- 511 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2010/12/08(水) 23:30:14.81 ID:okRwvTA0
- ―――PM11:30、学園都市第7学区、黒妻家……黒妻side……
一方通行「―――……以上……いっそ殺せ」チーン・・・
黒妻「フヒヒ」ニヤニヤ・・・
固法「ヤバい……甘酸っぱい」ワァ・・・
何やかんや結局、両方とも聞いてしまった。
義理とも恋愛とも取難い第一位の秘話は倦怠k、げふんげふんっ、長い仲のオレらには良い刺激になったと思う。色んな意味で。
黒妻「いや、枯れてると思ってたがオマエもやっぱり男なんだな」ニヤッ
一方通行「喧し阿呆」ケッ
固法「何て言うか、アレね。黄泉川先生も女捨てて無いわよ、きっと」ニコッ
一方通行「いや、黄泉川と芳川は確実に女捨ててンだろ……」ハァ・・・
固法「失礼ね。どんなに粗暴に見えても、女性は女性を捨てないわ」クスッ
一方通行「……そォいうモンかねェ」チラッ
黒妻「……オレを見るな。知らん」
オレが女に見えるのか、この男の娘は。
固法「黄泉川先生、職場や警備員の仕事上。周りに男性はいるでしょう? 禁断の生徒さんっていうのも有り得たりして」キャー!
一方通行「……」ピクッ・・・
固法「ほら、芳川さんだって通信だけど一応大学生でしょ? 実はスクーリングとかで素敵な出会いが……」パキンッ!「……え?」ポカーン・・・
刹那、カップが割れた。
一方通行「……悪ィ」カチャカチャ・・・
黒妻・固法((重度のマザコン? シスコンだ……))タラー・・・
黄泉川さん、芳川さんに寄って来る虫(男)はコイツに命狙われるだろう。 - 512 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2010/12/08(水) 23:55:14.41 ID:okRwvTA0
- 一方通行「別に俺が知ったこっちゃ無ェけどよォ……もし、もし仮にな。あの二人が悪い輩に当たったら、打ち止めまで危ねェかンよォ」
黒妻「別にそこまで聞いてねぇよ」
一方通行「グッ……」タラー・・・
固法「フフッ。なぁんだ、貴方もちゃんと家族思いじゃない」クスッ
一方通行「っぜェ!!」ウエダキョウジュフウゥ!
ツンデレータ再来。
固法「結標さんだって、私と同い年くらいでしょ? だったら学校とかでも……」
黒妻・一方通行「「え」」チラッ
固法「同級生と、か……何か?」ジトー・・・
一方通行「結標の奴、17……あ、はい。何でも無いデス」タラー・・・
そういえば結標ちゃん、17歳くらいだって月詠さんが言ってたな。
黒妻「……アレだ。美偉が大人っぽくて、あの子が幼い感じなんだよ。イメージ的に」アタフタ・・・
一方通行「そ、そォだな」アハハ・・・
固法「……もういいです」ムスゥ・・・
あらら。苦笑せざるを得ない……アフターフォローしないとな。
黒妻「と、兎に角、オマエもまだ若いんだ。恋愛の一つや二つこなしても、誰も文句は言えねぇさ」
一方通行「……ふン」
固法「強情ね。硬派なのは悪くないけど、フラフラし過ぎるのも周りに失礼かもしれないわよ」
一方通行「御節介どォも。ガキ共に聞こえてたら如何すンだっつの」ッタク・・・
黒妻「……え? 打ち止めちゃん、既に大体知ってるぞ」キッパリ
一方通行「」チーン・・・
また白くなってる。最早燃え尽きたジョーヤブーキみたいになっていた。 - 513 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2010/12/09(木) 00:23:44.79 ID:kcs87Ig0
- 一方通行「……何。打ち止め。両方知ってンの」チーン・・・
黒妻「芳川さんが教えたんじゃね? 結標ちゃんの方は土御門妹が兄貴から聞いた話を最愛ちゃん達にも」
一方通行「」ツチミカドシナス・・・
固法「あ、あはは。で、でも、打ち止めちゃんサラリって感じで聞いてたから詳しくは聞いてないと思うわよ」
心此処にあらずといった風。コレが学園都市の頂点の姿か。
一方通行「……打ち止め、何か言ってたか」ボソッ・・・
固法「えっと……例えば?」
一方通行「不潔とか、キモいとか、変態とか、モヤシとか、幻滅とか、持て遊んだとか(ry」ブツブツ・・・
自虐し過ぎだ、打ち止め主義者。
黒妻「落ち着け、オイ。別にオマエの事悪く言って無かったさ」
一方通行「」チーン・・・
黒妻「えっと……『ヨミカワなら安心してあの人を任せられるよ』とか『アワキンも何だかんだ言ってあの人と御似合いだと思う』とか」タラー・・
一方通行「」アウトオブガンキュゥ・・・
ネガティブ方向に一方通行しやがった、この肉食系絶食科男子。
固法「もぅ……シャキッとしなさい、シャキッと。男の子でしょう」ハァ
一方通行「……」
固法「あのね……確かに『今は、あの人が誰と付き合っててもいいの』とは言ってたわ」
一方通行「……」ピクッ
固法「でも、『私が素敵なレディになったら……奪い取ってでも、私の旦那様にするもん!』って言ってたわよ」フフッ
一方通行「……ケッ」カアアァ・・・///
妬けるじゃないか、幸せ者め。 - 515 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2010/12/09(木) 09:54:24.30 ID:kcs87Ig0
- それから暫く二人で第一位をからかって遊んだ。時折見せる表情の変化は、やはり年相応の少年のように思えた。
数分後、第一位がコーヒーおかわり二桁目に突入しようとしたあたりで、遊びという名の尋問を打ち止めた。
黒妻「―――……ははは。まぁ打ち止めちゃんの為に良い男なれや」ニカッ
一方通行「ケッ。勝手に言ってろボケ」チッ
固法「まずは言葉使いから直しましょうね」クスッ
一方通行「面倒臭ェですよ、風紀委員さン」ハァ・・・
今の喋り方、アニェーゼちゃんに似てたな。
兎も角、もう0時前だ。
一方通行「俺ァもう寝る。いいな?」ジロッ
黒妻「はいはい。どうぞ」
そして第一位はゆっくりと布団の方へ向って行った。
多少、足を引き摺る様がもどかしい感じだったが、少しの距離を歩く分には問題無いのだろう。
布団に入る直前、ふと仲良く幸せそうに眠る二人の少女の顔を一視、柔らかい表情を見せ床に付いた。
固法「少し虐め過ぎたかしら」クスッ
黒妻「大丈夫だって。アイツも黄泉川さん達以外に絡める大人が欲しいんじゃねぇの?」カチッ・・・フゥ・・・
固法「そうなのかな……って私はまだ少女のつもりですよ?」ジトー・・・
黒妻「ははは、悪い悪い」ジジジ・・・
換気扇を回し、台所の電気を微灯にする。
黒妻「時期があんのよ……あと2,3年もすれば落ち着くんじゃねぇか」フゥ・・・
固法「意味深ですね。また内緒ごと?」
黒妻「む……」タラー・・・
申し訳無いが、何とも言えない。 - 516 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2010/12/09(木) 10:03:56.09 ID:kcs87Ig0
- 固法「……聞かない」プイッ
黒妻「……悪いな」ハハハ・・・
固法「今更です」
まったく、最低な男だと思う。オマエは最高の女なのにな。
固法「おだてても何も出ませんよ」クスッ
黒妻「あぁ、そうかい」
固法「……寝ましょう。休みとはいえ、寝坊はいけませんから」
黒妻「そうだな」スッ・・・
煙草を消し、寝床を作る。網の上に寝るのも、慣れたモノだ。
固法「……私は違和感ありまくりです」
黒妻「慣れとけ慣れとけ」
固法「嫌ですよ。日本なのに」
黒妻「分かんないぞ? 戦争中ベットに寝れないかもしれない」
固法「……生々しい忠告どうも」
慣れれば揺り籠感覚で、気持ち良いだろう。この歳にして揺り籠ってのも何だが。
暫くして、消灯。何だか、不思議な感覚だった。
固法「寝れる気がしません」ウーン・・・
黒妻「一緒の網で寝る?」ニヤッ
固法「……馬鹿」ハァ・・・
黒妻「そうだな。ブチッっといったら怖いしな」クスッ
固法「最低です」ムー・・・
暗くてよく見えないが、小動物の様に顔を膨らませている美偉。可愛い。 - 518 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2010/12/09(木) 10:12:41.28 ID:kcs87Ig0
- 黒妻「美偉」ボソッ
固法「……何?」
黒妻「駒場、な」チラッ
居間を見遣る。
黒妻「……良い男に育てて、死んでったらしい」
固法「そう……良かったですね」ニコッ・・・
黒妻「ああ、誉れだ」
そして、オレも……
固法「……やりたい事、やってください」
黒妻「……」ピタッ
固法「私に遠慮してっていうのは、嫌です」ジー・・・
黒妻「ん」コクッ
固法「そりゃ、悪い事は容認できませんが……筋を通す人でしょう。先輩は」
……申し訳無い。
固法「謝らない」メッ
黒妻「そうだな……ありがとう、美偉」
固法「どういたしまして。僭越ながら支えさせて頂きますわ……旦那様」ニコッ・・・
手を乗せる。改めて、良い女だと安心させられた馬鹿男が此処に居た。
御蔭できっと……納得いくように、駒場の意志を継げるだろう。
固法「おやすみ、先輩」ニコッ・・・
おやすみ、美偉。 - 528 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/12(日) 16:49:34.42 ID:W/FHKWY0
- 垣根「えー、皆さんこんにちは。寒くなってきましたが風邪など引いてませんか? 体調管理には気を付けましょうねー」
テレスティーナ「……オマエ、一人で何やってんの?」ヒクー・・・
垣根「ラジオパーソナリティごっこ」エヘンッ!
テレス「うわぁ……寂しいヤツ」ボソッ
垣根「うっせぇしぃ! そんな目すんなしー! オマエだって友達いねぇだろっ!」ギャーギャ-!
テレス「別に作る気無いしー」ツーン・・・
垣根「うわぁ可愛くねぇ、B☆B☆A♪ って、ちょ待っぎゃあぐばあぁっ!!」デュクシッ!!
テレス「……」シュウウゥ・・・
垣根「痛ぁいなぁ……まったく、折角のラジオなのにお見苦しい所お見せしちまったじゃねぇか! まぁ編集でカットすっけど」
テレス「……何それ。ホントに流すの?」
垣根「うん。病院の館内放送で」コクコク
テレス「……信じられない」ハァ・・・
垣根「ラジオの題名未定だが今回が第0回放送。テストだから俺がパーソナリティ。一緒にやる?」
テレス「ざけんなゲロカス」
垣根「大概口悪いな……まぁいいや。次回以降はパーソナリティ変えるぜ。男のパーソナリティ一人ってのは面白くないと相場が決まってる」
テレス「……意外とリアル思考なのね。アンタの事だから『おーれーがーやーるーのー!』とか言って駄々こねると思った」ヘェー
垣根「ばーか。作るからにはクオリティ高めるのよ……あ、さっきの『俺がやるの!』ってのもう一回言って。NG音に使うから」ニヤニヤ
テレス「っ! 死ね!」フンッ!
垣根「ハハハ! それ(『死ね!』)でいいや。とりあえずアイテムのジャリん娘と、上条の知り合いのイタリアンミニスカ修道娘がいいな」
テレス「なにそれコスプレ?」
垣根「間違った敬語ラジオ。なんか面白そうで良くね?」
テレス「……は?」What?
垣根「コーナーは随時募集。初春に書いて貰った連載をこっちに流させるのもアリだね。あと視聴者に募集とか」
テレス「いや、想像できないってか意味分かんないんだけど。つーか垣根さぁ、冥土帰しに許可取った?」タラー・・・
垣根「冥土帰し(ジジィ)が止めてもやぁってやるぜ!」キリッ! - 529 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/12(日) 16:55:51.58 ID:W/FHKWY0
- テレス「……程々に」ハァ・・・
垣根「一緒にやろーぜー。暇だろー。テレスティーナがディレクター。俺がプロデューサー!」キリッ!
テレス「垣根Pってか? 馬鹿だろ」
垣根「略してカキP! ドヤッ!」ニコッ!
テレス「勝手にやってろ」カツカツ・・・
垣根「んもー、つれないなぁ。もういいや、続けよう」ポチッ「えー、まず最初のコーナーは……『ツンデレータ劇場!』」
「名前の通りツンデレな第一位(バカ)の情報を、一方的にリークしちゃいます。一方通行だけにね!」ドヤッ!
「では早速紹介。PN.『つっちー軍曹』さんからのタレコm、げふんげふんっ……お便りです」
つっちー『同僚の厨モヤシなんだけど、最近同じ職場の年上女と会う度会う度なーんか怪しい感じだぜぃ! あと垣根2万円返せ糞野r』プチッ!
垣根「土御門乙! 金は返……せたら返す! では、とある日の再現VTRどぉうぞ!」ポチッ!
―――とある日、PM010:30、学園都市第7学区、グループ・とある『仮眠室』・・・・・・
ある日の夜中、『仕事』で待ち時間が出来た時の事だったにゃ。
その日の『仕事』は、都市で開発された『あるクスリ』が密輸出されるという事で、それの防止及び犯人グループへの『制裁』。
全学区に監視・検問を置き、反応が有り次第動く。無論一つに固っているとは限らないので、確固行動。スタート地点が『此処』なだけ。
勿論、『税金』で給料が払われる以上『文句』は無かったぜぃ。本当本当。
土御門「―――……という訳で、とりあえず待機だ」
一方通行「ンなだりィ仕事、下請けのカス共だけで充分だろォがよォ」ハァ・・・
土御門「そうは言うな。武器が厄介なんだよ。連中、中国・旧ソと連携してる。毒ガスなんか使われてみろ」
海原「そうなると、貴方の仕事でしょうね」チラッ
一方通行「……ふンっ」チッ・・・
相変わらず、頭の固い輩。困ったモノだ。 - 530 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/12(日) 17:05:26.69 ID:W/FHKWY0
- 土御門「長期耐久も覚悟しておけ。長くなり過ぎた場合は、他の暗部と交換出来るかもしれんが……あまり期待はするなよ」
海原「やれやれ。一応仮にも、僕は学生なんですけどね。明日も休みですか」
結標「似非学生でしょ。フけても問題無いじゃない」
海原「と言いますが、何分立場が立場ですから。仮初でもね」ニコッ
一方通行「ケッ。似非日本人で似非学生で似非坊ちゃン。次は似非何だァ?」フンッ
海原「手厳しいですね」クスッ
コイツら、仕事中だと分かっていないのか。コレだから利害一致の阿呆寄せ集めは厳しい。
いっそ絶対的なリーダーが欲しいモノだ。
土御門「喧しい。何時エマージェンシーかかるか分からん。ふざけないで休んどけ」
三名『……』
土御門「ったく……俺だって学生だ。面倒なのは自分だけだと思うなよ、海原」ギロッ
海原「そうですね。これは失礼」チラッ
結標「ぐっ……はいはい。どうせ私は不良少女で夜行性ですよーだ」
一方通行「……勝手に言ってろ」カツカツ・・・
結標「やれやれね……あ。夜食は? 夕飯食べて無いんだけどさぁ。土御門手配して無いの?」
土御門「ハァ……頭痛い」
海原「心中お察ししますよ」ニヤリ
土御門「貴様も悩みの種だボケナス。結標、食べたいなら勝手に頼め。レシートだけは貰えよ」
結標「はいはい。アンタら何が良い? またピザでいいかしら?」
一方通行「油っぽく無ェなら何でも」カツカツ・・・
海原「となると、ジャンクフード以外でしょうね。土御門。何処か良い出前知りませんか?」
結標「えー。私ガッツリいきたいんだけどー」
土御門「テメェら……菓子でも食ってろボケ! 任務前だっつんってんだろ莫迦共!!」プルプル・・・
海原・結標「「わー、怒ったー」」ボウヨミィー
小走りで散り散りに消えてく阿呆二人。上も確固たる上司を派遣してくれれば良いのだが、期待は出来ないか。 - 531 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/12(日) 17:28:34.22 ID:W/FHKWY0
- ―――とある日、PM010:50、学園都市第7学区、グループ・とある『仮眠室』・・・・・・
それから暫く俺と海原は、一方通行、結標から離れ、魔術(オカルト)側の人間が敵にいた場合について話し合っていた。
どの任務であっても魔術師、もしくはそれに類する輩が出て来ないとは限らない。
そういうケースは大抵俺らが出遣るか、最悪、ステイル若しくは在駐している天草の若衆に増援を頼んだりする。
海原「……了解です」
土御門「まぁ気張るな。例の如くだ、問題無かろう」
海原「はいはい……じゃあ休んでおきますか。結標はもう出前を取ったので?」
土御門「知らん。とりあえず戻るぞ」
リビングに戻る。此処のレストハウスは大きめのソファーが一つしかない。
何故か俺らはそのソファーを一人で占領しようとするので、よく取り合いになるのだが……
土御門「……」ジトー・・・
海原「……おやおや」ニヤニヤ・・・
二人が座ってた。二人で、座っていた。
一方通行は何やら書きモノ、結標は携帯を弄っている。
海原「二人が喧嘩もせずに座ってる……珍しいですね」
土御門「いや、最近は確かに喧嘩の回数は減ってる」
険悪よりはマシだろう。仕事が捗(はかど)る。
結標「……ん? 土御門、ご飯まだ?」
土御門「……貴様は俺の話を聞いてなかったのか?」ハァ・・・
結標「そーだっけ?」ハテ?
このド低脳娘が…… - 532 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/12(日) 18:27:29.23 ID:W/FHKWY0
- 結局、青ピのバイト先に電話し、廃棄のパンを大量にゲット。
夜遅く配達してくれた青ピに心底謝り、多めのチップを握らせて帰した。
土御門「……ほれ。パンでいいだろう」
結標「フルーツサンドもーらい」
海原「僕も頂きますね。揚げドーナッツとクリームパン……どっちにしましょう」
一方通行「クロワッサン寄越せ」
感謝の一つも言えない薄情者共め。
土御門「ったく……喰ったら交代で寝ておけよ。海原、話の続きがある。来い」
海原「ふぁい」モグモグ・・・
土御門「喰いながら喋るなボケ!」
結標「行ってらー」モグモグ
一方通行「土御門。ついでに飲みモン持って来い」モキュモキュ
土御門「テメェでしろ!」ガアアァ!
……胃に穴が開きそうだ。早めに身体診断の予約を入れておこう。
―――とある日、PM011:10、学園都市第7学区、グループ・とある『仮眠室』……
早々にケースバイケースを確認し、再度リビングへ。
海原「最近ショチトルとトチトリに携帯を持たせたんですよ。そしたら毎日毎日電話とメールが……聞いてます?」
土御門「……その話、5回目だぞ」
海原「おや? それは失礼」クスッ
コイツも大概、シスコンだと思う。俺程ではないが、な。 - 533 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/12(日) 21:31:19.72 ID:CmLLYLg0
- 土御門「兎角、並大抵の魔術師ならオマエの『槍』で一掃だが……大陸系の宝貝持ち相手となると厄介だからな」
海原「分かってますよ。僕も原典クラスの超宝貝持ちなんかは相手にしたくない……ん?」
土御門「どうし……」
リビング。何アレ。
海原「……背中合わせ」ジー・・・
土御門「……ハァ」ポリポリ・・・
一方通行と結標が背中合わせでソファーにデカデカ座っている。
両者とも以前やってる事は変わらないが、何故か互いの背に身を任せていた。
結標「……アメリカがまた衛星ロケット発射だって」モグモグ・・・
一方通行「中国が資源関係で出しゃばってっから、地球外からの資源求めて必死なンだろ」カキカキ・・・
結標「そんなもんなのかなぁ……ってか、アンタさっきから何やってんの?」
一方通行「大学での発表論文」カキカキ・・・
結標「はぁ?!」
一方通行「良いカタギ商売なンだよ。下手すりゃ一枚の論文で使い回せる。第一位って看板使えば、かなり稼げっからなァ」
結標「……へぇ。何処の大学?」
一方通行「中央専大と西都医大。それからアメリカの天文学芸大……テーマは自由だから楽だぜ」
結標「やっぱ頭のデキが違うのね、アンタ」ヘー
一方通行「誰でも出来らァ。やるかやらねェかの違いだっつの」
結標「それをやれるんだから、凄いんでしょ」ハァ・・・
一方通行「堕落してェだけだろ、オマエの場合は……プリッツ一本」アーン・・・
結標「はいはい」スッ
何だあの……何だ? 近寄れない雰囲気。 - 534 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/12(日) 21:54:05.71 ID:CmLLYLg0
- 一方通行「テメェこそ何やってンだ?」
結標「携帯弄ってんだけど、分かんないの?」
一方通行「馬鹿かっつゥの。何やってンのか聞いてンだ阿呆が」
結標「あら、気になる?」クスッ
一方通行「……うざっ」
結標「冷たいわね……別に大した事してないわよ。ニュース調べたり、メルマガ読んだり、メールしたり」
一方通行「メールする様な友達いンの?」
結標「……」ゴツンッ!
一方通行「っ! 頭突きすンなボケィ!」
結標「フンっ。いたら悪いの?」ギロッ
一方通行「ったく……別にそういう訳じゃなェよ。意外だなァと」
結標「アンタねぇ……小萌んとこ居候してると、結構色んな子と仲良くなるのよ。それこそ上条当麻の同級生とか」
一方通行「三下の?」ピクッ・・・
結標「姫神っての、知らない? 私服少ないから買い物付き合ってあげたりするんだけど」
一方通行「あァ。あの私服巫女女郎か……俺見る時ァ暴食シスターも一緒にいるけどよォ」
結標「インデックスは基本一人じゃ出歩かない娘だからね。上条当麻が居ない時は姫神か土御門の妹と一緒に外いるわ」
……そうなの?
一方通行「ふーン。何だ、テメェもローンウルフって訳じゃ無ェのな」
結標「アンタと一緒にしない。って、アンタも最近じゃお友達多いか」クスッ
一方通行「……」テウィ!
結標「あ痛っ! 杖で叩くな!」ポコッ!
一方通行「さっきのお返しですゥ」フンッ
結標「ちぇっ」サスサス・・・
……見せつけてんの、アレ? - 535 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/12(日) 22:22:36.93 ID:6EVqpMAO
- ニヤニヤ(゚∀°)
- 538 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/13(月) 20:33:56.46 ID:NtA28Fg0
- 垣根「こんばんわ。前回に引き続き『ツンデレータ劇場』、あわきん・●カイウォーカー編です」
「初めに御詫びを。この度は>>1が例の如く寝落ちという愚行をやってのけた訳で……」
「そろそろ罰ゲームが近づいてるかな、と思っております。内容は考えておりませんが」
テレス「……何それ」
垣根「安価リクとか取っちまえとか思うんですけどねぇ……『あまくさっ!』やれとか『香焼アフター』やれとかありますし」
テレス「このSSの主役、クロヅマじゃなかったの?」
垣根「主人公(黒妻)とヒロイン(固法)が空気っぽい作品ですが、彼らがメインです。そこんとこ宜しく!」
「まぁ第一位のノホホン話、他のSS見るついでにでも見てやって下さい。そんじゃ、どうぞ!」Pi! - 539 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/13(月) 20:53:28.63 ID:NtA28Fg0
- ―――とある日、PM011:20、学園都市第7学区、グループ・とある『仮眠室』……
それから暫く、俺と海原はソファーの二人にばれない様空気と化して、様子を見ていた。
一方通行「……ったく、目ェ疲れンな」カキカキ・・・
結標「部屋くらいのに書きモノなんてするからよ。てか今時紙媒体に草案書くなんてらしくないわね」モグモグ
一方通行「PC無ェンだからしゃァねェだろォが。家帰ってからキチンとデータ纏めるっつの」
結標「二度手間ね。アンタレベルならチップやらカードに直接書き込めるから問題無いか」ポリポリ
一方通行「まァな……って、糞アマ。俺の肩に菓子屑落とすンじゃねェボケ」
結標「あ。めんごめんご」パッパッ
一方通行「ったく……あァ、眼鏡でも買っちまうかな」
結標「止めときなさい。絶望的に似合わないと思うから。それより甘いモノ取った方が楽よ。ほれ、あーん」スッ
一方通行「ン……何じゃこりゃ?」ポリポリ・・・
結標「ポッ○ーのブルーベリーソース味。美味しいでしょ?」ニコッ
一方通行「……ゲテ物だろ、コレ」モグモグ
結標「そう言いながら食べてるじゃん」クスッ
一方通行「……アレだ。ビタミンEってヤツだ」
結標「セルフ栄養生成人間が何言ってんだか」ハハハ
一方通行「……っせェ」フンッ
一方通行(アイツ)、あんな簡単に他人に身体触らせてたっけ?
海原「……あの二人、まさか」
土御門「有り得ん。片やロリコンの頂点、片やショタコンの代名詞だぞ」
海原「一方通行、彼女から見たら年下ですし……」
土御門「海原……それ以上考えるな」
推測したら負け。そんな気がする。うん。 - 542 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/13(月) 21:55:32.58 ID:NtA28Fg0
- 結標「さーてっと……暇になっちゃった」チラッ
一方通行「……何で俺見ンだよ」
結標「んー。暇潰しのネタ探し」
一方通行「何も出ねェよ」
結標「……えいっ」パッ
一方通行「なッ! オマ、人の携帯取ンなし!」
結標「良いではないか~良いではないか~」ニシシ!
一方通行「ざけンな阿呆!」
結標「なぁによー。何か厭らしぃモノでも有る訳かしらぁ?」ニヤニヤ・・・
一方通行「ぐっ……べ、別にンなものァ……」
結標「良いのよ別にブッチャけてもぉ。お姉さんに言って御覧なさーい」クスクス
一方通行「~~~ッ! 勝手にしろダ阿呆!」ケッ!
結標「ヒヒヒ! それじゃ遠慮無くっ」カチッ「トップ画面は打ち止め」ヤッパリネェ「……とアイテムのチビ娘」ウゲェ「……と香焼くん!」キラキラ!
一方通行「……何だその差」
結標「どうしてこう私の好き嫌いはっきりする輩をトップ画面に置いてるのよ、アンタは。複雑じゃない」ジトー・・・
一方通行「知るかボケ。俺の勝手だ。つゥかそれ俺が設定した訳じゃねェしよォ」
結標「アンタ、何かあればすぐ『打ち止め(糞ガキ)が勝手に~~』だもんねー」ヘーン
一方通行「……返せ」スッ!
結標「おっと! まだメールやデータフォルダを見てな、い……オートロック、だと……」
一方通行「ケッ」フンッ
結標「……パスワード」ジトッ
一方通行「イーヤーだ」キッパリ
結標「……やっぱ厭らしいモノ入ってるのね? このムッツリーター!」ギャーギャー!
一方通行「勝手に勘繰れ糞っタレ」ケッ
さて……ビデオ何処だっけかなぁ。 - 546 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/13(月) 22:46:19.52 ID:NtA28Fg0
- 一方通行「じゃァ、テメェの携帯見せンならいいぜ……ハッ! テメェの方が疾しいみてェだなァ」ニヤッ
結標「なぅっ!? べ、別に、そんな事は、無いですわよ!」タジタジ・・・
一方通行「声裏返ってますけどォー。動揺してるンじゃねェンですかァー」ククク・・・
結標「むぁ……むぎゃあああぁっ!!」ペシペシッ!
一方通行「ちょっ! ばっ! テメ、脇腹叩くな阿呆!」イデェッ!
結標「お、女の子は! や、疚しいモノなんか持ってないのよー!」ギャー!
一方通行「何が女の子だァあ痛っ!! 分かった! 分かったから止めろォ! もう聞かないっつゥの!」
結標「ぐぬぬ……覚えてなさい!」キッ!
一方通行「アー、ったく……面倒臭ェアマだなァ」ハァ・・・
結標「まったくもぉ……次から私を一回馬鹿にするにつき、諭吉一枚だからね!」ギロッ!
一方通行「なァンですかァ?! その不平等条約はよォ……じゃァ俺も同条件だなァ!」ニヤッ・・・
結標「アンタはいいの! 金持ってんでしょ! 借金有るけど金持ちでしょ!」
一方通行「ざァンねェンでしたァ。今朝利息分ジャンプしたから貯蓄0ですゥ」ハッ!
結標「うっ……」タラー・・・
一方通行「ってな訳でェ、結標ちゃンに渡せるお金はコレっぽっちも無いんだなァ。ホント残念だぜェ」ニヤニヤ・・・
結標「こ、この守銭奴が! お金にケチな男は嫌われるのよ!」ガー!
一方通行「はい、諭吉一枚頂きましたァ!」ニヤリッ!
結標「ちょ! アンタ、それ無しよ! 無し! アンタだってさっき……」ギャー!
一方通行「言ってなァいでございますですよォ? 結標お・ぜ・う・さン!」ギャハハ!
結標「~~~ッッッ!! ムッキイイィィッ!!」ポコポコッ!
一方通行「おォ、肩叩きで諭吉分稼ぐってかァ? 献身的な日本女子の鑑だぜ!」キヒヒ!
結標「にゃぐぅ……ウガアアァッ!!」スチャッ!
一方通行「ちょ、オマ、馬鹿! コルク抜きは洒落なンねェっつゥのドべ!」ウギャー!
結標よ……そう簡単に、口で一方通行には勝てないぞ。そいつは口の悪さも第一位だ。 - 547 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/13(月) 23:18:16.74 ID:NtA28Fg0
- 結標「だあぁ! もういい! 条約破棄よ! 破棄!」
一方通行「ったく……こちとらハナから約束する気無かったっつゥの」ハァ
結標「まったく、ケツの穴が小さい男なんだから」フンッ
一方通行「へいへい、悪ゥござンした……○ッキー」アーン
結標「チッ……ほれ」グイッ
一方通行「逆から入れるな無頼娘」パクッ
結標「アンタにゃこれで十分よ」プイッ!
一方通行「可愛くねェアマだ」ポリポリ・・・
結標「絶世の美少女淡希ちゃんに対して随分な言い草ね」フンヌッ!
一方通行「絶世の美少女(笑)」ケラケラ!
結標「チョークのバッテリーだけテレポートさせるわよ!」ギロッ!
一方通行「冗談抜きで止めて下さい。保険効かねェから」タラー・・・
結標「分かればいいのよ。まったく……慰謝料3万ってとこで手打ちにしてあげるわ」ニコッ
一方通行「オマエ馬鹿ですか?」
結標「敬語で馬鹿って言うな。プラス2万」
一方通行「マジふざけろ痴女が」
結標「痴……そう。そういう事言っちゃうんだ……」ジトー・・・
一方通行「……」タラー・・・
結標「ねぇ……お姉さんの何処ら辺が痴女なの? 言って御覧なさい?」グイッ・・・
一方通行「アー……」チラッ・・・「色々……」コホンッ・・・
結標「……やっぱ変態。ムッツリーター」ボソッ
一方通行「……違いますゥ。別に風評でそういうアレがアレだっただけですゥ」アタフタ・・・
ドツボに嵌まった一方通行。喰いつかれたら面倒なポイントを……
因みに、結標の恰好と俺のグラサンについては禁忌(タブー)である。これ、グループ内の暗黙の了解なり。 - 549 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/13(月) 23:58:49.07 ID:NtA28Fg0
- 結標「何処が痴女っぽいってのよ……」グチグチ・・・
一方通行「……だからもういいっつってンだろォよ」ハァ・・・
結標「最近小萌にも『人の私服面倒見る前に自分の恰好見なさい』とか言われるしさぁ……」ネチネチ・・・
先生。御尤もです。
結標「露出度高めって言うけど、演算する時着衣感覚邪魔になったりするんだし……私なりに考えて……」ブツブツ・・・
一方通行「……え」
結標「……え」
え?
海原「……伊達や酔狂であの恰好だったんじゃないんですね」
悪いが、俺もそう思ってた。
結標「……アンタ」ジトー・・・
一方通行「いや……だって、よォ……」タラー・・・
結標「……最っ低」フンッ!
一方通行「さ、サラシ巻くなンたァ昔のレディースじゃあるめェ……オマエなりのファッションだと思ったって可笑しくねェだろ」
結標「……そうよ! どーせ最終的には私のセンスですよ! センス! あー! そーね! 痴女ファッションよね!」ギロッ!
一方通行「だから、何もそこまで……」ウワァ・・・
結標「どうせピンクサラシの激ミニスカとか思ってるんでしょ! 笑いたきゃ笑いなさい! アーハッハッハッハァーッ!!」ウルウル・・・
一方通行「いや、別に……だあァ!! 面倒臭ェ!! 土御門ォ!! 海原ァ!!」ギャー!
結標「こうなりゃ全裸で前線出てやるわ! そうすりゃ単体ジャンプも余裕よ! 演算楽よねー!」ウワーン!!
一方通行「つゥちィみかどくゥン!! うーなばァらくゥン!!」ウギャー!
知らんぷり、知らんぷり。
海原「見てる分は楽しいですが、絶対に入りたくないですよねー」タラー・・・ - 551 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/14(火) 00:59:40.24 ID:y7YlEdw0
- ―――数分後・・・・・
一方通行「―――……ほら。素材的にコレをヒートテックなりタイツなりでオーダーすりゃァ、寒くなってからも問題無ェよ」カキカキ・・・ビリッ
結標「……あんがと」コクッ
何故か一方通行が保父さんになっていた。ソファーの上で膝を抱える結標に対し、親身になって相談に乗る白髪パパ。
どうやら露出度を控え、且つ防熱防寒対策の衣服についての話らしい。一方通行が生地価格等を計算し、結標に渡した。
確かに、全裸で戦う痴女と同じチームには居たくないからにゃー。
一方通行「それでもヤダってんなら、垣根のド阿呆が未元物質で新素材産み出すのを待つンだな」
結標「……これでいい」
一方通行「……あいよ」グデェ・・・
結標「……今度買い物付き合え。このリスト売ってる店、私知らない」ジトー・・・
一方通行「ハ? 何故命令形? つゥかよォ、そンなモン通販で取り寄せれば問題無ェだろ」タラー・・・
結標「試着っていうか、実際生地肌に当ててみなきゃ分かんないじゃん」
一方通行「……場所教えるから勝手に行け」
結標「責任取れ」
一方通行「ぐっ……」
結標「取らせてやるっつってんでしょ。女の子泣かせといて」ジトー・・・
一方通行「このっ……何で上から目線なンですかァ? 明らかにオマエ悪かっただ……」
結標「……」ウルウル・・・
一方通行「……嘘デス。俺ガ悪イデス。買イ物付キ合ワセテ下サイ」ナンデスグナクカナァ・・・
結標「ありがと。財布」ニコッ!
一方通行「ハァ……(現金な女め)」ガックリ・・・
・フラグがたちました! (※オプションとして死亡フラグも付いてきます)
海原「女の人ってズルイですよね。泣けば簡単に(ry」アムロフゥニ・・・ - 552 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/14(火) 01:56:23.21 ID:y7YlEdw0
- ―――とある日、AM00:15、学園都市第7学区、グループ・とある『仮眠室』……
結局、日を跨いでもホシが検問に掛る事は無く、予想道理長期戦を覚悟せざるを得なくなった。
俺はPCのディスプレイと睨めっこをし、監視班からの細かい情報を待っていた。
海原は先程から携帯のボタンをこれでもかという程に弄繰り回している。
先程言ってた妹分達とメールでもしてるのだろうか。しかし、既にガキ共は寝てる時間だと思うのだが。
海原「……んー。中々引っ掛りませんね」カキコキ・・・
土御門「……何してるんだ?」
海原「メール」キッパリ
土御門「見りゃ分かる。例の義妹と?」
海原「ショチトル達は流石に寝てますよ……まぁ監視班なんかに任せてたら何時になるか分からないですからね」パタンッ
土御門「……は?」
海原「コネ、ですよ」ニコッ
……また『蛇』か。
海原「まぁそんな所です。バイト代は経費で落として下さいね」クスクス
土御門「……もうあの『妹(ミサカ)』、グループの一員みたいな扱いじゃないか。正式にスカウトしちまえ」
海原「僕にそんな権限無いでしょう。それに……彼女は僕の利害関係を問わない私兵みたいなものですから」
土御門「よく言う」フンッ・・・
海原「貴方だって近所の無能力者『二人』、私兵みたいに使ってるじゃないですか。利害関係問わずにね」ニヤッ・・・
何処で調べたんだか……
海原「上条さんは勝手に首突っ込んでくれるから良いにしても、黒妻さんは扱いづらいでしょうに」
土御門「……そこはかとなくな」
海原「まぁ、公共のPCでソリティアやりながら情報待ってる貴方よりは使えるでしょうけどね」クスッ
喧しい。暇潰しの代名詞と言えば、既存ツールのソリティアかマインスリーパーと相場が決まっているのだ。口出すな。 - 554 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/14(火) 02:17:20.27 ID:y7YlEdw0
- 海原「兎角、スネークからの情報は『キャッシュ』扱いですよ。今は僕が立て替えておきます」
土御門「そりゃどーも……羨ましい私兵だな」ケッ
海原「ええ。自慢の弟子です」ニコッ
土御門「何が弟子だ。何時でも俺らを見限れる戦力作ってる癖に」チッ・・・
海原「そりゃそうでしょう。グループ(我々)=利害関係の一致です。そう言ったのは土御門、貴方でしたよ」
土御門「……ふんっ」
海原「まぁ貴方の場合、二重三重にも諜報員やってるみたいですし、忙しいのは分かりますけどね」
土御門「なら言うな。その通り暇じゃ無いんだよ、俺は」
海原「失礼。ですが、個人的なモノで……貴方が誰を出し抜きたいのかが興味有るんですよ」
土御門「……そりゃ如何いう意味だ」
海原「何処に本籍を置いてるのかは知りません。イギリス、学園都市(此処)、若しくは上条勢力と呼ばれる架空の組織でも良いでしょう」
土御門「……」
海原「しかし、僕には貴方が『誰か』と張り合ってる気がしてならないんですよね」
土御門「……意味が分からんな」
海原「代表的な所はアレイスター、御宅の最大主教(スチュワート)殿でしょうが、それはない……彼らは次元が違う」
土御門「ソイツらに関しては、出し抜く出し抜かないってのを俺が決める事ではないな。(狂言回しだとは自負してるさ)」スッ・・・
海原「となると……貝積継敏理事。噂程度ですが」チラッ
土御門「……」ピクッ・・・
海原「理事自体ではありませんね。名前は出てきませんが……彼のブレイン。『裏の裏』でしょう? 貴方並に」
コイツ……何処で……
海原「気に喰わないですか? 貴方が何を考えてるのか教えて下されば、此方も色々お話しますが」ニコッ
土御門「……ふざけろ。阿呆」クルッ・・・
海原「おやおや。嫌われたものだ」クスッ・・・
覗かれるのは、大嫌いだ。 - 555 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/14(火) 02:39:15.47 ID:y7YlEdw0
- 海原「あ。因みに>>553だそうですよ」
土御門「うっせぇ。メタいのを取って付けるな」
海原「ああ、メタ発言は貴方と第二位(垣根)の十八番ですもんね。『とあるシリーズ』の○ッドプールめ」ニコッ
このSSを見てくれている人達の中でデップさんを知っている人がどれだけいるかは知らないが、コアいので止めとけ。
海原「失礼失礼。気を付けます」
土御門「そうしろ……兎に角、俺はもう少し情報を洗ってみる。もしかしたら空や地下からのルートも有るかもしれないからな」
海原「いっそ下請けのスキルアウト達にメイン道は任せて、其方に重点を置いては?」
土御門「……スキルアウトねぇ」
海原「使えない連中も多いですが、第七学区の最大勢力チームの頭は大そうキレ者らしいじゃないですか」
服部か……成るべく借りは作りたくない。雲川と同じくらいにキナ臭い。
土御門「……それは最終手段だ。アイツを頼るくらいなら、探索術式を組む」スッ・・・
海原「ほぅ」
土御門「『クスリ』のサンプルがあれば探索は簡単。折り神(オリガミ)を使ったモノだ。魔力はオマエが通してくれ」
海原「了解……と言いたいところですが、此処で魔術を?」チラッ
土御門「ん……そうだな」ソー・・・
そう言えば、ソファー占領組の事を忘れていた。
海原「大人しいですが、また黙々携帯でも弄ってるのでしょ……」ピタッ・・・
土御門「どうしたん……」ピタッ・・・
リビング、ソファー、二人。
土御門・海原「「……」」ポカーン・・・
唖然。 - 556 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました2010/12/14(火) 03:17:19.14 ID:y7YlEdw0
- 一方通行・結標「「……」」スゥ・・・スゥ・・・クゥ・・・クゥ・・・
百歩譲って、この深夜帯、寝てしまうのは仕方あるまい。
俺らはプライベートまで介入しない訳で、実は昼間忙しかったのかもしれないだろうからにゃ。
だが、しかし……
海原「僕の目がオカシイのでしょうか? アレ、自然に……」
土御門「……膝枕とかいう行為だな」
一方通行が結標の膝に頭を乗せて寝ている。詳しく言うと、His cheek on her thighs.
海原「しかも……一方通行、反射切ってません?」
土御門「……うわっ」ジー・・・
よくよく考えれば、一方通行が相手に触れてる=反射オフということだし、更によく見ると結標の手が一方通行のデコに乗っている。
何だこの……言い表せない関係。
海原「土御門……やっぱり彼らは……僕たちに黙って……」タラー・・・
土御門「い、いや……あの二人も馬鹿じゃない、筈」ウーン・・・
何時互いを捨て駒にするか分からない関係だ。そのような『感情』、芽生えて良い訳が無い。
一方通行「……ン」コロンッ・・・
結標「ん……くぅ……」スッ・・・
土御門・海原「「っ!!?」」ギョッ!?
一方通行、寝返りを打つ。傍目、非常に拙い絵図。
結標のスカートが短い所為もあるが、一方通行の顔面が[らめぇぇっ!]的な事になってる様に見える。
加えて結標も一方通行のデコを抑えっ放しなので……[ピーーー]状態にしか見えなくなってきた。
海原「……とりあえず、写メりましょう」スッ・・・
そうだな、と何故か冷静な俺ら。携帯用サイレンサー(※非売品です)を付け二人をパパラッチング。一週間はネタに困らないぜぃ。ニヤニヤ。 - 558 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/14(火) 03:52:03.00 ID:y7YlEdw0
- それから数分、俺らは任務を忘れ様々な角度から写真並びに動画を撮影した。寧ろコレが任務だと言わんばかりに。
海原「コレどうしましょう?」ニヤニヤ
土御門「とりあえず垣根に送ってやる。話が拗れて面白愉快になる」ニタニタ
海原「うっはぁっ! 外道!!」ワラワラ!
土御門「シィ! 五月蠅いぞ……ほら。そろそろ本職に戻る」
そうだ。探索術式の準備があった。
海原「そうでしたね……丁度良い。二人にばれないで済む」
土御門「一応万全を取ってベランダに式を敷くぞ。来い」テクテク・・・
海原「あ。一応カメラ固定録画セットしておきますね。帰ってから続き見ましょう」ニヤリ・・・
土御門「キチンと隠して撮れよ……んじゃさっさと終わらせるか」
海原「はいはい。スネークからの情報も照らし合わせてやりましょう。その方が捗る」
土御門「あいよ」クルッ・・・
そして俺らは二人を放っておき、ベランダへ向かった……
以上! 残りは添付した動画ファイルを見てくれ! んじゃ金返せよ!
* * * * * * *
垣根「はい。どうもありがとうございました! 主らも悪よのぅ、土御門に海原」イッヒッヒッ!
「って事で手元に三十分程の動画ファイルがありまーす。今回はディレクターズ(俺のみ)カットという事で少しだけ見せちゃうよ!」
「全編見たい方はこのラジオの特設サイトの商品ページから購入、またはカキネマーケット79の特設ブースで限定版を購入してね!」
テレス「……アンタ、マジそういうの危ないから止めときなさい」タラー・・・
垣根「と、バックでディレクターが何か言っておりますが委託予定は無いのでお早めに!」
テレス「終いには冥土帰しにジェネレーター切られても知らないからね」ハァ・・・
垣根「電力供給が怖くて工場経営が務まるかい! って事で、ディレクターズ(俺のみ!)カット……どうぞ!」ポチッ! - 559 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2010/12/14(火) 04:28:45.42 ID:y7YlEdw0
- ―――とある日、AM00:50、学園都市第7学区、グループ・とある『仮眠室』……
※(垣根「音声だけでぇ……お送りしまーすっ」ヒソヒソ・・・)
一方通行「ン……ァ……スゥ……スゥ……」ズルッ・・・ペタッ・・・
結標「ん……ぁぐ……くぅ……ふぁ……」アシクミカエーノ・・・ポンッ・・・
一方通行「ンンゥ……むゥ……」グシグシ・・・モフッ・・・
結標「あむ……みゅ……へへェ……くぅ……」ナデ・・・ナデ・・・キュッ
一方通行「っ……ぐェ……」ケフッケフッ・・・
結標「ん……んぃ……」スゥ・・・ポンッ・・・ポンッ・・・
一方通行「……ァ、に」コテンッ・・・
結標「ん……ぁ……ゃ……」ギュッ・・・
一方通行「……ぁち……ぃ」フイッ・・・
結標「……ふぁ……あ、ぅっ……んっ」スッ・・・
土御門『良し! 見っけたぞ!』ギュイイイイィンッ!! ガンッ!!
海原『ビンゴオオォっ!!』バジンッ!! ビジバジッ!!
一方通行・結標「「ッッッ!!?」」バッ!!
ゴチンッ!
一方通行・結標「「痛ァっ!!」」ツウゥゥ・・・
一方通行「だあァ……ンあ?」ポカーン・・・
結標「何、よ……え?」ポカーン・・・
一方通行・結標「「……」」ジー・・・「「……」」キョロキョロ「「……朝?」」キョトーン・・・
土御門・海原「「仕事だ馬鹿能力者共!」」ハァ・・・ - 560 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました2010/12/14(火) 04:51:53.22 ID:y7YlEdw0
- 垣根「はーい以上! ツンデレータ劇場その1、『職場の同僚と××』編でしたー!」
テレス「……音だけだと、想像以上に卑猥ね。コレ」ウワー・・・
垣根「それがラジオの怖ろしい所ですよねー。最早テレフォン[ピーーー]と変わらない気がしないでも無い!」
テレス「垣根……こんなの館内放送で流せる訳ないでしょ」ハァ・・・
垣根「やってみなきゃ分っかりっませーん。はい、ってな訳で……何だか訳訳多用し過ぎて俺ら喋り方フレンダみたいになってんぞ」
テレス「知るかアホ」
垣根「冷てぇ女。まぁいいや……PN.『つっちー』さん。投稿ありがとう! また何かあったら報告宜しく!」
テレス「リスナーもどき。火に油注ぐなよー」ボソッ
垣根「次回はツンデレータ劇場第二幕。PN.『専門蛇』さんからの投稿の『病院で母であり姉の様な人物と××』編だよ!」
テレス「その『××』って表現止めて。態々卑猥に思わせる手口が厭らしいわ」
垣根「じゃあ、[らめぇぇっ!]や[禁則事項です]や[ピーーー]ならいいの?」
テレス「……もう勝手にしろ、ド阿呆」ハァ・・・
垣根「はい! ディレクターからゴーサインが出ましたので、次回も続けます!」
「因みに『淡希アフター』は……俺の計算の中だと有るとしたら、次スレになってから登場だね」
テレス「『にゃふたー』だかってのやってないしね。『黒妻正史介入』だかってのも言ってたから、消化不備よね。この見切り発車」
垣根「俺は悪くないもーん。>>1が悪いんだも―ん」
テレス「名前覧見てみ。『>>1にかわりましてカキネが~~』……コレ、アンタが責任負うんじゃないの?」
垣根「……」
テレス「……」
垣根「はい! 『淡希アフター』はそのウチやりまーす! てかサイドストーリーばっかやってないでさっさと本編やれって話だよね!」
テレス「話逸らしたな、コイツ」ハァ・・・
垣根「とりあえず、今日は此処まで! 近い内に『仮面』のアンケ取るから協力宜しく! では質問意見感想罵倒リクエスト……」
テレス「ホント、適当ね」
垣根「……特にテレスティーナにやって貰い(ヤらせ)たい事、言って貰い(言わせ)たい事、大募集!」
テレス「ザけんな垣根! 電源落とすぞコラァ!!」ガアアァッ!
垣根「おお怖い怖い。それじゃあ、またね! ばいばーい!」)ノシ☆ミ - 569 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2010/12/22(水) 00:23:51.84 ID:7l0ZWS60
- 垣根「皆さんこんばんにちは。遅くなりましたが次のタレコm、ゲフンゲフンッ! ……次の投稿」
テレスティーナ「……まだやるのね」ハァ・・・
垣根「いーだろ別に。文句言うな」
テレス「アホ」ボソッ
垣根「うっせぇ! 暇なんだっつの! テメェと違って俺は枯れて無ぇの!」ギャーギャ-!
テレス「枯れ……悪かったわね」フーン・・・
垣根「珍しく素直に認めたな。まぁ寂しかったら俺が相手してやるよ……色んな意味でなぁぶべらぁっ!!」ガツンッ!
テレス「~~~ッッ!!」シュウウゥ・・・///
垣根「ぐぬぬ……このツンデレ、いや枯れデレ女郎め」イテテ・・・
テレス「知らん! ったく……此処では『生きてる』からって調子ノリやがって……」フンッ・・・ボソッ
垣根「へーんだっ! 調子乗って無い俺なんか俺じゃねぇしー! (……何か電波な事言ってたが、気の所為か?)」ン?
テレス「そ。好き勝手やりなさい……いつ『死んでも』未練無いよう、精々青春しなさいな。若人さん……」カツカツ・・・
垣根「……意味分かんねーな。ま、いいか。んじゃ次の紹介。PN.『専門蛇』さんからの情h、げふんげふんっ……お便りです」
専門蛇『10032号と病院勤務の交代した日の話……ミサカは懇切丁寧に詳細を述べたいと思います。オーバー』プチッ!
垣根「どうもプロスネークさん! この前貸した消音器(サイレンサー)返してね! では、再現VTRどぉうぞ!」ポチッ! - 571 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2010/12/22(水) 00:38:57.41 ID:7l0ZWS60
- ―――とある日、PM06:30、学園都市第7学区、とある病院、特別対応室・・・・・・
妹達、個有番号17600号、報告。
本日は10032号が何やら『用事』があるという事で、担当病院に有給休暇申請を出した。
本来我々妹達は割り振られた仕事を休む等という事は合ってはならないのだが……察して上げよう。これでも『姉妹』であるつもりだ。
ただ、万年人手不足である『この病院』にとって、例え一人の休暇であってもそれなりに痛い不足だったらしい。
故に借り出されたのが私、17600号。通称……は、どうでもいいか。理由は単に私が『表向き』、暇だっただけ。
まぁ、実は14889号(漢女姉御)と15555号(ファイズ)の三人でやったジャンケンで負けたのだ。あー、悔しい。
やらねばならない仕事はそれなりにあるのだが、師匠から『良い経験です。やってみては?』と告げられ、此の始末。
良い経験って、病院潜入の任務なんてこの先有るのだろうか……やれやれだ。
因みに看護服……スカートではなく、ズボンタイプにしてもらった。似合うかな?
さておき、現在とある患者の個室に足を運んでいる。
一般マニュアルは勿論、個人情報、さらには医療専門知識を一時的にインストールしているので手際は間違えない筈だ。
ただし、この『とある人物』はある意味VIP。『ある意味』要注意人物らしく、冥土帰し(先生)からは気を付ける様、教えられた。
何でも『マニュアルじゃどうしようもない人だよ』との事……どういうことだろう。
御坂蛇「―――……経過は良好。近い内に退院可能だそうです、とミサカは先生から告げられたテンプレを繰り返します」
黄泉川「うーん……別にもう動けるじゃんよぅ。戻ってもいいじゃん?」
御坂蛇「駄目」キッパリ
黄泉川「ちぇ」
患者名:黄泉川愛穂。 性別:女性。 年齢:××。 身長・体重:1**,*㎝・**,*㎏。 B・W・H:[禁則事項です]。
職業:○○高校体育教師。警備員、■■部署。新人警備員教育係長。触法・虞犯少年更生委員。こどもの人権を守る会員。等々……
その他:上位個体、最終信号の保護者兼後見人。及び、犯罪少年である第一位(一方通行)の――表向き――主任監督観察・監視者。
犯罪検挙率は並の男性警備員より高く、能力暴走を起こした大能力者(Lv.4)の少年を無傷で保護した等の経緯あり。
(以下略)
入院理由:●月◎日、警備員の夜勤任務中にてロシア人系らしい不法入国組織と衝突。そして……――― - 572 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2010/12/22(水) 00:44:09.03 ID:7l0ZWS60
- 黄泉川「―――っと。おーい。お嬢さーん」トントン
御坂蛇「……え、あ。はい、すいません」
黄泉川「どうしたじゃん?」
御坂蛇「少しばかり考え事を……申し訳ありません。とミサカは己の職務怠慢を恥じます」ペコッ
黄泉川「律義な子だねぇ……んで」ジトー・・・
何やら見詰められてる。どうしたのだろう。私は特に何もした覚えは無いのだが。
黄泉川「アンタ、いつもの子じゃないじゃん」
御坂蛇「……と言いますと?」
黄泉川「なんてぇか、いつもよりピリピリしてるじゃん。同じ顔だけど、雰囲気が違うじゃんよ」ハハハ
御坂蛇「ピリピリ、ですか」フム・・・
そんなに10032号と違うだろうか。ハッキリ言って、20001号(打ち止め)や第三次計画の連中以外の妹達は違いないと思うに。
黄泉川「だから雰囲気じゃんよ。御坂(美琴)の妹で打ち止めの姉ってのは同じ気がするけどさ」
御坂蛇「厳格には『色々』異なります……その辺は芳川主任からお聞きになってるのでは? ミサカは疑い深い貴女に対し溜息をつきます」ハァ
黄泉川「桔梗の話はクドいじゃん。半分聞き流してるじゃんよ。まぁ……何か大人っぽいよね、嬢ちゃんは」ニコッ
何故か彼女の胸に目が行ってしまった。何が大人っぽいだ、こん畜生。嫌味か? 嫌味なのか?
黄泉川「ハハハ。許してちょーだい」
御坂蛇「はいじゃんはいじゃん」
黄泉川「嬢ちゃんも呼び方、妹ちゃんでいいかい? あの子(10032号)には、そう呼んでたけど」
御坂蛇「御好きにどうぞ。嬢ちゃんでも妹でもミサカでも」
『ミサカ』以外の名前に固執は無い。仲間内で『蛇』なんて呼ばれているが、正直どうでもいい。
何ならシリアルナンバーを言ってやろうか。
……やめておこう。一般人とは違うとはいえ、私達の本名(ミサカ達の番号)を聞いて良い思いをする人など、そうそういまいに。 - 573 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2010/12/22(水) 01:00:00.03 ID:7l0ZWS60
- 黄泉川「……変わってるね、嬢ちゃん。キレものっぽい感じじゃん」
御坂蛇「よく言われます。では、私はそろそろ……とミサカは素っ気無く――」ペコッ
黄泉川「待った」
御坂蛇「――……はい。まだ何か?」キョトン?
黄泉川「嬢ちゃん、どっち利き?」
いきなり何だというのだ。
黄泉川「いいからいいから」ニコッ
御坂蛇「両利き(スイッチ)です」
黄泉川「じゃあ両手出すじゃん」ニコッ
御坂蛇「……」
黄泉川「ほれほれ」クイクイッ・・・
他人に易々と身体を触らせるのは嫌なのだが……邪険にも出来まい。さっさと終わらせて待機室へ戻ろう。
黄泉川「うぃ」スッ・・・グイッ
御坂蛇「っ!!?」What?!
有ろう事か諸手を引っ張られ、満面に臭いを嗅がれた。意味が分からない。
御坂蛇「な、にを……」ドキッ!
黄泉川「ちょい待ち」クンカクンカ・・・
御坂蛇「わ、私はその(白井黒子)様な趣味は無い訳で、男っ気は無いかもしれませんがコレでも普通のミサカ的思考で」
黄泉川「うっさい。レズだのノーマルだの、そんなんじゃないじゃんよ……うっし!」パッ
私の手を離すと同時に、不敵にほくそ笑む黄泉川女史。
まさか本当にソッチ(白井黒子&11028号&14444号)系の人なのか?! - 574 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2010/12/22(水) 01:17:25.63 ID:7l0ZWS60
- 黄泉川「だから違うっての……ねぇ、嬢ちゃん……煙草」ボソッ
御坂蛇「え”っ!?」ドキッ!
馬鹿な!? 喫った後はキチンと石鹸で満遍無く洗い、その上臭い消し、更に香水までしているのに……
黄泉川「その表情は、ビンゴじゃん」ニヤッ・・・
御坂蛇「あ、ぅ……カマ、掛けられた……私(ミサカ)が……がっでむ」ドヨーン・・・
黄泉川「未成年の『悪い子』の中で、半分はコレに引っ掛るじゃんよー。あはは!」ジトー・・・
御坂蛇「うっ……」タラー・・・
黄泉川「まぁでも、微かに、人差し指と中指の間には『匂い』残っちまうもんだからねぇ……没収じゃん」ニコッ
御坂蛇「ぐぅ……今は、無い、です」
黄泉川「休憩室?」
御坂蛇「はい……あの、その……」
黄泉川「ん? あー、分かってる分かってる。先生(冥土帰し)と桔梗には内緒にしといてやるじゃん」
助かる。色々と後が面倒だ。特に主任(芳川)は、そういった風紀については五月蠅い。本人は結構だらしのない性格なのに。
黄泉川「桔梗は変なとこで甘かったり、厳しかったりするじゃんね。まぁ10年近く一緒にいれば分かってくるじゃんよ」ニコッ
御坂蛇「はぁ……では、とりあえず一旦失礼します。とミサカはおずおず下がります」
黄泉川「ちゃんと持ってきなさいよー。じゃないと告げ口するじゃんよー」アハハ!
……こういうノリは苦手だ。調子が狂う。どうも相手の裏を掻くのではなく、相手の表面から剥ぐタイプの人間だ。それも強引に。
疑う訳ではないが、保険を掛けておこう。
御坂蛇「……先に、これを」スッ・・・
黄泉川「ん? ……ライター。革カバーのジッポなんて渋いの使ってんじゃん」ハハッ
御坂蛇「ポケットにあったので、先に……担保変わりです。とミサカは一時の品質を預けます」
黄泉川「うん。殊勝じゃんねー。いってらっしゃーい」クスッ
……残念。盗聴器です。チンコロされたら、云十倍で仕返しさせて貰う為に、ね。 - 575 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2010/12/22(水) 01:52:44.19 ID:7l0ZWS60
- ―――とある日、PM06:40、学園都市第7学区、とある病院、特別対応室…side.黄泉川…
キレ者お嬢ちゃんが部屋を去り、一人ベットに残った。
黄泉川「……甘いじゃん」フフッ
いつもの子なら、『煙草』というワードで即時叱咤確定なのだが、今日は運が良い。
まぁ巻き上げて、という訳ではない。あくまで『没収』だ。
黄泉川「はは、は……暇だなぁ」ハァ・・・
何もできない時間。暇を通り越して酷と感じてしまった自分に、ショックだった。
私はそんなにワーカーホリックだったのだろうか……虚しい。
勿論、ベットの上で鉄装に(無理やり)持って来させた書類仕事はこなせるが、やはり身体を動かしたいと思ってしまった。
黄泉川「リハビリ……時間掛るのかな……」
数週間、身体を動かしていない。きっと、かなり鈍っているのだろう。
ああ、畜生。まるで、いい加減デスクに回れと五月蠅い背広組の、私に対する念思の様なモノが感じられて最悪だった。
ある一定の、戦績を残した女性キャリアを現場組にしておきたくないトップ衆の思惑は分かるが……私はまだまだ現役のつもりだ。
せめて鉄装辺りが私の後を継いでくれるレベルになるまで、引退するつもりは無い。
黄泉川「まだまだ、やれる……やらなきゃね」
誰に言う訳でも無い。虚空にぼやく。
此処にいない誰かに投げかけてるのか。あるいは自身への暗示か……何れにしろ、引く気は無い。
黄泉川「……なーんて、馬鹿みたいじゃん。横なろ」コロンッ・・・
悔しいが、すっかり愛着の湧いてしまったベットに寝そべる。
初めは独特の匂いに嫌々我慢していたが、今ではすっかり当たり前の匂いになってしまった。慣れとは怖ろしい。
しかし、退屈だ……あの子も遅い。誰か来ないものか…… - 577 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2010/12/22(水) 02:36:10.02 ID:7l0ZWS60
カコンッ。
黄泉川「……ん?」パッ
音……ドアの方では無い。窓の方。
此処は20階以上の場所。鳥でもぶつかったのだろうか。
ふと、首を横に傾け窓を見遣った。
黄泉川「・・・・・・・・・・・・・・・何、あれ?」タラー・・・
何やら、歪なモノが上窓枠に引っ掛っていた。
錨というか、フックというか……そういう類のモノ。
無論、咄嗟に警戒する。いくらVIP部屋とはいえ、道具・武器が強大なら突き破る事は出来よう。
枕元に隠していた護身用スタン警棒に手を伸ばした。
黄泉川「……」グッ・・・
キュルキュルといった何かを巻き上げている様な音……来るか。
―――スタッ・・・ピタッ・・・・・
窓に張り付く音と同時に……
黄泉川「……は?」ポカーン・・・
馬鹿っぽい輩が、顔を見せた。
黒妻『ちぃーっす』コンコンッ
……唖然。- 578 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2010/12/22(水) 02:48:32.46 ID:7l0ZWS60
- 黄泉川「……黒妻?」ポカーン・・・
黒妻『こんにちは。いや、こんばんはか?』ウーン・・・
そこは大した問題じゃないと思うが。
黒妻『あ、そう。まぁいいや。開けてくださーい』コンコンッ!
黄泉川「……」ハァ・・・
色々突っ込みたかったが、とりあえず呆れてモノも言えない。
兎角、入れてやろう。話はそれからだ。
黒妻『うぃ! よっと……どうもっす」スタッ
黄泉川「あー……どっから突っ込もうか」ンー・・・
黒妻「いや、完璧すぎて突っ込みようないでしょう」キリッ!
破天荒な馬鹿という意味では完璧かもしれないが、一般常識という点では大いに間違ってると思う。
黒妻「あはは。そりゃまぁ大目にねぇ」タラー・・・
黄泉川「ったく……オマエのは今に始まった事じゃないから良いけどさぁ」ハァ・・・
黒妻「さーせん」ペコッ
黄泉川「いいじゃんよ、別に……んで? まず何しに?」
黒妻「見舞いですよ。ほら! 行列のできるトンデモ・スイーツ屋で買ってきたお米ゼリー!」ドヤッ!
……リアクションに困る見舞い品を、どうもありがとう。
黒妻「ちょっとグチャってるかもしれないっすけど、許して下さいね。あと、ちょっと温いかも」アハハ・・・
勘弁してくれ。冷えてないゼリーは甘味に有らず、だ。 - 579 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2010/12/22(水) 03:03:03.03 ID:7l0ZWS60
- 黄泉川「んじゃ、次のツッコミ。どっから、どうやって、この部屋来た?」
黒妻「えっと、下からびゅーんって」
黄泉川「擬音禁止。曖昧表現禁止」キッパリ!
黒妻「うーん……絹旗最愛って覚えてる? その子今入院してて、その子の部屋から……」クイッ
確か、浜面の仕事仲間の子だったか。黒妻や固法とも仲が良く、最近では打ち止めも姉の様に慕っていた筈だ。
黄泉川「どうして入院を?」
黒妻「……色々、ね。そのウチ、お話します」
訳有り、か……
黄泉川「分かった。じゃあ、続き」
黒妻「どうやって来たか? えっと……」ゴソゴソ・・・「コレで」スッ・・・
黄泉川「……銃(チャカ)?」キッ・・・
黒妻「まぁ……はい」コクッ・・・
黄泉川「……オマエ、得物は持たない主義じゃ無かったかい?」
黒妻「殺傷能力は皆無っす。ワイヤーガンっていうのかな」
使い方によっては凶器なのだが……コイツの事だ。其処の所は、理解しているのだろう。
黒妻は絶対に人を殺さない。断言できる。
固法がいるから。
黒妻「……兎に角、コレで引っ掛けて上がってきました」
黄泉川「何処でそんなモノを……半蔵か?」ジトー・・・
黒妻「えっと……あはは……」ダラー・・・
まぁこんな小細工できる人間は、黒妻の知り合いの中じゃアイツしかいまい。 - 580 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2010/12/22(水) 03:17:21.57 ID:7l0ZWS60
- 黒妻「まぁ良いじゃないっすか。見舞いに来たんすよー」ダハハ・・・
黄泉川「オマエ、一応私が警備員って分かってるじゃん?」ジトー・・・
黒妻「うっ……まぁ、ええ。でも黄泉川さんにカチコミなんかしませんって」
黄泉川「ハァ……ったくもう」
それなりに信用しているから大目に見るが、普通なら窓から突き落とされても文句は言えないのだぞ、と睨んでやった。
黒妻「へいへい。んで? お身体は?」
黄泉川「問題無しじゃん。早く現場復帰したいじゃんよ」
黒妻「それは良かった。ま、その様子なら大丈夫っすよ……『先生』の方はね」ニコッ・・・
黄泉川「……」ジロッ・・・
黒妻「……警備員の方は、暫く無理っしょ」スッ・・・
視線を合わせず、煙草を差し出す黒妻。
無言で受取り、先程没収したライターで自ら火を点けた。
黄泉川「……さぁね」フゥ・・・
黒妻「そ」カチッ・・・ジジジ・・・
紫煙が二つ。
黒妻が言いたい事は何となく分かる。だが……
黄泉川「状況が状況なら、出るじゃんよ。絶対、ね」
黒妻「……」チラッ
黄泉川「子供が助けを求めてたら……自分がベストじゃなくとも、向かってやんなきゃなんないじゃんよ」ジジジ・・・
大人が、ね。 - 581 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2010/12/22(水) 03:35:47.07 ID:7l0ZWS60
- 暫し、沈黙。
ふと……黒妻がポケット灰皿を差し出してきた。どうやら今にも灰が落ちそうだったらしい。危ない危ない。
黄泉川「……あんがと」トントンッ
黒妻「いえいえ」ニコッ
微笑。きっとこの面の裏では何か言いたいのだろう。
黒妻「言っても無駄でしょう?」
黄泉川「……まぁね」クスッ
黒妻「……とりあえず、一人で行動するのは止めて下さいね。鉄装さんに言っときますから。ちゃんと『監視』しろって」
黄泉川「生意気」コツンッ
黒妻「あはは」イテッ
コイツを見てると、悲しいが、年を感じてしまう。自分は、まだ××歳だというのに……何故か屈辱的だ。
黒妻「十分若いっすよ」
黄泉川「要らん御世辞じゃんね」フフッ
黒妻「少なくとも、結婚できない年齢じゃありませんね」フゥ・・・
毒のある言い方。コイツ……
黄泉川「……辞めろってか?」ギロッ
黒妻「……言っても聞(効)かないんでしょ。だからネチっこく、ね」ニヤッ・・・
黄泉川「良い根性だよ。普段なら容赦なくブッ飛ばしてたじゃん」フッ
寸の間、黒妻は煙草を揉み消し……低い声で、呟いた。
黒妻「悪いが、アンタが……俺に、勝てるか?」
黄泉川「っ」 - 582 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2010/12/22(水) 03:59:53.46 ID:7l0ZWS60
- 黒妻「いや、勝てるかもしれない。でも……負けるかもしれない。でしょ?」
黄泉川「オマエが悪さしない限り、タイマンになる事は無いじゃんよ……」
黒妻「確かに……でも、分かりませんよ?」
黄泉川「断言してやるじゃん。『固法(枷)』がいる」キッパリ!
黒妻「……」
だが、確かに……私はコイツとやり合った場合、勝てるのだろうか。
現に私は、能力者じゃない成人男性に……―――ッ。
黄泉川「っ!」ウッ・・・ッ
黒妻「っ!? 黄泉川さん!!」バッ・・・
黄泉川「ダイ、ジョブ……ご、め……ん。水……取って」ポトッ・・・
思い出して、しまった。
黒妻は落とした煙草を拾い上げ、私にコップ一杯の水を渡した。
黄泉川「っ……こほっ……ふぅ」ハァ・・・
黒妻「……すいません。言い過ぎました」ペコッ・・・
黄泉川「……現実じゃん。あー、シーツ……誤魔化さなきゃなぁ」フゥ
非常だが必ず何処かで……女は……男に勝てないという境界が、存在する。
黒妻「……俺からは、何も言えません」
黄泉川「女は男に、子供は大人に……勝てないもんじゃんよ。能力者だろうが宇宙人だろうが魔法使いだろうが、ね」
黒妻「……そう言うなら、そうなんでしょう」コクッ・・・
力じゃ無くとも、それ以外の『何か』であっても。 - 583 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2010/12/22(水) 04:28:36.49 ID:7l0ZWS60
- 黄泉川「黒妻は、大人で……男じゃんよ」
黒妻「自覚してます」コクッ
私の周りには、大人と呼べる『頼れる』大人が少な過ぎる。二十歳を超えてるのは、警備員仲間を除いてコイツくらいだ。
正直、コイツでも若いが、大人の部類になってしまう。
頼れる大人がいないから……子供たちが早く、大人にならざるを得ない。
黄泉川「悪いけど、まだ若造に席を譲るつもりは無いじゃんよ……黒妻」チラッ
黒妻「ええ。頼りにしてます」ニコッ
私も大概老けてるが、コイツも老けてる。環境の所為だろう。
どうやら私達は爺婆臭いようだ。あぁ、悲しいかな。
黄泉川「はぁ……ま、いいや。他に何かあるじゃん?」
黒妻「うーん……そうだなぁ……」ポリポリ・・・
首を捻って悩み出す黒妻。
ふと、先程のワイヤーガンに目が行った。
黄泉川「黒妻。それ」クイッ
黒妻「え”っ!? 没収はキツいっすよ!?」タラー・・・
黄泉川「違うじゃん。貸して」ン!
