2013年2月1日金曜日

あまくさっ! 7

779>>1 [saga]:2011/06/13(月) 00:05:03.50 ID:T8/3k4Ec0
こんばんわ! 少しばかし投下します。

寝落ちたらごめんねーw
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/13(月) 00:13:23.65 ID:DUKjRM7SO
キタキタキタァァァァ!!!! 

78111話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/13(月) 00:30:19.29 ID:T8/3k4Ec0
 ―――とある休日、AM10:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・





五和「何か凄い久しぶりな気がしますねぇ、おい」ジトー・・・

浦上「お姉ぇ! それ以上はいけない!!」アワワ・・・


相変わらず暇人な馬鹿同僚二人が意味も無く我が家に上がり込んでいる。
いや意味無くって訳ではないのだが、それはそれで性質が悪い。

さも当たり前かの様に任務の書類やら学校の課題をこなしていやがる。

我が家でするな。自分の家でやれ阿呆姉妹。


五和「えー、だってぇ広い部屋で延び延びぃと書類仕事はしたいもんでしょー?」(・3・)プェ~

香焼「だってもノビノビもあるか。自分にはプライベートの一つも保障されて無いのか?」ジトー・・・

五和「プライベートって……コウちゃん、家に一人でいて何すんのよ?」ジー・・・


何という訳じゃないが、静かに過ごしたいのだ。察しろ。


浦上「お姉ぇ……その質問は年頃の男子にはタブーですヨ」コクコクッ・・・ニヤッ・・・

香焼「……手前引っ叩くぞ?」ギロッ・・・

五和「あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そ、そうね。コウちゃんも男の子だもんね」アハハ・・・///

香焼「オイ、浦上責任取れよ?」ハァ・・・


エロ話は好きだが、そこまでの知識は無い馬鹿一号。逆に色々知ってるが表に出さない馬鹿二号。


浦上「えー、私別に変な事言ってませんヨ。五和が被害妄想してんですってば……香焼と一緒にね」ニヤッ・・・

五和「だ、だって、コウちゃんだって、その、一人……にゃんにゃんを……」ポリポリ・・・///

浦上「……お姉。一人にゃんにゃんって、なぁにぃ?」ニヤニヤ・・・

五和「えっ!? ひ、一人にゃんにゃんは、その……自分のオットセイさんを……わっふるわっふるって……」チラッ・・・

香焼「……知るかアホ」クルッ・・・


付き合ってられない。もあいの餌でも補充してこよう。


浦上「ウヘヘ。この変態姉者めっ! 私は友達の一人でも呼ぶんじゃないかって事を言おうとしたんですけどー!」ニヤニヤ・・・

五和「は、謀ったな! ウラっ!」アタフタ・・・

浦上「まぁでも香焼友達いないしー……いや、女友達ならいるのかな?」フフフ・・・

五和「女、友達がい……ハッ!!? こ、コウちゃん!! 姉ちゃんはそんな淫らな関係は許しぎぎゃあああああァッ!!」ガリッ!!

もあい「にゃー」ガリガリ・・・


黙ってろ。変態女。
782 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/13(月) 01:09:24.74 ID:T8/3k4Ec0
んなアホ共はさておき……


香焼「……さっきから洗面場から出て来ない」

浦上「どうせ見られるんだからさっさと覚悟して出てくればいいのにネー」


引き籠ったアマテラス宜しく、一向に出て来ない御人。


五和「ふむふむ……姉さまー! 出て来ーい!」ドンドンドン!

もあい「なー!」カリカリ・・・


空気の読めない馬鹿女。もあいも便乗しない。


神裂「……嫌です」ボソッ・・・

浦上「嫌ですって……それじゃあ何で此処(香焼ん家)来たんですか?」

神裂「……しょうがないじゃないですか」ムスー・・・

香焼「女教皇様、扉越しに喋らなくても」ハァ・・・

五和「コウちゃん! 女教皇様呼ばわり禁止って言ってるでしょ!」


今はそんな事如何でもいいだろ。


神裂「……だって私の私服、此処に置かせて貰ってますし」ムゥ・・・

浦上「やったね香焼。御姉様に物置代わりにされてるよ!」ニコッ!

神裂「そ、そういう訳では無いですよ! こ、香焼、勘違いしないで下さい!!」アワワワ・・・

香焼「……まぁ別に良いっすけどね」アハハ・・・


天草本部の金で借りてる家だし、文句は付けられません。


五和「姉さま! 貴女の所為でコウちゃんが落ち込んじゃったんですよ! 顔見て謝って!!」

神裂「む、むぅ……」

香焼「誰もそんな事頼んで無いだろ莫迦垂れ」グイッ!

五和「ぐえぇっ!」ジタバタ!


兎に角、放っておいてあげなさい。
783 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/13(月) 02:05:35.45 ID:T8/3k4Ec0
五和「だって私今日まだ姉様の私服見てないんだもーん!!」ギャーギャー!

神裂「み、見なくて良いですから」タラー・・・

浦上「あ、私ちょこっとだけ見たヨ」

もあい「にゃん」コクッ


無論、自分も見てる。


五和「わーたーしーだーけー、のーけーもーのー!!」ギャーギャー!


喧しい。貴様が大人しくしてれば女教皇様は自ずと顔を出す。


五和「ぶー……姉様、私の事嫌いなんですね」ハァ・・・

神裂「そ、そういう訳じゃないですよ! た、ただその……あまり……えっと……」

香焼「やっぱそうだってよ」サラッ・・・

五和「うわああああぁんっ!! 姉様に嫌われたあああぁっ!!」ビエー!!

神裂「ち、違くて、これは、あの……単に恥ずかしくてですね」アワワワ・・・


別に恥ずかしくも無かろう。普段の左右非対称ファッションの方がかーなーりー恥ずかしいと思うのだが。
というか今から街中で赤の他人たちに嫌という程見られるというに。


浦上「やれやれ……姉さーん、五和を押さえときます。それなら出て来れるでしょ?」

五和「What’s?!」

神裂「……携帯で写真撮らない?」ボソッ・・・

浦上「勿論ですヨ」ニコニコ・・・

神裂「……他の教徒、必要悪の教会の同僚達に言わない?」ボソッ・・・

香焼「別に言っても誰も笑わないっすよ……じゃなくて、言わないっす」コクコクッ・・・

神裂「……抱き着かない?」

五和「保証し兼ねますむぎゅぅ!!?」グイッ!!

浦上「ダイジョーブですヨー」アハハ・・・

もあい「なー」フシフシ・・・


そしてようやく天岩戸、もとい洗面場から女教皇様が出てきた。
784 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/13(月) 02:49:37.21 ID:T8/3k4Ec0
五和「お、おおぉ……夏服だ……」キラキラ・・・

神裂「そ、そんなにジロジロ見ないで下さい……」ウゥ・・・///


チェック柄のミニスカ、半袖のYシャツ、桃色のネクタイ、黒のサマーベスト。


浦上「うん。フツーに女子高生ですネ」ニシシ!

神裂「女子高生って……でも、ミニスカートなんて……」タラー・・・///


じゃあ何故買ったし。


神裂「麦野さんが勝手に注文したんですよ。次はこれ着て来いって……」ハァ・・・

五和「第4位さんGJ!! 全然アリですよ! 絶対誰もが振り返りますから!」ビシッ!!

浦上「そうやって普段から若々しい恰好してれば年相応に見えるのになぁ」ジー・・・

神裂「……どうせ老け顔ですよーだ」ハァ・・・

香焼「浦上、余計な事を……大丈夫っすよ。ちゃんと自分達と同じ十代に見えるっす」ニコッ

五和「コウちゃんは童顔過ぎるけどね」ジー・・・


うっせぇ、気にしてんだ。言うんじゃない。


浦上「さーて、そんじゃ髪は如何しましょーかネ」ニシシ!

神裂「えっ!? い、いつもの様に上で結んでおけば」アタフタ・・・

五和「駄目! ウラ、ムースとブラシは!?」チラッ

浦上「なら髪質活かして毛先ウェーブにしよ!」スッ・・・

五和「おk! 把握した……さぁ姉さま! 動かないで!! ついでに化粧もしましょうねー」ニヤニヤ・・・

神裂「い、いやああああぁっ!!」ギャー!!

香焼「……洗面場でやってよ」ハァ・・・


何故男の部屋で暴れるかなぁ。このスタイリストもどき共は……

とりあえずバスが来る時間まで馬鹿一号二号、そして女教皇様(三号)の追い駆けっこをジト目で眺め続ける事にした。
まったく……何で自分がファミレスまで案内しなければならないのだ。


もあい「みー」ジトー・・・

香焼「分かってるよ……」マッタク・・・


極度の方向音痴、か。困ったもんだ。
785 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/13(月) 03:09:14.85 ID:T8/3k4Ec0
 ―――とある休日、AM11:00、学園都市第7学区、とあるマンション(『アイテム』の隠れ家の一つ)・・・・・





何やらリーダーが上機嫌で服を選んでる。大抵こういう日は碌な事が無いと、仲間達は思った。


浜面「なぁ麦野。近いんだから態々車出さなくても良いだろ?」ジー・・・

麦野「疲れるから嫌」キッパリ・・・

浜面「ったく、ガソリン勿体無ぇな……」

麦野「アンタの金じゃないでしょ。文句言わないの」サラッ・・・


いや、任務じゃない送迎は『上』からの金も降りないだろう。
そう突っ込んでやりたかったが態々機嫌を悪くしそうな琴線に触れる事も無い。黙っておこう。


フレンダ「んで結局、リーダーは何であんなにオメカシってる訳?」

滝壺「同年代のお友達と遊びに行くそうだよ」コクンッ

フレンダ「……麦野に友達いんの?」エ・・・

麦野「フレンダにゃん……聞こえてんぞ?」チラッ・・・

フレンダ「あわわ……え、えっとほら! 麦野程の人物と『対等』な友人ってのは結局、どんな人かなぁって思った訳でして」アタフタ・・・

麦野「……ふんっ」


確かにフレンダの言い訳にも一理ある。
只でさえ超能力者(レベル5)、そして麦野沈利という高飛車な個人と『友達』関係にある人物とはどんな者か気になるものだ。


麦野「悪いけど、私は此処(アイテム)でプライベートの探り合いを許した覚えは無いわよ?」

浜面「……手前ぇはオレらの色々探ってるくせに」ボソッ・・・

麦野「そりゃ管理職なんだから当然でしょ。でもアンタらは私や他のメンバーの色々は知る必要無いの。アンダースタン?」フンッ・・・

フレンダ「いいもん。麦野の下着のローテーションくらいなら知ってるもん」キリッ!

滝壺「むぎのんの基礎体温表なら知ってるもん」キリッ!

麦野「……せめてもう少しマシな事知ってて頂戴。怒り辛いってか、恐怖感じるんだけど」


男である浜面仕上も同意した。


浜面「ところで……チビ助は?」


最年少組員、絹旗最愛の姿が見えない。
786 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/13(月) 03:45:59.82 ID:T8/3k4Ec0
滝壺「きぬはたならいつもの公園だよ」

浜面「あー……例の野良猫集団か」


最近は猫を戯れるのがブームらしいアウトドア系ヒッキーもとい超人見知り少女。


麦野「私送った帰りにでもあの子拾って帰りなさい。あ、部屋入れる前に洗濯させてね。毎回猫の毛塗れになって帰ってくるから」

浜面「あいよ」コクッ

フレンダ「ところでムギノン。今日仕事の予定は結局ない訳?」

麦野「むぎのん言うな……今日は緊急が入らない限り無しよ。各自勝手になさい」

フレンダ・滝壺「「わーい」」ヤホーイ!


無論、浜面はアッシーくんなので自由は無い。


浜面「ハァ……まぁ諦めてっけどさ。とりあえず、固法さんに迷惑掛けないでくれよ」

麦野「失礼なヤツね。大丈夫よ、安心なさい」ベー!


麦野の友人の一人は浜面の知人である。
詳細をいえば兄貴分の嫁……じゃなく恋人。しかも風紀委員ときてる。

まるで麦野とは正反対の委員長系お姉さんキャラなのだが……何故こんなホステス崩れ系性悪女と友人になったのやら。


麦野「……怒るわよ? あと、何だかんだ言って美偉だって元ヤンでしょ」ケッ!

浜面「元ヤン言うな。元スキルアウトだっつの」ハァ・・・

麦野「似たようなもんよ……さてと、準備できた!」パンッ・・・


デニムのホットパンツ、白い肩出しシャツ……ヘソ見えてますけど。


麦野「見せてんのよ。ファッションを極めるなら熱い寒いは我慢しろってF原何とかっていう女優が言ってたわ。名言ね」

浜面「俺にゃ分からんね……まぁいいや。さっさと送ってさっさと戻ってこよ」

麦野「言っとくけど……この部屋で滝壺とにゃんにゃんしてたらブっ殺すからね?」ニコッ・・・


そんな恐ろしい事できませんし、しません。

兎角12時前に間に合う様、麦野沈利はとあるオープンカフェへ向かった。
787 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/13(月) 04:19:36.04 ID:T8/3k4Ec0
 ―――とある休日、AM11:15、学園都市第7学区、風紀委員第177支部・・・・・





白井黒子は『いつも』の様に始末書と格闘していた。
もはや反省文10枚程度であれば彼女にとっては序の口である。モノの数十分で仕上げる事が出来るだろう。

無論、手抜きの方法を覚えたにすぎないのだが。


固法「適当書かない」ポイッ

白井「だうっ!!」アー!!


傍から見ても見慣れた風景。
例の如く溜り場と化したこの支部に集まる少女達はいつもの光景に苦笑した。


固法「何が『最も迅速かつ効果的』よ……危うく犯人死ぬとこだったじゃない」ハァ・・・

初春「白井さん、やるんだったら嘘も徹底しないと」アハハ・・・

固法「そこ、助長しないの」ッタク・・・

御坂「あはは。しっかし休みだっていうのに頑張るわね。今回は何したの?」クスッ

初春「犯人逮捕の為に無人操作のタクシーを」

御坂「あーもういいや。相変わらずハチャメチャね」クスッ・・・

白井「……お姉さまにだけは言われたくありませんわ」ムスー・・・


この先輩にして、この後輩ありだ。


御坂「そういえば今日は佐天さんと春上さん来ないの?」

初春「二人は公園ですよ。ちょっと前に知り合った娘と猫の餌やりしてる筈です」

白井「ああ、例の……野良猫相手にモノ好きですわね」

初春「あはは……ところで、先輩」チラッ・・・

固法「ん?」


時計を見る。


固法「あ、そろそろか」コクッ

御坂「先輩も用事ですか?」

固法「ええ、ちょっとね……友達と約束が」ニコッ

白井「柳迫さんですの? それとも……ウヒヒ。旦那様でごぶべぎゃっ!!」ゴシュッ!!

固法「……別の友達よ」ニコッ・・・グリッ・・・

御坂・初春「「……」」タラー・・・


テレポートより早ーい……オッカナイです。
788 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/13(月) 04:37:19.59 ID:T8/3k4Ec0
初春「あ、もしかして……あのモデル二人ですか?」ニヤッ・・・

御坂「も、モデル?! 先輩モデルの友達いるんですか!?」ホエー・・・

固法「いやいや。確かに二人ともモデルみたいだけど、普通の友達よ」クスッ・・・


しかしそう言えるのは第二者故。第三者からすれば……


白井「片や超能力者ですの……普通の友達と言えますの?」ブヘェ・・・

固法「白井さん、それ偏見よ。御坂さんだってこうしている限り普通の女の子でしょ?」メッ

御坂「あはは……って、え? 超能力者……」タラー・・・


そういえば、この先輩が懇意にしている超能力者がいると聞いた事があるが……


御坂「うげっ……麦野沈利……」タラー・・・

初春「恰好良いですよね……今月の能力開発関係の雑誌のもコラムと写真載ってましたよ! 御坂さんと違う華麗さ!」キラキラ・・・

固法「ふふふ、流石よねー」

御坂「……」ジー・・・


暗部の人間……とは言えない。今この場で『暗部』を口にするのは禁忌だ。
暗部に触れた人間として御坂美琴は内心毒づいた。


固法「御坂さん。前に聞いたけど麦野さんの事、苦手な様ね。でも……」

御坂「……別に私からは何も。ただ昔『喧嘩』しただけの間柄ですから」フンッ・・・

固法「もぅ……仲良くしなきゃ駄目よ」ハァ・・・

御坂「アッチがその気なら考えます。兎に角、麦野……さんは苦手なんで」


何やら並々ならぬ因縁を感じ、三人はそれ以上その話をする事は止めた。


初春「……とりあえず、先輩。もう上がって貰っても結構ですよ。残りの仕事も少ないですし、引き継ぎはやっておきます」

固法「うーん、それじゃあお願いしようかしら……あ、白井さんは始末書私のPCのアドに送っておく様に」

白井「ついでにウィルスも送ってやろうか……」ボソッ・・・

固法「そんな事したら寮長さんに言いつけるから」ニコッ

白井「誠心誠意心を込めて反省文を書かせて頂きます!!」ビシッ!!


この街で一番怖い人に告げ口されたらたまったモノではない。
PCと睨めっこを始めた白井黒子を後目にしつつ、固法美偉は支部を出た。
789 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/13(月) 04:59:19.99 ID:T8/3k4Ec0
 ―――とある休日、AM11:30、学園都市第7学区、とある大通り・・・・・





一人の少女が『珍しい』制服姿で歩いていた。
名前は結標淡希。霧が丘女学院の二年生である。


結標「……外、ヤだなぁ」トボトボ・・・


基本何も無ければ家(月詠宅)で寝続けてる新性ニート(?)の彼女が何故街中に出ているのかというと……


結標「何よ登校日って……私出席する必要無いでしょーが」ハァ・・・


高位の能力者、加え『暗部』となれば出席日数を気にする必要はない。
だがしかし……流石にまったく一日も出席しない訳にはいかないのだ。

必要最低限のレポートは提出し、進路調査標等を担任へ『手渡し』しなければならない。
そんなものメール提出で良かろうに……正直、担任の顔など忘れています。


結標「あー……ダルい。太陽眩しい。休みたい。助けて小萌……」グデェ・・・


知り合いが見たら『駄目だコイツ、早く何とかしないと』と突っ込みたくなる台詞である。
ところがどっこい、その頼りの『小萌』氏が彼女のケツを引っ叩いて外に追いやったのだから仕方あるまい。


月詠『結標ちゃん、今日は溜めてたレポートを出しに行く日でしょ! 郵送は許しませんからね! 偶には昼から外に出なさい!』メッ!


御丁寧な事にお弁当まで持たせてくれました。畜生、涙が出る。


結標「学校の本質はお友達を作る事ですよー……とか、無いわー……生徒モルモットにする霧が丘よ?」


相変わらずの根性論。熱血教師程苦手な類はない。よく自分はあのチビ教師の下で居候出来てるなと苦笑した。
とりあえずレポートを職員用ポストに突っ込んでさっさと逃げよう。

その後、暇だから『グループ』の仮眠室でグダグダするか……数少ない友人の甘ちゃん坊やとでも遊ぼうか。


結標「……はぁ。とりあえず日の下歩くの疲れるわ……タクシー拾おうかな。あ、少し休むのもアリかも」ダラダラ・・・


別に登校時間は指定されていない。今日中に提出出来れば良いのだ。
近くのお店で一休みしよう。そんな甘い考えを持って、近場のカフェに寄ったのが間違いだった……――― 
 
795 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/14(火) 23:54:47.17 ID:PSm2Wgzu0
 ―――とある休日、AM11:40、学園都市第7学区、オープンカフェ『サン・エール』・・・(結標side)・・・





人気の少ない小洒落た喫茶店を見つける。知る人ぞ知る穴場といった感じのカフェだ。
丁度良い事にパラソル付きの外机が設置してある。
中に入ればエアコンが効いてそうだが、折角真昼間っから外に出たのだ。風通しの良い所で弁当を開こう。

そんな少女染みた考えに内心苦笑しつつ、店内で適当に飲み物を注文し店よりの人目に着かない外机に腰掛けた。


結標「秋沙は……クラスメイトと、か」チェッ・・・


自分で謂うのも虚しいが、数少ない友人からのメールに溜息をつく。
別に小萌の言うとおり騒がしい環境に身を置きたいという願望は無いが、少しくらいなら……と腑抜けた考えを持ってしまう日和った私。
同僚の胡っ散臭い連中が聞いたら腹を抱えて拍手するだろう。糞っ垂れ共め。


結標「……ま、今更だけどね」ハハハ・・・


ある意味『暗部』とは素晴らしい言葉だと思う。それで全てを誤魔化せる……言い訳に出来るのだから。


結標「……頂きます」カパッ・・・


何とも女の子チックな小じんまりした中身。
『結標ちゃんがお友達とおかず交換した時に女子力を自慢できるようにですよ!』と無い胸を張って豪語された。

はい、月詠先生……友達なんかいません。


結標「……」モグモグ・・・


美味しい。


結標「……」チラッ・・・


大通りの方を見遣る。一応休日だけあってか、街は賑やかだ。
遊び歩く学生達、仲睦まじいカップル、意気揚々と買い占めた荷物を背負う残念な大人、休日関係無しに走り回る宅配業者……

私の様な人間はやはり外に出るべきではないのかなぁと考えさせられてしまう。


結標「あー……馬鹿馬鹿しい」モグモグ・・・


まるで悲劇のヒロイン思考。泥水を啜ってしか生きられないと決めつけてしまっている痛い女。
まったく……誰か私を打っ叩いてくれ。
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/14(火) 23:57:30.51 ID:40FnKRpDO
定時キター!!
が、あわきん……(';ω;`)...
797 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/15(水) 00:16:47.98 ID:FCY2LIJV0
??「あれ?」


黄昏ながら腕まくりなんかしてる最中、背後から見知った声がした。


結標「……牛乳(うしちち)女」チラッ・・・

固法「会って早々それは無いでしょ」モゥ・・・


私と同い年くらいの風紀委員の眼鏡っ子。牛乳カップルの女の方が現れた。


固法「奇遇ね」

結標「そうね、普段は銭湯でしか会わないものね。旦那と一緒に」ニヤッ・・・

固法「旦那じゃないですー。そんな事言ったら貴女こそ、月詠先生と一緒じゃないのは珍しいわ」

結標「……けっ」

固法「マトモな制服姿見るのも希少かも」クスッ・・・


喧しい。饒舌な女は同性に嫌われるぞ。


固法「まったくノリが悪いわね」ムゥ・・・

結標「イーだ。どっか行け」フンッ・・・

固法「やれやれ……」テクテク・・・


店内に消えてく眼鏡っ子。
アイツは苦手だ。嫌いという訳ではないが、何処か見透かされてる様な気がする。
それに風紀委員という点で暗部と真逆……ではないが90度くらい違う位置に属す輩。風紀委員が嫌という事でもない。
ただ苦手なのだ。

アイツは白井黒子と近い匂いがする。


結標「……でも、少しは構っても良いのに」チェッ・・・


とかボヤいてみる。


結標「……私って、こんなに寂しい女だったかしら」ハァ・・・


独りが怖いとか女々しい事言う様なおセンチ女、か。


固法「……じゃあお邪魔するわね」クスッ

結標「ん……っ!! にょぎょわぁっ!!?」ビクッ!!

固法「あはは、何その素っ頓狂な声。結標さんも可愛い所あるのね」ケラケラケラ!

結標「っ~~~ッ!!」カアアァ・・・///


ああ……畜生。やっぱり誰か私を殴れ。
798 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/15(水) 00:36:00.09 ID:FCY2LIJV0
何故か私と同じテーブルに飲み物を置く牛乳女。
無言でニコニコと顔を覗いてきやがる。何だっていうんだ。

私は必死に目の前の眼鏡を無視する。隣の椅子に足をブン投げたり、頬杖ついたり、上着を肩掛けしたり……


固法「……ふふっ」クスッ・・・


睨めっこなら無条件で手前の負けだぞ。失礼な奴め。


結標「アンタねぇ……何か言いなさいよ!」ガー!

固法「黙ってろって言ったのは貴女よ?」ニコッ

結標「じゃあ無駄にニコニコしてんじゃないわよ。人の顔見て失礼な女ね……」

固法「注文が多いわ。もっとスマートにいきましょうよ」クスクス・・・

結標「じゃあ真顔で黙っていなさい。それで良いでしょ」フンッ

固法「そう……」キリッ・・・


マジで真顔になりやがった。


固法「……」ジー・・・

結標「うっ……」タラー・・・

固法「……」ジー・・・


この女郎……


結標「あーもう! 分かった! 私の負けよ!」ダアアァッ!!

固法「あら、根勝ちね」ニコッ!

結標「どーでもいいから……ったく、調子狂うわ」ハァ・・・

固法「良いじゃない。普段通りじゃ無い方が可愛いわよ」


いつもの調子が可愛くないってか?


固法「ひきこもり。深夜徘徊。女王様気質。ノーメイク。外歩く時は半裸かジャージ。それから……」

結標「半裸言うなし……あーもう良いわよ。そーですね。可愛げの無い駄目駄目女でござんすよ」ケッ・・・

固法「ネガティブになるから駄目なのよ。ポジティブでね」ニコッ


……私って、他の人からもこんな風に思われてるのかしら。
799 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/15(水) 00:55:35.54 ID:FCY2LIJV0
とりあえず弁当を口の中に掻き込み、間を持たせる。


固法「んー……勿体無い気がするのよね、結標さん」

結標「何がよ」モグモグ・・・ゴクンッ

固法「さっき上げた点全部」


それ、どうしようもないじゃない。


固法「だから如何してかなぁって、思ったのよ」

結標「……私の勝手でしょ」フンッ

固法「何で普段外歩かないの? あ、深夜徘徊は抜きね」

結標「眠いから」サラッ

固法「……銭湯で言ってたけど、学校行ってないんだっけ」

結標「だったら?」

固法「行ったら?」ニコッ


そんな聖母みたいな顔で率直に言われてもねぇ……色々あるのよ。


固法「……ま、そこんとこの詳細は月詠先生に任せるとして」

結標「大概図太いわね、アンタ」ジトー・・・

固法「友達は? クラスメイトじゃなくても『バイト』してるんでしょ? そこで友達出来るんじゃない?」

結標「糞野郎共ばっかよ。慣れ合う気は無いし」

固法「……ふーん」ジー・・・


あー……何その『友達いませんっていうより、作り方知りませんってタイプね』的な目は。喧嘩売ってんの?


固法「結標さん……被害妄想激しいのは鬱病の手前よ? 抗鬱剤(ヤクブツ)なんかに手出しちゃダメだからね」メッ!

結標「良し、表出ろ」ガタッ・・・

固法「此処、表よ?」ニコッ

結標「ああ言えば、こう……ハァ。もう良いや」ッタク・・・

固法「ふふふ、ごめんごめん。もっとポジティブな話しましょ。苦手なのは分かるけど、明るい話しとけば少しでも変わるものよ」

結標「ホント、癪に障る言い方すんのね……」ハァ・・・


とか言いつつ内心楽しい。
あー最悪。やっぱ私、構ってちゃんなのかなぁ……とか苦笑しつつ牛乳女の話に乗った。
800 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/15(水) 01:49:35.95 ID:FCY2LIJV0
 ―――とある休日、AM11:55、学園都市第7学区、オープンカフェ『サン・エール』・・・(神裂side)・・・





バスを乗り継ぎ香焼に案内され目的の近くまで来た。
一人で行ける気がしたのだが三人に口を揃え『三時間遅刻して良いなら一人で行って下さい』と言われたので、仕方なく案内をお願いした。


香焼「此処の通りを真っ直ぐ行って、広場に出たら公園跨いで下さい。そしたらカフェに着くっすよ」

神裂「ありがとうございます。香焼はこれから何処へ?」

香焼「自分は別の公園に。友人が待ってるので」


約束事があるのに態々申し訳無い。後で御土産でも買って行ってやろう。


香焼「それは嬉しいっすけど……帰り道、迷わないで下さいね」ハァ・・・

神裂「大丈夫です。帰りは迷っても誰も迷惑しません」キリッ

香焼「迷う事前提かい……またタクシー使われたら困るんすよ。この前も経理部にグチグチ言われたじゃないっすか」ジトー・・・


広いとはいえ、交通の便がしっかりしている学園都市でタクシー拾うとは何事かと経理の連中にネチっこく言われてしまった。
まったく器の小さい輩です。


香焼「器とか何とかじゃないっす。第一私事でタクシーキップ切って……教皇代理心底溜息ついてましたよ?」

神裂「……今度タクシー使う時は、私のポケットマネーで帰りますよ。これなら文句言われないでしょ」ブーブー・・・

香焼「女教皇様、変な所で意地っ張りなんだから……あ、最悪屋上ルート伝って戻ってくるのも禁止っすよ」メッ!

神裂「……五和や浦上は遅刻しそうな時使ってると言ってましたよ」ムゥ・・・

香焼「アイツらの真似しない。女教皇様が私用で使ったら他の教徒に示しが付かないっすよ」ハァ・・・


屋上ルートとは、潜入している天草式の若衆達が『任務』で用いる移動ルートの事である。
他には地下ルート、裏路地ルートがあり……皆、偶に私用で使ってしまうとかなんとか。

しかしこの子は真面目くん。こういうルールをしっかり守るタイプだ。美徳でもあり、損する点でもあろう。


神裂「堅い事を……あー、うん。分かってます。キチンとバス乗り継いで帰りますってば」コクコクッ

香焼「心配っす……携帯に自分の家のGPS信号、記憶させてますよね?」ウーン・・・

神裂「大丈夫。迷ったら『地図あぷり』を開いて……『現在地をメールで送る』を押す。OKですよ」ニコッ


最近覚えた携帯の機能だ。これで電波の届く範囲であれば何処に居ても迷子にならない(?)らしい。


香焼「『迷子』にはなってるんすよ……兎に角、遅くなる時はメールして下さい。最悪車手配させますから」ハァ・・・


あ……良い事思い付いた。今度五和に車を買ってあげよう。それで専属アッシーに。


香焼「……女教皇様?」ギロッ・・・


ごめんなさい、冗談です。
801第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/15(水) 02:10:42.89 ID:FCY2LIJV0
香焼「ハァ……まぁ、良い事なのかな」クスッ・・・

神裂「え」

香焼「失礼ながら……俗(人間)っぽいって事っすよ」ニコッ


俗、か……聖人としては失格かもしれないな。
だけども、少し、嬉しい。


神裂「香焼はこんなお姉さん、嫌いですか?」クスッ

香焼「え、あ、いや、その……何とも」アハハ・・・///

神裂「……ふふっ」ナデナデ・・・

香焼「わっ!? ぷ、女教皇様! 止めて下さいって」アタフタ・・・///


その呼び方(女教皇様)止めたら、止めてやろう。


香焼「ぐ、ぬぬ……もう行きます!」///

神裂「あらら、怒ってしまいました」クスクスッ

香焼「もぅ……お願いっすから帰りの際は一報入れて下さいね」ハァ・・・テクテク・・・


トコトコ遠のいて行く末弟。小動物みたいだ。リス耳とか似合いそう。
そんな莫迦な考えはさておき……カフェへ急ごう。もう約束の時刻(12時)になってしまう。


??「へーい。そこのダイナマイトバディなJK~」


突如、道路の方から声が。慌てて振り向くとそこには……


麦野「やっほー♪」ニコッ

神裂「麦野さん、こんにちは」コクッ

麦野「今日は迷わず来れたのね。偉い偉い」クスクス・・・

神裂「ま、まぁ弟に案内して貰ったので」アハハ・・・

麦野「あらら、弟くん? 見たかったわー……写真でしか見た事無いからねぇ」フフッ


そんな陽気な感じで車から降りてきた友人――麦野さん。


浜面「……麦野。この人、ホントにオマエのダチなのか? 完璧清楚系でオマエと真逆じゃ」ジー・・・

麦野「はぁまづらーにゃん」ニコッ・・・

浜面「う……」タラー・・・


ドライバーの男性を笑顔で威圧する素敵な女性。まったく……昼間っから仰々しい事。
802 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/15(水) 02:43:15.50 ID:FCY2LIJV0
神裂「もぅ……はじめまして。麦野さんの同僚さんですね。お話は常々伺っていますよ」ニコッ

浜面「お、え、は、はいっ! ご、御光栄な事でありますでございます! は、浜面仕上というものですます!」アワワ・・・

麦野「……きめぇ」ジトー・・・

神裂「ふふふ、男らしい面構えじゃないですか。麦野さん、良いお仲間を御持ちですね」クスッ

麦野「……良かったわね、浜面。アンタみたいな無能でもおべっか言ってくれる人は居るみたいよ」ハンッ


やれやれ、相変わらず口の悪い人だ。


麦野「いいから行きましょう。多分、美偉もう待ってるわ」クルッ

神裂「そうですね。それでは浜面さん」コクッ・・・

浜面「あはは、ども」ニコニコッ

麦野「……今鼻の下伸ばしてた事、滝壺に言うから」ニコッ・・・

浜面「な、伸ばしてねぇっ!! 適当言うな!」アワワ・・・

麦野「はいはい必死必死。迎え宜しくねー」テクテク・・・


華麗に歩を進める麦野さん。何故か顔が引きつってる浜面さんを後目に、私も麦野さんに続いた。
しかしまぁ、誰もが振り向く美人さんである。


麦野「いやいや、皆貴女見てるんでしょ」ニヤニヤ・・・

神裂「え、いや、それは無いですよ」アハハ

麦野「言われた通りコスプ……げふんげふんっ! 制服系ファッション着てきちゃってぇ。何着ても似合うなんて憎いわよ」コノコノッ!

