2013年10月13日日曜日

垣根「女の子と暮らすということはだな…」一方通行「…」 1

1 ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 19:57:21.42 ID:5HRLd2/N0

このスレは前スレ一方通行「おいあわきン」結標「!?」の続きです。

頑張っていきますのでよろしくお願いします。 

3 ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:05:04.68 ID:5HRLd2/N0
食蜂「ここよ。私達の愛の巣は!」

一方通行「…」

食蜂「どうしたの?元気ないね」

一方通行「ちょっと垣根のトコに行ってきますゥ」

食蜂「そう?なるべく早く帰って来てね!」

一方通行「あァ…」

一方通行(なンだありゃァ…俺の知ってる食蜂じゃねェ…まさか自分に能力を使ったのかァ?)

一方通行(あれを元に戻せってことなのかァ?)

一方通行「少し厄介そうだなァ」

一方通行(しかしどうしたもンかねェ?)

一方通行(住む場所が学舎の園の中ってのがなァ…)

一方通行(少し垣根に相談しねェとな)
4 ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:05:38.91 ID:5HRLd2/N0
垣根「なんだよ、施設って言ってもちょっと立派なプレハブ小屋じゃねぇか」

御坂「でも生活用品はちゃんと備わってるみたいね」

垣根「そういや何日暮らしゃいいんだろうな」

御坂「知らないわよ」

垣根「ったく。テメェのせいだぞ」

御坂「何言ってるのよ。元はと言えばあんたと食蜂のせいなのよ?」

垣根「…どういうことだ」

御坂「まずあんたの精神的な嫌がらせ、それに加えて食蜂に精神操作喰らったのよ?そりゃ自分だけの現実も不安定になるわ」

垣根「つまりお前のリハビリに付き合えってことか…まったく」

御坂「どの口が言うのよ」

『オイ!垣根ェ!』

垣根「ん?一方通行か?ちょっと出てくる」

御坂「一生帰って来なくていいわよ」
5 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:06:10.32 ID:5HRLd2/N0
垣根「よう、実は俺もお前のトコに行こうとしてたんだよ」

一方通行「へェ、そうかィ」

垣根「で?お前は何の用だ?」

一方通行(よくよく考えたら相談もクソも無いんじゃねェのか?)

垣根「おい?」

一方通行「いや、やっぱりなンでもねェわ」

垣根「そうか。んじゃちょっと付いて来てくれないか?」

一方通行「どっか行くのかァ?」

垣根「ああ、今後に関わる重要な所に行く」

一方通行「そォか。ま、いいぜ。付き合ってやる」

垣根「よし決まりだ。んじゃ行くぜ」

一方通行「どこに行くンだ?」

垣根「病院だ」

一方通行「ハ?」

6 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:06:39.56 ID:5HRLd2/N0
水穂機構病院



垣根「ここだ」

一方通行「水穂機構だとォ?」

垣根「ああ。とりあえず中に入るぞ」

一方通行「病院ねェ…」
..........................................

垣根「この部屋に居る」

一方通行「居るって…人に会いに来たのか…そりゃそうだよなァ」

垣根「高速ノッキング」コココココココン

『どうぞ』

垣根「邪魔する」ガチャ

一方通行「失礼しまァす」

木山「ん、君達か。垣根くんには最近会ったが、一方通行くんは久しぶりだな」

一方通行「木山ァ…?」

木山「今日はどうしたんだ?また夢かい?」

垣根「作ってほしい薬があって来た」

木山「薬?一体どういう薬だい?」

垣根「性欲を抑える薬だ」

木山「性欲?」
7 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:07:09.77 ID:5HRLd2/N0
木山「なるほど。女子中学生と二人暮らし…それで薬か。まあ必要になるだろうな」

一方通行「そンな薬無くったって襲いやしねェよ」

垣根「バカ、女の方に飲ませんだよ。お前が大丈夫でもあっちが大丈夫じゃねぇ」

一方通行「ン…そうかァ」

垣根「作れるか?」

木山「至急必要なんだろ?いいよ。作製しよう」

垣根「そいつは助かる。時間はどれくらいかかる?」

木山「調合自体は簡単だから…そうだな…三時間でなんとか作製しよう」

垣根「完成は夕方か。よし、んじゃ頼んだ」

木山「待ちたまえ」ガシッ

垣根「なんだ」

木山「今ちょうどお昼なんだ。食べていきたまえ」

垣根「…」

一方通行「そういや昼飯はまだだったなァ。ありがたくちょうだいするぜ」

木山「ああ、それがいい」
8 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:07:36.18 ID:5HRLd2/N0
一方通行「味薄いなァ」

木山「そうか?これくらいがちょうどいいと思うんだが」

一方通行「もう少し濃かったら毎日いけるンだがなァ…」

木山「なるほど。では調理班に伝えておくよ」

一方通行「ン…あァ…?」

垣根「相変わらずだな、あんたは」

木山「そう言わないでくれ。一人で昼食というものはなかなか寂しくてな」

一方通行「いつも一人なのか?」

木山「ああ。特に君達みたいなお客が来ない限りは大体一人だな」

一方通行「…おい垣根」

垣根「あ?」

一方通行「あいつら暮らしてる間はここに食いにこよォぜェ?」

垣根「なんでまた」

一方通行「相手は中学生だ。昼は学校もあるし料理出来るかも不明だァ。なら安全かつ確実にここで飯を食ったほうがイイ」

垣根「…そうだな。そんじゃそうすっか」

一方通行「つゥわけだ。これからはなるべく毎日ここに食いにくる」

木山「そうか。それはいいな、久しぶりに楽しい食事が出来そうだ」
9 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:08:08.95 ID:5HRLd2/N0
垣根「よし、じゃ今度こそ行くか」

一方通行「あァ」

木山「引き止めて悪かったな。今から作製にかかるよ」

垣根「ん?今から?」

木山「?そうだが?」

垣根「今から三時間後か?」

木山「そうだ、今から三時間後だ」

垣根「…分かった。よろしく頼む」

木山「任せてくれ。そういえばどのくらい作ればいいんだ?」

垣根「…分からねぇな。とりあえず適当に一ヶ月分くらい頼む」

木山「分かった。じゃあそうしよう」

垣根「ああ、じゃまた来る」

一方通行「どォやって時間潰そうかね…」

木山「ああ、また来てくれたまえ」

10 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:08:38.84 ID:5HRLd2/N0
垣根「さてさて、どうやって時間を潰そうか…」

一方通行「あン?三下ントコのシスターじゃねェか」

垣根「は?シスター?」

インデックス「あくせられーた!」

垣根「んだよ…コイツかよ…」

インデックス「コイツとはヒドイんだよ!私にはインデックスという名前が…」

垣根「あー…分かった分かった」

一方通行「オマエは一人で何してンだァ?」

インデックス「とうまのお見舞いに行くとこなんだよ」

一方通行「見舞いだとォ?まだ入院してンのか…」

インデックス「とうまは一度入院すると長いんだよ!」

垣根「へぇ」

インデックス「二人は何してるのかな?」

垣根「特に何も、ただ時間を潰してるだけだ」

インデックス「ふーん…」
11 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:09:19.01 ID:5HRLd2/N0
一方通行「…」

垣根「なぁ、なんでお前はさっきからファミレスの方を見てるんだ?」

インデックス「お腹が空いたかも」

垣根「そりゃ大変だな。早く上条のとこに行って飯食って来い」

インデックス「病院まで持ちそうにないかも」

垣根「確か近くのデパートに試食コーナーがあったな。そこはどうだ?」

インデックス「む…他に言う事は無いのかな?」

垣根「テメェはシスターであって物乞いじゃねぇだろうが」

インデックス「確かにそうだけど困ってる人が居るんだから助けてくれてもいいんじゃないかな?」

垣根「あいにく今は俺たちが困ってるくらいなんだ。悪いが他をあたれ」

インデックス「相談に乗ってあげてもいいんだよ!」

垣根「何を…」

インデックス「私が相談に乗ってあげるって言ってるんだよあくせられーた!」

一方通行「…まァイイか。一回世話ンなったからなオマエには」

垣根「え?ファミレス入るのかよ?」

一方通行「ちょォどイイだろ」

インデックス「さすがなんだよ!」
12 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:09:44.59 ID:5HRLd2/N0
インデックス「ちゅ、中学生と二人暮らし!?」

垣根「バカ!声がでけぇよ!」

インデックス「あ、ごめんなんだよ」

一方通行「そういうわけだ。色々あってなァ…中学生との同棲を強制されちまったわけだ」

インデックス「うーん…」

垣根「ほらシスターさんよ、解決策はあんのか?」

インデックス「正直どうしようもないかも」

垣根「…」

インデックス「だってそんな状況、普通の男の子だったら泣いて喜ぶんだよ!」

垣根「あのなぁ、俺たちは泣いて喜べないから困ってるんだよ」

インデックス「それはどういうことなのかな」

垣根「いいか?一方通行は妻帯者だ。それを無視して好意を剥き出しにしてる奴が今一方通行と同棲している」

垣根「俺の同棲相手はかの第三位、御坂美琴だ。どうするんだ?おい」

インデックス「た、短髪と!?」

垣根「は?」

インデックス「それは一大事なんだよ!」

垣根「ん…そういやそうだったか。おいシスター、このことは上条には話さなくていいぞ」

インデックス「へ?どうしてかな?」

垣根「このことを上条が聴いたらショックでまた入院しちまうからだ。俺の方から適当に言っておくからお前は黙ってろ」

13 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:10:20.86 ID:5HRLd2/N0
インデックス「うーん…色々と腑に落ちないけど入院が長引くのは困るかも…」

垣根「だろ?黙っておけって。な?」

一方通行「…」

垣根「せっかくだし俺も何か頼むか」

インデックス「今度はデザートが欲しいかも!」

垣根「自分の分は自分で注文すんだな」

インデックス「そ、そんな!ついでなんだしお願いするんだよ!」

垣根「バ、バカ!だから声がデケェんだよ!」

「ねぇ、さっきからうるさいんだけど?もう少し静かに出来ないのあんたたち。いい年してガキみたいに騒がないでよ」

垣根「チッ…ほら来た…。テメェがうるせぇよ、そんなに気になるんなら耳栓でもしとけよ」

「なんだとテメェ…?」

垣根「随分と言葉遣いが荒い女だ。威勢のよさだけは一人前だな」

「チッ、オイこっち向いてその面見せてみなよ」

垣根「ふん」クルッ

麦野「あ?」

垣根「あ」
14 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:10:47.99 ID:5HRLd2/N0
麦野「なんでお前が…」

垣根「…」

インデックス「誰かな?」

一方通行「怖い姉ちゃンだ」

麦野「第一位まで居やがるのか…ん?」チラッ

インデックス「?」

麦野「あんたら…まさかそういう趣味だったの…?」

垣根「は?おい、そりゃどういうことだ」

麦野「明らか小学生のような…いやなんでもないわ」

インデックス「インデックスって言うんだよ!決して小学生なんかじゃないんだよ!」

麦野「インデックスぅ?」

一方通行「ン?オマエ今日は一人なのかァ?」

麦野「待ち合わせの時間より早く着いただけよ」

一方通行「そォか」

麦野「それよりもあんたらはこんなの捕まえて何する気なのよ」

垣根「コイツが飯寄こせって言ったからここに入っただけだ」

インデックス「そんな事は言ってないんだよ!」

垣根「目が言ってたね」

麦野「で?あんたらは本当に何してんのよ」

垣根「いいぜ。教えてやるよ」
15 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:11:16.23 ID:5HRLd2/N0
麦野「…え?」

一方通行「言ったとォりだ」

垣根「嘘偽りはねぇぞ」

麦野「女子中学生と同棲してる??」

垣根「してるじゃなくてさせられてる、な」

麦野「…あんた妻帯者じゃ…?」

一方通行「上層が絡ンでンだよ。淡希の許可は取ってる」

麦野「あんたは……いいわ」

垣根「俺の心配は無いのか」

麦野「あんたのことあまり知らないのよ」

垣根「…」

麦野「ていうかあんた彼女居るの?旅行の時は結局どうなったのか分からないんだよね」

垣根「…居る」

麦野「え?」

垣根「居る」

麦野「…それで?結局同棲してることしか分からなかったんだけど」

垣根「おい」

一方通行「問題はその相手がレベル5だってことだな」

麦野「レベル5?で中学生となると…第三位と、第五位?だっけか?」

一方通行「あァ」
16 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:11:44.98 ID:5HRLd2/N0
麦野「第三位は見たことあるんだけど第五位の方は顔すら知らないわね」

垣根「写真あるぜ」

麦野「あら、気が利くのね。じゃあ見せてちょうだい」

垣根「ほら」ヒョイ

麦野「携帯に撮ってるの?まあいいわ、どれ…」

垣根「どうだ?」

麦野「これは…」

垣根「言いたいことはわかるぜ。これは中学生なのか?ってな」

麦野「ていうかそれしかないわよ」

垣根「そうか」

麦野「随分と大人びたスタイルしてんのねー」

垣根「お前から見てもそう思うか?だよな」

インデックス「私にも見せてほしいんだよ!」

垣根「ほらよ」ヒョイ

インデックス「うーん…これは完璧に短髪の負けかも」

垣根「そりゃそうだわな」

麦野「あれ?一方通行は?」

垣根「え?」
17 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:12:23.31 ID:5HRLd2/N0
インデックス「あくせられーたならトイレに行ったんだよ」

垣根「いつのまに…。まあコイツが第五位で、食蜂操祈って言うんだよ」

麦野「食蜂?嫌な感じの名前ね…」

垣根「んで一方通行の同棲相手だよ」

麦野「へぇ、こんなのと一緒に暮らして大丈夫なのかしら」

垣根「さぁな」

麦野「結標が知ったら泣くわよ」

垣根「いや、アイテム公認の仕事になってる。だから大丈夫らしい」

麦野「なるほどねぇ」

垣根「それよりも俺の方だよ」

麦野「話の流れからすっとあんたの相手は第三位かしら」

垣根「そうだ。残念なことにな」

麦野「まったく…何が残念なのよ」

垣根「色々とな」

インデックス「ねえ、これも注文していいかな?」

垣根「ん?勝手にしろ」
18 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:13:28.15 ID:5HRLd2/N0
『はい?なんですって?』

一方通行「だからよォ、いち早く食蜂を元に戻すにはどォしたらイインだよ」

『…と、言われましても…土御門さん?何か分かりますか?』

『第五位は今や恋する乙女だ。初めての感覚に自分自身の戸惑いを制御しきれてない』

『つまりは落ち着かせろ、というわけですよ』

一方通行「だからその方法をだなァ…」

『え…っと…』

『貸せ海原』

『えっ?』

『おい、一方通行』

一方通行「ン、木原かァ?」

『ああ、お前任務で中学生と同棲してんだってなぁ?ご苦労なこった』

一方通行「チッ…用件はなンだァ?」

『俺がお前にアドバイスしてやる』

一方痛苦「へェ…?」
19 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/06(月) 20:14:25.99 ID:5HRLd2/N0
『この際、奥さんの事は忘れて行動してみろ。それが繋がっかもしんねぇぞ?』

一方通行「…ハァ?一体どォいう…」

『木原さん、電話よろしいですか?』

『ん?ああ、悪いな』

『一方通行さん』

一方通行「あン?」

『グループに来た依頼、いわば結標さん公認というわけです。ですので木原さんに従うのも正解かと』

一方通行「考えておく」

『そうですか。ではそろそろよろしいでしょうか?』

一方通行「あァ、悪かったな」

『いえ、ではさようなら』

一方通行「おォ」

一方通行(淡希を忘れて、かァ?)

26 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/09(木) 18:41:26.71 ID:ehjirbE50
結標「…」ゴーッ

芳川「あら掃除機ぐらいなら私がかけるのに」

結標「大丈夫よこれくらい。どうってことないわ」

芳川「じゃあお願いするわ」

結標「ええ」

芳川「そうだ。ついでだから部屋も掃除しちゃったら?」

結標「せっかくだしそうするわ」

芳川「それがいいわ。またの機会に、ってしておくと面倒になっちゃうからね」

結標「そういえば打ち止めは?」

芳川「近くの公園に行ったわ。最近新しいお友達が出来たみたいでね」

結標「友達?」

芳川「ええ、なんていったかしら…セイ…セイ…とりあえず外国の子らしいわ」

結標「随分と国際的な友達なのね」

芳川「子供なんてそんなものよ?いつのまにか仲良くなってるの」

結標「…そうかもね」

芳川「ええ」

結標「じゃあ部屋の方に行ってるわね」

芳川「頑張ってちょうだい」
27 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/09(木) 18:41:53.89 ID:ehjirbE50
結標「よいしょ…」ガチャ

結標「こうして見るとこの部屋も広く見えるわね」

結標「まずはベッド下から掃除しようかしら…」カチッ

結標「最初は私のから行きましょう」ゴーッ

結標「…」ゴーッ

結標「こんなもんかしら」カチッ

結標「さて、次は一方通行のベッドを…」カチッ

カチャ…

結標「よいしょ…っと…」ゴーッ

結標「しばらく居ないとなるとやっぱり寂しいわね…」ゴーッ

ガスッ

結標「ガスッ?」

結標「ベッド下かしら?一体何が…」

「ベッド下は…」

結標「?番外個体?いつのまに居たの?」

番外個体「しばらく居ないと…のあたりからかな?」

結標「それで?ベッド下は?が、何かしら?」
28 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/09(木) 18:42:21.93 ID:ehjirbE50
番外個体「男の子のベッド下は理想郷なんだよ」

結標「?」

番外個体「見られたくないものの一つや二つ、大体そこに隠してあるの」

結標「…」チラッ

番外個体「気になるんでしょ?ベッドの下。覗いてみればぁ?」

結標「一体何があるのかしら…」ヒョイ

番外個体「いひっ」

結標「しょ…っと」グイッ

番外個体「おやおやぁー?」

結標「これは…」

番外個体「いかがわしい雑・誌。それに金髪巨乳の子が表紙…まるで第五位みたいだね」

結標「はっ…確かに…かの食蜂操祈にそっくりかも…いや…でも…うーん…」

番外個体「きひひっ、なんであの人のベッドの下からこんな雑誌が出てきたのかな?」

結標「むむ…」

番外個体「もしかしてぇー、ムスジメに飽きちゃったとか?それで第五位に移ろうと考えてるのかも?」

結標「…ちょっと出掛けてくるわ」

番外個体「ひひっ」
29 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/09(木) 18:42:49.95 ID:ehjirbE50
食蜂「ふふっ…うまくやってくれるといいんだけど…」

食蜂「ワーストさんだったかしら…私も運がいいわ」

食蜂「ああいうタイミングで彼女と出会えたものねぇ」

................................................

数日前、学舎の園内にて

「食蜂さま、呼び出しとのことですが…」

食蜂「分かってる。分かってるわ」

「まだ少し時間がありますのでもう少し出歩かれても大丈夫ですが」

食蜂「もう少しゆっくりしてから行くわ」

「そうですか…それと関係の無いお話なのですが…」

食蜂「んん?」

「先日、垣根さまより能力向上の指導を受けた生徒から話を聴いたのですが…」

「なかなかに評判がよく、出来るのならまた開催してほしいとのことでした」

食蜂「ふぅん…ま、考えておくわね」

「よろしくおねがいします」

食蜂「ん?御坂さん?」

御坂「げっ…食蜂操祈…」

食蜂「そんな露骨に嫌そうな顔しなくてもいいんじゃない?」
30 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/09(木) 18:43:18.20 ID:ehjirbE50
御坂「…」

食蜂「せっかくだから少しいいかしら?呼び出しをくらったんだけど時間まで暇してるのよ」

御坂「は?呼び出し?」

「食蜂さま」

食蜂「え?」

「私達はどうしたらよろしいですか?」

食蜂「そうね…とりあえず解散でいいわ。また声掛けるわね」

「分かりました。お気をつけてどうぞ」

御坂「ねえ、あんたも呼び出されてるの?」

食蜂「ええ、教師にね。なんでも大事な話があるとかないとか…」

御坂「うげぇ、私とおんなじ理由…やっぱり最近能力の精度が落ちてきたのが理由なのかしら…」

食蜂「精神の問題?治療してあげようか?」

御坂「イヤよ」

食蜂「あら、そう」

「ひひっ、オネーサマじゃん」

御坂「ん?」

食蜂「?」

31 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/09(木) 18:43:46.72 ID:ehjirbE50
番外個体「やっほー」

御坂「あんた…なんでここに??」

番外個体「いやーなんか一方通行とムスジメが常盤台のお偉いさんに呼び出されてねー。ついでだから着いて来たの」

食蜂「誰?あなた」

番外個体「ん?誰この人」

御坂「えーっと…第五位よ…うん。名前は覚えないほうがいいわ、損するから」

食蜂「なによ損って…ていうかあなた今一方通行って…」

番外個体「え?まあ家族?みたいなもんなのかな?一応一緒に住んでるし」

食蜂「…」

御坂「ちょっと、何考えてるのか知らないけどこの子に手を出したらタダじゃ済まされないわよ?」

番外個体「そうそう、第五位がどんな能力者かは知らないけどおっかないボディーガードが付いてるからやめたほうがいいよー?」

食蜂「あなたちょっといらっしゃい…」

番外個体「は?ミサカに言ってるの?まあ別にいいけど…ん?」

食蜂「やっぱいいわ」

番外個体「?」

御坂「??」

食蜂「じゃあ私先に行くわね」

................................................

食蜂「時間差で洗脳かけちゃったけど…問題無いわよね?うん」

食蜂(夫婦の仲を悪くするには…やっぱりいかがわしいものの発見が第一よね)

食蜂(彼女が用意した雑誌を奥さんが発見して、それで…むふっ)

食蜂「楽しみだなぁー」
32 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/09(木) 18:44:15.88 ID:ehjirbE50
垣根「遅いぞ」

一方通行「悪ィ電話してた」

垣根「まぁいい、そろそろ行くぞ」

一方通行「もォイイのか?」

インデックス「お腹いっぱいなんだよ!」

垣根「だそうだ」

一方通行「そォか、ンじゃ行くか」

垣根「ああ」

一方通行「オマエはどうすンだァ?」

麦野「私はもう少し居るわよ、他のメンバー待たなきゃなんないし」

一方通行「絹旗とかかァ?」

麦野「そうよ」

垣根「寂しい女だ」

麦野「ああ?」

垣根「たまには男と待ち合わせでもしてみろ」

麦野「チッ…」

一方通行「…」
33 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/09(木) 18:44:43.52 ID:ehjirbE50
インデックス「ごちそうさまだったんだよ!」

垣根「…ああ」

インデックス「はい!これ!」ピッ

一方通行「あ?」

垣根「なんだこれ?」

インデックス「私の携帯のあどれすってやつなんだよ!」

垣根「harapeko_sister…んだコリャ」

インデックス「とうまと短髪が考えてくれたんだよ!」

一方通行「てかオマエ携帯持ってンのかァ…」

インデックス「まだ使い方はよく分からないけど一応持ってるんだよ」

一方通行「へェ」

垣根「だから紙に書いて渡してきたわけか」

インデックス「じゃあもう行くね。とうまも待ちくたびれてるかもしれないし」

一方通行「あァ、精々気ィつけてなァ」

インデックス「分かってるんだよ!」

垣根「俺達も行くか」

一方通行「どこにだ」

垣根「適当に、な」
34 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/09(木) 18:45:11.69 ID:ehjirbE50
麦野「遅い」

フレンダ「ごめんごめん。持ってくるサバ缶選んでたら遅くなっちゃった」

黒夜「ダメだな。時間にルーズなのはいけねぇ」

絹旗「ホントですよフレンダ」

麦野「あんた達も大概遅かったわよ」

絹旗「てへっ」

麦野「ったく…でもこれで全員ね」

フレンダ「は?浜面と滝壺がまだなんだけど…」

絹旗「二人とも今日は来ませんよ?」

フレンダ「へ?」

麦野「浜面が確か…スキルアウトの集まりに呼ばれてね。ドラゴンライダー?だっけ?それの実験体になるとかなんとか」

絹旗「滝壺さんはそれの超付き添いというわけです」

フレンダ「ふーん」

麦野「まあいつも通りやりましょうよ。座ったら?」

フレンダ「ああ、はいはい」ガタッ

麦野「さて、今日は何をしようかしらね?」

絹旗「特に仕事も無く…」

黒夜「やることも無いときたもんだ」

麦野「なにか面白いことないかしら?」

「アイテム」

麦野「!」 
41 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:46:56.55 ID:RfsqN03p0
結標「よかった。ここのファミレスに居たのね」

麦野「は…結標…?」

結標「依頼があるの」

絹旗「結標さんが依頼…ですか?」

結標「そうよ、あなたたちアイテムにね」

フレンダ「物騒な依頼?」

結標「ある意味ね」

麦野「…まあいいよ。話すだけ話してみなよ」

結標「そのつもりよ」

黒夜「ていうかアイテムってどんな依頼でも受けんのか?」

麦野「別にそういうわけじゃないわ。ただの気分よ」

結標「もう喋ってもいいかしら?」

麦野「ええ、いいわよ」

結標「ターゲットは第五位と第一位、依頼の内容は第五位を黙らせること。そして一方通行を正気に戻すこと」

絹旗「は?」

麦野「第五位?」

フレンダ「だ、第一位?」

結標「また変な洗脳食らってるに違いないわ」

黒夜「洗脳ぉ?」
42 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:47:36.56 ID:RfsqN03p0
垣根「そろそろ時間か?」

一方通行「ン…そォだな」

垣根「早いもんだ。こうしてゲーセンでスコア更新に勤しんでたらいつのまにか時が過ぎてる…」

一方通行「…で、まだ終わらねェのか?」

垣根「このゾンビで最後だ」

一方通行「…」

垣根「…」ガシャガシャ

一方通行「お」

垣根「これでお終い…っと」

一方通行「…」

垣根「ハイスコア更新完了。これでこのゲーセンのランキングは全て俺が一位を取った」

一方通行「暇な野郎だなァ…」

垣根「本当に暇なんだ。仕方ない」

一方通行「それもそうか」

垣根「おし!行こうぜ」

一方通行「その前にコンビニ寄ってくぞ」

垣根「は?」

一方通行「コーヒーを買っていく」
43 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:48:08.09 ID:RfsqN03p0
麦野「一方通行の浮気の可能性ねぇ?」

フレンダ「まだ信じられないっていうか…話聴く限りだと一応依頼で動いてる訳よね?一方通行は」

結標「そうよ。それで一応は信じてしぶしぶ同棲を許可したわけ、そしたらどうよ」

麦野「ベッドの下から第五位のそっくりさんが表紙のエロ本が出てきたわけだ」

結標「ええ」

黒夜「そして極めつけの番外個体の追撃か…」

絹旗「つまりは詳しく調べて欲しいってことですよね」

結標「そういうことよ」

麦野「…ていうかさぁ」

結標「?」

麦野「アイツってそういう本買うの?」

結標「…え?そういえば一緒に住んでからは一切そういうの見てないわね」

絹旗「そういえばそういう話は聴きませんね」

黒夜「前に番外個体と話した時はそういう本やDVDが全然無くてつまらないって言ってたな…」

フレンダ「前は無かったの?それで急に本が出てきたって訳?」

結標(よくよく考えたらあの本は一方通行だったのかしら…前にベッド下を掃除したときは何も無かったし…)

麦野「んん?ちょっと怪しいな」

結標「……それを調べるのがあなた達の仕事よ!」

絹旗「どうします麦野?」

麦野「面白そうね。受けてみようじゃないの。その依頼」
44 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:48:34.61 ID:RfsqN03p0
水穂機構病院


垣根「邪魔すんぞ」

木山「ん?もう来たのか。あと少しだから座って待っていてくれ」

一方通行「ほら見ろ。言ったとォりじゃねェか」

垣根「さすがにちょっと早かったか。まあいい、座ってようぜ」

一方通行「あァ」

木山「そういえば君達」

垣根「ん?」

木山「最近、少女達の誘拐事件が流行ってるらしい」

垣根「へぇ」

木山「夕方頃、遊んでる所をさらうという話だ」

垣根「ほぉ」

木山「?」

垣根「?」

一方通行「?」

木山「子供達に危害が加わるとなるといてもたってもいられないんだが…何分私にはそういう力が無くてな」

一方通行「…」

木山「誰かが事件の真相をつきとめてくれると助かるんだが…誰かが…な」

垣根「…」
45 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:49:01.56 ID:RfsqN03p0
木山「さて、これで完成だ」

一方通行「ン…手間かけさせたなァ」

垣根「助かるぜ。んじゃ早いトコ渡してくれ」

木山「…」スッ

垣根「ありがと…よ?」スカッ

木山「…」ヒョイ

垣根「おい」スカッ

木山「誰かが解決してくれると助かるんだがな」

垣根「…」

一方通行「諦めろ。垣根」

垣根「…チッ。分かったよ、解決してやるから詳しいこと話せ」

木山「そうか、やる気を出してくれたか。助かるよ」

垣根「…」

木山「さっきも話したとおり、夕方遊んでる所をさらう。犯人像も目的も不明」

木山「つまりは、誘拐された少女達は誘拐されたままということだ」

木山「無事なことには無事らしいのだが一刻も早く親元に返すのが先決だろうな」

木山「かなりのやり手らしく警備員や風紀委員でさえも手こずっているようだ」

木山「犯人は身代金を要求するわけでもなくただ、ただ少女の誘拐に勤しんでいる。というわけだ」

46 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:49:35.34 ID:RfsqN03p0
垣根「話を聴く限りだと犯人はただの変態だな」

木山「犯人が男性だったらな」

垣根「性別すらも分かってないのかよ?」

木山「そうだ。肝心の声を聴いた子は誘拐されてるからな」

一方通行「その事件はいつくらいからだァ?」

木山「最初の誘拐から一週間経って無いはずだ。本当にごく最近に起きた誘拐事件だ」

一方通行「ふゥン…」

垣根「捜しようがねェな」

木山「安心したまえ。事件は全て第七学区で起きている。だから第七学区に犯人は居るはずだ」

垣根「安直な考えだが…それしか情報が無いんならそれに従うしかねぇな」

木山「とりあえず今日は帰りたまえ。私が詳しい事を調べてみる、だからまた明日来てくれ」

垣根「アンタがそういうんならそうするよ」

一方通行「第七学区の誘拐事件ねェ…?」

木山「何か知っているのか?」

一方通行「いや…さっぱり分からねェな」

木山「そうか。まあ引き受けてくれたことには素直に感謝しよう。ほら、約束の薬だ」ヒョイ

垣根「おう」パシッ

木山「では、また明日来てくれ」

一方通行「あァ」

垣根「あばよ」

47 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:50:02.49 ID:RfsqN03p0
打ち止め「にゃあ」

フレメア「にゃあ」

ニャー

打ち止め「えへへー」

フレメア「むふっ」

打ち止め「この猫だけはミサカに結構なついてくれるの、ってミサカはミサカは説明してみる」

フレメア「みたいだね。にゃあ」

「ねえお嬢ちゃんたち」

打ち止め「?」

「なにしてるんだい?」

打ち止め「誰?おじさん、ってミサカはミサカは尋ねてみる」

フレメア「おじさんってよりは、大体、お兄さんかも。にゃあ」

「どっちでもいいよ、そんなこと。お父さんとかお母さんは?一緒じゃないの?」

打ち止め「うーん…そういうのとはちょっと違うかも、ってミサカはミサカはありのままの真実を伝えてみる」

「そうなの?じゃあさ、僕と遊びに行かない?」

打ち止め「?あなたと?、ってミサカはミサカは…」

フレメア「大体、おじさんちょっと怪しいかも。にゃあ」
48 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:50:29.57 ID:RfsqN03p0
「ははっ、怪しいかぁ…」

打ち止め「うーん、でも知らない人に着いて行っちゃダメってミサカは言われてる、ってミサカはミサカは詳細を話してみる」

「ま、いいじゃないそんなこと。ほら行こうよ」グイッ

打ち止め「!」

フレメア「にゃあ」ググイッ

「っとと…危ないな」

打ち止め「フレメア?」

フレメア「おじさん、やっぱり怪しい」

「…」

フレメア「お姉ちゃんから聴いたことがあるの。最近誘拐が多いって」

フレメア「おじさん。もしかして悪い人?」

「…はは…なんか君達…やりにくいなぁ」

フレメア「打ち止め、行こう。にゃあ」タッ

打ち止め「う、うん」

「おい、待ちな。素直にうんって言ってくれりゃよかったのに…悪いけど無理矢理連れて行っちゃうよ?」

フレメア「走って!」

打ち止め「だ、誰かに連絡しなきゃ!ってミサカはミサカは焦ってみたり!」


49 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:51:05.60 ID:RfsqN03p0
麦野「まずは第五位の周りから調べていくことにしたわ」

結標「そうなの?」

麦野「実際第五位のコトよく分かんないのよね」

絹旗「麦野、これ」

麦野「ん?何?」

絹旗「書庫に超存在しているおおまかな第五位の詳細な情報です」

麦野「どれどれ?」

絹旗「どうぞ」

麦野「えっと…なになに?能力名は心理掌握…学園都市に存在する最高の精神系能力…ま、当然か」

麦野「…確かに能力を見る限りは脳みそいじることなら大概は出来そうね」

麦野「人物としては…常盤台における最大派閥を率いる奴みたいね…通称女王サマ?なんだコリャ?」

絹旗「そのまんまです。常盤台で女王サマと呼ばれてるということです」

麦野「はぁ…お高くとまってるのねぇ」

絹旗「で、こっちが写真です」

麦野「はいはい…ってあいつが見せた写真って本物だったのかよ…」

絹旗「え?」

麦野「いや、なんでもないわ」
50 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:51:35.18 ID:RfsqN03p0
フレンダ「はいこれ」

麦野「こっちは何?」

フレンダ「詳細プロフィール」

麦野「身長体重スリーサイズ…靴のサイズに趣味好物…んーちょっと違うわね」

フレンダ「ありゃ?」

黒夜「…」ズズッ

絹旗「ちょっと、黒夜も手伝ってくださいよ」

黒夜「はぁ?面倒だな、おい」

絹旗「いいから、ほら。パソコン貸しますから」

黒夜「てかファミレスでやることじゃねぇだろ…」

piririri

麦野「ん?」

結標「ごめんなさい、私の電話だわ」

麦野「気にせず出ていいわよ」

結標「そう?じゃ遠慮なく…もしもし?」

『もしもし!?』

結標「打ち止め?どうしたの?」

『助けてムスジメ!ってミサカはミサカは大声で助けを求めてみたり!』

麦野「!」

結標「ちょっと!?打ち止め!?」
51 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:52:01.41 ID:RfsqN03p0
『変な人に追いかけられてるの!、ってミサカはミサカはありのままの状況を話してみる!』

結標「変な人ですって?今ドコに居るの?」

『家の近くの公園…だけど…』

麦野「フレンダ」

フレンダ「はいはい」ピッ

結標「だけど?どうしたの?」

『大分離れちゃったかも…ってミサカはミサカは落胆してみる…』

結標(大分…だけど子供の足…そう遠くには行ってないと信じたいわね…)

結標「今近くに何が見える?」

『えっと…分かんない…けど…研究所みたいな建物が見えるよ、ってミサカはミサカは教えてみる』

結標(第七学区に研究所?)

フレンダ「麦野、ここ」

麦野「ん?ここって路地裏の方じゃない?」

フレンダ「もう少し奥に封鎖されてる研究所があるみたい」

絹旗「ここらへんだとスキルアウトの目にも超付きそうですね」

麦野「さすがに子供に手を出すほどクソでもないでしょ」

結標「打ち止め。安心して、場所が分かったから今から行くわ。なるべくじっとしていてちょうだいね」

『うん、待ってる…』

黒夜「…」
52 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:52:47.63 ID:RfsqN03p0
フレメア「どうだった?にゃあ」

打ち止め「多分これで大丈夫だよ。ムスジメもとっても強いから、ってミサカはミサカは一安心」

フレメア「大体、さっきのおじさんは絶対に悪い人」

打ち止め「うん、でもさっきのおじさんもだけど…この場所もなかなか怖いかも…ってミサカはミサカは不安を感じてみる」

フレメア「ここ、知ってる。随分前に使われなくなったって…にゃあ」

打ち止め「ん…?あそこ、ドア開いてる?、ってミサカはミサカは注目してみる」

フレメア「入らないほうがいいかも。大体、ああいうとこに入ると危険な目にあうの。にゃあ」

打ち止め「うーん、でもやっぱり気になるかも…ってミサカはミサカは気になる」

フレメア「でも、ダメ。にゃあ」

「やっと見つけたぞお前ら」グッ

打ち止め「にゃああああああああ!」ダッ

フレメア「打ち止め!」ダッ

「へへっ、中に入っちまったか…そっちの方が都合いいや」

「んじゃ、ゆっくりと捕まえますか」

「もしもし?中に入っていったぞ…いつも通り警備員に…よろしくな」
53 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:53:15.43 ID:RfsqN03p0
ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン


結標「…見当たらないわね」

麦野「そっちの茂みとかは?」

絹旗「うーん…超居ないですね」ガサガサ

黒夜「こっちも居ねぇぞ」

フレンダ「ねえ、あそこ開いてる訳なんだけど…」

絹旗「うーん…打ち止め一人なんですよ?いくらなんでもあんな怪しい場所には…」

麦野「切羽詰まってたら考えられない話じゃないわ」

結標「念のために入りましょう。何かあったら大事だもの」

麦野「そうね。フレンダが言ってた最近流行の誘拐の可能性もあるわけだし」

フレンダ「そうそう。それに打ち止めって言ったら、ほら」

絹旗「単に普通の子供で済む話ではありませんからね」

黒夜「それを知って近づいてきた可能性もあるわけか」

結標「じゃあさっさと行きましょ」

麦野「ええ」
54 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:53:43.68 ID:RfsqN03p0
打ち止め「中に入っちゃった…ってミサカはミサカはやっちまったぜ…」

フレメア「暗い…にゃあ」

打ち止め「でも割と綺麗かも、ってミサカはミサカは仰天してみる」

フレメア「誰かがここに住んでるのかもね。にゃあ」

打ち止め「誰かって誰が…?」

「俺のお仲間とかな」

打ち止め「ま、またしても!ってミサカはミサカは油断大敵ー!」ダッ

フレメア「打ち止め、大体、階段使って下に行けるかも」

打ち止め「めがけてダーッシュ!ってミサカはミサカは全力疾走!」

「お、地下に行ったのか?」

ガチャン!

