2014年5月30日金曜日

初春「左天さんはいつも一方通行さんのことを考えているんですね」

 
※未完作品
 
2SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/30(金) 23:42:22.73 ID:pcrXVknlo
窓から入ってくる眩しい光で一方通行は目を覚ました。
ゆっくりとした動作で起き上がる。
ふと、のどが渇いていることに気づき冷蔵庫へと向かう
だが中身を確認すると、

「・・・ない・・」

どうやらお気に入りのコーヒーは切らしていたようだ。
思わず舌打ちをしてしまう。

「めんどくせェ・・・」

と苛立たしげに呟き部屋を後にした。

3 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/30(金) 23:43:04.44 ID:pcrXVknlo
~~~~~~~~~~~

会計を終えコンビニから出ると

「君かわいいね~」
「俺たちと遊ばない?」

近くの路地裏から下品な声が聞こえた。

そこへ目を向けると、一人の少女が4人ほどの派手な恰好をした少年達に囲まれているのが見えた。

5 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/30(金) 23:43:59.27 ID:pcrXVknlo
………………………
………………
………

左天涙子は近道をするために路地裏を通ったことを後悔した。

「君かわいいね~」
「俺たちと遊ばない?」

ああ、どうしよう・・・。
めんどくさいのに絡まれちゃった。走って逃げよっかな。

とりあえず適当に誤魔化す。

「すみませ~ん。私これから用事あるんですよ~。」

ちょっと声が震えてしまった。

「んだよつれねえな。」
「用事なんてどうでもいいから早くいこうぜぇ」

6 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/30(金) 23:45:05.45 ID:pcrXVknlo
金髪の少年が手を伸ばしてきた。

「っ!」

とっさにその手をはたいてしまう。

それが金髪にとって面白くなかったらしく、

「調子に乗ってんじゃねえよ」

と言い、左天の髪をつかもうと再び手を伸ばしてきた。

やばっ・・・・と思った瞬間、金髪の手に空き缶のようなものが当たった。

「痛ってええええええ!!!」

見ると金髪の指がおかしな方向に曲がっていた。


「ったく、くだらねェ遊びでハシャいでンじゃねえよ。」



後ろを振り向くと、なんだか真っ白な人がいた。
8 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/30(金) 23:47:14.97 ID:pcrXVknlo
汚れ無き純白の髪と鮮血のような緋色の双眸を持つ彼の体は、掴んだら折れてしまいそうなほど華奢だった。

「なんだてめえ!?」
「なめてんじゃねーぞ!!!」
「おい、やっちまうぞ!」

4人の少年達が彼に向かっていく。
しかし彼に焦りはなく、ニヤニヤと嗤っているだけだった。

その中の坊主頭が彼の顔面に向けて拳を放った。
その拳が彼に当たり、路地裏に左天の悲鳴と痛みに喘ぐ声が響いた。

ただ、痛みの喘ぎ声をあげたのは殴られた方ではなく、殴った方だった。





「オマエら誰にケンカ売ってるのか分かってンのかァ?」




9 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/30(金) 23:50:07.81 ID:pcrXVknlo
………………………
………………
………


一方通行は地面にうずくまっている4人を一瞥すると、
オイお前と左天に声をかけた。

「次からは気をつけろ」

「あ、あの!」

「あァ?」

「助けてくれてありがとうございました!
そういえば殴られても平気そうでしたけど、どんな能力なんですか?」

「ベクトル操作。運動量・熱量・光量・電気量・・・・俺の体表面に触れたあらゆるベクトルを任意に操作する能力だ。デフォじゃ反射に設定しているがな」

「へ~なんだかすごい能力ですね~。もしかしてレベル5だったりして!」

左天がおどけた調子で言うと、

「あァ。俺は学園都市第一位、レベル5の一方通行だ」

「・・・は?

・・・・・・すみません、もう一回言ってくれますか?」

「だァから第一位のレベル5だっつってンだろ」

「えぇー!本当ですか!?あたし御坂さん以外でレベル5の人見るの初めてです!」

「あっそォ。つゥかお前時間大丈夫なのかァ?」

「うわっ、ホントだ。それじゃこの辺で失礼しますね!」

そう言って大通りの方へと走って行った。

(・・・忙しい奴)

頭の中で呟き、先ほど買ったコーヒーを飲んだ。

「ンだよコレ・・・泥水じゃねえか」


10 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/30(金) 23:53:24.30 ID:pcrXVknlo
………………………
………………
………

左天は親友の少女――初春飾利が住む学生寮に来ていた。

「ってことがあってさー」

「レベル5ですか~・・・ていうか左天さんその人が助けてくれなかったらどうするつもりだったんですか!」

「いや~ごめんごめん。次からは気をつけるからさ」

「もうっ。ホントに気を付けて下さいよ

そういえばその人と連絡先交換したんですか?」

「あー・・・急いでたから忘れちゃってたよ・・・」

「左天さん?なんだかとても残念そうにみえますけど・・・あっ!もしかして一目ぼれだったりしてぇ~??」

初春がニヤニヤと意地悪く問いかけてくる。
対して左天はというと

「・・・いやいやナイって。だって1回会っただけじゃん。

まあカッコ良かったのは確かだけど」

「ほうほう」


「ねえ初春、ジュース買いにあそこのコンビニ行こー」

そこで話を遮るように左天が提案した。

「(・・・話を逸らされたような気が・・・

まあいいや)行きましょう。丁度喉が渇いていたところですし」

16 :うわっやっちまったorz >>11ご指摘ありがとうございます2011/12/30(金) 23:58:47.41 ID:pcrXVknlo
………………………
………………
………

~コンビニ店内~

「あれって・・・」

「どうしました佐天さん?」

佐天の視線の先には白髪で目つきの悪い少年がいた。

「あれが噂のヒーローさんですか。チャンスですよ左天さん!」

「なんのチャンスだよ・・・まあ、とりあえず話しかけてみるかー」

そう言い左天達は少年に近づいた。

「こんにっちわー!」

「は、初めまして」