神裂「そ、そんな事……」///

麦野「しかも今日は髪止めてないしー……黒髪ウェーブロング大和撫子JKとは、美味しいですなぁ」ニシシ!

神裂「髪は、その、妹達が勝手にですね」アタフタ・・・///

麦野「あら、センスは悪くないわよ。制服系なら基本何でも合うし、ナチュラルウェーブ掛るんだったらそれはそれでアリだから」クスッ


流石コーディネーター麦野さん。服に関しては理解できないけど、言う事に『凄み』がある。


麦野「あの公園の先ね。サクサク行きましょ」ニコッ


彼女のこの強引さというかカリスマというか、見習う点は多そうだ。
ただし……所々『匂う』黒いモノを除いては、だが。
803 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/15(水) 03:07:08.39 ID:FCY2LIJV0
数分歩いた所に件の喫茶店が見えた。
成程、感じの良い店である。イメージ的にはシティ(ロンドン)郊外のカフェといった所か。


麦野「美偉、外に居るってメール来てたけど……」ウーン・・・

神裂「……あの店際の二人では?」

麦野「え、二人……ん……」ジー・・・


確かに固法さんだ。多分、私達より先に知り合いにでも会ったのだろう。
私が席に向かって歩き出すと同時に、アチラも気付いた様で此方に手を振ってきた。


固法「あ、来た来た」ノシノシ”

神裂「すいません、遅れました」ニコッ

結標「……ん?」チラッ・・・


固法さんの隣に居たのは確か、月詠さんとこの結標さん。
以前香焼が御世話になった女性だ。                      (※第4話:結標「泊めてあげてもいいよ?」参照)


固法「あ、えっと、此方私の友人の―――」

結標「……こんにちは。元気そうね」ニコッ

神裂「ええ。貴女も」ニコッ

固法「―――ありゃ、知り合いだったの」

神裂「はい。弟が色々と御世話になったので」

結標「実際迷惑掛けただけなんだけどね。彼、元気?」クスッ

神裂「いつも通りですよ」フフッ

結標「相変わらず堅くて、甘ちゃんって事ね」クスクスッ


大体合ってます。


固法「じゃあ此方は―――」


刹那、嫌な感じ……残念ながらも『良く知る』嫌な感じがした。


麦野・結標「「……」」ジー・・・

固法「―――……あらら」チラッ・・・


二人の無言の威圧に対し本能的に、太腿の鋼糸(ワイヤー)に手が伸びていた。
804 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/15(水) 03:20:22.98 ID:FCY2LIJV0
そして、呟くように二人は告げた。


麦野「結標、淡希」フーン・・・

結標「そういう貴女は……麦野沈利、ね」ヘェ・・・

固法「……二人も知り合いだったの?」ポカーン・・・

麦野「知り合いっていうか、彼女『有名人』だから……能力的にね」クスクス・・・

結標「同じ理由よ。超能力者様々だもの。彼女の方が……『有名人』じゃない」ニコッ・・・

固法「あー、成程。確かにね」フフッ・・・


言葉に含みが感ぜらるる。今にも一触即発な空気。
知らずは固法さん(一般人)のみだけ。


結標「……アンタの友達ってコイツらの事だったのね」チラッ・・・

固法「ええ。意外かな?」クスッ

結標「意外過ぎ……出会いのきっかけが気になるわよ。『普通』じゃ出会わない二人じゃない」ジー・・・

神裂・麦野「「……」」ギクッ・・・

固法「そうかなぁ。それを言ったら貴女もだと思うけど」ニコッ


言葉が出なくなる結標さん。悪いが今の私と麦野さんはプライベートである。
莫迦な真似は止めて頂きたい。貴女も同位だろう。


結標「……そうね。それじゃ、私は帰るわ。お邪魔でしょ」スッ・・・

固法「別にそんな事無いけど。二人が良ければ一緒に如何?」ニコッ

神裂・麦野・結標「「「えっ」」」ドキッ・・・


如何って……


神裂「私は別に構いませんよ」アハハ・・・

麦野「……」チラッ・・・

結標「……」チラッ・・・

固法「ん?」ニコニコッ

麦野・結標「「……」」タラー・・・


聖人の私が言うとジョークみたいだが……ああ、聖母の笑み。空気を読んでくれ。
何だろう、変な汗が出てきた。
805 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/15(水) 03:36:57.22 ID:FCY2LIJV0
それから暫く、無言が続いたが……麦野さんと結標さんが高速で私に目配せしてきた。
固法さんの相手をしてくれという意だろう。

私は引き攣った笑顔で頷き、固法さんに御手洗いの場所を尋ね、無理矢理案内させた。


麦野「……ハァ」グデェ・・・

結標「ったく……あの平凡牛乳眼鏡リア充女め。これ何のドッキリよ」グデェ・・・

麦野「んで?」チラッ・・・

結標「帰れってんなら帰るわよ。あくまでプライベートなんでしょ?」ハッ

麦野「……今帰したら、私悪者みたいに思われるじゃない」ジトー・・・

結標「……良いじゃん、悪者なんだし」

麦野「カチンと来るわね……美偉の前では普通の女子高生よ」ケッ

結標「私もあの眼鏡の前ではタダの御近所さんみたいなもんよ」フンッ


※きっと外ではこんな会話が行われているのだろう。


麦野「……今は荒っぽいの、勘弁よ」

結標「考える事は同じって訳ね……じゃあアイツが来たら私から断って帰るわ」

麦野「何かそれも今私が圧力掛けたみたいな感じじゃない」ブー・・・

結標「案外面倒臭い女ね……私と一緒に居るの嫌なんでしょ。そんぐらい覚悟しなさいよ」

麦野「別に嫌だなんて言ってねぇけど。アンタが私の事怖がってるんでしょ?」

結標「はぁ? そっくりそのまま返すわ」

麦野「はっ! 抜かせ……豆腐メンタルで有名なショタコンテレポーターさん」ニコッ・・・

結標「……有る事無い事、あの眼鏡に言ってから帰ろ」ニコッ・・・

麦野「ぐっ……オーライ。喧嘩は良くないわね。プライベートだもの」ゴゴゴゴ・・・

結標「ええ、プライベートよね」ドドドド・・・


※外ではきっと(ry


固法「神裂さーん、先戻ってるよー」

神裂「あ、えっと、私も直ぐ行くからちょっと待って!」アワワ・・・


羊さんが狼二人の中に、一人で戻らないで下さい。
806 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/15(水) 03:53:21.29 ID:FCY2LIJV0
そんでもって結局……


固法「それで麦野さん。『勿論』良いわよね?」ニコッ

麦野「にゃ……(コイツ満面の笑みで『含み』無くそういう事言いやがった)……あはは……」コクッ・・・

結標「ははは……(ヘタレ超能力者)」ハァ・・・


……シノギの人間は真っ当なカタギの人間に弱いものですね。


固法「それじゃあ麦野さん、神裂さん。飲み物注文しちゃお。私と結標さんも空だからもう一杯頼むわ」ニコッ

神裂「そうですね……」チラッ・・・

麦野・結標「「……」」アハハ・・・

固法「……大丈夫?」ジー・・・

結標「え、あ、うん。超平気」タハハ・・・

麦野「えっと、コーヒーで良い? 私と彼女(結標)で注文してくるから待ってて……来なさい」グイッ・・・

結標「……」コクンッ・・・


サクサク店内に消える二人。


固法「仲良いのね」クスッ


この人は……まぁこれが『正常』な思考だろう。だが実は……


麦野「とりあえず、休戦よ。戦った覚えないけど……コーヒー4つ!」ボソボソ・・・ニコッ!

結標「そうね。戦うつもりないけど、『仕事』抜きって意味でね……あ、私の氷抜いて下さーい!」ボソボソ・・・ニコッ!

麦野「何そのチョイス馬鹿じゃないの?!」エ・・・

結標「うっさいわね! 実量増えんのよ」フンッ・・・

麦野「……貧乏くっさ。金持ってんでしょ」ウワー・・・

結標「倹約家なのっ。黙ってて」チッ・・・

麦野「それタダ守銭奴ってかケチなだけだっつーの……あ、大丈夫です。自分たちで運びますから!」ジトー・・・ニコッ!

結標「私からしてみれば普通。氷で割る方が異常……砂糖とミルク、こっちのトレーにお願いします!」ジトー・・・ニコッ!


……いや。案外仲良くなれるやもしれないな。 
 
810 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/16(木) 22:58:18.15 ID:MFf4HI790
 ―――とある休日、PM00:15、学園都市第7学区、オープンカフェ『サン・エール』・・・(神裂side)・・・

正直、何とも言えない空気だった。勿論原因は麦野さん結標さんの顔色である。


麦野・結標「「……」」ジー・・・

固法「えっと……」タラー・・・


流石に二人の関係を知らない(尤も私も詳しくは知らないが)固法さんも、不穏な臭いを感じて入る様だ。


固法「……その、神裂ひゃん!」チラッ!

神裂「うぇっ?!」ドキッ!

固法「ま、また先週まで海外行ってたんでしょ?」アハハ・・・

神裂「え、ええ。そうですね……仕事というかバイトというか……色々あるので」アハハ・・・


必死に場を保とうとするあまり、二人して素っ頓狂な声を上げてしまった。


固法「ええっと……良いなぁ。この街に居ると外(国)なんて滅多に行けないもの」チラッ・・・

神裂「そうですね。此処は割と閉鎖的ですから……」チラッ・・・

麦野・結標「「……」」チューチュー・・・

固法「こ、今回はドチラに?」タラー・・・

神裂「デンマークです。エスビェアルという西部の方に行ってきました」

固法「へぇ、デンマークかぁ……エスビェアルって街の名前?」

神裂「ええ。ルーン文字……あー、何て言うか……まじないで使う文字で有名な石碑などがありますね」

固法「相変わらず凄い事してるわね……えっと、二人はルーン文字って知ってる?」ニコッ・・・


二人に応答を試みる健気な固法女子。


麦野「さぁ」サラッ・・・

結標「まじないなんてしないもの」サラッ・・・

固法「そ、そっか……」


残念暖簾に腕押し……お労しや。あーめん。
811 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/16(木) 23:18:09.66 ID:MFf4HI790
もっと二人が喰いつきそうな話題を出さないと……


固法「……あ、そういえば神裂さん。今日は迷わず来れたのね」ニコッ・・・

神裂「ええ、はい。直ぐそこで麦野さんに会いましたし……その前は弟分に案内して貰ったので」コクッ

固法「例の可愛らしい弟くんね。見てみたいかも」フフッ

結標「……」ピクッ・・・


あ、反応した。


麦野「……おー、食指が動いたー」ボソボソ・・・

結標「な、にぉ……」ンギギ・・・

固法「え?」ポカーン・・・

麦野「んー、何でもなーい」ニヤニヤ・・・

結標「こ、ぬぉ……」ピキピキ・・・


お願いですから喧嘩しないで下さい。


神裂「そ、そういえば香焼が今度、結標さんに御礼がしたいと言ってましたよ」ニコッ

結標「っ!! そ、そう……別に礼をされる様な事してないけど」チラッ・・・

神裂「いえいえ。海外に行く際、猫(もあい)を偶に預かってくれてるそうで」ニコッ

結標「そ、そのくらいなら朝飯前よ! ま、まぁどうしても御礼がって言うなら、聞いてやらない事もないけど……」ボソボソ・・・ニヨニヨ・・・

固法「あら結標さん、優しいのね」フフフ!

結標「こ、困ってたから助けてあげただけ。それだけよ。他意は無い!」フンッ・・・ニヨッ・・・


何故か頬が緩んでらっしゃる。香焼も罪作りな子ですね……


麦野「やっぱショタコンの噂は本当なのね」クスクス・・・

結標「だ、誰がショタコンじゃー!」ガー!

固法「……へ?」タラー・・・

麦野「あー、私の職場に彼女の噂が入ってさぁ……ふふふ! いやぁ、これがおかしくって」アハハ!

結標「あー! あー! あー! 聞くなー! タダの風評よー!! 私は違いますー!!」ギャー!


……ショタコンって何ですか?


麦野「えっとね、まずショタって言うのは……」ニヤニヤ・・・

結標「ぶわあああああぁっ!! この全身レーザー女!! 口にマチ針テレポートさせるわよ!!」ギャー!!

麦野「んもー、野蛮ねぇ」ニヒヒ・・・

結標「ぐぬぬぅ……この女郎ぉ……」ピクピクッ・・・


結局、後で五和と浦上に聞いて驚愕しました。
812 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/17(金) 00:08:57.58 ID:n6SRcHCP0
結標「ったく……ところで」チラッ・・・

固法「ん?」

結標「色々気になるんだけど……何でアンタ、この人とコレと知り合ったの?」

麦野「コレ言うな、アホ」ベー!


まぁ確かに普通じゃ知り合わないだろう。


固法「えっとねぇ、神裂さんの迷子から始まったかなぁ」アハハ

結標「迷子って……それだけ?」ポカーン・・・

麦野「この子の迷子一回二回だけじゃないもの」ハハハ

神裂「むっ! その言い方だと私が常に道に迷っている様な」

麦野「違うの?」


……いえ、その通りでございます。


固法「あははは。ま、それで何度も道案内している内に麦野さんも巻き添えになって……今に至るって感じよ」クスクス・・・

結標「……アンタは? 普通表、出て来ないじゃない」ボソボソ・・・

麦野「あー……一見で、この子マネキン(モデル)に使ったの」サラッ・・・

結標「……はぁ?」ポカーン・・・

神裂「……正直トラウマです」ガタガタ・・・


土御門に街中で放置され、適当にウロウロしていたら麦野さんに捉まった。
そして無理矢理服を脱がされ……私が今まで着た事無い様な『可愛い』服を押し付けられた。


麦野「いや、火織の普段の恰好の方がトラウマ覚えるわよ。あんなコスプレ衣装、私だったら着れない」タラー・・・

神裂「だ、だからアレは宗教上の理由で仕方なく……」

麦野「んなモン知らないわよ。兎角、ありゃファッションへの冒涜だってば」ジトー・・・

固法「む、麦野さん……そこまで言わなくても」アハハ・・・

麦野「じゃあ美偉アレ着れる?」

固法「うん、それは無理」ニコッ・・・


……それ以上、私の心を抉る様な言葉をぶつけないで下さい。
813 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/17(金) 00:36:52.39 ID:n6SRcHCP0
結標「ふーん……それなりに普通の友達やってるんだ」ヘェ・・・

麦野「まーね。それよりアンタこそ、何処で美偉と知り合ったのよ」

結標「近所ってか銭湯」サラッ・・・

麦野「せ、戦闘!?」ハァッ!!?


麦野さん、スパの方です。バトルじゃないですよ。


結標「この戦闘狂(バトルジャンキー)め……この牛乳女と良く銭湯で会うのよ」

麦野「意味分からない。詳細ぷりーず」アゼーン・・・

固法「えっと、私お風呂というか銭湯好きだから。彼女もよく銭湯に来るし」

麦野「美偉は分かる。だけどこのチンチクリンは?」ポカーン・・・

結標「チンチク……チッ、風呂ボロいってか壊れてるってか無いのよ」ボソッ・・・

麦野「……え」ポカーン・・・


そういえば月詠さん宅には風呂場らしきものが見当たらなかったな。


固法「……月詠先生の事言って良いの?」チラッ・・・

結標「言わないでおいて……兎に角、私の家の風呂に問題あって銭湯通いなのよ。おーらい?」

麦野「へー……そんでもって自分と美偉の胸囲の格差社会に嘆く訳か」ククク・・・

固法「……変態」ジトー・・・

結標「ふんっ! こんなに有ったって無駄でしょ! 動くの邪魔!」ケッ!


同意します。


麦野「火織ぃ……アンタが言うと嫌味にしか聞こえねぇんですけどー」ジトー・・・

神裂「む、麦野さんだって小さい訳ではないでしょう」アタフタ・・・///

麦野「身長差あるとはいえ、バスト85の私と15も差ぁ有るって如何いう事よ!!」キシャー!!

結標「ブッッ……ひゃ、100もあんの……」ダラダラ・・・

神裂「きゅ、99です!! 誇張しないで下さい!!」カアアァッ///

固法「ふ、二人とも……真昼間っから大声で馬鹿な事言わないの!」ンモゥ・・・///


瞬間、我に戻る……チラホラ通過する通行人の目が痛かった。
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/17(金) 00:38:38.55 ID:CrIsZ4kDO
むぎのん先生! あわきんのスリーサイズ教えてください!
815 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/17(金) 01:37:55.21 ID:n6SRcHCP0
固法「まったく……麦野さんらしいっちゃらしいけど」アハハ・・・

麦野「如何いう意味よー……私と同じ身長で5㎝もでっかい美偉ちゃーん」ジトー・・・

結標「……アンタ、90もあったの」ダラダラ・・・

固法「そ、そんなに有りません!」カアアァ///

結標「……てか、アンタら全員胸有り過ぎ」タラー・・・


いやいや、女性は胸部が全てではありませんよ。寧ろ邪魔なだけ。


結標「あ、ホントだ。この人に言われると腹立つ」イラッ・・・

麦野「ほらね」ククク・・・

神裂「そ、そんな……結標さんとて、意外と有るのでは?」ムゥ・・・

結標「チッ……アンタら程無いわよ」ケッ・・・

固法「うーん、普段サラシ巻いてるから分からなかったけど……意外と有るんじゃない?」


三人して結標さんの胸を凝視。


結標「やっぱ変態よ、アンタら」ジトー・・・

麦野「ふんっ。この程度で変態扱いされてたら美偉のノロケトーク聞けないわよ」ニシシ・・・

固法「ちょ、べ、別にノロケなんか!」アタフタ・・・

麦野「因みにアンタは……162㎝,82・53・73……くらいね。体重は……あー結構ガリガリでしょ。肋見えるタイプね」ジー・・・

結標「ぐっ……スリムって言いなさいよ! しかもそこまでガリガリちゃうわ!」ンギギ・・・

固法「確かに銭湯では痩せてるなーって思ったかも」アハハ・・・

結標「搾ってるの! 別に良いでしょ」フンッ!


大体合ってるらしい。                    ※あくまで4人共、色々検証した妄そ……予想です。


麦野「いやぁ……でも正直、男性受け悪いらしいわよ? ぽっちゃり以上に」

結標「……別に男の目なんか気にしないわよ」フンッ・・・

固法「ねぇ結標さん、ちゃんとご飯食べてる? 守銭奴だからって食費ケチってない?」ジー・・・

麦野「あー、やっぱアンタ守銭奴なんだ……でも食費削るのは如何かと思うわよ?」ジー・・・

結標「こ、の……アンタら勝手な想像すなぁっ!!」ウガアアァッ!!


苦笑。
だが……知らず知らずのうちに、不穏な空気は消え去っていた。
816 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/17(金) 02:38:53.63 ID:n6SRcHCP0
 ―――とある休日、PM00:40、学園都市第7学区、オープンカフェ『サン・エール』・・・(神裂side)・・・





それから適当に軽食を腹に詰め込み、この後の話となった。


固法「いつもなら此処でモンバス大会なんだけど……」

結標「え!」ピクッ!

麦野「その様子だとアンタもモンバスするんだ」ヘェ・・・

結標「ま、まぁ嗜む程度にね」アハハ・・・


後でデータを見せてもらったところ獲得カードをフルコンプ、それからプレイ時間が異常でした。


固法「とりあえず今流行ってるジェラート屋さん行ってみない?」

神裂「ジェラート、ですか。構いませんが此処からの距離はどのくらいで?」

固法「近くの大広間によく移動車で販売に来てるんだって。今日休日だし来てるんじゃないかな」ニコッ

麦野「ふーん……ドケチは如何すんの?」チラッ・・・

結標「ケチ言うな。倹約家だっつの……此処まで来たら一応行くわよ」フンッ・・・

固法「決まりね。それじゃあ移動がてら次の場所も考えましょう」


言われるがままに頷き、一斉に立ち上がった。
何ともフランク。だが私にとっては新鮮……まるで自分が女子高生になったかのような気分だ。


神裂「あははは……女子高生かぁ……神裂火織、高校三年生です!」ニコニコ・・・アハハ・・・

麦野「火織、アンタ何言ってんの?」ポカーン・・・

神裂「あ……」ピクッ・・・

固法「え、えっと……そうね。神裂さん、18だものね……」ジー・・・

結標「え!? アンタ18だったの!? ……香焼くんの13歳より信じられない」ヘェ・・・

神裂「~~~ッ」カアアァ///


……いっそ殺して。
817 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/17(金) 03:05:24.72 ID:n6SRcHCP0
さておき数分後、目的の大広間……デパート近くの小ホールの様な場所に着く。
小学生から大学生まで、休みを満喫しにきた様々な学生たちが屯している。

その最中、目的のジェラート販売店の行列を発見する。どうやら固法さんの言うとおり大人気らしい。


麦野「あー、並ぶっぽいわね」アチャー・・・

固法「でもまだ10分15分くらいで済みそうかな……私並ぶから何処かに座ってて」ニコッ

神裂「それでは私も御一緒しましょう。一人では何です」

麦野・結標「「……あ」」エ・・・


しまった……


固法「うーん、じゃあお言葉に甘える。それじゃあ二人は何が良い?」

麦野「えっと……やっぱ私も行くよ。まだ決まんないし、あとパシらせるみたいで悪いしさぁ」アハハ・・・

結標「だ、だったら私も行くわ。右に同じくで」アハハ・・・

固法「良いわよ、そんな気にしなくたって。誰か一人手伝って貰えれば」

麦野「じゃあ私行く。火織、コイツと待ってなさい」チラッ・・・

神裂「そうです、か……では、はい。そうします、すいません」アハハ・・・


何とか麦野さん結標さんの二人きりは免れた。
私は宇治金時ジェラート、結標さんは濃厚マンゴージェラートをお願いし、適当な席で待つ事とした。


結標「ったく……マジ怖いわよ。アイツと二人きりとか身ぃ持たないって」ハァ・・・

神裂「あはは、スイマセン……しかし、そこまで苦手意識する必要も無いのでは?」

結標「……プライベートとはいえ『暗部』よ? アンタだって、よく分かんない『同業者』と一緒に居たくないでしょ?」フンッ・・・


まぁ確かに、スペイン星教の異端審問官が私服で隣に座ってたら落ち着けないだろう。


結標「おまけに超能力者(レベル5)よ? 知ってるでしょうけど、アイツの能力は破壊特化。冗談じゃないわ」ハァ・・・

神裂「しかし、こんな真昼間っから馬鹿な真似はしないでしょうに」

結標「……沸点低いのよ、アイツ。その筋では有名な話だわ」


だからといって大袈裟な……
818 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/17(金) 03:39:09.39 ID:n6SRcHCP0
結標「まぁアンタや固法美偉はアレとプライベートでは懇意の様だからこれ以上は言わない」

神裂「聞いたら後悔する、と?」

結標「アンタが香焼くんと似た神経してんなら、捨て置きは出来ない『惨状』よ。アイツの行い」


そこまで荒んでいるのか。


結標「私も人の事言えた義理じゃないけどさ……アレは特化し過ぎよ。自我の無いキリングマシーンの方がまだマシじゃないかな」

神裂「……」

結標「……この話は今は終わり。興味があるなら別の機会に話してあげるわ。若しくは土御門からでも聞きなさい」

神裂「いえ……聞くとしたら、本人から直接聞きます」

結標「……呆れた。やっぱ香焼くんのボスなのね」ハァ・・・


ボスではないのですが、まぁいいでしょう。

それよりも……嫌な匂いがする。多分気の所為では無い。
周りに5,6人、いや遠方から此方を覗いている気配もある。これは一体……


結標「どったの?」

神裂「嫌な、プレッシャーです……誰かが見ています」ボソッ・・・

結標「アンタのダイナマイトバディを?」

神裂「そ、その目は我慢します……じゃなくて……」チラッ・・・チラッ・・・

結標「……あぁ」ポリポリ・・・


身に覚えが有るのだろうか。


結標「二つ。一つは私とあの移動砲台女が接触してる事に不信感を持った馬鹿上層部じゃないかしら」

神裂「アレイスターの手の者?」ム・・・

結標「理事長さんかどうかは分からないけど、『案内人』である私がアイツと協力して馬鹿な事企ててるんじゃないかとか危惧ってんでしょ」

神裂「そんな……確証も無いのにプライベートの監視を?」

結標「プライベート、ねぇ……んなモノこの街には無いわよ。特に暗部ってか公僕はね」スッ・・・


そう言って首裏の『何か』を摩る結標さん。何とも、度し難いですね……アレイスター。
819 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/17(金) 04:16:52.33 ID:n6SRcHCP0
結標「勘違いしないでよ、聖母さん……アンタが気にする事じゃないわ。この街のシステムだもの。それで私達も色々保障されているのだし」

神裂「……では、もう一つの目は?」

結標「ちょっと前にね……此処ら一帯でテロがあったの。テロっつっても児戯に等しいスキルアウトの反攻作戦みたいなのね」


武装無能力者集団(スキルアウト)。


結標「んで、その迎撃掃討担当の任務、受け持ったの」プラプラ・・・

神裂「……では、貴女は常に」

結標「そーね。ま、そいつらが私見つけて馬鹿な事考えてるんじゃない? きっと私一人になるの待ってんのよ」ハハハ

神裂「大丈夫なのですか?」

結標「多分ね。何事も無ければだけど」ニコッ・・・


それじゃあ、彼女を一人には出来ない。


結標「あらら、どーも。お優しい事で」フフッ

神裂「……」

結標「……あのさぁ」ハァ・・・

神裂「え、あ、何か」

結標「話した私も悪いんだけどね……その目、止めて」ッタク・・・

神裂「目? ……私の、ですか?」

結標「ええ。アンタは慈愛の眼で私見てんのかもしんないけどさ……私からすれば、そりゃ娼婦の境遇を憐れむ目よ」ジトー・・・

神裂「そんな事は……」

結標「ハァ……この稼業しててさ、性根がしっかりしてる輩からビッチ扱いされんのは慣れてるけどね」


悲しそうに笑う少女。私と歳一つ二つしか違わないというに。


結標「私からすりゃアンタの聖母染みた目の方が異常よ。よく『コッチ側』でその目続けてられるわね」ハハハ・・・


その『コッチ』とか『アッチ』という括りが、嫌いなだけだ。
必要悪も悪だからといって、性根まで腐る必要はないのである。そこを履き違えるつもりはさらさら無い。
820 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/17(金) 04:45:29.20 ID:n6SRcHCP0
結標「兎に角、遠くの輩は何もしてこないし、近くのギラついた連中も私に容易く手ぇ出す勇気無いから安心して」

神裂「楽観的な……」

結標「なぁに、所詮無能力者だし。能力者に勝てる訳――」ハハハ


私や香焼かて、無能力者ですよ。


結標「―――……」ピタッ・・・


やはりこの街の能力格差というか、実力主義・強度本位制は社会問題だろう。
詳しくは知らないが、多分道徳教育からして歪みが生じていると見える。


結標「……私には分からないわ。そういう小難しい話はしない様、決めたの」

神裂「それでも良いでしょう。ただし、あまり能力云々で他人を判断しない方が良い」

結標「そうね……気をつける」


土御門の受け売りだが『AIMジャマー展開下でチカラを振える輩こそ、真の恐怖対象だ』を思い出した。
能力や権力を投げ出して0になった時、如何に御力を発揮できるか。多分この街の住人の社会に出てからの課題だろう。


結標「とりあえず、この話はやめましょ。折角の『プライベート』なんだしね」クスクス・・・

神裂「……そうですね。もうちょっと明るい話にしましょうか」ニコッ

結標「それじゃあそうね……逆ナンでもしてきなさい」ニヤッ・・・

神裂「ぎゃくなん、ですか?」

結標「女性から男性をナンパする事よ、知らない? ……この街の女子は普通にするのよ?」ニヤニヤ・・・


そんな破廉恥な……五和や浦上達もしているというのか?


結標「試しにやってみなさい。ほらほら、さっきの威勢でれっつごぉふっ!!」バシッ!!

麦野「……その子に嘘教えんな。真に受けるっつの」ジトー・・・

結標「痛っぅ……冗談だったのにぃ」ギロッ・・・

麦野「黙ってジェラート喰ってろ痴女が」ケッ・・・

固法「二人とも……神裂さん、馬鹿な真似しなくていいからね。あとちゃんと心に決めた人がいますって断るのよ?」メッ!

神裂「そ、それは、えっと……うぃ……」カアアァ///

麦野・結標「「……ふひひ」」ニヤニヤ・・・

神裂「コイツら……」グヌヌ・・・


まぁ……今は宇治金時ジェラート(練乳マシマシトッピング)に免じて許してやろう。
821 :>>1 [saga]:2011/06/17(金) 04:46:59.12 ID:n6SRcHCP0
あー、全く進まない畜生……すいません、寝ます。
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/17(金) 06:48:20.97 ID:zWrJMH9y0
ねーちんかわいい!
ねーちんかっこいい!
投下GJ!
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/17(金) 13:57:33.64 ID:CrIsZ4kDO
乙!
あれ? いつの間にオレのねーちん見詰める眼差しばれたんた?
824 :>>1 [saga]:2011/06/17(金) 22:22:45.91 ID:wdhWp8w/0
こんばんわ。続きっす。シャキシャキ行こう!
825 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/17(金) 22:40:16.80 ID:wdhWp8w/0
 ―――とある休日、PM01:00、学園都市第7学区、とある大広間・・・(神裂side)・・・






神裂「ふむ……甘い」ペロペロ


宇治金時味のジェラート。
練乳がちょっと余計な気もするが、やはり日本の甘味は他国に比べて丁寧だな、としみじみ感じる。


固法「英国のお菓子、美味しくないんだっけ?」

神裂「美味しくないというか、雑なんです。とりあえず砂糖大量に使っとけば良いやという発想が多いので」

麦野「でもパティシエの作る菓子とか、真面目な郷土菓子はそうでもないっしょ?」

神裂「勿論そうですが、こういった露店で売っている菓子は……正直、食べたくない」


確実に胃凭れする。
甘味好きなアニェーゼやアンジェレネでさえ、露天モノは控えている程だ。


結標「……ところで、アンタら」チラッ

固法・麦野「「ん?」」

結標「それ、何味よ?」ジー・・・


確かに気になる。麦野さんのジェラートは黒いし、固法さんのは極端に……白い?


