2013年6月10日月曜日

番外個体「学校に行ってみたいなぁ……」 冥土帰し「よし任せろ」 2

528VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:05:08.75 ID:m4MrK7QWo
上条「まさか美鈴さんと会うとはなー」

青ピ「あの人って第3位の子のお母はんやったんやなー。お父はんのは常盤台のお嬢様らしいお金持ちっぽい人やったで」

番外「裏路地が似合ってそうだったけどね。ギャングのボスみたいな?」

土御門「カミやん、まさか人妻相手に手を出したなんてことはないよな?ギャング相手に喧嘩売ってるののと同じだぜい」

上条「まさか、そんなことがあったら上条さんは今頃ビリビリの消し炭ですのよ」

一方「チッ……面倒な奴にあったもンだ」

上条「お前も会ったことがあったみたいだな?」



一方「まァな。……今度会ったら酒癖を治しとけと伝えろ」

番外「何か嫌なことでもされたのかなぁ?なんとなく分かるけどさ、うけけけけ」

一方「……図体がでかい分、クソガキより酷ェ」

姫神「それは。女性に。失礼」

番外「この人はそんなの気にしちゃくれないよ。ところでさ、時間大丈夫なの?」
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:06:07.00 ID:m4MrK7QWo
上条「あ……今何時だ?」

一方「もう3時回ってンな。三下、予定では昼飯は何時だった?」

上条「えぇーっと、2時には次に向かうはずだから……」

番外「1時間以上遅れてるじゃん。どーすんの?」

土御門「結構窮屈なスケジュールだったからにゃー。昼食に花を咲かせすぎたかにゃー?」

青ピ「休憩やら何やらで色々積み重なってもうたなぁ」

姫神「どうする?このままだと。全部は回れない」

上条「どうすればいいかな……」ガシガシ

番外「どれかひとつ、諦めちゃえばいいんじゃない?それしかないよ」

一方「どれかっつっても、あとふたつだぞ?金閣は諦めるわけにはいかねェ」

番外「なら、この龍安寺ってのしかないよ」

青ピ「仕方ないな。それ抜こか」

姫神「ごめんなさい。龍安寺」

土御門「多少時間は残るが、お土産とか買い物の時間に当てればいいぜよ」

一方「そうだな。垣根の奴に遅れましたなンぞ死んでも言えねェよ」
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:08:11.44 ID:m4MrK7QWo
移動後......

一方「途中までタクシーで来たのはいいンだがよォ、最後まで乗っててよかったんじゃねェか?」

番外「道路が混んでたんだから仕方ないでしょ。ちょっとは歩けっての。さっきまでは観光客に失礼だとか言ってた奴は誰だったかねぇ」

一方「いや、なンか疲れたンだわ」

土御門「そうだぜい?この辺は土産屋も少ないけど、街並みを眺めながらってのもいいもんだにゃー」

上条「……あ、あれ?」ガサガサ

姫神「上条くん。どうかしたの?」

一方「何キョドってンだァ?」

上条「財布が、ねぇ……落としたのか?」

青ピ「人混み激しかったからなー。どの辺まで持ってたか覚えとるん?」

上条「タクシーを降りる時には確かに持ってた……。ああー!あの中には1月分の食費が詰まっているのにいいぃぃ!!しかもお土産買わないとまたあのシスターに噛み付かれるし不幸だああああああ!!!」
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:09:22.38 ID:m4MrK7QWo
番外「それなら来た道を戻って探さなきゃ。もう誰かに拾われてるかもしれないけど」

一方「まァ、何だ?この辺で落としたのが分かったンなら戻るしかねェよな」

上条「でもそんな時間あるのか……?どうせ誰かに拾われて見つかった時には空っぽかもしれないぜ……?」

土御門「カミやんの不幸なら財布が戻ってくるだけでも幸運だけどにゃー。とりあえずちょっと戻るぜよ」

青ピ「そうや、時間なら気にせんと探してみるで」

姫神「見つからなくても。交番に行かないと。それに誰かがもう届けてるかもしれないし」

上条「おぉ……ありがとな……」
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:10:27.80 ID:m4MrK7QWo
テクテクカツカツ....

番外「さっき通った時はこの辺で外国の人がたくさんいたけど、ここで落としたんじゃない?」

一方「三下は5mおきくれェに人にぶつかってたからなァ。探してもキリねェンじゃねェか?」

土御門「人混みというと、この辺しか思い当たらないんだがなぁ」

上条「はぁ、不幸だ……。みんな、すまなかったな。俺のことはいいからもう行こうぜ」


舞妓「もしかして、これを落としなはったんどすか?」

上条「……へっ?」

舞妓「この財布。あなたが落としなはったんどすか?とミサカは財布を差し出し問いかけます」

上条「ミ、サカ……?」

番外「……え?」

一方「……はァ?」
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:14:07.79 ID:m4MrK7QWo
                ・
                ・
                ・

番外「へー、あなたが京都のねー」

10153号「はい、とミサカは答えます」

一方「学園都市外のオマエらは好きな格好してンのかァ?」

10153号「少なくとも、全員がお姉様と同じ制服は着てません。ミサカに支給はされていますが、ぶっちゃけ着たくないので、とミサカは集団同調に嫌気が差したことを仄めかします」

番外「もろ本音言ってるし……」

上条「だから舞妓さんの格好なんかしてたのか」

10153号「その通りです。ミサカは研究所で舞妓の歴史から現在に至るデータを調べ上げ学習したのです、とミサカは勤勉であることをアピールします」

一方「でもよォ、オマエは何でそンな重たそォなのを着てンだよ。他に着るもンあンだろ」
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:16:09.44 ID:m4MrK7QWo
10153号「京都といえば舞妓との情報を入手しましたので、とミサカはサブカルチャーにも若干の知識があることを自慢します。一番の理由にこのミサカ自 身が着用してみたかったこともありますが、白塗りにはミサカでも若干の違和感を感じます、とミサカははにかんでみます」

土御門「なぁ、青ピ。舞妓ってサブカルだったか?」

青ピ「土御門はメイドしか興味がないからなぁ。外国から見たメイドみたいなもんや。それで、キミは常盤台の子の姉妹なんか?よう似とるな」

10153号「妹です、とミサカは間髪入れずに即答します」

番外「その髪の毛って地毛?あと、真顔だとちょっと怖い」

10153号「これですか?これはカツラです、とミサカは持ち上げてみます。意外と重たい……」

一方「まァ、そンだけ重量があれば重ェよな……」

10153号「それに白塗りのない舞妓はただの着物を着た女性ですからね、とミサカは知ったような口を叩きます」

姫神「白塗り。なるほど……」

上条「それで、お前はこんなところで何してたんだ?観光か?」

10153号「ここはミサカのホームスタジアムです。つまりこの辺りはミサカの庭みたいなものですよ、とミサカはほくそ笑みます」フフフ

一方「外見と動作がシュール過ぎンだろ……」
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:17:55.83 ID:m4MrK7QWo
番外「ま、散歩ってとこだね」

10153「研究所も暇なので、ミサカが一声掛けなくても外出許可は出るんですよ、とミサカは実は無断外出の常習犯であることを自白します」

上条「おいおい」

10153号「見たところ、あなたがたは金閣寺に行くようですが。ミサカの案内は必要ですか?」

一方「いや、俺らで大丈夫だ。道なら分かってる」

10153号「ミサカが解説しなくても大丈夫ですか?とミサカは再度至近距離で問いかけます」スッ

一方(……怖ェ)ビクッ

上条「じゃあお願いしようかな。財布も拾ってくれたし、本当助かったよ!」

番外「白塗り怖ェ……ミサカは巫女さんのほうがいいや」

姫神「巫女服なら。今度。貸してあげる」

土御門「俺は舞妓よりメイドのほうがいいかにゃー」

青ピ「大人びたのもええやんか~」クネクネ
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:19:15.36 ID:m4MrK7QWo
一方「金閣はまだかァ……?」ソワソワ

番外「ちょっとは落ち着けよモヤシ」

10153号「すぐそこですよ」

上条「すぐそこ?思いっきり道路じゃないか」

10153号「総門に入るまでは金閣の金のも何も見えたもんじゃありませんからね、とミサカはぶっちゃけます」

土御門「金閣だけが金閣寺じゃないんですたい」

青ピ「前にも言うたやないか、カミやん。金閣は鹿苑寺のあくまで一部やって」

姫神「確か。看板が。あったはず」

10153号「ほらここです、とミサカは入り口の門を指し示します」

番外「なんか狭い入り口だね……」

一方「本当にこの中にあの金閣があるンだろォなァ?」ドキドキ

10153号「ですから少しは落ち着いてください。小学生に笑われていますよ、とミサカは周囲を気にしてみます」
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:20:21.39 ID:m4MrK7QWo
土御門「初めて見るんだから大目に見てやるにゃー」

番外「ミサカやみんなだって楽しみにしてるんだからさ、あなたも少しは普通にしなよ」

一方「これが落ち着いてられるかよォ……金閣だぜ?金色っつったら無敵の色じゃねェか」

青ピ「無敵の色って何なんや……」

10153号「残念な人は放っておいて中に入りましょう」

上条「……行くか」

番外「あなたもソワソワしてないで行くよ」

一方「やべェ……緊張すンな」

10153号「ここがまず最初に通る参道です。冬では一昨日のような雪が積もった日はとても綺麗なのですが、今日はほとんど解けてしまっていますね。因み に、ミサカは紅葉を見ることが出来る秋の参道が好みです、とミサカはさり気無くどうせなら秋に来いよと付け足してみます」

土御門「それは仕方がないにゃー……。俺も秋のほうが好きだけど、秋は観光客が多くて苦手だぜい」
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:21:14.40 ID:m4MrK7QWo
一方「金閣はまだかァ……」

10153号「まだです」

一方「(´・ω・`)」

番外「ぷくくっ……」

10153号「そして、これが総門です。この中が境内ですね」

上条「あそこに見えるのは何だ?」

10153号「あれは鐘楼です。因みに、鹿苑寺の鐘は鎌倉時代に作られたとされる古いもので、1突き200円で一般客も鳴らすことができるんですよ、とミサカはかれこれ数百回も突いているベテランなのですと無い胸を張ってみせます」

番外「どんだけ突いてんの……」

一方「オマエはそれだけ金閣を愛しているのか……流石だぜェ」

10153号「金閣だけではなく鹿苑寺を愛しています、とミサカは訂正を求めます」

姫神「みんなも。突いてみる?」

上条「そうだな、学園都市じゃお寺なんてのはないし。除夜の鐘も鳴らないしなぁ……」
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:22:15.83 ID:m4MrK7QWo
青ピ「なら鳴らそうや!」ダダダダ

土御門「誰が一番大きな音で鳴らせるか勝負だにゃー!!」ダダダダ

上条「おい待てよ!」ダダダダ

10153号「あっ、境内で走り回るのは……!」

一方「元気な奴らだなァ……」

番外「ミサカたちも行こうよ」

一方「急ぐこともねェよ。金閣は逃げねェしな」

姫神「みんな。楽しそうでなにより」

10153号「……実はミサカも最初はあのようなものでした、とミサカは走り出す彼らを見て過去を振り返ってみます」

番外「なーんだ、偉そうなこと言って、あなたも走り回ったんじゃない」

10153号「まぁまぁ、ミサカたちも行きましょう、とミサカはシレっと受け流します」
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:22:48.89 ID:m4MrK7QWo
上条「うぉりゃ!」ゴーン

土御門「そらよっ!」ゴーン

青ピ「いくで!」ゴーン


一方「……どれも同じだなァ」

番外「鐘の音に違いなんてあんの?」

姫神「見てて。鐘なら。慣れてるから」

10153号「経験があるのですか?」

姫神「村で。突いたことが。ある」

一方「ほォ……」
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:23:41.14 ID:m4MrK7QWo
姫神「……」スッ

姫神「ふぅ……!」ゴワワーン

番外・一方「音が……違う?」

上条「何だ……?」

土御門「音が……?」

青ピ「うねっているやと……?」

10153号「……ほぅ」

一方「……俺が越えてやるぜェ」

番外「あんな音、あなたができるの?」

一方「ほら、退け。次は俺だ」

一方「……」スッ

一方「ふっ!」
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:24:41.80 ID:m4MrK7QWo
ゴーン......

一方「……何故だ」

10153号「ぶふぃー、最初の3人より音が小さいですよ」

番外「もやしは退きな。次はミサカの番だよ」

一方「チッ……やってみろ」

番外「ミサカが一番上手に突いてみせるからさ。あなたは指咥えて見てなよ」

番外「ふぅ……」スッ

番外「……とぅ!」

ゴワンゴワン

番外「~~っ!!」ジンジン

10153号「あーあ、やっちゃいましたね。打った瞬間に離さないからですよ、とミサカは突き方を言い忘れていたことを思い出します」シレッ

一方「あれって痛いンだよなァ……壁を殴った時とか」

上条「あ~分かるなそれ」

番外「それを早く言えっての!!!」ジンジン
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:25:23.27 ID:m4MrK7QWo
10153号「ではプロの技を見せてあげましょう、とミサカは袖を捲り上げます」

青ピ「なんや、鐘を突く舞妓はんって色っぽいなぁ……」ゴクリ

土御門「露となった腕がなんとも言えないぜよ……」ゴクリ

上条「おい、中学生相手に何を……」ゴクリ

一方「おィ」

番外「ほら突くよ」

10153号「…………」スッ

10153号「ふっ……」

ゴワーァーン ワーン ワーン ワーン......

「!?」

一方「す、凄ェ……」

番外「流石は数百回も突いたことだけはあるね……」

姫神「そんな。私が負けた……?」
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:26:09.64 ID:m4MrK7QWo
10153号「まぁ、こんなものですね。着物だと少し動きづらいのですが、とミサカは真の実力はこれくらいではないとやや残念そうに戻ります」

上条「いや、スゲーよ!鐘ってあんなにいい音が出るなんて知らなかったぜ!」

一方「……俺の負けだ」

番外「悔しいけどね。素直に認めるよ」


お坊さん「また君かい?ちゃんとお金払って貰わないと困るんだよ」

10153号「いつも通り研究所宛でツケておいてください」

一方「おい、金払ってなかったのかよ」

お坊さん「私が受け取りに行く度に研究所の人から笑われてるの知ってるでしょう?できれば払ってから突いてもらいたいんだけどね」

10153号「……というわけなので代わりに払ってくれませんか?」

上条「へっ?…………おいくらで?」

お坊さん「未払い分を合わせて……締めて4万円」

上条「」
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:27:12.42 ID:m4MrK7QWo
姫神「200回……だと……・」

番外「あなた、ホントに数百回で収まってるの?」

10153号「さぁ?あなたは今まで食べた食パンの枚数を覚えていますか?とミサカは質問を質問で返します」

番外「」

一方「……仕方ねェな、俺が払ってやる」

10153号「おぉ、流石アクセロリータ。そこに痺れる憧れるぅ!とミサカは感謝の意を表します」

一方「本当に感謝してンなら頭くらい下げろ……。ン、ほらよ」

お坊さん「ありがとうね。今度からはちゃんと払ってから突いてね?」

10153号「覚えていたらそうします、とミサカは踏み倒すつもり満々だったのを心に秘めながら前向きに検討します」

一方「……なァ、番外個体」

番外「ん?」

一方「オマエらって、普通な奴いンの?」

番外「………………はい?何度も同じこと聞かなくてもここにいるじゃん」

一方「……はァ」
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:28:27.97 ID:m4MrK7QWo
10153号「はい、ここで拝観料を払って中に入りましょうか」

一方「この中に金閣があるンだろォなァ?」ワクワク

10153号「はい。そこの門を過ぎたらすぐですから、とミサカは白い子供を宥めます」

番外「あなたはお金持ってるの?」

10153号「いいえ、ですからガイド料として払って頂こうかと」

番外「あなたねぇ……」

上条「拝観料くらいなら俺が払ってやんよ」

土御門「カミやん優しいにゃー」

青ピ「ボクらにも奢ってくれへんかー?」

上条「お前らはテメェで払いやがれっ!」

10153号「おぉ、流石はヒーローです、とミサカは横目でケチな姉妹を横目で見つめます」

番外「ぐぐぐ……」
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:29:20.88 ID:m4MrK7QWo
一方「おィおィ、それくれェにしとけ」ポンポン

番外「だ、だってミサカのことケチって……!」

一方「オマエのも俺から貰ってるしよ。そこまで張るな」

番外「むー……分かったよ」

一方「よしよォし」ナデナデ

番外「だ、だから子供扱いすんな!」ビリビリビリ

一方「おっとォ、反射反射ァ」カチッ

一方「……ん?ちょ」カチカチ

一方「あbbbbbbbbb」ビクーンビリビリ

番外「ったく、最終信号と一緒にすんなっての」スタスタ

一方「」シュープスプス

10153号「…………どんまい」
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:30:05.98 ID:m4MrK7QWo
一方「…………ひっく」ポロ...ポロ...

上条「……お前も俺と同じなんだな」サッ

一方「ヒーロォー……」ガシッ

10153号「……おかきでも食べますか?」スッ

一方「お、おォ…………」

一方「…………あァ……うめェな……うめェよ」バリバリ

土御門「なぁ、アレどこから出したぜよ?」

青ピ「さーな?飴ちゃんと同じようなもんやろ」

姫神「おかき。私も買おう」


一方「しょっぱくて……うめェな……」パリパリポロ...ポロ...
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:32:39.10 ID:m4MrK7QWo
その頃

14510号「充実した食事でしたね、とミサカ14510号はMNW三ツ星の称号を与えます」ニヘラ

打ち止め「楽しかったね!ってミサカはミサカはみんなに振り向いてとびっきりの笑顔で表現してみたり!」

御坂妹「ミサカが病院で摂取する質素な食事ともファミレスの食事とも全く質が違いました、とミサカ10032号は改めて外の世界を実感します」ニヘラ

18264号「セロリはこんなものを食べているのですか、とミサカ18264号は嫉妬を隠しつつ満腹感に浸ります」ニヘラ

14440号「ミサカたちが摂取しているのは生命維持に必要な栄養素くらいですからね、とミサカ14440号は自身の置かれている環境に若干の不満を漏らします」ムスー

10033号「食べるという動作の中には楽しむという趣向もあるようですが、先ほどの食事がまさに該当するのですね、とミサカ10033号はまたひとつ学習することができました」

20000号「漏れのメインディッシュはセロリたんだお」ハァハァ

冥土帰し「喜んでくれて何よりだね?」

冥土帰し(コース料理、しかも丁寧にデザートまで追加して挙句の果てには……どこであんなお金の使い方を学んだんだろうね?)サイフスッカラカン
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:35:01.71 ID:m4MrK7QWo
14889号「ところで、京都の研究所には妹達がいたはずですね。時間があればそのミサカにも会ってみたいものです、とミサカ14889号は提案してみます」

打ち止め「10153号のこと?ってミサカはミサカは聞いてみたり。その子なら昨日会ったよ?」

18264号「上位個体、会ったのであればそれを早く言ってください」

冥土帰し「昨日泊まった時に少し話をしてね。元気でやってるそうだよ?」

御坂妹「その研究所はどこなのですか?」

冥土帰し「会いに行くのかい?今行っても彼女はいないと思うがね。よく外出しているらしいよ?」

14440号「外出ですか。妹達はあまり人目に触れる所は避けなければいけなかったはずでは?」

10033号「京都は観光客が多いので逆にある程度紛れても大丈夫なのでは?とミサカ10033号は推測してみます」

18264号「10153号はフリーダムな生活を送っているのですね、とミサカ18264号は少し羨ましいです」

打ち止め「あなたたちも好き勝手してるでしょ!ってミサカはミサカは憤慨してみる!」

20000号「漏れはセロリたんの為に動いてるだけだお」キリッ

14510号「20000号、これ以上引っ掻き回さないでください……」

冥土帰し「まぁ、研究所を通して彼女に連絡を取ってみるけどね?」

御坂妹「それではお願いします、とミサカ10032号はまだ見ぬミサカに会うことを楽しみにします」
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:36:44.44 ID:m4MrK7QWo
10153号「この鹿苑寺金閣は、かの室町3代目将軍の足利義満が鎌倉幕府滅亡によって荒廃した西園寺を藤原一族から譲り受け、応永4年、1397年に建設したもので……聞いてますか?とミサカは相槌のひとつくらいしてくださいと振り返ります」

番外・一方・上条・青ピ「」

土御門「聞いてないぜよ。視線が釘付けだにゃー」

姫神「まぁ。彼らは。初めてだから」

10153号「……仕方ないですね。少しはミサカの話を聞いてください、とミサカはにじり寄ります」

上条「す、すまん。なんというか、呆気に取られててさ」

一方「なンてスバラシイ寺なンだァ……ふつくしい」ブワッサ

姫神(天使?)

青ピ(百合子ちゃんマジ天使)

番外「写真で見たまんま金色だ……。これが全部本物の金なんだよね?」

土御門「金箔だけどにゃー。結構な量だぜい」

一方「なァ、これっていくらするンだ?」

10153号「いや、売り物じゃありませんからね?文化財で世界遺産ですからね!?」
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:38:16.13 ID:m4MrK7QWo
青ピ「こんなもん買っても収まりきれへんで……」

上条「義満はこんなところに住んでたのかぁ……」

一方「……ちょっといいか?その将軍はここに住んでたってのかよォ……?」

番外「な!?将軍様やっべええ!!!」

10153号「あ、足利義満は金閣には住んでいなかったそうですよ。敷地内に住む為の大きな建物があったそうです、とミサカは説明します」

土御門「いいか。この金閣は釈迦を祀っていたとされる所なんだぜい。いくら将軍様とはいえ、仏教の開祖である釈迦のお骨の前でぐーすか寝泊りできるはずがないにゃー」

姫神「因みに。銀閣寺と同じように。義満の死後。お寺になった」

一方「何だァ……」

青ピ「ちょっと残念やな」

番外「住んでないなら金色にすることなかったのにね。それだけそのお骨が凄かったのか……。ミサカ分からないや」

上条「キリスト教でいうなら、聖母マリアやイエスの前で寝るようなものか」

土御門「ステイルやインデックスが聞いたら卒倒するに決まってるぜい」
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:38:48.81 ID:m4MrK7QWo
上条「土御門はここに何か不思議な力を感じるのか?」

土御門「まあにゃー。ここは特に大きな流れを感じるぜい。風水的にもかなりの、な」

10153号「あ、忘れてましたが、この金閣はオリジナルではありませんよ」

一方「……おい、それはどォいうことだ。これがニセモノだってのか!?」

姫神「言うならば。レプリカ」

番外「にゃに!?」

10153号「オリジナルである金閣は、今から約50年前の1950年に、とある修行僧によって放火され、焼失しました、とミサカは悲しい過去を告げます」

上条「焼失……?」

番外「なんだと……」

一方「」
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:39:37.82 ID:m4MrK7QWo
10153号「犯人とされた修行僧は裏山で自殺を図っていたところを逮捕され、そのことを告げられた母親は帰りの列車から投身自殺。その後、精神病と判断 された修行僧は入院中、結核のため他界しました。この事件は日本で起こったアプレゲール犯罪とされて記載されています、とミサカは事の顛末を説明します」

一方「」

一方「コクケカ、クカキカカカカ......」

一方「vbfueiof求vhof違veiovuogvb」ブワッ

姫神(天使が。悪魔になった)

青ピ(悪魔な百合子ちゃんも天使や)

番外「ちょっ!何キレてんの!!!」

上条「おい何やってんだ!」

土御門「早くアイツを止めるんだカミやん!周りに被害が出る前に!!」

上条「おい一方通行!」

一方「nuovfohvu偽wocghu破oghervbhtrge」

上条「えぇい、前略!その幻想をぶっ殺す!!」ドーン
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:41:08.36 ID:m4MrK7QWo
一方「すまねェ……俺はまた全てを壊しちまうところだった……」

番外「何やってんだか……。ここは学園都市じゃないから暴れられたら誰も守ってくれないよ?社会的に」

一方「何かよォ、俺が求めていたもンが偽物だと思ったらやりきれなくなってよォ……」

上条「一方通行。例え、金閣がオリジナルじゃない仮物だったとしても、復興しようと思った人たちのことを考えてみろよ。その人たちのお陰で今日俺らが金閣を見れたんじゃないのか?お前はそんな人たちの幻想まで否定しようっていうのか?」

土御門「因みに、その修行僧は自身の生い立ちや親からの期待に押し潰されて犯行を行ったとされているんだぜい?そいつはきっと、死ぬほど苦しかったに違いないんだにゃー」

一方「すまねェ……オリジナルだレプリカだとかそンなンは関係ねェのは俺がよく分かってるはずなのによォ……」

10153号「……ちょっといいでしょうか。それについては歴史で学ぶはずの事項ではありませんでしたか、とミサカはふとした疑問を抱きますが」

青ピ「そやで?一度焼失したことは教科書にも書いとる。常識や」

姫神「確か。中学校でも。習う内容」

番外・一方・上条「えっ?」

青ピ「カミやんもカッコいいこと言ったところ悪いけど、何も知らんかったん?」

上条「……すみませんでした」

10153号「あなたちもですよ、とミサカはふたりに苦笑いします」フフフ

番外・一方「……」ズーン
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:43:20.48 ID:m4MrK7QWo
再びその頃

冥土帰し「う~ん、研究所からは外出したまま帰ってきてないみたいだね?」

18264号「どこに行ったのかは分からないのですか?とミサカ18264号は詳細を求めます」

冥土帰し「行き先までは分からないね?端末にも出ないみたいだし」

14440号「では上位権限で居場所の割り当てはできないのですか?とミサカ14440号は走り回るクソガk、上位個体の肩を掴みました」

打ち止め「個体の位置情報までは分からないかも、ってミサカはミサカは一応MNWで呼んでみてるんだけど反応がないの」

20000号「ま、まさか……漏れを差し置いてセロリたんに陵辱の限りを……ッ!」

14510号「やっぱ最初からそのつもりだったんですね、この変態めが、とミサカ14510号は持てる力を振り絞って帯電します」ビリビリビリ

御坂妹「いえ、まだ一方通行に接触するとは決まってはいません、とミサカ10032号は万が一、相手があの人だった場合の打開策を巡らせます」
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:45:26.90 ID:m4MrK7QWo
10033号「ではどうするのですか?とミサカ10033号はこれからの行動の思案をします」

14889号「考えてもどうしようもありません。とにかく今は観光しましょう、とミサカ14889号は現状維持を提案します」

18264号「もう何もかも素直に番外個体に打ち明けてみたらどうでしょうか?とミサカ18264号は一抹の不安を抱えながら提案します」

20000号「それは無理じゃね?バラしたら漏れらはもれなく消し炭にされるお。でも……」

10033号「でも……一方通行なら……消し炭にされてもいいかな……」

14510号「もうこいつらいやだ」
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:46:41.91 ID:m4MrK7QWo
そして番外個体たちは......

10153号「――で、これは安民沢といって……」

一方「なァ、まだあンのか?俺は金閣はもう見たからもォ満足なんだが」

10153号「まだ散策するところは残っていますが、とミサカはまだ物足りません」

一方「ずっと立ちっ放しでだりィ……。膝が笑ってやがる」

番外「金閣寺って、金閣くらいしか見るものないと思ってたし」

上条「ひとつひとつ説明してくれるのは嬉しいんだけどな」

10153号「すぐそこに茶所があります。出口はすぐそこですが、休憩していきますか?とミサカは問います」

青ピ「お茶か。ええなー」

番外「お菓子とか出る?」

10153号「お菓子と抹茶が出ますよ、とミサカは答えます」

一方「コーヒーはねェのか……仕方ねェな」

土御門「ここまで来てコーヒーはないぜよ」
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:47:50.42 ID:m4MrK7QWo
at茶屋

上条「金箔……だと……」

番外「コレ、よく見たら金閣の形だよ?」

一方「甘そォ……」

番外「……ふぉ、ほへはほいひいかほ」モッキュモッキュ

一方「ポロポロ落としてンじゃねェよ」

青ピ「こりゃ美味いなー。中に甘納豆が入ってるで」モキュ

姫神「これは。中々」モキュ

番外「ん、抹茶も美味し」ング

一方「そ、そんなに美味ェのか?なら俺も…………」アレ、ナイヨ?
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:48:36.83 ID:m4MrK7QWo
番外「」モッシャモッシャ

一方「……オマエ、その口開けて中をよォく見せてみろ」

番外「みはは、はへへないほ」モッキュモッキュ

一方「…………あァ!?」ガタッ

上条「どうしたんだ?一方通行」

一方「何でもねェよ。……俺も抹茶飲むか…………ン?」アレ、マタナイヨ?

10153号「」ゴッキュゴッキュ

一方「……うおおあああァァァァァ!!!!!!」


番外「……コレってお土産屋さんに売ってないかな?」

10153号「銘菓金閣ですか?ここの売店に売ってますよ、とミサカは答えます」
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:50:11.33 ID:m4MrK7QWo
at売店

番外「何買おっかなー」フンフフーン♪

10153号「因みに、先ほどのお菓子はここでしか買えない限定商品です」

番外「じゃあミサカの分と、芳川の分に、あとは~……」

10153号「ジー……」

番外「あなたも欲しいの?」

10153号「ミサカはケチな人には強請りません、とミサカはハッキリ言います」

番外「ミサカはケチじゃねえっての!いいよ、ミサカが買ってあげるし」

10153号「やっほう!流石は我が姉妹です、とミサカはそそくさとレジに乗せます」

上条「俺もアイツらにお土産買わないとな……食いもんのほうがいいか」
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:51:55.00 ID:m4MrK7QWo
一方「……」ジー

番外「何見てんの?金閣寺のストラップ?」

一方「……あ?別に何でもねェ」

番外「あなたは携帯に何も付けてないからね。これ付けたらいいじゃない」

一方「チャラチャラしたもンなンか付けねェよ」

番外「ミサカがついでに買ってあげるから付けなよ。素直じゃねーの」

一方「……チッ、勝手にしろ」


一方「おォ……おォ……」キラキラ

土御門「あいつ、さっきから携帯に何してるぜよ?」

青ピ「そんなにあのストラップが気に入ったんやろか」

姫神「世間のお父さんの。車の鍵に。付いてるような感じ」

10153号「厨二のセロリは十字架や龍のようなデザインを好むものだと思っていましたが、意外にビターですね」

番外「うん、ミサカもちょっと驚いてるとこ……弄るに弄れない」

一方「金閣かっけェぜ……」
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:53:08.63 ID:m4MrK7QWo
10153号「では研究所はあっちなので、ミサカはこの辺で、とミサカは別れを惜しみます」

上条「また来る時はよろしくな」

番外「また今度ね。ぶっちゃけ、毎日会ってるけど」

一方「それ言ったら元も子もねェな。……あばよ」

10153号「はい、また会いましょう。……あ、最後にひとつだけ。ミサカに気をつけてください、とミサカは意味深な言葉を残しつつ帰路に就きます」

土御門「……なんのことだにゃー?」

青ピ「気ぃつけろと言われても今帰ってったばっかやん」

姫神「……?」

一方「アイツらはいつも意味分からねェからな。気にすンな」

番外「じゃあ帰ろっか。思ったより長居しちゃったね」

番外(ミサカに気をつけろ?確か京都にいる妹達は10153号だけだったよね……)

番外「まさかそんなことは……でもMNWで1回確かめた方が……」ブツブツ

一方「何考えてンだァ?ほら帰ンぞ」

番外「あ、うん」

上条「時間的にちょっと早いけど、余裕を持ったほうがいいな。それじゃ駅まで帰ろうぜ」
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/04(金) 23:55:51.97 ID:m4MrK7QWo
京都の研究所

10153号「ただいま戻りました、とミサカは報告します」

研究者「遅かったね。さっき先生から連絡が来たんだけど、そっちで会ったかい?どうやらこっちで何人かの妹達に出会ったそうなんだが」

10153号「いいえ、とミサカは答えます」

研究者「そうか……。まぁいい、今日は冷え込むそうだから早く着替えたほうがいい。つか怖い」

10153号「わかりました、とミサカは答えて部屋に戻ろうとします。ところで、ここに妹達が来ているのは本当ですか?」

研究者「詳しいことは聞いてないが、そう聞いているよ」

10153号「……やはりそうでしたか、とミサカは言葉を濁し部屋に戻ります。あ、これはお土産です」

研究者「金閣か、これ好きなんだよな。ありがとう」

10153号「半分はミサカの分ですからね、とミサカは付け加えます」

研究者「はは、分かってるさ」 
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/06(日) 22:52:20.94 ID:WSpi5wSFo
番外編~とある妹達と冥土帰し~


冥土帰し「さて、昼食はどこにしようかな?」

打ち止め「ミサカは美味しいところがいいなー、ってミサカはミサカは注文してみたり」

14440号「ミサカは京料理というものを食してみたいです、14440号は希望します」

14510号「ところで、懐石料理はどこで食べられるのでしょうか、とミサカ14510号は質問します」

14889号「京都の料理となれば、京都らしい建築物である可能性が高いのでは、とミサカ14889号は適当に述べてみます」

20000号「では京都らしいとはどのようなものでしょうか、とミサカ20000号はひとまずセロリたんより空腹を先に解決したいです」

10033号「やはり寺院のようなものな古臭い建築物でしょう、とミサカ10033号は結論付けます」

御坂妹「では、ミサカの視線の先にある古びた飲食店は何なのでしょうか、とミサカ10032号は該当する建築物を発見しました」

18264号「おぉ、よく見つけました10032号。ではここで食事を取ることにしましょう、とミサカ18264号は勇み足になります」

14440号「確かに、今まで見たことがないようなデザインですね、とミサカ14440号は一直線に向かいます」

冥土帰し「」

ミサカハミサカハミサカハミサカハミサカハミサカハ..........

冥土帰し「料亭……だと……」
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/06(日) 22:56:15.42 ID:WSpi5wSFo
女将「あら、先生。あの時は主人がどうもお世話になりました。今ではもう元気に厨房に立っております」

冥土帰し「あ、あぁ……。元気で何よりだね?ところで、予約はしてないのだが大丈夫かな?」

女将「それはそれは……もちろんにございます。私たち一同、精一杯の御もてなしをさせて頂きます」

冥土帰し「す、すまないね?」

女将「ところで、こちらの方たちはお孫さんで?7つ子とはこれまた珍しい……」

冥土帰し「ま、まぁね……」

女将「それではお部屋のほうにご案内させて頂きます」

御坂妹「ほぅ、これが京都の飲食店なのですね」チラチラ

14510号「どのような食事が出てくるのか楽しみです」ワクワク

10033号「ファミレスばかりのお姉様とは大違いですね」

18264号「ミサカたちは違いの分かる女なのです」キリッ

打ち止め「ミサカが一番乗りー!ってミサカはミサカはBダッシュしてみたり」タタタタ

冥土帰し「中で走っちゃ駄目だよ?」

女将「ふふ、元気なお子さんたちですね」
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/06(日) 22:57:17.10 ID:WSpi5wSFo
14889号「それでは何を選ぶか決めましょう、とミサカはお品書きを手に取ります」

打ち止め「ミサカはどれにしようかなぁー……」

20000号「それぞれ別のメニューを選ぶというのはどうでしょうか、とミサカは 20000号は提案します」

14510号「20000号にしては素晴らしい意見です、とミサカ14510号は賛同します」

10033号「ミサカたちで味覚を共有するのですね」

冥土帰し「高いね……」

御坂妹「ではミサカはこのコース料理にします、とミサカ10032号はお品書きのとある1行を指し示します」

14440号「ミサカはこれにしましょう、とミサカは14440号は10032号の1行下を指します」

ミサカハミサカハミサカハミサカハミサカハミサカハ..........


