2014年4月22日火曜日

かんざきかおりさんじゅうはっさい!

 
※未完作品
 
5ラリラリ ◆IgJDZoCsoc[saga]:2011/06/20(月) 19:27:12.78 ID:vXsqx7q60
朝食の準備とお弁当の準備をしなければならない。

中には長年続くそれに嫌気がさして、手抜きになる人もいる。

しかし彼女はそう思ったことは一度もない。

彼のためにおいしい朝食を用意し、彼のためにおいしいお弁当を用意する。

苦痛に感じることなどない。

それに彼もいつも「美味しかったよ、ありがとう」と言ってくれるのだから。

時計を見ると彼を起こす時間だ、昔は様々なことに起きることができずに遅刻が多かった彼。

だがそれは彼が怠惰だったのではなく、彼の持つ特殊な体質の所為であった。

寝室に入るとベッドの上で幸せそうに寝ている彼の姿があった。

何歳になっても子供のような顔をして寝ている。

「起きてください、朝ですよ」

優しく身体をゆする。

「んぁ……。おはよう、火織」
6 :ラリラリ ◆IgJDZoCsoc[saga]:2011/06/20(月) 19:28:53.13 ID:vXsqx7q60
「おぉ……」

テーブルに並ぶ朝食を眺めて上条当麻は感嘆の声を上げた。

昔から食事はいつもこのようにしっかりとしたものが並んでいた。

曰く「ちゃんと食べなければいざというときに力がでないのです。それに当麻が食べてくれるなら」らしい。

それにしても今日はいつにもまして豪華だ。

何かあったのだろうか。

少しばかり思案してみる。

ああ、今日は結婚記念日だったか。

少しだけいたずら心が沸いた。

「今日どうしたんだ? 朝から豪華じゃないか」

「え……。わからないのですか?」

先ほどまで満面の笑みだったのが嘘だったかのように、悲しげな顔になる。

「今日は、今日は……」
7 :ラリラリ ◆IgJDZoCsoc[saga]:2011/06/20(月) 19:30:14.02 ID:vXsqx7q60
ちょっとでもからかってやろうと思った自分にあとでオシオキ決定だ。

「結婚記念日、だろ?」

「え、わ、忘れてたんじゃ?」

「ごめんな、火織があまりにもいじらしいから少しからかおうと思っただけなんだ」

「……忘れられたのかと思いました」

頬を膨らませてそっぽを向く。

怒らせてしまった。

「す、すまん!」

「埋め合わせは期待してますよ?」

少しばかり埋めたい笑顔を浮かべた彼女に当麻は慄くしかなかった。


ごめんね、今日はここまでだよ!
このタイトルがしたかっただけってのは内緒だよ(テヘペロ)

じゃあの! 
 
 
21 :ラリラリ ◆IgJDZoCsoc[saga]:2011/06/26(日) 10:31:30.15 ID:7/u+Q0gv0
「今日も暑いな……」

ほんのちょっぴりだけ罪悪感のある朝食を終えた当麻は現在職場に向かっている。

彼の職場はとある高校、彼が通っていた高校だ。

教師になれるほど頭が良かったわけではない。

むしろ卒業さえ危ぶまれるような成績だった。

それは頭の良し悪しもあるのだが、とにかく事あるごとに厄介事に巻き込まれる。

もしくは入り込んでいく彼の性質と性分ゆえのものであった。

しかし、学校では小さいながらも生徒のことを大事に大事に思っている恩師が補修などでカバーしてくれたし。

頭のいい友人にも支えられた。

何よりも不幸であるがために幼少期に「疫病神」と言われ続けて学園都市に来た彼が、ここではただ「運がない」だとか

「カミやんは不幸だにゃー」とか、そんな軽い言葉で片付けられていることに救われていた。
22 :ラリラリ ◆IgJDZoCsoc[saga]:2011/06/26(日) 10:32:50.75 ID:7/u+Q0gv0
多くの問題を片付けたあと、決意したのは自分もその道を歩むことだった。

壁は高かったし、無茶であるようにしか思えない希望だった。

それでも恩師は「上条ちゃんが決めたことなら応援しますよー」とにこやかに笑い、連日の勉強会を開いてくれた。

友人は茶々を入れながらも勉強を教えてくれたり「こンなのもわからねェのか」と鋭い目つきで睨みながらも、勉強を教えてくれた。

そのかいもあって、地元の大学へ進学。

そしてアンチスキルである恩師の友人から厳しい指導のもと、教員免許を取り、同時にアンチスキルにも入った。

彼の持つ不思議な右手はそれだけで能力者による犯罪の抑止力になったし、なによりも彼自身がこの街のために働きたいという気持ちがあった。
23 :ラリラリ ◆IgJDZoCsoc[saga]:2011/06/26(日) 10:33:47.59 ID:7/u+Q0gv0
「おー、おはようじゃんよー」