黒妻「えー……壊さないで下さいよ。半蔵マジ泣きするんで」
黄泉川「分かってるって。ほれ、寄越せ」ホイホイッ
黒妻「……うぃ」スッ・・・
見た目、大口径の自動拳銃にアンカーとワイヤーを付けたモノ。
ただ、銃の方を良く見て、気付いた……
黄泉川「……演算銃器(スマートウェポン)か。的確に人殺す道具で、考えたもんじゃんね」ヘー・・・
黒妻「……銃は人を守ったり、助けたりする為のモンすよ」スッ・・・
黒妻は、静かに窓際の方へ歩き出した。背中が、やけに大きくまるで……『誰か』の様に見えた。 - 591 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/03(月) 01:42:00.14 ID:i9TxGmE0
- ―――とある日、PM06:50、学園都市第7学区、とある病院、特別対応室・・・・・・
暫時、無言だった。手には銃。しかし殺傷能力は無い。だが、銃。
武器道具というものは、どんなものでも使い手次第だ。善にも悪にもなれる。
黄泉川「……返す」スッ
黒妻「ん」
きっと『コレ』は悪い使われ方はしないだろう・・・・・・そう願い、ゴツい手にワイヤー銃を返した。
黄泉川「そろそろ、ナースが来るじゃん」チラッ
黒妻「はい」コクッ
開きっ放しの窓に腰掛け、黒妻は屋上の方へ向ってアンカーを発射。
遠くでカチンと何かに引っかかった音がした。窓から帰るつもりらしい……まったく、危険な男だ。
黄泉川「……」ジー・・・
黒妻「ん? まだ何か?」
黄泉川「いや……」
コイツは私の見舞いと、忠告というか苦言を言いに来ただけなのか。
黄泉川「それだけか?」ジトー・・・
黒妻「……」
黄泉川「何か、伝えたかったんじゃないの? 私の『引退勧告』以外に」
黒妻「……あはは」ケラケラ・・・
冷ややかな目。
黄泉川「出来得る限り力になるじゃん……オマエの事、多少は信頼してる」
黒妻「まぁ、打ち止めちゃん任されてますからね」 - 592 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/03(月) 01:46:51.23 ID:i9TxGmE0
- 確かに、普通の人間には打ち止めの事を任せられない。
彼女を取り巻く環境を抱擁できる器。それを持った人間にしか、あの子を預けられやしない。
黒妻は、私も桔梗も・・・・・・『アイツ』も、認めているのだ。
黄泉川「それもだけど……此処まで大人し過ぎじゃん。元スキルアウトリーダーさん」
黒妻「……」ピクッ
別に、コイツだったら多少の『灰色』は目を瞑ってやるつもりである。
風の噂だが、幾名の暗役者達がコイツを動かそうと説得してるらしい・・・・・・良い方向に転がって貰いたいものだ。
黄泉川「そろそろやりたい事やっていいんじゃない?」
黒妻「……そうっすかね」ポリポリ・・・
黄泉川「勿論、ストッパー(固法)がいる。限度は越えないじゃん」
それは確信。
黒妻「それじゃあ……」ハァ
黄泉川「うん」
黒妻「手塩さんの居場所。教えて下さい」
黄泉川「……え」
黒妻「手塩さん。オレの現役時代、アンタと警備員のタメ張ってたでしょ」
黄泉川「手塩……恵未、か」
2,3年前まで、私と共に警備員のエースを競っていた敏腕の女性警備員。
黄泉川「何故、恵未の居場所を?」
黒妻「……」
黄泉川「……」ジー・・・
単に挨拶という訳では無さそうだ。無論、コイツはお礼参りをする様な馬鹿ではない。
しかしそれを言えないという事は、訳有り……考え得るは、二つ。 - 593 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/03(月) 02:12:04.17 ID:i9TxGmE0
- 黄泉川「アイツ……何かしたの?」
黒妻「いえ、そういう訳じゃないっすよ。年少(少年院)出てからまだ会ってないし、話すら聞かない」
黄泉川「成程。だから私に聞くか……挨拶、じゃなさそうじゃん」
黒妻「一応、それも兼ねてますよ」
という事は……
黄泉川「修行でもする気?」
黒妻「……」
黄泉川「……図星か」ハァ・・・
黒妻のスキルアウトとしての全盛期。誰もコイツをしょっ引けなかったが、数名……追い詰めた警備員はいた。
その中の一人が、私であり、そして手塩恵未だ。
そして恵未は、此処数年に一人と言われたほどの接近戦スペシャリスト。
黄泉川「……私じゃ駄目なのか?」
黒妻「勿論、両方から教えを請いたいですよ。オレのやり方は、不器用っすから」
黄泉川「……加減出来ない馬鹿でも無いだろうに」
黒妻「いやぁ、お二人に比べりゃまだまだっすよ……特に能力者相手では、ね」アハハ
コイツの喧嘩を直接見た事は無いが、警備員内で噂にされてた事は有る。
何でも詳細は不明だが……本気の喧嘩の後、能力の有無を問わず、相手が『寝る』らしい。
黒妻「能力者相手じゃ加減が難しいっすからね」
黄泉川「攪乱の羽(チャフシード)とか、あるじゃん」
黒妻「使ってもいいけど……黄泉川さんは武器や防具で無傷鎮圧するでしょう。あの人も素手で鎮圧できる」
黄泉川「……柔術、か」
確かに、嘗て恵未は柔道・空手・柔術といった素手での戦闘は随一だった。
しかし……『危険』過ぎる。一歩間違えば素手で相手を、殺れる。 - 594 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/03(月) 02:39:06.65 ID:i9TxGmE0
- 黒妻「別に、殺しの術べを教わりたいんじゃないですよ。あくまで鎮圧術」
黄泉川「……分かった」
黒妻「それじゃあ」
黄泉川「調べておく」
黒妻「はい?」
唖然の表情。無理も無いか・・・・・
黄泉川「調べておく、って言ったじゃん。行方不明なんだ恵未の奴……此処数年」
黒妻「行方不明・・・・・・どういう意味で?」
『ある事件』を機に、恵未は消えた。
警備員のリストに名前と所属はあるのだが、その所属が何処にあり、何処の現場で活躍しているのかまるで分からない。
当時、私とは何だかんだで仲が良かった所為も有り、何処へ行方を眩ましたか捜しまわったが……手掛かりはつかめなかった。
『表向き』に記載されている住所へ連絡を取ろうとしても此方からの一方通行で終わり、どうやっても見つける事が出来ない。
黄泉川「一応、警備員のリストに住所等連絡先は明記してるんだけど……ね」
黒妻「そりゃ、まぁ……ちなみに?」
黄泉川「第二学区の警備員・風紀委員養成所の特別部署……後でメールで詳細送ってやるじゃん」
それだけで十分です、と頭を下げる黒妻。
自分で探す気だろう。果たして見つかるのだろうか……
黒妻「ま、無理なら無理で別の方法見つけますよ」
黄泉川「ふーん……ちなみに、コレ以上強くなってどうすんじゃん?」
黒妻「……」
黄泉川「ふふふ。冗談だって。詮索はしない……好きな事しろ。ただ、いつもみたいに筋は通せよ」
黒妻「はい。極力、美偉は泣かせません」
まったく面白い。コイツは、そういう男だ。 - 595 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/03(月) 03:06:31.30 ID:i9TxGmE0
- 黄泉川「まぁベットの上ではヒィヒィ泣かせてるじゃんよー。打ち止めの前では見せるなよー」キシシ!
黒妻「……最後の最後でドン引きっすよ」ハァ・・・
ゲラゲラ笑う私にドン引きする黒妻。
まぁコイツを大人だと思ってるからこそ言える事だ。
黄泉川「まぁまぁ。その方が私っぽいじゃん。湿っぽいのは苦手だよ」
黒妻「ハァ・・・・・・何で入院したか忘れてんすか? やっぱ、寿退社した方良いっすよ。少し御淑やかになって下さい」キッパリ
黄泉川「じゃあ私に見合う男連れて来ーい」ハハハ!
黒妻「ったく……案外身近にいるんじゃないっすか」ボソッ
何か言ったようだが流して、ケラケラ笑ってやった。
黄泉川「とりあえず私も恵未は探す。ただ期待はするなよ・・・・・・どんな結果でも」
黒妻「・・・・・・了解っす」テクテク・・・
黄泉川「あ。そうだ。彼女なら……恵未以上に強いんじゃない?」
名前は忘れたが、無能力者最強という噂の女性。
黒妻「ああ、はい……知ってます」
黄泉川「今は、常盤台中学の女子寮の寮監やってたはずじゃん・・・・・・って、どうした?」
黒妻「いえ……何か、苦手っす」ウゲェ・・・
確かに、お堅そうな女性だった。コイツには絡み辛いだろうか。
黄泉川「御坂とか白井辺りにアポ取るようお願いすればいいじゃん」
黒妻「……考えときます」ハァ・・・
めっさ嫌な顔をされた。処世術は得意だろうに。いつも通り、演技しとけ。 - 597 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/03(月) 03:22:44.94 ID:i9TxGmE0
- 黄泉川「ったく……オマエも少しはデスク覚えるじゃん。何時までも下にいる器じゃ無いじゃんよ」
黒妻「中卒にデスク能力求めないで下さい」
黄泉川「いやいや。矢島○太郎の様に、のし上がっていずれは理事に」ハハハ!
黒妻「……下っ端でいいっすよ」ハァ・・・
勿体無い。カリスマの持ち腐れだ。その内無理やり何かの会議にでも参加させてやろうか。警備員や風紀委員の代表会辺り。
黄泉川「どうせパチンコばっかやってるじゃん? 他に稼ぐ方法考えるじゃんよ」
黒妻「辛辣っすね……まるで打ち止めちゃんだ」
黄泉川「当たり前じゃん。あの子に勉強教えてるの誰だと思ってるじゃん」フンッ
黒妻「はいはい。流石先生さまで」ハハハ
苦笑。そして頷き、微笑む・・・・・・
窓から身を乗り出す黒妻。ヒヤッとする様だ。病院の窓、しかも警備員の部屋から飛び降り自殺なんて洒落にならない。
黄泉川「まぁ、とりあえず……自由にやってみ」
黒妻「はい」コクッ
コイツには、コイツの道には、私のキャリアを賭けてやっても良い。
数少ない、『筋』有る『大人』として。
黒妻「では・・・・・・また。次は学校辺りで」ペコッ
黄泉川「・・・・・・黒妻っ!」
黒妻「・・・・・・」ピタッ
最後に・・・・・・多分、コイツが何かを仕出かす前の、最後に、言わねばならない事・・・・・・ - 598 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/03(月) 04:15:03.98 ID:i9TxGmE0
- 黄泉川「オマエにとっては当たり前だろうが、言っておくじゃん」キッ・・・
黒妻「・・・・・・」コクッ・・・
黄泉川「まず、能力の有無で差別をしてはいけないわ」
共存と・・・・・・共に、手加減するなという意味。
口調も忘れ、ただ一人の警備員として、女性として、言葉を続けた。
黄泉川「認めるのは癪だけど、か弱い・・・・・・女性を助けなさい」
男に勝てなかった、女性の此の身。
黄泉川「子供を・・・・・・助けなさい。そして、子供を戦場に出させないで」
警備員(大人)だけでは警察組織が腐るという理由での、風紀委員(子供)警察体制への不満。
大人が正しければこんな事にはならなかった・・・・・・他では吐露できない、私の嘆き。
黄泉川「最後に『大人』として『男』として、戦いなさい。オマエにしか言えない・・・・・・頼めないの」ジー・・・
一方通行にも、御坂美琴にも、浜面仕上にも・・・・・・例え、どんなに強い『子供』達にも言えない事。
超能力者だろうとも、スキルアウトのリーダー格だろうとも、彼らは子供だ。
いくら精神年齢が高かろうが、背伸びしようが、精神(こころ)は子供なのだ。
だけど、コイツは・・・・・・大人なんだ。
黄泉川「私と同じ立場の男性には、コレを言っても無駄。『規律』があるもの」
黒妻「・・・・・・先生(冥土帰し)には?」
黄泉川「彼には彼の戦(医療)がある。でも・・・・・・貴方には貴方にしか出来ない事がある」
黒妻「・・・・・・はい」
聊か重荷であろう、私の戯言。しかし、目の前の見目不良男は清々しい顔でそれを聞いてくれていた。 - 599 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/03(月) 04:36:48.20 ID:i9TxGmE0
- 黒妻「忠言、感謝します」
黄泉川「・・・・・・応援するじゃん」ニコッ・・・
黒妻「そりゃまぁ、心強い事で」クスッ・・・
いつもの調子を装い、互いに微笑む。
黄泉川「気をつけるじゃんよ。ま、言っても無駄だろうけど」
黒妻「ええ、はい。んじゃ、さいならー」スッ・・・
上半身から真っ逆さまに落ちて行った。
数秒後、上から伸びていたワイヤーがピンッと弾かれる。無事に戻ったのだろう。まさか地面とこんばんわしてはいまい。
まったく、破天荒な奴だ。
黄泉川「男に、頼るようになったか・・・・・・ヤキが回ったじゃんね」ハァ・・・フフッ
きっと駒場辺りが生きてれば、アイツと共に最高の自警団(スキルアウト)を創れてたのだろうに・・・・・・
黄泉川「・・・・・・なんて、弱気じゃ駄目じゃんね! 私もまだまだ現役じゃんよー!」オー!
一人で、虚空に空元気。
馬鹿みたいだがどうしようもない気持ちで一杯の私は、こうでもしないと気を紛らわせなかった。
―――コンコンッ。
黄泉川「ん……あ。そうだ・・・・・・はいはい。どうぞ」ヤベッ・・・
忘れてた。あの子を待っていたのだった。もしかして聞かれてただろうか・・・・・・まずいかも。
なんとか口止めしないとなぁ・・・・・・ - 606 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/01/16(日) 02:45:14.75 ID:YJGh3nT/0
- ―――とある日、PM07:00、学園都市第7学区、とある病院、特別対応室・・・side.御坂蛇・・・
盗聴器(ライター)を置いてきたのは、失敗だった。
部屋の前にて数分、盗み聞きは悪いと分かってはいても止められなかったのだ。子供、大人、男、女、か……
もとより我が身(妹達)は、そのような『人権』とは程遠い存在、だったと記憶している。
御坂蛇「女子供の前に……一、兵士」
そう自負しなければ、存在意義が揺らいでしまう気がした。
黄泉川『……入っていいじゃんよ』
不図(ふと)我に帰る。そうだ、今の自分は看護師なのだ。せめて今この時の任務くらい真面目にこなさねば。
御坂蛇「失礼します」
黄泉川「ん」
さて、どうしたものか……
御坂蛇「……」スッ・・・
黄泉川「ああ、うん。そういえばそうだった」フフッ・・・
言われた通り、煙草(ラッキーストライカー)を差し出す。
黄泉川女史は黙ってそれを受け取った後、担保代わりにと預けておいたジッポ(盗聴器)を私に返した。
黄泉川「うん」ソワソワ・・・
やはり、気になるか。
御坂蛇「失礼ながら……」ジー・・・
黄泉川「あー……やっぱ聞いてた?」アハハ・・・ - 607 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/01/16(日) 02:54:14.07 ID:YJGh3nT/0
- 黄泉川「どっから、どこまで?」
御坂蛇「……ある男性が年功序列男尊女卑を謳ってた。その程度です、とミサカは回答します」
嘘は言っていない。
無論、この人と彼の関係を詮索する気は無いし、今聞いた事を誰それにベラベラと言い触らすつもりも毛頭無い。
御坂蛇「……安心を」コクッ
黄泉川「男尊女卑ねぇ……ククク! 物分かり良い娘じゃん」クスッ
多くは語らず、目を見て頷く。これだけで大抵の猛者とは話がつくものだ。
黄泉川「口止め料は?」ニヤッ
御坂蛇「結構です。私の喫煙を黙って頂けてればイーブンでしょう。とミサカは手打ちを示します」
黄泉川「オーライ。気に入ったじゃんよ」ハハハ
先と打って変わって豪快な人だ。見ていて気持ちの良い程に。
御坂蛇「それより……不思議な人ですね」
黄泉川「え? 私? それとも、アイツ?」
御坂蛇「……両方です」
黄泉川「そう。まぁきっと、大人が珍しく思えるじゃんね、嬢ちゃんにゃ」チラッ
そういうモノなのだろうか。
黄泉川「周りの大人が先生(冥土帰し)か桔梗くらいでしょ。しかも大人だの男だのに固執してる輩なんかそうそういないじゃん」
御坂蛇「はぁ」ポリポリ・・・
一応、師匠(エツァリ)は未成年の皮を被った成年なのだが。
黄泉川「まぁうん……女は戦うな、だってさ」ハハハ・・・
御坂蛇「酷い偏見です。ミサカには理解しかねます」フンッ - 608 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/01/16(日) 03:00:47.42 ID:YJGh3nT/0
- 黄泉川「それでも……そういう男もいるんだ。覚えておくといいじゃん」ニコッ
何処か、上条当麻にも似た理屈を感じてしまった。女子供は戦場に出るべきではない、か……
しかし私(17600号)には理解できない。というか、したくない。
さて、と……まぁいい。そろそろ仕事に戻ろう。
御坂蛇「話は変わりますが、入浴時間です」
黄泉川「もうそんな時間じゃんね。いつも通り、大浴場?」
御坂蛇「……それが」エット・・・
黄泉川「ん?」
話し辛い……
御坂蛇「公衆浴場は、ぶっ壊れてます。とミサカはしんみり伝えます」
黄泉川「・・・・・・は?」
御坂蛇「……垣根」
黄泉川「あー、うん。皆まで言うな……分かったじゃん」ハハハ・・・
既に入院患者なら誰しもが理解している。
最早『垣根』と『テレスティーナ』という単語は、ある意味病院側の免罪符だった。
黄泉川「ちなみに、今回は?」
御坂蛇「大浴場をゼリーでいっぱいにしたいという馬鹿発想を、テレスティーナが喰いとめました」
黄泉川「……それなんて少年ア○ベ?」
御坂蛇「兎に角、疑似超電磁砲と未元物質の特撮ばりの応戦により、浴場は……とミサカはお伝えしました」
黄泉川「……」タラー・・・
御坂蛇「ちなみに、給湯器の方からゼリーの素を流しやがったので浴場の蛇口・シャワーは全滅です」
何も言えまい。私も何も言えない。 - 609 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/01/16(日) 03:05:17.48 ID:YJGh3nT/0
- 黄泉川「うん……とりあえず、ゼラチンで身体洗いたくは無いじゃんよ」アハハ・・・
御坂蛇「ええ。困ったものです」
妹達も使う公衆浴場だというに……ゼリー風呂なんか喜ぶのは上位個体(お子様)くらいだっての。
御坂蛇「という事で数日の内は小さなシャワールーム、若しくは各個で身体を拭いて貰う事になります。とミサカは申し訳なく業務連絡」ペコッ
黄泉川「……男は良いけど、女性は辛いじゃんよ」ハァ・・・
妹達は最悪、培養液(カプセル)で身体洗浄出来る。がしかし、一般人には迷惑極まりなかろう。
御坂蛇「冥土帰し(先生)の計らいでシャワールームの優先は女性になっています……貴女の割り当て時間は」
黄泉川「ああ、いいよいいよ。一般人と子供達優先させたげて。私は最後でいいからさ」
御坂蛇「……分かりました。先生に伝えます」ペコッ
多分、貴女が優先なのだと言っても無駄なのだろう。
『彼(一方通行)』がそれ相応の入院費用を出している為、黄泉川女史は部屋だけでは無く色々『VIP』なのだが……軽い秘め事。
黄泉川「まぁ、お湯くらい準備して貰えれば自分でやるじゃんよ。そこまで手間掛けさせたく無いじゃん」
御坂蛇「了解です。ではせめて背中を拭くくらいの事はさせてください」
黄泉川「えー……」ジトー・・・
御坂蛇「仕事、です。ミサカから職務を奪わないで下さい」
ただでさえ自分で何もかもする患者だ。無条件で職務怠慢扱いになってしまう。勘弁してくれ。
黄泉川「……あいよ」ハァ
御坂蛇「よろしい」コクッ - 610 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/01/16(日) 03:08:35.11 ID:YJGh3nT/0
- 了承を貰った所で簡易湯編みセット(お湯、バケツ、タオル)を準備する。
一応、各部屋に数個常備されてあるので取り出すのに手間はかからなかった。さぁ服を脱げ。
黄泉川「変態」ウギャー
御坂蛇「お黙り」シャラップ!
こっちだって驚異(胸囲)の格差(現実)社会、見せつけられたくないっての。
黄泉川「……あ」
御坂蛇「何ですか? まだ無駄な抵抗を?」ジトー・・・
黄泉川「いや、えっとね……」
ふと、目線を落とす。シーツが焦げて穴が開いていた。
御坂蛇「……」ジトー・・・
黄泉川「あ、あはははは……」タラー・・・
御坂蛇「……せめて、他人に迷惑掛けずに喫ってください。とミサカは溜息を吐きます」ハァ・・・
黄泉川「あー、えっと……うん。ごめんじゃん」ペコッ
まったく……
御坂蛇「仕方ありませんね……先生にばれる前に証拠を消してきます」
黄泉川「え」
御坂蛇「シーツの一枚や二枚隠蔽できますよ。任せて下さい」ニコッ
寧ろ、看護なんかより『こっち』の方が得意分野だ。これでも少々物足りないけど。
黄泉川「あはは……どうもじゃん」
御坂蛇「貸し一です。いつか返して下さいね、とミサカは小悪魔スマイルを向けてみます」クスッ
黄泉川「ふふふ。あいよー」クスッ - 611 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/01/16(日) 03:12:49.63 ID:YJGh3nT/0
- 悪戯をした子供の様な笑みを向けあう。天晴なり、ってね。
黄泉川「なんだ。嬢ちゃんも、子供っぽく笑えるじゃんね」クスッ
私も子供、か。そんな事言われたのは初めてな気がする。
確かに『妹達』と題している以上、須らく子供なのかもしれないけど。
御坂蛇「……とりあえず、ぱぱっと済ませてきます」
黄泉川「うん。頼むじゃん」スッ・・・
湯編みセットを下に置き、適当に換えのシーツを一枚渡して焼けたシーツを受け取る。
御坂蛇「では」
黄泉川「うん。あ、ばれたら素直に私の所為にしていいじゃんよ」
御坂蛇「……ナンセンス。『ばれません』から、とミサカはサムズアップ」b”
黄泉川「そうかい。頼りにしてるじゃんよー」クスッ
御坂蛇「ええ。部屋の煙草の匂い取りでもしててください。とミサカは○セッシュを指さします」
とりあえず、適材適所という事で。
私は妙な友情心が籠った『シーツ』を隠蔽する為に、ダストボックスへと向かった。
―――とある日、PM07:30、学園都市第7学区、とある病院、特別対応室・・・side.黄泉川・・・
面白い娘だ。シーツ一枚にも全力か。
黄泉川「……」チラッ
湯編みセット。
黄泉川「……拭いちゃお」スッ
やはり他人に看護というか介護というか……されたくは無いものだ。私はまだ鮫島歳だっての。 - 613 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/16(日) 03:18:38.79 ID:YJGh3nT/0
- ※>>611訂正
悪戯をした子供の様な笑みを向けあう。天晴なり、ってね。
黄泉川「なんだ。嬢ちゃんも、子供っぽく笑えるじゃんね」クスッ
私も子供、か。そんな事言われたのは初めてな気がする。確かに『妹達』と題している以上、須らく子供なのかもしれないけど。
御坂蛇「……とりあえず、ぱぱっと済ませてきます」
黄泉川「うん。頼むじゃん」スッ・・・
湯編みセットを下に置き、適当に換えのシーツを一枚渡して焼けたシーツを受け取る。
御坂蛇「では」
黄泉川「うん。あ、ばれたら素直に私の所為にしていいじゃんよ」
御坂蛇「……ナンセンス。『ばれません』から、とミサカはサムズアップ」b”
黄泉川「そうかい。頼りにしてるじゃんよー」クスッ
御坂蛇「ええ。部屋の煙草の匂い取りでもしててください。とミサカは○セッシュを指さします」
とりあえず、適材適所という事で。
私は妙な友情心が籠った『シーツ』を隠蔽する為に、ダストボックスへと向かった。
―――とある日、PM07:30、学園都市第7学区、とある病院、特別対応室・・・side.黄泉川・・・
面白い娘だ。シーツ一枚にも全力か。
黄泉川「……」チラッ
湯編みセット。
黄泉川「……拭いちゃお」スッ
やはり他人に看護というか介護というか……されたくは無いものだ。私はまだ[禁則事項です]歳だっての。 - 615 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/16(日) 03:22:13.55 ID:YJGh3nT/0
- 脱ぎ易い患者服(ガウン)の紐を解く。
入院した当初はノーブラノーパンだったのだが、色んな人達に怒られ、下着の着用を強要された。
黄泉川「楽なのになぁ」ハァ・・・
垂れるわよ、という桔梗の怨念にも似た声が聞こえたが無視無視。
というか、入院中くらい楽な恰好でも良いのでは無かろうか。現在の私……スッピン。髪も結ばない。最低限の衣服……
黄泉川「最高じゃん! 仕事もコレで出たいなぁ」ニヤッ
女捨てないでよ……という打ち止めの嘆きが聞こえた。無論コレも無視だ。
黄泉川「まぁトレーニング出来ないのは痛いかなぁ」
ちゃんと療養して下さい、という鉄装の溜息交じりの念も勿論無視。
黄泉川「少しくらいいいじゃんよー……なぁにが、常識的に考えてアウトだってーの」ハァ・・・
まったく度し難い。
黄泉川「……いいや。身体拭こ」スルスル・・・
ブラのホックを外し、上半身を曝け出す。タオルを湯に付け、身体にあてた……冷たい。
黄泉川「寒っ……まぁそんなもんじゃんよ」ハァ・・・
どうして身体にあてるタオルって温く感じるモノなのだろう。何処か虚しい。
黄泉川「ハァ……」ピチャッ・・・
タオルを絞る。お湯は温かいのに、タオルは温(ぬる)い。不思議なものだ。
黄泉川「……だぁ! 面倒臭いじゃん! お湯被って―――」 - 616 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/16(日) 03:39:47.82 ID:YJGh3nT/0
- ―――ガラッ・・・・・
一方通行「・・・・・・・・・・・・」
黄泉川「―――やる・・・じゃ・・・・・ん・・・・・・・・・よ?」チラッ
一方通行「……」ジトー・・・
黄泉川「・・・・・・・・・・あ、ぅ」チーン・・・
一方通行「……」ガララッ・・・ピシャッ!
黄泉川「ひぁっ!!?」ボーン・・・
何か、色々、死んだ。
―――とある日、PM07:30、学園都市第7学区、とある病院、特別対応室・・・side.一方通行・・・
俺はただ、日課となってた糞ババアの動けない姿を笑いに来ただけの筈だった。
けして見舞いなどでは無い。見舞いじゃ無い。笑いに来ただけである。
そう、それだけの筈だったのだが……
一方通行「……」
思考が止まっていた。
一方通行「あァー……」ポリポリ・・・
部屋を開けたら、半裸の黄泉川。
一方通行「……いやいや」フルフル
待て待て。別に今更だろう。アイツの裸は見慣れている筈。
卑しい意味では無く……アッチが一緒に生活している俺の事を空気扱いし、眼中に入れないので淫売の如くケツ露出してただけだ。
俺は気にしないし、アイツも気にしない……筈、なのだ! - 617 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/16(日) 04:12:03.44 ID:YJGh3nT/0
- 一方通行「そ、そォだな……こう、いつも通り、普通に、自然に入れば……逃げる事無いデスね……あァ、そうなのダ」カチコチッ
自分でも分かる程に、言語機能がショートしていた。
きっと打ち止めが演算サポートをサボっているのだろう。そうに違いない。
一方通行「ふン。入ってやら――」ピタッ
待て……待て待て。
あの女郎。俺が部屋出た瞬間、軽く悲鳴挙げなかったか?
一方通行「――……」ウェ・・・
まさか、もしや、アイツに限って有り得ないが……恥ずかしがったのか?
一方通行「……嘘だろ」ポカーン・・・
まぁ常識的に考えれば、急に人に裸見られれば恥じらうモノだろうが、相手は普段気にもしない俺だ。
恥ずかしがる意味が分からない。もしかして、見間違えたか?
一方通行「いや、目が合った……ン?」ハテ・・・
黄泉川が叫ンだのは扉を閉めてからだ。
という事は……目を離した隙に、アイツの身に何かあったのかもしれない。
一方通行「……ッ!!」バッ!
突発的に扉に手を掛けていた。
一方通行「黄泉川ァ!! 大丈夫かァ!!?」ガララッ!!
黄泉川「ふぇ!? は、はひっ!! ちょ、待ぁ!!」ドキッ!?
黄泉川は上を羽織って、身を縮めていた。何とも無い様だ……良かった。 - 618 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/16(日) 04:54:49.74 ID:YJGh3nT/0
- 一方通行「……何ともないのか?」
黄泉川「え、あ、うん……え?」キョトン・・・
一方通行「……ならいい」コクッ
黄泉川「……へ?」ポカーン・・・
一方通行「……ン?」
何故か、空気が冷たい。
一方通行・黄泉川「「……」」
気拙い。
一方通行「あァー……えっと……」ポリポリ・・・
黄泉川「……うん」ギュッ・・・
一方通行「……見舞いだ」スッ・・・
黄泉川「はい」コクッ
何故か他人行儀……何その反応。てか見舞いって言っちまった、畜生。
一方通行「……その、だな」ウーン・・・
黄泉川「……うん」コクッ
一方通行「な、何してたンだ?」
黄泉川「あ、え、うんと……その……」モジモジ・・・
一方通行「……」タラー・・・
黄泉川「……身体、拭こうと」カアアァ・・・///
一方通行「っ?!」ヘッ!?
お願いします。その乙女反応止めて下さい。 - 619 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/16(日) 05:08:29.47 ID:YJGh3nT/0
- 一方通行「そ、そォか……タイミング悪かったな。スマン」
黄泉川「い、いや……大丈夫、じゃん」アハハ・・・
乾いた笑い。
一方通行「あ、えっと……風呂。大浴場じゃねェのか?」
黄泉川「……垣根が壊したって」
アイツ、後で干す。
黄泉川「ま、まぁ今まで優遇されてたから、これくらい気にしないじゃん」
一方通行「……ン」コクッ
黄泉川「うん……だいじょぶ……」コクッ
一方通行「……」ポリポリ・・・
黄泉川「……うん」ポリポリ・・・
何だこの空気。
正直、退院も近いので色々話しておきたい事も有ったのだが、話したい事全部吹っ飛ンだ。
黄泉川「あ、ぅ……」モジモジ・・・
一方通行「……ふン」ケッ
いつもなら『家居る時より太ったンじゃねェかァ』とか軽口叩いて馬鹿にしてるのに、何も言えやしない。
黄泉川「あの、さ……」
一方通行「っ! な、何だ?」ビクッ・・・
黄泉川「……見えた?」ポッ・・・///
一方通行「っ!!?」What?!
何を仰いますか、この女郎!? - 620 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/16(日) 05:17:47.40 ID:YJGh3nT/0
- 黄泉川「だから、その……」モジモジ・・・
一方通行「」チーン・・・
回答に困った。
黄泉川「……ごめん。何でも無い」
一方通行「……ン」コクッ・・・
黄泉川「い、今更だもんね……あはは……うん。気にしないで」
一方通行「……」ポリポリ・・・
そりゃそうだが……そうじゃないのだ。
黄泉川「……くしゅんっ」
一方通行「寒いのか?」
黄泉川「す、少しね」アハハ・・・
一方通行「……」スタスタ・・・スッ
黄泉川「うぇっ!? あ、ちょ?!」ドキッ・・・
無理やり寝かせ、シーツを掛けた。
黄泉川「あ、ありがと」
一方通行「……いいから暖かくしとけっつの」
黄泉川「……じゃん」ボソッ・・・
一方通行「何か言ったか?」
黄泉川「な、何でも無いじゃん!」アハハ・・・
まったく、調子狂うな…… - 621 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/16(日) 05:42:16.94 ID:YJGh3nT/0
- それから暫く、互いに無言だった。
俺は黙って座るだけ。黄泉川はシーツに顔を半分隠し、俺の顔をチラホラ見ている。
頼む……此方の動きを疑う様な仕草しないで、何か言ってくれ。
一方通行「……」チラッ
黄泉川は「っ!?」ヒュッ!
一方通行「……ハァ」タラー・・・
……勘弁してくれ。誰か助けろ。
―――一方、蛇・・・・・
垣根「―――だーかーらー! んな怒る必要何処にあんだってぇの!!」ガアアァッ!!
テレスティーナ「―――アンタの所為で少ない楽しみの一つが無くなったっつってんでしょ! この鯳(スケトウダラ)!!」ギャアアァ!!
垣根「誰がタラコだ、ボケぇ!! てか風呂が楽しみってドンだけババァなんだテメェは!! この顔芸職人!」ヘッ!
テレス「バ……脳味噌植木鉢にして死なす!!」キッ!!
垣根「っせぇ、サイコババァ!! ゼラチンの塊みてぇな胸捥いでおっぱい博物館に保管してやる!! んー、っぱいおつ!」
テレス「喧しい! 存在猥褻罪でアーカムにでもブチ込まれろ!!」
垣根「猥褻じゃありませんー。俺ほど紳士的な男性はそうそういませんー!」
テレス「アンタが紳士なら此の世の他の男性全員が賢者だボケ!! この顔面未元物質野郎が!!」
垣根「かっちーん……手加減できないゾー!! 泣いて謝ってもヒィヒィ言わせてやるかんなぁ!! 主に下半身を!」
テレス「言ってろ粗チンが! アリの巣にでもその腐ったの突っ込んどきなさい!!」フンッ!!
垣根「ぐ……はぁ……ゆ”る”ざん”っ!!」グサッ・・・キッ!!
ギャーギャー!!
那由他「テレスティーナぁ……もう止めなよ。皆に迷惑掛けてるよー」ハァ・・・
冥土帰し「……止めるの手伝って」ハァ・・・
御坂蛇「……ナンセンス」ハァ・・・ - 622 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/16(日) 06:04:21.66 ID:YJGh3nT/0
- ―――とある日、PM07:50、学園都市第7学区、とある病院、特別対応室・・・side.一方通行・・・
どれくらい時間が経っただろう……個人的には数時間、数日にも感じられた。
ふと、黄泉川が先程言ってた言葉を思い出す。
一方通行「そういえば」スッ・・・
黄泉川「ひゃいっ!!?」ドキッ!!
一方通行「……オマエ、本当に大丈夫か?」
黄泉川「だ、大丈夫! ちょっと、考え事してただけじゃんよ!!」アハハ・・・
一方通行「……なら良いが。さっき、風呂如何こう言ってなかったか?」
黄泉川「え、あ、うん……そうじゃんよ」
一方通行「……シャワールーム借りれねェのかよ」
黄泉川「えっと、いいのいいの。子供とか一般人優先させてあげなきゃいけないじゃん」
一方通行「……」ハァ・・・
今はオマエも一般人だ……と言っても無駄だろう。絶対に他人を優先させる。
一方通行「ったく……ちったァ自分が女だって事考えろっつゥの。コレじゃ髪も洗えねェだろうが」
黄泉川「あはは……女として考えてくれるんだ」クスッ
一方通行「……」チーン・・・
黄泉川「……あ、えっと……何でも無い、じゃん」カアアァ・・・///
何自爆してンだこの女郎……御蔭で余計に気拙くなっただろうが!
黄泉川「と、兎に角! 病人扱いされたく無いじゃん! 子供や怪我人病人優先じゃんよ!」ガアァッ!
一方通行「お、おゥ。分かった」コクッ・・・
流されざるを得なくなってしまった。本当、誰か何とかしてくれ。 - 623 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/16(日) 06:43:12.25 ID:YJGh3nT/0
- 黄泉川「で、でも……(煙草の)匂いだけでも流したいじゃん」ボソッ・・・
一方通行「え、あ、まァな……(汗流したいのか?)」
黄泉川「え、あ、(煙草の)匂い……する?」モジモジ・・・
一方通行「そ、そンなに……しない」アセアセ・・・
黄泉川「そ、そう……良かったじゃん。(煙草)臭いと、打ち止めや桔梗に怒られるから」
一方通行「まぁアイツらの言い分は尤もだろ。コレを期に少し女性らしくしとけ」
黄泉川「……やっぱ、(煙草喫うの)女性らしくないじゃん?」ハァ・・・
一方通行「っ」ドキッ・・・
……ちょっと待て。何故そんな事聞く。
一方通行「い、いや、女性らしくないってェか、態度(性格)と自身(スタイル)のギャップって言うのか……」
黄泉川「……え?」ポカーン・・・
一方通行「女性らしい所もあるし、そうじゃない所もある」ポリポリ・・・
黄泉川「へ?! あ、ありがとじゃん……」スッ・・・///
一方通行「別に褒めて無ェけどよ……」
何だか、話がオカシイ気がする。
もうアレだ。何でもいい。話を変えよう。
一方通行「……髪、洗うか?」ボソッ・・・
黄泉川「……はい!?」ハ?
言うに事欠いて何を言っているンだ、俺は!?
黄泉川「えっと……髪?」ポカーン・・・
一方通行「あ、その、あァ。さっき髪も洗えないって」タラー・・・
黄泉川「あ、うん。そだね……頼むじゃん」コクッ・・・
……どうしよう。頼まれてしまった。口から出まかせで何も考えて無ェっつゥの、畜生。 - 624 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/16(日) 08:08:34.18 ID:YJGh3nT/0
- もはや、マトモに思考が働いてない気がした。
一方通行「……えっと」キョロキョロ・・・
兎に角、辺りを見回す。お湯、タオル……
黄泉川「一方通行、冗談じゃんよ。此処で髪洗える訳……」クスッ・・・
一方通行「……」キョロキョロ・・・
黄泉川「ちょっと、一方通行ってば……おーい」モシモーシ!
黄泉川が何か言っているが聞こえない。
一方通行「……黄泉川。大浴場使う時、シャンプーとか如何してンだ? 自前か?」
黄泉川「え、い、一応そうじゃんよ。てか、人の話聞いてる?」
一方通行「何処置いてンだ?」
黄泉川「洗面台の近くに桔梗が置いてたけど……何する気?」ポカーン・・・
洗面台付近を見遣る。ボディーウォッシュ、トリートメント、洗顔……シャンプー。
一方通行「コレだな」スッ
黄泉川「……あ、一方通行クン?」ハイ?
一方通行「身体起こせ」
黄泉川「え!? ちょ、マジで此処で髪洗う気じゃん?!」ドキッ!?
一方通行「……早くしろ。頼んだのオマエだろォが」
黄泉川「しょ、正気じゃん? 頭のネジ数本ぶっ飛んで無い? ベットの上じゃんよ!?」
一方通行「如何とでも出来らァ……俺を誰だと思ってンだ」ニヤッ・・・
第一位、『一方通行』様だ。寝ながらでも髪洗う程度、造作も無いってェの。 - 629 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/16(日) 21:21:58.33 ID:YJGh3nT/0
- 黄泉川「え、えっと……どうすんじゃん?」オドオド・・・
一方通行「……髪、触るぞ」
黄泉川「え!? あ、うん……」ドキドキ・・・
使用する物。お湯・シャンプー、少々。
一方通行「身体起こせ」
黄泉川「は、はひっ! って……ぬ、濡れない? 服とかベットとか」ギュッ・・・
一方通行「あァー……背中だけ濡れっかもしンねェなァ」
黄泉川「……わ、分かったじゃん」ヨソヨソ・・・
そう言うと、黄泉川はガウンの前の方をゆっくり―――
黄泉川「……」ジー・・・
一方通行「……あ。悪ィ」ポリポリ・・・
―――俺が後ろを向いたのを確認し、服を脱いだ。
衣擦れの音が妙に生々しかったが、気にしない。極力気にしない。うン。
黄泉川「……い、良いじゃんよ」コホンッ・・・
一方通行「ン」コクッ・・・クルッ
振り向く。
一方通行「……えっと、だな」
黄泉川「……あんまり、ジロジロと」カアアァ・・・///
身体の前をシーツで隠し、背中が露わにする黄泉川。
普段髪を結んでいるので意識しなかったが、コイツは存外髪が長いのだと認識させられた。 - 630 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/16(日) 21:54:44.87 ID:YJGh3nT/0
- さて、頭を切り替える。簡単な演算だ。まずお湯に触れる。
一方通行「こんくらいか……」スッ・・・
黄泉川「何、してるじゃん?」ハテ?
一方通行「まァ見とけ」シュッ・・・
掌(てのひら)に自然付着する水の量をコントロール。重力に引かれる水滴のベクトルを変換し、内側へと無理やり押し留める。
手の表面に厚さ数センチ程のお湯の膜が張り付いた。
命名、オユハナレーナイ。
一方通行「この膜の中に髪通して洗う」
黄泉川「……」ポカーン・・・
一方通行「シャンプー使う前に一回髪濡らさねェといけねェか」フム・・・
黄泉川「なんつーか……能力の無駄遣いじゃんね。あとネーミングセンス……」ハァ・・・
一方通行「っせェ」フンッ
有効活用と言って頂きたい。
一方通行「髪濡らすから、少し横向け」
黄泉川「あ、うん。髪縛る?」
一方通行「ダイジョブだ。どうせ後で背中拭くンだろ。シーツ濡れたらそれも即行乾かす」
打ち止めの師事(世話)で修行し(覚え)た、臨機応変(家電代わり)の能力。他には皿洗いとか、風呂即行沸しとか……
兎角、我ながら天才だと思う。
黄泉川「……そんなんだから一家に一台、万能少年(ベンリヤボーヤ)って言われるじゃんよ」
一方通行「言われねェよ」ケッ・・・
ンな事言ってるの、どこぞの元不良とオマエくらいだってェの。 - 633 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/16(日) 22:54:52.83 ID:YJGh3nT/0
- さて、そろそろ始めるか。
一方通行「……触るぞ」
黄泉川「ん……」キュッ・・・
手を伸ばすと、人見知りの猫みたいな反応をされた。そンなに緊張されると、此方が困る。
兎も角、お湯の張力演算を止めない様気をつけながら、黄泉川の長い髪をゆっくり梳(す)き始めた。
黄泉川「……考えたじゃん」クスッ
一方通行「けっ。特許でも取っかな」カカカッ
根元から毛先まで大分長さがある。
濡れた髪が背中に触れる分にはいいが、シーツに触れると面倒なのでベットの外に垂れる様、向きを変えさせた。
一方通行「警備員なのに短くしねェんだな。邪魔じゃねェか?」
黄泉川「慣れたわね……あと、面倒じゃん。髪切るの」
一方通行「まさかよォ、芳川に髪切らせてンじゃ無ェだろォな?」
黄泉川「流石にそれは無いって。坊主になりたくないじゃんよ」ハハハ・・・
そこまで不器用じゃないわ、という誰かさンの声がしたが無視無視。
さておき、シャンプーしても良い頃合いだろう。お湯の膜を一度流し、新たに張り直す。
今度はその中にシャンプーを垂らし、適当にシャッフル。
黄泉川「頭ワシャワシャすんの?」
一方通行「ワシャワシャって……色々飛ぶからしねェよ。洗ったら直ぐ乾く様、調整すっかな」
再び髪を梳く。
黄泉川「うぅ……何か背中ベタベタするじゃんよぅ」ウワァ・・・
一方通行「後で拭くから我慢しやがれ」
黄泉川「ハァ……あぃよ」
注文の多い奴。ヤレヤレだ…… - 634 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 00:39:24.35 ID:C90e3Pw10
- ―――とある日、PM08:15、学園都市第7学区、とある病院、特別対応室・・・side.一方通行・・・
一方通行「……こンなモンか」スゥ・・・
黄泉川「ん。あんがとじゃん」
一通り洗った後、最初の要領で泡を流してやった。このままでは背中にべタ付くだろうと思い、一応髪を結ばせておく事にする。
黄泉川「……」ブルッ・・・
一方通行「寒いか?」
黄泉川「まぁね」クスッ・・・
そりゃそうか……
一方通行「背中、拭いてやっか?」
黄泉川「……」キョトン・・・
一方通行「どォしたよ」
不思議な目で顔を見られた。
黄泉川「……何でも無いじゃん」
一方通行「ン。で?」
黄泉川「お願いするよ」クスッ
一方通行「あィよ」スッ
バケツのお湯を入れ替え、タオルを絞る。長いポニーテールを身体の前に退かして貰い、背中を向かせた。
一方通行「……」ジー・・・
黄泉川「……どったの?」
意識して無かったが……色々気付かされてしまった。 - 635 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 00:50:49.27 ID:C90e3Pw10
- 一方通行「……背中」ジー・・・
黄泉川「えっと、一方通行?」モジモジ・・・
まず、何だかンだ言っても女の肌なのだという事。そして所々にある……
一方通行「傷……消して貰えねェのか」
黄泉川「え? あ、うん……真皮(しんぴ)なっちゃってるヤツは仕方ないじゃんよ」ハハハ
コイツは、警備員。
一方通行「……拭くぞ」
黄泉川「うん……お願い」コクッ
俺は手を動かした。
それから暫く、互いに無言だった……
―――一方、蛇・・・・・
御坂蛇「……」ハァ・・・
垣根とテレスティーナを宥め、黄泉川女史の部屋に戻って来てみると……入れない雰囲気だった。
御坂蛇「男が……と言うのは、無粋ね」
相手が彼だ。問題無かろう。
御坂蛇「一服、しよう……木山先生辺り暇してるかな。とミサカは話相手を求め、クールに去ります」スッ・・・
足音を立てず、ラッキーストライカーの残本数を確認し、休憩室へと赴く事にした…… - 636 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 01:29:12.16 ID:C90e3Pw10
- ―――数分後・・・・・
一方通行・黄泉川「「……」」モクモク・・・
未だに無言。というか、互いに終わりにするタイミングが分からなくなっていた。
しかし、このままでは逆に湯冷めし兼ねない。自分で他の部分も拭きたいだろうし、そろそろ……
一方通行・黄泉川「「あのよォ(あのさっ)」」
……被った。
黄泉川「……どうぞ」カアァ・・・///
一方通行「ン……」ポリポリ・・・
更に気拙い。
一方通行「そろそろ……良ィか?」
黄泉川「あ、うん。そだね……ありがとじゃん」ニコッ・・・
乾いたタオルで水気を拭き取ってやり、前や下半身は自分でするよう促した。
黄泉川「わ、分かってるじゃんよぅ……下の世話までさせる気無いじゃん」モジモジ・・・
普段なら『きゃー。アー君のエッチぃ(棒読み)』とか言うくせに……ホント、調子狂う。
一方通行「……それで、何だよ」
黄泉川「えっと……大した事じゃ無いじゃんよ。ただ、ね……」
少々口籠っていたが、意を決したように俺に告げた。
黄泉川「やっと、子供っぽくなってきたかなって」クスッ
一方通行「……はい?」What? - 637 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 01:57:19.24 ID:C90e3Pw10
- 一機に拍子抜けした。言うに事欠いて、ソレか……
黄泉川「丸くなった、とは言わないじゃんよ。角は落ちたけど、まだツンツンしてるから」
一方通行「……はいはい。そォですか」
黄泉川「ま、老人の戯言感覚で聞いて貰っても構わないじゃん」ハハハ・・・
そういう訳ではないが、説教が好きな輩なンぞいなかろうて。
黄泉川「二面性ってヤツかな。周りに興味を示さない一方通行と、周りと関わる一方通行」
一方通行「……」
黄泉川「私に遠慮しないでいいよ。反論したかったらして欲しいじゃん」
一方通行「……別に、どォでも」フンッ
反論しない、というより興味が無い。
黄泉川「簡単に言うとね……日常を覚えてくれたじゃん」
日々過ごしてりゃ日常だろう、とは突っ込まない。言いたい事は分かる。
一方通行「平和ボケって言いてェのか?」
黄泉川「……だから何でそういう風な言い方するかなぁ」ハァ・・・
一方通行「生憎、日和見主義にはなれそォに無ェですが」カカカ!
黄泉川「そう言う事でも無いじゃんよ……ごめん。一回髪乾かすからドライヤー取って。洗面台の方に」パッ
一方通行「じゃあ……如何言う事ですかねェ、先生さン」スッ・・・ファサッ
黄泉川「ひゃうっ!? ……ったく。大人からかって」モゥ・・・
髪留めを外してやり、手櫛しをしてやる。コレもまた、能力のちょっとした応用。
黄泉川「手櫛しドライヤーって……打ち止めにやってるのは見た事あったけど、呆れるじゃんね」クスッ
そうは言うが電気喰わないし、時間も短縮。こっちの方が効率的なンだってェの。 - 638 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 03:35:53.83 ID:C90e3Pw10
- とりあえず、手櫛しを続けながら話を続けることにした。
一方通行「……ンで?」
黄泉川「ふぇ?」ポワワン・・・
首輪裏を掻いて貰ってる猫が声掛けられた時みたいな反応しやかって……
一方通行「話の続きだ。俺が日和見じゃ無ェンだろ?」
黄泉川「あ、うん……そういう事じゃなくてね。二面性とも言ったでしょ」
一方通行「あァ」
黄泉川「私達が見てる一方通行。私達が見て無い所の一方通行」
一方通行「……今一、良く分かンねェが」
そりゃ誰にでも有る事だろう。
黄泉川「いつも独りぼっちで、強張ってたじゃん。多分見えない所では今もそうなんでしょ」チラッ
一方通行「……そう見えたンなら、そうなンじゃねェの」
黄泉川「まぁ無理に聞く気は無いじゃん。でも兎に角、柔らかく……優しくなったかなって」
自分では、良く分からない。
黄泉川「少なくとも、私や桔梗、打ち止めの前ではそうしてくれてる。それが演技でも、演技すらしようとしなかった頃よりはずっと良い」
一方通行「……そンなモン、知らね」フンッ
黄泉川「有り体の言葉だけど、『普通』っぽくなってきたじゃん。未だに遠いけど、ちょっとは年相応のガキんチョにね」
一方通行「俺が、ねェ……どうだか」ハハッ
考えもしなかった。『普通』。
黄泉川「第一位とか、借金とか、強いとか、最強とか、絶対能力とか……関係無いじゃん。」
ただの1×歳のガキ、という事。 - 639 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 04:05:56.59 ID:C90e3Pw10
- 黄泉川「難しい事じゃ無いじゃん。ただ、簡単な事を難しくしようとしてるだけ」
一方通行「……」ピタッ・・・スゥ
手櫛しを止め、ガウンを掛けてやる。
黄泉川「現に今の一方通行は素直でしょ? まぁその……多少、互いにギクシャクしてるからってのもあるけど」モジモジ・・・
それを言ってくれるなよ。意識しないようにしてるのに。
黄泉川「さっき、ある野郎と話したの。大人と子供についてね」
一方通行「……ガキはガキらしくってか? この街はそういう場所じゃねェだろ」
子供であっても実力があれば、偉くなれる。
黄泉川「そういう捻くれた考えじゃ無くてさ……もっと簡単な事だって」
一方通行「簡単?」
一拍置いて、語り出した。
黄泉川「一方通行に限らず、この街の子供達殆どがそうなんだけど……『将来の夢』みたいなのが、無いじゃん」
一方通行「夢、か……まァ考えた事も無ェな」
言葉は悪いが、強度(レベル)上げで必死だった。他の連中もそうだろう。
黄泉川「当たり前で些細な事が分からない。ただ私の能力はこの仕事に適任だから、当然それに入る」
一方通行「適材適所たァ悪かねェよ」
黄泉川「本当にそれでいいのかな?」
一方通行「……意味が分からねェぞ」
黄泉川「うん。分からないと思う……そういう教育課程(カリキュラム)じゃん。この学園都市は」
成程。洗脳にも似た植え付けという事か。 - 640 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 04:33:12.69 ID:C90e3Pw10
- 黄泉川「職業や将来についての授業が少ない。その概念すらあやふや」
一方通行「……そういう反主義、言っていいのか? 何処で聞かれてっか分からねェぞ」
黄泉川「アンタは知っとくべきじゃん。その最たる例なんだから」
一方通行「……へいへい」ハァ・・・
黄泉川「兎に角、視野が狭いじゃん。みんな、この街の中で留まってる」
一方通行「知識は有っぞ」
黄泉川「知識『だけ』ね。百聞であって一見一体験にも満たないじゃん」
黄泉川の話が古い人間の戯言と感じられるのは、やはり統括理事長(アレイスター)の思惑なのだろう。
多分、コイツは正論を言ってる。
黄泉川「灰色の青春。モラトリアムの消失。思春期を殺した少年達……知ってる?」
一方通行「確か都市の外の本だったな。名前は知ってる。今のオマエみたいな考え書いた本だろ?」
黄泉川「様は選択の幅と時間を、子供達に与えるべきだっていう内容なんだけどね」クスッ
何とも、理事会の爺婆共が嫌いそうな本だ。奴等は子供を道具か研究動物にしか見ていない。
道具や実験動物に自我は要らない。知ってて反抗しないのは、甘ンじとけば楽だからだ。
俺は多分、甘ンじてる。
その点―――褒めるのは癪だが―――垣根辺りはそれに反抗心を持っている。甘ンじて無い。
ドチラが正解とは言えないが、惰性や妥協で生活してる輩よりは立派なのだろう。
黄泉川「自分で考える力を付けて、そして選びなさい……そして大人になるの。いつまでも人形で居ちゃダメ」
一方通行「……考えとく」
改めて、コイツは大人で教師なのだと感じてしまった。 - 641 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 04:44:35.57 ID:C90e3Pw10
- ―――とある日、PM08:35、学園都市第7学区、とある病院、特別対応室・・・side.一方通行・・・
それから再び、暫く無言だった。
そろそろ面会時間も終わりだというに、俺は何をしているのだろう。
黄泉川「……ねぇ」ボソッ
一方通行「ン?」
横になっていた黄泉川が呟いた。
黄泉川「一方通行も……私に警備員、辞めて欲しい?」
一方通行「っ?!」ドキッ・・・
いきなり、何を言い出すのだ。
黄泉川「……ねぇ」チラッ
一方通行「……」ムゥ・・・
黄泉川「……ごめん。何でも無い。忘れて欲しいじゃん」ハハハ・・・
如何したというのだ。
黄泉川「ははは……ごめんね。子供に言う事じゃないよね……」
一方通行「っ……そういうガキ扱いは、腹立つぞ」キッ・・・
黄泉川「……ごめん」シュン・・・
一方通行「チッ……謝ンなっつゥの」ケッ
調子狂う。強きが取り柄の人間も、怪我病に掛れば弱気になるという事か。 - 642 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 05:17:01.51 ID:C90e3Pw10
- 『黄泉川愛穂』は警備員である。しかし、『警備員』が黄泉川愛穂である必要は無い……
一方通行(……いや、違う?)
ふと気付く。例えを変えてみよう。
超能力者第三位、超電磁砲・御坂美琴という人間がいる。
彼女は能力者の中でも実力名声共にトップクラス。謂わば象徴(アイドル)だ。
実際、他の六人が相性等の関係で彼女より強かったとしても、御坂美琴という人物は象徴で有り続けるだろう。
何故か?
表向きで名前、顔、共に知れ渡っている。
つまり象徴である彼女は……『御坂美琴』は(超)能力者である、も、『能力者』は御坂美琴である、もクリアできるだろう。
簡単に言えば顔、代表、看板、アイドルだ。
一方通行(その理屈で行くと、コイツは……)
警備員のエース。様々な団体にも所属。
一方通行(アイドルたァ言わねェが、『顔』役ではあるな)
つまり『警備員』といえば黄泉川愛穂……過言ではないのかもしれない。
一方通行「……オマエ自身は?」
黄泉川「辞めるつもりは無いじゃん」
そう言うだろう。分かりきってる。
……だが、先程言われた『自分で選べ』という言葉が胸に残っていた。
黄泉川愛穂は警備員で居続けるべきなのだろう。
本人の意思は固(もと)より、この街には彼女の様な大人が居なければなるまい。
しかし、それはこの街の、社会の意志であって……俺の考えでは無い。
俺個人としては…… - 643 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 05:30:42.64 ID:C90e3Pw10
- 一方通行「……教師一本でも、良いンじゃねェか」
黄泉川「……」キョトン・・・
そなたがそんな事仰るなんて信じられませーん、と言いたそうな顔をしていた。
一方通行「いや、別に押し付けじゃ無ェかンよ」
黄泉川「一方通行の、意見って事ね……ふふっ、面白いじゃん」クスッ
一方通行「悪ィかよ」ケッ
黄泉川「ううん、興味有る。何で?」
何でって、そりゃ……
一方通行「……危険な目に、会って欲しくねェさ」ポリポリ・・・
黄泉川「……そ、そういう事、言うんだ」モジモジ・・・
そこは反論して欲しかったのだが。また気拙いっての。
一方通行「オマエが強ェのは知ってるけどよ。オマエより強ェ奴も、それなりに知ってる」
黄泉川「……自覚はしてるよ」コクッ
一方通行「そいつらに負けたら、殺されるかもしれないし、また……っ」グッ・・・
黄泉川「……覚悟もしてるじゃん」ニコッ・・・
今の一言は、癪に障った。
一方通行「覚悟って……馬鹿じゃねェか、オマエ」キッ!
黄泉川「馬鹿だってのも自覚済みだよ」
一方通行「ンな屁理屈が――」
黄泉川「それは……君が気にする事?」ジー・・・
一方通行「――通、り……ッ!?」ドキッ・・・ - 644 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 05:45:00.86 ID:C90e3Pw10
- 難題。
黄泉川「その感情を持ってくれるのは嬉しい。でも、それは一般論じゃない?」
……確かに。
憐れみ。誰しもが持つ感情論だ。先の社会の意志と似たようなモノ。
黄泉川「一方通行の気持ちは……素直に、受け取る。でも私の覚悟に口出しできるモノじゃないでしょ?」
一方通行「……ンだってンだよ」キッ・・・
黄泉川「それに口出しできるのは、多分、大人だけ。いや違う……『覚悟を決めた』大人だけじゃん」
如何言う意味だ。
黄泉川「経験、月日、見てきたモノ。それを踏まえた上で判断・選択し……覚悟する」
一方通行「それが、大人か?」
静かに頷かれた。無論、これは黄泉川の考えだが今はコレが『基準』である。
黄泉川「一方通行は、強い人間で覚悟できる人だってのは知ってる。でもね……若いわよ」
一方通行「そういう、ガキ扱い……っ」グッ・・・
待て……ガキ扱い?
そうであれば、コイツは俺に話を振らない筈。つまり別の『何か』があるという事。
黄泉川「……いいよ。まず君は自分の事、選べる様にならないとね」ハハハ・・・
一方通行「……悪ィかよ」ボソッ
黄泉川「え」
答えが出た。でも、言うのは……恥ずかしいな。 - 645 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 05:58:19.94 ID:C90e3Pw10
- 一方通行「大人じゃ無ェけどよ……」
黄泉川「……うん」
一方通行「一応、オマエも芳川も打ち止めも……」ポリポリ・・・
黄泉川「……」ジー・・・
家族、なのかもしれない。
黄泉川「……」グッ・・・
一方通行「だから、危険な真似……して欲しくねェ」
精一杯だった。もうこれ以上は何も言えない。というか、二度とこンな事言わない。絶対だ!
黄泉川「……一方通行」ボソッ
一方通行「……ンだよ」ケッ・・・///
黄泉川「こっち、おいで」クイクイッ・・・
一方通行「無理」フンッ・・・///
黄泉川「……見せたいモノあるから」
一方通行「……チッ」カツカツ・・・
黄泉川は机の引き出しを開け、何かを掴んだ。それを両手で隠し、中を見ろと促した。
仕方なく黄泉川の両手の中を覗きに、恐る恐る近づ―――
ギュッ・・・・・
―――……捕まった。何故かホールドされた。思考停止。
一方通行「は、ェ……黄泉川、さン?」ポカーン・・・
黄泉川「――……―――」ボソッ・・・ギュゥ・・・
一方通行「っ!! ッ……」グッ・・・
久しく聞く……俺の本名。 - 646 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 06:21:05.38 ID:C90e3Pw10
- 黄泉川「……十分だよ。ありがと」ギュッ・・・
一方通行「あ、ほか……ばか……じゃねェか。オマエ……」
黄泉川「知ってる。でもね……君がそう思ってくれているだけで、嬉しいの。だから馬鹿でも良い」ニコッ・・・
一方通行「俺は……感謝される様な事してねェし、される資格も無ェ」
黄泉川「資格なんて要らない。さっきの一言、それだけで十二分」
母の様な、姉の様な抱擁。
黄泉川「コレからも頑張れるじゃん」ニコッ・・・
一方通行「……考えは、変わらねェのか」
黄泉川「ごめんね……譲れない覚悟じゃん」
一方通行「死ぬかもしンねェ。拷問されっかもしンねェ。犯されるかも、しれねェ……怖くねェのか」
黄泉川「……怖い、よ」ギュッ・・・
より強く抱き締められる。微かに震えているのか、顔は見えないが……やはり本当に怖いのだろう。
黄泉川「怖いよ。嫌だよ……本当は辞めたいよ」
一方通行「っ……」スゥ・・・
黄泉川「銃口頭に突き付けられて……指折られて……知らない、男に抱かれて……っ……」ポロポロ・・・
一方通行「もう、いい……」
黄泉川「嫌だよ……っ……助けて、欲しいよ……ぇぅ……っ……」ヒック・・・
二度目の泣き顔。
前回は泣き崩れた。だが、今回は……堪えた。俺も、黄泉川も。
黄泉川「っ……でも、ね……この街じゃ、今の私と同じ事になってる『犠牲者』が……沢山いるの」
一方通行「……あァ」
黄泉川「本当は……ベットの上で泣いてる場合じゃない。一人でも多くの子供達を救わないといけないわ」グシグシ・・・
そこまでの正義感、か。素直に尊敬する。 - 647 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 06:40:26.81 ID:C90e3Pw10
- 黄泉川「取り乱してごめんね……」ニコッ・・・
一方通行「大丈夫だ、気にしねェよ」ポリポリ・・・
黄泉川「……兎に角、誰かが助けてやらないといけないじゃん」
此処で、オマエである必要は無い、と言っても他の人である必要もないと言われれば終わりだ。
黄泉川「私は、選んだの……大人としてね」
一方通行「大人、か」
黄泉川「自ら望んで入った。教師も、警備員も。惰性なんかじゃ無い。自分の仕事に誇りを持ってるじゃん」
覚悟。
黄泉川「誇りを持てる将来を目指しなさい。打ち止めだけじゃなく、自分も幸せに……良いわね」ナデナデ・・・
一方通行「ケッ……努力すらァ」フンッ・・・///
まったく、遣る瀬無い。というか……
一方通行「そろそろ離れろ! 誰かに見られたら如何すンだっつゥの……」ポリポリ・・・///
黄泉川「あ……そ、そだね! あはは……」カアアァ・・・///
―――一方、蛇・・・・・
『そろそろ離れろ・・・・・そ、そだね! あはは……』
御坂蛇「ほほぅ……師匠に売ろうか。それとも垣根辺りに流そうか……ミサカはニヤニヤしながら思考を巡らせます」2828・・・
木山「す、17600号(スネーク)君。盗聴は、その、無粋だと思うよ。程々にね……」タラー・・・
御坂蛇「と、言いつつ木山先生も真剣に聞いてましたよね? 同罪ですよ、とミサカは流し眼を送ります」ニヤッ・・・
木山「うっ……ま、まぁその……あまり広め過ぎない様にね」ハァ・・・
御坂蛇「……了解。加減はしましょう」コクッ - 648 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 07:00:26.42 ID:C90e3Pw10
- ―――とある日、PM08:55、学園都市第7学区、とある病院、特別対応室・・・side.一方通行・・・
一方通行「そろそろ……帰る」
黄泉川「うん……今日はバイト?」
一方通行「いや。直でファミリーサイドに帰る……ガキはチンピラの家か?」
黄泉川「いや、多分桔梗と留守番してるじゃん……今日黒妻は『サービスの日』らしいから」
サービス?
黄泉川「……固法」ニヤッ・・・
一方通行「あァ……くだらねェ」ケッ・・・
黄泉川「ふふふ。アンタにはまだ分からないかぁ……ってか早いかな?」クスッ・・・
一方通行「……そう言われンのも癪なンだが」ムッ・・・
黄泉川「興味無いの?」キョトーン・・・
一方通行「そういう事、普通聞くか?」ハァ・・・
黄泉川「まぁ一方通行が興味あるか如何かに、興味があるじゃん。主に私と桔梗限定だけど」
助平共が。
一方通行「ふンっ。オマエと一緒で枯れてるンですよー」ケッ
黄泉川「ぐぅ……そういう事、言うかな」グヌヌ・・・
枯れてる女が、枯れてる少年の事気にすンなっつゥの。
黄泉川「いや……このまま魔法使いになられても、何か困るし」
一方通行「余計な御世話だっ! 自分の心配しやがれ!」
黄泉川「私も桔梗も処女じゃ無いじゃん」フーン!
一方通行「うわァ……身内のそういう話聞きたくないンですけど。勘弁して」ヒキィ・・・ - 649 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 07:17:16.08 ID:C90e3Pw10
- 黄泉川「そりゃ大学行ってりゃ色々と」
一方通行「アー! ワー! ヤメテクダサーイ! 聞キタクナーイ!」イヤァ!
黄泉川「アハハハ。冗談じゃん。私は兎も角、桔梗についてはそういう話しないから」
一方通行「ったく……キツイっつの」ハァ・・・
黄泉川「まぁゴムの付け方くらい覚えときなさいよ。小萌先生んとこの居候ちゃんと何時何があるか……」ニヤッ・・・
一方通行「マジで勘弁して下さい。有り得ないンで」イヤァ!!
黄泉川「……打ち止めはまだ早いじゃんよ。手ぇ出したらしょっ引くからね」ジトー・・・
一方通行「誰がペドだ……」ッタク・・・
他人の色恋なんて如何でもいいだろう。
黄泉川「……」ジー・・・
一方通行「ンだよ」
黄泉川「打ち止めが『ミサカの彼氏だよっ!』って男連れ帰ってきたら如何するじゃん?」
一方通行「彼っ……有り得ない!」フンッ
黄泉川「有り得るじゃん。それと同じ……気になるでしょ?」
全っ然違うし、気になりませン。
黄泉川「嘘付け……まぁアンタも打ち止めも相思相愛ゾッコンだからねー」ジトー・・・
一方通行「だから、そンなンじゃァ無ェってェの……もういいから寝ろ! 九時だぞ、九時! 入院患者!」チッ!
黄泉川「ふふふ。はいはい。テレ隠しテレ隠し」ニヤニヤ・・・
照れてない。断じて照れてませン。 - 650 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 07:29:19.45 ID:C90e3Pw10
- 黄泉川「そうね……そうだ!」ニコッ・・・
一方通行「あン? もう帰るぞ」スタッ・・・
帰りの準備を終えた頃、唐突に何か思いついたようだ。また下らない事でなければいいが……
黄泉川「アンタが立派な大人になって、自分で物事選択出来て、やりたい事見つけて……」
一方通行「……ン」
黄泉川「それでも、童貞だったら」
一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハ?」ポカーン・・・
オマエは何を言ってるンだ?
黄泉川「……相手、シてあげるじゃん♪」ニコッ!
一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」エンザンテイシィ・・・
黄泉川「……あれ? 固まった? おーい、一方通行ー!」
この……
一方通行「淫売女郎がァ!! アホ抜かすのもいい加減にしろっ!!」カツカツ・・・
黄泉川「あ……ちょ……行っちゃった」アハハ・・・
急いで部屋を出た。
一方通行「……軽はずみでそういう事、言うなっつゥの」ドキドキ・・・
馬鹿な事言った黄泉川より、不覚にもドキリとした自分を恥じた。
ったく、次どンな顔して黄泉川ンとこ行けば良いンだよ…… - 651 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 07:43:18.57 ID:C90e3Pw10
- ―――とある日、PM09:05、学園都市第7学区、とある病院、特別対応室・・・side.黄泉川・・・
また部屋に、一人。
黄泉川「一方通行……怒ったかな」
まぁ怒るだろうな。
御坂蛇「……意外ですね。貴女があの様なジョークを言うなんて」
黄泉川「っ!?」バッ!!
扉の前に、キレ者ナースが居た。
黄泉川「み、見てた?!」ドキッ
御坂蛇「……多少。無論、口外はしません(※口外は)」
黄泉川「う、うわぁ……恥ずい」カアアァ・・・///
穴が有ったら隠れたかった。
御坂蛇「……兎角、遅れてスイマセン。シーツは片付けました、とミサカは任務完了報告」
黄泉川「あ、うん。ありがと……」
御坂蛇「身体は拭かなくても大丈夫そうですね」
黄泉川「……もしかして、空気読んで入って来なかった?」
御坂蛇「さぁ」
黄泉川「そ、そう……ごめんじゃん」
多分、迷惑を掛けたのだろう。申し訳無い。 - 652 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/17(月) 07:54:44.79 ID:C90e3Pw10
- 御坂蛇「それで?」
黄泉川「え……」
御坂蛇「最後の言葉」チラッ・・・
黄泉川「あ、ああ……相手如何こうっての?」
御坂蛇「肯定です」
黄泉川「……冗談だと思う?」
御坂蛇「……彼に好意を?」
黄泉川「好意は勿論あるじゃん。ライクだけどね」
御坂蛇「ふむ……では、同情?」
黄泉川「違う違う。そんなんで相手に身体許すわけ無いじゃんよ」アハハ
御坂蛇「ミサカには……理解し兼ねます」
黄泉川「うーん、多分嬢ちゃんもその内分かるかも」
御坂蛇「というと?」
黄泉川「……コイツにだったら、身体預けてもいいな。そう思える男って居るんだ」
御坂蛇「……ふむ」
黄泉川「女って強くて、弱いから……頼りたくなったりするじゃん」
御坂蛇「強くて、弱い?」
黄泉川「うん。まだ分かんないでしょ? ……色々経験してみ。分かってくるじゃん」
彼にだったら、身体を許しても良い。本気でそう思えた。
ただ彼にとっては侮辱かもしれない。でも、それでも……
黄泉川「女って、難しいじゃん」
御坂蛇「……度し難いです、とミサカは溜息をつきます」フム・・・
そういう風に、感じてしまったのだ。『家族』と言われて尚、ね…… - 653 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました2011/01/17(月) 07:59:40.47 ID:C90e3Pw10
- はい。お疲れ様でした。次回はSS板に移ってるかな?
次はIf.香焼ストーリーのアニェーゼ・アフターです! エロです。フヒヒwwサーセンwwww
何かご要望あったらどうぞ! 参考にさせて貰います!
例の如く質問意見感想罵倒その他、宜しくです! では! ノシ - 654 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2011/01/17(月) 13:01:18.92 ID:o+OlGJyIO
- 素晴らしい…!
>何かご要望あったらどうぞ! 参考にさせて貰います!
このまま黄泉川通行が読みた… - 656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/17(月) 23:16:02.27 ID:sb6/q+VDO
- 移転乙っす。
肉食系香焼なのか草食系香焼なのか……楽しみだ!
>>654
じゃんじゃん通行とな!?
……アリです(2828w - 658 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/20(木) 15:28:20.50 ID:DQbkkxfN0
- みなさん、こんにちは。管理人様、移転作業ありがとうございました。
兎にも角にも、コレからも宜しくお願いします!
さて・・・
>>654
黄泉川通行……需要が有れば考えます! とカキネさんが言ってました(笑)
次にアニェーゼ・アフターですが・・・
①ラブラブした関係。
②サバサバした関係。
③その他(何か案を!)。
アンケ協力お願いします! んで、今晩か明日の夜かに投下する……と思うよ(苦笑)
それでは、また後々! ノシ” - 659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/20(木) 16:17:45.46 ID:PGSxEvC20
- 黄泉川通行は近親相○みたいで抵抗がある自分ガイルorz
- 660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/20(木) 16:45:27.49 ID:DixpfAVDO
- >>659
それを言ったら打ち止めも‥‥(苦笑)
アンケは②に興味あるぜぃ! - 661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/20(木) 20:41:03.60 ID:3yew52ZDO
- アニェーゼアフターも見たいけど
少し本編の続きが見たいです - 662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/01/20(木) 20:57:49.34 ID:OVOg5acAO
- >>659
だ が そ れ が い い - 663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 23:53:52.73 ID:7BoVNvuq0
- ②なんだぜい
- 664 :>>1にかわりましてカキネがお送りします2011/01/22(土) 22:23:15.20 ID:uky94Khs0
- こんばんわ! 投下します。
多分2、3回になるかも。では、どーぞ! - 665 :If.アニェーゼ・アフター2011/01/22(土) 22:45:04.44 ID:uky94Khs0
- ―――とある未来、PM11:30、英国、ウォータールー駅付近・とあるマンション一室・・・香焼side・・・
香焼「ただいまー……アニー、まだ帰って無いね」ガチャッ・・・テクテク
久しい我が家。
右往左往しながらも妻――アニェーゼ・サンクティスと結婚。今年で結婚3年目、子供はいない。
ちなみに彼女の立場上、夫婦別姓。
香焼「ご飯……は作ってる訳無いか。お風呂も沸かして無いよな」ハァ・・・
日本から時差凡そ9時間。学園都市第23学区を07:30に音速旅客機で出発、一時間半の空の旅。
空港で『色々』手続きを終え……数週間ぶりの英国へ帰る。今の自分は所謂、単身赴任の身だ。
因みに、今回は必要悪の教会(ネセサリウス)の会議での一時帰国という体。
三日後には再び学園都市に戻らねばならない。
香焼「ゆっくりする時間も無いよ……寒っ」Pi!
妻とノホホンする時間が欲しいと思いつつ、実家から無理言って持ってきた炬燵の電源を入れる。
香焼「疲れたぁ……温(ぬく)いな……寝そう」ポカポカ・・・
炬燵の魔翌力(誘惑)は怖ろしい。流石日本が生み出した最高の魔道具(電化製品)と名高いだけある。
このまま魔翌力に飲まれたいが、しかし……
香焼「駄目だ。半蔵さんに……データ、送っとかないと……」ウトウト・・・
あと、せめて何か口にして……シャワー浴びないと……
香焼「……くぅ……スゥ」ムニャムニャ・・・
結局、寝落ちた――― - 666 :If.アニェーゼ・アフター2011/01/22(土) 23:06:16.76 ID:uky94Khs0
- ―――とある未来、AM00:30、英国、ウォータールー駅付近・とあるマンション一室・・・???side・・・
ガチャッ・・・・・
アンジェレネ「……あれ? 鍵開いてるよ?」ハテ?
