀を抜く前にまずこのおかしな状況について説明してくれぬか?」

神裂「!!エバラ、あなたも私が『神裂火織』に見えるのですね!?さあはやく『御天堕し』を……」

土御門「まあ待つんだにゃーねーちん」

神裂「時は一刻を争うのです!魔術師にふさわしくない態度ですよ、土御門!!」

上条「……ん?えっ?」

土御門「そうそう。実はオレも『必要悪の教会』の一員なんだぜい」ニッ 
 
 
842 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/12(土) 00:34:21.01 ID:KJ2bMGcSO
上条「えっ……えええええ!?ちょ、待てよ!お前が魔術師!?」

土御門「おうよ。『学園都市(サイエンス)』ってのは『教会世界(マジカル)』の敵だぜい?
だったら敵地に潜り込んでる工作員の一人や二人いたっておかしくないだろう?」

上条「け、けど……そうだ。お前は能力開発受けてんじゃねーか。確か、超能力者に魔術は使えないんだろ?だったら……」

土御門「そうだぜ。おかげで陰陽博士として最上位の土御門さんも今じゃ魔術は打ち止めさ。
おまけにハンパに付けた能力は『無能力者』だしもうさんざん。ま、つまりこっち、
スパイの顔が土御門さんのリアルって事ぜよ」

上条「」ポカン

神裂「改めて問いますが、言っても良かったのですか?」

土御門「別に知ってて泳がされてるし、今は敢えて手の平の上で踊って様子見って事ですたい」

伏羲「で、結局『御天堕し』とは何なのだ?またもやマジュツなのか?」
843 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/12(土) 00:35:09.18 ID:KJ2bMGcSO
上条「(若干ながら太公望が魔術のこと分かってるのを知ってる身としてはすげえ白々しく感じる)」

土御門「それなんだけど……ねーちん」

神裂「はい」ギリッ

伏羲「いだだだだ急に何をするのだ!!」

上条「ちょ、何でエバラを後ろ手で拘束してんだよ!?」

土御門「現時点で最も犯人と疑わしい、いや、最早確定に近いからだにゃー」

上条「は?どういう……」

神裂「時間がありません。土御門」

土御門「ん。カミやん、エバラ。今世界規模で入れ代わりが起こってるだろ?
よく分からないけど、それは本題じゃなくて単なる副作用に過ぎないんだにゃー」

上条「副作用?」

土御門「ああ。んで、その副作用を免れたのが、なんとこの大魔術『御使堕し』の中心地にいるカミやんとエバラって訳。疑われるのは必至ですたい」
844 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/12(土) 00:36:09.75 ID:KJ2bMGcSO
神裂「上条当麻が『御使堕し』を免れたことは13時間前、私達がイギリスのウィンザー城にいた時から分かっていた事ですが……」チラッ

土御門「どういう訳か、入れ代わりを免れただけじゃなく、俺達にも認識されなかったやつがいるんだにゃー?」

伏羲「……」

上条「」ハッ

伏羲「…………つまり、わしが地球上で一番まずいのでは?ま、まさか、このまま存在が消えるとか!?」アタフタ

土御門「…………」

神裂「(顔面蒼白で冷や汗まで……とても演技には思えませんが……)」

上条「(どう考えても演技です、本当にありがとうございました)」

土御門「まあ、今まで起こったことが無い魔術だから何が起きてもしょうがないが、うーん……」

上条「ん?今までなったことが無いんなら、何で名前とか入れ代わりが副作用とか分かるんだよ?」
845 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/12(土) 00:37:28.35 ID:KJ2bMGcSO
神裂「名前は魔術の特性から便宜上そう呼んでいるだけです
。そうですね、この魔術ですが……セフィロトの樹はご存じで?」

上条「……ステイルが何か、言ってた気が……」

土御門「簡単に言うと身分階級表だにゃー。十段階あって、ぶっちゃけると
『こっからここまでが人間の領域、こっから先はカミサマの領域だから勝手に上がってくんなよ』
ってな『神様絶対主義』を図で表したもんぜよ」

上条「へー」

土御門「人の数や天使の数もあらかじめ満席状態だから、人間が天使の位に昇ることも、
天使が人間の位に落ちてくる事もありえないんだぜい」

神裂「ところが、『御使堕し』というものは文字通り天使を強制的に人の位へ落とすもの。
そのため、その揺らぎによって四界――すなわち『原形世界』、『創造世界』、『形成世界』、『物質世界』に影響を与えているのです」
846 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/12(土) 00:38:08.08 ID:KJ2bMGcSO
上条「土御門さん、翻訳お願いします」

土御門「皆の中身が入れ替わってる。ようは椅子取りゲームだよ。『椅子』と『座る人』はゲームを始めるとバラバラになっちまうよな?
でも椅子は一つ足りない。弾かれたヤツは天上――天使の椅子に座る事になる」

上条「へー」

土御門「とにかく理屈抜きで、『とにかく不思議な事が起こってて』
『それを止めなきゃいけない』って事だけ分かれば充分ですたい」

上条「……止まるのか?」

土御門「おうよ。どうやらまだ未完成っぽいから、止めるなら今だぜい。
カミやんの右手でも流石に魔法で焼かれた人間の灰を戻せないだろ?完成したらおそらくもう戻らない」

上条「えっ、何で俺の右手の事……」

土御門「おいおい、こんなの蛇足だぜい。禁書目録、三沢塾、絶対能力実験。これぐらいは筒抜けだにゃー」
847 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/12(土) 00:39:13.32 ID:KJ2bMGcSO
伏羲「(……上層部に『どう』認識されてるかが気になるのう)」

土御門「で、正確な術式は不明だが世界規模の魔術だ。魔術師単体で行うには荷が重すぎるから、恐らく魔法陣とか使った『儀式場』でも築いてるはずだぜい」

土御門「よって、術者を倒す、もしくは『儀式場』を崩す事で破壊できる。
一応制限時間もあるんだが、いつリミットがくるか分からないドキドキ状態ですたい」

伏羲「のう、ひとつ聞いてもよいか?」

神裂「何ですか?」

伏羲「現在わしは『入れ替わりが起こってないから』という理由で両腕を後ろ手に纏められている訳だが、
そういうおぬしらはどうなのだ?おぬしらだって入れ替わりが起こっておらぬではないか」

土御門「ああ、それはオレとねーちんは魔術発動時ロンドンにある、『歩く教会』同等かそれ以上の結界をもつウィンザー城にいたから、
どうにか結界を張るぐらいの時間があったからぜよ。魔術師の多くも『御使堕し』に呑まれてる」

上条「……?あれ、お前魔法は使えないんじゃ」
848 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/12(土) 00:40:04.02 ID:KJ2bMGcSO
土御門「ああ、だから見えない所はボロボロだぜい?もっかい魔術使ったら確実に死ぬわな」ヘラッ

上条「なっ――――」

上条「(風でアロハシャツがめくれて――左脇腹が、内出血で青黒く――――)」

土御門「だがそこまでやっても、ウチらやカミやんは例外として、入れ替わったアイドル「一一一(ひとついはじめ)」に見えるらしいぜい。
因みに人気女優に手を出した事が週刊誌にすっぱ抜かれたみたくて、見つかると人の山が出来てやりずらいぜよ」

上条「…………」

伏羲「ふむ。何故わしが入れ替わらなかったのかが分かった」

神裂「!?どういうことです!!」

伏羲「わしは昨晩、厠へ行こうと目を覚ましてのう。歩いていくのが面倒臭くて『空間移動』したのだ」

土御門「待て、『空間移動』の演算は難しく、寝ぼけながらでは到底出来ないと聞いたぜよ?」

伏羲「それは『空間移動能力者』の話であろう?わしは『空間使い』故、座標指定が多少大雑把でも問題無いのだ。
しかし、わしの『空間移動』は通常の『空間移動』より遅い。というか、タイムラグが生じるのだ。
そしてそのラグの間は、別の時限におる。つまり…」
849 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/12(土) 00:41:06.95 ID:KJ2bMGcSO
土御門「そのラグの間に術式が発動したから免れたと?でも『御使堕し』は一過性の魔術じゃあない。『空間移動』が終わった途端、魔術の餌食だ」