職員室に入るとすぐさま声を掛けられる。

黄泉川愛穂、教師兼アンチスキル。

当麻を教員とアンチスキルにするために指導してくれた協力者の一人である。

彼女はかの第一位、一方通行と暮らしていたことがあった。

彼氏彼女だとかいう関係ではなく「家族」

一方通行自身が心の底で欲しがっていた、純粋な家族として暮らしていた。

今はその一方通行も結婚し、自分の家にいるため同居人で芳川桔梗とともに暮らしている。

「おはようございます、黄泉川先生」

当麻と黄泉川は仕事上でバディーを組むことが多い。

それは彼女が子供なら能力者であろうと、簡単な盾などで捕まえにいくからだ。
24 :ラリラリ ◆IgJDZoCsoc[saga]:2011/06/26(日) 10:35:06.58 ID:7/u+Q0gv0
端から見れば無茶の類である。

しかしこれは彼女の信念に基づいた行動で、どんなに傷ついても止めようとはしなかった。

そこで能力を無効化できる「幻想殺し」を持った当麻が、能力者の攻撃から黄泉川を守り、フォローする。

幸いにも両方ともがお説教のスペシャリストであるため、補導後の改心率はトップであった。

「どうしたじゃんよ? 奥さんと喧嘩でもしたじゃん?」

「えっ!? ど、どうしてそれを……?」

「顔見ればわかるじゃん。私が何人の子供を今までに相手してきたと思ってるじゃん?」

「もう子供って年でもないですよ」

「私から見れば私が教えたり関わった子はいつまで経っても子供じゃん」

今でも過去の教え子や、捕まえたスキルアウトが黄泉川へ挨拶をしにやってくる。

生活の現状や、将来の展望、愚痴、出産報告に結婚報告。

そのたびに彼女は顔を百面相のように変え、ともに悩みともに喜んでいた。
26 :ラリラリ ◆IgJDZoCsoc[saga]:2011/06/26(日) 10:40:13.14 ID:7/u+Q0gv0
浜面仕上、という元スキルアウトもその一人だ。

彼は無能力者であることへの劣等感でスキルアウトとして活動していた。

車の窃盗やATM泥棒、色々な犯罪をしてきた。

その後に学園都市の闇と呼ばれる暗部に入り、その中で見つけた愛を守るため大戦下のロシアへ飛び、レベル5とも戦った。

その彼も今は奥さんと仲睦まじく暮らしている。

仕事もスキルアウト時代に鍛えた手先の器用さで何でも屋を開業。

日々学園都市の困った人を助けている。

元アイテム構成員の彼女らとも親しくしている。

麦野沈利はカエル医者に直してもらった恩義と、人の為に働きたいという思いが目覚めてか、病院へ勤務。

絹旗最愛は浜面仕上とともに何でも屋で力仕事などをしている。

そういった風に周りの人間にも変化を与えている。

27 :ラリラリ ◆IgJDZoCsoc[saga]:2011/06/26(日) 10:40:55.97 ID:7/u+Q0gv0
「ほら、何があったか話してみるじゃん」

「いやあ、あの……。実はこういうことでして」

口に出すのも躊躇われるくらい、くだらないことだ。

ちょっとからかってみたら拗ねてしまっただなんて。

「それは上条が悪いじゃんよ」

「ははは……承知しております」

「上条の周りには昔から女っ気が多かったじゃん。何歳になっても奥さんは心配するじゃんよ」

そうなのだ、当麻本人は自覚が無かったのだが、彼は周囲の女性に人気があったのだ。
28 :ラリラリ ◆IgJDZoCsoc[saga]:2011/06/26(日) 10:43:18.74 ID:7/u+Q0gv0
誰彼構わず助ける彼に、多くの女性が惹かれた。

挙げだせばキリが無いほどだ。

当の本人は結婚後にその話を聞かされて本気で驚いていたほどだ。

「ま、帰りにプレゼントでも買って、優しくしてあげるといいじゃん」

「そうします……」

「授業始まるじゃんよ」

「はい、今日も頑張りますか」

かつて世界を救った男は、街のささやかな平和を守り、子ども達の未来を作るために教鞭を振るう。


ということで、更新できなくてごめんね。
大学がびっくりするくらい急がしいんよ。
ノートもなぜか無線LAN拾わないし!