「ん?誰だ?」

麦野「こっちのセリフって言うかなんていうか」

結標「ちょっと聴きたいんだけどさ、ここにアホ毛がピョコンと生えた元気のいい女の子来なかったかしら?」

「…知らないな」

結標「じゃあ、この建物の外では?」

「…外でならそういう子見たかな。凄い勢いで走ってたかな」

結標「…」

絹旗「ふむ」

フレンダ「結局ここで間違いない訳よね」

「は?」

麦野「ネタは挙がってるってことだよ変態」ジジッ

黒夜「素直に言ったほうがまだマシだったかもな」
55 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:54:22.47 ID:RfsqN03p0
「お前ら暗部か何かか?」

麦野「は?暗部とか知ってるわけ?でも残念、もう暗部なんて解体されてんのよ」ズバッ

「っと」

麦野「大分戦闘慣れしてるみたいね。暗部のことを知ってることと言い、普通の人間じゃないみたいね」

「それはお互いさまじゃないのか?俺はあんたが誰かは知らないがそういう雰囲気はあるぜ?」

結標「ねえ、さっき聴いたアホ毛の子の話だけど、居所を知ってるなら早いトコ喋ったほうがいいわよ」

「随分と急かすんだな」

絹旗「一応、あなたの身を超案じてのことなんですがね」

「はぁ?何言ってんだ?」

黒夜「第一位が飛んでくるかもしれないってことだよ」

「第一位だと?」

フレンダ「そう」

「…俺が素直に応じると思うなよ?」ガタッ

麦野「あ」

「あばよ」ヒュー

絹旗「隠し通路ですか?」

フレンダ「こっから追いかける?」

麦野「賢くないわね。待ち伏せされてるかもしんないし」

結標「素直に階段で急ぎましょう。ここに居るのは間違いないみたいだし、一刻も早く見つけてあげないと…」

56 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:54:56.93 ID:RfsqN03p0
麦野「随分と薄暗いのね」

絹旗「もしここが誘拐犯の本拠地ならなんらおかしくはありません」

結標「使われてないっていうカモフラージュが必要だものね」

絹旗「はい」

フレンダ「結局、あの誘拐犯は何がしたかった訳よ?」

黒夜「ただ単に幼女趣味なんじゃねぇのか?」

麦野「なんか引っかかるのよね」

結標「何が?」

麦野「なんか暗部の事知ってる口だったし。そんな奴が幼女趣味で誘拐って…ねぇ?」

黒夜「なんか裏があるって考えてんのか?」

麦野「考えたくないけどね」

フレンダ「うーん…」

絹旗「そう言われると超そうかもしれませんね…ん?」
57 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:55:23.36 ID:RfsqN03p0
麦野「どうかした?」

絹旗「いえ、今一瞬ですが能力がブレたような…」

黒夜「はぁ?」

絹旗「念のために窒素装甲を表面に超張ってるんですが、それがほんの一瞬、ブレたんです」

フレンダ「ブレたって?」

絹旗「よく説明出来ませんが…多分演算を超ミスしたんでしょうか?」

麦野「ふぅん、珍しいわね」

結標「ま、たまにあるでしょ。演算ミスなんて」

黒夜「そうかもな」

結標「あら、行き止まりみたいね」

麦野「こっちの扉から出れるみたい。また階段探して下に行くしかないみたいね」

フレンダ「ん?」

麦野「どうかした?」

フレンダ「見てこれ」

黒夜「ん…寝室か?」

結標「生活の痕跡が見て取れるわね」

絹旗「ここで誰かが生活してるってことでしょうね」

フレンダ「例の誘拐犯とか?」

絹旗「ええ」
58 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:56:16.43 ID:RfsqN03p0
打ち止め「はぁ…はぁ…」

フレメア「随分下に来ちゃったのかも…」

打ち止め「でもさっきのおじさんから逃げれたかも…ってミサカはミサカは安堵してみる」

フレメア「今度は見つからないように外に出なきゃ。にゃあ」

打ち止め「戻る?ムスジメが探しに来てるかもしれないし」

フレメア「うん」

ガタッ

打ち止め「?」

ガタガタッ

フレメア「!」

ガチャン

打ち止め「!!」

フレメア「また来た。にゃあ」
59 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:56:49.60 ID:RfsqN03p0
「おや?二人してここに来たのか?」

打ち止め「うう…どこかに隠れなきゃ…ってミサカはミサカは焦ってみるぅ…」

「無駄だよ。この部屋は一種の倉庫なんだ。隠れる場所なんか無いはずだ」

フレメア「確かに、何も無い部屋かも」

「さぁ、こっちに来るんだ。一緒に明るい所に行こう。他に君たちみたいな子もいるからね、ほら」

フレメア「おじさん、やっぱり誘拐犯なの?」

「…そうだよ、だから来るんだ!ほら!」

麦野「はいはーい。そこまでよー」

「もう来たのか?」

麦野「急いで来たもの」

結標「道中に色々な物を見せてもらったわ」

「…」

結標「あなたが連続誘拐犯で間違いないみたいね。生活施設の数々をこの建物で見たわ」

絹旗「逃げれると思わないほうがいいですよ?」

「くっ…!」

麦野「それにしても薄暗いわね…周りが見えないわ」
60 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:57:16.95 ID:RfsqN03p0
「舐めるなよ…女ども…」パチッ

フレンダ「眩しっ!」

黒夜「ここ電気付くのかよ!」

麦野「あら?」

絹旗「これは…」

結標「大量の駆動鎧?」

麦野「囲まれてるわね…」

「そうだ。みんな俺の仲間だ」

結標「なるほど。一人じゃなかったわけね」

麦野「ますます組織的な臭いを感じるわね」

絹旗「でも駆動鎧程度で私達を止められますかね?」

「ふん」グイッ

打ち止め「あわわっ、今まで気にされてなかったのに、ってミサカはミサカは予想外の展開にびっくりしてみる」

フレメア「にゃっ」

「下手な動き、すんなよ。この子達はいわば人質だ」

フレンダ「あれ?フレメア?」
61 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:57:44.31 ID:RfsqN03p0
フレメア「お姉ちゃん。にゃあ」

フレンダ「ど、どうしてここに…」

フレメア「打ち止めと遊んでたら追い掛けられたの。にゃあ」

「おら、喋るなよ?」

麦野「はぁ…」

結標「スクラップがお望みならばそうしてあげるわね」

麦野「片っ端から片付けてあげるわ」ジッ

「残念」カチッ

麦野「…またジャマー…」パシュッ

結標「…!」

「誘拐した子の中にも能力者は居る。対能力者の装置なら腐るほどあるぜ」

絹旗「むむ、これは超マズいですね。さすがに生身じゃ駆動鎧には勝てませんよ」

黒夜「…」

「頼むから大人しくしててくれよ?」

62 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:58:14.68 ID:RfsqN03p0
結標「確かにどうしようも無いわね…」

麦野(ていうかかなりマズい…完全に油断してたわ…)

「ふふっ」スッ

ガチャガチャ ガチャッ

フレンダ「一斉に銃口が…」

絹旗「蜂の巣必須ですね…」

黒夜「…」

絹旗「黒夜?さっきからどうしたんですか?」

打ち止め「ムスジメー!」

フレメア「お姉ちゃん…」

「さあ、行こうか。なに、すぐに忘れられるよ」

フレンダ「フレメア!」

結標「打ち止め…!」

「ははっ、あばよ」

麦野「動くに動けないわね…この程度の奴らに…!」
63 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:58:43.07 ID:RfsqN03p0
黒夜「おい」

「あ?」

黒夜「このまま私達から逃げれる気でいンのか?」

「なんだと?黒髪」

絹旗「ちょっと、何を言ってるんですか」

麦野「?」

黒夜「ていうか、逃がすつもりなンてねェぞ?」

「はぁ?お前ら今、死ぬ寸前なんだぞ?分かってんのか?」

黒夜「分かってないのはオマエだよ」

「能力が使えなきゃただの女だろ。駆動鎧に囲まれてるこの状況でどうやって俺を捕まえるんだよ」

黒夜「だから逃がさないって」

「…ムカつくなお前」

黒夜「お互いさま」

「…」ギリッ

黒夜「ハッ」


64 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:59:09.95 ID:RfsqN03p0
「もういい。[ピーーー]よ」スッ

黒夜「ふン」

絹旗「ちょ、ちょっと黒夜!一体何を!」

黒夜「シルバークロォォォォォス!!」

「は?」

ギャゴゴゴゴ!ベキッ!バキキッ!

麦野「何だコリャ…?」

ゴバッ!ドォン!

黒夜「グッドタイミング」

『急に呼び出されたかと思えば…駆動鎧の相手が仕事か?』

黒夜「おう、パパっと頼むぜ」

「な、なんだこの駆動鎧?は…?」

『ファイブオーバー、俺のコレクションだ。安心しろ、すぐに終わる』

打ち止め「むむっ?今度はカマキリのロボット?ってミサカはミサカは展開の速さに興奮してみる」

フレメア「こんな地下までどうやって?にゃあ」


65 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 14:59:37.70 ID:RfsqN03p0
フレンダ「…」

絹旗「本当にすぐ終わりましたね」

フレンダ「何コレ、スゲー」

黒夜「助かった、シルバークロース」

『礼には及ばん』

黒夜「ていうかファイブオーバーで来たのか?」

『コレクション置き場が何者かに壊されてな。これしか無かったんだ』

黒夜「そうか。もう帰っていいぜ?後はこっちでやっとくからよ。直に警備員も来る」

『そうか、ではそうするとしよう』

黒夜「ああ、じゃあな」

『ああ』

ギギギッ…!ギャギャギャギャギャ…

麦野「…なんつー動きをするのよ」

フレメア「お姉ちゃん!」

打ち止め「ムスジメー!」

結標「打ち止め!」
66 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 15:00:03.96 ID:RfsqN03p0
フレンダ「はっ!フレメア!」タッ

麦野「なにはともあれ一応解決かしら?」

絹旗「そうみたいですね」

黒夜「いやー間に合って良かった」

麦野「そうだ、今の何よ」

黒夜「私の仲間。この施設に入る直前から連絡を取ってたんだよ」

麦野「へぇ、まるでこうなるって知ってたみたいね」

黒夜「以前から私達の間で誘拐の話は出てたんだよ。特別どうこうしようって訳でもなかったけど…」

黒夜「もしかしたらって思って一応呼んだんだよ」

麦野「ふーん、まあ助かったわ。ありがとね」

黒夜「ああ、それと警備員もマジで呼んでるからな。早いトコ出ないと面倒だぞ」

麦野「ちょっと!それを先に言いなさいよ!結標!とりあえず外に出るわよ!」

結標「もう能力は使えるのかしら?」

黒夜「多分いける」

結標「そう、じゃ出るわね」

絹旗「他の子供達はどうしますか?」

麦野「警備員に任せときましょう。私達はとりあえず逃げるわよ」
67 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 15:00:43.80 ID:RfsqN03p0
ヒュン ヒュン ヒュン


黒夜「うー、日差しに目が眩むぜ」

麦野「もう少しで日が暮れる所だったわね」

絹旗「無事で良かったです、二人とも」

打ち止め「ありがとう!ムスジメ!ってミサカはミサカは力いっぱいお礼をしてみる」

結標「無事で良かったぁ…」ギュ

打ち止め「あわわ、苦しいよムスジメ、ってミサカはミサカは主張してみる」

フレンダ「ていうかアンタの友達って打ち止めのことだったのね…」

フレメア「大体合ってる。にゃあ」

絹旗「あ、警備員が到着したみたいですよ」

黒夜「そうみたいだな」

麦野「もしかしてさっきの駆動鎧って…あそこを壊して入ってきたの?」

黒夜「ん?どこだ?」

麦野「あの脇のところ」

絹旗「…ずいぶんと大きな穴が開いてますね」

黒夜「じゃああそこから入ってきたんだろうな」

麦野「ていうかどうやってあの駆動鎧でここまで来たのよ…」

黒夜「…さぁな」

絹旗「…」
68 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 15:01:12.86 ID:RfsqN03p0
結標「絹旗、黒夜」

絹旗「どうしました?」

結標「悪いんだけど私と打ち止めは先に帰ってるわね」

絹旗「ああ、そういうことでしたか。どうぞ、お気遣い無く」

黒夜「打ち止めも疲れてるだろうしな、そのほうがいいぜ」

結標「ごめんね、じゃあそうさせてもらうわ。行くわよ打ち止め」

打ち止め「ばいばーい!また遊ぼうねフレメア!ってミサカはミサカ別れの挨拶」

フレメア「にゃあ」

麦野「今後は気をつけるのよ」

打ち止め「うん、お姉ちゃん達もありがとう!ってミサカはミサカはお礼を言ってみる!」

結標「じゃあ、また会いましょ」ヒュン

麦野「ええ、またね」

フレンダ「そういえばさ」

麦野「ん?」

フレンダ「どうして一方通行じゃなくて結標に助けを求めたわけ?」

69 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 15:01:38.15 ID:RfsqN03p0
麦野「確かに言われればそうだけど…別にどっちでもいいんじゃねぇのか?」

フレメア「お仕事の邪魔しちゃいけないからって、言ってたよ。にゃあ」

黒夜「お、お仕事ぉ?」

麦野「…ああ、上層部が絡んでるってアレか」

フレンダ「?」

麦野「なるほどね、一方通行の仕事の邪魔をしないように結標を呼んだわけね…」

絹旗「私達も帰りましょうか?」

麦野「とりあえずファミレスね」

フレメア「にゃあ」

黒夜「シルバークロースにも改めて礼をしなきゃなんねぇな」

フレンダ「はあ…」

絹旗「どうしたんですか?」

フレンダ「いやね、ジャマーやられたとき私なら色々と活躍出来たんじゃないかなーって思ってさ」

絹旗「そんなことですか」

フレンダ「まあ無理だったかもしんないけどね」

麦野「はいはい、んじゃファミレスに直行ー」
70 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 15:02:07.45 ID:RfsqN03p0
一方通行・垣根「今帰った」

食蜂「はいはーい、お帰りなさーいってアレ?」

垣根「邪魔する」

食蜂「アレアレ?なんで第二位が??」

一方通行「…オマエ、自分とこに帰れ」

垣根「はぁ…あんなとこに戻りたくねぇな…」

一方通行「今日は歩き回って疲れたンだよ…」

垣根「仕方ねぇな、んじゃ戻るか。あばよ」ガチャ

一方通行「あァ」

食蜂「さて、じゃあ私にするか、一緒にお風呂にするか選んでちょうだい」

一方通行「その前にコレを飲め」ジャラ

食蜂「なにこれ?」

一方通行「…夜のお供だ」

食蜂「いっただきまーす!」ゴク

一方通行「これで大丈夫のはず…」
71 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/12(日) 15:02:34.65 ID:RfsqN03p0
垣根「帰った」

御坂「なんで帰ってくんのよ」

垣根「ここが俺の場所だからだよ」

御坂「ムカつく」

垣根「…」スッ

御坂「分かった、分かったからレコーダーを出さないで」

垣根「飯の準備は出来てんだろうな」

御坂「うっ…言われた通りに出来てるわよ…」

垣根「よしよし、んじゃ食うか。あ、そうだ」

御坂「…なによ」

垣根「飯の前にこれを飲め」ジャラッ

御坂「なにこの薬」

垣根「性欲を抑える薬だ。夜襲われちゃたまんねぇからな。飲め、ほら」グイッ

御坂「…誰が誰を襲うのよ」

垣根「お前が俺をだ」

御坂「あんたが飲め!!」グボッ

垣根「わぷっ!うごご…!」




76 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/17(金) 23:56:37.68 ID:XSDPSecw0
垣根「なにしやがる!」

御坂「こっちのセリフよ!なに!?性欲を抑える薬って!?しかもそれを私に飲めって!?」

垣根「お前中学生だろ?」

御坂「は?そ、そうだけど…」

垣根「だからだよ」

御坂「…」

垣根「さ、食うか。俺の言った通りに作ったんなら食えるもんが出来上がってるだろ」

御坂「納得出来ないわ!中学生だからなんなのよ!」

垣根「中学生はな…性欲旺盛なんだよ…多分な…そんなのが居たら俺が危ないだろうが…」

御坂「間違ってもあんたなんか襲わないわよ!」

垣根「……!」

御坂「は?何よ?」

垣根「なんでもねぇ。そしてこの話は終わりだ。飯を食おう」

御坂「はぁ?終わりってあんたねぇ…」

垣根「終わりなんだよぉぉぉぉぉぉ!!」

御坂「ひっ…わ、分かったわよ…」ビクッ

垣根「さて、何を作ったのかな、と…カレーかよ…楽する気満々だな…」

御坂「くっ…」
77 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/17(金) 23:57:15.67 ID:XSDPSecw0
一方通行「…」

食蜂「食べないの?」

「食蜂さま、こちらも大丈夫ですよ」

「第一位さま、お口に合いませんでしたか?」

一方通行(なンで取り巻き連中が…)

食蜂「和食の方が良かったのかしら?」

「洋食の方が好みだとリサーチ済みですのでおそらくそれは無いと思われます」

食蜂「じゃあ何で食べないのかしら」

「単に好き嫌いの問題かもしれません」

食蜂「それもそうね。ねぇー一方通行」

一方通行「…なンだ」

食蜂「食べれないものとかってあるのぉ?」

一方通行「イヤ…特には…」

食蜂「どうして食べないの?」

一方通行「考え事をしてただけだ」

食蜂「そう、早く食べないと冷めるわよ?」

一方通行「あァ、食うよ」

一方通行(何をしたらいいもンかねェ…)
78 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/17(金) 23:57:43.04 ID:XSDPSecw0
深夜・水穂機構病院にて


木山「…」カチャカチャ

ピー ガタガタ…

木山「…」ピッピッ

ガシャ…シュー…

木山「…あと少し…」カチャ

ピピピ…ピッ…ガチャン…

木山「ついに出来た…どれ…早速着けてみるか…」カチャ

木山「やったー!ついに出来たよ!!」

木山「…ふむ…完成のようだな」カチャ

木山(着用者の性格を変えるメガネ…着けてみるまでどんな性格になるかは分からないが…)

木山(久しぶりに面白い発明をしたな…)

木山「明日には彼等が来ることだ、その時に少し自慢でもしようか」

木山「どれ、もう少し微調整でもして…」

木山「ん、そういえば誘拐のことについて調べなくてはな…」

79 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/17(金) 23:58:09.36 ID:XSDPSecw0
同時刻・学舎の園・同棲施設付近にて


一方通行「暑ィ…」

一方通行「プレハブ小屋ン中はクーラーが効いてるはずなのに暑ィ…」

一方通行「…」ボーッ

一方通行「暇だ…外に出るか…」ガチャ

一方通行「…あァ、涼しい…そして静かだ…」

一方通行「この時間帯だとさすがに垣根は寝てるか…」

一方通行「散歩にでも行くか」カチッ

一方通行「よっ…とォ…」ドシュッ

...................................

御坂「…あれって一方通行?こんな夜中にどこに行くのかしら…」

御坂「…」

垣根「おい」

御坂「!なっ、なによ!」ビクッ

垣根「お前、カレーに何を入れた…」

御坂「は?なにって…言われたとおりの材料を入れたんだけど…」

垣根「…そうか」

御坂「ど、どうしたのよ」

垣根「腹が痛い…」

御坂「はぁ?食べすぎじゃないの?」

垣根「いや…そんな食ってはいないはずだが…まあいい…トイレに篭るとする…」ガチャ

御坂「…」
80 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/17(金) 23:58:40.33 ID:XSDPSecw0
学園都市上空


一方通行「心地イイ風だ…どっか適当にコンビニでも見つけてコーヒーでも買うかァ…」

一方通行「ン?…あの研究所は確か…駆動鎧を破壊した時の…人が居るな…あンなトコで何してンだ?」

一方通行「…行ってみるか…」

.....................................

シルバークロース「…一体誰が俺のコレクション置き場を襲撃したんだ…」

シルバークロース「久しぶりに黒夜から呼ばれて出撃しようとしたらほとんど壊されているときたものだ」

シルバークロース「他の暗部連中か?」

スタッ

シルバークロース「ん?」

一方通行「オマエ、こンなトコで何してンだァ?」

シルバークロース「お前は…一方通行か?」

一方通行「ア?オマエみてェな奴は知らねェぞォ?」

シルバークロース「一応会ったことはある。顔を見せたことは無いけどな」

一方通行「ふン…まァイイ。それよりオマエ、こんなトコで何してンだ?」

シルバークロース「ここに俺のコレクションを置いていたんだ」

一方通行「コレクション?」

シルバークロース「駆動鎧の数々だ」

一方通行「駆動鎧…だとォ?」

シルバークロース「ああ。特にそれで何かをしようということは無いが…一応は商売道具だ。愛着もあった」

一方通行「…」

81 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/17(金) 23:59:09.88 ID:XSDPSecw0
シルバークロース「今日な」

一方通行「ア?」

シルバークロース「仕事があったんだ。駆動鎧が活躍する仕事が。いざ出撃しようと思い駆動鎧を選ぼうと思ったら…何者かに破壊されていた…」

シルバークロース「愛着もあったんだ…俺の手元に残ったのはたった一つの駆動鎧だけだった…」

一方通行「…」

シルバークロース「俺の名前はシルバークロース=アルファ。以前黒夜と一緒に新入生としてお前と対峙したことがある」

一方通行「…」

シルバークロース「話を聴いてくれてありがとう。もうお前の周りをどうこうする気も無い。また会えたらいつか会おう…」ガチャ

一方通行「ン?ファイブオーバー?」

シルバークロース「ハイウェイチーター…手に入れなきゃな…」

ギャギャギャギャギャ…!ギゴッ!ガガガガガガガガ!

『じゃあな、一方通行』

一方通行「あ、あァ…」

ギャリギャリギャリ!

一方通行「ここってアイツのコレクション置き場だったンか…」

一方通行「アイツの背中…哀愁漂ってたなァ…」

82 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/17(金) 23:59:48.45 ID:XSDPSecw0
翌朝


御坂「ちょっと、起きなさいよ」ユサユサ

垣根「…ん……あ?」

御坂「起きた?なんであんたトイレで寝てるのよ」

垣根「…zzZ」

御坂「おい、起きろ」

垣根「…なんでお前がトイレに居るんだ…?」

御坂「朝起きていざトイレに入ろうしたらあんたが寝てたのよ」

垣根「…ふっ、ほれ見ろ。性欲旺盛じゃないあだっ」

御坂「バカ言ってないで早く出なさい」

垣根「ちっ…」

御坂「なんでご丁寧にズボン履いて寝てんのよ…全く意味が分からないわ…」ブツブツ

垣根「ん…あ、携帯」ガチャ

御坂「きゃあああああああああああ!」

垣根「あったあった。邪魔したな」ガチャ

御坂「な、な、な、なんなのよ!」
83 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:00:15.07 ID:zW1q70gw0
御坂「あんた急にトイレに入ってきて何考えてんのよ!」

垣根「まだパンツ下ろして無かったからセーフだろ。パンツを見られたぐらいでいちいちうるさい女だ」

御坂「あんたねぇ…!」

垣根「ふん、俺相手なんかに戸惑ってていいのか?」

御坂「は?どういう意味よ」

垣根「上条とおんなじような生活になった時どうするつもりだ」

御坂「は……ってそれとこれは関係無いじゃない!」

垣根「うるせぇ!さっさと学校に行きやがれ!」

御坂「わ、分かったわよ…」

垣根「サボるんじゃねぇぞ」

御坂「なによ…怒鳴らなくてもいいじゃないの…」

垣根「教育故の怒りだ」

御坂「意味分からないわ…」

垣根「さて、朝は何を食おうかな…」
84 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:00:42.79 ID:zW1q70gw0
「第一位さま、起きてくださいまし」

一方通行「…ンあ?」

「おはようございます」

一方通行「…どなたでしょォか」

「食蜂さまの派閥の者です」

一方通行「え?」

食蜂「おはよう。よく眠れた?」

一方通行「それなりになァ」

食蜂「そう、良かったわ。起きて早々で悪いんだけど今からこの部屋改装するのぉ」

一方通行「ン?」

食蜂「私が学校に行ってる間に、ね?それで一方通行にはちょっと家を空けていてほしいの」

一方通行「…あァ、それくらいなら…」

食蜂「決まりね。じゃあ私は行ってくるね」

「行ってらっしゃいませ」

一方通行「…お前らは学校に行かなくていいのか?」

「細かいことは…」
85 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:01:11.60 ID:zW1q70gw0
一方通行「家を追い出されちまったなァ…」

一方通行「ていうか昨日のシルバークロースって奴…今度黒夜に聴いてみるかァ…」

一方通行「あとは食蜂をあるべき姿に戻さねェとな…取り巻き共に少し話を聴いてみるか…」

一方通行「オイ」

「はい?」

一方通行「学校でのアイツってどうなんだ?」

「食蜂さまですか?この頃よく考えごとをしておられるようです」

「上の空というかなんというか…」

「最近ですと…そうですね…能力のキレが無くなった…でしょうか?」

一方通行「キレだとォ?」

「はい、以前は絶対の自信を持ってたかのようにキレのある能力だったんですが…」

「急に悟ったかのようにキレが無くなったんです」

一方通行「自信…なるほどねェ…」

「何かお分かりになったんですか?」

一方通行「さァなァ…」
86 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:01:53.52 ID:zW1q70gw0
水穂機構病院


垣根「自信だとぉ?」

一方通行「あァ」

垣根「それでなんか分かんのか?」

一方通行「さァな…でも今の生活を終わらせるには一刻も早く分かる必要があンだよ」

垣根「俺も今日辺りから探りを入れるか…」

一方通行「心理定規のためにもそうしてやれェ」

垣根「そのつもりだ」コンコン

「どうぞー!」

垣根「あ?」

一方通行「どォした?」

垣根「いや…なんか妙に若々しい声で返事が…」コンコン

「入っていいよー?」

一方通行「部屋は合ってるよなァ?」

垣根「とりあえず入ってみるか」ガチャ
87 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:02:23.37 ID:zW1q70gw0
木山「こんにちは!待ちくたびれたよぉ!」

垣根「うおおおおおおおおおお!?」バタン

一方通行「な、なンだ?どォした!?」

垣根「何かが居た」

一方通行「何かだとォ?」

垣根「とりあえず入ってみろ。それで分かる」

一方通行「?」ガチャ

木山「どうした?早く入りたまえ」

一方通行「ン?あァ」

垣根「あっれぇ?っかしぃな…」

一方通行「一体なンだったンだよ」

垣根「さっき木山にそっくりの妙齢の人物が居たんだ…」

一方通行「ハァ?」

木山「ふふっ」
88 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:02:54.38 ID:zW1q70gw0
木山「ちゃんとお昼時に来てくれたな。さ、食べながらでも会話しようか」

垣根「あ、ああ…」

一方通行「?」

木山「さあ、座ってくれたまえ」

一方通行「…」ガタッ

垣根「うーん…」ガタッ

木山「まず誘拐の話からしようか」

垣根「ん…そういえばそんな話もあったな」

木山「結論から言わせてもらうと…昨日解決したらしい」

垣根「は?」

一方通行「昨日だとォ?」

木山「ああ。昨日の夜にな」

垣根「犯人像とか全然分からなかったんじゃねぇのか?」

木山「そのはずだったんだが何者かによって隠れ家が突き止められ解決に至ったわけだ」

一方通行「…詳しく話してくンねェか?」

木山「詳しく…なぁ…」

木山「まあ誰かが誘拐犯達を気絶させたわけだ」
89 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:03:22.46 ID:zW1q70gw0
木山「どういう目的かは知らないが犯人達は駆動鎧にやられたと言っているらしい」

一方通行「駆動鎧だと?」

木山「ああ。次いで匿名の通報が警備員宛にあり、警備員が現場に駆けつけた時は…すでに犯人が伸びていた、というわけだな」

垣根「それで?なんで今まで何も掴めなかったんだよ?その警備員は」

木山「警備員側に誘拐犯の仲間が居てな。色々と情報を操作されていたんだ」

一方通行「なるほどなァ」

木山「子供達も無事救出され親元に戻ることに成功している。君達には無駄なことを言ってしまったようだな…」

垣根「実際行動を起こしてねぇから無駄もクソもねぇけどな」

木山「そうか。それならそれでいいさ」

一方通行「解決したってことでイインだろ?」

木山「ああそうだ。むしろ誘拐犯を襲ったのが誰かということで調査がされている。私達には関係無いがな」

垣根「ふぅん…」

木山「そうだ、見て欲しいものがあるんだ」

一方通行「見て欲しいもンだとォ?」

木山「ああ。我ながら自信作…あれ?どこに置いたかな…」

垣根「…それよりもさっきの方が気になる…」

木山「ああ、あったあった。これだ」コト

垣根「あ?」

一方通行「ン?」
90 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:03:51.05 ID:zW1q70gw0
垣根「メガネェ??」

木山「そうだ。メガネだ」

一方通行「このメガネが自信作なのか?」

木山「そうだ。このメガネが自信作だ」

垣根「どういうふうに自信作なんだ?」

木山「ふふ…実際に披露してあげよう。少し待っていてくれたまえ」スッ

垣根「隣の部屋に行っちまった…」

一方通行「メガネが自信作ねェ?」

垣根「鼻メガネじゃねぇか?」

一方通行「普通のメガネだったろォが」

垣根「…じゃあアレだ…視力が上がる…」

一方通行「それはタダのメガネじゃねェのか?」

垣根「あぁ?んじゃあ…ダメだな…思いつかねぇな」

一方通行「…あ?」ズズッ

垣根「どうした?」

一方通行「このコーヒー、ブラックじゃねェ…」ズッ

木山「お待たせ!」ガチャ

一方通行「ブハッ!」
91 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:04:24.95 ID:zW1q70gw0
垣根「テメェはさっきの…何モンだ…」

木山「春生だよ!」

垣根「は…春生ぃ??」

一方通行「…木山…春…生」

木山「正解っ!」ビシ

垣根「!?!?!?!?」

木山「ふっふー…」カチャ

垣根「あ」

木山「こういうことだ。理解してくれたか?学園都市最高峰の頭脳達」

一方通行「そのメガネかァ…?」

木山「ああ」

垣根「わざわざ髪型と服装まで変えて…」

木山「服装は変えたというより白衣を脱いだだけだ」

垣根「しかし…」

木山「どうした?」

垣根「今のアンタでツインテールはちょっと…」

木山「…」シュル
92 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:04:51.16 ID:zW1q70gw0
垣根「んで、どういう原理なんだ?」

木山「このレンズ」

一方通行「ン?」

木山「よく見てくれ」

垣根「幾何学模様?」

木山「そう見えるだろうな。実はこれ、一種の催眠を促す模様になっている」

垣根「んん?」

木山「おっと、あまり見ないでくれよ?着用しなくても模様を見続けていると催眠にかかってしまうからな」

木山「この催眠の効能は性格改変。いわば性格にちょっとした刺激を加え根本から人のあり方を変えるものだ」

垣根「大脳生理学者であるアンタらしいな」

木山「そう言ってもらえると作った甲斐がある」

垣根「何の為に作った」

木山「何の為に…か。そうだな…特に考というか狙いは無いんだがな」

一方通行「なァ、このメガネで改変される性格ってのは…」

木山「うむ。実はどんな性格になるかはかけてみないと分からないんだ」

一方通行「へェ…」

木山「私自身、付けてみて初めてどんな性格になったかが分かったんだ」

垣根「心なしか少し若く見えたんだが…」

木山「そちら側から見えるレンズにも仕掛けが施してある。改変される性格に合わせて着用者の見た目が変わって見えるように催眠をかけている」

垣根「だからさっきのアンタの性格に合わせて見た目も少し違って見えたわけか…」

一方通行(性格改変っつゥよりは人格改変に近ェな…)

93 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:05:16.18 ID:zW1q70gw0
垣根「このメガネ、借りて行っていいか?」

木山「そう言ってくれると思っていた」

垣根「は?」

木山「君達の事だから何かしらに利用するのでは無いかと予想はしていた」

一方通行「…」

木山「貸してもいいが条件がある」

垣根「条件だと?」

木山「君はそれを着けたり着けさせたりして遊ぶのだろう?」

垣根「ん、まあな」

木山「私も付いて行く。それが条件だ」

垣根「なるほど、自分の発明の成果を確かめたいってワケか」

木山「ああ。なに、君達のやることに口出しはしないつもりだ。それならいいだろ?」

垣根「ああ、構いやしねぇ」

木山「決まりだな。今日一日よろしく頼む」

垣根「…ま、一日で終わるか分からねぇけどな」

木山「ふふ」
94 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:05:42.23 ID:zW1q70gw0
一方通行「ンで?どォすンだ」

垣根「とりあえずメガネを着けるか着けさせるか…それが問題だ」

木山「インパクトを狙うなら着ける。醜態を見たいなら着けさせるべきだな」

垣根「…とりあえずインパクトを狙うか」

木山「とりあえず双方が着けてみるといい。話はそれからじゃないのか?」

一方通行「オイ待て。俺はまだ同意しちゃァ…」

垣根「んじゃ俺から」カチャ

木山「どうだ?」

一方通行「…」

垣根「ふっ」

木山「ん?さらにホスト崩れに見えるな…」

一方通行「なァ」

木山「なんだい?」

一方通行「性格改変が行われたら意識ってのはどうなンだ?」

木山「当然、改変された性格に合わせて意識も変動する」

木山「さっき私の性格が改変された時の意識の現れがさっきの言葉遣いだ」
95 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:06:14.05 ID:zW1q70gw0
垣根「春生さん」

木山「ふむ」

垣根「コイツはほっといてお茶でも?」

木山「女たらしになる、と。気のせいか煌めいて見えるな」

垣根「そのクマでせっかくの美顔が台無しだ」

木山「傍目から見ると色々分かる事があるな。本当に催眠にかかってるようだ…」

木山「しかし、普通の催眠と違って眼鏡を取っても…」カチャ

垣根「ちゃんと寝てんのか?」

木山「自分の意志で行った事だからなんら違和感を感じれない、ということか」

木山「次は君だぞ?一方通行」

一方通行「チッ…」

垣根「俺は女たらしになってた見たいだな」

木山「おそらくな。不思議な気分だろ?なんら違和感を感じないのに自分がどう変わったのかが分かるのは」

垣根「確かにな」
96 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:06:58.18 ID:zW1q70gw0
木山「ほら」スッ

一方通行「…」カチャ

垣根「どうだ?」

一方通行「!」カチッ

垣根「チョーカーの電源を…!」

一方通行「うおォ!」ゴッ

木山「な、なんだ?」

垣根「俺が聴きたいね」

ドガッ!!