「あァ、オマエはあン時の。とそっちの花女は?」

「ぶっっ花女って・・・」

「笑わないで下さいよ佐天さん!あの私初春飾利っていいます。友達がお世話になったようで」

「あーその節はありがとうございました」

2人はペコリと少年に頭を下げた。

「別に気にすンな。だが次からは気をつけろよォ?」

「はい!
そういえばお名前なんて言うんですか?前に言ってた一方通行って能力名ですよね?」

「御坂さんの超電磁砲みたいなやつですか」


「・・・名前なんてモンは忘れた」


佐天と初春は訊いてはいけないことを訊いてしまったと後悔した。

「す、すみません」

「ごめんなさい・・・」

「いやイイ」
17 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/31(土) 00:03:23.07 ID:tK0373Goo

「ていうかそんなに大量のコーヒー買ってどうするんですかー?」

話題を変えようと思ったのか、佐天が一方通行の持っているビニール袋を見て言った。

「どうするって飲むしかないだろ」

「そんなにたくさんをですか?」

「いちいち買いに行くのめんどくせェから、いつもまとめて買ってンだよ」

「へ~」

「あ、そうだ!」
「?」

佐天が何か思い出したような声を上げた。

「あのー良かったらメアド交換しませんか?」

「はァ?なんでオマエと・・・」

「駄目、ですかぁ?」

上目づかいで一方通行を見る。
その視線に怯んだようだ。

「・・・・ほらよ」

一方通行は観念したように携帯を差し出した。

「ほら初春も登録しようよ」

「(佐天さん積極的ですね)はいはい」

「んじゃー連絡先も交換したことだし、飲み物買って帰りますか」

「そうですね。それじゃあ一方通行さんさようなら」

「今度メールしますね~!」

「また不良に絡まれるンじゃねぇぞ」 
 
41 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)2011/12/31(土) 14:56:46.60 ID:tK0373Goo
佐天は憂鬱な気分だった。
なぜなら今日は身体検査(システムスキャン)の日だったから。

結果はレベル0。

いつも通りのことなのだから気にすることはない。
だが手に持っている書類の数字を見ると、どうしても楽しい気持ちにはならない。

「…はぁ」

ため息が出てしまう。



「あ」

……そういえば と佐天は白髪の少年を思い浮かべる。

一方通行さんはレベル5だ。
なら頭も凄くいいのではないか。

(一方通行さんに能力についていろいろ聞いてみよう。御坂さんでもいいんだけど、なんか気まずいし)

(そうと決まればメールでもしてみますか)

42 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)2011/12/31(土) 15:00:28.02 ID:tK0373Goo

To:一方通行さん
件名:話したいことが
あなたに会いたいです。
今すぐにでも大丈夫ですか?


「まあ一方通行さん暇人っぽいし大丈夫っしょ。というわけで送信!」

………………………
………………
………
43 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)2011/12/31(土) 15:01:22.82 ID:tK0373Goo

prrrr prrrrr
一方通行の携帯がメールの着信を示した。

「メールか?珍しいなァ…」

一方通行がコーヒーを飲みながらメールを確認すると、


From:佐天涙子
件名:話したいことが
あなたに会いたいです。
今すぐにでも大丈夫ですか?


「あァ?話ってなンだよ」


To:佐天涙子
件名:Re: 話したいことが
別にいいけど
どこに行けばいいんだ?


メールに返信し、コーヒーを飲みほした。

「だりィ…」

そう独りごちると、またメールがきた。


From:佐天涙子
件名:Re:Re:話したいことが
じゃあこの前のコンビニ近くにできた
ファミレスなんてどうですか?


To:佐天涙子
件名:Re: Re:Re:話したいことが
わかった
今から行く


そう返信して一方通行は部屋を出た。

………………………
………………
………

44 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)2011/12/31(土) 15:02:47.85 ID:tK0373Goo

~ファミレス店内~

「でェ、話ってなンですかァ」

「あたしレベル0なんですよ。今日の身体検査(システムスキャン)でもやっぱり駄目で」

そういえば今日がそうだったなと一方通行は思い出した。彼自身はレベル5ということで特別に別の日にやっていたが。

「それで?」

「御坂さんは努力してレベル5に上り詰めたって聞きました。でも努力努力って言ってもやっぱり才能がないと意味ないんじゃないかって思うんです。」

一方通行は少し考えるような素振りを見せた後、

「まあそォだろうなァ」

と言った。

「……そう…ですか……そうですよね」

45 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)2011/12/31(土) 15:06:42.30 ID:tK0373Goo

「そういやオマエ、自分の能力がなンなのか分かるのか?」

「風力使いなんですけど…その、言いにくいけど、ま、前に幻想御手使ったことがあって」

「幻想御手?つゥかそン時は能力使えたンだよな?」

「はい。でも…」

「ハッ、良かったなァ!オマエ才能あるみたいだぜ?」

「え、それってどういう…?」

「才能が全くなかったら幻想御手使っても能力は発現しねェよ」

「じゃ、じゃああたしにも才能があるってことですか!?」

「そういうことだな」

「あたしにも才能が…」

なにやら感動している佐天に向けて、一方通行が思いついたように言った。

「…修行するか」

「えっ」

57 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)2012/01/01(日) 02:33:20.67 ID:Ue2kTko6o


「…修行するか」

「えっ」

「最近退屈で退屈で死にそうだったからなァ

暇つぶしに能力開発手伝ってやるよ」

「ホントですか!?ありがとうございます!!!」

「ンじゃ適当な場所に移動するか」
58 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)2012/01/01(日) 02:34:43.83 ID:Ue2kTko6o
~~~~~~~~~~