伏羲「うーむ、それなのだが、もしや別の時限にいたせいで『エバラという人間は地球に存在』しないと魔術に判定されたのでは?」

土御門「ふむ……まあ一理あるっちゃああるぜよ」

神裂「ええ。『御使堕し』は謎の魔術ですから、何が起こってもおかしくありません。
我々の探知にひっかからなかったのも恐らくそういうのがあったからかもしれません」

上条「(半分嘘だよなこれ?)」

神裂「ではやはり上条当麻が!!」ギリッ

伏羲「いだだだだだ力を込めるな骨が折れる!!それといい加減離さぬか!!」

神裂「あ、し、失礼しました」パッ

伏羲「うう、痛いのう……(恐るべし天然道士……!!)」ジンジン

 
 
879 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/13(日) 16:26:19.04 ID:cBOj1uWSO
上条「そういえば神裂って、他の人から誰に見られてんだ?」

神裂「――――グヌスです」ボソッ

伏羲「む?」

神裂「ステイル=マグヌスです。はい、世間から見ると私は身長2メートル強の赤髪長髪の大男に見えるそうですね。
   おかげで手洗いや更衣室に入っただけで警察を呼ばれるし電車に揺られているだけで
   痴漢に間違われましたしええ本当に驚きました始めは
   世界の全てが私にケンカを売っているように見えてしまって本当どうしたものかと」

伏羲「(む、無表情でノンブレス……)」

上条「(何だか知らないけどお怒りになっていらっしゃる!!)」

神裂「ですので!!」ガシッ

上条「いだっ!」

神裂「早く『御使堕し』を止めなさい!!もう道行く人々から
   『日本語が上手いけど何故か女言葉でシナを作る巨漢の外国人』だと言われるのは
   嫌なのです!!さあ早く!!」ユサユサユサユサ

上条「ちょくびのほねおれる」ガクンガクンガクンガクン

伏羲「落ち着け神裂。上条は『幻想殺し』を有しておるのだぞ?
   『御使堕し』の影響化に無いのは当然であろう。
   それに、異能は何からかにまで打ち消す右手を持ちつつどう魔術を発動させるのだ」
880 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/13(日) 16:27:01.25 ID:cBOj1uWSO
神裂「……それじゃあ、八方塞がりです。私はこれから『シナを作る外国人』として生きていかなければならないのですか」シュン

上条「(俺らでいうと青ピ……もといインデックスを見てるようなモンか。それはきつい……)」

土御門「まーまー、ねーちん。カミやんを中心に起きてるんだし、
    この周辺に術者がいるのには間違い無いんだにゃー」

伏羲「(…………む?)」

神裂「しかし上条当麻と接触するとは限りませんし……」

伏羲「(青髪ピアス、ステイル=マグヌス、御坂御琴、妹達、禁書目録、上条刀夜……)」

土御門「オレもあと一回魔術使ったら冠動脈が破裂して死ぬし。
    そうだ、オレの代わりにカミやんに働いてもらうってのはどうかにゃー?」

神裂「何を馬鹿馬鹿しい。貴方は大工が足りなくなったら客に家を建てさせるのですか?」

伏羲「(もしや……)」

土御門「オレらがカミやんを『犯人』から警護して、カミやんは『御使堕し』の儀式場破壊につきあってもらう。
    いいギブ・アンド・テイクだと思うけど、どうかにゃー?」

上条「俺ももうあんな青ピを見たくねえ。俺達にやれる事があるんなら、手伝うよ」

伏羲「(犯人は、上条刀夜?)」
881 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/13(日) 16:28:02.31 ID:cBOj1uWSO





夕飯後


上条「………………することが無え」

上条「(太公望も何か考え込んでるしなあ……)」

小萌『火野神作はまだ見つかっておらず……』

上条「(テレビも物騒だなー。確か火野神作って二重人格だっけか?
   確か補習で二重人格のことやったような……
   とにかく漫画みたいに綺麗に人格が入れ替わる訳じゃ無いんだっけ?
   エイリアンハンドみたいな……まあいっか)」グテー



床下


??「……エンゼルさま、エンゼルさま」ガリガリ

??「エンゼルさま、どうやったら逃げられるでしょうか?」ガリガリ

??「(エンゼルさまの判断に狂いは無い。今まで何回も教えに従ってきた)」ガリガリ

??「イケニエを捧げるのですか?」ガリガリ

??「(時々やりたくない事も言ってくるけど。そのせいで28人も殺してしまったし)」ガリガリ

??「ではあの少年はどうでしょう?」ガリガリ

『YES』

??「(またか。やりたくないけどしょうがない。エンゼルさまがこう言うんだし。
   私のせいじゃない)」ブンッ

ブツン

上条「?停電か?」キョロ……

ガサッ

上条「ん?」スッ……

ガスンッ!!!!

上条「!!(あ、足元から刃物!?今、物音に気付いて腰を浮かせなかったら……)」ゾッ
882 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/13(日) 16:29:26.52 ID:cBOj1uWSO
ズッ……

上条「(刃物が、引っ込んだ……――!?)」

??「」ニタァ

上条「ひっ……」ズサッ

ガスン!!

上条「う、わ……!!」ズルズル

ガスン!!

上条「(腰が、抜け――)」

伏羲「上条!!」ダッ

上条「!!危ないから来るな!!」

伏羲「分かっておる!!」フヨッ ガシッ

上条「うわっ!?」フワッ

伏羲「っ」ビュンッ

上条「――」

伏羲「よし、砂浜なら少しは見晴らしが……」ストッ

ベギン!!バタバタ

上条「!!今さっきまで俺がいた所の床板がめくれて、そこから手が……!!」ゾッ

伏羲「なんちゅーホラー……ん?」

ビュンッ

伏羲「(今のは――――)」

ボキン!!

上条「!?えっ、いつの間にあの人!?」

??「」スッ

上条「ゆ、床下に!?」

ガン!!ゴン!!ベギッ!!

??「ぎビっ、ガぁ!!」

上条「誰か出て来……」

伏羲「暗くてよく見えぬが、あれはもしや火野神作……?」

火野「」ギョロッ

上条「っ!?こっち見た――」

火野「が、ごばあああああ!!」ダダダダッ

上条「っ!!」ビクッ

伏羲「」ダッ

火野「ヒヒヒヒぶぅ!?」バキッ

伏羲「ええい、死に際の魔家四将並にキモいわ!!」ブンッ

火野「ベぶっ!!」ドカッ ドサッ

上条「」ポカン
883 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/13(日) 16:30:08.94 ID:cBOj1uWSO
火野「――エンゼルさま、えんぜるサマ……」ユラリ

伏羲「」ピクッ

火野「エンゼルさま、エンゼルさま、エンゼルさま!」

上条「……エンゼル?」

火野「エンゼルさま、どうなってんですか。エンゼルさま、
   あなたに従ってりゃ間違いはないはずなのに!!
   どうなってんだよエンゼルさま、『アンタを信じて28人も捧げたのに!!』」

上条「(!!エンゼルといい、入れ替わってない外見といい、こいつ、まさか)」

火野「答えろよエンゼルさま!どうすればいい、この後どうすればいい!
   エンゼルさま、責任取って今度こそキチンと答えやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」ブンッ グチャグチャグチャグチャ