冥土帰し「えーっと、この中で安そうなのは、っと……そりゃ全部高いね?」
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/06(日) 22:59:44.67 ID:WSpi5wSFo
女将「お料理をお持ちいたしました」

18264号「おおぅ……これが……、とミサカ18264号は生唾をゴクリと飲み込みます」

14510号「ひゃっほう!こんな料理みたことがありません。これ全部ミサカたちが食べていいんですよね!?」ガタッ

御坂妹「余りの眩しさに料理が見えません、とミサカ10032号は思わずゴーグルを掛けます」ヴォン

10033号「もはや芸術です、とミサカ10033号は箸を持つことさえ忘れます」

冥土帰し「眺めてないで食べてくれると嬉しいんだけどね……?」

女将「それではごゆっくりお過ごしくださいませ」

20000号「おっと、ミサカたちは食事を行おうとしていたのでした」

打ち止め「それじゃいただきまーす!ってミサカはミサカは両手を合わせてみたり!」

14440号「ではいただきます、とミサカは礼儀作法に習い両手を合わせます」

冥土帰し「いただきます」
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/06(日) 23:01:22.77 ID:WSpi5wSFo
御坂妹「ッ!?こ、これは……!?」テーレッテレー

10033号「このフグの刺身、とても美味しいですねとミサカ10033号は頬っぺたが落ちそうです。いいえ、落ちました」

打ち止め「ヨミカワのご飯より美味しいよ、ってミサカはミサカは今度はどれを食べてみようかな」

14440号「共有だけでは物足りません。ミサカにも分けてください、とミサカ14440号は10033号のフグ皿に箸を伸ばします」

14889号「グッジョブです、とミサカ14889号はここにはいない板長に惜しみない賞賛を送ります」モグモグ

冥土帰し(フグ刺しをそんなに一気に頬張るとは……なんて勿体無いんだ)

20000号「こちらのカニも濃厚ですよ、とミサカ20000号はカニの身を見せびらかします」ピラピラ

14510号「20000号はさっきから食べ方がいやらしいです、とミサカ14510号は大人しくカニを寄越せと要求します」

18264号「見てください、この寒天状の物質の中に魚のすり身のようなものがあります、とミサカ18264号は新発見です」

14889号「早くそれも共有してください、とミサカ14889号は18264号に食べるよう勧めます」

御坂妹「こんなに美味しいお吸物は病院では飲んだことがありません」ズズー

冥土帰し「……まぁ、楽しんでるならいいけどね?」

ミサカノミサカノミサカノミサカノミサカノ............
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/06(日) 23:02:54.82 ID:WSpi5wSFo
芸妓「失礼いたします」ガララ

20000号「舞妓キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!」

冥土帰し「芸者?僕は頼んだ覚えはないけどね?」

御坂妹「ミサカたちが注文の際こっそり頼んでみたのです、とミサカ10032号は事後報告します」

14440号「食事を終えたミサカたちにグッドタイミングですね、とミサカ14440号は実は計画していたことを正直にばらします」

打ち止め「え?そんなことやってたの?」

冥土帰し「」

14510号「お座敷遊びというのをガイドブックで見ましたが、京都に来たからには経験してみたいですからね、とミサカ14510号は意気込んでみます」

10033号「ミサカはおまわりさんがしたいです!とミサカ10033号は勢いよく挙手します!」

18264号「ミサカはトラトラがいいです」

20000号「ミサカは野球k」

14889号「言わせねえよ!?」

冥土帰し「もうどーにでもなーれ?」
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/06(日) 23:03:59.53 ID:WSpi5wSFo
芸妓「それでは始めますよ?せーの!」ジャンジャジャンジャ

「よいよいよい」トントントン

「おっまわっりさん」ジャンケンポン

「おーまわりよいとさ」ミサカクルクル ゲイシャトントン

「おーまわりよいとさーの」ジャンケンポン アイコ

「おーまわりよいとさ」ジャンケンポン

「おーまわりよいとさ」ゲイシャクルクル ミサカトントン

「おーまわりよいとさ」ジャンケンポン

「おーまわりよいとさ」ミサカクルクル ゲイシャトントン

「おーまわり「め、目がままわ……」ドテチン

芸妓「ミサカちゃんの負け~」
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/06(日) 23:05:24.98 ID:WSpi5wSFo
10033号「ミサカの視界がクルクル回ってます……、とミサカは……」フラフラ

御坂妹「これがおまわりさん……っ!」

14889号「10033号の三半規管が甚大な損傷を受けています、とミサカ14889号は平衡感覚を失っているフラフラの10033号の状態を分析します」

14510号「……これは座敷遊びとは名ばかりの戦争なのですね、とミサカ14510号は震えが止まりません」ブルブル

18264号「お座敷遊び怖ぇ……」

20000号「なるほど……目を回せばセロリたんも……」

冥土帰し「そんな怖い遊びじゃないんだけどね?」

芸妓「負けたミサカちゃんには罰杯~」 ※未成年なのでオレンジジュースです

芸妓「ミーサカちゃ~んの~ちょっといいとこ見てみたい~♪」ジャンジャジャンジャ

芸妓「そーれいっきいっきいっきいっきいっき♪」ジャンジャジャンジャ

10033号「んっ!」ゴクッ

芸妓「ミ~サカちゃ~んは、お強い♪」ジャン
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/06(日) 23:06:52.58 ID:WSpi5wSFo
14889号「10033号、なんという様ですか」

10033「す、すみません……、とミサカはがっくしと項垂れます……。ですが、とても楽しかったです、とミサカは目を輝かせてみせます」


14440号「10033号がやられたようだな……」

20000号「ふふふ……奴は我ら妹達の中でも最弱……」

御坂妹「芸者如きにやられるとは軍用クローンの面汚しよ……」

18264号「では次はミサカが行きましょう……」

14510号「18264号……あなた程度で勝てるのですか……?」

18264号「ふふっ、まぁ見ていてください……」


打ち止め「……あなたたちって本当に仲いいのね」

冥土帰し(こう見ると彼女らも相応の女の子なんだね……)

ジャンジャジャンジャジャンジャ......
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/06(日) 23:07:58.29 ID:WSpi5wSFo
18264号「負けました……」フラフラ

御坂妹「……思えば、ミサカたちの基本スペックはほぼ等しかったのですね」

14440号「それを早く言ってください」

14510号「ですが、ミサカたちは共有することによって学習することができます」

20000号「つまり、過去2回の実戦データを元にすれば勝利することも可能というわけですね」

14889号「それならば、次はミサカが出ましょう」

10033号「任せました、14889号」

18264号「ミサカの仇を取ってください」

14889号「……任せろ」

打ち止め「じゃあミサカは14889号の次ー!」
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/06(日) 23:09:44.79 ID:WSpi5wSFo
ジャンジャジャンジャ...... イッキ!イッキ! オッマワリサン!  イッキ!イッキ!

御坂妹「全滅です、とミサカ10032号は敗北を認めます」

打ち止め「なんで勝てないんだろう……ってミサカはミサカは肩を落としてみる」

14510号「じゃんけんに勝ててもリズムに身体が追いついていきません、とミサカ14510号は敗因を分析してみます」

14889号「軍用クローンであるミサカたちが何故このような単純動作について行けないのでしょうか、とミサカ14889号は理解できません」


芸妓「そこのお医者さんもどうどすか?」

冥土帰し「……仕方ないね。見てばかりじゃなくて僕もやってみようかな?」

芸妓「ふふ、医者といえど、負けたら罰杯どすえ……覚悟しいや」
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/06(日) 23:10:38.69 ID:WSpi5wSFo
ジャンジャジャンジャ......

「よいよいよい」トントントン

「おっまわりさん」ジャンケンポン

「おっまわりよいとさ」カエルクルクル ゲイシャトントン

「おっまわりよいとさ」ジャンケンポン

14440号「……この医者、動くぞ!?」

20000号「ステップぱねぇ」

オッマワリヨイトサーノ オッマワリサン......
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/06(日) 23:11:15.76 ID:WSpi5wSFo
10033号「勝っ……た……?」

14510号「長い戦いだった……」

御坂妹「あなたはいったい……?」

冥土帰し「……僕を誰だと思っている?」

14889号「これがヘヴンキャンセラーの真髄なのか……」

20000号「次は野球拳をしm」

18264号「ではトラトラをしましょう!とミサカ18264号は張り切ります」

トラトーラトーラトラ♪ ミサカハミサカハミサカハミサカハミサカハミサカハ.... 

ボクノカチダネ? コンドハミサカガカチマシタ! イッキイッキイッキ!
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/06(日) 23:13:08.74 ID:WSpi5wSFo
冥土帰し「……ちょっと飲み過ぎたみたいだ」

打ち止め「大丈夫?ってミサカはミサカは気を使ってみたり。ちょっとお酒臭いかも……」

女将「本当に御代を払って頂いてよろしいんですか?私どもにとって命の恩人、これくらいで恩を返せるとは思ておりまへんが……」

冥土帰し「無銭飲食をするために医者をやってるのではないからね?お代は払わせて貰うよ?」

女将「分かりました……。締めて30万円になります」

冥土帰し「」

御坂妹「ゴチになりまーす!」

妹達「ゴチになりまーす!」


番外「あれ?なんだかフワフワしてきたよ?」

一方「あァン?何だそりゃ」 
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 01:48:43.22 ID:UjNAucnEo
垣根「おお一方通行か、早かったな」

一方「俺が遅れるとでも思ったかァ?」

番外「ミサカたちが一番早かったと思ったらそうでもないみたいだね。集合時間まであとどれくらい残ってるの?」

垣根「もうあと10分ちょいだな。バスの中にいも何人かいるから、集まってんのは見えてる数だけじゃないぞ」

番外「ふぅん。外は寒いし、ミサカはバスに戻ってるけどあなたはどうする?」

一方「俺も戻るか」

垣根「あとは帰るだけだし、疲れたなら中で眠っててもいいぜ。あ、荷物はどうする?バスのトランクに入れておくか?」

番外「んにゃ、席まで持って行くよ。ていとくん」スタスタ

一方「寒い中ご苦労さン、ていとくン」カツカツ

垣根「ていとくんじゃねぇ!……全く、アイツらのせいで皆からていとくんって呼ばれてるの知ってんのか?」
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 01:50:38.05 ID:UjNAucnEo
バスの中

番外「ミサカの席どこだっけ、あれ~?」

一方「ここじゃねェか?この遊園地のガイドブック、オマエのだろ」

番外「そうそう、ここだった」ドサッ

一方「土産は落とさねェように気をつけろよ。大事な菓子入ってンだろ?」

番外「大丈夫大丈夫。ミサカはそれくらい分かってるよ」

一方「ならいいンだけどなァ……眠ィ」

番外「今日はずっと歩きっ放しだったもんね。ミサカも眠たくなってきちゃった」

一方「かなり無茶して計画したからなァ……結局、龍安寺っつーのには行けなかった」

番外「まぁ、過ぎたことは気にしない。第1位がそんなウジウジしてたんじゃミサカも面白くないって……の……?」

一方「すゥ……」

番外「ありゃりゃ、ミサカの前で寝るなんて無防備にも程があるねぇ?」

一方「くゥ……」

番外「……はぁ、そんなんじゃまた風邪引くよ」パサッ

番外「あなたが病気になったらミサカまで移るじゃん。同居人のことまで考えろっての」
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 01:52:46.56 ID:UjNAucnEo
ガロロロロロロロロロ..........

一方「ン……寝ちまったか」

垣根「おはようさん、一方通行。よく寝てたようだな?」

一方「……垣根か。何で見てやがる?」

垣根「もう着いたぜ?だから起こしてんだよ」

一方「もォ着いたのか」

垣根「そっちのお姫様も起こしてやったらどうだ?」

一方「……おィ、番外個体起きろ」

番外「んん……おはよう。ここどこ?」

一方「ここどこ?じゃねェ。着いたから起きろってンだ」

番外「起きてるじゃない。見て分かんねーの……んにゅ……」

一方「どォ見ても二度寝しようとしてるじゃねェか」
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 01:54:23.31 ID:UjNAucnEo
番外「ふあぁ~……。分かったよ。分かった分かった」ノビー

一方「荷物忘れンなよ。忘れンなら俺が持ってって中身全部食っちまうぞ」

番外「忘れるなんてしねーし。そんなに心配ならあなたが持って行ってくれてもいいんだよ?」

一方「チッ……」スタスタ

垣根「結局持ってってやるんだな」

番外「あの人は以外と単純だからね」

垣根「分かってんじゃねぇか、お嬢さん」

番外「ミサカを何だと思ってんのさ」

垣根「何だろうな、友達以上恋人未満?いや、素性を知ってる側から見たら恋人にも見えるかもな。傍から見たら仲のいい女同士だけど」

番外「……それはねーよ。それ以前に友達なんかじゃないし」

垣根「ふーん。まぁ外野が突っ込むようなことじゃねぇな。でもよ、俺からはお前らが仲良く見えるぜ」

番外「……LEVEL5ってのはどれも変なのかねぇ。どこを見たら仲良く見えるのやら」スタスタ

垣根「おい、レベルは関係ねぇって……」
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 01:55:59.35 ID:UjNAucnEo
垣根「…………学習装置で得た心の器は借物だとしても、そこに詰まった心は本物なのによ」

垣根「真珠貝が海中のゴミをコーティングして真珠を作り出すようにな……。元は問題じゃねぇんだよ」

垣根「………」

心理「帰ってこないと思ったら、まだ中に居たのね」

垣根「バスの点検してんだよ。これでも相棒だからな」

心理「点検って……ただ座って耽ってるだけに見えるけど?」

垣根「……なぁ、心理定規。あの時、アイツらの心理距離測ったんだろ?」

心理「何を突然言い出すのかしら?」

垣根「質問に答えろよ。……どうだったんだ?」

心理「ふふ、それはね――」
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 01:57:29.07 ID:UjNAucnEo
番外「お土産置いてくれた?」

一方「おォ、荷物はそこに置いてンからよ。横置きでよかったンだよな?」

番外「んにゃ。縦置き」

一方「うォォい!?型崩れしちまったンじゃねェのか?ボロボロに崩れた菓子をクソガキに出すのかよ!?」

番外「……嘘。ギャハ☆」

一方「えっ」

番外「いや、マジ顔されてもミサカ困るんだけど」

一方「……今のは忘れてくれ」

番外「MNWに流してもいいんだけどなー?」

一方「やめて頂けませンでしょうか。お嬢様」

番外「あ、今のよかったよ」

一方「……チッ、うぜェ」
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 01:58:50.70 ID:UjNAucnEo
トントン

番外「ちぇっ、いいトコだったのに。……誰か来たよ?出たほうがいいかな」

一方「オマエが出てくンねェか?」

番外「仕方ないね。よいっしょ」

トントン

番外「今出ますよーっと」

上条「おお、今から外でバーベキューやるから来いってさ」

番外「ばーべきゅー?」

一方「BBQだァ?そンなことは聞いてねェが」

上条「俺たちも聞いてなくてさ、旅館のプランだそうだぜ」

番外「ばーべきゅーって何?」

一方「バーベキューってのはなァ。外でやる焼肉みてェなもンだ。串刺して肉焼いたり肉焼いたり肉焼いたりすンだぞォ?」

番外「肉しか焼いてないじゃん」

上条「まぁ、早く来いよ。俺はまだ準備があるから先に行ってろ。正面玄関の前だ」

一方「おォ!肉は俺に任せろォ!!」

番外「バーベキューねぇ……」
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 02:00:01.09 ID:UjNAucnEo
小萌「百合子ちゃんにミサカちゃんが来たですよー」

垣根「遅かったじゃねーか。いちゃいちゃするにはまだ早いぜ?」

一方「いちゃいちゃすンのは三下と超電磁砲だけにしやがれ」

番外「そこであの人とお姉様を挙げるのはどうかと思うよ」

一方「ンで?バーベーキューだなんて聞いてないぞ?」

垣根「そりゃ決めてなかったからな。今日の今日まで」

番外「決めてないって?」

削板「俺もさっき聞いたときは感動のあまり心の臓が飛び出そうだったぞ」

上条「小萌先生、みんな呼んできました」

青ピ「こっちも準備できましたでー」

土御門「これでいつでも始められるにゃー」

小萌「上出来なのですよー」

一方「何が始まるンだ?」

番外「バーベキューでしょ」

吹寄「そうなんだけどね。……その前に」
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 02:01:34.03 ID:UjNAucnEo
上条「アクs……鈴科百合子」

一方「あァ?」

土御門「鈴科ミサカちゃん?」

番外「ん、何?」

青ピ「せーのっ」

「「「  1 年 7 組 に よ う こ そ ! ! 」」」 クラッカ-パーン!!

番外・一方「」


番外「えっ?何!?」

一方「……これは何のつもりだ?」

上条「そういえばさ、お前たちが転校してきてから何もしてなかただろ?」

青ピ「せやから、歓迎パーティをしようとやな」

番外「歓迎パーティ……」

土御門「それなら修学旅行の時にでも合わせてしようとなった訳だにゃー」
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 02:02:26.87 ID:UjNAucnEo
姫神「実は。こっそり旅館の人に。協力してもらった」

垣根「お前らのこと小萌先生たちに聞いてよ。それならという訳でセッティングしたんだぜ?」

一方「くっだらねェ……」

吹寄「みんな、火が点いたわよ」

上条「おお、それじゃあ始めようぜ!」

番外「ということみたいだよ?」

一方「……なァ」

番外「何?第1位が変な顔して」

一方「こンな時ってよ、どォしたらいいンだ?」

青ピ「笑えばいいと思うで」

上条「笑って、楽しんで、馬鹿騒ぎして」

土御門「それが歓迎会ってもんだにゃー」

一方「……ふっ、そォかよ」
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 02:03:42.40 ID:UjNAucnEo
番外「これがバーベキューねぇ……」

上条「ほら焼けたから食えよ」

番外「ん、ありがと。一方通行は?」

上条「……あっち」

番外「あっち?」


一方「うおォォォォァ!」ガツガツ

削板「いい根性だな!俺も負けてはおれん!こんっじょおおおおおお!!」ガツガツ


番外「……何だアレ。どこのフードファイターだよ」

上条「あそこまで肉好きだったんだな。確かに昼飯の時も凄かったけどさ」

番外「あんなに食べて太らないのが理不尽だ。今は能力もまともに使えないはずなのに」

上条(アイツもインデックスと同類なのか?)

番外「家でもああなんだよね。肉料理の日は見てるこっちまで胸焼けしそうだよ。うげぇ」
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 02:04:33.66 ID:UjNAucnEo
番外「おーい」

一方「番外個体か。オマエも食ってンのか?」

番外「ミサカの心配するのはいいんだけど、両手いっぱいに串持つのは頂けないね」

一方「ンなことはどォだっていいだろォよ」

番外「食べ終わった串くらい捨てなよ、みっともない」

番外「あと……はい」

一方「ン?」モッシャモッシャ

番外「食べなよ」

一方「おゥ……って何だこりゃ」

番外「何って玉ねぎ」

一方「玉ねぎしか刺さってねェじゃねェか!!」

番外「じゃあこっち?」

一方「こっちはピーマンかよ!?」

番外「肉ばかり食ってるあなたにミサカからのサービス。そんな食生活じゃいつかメタボになるかもね。うひゃひゃひゃ」

一方「なンねェよ……」
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 02:09:17.49 ID:UjNAucnEo
ウヒャヒャヒャヒャ!! アアモォヨセツケンナァ!!

垣根「……乙女だけの秘密よ、か」

削板「考え事か?俺でいいなら相談相手になるぞ」

垣根「ははっ、人の話を聞けない奴が何言ってんだよ」

削板「……暗部のことか?」

垣根「いいや、そんなことじゃない。今じゃもう暗部は腑抜けの集まりだしな。何もできやしねぇよ」

削板「俺は世界大戦のこともよく分からんからな、どんな事情があったのかは知らない。第1位が何であんなことをしているのかも知らないし、傍にいるあの子についても聞くつもりもないけどよ」

垣根「お前は最下位でもLEVEL5、多少は掴んでいるんだろ?」

削板「……前に似たような子に一度会ったことがあってな。会った、というより遭遇したんだが」

垣根「?」

削板「ある日、9人の女の子が倒れてるのを見つけちまってな。何とこれが9つ子でよ。まぁ、その後色々あって、俺はその女の子を襲った奴に負けたんだが」

垣根「9つ子?そりゃ珍しいな。お前が負けた相手も気になるけどな」
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 02:12:05.48 ID:UjNAucnEo
削板「更に、その子らの着てた服が常盤台の制服だったんだよ」

垣根「……おい、それって」

削板「常磐台って希少性とかはそれ程重要視しないんだってな?9つ子の能力者なんて珍しいのはそれこそ長点上機の専門だ」

垣根「……知ったんだな」

削板「ああ、それから俺もLEVEL5の権限使って研究所やら回って調べたんだがな。常磐台には9つ子なんて生徒は存在しなかった」

削板「そして、調べていく中でそっくりな生徒を見つけた。第3位の超電磁砲だ」

垣根「第3位の体細胞クローン、妹達……」

削板「噂では聞いていたが、真実だと知ったときは驚いたぞ。そこまで調べ上げるのにかなり神経を使ったけどな。なんせ、国際法で禁止されている人間のクローン研究だ。しかもそれを大量に生産してやがる」

削板「……それ以上に、生命の冒涜だぜ?根性なんてもんじゃねぇ、腹の底から怒りが沸き上がってきやがった」

垣根「となると、じきに絶対能力進化計画も知ったんだろ?」

削板「その頃には凍結してたけどな。第1位と一緒にいる、あの子もその中のひとりか?」

垣根「あれは別件らしい。絶対能力進化計画がセカンドシーズンなら、あの子は恐らくサードシーズンだ」

削板「おい、まだあるのか!?」
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 02:13:19.79 ID:UjNAucnEo
垣根「俺も存在しか知らねぇ。内容までは把握し切れていない。あの頃の俺はただのしがない工場長だったからな」

削板「それもやべぇもんなのか?」

垣根「さぁな。だが、あの子の言い方じゃそれも凍結してんじゃねーの?心理定規は何か知ってそうだが教えてくれねーし」

削板「そうか、ならいっか」

垣根「思ったよりあっさりしてるな」

削板「終わったことならそれでいいだけだ。作られた命だろうが何だろうが、その子たちが長く生きて人生を謳歌できればそれでいい」

垣根「単純だな」

削板「でもそれが一番だろ?」

垣根「そうだな、悪くはねぇ」
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 02:14:22.56 ID:UjNAucnEo
削板「でもよ、何で第3位なんだろうな?ランクが上の第1位やお前じゃ駄目な理由が分からん」

垣根「そりゃお前、野郎よりも女の子のほうがいいからだろ?」

削板「……だな。ほら、お前も食えよ」

垣根「もう食えねーよ」

削板「根性が足らんな」

垣根「お前が異常なだけだ。このナンバーセブンが」

削板「はは、常識が通用しないのがお前の売り文句だろ?第2位未元物質さんよ」

垣根「……いいぜ、望むところだ。ありったけの肉を持って来いよ」

削板「お前の根性、見せて貰うぜ?」
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 02:16:19.37 ID:UjNAucnEo
オレニジョウシキハツウヨウシネェ!! コンジョォォォォ!!!!

番外「ねぇ、あのふたりは何やってんの?」

一方「あンま触れないほォがいいな……。うェっ、ピーマン不味ィ」

番外「結局食べてんじゃん」

一方「オマエのもカボチャばっかじゃねェか。肉がちびっとしかねェし」

番外「食物繊維が豊富で体にいいんですー。ミサカは健康に気を使ってるんだからね」

一方「肉ばっか食ってたら喉乾いてきたな」

番外「コーヒーは無いよ。お茶かジュースくらい」

一方「じゃあ茶でいい」

番外「……ん」

一方「行くンじゃねェのか?」

番外「はぁ?ミサカが?行くわけないじゃん」
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 02:17:41.49 ID:UjNAucnEo
一方「……ったく、オマエは何がいい?」

番外「ミサカもお茶でいいよ。ウーロン茶ね」

一方「知ってるか?ウーロン茶に脂肪燃焼効果なンてねェンだぜ」

番外「それくらい知ってるし。飲むだけで痩せたら誰も苦労していっての」

一方「チッ、つまンねェの」カツカツ


17600号「ミサカにもくださいな」

吹寄「あっ、今焼けたところだから。はいどうぞ」

17600号「ありがとうございます」

吹寄「あんな子、うちの学校にいたかしら……」


17600号(木を隠すには森の中、人を隠すには人の中。流石はプロスネークことミサカです、とミサカは自画自賛します。うめぇ) 
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 21:58:44.35 ID:UjNAucnEo
食後、部屋にて

一方「はァ~腹一杯だァ……」

番外「ミサカ、しばらく体重計には乗れないや。見たくもない……」

一方「クカカカッ、ベクトル操作で脂肪燃焼くらい一瞬だ」

番外「だから太らないのかよ!?このチートめ、ミサカにm」

一方「これを誰かにしてやるとなると、一気に精密になるから疲れるンだわ。ミスったら骨と皮だけになるンだぜ、笑えねェよ。自分の身体なら感覚的にすぐ分かるから楽なんだがなァ。それでも神経使うが」

一方「……それによォ、オマエは俺に身長体重体脂肪率その他諸々を俺に隠さず言えンのか?参考にする元の数値がなけりゃできねェだろォが」

番外「……そだね。頼もうと思ったけどやっぱりやめるよ」

一方「そのほうがいいな。痩せようとする努力がなけりゃ何度でもリバウンドしちまうからよォ」

番外「あなただけはその台詞を言っちゃ駄目な気がする」
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 21:59:50.00 ID:UjNAucnEo
番外「……ねぇ、なんか服が油臭い気がするんだけど?」

一方「肉食ったからなァ、油が跳んだかもしンねェ」

番外「お得意のベクトル操作で跳ばしてよ」

一方「制服のほうはそォするか。俺らは風呂だな」

番外「また女湯?ひゃひゃひゃ、今度は誰に見られるのかなぁ?」

一方「もうあんなヘマはしねェよ。初手混浴だァ」

番外「上がったら卓球だからね。昨日約束したもん」

一方「……そォだったか?」

番外「絶対した」

一方「ならいいけどよォ。負けてもしンねェぞ?」
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:01:51.67 ID:UjNAucnEo
番外「ミサカは妹達の中でも特別だからね。スポーツくらい楽勝だっての。あなたこそ負けたからってわんわん泣かないでよね?」

一方「三下が舐めた口聞いてっと後で痛めに遭うぜェ?」

番外「ぶっひゃひゃひゃひゃ!それくらいじゃないと潰し甲斐がないってもんだよ、第1位」

一方「クカカカカカ!オマエなンぞ能力を使うまでもねェよ!せいぜい捨て台詞のひとつやふたつ考えておいたほうがいいかもなァ!」

番外「ミサカの補助がないと廃人一直線のあなたが吐く台詞とは思えないね。そんな大口叩く自信があるなら相応のリスクってのを払って貰わないと。……そうだ、負けたら方は勝った方の言うことをひとつ聞くってのはどうかな?」

一方「ハッ!何をほざくと思ったらくっだらねェ。勝つのは俺に決まってンだろォが。やる前から分かっている勝負に罰ゲームの提案だァ?墓穴にも程があンぞ、番外個体ちゃァン?」

番外「その見下した笑顔、いいね。とってもいいよ、第1位。それを壊す瞬間はどれだけ気持ちいいんだろう。あなたを地に伏せる瞬間、ミサカはどう感じるんだろう?ミサカ、想像するだけで興奮しちゃうな☆」

一方「あの時は有耶無耶に終わったからなァ……。今度は最後まで決着つけてやンぜ。精々自滅だけはすンなよォ?」

番外「相変わらず自分勝手に進めるんだね。その腐った性根、ミサカ好みに叩き直してあげるよ」

一方「……じゃあ行くか」

番外「うん」
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:03:03.14 ID:UjNAucnEo
番外「おっ?もうやってる人がいるね」

一方「……三下かァ?土御門に青ピもいるな」

番外「おぅい、もう卓球してるの?」

土御門「部屋にいても何もすることないからにゃー。風呂入って暇を持て余してるとこだぜい。そらっ」

青ピ「ここはゲーセンもないからなー。ほいっ」

上条「……」

一方「三下は何やってンだ?」

番外「ずっと顔を背けてばっかだけど」

上条「……」

土御門「いつものことだぜい」

番外「はぁ?」
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:06:42.42 ID:UjNAucnEo
青ピ「女湯に突っ込んだ。それだけや」

土御門「それでいて不幸だ不幸だ、ってな。カミやん、あとで殴らせろ」

上条「あんひゃへなひゅられてまひゃなふふんでふかー!?」

 訳:あんだけ殴られてまだ殴るんですかー!?

青ピ「ボクらはまだ粛清してへん。親友としてケジメはつけような、カミやん?」

番外「……ぶっひゃひゃひゃひゃ!何その顔!ジャガイモみてー!!」

一方「オマエなァ……そこまでして覗きたいのかよ」

上条「わひゃとひゃねーほ!それほいふなは、おはえひゃっへおんはふはいっへんひゃへーは!」

 訳:わざとじゃねーよ!それを言うなら、お前だって女湯入ってんじゃねーか!

番外「ミサカ、何言ってるか分からない。あなたは分かる?」

一方「……ンや、全然分かンねェわ」

番外「んじゃ、ミサカたちはこれからお風呂だから。ばいばい」
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:08:03.07 ID:UjNAucnEo
土御門「……なぁ、青ピ」

青ピ「言わんでも分かっとるわ」

土御門「アイツ、女湯に入ってたんじゃないか?」

青ピ「…………」

上条「ふほーは……」


一方「誰かいるか?」

番外「誰もいないよ。昨日は仕方なくミサカが見てあげたけどさ、確かめるくらい自分でやったらどうかな?」

一方「いないならいい」

番外「無視ですかそうですか。後でその白肌を隅から隅まで撫で回してもいいんだけど」

一方「その前にオマエを撫で回す」

番外「……今日は籠がどれも埋まってるね。大丈夫かな」

一方「俺は女湯には入ンねェから関係ねェけどな」
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:10:08.45 ID:UjNAucnEo
カコーン

番外「……誰かいる。湯気でよく見えないけど」

一方「男か?女か?男だったらちっと不味いかもしンねェ……」

番外「みんな女の子みたい」

一方「混浴風呂なのに女しかいねェのか?変だろ」

番外「人が多いと苦手な子もいるんじゃないかな。ミサカみたいにね」

一方「それでも男と一緒になるリスクがあるンだぜ?そっちのほうが駄目だろォが」

番外「まぁ、気にするだけ無駄だよ。露天風呂はひとつじゃないんだし、あの子たちとは別のお風呂に入ればいいだけじゃないの?」

一方「……だな」

番外「学園都市第1位がこれくらいでビビってちゃ、ていとくんに笑われるよ」

一方「誰がていとくンに笑われるってかァ!?」

番外「しっ、大声出しちゃ駄目だって」

一方「すまねェ」
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:10:49.65 ID:UjNAucnEo
一方「……あいつらが浸かってるのは俺たちが昨日浸かってたやつだな」チラッ

番外「じゃあミサカは岩風呂がいい」

一方「そんなもンがあったのか?」

番外「普通気付かない?そこにあんじゃん」

一方「昨日は夜遅かったからなァ、きっと湯気で見えてなかったンだろ」

番外「凄く言い訳がましいんだけど、ミサカの気のせいかな」

スタスタカツカツ......

一方「アイツら、見てるな」

番外「……見てるね」

一方「俺が誰だか分かってやってンのか?」

番外「今のあなたは百合子ちゃんでしょ。あ、上がってこっちに向かってきた」
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:11:42.97 ID:UjNAucnEo
ゾロゾロ......

一方「おい、マジかよ……」

14510号「ア、一方通行さんこんばんは……」

10033号「ミサワさんもご一緒ですか?実に羨ましいですね」

20000号「セロリたんの汗を流す前になめなめしたいお」

14889号「20000号は黙ってください。一方通行、お先に失礼してます」

御坂妹「あの人は来てないのですね……」シュン

14440号「お背中洗いましょうか?」

18264号「ぶふぃー、セロリが一丁前にバスタオル巻いてやんの。無乳ですね、ミサカのほうがありますよ」

一方「」

番外「な、何であなたたちが居るの!?」
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:13:05.91 ID:UjNAucnEo
その頃、研究所では

冥土帰し「あの子たちが消えた?」

研究者「すみません……。少し前に夜の金閣寺を見に行くと言って出て行ったきりで……」

10153号「ライトアップされた金閣は綺麗ですからね」

打ち止め「なんでミサカも呼んでくれなかったの?ってミサカはミサカは不貞腐れてみたり」

10153号「今鹿苑寺に連絡を入れてみました。ですが、妹達と似た形質の個体は見ていないそうです」

研究者「10153号。それは本当かい?」

冥土帰し「不味いね……」

打ち止め「もしかして……」

10153号「上位個体、どうかしましたか?」

打ち止め「あの子たちはあの人を追いかけてきたんだよね?なら……」

10153号「一方通行の元に向かった、ということですか?」
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:13:58.48 ID:UjNAucnEo
冥土帰し「しかし、彼の宿泊先は僕しか知らないはずだね?」

打ち止め「17600号……」

10153号「それしか考えられる要因はありませんね」

研究者「どうしますか?もし行かれるなら、研究所の車をお貸ししますが」

冥土帰し「ふむ……ここからは少し遠いね?」

10153号「どうしますか?」

打ち止め「行くしかないよ、ってミサカはミサカは決断してみる」

冥土帰し「……だそうだ。車を準備して貰えるかな?」

研究者「はい。ただいま……!」
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:15:48.01 ID:UjNAucnEo
番外「……で、何であなたたちまで一緒に浸かってるワケ?」

18264号「駄目なのですか?とミサカは首を傾げます」

14889号「温泉は減るものではありませんし、問題はありません、とミサカは結論付けます」

一方「問題あり過ぎンだろ……」

20000号「セロリたんの横ゲェーーット!!」

14510号「そこはミサカの場所です!」

20000号「14510号はそっち側でいいじゃん」

14510号「そっちはミサワさんがいるでしょう。怒ると怖いから無理です」

10033号「平気で釘打ってきますからね……」

14440号「傷が残らないだけ上位個体のお仕置きのほうがまだマシです……」

番外「それって本人がいるとこで喋ることじゃないよね……?」ビキビキ

御坂妹「あの人が来ない……」
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:17:37.42 ID:UjNAucnEo
一方「まァ、折角露天風呂に浸かってンだ。つまンねェいざこざは忘れよォぜ」ワッシャワッシャ

番外「……あんま撫でられても前髪が目に入って痛いんだけど。もう離せよ」

10033号「一方通行に頭をナデナデして貰ってるだと?」

18264号「ミサワさんが素直だと?」

14510号「ミサカも撫でて貰いたいです」

20000号「漏れはセロリたんの頭をクンカクンカしたいお」

14889号「なら、ミサカたちも撫でて貰えばいいのではないでしょうか、とミサカは提案します」

一方「……撫でりゃ済むのか?」

14510号「はい、それだけでミサカたちはここに来た甲斐があります」

18264号「ミサカはこんな奴に触られたくはないです」

10033号「とか言ってこっちに来てるじゃないですか」

一方「じゃあオマエからだな?」

14510号「お、お願いします……、とミサカは頭を下げます」
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:18:47.63 ID:UjNAucnEo
一方「ン、頭ちっと下げろ」

14510号「こ、こうですか?」

ガッ

14510号「………………・?あの、まだですか?」

一方「」ブクブクブク

番外「ごっめーん☆上がろうと思ったら滑っちゃった~」

妹達「」

14510号「えっ?」

一方「……ぶっふァ!何すンだテメェ!?」バシャー

番外「べっつにー?ちょっと足を滑らせただけだよ。ごめんね痛かったでしょ、ミサカが撫でてあげよっか?」

一方「いらねェよンなぶわっ」

番外「痛いの痛いの塗り込め~♪」ガッシガッシ

一方「うァっぷ……ぷはっ」

10033号「水責めかぁ……」

一方「何すンだゴルァ!」

番外「ん、何にも?」
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:19:34.67 ID:UjNAucnEo
一方「……身体洗う」

番外「じゃあミサカも」

14510号「ではミサカたちも洗います」

14440号「ミサカが頭を洗ってあげましょうか?」

10033号「それはミサカがします」

20000号「セロリたんの毛根は漏れがマッサージするお」

18264号「舌でマッサージなんて言ったらぶっ飛ばしますからね」

20000号「Oh......」

14889号「どうせそんなことだと思いました」

一方「頭くらい自分で洗うわ、ボケ」
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:22:06.29 ID:UjNAucnEo
御坂妹「おや、一方通行はTSUBAKI派なのですね?」

一方「それがどォした?」

番外「そうなんだよね。思いっきりメリットとか使いそうなのに。この人、ちゃんとシャンプーとリンスやコンディショナーを分けて使ってるんだよ。一気にイメージが崩れちゃった」

一方「オマエは俺にどンなイメージ抱いてたンだよ」

14440号「因みに、ミサカはLUSH派です、とミサカはボトルを見せ付けます」

番外「それってアイラブジューシーだよね?ちょっと分けてもらってもいいかな」

14440号「どうぞどうぞ、とミサカは差し出します」

10033号「ミサカはHERBAL ESSENCESのサンシャインオレンジ派です、とミサカもここぞとばかりに見せ付けます」

18264号「奇遇ですね10033号。ミサカはエンジェルスムース派です」

番外「みんな持ってるのが違う……」
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:23:17.29 ID:UjNAucnEo
14889号「そしてミサカは石鹸派です」

一方「今時石鹸で頭洗う奴がいたとはなァ……」

14889号「これをそんじょそこらの石鹸と一緒にしないで頂きたいですね。コレ、ミサカが作った自作石鹸なのですよ?」

20000号「おぅ……姐御の意外な一面を見ました」

番外「自分で作るのって大変なんじゃない?雑誌で呼んだけど、作ってすぐに使えるものじゃないんでしょ?」

14889号「時間はかかりますが、自分に合ったものを作れる点で市販物よりも優れますからね。完成するまでにかなりの労力を使いましたが」

一方「なンかすげェ」
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:24:18.15 ID:UjNAucnEo
カコーン......