垣根「なにかやらかしたみたいだな…」

木山「…行くしかあるまいよ」

垣根「…」

木山「ほら、君も来たまえ」

垣根「面倒事じゃなけりゃいいんだけどな…」

木山「私もそう願ってるよ」
97 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:07:22.56 ID:zW1q70gw0
「あ、ありがとうございます…」

一方通行「いや、怪我は無いか?」

「は、えっと…大丈夫です」

一方通行「それはよかった」

垣根「これは…」

木山「トラックが横転してるな」

垣根「…」チラッ

木山「彼が女生徒から俺を言われてるところを見ると…」

垣根「あの女を守るためにトラックを弾いたみてぇだな」

一方通行「君、名前は?」

泡浮「あ、泡浮万淋と言います」

一方通行「そうか、怪我が無くて何よりだ。気をつけて帰りなよ?」

泡浮「どうもありがとうございます」

一方通行「ああ」
98 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:07:56.58 ID:zW1q70gw0
一方通行「ほら、君も立てるかい?」

湾内「はい…でも少し驚いて腰が…」

一方通行「どれどれ?」グッ

湾内「あ、あれ?」

一方通行「立てるかな?」

湾内「あの…整体師の方か何かですか?」

一方通行「いや、ただのベクトル操作系の能力者だよ」

湾内「そうですか?何はともあれありがとうございます」

一方通行「二人共、気をつけて」

木山「見た目は変わり無いように見えるが…」

垣根「…」

木山「これは一種のフェミニストだな」

垣根「フェミニスト…」

木山「学園都市のツートップが女性関連の内容で性格改変か…興味深いな」
99 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:08:48.39 ID:zW1q70gw0
木山「よっと…」カチャ

一方通行「さて、トラックを起こさねェとなァ」

木山「人にかけさせたほうが面白いと思うぞ?」

垣根「そうだな」

木山「君達に偏見を持ってる人の前だとかけたほうが面白いかもしれないな」

垣根「そこは適当に使い分けるさ」

木山「まずはどこに行く?」

垣根「…まずはファミレスだ」

木山「ファミレスだと?」

垣根「ああ。多分そこにカモが何人か居るはずだ」

一方通行「しかし、学舎の園の外でさっきの常盤台生は何してたンだァ?」

木山「さあな。外出するくらいなら誰しもあるだろう。気にしていてはキリが無いぞ?」

一方通行「そォだな」
100 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:09:17.05 ID:zW1q70gw0
ファミレス


「いらっしゃいませー」

垣根「ん?今日はあの子は居ないのか?」

「はい?」

垣根「頭の横で髪を結ってる…語尾になのって付く…」

「ああ、春上ちゃんのことですね。彼女は今日お休みですよ」

木山「ん?春上だと?」

垣根「知ってんのか?」

木山「ああ。私の数少ない友人だ…なるほど…アルバイトをしてるとは聴いていたが、ここで働いていたのか…」

「何か御用でしょうか?」

垣根「いや、前に顔を合わせたことがあってな。今どうしてるのか気になった、それだけだ」

「そうですか。三名さまでよろしかったでしょうか?」

垣根「ああ」

「では、こちらに…」

一方通行「待ってくれ」

「はい?」

一方通行「今客が少ねェみてェだから言うンだけどよォ、好きな席に座っても大丈夫かァ?」

「ええ、構いませんよ」

一方通行「すまねェな。オイ、こっちだ」

垣根「?」

木山「ふむ」
101 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:09:44.31 ID:zW1q70gw0
垣根「おい、なんかあったのか?」

一方通行「ン」クイッ

垣根「あ?」

浜面「は?」

垣根「っと…浜面じゃねぇえか」

浜面「どうしてお前らがここに…」

垣根「ドリンク二つか…持ってやるよ」

浜面「え?おお、悪いな」

垣根「アイスコーヒー三つ持って来いよ」

浜面「…」

垣根「それでいいよな?」

一方通行「あァ」

垣根「アンタは?」

木山「私はなんでもいいよ」

垣根「だそうだ。早く行け。席はお前の所に座っているからな」

浜面「…」
102 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:10:10.04 ID:zW1q70gw0
垣根「ほら、ドリンクだ」コトッ

滝壺「あれ?かきね?」

垣根「そうだ、俺だ」

一方通行「お前と浜面だけか?」

滝壺「うん。でも後からちゃんと皆来るよ。そっちの人は?」

木山「今日は彼等に付いてきてここまで来た」

滝壺「そうなんだ。よろしくね」

木山「ああ、よろしく頼む」

垣根「適当に座るか」

一方通行「あァ」

木山「失礼するよ」

滝壺「うん」

垣根「店員を呼ぶ」ピンポピンポピンポーン

一方通行「出たな、連打」

木山「?」

「お待たせしましたーご注文、お決まりで?」

垣根「ドリンクバー三つ」

「はい、ドリンクバーが三つ。他にご注文は?」

垣根「とりあえずはそれだけでいい」

「畏まりました。ドリンクバーはあちらです、ご自由にどうぞー」
103 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:10:40.62 ID:zW1q70gw0
浜面「アイスコーヒー、三つ…お待ち…!」ガチャ

垣根「いいタイミングだ」

浜面「まずはアンタからだ…えーと…」

木山「木山春生だ。木山でいい」

浜面「そうか。んじゃ木山さん」コトッ

木山「すまないな」

垣根(ん?こいつらって確か…)

浜面「ほら、お前らの分だ」

一方通行「…」スッ

垣根「よっと…」

浜面「…」ガタッ

一方通行「次は普通のコーヒー持ってくるか…」

垣根「まあ飲んでから決めろよ…ん?」

木山「どうした?飲まないのか?」チュー

垣根「浜面」

浜面「な、なんだ」

垣根「お前はこういうバカはやらねぇと思っていたが…」

木山「?」
104 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:11:13.14 ID:zW1q70gw0
一方通行「一体どうしたンだァ?」

垣根「俺のアイスコーヒーに他の飲み物を入れやがった」

一方通行「ハァ?」

浜面「うっ」

垣根「こんなことをする奴は浜面じゃねぇな…お前は一体誰だ?」

一方通行「ンだそりゃ…」

滝壺「このはまづらはにせものなのかな?」

垣根「そうに違いねぇ」

浜面「お、おい…何言って…」

滝壺「はまづらをかえして」

浜面「俺が浜面だよ!」

垣根「本物ならここで間髪入れずに土下座が来るはずだ」

浜面「ど、土下座ぁ??」

垣根「なんだ偽者か」

浜面「くっ…」

一方通行「…」ズズッ
105 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:11:44.25 ID:zW1q70gw0
浜面「…クソッ」ドゲザ

垣根「なんだ浜面か」

滝壺「はまづらだったの?」

垣根「ああ、浜面だった」

浜面「…」

垣根「これに懲りたらくだらない真似するんじゃねぇぞ。それとこのアイスコーヒーはテメェにやる」

浜面「ハイ…」

木山「…暑いな」

一方通行「ン?」

木山「っと…」シュルッ

浜面「うおっ!」

垣根「本当にドコででも脱ぐ奴だな」

木山「暑いんだから仕方ないだろう」

浜面「おいおいおいおい!こんな所で下着姿になるなよ!」

木山「しかし…」

浜面「しかしじゃなくてなぁ!」
106 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:12:14.47 ID:zW1q70gw0
垣根「ふん」スッ

滝壺「なにこれ?」

垣根「メガネだ。かけてみろ」

滝壺「いいの?」カチャ

木山「私の下着姿など見ても君は特に襲ったりはしないだろう?彼等は特に気にしてないようだが…」

浜面「普通はそうはいかないんだよ!」

滝壺「浜面!」

浜面「え?」

木山「ん?」

浜面「あれ?滝壺…今なんて…」

滝壺「お前の名前を呼んだんだよ!」

浜面「いつもの眠そうな表情じゃない…!」

滝壺「人の顔色伺ってんじゃねぇぞ!」

浜面「は…えー…すいません…?」

滝壺「ブラジャーなんか見て鼻の下伸ばしやがってよぉ…」

浜面「え!?別に鼻の下なんか伸ばしては…」

滝壺「本当の事言えよ。体晶飲むぞ」

浜面「そ、それだけは…」
107 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:12:42.25 ID:zW1q70gw0
垣根「…なるほどな」カチャ

滝壺「もうそういうことしないで」

浜面「あ、ああ。悪かった…?」

木山「彼には付けないのか?」

垣根「こいつに付けても面白くなさそうだからいいわ」

一方通行「麦野みてェになったな」

垣根「もしかしたら心のどこかで麦野のような奴に憧れていたのかもな」

木山「なるほど。そういう本能的な部分も改変に影響されるのかもしれないな」

浜面「??」

垣根「周囲の目があるから一応服は着てくれ」

木山「君がそういうならそうしよう…ん、白衣を忘れてきたな」

一方通行「無い方が動きやすいだろ」

木山「それもそうだな」

滝壺「きやまはおーえるさんなのかな?」

木山「OL?」

一方通行「白衣が無ェと案外そう見えるかもな」

垣根「それっぽい服装だしな」
108 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:13:17.35 ID:zW1q70gw0
絹旗「あれ?どうして一方通行たちが?」

浜面「ん?ああ、来たのか」

垣根「よおチビスケ」

絹旗「むむ、なんですかその呼び方は…ん?木山さん?」

木山「やあ。久しぶりだな」

絹旗「そうですね」

一方通行「黒夜は一緒じゃねェのか?」

絹旗「そろそろ来ますよ」

ギャィィイ!キキィッ!

垣根「ん?」

浜面「あれはあん時の駆動鎧…!」

垣根「ありゃハイウェイチーターじゃねぇのか?」

一方通行「あァ?知ってンのか?」

垣根「ああ。ちょっと有名だぜ?アレ」
109 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:13:47.07 ID:zW1q70gw0
滝壺「だれかおりてきたよ?」

絹旗「恐らく黒夜です。ド派手な登場を超かますと言ってましたから」

ギャギャギャギャッ!

垣根「来たと思ったら人降ろして速攻消えやがった」

一方通行「単純に送りに来たンだろォな」

黒夜「おーっす」

絹旗「来ましたね」

黒夜「なんで兄ちゃん達が居るんだ?」

垣根「まあ気にすんな。それと俺も気になることがあんだよ」

黒夜「あ?」

垣根「お前、なんでアイテムと仲良くしてんだ?」

黒夜「別に?特に理由は無ぇよ。絹旗にくっ付いてたらアイテム連中と仲良くなった。それだけだ」

木山「まだ人が来るのか?」

一方通行「あと二人だな」

絹旗「今日はフレンダが来ませんのであと一人ですよ」

一方通行「だってよ」

木山「ほう」

110 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:14:12.82 ID:zW1q70gw0
垣根「ていうかよ」

絹旗「?」

垣根「さっき自己紹介してたよなぁ」

木山「そうだが?」

垣根「お前ら温泉の時一緒じゃなかったのか?」

木山「ああ。一緒だったな」

垣根「だった何で…」

木山「実はきちんとした自己紹介はさっきのが初めてなんだ」

一方通行「ン?どォいうことだァ?」

木山「旅先だと人は友好的になるものだ。だからロクに素性が分からない同士、仲良くしていたんだ」

一方通行「名前とかどォしてたンだァ?」

木山「他の子達が呼んで居るのを聴いてそれを活用していたよ」

垣根「へぇ」

111 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:14:38.80 ID:zW1q70gw0
黒夜「とりあえず座りたいから席詰めろ」

絹旗「そろそろ麦野も超来る頃ですからね」

木山「麦野?彼女も来るのか」

絹旗「はい」

木山「そうか…君達周りの友人だったのか…」

垣根「メガネ候補が一人減ったな」

一方通行「全員に付けるつもりだったのかァ?」

垣根「ああ。それにちゃんとアイテム以外にも考えてんだぜ?」

一方通行「そォかい」

木山「とするとフレンダと言う子は金髪の子だったかな?」

絹旗「はい。今日は妹の世話で来れないって言ってましたが…」

木山「そうか。残念だな」

絹旗「フレンダに会いたかったんですか?」

木山「いや、特にそういう訳では無いが…なあ垣根くん」

垣根「ああ、残念だ」

黒夜「なんか気味悪ぃな」
112 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:15:18.08 ID:zW1q70gw0
麦野「ごめんごめん。遅くなっちゃったわ」

絹旗「今日は麦野が最後ですよ」

麦野「あれ?フレンダがまだみたいだけど」

絹旗「フレメアちゃんです」

麦野「ああ、なるほどね。で?あんたらはなんなの?」

垣根「よう」

一方通行「…」ズズッ

木山「気にしないでくれ。特に理由があっているわけではない」

麦野「まあ気にはしないけど…」

垣根(さて、順番だが…)

一方通行(オマエが決めろ)

垣根(麦野、絹旗、黒夜、浜面)

一方通行(浜面にやるのか)

垣根(名前を挙げただけだ。実際にはやらねぇ)

一方通行(…)

垣根(決めた)

一方通行(ア?)

垣根(最初は麦野だ)

一方通行(なンでまた)

垣根(メガネの存在をチラつかせて警戒されると事だ。だから先にやる)

一方通行(なるほどォ…)

垣根(無駄な小細工はしねぇダイレクトにいく)
113 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:16:00.01 ID:zW1q70gw0
垣根「麦野!」ガタッ

麦野「近い近い!顔が近い!」

垣根「頼みがある」

麦野「だから近いっつの!鼻が鼻にくっ付いてんだよ!」

垣根「これを付けてくれ」

麦野「テメェの顔しか見えねぇよ!離れろ!」

垣根「はっ」ガタッ

麦野「ったく…んで?これか?タダのメガネにしか見えないんだけど」

垣根「そうだ。それで付けろ」

麦野「なんでよ」

垣根「なんでもだ」

麦野「怪しいわね…」

垣根「いいから付けろ!」ガタッ

麦野「だから近いんだよ!分かったよ!付ければいいんだろ!」

垣根「そうだ。それでいい」

麦野「クソッ…」カチャ

木山「おお…」

絹旗「あれ?」

黒夜「!?」
114 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:16:23.95 ID:zW1q70gw0
麦野「なによ」

垣根「うわっ!眩し!」

木山「キラキラ五倍増しといった感じか?」

一方通行「イヤ…それだけじゃねェ…」

麦野「ねえ、私ハンバーグが食べたいんだけど」

垣根「あぁ?注文すればいいだろ」

麦野「私が食べたいって言ってるの!」ガクガク

垣根「あがが…なんで俺が…」ガクガク

浜面「な、なんだ一体…」

滝壺「そういえばむぎのが注文をしたとこ見たことないかも」

絹旗「え…そういえばそうですね…なんだかんだで私やフレンダが注文してましたね」

麦野「分かってるなら早く注文しなさいよ!」

垣根「分かった!分かったから!」ピンポーン

麦野「そうよ、それでいいのよ…」

浜面「てか麦野ってハンバーグとか食うのか?」

黒夜「私は見たことねぇな」

滝壺「むぎのが私達の前でハンバーグを食べたことはないよ」

絹旗「ていうか普通に肉類はあまり好まないものだと…」
115 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:16:54.68 ID:zW1q70gw0
「お待たせしましたー。ご注文どうぞー」

垣根「ハ、ハンバーグセット一つ…」

「ハンバーグセットがお一つ」

垣根「お前らは…?どうすんだ…?」

絹旗「フライドポテト」

黒夜「ステーキ」

垣根「どのステーキだ」

浜面「ここのステーキは一つしかねぇぞ」

垣根「あ、そぉ」

「フライドポテトとステーキセットですね。以上で?」

垣根「ああ。それで頼む」

「畏まりましたー」

垣根「…」チラッ

麦野「助かったわー。私注文ってどうも苦手なのよねー」

垣根(なんで輝いているんだ)

木山(おそらく純な性格になったのだろう。キラキラは大方、その反動だろうな)

垣根(純な性格だとぉ?)

木山(自分の欲を表に出すようになっている。普段の彼女からは想像も付かない行動だ)

一方通行(子供らしくなったってことかァ?)

木山(多分な。自分より幼い子達に囲まれてるなかで自分もこうありたいと思ったりしたのだろうな)

垣根(へぇ)
116 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:17:24.25 ID:zW1q70gw0
麦野「ねぇ、この後ゲーセンに寄ってプリクラ行きましょうよ」

絹旗「珍しいですね。いつもなら私達が誘って超嫌々行くのに麦野から誘ってくるとは」

麦野「行きたいんだから仕方ないでしょう」

浜面「おい、それって俺も行くのか?」

麦野「あんたは来なくてもいいわよ」

浜面「そうか?」

麦野「その代わり」

浜面「へ?」

麦野「合コンのセッティングしときなさい」

浜面「え?合コン?」

麦野「そうよ」

浜面「なんで急に…」

麦野「レベル5のトップ3が恋人居て私には居ないのよ?」

浜面「は…はぁ…?」

麦野「ましてや中学生の第三位に先越されてるってどういうことなのよ」

浜面「????」

麦野「ちゃんとセッティングしとくのよ」
117 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:17:51.38 ID:zW1q70gw0
黒夜「一体どうしちまったんだ?」

絹旗「超分かりません…が、いつもの麦野では無いことは確かです」

滝壺「zzZ」

垣根「確かに…わがままを言うさまはさながらガキだな」

一方通行「なァ、あのメガネって性格を変えるンじゃなくて本能を表に出すメガネなンじゃねェか?」

木山「うむ…どうだろうな…そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」

一方通行「まァその内分かンだろ」

「お待たせしました。先にフライドポテトから失礼します」コトッ

麦野「いただきまーす」

絹旗「あっ、麦野!」

麦野「やっぱおいしーわねー」

絹旗「普段はこんなことしませんよ?」

麦野「はぁ?いつも通りよ」

絹旗「そう…でしたっけ…?」

麦野「そうそう」クシャクシャ

絹旗「わわっ」
118 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:18:23.23 ID:zW1q70gw0
「大変お待たせしましたー。こちらハンバーグセットとステーキセットになります」

麦野「はいはーい」

黒夜「ん」

「ごゆっくりどうぞー」

絹旗「黒夜、それちょっと貸してください」

黒夜「どっち」

絹旗「フォーク」

黒夜「ほら」

絹旗「どうも」

麦野「いただき…」

絹旗「いただきます!」ガッ

麦野「あぁー!!」

垣根「こいつは面白くねぇな」

木山「面白いかどうかなんてのはやってみなければわからない」

垣根「もっともだ」スッ

麦野「ん?」カチャ

絹旗「むぐ…これはなかなか…」

麦野「何しやがる絹旗!」

絹旗「何を!?」

垣根「チビスケ」

絹旗「は?」

垣根「よっ」カチャ
119 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:18:51.78 ID:zW1q70gw0
絹旗「ごめんなさいごめんなさい!」

麦野「は?」

絹旗「自分のが食べられて超悔しかったんです!ごめんなさい!」

一方通行「物腰が低くなってやがる…」

浜面「なんで謝罪を連発してんだ?」

絹旗「あっ浜面さん!いつも超ご苦労様ですすいません!」

浜面「え?」

垣根「へぇ…こいつはこうなんのか…。ってことはさっきの理論だと絹旗は普段もう少し大人しくなりたいと思ってるのか?」

一方通行「違うンじゃねェのか?」

木山「分からないな」

麦野「…まぁいいわ。うん」

絹旗「ホントですか!ありがとうございます!」

垣根「…なんかやりにくいな」カチャ

絹旗「さ、食べましょうか」

黒夜(あのメガネ…?)

垣根「さて…」
120 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:19:20.14 ID:zW1q70gw0
垣根「こういう順で来たら次はお前だな」

黒夜「なにがだよ」

垣根「メガネだよ」

黒夜「やだね。そのメガネになんか細工でもしてんだろ?」

垣根「いや、タダのメガネだ」

黒夜「現に付けたあいつらは目に見えて少し変わったんだぞ?」

垣根「はぁ?なんか変わったかお前ら」

麦野「なんかってなにがよ」

絹旗「特にこれといっては…」

黒夜「あれ?」

垣根「そういうことだ」

黒夜「いや、それでもだ」

垣根「チッ…おい一方通行からもなんか言ってやれよ」

一方通行「付けるだけだァ。大人しく従ったらどォだァ?」

黒夜「でもよぉ…」

垣根「あんまりわがまま言うと嫌われんぞ」スッ

黒夜「はぁ?」

垣根「ほい」カチャ
121 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:19:45.76 ID:zW1q70gw0
黒夜「うわぁぁぁぁん!嫌いになんないでくれよぉぉ!」ガシッ

一方通行「うがっ」

黒夜「言うことちゃんと聴くしいい子にするから嫌いになんないでくれよぉ!お兄ちゃん!」

一方通行「な、なンだァ?」

木山「甘えんぼさんになったな」

垣根「おい、それ俺にもくれ」

麦野「イヤよ」

黒夜「ホントは打ち止めみたいに仲良くしたいんだよ!だけどお兄ちゃんが嫌そうな顔するし!」

一方通行「なンの話だ…」

黒夜「なぁなぁなぁなぁ!やっと出来た憧れの兄妹なんだよ!甘えたいんだよぉ!」

一方通行「なにがなンだか…」

黒夜「お兄ちゃんに嫌われちまったら私は…わぁぁぁぁぁぁぁん!!」

一方通行「う、うるせェ!」

黒夜「ひぐっ…遊園地」

一方通行「は?」

黒夜「今度遊園地連れてってくれ」

一方通行「分かった…今度な…」カチャ

黒夜「遊園地なんざ初めてだな…」

一方通行「危ねェトコだった…」
122 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:20:14.56 ID:zW1q70gw0
一方通行「オイ」

垣根「あ?」

一方通行「出るぞ」

垣根「もう出んのか…よいしょっと」

麦野「あら、帰るの?」

垣根「ああ」

木山「そうか、ならば私も行こうかな」

一方通行「…」

垣根「あばよ」

木山「また会おう。フレンダくんによろしく頼むよ」

麦野「ええ、伝えとくわ」

「ありがとうございましたー」

浜面「あ」

絹旗「どうしたんですか?」

浜面「あいつらドリンクバーの代金…」

麦野「あんた持ちね」

浜面「…」
123 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:20:51.85 ID:zW1q70gw0
一方通行「ったく…」

垣根「新境地開拓だな。甘えん坊な黒夜。誰が得をするのかは知らねぇが」

木山「彼女達の新しい一面を見れた。それに価値がある」

垣根「大して面白くなかったがな」

木山「そういうものだ」

結標「一方通行?」

一方通行「…淡希かァ」

結標「垣根に木山さんまで…何してたの?」

垣根「アイテム連中と絡んでただけだ」

結標「ふーん…あら?そのメガネ…」

一方通行「あ?」

結標「ちょうど手作業用にメガネを捜してたのよね」ヒュン

一方通行「そのメガネは…」

結標「え?」カチャ

垣根「!」

木山「これは…!」
124 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:21:22.72 ID:zW1q70gw0
垣根(かもし出す雰囲気はさながらアイドルのようだ…!!)

木山(見た目からは全く想像が付かないな…)

結標「私ね」

一方通行「…なンだ」

結標「小さい頃からの夢があったの」

一方通行「…」

結標「それはアイドルよ」

垣根(…)

木山(夢追う少女になったな。性格で言うと…いや…人格改変なのか?)

垣根(どっちなんだ…結構重要だぞ。それは)

木山(実を言うとあのメガネ、AIM拡散力場にも反応するように作ってある)

木山(短期間に強い拡散力場に当たりすぎて調子が悪くなった可能性もある)

垣根(なんだと…)

一方通行「淡希、そのメガネ返せ」

結標「嫌よ。ちょっと借りるわねこのメガネ。心なしか似合ってる気がするし」ヒュン

一方通行「能力を使って移動しやがった…」
125 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:21:48.33 ID:zW1q70gw0
垣根「解散するか」

一方通行「そォだな…多分大丈夫だろ」

木山「今日はいいものを見れた。これはほんのお礼だ」

一方通行「…」

垣根「またメガネ…」

木山「そう。ちなみに今まで使っていたものとは少し仕様が異なるものになっている。だから今度は違うものが見れるかもしれない」

垣根「まあくれるってんなら貰うよ」

一方通行「一応貰っとくかァ…」

木山「それと彼女の安否が心配ならその必要は無い」

一方通行「ン?」

木山「いくら人格や性格が変わろうと彼女は彼女自身だ」

木山「根本的な部分は結標淡希そのものだ。心配無用だよ」

一方通行「あンたがそォいうンなら…」

木山「ああ、信用してくれて構わないよ」

垣根「帰るか」

一方通行「だな」

木山「また会おう」

垣根「おう」
126 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/18(土) 00:22:15.55 ID:zW1q70gw0
その頃


「君、可愛いねー」

結標「スカウトかしら?」

「そうそう。君みたいな子ならすぐにスターになれるよ!」

結標「そうかしら?」

「絶対そうだよ!」

結標「事務所の話とか聴かせてもらえるかしら?」

「僕の事務所にはね、あの一一一も所属してるんだよ。他にも…」

結標「悪くないわね…」

「おっ!その気になってくれた?」

結標「願ってもないチャンスよ」

「いいね!そのハングリー精神!」

結標「アイドルになれるかしら?」

「なれるなれるよ!君ならなれるさ!」

結標「ふふっ」 
130 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:05:11.72 ID:psWrQieU0
学舎の園・同棲施設付近

一方通行「あァ?」

垣根「どうした」

一方通行「俺の施設が…」

垣根「うおっ!プレハブ小屋じゃなくなってやがる…」

一方通行「改装するとかそンな感じの事は聴いてたが…」

垣根「ははっこりゃ家だぜ」

一方通行「特に困る訳でもねェ」

垣根「普通の家だといいけどな」

一方通行「まァ大丈夫だろォ」

垣根「…」

一方通行「ンじゃな」

垣根「ああ」

一方通行「テメェもさっさと帰れよ」

垣根「気が進まないねぇ」

一方通行「ンで、さっさと解決策を見つけるンだな」

垣根「お互いさまだ」
131 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:05:55.07 ID:psWrQieU0
一方通行「…」ガチャ

一方通行(見たところフツーの家だな…)

「入らないのですか?」

一方通行「ン?後ろ?」

「こんばんは第一位さま」

一方通行「派閥の奴かァ?」

「はい」

一方通行「毎度ご苦労なこったなァ」

「好きで来てますので」

一方通行「そォか、まァ入れよ」

「そうさせていただきます」

一方通行「食蜂はもう帰って来てンのか?」

「そのはずです」

一方通行「そういえば何の用で来たンだ?」

「この施設の詳しい見取り図を渡しに」

一方通行「そォか」
132 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:06:37.43 ID:psWrQieU0
食蜂「おっ帰りなさーい」

一方通行「あァ」

「食蜂さま…」

食蜂「はいはい、ご苦労様ー」

「ではこれで…」

食蜂「気をつけて戻るのよー」

「はい、失礼します」

一方通行「ン…テレビが増えたのか」

食蜂「うん、何かと暇だし」

一方通行「…ちょっと借りンぞ」カサッ

食蜂「あっ」

一方通行「見たところ…寝室が一つしか無ェンだけど」

食蜂「当然よ。なんのための同棲なのかしらん?」

一方通行「…」フゥ

一方通行「オマエを元に戻すための同棲なンだがなァ」

食蜂「私は別にこのままでもいいわ。能力にはなんら変化を感じないもの」
133 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:07:05.38 ID:psWrQieU0
一方通行(派閥の連中が気付いてることを本人は気付けないでいンのか?)

一方通行(…)

食蜂「さて、何を食べようかな…」

一方通行「オイ」

食蜂「んー?」

一方通行「今週の土日、どっちかでイイから空けとけ」

食蜂「え?デート?嬉しいなぁ」

一方通行「二人でなンかするってのに変わりは無ェが…デートじゃねェな」

食蜂「なぁんだ残念」

一方通行「で?どうなンだ?」

食蜂「もともと予定なんてあって無いようなもんだし…別に大丈夫よぉ」

一方通行「決まりだな」

食蜂「ちょっとごめんね…もしもし?」

食蜂「今日もお願いしたいんだけど…」

一方通行(能力者としての自信…もしかしたら分かるかもしンねェな)


134 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:07:32.43 ID:psWrQieU0
垣根「…」ガチャ

御坂「ん?ちょっと、なんか言ってから入ったらどうなのよ」

垣根「ガチャ」

御坂「あのねぇ…ただいまぐらい言えないの?」

垣根「言ったことがねぇな」

御坂「はぁ?」

御坂(そういえばコイツ…第二位なんだっけ?多分、一方通行と同じで研究所をたらい回しにされてたのかも…)

御坂(家族とかもどうなってるのかしら…もしかしたらずっと一人で過ごして来たのかしら…)

垣根(ただいまは言ったことが無いな…うん。もっぱら帰ったぞだったな…そういえばメガネがあったな…)

垣根「おい」

御坂「え?」

垣根「…」カチャ

御坂「!」

垣根「何だ?ちょっと幼く見えるぞ…」

御坂「私のこと家族だと思ってくれていいのよ?」

垣根「は?」
135 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:08:01.58 ID:psWrQieU0
御坂「そう家族…いや…妹だと思ってくれていいわ!」

垣根「…まあいいか」

御坂「そうよ、うん。私が恵まれすぎてたのよ…」

垣根(そういやコイツを教育し直せって話だっかな?能力の強度が下がってんのか?)

垣根「おい」

御坂「何?」

垣根「お前、自分の能力の異変に気付いてるか?」

御坂「…自分でも気付いてるわよ。能力に何かしらのブレがあることくらい」

垣根「どういうふうにだ」

御坂「演算が落ち着かないのよ」

垣根「…」

御坂「集中出来ないの。他の事に気が行っちゃうのよ…」

垣根「へぇ…」

御坂「何か分かったの?」

垣根「かもしれねぇ」

御坂「?」

垣根「今からお前が第二位垣根帝督の妹ってんなら…どっしり構えとけ。治してやるよ、その症状」

御坂「!」

垣根(つっても俺のせいなのかもしれないんだけどな)

136 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:08:29.29 ID:psWrQieU0
翌朝


『では次の芸能ニュースです』

『人気アイドルである一一一さんの所属するプロダクションより期待の新人についてのニュースです』

『名前は「あわきん」本名、結標淡希。プロダクション企画の新プロジェクトの核となる人物です』

『正式なデビューは昨晩、そして本日、初のメディア露出となる異例のハイスピードデビューですが…』

一方通行「え?」

食蜂「あれ?この人って…」

『主な活動は歌手、グラビア等が候補となっています。既にデビューシングルの話も決まっており今週の音楽番組のも早々の顔出しが予定されています』

『さて、この異例のデビューについて専門家よりお話をいただきたいと思います…』

一方通行「なンで…?」

食蜂「ねえ、この人って奥さんだよね?」

一方通行「あ…あァ…」

『まず、結標淡希さんですが、現行で学園都市の学校に通っている、いわば学生アイドルなんですね』

『霧ヶ丘女学院所属、有する能力のレベルは4、そしてあのスタイルと非常に恵まれた人物なわけですね』

『スカウトマンの話によるとですね、感じるものが半端ではなかったと、こういうふうに言ってるんです』

『まだ本当に詳しい情報というのは出てないのですが…これから順に明らかになっていくでしょうね』

一方通行(本当にアイドルになってやがる…)

137 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:08:58.21 ID:psWrQieU0
垣根「…」

『…これから順に明らかになっていくでしょうね』

垣根「あれ?おかしいな…」

御坂「どうしたのよ」

垣根「いや…なんでもない…かな…?」

御坂「ご飯の準備、出来たわ」コトッ

垣根「ああ…」プツッ

御坂「なんかニュースでやってたの?」

垣根「なにもやってなかった」

御坂「そう?」

垣根「そうだ」

御坂「まあなんでもいいわ。じゃ私学校行くから」

垣根「ああ…」

御坂「行ってきます」ガチャ

垣根「ああ…」

垣根「うーん…あれは結標…だよな?」


138 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:09:29.07 ID:psWrQieU0
その頃、某プロダクションにて


土御門「おい結標、次の移動先についてだが…」

結標「あ・わ・き・んよ!間違えないでちょうだい、マネージャー」

土御門「…了解」

結標「海原はすぐに順応してくれたわよ?それなのにあなたは…」

海原「あわきんさん。今週出演予定の音楽番組の司会の方がぜひお会いしたいと」

結標「司会?プロデューサーとかじゃなくて?」

海原「ええ。どうなさいますか?時間は一応ありますが…」

結標「とりあえず会うだけ会いましょう。そこから輪が広がれば儲けものよ」

海原「ではあちらの控え室にお呼び致しますので先に行って待っていてください」

結標「あの部屋ね?分かったわ」

土御門「なあ海原」

海原「どうしました?土御門さん」

土御門「どうして俺達はマネージャーなんかやっているんだ?しかもよりによって結標の」

海原「土御門さん、あわきんさんです。日頃の呼び方から改善しておかないと後々面倒ですよ?」

土御門「ああ…」

海原「今思い返してみるととんとん拍子で話が進んでいますね…」
139 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:09:59.99 ID:psWrQieU0
昨晩


「じゃあ手続きはこんなものかな?正式な発表は明日にでも行うからそのつもりでね」

結標「了解したわ」

「あとマネージャーなんだけど…」

結標「マネージャーなら実はこっちで決めてあるんだけどいいかしら?」

「ん?その道の知り合いでも居るのかい?」

結標「まあね」

「んじゃその人でいいよ。後で一応声掛けてちょうだい」

結標「ええ」

「後は…大体こんな所かな…レコーディングもしなきゃだし…ボイトレもか…忙しくなるよ?」

結標「自分の望んだ道よ。いまさら後悔も無いわ」

「それを聴いて安心したよ。じゃあ明日からよろしくね」

結標「ええ」

「じゃあ僕は書類とか出さなきゃいけないからこれで失礼するね」

結標「ご苦労様」

「あ、ちゃんとマネージャーを手配しておくんだよ?」

結標「大丈夫よ。それくらい」
140 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:10:29.32 ID:psWrQieU0
piriririri

土御門(電話?結標から…?)