伏羲「なっ……自らの胸に、ナイフを突き立てただと……!?」ドンビキ

『GO ESCAPE』

火野「」ニタァ

??「」スッ

火野「」フキフキ

上条「(!火野がナイフの刃を拭ってる隙にさっきの赤い人が床下から出て来た!!)」

火野「キヒッ」ビュンッ

赤い人「」ヒョイッ

上条「うわっ!!」チッ

上条「」グラッ

赤い人「!」
884 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/13(日) 16:31:02.21 ID:cBOj1uWSO
上条「(ど、く?まさか、さっきのは血を拭き取ってたんじゃなくて、毒を塗って……?)」グラグラ

伏羲「上条!!」ダッ

火野「ヒハハハハハ!!」ダダダッ

赤い人「…………」チラッ ……クルッ タタタッ

上条「――――」ドサッ






上条「――――ん」ピクッ

伏羲「起きたか」

上条「……ああ」キョロ……

御坂妹「」ビクビク

神裂「『人払い』は2階に仕掛けておいたのですが、店員は1階で寝泊まりしているらしく、
   目撃されてしまいました。幸い、店主は2階で作業中との事です」

御坂妹「」ビクッ

神裂「一応、念のため警告しておきますが、今日あった事は口外しないでください」チャキッ

御坂妹「」コクコクコクコク

赤い人「…………」

上条「(そういえば、凄く都合のいいタイミングで割り込んできたあの金髪の女の子は……)」

神裂「ああ、あれは敵ではありませんよ。ロシア正教の『殲滅白書』のメンバーだそうです」

上条「?」

土御門「ま、イギリス清教が『魔女狩り』に特化したっていうなら、
    ロシア正教は『幽霊狩り』に特化したって感じかにゃー。
    『あらざる者』専門のゴーストバスターズって所ぜよ」

赤い人「…………」
885 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/13(日) 16:32:02.33 ID:cBOj1uWSO
神裂「名はミーシャ=クロイツェフというそうで――――」

ミーシャ「」グッ

伏羲「(!…………)」

上条「(いつの間に、俺の首筋にノコギリを――!?)」

ミーシャ「問一。『御使堕し』を引き起こしたのは貴方か」

上条「……、違う」

ミーシャ「問二。それを証明する手段はあるか」

上条「証拠なんて、ねーよ。そもそも俺は魔術なんて何も知らねーんだし」

ミーシャ「?」クビカシゲ

神裂「……一応、我が家イギリス清教必要悪の教会の公式見解ぐらいなら解答できますが」

ミーシャ「」コクリ

神裂「――――――」

ミーシャ「」フンフン

神裂「――――という訳です」

ミーシャ「…………」ジロリ

上条「」ビクッ

ミーシャ「数価。40・9・30・7。合わせて68」

ズバン!!

伏羲「(!!この水柱、まさか『霧露乾坤網』……!?)」

ミーシャ「照応。『水よ、蛇となりて剣のように突き刺せ(メム=テト=ラメド=ザイン)』」スッ

ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!

上条「うぉっ!?」ソゲブッ

ミーシャ「…………」ジーッ

伏羲「(いや、しかし、これは――――)」
886 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/13(日) 16:36:15.52 ID:cBOj1uWSO
ミーシャ「正答。イギリス清教の見解と今の実験結果には符合するものがある。
     この解を容疑撤回の証明手段として認める。少年、謝った解の為に刃を向けた事をここに謝罪する」

上条「刃を向けたっていうか突き刺したじゃん今!ってか謝るなら人の目を見ろ!!」

ミーシャ「問三。しかし貴方が犯人でないならば、『御使堕し』は誰が実行したものなのか。
     騒動の中心点は確かにここのはずなのだが――――!?」

伏羲「?」

ミーシャ「あ、あ、あ、貴方は――――!!」

神裂「待って下さい、彼に関しても、説明がつきます」

ミーシャ「」グルッ

神裂「」ビクッ

ミーシャ「」ジーッ

神裂「……ごほん。エバラについてですが――――」

ミーシャ「」コクコク

神裂「――――という訳です」

ミーシャ「…………問四。その『空間移動』とやらを見せていただきたい」

伏羲「ふむ」ヴンッ スゥゥゥゥ……

ミーシャ「!!」

伏羲「――と、いう訳だ」ヴンッ

ミーシャ「…………」スタスタスタスタ ガシッ

伏羲「おわっ!?」ガクン

ミーシャ「問五。貴方はここで一体何をしているのですか。問六。『いつになったら仙人界へ帰ってくるのですか』」ヒソヒソ

伏羲「!?やはり、おぬし――――」ヒソヒソ




920 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/17(木) 23:57:47.48 ID:fVmzCEJSO
ミーシャ「問7。何がやはりなのですか。それより早く『座』に帰る方法を教えてください。私には守るべき人が――――」ヒソヒソ

伏羲「ええい待て!とりあえずだな――――」ヒソヒソ

上条「?エバラ何話してんだー?」

伏羲「」ゴニョゴニョ ゴニョゴーニョ

上条「俺にも教えてくれよー」

伏羲「」ゴ・ゴニョラ ゴニョリータ!!

ミーシャ「…………分かりました。貴方を『御使堕し』の犯人ではないと認めます。
     そして、まあ色々と黙っておきますよ」ニヤァ

伏羲「うむ、話が分かるようで助かるのう」ニヤァ

上条「………………」

御坂妹「なあ、さっき走って行ったのって刑務所脱走した火野って奴だろ?
    もしかしてアンタ達って、『警察の囮捜査班』とか?」

上条「……ちょっと待て。お前、アイツが『火野神作』に見えたのか?」

御坂妹「それ以外の誰に見えるよ?んで、この店誰が弁償すんの?
    火野?警察?」

上条「――アイツ、入れ替わってない?」

伏羲「(……いや、だとしたら上条刀夜も何故入れ替わっているかが説明出来ぬ。)」
921 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/17(木) 23:58:38.04 ID:fVmzCEJSO
神裂「どういう事です?」

伏羲「(いや待て、火野は二重人格……そういう事か)」

上条「ああ、火野の事なんだけど――――」

伏羲「(とりあえず、ここは上条の推理に乗っかっておくか。
   何故上条刀夜が『御使堕し』を発動させた、いや『できた』のも分からぬし)」

神裂「」フンフン

伏羲「(上手くいけば、これから楽が出来るやもしれぬしのう)」

上条「――――という訳だ」

ミーシャ「問8。……先程の、逃走した方か」

神裂「待ちなさい」ガシッ

ミーシャ「……」

神裂「同じ獲物を追うならば、行動を共にしませんか?」

ミーシャ「問9。それに対する私のメリットはあるか」

神裂「逆に問いかけますが、あなたは人間狩りのノウハウを心得ているのですか?
   ロシア成教の専門は『幽霊退治』のはずです。慣れない『人間狩り』を行うなら、
   専門のイギリス清教の者をガイドにつけても悪くはないと思いますが」ペラペラ

ミーシャ「……賢答。その問いかけに感謝する」スッ

神裂「」クスッ ギュッ

上条「それで、どうすんだ?早速今から追いかけっこでも始めるのか?」

伏羲「ダアホ。おぬしの体力を回復させる方が先決だ」
922 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/17(木) 23:59:08.07 ID:fVmzCEJSO
神裂「エバラの言う通りです。火野の目的は不明ですが、
   夜半になってから再び舞い戻ってあなたの寝込みを襲う、
   という可能性もゼロではないので、あなたが回復するまでは
   我々で警護した方が安全かもしれません」

ミーシャ「問9。全員でガードに当たる必要性は薄い。
     私は単独で容疑者を追う事もできるが?」

神裂「敵戦力も分からない状態で人員を分断させるのは得策とは思えません。
   最悪、あちらは『天使』を手中に収めている可能性もあるのですよ」

ミーシャ「」ムー

神裂「従って、まずはクロイツェフと今後の協議を。
   次にこの惨状をどうにか修復しなければなりません。
   それが終わったら、後はあなたの身辺警護に戻ります」