麦野「ブルーベリー柘榴黒蜜味」

固法「ホットミルク味」

結標「……ツッコまないわよ」ハァ・・・


ツッコミを入れたら負けらしい。私も黙っておこう。

さておき……先程気になっていた『目』が、何故か減っていた。
遠方の目はそのままだが、近隣の目は薄れている。人数が増えた所為か、それとも別の『何か』があったのだろうか。


神裂(……これも、突っ込んだら負けか)フム・・・


そうだ、今はプライベート。胡散臭い事はなるべく考えないようにしたいのだ。
826 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/17(金) 23:47:25.14 ID:wdhWp8w/0
数分後、4人皆完食。


麦野「さぁて、どーすんの?」

固法「そうね……何処か行きたい場所ある?」

神裂「私は勝手が分からないのでいつも通りお任せを」コクッ・・・

麦野「……火織ー。偶には『○○行ってみたいです』とか『○○が欲しい!』とか無いの?」


と、言われても普段娯楽からかけ離れた生活を送っている故、如何したら良いか……


結標「何の趣味も無いの? 興味とかでも」

神裂「うーん……では……」ポリポリ・・・

固法・麦野「「うんうん」」

神裂「日本刀……鎧も良いですね……あ、染物も興味は……」

固法・麦野・結標「「「……」」」タラー・・・

神裂「探すのは大変ですが陶器も……そうだ! 華やお茶に」

麦野「ストップ」ビシッ!!


……頬を突かないで下さい。


麦野「……ジジィババァか、と」ハァ・・・

神裂「」チーン・・・

固法「え、えっと、歴史好きっていうか純和風というか……そういう類が良いのかな?」

結標「んな施設とかイベント、今街でやってたかしら?」

固法「うーん、探せば有るかもしれないけど……如何だろぅ」アハハ・・・

麦野「だああぁっ!! こうなったら火織がカルチャーショック受けそうな店に連れてってやる!」


何だそりゃ?


麦野「待ってなさい、今すぐ調べるから!」カチカチカチ・・・

結標「ちょっと……あんまり変な場所連れてかないでよ。一応風紀委員様居るんだし」ブーブー!

麦野「逆に考えなさい。美偉が居れば多少の免罪符になるのよ」フンッ

固法「なりません。現行犯でトッ捕まえます」メッ!


あーだこーだ、と次の場所で議論になる。下らないけど、楽しい時間。
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/06/18(土) 00:28:26.12 ID:S4n/qixZ0
洗濯機売り場とかどうだろうか
828 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/18(土) 01:45:30.63 ID:RHZK3aaw0
そんでもって結局……


麦野「折角だし冬服を……」ウンタラカンタラ・・・

結標「いや、ホームセンターで街の技術を……」アーダコーダ・・・

固法「普通にゲーセンとかで……」カクカクシカジガ・・・


決まらない。


神裂「えっと……全部入ってる様な場所は無いのでしょうか?」アハハ・・・

固法「あ、そ、そうね……地下街とかでも良いかも」

麦野「駄目よ。アソコは庶民モノしかないもの!」

結標「ふんっ、ブルジョアめ。普通これ至高。何でもかんでも高けりゃ良いって訳じゃないわ」ケッ!

麦野「アンタはケチなだけでしょ! 火織金持ちなんだから良いのよ」フンッ!

固法「あー、こらこら。じゃあ色々周ってみれば良いでしょ。喧嘩しないの」


始めっからそうすれば良かったですね。
そんな事を考え苦笑していた刹那……はたまた不穏な匂い。


神裂「……ん」ピクッ・・・


しかし、先とは違い殺気立ってない。これはドチラかというと、莫迦の匂いだ。


麦野「ぁ……チッ。んどくせー」チラッ・・・

固法「え……」チラッ・・・

結標「馬鹿丸出しがゾロゾロ来たってか」ハァ・・・

神裂「……これは?」


7,8人の男性が近づいて来る。


麦野「火織、相手しちゃダメだかんね……美偉、行くわよ。アンタも律義に対応しちゃダメ」スッ・・・

固法「分かってる」コクッ・・・

神裂「えっと……」ポカーン・・・

結標「未だに把握できてない訳ね……要はナンパよ。盛った猿共が寄って来たの」フンッ

麦野「見た目はチャラついてない普通の大学生っぽいけど……そういう手合いは女なら誰でも良いってタイプの連中ね。カスよカス」

固法「あはは……とりあえず、行こ」ニコッ・・・


言われるがままに立ち上がる。今は固法さん達に従って歩く事にしよう。
829 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/18(土) 02:01:46.71 ID:RHZK3aaw0
だがしかし……


神裂「あのー……彼ら、連いてきてませんか?」クイッ・・・

麦野「性質悪ぃなぁ、オイ……」ケッ・・・

固法「やっぱり丁重に対応した方が」ウーン・・・

結標「無駄よ。馬鹿だから話しかけられた瞬間、『あ、その気有るんだ!』とか超解釈するって。ああいう阿呆は」


よく知っているな。


結標「……アンタ、ナンパあった事ないの?」

神裂「え、あ、えっと……」ウーン・・・

麦野「無駄よ。その子、ナンパをナンパと思わないタイプだから」

神裂「うーん……要は食事やお茶に誘われたり、とかでしょうか?」

結標「なんだ。分かってんじゃない」


成程。騎士団長殿は私をナンパしているのか。


麦野「まぁナンパする男の頭の中は殆ど『この女、股開いてくんねぇかなぁ』って考えで占められてっけどね」ククク・・・

神裂「は……ええぇ!!?」ギョッ・・・///

固法「む、麦野さん……ええっとね、神裂さん。勘違いしちゃいけないわよ。純粋に一目惚れで声掛けましたってのもあるからさ」アハハ・・・

結標「今時そんな度胸有る男いないわよ。大抵は数撃って『当てよう』でしょ?」イヒヒ・・・

固法「神裂さんに変な知識与えないの!」モゥ!!


まぁその……参考程度にはさせて頂きます。


固法「まったく……兎に角、三人共、頭に来たからって手出しちゃダメよ」チラッ・・・

神裂「分かってますよ。荒々しい真似をするつもりは毛頭ありませんから」

麦野・結標「「……レッツパァリィー」」ニヤッ・・・

固法「パーティー禁止!」ギロッ!

麦野・結標「「えー」」ブーブー


一般人相手に何するつもりなんだ、この人達は。
830 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/18(土) 02:32:46.54 ID:RHZK3aaw0
さておき、気付いたら地下街の方まで来ていた。
残念ながら男性集団も一定の距離でついて来ている。如何したものか。


結標「ねぇ……アンタ脅しで一発デッカいのブっ放せばアイツら帰るんじゃないの?」チラッ・・・

麦野「嫌よ。それじゃあ正当防衛にならないじゃない。ヤるなら後出し。これ喧嘩の常識」

固法「そこ、物騒な事言わない……とりあえず何処か御店にでも入れば帰るかもしれないし」

麦野「それこそ袋小路よ。何かと訳付けて迫って来るわ」ジトー・・・

固法「んー……じゃあやっぱり風紀委員の腕章見せて帰って貰おうかしら」

結標「持ってきてんの? ならさっさと付けなさいよ。腕章(虫除け)」

固法「虫除け言わないで……って、アレ?」ゴソゴソ・・・


……忘れたのか。


固法「……支部に置きっ放し」タラー・・・

結標「つかえないわー」ハァ・・・

神裂「まぁまぁ……」アハハ・・・

麦野「んな事言ってる間に……一人来たわよ」ボソッ・・・


厄介な事に代表らしい爽やかな青年が近づいてきた。


青年A「あのー、少し良いですか?」ニコッ

結標(うわぁ、海原みたいでキモい……)ゾゾゾ・・・

麦野「火織は喋っちゃダメよ……はい、何でしょうか?」ニコッ

神裂・結標((うわぁ、別人になった……))タラー・・・


大英博物館の受付嬢の様な満面の笑み。これは凄い。


青年A「俺、都市医大の1年なんだけど。あ、後ろの連中も同級生とか先輩ね」ニコニコッ

麦野「そうですか。それで何か御用でしょうか? ちょっと急いでいるのですが」フフフ

結標(あからさまに学力アピール……カス中のカスだ。だけどこの肩書きで釣られる女もいるのよねぇ)ジトー・・・

神裂(そういうモノなのですか?)

結標(アンタはきっと分かんないわよ。今までずっと一番『偉い席』座ってたんでしょ?)


香焼から聞いたのだろうか……まぁ天草については言及してないので良しとしよう。


青年A「あれ? 見たところ暇そうだったんだけど、忙しかったの?」

麦野「ええ、今から友人『男性』と待ち合わせで……ね」ニコッ

固法「はい、貴方ぐらいの御年の理事会立大の先輩と。ごめんなさいね」ニコッ

青年A「……あ、そっか」アハハ・・・

結標(牛乳女もやるわね。アイツらより高いレベルの『人形』作るとは)ヘェ・・・


よく分からないが高度な駆け引きとやらが展開されているらしい。
そういえば偶に建宮や牛深があの手の話し方を宮殿の給仕係の娘にしているのを見た事があるが……気の所為か?
831 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/18(土) 03:11:04.88 ID:RHZK3aaw0
それから麦野さんが二言三言何かを告げ、青年はトボトボと踵を翻し、元の集団の中へ戻って行った。
流石というか何というか……団長殿相手に毎度手こずっている私も見習いたいものだ。


麦野「ああいうのはまるで興味が無い、って態度見せれば良いのよ。所詮赤の他人何だし」

神裂「ふむ……他人で無い場合は如何すれば良いのでしょう?」

麦野「何? 知り合いでもいるの?」

神裂「あ、いえ、英国の方で何度もアプローチを掛けてくる方がいるので……あはは」ポリポリ・・・

結標「それアンタにマジ惚れなんじゃないの?」ハハハ


如何なのやら……噂ではキャーリサ様と、とか耳にした事もあるのだが実際は知りません。


固法「ふふっ、神裂さんの場合はキチンと心に決めた人がいますって言えば良いのよ」ニコッ

神裂「そ、それは、その……えっと……」カアアァ///

麦野「相変わらず奥手なのねぇ」ニシシ!

結標「え! 何、誰々? 知ってる人なの?」キャー!


急に女子力全開の雰囲気になった。道の真ん中で勘弁してくれ。
そんなこんなでキャッキャウフフしてる最中……今度は先の集団全員が此方に向かってきた。


麦野「うわぁ……数で来やがった。丸め込むつもりかよ」ゲェ・・・

結標「面倒ね。風紀委員、何とか出来ないの? あの人数なら同僚か警備員呼べるんじゃない?」チラッ・・・

固法「うーん、こんな下らない事で呼びたくないし……それに勝手にしろって言って真に受けてくれないわよ」

神裂「ふむ。では固法さんの彼氏さんとやらに助けを請うてみては?」

固法「ダメ」キッパリ!


何故即答?


固法「……仕事中だもん」タラー・・・

麦野「ホントはアイツらに手ぇ出されるのが怖いのよねー」ニヤッ・・・

結標「あはは。駒場利徳亡き後、今現在最強の喧嘩屋(無能力者)だもんねー」ニヤッ・・・

固法「大袈裟よ……最強でも無いし、喧嘩屋でもないから……兎に角先輩呼ぶのはダメ」モゥ・・・

麦野「ちぇっ。呼べば即解決なのに」フフッ


確かフリーターの彼氏さんだったな。
麦野さん曰く『蜘蛛男と蝙蝠男を足して二で割った様な元不良』らしい。よく分からん。


青年B「あのー、何度もごめんね?」ニコッ


今度は先の男とは雰囲気が違う……女衒師(ホスト)風な青年が話しかけてきた。
832 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/18(土) 03:49:17.82 ID:RHZK3aaw0
麦野「……まだ何か?」

青年B「ざっくり聞いちゃうけど、その友達と何時くらいまで遊んでる?」

麦野「はい?」

青年B「だからね、君ら何時くらいから暇になるのかなぁって」ニコッ・・・


今度は随分と強引な人だ。


麦野「……特に決まって無いですけど、各々下校時刻までには帰路に着きますよ」

青年B「あ、そっから暇なのね? じゃあ丁度良いじゃん。そっから遊ぼうよ」

固法「……すいません、寮生なので門限が」

青年C「大丈夫だって。寮の友達に誤魔化しといてもらいなよ」ニコッ


周りの男子も口を出すようになってきた。何だか怖い……


麦野・結標「「……」」ニコニコ・・・


……この二人が。


麦野「言っときますけど、その子風紀委員ですよ?」ニコッ・・・

青年B「え、マジで……」タラー・・・

青年A「……証拠は?」

固法「え……と、支部に問い合わせて貰えれば……」タラー・・・

青年B「……ふーん」ニコッ


信じてない様だ。


青年B「えっとさ、ぶっちゃけ僕らの事面倒とかウザいって思ってるかもしれないけど」

結標「あら、分かってるじゃない?」ニコッ・・・

神裂「む、結標さん……」タラー・・・

青年B「あはは、正直で可愛いじゃんか。あのね……オレらも訳有ってさぁ、女の子集めないと拙いんだよ」ポリポリ・・・

麦野「……何ですか、それ。私達に関係あるんでしょうか?」

青年C「まぁまぁ、話だけでも聞いてよ」ニコッ


彼ら……こういうやりとりに手慣れてるといった類か。
833 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/18(土) 05:06:04.04 ID:RHZK3aaw0
それから暫く彼らの熱弁、という名のナンパ節を聞かされる羽目となった。
勿論何を言ってたかなんてこれっぽっちも頭に残ってはいない。


結標(……好い加減、相手すんの止めない?)ハァ・・・

麦野(同感よ……適当にあしらって下降りましょうか)スッ・・・


麦野さんが私と固法さんの背中を軽く押し、一言告げた。


麦野「時間なので」ニコッ・・・

結標「……アンタら、行くわよ」テクテク・・・

神裂「え、あ、はぁ……」コクッ・・・

青年A「ちょ、話くらい最後まで聞いてよ」スッ・・・


此方に向かって手を伸ばす青年。後ろに居た固法さんの腕を掴んだ。


固法「しつこいです。他を当たって下さいね……あ、それも迷惑か」ハァ・・・

青年B「じゃあさ、連絡先だけでも」

麦野「……嫌だ、って言ってるのが分からないかしら?」ギロッ・・・


あ、ヤバい。


青年C「君……あんま大人の男の人にそういう口聞いちゃいけないよ?」ニコッ・・・

麦野「恐喝? ……美偉、これって現行犯じゃないの?」

固法「出来るけど、穏便にすませましょう」アハハ・・・

青年B「まだ風紀委員ごっこしてるのかな? あ、じゃあアレだ。仕方ないけど、僕の連絡先教えちゃおう」スッ・・・


徐に携帯電話を取り出し、赤外線云々言ってる。誰も望んでないというのが分からないのか。


結標「放っておきなさい……行くわよ」グイッ・・・

固法「ええ」テクテク・・・

青年A「あれー、連絡先はー?」

麦野「アンタらもこれ以上しつこいと警備員を……って、オイ」ジトー・・・


何とも御丁寧に……地下道の前に壁を作ってらっしゃる。まったく呆れる手前だ。 
 
839 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/19(日) 22:24:08.78 ID:CC4ZJLaU0
 ―――とある休日、PM01:40、学園都市第7学区、地下街入り口付近・・・(神裂side)・・・


固法「……神裂さん、意外と冷静なのね」アハハ・・・

神裂「いやぁ、何と言いますか……こういうのもこの街ならではの体験で面白そうかなぁと」アハハ

固法「神経図太いわ」ハァ・・・


未だに危機的状況が続いている。まぁ危険なのは主に彼らの方なのだが……我々が万に一つでも負ける事は無いだろう。


青年B「ねねね、連絡先教えてくれるだけで良いんだって。簡単っしょ?」ニコッ

麦野「……クドい」イライラ・・・

結標「……ねぇもうブっ飛ばしちゃダメ?」チラッ・・・

固法「風紀委員(私)が居る前でよくそんな事言えるわね」ッタク・・・

結標「だってー」ブーブー・・・

固法「結標さん、貴女仮にも保護観察の身よ。忘れたのかしら? そんなに月詠先生泣かせたい?」ジー・・・

結標「うっ……わ、分かったわよ」ハァ・・・


そういえば結標さん、宜しくない過去(前科)持ちだと香焼が呟いてた。


麦野「私はんなモン関係無ぇから、おk?」ニヤッ・・・

固法「麦野さん、貴女は能力使っただけで身元ばれるでしょ……有名人さん」ジトー・・・

麦野「……えっと」チラッ・・・

固法「……」ジー・・・シュン・・・

麦野「あー、もう! そんな目すんな! じゃあ如何しろってのよ! 美偉がコイツら蹴散らしてくれるのね!?」ガーガー!

固法「兎に角暴力はダメです」メッ!


右に同じだ。
争いから何も生まれないなんて綺麗事は言わないが、下らない争いからは厄介事が生まれるモノです。

さておき……此方が内輪で揉めている最中、彼らの数名が不穏な事を口走り出した。 
 
841 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/19(日) 22:54:57.73 ID:CC4ZJLaU0
青年D「……さっさと……っちまった方が良くね?」ボソボソ・・・

青年E「だよな……も遠回りに……どうせ売っちま……な」ボソボソ・・・

青年F「てか諦めても……もっと簡単な女(商品)を……」ボソボソ・・・


……ふむ。軟弱者の類かと思っていたが、鬼畜の化生だったか。


神裂「……皆さん」チラッ・・・

固法「え?」

神裂「行きましょう。あーだこーだ、考えるのは無駄です」クルッ・・・

麦野「ちょ、火織?!」ドキッ・・・


壁になっている青年達に向かって歩き出す。


青年D「あ、ちょ、まだ話は……ッ!!?」グイッ・・・

一同『っ!!?』ギョッ・・・

神裂「……退け」ボソッ・・・

青年DEF「「「ぃ……」」」タラー・・・


内緒話をする時は本人らが居ない所でしろ、下郎。
このまま張り倒してやってもいいが……彼女達の手前、成るべく穏便に済ませたい。


青年A「え、待、連絡先だけでも……」タラー・・・

結標「……お姉さんに続きくとしましょうか?」ニコッ・・・

麦野「そーね。美偉、行きましょ」クスッ・・・

固法「あ、えっと、うん……」タラー・・・

青年B「……チッ」


三人も私の後に続いてきた。これで漸く……


青年A「せ、先輩……どうします? 上玉逃がしちゃいますよ?」タラー・・・

青年B「……あんまり男、嘗めんなよ?」ギロッ・・・

青年C「でも場所悪いからなぁ……」

青年B「G……オマエ、精神感化の能力だったろ? ちょっと……」ボソボソ・・・

青年G「……うっす」コクッ・・・


やれやれ。面倒な輩。


麦野・結標「「ッ……正当防衛クルー!!」」ヤッター!!

固法「や、止めなさい!!」モー!


……こっちも面倒です。
842 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/19(日) 23:39:46.81 ID:CC4ZJLaU0
そして、青年の一人が此方に歩み寄り、狂気万全二人の琴線に触れようとした……刹那。


??「止まりなさい!」ガッ!


凛々しい女性の声。一同制止する。


??「失礼……知り合いが絡まれていたモノですから介入させて頂きました」

青年A「へ……ちょ、人多っ!?」ギョッ!!


不思議な恰好をした女性を筆頭に強面の男女達がぞろぞろと此方に向ってくる。


結標「げっ、ヤバっ……」タラー・・・

麦野「何よ、アンタの知り合い?」チラッ・・・

結標「……悪い意味で知り合い。てか私が恨みの対象」ボソッ・・・

神裂「はい?」エ・・・

結標「さっき言ったでしょ……此処ら一帯を取り締まってる最大勢力よ」


という事は……


固法「あはは、郭ちゃん」タラー・・・

郭「姉貴さん、こんな連中相手に何やってるんですか? 風紀委員なんだからちゃっちゃと片付けて下さいよ」

固法「えっと、腕章忘れちゃって」ポリポリ・・・

郭「呆れた……そういう時は私達や兄貴さんに連絡して下さいよ」モゥ・・・


武装無能力者集団(スキルアウト)。見た所、武装とよばれる類の危なっかしいモノは持ってない様に思えるが。
というか……スキルアウトは反社会的行動を行う集団なのでは?


郭「さておき……貴方方?」ニコッ・・・

青年B「あ? 何だテメェ?」ギロッ・・・

郭「申し訳ありませんが御同行を願えますか? 少しお聞きしたい事がありますので」ジトー・・・

青年A「……風紀委員か何かでしょうか? 別に僕達は彼女達をお茶に誘っていただけですよ?」サラッ・・・

郭「いえいえ、まぁその件に関してもなのですが……話は『裏』で詳しく、ね」チラッ・・・

スキルアウツ『……』コクッ・・・ゾロゾロ・・・


青年達一人に対し3人掛りで捉え込むスキルアウトさん方。
統率の取れた動きだ。あの少女、良い指揮官なのだろう。


麦野「何訳分かんない事考えてんのよ……あーあー、獲物取られたー」ブーブー!

結標「消化不良よー」ブーブー!


……戦闘狂は碌な死に方しませんって。性格直しなさい。
843 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/20(月) 00:59:28.58 ID:kbkY0yaz0
青年C「オイ……何のつもりだ? 意味分からねぇぞ?」

青年D「なぁコレ風紀委員呼んでも良いんじゃね……別に俺ら悪い事してた訳じゃねぇし」

郭「喧しい……連れて行きなさい」ギロッ・・・

スキルアウツ『はい』コクッ・・・


二人が両脇を固め、一人が背後から……『鋭いモノ』を押し当ててる様だ。


郭「動かないで下さいよ。私達も公道で野暮な事はしたくないですからね」ニコッ・・・

麦野「ふーん……一応、頭は回るのね」ジー・・・

青年A「ふ、ふざけないで下さい! 警備員か風紀委員を呼びますよ!」

郭「……呼ばれて困るのは、貴方方では?」

青年s『っ!!?』ドキッ・・・


……やはりタダの大学生ではないのか。


郭「半蔵様の領地(縄張り)で人攫いなどアコギな真似を……我々が警備員から疑われてしまったでは無いですか」ジトー・・・ボソッ・・・

青年B「な……そ、れ……」

固法「え、郭ちゃん? 何て言ったの?」キョトン・・・

郭「あ」ヤベッ・・・


仕方ない……不穏な話だが、空気を読んであげよう。


神裂「固法さーん……少し耳を」スッ・・・

固法「へ??」ポカーン・・・

結標「耳覆って……うわー。汚いモノ見せない気だー。まぁ正義の風紀委員さんだものね」ハハハ

麦野「仕方ないでしょ……美偉はコッチ側の話聞かせられないの」チラッ・・・

郭「あはは……感謝します」ポリポリ・・・


いえいえ、どうぞ続けて。


郭「では……加えて『狩り』への加担者という疑いがあるのでね、色々『お話』聞かせて頂きましょう……行け」ニコッ・・・

青年C「こ、こんな非合法行為! 風紀委員や警備員でもないのに馬鹿な事を!!」ギロッ・・・

郭「……非合法?」


瞬間、少女は大笑い。


郭「手前ら相手に合法非合法などあるか……私達はスキルアウト(シノギ)だぞ? 黙って歩け。でなければ今此処で血を見るぞ?」ガシッ・・・

青年s『っ』ゾッ・・・


成程。スキルアウトとはヤクザなのか。
844 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/20(月) 01:15:43.80 ID:kbkY0yaz0
結標「いやいや、チンピラよ」タラー・・・

麦野「または消耗品ね」ニコッ・・・


此の二人はまたそういう事を……

暫くして、青年達とスキルアウトさん達は路地裏の方へ歩いていった。
残ったのは数名の若いスキルアウトさんと指揮を取っていた少女。


固法「神裂さーん! 離してよー」ムゥ・・・

神裂「あ、はい。失礼を」アハハ・・・

固法「まったく……郭ちゃん、ちょっと来なさい」ジー・・・

郭「え、あ、はははは……何ですかー」タラー・・・

固法「さっきのは一体何ですか? 荒っぽい事するんじゃないでしょうね?」ジトー・・・

郭「ええっと……」ポリポリ・・・チラッ・・・


いや、此方に助けを求められても……


麦野「……私の姐さんに良くも馬鹿な真似をしてくれたな、こん畜生! ってな感じだったわ」ニコッ・・・

郭「うぇっ!? う、うーん……まぁそんな感じです」アハハ・・・

固法「ダメでしょ。そんなに私ひ弱じゃないんだから、あんな数の暴力みたいな事しなくていいの」メッ!

郭「し、しかしですね……半蔵様の縄張り(シマ)で姐さんが傷モノにでもなったら、私達全員兄貴さんに鏖にされますから」タラー・・・


皆殺しって、物騒ですね……


麦野「まぁ黒妻くんなら、美偉に怪我させたヤツら全員、老若男女人畜関係無く血祭りに上げるわね」ニコッ

結標「ありえるわ」ニコッ

固法「そんな事有り得ません! 兎に角、あの人達の事キチンと解放するのよ? じゃなきゃしょっ引くからね」ハァ・・・

郭「あはは……分かりましたよぅ」ポリポリ・・・


指揮官の少女をタジタジにさせる固法さん。シノギ相手に……貴女は何者ですか?


固法「えっと、うーん……彼女も私のお友達なの」アハハ・・・

郭「友達って……こほんっ。改めまして、先程はありがとうございました。私、こういうものです」ニコッ


名刺を渡された。この歳で名刺って、この子も一体?
845 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/20(月) 01:36:40.08 ID:kbkY0yaz0
神裂「……えっと『第7学区非公式自警団:(以下略)――』ですか?」

郭「ええ。私は代表秘書の郭という者です。以後、お見知りおきを」ニコッ


今時珍しい『本格』ヤクザの肩書き風だ。
成程、スキルアウトという名目を『自警団』という言葉で上手に誤魔化している。お見事だ。


麦野「美偉とは……まぁどうせ黒妻くん繋がりってか」ハハハ

郭「ええ。兄貴さんは我が代表の兄弟分でもあるので、懇意にさせて貰っているのですよ」ニコッ

結標「やっぱあのワカメ怖いわ。アンタ、風紀委員なのに極妻って訳なのね」ニヤッ・・・

固法「ま、まだ妻とか違うし! あと極道でもありません!」アタフタ・・・///


ワカメは否定しないらしい。


郭「何を言いますか! 兄貴さんには何れ無能力者(弱者)の象徴(代表)としてこの街のトップに立って貰わねばいけません!」ニカッ!

結標「何か危ない事言いだしたわよ。コイツ、革命家さん?」

麦野「てか美偉ならまだしも馬鹿(中卒)の黒妻くんじゃトップ無理でしょ?」

神裂「え、えっと……人間頑張れば多少の無理は可能ですよ。革命は民の意志ですし……頑張れ?」


正直、何の話をしているのか分かりません。


固法「適当言わないの! 先輩はフツーに就職してフツーに暮らすんです!」モー!

結標「……普通は無理ね」サラッ・・・

麦野「普通は無いわ」キッパリ・・・

郭「兄貴さんに普通など有り得ません」ビシッ!

神裂「普通は無いのですか?」ポカーン・・・

固法「……ハァ」グデェ・・・


とりあえず、固法さんが黒妻さんとラブラブ(?)だという事は分かった。


固法「どうしてそうなるのょ……」ッタク・・・///

麦野「火織、案外都合の良い頭してんのね」アハハ

結標「超解釈ね。まぁ間違ってはなさそうだけど」アハハ

郭「後ニ三年もすれば第1子が生まれるでしょう。待ち遠しいですね」ハハハ

固法「~~~っっ! もう知らない!」プイッ!!


あーあー、先行っちゃった。追い駆けないと。
846 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/20(月) 02:12:56.16 ID:kbkY0yaz0
顔を真っ赤にし、無言で先へと進む固法さん。
私達がその後を追おうとした刹那……


郭「……御待ちを」


重々しい声で郭さんに声を掛けられた。


郭「……結標、淡希」ジー・・・

結標「……」フンッ・・・

麦野「……長くなるならコイツだけ置いてくけど」チラッ・・・

神裂「む、麦野さん、そういう訳には……」タラー・・・

結標「……遺恨云々ならまた今度にしてくれる? 喧嘩なら買うから」サラッ・・・


態々そんな誘い買い言葉を投げなくても……


郭「いえ……駒場の兄さんについて、復讐など考えるなと代表から言われているので」

結標「じゃあ何よ?」

郭「貴女方はシノでしょう……信じても宜しいのですか? 超能力者さん」

麦野「はぁ?」ジトー・・・

結標「あらら……『有名人』は辛いわね。どっちの意味でも」ニシシ!

麦野「うっせぇ。雑誌のは超能力者特集とかで勝手に書かれてんのよ。んなモン全部糞餓鬼(超電磁砲)に回しとけっつの」ケッ!

結標「あはは。学園都市(能力開発)の偶像看板・崇拝対象(アイドル)って事かしらー」クスクス・・・

郭「……」チラッ・・・


私を見上げる少女。


神裂「私達は……『白』とか『黒』とか、そういう関係ではありませんから。無論、害からは守りますしご安心ください」ニコッ


純粋な、友情だ。


麦野・結標「「うわぁ、臭っ!」」///

神裂「え、ええぇっ!!?」ギョッ・・・

麦野「コッチが恥ずかしくなるっつの……止めて。マジ素面でそういうの勘弁」カアアァ///

結標「流石、香焼くんのお姉さん……超甘ー。ダダ甘ー」タラー・・・///


私はあの子ほど甘くは有りません!
847 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/20(月) 02:29:18.94 ID:kbkY0yaz0
郭「……ふふっ。りょーかいです。信じましょう」ニコッ

麦野「別にアンタに信じて貰う必要なんか無いわよ」フンッ

結標「何それ、ツンデレってやつ?」ニヤッ・・・

麦野「黙ってろ、その腹立つ童顔ブッ飛ばすわよ?」ジトー・・・

結標「おー怖い怖い」ニシシ!


まったく、この二人はぶれないですね。


郭「こほんっ……引き留めてしまってすいませんでした。どうぞ、姐さんを宜しく。では」ニコッ・・・スタスタスタ・・・


路地裏の方へ消えて行く郭さん。先の連中と『話』をしに行ったのだろう。


神裂「しかし……愛されてますね、固法さんは」クスッ

麦野・結標「「は?」」ポカーン・・・


裏とか表とか関係無く、好かれる。いや、寧ろ彼女と共にいる時間は……裏など無くなる。


麦野「……さぁね」テクテク・・・

神裂「少なくとも仕事だったり立場だったり、面倒事を忘れられます」ニコッ・・・

麦野「……それがプライベートでしょ。良いからさっさと追い駆けるわよ。きっとヘソ曲げてるわ」ッタク・・・


どうも麦野さんは素直になれない様だ。まぁそこが可愛いのだが。


結標「分かってたけど、やっぱアンタも変なヤツね」クスッ

神裂「変、ですか?」ムゥ・・・

結標「持論だけど……日蔭者は光源に寄って行きたいのよ」

神裂「それは……自らを二度と日陰から出られないと決め込んで」

結標「甘ちゃんに同じ事言われたわ……で、まぁあの女は丁度良いのよ。光源としてはね」ニコッ・・・

神裂「……如何いう意味で?」

結標「毒が無い」サラッ・・・


毒?
848 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/20(月) 02:56:48.78 ID:kbkY0yaz0
結標「知らない? 強過ぎる光や日向は、日蔭者には『毒』なのよ」

神裂「……」

結標「アンタ、中庸そうだから分かんないか。そこのレーザー女は真っ黒だから分かるんじゃないかな?」クスッ

麦野「……うっせぇ」


私が、中庸か。


結標「あの女は求めたりしない。ただ自然体でアンタらと付き合いたいだけ」

神裂「それは当り前では?」

結標「その当たり前がソイツみたいなのには難しいのよ。まぁ他人事に言うけど、私もね」

麦野「けっ……美偉は裏の顔を知らないから丁度良いのよ。知ったら話は別でしょ」

結標「でもアイツ、暗部の存在は知ってるわ。仮にも元スキルアウトだものね」

麦野「下請け? でも黒妻くんは上からの下請け断ってきたって言ってたわよ」

結標「断るって事は、それを注文した連中が居るってことでしょ……黒妻綿流がそれについて教えてないとでも?」

麦野「……さぁ」


スキルアウトは暗部の下請け。そういえば建宮のレポートにそんな事書いてあったっけ。


結標「とりあえず、固法美偉は裏を知ってるけど私達自身が裏だとは知らない……あ、ソッチは裏か如何かは微妙ね」

神裂「……私は裏とか表とか、そんな莫迦げた比喩対象であるつもりはありませんから」

結標「潔癖症ね。ま、兎角あの女はアンタらが勝手に惚れてるだけだから丁度良いのよ。深い詮索されてないみたいだし」

麦野「普通なんでしょ。ただちょっと珍しいタイプの普通なの。それだけ。はい、この話終わり! さっさと見つけるわよ!」ッタク・・・

結標「やれやれ……プライベートは完璧割り切ってる訳か。野暮ったい話は禁止と」フフッ

麦野「分かってんなら口を閉じろ。出来ねぇならそのお喋りなお口、溶接してやっか?」

結標「わー、勘弁」クスクス・・・

神裂「やれやれ、もっと女性らしく御淑やかにできないのですか? 貴女達はさっきからずっと―――」



結標「あ、そうそう……香焼くんは『毒』持ち。私達をダメにする。愚想を見るわ、あの子と居るとね」ボソッ・・・



神裂「―――ッ!!」ギロッ・・・

結標「……さーってと。ビーム女郎。牛乳女に電話掛けちゃいなさいよ。泣きベソ掻いてるわよー」アハハ

麦野「分かってるっつの……多分自棄呑みしてるわ、牛乳を」ハハハ

結標「そんじゃ目指すはコンビニかスーパーね」クスクス・・・

神裂「……」ジー・・・

麦野「ちょっと火織。手分けして探すわよー」オーイ!