海原「どうしました?」

土御門「電話だ」

海原「どうぞ」

土御門「もしもし?どうしたんだ?」

土御門「え?デビュー?何の話だ?」

土御門「お、おい待て!意味が分からないぞ!」

土御門「二人でだと?何を考えている」

土御門「あ、おい!」

海原「どうしたのですか?」

土御門「結標からの電話でな」

海原「急ぎの用事か何かでしょうか?随分と焦っていたようですが…」

土御門「デビューしたから俺達二人にマネージャーを頼みたいらしい」

海原「はて?デビュー…ですか?」

土御門「そうだ、デビューだ」

海原「??」

土御門「とりあえず待ち合わせ場所を指定されている。話はそれからだ」

141 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:10:56.06 ID:psWrQieU0
結標「来たわね」

土御門「どういうことだ結標」

海原「マネージャーというのもピンと来ませんがデビューというのもなおさらピンと来ません」

土御門「第一何にデビューしたんだ?歌手か?女優か?」

結標「アイドルよ」

海原「ア、アイドルですか?」

土御門「メガネなんかして、そういう路線でアイドルデビューしてるのか?」

結標「メガネは関係無いわ」

海原「ふむ…アイドルですか…それにメガネと…」

土御門「どうしたんだ?」

海原「心なしか…そういうオーラですか?雰囲気を感じます」

土御門「言われてみれば…そういう気がしないでもないが…」

結標「私の見た目なんて今更どうでもいいわ。それよりも貴方達をマネージャーとして雇うことに意味があるの」

海原「あの…つかぬことお聴きしますが」

結標「何かしら」

海原「もしかして…アイドルになるのが昔からの夢だったりしますか?」

結標「そうね」

海原「分かりました。引き受けましょう」

土御門「お、おい海原」

海原「土御門さん。考えがあります、二人で頑張りましょう」

土御門「…」

..........................................
................................
......................
..............
.......
...
..
.
142 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:11:22.18 ID:psWrQieU0
土御門「二人で頑張ろうと言われ結標のマネージャーになった俺達」

海原「精一杯、結標さんの手助けをしてさしあげましょう」

土御門「…」

海原「さ、司会の方にお話をしなければなりませんし…行きましょう」

土御門「なあ」

海原「はい?」

土御門「この事、一方通行は知ってるのか?」

海原「アイドルデビューの事でしたらニュースで大々的に報じましたのでご存知かと…」

土御門「まあいいか…やるだけやってやるさ」

海原「その意気ですよ。きちんとお給料も出るみたいなのでやりましょう」

土御門「ああ」

海原「そういえばシングルのタイトルなんですが」

土御門「決まってなかったのか?」

海原「ええ、いくつか候補がありましてそれで…」

土御門「話してみろ」

海原「はい…」

143 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:11:48.45 ID:psWrQieU0
水穂機構病院


垣根「邪魔すんぞ!」ガチャ

木山「!」ビクッ

一方通行「聴きてェことがある」

木山「せめてノックくらいしてくれたまえ。びっくりするだろう」

一方通行「こっちもびっくりしてンだよ」

木山「なるほど…まあ座りたまえ。私も君達に話がある」

垣根「おい見ろよ。昼のニュースでもやってるぜ?」

木山「いつの間にテレビを…」

一方通行「ったく…どォいう事だァ…?」

垣根「んで?あんたの話ってのは?」

木山「ああ。メガネの事だ」

垣根「昨日俺達に寄越したやつか?」

木山「いや。結標くんがかけているメガネの話だ」

一方通行「あのメガネがなンだァ?」

木山「実はあのメガネ、性格改変では無く眠っている本心を呼び覚ます効果を持ってることが判明した」

一方通行「あァ…うン…」

垣根「薄々感づいていたというかなんというか…」
144 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:12:17.40 ID:psWrQieU0
垣根「なんでそれが今更分かったんだ?」

木山「製作過程を辿ってみたらそういう開発をしていたんだ」

垣根「それって間違えるもんなのか?」

木山「そうだな…詳しく話すとまず拡散力場の話からだが…」

垣根「いや、やっぱいいわ」

木山「そうか?」

一方通行「ンで?それだけか?」

木山「今朝のニュース見たよ。期待の新星、あわきん」

木山「随分と派手に報じられていて驚いたよ」

垣根「話聴く限りだと自分の本心でアイドルになったってことか?」

木山「そうなるな。そして昨日メガネをかけて起きた変化はすべて自分の本能に近い部分ということだな」

一方通行「…」

垣根「ははっ、まあ間違っちゃいねぇかもな」

木山「うまくすれば本性を暴けるかもしれないメガネだ」

垣根「そういえば一方通行はどうすんだ?」

一方通行「何をだァ?」

垣根「結標の事だよ」

一方通行「別にあのままでいいンじゃねェのか?本人の夢だってンならよォ」

垣根「お前がそう言うならいいか」
145 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:12:45.43 ID:psWrQieU0
海原「お疲れ様ですあわきんさん」

土御門「ご苦労だったなあわきん」

結標「次はどこに行って何をしたらいいのかしら?」

海原「次はレコーディングの予定ですね、それとあわきんさん…少しお話が…」

結標「?」

海原「シングルのタイトルなんですが…」

結標「ああ…なにかいいのが決まったのかしら?」

海原「土御門さんと話し合いをした結果…」

結標「早く言いなさいよ」

海原「only my movepointになりました」

結標「なんか行けそうな気がするタイトルね」

海原「自分も同じ意見です。なにやらこう…不思議な力を感じるというか…」

土御門「ヒット間違い無しだぜい」

海原「やはり土御門さんもそう思いますか?」

土御門「ああ」

結標「私もそれでいいと思うわ。じゃあさっさとレコーディングを済ませましょう」

海原「はい、では車のほうに…」

146 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:13:15.53 ID:psWrQieU0
車中にて


海原「さて、タイトルも決まったので次はプロモーションビデオの作製にも着手しなければなりません」

結標「ビデオ?そんなものどうするのよ」

海原「初回盤に特典として付属の予定です」

結標「ふぅん…」

土御門「CDの発売は音楽番組に出演した翌週、つまりは来週発売予定だ」

海原「ですからそれまでにレコーディング、撮影等を終わらせなくてはいけません」

土御門「当然、番組出演のリハーサルもこなさなきゃいけないんだぜい?」

海原「キツイと思いますが我慢してください。次回からはちゃんと時間に余裕が出来ますから…」

土御門「まあこの程度で音を上げていたら本当に超売れっ子になった時は地獄なんだにゃー」

海原「その通りです」

結標「…」

土御門「怖気づいたか?」

結標「ふふっ…やってやろうじゃない」

海原「それでこそ自分達が付いている甲斐があるというものです」

土御門「途中で逃げ出すような奴に付いていても意味が無いからな」

海原「さて、PVのキャストを募らなければなりませんね…」


147 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:13:46.05 ID:psWrQieU0
一方通行「今日のはなかなか濃い目の味付けだな」

木山「一応毎日味付けを変えるように指示はしてある。自分の口にあった味付けの時は言ってくれ」

一方通行「?」

木山「君たちがお昼を食べに来る間はその味付けでやっていくことにするからな」

垣根「へぇ…」

木山「ん?君のか?」

垣根「え?」

木山「電話、鳴ってるぞ」

垣根「んん?」ゴソゴソ

木山「そういえば例の中学生達に対して何か進展はあったか?」

一方通行「なンか分かりそォな気がするンだ」

垣根「あったあった…もしもし?」

垣根「え?常盤台?」

一方通行「ン…?」

垣根「ああ…なるほど…いや問題は無ぇはずだが…」

垣根「指導の一種?まあそんなもんだ…大丈夫だから任せてくれ…ああ…」プツッ

一方通行「誰からだァ?」

垣根「常盤台のお偉いさんからだ」
148 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:14:11.85 ID:psWrQieU0
一方通行「お前に電話とはなァ」

垣根「実は昨日貰ったメガネを第三位にかけたんだ」

木山「早速使用したのか。どうだった?」

垣根「見た目が若干幼くなった。しいて言うなら…妹キャラになった…」

一方通行「ハァ?」

垣根「んで…メガネを付けてる事や心なしか小さく見えるのは指導の一種か?って聴かれた」

一方通行「なンだそりゃ…」

木山「そのメガネはだね」

垣根「早く言え」

木山「…いや、やめておこう。自分で気付いてくれたまえ」

垣根「なんだと…?」

木山「正直言うと自信が無い。前回の件もあるしな」

垣根「チッ…」

一方通行(…俺もメガネを持ったまンまだったなァ…)

木山「それより今日はどういう予定なんだい?」

垣根「今日か…今日はな…」
149 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:14:39.26 ID:psWrQieU0
一方通行「で…レンタルショップに来たわけかァ?」

垣根「まあ暇潰し程度に探し物をするだけだがな」

木山「ビデオ屋に入るなんて久しぶりだな」

垣根「そういやあんた」

木山「ん?」

垣根「昨日今日って俺達と一緒に居るが研究室は空けて来て大丈夫なのか?」

木山「そんなことか。心配は無用だよ、他に優秀な人材が揃ってるからな」

一方通行「ン?」

垣根「おい、そりゃゲコ太とかっていう奴の映画じゃねぇか?」

一方通行「知ってンのか?」

垣根「前にゲーセンで見かけたからな。クローン達にか?」

一方通行「どっちかっつーと打ち止めだな」

垣根「そりゃそうか」

木山「ここは随分暑いな…」シュル
150 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:15:06.46 ID:psWrQieU0
垣根「そういや第三位も好きなんだっけか?そのカエル」

一方通行「そのハズだなァ」

垣根「じゃあ借りてくか」

一方通行「おいおいマジかよォ」

垣根「まずは懐柔しねぇとな」

木山「こっちのはなんだ?」

垣根「そいつは確か…カナミンだったか?」

一方通行「こっちも知ってンのか」

垣根「これもゲーセンで知った」

木山「面白いのか?」

垣根「心理定規は好きみたいだがな」

木山「ほう」

垣根「これも借りてくか」

木山「私も借りていこうかな」

一方通行「あン?」
151 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:15:36.03 ID:psWrQieU0
垣根「どうした?」

一方通行「ありゃァ風紀委員か?」

木山「どれだい?」

一方通行「あっちの…ホラ」

垣根「ああ、確かに風紀委員だな。それに…知った顔だな」

木山「何か事件でもあったのか?」

垣根「さぁな」

一方通行「面倒事になンねェといいンだけどなァ」

垣根「ん?こっちに向かって来たな」

一方通行「あァ?」

木山「ふむ…この店で何かあったのか?」

垣根「…いや、見る限りだとなんも」

木山「あの子一人みたいだな」

垣根「大事ってわけじゃなさそうだな。じゃなきゃ白井が来るだろうな」

一方通行「…」
152 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:16:11.28 ID:psWrQieU0
「こっちです、風紀委員さん」

初春「はい…あれ?木山さん?」

木山「やあ、久しぶりだな」

初春「本当ですねー元気でしたか?」

木山「まあな」

初春「そうですか…ってそうじゃない」

木山「ん?」

初春「通報があったんですよ?」

垣根「通報だと?」

初春「女の人がチンピラに服を脱がされてるって」

木山「私は自分の意思で脱いだんだけどな」

初春「通報の内容が誤解にしろ、上半身下着のみはさすがにダメです」

木山「そうか?特に気にはしてなかったんだが…」

初春「じ、自覚無しですか?そんなんじゃ本当にチンピラに絡まれますよ!」

木山「大丈夫だ。いざとなったら彼等が居るからな」

初春「うーん…」
153 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:16:39.70 ID:psWrQieU0
垣根「まあ心配はすんなよ。俺たちと一緒に居る間は危険な目には遭わさねぇよ」

初春「そう…ですか?」

一方通行「まァ…そォだな」

木山「私も彼等と居る時は危険な目に遭うとは思ってないよ」

初春「まあそれでいいとして…」

木山「?」

初春「とりあえず…服は着てください。さっきから注目を浴びてるんで…」

木山「仕方ないか…」スッ

垣根「ちょっと待っててくれ」

木山「そうだ、これも頼む」スッ

垣根「はいよ」

一方通行「とりあえず外で待ってンぞ」

垣根「ああ」

初春「さ、一旦出ましょう」

木山「うむ」

初春「そういえばなんで木山さんと一緒に居たんですか?」

木山「ああ、それはだな…」
154 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/21(火) 20:17:09.73 ID:psWrQieU0
初春「はぁ…同棲…ですか?」

木山「ああ」

初春「なんか凄いですね」

木山「確かにレベル5同士が同じ屋根の下というものは相当凄いな」

初春「私が言いたいのはそこじゃないんですけど…はは」

ガーッ

木山「ん?」

初春「戻って来たみたいですね」

垣根「ほら」スッ

木山「すまないね」

垣根「いや」

初春「なんですか?」

木山「借りたDVDだ。さっき出る時に頼んだんだよ」

初春「ああ、なるほど」

垣根「お前、座ってどうしたんだ?」

一方通行「少し考え事をしていた」

垣根「?」 
160 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:29:39.35 ID:QLX8haPm0
一方通行「俺は今週にでも行動を起こすぜェ…?」

垣根「今週?何か分かったのか?」

一方通行「レベル5としての自信…」

垣根「は?」

一方通行「食蜂の取り巻き連中からこンな話を聴いた」

一方通行「以前は自信を持ってたキレのある能力だったンだとよ」

垣根「…?」

一方通行「前に食蜂が起こした厄介事覚えてるか?」

垣根「お前が連れてかれて、心理定規達が助けに行ったやつだろ?」

一方通行「あァ」

垣根「そういえば第三位はまるで役に立たなかったみたいだな」

一方通行「それは知らなェが、食蜂を倒したのは淡希だっつーのは聴いてる」

垣根「それなら俺も聴いた。食蜂の能力ってうまくすれば避けれるみたいだな」

一方通行「同じレベル5に負けたンならまだしもレベル4に負けたらオマエはどうする」

垣根「最高に不愉快だな」

一方通行「だろォな。それが女王サマと呼ばれてたやつならなお更じゃねェか?」

垣根「でもそういう素振りは伺えなかったぞ?」

一方通行「案外、そういうココロの制御はきちンとしてンのかもなァ」
161 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:30:09.94 ID:QLX8haPm0
初春「一体なんの話をしてるんでしょうか?」

木山「彼等は今、常盤台のエース達を助けようとしているのだ」

初春「さっきの同棲の話ですか?」

木山「そうだ」

初春「能力って自信でどうにかなるものなんですか?」

木山「かもしれないな」

初春「…」

木山「だが私は他の事に原因があると思っている」

初春「それも教えてあげたらいいんじゃないんですか?」

木山「いや、やめておこう。また間違っていたら申し訳ないからな」

初春「はぁ…?」

木山「ココロという部分には私も賛成だよ」

初春「ココロですか?」

木山「鍛えようがないからな。これに限ってはあの第一位も同じ土俵だよ」

初春「…」

木山「二人とも、能力低下の原因は同じだろうな」
162 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:30:36.54 ID:QLX8haPm0
海原「さて、到着したようですね。あわきんさんはこのままスタジオに向かってください」

結標「了解したわ」ガラッ

海原「土御門さんと自分はその間別のお仕事です」

土御門「何をするんだ?」

海原「PVのキャスト探し、それにタイアップのお話をいただいてますのでそのことについても」

土御門「タイアップだと?そんな話聴いてないぞ?」

海原「先程知らされたばかりですからね。知らなくてもおかしくはありません」

土御門「それで?どことのタイアップなんだ?」

海原「超機動少女カナミンの新オープニングテーマです」

土御門「カナミン?随分と大きなところからタイアップのお誘いが来たんだな」

海原「ええ。ちょうど新シリーズ突入ということで」

土御門「そのタイアップは受けるのか?」

海原「そのつもりですよ。タイアップがあるのと無いのとでは話題性が違いますからね」

海原「それが人気アニメのオープニングとなればなお更です」

土御門「あわきんの許可は取ったのか?」

海原「いえ、まだですよ。ですが…」

土御門「?」

海原「タイアップは変なのじゃなきゃ私の許可は取る必要ないと前もって言われてますので」

土御門「そ、そうか」
163 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:31:07.79 ID:QLX8haPm0
土御門「それじゃあPVのキャストは?」

海原「それなんですよ」

土御門「と、言うと?」

海原「どのような映像に仕上げるかまだ決めてないんですよね」

海原「それによって合った人材を選ぶ必要がありますし…」

土御門「でも発売は来週なんだろ?もう時間もあまり無いんじゃないか?」

海原「仕方ありませんね、こうなったら他の人よりヒントをいただくことにしましょう」

海原「人材はそれからです。まずはテーマを決めませんとね…」ピッピッ

土御門「?」

海原「もしもし?今お時間大丈夫ですか?」

海原「実は折り入って相談したいことがありまして…はい、そうですアイドルの件です」

海原「実は新曲のPVを作製しなければならないんですがどうにもアイデアが浮かばなくて…それで相談をと思いまして」

海原「タイアップですか?ありますよ。アニメのオープニングです…はい」

海原「あ、なるほど…それはいい考えですね」

海原「ではそのアイデアを使わせてもらいますね。はい、ありがとうございます…それでは」プツッ

土御門「誰に電話してたんだ?」

海原「木原さんです」

土御門「木原…?」

海原「実は木原さん、暇を持て余してアイドルにはまってしまいまして…それで何か分かるかと思いまして」

土御門「…」
164 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:31:39.62 ID:QLX8haPm0
土御門「それで?PVのアイデアとやらは出たのか?」

海原「はい。タイアップとなる作品をモチーフとして作ったらどうかと言われまして」

土御門「ほう」

海原「タイアップ先がアニメなので簡単に作れるだろうと…話題性もバッチリですしね」

土御門「となると…あとはキャスティングか」

海原「それは今決めました」

土御門「?」

海原「女の子集団であるアイテムに頼みましょう」

土御門「へ?」

海原「ドライバーさん。自分達はこれから個別で行くところがあるのでこれで」

「え?」

海原「あわきんさんはレコーディングが終了しましたら事務所にお送りし、残るように伝えてください」

「は、はぁ…」

海原「ではお願いしますね。行きましょう土御門さん」

土御門「ああ」
165 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:32:11.31 ID:QLX8haPm0
土御門「え…とアイテム探しか?」

海原「探す必要はありません」ピッピッ

海原「今電話をかけました」

土御門「…番号なんて知ってたか?」

海原「こちらの世界に踏み込んだ以上、個人情報知る方法などいくらでもあります」

土御門「なるほどな」

海原「なかなか出ませんね」

土御門「そりゃ知らない番号からかかってきたら警戒するだろ」

海原「暗部ならなおの事ですね」プッ

土御門「諦めるのか?」

海原「まさか。今度は麦野さん以外にかけます」ピッピッ

土御門「同じだと思うがな…」

海原「これまた出ないと…」プッ

土御門「直接出向いたほうがいいんじゃないのか?」

海原「それでもいいんですが…」ピッピッ

海原「場所を今から探すのもどうかと思いまして…」

土御門「今度は?」

海原「今度も麦野さんです」
166 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:32:40.00 ID:QLX8haPm0
piriririri


フレンダ「麦野ー電話ー」

麦野「さっきからしつこいわね」

絹旗「一回出て超文句でも言ったらどうです?それで黙ると思いますよ?」

麦野「そうかしら?」

浜面「大体番号が割れてるって大丈夫なのか?」

麦野「さぁね。もしかしたら厄介事かもね」

黒夜「出てやろうか?」

麦野「いいわよこれくらい」

滝壺「むぎの」

麦野「ん?」

滝壺「さっき私にも同じ番号から着信があった」

麦野「滝壺にも…」スッ

絹旗「出るんですか?」

麦野「念の為にね」

フレンダ「結局私たちの番号も割れてそうよね」

絹旗「どうでしょうか」

麦野「もしもし?あんたさっきからなんなの?」
167 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:33:18.49 ID:QLX8haPm0
『やっと出てくれましたね』

麦野「ん?その声は…」

『自分です。海原です』

麦野「グループのニヤケ面か」

『心外な覚え方ですね』

麦野「で?なんの用?滝壺にまで電話をかけて」

『実はアイテムの皆さんにお願いがありましてお電話しました』

麦野「お願い?」

『はい。お願いです』

麦野「受け入れるかは分からないけど一応言ってみなよ」

『とある映像作品に出演してもらいたいのです』

麦野「あぁ?まさかAVとかじゃねぇだろうな?」

『おや、よくお分かりで』

絹旗「一体なんなんですか?」

麦野「なんかAVに出演しろって」

絹旗「え、AVですか!?」

麦野「んで?本当は?」

『プロモーションビデオです』
168 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:33:46.80 ID:QLX8haPm0
麦野「プロモーションビデオ?それって歌とかに使われてるアレだよね?」

『はい』

麦野「何?あんたら歌手デビューでもすんの?」

『おや?今朝のニュースかお昼のニュースを見ていませんか?』

麦野「ニュースなんか皆見てないわよ。ずっとファミレスに居たから」

『そうですか。ではここで教えましょう。デビューしたのは結標さんです』

麦野「え、は?」

『アイドルとしてデビューしまして…それでシングルを作製してるのですが…』

麦野「なるほど?それでPVに出演しろと」

『はい。結標さんのデビューはかなり大掛かりなものとなっています』

『ヒットのきっかけとなったシングルのPVに出演したとなれば…麦野さんたちも同様にデビューのチャンスを掴めるかもしれません』

麦野「…」

『どういたしますか?出演してくださると言っていただければこちらとしては大助かりなのですが…』

麦野「どこに誰を連れて行けばいいかしら?」

『ありがとうございます。ではアイテムのメンバーを連れて指定する場所に来てください』

麦野「黒夜も居るんだけどいいかしら?」

『構いませんよ。人は多いほうがいいですから、それに華がありますからね』


169 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:34:47.70 ID:QLX8haPm0
麦野「ふう」ピッ

絹旗「あ、あの麦野」

麦野「ん?」

絹旗「あのですね…私、は…初めては好きな人と決めていまして…」

麦野「なに本気にしてんのよ」

絹旗「え?」

麦野「あんたら結標がアイドルデビューしたって知ってる?」

浜面「は?アイドル?」

フレンダ「なにそれ」

黒夜「ニュースどころかテレビすら見てないから初耳だぞ」

滝壺「むすじめはアイドルになったの?」

絹旗「そうみたいです」

麦野「んで、結標が来週出すシングルのPVに出演してくれないか?ってお願いされたの」

絹旗「はぁ…PVですか?」

麦野「そ、PV。結標に協力しようと思ってね…OK出しちゃった」

フレンダ「それって私たち全員なわけ?」

麦野「そうなるわね」

浜面「お、俺もか?」

麦野「…あんたは分からないわ」

麦野「とりあえず時間が無いから行くわよ」
170 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:35:14.92 ID:QLX8haPm0
土御門「うまくいったみたいだな」

海原「ええ。もうじき来ると思います」

土御門「なあ…さっきデビューのチャンスとか言ってたが…」

海原「ああ、とっさに出ましてね…まああながちウソでも無いでしょう」

土御門「そうか?」

海原「自分は掴める"かも"しれないと言ったのでなんら問題無いと思います」

土御門「そうか、ならいいんだ」

海原「一応カナミンのスタッフよりオープニングのムービーをいただいてます」

土御門「いつのまに…」

海原「彼女達が来る前にムービーに目を通しておきましょう、あと…」

土御門「あと?」

海原「適当に何話か視聴しましょう。そのほうがイメージを掴みやすいので」

土御門「ちょうど近くにレンタルショップがあったはずだな」

海原「運がいいですね。では早速レンタルしましょう」

土御門「青ピに少し話しを聴いとくか…」

海原「?」

土御門「詳しい知り合いが居てな。見所の話を聴いてそれを見ればいいだろ」

海原「ああ、なるほど。ではお願いします」
.....................................
............................
....................
.............
.......
....
..
.
171 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:35:52.02 ID:QLX8haPm0
麦野「んー」キョロキョロ

滝壺「ここにいるの?」

麦野「そのはず…」

黒夜「ん?アレじゃないのか?」

麦野「どれ?」

黒夜「ん」スッ

海原「…グスッ」

土御門「ううっ…」

麦野「…」

浜面「お、おい…あれって泣いてるんじゃねぇのか…」

フレンダ「なんで泣いてる訳…?」

絹旗「なにかあったのかもしれません」

麦野「ねえちょっと」

土御門「…ん?」

海原「おや」

麦野「一応全員連れてきたけど…」

海原「あ、ああ。わざわざご苦労様です」

麦野「いや、それはいいんだけど…なんで泣いてたの?」
172 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:36:17.79 ID:QLX8haPm0
海原「ああ、これを見てたんです」

滝壺「まじかるぱわーど?」

海原「はい。PV作製のヒントを、と思いまして」

麦野「PVの?」

海原「ええ。このアニメの主題歌をあわきんさんが担当することになりまして」

浜面「あ、あわきん??」

土御門「芸名だにゃー」

麦野「それでコレを見て泣いてたわけだ?」

海原「ええ、柄にも泣く感動の涙を流してしまいまして」

麦野「ずっとここで見てたの?」

海原「はい」

麦野「このホテルのロビーで?」

土御門「そうだって言ってるにゃー」

麦野「…」

絹旗「それでPVのヒントとやらは得られたんですか?」

海原「はい。この感動物とバトル物の両方を見たのですが…」

黒夜「んで?」

海原「バトル物の方が疾走間があり曲のイメージとマッチしていましたので…バトル物の作風をモチーフにしてですね…」

土御門「とりあえず小さい会議室を借りている。まずはそこに行くぞ」

173 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:36:59.18 ID:QLX8haPm0
麦野「わざわざ会議室借りたの?」

海原「下手に情報が流出すると困りますからね。そこら辺でやるよりはずっといいでしょう」

フレンダ「会議室で何する訳?」

土御門「とりあえず大まかな撮影の流れを聴いてもらう」

海原「その後資料に目を通してもらったうえで最後に確認を致します」

浜面「確認?」

海原「ええ。資料を見て出演の意思が変わるかもしれませんからね」

土御門「だが…」

海原「はい」

浜面「?」

海原「浜面さんの出番は…」

土御門「少し怪しいんだにゃー」

黒夜「カナミンってどんなアニメなんだ?」

海原「土御門さん。確か…」

土御門「確か資料を貰っていたな…ほら」

黒夜「ああ」
174 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:37:27.55 ID:QLX8haPm0
絹旗「黒夜、私にも…」

滝壺「わたしも」

黒夜「一緒に見りゃいいだろ」

麦野「ん…確か浜面の出番は無さそうかも…」

海原「特に浜面さんは芸能界デビュー等考えてませんよね?特に問題ないと思いますよ」

浜面「まあ…別にいいけどね…」

麦野「これってキャラクターの格好とかするのかしら?」

海原「その予定はありません。ですが作風に合わせた格好をしてもらうため衣装は用意させてもらいます」

麦野「コスプレするってわけじゃないのね。なるほど」

土御門「一応、曲のPVだからな。曲のアピールが最優先だ」

フレンダ「でも全員出れるの?」

海原「枠はありますから余裕ですよ」

土御門「ほら、ここの会議室だぜい」

海原「詳しい話は中で致します」
175 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:37:56.61 ID:QLX8haPm0
麦野「案外狭いのね」

土御門「大人数で会議するわけじゃないからな」

海原「皆さん、適当に座ってください」

ガタタッ

土御門「まずは資料を渡すから回してくれ」スッ

海原「早速ですけど撮影についてお話します」

土御門「撮影現場は学園都市そのものだ」

海原「様々な場所をフルに活用し、行っていく予定です」

海原「一応、簡単に説明をしますと…あわきんさんが歌に合わせて能力を使いながら移動しあなた達をバックに撮影をするという形です」

絹旗「私達は何をしてればいいんですか?」

土御門「能力を使用したド派手なガチバトルを披露してもらう」

絹旗「超バトルですか?」

海原「モチーフとしてるのはカナミンのバトルシーンです。街中で戦闘を行う話の評価が高いのでそれにあやかろうと思いまして」

麦野「とりあえず資料について話を聴かせてもらってもいいかしら?」

海原「ではそのお話をしましょうか」
176 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:38:26.22 ID:QLX8haPm0
土御門「見てもらっての通り、簡単な絵コンテ調で書いてるだろう?そんな感じと思ってくれていい」

黒夜「これって誰が書いたんだ?」

海原「自分です。さっき急いで仕上げたので少々荒いかもしれませんが…」

黒夜「へぇ」

滝壺「この疾走感ってどうするの?」

海原「実は少し困っているのです」

フレンダ「?」

海原「あわきんさんの能力だと疾走感を出すのは少し難しいんです」

土御門「途切れ途切れの、断続的な移動になってしまうからな」

海原「せっかくマジカルパワードと付いてるので力強さも合わせたいんです。ですからどうしたものかと…」

滝壺「…はまづら」

浜面「どうした?」

滝壺「あの時くろよるが乗ってたのがあったよね?」

浜面「…あれのことか?」

滝壺「うん。ねえくろよる」

黒夜「?」

滝壺「あれ使えないかな?前に乗って来たやつ」
177 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:39:27.71 ID:QLX8haPm0



黒夜「ハイウェイチーターの事か?」

滝壺「多分そう」

土御門「ハイウェイチーターだと?」

海原「なるほど、駆動鎧ですか」

土御門「画像出せるか?」

海原「少々お待ちを」

黒夜「普通のパソコンで出んのか?」

海原「昔から愛用してる物ですから大丈夫ですよ」

黒夜「ふぅん」

海原「土御門さん、これです」

土御門「ああ、いいんじゃないか?」

海原「ではその名の通りハイウェイを走らせましょう。黒夜さん、用意出来ますか?」

黒夜「多分…ちょっと電話して聴いてみる」ガチャ

海原「ではお願いします。ちなみに撮影は明日を予定してます」
178 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:40:49.14 ID:QLX8haPm0
土御門「さて次はバトルについてだな。バトルと言っても一曲の間で簡単に分かるようなストーリーを持ったバトルだ」

海原「これについては台本形式で記載してますから各自目を通してください」

麦野「んで肝心の撮影期間ってのは?」

海原「時間が無いので一日で終わらせるつもりでやります。かけても二日程度です」

土御門「まあハイウェイチーター次第なんだけどにゃー」

黒夜「ハイウェイチーター出してくれるってさ」ガチャ

海原「助かります」

土御門「ちなみに衣装は学生服を模したものだ」

海原「カナミンの通ってる学校をイメージした衣装です」

麦野「制服ってモロにコスプレっぽいじゃないの…」

土御門「そうか?まあ大丈夫だろ」

海原「一応詳しいお話はここまでです。話を聴いてやめるという方はいますか?」

「…」

海原「安心しました。では以上です」

土御門「一つ上の階は貸切にしてある。自由に休んでくれ」

海原「明日に備えてゆっくり休んでください。もういい時間ですからね」

浜面「なあ」

海原「はい?」

浜面「滝壺はどういう役柄になるんだ?能力で戦闘なんかできないぞ?」

海原「考えてあります。安心してください」
179 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:41:33.39 ID:QLX8haPm0
一方通行「すっかり遅くなっちまったなァ」

木山「付き合ってもらってすまないね」

垣根「特にすることも無かったから別にいいんだけどな」

木山「それにしても本当に助かったよ」

一方通行「なンだっけか?その…」

木山「思春期の悩み・学園都市改訂版か?」

一方通行「あァ、そンな本何に使うんだ?」

木山「研究してると色々と知識が必要になるんだ」

垣根「まあ最後の店でその本が見つかってよかったじゃねぇか」

木山「うむ」

一方通行「つゥかなンでわざわざ学園都市版を探してたンだァ?」

木山「思春期がAIM拡散力場や能力に与える影響も記されてるんだ」

垣根「それが見たかったのか?」

木山「そうだ。だから普通のやつではダメだったんだ」

垣根「へぇ」

木山「ん…そろそろ付くか。今日は私の探し物に付き合ってくれてありがとう、助かったよ」

垣根「なんてことはねぇ」

木山「そうか。じゃまた会おう」
180 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:42:01.39 ID:QLX8haPm0
同棲施設



垣根「はぁ…」ガチャ

御坂「何よ溜め息なんかついたりして」

垣根「ちょっと遠出して疲れただけだ」

御坂「他に何か言うことないの?」

垣根「はぁ?」

御坂「はぁ…」

垣根「?」

御坂「まあいいわ。夕飯はあるから適当に食べといてね」

垣根「お前はもう食ったのか?…って当然か」

御坂(なんか急に悲しい表情になったわね…まさか一緒にご飯を食べたかったとか…?)

御坂(やっぱり家族というのは団欒とか必要なのかしら?だとすると夕飯は絶好のチャンスね)

垣根(今日もカレーか…いい加減に飽きてきたな…ていうかまだメガネ付けてるのか)

垣根「まあ、その方が静かでいいか」

御坂「え?何か言った?」

垣根「言った」

御坂「な、何よ」

垣根「静かでいいなって」

御坂(これは何か会話をしろっていう皮肉なのかしら…やっぱり寂しい思いをしてきたのね…)

181 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:42:39.64 ID:QLX8haPm0
一方通行「…」ガチャ

食蜂「お帰りー」

「お邪魔してます」

一方通行(あの取り巻き今日も来てンのか?毎日ご苦労なこった)

「ですからここは…」

食蜂「なるほどね…」

一方通行「なァ、いつもそいつのこと呼んでっけど毎度台所で何してンだァ?」

食蜂「えっ?」

「料理の仕方を教えていたんです」

食蜂「あっコラ!」

「いずれは分かることですし…」

食蜂「それもそうね」

一方通行「料理ねェ…」

「はい。手料理の勉強がしたいと私の所に直々に」

一方通行「へェ…」

食蜂「分かった事だから言うけどその内とびきりおいしい料理を食べさせてあげる!」

一方通行「そォか、そりゃ楽しみだ」

182 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:43:06.31 ID:QLX8haPm0
翌日・ホテル ロビーにて


海原「土御門さん手配の方、完了しました」

土御門「よし。じゃあ現場に向かうぞ、みんな車に乗ってくれ」

浜面「なあ、撮影現場ってどこなんだ?」

土御門「第七学区をまるまる使う」

海原「この為に人払いもしました」

麦野「つまりどういうことよ」

土御門「今から俺達が第七学区に行ってもそこには俺達しか居ない、という事だぜい」

浜面「そんなこと良く出来たな」

海原「色々と手が込んでますから」

土御門「黒夜、ハイウェイチーターを提供してくれる奴に第七学区に来るように伝えてくれ」

黒夜「直接向かわせていいのか?一応街中なんだろ?」

土御門「そこら辺は大丈夫だ。気にせず呼んでくれ」

黒夜「分かった」
183 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:43:37.82 ID:QLX8haPm0
piriririri

結標「もしもし?」

『おはようございますあわきんさん』

結標「海原…あなたねぇ、私を事務所に居させた割には来なかったわね?」

『その代わり、今日の資料をお読みいただけたかと』

結標「ええ、読んだわ。で?どうすればいいのかしら?」

『今から我々は撮影のために第七学区に向かいます。あわきんさんもそちらに来てください』

結標「急いだほうがいいかしら?」

『そうですね。出来れば能力を使って来ていただけると助かります』

結標「分かったわ。スタッフとかはどうしたらいいのかしら?」

『こちらで揃えてますのでご心配はいりません』

結標「そう。じゃあ今から向かうわ」

『お願いします』

184 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:44:04.16 ID:QLX8haPm0
第七学区道中の車内にて

フレンダ「そういえば事務所ってどこにあるの?」

土御門「第一六学区だ」

フレンダ「じ、一六学区!?」

土御門「なにかおかしいか?」

フレンダ「だって、そこはアルバイト施設の集中学区のはずじゃ…」

土御門「学生達をスカウトしやすいから、ってのが理由らしいな」

麦野「ていうかあんた達随分と遠出したのね」

土御門「そうか?」

絹旗「ここ、六学区ですよ?事務所からのある二三学区から超離れています」

土御門「そこら辺に分所があるからな。特別気にはならないぞ?」

絹旗「そこら辺って…」

土御門「ほら、今通りすぎたあそこ。アレもうちの事務所だ」

絹旗「へぇ…」
185 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:44:32.08 ID:QLX8haPm0
土御門「さて、じゃあ着くまでの少しの間、最後の打ち合わせだ」

土御門「まずは大通りから撮影を始める。あわきんが通りを歩きながら歌う」

土御門「歌が少し進んだ所で背後からアイテムの登場、サビまでのスパート部分で戦闘開始の準備」

土御門「サビまでの間はあわきんを映しつつ、ストーリー補完という形でアイテムも撮影する」

海原「土御門さん」

土御門「ん?どうした?」

海原「ステイルさんからお電話です」

土御門「ステイルから?もしもし、俺だ」

『土御門、第七学区に近づいてくる影が見えるんだが』

土御門「どんなのだ?」

『一つは赤毛の女の子かな?もう片方は…ロボットかな?』

土御門(ロボット?)

土御門「多分どちらも関係者だ。人払いのルーンの対象にしなくていい」

『そうかい。じゃあ払わなくていいんだね?』

土御門「そうだ」

『分かった。じゃあそうするよ』

土御門「悪いな」

『ちゃんと約束は守ってくれよ?』

土御門「安心しろ」
186 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:45:01.67 ID:QLX8haPm0
土御門「さて…どこまで話したか…」

浜面「最初のサビあたりのとこまでだ」

土御門「とりあえずはそんな感じで続ける。途中あわきんが能力を使い飛び回るから基本、それに付いていく形になる」

土御門「そしてラスサビ前の間奏部分では場所を一気に変える」

土御門「第七学区内にあるハイウェイだ。ここでハイウェイチーターを走らせる」

土御門「サビに入った瞬間、あわきんにハイウェイチーターの上に飛んでもらう。ちなみにここが最大の見せ場だ」

土御門「アイテム達にはこれでもかと派手に能力を使ってもらう」

土御門「そして曲が終わって人影が遠ざかるのを映して終了だ」

土御門「以上だがなにか気になる事はあるか?」

麦野「滝壺はどうすんのよ」

海原「滝壺さんはPVの主役として演技してもらいます」

滝壺「わたしが主役?」

海原「そうです」

浜面「俺は?」

土御門「撮影係だ」

浜面「…」

土御門「でも配役は一応考えてある。実装するかは別としてだがな」

浜面「そ、そうか」
187 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:45:31.92 ID:QLX8haPm0
麦野「結標は能力があるから移動は大丈夫だろうけど私達はどうするの?」

海原「あわきんさんに一緒に飛ばしてもらいます」

フレンダ「歌いながら能力を使って…しかも私達も飛ばすんでしょ?そんな事出来るの?」

海原「大丈夫です。彼女の能力は大分安定して来ています」

土御門「心配しなくても大丈夫だと思うぜい?」

黒夜「そこは結標を信じるか」

海原「一応第七学区に着いたら練習してもらいましょうか」

土御門「そうだな」

絹旗「あと少しですね」

土御門「もうそろそろか…じゃあ最後にあわきんの曲を聴いてもらうぜい」

海原「only my movepointです。聴いたほうがイメージを掴みやすいでしょう」

土御門「ちなみにPVが付くのは初回盤だぜい」

海原「発売は来週です。カップリングの収録も昨日しました」

土御門「実はもう2ndシングルの話が…」

麦野「とりあえず聴かせてくれない?」

土御門「…海原」

海原「はい」カチッ
188 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:45:58.36 ID:QLX8haPm0
第七学区・大通り


キキッ

結標「…遅かったわね」

土御門「すまんすまん。思ったより時間がかかったみたいでな」ガラッ

海原「時間も惜しいことですし、早速始めましょう。ですが、その前に…」

結標「?」

海原「今回のPV撮影に協力してくれる皆さんのご紹介です。どうぞ、降りてきてください」

結標「あら…」

麦野「はぁ…あ。随分と窮屈な車内だったわね」

浜面「運転手入れて九人だからな」

絹旗「少し家を空けていたと思っていたらアイドルなんてやっていたんですね」

フレンダ「結局、アイドルって言うけどいつもの格好な訳ね」

滝壺「おはようむすじめ」

黒夜「んん?シルバークロースがまだ来てねぇみたいだな」

結標「そう…あなた達が…」

麦野「そうよ。安心なさい。無様なもんは撮影させないわ」

結標「期待してるわ」

土御門「よし、じゃあ始めるか…ん?」

189 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:46:40.12 ID:QLX8haPm0
土御門「なんだ…??あの四足の…」

浜面「随分と速いな」

海原「あれはもしや…」

浜面「うわっ!こっち来た!」

黒夜「お、やっと来たか」

シャァァァ! キキーッ

麦野「うるせぇ!」

絹旗「これブレーキ音ですか!?」

ゴウッ!