伏羲「さて、わしらは寝るかのーっ」ノビーッ

上条「ちょ、待て、よ゙っ……」

上条「(くそっ、さっきの毒の名残か?喉が焼けるように痛え)」

神裂「…………」ズキン

土御門「ま、素人を死なせて生き残るプロほど惨めなものはないんだぜい」
923 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/17(木) 23:59:37.02 ID:fVmzCEJSO
伏羲「そういう事だ。魔術の知識が無いわしらに出来る事は、明日に備えて体力を回復させることだよ」

上条「…………分かった」

土御門「んじゃ、明日報告するぜい」








翌日 神奈川県某所


伏羲「いやはや、まさかお昼のニュースで火野神作の消息を掴めるとは」

土御門「しかもカミやんの実家に潜んでるとか、ここまでくると笑いがこみあげてくるにゃー」アッハッハ

上条「笑うなちくしょう……(おかげでついてくる口実は出来たけど……)」

土御門「さてはて、流石にここから先は隠密だけでは難しいぜい。
    カミやん家を取り囲んでる機動隊は全員双眼鏡でカミやん家に大注目してるし」

神裂「そうですね、認識を他に移す、つまり機動隊に、
   『全然違う家』を『上条当麻の実家』と思い込ませるというのはどうでしょうか」ヒュンッ
924 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/11/18(金) 00:00:22.48 ID:btu8PLeSO
上条「(……ワイヤー?)」

土御門「禁糸結界――――元ネタは東南アジア辺りの家守ノ神の召喚陣かにゃー?」

神裂「土御門。観客の前で手品のタネを明かすとは何事です」

伏羲「(観客って……)」

神裂「全ての機動員を効果範囲内に収める糸を張り巡らすのに
   20分ぐらいかかりますので、その間はどこかに身を隠していてください」

土御門「あいあいさー」

伏羲「うむ」

神裂「それから、上条当麻。あなたは糸には触れないで下さい。
   結界の核たる糸にあなたの右手が触れてしまうと魔術が解けてしまう恐れがありますので」

上条「いや、いくら何でも指ごとスッパリ切断されそうな糸に触れようとは思わねーよ。
   そんな簡単に体がバラバラにされたら、そんなん『不幸だから』の一言で済まないしな」

神裂「――――」カツン

上条「」ゾクッ

上条「な、何だよ?お前、気分でも悪いのか?」

神裂「別に」ダッ

伏羲「(『不幸』に反応していたようだが……何かあったのかのう?)」 
 
925 ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/11/18(金) 00:02:32.30 ID:btu8PLeSO
以上、ここまで。

伏羲とミーシャの間で後ろ暗い取引が成立しました。
次回で一気に『御使堕し』をひとまず終了させられればよいのですが……
解説は次スレってことで

何かあればどうぞ。

それでは、書き溜めが出来次第来ます。 
 
926VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)[sage]:2011/11/18(金) 00:05:42.25 ID:mAKZuG4Ao
お疲れ様でした 
 
 
947 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:24:29.35 ID:7AtyLWSSO
火野「エンゼルさま、エンゼルさま……」

火野「エンゼルさま、エンゼルさま……」ブンッ

グチャグチャグチャグチャ

『CALL AN AMBULANCE』

火野「(なるほど、そういう手もあるか。やはりエンゼルさまの
   答えに狂いはない。エンゼルさまはやっぱり
   自分を幸せな未来へと導いてくれる)」

火野「キ、ヒヒヒッ」ガサゴソ





上条「…………」

土御門「何だカミやん、どうかしたのかにゃー?」

上条「いや……」

土御門「ああ、神裂ねーちんならカミやんが言ってた『不幸』って
    言葉が気に食わなかったんじゃないかにゃー?」

上条「不幸?……言ったっけ、そんな事?」

伏羲「もはやおぬしにとって口癖みたいなものだしのう」

土御門「ま、神裂ねーちーも苦しんでんのさ、自分の『悪運』ってヤツに」

伏羲「『悪運』?」

土御門「言い換えれば『幸運』でもある。
    つまりねーちんは自分が『幸運』なのが許せない」

上条「?」

土御門「日本には天草式っていう隠れキリシタンの組織があるんだが、
    神裂ねーちんは生まれる前からそこのトップ『女教皇(プリエステス)』に
    なる事が決まっていた。しかも世界で20人もいない限られた
    神様に選ばれた『聖痕(スティグマ)』使いの『聖人』でもあった」
948 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:25:13.40 ID:7AtyLWSSO
上条「『聖痕』?」

土御門「ああ、魔術には『偶像崇拝の理論』っていうのがあって、
    神様や神具と同じ形をしている物はほんの少しだけ、本物の力を借りれるっとことにゃー。
    ねーちん達『聖人』は神の子の特徴を持って生まれたのさ」

上条「へえ……」

土御門「んで。ねーちんは努力しなくても成功するほどの才能があった。
    何もしなくても人の中心に立てるほどの人望があった。
    誰かに命を狙われても何故か生き残った。
    だからこそ、神裂ねーちんは自分の『悪運』を呪ってるのさ」

伏羲「(わしの知る天然道士に『幸運』の付加は無かったはずだが……
   もしや、人数が減った変わりに始祖の血が色濃くなり、
   『魔力』や『運』へと力も回るようになったとか?)」

上条「……そんなもんが悩みになんのか?」

土御門「さあって。けどカミやん。『幸運』なヤツってのはどんな気持ちなんだろうな?
    常に自分はたった1本しかない当たりくじを必ず引いてしまう。
    という事は、『自分の周りにいる人間には絶対に
    ハズレくじを引かせてしまう』んだぜい」

上条「」ハッ
949 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:26:07.20 ID:7AtyLWSSO
土御門「生まれた時から『女教皇』の地位を約束された。
    けど、そのせいで『女教皇』になりたかった人達の夢を潰してしまった。
    努力をしなくても成功するほどの才能があった。
    けど、そのせいで死に物狂いで努力する人達を絶望させた。
    何もしなくても人の中心に立てるほどの人望があった。
    けど、そのせいで他の誰かが人の輪の外へ弾かれた。
    誰かに命を狙われても何故か生き残った。
    けど、神裂を庇うために目の前で多くの人が倒れていった」

上条「…………」

土御門「きっとねーちんが外道なら、何も悩む必要は無かった」フウ

上条「…………」

土御門「けど、カミやんが気にすることいぜい。
    ありゃ子供の癇癪だよ。いちいち気にする事でも無いぜよ」

上条「…………」

伏羲「(本人が憎むほどの幸運……やはり魔術の介入によって、
   天然道士も変質したのだな。標が無くなったのだから、
   当然と言えば当然か)」

上条「……っつか、お前が『魔術師』っての、今でも違和感あんだよなー」

土御門「スパイだから当然だにゃー。因みに基礎術式は
    道教の和風アレンジ、陰陽道だし」

伏羲「(…………)」

上条「ふうん」

土御門「オレの専門は風水だぜい」

神裂「」ヒョコッ

伏羲「おお、神裂が帰って来たぞ」

神裂「禁糸結界、起動しました。上条宅を取り囲んでいる機動隊は、
   300m離れた無人の家を『上条宅』と勘違いして、
   包囲を崩しているはずです」

土御門「んじゃ、がら空きになったカミやん家にお邪魔しますかにゃー」
950 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:27:00.58 ID:7AtyLWSSO
上条宅前