神裂「……はい」テクテク・・・


結標さん……ステイルと同じ事を言わないで欲しい。あの子はあの子なりの正義がある。
それに、表へ戻る事を『愚想』と呼んでいる限り貴女は永遠に香焼の『救い』の対象となる。嫌が応にも……逃げられませんよ―――
849 :>>1 [saga]:2011/06/20(月) 02:59:11.19 ID:kbkY0yaz0
はい、一応今日は此処まで。次回から安価する。(多分)

今日は『おまけっ!』を少々添えて終わりにします。
850 :>>1 [saga]:2011/06/20(月) 03:21:58.75 ID:kbkY0yaz0
  <おまけっ!>

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ……一方その頃、とある公園(イカれ自販機在中)……






香焼「くしゅんっ」ブルッ・・・

佐天「あれ? どったの? 寒い?」チラッ・・・

香焼「うーん、分かんないけど……(誰か噂でもしてるのかな?)」ポリポリ・・・

春上「佐天さーん、香焼くーん。見てほしいの。最愛ちゃん凄いの!」オーイ!

佐天「はいはい、何々?」ニコッ


絹旗「……にゃー!」ビシッ!

猫s『うにゃーん!』ガシッ・・・


香焼「……何、それ?」タラー・・・

絹旗「超猫装甲(にゃんこアーマー)」ビシッ!

佐天「猫が体中にしがみ付いてる……何か着ぐるみ着てるみたい」アハハ

香焼「緑にしたらギ●ースーツ……いや、何でもいいや」アハハ・・・

春上「最愛ちゃん、完璧なの! ぬこぬこし過ぎて誰も攻撃できないの!」b"!

絹旗「ぬこぬこ……それは最強なんですか?!」オオ!

佐天「ふふっ。まぁ確かに猫さん達を盾に取られちゃ攻撃しづらいね」クスッ

絹旗「むぅ……じゃあダメです。この子達を盾には出来ません」ナデナデ・・・

猫s『にゃーん』グシグシ・・・

香焼「じゃあ何の為の装甲なのさ」ジー・・・

春上「メルヘンなの!」ニコッ

絹旗「うむ。超メルヘンなんです!」ニコッ

香焼「あーはいはい。(頭)メルヘンだねー」ハハハ・・・

もあい「なー」コクンッ
851 :>>1 [saga]:2011/06/20(月) 03:53:39.93 ID:kbkY0yaz0
春上「何だか思ったよりもウケが悪かったの……最愛ちゃん! 今度はもっとインパクトを出すの!」ニヤリ・・・

絹旗「インパクトですか。何か恰好良いですね!」wktk!

香焼「いや、十分衝撃的だったっすよ」アハハ・・・

絹旗「それじゃあ次は超衝撃的なのをお見せします! 待ってて下さい!」スタスタ・・・

春上「最愛ちゃん、私も一緒に考えるの! きっと香焼くんをギャフンと言わせてあげるの!」フンヌッ!


佐天「あはは、行っちゃった」クスッ

香焼「やれやれ……まぁ二人が楽しそうだから良いんだけどさ」クスッ

佐天「最愛ちゃん、なんか幼児退行してない? 春上さんに感化され過ぎちゃったかな」クスッ

香焼「うーん……幼児退行っていうか、多分、小さい頃にああいう子供遊びしてこなかったんだと思う」

佐天「……だから今、ああいう遊びが楽しくてたまらないの?」

香焼「それもだけど、春上さんや佐天さんが仲良くしてくれてるのも大きいよ。純粋に楽しんでるから、子供っぽくなってる」ニコッ

佐天「それを言ったら香焼くんの御蔭じゃないかな?」

香焼「あはは。いやいや、最愛は自分だけだと変に大人ぶろうとするから。『私は超レディなんです!』だってよ」クスッ

佐天「……ニブチン」ボソッ・・・

香焼「へ?」キョトン・・・

佐天「何でも無い! ただそのままだと一生良い『お兄さん』役で終わるぞー」ピンッ!

香焼「はい?」イタッ・・・

佐天「自分で考えなさい。お姉さんは癪だから何も教えませーん」フフッ

香焼「むぅ……お姉さんって、同い年っすよ」ジトー・・・

佐天「私と身長差10㎝近くあるけどー」ニシシ! ポンポンッ!

香焼「ぐぅ……馬鹿にして……まだ男女の成長期の差っす! 直ぐに追い越すってば」グヌヌ・・・

佐天「ハハハ! 良かろう良かろう。香焼くんが私の身長を追い越した時は何でも言う事聞いて上げます」アッハッハッ!

香焼「佐天さん、保健体育苦手っすか? その台詞……3,4年後でも忘れないでよ……」フフフ・・・

佐天「え?」ポカーン・・・


絹旗「香焼ー。涙子ー。出来ましたー!」オーイ!

佐天「あ、はいはい。何、を……え?」タラー・・・

春上「あわわぁ……歩き辛いの」グラグラ・・・

猫s『うにゃー』グラグラ・・・

絹旗「超猫装甲Mk-2です。兜(もあい)と尻尾(またたび)を増やしました!」ドヤッ!!

香焼「……根本的に何も変わってないし、春上さんに装着させた理由も分からないよ」タラー・・・

絹旗「超々インパクトです!」ニコッ!

佐天「最早インパクトしかないね」アハハ・・・
852 :>>1 [saga]:2011/06/20(月) 04:20:06.55 ID:kbkY0yaz0

 にゃーん・・・・・



絹旗「よーし、オマエ達。今日は奮発してモンポチですよ!」カパッ・・・

猫s『みゃー!』ワシャワシャ!


春上「缶詰いっぱいなの……最愛ちゃん、アレ買ってきたの?」

香焼「……自分が買ったっす。最愛に一人で買い物させるの不安だから」アハハ・・・

佐天「あー、極度の人見知りだっけ? 人混みもパニくるの?」

香焼「必要最低限の買い物は出来るみたいだけど……基本通販みたいだから」

春上「でも映画が好きだって聞いたの。一人で行けるの?」

香焼「映画ってか、B級以下の……何でも無い。基本レンタルダウンロード。どうしてもシネマで観たい時は同僚連れて行くって」

佐天「成程ー。極力ひきこもりな生活を……ってダメじゃん!」ビシッ!

香焼「だからこうして偶に外連れ出してんすよ」クスッ

春上「うん。きちんとお日様の光を浴びなきゃダメなの。日向ぼっこは大事なの!」ニコッ

香焼「お日様……日向……うん、そうだよね」ピクッ・・・ニコッ・・・

絹旗「……香焼」テクテク・・・

香焼「あ、うん、何? 如何したの?」ニコッ

絹旗「まーらいおんがモンポチ食べようとしないんです。如何したんでしょうか……」ムゥ・・・

香焼「あー、多分缶詰タイプが苦手なんじゃないかな? いつものフレークタイプは持ってきてる?」

絹旗「一応」コクッ・・・

香焼「そっち出してあげなよ。あと水も新しいの汲んできてあげようよ」ニコッ

絹旗「はい、そうします」ニコッ

もあい「なーぅ」モグモグ・・・

佐天「……ふふっ」クスッ
853 :>>1 [saga]:2011/06/20(月) 04:42:03.35 ID:kbkY0yaz0
猫s『にゃーん』モグモグ・・・

香焼「あーほら、あんまり散らかさないようにしないと」

絹旗「香焼。超奮発してミネラルウォーターを!」

香焼「水まで奮発しないでいいから!」タラー・・・


佐天「……兄妹、かな?」クスッ

春上「でも多分、そう言ったら最愛ちゃん怒っちゃうの」クスッ

佐天「まぁどっちも『そういう事』疎そうだからなぁ」フフフ・・・

春上「……佐天さんは?」ニヤッ・・・

佐天「え?」ドキッ・・・

春上「ふふふ。何でも無ーいの♪」クスクス・・・

佐天「もぅ……まだまだ子供だよ」フフッ

春上「直ぐに大人になっちゃうものなの……あ、初春さん。もう直ぐコッチ来るそうなの」PPP!

佐天「白井さん、あの量の書類もう直ぐ終わるんだ」アハハ・・・


絹旗「佐天涙子ー。初春も来るんですか?」

佐天「何故フルネーム……うん。もう直ぐ来るって」

春上「佐天涙子さん。そういえば、私達のお弁当買ってなかったの。初春さんに頼むの?」

佐天「春上さんまで……初春にパシらせるのは悪いし、如何しようか。食べに行くか買いに行っても良いけど」

香焼「佐天涙子さん。じゃあ一回此処離れてコンビニでも行こうか」

佐天「こ、香焼くん!?」ヘッ!?

香焼「あはは、ごめんごめん。それじゃ、最愛。餌そのままにしといて良いから一旦コンビニ行こう」

絹旗「……えー」ジトー・・・

香焼「最愛もご飯食べてないでしょ」

絹旗「……食べなくても超平気です」クー・・・

香焼「テンプレありがとう。それじゃあ昼食行こうか」ニコッ

佐天・春上「「はーい」」ニコッ

絹旗「……うぃ」ムゥ・・・ナデナデ・・・

もあい「なぉ」ペロペロ・・・

香焼「もあいも置いてきなさい」ハハハ・・・

絹旗「……もあいが一緒に来るって超叫んでます」ギュッ・・・

香焼「あー、うん。分かった分かった。でもお店の中には入れられないっすよ」

絹旗・もあい「「あーぅ……」」コクコク・・・ 
 
859 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/20(月) 22:51:38.19 ID:kbkY0yaz0
 ―――とある休日、PM02:30、学園都市第7学区、地下街・・・(神裂side)・・・





固法さんの後を追い、地下街に入った。
まずは手分けしてご機嫌斜めの固法さん探しをと思ったが、麦野さん結標さんの言うとおり……


麦野「ね? 言ったでしょ」クスッ

神裂「ホントだ……」アハハ・・・


大量の1ℓ牛乳パックに囲まれた固法さんが、スーパー近くのベンチに座っていた。
空いたパックを合わせると、計5本。お腹下さないのかなぁ。


固法「……」ジトー・・・

麦野「あらら、こんなに自棄呑みしちゃって」タラー・・・

固法「……ふんっ」ムスー・・・

結標「そんなにヘソ曲げないで欲しいわね。さっきのはジョークでしょ、ジョーク」

神裂「結標さん……えっと、固法さん。先程は悪ふざけが過ぎました。すいません」ペコッ・・・


まぁ私は特に何もしてないけど。


麦野「ほら、機嫌直しなさいよ。何か奢ってあげるから。ね?」

結標「あざーっす」ニコッ

麦野「おま……ざけんな。テメェに金出すなんて言ってねぇだろボケ」ジトー・・・

結標「えー……アンタ金持ちなんでしょ? 私達の分も出しなさいよ」ブーブー!

麦野「バーカ。火織は私より金持ちだっつの。美偉は旦那養ってるから大変なのよ」フンッ!

固法「……」ジトー・・・


麦野さん、油注いでますよ。


麦野「あ……あははは。え、えっと……ほら、美偉ちゃんはアンタと違って可愛いから私貢いじゃうの。そういう事よ!」ダッハッハッ・・・

結標「ぐっ……わたしもー、かわいいよー」ボウヨミー・・・ニコッ!

麦野「うわぁ痛い……」タラー・・・

結標「う、うっさい! 名誉棄損よ! 慰謝料を要求するわ!」フシャー!!

神裂「こ、こらこら……」アワワ・・・

固法「……ハァ。やれやれね」クスッ


漸く笑顔が戻ってきた。折角の休日だ。皆で楽しくいたい。
860 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/20(月) 22:54:53.51 ID:kbkY0yaz0
麦野「さて、と……そんじゃあ何処行きましょうか」チラッ・・・

固法「神裂さんの好きな場所で良いわよ。地下街来た事無いでしょ?」


確かにそうだが、まるで何があるのか把握出来てないのだ。


結標「んじゃ好きなモノ言いなさい。勝手に案内するから」


それでは…… >>862
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 22:58:17.72 ID:U/UWZ27SO
上条さん宅
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 22:59:24.18 ID:TRFMomPDO
家電売り場!
863 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/20(月) 23:29:44.27 ID:kbkY0yaz0
危ねぇ……心成しかトンデモ無い事を口走りそうになった気がする。


神裂「では……家庭用電化製品を見たいのですが」

固法「え? 家電を?」

麦野「引越しでもするの?」

神裂「あ、いえ……最近色々と興味がありまして」アハハ・・・


実際は女子寮の連中が新しい家電や都市のカタログ持って来いと五月蠅いのです。


固法「電器屋……確か少し歩いた所にあったっけ」

麦野「そんじゃレッツゴーね」テクテク・・・




  ―――一寸後、大型チェーン『カーズ電気』学園都市店……




固法「此処で良いかな? 地下街だと此処が一番大きいわよ」

神裂「お、おおぉ……」キラキラ・・・


凄い……SFの街みたいだ。


麦野「それ言ったらこの街自体SFでしょうが……んで? 何欲しいの?」

結標「はいはいはーい、麦野せんせー! 私新しいドライヤーが欲しいです! テレビ点けててもブレイカー落ち無いヤツ!」

麦野「ブレーカー弱っ!!?」タラー・・・

固法「……結標さん。私のお古で良ければ上げるわよ」タラー・・・

結標「いぃやっほぉーいっ!!」イッエスッ!!


……流石に可哀想だ。


麦野「……って、アンタは如何でも良いのよ。火織は?」チラッ・・・

神裂「えっと、とりあえず店内を歩きたいですね。それからカタログを集めたいので」コクッ・・・

固法「カタログ? どうして?」

神裂「実は……―――」


寮の事を説明する。


麦野「なるへそね。イギリスの……」フムフム・・・

神裂「はい。カタログ見てるだけでお腹いっぱいになる連中が多いので」アハハ・・・

固法「ふふっ。分かるかも」クスッ


という訳で、色々と見て回る事にした。
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/06/21(火) 00:04:12.46 ID:wddjHO0z0
究極生物か・・・
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/06/21(火) 00:05:06.03 ID:wddjHO0z0
究極生物か・・・
866 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/21(火) 00:07:47.91 ID:WGKqLtF00
 ①《洗濯機》


神裂「これが最新式……せ、洗剤と水が要らない!?」Oh...

麦野「ああ、それ都市限定のヤツね。静電気と風圧で汚れ取るとか」

固法「全自動で超高速。10分あればスーツでも新品同様だっけか。ホントかしら?」

結標「……電気代跳ね上がるっぽいわね」

麦野「その代わり水道代浮くんでしょ。投資だと思って買ってみたら?」

結標「馬鹿みたい。手洗い、若しくは仮眠室の洗濯機使えば十分よ」エヘンッ!

固法「……仮眠室?」ポカーン・・・

麦野「アンタ、自分家以外なら遠慮しないのね」アゼーン・・・

神裂「ふむ……因みに、此処に置いてあるカタログは幾らでしょうか?」ハテ・・・

固法「タダだから好きなだけ持ってって良いわよ」アハハ・・・

神裂「な、何と……」ワシワシ・・・

麦野「だからっつって同じカタログ取ってっても意味無いでしょうが」ハハハ・・・




 ②《炊飯器》


神裂「米砥ぎが……不要ですって!?」ギョッ!?

麦野「てか、都市のお米って殆ど無洗米よ。それ使う人珍しいわ」

固法「それより、コッチの5分で炊ける超音波炊飯ジャーの方が良いわよ」

神裂「……味は?」

麦野「まぁそれなりよ。それの試作品で炊いたの食べたけど普通だった」

結標「使用電圧……あ、これ家じゃ使えない」ウーン・・・

固法「いやいやいや……流石にそこまでバッテリー弱くないでしょ」タラー・・・

結標「だってホットプレート使ってる最中はテレビ点けれないわ」

麦野「テレビ点けなきゃいいでしょうが」

結標「テレビ点けとかないと説教始める人が居んのよ!」ガー!

神裂「……やはり、お米は鍋で炊いた方が」ジー・・・

固法・麦野・結標「「「え」」」ギョッ・・・

神裂「あ、いや……寮の子達の殆どは西洋人なので炊飯器は置いてないから」アハハ・・・

麦野「……お米って炊飯器以外で炊けるの?」

神裂・固法「「え」」タラー・・・

麦野・結標「「え?」」キョトン・・・


 にゃーん・・・・・


麦野・結標「「あ、あはははは! (嘘よね? 炊ける訳無いわ……)」」タラー・・・

神裂・固法「「あ、あはははは……(知らないのかぁ……)」」タラー・・・
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/21(火) 00:35:34.55 ID:YF9KK71p0
なんというジェネレーションギャッ…ゲフンゲフン
868 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/21(火) 00:37:50.39 ID:WGKqLtF00
 ③《エアコン》


神裂「エアコンにも種類があるのですか? あまり違いが分からないのですが」ジー・・・

固法「オプションを如何するかで変わるかなぁ。空気洗浄とか湿気予防とかもあるし」

麦野「最近だと置きエアコン人気ね。あ、カーペットタイプも良いかしら」

神裂「か、カーペット?!」What?!

固法「今私達の下にあるヤツよ。値段は張るけど丁度良い温度でしょ」ニコッ

神裂「お、おぅ……これは凄い……」ジー・・・

結標「扇風機コレ最強!」ビシッ!

麦野「あーはいはい。貧弱ブレイカー乙。てか扇風機って夏だけっしょ?」

結標「扇風機嘗めんな! 外回りを厚紙で囲めば超涼しいのよ! 冬は石油ストーブとセットで使えば3分と掛らず部屋中ポカポカよ!」エヘン!

固法「結標さん……そのアイデア、本にして売ったらお金持ちになれるかもよ」アハハ・・・

神裂「ところで、このカーペット。何故風が出るのですか?」

麦野「エアホッケーって知ってる? あの盤上みたいな感じよ」

神裂「エア・ホッケー……ホッケーの空中戦??」ポカーン・・・

固法「後でゲーセン行きましょうねー」アハハ・・・

神裂「ふむ……あ、このスイッチは?」ポチッ・・・

麦野「それ風圧調整だから勝手に弄っちゃってオォイっ!!?」ゲッ!!?



  ふわぁり……



店内の野郎共『お、おおぉっ!! スカートがあああぁっ!!』ガタガタッ!!


固法「きゃ、きゃあああぁっ!!」カアアァ///

結標「止めなさいっての!! 早く止めてええぇっ!!」ウワアアァ///

神裂「」チーン・・・///

麦野「ホットパンツで良かった……」ホッ・・・

結標「ぐぅ……死なば諸共!! 道連れだあぁ!!」ガバッ!!

麦野「な、t、Tシャツ捲んな弩阿呆ぉっ!!」カアアァ///


店内の野郎共『も、桃色レースブラktkr!!』イィヤッホゥイッ!!


結標「あら、案外可愛いのね。黒のスケスケとか来てるのかとぐをっ!!?」バシッ!!

麦野「美偉や火織じゃあるまい、そんなの着ねぇ!! てか死ねえええぇっ!!」////////////////

神裂・固法「「き、着ません!!」」カアアァ///
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/06/21(火) 00:38:38.64 ID:LvQd/8mxo
>>867
ここにいる奴らみんなバb・・・おっと誰か来たようだ
870 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/21(火) 02:05:19.73 ID:WGKqLtF00
麦野「>>867>>869 ……ブチ戮確。屋上」クイッ・・・



 ④《冷蔵庫》


麦野「……私、此処で待ってるわ」ピタッ

神裂「え?」

結標「……悪いけど私も」ピタッ・・・

神裂「結標さんまで?」

麦野「美偉、任せた」チラッ・・・

固法「ええぇ……」ウーン・・・

結標「ほら、今は固法×●●なんてジャンルもあるんだし。それにエンカウントするとは限らないでしょ?」サラッ・・・

固法「モンスターかっ!! てか……そういう事言わないの!! 怒られるわよ!!」アタフタ・・・

結標「大丈夫よ。詳細は言って無いし」アハハ

麦野「※勿論、>>1も絶賛愛読中。応援してます! ……だそうです」ニコッ

固法「……ホント、すいません」タラー・・・


神裂「で……何故この冷蔵庫はこんなに扉が多いのですか? 業務用?」

固法「えっと通常物、冷凍庫、野菜室、造氷、酒蔵、肉類、魚類……沢山みたい」タラー・・・

神裂「こんなに必要無いですよ……あ、この小さいの良いですね」ホェー・・・

固法「ホントだ。しかも冷凍庫もしっかりついてるし、寝室用とかに良いかもね」クスッ



 ―――一方・・・・・



麦野「ぁんでこっち来んだよ、テメェはよぉ!! 普通アッチに出るだろうがぁっ!! 消えろボケナスっ!!」ダアアァッ!!

垣P「喧しい!! アッチは居辛いんだよ!! 手前ぇと豆腐メンタルなら弄り……ゲフンゲフンッ、絡み易いの!!」URYYYYYYYY!!

結標「と、豆腐……豆腐みたいな恰好してんのはアンタでしょ!! この豆腐型ホスト崩れ系男子!!」ガアアァッ!!

垣P「あ、そういう事言う? 俺知ってんだぞ、オマエこの前……第1位に平然と膝枕してたろ? オマエが寝る方な」ニヤッ・・・

結標「なあっ!!?」カアアァ///

麦野「……マジで?」ウワァ・・・

垣P「いやぁ自然(なちゅらる)でしたわぁ。アッチも然も当たり前かの様に、そのまま普通に作業続けてるしー」ニヤニヤ・・・

結標「ち、違っ……あ、アレはアイツがソファの上に居たから知らない内にそうなっただけで……てか何でアンタ知ってんのよ!!」ウギギ///

垣P「KNW(カキネ・ネットワーク)嘗めんな! あとは例の甘ちゃん少年と『わっふるわっふる』しようとぶげにゃっ!!」ドゴォッ!!

麦野「……アンタ、子供に手ぇ出したら犯罪よ」タラー・・・

結標「ぐっ……ああ、そうよ。
    あの時は軽く艶気で懐柔しようと思ったわよ! 私の精一杯の演技とか微妙な期待……じゃなくて軽いドキドキとかてんこもりよ!
    自らの恥ずかしい部分をアンタが見てるとも知らず曝した惨めな私の姿を嘲笑うがいいわ! この結標淡希の羞恥をね!
    どうせアンタまだまだ私の恥ずかしい事知ってんでしょ!! 笑いなさいよ! 笑うが良いわ! 第4位も一緒にね!!
    ほら、あーっはっはっは! って笑いなさいよ!! さぁ笑え! ほら笑え! そら罵倒しろ!!」ウニャアアァッ!!

麦野・垣P「「……うわぁ」」ヒキィ・・・

結標「うんがあああああああっ!! 無言になるなぁっ!! 死ねええぇっ!! 二人とも死んじゃえええっ!!」ダアアアアァッ///


神裂「何やら麦野さん達が賑やかですね」チラッ・・・

固法「あはははは……見なくて良いわよ」タラー・・・
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 02:10:51.03 ID:MvgysABDO
>>870
色々アウトwwww

> あの時は軽く艶気で懐柔しようと思ったわよ! 私の精一杯の演技とか微妙な期待……じゃなくて軽いドキドキとかてんこもりよ!
    自らの恥ずかしい部分をアンタが見てるとも知らず曝した惨めな私の姿を嘲笑うがいいわ! この結標淡希の羞恥をね!
    どうせアンタまだまだ私の恥ずかしい事知ってんでしょ!! 笑いなさいよ! 笑うが良いわ! 第4位も一緒にね!!
    ほら、あーっはっはっは! って笑いなさいよ!!



あれ‥‥あわきん??
872 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/21(火) 02:36:21.01 ID:WGKqLtF00
 ⑤《ゲーム売り場》


結標「」チーン・・・


神裂「結標さん、如何したのですか?」

麦野「放っといていいわ。今触れたら発狂するわよ? 羞恥心で死にそうだからそっとしといてあげなさい」

固法「後でケァしてあげないと……えっと、次はゲーム?」

神裂「ええ。第二王……上司の様な人がゲーム好きなのでカタログ等持って来いと」

麦野「ネットで買えっつーのな。あ、ポケタルモンスターまた新しいの出るんだ」

固法「モンスターバスター6の情報もそろそろね」

神裂「……えっと」キョロキョロ・・・

固法「あれ? 何探してるの?」

神裂「うーん……あ、コレです!」ピッ!

麦野「うわっ、ジーンハザード……絹旗みたいなセンスね」タラー・・・

神裂「あとは……この戦争物ですね。上司、こういうの好きな人なんです」アハハ・・・

麦野「レボリューション・オブ・デューティー? まぁ随分と……それならこっちお勧めよ」スッ

神裂「デッド・スクウェア?」

固法「麦野さん、それグロさで選んでるでしょ……戦略ゲーなら大戦争物語とかを……あ!」チラッ・・・

麦野「な、何よ?」

固法「麻雀戦記シリーズの新作出てる!! ど、どうしよう……」ワナワナ・・・

麦野「……じゃあそれ買ってあげるわ。さっきのお詫びね」パシッ

固法「え、いやいや! そんな高いモノを」アタフタ・・・

麦野「いつも絹旗飯食わせて貰ってるから良いのよ。んじゃ先買って来るわー」

神裂「(麻雀、戦記??)えっと……良かったですね」ニコッ

固法「あはは……何か悪いなぁ」エヘヘ


結標「……私も何か買って欲しーなー」ジトー・・・


神裂「をわっ!!?」ギョッ!?

固法「えっと……後でTシャツ買ってあげるから」アハハ・・・

結標「何でTシャツなのよ」ウー・・・

固法「結標さん、いつもブレザー一丁だし……その、月詠先生にお金の面まで頼れないのは分かるけどせめて……うん」ポリポリ・・・

結標「……悪かったわね。アレが私のファッショナブルなのよ」フンッ!

神裂「冬は寒いのでは? あと殿方が目のやり場に困るかと」ハテ?

結標「ア・ン・タがっ! 言うな!!」ガアァッ!!

神裂「おぅふ……」タラー・・・
873 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/21(火) 03:34:02.64 ID:WGKqLtF00
 ⑥《会計》



結局、ヘッドホンと携帯ゲーム機のケースだけを買った。


店員「―――合計で3,503円になります。(何でこの人カタログいっぱい持ってるんだろう)」

麦野「もっと高いヘッドホンにすれば良かったのに」

神裂「あはは、別に音漏れしなければ何でもいいので」ポリポリ・・・

結標「あら、アンタ音楽聞くのね」

神裂「いえ、ゲームをする時にだけですよ」

麦野「……火織、ミュージックプレイヤー持ってないの?」

神裂「CDラジカセなら持ってますよ」サラッ・・・

固法・麦野・結標「「「……」」」タラー・・・


……あれ?


麦野「今度、私のYpodあげる。近い内、買い替えるから」

固法「神裂さん、音楽あんまり興味無いのかな」アハハ・・・

神裂「いえ、好きですよ。まぁ最近の音楽などは知りませんが」

結標「……もしかして演歌とかクラシック好き?」タラー・・・

神裂「流石に演歌は……ただクラシックや倭楽曲は聞きます。ですが自分で演る方が好きですね」アハハ

固法「神裂さん、何か楽器出来るの?!」オオッ!

神裂「ピアノ・オルガン、琴、三味線、バイオリン、横笛、尺八……まぁ昔から稽古で習わされたので」ポリポリ・・・

結標「わぉ……御嬢様ぁー」ヒュー!

麦野「ほぉほぉ……あ、そうだ! そんじゃ……楽器売り場行きましょう!」ニヤッ・・・


何故に?


麦野「何か弾いてよ。エレクトーンもいけるでしょ?」

神裂「えっと、勝手に弾いても良いんですか? あと電子楽器は……」

固法「問題無いわよ。設定変えればピアノ調に出来るわ。鍵盤は緩めかもしれないけど、オルガンくらいなの選べば大丈夫」ニコッ

神裂「うーん……皆さんは何か楽器出来ないのですか? 私だけでは恥ずかしいと言いますか……」ポリポリ・・・

固法「私は先輩からギター習ったけど、此処に無いから無理。それに下手っぴよ」アハハ・・・

麦野「色々やったけど……人に聞かせられるレベルじゃない」アハハ・・・

結標「音ゲーなら任せろー」ポチポチ!


……いや、私も人にか聞かせられるほど上手では無いのだが。


神裂「……期待しないで下さいよ」ハァ・・・


結局、慣れない音質の鍵盤で3曲程弾かされた。
弾き終わる頃には……知らない内に人がゾロゾロと集まっており、えらく辱めを受けた気分になった―――
874 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/21(火) 04:09:20.16 ID:WGKqLtF00
 ―――とある休日、PM03:30、学園都市第7学区、地下街・・・(神裂side)・・・




数分後……私は逃げるようにして店外に出た。
後から3人も追ってくる。何でニヤニヤしてるんですか……


麦野「いやぁ凄かったわねぇ! おヒネリ求めても良かったんじゃない?」キラキラ・・・

固法「最初は『亜麻色』かしら? 次は『アメージング・グレイス』で……最後のは『戦メリ』ね」

神裂「なるべく有名な曲を選んだのですが……分かりましたか」アハハ・・・

結標「え、ええ……知ってる。うん……あめーじーぐれーだかってのと、チャンチャンチャンチャンチャン! ってのは知ってる」タラー・・・

固法「……結標さん」ハァ・・・


まぁ逆に今時の音楽は全然知らないんですけどね。


固法「別に人それぞれよ。知らなくたって問題無いわ」ニコッ

神裂「そう言って貰えると助かります」アハハ・・・

麦野「さて、そんじゃ次は何処の店行く? ゲーセン? 服屋? 本屋? それとも……ポルノショップ?」ニヤッ・・・

固法「私が居る手前、良くそんな事言えるわね……」ハァ・・・

結標「じゃあ漫喫とか虎とかメロンとかメイトとか……冗談よ。そんな目で見ないで」タラー・・・

麦野「一人で行ってろアホ」ジトー・・・

固法「とりあえず地下街なら大抵のモノは有るし、何でも良いわよ」ニコッ


それじゃあ…… >>878
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/21(火) 07:49:06.86 ID:YF9KK71p0
エステ
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 08:06:48.59 ID:3WlYE1lDO
>>1
服屋でねーちんファッションショー

882 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/22(水) 21:31:15.58 ID:tu6nteyr0
それでは服屋に行きたい。出来ればジーンズ専門店を所望します。
新しい冬物のパンツとデニムジャケットが欲しいので。


固法「え? 専門店? うーん、古着屋さんなら在ると思うけど」

麦野「却下」

結標「否定早いわね」アハハ・・・


何故に?


麦野「火織さぁ、ジーンズ禁止って言ったでしょ?」ジトー・・・

神裂「私に死ねと言いますか!」カッ!