フレンダ「わぷぷっ!風が…」

滝壺「?」

『すまない。道を探していた』

フレンダ「しゃ、喋った!」

黒夜「いや大丈夫だろ。な?」

土御門「まだ初めてないからな。それより…お前」

『シルバークロース。そう呼んでくれ』

土御門「そうかシルバークロース。とりあえず聴きたいことがある」

『なんだ?』
190 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:47:13.98 ID:QLX8haPm0
土御門「この駆動鎧、ハイウェイチーターだな?」

『そうだ。よく知っているな』

土御門「最高速度はどれくらい出るんだ?」

『時速800kmは出る』

土御門「なるほど。うってつけだな」

『それで?何をしたらいいんだ?黒夜にはPVの撮影だと聴いているんだが』

土御門「今から説明する。聴いてくれ」

海原「さて、では説明してる間にですがあわきんさん」

結標「なに?」

海原「歌いながら自分を含めて他者を能力で飛ばせますか?」

結標「出来るわ」

海原「即答ですね」

結標「だって台本にそれっぽい事が書いてあるんだもの。昨日のうちにやってみたわよ」

海原「でしたら話が早いですね」

土御門「皆、集まるんだぜい」

海原「そろそろですね」
191 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:47:41.24 ID:QLX8haPm0
土御門「じゃあ打ち合わせ通りに」

海原「ではそのように」

浜面「おい、俺ってまさか本当に撮影係なのか?」

土御門「さっきから随分と自分の役割を気にしてるな。もしかして出演したいのか?」

浜面「ぐっ…」

海原「皆さん、所定の位置に。そういえばあわきんさん、メガネはどうしますか?」

結標「付けたままやるわ」

海原「分かりました」

土御門「どうなんだ浜面仕上」

浜面「実は…少し出たかったりする…」

土御門「ふっ、付いて来い浜面。お前専用に用意してるものがある」

浜面「え、マジかよ」

土御門「ああ」

海原「ではクランクインです。そういえばPVなんかの撮影でもクランクインって言うのでしょうか…」

麦野「いいから始めなさいよ」

海原「すいません。では気を取り直して。ではシルバークロースさんもお願いします」

『ああ』

海原「では始めます、一回での成功を祈っています。3…2…」スッ
192 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:48:07.21 ID:QLX8haPm0
結標「♪~♪~」

フレンダ(ウッソ!こんな声出せるの!?)

黒夜(うへー、マジかよ…)

結標「♪~」スタスタ

海原(ここで道路の真ん中へ座標移動…)

結標「♪~♪♪~」ヒュン

海原(カメラへの配慮も表情も完璧ですね。さて、次は滝壺さんの登場ですが…)

結標「♪♪~」

滝壺(そろそろかな?)ヒュン

海原(そのままあわきんさんを横目に歩道を直進ですよ)

滝壺(こんな感じでいいのかな?)スタスタ

結標「♪~♪」

海原(そろそろ出番ですからね)

麦野(分かってるわよ)

結標「♪~」
193 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:48:36.56 ID:QLX8haPm0
海原(頼みますよ)

麦野(分かってるわよ)ヒュン

結標「~♪」

絹旗(確か…ちょっと滝壺さんを睨む感じで歩くんでしたっけ?)ジロッ

フレンダ(そういえばこれってどういうストーリーなの?)

滝壺(わたしもあっちを見なきゃ)チラッ

海原(凄いですね…リハーサルも何もしてないのに)

結標「♪~~♪♪~」

麦野(私とフレンダは滝壺サイドってことなのかしら?)ヒュン

黒夜(やっぱすげぇな)

結標「♪♪~」

麦野(そろそろサビね、能力発動の準備を…)ジジッ

黒夜(ン)ブワッ

フレンダ(あれ?私ってどう戦えば…)

海原(次はビルの屋上へ一斉移動…そして戦闘です…)

結標「♪♪~」ヒュン
194 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:49:06.72 ID:QLX8haPm0
結標「♪~~♪~♪♪」

麦野(サビね)ジュッ

黒夜(おらよっ)ボンッ

滝壺(私はむぎのとふれんだに守られながらむすじめを目で追う)ジーッ

フレンダ(少し滝壺を庇う動作をしながら)ザッ

絹旗(私は滝壺さん目当てで…)ドッ

結標(♪♪♪~)

海原(PV作製を決行して良かったです…このままラストまでお願いします!)

麦野(これってシリコンバーン使っていいのかしら?)

黒夜(腕は最後に使うか)

絹旗(とりあえず殴る素振りを…)

フレンダ(えっ?殴ってくるの?どうしよう…とりあえず小さめの爆弾で…)

絹旗(爆弾?)ボンッ

結標「♪~♪♪」

海原(そういえば土御門さんは浜面さんをどうする気なんでしょうか?)

結標「♪」

195 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:49:47.05 ID:QLX8haPm0
浜面「…」

土御門「不満か?」

浜面「いや…ていうかこれ…」

土御門「使った事はあるんだろ?なら大丈夫だろ?」

浜面「うーん…まあ、そうなんだが…」

土御門「因みにこうしてる間に歌は終盤だ。早くしろ」

浜面「滝壺はどうするんだ?さすがに拾えないぞ?」

土御門「あらかじめあわきんに頼んでる」

浜面「俺が出演する前提だったってことか?」

土御門「そうだ」

浜面「…そうか。じゃあさっさと準備するか」ガチャガチャ

土御門「準備が出来たら一気にハイウェイに向かうんだぞ?正面から見てあわきんの左側に行け」

浜面「ああ、任せてくれ」ガチャッ

土御門「よし、準備出来たな」

浜面「おう」

土御門「行け!ドラゴンライダー浜面!」

浜面「なんだそのかけ声…」

ギャギャギャッ ブオォォォォン!
196 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:50:17.43 ID:QLX8haPm0
結標(間奏…ここで全員ハイウェイに移動させればいいのね)ヒュン

フレンダ(わっ)

黒夜(ハイウェイ…)

結標(ラスサビ直前で滝壺以外ハイウェイチーターの上に、滝壺はドラゴンライダー?だっけ?に)

麦野(そろそろね)

海原(合図です。シルバークロースさん)カチッ

シャァァア!

絹旗(来ましたね)

ブオォォォォン!

絹旗(?バイクの音?)

滝壺(はまづら?)

結標「~♪♪~~♪~」ヒュン

滝壺(あれ?わたしはこっち?)

浜面(滝壺、打ち合わせ通りにやってくれ)

滝壺(はまづら…)

麦野(さて、派手に行くわよ)スッ

黒夜(出番だぜェ?イルカちゃンよォ)スッ

結標「♪~♪♪」
197 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:50:47.20 ID:QLX8haPm0
麦野(シリコンバーン…)バッ

黒夜(さァて、御披露目だ)ゾゾゾッ

結標「♪~」

絹旗(戦闘は二人がメインですね)サッ

フレンダ(ひーん!)

麦野(オラッ!)ズババッ

黒夜(ひゃはッ)ボボッ

結標「♪~~」

滝壺(むすじめと目線を合わせて…)ジーッ

海原(滝壺さん…少し表情が硬いです…ですが…いいでしょう。もうそろそろ歌も終わりです)

結標「~♪♪」

麦野(そういえば私達って負ける側だっけか…少し弱めに打って…)ビッ

黒夜(ふンッ)ボッ

麦野(押し負けて…)

結標「♪~♪♪~♪♪♪~……」

麦野(歌終了と同時にフレンダ共々散ると…)ブワッ

フレンダ(やっぱり絹旗にやられるのー!?)ドガッ
198 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:51:16.96 ID:QLX8haPm0
滝壺(あ、おわった。最後に結標と見つめ合って…)ジッ

結標「…」ジーッ

海原(ハイウェイチーターの加速により、お別れです)

ギュイン! シャッ!

浜面(早い…)

海原(フェードアウト…)

ブオォォォォン…!

海原「はい、お疲れ様です。今から見直すので少し待っててくださいね」

麦野「なんかどっと疲れたわね」

絹旗「ふぅ」

フレンダ「いたた…」

滝壺「あれ?むすじめは?」

黒夜「多分一周回って帰ってくるンじゃねェかな」

シャァァア…

黒夜「ほら」

滝壺「ほんとだ」

麦野「とりあえず車の場所に戻りましょ」

199 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:51:59.20 ID:QLX8haPm0
土御門「なかなかうまくいったみたいだな」

海原「ええ。自分の目から見ても上出来でした」

土御門「今から確認か?」

海原「はい」

土御門「俺も見るぞ」

海原「ではこちらに」

麦野「ていうか何このバイク」

絹旗「同じような駆動鎧なんでしょうけど…」

黒夜「こいつは登場型の駆動鎧だ。つーか滝壺もよく無事だったな」

滝壺「?」

黒夜「この駆動鎧、とてもじゃねぇけど生身で運転するようなもんじゃねぇんだ」

浜面「それに関してはちゃんとスピードを抑えたから大丈夫のはずだ」

フレンダ「この声…浜面?」

麦野「んだよ、中身は浜面かよ」

黒夜「ふぁっ…」

絹旗「超あくびですか?」

黒夜「まだ朝だろ?さすがに眠いって」

滝壺「まだ六時前だもんね」
200 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:52:36.22 ID:QLX8haPm0
ステイル「くあっ……」

神裂「ステイル、さすがにあくびを連発しすぎでは…」

ステイル「何時からルーンの準備をしたと思っているんだい?夜中の二時からだよ?」

神裂「確かにそうですが…」

ステイル「たった三時間程度でこの学区中にルーンを貼り付けたんだ。そりゃ疲れるよ」

神裂「どうしてそこまでして…」

ステイル「うーん…なんていうかね…最近日本にアイドルに興味を持ってね」

神裂「はぁ…?」

ステイル「今回の人払いがそのアイドルの手伝いになればと思ってね」

ステイル「顔はまだ見たこと無いし、歌しか聴いてないけど…きっといい子なんだろうね」

神裂「…」

ステイル「協力してくれれば土御門がサイン入りでCDを渡してくれるって言ってるし、今のうちからこういう事をしておくのも悪くないだろ?」

神裂「私にはよく分かりません…」

ステイル「さっきまでの行動を見る限り、一回目の撮影が終了したようだね」

神裂「道路を走ってたロボットですか?」

ステイル「うん。さっき僕が払うかどうか聴いたやつだ」

神裂「運がよければ一回で終了と土御門は言ってましたが…」

ステイル「時間はまだあるから続けるならもう少し続けるだろうね」
201 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/25(土) 22:53:10.68 ID:QLX8haPm0
海原「どうでしょうか?ディレクター」

海原「なるほど…はい…そうですか?」

海原「分かりました。ではそのように…はい、失礼します」ピッ

土御門「なんだって?」

海原「映像のコントラストなどを微調整してこれでいくそうです」

土御門「おお、まさかの一発OKか?」

海原「はい、その通りです。撮り直しの可能性もあるかと思いましたが…うまくいってよかったです」

土御門「ディレクターに見せたのは正解だったな」

海原「はい。ではステイルさんに連絡して人払いのルーンの解除を」

土御門「了解だにゃー」

海原「自分は皆さんを集めて解散の旨を伝えてきます」

土御門「ああ、頼んだぜい」

海原「時間は…六時を少し過ぎたあたりですか…」

土御門「神裂ねーちんにもお礼をしなきゃだにゃー」

海原「皆さん、集まってもらえますか?」

土御門「もしもし?ステイルか?」

土御門「撮影は無事終了、ご苦労だったな」

海原「一発OKが出ました。お疲れ様です」
..................................................
........................................
...............................
.......................
...............
........
....
..
.

208 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 21:52:56.03 ID:0x7AzMdT0
その後・同棲施設にて


コンコン

一方通行「…ン…?」

コンコン

一方通行「誰か居ねェのか…?」

コンコン

一方通行「しょっ…とォ…」スック

コンコン

一方通行「チッ…今から行くからあンましノックすンじゃねェ」

コンッ…

一方通行「…?なンだ?聴こえたのか?」

一方通行(外に聴こえる程の大きさで喋ったわけじゃなかったンだが…用心に越したことはねェ)カチッ

一方通行「待たせたな…」ガチャ

「おはようございます。第一位さん」

一方通行「ア…お前は…」

「その説はどうも。今回はお願いがありましてここに参上致しました」

一方通行「お願い…ねェ?」カチ

「ええ。またしても、常盤台の教師としてのお願いです」
209 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 21:53:30.33 ID:0x7AzMdT0
「我が校の白井黒子をご存知で?レベル4の空間移動を有している女生徒なのですが」

一方通行「オリ…第三位と仲良くしてる奴だろォ?よく知ってる。それがどォした?」

「彼女の所属してるクラスには白井黒子を筆頭に優秀な能力者が揃っていましてね」

一方通行「…?」

「本日、そのクラスで能力実演の授業がありまして…それに我々教師とともに出席していただきたいのです」

一方通行「出席するだけかァ?」

「はい。出席するだけ、です。特に何かをしろという訳ではありません。ですが…」

一方通行「案の定なンかあるわけだな。言ってみろ」

「レベル5に到達する可能性のある生徒が居るかどうか見極めて欲しいのです」

一方通行「何を考えてンだ?レベル5に到達する奴なンざ…」

「重々承知の上です。我々は可能性を見出したいのです。努力でレベル5に辿り着いた御坂美琴のような生徒の」

一方通行「…いつ行けばイイ?」

「ありがとうございます。では12時頃に職員室までお越しください。話は通しておきますので安心して校内にお入りください」

一方通行「分かった」

「では失礼します」

一方通行「オイ、ちょっと待て」
210 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 21:53:57.54 ID:0x7AzMdT0
「どうしました?」

一方通行「時間」

「はい?」

一方通行「まだ七時前だ。ウチの第五位が居ねェンだか知らねェか?」

「居ない?食蜂操祈がですか?」

一方通行「そォだ」

「ふむ…申し訳ありませんが存じませんね」

一方通行「そォか。分かった」

「もしかしたら既に登校してるのかも知れません。一応こちらでもお調べしておきます」

一方通行「あァ、よろしく頼む」

「では今度こそ失礼します」

一方通行「…なるべく気ィつけて戻れ」

「ありがとうございます。では後ほど」

一方通行「…」

211 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 21:54:23.11 ID:0x7AzMdT0
同時刻・別施設にて


垣根「…」

御坂「…」ジーッ

ケロッケロケロー

垣根「つッまんねーなオイ」

御坂「静かにして、もう少しで終わるから」

ケロッ

垣根(今何時だ?…もう七時じゃねぇか)

垣根(結局徹夜で借りてきたDVD見てたな…)

御坂「あっ」

垣根「どうした?」

御坂「終わっちゃった」

垣根「やっとか…」

御坂「ねえ、コレ続きないの?」

垣根「だからカエルはそれだけだっつの」

御坂「いい所で終わってんのよねー」
212 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 21:55:02.15 ID:0x7AzMdT0
垣根「ていうかお前本当にそんなのが好きなんだな」

御坂「何よ、あんたもカナミンなんて借りてきたくせに」

垣根「そっちのカエルより面白かったろうがよ」

御坂「ゲコ太ほどじゃないわね」

垣根「そういやパンツもカエル柄だったな」

御坂「なっ…」バチチッ

垣根「ん…そろそろ学校の準備しろよ」

御坂「えっ?もうそんな時間?」

垣根「ああ、そんな時間だ。そういやお前よぉ」

御坂「えっ?なに?」

垣根「今日は随分と喋るんだな。昨日まで全然会話しなかったくせによ」

御坂「話すのは当たり前よ。兄妹?のつもりなんだから」

垣根(随分とメガネが効いてるんだな…まあ色々と便利だからいいか)
213 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 21:55:51.70 ID:0x7AzMdT0
御坂「よいしょっ」ゴソッ

垣根「今日は何すっかな」

御坂「あんたって本当に暇人ね」

垣根「やることがねぇからな」

御坂「全く…」

垣根「ほらほら無駄口たたかねぇで準備しろコラ」

御坂「とっとっ、そうだった」

垣根(そういや上条はまだ入院してんのか?ちょっと行ってみるか)

御坂「さて…っと」

垣根「あ?もう出るのか?ちょと早いんじゃねぇのか?」

御坂「黒子と会う約束してるのよ」

垣根「そうか」

御坂「じゃあ行ってくるわ」ガチャッ

垣根「ああ」

垣根「上条が入院してんのはどこの病院だったかな…お、そういえばシスターからアドレス貰ったんだっけか…」
214 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 21:56:19.96 ID:0x7AzMdT0
垣根「…」ピッピッ

垣根「…」ピッ

垣根「めんどくさ、電話にするか」プルルルルル

『もしもし、こちらIndex-Librorum-Prohibitorumなんだよ!』

垣根「あ…?なに…?」

『む…その声はかきねかも?』

垣根「そうだ俺だ」

『いったいどうしたのかな?』

垣根「上条…まだ入院してんのか?」

『ううん、もう退院したんだよ』

垣根「今家に居るのか?」

『とうまは学校に行ったのかも』

垣根「結構早いうちに出るんだな」

『ふこうがあって遅刻するから、って言ってたんだよ』

垣根「なるほどな」

『で?なんの用かな?』

垣根「あー…今からそっちに行く」

『かきねが?』

垣根「そうだ」
215 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 21:56:53.41 ID:0x7AzMdT0
常盤台にて


御坂「ごめーん。待ったー?」

黒子「お姉さま!お久しぶりです…の?」

御坂「?どうしたの?」

黒子「あれ…お姉さま?」

御坂「そうだけど…なに?」

黒子「いえ…少し見ない内にその…若返った?とでも言うのでしょうか…?」

御坂「若返ったー!?ありえないっての」

黒子「??それにそのメガネは…もしや視力でも…?」

御坂「いや、別にそういう訳じゃないのよねー」

黒子「でしたらなぜ…」

御坂「うーん…不思議と心地良いのよね。これかけてると、なんか外す気も起きないし」

黒子「でもメガネかけて幼く見えるお姉さまもなかなか…」ジリ

御坂「ちょ、ちょっと…」

黒子「お姉さま!」ガバッ

御坂「ひーん!」

黒子「あ、あれ?」

御坂「ど、どうしたのよ」

黒子「いつもなら電撃が飛んできてもおかしくないのですが…」

御坂「え?でもそうすると痛いでしょ?」

黒子「や、やっとお姉さまに受け入れられましたの…」ジーン

216 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 21:57:44.20 ID:0x7AzMdT0
学舎の園の外にて

垣根「退院祝いも兼ねて何か買っていってやるか」

垣根「食い物は…下手すっと上条の目に写る前に無くなってそうだしな…」

垣根「あー…どうしたもんか…ん?」

垣根「…」タッ

垣根「おい、大丈夫か?お前」

「う…っ」

垣根「どうした、どっか痛ぇのか?」

「あ…頭…つっ…が…あっ…!」

垣根「頭?頭だと?誰かに殴られたのか?」

「ちっ…違…」

垣根「…とりあえず病院には連れてってやる」

「あり…ありがと…ございます…」

垣根(ちょっと急いだほうがよさそうだな)バサッ

垣根「ただの頭痛か?それとも誰かの能力によるもんか?」

「え…?」

垣根「いや、独り言だ。気にすんな。ちょっと飛ぶぞ」ブワッ

217 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 21:58:23.38 ID:0x7AzMdT0
第七学区内・芸能プロダクション・分所にて


海原「えー…さて。完成品となったPVはご覧になった通りのものです」

結標「うん。それは分かった。分かったんだけど」

海原「けど?」

結標「これって麦野達に見せなくてよかったの?」

海原「彼女達は撮影が終了した直後、速攻ご帰宅なされました」

海原「その際に撮影したものについてお話を伺ったところ…」

結標「…」

海原「後日送ってくれとのことでした」

土御門「一応完成したものはCDと一緒に同封して渡すつもりだったが…先にあっちからくれと言ってきたんだにゃー」

海原「もともと渡すつもりだったんですが…報酬はきちんと貰うタイプのようですね。麦野さんは」

土御門「発売は来週。テレビでのお披露目は明後日に迫ってきている」

海原「聴いたところレコーディングも完了しているようですし…本日はゆっくりとお休みを、と言いたい所ですが」

土御門「今日は今日で2ndシングルについてのお話があるからそういうわけにもいかないぜい」

結標「まあなんでもいいわ。じゃあさっさとそのお話とやらをしましょうか」

海原「あ、それとですねあわきんさん」

結標「?」

海原「メディア露出などする際は結婚している事は徹底的に隠しますからそのつもりで」

結標「アイドルと言えば当然っちゃ当然ね。了解したわ」

海原「では話を進めましょうか」
218 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 21:58:55.27 ID:0x7AzMdT0
病院


垣根「さっきの女は冥土帰しに預けたしとりあえず安心だろ。んじゃ行くとすっか」

「あ、ちょっと待ってください!」

垣根「ん?」

「先生がお話したいことがあると…」

垣根「冥土帰しが俺にか?」

「はい、そうです」

垣根「んん?なんのようだ?」

「それが私たちには教えてくれなくて…とりあえず彼を呼んでくれとの一点張りで…」

垣根「…そうか。んじゃ行くとするよ。わざわざ済まないな看護婦さんよ」

「いえ、では私はこれで」

垣根「なんだ?まさか治療費を俺に請求するとか言うんじゃねぇだろうな?」

垣根「いや、待てよ?前に病院前で暴れたことがあったな…それの修理費の請求か?」

垣根「分かんねぇな…まさか上条のこと…それは無いか」

垣根「とすると前にクローンを連れ出して白井にいたずらしかけたことか?」

垣根「一応ノックするか」コンコン

『垣根だね?どうぞ?』

垣根「入んぞ」ガラッ
219 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 21:59:41.07 ID:0x7AzMdT0
垣根「ん?その女…」

冥土帰し「どうかしたかね?」

垣根「随分と頭に電極が繋がっているな。そんなに酷かったのか?」

冥土帰し「そんなに、という訳ではないがそれなりにだね?」

垣根「原因は?やっぱ能力者によるもんだったか?精神干渉系とかの」

冥土帰し「垣根、この子は置き去りだ」

垣根「んん?答えになってねぇぞ。置き去りだからなんなんだよ」

冥土帰し「暗闇の五月計画を知ってるね?」

垣根「あんたの口からそんな言葉が出てくるとはな。置き去りとか言ってたな…まさかその女、被験者だったりするのか?」

冥土帰し「その通りだよ」

垣根「へぇ…それで?なんでその女は被験者だって分かったんだ?」

冥土帰し「まず置き去りという所だね?それに詳細不明の頭痛」

垣根「…」

冥土帰し「それでピンと来てね。少し調べたんだね?」

垣根「んで?頭痛の原因は?その女がこうして大人しくしてるからには何か分かったんだろ?」

冥土帰し「自分だけの現実の最適化による不具合だね?」

垣根「不具合だと?」

冥土帰し「もっと簡単に言うなら精神性の不一致。それが今になって耐え難い頭痛になって発症したわけだね?」

220 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 22:00:09.60 ID:0x7AzMdT0
垣根「暗闇の五月計画は随分前に行われた実験のはずだ。それの被験者がなんで今になって頭痛という形で発症したんだ?」

冥土帰し「何も考えずに一方通行の人格の一部を植え付けたんだ。時間差で発症しても何もおかしくは無いね?」

冥土帰し「ただでさえ無理矢理な実験だったんだ。当時発症しなかったツケが来たと考えていいね?」

垣根「そうか。それで?その子は大丈夫なのか?」

冥土帰し「これから木山春生という大脳生理学者を呼んで治療をするところだよ」

垣根「そうか。なんにせよ無事なんだな?」

冥土帰し「ああ。この子は運がいい。それほど適合しなかったお陰で比較的軽い症状で済んでいる。下手すれば死んでいたね」

垣根「そうか、暗闇の五月計画か…それって被験者全員に発症してんのか?」

冥土帰し「どうやら発症する者としない者で別れるみたいだね」

垣根「今はどうやって寝かしつけてんだ?」

冥土帰し「リラックス効果のある超音波を直接脳内に響かせている」

垣根「大丈夫なのか?それ」

冥土帰し「僕を信じてほしいね?」

垣根「はっ、そうかい。んじゃ俺は行くところがあるからもう行くぜ?」

冥土帰し「ああ、正直この子を運んで来たときにはびっくりしたよ」

垣根「あ?」

冥土帰し「君みたいな人が見ず知らずの人を助けるとはね。まあそれでこの子はまだ生きれるんだ、また後で来るといいね」

垣根「なんでだ?」

冥土帰し「この子からのお礼が待ってるからね」

垣根「…そうか。んじゃまた来るよ」
221 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 22:01:19.84 ID:0x7AzMdT0
一方通行「さて、昼まで何すっかなァ…垣根はどっか行っちまったみてェだしよォ」

一方通行「かと言って木山ンとこに行ってもなァ」

一方通行「しかし学舎の園ってのは…なンだ?歩いてるだけで男は注目浴びンだなァ…」

一方通行「俺の見た目も相まって…かァ?」

キャー!

一方通行「あン?」

「おやめになってください!」

「そ、そう言われましても制御が…!」

一方通行「ケンカかァ?お嬢様方もケンカなンてすンだなァ」

ゴバッ!

「きゃああ!」バシャ

「ああっ!」

一方通行「…タダのケンカじゃなさそうだな」

「ご、ごめんなさい!」

「と、とにかく!能力を落ち着かせないと水浸しに…!」

「…!…む、無理です!コントロール出来ません!」

「そんな!」

「大丈夫でしょうか…あれ」

「早く風紀委員か警備員の方をお呼びしたほうが…」
222 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 22:02:03.53 ID:0x7AzMdT0
一方通行「オイ、ちょっとイイか?」

「は、はい?」

「男性の方…どうしてここに…?」

一方通行「ありゃ一体どうしたンだァ?」

「えっと…能力が制御出来ずに軽い暴走状態になったみたいで…」

一方通行「暴走だと?常盤台の生徒だよなァ?そういうのはきちンとしてるンじゃねェのか?」

「それが私たちにもよく分からなくて…」

「普段慣れてない様な使い方をしたのかもしれません…」

一方通行「そォか…人呼ぶのはちょっと待っててくれ」

「え?ですが…」

一方通行「イイから。ちょっと俺に…」

「あっ!」

バシャッ!

一方通行「…」バシャッ

「え?弾いた…んですか?」

一方通行「まァ、そンな感じだ」

223 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 22:02:31.80 ID:0x7AzMdT0
「ひっ!」

「あわわっ!」

「よ、避けてください湾内さん!」

湾内「きゃっ!」

「だ、大丈夫ですか!?」

湾内「泡浮さん!今一度落ち着いて能力の制御を!」

泡浮「………むっ、無理です!」シュゴー

湾内「一体どうしたら…へ?」ガシッ

一方通行「暴走してンのはアイツだなァ?」

湾内「あ、あなたはあの時の…」

一方通行「あァ?」

湾内「前にトラックにひかれそうになった時に助けてくれた…」

一方通行「トラック…あァ…あン時か…」

湾内「はい、あ、そんな事よりも泡浮さんが!」

一方通行「それは俺に任せとけ」

泡浮「演算…演算…落ち着いて…わわっ」

224 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 22:03:17.83 ID:0x7AzMdT0
一方通行「オイ!落ち着いて俺の話を聴け!」

泡浮「えっ?お、落ち着いてと申されましても…」

一方通行「周りの事は一切考えンな。演算に集中しろ」

泡浮「そんなこと…」

一方通行「イイから。やるンだ。出来るハズだァ」

泡浮「演算…演算」ギュルギュル

ザバッ!

一方通行「ン…?」

泡浮「演算…!」

一方通行(随分と不安定だな…仕方ねェ)

泡浮「あ!こっちに来られると濡れてしまいます!」

一方通行「構わねェよ。ちょっと頭触ンぞ」

泡浮「あ、あれ?水がかかってない?」ピトッ

一方通行(強制的に演算すればとりあえず収まンだろ)

湾内「あ…水が引いてく…」

泡浮「や、やっと…」ヘナッ

一方通行「オイ、お前のレベルはいくつだ?」

泡浮「私はレベル3の水流操作です…あの…ありがとうございます」

一方通行「いや、別にイイ」

一方通行(こんな水の無ェ場所でレベル3があれほどのことが出来ンのかァ?)


225 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 22:03:53.17 ID:0x7AzMdT0
一方通行「確か泡浮って言ったなァ…もう一度ここで能力を使ってみてもらえねェか?」

泡浮「え?…あ、はい…」

一方通行「…」

湾内「…?」

泡浮「あ、あれ?」

一方通行「やっぱりなァ」

湾内「さっきはあれ程の規模で能力を使用なさっていたのに…」

泡浮「今度は全くと言っていいほど…」

一方通行「オマエ、なンでさっき能力を使えたンだ?あンな派手な使い方するには水分とレベルが足りねェハズだ」

泡浮「本来ならそうなんですが…さっき、不意に演算を行ってみたんです」

一方通行「どォしてだ?」

泡浮「はい、え…と…あれ?…すいません…分かりません…」

湾内「何はともあれ無事で良かったです。度々ありがとうございます」

泡浮「私からも…どうもありがとうございます。よろしければお名前を聴いてもよろしいでしょうか?」

一方通行「アー…一方通行でイイ。それで通じる」

湾内「一方通行…能力名か何かですか?確か前はベクトル操作系の能力者だとか…」

泡浮「ベクトル操作…?その能力で先程私の暴走を止めてくださったんですか?」

一方通行「まァ、そンなもンだ」

泡浮「そうですか…では今度改めてお礼をしたいと思います。本当にありがとうございました」

湾内「では私たちはこれで」

一方通行「あァ」
226 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 22:04:34.32 ID:0x7AzMdT0
一方通行「時間にはちっと早ェがもう行くか。今十一時くらいだから…」

一方通行「適当に常盤台の食堂で飯でも食って…ン?」

piririririri

一方通行(電話…?垣根からか)

一方通行「どうしたァ?」ピッ

『あのよー…』

一方通行「あン?」

『上条ん家、教えてくれ』

一方通行「三下の家だとォ?前に行ったこと無かったかァ?」

『いや、似たような建物ばっかで分かんなくなっちまってよぉ』

一方通行「今ドコに居る」

『子萌っつうチビ教師の家の近くだ』

一方通行「そォか。そンならわりと近くにボロい学生寮があるはずだ」

『ボロい?』

一方通行「見当たンねェか?なンなら能力使って空飛んで辺りを見回してみろォ」

『…見つけた』

一方通行「そォか。そンならイイ」

『ああ、手間かけたな。じゃあな』

一方通行「ああ」
227 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 22:04:51.51 ID:0x7AzMdT0
学生寮前


垣根「そうかそうか。ここだったか」

垣根「んじゃ早速…」チラッ

垣根「エレベーターで行くか」カチッ

ピンポーン

垣根「おお、早い早い。人居ねェからか?当然っちゃ当然か」

垣根「何階だったかな…確か…」ポチッ

垣根「…」ゴーッ

垣根「……」ゴーッ

垣根「………」チンッ

垣根「着いたか。部屋は確か…あ?」

垣根「今度はコイツかよ…!」タッ

垣根「オイ!大丈夫か?」

インデックス「う、うーん…」

垣根「お前はどうしたんだ?食あたりか?」

インデックス「おなかすいた…」

垣根「…」

228 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/06/29(水) 22:05:22.16 ID:0x7AzMdT0
コンコン

『どうぞ』

一方通行「…」ガラッ

「ああ、あなたでしたか。随分とお早いお着きですね」

一方通行「特にやることも無くてな。こォして早めに来たンだがマズかったか?」

「いえ、特に早くてまずいという事はありませんよ。ところで昼食はもうお済みに?」

一方通行「イヤ、まだだ」

「そうですか。でしたら校内で食事を取ることをおすすめ致します。時間もまだ一時間ほどありますし」

一方通行「そォか。ンじゃそォするよ」

「どうぞ。それで、お食事は終わりましたらもう一度ここに来てください」

一方通行「ああ」

「では後ほど」

一方通行「ン…そォだ。食蜂のことはなンか分かったか?」

「ああ、はい。本日、食蜂操祈は他の一般生徒と共に校外学習に行ってるとの事です」

一方通行「校外学習だと?」

「ええ。他の先生の話によりますと…うーん…」

一方通行「?」

「ここだけの話なんですけど…なにやら上が心理掌握の力を利用してのレベルアップ、というもの考えているらしくてですね…」

「それの一環で…はい」

一方通行「心理掌握を利用しての…ねェ?」

「ええ。一旦この話は終了で…ではまた」

一方通行「…」 
242 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 21:46:18.27 ID:QX9rplCg0
「先生」

「はい?」

「第一位って今の子ですか?」

「そうですよ」

「なんか…私が想像していたのと全然違います」

「最初に彼を見た時は第一位なんて想像もつきませんでしたよ」

「そういえば…」

「?」

「食蜂操祈の件なんですけど…」

「どうかしたんですか?」

「一般の生徒を含めての校外学習となっているんですが…どうも人数が合わなくて…」

「どういった風に?」

「その…校外学習に行った一般の生徒が…一人も居なくてですね…」

「え?だけど私の方には…」

「合ってないんですよ。リストも人数も何もかも。まるで食蜂操祈…いえ、心理掌握だけに用があるみたいに」

「…」

「ちょっと上に掛け合ってみますか?」

「ふむ…実演授業が終わってからでもいいですか?」

「特に急ぎという内容でも無いので別に構いませんよ」

「すいません。お手数掛けます」
243 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 21:46:46.21 ID:QX9rplCg0
学生寮・上条の一室にて

垣根「ったく…空腹で玄関先に倒れてるとはよぉ…」

インデックス「仕方ないんだよ!」

垣根「はぁ…ほら、これ退院祝いだ。適当に上条にでも渡してやれ」

インデックス「こんなに!?ありがとう!」

垣根「少しぐらいなら食ってもいいが…一応は上条への退院祝いなんだ、だから…」

インデックス「分かったんだよ!」

垣根「はぁ…んじゃ帰るわ」

インデックス「もう帰るの?」

垣根「別に長居しにきたわけじゃねぇからな」

インデックス「そうなの?」

垣根「ああ。じゃあ上条によろしくな」

インデックス「またね!」

垣根「ああ、あばよ」ガチャ

垣根「確か冥土帰しの所には木山が来るんだっけか」

垣根「少し顔出してみるか」
244 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 21:47:15.41 ID:QX9rplCg0
一方通行(俺に能力向上の指導を任せた食蜂を利用してレベルを上げる…)

一方通行(妙な話だな…食蜂の能力で擬似的にレベルを上げてどうするつもりなンだ?)

一方通行(上の考え…そォいや同棲を促してきたのは統括理事会だったな)

一方通行(あの教師の言う上ってのが統括理事会なのか?)

一方通行(統括理事会が心理掌握の力を利用してのレベルアップ…こう考えるとかなりクサイ話だな)

一方通行(それとも単純に常盤台の上層部…)

一方通行(少し前から常盤台は生徒のレベルを上げることに躍起になってるからなァ…無い話じゃねェハズだ)

一方通行「…」ピッ

piriririririri

『もしもし?』

一方通行「土御門かァ?」

『一方通行か。珍しいな、どうしたんだ?』

一方通行「少し調べて欲しいことがあるンだけどよォ」

『調べて欲しいこと?』

一方通行「そォだ」

『表の事か?裏の事か?』

一方通行「どっちかっつうと裏寄りだな」

『一方通行。済まないがアイテムに頼んでくれないか?』

一方通行「あ?」

『ちょっと色々と立て込んでてな。悪いが調べる時間なんてとても…』

一方通行「…分かった。ンじゃそォするわ」

『すまないな』
245 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 21:47:45.23 ID:QX9rplCg0
『それで私に電話してきたのね』

一方通行「そォだ」

『まあいいわ。言うだけ言ってみなさい』

一方通行「統括理事会」

『?』

一方通行「統括理事会は現在…常盤台を中心としたなンらかの計画を練っているか…それを調べてほしい」

『常盤台?どうしてまた』

一方通行「色々と気になることがあってな」

『まあ深くは聴かないわ。とりあえずそれについて調べればいいのね?』

一方通行「そォだ」

『それと?』

一方通行「常盤台の上層部連中についても調べて欲しい」

『素性とか調べればいいのね。了解したわ』

一方通行「どれくらいかかる?」

『すぐにとは行かないわ。前みたいに動けるわけじゃないもの』

一方通行「なるべく早く頼む」

『分かってるわよ。じゃあ切るわね、早いとこ調べなきゃいけないし』

一方通行「ああ」
246 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 21:48:26.99 ID:QX9rplCg0
一方通行「あと三十分も無ェな…売店でなンか食うか」

一方通行「…随分と人が居ンだな。昼だし当然か」

「一方通行?」

一方通行「ン?」クルッ

御坂「やっぱり」

一方通行「ア…?」

白井「おや、こんにちは一方通行さん。どうなさったんですの?常盤台の校内で」

一方通行「ここの教師に呼ばれて来たンだ」

御坂「先生に?あんたなんかしたんじゃないでしょうね」

一方通行「何をするっつうンだよ」

御坂「まあ色々とね色々」

一方通行「そォか。ところでよォオリジナル」

御坂「だからその呼び方は…」

一方通行「そのメガネ、取ったほうがイイぜ」ヒョイ

御坂「えっ?」カチャ

一方通行「これで元通りだな」

白井「あら、いつものお姉さまに…」


247 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 21:48:53.74 ID:QX9rplCg0
御坂「ちょっと、なんでメガネ取ったりしたのよ」

一方通行「このメガネ、特別な仕様でなァ。着用した人物の思考とかを変えるメガネなンだわ」

御坂「は?」

一方通行「このメガネ、垣根に付けられただろ」

御坂「え、ええ」

一方通行「オマエ、遊ばれてたンだよ」

御坂「なっ…!」

白井「あの…一方通行さん」ヒソッ

一方通行「あ?」

白井「そのメガネ…私に譲っていただけないでしょうか」ヒソヒソ

一方通行「オマエは本当に危ねェ考えしてンだなァ」

白井「で、おいくらで譲っていただけますの?」ヒソ

一方通行「金は要らねェよ。欲しいなら持ってけ」ヒョイ

白井「んふふ…ありがとうございますの」

御坂「確かに今思ってみると不思議な感じが…」

白井「お姉さまー?そろそろ始業のお時間ですの」

御坂「えっ?もう?」

白井「ええ。私はこれから実演の授業がありますのでこれで」

御坂「そう?じゃまたね」

白井「ええ、また」ヒュン

一方通行「俺も行くか。じゃあなオリジナル」

御坂「えっ?あんたも?」

一方通行「遅刻すンなよ」

御坂「ね、ねえ!ちょっと!……一人になっちゃった…」

248 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 21:51:24.12 ID:QX9rplCg0
ガラッ

一方通行「うおっ!」

「あっ、すいません。おや、一方通行さんでしたか」

一方通行「もう時間だと思って来たンだが…」

「ちょうどいいですね。今から探しに行こうとしてた所なんです」

一方通行「ン?まだ時間じゃねェハズだぞ?少しばかり余裕が…」

「いえ、別件でお話がありまして…」

一方通行「別件?」

「食蜂操祈の事で少し…」

一方通行「!」

「手短にお話致しますのでどうか聴いてください」

一方通行「…」

「まず、校外学習の一環として他の生徒達と出払っているとのことでしたが…」

一方通行「あァ」

「出払っているのは食蜂操祈、ただ一人でした」

一方通行「…そりゃどォいうことだ?」

「先ほどお話した内容、覚えてらっしゃいますか?」

一方通行「心理掌握を利用してのレベルアップってトコかァ?」

「ええ、まさにその部分です」
249 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 21:51:50.63 ID:QX9rplCg0
「そのレベルアップのために上が…常盤台上層部ですね」

一方通行(統括理事会は関係無かったのか?)