レッサー「不用心ですねぇ……って、アレ? 靴、あるよ」
アンジェレネ「アニェーゼちゃんの靴じゃないよ。あ……もしかして!」ハッ!?
レッサー「……ほぅ。アニェーゼの狡っ娘め。わんこ、一人占めするつもりでしたね!」ニヤッ・・・
アンジェレネ「一人占めって……夫婦だから当たり前でしょう」アハハ・・・
レッサー「ちっくしょー。分かってればイツワやサーシャも呼べば良かったです!」ダム!
アンジェレネ「レッサーちゃん……」ハァ・・・
旧アニェーゼ隊隊長であり友人であるアニェーゼ・サンクティスに限定デザートワインのお使いを頼まれ、持ってきた私、アンジェレネ。
……ついでに、レッサーちゃん。
レッサー「わんこーやぎぃ! いますかー! いるだろー! であえーい!」ドタドタドタ!
アンジェレネ「レッサーちゃん、時間も時間だから静かに」シー・・・
近所迷惑極まりない。まぁ昔からそういう娘なのだが……良く言えばムードメーカーでもある。
レッサー「こーやぎー……ん?」ピタッ・・・
アンジェレネ「どうしたの? ……あ」ピタッ・・・
香焼「すぅ……くぅ……」スヤスヤ・・・
寝てる。
アンジェレネ「長旅で疲れてるんだよ……起こさないでおこう」シー・・・
レッサー「長旅って、どうせ音速旅客機使ってるでしょう。数時間ですよ」
アンジェレネ「そういう問題じゃ無くて……」ポリポリ・・・
レッサー「コタツ・だーいぶっ!!」ワッシャァー!
アンジェレネ「あ、こらっ!!」
日本が生んだ魔道具(こたつ)の魔翌力(誘惑)に魅かれるレッサーちゃん。まったく…… - 667 :If.アニェーゼ・アフター2011/01/22(土) 23:21:03.75 ID:uky94Khs0
- レッサー「あ”ぁ……温いですねー」ホクホク・・・
アンジェレネ「頭からコタツに突っ込まないの。はしたないよぅ」
パンツ丸見え。寝てるとはいえ、男性がいるというに。
アンジェレネ「ほら。ワインしまったら帰るよ。起こさないでね」
レッサー「うぃ~……」ヌクヌク・・・
アンジェレネ「もぅ。間違って寝ないでよ」ハァ・・・
目を離すと何しでかすか分からない。
ステイルくんに連帯責任(と言う名の監督不行届)で怒られるのは私なんだから。
兎に角、冷凍庫にデザートワインをしまう。僅か10秒。
アンジェレネ「帰る、よ……んにゃに?!」ハァ?!
レッサー「うぃうぃ」プニプニ!
アンジェレネ「何やってんの!?」ギョッ!?
レッサー「五月蠅いですよ。こーやぎ、起きちゃいますって」プニプニ・・・
炬燵に潜り込み、コォヤギくんの方へ移動する御転婆小悪魔娘。
香焼「……むん……すぅ」モゾッ・・・
アンジェレネ・レッサー「「っ!!?」」ドキッ!!
香焼「……くぅ」ムニャムニャ・・・
レッサー「……せーふっ!」フゥ・・・
アンジェレネ「せーふっ! じゃないでしょうに!」
レッサー「ばれてない、ばれてなーい」ツンツン・・・
……ばれたらコォヤギくんは兎も角、恐妻(アニェーゼ)ちゃんに殺される気がする。 - 668 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/22(土) 23:35:52.91 ID:uky94Khs0
- レッサー「ふぁ~……眠い」
アンジェレネ「っ!? ほら、行くよ!」
レッサー「動けなーい……」ヌクヌク・・・
何て事! レッサーちゃんがコタツの魔力に飲まれた!
しかもコォヤギくんの横と場所が悪い。何とかせねば……彼女が帰ってくる前に!
アンジェレネ「ちょっと、帰るよ」トントン・・・
レッサー「あーうぃ~……身体がぁ~。緩んでぇ~」ネムネム・・・
アンジェレネ「こらっ! えいっ!」グッ!
レッサー「ぐぇえっ」グルジィ・・・
無理やり引っ張る。カエルを絞めた様な声が出た。
アンジェレネ「ほら、出る!」
レッサー「止めて、くださぁい……身体が言う事聞いてくれましぇん。コタツから出てくれなーい」グダグダ・・・
アンジェレネ「アニェーゼちゃんに怒られるよ!」グググ・・・
レッサー「それは嫌です……でも出れなーい」ウギギ・・・
アンジェレネ「もぅ……知らない。置いてくよ! 勝手に怒られなさい!」パッ!
レッサー「ちょっ!? わ、私を殺す気ですか!」
だから出ろというに。
レッサー「ぐぬぬ……死なばもろともー!」ガシッ!
アンジェレネ「うわぁっ!!」ドサッ!
レッサー「私一人では逝きません! アンの命も連れて逝きます!」グイグイ・・・
アンジェレネ「キャアァーッ!! てか『手袋』使うなぁ!!」ズルズル・・・
コタツに引きづり込まれる私。拙い……このままじゃ私まで…… - 669 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/22(土) 23:45:41.72 ID:uky94Khs0
- レッサー「ほらほら……アンも眠くなる~。眠くなりますよ~」グダグダ・・・
アンジェレネ「ならないっ! てか……この状況、本気で殺されるから!」ウワァ・・・
私、コォヤギくん、レッサーちゃん。
コタツの一辺にギュウギュウ詰め。
レッサー「ふひひ! もうどうにでもなれぇ!」アハハ!
アンジェレネ「……レッサーちゃんがいつも以上に壊れた」ハァ・・・
……しかし、拙い。本当に眠くなってきた。
香焼「……んー……るさいっす……」ムニャムニャッ・・・
アンジェレネ「あぅっ!」アワワ・・・
レッサー「えーみんっ!! ちぇすとー!」ゴンッ!!
香焼「ぶっ!!? ……ぐぅ」バタッ・・・
アンジェレネ「コォヤギくーんっ!!?」ウワアアアァッ!!?
何て事……
レッサー「はい! お休み! ……すぅ」パタンッ
アンジェレネ「パタン、じゃなくて! ……って、スカート尻尾で掴みながら寝やがった!!」ウワアアァンッ!
結局……私、泣き寝入り。コォヤギくん、こん睡(気絶)。レッサーちゃん、爆睡。
きっとアルマゲドン級に怒られるだろうな……神は死んだ。あーめん。 - 673 :If.アニェーゼ・アフター [saga]:2011/01/23(日) 03:06:07.62 ID:TOKUF3Xc0
- ―――とある未来、AM00:55、英国、ウォータールー駅付近・とあるマンション一室・・・???side・・・
アンジェレネ「すぅ……ぐすっ……」zzz・・・
香焼「」チーン・・・
レッサー「くわぁ……むにゃ……」zzz・・・ - 674 :If.アニェーゼ・アフター [saga]:2011/01/23(日) 03:06:49.09 ID:TOKUF3Xc0
- ―――とある未来、AM00:30、英国、ウォータールー駅付近・とあるマンション一室・・・アニェーゼside・・・
アニェーゼ「やばっ。遅くなっちまいました」タッタッタ・・・
面倒な書類仕事を終わらせた後、うざったい老人共に表面上の愛想を振り撒き飛び出すように逃げてきた。
立場上、ローマと英国の中間管理を任される様になってからというもの、昔では考えられない程にハードワークとなっていた。
アニェーゼ「コーヤギも急ですよ……確かに定例会議の事忘れてた私が悪いんですけど」パタパタパタ・・・
ステイルに教えて貰えるまで、旦那が帰ってくることすら忘れていた。
妻失格だ。
アニェーゼ「買うモノ買ったし……あ。アンジェレネが来るんだった」ヤベェ・・・
またミス。折角の帰国……二人きりで静かに過ごしたかったものを。
まぁアンジェレネなら空気を読んでくれるだろう。ワインを置いたら直ぐに踵を翻してくれるに違いない。
……余計な輩(イツワとかウラカミとかレッサーとか)がいなければ、だが。
アニェーゼ「えっと、献立はサラッとで良いですよね。でも鍛錬メニューと照らし合わせないとなぁ」ポチッ・・・ウィーン
食事メニューにも慣れたモノ。伊達に3年も天草式教徒の妻やってません。
ただし、年の半分以上は別居状態だが……下らない事考えるのは止めよう。
さて、マンションに到着。電子キーを晒し、エレベーターへ飛び乗る。
アニェーゼ「えっと……ただいま、は変かなぁ。おかえり、も変ですねぇ」ニヤニヤ・・・
なーんて、結婚三年目にして新婚的な事を考えてる私。
きっと緩んだ顔をしているのだろう。深夜周りに人が居なくて良かった。
チンッ・・・・・
アニェーゼ「……えへへ」ニンマリ・・・
久しい旦那様。ホント、今の私、教会や同じ部署の連中に見せられないなぁ。
兎角、直行! 家の鍵……開いてる!
アニェーゼ「よしっ……ただえりっ! じゃなかった。おかいま!」ガチャッ!
どっちも違う気がするが、気にしない! - 675 :If.アニェーゼ・アフター [saga]:2011/01/23(日) 03:07:35.09 ID:TOKUF3Xc0
- ※時間訂正。AM01:00で。
- 676 :If.アニェーゼ・アフター [saga]:2011/01/23(日) 03:17:03.83 ID:TOKUF3Xc0
- ―――とある未来、AM01:00、英国、ウォータールー駅付近・とあるマンション一室・・・香焼side・・・
香焼「……ん」パチッ・・・
よく分からないが、頭に鈍痛。
香焼「痛いし、寒いし、眠い……え」ポリポリ・・・
何だか、キツい。
香焼「……」スッ・・・
横を向く。右……
アンジェレネ「ぐすんっ……くぅ……」スヤスヤ・・・
香焼「……?」チラッ
左……
レッサー「くぅ……にゃぅ……」コクコク・・・
香焼「……?」What?
どういう事だ?
香焼「……」
アンジェレネ・レッサー「「むにゃむにゃ」」zzz・・・
香焼「……ま、いっか」パタン・・・
良く有る事だ。特に上条さんなんかの周りでは。
香焼「肩まで潜ると風邪引くっすよー……すぅ……」コクコク・・・
アンジェレネ・レッサー「「うーん……くぅ……」」モゾモゾ・・・
まったく……仕方ないなぁ、と思いつつ調整してやり、二度寝開始。 - 677 :If.アニェーゼ・アフター [saga]:2011/01/23(日) 03:34:57.29 ID:TOKUF3Xc0
アニェーゼ「ま、いっか……じゃねぇですっつーのっ!! このカミヤン病L5患者がああぁっ!!!」ドゴフッ!!
香焼「ぶぼぉっ!!?」ベゴンッ!!
アンジェレネ・レッサー「「っ!!?」」バッ・・・ビクッ!!
ピンポイントで鳩尾に空間攻撃を受けた。
香焼「ッッ~~~!?!?」ビクビクッ・・・
アニェーゼ「……」ゴゴゴゴゴゴ・・・・・
アンジェレネ・レッサー「「」」ガクブル・・・
のた打ち回るにも炬燵の中故、動けない自分。
蓮の杖(コンパクト化)片手に、仁王立ちの我が嫁。
咄嗟に近くのソファーに正座するアンジェレネ&レッサー。
アニェーゼ「……言い訳を聞いてやりましょうか? それとも逃げやがりますか?」
アンジェレネ「」パクパク・・・
レッサー「あ、が……んつぉ……み……」ブルブル・・・
蛇に睨まれた蛙。
アニェーゼ「旦那様……何か言う事は?」
香焼「か、ふっ……おか、えり……」バタッ・・・チーン
レッサー「わぁ。旦那の鑑ですね。この状況でお帰りって言いましたよ……」ハハハ・・・
アニェーゼ「れ、レッサーちゃん……」タラー・・・
妻の大きな溜め息を聞いた後、自分の意識はブラックアウトした……- 678 :If.アニェーゼ・アフター [saga]:2011/01/23(日) 04:54:19.27 ID:TOKUF3Xc0
- ―――とある未来(二日目)、AM10:00、英国、ウォータールー駅付近・とあるマンション一室・・・アニェーゼside・・・
翌日……
アニェーゼ「今更……って分かってるんですけどね」ハァ・・・
今朝方まで馬鹿友人二人をこってりしぼり、今に至る。ちなみに、旦那様はコタツの中で未だに夢の中。
遅めの朝食を作り、コーヤギが目覚める前に食べてしまう。
午後二時から会議なので先に準備してしまい、時間差で聖堂へ向かおうという魂胆だ。
アニェーゼ「分かってて結婚したけど……はぁ」ポリポリ・・・
彼が女難の相が有るという事は結婚前から分かっていた事だ。疑えばキリが無いが……一応、信じてはいる。
この人は浮気はしない、と自分に言い聞かせる。仮にも互いに十字教徒。不純な真似はしない筈。
アニェーゼ「……シャワー、浴びよ」テトテト・・・
彼は学園都市で『とある仕事』をしている。
それは英国清教の任でも有り、彼本人の意思でも有る……と一応記しておこう。
……難しい考えは止めだ。
ほぼ徹夜明けの頭では、まともに会議には参加できまい。只でさえ色の濃い連中が集まっているのだ。
熱いシャワーで目を覚まそう。
アニェーゼ「……」キュッ・・・ジャアアァ・・・
サイアイ、サテン、アンジェレネ、レッサー……他にも数名。
皆友人であるが、疑ってしまう。現にウィハルやシライに、コーヤギと彼女らを勘繰る様なメールを送ってしまう事も屡(しばしば)。
こんな自分は最低だと思うし、きっと彼も嫌うだろう。
アニェーゼ「……ホント、碌でもねぇ奥さん」ジャアァ・・・
日本に付いて行かなかったのは私の意志なのに、と後悔の念をシャワーで流し続けた。 - 679 :If.アニェーゼ・アフター [saga]:2011/01/23(日) 05:11:58.79 ID:TOKUF3Xc0
- バスルームから出る。
そろそろコーヤギが目を覚ますかなと考えつつ、移動着に着換える事にした。
もう女子寮に住んでいる訳ではない。あそこは基本若い衆(十代)と独身連中の家だ。私、既婚。そこだけちょっと優越感。
故に常日頃修道服で済む歳立場でも無くなった。着替える際は聖堂の更衣室、または車の中で事を済ませる様にしている。
無論、ミニスカは止めた。未だに短いの穿いてるルチアはある意味勇者だと崇める。うん。
アニェーゼ「……起こそうかな」ヌギヌギ・・・
戸惑い。
アンジェレネから事情は聞いたのだが、やはり腑に落ちない。尤も、9割方レッサーの所為だという事は確か。
アニェーゼ「……お昼、一緒したかったですよ」ハァ・・・
作り置きのサンドイッチに目を遣る。横には簡単に、『怒って無いから遅刻はすんな』と一言メモ。
アニェーゼ「……また後で、ね」
目覚ましを11時、12時に二重セットし先に聖堂へ向かう事にする。
アニェーゼ「……ん」スッ・・・
静かに、内緒に、ゆっくり、起こさない様……
アニェーゼ「遅くなりましたが……お帰りなさい。旦那様」スゥ・・・
口付け。
禁煙したと豪語してた癖に、何故かメンソールシガレットの味がした……嘘吐きさん。 - 680 :If.アニェーゼ・アフター [saga]:2011/01/23(日) 05:26:31.73 ID:TOKUF3Xc0
- ガチャッ・・・バタン・・・・・
香焼「……」スッ・・・「……」ポリポリ・・・
参ったなぁ。
香焼「……行ってらっしゃい。また後で」フゥ・・・
何とも、自分はまたやってしまったらしい。
香焼「こりゃ怒られるなぁ」ハァ・・・
アニェーゼに、ではない。『ミス・リーア』にだ。
香焼「愚痴られる前に手ぇ打たないとね」ハハハ・・・
アニェーゼの友人というか姉役というか相談役。
正体を知らないのはアニェーゼだけ。未だに気付かないのは何故なのだろう……相当鈍い。
香焼「冗談抜きで怖いっすよ……」
ミス・リーア……正体はリメエア姫。
由縁は懐かしい思い出だ。 ※③『おはようございます』参照。
香焼「……あ」パッ!
ふと思い出す。学園都市に送る書類……忘れてた。半蔵さんに殴られる。どうしよう……
携帯を見る。
香焼「着信……5件」ゲェ・・・
古い方から、服部・・・・・服部・・・・・最愛・・・・・服部・・・・・ステイル。
最愛はメールで事足りるし、ステイルは無視でOK。だが半蔵さんはヤバーい。
急いで電話した。 - 681 :If.アニェーゼ・アフター [saga]:2011/01/23(日) 05:39:18.59 ID:TOKUF3Xc0
- Prrrr・・・・・
香焼「データは……大体出来てる。途中だけど送っとこうか」ヤバイ・・・
Prrrr・・・・・Pi!
香焼「……もしもし」
半蔵『もしもし……じゃないわ! ボケ! 何時だと思ってんだ!? 時差ボケか?! ド阿呆!』ガアアァッ!!
うわぁ……かなり御冠だ。
香焼「えっと、色々ありまして……」
半蔵『るっせぇ。どうせ美人な奥さんとニャンニャンしてたんだろーが!!』
出来てたらどんなに良かっ、ゲフンゲフン……しません。
香焼「スイマセン。データ、途中ですが」
半蔵『……いらん』フンッ
香焼「え」
半蔵『郭と那由他お嬢が片付けてくれた。御土産買って来いだと』
香焼「……すいません」
半蔵『俺に言うな。彼女らに言え……ただ別件の資料は片付けろよ。あと会議でミスんな』
きっと那由他ちゃんは事務所に顔を出した際、手伝ってくれたのだろう。本当、頭が上がらない。
香焼「了解っす。ではまた明後日にでも」
半蔵『ああ、そうそう。追伸だ』
香焼「はい?」
半蔵『……兄貴から、だ』
嫌な予感がしないでも無い。 - 682 :If.アニェーゼ・アフター [saga]:2011/01/23(日) 05:49:53.33 ID:TOKUF3Xc0
- 香焼「……なんと?」
半蔵『姪甥の顔が見たい。同じ伝言を固法さん、最愛ちゃん、那由他ちゃん、打ち止めちゃんからも』ニヤッ・・・
香焼「」チーン・・・
余計な御世話を……
半蔵『あと、休暇4日伸ばしてやる……一週間そっちでも、九州(実家)でも休んで来い』
香焼「え、あ、でも」
半蔵『言い訳は聞かない。文句があるなら兄貴に言え! 以上!』Pi!
一方的に切られた……
香焼「……ありがたいけど、さぁ」ハァ・・・
タイミングが悪いです。
香焼「……とりあえず女教皇様に挨拶行っとこ」ポリポリ・・・
優先事項を思い出す。兎も角、支度して女教皇様や仲間達に挨拶回りしておかないとなるまい。
その後で、家庭の事情は解決しよう…… - 688 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/28(金) 14:27:42.69 ID:/N2DzRWN0
- ―――とある未来(二日目)、PM02:50、英国、聖ジョージ大聖堂・大会議室・・・アニェーゼside・・・
会議の内容が耳に入らない。
何やら重要な事を話し合っている様だが、どうしても私事の方に思考が寄ってしまう。
アンジェレネ「……アニェーゼちゃん?」ボソッ
アニェーゼ「え……何?」ピクッ
アンジェレネ「具合悪いの? もしかして昨日寝てない?」オズオズ・・・
しまった。顔に出てたか……
アニェーゼ「いえ、大丈夫です。気にしないで下さい」
アンジェレネ「……そう」シュン・・・
この子の性格だ。昨晩の事を思い出して、自分の所為だとでも思ってるに違いない。
まぁ一割くらいそうだが、微々たるもの。
大半は……下手の方に坐している旦那の所為なのだが。
アニェーゼ(いや、私自身の問題か……)ハァ
このままでいけない。身を引き締めなければ。私より若い衆が居る今、下に示しが付かなくなる。
尤も、数名『んな事ぁ関係無ぇです』状態でだらけてる阿呆共もいるが……この中で肩書き一番偉い人とか、イイ歳して尻尾付けてる奴とか。
私の『役』は連絡係……謂わばローマとイギリスとの繋ぎみたいなモノだ。既婚である今、『シスター』という名は使わない。
ちなみに旧部隊はアンジェレネが主となって行動している。ルチアは新しい前線部隊と、新人教育係……二人とも会議には常時参加だ。
アニェーゼ「……」チラッ
香焼「……」
彼の役職は……――― - 689 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/28(金) 14:50:53.74 ID:/N2DzRWN0
- ????「―――……ゼ。アニェーゼ・サンクティス!」
アニェーゼ「っ! ……はい」ピシッ
『議長』殿に名を呼ばれた。
視線が一斉に私の下へと集まる……気まずい。
ステイル「サーシャの定時報告は終わった……次、君の番だ」クイッ
アニェーゼ「……失礼」ペコッ
神裂「アニェーゼ、飛ばしましょうか?」
アニェーゼ「気にしねぇでください。では報告書の35pを……」スタッ
イギリス清教最大主教『代行』及び同盟議会議長『代行』、ステイル。その補佐、神裂。
アニェーゼ「兼ねてからのヴェント氏の提案により、バチカンの内部の人員整理は着々と進んでおり……」アーダコーダ・・・
会議室には同盟各位諸所たる面々が集まっている。
英国教会数名。フランス公室代表。ローマ正教代表。ロシア成教代表。スペイン星教代表……等々。嘱託魔術師としても見知った顔が数名。
加え、英国第二王女が暇そうに、第三王女が引き締まった顔で拝聴している。後ろには近衛侍女長と騎士団長も。
アニェーゼ「『マザー』・オルソラが行っていた、中国西部への布教活動が先月上旬までに未開6地区に及んで……」ウンヌンカンヌン・・・
数年前から大掛かりにシステムが変わったのだ。
最大主教、ローラ・スチュワートが事実上引退。主教の肩書きだけ残し若い衆に席を譲った。同様に女王、エリザードも三人娘に政治を委ねた。
因みに二人は無期限の世界旅行中。何処で何をしているやら……誰も心配しないのが逆に恐ろしいところ。
アニェーゼ「……以上です。何か質問は?」チラッ
とりあえず、自分の仕事はこなせた。頼むから誰もイチャモン付けないで下さい。 - 690 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/28(金) 15:46:52.15 ID:/N2DzRWN0
- ステイル「無いようだね。それじゃあ次、シスター・ルチア」チラッ
ルチア「ン……資料70pを」ピシッ
何とかなった。小さく安堵の一息。
心成しかルチアの視線がきつかった気がするが……気のせいではないだろう。
私が結婚にしてからというものルチアと折り合いが悪い。
嫌われた訳ではないが『シスター』で無い今、如何接して良いか分からないといったところだと思う。私自身も多少気まずい。
アンジェレネ「ホントに……だいじょぶ?」ボソッ
アニェーゼ「ええ。人の心配は良いですから、次アンでしょう」
アンジェレネ「うん……何かあったら言ってね」
此方は依然と変わらなく私に、『私達』に接してくれている。
嬉しい事だが、それすらも『悩みの種』になってしまっていると感じるのは、私が捻くれているからだろう。何て嫌な女だ、私は。
ルチア「次回の合同訓練で嘱託魔術師の方々にもご指導ご鞭撻を仰ぎたいと考えております。何卒ご協力の方を……」スラスラ・・・
今この場に居る見知った嘱託魔術師は……オリアナ、新たなる光の4人。他は新参もしくは会計部の馬鹿共。
此処に居ない連中では……オッレルス氏、後方のアックア基ウィリアム(嘱託騎士扱い)氏、エツァリ氏、そして上条当麻。等々。
他に、シェリーとオルソラは特殊扱いで英国所属。禁書目録は禁則事項。土御門は……特別任務扱いで此処最近不在続きである。
ルチア「尚、対近代兵器訓練につきましてはカラビニエリ(イタリア憲兵隊)一個大隊を貸して頂きました故……」
キャーリサ「ウチのSAS(イギリス陸軍)も貸すよ。だから、騎士団の新兵も参加させろ」
騎士団長「アンタ何勝手な事抜かしてやがりますか?!」
ヴィリアン「お、御姉様……」タラー・・・
キャーリサ「いーじゃん。最近日和ってんでしょ? 近代兵器も慣れときなさいって。新兵強制参加ね!」ニヤッ・・・
騎士団長「ったく、ハァ……宜しいですか? シスター」チラッ
ルチア「……財政部に追加予算を申請しておいて頂ければ構いません。議長」チラッ
ステイル「ご自由に」フンッ
相変わらず破天荒な姫君だ。よく国が成り立つ。正直、信じられない。 - 691 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/28(金) 16:18:53.29 ID:/N2DzRWN0
- ―――とある未来(二日目)、PM03:30、英国、聖ジョージ大聖堂・大会議室・・・アニェーゼside・・・
この後も何だかんだで滞りなく定時報告は進み、議題討論に。
地中海新EN開発計画の件。ユーラシア・リニアレール計画の件。アメリカ及び学園都市の某アグリビジネス社の共同市場独裁の件、等々……
無論、どれもこれも魔術師が絡んでいる。私達が動かねばならない問題だ。
ただし『学園都市』と『アメリカ』という単語が飛び出すと途端にナイーブな問題にかわるので厄介である。
ステイル「―――……まぁ今後も合衆国は刺激しない様に。で、いいんですね? 姫君」チラッ
キャーリサ「そゆ事。遣いが居る手前悪いんだけど、露と中は大人しくしててくれてるからねー」ハハハ
サーシャ「……御気になさらず。政府と教会は極力不干渉ですので」
キャーリサ「うんうん。物分かりが良い子は好きだわ。米の阿呆は魔術師を殺し屋(ヒットマン)感覚で送ってくるからなぁ」ニコッ
本当に傍若無人。シルビアと騎士団長が天を仰いでる。じーざす。
ステイル「ちなみに、アックアとオッレルスは相変わらずなのかい?」
シルビア「え? あ、はい。確か今はキルギスの方に」コクッ
騎士団長「戦火が上がれば飛んでいき、不義行われれば止めに行く……まぁ彼ららしいよ」フンッ
宛ら、ヒーロー。
ステイル「事後処理は僕らの仕事なんだがね……派手にやり過ぎない様釘を刺しておいてくれ」
騎士団長「言うだけ無駄だがね」
ステイル「団長殿には期待して無いさ」チラッ
近くの女性二人を見る。
ヴィリアン・シルビア「「っ!!」」カアアァ///
男を止めるのは女の役目ってか……公開処刑だな、ありゃ。飛び火してコッチこなければいいけど。 - 692 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/28(金) 16:42:03.69 ID:/N2DzRWN0
- ステイル「それじゃあ、最後の議題は……何だっけ?」
神裂「……学園都市の、例の建造物です」
ステイル「ああ、そうだった」スッ・・・
アイツとそれなりに付き合いが長いから分かる……ニコチン切れて会議に集中できてない。
ステイル「えっと、担当は……」カチッ・・・フゥ・・・
レッサー「ぎちょーサン。此処禁煙ですよ」ジトー・・・
ステイル「……一本だけ」ジジジ・・・
神裂「非常識です」ビシッ
アンジェレネ「ステイルくん。煙草喫わないの! 禁書目録に言いつけるよ!」メッ!
一同沈黙……一寸後、毀れ笑い少々。
ステイル「シスター……『くん』付けするなといつも言ってるが」ピタッ……タラー
アンジェレネ「あ、うん。公の場だったね、ごめん」ニコッ
ステイル「チッ……公私共に、だ」ケシケシ・・・
苦笑。正直、ステイルほど『くん』付けが似合わない野郎もいないと思う。
ステイル「あー、もうほら。さっさとしろ、香焼!」ビシッ!
香焼「はいはい」スタッ
顔を引き締める。次は学園都市の代表……私の旦那だ。
経緯は色々あったらしいが『繋ぎ』の役を土御門と引き継いだらしい。引き継いだというよりは、香焼『も』追加されたというべきか。
別に天草を離れた訳ではない。ただ、天草内部での出世頭からは離れたと言っていた。今はそのポストに浦上が入ったようである。
ちなみに、教皇代理は建宮のまま。女性衆筆頭に五和。男性衆筆頭に牛深。若衆筆頭に浦上。
相談役だった諫早は長崎の教会務めに腰を置き、元女性衆・男性衆筆頭だった対馬、野母崎が相談役に上がった。
小さい組織も小さいなりにシステムが有る。香焼から教わり、色々と勉強になった。
さておき……本題だ。 - 693 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/28(金) 17:17:10.44 ID:/N2DzRWN0
- 香焼「資料137p。シェリーさん、写真映せます?」
シェリー「あいよ」ポチッ
慣れた手つきでディスプレイを弄る技術担当。最近では学園都市の機材も使いこなせて来てるとか。
映ったのは巨大で長い線路に所々円筒がくっ付いている、何ともヘンテコな建設物の写真だった。
ステイル「……数年前から計画されてきていた『発射台』だ」
オリアナ「発射台っていうより、ジェットコースターとかのレールに見えるわね」フーン・・・
香焼「大体正解です。俗称で『コースター』等と呼ばれています」
辺りからヒソヒソ声が聞こえ出す。確かに気になるだろう。
レッサー「それで、今度はどんなトンデモショーを仕出かしてくれるんですか? 『Top10』の方々は」クスクス・・・
フロリス「レッサー、黙ってなさい」ッタク・・・
香焼「打ち上げです」キッパリ
アンジェレネ「打ち上げ? 何の?」フム・・・
香焼「ロケット」サラッ
簡潔にそれだけ述べた。
如何でも良いが、公の場で敬語使うコーヤギ、ちょっと怖いな。
香焼「専門的な事を言っても分からないでしょうから、ロケットの発射台と。それだけ覚えておいてもらえれば結構です」
シェリー「……にしても、造形美は無いな。折角大掛かりなのだからデザイン性も凝ればいいのに」ムゥ・・・
香焼「機能性を重視してこの形に……試作型の『マスドライバー』ですので」
幾名か顔を上げる。よくSFなんかでは聞く名前だ。
実際に20世紀末から米国では開発し出していたらしいが未だ完成していない。写真を見る限りでは学園都市の方が先に実用化しそうである。
ふと私はある単語を思いつき、呟いてしまった。
アニェーゼ「……超電磁砲(レールガン)ですか」ボソッ
香焼「……」コクッ
ざわめきが増す。一同それなりに理解してきたようだ。 - 694 :If.アニェーゼ・アフター[sage]:2011/01/28(金) 23:03:44.06 ID:/N2DzRWN0
- 香焼「資料にも載せましたが、近々試運転が行われます」
ステイル「それに乗じて、コレを快く思って無い連中らが破壊行動に出るという情報を得ている」
神裂「内部外部問わずですね」
香焼「身内(都市内部)の恥は身内(警察組織)で解決しますが、魔術師からのテロ攻撃も予想されますので」
人間は宇宙に上がるべきではない、なんて下らない事考えている輩はそれなりにいるからなぁ。
……まぁ多分理由はそうじゃないんだろうけど。
キャーリサ「待った」
やっぱり、この人なら言うだろうと思った。
キャーリサ「坊や……コイツはミサイルを撃てるだろ」ジロッ
香焼「……はい。無論、しませんが」
キャーリサ「好ましくはないな」フム・・・
迎撃システムが間に合わない程、超スピードの弾道が飛んでくる事になる。
ただそれも、兵器運用するのであれば、だが。
ステイル「国連から承認は出ています。我が国も肯定派ですよ」
キャーリサ「無能首相の勝手など知らない。兎に角もう一度システム詳細を教えろ」
話が拗れる……
結局、武道派の御姫様を納得させる為に30分も費やしてしまった。 - 699 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 12:22:08.36 ID:nz6lcY+c0
- ―――とある未来(二日目)、PM04:10、英国、聖ジョージ大聖堂・大会議室・・・アニェーゼside・・・
香焼「―――……以上です」
キャーリサ「……」ムゥ・・・
香焼だけではなくステイル、神裂が説得してもまだ納得がいかない様だった。
この姫は単に物事に対して反発したいだけなのではなかろうか。
香焼「技術責任者のライフライン博士を呼んで、直接話をさせれば気が済みますか?」
キャーリサ「そういう問題じゃない。言葉だけなら如何とでも取れる」
ルチア「……姫君はただコレ以上学園都市に大きな顔されるのが嫌なだけなのでは?」
堅物アホちん(ルチア)……余計な事を。
キャーリサ「チッ……まー、無きにしも非ずね」
レッサー「後は強化人間達(能力者)の作ったモノが気に入らないとか!」ニシシ!
ベイロープ「アンタ、マジで黙ってて!」ポカッ!
レッサー「あ痛っ!」イデッ!
キャーリサ「フンッ……そもそもだ。何故我が国ってーか、『此処』に協力を仰ぐ? メリットは?」
ステイル「一応、学園都市も同盟の一員です。それ以上何か?」
キャーリサ「奴さん達、ウチにもこの案に反対の輩が居るって分かってても協力を仰ぐのか?」ギロッ
場が凍る。
キャーリサ「議長殿に遠慮して発言しない奴もいるけど、私以外にも反対派はいるでしょーが」
ステイル「……」フンッ・・・
数名、ステイルから目を逸らす。
臆病者共が……付き合い長いから分かるけど、コイツはそんな小さな事で一々腹を立てる男じゃ無いってのに。 - 700 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 12:35:08.16 ID:nz6lcY+c0
- 第二王女は続けた。
キャーリサ「現にロシアは反対してる」フンッ
サーシャ「……第一の意見ですが、私達は学園都市に借りがあります。協力には答えるつもりですよ」チラッ
キャーリサ「露公の教会じゃない。政治屋共だ。『大統領』殿が特にな! それに借りってのは、あの何つったか……アイツの事だろ?」
神裂「『吸血殺し(姫神秋沙)』です」
キャーリサ「そう、そのディープ何たらって女。所属は一応此処だろー。都市への借りじゃ無いし」
サーシャ「……」シュン・・・
更に沈黙。
というか使者扱いのサーシャにあそこまで問答するのは間違ってるだろうが。変態(ワシリーサ)に言え。
因みに姫神氏は魔術師ではなく『原石』扱いなので、何処にも属していない。
少し前に起きたロシアでの『吸血鬼騒ぎ』で、本人の承諾を得た上で、足を運んで貰う形となった。
実際はロシアのとある研究機関(科学的)が行っていた合成獣だか吸血種だかの実験を魔術的なモノと勘違いした事件。
どちらにしろ彼女の『血』を使って解決したが、扱いが非人道的だったという。
香焼「……ちなみに姫神さん、です。というか彼女をモノ扱いしないでください。あと所属ではなく民間協力者ですよ?」
キャーリサ「ドチラも同じだ。あの女はウチに一生掛けても払えない借りがある。そーだろ? 議長さん」チラッ
ステイル「さぁ。ただ……『彼』はその事件の際の彼女の扱いに非常に腹を立てていたよ」
どよめき。
香焼「話ついでに……『彼』からのメッセージもあります。お聞きください」
一同『っ!!?』ザワッ・・・
香焼「『難しく考える必要あるのか? ただ気軽に宇宙にいけるだけだろ?』」サラッ
一同『……』ポカーン・・・
香焼「続けます……『ただ、それを悪用する奴がいるってんなら皆で止める。それで良いじゃないか』」
アンジェレネ「ははは。あの人らしい」
シェリー「呆れるほど御人好しなのは変わって無いのね……」ハァ
アホだ……でも、ホント、彼らしい。 - 701 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 12:38:49.29 ID:nz6lcY+c0
- 香焼「『勿論テロ何か起きたら俺一人じゃ対処できない。協力して欲しい』……以上」
偽善使い……されど『実績』故、実が入った言葉。
キャーリサ「……腑抜けた」ハァ・・・
香焼「当計画出資者代表、御坂氏。原子力研究機関長、麦野氏。演算技術顧問、一方通行。彼女達からも同様のコメントを貰っています」
能力者の筆頭たる面々。これは首を縦に振らざるを得ないだろう。
キャーリサ「ったく……はいはい。私が悪者でしたね。無駄働き承認しますよーだ」ベー!
ヴィリアン「あら、御姉様。完成の際にはイの一番に宇宙旅行させて貰えば良いじゃないですか」ニコッ
キャーリサ「何をメルヘンな事を……」ハァ・・・
いくらか緊張がほぐれた。言葉は悪いがこういう時こそ、象徴(マスコット)姫が役に立つ。
辺りが落ち着きだした頃に再度香焼が話しだした。
香焼「本当はもっと後になってからお話しようと思っていたのですが……無駄骨ではありません」
キャーリサ「……ん?」
香焼「我が国からも投資しているので」ニコッ
数名除いて、唖然。
キャーリサ「……初耳だ」
ヴィリアン「私もです」
騎士団長「……マグヌス。まさか君が勝手に承認を?」
ステイル「今、彼は『我が国』から投資と言ったよ。僕が勝手に如何こう出来る話じゃ無い」
キャーリサ「まさか、また馬鹿首相がやらかしたのかしら?」チッ
神裂「いえ、首相は出資計画を聞いて首を縦に振っただけです」
ヴィリアン「プラン? 香焼さんが立てたの?」
首を横に振る。そして一言…… - 702 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 12:42:06.66 ID:nz6lcY+c0
- 香焼「アンジェレネ。今、計画書持ってる?」チラッ
アンジェレネ「え、あ、い、一応USBにデータが」アタフタ・・・
アニェーゼ「アンジェレネ?」
アンジェレネ「わ、私じゃないですよ! ただ、コォヤギくんと繋ぎでやりとりしてただけです!」アワワ・・・
意味が分からない。コイツら勝手に何してんだ?
アンジェレネ「えっと、シェリーさん。PCを貸して下さい」
シェリー「ご自由に」スッ
香焼「今からプランを映します」
一寸後、目が疲れる長文が映った。
香焼「衛星を使用した穀物メジャー計画です。いずれは米・カーギル社、ADM社に並ぶ第三セクターを作れるでしょう」
ステイル「長期計画だが、次の世代に残せるモノは多い。首相及び議会も大半が納得したよ」
それだけでは無い。気象予報衛星、新資源開発、新メディア対応衛星等々……英国印の衛星開発計画が並んでいた。
キャーリサ「……んで? 大体予想は付いたけど、首謀者は?」
香焼「リメエア姫です」
キャーリサ・ヴィリアン・騎士団長「「「……ハァ」」」グデェ・・・
隠居姫が勝手な事を……というより、何故香焼とアンジェレネがその姫さんと連絡取り合ってるのかが分からない。
キャーリサ「一声掛けて欲しーし。トンデモ姉」ッタク・・・
レッサー「姫に声掛けたら軍事衛星作ろうとするでしょー」ハハハ!
フロリス「アンタは……」キリキリ・・・
キャーリサ「おー! 衛星レーザーってカッケーでしょ!」キラキラ!
レッサー「ですよねですよね! 私的にはミサイルポッドみたいなのが浪漫です! ドドドドォッ! って!」キラキラ・・・
キャーリサ「分かる分かる! ロシアやアメリカにも負けないレベルのもの作りたいし!」オー!
二人の隣で保護者が頭を抱えてる。あーめん。 - 703 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 12:45:03.78 ID:nz6lcY+c0
- ヴィリアン「ま、まぁリメエア御姉様らしいけど」ハハハ・・・
騎士団長「……何で、姉妹してあの母親に似るかなぁ」キリキリ・・・
まったくだ。碌な姫がいない……褒め言葉的な意味で。
香焼「一応、証拠印も。シルビアさん」
シルビア「あいよ。姫様方、リメエア様の親書と署印です」スッ・・・
キャーリサ「アンタ知ってたの?! ってかグル!?」ギョッ!?
シルビア「あ、あははは……」タラー・・・
どうやら此処に居る数名が役者だったらしい。まったく、お手上げだ。私が騙す側に加わっていないのが、多少癪だが。
兎角数分後、満場一致で防衛任務は可決。当直の迎撃担当については主教代行と補佐が割り当て、追って報告する事となった。
ステイル「とりあえず、以上だね。他に何かある者は?」
ポツポツ手が上がる。
ステイル「ヴィリアン様」
ヴィリアン「余計なことかもしれないのだけれど、一応……御母様の行方は?」
ステイル「……神裂。報告を」
神裂「はい。主教と共に……その……」
口籠る神裂。
キャーリサ「どーした? あの母に限って『まさか』は無いでしょ?」
シェリー「主教(ローラ)もいるしね」
神裂「いえ、そういう問題では無くて……写真見ます?」スゥ・・・
そっと、一枚の写真を姫君方の下へ渡す。
ヴィリアン「わぁ! 暖かそう!」パアァ!
キャーリサ「わぁ、じゃねーし! 満面の笑みでアロハ着やがって!! こっちはサーフィン?! 何処の海岸よ、此処!?」ガアアァ!!
神裂「サンディエゴ、です」アハハ・・・
一同『……』ハァ・・・
一国のトップ二人が第二世界(アメリカ)の観光地で余暇過ごしてりゃ、全員溜息も出る。 - 704 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 12:47:24.65 ID:nz6lcY+c0
- ステイル「ちなみにこの後ロスに行ってカジノ寄ってくるらしい……ワシリーサ氏も現地で合流するとの事」
サーシャ「」チーン・・・
オリアナ「良いわねぇ。お姉さんも行って来ようかしら。何時の便ではち合わせる?」クスクス・・・
ステイル「……オリアナ=トムソン。防衛任務当直決定で」キッパリ!
神裂「了解です」コクッ
オリアナ「ちょ、冗談だってば!」カンベン・・・
一同苦笑。そりゃ皆、遊びに行きたい。だが仮にも同盟を謳っている以上、そうそう余裕なんて出来はしない。
……だけど二人でハワイとか行きたいなー、なんつって。
ステイル「まぁあの二人は放っておく他無いだろう。言っても聞かない。何か途轍もない事仕出かそうとした時だけ使者を送る」
触らぬ神に祟り無し、だったか。コーヤギが言っていた。
ステイル「他に……団長」
騎士団長「気になる事が一つだけ。ウィリアム達と一緒に飛び回ってるとかいう日本人は誰なんだ?」
ステイル「日本人? 神裂、知ってるかい?」
神裂「ええっと……天草(ウチ)の人員では無い筈です。というかあの二人と文字通り渡り歩くなんて、どんな酔狂者ですか?」
騎士団長「何でも『コンジョー』とか言ってたそうだが」
コンジョー?
香焼「……放っておいて構いません」ハァ
ステイル「香焼?」
香焼「都市の第七位です。馬鹿ですけど、筋は通ってるんで」
騎士団長「なら、いいが……因みに日本語しか使えないようだから、二人とも面倒臭がってたぞ」
香焼「……後で個人的に礼状書きます。謝礼も送らせて貰いますので」
良く分からないがコーヤギと交友があるらしい。
というか、コーヤギ顔広くなったなぁ……何故か少し寂しい。 - 705 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 12:51:24.90 ID:nz6lcY+c0
- ステイル「他は……無いね。それじゃ閉めるよ。ご苦労さま」スッ
一同『お疲れさまでした』
やっと終わった……さて、如何にかコーヤギ捕まえないと。
ステイル「あ、忘れてた。今から呼ばれる者、残ってくれ。ルチア、フロリス、サーシャ、―――、―――……あと香焼」
香焼「ヤダ」
ステイル「ヤダ、じゃ無いボケ。残れっつってんだ」
香焼「いやー。助けて下さい、女教皇様ー」
神裂「……茶番は良いから、さっさと来る。あ、申し訳ございませんがキャーリサ様と団長殿もお願いします」
キャーリサ「やだー」
騎士団長「黙って残れっつわれてんの! 残りなさい!」
キャーリサ「むぐぐ……」
……邪魔が入ったか。
アンジェレネ「アニェーゼちゃん。どうしたの?」
レッサー「一応反省してるので埋め合わせしまーす。何処が良いんですか!? ケーキか?! クレープか!? この嫌しんぼめ!!」
アンジェレネ「レッサーちゃん……怒るよ?」ニコッ・・・
レッサー「……うぃ」ペコッ
まぁまだ時間は有るし……家帰ってからでも良いか。
アニェーゼ「……そうですね。たんまり奢りやがれ、です」ニコッ
レッサー「手加減してくださいよ……」ハァ・・・
アンジェレネ「後でサーシャちゃんも合流出来るよう、メール入れとこっか」カチカチ・・・
二十歳と少し過ぎの女だけの集まりってどうなのだろうか。
アニェーゼ「まぁ、いっか。行きましょう」
仲の良い議長殿にぶつくさ文句を言っている旦那様の姿を後目に、会議室を後にした。 - 706 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 13:11:32.71 ID:nz6lcY+c0
- ―――とある未来(二日目)、PM04:45、英国、聖ジョージ大聖堂・大会議室・・・香焼side・・・
居残り組になってしまうとは……直ぐにでも家に帰りたいというのに。
ステイル「―――……という訳だ。異論は?」
騎士団長「まぁ予算を上げて貰おう。会計部が頭を抱えそうだがな」ハハハ
ルチア「……コゥヤギ。聞いてるのですか?」ギロッ
香焼「え……あ、はい」コクッ
神裂「香焼。大丈夫ですか? 上の空に見えますけど」
香焼「時差ボケの二日酔いです」
神裂「……言うようになりましたね。貴方も」ハァ・・・
何故か非常に残念な顔をされた。ジョークっすよ、ジョーク。
ステイル「どうせ早く帰って嫁さんの手料理で舌鼓でもしたいんだろ?」
香焼「オマエ場所考えてそういう事言えっての……」
苦笑された……一名除いて。
ルチア「……」フンッ・・・
この人だけは何時まで経っても、この反応なのだろう。
キャーリサ「しかしまぁ、前任の学園都市担当もヤリ手だったけど、坊やも中々のヤリ手だねー」ハハハ
香焼「土御門には土御門のやり方が有りました。でも、自分は自分のやり方でやらせて貰ってますよ」
自分には彼ほどの頭の切れが無い。だからこそ『人間関係』と『信頼』でやっていこうと決めた。
大掛かりな戦いが終わった後だから出来る所業というべきかもしれないが、単純に人望を得るというのは中々難しいモノだと知った。
神裂「土御門、ですか……」
ステイル「その内ひょっこり顔を出すさ。そういう男だからな」フンッ・・・
『実家(土御門本家)とケリ付けてくるにゃー!』……そう言い残し、突如消えた。本人からの連絡は無い。
ちなみに舞夏さんは御坂さん、上条さん、そして黒妻さんが後援している。 - 707 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 13:32:51.08 ID:nz6lcY+c0
- キャーリサ「……というか、坊や」
香焼「その坊やっての止めてくれません? コイツと殆ど歳同じですよ?」クイッ
キャーリサ「コイツはジジイっぽいからいいの」
香焼「それは認めますが、せめてオブラートにオジン臭ぇくらいにしたやりましょう」
ステイル「……貴様ら」ピキピキ・・・
キャーリサ「まー、んな事ぁいいのよ。リメエア姉から連絡貰ってんの?」
さて、何と誤魔化すべきか……
香焼「間接的に、ですが一応」コクッ
騎士団長「しかしよくリメエア様とコンタクトを取れる」
香焼「色々有るんですよ、色々、ね」アハハ・・・
キャーリサ「姫様命令、教えやがれー!」
香焼「リメエア様の『御命令』で御教え出来ません」ニコッ
ぐぬぬ、と悔しがるキャーリサ様。ざまぁみろ。
ステイル「さて、とりあえず確認事項は終わりだが……『僕ら』にだけ話したい事有る者は残れ。以上」オーバー
神裂「姫様、団長。ご足労、感謝致します」ペコッ
今度こそぞろぞろと踵を翻して、一同帰って行く。残るはルチアさんとサーシャだけみたいだ。
それでは自分も……
ステイル「待て」グイッ
香焼「ぐぇ!!?」グググ・・・
襟を引っ張られた。殺す気かっての!
ステイル「神裂が呼んでる」
香焼「ったく……呼びとめる方法ってのがあるだろ……」ハァ・・・
しかし、教皇命令は絶対だ。自分は女教皇様の方へ面を向けた。
話は大体想像付いているが……多分、天草内での人事の話だろう。聞かねばなるまい。 - 708 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 13:57:12.87 ID:nz6lcY+c0
- 香焼「御呼びでしょうか?」
神裂「ええ。大体分かってますね?」
香焼「はい……浦上から聞かされてます」
ちなみに現在、自分と浦上が学園都市に潜伏している学生教徒(潜入員)の管理をしている。
神裂「建宮が、自分はそろそろ後方へ移るべきだろう、と進言してきました」
香焼「……そうっすか」
下を育てる、か。
神裂「本部(長崎)の上層部の殆どは、野母崎か対馬が代理候補だと考えてます」
年齢から考えてそうだろう。
元々、現教皇代理―――建宮斎字が若くして代理になってのは、『天才』だったからだ。
本来は諫早か他の年輩がそのポストに納まるべきの事。
香焼「って、本部?」エ?
神裂「……当の二人が辞退しました。加え建宮が上げた候補も別です」
香焼「成程」フム・・・
皆まで言われなくても分かった。
香焼「そうですか。まぁ失礼ですが、実力的に『妥当』でしょう」
神裂「やはり驚きますよね……って、は?」
香焼「五和でしょう?」
神裂「え、あ、はい。そうです」コクッ・・・
『天才』の後釜は、『天才』で有るべきだろう。
神裂「始め上層部は拒否していましたが、諫早が纏めてくれました。ただ此方も本人が迷っていて……」ハァ
香焼「……アホ姉が」
性格が出たか。確かに建宮さんとの最大の違い……五和は『温い』。 - 709 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 14:18:41.21 ID:nz6lcY+c0
- さて、この後の言葉を当ててみよう。
香焼「建宮さんが、自分と浦上を代理補佐候補に上げた」
神裂「……私は今、貴方が代理候補でも良いのではと考えましたよ」ハァ
香焼「駄目です」
神裂「しかし、ですね……彼女が信頼している貴方と浦上を」
香焼「甘えで代理は務まりませんよ?」
神裂「……」ム・・・
親しい者を側近に。自分らは、もう子供じゃないのだ。
香焼「仮にも現女衆頭です。彼女なら出来ます……それに補佐なら相談役の二人にするべきですね」
神裂「……」
香焼「あまり若い人間ばかり上に置く訳にもいかないでしょう。上層部も黙ってません」
ただでさえ若い者を代理に置くのだ。相談役をしっかり補佐にさせねば、周りに示しが付かない。
香焼「勿論、自分も浦上も手伝いはします」
神裂「それなら」
香焼「老人達が気にしてるのは『肩書き』でしょう? だったら代理以外のポストは彼らの好きにさせればいい。事実上は違くても」
神裂「……やはり、学園都市の理事養成学校に入った人間は違いますね」ハハハ・・・
それ相応の実力は付きましたから、ね。『誰かさん』の御蔭で。
香焼「ノモ(野母崎)さんも対馬さんも、上手くカバーしてくれますよ」
神裂「……分かりました。考え直しましょう」コクッ
そうして貰いたい。本音を言えば、今の仕事から離れたくないという私情だが……我が儘を心中で詫びる。
神裂「以上ですが……アチラの皆さんはお元気で?」
香焼「困ったほどに」ハハハ・・・
ホントに、困ったものだ。 - 710 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 14:37:20.13 ID:nz6lcY+c0
- 神裂「黒妻さんはそろそろ理事選に出られるので?」
香焼「本人が嫌がってますから、何とも……黄泉川さんや吹寄さんの辺りが新任になると思いますよ」
神裂「黄泉川さんですか……前線上がりの理事もいいでしょう」
まぁ前線から降ろしたのは黒妻さんと身内(一方通行)だったり……
神裂「ちなみに、固法さんは?」
香焼「元気ですよ。多分来年辺り、もう『一子』」アハハ
神裂「……香焼『おじさん』ですか」クスッ
せめてお兄さんにして欲しいっす。
神裂「ふふっ。そうですね……で、香焼の方は?」
香焼「……自分は」ムゥ・・・
神裂「私事です、遠慮せず相談を」ニコッ
他人ではなく、自分は如何か。
別に作りたくない訳ではない。結婚初年度、何度か『試みて』はみたのだが中々恵まれなかった。
故に今は仕事を、と考え自分もアニェーゼも互いに自らを誤魔化してきた。
それに自分は……
神裂「……『後遺症』は無いのでしょう」
香焼「分かりません。あってもオカシクないので」
もしかしたら、長生きできないかもしれない。
それどころか、子供にまで遺伝するかもしれない……『被爆』が。 - 711 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 15:06:04.00 ID:nz6lcY+c0
- 言ってしまえば、有言実行……自分は彼女―――麦野沈利と『喧嘩』した。『結果』は如何あれ、自分は二つのモノを得る。
最愛の自由。そして……大量の放射線。
勿論死に掛けたが、先生(冥土帰し)に助けられた。生きる意識があるなら任せろ、との事。
実際、表面上は助かった。後遺症も無い。
しかし……『被爆』の事実がある以上、『最悪』は有り得るよ。と先生に覚悟を促されている。
神裂「……麦野さんは?」
香焼「彼女も元気ですよ。この前挨拶に行きましたし。例の計画の大気圏内でのエンジン部分、彼女のとこで発注したので」
神裂「そうですか。いずれ挨拶にいきます……宜しくと」
そういえば女教皇様と固法さん、麦野さんは連絡を取り合ってるらしい。
きっかけは『次の機会』にでもお話しよう。
神裂「話を戻しますが……とりあえず、アニェーゼと相談なさい」ニコッ
香焼「……」
神裂「彼女の答えは見えてますが、後は貴方の気持ちですよ……一、姉としては甥姪が出来るのは嬉しい事です」
香焼「あはは……そうっすね」
神裂「望まれない子はいない。違いますか?」
……そう。この人は聖人だ。
香焼「……ありがとうございます。女教皇様」ペコッ
神裂「一、姉ですから。五和や浦上と同じ、ね」フフッ
こっ恥ずかしい事を。
神裂「では帰りましょう。ステイルらも終わったようです」クイッ
視線を移すと、ステイルが煙草を喫っていた。それをルチアさんが叱り、サーシャが苦笑している。
……昔みたいだ、と感じてしまうのは歳を取っただけだろうか。 - 712 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 15:54:31.64 ID:nz6lcY+c0
- ルチア「マナーも守れない人間が堂々と室内で煙草を」ガミガミ!
ステイル「あーはいはい。さーせん」ヘラヘラ「……ん? 終わったかい?」チラッ
神裂「はい」
ステイル「じゃあ帰るか。鍵は開けっ放しで良いらしい。清掃員が来る」
煙草を消しながら、ステイルが歩を進めた。
ステイル「家に直行か?」チラッ
香焼「え? いや、アニーが帰ってればだけど」
サーシャ「帰ってませんよ」
香焼「はい? 何故?」ポカーン
サーシャ「第一の回答ですが、アンジェレネからメールが来てます……(ウォータールー)駅の近くのファミレスにいると」カチカチ・・・
ルチア「またあの子は、寄り道を……」キリキリ・・・
神裂「まぁまぁ」アハハ・・・
アンジェレネ達と遊んで来るのか。
サーシャ「……提案ですが、一緒に行きますか?」
香焼「……え」
サーシャ「無論、此処に居る皆でですけど」チラッ
一同、固まる。
というかサーシャがこういう提案するのは珍しい。
香焼「自分はアニーが気にしなきゃOKだけど……」
サーシャ「貴方は強制的に連れて行きます。レッサーが連れて来いと五月蠅いらしいので……それで神裂達は?」
香焼「なんじゃそりゃ!? ねぇ、俺の人権は?!」
神裂「あ、あはは……魅力的な提案ですが仕事が残ってますので。天草の方の」タラー・・・
ルチア「行きません。というかシスター・アンジェレネに帰って来るよう言伝を!」
神裂「ルチア、たまには良いでしょう。最近リメエア様の所に走って貰ってましたし」
ルチア「む……」
アンジェレネは公私共にリメエア様とコンタクトが取れる数少ない人材だ。無碍には出来ない。 - 714 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 16:11:20.58 ID:nz6lcY+c0
- ルチア「……門限は守るように」テクテクテク・・・
多くは言わず、立ち去った。どうやら折れてくれたらしい。
サーシャ「……貴方は?」チラッ
ステイル「行く訳が無いだろう……」クルッ
香焼「逃がさん!」ガシッ!
ステイル「っ!!? 貴様!?」ナント!!?
あの中に俺一人だけ放り込む気か……勘弁してくれ。
ステイル「仕事がある!」ハナセー!
香焼「自分も有る! でも逃げても捕まる!」グヌヌ!
ステイル「ええぇい! 貴様の犠牲は忘れんから行って来い」ンギギ!
神裂「……ステイル。行ってきなさい」
ステイル「はぁ!?」
女教皇様ナイス!
神裂「私が減らしておきます。貴方も働き詰めでしたから、少し休んできなさい」
ステイル「あの中に入るくらいなら仕事してた方が疲れない!」
サーシャ「決定ですね」ニヤッ
香焼「行くぞ! オマエの運転な! 新車(マセラティ)にまだ人乗せて無いんだろ! 乗せろ!」
ステイル「乗せてたまるか!」
サーシャ「……鍵はコレですね。行きましょう」テクテク・・・
ステイル「何時の間に?!」
神裂「行ってらっしゃーい」ニコッ
ナイスです、サーシャさん。
という訳で三人、ファミレスに向かう事となった…… - 716 :If.アニェーゼ・アフター2011/01/30(日) 16:31:53.03 ID:nz6lcY+c0
- ―――とある未来(二日目)、PM05:20、英国、ウォータールー駅付近・ファミレス・・・アニェーゼside・・・
Prrrr・・・・・
アンジェレネ「あ、サーシャちゃんから……後二人来るって」
レッサー「ニシシ! よしよし!」
……コイツら。
アニェーゼ「二人?」
アンジェレネ「うん。ステイルくんの車で来るって」
レッサー「お! 珍しい。じゃあ呑み屋にでも移っちゃいますかぁ?」ニヤニヤ・・・
アンジェレネ「おー、いいですねー」ニパー!
アニェーゼ「アンタら……私が飲めないでしょうが」
加え、ベロンベロンのコイツらを寮まで運びたくない。ルチアがマジギレする。
???「それじゃあ……お姉さんも参加しなきゃねぇ」ニヤニヤ・・・
レッサー「あらら、公然猥褻姉御! どっから湧いて出ましたか!?」ウワッ!
オリアナ「外から見えたから寄っちゃったの。お邪魔だった?」
また五月蠅いのが増えた……
アンジェレネ「問題無いですよ。今から後三人来ますけどね」
オリアナ「三人?」
レッサー「姉御……アニェーゼの旦那でっせぇ」ニヤニヤ・・・
オリアナ「あら、コウヤギ坊や? どうしましょう、既婚者の前で恥ずかしい恰好しちゃってるわねぇ」ニヤニヤ・・・
相変わらず、頭沸いてる女だ……三十路突入したくせn―――
アニェーゼ「いっででででっ!!」クギュウウゥッ!!
オリアナ「顔に、書いてるわーん★ お・く・さ・まっ♪」ピキピキッ・・・
―――ごめんなさい。頬千切れます。離して下さい! - 717 :If.アニェーゼ・アフター2011/01/30(日) 17:03:59.23 ID:nz6lcY+c0
- レッサー「でも、コウヤギはツルペタ主義なので姉御にゃ見向きしませんけどねぇ」アハハ!
オリアナ「……」ジー・・・「ロリコ……うん。頑張れ」ポンッ・・・
きっとブン殴って良いよ、というサインだろう。誰が幼児体型だ、コラ。
さておき、適当に平謝りされた後、店員に言って広い席に移動させて貰う。
ちなみにステイルの事を考え喫煙席。オリアナも喫ってたっけ?
オリアナ「喫えるけど、貴女達の前じゃ喫わないわよ」
アンジェレネ「別に遠慮はいりませんよ」
オリアナ「いいの。お姉さんにとって煙草は『道具』でしかないから」ニコッ
レッサー「もしかして……対男性用ですかぁ?」ニヤニヤ・・・
オリアナ「ふふふ。如何かしらねぇ」ニコッ
アンジェレネ「わぁお! 大人です!」キラキラ・・・
オリアナ「ま、お姉さんの事はいいのよ。貴女達も少しは女磨きなさいな」クスッ
レッサー「あはははは。いやぁ、中々出会いが無いもんでして」
アンジェレネ「まったくですね」
アニェーゼ「アン……修道女でしょうが」ハァ
オリアナ「あら? シスターでも寿退任は有りでしょ?」ニコッ
アニェーゼ「うっ……」
何とも言えない……
オリアナ「今時なんて皆、生臭よ。御堅いのなんてルチアやリドヴィア、神裂くらいじゃないかしら?」
レッサー「神裂は諸方面から猛アタック受けてますけどねー!」
アンジェレネ「シスター・ルチアもこの前、騎士団の方にアプローチされてました」
まぁじでぇ……信じられん。確かに容姿は良いが……
アンジェレネ「断ってましたが、ちょっとは喜んでましたよ」ニコッ
レッサー「ほぅほぅ……隅に置けないですねぇ、ルチアも」ニヤニヤ・・・
オリアナ「他人の好意を喜べない人間なんていないわよん。特に異性はねぇ」クスッ
まぁ……それには同意しよう。 - 718 :If.アニェーゼ・アフター2011/01/30(日) 17:30:10.66 ID:nz6lcY+c0
- レッサー「で、本題ですが……最近如何なんですか? 昨夜は月までハネムーンサイドぶあっ!!」ゴチンッ!
アニェーゼ「……オマエの所為で、旦那は気絶してましたけど何か?」ゴゴゴゴ・・・
レッサー「あ、あはは……ソデスネ。ゴメン」タラー・・・
コイツは反省の色が無いと見た。追加注文で山盛りポテトを奢らせてやる。
アンジェレネ「太るよ……続きだけど、どの位ぶりに帰って来たんだっけ?」
アニェーゼ「1ヶ月3週6日間と21時間8分44秒ぶり」サラッ
レッサー「キモっ! てか怖っ!!?」
アニェーゼ「うっせぇです」フンッ
オリアナ「とりあえず大分御無沙汰って事ね」フフッ
アニェーゼ「そういう事、言いやがりますか……」ハァ・・・
オリアナ「その間、夜な夜な疼く身体を独りで慰めていt――危なっ!?」シュンッ!!
アニェーゼ「手が滑りました」カチャッ・・・
レッサー「手が滑って空間攻撃されたんじゃ堪ったもんじゃないですよ」タラー・・・
アンジェレネ「お、オリアナさんも一応まだ日落ちて無いから……ね?」アハハ・・・
オリアナ「はいはい」フゥ・・・
この破廉恥女め。ステイル強請って、絶対防衛任務の当直にしてやる。
オリアナ「……レッサーちゃん。コーヒー持って来て貰えるかしら?」チラッ
レッサー「え」
オリアナ「お願い」パチッ
レッサー「あー……はい。確かショートサイズのエスプレッソスワークルにエスプレッソショット、ストロベリーシロップ追加でしたね」
オリアナ「そうそう、宜しく♪」ニコッ
アニェーゼ「随分コアな飲み物を……」
オリアナ「……そうねぇ。コアなのって良くない?」チラッ
アンジェレネ「……そうですね。あ、ちょっとお手洗い行ってきます」スタッ
アニェーゼ「あ、ちょ……もう」ハァ・・・
無理やりだなぁ……あからさまに、分かるっての。 - 719 :If.アニェーゼ・アフター2011/01/30(日) 17:47:20.38 ID:nz6lcY+c0
- オリアナ「そう邪険にしないの。良いお友達じゃない」ニコッ
アニェーゼ「始めっからグルですか?」
オリアナ「違う違う。彼女達は空気読んでくれただけよん……色々出来ない話、あるでしょ?」
彼女らは処女だから……という意味だろう。
オリアナ「淫売扱いされるのは嫌だけど、純粋に相談される分には構わないわよ」
アニェーゼ「……」
オリアナ「作る気が無いのと、作れないのじゃ大分違うわよ?」
アニェーゼ「……ハァ」ポリポリ・・・
確かに悩み所。現時点では両方なのだが。
オリアナ「産婦人科(レディースクリニック)に相談してないんでしょ。私以外に聞ける?」
一応、リーアさんには相談しているが……多分此方の方がその手の知識は上手だろう。
オリアナ「避妊(ゴム)はしてないのでしょう? 仮にも信仰はローマだものね」
アニェーゼ「はい。本とかネットでは調べてはみてるんですけどね……如何も」ムゥ・・・
といっても最近では半ば諦めて、マトモに読む気が無いのも原因かもしれない。
オリアナ「旦那さん、学園都市製の避妊薬(減精剤)飲んで無い?」
アニェーゼ「作ろうと思ってた頃は飲んでねぇみたいでしたけど、今は使ってます。お互い仕事ばかりですから」
オリアナ「……結局、貴女達の問題って事みたいね」ハァ・・・
そうだろう。他人が介入する事では無い筈。
アニェーゼ「てぇか、アンタが老婆心で相談乗ってくれるとは思わなんだですね」ハハハ・・・
オリアナ「……頼まれたわよ」ボソッ
アニェーゼ「アンに? それともレッサー?」
オリアナは苦笑し、首を振った。そして…… - 720 :If.アニェーゼ・アフター2011/01/30(日) 17:58:59.45 ID:nz6lcY+c0
- オリアナ「ミス・リーア。それからルチア」
そう、呟いた。
アニェーゼ「……は?」
オリアナ「二度は言わない」
アニェーゼ「……何で?」
オリアナ「さぁ? 彼女達なりの『姉心』なんじゃないの?」
アニェーゼ「……」
オリアナ「家も車も良い物持ってて、貯蓄も沢山あって……二人だけでは寂しいんじゃない?」
アニェーゼ「……」
オリアナ「強制する訳じゃないけど、そろそろいいんじゃないってね。皆見たいでしょ? 赤ちゃん」ニコッ
……ホント、余計な御世話。
アニェーゼ「……あんがと、です」フンッ
オリアナ「いえいえ~♪」クスッ
そう微笑み、オリアナは何か入った紙袋を私に手渡した。
アニェーゼ「何ですか、これ」
オリアナ「お姉さんのレポートよん。貸してあげる」ニコッ
アニェーゼ「ポルノ雑誌の間違えじゃねぇですよね?」チラッ
オリアナ「そういう事言う娘には貸さないぞー?」
アニェーゼ「ハァ……有難く借りさせてもらいます」スッ・・・
中を除く……ファイルと……良く分からない、モノ? - 721 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 18:07:48.15 ID:nz6lcY+c0
- アニェーゼ「……何これ?」スッ・・・
オリアナ「ローション」
アニェーゼ「……いや、意味分かんねぇです」
オリアナ「あの子達帰ってくる前に少しだけ生々しい質問だけど……挿入時、前戯しても痛いでしょ?」
アニェーゼ「っ!? ……少し」コクッ
オリアナ「ふーむ、やっぱりねぇ」ウンウン・・・
どうして……
オリアナ「簡単に想像できただけだけど」ジー
アニェーゼ「……そりゃどーも」ケッ!
オリアナ「むくれないの。真面目に話してるんだから。兎に角試してみなさい。使い方は簡単だし、ファイルに挟んでるから」
アニェーゼ「ヤー、あいまむ」
オリアナ「後は坊やに手取り足取り教えて……冗談だって」アハハ・・・
コイツに寝取られた日にはコーヤギ殺して私も死んでやるっての。 - 722 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 18:41:03.67 ID:nz6lcY+c0
- その後も少々、アンジェレネとレッサーが戻ってくるまで話を聞いた。
レッサー「姉御ー。お待たせしましたー! 店員の野郎がホットとコールド同時に入れるなって五月蠅くて遅れましたけど」テクテク・・・
アンジェレネ「そういえばサーシャちゃんから、もう駐車場着いたって」
アニェーゼ「そうですか……レッサー、駐車券代払ってやんなさいよ」
レッサー「二人分も!?」
オリアナ「じゃあ私の分も頼もうかしらん?」
レッサー「姉御ぉ……そりゃ無いですってぇ」トホホ・・・
オリアナ「うっそー。歩きでした♪」クスッ
苦笑。
オリアナ「そういえば……ステイル坊やなんかも出世頭じゃない? 顔も悪くないし、如何なの?」ニヤッ・・・
レッサー「あー、私は無理ですねー。何かこう……オマエ不感症? みたいな反応が」
アンジェレネ「そうかなぁ? 反応は面白いけど……何というか、やっぱ私達の事目に入って無いでしょ、彼」アハハ・・・
アニェーゼ「禁書目録一筋ですか……馬鹿ですね」
オリアナ「……上条少年は」フフッ
レッサー「未だに優柔不断ですよー! 取って食べっちゃっていいですかぁ!!?」テヘペロッ!
アホだ……ちなみに風の噂では禁書目録とミコト、両方とデキてるのでは? との事。
コーヤギにそれを聞いても笑って誤魔化されるので、真相は知らない。
オリアナ「とりあえず、ステイル坊やはフリーか……メモメモ」
レッサー「姉御……まさか毒牙に掛けるおつもりで?」ニヤッ
オリアナ「うーん……それも面白いかもねぇ。男を使って陰から組織を操る女ってヤツ?」フフッ
アニェーゼ「……ばーか」ハァ・・・
アンジェレネ「だ、駄目ですよ! 仮にも神父ですよ! 不良っぽいけど」ムゥ・・・
オリアナ「アンジェル……もしかして、脈有り?」ニヤリ・・・
レッサー「マジで!?」ガタッ!
アンジェレネ「ち、違います!! 如何してそうなるの!!?」アタフタ・・・
レッサー「必死だし……水臭いですねぇ。幼児体型連合が私とサーシャだけになっちまうじゃないですかー」ブー・・・
アンジェレネ「違ーう!!」ガアアァ/// - 723 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 18:57:46.09 ID:nz6lcY+c0
- オリアナ「ふふふ。可愛いわね……食べていいかしら?」フフフ・・・キランッ
アンジェレネ「ふにゃっ!? な、何言ってるんですかぁ!!」ドキッ!?
オリアナ「お姉さんはドチラでもウェルカムよん」ニヤッ・・・
レッサー「キャー! 姉御に喰われるー!」
オリアナ「自分から来る子はパス」ニコッ
レッサー「ガーン! 即行蹴られたー!」
……ホント、飽きない連中。だから友達やってるんだけど、ね。
オリアナ「ふふふ。覚悟はいいかしらー?」ワキワキ・・・
アンジェレネ「ど、同性愛は基督教徒として! その、アウト的なモノを!!」アワワ・・・
レッサー「酔うと同性異性問わずキスし出す娘が言うセリフですかー」ニヤリ・・・
アンジェレネ「あ、アレはその……何というか、無意識で!!」キャー!
オリアナ「ムフフ。じゃあ私とステイル坊や、どちらに喰われたいかしら?」ニヤニヤ・・・
アンジェレネ「ええええぇ!!? にゃ、な、何でそんな選択肢!?」
アニェーゼ「あ、それは気になる。アンにキスされた立場として」
レッサー「ほらほらぁ。バイ疑惑を解くチャンスですよー」
アンジェレネ「え、ちょだ、ううぇえ!? ま、待って!! おかしいですってば!!」アタフタ・・・
パタパタ戸惑うアンジェレネ。本人には悪いが、見てて楽しい。
オリアナ「さぁさぁ、お姉さんとニャンニャンしちゃうのかなぁ? それともステイル坊やかなぁ?」ウフフ・・・
アンジェレネ「何でニャンニャンなんですか!!? オリアナさんともステイルともそういう関係には―――」
ステイル「……誰が如何いう関係だって?」テクテク・・・
レッサー「うをっ!? なんつータイミング!?」ドワッ!
オリアナ「アンジェルがお姉さんとニャンニャンするか、ステイル坊やとにゃんぐぐぐ!」ガシッ!
アンジェレネ「な、何でも無いよ!! 座って!!」アハハ!!