土御門「窓もカーテンも完全に閉めきってますにゃー。
    これじゃ中の様子はさっぱりですたい」

神裂「では、クロイツェフは2階から、私は庭のほうのベランダから回り込みます」

伏羲「(玄関横に巣箱……しかも檜に括りつけられておる。玄関は……南向きか。ポストは赤。ふむ)」

上条「2階って、ここに梯子は――」

ミーシャ「」ピョンッ シュタッ

上条「…………へっ?」

神裂「」ダンッ

上条「……二人とも幅跳びみたいにジャンプして、あまつさえ神裂に
   いたってはそのまま屋根飛び越えるとか……」

伏羲「魔術師は凄いのう」ホー

土御門「んで、俺らは真正面から行きますか。どうせ気付かれるし、
    いっちょ派手に行くぜよ!」バンッ

上条「っ…………(変な臭いが……)」

伏羲「のう、置物やキーホルダーらしきものが所狭しと並んでおって不気味なのだが……」ヒソッ

上条「あ、ああ、うちの親父ってよく出張に行くんだけど、
   その度に現地の怪しいお土産買ってくるんだ」ヒソッ

伏羲「(ほう……)」

土御門「(こっからは私語厳禁だにゃー)」シー

伏羲「」コクッ

上条「」コクッ




玄関前の廊下

上条「…………」

伏羲「(ふむ…………)」キョロキョロ

土御門「(行くぞ)」サッ
951 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:27:59.71 ID:7AtyLWSSO


風呂場


伏羲「(亀の玩具が転がっておる……)」

土御門「(……ここにもいないか)」

上条「(……?さっきからシューシュー空気の漏れるような音が……それにこの臭い)」ハッ

上条「(土御門、エバラ!)」ヒソッ

伏羲「(ん?)」クルッ

上条「(火野のやつ、ガスの元栓開けてやがる!)」

土御門「(なに?言われてみれば確かにガスの臭いが……)」

火野「」ユラァ

上条「!?あぶな――」

土御門「っ!」バッ

火野「キヒッ」ブンッ

伏羲「」スッ

火野「ヒガッ!?」ベシャッ

上条「(足引っかけられて転んだ!)」

土御門「よくやった」ブンッ

火野「ガッ」バキッ ガクッ

神裂「土御門!」ダッ

ミーシャ「」タタタッ

土御門「おうねーちんにクロイツェフ、今終わったぜよ」

伏羲「ガスの元栓を閉めて、家じゅうの窓を開けてきたぞ」ヴンッ

土御門「便利だな能力だにゃー。んじゃ、『話』のしやすい所へ場所を移しますか」




居間


火野「……分からねえよ。何だよ、それ、何ですか、えんぜるふぉーるって、
   知らないよ、エンゼルさま、コイツらナニ言ってんですか、わかんないよ、」ブツブツブツブツ

土御門「さて、『尋問』でも開始すっか。一応、降参する場合は『御使堕し』の儀式場を
    吐くと覚えておくぜよ。そんじゃ何から始めるか。
    とりあえず肘の関節でも外すか」ニヤニヤ

上条「」ゾッ
952 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:28:58.19 ID:7AtyLWSSO
伏羲「…………」キョロ

火野「しらない、しらない、しらない、しらない、
   しらない、しらない、しらない、しらない、」ブツブツブツブツ

火野「ああ、エンゼルさま、エンゼルさま……」

上条「えんぜるさま?」

火野「そうだ、エンゼルさま、いつも私の心の中にいる、エンゼルさま、
   私が望めば何でも答えてくれる、エンゼルさま、それに間違いはない、
   エンゼルさま、ずっとずっと従っていればきっと私は幸せになれる」ピクピク

伏羲「(指が痙攣しておる……テレビで言っておった『二重人格』のうち、
   主人格では無いもうひとつが右手、という訳か?)」

火野「そう、エンゼルさま、いつも正しい。エンゼルさま、
   だからガスの元栓も開けた、エンゼルさま、救急車を利用すれば、
   エンゼルさま、どさくさに紛れて逃げられるって言ったから」ピクピク

『CALL AN AMBULANCE』

伏羲「は、腹に傷で文字を……?」

土御門「直訳すれば『救急車を呼べ』って感じかにゃー?」

火野「」ガリガリガリガリ

神裂「手を止めなさい、火野神作。従わねば刀を抜きます」

火野「ひっ、ぃひっ。止ま、止まらないんだ。エンゼルさまは止められないんだ」ビクビク ガリガリガリガリ

上条「(…………どっかで見たような、いや、人づてに聞いたことがあるような光景……補習?)」

上条「――――そうだ、二重人格だ」
953 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:30:01.84 ID:7AtyLWSSO
伏羲「(おお、上条が気付いたか。まあ『二重人格』は科学サイド寄りだしのう)」

上条「なあ、『御使堕し』の副作用ってのは、『中身』と『外見』が『入れ替わる』んだったよな」

神裂「?ええまあ」

上条「じゃあ、二重人格の場合はどうなるんだ?一つの『外見』の中に
   『中身』が二つあるってカウントされるのか?」

神裂「え?」

上条「火野神作の体の中で、『人格A』と『人格B』が『入れ替わってる』って可能性は?」

土御門「なっ…………」

上条「これなら見た目が入れ替わってないのも説明がつくし、
   火野神作も巻き込まれただけで、犯人とは関係ないって事になるんだけど」

神裂「…………」

火野「ふざ、ふざふざふざふざけるなよ!!おま、お前もアレか、
   妙チクリンな医者とおんなじ事を言うのか!!エンゼルさまはいるんだ!!
   エンゼルさまは本当にいるんだ!!何でそれが分からないんだ!!」

伏羲「(『エンゼルさま』を信じて何人も殺したのだから、否定されるのは何より辛いであろうな)」

神裂「医者に……医者に、言われたのですか?あなたのエンゼルさまは、
   ただの二重人格だと?そういう診断を受けたのですか?」
954 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:31:01.19 ID:7AtyLWSSO
火野「ひっ!やめ、やめろ、そんな目で見るな。
   あの医者は何も分かっていないんだ。何にも分かっていないだけなんだ!!」

上条「……決まり、だな。『火野神作は、「御使堕し」の犯人じゃない』」

神裂「…………では、一体誰が…………」

上条「(…………ん?あの写真、何か違和感が……)」

上条「(幼稚園の時の写真だな。いや、そこじゃなくて……)」

上条「(写ってるのは俺と、今は母親役になってるインデックスと、父親役の……)」

上条「(あれ?)」

上条「ま、さか……父さん?」

神裂「何ですって?まさか、あの人は入れ替わっていない本物だったというのですか?」

伏羲「(誤魔化せるのもここまでか……しかし、準備は整った。後は時間か)」

ミーシャ「解答1、自己解答。標的を特定完了、残るは解の証明のみ。
     ……私見1、とてもつまらない解だった」バッ

神裂「待ちなさい、ミーシャ=クロイツェフ!標的とはどういう意味ですか!」

伏羲「……もう行ってしまったようだのう」

土御門「早くミーシャ=クロイツェフを追うんだ。エバラの『空間移動』があればずっと早く着くだろ?
   ここら俺が調べとく。カミやんとねーちん、エバラは刀夜さんの保護を」
955 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:31:57.10 ID:7AtyLWSSO
伏羲「うむ。しかし上条は右手により運ぶことは出来ぬ故、神裂だけになるが」

土御門「一人でも早いほうがいい。さあ」

神裂「ええ。行きますよ」

上条「ちくしょう、ふざけやがって……ちくしょう!!」ギリッ






伏羲「……先程はああ言ったものの、上条だけタクシーに載せるのは不安でのう……」

神裂「どうしてです?」

伏羲「いや、こやつのことだからうっかり財布を落としたり、何らかの『ドジ』を踏みそうなのだ」

上条「それは…………ありうるな。
   (『不幸』じゃなくて『ドジ』か)」

神裂「あなたが付いていればよいのでは?」

伏羲「うーむ、ここから『わだつみ』は遠いからのう、神裂だけ飛ばすとなると
   演算をミスして空中や地面に、などもありうるのだ」

上条「(これ……嘘だよな?大気圏外どころか宇宙レベルで空間移動できるし……
   っつー事は太公望に何か考えがあって別行動しようとしてる……なら、)」

上条「確かに学園都市の能力の中でも一番演算が精密なんだよな、『空間移動』って」
956 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:33:36.77 ID:7AtyLWSSO
神裂「……仕方ありませんね。では、私たちは車で行っているので、
   先に刀夜氏を保護していて下さい」