固法「大袈裟な……」タラー・・・

麦野「だってアンタ、私が指示しなきゃ毎度毎度意味不ジーンズファッションじゃない……そんなんじゃ惚れてる男に呆れられるわよ」

神裂「んなっ!? べ、別にそれとこれとは!」アタフタ・・・

麦野「関係大アリよ。女として魅力無いって見限られるわ」ハンッ

結標「え! アンタ意中の男いんの? 誰々!?」ニヤリッ


余計な事を……


固法「二人とも……えっと、とりあえず専門店じゃなくても色々置いてあるお店にしない? 応用利くと思うし」

麦野「ま、それでいいわ」

結標「あら、アンタがファッション関係で折れる事ってあるのね」

麦野「店選ばなきゃコーディネイト出来ないのは2流以下よ」


ではジーンズ一つで様々な応用が出来る私は超1流ですね。


麦野「……呆れてモノ言えない」ハァ・・・

固法「あははは……とりあえず、移動しましょ」タラー・・・

結標「あ、そんでこのおっぱい星人の惚れてる男って誰なのよー?」

麦野「あん? えっとなぁ」ニヤリ・・・

神裂「わあああぁっ!! わあああぁー!!」アタフタ///

固法「こ、こらっ! 大声出さないの! 麦野さんも勝手に言わない! 結標さん、知りたかったら本人に聞きなさい!」メッ!

神裂・麦野・結標「「「……うぃ」」」


助かった……ナイス、我らがリーダー。
883 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/22(水) 21:52:02.20 ID:tu6nteyr0
 ―――とある休日、PM03:30、学園都市第7学区、地下街、『UNIQLE:学園都市第7学区店』・・・(神裂side)・・・





固法さんの案内で大型の服屋へ移動した。俗にいう全国チェーン店だ。


結標「アンタ、こういう庶民向けの店でも良いの?」チラッ

麦野「最近はこの手の系列も有名デザイナー雇ったり素材で勝負したりブランド指向なのよ。組み合わせはし易いわ」

結標「へー、そーなのねー」

固法「私は案外良く使ったりするけど、結標さんはこういう所で買い物しないの? お手頃価格よ」

結標「来るのメンドイ。通販か小萌に任せてる」ボケー・・・

固法・麦野「「……ダメ女」」ボソッ・・・

結標「酷っ!?」ガーン・・・


流石の私でも物は自分で見て触って選びます。


麦野「いやマジである意味火織以下ね……心底呆れた」ハァ・・・

結標「だ、だって別に通販で済むならそれで良いでしょ! それに都市の人間なんて大抵制服なんだし」ブーブー・・・

固法「え、制、服? ……結標さん、冬場もあの服装でいる気?」タラー・・・

結標「ヒートテックとセーター着れば問題無しよ」

麦野「まったく……アンタ、身近にファッション詳しいの居るんだから聞いたりしなさいよ。女性物もある程度知識ある筈だから」

結標「はぁ?」

麦野「第1位」サラッ

結標「ぇ……アイツに頼りたくない」ウゥー・・・

固法・麦野「「……」」ニヤニヤ・・・

結標「う、うがああああぁー!! その顔止めろー!!」ムキー///


結標さん、店前で大声出さないで下さい。恥ずかしいです。


結標「アンタが言うな! ったくもぅ……」プルプル・・・


ふむふむ、結標さんにも想い人がいるのか。
あ、私の場合は別に恋慕という訳では無く……うん、彼は恩人なのですよ。はい。
884 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/22(水) 22:35:59.55 ID:tu6nteyr0
麦野「さてと……何を如何しようかしら」ウーン・・・

固法「神裂さん、冬物欲しいのよね?」

神裂「基本はそうですが……」


カットしますよ。


麦野「アンタ……この場で切ったら流石に私、キレるからね?」ゴゴゴゴ・・・


色々理由があるからしょうがないでしょう。
ただでさえ制服着ている今、魔力錬れないのに……


神裂「えっと、まぁ寒さには強いので別に何でも大丈夫っちゃ大丈夫ですよ」

麦野「了解。そんじゃあ、どういう系の服にしましょうか……」ウーン・・・

固法「麦野さん、悪ふざけで犯罪紛いの服はダメだからね」ジトー・・・

麦野「分かってるわよー」(・3・)チェッ!


では…… >>886
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2011/06/22(水) 22:38:08.82 ID:+18jZBGeo
セーラー服
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/06/22(水) 22:40:59.31 ID:H5215pNU0
堕天使エロメイド
887 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/22(水) 23:15:05.18 ID:tu6nteyr0
麦野「えっとー……じゃあゴシック系とか着せてみましょうか!」ニヤッ・・・

神裂「ご、ゴシック……」ヘ?

結標「あ、ねーねー。そんじゃあさぁ…~~~…ってのは?」ゴニョゴニョ・・・フフフ・・・

麦野「ふむふむ……ほほぅ。アンタにしては良い(極悪)発想ね!」


彼女は一体何を言ったのだ?


麦野「ねぇ火織……メイド服とか、興味無い?」ニヤリ・・・

神裂「ぐ、をっ……」ダラダラ・・・


トラウマしかないです。


固法「む、麦野さん。そんなのこの店には売ってないでしょ」タラー・・・

麦野「ゴシック系とレースエプロンで代用可能よ! いや、胸元開いたフリルワンピとピンクエプロンでもOK!」b"

結標「あ! それっぽいカチューシャ見つけたわ! ガキ用だけど丁度良いっしょ!」b"

麦野「うっし! じゃあ決定ね! 探すわよー」テクテク・・・

固法「……ははは」タラー・・・


神は死んだ。




 一寸後・・・・・



麦野・結標「「だはははははっ!!」」ケラケラッ!

固法「え、えっと……これで街歩いたら流石に犯罪ね」アハハ・・・///

神裂「」チーン・・・///


結局、麦野さんがトンデモない服(?)と実用性の無いエプロンを見つけてきた。

※イメージ(  http://item.rakuten.co.jp/only-and-one/k02055/  )


麦野「キヒヒ! こりゃ男喰いつくわー。今度試してみなさいって」ガハハ!

結標「フヒヒ! コレに羽オプションとか付けちゃいましょ!」ダハハ!

神裂「もぅ……服返して下さい……お願いです……」プルプル・・・///

固法「あー、うん。可哀想だから次の行くわよ!」


では次の服装は…… >>889
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/22(水) 23:17:45.60 ID:oofjOC6AO
かそくした
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/22(水) 23:20:08.90 ID:RaAyB1Cw0
ロングスカート系 
 
891 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/23(木) 00:44:36.38 ID:pfWAr+1s0
神裂「普通に……落ち着いたのが着たいです……」ウウゥ・・・

麦野「んもー、我儘ねぇ」


貴女がブっ飛び過ぎなんです。


麦野「そんじゃあ美偉選んだげて」チラッ

固法「え、私が?」

麦野「偶にはそういうのも良いんじゃない? 私はコッチをマネキンにしてるから」ニヤッ・・・

結標「……逃げ」スゥ・・・

麦野「逃がさん」ガシッ!

結標「いやああぁ! 犯されるー!!」ジタバタ!


ドンマイ。


固法「えっと、じゃあロンスカとか穿いてみましょう」テクテク・・・

神裂「スカート、ですか……」ムゥ・・・

固法「さっきのよりマシでしょ」アハハ・・・


確かに……ではお任せしよう。


 一寸後・・・・・


固法「うん、じゃあコレね」クスッ

麦野「おー、これはコレでアリね」フフッ

固法「デニム生地にしてみたけど、神裂さん。如何かしら?」


何か……切り裂きたくなります。

※イメージ(  http://item.rakuten.co.jp/knockout/1422756  )


麦野「……天然痴女め」ジトー・・・

神裂「心外です……前から言う様に服をカットしているのは宗教上の理由で」

麦野「あー、はいはい。そーですねー。でも私達といる時はそういうの抜きでしょ」

神裂「……うぃ」ハァ・・・


因みに、結標さんは……


結標「悪意しか感じられないわ……」プルプル・・・///


いつもの服と大差無い気がしますよ?

※イメージ(  http://item.rakuten.co.jp/only-and-one/rd01035pw/  )


麦野「アハハ、つまりアンタも天然痴女って事ね」ケラケラ!

結標「新ジャンルみたいに言わないで! 早く制服返しなさいよ!」ムキー!

固法「でもいつものサラシよりは変じゃないわよ。さて、と……神裂さん、もう一着くらい試着しましょ」


では最後に…… >>893
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage saga]:2011/06/23(木) 00:47:23.98 ID:Unyljo4Y0
森ガール
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/23(木) 00:52:51.67 ID:9lu1MLzDO
スーツ
894 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/23(木) 01:16:54.40 ID:pfWAr+1s0
麦野「そういえば火織ってスーツ持ってるの?」

神裂「え? 持ってませんが、何故?」

麦野「アンタ、結構重役さんと会ったりする仕事してるって言ってなかった?」


二人には必要悪の教会……主教補佐次席の事は、グローバル展開法人の上役代行をしていると誤魔化して説明してある。


固法「まさか……」タラー・・・

麦野「……アンタ、あの恰好で仕事してんの!?」ギョッ!?

神裂「……ダメですか?」

固法「ダメっていうか、大丈夫なの?」


別段、文句を言われた事は無いが。


固法・麦野「「……」」

神裂「えっと、その……」ポリポリ・・・

結標「まぁ一着でも持っておけば? 同年代とはいえ私達と違って、アンタ社会人なんでしょ?」


ふむ。まぁそう言われてみるとそうだ。


麦野「……適当に持ってくるから此処で着てみんしゃい」テクテク・・・

固法「私も一着持ってくる……」テクテク・・・

神裂「あ、はい。お願いします。(あの恰好で職務遂行するのは変ですかね?)」ムゥ・・・

結標「さぁ。フランクな現場なら良いんじゃない? でもさぁ……アンタ女教皇様とかって言われてんだし、礼装持ってた方が良いって」ボソッ


ふむ……では一着くらい考えよう。


 一寸後・・・・・


神裂「ん……やはり違和感がありますね」モゾモゾ・・・


俗にいうレディーススーツという奴だ。

※イメージ(  http://belluna.jp/ryuryu/01/010201/func_zoom/index.jsp?thumbnail_code=4&catalog_code=NE9A&product_code=00982  )


麦野「……やだ。イケメン」ワォ・・・

固法「ちょっと写真撮って良い?」パアアァ!

結標「ちょっとポニテにして! 高い所で……おぉ! 並の野郎共より絶対モテる!」キャー!


あのー……趣旨が変わってきてませんか?
895 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/23(木) 01:42:02.65 ID:pfWAr+1s0
そんでもって結局……


店員「―――合計で24,315円になります。(何このバラバラチョイス)」


全部買わされた。


神裂「また出費が……」ハァ・・・

麦野「良いじゃない。金持ちなんでしょ」アハハ

固法「大丈夫、スーツとデニムスカートは使えるから」


あの破廉恥衣装は如何しろと?


麦野「ま、試してみるのねー……彼の前で」ニシシ!

神裂「つ、土御門みたいな事言わないで下さい!」

結標「あー、アイツに騙された口かぁ……私もあんなの着なきゃ良かったわ……」アハハ・・・


何故か遠い目をする結標さん。多分、私と同じ土御門によるトンデモ被害仲間なのだろう。


麦野「安心なさい。美偉だったらノリノリで着るから。黒妻くんに頼まれたらだけどね」ニヤッ・・・

固法「の、ノリノリで着ないわよ!! それから先輩にそんな趣味ありません!!」カアアァ///

麦野「でもぉ前にボンテージ物、着たんでしょ?」フフフ・・・

固法「そ、それは、その……マンネリで……」モジモジ・・・///

結標「レベル高っ!? アンタ本当に私と同い年なの!?」///

固法「だって……全然構ってくれない時期があって……」ムゥ・・・///

麦野「はいはい、リア充リア充……って、火織がフリーズしてるからそろそろ出るわよ」ハハハ!


聞いているだけで顔から火が出そうです。
固法さんは相変わらず彼と仲が宜しい様で、微笑ましい……を通り越してますね。


結標「ん! そういえば私Tシャツ買って貰って無い!」

固法「あ……えっと、じゃあ……」ウーン・・・

麦野「これ」サッ!


※イメージ (  http://nijigencospa.com/detail/id/00000037134  )


結標「ぶっはぁっ!!?」What!?


これ何処に置いてたんですか?


麦野「細かい事は良いのよ。美偉、これ買ってあげなさい」ニヤニヤ・・・

結標「ぐ、ぬぬぅ……断れない自分が悔しい……」ウグゥ・・・


えっと……ユニークですよ。 (笑)
896 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 麦野・固法「「イエッスっ!!」」 [saga]:2011/06/23(木) 02:07:24.58 ID:pfWAr+1s0
 ―――とある休日、PM05:00、学園都市第7学区、地下街・・・(神裂side)・・・





店を出た頃、丁度日暮れの時刻になっていた。
さて、そろそろ香焼にメールを送っておかねば……


麦野「美偉、この後如何する?」

固法「もう一件何処か寄ったら最終下校時刻よね。ファミレスか喫茶店行って解散しましょうか」

結標「最終下校時刻って……アンタやっぱマジメね」ハハハ・・・

麦野「今時そんなん順守してる人間レアよ。ま、美偉らしいっちゃらしいけど」クスッ

固法「風紀委員ですからねー。ケジメは大事よ」フフッ


確かにそうだ。


麦野「んー、ゲーセン行ってファミレスでも良いけど……あ、そうだ!」

固法「何処か面白い場所ある?」

麦野「ふふふふふ……こん中の誰かん家ー」ニヤッ・・・

結標「……は?」

麦野「面白そうでしょ」クスクスッ


面白そうではあるが、問題ありというか……


固法「私のアパートちょっと無理ね。狭いし、ルームメイトがちょっと……」アハハ・・・

麦野「黒妻くん家は?」ニヤッ・・・

固法「馬鹿言わないで。結標さん家は……無理ね」

結標「ええ、他人の家だし。居候の身分だもの。アンタん家は如何なのよ……って、あー……」ムリダナー・・・

麦野「無理。人居過ぎ。あと事務所兼任」ムリヨネー


では何処も無理だろう。


麦野「なーに当たり前のように自分の家抜かしてんのよ」ジトー・・・

神裂「え、と……私もこの街に居る際は、ホテルと弟の家を行き来する様な借り宿暮らしなので」アハハ・・・

結標「っ!! お、弟ってか香焼くんの家って確か馬鹿デカイのよね!?」

神裂「え? まぁそれなりに……え??」キョトン・・・


御三方。何、その目は……
897 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/23(木) 02:21:36.08 ID:pfWAr+1s0
麦野「決定」ビシッ!

神裂「ちょ、その、ダメです! 弟の家ですよ! 勝手に友人を連れ込む訳には」アタフタ・・・

結標「大丈夫よ。私が居るわ! 任せなさい!」ドヤッ!


何だその理屈。


神裂「そ、それなら麦野さんの家でも良いのでは!? とても大きいと前に聞いた覚えが!」タラー・・・

麦野「だから職場ってか事務所も兼任してるから無理っつってんじゃん」サラッ

神裂「では、結標さん! きっと友人を連れ帰れば月詠さんが泣いて喜びますよ!」ダラダラ・・・

結標「麦野(コイツ)を小萌に会わせたくないわ」サラッ

神裂「じゃあ固法さん!」チラッ

固法「うーん……百歩譲って、部屋で黙ってられる? 碧美ちょっと風邪気味だから」ポリポリ・・・

麦野・結標「「むりー!」」ニヤニヤ・・・

神裂「んじゃ、彼氏の家!」

固法「それ原因で喧嘩になったら責任取ってくれる?」クスッ・・・ゴゴゴ・・・


ああ、畜生。退路が無い。


神裂「え、えっと……私の家、ですか?」ハァ・・・

固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」ビシッ!


香焼、ごめんなさい。後でお詫びはします……――― 
 
911897 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/23(木) 22:14:54.41 ID:JWrx/KkI0
 ―――とある休日、PM05:40、学園都市第7学区、とある公園(いつもんとこ)・・・(香焼side)・・・





太陽が遠くのビルの間に隠れ出した頃、周りで遊んでいた学生達の数は減っていた。
最終下校時刻間近という事で、風紀委員や警備員が下校指導を始めているからだ。

尤もこの最終下校時刻というのはこの学園都市固有の呼び方。俗にいう地域の厚生委員の夜遊び注意に似ている。
ただ、民間厚生委員が動くのではなく公務員たる風紀委員・警備員が働いている。
何という夜警国家(都市)。まぁ子供達ばかりだから仕方ないっちゃ仕方無いが……


絹旗「香焼が頭の中でまた超面倒臭く屁理屈こねてます」ジー・・・

香焼「こねてない、考えてるだ……最愛、いつから読心能力者に」

絹旗「顔見りゃわかりますよ。まーた超無駄な事あーだこーだ考えてるんだなーって」ハハハ


むぅ……顔に出てたか。


佐天「あはは。まぁ良く言えば知的なんだね」クスッ

初春「悪く言えばネチッこく女々しい面倒臭ぇ男ですよ」ニコッ

春上「……初春さん。言葉選ぶべきなの」ハァ


そりゃ悪ぅござんしたね。

因みに初春さんは白井さん、御坂さんと後から合流した。
しかし途中、上条さんが現れた為事態、厄介な事に。上条さんを追い駆けて御坂さんが走り出し、次いで白井さんも走り出した。


初春「さーてと、そろそろ時間ですね」チラッ

香焼「あ、うん。そうだね……初春さんは今から下校指導なの?」

初春「いえいえ、今日は警備員が全範囲指導にあたる日です。二人と帰りますよ」

佐天「あー、でも御坂さんと白井さん大丈夫かなぁ」

初春「ま、勝手に寮へ帰ってるでしょう。いつもの事ですし」

絹旗「アレ、いつもの事なんですか?」

春上「日常茶飯事なの」フフッ


上条さん……頑張ってください。


佐天「そんじゃあ私達は此処でバイバイだね。香焼くん、ちゃんと最愛ちゃんの事送ってってあげるのよー」ニヤッ

初春「あはは。宛ら少年騎士さんですねー」クスッ

絹旗「香焼より私の方が超強いです! 守られる必要なんて超ナッシングです!」ムッ!

春上「まぁまぁ。でも二人仲良く帰るの。私達も三人仲良く帰るからね」フフッ


そうして三人は公園を去った。最愛は笑顔で……でもちょぴっと寂しそうに、猫達と彼女らを見送っていた。
912 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/23(木) 22:41:13.22 ID:JWrx/KkI0
さて、二人きり……と猫の大群。


香焼「……楽しかった?」

絹旗「はい」ニカッ

香焼「そっか。良かった」クスッ


その一言……こんな彼女だからこそ、純粋にそう思う。
数日前の彼女とは違う。ネガティブさが減ってきた。


香焼「最愛、帰りは如何するの? 今日も迎え?」

絹旗「あ、今電話してみます」Pi!


猫(まーらいおん)を頭に乗せたまま、電話をつなぐ。


浜面『絹旗か』Pi!

絹旗「はい、迎えを」

浜面『あー悪ぃ。今出れねぇ』

絹旗「……は?」

浜面『ちょっと厄介な事に―――コラ、ハマヅラクン!ウンテンチュウデンワデナイノ!―――んだよ!』

絹旗「……あんだと?」ポカーン・・・


迎えが来れないのか?


浜面『あー、ちょ固のr―――カシナサイチョット!―――うわっ!!』

絹旗「浜面?!」エ・・・

麦野『あーもしもしー。はろー』

絹旗「え、麦野??」タラー・・・

麦野『うん、私。今私車使っちゃってるから直ぐには行けないわ。バスかタクシー拾っちゃって』

絹旗「え、あ、うん」

麦野『領収書切ってくれば私払うから。後、今日フレンダと滝壺部屋に居ないからどっかで飯喰ってきなさい』

絹旗「え、何で……」

麦野『知らん。フレンダは休み与えた瞬間消えた。滝壺は病院で定期健診だってさ』

絹旗「はぁ。了解です」コクッ

麦野『そんじゃまた明日……あ、そうそう。別に彼氏んちで一泊してきても良いけど、次の日の仕事に「支障」無い様にねー』キヒヒ!

絹旗「っ!!? ちょ、超馬鹿! 変態!!」Pi!


何故か真っ赤だ……何言われたんだろう。気になる。
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/06/23(木) 22:50:01.08 ID:tWSjk/jl0
>フレンダ

フレメアの所か
914 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/23(木) 23:22:49.68 ID:JWrx/KkI0
香焼「何だって?」

絹旗「……バスかタクシーで帰って来いだそうです」

香焼「そっか。此処から近いの?」

絹旗「うーん……超微妙な距離です。今日のホテルは第8・第9学区との境辺り」


此処から北北西の方か。


香焼「それじゃあ途中まで一緒に行こう。自分は第1学区の方だから途中までは一緒っす」

絹旗「分かった。じゃあ猫達解散させます」チラッ


最愛が一言『ニャー』と鳴く。すると猫達が茂みの方へ散り散りと去って行った。


香焼「あはは……そういえば今日、また猫の数増えてたね」クスッ

絹旗「『だいぶつ』と『しーさー』の事ですか?」

香焼「あ、名前付けたんだ。(また独特なネーミングセンスを……)」

絹旗「佐天とエリーが連れてきました。仲間に入れてあげてーって」

香焼「なるほどね」クスッ


なんとも賑やかな気づかいだ。
だが清掃業者も大変だろう。間違って保健委員が保健所送りにしなければいいが。

とりあえず自分と最愛、それからもあいは公園を出る事にした。


絹旗「……如何して、猫を殺すんでしょうね」

香焼「え? えっと、うーん……野良の動物ってのは『害獣』扱いなんじゃないかな」

絹旗「害、獣ですか?」


街を汚したり、人に噛み付いたり、餌をねだったり、病気を運んだり。


絹旗「でもそれは野良だけじゃないでしょう? 飼い犬だって、人噛んだり病気になったりします」

香焼「それは多分、責任者の有無の違いだよ」

絹旗「責任者……じゃあ私があの猫達の責任者です」ムッ・・・

香焼「ふふっ、今度全員分首輪でも買って行こうか?」クスッ

絹旗「超名案です! Amajonで30個くらい纏め買いしましょう!」

香焼「……あはは」タラー・・・


やはり最愛、偶におバカだ。
915 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/24(金) 00:50:19.10 ID:iZu//s4D0
帰り道……女教皇様からメールが着ている事に気付いた。先に帰っているとの事。大丈夫かなぁ。


絹旗「ねぇ香焼。もし……」ボソッ・・・


ふと、彼女が呟く。


絹旗「害獣がいるなら……害人も、いるんですかね」

香焼「はい?」

絹旗「害ある人。えっと、さっき香焼が言った害獣の定義に当てはまる人間って事です」

香焼「それはまぁ……いるかもしれない」ポリポリ・・・


ステイルはそれを『悪』と称していた。そして自分達は、それに対抗する『必要悪』とも。


絹旗「そいつらは、殺されますか?」

香焼「……今、何て?」

絹旗「……何でもありません。忘れて下さい」

もあい「なーぅ」ジー・・・


忘れろって言っても、聞き捨てられないのだが。
それを認めるって事はつまり『殺人』を容認する事につながる。自分は、それだけは認め得ない。例え甘ちゃんと言われてもだ。

色々言い返したい。だがしかし、今此処で彼女と生命倫理について答弁する気は無い。
多分、最愛は……何処かずれてる。此方が何を言っても、彼女の中には何も残らないだろう。

それより、何か別の話題をしよう。


香焼「……最愛、何時くらいのバスに乗るの?」

絹旗「うーん、超迷ってます」

香焼「迷うって……遅くなり過ぎると補導されちゃうよ?」

絹旗「……じゃあ、家でデリバリー頼む事にします」コクンッ・・・


会話のキャッチボールが出来て無い気がする。何故『デリバリー』なんて言葉が出てきたのだ?


絹旗「今日、ご飯作る人居ないんです。だからファミレスででもと思ったんですが……やっぱりホテルのデリバリー頼む事にします」

香焼「そういう事だったんだ……最愛はそういう日、多いの?」

絹旗「それなりにですね。手料理作れる人、一人だけですし。その人も偶にしかご飯作りませんから」アハハ

香焼「……そっか」フム・・・


自分は、任務で忙しい時以外はなるべく自炊している。
最近は幸か不幸か、五和がご飯を作っているケースが多い。

聞くところによると最愛も親しい仲間は多い様だが……この差は何なのだろう。 
 
917 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/24(金) 01:13:34.88 ID:iZu//s4D0
暫時無言。


もあい「にゃーん」プラプラ・・・

絹旗「にゃー」ナデナデ


気がつけば、もあいが最愛の腕の中で頭を撫でられていた。

もう少しで第1学区(我が家)方面のバス停が見える。
最愛とは此処でさよならだが……


香焼「……最愛」チラッ

絹旗「ん?」ホェ?

香焼「ウチで……ご飯食べる?」

絹旗「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へっ?!」ドキッ!


自分はいったい、何を口走っているのだ!?


香焼「あ、いや、その……一人でご飯食べるみたいだから、あの……(何か恥ずかしいな)」ポリポリ・・・

絹旗「は、はぃ……(えっと……何ですか、これ!?)」ドキドキ・・・///

香焼「いつもファーストフードじゃ体に悪いし、ファミレスも冷凍食品だろうから、うーんと……」ムゥ・・・

絹旗「そ、うん……で、でも、私なんかがお邪魔したら超迷惑でしょ……(まさか麦野の言ってた事が……って、超馬鹿私!)」モジモジ・・・///

香焼「邪魔じゃないよ! 寧ろ自分の汚い部屋に招待する方が失礼だけど……もし良かったらって」ブンブン!

絹旗「い、いえ! そんなそんな……そぅ……」ナデナデ・・・///

もあい「みぃ」フシフシ


大丈夫……アニー達とご飯食べるのと一緒だ。うん、そうだ。
だから最愛さん、真っ赤にならないで下さい。こっちまで恥ずかしいです。


香焼「あ、えっと、あ、姉も居るんだけど……というか姉が料理作るんだけどさ」アハハ・・・

絹旗「あぅえっ!! そうなんですか!? あ、ははは……(私の超馬鹿莫迦バカばかっ!! 何超妄想してるんですか!!)」カアアァ・・・///

香焼「ご飯(だけ)はプロ並みだよ。変な創作料理しなければだけどね」ポリポリ・・・

絹旗「へ、へぇ……えっと、お姉さん達は、その……」モジモジ・・・


そういえば最愛、人見知りだったっけ。
まぁ五和を暴走させなきゃ当たり障り無いだろう。浦上も何だかんだで空気読めるし、女教皇様は普通にしてればマジ聖女だから。
918 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/24(金) 01:34:13.22 ID:iZu//s4D0
香焼「特に……問題無いと思うよ。(最愛に対してはね)」アハハ・・・


最愛帰った後に、自分への詰問開始は確定事項だろうがな。


絹旗「じゃあ……迷惑じゃないなら、えっと……お邪魔します」///

香焼「うん。どうぞ」ニコッ

絹旗「じゃ、じゃあお菓子か何か持って行かなくても大丈夫でしょうか!」アタフタ・・・

香焼「いやいや、大丈夫だから。心配しないで」クスッ

絹旗「りょ、了解です。(大丈夫。大丈夫。大丈夫……何も無い。何も無い。何も無い! 超変な勘違いするな! 私!)」アハハ・・・

もあい「なぅ?」ジー・・・


根は真面目というか、律義なんだね。

それから数分後、自分達は第1学区行きのバスに乗り込んだ。
家の前のバス停に着くまで終始無言だったが、心成しか、最愛が微笑んでいるように見えた。





 ―――一方その頃、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・





神裂「あ、このマンションです」ピシッ

麦野「だってよ、止めろー」ゲシッ!

浜面「止め、危ねぇだろ! ったく……人の事急に呼び出しといて」ハァ・・・


急遽、麦野さんがアッシー……もとい浜面さんを呼び出し、私達4人を乗せて帰るという事になった。
お休みの所、本当に申し訳ない。


浜面「いえいえ、コイツのこの態度にゃ慣れましたから」ハハハ

麦野「っせぇ黙ってろ!」バシッ!

浜面「あ痛っ」ウガッ!

結標「なんか母親に対する反抗期の中坊みたいね」クスッ

固法「麦野さん、あんまり暴力振るわないの。浜面くん、態々ありがとね」

浜面「あはは……」ポリポリ・・・


やはり昨今は女性が強い世の中になってきたのでしょうかね。
919 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/24(金) 02:15:02.72 ID:iZu//s4D0
 ―――とある日、PM06:15、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・




 ごちゃごちゃー・・・・・


浦上「……あ、もう6時過ぎてる」チラッ

五和「あーうん。そだねー」モグモグ・・・

浦上「お姉ぇ、そろそろ片付けしといた方が良いんじゃない? もうすぐ香焼とカオリ姉様帰ってくるよ」

五和「でーじょーぶ、でーじょーぶ。夕飯の準備はしちゃってるしー」モグモグ・・・


本日の献立:挽き肉と野菜のキムチ炒め。ベトナム風春雨スープ。鮭のムニエル(五和特性赤ワインソース添え)。


五和「デザートにフルーツポンチ。完璧っしょ」ヘヘーン!

浦上「まぁ夕飯に関してはマジ惚れ惚れするけど……そっちじゃなくて、恰好とかゴミとかさぁ」ハァ・・・

五和「えー」ブーブー!

浦上「流石に上キャミのみってのは如何かと思うよ。いくら書類仕事終わったとはいえ、Tシャツくらい着たら?」ジトー・・・

五和「んもー。しゃーないわねぇ……そんじゃウラー。着替えて取ってくるからゴミ捨てといてー」ヨイショッ

浦上「ホント良い性格してますネー……今のお姉、上条さんに見せてやりたいですヨー」ジー・・・

五和「あはははは……ムービー撮ってたら締め上げるからね?」ギロッ・・・

浦上「無い無い。はやく行っといでー」ガサゴソ・・・

五和「むぅ。ウラはやりかねんからなぁ」タラー・・・


 ピンポーン・・・・・


五和「あら? もしかしてコウちゃんより先にカオリ姉様、帰ってきたのかな? 珍しい」ヌギヌギ・・・ウンショ!

浦上「お姉ー! 掃除機掛けてるから玄関お願ーい」ヴィイイイイイイン・・・

五和「あいよー。さてさてー、カオリ姉様ー。行った時と服装変わってるかなぁ♪」ニコニコッ

浦上「お姉ー、早く出てあげてー」ヴィイイイン・・・ガシッガシッ・・・

五和「分かってるー。今行くよー」トテトテ・・・


 ガチャッ・・・・・


五和「カオリ姉様ー! お帰りー」バッ!

神裂「ぁ……」タラー・・・

固法・麦野・結標「「「お邪魔しまーす」」」ニコニコッ

五和「なさ、ぃ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふぇ???」ポカーン・・・
920 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/24(金) 02:34:28.65 ID:iZu//s4D0
五和「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あるぇ?」;・3・))

神裂「ただいま、五和。香焼はまだ帰って無いのですか?」

麦野「あら、火織の妹ちゃん? あんまり似て無いけど……でも美人ちゃんじゃん」ジー・・・

固法「こんばんわ。神裂さんの友人御一行です」アハハ

結標「ハロー。お久ー」フフッ            ※第4話参照。


カオリ姉様の後ろに……3人?


神裂「もし。五和」



 ガチャンッ!!



麦野「ありゃ?」

固法「締め出されちゃった?」

神裂「ちょ、五和!?」エエェッ!!?



 ドタドタドタドタ・・・・・



五和「ウラあああぁっ!!」ワーワー!!

浦上「お姉ぇ。人の名前を大声で奇声っぽく叫ばないでくれませんかネ」ジトー・・・

五和「そ、そそ、外! 外にね、ね、姉様と!!」アタフタ・・・

浦上「御友人がいたとか?」レイセー

五和「何で知ってんの!?」

浦上「メール着たしインターホンカメラで確認したし」

五和「何故それを教えない!!」ウワアアァッ!!