必死になるのは分かるが、絞め過ぎだ。タップしてるぞ。 - 725 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 19:13:37.17 ID:nz6lcY+c0
- ステイル「やれやれだ……無論喫煙席だろ?」カチッ・・・フゥ
アニェーゼ「ええ。てかアンタ、禁煙席でも喫うでしょう」
ステイル「僕の辞書に禁煙なんて言葉は無いからね」ジジジ・・・
レッサー「前回のドックでレントゲン気にしてた男が言う言葉ですかぁ?」ニヤッ・・・
ステイル「……身に覚えが無いね」フンッ
アンジェレネ「少しは身体慈しもうよ。倒れるよ?」
……先程の所為で、アンジェレネのステイルに対するセリフが全部好意にしか聞こえなくなった。さーせん。
そして、直ぐ後ろから二つの影。
香焼「ステイルにとって肺癌で死ぬのは主からの最大の恵なんだってさ」
レッサー「おー! 旦那さんの御到着ですぜー! 奥様!」ニヤッ
アニェーゼ「喧しい。黙りやがれです」
一々騒ぐなっての……
サーシャ「第6の質問ですが、今日はレッサーの奢りというのは本当ですね?」チラッ
レッサー「何ですと!? あ、アンジェレネ!!?」
アンジェレネ「良い気味です! 反省してください!」フンッ・・・
レッサー「ぐぬぬ……謀りましたね……しかも一番金持ってない私から集(たか)るとは……」
アニェーゼ「アンタの場合、無駄遣いが過ぎるからでしょうに」
レッサー「うがぁ! 此処は代行さんが奢るべきではないでしょうかぁ!!」ビシッ!!
ステイル「君の奢りだと聞いて車を出した。嘘なら防衛任務当直決定で」ジジジ・・・フゥ
レッサー「嫌嗚呼ぁ!! 職権乱用ぅ!!」
オリアナ「レッサー、五月蠅いわよ。他のお客様の迷惑」ンモー・・・
レッサー「……うぃ」シュン・・・
日頃の何とやら、だ。良い薬だろう。 - 726 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/01/30(日) 19:31:17.38 ID:nz6lcY+c0
- 香焼「ま、まぁステイルは自分が連れてきたから。俺が払うって」
そうやってアンタは……いや、もう何も言うまい。
レッサー「うううぅ……流石香焼! 抱いて!」バッ!
アニェーゼ「……店の裏行こうか?」グイッ・・・
レッサー「冗談です!! 全面的に私が悪ぅござんした!」ウワァ!!
次は、無い。
サーシャ「それではレッサー。第一の注文をしても?」
レッサー「お、お手柔らかに」アハハ・・・
アニェーゼ「私達も追加注文しちまいましょうか。アン、メニュー取って」
アンジェレネ「はいはい。そっちにもどうぞ」
オリアナ「サンキュー。さぁてと……夜は『お仕事』だし、甘いの食べちゃおうっかなぁ♪」ニヤッ
レッサー「まさか……わっふるわっふる?!」
オリアナ「さぁねぇ」ニヤッ・・・
ステイル「今晩シェリーの手伝いだろう。カナダ核廃棄施設への嘗帳(侵入手引き書)作り」
オリアナ「……この不感症★」ハァ…
ステイル「は?」
アンジェレネ「無視して良いから! ほら二人も選ぶ!」
香焼「オマエ不感症なの?」
ステイル「喧しいド阿呆。気持ち悪い事聞くな」
レッサー「良かったですね! 『機能』してるらしいですよ!」ニヤッ!
アンジェレネ「だから私見ないでよぉ!」ンモォ・・・///
ステイル・香焼「「へ?」」ポカーン・・・
まったく、久しく声上げて笑っちまったじゃないか。
……まだまだ、若いって事ですよね。私達は。 - 740 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/01(火) 21:20:30.95 ID:FnMwvim10
- ―――とある未来(二日目)、PM07:00、英国、ウォータールー駅付近・とあるマンション付近・・・香焼side・・・
顔なじみ達と一時間程、下らない話をしてファミレスを後にした。
アンジェレネ、レッサー、サーシャ、オリアナさんの四人はステイルの車で寮方面へ送られていった。
はしゃぐレッサーに苦い顔をしていたが、普段枯れている男だ。良い油活剤になるだろう。
それでもって、此方はアニェーゼの運転車内で二人きり……
アニェーゼ「……」
香焼「……」
アニェーゼ「……ガム食べます?」スッ
香焼「ノーセンキュー」
アニェーゼ「そう……」
香焼「……コーヒーいる?」スッ
アニェーゼ「もう着くからいらねぇです」
香焼「うん……」
アニェーゼ「……」
香焼「……」
気拙い。無言がマジ息苦しい。何故か妻の方見れない……ギガ怖い。
と、助手席で平静を装いつつそんな事考えている時、アニェーゼの右手が動いた。
香焼「え」キョトン・・・
アニェーゼ「駐車場着くまで……一本だけですよ」ガチャッ
香焼「あ……うん」コクッ
車内取り付けのフロント灰皿。ビーズも敷いて無いまっさらな状態。
禁煙したと言っていたのだが、ばれてらっしゃったみたいだ。
香焼「……えっと」
アニェーゼ「別にこの程度で言い訳しなくていいですよ。私が恐妻みてぇじゃねぇですか」
香焼「あはは……そだね」スゥ・・・
半分そうだが、言わぬが華。
メンソールを取り出し、咥える。火を点けようとした時、一言……呟かれた。 - 741 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/01(火) 21:27:51.34 ID:FnMwvim10
- アニェーゼ「忙しいの?」
香焼「え、あ、まぁいつも通りだよ」
アニェーゼ「そ」フーン・・・
香焼「アニーは?」カチッ・・・フゥ
アニェーゼ「それなりに。司教(ジジイ)共の機嫌取りと、ヴェントにイラつかねぇ様仕事すんのは面倒ですね」
イラつくというか悪意を向けると彼女は色々厄介だからなぁ……魔術的にも、性格的にも。
香焼「でも、ヴェントさん優しいでしょ?」ジジジ・・・
アニェーゼ「はぁ……コーヤギはそういう『顔』するのが仕事ですから、皆そう見えんですよ」
因みに、ヴェントさんも自分と同じ『魔術・科学及びその他非人道実験廃絶委員』の一人だったりする。しかも彼女は理事。
アニェーゼ「んじゃあ、義妹達はお元気で?」
香焼「疲れる程にね。最近、那由他が義肢新調したよ……テレスティーナみたいな体型になっちゃった」ハハハ
アニェーゼ「……誰の趣味ですか、それ」ハァ
無論、テレスティーナだ。あわよくば影武者として使おうとしてるのがバレバレ。
先生(冥土帰し)に叱られたらしい。ざまぁみろ。
香焼「打ち止めはそろそろ『アイツ』と二人暮らししたいって騒いでるけど、黒妻さんと御坂さんが渋い顔してる」
アニェーゼ「完璧親馬鹿ですね。コノリ……今はミィ=クロヅマでしたね。とヨミカワ、ヨシカワ辺りはOKしてるんでしょ?」
香焼「正解。敵はクロヅマと御姉様だけー! とか反抗期真っ盛り」ハハハ
アニェーゼ「ふふふ。そうですか……『普通』の生活出来てるんですね」クスッ
そう。『普通』。当たり前が、当たり前じゃなかった自分達。
アニェーゼ「サイアイも?」
香焼「うん。自分に合う仕事探してる……昔が昔で、働き過ぎだったからね。今は普通学校通いたいなんて言ってる」ハハッ
アニェーゼ「今でも私達(幼児体型組)は中、高生で通りそうですからね……ま、私達も『灰色青春』でしょうが」ハハハ・・・
香焼「……あはは」フゥ
正論過ぎて何も言えなかった。モラトリアム消失ばんざーい。 - 742 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/01(火) 21:30:34.53 ID:FnMwvim10
- アニェーゼ「……チビちゃん(黒妻の子)達は?」
香焼「そりゃもう、大変だよ……子供は、ね」フゥ・・・
アニェーゼ「……そう」
香焼「……うん」トンッ・・・ポト
再び、無言。
さて……言うべきか、言うまいか。
香焼「……あの、さ」ポリポリ・・・
アニェーゼ「ルチアがっ」バッ!
香焼「え」ドキッ・・・
アニェーゼ「……子供の、顔……見てぇんですって」ムゥ・・・///
香焼「あ……」ポカーン・・・
ルチアさん、が?
香焼「……アニーは?」
アニェーゼ「そろそろ……欲しい、かな」ポッ・・・///
香焼「えっと……大変だよ?」ジジジ・・・
アニェーゼ「分かってます」コクッ・・・「コーヤギは?」チラッ
香焼「……俺は」
自分の、子供。
香焼「……長生き出来ないかもしれない。俺も、子供も」
アニェーゼ「……」シュン・・・
香焼「アニーを……独りにしたくない」フゥ・・・
本音を吐露する。
互いの顔に影が掛った……しかし。 - 743 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/01(火) 21:41:07.45 ID:FnMwvim10
- アニェーゼ「独りにはなりません……皆がいます」ニコッ
アンジェレネ達の事か……
アニェーゼ「それに……未練は無ぇですって。分かってて一緒になったんですよ?」
香焼「……」
アニェーゼ「何が起ころうと、貴方の事を忘れたりしない……私達の子供もね」クスッ・・・
先の話なのに、まるで思い出話の様。
香焼「……ごめん」
アニェーゼ「『ありがとう』って言って欲しいんですけど」
香焼「ははは。そうだね」
アニェーゼ「ってか……死ぬ事前提で考え過ぎ! もう少し前向きに考えやがれってんですよ!」ウガアァッ!!
香焼「面目無い」タラー・・・
そうだ……まだ、そうと決まった訳ではない。
未来なんてのは決定事項じゃ無い。枝分かれするモノだって、良く書かれている。
確かテレスティーナが言っていた……『この世界』の必然は、いくらでも選べる、と。
自分もそれを信じよう。
アニェーゼ「未亡人なんて……真っ平御免ですっつーの」フンッ!
香焼「……ふふっ。アニーには確かに似合わないかも」
アニェーゼ「五月蠅ぇです。兎も角……コーヤギは超能力者相手に喧嘩売って、しかも勝った男でしょ! つまらない事気にすんな」
香焼「勝っては無いけどね。自爆覚悟で、麦野さんが呆れて降参してくれたっていうか……黒妻さんが無理やり止めたっていうか」アハハ・・・
アニェーゼ「お黙る! 私の旦那様なんだから胸を張ってくれねぇと困るってんです……子供の為にも!」・・・///
自分とアニェーゼと……二人の子供と。
アニェーゼ「三人で睦まじく暮らしてる未来。そうでしょ? 旦那様?」ニコッ
香焼「ああ……そうだね」ニヤッ
アニェーゼ「何に縋ってでも生きやがれってんですよ。学園都市の技術だろうが、延命術式だろうが……それが『私達』の為です」
香焼「うん」
生きるのを……妥協しない。絶対に。 - 744 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/01(火) 21:54:34.99 ID:FnMwvim10
- アニェーゼ「三人仲良く、ね」フフフ・・・
香焼「……『三人』で良いんすか?」クスッ
アニェーゼ「欲張んねぇでください。アホ」ハァ
香焼「ははは。まずは一人目だね」
アニェーゼ「そういう事です。ほら、もう着くから煙草消す」クイッ
促され、今にも落ちそうだった灰を入れる……さて、駐車場。
アニェーゼ「……何か緊張しますね」アハハ・・・
香焼「何で? 初めての時みたい?」クスッ
アニェーゼ「ぎゃああぁ思い出させねぇで下さい! 顔から火ぃ吹きそうですっ!」ウワァァ///
香焼「あの時は可愛かったなぁ……と言いたいけど、それより大変だったからね」ハハハ・・・
何が大変だったかというと、ナニが、である。詳細は後々に。
アニェーゼ「ぐぬぬ……だって、その……仕方ねぇでしょう。小さいモノは小さいんですから……」プクゥ・・・
香焼「はいはい。考慮しなかった自分も悪かったっすよー」
アニェーゼ「五月蠅いウルサイうるさーい! 荷物持て! さっさと降りろ!」ウギャアッ!
香焼「ははははは。初い奴」クスッ
アニェーゼ「うううぅ……覚えてろ」ムゥ・・・///
香焼「そのセリフ、ベットの上でも言える?」ニコッ
アニェーゼ「へへへ、へ、変態っ!! い、言えるってんですよ!!」カアアァッ///
香焼「ははは。言ったね? 期待させて貰うよ?」ニヤッ・・・
アニェーゼ「ぐぅ……馬鹿!」フンッ///
何て馬鹿な事を言いながら仲良く二人で部屋に戻った。
歳がいにも無く手を組みながら……誰かに身内に見られてた日には、卒倒してしまう様な有り様だったと思う。
ちなみに、この時アニェーゼが何か『紙袋』を持っていた事に気が付かなかった…… - 745 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/02(水) 00:19:47.01 ID:QzsyuXrb0
- ―――とある未来(二日目)、PM09:00、英国、ウォータールー駅付近・とあるマンション一室・・・アニェーゼside・・・
部屋に戻り、コーヒーとクラッカーを少々摘まんだ後、順にシャワーを浴びる事にした。
香焼「先入ってきなよ」モグモグ・・・
アニェーゼ「はい」コクッ
……さて、先程オリアナに借りたファイルを覗いてみるか。
コーヤギにばれない様、バスルームに紙袋を運び、開いてみた。
『倦怠期の保健体育★ (ハードコア編)』
アニェーゼ「……」タラー・・・
『―――は、冗談でーす♪ 本当は……オリアナお姉さんの性のお悩み相談☆ (初心者実演編)』
アニェーゼ「……結婚3年目って初心者なんですかねぇ」ハァ
『マグロちゃんを卒業しよう!』
アニェーゼ「うっ……い、一応、ノンアクションじゃ無ぇ筈です……多分」ゴクッ・・・
『まずは基本! 身体綺麗に洗った? 生理じゃなぁい? お毛々の手入れは大丈夫?』
アニェーゼ「……赤ん坊相手かっつぅの」ッタク・・・
身体は今から洗う。生理は2週間前。毛の処理は香焼が帰ってくるって分かったその日の晩に済ませた
……まぁ毛は元々薄いのだが、一応マナーだと思って手入れはしてる。苦手だが。
『一緒にお風呂は後でね♪ まずは貴女が下準備しておきましょう』
アニェーゼ「ふむふむ……一応真面目そうですね」ピラッ
『ムードの為に下着や香水、ブース、音楽等……人それぞれだけど、工夫してるかしら?』
アニェーゼ「……こ、香水くらいは持ってるから、付けてみますか。し、下着も……ちょっと大胆なの買ってみましたし」ホー
ちなみにシライから送って貰ったヤツ……はトンデモないので無理だ。
アンジェレネと買ったネグリジェにしてみよう。あの何故か局部に穴が開いてるのは絶対無理、うん。 - 746 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/02(水) 00:41:11.41 ID:QzsyuXrb0
- 『露骨にエッチぃのは、好む男性と好まない男性がいるから注意ね。アダルティな透けた黒も良し、純白なレースも良し』
アニェーゼ「ほー……流石歩く18禁。こういう時は頼りがいがあります」
『香水やブースはサッパリ(強い柑橘、石鹸系)とかは良くない。多少艶っぽい(軽いローズ、蜜系)感じのが良いかも。ただコレも人による』
アニェーゼ「……どうしましょう。安物しか持ってません」
『一応、ローションと一緒に袋に入れたから貸してあげるわよん♪』
アニェーゼ「……おお! 初めて奴が女神に見えました。エロスのだけど」
『音楽はお好みで。別にかけないならかけなくてもOK!』
まぁかけなくても良いだろう。いつもかけてないし。
香焼「アニー。まだ入らないんすかー?」オーイ!
アニェーゼ「あ、ごめん! すぐ入ります!」パッ!
まずいまずい。集中し過ぎた。
シャワー浴び終わって、コーヤギが入ってる時に見る事にしよう……
―――一寸後・・・・・
とりあえず、コーヤギが入ってる内に下着だの香水はやっちまおう。
今は普通のパジャマで良しとする。
アニェーゼ「お待たせしました。どうぞ」ガチャッ
香焼「うん」テクテク・・・「髪、良いの?」
アニェーゼ「え? ああ、大丈夫です。結んだ方が良いですか?」
香焼「いや、ウェーブ掛ったストレートも綺麗だと思うけど」ニコッ
アニェーゼ「ば、馬鹿言ってないでさっさと入ってきやがれってんです!」カアアァ・・・///
香焼「ふふふ、はいはい」クスッ
まったく……よくもまぁサラリと言いやがる。
ちなみに最近は髪を編込んで無い。手伝ってくれる人(アンジェレネ達)もいないので下で一つに纏めてたり、ポニテにしたり。
一度短くしようとしたのだが、シェリーにライオンヘアに似ると考え、思い止まった。 - 747 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/02(水) 01:03:22.76 ID:QzsyuXrb0
- さて、淡い桃色のネグリジェとショーツを穿いて……袋の香水を軽く振りかける。
何だかとても高級そうな香りがした。今度マジ菓子折り持ってコレ返しに行こう。
アニェーゼ「続き続きと……」パラッ
『先に相手を待つ時は出来るだけ直ぐ裸になれるようにしておく事。コスプレでも無い限り面倒な下着にはしない』
アニェーゼ「……ショーツとネグリジェだけ。大丈夫です」ウンウン・・・
『ティッシュやシーツの準備は大丈夫かしら? 飲みモノもね。多少アルコール入れても良いと思うわよ』
アニェーゼ「……そういえば昨日届けて貰ったデザートワインがありますね」ヨシッ!
冷蔵庫に向かうついでに、ティッシュの残りを確認……問題無し。
アニェーゼ「うん。下準備は万全ですね!」
『トイレは大丈夫? 必要であればピルやコンドーム等の避妊具は欠かさずにね。大事な大事な家族計画よん♪』
元々ローマ教徒。避妊具は使用しないようにしていた……でも家族計画かぁ。何だか緊張してきた。
『此処までで準備の章は終わりー! 次は実技の章! 頑張れっ☆』
アニェーゼ「頑張れって……まぁ頑張りますけど」グッ・・・
さて、どうしよう……問題は借りたローションなのだが、今一分からない。
ただ局部に塗ったりすれば良いだけなのだろうか? 兎角、資料を見てみよう。
『別紙、ローション資料。使わないなら使わないに越したこと無いけど、どうしてもというアナタに』
アニェーゼ「……どうしても?」
『大体ローションを使うセックスは趣味(特殊)が殆どよ。普通の人は使用しなくても「すんなり」挿いるから』
アニェーゼ「すんなり、ねぇ」ムゥ・・・
『でも「すんなり」挿いらない娘も勿論います。それに関してはあまり悩み過ぎない事。解決方法は色々あるから♪』
アニェーゼ「それの一つがコレですか……ふむ」マジマジ・・・
結構有る。500ml近くは入ってると思われるのだが……使っていいの? 高いんじゃ…… - 748 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/02(水) 01:22:49.77 ID:QzsyuXrb0
- 『ちなみに遠慮しないで使いきっても良いわ。ℓ辺り――日本円で十円――しないから。お姉さん、直接卸値で買ってるからだけどね★』
アニェーゼ「へぇ! そうなんですか! ……意外ですね」
ポルノショップに行った事が無いので、相場等は知らない。しかしアダルトグッズは高いイメージがあった。
『この手のローションは大抵海藻類から出来てるから口や膣内に入っても大丈夫。ただアレルギー持ちだったら使用を控えてね』
アニェーゼ「……これ飲めるんですか?!」エッ!!?
まぁ飲みはしないけど、口に入れても大丈夫なのか……初めて知った。
『使用法は多分想像通りよん♪ ……アナタが辺りにローションをブチ撒けて、スライディングごっこの趣味が無い限りね』
……そんなアホいるのか?
『あとマッサージなんかにも使えるから、余ったら試してOK~♪ 軽いエステ体験かも……勿論、自慰に使っても良いわん☆』
アニェーゼ「ほー……」ニヤッ
余ったら、コーヤギにマッサージさせよう。
……因みにそんなに自慰はしないタイプなので、そちらについては機会が有ったらという事にしておく。
『さて、では実技の章に移動してねー』
アニェーゼ「……いよいよですね。どれどれ」パシッ
先程のファイルを再び手に取り、実技の章を開いて―――
香焼「上がったよー」ガチャッ
アニェーゼ「あひゃぁっ!!? ちょ、待、わとと……お帰り!!」ニカー!!
香焼「……ん?」
アニェーゼ「あはは。何でも無ぇです」ドキドキ・・・
別にばれても良い気がするけど……何故か恥ずかしかった。 - 749 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/02(水) 01:44:39.49 ID:QzsyuXrb0
- アニェーゼ「そ、そうだ。ワインありますです!」バッ!
香焼「……いつも以上に変な言葉使いだけど、大丈夫?」
アニェーゼ「もんでぇねぇです!」
香焼「……」ジー・・・
アニェーゼ「うっ……えっと……」
素直に言おうか……
アニェーゼ「あの……何があっても、笑わない?」チラッ・・・///
香焼「え、あ、うん」ドキッ・・・
アニェーゼ「……これ」スッ・・・
観念してコーヤギに紙袋を見せた。
香焼「何これ?」
アニェーゼ「……借りました。オリアナから」
香焼「オリアナさん?! 何を?!」ハァ!?
アニェーゼ「だから、これ……」
香焼「『倦怠期の保健体育★ (ハードコア編)』!!? 浜面さん達でもしない様な事を!!?」ハアァ?!
アニェーゼ「そそそそそ、そ、それじゃ無い!! てかハマヅラ……よりリコー、何してるんですか?!」カアアァ・・・///
多少気になる。
香焼「……ああ。成程ねぇ……ふむふむ」パラパラ・・・
アニェーゼ「あの……」
香焼「あの人も偶にはまともな事するね」ハハハ「それで、ワイン飲むんだっけ?」スッ
アニェーゼ「あ、う、うん。飲みませんか?」
香焼「折角だし、開けちゃおうっか」ニコッ
アニェーゼ「はい」クスッ
良かった……何だか、気持ちがほぐれて来た。 - 750 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/02(水) 01:56:26.46 ID:QzsyuXrb0
- アニェーゼ「灰皿も準備しますか?」
香焼「うーん……一応準備だけ。多分喫わないっす」
アニェーゼ「喫うに5€」
香焼「……あはは」タラー・・・
とか笑いつつコルクを開け、ワインを注いだ。
香焼「んー、何記念?」スッ
記念か……
アニェーゼ「何って……こ、こ……子作り、ですか?」カアアァ・・・///
香焼「随分大胆な事言うね」ハハハ
アニェーゼ「そ、そんな恥ずかしい事聞かねぇでくださいってぇの……もう」
香焼「はいはい、じゃあ……主に」スッ・・・
アニェーゼ「私達に」スッ・・・
乾杯。
香焼「ん……アイスワインか。冷たいね」ゴクッ
アニェーゼ「本当は昨日デザート代わりにしようと思ってたんですから……誰だかさんの所為でおじゃんでしたけど」ジトー・・・
香焼「うっ……不可抗力っす」タラー・・・
ホント……今更だ。この病気(カミやん病)は。
それから少々ファイルを眺めながら、1杯と少し飲んだところでコーヤギが告げる。
香焼「えっと、前半部分って結局気配りでしょ? アニー、元々問題無いじゃん」
アニェーゼ「……そ、そう?」チラッ・・・
下着や香水は気付かないモノなのか……まぁ鈍感なのは知ってるけど。 - 751 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/02(水) 02:09:19.84 ID:QzsyuXrb0
- アニェーゼ「いつもと、同じ?」チラッ・・・
香焼「……」ジー・・・
アニェーゼ「同じ?」チラッ・・・
香焼「……ベビードール?」
水平チョップ。
香焼「げふっ! 喉は……止めて」ゴホゴホッ・・・
アニェーゼ「そのネタ分かりにくい上、最早古ぃです!」チッ
香焼「は?」ポカーン・・・
……こっちの話だ。何でも無い。
香焼「冗談だって、ちゃんと分かってた。その色似合ってる。可愛いよ」ニコッ
アニェーゼ「あんがとです」フンッ・・・///
香焼「さて……それそろ始める?」
アニェーゼ「……あの、コレも」スッ・・・
香焼「……ローションかぁ」フム・・・「丁度良い。お湯溜めてたから少し汲んでくる」
アニェーゼ「へ? 何で?」
香焼「何でって、冷たいままでいいなら構わないけど」
アニェーゼ「……使った事あるんですか?」
香焼「……悪い?」ムッ・・・
いや、悪いって……堂々と浮気宣言。もしかして風俗……
香焼「……単身赴任中のマス掻きの方法まで束縛されたら、どうしようもないんすけど」ジトー・・・
アニェーゼ「あ……そ、そういう事。ごめん」アハハ・・・///
そうでした。私は自慰の概念薄いからだけど、男の人は……うん。まぁ、そうだよね。 - 752 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/02(水) 02:40:08.15 ID:QzsyuXrb0
- そういう訳で、数分程ローションをお湯に浸ける事になった。
香焼「てかアニー。本当にオナニーしてなかったの?」
アニェーゼ「だって二ヵ月に一度はコーヤギ帰ってくるじゃねぇですか。十分でしょう?」
香焼「……やっぱ男と女って違うのかな?」
アニェーゼ「さぁ?」
多分、私が性慾薄いだけなのかもしれない。
だが、した事無い訳でもない。でも、あまり気持ちよくなれなかった為、好んでしようと思えなくなった。
香焼「多分、方法間違ってるんだろうね」
アニェーゼ「……自慰の仕方まで他人の面倒になりたくねぇですっての」
香焼「ははは。まぁね」クスッ
アニェーゼ「コーヤギは……その……シてたんですよね?」
香焼「まぁ朝起きてパンツが面倒な事に、って事ヤダからね」ハハハ
アニェーゼ「……えっと……変な事、聞いていい?」
香焼「オカズが如何こうってのなら、パス。理由はさっきの通り」
アニェーゼ「……そりゃ私だけ考えて欲しいんですけど。浮気しないだけマシです」ム・・・
独占欲がフツフツと……やはり子供が出来たら日本に移ろう。
新オルソラ教会(※③『おはようございます』参照)の方に転勤願い出せば完璧だ。オルソラなら即雇ってくれる筈!
アニェーゼ「ちなみに……浮気。してないのは分かってますけど、雰囲気的にヤバくなったのは?」ジトー・・・
香焼「うっ……い、一応。3人ともセーフ」
アニェーゼ「ハァ……常連のサテンとサイアイ……今回はエダサキかハルウエ辺りがダークホースですかね」ジー・・・
香焼「最愛は正解だけど、今回は(妹達)11329号さん。あと……結標さん」アハハ・・・
一番の脅威を忘れていた……てか第一位との関係も有るだろうに。あの守銭奴女郎め……ウチの旦那からいくら搾り取る算段だ。(金を)
あと、ミサカの妹達の番号言われても分からない。判別出来るのはミスズさんとミコト、打ち止めちゃんくらいだっての。
ちなみに番外個体も量産化される事件があったので、最早区別できなくなっちまいましたと。困ったものだ。 - 753 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/02(水) 03:20:48.88 ID:QzsyuXrb0
- 香焼「でも……自分の所為だから、ゴメンなさい」ペコッ
アニェーゼ「いいです。善意から来たアレでしょう? 無碍にしろとは言えねぇですから」ハァ・・・
香焼「ありがとう」ニコッ・・・
この慣れも恐ろしい。
香焼「さて、そろそろ大丈夫だと思うよ」
アニェーゼ「あ、はい」コクッ・・・
香焼「やっぱ緊張してるね」アハハ
アニェーゼ「まぁ……でも、初めてに比べれば、全然です」アハハ・・・
香焼「うん。正直困ったしね」タラー・・・
問題点は三つ。一つは避妊。
私、ローマカトリック。旦那、天草式十字凄教……イの一は避妊しておこうとコーヤギは言った。
だが私は曲げなかった。確かに今となってはローマもコンドーム使用について寛容だが、それはあくまで性病感染防止の為。
互いに病気は持ってない……『病気』は。ただ旦那は『被爆』の後遺症が、残ってる『かも』しれない。
二つ目は……私の性に関する知識。
無い訳では無かったが、『実際』自分が結婚して性交をするとは思っていなかった為、ドギマギだった。
無論、初夜は結婚後なのだが……まともに自慰もした事が無かった私は盛大にテンパった。
女子寮で暮らしてた所為で持ち合わせは下手な知識だけ。強がってみせて……見事失敗。あの時は死んだ。
香焼「で……三つ目は、身体、ね」
アニェーゼ「私のヴァギナがキツ過ぎだった、と。まさか破瓜で動けなくなるとは……」ハァ・・・
香焼「元々身体小さいから仕方無いけど……自分が早いのが悪いよね」フフフ・・・ハァ
アニェーゼ「いや、まぁそれは初夜関係無いけど……どんまい」ハハッ
初夜を簡潔に言えば、『わわわわ分かります!! こうでしょ!!』→馬乗り→グサッ!→チーン・・・→旦那に介抱され翌夜まで寝た切り、の流れ。
次の日も遠出は控えたので、ハネムーン二日間無駄にした。
因みに香焼は結構早い、らしい? 他の男性を知らないけど、かなり凹んでる。私はそんなに気にして無いのに。
ただ回数は多いので、一応、互いに達してはいる。三回目以降は次の日キツいが……ま、旦那様も私も満足してるのでOK。
香焼「まぁ、うん。今日は色々試してみよう……あ、ローションはあんまり受精と着床の邪魔ならないヤツみたいだ」チラッ
オリアナも色々考えてくれたらしい。やはり追って感謝の何かを送らねば……気に掛けてくれたリーアさんと、ルチアにも。
アニェーゼ「じゃあ……お願いします。アナタ」ニコッ・・・///
香焼「うん。頑張ろ」ニコッ
尾灯……そして優しく口付けされ、横に寝かされた――― - 759 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/04(金) 18:58:52.47 ID:jeoxrVlG0
- ―――とある未来(二日目)、PM00:30、日本、学園都市・第七学区、とある事務所・・・???side・・・
一人の男が厳かに、どっしりと革張りの椅子に座っている。
部屋には男の他、に男女のペアが一組。
半蔵「―――……縄張り(シマ)で『クスリ』捌いてた輩は、きっちり『ケジメ』つけさせました」スタッ
郭「というか警備員は役に立ちませんね。黄泉川氏が前線引退してから腕利きは鉄装さんくらいですよ」フンッ
半蔵「ま、その御蔭で我々が大きい顔できるんですがね……殺してはないのでご安心を」
そうか、と男は椅子に背を預け廃販になった煙草を一本咥える。
男女ペアの片方が灰皿を、他方が火を点けに歩み寄った。
郭「『体晶』の劣化版……横流しした科学者共に責任を問いただしたいですよ、まったく」カチッ
半蔵「那由他嬢とライフライン氏、木山氏の準備してる抗体薬の数も減ってきています。コレ以上は資金援助は増やせません」スッ・・・
男は静かに頷いた。
黒妻「それに関しては出し惜しみしなくて良い……理事に払わせる」ジジジ・・・フゥ・・・
半蔵「出してくれますかね?」ムッ
黒妻「その為の会社だ。それに婚后の嬢ちゃんも、この手の出資はポンっと出してくれるさ」
黒妻エンタープライズ株式会社取締役。
半蔵「そこの交渉はお願いします。俺らはセッティングの準備を徹底するので」
黒妻「おうよ」ニカッ
絶対の自信からくる笑み。 - 760 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/04(金) 19:01:48.26 ID:jeoxrVlG0
- 黒妻「それより、最近出てきた不作法極まりないスキルアウトはどうなってる? 呑み屋、パチ屋、喫茶店、困ってるそうじゃねぇか」クルッ・・・
半蔵「シマ荒しですね? 確かにえらくウチの系列店にイチャモン付けてましたが……若い衆で片が付いてます」
郭「見ヶ〆(みかじめ)料、払って貰ってますからね。しっかり守ってますよ……ったく最近のスキルアウトはマナーがなってない」
黒妻「ははは。警備費用と言えよ、郭。そんなんだから最近警備員に目ぇ付けられてんだって」カカカ!
半蔵「んな事言いましても……兄貴の所為で警視庁のマルボウがウチの事、『指定』したじゃないですか」ハハハ・・・
黒妻「『学園都市』には『暴力団』なんて無いさ。此処は桜田組(奴ら)の治外法権だ……それにアコギな真似した覚えは無ぇよ」フゥ・・・
あくまで興業と理事公認の自警団活動である……小遣い稼ぎで債権回収も。
黒妻「さて……今日は特に用事は無かったな?」チラッ
郭「はい。明日、貝塚理事との食事までは何も無いですね。あの狸もそろそろ引退すれば良いものを」
黒妻「そう言うな。『後釜』が出てくるまで交代できないさ」
郭「雲川の眼鏡に適う理事なんていませんって……あ、でも兄貴はOKしないで下さいよ。前に理事選出ないかって誘われてたでしょう?」
黒妻「ばーか。オレが政治家なんてなれるかっての。オレが選挙出るなら二人が出ろ。もしくは香焼だ」ケッ
半蔵「兄貴、俺らは『影』ですよ。表舞台には立ちませんって」ハハハ
苦笑。
郭「まぁ御坂美琴が出るべきでしょう。もしくは上条当麻か……票は集まりますから」クスッ
黒妻「アイツらも本人らがOKすればだな。ま、土御門が戻ってくれば無理やり神輿に上げられるかもしれないがよ」フフッ
半蔵「土御門、ですか……」
黒妻「半蔵……オマエも、実家とケリ付けてきてもいいんだぞ?」チラッ
服部の……伊賀の頭。
郭「同感ですね。兄貴には申し訳無いですが、さっさと統領を襲名して下さい」キッパリ
半蔵「……そのうちな」フンッ
今此処を離れたら雲川か、何処で目を光らせてるか分からない土御門に黒妻を持って行かれる。その不安があった。
香焼と郭がいるとはいえ、あの二人の頭脳には及ばない。
雲川に取られれば政治の、土御門に取られれば革命染みたモノの道具に使われるだろう。
自分が居る限り、そうはさせない。 - 761 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/04(金) 19:04:34.08 ID:jeoxrVlG0
- 黒妻「ふっ。まぁ好きにせい……今日はもう上がって良いぞ。オレも上がる」スタッ
半蔵「はい。若いモン、二三付けます。車でお帰り下さい」
黒妻「……ヤダ」ウー・・・
半蔵「まだバイク通勤諦めて無いんですか? いい加減、乗らないで下さいよ『社長』。威厳に関わります」
郭「私達の仕事をよく思って無い連中もいるんです。防弾の車でお帰りを……もしもがあったら、御家族が悲しみますよ?」
黒妻「ハァ……はいはい。分かりましたよー」ッタク・・・
家族、か。
黒妻「そいや、香焼から連絡は?」ジュゥ・・・
半蔵「無事着いたとのメールが。防衛依頼もサイン貰ったそうで」
黒妻「そうか。うん……で、休暇の方は頷いたか?」
半蔵「無理やり」ニヤッ
黒妻「ははは! そうか。ああ、無理やり取らせろ!」カカカ!
郭「でも……ホントに、子作りしますかね? 奥さん(アチラ)の問題もあるでしょう」
黒妻「ま、アニェーゼちゃんの方は問題無いが……後はアイツの覚悟次第だろ」スッ・・・
立ち上がり、窓の外を向く。丁度西の方角。
黒妻「……何の為の番(つがい)か」フッ
半蔵・郭「「は?」」ポカーン
黒妻「……郭。子は鎹(かすがい)だ。作っちまえば逃がせんぜ?」ニコッ・・・カツカツカツ・・・
郭「っ!!」ドキッ・・・///
半蔵「兄貴! 変な事吹き込まんでいいですって!!」モゥ・・・
黒妻「悪ぅござんした。じゃあオレも家族サービスすっかねぇ」ハハハ!
男は、気まずい空気の二人を残し、笑って部屋を後にした。
黒妻「まったく、少しは浜面んとこ見習えっての……なぁ、駒場よ」カツカツカツ・・・
どこからともなく、困った様な笑い声が聞こえた気がした……―――
- 763 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/04(金) 19:26:17.02 ID:jeoxrVlG0
- ―――とある未来(二日目)、PM09:50、英国、ウォータールー駅付近・とあるマンション一室・・・・・・
ベットの上に、裸体の男女が一組。共に平均より小柄な体型。
長く深いキスの後、男はゆっくり女の体中を愛撫し始めた。
アニェーゼ「ん……ふぁ……」ピクッ・・・
香焼「……寒い?」
アニェーゼ「ううん……大丈夫。それより……ファイル見ながらの方が」チラッ・・・
ファイルを横目に、男は考えた。
香焼「まずは見なくても」グイッ・・・
アニェーゼ「あぅ……いいの?」
香焼「……」ギュッ・・・
アニェーゼ「んっ」ピクッ・・・
女は察した……まぁ大分溜まってるのだろうな、と。
確かに愛する人が求めてくれるのであれば嬉しい。多少の我が儘は聞いてあげたい。
アニェーゼ「始めはお好きにどうぞ」ニコッ・・・
香焼「ありがと……ん」グイッ
アニェーゼ「あっ……んぁ」ググッ・・・
強引に乳房を掴まれ、唇を奪われる。小柄な胸故に、鷲掴みされて丁度手に納まる程。
女は力が抜けつつも、男の背中に腕を回し、しっかりしがみ付いた。
次第に男の手は女性の秘部へとスライドしていく。
アニェーゼ「っ……」グッ・・・
香焼「……辛い?」
アニェーゼ「す、少し……」ウウゥ・・・
回数はこなしたモノの、未だに処女の様な女性器。
男は少々考え、女性に告げた。 - 765 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/04(金) 19:50:25.81 ID:jeoxrVlG0
- 香焼「ローション、使ってみようか」スッ・・・
アニェーゼ「え、あ……うん」コクッ
お湯で温めていたローションを器から少量出し、手に掬った。
香焼「良い?」
生温い、トロリとした感覚が陰部を覆った。
アニェーゼ「あ、ぅ……ふぁ」ポワワァ・・・
香焼「ん?」キョトン・・・
アニェーゼ「気持ちいいかも……」フワフワ・・・
香焼「ふふっ、良かった。オリアナさんに感謝っすね」クスッ「じゃあ……」スッ・・・
アニェーゼ「ん……っ」ピクッ・・・
秘部を愛撫する。
舌先、表面、時に指で撫で……女性は小さく刻むように、反応する。
男はローションの独特の味に苦笑しながら女性を愛で続けた。
アニェーゼ「ひ、ぁ……やっぱ……違ぅ」ピクンッ
香焼「いつもより?」
アニェーゼ「く……んんっ」コクンッ
自らの人差し指を齧り、もう一方でシーツを掴みつつ、女性は頷いた。
男性の手は女性の丹田、股関節をゆっくりとなぞる。成程、エステと言っていた意味が分かった、と女性は納得した。
しかし……疑問点も一つ。
アニェーゼ「……こ、やぎ……ぁん……何処で、覚えて……きやがりました?」ピクッ・・・
香焼「……へ?」ポカン・・・
アニェーゼ「前まで……こんなに、上手く無かったでしょ」ジトー・・・
香焼「えっと、まぁその……色々、本で」アハハ・・・
アニェーゼ「……信じてやります」ムゥ・・・
今、問いただすのは無粋だろう。
まぁ私の眼には映っていない『何か』は、大目に見てやるしかない。単身赴任の男だ。仕方あるまいに。 - 766 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/04(金) 20:14:29.64 ID:jeoxrVlG0
- アニェーゼ「でも……子供出来たら、一緒に住むんですからね」
香焼「分かってるって」チュッ・・・
アニェーゼ「大目に見るなんて無いですよ」ジトー・・・
香焼「あはははは……」タラー・・・
疑われるのも仕方が無い。自分はそういう男だ……しかし。
香焼「大丈夫……本当に浮気なんてしてないっすよ」スゥ・・・
アニェーゼ「ん……ひ、ぅ……んっ」ピクッ
優しくそう応える。女は、今、その言葉だけでも救われた。
香焼「ローション、温度冷たくない?」ンチャ・・・
アニェーゼ「丁度……です、ょ……ぁ」グッ・・・
香焼「頭、抑えないで……」ペロペロ・・・
アニェーゼ「無、理……ひゃぅっ」ビクッ・・・
舌先が陰部の中へ入り込む。同時に右手でクリトリスを撫でられた。
女性は咄嗟に男の頭部を押し返してしまったが、思った様に力が入らない。難なくされるがままだった。
そして徐々に味が変わり、ローション以外の液体が混ざり合わさるのが分かった。
アニェーゼ「んんっ! こぅ……やぎ……っ!」ピクッピクッ・・・
香焼(相変わらず初々しいなぁ)クスッ
男はゆっくりと、右手を膣内部に移動させる。
アニェーゼ「あ、くぅ……」ビクッ・・・
香焼「やっぱ痛い?」スゥ・・・
アニェーゼ「ダイジョブ……です。いつもよりは平気……んっ」スッ
多少身体を起こし、男の頭を抱いた。
香焼「続けるよ」スッ・・・ヌチャッ
アニェーゼ「ぃ……んっ!」ピクッ!
ゆっくりと指を動かす。優しく出し入れし、優しく掻き回す。
女の頭を抱く力が強くなり、また弱くなる。荒い呼吸音と吐息が男の耳にかかった。
暫く続けた後、男は指を深くまで突っ込む。 - 767 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/04(金) 20:41:39.94 ID:jeoxrVlG0
- アニェーゼ「あ、んぅ……ひぁっ」ビクッ・・・
香焼「ちょっと早くするよ」ヌチャヌタァ・・・
男の指は内側から丹田の裏側をなぞる様に、スライドした。
そして……途中で止まる。
アニェーゼ「ッッ!!」ピクッ!
香焼(此処っすね)クイッ・・・
アニェーゼ「ひゃうっ!!?」ビクンッ!
途中で止めた僅かな『凹み』の部分。男はピンポイントにそこを指の腹で押してやった。
アニェーゼ「あ、ぅっ!! 待、や……んぐっ!!」ビクッ!!
香焼「……ははは。大分『効く』みたいっすね」クィックィックィッ・・・
アニェーゼ「馬、鹿ぁっ! いきな……ひゃぅ!! お願、ぃ!! ストップっ!!」ギュウゥ・・・
香焼「わとと……」スゥ・・・
女性は意図せぬ感覚に反射的に男を強く抱き締め、動きを止めさせた。
アニェーゼ「いゃ……ちょ、コーヤギ……マジ、何処で覚えた?」ハァハァ・・・
香焼「えっと……黒妻さんから貰った本。あと本人が会社の若い衆にレクチャーしてたから、つい聞いちゃったっす」アハハ・・・
アニェーゼ「馬鹿、やろぉ……吃驚したでしょうが……」フーフー・・・ハァ
香焼「ごめんごめん。でもスムーズになったよ」ニコッ
アニェーゼ「っ! アホ! 変態!」カアアァ・・・///
何を今更、と男は苦笑した。
香焼「で、続けて良い?」
アニェーゼ「むぅ……でも……さっきの刺激の所為で、トイレ行きたくなっちまいましたよ」モゥ・・・
香焼「……漏らす?」ニヤッ・・・
アニェーゼ「なぁっ!!? へ、へへへ、へ、変態っ!!」ペチッ!
香焼「あ痛っ」アハハ・・・
アニェーゼ「ったく……すいません。少し休ませて下さい。久しぶりで疲れますから」ハゥ・・・
香焼「うん、そうだね。時間かけてしよう」ニコッ
アニェーゼ「ええ。明日休みですしね」クスッ
香焼「ちなみにさっきの続けたら嫌でも漏らすかも……別の液だけどね」アハハ
アニェーゼ「っ!!? や、やっぱ、次の機会に!! てかさっきの禁止!!」カアアァ・・・///
香焼「駄目」ニコッ・・・
何という鬼畜スマイル……普段温厚なくせに、どうしてこう、ベットの上だと性格変わるのか。
まぁそれもまた美点なのかもしれないが、と心中で微笑した。 - 768 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/04(金) 21:10:18.20 ID:jeoxrVlG0
- 一寸休憩し、再開する。
香焼「そろそろ続き、大丈夫?」
アニェーゼ「はい……コーヤギ、寝やがれ」ドンッ
香焼「おわっ! って……何するの?」タラー・・・
アニェーゼ「さっきの続きされたんじゃ堪ったもんじゃねぇですよ……少し任せろってんです」スゥ・・・
香焼「へいへい」アハハ・・・
彼女から進んで何かする時は、大抵失敗するのだが、と少々不安な気持ちを陰らせた。
しかし、今回は色々考えていたようである。
アニェーゼ「えっと……ローション、少し使いますね」
香焼「いいけど、どうするの?」
アニェーゼ「ふふふ……」ペロッ「って、不味っ!!」ウヘェ・・・
お馬鹿さん。
兎も角、女は手に取ったローションを男の陰茎に少量掛けた。そして……ゆっくり撫でる。
香焼「……成程、考えたんすね」ハハハ
アニェーゼ「私だって、いつまでも任せっ放しじゃねぇんです。やる時は……やれます」ペロッ・・・
香焼「っ……」ムゥ・・・
正直、彼女の愛撫は苦手だった。理由は単純。痛い。
アニェーゼ「分かってますよ、歯は立てない様に……」ペロペロ・・・
香焼「別にしゃぶらなくても良いよ? 苦手でしょ」ウゥ・・・
アニェーゼ「だから工夫しますっての……少し黙ってて」チュゥ・・・
香焼「ん……」クタン・・・
どうやら今回は本当に違うらしい。さっきの休憩中読んでいたファイルで何かを得たのか……
アニェーゼ(えっと……『口内が苦手な場合……舌で舐めるだけでも、十分気持ち良い。そしてキスも混ぜる』っと)ペロ・・・チゥ・・・
香焼「ん……っ」ピクッ・・・
アニェーゼ(『睾丸部、股間接を撫でながら続ける。たまにそちらも舐める』……反応は)スルスル・・・チラッ
香焼「ぁ……む」ピクンッ・・・
アニェーゼ「んぁ……相変わらず女々しい反応しやがりますね」クスッ
香焼「ぐ……言わないでよ。気にしてるんだから」ムゥ・・・
中性的な顔立ちに、あまり声変わりしなかった彼。ハッキリ言って、可愛い。 - 769 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/04(金) 21:33:27.98 ID:jeoxrVlG0
- 女は暫く先の行程を続けた。偶に口の中まで含んでみたが、以前よりは歯を立てずに舐めれたようだ。
次第に男性の陰茎が大きくなっていくのが分かった。
アニェーゼ「ん……硬くなってきやがりましたね」チュウゥ・・・
香焼「ん……じゃあ始める?」
アニェーゼ「一回抜いてからでも良いですよ?」
香焼「いや……勿体無い気が」アハハ・・・
アニェーゼ「確かに」クスッ
では、と男は身体を起こし女性を寝かせ再び脚を開かせた。
少々のクンニリングスの後、己の身体を女性に近づける。
香焼「ローションは少しでOKっと……良い?」
アニェーゼ「はい……まず出しちまって良いですよ。後から工夫しましょう。溜まってるんでしょ?」
香焼「あはは……」
アニェーゼ「私がイくのは後で良いですから……どうぞ」スゥ・・・
女性が片手で男の陰茎を撫で、己の陰部を弁を開いた。
アニェーゼ「来て下さい……旦那様」ニコッ
香焼「うん。力抜いてね……っ」グ・・・
アニェーゼ「ぃっ……ふぅ……」ズブブ・・・
初めての頃とあまり変わり無い程の締め付け。
香焼「大丈夫?」
アニェーゼ「いつもよりは……楽です。心配しないで、続けて良いですよ」ニコッ・・・
香焼「……ん」コクッ・・・
男はゆっくりと腰を前後に動かす。
女性も多少リラックス出来てきたのか、締め付けが緩くなった。
香焼「……寒かったら、言ってね」クチャ・・・ヌチャ・・・
アニェーゼ「ううん……心配しないで」クスッ・・・
女は自分の身体の中で、男の陰茎が更に膨張するのが分かった。
快楽の波がゆっくり押し寄せてくる……男性の腕を軽く掴む。男は静かに微笑み、女もそれに答えた。 - 778 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 00:31:02.37 ID:DzmNJCci0
- ―――とある未来(二日目)、PM10:30、英国、ウォータールー駅付近・とあるマンション一室・・・・・・
ベットの軋む音。肉と肉が擦れる淫縻な音……そして女性の細かな嬌声。
男は激しい行動とは一転、冷静な思考で女性の顔を見た。快楽よりは、苦痛に近い表情をしている。
アニェーゼ「んっ……あ……ぅ……っ」グチュヌチュムチュッ・・・
香焼(やっぱり痛いのかなぁ……)フッフッ・・・
言うと怒るが、正直、幼児体型。自分も170有るか無いかで男性としては平均以下だが、妻は150有るか無いかだ。
アニェーゼ「こぉ……や、ぎ」パンッパンッ・・・
香焼「ん……」スゥ・・・
アニェーゼ「ぁ……気に、しないでください」グッ・・・
香焼「……うん」ニコッ
先程から只管(ひたすら)、前後へのピストン運動。
男の方はそろそろ一度、達しそうだった。
香焼「っ」パンッパンッ・・・パンッ・・・
アニェーゼ「ぅ……ふぁ……ん、どしたの?」ヌチャ・・・スッ
香焼「……」アハハ・・・
男の勢いが緩んだ。如何するべきか……少々休んで、再度続けても良いが……
アニェーゼ「イきそうなんですか? ……別に良いですよ。気にしないで」ニコッ
香焼「ごめんね……」
アニェーゼ「慣れっこです。一発抜いちまった方が、後楽でしょ」
本当に申し訳ない。男は苦笑した。
香焼「じゃあ……」スタッ・・・
男は男性器を抜きベットから降りて、女性の身体を強引に反転させた。
アニェーゼ「わっ! ……言ってくれれば、自分で体勢作りますってぇの」モゥ・・・
所謂、後背位の体勢。男は立った状態だ。女性の小ぶりなお尻が男性に向けて突き出された。
男は撫でる様に、女性の腰に手を添えた。 - 779 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 01:13:50.39 ID:DzmNJCci0
- 香焼「あはは、ごめんごめん……じゃあ続ける。多分一回出すと思う」ギュッ
アニェーゼ「良いですよ。二ヵ月ぶりにブチかましてください」ニコッ
香焼「エッチ苦手なくせに、どうしてそういう言葉覚えるかなぁ……」ハハハ・・・
アニェーゼ「悪かったですね。育ち悪ぃんですよ」フンッ
余談だが普段は互いに英語で話す。
自分は一応、ネイティブに近い丁寧な口調で話しているつもりだが……彼女は米国のスラム集落出身者のような話し方をする。
理由は……幼い頃の路上生活の名残だろう。人は子供の時に覚えた口調を、中々忘れられないものである。因みに、男も『クセ』はある。
しかし、最近では公の場でキチンとした英語を話せるようになった。されど、気を抜くとF言葉が飛び出してくる。困ったものだ。
アニェーゼ「むぅ……これでも女性らしくしてるんですってば」
香焼「まぁ身内以外はそうすべきだね。第一印象大事だし」クスッ
アニェーゼ「ったく……御託はいいからサッサとしてシやがれ」クイッ・・・
やれやれ……激しくしたら痛がるくせに、そういう誘い文句は控えるべきだろうと思う。
香焼「力抜いてね」グググ・・・
アニェーゼ「ダイジョ、ブ……んぁっ」ニュプッ・・・ジュブブブ・・・
香焼「動くよ(……痛いの我慢してるの分かるんだけど)」パンッ・・・パンッ・・・
アニェーゼ「ふぁぃ……くぅ……っ」ヌチャッ・・・ヌチャッ・・・
自分が下手なのかもしれないが、やはり彼女が小さいのだろう。キツく、熱い。
互いに成人だというに……男は(毎回の事だが)歳端も無い少女を犯している気がしてならなかった。
反面、女性としては痛さを我慢するのは微々たるモノで、快楽の方が大半を占めている。
男が気負い過ぎなのだ。此方からしてみれば好きな男に抱かれている。それだけで十二分だというのに……
徐々に男性のペースが早くなる。女性の息も心成しか荒くなっていった。
早い突きと深い突き。女性の吐息が変化するのが分かる。
声を出すのが恥ずかしいのか、女性の右手は己の口に噛ませてあった。左手はグッとシーツを握りしめてある。
香焼「ふっ……っ……」パンッパンパンパンッ
アニェーゼ「んっ……ひっ……くぅ、んっ!」ジュブッ・・・グチュッギュチュッヌチュッ・・・
香焼「っ……出すよ」ズンッ・・・グンッ
アニェーゼ「んんんっ……ふぁっ、ぃ!」ズブッ・・・ギチュッ!
男は幾らかでも先延ばししようと歯を食いしばり、丹田に力を込める。女は先より強いピストンに対し、漏れそうな声を必死に隠した。
そして……
香焼「く……っ!」パンパンッ・・・グンッ!
アニェーゼ「んんっ……ぁっ……」ズブッズブッ・・・ビジャッ!
男は一度目の絶頂に達した。 - 780 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 01:53:00.11 ID:DzmNJCci0
- 香焼「ハァ・・・ハァ・・・」スッ・・・ストン・・・
アニェーゼ「ん……ふぅ」ジュポッ・・・ドロリ・・・
男性器を引き抜くと、膣からトロリと精液が流れ出した。
くてんと横たわる女性の胴体に、男性はシーツを掛けてやる。そしてティッシュを箱ごと女に渡してやった。
アニェーゼ「どうもです」ニコッ
香焼「ううん。お風呂入れてたから、一回入ろ」ナデナデ
アニェーゼ「ええ……私も久しぶりでクタクタです。一度湯船入りたい」フゥ・・・
香焼「そだね。見てくるよ」スタッ・・・テクテク・・・
男は大きめのパーカーを羽織り、お風呂に向かう。
その間に女性は己の陰部から流れ出す熱いモノを、さっと拭き取った。あくまで軽く。
強く拭き取ると折角の精を取り出してしまう様な気がしたからだ。
ちなみに……
『奥で射精してれば拭こうが拭くまいが、体内生殖活動変化は関係無いわよん♪ でも清潔にしといた方が、お姉さんは良いと思うかな』
……とファイルで見るのは風呂上りである。
香焼「大丈夫みたい。入ろう」テクテク・・・
アニェーゼ「はい、今行きます」スタッ・・・
近くに置いていたヘアバンドを頭につけ、浴場へ向かった。
―――一寸後・・・・・
ちゃぷん、と水面が揺れる。女が男に寄りかかる様な恰好で湯船に浸かっていた。
それなりに良いマンションに住んでいるので、風呂場の設備も立派だ。裕に4人は入るであろう湯船。最新の全自動タイプ。
しかし普段此処を一人で使っている女は、それはそれで悲しいものだった。
ただ、勝手に喧しい友人達が遊びに来て風呂やベット入ってゴロゴロしていくので気は紛れていたと思う。
アニェーゼ「大きな浴槽。二人用のベット……一人は寂しいもんですって」チャプン・・・
香焼「ごめんごめん」ナデナデ・・・
アニェーゼ「早く一緒に暮らしてぇですね」クスッ
香焼「うん……此処売るか貸し出すかして、(新)オルソラ教会の近くに物件探そっか」
アニェーゼ「良いですね。あ、でもそんなに大きな家じゃなくていいですよ。『普通』の家、見つけましょう」
そして『普通』の奥さんがしてみたい……結婚しているにも拘らず、少女染みた考えだった。 - 781 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 02:10:00.11 ID:DzmNJCci0
- 香焼「身体洗う?」
アニェーゼ「汗流すだけで良いです。まだ続けますし」
香焼「そっか。軽く流して、少し飲みモノでも呑も」
アニェーゼ「はい。それに……」
香焼「……ん?」
アニェーゼ「ちぃっとばかし……魔力過多かも。まぁストック出来ますけど」アハハ・・・
香焼「……模擬戦は勘弁だよ」タラー・・・
アニェーゼ「しませんよ。今じゃアンより弱いかもしんねぇんですから。超能力者と喧嘩するコーヤギの相手なりませんって」クスッ
女は前線を退いてからというもの、魔力が有り余っていた。加え、今回男の『精』を『喰らった』事により……魔力がパンパンに。
後で何かしらの形で放出か貯め込みしておかないとなるまい。
香焼「えっと、聞いていいかな……大丈夫なの?」ジー・・・
アニェーゼ「まだ気にしてやがるんですか。問題ありませんっての」マッタク・・・
香焼「膣内で炎症とか……クリニック、行った方が良いと思うよ」
アニェーゼ「心配してくれるのは嬉しいんですが、余計なお世話です。ピンピンしてます」フンッ!
健気な妻の姿に男は苦笑するしかなかった。
そうだ……彼女はそういう女性だ。
香焼「……」ギュウゥ・・・
アニェーゼ「わっ! も、もぅ……いきなりなんですか。甘えやがって」ムゥ・・・///
香焼「んー……可愛いなって」ニコッ
アニェーゼ「あ、あほ……」カアアァ・・・///
背中越しから自分を抱きしめる彼の腕が、とても優しく、逞しく見えた。 - 782 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 02:30:08.81 ID:DzmNJCci0
- 香焼「しかしアニーは変わらないね。人形みたい」クスッ
アニェーゼ「む……打ん殴りますよ」ジトー・・・
香焼「褒めてるんすよ」
アニェーゼ「ったく……香焼は……変わったかな」
香焼「そう?」
そこまで変わったものか。妻の体型に比べたら変わっただろうが……
アニェーゼ「中身ですよ。最初は天草のモブCくらいにしか思って無かったですから」クスッ
香焼「むぅ……」
アニェーゼ「でも、何の『因果』か……私がオモチャ代わりに見つけて」
香焼「あはは……」
アニェーゼ「皆と仲良くなって……アナタが好きだって気付いて」
香焼「……うん」
アニェーゼ「って……恥ずかしい事言わせねぇでください!」キュゥ・・・///
素直に嬉しいが照れ臭い。苦笑してしまった。
アニェーゼ「コーヤギは……私の事、如何思ってた?」
香焼「絶対……言ったら怒るから言わない」
アニェーゼ「言わなきゃ久しぶりに魔力使いますよ」ニコッ!
それはもう伝説の中でしか存在してないといわれる第五系統魔法とかぶっ放しそうな笑顔だった。
香焼「黙ってれば可愛いけど……我儘破天荒無茶苦茶トンデモ意地悪高飛車DQN娘。あと怖かった」
アニェーゼ「えいっ★」ブンッ!
チュドン、と頭上が爆発。危うく禿げるとこだった。
香焼「ちょ、おま、言ったっすよ!」ゾオォ・・・
アニェーゼ「言ったらやらない、とは言って無ぇです」ニコッ!
こういうとこは今も変わらない……勘弁してくれ。 - 783 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 03:01:19.58 ID:DzmNJCci0
- 香焼「で、でもほら! 今は多少、大人っぽいし!」アタフタ・・・
アニェーゼ「多少ねぇ……」ムゥ
香焼「まぁ……後は、さ……自分が何するにしても、一番手伝ってくれたでしょ」
アニェーゼ「……」フーン・・・
香焼「感謝してる……」ニコッ
強くなりたいと願った時、一番に、賛同してくれた。
何時だって自分の味方だった。
香焼「……ステイルもアンも手伝ってくれたけど、一番、君が面倒みてくれた」
アニェーゼ「……」
香焼「勝てたとは言えないけど……麦野さんとそれなりに戦えたのは、アニーの御蔭っすよ」
アニェーゼ「褒められてんだか、何なんだか……複雑ですよ。その答え」クスッ・・・
そして……こんな身体の自分を、愛してくれてる。
香焼「愛してるって、思えた。だから……番になったんだ」ニコッ
アニェーゼ「ったく……私もですよ」ニコッ
互いに好きだと気付いた。そして夫婦になった。
アニェーゼ「まぁその性格(カミやん病)ですから、妻としてはヒヤヒヤしますけどねー」
香焼「あはは……ごめん」
アニェーゼ「ふふっ。ちなみに言っときますけど、コーヤギは恰好良いっていうより可愛い部類ですから」クスッ
香焼「納得いかない……」ハァ・・・
女の言葉は半分嘘。勿論、恰好良いとも思ってる……彼は女々しいだけの男じゃ無い。そうじゃなきゃ結婚なんてしないだろう。
アニェーゼ「冗談ですよ……先、身体流して出ます」ザバッ
香焼「あ、うん」コクッ
アニェーゼ「えっと……さっきのエッチ、悪く無かったですよ。多少は気持ち良かったです」フフッ
香焼「え」ドキッ・・・
アニェーゼ「だから自身無さげに抱かないで。受け止めてる此方の身にもなってください。お互い萎えるでしょ?」
香焼「分かった……ありがと」ニコッ
アニェーゼ「感謝される様な事言った覚えは無ぇですって……この後も頑張りましょう。旦那様」チュッ
支えるのも番の役目。気負い過ぎる必要なんてない。持ちつ持たれつなのだから…… - 784 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 03:29:38.43 ID:DzmNJCci0
- ―――とある未来(二日目)、PM11:10、英国、ウォータールー駅付近・とあるマンション一室・・・・・・
風呂を終え男性が後から寝室に向かうと、妻が再び例のファイルを読み耽っていた。
アニェーゼ「ふむ……やっぱ洗っても良いみたいですね。受精とは関係無いみてぇです」フムフム・・・
香焼「あはは。何だか子作りの為に勉強してるってのも、妙な絵っすね」クスッ
アニェーゼ「真面目なんですよーだ。お風呂も問題無し……寧ろ洗わないと性病も有り得るかぁ」
香焼「痒くなったりするらしいからね。でも洗い過ぎも身体に良くないんじゃない?」
アニェーゼ「んー……そうみてぇです。オリアナ凄ぇ」オー・・・
感謝する立場だが、つくづくあの人が普段何をやってるか分からない……
アニェーゼ「えっと……此処かな」スゥ・・・クチュ・・・
香焼「っ?! 何してんの!?」
妻が自分で秘部に手を突っ込む所を初めて見た。
アニェーゼ「……ん」クンッ
香焼「……」ポカーン・・・
アニェーゼ「成程……分かりました」スッ・・・
香焼「……何が?」アゼーン・・・
アニェーゼ「コーヤギがさっき押してたとこ」ニコッ
香焼「あ、うん、そう……」アハハ・・・
態々自分で調べるのか……その大胆さに驚きだ。
アニェーゼ「さて」パタンッ「……続き、しましょ!」
香焼「分かった……で、どうする? さっきと同じ要領でいい?」
アニェーゼ「お任せします。ローションは、まだまだ有るみたいですしね」
香焼「そうっすね……じゃあ、横に」スッ
アニェーゼ「いや、今度は私から……頑張らせて貰います!」フンヌッ!
香焼「……あはは」タラー・・・
不安だ…… - 785 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 03:57:34.35 ID:DzmNJCci0
- 女が男の股ぐらへ顔を近づける。先とは違い殆ど勃起していない状態だ。
アニェーゼ「……」ジー・・・
香焼「いや、ホント、苦手なんでしょ? 無理しないでね……」ゴクリ・・・
まだ回数が少ない頃、思いっきり歯を立てられて苦悶した覚えが残っている。正直、おっかない。
アニェーゼ「待ってて……えっと、お湯を口にっと……」クイッ
香焼「……アニェーゼさん?」
アニェーゼ「……ふぇいっ!」パクッ!
香焼「っ!?」ビクッ!
生温かい感覚が陰茎全体を包む。歯は多少擦れるがスルリと動く。見る見るうちに、倍の大きさに膨張。
ジュルジュルという卑猥な音を立て、女性は愛撫を続けた。
香焼「アニー……何これ」キュゥ・・・
アニェーゼ「ん」ジュブジュブ・・・ピッ
ファイルを指差す……歩く18禁さま。トンデモ無い事を書かれる。
この子は覚えた事を何でもすぐ実行したがる小学生の様な思考なのだから、内容を考えて欲しいものだ……嬉しいが。
アニェーゼ「んっ……ふぉう? (どう?)」レロレロ・・・
香焼「んー……感想言わせないでよ」アハハ・・・
アニェーゼ「ひふもふぁはひひひふふへひ。(いつも私に聞くくせに)」ニヤニヤ・・・
アダルトビデオでは無いのだ。そんなもの男に言わせるな、と照れてしまった。
暖かく、気持ち良い……いつもとは違い、ペニス全体を覆う愛撫感覚。
普段のぎこちない舐めて吸うだけのフェラチオも可愛いものだが、コレはまた新しい快感だった。
アニェーゼ「……もぉ、おっひい。(もう、おっきい)」ジュルルル・・・
香焼「あははは……んっ。もういいよ」ピクッ・・・ナデナデ
アニェーゼ「んー……はひへほひぃへほ? (出しても良いけど?)」ピチャピチャ・・・ニヤッ
香焼「止めといた方がいいよ。口の中、お湯と精子で大変な事になると思う……あと、今、魔(精)力直接口にしたらヤバいんじゃない?」
アニェーゼ「……ん」ピタッ・・・コクン
男性の説得に頷き、女性は愛撫を止める。
そして口内からお湯を垂れ流しつつ、空のゴミ箱へ吐き出した。 - 788 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 04:38:06.47 ID:DzmNJCci0
- 女性はアイスティーを一口飲み込み、夫に微笑んだ。
アニェーゼ「やればできるでしょ?」ニコッ
香焼「あはは」クスッ
アニェーゼ「別に口内発射されるのは問題無ぇんですけど……魔力オーバーフローしたら拙いですからね」
精子を飲み込む……つまり身体の血潮になってしまう。膣内発射とは訳が違ってくる。
香焼「じゃあ次、横になって」ペタンッ・・・
アニェーゼ「ん……またローション? すぐ始める?」
香焼「悪いけど、心配だからね。コレは譲れない……あと愛液出さないとローションだけでも不安かな」コクッ
アニェーゼ「……ホント、呆れる程御人好しってぇか、心配症ってぇか」ハァ
裂傷なんぞ負わせたくは無い。
男はまたローションを掬い、女性の秘部にあてた。そして満面なく塗り込む。
更に、今度は女性の身体側面をなぞる様にして小柄な乳房を掴んだ。
アニェーゼ「っ! ……何するの?」
香焼「……さっきの確認してた所、プラス、乳首(ニップ)」スゥ・・・カプッ
アニェーゼ「ひゃんっ!?」ビクッ!
男性の指が秘部へ侵入……加え、乳首を甘噛みされ小さく身体が跳ねてしまった。
再び丹田裏をなぞった所に有る『凹み』、所謂Gスポットに指が触れる。
香焼「ん……」ジュブッ・・・クイッ
アニェーゼ「んんっ!! あっ……ヤバ……」ピクッ!
香焼「ちなみに……今度は止めないからね?」ニコッ・・・カプッ
アニェーゼ「っ!」カアアァ・・・///
女性は先程の刺激を思い出し、色々危険を感じた……だがしかし、ファイルで読んだ事も思い出す。
アニェーゼ(くぅっ……『我慢して声を出さないのはナンセンス。防音環境やラブホであれば恥ずかしがらずに声を出せ』かぁ)ピクッ!
追記……『更に女性は男性より上手く、性交中に演技が出来る生き物。演じて上げるのもムードアップの一つだわ♪』との事。
女性は腹を括って、声を出してみる事にした。 - 789 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 05:19:28.51 ID:DzmNJCci0
- アニェーゼ「ん……あっ! んんんっ! いぃ……もっとぉっ」ビクッ
香焼「っ!? ……ペース上げるよ」クンックンックンックンッ・・・
アニェーゼ「んんんっ! ひゃんっ!! (ヤバッ! 本当に上げてきやがりました……効果有るんですね)」ビクッ!
声に加え、多少身体もオーバーに反応させてみる。
すると、ますます男の指は早くなり、乳房へのしゃぶり付きも激しくなった。鼻息も荒くなったのが分かる。
アニェーゼ「うぐぅ! こうやぎぃっ! ヤバいよぉっ!! (うわっ……ちょっとマジで、ヤバいし……)」ギュウゥ・・・
香焼「……っ」ピチャッピチャピチャピチャピチャッ・・・
アニェーゼ「イぃっ!! んんぅっ!! ッ~~~~っ!! (あれ……ホントに……演技出来ない……トぶかも)」ビクンッ!
互いに勢い付いてしまったのか、男はGスポットへの攻めを早める。更に乳房を舐めていた舌が何時の間にか、女の口の方へ移動していた。
女性ももはや意識を保つのがやっとだったが……男の舌が口内に侵入したのを期に……
アニェーゼ「ああぁっ!! だめぇっ! やめ……っ~~~~ッッッ!!! (イ……くってば!! やめろ!!)」ビクッビクッ!
香焼「ハァ……んっ!」レロレロ・・・グチュグチュッ!
アニェーゼ「ひぁっ! も、らめっ!! こゃぎ、すとぷっ!! ヤァああぁっ!! ッッッ!!(あ……駄目。これ、イく……)」ビシャッ!
此処に来て女性は達した。だが、終わらない。
アニェーゼ「ちょっ……や、今っ!! イってるのにぃっ!! 続けないでよぉっ!! (おま、マジ……止めて……)」ジョバッ・・・グンッ!!
女性の声と絶頂で身体を逸らしたのに気付きつつも、男は容赦無く続けた。首下を舌で愛撫し、指は休む所を知らない様に動き続ける。
そして……女性は己の身体の変化に気付いた。
アニェーゼ「ッ~~~……い、ぁ……」ビシャビチャッビチャッ・・・・カアアァ・・・///
香焼「……ふふっ」ヌチャヌチャヌチャヌチャ・・・
アニェーゼ「こ……やぎ……もしかして……」ピシャァッ・・・ビショッ・・・ピッ・・・ピッ・・・///
香焼「自分で見える?」クスッ・・・クチャクチャクチャ・・・
見たくないし、言葉にしたくない現象。
火が出そうなくらい真っ赤になる女性を見て、男性は徐々に手を緩めて行った。
香焼「初めてっすね。潮出たの」ニコッ・・・
アニェーゼ「ハァ……ハァ……っ! アホ!! 変態!! 死ぬかと思った!!(演技すんじゃ無かったぁ……)」カアアァ・・・///
潮を吹いたのは、絶頂の少し後。という事は……
アニェーゼ「ふぅ……この野郎ぉ……恥ずかしめやがってぇ……」カアアァ・・・///
香焼「いやぁ。アニーがノリノリだったから、つい」アハハ・・・
畜生……やっぱりさっき搾ってやればよかった、と女性は後悔した。 - 790 :If.アニェーゼ・アフター2011/02/06(日) 05:57:24.92 ID:DzmNJCci0
- アニェーゼ「演技試したのは失敗だったな。オィ、今度さっきのやったら……遠慮無く[あぼーん]からな。この[ピーーー]野郎……」ギロッ
香焼「演技って……あと、アニー……地が出てる」アハハ・・・
アニェーゼ「あ……こほんっ。兎に角、やめてくださいね」ドドドド・・・
素のアニェーゼの事を、アンジェレネ命名で路地裏モードと呼んでいる。
アニェーゼ「あ、演技って言ってもアレですから……イったのはマジでしたよ」ムゥ・・・///
香焼「そ、そう……気もち良かった?」ニヤッ・・・
アニェーゼ「さっきAVじゃねぇんだからそういうの聞くなっつったの、コーヤギでしょうが」ハァ・・・///
反応で分かった。気持ち良かったらしい。
香焼「でも、『その後(潮)』はそうでも無いの?」
アニェーゼ「……それなりですね。でもアソコ(Gスポット)弄られてりゃあ嫌でも出ますっての」
が出る、と同じ理屈だろう。女性はそう思った。
香焼「んー……後でファイル読んでみよっと」
因みに……『個人差だけど、半分くらいは達して射精(潮吹き)よ』だそうだ。
あと『気持ち良い≠愛液』の理論は少ないケースであり、例えば気分が乗らない時、そして強姦されている際等、だという。
正しくは『オーガズムは気・分状況で変わるけど、愛液(膣分泌液)は絶対出るものよ……膣内を傷つけ無い為にもね』らしい。
アニェーゼ「まぁ久しぶりに達せたんで……少しは、嬉しかったですよ……どーも」ボソッ・・・
香焼「ははは。ま、自分もアニーの感じ易いポイント掴めたからOKだよ」クスッ
アニェーゼ「っ!! 弩スケベ!! 恥ずかしかったんだからっ!!」マッカッカァ・・・///
香焼「演技でも声出してくれたのは嬉しかった。でも可愛かったなぁ」ニコッ
アニェーゼ「どどどっどど、ど、どうかしてます!!」カアアァ・・・///
こういう反応も初々しくて飽きないなぁ、と男は喜んだ。
さて……そろそろ休憩も終わり。本番に移ろう。 - 791 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 06:30:47.87 ID:DzmNJCci0
- ―――とある未来(二日目)、PM11:45、英国、ウォータールー駅付近・とあるマンション一室・・・・・・
飲み物を入れた後、再び男は女性を寝かせた。
キスをしながら女性の陰部を触ってみたが、一回目に挿入した時よりも濡れている……多分ローション無しで問題無く入るだろう。
香焼「アニー、まだちょっと疲れてるでしょ? あんまり飛ばさないから」
アニェーゼ「うん……ありがとです」ニコッ・・・
香焼「……挿るよ」スリスリ・・・ジュブブッ・・・
アニェーゼ「くんっ……ふぅ……大分、楽ですね」フゥ・・・
香焼「あと演技しなくてもいいよ。十分可愛いから」パンッ・・・パンッ・・・
アニェーゼ「まぁ……んっ……本当に気持ち良くなったら、さっきみたいに声出しますよ」ヌチュ・・・グニュ・・・
香焼「恥ずかしく……ないのっ」グチュ・・・ズンッ!