じゃ、今日はきっとここまで。
おつおつ! 
 
38 :ラリラリ ◆IgJDZoCsoc[saga]:2011/07/18(月) 10:19:29.65 ID:25mz1NWx0
とある高層マンションの一室で一人の女性が机に伏せて寝ている。

窮屈そうな姿勢ではあるが、本人は疲れが溜まっているらしく、気持よさそうに寝ている。

そこへ杖を付いた男が静かにドアを開け入ってきた。

赤い目をしているその男は肩に掛かる特徴的な白い髪を後ろで束ね、あくまでも音を立てないように、ゆっくりと女性へ近づいていく。

「ったく、こンなとこで寝やがって。何回言えばわかンだ」

言葉とは裏腹に男の顔は優しげだった。

男の名前は一方通行、かつて学園都市最強と謳われていた男だ。

能力はベクトル操作、あらゆるもののベクトルの方向を変換することができる。

簡単な物で言えば攻撃を反射、少し高度にすれば血流操作、もっと言えば基本的には何でもできる。

ゆえに最強、ゆえに孤独であった。
39 :ラリラリ ◆IgJDZoCsoc[saga]:2011/07/18(月) 10:20:54.82 ID:25mz1NWx0
最強でなく、無敵を目指した彼は学園都市の闇が作り出した計画に参加していた。

端的に言えば、殺人。

とある人間のクローンを二万体殺すものであった。

しかしその計画は一人の不幸体質の英雄によって阻まれる。

それを機に彼は少しずつ生き方を変えて行った。

悩み、傷つき、悩ませ、傷つけながらも彼は前へ進んだ。

その結果とも言えるのものの一つがこの女性だ。

打ち止め、ラストオーダーという名前。

彼はこの女性を救うときに銃で頭を撃たれ、演算能力を失った。

杖をついているのはそのためだ。
40 :ラリラリ ◆IgJDZoCsoc[saga]:2011/07/18(月) 10:21:37.87 ID:25mz1NWx0
「ここだとは思ってたけど」

「おい、足音立てンな。起きちまうだろォが」

「その気遣いを少しでも私に分けて欲しいと思うのだけど」

「冗談だろ?」

「さぁ」

あとから入ってきた女性の名は雲川芹亜、かつて総括理事の一人のブレインとして学園都市の闇にいた女だ。

頭が切れ、話術は一種の催眠のレベルまで達している。

今では一方通行の妻である。

二人の最初の関係はギブ・アンド・テイク、情報ありきのものだった。

妹達全員の保護、そして平和な生活を望み、そのために情報を集める一方通行が彼女を見つけるのに、

そう時間は掛からなかった。
41 :ラリラリ ◆IgJDZoCsoc[saga]:2011/07/18(月) 10:22:19.17 ID:25mz1NWx0
「うにゅー、首が痛いかもってミサカはミサカは……。って、あれ? なんで二人ともいるの?」

「悪りィ、起こしちまったか」

「ううん、もう起きようと思ってたから」

「そォか。無理はすンじゃねェぞ?」

「うん!」

昔は会話に「ミサカはミサカは」と付いていたこの女性も、学園都市で生活するために言葉遣いを治していた。

「ほら、顔洗ってこい。飯にすンぞ」

「一方通行手作りの朝御飯、楽しみね」

「オマエも手伝えよ」

「夫婦で台所に並びたいって思う男だとは思って無かったけど」

「抜かせ」

一方通行はムスっとした顔で部屋を出て台所へ向かう。

その後ろを雲川芹亜が頬を緩め付いていく。

彼が心の底から欲しがり、手に入れることを恐れていた家族がここにあった。
42ラリラリ ◆IgJDZoCsoc[saga]:2011/07/18(月) 10:22:58.31 ID:25mz1NWx0
「今日は帰ってこないのよね、前にそう言っていた気がするのだけど」

彼はフライパンを器用に扱いながら首を縦に振り、黙って首肯する。

その横で彼女はネギを細かく刻んでいく。

「玉子焼きかな! ってミサカはミサカは。ふぎゃっ!」

女性はおでこを押さえ、涙目で彼を見つめる。

「その話し方はするなって言ってるだろ?」

「別に家の中くらい、いいと思うけど」

「こォいうのは慣れとかないと、癖で出ちまうもンだ。寝ぼけて出るンだ、焦ったときとかにでたら困ンだろ」

彼は昔から教育的であった。



テスト勉強を少し犠牲にして、少しだけ書いたよ。
地の文はあるけど、会話文を多くするつもりだよ。
打ち止めの話し方を変えてるから、それがイヤだったらばっくごー!

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