2人は小さな公園に来ていた。

「(なんかデートしてるみたいだなあ)」

佐天はふと思った。
どうやら満更でもなさそうな感じだ。

「自分だけの現実って何かわかるよなァ?」

「なんとなくなら、ですけど」

「ならいい。能力使えた時のイメージ思い出せるか?」

「能力使った時のイメージですか…とりあえずやってみます……」

「今日は風が無いから丁度いいな。これ使ってみろ」

そう言い一方通行は落ち葉をひとつ掴んで
クシャッと粉々にした。
59 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)2012/01/01(日) 02:36:24.28 ID:Ue2kTko6o

「(…空気を水に見立ててかき回す感じ…)」

そんなイメージで念じるが、粉々になった落ち葉が宙を舞うことはなかった。

「う~ん……無理っぽいです…」

「そりゃァな、そンなホイホイできるようになったら誰も苦労しねェよ。それでどンなイメージで念じたンだ?」

「ええっと、空気を水に見立ててやってみました」

「なるほどなァ。これは合ってないと思ったら別にいいンだけどよォ、空気を小さな粒の集合だとするのはどうだ?」

「粒の集合ですか…?」

「ああ。まあ、アレだ、自分に合う方法を見つけるってのが一番だな」

佐天は一方通行が言ったように、空気を小さな粒の集合でできていると思って再度念じてみた。
すると。


「(あ、あれ?)」
60 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)2012/01/01(日) 02:37:46.81 ID:Ue2kTko6o

なんだかいけそうな気がする。
佐天は先程とは違う感覚を実感した。

「(これなら…もう少しで…!)」

だが、それから数分間踏ん張ってみたのだが、結局落ち葉を操ることはできなかった。


「はーダメだったかぁ……ってあれ?……一方通行さん?」

ふとあたりを見わたすと白髪の少年の姿が見えなくなっていた。
あまりにも夢中になっていたから全然気がつかなかった。
61 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)2012/01/01(日) 02:39:44.27 ID:Ue2kTko6o

すると佐天の右頬に冷たいものが触れた。

「ひゃうっ!!」

「なンつー声出してンだ。ほれ、これ飲ンで休憩しとけ」

「あ、ありがとうございます。ていうかどこか行くんなら教えて下さいよ!」

「…何回も話かけたンだがなァ」

「え…なんかすみません…」

「気にすンな」

一方通行が返答する。やる気があンのはいいことじゃねェの、と付けたして。

「…一方通行さんホントコーヒー好きなんですね」

佐天は一方通行から受け取ったヤシの実サイダーを飲みながら言った。

「まァな」

「ブラックなんて苦くないですか?」

「砂糖入ってる方が甘ったるくて飲めたモンじゃねェだろ」

「それがいいんじゃないですか!」

「ふーン」
62 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)2012/01/01(日) 02:43:14.31 ID:Ue2kTko6o
「で、どうだったンだァ?いけそうか?」

「は、はい!一方通行さんのお陰で何か掴めそうな気がしてきました!」

「そォかい。まあ焦らずやっていけばいいからな」

「わかりました!一方通行さんって見た目怖そうだけどすっごく優しいんですね!」

そういうと佐天はニッコリと笑顔をみせた。


「ッ………」


完全に不意を突かれた。

いつぞやメールアドレス教えてほしいとねだられた時にも、佐天にドキッとさせられたことを思いだす。


「オ、オイ そろそろ下校時刻になるンじゃねェか?」

「もうそんな時間ですか……」

佐天が淋しそうな表情になる。

「手伝ってほしい時はいつでも言っていいからなァ。

俺はこの通り暇人だからよォ」

「は~い。それじゃ、さようなら~」

「ン」

………………………
………………
……… 
 
69 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)2012/01/02(月) 00:17:58.97 ID:BmWNzeIno
………………………
………………
………