アニェーゼ「外に聞こえる訳じゃ……ぁっ……無ぇですからね」クチュ・・・ジュブッ!
どうやら本当に楽なようだ。顔が苦痛そうでは無いし、会話をする余裕も有る。
男は幾らかスピードを速めた。二人の影は重なり、揺れ動く……
暫く、会話は無かった。唯只管(ただひたすら)、互いを感じ合った。
吐息。嬌声。肉が擦れる音。ベットが軋む音……
香焼「アニー、大丈夫?」パンパンパンパンッ・・・
アニェーゼ「大丈夫……ふぁっ……でも、ちょっと……んっ」ジュブジュブジュブジュブッ・・・
香焼「どうしたの?」パンパンッ・・・パン・・・
アニェーゼ「いえ、その……っ……脚が疲れたかなって……でも気にしねぇで良いです」グチュチュチュ・・・アハハ・・・
……成程。先程から負荷を掛けたままだ。ずっとそのままでは辛いだろう。
男は少々考え、数度腰を動かした所で一旦止めた。そして繋がったままで女を抱き抱える様にし、身体を起こしてやる。
アニェーゼ「ひゃ……んっ」グイッ
香焼「座位(こっち)の方がいくらか楽かな」ニコッ・・・
アニェーゼ「あぅ……気にしねぇで良いですって、言ったのに」ムゥ・・・ギュッ
香焼「あはは」クスッ
女性は男の顔が見れて嬉しさ半分、恥ずかしさ半分といった表情を見せた。 - 792 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 06:42:17.72 ID:DzmNJCci0
- 更に、女性は己の脚で男性の腰をガッチリとホールドし、微笑みながら顔を近づける。
アニェーゼ「もぅ……んっ」チュッ・・・
香焼「ん、ぁ……」レロ・・・「……動かすよ」グィ
アニェーゼ「はぃ……あっ」ギュゥ・・・ヌチョ・・・
上下に揺れる女の表情は先程よりも、柔らかい。
香焼(やっぱ上下の方が痛くないのか。体重乗せないからかな)パンッパンパンッ・・・
アニェーゼ「ひぁっ! ゃ、んっ……くぅっ」ギュウゥ・・・
激しくなるピストンに対し、女のしがみ付く腕の力と嬌声が強くなってきた。
次第に女性の方からも腰を上下に動かし出す。
香焼(黒妻さんが言ってた『S』と『淫乱』ってヤツかな)ヌチャックチャッンチャッ・・・
アニェーゼ「いぃ……んんっ!」ジュブッジュブッズブッ・・・
セックスの際の受け身の傾向。『S』と『淫乱』。『M』は無いらしい
『S』というのは、言葉恰好での誘いで男を駆り立てるタイプ。
『淫乱』というのは、動いてると相手も勝手に動き出すというタイプ、との事。
香焼(あはは……どっちにしろ、そろそろイきそうだから助かるけどね)グッ・・・
並より『早め』の自分を恨む。
妻も女性としてはそれなりに達するのは早い方……しかし、それよりも早い己の生殖器。虚しい。
香焼「ん……アニー。そろそろ……」グンッ!
アニェーゼ「ひゃ、ぃっ……ろぅぞ……んんっ!」ビクッ!
押し倒す様な形で前のめりになり、再び体重を乗せる形へと移行。
妊娠を目的とするなら、座位よりも正常位・後背位の方が良いだろうと考えた故である。
女性の方も大分慣れてきた様で、あまり痛がる様子は無かった。
アニェーゼ「いっ! んうぅ……あぁっ!」ギュウゥ・・・
香焼「ふっ……」パンッパンパンパンパンッ!
アニェーゼ「ひゃぃっ!! もと、ゆくりぃっ……んんっ!」ジュボッヌジュグチュズブッ!
言葉は届かない。女性を服従させるかの様に、男は激動した。 - 793 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 06:54:18.41 ID:DzmNJCci0
- そして……
香焼「っ……出すよ」グッ・・・
アニェーゼ「っ……も、ちょと……がんばてっ! ぁ……んっ!」ピクンッ!
自分も達するかも、そう思い女性は告げる。しかし……
香焼「……っ」ビクッ・・・ドグンッ! ジュブッ!
アニェーゼ「くうぅ……んっ! ん……あぅ」ピクッ・・・トローン・・・
膣内にドロリと精液が絡まる。残念ながら、言うのが遅かった。
まぁ仕方が無い。一旦休もう……女がそう考えた次の瞬間だった。
香焼「……まだ、動ける」ニコッ・・・ズンッ!
アニェーゼ「えっ! あ……んぐっ!!」ピクッ!
射精後、男性器が萎えるまでスパンがある。その間に、男性は続けた。
アニェーゼ「いっ! あ……ぃ……っっ!!」ズンッズンッズンッ!!
香焼「はっ……んっ……声、出して良いよ」ギュウゥ・・・
アニェーゼ「ひぅ……あああぁっ! こ、やぎっ!! んんんっ!! ッ~~~――」ギュウゥ・・・―
シーツを掴む手に力が籠る。そして……
アニェーゼ「――んんっ!! イっち……やぁああああああっ……っ……ぁ~~~~ッッッ!!」ビクッ!! ピクッ・・・ピクッ・・・
……声に為らない叫び。
香焼「ハァ……ハァ……ん」スゥ・・・チュッ・・・
アニェーゼ「っ……ふぁあ……あぅ……」ギュッ・・・
香焼「おっと……アニー?」グィ・・・
軽いキスの後、性器を抜こうとした瞬間……女に抱き締められた。
香焼「おっと……どしたの?」
必死に伝えようと男の腕を掴み、呂律が回らない状態ながらもボソリと答えた。 - 794 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 07:01:21.93 ID:DzmNJCci0
- アニェーゼ「まだ……ぬいちゃ、やめ」ボソッ
香焼「駄目って、何で?」キョトン・・・
女は弱々しく腕を動かし、ファイルを指差す。
アニェーゼ「んっ……発射した後……すぐ抜くなって」クテン・・・
香焼「成程、分かった」ニコッ
確かに今回は唯の快楽目的の性交ではない。彼女は自分が見て無い時に、じっくり妊娠の項目を読み込んでいたのだろう。
……それから暫く、二人は繋がったままだった。
香焼「……落ち着いた?」フゥ・・・
アニェーゼ「んー……まだ、ぼーっとします」トローン・・・
香焼「いつもよりは痛がって無かったね。あと自分は満足できたけど、それなりにアニーも満足できたんじゃないっすか?」
アニェーゼ「うーん、二回イけましたからね……まぁでもやっぱオリアナの御蔭でしょうねか」ハハハ・・・
確かに……本当に感謝だ。
アニェーゼ「コーヤギも……長持ちしやがりましたね。いつもよりは」ニヤッ・・・
香焼「長持ちって言うか……『根性』でカバーしたんだよ。射精後も続けられるもんだぞって、浜面さんが言ってた」
アニェーゼ「……ホント、碌な知識吸収してきませんね」ハァ・・・
自分なりに頑張っているのだ。それなりに評価して貰いたいモノだが……まぁ今はいいだろう。
香焼「さっき湯船張り直しといたから、そろそろ行こ」ニコッ
アニェーゼ「はい……ねぇ、――」ギュッ・・・
ハッとする。名前で呼ばれた。
香焼「うん。何?」ニコッ・・・
アニェーゼ「赤ちゃん……出来たらいいね」ニコッ・・・
香焼「そうだね……」スゥ・・
女性のお腹を撫でてやる。擽ったそうに微笑む……その直後、女の表情が少々曇った。 - 795 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 07:31:49.56 ID:DzmNJCci0
- アニェーゼ「……あのね、アナタは自分の遺伝で被爆の心配してたけど……私も『遺伝』の心配、有るんですよ」
香焼「え? 何か病持ってたっけ?」
記憶には無い。彼女も隠し事はしてない筈だが。
アニェーゼ「……ヴェントに、言われちました。もしかしたらオマエの子供も『特殊魔力』持ちになるかも、だそうです」
香焼「特殊って……アニー、特殊なの?」ム?
アニェーゼ「まぁ並では無ぇです。魔力量も常人以上ですし……ほら私、昔に『鍵』にされかけたでしょう」
香焼「……アドリア海の時か」フム・・・
特殊魔力……という事。
香焼「レアスキル持ち……」
アニェーゼ「そういう人間は本人の意志とは関係無く、狙われます……まぁあくまで『仮定』の話に過ぎねぇですけどね」
その遺伝は自分の被爆と同じ確率くらいだろう……多分。
香焼「でも……何が何でも守るさ」チュッ
アニェーゼ「ええ、私『達』を宜しくね……『papa'(パーパ)』」チュッ
イタリア語で、父。
香焼「分かったよ、『mamma(マンマ)』……お風呂行こうか」スゥ・・・チュッ
イタリア語で、母。
アニェーゼ「っ! ……そうですね」クスッ
香焼「ふふっ。じゃ、抜くよ……また先に温度見とく。後からおいで」ファサッ・・・ナデナデ
エチケットは忘れない。
精液を拭き取る所を見られたい女性は、そうそういないものだ。寒くない様上着は渡し、一声掛けて一人にしてやる。
アニェーゼ「……ふふふ。『bebe'(ベベッ)』……マンマですよ」サスサス・・・
気が早いとは思いつつも、覚悟を決めた夜だ。期待せずにはいられなかった。
女性は赤ちゃん赤ちゃん、と何度もお腹を摩り続ける。一児の母を夢に見て…… - 796 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 08:05:44.76 ID:DzmNJCci0
- ―――とある未来(2か月後)、PM00:30、英国、ウォータールー駅付近・とあるマンション一室・・・???side・・・
ピンポーン・・・・・
アニェーゼ「はーい」パタパタパタ・・・「どうぞー」ガチャッ
ルチア「……こんにちわ」ペコッ
アニェーゼ「いらっしゃい」ニコッ「どうぞ上がって」
ルチア「……お邪魔します」
この部屋を訪問するのは二度目。
始めは引っ越しの際の手伝い。それ以来数年間、一度も足を運ばなかった。
アニェーゼ「コーヒーと紅茶、どっちが良いですか?」
ルチア「お構いなく」キッパリ
アニェーゼ「あはは。相変わらずですね」
足を運ばなかったというよりも……運べなかった。
理由はアレコレ有るが、実際は単純な感情……残念だった。彼女が私の傍から離れる事が。
アニェーゼ「突っ立ってないで、炬燵入って下さい。座椅子有るでしょ?」テクテク・・・スッ
ルチア「……」モゾモゾ・・・
アニェーゼ「一回入ると抜けれなくなる魔術が掛ってやがるんですよ。その机は」フフフ・・・
ルチア「シスター・アンジェレネ達の妄言でしょう。付き合う気はありません」モゾモゾ・・・
アニェーゼ「そう言いつつヌクヌクしてんじゃねぇですか」ハハハ
気の所為だ、多分。
さておき……今日呼ばれた理由。大事な話があるとの事。
アニェーゼ「蜜柑食べます? あ、ルチアはオレンジ剥いた方が良いですかね」モグモグ・・・
ルチア「シスt……失礼。『ミセス』、本題をどうぞ」
そんなつもりは無いのに……ワザとらしく、厭らしく、突っかかるように……言ってしまう。
目の前の彼女は蜜柑の粒を口に放りながら、呟いた。 - 797 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 08:20:36.67 ID:DzmNJCci0
- アニェーゼ「もう……やめましょ。こういう関係」
ルチア「理解し兼ねますが」
アニェーゼ「特にアンなんか可哀想です……私達の前で空騒ぎしてみせて」
ルチア「……」
他人行儀。
ルチア「……私はいつも通りです」
素直になれない。
ルチア「話はそれだけですか? それならば私はコレで」スッ・・・テクテク・・・
アニェーゼ「ちょっ!」
また……向き合えなかった。此処まで来て……何も言えなかった。
ルチア「失礼しまし―――」テクテク・・・ガチャッ
アニェーゼ「『Sorella(ソレッラ)』!!」
ルチア「―――っ」ピタッ
シスターではなく……
アニェーゼ「……言ってやりましたよ。こん畜生!」ハァ・・・
姉。そう言った。
アニェーゼ「今まで……ありがと」ニコッ
ルチア「っ……」
この言葉は二度目……結婚式前夜の日だ。 - 798 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 08:33:26.82 ID:DzmNJCci0
- アニェーゼ「……母に、なります!」
ルチア「……」クルッ・・・テクテク・・・
アニェーゼ「陰ながら気に掛けてくれたのは知っていました。でも……中々言えなくて……ごめんなさい……」ポロポロ・・・
ルチア「……」テクテク・・・ピタッ
アニェーゼ「二番目に……伝えたかったの……旦那の次にね」ポロポロ・・・ニカッ!
ルチア「っ」グッ・・・
アニェーゼ「直接、伝えたかった……時間取らせて、ごめんね」ポロポロ・・・
この子は……いや、私達は……
ルチア「とんだ……馬鹿『姉妹』ですね」ポロポロ・・・
アニェーゼ「ふふっ……まったくです」ゴシゴシ・・・ニコッ
おめでとう……『妹』よ。
ルチア「……いつまで此処に」スッ・・・
アニェーゼ「あ、えっと……出産は英国でするつもりです。それまでは此処に」
ルチア「……そう」ニコッ
アニェーゼ「コレも先に報告すべきでしたが、勤務先も変わります。日本の新オルソラ教会の方に」
ルチア「日本で暮らすのですね……ミスタの実家ですし、丁度でしょう」
アニェーゼ「ナガサキからは大分距離有りますけどね」アハハ・・・
英国よりは近い。そちらの方が良かろう。 - 799 :If.アニェーゼ・アフター[saga]:2011/02/06(日) 09:11:59.99 ID:DzmNJCci0
- ルチア「今(妊娠)どれくらいで?」
アニェーゼ「一ヶ月半でまだまだです……最初は生理不順かなぁって疑ったんですけど、やっと出来ました」エヘヘ・・・
ルチア「そうなのですか」
アニェーゼ「本格的に子作り始めた後でオリアナ……『結局は運が大きいわよー☆』なんて言いやがりましたから、ハラッハラしてました」
ルチア「そう……これから大変でしょうけど、頑張りなさい」ニコッ
アニェーゼ「はい」テレェ・・・
ルチア「……ミスタは、帰ってくるんですよね」
アニェーゼ「絶対二週に一度は帰る様にしてもらえたようです」
ルチア「……んのアホ餓鬼」ギリッ・・・
アニェーゼ「え、えっと……一応、出産予定の一週間前後は必ず付きっきりになれるよう、クロヅマが配慮してくれてます」
……まぁ此処は本人に言うしかないだろう。この子に言っても無駄だ。
ルチア「分かりました。これから九ヶ月くらいですね……頑張りましょう」フフフ
アニェーゼ「順調にいって欲しいですね……頑張りましょう?」
ルチア「毎日通いますから」ニコッ
アニェーゼ「」チーン・・・
ルチア「まずベビー用品は当分後ですから、今はお腹の中の子供に栄養を与えないといけませんね」
アニェーゼ「ちょ、る、ルチアさーん……」タラー・・・
ルチア「アナタは極力動かない事! 私やアンジェレネで買い物します! ああ、そうそう。それから……口調矯正ですよ」
アニェーゼ「げっ」ウヘェ・・・
ルチア「それです! 子供が真似したらどうするのですか!? 英語ならクイーンズ。イタリア語ならローマ圏を。日本語なら皇族国語を!」
アニェーゼ「そ、それは大丈夫なんじゃねぇですかねぇ……あはは……」
ルチア「ミスタには申し訳ありませんが……子供は成教徒ですよ! ああ、そうだ! 是非に教皇様から直々にベールを!」
アニェーゼ「……」ポカーン・・・
ルチア「ヴェント氏に頼めばすぐに動いてくれる筈! 彼女も直属の部下の願いなら断れないでしょう!」
アニェーゼ「……ルチア。落ち着いて」ドゥドゥ・・・
ルチア「あ……失礼。興奮してしまいました」コホンッ
兎に角……
ルチア「……何でも頼って下さい。一、姉としてね」ナデナデ・・・ニコニコッ
アニェーゼ「ふぁあっ!? う、うんっ!! あ、ありがてぇです!! ……ありがと。よろしく」ドキドキ・・・ニコッ
彼の者達に、祝福を……まだ見ぬ赤子に、幸多からん事を…… - 800 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/06(日) 09:38:05.74 ID:DzmNJCci0
- ―――とある日、とある時間、日本・学園都市第7学区・とある病院地下特別室・・・・・
垣根「―――やべっ……『パーパ』と『パパァ』じゃ大違いだ。まぁ日本人には分からないからいいかな」カキカキ・・・
テレス「まぁた何か書いてるし……今度は何? Vシネでも作るの?」ハァ・・・
垣根「ヤクザ風な野郎は出てくるが……どっちかってと純愛だ。うん」
テレス「似合わね」ウヘェ・・・
垣根「勝手にほざいてろーっと……よしっ! 1シナリオ片付いたぜ」
テレス「てかアンタ、どっからエロ知識持ってくるの? やっぱ家電達との感覚共有で覗き見?」
垣根「色々あんのよー……ふぁああぁ……寝る。お休み」コテン・・・
テレス「オールで書きモノかよ。学生かっつぅの」
垣根「学生だっつの、一応」
テレス「だっけ? まぁどうでもいいや。それより……」
垣根「あん?」
テレス「罰ゲーム、どうすんの?」
垣根「あー……そうだなぁ。アンケートで良いんじゃね?」
テレス「あいよ。って事で……協力宜しくお願いします」
垣根「手加減してねー。それじゃ、バイバーイ!」ノシッ! - 806 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/08(火) 19:16:55.87 ID:0fYzOevd0
- ―――とある休日、AM09:30、学園都市第7学区、とあるアパート一室(固法・柳迫宅)・・・固法side・・・
固法「―――……ええ、はい。大丈夫ですって」
黒妻『まぁ、もう止めないが……あまり険悪になる様な事するなよ?』
固法「心配症だなぁ。二人とも私と同い年くらいなんでしょ? 問題無いですって」クスッ
黒妻『分かった。兎に角、終わったら連絡しろ……あ、最後に』
固法「はい」
黒妻『聞いて良い事と、悪い事……有っからな。気をつけろ』
固法「……それじゃまた後で向かいます」Pi!
そこの所は分かっているつもりだ。一応私も元スキルアウトの端くれ。先輩の言葉から察するに相手はカタギでは無いと思われる。
だがしかし、そこの所を根掘り葉掘り探る気は毛頭無い。あくまで二人に会って話がしてみたい。それだけだ。
もしそこで途方も無い『悪』であるなら、風紀委員(ジャッジメント)として少々考えモノだが……
固法「まったく……さて、そろそろ行きますか」パタパタ・・・
柳迫「あれ? 美偉、お昼からじゃなかったの?」アルェ?
固法「支部寄ってから行くから丁度良いかなって」
柳迫「成程ね……って、私服で良いの?」
固法「一応非番だから、顔出す程度だし。あ、今日帰りは……」
柳迫「はいはい。旦那さまの所へ直行ですね? 分かってますよー。お帰りは明日の昼くらいかしら?」ニヤッ・・・
固法「……」モゥ・・・///
柳迫「やれやれ。まぁ頑張れ新妻よ」ニヤニヤ・・・「学生のうちはちゃんと避妊しなさぶべらぁっ!!」モフッ!!
固法「アホ!! 行ってくる!」バタンッ!!
柳迫「痛て……低反発枕は結構堅いのよ?」ンモー・・・「行ってらー」ウィウィ
私は今から……麦野沈利さんと、神裂火織さんに会いに行く。 - 807 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/08(火) 19:30:15.73 ID:0fYzOevd0
- ―――同日、AM10:15、学園都市第7学区、風紀委員第一七七支部……
―――昨日午後六時過ぎ、第7学区○○駅モノレール下で通り魔事件が発生しました。
襲われた警備員も含めると、今回で被害者は8名。死者は出ていない模様です。捜査によると、突然皮膚が切り裂かれ……
初春「うーん……厄介です。最近またこの手の輩が増えてきましたね」ハァ
白井「被害証言によりますと『音が聞こえなくなった』とだけ。アバウト過ぎて特定しづらいですわね」ポリポリ・・・
御坂「死者無し……殺傷能力は無いのか。それともタダの狩り(ゲーム)感覚かも」ンー・・・
白井「……お姉さま。民間介入は御法度ですのよ」ジトー・・・
御坂「え!? あ、いや、あはははは……」タラー・・・
佐天「でも狙われてるの無能力者や低能力者なんでしょ? 最低だよね……弱い人ばかり狙うなんて」
初春「まぁ犯人(ホシ)の強度(レベル)も不明なんですけどね」
いつものように支部を溜まり場にしてだべっている後輩達。
最近起きている通り魔事件について話し合っている様だ。殊勝な正義感なんだか、暇潰しがてらなんだか。
固法「どちらにせよ、警備員の警戒レベルも上がるみたいだわ。そこの『一般学生』さん達は、ちゃんと下校時刻は守る事」ジトー・・・
佐天「ははは。すいません、入り浸りで」タハハ・・・
固法「今更だけどね」クスッ「あ、そろそろ行くわね。鍵宜しく」スッ
初春「はい。お疲れ様です」
佐天「用事ですか? あ! もしかしてぇ……旦那さまぁ?」ニヤニヤ・・・
固法「残念。香焼くんと最愛ちゃんのお姉さん達、でいいのかな? とお食事よ」ニコッ
御坂「っ!!?」ガタッ!?
一同『え?』ポカーン・・・
御坂さんが形相を変え、いきなり立ちあがった。
御坂「……最愛って、あの超々チビっ娘ですよね」
固法「ええ。チビって皆と大して歳は変わらないわよ」クスッ
確かに体格は小さいが、白井さん達と同い年だったと思う。 - 808 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/08(火) 19:39:06.01 ID:0fYzOevd0
- 御坂「姉って……どの姉ですか?」
固法「どのって、麦野沈利さんだけど。知り合い?」
御坂「……」ボー・・・
考え込むような遠い目線。心此処に在らずといった感じ。
白井「お姉さま?」
御坂「え、いや、何でも無い……」スッ・・・
初春「ふふっ。姉っていうか、保護者会議ですね」
固法「本当は那由他ちゃんと打ち止めちゃんの身内の方も呼んだんだけど……」
忙しいらしい。仕方あるまい。皆忙しい人達ばかりだ。
麦野さんと神裂さんが足を運んでくれるだけでも僥倖だろう。
白井「那由他……先進教育局、特殊学校法人RFO所属のエース風紀委員の木原那由他ですの? またお子さん増えたのですわね」クスッ
固法「そういう言い方嫌いよ?」ンモー・・・
御坂「ってじゃあ……テレスティーナも参加!? てか打ち止めの保護者で私誘われてませんよ!!」
固法「テレスティーナは忙しくて来れないそうよ。打ち止めちゃんって……御坂さんは保護者じゃないでしょ?」
御坂「うっ……じゃあ誰を?」
固法「『彼』か黄泉川先生、芳川さん。でも皆来れないって」
御坂(一応、無理言ってでも付いて行くべき……いやでも、『第4位(原子崩し)』が来る……)ウーン・・・
納得いかない様な顔をする御坂さん。
固法「もう少し大人になったら呼んであげるわね。それじゃあ後宜しく」テクテク・・・
白井・初春「「はーい」」ペコッ
佐天「また月曜日にー……ん? 御坂さん?」キョトン・・・
御坂「……」ムゥ・・・
支部を後にし、目的地であるファミレスまで歩いて向かう事にした。 - 809 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/08(火) 19:54:48.14 ID:0fYzOevd0
- ―――同日、AM10:30、学園都市第1学区、マンション・『ニューディレクターズ』一室(香焼宅)・・・香焼side・・・
香焼「……」カタカタカタ・・・
浦上「―――でね! フェンシング部の子に『是非とも入部を!』って」ワシャワシャ・・・アハハ!
五和「そりゃ建宮さんから直々教わってるウラに敵う娘いないっしょ! 第一彼女達フルーレでしょ? ウラはエペじゃないっけ?」パチンッ
相変わらず喧しいのが居座っている。
浦上「フルーレ・エペは殆ど関係無いかな。彼女等は能力者! しかし私は負けない! 念動力者の変則刺突をこう、クイッとね!」
五和「やるぅ!! ま、でも私の方が強いけどねー」ウフフ!
浦上「ぐっ……お姉の海軍用船上槍(フリウリスピア)と私のドレスソードが相性悪いでしょうが!」ンモー・・・
五和「あっはっは! 悔しかろう!」
香焼「……」カキカキカキ・・・
五和「って、コウちゃん。いい加減無視すんの止めて。折角ツッコミ待ちで髪弄ってるのに……PC叩き割るよ?」
浦上「ほら鏡。ミニポニテの自分は如何かしら? ……無視続けるならナイフコレクション荒して良い?」ムゥ
突っ込んだら負けだろう。
香焼「……此処に居る事が間違いだと気付かない? てかPC割ったら対馬さんに頼んで頭叩き割って貰う。ナイフ弄ったら目ん玉抉る」ギロッ
五和・浦上「「やってみろー!」」ヤーイヤーイ!
香焼「ハァ……言っても無駄かぁ。つぅか今日来るなって言ったのに……」ハァ
浦上「ねぇねぇ、それより私ね! 今や学校で一二を争うフェンサーよ?」ドヤッ!
このアホは、目立って任務に支障が出るとは考えなかったのだろうか。
浦上「なにぃ!!? それは盲点だった!!」ウワアアァッ!!
五和「ウラは間抜けね。そうそう! そう言えば私バイク支給して貰った! 玄関先に停めてたけど見る?」
浦上「何……だと? お姉だけ何故そんな特権を!!?」ズリー・・・
五和「ふふふ。色々手廻ししてますから! あとは実力ですよん。あのね、ビックスクーター! 都市製の最新モデル!」ニコッ
どうやら朝聞こえたバイクの音は五和のモノだったらしい。
てかコイツに実力あるのは認めるが、自分で言う辺りが腹立たしい……調子乗るなと言わんばかりに、意地悪言ってやった。 - 811 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/08(火) 20:25:35.78 ID:0fYzOevd0
- 香焼「このマンション、無断駐車駐輪即行持ってかれるっすよ」カキカキメモメモ・・・
五和「ぎゃー!! 退かしてくる!!」ガタッ!
手前のポリンキーをブン投げ、窓から飛び降りバイクを退かしに行こうとする残念オツム女。
流石に『その恰好』で外に飛び出されても困るので止める事にした。因みに飛び降りについては突っ込まない。多分、五和死なない。
香焼「嘘だっつの……でも邪魔にならないとこ置けよ。自分が怒られるんすから」ハァ
五和「何だと……くっ……やるね、コウちゃん。姉ちゃん吃驚した」ホッ・・・
落ち着きを取り戻し再びドカッと座る五和。てか女の子が胡坐を掻かないの。しかも『その恰好』で。
浦上「ってか、妙に今日は部屋綺麗だね。いつもちゃんと整頓してるけど、それ以上に」キョロキョロ
五和「……はっ!? まさか!!」バッ!
香焼「何だよ」
浦上「な……か、か、彼女か!! 女の子がウチに来るのか!?」バッ!
香焼「違……いや、面倒だからそれでいいや」マッタク・・・
『一応』、女子だ。違いない。
五和「あわわわ! ど、どうしよう!? ノーメイクだよ!」アタフタ・・・
浦上「だ、大丈夫! 私達は清楚系でしょ! リップくらいで大丈夫! それより……何て挨拶する?」
五和「え、えーっと、こほんっ……『こんにちは。香焼とは小さい頃からの付き合いです。よろしくね』」ニコッ
浦上「『気軽にお姉さんと呼んでくれていいですよ。遠慮せずに何でも頼ってね』……OK!!」ニコッ
香焼「……相変わらず、身内以外には役者っすね」ハァ
あとはキチンと服を着てくれれば、完璧です。
今の二人の服装……五和はYシャツに黒タイツのみ。浦上はダボダボTシャツにニーハイソックスだけ。パンツが見えようが関係無いっぽい。
ちなみにコイツらが元々着てきた制服は、自分が態々アイロンまでしかけてやりカーテンのレール部に干してやっている。
普通なら健全な男子として興奮ものだが……何故か慣れた。今ではそのだらしない素行、如何にかしろと言いたくなる。
リアル姉感覚とはこういうものだろう。何となくウザさが理解できた。 - 812 :>>810・・・建宮×麦野って、どんなきっかけが良いと思いますん?[saga]:2011/02/08(火) 20:43:00.50 ID:0fYzOevd0
- 五和「ふふふ……完璧! ウラ、着替えるよ! 制服は拙いから……大人っぽい私服でね!」
浦上「了解お姉! あ、心配しないで香焼。良い雰囲気になったら帰ってあげるから」ニヤニヤ・・・
香焼「言ってろアホ」ハァ
ピンポーン・・・・・
五和・浦上「「って……もう来たぁ!! 」」ドタバタ・・・ε=ε=ε=ε=ヾ( ゚д゚)人( ゚д゚)ノ゙ キター
香焼「おま、服着ろっ!!」フンッ
まったく……まぁいい。精々怒られろ。
五和「はいはい! どうぞ上がって、下さ……い……」ガチャッ・・・
浦上「ようこそ! 狭い家ですが、我が家と……思って……」スッ・・・
神裂「おや? 二人とも、おはようございま――」
バタンッ・・・・・
神裂「――……す」エ・・・
五和・浦上「「」」チーン……
無言で戻って来るアホ二名。有り得ないといった顔をして、放心状態。
香焼「どうした? 目の前に天使でも居たっすか?」ニヤニヤ・・・
浦上「……いや、堕天使がいた」ポカーン・・・
五和「うん、堕天使……って、ちょ、え、待……えええぇ?!」ホワィ?!
その例えは認めるが、オマエ達の教皇だっつの。
香焼「早くお通ししろよ」クスッ
目を白黒させ互いの顔を見合った後、また馬鹿発言をしだした。 - 813 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/08(火) 20:58:15.08 ID:0fYzOevd0
- 五和「こ、コウちゃん……まさか……女教皇様と、その……そういう関係に!?」カアアァ・・・///
浦上「『ぷ、女教皇様。一信徒である自分に駄目っすよ……』『香焼……一、姉として、女(カオリ)として……』的なアレ!!?」カアアァ・・・///
被害妄想始まった。
香焼「……後ろ」ホレ
五和・浦上「「……」」チラッ・・・
ギギギと音を立て振り向く背後に、プルプル震えスリッパ片手に微笑む(堕)天使さま。
神裂「んな訳あるかぁ!! こんの脳天沸騰娘共!!」スパンッ! スパンッ!
五和・浦上「「あ痛ぁっ!!」」ポカッ!!
香焼「オマエら、相変わらず禁断設定好きっすね」ハァ・・・
神裂「まったく……噂には聞いてましたが、本当に入り浸っていたのですね。貴女達は」ハァ・・・
五和「痛たっ……な、ど、何故に、女教皇様が!?」
神裂「香焼から聞いていないのですか?」
コイツら、言っても聞く耳持ちませんでした。
浦上「彼女としか」
神裂「……おいそこのチョンマゲ坊や」ギロッ・・・
香焼「女の子って言ったろオマエら……スイマセン、二人を黙らせる文句っすよ。あとポニテだそうっす」ペコッ
女教皇様に言われて、アホ共の愚行を思い出す。髪ゴムを解いた。
神裂「まったく……香焼を御好意して頂いている方に挨拶です。私も丁度学園都市(此方)で休暇でしたし」
五和「あー。黒妻さんとこの……って! 普通、私達が挨拶するもんでしょ! いつも一緒にいるし!」ガー!
香焼「オマエら行ったらややこしくなるだろ……」フンッ・・・
それに第4位も居る……『もしも』があったら、この二人では対処できないだろう。
浦上「納得いかないけど、女教皇様ならしょうがないよ……因みに、此処に寄ったのは何故です?」
神裂「ちょっと香焼と話が有ったんです。それで一度此処(香焼宅)へ」コクッ
場所が分からないというので簡単に口頭説明と……第4位の件について。しかしオマエら居ちゃ話出来ないっつの。
兎に角、女教皇様を座る様促し、御茶を入れる準備をする。
二人は未だに突然の事態に戸惑ってアタフタしている。良い気味だ。 - 815 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/08(火) 21:34:31.29 ID:0fYzOevd0
- 神裂「……それよりも、少し早目に来て正解でしたね」ジトー・・・
女教皇様は炬燵に脚を入れ、自分が出した御茶を一啜りするとそう呟いた。
浦上「え、何故?」ポカーン・・・
神裂「貴女達……まず服装を正す。そしてそこに直りなさい!」ビシッ
二人は『はい!』返事をし、急いでハンガーに掛っている制服に着替える。
ただしまともに直る気は無い様で、のこのこ炬燵に脚を入れた。図々しくも自分に『私達も御茶ー』とかほざいてる。やらねぇよ。
神裂「まぁ良いでしょう……この方が腹を割って話せます」ニコッ・・・
五和「はい?」
浦上「女教皇様が私達に相談でも有るんですか?」
そりゃ無いと思う。
神裂「言いたい事が有るなら言ってくれても構いませんが……その前に説教です」ジトー・・・
五和・浦上「「ゲェっ!!」」チーン・・・
香焼「ざまぁ見ろ」ハハハ
さて、では二人を女教皇様に任せて自分は宿題の続きでもしよう。
神裂「ついでに香焼。貴方も先日の喫煙の件……続き」ギロッ
香焼「」チーン・・・
てか、それをこの二人の前で言うと……
五和「え! 煙草?! コウちゃん、如何いう事なの!?」ギロッ!
浦上「香焼……そこに座りなさい。お話があります」ビシッ・・・
香焼「ぐっ、やっぱり……」トボトボ・・・ペタン
反論できない……面倒臭さが倍増した。 - 816 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/08(火) 22:02:29.50 ID:0fYzOevd0
- 五和「あのねぇ……強くなりたいとか言ってた人間が害になるようなモノ喫ってどうするの!!」ガアアァ!
浦上「術式的にも喫煙者用に組み替えなきゃいけないんだよ? 相当手間掛るし、分かってる?」ハァ・・・
香焼「止めたっすよ……一応」ボソッ・・・
五和「言い訳しない! あのねぇ、姉ちゃん達はオジさんオバさん(香焼の両親)から香焼の事、宜しくねって言われてるの!」メッ!
浦上「きちんと監督していたと思ってた私達が甘かったのね……これからはもっと厳しくしないといけないかも」ジトー・・・
香焼「実家は関係無いっすよ……それにオマエらに監督されるとか勘弁してくれ」モジモジ・・・
五和「関係無く無い! そういう言い方を――」
神裂「喧しい! 他人を棚に上げるな! いいから黙って三人座りなさい!」ビシッ!
五和「黙ってって……黙れませんよ! これは教育方針の問題です!」ビシッビシッ!
オマエは何時から自分の親になったのだ……
神裂「だからそれを込みで説教と言っているのです!」
五和「私は香焼を頼まれている姉として、今、更生させなきゃいけないんですよ! 女教皇様こそ黙ってて下さい!」
神裂「私も教皇として、一、教徒の過ちを正さねばならないのです! それに私だって、一、姉のつもりですよ!」
浦上「わー……姉とか言っちゃったよ。女教皇様」アハハ・・・
浦上は随分と冷静だな……助かるが。
神裂「香焼に限らず、貴女達の歳の近い姉であるつもりなのです。故にこうして腹を割って説教を――」
五和「腹を割って説教なんて聞いた事がありません。結局は上から目線で物事を納得させようとして――」
神裂「そうやって頭ごなしに否定しない。五和、貴女はまず人の話を冷静に聞くことから――」
五和「私は冷静です! 女教皇様こそ少し言われたくらいでカッとなってるんじゃ――」
コイツら、何してんの……と失礼ながらも思ってしまった。
浦上「二人とも落ち着いて……兎に角、香焼。煙草は駄目だよー。身体に悪いからね」メッ!
香焼「あ、はい」コクッ
このぐらい簡単な方が頷きやすいんだけどなぁ……一方。
神裂「なら何故貴女はだらしない恰好で香焼の前にいるのですか? 教育を語る以前の問題として貴女自身が――」
五和「話を逸らさないで下さい! 今は香焼の煙草の話をしているんです! 仮に女教皇様が姉を称するなら其方を――」
……ヒートアップ。長くなりそうな気がした。 - 817 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/08(火) 22:18:42.55 ID:0fYzOevd0
- ―――同日、AM11:00、学園都市第7学区、とあるプライベートルーム一室・・・絹旗side・・・
麦野「ふんふふ、ふんふふ、ふんふーふー♪」カチャカチャ・・・
上機嫌で口紅を塗っている女が一人。今の私の超不安要素だ。
絹旗「……麦野。本当に、行くんですか?」
麦野「行って欲しいって言ったの、アンタでしょ? あ、コレでいいかな?」
絹旗「うー……」ハァ・・・
まさか私が超寝ぼけていた時に言った事を、OKするとは思わなかったのに。
麦野「絹旗……何心配してるか知らないけど、仕事でも無いの馬鹿しないわよ」チラッ
絹旗「……」ムゥ・・・
浜面「おーい。一応車の準備は出来たぞ」
麦野「あいよー」スタッ
アイテム専用アッシーくんが痺れを切らして上がってきた。
絹旗「……浜面」クイッ
浜面「ん? ああ……まぁそこまで心配すんなって。真昼間っからカタギ襲う程狂って無いだろ? ……多分」
それは心配してないが、超失礼な事をしそうな気がする。
絹旗「……せめて滝壺さんかフレンダなら良かったのに」
浜面「しゃあないだろ。二人とも別用あるってんだ。それに……」
絹旗「それに?」
浜面「もしかしたら超電磁砲が来るって考えなかったのか? チビっ娘(打ち止め)の姉分なんだろ?」
絹旗「っ!!?」ギョッ!?
超忘れていた……一応、アレも異例とはいえ『姉』だ。
浜面「少し考えれば分かる事だろう。あの二人じゃ役不足だって」
麦野「聞こえてるわよ、バカ面。あとそれを言うなら『役者不足』だっつの」テクテク・・・
確かにフレンダはそうかもしれない……だが滝壺さんなら上手くこなしてくれそうに思える。
まぁ今となっては超淡い期待だが。 - 818 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/08(火) 22:24:37.04 ID:0fYzOevd0
- 浜面「……悪かったな、馬鹿で」フンッ・・・
麦野「まったく……あのね、黒妻くんのツレなんでしょ? 不細工な真似しないってば」
浜面「確かに……兄貴怒らせたら、大変な事になるからな……」タラー・・・
麦野「ははは。大変ってか? 超能力者相手に? いくら元スキルアウトのリーダー程度で私に敵う訳無いってば」アハハ
確かにこの女に敵う輩などこの街には三人くらいしかいないだろう。
浜面「……オマエらは兄貴のマジギレ知らないからそう言うんだよ」ハァ
絹旗「マジギレって……前に呑み屋で見たヤツ(※①『おかえりなさい』参照)ですか?」
浜面「アレは『暴力』の面でだろ? それに『C・D(キャパシティダウン)』下だった……だけど、そういう次元じゃ無い」
麦野・絹旗「「は?」」ポカーン・・・
意味が分からない。例の『伝説』というヤツだろうか。
浜面「次の日……目が覚めたら戸籍が無くなってた。借金億単位で被らされてた。タコ部屋送りの船に乗っていた……」
絹旗「ハァっ!!?」
麦野「……でも、その程度なら」ハハハ・・・
浜面「勤めてた会社が倒産していた。車のエンジン掛けた瞬間爆発した……でも一番怖いのはやっぱアレだな」
麦野・絹旗「「……」」ゴクリ・・・
浜面「体中、蜘蛛が這いずり回る夢……目が覚めると……本当に幾百の蜘蛛が、目耳鼻口から、ゾゾゾゾゾゾって……」
麦野・絹旗「「うぎゃああああぁっ!!」」ボカスカッ!!
浜面「いだだだだっ!! ちょ、俺叩くな!!」イデェ!
絹旗「超おぞましい事言わないで下さい!! 馬鹿面!!」
麦野「減給2か月分!!」
冗談でも女性に言う話じゃ無い。超リアルに背筋が凍った。
浜面「おま、あくまで伝説ってか伝聞だっつの! ……半分はな」ボソッ・・・
麦野「ちょ……」ゾォ・・・
あの人は一体何者なのだろう……謎が深まるばかりだ。 - 819 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/08(火) 22:53:55.05 ID:0fYzOevd0
- 浜面「まぁ固法さんに手ぇ出さなきゃ問題無いこった。ほら時間だろ、行くぞ」
絹旗「乗った瞬間……ドッカーンとか」ボソッ
浜面「ふざけんなっ!」ギョッ・・・
麦野「言ったのアンタだろぉが。ったく……兎に角、簡単に挨拶でいいんでしょ? 分かってるわ」フンッ
絹旗「超頼みますよ、ホント……」ハァ・・・
麦野がブーツを選びに下駄箱へ向かった。その間に浜面と話を済ませる。
浜面「後から付けるのか?」ボソッ
絹旗「……そのつもりでしたが、状況に応じてです。超電磁砲が居た場合は、考えます」ボソッ
浜面「賢明だな……俺は送り終えたら別用で一度離れるが、滝壺が覗きに行くかもって」ボソッ
絹旗「超助かります」ペコッ
何だかんだで一番大人なのは彼女だ。もしもが有った場合、暴力以外は解決してくれるだろう。
麦野「何してんの。行くわよー」オーイ
浜面「はいはい……って、オマエまた新しい服買ったのかよ」ジー・・・
麦野「あら、よく気付いたわね。でもこれ『アネモ』の編集部から貰ったわ。スポンサーでしょ、あそこの大本」ニコッ
浜面「いや知らねぇよ……」タラー・・・
学園都市内部の大手出版社から出ているファッション雑誌だ。たまに麦野は新作デザインのチェック・試着なんかを頼まれている。
無論、モデルになるような真似はしない。仮にも暗部だ。目立つような馬鹿はしない。
因みに今日は、七分袖トレーナー(黒)とミニスカ(デニム)、カラータイツ(パープル)。そして茶色のブーツを履いて行くようだ。
麦野「少しは金関係も勉強しときなさい。んじゃ絹旗ちゃん、行ってくるわー」バイバーイ
絹旗「……超、気を付けて」ハァ・・・
行ったか……
絹旗「超不安です……香焼の方は大丈夫でしょうか……」ハァ・・・
打ち止めちゃんと那由他ちゃんの所は来ないと言っていたが、香焼のお姉さんは来れるらしい。
もしかしたら浜面の言うとおり、ぶっつけで超電磁砲も……来ないとは限らない。
何にせよ、姉貴さんや香焼のお姉さんに粗相を働いてくれるなよ、と心からそう願った。 - 820 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/08(火) 23:19:22.71 ID:0fYzOevd0
- ―――同日、AM11:30、学園都市第7学区、ファミレス・『ジョセフ』・・・固法side・・・
ピンポーン・・・・・
店員「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
固法「三人です」
店員「喫煙席と禁煙席ございますが、ドチラの席になさいますか?」
まさか二人とも喫わないだろう……というか私達は未成年だ。風紀委員である手前、馬鹿な考えはしてはいけない。
固法「禁煙でお願いします」ニコッ
店員「かしこまりました。窓際の席へどうぞ」テクテク・・・「ごゆっくり」ペコッ
固法「さて……早く来すぎたかしら?」パカッ・・・「メールは、まだね」フム・・・
固法「うーん……私服で良かったのかしら? 一応、落ち着いた服選んだつもりだけど……」ムゥ・・・
固法「最愛ちゃん、麦野さんはファッション五月蠅いって言ってたからちょっと心配だなぁ」アハハ・・・「はぁ……」
フード付きのニットワンピース(グレー)に黒タイツ(60デニール)。
固法「……」ゴソゴソ・・・
固法「『モンバス』して待ってよ」ウォン・・・
モンスターバスター・ポータブル5G。略してモンバス。学園都市の老若男女問わず、大人気のゲームソフトである。
自分が好きな『能力』を選んで、架空のモンスターを討伐していくゲーム。
因みに発売日当日に、誰に頼まれた訳でも無く先輩が何故か纏め買いしてきた。
折角なので先輩から一つ買ったのがこのカセットである。香焼くんと最愛ちゃんも買っていた。
固法「……」カチャカチャ・・・
何時の間にか、自分(ゲーム)の世界にのめり込んでしまっていた……―― - 821 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/08(火) 23:25:41.47 ID:0fYzOevd0
- ―――AM11:50・・・麦野side・・・
浜面「……じゃあ粗相内容にな」ブロロロロ・・・キィッ
いつも私達(アイテム)が溜まっているファミレスに到着。此処で集合予定だ。
麦野「アンタに言われるまでも無いわよ。んじゃ迎えの電話はコッチからするから。いつでも電話出れるようにしときなさい」ガチャッ
浜面「アイマム。また後で」ブロロロロロー
麦野「まったく、アイツら心配し過ぎ。私は化け物かっての。さて、と……行きましょうか」ニヤッ
ピンポーン・・・・・
店員「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
麦野「連れが待ってると思うの。三名待ちの筈よ」
店員「えっと……窓際のお客様でしょうか?」チラッ
後ろ姿しか見えないが……多分そうだろう。違っても歩いて探せば良い。
麦野「んー……そうね、ありがと」ニコッ
店員「いえ、ごゆっくりどうぞ」ニコッ
カツカツカツ・・・・・
固法「……あ、ドリンク忘れた」カチャカチャ・・・
麦野「……」ジー・・・
固法「武器ガタ来てる……新しいの買うべきかぁ。でも転職も」カチャカチャ・・・
麦野「……」ソー・・・
固法「先輩のデータから無理やり……でも怒られるか」ムゥ・・・
麦野「……」スッ・・・
こっそり、対面に座ってやる。
固法「ん?」ピタッ「……あ」ビクッ
麦野「はぁい」ニコッ
固法「あわわわ! ご、ごめんなさい!!」アタフタ!
目の前の眼鏡っ娘はアタフタと携帯ゲーム機をカバンの中にしまった。面白い慌てっぷり。見てて楽しい。 - 826 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/09(水) 00:00:03.40 ID:8cBRmXP40
- ・・・固法side・・・
恥ずかしいところを見せてしまった。まさか目の前に座るまで気付かないとは……反省。
麦野「ふふふ。いいわよ。集中しちゃうと止まんなくなるわよねぇ、モンバスって」クスッ
固法「あ、あはは……申し訳無いです」ペコッ
麦野「もう一方はまだみたいね……ドリンクバーくらい頼んだら?」
固法「え、あ、はい」ペコッ
麦野「もう……そんなに斜に構えないでよー。堅っ苦しいのは嫌いー」フフッ
固法「……そうですね」ニコッ
麦野「敬語禁止。同い年なんでしょ?」アハハ
両手を組んで顎を乗せ不敵に微笑む彼女は、同性の私から見ても魅力的な雰囲気を醸し出していた。
固法「中々フランクなんです……なのね」アハハ・・・「とりあえず、自己紹介かしら?」
麦野「ま、もう一方来てからで良いんじゃない? 私達は一応お久しぶり(※①参照)だし」
固法「そういえばそうね。じゃあドリンク頼んじゃいましょうか」ピンポーン・・・
麦野「三つ分ね。あ、頼んどいて。持って来るわ。何が良い?」スタッ
固法「悪いよ。私も行くってば」
麦野「いいのいいの。遠慮しない」ニコッ
固法「もう……ありがと。じゃあ牛乳で。武蔵野の」キッパリ
麦野「あはは。面白いジョークね。牛乳置いてるドリンクバーあったら見てみたいわよ」クスッ
固法「え? ……あはは。そうね。じゃあカフェオレで」
麦野「りょーかい。あとドリンクの券有るから置いとくわね。先渡しちゃって」テクテク・・・
何というか、キビキビ動く人だと思う。きっとリーダー気質なのだろう。見習う点は多そうだ……本当に同い年かしら?
と考えている間にウェイトレスが注文を取りに来た。言われた通りドリンクバーを3つ頼み、割引券を先渡しする。
食べ物とセットじゃないと割引にならないと言われたので、後から注文すると誤魔化して戻らせた。
一寸後……
麦野「お待たせ。ホットで良かったかしら」スタッ
固法「ええ。どうも」
本当は牛乳が良かったけど、此処のファミレスには置いていない様である。残念。 - 827 :>>823・・・よく覚えてたねw[saga]:2011/02/09(水) 00:18:50.55 ID:8cBRmXP40
- 麦野「いいのいいの。まぁしかし……意外かなぁ」クスッ
固法「え?」
麦野「いやね、絹旗から風紀委員って聞かされてたからバリバリ堅い人間かと思ってた」
まぁ知らない人が聞けばそう思うだろう。なんせ『風紀』委員だ。
固法「そんなそんな」フフッ
麦野「だってね。正直、見た目は暇な時間、参考書開いて勉強してますよー的な人だと思ってたの」
見た目は、ね。革ジャンでも着てきたらその印象も変わってたかしら。
麦野「それにフランクな口調もスラスラ。もっと抵抗するかと思ったわね」
固法「あははは。偏見偏見。風紀委員だって一人の人間だもの。ゲームだってするし、遊び歩いたりする」
実は後輩に対して、もっとキツイ口調だったり。
麦野「ふふっ、そうね。狩人のレベル上げに勤しんでる風紀委員も素敵かもしれないわ」クスッ
固法「まぁね……私も、意外に思ったかも」フフフ
麦野「ふむふむ、どうしてかしら?」
固法「えっと、怒らないで上げてね。最愛ちゃんと香焼くんの話だと、高飛車売れっ子モデルみたいなイメージだったから」
実際、第一印象はその通りである。
麦野「あはは! 絹旗め、言うじゃない。あの坊やも」フフフ・・・
固法「でも……売れっ子モデルってのは本当みたいね。読モ(読者モデル)のレベルじゃないもの」ジー・・・
麦野「あら、お上手」クスッ「単にファッションに出し惜しみしないだけよ……貴女もセンス良いと思うわ。スタイル良いしね」ニコッ
固法「麦野さんもスタイル良いじゃない」ジー・・・
麦野「いやいや……多分貴女程じゃ無いわよ。私の知る中でも屈指ね、胸は」ニヤニヤ・・・
固法「……もぅ」カアアァ・・・///
胸は、その……何とも言えない。
麦野「あはは。相応の反応してくれるわね。もっと胸強調出来る服でも良いんじゃない? ちょっと幼い気がする。勿体無いわよ」クスッ
固法「そうかなぁ。一応、雑誌とかで見てるんだけど……てか胸強調させるってどんな服かしら」アハハ・・・
麦野「胸開きワンピとか紐止めVネックとか……肩出しドレス系とかも良いかも」ジー・・・
勘弁してくれ。キャバ嬢じゃないんだ。 - 828 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/09(水) 00:32:37.47 ID:8cBRmXP40
- 麦野「因みに、そのワンピだったらタイツ60デニールより80ね。靴ももうちょっとヒール高くても良いと思うわ」マジマジ・・・
細かいとこまで目が行く人だ。
麦野「あと雑誌より服屋の店員を見て歩くべきよ。新作新ブームのマネキンにされてるからねー」
固法「へぇ、詳しいのね。そういう関係のバイトを? 最愛ちゃんのバイトの上司でも有るって聞いたけど」
麦野「んー……色々ね。まぁ実家も金有るし、私自身の強度も高いから色んな分野で『需要』があるみたい」
……自信家ってのは、強ち間違いじゃないのかも。ただし、それ相応の魅力がある人だ。その自身通りの風格である。
麦野「固法さん……あ、美偉の方が良いかしら?」
固法「ドチラでも。私は麦野さんって呼ばせて貰うわ。こればかしはごめんなさい」
麦野「おーらい。じゃあ私も固法さんね。透視能力持ちだっけ? 強能力者(レベル3)?」
固法「ええ。麦野さんは……ごめんなさい。勝手に調べさせて貰ったわ」
麦野「別に良いわよー。隠して無いし……多分、名前検索すれば一発で出るでしょ」アハハ・・・
固法「うん……超能力者(レベル5)かぁ」
『麦野沈利』と学園都市ネットワークで検索した際『超能力者』と冠して結果が出てきた。
他にも能力開発系の雑誌や、『書庫』登録に希少能力者として乗ってある。謂わば表に出ない有名人だ。
麦野「でも……存外驚いてない様子ね」
固法「えっと、後輩がね……多分聞いてるでしょ?」
麦野「……」ピクッ
やはり知っているのか。
麦野「……超電磁砲(御坂美琴)の事ね?」フーン・・・
固法「ええ。今日もさっきまで支部で屯(たむろ)してたわ」
麦野「へぇ……普通の学生やってんだ、あの娘」ホォ・・・
遠い目線。支部で見た御坂さんの『目』と似ていた。 - 831 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/09(水) 00:51:37.87 ID:8cBRmXP40
- 固法「でも今日の事教えたら『どうして私を呼んで無いんだ!』って拗ねてた」
麦野「子供ね……でも来ても良かったのに。久しぶりに『お話』したかったから」
口ぶりからして、暫く会って無いのだろう。
固法「やっぱり超能力者同士って知り合いなの? 特に御坂さんなんかは第3位と第4位で近いし」
麦野「……『勝手』に、そうなるみたいねー。本人の意志とは別に『引き合わされる運命』っていうのかな?」フフフ・・・
固法「『運命』? ……難しいのね、強度(レベル)高ければ高いで」フーン・・・
麦野「強度、ねぇ……『序列』ってのもあるんだけどさ……」ハァ
んなもん関係無ぇんだよー、とでも言いたそうな表情だ。コレ以上は深く聞かないでおく。
一方通行くんや他の超能力者達とも知り合いなのかもしれない。
学園都市230万のサミット7となれば、強制参加の話し合いの様なものがあってもおかしくないか。
麦野「まぁ楽しいっちゃ楽しいけど」クスッ「それより……もう一人のお姉さん、まだかしら?」
固法「確かに、遅いかなぁ」ムゥ・・・
麦野「一報くらい欲しいものね」クスッ
既に12時過ぎ。香焼くんからの連絡も無し。
因みに神裂さんは旧型の携帯を使っているらしいので、事情によっては連絡も付かない事が有るとか無いとか。
麦野「じゃあ……『モンバス』して待っちゃお」スッ・・・ニコッ
固法「あ、やっぱり持ってるんだ」フフッ
麦野「当ったり前」ウォン・・・
もはや皆の必須アイテム。
麦野「老若男女問わずコミュニケーションツールだからねー……カード交換して狩りしよ」クスッ
固法「りょーかい」ニコッ
それから先の反省も忘れ、二人で狩りに没頭してしまった……―― - 841 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 20:56:55.95 ID:BPigDsMq0
- ―――同日、同刻、学園都市第1学区、マンション・『ニューディレクターズ』一室(香焼宅)…香焼side…
神裂「―――……つまりそういう事です。私は何も貴女達が憎くて説教をしてるのでは無いのです」グチグチ
浦上(話長い……今日説教で日暮れるかも。五和も熱くなっちゃって)ハァ・・・
五和「ふんっ……私はただ、ONとOFFの切り替えをしているだけです。この家ではOFF、そういう事」ジトー・・・
神裂「それが香焼(この子)に悪影響を及ぼしているのだと気付かないのですか? 年頃の男子の前で服を肌蹴させる……信じられません」
五和「女教皇様の『その恰好』だって似たようなものでしょう? 魔術的な意味合いというのであれば……私達も同じですけど」チラッ・・・
香焼・神裂「「は?」」ポカーン・・・
意味不明。
浦上「あ……う、うん。えっと、服を脱いだら脱いだなりの術式組替えはしてました。さっきの私達の恰好はその為なんですよ」チラッ
五和「そう! つまり! 今制服を着て真面目に座っている方が術式組めません! 鍛錬ができないのです!」キッパリ!
神裂「そ、そうだってのですか?」
五和「辛口のスナック菓子。胡坐。40デニールのタイツ。少しきつめのブラ。Yシャツを第三ボタンまで開けて4,5を掛け間違い……」
浦上「私も同様にです。これで魔力(オド)を練ってました。謂わば女教皇様の対極服装と同じって事ですね」
神裂「くっ……」タラー・・・
いや、知らなかった……って、待てオイ。
香焼「……お前ら、人ん家来てまで術式組換えってか修行する必要あるんすか?」ジトー・・・
浦上「そ、それはほら! 天草(私達)は常日頃が鍛錬でしょう?」アハハ・・・
五和「あ、あと、さっきから言ってるように女教皇様と同じだって! 何処で魔術戦が起きるか分からないでしょ!」
神裂「な、成程……そういう事だったのですか……」ハァ・・・
お前らは人の部屋で魔術戦しでかす気か? 理事養成学校の寮にテロしかける魔術師が何処にいる。いい加減嘘臭ぇ……
でも女教皇様信じてるし。教皇代理ならコイツらにゲンコツ入れて黙らせてるんだけどなぁ。
自分と女教皇様が半ば諦めようとしていた時、五和が悪い笑みを浮かべた。
五和「それにぃ……ねぇコウちゃん……この女教皇様の『いつもの恰好』の方が、男の子からしてみりゃエロいでしょぅ?」グイッ! ニヤッ・・・
神裂「ちょ! 五和!? 何処触ってるのですかっ!!」ウワァッ///
浦上「お姉ちゃん達の中途半端な起伏ボディより……Tシャツに張り付く様なこのボインちゃんの方が厭らしいよねぇ」プニプニ・・・ワサワサ・・・
神裂「ひぅっ!! う、浦上!! シャツの結び目解かないでっ!!」カアアァ・・・///
……
神裂「や、ぉ、何か言いなさい香焼!! お願い!! 何か言ってぇ!! 無言は止めて下さいっ!!」ウウウゥ・・・///
いや、自分も男子なんで、下手に口開くとアレかと……スイマセン。 - 842 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 21:01:12.73 ID:BPigDsMq0
- 五和「うふふ。初々しいでござる~」ニシシ!
浦上「うへへ。香焼も微かに赤面してるでござるよ~。このオッパイ星人香焼めぇ」ケラケラケラ
五和「オッパイ『聖人』だ・け・に・ねっ!!」ドヤァッ!! ダキッ!
神裂「は、はははは、破廉恥なっ!!」マッカッカァ・・・///
やたらと女教皇様の身体を弄りまくるアホ二人。バックに百合の花が見える……度し難い。
女教皇様に絡みつくな、お前ら。てか女教皇様もそんな顔しないで反抗して下さい。お願いします……
香焼「こほんっ……兎も角、お前さっき此処では『OFF』って言ったっすよ。なのに鍛錬?」
五和・浦上「「うっ……」」ピタッ・・・
香焼「女教皇様から離れるっす。女教皇様も振り払えるでしょ」ジトー・・・
神裂「す……すいません」グゥ・・・
目のやり場に困ります……
浦上「で、でも、私達の服装が女教皇様と同じだって分かってくれた?」アハハ・・・
香焼「……どうでもいい。分かったのはお前らが変態って事だけだ」ジトー・・・
神裂「そ、それは、私も含まれているのでしょうか……」シュンッ・・・
香焼「え!? あ、いや、その……あはは……」
半分、そうです。とは言えない。
五和「くっ! 姉を変態扱いとは……仕方無い、女教皇様。素直に認めて下さい。一人だけ逃れる気ですか?」
神裂「逃げ……別に逃げてなど……」
五和「条件は同じなんですよねー。偶々私達がさっきみたいな服装なだけで、女教皇様はそういう服装……なのに見捨てる?」ハァ・・・
神裂「うっ……し、しかし……」タラー・・・
五和「ほらほら。どうしました? 『カオリね・え・さ・ん』? 姉を語っといて、私達二人だけハレンチ姉妹扱いなんですかー?」ニヤッ・・・
神裂「つ、都合の良い時ばかり……姉だなんて……わ、私は……」グスッ・・・
浦上(あっちゃー。お姉、やり過ぎ……つぅか女教皇様って『対五和メンタル』弱いのね)タラー・・・
香焼(時間ヤバいなぁ……って女教皇様涙目!?)タラー・・・
これ本当に泣くぞ……浦上、如何にかしてくれ。自分が喋ると発破をかけそうだ。
浦上「んもぅ、まったく……女教皇様。お姉。こんな所、上条さんが見たら如何思いますかね?」ボソッ
神裂・五和「「っ!!?」」ドキッ
かなり危ない投げ掛けに聞こえたが、吉と出るか凶と出るか。
浦上「上条さんだけじゃなく、他の知り合い達にも見せれる姿じゃ無いですよー。恥ずかしいなぁ」ハァ・・・
神裂「あ……すいません。冷静さを欠いてしまいました」ペコッ
五和「う……私も、嘗めた口を聞いてしまいした」ペコッ
浦上「はい。よくできました。(ちょろいね)」ニコッ・・・
……やるな、浦上。恐ろしい娘。 - 843 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 21:05:10.07 ID:BPigDsMq0
- 神裂「五和、浦上。その……此処に来てはいけないとは言いませんが、香焼の都合も考えてあげて下さいね」
五和「分かりました……生意気にも喰いかかった私をお許しください」
神裂「いえいえ。貴女が言ったでしょう? ON・OFFがあると。それに腹を割って話そうと言ったのは私です」
浦上「まぁ最低限、歳上には敬意を持って話さないとね……ね?」チラッ
こっち見んな。お前らを歳上と思った事は、偶にしか無い。さておき、大事な事を言わねばなるまい……
香焼「あのー……女教皇様」ボソッ
神裂「……何か。そういえば、貴方の件がまだ終わってませんでしたね。煙草の件ですが――」コホンッ
香焼「それもそうなんすけど……時間が」チラッ
神裂「――……え」チラッ
――PM00:10――
神裂「」
五和「あーあ……」ハァ
浦上「女教皇様。話の続きはまたお聞きしますので……急いだ方が」アハハ
神裂「こ、こここ、こ、香焼! 此処から急いでどの位ですか!?」アワワワ・・・
香焼「近くのバス停から乗ってから15分っすけど、次来るの30分後っすね。『ジョセフ』というファミレスです」アハハ・・・
相変わらずどっか抜けてるな、この方も。
神裂「お、遅い……こうなったらビルの屋上を!」バタバタ!
五和「ぷ、女教皇様! こんな真昼間に超人行動やめて下さい!」ガシッ!
神裂「ええぇい! 離しなさい! 時間が!!」ハーナーセー!
浦上「てか……その恰好で行くんですか? 戦闘予定も無い普通の人相手に」タラー・・・
特注(自分でカット入)ジーンズ。特注デニム(自分でカット入)ジャケット。白Tシャツ……七天七刀。
神裂「さっき言った通り、私はいつもコレでしょう。問題ありません!」キリッ!
香焼「訳有りとはいえ……多分、駄目出しされるっす」アハハ・・・
浦上「特に……刀は拙いですよねぇ。御店入れませんよ」ジトー・・・
神裂「そんなもの耳に入れません! 流石に刀(コレ)は置いて行きますけど……って五和! はーなーしーなーさーいっ!」ンギギ・・・
五和「だーめーでーすっ! 建宮さんに怒られます! しかも私達まで巻き添いくらいますから!」グヌヌ・・・
浦上「きっと『女教皇様……ハァ』とか言いながら落胆の目。そして『オマエ達居ながら何で馬鹿行動許したのよな……』とか絶対言う」
あと『おみまいするぞぉ』とか言って、三人全員ゲンコツだな。場合によっては女教皇様も説教。
神裂「始末書は書きます! それよりも約束の時間に間に合わない方が拙い!」
五和「じゃあ私達の分まで始末書お願いします! ……って、違うわ!」ビシッ!
浦上「あー、このやりとり録画して皆に見せたら最っ高に笑われるだろうなー」アハハ・・・
香焼「お前ら余裕っすね……そういう問題じゃないでしょ」ハァ・・・
命名、お馬鹿(破廉恥)3姉妹。
何処かずれてる真面目長女。猫被りおっとり次女。お調子者切り替え上手三女……共通点は全員どっか抜けてる。
……因みに自分は他人でおk。末っ子に非ず。 - 844 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 21:11:36.44 ID:BPigDsMq0
- 神裂「チッ! なら下を走って行きます! 私の足なら五分で着くでしょう!」
五和「それも超人的行動だっつってんでしょう! 先方にお電話して遅れる事を伝えて下さいってば!」
浦上「こーちゃん。メール入れといてー」
香焼「既に(揉めてる間に)送ってあるから大丈夫っすよー」
神裂「何をそんな冷静に……」クッ・・・
貴女の所為でしょうが……
浦上「まったく……あ。だったらアレだよ五和。送って行けば?」ニコッ
五和「え……あ!」ギョッ!
成程。バイクか。
香焼「……でも、メット二つ有るの?」
五和「一応有るけど……何か凄く怖い。この人乗せるの」タラー・・・
神裂「乗せるって何を……て、五和。今この人って言いました? 言いましたよね? ねぇ?」エ・・・
五和「気の所為です。でも……女教皇様2ケツ出来るの? 危険な気が……」タラー・・・
浦上「こうしてる間にも時間は過ぎて行きますよー。無理矢理でも乗せちゃいなって」チラッ
神裂「ぐっ……仕方ありません! 五和、何でもいいからお願いします!」キリッ!
五和「……えー」タラー・・・
何の為の支給バイクだっつの。こういう時くらい役立たせろ。
香焼「ハァ……五和。自分からも頼むっす」ペコッ
五和「むぅ……仕方ないなぁ。行きますよ、女教皇様」ハァ・・・
神裂「……五和が冷たい」ショボーン・・・
浦上「フレンドリーなんですよ、きっと。(やだ、落ち込んでる女教皇様可愛い)」アハハ・・・
香焼「ほら、『姉』と思って接してくれてるんす。砕けた感じで良いっすよ。(面倒臭い……早く行け)」アハハ・・・
神裂「むぅ……それなら、仕方ないですね」モジモジ・・・
簡単な思考だな、おい。
五和「女教皇様ー! 早くー!」オーイ
神裂「あ、はい! 今行きます!」パタパタ・・・
香焼・浦上「「いってらっしゃーい」」バイバーイ・・・
バタンッ・・・・・
浦上「うふふ。女教皇様の弱点みつけちゃったぁ。本人は姉扱いされるとデレるんだね」ニヤッ・・・
お前……黒いな。
香焼「ハァ……心配なってきた」ボソッ・・・
浦上「え?」ポカーン・・・
香焼「何でも無い。さってと……」パタパタ・・・
後はアチラに任せるしか無かろう。とりあえず適当に自分の昼飯作るか。 - 846 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 21:37:04.46 ID:BPigDsMq0
- ―――同日、PM00:20、学園都市第7学区、ファミレス・『ジョセフ』…神裂side…
ブロロロロロ・・・・・キキイィッ!
五和「とぉちゃっく!」ガチャッ!
神裂「」チーン・・・
五和「女教皇様ー。急いでー」チラッ
神裂「」チーン・・・
五和「……あれ?」ポカーン・・・
神裂「いつ、わ……とばし……過ぎ……」ウップ・・・
五和「あはははは……スイマセン」タラー・・・
もう二度とバイクの後ろになど乗るものか。
神裂「と、とりあえず、ありがとうございます……」ヨロヨロ・・・
五和「その前に、女教皇様。ファミレスですからね……料亭と違うんですから、馬鹿な行動しない事!」
神裂「一応、建宮からどのような場所かは聞いています。レストランなのでしょう?」
レトルト製品が如何にも手作りの様に仕立てあげられ、メニューとして出される。半分バイキング形式。ジュースを好きにブレンドしていい。
五和「……大体合ってます。でも分からない事があったら見栄張らないで他の二人に聞く!」
神裂「わ、分かりました……」コクッ
五和「ああ、こんなん分かってたら一度連れてきとくべきでしたね……」
それはそれで楽しいかもしれませんね。天草式でファミレス食事。
五和「兎に角、女教皇様!」シャキッ!
神裂「は、はい!」ビシッ
五和「『姉』代表なんですからシャキッとして下さいね! シャキッと! 香焼が嘗められない様に!」ビシッb!
嘗められるって、そんな事……基本あの子は真面目ですし。
五和「い・い・で・す・ねっ! 身内が『この程度』って思われたらあの子も『この程度』って思われるかもしれないんです!」ギロッ!
神裂「りょ、了解です。(いつもの五和じゃない……いや、コレが『地』?)」コクッ・・・テクテク
五和「それじゃ私は帰りますけど……終わったら連絡下さい。迎えに来ます」ガチャッ・・・
バイクは……もう嫌です。徒歩で帰ります。
五和「駄目。(……やっぱり上条さん家向かう気ね)」ギロッ!
神裂「はい?!」ビクッ!?
五和「……兎に角、駄目です。迎えに来るので連絡を。私の電話番号知ってますよね。(コウちゃん家で拘束・監視よ!)」ジトー・・・
神裂「い、一応……」コクッ
五和「では私の家、もしくはウラかコウちゃんの家に『帰りましょう』。反論(抜け駆け)は許しません……姉さん」ギロッ
神裂「わ、分かりました……よろしく。(何か、怖い)」タラー・・・
ともあれ遅くなったが店へ足を運ぶ事が出来た……店に入る前、道行く人から不思議な目をされたが、気にしません。 - 847 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 21:41:14.47 ID:BPigDsMq0
- ―――ピンポーン・・・・・
店員「いらっしゃいませ。何名様でしょうか? (なんか、凄い恰好のお姉さん来た?!)」ニコッ・・・
神裂「連れが……女性が二人、待ってる筈なのですが」
店員「ええっと……窓際(アチラ)の御二人でしょうか?」チラッ
あの髪型……黒妻さんの写真で見た女性(※)と同じだ。 ※③「おはようございます」参照
前に座る女性も土御門から貰った資料写真と一致する。
神裂「……多分そうです。ありがとうございます」ニコッ
店員「い、いえ。ごゆっくりどうぞ」ニコッ・・・
カツカツカツ・・・・・
神裂「あの……もし。遅れま――」ペコッ
麦野「……閃光弾(フラッシュ)持ってる?」カチャカチャ・・・
固法「はい……あ、そこら辺に罠仕掛けるので誘導してもらえるかしら」カチャカチャ・・・
神裂「――し……え!? わ、罠? (この平和そうなファミリーレストランにトラップ?! それに閃光弾と言ったか?!)」ドキッ・・・
麦野「うん。あ、引っ掛ける前に遠距離からブっ放すわ。念には念を入れてね」カチャカチャ・・・ポチッ
固法「丁度いいくらいに弱るわね……あ、拙っ。目の前来た!」カチャカチャ・・・
神裂「あ、はい……弱らせるって……(何かと、戦っている? 私……では無い筈だが)」タラー・・・
麦野「ったく……ほれ!」カチャッ!
固法「おっと、助かった……あ、今なら捕えられる」カチャッ!
麦野「良しっと……おりゃ!」トンッ・・・ポチッ!
固法「閃光もっ」ポチッ!
神裂「……」ジー・・・
先程からカチャカチャやってる……携帯ゲーム機に夢中なのか。私が見えて無い、と?
固法・麦野「「よっしゃー!」」イェーイ!