「食蜂操祈を連れ回してるのかもしれません」

一方通行「そのレベルアップの方法ってのは分かンのかァ?」

「え…っとですね…詳しくは分からないんですが…」

一方通行「大まかでイイ。話してみろ」

「共感覚性を利用したものだと、そう聴いています」

一方通行「共感覚性…」

「ご存知ですか?一つの感覚の刺激で二つ以上の感覚を得るものですが…」

一方通行「そンくらい分かる。ンで?それがどう繋がンだ?」

「要はそのまんまなんですよね。例えば…そうですね…御坂美琴の能力で例えましょう」

一方通行「…?」

「電撃を放ったとします。どうなりますか?」

一方通行「どォなるだと?」

「はい。結果は一つではありませんよね?」

一方通行「!」

250 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 21:52:48.87 ID:QX9rplCg0
「分かりましたか?」

一方通行「なるほどなァ」

「能力使用者本人に共感覚性を利用し、能力の可能性を見出す。これがレベルアップの方法だと…」

「恐らく食蜂操祈の能力を利用し感受性や思考を改変する気でいるのでしょうね」

一方通行「随分と簡単な考えだなァ?」

「単純ですが効果があると考えたのでしょうね」

一方通行「へェ…」

「一方通行さんはご存知か分かりませんが…先程、学舎の園内で水流操作系の能力者の暴走がありました」

一方通行「…」

「実はその暴走、先程説明した共感覚性の利用によるものだと思われます」

「普段考え付かないような自分の能力の使い方。それが暴走の切欠となったようです」

一方通行「さっきのアレが…」

「そして驚くことに一時的ですが能力強度が上がった瞬間が見受けられました。今は元に戻ってますが」

一方通行「…てことは食蜂が能力を使用したってことでイインだよなァ?」

「そうなりますね。そして…」

一方通行「?」

「その能力の使い方が心理掌握を更に強化するものだとしたら?」

一方通行「…共感覚性を操作するという見方をした食蜂操祈の共感覚性により心理掌握が強化される、と」

「多少ややこしいですがそうなりますね」
251 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 21:53:17.24 ID:QX9rplCg0
海原「えーっと…では以上になりますね」

土御門「あわきんの方から何かあるか?」

結標「次もPVって作るの?」

海原「予定ではそのつもりです」

結標「テーマとかって決まってるの?」

海原「テーマですか?ふむ…」

土御門「一応、限界ってテーマはあるが…」

海原「映像にするには少し難しいテーマなんですよね」

結標「…PVのキャストは私が選びたいんだけど…いいかしら?」

海原「一応こちらで確認しての採用になりますが…」

結標「構わないわ、別に。ちなみにどんな内容なの?」

土御門「前回のような感じではなく、バンドPVとしての色を強めていく、だから…」

海原「楽器を持つ事が前提となります。と言っても持って弾くフりをしてもらうだけなので楽器が出来なくても大丈夫ですよ」

結標「えっと…ギター、ベース、ドラム…」

海原「ほかにはキーボードやサイドギターなどですね」

結標「楽器の割当なんてどうにでもなるわ」ピッ

海原「おや、電話ですか?」ガタッ

結標「いいわよ、席外さなくても」

海原「そうですか?」
252 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 21:53:45.35 ID:QX9rplCg0
『どォした?』

結標「ちょっと頼みがあるんだけど」

『言ってみろ』

結標「2ndシングルのPVに出演して欲しいんだけど」

『は?シングル?』

結標「あれ?聴いてないの?私今は立派なアイドルなんだけど…」

『イヤ、それは知ってる。え?2nd?ていうかCD出してたのか?』

結標「1stは来週発売なの。それで今から2ndの話をしてたの」

『ほォ…』

結標「前回のPVにはアイテム達が出演したのよ?」

『アイテムが?へェ…』

結標「それでね、今度の2ndシングルのPVに一方通行に出演してもらいたいと思ってね」

『俺に…かァ?』

結標「そう、一方通行に。勿論一方通行一人だけじゃなくて他にも考えてるんだけど…」

結標「一番最初に連絡しておこうと思ってね」

『…そォか。何すンのか分かンねェが…出てもいいぜェ』

結標「そう、ありがとう。じゃあまた日程とかの連絡するわね」

『あァ、頑張れよ。じゃあな』

結標「ええ」

253 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 21:54:13.05 ID:QX9rplCg0
海原「出演者の候補は一方通行さんでしたか」

結標「そうよ」

土御門「そういえばさっき一方通行から電話もらったな。あとで詳しく話聴いてみるか…」

海原「残りの出演者もお決まりで?」

結標「勿論、もう決まってるわ」

海原「こちらから連絡しておきましょうか?」

結標「いいわ、私が直接やるから」

海原「そうですか、では土御門さん」

土御門「ん?ああ、じゃあ一旦解散だ」

海原「お疲れ様でした」ガタッ

結標「じゃあ私出掛けてくるわね」

土御門「今日はこれで終了だからまた明日来てくれ」

結標「分かったわ、じゃあね」ヒュン

海原「お気をつけて」

254 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 21:58:00.06 ID:QX9rplCg0
「お電話はお済みで?」

一方通行「あァ」

「そうですか」

一方通行「なァ」

「はい?」

一方通行「さっきの考えだがよォ」

「共感覚性のことですか?」

一方通行「あァ。あの考え方で正しいのかと思ってなァ。本当にレベルが上がるのか…ってなァ」

「どうでしょうね。案外、それも兼ねているのかもしれません。それとお願いがあるのですが」

一方通行「なンだ」

「食蜂操祈の捜索、お願い出来ますか?大切な教え子でして」

一方通行「はン…同棲の理由、きっちり聴けンだろォな?」

「我々が聴いた内容と違うのでしたら聴けると思います。直接聴いてはいかがですか?食蜂操祈を連れまわしてる常盤台上層部に」

一方通行「あァ、そォするよ」

「では一旦授業の方に目を向けていただいて…」

一方通行「そンな悠長でイイのか?大切な教え子なンだろ?」

「実は此方でも少し調べてまして。時間がかかるのでその間…急いでもいい結果は出ません」

一方通行「なるほどなァ」

「では資料です、どうぞ」

一方通行「ン」

「教室は此方です。さ、どうぞお先に」

一方通行「あァ」ガラッ

「席は空いている所から詰めてお座りください」

255 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 21:59:34.73 ID:QX9rplCg0
コンコン

『どうぞ』

垣根「ん?もう木山が来てんのか…入るぞ」ガラッ

木山「おや…君か」

垣根「冥土帰しはどこだ?」

木山「彼ならカルテを取りに下のフロアに行ったよ」

垣根「その女、様子はどうだ?」

木山「大分落ち着いて来てるよ。発見が早かったのが幸いしたな」

垣根「そりゃ何よりだ」

木山「そういえば冥土帰しが君に何かを頼みたがっていたな」

垣根「俺に?」

木山「恐らく治療的な協力の要請だろうな」

垣根「何でわざわざ俺に…」

木山「電極の話、聴いたよ。彼のために難しい物の製作を頑張ったらしいじゃないか」

垣根「…チッ、余計な事を…」

木山「余計な事か…ふふっ。設計図を見たが…かなり難しいじゃないか。このチョーカーとやら」

木山「君は自身の能力を使って既存の法則とは異なる別の法則を組み込んだ」

木山「私には異なる法則とは理解出来なかったが…単純に聴こえて人知を越えた難しさだよ。常人にはおおよそ考えつかない」

垣根「…そんなに難しい事じゃねぇ。今俺が説明すれば簡単に理解出来る内容だ。ただ単にあんたが難しく見てるだけだ」

256 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 22:00:02.17 ID:QX9rplCg0
木山「君が説明すれば難しくない、か…ふふ」

垣根「何がおかしい」

木山「いや、なんでも無いよ。一応私には電波を受信してる他、逆になんらかの電波を送信してる事は理解出来た」

垣根「それで合ってる」

木山「問題は何を送信してるかだよ。受信してるのは当然ながら演算補助の電波。しかし、こちら側から何かしらの電波を送信する意味が分からないんだ」

木山「何を送信してるんだ?垣根帝督」

垣根「簡単な話だ。あのチョーカーには一方通行のAIM拡散力場に反応し半永久的に機能する未元物質を仕込んである」

木山「それの役目はなんだ?」

垣根「少しかみ砕いた説明になるが…受信した電波に乗せて未元物質の特殊電波をネットワーク側に送信している」

木山「特殊電波…だと?」

垣根「簡単に言わせてもらうと妹達の演算を逆に補助する電波だ」

木山「…なるほど。面白い事を考えるな」

垣根「制作には波長を合わせるのに手間取った。結果は勿論、成功だ」

木山「そうか…逆に妹達の演算を補助して一方通行くんの演算の出力を底上げしたというのか…」

垣根「これで一方通行は全盛期と大差無いまでになった」
257 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 22:00:28.37 ID:QX9rplCg0
木山「妹達の演算ではなく、直接一方通行くんの演算を補助するというのは考え付かなかったのか?」

垣根「それも考えたが…補助用の未元物質を害悪と判断され反射されちまったら元も子もねぇ…だから」

木山「だから妹達を通したわけか」

垣根「ああ」

木山「考えるな、君」

垣根「時間ならたっぷりあったからな。ちなみにジャマーにも阻害されない用にしてある」

木山「その未元物質とやらがか?」

垣根「おう。下手すっとジャマーで消滅しちまうからな」

木山「そうか」

ガラッ

垣根「ん?」

冥土帰し「なにやら難しそうな話をしているね?」

垣根「大した事ねぇよ」

木山「十分大した内容だよ。アレは」
258 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 22:01:07.26 ID:QX9rplCg0
冥土帰し「さて…一応木山くんから話は聴いてるかね?」

垣根「治療に協力しろってやつか?」

冥土帰し「その認識で構わないよ」

垣根「その認識でって…そうとしか認識出来ねぇよ」

冥土帰し「そうかい?」

垣根「ああ。それで?どういう治療すんだ?当然ながら脳みその手術なんて俺は出来ねぇぞ」

冥土帰し「手術は一切しない。暗闇の五月計画の応用で治療する」

垣根「応用?」

木山「五月計画は…一方通行くんの精神性を無理矢理植え付ける計画だと聴いている」

冥土帰し「いわば自分本来の精神に上書きされてるようなものだね?」

垣根「俺が言えた義理じゃねぇが…改めて聴くとクソみてぇな実験だな」

木山「そう思うだろ?いわば一方通行くんも一種の被害者なんだ」

垣根「ふん…」

冥土帰し「それで、肝心の治療法だがね」

垣根「本来の精神性をさらに一方通行の精神性に上書きをする」

冥土帰し「話を聴いただけでそれが思い浮かぶか…さすがだね?」

259 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 22:01:44.53 ID:QX9rplCg0
一方通行「ふァ……」

「退屈ですか?」

一方通行「想像してたのと大分違ってなァ」

「機械的に我々に能力を披露して、我々がそれに点数を付け評価する」

一方通行「…」

「あと一人ですが…今までに一人でも、レベル5に近づける可能性のある生徒は居ましたか?」

一方通行「残念だが一人も居ねェな」

「そう…ですか…」

一方通行「最後の一人、白井黒子だろォ?」

「お知り合いで?」

一方通行「まァな」

「そうですか。では最後の一人、よろしくお願いします」

一方通行「無駄だと思うがなァ」

「まあそう言わずに。白井さん、どうぞー」

白井「失礼しますの。あら?」ガラッ

一方通行「居るだけだ。気にせずやってくれ」

白井「そうですの?」

「ん?そういえば白井さん」

白井「はい?」
260 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 22:02:17.78 ID:QX9rplCg0
「番号順で行っていれば白井さんはとっくに終わってるはずなんだけど…どうして一番最後に?」

白井「先程風紀委員の呼び出しがありまして…それで無理言って順番を変えてもらったんですの」

「そう。じゃあ適当に能力実演してもらおうかな」

白井「もう始めても?」

「どうぞ」

白井「では…」ヒュン

「…」

白井「…」ヒュン

一方通行「こういう空間移動の能力者は何を見るんだ?」

「一番見るのは能力発動までのラグです。次いで正確さ、そして…」

「白井さん」

白井「はい」

「今からこのボールを白井さんに向けて投げます。そのボールをキャッチせずに、触れた瞬間この机の上に印のところに移動させてください」

白井「分かりましたの」

「はい」ヒョイ

白井(机の印…)スッ

ヒュン

「いかに能力をモノにしてるか、です。ご存知かと思いますが空間移動系能力の演算は他と比べて難易度の高いものとなっています」

一方通行「あァ」

「どれだけとっさの時に正確に能力を行使出来るか、ですね。有用性の高い能力ですから当然人助けの役にも立ちます」

「空間移動能力はそこを見ますね」
261 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 22:02:44.75 ID:QX9rplCg0
「さて、もういいですよ白井さん」

白井「はい」

「これで全員終了したので通常授業に移行しま…!」

キャー!

一方通行「ア?」

「なんでしょうか?」

白井「校庭の方からですの」

一方通行「校庭…?」ガタッ

白井「あっ」

一方通行「?」

ガシャァン!

「だ、大丈夫ですか!?」

一方通行「俺は大丈夫だが…コイツは…木かァ?」

白井「校庭に生えている木々の一本ですの。校庭から飛んできたと考えるのが普通ですが…一体誰が…」

一方通行「木がミサイルみてェに飛ンできたな。根っ子の部分事飛ンできてねェトコを見ると…」

白井「何か強い力で幹の途中から引き裂かれたような…そういう風に見れますの」

ブオッ!

白井「?」

パリンッ!

一方通行「空弾…かァ?オイ、校庭でも能力実演とかやってンのかァ?」

「い、いえ!やってたとしてもこのような事は…」

白井「このような芸当が出来る方と言えば…常盤台には一人しか居ませんの!」

262 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/02(土) 22:03:11.67 ID:QX9rplCg0
白井「レベル4の空力使い…婚后光子」

一方通行「あの扇子野郎だな」

「こっ婚后さんが??」

ギュルルルル

一方通行「空力使いってのは竜巻なンてのも起こせンのかァ?」

白井「いえ…そんな話は…」

一方通行「…」

白井「も、もしかしたら!」

一方通行「?」

白井「昼間の泡浮さんのように…能力の暴…走なのかもしれませんの…」

一方通行「暴走…止めたほうがよさそうだなァ」

白井「校庭までお連れ致しますの。お手を」

一方通行「ン」

「任せて大丈夫ですか?」

一方通行「信用してもらって構わねェよ。ホラ、行くぞ」

白井「ええ。では先生、少し行って来ますの」

ヒュン

「…お願いします」 
268 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:14:34.53 ID:3VQo5ue90
一方通行「空力使い…どォいう能力だ?」

白井「彼女の能力は触れた部分に気流の噴射点を作り物をミサイルのように飛ばす能力ですの」

一方通行「触れた部分に噴射点か」

白井「能力の強さは…そうですわね…大型トラックなら100m近く飛ばせる強さですの」

白井「後は駆動鎧ですの」

一方通行「駆動鎧だとォ?なンでそこで駆動鎧が出てくンだ」

白井「以前にそういう機会がありまして。駆動鎧だろうと同様に触れた部分を飛ばせますの」

一方通行「とンでもねェ能力だな」

白井「ええ。とりあえず周りから他の生徒達を非難させるのが先決ですの」

一方通行「話聴く限りだと人も吹っ飛ばせそうだからなァ」

白井「では私がその役目をしますので張本人の処理は任せますの」ヒュン

一方通行「チッ…仕方ねェ」

一方通行「この状況を見っとさっきみてェに食蜂が絡んでるみてェだな」

ギュルルルルル

一方通行「とりあえず竜巻の中心に行って止めてやンねェとな」カチッ

..............................................

別教室にて

御坂「あれ?あの校庭の二人って一方通行と黒子?」

御坂「しかもなんで竜巻なんか起きてるのよ…」

御坂「気になるわね…あとで黒子にでも聴こうかしら」

..............................................
269 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:15:05.85 ID:3VQo5ue90
白井「さて、これで大体の避難は終わったはずですの。あとは一方通行さんが…おや」

ズバァッ!

白井「竜巻が消えたってことは解決したということですの?」

「やめろ!暴れンじゃねェ!」

「そう仰られましても右手が勝手に!」

「オイ!俺に触るンじゃ…」キュィィン

ゴバッ!

「きゃあああああ!」

白井「おや、何か飛んで…」

婚后「白井さん!そこをどいてくださいまし!」

白井「こっ…婚后光子!」

ドガッ!

一方通行「反射してる俺に触れて勝手に吹っ飛んでくとはなァ…」

一方通行「なンにせよ右手が吹っ飛ばなくて何よりだ」

白井「いたた…」

婚后「白井さん、お手を」スッ

白井「あ、すみませんの」

一方通行「よせ、吹っ飛ぶぞ」
270 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:15:31.88 ID:3VQo5ue90
白井「はっ!」

婚后「また手が勝手に!」ギュン

一方通行「危ねェ!」

ブオッ!

一方通行「掌に噴射点が発生し続けてンだな。どォりで制御出来てねェわけだ、これじゃ能力に遊ばれてるようなもンじゃねェか」

婚后「あ」

白井「え?」

ギュン!

白井「あああああああぁぁぁぁぁぁぁ…」

一方通行「…」

婚后「白井さん!」

一方通行「オイ、俺に触ンじゃねェぞ…」

婚后「ですから!右手が勝手に動いてるので制御なんてとても!」

一方通行「触ったら最後、さっきのように吹っ飛ぶだけじゃなく…右手が無くなる…」

婚后「ひっ…」

一方通行「なるべく動くンじゃねェぞ!」ギュン

婚后「わわわっ」

一方通行「オラッ!」バキッ

婚后「あふん」ガクッ
271 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:16:03.89 ID:3VQo5ue90
一方通行「最初っから気絶させれば良かったンだよなァ」

婚后「…」

一方通行「白井の事はどォ話したもンかね…」

白井「はぁ…」ヒュン

一方通行「よく戻って来れたもンだなァ」

白井「もうダメかと思いましたの…あの時空中で演算出来た自分を褒めてあげたいですの」

一方通行「ほら、とりあえずコイツはオマエが連れてけ。俺はさっきの教師のトコに行って来る」

白井「大丈夫ですの?」

一方通行「気絶してるだけだ。あンまし気にすンな」

白井「では引き受けますの」

一方通行「あァ、しっかりと頼むぜェ」

白井「ではまたお会いしましょう」ヒュン

一方通行「俺も飛ばしてもらえば良かったな…まァイイ、階段で行くか」

一方通行「しかし…食蜂は一体ドコで能力を使用してンだ?」

一方通行「そンな遠くってワケじゃねェみてェだが…」

piriririririri

一方通行「ン…この番号は…」ピッ

一方通行「どォした?」
272 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:16:29.92 ID:3VQo5ue90
『どうした?じゃないわよ。あんたが調べろって言ったこと調べてやったのに』

一方通行「どォだった?悪いンだが手短に話してくれ、少しばかり時間が無くなってな」

『そ、んじゃ要点だけ言うわね』

一方通行「あァ。それで頼む」

『まずはあんたが一番気にしてた計画についてだけど…』

一方通行「…」

『それらしい話は出て来なかったわ。だけど』

一方通行「だけどォ?」

『常盤台のお偉いさんが以前、と言っても最近だけどね』

『能力者のレベルを一気に引き上げたいとかそんなこと言ったらしいわ』

一方通行「いつ頃の話だァ?」

『あー…フレンダ、ちょっとそれ貸して…えっとね…』

一方通行「…」

『なんか垣根が常盤台で演説やったらしいわね』

一方通行「あァ、最近の話だな」

『時期としてはそれくらい』

一方通行「…」

『それとね』

一方通行「?」
273 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:17:05.52 ID:3VQo5ue90
『最近になって常盤台の上層部は能力者のレベルを上げることに躍起になってるらしいわ』

一方通行「ほォ…」

『そのためにはレベル5すらも利用する。そんな事をほのめかす様な発言もあったみたいね』

一方通行「利用…」

『私はね一つだけ疑問なのよ』

一方通行「あァ?」

『どうやってレベル5を利用して他の能力者のレベルを上げるのよ』

『戦闘でもするの?それとも垣根みたいに演説をするの?』

一方通行「そりゃ…」

『私はね、レベル5を利用した能力進化ってね絶対能力進化しか思い浮かばないのよ』

一方通行「妹達のことか…」

『ええ』

一方通行「残念だがそれは無いな」

『はぁ?』

一方通行「俺が聴いた話はな、心理掌握を利用し、共感覚性を刺激し、それをレベルアップの架け橋にするって言う話だ」

『誰から聴いた話か知らないけどさ、それが本当だって確信はあるわけ?もし仮にクローン実験だったら?』

一方通行「…」

『あんたは論外、垣根も多分協力しない。第三位に至っては結果が見えてるようなもん』

『私も絶対嫌。よく分かんない第六位、第七位は候補にすらなってないんじゃない?』

『だけど精神的にまだ幼い第五位ならどう?なんだかんだ言いくるめられてDNAマップなんて提供したらそれこそ二の舞よ』

274 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:19:03.94 ID:3VQo5ue90
一方通行「仮に量産能力者が現実のもンになったとしたら俺が何をしてでも潰すだけだ」

『あっそ。まあそれはあんたが好きになさい。私が口出すようなことじゃないわ』

一方通行「まァ、そうするさ」

『一方通行、あんた少し軽率になったんじゃない?』

一方通行「かもな」

『はぁーあ。まあ頑張れば?』

一方通行「言われなくてもな」

『今日中にカタ付ける気で居るの?』

一方通行「そのつもりだ」

『そりゃそうか…』

一方通行「切るぞ。もう動きてェからな」

『あ、待って』

一方通行「は?」

『オイ』

一方通行「どォしてオマエが一緒に居るンだ」

『ひひっ、ミサカが何しようが勝手でしょ?』

一方通行「ンで?なンのようだ?」

『もしクローン実験だったら絶対に止めて。私が言えたようなもんじゃないけどさなーんか気分悪いのよねー。だから…』

一方通行「当然だ。じゃあな」プツッ

一方通行「ま、クローン関連じゃねェとは思うンだけどな」
275 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:19:36.12 ID:3VQo5ue90
病院・治療室


木山「そういえば垣根くん」

垣根「あー?」

木山「前に話してた御坂くんとかの話だけどね」

垣根「なんて話したっけか?少し不安定になってるっていう話をしたんだっけか?」

木山「ああ、そうだ」

垣根「それが?」

木山「原因とか分かったかい?」

垣根「それがさっぱりでよ」

木山「実は私は原因を知っているんだ」

垣根「は?」

木山「ズバリ思春期による精神の揺らぎが原因だ」

垣根「えー?」

木山「中学生というのは色々と不安定な時期でね。私が買った本、覚えているかい?」

垣根「確か思春期が能力に与える影響を記した本だったか?」

木山「ああ、その通りだ。それでその本を読んでいるとだな…」

木山「原因は思春期だな、と確信出来たわけだよ」

垣根「つまり…なんだ?…時間が解決するってことか?」

木山「うむ」

垣根「はーっ。なんだよそりゃ…」
276 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:20:16.01 ID:3VQo5ue90
垣根「ってことは何だ?常盤台の教師達はそれには気付かなかったのか?」

木山「それは私に聴かれても困る。もし気付いてたとしても別の狙いがあったのかもな」

垣根「んだよそれは」

木山「いや、だから私に聴かれても分からないんだけどな…」

垣根「はぁ…まあいい。とりあえず話を戻すが」

木山「ん?」

垣根「俺から言わせてもらうと思春期が?どう影響すんだっていう話だよ。俺の知ってる思春期っていうのは…」

木山「違う違う。君が考えているようなことじゃない。体の問題ではなく心の問題だ」

垣根「分からねぇって」

木山「あー…どう説明したものか…ん?」カタッ

垣根「あ?どうした?」

木山「ああ、これだこれだ」

垣根「思春期の精神、これを読めってか?」

木山「別にそういう訳ではない。簡単に言わせてもらうとだな…」

垣根「…」

木山「ドキドキするから演算にあまり集中出来ないということだよ」

垣根「くだらねぇ」

木山「あのくらいの年頃だと好きな子の事を考えると動悸しっぱなしなんだ。つまりはそういうことだよ」

垣根「冥土帰しは何してやがんだ?」

木山「そうか、認めたくないか。自分の予想と違っていたから」

垣根「…」
277 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:20:44.69 ID:3VQo5ue90
木山「にしても彼は遅いな」

垣根「…」

木山「脳波は大分安定して来ているからやるなら今のうちなんだが…」

垣根「用意があるって出て行ったきりだな」

木山「手術はしないと言った手前、大掛かりな道具も必要ないはずなんだがな」

垣根「大体俺は何をすりゃいいんだか…」

ガチャ

冥土帰し「遅くなってすまないね?」

垣根「全くだ。何してやがっ…た?」

「なんだよ」

木山「ああ、そうか。だから芳川桔梗の電話番号を聴いて来たのか」

冥土帰し「そうだね。どうしても関係者が必要だったからね?」

垣根「なんでよりによってこっちなんだよ」

冥土帰し「すぐに連絡が取れるほうが彼女だったんだよ。別にどちらでも構わなかったんだけどね?」

黒夜「どうでもいいけどさっさと始めようぜ。お医者さんよ」

冥土帰し「その前に黒夜海鳥。そこで寝ている彼女、知っているかね?」

黒夜「…知った顔だが名前は知らねぇぞ」

冥土帰し「これで完全に被験者という事が確定したわけだね」

木山「そろそろいいかな、時間も押していることだし」

冥土帰し「ああ、そうだね?じゃあ頼むよ二人とも」

垣根「だから俺は何すれば…」

冥土帰し「君は僕の指示に従ってもらうよ。黒夜は僕の質問に答えてくれ」

黒夜「はいはい」
278 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:21:12.95 ID:3VQo5ue90
常盤台・教室


「そうですか…そんなことが…」

一方通行「知らなかったのか?」

「恥ずかしながら」

一方通行「…そォか」

「やたらとレベル5を気にするような動きがあったのは知っていましたが…まさかレベル5を利用するという話になっていようとは…」

一方通行「それと食蜂だがなァ」

「はい」

一方通行「既に実験的な段階だが話にあった能力の使い方を始めてるみてェだ」

「えっと…それはどこから…」

一方通行「今日あった暴走事件。両方とも不自然な程に原因が分からなねェ…だが」

一方通行「昼間に俺が演算を止めた方は何かしらの別の力が働いてるよォに見て取れた」

「そうですか…」

一方通行「そこで一つだけ分かンねェことがあンだけどよォ」

「なんでしょうか…?」

一方通行「食蜂は一体ドコで能力を使ってンのか、って事だ」

「それでしたら…」

一方通行「心当たりがあンのか?」

「ええ。あちらの校舎の屋上にドーム状の屋根が見えますか?あそこは天文台の一種なのですが…」

一方通行「…あァ、アレだな」

「そこだと思います」
279 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:21:38.67 ID:3VQo5ue90
一方通行「事件の現場からかなり離れているよォに見えるンだがよォ」

「彼女は能力使用の際にリモコンを使用する時があるのをご存知で?」

一方通行「イヤ、知らねェな」

「実はそのリモコンである程度、遠距離での能力の使用が出来るのです」

一方通行「なるほどなァ…まァ距離に関してはイイだろ。なんでその天文台だって思ったンだ?」

「昨晩より急に立ち入り禁止になりまして。生徒は愚か教員も出入り出来なくなりまして」

一方通行「昨晩か…」

「ええ。その状況も本日になっても変わらず入ることが出来ません」

一方通行「そこにはどォやって行けばイイ?」

「途中までご案内いたします。そこまでは少し入り組んでますので」

一方通行「そォか、ンじゃさっさと案内しろ」

「その前に職員室に寄ります」

一方通行「?」

「あの校舎に入るには別途鍵が必要でして」

一方通行「人が入ってんなら開いてンじゃねェのか?」

「中から閉めれるんですよ」

一方通行「チッ…早いトコ行くぞ。時間が無ェかもしンねェ」
280 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:22:28.45 ID:3VQo5ue90
病院・治療室


垣根「…」

黒夜「ふぁ…あっ…んん…」

垣根「デケェあくびだな」

黒夜「うるせぇよ」

冥土帰し「垣根帝督、ちょっといいかな?」

垣根「あ?」

冥土帰し「能力使用時の演算についてなんだけどね…」

垣根「おう…」

木山「ふむ…」

黒夜「なあ、今何してんだ?」

木山「精神性を上書きするときに誤って演算に必要な部分も余計に上書きすると能力使用に支障が出てしまうんだ」

木山「上書きするとは言ったが完全にというわけじゃない。不自由が無いようにね。望んだ精神性じゃないにしろ今までそれで暮らして来たんだ。馴染んでるほうがいいだろ?」

黒夜「そっか。それでなんでチンピラに話聴いてんだ?」

木山「曲がりなりにも第二位。ここに居る誰よりもそういうのに詳しいはずだよ。冥土帰しはそこに目を付けたんだよ」

黒夜「なんだかんだすげぇのか?」

木山「私なんかよりはよっぽどね。…尊敬の眼差しで見るかい?」

黒夜「冗談。誰が」

木山「ふふっ。そうか」

281 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:23:02.72 ID:3VQo5ue90
冥土帰し「なるほど。そうすればいいんだね?」

垣根「ああ、何もそんな難しく考える必要はねぇ」

冥土帰し「そうか。ためになったよすまないね」

木山「そろそろですか?」

冥土帰し「ああ。始めよう。と、その前に」

黒夜「?」

冥土帰し「君は自分がどういう人物か分かるかい?」

黒夜「私は私だ。兄ちゃんの精神性があろうとそれは変わねぇよ」

冥土帰し「いい答えだ。君のお陰できちんと治療が出来そうだ」

黒夜「そりゃなにより」

冥土帰し「じゃあよろしく頼むね?木山くん」

木山「言われなくても」

垣根「…暗闇の五月計画か」

黒夜「どうかしたのか?」

垣根「いや、なんでもねぇよ」

282 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:23:34.23 ID:3VQo5ue90
常盤台・別校舎前


ガチャガチャ

「案の定、鍵が閉まってますね」

一方通行「ここに居る雰囲気が増してきたなァ」

「おそらく居るでしょうね」カチャ

一方通行「常盤台の上層部って言っても誰が居ンだ?」

「教務主任でしょうか?多分そうだと思います」

一方通行「教務主任…」

「今思うと能力のレベルについて躍起になってた所がありますね」

一方通行「…」

ガチャン

「開きました」

一方通行「ンじゃ行くとすっかな」

「はい」

一方通行「オマエはここで待ってろ」

「は?え?」

一方通行「なンかあってからじゃ遅ェ。もしもを考えると連れてくのは妥当じゃねェンだよ」

「そうですか、ではお願いします」

一方通行「あァ」
283 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:24:26.41 ID:3VQo5ue90
一方通行(上層部って言ってたから理事長とかそこら辺を想像してたが…教務主任だったか)

一方通行(この学校じゃ教務主任も一応上層部なのかァ?)