一方「」シャカシャカ

番外「」シャカシャカ

妹達「」シャカシャカ

番外「ね、ねぇ……」シャカシャカ

一方「……ン」シャカシャカ

番外「ミサカの桶、どこだか分からない?」スカッ

一方「目ェ瞑ってンのにどこにあるか分かるはずねェだろ」シャカシャカ

御坂妹「一方通行はシャンプーしてる間、目を瞑っているのですか?」シャカシャカ

一方「オマエらは開けてられンのか?」シャカシャカ

14510号「いいえ、ミサカたちも目を開けてシャンプーなどできません」シャカシャカ
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:25:34.06 ID:UjNAucnEo
番外「目に入ると痛いしね……あれ?どこだろ?」スカスカ

一方「あァン?自分の置いた桶の場所くらい分かっとけってンだ……。こっちにはねェな」スカスカ

18264号「これはミサカの桶ですからね……。隣の14440号は分かりませんか?」シャカシャカ

14440号「こっちにもあるのはミサカの桶だけですね」ガシッ

番外「……おぉ、あったあった。ってうぉっととと!?」ドッテチーン

妹達「だ、大丈夫ですか?」

番外「いってててて……ほよ?この感触は……」フニフニ

御坂妹「目を瞑ってるままじゃ現状をよく理解できません。とりあえず、頭を洗い流しましょう」ザバー

御坂妹「番外個体、大丈夫で――」
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:26:42.04 ID:UjNAucnEo
14510号「」

14440号「番外個体ぉぉぉぉ!?何してるんでぃすかーー!?」

番外「……へぅ?」

一方「うゥ……いってェ……」

番外「んー?」

14889号「おい」

18264号「……おい」

一方「……あァ?何だこりゃァ!?って目がァァァーー!!」ゴロゴロ

番外「あれ、何であなたが……うぁ目があああぁぁ!!目が痛い目が痛いよおぉぉぅ!!!」ゴロゴロ

10033号「ふ、ふたりとも、目を掻いてはいけません!」

14510号「早くお湯ですすいですださいっ!とミサカはふたりに桶を渡します!」

御坂妹「ラッキースケベはあの人だけの特権ではないのですね、とミサカは落胆します」

20000号「漏れもセロリたんにダーイブ!」

10033号「ブロックです!!」
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:28:46.62 ID:UjNAucnEo
                     ・
                     ・
                     ・

一方「全く何なンですかァ?妹達ってのはどれもボディープレスする機能が付いてるンですかねェ?」シャワシャワ

番外「ミサカだってしたくてやったんじゃないし。もう目は大丈夫かな?ミサカの目は赤くなってないかな?」シャワシャワ

一方「あァ?ちゃンとすすげば大丈夫だろ。ったく、押し倒されンのはクソガキだけで充分だってのによォ」シャワシャワ

番外「その考え方自体ロr」シャワシャワ

一方「ロリコンじゃねェ。ンな感情じゃねェっつってンだろ」シャワシャワ

御坂妹「上位個体には甘いですからね。どうせなら同じ妹達であるミサカたちにも優しくしてください」シャワシャワ

番外「そうだそうだー!差別は禁止しろー!」シャワシャワ

一方「オマエらが言うな。されて当然のことしてンだろォが」シャワシャワ

14889号「おや?一方通行の背中だけ泡が乗ってません」
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:30:33.52 ID:UjNAucnEo
一方「背中は手が届きにくいからなァ。オマエらだって背中だけ泡がねェぞ」

14889号「ではミサカが一方通行の背中を流しましょう」

14440号「何!?ここに来て姐御が攻めに出ただと!」

14510号「いいえ、一方通行の背中を流すのはミサカの仕事です!」

20000号「セロリたんの垢舐めは漏れの専売特許だお」

10033号「垢言うな。一方通行さんの垢は大航海時代の塩胡椒くらい宝物なんですよ」

18264号「セロリの背中を真っ赤にするのはミサカです」

番外「背中くらいで倍率高っ……。あなたって何気に人気者なんだね。それなのにクールぶって俳優気取りですか~?」

一方「別に自分でやってもいいンだけどよォ……。やってくれンなら早く決めてくンねェか?身体が凍ってしまいそォだ」ブルブル

10033号「ではミサカが」

14510号「ここはミサカ以外ありえません」

14440号「ご冗談を。ミサカですよね」

ミサカガミサカガミサカガミサカガ....
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:32:07.11 ID:UjNAucnEo
一方「……おい。オマエは20000号だろ?俺は前を洗えとは一言も言ってねェンだが」

20000号「おや、バレましたか」

一方「そンならアレだ、俺たちみンなで背中の流し合いっこすればいいンじゃねェか?」

妹達「!?」

番外「……はぁ!?」

一方「あァ?何か変なこと言ったか?」

番外「変も何も、あなたの口から背中の流し合いっこ?あっひゃひゃひゃ!!今のはやべえよ!新春お笑い大賞ノミネート間違い無しじゃねえの!?」

一方「クソガキがせがんでくっからな。アレって3人以上でもできンだろ?」

番外「いやいやいや、真顔で聞かれてもミサカ困るし。自分で何言ってるか分かってるかな?」

一方「だから、背中の流し……」

番外「もう言わなくていい。同じネタは使い回しちゃ駄目なんだよ」

一方「……背中の流し合いっこがか?」

番外「……ぷっ。も、もう黙れよ!」
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:33:36.19 ID:UjNAucnEo
18264号「……俺たちみンなで背中の流し合いっこすればいいンじゃねェか?」キリッ

御坂妹「あァ?何か変なこと言ったか?」キリッ

番外「……くっ!」

14440号「クソガキがせがんでくっからな。アレって3人以上でもできンだろ?」キリッ

番外「……っぶっひゃひゃひゃひゃはは!!!」

10033号「俺たちみンなで」ズイッ

14510号「背中の流しあいっこ」ズイッ

14889号「すればいいンじゃねェか?」ズイッ

番外「ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」ゲラゲラ

20000号「背中の流し合いっこ」ボソボソ

18264号「背中の流し合いっこ」ボソボソ

御坂妹「俺たちみンなで?」ボソボソ

14440号「すればいいンじゃねェか?」ボソボソ

番外「ひゃひゃひゃひゃもぅやめお腹いちゃあっひゃひゃひゃひゃ!!!」バシャバシャ

ヒャヒャヒャヒャヒャ!!! ボソボソボソボソ

一方「……俺、何か不味いこと言ったかァ?」
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:35:55.36 ID:UjNAucnEo
一方「…………・もォいいか?」

番外「もういいよ。…………ぷくくっ!」プルプル

一方「……でェ、誰が誰の背中を流すンだ?」

14510号「ですから、ミサカがあなたのお背中を流します」

10033号「いえいえ、ミサカがあなたのお背中を流します」

14440号「どう考えてもミサカです」

20000号「漏れは前からセロリたんのソーs」

14889号「背中だっつってんだろ」

御坂妹「ミサカはどうでもいいです」

ミサカガミサカガミサカガミサカガ......

一方「キリがねェな……。番外個体、オマエが俺の後ろでいいか?」

番外「えっ?」
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:38:30.27 ID:UjNAucnEo
18264号「ちょっと待ってください。それはおかしいです、とミサカは異議を申し立てます」

一方「オマエら待ってても終わらねェからよ」

14440号「では今すぐ簡単に決着を付けます」

10033号「お風呂ということはアレしかありません」

14510号「おっと、偶然ミサカの手には石鹸と桶があります」

14889号「つまり、チキンレースin露天風呂ですね」

18264号「では、ゴールラインはあの浴槽にしましょう、とミサカは指差します」

20000号「勢い余って飛び込んでも負けですね、把握しました」

御坂妹「ミサカは出る理由がないので棄権します、とミサカは白旗ぱたぱた」

14889号「いえ、これは順番決めも兼ねるので10032号も参加して貰います」

番外「ってことは、ミサカも出るわけ?嫌だよ面倒だし」

14440号「末妹は負けるのが怖いんですか?臆病なんですね、とミサカ14440号は見掛け倒しの妹を見下します」

番外「むっかー☆いいよ、ミサカも出てあげる」

一方「……俺も出ンのか?」

14510号「あなたは一番前なので見てるだけで結構です」

一方「あ、あァ……」
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:44:35.11 ID:UjNAucnEo
 ブルブルと寒さに震える一方通行を妹達は放ったらかしにしてルールを決めた後、揃いに揃ってタイルをせっせと石鹸で泡立てる。その様子は滑稽であり同時に異様だと一方通行は思った。誰も入ってこないのが不思議だが番外個体たちは気にしない。
 そしていよいよ、一方通行の背中を賭けた第1回ギリギリミサカレースは始まる。

御坂妹「検体番号順でまずはミサカからですね」

14440号「MNWは切断しています。不正はありません」

御坂妹「では行きます――」

 スーっと御坂妹の身体と桶は前に滑り出す。順調な滑り出しだ。1番手にしては上出来といったところか。しかし伸びない――。
浴槽の縁からは2m以上離れた所で止まってしまった。後半の無理な重心移動がきてしまったか。

番外「あちゃー、いい調子だったんだけどね」

御坂妹「落ちるのが怖くて思わずブレーキをかけてしまいました……」
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:47:00.53 ID:UjNAucnEo
10033号「次はミサカですね。いざ勝負です」

 2番手、ミサカ10033号は1番手の御坂妹より力強い出だしを見せる。この調子で進めば好成績を残れるだろう。
10033号自身も勝利を確信したその時――。

10033号「――うわっ!?」

 10033号の身体が桶ごと真横に傾き、コースから外れ転倒してしまった。結果はファール。測らずともアウトだ。

14889号「10033号!?大丈夫ですか?」

10033号「いたたたた、ミサカは大丈夫です。ちょっと頭を打ってしまいましたが」

一方「怪我だけはすンなよ。風呂場だと血も止まりにくいからなァ」

14440号「今のところは10032号が暫定1位ですか。あれくらい抜かしてみせましょう」
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:48:42.05 ID:UjNAucnEo
14440号(勢いは先程の10033号と同じでいい。あとは最後までバランスを崩さなければ……)

14400号「……ふっ!」

 MNWに接続していなくとも、相手の様子を見ればおおよその感覚は掴む事が出来る。14440号の出だしはまずまず、バランスも崩れる様子はない。そして、倒れることもなく14440号の身体はピタリと止まった。

14440号「よしっ!」

 止まった桶から距離を測る。目測だが、記録は60cmから70cm程度。好成績だ。

14440号「あれでもまだ勢い不足でしたか……」

 その後、14889号、14510号と終え、暫定で何と30cmの記録を残した14510号がトップ。14889号は50cmと、残念ながら14510号には届かなかった。

14889号「ぐぐぐ……悔しいです」

14510号「これで一方通行の背中はミサカのものです!」
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:49:48.11 ID:UjNAucnEo
 残るは18264号と20000号、そして番外個体である。だが、どの顔にも敗北の色は無い。

18264号「まだミサカが負けるとは決まってはいません」

20000号「セロリたんの背中は漏れのものだお」

番外個体「それくらいで勝った気にならないでほしいね」

一方(俺もしてぇ……)

 桶に座る18264号。考えるのは勝つことのみ。14510号の記録より遠くまで滑ることをただ強く想う。

18264号(春厨の14510号に負けてはいけません。ならより遠くに滑るしかない。じゃあどうすればいい?勢いを付けるだけでは不可能です。バランスだけでも不可能。それなら……両方を14510号より攻めるしかありません)

 これはただのチキンレース。いくら打算を重ねようが、やることはひとつ。他者に譲渡することなく突き進むのみである。しかし、負ける条件はひとつではない。18264号はこの時、あるルールを思い出した。
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:51:16.71 ID:UjNAucnEo
18264号(……そうだった。これは行き過ぎてもアウト。結果すら残せずに負けが決まってしまう。落ちたら負け、落ちたら最期、一方通行から最も遠い場所になってしまう。それだけは嫌だ……)

18264「……っ!」ダッ

 その恐怖を押し殺すように、14510号の時の勢い以上に床を蹴り、滑り出した。想像以上の勢いに18264号は転倒しないように必死にバランスを取る。

 残り半分を切り、湯気に隠れた浴槽の縁が見えてくる。しかし勢いは落ちない。ここでブレーキを踏まなければそのまま白濁湯に頭から突っ込み、身も心もポッカポカになってしまう。それだけはさけなければならない。

18264号「う……」

 18264号は落ちる恐怖、最下位の恐怖に負けてしまった。重心を後ろに向け、ブレーキを掛ける。すると、みるみる減速し、縁の前でピタリと止まった。

18264号「お、落ちるところでした……」

一方「ン、これは……14889号より進ンでるが、14510号ほどじゃねェな」

18264号「残念です……」

 記録は40cm。これでも2位だが、18264号はがっくしと肩を落とす。今の彼女らにとって2位以下はビリと同義なのだ。
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:53:06.26 ID:UjNAucnEo
20000号「やっとミサカの出番ですね。これに勝てばセロリたんは公式に漏れのものだお。ハァハァ」

一方「コイツにゃ勝ってほしくねェわ……」

 ある意味、このミサカレースにとってダークホースである変態こと20000号。もしも彼女が勝てば一方通行はここでGAMEOVER。大人しく身を差し出すのみである。

20000号「セロリたんの為に!ミサカ出撃ぃ!」

 20000号は力強くタイルを蹴り、滑り出した。石鹸の効力も気のせいか若干減ってきており、このままなら14510号の記録を塗り変えるかもしれない。これが愛の力か。いや知らん。
速度は依然落ちることなくゴールラインに迫っていく。だが、いくらスピードに乗っていても、減速のタイミングを間違えれば、落ちてしまう可能性だってある。

 後に20000号はこう語る。

20000号『ブレーキを踏む気なんか端から無かった。そんな下手な覚悟ではセロリたんを手にするなんてできない』
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:55:17.97 ID:UjNAucnEo
 20000号の身体が勢いよく跳ねた。バスタオルがはだけ、頭から白濁湯へと突っ込んでいく。
そして、身も心もポカポカに暖まった。かこーん、と桶の音が鳴り響いた気がした。

20000号「ぶくぶくぶく……」

番外「アウト、だね……」

一方「……だな」


現在の暫定順位

1位 14510号
2位 18264号
3位 14889号
4位 14440号
5位 10032号
6位 

アウト 10033号、20000号

NEXT 番外個体
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 22:57:06.45 ID:UjNAucnEo
番外「さぁて、いよいよミサカの番だね」

一方「……なァ、これって何の為にやってたンだっけか」

番外「さぁ?」


 ようやく最後の番外個体の順番がやってきた。当初の目的であった一方通行の後ろポジは彼女にとって比較的どうでもよかったが、妹達の挑発に乗ってしまっ た彼女にはもうそんな事は頭にない。元々、勝負事には勝ちたがりな性格(ほとんど一方通行に対してだが)の番外個体には、末妹という点では若干のコンプ レックスがあった。ここで勝てば能力や他の妹達に比べて豊満な身体といったスペックは関係無しに、自分が上位だと示すことが出来る。それだけで番外個体の やる気は満々だ。

番外「ふふっ、末っ子だからって甘く見てるんじゃないよ」

一方「早くしろよ。俺は寒くて仕方ねェんだからな」

番外「分かってるよ。だからあなたは黙って見てて」
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 23:00:29.09 ID:UjNAucnEo
番外「……」

 神経を集中し、自分が滑っているイメージを脳内に映し出す。初速、ブレーキのタイミング、その他要因を計算し、ベストなタイミングを計る。その時、一瞬だけ僅かに吹いていた風が止んだ。

番外(今だっ!)

 番外個体は石鹸の泡でぬるぬるとしたタイルを踏み、同時に蹴り出す。そして、その勢いを殺さず瞬時に桶に座り、軽快に滑り出した。ロスはない。完璧な滑り出しだ。
――数ヶ月前、エリザリーナ独立国同盟で一方通行と協力関係を組んだ時、番外個体はひとつの条件を飲んだ。一方通行の戦闘法の分析による、学園都市に遣い潰されないようにする為の新たな性能獲得の可能性を得る――。
今まで一方通行が能力を使用するたび、彼女はMNWの稼働状況から一方通行の演算を解析してきた。未だ彼の戦闘法は分析し切れていないが、多少なり自分の能力に応用することができた。

番外(まさか、ここでベクトル計算が役立つとはねぇ……)

 勿論、電気系能力者の番外個体はベクトル操作などできはしない。だが、ほんの僅かに周囲のベクトルを認識し、操作はできずとも計算できるようになった。 その恩恵を今は不安定なバランス保持に使っている。身体能力の高い彼女だからこそできる技だが、本人の一方通行が聞けば飽きれるのは間違いない。
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 23:02:16.15 ID:UjNAucnEo
番外(あとは減速のタイミングかな……)

 残りはとうに半分を切っている。最悪、湯にダイブするのは避けたいところである。番外個体は即座に演算する。やるなら勿論1位がいい。2位でもいいが、堂々と姉たる妹達に勝利宣言をしたほうが気持ちがいいに決まっているから。

番外(そろそろかな……)

 重心を後ろに傾け、踵をタイルに少し当てる。ぬるぬるとした泡の感触に思わずびくりと身体が震えるが、そんな事を気にする暇はない。徐々に速度は落ちる。これなら14510号の記録は優に超えられるに違いない。

番外「あっひゃひゃひゃ!ミサカの勝ちだぁーー!!」

 と、番外個体が勝利宣言をした。が――
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 23:03:33.87 ID:UjNAucnEo
14510号「そうはいきません番外個体」

18264号「残念ですが、あなたはここでダイブして貰います」

 どこから持ち出したブラシでタイルを忙しなく磨く妹達は、カーリングと同じ要領でシャカシャカとタイルを泡立てていく。
こうなれば桶は止まることなく、番外個体の身体は優しいお湯に包まれて最近お悩みの冷え性が治ってしまうだろう。

番外「ちょっと!やめなよぉ!!」

10033号「やめろと言われてやめる程ミサカの覚悟は腐ってはいません」

14889号「あなたに一方通行の背中を任せてしまえば意味がありませんからね」
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 23:04:44.18 ID:UjNAucnEo
 シャカシャカシャカシャカ。妹達は勢いを増して泡立てていく。番外個体は必至に足でブレーキを掛けるが、中々スピードは治まらない。このままでは止まる かドボンか、確率は半々といったところだ。いや、十中八九、落ちてしまうだろう。一方通行と御坂妹はその様子をじっと見ている。

一方「何だか楽しそォだな」

御坂妹「あなたもしたいのですか?」

一方「……ちょっとだけな」

御坂妹「後でやってみます?」

一方「……いや、恥ずかしいからパス」

 そんな呑気な会話をしている横で、いよいよ番外個体とその桶が縁まで迫ってきている。速度は落ちてきているが、何にせよ妹達のスウィーピングで思いのほか上手くいかないようだ。
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 23:06:14.42 ID:UjNAucnEo
番外「やばっ!と、止まんないよおおおおぉぉ!!」

 番外個体がパニックになってきたようだが、これがチキンレース。いや、ミサカレースなのだ。最初から勝てると思える程甘い勝負ではない。妹達も最早一方 通行の背中の事なぞ忘れて、堂々と勝利宣言などをした愚かな末妹へのお仕置きしか頭にないのか、卑下した笑いを浮かべている。それは番外個体以上の悪意に 見えた。

一方「……おかしいな。番外個体がたくさンいンぞ」

 彼女と桶が縁に迫る。迫る。迫る。少しずつ、ゆっくりと迫ってゆく。

番外「わ、わわわわわわわ!落ち、落ちっ!」

 番外個体は目をぎゅっと閉じた。心臓はバクバク鳴っている。顔を伝っているのはお湯か汗か分からない。

 そして――――――
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage][saga]:2011/03/08(火) 23:16:25.33 ID:UjNAucnEo
 ――――止まった。番外個体の身体は湯船に浸かることはなかった。心臓は今だ収まらない。番外個体はゆっくりと目を開けると、桶は縁にピタリと寄り添っ ていた。前屈みでもしようものなら落ちてしまうくらいに。唇に塩辛い汗が張り付く。脳内物質が脳を駆け巡り、彼女はこの時初めて勝利を実感した。
 
 ふと横を見ると、妹達が残念な顔をして時折舌打ちをしている。でもいい、今は勝利に浸ることにしよう。

番外「……ざまぁ見ろ。ミサカの勝ちだあああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 ツルッ。

番外「…………へっ?」

 番外個体が立ち上がり、勝利の雄叫びを上げた瞬間、足元の泡が彼女を嫋やかな湯船へと誘った。
豪快な音と共に身体が白濁湯の中へ消えてゆく。一方通行たちはたた呆然と行く末を見つめるしかなかった。
そして、露天風呂は盛大な笑いに包まれる。

 この日、番外個体目下のお悩みであった冷え性はめでたく解消した――。 
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 23:11:35.12 ID:9Y2Ssj4Ro
新約が遂に出ましたね。明日こそ閉店時間に間に合うようにしないと

今日はちょっとした番外編を投下
前回入れる隙がなかった、冥土帰しサイドで大体>>633の続きになります 
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 23:16:15.10 ID:9Y2Ssj4Ro
番外編~とある妹達と冥土帰し~その2

冥土帰し「……ちょっといいかな?」

研究者「どうかしましたか?車の場所はお教えしましたよね。もしかして鍵が違ったとか?」

冥土帰し「それがなんだね……」

10153号「車がアルコールを検知してエンジンが掛からないのです、とミサカは簡潔に説明します」

打ち止め「何だかね、音が鳴ってずっと動かなかったの」

冥土帰し「悪いけど、君が運転して貰えないかな?」

研究者「……はぁ?」
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 23:18:55.55 ID:9Y2Ssj4Ro
                             ・
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ブロロロロ......

研究者「何かと思ったら車が動かないとは」

10153号「研究所へ来るまでに飲酒したのですか?とミサカは自己管理ができない医者に冷たい視線を送ります」

冥土帰し「……昼にちょっと。流石に抜けきったと思ったんだけどね?」

打ち止め「おじさんがいなかったらどうやって行くつもりだったの?ってミサカはミサカは飽きれてみたり」

研究者「最近じゃこっち側も飲酒運転には厳しくなりましたからね。検知器でも付けないと減らないって政府は分かりきっているんでしょう」

冥土帰し「検知器ねぇ……」

10153号「あなたがわざわざ出なくてもミサカが運転したのですが、とミサカはエア運転します。がろろろろろききーっ」

冥土帰し「……君も一応は中学生なんだけどね?」
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 23:21:16.06 ID:9Y2Ssj4Ro
研究者「まぁまぁ、私はあなた方を連れて行くだけですから」

打ち止め「見て見て、空が星だらけだよ、ってミサカはミサカは窓の外を指差してみる!」

冥土帰し「ふむ、この辺りまで来ると何もないね?」

研究者「山しかありませんからね。夏の間は都会から小学生が天体観測に来るくらいですよ」

10153号「そこを左です、とミサカはカーナビの指示を伝えます」

カーナビ『10メートル先を左折するのである』

冥土帰し「しかしだね、こんなところに本当に旅館なんてあるのかね?」

10153号「秘境の湯というものは人目に付かない場所にあるものですよ。宿も当然です」

打ち止め「でも、こんな細くて曲がりくねった道をあの人たちが乗ったバスはどうやっていったんだろう?」

10153号「学園都市のバスはきっと不可能を可能にするのでしょう、とミサカは自己完結します。あ、次は右です」

冥土帰し「……本当に着くのかな?」
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 23:23:18.57 ID:9Y2Ssj4Ro
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冥土帰し「……………ここはどこだい?旅館は見えないようだが?」

10153号「…・…」

打ち止め「行き止まりにしか見えないよ」

研究者「どこかで道を間違えたかな」

10153号「……ミサカはカーナビの指示に正確に従いました、とミサカには一切の責任がないことを主張します」

研究者「私だって君の言うとおりにしたはずだ」

10153号「全く、このカーナビは躾がなっていません」

バサバサバサッ ギャァギャァ

打ち止め「きゃぁ!」

冥土帰し「と、とにかく、ひとまず戻ったほうがいいかもしれないね?」
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 23:25:40.38 ID:9Y2Ssj4Ro
ブロロロロロ........

冥土帰し「…………」

10153号「また行き止まりですね」

打ち止め「カーナビだと海のど真ん中になってる、ってミサカはミサカはもう何が何だか」

冥土帰し「このカーナビは僕に海で泳げと言っているのかな?」

研究者「おかしいな、今までこんなことはなかったんだけどなぁ」

10153号「ミサカと上位個体の電磁波が原因ではないかと思いましたが、ミサカが同乗した中でこのような経験はありません」

打ち止め「じゃあミサカたちは迷子になったの!?」

10153号「落ち着いてください上位個体。まだ慌てる時間じゃ」

冥土帰し「充分慌てる時間だと僕は思うよ?」

研究者「一度、山のふもとまで戻ったほうがいいでしょう」

冥土帰し「そのほうがいいね」
675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 23:27:36.74 ID:9Y2Ssj4Ro
打ち止め「どうやって戻るの?」

10153号「ミサカたちが陥っているのは所謂遭難なのでは?とミサカは真摯に現状を受け入れます」

研究者「と、とにかく戻ろう!」

冥土帰し「まぁ、ここにいて何もしないよりはマシかな?街の明かりでも見えたら戻れるんだからね」

10153号「遭難した時はその場から動くなといいますが、夜の山怖いです、とミサカはガクブル」

打ち止め「ミサカは早くあの人のところに行きたいよ。あの子たちは絶対何か企んでるはずだし、今頃……」

冥土帰し「ふむ、会えるかどうかは置いといてもそれはちょっと難しいよ?先にちゃんとした道路に戻ろう」

打ち止め「うぅ……分かった」

研究者「こんな山道は携帯のマップでも分かりづらいですからね。見ての通り、こんな細かな道は載ってません」

10153号「ミサカは車の中で一夜を過ごすなんて絶対に嫌ですからね、とミサカは念を押します」

冥土帰し「一度、位置が分かるところまで戻ったら調べ直してまた行こうか」

10153号「行き先は分かっているというのに悔しいものですね、このポンコツカーナビめ」
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 23:28:47.45 ID:9Y2Ssj4Ro
冥土帰し「何、ちょっと遠回りをして確実に辿り着くだけだ。心配はいらないね?」

打ち止め「それならミサカも我慢する、ってミサカはミサカは急いで車に戻ってみたり」

冥土帰し「本来の目的は彼女たちを連れ戻すことなんだけどね?」

冥土帰し「しかし、この車じゃ到底無理なんだね?どう見ても5人乗りだよ?」

冥土帰し「それに、彼女たちはどうやって行ったのか……。もしかして僕も1泊コースかな?」

10153号「あの……車には乗らないのですか?」

冥土帰し「あぁ、今行くよ」

冥土帰し(このカード、こっちでも使えるといいんだが……)ハァ
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 23:31:01.06 ID:9Y2Ssj4Ro
ブロロロロ......

10153号「おや、MNWに新スレが立って……あ、落ちた。早ぇなおい」

打ち止め「セロリたんのお背中流し隊……だと……」

10153号「どうやら20000号が建てたようですが、見る前に埋まってしまいましたね。ログ取得できそうですか?」

打ち止め「あの子はスレ乱立するから掘り起こすの大変なんだよね、ってミサカはミサカはまずは検索開始!」

10153号「……一般権限でも過去ログを閲覧できるようにHTML化して欲しいものです、とミサカはみさかちゃんねるまとめサイトの設立を要求します」


冥土帰し「うん、やはりコンビニで下ろすことにしよう。それが今の僕にできる精一杯の安全策だ」

研修者「あ、コンビニでしたら街まで行かないとありませんよ」

冥土帰し「」

10153号「しばらく降りたところにコンビニならありましたが、今の時間帯はもう閉まっているでしょう。だって田舎ですから、とミサカは一言付け加えます」

冥土帰し(……田舎ってこういうところが怖いね?) 
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:38:47.04 ID:VflvmmHxo
よし、では投下
本編の続き、>>663からになります 
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:39:58.68 ID:VflvmmHxo
一方「じゃあ、オマエが俺の後ろだな」

番外「…………えっ、何のこと?」

一方「勝った奴が俺の背中を洗ってくれンだろ?忘れたのか?俺は今の今まで忘れてた」

番外「…………だっけ?」

14889号「覚えてない……だと……」

14510号「こんなのに負けるなんて……うわああああああああああああん!!!」ポッシュポッシュ

18264号「あああ!?なにミサカのHERBAL ESSENCESを無駄押ししてるんですか14510号!!あぁぁ……中身がすっからかんになったじゃないですかどうしてくれるんです!?」

14510「うわああああぁぁぁぁぁん!!!」ポッシュポッシュ

14440号「ミ、ミサカのアイラブジューシーがあぁぁぁ!?」

20000号「こ……これをセロリたんのだと思えば……」ヌリヌリペタペタ

御坂妹「何してるんですか20000号!?」

10033号「こっちもこっちでやべぇ、とミサカは事態を収拾できません」
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:40:39.70 ID:VflvmmHxo
ウワァァァァァン!! ヤメテクダサイ14510ゴォーー!!  ハァハァハァハァ......

一方「……」

番外「……ねぇ」

一方「なンだ?」

番外「誰が勝ってもこうなった気がするよ」

一方「……だよなァ」

番外・一方「はぁ……」

番外「まさか、ミサカがあなたの背中を流すとはね」

一方「……俺も予想外だ」
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:42:58.47 ID:VflvmmHxo
番外「それじゃいいね?」

一方「おォ、さっさと始めてくれ」

14510号「うぅ……」

一方「あー、14510号だったか?」

14510号「な、何でしょうか、とミサカは……」

一方「オマエ、そンなに俺の背中を洗いたかったのかァ?」

14510号「……はい、とミサカは素直を頭を下げます」

一方「……そンなら、好きな時にウチに来い。背中ぐれェ洗わせてやる。なンせ準優勝だからなァ」

14510号「ほ、本当ですか!?とミサカは確認を取ります!」

番外「格好良いこと言って、女の子を風呂場に連れ込んでるだけじゃん」

一方「うるせェ」
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:44:18.20 ID:VflvmmHxo
18264号「では準々優勝のミサカは14510号の次の日ですね、とミサカはカレンダーに○印」

14889号「ならばミサカはその次の日になります、とミサカはその次の日に○印」

14440号「10032号を除けばミサカたちは6人です。上位個体を合わせれば日替わりで背中をゴシゴシできる計算になりますね、とミサカは計算します」

20000号「ひゃっほーう!!セロリたんのお背中流し隊結成じゃああ!!!」ガタッ

10033号「おわっ、20000号、急に立ち上がらないでください。危ないですよ」

御坂妹「はぁ……」
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:45:07.15 ID:VflvmmHxo
番外「んじゃ行くよー。ごしごし、ごしごし」

一方「おおゥ……こりゃ気持ちいいな」

妹達「ごしごし、ごしごし」

ゴシゴシゴシゴシ........

10033号「20000号、力加減はどうですか?」

20000号「あぁっ、そ、そこです10033号。10032号はどうですか?」

御坂妹「ぁ……んっ、な、何なんですかその無駄なテクニックは」

14440号「10032号。手が震えてますよ?」

14889号「14440号のボディスポンジはどこで入手した物なのですか?とても気持ちがいいです」

14440号「ヘブンスミストで購入しました。泡立ちが半端ないです」

18264号「ほほぅ、そこには何でもあるのですね。ではミサカはヘブンスミスト製のスチールウールで、セロリの背中を丁寧に流しに行くとしましょう」

一方「それはやめろ」
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:45:55.41 ID:VflvmmHxo
ゴシゴシゴシゴシ........

14510号(あと少しだったのに一方通行を洗ってあげられなかったよ……)

14510号(……でも待って、これって間接ごしごしなんじゃないの?)

14510号(ミサワさんの前には一方通行がいて、ミサカはミサワさんをごしごししてて……)

14510号(つまり、ミサワさんを媒体にミサカが一方通行の背中をごしごししてる……!?)ドキドキ

モンモンドキドキゴシゴシ......