神裂「おわっ!!?」ビクッ!
固法・麦野「「……へ?」」ポカーン・・・
神裂「あ、あの……こんにちは」アハハ・・・
やっと気付いてくれたか。
固法・麦野「「……」」
神裂「えっと、遅れました……神裂です」ペコッ
固法「あ……あわわ! またやっちゃった!!」ドタバタッ!
麦野「は、ははは……ご、ごめんなさい。集中しちゃってて」タラー・・・
神裂「い、いえ……御気になさらず」アハハ・・・
そそくさとゲーム機をカバンにしまう二人。二人分を占領していた茶髪の女性に席を開けられ、私はそこに座った。 - 848 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 21:43:01.75 ID:BPigDsMq0
- ・・・固法side・・・
またやってしまった……
固法「……ホント、すいません」ショボーン・・・
神裂「い、いえいえ。遅れた私が悪いのです」アハハ・・・
麦野「あはは……そう言って貰えると助かるわ。あ、ドリンク持ってきて良いわよ。先に注文しといたから」
神裂「……」ピタッ
麦野「ん? どったの?」キョトン?
神裂さんの動きが止まった。そして店内をきょろきょろ見回した後……
神裂「ど、何処から持ってくるのでしょう?」アタフタ・・・
麦野「へ? あぁ、あそこのフレーバーよ」ピッ
神裂「は……はい」コクッ・・・
成程。場所が分からなかっただけか。
麦野さんに指示され、神裂さんは立ちあがるとフレーバーの方へ歩き出した。
麦野「……ちょっと変わった人ね」アハハ・・・
固法「う、うん……」アハハ・・・
苦笑せざるを得なかった。
ふと、神裂さんの方を見遣ると……何故か固まっていた。
固法「どうしたのかしら?」ジー
麦野「さぁ」フム・・・
一寸後、何も持たずにテクテクと戻って来る神裂さん。静かに席へ座ると赤面して呟いた。
神裂「あの……何を、どうすれば?」カアアァ・・・///
固法・麦野「「へ?」」ポカーン・・・
神裂「えっと……実は……―――」
少女説明中・・・・・
固法・麦野「「あはははははっ!!」」ケラケラケラ!!
神裂「そ、そんなに笑わなくても……」シュン・・・
麦野「あー、悪い悪い……まぁしゃーないわよ」クスクスクス
固法「知らないなら最初っから言ってくれれば良かったのに。遠慮しないで下さい」クスッ
神裂「はい……すいません」ペコッ・・・
どうやら勝手が分からなかったらしい。普段こういうお店には来ないようだ。
麦野「貴女も斜に構えないのー。ほら、行くわよ。私も手伝うから」スタッ
神裂「わっとと……お、お手柔らかに」テクテク・・・
麦野「フレーバー弄るのに硬くも柔らかくも無いから。ほれほれ、歩け歩け」クスッ - 849 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 21:46:05.16 ID:BPigDsMq0
- 麦野さんに引っ張られ再度ドリンクバーに向かう神裂さん。意外とお茶目な人だ。麦野さんも、聞かされていたより面倒見が良い。
というより最愛ちゃんや香焼くんがアソコまで戦々恐々していた意味が分からない……何故だろう?
麦野「お待ったせ。もぅ聞いてよ。ドリンクバーだって言ってるのに、スープバー開いてるんだから」フフフ
神裂「あ、アソコら一帯はフリーでは無いのですか?」キョトン・・・
麦野「別料金だってぇの」フフッ
固法「ははは。ま、無事持って来れたんだしOKでしょ」ニコッ
神裂「そ、そうですね」ハハハ・・・
さてと……とりあえず、三人とも落ち着いて揃った。
固法「じゃあ、後になりましたが改めまして……固法美偉です」ペコッ
麦野「あ、そっかそっか……麦野沈利よ。よろしく」ニコッ
神裂「神裂火織です。宜しくお願いします」フカブカー
何だか面接みたいだ。
固法「……神裂さん。もっとフランクでいいのにー」
神裂「そう言われましても、私はこういう口調でして」アハハ・・・
麦野「んー……18? 19かしら?」ジー・・・
固法「む、麦野さん?!」
いきなりこの人は何を言い出すのだ。失礼だろう。しかし……
神裂「……」ジーン・・・
……何か感動してる。
固法「か、神裂さん?」
神裂「……あ、い、いえ! その……的確に年齢を当ててくる方は、そうそういないので」アハハ・・・
麦野「嬉しいと?」クスッ
神裂「多少。私も女子(おなご)ですからね。年輩扱いされると、どうも……ね」コクッ
変なツボだ……まぁ分からなくもないが。
麦野「いやぁ分かるって。私も大体同い年だけど、上に見られるのよねぇ」アハハ・・・
神裂「そうですか……私の一つ二つ下に見えますけど」フム・・・
麦野「おうふっ! 確かに……嬉しいわね」ニヤッ・・・
麦野さんはファッション、メイクが大人っぽい。神裂さんは身長、落ち着いた感じが大人っぽい。
あと二人とも雰囲気(オーラ)が同年代のそれ以上だから、歳より上に見えるのだろう。
話してみればこんなにも子供っぽいのに。
麦野「固法さんも大体同い年でしょ?」
固法「うん……同じく上に見られるけどね」アハハ・・・
神裂「まったく、失礼なものですね」プンスカッ
子供扱いされるよりは良いと割り切っているが……同年代と集まるとジワジワ共感出来てしまう。 - 850 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 21:50:02.69 ID:BPigDsMq0
- ―――同日、PM00:40、学園都市第7学区、ファミレス・『ジョセフ』…固法side…
とりあえず、話が長くなる前に昼食を注文する事にした。
店員「―――……以上三点でお間違いないですか?」
固法「はい。どうも」
店員「ごゆっくり」ニコッ
私はドリアセット。麦野さんはCランチ(今日は鮭定食)。神裂さんは日替わりパスタセット(今日は和風)。
麦野「うーん……最近都市の鮭、塩分強くなってる気がするんだよねぇ。塩鮭は塩鮭で買うってのに」
固法「味、分かるんだ」アハハ・・・
麦野「『鮭』ならね」ニヤッ
神裂「鮭がお好きですか? ロシアの知人からよく頂くので、今度御裾分けしますよ」ニコッ
麦野「おおっ! そりゃ嬉しい限りね!」パアアァッ!
キラキラと目を輝かせる麦野さん。そんなに鮭が好きなのか……珍しい人。
暫く麦野さんの鮭談義を聞かされた後、私から話を振る事にした。
固法「えっと、二人に少し聞いていい?」
麦野「ん? 何々?」
神裂「……香焼達の事でしょうか?」
察しが良い。
麦野「ああ。そいやぁそれで呼ばれてたのよねぇ……別に。答えられる範囲は答えるわよ」
神裂「私も……ただ何分、皆まで知ってる訳では無いです」
固法「勿論、そこまでは聞かないわ。答えられる範疇で結構」
先輩から釘は刺されてるしね。
固法「じゃあ……まず普段の二人は? あ、香焼くんと最愛ちゃんってことね」
まず麦野さんが口を開いた。
麦野「普段の絹旗ねぇ……基本大人しいわよ。あと映画好き。変な映画ばっかだけど」
神裂「変な?」
麦野「B級とかそれ以下の。何処が面白いんだか」ハァ・・・
それは知ってる。前に香焼くんと打ち止めちゃんが映画に誘われて帰って来た時の顔……魂が抜けてた。
固法「でも、大人しいって?」エ?
麦野「あの子、人見知り凄いわよ。仲良くなるとかなりくだけるけど……基本、知らない人だと借りてきた猫状態」ニャー
……信じられない。あの明るい子が、人見知りかぁ。 - 851 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 22:09:58.09 ID:BPigDsMq0
- 麦野「まぁ置き去り(チャイルドエラー)ってのも有るんだろうけどさ……おっかなびっくりって感じ」クスッ
神裂「置き去り出身でしたか……人見知りは学校でも?」
麦野「あの子、学校行く必要無いわ。希少能力(レアスキル)で霧ヶ丘付属だから、定期的にレポート提出だけでOKだもの」クルクル・・・
麦野(と、嘘ついとけってあの子言ってたわね)
固法「そうなんだ……意外ね」ヘェ・・・
黒妻家(ウチ)での最愛ちゃんしか知らないからか……長く一緒にいる麦野さんの方が良く分かっているのだろう。
麦野「前に仕ご……バイトの関係で同い年くらいの子達と遊ぶってのが有ったんだけど、散々だった」ハァ・・・
固法「散々?」
麦野「『む、むむ、む、麦野ぉ……マジ、もう……超無理ですよぉ……』って涙目。たかが質問攻めにあったくらいで」クスッ
想像できない……那由他ちゃんや打ち止めちゃんとはすぐ打ち解けたのに。
髪をいじりながら麦野さんは続ける。
麦野「動物とか年下とか、善悪関係無いモノにはくだけるわよ」
神裂「成程。動物的というか、純粋なのですね。絹旗さんは」フム・・・
麦野「あはは、そうかも! だから……坊やっていうか香焼くんや最終信号(打ち止め)なんかはよく仲良くしてるなぁって驚いてる」フフッ・・・
固法・神裂「「……」」ムゥ・・・
麦野「最近じゃ『また新しい妹が出来ましたよっ!!』とかはしゃいでて……超吃驚よ」クスッ
那由他ちゃんの事だろう。まだ遊んだ回数は少ないが、仲睦ましくじゃれ合っている様に見えた。
麦野「私達(アイテム)にしか打ち解けなかった娘がねぇ……ホント」ハハハ・・・
神裂「黒妻さんの御蔭でしょう。それに、固法さんも」ニコッ・・・
麦野「そうね」クスッ
そう言って貰えると、嬉しい限りだ。私も先輩も……例え『おままごと』と言われようが救われる。
麦野「まぁバイトに支障が出るのはアレだけど……最近は大目に見てやってるわ」
神裂「…… (『バイト』……香焼が言っていたのは、コレですか)」ピクッ・・・
固法「因みに、そのバイトって? 夜も働いているようだけど……」
先輩には見極めろと言われていたが、思い切って踏み込んでみよう。
麦野さんの手が一瞬止まる……拙ったか……
麦野「……あれ? 絹旗や黒妻くんから聞いて無かった?」キョトン・・・
固法「え?」
麦野「分類的には『仕分け』仕事よ。『要らないモノ』を切っていく感じかなぁ」ニコッ
神裂「……仕分け、ですか? また難しい仕事をしていますね」
麦野「まぁね。いやぁ学園都市内で有るのか如何なのか怪しい仕事(不穏分子)って結構あるでしょ?」
そういえば、麦野さんは先輩のバイト先の社長でもあったような……事業家という事か?
麦野「んで、在るか如何か微妙なのを切ったり(削除)潰したり(抹消)するわけなのよーん」モグモグ・・・
麦野(これでOKよねー。嘘は言って無いしー)フンフーン♪ - 852 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 22:16:04.06 ID:BPigDsMq0
- 固法「そうなんだ。敏腕なのね……って、それ夜も動くの?」
麦野「んー、寧ろ夜の方がそういうダミー会社(不穏分子)見つかり易いの。それで滝壺が捜索。私やフレンダ、絹旗で叩くって感じかな」
神裂「危険では無いのですか? というより理事会や警備員、風紀委員が行いそうな仕事です」
麦野「民間委託ってヤツね。危険かもしれないけど……私達、強い女だから」ニヤッ
固法「もう……無茶して怪我しないでね」ハァ・・・
麦野「あはは。無い無い。私がさせないわよ。一応、超能力者ですからー……絹旗も、能力的に怪我はしないもの」ニコッ
確か、本人は大気操作能力の大能力者(レベル3)と言っていた。
麦野「そうそう。自動防御働くの。便利よねー。(大気能力者だったら強能力者で誤魔化せっての)」アハハ
固法「そっか……良かった」ホッ・・・
麦野さんの明るい様子に少しだけ安心した。どうやら思っていたより重い仕事では無い様だ。
夜間業務というのは気になるが……本人の意思だろう。今は何とも言えまい。
麦野「ま、今はそんなに仕事量多くないし。問題無いわよ……多分ね」ニコッ
固法「それなら……うん」
麦野「ただねぇ……香焼くんに怒られちゃった。『夜の仕事なんかさせるな!』って……仕方ないでしょう。『本人』の意志なんだもの」ニコッ
神裂「……そうですか。 (本当に『本人』の意志なのでしょうか……)」ジー・・・
固法「うん。でも……出来るだけ昼間のお仕事にしてあげて欲しいな。成長期だしさ」
麦野「おーらい。善処させて頂きます。(今潰れられても『替え』いないしね)」ビシッ!
微笑んで敬礼の真似事をする麦野さん。
さて、次は……香焼くんだ。
神裂「香焼ですか……真面目な子ですね。少々真面目すぎる点もありますが、普通の男子(おのこ)ですよ」
固法「確かに生真面目ね。理事校へは本人の意思で?」
神裂「えっと……半々といった所でしょうか。私達の期待半分、本人の希望半分で」
麦野「理事校かぁ……汚れた政治屋にはなって欲しくないけどね」クスッ
香焼くんに限ってそれは無いだろう。
固法「あとは……その、偏見じゃないのよ。ちょっと気になる事なんだけど……」
神裂「はい」
固法「偶に『主』や『救われない者に――』とか言ってるのは、その……」
麦野「何それ? 何かの宗教?」
この人はホント、物事をハッキリ聞く。
神裂「……本人は何と?」
固法「はっきりは言わないけど、とりあえず教会建設だったり宗教学専攻してたりと……神裂さんもそうなのかなって」
これもギリギリの質問かもしれない…… - 853 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 22:27:04.69 ID:BPigDsMq0
- 神裂「ええ。私は宗教家です」キッパリ
そうだったのか。薄々気が付いてはいたが……公言し難かろう。
宗教の自由とはいえど、この学園都市で『宗教家』は社会不適合者扱いされる事も屡(しばしば)。
麦野「へぇ……成程。(それが『母体』の暗躍集団って訳かしら?)」フーン・・・
固法「キリスト教徒、なのかな? よく『女教皇様(プリエステス)』って香焼くんが呼んでるけど」
神裂「一応『十字教』とだけ……私はその通り『女教皇』ですから、彼らにそう呼ばれます」コクッ
麦野「……よく分かんないや。でもまぁしかし、よくはっきり言えるわね。驚いちゃった」クスッ
神裂「別に。己の誇りは持っていますから……他者の迫害を受けるのも慣れています」
麦野「まぁ私は気にしないけどねぇ。勧誘とかされない限りは、偏見も持たないし」
神裂「信仰は自由であるべきです。他人に無理やり押し付ける信仰など、以ての外でしょう」
固法「あはは。ホントに『女教皇様』なんだ」
聖母のような考えだ。大人びている貫禄というか雰囲気は此処から来ているのだろう。
神裂「香焼の話に戻りますが、基本はあのままの子です。ただ……」
固法「ただ?」
神裂「周りの仲間に流されてふざける時はふざけてますよ。特に男衆と雑じると……『色々』ね」クスッ・・・
麦野「あはは。男の子だったら『それくらい』が丁度良いって。じゃないと、ムッツリくんになっちゃうぞ」ケラケラッ
先輩と一緒の時は『そういうの』無いけどなぁ。
神裂「あとは私の他に、特に親しい姉役が二人程いるのですが困ってまして」ムゥ・・・
固法「その話は知らないなぁ」
神裂「一応、あの子も年頃の男子ですから……同居同然の生活は駄目だろうと。先程もその説教で遅れました」ハァ・・・
麦野「ハーレムってヤツ? 意外とやるじゃない、あの坊やも」ニシシ!
神裂「いえ。あの子が姉二人を嫌がってるので、そちらに説教を」ポリポリ・・・
麦野「あら? 何だそりゃ」アハハ・・・
固法「香焼くん、硬派だもんね。筋通さないと女性とお付き合いしなさそうだもん」
その割にフラグは乱立してる気がするけど。
最愛ちゃんにアニェーゼちゃん、アンジェレネちゃん、佐天さん……あとは私の知らない所でも幾つか立ってるのだろう。
打ち止めちゃんと那由他ちゃんに関しては……多分、妹止まりだと思うけど。
神裂「ええ。そこは彼の美点でしょう……多少優柔不断さも見えますが、まだ先は長い」フフッ
麦野「なぁるへそ。絹旗にもライバルがいるって事なのね……ふふふ。面白い面白い」ニコッ
固法「暖かい目で見守りましょう。先輩はそうするつもりです」
麦野「関与しないか。ますます父親ね」ハハハ
それは同意しよう。
神裂「とりあえす、私からはこれくらいで。後は聞きたい事が有ればどうぞ」
固法「えっと、じゃあ二点ね。あまり褒められた事じゃないんだけど……」
神裂「はい」コクッ
固法「私の能力。透視能力(クレアボイアンス)っていうの。名前通り物理的な『透視』が出来るわ」
瞬間、二人が固まる……疚しいモノでも持ってるのだろうか? - 854 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 22:30:34.69 ID:BPigDsMq0
- 固法「あ、大丈夫。安心して。貴女達を透視したりしてないから」ニコッ
麦野「え、あ、いやさぁ……何かこう『透視』って言われると吃驚して」アハハ・・・
神裂「確かに疚しく無くても、身構えますね」アハハ・・・
固法「よくあるわ。えっと話戻すけど……それで前に香焼くんの持ちモノ見ちゃったの」
神裂「……確かに、あまり褒められたモノでは無いですね」
固法「ごめんなさい」ペコッ
むやみやたらに能力は行使するものではない。特に私の様なプライバシーを侵せる能力は尚更だ。
麦野「何々。エロ本でも出てきた?」ニヤニヤ・・・
神裂「……あの子に限ってそれは無いかと」タラー・・・
固法「二点、ね……まず煙草」
神裂「あー……はい」ハァ・・・
麦野「あはは! 意外ねぇ! やるじゃない、坊や!」ケラケラッ
笑い事では無いのだが……喫える私が言うのも何だけど。
神裂「その件は私も心配していまして……本人は止めたと言ってはいますが、どうなのやら」ハァ・・・
固法「先輩の所為で煙草を始めたのなら、本っ当にごめんなさい」ペコッ
神裂「いえ……それは違います。原因はあの不良神父の所為ですから……」プルプル・・・
固法「……ステイルくん?(※)」 ※①『おかえりなさい』で顔見知り。
神裂「はい……あんの糞ガキが、純粋なあの子を悪の道に引っ張りやがって……」ピキピキッ・・・
大分御立腹でいらっしゃるようだ。
固法「と、兎に角、私からも注意はするから、神裂さんもお願いね」タラー・・・
神裂「ええ、お願いします。というか煙草を見つける為ならいくらでも透視して頂いて結構ですから」キッパリ
麦野「あはは。香焼くんも辛いわねぇ」クスクス・・・
神裂「喫煙の疑いが晴れるまでは当然の報いです」
固法「あははは……ちなみに浜面くんは皆の前で喫ってないの?」
麦野「喫ったり喫わなかったり。止めろって言えば止めるから。私は別に禁煙させるつもりないからねぇ」
彼も未成年だろうに……さておき、もう一点だ。
固法「もう一つだけど……こっちの方が危険かな」
神裂「……何でしょう。 (術式の為に色々持ち歩きますからね……)」
固法「……ナイフ」ボソッ・・・
麦野「ぶぅっ!! ……へ?」ポカーン・・・
麦野さんが盛大に吹き出した。まぁ普通は驚く。 - 855 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 22:38:21.62 ID:BPigDsMq0
- 神裂「あー…… (上手く隠せてなかったのでしょうか……いや、この人以外だったらばれなかったのでしょうね)」ハァ・・・
麦野「何それ、中二病? 中学生だけに?」
固法「だったらいいのだけど……普通のナイフじゃないのよね。それに一、二本じゃなくて大量に持ち歩いてる」
麦野「あはは…… (ナイフが得物なのね……ってか可哀想に)」タラー・・・
固法「本当は風紀委員として放っておけないのだけど……理由があるのかなって」
加え、先輩からも口止めされていた。
神裂「えっと……すいません。確かに危険ですが、宗教上の礼装品の一つなのです」アタフタ・・・
麦野「……ははは。(うわぁ……苦しい言い訳)」タラー・・・
固法「礼、装?」
神裂「こう……体中満遍無くナイフが隠されていたでしょう? 楔(くさび)代わりなんですよ」アハハ・・・
固法「それは……持ち歩かなきゃ駄目なの?」
神裂「えっと、敬虔で普段から鍛錬を怠らない子なので、その刃物の扱いも慣れてますし。(本数減らして持ち歩くよう説教ですね)」アワワ・・・
固法「でもねぇ……」
麦野「(仕方無い……助けるか) あー、ほら。悪い事に使う訳じゃないんでしょ? 気にし過ぎだって」
固法「そうかなぁ?」ムゥ・・・
神裂「(ナイスフォロー!) そ、そうですね。大丈夫でしょう。一応、此方側としては公認なので……」ポリポリ・・・
風紀委員としては黙認できないのだが……
麦野「『宗教上』ってんなら無理矢理剥がす事出来ないでしょ? そこら辺は信心の自由だし、必要なら申請出せば良いしさ」チラッ・・・
神裂「そうして解釈して頂けるとありがたいのですが…… (助かりました……)」
固法「……そうね。先輩も黙ってるし、大丈夫かな」ムゥ・・・
腑に落ちないが、納得せざるを得ないか。まぁ那由他ちゃんの『全身』に隠してある『諸々』よりは安全だろう。
とりあえず、話は一通り聞けた。一応満足。
麦野「そろそろご飯来るし、此処ら辺にしときましょ」ニコッ
固法「そうね……あ」
神裂「まだ何か?」
固法「あ、えっと、どのタイミングで言っても良かったんだけど……他二人の保護者っていうか身内からも挨拶をね」
麦野・神裂「「え?」」
固法「打ち止めちゃんと那由他ちゃん……那由他ちゃん、知ってるっけ?」
神裂「ええ。香焼から聞かされています」
麦野「……一応。(『木原』のガキね)」
固法「そう。それで……どちらの身内からも『宜しく』だって」
黄泉川家。それから……テレスティーナ。
麦野「へぇ……よくあの『魔女』が保護者代わりやってるわね」
固法「……色々(※)あったから。ギクシャクしてるけど仲戻してくみたいよ」 ※>>5以降・・・『墓参り編』参考
神裂「……彼女なりの幸せの形を見つけたのですね(※)」 ※②『いってらっしゃい』参考
幸せの形には程遠いが、ゆっくりと、自分達のこれからを模索していくだろう。 - 857 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 22:52:28.07 ID:BPigDsMq0
- 麦野「私は黄泉川さんってか、芳川先生とは偶にあってるわ(※)。色々打ち止めちゃんから『聞かされる話』を聞かされるもの」クスッ
固法「芳川さん?」
麦野「定期ドックでね、お世話になったわ。ついでに木山先生にも(※)」 ※②『いってらっしゃい』参照。
成程。病院経由で知っていたのか。
麦野「あの二人は勿体無い美女だからコーディネイトし甲斐が有るのよ……誰かさんと一緒でね」チラッ・・・
神裂「うっ……わ、私は……」タラー・・・
麦野「ねー」ジー・・・
勿体無い美女……周りに結構多いかも。
神裂「そ、そんな事より、麦野さんの能力はどのようなモノなのですか? 高位の能力者と耳にしますが」アタフタ・・・
固法「うん、私も気になってた。超能力者の第4位でしょ?(無理矢理話挿げ変えたわね……)」アハハ
麦野「んー……派手だから今見せられないけど、後で時間と場所があったら見せてあげる」ニヤッ・・・
神裂「確か……『原子崩し(メルトダウナー)』でしたか? イメージ的に核分裂や炉心融解を思い浮かべますが」
麦野「それも有るけど『粒子』と『波形』を弄って……難しい事省くと『ビーム』出んのよ。すごいビーム」ビビビ!
随分ザックリだ。
麦野「それより……神裂さんの『残念さ』の方が気になるわ」ニヤッ・・・
神裂「うっ……それは……」タラー・・・
ウリウリと麦野さんが神裂さんの横腹を突きだした。まぁどっちも気になるが……面白いから何でもOK。
それから暫くして、ガラガラカートを押す音がした。
店員「お待たせいたしました」
麦野「お。来た来た」
それでは頂こう。 - 858 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 22:58:52.11 ID:BPigDsMq0
- ―――同日、PM01:00、学園都市第7学区、ファミレス・『ジョセフ』…固法side・・・
箸を付ける直前、神裂さんが何やら唱えていた……確か香焼くんも似た様な事をしていたっけ。
とりあえず気にしないでおく。
麦野「まぁしかし……なーんか勿体無いなぁ」ジー・・・
固法・神裂「「え?」」ピタッ
麦野「固法さんはさっきも言った通りだけど……神裂さんも」モグモグ・・・
神裂「と、言いますと?」
麦野「……色々よ」モグモグ・・・
そう言って箸で神裂さんを指す麦野さん。
麦野「まずさぁ、荷物」
神裂「えっと……携帯と、財布だけです」
そういえばバックを持っていなかったようだが……よくよく考えると、信じられない。貴女は男性ですか?
麦野「……まぁ良い。じゃあ化粧は?」ビシッ
神裂「り、リップくらいですが……何か?」
固法・麦野「「……」」アゼーン・・・
いや、化粧をして無くても美人なのだが……女として勿体無いというか。
麦野「……服」ビシッ
神裂「これは、その……理由があってこういう服装なのです。(これが香焼が言ってた駄目だし……)」タラー・・・
麦野「……マジ勿体無い」ムゥ・・・
固法「確かに」アハハ・・・
神裂さんの恰好を見る……インナー以外、見た事の無い服装。
麦野「パッと見、ビンテージ物のジーンズだってのは分かる。上のデニムジャケットも良い生地ね。ブーツも結構レア物。だけど……」ジー・・・
固法「何で、カットしてるの?」
神裂「だから、その……理由がありまして。先程言った通り、宗教上の……」アタフタ・・・
麦野「あー、はいはい。分かった分かった」ハァ・・・
そりゃ呆れる。
麦野「……食事終わったら買い物行くわよ」ビシッ!
神裂「え?」キョトーン・・・
麦野「え? じゃない! 服よ、服! ついでに化粧道具一式もね……ついでだから固法さんも買いに行きましょう」ニコッ
固法「あ、えっと……」
麦野「あら? この後時間無いの?」
固法「有るけど……本当に?」
麦野「うん。決まりね」キッパリ
すっかり彼女のペースだ。本来は私がやるべきペースリーダーをしてくれるのなら、助かるけど。 - 859 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 23:02:49.63 ID:BPigDsMq0
- 神裂「いや、しかし……私に女性らしいファッションなんて」
麦野「ハァ……あのねぇ、女磨かないと男寄って来ないわよ?」
神裂「む……」ピクッ・・・
反応した。何だかんだ言って、きっと気になる男性でもいるのだろう。微笑ましい。
麦野「まぁその点、固法さんは問題無しかぁ……羨ましいわね」クスッ
固法「えっ!? あ、えっと、その……うん」コクッ・・・///
麦野「かあああぁっ!! 何だこの新妻反応は!! 私達が婚期逃したみたいじゃないの!!」ウガアアァッ!!
神裂「こ、婚期って……我々はまだ二十歳にもなってませんよ。大袈裟な」アハハ・・・
麦野「でもねぇ……彼氏の一人や二人いても可笑しくないでしょ? いくらキャリアとはいえさ」
神裂「そういうものなのでしょうか……てかキャリアって」タラー・・・
麦野「そういうもんよ。だーかーらっ! 女磨きましょ! ね!」ニヤッ!
何やら複雑な顔。あ、そういえば……
固法「神裂さん。偶に上条くんのお家に行くんだっけ?」
神裂「げっ!? な、何故それを!!?」ビクッ!
麦野「……ほぅ」キランッ!
固法「私と鉢合わせは無いけど、インデックスちゃんや上条くん本人が言ってたわ。部屋が先輩の真上で御近所だから」
神裂「そ、そ、それはですね! い、禁書目録は私の身内の様なものでして、その、偶に顔を見に行きたくなるというか!」アタフタ・・・
……隠し事が出来ないタイプのようだ。
麦野「へぇ……隅に置けないじゃない。幻想殺しも」クスクスッ
神裂「違いま……って!!? 何故……その渾名を?」ピタッ・・・
麦野「え? あ、えっと……そう呼んじゃ駄目なの?」エ?
神裂「駄目というか……何故知ってるのでしょう?」ジー・・・
麦野「何故って……」チラッ・・・
固法「寧ろ、隠し事なの? 上条くん、自分でベラベラ言ってるけど」
神裂「……は?」
固法「『俺のこの右手、異能の幻想(力)なら何でも壊(殺)せますけど、運も幸も逃げちゃうんすよね……不幸だぁ』って」
神裂「……あんのトーシローが。自分の立場を考えろっての」プルプル・・・
麦野「あはははは…… (まぁ彼、表裏ともに有名人だからねー)」
とりあえず、神裂さんは上条くんに気が有るらしい。
というか彼も色んな人にフラグを立てているモノだ。土御門くん曰く、香焼くん以上だとか。『カミやん病』とか言ってたかな。
御坂さんに、神裂さん、等々……インデックスちゃんは恋愛感情なのだろうか?
麦野「兎も角、個人的に神裂さんの事応援するぞー」ニヤッ
神裂「べ、別に……彼には色々と恩が有るだけで」
固法「じゃあ、別の人に取られても良いの?」
神裂「それは……彼が決める事ですから……」
麦野「あああっ!! じれったい! そんな事言ってる間に超電磁砲に取られちまうわよ! いいの?!」ギロッ
物騒な……土御門くんのような事を言う。 - 860 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 23:06:19.82 ID:BPigDsMq0
- 麦野「あんな道化と一緒にされるのは癪だけど、今回ばかしは同意せざるを得ないわ!」フンッ!
神裂「む、むぅ……」モジモジ・・・
固法「えっと、とりあえず私も買い物行きたくなってきたからさ。神裂さんもついでだと思って一緒に行こうよ。(あと一押しかな)」ニコッ
神裂「そ、そうですか……それなら、はい」コクッ
麦野「決定ね」ニコッ
上条くん云々は別に、多分この人も非日常的な生活を送っている様に見える。
こういう時くらいは普通の女の子になってもらいたい。何故かそんな事を考えてしまった。
―――同日、PM02:00、学園都市第7学区、とある通り…固法side・・・
食事を終え、大通りを歩き、ショッピングモールに入る。私も良く寄る商店が並んでいる通りだ。
本当は第3学区か第16学区(輸入物取扱店街・高級商店街)に行こうと麦野さんが提案したのだが……流石に気が引けた。
何とか説得し、近場の良店で済ませる事に。
しかし……
麦野「此処ら辺だったら『麗々』の系列が在ったかなぁ」フンフンフーン♪
神裂「……」スタスタスタ・・・
目立つ。見返り美人とは彼女達の為にある言葉かもしれない。
まぁ神裂さんの場合は別の意味で振り返られているが……それを差し引いても、モデル以上のプロポーションに男女問わず惹かれている。
私が地味なだけか……少々、気後れしてしまう。
麦野「前に芳川先生と木山先生も着せ替えしたんだけどね、見違えたわよー」フフフ・・・
固法「あの二人が、ねぇ……」アハハ・・・
両人とも素は美人さんだからなぁ……ちょっと見てみたい気もする。
神裂「……」キョロキョロ・・・
固法「どうしたの? もしかして緊張してるとか?」
神裂「あ、いえ。何というか……こういう風に普通に下町を歩くのは珍しいので」ポリポリ・・・
麦野「下町って。じゃあ普段何処歩いてるのよ? 空でも飛んでるの?」アハハ
神裂「……あはは。(半分、正解)」タラー・・・
やはり非日常な人だったか。私と大して変わらない年娘だというに。
固法「そういえば普段はイギリスにいるんだっけ?」
神裂「はい。といっても各地を飛び回ってる感じですが」
麦野「へぇ。羨ましいわね……それなのに、そのファッション。勿体無さ過ぎる」
神裂「ですから、これは……」
麦野「はいはい、宗教上ね。ロンドン、パリ、香港、シカゴ……行きたいお店、テンコ盛りだわ」ハァ
神裂「むぅ……」
固法「基本、都市の住民は外出れないもんね」
麦野「固過ぎんのよ。まぁ理屈は分かるけどさぁ……あ、そろそろ着くわね」
数十秒後、目的の御店が見えた。
初めて見る店……外見は私達でも普通に足を運べる様風。客足もチラホラ。店員も普通のアルバイトの様だ。 - 863 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 23:17:45.99 ID:BPigDsMq0
- 麦野「此処にしましょ」ニコッ
固法「……『美華』? 聞いたこと無いけど」ハテ?
麦野「『麗々』は知ってるでしょ。その下請けだけど、本店に出す前の先行試売してる店よ」クイッ
神裂「詳しいですね」ヘェ
麦野「『麗々』のオーナーが私の会社の一、『出資者』なのよ。偶に話するから色々とね……さ! 入りましょ」テクテク・・・
麦野さんの後を追う形で私と神裂さんも入店した。内部の見た目も至って普通。
麦野「さ・て・と……ちょぉっと待っててね」スタスタ・・・
固法「あ……行っちゃった」ポカーン・・・
神裂「此方の都合は御構い無しの様ですね……というか……周りの目が痛い」チラッ
確かに……よくよく見ると、ファッションに五月蠅そうな方々ばかり客としているようだ。成程、一見さん御断りな店という訳ね。
とりあえずその場に固まっているのは逆に目立ちそうなので、店内を歩いてみる事にした。
固法「男性物に女性物……お手軽価格から高級品まで何でもござるね。あ、一一一(ひとついはじめ)もお忍びで来た事あるんだ」マジマジ・・・
神裂「……此処で買ったものはその場でカット可能なのでしょうか?」フム・・・
貴女は何をお考え遊ばせていらしゃるのでしょうか? 切り裂きフェチか何か?
アホな真似は控える様釘を刺し、小物などを眺めつつ麦野さんを待って……数分後。
麦野「お待たせー」テクテク・・・
固法「うん。何してきたの?」
麦野「うふふ~。とりあえずコッチいらっしゃいな」クルッ・・・
固法・神裂「「え?」」キョトーン・・・
言われるがままに付いて行く事に。どうやら二階……の更に奥、事務所的な場所の様だ。
固法「あの……麦野さん?」
麦野「気にしないでいいわ。えっと……とりあえず下着になって」ニコッ
……は?
固法「えっと……はい?」
麦野「正確なスリーサイズと体重分かるならいいけど。ちなみに私は分かってるから問題無し」
固法「じゃなくて、その……此処は?」
麦野「借りたわ。『機材』も揃ってるし、ベテラン店員さんも借りれたから」ニコッ
この人はそこまでするのか。
麦野「一般人でも頼めばやってくれるわよ。ちょっとチップ預ければね」ウイウイ
固法「……あはは。(そのチップっていくらかなぁ)」タラー・・・
麦野「ちなみにベテランの女性店員さんに頼んだわ。玄人っぽいから安心して。そこのおばちゃんよ」クイッ
ひょこっと小柄で柔らかそうな初老の女性が頭を下げてきた。
いくら同性のベテランさんとはいえ、いきなりすぎて抵抗ありまくりなのだが……どうしよう。 - 865 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 23:24:54.39 ID:BPigDsMq0
- 麦野「という訳でまずは測定! 神裂さんも脱いで頂戴!」ビシッ
神裂「……適当で」ビクッ・・・
麦野「駄目」キッパリ
仕方無い、腹を括るか。
ちなみに、学園都市には全て機械任せでスリーサイズを計れる機材も存在する。
殆どはそれに頼って計測するのだが……麦野さん曰く、『人の手の方が確か。人の目としてね』だそうだ。
というわけで……今、下着状態。タイツまで脱がされた。
麦野「……」ジー・・・
固法・神裂「「……」」タラー・・・
麦野「……」マジマジ・・・
固法「……えっと、何か?」ポリポリ・・・
麦野「……慢心してたわ。正直自分はプロポーション抜群だと思って抜かってた」ハァ・・・
いやいやいや。そんな事は無いだろう。正直私はプロポーションの自信無い。
神裂「あ、あの……さっさと済ませましょう」カアアァ・・・///
麦野「ストラップレスブラジャー(紐無しブラ)にTバックに近いショーツって……何で内側だけ凝ってんのよ」ビシッ
何時でも臨戦態勢という事かしら……兎も角、コレ以上視姦される前に、計測を終えてしまおう。店員さんが私達を計測し出した。
麦野「さてさて、如何かしら?」ニヤニヤ・・・
店員さん「えっと……麦野ちゃん。此方の方々はモデルのお友達?」アハハ
麦野「んー、そうねぇ。無理やりそうさせてみようかしら。おばちゃん、良い事務所紹介してよ」ニヤッ・・・
神裂「かかか、か、勘弁して下さい!!」カアアァ・・・///
固法「てか、麦野さんも計測しなよ。私達だけズルいってば」ンモゥ・・・
麦野「え……別にいいけど。二人程インパクト無いわよ? あとヒール脱いだらかなり、タッパ(身長)減るからね」ヌギヌギ・・・
一寸後、何だかんだで結果(※)が出た。 ※あくまで色々検証した妄そ……予想です。
麦野――身長164cm・体重53kg、スリーサイズは85・59・82。
神裂――身長170cm・体重57kg、スリーサイズは98・75・95。
そして……
店員さん「身長163cm・体重51kg、スリーサイズは88・60・84……もうちょっとお腹しぼったら完璧かな」ニコッ
固法「うっ……努力します」
胸とお腹が出てた分……太った。また先輩に馬鹿にされる。ダイエットしよう。牛乳ダイエット。
麦野「私と同じ身長で88って、それ『幸せ』分の差かしら」ハァ・・・
固法「なっ!? ち、違うよぅ」カアアァ・・・///
麦野「やっぱアレかぁ……揉まれると増えるのかぁ……羨ましい」ジトー・・・
固法「セクハラ言わないで! か、神裂さんも何か言ってよ!」モジモジ・・・
神裂「あ、あはは……まぁ肉付きから見るに、筋肉と脂肪の差でしょう」ジー
固法「」チーン・・・ - 866 :>>854・・・大と強、ミスったっす、(& ◆GEFWUg/CoZvJ[saga]:2011/02/17(木) 23:29:55.81 ID:BPigDsMq0
- 脂肪……
麦野「いくら筋肉が硬くて重いとはいえ『ダイナマイト☆ばでぃ!』の貴女が言うと嫌味にしか聞こえないわよ!」ムキーッ!!
神裂「だ、ダイナマイトって……」アハハ・・・
98って……アンダーとトップを考えてみても、ウエストとの差10センチ以上。ヒップも良い感じに出てる。
神が造形したような体型とは彼女の様な事を言うのだろう。
神裂「え、えっと……余計なものですよ? 動くのに邪魔ですしって、あ痛ぁっ!!」ポカッ・・・(注:むぎのん5割ゲンコツ★)
麦野「お黙る! しかもこのお腹! 肋骨(あばら)が見えないのに、差分10センチって!! どんな運動すりゃそうなるのよ!」ウガァッ!
神裂「色々と……はい」イテテ・・・(注:かおりんは聖人です。並の人間がむぎのんゲンコツを受けないで下さい♪)
固法「私、脂肪女……どうせ牛女ですよー……もー……」トボトボ・・・
麦野「まったく、筋肉質な女よりいいわよ。私なんか腹筋出そうなんだからね!」フンッ!
何を言われても耳に入らなかった……
――太った――
女性としてその事実だけが耳に木霊している。先輩に嫌われちゃうかも……
店員さん「あはは……とりあえず皆さん、着替えましょう。風邪引きますよ」
麦野「そうね……とりあえず、二人には後で聞きたい事が山ほどあるわ。バストアップの方法とかダイエット方法とか!」ビシッ!
神裂「ダイエットというモノはしてないのですがね……」アハハ・・・
……ムサシノ牛乳はバストアップなのだろうか? てか私もダイエット方法は気になる。
なんて考えはさておき、大きめのジャージが渡された。今から一々着替え辛い服を着るな、という事だろう。
麦野「さて、と……PC借りるわね」ヨット・・・
店員さん「はい。一応、此処に居ますので分からない事が有れば聞いて下さいね」ニコッ
神裂「何をするのですか?」
麦野「とりあえず販売物のリスト見るのよ。目算で選ぶわ」カタカタ・・・
すごいスピードでマウスとキーボードを弄る麦野さん。一寸後、タンッとエンターを押す音が響いた。
麦野「よしっと。後は待ってれば持って来るわ」
神裂「態々、他の店員さんに頼んだのですか?」
麦野「違うわよー。在庫倉庫から作業用ロボが丁寧に持って来るわ。そっちの方が手間省けるしね」
神裂「……学園都市の技術は凄いですね」ヘェ
やはり外の常識は通用しないらしい。
そういえば前に冷蔵庫が……『この学園都市では常識にとらわれてはいけないんだぜ!』とかインデックスちゃんに力説してたな。
麦野「あ。後で髪弄らせて貰うけどいい? と言っても切る訳じゃないからさ」
固法「え、いいけど……私弄る程長くないわよ?」
麦野「大丈夫大丈夫。滝壺と絹旗も偶に弄るけど、そのくらいだから。神裂さんは……弄り甲斐が有るわね」ニヤッ・・・
神裂「……お手柔らかに」タラー・・・
それから作業用ロボが来るまで、店員さんに出して貰った(サービス)お茶を啜って待つ事にした。 - 868 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 23:33:08.86 ID:BPigDsMq0
- ―――同日、PM03:00、学園都市第7学区、服屋『美華』…固法side・・・
麦野「ふんふふ、ふんふふ、ふんふんふ~ん♪」カチャカチャ・・・
固法・神裂「「……」」アゼーン・・・
上下、インナーアウター、小物、等々合わせて100着近くの服がやってきた。
麦野「さぁてと……どうしよっかなぁ♪」ニパー!
固法「えっと、何を?」タラー・・・
麦野「そうねぇ。固法さんはある程度自分で出来る筈だから仕上げのチェックだけで大丈夫だと思う」ウンウン・・・
神裂「……」ダラダラ・・・
麦野「やっぱ神裂さん中心的にやらないとね! あ、そうだ! おばちゃん、固法さん手伝ってあげて!」
店員さん「はいはい」ニコッ
麦野「えっと、大人しい服じゃなくて胸強調させてあげてー。肌露出出来るのがいいかなぁ」ニヤッ
固法「え”っ!?」ドキッ
麦野「ふふふ、少しハッチャけてみなさいな。さぁて……こっちはコッチでやっちゃおー」ワキワキワキ・・・
神裂「ひ、ひぃっ!!」ウワーン!
流されっ放しだ……兎も角、着替え開始。
胸を強調させるといっても、そんな開けたのは恥ずかしくて着たく無い。肌を露出って……
店員さん「何も胸だけじゃないのよ。肩やおへそを少し出してあげるだけで、いっきに変わるから」
固法「そ、そうですか……下はどうしよう」
店員さん「基本的に何でも合うわ。どうしたい?」
固法「うーん……」
先の結果を考えるに……生足は出したくない。
固法「スカートよりはパンツの方が良いです」
店員さん「うん、分かった。じゃあ此処ら辺から選んで」バッ
ショーパンからレザーまで様々……目に入ったのは、ダメージ加工(派手に加工は無し)のパンツ。中々恰好良い。
店員さん「良いと思う。もしかしてライダージャケットとか着合わせる?」
固法「はい。でも革ジャンです……アレ、合わせるの難しいんですよ」アハハ・・・
店員さん「レディースの革ジャンはそうね。男の子だったらパーカーなんかでもいいんだけど」
固法「前襟付きなんです。問題は下で」
店員さん「本当にバイクに乗るならレザパン、革パン。ファッションならミニスカにロングブーツでも合うと思うわよ」
成程、参考になる……さておき、今は別の服だ。
店員さん「コレなんか如何かしら? 似合うと思うけど」スッ・・・
固法「えっと、肩出しのロングTシャツですか……ボーダー低くないかなぁ」
店員さん「ふふっ。大胆に、でしょ? 若いんだからチャレンジなさいな」ニコッ
微笑まれ、それにする事に。 - 870 :>>867・・・筋肉あるかなぁと。やっぱ65~70くらいかな?[saga]:2011/02/17(木) 23:42:59.39 ID:BPigDsMq0
- 店員さん「ブーツとサンダルだったらドチラがいい?」
固法「うーん……ブーツ、かな?」
店員さん「じゃあこっちね。さて、あとはチューブストラップのキャミソールかブラね……いや、ストラップレスにしましょ」ニコッ
もはや大胆路線決定らしい。兎角、とりあえず決定だ。
黒の肩出し(ボーダー低め)のロンT。淡色のダメージ加工(派手加工無し)パンツ。そして茶色のヒール付きブーツ。
さて試着を……の前に、重要な事に気づく。
固法「あ、あの!」
店員さん「何かしら?」
固法「え、えっと、その……金額は?」カアアァ・・・///
店員さん「え? ああ、気にしないで良いわよ。一応良心価格のつもり」ニコッ
仮にも学生の身分だ。高過ぎる買い物は出来ない。云十万とか越えてたら話にならない。
店員さん「そうねぇ、麦野ちゃんのお友達って事だし……このくらいで如何かしら?」トンッ・・・
一応、払えるが、出費的に痛手。でも恥ずかしくて今更キャンセルだなんて言えない。
麦野「あー、固法さーん! 立て替えるわー。黒妻くんの給料から差っ引いとくから気にしないで良いわよー! 買っちゃってー」
それはそれで困るのだが……偶には我儘言っちゃおっかな。
固法「じゃあ……お願いします」コクッ
店員さん「はいはい。えっと……じゃあコレはおまけね」ファサッ・・・
固法「え!?」ドキッ
薄く、しかし暖かいポンチョを渡された。
店員さん「サービス。寒い時にかけなさい。アルパカ素材だから暖かい筈よ」
固法「あ、えっと……」
店員さん「いいのいいの。お客様は神様ですってね」ニコッ
何だか申し訳無いなぁ。という事で、着替えに移った。 - 871 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 23:45:44.84 ID:BPigDsMq0
- ―――同日、PM03:10、学園都市第7学区、服屋『美華』…神裂side・・・
もう少し香焼達の忠告を聞いておくべきだった……麦野沈利は手強い。色んな意味で。
麦野「はい。じゃあどんなファッションが良い?」ニコッ
神裂「……左右非対称」ボソッ
麦野「却下。じゃあ勝手に選ぶわね。お金は大丈夫でしょ?」カチャカチャ・・・
もう何を言っても無駄だろう。
麦野「とりあえず、ヤンチャじゃない恰好にしましょ。でも大人し過ぎると老けて見えるから……ミニ、穿いてみる?」カチャッ
神裂「ミニ……スカートですか!?」
麦野「そ。あとデニムから離れてみようねー」カチャカチャ・・・
茫然と時が流れるのを待つ……せめて笑われる様な恰好にさえならなければ何でもいいや。
麦野「じゃあ、はい。まず一応パンストを……いや生足で問題無いか。じゃあこのスカート穿いてきて」スッ・・・
神裂「……レザー生地?」
麦野「うん。あとは……Yシャツにしよっか。Oネックにしよっか」ジー・・・
神裂「わ、Yシャツは、その……」モジモジ・・・
麦野「あー、はいはい。ボタンがアレなのねー。Oネックでどーぞ」ビシッ
着替えるだけなのに、かなり疲れる……
麦野「文句言わないの。終わってみてから吃驚させたげるから」ニコッ
神裂「はぁ……次は」
麦野「えっと、ブランドンジャンパーは最後だから……うーん。これだけでも中々……基が良いものね」マジマジ・・・
神裂「あはは……褒めても何も出ませんって」ウワーン!
麦野「んじゃぁ折角だし……おばちゃーん! サイハイあるー?」
店員さん「ブーツの横に置いてなかったかい? ……オーバーニーかハイソの方が良いと思うよー」
麦野「そっか……ありがとー。じゃあ……はいコレ穿いて」スッ
靴下……いや、もっと長い。よく浦上が穿いているモノに似ている。あの子は白だったか。
麦野「靴は……ヒール履かせたいけど、履いた事無いでしょ?」
神裂「はい」
麦野「ズレおこされても困るし、ブーツにしとこっか。黒のフェイクレザーで合わせてっと……はい」スッ
神裂「どうも。あの……そろそろ鏡を見たいのですが」
麦野「まだ駄目よ」ニコッ
実はさっきから鏡の前に立たせて貰えて無い。正直、今自分がどんな恰好しているか……想像だにできない。
麦野「じゃあ最後にブランドンジャンパーね。黒とクリームどっちがいいかなぁ……思い切ってクリームにしてみよう!」ニコッ
神裂「ほ、わ……暖かい……」モフッ・・・
普段着ているデニムジャケットが着れなくなりそうだ……因みに、現在魔力が殆ど練れない状態である。ぎゃふん。
その後、簡単にメイクを施され……完成。 - 872 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 23:49:19.61 ID:BPigDsMq0
- 麦野「OK。じゃあ……髪ね。解いてみましょ。今のままでも十分だけど、試すだけ試してみて」
神裂「髪ですか? 解くとボサボサになると思いますよ」
麦野「ウェーブ掛んないかなぁ? とりあえず解いてみ」
ヤバかったら結い直せば良い。手間は掛るが、手伝ってもらえばよかろう。
ファサっと……髪が降りる。 (※イメージ的に風斬の髪をもっと広げた感じ)
麦野「……少し梳くわね」スッ・・・
神裂「わっ!?」
麦野「硬い……どうせトリートメントしてないんでしょ」ジトー・・・
神裂「あはは……」タラー・・・
シャンプーだけとは言えない。
麦野「……このくらいかな。よしっ! 中々……ほうほう。これはこれは!」ニカッ!
姿見を見れないのは……オッカナイ。
結局、上半身は黒のOネックシャツの上に、クリーム色のブランドンジャンパー。
下半身は茶色のレザーミニスカートに黒のオーバーニーソックス。それから黒のブーツという格好になった。
髪まで降ろされて……きっと変人奇人に化けている事だろう。
麦野「じゃあ待ってて。私も着替えちゃうから……よーし! 新作弄るぞー!」オー!
意気揚々と服の山の中に突っ込んでいく麦野さん……不思議な人。
―――同日、PM03:30、学園都市第7学区、服屋『美華』…固法side・・・
試着を終え、元着てきた服に戻ろうとした時、店員さんに止められた。
今日はコレを着て帰れということらしい。何だか恥ずかしいが、こうでもしないと神裂さんが直ぐ脱ごうとするので仕方ないとか。
まぁ……折角だ。付き合ってやろう。
麦野「はぁい。お待たせ」テクテク・・・
固法「おおっ!」キラキラ・・・
神裂「……やはり違いますね」アハハ・・・
やはり何を着ても栄える人だ。後光が差して見える。
黒基調の花柄シャツワンピースの上に、灰色のブレザージャケット。そして濃いデニールの網タイツにハイヒール。
固法「か、可愛い……」ジー・・・
麦野「ふふっ、ありがと。固法さんも可愛いわ」ニコッ
同性も惚れる魅力といった感じだ。凄いオーラ。 - 874 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/17(木) 23:52:21.73 ID:BPigDsMq0
- 麦野「ああ、そのポンチョは前閉めない方が素敵よ。あとは……ちょっと待ってて」
固法「え、まだ?」
麦野「試すだけよー……髪止めてみましょ。両サイドをこう……うん! OK!」パチッ
左右非対称に髪止めを付けられた。おでこが出てます。
麦野「本当は眼鏡取った方が良いけど、コンタクト持ってきてる?」
固法「ごめん、無いや」
麦野「あいよ。じゃあ……そっちのお姉さんを待つだけね」ニコッ
そういえば声だけする神裂さんが、先程から一向に出て来ない。
固法「神裂さーん」オーイ
麦野「……怖気付いたのね」ハァ・・・
神裂「……む、無理」ボソッ・・・
カーテン越しから、か細い声がした。
麦野「ほら、出てらっしゃい。何も可笑しくないから」
神裂「わ、笑われる……」ボソボソ・・・
固法「笑わないよー。寧ろ私の方が笑われそうだって」アハハ・・・
麦野「出て来ないなら無理矢理押し出すわよー。いいの?」
神裂「うぅ……ホントに、笑わないで下さいね……」ボソッ
店員さん「誰も笑わないから。さ、自信を持って! 勇気を出して!」ニコッ
近くにいた店員さんが優しく声を掛けた。
一寸、神裂さんはカーテン越しでモソモソしていたが……ゆっくり、カーテンの外に出てきた。
神裂「……もう、帰りたい」プルプル・・・
固法「き、綺麗……長身のモデルさんみたい……」キラキラ・・・
店員さん「あらあら! 雰囲気がまるで変わったわね! 流石、麦野さん!」パアァ!
麦野「ふふ~ん♪ 私に掛ればこんなもん朝飯前よ。まぁモデルが良かったんだけどねー」ニコッ
髪をおろしているせいか、表情が優しくなっている様に見えた。クリーム色のジャンパーも先程より柔らかく見える。
ただ本人が赤面しているせいか、ちょっと勿体無い。
麦野「じゃあ鏡見て良いわよ。おばちゃーん、鏡ー」
店員さん「はいはい。どうぞ」カラカラ
大きめのキャスター付き姿見を神裂さんの前に置く。それを前に……固まっていた。 - 875 :>>873・・・服の思案描くのに半日くらい使ったかもw[saga]:2011/02/18(金) 00:00:17.72 ID:utSPECwa0
- 神裂「……」カチーン・・・
麦野「本当はもうちょっと髪弄りたかったけど、如何かしら?」
神裂「……」チラッ
いや、私見られても。
神裂「……」ジー・・・
麦野「感想をどうぞ」ニコッ
神裂「……えっと」アタフタ・・・
まるで初めて鏡を見た小動物みたいな反応。
神裂「……違和感が」タラー・・・
麦野「あはは。まぁコレを期に慣れて行くべきね」ククク・・・
固法「いやぁ、長身って羨ましいわね。素敵だし、恰好良いし」キラキラ・・・
神裂「あ、えっと、二人もお綺麗ですよ」アハハ・・・
麦野「お上手ですこと。さ、じゃあ会計済まして次行きましょう」ニコッ
神裂「え!? き、着替えは?!」ギョッ!?
麦野「何言ってんのよ。そのままに決まってるでしょ」フイッ
神裂「」チーン・・・
元の服装の方が恥ずかしいと思うのだけど……
兎角、神裂さんを説得した後、会計を済まして御店を出た。
会計の際、悪いと言ったのに麦野さんが半ば強引に半額カードで払ってくれた。後でコーヒーでも奢ってとの事。割に合わないよ。
ちなみに会計の際、店の客及び店員が二度見してきた。なんとなく清々しい気分。
麦野「さぁて、次何処行く?」
固法「とりあえずぶらりぶらり歩きましょ」
神裂「できれば……目立たない所に……」モジモジ・・・///
麦野「そうね……じゃあ大通り参道」ニヤニヤ・・・
神裂「ええええっ!!?」カアアァ・・・///
神裂さん、凛々しい恰好なのに……一々可愛いなぁ。もう。 - 879 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 00:30:16.03 ID:utSPECwa0
- ―――同日、PM04:00、学園都市第7学区、とある大通り…固法side・・・
服屋を出て、再び大通りに向かった。
今度は『正しい意味』で道行く人々を振り返らせる事になる。まぁ私は、二人に比べて劣っているだろうが……神裂さんが目立てば問題無し。
その後、ちょこっとゲーセンに寄った時の話……
<パンチングマシーン>
麦野「パンチングマシーンしよう! 三台あるからいっせいのーせっ、でね!」チャリンッ!
固法「え!? いきなり!? UFOキャッチャーとかじゃなくて?!」エエエッ!?
麦野「いくよ! いっせいの……はいどーんっ!!」ガゴンッ!! 【最大値……(途中で振り切れ計測不能)???kg!】
固法「え、えっと……えいっ!」バン! 【208kg(平均女性並)】
神裂「……ふッ!」ボッ――!!! 【最大値……(途中で振り切れ計測不能)???kg!!】
麦野「あ。負けたぁ……」ハァ・・・
固法「え、数値出て無いよ……分かるの?」タラー・・・
神裂「中々良いフックでしたよ。ただ私は一応、本格的に武術をやっているので」シレット・・・
麦野「うー……帰ったら浜づ、ゲフンゲフンッ! サンドバックでトレーニングね!」ウッシッ!
武術を遣れば人間辞めれるのだろうか? てか二人とも御坂さん(反則で蹴り)と先輩以上って如何いう事なの?
因みに機械が壊れたけど……二人が割り勘で、普通に弁償していた。
<プリクラ>
固法「普通にプリ撮ろ。(このままだと格ゲーに移動し兼ねない)」タラー・・・
麦野「あいよー……コスプレ借りる?」ニヤッ・・・
神裂「絶ッッッ対っ、嫌ですっ!!」ギロッ!!
固法「うわぁ……堕天使エロメイド.ギリギリ防衛ライン保護Verだって」ヘェ・・・
神裂「ひぃっ!!」ビクッ!
麦野「あ、このカウガールっての似合いそうじゃ無い?」ニヤッ
固法「カウガールなのに露出多過ぎだって……」アハハ・・・
結局普通に撮りました。
神裂さんがオッカナビックリだったので、ちょっと可笑しな顔のプリクラなってしまったが……まぁ良い思い出になるだろう。
<麦野の能力披露>
麦野「此処なら人目に付かないわね!」ビシッ!
固法「何処此処?」キョトーン・・・
神裂「ツッコミを入れたら負けです」フムフム・・・
麦野「じゃあ、見た目重視ね……アソコのコンテナに……」スウウゥ・・・
固法・神裂「「……」」ゴクッ・・・
麦野「ヴェッタアァァァァァー…―――…ビイィィィィィィームッ!!!」ドゥエドゥエドゥエッ!!
―――ちゅどーんっ!! ジュッ・・・・・
固法・神裂「「」」チーン・・・
麦野「ま、今の派手さだけだから。3割くらいの粒子砲ね♪」ニコッ・・・
神裂「さ、三割……(本気を出せば天使の小光線レベル……アレイスターめ。厄介な能力を……)」ジー・・・
確かに……派手さなら御坂さん以上だ。てか『ジュッ・・・・・』って…… - 881 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 00:39:36.75 ID:utSPECwa0
- ―――同日、PM04:20、学園都市第7学区、とある大通り…固法side・・・
その後も色々見て回って……現在、喫茶店。
麦野「あー、色々周れたねぇ。神裂さん、意外とお茶目だもんなー」ニコッ
神裂「……どっと疲れました」ハァ・・・
苦笑。
麦野「しかし、景品でPSP(プレイステンバーイポータブル)・モンバスセット当てるなんて……やるわね固法さん。能力使った?」ニヤッ
固法「あはは、使って無いわよー。ああいうのってちゃんと能力妨害してるから」
神裂「そういうものなのですか?」
固法「じゃないと念視・透視能力者がズルしまくりでしょ。あ、そうだ。はいどうぞ」スッ
神裂「え!?」ビクッ
PSPを神裂さんに渡す。
麦野「貰っときなさいって。私達持ってるんだから。二つも要らないわよ」
神裂「し、しかし……」
固法「泡銭みたいなものだから、気にしないで」ニコッ
麦野「そうだ! また今度集まってモンバスパーティーしましょ! それならOKでしょ?」ニコッ
神裂「げ、ゲームパーティーですか」アハハ・・・
麦野「キチンとレベル上げしとくのよ。分からない事あったらメールして……あ、アド交換して無いわね」カチカチ・・・
そういえば、と三人で交換しあった。
神裂さんがICタッチ、赤外線通信の方法を知らなかったので私達二人が勝手に弄ってやる。最早慣れたモノ。
麦野「まぁ何でもメールしなさいな! くだんなーい事でもOKだからさ」ニコッ
神裂「メールは苦手なのですが……」
固法「何でもチャレンジだよ。コレを期にメールもモンバスも、ファッションも試していけばいいのわ」b"
神裂「……はい」クスッ
それはまるで普通の女子高生の様な話。されど、多分……普通じゃない彼女。
麦野「まずは、課題としてその恰好の感想貰うのよ。いい? 家に帰る前に着換えちゃダメだからね」
神裂「え”」
麦野「当たり前じゃない。身内に見せてー、あと……幻想殺しにもね」ニヤッ・・・
神裂「むむ、むむむ、む、む、無理ですっ!!」アタフタ・・・
固法「直接合わなくても、メールで写真送れば問題無いわよ」
神裂「笑われます!! 腹抱えて笑われますから!!」カアアァ・・・///
麦野「……笑ったら打ん殴りに行くから安心しなさい」ニコッ・・・
固法「同じく」ニコッ・・・
精一杯頑張った女の子を笑う様な阿呆は、制裁加えられて当然です。まぁでも……笑わないとは思う。何だかんだで律義な男の子だから。 - 884 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 00:52:17.04 ID:utSPECwa0
- 麦野「恥ずかしかったら私達も一緒に撮ってあげるわよ。ほれ、携帯貸しなさい」パッ
神裂「ちょ!」ウワッ!?
麦野「勝手に弄らせて貰うわよー。カメラはコレね……ほらもっと寄って。固法さんもよ」グイッ!
固法「はいはい」クスッ
神裂「そ、そんな、いきなり……」カアアァ・・・///
麦野「はい、ポーズ」ポチッ
―――パシャリ・・・・・
麦野「カメラ写りはプリクラよりマシね。そんでもってカ行……『友達と服を買いに行きました。如何ですか?』……送信っと!」カチカチ・・・Pi!
神裂「ちょ、早っ!!」エッ!?
麦野「即実行よ! 私達も返信みたいからねー」ニヤッ
確かに、直ぐに見たい。もし今返事が来なくても、後で直接聞きに行こう。
神裂「うううぅ……馬鹿にされる」ショボーン・・・
固法「大丈夫だって。馬鹿にするような子じゃないでしょ?」
神裂「……」ムゥ・・・
色々と複雑なようだ。
麦野「因みに、固法さんもだからね」ニコッ
固法「わ、私も!?」エ!?
神裂「……私一人というのは、酷いですよ」ジトー・・・
固法「えっと……どうせこの後、嫌でも見られるんだけど」アハハ・・・
麦野「出た、通い妻発言!」ウッヒャー!
固法「通い妻って、そんな大袈裟ー」タラー・・・
麦野「でもぉ……ヤるとこまでヤっちゃってるんでしょ?」ニヤッ
固法「え!? あ、まぁ、その……うん」カアアァ・・・///
麦野「うっほーいっ! ムズ痒いー!! 如何いう成り行きでお付き合いに?! 初めては?! それからそれから――」キャアアー!
神裂「止まりなさい!」ビシッ!
麦野「あ痛っ」ポカッ
麦野さん、店内で騒がないで下さい。他のお客様の迷惑です……あと神裂さん、無言で赤くならないで。
神裂「こほんっ……しかし、結婚前提でお付き合いなさっているのでは?」ゴニョゴニョ・・・
固法「あはは、言い方重いって。婚前っていうか……お互い好きになって、結婚できたらいいなぁって事でしょ」クスッ
神裂「……そうですね」ニコッ
麦野「うわぁ……独り身にはキツい話だわ……」ハァ・・・
麦野さんの場合、自分から壁を作ってる気がしなくもない。その気になれば幾らでも良い男性が彼氏になってくれそうだが。 - 885 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 00:57:32.67 ID:utSPECwa0
- 麦野「私より弱い男は嫌」キッパリ
神裂「……それだと、この街には二人しかいませんよ?」
麦野「もっと、嫌!!」ウガアァッ!!
固法「もっとって、まぁ一方通行くんは打ち止めちゃんでいっぱいいっぱいだけど……第二位さんは?」
麦野「死んでも嫌。近づかれたら自爆してやる」ゲェ・・・
物騒な……『返り撃ち』と言わない辺りが、二位と四位の差なのだろう。
麦野「強度(レベル)の問題じゃないの。精神的なモノでよ……垣根(アレ)はゲロ犬」フンッ
神裂「ゲロ犬って……しかし、精神的に強い者に惹かれるというのは何となく分かりますね」ウンウン・・・
きっと上条くんがそうなのだろう。
麦野「浜面はまだまだ頼りないし、てか滝壺とデキてるっしょ……黒妻くんは、合格よね」ニコッ
固法「っ!!?」ギョッ!?
麦野「あはは! 冗談よ、冗談!」ケラケラケラ!
達の悪い冗談だ……そんな事言われたら、また疑いの目(※③『おはようございます』参照)で見てしまうだろう。
神裂「学生結婚をする気は無いのですか?」
固法「うーん……やっぱりお互い安定しないと、結婚は無理じゃないかなぁ」
麦野「まぁハッキリ言って、黒妻くん定職付いて無いしね」アハハ・・・
固法「それもだし、あとせめて私の進路が決まってからじゃないと、そういう考えは持てないかも」
麦野「でも進学したり、キャリア乗っちゃったりしたら長引くわよ。どっかで踏ん切り付けなきゃいけないんじゃないかしら」
固法「そうなんだけどさ……難しいや」アハハ・・・
先輩が定職について、私が高校卒業となったら本格的に考える。二人でそう決めていた。
神裂「専業主婦という考えは?」
固法「専業……どうだろう。考えた事無かった」
麦野「あ! じゃあさ……デキ婚して抑えちゃいなよ」ニヤッ
固法「……」タラー・・・
麦野「……え?」ポカーン・・・
神裂「……流石に、如何かと」ハァ
因みに、それを狙った前科があるので何も言えない。
麦野「あ、そっか。神裂さん宗教人だから、婚前セックスとか駄目なの?」サラット・・・
神裂「貴女は店内で堂々とそういう事を……いえ、私自身は別として信徒にはそういう縛りを設けた覚えはありませんよ」コクッ
固法「え? そうなの?」ヘー
神裂「勿論、いけない事ですが……今の時世、どうもそうのような制約を付けると反発する輩もいなくはないので」ムゥ・・・
固法「へぇ。大変そうね」
神裂「ただ流石にショットガンウェディング(デキ婚)はタブーですよ。宗教とか関係無く社会的にアウトだと思いますが」タラー・・・
そりゃそうだろう。知性持つ人間である以上、そこの計画性は重要だ。 - 886 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 01:02:39.70 ID:utSPECwa0
- 麦野「成程ねぇ……じゃあ絹旗が私より先に『大人』なっちゃう場合も有り得るかぁ」ハァ・・・
固法・神裂「「……」」ピタッ・・・
麦野「……ん?」エ?
神裂「あの子は……筋を通す子だと思いますよ」タラー・・・
固法「というか、最愛ちゃんに手を出せるのかしら……」タラー・・・
血は繋がって無いが、近親相姦染みたモノを彷彿とさせる。那由他ちゃんも然り。
麦野「そこは分かんないわよ。男と女だものね」ニコッ
神裂「……ふむ。男と女ですか」ムゥ・・・
麦野「そそ」ウンウン
理屈じゃ無い、か。
麦野「でも絹旗の幼児体型だったら破瓜の時死ぬかもねー」アハハ!
神裂「貴女は、どうして、平然と大声で……」プルプル・・・///
麦野「ザックリ聞くけど、神裂さんは処女?」ボソッ
神裂「処女です!」カアアァ・・・///
固法「神裂さん、声大きいって」タラー・・・
神裂「あ……」チーン・・・
店内一同、赤面。もしくは唖然。
神裂「」カアアァ・・・///
麦野「あはは! 天才よっ! 最っ高! あははははっ!」ケラケラケラ!
神裂「貴女って人は……」プルプル・・・
麦野「ごめんごめん。でも自爆ったのは自分よ?」ヒー・・・ハー・・・
神裂「まったく……もう」ハァ・・・
麦野「でも逆に凄いわね。この歳なると処女恥ずかしいって思わないかしら?」ネェ・・・
神裂「この歳って、まだ二十歳にもなってませんよ。それに貞操を大事にしていると考えれば恥ずかしくも何ともありません」キッパリ
固法「聖人君子みたいな考えね……」アハハ・・・
神裂「周りが一歩早く大人になったから私も、などという考えは私には理解し兼ねます……」ハァ
なんか……ごめんなさい。
麦野「あーあ」ジトー・・・
神裂「も、勿論、その……この人を番(つがい)にと心を決めて身を委ねたのであれば、問題ありませんよ?」アタフタ・・・
麦野「固法さん、黒妻くん以外の男性と経験無いの?」
固法「ありません」キッパリ・・・
神裂「う、うん。では叩き様は無いですよ」ホッ・・・
私は先輩以外を『知らない』。
先輩の方はどうだか分からないが多分、私の前に何人か女性はいただろう。だがそれを問い詰める程、私は潔癖症ではない。
麦野「そこは女の寛容さよね。んで、実際……如何なの、Hって?」ニコッ
固法・神裂「「……は?」」ポカーン・・・ - 888 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 01:07:54.80 ID:utSPECwa0
- ……何この、一足『お先した』男子学生に質問してみました的状況。
神裂「貴女は……ホント、トンデモ無い事聞きますね」ハァ・・・
麦野「いいじゃない。折角の機会だしさぁ……神裂さんも気にならない?」ニヤッ
神裂「気になりません」キッパリ
麦野「本当?」ジー・・・
神裂「ちっとも」キッパリ
麦野「もし……雪山でムード良く幻想殺しと二人っきりになって、肌と肌を合わせなければならない状況になって……」ニヤニヤ・・・
神裂「っ!!?」ドキッ・・・
何そのベタな展開……
麦野「いざっ! ってなった時に、コッチがまるで何も知りませんでした……ってなったら、如何する?」ニヤッ
神裂「ど、如何するって、如何しましょうね……あはははは……」タラー・・・
その展開にツッコミは無しですか? それとも上条くんはそういう展開作る人なの?
麦野「って事で固法さん、教えて」ニコッ
神裂「ん……」ポー・・・///
固法「教えてって……漠然とし過ぎてて」アハハ・・・
麦野「じゃあ……初めてって痛かった?」グイッ・・・
固法「痛かったって……それなりに。えっと鼓膜破れた事ある?」
麦野・神裂「うん」「はい」キッパリ
鼓膜破れた事をハッキリ言う女性って如何なのだろう。
固法「あれがゆっくりと……貫通して行く感じって、よく言うわよね」アハハ・・・
麦野「うへぇ……勘弁してよ……」タラー・・・
神裂「ん? しかし『よく言う』という事は、固法さんは違ったのでしょうか?」ハテ・・・
固法「えっと……先輩は『上手』だったから……あんまり痛く無かったかな」モジモジ・・・
麦野・神裂「「っ!!?」」ガタッ!
落ち着け、お前ら。
因みに下手な人だと、すんごく痛いらしい。
固法「え、えっと、破瓜の痛みよりも、併発した乱雑開放(ポルターガイスト)の方が大変だったかな」ポリポリ・・・
神裂「……騒霊(ポルターガイスト)?」エ?
麦野「『乱雑開放』。能力の暴走よ。簡単に説明すると精神不安定や混乱状態、興奮状態だったり、突発的な痛みに反応して起きるかな」
神裂「な、成程……能力者は便利そうで、大変なのですね」フムフム・・・
固法「まぁね。私の場合は一時的に強度(レベル)が上がったかと思ったわ」アハハ・・・
麦野「というと?」ヘ?
固法「うーんと……人が、その時は先輩だけど……人体模型に見えた」タラー・・・
麦野「げっ……皮膚を透視したって事?」ウワァ・・・
臓器とか骨とか筋肉質とか血管とか……色々剥き出しに見えて大変だった。 - 890 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 01:16:26.32 ID:utSPECwa0
- 麦野「エログロってヤツね。沙耶の何たらっての?」ウワァ・・・
固法「いやいや。一応能力緩和剤も飲んでたからそこまで酷く無いって」アハハ・・・
それに、その例えは如何なものか……
因みに原子崩しの麦野さんが乱雑開放起こしたら……相手が被爆とかかな?
神裂「ん……しかし、そのような状態では……えっと……『事』を続けられないのでは?」ドキドキ・・・
固法「それはね、えっと……先輩が『目ぇ瞑ってていいよ』って。その後も、色々優しく声掛けてくれたり。手繋いでくれたり」ポッ・・・//
麦野「ヒューッ!」イエッス!