伏羲「うむ、では」






土御門「…………いやはや、天然のダイヤモンドを見ている気分だ」

伏羲「偶然の産物にしては素晴らすぎるのう。勿論、悪い意味で」

土御門「!?」

伏羲「神道はそこまで詳しく無いのだが、敷地の入口に宿り木を置いてあつたのう。
   確か鳥居を表すのであったか?記憶違いでなければ檜の鳥居は伊勢神宮だった気がするのだが」

土御門「何を……」

伏羲「南向きの玄関には赤いポスト。『南』の属性色は『赤』であろう?
   風呂場には『水』の守護獣たる『亀』の玩具。
   台所では冷蔵庫や電子レンジの上に『金』の守護獣の白い虎の玩具が。
   ああそうそう、東の窓には青竜の置物もあったのう」

土御門「……貴様、何者だ?」




伏羲「本場風水の地出身の、通りすがりの仙人、とでも言っておこうか」
957 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:36:37.55 ID:7AtyLWSSO
土御門「……ふざけているのか?」

伏羲「至って真面目よ。まあ日本の風水とは少し違うがのう」

土御門「第一、仙人――神は、天使と同じで存在している次元が違うんだ。
   『御使堕し』のように人間の器に入らない限り、例え真横にいたって互いに気付くはずもない」

伏羲「つまり、『人間の器さえ持っていればいい』のだろう?」

土御門「簡単に言ってくれるが、セフィロトの木を無視して降りてくるなど不可能だ。
    それに、中国の仙人は肉体が滅んで初めて完成する」

伏羲「そこなのだが、初めて仙道という概念が世に現れたのは後漢であろう?しかし、
   『それよりずっと前から仙人が存在したとしたら?語り継がれていないだけだったら?』
   そこから生まれる齟齬は計り知れない。寧ろ、わしらとしては後世まで仙道が語り継がれているのが
   意外なのだが……武王あたりから漏れたのかのう?別に完全に隠匿するつもりはなかったが」

土御門「確かに魔導書の中で仙道は殷王朝にも登場しているが……一応聞こう。
    お前は誰だ?」

伏羲「元始天尊さまが一番弟子。崑崙山の道士、太公望だ」ニィッ
958 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:37:20.32 ID:7AtyLWSSO

上条「…………」

刀夜「あんな方法で願いを叶えようとは……馬鹿な事だとは、私自身も思っていたのだがな」

刀夜「なあ、当麻。お前は幼稚園を卒園するとすぐに学園都市に送られてしまったから
   覚えていないかもしれないが、お前がこちらにいた頃。
   周りの人達からお前がなんと呼ばれていたか、覚えているかい?」

上条「…………」

刀夜「疫病神、さ」ギリッ

刀夜「分かるかい、当麻。お前は確かに生まれ持ち『不幸』な人間だった。
   だからそんな呼び方をされたんだろう。だが分かるかい、当麻。
   子供達だけではなく、大の大人までもが、お前がただ『不幸』だからというだけで、
   そんな名前で呼ばれていたんだ」

上条「…………」

刀夜「当麻が側から離れると『不幸』もあっちに行く。そんな俗話を、
   子供達のみならず大人までもが信じた」

刀夜「覚えているかい、当麻。お前は一度、借金を抱えた男に追いかけ回されて包丁で刺された事もある。
   話を聞きつけたテレビ局の人間が、霊能番組とかこつけて、
   誰の許可も取らずにお前の顔をカメラに映して化け物のように取り扱った事もあるんだぞ」

刀夜「私がお前を学園都市へ送ったのもそれが理由だ。恐かったんだよ。
   『幸運』だの『不幸』だのが、じゃない。そんなものを信じる人間が、
   さも当然のようにお前に暴力を振るう現実が」

上条「…………」

刀夜「恐かったんだ。あの迷信が、いつか本当に当麻を殺してしまいそうで。
   だからこそ、そんな迷信のない世界にお前を送りたかった」
959 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:37:58.61 ID:7AtyLWSSO
刀夜「しかし、あの科学の最先端でさえ、お前はやはり『不幸な人間』として扱われてきた。
   以前のような陰湿な暴力はなかったようだが」

刀夜「私はそれでは満足できなかった。お前の『不幸』そのものを打ち殺したかった。
   だが、常識的にも、科学の最先端手法を用いても、それは叶わぬ願いだった」




刀夜「残された道は一つしかない。私はオカルトに手を染める事にした」




上条「…………」

刀夜「…………」

上条「(でも、天使なんかを呼んで何を……っまさか、『入れ替わり』が目的?
   『上条当麻』の『疫病神』という肩書きを他の人間に移す為に……
   でも、そんな事したら誰とも知らない奴が『息子』になって、
   『俺』は『上条刀夜』を『父親』と認識しなくなるのに)」

上条「……馬鹿野郎」

刀夜「え?」

上条「ばっかやろうが!!」

刀夜「」ポカン

上条「ああ、確かに俺は不幸だった。そりゃクラスメイトを一列に並べて比べりゃ、
   こんな不幸な夏休みを送ってんのは俺だけだろうさ。けどな、」

上条「俺はたった一度でも後悔してるなんて言ったか?こんなに『不幸』な夏休みは送りたく
   なかったなんて言ったかよ!冗談じゃねえ。確かに俺の夏休みは『不幸』だった。
   だけど、それが何だ?そんな程度で、この俺が後悔するとでも思ってんのか!?」
960 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:38:58.57 ID:7AtyLWSSO
上条「確かに俺が『不幸』じゃなければもっと平穏な世界に生きていられたと思う。
   けど、そんなもんが『幸運』なのか?自分がのうのうと暮らしている陰で
   誰かが苦しんで、血まみれになって、助けを求めてる事にも気付かずに、
   ただふらふらと生きている事のどこが『幸運』だって言うんだ!?」

上条「惨めったらしい『幸運』なんざ押し付けんな!こんなにも素晴らしい『不幸』を俺から奪うな!
   この道は、俺が歩く。これまでも、これからも、決して後悔しないために!」

上条「『不幸』だなんて見下してんじゃねえ!俺は今、世界で一番『幸せ』なんだ!」

刀夜「――――」

刀夜「何だ、お前。最初から、幸せだったのか。当麻」フッ

上条「ああ」

刀夜「馬鹿だな、私は。それじゃまったく逆効果だ。私はみすみす、
   自分の子供から幸せを奪おうとしていたのか」フゥ

刀夜「といっても、何ができた訳でもないがな。まったく、私も馬鹿だ。
   あんな『おみやげ』を収集した程度で何かが変わるはずもないって、
   『オカルトなんぞに何の力も無いって、分かっていたはずなのに』」

上条「え?」

刀夜「大体、お土産屋に置いてある民芸品を買いあさった程度で治る『不幸』なら、
   お前が誇るはずもない。もう出張先から変なみやげを買って帰るのはやめにするよ」
961 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:39:57.86 ID:7AtyLWSSO
上条「ちょ、ちょっと待て。アンタは『御使堕し』を引き起こしたんだろ?
   だったらその儀式場はどこにあるんだ?もう中止にしても構わねーんだろ?」

刀夜「エンゼルフォール?何だそれは。何かの流行語か、歌手の名前なのか?」

上条「(これは、どういう……)」

サクッ

上条「……ミーシャ=クロイツェフ」

刀夜「?」

上条「待ってくれ、ミーシャ。何か様子がおかしい。確かに父さんは誰とも入れ替わってない。
   けど、そういえば他の誰かが入れ替わってる事にも気付いてなかつた。
   きっと『御使堕し』の影響を受けてるんだ。どういう理屈から知ら――――っ!?」ゾワッ

ミーシャ「…………」スチャッ

上条「待、て――――ミーシャ、……話を!」

ミーシャ「」ギョロリ

上条「(何だ、あの瞳――――感情が、全く……)」
神裂「そこから離れなさい、上条当麻!!」ヒュンッ

ズバンッ!!