番外「……んー?」

一方「どォした。手が止まってンぞ」

番外「んにゃ、何でもないよ。これくらいでいいかな」

一方「もうちっと強くしてもいいかもなァ」

番外「こ、こう……?」
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:46:59.31 ID:VflvmmHxo
一方「そォそォ、もォちょい上のほォも頼む」

番外「ここ?」

一方「……んっ……ふァ、うっ……」ヨジヨジ

御坂妹(何でしょうか?ここからじゃよく見えません)

番外「ちょっと、あんま身体捻らないでよ」

一方「……くすぐってェ」

番外「……ふぅーん?もしかして感じちゃってたりしてるんだ?」

一方「感じてねェ。ただ俺の肌が人より敏感なだけだ」

番外「認めてんじゃん。だったらぁ……ここはどーかな?」ゴッシゴッシ

一方「……っ!くゥゥゥゥゥっ!」ビクッ

御坂妹(くぅ?)
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:48:33.30 ID:VflvmmHxo
番外「ひゃひゃひゃ、やっぱりわき腹も弱いんだ」

一方「そこは背中じゃねェだろ!」

番外「わわわっ、まだこっち向くなって!」

一方「……チッ、もういい。オマエらは今度は後ろの奴の背中を洗え」

18264号「はい?」

14889号「今何と言いましたか?」

御坂妹「後ろのミサカの背中を流せと聞こえました、とミサカはリピートします」

番外「もう笑わないからね」

一方「そォしねェと10033号の背中は誰が洗うンだ?ふたりだと交代でできるンだが、この人数だと無理だろ」

10033号「……あ、確かにそうでした、とミサカはミサカの背中が独りぼっちだったのに気付きました」

番外「……確かに無理だけどさ」

一方「露天風呂はなァ、身体を暖めるだけじゃねェンだよ。心も暖めるもンだ。だからひとりだけ除け者にされていい訳がねェ」

番外「それはごもっともな事で」
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:50:20.57 ID:VflvmmHxo
10033号「ミサカはできればご主人s……一方通行に流して頂きたいです、とミサカはモジモジします」

14510号「ミ、ミサカも一方通行に、その……背中を……」

御坂妹「またですか、あなたたちも懲りませんね」

一方「また順番変えンのか?面倒臭ェ」

番外「ミサカいいこと思いついた。あなたがミサカたちの背中を流したらいいよ。ミサカは遠慮するけど」

20000号「いやっほーい!」ガタッ

18264号「ですから20000号は落ち着いてくださいよ」

一方「いや、やるとは言ってねェぞ」

番外「じゃあ、やるって言えばいいよ。それならみんなも大人しくなるだろうし。魔法の一言で万事解決ってね☆」

一方「……分ァったよ。今日だけだからな。だから前を見られたくなけりゃァ早く横を向いてタオルで隠せ」
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:51:32.13 ID:VflvmmHxo
14440号「準備できました!とミサカは軍隊の如く90度回転します」

一方「……俺ァいつからオマエらのお背中流し隊になったンだァ?ンじゃ、最初は10033号か」

一方「それじゃ10033号、いいか…………ってあァ?」

10033号「どうかされましたか?」

一方「10033号、オマエは俺から見て一番後ろにいたよな?あと、番外個体を抜いてオマエたちは7人だったはずだ」

10033号「はい、その通りですが、とミサカは答えます」

一方「……8人に増えてンぞ」

10033号「……えっ?」

番外「何言ってんの?もしかしなくても、あなたのぼせたんじゃない?」

14510号「おかしいですね、とミサカは首を傾げます」
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:52:02.92 ID:VflvmmHxo
御坂妹「では点呼を取りましょう」

14510号「1!」

18264号「2!」

14889号「3!」

14440号「4!」

御坂妹「5!」

20000号「6!」

10033号「7!」

???号「8!」

妹達「っ!?」
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:52:50.72 ID:VflvmmHxo
番外「あれ、ひとり多いね」

一方「あァ、やっぱひとり多いわ」

御坂妹「17600号……」

14889号「17600号でしょうね。10153号は今頃研究所ですから、とミサカは推理します」

17600号「あらら……答える前にバレちゃいました」

番外「なんでここに?こんだけいるんだからミサカはもう驚かないよ」

17600号「だってこのミサカたちに頼まれましたから。あなたが一方通行に善からぬ行為をしないよう監視しろ、と」

番外「善からぬ行為、ねぇ。身に覚えがないのに責められるとは……」

一方「今日だけで散々やったじゃねェか」

17600号「まぁ、監視はしろと頼まれましたけど、止めろとは言われませんでしたけどね。特に昨夜はお楽しみだったようですが、とミサカは某ゲーム風に告げてみたりします」
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:54:41.12 ID:VflvmmHxo
14510号「何かあったんですか17600号!?」

一方「あァ……コイツの寝相が悪くてなァ、寝付けなかった。それだけだ」

番外「……はぁ?朝起きた時、ちゃんとミサカは布団にいたじゃん」

一方「俺がいちいち運ンだンだよクソがァ!!ごろごろごろごろ丸太みてェに転がりやがって、仕舞いには俺は抱き枕ですかァ!?」

10033号「抱き枕だと?」

18264号「セロリを抱いても折れるだけじゃん。番外個体は抱き枕がないと寝られないタイプなんですね。ぶふぃー、とミサカは別に羨ましい訳ではありません」

番外「証拠出せ、証拠!」

17600号「後悔しませんか?まさかカメラを電磁波で壊そうなんて思ってませんね?まぁ、後でMNWにうpしてもいいんですけど」

番外「ぎくぅ」

一方「それはいいンだが、今まで隠れてたのにどォして出てきたンだ?」

17600号「………………だもん」

17600号「ミサカだって温泉入りたいもん……背中洗って貰いたかったんだもん」

番外「え?」
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:56:24.49 ID:VflvmmHxo
17600号「ひとりで温泉に入るこの虚無感。周囲の人たちはそれぞれ大切な人との時間を満喫しているという中での孤独感。身体は暖かいのに心は寒い。温泉がこんなにも怖いものだとは思いませんでしたよ……、とミサカは心中を吐露します」

一方「…………分かるぜ、その気持ちよォ」

番外「……あなたはいつもひとりで入ってるじゃない。たまーに最終信号と一緒に入ってるくらいかな?」

一方「家の狭ェ風呂と一緒にすンな。温泉や銭湯みてェな広い風呂だと、人は多いのに自分の周りだけ違う空間のように感じるもンなンだよ。人の温もりってのを知っちまうとなお更なァ」

番外「へぇ~。ってことは、お風呂が壊れてみんなで銭湯に行った時、あなたはずっと寂しかったんだね」

一方「オマエだってたまに入ってくンじゃねェか。それと同じだろ」

番外「それは違うよ。ミサカはただ面白そうだからしてるだけだし」

10033号「……お話のところ悪いのですが、ミサカの背中は放置ですか?とミサカは口を挟みます」

一方「あ、悪ィ。17600号は次でいっか?」

17600号「はい、分かりました」
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:56:55.99 ID:VflvmmHxo
一方「よし、じゃあ10033号。行くぞ?」

10033号「は、はい……お願いします」

一方「……ごォしごォし」

10033「おおぅ……こっこれは……気持ちがいい、ものっ……ですね」

一方「そォかよ。それはよかったな」ゴッシゴッシ

10033号「ご主j、一方通行はいつも上位個体にこれを行っているのですか?とミサカは背中越しに問いかけます」

一方「たまーに、な」ゴシゴシ

番外「たまーに入って来る時はいつもしてあげてるよねっ♪」

一方「うっせェ」

17600号「まだですか?とミサカは期待の眼差しでセロリを見つめます」

一方「おォ。10033号、もォいいな?」

10033号「はい、ありがとうございました……」トローン
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 23:57:58.49 ID:VflvmmHxo
一方「ごォしごォし」

17600号「ほぉぉ……」

一方「なンか硬ェな。肩凝ってンじゃねェの?」

17600号「ここのところ、ずっと依頼が詰まってましたからね、とミサカは自身を振り返ります」

一方「風呂上がったらロビーにあるマッサージ機でも使ってみたらどォだ?」

17600号「マッサージ機、ですか」

一方「アレは学園都市製じゃねェから性能は全然だが、結構利くみてェだな。小萌センセーもホワホワしてたぜ」

番外「でも昨日は混んでたよね。上がってすぐは使えないと思う」

一方「馬鹿だな。ああいう連中は物珍しさで使いたがるよォな奴だ。今日はいねェよ」

番外「じゃあミサカもしてみよーっと」

17600号「座るだけで凝りが治るというアレですか……」ニヘラ

一方「よォし、次は20000号だな」

20000号「やっほう!やっとセロリたんの手がミサカに!」

一方「……いらンことすンじゃねェぞ」
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:00:38.86 ID:GBCsn8Xmo
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                         ・

14510号「……」トローン

番外「何だか、みんな眠そうというか何というか……。まさかそんな才能があったの?」

一方「どンだけ無駄な才能だよ……。ただ気持ちよかったンだろ」

御坂妹「確かに気持ちいいものでしたが、流石にあそこまで酷くはなりませんよ。焦点が合ってません」

17600号「背中だけで陥落しただと……」

一方派妹達「ふにゃぁ~……」

一方「漏電だけはすンなよ。電極がショートしたら終わりだからなァ」

番外「ショートしたらいいのに。そしたらあの子たちに手厚く看護されるかもね」

一方「そいつは頂けねェな。……最後はオマエだったか?」

番外「いやいや、ミサカはいらないって言ったけど。本当にミサカもされなきゃ駄目?」

一方「グダグダ言ってる暇あンなら背中向けろ背中。どォせオマエのことだ、本当はして貰いてェんだろ?」

番外「……ふん」
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:02:36.47 ID:GBCsn8Xmo
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一方「あァ疲れた……。風呂入って疲れるってどォいうことだ」

番外「じゃあ卓球しよっ」

一方「上がっていきなりは早ェだろ。それよりも先に飲みもンが欲しいな」

御坂妹「風呂上りというとアレですね、とミサカは例の瓶を想像します」

番外「ミサカが持ってきてあげる。だからあなたは先に場所取っといてよ」

一方「こォいう時だけまともに働きやがる」

14510号「卓球……ですか?とミサカは卓球台を指差します」

一方「おォ、負けたら罰ゲームってなァ。だからアイツもやる気なンだろ」

14889号「罰ゲームですか」

10033号「番外個体のことです。きっとろくでもないことを考えているに違いありません、とミサカは考え込みます」

一方「オマエらにも同じこと言ってやンよ。それにアイツはあァ見えて大したことはしねェからな。……いや、たまにするわ」
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:04:12.15 ID:GBCsn8Xmo
一方「まァそれに……」

14440号「それに?」

一方「俺が負けるはずがねェ」ドヤッ

14510号「ですよね!学園都市第1位の一方通行が勝つに決まってます!」

18264号「いえ、それは分かりません、とミサカが異議を申し立てます」

一方「あァ?どォしてそう思う」

20000号「何となくです、とミサカは答えます」

番外「おーい!飲み物持ってきたよ。っとと」

一方「おォ、って多くねェか?」

番外「だって全員合わせて10人分だし。ふぃ~、落とさないかドキドキしちゃった」
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 00:04:14.14 ID:9ejAZO1Ko
ほぐし屋さ(ry
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:08:44.05 ID:GBCsn8Xmo
一方「でもそれ危ねェだろ。俺にもちょt」

10033号「ミサカにも半分運ばせてください」

14440号「番外個体は一方通行と先に向かってください。あとはミサカたちが持って行きますので」

17600号「全部フルーツ牛乳ですか、とミサカは覗き込みます」

御坂妹「風呂上りにはコーヒー牛乳と聞きますが、これもお洒落ですね」

番外「でしょ?お風呂から上がった時は酸味が欲しくなるよね」

一方「風呂上りにコーヒー牛乳はねェだろ。あンな甘ったるいの無理だわ」

番外「それならあなたのフルーツ牛乳はミサカが貰っていいんだね。やった、もーらいっ!」

一方「……飲むから返せ。コーヒー牛乳は無理だと言ったンだ」

番外「」ゴクゴク

一方「……またこの展開か。ならオマエの貰うぞ」

番外「ん」パシッ

一方「いってェ!」

番外「それ、ミサカの」

一方「なンて野郎だ……」
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:10:50.10 ID:GBCsn8Xmo
                         ・
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一方「ンじゃ、始めるか」

番外「11点先取で2ゲーム先に取ったほうの勝ちでいいね。あと、能力はどうする?一応言っておくけど、ベクトル操作なんかしても先読みできちゃうから」

一方「杖無しで走れるくれェの代理演算レベルで構わねェ。これでも素の身で戦うことくれェできるからな。卓球くらいどうってことはねェよ」

番外「ま、お互いに素人だからね。でも手加減はしないよ」

一方「オマエこそ途中で投げ出すんじゃねェぞ。ラケットも勝負もな」

御坂妹「では、ミサカが審判を務めます。今回は特別にデュースは3ゲーム目のみでいいですね?とミサカは確認を取ります」

一方「あァ」

番外「うん」

御坂妹「ではコイントスでサーブ権、コート権を決めましょう。表が一方通行、裏が番外個体です、とミサカはコインを弾きます」

 そして、いよいよ罰ゲームを賭けたミサカの闘いが幕を開ける――
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:16:39.84 ID:GBCsn8Xmo
番外「あなたとは決着を付けたいと思ってたからね。絶対に負けないよ。どっちが上か教えてあげる」

一方「威勢だけは一人前なこって」

 コイントスの結果は表。一方通行が選んだのはサーブ権、そしてミサカは好きなほうのコートに立った。

 ふぅ、とまずは深呼吸。緊張していないと言えば嘘になるけど、相手が相手だけに胸がドキドキと落ち着かない。
この人は能力無しでも頭だけは良い。何たって第1位なんだから。力は無くたって、色んな策略を張り巡らせているはずだ。
だからミサカも気をつけなきゃ。驕れる者が最後に酷い目に合うのはお決まりだからね。

御坂妹「ラブオール。試合開始です、とミサカは宣言します」

 そして、一方通行は白いピンポン球を投げ上げた。一瞬だけ、ほんの一瞬だけ真っ白な髪の毛と肌に重なって見えなくなった。
……あれって反則じゃない? あとで黄色いのに替えて貰おう。

  一方通行がラケットを振るった時、信じられない言葉を耳にした。

一方「軽ゥく料理してやるぜェ!ベクトルサァァブ!!」
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:19:55.25 ID:GBCsn8Xmo
 ――えっ? 一方通行の口から何か出てきた。えぇっと……ベクトルって言ったよね?
でも代理演算のレベルはさっきミサカが下げたはずだ。念の為にモニタリングしてみよう。
ちょっと悪い気はするけど、ミサカはそんなことは気にしない。勝負は非情なのだ。

 ネットワーク稼働状況、平常。代理演算にも特に変化は無い。気のせいか、最終信号の声が聞こえた。
寂しいからってこんな時に話しかけないでよ。問答無用にシャットアウトする。
ミサカには何も聞こえませーん。ミサカにはお仕置きも効きませーん。うひゃひゃひゃ。

 一方通行の放ったサーブが向かってきた。…………何だ、やっぱり見掛け倒しじゃん。

番外「何だそれ、普通のサーブじゃない。それっ!」

一方「……ただの気分だ」

 ていとくんも同じこと言ってたっけ。やっぱり、あなたはどこか似てるよ。
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:24:47.93 ID:GBCsn8Xmo
番外「いちいち名前まで付けるなんて中学生かっての!」

 対角線上に向かってくる球をミサカは打ち返す。浴衣の乱れが気になるけど、気にしてたら負けるかも。
何となく帯が緩い気がする。もっと強く結んだほうが良かったかな。

御坂妹「能力者同士の卓球というからに、もっとバトル的なものを予想しましたが全くもって普通ですね、とミサカはピンポン球を目で追います」

 いやいや、それじゃ旅館が木っ端微塵になっちゃうよ。スポーツってのはね、実力は合わせるものだって偉い人が雑誌で言ってたよ。
だからこの場合は、一方通行がミサカに合わせなきゃ。何て言うんだっけ、ほらアレ……ハ、ハ……ハンディキャップ?そうそう、それそれ。

一方「こんな時に考え事かァ?そンなに余裕かましてっとすぐ終わっちまうぜ。ほらよっ」

 おっとっと。今は集中しなきゃいけなかったんだっけ。ミサカってそんなに表情に出やすいタイプだったかな。知らね。
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:29:37.00 ID:GBCsn8Xmo
 ……部屋ではノリであんなこと言ったけど、こっからどうすればいいんだろう?卓球なんて初めてだし、下手に手を出したら噛まれそうだなぁ。
漫画だと凄い必殺技が出てきたり、地面から炎が噴出したりするんだけど、ここは漫画の世界じゃないからそんな事もできないし。

 あ、超能力があればできるのかもしれないね。ミサカは発電系だから無理そうだけど。

 かん、と打っては、こん、と返ってくる。こん、と返せば、かん、と打ってくる。それが何度も何度も続いた。

一方「……あ」

 こんこんこん、とピンポン球がネットに遮られてコートの上で何度も跳ねた。一方通行はキョトンとした顔で球を見つめている。
どうやらわざとじゃなさそうだ。この人はいくら頭が良くたって、こんな顔を素でできるはずがない。

御坂妹「ネットです。ラブ、ワン」

番外「おやおやぁ?どうしちゃったのかなぁ?」
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:31:36.85 ID:GBCsn8Xmo
 ミサカの口が無意識の内に働く。自然と頭からポンポン言葉が飛び出してくる。そしてミサカはそれを止められない止まらない。

 でも一方通行は淡々としている。流石に慣れちゃったのかな。ちょっと悔しい。あと、ちょっとだけ寂しい。

一方「今のはたまたまだ」

 それなら少しは悔しそうな顔をしなよ。そんなんじゃ全然楽しくないよ。だって、あなたの困る顔がミサカの日々の糧なんだから。

一方「サービスは2本ずつの交代だったよな?なら行くぜ」

番外「ちょっと待って。その球じゃ、あなたと重なって見えにくいんだけど。こっちの黄色いのにしない?」

御坂妹「こっちですか?分かりました、では一方通行はボールをこれに替えてください」

 よし、これでよく見える。ったく、消える魔球とかねーよ。
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:34:38.22 ID:GBCsn8Xmo
一方「……そらよっ!」

 一方通行のサーブは相変わらず大した勢いじゃない。ミサカは軽くステップを効かせてレシーブする。
この程度なら少しは能力を使わせたほうがマシだったかな。

番外「そんなヒョロヒョロした球じゃミサカに勝てないよっ!」

 一方通行の口元が歪んだ。薄気味悪い笑みだ。ふむふむ、これは何か企んでる顔に違いないぞ。

一方「ほらァ!」

 一方通行の身体が少し沈んだと思ったら、球を擦るように腕を振った。球はヒュルヒュルと力無くネットを低く越える。 

番外「えっ、届かな……っ!」

 ミサカは必死に腕を伸ばす。でも届かない。ネット手前でワンバウンドした球はそのままツーバウンドした。
球はコートの上をコロコロと転がる。

一方「バックスピンってな。これくれェは演算しなくてもできるから先読みできねェよなァ?」

 何コイツ。ヘラヘラ笑いやがってムカつくなぁ。そのおでこに釘でも打ってやろうか。
初めて打った癖にそこまで上手いと卓球部の人が泣いちゃうよ?
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:37:58.87 ID:GBCsn8Xmo
御坂妹「ワンオールです」

番外「流石第1位は汚いね」

一方「これもテクニック、てなァ?」

 これだから気を付けようと決めたのに。っていうか、卓球したことの無いあなたが何でこんな芸当ができるの?
何なの? 馬鹿なの? やっぱあなたはチートだ。

 ……まぁいいや。もうこんな小細工は通用しないからね。

番外「……いいよ、ミサカだって素人でも身体能力はあなたよりあるんだからね。それを思い知らせてやる」

御坂妹「サーブ権は番外個体に移りますが」

番外「あーはいはい。さてと、それじゃ準備はいいかな?」

 こんこん、とミサカは球をラケットでお手玉する。卓球のラケットを持つのは始めてだけど、調子は万全。

一方「来いよ」

番外「とぅ!」

 ミサカの放ったサーブは低く、それでいて球足は速い。さっきみたいなノロノロしたラリーとは違って、
素人のあなたじゃ初見では返せないでしょ。案の定、球はラケットのラバーを滑るように後ろに流れた。
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:40:03.62 ID:GBCsn8Xmo
一方「うォ!?」

御坂妹「ワン、ツー」

 うひゃうひゃひゃひゃ。その顔が見たかったんだよ、第1位。

番外「へっへーん。そんな細い腕じゃミサカのサーブは返せないでしょ」

 あなたがテクニックで攻めるなら、ミサカはそれ以上のパワーとテクニックで攻めるもんね。
10のテクニックに勝つには、11のパワーじゃなくてもいい。6のパワーに5のテクニックがあれば勝てる。
ミサカだって女の子なんだし、力だけじゃあなたに勝てないのは分かってる。
でも、ミサカにだってテクニックはあるんだから。それを今からあなたに教えてあげるから待っててよ。

一方「クソったれェ……」

番外「この調子で1ゲーム頂くよ!!」

一方「第1位舐めンじゃねェぞおおォォォ!!!」
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:44:29.07 ID:GBCsn8Xmo
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御坂妹「ゲームトゥー番外個体。ナインイレブン」

 1ゲーム目は何とかミサカが逃げ切った。流石は第1位と言ったところかな。同じ策が通用しないや。

番外「よっし!まずはミサカの勝ちだよ」

 今思うと、最初の1点が無かったら危なかったかもしれない。テレビ中継を見ていると分かる。
たった1点の差で流れは変わることを、ミサカは何度も見てきて知っているから。世界大会だとか日本大会だとか、
この勝負はそんなのじゃないけど、それでもあの1点はミサカを救ってくれたと表現してもいい。

一方「勝った気になってンじゃねェぞ、クソ野郎が。まだ残り2ゲーム取ればいい話だ」

一方「…・…今ので大体は掴ンだからよ。今度は俺の番だな」

番外「今のもギリギリだったけどね。だけど、次もミサカが貰うよ」

御坂妹「ではセカンドゲームを開始します」

一方「行くぜェェェ!!」
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:48:34.18 ID:GBCsn8Xmo
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御坂妹「ゲームトゥー一方通行。イレブンエイト」

 2ゲーム目は負けた。一方通行は多彩なスタイルでミサカを惑わせてくる。こっちは付いていくだけで精一杯だった。
普通なら、ここまでの実力差を見せ付けられて膝を折るところだけど、ミサカが取ったこの8点はとても大きい。
 
一方「オマエも耐えるじゃねェか。ちっとは見直したぜ」

番外「生憎と素直に負ける程、ミサカは甘くないからね」

 そうだとも。ミサカはこの状況の中で8点も取った。なら、さっきの一方通行の動きを解析して織り込めばまだ行けるかもしれない。
いんや、ミサカは勝たなくちゃいけない。勝てるかも、じゃなくて、勝たなくちゃいけないんだ。罰ゲームを受けるのはあなたなのだから。

御坂妹「それではサードゲームを開始します」

一方「そンじゃ、ラストゲームと行こうか。精々神様に祈るこったなァ!!」

 ラストゲーム。これで負けたほうが勝負の敗者となって、罰ゲームを受けなければならない。

 一方通行はサーブを放つ。このままじゃ、この人のペースに乗せられてしまう。ミサカは勝負に出ることにした。
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:52:04.34 ID:GBCsn8Xmo
 先手必勝。ミサカは低く構えて迎え撃った。狙うは対角線上ではなく、コートの右側。今までの一方通行を見て分かる事がある。
一方通行はバックハンドの成功率が低かった事。バックハンドをするところをわざわざフォアハンドで返そうとする。
ミサカだって上手くできないけど、それはバックハンドを打つにはそこそこの練習が必要らしいからだ。一方通行はその頭脳で、
ミサカは身体能力で今までカバーしてきたけど、根本的な要素が抜けているのだ。

一方「うォっと」

 一方通行は不安定な動作で返すことに成功したものの、球に元気がない。これはチャンス。

 漫画みたいな必殺技はミサカにはできないけど、卓球にはほぼ必殺の技がある。そう、スマッシュだ。

 スマッシュは卓球で言う必殺の一撃。それを返そうとしても、球を目で追うことなんて不可能だし、
返すには余程の動体視力や判断力、瞬発力が要る。ほとんどの場合、返すにはある程度の読みや勘、時には運も絡んでくる。
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 00:56:28.23 ID:GBCsn8Xmo
 そんな一撃をミサカは放った。球は一方通行のコートを勢い良く叩きつけ、一方通行の顔を掠めていく。
審判の10032号はそれを拾いに、トテトテと追いかけて行った。なんか可愛い。ミサカも数年前の姿はあんなのだったのかな?
……ま、ミサカは0歳だけど。

番外「どう?ミサカの渾身の一撃は」

一方「中々に痺れる真似しやがるじゃねェか」

 一方通行はどこか楽しそうだ。そこは悔しがるところなんだろうけど、これがスポーツってものだっけ。

御坂妹「はぁ、はぁ……。あまりミサカをこき使わないでください」

番外「他のを使えばいいのに」

御坂妹「他のボールは妹達が使用中なので」

 今まで集中していたせいか、横のコートでは妹達がダブルスをしているのに気が付かなかった。
互いに脳波リンクでもしているのか、絶妙なコンビネーションで打ち合っている。真顔なのがちょっと怖い。


 その後も、点を取っては取られ、取られては取っての繰り返し。そしてとうとう、10対10のデュースに突入する。 
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 22:50:16.79 ID:GBCsn8Xmo
御坂妹「ここからは2点連続で取ったほうの勝利となります、とミサカは確認を取ります」

一方「面白くなってきたなァ」

番外「すんなり終わると思ってたのにねぇ。もう負けを認めなよ」

一方「……オマエがな」

御坂妹「では一方通行。サーブを」

一方「……なァ、おもしれェもン思いついちまったンだけどよォ?」

番外「……ん?」

 面白い事? また小細工を思いついたのかな。まぁ、あなたのパターンは解析しちゃったからどうでもいいけどさ。

 一方通行が球を高く放り上げる。おかしな動作だった。サーブにこんな無駄な動作は必要ないのに。これは演出かな?
自分の倍以上の高さまでボールは達すると、重力に従って降下する。ミサカにはボールを高く上げただけにしか見えない。

 その時、一方通行はしゃがみ込むような動作でラケットを縦に振るった。球は閃光の如く打ち出される。……何だ、また勢いだけか。
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 22:53:07.21 ID:GBCsn8Xmo
番外「そんな変な打ち方で勝てるかって……の!?」

 ミサカは球の軌道から着地点を読み取ってラケットを振るった。だけど、ラバーに球が当たることはなかった。
速いだけと思っていたボールは、強い回転で外側に軌道を変えていたのだ。

 思い出した。これはテレビで見た覚えがある。あれは確か――

番外「王子……サーブ……?」

 名前も知らない選手がそれを放ったのをミサカはテレビで見た。あの時、実況のおじさんがそんな言葉を言ってた気がする。

一方「すげェだろ?ちょっと試そうとしたら本当に出来ちまったよォ……」

番外「見よう見真似でするなんてね……。あなたは何がしたいの?」

 ヤバい。平静を装ってはみるけど、これはマジでヤバい。次のサーブ、ミサカが返せなかったら負けになってしまう。
心臓がドキドキと激しく自己主張する。頭の中が真っ白になってグルグル回る。ドキドキドキドキグルグルグルグル。
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 22:55:58.21 ID:GBCsn8Xmo
一方「さァて、終わりとすっかなァ」

 一方通行はまた球を放り上げ、動作に入る。右か左か、二者択一。当たれば返せる。
外れば負け。読みに勝ってもアドバンテージは相手にある。こいつはひでぇや。

 ――えぇい、右だ!当たって砕けろおおおおおおぉぉぉぉおお!!レッツ玉砕!!!!

 ミサカは一方通行は放つと同時に右側にステップする。読みは当たった。ラバーに手応えはある。
かなり危険な賭けだったけど、返すことはできた。だけど、それでも回転は殺せない。球は左に逸れていく。

 アウトかセーフか。ミサカは出来るのはただそれを見届けるだけ。一方通行は勝ったつもりで腕まで組んでる。
こんな時まで憎たらしい奴だね。あなたはミサカにどんな罰ゲームをさせる気なのかな?
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:01:30.93 ID:GBCsn8Xmo
 ――球はコートの角に当たって、跳ねることなく落ちた。エッジボールだ。

 ミサカは首の皮一枚繋がった。今のは死ぬかと思ったよ。……寿命が1年縮んだんじゃね?

一方「チッ、神様の願いが叶ったのかァ?だがこれで運の尽きだ」

 神様マジありがとう。人に作り生みだされたミサカも救ってくれるなんて太っ腹な神様もいるもんだね。

番外「でも、ここでミサカが1点取ればミサカの勝ちだよ。分かってる?」

一方「……あァ、分かってる。でもよォ、だからって俺が負ける理由にはならねェだろォが」

 正直、一方通行が次に何をしてくるかのか分からなくて怖い。もしかしたら、レシーブで終わるかもしれない。
それでもミサカは進むしかない。ここで格好よく勝ってみせるんだ。

 ミサカはサーブを打った。今までで一番速く、今までで一番上手くいったサーブだ。これなら勝てる。
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:05:02.22 ID:GBCsn8Xmo
 ――それでも、一方通行を見たときに敵わないと感じてしまった。ミサカの中で何かが崩れた。

 あんな構え方は見たことがない。ミサカにはあんなデータは入力されていない。ミサカは解析したことがない。
右か左か、ミサカは咄嗟に目線を左右に向ける。分からない。

 右か左か、もしかしたらそれだけじゃないかもしれない。ミサカは分からなくない。ゴクリと喉が鳴った。

一方「うおおおおォォォォォあああァァァァ!!!」

 一方通行は大きくラケットを振りかぶった。戦鬼のような形相でミサカを睨みつける。

 無理だ。返せるわけがない。

 ――卓球の勝敗を決める最後の要因、精神力。

 ――ミサカはこの瞬間、一方通行に負けていた。

 ――もしかしたら、ミサカはずっと卓球なんて眼中になかったのかもしれない。

 ――もしかしたら、ミサカはずっと罰ゲームのことしか眼中になかったのかもしれない。

 さっきのチキンレースだってそうだ。ミサカは負けたくないから妹達の挑発に乗った。内容なんてどうでもよかった。
あの時は偶然勝てたけど、それは最後まで諦めなかったから。落ちそうになった時は、怖くて目を瞑っちゃったけど、それでも負ける怖さはなかったから。
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:09:39.15 ID:GBCsn8Xmo
 でも、今は怖い。ミサカは一方通行の気迫に慄き、1歩2歩と後退り。肩がブルブルと震える。
主人公の必殺技の前に、何もしない怪人ってこんな気持ちなのかな。身体が言うことを利いてくれないよ。
必殺技が出る前に倒せばいいのに、なーんて思ってたけど、今なら分かる。あなたたちも怖かったんだね。



 ピーー。
 


 その時、小さく短い音が鳴った。それは一方通行の首の辺りから聞こえた。

 一方通行のラケットは虚空を斬り、そのまま手から離れ落ちた。からんからん、と木の音が鳴った。

一方「あ、あ……ァ…………」

 一方通行は音もなくコートにもたれかけた。表情に生気は無い。白目剥き出してちょっと噴出しそうになる。
起き上がろうとしているのか、指が僅かにピクピクと動いているのが分かった。
 
番外「…………え?」

御坂妹「電池切れ、ですね」

 ――こうして、一世一代の卓球勝負は幕を下ろした。なんつー終わり方だよ。

 余りに呆気ない終わり方に、勝ったはずのミサカもポカーンと口を開けるしかなかった。

番外「何だ、これ……」
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:12:11.51 ID:GBCsn8Xmo
一方「……ン?」

番外「動かないで。充電中だから」ビリビリビリ

一方「俺は……負けたのか?」

御坂妹「ゲームアンドトゥーマッチ、番外個体。番外個体の勝ちです」

番外「残念ながらあなたの負けね」

一方「あれは無しだろ……」

番外「ミサカは想定しておくべきだったと思うけど?体育の時に言ったじゃない。1時間が限度だって。それなのに、あなたはそれ以上の補助をして貰ってたんだしさ」

冥土帰し「全く、君も無茶をするね?」

御坂妹「……冥土帰し、どうしてここに?」

冥土帰し「それは僕が聞きたいね?」

御坂妹「……すみませんでした」

冥土帰し「みんなが無事なら僕はそれでいいよ?」
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:13:34.85 ID:GBCsn8Xmo
番外「それはそうと、早速罰ゲームを決めないとねー!」

一方「マジかよ……」

番外「うーんとね、そうだ。アレにしよう!うひゃひゃひゃ!言っとくけど、拒否権はないよ!」

番外「……じゃあ一方通行、あなたは――」

打ち止め「無視すんなやゴルアアアアァァァァ!!!」

番外「げふぅ!!!!」

一方「」

御坂妹「」

冥土帰し「」
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:15:01.28 ID:GBCsn8Xmo
打ち止め「何で無視したの!?ってミサカはミサカは聞いてみたり!」

番外「いたたた……。何だ、最終信号じゃない」

打ち止め「何だじゃない!あなた、ミサカの通信切ったでしょ!ってミサカはミサカはポカポカ叩いてみる!」

番外「だって面倒だし。ミサカだって暇じゃないんだよ」

打ち止め「それでも酷いよ!ミサカだってさっきは色々大変だったんだから!」

一方「……ど、どォしてオマエがここにいるンだ?病院に任せたはずだが」

打ち止め「あぁー……それは何というか……」

冥土帰し「僕が京都の研究所に用があってね?連れてきたほうが彼女の身も安心だからこうすることにしたんだ」

打ち止め(ゲコ太先生GJ!ってミサカはミサカは親指をコッソリ立ててみたり)
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:15:59.35 ID:GBCsn8Xmo
番外「ここに来たのはアレかな?あの子たちを連れ戻しに来たってトコ?」

一方「早ェことアイツらを連れ帰ってくンねェか?騒がしくてウザってェからよ」

冥土帰し「あー……その事なんだけどね?それは無理だ」

一方「おい」

番外「はぁ?」

冥土帰し「7人も連れて帰る余裕がないんだね?つまり、彼女らの安全の為、僕らも今晩はここに泊まろうかと」

冥土帰し「部屋を取れるか心配だったが、何とか取れたようで良かったよ?」

番外「良い知らせと思ったら悪い知らせだったよ……。しかも飛びっきりの」

一方「最悪過ぎンぞ……。第一、俺らは――」

14440号「おっしゃあああああ!!!勝ったああぁぁぁ!!!!」

14510号「ちっくしょおおおおおおおおおおお!!!」

20000号「次はミサカの番だあああああああ!!!」
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:17:55.45 ID:GBCsn8Xmo
番外「うわっ!?」

一方「……何だァ?」

17600号「卓球です。総当たり戦で、最も勝敗が多かったミサカが一方通行と一夜を過ごせるのです、とミサカは懇切丁寧に説明します」

一方「ンな事聞いてねェ」

番外「わお、積極的だこと。ミサカもその部屋にいるんだけどね」

打ち止め「後でお仕置きが必要かも……」

冥土帰し「ふむ、卓球かい?どれどれ、僕も久しぶりにやってみようかな?」

番外「卓球できるんだ?」

冥土帰し「若い頃にちょっと齧っててね?腕には自信があるよ?」

垣根「おう一方通行、さっきの見てたぜ。女の子に負けるなんてざまぁないな」

一方「……不可抗力だ」

冥土帰し「ていとくんじゃないか。身体はどうかね?」

垣根「あんたのお陰ですこぶる調子が良い。流石は冥土帰しの名に恥じない医者だ、感謝するぜ」
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:20:16.52 ID:GBCsn8Xmo
一方「なるほどな、コイツに治して貰ってたのか」

番外「グチャグチャにされたらしいのに、何ともなかった様に見えるのはこの人のお陰だったんだね」

垣根「この医者も俺並に常識が通用しねぇぞ」

垣根「……で、あんたが持ってるのはラケットだよな?そんなら俺を手合わせを願おうか」

冥土帰し「僕とかい?」

垣根「あぁ、今の一方通行は戦えねぇからな」

番外「充電中だしね」ビリビリ

一方「動けるようにまでまだちょっとかかるな」

冥土帰し「ふむ、君で僕に勝てるとは思えないけどね?」

垣根「あんたにゃ借りがあるが、学園都市第2位の実力を見せてやるぜ」
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:22:12.87 ID:GBCsn8Xmo
冥土帰し「……御坂妹くん。審判をお願いしていいかな?」

御坂妹「ミサカですか?まぁいいでしょう、とミサカは引き受けます」

御坂妹「では、ラブオール。試合開始です」

冥土帰し「ではよろしく頼むね?」

垣根「あぁ」

一方「……凄ェ絵図だな」

番外「ま、お手並み拝見といきますか」

打ち止め「どっちも頑張れー!ってミサカはミサカは応援してみる!」
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:23:12.22 ID:GBCsn8Xmo
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垣根「畜生……能力開放しても勝てねェのかよ……」

冥土帰し「……僕を誰だと思っている?」

番外「…………医者だよね?何あの動き、思いっきり体育会系じゃん」

一方「医者ってスポーツもできンのか?」

14889号「昼も凄かったんですよ、とミサカは動く医者を思い出します」

打ち止め「カエルみたいにピョンピョンしてたんだよ!」

番外「ぴょんぴょん……?」

18264号「あとで共有しましょうか?」

番外「うん、すっごく気になる」
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:25:23.58 ID:GBCsn8Xmo
垣根「あんたのその技、一体何なんだ……」

冥土帰し「これでも昔は、エッジ殺しのブラックジャックと呼ばれていてね?」

番外「エッジを狙うのってマナー違反じゃないかな……」

冥土帰し「僕は患者を救うのならどんな手段でも使う。勝つことなら何だってするんだよ?」

一方「能力の恩恵を使ってる俺らも似たようなもンだけどな」

垣根「昨日のサングラスといい、無能力者怖ぇ……」

冥土帰し「……さぁ、セカンドゲームと行こうか?」

垣根「」ガクガクブルブル

一方「……もォいいな」

番外「ん。あとは部屋で充電したらいいね」

打ち止め「ミサカも行く」

一方「クラスの奴に見られたら色々不味いだろ。今日はコイツらと居ろ」

打ち止め「ぶーぶー」
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:26:34.48 ID:GBCsn8Xmo
一方「アバヨ、ていとくン」

番外「ばいばーい」

垣根「ちょ、ちょっと待ってくれ……」

冥土帰し「……さて、治療の開始だね?」

ウワアァァァァァァッーーー!