「ふ、不幸だああああ!!!」

「待ちやがれェ! このクソ三下野郎がァ!!!」

夜の学園都市で、2人の少年は“鬼ごっこ”を繰り広げていた。
いや、それを鬼ごっこと呼ぶにはあまりにも一方的過ぎたかもしれない。

「俺が何したっていうんだよ!」

「ハァ!? あの女子中学生を連れて一人で逃げようとしてたじゃねェか!」

「ち、ちげぇって! 誤解だよ!!!」

「問答無用だクソ野郎!!!」

「やっぱり不幸だああああああああ」
70 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)2012/01/02(月) 00:20:01.42 ID:BmWNzeIno
~~~~~~~~~~~~~

時間は少し遡る。
一方通行は久しぶりに外食に行こうとしていた。
最近は夕食がコンビニ弁当ばかりだったのでいい加減飽きてきたところだ。

「おい、ちょっと待てよ」
「人にぶつかっといてそれはないんじゃねえの?」
「す、すみませんっ!」
「(ふひひひwwwwww巨乳っ娘はっけーんwwwwww)」

どこからチンピラの下卑た声と一方通行のよく知る少女の声が聞こえてきた。

「(……すげェデジャブを感じるンだが……)」

「(3人だけか……てかなーンでアイツは不良とのエンカウント率がこうも高いンですかねェ……?)」

たしかに佐天は可愛い。それに中学1年生らしからぬ体つきをしているのも絡まれやすい原因なのだろうか。

適当に考えながら一方通行は不良達に近づこうとした。
71 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)2012/01/02(月) 00:21:34.44 ID:BmWNzeIno


すると

なんだか頭が悪そうで髪がウニみたいにツンツンした少年が割って入ってきた。

「いやーゴメンゴメン! 随分待たせちまったな!」

そう言って佐天の手を掴もうと右手を伸ばしてきた。

「(なンだァ? 佐天の知り合いか?)」

だが、


「え、……どなたですか?」

どうやら知り合いでは無いらしい。

「(知り合いじゃねェとなると…………佐天をテイクアウトして1人だけ美味しい思いをする魂胆ってかァ……?)」

そう結論付けた一方通行は、とりあえず足もとにあった小石を蹴って、モヒカン頭にぶつけた。

ベクトル操作によって絶大な破壊力を秘めたそれはモヒカン頭の股間に命中し、彼を悶絶させた。
72 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)2012/01/02(月) 00:22:58.03 ID:BmWNzeIno

一方通行は蹲っているモヒカンを無視して、太めのメガネをかけた男に標準を定めた。

「な、なんでござるかお主は!?」

「くっせェブタが吠えてンじゃねェよ」

顔面を鼻の骨が折れるほどの力で殴り、怯んだとこへ鳩尾に蹴りを入れた。

「ゴフッッ」

そしてバンダナを巻いたイケメンに[ピザ]をぶつけた。もちろんベクトル操作付きで。


「(最後のウニ野郎は…………あァ?どこ行きやがったンだァ?)」

見わたすと佐天もいない。
73 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[saga]:2012/01/02(月) 00:23:46.25 ID:BmWNzeIno

一方通行は蹲っているモヒカンを無視して、太めのメガネをかけた男に標準を定めた。

「な、なんでござるかお主は!?」

「くっせェブタが吠えてンじゃねェよ」

顔面を鼻の骨が折れるほどの力で殴り、怯んだとこへ鳩尾に蹴りを入れた。

「ゴフッッ」

そしてバンダナを巻いたイケメンにデブをぶつけた。もちろんベクトル操作付きで。


「(最後のウニ野郎は…………あァ?どこ行きやがったンだァ?)」

見わたすと佐天もいない。
74 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[saga]:2012/01/02(月) 00:25:33.52 ID:BmWNzeIno

「クソッタレ。逃げられたか」

吐き捨てるように呟き、一方通行は地面を蹴り空から町を見下ろした。

「俺様から逃げようなンざ百年早えンだよォォオ!!!」

あの髪がツンツンした少年を探す。

すると数秒後、


「みぃつけた」


ニタアアと引き裂いたような笑みで言った。

そして少年のもとへ急降下した。

「はァい、ウニ野郎。潰しにきてやったぜ」

「お、おい、俺はただこの子をたs」

「ごちゃごちゃうっせェンだよ三下ァア!」

そう叫び近くのポストを引っこ抜いて少年に向けて放る。

「うわっ!あっぶねええええ! ええいくそっ、こういう時は…………」

一拍置き、

「……逃げるが勝ち!」

陸上選手も真っ青のスピードで逃げて行った。
75 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[saga]:2012/01/02(月) 00:27:23.83 ID:BmWNzeIno

「あっテメ待ちやがれェ!オイ佐天!」

「なななんでしょう!?」

「オマエはもう帰れ。俺はちょっとウニ掃除にいってくるからよォ!」

「えー!ちょ、ちょっと一方通行さん! あれは勘違いで…………!」

だが一方通行は既に佐天の声が届かないくらい遠くにいた。

「ああもうっ!それより誤解を解かないと……!」

………………………
………………
………
76 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[saga]:2012/01/02(月) 00:30:01.46 ID:BmWNzeIno

「ンでェ、その後追い付いてきた佐天が説明して誤解は解けたわけだが……

なーンなーンですかァその愉快な右手は?」

「ああこれか。幻想殺しっていってな、異能の力ならなんでも打ち消せるんだよ」

「なンだよそれ。チート過ぎじゃねェか」

「お前が言うなよ! ポストを素手で引っこ抜いたり、空飛んでたり、地面割ったりしてたじゃねえか!」

「第一位にかかればそのくらい朝飯前ですよ!ねっ!」

「まあそうだが……なンでオマエが誇らしげなンだよ」



「……そういや2人ってさ




            付き合ってんの?」




上条がなんの躊躇いもなく発言した。
77 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)[saga]:2012/01/02(月) 00:31:00.67 ID:BmWNzeIno


「……ッッ!!」

「ッゴホゴホ…………なァに愉快なこと言ってやがるンですかァ?やっぱりあン時駆逐しといた方が良かったみたいだなァ……!?」

「何でそんなに怒って……って、ちょ待ってそんなの投げたら危ないって!!」

「うっせェボケ!覚悟しろや三下ァ!!!」

「ぎゃあああ不幸だああああああ!!!!!」

………………………
………………
……… 
 
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 19:57:53.47 ID:Q0robsWRo

………………………
………………
………




「…………クソが……最悪の目覚めだぜ……」






      随分と昔の夢を見た
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 19:59:29.45 ID:Q0robsWRo

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

かつては一方通行にも人間らしい名前があった
苗字が2文字で、名前は3文字の対して珍しくも無い、ごくありふれた名前だったはずだ

別に彼は最初から学園都市最強の超能力者だったわけではない
その頃の彼はただ周りより少しスキルが上だった、程度にしか認識していなかった