浦上「いやぁ……その方がオモシロそーかなってネ」ニヒヒ!

五和「確かに面白いけど、ビビったわ! あーもう……ちょっと洗面所行ってくる。暫く対応お願い」トボトボ・・・

浦上「あはー。あいよー」クスッ・・・テクテク・・・



 ガチャッ・・・・・



神裂「ただいま、浦上……五和は?」ジトー・・・

浦上「あははは……ちょっとお手洗いに。(怒ってらっしゃるネー)」タラー・・・

麦野「またあんまり似てない妹ちゃんが出てきたわ……美脚ね。若そうなのにスタイルも良いじゃない」

固法「麦野さん、初見でそういう事言わない……こんばんわ、はじめまして。お邪魔しても良いかな?」

浦上「はいはい勿論ですヨ。カオリ姉様の御友人なら大歓迎です! ささ、お上がり下さい」フフフ

神裂「……では、行きましょうか。この子達は中に入ってから紹介します」スッ・・・



 ガヤガヤ・・・・・ 
 
929 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/25(土) 21:05:18.88 ID:6+GkrLXe0
 ―――とある日、PM06:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・神裂side・・・


浦上「いやぁ、まさか姉様が御友人を連れてくるとは思いませんでしたヨ」ニャハハ


家主(香焼)不在のこの部屋で我が物顔をするのは忍び無いが、とりあえず3人を居間へ招いた。
何故か五和が洗面所から出て来ないので浦上の紹介を済ませる。


神裂「妹……といっても、血の繋がりがあるという訳ではないのですが、浦上――です」

浦上「どもども。学年は一応中3です。狭い部屋ですが、どうぞ我が家だと思って寛いでいって下さい」ペコッ

麦野「ふふっ。出来た妹さんね」

固法「どうも御丁寧に。いきなり押し付けてごめんなさいね」

浦上「いえいえ。姉様の御友人とあれば大歓迎ですヨ。ね?」チラッ


……そう言って貰えると助かる。家主居ないけど。


結標「……」キョロキョロ・・・

神裂「結標さん?」

結標「……香焼くんは?」キョロキョロ・・・

浦上「もう少しで帰ってくる筈ですよ。先程メール着ましたし」ニヤッ・・・


この子、何か企んでるな?


神裂「浦上……香焼には伝えてますか?」ボソッ・・・

浦上「あれ? 姉様が直接伝えていたのでは?」ハテ・・・


拙い……


浦上「……ふつー、私じゃなくて香焼本人に伝えるモンですヨ?」ジトー・・・

神裂「うっ……抜かりました……」タラー・・・


あの子の性格上、怒る事は無いだろうが……しかし呆れられるやもしれぬ。
早めに電話を入れておこう。


浦上「そうして下さい。私は皆さんのお茶入れますから……あ、緑茶で宜しいですかー? それとも紅茶で?」

固法「お任せします」

麦野・結標「「同じく何でも良いー」」

浦上「はいはい。お任せあれー」クスッ


こういう時、この子の柔軟な性格は役に立つ。
さておき……もう一人は如何した?
930 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/25(土) 21:26:48.14 ID:6+GkrLXe0
そんな事を考えた刹那……


五和「失礼します」ガチャッ・・・


……役者が入ってきた。


神裂「……五和」ジトー・・・

五和「あの、皆さん。先程は失礼しました……まさかカオリ姉様が御友人を連れ帰ってくるとは思いもしなかったので」ペコッ

固法「あ、いえ。此方こそ急にお邪魔しちゃってごめんなさい」

五和「そんなそんな! 謝らないで下さい。それでは此方が無碍にしている様で……気にせず楽にしていって下さい」ニコニコッ

麦野「へぇ。火織、アンタの姉妹ちゃんとしてるわねー。アイテム(ウチ)んとこの糞餓鬼達にも見習わせたいわ」クスッ・・・

五和「いえ、これも姉様の教育の賜物ですので……遅くなりましたが『次女』の五和――、学年は高2です。どうぞ宜しく」フフッ・・・

結標「ははは。面白いわー。教育ですって……って、アンタ同い年なの?!」ゲッ!?

五和「あら、そうでしたか? 姉様とはあまり歳が離れてはいませんが、私はまだまだ若輩者なので……御指示を仰ぐばかりです」

固法「そんなに謙遜しないで。私も同い年だし……もっとフランクにしてちょうだい」クスッ

五和「ふふっ、ありがとうございます。お優しい御友人方ですね」ニコニコッ


うわぁ鳥肌立った。よくもまぁそんな口から出任せ出鱈目をシャアシャアと。


浦上「お姉ー。お茶運ぶの手伝ってー」

五和「あ、はい。今行きます」スッ・・・

神裂「……ハァ」ツカレル・・・

固法「素敵な姉妹ね。血の繋がりは無くてもホントの家族みたいよ」クスッ

神裂「まぁ……長い付き合いですから」ハハハ・・・

麦野「しっかし、あの子もアンタに負けず劣らずのナイスバディね……それに比べて……」チラッ・・・

結標「ぐっ……アンタらが異常なの! 私は普通よ! 82もありゃ上等じゃない!」ウガー!

麦野「ふふふふふ……ぺちゃっぱい」クスクス・・・

結標「う、だあああぁっ!! やるかこの原子炉女!!」ガタッ!!

固法「こらっ! 人様の家よ!」メッ!


ホント、家主にグチグチ言われるので勘弁して下さい。
931 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/25(土) 21:58:38.80 ID:6+GkrLXe0
それから暫く他愛ない談笑。


麦野「―――あはは! 火織、ウチでもドジっ子なんだー」ハハハ!

浦上「ええ。こう見えてチャーミングですから」クスッ

神裂「麦野さん、『ウチでも』って何ですか……あと浦上、チャーミングとか訳分からん事言わないで下さい」ハァ・・・

結標「ま、人は見掛けに因らないって訳ね」クスクスッ


まぁ確かに……この中の一人を除いては、全員『裏』の顔を持っている。


五和「……あ! いけない!」アチャー・・・

神裂「どうしたました?」

五和「御夕飯、どうしましょう……折角来て頂いたのに……」ウーン・・・

浦上「あー、作っちゃってるからねー。お姉、もうちょい献立増やせる?」

固法「いいよ、そんな気使って貰わなくても」

五和「いえいえ! 客人を手厚く持成せ! これウチの家訓です!」キリッ!

神裂「そんな家訓、設けた覚えないですけど」ジトー・・・

五和「じゃあ今できました! とりあえず冷蔵庫のモノ確認してきます」バッ!


勝手な真似を……


結標「え? 夕飯喰ってって良いの?」チラッ

神裂「別に構いませんが……浦上、何とかなりますか?」

浦上「まぁ、お姉とカオリ姉様の手腕に掛れば献立増やすのなんて朝飯前ですよネ」ハハハ

神裂「物理的に可能であれば構わないのですが……てか、香焼の冷蔵庫を……」ボソッ・・・

浦上「良いの良いの。後で買い溜めしとけば怒らないですヨ」フフフ・・・


後であの子に御駄賃上げないとなぁ。


浦上「そんじゃあ大量に作っちゃいますか。あ、姉様は座ってて良いや。私とお姉で作っちゃいますから」ニコニコッ

神裂「……申し訳ありません」ペコッ

浦上「気にしないで下さいヨ。プライベートなんでしょ? 楽しんで下さい」フフッ

五和「ウラー。何とか間に合いそうだから野菜だけ切って下さーい。ご飯早炊きでもう3合炊いちゃうから」

浦上「はいはーい。(あとはー、香焼も友達連れてくるってからちょい多めに作ってー……)」ニヤニヤ・・・


プライベートとはいえ、教徒を扱き使っている気がして忍びない。後で礼はしよう。
932 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/25(土) 22:15:55.31 ID:6+GkrLXe0
 ―――とある日、PM07:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・香焼side・・・





バスを乗り継いで数十分……マンション前の停留所に着く。


香焼「此処だよ」スッ・・・

絹旗「……」ポカーン・・・


何故か目をまん丸にしてらっしゃる。


絹旗「……ホントに、此処何ですか?」ポカーン・・・

香焼「うん……あはは、まぁ学校指定でもあったしね」ポリポリ・・・

絹旗「……一人暮らしで? この50階建てくらいの一部屋に?」タラー・・・

香焼「50って……大袈裟っすよ。それに一人暮らしってのは語弊あるかな」アハハ


最近では馬鹿共が事ある度に居座ってるので、一人暮らしとは言い難い生活になっている。


絹旗「でも基本は一人なんでしょう? ……超金持ちじゃないですか!」キラキラ・・・

香焼「あはは……そうでもないよ。奨学金っていうか、何ていうか……自分のお金じゃないし」ポリポリ・・・

絹旗「良いなぁ……一人で高級マンション……麦野みたいです」キラキラ・・・


何かメルヘン状態にトランスしている最愛さん。貴女も大概金持ちでしょうに。


香焼「とりあえず行くよ。もあいもしっかりついてきてね」クスッ

もあい「みー」フシフシ

絹旗「良しっ……いざ城攻めです!」ムンッ!

香焼「何と戦う気なのさ」アハハ・・・


エレベーターに向かう……の前に、一応浦上に連絡しておこう。
勿論部屋片付けてるだろうなって。
933 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/25(土) 22:35:01.18 ID:6+GkrLXe0
 ―――一方、香焼宅・・・神裂side・・・





麦野「しかし、良いとこ住んでんのね。火織の弟」キョロキョロ・・・

結標「当たり前じゃない! 理事校の学生よ!」エッヘン!


何故貴女が自慢するのですか?


固法「でも此処に一人暮らしって、何だか勿体無いわね。居間24畳の2LDK、あと広いベランダ付きかぁ」キョロキョロ・・・

神裂「一応、五和・浦上(この子)達が頻繁に来ているので寂しいという事は無いかと」ポリポリ・・・

浦上「寧ろ香焼のプラベートくれてやるもんかってくらい邪魔してますからネー」アハハ

五和「う、ウラ……え、えっと、一応香焼の事が心配で来てるんですよ。如何思うかはあの子次第ですけど」タラー・・・


自覚あるなら少しは個人を尊重させてあげなさい。


固法「ふふっ。幸せモノの弟さんね」クスクスッ

神裂「そう思ってくれてると良いんですが……何分、堅い子なので」アハハ・・・

結標「そう? 意外とフランクだったけど」

神裂「ふむ……あの子は結標さんに対して、私達とまた別の母性の様なものを感じているのではないでしょうか」

結標「ぼ、母性……嬉しい様な、悲しい様な……」ムゥ・・・

麦野「……このショタコンが」フフフ・・・

結標「」(^ω^#)”ピキピキ・・・

固法「だから喧嘩しないのっ!」ンモー!


まったく困ったものだ。


浦上「……ふむ、どうしたものか」ポリポリ・・・

五和「どったの? ご飯なら余る程作ったけど」

浦上「うん、ギリギリまで黙ってたけど……香焼もう帰ってくる」

五和「え、まぁ大丈夫じゃないかな? カオリ姉様の友達って言えば帰れなんて言わないだろうし」

浦上「そっちじゃなく……」ウーン・・・


 ガチャッ・・・・・ただいまー。


五和「あ、帰ってきた」チラッ

結標「お!」ガタッ!

浦上「……ま、いっか。面白そうだし」ニシシ!


……浦上が何か隠している。不安だ。
934 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/25(土) 22:49:18.12 ID:6+GkrLXe0
とりあえず先に私が話をしなければなるまい。


神裂「すいません、少しあの子と話をしてきます。待ってて下さい」スッ・・・

結標「私も行くーうぐぇっ!?」グイッ!

固法「どうぞ行って来て。誰も邪魔しないから」ニコッ・・・

麦野「美偉、えぐい……」タラー・・・


さて、香焼に何と謝ろうか。とりあえず玄関で出迎えを―――


香焼「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・靴、何でこんな多いの?」タラー・・・

絹旗「……香焼」スッ・・・


―――……え?


もあい「にゃー」チラッ


香焼の後ろに……女の子?


香焼「……女教s……カオリ、姉さん?」チラッ・・・

神裂「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっと」ダラダラ・・・

絹旗「っ」キュッ・・・

神裂「そ、其方の女の子は?」タラー・・・

香焼「……最愛。自分の姉っす。噛み付いたりしないから大丈夫だよ」ニコッ・・・

絹旗「……」ジー・・・


人見知りなのか、香焼の後ろから出てこようとしない。
……じゃなくて、ちと待て。色々ツッコミが追い付かない。


絹旗「……絹旗、最愛です。お邪魔、します」ボソッ・・・

神裂「あ、はい。どうも御丁寧に……神裂火織です」ペコッ

香焼「うん、よくできました。それで、姉さん……この大量の靴は?」ジトー・・・

神裂「あ、の……そのですね……浦上からは何て?」ダラダラ・・・

香焼「『ご飯作って待ってるヨ』とだけ……如何いう事っすか?」ジトー・・・

神裂「……暫し、御待ちを」ギギギギ・・・


状況整理。そして問題把握。つまりは……


神裂「ああ、成程……」フム・・・


深呼吸し……叫んだ。


神裂「浦上いいいいいいいいいいいいいいいぃっ!!」ガアアァッ!!

絹旗「っ!!」ビクッ・・・ギュッ・・・

香焼「姉さん、叫ばないで!」ジトー・・・


あ、すいません。
935 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/25(土) 23:03:10.95 ID:6+GkrLXe0
数秒後、浦上が策士笑顔で玄関の方へ歩いてきた。


浦上「あはは。おかえり、香焼」ニヤニヤッ

香焼「……やっぱオマエの所為か」ジトー・・・

浦上「まぁまぁ怒らないの。人数多い方が楽しいじゃん?」フフッ


このお馬鹿、全部掌握していやがった。


浦上「まぁとりあえず説明するから……お嬢さん、少し待っててネ」ナデナデ

絹旗「っ!」ビクッ!



 少女説明(謝罪)中・・・・・



浦上「―――と、いう感じだよ。まぁ姉様に連絡しなかった香焼も悪いし、香焼に連絡忘れた姉様も悪いネ」ハハハ

香焼「おま……他人の所為にしやがって」ジトー・・・

神裂「貴女が双方に連絡すれば問題無かったでしょう! 如何してそういう真似を」ジトー・・・

浦上「まぁまぁ穏便に穏便に。ご飯は足りてますから大丈夫ですヨ」フフッ

香焼「そういう問題じゃ無くて……ハァ。如何しよう……」タラー・・・

神裂「もぅ……香焼、すいません。勝手に友人を上げたりして」ペコッ

香焼「いや、良いんすけど。ただ自分も連れてきちゃって……あの子、極度の人見知りなんす」ムゥ・・・

浦上「ダイジョブダイジョブ。私達なら上手く対応できるヨー」ニカッ!


そっちではない。問題は大人数という事だろう。見知らぬ人間が6人もいたら正直落ち着きまい。


香焼「うーん……最悪、居間は女教皇様達に使って貰って自分達は『自分の部屋』に居るっすよ」ハァ・・・

浦上「ほぅ……私達すら入れた事無い『香焼の部屋』に入れるとは……ふふふ」ニヤリ・・・

香焼「表面積オーバーするくらいナイフ刺すぞ?」ギロッ・・・

浦上「あはは。冗談だって。私達が近くに居るのに不純な真似出来る様な度胸あったらとっくにアニェーゼ達喰われてあ痛っ!」ボコッ!


……そういう事言わないの。
936 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/25(土) 23:18:56.27 ID:6+GkrLXe0
絹旗「……あの」ガチャッ・・・


部屋の外で話していた私達の下に、絹旗少女が顔を出した。


絹旗「……お邪魔、でしたか?」

香焼「え、いや、大丈夫なんだけど……」ウーン・・・

絹旗「……」ジー・・・

もあい「……なぅ」プラーン・・・

香焼「……えっと」タラー・・・


困った顔をする二人。このままでは彼女は帰ってしまうやもしれない。
折角来てくれたというのに……


神裂「……絹旗さん」ニコッ・・・

絹旗「え、あ、はい」ビクッ・・・

神裂「そんなに怯えなくても大丈夫です。私達は歓迎しますよ」ポンッ・・・

絹旗「あ、ぅ……」モジモジ・・・


目線を合わせ、頭に手を乗せる。
香焼と同じくらい幼い顔立ちの可愛らしい娘だ。彼と同い年かちょっと下くらいだろう。


神裂「ただ、私の友人も来ているのです。御一緒する事になりますが、宜しいですか?」

絹旗「え、と……」チラッ・・・

神裂「大丈夫。皆、優しい方々です。安心して下さい」ナデナデ・・・

絹旗「……は、い」コクンッ・・・


一件落着か。あとは中の3人にも事を伝えなければ。


神裂「では友人達にも伝えてきます。少々御待ちを」

絹旗「……はい」コクッ・・・

浦上「良かったネ、香焼」フフッ

香焼「元はといえばオマエが……ったく。ほら、オマエも中の人達に謝って説明してこい」ジトー・・・

浦上「あいあいさー」クスッ


香焼が悲しむ様な思いはさせたくない。
絹旗少女を受け入れてもらえる様、キチンと説明しよう。
937 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/25(土) 23:56:20.31 ID:6+GkrLXe0
 ―――一香焼宅・・・香焼side・・・




どうしてこうなった……と己が現状を嘆きたいところだが、それは彼女への冒涜となりかねない。
しかし、最愛を苦しい場面へと導いてしまった事は現実である。


香焼「……ごめんね」

絹旗「如何して、謝るんですか?」

香焼「……」

絹旗「香焼の所為じゃないんんでしょ? 別に謝らなくたって良いです」

香焼「だけど、その……」

絹旗「春上や佐天の御蔭で、賑やかなのも慣れました……多分ね」クスッ


強がりを……


絹旗「香焼は超気にし過ぎなんです。私だって、あのお姉さんみたいに優しい人なら臆したりしませんよ」フフッ

香焼「うん……そっか」クスッ・・・


自分の考え過ぎか。


香焼「……ありがと」

絹旗「うーん、感謝される謂れは無いんですけどね……謝られるよりはマシです」フフッ

香焼「あはは、そうだね」

絹旗「こっちこそ……超気使ってくれて、ありがとです。成るべく私も頑張りますから」

もあい「にゃー」フシフシ

絹旗「ふふっ、もあいも一緒ですしね」ニカッ!


いつもこのくらい明るい子なら、きっと最愛の世界は素晴らしいモノである筈なのに……


神裂「……失礼。二人とも、どうぞ」ガチャッ・・・

香焼「はい。最愛、行こ」スッ・・・

絹旗「……はい」クスッ


本当につまらない事に真剣になってしまった。もっとフランクに行こう。
938 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 00:15:56.83 ID:RKUpn8+O0
居間に入った瞬間、予想通り最愛が固まった。ついでに自分も固まった。


結標「やっほー! 来ちゃった!」オーイ!

麦野「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありゃ?」ニヤニヤ・・・

香焼・絹旗「「」」チーン・・・


斜め上を行った後に、更に上空へ駆けあがって行ってしまった予想。何故、結標さんが居る?


結標「途中で貴方のお姉さんと会って、成り行きで来ちゃった!」テヘッ♪

固法「えっと、貴方が香焼くんね。固法美偉です。お邪魔してます。最愛ちゃんは……久しぶりね」ペコッ

結標「あ、香焼くん。この眼鏡が言ったヤクザの奥さんよ」ニヤッ・・・      ※第4話参照。

固法「や、ヤクザ!?」エ?!


ああ、あの銭湯であった刺青さんの……


固法「先輩の事言ってるの? ……ヤクザじゃありません。フリーターです」ジトー・・・

麦野「あはは。まぁウチでバイトさせてるから確かにフリーターっちゃフリーターか」ケラケラ・・・

結標「アンタんとこでバイトしてんなら、やっぱヤクザじゃない」クスクスッ

麦野「……ウチはカタギだっつのボケ。(場所考えて物事言えアホ)」ギロッ・・・


そんでこの大人びた女性が例の……超能力者か。


絹旗「」

麦野「……へぇ」ニヤニヤ・・・

神裂「麦野、さん?」エ・・・

麦野「あ、うん……初めまして、弟くん。麦野沈利よ」ペコッ

香焼「どうも……姉から御二人の事は聞いています。どうぞごゆっくり」ペコッ


しかし何とも女性の多い空間だ……息苦しい。
そして、時に最愛さん。何故未だに固まってらっしゃるの?


香焼「最愛? 大丈夫?」

絹旗「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぁ。ふぁい」チラッ・・・コクンッ・・・


人見知りで固まっていた様ではないが、如何したのだろう。
939 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 00:30:52.54 ID:RKUpn8+O0
絹旗「……香焼」チラッ・・・

香焼「ん?」

絹旗「……アレとアレ、本当にお姉さんの友達ですか?」ビシッ


麦野さんと結標さんを指差す。


麦野「おま、アレ言うなし」ジトー・・・

結標「どっちかって言うと、私は香焼くんの友達ね」ニヤッ・・・

絹旗「……麦野。これって嫌がらせか何かですか?」ジトー・・・

麦野「私だって驚いたわよ。弟くんのガールフレンドが絹旗だなんて」クスクスッ

香焼・絹旗「「が、ガールフレンドっ!!?」」カアアァ///

結標「」(^ω^#)ピキッ・・・


と驚く前に、疑問が。


香焼「違うっすよ……って、あれ? 最愛、知り合い?」チラッ・・・

絹旗「え、と……その……」タラー・・・

麦野「ふふっ。ま、私の妹分よ。絹旗から友達が出来たって聞いてたけど……火織の弟で安心した」クスッ


……すいません。誰か状況解説お願いします。


浦上「そんじゃ私が」スッ

香焼「何でオマエがすんのさ?」ジトー・・・

浦上「此処で『第4の壁』ブチ壊せるの、私かお姉だけですからネー」ニャハハ!

五和「……ウラ。今はメタい台詞禁止」タラー・・・



 少女説明中・・・・・



浦上「―――はい、全員把握完了ーっと!」ビシッ!


つまり最愛……麦野さんは姉分で、結標さんは『同業者』で、固法さんは彼氏さんが麦野さんの所でバイトしてるから知っているという訳か。


香焼「それなら良かったね、最愛」チラッ・・・

絹旗「……全然、良くないです。姉貴さん以外は」ダラダラ・・・

もあい「にゃーん」トコトコ・・・
940 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 01:38:17.97 ID:RKUpn8+O0
 ―――とある日、PM07:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・神裂side・・・





幸か不幸か、絹旗さんが人見知りになるような面子では無かった様だ。
ただ何となく、気まずそうではあるが……多分大丈夫だろう。


香焼「……ところで」チラッ・・・

結標「ん?」プニプニ・・・

香焼「……何故結標さんは、自分のホッペを突っ突いてるのでしょうか?」ジトー・・・

結標「あら? 嫌だった?」フフッ


嫌というか、恥ずかしそうだ。あと絹旗さんの目が……


絹旗「……」ジトー・・・

麦野「ほら絹旗。アンタも香焼くんに突っ突いて貰ってきなさいよ」ニヤリ・・・

絹旗「で、出来るかボケー!」カアアァ///

麦野「ふふふ、真っ赤になっちゃって。こんな絹旗ちゃんレア中のレアだわー」ニヒヒ!


まぁしかし、此方は此方で仲睦まじい御様子。


神裂「……危惧していた様な事にはならなくて良かったですね」クスッ

固法「危惧?」

神裂「あの子……絹旗さんが人見知りだというので、我々を警戒するかと」

固法「ああ、成程。確かに最愛ちゃんは中々懐かない猫みたいだからね。懐いちゃえばべったりだけど」クスッ

神裂「……香焼は懐かれたと?」

固法「かもね。あの子の心を開かせるのは並じゃ難しいわよ……良い弟さんなのね」フフッ


少々堅物で、甘いが……博愛主義者ですから良い子ではあると思う。


浦上「おぅふ……香焼が面白い事になってるヨ!」ニヤニヤ・・・

五和「コウちゃん! フラグ乱立は今に始まった事じゃないけど、むやみやたらに拡散させると後ろからブスリと刺されるよ!」ジー・・・


コイツらはいつもどおりっと。
941 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 01:54:58.07 ID:RKUpn8+O0
さておき、時間も時間だ。ご飯にしよう。


神裂「五和。テーブルに夕飯を」チラッ・・・

五和「あ、はい。ウラ、ご飯装っちゃって。私オカズ装うから」

固法「私も手伝うわ。何すれば良い?」テクテク・・・

浦上「それじゃあ人数分受け皿とコップをお願いしますネ」ペコッ

五和「あ、コウちゃん。多分メインテーブルだけじゃ足らないから予備テーブル出して頂戴」

香焼「分かったっす……って事で結標さん、離して」ハァ・・・

結標「はいはーい」クスッ


香焼が物置部屋に折り畳み式のテーブルを取りに行く。
彼が消えた刹那……嫌な空気が走った。


絹旗「……」ギロッ・・・

結標「……あら、何かしら?」チラッ・・・

絹旗「オマエ……何でこんなとこに居るんですか?」

結標「そっちの『お姉さん』に聞きなさいな」

絹旗「……」チラッ・・・

麦野「何でも彼の『恩人』なんだって。一緒に寝たとか」ニヤニヤ・・・

絹旗「っ! ……そ、ぅ」エ・・・


あからさまに想い人を奪われた乙女の反応……というか、結標さん。アンタ、ウチの子に何してますの?


結標「……そりゃ語弊よ。別に『情』を交わした訳でも無いから、そこんとこは安心なさい」ニヤッ・・・

絹旗「ぇ、あ、べ、別にショックなんて受けてません! アンタの超勘違いです!」ホッ・・・ギリッ///

結標「あっそ」ニヤニヤ・・・

麦野「あるぇ? 絹旗ちゃーん? 今ホッとしなかったー?」ニヤニヤ・・・

絹旗「む、むきゃあああぁっ!! してませーん!!」フシャー!!

もあい「フシャー!」キッ!


完全にオモチャにされてますね。
942 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 02:15:54.13 ID:RKUpn8+O0
一寸後、小さめのテーブルに香焼と絹旗さんが座り食事が始まった。
献立は……挽き肉と野菜のキムチ炒め。ベトナム風春雨スープ。鮭のムニエル(五和特性赤ワインソース添え)。
追加でナポリタンパスタ(ペンネ)。トーストフレークとシーザーサラダ。

ムニエルは4つ分しかなかったので、全て客人に振る舞う事とした。


固法「おお、豪華! 五和さん。後でレシピを、って……」ア・・・


天草一同、食前の祈中(簡易版)。


麦野「……何か壮大ね」アハハ・・・

結標「そういえば十字教徒なんだっけ」タラー・・・

絹旗「十字、教徒? キリスト教って事ですか?」ハテ・・・

結標「そうなんじゃないの? 私宗教あんま詳しくないから分かんないけど」

固法「広く当てはめればそうでしょう。旧約とか新約、そっから更に派生してるみたいだけど……あまり口出ししないでおきましょ」

麦野「そーね。興味無ぇし」


確かに傍から見れば異様な光景だろう。特に宗教を完全分離させているこの街の人間なら尚更だ。


神裂「―――……すいません。お待たせしました」ペコッ

固法「ううん、大丈夫よ。じゃあ頂きましょう」フフッ

浦上「そんじゃ家主の号令どーぞ」ニヤッ・・・

香焼「え、自分? 上座の姉さんが……」チラッ・・・

神裂「いえ、貴方がすべきでしょう」コクッ


本来であれば貴方が上座に座らなければいけない様な気がするが、それよりも絹旗さんと一緒に食事をした方が良いでしょう。


香焼「はぁ……では、いただきます」コクッ

一同『いただきます』コクンッ

もあい「にゃーぅ」ペコッ


大人数での夕飯が始まった。
943 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 02:33:21.38 ID:RKUpn8+O0
  ・・・香焼side・・・


流石、五和というべきか料理は一同から絶賛された。


麦野「やべぇ! 鮭美味ぇ!!」ムシャムシャ!

絹旗「始まりましたね、麦野の鮭中毒」ハァ・・・

麦野「これ作ったの妹さん? ウチで専属のシェフやらない? 給料弾むわよ!」

五和「ふふふ。御上手ですね、作った甲斐が有ります」

固法「いやいや、ホントに美味しいわよ。教えてもらいたいくらい」フフッ

五和「でも姉様の腕前の方がずっと上ですから」

神裂「いえいえ、最近では貴女の方が腕を振っていますから。きっと既に私を抜いているかもしれませんよ」

浦上「ま、どっちにしたって五十歩百歩ですヨ。美味しい事には変わり無いですから」ハハハ


確かにその点は認めよう。


麦野「まぁでも、これだけウマけりゃ男も困らねぇわな」ハハハ


空気が……割れた。


麦野・五和「「……」」シーン・・・

麦野「……あ、るぇ?」ダラダラ・・・

浦上「あ、え、えっと! き、絹旗ちゃん! ご飯美味しい?」アーアー!

絹旗「もきゅもきゅ……はい。ジャンクフードの超倍美味しいです」ゴックン!

結標「ジャンクと比べてどうすんのよ……てかアンタ、碌な飯喰わせてないの?」チラッ・・・

麦野「え、い、いや……きーぬはぁたちゃん、私の作るご飯美味しいわよねー」チラッ・・・

絹旗「麦野のご飯なんて食べた事ありません」モキュモキュ・・・

麦野「おま、馬鹿正直に答えんな!」ダー!

絹旗「姉貴さんと滝壺さんの料理は超好きですよ」ニカッ!

固法「あら、ありがと」フフッ


良かった。何とか和んだ……
944 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 02:45:33.11 ID:RKUpn8+O0
それから暫く談笑しながら食事は進んだ。ふと、最愛の顔を見る。
自然に……笑いが出ていた。


絹旗「……ん? どうしました?」チラッ・・・

香焼「いや……良かったねって」フフッ

絹旗「んー???」ポカーン・・・

香焼「ははは。楽しいならそれで良いんだよ」クスッ

絹旗「まぁはい。そうですね」クスッ

もあい「みゃー」スリスリ・・・


もあいが『魚くれー』と言わんばかりに最愛に摺り寄ってきている。微笑ましい。


結標「ふむ……ねぇ、香焼くん」チラッ・・・

香焼「はい」

結標「あーん」スッ・・・

香焼「……は?」タラー・・・

絹旗・五和「「なっ!!?」」ギョッ!?


ムニエルの切れ端を此方に差し出してくる結標さん。


香焼「む、結標さん?!」タラー・・・

結標「香焼くん達、お魚食べてないんでしょ。だからどーぞって」フフッ

香焼「べ、別に大丈夫っすよ。自分達は気にせず食べて欲しいっす」アハハ・・・

結標「じゃあ気にしない。だから私の意志で御裾分けー」ニコニコッ

香焼「え、と……」タラー・・・


こんなにも視線が集まる中、そんな真似出来ませんって。


香焼「じゃ、じゃあ、この皿の上に」スッ・・・

結標「あーん」スッ・・・


忘れてた……この人は月詠さんが見てようがお構い無しで、自分を抱き枕代わりにする人だった。
945 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 03:01:43.71 ID:RKUpn8+O0
絹旗「……」ジトー・・・

香焼「結標さん。そんな恥ずかしい真似できませんって」タラー・・・

結標「恥ずかしいの? 何で?」ニヤニヤ・・・


アンタ、今分かって敢えてやってるだろ?


五和「コウちゃん! 姉ちゃんがそれやる時は箸掃うクセに! 他人には優しいのね!」ムキー!

香焼「当たり前だ馬鹿女郎。オマエにやられて喜ぶ男の気がしれない」ジトー・・・

五和「こ、のぅ……これでも姉ちゃん、五中のマドンナって言われてたんだからね!」プンスカ!

香焼「じゃあ実家帰れ」フンッ

五和「うがぁっ!! 生意気な小僧めぇ!! 後で粛清だああぁっ!!」ギニニィ・・・

固法「あれ? 五和さん、こんなキャラだったっけ?」タラー・・・

神裂・浦上「「コレが地です」」アハハ・・・


さておき、未だに『あーん』とか言ってる結標さん。如何したものか。


麦野「……絹旗ちゃーん。アンタもしなさいよー」ニヤニヤ・・・

絹旗「い、嫌じゃボケ!」グヌヌ・・・

麦野「意地張ってるとそこの痴女に香焼ちゃん誘惑されちゃうわよー」ニヤニヤ・・・

絹旗「っ……嫌です」ウー・・・

香焼「そこ! 物事ややこしくしないで下さい!」

五和「あ、じゃあ姉ちゃんも参加! コウちゃん、あーん」スッ!