神裂「恰好良いですね……」ホゥ・・・
徐々に神裂さんもノリ出した。此処ら辺で止めとかないと……拙いかも。
固法「も、もういいでしょ? 終わり」キッパリ
麦野「えー。もっと聞きたーい」ブーブー・・・
神裂「む、麦野さん……」タラー・・・
麦野「そんな事言ってぇ。神裂さんだって気になってきた癖にぃー」ニヤッ・・・
神裂「わ、私は、その……後学の参考になるかなぁと……その程度で……」モジモジ・・・
神裂さん……本当に反応が初々しくて可愛いなぁ。見てて頬が緩む。
麦野「今の話がー? 能力者じゃないのにー?」ニヤニヤ・・・
神裂「うっ……」タラー・・・
麦野「はい! じゃあ続き行こうか!」ビシッ
固法「あ、え、えっと……」タラー・・・
何この公開処刑。しかもデジャブな気が…… ※①『おかえりなさい』参照……超電磁砲組撃沈。
固法「……ホントに聞きたい? 二人とも?」ハァ・・・
麦野「いえーす!」ビシッ
神裂「お、お話してくれるのであれば……勉強になるかなぁと……」モジモジ・・・
固法「……じゃあ、話すけど―――」
それから数十分、耳を塞がせなかった。 - 891 :>>889・・・参考なるぜ。ありがとう! 因みに私のオッパイ事情は民安ともえ先生のラジオ参考にしてました。[saga]:2011/02/18(金) 01:22:20.74 ID:utSPECwa0
- ―――同日、PM04:50、学園都市第7学区、とある大通り…固法side・・・
固法「―――……以上です!」カアアァ・・・///
麦野・神裂「「」」チーン・・・///
質問攻め(途中から神裂さんもノリノリ)を見事に返り打ちにしてやった。ざまぁみろ。
麦野「いや、もう……お腹いっぱい」ウヘェ・・・
神裂「砂糖吐きそう……」サラサラ・・・
固法「これに懲りたら深入りしない事!」モゥ・・・
話すこっちの身にもなってみろ。
神裂「まぁ……アレです。長く続きそうですね」アハハ・・・
麦野「そうね。羨ましい」アハハ・・・
固法「私自身もそう願います」ハァ・・・
ヤレヤレだ。
神裂「やはり筋の通った男性とお付き合いをした方が……」Prr!Prr!「……ん?」ピクッ
麦野「お! やっと来たか!?」ガタッ
固法「上条くんから?」ニコッ
神裂「えっと……二通ですね。上条当麻と……身内のものです」ポチッ・・・
麦野「ほらっ! 見せなさい!」ガバッ!
神裂「ちょっ!」ウワッ!
人の携帯を勝手に弄る麦野さん。傍若無人だなぁ……
麦野「何々?」Pi!
【DATE】XX/XX 16:55
【FROM】かみじょうとうま
【sub】RE2:
------------------------
これかおり?
――――――――――――
麦野「……生意気ね。一回で察しなさいよ。しかも何? 名前で呼ばれてる訳?」カチカチカチ・・・
神裂「え、名前? ……って勝手に返信しないで!」ウワアアァンッ!!
麦野「『いつもと違う感じですが、頑張ってみました』……OK!」ポチッ!
神裂「何を勝手に!」オワッ!?
固法「まぁまぁ」ドウドウ・・・
こうでもしないと神裂さん、行動起こさないからなぁ。
約1分後……再びバイブが鳴った。 - 892 :>>889・・・参考なるぜ。ありがとう! 因みに私のオッパイ事情は民安ともえ先生のラジオ参考にしてました。[saga]:2011/02/18(金) 01:25:26.97 ID:utSPECwa0
- 麦野「良し来た!」カチッ
神裂「もう好きにして……」ハァ・・・
【DATE】XX/XX 16:57
【FROM】かみじょうとうま
【sub】RE4:
------------------------
すごく綺麗なんだよ(サムズアップの絵文字)
とうまもビックリしてる!
――――――――――――
麦野「……良い反応だけど、口調気持ち悪い男ね」フンッ
固法「えっと……コレってもしかして」ジー・・・
神裂「はい。多分、あの子です」タラー・・・
何故かインデックスちゃんが上条くんの携帯を弄ってるらしい。
固法「麦野さん、ちょっと貸して」
麦野「あいよー」スッ
固法「えっと……『インデックスですね。上条当麻は?』っと」Pi!
神裂「そのくらい自分で打ちますよ……というかよく私の真似して打てましたね」
固法「このくらいは朝飯前」ニコッ
それでもって、また約1分後……
【DATE】XX/XX 16:58
【FROM】かみじょうとうま
【sub】RE6:
------------------------
ごはん作ってるから手が離
せない。
代わりに私がめーるを打っ
てるんだよ!凄いでしょ!
(猫)
――――――――――――
麦野「えっと……この子は何? 子供(ガキ)なの?」ポカーン・・・
神裂「はい、子供ですね……」ハァ・・・
固法「ふふっ。可愛いじゃない。じゃあ……『今度また遊びに行きますね』っと。コレで良いでしょ?」ニコッ
神裂「当たり障り無いかと」コクッ
麦野「うーん……何か核心的なとこ突いて無い気がするけど、しゃーないか」ハァ
固法「まずは焦らずゆっくりね」クスッ - 893 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 01:29:28.59 ID:utSPECwa0
- 私の立場として御坂さんを応援すべきか、神裂さんを応援すべきか……考えるだけ無粋ね。
麦野「じゃあ今度は他の服も試して送りましょうねー。彼の為にファッションショーってのも有りだわ」ニコッ
神裂「恥ずかしさで死ねます……勘弁して下さい」ハァ・・・
固法「あははは……」Prr!Prr!「あ、返事来た」カパッ
麦野「さてさて〆は何かなぁ?」ニヤッ
神裂「そんなに期待する様な事を書いて無いでしょう」マッタク・・・
【DATE】XX/XX 17:00
【FROM】かみじょうとうま
【sub】RE8:
------------------------
うん!
ごはん作りに来てね!
その恰好で(ハート)
――――――――――――
神裂「」チーン・・・
麦野「あはは! 最っ高! 頑張ってねー」ケラケラケラ!
固法「その際は是非先輩の家にも寄ってね。楽しみにしてるわ」ニコッ
神裂「」ギギギ・・・ハァ・・・
無理矢理でも実現させよう。何もコスプレしろと言っている訳じゃないんだから、簡単な話だ。
麦野「はぁ……笑った。神裂さん、良いキャラしてるわー。イジられ役多いでしょ」ヒー・・・ハー・・・
神裂「……不本意ながら」ハァ・・・
麦野「望んでなれるものじゃないわよ。天性ね、天性!」Prr!Prr!「……おっと、私もメールか。浜面?」ン?
固法「浜面くん?」
麦野「『まだかかるか?』だって……あ、もう五時か」チラッ
気付けばそんな時間。楽しい時間は何とやら、か……
固法「五時……どうする?」
麦野「うーん……書類仕事がなければもうちょっと大丈夫なんだけど……」ハァ・・・
神裂「私も先程、身内から同様のメールが来てました」ムゥ・・・
固法「じゃあ、そろそろお開きにしよっか」
麦野「名残惜しいけど……仕方無いわね」
固法「また集まれるでしょ。モンバスパーティー」ニコッ
麦野「そうね……集まりましょ」ニコッ
神裂「ええ。是非に」ニコッ
またこうやって『普通』の女の子として……
固法「じゃあ今日はどうもありがとう」ニコッ
当たり前に、御喋り出来るように笑顔で……――― - 894 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 01:37:10.68 ID:utSPECwa0
- ―――同日、PM05:15、学園都市第7学区、とある大通り…麦野side・・・
私達は何時迎えが到着するか分からないので、固法さんを先に帰した。待つと言ってくれたのだが……そこまでして貰っては申し訳無い。
神裂「優しい人ですね」ニコッ・・・
麦野「そうね。眩しいわ」クスッ・・・
二人きり……さて。
麦野「何か話したい事、ある?」チラッ
神裂「……如何いう意味で?」
麦野「それ、言わせる?」クスッ・・・
神裂「……出来ればこの余韻に浸ったまま、帰りたいのですが」ニコッ・・・
それは私も同じ。しかし『蟠り(わだかまり)』を残したまま帰るのも、気持ち悪い。
麦野「……何処まで知ってるの?」
神裂「さぁ」フイッ・・・
麦野「惚け無くていいわ。別に事を構えるつもりは無いもの」フンッ
神裂「……」ボー・・・
麦野「道化師(土御門)よりは腹黒く無いつもりよ。沸点は低いかもしれないけど……信用して」ニコッ
神裂「……とりあえず、香焼が知っている範囲。加え、土御門から少々聞き及んでいました」ボソッ・・・
つまり、暗部だとばれてる訳だ。
麦野「……そう」ハァ・・・
神裂「……私から、とやかく言う事は出来ません」キッパリ
麦野「賢明ね。でも認めはしないでしょ?」
神裂「殺しを容認できるよう育てられてはいませんので」チラッ・・・
はっきり言ってくれる。
麦野「貴女は……さっき言ってた宗教団体が母体の暗躍組織ってところでいいかしら?」ボソッ
神裂「……」ピクッ・・・
麦野「一度、ウチの絹旗と香焼くんが戦(ヤ)ったらしいものね。病院で(※)」 ※②『いってらっしゃい』参照
神裂「そうなのですか……」ムッ・・・
麦野「下っ端の事まで知らないかぁ……プリエステス。タロットで『女教皇』……そこの頭ね」ニヤッ・・・
神裂「……聡明で」フッ・・・
浜面の漫画が役に立った。
麦野「……とりあえずそんなとこ」
神裂「……」
麦野「これ以上詮索はしない。ただ貴女の組織とブチ当たらない事を願うわ」ニコッ
神裂「……私もです」ニコッ
それから暫く無言が続き……先に迎えが着たのはアチラだった。 - 895 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 01:42:37.37 ID:utSPECwa0
- 都市製のオートマバイクから女性が降り、私に頭を下げる。
五和「お待たせしました……女教皇様、メットです。(わぁお……女教皇様綺麗……)」スッ・・・
神裂「ありがとう……では、麦野さん。お先に」ペコッ
麦野「御気を付けて」バイバーイ
荷物をシートにしまい、2ケツへ器用に横座りする神裂さん。
神裂「ああ、最後に」ピタッ
麦野「ん?」チラッ
神裂「私は『救われない者』の味方です……もしかしたら貴女も『手を差し伸べるべき者』なのかもしれません」フフッ・・・
麦野「宗教勧誘はお断りって言ったでしょ?」クスッ
私が『救いの手』を必要とする時は……己(超能力者)の誇り(プライド)を捨てた時くらいだろう。
麦野「……『また』ね」ニコッ
神裂「ええ……『また』」ニコッ
颯爽と、消えて行った……
麦野「……『友達』と喧嘩はしたくないものねぇ」フフッ
もしかしたら……彼女の方が強いかもしれない。多分、超電磁砲とどっこいか、それ以上といったところだろう。
そんな事を考えてしまった刹那……
滝壺「珍しく弱気だね」スッ・・・ボソッ
麦野「っ……良い趣味とは言えないじゃない。滝壺ちゃん」ギロッ・・・
滝壺「ごめんね。さっき見つけたからつけちゃった」ニコッ
麦野「嘘付け。何時からつけてたんだか……『ストーカー』さん」ハァ・・・
滝壺「大丈夫。むぎのは負けないよ」ニコッ
麦野「ありがとさん」ハハッ・・・
滝壺「私がサポートしてあげるもん。安心して」シュッシュッ!
麦野「アンタのサポートに頼り切りなるようなら、私も終わりね」クククッ・・・
可愛いシャドーボクシングを傍目に、心底苦笑した。
麦野「友達かぁ……」フム・・・
滝壺「私達(アイテム)は友達でしょ?」ニパァー!
麦野「ばーか……『仲間』でしょ?」クスッ・・・
滝壺「そっか。『仲間』かぁ……ふふふ。そだね」ニコッ「あ、車着たよ」チラッ
ミニバンが御到着。運転手がだるそうに手を振ってきた。
麦野「やれやれ。今日は帰ってさっさと寝よっと。滝壺ちゃん、書類任せた」テクテク・・・
滝壺「えー……うぅ……」ジトー・・・
麦野「あはは、冗談よ。さ、帰りましょ」ニコッ
私達の家(アイテム)へ…… - 896 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 01:45:10.47 ID:utSPECwa0
- ―――同日、PM05:30、学園都市第1学区、マンション・『ニューディレクターズ』一室(香焼宅)・・・神裂side・・・
やっと香焼の家に着いたのも束の間……
五和「たっだいまーっ!!」ガチャッ!
浦上「んー。テンション高いね。どったの?」キョロッ
五和「うふふふふ……見て驚け! 我らが姫様の素ん晴らしいー姿を!」ジャジャーン!
香焼「姫様って、女教皇様の事?」ハテ?
五和「んふふ……カオリ、若しくはお姉さまって呼んであげた方が良いと思うわよー」ニヤッ・・・
……ハードル上げるな。
五和「ほらっ! 入って下さい!」ニコッ
神裂「わ、笑わないで下さいね……」ボソッ
香焼・浦上「「へ?」」ポカーン・・・
五和「いいから入る! どーん!」トンッ
神裂「うわっ」トテトテ・・・
香焼・浦上「「っ!!?」」ギョッ!?
二人とも目を丸くし、口をポカーンと開けたまま動かなかった。
神裂「あ、あの……やっぱ変ですよね」カアアァ・・・///
五和「変じゃ無い! 全然変じゃ無いですから!」パアアァッ!!
浦上「……素敵」キラキラ・・・
香焼「……」ウンウン・・・
良かった。笑われはしなかった。
浦上「え、何?! スタイリストか何かに見て貰ったんですか!?」グイッ!
五和「だからアレでしょ。麦野さんだって」フフフ
香焼「こうも雰囲気変わるとは……超能力者、恐るべしっすね」ヘェ・・・
超能力者(レベル5)は関係無いでしょう。
五和「着替えさせるの勿体無いですね……どうしよう」ンー・・・
浦上「とりあえず写真撮りたい! 香焼、カメラ何処?」ヘイヘイッ!
香焼「この家には任務に使う盗撮用のコンパクトカメラしかないっすよ。それより都市製の携帯で撮った方が綺麗じゃないかな」
浦上「そっか……女教皇様、いや、火織お姉さま! 一緒に写って下さいまし!」グイッ! パシャッ!
五和「あ、ズルい! 私も交じる!」グイッ!パシャッ!
神裂「ちょ、貴女達!」アタフタ・・・
両脇に無理矢理詰めてくる五和と浦上。いつしか撮影会になっていた。
五和「これはアレだね。プロモデルが家に来たので撮りましたって言っても通用しますね!」キラキラ・・・
浦上「レアだわ……他の服も着させてみない? お姉のサイズなら入るでしょ?」キラキラ・・・
マジで勘弁して下さい…… - 897 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 01:49:54.92 ID:utSPECwa0
- 香焼「お前ら、女教皇様お疲れなんだからそろそろ終いにしろよ」ハァ・・・
ナイス出来る子。
浦上「コウちゃん! 今はカオリお姉さまって呼んで上げなきゃ駄目よ!」メッ!
香焼「……は?」What?
五和「今日は此処でお泊まり会なんだから、明日終わるまで教皇扱いしない事!」メッ!
香焼「……色々聞き捨てならないセリフが聞こえたんすけど」ポリポリ・・・
私にも聞こえた。
香焼「まず勝手に姉扱いとか……いくらフランクが望ましいとはいえ」ハァ・・・
浦上「だーかーらー、敬意を持って『お姉さま』または『姉さま』なんでしょ!」ビシッ!
香焼「……あっそ」タラー・・・
お姉さまは止めてくれ……『姉さん』とかの方が良い。
香焼「んじゃ二つ目だけど……お泊まり会って何さ?」
五和「言葉通りだけど?」エ?
香焼「女教皇様をこんな乏しい家に―――」
浦上「カ・オ・リ・姉さま!」ビシッ!
香焼「―――……神裂さんを、こんな汚い部屋に泊めれないだろ」ハァ・・・
五和「コウちゃん、並のホテルより立派なマンション住んでるくせに何言ってんの?」ハァ?!
浦上「香焼自室で寝て、居間に余裕で三人寝れるじゃん! 羨ましい!」キイィッ!!
それはお前らの差し金(※『あまくさっ!』学徒潜入辞令編にて)だった筈だろう。
香焼「いや、それでも男の部屋だぞ?」アタフタ・・・
浦上「だから私達が日頃から女性色に染めてるんでしょ。てか私達、平気に泊めるくせになんでカオリ姉さまは駄目なの!?」ムッ!
香焼「平気で泊めた覚えは無ぇ! それにお前らは女性として気にも留めない!」ガアアァッ!!
五和「……カオリお姉さま! コウちゃんが……コウちゃんがあんな酷い事を!」ウウウゥ・・・
浦上「私達だって女の子なのに!」ウウウゥ・・・
しがみ付かれてしまった……
神裂「え、えっと……香焼。偶には優しくしてあげなさい」アハハ・・・
香焼「」チーン・・・
五和・浦上「「やーいやーい!」」ベー!
神裂「図に乗るな」ポコッポコッ!
五和・浦上「「痛っ!」」ベシッ!
まったく……しかし、香焼の迷惑になるのであれば泊まる事は出来ないだろう。 - 898 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 01:53:05.88 ID:utSPECwa0
- 五和「いや、迷惑な訳無いですよ! ね!」チラッ!
香焼「迷惑じゃないっすけど……何て言うか……女教テ……神裂さんを――」
五和「ねッ!!? (このままじゃ上条さん家行くかもしれないでしょうが!!)」ギロッ!
香焼「――泊める、なんて……恐れ多いと、いうか…… (……行かないって)」コイツ・・・
神裂「その遠慮はしてほしくありませんね。香焼が良いのであればお邪魔しますが」コクッ
香焼「」カーン・・・
浦上「それにさぁ、此処の家賃、天草の会計から出てるんだよ。分かってる? 謂わばセーフルーム!」OK?
五和「つまり女教皇様であるカオリお姉さまが此処を寝床にするのも、私達が居座るのも理にかなってる!」ビシッ!
香焼「マジ……調子乗んなよ、お前ら」プルプル・・・
何というか、香焼が嫌がっているのは分かる。素直に帰ってあげた方がいいかもしれない。
神裂「……嫌がっているのに無理矢理寝泊まりする訳にはいきません。少し落ち着いたら帰りますから」ニコッ・・・
五和「えー! わー、コウちゃん酷ーい。嫌がってるってー」ジトー・・・
浦上「姉さまの事、嫌いなんだー」ジトー・・・
香焼「違っ……そういう事じゃ無くて、その……女教皇様を……」アタフタ・・・
浦上「名前で呼びなさい!」ビシッ・・・
香焼「か……か、神裂さんはね……お前らと違って、その……」ポリポリ・・・
神裂「私も、彼女達と同じように見てくれて構いませんよ。変に気使われたくはありません」キッパリ
香焼「だから、違くて……もう何て言うか……神裂さんは……」モジモジ・・・
神裂「先程言って通り、今日は『姉』と呼んで貰っても構いませんよ。それとも私が『姉』では嫌ですか?」ニコッ・・・
五和・浦上「「嫌なのー?」」ニヤニヤ・・・
香焼「……」ピタッ・・・
香焼の動きが止まった。そして……
香焼「あああぁっ!! もう勝手にしろ!! その代わり布団は何とかしろよ!!」ガアアァッ!!
五和・浦上「「ヤッホオオォゥイッ!!」」
神裂「あはははは……」
半ばヤケクソっぽかった。 - 899 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 01:55:51.47 ID:utSPECwa0
- 浦上「よーし! 布団は……私が炬燵の使えばいいや。お姉、夕飯準備して!」ブイッ!
五和「あいよー! そうだ! ワイン出しちゃおう! しまってたでしょ!」パタパタ!
香焼「おま……まぁ問題無いけど」ハァ・・・
『赤ワイン』なら、お咎め無しだ。さてと……では私も手伝いますか。
神裂「私も手伝いましょう。メインは五和お願いします。前菜は私が拵えますから」ニコッ
五和「おおっ! お姉さまの手料理が食べれるぞー!」ヤッホー!
浦上「お姉も前菜に負けない様作ってよ!」
神裂「あとそのお姉さまというのを止めて下さい……昼みたいにカオリ姉さんとかでいいから」ハハハ・・・
香焼「ったく……あ、神裂さ――」
天草三姉妹『姉っ!』ビシッ!
香焼「――……か、カオリ姉さん。荷物、端に置いておきます」カアアァ・・・///
五和「うふふ……いいのぅ。じゃあ今日は私達もキチンと姉扱いしたまえ」ニヤッ
香焼「調子乗るなっつってんだろ……」ハァ・・・
浦上「よいしょっと……アレ? 姉さま、PSP買ったの!?」オオ!
そういえば、貰ったの忘れてた。
浦上「しかもモンバスだー!」パアアァッ!!
五和「本当!? じゃあ後でモンバス会だねっ!!」ニコッ
神裂「三人も持っているのですか?」アララ?
香焼「まぁコミュニケーションツールなんで一応持ってます。そこの二人は廃ゲーマーレベルっすけどね」ジトー・・・
浦上「褒めるないでよー」エヘヘ・・・
香焼「……阿呆。プレイ2000時間以上って如何なんだよ」ハァ・・・
何とも……微笑ましい。
しかし不思議な光景だ。女子として、家族として……私が『普通』を過ごしてる。
修行と任務に明け暮れるのが当たり前の私が……
神裂「こんな日が有っても、いいのでしょうか……」フフッ
三人『え?』ポカーン・・・
……束の間の、休息。戦いが始まる刻まで今少しの羽休めをさせてもらおう――― - 900 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 01:58:23.85 ID:utSPECwa0
- ―――同日、同刻、学園都市第7学区、学園都市第7学区、とあるアパート一室(黒妻家)…固法side…
先輩の家へ向かう前に、スーパーで夕飯の買い物をする。今日の献立はビーフシチューの予定。
もしかしたら打ち止めちゃんあたりがひょっこり遊びに来てるかもしれないと考え、少し多めの食材を買った。
ちなみに総菜コーナーでプラスの一品を選んでいた際、月詠先生と教え子(?)二人と鉢合わせた。
確か結標さんと姫神さんといったか……肉コロッケか海老カツかで頭を悩ませていたようだ。
暫時、世間話を済ませた後、少し急いで先輩の家に向かった。
固法「さてと……あ、この服見られるんだ」ピタッ・・・
ふと思い出す……まぁ特に如何こう言う人では無いから大丈夫だろう。
一寸後、到着。
固法「おじゃましまーす」ピンポーン!
靴が……二組。
那由他「あ、お邪魔してます」ペコッ
固法「あら。いらっしゃい。先輩は?」ニコッ
那由他「ベランダです。斜め上の部屋の住人と御喋り中」チラッ
土御門くんか。まぁ此処最近いつもの事。とりあえず、訪問の挨拶をしておこう。
固法「せんぱーい。勝手にあがりますよー」オーイ
黒妻「ん? ああ、お帰りー」オー
固法「勝手に夕飯作っちゃいますからねー」パタパタ
黒妻「よろしくー」ウイー
那由他「手伝います」テクテク
固法「ありがと。ちなみに今日、打ち止めちゃんか最愛ちゃん来た?」
那由他「うーん。私も仕事終えてから来たので……でも兄さん(香焼)と姉さん(絹旗)から電話が来たとは言ってました」
多分、麦野さんと神裂さんの事だろう。
固法「打ち止めちゃんは、お家でゆっくりしてるかもね」クスッ
那由他「あはは。あ、固法さん。その服……」ジー・・・
固法「へ? あ、うん……派手かな?」アハハ・・・
那由他「ううん! 可愛いですよ! 大胆なのも似合ってますって」キラキラ・・・
固法「ありがと……照れるわね」ニコッ
那由他「でも、料理で汚れちゃうと勿体無いですね」ムゥ・・・
固法「あ……そうだね」クスッ
折角だが、ジャージかスウェットに着替えよう。 - 901 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 02:02:02.58 ID:utSPECwa0
- 固法「ちょっと火、見ててね」テクテク・・・
那由他「了解です」ビシッ!
固法「さてと……」ゴソゴソ・・・
女の子(固法、絹旗、木原、打ち止め)用タンスの一番上から自分のジャージを探す。
それに合わせたかのように先輩が部屋に戻ってきた。
黒妻「ん……何してんだ?」ガララ・・・
固法「着替えです。服、汚れますから。先輩はお話終わったんですか?」
黒妻「ああ、アッチが一旦戻った……スウェット、干しっぱだったぞ」クイッ
固法「ジャージ着ます」スッ
黒妻「そ」テクテク・・・
一応、無言で感想を求めてみる。
固法「じー……」
黒妻「……何?」ヘ?
固法「……じー」
黒妻「……え?」タラー・・・
……ばーか。
土御門「いやぁ、お待たせ……って奥さんお帰りかにゃー?」ヌッ・・・
上の階(上条くん)の部屋のベランダからぶら下がり現れた土御門くん。毎度の事ながら危険だというに。
固法「こんばんわ」ニコッ
土御門「どもども。黒妻センセお借りしてました」ニコッ
黒妻「……今、そっち行く」テクテク・・・
……結局感想無しか。と諦めて着替えようとした矢先。
那由他「黒妻さーん……ん!」ビシッ!
菜箸で私を指す那由他ちゃん。
黒妻「……ん?」クルッ
土御門「……せめてツッコミくらい入れてあげたら?」ジー・・・
黒妻「何に?」キョトン・・・
朴念仁。まぁ今更だし……気にしません。 - 902 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 02:07:03.01 ID:utSPECwa0
- 那由他・土御門「「駄目男」」ハァ・・・
黒妻「……んだよ」ムスゥ・・・
頭を掻く先輩。納得いかないのはお互い様です。
禁書目録「くろづま……夕飯を分けてくれるなら教えてあげても良いよ」ヌッ
黒妻「うをっ!!? 出たな、妖怪腹ペコブラ=サガリ修道女!」ワッ!?
インデックスちゃん、危ないから女の子がそんな恰好しないの。
禁書目録「とうまと同じくらい朴念仁なの?」ブランブラン・・・
黒妻「アイツと一緒にすんな! ったく……で? 米持参なら分けてやるから教えろ」ホレ
禁書目録「OK! じゃあ耳を貸して!」ニコッ
ゴニョゴニョとぶら下がる少女から耳打ちされる先輩。シュールだ。
禁書目録「―――……なんだよ!」ビシッ!
黒妻「は? 服?」ポカーン・・・
那由他「……何か一言、どうぞ」ジトー・・・
黒妻「何かって……新しい服だろ? 気付いてたけど」シレット・・・
一同『……』ハ?
この人は……
禁書目録「じゃあ感想は? 流石のとうまでもかおりの服、褒めてたんだよ! ……あ」チラッ
土御門「ん? ……カミやーん! ねーちんの服ってなーにぃ?」オーイ!
禁書目録「あわわわわ!! な、何でも無い! 何でも無いんだよ!!」アタフタ・・・
黒妻「落ちるぞ、シスター……感想ねぇ」ムゥ・・・
那由他「彼氏さんでしょ!」ビシッ
土御門・禁書目録「「彼氏さんでしょ!」」ビシッ!
便乗して真似するベランダぶら下がり隊。器用なモノだ。
黒妻「服って……美偉、何着ても可愛いじゃん」サラット・・・
固法「っ!!」カアアァ・・・///
那由他・禁書目録「「……」」ポッ・・・///
土御門「ヒューッ! 惜しみなく言える辺りが恰好良いぜよ!」ニヤッ・・・
固法「歯が浮く様な台詞をサラリと……ありがと……」モジモジ・・・
黒妻「どうしたしまして」ニコッ - 904 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 02:18:29.60 ID:utSPECwa0
- 土御門「さて、ラブラブなとこ悪いが……センセ。話の続きだにゃー」クイッ
黒妻「あいよ。あ、インデックスちゃんの飯はキャンセルな」ニコッ
禁書目録「なん……だと……」ギロッ・・・
黒妻「だってオレ気付いてたじゃん」アハハ!
禁書目録「こ、コレは不平等条約なんだよ! ただちに謝罪と賠償食を請求するんだよ!」ガアアァッ!!
固法「あはは……少しは分けてあげるから、ね」タラー・・・
まったく、家主(上条くん)の躾けはどうなっているのだろう。兎に角、ジャージに着替え、夕飯作りを再開。
固法「お待たせ。問題無かった?」テクテク・・・
那由他「はい。そういえば、今日どうでした?」
固法「え? うーん……」
一言で言うなら。
固法「面白かったわね」ニコッ
那由他「そっか」クスッ
それから暫く、お互いに今日の事を御喋りしながら料理を続ける。
ふと……今度はあの二人と料理パーティーしても面白いかなと考えてしまった。
那由他「今度、私も会ってみたいなぁ」クスッ
固法「ふふふ。優しそうなお姉さん達よ」ニコッ
那由他「いいなー。私のとこ(テレスティーナ)は……優しいとは言えないし」アハハ・・・
固法「優しいじゃない。那由他ちゃんの事になれば尚更、ね」ナデナデ
那由他「む、むぅ……」ポリポリ・・・///
彼女だって、貴女の事を大事にしてくれている。
那由他「でも精神レベルが同じだよ」ハァ・・・
固法「那由他ちゃんがオマセさんなのよ。さ、野菜切ろっか」
那由他「はーい」シャキーンッ!
固法「……手刀使っちゃダメよ。ドリルで細切れも禁止」メッ!
那由他「あはは……そうでした」タラー・・・
この子も、そして他の三人も、それから周りのみんなも……『普通』でいてほしい。
ただそれだけを願ってみる……――― - 905 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 02:20:13.03 ID:utSPECwa0
- はい。とりあえず『三人淑女』編は終わりです。
以後、例の『仮面』についてのアンケート話になります。ご協力ください! - 906 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 02:23:26.39 ID:utSPECwa0
- ―――同日、PM05:45、学園都市第7学区、学園都市第7学区、とあるアパート一室(黒妻家)…黒妻side…
黒妻「ったく……女ってのは何かと一々気にするもんだな」ポリポリ・・・
土御門「にゃははは! それに気付いてやってこそ男だぜよ」ニコッ
そうなんだろうが、コイツに言われると癪だ。
土御門「しかしねーちんと原子崩しとお茶会してたとは……カタギの女とは思えないぜ」ククク・・・
黒妻「あの二人も一枚剥がれりゃ普通の女だろう。お前が上手く二面性使い過ぎなんだよ」ケッ
土御門「二面? 三面、いや四面はあるかもしれないぜ?」ニヤッ
黒妻「はいはい……んで?」
土御門「はいなー。三つ持ってきたぜぃ。これ資料」スッ・・・
三枚の紙切れ。
土御門「順に説明する。まず一つ目だ」ピッ
黒妻「①バイザーメットタイプ……」
土御門「そう。まぁこれは試作品だが」スッ
ワザとそうしたのか、メットの表面が蜘蛛の糸の模様になっていた。
土御門「名前は未定だが、そうだな……『試作未元物質バイザー』とでも呼んでおく。色は白か黒、選んで貰ってOKだぜぃ」クイッ
黒妻「ぷろとだーく……何?」ヘ?
土御門「まぁそこはどうでもいい。とりあえずメリット・デメリットを教える。此処を見ろ」スッ
・メリット……自動防御(視界に入る分のみ)。暗視赤外線モード等付き。簡単に外れない。
・デメリット……バイザー自体は壊される可能性も有り。重い。暑い。あくまで試作品。不慮の事故に弱い。
黒妻「つまり、あれか? 試作テスト込みの提供って訳か?」
土御門「御名答。使い終わった後は毎回書類に記入して貰うぜ」ニヤッ
黒妻「成程な……でもデザインはあんまり恰好良いとは言えない」
土御門「ロマンは大事だが、拘んなってぇの。機能性と隠蔽性が重要って事だぜよ……んじゃ次」ピラッ - 907 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 02:29:23.06 ID:utSPECwa0
- これもテストか?
土御門「あったりー。でもこれは別部署からだにゃ」ホレホレ
黒妻「別ねぇ……②覆面マスクタイプ」
土御門「3つの中で一番頑丈なのはコレですたい」ニコッ
イメージ的には『蜘蛛男』や『精神的超人』のマスクを彷彿とさせる。模様としては白い生地に何やら神秘的な刺繍が縫い施されていた。
ただ刺繍のデザイン的に、何処かで見た覚えが……
土御門「名前は『歩く教会Ver.1,56』。始めに言っておくが、コレは生地の強度テストだ」
黒妻「は?」
土御門「出来れば顔面で攻撃を受け止めろ。はっきり言えば禁書目録の新しい修道服のテストたい。いつまでもボロ着せとけないからにゃ」ニコッ
歩く教会? インデックスちゃんの服? 何だそりゃ?
黒妻「良く分からんがアホ抜かせ……とりあえず、詳細教えろ」
土御門「にゃはは。あいよー」スッ
・メリット……絶対防御。『ありとあらゆる攻撃』から顔を守る。聴覚、嗅覚、視覚、精神攻撃からも身を守れる。
・デメリット……蒸れる。多少息苦しい。
黒妻「蒸れ……何か、ヤダな」タラー・・・
土御門「ただどんな攻撃でも防げる……と思う。精神操作系の能力も……予想だと防ぐ筈。さっきのよりは安全だぜぃ」
黒妻「仮定が多過ぎだぞ。それに派手で身ばれしねぇか?」
土御門「ま、そこは上手くやってちょーだいな。あ、そうそう……アンタの『見た事無い』攻撃からも顔を守れる」
黒妻「見た事、無い?」
土御門「例えば……香焼の『力』。あれも完全防御可能だ。初見で殺される事は無いってのも魅力だな」
例の『オカルト』とかいうヤツか。
黒妻「とりあえず、次の見せろ」
土御門「うい……これ」ピラッ
黒妻「③口出しフェイスタイプ……つまり?」
土御門「まんまだにゃ。名前は……無い。好きに呼べ」ニコッ
所謂、○ットマンとか○ルヴァリンみたいなマスク……ロマン設定か?
土御門「いいからデータを見てくれ。あとコレはテスト品じゃなくて俺が色々弄って作ったモンだ」
黒妻「一番心配だな……」
・メリット……通気性良好。暗視赤外線モード等付き。顔隠蔽機能付き。
・デメリット……他二つに比べてもろい。口元が御留守。
黒妻「……駄目じゃねぇか」
土御門「でもデザインは好きに弄れるぜ。耳付けてもいいし、角付けても良い」ニコッ
黒妻「ばーか。さっき機能性って言ってたの誰だよ……んで、この顔隠蔽機能って何だ?」
土御門「ああそれ……歪むんだよ」ニヤッ・・・
……は? - 908 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 02:32:18.75 ID:utSPECwa0
- 土御門「頭部一帯が……グニャリとな。まるで花が咲いたかのように面が咲く」
……それ、オレ無事なのか?
土御門「安心しろ。歪んだ所を見た輩は少々情緒不安定になるが……監視衛星だって誤魔化せるにゃ」
黒妻「ふむ……とりあえずこの三つな?」
土御門「あいよ」コクッ
黒妻「ちなみに、ファントムマスクとかドミノマスク。般若面とかペルソナマスクは無いの?」
土御門「んなの直ぐ外れるし……機能付け辛いぜ」アハハ・・・
ちと残念。結局……―――
①試作未元物質バイザー(※ハイムラ氏のHPにある未元物質部隊の右側没案マスク)の白or黒カラー。
②歩く教会Ver.1,56 (※所々禁書目録の修道服と同じようなデザイン刺繍入り)
③口出しフェイスマスク(※機能として『零 ~月蝕の仮面~』の『芽吹き』機能の様なもので顔を隠す)
―――……となった。
土御門「とりあえず選んどいてくれ。まぁ全部試し試しして貰っても構わんがな」
黒妻「あいよ。身ばれはしないみたいだからどれでも大丈夫そうだな」
土御門「当たらなければ、何とやら理論ですたい? んなの広域能力者にかかりゃ意味無いぜよ」
黒妻「そん時はそん時で方法練るっつの……ま、あんがとよ」
土御門「あいよー。んじゃ俺は舞夏の飯を……って今日舞夏来て無かった。作り置きないぜよ」ショボーン・・・
何が言いたいか分かったが無視無視。
黒妻「……残念だな」テクテク・・・
土御門「……センセ。お腹空いたにゃぁ」ハァ・・・
黒妻「……」ガラララ・・・
土御門「……ひもじいなぁ」ギュルルル・・・
黒妻「おーい。飯出来たー?」テクテク・・・
固法「もう少しでーす。インデックスちゃんに分けるなら、大目に作った方が良いんですよね?」
那由他「上条当麻にも分けてあげますか。暴食シスターだけじゃ可哀想だし」クスッ
固法「ふふっ。そうね」ニコッ
土御門「あ、奥さーん! 土御門くんも欲しいそうだにゃー!」オーイ!
黒妻「おま……図々しいヤツ」ハァ・・・
固法「はいはい」クスクス・・・
どうやら夕飯一名追加になりそうだ。 - 909 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/18(金) 02:36:09.73 ID:utSPECwa0
- 黒妻「ま、しゃーないか」ハハハ・・・
土御門「困った時はお互い様だぜぃ」ニコッ
黒妻「あいよ……あ、そうだ」
部屋に戻ろうとした刹那……呟き。
土御門「絶対、行動する前は誰かに一報しろ」ボソッ
黒妻「……」ピタッ
土御門「俺か服部か……雲川か。三人のウチ、誰かだ。この際、俺も雲川に文句は付けん……いいな」ギロッ
黒妻「……心得た」テクテク・・・
決して表立たない三人がバック……半蔵は兎も角、コイツと雲川は頼もしいんだか如何なんだか。
黒妻「さーて、飯々っと……」テクテク・・・
禁書目録「味見は任せるんだよ! あ、なゆた! こぼれそう!」アワワ!
黒妻「……何時の間に」ハァ・・・
固法「まぁお米は持ってきたみたいですし、私も那由他ちゃんも小食ですから」アハハ・・・
禁書目録「つまり! みぃとなゆたのご飯だけ残せば、他は全部平らげていいんだね!?」キラキラ・・・
黒妻「冗談抜かせ、貪欲尼」コラッ
土御門「やばっ!? おーい! 急げカミやん! 暴食魔神に全部持ってかれるぞー!」ニャー!
禁書目録「誰が悪魔(ベルゼブブ)なの!? 私は一、修道女なんだよ!」ウガァッ!!
上の部屋からドタバタ音と『ふこーだー』という叫び声が聞こえた。じきにこの部屋のチャイムが鳴る筈。
平和な日常。
だが……非日常に飛び込むと決めた。
『友』の見ていた世界へ。
『友』とは違うやり方で、『友』と同じ世界に足を踏み込む……――― - 910 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2011/02/18(金) 02:45:50.20 ID:utSPECwa0
- はい、終わり。というわけで……>>908の①、②、③のどれかでお願いします。
この3つを選んだ理由ですが、
・禁書の世界観から離れたマスクにしたくなかった。
・土御門が①をアレイスターから、②をローラから預かって来るのもありえそうだったから。
・③はただ『顔を隠す』という特化物を作りたかったから。
……です。
不備な点はありますが色々と質問等は受け付けます。改善もする予定です。
ただ大まかなラインとしては上記の3つで行きたいです。
ちなみに『仮面』の話は次スレから開始予定なので、残り100レスは……リクエストにしちゃいます。もしくは思い付きの一発ネタ。
とりあえず、今日は此処までです! では! ノシ - 911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 03:19:35.48 ID:Z7L7350DO
- 乙! 良いほのぼの姉さん組でした。
マスクはロマンより機能性なんだねー‥‥②がいいかな。
リクエストってか‥‥罰ゲームじゃないの? (笑)
絵プリーズ! - 912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 03:24:03.58 ID:w323dPDS0
- 乙
マスクは②、仮面型歩く教会はなんかよさそう
ねーちんが、上条宅にご飯をつくりに行く話を、是非に! - 913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 07:27:33.13 ID:wJIN1xeDO
- >>1乙
②でお願いします
あと通気性だけなんとかしてあげて - 914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 09:18:14.00 ID:XKAcgn6AO
- そもそもなんで仮面が必要なんだっけ?
リクエスト・超々番外編、ある日の神の右席(ほのぼの編)をお願いします - 915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/18(金) 18:12:32.11 ID:1bocBrJmo
- ②で
- 916 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 21:58:40.46 ID:NSGbQweC0
- こんばんわ! バイト前にリクエスト投下。
あと、引き続き『マスク』のアンケート選択、ご協力お願いします。>>908です。
今回は>>912さんの『ねーちん、上条家訪問』をお送りします!
次は>>914さんのほのぼの神の右席かなぁ……でももうちょっと詳細欲しいかも。
>>911さん、絵は投下の仕方が分からないのでスンマセン!
尚、丸い神裂さんとステイルさんが出てきます。あとインデックスも、丸過ぎるかも。ご了承ください。
では、投下! - 917 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 22:01:33.61 ID:NSGbQweC0
- ―――とある日、お昼過ぎ、学園都市第7学区、とあるアパート一室(上条家)…上条side…
何でも無い日がありがたく思えてきた此処最近。
私(わたくし)上条当麻もすっかりいけない方向に染まってきているなぁと、溜息を付いてみる。
因みに今は先程、居候の御転婆娘が昼飯のカップ麺(蓋付き焼きそば)を流しにブチ撒けたのを掃除中。
そして呑気にお気に入りのテレビ番組を見ながら『俺の昼飯』を喰らってる問題娘は、ある人物の訪問を心待ちに、鼻歌など歌っていた。
少しは手伝え、このタダ飯喰らい。
……なーんて、他人事のように言うが実際、俺自身も多少その人物が我が家に来る事を楽しみにしているのだ。
禁書目録「ふんふふ、ふんふふ、ふんふんふーん♪」ウキウキ!
上条「ったく……せめて散らかってる漫画くらいは片付けとけよ」ハァ
禁書「分かってるんだよ! あ、私もおめかしした方がいいかな?」ニコニコ!
アナタがおめかしなんて洒落た事した所を、上条さんは見た事ないのですが。
禁書「失礼だね! 私だって女の子なんだから身嗜み位は気を付けるよ!」プンスカッ
上条「はいはい。まずは口の周りに付いた青海苔拭いてから言おうねー」
禁書「なっ! ……んが、何処?」ヌグヌグ
スフィンクス「んにゃぁ」ペロッ
禁書「うわっ!」ビクッ
愛猫に口周りの処理を任せる駄目飼い主。ヤレヤレだ。
禁書「もぅ……あのね、スフィンクス。そんな人の食べカスを貪る様な真似、はしたないから―――」
――ピンポーン・・・・・
禁書「―――しちゃ……って、来たかも!」ニパー!
チャイムの合図とともに、容器の焼きそばを一気に飲み込み玄関へ走り出す修道女さん。
ああ、またソース飛ばして……もっと女の子らしくしなさい。
禁書「いらっしゃいませ!」ガチャッ!
固法「こんにちわ」ニコッ
禁書「……あれ? みぃだ」ポカーン・・・
どうやら下の階の住人(の彼女さん)がやってきたらしい。
固法「ふふっ。私でごめんなさい」クスッ
禁書「あ、うん……別に気にして無いんだよ」アハハ・・・
固法「相当楽しみにしてたみたいね。神裂さん来るの」
禁書「え、あ、まぁね。で、どうしたの? お昼の御裾分け?」キョトン?
どうしてそういう厚手構しい返しをするかなぁ……
固法「うふふ……神裂さん。隠れてないで、ほら」ニコッ
禁書「え!?」ドキッ!
どうやら直ぐそこまで来ているらしいが、姿が見えない。 - 918 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 22:06:21.03 ID:NSGbQweC0
- すると、微かに……
神裂「……こ、こんにちは。禁書目録」ゴニョゴニョ・・・
神裂の声が聞こえた。
禁書「かおり!? ん? ……階段の方に隠れてるの?」チラッ
固法「神裂さん、恥ずかしいんだって」クスッ
神裂「こ、固法さん……」ボソボソ・・・
成程。怖気付いた所を固法さんに連れて来られたのか。いつもは憮然と上がり込むのに……そこまで恥ずかしがる?
禁書「かーおーりー! 早く顔見せて欲しいんだよ!」
固法「ほら。こっちおいで」ヨシヨシ
神裂「む、むぅ……」スッ・・・///
聖人を飼い始めたペットの様に扱う新妻、もとい女子高生。トンデモ無いな。
さておき、ゆっくりとしたコツコツという足音とインデックスの感嘆の声がした。
禁書「わあぁっ!!」キラキラ・・・
固法「ふふっ、ね? 笑わないってば」ニコッ
神裂「ご、御無沙汰してます……か、彼は中に?」モジモジ・・・///
禁書「うんっ! とうま、とうま! こっち来て!」ニコニコ
何もそんなに急ぐ事は無かろう。今から家に上がるんだし。
禁書「いいから!」パタパタ!
上条「あーはいはい。今行きますよー」テクテク・・・
台所から玄関へ……
神裂「か、上条当麻……こ、こんにちは」カアアァ・・・///
上条「……」ピタッ・・・
禁書「ね! 綺麗でしょ!」ニコッ!
上条「……」ジー・・・
神裂「あの、えっと……その……」モジモジ・・・///
禁書「……二人とも?」ポカーン・・・
……目の前の人は、誰? 俺の記憶喪失前に知り合ってた人?
固法「ほらっ」トンッ!
神裂「あ、か、上条当麻……お邪魔しても、よろしいですか?」アハハ・・・///
上条「……」コクコクッ・・・
いや、駄目なんて言えません。此処で返したら色々な人に蹴飛ばされる気がしますよ、上条さん。 - 919 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 22:09:03.20 ID:NSGbQweC0
- 禁書「勿論なんだよ! さぁ上がって上がって!」グイッ!
神裂「わ! い、禁書目録! 引っ張らないで!」アタフタ・・・
インデックスに無理矢理連れこまれる女性。俺、棒立ち状態。
固法「ふふふ。上条くん、大丈夫?」クスッ
上条「え……あ、はい」コクッ
固法「相当驚いたみたいね」ニコニコ
上条「まぁ……はい。あれ、本当に神裂?」キョトーン・・・
髪を降ろして、普通の女性服を着て、薄くだが化粧をして……あの神裂が。
固法「本人よ。ちゃんと感想言ってあげるのよ。女の子が勇気を出したんだからね」パチッ!
上条「へ? あ、はい……」コクッ・・・
固法「あ、そうだ。インデックスちゃーん! 後で手作り紅茶プリン分けてあげるから取りにおいでー」b"
禁書「りょーかーい!」b"
固法「ふふふ。じゃね」ニコッ
パタパタとサンダルを鳴らして帰って行く団地妻……じゃなかった、固法先輩。
禁書「とうま! いつまでボーっとしてるの。戻って来るんだよ!」オーイ
上条「……おう」テクテク・・・
居間に帰ると、ヤンチャ娘がお姉さんにの正座の上に座っていた。
そして、目が合う……
上条「……」ジー・・・
神裂「あ、あの……座ったらどうです?」モジモジ・・・///
上条「あ、はい」スッ・・・
なんで俺敬語なの? しかも我が家なのに促される始末……気拙いなぁ。
禁書「とうまー! 早くお茶出すんだよー!」
一人テンション上がりっ放しの我が儘姫さまの声で我に返り、客人をもてなす為、踵を翻した。 - 920 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 22:10:33.18 ID:NSGbQweC0
- ―――とある日、昼過ぎ、学園都市第7学区、とあるアパート一室(上条家)…上条side…
とりあえずこのままでは間が持たないと考え、お茶と菓子を準備する事に。
残念ながらエレガントな高級紅茶やケーキなど上条家には存在しないので、普通に紙パック緑茶と海苔煎餅を出してしまった。
ごめんなさい、神裂さん。
禁書「とうま! 今すぐケーキを買ってくるんだよ! ホールで!」ギロッ!
上条「は、はい。ただいま!」スクッ!
神裂「い、いえ、気を使ってもらわなくても大丈夫ですよ……というか何故敬語?」アハハ・・・
いや、何というか……雰囲気(オーラ)が違いますですよ。
神裂「い、一応、私は私のつもりですので、気を張らずに」タラー・・・
禁書「かおりもだよ!」メッ!
神裂「あはは……そうですね。ん? 禁書目録、口元が汚れていますよ」スッ・・・
禁書「んぐっ! ぷはっ! ありがと!」フキフキ
神裂「どういたしまして。あ、夕飯の食材を買ってきたので冷蔵庫に入れさせて貰いますね」スタッ
上条「あ、うん。どうぞ」コクコク・・・
ただ二人を眺めているだけ。空気が読めない娘に救われている、上条です。
禁書「ねーねー! それでその服、自分で着てみて如何だった?」キラキラ・・・
神裂「如何と言われましても……不思議な感じですね。違和感と言いますか」クスッ
禁書「そーだよねー。始め見た時ビックリしたもん! 『これ、かおりなのー!?』って!」ニコニコ
神裂「あはは。五和達からもそう言われましたよ」ニコッ
禁書「やっぱりね。でも綺麗だもん! 似合ってるんだよ!」ギュッ!
神裂「わっ!? も、もぅ……」クスッ・・・
見てて和む光景。
禁書「ん? いつもと違う匂い……何か付けてるの?」クンカクンカッ
神裂「えっと、固法さんが香水を掛けてくれました。やはり変でしたか?」モゾモゾ・・・
禁書「ううん! 良い匂いだよ! 食べちゃいたい!」ニカッ
よしなさい。
禁書「うふふ! あー、でもいいなぁ。私もかおりみたいなおめかししたいなぁ」キラキラ・・・チラッ
ごめんなさい……こっちを見ないでください。上条さんには無理な相談です。 - 921 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 22:16:23.24 ID:NSGbQweC0
- 神裂「ま、まぁ私はファッションコーディネイトなるものは出来ませんが、どなたかセンスの良い方と一緒に行ってみましょう」
禁書「うん! あー、やっぱ誰かさんとは大違いなんだよー」ジトー・・・
上条「アナタはその立派な修道服があるでしょう、インデックスさん」ジトー・・・
というか常にそれ着てないといけないのでは無かったか?
禁書「……破れてるけどね」ムゥ・・・
上条「うっ……ごめんなさい」ペコッ
神裂「ま、まぁ。最大主教が新しい『歩く教会』の準備をしてするといった話をしていましたし、それまでの我慢ですよ」
禁書「ホント!? やっと本来の私が戻って来るんだよ!」フンヌッ!
そうなのか? 俺にとってはただの修道服だが……本人が喜んでいるならそれでいい。
神裂「しかし、気を抜く時間も必要ですよ。そういった時間にでも私服を着てみては如何でしょうか」ニコッ
禁書「そうだよね、そうだよね! ……って事で、とうま。必要経費を請求してみるんだよ!」ジトー・・・
上条「却下だ。パジャマで十分だ―――」
禁書「んうがああぁっ!!」ガブッ!!
上条「―――ろ、ぅぎゃああああぁっ!!」フコーダー!
神裂「こ、こらこら」アタフタ・・・
盛大に頭をガミガミされた。最早いつもの事だが、痛いものは痛い。不幸だ……頭ベトベト。
ただ今日は神裂がインデックスを宥めてくれたので、早めに離れて貰えた。
禁書「まったく、デリカシーが無いんだよ。とうまは」ンモー・・・
上条「痛つぅ……悪ぅございましたね」ハァ・・・
神裂「あはは……」タラー・・・
噛みつく女はデリカシー有るんですかねぇ。
兎も角その後、暫く神裂がインデックスの『あのねあのね』話を一方的に聞いていた。結局、いつもの感じ。
インデックスが楽しそうに話して、神裂が嬉しそうに相槌を打つ。
此処に……足りないモノが何なのかを知っているが、口にはしない。
禁書「―――でね! 冷蔵庫が『常識に囚われるな!』って教えてくれたんだよ!」
神裂「ふふふ、そうですか。ですが非常識と常識に囚われないのとでは違いますから、注意ですよ」ニコッ
禁書「なるほどー、深いねー……あ、冷蔵庫で思い出した!」パッ!
神裂「はい?」キョトン・・・
禁書「みぃからプリン貰ってくる! ちゃんと三人分確保してくるから安心してね!」タッ!
神裂「あ、ちょ……」ポカーン・・・
急に駆けだして行ったインデックス。つまり……
上条・神裂「「……」」ポツーン・・・
……二人きり、ですか? - 923 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 22:22:16.75 ID:NSGbQweC0
- 上条「あー、えっと……」
神裂「……」
何を言えば良いか……
上条「やっぱ、違うな」アハハ・・・
神裂「そう、ですか……」モジモジ・・・///
上条「ん……」ポリポリ・・・
気拙い。がしかし、何も言ってやらなかったら後で固法先輩に怒られるだろう。
上条「えっと、雰囲気変わったな」アハハ・・・
神裂「……」コクッ・・・///
上条「何て言うか、その、悪い意味じゃなくてだな……女性らしいと思うぞ」ニコッ
神裂「……あ、ありがとう」ペコッ・・・///
今一度、神裂の容姿を見遣る。
柔らかそうなジャンパー。少し大胆なミニスカート。膝上までのソックス。それからウェーブの掛った長髪。
髪縛って無いからか、目が優しい感じだ。勿論いつもの凛々しさも残っているが、それより麗しいといったイメージ。
上条「ああ。やっぱ違うよ」ハハハ
神裂「あ、あはは……」テレッ・・・///
上条「……うん」
神裂「はい……」
『女の子が勇気出したんだから』か……
上条「うん……可愛いと、思う」ポリポリ・・・
神裂「っ!!?」ドキッ・・・///
多意は無い。純粋な感想だ。ただ……何だかやっぱ、こっ恥ずかしい。こっちまで歯が浮きそう。
上条「偶には、そんな服もいいんじゃない?」ハハハ・・・
神裂「か、考えます……」カアアァ・・・///
上条「まぁ『普通』の服着るだけだしさ。さっきオマエも言ってたろ。気を抜く時間にでもって」クスッ
神裂「……はい」コクッ・・・///
上条「それで良いんじゃねぇの。恥ずかしいか?」フフッ
神裂「い、一応……やはり着馴れませんから」アハハ・・・///
恥ずかしいって……いつもの『あの服装(左右非対称)』の方が、よっぽど恥ずかしいと思んですよね。
さておき、このままではまた無言が続きそうなので話題を変えてみる。
上条「ちなみに、今は天草式の……何だっけ? 日常鍛錬みたいなのは出来ない状態なの?」
神裂「え、はい。オドは練れませんね」
上条「ふーん。聖人の力も出ないと」
神裂「いえ。『聖人』は生まれついてのモノなので、それとはまた別です。ですがいつもより弱体化しているのには変わりありません」
複雑だな。そういえば刀も持ってないし、確かにいつもよりは弱いというか……『繊(かよわい)』のかもしれない。
まぁそれでも無能力者の俺よりは強いだろう。 - 925 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 22:31:36.48 ID:NSGbQweC0
- 神裂「今は鋼糸(ワイヤー)くらいしか携帯できないので、出せて力の3割といったところでしょう」
上条「あはは、それでも3割か。凄ぇよ」
神裂「今なら……貴方の能力(幻想殺し)で、簡単に私を押し倒せます」ボソッ・・・///
上条「え? 何?」ポカーン・・・
神裂「な、何でもありませんっ!!」カアアァ・・・///
何か言ったように聞こえたが……気の所為だったみたいだ。
* * * * * * * * *
所変わって……下の部屋(黒妻家)―――
固法「帰らなくていいのかしら?」クスッ
禁書「……私だって、少しは空気を読めるつもりなんだよ」プラプラ・・・
那由他「あらあら、おませさん」モグモグ・・・クスッ
絹旗「……あの超暴食シスター、何で黄昏てるんですか?」モグモグ・・・
香焼「んー……複雑なんすよ、きっと」モグモグ・・・
打ち止め「おお! 珍しくお兄ちゃんが女心を理解しているかも! ってミサカはミサカはビックリ仰天してみたり!」モグモグ・・・
絹旗「ら、打ち止めちゃん……因みに姉貴さんと那由他ちゃん、さっきから何の紙切れ見てるんですか?」モグモグ・・・
固法「んー、ちょっとね。風紀委員のお仕事の」ピラッ
那由他「最近、都市の犯罪が増えて大変なの。やっぱり黄泉川さん(警備員のエース)不在は大きいですね」ハァ・・・
固法(……駒場くんが自警活動してくれてた御蔭もあったんだけどね)フム・・・
絹旗「ふーん……大変なんですね。そっちのシスターと比べ物にならないくらい」フフッ・・・
禁書「……もあいも同じ境遇でしょ」ジトー・・・
絹旗「なっ!!?」ガタッ・・・///
固法「あはは……(『カミやん病』だっけ? に惚れた女の会かぁ)」クスッ
香焼「ま、鈍感男が相手だと大変っすね」ゴックン
三人娘『オマエが言うなっ!!』ビシッ!
香焼「へ?」ポカーン・・・
固法「あはは。まぁ、良い子なインデックスちゃんにプリン一個分サービスしちゃお」ニコッ
禁書「……ありがと」フフッ・・・
打ち止め「あー! それ私のおかわり分! って怒涛の勢いで詰め寄ってミサカはミサカは怒涛の勢いでミィに抗議してみる!」ウガアッ!
固法「昨日皆でいっぱい作ったから大丈夫でしょ。御土産分もね。それにインデックスちゃんに上げたのは先輩のだから大丈夫」クスッ
打ち止め「それなら仕方ないね。ってミサカはミサカは二つ目のプリンに生クリーム乗せを要求してみたり」ビシッ!
禁書「くろづまのなら遠慮はしないんだよ」パクッ
香焼「あ、どうせ屋上にステイルいるから1個あげてこよ……あ、そうだ!」スッ・・・ピタッ
絹旗「どうしました?」ン?
香焼「……良い事考えた」ニヤッ・・・ - 926 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 22:32:10.01 ID:NSGbQweC0
- 神裂「今は鋼糸(ワイヤー)くらいしか携帯できないので、出せて力の3割といったところでしょう」
上条「あはは、それでも3割か。凄ぇよ」
神裂「今なら……貴方の能力(幻想殺し)で、簡単に私を押し倒せます」ボソッ・・・///
上条「え? 何?」ポカーン・・・
神裂「な、何でもありませんっ!!」カアアァ・・・///
何か言ったように聞こえたが……気の所為だったみたいだ。
* * * * * * * * *
所変わって……下の部屋(黒妻家)―――
固法「帰らなくていいのかしら?」クスッ
禁書「……私だって、少しは空気を読めるつもりなんだよ」プラプラ・・・
那由他「あらあら、おませさん」モグモグ・・・クスッ
絹旗「……あの超暴食シスター、何で黄昏てるんですか?」モグモグ・・・
香焼「んー……複雑なんすよ、きっと」モグモグ・・・
打ち止め「おお! 珍しくお兄ちゃんが女心を理解しているかも! ってミサカはミサカはビックリ仰天してみたり!」モグモグ・・・
絹旗「ら、打ち止めちゃん……因みに姉貴さんと那由他ちゃん、さっきから何の紙切れ見てるんですか?」モグモグ・・・
固法「んー、ちょっとね。風紀委員のお仕事の」ピラッ
那由他「最近、都市の犯罪が増えて大変なの。やっぱり黄泉川さん(警備員のエース)不在は大きいですね」ハァ・・・
固法(……駒場くんが自警活動してくれてた御蔭もあったんだけどね)フム・・・
絹旗「ふーん……大変なんですね。そっちのシスターと比べ物にならないくらい」フフッ・・・
禁書「……もあいも同じ境遇でしょ」ジトー・・・
絹旗「なっ!!?」ガタッ・・・///
固法「あはは……(『カミやん病』だっけ? に惚れた女の会かぁ)」クスッ
香焼「ま、鈍感男が相手だと大変っすね」ゴックン
三人娘『オマエが言うなっ!!』ビシッ!
香焼「へ?」ポカーン・・・
固法「あはは。まぁ、良い子なインデックスちゃんにプリン一個分サービスしちゃお」ニコッ
禁書「……ありがと」フフッ・・・
打ち止め「あー! それ私のおかわり分! って怒涛の勢いで詰め寄ってミサカはミサカは怒涛の勢いでミィに抗議してみる!」ウガアッ!
固法「昨日皆でいっぱい作ったから大丈夫でしょ。御土産分もね。それにインデックスちゃんに上げたのは先輩のだから大丈夫」クスッ
打ち止め「それなら仕方ないね。ってミサカはミサカは二つ目のプリンに生クリーム乗せを要求してみたり」ビシッ!
禁書「くろづまのなら遠慮はしないんだよ」パクッ
香焼「あ、どうせ屋上にステイルいるから1個あげてこよ……あ、そうだ!」スッ・・・ピタッ
絹旗「どうしました?」ン?
香焼「……良い事考えた」ニヤッ・・・ - 927 :>>1にかわりましてカキネが誤爆しました[saga]:2011/02/19(土) 22:34:55.86 ID:NSGbQweC0
- 所変わって……再びの部屋(上条家)―――
しかし、インデックスが遅い。下で余計な迷惑掛けてるんじゃなかろうな。
神裂「大丈夫でしょう。固法さんがいますから」
上条「ははは。ホント、助かってるよ」
やはり母性というか何というか……女性が面倒を見るのが好ましいと思う。
正直俺なんかじゃ役不足と感じてしまう時も屡。
神裂「『役者不足』ですね?」クスッ
上条「え? 役不足と役者不足って違うの?」キョトン・・・
神裂「意味が逆転してしまいますよ。何にしろ、貴方は役不足でも役者不足でもありません……彼女の良い番(つがい)になってくれています」
上条「番って……大袈裟だなぁ」アハハ・・・
神裂「いえ。私には到底出来ない事ですから……」ニコッ・・・
上条「……」ハァ・・・
まだ悩んでいるのか。あれだけ仲良さそうにしていて。
上条「前にさ、第三学区のホテルでアイツに『またご飯作ってくれ』って言われたろ」 ※③『おはようございます』参照。
神裂「はい」コクッ
上条「それが答えだろ。アイツは飯に関しては嘘は言わない。純粋にオマエの飯が旨いって言ったんだ」
神裂「……」
上条「ああ、もしかしたら俺は『対等』かもしれないが……神裂火織は禁書目録に慕われてるんだよ、きっと」ハハハ
神裂「っ……」グッ・・・
きっかけは固法さん達かもしれないが……こうして、私服でも会いに来れた。
上条「その点、俺はオマエの心配してないぜ」ニカッ
神裂「……ありがとう」ニコッ
先程の恥ずかしがった微笑より、ずっと嬉しそうな笑み。
自分の事よりインデックスとの関係を褒められるのを喜ぶか……彼女らしい。
上条「まぁ問題があるとしたら……」ハァ・・・
神裂「はい?」ポカーン・・・
上条「どうせ屋上で煙草喫いながら昼寝でもしてるツンデレ野郎だな」クイッ
神裂「ステイルですか……」フム・・・
先程、神裂とインデックスとの微笑ましいやり取りを見てて足りないと思ってしまったモノ。
上条「だけど……俺が何言っても無駄なんだろうな」ハハハ・・・
神裂「……そうかも、しれませんね」シュンッ・・・
ステイルで思い出したが、噂によると派手な喧嘩をしたらしい。しかも素手で。魔術師なのに。
喧嘩の原因と相手は分からないが、あの巨躯に喧嘩を売ろうなんて考えたのだ。よっぽどゴツくて肝の据わった輩に違いない。 - 928 :>>924・・・いいえ、上条さんは相変わらずですw[saga]:2011/02/19(土) 22:40:37.25 ID:NSGbQweC0
- そんな如何でも良い想像はさておき、問題のステイルだ。
上条「なぁ。どう思う?」チラッ
神裂「仲良く……してほしいですよ。ぎこちなくとも、せめて顔を見るくらいは……してほしい」ムゥ・・・
上条「確かにインデックスと目も合わせないからなぁ……」ハァ・・・
神裂「はい……」
上条「土御門に相談したら『アホ。この鈍感ウニ男』の二言だし」
神裂「あはは……(最悪、嘲笑としか受け取って貰えませんからね)」ポリポリ・・・
どうしたものか。
インデックスの方は確かに未だ苦手意識はあるだろう。しかし嘗て程、嫌っていないと思う。
神裂「……私は、時間が解決してくれるのではないかと思います」フフッ
上条「そりゃまぁ、な。ただ一向にその気配が無いぞ」ムゥ
神裂「焦ってはいけないかと……ふと、気付かされたのですが『時間』は長いものです」
上条「……哲学?」ヘ?
神裂「いえいえ、簡単な事。難しく考え過ぎるから、ど壺に嵌まる」
上条「簡単に、ねぇ」フム・・・
神裂「何れ『刻』が来ます。当人らで解決するかもしれませんよ。もしくは……」クスッ
上条「ん?」
神裂「意外とあの子(ステイル)と『歳の近い子供達』で、何とかなるかも」フフフッ
何だそりゃ。あとアイツ何歳だっけ?
神裂「……友人とは、良いものですね」ニコッ
上条「ん? ああ、そうだな」ニコッ
神裂「はい……あ、そろそろ晩御飯の仕込みの準備してしまいますね。あの子(インデックス)、すぐお腹減らすでしょう」クスッ
上条「ちょっと早い気もするけど……まぁアイツだしな。頼むよ」アハハ・・・
神裂「はい。任せて下さいね」ニコッ
神裂の上着を預かり、俺のエプロンを貸してやる。今日の夕飯は久々にマトモな物が食えるぞ!
心成しかガッツポーズが出てしまい苦笑された。恥ずかしいです……
それから暫く、先程よりは大分砕けて話が出来た。なんともなん、かな……良い友人である。
友人か……――― - 929 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 22:45:30.72 ID:NSGbQweC0
- ―――とある日、黄昏時、学園都市第7学区、とあるアパート屋上……
紫煙。缶いっぱいの吸い殻。革製カバーのライター……そして自分。
ステイル「……」フゥ・・・
上に遮る物の無い屋上。本日は晴天故に直射が厳しく暑い為、長い外套(マント)をはずして音楽を聴きながら寝そべる。
都市製のミュージックプレイヤーを買ってみたが、やはり音が良い。科学もこういった点は役立つものだ。
ちなみに正統プログレ(プログレッシブ・ロック)と教会音楽しか入っていない。
他の曲も入れたらどうだと言われるが……知った事じゃない。僕の勝手だろう。文句を付けるな。
ステイル「……平和、か」プカプカ・・・
『平和のうちに眠っている』……そんな歌詞。
まさに今の自分だろう。恐ろしい程平和。
構わない、このまま昼寝してしまおう。どうせ神裂もいる。何も起こらないさ……
そんな事を考えた刹那、自分の頭に影が掛った。人の影……こんな所に態々来るのは一人くらいしか思い浮かばない。
ステイル「……よぅ。暇人」フゥ・・・
??『ああ。そっくりそのまま返すよ』ニコッ
最近何かと付き合いが多い男。あっちは友人と称しているが……慣れ合いは認めない、つもり。
寝ながら顔を見ず、手を上げて迎えてやる。
??『寝煙草は危ないっすよ』モゥ・・・
ステイル「それで死んだら主が僕を天に召してくれたと割り切るよ……喫うかい?」スッ・・・
??『きっと葉巻を咥えたベトコン帰りみたいな天使が迎えに来るね……いらない』キッパリ
ステイル「つれないな」フンッ
??『オマエは喫い過ぎなの』ハァ・・・
ニコチンとタールが自分のエンジンを動かしているのだ。仕方無かろう。
ステイル「抜け出してきて大丈夫なのか? 『妹さん』達とやらに不思議がられるだろう」フゥ・・・
??『別に。みんなひょっこり飛び出したりするからね。最終的に帰ってくれば問題無しっす』ニコッ
ステイル「……妙な家族だな」ククク・・・
??『そうかもね』ハハハ
ステイル「ふっ……それで、何の用だ。稽古を付けて欲しくて来たか?」フム・・・
??『いや、お裾分けだ』
ステイル「お裾分け?」ン?
??『そ。プリン食べる?』ニコッ
……甘い物は好まないが。
??『そう言うと思って当分控えめの紅茶プリンっす。苦かったらクリームあるから』
ステイル「……なら頂こうか。あ、コーヒーも付けろ」ヨイショ・・・
??『はいはい。それも予想済み。持ってきてるっす』クスッ
オマエは先見読心術でも身に付けたのか。 - 930 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 22:48:01.69 ID:NSGbQweC0
- さておきイヤホンをはずし煙草を揉み消しす。身体を起こして甘物を受け取……―――
ステイル「……」ピタッ・・・
―――……自分は、誰と話をしていた?
禁書「はい。どうぞ」ニコッ
目の前に予想外の人物がいる。
ステイル「……あー……ちょっと待って欲しい」カチンッ・・・
禁書「なんで? プリンだよ?」ハテ?
ステイル「……香焼は?」ギギギ・・・
禁書「ん」クイッ
携帯音量マックス。しかも息が漏れた様な笑い声が聞こえる。
ステイル「んの糞餓鬼……」ギリリ・・・
禁書「こうやぎの事は後でいいから、はい」スッ
ステイル「……」ム・・・
何故だ……悪戯にしては、性質が悪過ぎる。
ステイル「……どうして此処に来た。香焼に何か唆されてやってきたのかい?」フイッ・・・
禁書「ううん。ただステイルが此処にいるからプリン持ってってー、って言われたんだよ」
ステイル「……どうやって、此処まで来た?」
鍵が掛っているだろう。しかも頑丈な電子ロック。
禁書「もあいがガンッてやって、おチビ(打ち止め)がビリビリやって、なゆたんがカチャッてやった」b"
ステイル「アホ姉妹が……」ハァ・・・
電話から『サイアイちゃんです!』だの『チビじゃなーい!』だの『わ、私はやってないよ!』だの耳に響く声。
畜生(ダム)……後でまとめて香焼にぶつけてやる。
禁書「ねー、いらないの?」
ステイル「……」
禁書「じゃあ食べて良い?」
ステイル「好きにしてくれ」ハァ・・・スッ
それで済むなら話は早い。
禁書「あ、また煙草喫う!」メッ!
ステイル「僕の勝手だ。好きにさせてくれ」パクッ・・・
禁書「むぅ……口寂しいならプリンあげる。だから煙草は駄目!」ハイ!
ステイル「……」ピタッ・・・
禁書「クリームもあるし、コーヒーもおまけしちゃうんだよ」ニコッ
何故……この子は、平然としていられる。僕は君を襲った人間だぞ。 - 932 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 22:51:28.31 ID:NSGbQweC0
- 禁書「……それはそれ。これはこれなんだよ。今貴方は敵じゃないんでしょ」ムッ・・・
ステイル「……っ」ギリッ・・・
禁書「それにアレは訳有ってだったんでしょ。かおりが『ごめん』ってジャパニーズ土下座スタイルで謝ってきたよ。もうそれでいいもん」
ステイル「……ふんっ」
なんて……甘ちゃん思考。
香焼『……ステイル。後でお叱りは受けるっす。だけどまずはそれ、受け取れよ』
ステイル「貴様……」ギリッ・・・
香焼『特に意味は無い。ただのお使い。そうっすよね? 禁書目録』
禁書「うん。なんで?」ヘ?