ミーシャ「……」

神裂「思えば、最初からおかしかったのです。他宗派の名乗る名前が偽名だとしても、
   ミーシャはない。ミーシャというのはですね、ロシアでは
   『男性の名前につけられるものなんです』。偽名として使うにもおかしすぎる」
962 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:41:22.85 ID:7AtyLWSSO
ミーシャ「……」

上条「何だって、そんな事を……?」

神裂「いるのです。この世には男にも女にもなれ、性別も決まっておらず、
   常に中性として両性として神話に描かれる存在が。
   それらにとって『名前』は自分が神に作られた『目的』そのもので、他人と『名前』を交換なんてできる訳がない」

上条「……?」

神裂「忘れましたか、上条当麻。『この大魔術が、一体何の名で呼ばれているのか』」

ミーシャ「」カッ

ドン!!

上条「な……さっきまで夕暮れだったのに、急に夜に……!?
   ちょ、何だよこれは!?」

神裂「見ての通り、夕闇を夜闇に切り替えたようですね」

上条「待て。おい、ちょっと待て!魔術ってのは、こんな事までできんのか!?」

神裂「できませんよ、『人には』」

神裂「自身の属性強化の為の『夜』ですか。月を主軸と置く所を見ると、
   水の象徴にして青を司り、月の守護者にして後方を加護する者。
   旧約においては堕落都市ゴモラを火の矢の雨で焼き払い、新約においつは聖母に神の子の受胎を告知した者」

上条「(『御使堕し』、エンゼルフォール……まさか)」

神裂「――――その名は『神の力』。常に神の左手に侍る双翼の大天使、ですか」
963 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:42:31.34 ID:7AtyLWSSO


土御門「『太公望』……!?いや、しかし、太公望は老人の姿で描かれていて……」

伏羲「それも齟齬の範囲だ。大体わしは12歳で仙人界入りしたのだ。
   例え3000歳を越えようとも歳はとらーぬ!」ニョホホホ

土御門「……それを証明する手立ては?」

伏羲「ふむ、ではこの『窓』。わしの『空間移動』の産物なのだが、魔力は感じまい?」ヴンッ

土御門「ああ、学園都市の能力によく似ている」

伏羲「学園都市で能力は一人ひとつまでだよな?」

土御門「ああ。――まさか、」

伏羲「ほいっ」フヨッ

土御門「」

伏羲「後は……」パチン

土御門「わぶっ、か、風!?まさか、『多重能力』……?ありえない!
    そんな能力者は『書庫』にも載ってないぞ!」

伏羲「そりゃあ、学園都市の能力者ではないしのう。魔術でもないし……と、おお!?」

土御門「空が、夜に……天使か!?月……そうか、ガブリエル……」

伏羲「(これはまた大層なものを……後で太乙に会いにゆくか。何千年ぶりかのう。しかし、これで『蓑』は出来た)」

伏羲「さて土御門。わしは今まで色んな『目』を欺く為に、存在や痕跡を隠蔽してきた。
   しかし、今世界で大規模な魔術が二つも発動しかけている。だから、『片鱗』を見せようかと思う」
964 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:42:59.99 ID:7AtyLWSSO
土御門「何を――――!?」

伏羲「まずは『おみやげ』の固定でもするかのう。地震でも起きて落ちたりするのは敵わぬしのう」スッ

 ヴ ン ッ

土御門「『おみやげ』が全て『窓』に……!?いや、それ以前に何だこの巨大なテレズマは!!」

伏羲「これで『おみやげ』は『この次元に存在するが、この次元の干渉を受けなくなった』。
   テレズマの元は全て『窓』であろう?」

土御門「にわかには信じ難いが……信じざるを得ないな。このまま『おみやげ』を全て同時に亜空間に送る事は?」

伏羲「もちろん可能だ……しかし、やらぬ!」

土御門「は?」

伏羲「さて、『おみやげ』に干渉できるのは地球上でわしだけだ。全て同時に消し去ることも、
   『敢えてひとつだけ取り除く』こともできる」

土御門「……何が、目的だ」

伏羲「のう土御門」





伏羲「わしの情報斥候をせぬか?」
965 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:44:03.49 ID:7AtyLWSSO
ミーシャ「…………」

神裂「そうしてまで元の位階に戻りたいのですか、『神の力』」

ミーシャ「(あの方の、側に――――)」バッ

パパパパパッ

上条「(何だあれ……満月の周りに光の輪……?いや、あれは、魔法陳だ。
   しかもラインを描く光の一粒一粒が別々の魔法陳、だと……!?)」
神裂「正気ですか、『神の力』!ただ一人を狙うためだけに神話上の術式を持ち出すなど、
   あなたはこの世界を一掃する気か!?」

上条「おい、あの天使は一体何を始めようって……」

神裂「あれは、かつて堕落した文明を一つ丸ごと焼き尽くした火矢の豪雨です。
   あんなものが発動すれば人類の歴史はここで終わってしまいます」

上条「…………」ポカン

神裂「…………上条当麻」


神裂「『神の力』は私が押さえます。あなたは刀夜氏を連れて一刻も早く逃げてください」



上条「な、んで……?」

神裂「理由などありません。私は私にできる事があるからここに立っているだけです。
   さて、あれほど大規模な術式が完成するまでおよそ30分といった所ですか。
   それまでに『御使堕し』を解除してください」
966 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:45:28.90 ID:7AtyLWSSO
上条「……いいのかよ、それで」

神裂「ええ。不躾な話で申し訳ないのですが、私はあなたを信用してみる事にします。
   かつて一度、私の前であの子を救った時と同様に、今度は私の人命を救ってもらえると助かります。
   そういえばエバラはどこにいるんでしょうか……
   後で七天七刀の錆にする事も考えなければなりませんね」

上条「――、頼んだぜ、神裂。俺もお前を信用する!」ガシッ

刀夜「ちょっと待て、どうなっているんだ当麻!」ズルズル

神裂「……あなたの相手は私です」

ミーシャ「――――q愚劣rw」ズバンッ!!

神裂「(氷細工で出来た翼、ですか。最長で約70m。先まで余さずテレズマが行き通っているとは)」

神裂「まったく、大層な役割を安請け合いしてしまったものです」

神裂「『救われぬ者に救いの手を(Salvere000)』」

ミーシャ「」ブンッ

神裂「シッ!!」ズバッ

ミーシャ「、」

神裂「私の所属していた天草式十字教には、神殺しの術式があるのです。
   あなたを刀夜氏の所へは行かせません」スチャ
967 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:46:51.69 ID:7AtyLWSSO

土御門「情報斥候……つまり、俺のクライアントに加わりたいってことか?」

伏羲「平たく言えばそうなるのう。まあ、普段から積極的に情報収集する必要は無い。
   必要な時に必要なだけだ。その代わりに一つか条件がある」

土御門「……条件?」

伏羲「『わしの正体は他言無用』。おぬしも、第三次世界大戦など引き起こしたくあるまい?」

土御門「……それはまあ、ごもっともだにゃー。
   んで?世界を人質にとって、タダ働きでもしろって言うのか?」

伏羲「いや、そんなケチ臭いことは言わぬよ。報酬も用意しておる」

土御門「ほほう、で、その報酬ってのは?」

伏羲「超能力者のおぬしが魔術を行使する際の負担を軽減するすべを授けよう」

土御門「!?そんな事が……?」

伏羲「うむ。超能力者と魔術師は『回路』が違う故に、魔術を行使する際血管等が破裂する。
   ならば、魔力を『精製』するのではなく外部から取り入れ『貯蓄』すれば、その分怪我が無くなるであろう?」