一方通行「ン…階段の途中にも施錠されてるドアか」バキッ

一方通行「あとで説明すりゃ壊しても大丈夫だよなァ?」

一方通行「…クローンの線は薄そうだな」

一方通行「…」

一方通行「天文台ってのはこの扉の先だな。ここにも…」ガチャ

一方通行「やっぱ鍵か。だが意味無ェンだよなァ」バキッ

ガチャ

一方通行「誰か居ンのかァ?」

食蜂「…一方通行?」

「ん?誰だ君は」

一方通行「オマエらだけみたいだな」

284 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:25:00.56 ID:3VQo5ue90
「一方通行…そうか。君が…」

一方通行「さて、食蜂を使って何しようとしたのか話してもらいてェンだが…」

一方通行「ペラペラと話してくれるとは思ってねェンだわ」カチッ

「いや、話すよ」

一方通行「あ?」

「君なら理解してくれると思うんだがね」

食蜂「先生…」

「君は黙って聴いてなさい」

一方通行「…」

「さて、何から話したものか…」

一方通行「どォして食蜂を利用しようと考えた」

「それは単純に御坂美琴では無理だったからだ」

一方通行「能力の問題か?」

「その通りだよ。レベルを上げるにはどうしても精神的な部分を刺激する必要がある。だから心理掌握を選んだ」

一方通行「食蜂、オマエはコイツが何をしようとしてンのか知ってンのか?」

食蜂「…」

一方通行「知ってるみてェだな」
285 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:26:08.12 ID:3VQo5ue90
一方通行「レベル5のオマエなら知ってると思うが超能力者ってのはそう簡単になれるもんじゃねェ。こんな馬鹿げた試みに協力しょうと思ったンだ?」

食蜂「私の能力の出力が下がって来てるのは知ってる?多分、知ってるよね…」

一方通行「あァ、派閥の連中からそンな話を聴いたことがある」

食蜂「レベル5として力が下がって来て、周りの反応を気にするなって言うのが無理なのよ」

一方通行「は?」

食蜂「自分の事は自分が一番分かってる。やっぱり自分の立場っていうのは大事にしたいの」

食蜂「そんな時に先生から話をもらったの」

食蜂「能力を持ち直すことが出来るって」

一方通行「なるほど、そういうことか…」

一方通行「あの教師が言ってた事はあながち間違ってはいねェってワケか」

「あの教師?」

一方通行「俺をここまで誘導してくれた教師だ。まァ、誰とは言わねェがな」

「そうか…身内漏れしたか…」

食蜂「…」

286 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:26:59.73 ID:3VQo5ue90
一方通行「俺から言わせてもらうとなァ」

「?」

一方通行「そンなやり方でレベルを上げてもなンにもなンねェぞ?」

「…」

一方通行「それこそ第三位を参考にした方がイイ」

「努力で…か」

一方通行「あァ」

「それじゃあ長点上機や霧ヶ丘に勝てないんだよ」

一方通行「大覇星祭の事か?」

「その通りだ。我が校はレベル5を二人も擁しているのに…それでも長点上機に勝てない!」

一方通行「…」

「手っ取り早く力を手に入れてそれを誇示するためにはどうしても時間が足りなかった」

一方通行「俺も…」

「?」

一方通行「手っ取り早く力を手に入れてェと思ってとある実験に手を出したことがある」

「レベル5の頂点である君が…?」

一方通行「結果として実験は失敗。俺はレベル5の証とも言える演算能力を失うハメになった」

「し、失敗して演算能力を??」

一方通行「他に色々とあったが大体そンな感じだ」

一方通行「ま、下手に楽しようとすっと取り返しが付かなくなるってことだわな」

287 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:27:28.67 ID:3VQo5ue90
「…」

一方通行「長点上機はレベル5よりも他の事に注目してたから常盤台を退けられたンじゃねェのか?」

一方通行「あそこは能力以外の何かが突出してりゃ高位能力者じゃなくてもやってけンだ」

一方通行「常盤台との差はそこなのかもしンねェな」

「常盤台と長点上機の差…か…」

一方通行「食蜂、戻ンぞ。ここに居ても無駄だ」

食蜂「…でも私は…」

一方通行「レベル5には変わりねェンだ。今まで通りの自分を演じてりゃそのうち元通りになる…ハズだ」ボソッ

食蜂「え?最後よく聴こえなかったんだけど…そう…かな…?」

一方通行「あァ。結局、普通にしてりゃイインだ」

食蜂「分かった。じゃあ戻るわ」

一方通行「そォだ…最後にいくつか聴きたいことがあンだけどイイか?」

「…ああ」

一方通行「泡浮と婚后とかってヤツの能力を暴走させたのは食蜂の能力で間違いねェか?」

「間違いない」

一方通行「なンでその二人を選ンだ?」

「泡浮万彬は偶然。婚后光子は第二位の演説を聴いたから選んだ」

一方通行「垣根の演説?」

「以前に演説をしてくれた時に婚后光子に対してレベル5近いと聴いたから、それで選んだ」

一方通行「垣根の演説…そォか…」

288 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:27:57.61 ID:3VQo5ue90
「他に何かあるのかな?」

一方通行「あァ、まだある。同棲を企てたのはオマエか?」

「そうだな。一応私が立案した」

一方通行「どォしてだ」

「食蜂操祈を動かしやすくするためだ」

一方通行「はァ?」

「私は第二位の演説を聴いた頃より今日の計画を考えていた」

「なぜ食蜂操祈の能力が不安定になっているのか分かるか?」

一方通行「それを解決しろって話だったンだがな」

「実は原因はとっくに分かっていた。原因は思春期によるココロの揺らぎだ」

一方通行「まさか些細な心境の変化が原因だって言うのか」

「そうだ。男性との同棲を実行し精神上不安定にし能力低下の危機感を覚えさせこの実験に協力させる…これが大まかな流れだ」

一方通行「へェ…ン?だったら第三位も同棲の対象にしたのは何でだ?」

「それはただのカモフラージュだ。第五位だけだと怪しいと思ってな」

一方通行「俺と垣根を選ンだ理由は?」

「常盤台に出入りしている男性が候補だった。上位能力者という事もあり名目として不自然では無い人材、それが君と第二位だった」

一方通行「はァ…」
289 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:28:27.97 ID:3VQo5ue90
「もういいかな?」

一方通行「あァ。これで全部だ」

「そうか。では私は…」

一方通行「最後に言っとくが、能力向上を促したいなら努力させることから始めンだな」

一方通行「俺や垣根じゃなく御坂美琴に演説でもしてもらえ。ンでオマエは学校に戻ったらカリキュラムの見直しをしろ。このまま逃げンじゃねェぞ」

「…分かった。そうしよう。約束する」

一方通行「もォ同棲の必要は無ェな?」

「ああ。色々と済まなかった。さっきの君の言葉、大事にするよ」

一方通行「っつうワケだ食蜂。これで晴れてお別れだ」

食蜂「えっ?」

一方通行「え?」

食蜂「だって私の能力については何も解決してないんだけどぉ」

一方通行「オマエの件は時間が解決する。どうにもなンねェココロの問題だからな」

食蜂「えー」

一方通行「ま、なンかあったら連絡でもしてこい。じゃあな」カチャ

食蜂「あーあーあー行っちゃったわ」

「食蜂操祈」

食蜂「はい?」

「済まなかった。君を利用するような形になって」

食蜂「いや、いいんです。私にも未熟な部分があった…のかもしれないし」

「そうか、そう言ってくれると助かるよ。じゃあ君も早く戻りたまえよ?今日からいつも通りの生活だ、また明日、学校で会おう」カチャ

食蜂「はぁーあ。そっかそっか、思春期ね。うん、私もまだまだねぇ」

290 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:29:23.56 ID:3VQo5ue90
同時刻・病院にて



垣根「あーもう夕方かー」

木山「今日は日が暮れるのが早いな」

黒夜「今の時期珍しいな」

冥土帰し「そうだね?」

垣根「…」

木山「?」

冥土帰し「どうしたんだね?」

垣根「もう帰っていいか?」

冥土帰し「ん?そうだね、治療も終わったし帰っても大丈夫だね?」

垣根「何で俺呼ばれたんだ」

冥土帰し「色々と質問すると言ったじゃないか」

垣根「最初の一つだけだったがな!」

黒夜「まぁそう怒るなって」

木山「実際垣根くんよりは彼女の方が役に立ってたな」

垣根「そうか!じゃあな!」バタン

木山「後日、容態を見にくるんだぞ」

冥土帰し「おや、帰ってしまったね?」

木山「彼も思春期だったのかな?」

黒夜「それは無いんじゃねぇか?」
291 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:29:50.59 ID:3VQo5ue90
常盤台・同棲施設



垣根「なんかいいようにこき使われたような…いや、深くは考えないようにしようむなしくなるだけだ」

ガチャ

垣根「ったく…」

ビリリッ!

垣根「!」バサッ

バシュッ!

垣根「何だ?第三位か?」

御坂「やっぱりガードされちゃうんだ」

垣根「なんのつもりだ。寝首をかくにしてもタイミングが違うんじゃねぇのか?」

御坂「よくも弄んでくれたわね」

垣根「なんの…あれ?お前メガネはどうした」

御坂「メガネのカラクリ、分かったわ。随分と都合いいようにこき使ってくれたもんだわ」

垣根「いや、それはお前が勝手に…」

御坂「言い訳無用!」ビリッ

垣根「…」

御坂「おかしいとは思ってたのよ。いや、実際は何も分からなかったんだけど」

垣根「なに言ってんだ」

御坂「うるさい!」

292 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:30:19.30 ID:3VQo5ue90
御坂「あんたにはね!パ、パ、パンツ見られてんのよ!」

垣根「…」

御坂「許さないわ!そして今までの恨み!ここで倒れて償いなさい!」

ビリリッ!

垣根「甘いな」ヒョイ

御坂「だから!なんで!避けられるのよ!」

垣根「俺は倒れない。代わりにお前が跪いて俺に詫びろ」スッ

御坂「そのレコーダーは…!」

垣根「お前の嬉し恥ずかし秘蔵ボイス入りレコーダーだ。食らえ」カチッ

御坂「ふっ」

垣根「あれ?」

御坂「そのレコーダーって一応電化製品よね?」

垣根「…ん?電話だ。じゃあな」ガチャ

御坂「あっ!こら!」

ヒュン

御坂「うわっ!びっくりした!」

白井「お姉さま、大事なお話がありますの」

御坂「な、何よ」

白井「同棲は本日を持って終了ですのですのでこれからはまた寮生活の日々ですの」

御坂「え?あ、そう?」

白井「お姉さまが殿方と暮らすと聴いて苦悩すること数日!ついにその苦悩より救われる日がやってまいりましたの!」

白井「さ、さ、お姉さま!黒子と一緒に寮にお戻りになってくださいまし!」グイグイ

御坂「ちょっと!ちょっと!あんま引っ張んないで!コラ!どこ触ってんのよ!」

293 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/06(水) 20:30:46.29 ID:3VQo5ue90
『さあ!お姉さま!』

『分かった!分かったから!』

垣根「元気な奴らだ。ていうか話聴く限り同棲は終了か、やっと開放される…」

垣根「一方通行のトコの施設の電気が消えたまんまなのはそういうことだったのか」

垣根「さて、俺も帰るか…」

piriririririri

垣根「ん、本当に電話がかかってきやがった。誰だ?心理定規か?」

垣根「もしもし?」

『垣根帝督』

垣根「その声は…結標か」

『お願いがあるの』

垣根「なんだ」

『2ndシングルのPVに出演してちょうだい』

垣根「いいぜ」

『話が早くて助かるわ。じゃあ後日連絡するわね』プツッ

垣根「おう。え?2ndシングル?…切れてやがる…」

垣根「そういやあいつアイドルになったんだっけか…そうか…2ndシングルか…」

垣根「…ま、いいか今度考えるか。とりあえず心理定規の所にでも行くか、テレビでしか顔見てなかったからな」

垣根「PVか…一度そういうのに出てみたかったんだよな…」

垣根「あ、レンタルしたDVD置いたまんまだっけか。しゃあない、取りに戻るか…」

...................................................
...........................................
..................................
..........................
....................
.............
.......
....
..
.

299 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:50:32.61 ID:bGVTxuPv0
翌日・黄泉川宅にて


番外個体「ふぁ…」ガチャ

芳川「あら、番外個体。おはよう」

番外個体「ん…あの人は?」

芳川「一方通行ならまだ寝てるわよ」

番外個体「昨日急に帰って来たと思ったらこれだもんなぁ…」

芳川「あら、構って欲しかった?」

番外個体「な、なに言ってるの!」

芳川「ふふっ。まあ冗談はさておき、余程疲れる事があったみたいね」

番外個体「疲れる事…」

芳川「あら。心当たりでもあるの?」

番外個体「少しね」

芳川「なら後で話でも聴いてねぎらってあげなさいな。彼のためにもなるはずよ」

番外個体「そういうのって奥さんの役目じゃないのかな?」

芳川「その奥さんが今居ないんじゃないの」ピッ

『…さて、次は話題のアイドルについての情報です』

番外個体「アイドル・あわきん…ねぇ?」
300 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:51:01.73 ID:bGVTxuPv0
芳川「私も驚いたわよ。いきなり電話がかかってきてアイドルになってくる、ですもの」

番外個体「年齢的にはなんら問題無いんだろうけど私には既婚者のイメージがあるからなぁ」

芳川「外でそういう事言わないのよ?」

番外個体「既婚者って事?」

芳川「そうよ。もし周りに広まったら最後、人気の低迷はもとより一方通行もニュースのネタになっちゃうわ」

番外個体「へぇーあの人がネタになるのかぁ」

芳川「下手すればあなたや打ち止めの事だって表沙汰になるのよ?」

番外個体「うっ、それは困るな…あ、そう言えば上位個体は?」

芳川「ベランダから下をご覧なさいな」

番外個体「ベランダから?」カラカラ

番外個体「えーっと…ありゃ?他のミサカ?」

芳川「10032号。なんかお願いがあって来たみたいよ?」

番外個体「お願い?」

芳川「ええ」
301 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:51:56.65 ID:bGVTxuPv0
マンション・入口先にて


打ち止め「ええー!?ってミサカはミサカは驚きを隠せずに仰天してみる!」

10032号「ですから、サインを頂いて欲しいのです。1000枚ほど、とミサカ10032号は復唱します」

打ち止め「さすがに1000枚は多いんじゃないかなぁ…ムスジメ疲れちゃうよ、ってミサカはミサカはむすじめの身体の心配をしつつどうにか断れないか考えてみる…」

10032号「当初は2000枚ほどだったのですがさすがにマズいだろうと言うことで1000枚になりました。これでも譲歩した結果です、とミサカ10032号は上位個体に言い聞かせます」

打ち止め「うーん…」

10032号「カナミンファンの他のミサカが新OPを聴いた結果です。せっかく身内とも言える場所に本人が居るのだからサインを…という安直な思考の結果です」

打ち止め「貰えるには貰えると思うんだけどやっぱり1000枚は…」

10032号「やはり多いでしょうか?」

打ち止め「うん…」

10032号「了解しました。とミサカ10032号は他のミサカの役にたてなかったと酷く落胆しながら帰路に着きます…」ショボン

打ち止め「う…でもでも!一応聴いてみないことには分からないかも!」

10032号「そうですか。ではお願いします」

打ち止め「う、うん」

10032号「ではまた後日来ます。それでは」

打ち止め「…とりあえずあの人に相談してみよう。ってミサカはミサカは引き受けたことを若干後悔しながら家に帰ってみたり」

302 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:52:23.82 ID:bGVTxuPv0
黒夜「おーっす」

芳川「おはよう」

番外個体「キヌハタは?」

黒夜「なんか調子悪いって。もう少し寝るみたいだぜ」

番外個体「ふぅん」

芳川「疲れが出て来たんじゃない?ほら、あなた達結構出掛けるじゃない」

黒夜「そうかもな」

芳川「そう言えば一方通行、帰って来てるわよ」

黒夜「お、マジか」

番外個体「あれ?知らなかったの?」

黒夜「昨日は絹旗と一緒に遅くに帰って来たからな。そう言えば麦野達と一緒だったんだって?」

番外個体「買い物のついでに会ってね。ちょっと話し込んでただけだよ」

黒夜「へぇ、そうなのか」

芳川「とりあえず今居る私達だけででも朝ご飯食べましょ」

黒夜「打ち止めは?」

芳川「そろそろ戻って来るんじゃない?」

ガチャ

「ただいまー!」

芳川「ほら」

303 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:52:58.57 ID:bGVTxuPv0
旧スクール・アジトにて



『今夜放送予定の音楽番組ではあの噂のアイドル、あわきんの出演が話題となっています…』

『今流れている映像は来週発売予定のシングル第一弾"only my movepoint"の公式PVです』

『この楽曲は子供、大人問わずに人気のアニメ、機動少女カナミンの新OPテーマとして採用され話題を集めています』

『なお、話題になっているのはOPテーマだけではありません』

『PVには多数の出演者が居ますがその中でも学園都市の第四位が出演しているということで注目を浴びています』

垣根「第四位が出演…?」

『今映像に写っています髪の長い女性が第四位との情報が出ています』

『こういった学園都市の高位能力者が映像作品に出演するという事はかなり稀であり、そういったことからでも話題を集めているという事になっているそうです』

『さて肝心のPVの内容ですが公式からFAXが届いています』

『このPVのストーリーは遠く離れていく友人を取り戻すためお互いに熾烈な戦闘を繰り広げていくというものとなっています』

『全貌をお伝えすることは出来ませんが初回盤のCDでPVディスクが付属するとのことなのでチェックの必要がありそうです』

『なお、同音楽番組では司会交代ということで今夜から新しい司会に変わるということでも話題となっています。』

『さて、次のニュースです。一昨日から本日にかけ、学園都市では急に倒れる人が続出しております…詳しい原因は…』プツッ

垣根「第四位どころかアイテム総出演じゃねぇか…しかも浜面まで」

垣根「確か今夜の音楽番組に出演するとか言ってたな。見てみるか」

垣根「…なんで居ないんだ…心理定規…」

垣根「…新しく借りてきたカナミンでも見るか」

垣根「いや、一方通行のトコにでも行くか?」

304 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:53:34.86 ID:bGVTxuPv0
第七学区内・芸能プロダクション・分所にて



海原「準備出来ましたか?」

結標「ええ」

土御門「今日の音楽番組の出演が終わればとりあえず落ち着く」

海原「本日はこれからスタジオ入りして入念なリハーサルをします。大変かと思いますがよろしくお願いします」

結標「分かってるわよ。先に車に行ってるわね」

海原「はい」

土御門「なあ海原よ」

海原「どうしました?」

土御門「俺達はいつまでマネージャーをやるんだろうな」

海原「さあ?ですが自分はこの職には不満はありませんよ?」

土御門「俺は…俺はなぁ…」

海原「一体どうしました?」

土御門「出席日数がどうも…」

海原「そういえば学生の身分でしたね。やはりキツイものがありましたか?」

土御門「少しだけな」

海原「自分に任せてくれてもよろしいのですよ?」

土御門「いや、せっかくだから俺もやるよ。なに、出席日数なんてどうにでもなる」

海原「そうですか。では自分達も行きましょう」

土御門「ああ」
305 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:54:01.91 ID:bGVTxuPv0
ガラッ


結標「うん、お願いね」

海原「おや、電話中でしたか」

結標「もう終わるわ。…海原よ海原、じゃあまた今度、じゃあね」プツッ

土御門「海原を知ってる奴か?」

結標「麦野よ麦野」

土御門「麦野?なんでまた」

結標「なんでって…麦野も次のPVの出演者だからよ」

海原「おや、また麦野さん達を採用するのですか?」

結標「今回は麦野だけよ。ちなみ出演予定者はあと三人よ」

土御門「あと三人?」

海原「一方通行さんに麦野さん。結標さんも会わせて六人で出るのですか?」

結標「一方通行と垣根と麦野よ。それに私を入れなくてあと三人ね」

土御門「いつのまに垣根に連絡を…」

結標「昨日の夜よ。ほら、あなた達がジャケットについて話し合ってた時」

土御門「そうか。あの時か…」

海原「土御門さん。そろそろ」

土御門「ん…つい話し込んでしまったな。待たせてすまなかったな、もう行っていいぞ」

海原「場所は指定したテレビ局です。よろしくお願いしますドライバーさん」
306 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:54:29.74 ID:bGVTxuPv0
黄泉川宅


打ち止め「ごちそうさまでしたーってミサカはミサカは元気よくっ!」

芳川「はい。お粗末さま」

黒夜「温めるだけの簡単な仕事だったな」

番外個体「ね」

芳川「ちょっと、聴こえてるわよ」

ガチャ

番外個体「ん?」

打ち止め「あ!起きた起きたー!」

一方通行「お…おォ」

芳川「おはよう一方通行。なにか?」

一方通行「コーヒー、入れてくれ」

芳川「はいはい」

番外個体「よーっす。久しぶりじゃないの?」

一方通行「昨日電話で話したろォが」

番外個体「はぁーあ。つっまんないの」

一方通行「ふン。あ?絹旗はどォした?」

黒夜「黄泉川の事は気になんねぇのか?」

一方通行「どォせ仕事だろォが。ンで?絹旗は?」

黒夜「なんか調子悪いってさ。少し寝てるって」

一方通行「風邪かァ?」

黒夜「知らね」
307 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:54:56.31 ID:bGVTxuPv0
芳川「お待ちどおさま」コトッ

一方通行「随分と早いな」

芳川「さっきまで私も飲んでたから」

一方通行「そォか」

打ち止め「ねえねえーお願いがあるんだけどーってミサカはミサカはおねだりタイム!」

一方通行「お願いだとォ?」

打ち止め「うん!」

一方通行「…言ってみろォ」ズズッ

打ち止め「ムスジメのサインが欲しいの!」

一方通行「淡希のサイン?一緒に住んでンのに必要なのかァ?」

打ち止め「私じゃなくて他のミサカ!」

一方通行「妹達か…」

打ち止め「うん!うん!」

一方通行「それで?何枚だ?10枚か?20枚か?」ズズッ

打ち止め「1000枚!」

一方通行「!?…ゴホッ!…ゴホッ!」

打ち止め「わわわっ!大丈夫?ヨシカワ、タオルー!ってミサカはミサカは急いで呼びかける」

芳川「あらあら」

番外個体「あはは、きったなーい」
308 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:55:23.64 ID:bGVTxuPv0
一方通行「…ハァ……ちょっと多いンじゃねェのか…?」

打ち止め「最初は2000枚ぐらいだって10032号が…」

一方通行「…」

黒夜「に、2000枚…」

番外個体「カナミンのOPで色々と話題になってたからねー」

打ち止め「で…どう?やっぱり1000枚なんて無理?」

一方通行「…イヤ、一応聴いてみる」

打ち止め「ホントに!?ありがとう!」

一方通行「でもOKが出るとは限ンねェからな」

打ち止め「うん!分かってる!ってミサカはミサカは期待値大!」

一方通行「ったく…」

番外個体「そういえばさ第一位。昨日の、どうだった?」

一方通行「あァ。俺が聴いたとォりだったよ」

番外個体「そっか。じゃあ違ったんだ」

一方通行「あァ、ちゃんと平和的に解決してきたからこれからどォにかなることは無いだろォな」

番外個体「うん…よかった」
309 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:55:51.69 ID:bGVTxuPv0
黄泉川宅・寝室外側


バサッ

垣根「さて、、一方通行の部屋はどっちだったかな…確かこっちだったかな」バサッ

垣根「鍵は…お、開いてるじゃねぇか」

カラカラ

垣根「窓からお邪魔するぜ一方通行」スタッ

垣根「ふん。まだ寝てやがるのか、相変わらず遅起きな野郎だな」

垣根「しかし今日は結構暑いのに布団を頭まで被ってやがる…まあいい、その布団剥いでやる」ガシッ

垣根「ん?」

垣根「よく見ると辺り一面に女物の下着が散乱してやがるな。どうせ結標のだろうな」

垣根「こういうのはきちんとまとめておかねぇとな」ヒョイヒョイ

垣根「適当にそこら辺に置いといていいか…ん、これは縞パン…案外ガキっぽい趣味してんだな結標も」

垣根「よし…っと。じゃあお目覚めの時間だぜ?一方通行」ガシ

垣根「おはよーございまーす!」バッ

「ん…ん?」

垣根「あれ?」

絹旗「え?え?なんで?」

垣根「いや、俺がなんで…てかなんでお前裸で…」

絹旗「きゃああああああああああああ!」

310 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:56:21.35 ID:bGVTxuPv0
『きゃああああああああああああ!』

一方通行「!」

黒夜「絹旗の部屋からか?」

番外個体「なになに」

一方通行「番外個体、付いて来い」カチッ

番外個体「りょーかい」

芳川「打ち止め、念のためこっちに来てなさい」

打ち止め「うん」

黒夜「私は…」

一方通行「オマエはそこで待機してろ。何があっか分からねェからな」

黒夜「オッケー」

一方通行「行くぞォ」

番外個体「準備おっけー」

ガチャ

一方通行「窓から入ってくるたァイイ度胸してるじゃねェか!ドンパチなら俺が相手してやるぜ…ェ?」

番外個体「うっわ…」

垣根「一方…通行…」
311 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:56:48.68 ID:bGVTxuPv0
一方通行「オマエ…心理定規が居ながら…」

番外個体「第二位って具合悪くて寝込んでるとこを裸にひん剥いて襲う趣味なんだ…」

垣根「説明どうもありがとう。だけど違うからね。俺は一方通行を尋ねて部屋に入った、しかしそこはコイツの部屋だった。いいか?」

絹旗「い、いいから布団超返してください!」バッ

垣根「え?あ、ああ」

一方通行「さて、なにから聴いたもンかねェ」

番外個体「まずは…」チラッ

垣根「あ?」

番外個体「どうして窓から入って来たの?」

垣根「どうしてってなぁ…ま、気分だわな」

番外個体「はぁ?」

一方通行「オマエはなンで素っ裸なンだ?」

絹旗「いや…暑くて超寝苦しかったので…それで無意識の内に脱いでたみたいで…」

一方通行「はァ…まァイイ。具合悪ィンなら適当にシャワー浴びて汗流してからもォ一回寝てろ」

絹旗「はい…あれ?一方通行いつ帰って来たんです?」

一方通行「昨日の夜だ」

絹旗「そうですか」

一方通行「ほら、出るぞお前ら」

垣根「ったく」

番外個体「なんであんたがキレてるわけ…」
312 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:57:14.59 ID:bGVTxuPv0
ガチャ


芳川「あら、あなたいつ来たの?」

垣根「今だ」

一方通行「俺の部屋と間違えて絹旗の部屋に入ったみてェだ」

芳川「あらあら」

垣根「ま、過ぎたことだ。気にすんな」

黒夜「案外確信犯かしんねぇぞ」

垣根「何言ってやがる。揃って同じような体型してやがるくせに」

垣根「お前らなんか大金積まれても襲わねぇよ」

黒夜「ンだとぉ?」

垣根「ははっ」

一方通行「ンで?」

垣根「は?」

一方通行「窓から入った理由。あンだろ?ちゃンとした理由が」

垣根「…分かんのか」

一方通行「意味が分からなかったからな」

番外個体「なに、ちゃんとした理由があるの?」

垣根「まあな」

一方通行「どォしてだ?」

垣根「下に削板が居た」
313 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:57:46.21 ID:bGVTxuPv0
数分前・マンション入り口にて



垣根「暑ぃなぁ…昼前からこんなに暑いとはよぉ…参るぜ、ホント」

「…」キョロキョロ

垣根「ん?あいつは…」

削板「…」キョロキョロ

垣根「第七位…!なにしてんだ?こんな所で…」

削板「んー」キョロキョロ

垣根「なんか探し物でもしてんのか?ご苦労なこった」

削板「ん?」

垣根「あ」

削板「おーい!」タッタッ

垣根「げっ、こっち来た…」

削板「よう!奇遇だな!」

垣根「偶然だ」

削板「実は困っているんだ」

垣根「奇遇だな。俺も今困っている」

削板「ん?偶然じゃないのか?」

垣根「コイツ…!」

314 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:58:13.85 ID:bGVTxuPv0
削板「実はこの子を探してるんだが…」ピラッ

垣根「写真?どれ…」

削板「黒髪の可愛い子だろ!」

垣根(涙子ちゃんじゃねぇか)

垣根「コイツがどうかしたのか?」

削板「実は以前に自販機でジュースを買おうとしたらお札を全部自販機に飲まれてな」

垣根「ああ」

削板「有り金が無くなって落胆してたらこの子が通りかかってくれてな…」

垣根「ああ」

削板「俺にお金を貸してくれたんだ」

垣根「ああ」

削板「それでお金を返そうと思って探してたんだが…見つからなくてな」

垣根「そうか。じゃあな」

削板「まあ待て」グイッ

垣根「ぐっ…やっぱり」

削板「探すのを手伝ってくれ」

315 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:58:39.25 ID:bGVTxuPv0
垣根「待てよ俺にも用事はあるんだ。また明日な」

削板「ダメだ!金銭のことは早いうちに解決したほうがいい!」

垣根「分かった分かった!じゃあ後でだ後で!」

削板「今すぐだ」

垣根「仕方ない」

削板「おお!分かってくれたか!さすがに第二位ともなると根性の入り方が違うな!」

垣根「俺が後でって言ったら後でなんだよ」ゴバッ

削板「ああああああぁぁぁぁぁぁ…」

垣根「吹っ飛んだか…」

削板「痛てて…」

垣根「あ?大して効いてねぇな…」

削板「組み手なら前もって言ってくれないと困るだろ!」ドンッ

垣根「うわっ!こっち来た!」

削板「うおお!」

垣根「てか速ぇ!なんだあれ!」

削板「すごいパ…」

垣根「うわあああああああ!」ズボボッ

削板「あがががっ!なんだ!?動けないぞ!」

垣根「アスファルトに首まで埋めればとりあえず動けないだろ…」

削板「確かに…動けない…」グイグイ

垣根「とりあえず後で話聴いてやるから大人しく待ってろ」バサッ

316 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:59:06.93 ID:bGVTxuPv0
垣根「という訳だ」

一方通行「…番外個体」

番外個体「うん」タッ

垣根「?」

一方通行「どォだ?」

番外個体「うん…見えるよ…首…。あれが削板って人じゃないかな」

垣根「な、居たろ?」

一方通行「みてェだな」

垣根「とりあえず削板の所に行こうぜ。この炎天下の中にアスファルトの中埋めたまんまだと流石にあいつも死ぬだろ」

一方通行「じゃあ埋めンなよ…」

垣根「そうしなきゃ俺が危なかった」

一方通行「ハァ…つゥワケだ芳川。出掛けてくる」

芳川「行ってらっしゃい」

打ち止め「今日はちゃんと帰って来る?」

一方通行「あァ」

黒夜「待った」

一方通行「ン?」

黒夜「ついでにビニールのイルカ買って来てくれ」

一方通行「イルカ?」

黒夜「私が前持ってたやつ」

一方通行「…あァ、アレか。分かった探して買って来てやる」

黒夜「頼んだぜ」

317 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 20:59:34.86 ID:bGVTxuPv0
マンション入り口


削板「暑い…しかも力が入らない…」

ザッザッ

削板「ん?後ろからか?」グッグッ

削板「しまった…後ろを向くことが出来ない…」

一方通行「見事に埋まってやがるなァ」

垣根「だから言ったろ?」

一方通行「ったく…」

削板「その声は!垣根と一方通行だな!」

一方通行「後ろ向きの状態で話されてもなァ」

垣根「多分動けないんだろ」

削板「実はそうなんだ」

垣根「一方通行」

一方通行「ハァ…」カチッ

削板「お?」

一方通行「ジッとしてろよォ?」ガシッ

削板「お、おう」

バキキッ!メキメキメキ!

削板「出れた!出れたぞ!」

318 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 21:00:00.70 ID:bGVTxuPv0
一方通行「ンで、オマエは誰を探してンだっけかァ?」

削板「ん?垣根から話を聴いたのか?この子だ」ピラッ

一方通行「あァ?コイツは佐天じゃねェか」

削板「なんだ?知ってるのか?」

一方通行「知ってる」

削板「垣根は知らなさそうだったがなー」

一方通行「…」チラッ

垣根「俺は知ってるとも知らないとも言ってねぇぞ」

削板「そういえばそうか!はっはっはっは!」

一方通行「大体話は聴いたからオマエが何したいのかは分かる。分かるが」

削板「分かるが?」

一方通行「コイツは今学校に行ってるはずだ」

削板「そういえば柵川中の制服を着てるもんな!」

一方通行「一つだけ聴いていいか?」

削板「なんだ?」

一方通行「その写真はどこで手に入れたンだ?」

削板「名前を聴いても覚えられそうになかったから断ってから写真を撮ったんだ」

一方通行「色々と不器用だなァ」

削板「?」

319 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 21:00:38.96 ID:bGVTxuPv0
削板「まあいいさ!学校も分かったし一方通行の知り合いときたもんだ!直接中学校に行こう!」

垣根「待て待て待て。何考えてるんだ」

削板「何って…お金を返すことだ!」ボカッ

垣根「痛っ!」

削板「借りた物は返す!当然だ!」

垣根「…」

削板「根性無しではやっていけないぞ!」

垣根「俺が言いたいことはそういう事じゃねぇ!」

削板「じゃあなんだ!」

垣根「いいか、俺達みてぇな風貌の連中が中学校なんかに行ったらどうなる」

垣根「ただでさえ怪しい格好なんだぜ?」

垣根「今時中学校に乗り込むことなんざ正解じゃねぇんだよ!」

削板「なんだ。そんなことか」

垣根「あ?」

削板「格好が問題なんだろ?俺に任せろ!」

垣根「…」

一方通行「諦めて従え。もう無駄だ」

垣根「あ、ああ…」
320 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/08(金) 21:01:06.84 ID:bGVTxuPv0

冥土返しの病院にて



垣根「…」

一方通行「…」

10032号「よくお似合いですよ、とミサカ10032号はお世辞を言いますます」

削板「いい感じだ」

一方通行「なんでオマエと妹達が知り合いなンだ?」

10032号「以前に学園都市に侵入者が現れ、ミサカ達が倒れてるときに現れたのが彼なのです」

垣根「侵入者?」

削板「原石の安全確保のために学園都市に来た奴だ。結果として俺は負けたんだが…」

一方通行「そンな事が…」

削板「お陰で根性を入れ替えることが出来たがな!」

垣根「…まあいい。オマエがこのミサカちゃんに頼んでこの服を用意させたのは分かる」

削板「俺達三人でお揃いだ!」

一方通行「黒スーツ、黒ネクタイ」

削板「ほら、あとコレもだ!」スッ

垣根「グラサン…!」

削板「これなら怪しまれないだろ!」

一方通行「…」チャッ

垣根「グラサン似合わねぇな」

一方通行「…」

垣根「俺はもう諦めた。この服装で行くならこれで行く…」

削板「よし!じゃあ行くぞ!」グイッ

一方通行「あ?」

垣根「おい、引っ張るんじゃ…」

削板「うおお!」ドンッ

10032号「お気をつけて、とミサカ10032号はハンカチを振り三人を見送ります」 
326 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:21:01.90 ID:vf0uB5PM0
柵川中・校門前にて


垣根「…」カラカラ

一方通行「オイ」

垣根「なんだ」

一方通行「その金属バットはドコから持ってきた」

垣根「ここに立て掛けてあった。多分野球部の備品だろ。ついでに持って行ってやろうと思ってな」

一方通行「…肩に担ぐのはやめろ。殴りこみみてェだぞ」

垣根「そうか?」カンッ

一方通行「片手で持ってても危ねェな」

削板「ここのドコに居るんだ?」

一方通行「ていうかよォ」

垣根「あ?」

一方通行「ここの風紀委員の支部にそれなりに足踏み入れてたから別にさっきの格好でも良かったンじゃねェか?」

垣根「いつもは放課後だったからだろ?今は絶賛授業しててもおかしくねぇ時間帯だ」

一方通行「単純に放課後まで待ってれば良かったかもなァ」

削板「せっかく来たんだから行くぞ!」

垣根「まずは入校許可証からだな」

一方通行「入り口は…っとォ」

削板「あそこじゃないか?」
327 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:21:44.40 ID:vf0uB5PM0
柵川中・一室にて


先生「…じゃあこの箱を開けたときに猫はどうなってるか…分かるか?佐天」

佐天「は、はい!えっと…死んでたり死んでなかったりします…」

先生「どうかな!はいドーン!!」

「う、うわっ!ヤクザだ!」

先生「そう!ヤクザ!…ん?」

佐天「え?ヤクザ?」

先生「おい、どうした?一体」

「あの校門のトコに!」

「わっ…ホントだ…黒スーツにサングラスの…」

「あれバットじゃない?」

佐天「…ねえ、どう思う?初春」

初春「どうって…ここは警備員や風紀委員の方に任せてですね…」

佐天「じゃあ初春の出番じゃん!」グイグイ

初春「ま、待ってください!どうしてこういう時だけ…」

佐天「先生ー。初春の付き添いで風紀委員に行って来まーす」

先生「え?あ、ああ。気をつけてな…」

佐天「はーい。ほら、行くよ初春」

初春「ええー…」
328 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:22:13.27 ID:vf0uB5PM0
初春「第一、佐天さん。仮に本当のヤクザだったりしたら結構危険なんですよ?」

佐天「でもさー、面白そうじゃん?ヤクザ相手に風紀委員が戦う!こんなことって滅多に無いよ!」

初春「はぁ…確かにそうですけど…」

佐天「現にこうして初春は連れてってくれてるんだしさ!」

初春「それは佐天さんが言っても聴かないからで…」

佐天「遠くから見る分には大丈夫でしょ?いざとなったら他の風紀委員の人が駆けつけてくれるでしょ?」

初春「まあ白井さんや固法先輩も居ますし…大丈夫とは思いますけど…」

佐天「でしょでしょ?幸いにもこの学校にはちゃんとした能力持ってる風紀委員の人が居ることだしさ!」

初春「簡単に事が済んでくれるといいんんですけどね」

佐天「大丈夫だって!いざとなったら御坂さんが飛んで来てくれるって!」

初春「とりあえず校内の安全確保のためにも急ぎましょう」

佐天「それもそうだね。じゃあほら!走った走った!」タッ

初春「速いですよ佐天さん!」

佐天「ほら、急がないと!」

初春「まったく…」
329 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:22:46.28 ID:vf0uB5PM0
校庭


垣根「なんか教室中から注目浴びてる気がすんな」

一方通行「気のせいじゃねェよ」

削板「何かしたのか?」

垣根「オマエはアホなのか?それともズレてるのか?」

削板「俺はスーツなら問題無いと思ったんだが…」

垣根「グラサンは?」

削板「一方通行の眼を隠すのにいいかと思って」

垣根「…」ス

削板「外すのか?」

垣根「あー…いや、日差しが強いから付けとくか」

一方通行「とりあえず来客用の玄関から入ろォぜ。いつまでも校庭ウロついてたら注目の的だ」

垣根「あっちだな」スタスタ

一方通行「そォだ」

削板「行くか」

「待て!お前達!」

削板「ん?」

330 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:24:48.87 ID:vf0uB5PM0
「お前達みたいなのが中学校に何の用だ」

垣根「誰だテメェは」

「風紀委員だ」

垣根「よく見りゃ腕章付けてやがんな」

「そういうことだ。大した目的も無いのなら即刻敷地内から出て行ってもらいたいのだが」

垣根「はぁ?目的があっからここまで来てんだろうが」

「目的は何だ?」

垣根「人探し」

「人探し?」

垣根「削板ぁ!」

削板「ほら」ピッ

垣根「この女だ」スッ

「ん?この子はよく支部に出入りしてる…」

垣根「もういいだろ。じゃあな」

「ま、待て!肝心の用を聴いてない!」

垣根「チッ…その子にはなぁ」

「…」

垣根「金の事で用事あるんだわ。やっぱ借りたもんは返さなきゃいけねぇ。だろ?」

削板「ああ!その通りだ!」

331 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:25:43.37 ID:vf0uB5PM0
「か、金だと!?」

垣根「そうだよ。分かったらさっさと解放しろ」

「確かにお金の貸し借りは問題だ…しかし君達が風紀を乱してまで学校に取り立てにくるとなると…」

垣根「は?取り立て?」

一方通行「オマエの言い方が悪かったな」

垣根「あん?」

「やはり君達をこれ以上踏み入れさせる訳にはいかない。そういう行為は場所を選んでやってくれ。そして…彼女のためにも帰ってくれ」

垣根「だから俺達はその子のためにも来てんだけどなぁ…」

「どうしても引かないなら実力行使に出る!」ドッ

削板「ん?肉体強化系の能力か?」

一方通行「瞬間的な速度はなかなかのモンだなァ」

垣根「あ?どこ行った?」クルッ

ガンッ!