一方「……」カツカツ

番外「……」テクテク

妹達「……」テクテク

一方「……」カツカツピタッ

番外「……」テクテクピタッ

番外・一方「何で付いてくるの?(ンだ?)」
741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:28:23.85 ID:GBCsn8Xmo
20000号「まぁまぁお気にならさらず、とミサカはなだめます」

10033号「上位個体と冥土帰しが戻ってくるまでご一緒しますよ」

14510号「一方通行が心配なだけです、とミサカは枕を胸に抱きます」

14440号「部屋の鍵は上位個体が持っているのでミサカたちは入れないんです」

番外「……絶対に後付けでしょソレ」

一方「もォどうだっていいわ……」


番外「この部屋も明日の朝にはさよならなんだよね」

一方「和室も結構いいもンだな」

番外「黄泉川のトコも和室にしたらいいのに。あー、この匂い落ち着くなぁー」ゴロゴロ

一方「あンますると髪に畳屑が付くぞ」
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:29:24.52 ID:GBCsn8Xmo
番外「ちょーっとくらい大丈夫だって」ゴロゴロ

一方「すンなら先に髪乾かしてからにしろ……」

番外「えー、面倒」

一方「このまま寝たらボッサボサになンだろォが。家ン中ならともかく、俺に恥をかかせるンじゃねェ」

番外「今日はいつもみたいに乾かしてくれないんだね」

一方「あれは黄泉川がうっせェからやってンだけだろ。親切でやってるンじゃねェよ」

14510号「うわぁぁぁん!!!そんな事まであなたはああああああ!!!」

番外「ぶわっぷ!」ボフッ

14889号「おぅ、これが枕投げなのですね。もしかしたらと思って枕持参してきて良かったです」

10033号「何気にさっきの卓球勝負は14889号が勝ちましたからね。とは言っても、ミサカたち全員持参してますが」
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:32:13.21 ID:GBCsn8Xmo
14440号「MNWによると、枕投げ開始時のルールは不明確ですが、これはありなのでしょうか、とミサカ14440号は質問します」

20000号「しかしながら、この期に抜け駆けした番外個体に恨みをぶつけるのも良い機会ですね、とミサカ20000号は枕を構えます」

18264号「ほほぅ……ではこれはプレゼントです、とミサカ18264号は番外個体だけ抜け駆けしやがってずるいだろ、という念を込めて投げつけます!」

10033号「抜け駆けは19090号だけと思っていたようですが、それだけではないのですね、とミサカ10033号は軽く飽きれつつ更に枕を投げます!」

14510号「そうやって昨日はふたりっきりの時を過ごしたのですね、とミサカ14510号は怒りを込めて再度投げつけます!!」

番外「ぶわわわわーっ!」ボフボフボフゥ

20000号「そしてミサカは勢い良く枕を番外個体に叩きつけます。コイツめ、セロリたんに何を吹き込んだあ!ミサカだってセロリたんにツンデレしてもらいたいわあああああ!!!」

番外「うぷっ!」ボンッ

17600号「これは面白いことになりました、とミサカ17600号はビデオカメラを回します。RECです」
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:34:09.38 ID:GBCsn8Xmo
番外「こんにゃろー!!ミサカが大人しくしとけば付け上がりやがって!!仕返しじゃああ!!」

14889号「ガードです、とミサカは14510号を盾にします」

14510号「ちょ、やめてくばふぁ!」バフッ

10033号「おのれ番外個体、14510号をよくもやってくれましたね」

番外「盾にしたのはそっちじゃん!」

18264号「えぇい!皆の者かかれー!」

ウリャー! バフッ! イタイイタイ、トミサカハ バババババ! バシィ! ウニャー! REC

一方「うっせェな……」

番外「うりゃあ!!」

14440号「さっ、とミサカは軽快なステップで回避します」

一方「オマエら、ちっとは静かにしぼふっ!」ボムッ
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:35:33.53 ID:GBCsn8Xmo
番外「……あちゃー」

ゴゴゴゴゴゴゴ..........

一方「テ、メ、エ、らァ……」

番外「てへ☆」

一方「てへ☆、じゃねェ!!!もォ全員ぶっとばしてやンよォォ!!!」

14889号「このままでは不味いです。ここはミサカたちで協力して一方通行を抑えましょう」

番外個体「ミ、ミサカもそっちに付くよ!」

一方「ほらほらどォしたァ?怖気づいてンじゃねェよ三下がああああァァァ!!」
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:36:12.66 ID:GBCsn8Xmo
14510号「10033号すみません!」

10033号「えっ?ぶばっ!?」ボスッ

20000号「番外個体は今のうちに攻撃を!」

番外個体「えっ、枕?」

18264号「今の一方通行は反射は使えません。ですからコレで戦ってください!」

14510号「もうこれは枕投げではありません。枕大戦です!」

一方「くきかかくきかかかけかかこかかけけかかかーーっ!!!」

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747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:37:05.70 ID:GBCsn8Xmo
打ち止め「ミサカが温泉に入ってる間にどこ行っちゃったんだろう?ってミサカはミサカはミサカたちを探してみたり」

冥土帰し「入る前にはいなかった気もするけどね?念のため、彼のところに行ってみようか?」

打ち止め「また変なことしてないといいんだけどなぁ。一応、演算レベル戻しとこっと」


冥土帰し「一方通行、ちょっといいかな?」ガララ

一方「」

番外「」

妹達「」

打ち止め「うっわぁ……部屋の中がぐちゃぐちゃだー、ってミサカはミサカは中を見回してみたり」

冥土帰し「戦争でもあったのかな……?」
748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:38:52.01 ID:GBCsn8Xmo
打ち止め「ねーねー起きてー」ユッサユッサ

一方「」

冥土帰し「とりあえず、あの子らは僕が連れて戻るから、君は部屋を開けててくれるかな?」

打ち止め「うん、分かった、ってミサカはミサカは急いでみたり!」タタタタッ

冥土帰し「……僕の知っていた枕投げはこんなものじゃなかったんだけどね?」

冥土帰し「時代は変わるもんだね……」


冥土帰し「ほら君たち、伸びてないで起きたらどうかな?」

番外「んぅ……」

14510号「ミサカたちは……生きているのですか?」

冥土帰し「派手に遊んでたようだけど、限度というものがあるんだよ?」
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:40:01.30 ID:GBCsn8Xmo
番外「あれ、一方通行は……?まだ伸びてるのかな」

14889号「充分な充電をしていませんでしたからね。おそらく切れてるのでしょう」

14440号「ではミサカは部屋に戻りますので、とミサカは逃亡を図ります」

20000号「ミサカはここに残ります、とミサカは胡坐をかきます」

18264号「あなたも帰るのですよ、とミサカは20000号を引き摺ります」

20000号「あぁぁセロリたぁぁん……」ズルズル

冥土帰し「ふむ、壊れたものはないか……。これなら特に心配することはなさそうだね?」

番外「誰も怪我してないのが奇跡なくらいだよ」
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:41:36.82 ID:GBCsn8Xmo
10033号「……んん、ミサカは何をしていたのですか?」

冥土帰し「君も起きたかい?それじゃ部屋に戻ろう」

番外「せめて部屋を片付けるくらい手伝ってくれないかな?」

妹達「そ、それでは失礼しました!」ピュー

冥土帰し「そ、それじゃまたね?」スタスタ

番外「……ちょっと!?」

番外「これ全部ミサカがするの……?」

番外「……………………・不幸だぁ」
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751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:43:07.04 ID:GBCsn8Xmo
番外「ふぅ、やっと片付いたよ。枕だけ丁寧に持って帰りやがってさぁ。少しくらい手伝ってくれてもいいじゃん……」

番外「さてと……おーい、生きてますかー?」パシパシ

一方「……おォ、オマエか」

番外「オマエか、じゃなくて」

一方「またバッテリー切れか……。おォ?部屋が元に戻ってやがる」

番外「ミサカがひとりで片付けたんだよ。あの子たちは逃げちゃったしさぁ」

一方「俺まで巻き込むとはなァ……。で、今何時だ?」

番外「時計どこにあったっけ。あー、10時」

一方「どンだけ暴れてたンだよ……。もォいい、電気消して寝るぞ」
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:44:51.05 ID:GBCsn8Xmo
番外「はーい、おやすみ」

一方「朝7時起きだからな。アラーム設定しとけよ」

番外「はいはい。……携帯どこいったっけ?」ゴソゴソ

一方「オマエなァ……。俺が設定しておくからオマエは寝てろ」

番外「んじゃよろしく!おやすみ!」バサッ

一方「ふゥ……」

一方「…………あァ?やべェ、俺の携帯もどっか吹っ飛ンじまった」ゴソゴソ


番外「すやすや……」
753 :すみません。ここからちょっとだけグロテスクな描写が出てきます :2011/03/13(日) 23:47:41.21 ID:GBCsn8Xmo
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                              ・

 ――ここはどこ? 何でミサカは走ってるの? さっきまで何をしてたんだっけ? 何も覚えてないや。

 感覚はないけど、何かがべっとりと手に付いてる気がした。 感覚はないのに、何故かそれが分かった。

 ……これは、血? ミサカの血? でも不思議と全然痛くない。じゃあ誰の血?

 ここはどこ? 真っ暗でよく見えないよ。ミサカは今どこにいるの?
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:49:41.95 ID:GBCsn8Xmo
「見ィィィィつけたァァァァ」

 誰かの声がした。聞き覚えのある声だ。ミサカの知ってる人。ミサカがよく知ってる人の声。その声を聞いてちょっと安心した。……癪だけど。

「ちょろちょろ逃げ回って疲れないンですかァ? そろそろ楽になりたいンじゃないンですかァ? なら素直になれよモルモットのお人形ちゃァン」

 ……モルモット? お人形? 今のミサカはもうそんなんじゃないよ。そう言い返したかった。でも。

 ――口が開かない。それだけじゃなく、息もできない。それなのに苦しくも何ともない。……不思議なことがまた増えた。

「おやおや、真っ赤に染まっちまって綺麗になったじゃねェか。俺は酒なンざ飲む歳じゃねェけどよォ、ワインみてェだな。凄く綺麗だぜ」

 真っ赤? ……本当だ、ミサカの手だけじゃない。ミサカの胸。ミサカのお腹。ミサカの足の全部が真っ赤だ。
でも痛くない。じゃあこれは誰の血? ……あれ? さっきまで真っ暗で何も見えなかったのに見えるよ?
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:54:15.45 ID:GBCsn8Xmo
 街灯の光に声の主が照らされる。幽霊みたいな白い髪に白い肌、そして赤い瞳。ミサカはその人を見た。今度は口が開いてくれた。

番外「一方通行……?」

 やっと呼べた。でもちょっと変だ。いつもと何か違うし、服もいつものと違う。
いつもは真逆な白いシャツなのに、今のあの人は黒がメインのツートンカラー。何あれダサっ。アニメに出てくるライバルみたい。
ワンポイントには収まらない白い模様がミサカには理解できない。いつもの服も相当アレだけどね。

 でもそうじゃない。変なのは服なんじゃない。全部が変。一方通行はミサカを見ていてミサカを見ていない。
いつもなら無視なんかしないで返事してくれるんだから。

一方「そっちが動かねェのならこっちから行かせて貰うぜェ!」

 ……ねぇ、何で泣いてるの? 何でそんな悲しい顔をしてるの? 今度は声が出なかった。
756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:56:54.72 ID:GBCsn8Xmo
 気が付けば、ミサカは押し倒されていた。可笑しいな、ミサカは一方通行の代理演算をモニタリングできるのに、
今日は何でできないんだろう? それ以前にネットワークにも繋がらない。 身体も勝手に動くよ?

一方「オマエで100体目だから今日は特別だ。いつもはただ殺して終わりだが、素敵なバッドエンドを奏でてやるよ。」

 100体目? 何のこと? ミサカには分からない。分からないことだらけだ。

一方「まァ、まだあと19900匹も残ってるンだがな」

 そう一言付け加えると、一方通行の右手がミサカの左腕に触れた。

 触れたと分かった時には、左腕はミサカから離れていた。

 一方通行の左手に、ミサカのその左腕が。そして、足元に真っ赤な水溜りが溜まった。
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:58:39.66 ID:GBCsn8Xmo
 この時になって分かった。これは殺された妹達の記憶。じゃあ、これはミサカ100号の記憶?
ミサカは死んだ妹達の記憶も共有して貰ってるけど、誰も好き好んで同じ顔をした自分が殺された記憶なんて思い出すわけがない。
ミサカだってそんなクソったれな思い出に浸るもんか。いくらミサカだってこんなのは嫌だ。

 急に怖くなった。逃げ出したい、こんな記憶要らない。だから誰か助けて。

 身体は痛くない。だけど痛い。それは心?

一方「見ろよ。これがオマエの左腕だぜェ? 人の腕ってもンもいったン身体から離れちまえば、ただの肉と変わンねェなァ!! ギィヤハハハハ!!」
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 00:01:07.19 ID:clGJ42p9o
 左足、右腕、右足の順に一方通行はミサカの身体から引き離してゆく。その都度、ミサカの口からは声にならない叫びが飛び出る。
でもこの声はミサカの声じゃない。これは100号の叫び? これは100号の痛み? 100号は心が痛かったの?

一方「いいねェ……。これくらいの反応をしてくンねェと遣り甲斐がねェってもンだ」

 じゃあ、何であなたは泣いてるの? 元々目は真っ赤だけどさ、もっと真っ赤になってるよ?

 頭を傾ければ、一方通行の後ろにはミサカの手足が見える。そして視界が霞んでいく。
100号の灯が尽きかけているからかな。何となくそんな気がした。

一方「そンじゃ、終わりと行きますかァ?」

 一方通行の両手がミサカの首に迫る。

 ――そして目の前が真っ暗になった。誰かの声が聞こえた。どこかで聞いたような、寂しそうで今にも消えてしまいそうな声が。
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 00:06:16.61 ID:clGJ42p9o
番外「うわああぁぁぁ!!?」

番外「……はぁっ……はぁっ……今のは、夢……?それとも本当に記憶……?」

一方「ン……こンな時間にどォした?」

番外「今……3時か……」

一方「急に叫ンだと思ったら飛び起きやがって」

番外「……別に何でもないよ。あなたはずっと起きてたわけ?」

 夢オチか……。今のは本当に100号の記憶だったのかな? でもそれを拾う勇気がなかった。
どうせならもっと楽しい夢なら良かったのに。美味しいパフェを食べたり、子猫に囲まれる夢とかさ。

 一方通行は目を擦りながらこっちを見てる。もしかして、今ので起こしちゃったのかな。

一方「いンや、今ので起きた」

番外「そっか……。んじゃ改めておやすみ」

一方「……ン」
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 00:07:31.77 ID:clGJ42p9o
番外「…………………………」

 目を閉じると、さっきの夢が鮮明に浮かんでくる。寝るのが怖い。何だか布団が冷たい。
その冷たさが、ミサカをどこかに連れて行ってしまいそうだった。どこかどこか、遠くのどこかへ。

番外「……ねぇ」

一方「今度は何だ?」

番外「……そっち、行っていいかな」

一方「何寝惚けてンだ」

番外「寝惚けてない。……じゃあ罰ゲーム。ミサカが寝るまで、ぎゅってしてくれないかな」

一方「……はァ?オマエ何言ってンだ?」

番外「卓球に負けたでしょ。だからその罰ゲーム」

一方「意味分かンねェ……。ひとりで寝ろよ」
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 00:14:24.80 ID:clGJ42p9o
番外「今夜だけでいいからお願いしたっていいじゃん」

一方「……チッ。ほら、来い。その代わり何もすンなよ」

番外「うん…………」

 モゾモゾと、ミサカはこの人の布団に潜り込む。ちょっと恥ずかしい。でもひとりは怖い。
傍から見たら、何だか寝込みを襲ってるような不思議な感じがするんだろう。でもそんないやらしい雰囲気じゃない。
これを20000号や14510号が見たらどんな反応をするんだろうか? 大体想像は付くけどさ。

一方「はァ……クソガキじゃあるめェしよォ」

番外「何でもないただの罰ゲームじゃない。それよりも、ぎゅってしてくれないの?」

一方「……なァ、本当にするのか?」

番外「本当にしなきゃカウントしないからね」

一方「クソガキにもやンねェのによォ……ほら、これでいいか?」

番外「うん、うん……」
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 00:16:30.67 ID:clGJ42p9o
 ――あの人の身体は暖かかった。それは温泉よりも優しかった。これならもう怖くない。

 ――あの人の温もりが篭った布団は優しくミサカを包んでくれた。これならもう目を閉じても怖くない。

番外「……ねぇ」

一方「何か言ったか?」

番外「……んにゃ、何にも」

一方「そォかい」

番外「……ミサカが寝るまで絶対に離しちゃ駄目なんだからね」

一方「オマエこそゴロゴロ転がンなよ」

番外「今日はそんなことないよ。……おやすみ」


一方「…………あァ」 
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:19:02.79 ID:i9qFvv8Go


チュンチュン......

番外「んんぅ……」

番外「……朝、かな」

ピピピピピピピ!!

番外「っ!?」

一方「ン……」

番外「あ、起きた?」

一方「ンンー……」モゾモゾ

ピピピピピピピ!!!

一方「悪ィ、携帯取ってくれねェか?」

番外「いいよ、ミサカが消すから。でも、こんなに大きくしなくても良かったんじゃない?五月蝿くて鬱陶しいよ」

一方「オマエが寝坊しねェように設定したつもりなンだがなァ……。起きたなら布団から出てくれ」

番外「その前に起きちゃった。たまーに、目覚ましが鳴る一瞬前に目が覚めたりするでしょ?」

一方「今朝がそれってか?今日が遊園地だからって張り切ってンのか」

番外「うぅ……そんな事無いし!」
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:22:10.90 ID:i9qFvv8Go
一方「オマエはすぐ顔に出るから分かるンだよ」

番外「……マジ?」

一方「クソガキもそォだが、アイツはただ幼いだけだ。いっつもヘラヘラしてるだけだしな。だけどよォ、オマエはまンま考えてる事がそのまま顔に出てるンだよ。俺にはそォ見える」

番外「例えば?」

一方「俺に何か仕出かそうとする時。まずこれが一番分かりやすい」

番外「それはミサカの意思じゃどうもにもならないよ。ネットワークから勝手に拾うんだから」

一方「……つーかよォ、オマエもクソガキと基本は一緒だろ」

番外「何?あなたはミサカが最終信号のチビっ子と同じだって言うの!?」

一方「だからそォ朝っぱらから噛み付くな。誰も同じだとは言ってねェよ」

番外「でも一緒って言った!そうやってあなたはいっつもミサカを誤魔化そうとする!」

一方「あァもォ面倒臭ェ……」

番外「納得させるまでミサカは布団から出ないもんね。謝罪と賠償を要求するよ!」
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:26:39.47 ID:i9qFvv8Go
一方「やめろ暑苦しい!もォ罰ゲームとやらは終わったンだろォが!!……もォいい、俺は起きる」

番外「そうはい神裂!」ガシッ

一方「こンの……っ!離しやがれェ!!」ジタジタ

番外「もっとミサカと楽しい楽しいピロートークでもしようよ。ギャハ、その言い方だと事後みたいだね☆」

一方「事後言うなァ!」ジタジタ

番外「うひゃひゃひゃひゃひゃ!一方通行は実は初心でしたってかぁ?」

番外「それに、ひとつの布団を男女で共有してる時点で、あなたには自覚がなかったのかな?」

一方「だから、あれは罰ゲームで」

番外「もし今のミサカたちを誰かが見たらどう思ったりするのかな?」

一方「ンなの、俺はクラスの奴からは女だと思われて……ン、何だこりゃァ?」

番外「ん……帯?」

一方「何でここに帯がある。オマエのか?」

番外「ミサカの帯ならちゃんと巻いて……きゃあああああぁぁぁーっ!?」

一方「おィこっち向くな暴れンな!!」
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:28:58.48 ID:i9qFvv8Go
ガララッ

打ち止め「おっはよー!ってミサカはミサカは……っ!?」

番外「……あ」

一方「」

冥土帰し「どうしたんだい、打ち……」

一方「こ、これはだなァ……」

打ち止め「ミミミミサカはミサミサミササササ」ブクブク

10153号「迎えに来てみれば何ということでしょう、とミサカは朝っぱらから昼ドラを見ているようで、何が何だかわかりません」

冥土帰し「……若いからってハッスルし過ぎるのも毒だね?」

番外「ミ、ミサカは別に……」

冥土帰し「じゃ、じゃあ……僕たちは研究所に帰るから……。医者としか言いたい事は分かってるね?それじゃ」

ガラララ...

一方「……」

番外「……」

一方「……飯食いに行くか。ほら、帯だ」

番外「……うん」
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:31:03.75 ID:i9qFvv8Go
大広間

上条「遅かったな、寝坊か?」

番外「まぁちょっとあってね……」

一方「できれば聞かないでくれるとありがてェ……」

番外「で、朝ご飯は何かなーって……。うげぇ、焼き魚かよ」

青ピ「焼き魚苦手なんか?」

番外「骨取るの面倒だし、内蔵が苦くてミサカ嫌ーい……」

一方「オマエは身の分け方が下手なンだよ。いつも見事なまでにグチャグチャになって、原型が無くなってンじゃねェか」

番外「だって小骨を抜いたり内蔵を避けたりすると、気付いたらああなってるんだもん」

一方「どォなったらあァなるんだよ……」

番外「それはミサカが知りたいよ!」

一方「……はァ、もォ俺が教えてやる」
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:32:19.77 ID:i9qFvv8Go
番外「んにゃ、教えなくていいからさ。代わりにミサカのを崩してよ」

一方「あァァァ!?」

番外「そのほうがミサカも楽だし」

一方「オマエはどこまで甘ェンだよ……。いいか、俺の真似をしてみろ」

番外「ぶー、このケチんぼ」

一方「焼き秋刀魚か……。これなら身も崩しやすいな」

番外「分かったよ……。で、最初はどうするの?こう?」

一方「違ェよ。いきなり真横に分けたら汚くなンだろォが」

一方「最初はなァ、背中を箸で叩くンだよ。こォやってな」

番外「……こう?」

一方「それじゃあ、開く前にグチャグチャじゃねェか。もっと優しくやンだよ」

番外「それを先に言ってよ!……もうヤダ、ミサカやーめたっ」
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:34:07.35 ID:i9qFvv8Go
一方「諦めンのが早ェ。次はな、そのまな箸を背中に入れて……。な、綺麗に開けただろ?」

番外「どうせミサカにゃ無理だよーだ……」

一方「何拗ねてンだよ……。たったこれだけの事だろ?」

番外「ふん……」

一方「チッ……ちょっと箸持ってみろ。俺が直接教えたほォが早そうだ」

番外「えっ……ぅわっ」ガシッ

一方「こォして開くンだ。これで2枚に分かれたろ?」

番外「あ……えっ……う、うん」

一方「これで後は背骨をこォ摘まンで引っ張る。……ほらな、オマエもやりゃあ出来ンだよ」

番外「……うん、ミサカにも出来た……」


上条「なぁ……」

土御門「カミやん、あのシスターが例外的なだけなんだぜい」

上条「畜生……」

青ピ「これはほんまに現実なんか……」

土御門「カミやんはもっと周りに気付いてあげるべきだにゃー。青ピは知らね」

青ピ「もうボクには虹しかないんや……」

上条「そげぶ!そげぶ!…………畜生、現実なのかよ……」

土御門「……分かったら部屋に帰って仕度するぜよ」
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:36:31.50 ID:i9qFvv8Go
一方「……っと、これでまァ、一通り終いだな」

番外「まだ小骨と内蔵が残ってるよ」

一方「小骨も食える。内蔵も食える」

番外「ミサカは内蔵は苦いから嫌いって言ったじゃない。小骨は喉に刺さるし」

一方「そォやって選るから余計に汚くなるンだよ」

番外「苦いのは嫌なんだもん」

一方「……内蔵なら俺が食ってやるから。オマエは小骨くれェ気にせず食え」

番外「ヤダよ。刺さると痛いよ」

一方「今ので大体の骨は取れたろォが。喉に刺さるのはどォ考えても、オマエが下手なだけだろ」

番外「本当だね?賭けれる?」

一方「賭けるも何もねェよ」

番外「……これで刺さったらあなたのせい。罰ゲームだから」

一方「待て、それはおかしい」
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:38:11.39 ID:i9qFvv8Go
番外「むぐむぐ……。本当だ、全然刺さらないよ」

一方「だろ?こォすれば食べるのも楽だし、見た目も綺麗だろ」

番外「もう次からミサカの分は全部お願いしようかな」

一方「それじゃァ俺が教えた意味がねェよ」

番外「ひゃひゃひゃ!冗談だって、1割くらいは」

一方「ほとンどその気じゃねェか」

番外「その1割は食べる事なんだけどね。……あ、食べないのなら貰うよ」ヒョイパク

一方「俺の秋刀魚ァァァ!?」

番外「もふひしゃかのふひのなははお」モグモグ

一方「かっ、返しやがれェェェェ!!!!いや、やっぱ返すな!」

小萌「何してるんですかー?もうみんな部屋で準備してますよー?」

番外「むぐむぐ……だってさ」

一方「クソがァ……」
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:39:32.65 ID:i9qFvv8Go
部屋

一方「こンなもンかァ?忘れ物はねェか?」

番外「うん、多分大丈夫」

一方「他の奴らは外で待ってるだろォな。早く行くぞ」

トントン

番外「小萌先生かな?」

一方「オマエが遅いから待たせちまっただろォが」

番外「バッグが閉まらなかったんだから仕方ないよ」

一方「そンなに詰め込ンでくっから悪ィンだよ」

番外「女の子はこんなもんだよ」

一方「本当分っかンねェわ……」

トントン

一方「あァ……今出る」
785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:41:22.49 ID:i9qFvv8Go
ザザー

垣根「おうお前らら、もうみんな集まってんぞ?」

一方「オマエかよ……。俺たちも今から行くところだ」

番外「うっしょ、じゃあ行こっか」

垣根「今日は遊園地に行くんだってな。大阪に来て遊園地か?もっと他にも行く所があるだろーよ」

一方「俺が聞きてェ」

番外「なんたってアレだからね」

一方「あのカエルのどこが良いのかねェ……」

垣根「まぁ、楽しんだもん勝ちだ。分かったらほら、早く行くぜ」

一方「……」

番外「どっから先に回ろっかなー」
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:43:53.95 ID:i9qFvv8Go
大阪、某ホテル

番外「523号室523号室っと……ここかぁ」

ガチャ

一方「……旅館程じゃねェが悪くはねェな」

番外「うわー、大きなベッドだー!とぅ!」

一方「荷物を置いたら行くぞ」

番外「ほらこのベッド弾むよ!それにフカフカ!」ビョンビョン

一方「遊ンでンじゃねェ!ンなのは帰ってからにしろ!」

番外「はーい。何を持っていけばいいかな?」

一方「手ぶらでいいンじゃねェのか?」

番外「手ブラ?きゃーえっちー!第1位は煩悩も第1位なんだね」

一方「オマエ、今ぜってェカタカナにしただろ。分かりにくいボケかますンじゃねェ」
787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:45:38.33 ID:i9qFvv8Go
番外「……でも朝」

一方「朝ァ?」

番外「でも朝、見たんだよね」

一方「……見てねェ」

番外「見えたんだよね」

一方「見えてねェ」

番外「視界には入ったんだよね?」

一方「視界には入ったが見てはい……ァ」

番外「……やっぱ見たんだ」

一方「……大丈夫だ、トップは見えてねェ。だから気にすンな」

番外「気にするわ馬鹿あああああああああああああぁぁぁぁ!!!」バリバリダー

一方「あンぎゃあああああああァァァァァァ!!!!!」

バチン!

隣室

吹寄「あら、停電かしら?」

姫神「これは。珍しい」

吹寄「まぁいいわ。行きましょう、姫神さん」
788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:47:12.59 ID:i9qFvv8Go
ロビー

削板「第1位よ、どうかしたのか?」

一方「」

番外「きっと天罰が降りたんだよ」

削板「根性が足りんな。ま、集合時間までに起こしてやれよ」

番外「気分が乗ったらね」

一方「」

垣根「愉快じゃねーか、一方通行」

一方「」

垣根「このザマなら最強の名は俺のモノになる日も近いかもしんねーな」

心理「……あら、冷蔵庫の命は私の手中にあるのよ?あなたも彼と一緒になりたいのかしら?」

垣根「すいません調子に乗りました」
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:48:44.29 ID:i9qFvv8Go
心理「まぁ、面白そうだから、時間まで切っとこうかしら……」ポチッ

垣根「」

一方「」

心理「うふふ、ふたり並べるとお人形さんみたいね?」

番外「シルバニアファミリーのお家とかどうかな?」

番外・心理「…………………」ホワワーン

一方『早く早くゥ!』

垣根『絵本読んで~?』

一方『シルバニア村の大きなお家がみーンなだーいすきィ!』

垣根『今日もいっぱい笑ったな!』

一方『あははぎゃはあは』

番外・心理「…………うふふふふ」


削板「……女って怖いんだな。俺も気を付けるか」
790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:50:50.48 ID:i9qFvv8Go
遊園地駅前

一方「駅のまン前とはなァ」

番外「遊園地駅だなんてそのまんまだったね。電車なんか凄くカラフルだったよ!」

土御門「遊園地のキャラクターだったにゃー」

上条「お陰で迷わずに済んだし良かったな」

青ピ「女の子と一緒に遊園地なんて夢みたいやー」

土御門「誰もお前は見てないけどな」

姫神「そうね」

青ピ「」

番外「ほら行こうよ!」

一方「まァ待て、先にチケット買うのが先だろォが。……俺が買ってくるから待ってろ」

上条「金渡すよ」

一方「帰ってからでいい」カツカツ
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:52:34.72 ID:i9qFvv8Go
スンマセン、ガクセイ6マイ。ア、ハイ。フリーパスデ......

土御門「何だか違和感が半端ないぜよ」

上条「違和感MAXだな」

番外「第1位が遊園地のチケットを買うとか、ここはどこの世界ですかぁ?ぎゃはははは!ほらやっぱ恥ずかしいんじゃん!!あ、戻ってきた」

一方「……ほらよ。フリーパスで良かったンだよな?」

番外「どうだった?」

一方「映画と一緒だろォが」

番外「じゃあ何でソワソワしてたのかにゃーん?」

一方「……後ろが子供連れだったからだ」

青ピ「分かるで。ひとりだけやと後ろがごっつ気になるもんなー」

番外「あひゃひゃひゃ!あなたはそんな度胸も無いのかよ!!子供相手にてんぱるとかひゃひゃひゃひゃひゃ!!」

一方「ンな事言ってるとチケットは渡さねェ」

番外「くださいお願いします」

一方「分かればよろしい」
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 22:59:59.71 ID:i9qFvv8Go
お姉さん「チケット拝見しまーす」

番外「はい」

お姉さん「コチラは控えになります。再入場の際に必要なので落とさないように気をつけてくださいねー」

番外「どーもー」

一方「絶対に落とすなよ?」

番外「言われなくなって分かってるっての」

一方「ならいい」

番外「この先にあるんだよね?」

一方「あァ、そうだ」

番外「ミサカ、先に見てくる!」ダッ
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:06:52.72 ID:i9qFvv8Go
番外「…………うわぁ~」

 ――ゲートを潜ると、そこは夢の国でした。

 色とりどりの世界。春にも夏にも秋にも冬にも見える、そんな不思議な空間が広がっていました。

 男の子「わーい!」

 女の子「ほらママ!早くー!」

 ここはミサカの知っている世界とは全然違う、一片の穢れも感じさせない世界。そこにあるのはみんなの笑顔だけ。

 みんなが笑ってる。とても楽しそうだな。ミサカも笑ってもいいのかな? あの人も笑ってくれるのかな?

番外「本当に今日1日ここにいられるの……?」

 誰に向けて放った訳でも無いその一言。そんな言葉に返す人がいた。

一方「当たり前だろ。オマエが行きたかった所なンだろ?」

 カツカツとした音と一緒に、後ろから声がした。その声に、ミサカはただ頷くしかできなかった。

番外「うん……」
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:09:01.29 ID:i9qFvv8Go
 ミサカは一歩を踏み出す。光が迸り、風が吹き抜けた気がした。ミサカの知らない、初めて見る世界。

 ――――あぁ、夢の世界って本当にあったんだな。まるで宝石箱みたい。

 我慢する気なんて無かった。我慢できるはずがなかった。

 ミサカは走り出す。何だか、今なら飛べる気がする。見えない翼が生えているみたいだよ。
 
 だって、こんなに身体が軽いんだもん。

番外「ひゃっほぉーーい!!」

一方「おい!急に走るンじゃねェ!!」


上条「……行ってやれよ」

一方「あァ?」

土御門「お前はあの子と一緒に行ってやれ」
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:11:39.48 ID:i9qFvv8Go
姫神「そう。あんなに。楽しそうなんだから」

青ピ「ボクらはボクらに任せときー。ただ迷子になるんやないで?」

上条「昼飯になったら連絡してくれ。ほら、俺の番号だ」

一方「……すまねェ。借りは返す」

上条「よし、番号交換したな」

青ピ「ほら、見失わんうちに行きぃや。お姫様なんやろ?」

一方「……昼飯は俺が驕るからな」カツカツ


上条「さてと、俺らも行くか」

土御門「最初は何にするにゃー?」
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:14:36.42 ID:i9qFvv8Go
一方「どこにいやがる……」

一方「……はァ……番外個体ォォォォ!!」

一方「どこに行きやがったァ!早く出て来い!!」

番外「呼んだー?」

一方「……どこいやがった?で、それは何だ?」

番外「何かカラフルなおじさんからコレ貰った」

一方「あァ……?風船か?」

番外「イヌだってさ。風船をキュルキュル捻って色んなの作ってたんだよ。ミサカ、あんなの初めて見た!」

一方「へェ、そォかい」

番外「あれ?みんなは?」

一方「オマエが先に走り出すから、俺たちは別行動って事になったンだよ。ったく、世話が焼けンぞ」

番外「じゃあ、これってデートだね。うひゃひゃひゃ!ミサカの初デートがあなたととか!」

一方「……はァ?」

番外「まぁいいや、あなたで我慢してあげる。だから行こうよ!」

一方「行くってどこにだ?」

番外「そんなの知らない!とりあえず全部回る!」

一方「おィ待てェ!」
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:19:13.25 ID:i9qFvv8Go
一方「……で、何でいきなりショップなんですかァ!?」

番外「さっきの女の子が頭に何か付けてた!ミサカもアレ付けたいぃぃ!!」

一方「こォいうのは最後に回るもンだろォが!」

番外「へぇ~色々あるんだなぁ~どれどれ?」

一方「って聞けよ!っておゥ!?」スポッ

番外「意外と似合ってるじゃん♪」

一方「これァ何だ?鏡っと……」

番外「ゲコ太!ミサカのはピョン子!」

一方「ンなもン付けさせるンじゃねェよ!」 ※某ネズミの耳みたいなやつ

番外「あ、コレお願いしまーす」

一方「おいィ!」

番外「これでミサカとペアルックだね!」

一方「こンな酷ェペアルックは今後一切ねェな……」

番外「」イナイ

一方「ってもォいねェし」

番外「ボサっとしてないで次行くよ、次ぃ!」

一方「はィはいィ、ちったァ大人しく……はァ」

一方「……転けンなよォ」
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:22:28.87 ID:i9qFvv8Go
番外「……」ジー

一方「今度は何だァ?」

番外「アレは何?」

一方「俺に聞くのか。アレはメリィゴォランドっつゥやつだな」

番外「乗る」

一方「……は?」

番外「乗る。ミサカ乗りたい!」

一方「いやいや、あァいうのはガキが乗るもンだろ」

番外「……」

一方「見てみろ。どれもクソガキくれェだろォが」

番外「……ミサカじゃ駄目なのかな……」ジワッ

一方「ンな事はねェけどよォ……。だからって泣k」

番外「ならGO!」ビューン

一方「おィ、風船飛ン……うおっ、やっぱ俺もかよおおおォォォォゥ!!」ザザーッ
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:26:23.61 ID:i9qFvv8Go
一方「…………もォ帰りてェ」

番外「うひゃひゃひゃ!!でもピッタリだよ?」

一方「何で俺がカボチャの馬車なンだよォ……」

番外「じゃあアッチはどうかな」

一方「誰がペガサスなンかに乗るかァ!!」

番外「ひゃひゃひゃひゃ!!!」

垣根「よぉ、楽しそうだな。そのカエルも馬車も似合ってるぜ、流石は第1位だ」

番外「あ、ていとくんだ」

一方「何でオマエがいンだよォ!!」

垣根「遊園地っていったらメリーゴーランドだろうが。第1位はそんな事も分からねえのか?」

心理「だからってこの歳でそれはないわよ……」
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:27:51.12 ID:i9qFvv8Go
垣根「お前だって羨ましそうに見てただろ?乗りたかったんじゃないのか?」

心理「そ、それとこれとは話が別よ!」

番外「なーんだ、ふたりとも乗りたかったんじゃない」

垣根「その通りだ」キリッ

一方「堂々としてるとなお更ムカつくな」

垣根「カボチャの馬車が何偉そうに言ってやがる。よし、せっかくだから俺はこのペガサスにするぜ!」

心理「メルヘンね」

番外「うん、メルヘンだ」

一方「このメルヘン野郎が」

垣根「自覚はある。白馬の王子様ならぬ、天馬に乗った王子様か……。ピッタリじゃねぇか」

一方「ねェわ……」

番外「LEVEL5って馬鹿ばっかだね」

心理「現実なんてそんなものよ。精神障害の頂点だもの」
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:30:12.90 ID:i9qFvv8Go
ビーッ ガコン

垣根「ほら動くぞ。振り落とされんなよ!」

一方「もォオマエは黙りやがれェ!」

~♪

番外「おおぅ!」

垣根「こっから先は常識は通用しねぇ!ひゅーぅ!」

一方「……ヤバい、恥ずかしいぞこれ」

心理「同感ね……」

番外「あははは!回れ回れぇ~!!」

女の子「ねぇねぇ、大きなお兄ちゃんたちが乗ってるよ?」

お母さん「シッ、見ちゃいけません」

一方「~~っ///(思いっきり見られてンじゃねェか!早く終わってくれェ!!)」

垣根「無限の彼方へ、さぁ行くぞ!」
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:32:46.00 ID:i9qFvv8Go
心理「~~っ///」

番外「あなたも楽しそうにしてみたら?あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」

一方「これが楽しそうに見えンのかこらァ!!」

10分後~

一方「ぐふっ……。俺はもォ駄目だァ」

心理「憧れだけじゃ駄目ね……」

番外「また乗ってみたいね!」

一方「いつか、な……」

垣根「よし、帰りにまた乗るか!」

心理「嫌よ!」

番外「ミサカもそれがいい!」

一方「それだと他のやつが回れねェぞ」

番外「あっ……そっか」

一方「ったく、どンだけ好きなンだよ」
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:34:54.26 ID:i9qFvv8Go
垣根「俺は観覧車と同じくらい好きだ」

一方「オマエにゃ聞いてねェよ!」

心理「もうここから離れましょう。周りの視線が痛いわ」

一方「……だな。ほら行くぞ番外個体」

番外「次どこ行く?」

一方「オマエが行きたい所でいい」

番外「どれにしっよっかなぁ~」

心理「ほら、貴方も……って何並んでるのよ!?」

垣根「あ?2週目に決まってんだろ」

心理「決まってないわよ!ほら早く行く、このメルヘン馬鹿!」

垣根「心配するな、自覚はある」

心理「自覚なんてどうでもいのよ!早くしないと電源落とすわよ!?」

垣根「あぁはいはい、分かりましたよっと」
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:37:40.95 ID:i9qFvv8Go
垣根「で、次はどこ回ろうか?」

一方「何自然な成り行きで混ざってンだよオマエは!?」

番外「ミサカたちはここに行くんだよ」

垣根「へぇ~、3Dのやつか。いいチョイスだ」

一方「オマエは付いて来ンなよ」

垣根「いいじゃねぇか。ダブルデートと行こうぜ!」

一方「行かねェよ!」

番外「ミサカは別にいいよ?多いほうが楽しそうだし」

垣根「だろ?」

一方「はァ……。次だけだかンな」

垣根「やりぃ!」

番外「ここは人気だから早く行かないと!」ピュー

垣根「なら早速行こうぜ!」ピュー

一方「……」

心理「何だかごめんなさいね。ふたりの時間を邪魔しちゃって」

一方「いや……。もォどォでもいいわ」
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:40:02.18 ID:i9qFvv8Go
お姉さん「只今30分待ちとなっておりまーす」

垣根「おっし、今日はそれほどまだ混んでなかったな」

番外「いつもはもっと凄いの?」

垣根「ここのアトラクションは学園都市の技術提供で作られたもんだ。休日は凄いぜ?」

番外「3Dってただ飛び出て見えるだけって聞くよ。ミサカは初めてだからよく分からないんだけどね」

垣根「外の技術と違うのは、視覚だけじゃなく聴覚とか五感にも働きかけるところだな」

垣根「……しかも、俺たちは座ってるだけでいい。昔は立体眼鏡とかあったらしいが、そんな物は必要ねぇ」

番外「何それすげええぇぇ!!」

一方「はァ、はァ……。やっと追いついたぜェ……」

心理「全くもう、先を急ぎ過ぎよ」
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:42:27.01 ID:i9qFvv8Go
番外「30分待ちだって、どうする?」

一方「どうするって、待つンだろ?」

垣根「ちょっと寒いな……。俺が何か温かいもん買ってきてやるよ」

番外「じゃあ、ミサカはカフェオレがいい」

心理「紅茶をお願い」

一方「コーヒー。ブラックだ」

垣根「みんなホットでいいんだな?んじゃちょっくら行って来るわ」

一方「……垣根ってあンなに丸かったか?」

心理「いつもあんな感じよ?」

番外「うー……寒っ」

一方「ほらよ、これでも着てろ」
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:48:45.77 ID:i9qFvv8Go
番外「……あ、ありがと。でもあなたは寒くないの?」

一方「ていとくンが戻って来るまでだろォが。気にすンじゃねェよ」

番外「でも……」

一方「あァ?次はマフラーまで寄越せってかァ?」

番外「でも寒いでしょ?だから、手くらい繋――」

一方「お、前進んだな。突っ立ってないで行くぞ」ギュッ

番外「あっ……」


心理「あら……?」

心理(…………気のせいよね。一昨日の明後日でそんな事……)
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:51:03.96 ID:i9qFvv8Go
入場

一方「どこに座るンだ?」

番外「やっぱ前でしょ!」

垣根「いや、真ん中よりちょっと前くらいでいい。あと通路側な?」

心理「ここは映画館じゃないのよ?」

一方「まァ座れればいいけどよォ」

番外「ミサカはここにしよーっと!」

一方「よっこらせっと」

垣根「なら俺は一方通行のとーなりっ」

一方「ンで隣に座るンだよ」

垣根「いいじゃねぇかいいじゃねぇか!心理定規は通路側がいいんだろ?」

心理「そうね、ありがとう」
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:55:11.60 ID:i9qFvv8Go
                      ・
                      ・
                      ・

『今ならまだ間に合う!スカイネットを停止しなさい!』

バシューン! ドドドドド!!