土御門「確かに『精製』と『発動』のうち片方を省けるだけで大分変わるが……
   一体どこから魔力を取り入れ……まさか、『大地の気』?」

伏羲「うむ。『竜脈』や『霊穴』、いわばパワースポットから貰うのだ。
   これぞ本家本元の『瞑想』!どうだ?仙人直伝の術だぞ?しかも術といえど血を吐く必要はない!」
968 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:47:50.94 ID:7AtyLWSSO
土御門「いいねえ。しかしその『瞑想』ってのが本当にあって、かつ俺にも使える術なのかにゃー?」

伏羲「もちろん。今すぐ実証する時間は無いが、この騒動が終わったらすぐにでも
   基本を授けよう。一朝一夕で会得できるものでもあるまいし」

土御門「分かったぜよ。でも、俺が完璧にマスターした後はどうするんだ?
    まさか、恩による忠誠心でずっと働けとは言わないよにゃー?」

伏羲「ふうむ、では、もう一つ報酬として」



伏羲「おぬしの『帰るべき日常』を守る、というのはどうかのう?」





土御門「は……はは、全く、つくづくアンタは面白いにゃー」

伏羲「魅力的な条件だと思うがのう?」

土御門「くく、いいぜ、乗った。情報収集において土御門さんはトップクラスだぜい?」

伏羲「その実力を買ったのだ。頼りにしておるぞ?」

土御門「ああ。そうそう、契約違反が起きたら何が起こるかわからないからにゃー?」

伏羲「そのままそっくり返すよ」

土御門「おおこわ。んじゃ、そろそろ『御使堕し』を止めていただきたいぜよ」

伏羲「おお、そうだったのう。あべこべな世界も面白かったが、ここまでだ」スッ

 ヴ ン ッ
969 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:48:51.50 ID:7AtyLWSSO
??「一体、どこへ行ったのじゃ、私のガブリエル……」

??「何、人間界?ゆうべからずっと?」

??「彼女が心配じゃ、迎えにゆく」

??「なに、もう大丈夫だ。おぬしも心配性じゃのう」

??「では、行ってまいる」






神裂「ハァッ、ハァッ……」

ミーシャ「…………」スッ

神裂「まだまだ!!」ズバッ

神裂「(頭に霞がかかったような……しかし、ここで倒れる訳には!!)」

ミーシャ「…………」ピクッ

神裂「(…………?天から、人?いや、『人』と称するのはおこがましい……)」

ミーシャ「……rlあなftgたはwcy……」

??「私の宝貝が迷惑をかけた……」

神裂「あ、ああ…………
   (美しい……何と、……)」

??「おはつ目にかかる」




公主「私は竜吉公主と申す者」




970 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:49:34.22 ID:7AtyLWSSO
神裂「…………」ポーッ

公主「待たせたのうガブリエル。さあ、一緒に帰ろう。空を戻し、翼を収めるのじゃ」

ミーシャ「hmt了解rdl」フッ

神裂「(りゅうきつ、こうしゅ……)」

公主「魔術師よ、名は何という?」

神裂「ハッ、か、神裂火織と申します!!」

公主「では火織、またどこかで会おう」スッ スゥゥゥゥ……

ミーシャ「」ガクッ ドサッ

神裂「な、名前を呼ばれてしまいました……/////じゃ、じゃなくて!もしや、今のは本物の仙女……?」

神裂「ハッ、ミーシャ=クロイツェフがいません!もしや……」

上条「おーい、神裂ー!!」

神裂「上条当麻!『御使堕し』の儀式場破壊に成功したのですか?」

上条「いや、それがさ、急に皆元に戻って……とにかく無事で良かったよ」

神裂「土御門かエバラがやったのでしょうか?ともあれ、無事に解決できて良かっ、」ドサッ

上条「神裂!?おい、しっかりしろ!!」

伏羲「どうしたのだ?」ヴンッ

土御門「こんだけの距離を一発とか、高位能力者確実だにゃー」ズルリ

上条「た、エバラ、土御門!神裂が!!」
971 : ◆HLNsJRc5HRqd[saga]:2011/12/01(木) 14:50:01.18 ID:7AtyLWSSO
土御門「ありゃりゃ、大分無理したみたいだにゃー。
    んじゃ、ねーちんは俺が回収していくぜい。カミやん、エバラ、お疲れ様ですたい」

上条「いや、結局俺は何も……」

土御門「カミやんたちは一般人だから、そもそも俺達が巻き込んだ形ぜよ。
   後はゆっくり家族と海を楽しむんだにゃー」スタスタ

上条「っ、色々とありがとうなー!!」ブンブン

土御門「」バイバイダニャー

伏羲「よし、ようやく禁書目録もむさい巨漢から元に戻り、視界の毒も無くなったところで
   明日から海を楽しむかのーっ」ノビーッ

上条「そうだな!じゃあ早速戻りますか、わだつみへ!!」

伏羲「うむ」







後日談


神裂「竜吉公主様……」ポー

土御門「あれ以来ずっとこの調子ぜよ……極度の疲労で幻覚でも見たのかにゃー?」

神裂「また、いつか……」 
 
972 : ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/12/01(木) 14:53:03.75 ID:7AtyLWSSO
以上、ここまで。

ミーシャの正体は普通にガブリエルでした!しかし原作禁書のガブリエルとはわけが違います。

頭脳を使う太公望にとって情報は命だと思ったので、かねてから目をつけていたつっちーを情報斥候として雇いました。これで大分やりやすくなる……はず。

何かあればどうぞ

では、次スレで会いましょう 
 
 
 
976 :まさかの投下し忘れ ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/12/01(木) 18:07:39.34 ID:7AtyLWSSO
『わだつみ』

上条「まだアイツは来てないな……」キョロキョロ

神裂「では上条刀夜を見つけ次第、保護を」

上条「待ってくれ。ここは俺にケリを付けさせてくれないか」

神裂「この期に及んで何を……」

上条「例え世界を巻き込む魔術を使ったとしても、俺のたった一人しかいない親父なんだ。頼む」

神裂「……分かりました。私はこの辺の哨戒を」

上条「……ありがとう」





夕暮れの浜辺

刀夜「書き置きもせずに一体どこに行ったんだ、当麻、エバラ君……」キョロキョロ ヨロヨロ

上条「……父さん」

刀夜「当麻!」パァッ

刀夜「――今までどこに行っていたんだ!書き置きぐらいしておかないか!母さんだって心配しているんだぞ!
   怪我は無いのか?エバラ君は一緒じゃないのか?」

上条「……何で、だよ?何でアンタが魔法使いの真似事なんかしたんだよ!!」

刀夜「……答える前に、一つだけ聞かせてくれ。当麻、お前がどこに行っていたかは問わない。
   それで、体は大丈夫なのか?どこか、痛む所とかはないのか?」

上条「…………」

刀夜「その様子なら、問題はなさそうだな。さて、と。何から話そうか」





>>957->>958の間にこれが入ります、すみません…… 
 
 


997VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]:2011/12/02(金) 23:20:34.11 ID:emee9OZqo
スレタイの告知だけでもこのスレで・・・・・・
998 ◆HLNsJRc5HRqd[sage]:2011/12/02(金) 23:30:26.51 ID:Qps0PCCSO
>>997

・伏羲「桃が食いたいのう」禁書「お腹へったんだよ」上条「不幸だ…」2
・とある道士の怠惰目録

の、どっちかです。多分 
 
 

0 件のコメント:

コメントを投稿