そのキムチ炒め自分も喰ってる。コッチ寄越す意味が無いだろ。
これは完全に無視っと。


固法「結標さん、五和さん。香焼くん困ってるからその辺にしといてあげなさい。いつまでもご飯片付かないわよ」メッ

結標「香焼くんが食べれば問題無いわ」フフッ

五和「そういう事! コウちゃん口開けないと捻じ込むわよ!」クワッ!


だからそういう問題じゃ無く。オマエらが箸を納めろって事ですよ? 分かりませんか?
946 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 03:19:51.38 ID:RKUpn8+O0
自分が呆れかえって、女教皇様に助けを求めようとした時……最愛が告げた。


絹旗「もあい!」ニャー!

もあい「みゃー!」シュッ!

五和・結標「「あっ!?」」ナ・・・


パクンっと、綺麗に二人の箸先のモノを飲み込んだもあい。ナイス。


五和「もあいに……喰われた」ガーン・・・

結標「むきー! 猫風情がー!」グヌヌ・・・

絹旗「猫嘗めんな超ボケー!」フシャー!

もあい「なー」モグモグ・・・


流石猫の女王(仮)。頼りになる。


香焼「最愛、ありがとね」フフッ

絹旗「いえ、食事は行儀良くするものです。二人が超マナー違反だっただけですから」エッヘン!

麦野「アンタの中で猫使うのは違反じゃないのね」アハハ・・・

絹旗「もあいは友達だから良いんです」ムンッ!


何という超トンデモ理論。


固法「えっと、とりあえず食べ終えちゃいなさい。何時までも片せないでしょ」メッ

麦野「って、オカンが言ってるわ。アンタ達、遊んでないで食べちゃいなさい」

固法「誰がオカンか!」ジトー・・・

絹旗「姉貴さん、次は超オカンになるんですか?」エ?

固法「なりません! いいから食べる!」ハァ・・・


この人は多分、何処居ても世話焼きタイプなんだろうなーと苦労人(同族)臭を感じてしまった。
947 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 04:09:01.31 ID:RKUpn8+O0
 ―――とある日、PM08:10、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・神裂side・・・





一同『ごちそうさまでした』ペコッ


特に大きな事故(?)もなく夕飯終了。
客人にデザートのフルーツポンチを出し、私と五和・浦上、そして例の如く固法さんが食器の片付けをする。


香焼「では一旦、自室に行ってくるっす。直ぐ戻るので宜しくお願いします」テクテク・・・

もあい「なー」トコトコ・・・

結標「あ、私、香焼くんの部屋見てみたーい」スッ・・・

3姉妹『っ!!?』ギョッ・・・

香焼「……ダメっすよ」ニコッ・・・

結標「えー。ちょっとだけ。ね?」フフッ

香焼「駄目っす」ニコニコッ・・・

結標「あれー? もしかして女の子に見せられない様なモノを隠し――」

香焼「だめ」ニッコリ・・・

結標「――うっ……わ、分かったわ」タラー・・・


そしてもあいと共に『自室』へ消えて行く香焼。


麦野「ははは。馬鹿ねー。思春期の男の子がそう簡単に部屋の中入れてくれる訳無いじゃない」クスッ

結標「何かそういうのじゃない気が……ねぇ。香焼くんの部屋って、何かあるの?」チラッ・・・

3姉妹『……』ジー・・・

結標「……え?」タラー・・・


私達も、入った事無い。


麦野「入ろうとした事は有るって事?」

五和「えっと一応……でも……」タラー・・・

浦上「……入れませんヨ」タラー・・・

神裂「まず部屋の戸を見れば厳重さが分かりますって」チラッ・・・


一同、廊下の横……和室部屋の戸を見遣る。


結標「何、あれ? ●イレントヒル4?」エ・・・

絹旗「一体何があるんですか? もあいは普通に入って行きましたよ?」

神裂「分かりません。見た事無いので……」

麦野「ブチ破った事無いの? 非常時どうすんのよ?」

固法「ブチ破るって……麦野さんじゃないんだから」ハァ

麦野「……このぅ」ムニュッ

固法「何処揉んでんの馬鹿!」パシッ!

五和「あはは……破ろうとした事はあるんですが……」タラー・・・

麦野「ほら見ろ! って痛たたっ!」ムニュムニュッ! ゴチンッ!


あの扉、壊せません。
948 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 04:26:09.60 ID:RKUpn8+O0
麦野「え……火織の馬鹿力でも?」

神裂「馬鹿力て……貴方にいわれるのは癪ですが、はい」

固法「試す時点で如何なのよ」タラー・・・

麦野「じゃあ絹旗。アンタやってみなさいよ。純粋な馬鹿力ならこの街でもトップクラスでしょ」チラッ・・・

絹旗「嫌です」キッパリ!

結標「けっ。良い子ちゃんブリやがって」ジトー・・・

絹旗「人が嫌がる事はしない主義なんですよ。超アバズレ」ジトー・・・

結標「あばず……ちょっと、教育なってないわね」チラッ・・・

麦野「あら、教育通りよ?」ニヤリ・・・


そこ、無駄に喧嘩しない。


麦野「あ、じゃあ美偉の能力で中見れないの?」

固法「え? 見れるかもしれないけど……本人の許可無しには出来ないわ」

結標「はいはい。流石風紀委員さまねー」ケッ!

絹旗「超アバズレと超姉貴さんは天と地ほど違うんです。悪の道に誘わないで下さい、超アバズレ」ジトー・・・

結標「アンタさっきから何回アバズレ言う気? ねぇ……超糞餓鬼……」ギリリ・・・

神裂「だから喧嘩するなと……とりあえず、あの子の部屋については禁忌(タブー)でお願いします」


最悪、機嫌損ねるから。


結標「香焼くんも機嫌損ねる事あるんだ」ヘェー

浦上「五和(お姉)みたいな対応されはじめますヨ? 最悪、終始無言で笑顔の暴力ですから」アハハ・・・

五和「うん、コウちゃんの無言笑顔は……」ブルル・・・

絹旗「笑顔の暴力?」ポカーン・・・


まるで赤の他人として接してくるという事だ。


絹旗「うっ……香焼にそれやられるのは……」タラー・・・

結標「嫌ね……」タラー・・・


あのレッサーでさえ涙目モードにさせるのだ。平和でいたいならあの部屋に手を出すべきではない。
949 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 05:02:51.44 ID:RKUpn8+O0
数分後、香焼が戻ってきた。
一同何事も無かったかのように冷静を保っている。


香焼「……何か?」エ?

神裂「いえ、何でも……」アハハ・・・

浦上「あーえっと、そいやぁそろそろ映画の予約しとかなきゃなー」ニャハハ!

五和「あ、うん、そうね。コウちゃん、ハードのメモリ空けていい?」

香焼「どうぞ勝手に。どうせ自分録画機能使わないし」

もあい「なー」コクンッ


映画……そういえばもうそんな時間か。忘れていた。


絹旗「む? 今日の映画なんでしたっけ?」

浦上「『ザ・グルーモ2』だヨ。おっかないぞー」ニシシ!

絹旗「っ!! 急いで浜面に録画予約を頼まねば!」カチカチ・・・

五和「あれ? 絹旗ちゃん、スプラッタ大丈夫なのかな?」

麦野「大好物よ、この子」アハハ・・・

結標「趣味悪ー……」タラー・・・

絹旗「スプラッタが好きなんじゃなくて、超適当なシナリオと超ミスマッチな程迫真な残虐シーンのギャップが超良いんです!」キリッ!

香焼「相変わらず良く分からないセンスだね」アハハ・・・


私にはスプラッタ物の良さが分からない。よくもまぁあんなグロテスクなモノを見れるものだ。


浦上「姉様が極道モノ(Vシネ)とか多少サイコな時代劇モノ見れるのと同じですヨ」アハハ

固法「あら、Vシネ面白いじゃない」

麦野・結標「「……」」ジトー・・・

固法「な、何よ?」

麦野「極妻……」ボソッ

結標「極妻ね……」ボソッ・・・

固法「まだ言うか、アンタら……」グヌヌ・・・


まぁ彼女達の中にそういうキャラで定着してますからね。 
 
958 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 20:29:02.23 ID:RKUpn8+O0
 ―――とある日、PM08:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・神裂side・・・


現在各々寛ぎ中。
絹旗さんは香焼にルールを教わりながら小テーブルでチェスを。固法さんはキッチンで五和にムニエルのソースのレシピを教わっている。
残りの面子は、大テーブルで駄弁りんぐ。


麦野「しっかしまぁ……恐ろしい程平和な家ね」ボリボリッ

結標「煎餅落ちてるわよ。ま、アンタの『教育』が行き通ってる御蔭かしら?」チラッ・・・

神裂「別に。ドチラかというと私も、この子達に感化された方ですよ」クスッ

浦上「あはは。まぁそれは多分五和(お姉)のマイペースの御蔭でしょーネ。控え目奥手だけど、身内にはアレですから」ハハハ


確かに、私も浦上も香焼も、主体的ではない。
彼女には今後リーダー分として先頭に立って貰わねばという建宮始め前線組の意向の通り、然るべき器に育って欲しい。
多少腹黒い所は有るが、現状では十分と言って差し支えないだろう。


麦野「ふーん。それに……」チラッ・・・

神裂「絹旗さん、ですか?」

麦野「珍しいを通り越して貴重よ。ああいう同年代の子は」ジー・・・

結標「あら……困るかしら? ああいう甘ちゃんに仲良くされるのは」クスクス・・・

麦野「……プライベートなら構わねぇよ」フンッ・・・


プライベート。その一言に、深く、暗く、重い意図を感じる。


結標「プライベートねぇ……(コイツ、香焼くん達の素性知らないのかしら?)」ヘェ・・・

麦野「そういう事。普段はこうでも……もしかしたらアンタ達を『蜂の巣』にしなくちゃいけないかもしんないでしょ」サラッ・・・

神裂「……聞かなかった事にします。馬鹿な事は二度と口走らないで下さい」ギロッ・・・

麦野「ん……あいよ。悪ぃ」ポリポリ・・・

結標「まぁそうならない事を願うわ。アイツ、固法美偉に『同時の弔報』なんか知らせたくないでしょ?」チラッ・・・

神裂・麦野「「……」」

浦上「あ、あははは……(何かこの人達、怖いヨ!!)」タラー・・・


されど、彼女達に『救いの手』が必要とあらば……対峙する覚悟を持っておかねばなるまい。
私は既に覚悟済み。『If』があれば麦野沈利を半殺しにしてでも止めるつもりだ。アチラも撃つ撃たれる覚悟があろう。

だが……


絹旗「―――……うーん、何で取った駒は復活できないんですかね?」ムゥ・・・

香焼「ははは。将棋とは違うからね。リアルなんだよ。やられた兵士はその場で処刑(ドロップアウト)……西洋的だよね」クスッ

絹旗「超効率悪いですね。捕虜を上手く使えなきゃ戦争には勝てませんよ」フムフム・・・

もあい「なー」ジー・・・


彼・彼女達は、どうだろうか。
959 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 20:55:24.60 ID:RKUpn8+O0
神裂「……無粋ですね」フルフル・・・


こんな考えは要らない。最悪を考える事事態が、最悪を招く火種だ。止めておこう。


固法「―――……ふむふむ。よーし! 今度家で試してみるわ」テクテク・・・

五和「ふふっ。是非感想聞かせて下さいね」テクテク・・・


どうやら料理組の講座が終わったようだ。


麦野「おやおや、家庭持ちは努力家ねぇ」ニヤッ・・・

固法「もう、そんなんじゃないってば。純粋な興味よ」プンスカ!

結標「興味ねぇ……私には無理だわ。出来るなら料理出来る召使い欲しいわね」

麦野「私都市来る前、執事付きだったわよ。料理も家でシェフ雇ってたし」サラッ

結標「お黙る! このブルジョア階級め!! そういうリアルな話ぶつけんな!!」ウガー!

五和「麦野さん、凄いですね! 御嬢様なんですか!」オー・・・

麦野「あはは。まぁでも、火織の方が御嬢様なんでしょ? 前に言ってたじゃない」クスッ


私の場合は御嬢様という扱いでは無く、巫女とか聖女とか教皇とか……『産れ付き』のアレコレだ。
自分ではどうしようもない。


結標「……どーせ庶民階級ですよー」ベー・・・

固法「む、結標さん。この街はそういうの関係無いでしょ」モゥ・・・

浦上「能力強度(実力)主義ってヤツですか?」ポカーン・・・

固法「違います。この街は自由の街なの。フリーダムではないけど、リバティの方でね」


フリーダム……完全な自由。リバティ……規約ありき、約束された自由。


麦野「ははは、美偉らしいわね。風紀委員で無能力者の旦那持ち。確かに差別は無ぇし、かといって自由勝手って訳じゃない」ハハハ!

固法「良い考えでしょ? 私は気に入ってるわ」フフッ

浦上「へぇ……(固法さん、女教皇様みたいな事言いますネ)」クスッ

神裂「私も素敵だと思いますよ。(気質なのでしょう。この街では珍しいタイプでしょうがね)」コクン・・・


成程。博愛の精神と規律の心か。彼女らしい。
960 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 21:12:10.95 ID:RKUpn8+O0
五和「……ところで、固法さん」チラッ

固法「何かしら」

五和「さっきから『旦那』とか『極妻』とか言われてましたけど、如何いう意味です?」ハテ?


五和と浦上以外がお茶を吹きかけた。


固法「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・麦野さんと結標さんの所為だからね」ジトー・・・

麦野「だははははっ! 私は嘘言ってねぇもーん!」ケラケラ!

結標「ふひひひ! 私もよー!」アヒャヒャ!

五和「えっと……へ?」チラッ・・・


私を見るな。本人に聞け。


固法「いや、そのね……彼氏の事よ」モゥ・・・///

五和「……お、おぉう。ぼ、ボーイフレンドですか!?」wktk!

固法「ボーイフレンドって……そういう言い方されたのは初めてかな」アハハ・・・

麦野「だから言ってんじゃん。旦那だって。まだ結婚してねぇど」

固法「それは、その……まぁ、結婚(ゴール)まで行けたらいいなぁっては思うけど……そういう呼び方はまだ……」モジモジ・・・///

五和「結婚(ゴール)……ほぇ……」キラキラ・・・

固法「ほ、ほら! 二人とも経済的に自立してないし、都市内で結婚するとなると手続きとかも……だから」

五和「でも学生結婚とか素敵ですよね!!」キラキラ・・・

固法「え、えっと……」タラー・・・チラッ


五和の乙女回路がフル回転している。そろそろ止まりなさい。


絹旗「香焼。学生結婚って何ですか?」

香焼「読んで字の如くだよ。学生の内に結婚する事」

絹旗「ふむ……でも兄貴さんは学生じゃないですよ。超フリーターです」サラッ

香焼「え、えっと、就職できれば良いね」アハハ・・・

もあい「にゃん」フシフシ


向こうで辛辣な事を告げる少女。いい加減誰か雇ってやれよ、と言いたくなる。
961 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 21:50:50.96 ID:RKUpn8+O0
それから五和の質問攻めが始まった。便乗して麦野さんもいつもの悪乗りを仕掛ける。


五和「固法師匠! 質問です!」グイッ!

固法「師匠って……」タラー・・・

麦野「美偉ちゃんシショー!」ニヒヒ!

固法「……麦野さんはいつも通りね」ハァ・・・


確かに。


五和「それでは…… >>963 」

浦上「何質問するかの安価だヨー」フヒヒ!


浦上、メタは止めなさい。
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/26(日) 21:54:00.22 ID:ZLlSIhDIO
鈍感な男を振り向かせる為の心得とは?
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/06/26(日) 21:57:25.97 ID:0ywPvtIIo
フラグ乱立の男を堕とすには
965 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 22:36:16.71 ID:RKUpn8+O0
五和「そのですね……意図せず多数の女性に好意を寄せられてしまう男性を自分のモノにするには如何すればよいでしょうか!」グイッ!

浦上「わぁお……そうきましたか」ニヤニヤ・・・

麦野「ん? ……火織、アンタも聞いといたら?」ニヤニヤ・・・

結標「メモ準備出来ました!」カッ!

麦野「何でアンタまでマジになってんのよ」タラー・・・


……参考程度にお聞きしましょう。


固法「えっと、ようはモテる男の子をって事かしら?」

五和「モテる……うん、まぁ恰好良いかどうかといわれるとアレですが、男性として魅力的な感じですね」

浦上「あーうん……まぁ正直ルックスは並ですからネ」アハハ・・・

麦野「でもさぁ、それって黒妻くんとはちょっと違うタイプじゃない? 彼一途だし、参考なる?」

固法「……先輩、昔は浮気性っていうか、特定の女性と付き合う様な人じゃ無かったわよ」アハハ・・・

結標「え? 嘘……あんなにイチャラブなのに?」ヘェ・・・

神裂「特定の女性とは、付き合わない?」ポカーン・・・


如何いう意味だ?


固法「えっと、不純な……関係っていうか……うん……」タラー・・・

浦上・麦野「「あー、成程」」アハハ・・・

神裂・五和「「……え?」」


※お察し下さい。


固法「まぁ先輩の昔は良いとして……その彼って女性関係はだらしないの?」

五和「だらしなくはないと思います。うっかりスケベとかは多いみたいですけど……意図して馬鹿な真似はしない筈です」

固法「モテるのに立派ね……」アハハ・・・

麦野「美偉の場合は如何したのよ? 気になるわー」ニヤニヤ・・・

固法「私の場合は……無理矢理更生させたわ。いきなり『抱かせろ』言ってきたから始めに一発ビンタ喰らわせてやったわよ」ニコッ・・・

結標「怖っ!」

麦野「あ、でもその一発で惚れた訳だ」フフフ・・・

固法「まぁそうなのかも。その後も色々あったけどね……とりあえず、相手の予想外の角度から攻め込むのは効果的なんじゃないかな」


予想外の角度?


固法「手としては普通にデート誘ってみるとか。ホントに『普通』のデートよ。イロモノとか無し。単純故に予想外」

神裂「成程……(しかしそれは既に試したやも)」グヌヌ・・・

固法「ただしガードが堅過ぎると相手はヘコむ。『自分はこの人と付き合えるんじゃないか』って期待持たせるのは大事ね」

五和「でも、朴念仁の場合は如何すれば」ムゥ・・・

固法「朴念仁?」ウーン・・・


確かに、それが最大の壁だ。


香焼「へくちっ!」クシュンッ!

絹旗・もあい「「にゃ?」」ビクッ!

3姉妹・結標(……此処にも居る)チラッ・・・
966 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 23:00:54.93 ID:RKUpn8+O0
固法「朴念仁の相手は一番簡単だと思うけど」ウーン・・・

一同『っ!?』ガタッ!

固法「素直に思い伝えた?」


そ、そんな恐ろしい事出来る訳が無い……


固法「例えば……私が普通の男子だったら、此処に居る誰かに告られたら一発OKよ」

麦野「美偉ちゃん、結婚して下さい」サラッ

固法「さようなら」ニコッ・・・

麦野「うぐっ……じょ、冗談よ。冷たくしないでー」タラー・・・

固法「さておき、朴念仁ってのは中々相手の意を汲めない人でしょ。だったら『意志』を明確に表してあげればいいのよ」

五和「で、でも……どうやって」タラー・・・

固法「如何って、『好きです』の一言」

神裂・五和「「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理」」ガタガタ・・・

浦上「あはは……二人とも一生無理ですネ」タラー・・・


というか多分、その『好きです』も『付き合って下さい』も彼の中で超解釈されて伝わらないと思う。


結標「あー、ようはこういう事ね……香焼くん」チラッ・・・

香焼「え?」

結標「私、香焼くんの事好きよ」ニコッ

一同『っ!!?』ギョッ・・・


何を言ってんですか?!


香焼「あはは、ありがとうっす。自分も結標さんの事好きっすよ」ニコッ

結標「ほらね」ハハハ・・・

絹旗「なァにが……ほらねじゃ、こンの超アバズレ女ァっ!!」ガアアァッ!!

結標「アンタも言ってみれば分かるわよ」サラッ

絹旗「え」ピタッ・・・カアアァ///


あー、うん。そういう事です。


固法「成程ね……そういうタイプかぁ」タラー・・・

五和「はい……多分、コウちゃん以上に朴念仁です」ハァ・・・


皆、困ってます。


絹旗「こ、こここ、こーやぎ!」カアアァ///

香焼「どうしたのさ」タラー・・・

絹旗「す、すすす、す、好……すき……もあいが! 超好きだって言ってます!」カアアァ///

もあい「……にゃ?」タラー・・・

麦野・結標「「ヘタれ」」アハハ・・・

香焼「え、あ、うん、ありがと。もあいも最愛も好きだよ」ニカッ!

絹旗「あ、ぅ……」ボンッ・・・シュー・・・/////////////////

一同(ああいうの、良いなぁ)ニヤニヤ・・・
967 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/26(日) 23:45:58.91 ID:RKUpn8+O0
固法「まぁでも、今のは真剣に向ってないでしょ」アハハ・・・

五和「でも真剣に向った所で……」ムゥ・・・

固法「……五和さん」ピタッ・・・

五和「え、はい」

固法「本気でその人と付き合いたいって思ってる?」ジー・・・

五和「え……」


真剣。


固法「アプローチを掛けても想いが伝わらない。彼が気持ちを彎曲させる。だから試しても無駄……その考えは逃げよ」

神裂・五和「「……」」コクコクッ・・・

固法「相手が如何こうの前に、自分に負けてちゃ恋なんて出来ないわ。ふられるのが怖い? 理解して貰えないのが怖い?」

神裂・五和「「……それは」」ムゥ・・・


確かに、私達は真剣さに欠けているのやも知れない。


固法「私の後輩にも似た様な娘がいるけど、彼女はアタックだけは頑張るわ。やり方は間違ってるけどね」アハハ・・・

麦野(超電磁砲ェ……)

固法「まずは真剣になる。本気で想いを伝える。その覚悟が無いなら口を紡ぐ。勇気が無いなら私達が応援する……簡単でしょ」フフッ

神裂・五和「「お、おぉ……」」コクコク・・・

浦上(言ってることは当たり前なんだけどネー。この二人はその当たり前が出来ないからナー)アハハ・・・

麦野「……だってよ。アンタも試してみなさい」フフッ

結標「よっしゃー! 香y」

麦野「そっちじゃなくて、第1位の方よ」クスッ

結標「ぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぃ?」エ・・・

麦野(……今一、コイツの本命が分かんねぇな)ウーン・・・


兎に角、参考になった。助かる。


浦上「……あ、そんじゃあ私が固法のお姉さんにしつもーん!」ハイハーイ!

固法「え? まだ何かあるの?」タラー・・・

浦上「ふふふふ……私は恋愛とかじゃなくてぇ、彼氏さんとの話を聞きたいのですヨ」ムフフ・・・

麦野「あ、私もそれー」ニヤッ・・・

固法「ぁ、えー……」タラー・・・


この子はまたお馬鹿な事を……


浦上「そいじゃあ…… >>970 ……で!」ビシッ!!

970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/06/26(日) 23:53:31.72 ID:xkwUYAsfo
兄貴との夜の生活について
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/06/26(日) 23:58:21.57 ID:xkwUYAsfo
あら・・・エラーが出たから書きこめてないと思ってたよ
ほんと申し訳ない
972 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 :2011/06/27(月) 02:07:27.03 ID:mxN3Bjdi0
※再開!



浦上「そいじゃあ……彼氏さんとのムフフ話を聞きたいですネぇ」ニヤッ・・・

固法「は、い?」タラー・・・


このお馬鹿。


固法「え、えっと……それなりよ」アハハ・・・

浦上「私はそんなあいまいな事を聞きたいのでは無いんですヨ? 大体週2,3くらいのニャンニャンで?」フッフッフ・・・

麦野「お! 私も気になるわ。黒妻くんもそっち関係教えてくれないし」ニヤニヤ・・・

絹旗「週2? にゃんにゃん?」ニャー?

香焼「さ、最愛。ちょっとベランダ行こう」アハハ・・・スッ・・・

絹旗「え? あ、わとと」トテトテ・・・


空気を読んだKENZENな少年少女。


結標「アンタらは聞くの?」ニヤッ・・・

神裂・五和「「……ご、後学の為に」」アハハ・・・

麦野「このムッツリ助平姉妹め……そんで、ミーちゃーん?」フフフ・・・

固法「う、ぅ……こんな話、聞いても面白くないでしょ」タラー・・・

浦上「いえいえ、この上なく面白いですヨ。普段聞けない貴重なお話ですからネ」ククク・・・

固法「……黙秘権は」

麦野・結標・浦上「「「ナッシング!」」」ニカッ!


ほれ話せ。やれ話せ。


固法「神裂さんまでノリノリって……この手の話、いっつも真っ赤になってるくせに」ウー・・・

麦野「いいからさっさと話せー。ペースは? 場所は? 好きな[らめぇぇっ!]は?」グヘヘ!

結標「どういう[禁則事項です]? いつも[あぼーん]なの? [ピーーー]死ぬ、どっちが好き?」グヘヘヘ!

固法「こいつら……」プルプル・・・///


今、トンデモ無い言葉が飛びだしたが……事の真意は如何に!
973 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/27(月) 02:34:01.70 ID:mxN3Bjdi0
浦上「まぁまぁ、とりあえず真面目に知りたいんですヨ。付き合うと実際どういう風に夜の営み続けるのかなぁって」

固法「うーん……とりあえず、私達はそんなにペース早くないわよ。多くて週3。少なくて月1くらいだし」

五和「や、やっぱり週3とかあるんですね」オォ・・・

固法「長期休みで互いに何も無い時とか……ノリで、ね。結構無駄な時間多いし、お勧めしないわよ」アハハ・・・

麦野「とか言いつつー、やってる本人達は超満足してるのよねー」ニヤニヤ・・・

固法「う、五月蠅い! 仕方ないでしょ……」ムゥ・・・///

浦上「でも、月1ってのは? 互いに忙しい時とか?」

固法「そうね。だから互いの休みの日に2日丸々使ってホテルに居るって感じよ」


二日間も持久戦をするのか?!


固法「持久戦って……えっと、ちょっとノロケっぽい言い方だけど……ゆっくりHするの」ポリポリ・・・///

一同『お、おおぉ!』ガタッ!

浦上「スローセックスってヤツですかネ?」フフッ

固法「時間を掛けて絶頂っていうよりは、互いの肌に触れ合ってる時間が欲しいかなって……あはは。生々しくてごめん」///

麦野「かあああぁっ!! 中てられる~!!」アチー!!

結標「コイツが同い年とか絶対ぇ信じないわ……アンタもう20過ぎてるでしょ」フイー!


確かに。これが一つ上を往く女という訳か。


五和「ぜ、絶頂って……互いの肌にって……」カアアァ///

神裂「う、浦上……よくそんな言葉知ってますね」カアアァ///

浦上「にゃはは。伊達に建宮さん達とエロトークこなして無いですよ」ハハハ!

麦野「あ、ちなみにきちんと避妊してんの?」ニヤッ・・・

固法「私はするわよ。最近は都市製の能力緩和剤(ピル)も飲むし……RSPK症候群・乱雑開放(ポルターガイスト)起こすと大変だから」

浦上「でも最近のホテルは簡易のAIMジャマー付いてるんじゃないんですか?」

固法「個人差あるわよ。私の場合は絶頂時に他の部屋まで透視し(覗い)たり、相手の身体の筋肉繊維や骨細胞、透視ちゃうから」アハハ・・・


そういえば能力者は精神が極度の興奮・緊張・不安定状態になると乱雑開放(ポルターガイスト)という現象を起こすらしい。
……幻想殺しを持つ彼相手ならその心配は無いだろう。というか私能力者じゃないし。


浦上(……今、女教皇様とお姉同じ事考えてるネー)フフフ・・・

結標「……あのさ、実際乱雑開放激しいってか酷い女って男に嫌われないかな」ボソッ・・・

固法「え?」Why?


珍しく真面目な表情の結標さん。どうしたのだろうか。
974 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/27(月) 02:53:59.91 ID:mxN3Bjdi0
固法「人それぞれだと思うけど……ぁ……」ピタッ・・・

結標「……アンタは白井さんから聞いてるでしょ。そういう事よ」ボソッ・・・

麦野「(そいやぁコイツ、補助器付けてねぇと暴走しやすいんだっけ?)……だけど面倒臭いっちゃ面倒臭いかもな」

浦上「友達が破瓜の時に大変だったって言ってましたけど、そうなんですか?」

固法「うん、まぁ最初は仕方ないと思うわよ。女性である限り通らなきゃいけない痛みの筈だから」

結標「いきなり部屋のモノ打っ壊したりしたら……」

固法「結標さん……その程度で貴女をふる様な相手とは付き合うべきじゃないわよ。男子だったらそれぐらい許容できなきゃ」メッ!


成程。良い言葉だ。後で香焼に言って聞かせよう。


浦上「カオリ姉様、アンタ真顔でそういう事言ったら香焼ドン引きですヨ?」タラー・・・

五和「因みに……エッチってどのくらい痛いんですか?」

固法「痛みの感じ方は人それぞれだけど……膣も筋肉よ。要は使ってなかった箇所を無理矢理広げたイメージね」


筋断裂?


固法「筋断裂とはまた違うかもしれないけど、筋肉って使えば柔らかくなるでしょ。慣れれば痛さは減るかな」

麦野「んで? 美偉の場合は?」ニヤッ・・・

固法「私は……痛かったけど、先輩上手だったから」アハハ・・・

麦野「うひゃー! 年上の手慣れた彼氏はそういう点で羨ましいねぇ!」

結標「た、互いに初めての場合は如何すればいいのかしら?」

固法「うーん、如何なんだろう……とりあえず女性がリラックスさせてあげるべきだと思うわ。男の子って変に気張っちゃうから」

浦上「やっぱ男子の方がリードしようとしますからねぇ。女性はムード作りと受け入れ態勢と」フフッ

固法「そうだと思う……って、浦上ちゃん色々詳しいわね」タラー・・・

浦上「いやまぁ、あははは」ポリポリ・・・

五和「……ウラ、やっぱ私達にも何か隠してるわね?」ジトー・・・

浦上「いやいや、私に彼氏が出来たらキチンと二人には報告しますヨ」ニコニコッ


嘘臭ぇ。
975 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/27(月) 03:30:02.29 ID:mxN3Bjdi0
固法「兎に角、互いに意地張るのは良くないわ。初めてなら特にね」

浦上「あと男子の失敗を許容してあげるのも女子の努めですよネ」

固法「そうね。Hで女性の失敗っていうのはそうそう無いから……基本、男性は女性が自分より先に絶頂したの見ると喜ぶし」アハハ・・・

麦野「ほぉ……つまり美偉は演技名人だと?」ニヤッ・・・

固法「だから私の場合は……先輩が回数こなして来てる人だから、さ。偶に過剰演技もするけど」ポリポリ・・・///

結標「ふむふむ……演技も、手段の一つ、と……」メモメモ・・・

固法「セックスの心持としては3種類なんじゃないかな? 行為自体の快楽。共に在る安堵。それから子作り」

神裂「情交の目的は本来『子を為す』事なのでは?」

固法「そうだけど現状子供を持てる立場じゃないから……今は2番目を大事にしたいかな。宗教(神裂さん達)的には不純かもしれないけど」


別に私はそんなに堅いシキタリを設けるつもりは無い。
昔のように初夜権を領主に渡せだの、婚姻3ヶ月は情交禁止など、老人達の古臭い考えを持ち出す気は無い。
不純な交遊は善しとは言えないが、互いに愛し合ってるのであれば人が口出しできる問題ではない。寧ろ計画的なのは悧巧だろう。

というかぶっちゃけ英国の宗教歴史は『不倫』と侵略の歴史ですしー。私知ったこっちゃなーい。


五和「しかし固法さん……大人ですね」タラー・・・///

神裂「そ、そうですね。驚きます」タラー・・・///

浦上「ふふふ、お二人も少しはオリアナ姐御やベイロープさんと会話してみたりすれば良いのですヨ」ニヒヒ!