番外「おぉ……」

一方「迫力あンじゃねェか……。この硝煙も偽物なのか?」

垣根「あぁ、脳に錯覚させてんだ」

『ママ!逃げてぇ!』

『早く隠れなさい!』

『何なのよあれはあぁぁぁ!!』

ブォォォォォン

番外「っ!!何か出てきたぁぁぁ!?」

一方「お、おおおお落ち着けェェ!ただの3Dだァァァ!!!」
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/17(木) 23:58:12.13 ID:i9qFvv8Go
『ジョン・コナー……サラ・コナー……』

番外「ひいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」ガシッ

一方「おィ掴むンじゃねェ!!!」

番外「ミサカを置いてかないでぇぇぇ!!」

一方「はァァ!?」

垣根(やべぇ、こっち見てるほうが楽しい)

心理「」

垣根「こっちは放心してやがる…し…。まだ始まったばっかなんだかなぁ」

ズドドドドドドド!!! ドガッシャァァァン!!!

一方「うおォォォ!!反射反射ァァァ!!!」カチカチカチ

番外「馬鹿!反射したらミサカに当たるってのおお!!!!」
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:01:06.18 ID:7vyUEw3mo
『何だアレは!?タイムホール!?』

ビビビビビビビ!!!!!

番外「ミサカ飛ばされるうううぅぅぅぅぅうう!!!嫌あああああ!!!」

一方「異空間はやめてくれェェェ!!!ンなの反射できねェだろおがァァァ!!!!」

心理「」

垣根「心理定規さーん?」ペチペチ

ブロロロロロロ...... デデンデンデデン!チャラララ~ラ~ララ~♪

『死にたくなければこい!』

一方「ヒィィィロォォォォ!!!」グワッ

番外「ミサカ助かったの……?ミサカ生き残れるの!?」ドキドキ

垣根「……もうどっちが見世物なのか分からねえ」

心理「」
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:04:35.05 ID:7vyUEw3mo
                      ・
                      ・
                      ・

一方「……やっぱ学園都市製はやべェわ」

番外「今でも心臓がドキドキしてるよ……。まだ足がフラフラする……」

一方「最初からクライマックスだったぜェ……」

垣根「俺はお前らがいつ暴れるかドキドキしたわ……」

心理「」ポー

番外「……心理定規は大丈夫なの?」

垣根「慣れねぇもん見せちまったな。ちょっと休ませたほうがいいか」

一方「ならここでお別れだ」

番外「また後でね、ばいばい」

垣根「おぉ、じゃあな」
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:06:10.69 ID:7vyUEw3mo
一方「俺たちもちょっと休むか?」

番外「うん。ミサカも少し休みたい、かも……」

一方「……汗かいてるな。顔が白いぞ?」

番外「頭がグルグルするぅ……」

一方「ちっと脳が興奮してンのか。ン……あそこに喫茶店があるな。そこでいいか?」

番外「うん……」

一方「歩けるか?」

番外「ひゃひゃ、ミサカがそんなにひ弱なワケないって……」

一方「思いっきり千鳥足じゃねェか。ほら、手ェ貸せ」

番外「はぁい……」
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:12:00.53 ID:7vyUEw3mo
喫茶店

一方「オマエはここで座ってろ」

番外「あいあぁい……」グデー

番外「あぁだりぃ……目がグルグルするぅ……。ミサカにゃちょっと刺激的過ぎたかな……?」

番外「何か幼いお子様は~、とか書いてあったし……。ミサカは0歳だけどさぁ……」

不良A「ねーねー、君ぃひとり?」

番外「……?」

不良B「俺たちとお茶しない?」

不良C「顔色悪いね?どうせなら俺らが看てあげよっか?」

番外(……そっか、これがナンパってやつかぁ。いざ遭ってみるとウザいったりゃありゃしないね……)

番外「……邪魔、どっか行ってよ」
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:13:15.49 ID:7vyUEw3mo
不良A「あちゃー!邪魔って言われちゃったよ」

不良B「ツンデレってやつじゃね?」

番外(まぁ、ちょっと驚かせばいっか)

番外「ミサカに触ると怪我するよ……」

不良B「おー怖。実は私、超能力者なんですーってかぁ?」

不良C「それはねーよ。あんな化け物は塀の外からは出らんねーんだからなぁ!」

不良A「そんなら触ってみようぜ!ターッチ!」

番外(……こいつら馬鹿じゃねーの?仕方ないから死なない程度に――)

番外「…………あ、あれ?」

不良A「ほら、何ともねーじゃん!」

不良B「ねーちゃんみたいな気の強いタイプも俺は好きだぜ?」

番外(演算が……できない……?)
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:14:32.34 ID:7vyUEw3mo
不良C「結構いい身体してんじゃん?」

番外(そっか……。頭が働かないんだ……)

番外「う……ぁ……」

一方「……おィ、連れに何してンだ?」

不良B「あぁ?誰だお前」

番外「あくせら、れーた……・?」

不良A「うっひょう!こっちも綺麗じゃん!」

一方「おィ」

不良C「AはV系好きだからなぁ。でもペッタンコだぜ?」

一方「……おィ!コイツに何やってンだって聞いてンだよ、三下がァ!!!」

不良B「あ、俺らとやるっての?」

不良C「障害者が勝てるはずねーだろ!」

不良A「お前から見せもんにしてやんぞ!」
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:15:51.07 ID:7vyUEw3mo
一方「……番外個体、演算補助は戻ってンな?」

番外「あぁ……うん……」

一方「…………ブッコロス」カチッ

不良A「おらぁ!」

不良B「出た!Aのストレート!」

不良C「流石元ボクサーだぜ!」

一方「……」ニヤッ

ベキッ

不良A「ぐわああっ!」

一方「ハッ、そンな右手じゃ俺には触れられねェぜ?」

一方「……コイツらに手ェ出す奴はなァ!例え、それがヒーローだとしてもぶっ潰すって決めてンだよおおおおォォォ!」

不良C「このやろおおおおおおおお!!!」
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:17:49.66 ID:7vyUEw3mo
                    ・
                    ・
                    ・

不良共「ひぃぃぃぃ逃げろおおおお!!!」

一方「……ったく、持ってきた飲みもンが台無しだァ」

番外「そんなに暴れてお店には傷ひとつないって何……?」

一方「店よりも先にオマエの心配だろォが。それに、俺は手は出してねェ。反射しただけだ」

番外「店員さんには何も言われてないけどさぁ。……どうすんの?ミサカの飲み物は?」

一方「また注ぎ直しだなァ。それより大丈夫か?」

番外「能力が使えないくらいに大丈夫」

一方「全然問題ありだろォが……。何か他に欲しいもンはあるか?」
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:19:51.71 ID:7vyUEw3mo
番外「……ソフトクリーム」

一方「寒いのにかァ?暖かいもンにしろよ」

番外「じゃあ、ミルクティーとソフトクリーム」

一方「どうやってもソフトは外さねェのか……。分ァった、今度はすぐ戻る」

番外「本当にすぐ帰ってきてよ?」

一方「あァ」カツカツ

番外「…………」ポー

一方『……コイツらに手ェ出す奴はなァ!例え、それがヒーローだとしてもぶっ潰すって決めてンだよおおおおォォォ!』

番外「コイツら、ねぇ……」
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:23:32.11 ID:7vyUEw3mo
 分かってる。

 ミサカだって分かってる。

 あの人はミサカだけじゃない。最終信号も他の妹達も護ってくれてる。
それが罪滅ぼしだろうと、贖罪だろうと何だっていい。こうやって傍にいて、話しかけてくれるならそれでいい。

 さっき、あなたが叫んでくれた時、ミサカは嬉しかったんだよ?

 でも、今はちょびっと悲しい。というか、ちょびっと寂しい。

 あなたはミサカだけの王子様じゃない。

 あなたはミサカたち全員の騎士様なんだよね。

 ミサカはその中のひとつでしかない。分かってる。

番外「でもね、あの時だけは『コイツら』じゃなくて、『コイツ』って叫んで欲しかったかな……」
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:28:29.74 ID:7vyUEw3mo
 頭が重い。目が霞む。冷や汗が止め処なく頬を伝う。

 身体の調子が悪いと、とことん思考がネガティブになっていくんだなぁ……。

番外「あぁ、ダルい……」

 肝心の問題も分からない、途中式も分からない。そんな答えを探しても意味がないか。

 ミサカは考えるのを止めて、ソファーに背中を預けた。

 空気は冷たいけど、あの人のコートとマフラーのお陰で寒くはない。ったくもぅ、暖房はどうなってるんだよ。

 あの人の、一方通行の匂いがした。なんで、この匂いはミサカを落ち着かせるんだろう? 昨日もそうだったなぁ。
 
 そっと窓の外を見上げる。あれは羊雲かな? 空はどこまでも広くて青くて、アトラクションの音やみんなの声も全部まとめて優しく包み込んでるみたいだった。

 ――昨日の布団と同じだ。昨日のあの人と同じだ。

 外は寒いけど、ガラス越しの光は暖かい。まるであの人みたいだ。
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:31:21.12 ID:7vyUEw3mo
 もうちょっとしたら暖かくなって、綺麗な花が咲くんだろう。

 暖かくなったらどんな服を着ようかな。冬服はゴワゴワしててあまり好きじゃないんだよね。

番外「あ、小鳥……」

 パラソルの上には2匹の小鳥が仲良く囀っている。つがいかな?

番外「あ~あ、行っちゃった……」

 飛び立つ小鳥を見届けてから、目を閉じて横になる。ちょっとだけ楽になった。上質な皮でできたソファーは、寝てても全然負担にならない。

番外「まだかなぁ……」

 ミサカは春という季節を知っていても、どんなものなのかは見たことがない。見たことがあるのは冬だけ。

 春が来るのはまだ先だけど、今から楽しみだ。あと何日寝たら春はやって来るんだろう?

番外「まだ来ないのかなぁ……」

 ぺとり、と、おでこに何か暖かいものが触れた。
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:33:40.06 ID:7vyUEw3mo
番外「んー?」

 目を閉じてるからミサカには分からない。だけど、何だがお湯っぽい。目を開けると、視界はそれで真っ白だった。

一方「待たせたな」

番外「すぐ戻るって言ったじゃない。これは何?」

 ミサカはそれを手で掴む。ホカホカして暖かい。タオル……?

一方「おしぼりだ。これで汗でも拭け」

 おかえり――

 本当はそう言いたかった。でも、そんな事を言ったら負けな気がした。だから言わない。
ちょっと看病っぽい事をしたら落ちると思ったら大間違いだ。ミサカはそんな尻軽な女じゃないんだぞ。

 

 ――でも、まぁいっか。
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:35:15.84 ID:7vyUEw3mo
番外「ソフトクリームは?ミルクティーは?」

一方「先に落ち着いてからにしろ。慌てなくても逃げねェよ」

番外「溶けちゃうよ」

一方「こン寒い中溶けるか」

番外「じゃあ先に紅茶飲む」

一方「起きて大丈夫か?寝てたンだろ?」

番外「もういいよ。汗かいて喉乾いちゃった」

一方「その前に頭向けろ。ちょっと見てやる」

番外「ふぇ?」

一方「さっきの3Dで脳が過剰反応したんだろォから、ホルモンが乱れてねェか見てやるっつってンだよ」

番外「できるならさっきやってくれたらよかったのに」
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:36:36.02 ID:7vyUEw3mo
一方「あンな人混みの多い場所でできるかっての。ほら」

番外「ん……」

一方「…………大分落ち着いたみてェだな。これなら操作するまでもねェ」

番外「アイスは?アイスはどこ?」

一方「戻ったと思ったら、今度は食い意地が張ってきやがったぜ」

一方「……どっちがいい?」

番外「どっちも」

一方「どっちかひとつにしろ」

番外「んー、こっちのバニラがいい」

一方「ンんじゃ、俺はチョコレートだな」
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:38:16.04 ID:7vyUEw3mo
                            ・
                            ・
                            ・

一方「おィ、溶けてきてンぞ」

番外「おおっ!?」

一方「上のほうだけ気にしても、コーンの下からも垂れてくるもンだからなァ」

番外「どうするどうする、ミサカはどうしたらいいの!?」

一方「ちょっと待て、ティッシュで下を包めばいい。ほら」

番外「ん、ありがと。って、あなたのも垂れてるよ?」

一方「おォ!?」

番外「あひゃひゃひゃ、自分の分くらいちゃんと見てなって!」

一方「オマエが危なっかしくて気にしてらンねェんだよ」

番外「ふぅん?」

一方「よく見たらオマエ、口ン周りベトベトじゃねェか。みっともねェから拭け」

番外「拭けって言われてもミサカの手はベタベタだよ」
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/18(金) 00:39:08.45 ID:7vyUEw3mo
一方「あァもォ、!世話の焼ける奴だな。チッ、ちょっとコレ持ってろ」

番外「そっちのアイスもくれるの?」

一方「違ェよ。……顔こっち向けて顎を上げろ」

番外「何……んんっ!?」

一方「じっとしてろ」グイグイ

番外「むぐー!」

一方「あーあ、ハンカチがバニラ味になっちまったァ」

番外「舐めたらいいじゃん。うひゃひゃひゃ!ミサカと間接だよ?」

一方「舐めねェよ。俺にンな趣味はねェ……。あと、何で間接なンざ知ってンだよ」

番外「えぇっと、漫画?」

一方「オマエの情報源が怖ェわ……」 
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 00:38:51.31 ID:1TzArALmo
                               ・
                               ・
                               ・

一方「そろそろ昼飯か。三下に連絡入れねェとな」

番外「えー、もう?」

一方「まだ時間はあるけどよォ。今から並んでも時間食うだけだろ」

番外「並ばなきゃいいんだよね!?じゃあミサカ、アレに乗ってみたい!」

ゴォォォォォ!! キャーーー!!!

一方「」

一方「ジェットコォスタァ……だと……」

一方「しかも何だァ……?360度回転してねェか……?」

一方「……なァ、あれは不味いンじゃ――」

番外「」イナイ

一方「ってまたいねェし!!!」

番外「ふたりお願いしまーす」

一方「もォやめろォォォォォ!!!」
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 00:42:54.43 ID:1TzArALmo
カラカラカラカラ..........

一方「」

一方「今日は厄日だ……」

番外「ふっふふ~ん♪」

一方「高ェなおィ……」

番外「昇れ昇れ~♪」

一方「クソがァ……。チョーカーに手が届かねェぞ……」

番外「足が浮いて超こえぇぇ!!!」

一方「全然怖がってねェだろ!不安煽ってンじゃねェ!」

カラカラカラ..........ピタッ

番外「……お?止まった」

一方「あ、死んだわ」
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 00:45:47.52 ID:1TzArALmo
ヒューーーーーーーーーン

番外「うひゃああああああぁぁぁぁぁ!!!!!」

一方「がああああァァァァーーーーっ!!!!!!」

グルングルン!

番外「きゃーきゃぁあああああ!!引っ張られるううううう!!!」

一方「ぐゥうおおォォォ!!!」

ゴォォォォォ!!!

番外「あひゃひゃひゃ!!ぶつかるうううぅぅぅ!!!」

一方「」

グィィィィィィ!!!

番外「おぉぉぉいい!何やってんのぉぉぉぉぉ?」

一方「」ブクブク
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 00:46:27.56 ID:1TzArALmo
                          ・
                          ・
                          ・

お姉さん「お疲れ様でしたー」

番外「ほぉぉぉぉ……」キラキラ

一方「」ゲッソリ

番外「今のは凄かったね!ぐいーんってなって最後はぐるんぐるんのぐわわわー!って!!」

一方「お、おォ……」

番外「……どうかしたの?何かいつにも増して真っ白だよ?何か真っ白青いって感じかな」

一方「ちょっと未元物質生産してきていいかァ……?うェっぷ」

番外「早く戻って来てねー」ヒラヒラ

一方「善処するわァ……」
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 00:47:36.15 ID:1TzArALmo
オロロロロロロロ.......

番外「ふふふ~ん♪」

ゲコ太「……」チョイチョイ

番外「んー?」

ゲコ太「……」チョイチョイ

番外「おわっ!?ゲコ太だ!」

ゲコ太「……」コンニチハ

番外「あ、こんにちわ……」ペコリ

ゲコ太「……」フウセンドーゾ

番外「あっ、風船!ミサカのはさっき飛ばしちゃったんだよね」

ゲコ太「……」ヒトリ?

番外「うん?ミサカはひとりだけど、ひとりじゃないよ。あの人を待ってるの」
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 00:49:11.71 ID:1TzArALmo
ゲコ太「……」アノヒト?

番外「そう、あの人。今お手洗いに行ってるんだよ」

ゲコ太「……」パパ?ママ?オトモダチ?

番外「うんにゃ。違うよ」

ゲコ太「……」ジャア、コイビト?

番外「ミサカはそういうのは分からないけど、そんなんじゃないよ」

ゲコ太「……」ウーン....

番外「うーん……何なんだろうね?」

ゲコ太「……」アタマ、ソレハナニ?

番外「コレ?コレはピョン子だよ。さっきお店で買ったんだぁ!」

ゲコ太「……」ナカーマ!ハグハグ

番外「おぉ!?」ハグハグ
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 00:50:26.41 ID:1TzArALmo
一方「……何やってンだァ?」カツカツ

番外「見てほら、ゲコ太だよ!」

ゲコ太「……」コノヒト?

番外「そう、この人を待ってたの」

一方「何だコイツは?」

番外「だからゲコ太だって」

ゲコ太「……」コンニチワ

一方「あァ?……おゥ」

ゲコ太「……」フウセンアゲル

一方「そりゃどーも」

ゲコ太「……」アレ?ソレハ?

一方「……何だァ?」
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 00:52:13.15 ID:1TzArALmo
ゲコ太「……」ホラ、ボクトオンナジ

番外「頭に付けてるやつが同じなんだってさ」

一方「そォいや、コレもゲコ太っつーヤツなンだったなァ」

ゲコ太「……」ナカーマ!ハグハグ

一方「おあァ!?離せェ!!」ジタジタ

番外「ぎゃははははは!!!」

一方「見てねェで剥がすの手伝えェ!!!」

番外「うん、写真撮ってからねー」パシャパシャ

一方「やめろォォォ!!!」

ゲコ太「……」キミモオイデ

番外「ミサカも?っとーぅ!!」ダキッ

一方「うがァァァ!!!」

番外「わーい!ゲコ太ー!!」

ゲコ太「」イイコイイコ
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 00:53:20.92 ID:1TzArALmo
垣根「……」ジー

心理「何見てるのよ?」

垣根「……何でもねぇ」

心理「まさか、あなたも抱いて欲しいんじゃないわよね?」

垣根「…………行っていいか?」

心理「」

ケロヨン「……」オヤ?

垣根「……いいよな?」

心理「……もう勝手になさいな」
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 00:54:38.56 ID:1TzArALmo
ケロヨン「……」アクシュアクシュ

垣根「おぉぉ!俺はケロヨンと握手したぞ!もう一生手は洗わねぇ!!」

ケロヨン「……」アクシュアクシュ

心理「私も?……えぇ」

垣根「よしハグるかああ!!!」ガバッ

ケロヨン「……」ヨシコイ!ハグハグ

心理「…………」

心理「……あの……私も抱っこして貰ってもいいかしら……」

垣根「」

垣根「……えっ?」
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 00:58:21.13 ID:1TzArALmo
ケロヨン「……」オイデオイデ

心理「…………」トトトト

ケロヨン「……」ハグハグ

心理「……んっ」ギュゥ

垣根「……俺だってまだハグした事ないのに。やっと手を繋げたとこなのに……」プルプル

垣根「テンメエェェェ!!心理定規から手を離しやがれえええ!!!!」

ケロヨン「……」カモンカモン

垣根「今すぐその着ぐるみの中拝んでやるわあああぁぁぁ!!!」

心理「邪魔しないで」ポチッ

垣根「あbbbbbbbbbb」ズシャッ

ケロヨン「……」ダイジョーブ?

心理「すぐ元に戻るわよ。……だから、もうちょっとだけ抱っこしてていいかしら」

ケロヨン「……」オkオk
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 01:00:38.72 ID:1TzArALmo
番外「あ、また心理定規にていとくんだ!それにケロヨンまで!?」

心理「楽しい事してるのね?」

一方「楽しかねェよ!離せェ!!」

ゲコ太「……」ハナサナイヨ?

ケヨロン「……」ア、オツカレサマーッス

番外「丁度いいや、ミサカたちを撮ってくれないかな?」

垣根「おっ?俺も入れ――」

心理「じゃあ撮るわよ?」

一方「離せってンだろォォォ!!!おィ垣根ェェェ!!!!」ジタジタ

ゲコ太・ケロヨン「……」ロックロック

番外「ぴーす!」

一方「クソがァァァ!!」

パシャッ パシャッ

垣根(俺も一緒に写真撮って貰いたいなぁ……) 
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:06:05.17 ID:1TzArALmo
                      ・
                      ・
                      ・

一方「って、もォ時間じゃねェか。三下から連絡は……」

番外「あ、電話番号知ってたんだ」

一方「オマエが飛び出した時に交換された。無理やりになァ?」

番外「いいじゃん。電話帳が増えてさ」

一方「……着信履歴がぱねェ」

番外「マナーモードにしてたの?って何これ、名前で登録してあげなよ。番号だけって……」

一方「あァ?電話帳なンざ分かりゃいいンだろ?」

番外「最終信号も似たようなもんだったけどさぁ。やっぱりそれは変だよ?」

一方「そォかい。…………チッ、全然繋がらねェ。アイツは何やってンだァ?」
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:10:48.56 ID:1TzArALmo
その頃

上条「携帯が産業廃棄物になってしまった……。不幸だ」

土御門「何やってんだにゃー」

姫神「まさか。あんなに水が激しかったとは」

青ピ「カミやん、それよりもふたりはどうするんや?」

土御門「カミやんしか番号交換してないぜよ?」

上条「探すつったても、この広さじゃあなぁ……」

青ピ「無理に探し回らんでもいいんちゃう?ひとりやないんやし、気楽にやってるやろ」

土御門「そうだぜい。目の前でいちゃられるコッチの身にもなってみろおお!!!」

姫神「女の子同士で?えっ?」

上条「……そうか?まぁ、途中で会うかもしれないしな。最悪でも、帰る頃にゲートで待ってればいいだろ」

土御門(奴の番号なら知ってるんだけどにゃー。……面倒だし、切っておくか。リア充死ね)

上条「土御門?」

土御門「悪い。携帯の充電が切れちゃったぜよ~」
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:13:29.74 ID:1TzArALmo
                      ・
                      ・
                      ・

一方「くそっ、土御門にも繋がらねェ……」

番外「どうする?」

一方「まさか……俺は子守りを任されたのか……?」

番外「ん?」

一方「どォすっかなァ……」

番外「ミサカ、みんなと一緒になるまでお昼抜きとか嫌だよ」

一方「我慢しろ、とか無理か……?」

番外「うん、無理」

一方「……アイスでも駄目か?」

番外「駄目」

一方「はァ……近くに何か食うとこあるか?」

番外「やりぃ!ちょっと待ってね~っとぉ」

一方(三下ァ……あとで覚えてろよ)
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:17:27.11 ID:1TzArALmo
at レストラン

一方「何だ、この幻想的なレストランは……」

番外「スヌーピーです」

一方「……本当にここで食うのか?」

番外「うん」

一方「まァ、中は普通に違いねェ。入ンぞ」

ウィーン

番外「おおぅ……」

一方「…………何じゃこりゃあァァァァ!!!?中も変な犬っころだらけじゃねェか!!」

番外「変な犬っころじゃない!スヌーピイィィー!」

一方「俺ァこンなとこで食べるなンざごめンだからなァ!」

番外「やだ!ミサカもう歩けない!ここで食べたい、ここで食べるぅ!!」

一方「駄々こねてンじゃねェ!他行くぞ、他ァ!」
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:18:56.43 ID:1TzArALmo
店員「いらっしゃいませ、おふたり様ですか?」

番外「うん、ふたりで」

店員「禁煙席でよろしいですか?」

番外「それでお願いしまぁす」

店員「ではこちらへどうぞ」

番外「はーい♪」スタスタ

一方「思いっきり歩いてンじゃねェか……。クソったれェ……」

                         ・
                         ・
                         ・
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:20:24.12 ID:1TzArALmo
一方「……コーヒーカップまで犬っころかよ」

番外「ひゃふぁふぁすふーひーふぁっふぇは」モグモグ

一方「はィはィ、スヌーピーですねェ。あと、口のソースをどォにかしろ」

番外「んぐっ、そのカップなら隣のショップに売ってるみたいだよ」

一方「いるかよ。誰がこンなンで飲むかっての」

番外「何の味っ気もないカップよりマシだと思うけどなぁ」

一方「俺がコレで飲ンでるのを想像してみろ。見れたもンじゃねェぞ」

番外「うひゃひゃひゃひゃ!家庭的でいいんじゃないかな?」

一方「家庭的になる謂れはねェよ。ンなくだらねェ事言ってねェでさっさと食え」

番外「えー、ミサカはもうちょっと居たいなぁ」

一方「俺の身が持たねェよ……。頼むから……」
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:22:15.43 ID:1TzArALmo
番外「じゃあお店によって行こうよ」

一方「それじゃ、あンま変わってねェよ」

番外「お土産に丁度いいのが売ってるかもしれないよ?」

一方「そりゃ売ってるだろ。オマエが行きてェだけじゃねェのか?」

番外「なっ!?」

一方「ほらな、すぐ顔に出る。行きたきゃ素直に行きたいと言えばいいンだよ」

番外「……行きたい」

一方「駄目ですゥ」

番外「はぁぁぁぁ!?ちゃんと行きたいって言ったのに!?」

一方「冗談に決まってンだろ。行きたいンなら早く食え」

番外「もう!驚かさないでよ!!」ムグムグ

一方「小さな口なのによくそンなに入るもンだなァ……」

番外「むぐむぐむぐ」
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:25:01.03 ID:1TzArALmo
一方「だからってな、そンなに急いで食うと――」

番外「むぐっ!?むーむー!!」

一方「喉に詰まって……。はァ、遅かったか」

番外「んむー!!」ドンドンガチャン

一方「おィ!グラス倒れてンぞ!……ほら、先に水だ!」

番外「んっ!!」バッ

一方「それは俺のコーヒーだぞ!?」

番外「」ゴッキュゴッキュ

番外「っぷはぁ。……何コレまっじいいぃぃぃぃ!!」

一方「あァ、俺の……」

番外「何でコーヒーなんか飲ませるのさ!?」

一方「俺が水を渡す前にオマエが勝手に取るからだろォが!」
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:28:00.70 ID:1TzArALmo
番外「もういい……ちょっとジュース注いで来る……」

一方「俺のコーヒーは?」

番外「自分で入れてきたらいいじゃない」

一方「あァ?オマエが飲んでテメェで入れろってかァ?」

番外「ミサカだって好きで飲んだワケじゃないもーん」

一方「オマエには責任感ってのがねェのか」

番外「うん、ない」

一方「……さっさと注いで来い」

テテテテテ......