しかし周囲の人間が彼に向ける視線には、いつも嫉妬や嫌悪などの悪意敵意が孕んでいた

彼にとって災いだったのは、自らの能力の底を知らなかったことなのかもしれない

突っかかってきた同年代の少年達は彼に触れただけで骨を折った
それを止めに来た教師も骨を折った
さらに数人の拳銃を持った大人達が彼を取り囲んだが全滅し、しまいには、風紀委員や警備員等が急行し、当時まだ幼かった彼をまるで凶

悪な大量殺人犯でも相手にするかのように攻撃してきた

だがやはり誰も彼もが全滅した
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:02:15.46 ID:Q0robsWRo

彼は怖かった

自分に銃を向ける大人達が

自分をただの実験動物として扱う研究者が

この街の闇が

そして、己に宿るこの力が

どうしようもないくらい恐ろしかったのだ


彼は確信する

自分は他人に触れることはおろか感情すらも向けてはいけないんだ、と

この力は、指先で触れただけで人を傷つけ
心の中で少しイラッとした程度で人を殺しかねない

このままでは世界を敵に回してしまう


それからの彼の行動は早かった

あっさりとその場で降伏し、敵意が無いことを示した

そして彼は特別クラスという名の『檻』に放り込まれることになった
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:04:12.58 ID:Q0robsWRo

その後も彼は考え続ける

このままでは、きっとまた繰り返してしまうだろう

なら、どうすればいい……?


やがてひとつの解決方法を導き出した

そうだ、あるじゃないか

この上なく単純明快な答えが

人と争いたくないのなら、争いが起きない状況をつくればいい

争いを起こそうとする気が失せるくらいの力を手に入れれば

『最強』では足りない

『絶対』の存在にならなければ……


そうすれば、もう誰かを傷つけることも、誰かに脅えられることもなくなり



自分の存在を、誰かに認めてもらえるかもしれない



錆びついた彼の心はそう考えた
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:06:56.12 ID:Q0robsWRo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「……くだらねえ」

傷つけたくない?
脅えられたくない?

どの口がほざいてンだよ

現に、チンピラ共が絡ンできたら俺はどうしてた?

泣いて詫びるまでボコボコにして、奴らの顔を恐怖の色に染めてたじゃねェか

……奴らは価値のないクズだからセーフってか?

まあいいか


…………そういや……

なンで俺は佐天を助けたンだァ?

今までにあンな行動とったことは一度もねェってのに……

それにアイツの前だとなぜか饒舌になりやがる

俺は他人と会話するのは苦手な筈なのになァ

あー……考えてたら意味わかンなくなってきた


とそこに、

コンコン、コンコン

玄関の扉をノックする音が響いた

「(なンだァ?)」

玄関の前に立ち、扉を開けると

「水穂機構の者です。新しく始まるプロジェクトのお誘いに参りました」

………………………
………………
………
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:08:13.82 ID:Q0robsWRo

「……これは先輩の友達の彼氏が実際に遭遇した話です……」

佐天はおどろおどろしく話始めた

「ある夏の蒸し暑い夜、その彼氏さんが近くの公園を通りかかった時のこと……1人佇んでいた女の人に駅までの道を訊かれたんです…………」

その話を3人の少女が静かに、不安そうに聞いていた

「…………その彼氏さんが快く道順を教えていると……どこか虚ろなその女の人が、ふわあ~っと手を上げて…………」

「……手を上げて……?」

「突然がばああっと!」

「……がばああっと……?」


「…ブラウスを脱いだんです」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:09:18.40 ID:Q0robsWRo



………………。



「って、全然全く怖くないじゃん!!!」

そう叫んだのは御坂美琴 ――― 学園都市に7人しかいない超能力者の中でも第三位に君臨している常盤台中学の学生だ

「せっかく雰囲気を作ってもそんな話ですとねえ」
同じく常盤台中学の白井黒子が退屈そうに首を振った

「ええー、でも実際遭遇したら怖くないですか? いきなり脱ぎだす都市伝説『脱ぎ女』!」

「怖くない」
御坂がキッパリとした口調で否定する

「それってただの変態さんじゃないですかー?」
初春はパソコンを操作しながら適当に言い、

「じゃあじゃあこんなのはどうですか?」

パソコンの画面を皆に向けた
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:11:02.78 ID:Q0robsWRo


「風力発電のプロペラが回りだすとき街に異変がっ!?とか
この、どんな能力も打ち消す能力を持つ男、なんてまさに学園都市って感じですよね~」

初春が適当にタイトルを上げる

「え、それって…(まんま上条さんのことじゃん!)」

「えっ佐天さんもしかしてアイツのこと知ってるの!?」

「まあ一応……ていうか御坂も知ってたんですか?」

「なんかおもしろそうですね!その話聞かせて下さい!」
初春が興味深々といった様子でせがんできた

「ええっとね……」



佐天は数日前のあの時のことを3人に話した




「――― ということがあったんですよ」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:14:52.74 ID:Q0robsWRo

「なんていうか、佐天さんと第一位の方が面識がおありだったことの方が驚きですの」

「あは、確かにそうかも」

「ふーん、第一位ねえ」

「それでその一方通行さんって、佐天さん好みのイケメンなんですよ」

「ちょ、ちょっと初春!」

「で、あれから進展はあったんですかぁ~?」

「佐天さん、その一方通行って人が好きなの?」


「いやなんていうか、その、まだ明確に好きってわけじゃあないっていうか…」

そうだ
彼に対して好意は持っているが、恋心を抱いているわけではない


「まだ?今まだって言いましたよね?ということは……」

「はいそこ揚げ足とらない!ねえ白井さんも何か言ってくださいよ~」

「まあ頑張って下さいまし。応援してますのよ」

「うわああ白井さんまで!」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:16:29.87 ID:Q0robsWRo

佐天は話をそらすかのように、
「そそそういえば!!御坂さんも上条さんのこと知ってるんですよね!どういう関係なんですか!?」
と、言った
「それはわたくしも気になっていた所ですの。ままままさか、恋敵!?」

「あ、あいつはそんなんじゃないわよ!!!!」

「御坂さん焦ってますね~」
初春が茶化し、

「わたくしのお姉さまがぁああぁあ!!!」
白井は自分の頭をガン!ガン!と机にぶつけている


そんな中、佐天は弄りの矛先が自分から御坂に向いたことでホッとしていた

……ていうか最近、初春がよく弄ってくる気がする
佐天が日常的にしているスカート捲りに対する仕返しのつもりだろうか

なんてことを考えながら そろそろでませんか?と提案してみる

「そうですわね。わたくしと初春は風紀委員の仕事もありますし」

「そうなの? 佐天さんどうする?」

「ん~、じゃあ適当にブラブラしますか」

「佐天さん、御坂さんまた今度~」

「2人とも頑張ってね~」

「了解ですの」



「それじゃ行きますか」

「そうね」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:17:57.59 ID:Q0robsWRo