ベイロープはまだしも、オリアナ(あの人)は駄目です。思考回路が吹っ飛びます。


固法「とりあえずこのくらいで良いかしら? これ以上の事になるとあんまりベラベラ話せる様な事でもないし」タラー・・・

神裂「そうですね……うん、勉強になりました。ありがとうございます」コホンッ

五和「また機会があればお願いします」ペコッ

固法「そんな大した事教えてないわよ。ま、もし実際に本番あるかもって時だけは、もう少し教えるから」アハハ・・・

麦野「私達は当分無いわねー」ハッハッハ! ハァ・・・

固法「麦野さんは壁厚くて高過ぎるのよ。もっと下げれば良い彼氏出来る筈だってば」クスッ

麦野「……ヤだ」ウーン・・・

結標「アンタも強情ね。脈有るヤツくらいいないの?」

麦野「……うっせぇ」ボソッ・・・

固法「焦る事でもないからゆっくりで良いわよ。結標さんは、キチンと『本命』見極めてね」クスッ

結標「は?」ポカーン・・・

麦野(案外コイツこそ朴念仁なんじゃねぇのか?)ジトー・・・


恋愛とは難しいモノですね。流石世界の第一元素。奥深い。


浦上「固法さん、固法さん……後でこっそり『技術面』でのお話聞かせてネ」ボソボソ・・・ニヤッ・・・

固法「え……えっと、浦上ちゃんも隠してる事教えてくれたら良いわよ」ボソボソ・・・フフッ

浦上「うぃうぃ」ニヤリ・・・


そこ、二人で危険な話しない。
976 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/27(月) 03:54:30.16 ID:mxN3Bjdi0
 ―――とある日、PM09:15、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・香焼side・・・





中ではかれこれ一刻ほど恋慕話を続けている。御蔭で随分冷え切った。


絹旗「香焼ー、今度は超ゆっくり動いてる星を見つけましたよー。アレは何ですか? 彗星?」ジー・・・

香焼「え、彗星? ……って、あれ人工衛星だよ。よく周回してるヤツ見つけたね。ひこぼしかな?」クスッ

絹旗「おお! 超レアって訳ですね! 流石超天才美少女な私です! 折角ですからもあいにも見せてやりましょう!」スッ・・・

もあい「にゃぅ? (見えんがな)」ポカーン・・・


現在二人で天体観測中。退屈だから直ぐ飽きるかも、と思ったが存外ウケが良かった。
確かに、そうそう真面目に星を観る機会なんて無い。


香焼「それじゃあ……第7学区(アッチ)の方に向けてっと……あ、いた。最愛、覗いてみな」クスッ

絹旗「え? ……うわぁ。超⑦(バカ)が居ました。なんでこんな時間にビルの上居るんですか?」タラー・・・

香焼「趣味でしょ、軍覇の」ハハハ

絹旗「げっ! アイツ、こっち見えてるんですか? 手ぇ振ってきましたよ!」ウワァ・・・

香焼「あはは、流石スーパーマンだね」フフフ

絹旗「……あ、今度は消えた。街の方降りて行きましたね。また事件でも見つけたんでしょうか」

香焼「軍覇は、正義の味方だからね……」クスッ


羨ましいとも思う。あれだけの力があれば何でも守れる。


絹旗「香焼は……壊す事じゃなくて、守る事を考えるんですか?」

香焼「いけないかな?」

絹旗「ううん。良いと思います……どちらかといえば、私もそっちですね」フフッ

香焼「うん、最愛は優しいからね。力もあるし……実際、守れる能力もあるみたいだから」クスッ

絹旗「……そう、かな」ポリポリ・・・


私利私欲では無く、誰かの為……救われないモノの為に。


絹旗「……そういえば、前に言ってた手品(マジック)。お姉さん達も出来るんですか?」

香焼「あ、えっと、あはは……まぁね。でも内緒にしててよ。ばらしたっての知れたら怒られるから」クスッ

絹旗「えー、どうしよっかなぁ」クスクス・・・


どうやら相当自分の手品……魔術(マジック)が気に入ったらしい。困ったモノだ。
977 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/27(月) 04:45:11.31 ID:mxN3Bjdi0
絹旗「それじゃあまた手品見せてくれたら黙っておきます」クスッ

香焼「あはは。参ったね」ポリポリ・・・


それじゃあ簡単なモノを見せるか。
近場にある物で……スリッパ、観葉植物の葉、鋼糸(ワイヤー)、豆クラッカー……そして天候晴れ。時刻9時過ぎ。


香焼「ではでは、種と仕掛けしかございません」フフッ

絹旗「ありゃ、超駄目駄目な手品ですね」クスクス・・・

香焼「ふふふ……此処に数枚の葉っぱがあります。これを『ことのは』にしてみせましょう」ニヤッ・・・プチプチッ

絹旗「ことのは、ですか?」ハテ?


要は言葉……言霊(こただま)術式だ。名は体を表する、という簡単な且つ基本的な魔術。
駄洒落やギャグなんかも応用できるが、今から見せるのは基本中の基本。


香焼「葉は、葉っぱ……葉っぱは発破……」スッ・・・

絹旗「え?」ポカーン・・・

香焼「コッチ来て……静かに」パラパラ・・・

絹旗「うん」ドキドキ・・・

もあい「にゃー」ジー・・・


ベランダの下に葉を落とす。そして魔力を流し……


絹旗「……わぁ!」キラキラ・・・

香焼「ふふふ。季節外れの天の川ーってね」クスッ

絹旗「おぉ……超凄いです!」キラキラ・・・

もあい「みー」プラプラ・・・


別に大したことはしてない。
葉っぱを少し燃え易くしただけだ。そこに魔力を流し破裂させる。その際、ついでに魔力を散らせ色を付けた。
実戦では何の役にも立たない御遊び魔術。児戯にも等しいが、子供受けは良い。


香焼「はい、お終い。ちゃんと二人だけの内緒にするっすよ」クスッ

絹旗「はい! また見せて下さいね」ニカッ!

もあい「なー!」フシフシ!


彼女がこんな風に、純粋無垢に喜んでくれるのであれば何時でもしよう。
978 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/27(月) 05:05:53.20 ID:mxN3Bjdi0
それから直ぐに、浦上が自分達を呼びに来た。そろそろ中へ入って良いよとの事。
まったく、大分待たされてしまった。


麦野「おう、お帰りー。二人でイチャイチャしてたのん?」チラッ

絹旗「するかってんです超ボケ麦野」ジトー・・・

麦野「……帰ったらオシオキ確定ね」ジトー・・・

固法「こら、喧嘩しないの」メッ!


時刻はもう9時半。麦野さんが、じゃあそろそろと立ち上がった。


神裂「御帰りに?」

麦野「ええ、時間も時間だし。休みの日にドライバー待たせんのも可哀想だしね」

固法「それじゃあ私も帰ります。今日は楽しかったわ」

神裂「此方こそ。またいつでも……と、まぁこの子の都合もあるので勝手にとは言えませんが」ハハハ・・・

香焼「事前に連絡さえ頂ければ構わないっす。ただ五和・浦上(コイツら)みたいに毎度毎度図々しく居座られるのは勘弁っすけどね」チラッ・・・

結標「ふふっ、じゃあ偶にお邪魔するわ。今度はちゃんと菓子折り持ってくるから」ポンポンッ

絹旗「っ! 香焼に触んな、超アバズレ女!」シッシッ!

結標「おお、嫉妬嫉妬。怖いわねー」クスクス・・・

絹旗「フシャー!」キッ!

麦野「下んねぇ事してないで帰りの準備しなさい。長居しちゃ迷惑でしょ」ペシッ!

絹旗「叩かないでください。麦野のは防いでも揺れる程強いから気持ち悪いんです」ジトー・・・


どんだけ力あるんだ、このお姉さん。


結標「そんじゃあ私もコイツらの車に無理矢理乗ってくわ。流石に小萌が可哀想だし」

香焼・神裂((マザコン……))ジー・・・

結標「……何よ、その目」タラー・・・

香焼「いえ……月詠さんに宜しく」ハハハ・・・

結標「ったく……まぁ香焼くんも偶に遊びに来なさい。小萌も私も歓迎するわ」クスッ

香焼「ええ、また是非に」コクッ

もあい「みゃん」ジー・・・


もあいも一緒にね。
979 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/27(月) 05:22:13.78 ID:mxN3Bjdi0
 ―――とある日、PM10:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・香焼side・・・






4人が帰った後、テレビの音がやけに大きく聞こえた。
未だに賑やかな余韻が名残惜しく感じてしまう。

五和と浦上がソファの上で映画に見入っている最中、自分と女教皇様はテーブルでお茶を一服していた。


神裂「……今日は勝手な事をすいませんでした」ペコッ

香焼「いえ、もう良いっすよ。結果的に問題無かったし、最愛も楽しそうでしたから」クスッ

神裂「そう言って貰えると助かります……」フフッ


それに、この方が気楽でいられる空間を提供出来るのであれば教徒として嬉しい事である。
普段は地獄の様な職務についてらっしゃるのだ。少しでもリラックスの場を設けてあげたい。


神裂「教徒として、ですか」

香焼「……弟として、の方が宜しかったっすか?」

神裂「出来れば」クスッ

香焼「……そうっすね。じゃあ姉弟で」フフッ


五和と浦上に感化され過ぎな気もするが……『此処』では、それが正解だな。


香焼「……少し気になった事があります」ボソッ・・・

神裂「ん?」フム・・・

香焼「麦野さんの事っす」ジー・・・

神裂「……何か」ピタッ・・・


麦野さんは、結標さんの『同業者』と言っていた。それはつまり……


神裂「……」

香焼「女教皇様、何か知ってるんすか?」

神裂「……」

香焼「……カオリ姉さん」ジー・・・


暫時無言。そして、女教皇様は立ち上がり……自分の荷物の中から書類を取り出した。
980 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/27(月) 05:43:48.47 ID:mxN3Bjdi0
神裂「……貴方は前に、結標さんと真摯に対峙すると言いましたね」

香焼「はい。何があっても、引かないと言いました」

神裂「今……私は機密書類を『誤って』テーブルの上に広げてしまいました」ボソッ・・・

香焼「え……」

五和・浦上「「……」」チラッ・・・

神裂「土御門から押し付けられた本来一般教徒に見せる事が出来ない重要書類です……私と麦野さんが一緒に居るのが気に入らない様ですね」


いったい、何を言っているんだ。


神裂「暫し御手洗いに……」スッ・・・

香焼「女教皇様?」

神裂「……」チラッ・・・

五和・浦上「「……」」コクッ・・・


浦上がベランダに、五和がキッチンの方へ消えた。


香焼「書類……」


暗部。第●●期粛清班『アイテム』……代表:麦野沈利。 構成員:滝壺……――――――……ルン。絹旗最愛。 下請け:―――。


香焼「っ……業務……粛清……」


何だ、それ……


香焼「……最愛も……やっぱり、暗部」


バイト。暗部……殺し屋。


香焼「大能力者、窒素装甲……置き去り、被検体……何だ、コレ……」


まるで真っ黒。白い部分が皆無。


神裂「……もう良いですね」スッ・・・

香焼「あ、ぅ……」


何事もなかったかのように書類を戻す女教皇様。そして席に着くと同時に、二人もソファの上に戻ってきた。
981 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/27(月) 06:08:31.12 ID:mxN3Bjdi0
神裂「正直、彼女らの詳細については私も知りません。これ以上の踏み込みは都市との協定違反です」

香焼「……」

神裂「貴方は賢い子です。色々と察したでしょう……」


察したくない。


神裂「……命令です。此方からの干渉は禁止します」

香焼「なっ!」ガッ!

五和「コウちゃん! 待ちなさい!」ビシッ・・・

香焼「っ……」

五和「……女教皇様はこの件に関して口出しできないの。分かるでしょ? したきゃ土御門さんに直接言わなきゃならないけど」


あの人が、それを許す訳が無い。結標さんの時でさえ深入りを禁じた人だ。


五和「コウちゃんが動きたいってのも分かるけど、『カオリ姉様』だって同じなの……分かんないの?」

香焼「……」スッ・・・

神裂「……悔しいですか。何が悔しい?」

香焼「動けない事」

神裂「動けた所で如何しますか?」

香焼「……」

神裂「如何もできないでしょう。多分、貴方は麦野さんに消し炭にされて終わりですね」

五和「ね、姉様……」

神裂「純粋な武人としての判断です。超能力者は聖人並に化け物でしょう」


だからといって、諦めたくない。


神裂「……プライベートで関わる分には止めません。寧ろその面から彼女らを救うのには大いに賛成です」

香焼「心から変える、という事ですか」

神裂「しかし能力者は強度が上がる程、自分だけの現実……精神的に超人となります。故に自分を曲げ得ない」


自分らの言葉は無駄。


神裂「……それより強い心を持て。そして最低限、五和と互角に戦えるようにならなければ絹旗さんと対峙できないでしょう」

香焼「……」ムゥ・・・

五和「ええっと……修行とか支援が必要なら手伝うからね」ポリポリ・・・

神裂「……貴方は一人では無いのです。最大の武器を忘れぬ様」コクッ


最大の武器?
982 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/27(月) 06:40:30.90 ID:mxN3Bjdi0
浦上「博愛。甘ちゃん……ですネ」クスッ

香焼「……」チラッ・・・

浦上「交友関係とかコネとかツテも武器なのさーって事ヨ。幸い、香焼は友人に恵まれてるんでしょ?」


友人達に……


浦上「それに、私達魔術師ってのは能力者に対しては有利だよ。コッチは科学(超能力)を知ってるけど、アッチは魔術を知らない」

神裂「……」

浦上「まぁそれでも香焼の力は遠く及ばないでしょうけど、頭を上手く使えば差は埋められる。例え格上相手でもネ」

五和「……この街では『最弱』が『最強』を倒せた例もあります。諦めるのは尚早でしょう」

浦上「あとは土御門も『偶然』起きてしまった事には事後処理しかできませんヨ。結標さんの時みたいにネ」


手はいくらでもある、と。


五和「私はね、この生活が結構好きなんです。仕事は楽とはいえないけど、こうやって本当の姉弟みたいに当たり前な生活出来る日々」

浦上「私も私も」ニャハハ

五和「でもそこに暗い話題が生まれるのは嬉しくない……誰かの友達が『救い』を欲しているなら尚更です」


それこそ我らが目的、か。


五和「私情であっても、それが『救い』を必要とする者なら『手』を伸ばすのが……私達ですよね?」クスッ

神裂「……」クスッ・・・

五和「という訳で……コウちゃんは今まで通りに行動なさい。姉様、命令しちゃダメです」メッ!

神裂「ハァ……何ともなぁ」ハハハ・・・

浦上「ただし素直に忠告は聞く。それを判断するのは香焼自身だヨ。OK?」チラッ・・・


……まさかコイツらにマトモな事を言われるとは思わなんだ。


五和「マトモっていうか当たり前の事言ったまでよ。此処では『家族』。教皇教徒は関係無しって約束でしょ」フフッ

浦上「一人の悩みは家族の悩みーってネ。まぁ勿論、教えや上からの命令に反する訳じゃないし」

神裂「私が上ですよ」クスッ

五和「此処ではフラット、でしょ」ニカッ!

もあい「なーぉ」ペチペチッ


建宮さん達が聞いたら呆れかえるだろう。だが……此処では女教皇様でさえ、神裂火織なのだ。
自分勝手と怒られようが、そのルールを存分に利用してやる。
983 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/27(月) 07:10:02.75 ID:mxN3Bjdi0
香焼「……姉さん」

神裂「……」

香焼「言われた通り、自分からガッツリ行く様な事はしません」

神裂「……はい」

香焼「だけど……現行を目撃したり、彼女の口からそれを示唆する言葉が飛び出たら……」グッ・・・

神裂「止めなさい……と言っても無駄なのでしょうね」ハァ・・・


救いの為なら、教皇の命令すら反する。


神裂「そんな狂信者紛いな事言わなくても、その場合は止めませんよ。私だって動きます」クスッ

五和「助けが必要とあらば私達もね」フフッ

浦上「あー、あと何だかんだ言ってステイル神父も助けてくれるんじゃない? 香焼に対してツンデレだし」

香焼「気持ち悪い事言うなって」タラー・・・

五和「あ、それから削板くんもいるじゃない。意外と都市内だけでも何とかなるって」クスッ

浦上「まぁ最悪時には『英雄』がやってくるもんだしねー」チラッ・・・ニヤッ・・・

神裂・五和「「ぐっ……極力関わらせない方向で」」タラー・・・


確かにそうかもしれない。力強い味方はいる。


香焼「……ははは」クスッ

3姉妹『え』キョトン・・・

香焼「……ありがと」フフッ

神裂「実際貴方が自己解決したようですが……どういたしまして」クスッ

五和「コウちゃんが……」ジーン・・・

浦上「……デレた」オォ!


喧しいわ。


香焼「あーもう……風呂入って寝る! 難しい事考え過ぎたっす!」フワァ!

浦上「お姉ー、一緒に入ってきなよー」ニヤッ・・・

五和「しょうがないわねー。今日だけ特べぶべらっ!」ゴチンッ!

香焼「……自重しろ」ゴゴゴゴ・・・


少し甘やかすとこうだ。まったく気を抜けやしない。
984 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/27(月) 07:31:47.99 ID:mxN3Bjdi0
五和「そいじゃあとりあえずコウちゃん御風呂入ってる間に布団敷いとくねー」

香焼「はいは……って、オマエらまた泊まる気なの?」タラー・・・

浦上「いやだってもうこんな時間だしー。女の子が夜道帰るのは危険でしょ」


並の暴漢ならフルボッコにできるだろ、オマエら。


神裂「ふむ、では御言葉に甘えましょう」コクッ

香焼「いやいやいや、自分何も言って無いんすけど」

五和「細けぇ事は良いのよ! 兎に角、今日は朝までトークコースなの!」

浦上「勿論香焼も今日は居間で就寝ねー」ニヤッ・・・


勘弁してくれ。


神裂「……個人的には浦上に色々と聞きたい事があるのですが」チラッ・・・

五和「あ、私も! ウラ、アンタ私達に隠し事多過ぎじゃない?」ジトー・・・

浦上「ソンナコトナイヨ!」

五和「嘘臭ぇ……そっちがその気なら尋問マッサージコースよ!」コンニャロー!

浦上「うぎゃああぁっ!! やめれー!」キャー!

神裂「ふむ、では私が足ツボを」ニヤッ・・・

浦上「た、タンマタンマ!! 私の事より香焼がベランダで絹旗ちゃんと何してたかが気になるのですヨ!」アタフタ・・・

神裂・五和「「……」」チラッ・・・


真面目に天体観測してただけです。


神裂「……やっぱり足ツボですね」キュッ・・・

浦上「みぃぎゃあああぁっ!! 助けて香焼いいぃっ!!」ウガアアァ!!

香焼「あはははは。良かったね」ニカッ!

浦上「満面の笑み!?」ジタバタッ!


ホント……退屈はしないな。


五和「ふっふっふ……じゃあ姉さんが買ってきたこのエロエロメイド服をウラに着せて……―――」ニヒヒ!

神裂「では明日それで街中を闊歩して貰いましょうか……―――」フフフ・・・

浦上「うにゃあああぁっ!! サディスティックぅー!! 香焼マジで助けろおおぉ……―――」ウワアアァ!!

香焼「はいはい」クスクスッ


そんな、毎日。


もあい「にゃーん」ノシノシ”
985 :第11話――神裂「え、えっと・・・私の家、ですか?」 固法・麦野・結標「「「イエッスっ!!」」」 [saga]:2011/06/27(月) 07:48:53.26 ID:mxN3Bjdi0
 <おまけっ!>



  ブロロロォ・・・・・


絹旗「ふんふふ、ふんふふ、ふんふーふ~ん♪」ニコニコッ

麦野「上機嫌ね」クスッ

絹旗「え? そうですか」

麦野「誰が見てもそう見えるわよ」フフッ

絹旗「ありゃりゃ。そりゃ拙いですね。超クールビューティー絹旗ちゃんが名折れしてしまいます」

浜面「何がクールビューティーだっつの」クスッ

絹旗「超黙れってんです。ゲンコツ入れますよ?」ガシガシッ

浜面「あー、悪かったからシート蹴んな。事故ったら如何すんだ」ッタク・・・

絹旗「ふんっ、超反省してください」

麦野「……ねぇ。絹旗」ボソッ・・・

絹旗「はい?」

麦野「……学校、行ってみたい?」チラッ・・・

絹旗「え……はぁ?!」ギョッ・・・

浜面「オマエいきなり何言ってんだよ」タラー・・・

麦野「……何でも無い」ハハハ・・・

絹旗・浜面「「ん???」」ポカーン・・・

麦野(拙い拙い。あの家で少し日和過ぎちゃったかなぁ……ありゃ確かに毒ね。暗部(こっち)の気が持たないわ……)ポリポリ・・・

浜面「……やれやれ」クスッ

麦野「……何か?」

浜面「いえいえ、何でもございませんよ」クスッ

麦野「……」ガンッ!!

浜面「っ!!? おま、シート蹴んなっつってんだろ!!」ビクッ!!

麦野「人の顔見てニヤニヤしてんじゃねぇよボケが」ケッ!

浜面「オマエの顔がニヤニヤしてたから珍しいなと思って笑っちまったんだろうが!」ダアアァッ!!

麦野「っ~~~ッッ!! うっせぇ! 滝壺とフレンダに話したら殺すかんな!!」ギロッ・・・///

浜面「コイツ面倒臭ぇなぁ……ってだから蹴んなっ!!」ンモー・・・


絹旗(ふふふ……季節外れの天の川ー、二人だけの内緒ーっと。また見せてもらいましょー)ニコニコッ
986 :>>1 [saga]:2011/06/27(月) 08:12:17.81 ID:mxN3Bjdi0
はい、お疲れさまでした。約1クール御付き合い頂き誠に恐悦至極でございます。
次回があるかどうかは分かりませんが、また何処かで御会いできたら光栄です。

ただ今後の方針として考えているのは……

・あまくさっ!!(Ⅱndシーズン。23巻以前・新約以降関係無し)


・絹旗「ちょ、超学校ですか!?」 滝壺「きぬはた落ち着いて。中学校だよ」
(絹旗や同年代の香焼、ステイル、カルテッ娘達を学校に通わせよう。新約以降)


・禁書「天使の赤ちゃん!」 上条・風斬「「……」」
(ボツ案。幻想猛獣の残留思念をインデックスが拾ったら、という話。時系列無視)

……とか妄想してました。後は『MAR(Multi Active Rescue)先進状況救助隊第二課』みたいなパトレイバーのパクリとか、
思いっきり厨二要素全開の吸血鬼モノで姫神主役にするとか。誰か主役にしてラグーン商会みたいな危ないシノギ書くとか。

まぁ全部妄想なんすけどねー。

とりあえず自分なりの『年相応』少年少女達を書けて楽しかったです。
最後も質問意見感想罵倒リクエスト等々、よろしくお願いします。約3ヶ月間、ありがとうございました! ノシ”
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/27(月) 08:58:00.15 ID:byONLr980
ノシ
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/06/27(月) 09:52:47.38 ID:Ea8hK7yH0
乙でした!!
所々スパイスはあったけど基本ほのぼのとして最高でした!
出来ればこのままの空気(それ以上のほのぼのでも可)で学校ネタをぜひ!
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/27(月) 14:46:34.46 ID:PUlLEBRDO
乙! 新約以降の話が見たいけど‥‥とりあえず、親戚さんが色々書き終えるのを待つぜぃ。
ただこっちであわきんアフターとかレッサーアフター見たい気も。エロ無しのねw

そんじゃまた投下してくれる日を楽しみにしてるぜぃ! ノシ
994 :>>1 [saga]:2011/06/27(月) 23:35:49.32 ID:mxN3Bjdi0
 案<絹旗「ちょ、超学校ですか!!?」  滝壺「きぬはた落ち着いて。中学校(若しくは高校)だよ」>


・始まりっ!



絹旗「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」タラー・・・

滝壺「学校。きぬはたが」

絹旗「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何で? に、任務か何かですか?」タラー・・・

麦野「いや、アンタまともに学校行った事ないでしょ。そろそろ通わせろって美偉と火織に怒られたのよ」

絹旗「む……無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理です! 超無理っ!!」ガクガクブルブル・・・

滝壺「きぬはた。学校きっと楽しいよ。頑張ってお友達作っておいで」フフッ

絹旗「わ、私勉強修士レベルで超終えましたし今更学校なんて行く超必要ありませんって!」アワワワ・・・

麦野「誰が普通教育真面目に学んで来いっつったのよ。てかアンタ一般教養とか文系科目、保健体育とかマトモに学んでないでしょ?」

浜面「そりゃテメェもだろ?」ハァ・・・

滝壺「……ごめん、私もだよ」ムゥ・・・

浜面「た、滝壺は常識あるし家庭的だしその他諸々完璧だから大丈夫だゾルドゥアッチっ!!」ゴンッ!!

麦野「っせぇ黙ってろ! ったく……兎に角、アンタはまだ若いんだからキチンと学校行きなさい」

滝壺「そうだよ。折角『表』に出たんだから、それを満喫しなきゃ。一からスタートだよ。普通の女の子しておいで」

浜面「……てか麦野と滝壺は学校良いの?」

滝壺「私達はこの歳(高卒年齢)だし今更だよ。でもきぬはたは、ね」

絹旗「で、でも……私一人じゃ……その……」シュン・・・

麦野「大丈夫。火織が何とかするって言ってた。安心なさい」ニヤッ・・・

絹旗「……はい?」ポカーン・・・




 ―――一方・・・・・



神裂「―――……という訳です。香焼、すいませんが普通学校へ編入(もしくは入学)してもらえませんか」ペコッ

香焼「……少し考えさせて欲しいっす」

神裂「急かす様で申し訳無いのですが、返事はなるべく早めにお願いします。先方への根回しもあるので」

香焼「最愛と、同じクラスっすか。人見知りを直す為とはいえ……大変そうっすね」ポリポリ・・・

浦上「んな事言って香焼、本当は絹旗ちゃんと同じ学校通えるの嬉しいんだよネー」ニヤニヤ・・・

五和「コウちゃん! 姉ちゃんは貴方を幼馴染イベント無碍にするような子に育てた覚えはありませんからね!」

香焼「……」(#^ω^)ピキピキ・・・ダマッテロ・・・


ローラ「フフフフ……面白い事を聞きにけりよー……ステイルちゃーん! 貴方確か今年1○歳になりけりよねー」ニヤリ・・・
995 :>>1 [saga]:2011/06/27(月) 23:55:27.67 ID:mxN3Bjdi0
 ・ともだちっ!



ステイル「あの糞魔女(ババア)……勝手に転校手続きなんてもんを……しかも都市の学校だと!?」グヌヌ・・・

香焼「あはは。同級生だね」クスッ

ステイル「仮に転入(入学)するとして、僕は君より一つ上だったろ! どうして同じ学年になるんだ!」クソゥ・・・


アニェーゼ「……良いですね」ジー・・・

アンジェレネ「あははは……まぁ私達は自分の仕事がありますから」クスッ・・・

オルソラ「……シスター・ルチア。ほら、言ってあげるのでございますよ」フフッ

ルチア「ハァ……貴女達も学校、行きたいですか……」ジー・・・

アニー・アン「「……えっ!?」」ギョッ!?


ワシリーサ「サーシャちゃーん! 引っ越し準備しなさーい!」ニヤリ・・・

サーシャ「は? 何を唐突に……第一の質問ですがまさか危ない薬にでも手ぇ出しました?」ジトー・・・

ワシリーサ「酷っ!? せめて『長期任務でしょうか?』とかマジレスなさいよ……違うわ。学務研修よ。真っ当なね」フフッ


レッサー「ってな訳で! 私も日本行ってきまーす!」フッハッハッ!

ランシス「……レッサーったら、誰も何も言ってないのに勝手に準備しちゃった」ハハハ・・・

フロリス「リーダー、どーすんのー?」チラッ・・・

ベイロープ「ハァ……勝手にしろ。ただし行くからには真面目に勉強してきなさい。何も学んで来ませんでしたなんて言ったら殺すからね」


削板「よしっ! 番長なりに学校行ってくる!」ズンッ!

原石達『軍覇兄ちゃんかっけー!』ワーワー!

山崎「……良いんですか? 監督責任者不在ですよ」ハァ・・・

神「好きにさせろ。何か得てくるやもしれん。まぁいつもでもダチの一人いねぇってのは寂しい野郎だからな」ククク・・・


初春「佐天さん! この学級色んな国からの留学生来るそうですよ! ぐろーばるin初春ですっ!」ドヤッ!

佐天「『in』の位置逆だってば……春上さんも枝先さん達と同じクラスなれて良かったわね」クスッ

春上「うん。とっても嬉しいの! また皆一緒のクラスなの! 勿論佐天さんと初春さんも一緒で、もっともーっと嬉しいの!」ニコニコッ


絹旗「ど、どうしましょう……人が、超いっぱい、います……これが、超学校……」フルフル・・・

もあい「なー」プラプラ・・・
996 :>>1 [saga]:2011/06/28(火) 00:19:24.84 ID:c/LQCeP20
 <最初のHR!>



木山「―――……という訳で、このクラスを受け持つ木山だ。新任だが、宜しく頼むよ」

手塩「副担の、手塩だ。私も、現場復帰は久しいが、宜しく」

木山「じゃあ自己紹介を……の前に、まだ来てないのが数名か」


アニェーゼ「コーヤギ。サイアイは?」

香焼「……え?」タラー・・・

削板「アイツ、自己紹介ビビって逃げたな」アハハ・・・

佐天「せ、先生! ちょっと探してきます! 行くよ、香焼くん!」バッ!

木山「ふむ……あとは黒夜くんとショチトルくん、鉄網くん、それからイン―――……休みかな?」

手塩「鉄網と、ショチトルは、病院からなので、少し遅れる。黒夜と、インデ―――……は、分からん」

ステイル「インデック・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁっ!!? 何だって!?」ガタッ・・・

レッサー「ヒューッ! ローラと神裂の根回しですかねぇ。良かったじゃないですか」ニヤニヤ・・・

ステイル「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ダラダラ・・・

アンジェレネ「……」チラッ・・・





 <自己紹介っ!>



木山「―――……うん、よろしく。次は絹旗くんだね」チラッ・・・

絹旗「は、はひっ!!」ガタガタブルブル・・・

春上「絹旗ちゃん、ファイトなの!」

香焼「あんまり気張らずに、ね」タラー・・・

絹旗「スゥー……き、きにゅはた……」ピタッ・・・

一同(……噛んだ!?)ギョッ・・・

絹旗「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」プルプル・・・ダッ!!

サーシャ「第一の実況ですが、また逃げましたね」タラー・・・

佐天「先生行ってきますっ!!」ガシッ!! ビュンッ!!

香焼「佐天さん、態々腕引っ張らないでええぇっ!!」ギャー!!

佐天「香焼くん以外、最愛ちゃんの場所分からないでしょ!!」タッタッタッタッ!


木山「う、うーん……絹旗最愛くんかぁ」タラー・・・

手塩「大能力者で、天才ではあるが……精神は、小学校の、子供並という事か。苦労しそうだね、春生」クスッ

木山「まぁ……大丈夫だろう。周りが良い子ばかりだよ。友達の大切さを学んで欲しいね」

手塩「他の子も、皆、『過去』持ちの様だ……だけど、『普通の子供』として、学ばせよう。自分達は、『道具』じゃないってね」
997>>1 [saga]:2011/06/28(火) 00:20:02.31 ID:c/LQCeP20
はい。以上です。そんじゃまたいつか何所かでお会いしましょう! ノシ 
 
998VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/06/28(火) 00:22:59.29 ID:pNCqjq0J0
超乙
次回作にも期待しているぜ 
 

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