一方「はァ、俺も注いで来るか……。その前にこれを拭かねェとなァ」チラッ

一方「……間接、ねぇ」
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:30:47.38 ID:1TzArALmo
アリガトウゴザイマシター

一方「……なァ、ショップはあっちだろ?」

番外「その前にこっち」

一方「……まさか」

番外「その前にこれでしょ」

一方「これはメリーゴーランドよりひでェぞ……」

番外「ここに来たのなら行くっきゃないでしょ!」

一方「……俺だけ外で待つってのは?」

番外「だぁーめっ♪あなたはミサカと一緒にいないと駄目なんだからね?」

一方「」
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:32:36.24 ID:1TzArALmo
                       ・
                       ・
                       ・

番外「うわぁ……スヌーピーがいっぱいいる!?チャーリーにサリーもいるよ!」

一方「……何だこの世界は」

一方「……俺は何でここにいるんだ?」

一方「……俺はこの世界にいるべき存在じゃねェ」

垣根「ここは俺のいるべき世界だ……」

一方「ま た オ マ エ か」

垣根「見ろよ。まさにネバーランドだぜ……」

一方「何で三下じゃなくオマエと会うンだよ……」
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:34:09.12 ID:1TzArALmo
垣根「お前が俺を求めているからだろ?認めろ、俺無しじゃ生きていけないってな」

一方「誰がオマエ無しだと生きてけねェンだおらァァァ!!!」

女の子「」ビクッ

垣根「何してんだ。びっくりさせちまっただろぉが」

垣根「ほら、大丈夫か……?怖かっただろ?よしよぉし」

一方「す、すまねェ……」

女の子「……」トトトトト

垣根「楽しいからって、ママから離れんなよー!」

心理「やけに扱いが上手いのね」

垣根「……あんな子は笑っていりゃいいんだよ」
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:36:32.25 ID:1TzArALmo
番外「あ、またていとくんだ。これで何度目かな?」

垣根「おぅ、また会ったな」

番外「何でここに?」

垣根「一方通行が俺に会いたいんだとさ。運命って怖いよな」

一方「何でそォなる」

心理「正直に言いなさいよ。実は跡をつけてました、って」

一方「オマエなァ……ストーカーか?1日で3度も会うなンて偶然じゃねェぞ」

番外「うわぁ……」

垣根「断じて違うぞ!俺はみんなで遊園地を回りたいだけだ!」

心理「ダブルデートをしてみたいだけでしょうが」

一方「何でそこに拘るンだよ……。そもそも、デートじゃないだろ」

番外「んにゃ、立派なデートだよ」

一方「はァ?」

垣根「そうだそうだ!俺はダブルデートがしたいっ!」
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:37:58.00 ID:1TzArALmo
一方「だから、何でしたいんだよ」

垣根「響きが格好いいじゃん?」

番外「え?それだけ?」

心理「この人、彼氏いない歴=年齢なのよ」

垣根「心理定規ぉぉぉ!?それは言うなって言ったろおお!?」

一方「クカカカカカ!その格好で童貞かよ、ていとくゥゥゥゥン?」

番外「何言ってんの。あなたもでしょ?」

一方「」

垣根「ざまぁぁぁぁ!!お前は俺の事言えねぇんだ!?」

心理「……あなたが言っても傷の舐め合いよ?」

垣根「あ、そうだったな」
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:39:00.79 ID:1TzArALmo
番外「まぁ、そんな事はどうでもいいんだけど。早く遊ばないと全部回りきれないよ!」

一方「……最初から全部は無理だろ。ってかなァ、ていとくンが童貞だろォと俺には関係ねェンだよ」

垣根「はぁぁぁぁ!?お前らも同類だろおおが!!」

番外「ウルサイ、どうていとくん」

心理「……ぷぷっ」

一方「いいねェいいねェ、どうていとくンか。最高に愉快なネーミングじゃねェか」

垣根「どうか、ていとくんでお願いします……」

                       ・
                       ・
                       ・
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:42:32.91 ID:1TzArALmo
一方「見ろよ、やっぱりショップもガキばっかじゃねェか……」

番外「スヌーピーかっわいいー!」

垣根「やっぱハハッ、よりもコッチのほうが可愛いぜ!」

心理「このヌイグルミ、あとで買おうかしら……」

垣根「お前もピーナッツ好きだったんだな」

心理「小さい頃集めてたのよ」

番外「今度見せて!」

心理「いいわよ、遊びに来る?」

番外「いいの!?やったぁ!」

垣根「俺も俺も!」

心理「あなたは駄目」

垣根「……ガーン!」

一方「…………順応してねェのは俺だけかァ?」
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:45:11.76 ID:1TzArALmo
番外「このマグカップも可愛いー!」

心理「それならこのお揃いのもどうかしら?」

番外「おぅ?そんなのもあるんだ!?」

垣根「見ろよ、この財布良くないか?ブランド物じゃなくても良いのがあるんだな!」

番外「それって男物でしょ?ミサカはコッチかなー」

一方「……こンなンのどこがいいンだか」ヒョイ

一方「………………」

一方「……まァ、このTシャツは悪かねェな」

番外「んんー?そのシャツ気に入ったのかな?」

垣根「そんなの着るのか?」

一方「っ!?」ビクッ
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:46:30.69 ID:1TzArALmo
心理「私は結構いい線行ってると思うわよ?」

一方「だよなァ!」

番外「へぇ~?それは誰に買ってあげるのかな?最終信号に?」

一方「そ、そォだ」

垣根「それ、男物だろ。サイズ的に考えて」

心理「自分用よね、これ」

番外「あひゃひゃひゃひゃ!隠さなくても分かってるっての!!」

一方「」

心理「ちょっと上から重ねてみたらどうかしら?」

垣根「それはいいな」

番外「どれどれー?」

一方「」 
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:50:09.19 ID:1TzArALmo
垣根「……何か、ちょっと違うな」

心理「肌が白いから、黒は難しいわね。スヌーピーらしくないわ」

番外「じゃあ、これはどう?」

心理「うーん……これならさっきのほうが……」

垣根「それなら、このウッドストックはどーだ!」

一方「おィ……」

番外「白に黄色ってのはどうかと思うよ?」

垣根「そうか?このデザイン、俺は好きだな」

心理「単色よりも、カラフルなほうが似合うかも知れないわね」

番外「ミサカ、一方通行に合いそうなのちょっと探してくる!」

垣根「俺も手伝うぜ!」

一方「おいィ……」

心理「あなた、モデルになったらどうかしら?着せ甲斐があるわ……」

一方「……おいィ」
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:54:47.17 ID:1TzArALmo
                       ・
                       ・
                       ・

一方「結局俺が全部払うのかよ」

番外「あなただって買ってたじゃない」

一方「Tシャツだけなァ」

垣根「あと、コーヒーカップな!」

一方「アレを入れたのお前だったのか!……買っちまったけどよォ」

番外「えっ?あなたが選んだんじゃないの?」

一方「選ぶかァ!!」

心理「ちょっと重いわね……」

垣根「どら、持ってやるよ」

心理「あら、ありがとう。最近優しいのね」

垣根「そうか?」
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:55:59.36 ID:1TzArALmo
番外「ミサカも重ーい」

一方「指が食い込んでンぞ。……はァ、そっち持ってやる」

一方「…………おィ、ちょっと待てよ。まだ乗るやつあるンだろ?呑気に買い物していいのか?」

垣根「……」

心理「……」

番外「……あ」

一方「どォすンだよ……。こンなに持ったまま回れンのか?」

垣根「未元物質で何とか……」

一方「なンねェよ!!圧縮したら元に戻すの大変だろォが!!!」
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/19(土) 23:59:09.02 ID:1TzArALmo
番外「どこかにロッカーとかないかな?」

心理「マップに載ってないかしら……」

一方「だから計画くれェ立てろって……」

垣根「お前も買い物してただろ。俺たちみんな同罪だ」

一方「……はァ」
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                          ・
                          ・

番外「近くて助かったね!」

心理「本当、一時はどうなるかと思ったわ」

一方「見つからなかったらどォしたンだよ……」

垣根「圧縮圧縮!スヌーピーを圧縮ぅ!」

一方「しねェよ!ンな事したら可哀想だろォがァァァ!!!」

 ※実際のUSJには、ロッカーや荷物預かりサービスはありません。大きな買い物は最後にしましょう。ビリビリ!
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:00:47.46 ID:x26sOFzPo
垣根「なぁ、俺は今からジュラシックに行きたいんだが……どうだ?」

番外「ミサカたちはまだ行ってなかったね」

一方「もォ同行する気満々だな」

心理「ごめんなさいね」

一方「いや、三下とも会えねェからもォいいわ」

垣根「そんな事もあろうかと、整理券を取っておいたのさ!これで並ぶ必要は無い、常識は通用しねぇんだ!」

番外「おおー!」パチパチ

一方「きちンと4人分持ってやがる……」

心理「整理券貰うためにわざわざ並んだのよ……」

一方「オマエもご苦労さンなこって……」

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                           ・
                           ・
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:02:54.31 ID:x26sOFzPo
一方「どンなのかと思ったら、普通のボートじゃねェか」

番外「何だか探検みたいだね!」

垣根「垣根探検隊だな!」

心理「頼りない探検隊ね……」

番外「でも、LEVELだけは凄いよね。この探検隊」

心理「人間性のLEVELは低いけどね」

番外「ミサカは低くないよ」

心理「私だって」

番外「きっと他が平均点を下げてるんだ」

心理「そうよ」

垣根「よし、出発だぁ!」

一方「オマエが仕切ってンじゃねェ!序列的にここは俺だろォ!」
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:04:48.59 ID:x26sOFzPo
ドンブラコッコドンブラコ

番外「ここはジャングルかな?恐竜はまだ?」

一方「まだ始まったばかりだろ」

ウォォォォォン!! コンジョーッ!

番外「っ!?今の声は何?」

『時間。それは悠久の流れ』

垣根「何かそれっぽい事言ってんな」

番外「まだ?ねぇ、まだ!?」

一方「静かにしろ」

心理「あの大きな扉は何かしら?」

『ようこそ、ジュラシックパークへ!』

ゴゴゴゴゴゴゴ.......
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:06:09.87 ID:x26sOFzPo
番外「あ、開いた!」

一方「何があるンだァ……」

恐竜『グオォォォォォ!!!』

恐竜『オォォォォン!!!』

番外「きたあああぁぁぁ!!!」

一方「へェ、造りはいいンだな」

垣根「……」

心理「元気ないわね」

垣根「恐竜って全然ファンシーじゃねぇな」

心理「どんな想像してたのよ」

垣根「ピー助に決まってるだろ?」

心理「……」
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:07:46.41 ID:x26sOFzPo
バシャー! ゴガァァ!!

番外「ひゃああ!?」

一方「うォ!?いきなり出てくるなンざ卑怯だろ!」

垣根「第1位がビビってんのかよ!」

一方「ちょっと驚いただけだ。別にビビったわけじゃねェ」

心理「なら、その腕の中にいるのは誰なのかしら?」

一方「……あ?」

番外「……いい加減に離してくれないと動けないんだけど?」

垣根「やーいビビりー」ピョンピョン
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:09:02.41 ID:x26sOFzPo

ビー、ビー キンキュウジタイハッセイ、キンキュウジタイハッセイ

垣根「なぁおい……何かヤバくねぇか?」

番外「この工場に入っていくみたい……」

一方「あァ?これも演出だろォが」

心理「薄暗いわね……」

ギャォォーン カラカラカラカラ......

番外「……何か上がり始めたよ?」

心理「嫌な予感しかしないわ」

一方「こんな事、さっきもあった気がすンだが」

垣根「なんて惨状だ。一体ここで何が起こっているんだ……」

一方「お前だけのめり込み過ぎだろ……」
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:10:30.12 ID:x26sOFzPo
垣根「え?これって恐竜の仕業だろ?」

番外「そうだよ。恐竜に決まってんじゃん」

心理「そうよ」

心理(もう反論するのも馬鹿馬鹿しいわ)

一方「垣根はまだしも。番外個体、オマエも信じてんのかよ」

番外「ん?」

一方「……何でもねェよ。前見ろ」

ガタンッ!

一方「っ!?」

番外「ぎゃはははは!今絶対びくってなったでしょ!」

一方「なってねェ!!」

垣根「いいや、俺は見たぜ。こうやってびくぅ!って」

心理「可愛いじゃない」

一方「くそったれェ、油断したらこれだァ……」
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:11:57.02 ID:x26sOFzPo
番外「びくぅ!びくぅ!あひゃひゃひゃひゃ!!」

一方「しつけェ!!」

垣根「あははははははははは!!!」

一方「いつまでも引き摺ってると突き落とすぞ、ていとくゥゥゥゥン!?」

垣根「分かった分かった、ってうおおおぉぉ!まじで落とす気かぁぁぁ!?」

一方「一度アタマ冷やしやがれェェェェ!!!」

一方・垣根「グググググ……」


番外「……もうふたりとも落としていい?」

心理「そうね。でも後々面倒だから放っておきなさいな」
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:13:39.98 ID:x26sOFzPo
一方「はァ、はァ……」

垣根「あっぶねぇ、本当に落ちるとこだった」

番外「終わった?」

垣根「おう、待たせちまったな」

心理「こんなところで喧嘩なんてしないでちょうだい」

一方「アホらし……」

番外「元はといえばあなたが――」

『ギャオオオオォォォォォォォン!!!』

一同「っ!?」
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:14:49.30 ID:x26sOFzPo
垣根「何だあのデカいヤツは!?」

一方「あれはティラノサウルスか!?」

番外「ちょっと!どんどん向かってってるよ!?」

心理「」

垣根「あぁ!心理定規め、また気ぃ失いやがった!」

番外「も、戻れええぇぇぇぇ!!!」

一方「ボートを揺らすな!転覆すンぞ!!」

『ゴアアアアアアアアア!!!』

一同「うわあああああぁぁぁ!!!」

カゴン! ヒューーーーーーーーーーーーン!!
                          ・
                          ・
                          ・
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:17:23.72 ID:x26sOFzPo
一方「びしょ濡れだァ……」

番外「あひゃひゃひゃひゃ!濡れ濡れのぐちょぐちょになってんじゃん!」

垣根「……何でこの子だけ庇ってんだよ。俺も庇えよ!折角のファッションが水浸しじゃねーか!!」

一方「それはコイツが隣にいたからだろォが」

垣根「俺が隣だったら庇ってくれたのか?」

一方「いンや」

心理「この子だから守ったんじゃない。馬鹿なの?」

番外「ミサカは特別な存在だからね。言わば、この人の生命線だしさ」

垣根「ですよねー。班行動って聞いてんのに、ふたりだけってのがアレだしな。他の奴らはどうしたんだ?」

一方「だから、それも全部コイツのせいだ」

垣根「ふーん。…………お前たち、本当はやっぱデキてんだろ?」

一方「なっ!?」
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:19:11.42 ID:x26sOFzPo
番外「でき……?」

心理「あー……この場合、ふたりは恋人同士ですか?ってことね」

番外「えっ?」

一方「何かにつけてそォ言うよな」

垣根「何度も言わせるな……。お前の服装以外はまんまカップルのやってる事なんだよ!」

一方「……あァ?」

番外「あひゃひゃひゃ!ていとくんは嫉妬してるのかにゃーん?」

垣根「俺だってしたい!だけどな、これでも一応仕事なんだよ……」

一方「オマエだって心理定規とふたりじゃねェかよ」

心理「この子の言うとおりよ」

垣根「…………」

番外「ありゃりゃ、まさか忘れてた?」

心理「遊園地の事で頭がいっぱいだったのね」
895 :訂正。心理「この子の言うとおり」→心理「この人の言うとおり」 の間違いでした [saga]:2011/03/20(日) 00:25:16.76 ID:x26sOFzPo
一方「ダブルデートって響きだけに目が行って、肝心の女ひとり楽しませられないのかよ」

垣根「俺とした事が……」

一方「分かったなら、俺らとは今度こそお別れだ。次会うのはホテルだから。いいか?」

番外「心理定規もそのほうがいいよね?」

心理「私は大勢でも楽しかったけど。……そうね、ではお言葉に甘えようかしら」

垣根「まさか、お前に教えられるとはな」

番外「んじゃ、またね」

心理「えぇ、またあとで会いましょう」

垣根「おぉ、そうだ。さっきの写真に撮られてたぜ。ほらよ」

一方「ン……?」

番外「どれどれ?」


番外・一方「」

 写真には、恐怖の余り、抱き合うふたりが写ってましたとさ。
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:28:35.18 ID:x26sOFzPo
                           ・
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                           ・

一方「ふゥ、やっと落ち着いたぜ」

番外「急に静かになったね」

一方「アイツがいねェだけで随分と楽だ」

番外「お、何だありゃ!」ダダダダ

一方「……そう簡単に楽になるわけねェよなァ」


番外「……」ジー

一方「何かあったのか?……ありゃァ、バック・トゥ・ザ・フューチャー じゃねェか」

番外「うーん……」

一方「……あァなるほどな、さっきみてェにバテるのが怖いンだろ?」

番外「入りたいのは山々なンだけど、さっきみたいになるのは嫌だしなぁ」
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:30:58.55 ID:x26sOFzPo
一方「でも行きたいンだな?」

番外「うん……」

一方「仕方ねェ。乗ってる間、俺がオマエのメンタルチェックをしといてやる」

番外「出来るの?」

一方「それくれェなら、あンま意識しなくても大丈夫だろ。その前に俺がぶっ倒れたらアウトだけどなぁ。カカカッ!」

番外「それじゃあ行こうよ!」

一方「デロリアンか……。俺も昔は憧れたもンだぜェ」

                           ・
                           ・
                           ・
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:33:21.53 ID:x26sOFzPo
一方「やっぱり学園都市の技術が使われてやがる……。こいつァ厳しい戦いになりそうだぜ」

番外「本当に大丈夫なの……?」

一方「任せろ。何があっても手を離すなよ?駄目かと思ったらすぐに教えろ。分かったな?」

番外「うん、分かった」

『さぁ、準備はいいかな?心配はいらん、私が付いている』

番外「あ、このお爺さん。カエルの先生に似てる」

一方「どっかで見た顔だと思ったらあン医者に似てンな」

『私はカエルなどではない!』

番外「うぉ!?」

一方「何で返事するんだよ!無駄なクオリティだな」
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:35:01.94 ID:x26sOFzPo
『よぉーし!行くぞぉぉぉぉ!!!』

グググッビューーーーーーーン!!!

番外「きゃああぁぁぁぁ!!!!」

一方「…………くっ!」

バシュン!

番外「ここはどこ?」

一方「2015年にワープしたのか?」

『いたぞ!今がチャンスだ!』

番外「あれが敵か!いっけえぇぇぇ!!!」

グワングワン

一方「おォ?結構揺れンぞ。大丈夫か?」

一方(血圧がちっと上がってるな……。だが、これはただの興奮状態だ)

番外「まだ大丈夫!」
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:36:26.89 ID:x26sOFzPo
ギューン

番外「わわっ!ぶつかるぶつかる!あぁぁぁ!!!!」

ガシャーン!

番外「ううぅ……あれ?痛くない」

一方「そりゃ痛くねェだろ」

『おっと!あぶない!?』

番外「今度は家ぇぇぇ!?」

ギュン!

一方「目ェ閉じなくてもいいだろォよ」

番外「だって怖いんだもん!」
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:38:57.55 ID:x26sOFzPo
『ハッハッハー!ここまで来たぜ負け犬ども!』

一方「何だコイツは……悪党にもなれてねェ」

番外「こんな小物はさっさと捕まえなきゃ!」

『ヒャッヒャッヒャー!』

バシュン!キュゥゥゥゥーーン!!!

一方「うォ!」

番外「うぅぅぅ……!!」

一方「おィ?」

一方(不味いな、ホルモンが過剰分泌してやがる……。上手く集中できねェがやるしかねェか……)

                          ・
                          ・
                          ・
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:41:20.39 ID:x26sOFzPo
バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!

『よし、これで元に戻れるはずだ!行くぞ!』

キュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!

番外「きゃああああああああぁぁぁぁぁああ!!!」

一方「うおォォォォォォォォ!!!!!」

チャーチャララーラーララー♪

『やったぞ!これで君たちは全宇宙を救ったぞ!』

番外「終わった……?」

一方「ふゥ……。俺の戦いも終わったぜェ……」
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:43:00.66 ID:x26sOFzPo
                          ・
                          ・
                          ・

番外「んんーっ!!」ノビー

一方「どこもおかしくねェか?」

番外「うん。途中気持ち悪くなったけど、なんか急にスッキリした!」

一方「そりゃ良かったな」

番外「あなたがしてくれたんだよね?終わるまで手を握っててくれたもん」

一方「あァ?俺はただメンタルを見ただけだぞ?」

番外「ふぅーん?」

一方「まァ、何もなくてよかったじゃねェか」

番外「……まぁ、そうだね!」
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:45:39.33 ID:x26sOFzPo
 そして、楽しい楽しい時間は流れ――

一方「日も暮れてきたな。向こう側はもォ夜じゃねェか。しっかし、未だに三下たちとは連絡が取れねェ」

番外「ね、最後にアレに乗ろうよ。ミサカ、入る前からずっと乗りたかったんだ!」

一方「アレって観覧車の事かァ?確かに、ゲートから見えてたけどよォ」

番外「遊園地の締めは観覧車だって相場が決まってるし。ほら、遠くから見えた時は小さかったけど、こうして見ると凄く大きいよ!」

一方「相場はしらねェが、イルミネーションは綺麗だな。さっき点いたばっかかァ?」

番外「赤青黄色……凄く綺麗……」

一方「あァ……。だが、ずっと見てるだけでいいのか?乗りたいンだろ?」

番外「うんっ!」
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:49:30.63 ID:x26sOFzPo
一方「なら、遅くなる前に行くとすっか」

番外「……っ!」ブルブル

一方「どォした?」

番外「……寒い」

一方「随分と冷え込ンできたからなァ……。ショップで手袋を買ったほうがよかったかもしれねェ。俺のコートでも着るか?」

番外「……んにゃ。手、繋ごうよ」

一方「またかァ?……ほらよ」

番外「…………あ、やっぱいいや。こうしたら暖かいし」

一方「転んだらどォすンだ。ポケットに手ェ突っ込ンだら頭から倒れンぞ?それに、暗くて足元も満足に見えてねェだろォが」

番外「あなたはミサカたちの事になると心配性過ぎるんだよ」

一方「そォかい、気ィ付けろよ」
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 00:57:44.26 ID:x26sOFzPo
番外「……手」

一方「あァ?」

番外「繋ぎたいなら繋いでもいいよ?」

一方「今いらねェって言ったばっかだろ」

番外「気分が変わった。やっぱ足元が怖いや」

一方「オマエは本っ当、分かンねェわ……」

番外「ほら、早く差し出しなよ」

一方「俺は別に…………ほらよ」


 一方通行の手は冷たかった。ずっと我慢してたんだね。

 いいよ、今度はミサカの温もりを分けてあげるから。

 
 あぁ、そういえば今日ははあの日だったっけ――― 
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 23:33:25.32 ID:x26sOFzPo
番外「わぁ……」

 下から見上げる観覧車は、凄く大きくて凄く綺麗だった。
それは波みたいに色を変えて、常に変化している。最初はLEDを使った光かと思ったけど、どうやらそれとは違うらしい。
色からして違いすぎる。とても表現できるパターンじゃない。

一方「首がいてェ」

番外「ねぇ、この色はどうなってるの?」

一方「さァな。困った時は、学園都市製とでも思ってればいいンじゃねェの?」

番外「アバウトだね」

 でも、学園都市ならありえる。困った時は学園都市ね? ミサカ覚えた。

一方「それにな、ゴンドラまで変なカエルじゃねェか。こンな無駄な演出は学園都市なンだよ」

 ………………はぁ? 今なんつったぁ? 変なカエル……だとぉ……?

 その素敵な観覧車に心奪われていたミサカは、その信じられない発言を受け流すことはできなかった。
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 23:35:05.49 ID:x26sOFzPo
番外「ゲコ太は変じゃない!」

一方「変だろ」

番外「何で分からないの!?」

一方「分かンねェよ」

 全く、あなたはこの良さを分かってない。でもそれなのに、今日はずっとゲコ太を頭に被ってくれてるよね。
そうだ……。帰ったらゆっくりじっくりたっぷりと、ゲコ太たちの魅力を教えてあげよう。ミサカはそう心に決めた。

お兄さん「乗るときは充分気をつけてくださいね」

 ガコン、と扉が閉められた。これで密室。ミサカはこの人とふたりっきり。

 1周するまでの、長いようで短いような。そんな時間が流れ始める。
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 23:36:16.56 ID:x26sOFzPo
一方「意外と中は広いンだな」

 大の大人が5、6人座ってもまだ余裕が残るような大きなゴンドラ。

 一方通行は長椅子の隅っこに腰掛ける。ずっと歩きっ放しなのが堪えたのか、大切な杖も放り投げて、今にも寝転びそうだ。
いつも篭ってばかりだから体力が付かないんだよ。朝の散歩からでも始めてみたら? うひゃひゃひゃひゃ、ミサカは惰眠を貪りますけどね。

番外「んー……」

 ミサカはどこに座ろうかな。やっぱり隣かな?
でも、隣だとこの人の顔が見えないな。……正面に座る事にしよう。

 観覧車はゆっくりと回っている。
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 23:37:18.51 ID:x26sOFzPo
番外「あぁ~、疲れたぁ」

一方「俺はもっと疲れたわ」

番外「結局、最後までみんなと合流できなかったね」

一方「今更どォでもいいがな」

番外「ミサカは楽しかったからいいけどさ」

一方「……そォかい」

 観覧車はノロノロと回っている。
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 23:38:54.79 ID:x26sOFzPo
番外「ほら、あれは最初に乗ったやつじゃない?」

一方「あァ?ありゃァ、メリーゴーランドか」

番外「へぇ~、暗くなると、みんな明るくなるんだ」

一方「そォしねェと真っ暗で乗るどころじゃねェだろォが」

番外「そりゃ、そっか」

 そうして、ゴンドラが半分を過ぎろうとする頃には話す事もなくなって、ゴンドラの中はシーンとした静寂に包まれていた。

 あれ? 何だか気まずい。ふたりっきりってのは、ここ何日も経験してるけど、こんなに狭い所に閉じ込められるのは初めてだ。

 
 ――ふたりっきり? 
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 23:41:48.05 ID:x26sOFzPo
 あれ? 昨日の夜はもっとふたりっきりじゃなかったっけ?

 昨日の夜は同じ布団で寝たんだよね? あの人の布団で、ミサカは確かに寝た。それも一緒に。

番外「あわわわわ……」

 あの時は、怖くてそんな事気にならなかった。怖くてひとりで寝るのが怖かった。何かに見られているようで怖かった。
 でも、今思い出すと、ミサカはとんでもない事をしてしまったんじゃ……。

 何だか急に恥ずかしくなった。

 恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥 ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずか しい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい 恥ずかしい。
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 23:42:22.22 ID:x26sOFzPo
 恥ずかしい。なんで?

 ぎゅってして貰った時、ミサカは恥ずかしかったの?

 ――違う、嬉しかった。安心した。

 一緒の布団に入った時、ミサカは恥ずかしかったの?

 ――違う、暖かかった。身体も心も。

 じゃあ、何で恥ずかしいの?

 ――分からないよ。

 観覧車って、恥ずかしいとこだったっけ?

 ――違う。それなら乗りたいなんて思わなかった。
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 23:43:51.25 ID:x26sOFzPo
一方「顔が赤いぞ。熱でもあるのか?もしかして、また風邪ひいちまったのかァ?」

 一方通行は飽きれたような顔でミサカのおでこに手を伸ばしてくる。表情には出ていないが、きっと心配してくれているんだろうな。
だって、ミサカがインフルエンザにかかった朝、慌てふためく一方通行の顔を、ぼんやりとだけど覚えているから。

 何をするつもりなんだろう。いや、簡単な事だ。熱を測ろうとしてるのかな。

 だけどミサカは、

番外「来ないでっ!」

 ――言ってしまった。

 いつもならネットワークから拾った感情から出る言葉が、今はミサカを押し潰す。

 そう、今のミサカが、ミサカ自身が発した言葉。

 だからこそ痛い。
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 23:45:24.10 ID:x26sOFzPo
 『来ないでっ!』

 その一言が、ミサカの中で何度も反響する。何度も何度も、こだまのように。

 一方通行の顔は見えない。見れるはずがない。ミサカはただ俯くだけ。

 この人は今のをどう感じたかな? そう考えるだけで心が張り裂けそうだった。

 もうミサカなんて嫌いになっちゃったのかな? 今すぐ扉を開けて飛んで行っちゃうのかな? ミサカをひとりぼっちにして、みんなの元に帰って行っちゃうのかな?

 嫌だよ。今のは嘘だよ。本当はもっと一緒にいたいよ。

 今のはちょっと怖くなっただけだよ。

 怖い? 違う、あなたが怖いんじゃない。この何か分からない感情が怖かった。こんな感情は今まで拾ったことがない。これも負の感情?

 あなたに触れられると、その何かが爆発して、どうしようもなくなってしまいそうで怖かった。
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 23:47:12.96 ID:x26sOFzPo
 そうだ、こんな時はミサカネットワークだ。9000人以上の妹達なら何かいいアドバイスが貰えるかもしれない。

 でも、何を言われるか分からないから、肝心の中身は伏せておこう。一方通行と一緒に観覧車なんて知ったらどんな扱いを受けるか。そんなことは考えるまでもない。

 ――あれ?うんともすんとも返事が無い。これはおかしいぞ?

 そこで、ミサカは気付いた。

 さっきから感情を拾ってない……?
 
 いつもなら、こんな事で怖気るミサカじゃない。何かしら一方通行に嫌味の一言でも言ってるはずだ。

 ――いつから? 観覧車に乗る前は普通だったよね。乗ってからも特に変わったことはなかった。

 気まずいと感じた時からかな?

 ――違う。その時だけじゃなかった。この感じは前にもあったんだ。
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 23:49:14.03 ID:x26sOFzPo
 ミサカはその違和感を何度も感じていたんだ。だけど、それを特段変わった事だと認識できていなかった。
それ以上に、ミサカの心は満ち足りていたから。

 今思い出せるだけで2回ある。1回は昨日一緒に寝たとき。2回目はお昼にミサカがバテた時。
 
 ミサカはネットワークから憎悪やら何やらの負の感情を拾いやすいように調整された。それもミサカネットワークに接続する事で自動で行われている。ただ、 接続といっても、パソコンのログインみたいに好きな時にできるもんじゃない。生きている限り、その脳波がリンクして四六時中繋がっている。

 ミサカがさっき繋げようとしたのは、所謂掲示板みたいなもので、それは妹達の気まぐれで作ったもの。だからといって、それから接続を切っていれば負の感 情を拾わないという訳ではない。まぁ、カエル顔の先生が言うように、その掲示板はかなりの負の感情で溢れているようで、あまり接続しないように、とは言わ れているんだけど。

 そう……だから、理論上は今でも負の感情は拾い続けているはずなのだ。なのに、そのいつもの感情が感じられない。
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 23:51:05.10 ID:x26sOFzPo
 ミサカの考え出した予想はふたつ。

 ひとつめ、ミサカがネットワークに接続できていないでいる。

 ふたつめ、全ての妹達から負の感情が湧き出ていない。尚且つ、みさかちゃんねるは鯖落ち中である。

 ……うわぁ、どう考えても前者です。本当にありがとうございました。

 となると、脳波リンクが上手くできていないことになる。発電能力を応用したリンクだ。それなら確かめる手段はある。

 念のため、バレない程度に静電気を発してみた。

 ――できなかった。能力が使えない。昼の時みたいに、演算はできても発現する事はなかった。この程度の発電もできない。

 いよいよ分からなくなった。
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 23:53:28.00 ID:x26sOFzPo
番外「あちゃー……」

 思わず、ミサカの口から溜息がこぼれる。

一方「本当にどうかしたのかァ?いつにも増して変だぞ」

 一方通行がミサカの顔を覗き込む。うわぁ! 顔が近い近いぃぃ!!

 一方通行の様子を見るに、どうやらミサカの不安は取り越し苦労だったようで、ちょっと安心した。でも、依然と恥ずかしさMAXである。メーターはとうに限界を超えている。
 
 ミサカの顔は夕日に照らされて分からないだろうけど、きっと完熟トマトみたいに真っ赤っかなんだろうなぁ。

一方「ちったァ落ち着け!」

 わたわたと腕を振るミサカに、一方通行は今日何度目かのフレーズを叫ぶ。ミサカの肩がぎゅっと縮まった。
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 23:54:47.72 ID:x26sOFzPo
 一方通行はそんなミサカを無視しておでこに手を当ててくる。まだ熱のせいだと気にしてるらしい。

番外「~~っ!」

 心臓が激しく暴れ狂う。頭が回ってどこにいるのか、何をしているのか分からない。これは昨日の卓球の時と同じ、いやそれ以上だ。

 何も考えられない。何も考えたくない。

 ただそれだけで、ミサカは壊れてしまいそうだ。

 ――その時、ミサカは見た。

 おでこに手を当てる一方通行の肩越しに、それは見えた。

 ミサカよりも一方通行よりも歳上な、ふたりの男の人と女の人。

 ――ミサカは見た。

 そのふたりが唇を重ねているのを。

 ぷっつん、と頭の中で、糸の切れる音がした。
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 23:56:32.55 ID:x26sOFzPo
一方「何だ、熱はねェみ――!?」

 気付いた時には、ミサカは一方通行の胸に飛び込んでいた。ゴンドラがギシギシと揺れる。
正直、あのふたりを見ていられなかった。赤の他人なのに、何故か心に突きつけられた気がしたんだ。

一方「うォっ!?」

 そして、ふたりしてあの人が座っていた長椅子に倒れ込んだ。一方通行は軽く頭を手すりにぶつける。短い呻き声が聞こえた。

 ミサカが上で、一方通行が下。それは図らずとも、昨日の夢とは立場が逆ではないか。

 一瞬だけ優越感が頭を駆けるけど、今のミサカにはそんなの理解できない。

一方「オマエ、何して……」

 当然だ。いきなり押し倒されたら誰だって素っ頓狂になるだろう。
でも、ミサカには答えられない。だって、ミサカでもその答えが分からないのだから。

番外「……知らない」

一方「はァ?」
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/20(日) 23:59:20.21 ID:x26sOFzPo
番外「ミサカだって知らない!ミサカだって知りたい!何でこんなにモヤモヤしなきゃいけないの!?何でこんなに胸が痛いの!?」

 これが、今のミサカにできる精一杯のアンサー。

 その叫びにたた呆然とする一方通行の肩をミサカは力いっぱい掴む。この正体不明の感情から逃げるように……。
今立ち止まったら、本当の意味でもう会えない気がする。何故かそんな気持ちで一杯だった。

 今は離れたくない。でもこんな場所から逃げ出したい。そんな矛盾がミサカの中を駆け巡る。

 観覧車は今どこまで昇っているのだろう。それとも、もう降りてきているのか。それはミサカには分からない。

 ミサカに分かるのは、太陽が沈みかけている事。ただそれだけ。ミサカに見えるのは、薄暗い太陽の光とあなただけ。

 一方通行と目が合う。ミサカは何をした? 何でミサカはこんな事をしているの?
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:00:28.74 ID:6YXDkjgoo
番外「あっ……」

 それでも一方通行は気にせず、

一方「そろそろ起きてくンねェと困るンだが……」

 かなり困っているようだ。いつもなら、『離せェ!』だとか、『やめろォ!』だとか言うのに、今日は困ると来た。
一方通行も何が何だか分かってないようだ。

 大丈夫。ミサカだって分かってないし。

番外「何?ミサカが重いって?」

 ミサカはそう言って適当にはぐらかすが、ただいま絶賛マウントポジション中である。
傍から見たら、女子高生同士のアブノーマルなプレイに見えるのかな?
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:01:52.95 ID:6YXDkjgoo
番外「ミサカだって何でこうなったのか分からないよ……」

 ミサカの腕が一方通行の肩から背中に回る。そして、そのまま一方通行の胸に顔を埋める。

番外「ねぇ、ミサカだけして、あなたからはしてくれないの?」

 ………………へ? 

 ミサカは今、何て言った?

 『ミサカだけして、あなたからはしてくれないの?』

 次にひとつひとつ噛み砕いてみよう。つまり、それは――

 抱けって事!?

一方「はァァァ!?」

番外「駄目かな……」

 ちょっと待てえええぇぇぇい!!これ以上口を動かすなああああぁぁぁぁ!!!
しかも、何かこんな事昨日もあった気がするぞおおおおおぉぉぉおお!!!
937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:03:28.30 ID:6YXDkjgoo
 無駄に理性が働いているだけに、この現状はミサカには衝撃的だった。本当にミサカがやったことなのか。

 もう自分でも何を言ってるのか分からない。負の感情とかそんなちゃちなもんじゃねぇ……。もっと恐ろしいものの片鱗をなんちゃらかんちゃら。

 ミサカは昨日、本当にこんな事を言ったのか。罰ゲームという名目で、こんな事を要求したのか。

一方「」

 おい、何か反応しろよ。これじゃあ、ミサカが勝手に自爆したみたいじゃん。んにゃ、思いっきり自爆だけどさ。
でも、あなたは昨日も抱いてくれたんだから、答えるくらい簡単でしょ?

一方「」

 うぅ~! 断るでも受け入れるでもどっちでも言いから答えてよおおぉぉぉぉぅ!!!

 でも……ミサカとしてはやっぱりぎゅぅってして貰った方が嬉しいかな……。
938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:05:15.32 ID:6YXDkjgoo
番外「ね、ねぇ……」

一方「…………なのか?」

 声が小さ過ぎてよく聞こえない。どちらかというと、呟いてる感じかな? こんなに近くにいても聞き取れない。

一方「これは、罰ゲームなのか?」

番外「えっ?」

 罰ゲーム。一方通行から出た答えは、YesでもNoでもなければ、I don't knowでもなかった。
しかも、答えですらなく、質問で返された。

一方「何だか昨日もこんな事あったけどよォ……。もしかして、オマエに何かあったのか?」

 半分当たってるけど、半分外れ。全く、この人は敏感なのか鈍感なのか分からないね。

 ……だけど、何があったかなんて言えるはずがない。あなたに弄り殺されたなんて絶対言えないよ。
939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:07:41.73 ID:6YXDkjgoo
番外「……」

一方「言えないならいい。だが俺は聞く。昨日の夜、オマエに何があった」

 これは答えるべきか、答えないべきか。

 もし答えたらこの人は傷付くだろう。答えなかったら、それはそれで、これからずっと気まずくなるのかもしれない。

番外「言えないよ……」

 ミサカは臆病だ。負の感情を拾わなければ、何ひとつさらけ出す事ができない。
こんな時は、素直に物言える最終信号が羨ましいな。

一方「そうか。ならオマエは、今何があった。どォしてこンな事をした?」

番外「分からない……」

 分かっていたら、始めからこんな事になってないよ。昨日はちゃんとした理由があった。

 でも、今は理由が見つからない。何でミサカがあなたの上にいるのか検討も付かない。
940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:08:59.10 ID:6YXDkjgoo
一方「……なァ、俺が昼に言った事、覚えてるか?」

番外「昼……?」

 昼? あなたに言われたことならたくさんある。その中のどれの事を言っているの?

一方「……俺はオマエらに手を出す奴は誰だろォとぶっ潰すっつった事だ」

 あぁ、あれか。ミサカが不良に絡まれている時、あなたが叫んでくれた言葉。
あの時は本当に嬉しかった。まぁ、100点満点じゃなかったけどさ。

番外「あぁ、あれね」

一方「俺はオマエに何があったのかは知らねェ。だけどな、俺はオマエらを護るって決めてンだよ」

 それも知ってる。あなたはミサカたちの騎士様なんだから。
最終信号みたいに、ミサカを護るためなら血だらけになっても立ち上がってくれるだろう。
941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:09:56.78 ID:6YXDkjgoo
一方「だから、俺はオマエのそんな顔を見たくはねェ」

 一方通行はミサカを一直線に見つめてくる。その目は嘘を言っていない。真っ赤な瞳は何よりも透き通っているようで。

 その顔は……ミサカだけを見てくれてる……。

 ――じゃあ。

一方「……だから、俺はオマエにどうしてやりゃァいい?どォすりゃいつものオマエに戻る?」


 ――じゃあ。今だけは、今だけはミサカたちの騎士様じゃなく、ミサカだけの王子様になってくれる?
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:11:47.25 ID:6YXDkjgoo
番外「……」

番外「……昨日と同じがいい」

一方「……あァ?」

番外「昨日みたいに、ミサカをぎゅってしてもらっていい……?」

 もうミサカの頭にはそれしかない。

一方「それで戻るのか?」

番外「うん、絶対に戻るから」

一方「そォか……」

 ぎゅっ。

 一方通行の腕が、ミサカを包み込んだ。これで2回目だ。
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:13:02.39 ID:6YXDkjgoo
番外「あぅ……」

 やっぱり、あなたは暖かくて優しい。

 今までの不安しかなかったのが嘘のようだ。まるで夢を見ているみたい。

番外「暖かい……」

 もうずっとこのまま時が止まってくれたらいいのにな。

 これが夢なら、ずっと覚めないでいてほしいな。

一方「そォかい……」

 昨日はすぐ寝ちゃったから分からなかったけど、あなたは今、どんな顔をしてるのかな?
笑ってるのかな? それとも困ってるのかな? それとも……恥ずかしい?