香焼『深い意味は無いっすよ。ただ「それだけ」のこと……簡単だろ?』フフッ
この子に言っているつもりか、それとも僕に言ってるのか。
『深い意味』など無い。ただお使いに来ただけ……『それだけ』の事……
貴様にとっては『それだけ』かもしれないが、僕からしてみれば大問題だ。
今すぐ怒鳴ってやりたい。しかし……この子が目の前では、それも無理。
香焼『そろそろ……一歩くらい出してもいいんじゃないっすか?』
ステイル「……」グッ・・・
禁書「一歩?」
香焼『何でも無いっすよ。さぁ渡して。部屋で女教皇様が待ってるんでしょ』
禁書「あ、うん。はい、ステイル」スッ
一歩前に出て、僕に容器を差し出す彼女……しかし……受け取れない。彼女を、見れない。
禁書「……どうしたの?」
ステイル「い、いや……」
背中越し。心配そうな彼女の声……それが痛い。
香焼『……禁書目録。そこに置いて戻っておいで』ハァ・・・
禁書「え、あ……うん」スッ・・・
香焼『あ、携帯もそこに置いといて。切らなくていいよ』
禁書「分かった。じゃあ、此処に置いておくね」コトッ
僕の後ろにプリン、コーヒー、携帯。
禁書「プリン、早く食べてね。天気良いから温くなっちゃうんだよ」
ステイル「……」
禁書「……またね」テクテク・・・
ステイル「っ……」コクッ・・・
なんて……臆病者。 - 933 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 22:55:23.46 ID:NSGbQweC0
- 電話越しに怒気の籠った静かな声。
香焼『……またねと言われて、無言っすか?』
ステイル「……」
香焼『一言くらい返したら?』
ステイル「五月蠅い……」
香焼『もう扉入っちゃうっすよ』
ステイル「……」
これで、良い。下手に入れ込めば……情が湧くだけ。
香焼『ヘタレ』
ステイル「っ」ピクッ・・・
香焼『悔しかったら何か言ってみろ。根性無し』
ステイル「……」プルプル・・・
香焼『……一言っす』
ステイル「っ……」
消える彼女の背中。
香焼『彼女に、一言』
ステイル「……」
もう見えない。
香焼『態々オマエの為に運んでくれた彼女に言う事は?』
……一言。
「……ありがとう」ボソッ
呟くように、囁くように……だけど勇気を出して、言ってみた。
香焼『……』
ステイル「……もう、切るぞ」
香焼『オマエ……』
ステイル「もう喋るな……次に顔を見たら躊躇無く焼き払いたくなる……頼むから、黙れ」
これ以上は、惨めだ。 - 935 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 23:07:56.25 ID:NSGbQweC0
- 電話の閉口ボタンを押す……刹那―――
香焼『―――、……ぷっ! ―――・・・・・、…だってさ!』フフッ
ステイル「……は? 何を―――」
「どういたしましてー!」ニパー!
ステイル「―――っ!!?」クルッ!?
いつの間にか再び屋上に出ている禁書目録……それから彼女の後ろの扉から身を乗り出してに、ひょっこりと顔を出すチビ共4人。
ステイル「香や……貴様……」プルプル・・・///
香焼「誰も部屋で待ってたなんて言って無いっすよー!」ニヤッ
ずっとそこにいて、見てたと言うのか。しかも……携帯掛けながら……
絹旗「いやぁ『アイツ素直に受け取らないから携帯で「一言」言わせよう』……読みが超当たりましたね!」ニコッ
那由他「あの人まったくコッチ見なかったから出来たんだけどね」アハハ
打ち止め「でも普通気付かないかなぁ? ってミサカはミサカは疑問に思ってみる」ウーン・・・
香焼「それだけ自分の世界に入ってたんすよ。緊張してね」クスッ
禁書「ほえ?」ポカーン・・・
貴様ら……
香焼「ヤバっ! 怒ってる! 帰るっすよ!」ゲッ!?
絹旗「ちょ、香焼!」バッ!
那由他「兄さん何で逃げるの!?」ドッ!
打ち止め「あー! 私の携帯、アノ人の所に置きっ放しー! ってミサカはミサカはどうすんのー! って困ってみたりー!」アタフタ・・・
打ち止め「赤毛のノッポさーん! 私の携帯、後で返してねー! ってミサカはミサカはお願いしてみるー!」バイバーイ!
一番小さな子が満面の笑みで帰って行った……一体どうしろと、このキッズ携帯。 - 936 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 23:13:20.09 ID:NSGbQweC0
- それにしても、香焼め……ふざけやがって。
ステイル「糞(ファッキン)……やられた……」ハァ・・・
出来の良過ぎる悪戯に感服だ……あんチビ。
禁書「ステイルー。私も帰るねー!」オーイ!
ステイル「っ!? ま、まだ居たのかい……」ドキッ!
そういえば、あの子を放置したままだった。
禁書「かおりが夕飯作ってるから、食べに来てもいいんだよー! その時はとうまかかおりに連絡してねー!」ニコッ
あっさりとそういう事言う彼女。
あーだこーだ考えていた僕が、馬鹿みたいに思えてくる。
禁書「じゃ、またねー!」バイバーイ!
ステイル「……ああ、また」フッ・・・
またね、か……
ステイル「馬鹿で……良いのかもしれないな。さて……」スッ・・・
一服。
ステイル「……」ピタッ・・・
口に咥えた煙草を……戻した。
ステイル「……」チラッ
とりあえず、プリンを頂くか。
それから香焼に制裁を加えに行くべきか……神裂の飯を馳走になりにいくか、考えよう。 - 937 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 23:23:47.74 ID:NSGbQweC0
- ……再びの部屋(上条家)―――
禁書「ただいまー!」ガチャッ!
上条「おう。遅かったな」
禁書「ふふふ。ちょっとね」
神裂「プリンを持っていませんが、アチラで食べてきたのですか?」
禁書「うん! あ、でもかおりの分はちゃんと持って来たんだよ!」ホラ!
上条「……上条さんの分は何処でせうか?」
禁書「食べたけど?」エ?
上条「……せめて『ごめん、食べちゃった。てへ☆』くらいの返答してください」ハァ・・・
神裂「ま、まぁ私の分を食べて良いので」アハハ・・・
禁書「駄目! それはかおりの分なんだよ!」プンスカ!
上条「あー、いいよ。俺には海苔煎の方がお似合いなんだ」ボリボリ・・・
神裂「そんな事ありませんって……」Prr!Prr!「……ん?」カパッ
上条「どったの?」
神裂「……」ジー・・・
上条「神裂さん?」ハテ?
神裂「ふふふ……禁書目録。何かしました?」ニコッ
禁書「あ! ……ふふふ。なーいしょ!」クスッ
上条「へ?」ポカーン・・・
神裂「いえいえ。あの、上条当麻」ニコッ
上条「はいはい」
神裂「ご飯。もう一人分追加してもよろしいですか?」
上条「は? え、あ、うん。まぁいいけど、何で?」
禁書・神裂「「内緒です(なんだよ!)」」ニコッ!
上条「???」キョトン・・・
冷蔵庫『そんなとある日の、どうでもいい日常でしたとさ』ギャフンッ! - 938 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/19(土) 23:37:42.19 ID:NSGbQweC0
- (おまけ)
―――数日後、ロンドン……
ステイル「さて……どうしてくれよう」ニヤッ・・・
香焼「ぎゃーっ!! 助けてー!!」ジタバタ・・・
ステイル「逃げるなよ。今、最大級の拷問を考えているんだからな」ニコニコ・・・
アニェーゼ「……アイツら、何してやがるんですか?」ポカーン・・・
レッサー「さぁ? 新しい遊び?」ジー・・・
アンジェレネ「何だか二人とも楽しそうですね」アハハ
サーシャ「第一の質問ですが、アレの何処が?」ハァ?
レッサー「あ。コーヤギの背中にステイルがうんこ座りしてますよ?」ビシッ
アニェーゼ「平然とうんことか言わないで下さい」ハァ・・・
アンジェレネ「……あ!!」ピクッ!
三人『ん?』
アンジェレネ「もしかして……あれは、ウィハルさんが言ってた……」ポッ・・・///
三人『へ?』
アンジェレネ「……薄い(BL)本の、実演」ジー・・・///
三人『っ!!?』ギョッ・・・///
香焼「見てないで助けてよー!」ウギャー!
ステイル「そうだな……まず鎖で繋いで、その後、皮を剥いでいって……」ニヤニヤ・・・
香焼「うわぁーんっ!!」ギャー!
アニェーゼ「……ウィハルに連絡せねば」ゴクリ・・・///
アンジェレネ「ステイル×コォヤギってヤツですね……」ゴクリ・・・
レッサー「個人的には逆が見たい……」マジマジ・・・
サーシャ「その発想に第一の感想ですが……アリです」ポッ・・・///
香焼「助けろー!!」ピギャーッ!!
冷蔵庫『終われ!!』ギャフンッ!!ギャフンッ!! - 939 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2011/02/19(土) 23:40:27.22 ID:NSGbQweC0
- はい、おわり。またリクエスト宜しく!
ほのぼの神の右席リクしてくれた方、良かったらもうちょっと詳細希望あるかな?
あと>>908のアンケート協力、是非よろしくね!
んではまた次回! ノシ” - 940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/19(土) 23:42:06.40 ID:bY7S/MBDO
- 今さらだけど
時間軸てどうなってんだっけ?
まあ今日は
乙
感動しました
- 941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/20(日) 00:13:39.15 ID:vL47UTuAO
- ああ、神の右席リクしたものです。
個人的には楽しそうなテッラとなんだかんだ言いながらツンデレなヴェントが見れたらそれでいいっすwwwwww
もし難しいようであればパスでも全然構いません。
- 942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/20(日) 00:24:46.66 ID:zDv1Gbr9o
- 乙でした
ここのステイルは若さがあっていいねww
マスクは①がいいなって思ってみたり - 943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/20(日) 01:21:30.50 ID:t8QCtCmDO
- ステイルが⑭歳だと再認識させられました。ちなみにその後、ステイル×香焼はどうなったww
絵希望したけど無理なら仕方ないっす。
次回も期待! - 944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/20(日) 04:31:07.95 ID:zmUWaJow0
- 乙でした!
ねーちん訪問リクしたものです
ねーちんだけでなくステイルまで見れるとは…
次回も楽しみにしてます!
- 945 :>>1にかわりましてカキネがお送りしす[saga]:2011/02/21(月) 22:48:16.63 ID:OYMd3gW10
- こんばんわ。
今回はリクエストの『ほのぼの神の右席』です。あと、思いついてた小ネタ挟むかも。
コアなネタ入れるので分かるかどうか……しかし投下。
- 946 :>>1にかわりましてカキネがお送りしす[saga]:2011/02/21(月) 22:49:46.72 ID:OYMd3gW10
- ―――とある日、日の入刻、バチカン・法王庁舎、地下礼拝堂……
傾いた夕日も差し込まぬ庁舎の奥深く。4名の人間……と呼ぶには違和感のある存在が集まっていた。
まるで此の世の全てが憎いと言わんばかりの目付きをした女性。飄々奇抜で人を馬鹿にした様な服装の男性。
オフの日の格闘家の様な雰囲気の大男。そして、一人だけある意味『何処にでも』いそうな感じの男性。
神の右席。
ローマ・カトリック、バチカンの最終兵器とも呼ばれる連中である。
その最終戦争(アルマゲドン)専用人間平気達が此処で何をしているかというと……
ヴェント「……」モクモク・・・
テッラ「……ふんふんふー」パラ……パラ・・・
アックア「……」モクモク・・・
フィアンマ「……」ボー・・・
……円卓に座って、ただ各々作業をしていた。時計回りで右方、前方、後方、左方の順である。
というのも、彼らには特定の住居・部屋が存在しない。
ただし言い方を変えると、ローマ正教下の『何処でも』が彼らの居場所である。付け加えれば『何でも』が彼らのモノ。
しかし彼らに『固執』という観念は殆ど無く、だからこうして無意味にも『何でも無い』地下拝堂にやってきているのだ。
世界広しといえ此処より静かな場所は無い。瞑想に耽ってみたり、惰眠を貪ったり、お気に入りの諸本を読むのに最適な場所だ。
僅かなランプの明かりが有れば十二分自分の世界に入れる。
始めに此処に居たのは……右方。
フィアンマ「……」ボー・・・
何をする訳でも無く、ただただ、真っ暗な天井を仰いでいた。
次に来たのは、左方。
テッラ「ふーん……」パラ・・・パラ・・・
先に右方が此処に居た事に気付きはしたが、御構い無し。数冊の本を持ち込み読み耽っている。
次は、前方。
ヴェント「……」モクモク・・・
二人に気付くが、此方も御構い無し。自分宛の書簡を此処で読む事にした。
最後に来たのは、後方。
アックア「……」モクモク・・・
同上。此処が一番静かで手紙を読める。それ以上でも以下でも無い。
という具合で意味も無く集まっていた。四方ともに相互不干渉。
……のつもりだったが。
テッラ「む……ほぅ」パラッ・・・
三方『……』チラッ・・・
一人、やけに癇に障る奴がいる。
テッラ「……お」パラッ・・・
対して五月蠅くは無い声量。しかし、無言の中では別だ。やけに響く。 - 947 :>>1にかわりましてカキネがお送りしす[saga]:2011/02/21(月) 22:51:05.25 ID:OYMd3gW10
- テッラ「……へぇ」パラッ・・・
もはや喧しい。
二方は一度文字を追う目を停め、一方は天井から目を下に降ろす。
そして三方、目を合わせた。
テッラ「……ん?」パラッ・・・
三方『……』イラッ・・・
おい、誰か注意しろ。皆がそう目で訴える。
テッラ「……お!」パラッ・・・
……早く言え。
テッラ「……ははっ」パラッ・・・
糞……自分が言うしかないのか。
テッラ「んー……」パラッ・・・
三方『おい』ボソッ・・・
……被った。
三方『あ』ピタッ・・・
テッラ「……え?」ピタッ・・・
三方『……』タラー・・・
テッラ「……何か?」キョトン・・・
誰が、言う?
テッラ「……ふむ?」ポカーン・・・
三方『……』ジー・・・
左方は、己が三方から見られているというのには気付いたらしい。
しかし何も言ってこない……同時に顔が揃っただけだと考え、再び読書に戻った。
テッラ「……」パラッ・・・
三方『……』ハァ・・・
どうやら察してくれたようだと三方は、再び各々の行動に移った。
しかし数秒後。
テッラ「……あ」パラッ・・・
三方『……』ピタッ・・・
どうやら分かって無かったらしい。このままではまた小五月蠅くなる。
誰が注意するか、今度は被らない様目配せを徹底。
右方が顎で前方を指し、後方が静かに頷く。前方は『まったく……』と、気ダルそうに口を開いた。 - 948 :>>1にかわりましてカキネがお送りしす[saga]:2011/02/21(月) 22:52:49.21 ID:OYMd3gW10
- ヴェント「おい」ボソッ
テッラ「ん……」ピタッ
ヴェント「……」クイッ
顎で左方の手元を指してやる。
左方は『ああ』と頷き、屈託の無い笑みを前方に向け頷いた。そして……一冊の本を差し出した。
三方は頭に『?』を浮かべ、左方を見遣った。
テッラ「一巻ですよ」ニコッ
ヴェント「……え?」ポカーン・・・
テッラ「え……読みたいのでは?」キョトン・・・
左方が指し出した本を見る……漫画のようだ。
ヴェント「……いや」ハ?
テッラ「おや? 気の所為でしたか?」フム・・・
ヴェント「気の所為っていうか……」ジトー・・・
アックア「……貴様が先程から少々五月蠅かったので、前方が注意をしたのである」ボソッ
堪らず口を挟んだ後方。
テッラ「それはそれは。申し訳ありませんでした」ペコッ・・・
ヴェント「読むのは勝手だが、口を開くな」ギロッ
テッラ「いやはや、自分の世界に入り込んでしまってましてね。気を付けますよ」ニコッ
分かれば良い、と三方は三度(みたび)自分の行動に戻った。左方も周りに平謝りし読書へ……
―――直後。
テッラ「……」クスッ・・・
三方『……』ピタッ・・・
テッラ「……」フーン・・・
三方『……』イライラ・・・
テッラ「……」ンー・・・
確かに、声は出て無い。だが……喧しい。
フィアンマ「おい」ギロッ・・・
テッラ「……え」ピタッ・・・
フィアンマ「……黙ってろ」ジトー・・・
テッラ「声は出してませんが」ハテ?
屁理屈だ。喧しいものは喧しいのである。 - 949 :>>1にかわりましてカキネがお送りしす[saga]:2011/02/21(月) 22:54:12.09 ID:OYMd3gW10
- ヴェント「『鼻声』漏れてんのよ。気持ち悪い……」ハァ・・・
テッラ「ああ。成程……しかしそれは仕方ないでしょうに」ムゥ
アックア「だったら別所へ移るのである。此処にいる必要はなかろう」
尤もだ、と前方と右方が同意する。
左方は頭を二三掻いた後、溜息をついて三方に告げた。
テッラ「しかしですねぇ、此処は貴方達の場所ではないでしょう。謂わば公共の場です」ビシッ
アックア「だったら尚だ。貴様だけ場を乱しているのである」
テッラ「……数の暴力ですか?」ジトー・・・
ヴェント「如何でも良い。そんな生温い言い方じゃ無くて『3対1』と言い換えてやってもいいのよ?」ギロッ
左方は困った様に『むぅ』と唸った。
神の右席。誰が誰と手合わせしてもタダでは済まないという暗黙の了解がある。あくまで基本、相互不干渉の方針。
ただし……ある一方は別次元やも知れぬが。
その一方がふと、左方に尋ねた……『尋ねてしまった』。
フィアンマ「第一貴様は何を読んでる」ジトー・・・
テッラ「何って、漫画ですが?」キョトン・・・
ヴェント「聖職者が漫画って……」ハァ・・・
テッラ「個人の自由でしょう。それに、我々は『聖職者』ではないですよ」
確かに『聖職者』ではない。
テッラ「まぁ聖書を読み耽るよりフランクな趣味かもしれませんが、娯楽を持っても良いでしょう?」
アックア「……根本から分かって無いのであるな」
ヴェント「五月蠅い。出てけ。分かった?」
テッラ「そう気を張らずに。読んでみれば分かりますから」ニコッ
三方『……』ハァ・・・
テッラ「意外と勉強になりますよ」
そう言って、漫画を三方に向ける。
ヴェント「……アメコミ?」
テッラ「ええ」
フィアンマ「下らん。退廃のシンボルだな」フンッ
テッラ「そういう先入観念が感性を鈍らせます。何事も挑戦ですよ」フフッ
フィアンマ「WASP(ホワイト・アングロサクソン・ピューリタン)の集まりの第二世界(アメリカ)なんぞ」
テッラ「その合衆国(アンクル・サム)に第一世界(欧州諸国)は、経済力等々で先を越されたのですよ」
アックア「……一理あるが、しかし」
テッラ「まぁまぁ。まず騙されたと思って」スッ・・・
三方『……』ムゥ・・・
左方が『さぁ』と数冊束にして、手を伸ばしてくる。
馬鹿が。そんなものに我々三方が…… - 950 :>>1にかわりましてカキネがお送りしす[saga]:2011/02/21(月) 22:56:04.85 ID:OYMd3gW10
- フィアンマ「……」スッ・・・
ヴェント・アックア「「っ!?」」ハ?!
対面の右方が手を伸ばし一冊、受け取った。
テッラ「ふふふ。御目が高い」ニコッ
フィアンマ「下らなかったら即刻破き捨てるからな」
テッラ「それは困りましたねぇ。どうしましょう」ククク・・・
まったく困って無い様に苦笑する左方。右方は受け取った本を元居た席まで持ち運び、黙々と読み始めた。
困ったのは前後方である。
アックア「……捨て置くか」フンッ
ヴェント「……そうね」ハァ
元々アイツは何をするでもなくボーっとしていた。
そこに意味があるのか無いのかは此方の知ったところではないが、『する事が無かった』のに違いは無い。
やれやれと溜息をついて、二方は元追っていた文章の方へと―――
フィアンマ「……ん?」パラッ・・・
ヴェント・アックア「「……」」ピタッ・・・
テッラ「……ふふふ」ニヤッ・・・
右方が……反応した? 漫画に?
フィアンマ「ふむ……ほぅ」パラッ・・・パラッ・・・
ヴェント・アックア「「……」」チラッ・・・
フィアンマ「なる……ほど……」パラパラパラ・・・パタンッ
ヴェント・アックア「「……」」タラー・・・
テッラ「んっふ。如何です?」ニコッ
フィアンマ「……続きは?」ギロッ
テッラ「はいはい。どうぞ」ニヤニヤ・・・
ニヤケ顔で右方に漫画を渡す左方。前後方は右方が気になって仕方無かった。
自分が知るヤツは簡単に物事に納得する様な輩では無い。故に、『何に』納得したのか気になった。
だが、しかし、まだ書簡(手紙)が読みかけだ。せめてコレを読み終えねば……
テッラ「御二人は何を御読みで?」ソッ・・・
ヴェント・アックア「「っ!!?」」ビクッ!
左方が両隣の手元を覗き込んできた。
ヴェント「……何で教える必要あんのよ」ジトー・・・
テッラ「ただの興味ですよ」ニコッ
出歯亀め……ただの興味でプライバシーを侵害されたのでは、堪ったものではない。 - 951 :>>1にかわりましてカキネがお送りしす[saga]:2011/02/21(月) 22:59:43.90 ID:OYMd3gW10
- アックア「不要な干渉は無用。違うか?」ギロッ
テッラ「そう言わずに」ニコニコ
阿呆か。教える訳がなかろう。前後方は呆れて溜息をついた。
しかし、予想外の声。
フィアンマ「前方は英国のとある『魔術師』からの議案書。後方も英国のとある『要人』からの親書と、各国の知人からの手紙だ」パラパラ・・・
ヴェント「っ……貴様」ギロッ
アックア「告げ口とは……あまり良い趣味とは言えないのである」ギロッ
コイツの事だ。何もかもお見通しでも不思議ではない。
しかし、個人のそれをばらすのは流石に褒められた事ではなかった。
フィアンマ「別に良いだろう。その程度……それとも何か、我々に知られると拙い事でも有るのか?」チラッ・・・
ヴェント・アックア「「……」」グッ・・・
フィアンマ「……ふんっ」パラッ・・・パラッ・・・
拙い……という程のモノではないが、知られれば此方として気持ちの良い話では無い。
テッラ「ま、まぁまぁ。何も詳細まで教えろなどと言ってませんから、ね」ニコッ
フィアンマ「次ー」パタンッ
テッラ「もう読み終わったのですか? はいはい……あ、これどうぞ」スッ・・・
先程右方が呼んでいた漫画を差し出す左方。
正直、気になる。前後方は一瞬顔を見合わせ……共に手を伸ばした。
アックア「うむ」パシッ
テッラ「ふふふ」ニコッ
ヴェント「……」チッ・・・
リーチの差で後方が漫画を受け取った。
テッラ「ああ、別の漫画も数冊ありますから呼んでも良いのですよ?」チラッ
ヴェント「……別にいい」イラッ・・・
してやったりというニヘラ顔が癇に障った。もう意地でも読むものか。
前方は野郎共を放っておき、次の書簡へと手を……
アックア「む……」パラッ・・・
ヴェント「……」ピクッ・・・チラッ
アックア「そういう……事であったか……」パラッ・・・パラッ・・・
ふいに先程の右方と同じ様に声を上げる後方。何事だ、と前方は動きを停め後方を睨んだ。 - 952 :>>1にかわりましてカキネがお送りしす[saga]:2011/02/21(月) 23:02:50.31 ID:OYMd3gW10
- テッラ「んふふ。お分かりいただけました?」ニコニコ
アックア「ああ……これは、これで……」パラッ・・・ジー・・・
フィアンマ「いくら堅物の貴様とはいえ、流石に気付いたか……おい、次だ」パタンッ
テッラ「早過ぎですよ。しっかり読んでます?」キョトン・・・
フィアンマ「読むだけなら聖書より容易かろう。まずは全てを読む。その後に自己解釈するつもりだ。いいから寄越せ」ホレッ
テッラ「はいはい」スッ
既に三巻目に突入した右方。左方は一度全て読み終えているのか、適当な巻を拾って読み出した。
後方はじっくりと……前のページまで振り返りながら読んでいる。
ヴェント(……コイツら)イライラ・・・
喧しい……がしかし、これでは自分が少数派。もはや何を言っても無駄ではないか。
前方は歯痒い思いで書面に戻った。
アックア「アレイスターが失踪したのはWWⅡ(第二次世界大戦)直後だったな。という事は……」フム・・・
テッラ「ほう、そこに気が付きましたか。良い観点を御持ちで……ただ『あの』アレイスターが、『今の』アレイスターかは疑問ですよ」
フィアンマ「ふんっ。そんな事は如何でも良い……問題は、もしこれに影響を受けているとしたら、それは……」パタンッ・・・
テッラ「ええ。ちょっとした面白い事になるでしょう。あ、次これを読んでみては?」スッ・・・
フィアンマ「……これは?」ジー・・・
テッラ「読んでみてから考察を」ニコッ
ヴェント(え……なんだ? 学園都市の話をしているのか?)チラッ
テッラ「……前方(貴女)も読みまs――」スッ
ヴェント「いらない」ギロッ・・・
テッラ「――おお、怖い怖い」クスッ
良い気になりやがって……前方は極度の苛立ちと、野郎共の声が気になって文面に集中できなかった。
余談だが、書簡は英国の『自分と似た境遇』の魔術師が、自分に向けて宛てたもの。
書き出しは『最近、また、我々と似た境遇の人間が増えてきている。話を聞いて頂きたい』という文章。関心有る話だった。
だがしかし、中々続きを読めない。
アックア「……英雄(ヒーロー)か」ボソッ・・・
テッラ「ええ。しかしその表現は個人的に好きではありませんね。まぁ言ってしまえば宗教観が無いのも漫画の特徴ですが」
フィアンマ「『主の使い』がその英雄なのだろう。つまりは天使か……ふむ」
アックア「では、その仇敵が悪役(ヴィラン)であるか?」
テッラ「よくよく読んでみると英雄と悪役が混同し始めますけど……おや、やはり読むの早いですね」チラッ
フィアンマ「ん……人類は『核』に勝てるか、か……最大の課題だな」
テッラ「それはそれは。『核』の存在は『科学』。そう思っていた時期もあったのですが、読んでから考えが変わりましたよ」
フィアンマ「『核』は既に科学の手から離れてしまっている。『核』は『核』という一、存在……」
今度は何だ。英雄? 天使? 核? 哲学でも論じているのだろうか。 - 953 :>>1にかわりましてカキネがお送りしす[saga]:2011/02/21(月) 23:07:29.62 ID:OYMd3gW10
- テッラ「たとえ『核の黙示録』を生き残ったとしても、環境が死滅してしまえば個人も生き残れません」
フィアンマ「アレイスターはそれを克服する方法を身に付けたと?」
テッラ「……それは、私には推測し兼ねます。貴方の方が分かるのでは?」
フィアンマ「……まぁ、無駄な考えだろう。米・露は未だに牽制し合ってるからな。懸念は第三世界(アジア圏)の途上国」パタンッ
テッラ「馬鹿(十字教徒以外)に武器(核)を持たせるといつ、何を仕出かすか分かりませんからね……次はこの巻、どうぞ」スッ・・・
フィアンマ「いきなりか?」
テッラ「間が余分です。最終巻だけで納得できます」
フィアンマ「ふむ……」パラッ
テッラ「……そして貴方はまだそれの一巻なのですね」アハハ・・・
アックア「ん……深いな……殺しが無い」マジマジ・・・
テッラ「ああ、アメリカは殺人等の表現は極力控えますからね。そんなもので抑制できる犯罪なら当に無くなっているでしょうに」
器用に代わる代わる覗き込む左方。
アックア「『原石(ミュータント)』……この考えは如何であるか?」フム・・・
テッラ「一解釈としては有りかと。先天性という点では、ですが」
アックア「先天……」
フィアンマ「『原石(それ)』を魔術か科学か、どちらに転がすかで結果が変わって来る」
テッラ「それは兼ねてから考えていました。科学にばかり『原石』を取られて……魔術も積極的に『原石』の開発に乗り出すべきだったのです」
アックア「聖人・原石……では『幻想殺し』は……まぁいい。次の巻を借りるのである」フム・・・
やっと次巻か……じゃなくて。
ヴェント「……お前ら」ジトー・・・
三方『……え』キョトン・・・
ヴェント「うっさい」
三方『……』ポカーン・・・
何その顔。自分は間違った事を言ったか?
ヴェント「さっき『黙ってろ』って左方(ソイツ)に言ってたの誰かしら?」
フィアンマ「……」タラー・・・
ヴェント「『出ていけ』って言ってたの、誰かしら?」
アックア「……」タラー・・・
まったく……読むのは勝手だが、邪魔はするな。
テッラ「はて……では『3対1』と言ったのは何方でしたっけ?」ニヤッ・・・
場が、凍った。 - 954 :>>1にかわりましてカキネがお送りしす[saga]:2011/02/21(月) 23:11:31.22 ID:OYMd3gW10
- 右方と後方は互いに顔を見合わせ、呟くように左方へ反論。
フィアンマ「そ……そんな事、言った奴もいる様な……」チラッ・・・
アックア「た、確かに……」チラッ・・・
ヴェント「……ア?」ギロッ・・・
フィアンマ・アックア「「……」」フイッ・・・
前方は引かない。ドスの効いた声で牽制し、裏切った二方を睨む。寧ろこの場は、右後方が目を逸らした時点で決まっていた。
他方の左方は未だニヤケ顔。そして突然……
テッラ「ふむふむ……わかりました」スタッ・・・
三方『は?』
立ち上がった。
テッラ「私はそろそろ上に行きます。皆さんは引き続きどうぞ『自分の好きな事』をしてください」ニコッ・・・
ヴェント「……言われなくても」ムッ・・・
アックア「さ、左方の……」タラー・・・
テッラ「ああ、漫画は置いて行きます。きちんと返して頂けるのであれば貸し出しも可です」
フィアンマ「それは助かる」
テッラ「後でもう一度、残っていた分を回収に来ます。ではまた」テクテク・・・
そう言い残し、左方は立ち去った。
ヴェント「ったく……やっと消えた」ハァ・・・
フィアンマ・アックア「「……」」チラッ
ヴェント「……何よ?」
フィアンマ「むぅ……」
アックア「……漫画の続きを読んでも良いか?」
ヴェント「何で私に聞くのよ。アンタらの勝手でしょ」ギロッ・・・
静かにしてくれれば別に構わない。
アックア「いや、我々が漫画を読んでいる最中、前方が集中出来るのかという意味だが……」ンン・・・
ヴェント「……」イラッ・・・
フィアンマ「その、邪魔なら立つぞ?」コホンッ・・・
ヴェント「静かに出来ないの?」イライラ・・・
フィアンマ「勿論、黙って読むが……気になるだろう? 漫画」ハハッ・・・
右方が乾いた笑みを溢した。『溢してしまった』……刹那――― - 955 :>>1にかわりましてカキネがお送りしす[saga]:2011/02/21(月) 23:22:04.51 ID:OYMd3gW10
- ヴェント「……――け」プルプル・・・
フィアンマ・アックア「「あ」」タラー・・・
ヴェント「さっさと出てけ馬鹿野郎共っ!!」ガアアァッ!!
遂に前方の怒声が飛んだ。近場にあった漫画を二人に投げつける。なんという物理攻撃。魔術師も糞もあったもんじゃない。
二方、というより野郎二人はこれ以上ハードな前方のヒステリックに巻き込まれるのは勘弁なので、手に持った一冊を握り席を立った。
バタンッ、と扉が閉まる音。
ようやく自分一人の静かな空間が出来た前方。これで落ち着いて書面を……
ヴェント「……」ピクッ・・・
漫画。後方が読み終えた一巻が目に入る。
ヴェント「……」ジー・・・
野郎共は消えた。
ヴェント「……」ソッ・・・
やはり……少しだけ。
ヴェント「……」パラッ・・・
開いてみる。どうやら『異能の世界』の話のようだ。
ヴェント「成程。これをさっき……」パラッ・・・パラッ・・・
読み始めると止まらない。いっきに一冊読み終えてしまい、一寸後、次の巻へと手を……
ヴェント「あ……後方が持ってった」ガーン・・・
次の巻が無かった。
ヴェント「……ふんっ」スッ・・・
別に良い。書簡の方へ……
ヴェント「……」チラッ
今度は右方が先程読み終えていた別の漫画が目に止まった。
ヴェント「……すぐ終わるわ」スッ
またも、釣られる。直ぐ読み終えてやろうと、ページを開いた……直後――― - 956 :>>1にかわりましてカキネがお送りしす[saga]:2011/02/21(月) 23:33:12.98 ID:OYMd3gW10
-
―――バタンッ・・・・・
テッラ「いやぁ、御二人ともまさか直ぐ出てくるとは」カツカツ・・・
フィアンマ「いや、その……すまん」
アックア「ちょっと、な……」
テッラ「いえいえ。構いませんよ」ニコッ
ヴェント「っ!!?」ビクッ・・・
テッラ「……おや」ピタッ・・・
いきなり戻って来る野郎共……前方は焦った。
テッラ「……」ジー・・・
ヴェント「……」タラー・・・
テッラ「……ふっ」ニヤニヤ・・・
ヴェント「っ……」スッ・・・
急いで漫画を机に戻す前方。
それを見て左方は一つ咳払い。再びコツコツと円卓へ向かっていった。
テッラ「……」カツカツ・・・ピタッ
ヴェント「……」タラー・・・
テッラ「……持って行きますよ?」チラッ
ヴェント「か、勝手にすれば」フンッ
テッラ「……では」スッ・・・
『全て』の漫画を抱える左方。前方が先程机に置いた本もだ。
ヴェント「……あ」ボソッ
テッラ「……何か?」
ヴェント「ぐっ……な、何でも無い」
テッラ「……では」ニコッ・・・
前方の憂い顔にも御構い無し。満面の笑みを向け、再度部屋を去る左方。
フィアンマ「えげつない……」タラー・・・
アックア「少々大人げ無いのである……」タラー・・・
扉の方で二方を眺めていた野郎共は左方の地味な嫌がらせに軽く引いた。 - 957 :>>1にかわりましてカキネがお送りしす[saga]:2011/02/21(月) 23:41:42.04 ID:OYMd3gW10
- また一人、ポツンと残された前方。
ヴェント「……なにさ」ケッ・・・
悪態をついて、やり場の無い気持ちを誤魔化した。
他方、扉へ歩む左方。
テッラ「……」カツカツカツ・・・
フィアンマ・アックア「「……」」ジー・・・
テッラ「何か?」チラッ
アックア「……何でも無いのである」
フィアンマ「ん……次の漫画、寄越せ」
テッラ「はいはい」ニコッ
態々前方に見せつける様、右後方へ漫画を渡す左方。
ヴェント「……早く出てけ」フンッ
――バタンッ・・・・・
ヴェント「……あー、やだやだ」ハァ・・・
思わず溜め息。
ヴェント「……良いっつの。こっち集中できるし」ピラッ
今度は真面目に書簡へ入り込む。
ヴェント「……」ボー・・・
が、先程の漫画が気になって、文章が頭に入って来ない。
結局、だらだらと無駄な時間を過ごしてしまった…… - 958 :>>1にかわりましてカキネがお送りしす[saga]:2011/02/21(月) 23:52:38.13 ID:OYMd3gW10
- ―――とある日、夕飯時、バチカン・法王庁舎、地下礼拝堂……
ヴェント「……ハァ」スッ・・・
机に書簡を置く。
一先ず全文に目を通せたが、自分なりに考える事は出来ない状態だった。
ヴェント「……飯、食お」スタッ
何だか遣る瀬無い。夕飯を作る気力も無い。出前のジャンクフードで済ませよう……そんな事を考えてしまった。
書簡を丸め、ランプの明かりを消す。
そういえば後方が手紙を置きっ放しだが、いいのだろうか。
ヴェント「まぁ後で取りに来るでしょ」フンッ
前方は気だるそうに扉へ向かった。
ヴェント「……」チッ・・・
しかし……気になる。
ヴェント「馬鹿馬鹿しい……飯いいか。早めに寝よ」ハァ・・・
扉に手を掛け、上へ向かう階段を……
―――こつッ・・・・・
ヴェント「ん?」ピタッ
扉を出た瞬間、足に何かが当たった。
ヴェント「……これは」スッ・・・
拾い上げてみる……数冊の漫画だった。 - 959 :>>1にかわりましてカキネがお送りしす[saga]:2011/02/22(火) 00:22:25.27 ID:hTPJDVMC0
- ヴェント「……あの野郎」
ふと……持ち上げた一冊に挟まっていた3枚に紙切れが落ちた。
ヴェント「『貸しますよー。読書感想文の提出期限は明後日までです!』……ばーか」クスッ・・・
ホント、ふざけた輩だ。
さておき、残りの二つは……
ヴェント「『手紙を持ってきて欲しいのである。図々しくすまない』……えー」ハァ・・・
つまり、読まれてもいいのか? 英国の『要人』からの手紙を。どうせ『恋文』だろうけど……前方は苦笑せざるを得なかった。
さて最後の……
ヴェント「『英国の魔術師とのやりとり、勝手にするなよ?』……うっさい」ケッ・・・
やはり一人だけ別次元な輩だ。何もかもお見通しである。
兎角……戻ろう。今日の仮屋は市国のホテルだ。
ヴェント「夕飯、出前ピッツァで良いか……あと酒でも頼もう」テクテク・・・
風呂上りにだらだらと、酒を飲みながら漫画を読むのもまた一興かもしれない。
星明かりの下、前方のヴェントは『人間臭い笑み』を浮かべ、宿屋へ足を運んだ……遠くの『視線』に気付かずに。
テッラ「望遠魔法にも気付かずですか。天邪鬼ってやつですね……くふふ」ニヤッ
フィアンマ「何とも、茶番だな」フンッ・・・
アックア「一番右方が乗っていただろう」ハァ・・・
フィアンマ「や、喧しい……」チッ・・・
テッラ「おや、此方にもツンデレ。天邪鬼の右席に改名しますか?」クスッ・・・
フィアンマ「黙れと言ってるんだ、阿呆!」ギロッ・・・
テッラ「ふふふ。怖い怖い」ニコニコ・・・
マタイ「お主ら、教皇室で漫画を読むではない」ハァ・・・
冷蔵庫「おーわーりー!」ギャフンッ! - 960 :>>1にかわりましてカキネがお送りしす[saga]:2011/02/22(火) 00:26:33.33 ID:hTPJDVMC0
- 『ほのぼの神の右席』終了。ほのぼのは難しいね……駄文でごめん。
ちなみにまだアンケ選択して無い人がいたらご協力お願いします。>>908です。
あと何か意見・リクエストしてもらえると助かります。よろしくです!
んじゃ小ネタ。 - 963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/22(火) 06:07:07.80 ID:VYRxGkvpo
- 乙でした。
新たなる光のほのぼのも見たいなって呟いてみる - 964 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/22(火) 22:56:22.90 ID:hTPJDVMC0
- こんばんわ。バイト前に小ネタ投下。
>>961
これ投下し終わったら申請します。ダブルスレ立ては……してほしい?
>>962
いえいえ。此方こそフランクなフィアンマが書けて楽しかったです。
>>932
今回は申し訳ない。新たなる光はレッサー以外難しいかも……すいません。レッサーなら書ける!
あと引き続きアンケート、>>908よろしく。
それから時系列の件が出ていましたが、どうしましょう。
アニメ超電磁砲終了時、そして暗部クーデター前っていうのが前提でしたが……それ以外の詳細は難しいかな。
良い案あったら下さい。
では投下! - 965 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/22(火) 23:00:39.89 ID:hTPJDVMC0
- ―――とある日、昼前、学園都市第7学区、とあるアパート一室(黒妻家)……
打ち止め「ふんふふ、ふんふふ、ふんふんふ~♪」ニコニコ
固法「忘れ物は無しっと。打ち止めちゃんも準備OK?」
打ち止め「大丈夫だよ! ってミサカはミサカは颯爽と玄関のドアに手を掛けながらはしゃいでみたり!」ワーイ!
黒妻「興奮し過ぎて怪我すんなよー」テクテク・・・
打ち止め「もーまんたい! ……クロヅマは普通の御出かけの時でもその革ジャンなんだねってミサカはミサカは呆れてみたり」フゥ
黒妻「わるーござんしたね」ヘッ
打ち止め「少しは私とミィを見習いなさい! ってミサカはミサカはこの前あの人に買って貰った黒ワンピを見せびらかしてみる!」ウフフ
固法「また服買って貰ったのね……こらこら、汚れるから動き回らないの」メッ
打ち止め「あ、はーい」ピタッ
黒妻「珍しく他のガキ共は来ないか」
固法「香焼くんはロンドン、最愛ちゃんはバイト、那由他ちゃんは病院(メンテ)だそうです」
打ち止め「ミィも私と遊んでくれるの久々だよねぇってミサカはミサカは今まで約束を悉く破ってきたミィをジト目で見詰めてみる」ジトー
固法「あはは……申し訳無い」
黒妻「まぁ今日はたっぷり甘えさせて貰うんだな。さて、バス来っから行くぞ」
打ち止め「はーい! ってミサカはミサカはミィのロングスカートを引っ張ってみたり! 行くぞー!」オー!
固法「こ、こらっ」モゥ・・・
黒妻「やれやれ」ハハハ
――― とある親子のおかいものっ! ~家族ごっこと言われても……~ ―――
―――アパート前バス停・・・・・
打ち止め「はっやく来ーないかなー♪ ってミサカはミサカは足をブラブラさせながらバスを待ってみたり!」ニコニコ
固法「ふふふ。お買い物する前に疲れ切らないのよ」フフッ
黒妻「どうせ帰りオレがおんぶするんだろうなー……」ハハハ・・・ - 966 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/22(火) 23:01:47.41 ID:hTPJDVMC0
- 打ち止め「むっ。私は子供じゃ無いの! 寝たりなんかしないもんってミサカはミサカはえへんと胸を張ってみる」エッヘン!
黒妻「あー、はいはい……ん?」
舞夏「うぃー。おや?」クルクル・・・
打ち止め「あ、マイカだ。ってミサカはミサカは清掃用ロボットの上にちょこんと座る不思議メイドさんを指差してみる」
舞夏「おやおや。御出かけなのか?」
打ち止め「買い物なのってミサカはミサカは教えてみたり。マイカはお兄ちゃんのとこ?」
舞夏「うん、兄貴のとこだぞー。しかし……へぇ」ジー・・・
黒妻・固法「「え?」」
舞夏「ふーん……いや、何でも無い。打ち止めー、楽しんで来いよー」ニヤニヤ・・・
打ち止め「はーい!」ッテミサカハミサカハ!
固法「なんでしょう?」
黒妻「……さぁな」
―――第7学区、商店街アーケード・・・・・
打ち止め「きゃっほー!」パタパタ!
黒妻「こけるなよー」
打ち止め「大丈夫だよ! ってミサカはミサカは更に加速してみたり!」パタパタ!
固法「ちゃんと前見て……あ」
打ち止め「いえーい! ってむほっ!!」ドンッ!
鉄装「うわっ」トンッ・・・
黒妻「ぶつかりやがった。言わんこっちゃない……しかも鉄装さん」ハァ・・・
打ち止め「痛た……」クルクル・・・
固法「大丈夫? あ……すいません」ペコッ・・・
打ち止め「ごめんなさい……ってミサカはミサカは素直に謝ってみる」ペコッ
鉄装「あはは、大丈夫だよ。これから気を付けてね」ニコッ
固法「打ち止めちゃん。周り見て歩かなきゃ駄目でしょ」メッ
打ち止め「うー……かたじけのーございます。ってミサカはミサカはお侍さん風に謝ってみたり」
鉄装「ふふっ。きちんとお母さんと手を繋いでね」ニコッ
固法「お、お母さんって……」タラー・・・
打ち止め「はい! ってミサカはミサカは警備員のお姉さんの言うとおり『ミィママ』の手を握ってみる」ニコッ!
固法「あはは……ママかぁ」ポリポリ・・・ - 967 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/22(火) 23:03:37.99 ID:hTPJDVMC0
- ―――地下商店街・・・・・
打ち止め「早く早くー! ってミサカはミサカはミィの手をグイグイ引いてサクサク歩いてみたり!」
固法「もっとゆっくりでいいから、ね」アハハ・・・
打ち止め「時間は待ってくれないのだってミサカはミサカは一秒でも惜しい時間を満喫してみたり!」
黒妻(子供だなぁ……)フフフ
打ち止め「あー! 真ゲコ太ーロボのキーホルダーだ!! ってミサカはミサカは目を輝かせてショーケースに張り付いてみる!」キラキラ・・・
固法「趣味が御坂さんと同じ……やっぱ姉妹ね」フフフ
佐天「あれ? 固法先輩じゃない?」ピタッ
初春「あ、ホントだ。アホ毛ちゃんと……黒妻さんも一緒です」ホゥ・・・
春上「何だかちょっと怖そうな人なの……」ジー・・・
佐天「おーい! 固法せんぱーい! こんちわー!」ブンブン!
固法「あら、佐天さん。初春と春上さんもこんにちは」ニコッ
初春・春上「「こんにちは」なの」ペコッ
佐天「おやおや。打ち止めちゃん、今日は先輩を一人占めかい? 羨ましいねぇ」ニヤニヤ
打ち止め「ふっふっふっ! 今日のミィとクロヅマは私のモノなのだ! ってミサカはミサカは二人の手を引き寄せて自慢してみたり!」ニコッ!
黒妻「おま、やめっ」ワトト・・・
固法「ら、打ち止めちゃん……」タラー・・・
初春「ふふふ。これは白井さんと御坂さんにも報告ですね」ニヤッ
固法「そ、そんなことしたら次の休日シフト入れるわよ!」ンモー・・・
初春「しょ、職権乱用です……」
春上「……」ジー・・・
黒妻「……何だ?」タラー・・・
春上「っ」スッ・・・
黒妻「へ?」キョトン・・・
打ち止め「お花のお姉ちゃんの後ろに隠れちゃった。ってミサカはミサカは説明してみる」
初春「春上さん?」
春上「……」ビクッ・・・ - 968 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/22(火) 23:05:38.41 ID:hTPJDVMC0
- 佐天「あー……黒妻さんが怖いそうです」アハハ
黒妻「……さーせん」ポリポリ・・・
打ち止め「だから革ジャンはやめた方がいいよってミサカはミサカは再三訴えたのに」ハァ
固法「そういえば春上さんに先輩と打ち止めちゃん紹介するの初めてだっけ?」
初春「そうですね。春上さん、大丈夫ですよー。怖いのは見た目だけですから」ニコッ
固法「……フォローになってないわ」アハハ・・・
春上「……」ジー・・・
固法「此方、私の先輩の黒妻綿流さん。こっちの御坂さんに似たおチビちゃんは打ち止めちゃんよ」
春上「……」チラッ・・・チラッ・・・チラッ・・・
打ち止め「よろしくー! ってミサカはミサカはノホホンとしたお姉ちゃんにVサインしてみる!」V!
春上「う、うん……」チラッ・・・チラッ・・・チラッ・・・
佐天「どうしたの? さっきから三人きょろきょろ見て」ハテ?
春上「……固法先輩」ジー・・・
固法「え?」
春上「……子持ちだったの?」キョトン・・・
固法「」
佐天・初春「「ぶっ!!」」ピクピクッ・・・
黒妻「また言われてらぁ」ククク・・・
固法「は、春上さん……あのね。この子は――」
打ち止め「うんっ! ミィは私のママなんだよってミサカはミサカは言わせる前に抱きついてみる!」ギュウゥッ!
固法「――こ、こらっ!!」カアアァ・・・///
春上「ほぇ……じゃあ貴方がパパさんなの?」ジー・・・
佐天「は、春上さん!?」
黒妻「んー……いずれはね」ニコッ
初春「ヒューッ!」ニヤッ
春上「とっても吃驚なの」ヘェ!
固法「こ、こらっ! 嘘言わない! 先輩も何言ってんの!」ベシッ!
黒妻「あ痛っ」ポカッ
打ち止め「あはははは。おかしいねってミサカはミサカは微笑んでみたり」クスッ
佐天「ふふふ。羨ましい限りですよー。ね! 打ち止めちゃん」ニコッ
打ち止め「うんっ!」ニカッ! - 969 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/22(火) 23:07:38.27 ID:hTPJDVMC0
- ―――ファミレス『ビックバーグ』・・・・・
打ち止め「うっしっし! キーホルダー買って貰っちゃった! ってミサカはミサカはMNWに画像うpしてみたり!」ニコニコ
固法「打ち止めちゃん、何を言ってるの?」
黒妻「さぁな。何でも好きなの頼んで良いぞ。この前、臨時収入(パチスロ)で4万入った(勝った)からな」
打ち止め「わーい! じゃあ……このFBB(ファイナル・ビック・バーグ)セットで! ってミサカはミサカは頼みこんでみたり!」
黒妻「……喰えないだろ」ハァ
固法「いいですよ。私軽く頼んで、余ったら残り食べますから」クスッ
打ち止め「むっ! 絶対完食してみせるもん! ってミサカはミサカは根拠の無い意気込みを入れてみたり!」フンヌッ!
黒妻「頑張れ頑張れ。ほら、ドリンクバー持って来い」
打ち止め「はーい!」テクテク!
黒妻「……帰りはおんぶ決定だな」クスッ
固法「黄泉川先生に迎えお願いしときましょ」フフフ
一寸後・・・・・
黒妻「煙草喫いたい」ハァ・・・
固法「今日一日は駄目です……それより打ち止めちゃん遅いですね」
黒妻「……何してんだ?」
打ち止め「お待たせー! ってミサカはミサカはカオスなミックスジュースをテーブルに置いてみたり!」
固法「……それやってて遅れたの?」
打ち止め「んとね、あとアワキン達と話してたの。ってミサカはミサカはアッチを指差してみる」
黒妻・固法「「え?」」チラッ・・・
結標「ちょっと小萌。何で喫煙席なのよ……私達の事も考慮してよね」ンモー・・・
月詠「だから二人はそっちでも良いよって先生は言ったのです。態々付いてきたのは結標ちゃんと姫神ちゃんでしょう」
姫神「小萌先生。別個に座ったら。奢ってくれないでしょう?」
黒妻「……成程」ハハハ・・・
打ち止め「午前中は補習だったからご飯準備するの面倒なんだって! ってミサカはミサカはさっき聞いた情報をリークしてみたり」
固法「ストレスで無償に煙草が喫いたいって訳ね」アハハ・・・
打ち止め「まったく、煙草は良くないよね! ってミサカはミサカは誰かさんをジト目で見詰めてみる」ジトー・・・
黒妻「……さぁねぇ」タラー・・・
固法「ま、まぁまぁ。ほらもう来るから大人しく待ってましょうね」
黒妻「そうだな……あ、ほら。月詠先生がこっち見つけたぞ。手ぇ振っとけ」アハハ・・・
打ち止め「むぅ……話を逸らされた気がするってミサカはミサカは溜息を付きながら腕を組んでみたり」ハァ・・・ - 970 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/22(火) 23:08:44.52 ID:hTPJDVMC0
- 一寸後・・・・・
打ち止め「ふぅ……胃袋の限界! ってミサカはミサカは某力士の真似をしながらお腹を摩ってみたり」ハゥ・・・
黒妻「やっぱ残したか……美偉喰える?」
固法「ふふふ。このくらいなら平気です」ニコッ
打ち止め「ありがとー。ってミサカはミサカはミィに寄り掛ってみたりー」グデェ・・・
固法「あらあら。もうお眠?」クスッ
打ち止め「ぜ、全然平気! ってミサカはミサカは元気の証拠に店内を走り回ってみせる!」
黒妻「お馬鹿、やめなさい」マッタク・・・
打ち止め「あはは。じゃあアワキン突っついて遊んでくるね! ってミサカはミサカはスタイリッシュに席を立ってみたり」シュタッ!
固法「こら!」メッ
黒妻「迷惑掛けんなよー……行っちまった。欲望に忠実だな」タラー・・・
固法「もぅ……あ、本当に結標さんのわき腹突っついてるし」タラー・・・
黒妻「姫神ちゃん、止めてくれ……あ、首根っこ掴まれた」ジー・・・
固法「こっち来……」ピタッ
打ち止め「うわーん! アワキンのばーか! 離せー! ってミサカはミサカはジタバタ抵抗してみたりー!」ウガー!
結標「喧しい! 娘の面倒くらいキチンと見ろ! この阿呆夫婦!!」ギロッ!
黒妻「あはは。悪い悪い」ポリポリ・・・
固法「む、娘って……結標さんまで。私と同い年でしょう……」ハァ・・・
結標「お黙る! 私が婚期逃がしたとでも言いたいの!? ふんっ! どーせ私は男の一人もいませんよーだ!」
固法「麦野さんと同じ事言ってる……」タラー・・・
打ち止め「やーいやーい。おへそ丸出しアワキーン。ってミサカはミサカはあ痛っ!」ポカッ!
結標「……ええ、そうよ! ガキっぽいわよ! 年下好きのレッテル貼られて誰も男が寄って来ないわよ! 可笑しい? 可笑しいでしょ!?」
黒妻・固法「「……(自虐ってる)」」アハハ・・・
結標「笑いたきゃ笑いなさいよ! ほら、こうやって『あーっはっはっはっ』て!」
三人『……』タラー・・・
結標「……笑わんのかい!!」ガァッ!!
姫神「淡希。五月蠅い」ゴツンッ!!
結標「ッ~~~ッッ!!?」イダダダッ!!
固法「ひ、姫神さん…… (え?! 何で殴ったの?!)」ギョッ!
姫神「ご迷惑おかけしました……行くわよ」グイッ!
結標「ぐぇっ!! ひ、引っ張るな!!」ズルズル・・・
打ち止め「黒髪ロングお姉ちゃんナイス!! へーん! 怒られてやんのー! ってミサカはミサカはあっかんべーしてみたり」ベー!
結標「うるさーい!! こっちこそあっかんべーだ! べー! べー!」ジタバタッ!
姫神「同じ土俵に立たない。というか周りの目を気にしなさい。ただでさえ貴女。目立つのに」ゴチンッ!
結標「秋沙っ! じゃなくて、あ痛っ!! 電気警棒(スタンロッド)で殴るな!!」ズルズル・・・
黒妻「……どっちが年上だか分からねぇな」タラー・・・
固法「てか月詠先生も注意しましょうよ……」ハァ・・・ - 972 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/22(火) 23:11:21.62 ID:hTPJDVMC0
- ―――コンサートホール前広場・・・・・
打ち止め「あっ! カナミンショーやってる! ってミサカはミサカは小ステージを指差してみたり!」
黒妻「寄ってくか?」
打ち止め「うん! 肩車してー! ってミサカはミサカは年相応の子供的な要求をしてみる!」
黒妻「あいよ」ハハハ
固法「ふふふ。じゃあ私はベンチで待ってますから」ニコッ
一寸後・・・・・
固法「おかえり。どうだった?」
打ち止め「あー、やっぱり適当なシナリオで面白かった! ってミサカはミサカはお姉ちゃん的思考で感想を述べてみる」
黒妻「あはは。ヒーローショーと同レベル扱いのB級映画って一体……」タラー・・・
固法「というか悪い意味で思考が最愛ちゃん寄りに……」ハァ・・・
打ち止め「いいのいいの! ってミサカはミサカは……あ!」ピタッ!
固法「どうしたの?」
打ち止め「アレ! ってミサカはミサカは車型の屋台を指差してみる!」キラキラ・・・
黒妻「……クレープ屋か。(此処らは半蔵達のカタギ商売だな)」
固法「食べたいの? さっきお昼食べたばかりでお腹いっぱいじゃない?」
打ち止め「甘いモノは別腹よ! ってミサカはミサカは御姉様の口癖を真似てみたり!」
黒妻「ははは。良いじゃねぇか。美偉も喰うだろ?」
固法「そうですね、頂きま……」ピタッ
黒妻「ん? どうした?」
固法「……遠慮します」アハハ・・・
黒妻「へ?」
打ち止め「さては……ミィ、ダイエット中だね! ってミサカはミサカはずばり名推理をふがぁっ!!」ガシッ!
固法「あ、あはははは……打ち止めちゃーん。少し黙ってようねー」グイッ
打ち止め「……ふがふが」コクコク・・・
黒妻「ははは! んなちょっとやそっと太ったって変わんねぇよ」ガハハ!
固法「……女の敵です」ギロッ!
黒妻「はいはい。悪ぅござんした。ほら、打ち止めちゃん買いに行こうぜ」ニコッ
打ち止め「あいあいさー! ってミサカはミサカは列の中へ突っ込んでみたり!」
固法「こらっ」ハァ・・・
黒妻「ははは。元気だなぁ。美偉、荷物見ててな」テクテク・・・
固法「はい。打ち止めちゃんお願いします」コクッ - 973 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/22(火) 23:12:27.83 ID:hTPJDVMC0
- 打ち止め「ふんふふ、ふんふふ、ふんふんふ~♪」ニコニコ
黒妻「皆その鼻歌ってるよな。何か有名な曲なのか?」
打ち止め「分かんない。お風呂で誰かが歌ってたような……私にもうつったみたいだよってミサカはミサカは説明してみたり」
黒妻「へぇ……あ、前進んだぞ」
打ち止め「よっしゃー! ってミサカはミサカは今のうちに注文を決めるため、メニュー看板と睨めっこしてみる!」
黒妻「ははは。オレは……『豚冷しゃぶミルクソースクレープ』にしよう」
打ち止め「……なぁにそれ」ヒクワァ・・・
店員(スキルアウト)A「―――次の方、御注文どうぞ……って、あ。(半蔵さんの外兄弟だ……)」ピタッ・・・
黒妻「ほれ、打ち止めちゃん。頼め」
打ち止め「えっと……じゃあ『DXキャラメルカプチーノ抹茶アイスクレープ』ってミサカはミサカはお願いしてみたり!」
黒妻「……また残すだろ。てか打ち止めちゃんも人の事言えないチョイスだぞ」ハハハ・・・
打ち止め「豚しゃぶよりはマシかも! ってミサカはミサカはオマエが言うななクロヅマに素早く突っ込みを入れてみる」ビシッ!
店員B「え、えっと……『DXキャラメルカプチーノ抹茶アイスクレープ』と『豚冷しゃぶミルクソースクレープ』で宜しいですか?」タラー・・・
打ち止め「OKですね! ってミサカはミサカはオーダーしてみる! 打ち止め(ラストオーダー)だけにね!」ドヤッ!
黒妻「はいはい……よろしく」チラッ
店員A「かしこまりました!」ペコッ!
打ち止め「……知り合いなの? ってミサカはミサカは店員さんにフランクに話しかけてたクロヅマに尋ねてみる」
黒妻「まぁ『社会の仕組み』ってヤツよ」ハハハ
店員A「お待たせしました!」スッ
黒妻「あいよ、どうも。ほれ、打ち止めちゃん。デカいから落とすなよ」
打ち止め「お~ぅ……予想外デス。ってミサカはミサカは昔はやったCMの真似をしてみたり」
店員B「二点で950円になります……あの、ツケでもいいですよ」タラー・・・
黒妻「は? ……何で?」
店員B「い、いえ……その……」
黒妻「……カタギ商売でシノギ関係持ち出してんならブッ飛ばすぞ?」ギロッ・・・
店員B「ち、違います!」ビクッ!
店員A「た、ただ……」タラー・・・
黒妻「あ?」
店員A「……お金。持ってます?」
黒妻「……はい?」
店員B「……い、いえ! 何でもありません!」ブンブンッ
黒妻「……」イラッ・・・
打ち止め「あー……無職のクロヅマは店員さんにも同情されるのかってミサカはミサカは冷静に解説してみたり」ハァ・・・
黒妻「……釣りは要らない。持ってけこの野郎!」サラバユキチー!
店員A・B「「ちょっ!」」ギョッ・・・
打ち止め「あらら見栄張っちゃって……店員さん。それパチンコの泡銭だから貰っといていいよーってミサカはミサカは説明してみる」バイバーイ!
店員A・B「「……」」タラー・・・
打ち止め「って、クロヅマ待ってよー! ってミサカはミサカは威圧感丸出しで歩く大男を追っ掛けてみたり!」トコトコ! - 974 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/22(火) 23:14:00.06 ID:hTPJDVMC0
- 黒妻「……ふんっ」ドサッ!
固法「あら、どうしました?」
黒妻「何でもねぇ」ケッ
打ち止め「まるでおっきい子供だよってミサカはミサカは呆れてみる……アワキンと同じだねってミサカはミサカは因みに付け加えてみたり」ハァ
黒妻「うるへーよ」ベー!
固法「あはは……って、打ち止めちゃん。また大きいの頼んで」アーア・・・
打ち止め「全部食べられるもん! ってミサカはミサカは宣言してみる!」
黒妻「これも余ったら美偉のノルマな」ニヤッ
固法「……結局食べるのね」ハァ
打ち止め「むきー! 馬鹿にしてー! こうなったらこの私の底力を見せつけてやるっ! ってミサカはミサカは……MNW無理とか言うな!」
黒妻「電波入りました」ハハハ・・・
一寸後・・・・・
打ち止め「」チーン・・・
黒妻「半分以上残ったな」ハハハ
固法「私食べきれませんよ……」ジトー・・・
黒妻「オレも豚しゃぶ喰ってるから甘いのヤダ」モグモグ・・・
固法「またゲテ物を……」パクッ・・・「……美味しいけど、悲しい」ハァ
打ち止め「せめて私に暴食シスターの十分の一の胃袋があれば……ってミサカはミサカは嘆いてみたり」ゲップ・・・
黒妻「やめとけ。食費が無くなる……上条家みたいな暮らしになるぞ」
打ち止め「それは勘弁かもってミサカはミサカは……あ」ピタッ
固法「どうしたの? また誰かいた?」モグモグ・・・
黒妻(何だかんだ言いながら、コイツ完食すんだろ……)ジトー・・・
打ち止め「お母様だ! ってミサカはミサカはさっきのクレープ屋を指差してみる!」ビシッ!
黒妻・固法「「お母さま?」」ポカーン・・・
美鈴「うっし! 『超弩級DXココアキャラメルカプチーノ胡麻抹茶豆乳ストロベリーアイスクレーププラス白玉』ゲット!!」ヨッシャー!
詩菜「あらあら。御坂さん、態々此処まで寄ったのはその為だったのかしら?」クスッ
美鈴「ふふふ。折角久々に学園都市に来たのだから、美琴ちゃんから聞かされてた有名甘味はコンプしないとねっ!」フフッ・・・
詩菜「その量は跳ね返りが凄そうですけど……大丈夫?」
美鈴「ぐっ……か、上条さんの『きな粉餡餅増量クレープ』も、そうでしょうに」グヌヌ・・・
詩菜「ええ。帰ったらランニング(ハーフマラソン)ね。御坂さんも一緒にどうかしら?」ニコッ
美鈴「」チーン・・・
黒妻・固法((なんか凄い人いる!?))チーン・・・
打ち止め「お母様ー! ってミサカはミサカはブンブン手を振ってみたり!」オーイ!
美鈴「ん? ……おや、打ち止め。ハロー」ニコッ
打ち止め「お母様もおっきいの頼んだんだね! ってミサカはミサカはダイナミックなクレープに仰天してみたり」ポカーン・・・
美鈴「あはは……つい、ねぇ」ポリポリ・・・
詩菜「御坂さん……何時の間に二人目を?」ポカーン・・・
美鈴「上条さん……マジで言ってるわよね。まぁそう思うでしょうけど……」ハァ・・・ - 975 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/22(火) 23:15:25.14 ID:hTPJDVMC0
- 打ち止め「そういえばお母様。何で学園都市に? ってミサカはミサカは純粋に質問してみる」
美鈴「あー。ちょっと美琴ちゃんの学校に呼ばれてね。あと旦那のお使い」
打ち止め「お父様? ってミサカはミサカは……首を傾げてみたり?」ハテ?
美鈴「まぁ追求しないで上げるのが家族の役目よ。打ち止めは何してるの? 『彼』と御散歩?」
打ち止め「ううん。今日はこっちのアベックと一緒にお買い物なの! ってミサカはミサカは二人を引っ張ってみる」グイッ
固法「あ、アベックって……」アハハ・・・
黒妻「……こんにちわ」ペコッ
美鈴「ええ。こんにちは……打ち止め。此方は?」チラッ
打ち止め「ミィとクロヅマだよ! ってミサカはミサカは説明してみる」
固法「えっと、初めまして。打ち止めちゃんと仲良くさせて頂いてます、固法美偉です」ペコッ
美鈴「……ああ! 美琴ちゃんから聞いてたわ! 胸の大きな先輩がいるって!」
固法「……今度会ったら説教ね」ボソッ
黒妻「黒妻っす」ペコッ
美鈴「貴方は……学生さん?」
黒妻「いえ。社会人です」
美鈴「そう……」ジー・・・
打ち止め「社会人って言っても何処で何をしてるか良く分からない履歴上無職の男だけどねってミサカはミサカはあ痛てててっ!!」ギュウッ!
黒妻「悪かったな……履歴上戸籍も無いから書いて貰えねぇんだよ」パチンッ!
打ち止め「痛たぁ……耳引っ張らないでよ! ってミサカはミサカはポコポコ叩いてみたり!」ポカポカ!
黒妻「良いマッサージだぜ」ヘーンッ
打ち止め「むぐぐ……効いてない……ってミサカはミサカは落ち込んでみたり」ハァ・・・
固法「こら。二人ともまだモノ食べてるんだから暴れないの」メッ
黒妻・打ち止め「「……はーい」」ペコッ
詩菜「あらあら。仲の良い親子ね」ニコッ
美鈴「ホントにね」クスッ
固法「お、親子って……御坂(母)さん」タラー・・・
黒妻「ちなみに、そちらの女性は?」
美鈴「ん? ああ、私のお友達ってところね……年上よ」ボソッ・・・
詩菜「……御坂さん?」ニコッ・・・ゴゴゴゴ
美鈴「あはは、何でも無い」タラー・・・
固法(……御坂さんのお母さんも若いけど)ジー・・・
黒妻(この人はいったい……高校生くらいに見えるな)ジー・・・
詩菜「こんにちわ。上条詩菜、17歳です」ニコッ
黒妻「あ、え、はい……上条?」ピクッ
固法「もしかして、上条当麻くんのお姉さんですか?」ナルホドー
詩菜「うふふ、お姉さんだって……当麻さんが御世話になってるのかしら」クスッ
黒妻「あはは。近所なんです。アパートの上下の関係で」
詩菜「あらあら、それはそれは。今後ともよろしくお願いしますね」ニコッ
打ち止め「へぇ……あの人にお姉さんがいるのは初耳かも。ってミサカはミサカは素直に驚いてみる」ホエー - 976 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/22(火) 23:16:12.42 ID:hTPJDVMC0
- 詩菜「ええ、一つ違いの弟でして」ニコニコ
美鈴「はい、そこまでー」ビシッ
黒妻s『え?』ピタッ
美鈴「はい、本人から種明かしどうぞ」ジトー・・・
詩菜「うふふ。上条当麻の母です」ニコッ
黒妻s『』チーン・・・
美鈴「やっぱり皆同じ反応するわね」アハハ・・・
一寸後・・・・・
美鈴「―――……そうだったの。黄泉川さんから預かって」ヘェ・・・
黒妻「はい。一方通行と黄泉川さんとこで面倒見れない時に主に」コクッ
固法「今では関係無く遊びに来ますけどね」クスッ
打ち止め「お兄ちゃんやお姉ちゃんもいるんだよ! ってミサカはミサカはお母様に説明してみる」ニコッ
美鈴「そう……良かったわね。ちゃんとパパとママがいて」ニコッ
打ち止め「うんっ!!」ギュッ!
固法「ちょ……あはは」ポッ・・・///
黒妻「何とも、な」ハハハ・・・
詩菜「あらあら。初々しくて羨ましいですね」クスッ
美鈴「美琴ちゃんもコレくらいの時は素直で良い子だったのになー」ハァ
打ち止め「御姉様はツンデレだからねーってミサカはミサカはぶっちゃけてみたりー」ニヤッ
美鈴「……」ジー・・・
黒妻「……何か?」
美鈴「……ちょっとだけ、殴っていい?」ニコッ
一同『は!?』ビクッ!
美鈴「いや、一発で良いからさ」ニコニコ
黒妻「え、いや……理由も無くぶたれるのは、ちょっと」タラー・・・
詩菜「御坂さん?」
美鈴「いやぁ……若い頃の『自分達』を思い出してさぁ。美琴が打ち止めくらいの頃」アハハ
打ち止め「へ?」
美鈴「……旦那が黒妻くんに似てて腹立っただけよ」ニコッ
黒妻「いや、旦那さんって……似てるの?」チラッ
打ち止め「うーん……記憶(フォルダ)と照らし合わせてみるけど……そこまで似てないよってミサカはミサカは回答してみる」ウーン・・・
美鈴「容姿じゃないわよ。雰囲気。あと何処で何やってるか分かんないってとこ」
固法「あー……何処で何やってるか分かんないってのは、納得です」コクッ
美鈴「でしょー。家族放っぽり出してどっか行き出したら注意よ」ビシッ
固法「あはは……了解です」コクッ
打ち止め「信用されて無いねってミサカはミサカはクロヅマの肩に無言で手を置いてあげる。無言じゃないけど」ポンッ・・・
詩菜「あらあら。優しい娘さんなのね」クスッ
黒妻「五月蠅ぇですよー」ヘーン・・・ - 977 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/22(火) 23:19:03.01 ID:hTPJDVMC0
- 一寸後・・・・・
美鈴「それじゃ私達行くわ。上条さんとこの息子くんの御見舞もあるから」ニコッ
黒妻「上の部屋静かだと思ったら、アイツまた入院してたのか」ハァ
詩菜「ホントにね。出席が心配なんですよ」ハァ・・・
美鈴「あはは……まぁ打ち止めの事よろしくね。打ち止めも良い子にするのよー」
固法「はい。任されました」コクッ
美鈴「よろしい……黒妻くん。責任ある大人でありなさいよ」チラッ
黒妻「……筋は通すつもりで」コクッ
美鈴「うん……『ごっこ』で終わらせない事。頑張れ若造若子」ニコッ
固法「はい」コクッ
打ち止め「ばいばーい! ってミサカはミサカはお母様に手を振って見送ってみるー」ブンブン!
黒妻「……若いな」ハハハ
固法「羨ましいです……」ボソッ
打ち止め「大丈夫! ミィも努力を怠らなければ早々老化しないからってミサカはミサカは励ましてみるよ」ニコッ
固法「……何だかなぁ」ハァ・・・
―――帰り道・・・・・
打ち止め「すぅ……すぅ……」ムニャムニャ・・・
黒妻「やっぱ寝やがった」ヨイショッ
固法「ふふふ。やっぱり可愛いですね」ニコッ
黒妻「子供(ガキ)ねぇ……」テクテク・・・
固法「……ええ」テクテク・・・ - 978 :>>1にかわりましてカキネがお送りします[saga]:2011/02/22(火) 23:20:14.63 ID:hTPJDVMC0
- 黒妻「……黄泉川さんから連絡は?」
固法「7時くらいに迎えに来れるそうです」
黄泉川『まぁその後は二人で、しっぽりむふふ、だろ? 邪魔はさせないじゃんよ』ニヤニヤ・・・
固法「だそうで……」ハァ・・・
黒妻「セクハラだっつの……」タラー・・・
固法「……」ジー・・・
黒妻「どうした」チラッ
固法「何処にも、いきませんよね?」チラッ
黒妻「……ああ」コクッ
固法「……信じます」ニコッ・・・
黒妻「助かる」
固法「……何してても良いです……でも」ギュッ・・・
黒妻「……心配すんな。消えないさ」ニカッ
固法「うん……」ニコッ・・・
打ち止め「むにゃむにゃ……弟、妹……」ッテミサカハミサカハ・・・zzz・・・
固法「……」クスッ・・・
黒妻「そのうち、な」フフッ
固法「……はい」ニコッ・・・///
冷蔵庫「おわり! また次レスで!」チャンチャン! - 979 :>>1にかわりましてカキネがお送りしました[saga]:2011/02/22(火) 23:24:03.29 ID:hTPJDVMC0
- お疲れ様でした。申請出します。
しつこい様ですが、>>908のアンケートご協力お願いします。
残りHTML化されるまでは、質問意見感想提案罵倒リクエスト等々、なんでもよろしく!
時系列についての助言もあれば嬉しいです。
あと、『あまくさっ!』別枠でみたい?
ではまた次スレで! ばいばいっ! ノシ - 980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/23(水) 00:22:51.36 ID:wPDTmsvDO
- >>1乙
アンケートは②で
正直時系列はもう無視していいよ
だいぶ原作からそれてるし
それより
あと何スレぐらいまでって考えてるの?
あと
あまくさっ!
見たいです - 981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/02/23(水) 01:28:38.39 ID:IPmOFt+DO
- 乙! 美鈴さんと打ち止めとか俺得だった!
時系列の件は大分キャラ崩壊してるから‥‥今更無理かと^^;
だから『あまくさっ!』で香焼、五和、浦上使ってリメイクしてはどうだい?
もちろん絹旗やアニェーゼとのフラグは再立て希望ww
2013年5月12日日曜日
固法「おやすみ、先輩」 2
ラベル:
とある科学の超電磁砲,
固法,
香焼,
麦野,
浜面
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