~~~~~~~~~~

2人はクレープ屋近くのベンチに腰かけ、お互いが買ったクレープを食べ比べていた

「あ、そうだ」

「どうしたの?」

突拍子も無く何かを思いだした佐天を御坂はキョトンと見つめた

「ん~……修業の準備?」

「修業?」

「最近家に帰ってから能力使う練習してるんですよ」

佐天は言いながら適当な落ち葉を拾い上げ、まだ全然駄目なんですけど と躊躇いがちに言う

「へ~そうだったんだ」

「まあ超努力家の御坂さんには遠く及びませんけどね」

「努力家って……」


佐天は軽く息を吸い

「わたしは以前ズルをして能力を手に入れました」

「幻想御手のこと……?」

コクっと頷く
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:18:50.80 ID:Q0robsWRo

「……あたしが弱かったせいでみんなにたくさん迷惑かけてしまって……

だから決めたんです。能力なんて関係なしに強くなろう、って」

「……そう…」

そんなこと言ってもやっぱり能力は欲しいですけどね、と呟く

「なーんか湿っぽくなっちゃいましたね。そうだ、あたし御坂さんと上条さんの馴れ初めの話聞きたいな~」

「ななな馴れ初めってなによ!」

「あはは、冗談ですって」

「まったくもう……

ええっとたしかアレは…………」


………………………
………………
………
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:19:47.90 ID:Q0robsWRo