 でも今なら分かる。きっと全部だ。ほら、耳まで赤くしちゃって、慣れない事するから恥ずかしいんでしょ?

 ミサカ? ミサカはもう恥ずかしくないよ。今はただ、あなたの温もりを感じていたい。
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:15:40.66 ID:6YXDkjgoo
番外「ねぇ……。今日、あなたは楽しかったの?」

 顔を上げて聞いてみた。あなたの顔はピンク色で桃みたいに染まってる。桜と同じ、桜色だ。
ミサカは楽しかったよ? あなたはどうだったの?

一方「どォ見える?」

番外「分からない。あなたって、いっつも無表情だから」

 嘘。今のあなたは無表情じゃない。だけど、ここはあなたを立ててあげよう。

一方「そォだな……。楽しかったンじゃねェの?」

 疑問系かよ。もう正直に認めろよ。

番外「それならもっと楽しそうにしなよ。ミサカだけ浮かれてるようで気持ち悪いじゃない」

一方「この顔は生まれつきなンだよ……。オマエが浮かれ過ぎなだけじゃねェか」

 あれ~? なら、その顔は何なのかにゃーん?

 ――何だか、いつもの調子がちょっとだけ戻ってきた気がする。
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:17:27.25 ID:6YXDkjgoo
番外「……今日が何の日か知ってる?」

一方「今日か?」

 やっぱり、一方通行は知らない。それもそうだよね、あなたには縁がなさそうだもの。

番外「今日はね……」

 だったら、このミサカ様が教えてあげよう。

 今のミサカにできる、飛びっきりのプレゼントと共に。

番外「……今日はね、バレンタインデーって言うんだよ?」

 ミサカは一方通行の前髪を軽く払い、そして――

 
 ミサカと一方通行の唇が音も無く……そっと重なった。
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:18:51.98 ID:6YXDkjgoo
 バレタインの特集号で、男性の欲しい物ランキングの中に、それがあったから。

 ミサカには物を買うお金は無い。今あるお金も、元は一方通行のお金だから、これでプレゼントを買っても意味が無い。

 だから、このキスはミサカからあなたへのバレンタインプレゼント。そうミサカは自分に言い聞かせる。

番外「んっ……」

 見よう見真似のこの行為にどんな意味が込められているのか、ミサカにはよく理解できていない。

 漫画やドラマでは、これは恋人同士や夫婦同士か時折交わす行為だったはずだ。

 では、ミサカと一方通行は恋人なのか。それとも夫婦なのか。いや、違う。
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:19:50.34 ID:6YXDkjgoo
 恋人とは、相思相愛の男女の事。夫婦とは、一生添い遂げると誓った男女のこと。ミサカにはどちらも当てはまらない。

 そもそも、相思相愛というのなら、それは一方通行と最終信号の事だろう。
では、一方通行と最終信号は恋人なのか。それも違う気がする。じゃあ相思相愛というのは何だろう?

 でも、ミサカには関係ない事なんだろうな。ミサカの心は偽りの模造品なんだから。好き勝手に弄繰り回されて、好き勝手に感情までチューニングされたミサカには、そんなのには縁のないものなんだろうな。

 ――それなら、この淡い気持ちはなんだろう?

 そっと唇を離す。ほんの一瞬の出来事だった。時間にして僅か2、3秒の出来事。
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:21:27.12 ID:6YXDkjgoo
一方「……オマエ、何をした?」

番外「…………ふぇ?」

 何を言うかと思ったらそんな事? 突然過ぎて分からなかったのかな?

一方「……おィ、これってまさか……」

 一方通行の顔が現実味を帯びてくる。自分が何をされたのか、やっと分かってきたみたいだ。

番外「はい、ファーストキスです」

 即断即決大肯定。その通り、あなたの思っている通りなのでございますよ。

一方「………………」

 開いた口が塞がらないとはこの事か。あなたって、そんな面白い顔もできるんだね。
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:23:44.26 ID:6YXDkjgoo
一方「……何てこったァ」

 一方通行は力なく頭を椅子に垂らす。何かショッキングな事でもあったのかな?

番外「ん?どした?」

一方「どォやら、俺が甘かったみてェだ……」

番外「うひゃひゃひゃひゃ!!!ミサカに唇を奪われた感想はどう?」

 負の感情は充電完了。この通り、いつものミサカに戻りましたよっと。

一方「オマエはいってェ何がしたいんだよ……」

番外「だから、ミサカにも分からないんだってば。ファーストキスってそんなに大事?」

 本当は何となく分かってる。でもその先が分からない。何がミサカを突き動かしたまでかは分からない。
嫉妬? それとはちょっと違う。だって、今は嫉妬する相手がいないから。……でも似てる気がする。
これが負の感情によるものなのか、その副作用なのかミサカには分からないけど、もうどーでもいいや。

一方「意味分かンねェ……」

 そして、一方通行は前髪を掻き上げて、飽きれたように言う。
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:25:32.76 ID:6YXDkjgoo
一方「もォいいだろ?早く降りてくれねェか」

番外「やだ」

 間を置かず即刻否定。言葉というのは簡単なようで難しい。場面場面に合ったものじゃないと、どんなに説得力のあるフレーズでも説教でも雑音同然。

 だけど、今のこの2文字に勝る言葉があるだろうか。

一方「はァ……?」

番外「下に着くまでこうしてようよ」

 ぎゅっ。

 ミサカはよりいっそう強く抱きしめる。もうちょっとだけこうしていたい。だって温かいんだもん。

一方「オマエ、クソガキ以上に面倒だわ……」

番外「そんなの決まってるじゃない。それがミサカの楽しみなんだから」

一方「こンなンを他の妹達に知られたら俺ァどォなる……。ソイツら全員に同じ事すンのか?」

番外「最初に言ったじゃない。ミサカの思い出はミサカだけのものだって」

一方「……ハッ、そォだったな」
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:28:44.62 ID:6YXDkjgoo
 観覧車は回り続ける。今も昔も、これからも。

 時間は悠久だけど、過ぎ去った時間は取り戻すことはできない。人間の一生なんて長くて100年あるかないかだ。
4次元を操れる能力があるのなら話は別だけど、そんなのは不可能に決まってる。

 でも、ミサカみたいなクローンは何年生きられるかは分からない。1ヶ月後には死んじゃうかもしれないし、10年後も元気かもしれない。
冥土帰しは良い人だし、評判も凄く良いのは分かってるけど、こればっかりは誰にも分からない。

 それでも、だからこそ――

 だからこそ、こうして今ある時間を満喫すればいい。

 永遠の眠りに就くその時まで、好きな事を好きなだけやればいい。誰にも望まれず生まれたミサカたちだからこそ、それくらいの権利はあるはずだ。
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:30:37.78 ID:6YXDkjgoo
一方「まだ下には着かねェのか……」

 ミサカたちは窓の外を眺める。空は既に闇に染まっていて、人工の光が地上を照らしている。
その光は確かに綺麗だけど、あまり見つめ過ぎると目がチカチカしそうだった。

番外「もうこのまま故障しちゃったりしないかな」

 ポツリ、とミサカは一方通行に聞こえるように呟く。その気になれば、観覧車をショートさせる事だってできるんだから。

 でも、楽しい事、嬉しい事は、そればっかりじゃ飽きてしまう。辛い事や悲しい事があるからこそ、人は光を求めて歩いていける。際限の無い幸福は、それはそれで地獄なのだ。

一方「それだけは勘弁してくれよ」

番外「……冗談だよ」

一方「本当だな?また9割だけとかじゃねェよな」

番外「さぁ?」

 ――今度は全部冗談だよ、一方通行。

一方「…………はァ」
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:32:28.20 ID:6YXDkjgoo
                       ・
                       ・
                       ・

一方「あァ~、長かったぜェ……」

番外「別にもっと長くてもミサカは良かったんだけどなぁ」

一方「俺はオマエの抱き枕じゃねェンだよ」

番外「じゃあ、誰の?」

一方「誰のもンでもねェ!俺は俺のもンだァ!」

番外「なーんだ。つまんないの」

一方「つまンねェのは俺のほ――!?」

番外「!?」

 バーン! と大きな音がしたと思ったら、夜空に大きな花が咲いた。続けて、花弁がチラチラと降り注ぐ。
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:34:35.17 ID:6YXDkjgoo
一方「……花火か」

番外「花火?」

 これが……花火?

 実物を見るのはこれが初めてだ。夏まで見れないと思っていたのが、まさかこんな所で見れるなんて。

一方「パンフレット見てなかったのか?今日は特別にナイトパレードがあるみてェだったぞ?」

番外「そっか。今日はバレンタインデーだからかな」

 花火は何発も何発も打ち上げられる。大きなものから小さなものまで。その度に、全身に重たい衝撃が圧し掛かる。
写真だけでは分からない実感。弾けては散る一連の流れ。脳に焼きつくほどの強烈な光がミサカの瞳に写り込む。

 これはミサカへのバレンタインプレゼントだろうか。

 違う、これは……ミサカと一方通行のふたりへのバレンタインプレゼントだ。
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:36:25.59 ID:6YXDkjgoo
番外「こんな時、何て言うんだっけ」

一方「あァ……何て言うンだったろォな。た……たま……何だったか」

番外「分からないの?」

一方「俺がそンなンに興味あると思うか?」

番外「んにゃ、思わないけど」

 そンな事を話してる間も、花火は休みなく空を照らす。周りの人たちもそれぞれの歩みを止め、空を眺めている。

一方「でもまァ、夏まで待たなくてよかったじゃねェか?」

番外「…………うん、そうだね」

 幻想的な無数の光は心も照らす。それは未来を照らしているのか、希望を照らしているのか。だけども、それはミサカには心地よかった。

一方「おィ、マフラーがずり落ちてンぞ。首が冷えンだろォが」

番外「おぅ?」

 突然、一方通行の手が首に触れる。やっぱり冷たかった。
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/21(月) 00:37:41.76 ID:6YXDkjgoo
番外「ひゃ!冷たっ!?」

一方「動くな。黙ってされろ」

番外「……ねぇ、帰りに手袋買って帰ろうよ」

 パレードが終わったあと、ミサカたちは最寄のショップに足を伸ばした。
目的は手袋。しかも、お揃いだ。一方通行は最後までファンシーなデザインに抵抗はあったものの、ミサカの選ぶものには否定はしなかった。
その手袋、あなたが買ったTシャツに合わせて選んだんだよ? 分かってるの?


 買った後も、ゲートに着くその時まで、ミサカの右手とあの人の左手は繋がれたままだった。
今すぐ使う事もできたはずなのに、不思議と使うつもりは沸かなかった。

 途中で、周りの人の真似して腕を組んでみたけど、あっさり弾かれた。何でだろう? 聞いてみても、あの人は答えてくれなかった。

 
 ――まぁ、いっか。
 
 ――またいつか行こうね、白くて細くていまいち頼りない……ミサカだけの王子様? 
968 :残りレス的にギリギリなのでこっちで投下宣言 [saga]:2011/03/23(水) 01:22:24.66 ID:G/vmHtBxo
                                ・
                                ・
                                ・
 ゲートではみんなが待っていてくれていた。遅くなってごめんなさい。あと、先に行っちゃってごめんなさい

上条「やっと会えたか。すまねぇな、携帯がこんなんになっちまって連絡が取れなかったんだ……」

 その手には、電源の付いていない携帯電話が。
話を聞くと、恐竜のアトラクションで思いっきり水を被ってしまった時に携帯が壊れてしまったという。不幸な男だね。

一方「オマエのせいで散々な目にあったじゃねェか」

番外「でもよかったじゃない。最後にちゃんと合流できたんだし」

垣根「そうだな。結果良ければ全て良しだ」

 ぬうっと、横から茶髪のメルヘンが現れた。今日はよく会う。……本当にストーカーしてるんだろうか?

一方「オマエなァ……。もう現れンなと言ったはずだが」

番外「ていとくんはまだ帰らないの?」

垣根「この際、お前たちも一緒に送っていこうと思ってな」
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:23:35.48 ID:G/vmHtBxo
一方「……バスでやって来たとか言うンじゃねェよな」

垣根「よく分かったな?流石は第1位だ」

一方「オマエはどォしよォもない馬鹿だな」

心理「……」

番外「あれ?心理定規まで待っててくれたんだ?」

 でも、何故か様子がおかしい。顔が赤いし、ずっと下を向いて伏せてる。

心理「……」

番外「おーい?」

心理「……え、えぇ!?私は何でもないわよ?」

 うん、やっぱり変だ。アセアセと前髪を手で梳いている。何を隠しているの?
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:24:50.72 ID:G/vmHtBxo
垣根「どうかしたのか?」

 ていとくんは何だかニヤニヤしてる。何か知ってるのかな?

心理「なっ、何でもないって言ってるでしょう!?」

 心理定規はプイっと顔を背けてしまった。いったい何があったと言うのだ。ていとくんが何か絡んでいるのは間違いないね。

一方「まさかオマエ……」

垣根「ん?」

番外「あなたは何か知ってるの?」

垣根「何かあったのかって?それはお前たちも一緒だろ?第1位の頬に付いてるソレって、グロスじゃねェのか?」

一方「ばっ!?」
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:25:56.68 ID:G/vmHtBxo
垣根「残念だったな、無色だったらバレないとでも思ったか?俺に常識は通用しねぇんだよ!あはははは!!」

番外「ぁ……」

 ……ていとくんのほうが1枚上手だった。流石の一方通行も、こんな事まで気が回らなかったらしい。
彼女いない歴=年齢の第2位が気付くのもおかしいけど、経験はなくとも知識としてはあるのかな? やっぱりメルヘンだ。

土御門「何の事か説明プリーズだにゃー?」

青ピ「ボクらを放ったらかしにしといて、それはないんちゃう?」

上条「……すまん、流石の俺にもフォローしきれねぇわ」

 デルタフォースが一方通行に詰め寄る。第1位がこんな平凡な高校生にやられるとは思わないけど、こればっかりはどうしようもない。
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:27:33.31 ID:G/vmHtBxo
垣根「詳しく聞かせてもらおうか?」

一方「ち、違ェ!これはだなァ!ちょっとした事故で――」

 ……あらら、何だか面倒な事になりそうだ。よし、決めた。ここは勇気ある撤退あるのみ!
ミサカに火の粉が降りかかる前に全軍離脱じゃああああああぁぁぁ!!!

番外「心理定規に姫神さん、先にバスに戻ろ?」

心理「え、えぇ……」

姫神「あの人は。大丈夫なの?」

番外「何とかなるでしょ!」

 後ろで、何か叫ぶ声がした。でもミサカたちは無視ですの。本当は気になるけど、その前にミサカも巻き込まれたらどうしようもないからね。
あの人には悪いけど、お先に失礼いたします。

一方「番外個体ォォォ!!!オマエからも何か言ってやってくれェェェェ!!!」

 うひゃひゃひゃひゃひゃ!!! ミサカ、知ーらないっ☆
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:29:36.42 ID:G/vmHtBxo
at ホテル ~夕食後~

一方「はァ、今日も増して面倒臭ェ1日だったわ……」

番外「まだそんな事言ってる。晩ご飯のバイキングがそんなに不満?」

一方「そォじゃねェよ。あと、ひとつ聞いていいか?」

番外「ん、何?」

一方「その頭のカエル。まだ付けてンのか?」

番外「頭?…………うわぁ!?」

一方「あァ……やっぱ気付いてなかったンだな」

番外「やけにみんなからジロジロ見られてると思ったら……」

一方「クカカカ!最高に良いキャラしてんじゃねェか、オマエ!」

番外「気付いてたなら早く言ってよ!ミサカ、もう学校に行けない……」

一方「おゥおゥ、そォしたほうが俺も行かなくて済むなァ!」

番外「…………あれ?それなら、あなたも付けてたじゃない」

一方「!?」
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:31:54.28 ID:G/vmHtBxo
番外「ギャハハハハハハハ!ちゃっかりお茶目アピールですかぁ?あなたのほうが酷いってのぉ!!あっひゃひゃひゃひゃ!!!」

一方「な、何てこったァァァァァァ!!!」

番外「そうだ。ミサカ、先にお風呂入るけど、覗いちゃ駄目なんだからね?」

一方「ンな事するかァ!……ほら、シャンプーとリンスだ」

番外「おっと、ナイスキャッチ!」

一方「その台詞は投げたコッチが言うもンだろォが」

番外「まぁまぁ、気にしない気にしない♪あんまし気にすると、白髪になっちゃうよ?」

番外「……あ、始めから白髪だったね。ギャハ☆」

一方「いいから入れェ!」

番外「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」ガチャン

一方「ったく。これなら、さっきのアイツのほォがマシだったンじゃねェのか?」

一方「…………何考えてンだ、俺はよォ」
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:33:31.91 ID:G/vmHtBxo
その頃、研究所では

一方『ごめン、君とは付き合えねェンだ』

18264号「あー!またセロリルートに入れなかったーっ!?」

14510号「だから言ったでしょう。デートに誘う際は、前もってイベントを消化しておかないと」

20000号「ミサカもフラれたお……」

14510号「あなたは論外です!なんで会って最初の選択肢がペロペロなんですか!」

20000号「だって、思わずタッチペンが……」

18264号「こうなったら最初からやり直しです、とミサカはリセットボタンをプッシュします」

冥土帰し「何をしてるんだね?」

18264号「見ての通り、ゲームですよ、とミサカは携帯ゲーム機をチラつかせます」

14510号「ときめきメモリアルMisaka's Side 1st Loveです」

冥土帰し「」

14440号「ミサカがオリジナルにパッチを当てて作りました、とミサカは改造もお手の物です」
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:35:37.39 ID:G/vmHtBxo
20000号「畜生……最初の選択肢が、『おはよう』と『とりあえずペロペロ』しかないのに、勝手に手が……」

打ち止め「うりゃぁぁぁぁ!!!って、あああああぁぁぁ!?」

14889号「小足見てから昇竜余裕でした、とミサカは余裕の勝利宣言です」

打ち止め「何で勝てないのー!?」

10033号「上位個体が弱いだけですよ。ほら、ちょっと貸してください、とミサカはコントローラーを奪います」

17600号「上位個体はぶっぱのし過ぎです、とミサカは強攻撃だけとか初心者かよ、と嘲笑います」

御坂妹「これは甘くてモチモチしていて美味しいですね、何というのですか?とミサカは問いかけます」

10153号「これは生八つ橋という京都名物です。コッチはイチゴ味です」

御坂妹「ほほぅ、どれどれ……」

10153号「よかったらお土産にどうぞ、とミサカは紙袋を差し出します」

ミサカハミサカハミサカハミサカハミサカハミサカハ........

冥土帰し「……まるで託児所だね?」

研究者「……で、先生は何をしてらっしゃるんですか?」
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:37:13.09 ID:G/vmHtBxo
冥土帰し「見て分からないのかな?……おっとっと」

『身体がフラフラしています。お腹に力を入れて、バランスを取りましょう』

冥土帰し「ふむ……結構キツいね?」

研究者「何呑気にWii Fitしてるんですかと聞いているんですよ!?」

冥土帰し「最近ちょっと下腹が気になってね?」

10153号「医者がメタボでどうするんですか、とのミサカの一声でこのような事に」

『そのままの姿勢で、ゆっくり呼吸しましょう』

14440号「よし、そろそろ時間ですね、とミサカはモニターに向かいます」

御坂妹「14440号はさっきからパソコンで何をしているんですか?とミサカは画面を覗き込みます」

14440号「FF11ですが何か?あっ、最後のひとりが来ました。いざ出撃です、とミサカは意気込みを露にします」

御坂妹「相変わらずネトゲですか、とミサカは完全武装した14440号のキャラクターを観察します」

14440号「はい。『フルチュンさん、こんばんは。待っていましたよ』と……」カタカタ

御坂妹「…………えっ?」
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:38:08.55 ID:G/vmHtBxo
冥土帰し「そうだ、14440号くん。彼女にも言っておいてくれないかな?ゲームのし過ぎは――」

『身体がフラフラしています』

冥土帰し「おととと……」

10033号「ふははははは!姐御のパターンは見切った!」

14889号「あああぁぁぁぁぁああぁぁ!!!?」

打ち止め「14889号は頭が固いんだよ、ってミサカはミサカは事実を突きつけてみたり!」

10033号「それに負けたのは誰なのでしょうか、とミサカは華麗にカウンターを決めます」

打ち止め「……」

17600号「ですよねー」

14889号「くそっ、リベンジです!レッツゴージャスティーーン!!」
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:40:30.36 ID:G/vmHtBxo
プルルルルル!

研究者「電話?はい、もしもし」

研究者「……はい。分かりました。先生、電話です」

冥土帰し「今忙しいところなんだがね?」

『そのままの体勢をry』

研究者「はやくしなさい」

冥土帰し「やれやれ……もしもし?」

13577号『冥土帰し!なぜミサカたちに黙ってあんな事を!?』

10039号『ミサカだって京懐石を食べたいです!』

冥土帰し「」

19090号『ミサカも……』

10039号『19090号、言いたい事があるのなら言うべきです』

13577号『という事なので、MNWで審議の結果、9960人のミサカの意見全てが一致しました』

10039号『……帰ったら、ミサカたちにも奢りなさい、とミサカは電話を一方的に切断します』

ガチャ ツー、ツー......

冥土帰し「…………」

冥土帰し「……君たち、もしかしてバラしちゃったのかな?」

妹達「……」

妹達「テヘ☆」

冥土帰し「」
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:43:41.02 ID:G/vmHtBxo
ところは変わって......

チャプン

番外「ふぅ……」

番外「露天風呂の後だと、どうしても虚しく感じるよねぇ。足は伸ばせないし、お湯は何か硬いし……」

番外「……そうだ。今度、一方通行も連れて行ってみようかな。スパリゾート……だっけ?」

番外「違う違う。一方通行だけじゃなくて、最終信号も黄泉川も芳川のみんな一緒で行かないとね」

番外「…………」

 ミサカはもう一度、あの時の事を考えてみた。だけども、結局答えは見つからなかった。

 何か見落としてるものがあるのかもしれない。関数Xが分からないと問題が解けないように、何か大切な点が抜けているような気がする。
それはひとつだけじゃなく、YやZ……それとも、もっとたくさんあるのかもしれない。

 仮に、それが分かったとしても、あの時の感情は何なのかミサカには分かるのだろうか。そもそも、あれは感情だったのかな?

番外「うーむ……」

 ……今度、カエルの先生に聞いてみよう。ホルモンバランスが一時的に乱れた、とかなら原因が分かるかもしれない。

 口をお湯に沈めてブクブクと息を吐いた。弾ける泡のように、抱いた疑問を頭から追い出す。

番外「……もう上がろう」
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:44:39.25 ID:G/vmHtBxo
番外「…………あれ?着替えは?」

番外「ありゃりゃ、出し忘れちゃったか」

番外「おーい!」

オーイ!

一方「あァ?何だァ?」カツカツ

一方「……おィ、どォした」

番外「ミサカ、着替え忘れちゃったみたい。バッグの中にあるから持ってきてくれない?」

一方「何で俺がそンな事しなきゃなンねェンだ。テメェでしやがれ!」

番外「ミサカに全裸で取りに行けと?」

一方「分ァったよ!持ってくりゃいいンだろ!?」

番外「よろしく~♪」
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:45:33.48 ID:G/vmHtBxo
一方「はァ……。で、こン中にあるンだなァ?」ジーッ

一方「チッ、ごちゃごちゃしてて分かンねェ……」ゴソゴソ

一方「……どォ見ても、使わねェもンがたくさンあンぞ」

一方「パジャマだけで5着もあるンだが……。パジャマはこれでいいよな?」

一方「あとは下着か?……おィおィ、俺は変態じゃねェぞ……」

一方「どこだよ。全っ然見つかンねェ……」

一方「お、ポッキー発見だァ。これは報酬に頂いておくか」ポリポリ

番外「あなた、何食ってんの?で、着替えはまだなの?」

一方「うおォォォ!?」
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:46:31.53 ID:G/vmHtBxo
番外「ねぇ?」

一方「ちょっと待てェ!オマエは今――」

番外「そんなワケないじゃん。タオルなら浴室に置いてあったし、親切にガウンもあったよ。ほれ」

一方「……はァ、驚かせンなよなァ」

番外「それより、こんなに散らかしちゃってどうするの?」

一方「オマエがこンなに詰め込ンでンのが悪いんだろ」

番外「もういいよ、ミサカが自分で探すから」

一方「……ったく、最初からそォしろよ」

                           ・
                           ・
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984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:47:53.56 ID:G/vmHtBxo
番外「次入っていいよー」

一方「おゥ」

番外「あと、泡風呂にしといたから」

一方「泡風呂ォ!?」

番外「喜ぶかなぁって思って。うひゃひゃ、どっちが泡か分からなくなるかもね?」

一方「余計な事すンじゃねェよ!」

番外「おっ、何かアニメやってる」

一方「話を聞けェ!!」

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一方「ふゥ、泡々だったぜェ……ん?」

番外「すぅ……すぅ……」

一方「テレビ付けたまンま寝てンじゃねェよ。寝るなら布団の中で寝ろ。風邪引くだろォが」

番外「すぅ……むにゃ……」

一方「はァ……うっし」ダキッ

番外「うにゅ……・」
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:48:55.39 ID:G/vmHtBxo
一方「能力使わねェと、女ひとり運べねェのか……。俺も垣根の事言えたクチじゃねェな」

一方「……朝の散歩からでも始めてみっかなァ」

番外「すぅ……」

一方「コイツ、ベッドから落ちたりしねェよな……」

一方「…………おい、俺は今何考えた?」

一方「落ちねェよォに、俺も一緒に寝るだァ?ふざけンじゃねェぞ、俺」

番外「あくせ……ーた……」

一方「あァ?」

番外「えへへへ……ぎゅぅ……」

一方「……寝言か。愉快で素敵な夢でも見てンのかぁ?」

一方「はァ……。一応、床に毛布敷いといてやンよ。まっ、落ちねェよォに気を付けるンだな」

一方「……うぅ、やっぱ毛布がないと寒ィな…………。だが仕方ねェ」

番外「すぅ……すぅ……」
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:50:45.97 ID:G/vmHtBxo
そして、朝

一方「ン……朝か」

一方「7時ちょい前、丁度じゃねェか」

一方「番外個体は……?」

番外「ぐぅ……」

一方「結局、落ちてねェのかよ。ンや、そのほォがいいンだけどな……」

一方「……俺の身を削った優しさは犬死だったっつーのかよォ」

番外「むにゅ……罰ゲームなんだからねぇ……」

一方「おい起きろ、番外個体」ユッサユッサ

番外「すぅ……」

一方「朝飯の時間だ。起きろ、ってうォ!?」ユッサユッ!?

番外「ぎゅぅ……」ダキッ

一方「おィ!離せ!寝惚けてンじゃねェ!」

番外「んんー……っ。あれ?何してるの?あぁ、まだ夢か」

一方「夢じゃねェ!これは現実だァ!」

番外「…………んじゃ、あと5分……」

一方「だから、そォじゃねェ!!」
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:51:50.01 ID:G/vmHtBxo
                       ・
                       ・
                       ・

番外「……ここ、どこ?」

一方「俺が知りたい」

小萌「はーい!ではこれからビール工場を見学するのですー!」

上条「……は?ビール工場?」

一方「未成年にそんな見学させていいのかよォ」

黄泉川「飲まなきゃ平気じゃん!」

番外「何という職権乱用……」

垣根「ビールか。俺はそれよりワイ……」

心理「今それを言ったらジャッジメントされるわよ?」

垣根「おっと、危ねぇ」

黄泉川「何か言ったか?」

心理「いいえ、何にも」
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:53:04.92 ID:G/vmHtBxo
番外「黄泉川センセー!ていとくんはビールよりワインが好きなようでーっす!」

垣根「うおぉぉぉぉい!!!」

黄泉川「未成年なのに先生の前で公言するとはいい度胸じゃん!」

垣根「お、俺はワワワワイシャツは裸よりショーツ1枚上からのほうが好きだと言っただけで……っ!」

黄泉川「そ、そうか……」

心理「……最っ低」

一方「……オマエ、常識非常識の前に考える事あるだろォ」

番外「ていとくんヘンターイ」

垣根「チクショウ……」

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989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:54:17.12 ID:G/vmHtBxo
工場長「そして、発酵を終えたビールはこの貯蔵タンクに運ばれます」

一方「……なァ、これって俺らが聞いて得すンのか?」

番外「んにゃ、全然しないと思う……」

一方「だよなァ……」

小萌「では、これで飲めるようになるんですねっ!?」

工場長「もちろん。試飲してみますか?」

小萌「もちろんなのです!」

黄泉川「おっ、飲んでもいいのかじゃんよ?」

素甘「こんな経験は滅多にないわねぇ……」

垣根「どれどれ、俺も……」

心理「あなたまで何混ざってるのよ」

垣根「……駄目か?」

心理「駄目に決まってるでしょう!?」
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:55:23.11 ID:G/vmHtBxo
垣根「お前だって飲んでたじゃねぇか」

番外「心理定規も飲むの!?」

一方「人は見かけによらねェンだなァ……」

心理「あれはノンアルコールシャンパンでしょう!?今更クリスマスの事を吹き返さないでよ!」

垣根「でも、あの時は酔ってたよな?」

心理「っ!?あれは……っ!」

一方「ノンアルコールでも、微量にアルコールは入ってるからなァ」

番外「心理定規は弱いんだね。ノンアルコールで酔うくらいに♪」

心理「わっ、悪い!?」

垣根「でも、そんな子供っぽいお前も俺は好きだぜ?」

心理「なっ!?何こんな所で……」

工場長「はーい。ではみなさんには、わが社で作った新製品を試飲して貰いましょう」
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:57:07.07 ID:G/vmHtBxo
上条「おっ、ヤシの実サイダーか?」

工場長「ご存知なのかな?」

土御門「学園都市にも似たようなのがあるにゃー」

工場長「へぇ~、それは意外だったね」

上条「でも、アッチのはほとんど実験品ばかりでマトモなのがないんですよ」

番外「イチゴおでんとか、誰得だっての」

青ピ「分かる分かる。ヤシの実サイダーかというても、無果汁やしなー」

番外「これは果汁入りって書いてあるね?」

工場長「よく気付いてくれたね。評判次第では、学園都市でも販売してみようかと思ってるんだ」

上条「どれどれ……」ゴクッ

土御門「にゃー!全然あっちのと違うにゃー!」

番外「これがヤシの実の味かぁ……。微炭酸なのが丁度いいかも」

青ピ「ボクには見えるで。青い海、甘い風……。まるで南国にいるみたいや」
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:58:31.08 ID:G/vmHtBxo
一方「……このコーヒーも新作か?」

工場長「あぁ。わが社でも、ブランド豆を使った安価な缶コーヒーを目指していてね」

一方「飲ンでみていいか?」

工場長「……その目、君も相当な通みたいだね。いいだろう、是非とも君の意見を聞きたい」

一方「俺はアイツらみてェに甘くはねェぞ……?」

工場長「そのほうが我々も嬉しいよ」

一方「…………」ゴクッ

工場長「どうかな?」

一方「悪くはねェ。だが……」

一方「香りが薄い。一度に大量の豆を焙煎しているンなら、もォちっと火力を上げたほォがいいな」

工場長「なるほど……」

一方「使用してる豆は上出来だァ。改善点は火力だけ。そォすりゃ、手挽きとそォ変わらなくなるはず……」
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 01:59:53.76 ID:G/vmHtBxo
番外「何飲んでるの?ミサカもいい?」

一方「あァ?コーヒーだけど飲めンのか?」

工場長「こっちにはカフェオレもあるよ。流行りのストロータイプにしてみたんだ。これなら女の子でも飲みやすいんじゃないかな?」

番外「ほぅほぅ」チウチウ

一方「……オマエ、飲み過ぎじゃね?」

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 そして、別れの時――
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 02:01:00.46 ID:G/vmHtBxo
at 空港

垣根「俺たちはここまでだ。……この4日間、楽しかったぜ」

心理「学園都市でも元気でね?」

番外「もう会えないの……?」

心理「会えるわよ。だって約束したでしょう?私の部屋に遊びに来るって」

番外「うん。でも……」

心理「ほら、携帯出して。メアド交換しましょう?休みの日は戻ってるから、その時に連絡するわ」

番外「……うんっ!」

一方「…………」

垣根「どうかしたのか?」

一方「あンな顔は初めて見たと思ってな……」

垣根「女の子同士なんだ。そりゃそうさ」

一方「そォか……」
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 02:02:30.15 ID:G/vmHtBxo
垣根「あの子も心理定規も、友達なんか作れる環境じゃなかったからな。きっと嬉しいんだろうよ」

一方「そォか……」

垣根「……だから、何があっても護れ。身も心も、周りもだ。俺はそのつもりでいる」

一方「言われなくても分ァってる」

垣根「……お前に負けて、学園都市に囚われた俺をアイツは救ってくれた」

一方「……だから護るのか?」

垣根「さぁな。俺が義理だけで動いてると思うか?」

一方「さァな……」

垣根「……元気でな。あと、死ぬなよ」

一方「ハッ、お前に心配されるとはなァ」

垣根「俺はいつか、あの腐った街をぶっ潰す。その時はお前も手を貸してくれ」

一方「それが、アイツらを護るためなら……な」
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 02:04:01.16 ID:G/vmHtBxo
番外「一方通行ぁぁ!早くしないと、みんな行っちゃうよー!?」

垣根「……行けよ。お姫様がお待ちだぜ?」

一方「だからその言い方はよせ」

垣根「……じゃあな」

一方「……おゥ」

番外「もう!呼んだら早く来てよ!」

一方「悪ィ、ちっと話してた」

番外「ねぇ、帰ったら何しよっか」

一方「晩飯はどォすっかなァ」

番外「ミサカ、外で食べたい!」

一方「ならファミレスかァ?」

番外「何でいつも外食はそれなの?もっと豪華なのにしようよ!」

一方「そォだなァ……」

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997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 02:05:27.70 ID:G/vmHtBxo
ギュィィィィーーーーン......

垣根「……行っちまったか」

心理「…………っ」

垣根「心理定規……泣いているのか?」

心理「ひっく……」

垣根「大丈夫だ。また会えるさ……」

心理「本……当……?」

垣根「あぁ。もう少ししたら、俺たちも戻ろう。過去に何があったとしても……俺たちの居場所はあそこなんだからな」

垣根「……それに、あの子は初めてできた友達だったんだろう?」

心理「えぇ……」
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 02:12:01.71 ID:G/vmHtBxo
垣根「俺は、お前の望むものなら何だって叶えてやる。あの時からそう決めていたんだ……」

垣根「……だから泣くな?せっかくの可愛い顔が台無しだぜ?」

心理「……ふふっ、あなたのほうこそ、最後の最後で台無しじゃない」

垣根「心配するな。自覚はある」

心理「ふふっ、今はそのほうがお似合いね。ほら、次の仕事が待ってるわ」

垣根「おい、ちょっと待ってくれよ!」

削板「どら、俺も次の仕事に行くかな。行くぞ、垣根!根性見せろ!こんじょおおおぉぉぉおおおお!!」

垣根「だああああぁぁ!?暑苦しいんだよお前は!!」

心理「ふふふふふっ」


垣根(……お前なら護れるさ、一方通行。何たって、俺が認めた男なんだからな)

垣根(まぁ、やれるだけやってみろ。白銀の王子様よぉ?)


心理「ほら、急がないと、また社長に怒られるわよ?」

垣根「………はは、それだけは避けねぇとな」


                                                       第一部 完
999VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/23(水) 02:18:29.96 ID:G/vmHtBxo






 そして、新たな舞台は次スレへ――

1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/23(水) 02:19:12.27 ID:uc3bTQIF0
乙!!!!!!!!!!!!!!!!!

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