「良く見ると君かわいいね~」
「おっしかも常盤台の制服じゃん!」
「帰りは車で送ってやるからよ」
「まっいつ帰れるかはわかねえけどな」

「「「ぎゃははは!」」」

「(私に声をかけてくるなんて頭の悪い連中ね)」

少女は冷めた視線を大通りに向けていた


お、目が合った
だが、こちらを見た青年はすぐに視線を落とし足早に去って行った

「(ま、それが普通か)」

そう、それが普通。当たり前。
別に彼らが薄情だと思っているわけではない



「(こんな中割って入るなんてそれはただの馬鹿か、もしくは…………ん?)」



「おーいたいた。あ、ども~ツレがお世話になりました。ったく駄目だろ~勝手にはぐれたら」



なんだこのツンツン頭は?そしてなぜ私の手を引っ張る
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:21:14.40 ID:Q0robsWRo


「ほら早く行こうぜ!」

「……ちょっと」

「ん?どうした?」


「……アンタ誰よ」


「………………へ?」




「……ってお前そこはちゃんと合わせろよ!! 知り合いのふりして自然にこの場から離れる作戦が台無しだろ!!!」

「なんでそんなメンドクサイことしなきゃならないのよ」



「ああ゛ん?なんだてめえなめた真似しやがって」

「なんか文句でもあんのかぁ?」

じりじりとチンピラ達がツンツンの少年に近づいていった


少年は あははは……、と適当に誤魔化してしたのだが
意を決したかのように しゃあねえなあ とため息交じりに呟き


「ああそうだよ。恥ずかしくないのかお前ら? こんな大勢で女の子1人を囲んで情けねえ」


「(……へえ~)」

御坂は純粋にこの少年に感心した
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:23:31.41 ID:Q0robsWRo

「大体お前ら声をかけた相手をよくみてみろよ。まだガキじゃねえか」

……イラッ

「さっきのやりとり見ただろ!? 歳上に敬意を払わないがさつな態度!」

イライラッ

「見た目はお嬢様でもまだ反抗期もぬけてねえじゃん! そんなガキだぞ!? 俺はなぁ、お前らみてえに群れなきゃガキの相手もできねえような奴がムカツクんだよ!!」


……ブチッ



……前言撤回。私が一番ムカツクのは……


少女の前髪からバチバチバチと火花が発生する



「お前だああああああああああああああ!!」



バリバリバリバリッ!!!


「「「ぎゃあああああああ!!!」」」



「まあこんなもんね…………えっ!?」


そこには黒こげになったチンピラ達と、




右手を突き出している無傷の少年がいた
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:24:39.27 ID:Q0robsWRo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~翌日の夕方~

御坂は寮に帰る途中だった


「ああ不幸だ…………」


「ん?あれって……」


食材が入っているであろうビニール袋が水たまりに浸っていた

その傍に、 

「……上条さんは前世で一体どんな悪行を重ねていたのでせうか……」


「ちょっとアンタ!!」

「げっ、ビリビリ中学生……!」

「ビリビリ言うな。私には御坂美琴って名前があるのよ!」

「そうか。俺は上条当麻だ、よろしくなビリビリ。そしてさようなら」

「逃げようとすんな!」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:25:29.18 ID:Q0robsWRo

「はぁ……でその美琴お嬢様が俺に何の用だよ」

「勝負よ勝負!今日こそは決着つけてやるんだから!」

「…………ハァ~」

「そこ!さっきより大きい溜息つかない!」

「……分かったよ」

「やっとやる気になったわね」


「ああ。だから…………手加減はしねえからな」


「ッ…………!」

この男は超能力者である私の電撃をいとも簡単に打ち消した
あの能力の本質が、能力を根こそぎ封じてしまうモノだとしたら…私は能力が使えなくなる可能性もある

…………いいわ。やってやろうじゃない

「よっしゃ燃えてきた!ここじゃ本気だせないから場所を移すわよ!」


対して上条はと言うと

「(ハッタリ失敗っ!?しかもなんかやる気出ちゃってるし!!?)」

「何してんのよ!ほら早く行くわよ!」

「(不幸だああああっ!)」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:26:36.14 ID:Q0robsWRo

~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「この辺なら人もいなさそうね」

「うう……」


「それじゃあ私からいくわよ!」

御坂は周囲に紫電を発生させ、その矛先を上条に向けた


「っく……!」

だが上条の右手に当たった瞬間紫電の槍はかき消えた

「やっぱり電気は効かないか……ならこれはどうかしら…ねっ!!」

御坂の右手に砂鉄が集まる
それを鞭のように操り、上条を襲う

「うおっあぶね!」

「ちょこまかとムカツクわね」

そう言うと御坂はより多くの砂鉄を操り、嵐を巻き起こした

「砂鉄の嵐!?いくらなんでもそれはやばっ……!」

上条が足元の石につまづきバランスをくずした

「(入った!避けられるタイミングじゃない!)」

が、上条が砂鉄の嵐に右手を突っ込むと、操られていた砂鉄は全て地に落ちた
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:27:10.49 ID:Q0robsWRo

「しょ、勝負あったみたいだな!」

「まだ終わってない!!」

御坂は叫び声と共に、地面を両手でバンっと叩いた

「(なんだ?)」

「砂鉄自体が消えたわけじゃあないでしょ?」


すると、ズンッズンッと地面から太い杭が生えてきた

「ッ……!? お前ホントなんでもありだな!!!」

上条がそれを間一髪のところで避けると

「捕まえた!!!」

御坂に右手を掴まれた

「体内に直接電流を流せば流石に持たないでしょ!!!…………ってあれ? えちょ、なんで……?」

なぜか能力が使えない
演算はできるのだが何かが空回りしているような感じだ
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:28:43.05 ID:Q0robsWRo

顔を上げると上条が自分の顔に向かって拳を振り上げているところだった

「ひっ……!」

これからくるであろう痛みと恐怖により目をつぶってしまった


だがいつまでたっても拳が振ってこない

恐る恐る目を開けると

「ぎゃー。まいりましたー……」

棒読みの台詞と一緒に地面に倒れる上条の姿があった



「…………ふっ……ふっ……


ふざけんなあああああああああああああああ!!!!」


ビリビリバチバチバチバチ ―――― !!!


「あ、危ねえっ!!お前人間がそんな強い電気くらったら死ぬぞ!?」

「うるさいっ!!!どうせ効かないんでしょ!?」

「効くわ!!!」

「効いてないじゃない!!!真面目に勝負しろ!!」

「いやだってお前ビビってたじゃん!」

「あれはっ……え、演技よ!!」

「お前嘘ヘタ過ぎだろーっ!!?ああもう不幸だああああ」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:30:01.31 ID:Q0robsWRo

………………………
………………
………

「っという話だったとさ」

「へ~。ていうか上条さん紳士だな~」
佐天が相槌を打った

「あーなんか話してたらまたムカツいてきた」

「そういえば、のど渇きません?」

「そうねたしか近くに自販機が…………あ」

御坂の視線の先には、ついさっき話していた少年の姿があった

「アンタ、こんなところで何してんのよ!」

「またかビリビリ中学生」

「ビリビリ言うな!それはそうとこの前のつづ ――」

「あ、上条さん久しぶりですねー」

「おー佐天さんもいたのか。つか二人って友達だったんだな」
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:31:02.74 ID:Q0robsWRo

とそこへ

「無視すんなやゴラアアア!」

怒った御坂が上条にタックルをかました

「ぐぼぇっ!」

御坂は上条に馬乗りになって喋る
「大体アンタねえいつもいつも適当はぐらかして逃げようとするしこの前だって ――」

「……御坂、ちょっと重いって…」

「レディに向かって重いとは何事よ!」

「だああああ!嘘!今の嘘だから至近距離での電撃はヤメテ!!」


佐天は二人の様子を見て一言


「………御坂さん大胆……」


ていうかいつまで馬乗りになってるんだろ?
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:31:37.00 ID:Q0robsWRo

………………………
………………
………


「今日は楽しかったなー」

佐天はあの後御坂達と別れて家に帰ってきたところだった

ごろんとベッドに寝そべる

「(にしても上条さんの能力不思議だよな~。レベルいくつなんだろ?)」

そんなことを考えながら、自分の右手を見つめてみた

右手を開いたり閉じたりしている内に、何か違和感のようなものを感じた

「(あれ?なんか変……)」

なんとなく拳を強く握りしめてみたが、特に変化はない


しかし、


拳を開いた瞬間

ふわり、と

確かに佐天の掌に風が発生した



「ええぇー!!何今の!?」
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:32:42.37 ID:Q0robsWRo


「(もう一回……)」


今度はさっきよりも強く拳を握ってから開いてみた
すると、

「おお!さっきより強いかも!!!あ、そうだ」


近くにあったティッシュ箱から1枚取り出し小さく破いた

その破いたティッシュを握って同じ様に風を発生させると、それが小さな竜巻のように渦を巻いていた


「遂にあたしにも能力が………ヤバイ泣きそうかも」

よしっ、とりあえず一方通行さんに報告しよう!

そう思い立って一方通行に電話をした


だが、
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:34:11.64 ID:Q0robsWRo

prrrrr prrrrr ガチャ

「もしもし一方通行さん?」





『ただいま電話に出ることができません。ピーという発信音の後に ――― 』






「……あ、あれ? 珍しいなあ、いつもはすぐ出てくれるのに……」

なんだか嫌な予感がする。佐天はそれを勘違いだろうと結論付けたが、一抹の不安が胸に残った


「……お風呂入ってからもっかい練習しよ」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:35:11.64 ID:Q0robsWRo

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


……完全にミスった


自分の部屋がティッシュまみれになっているのを見て、思わず溜め息を漏らしてしまう

あの後、気分が最高にハイになっていたので、後のことを一瞬たりとも考えず能力で遊んでいた

……ええと、自分は何のために落ち葉を拾ったんだっけ?

そりゃあ風が吹いたのをわかりやすくするためだ

いやいやいや、ちょっと待って

仮にこのティッシュが全て落ち葉だったらどうだ?


…………うん、こっちの方が良かったかな……


………………………
………………
………
118VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/07(土) 20:38:36.68 ID:Q0robsWRo
以上になります 
 
119VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/01/07(土) 23:03:08.16 ID:eei8oHzqo
乙なんだよ!
120VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage]:2012/01/08(日) 08:32:23.25 ID:TopcmtT30
乙だお 
 
121VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/01/25(水) 23:32:33.67 ID:MGg9E1yCo
まってる

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