「んがっ!」

一方通行「…」

垣根「やべっ。担いでたバットが運悪くヒットしたみてぇだな」

垣根「おい、大丈夫か?」

「…」

垣根「気絶してやがる…」
332 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:26:25.81 ID:vf0uB5PM0
風紀委員一七七支部内


佐天「あわわわわわわ。あの人簡単にやられちゃったよ!」

初春「振り向きざまのバットで一発KOなんて…」

佐天「ちょっとーヤバいんじゃない?」

初春「あの人、結構強いんですよ…検挙率もなかなかで体術もすごいんです…」

佐天「ちょっと!ダメ押ししないでよ!」

初春「白井さんを呼びましょう」

佐天「今授業中じゃないの?大丈夫かな?」

初春「今ピンチなんです!」

佐天「だったら警備員呼ぶとかさ…」

初春「これぐらいのトラブル処理出来ないようじゃ固法先輩に叱られちゃいます!」

佐天「そういうの気にしてる場合じゃないと思うんだけどなー」

初春「もしもし?白井さんですか?大変です!うちの中学に殴り込みです!」

佐天「あの人大丈夫かなー?」

佐天「あ、蹴った。倒れてるとこに追い討ちなんて…」
333 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:26:52.91 ID:vf0uB5PM0
垣根「おい、起きろ」ゲシゲシ

「…」

一方通行「オマエはもう余計な事すンな」

垣根「は?」

一方通行「もう人探しで済む状況じゃなくなってる」

垣根「はぁ?」

削板「教室の皆がここに注目している」

垣根「…何でだ」

一方通行「一番の原因はバットで殴ったことだな」

垣根「殴ってねぇ。当たっただけだ」

削板「俺には殴ったように見えたぞ」

垣根「あぁん?」

ヒュン

白井「風紀委員ですの!お三方、大人しく投降してくださいまし!」

削板「今度は瞬間移動か?」

一方通行「やっと話の分かる奴が来たみてェだな」
334 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:27:18.22 ID:vf0uB5PM0
垣根「白井…黒子…!」

白井「はい?私の事を知ってますの?」

垣根「テメェに用は無ぇ。涙子ちゃんを呼べ」

白井「さ、佐天さんも知ってますの?あなた一体…ていうかその声…」

垣根「後で話してやっから呼んで来いや!」

白井「は、はい!」ヒュン

一方通行「従っただとォ?」

垣根「第三位と同じだ。怒鳴れば従ってくれるみてぇだな」

削板「とりあえずは解決か?」

垣根「オマエの目的は達成したろうな」

削板「よし!」

一方通行「…」

垣根「後は事情話せば大丈夫だろ。多分」

削板「えっと…百十…二十…」チャリッ

垣根「さて、コイツでも起こすか」
335 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:27:53.60 ID:vf0uB5PM0
支部内


ヒュン

初春「わ!どうしたんですか?白井さん」

白井「佐天さん」ガシッ

佐天「はい?」

白井「あちらの方々が佐天さんを連れて来いと」

初春「ちょ、ちょっと白井さん!簡単に従って大丈夫ですか?」

白井「逆らってはいけないような気がしますの…あの殿方の怒鳴り声にそういうものを感じましたの…」

初春「知り合いですか?」

白井「知り合いのような、そうでないような…」

初春「はあ…?」

白井「とりあえず佐天さん。行きますの」

佐天「まあ仕方ないですよねー」

白井「では初春。また」

初春「気をつけてくださいねー」

ヒュン

初春「…あの白髪の人って…」
336 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:28:41.65 ID:vf0uB5PM0
ヒュン


白井「連れて来ましたの」

佐天「え、えーと…」コソコソ

垣根「来たぞ」

削板「…」ザッ

白井「…?」

削板「佐天…ちゃん?」

佐天「は…はい?」

削板「俺が誰か分かるか?」

佐天「えっと…そのサングラス外して顔見せてもらわないとどうにも…」

削板「ん…そうか…」カチャ

白井「だ、誰ですの…?」

佐天「あの時の…自販機の…番長さん!」

削板「ば、番長?」

佐天「いや、でも白い服装だったし…番長といえばやっぱり黒かも…」

削板「何を言ってるか分からないが…とりあえずコレを返しにきた」スッ

佐天「?」スッ

削板「百二十円…あの時に貸してもらったジュース代…」チャリン

佐天「えっ?ウソ…返してくれなくても良かったのに…」

削板「そういうわけにはいかない。聴けば君は中学生だし、色々と入用になるかもしれないだろ?小さい金額だが必要になる。そう思ってな」

佐天「ありがとうございます。わざわざ…」

削板「俺はこの百二十円で助けられた。お礼を言うのは俺だ。それが根性というものだ」

垣根「根性…なのか?」
337 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:29:11.10 ID:vf0uB5PM0
削板「さて、目的も果たしたし俺は帰るとする。今日は助かった!ありがとうな二人とも!」

垣根「え?オマエ帰るの?」

削板「おう!そのスーツとサングラスは今日のお礼だ!貰ってくれ!じゃあな!」

佐天「待った!」

削板「ん?」

佐天「これも縁です。携帯、教えてください!」

削板「携帯?っと…」ゴソッ

垣根「携帯持ってたのか…」

一方通行「まァ、そォいうイメージあるわな」

削板「これで大丈夫か?」

佐天「はい!大丈夫です!」

削板「よしよし…そうだお前らも…」

垣根「…」ピッ

一方通行「…」ピッ

削板「よし!じゃあ俺は帰る!じゃあな!」スタスタ

垣根「俺達も帰るか」

一方通行「帰れるとイイなァ」

白井「お待ちになってくださいまし」

垣根「…」

白井「そこに倒れている風紀委員の事やあなた達の事、まだ聴いていませんの」

白井「お話、聴かせていただきますの」
338 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:29:41.08 ID:vf0uB5PM0
風紀委員一七七支部



白井「さて、まずは貴方からですが…」

垣根「…」

白井「声からして大体、正体の予想はついていますの。そのサングラス、取っていただいてくださいまし」

垣根「ちっ…」スッ

白井「垣根帝督、前科一犯…っと」

垣根「おい待て、そりゃどういうことだ」

白井「校内への不法侵入はおろか風紀委員に危害を加える始末、文句は言わせませんことよ?」

垣根「別に殴りたくて殴ったわけじゃねぇ。アイツが勝手に当たりに来ただけだ」

白井「その理屈ですと人を刺してもあっちから刺さってきた、仰るつもりですの?」

垣根「なに言ってやがる。そういうことじゃなくて…」

初春「一方通行さんですよね?」

一方通行「あァ…」

初春「やっぱり。その白い髪で分かりましたよ?」

佐天「え?初春知ってたの?」

初春「さっき気付いたんです。白い肌に白い髪、こんな見た目の人は学園都市に一人しか居ないんじゃないかって思って」

佐天「ああ…言われて見ると…うん…確かにそうだわ」

初春「まあとりあえずサングラス外してください。一応屋内なんで」

一方通行「はィ」カチャ

佐天「これ借りていいですか?」

一方通行「ン?好きにしろォ」

佐天「ありがとうございまーす!」カチャッ

初春「今度は佐天さんが付けるんですね」

佐天「これでバットを肩に担いで…と」
339 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:30:09.59 ID:vf0uB5PM0
佐天「じゃーん!」

一方通行「垣根の真似はやめろォ。制服にサングラス掛けてバットはさすがに似合わねェぞ」

佐天「んん?そうですかね?」

初春「そういえばもう一人の方は一体誰なんですか?

一方通行「削板軍覇ってヤツだ」

初春「削板…?人物照会するんでもう一度いいですか?」

一方通行「削板軍覇」

初春「どういう字を当てるんですか?」

一方通行「削ぐ板に、軍隊の軍、覇権の覇。覇権は難しい方だぞ」

初春「削板…軍覇…と」カチカチ

佐天「このサングラス貰っていいですか?」

一方通行「そンなのが欲しいのか?」

佐天「とても欲しいです」

一方通行「持ってけ」

佐天「ホントですか?ありがとうございます!」

初春「ああ、出ました。この人ですね。削板軍覇…えーっと…第七位?」

一方通行「間違って無ェぞ。正真正銘、第七位の男だ」

初春「でも能力について特に記載が…」

一方通行「…?」

初春「うーん…やっぱりなんでもないです」

一方通行「そォか?」
340 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:30:37.55 ID:vf0uB5PM0
垣根「ったく…」

白井「今回はこれでお終いですが次はありませんわよ?」

垣根「分かった分かった」

一方通行「終わったのか?」

垣根「みたいだな」

白井「さっさとお帰りになってくださいまし」シッシッ

垣根「レコーダーの恩義を欠きやがって」

白井「それはそれ、これはこれですの」

初春「レコーダー?」

垣根「前に色々あってな。第三位の秘蔵ボイスが録音されたレコーダーをコイツにやったんだ」

佐天「秘蔵ボイス?」

垣根「聴くか?今あるぞ」ゴソ

白井「!」

佐天「秘蔵かー。興味あるなぁ」

垣根「ん…?しまった、病院で着替えたときに一緒に置いて来たみてぇだな」

佐天「えー!じゃあその秘蔵とやらは…」

垣根「お預けってこったな」

佐天「秘蔵って言うから期待してたのに…」

垣根「…まあせっかくだしいいか」ピッ

一方通行「ン?」

垣根「冥土帰しに言って妹ちゃんに途中まで持って来させよう。そういや授業はどうなってんだ?」

初春「ちょうどお昼休みに入った所ですね」

垣根「時間は大丈夫みたいだな」
341 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:31:06.43 ID:vf0uB5PM0
学園都市内・テレビ局


「はーいオッケーでーす。収録まで休憩お願いしまーす」

海原「ご苦労様です。今夜初の本格的なテレビ出演となりますが緊張はしてますか?」

結標「それなりにはね」

土御門「まあ生放送だからってあまり力を入れすぎないことだな。いつも通り、いつも通りでいいんだ」

結標「分かってるわよそれくらい」

海原「おや、休憩ですか?」

結標「ちょっと電話してくるだけよ。すぐ戻ってくるわ」

海原「お気をつけてどうぞ」

「マネージャーさん」

土御門「ん?悪い、海原。俺も少し席を外す」

海原「了解しました」

「お昼用意しておきますのでどうぞ」

海原「ありがとうございます」

海原「あ、すいません。いいですか?」

「どうしました?」

海原「放送は何時からでしたか?」

「19時からです」

海原「ありがとうございます」

「いえ」

海原「自分も電話をしてきましょうか…」
342 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:31:53.28 ID:vf0uB5PM0
piriririri


初春「ん?佐天さんですか?」

佐天「いや?私じゃないよ?」

一方通行「俺だ」

白井「お出にならないんですの?」

一方通行「いンや…出る。もしもし?」

『一方通行?私』

一方通行「おゥ、どうした?」

垣根「さて、俺も手配はすんだから荷物取りに行って来る」

初春「気をつけてどうぞ」

垣根「まだしばらく居んだろ?」

初春「まとめもしなきゃならないんで、そうですね…まだしばらくは居ます」

垣根「よし。んじゃ行ってくるか」

一方通行「あァ?削板だとォ?」

垣根「どうした?」

一方通行「イヤ、なンでもねェ」

垣根「?まあいい、またな」ガチャ

一方通行「分かった、俺から言っとく…」

佐天「削板さんの名前出てきたね。一体誰かな」

初春「さあ…」
343 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:32:32.30 ID:vf0uB5PM0
結標「それでね、今夜なんだけど…音楽番組あるの分かる?」

『いっつもガキ共が見てるヤツだろ?知ってる』

結標「今日それに出るの」

『今日?』

結標「そう。今日」

『へェ…そォか』

結標「あんまり驚いてないのね?」

『イヤ、十分驚いてる』

結標「そっ。まあいいわ、生放送らしいから一緒に見ることは出来ないけど…」

『安心しろ、ちゃンと目を通すからよ』

結標「うん、お願いね。あと削板のことも」

『本当にアイツでいいのか?』

結標「だって一応そうなんだし」

『それもそォだな。任せとけ』

結標「じゃあまた明日連絡するからよろしくね」

『あァ』

結標「バイバイ」

『おう』
344 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:33:00.18 ID:vf0uB5PM0
常盤台中学・食堂にて

御坂「黒子ったらどこに行ったのかしら…おかげでまた一人よ…」

御坂「昼時だってのに…はぁ…ん?あの金髪は…」

食蜂「…」

御坂「なんでテーブルに突っ伏してるのかしら。それといつもの派閥も見当たらないわね」

食蜂「…」

御坂「ねえ、あんた」

食蜂「んぅ?」ムクッ

御坂「珍しく一人なの?」

食蜂「御坂さん?何の用?」

御坂「別に用ってほどじゃないわ。ただ気になっただけ」

食蜂「何がよ」

御坂「いつも周りにいる派閥のコ達が居ないもんだから」

食蜂「他のコ達は忙しいみたいで今日はほとんど居ないわ」

御坂「へぇ…そんな日もあるのね」

食蜂「あなたは今日も一人みたいね」

御坂「…」
345 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:33:33.27 ID:vf0uB5PM0
食蜂「前々から思ってたけど御坂さんっていつも後輩の風紀委員の人と居るわよね」

食蜂「同じクラスに知り合いとか居ないの?」

御坂「いや…居るには居るけど…その…」

食蜂「私が悪かったわ。ごめんなさいねぇ」

御坂「んなっ!」ビリッ

食蜂「!」

御坂「私は段々と本調子に戻って来たの!前みたいに不安定じゃないわよ!」

食蜂「でも私は…」

御坂「?」

食蜂「とっくに全快したわ!回れ右!」

御坂「!」クルッ

食蜂「前は電磁バリアで無効にされたけど…今なら多少効くみたいね。私の能力」

御坂「ぐぬぬ…」

食蜂「なーんて。特に何かしようって訳じゃないわ。座ったら?」パッ

御坂「っと…」

食蜂「ほら」

御坂「…」ガタッ
346 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:33:59.22 ID:vf0uB5PM0
御坂「ねえ」

食蜂「なに?」

御坂「なんで突っ伏してたの?」

食蜂「別に、ただなんとなくよ」

御坂「そう」

食蜂「…」

御坂「…」

食蜂「…」

御坂「第六位の事知ってる?」

食蜂「知らない」

御坂「…」

食蜂「…」

piriririri

御坂「ごめん。私」

食蜂「出たら?」

御坂「うん」
347 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:34:31.85 ID:vf0uB5PM0
御坂「もしもし?」

『私の事分かる?』

御坂「登録してるから分かるわよ。どうしたの?あわきん」

『あら、あなたは知ってるのね』

御坂「ニュースで目にする機会があったからね。結構忙しいんじゃないの?どうかした?」

『2ndシングルのPVに出演してほしいんだけど』

御坂「PV?それってあの麦野達が出てた?」

『そうよ。それの第二弾ね』

御坂「他に誰か出るの?」

『出るわよ。詳しくは言わないけどね』

御坂「そっかぁPVかぁ」

『もしかして常盤台って案外そういうのダメだったりする?』

御坂「んー多分大丈夫だと思うけど…」

『もし良かったら出てほしいんだけど』

御坂「それくらいなら別に構わないわよ」

『良かった。あとね』

御坂「なに?」
348 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:34:59.22 ID:vf0uB5PM0
『食蜂操祈も出演者候補なの』

御坂「和解したの?」

『さあ?』

御坂「さあって…」

『今近くに居るかしら?』

御坂「目の前に居るわ」

『変わってくれないかしら』

御坂「いいわよ」

御坂「電話」

食蜂「私?誰よ」

御坂「結標淡希。分かる?」

食蜂「分かるわ」

御坂「じゃあ、はい」

食蜂「はぁ…もしもし?変わったわ」

『久しぶりね食蜂操祈』

食蜂「今更何の用?もしかして離婚のお知らせか何か?」

『残念だけど離婚の予定は一切無いわ』

食蜂「そ、残念」
349 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:35:32.47 ID:vf0uB5PM0
食蜂「それで?何?」

『今美琴にも話したんだけどね』

食蜂「?」

『私が今度出すシングルのPVに出演しなさい』

食蜂「シングル…そういえばニュースで新星アイドルとかなんとかやってたわね」

『それが私。嫌とは言わせないわ。あなたには出る義務があるから』

食蜂「断れる状況じゃないし、別にいいわ。これで全部チャラね」

『ちゃんと協力してくれるならね』

食蜂「御坂さんと私以外の出演者は?」

『まだ美琴には言ってないんだけど…あなた達以外のレベル5達よ』

食蜂「達?」

『そう。達』

食蜂「面白そうね。やる気が出てきたわ」

『それは結構だけど変な真似したらタダじゃ済まないわよ』

食蜂「ふふん」
350 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:36:00.15 ID:vf0uB5PM0
『じゃあ美琴伝いでまた連絡するわ』

食蜂「待ってるわ」

『ちなみに予定は明日だから。それと今夜の音楽番組に出演するからそれ見てイメージ掴んどきなさい』

食蜂「え?明日?」

『じゃあね』プツッ

御坂「済んだ?」

食蜂「随分と急なのね」

御坂「?」

食蜂「はい、電話」

御坂「ん」

食蜂「御坂さん伝いで連絡するらしいわ。ちゃんと私に伝えてちょうだいね。それと予定は明日らしいわ」

御坂「はいはい」

食蜂「私以外のレベル5…」

御坂「え?」

食蜂「ううん、なんでもないわ」

御坂「PVかーやっぱ制服じゃない方がいいわよね」

食蜂「あっちで用意してくれると思うわ」

御坂「そうかしら?」

食蜂「多分ね」
351 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:36:29.51 ID:vf0uB5PM0
風紀委員一七七支部



『何言ってるかよく分からないぞ!』

一方通行「だから宣伝用のプロモーションビデオに出演しろって言ってンだよ!さすがにPVぐらいは知ってンだろ!」

『それは分かるが俺でいいのか?』

一方通行「あっちから指名貰ってンだ。こっちで懸念する必要は無ェよ」

『そうか、ならいい。友の頼みをここで断るのは仁義に反する。何よりさっき助けてもらった手前な!』

一方通行「明日改めて連絡してくるらしいから、またお前に連絡する」

『明日だな!分かった!』

一方通行「そういうこった。じゃァな」

『おう』ピッ

佐天「PVに出演するんですか?」

一方通行「まァな」

佐天「なんのプロモーションなんですか?」

一方通行「淡希の…2ndシングルのプロモーションらしい」

佐天「え?結標さんの?」

初春「佐天さん」

佐天「ん?なに?」

初春「クラスのみんなが話してたやつじゃないですか?」

佐天「あー、その話全然聴いてなかったのよねー。んで?どんな話?」

352 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:37:04.20 ID:vf0uB5PM0
初春「カナミンの新しいOPを歌ってるのが新人のアイドルで…赤毛が特徴の人らしいって話です」

佐天「赤毛…まさかその人が結標さんだっていう…」

白井「ニュースを見てないんですの?」

佐天「その類はどうも苦手で…はは」

初春「じゃあ知らなくても無理ありませんね。まあ知っての通り結標さんなんです」

佐天「へぇーアイドルになってたんだ…一方通行さんは知ってたの?」

一方通行「知ったのは最近だけどな」

初春「佐天さん、どうぞ」スッ

佐天「なになに?」

初春「話題になっている1stシングル"only my movepoint"のPVです」

佐天「あれ?この人確か披露宴で会った…てかもう動画見れるんだ…」

初春「覚えてたんですね。以外です」

佐天「他にも知った顔が…」

初春「麦野さんって人ですけど覚えてます?」

佐天「人の名前くらいちゃんと覚えてるよ!」

初春「その麦野さん…ええと、第四位が出てることで話題のPVでもあるんです」

佐天「…」

初春「佐天さん?」

佐天「初春」

初春「はい?」

佐天「これ曲名なんて言ったっけ?」

初春「"only my movepoint"ですよ佐天さん」
353 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:37:33.27 ID:vf0uB5PM0
佐天「えっと…"only my movepoint"っと…」

初春「気に入ったんですか?」

佐天「この曲ね…」

初春「?」

佐天「イントロすっごいカッコいいよ!」

初春「イントロですか?よいしょ…ん?」

佐天「どうしたの初春?」

初春「白井さん」

白井「少し騒がしいですこと」

佐天「え!?ご、ごめんなさい!」

初春「あの…佐天さんじゃなくてですね…」

白井「外が少し…」

佐天「んん?」

一方通行「外…」

白井「申し訳ありませんが窓から確認していただいても?」

一方通行「あァ」ガタッ

一方通行「ン…どれ…」
354 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:38:01.01 ID:vf0uB5PM0
柵川中・校庭にて


「本物の第二位さんですか!?」

垣根「偽者は居たら見てみたいな」

「きゃー!」

「本物!本物だって!」

垣根「もういいか?風紀委員に用があるからよ」

「ま、待ってください!もうちょっとお話聴かせてくださいよ!」

垣根「お話ってなぁ…ていうかなんで俺が二位だって知ってやがる」

「そんなことはいいじゃないですか!初めて間近で見れる高位能力者なんですよ!」

垣根「お、おお」

「友達とかも同じレベル5だったりするんですか?」

垣根「ああ、まあな」

「私第三位に人しか見たことなかったからここで見れてよかったー」

「俺も常盤台の子しか見たことなかったな…」

----------------------------------------
一方通行「…」

白井「どうですの?」

初春「見た方が理解出来そうですよ?」

白井「ふむ…」

初春「…ありゃ?」

355 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:38:28.17 ID:vf0uB5PM0
初春「佐天さんですね?」

佐天「え?何が?」

初春「クラスの皆に垣根さんが第二位だって教えたんですね?」

佐天「あー…実はそうなんだよねー。正体が分かった時に第二位が来てる!ってメールしちゃったんだよねー」

初春「垣根さんだけですか?」

佐天「一位も来てるって言いました」

初春「まったく…」

ガチャ

垣根「揃ってんな」

一方通行「案外早かったな」

垣根「妹ちゃんが結構近くまで来てくれてな」

一方通行「そォか」

垣根「ほら、とりあえず着替えだ。スーツだと暑いだろ」

一方通行「おォ」

佐天「帝督さん。それで秘蔵ボイスってのは…」

垣根「焦んな。ちゃんとある」チラ

佐天「おおー」

垣根「の前に着替えさせてくれ」シュルッ
356 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:38:57.78 ID:vf0uB5PM0
垣根「…えーっと。イヤホンイヤホン…」

白井「イヤホンなら私が持ってますの」

垣根「お、そうか」

佐天「あれ?白井さんってプレイヤー持ってましたっけ?」

白井「え、ええ。先日買いましたの」

佐天「へぇー。何聴いてるんですか?」

白井「まあ色々と…時に…」チラッ

垣根「あ?なんだ?」

白井「本当に佐天さんに聴かせる気ですの?」ボソッ

佐天「?」

垣根「聴きたいってんだから聴かせる。特に断る理由も無いしな」

白井「うーむ…」

垣根「どうしたんだよ」

白井「出来れば私以外の人間に聴いて欲しくはなかったのですが…」

垣根「お前のお姉さま愛も結構だ…だがな、聴かせたほうが面白いだろ?」

佐天「もしかして白井さんって秘蔵ボイスとやらを聴いたことがあるんですか?」

白井「えっ?ええっと…」カタッ

一方通行「ン?」ヒョイ

初春「なんですか?それ」

垣根「まあどうでもいい。ほらイヤホン貸せ」

白井「は、はあ…どうぞ」ムスッ
357 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:39:40.86 ID:vf0uB5PM0
初春「音楽プレイヤーみたいですね」

一方通行「白井のだな」

初春「今流行のタイプですね」

一方通行「みてェだな」カチカチ

初春「勝手にいじっちゃって大丈夫ですか?」

一方通行「どんな音楽聴いてンのか興味あンだろ」

初春「そういうことに興味があるなんて意外ですね」

一方通行「まァな」カチッ

一方通行「…?」

初春「アーティストがお姉さま…??」

佐天「うわぁあああっ!」

初春「ど、どうしました!?」

佐天「帝督さん!もう一回最初っから!」

垣根「おう」

佐天「わわわっ…こんな声出すんだぁ…」

初春「一体何を聴いてるんですか?」

佐天「初春も聴いてみなよ!」

初春「その秘蔵ボイスとやらをですか?」

佐天「うんうん!ほら!」

初春「じゃあ失礼して…」
358 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:40:06.97 ID:vf0uB5PM0
佐天「こんな声どうやって録音したんですか?」

垣根「どうやって…聴く機会があっただけだな」

佐天「聴く機会…?まさか御坂さんと浮…」

垣根「下手なこと言ってんじゃねぇ。そんな事あってたまるか!」

佐天「でもでも!こんな声そういうことしなきゃ聴けませんよ!」

初春「ひゃあああああっ!」

垣根「いい反応だ」

佐天「ふっふーん」

初春「なな、なんですか!この声!」

佐天「ねっねっ!凄いでしょ!?」

垣根「お前も聴くか?」

一方通行「遠慮しとく」

垣根「そうか?」

一方通行「あァ」

初春「どうやってこんな声を…」

垣根「やっぱそれ聴くか?説明すんの面倒なんだよなぁ…」

佐天「別に説明してくれなくてもいいんです!そのほうが色々と想像出来ますから!」

垣根「何を想像すんだかな」

佐天「聴いちゃいます?聴いちゃいます?」

垣根「いや、やっぱいいわ」

一方通行「さて…」ガタッ

白井「お帰りになりますの?」
359 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/14(木) 23:40:34.60 ID:vf0uB5PM0
一方通行「あァ。買い物頼まれてるしな」

白井「じゃあ私もそろそろ常盤台に戻るとしますの」

垣根「ほら、イヤホン」ヒョイ

白井「おっと…」

一方通行「忘れるトコだった」

白井「あれ?私の…」

一方通行「コレだろ?さっき落としたぞ」

白井「え?あ、ああ申し訳ありませんの」

一方通行「勝手に中見ちまったンだけどよォ」

白井「…」ピクッ

一方通行「お姉さまってのは一体何なンだァ?」

白井「お姉さまはお姉さまですの!ではごきげんよう!おほほ!」ヒュン

一方通行「…」

垣根「そんなフォルダがあったなら十中八九レコーダーのやつだろうな」

一方通行「なるほどなァ」

垣根「じゃあ行くか。イルカだっけか?買いに行くんだろ?」

一方通行「だな」

佐天「私たちもそろそろ戻ろうか?」

初春「ですね」

垣根「じゃあな二人とも」

初春「お気をつけて」 
365 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:02:21.07 ID:hRz71PTN0
数時間後・黄泉川宅にて


一方通行「ふゥ…」ガチャ

黄泉川「おっ、帰って来たじゃん」

一方通行「帰ってたのか」

黄泉川「さっきな」

黒夜「おい兄ちゃん」トテテ

一方通行「ほら」ポイ

黒夜「っとと…」ポスッ

一方通行「同じようなヤツでよかったんだろォ?」

黒夜「同じようなって…これピンクじゃねぇか!」

一方通行「充分じゃねェか」

黒夜「ああー!?」

黄泉川「まあまあ、そっちの方が可愛いじゃんよ」

黒夜「あんたまで…!」

一方通行「どォせ使ったら壊しちまうンだ。大して色は関係無いンじゃねェか?」

黒夜「見た目の問題だ」

一方通行「黒いのもあったぞ」

黒夜「それはシャチじぇねぇのか?」

一方通行「そっちの方が可愛いンじゃねェの?」

黒夜「シャチがか!」

一方通行「いンや。ピンクでよ」

黒夜「うーん…」
366 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:02:49.40 ID:hRz71PTN0
芳川「あらお帰りなさい」

一方通行「何見てンだ?」

芳川「いつもの音楽番組よ」

絹旗「ニュースでやってましたが今日は結標さんが出るらしいです」

一方通行「あァ、本人から聴いたよ」

打ち止め「録画スタンバイオッケー」

番外個体「二人ともPVってのに出たんでしょ?ちょっと羨ましいかも」

芳川「珍しいわね。あなたがそんな事言うなんて」

番外個体「まあ、たまにはね」

黄泉川「そういえばよかったじゃんか?」

一方通行「何がだ?」

黄泉川「結標のこと。大して会えてないんじゃないか?」

一方通行「気にしてたらキリねェだろ。少しの辛抱だわな」

黄泉川「そういえば理由は知ってるじゃんか?」

一方通行「イヤ、知らねェな」

黄泉川「一方通行も知らないじゃん?」

一方通行「なりたいからなったンじゃねェのか?」

黄泉川「そう…か?」

一方通行「深読みしても仕方ねェだろ」

黄泉川「それもそうじゃん」
367 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:03:17.00 ID:hRz71PTN0
黒夜「そういえば」

一方通行「あ?」

黒夜「シルバークロースから手紙を預かってる」

一方通行「内容は?」

黒夜「駆動鎧を弁償してくれって」

一方通行「…」

黒夜「破壊されたって聴いたけど壊したのが兄ちゃんとはな」

一方通行「まァ、理由もあったンだけどな」

黒夜「弁償すんの?」

一方通行「断る理由も無ェしな」

黒夜「芳川ー」

芳川「貯金ほとんど無くなるけどいいかしら?」

一方通行「なンでオマエが管理してンだ」

芳川「家に長く居ると金銭管理ぐらいしかやること無いのよ」

一方通行「そォか」

黒夜「んで?」

一方通行「払うけどォ?」

黒夜「手続き頼むぞー」

芳川「はいはい」

一方通行「どォやって俺がやったって知ったンだァ…?まァ…別にイイか」

368 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:03:44.13 ID:hRz71PTN0
打ち止め「始まる!始まるよ!ってミサカはミサカはお知らせしてみる!」

一方通行「ン…そォか…どれ」

番外個体「上位個体、録画ボタン押してないよー」

打ち止め「はわわわっ」

絹旗「そんな焦らなくてもここからリモコンでボタンを押せばですね…」ピッ

ブツッ

打ち止め「あ」

番外個体「サイアイそれ電源ー」

絹旗「同じ赤いボタンでしたから超間違えましたね」

芳川「ちょっと!それ結構設定手こずったのよ」

黒夜「ええとチャンネル設定からだから…」

打ち止め「電源!電源入れないと!」

黒夜「ええと…録画なんてしたことないから分からない」

芳川「番外個体」

番外個体「ミサカも分からないなぁ」

芳川「…」

打ち止め「時間が…ヨミカワー!」ガッシ

黄泉川「あー…私に言われても困るじゃんよ」

一方通行「…」スッ

黄泉川「お」
369 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:04:24.38 ID:hRz71PTN0
その頃・某テレビ局にて


「そろそろ本番行きまーす。準備お願いしまーす」

海原「土御門さん、こちらへ」

土御門「あいつの姿が見えないが…」

海原「えっと…確か心理定規さんとお話をしてますよ」

土御門「心理定規?」

海原「新しい司会みたいで…先程お会いしてからずっとお話していますよ?」

土御門「そ、そうか…そういえば新しい司会がどうとかテレビでやってたな…」

海原「それが心理定規さんというのに気付いたのはさっきなんですけどね」

土御門「へぇ」

海原「以前に司会の方がお会いしたいという話があったの覚えてますか?」

土御門「…ああー…あったなそんなこと。結局話したのはあわきんだけだったがにゃー」

海原「その方が今日お休みなんですよ」

土御門「ん?」

海原「つまり今日の番組は心理定規さんとしての初司会であり、独壇場なんですね」

海原「お話をしたいというのは今週出れないから挨拶だけでも、という事だったそうです」

土御門「だ、大丈夫なのか?」

海原「一応心理定規さんもプロです。信用しましょう」

「すいません、そろそろ時間なんでよろしいですか?」

海原「ああ、すいません」

370 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:04:58.75 ID:hRz71PTN0
一方通行「ほら、出来たぞ」

芳川「さすがね」

一方通行「ちゃンと書いてあっからよく読め」ベシャッ

芳川「あたっ」

打ち止め「おおー!点いた点いた!」

一方通行「…」

番外個体「寂しい?」

一方通行「何がだ」

番外個体「べっつにー?」

一方通行「はン」

黒夜「そういえばしばらく帰って来てないな」

絹旗「しばらくって…一週間も経ってませんよ?」

一方通行「そォいやもう大丈夫なのか?」

絹旗「お昼過ぎぐらいには大分良くなりましたよ」

芳川「夏バテの軽いやつじゃない?結構外出てたからね」

絹旗「かもしれないですね」

打ち止め「始まったよー!」

黄泉川「どれどれ?」

一方通行「おら、詰めろ」

番外個体「うぇぇ?見るの?珍しー」
371 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:05:24.99 ID:hRz71PTN0
『みなさんこんばんは!今夜は話題のアイドル、あわきんを始めとした多数のゲストでお送りしていきます!』

『私自身の初司会ということもあり気合充分でやっていきますのでよろしくお願いします!』

芳川「あら…」

一方通行「心理定規…」

『では早速ゲストの方々に入場していただきます!』

黄泉川「そういえばあのチャラい子は元気じゃんか?」

一方通行「垣根か?相変わらずだぞォ?」

黄泉川「そうか…相変わらずじゃんか…」

一方通行「?」

『さっそくですがお話を聴いていこうと思います。あわきんさんは初出演ということですが緊張なんかはなさっているのでしょうか?』

『それなりには』

『本日歌っていただくデビュー曲である"only my movepoint"ですが…人気アニメのOPに選ばれたということで…』

『そうですね。最初の曲であれほど人気のあるアニメのタイアップに選んでいただいたことはとても光栄なことなんだな…とそう感じています』

『はい…えっと話題になっているのはなにも曲だけではなくPVにも話題の理由があります』

『今ご覧になられている映像が肝心のPVです』

黒夜「うへーばっちり映ってやがる」

絹旗「結構手を加えられてますね。あんなので大丈夫かと超心配でしたが…するだけ無駄でしたね」

打ち止め「おおー」
372 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:06:02.65 ID:hRz71PTN0
『見て分かる通りですがPVとしては極めて異例の駆動鎧での演出となっています』

『駆動鎧だけではなくなんと超能力者として第四位の方が出演していることでも話題となっています』

『あわきんさんは第四位の方とはお知り合いだったりするんですか?』

『以前より親交はあって…それで今回のPVという事でお願いをしまして…』

『なるほどー。さてデビュー曲は来週発売ですが…もう既に2ndシングルのお話があるとか』

『大分間隔が狭いんですけどもう大分固まっている話ですね』

『少しだけお話を聴かせてもらってもよろしいでしょうか?』

『あー…じゃあまたPVの話になるんですけど…』

『はい』

『今回以上のメンバーでの撮影を考えています』

『今回以上…となりますとやはり学園都市でそれなりの地位を持つような方が出演…ということでしょうか?』

『詳しいことは言えないんですけど…そう考えてもらって大丈夫ですね』

『貴重なお話ありがとうございます。ではトップバッターという事で準備お願いします』

『はい』

一方通行「…」

番外個体「もう次の曲の話出てるんだ…」

芳川「最初の頃はやっぱり忙しいんじゃない?私もアイドルになろうかしら?」

黄泉川「桔梗…」
373 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:06:29.20 ID:hRz71PTN0
『…はい、1stシングル"only my movepoint"でした。どうもありがとうございましたー』

黄泉川「ほぉーなかなかうまいじゃんか」

芳川「あんな短期間でよくここまでやれるわね」

黄泉川「才能とかあったのかもしれないじゃん?」

芳川「かもね」

打ち止め「あ、ねえねえ!そういえばサインは?ってミサカはミサカは思い出して喋ってみる!」

一方通行「明日会う予定だからそン時に聴いといてやる」

絹旗「サイン?」

一方通行「妹達用に1000枚…だったっけかァ?」

打ち止め「うん!」

絹旗「1000枚…」

一方通行「まァ大丈夫とは思うがな」ガタッ

黄泉川「ん?もう部屋に行くじゃんか?」

一方通行「今日は色々あってな。明日のこともあるし早めに寝るわ」

黄泉川「そうか」

打ち止め「おやすみー」

一方通行「ン」
374 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:07:04.62 ID:hRz71PTN0
海原「お疲れ様です」

土御門「上出来だったにゃー」

結標「はーっ。随分と力入れちゃったわ…」

海原「仕方ありません。これほどの番組ですから」

結標「ねえ」

土御門「ん?」

結標「ちょっと手配して欲しい所がるんだけど」

土御門「…言ってみろ」

結標「立体映像での演出が出来る施設ってある?」

土御門「立体映像?…あー…あるな」

結標「明日そこを使いたいんだけど」

海原「PVの撮影ですか?」

結標「ええ」

土御門「なるほど。分かった手配しておくが…」

結標「なに?」

土御門「歌は覚えたのか?」

結標「とっくに覚えたわ」

海原「さすが、ですね」

土御門「分かった。手配しておこう」

結標「お願いね」
375 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:07:42.06 ID:hRz71PTN0
翌朝・黄泉川宅にて



一方通行「…」

一方通行「暑ィ…」

一方通行「なンで上脱いでンだ俺は…」

番外個体「教えてあげようか第一位」

一方通行「…どォしてオマエが隣で寝てンだ」

番外個体「いやん」

一方通行「…」

番外個体「まあ実を言うとね」

一方通行「あァ」

番外個体「さっきから携帯がうるさくて止めて来いって言われたんだよね」

一方通行「携帯…?」

番外個体「服を脱いでるのは暑くてあなたが勝手に脱いだだけ。でもこの部屋ホント暑いねー」

piriririririririri

番外個体「ほらまた」

一方通行「っとォ…」

番外個体「ちゃんと出てよね」ガチャ

一方通行「もしもしィ?」

『やっと出たか』

一方通行「なンの用だ?」

『昨日あわきんから聴いてるな?』

一方通行「あァ…?」

『今から迎えに行くから準備して外で待っていろ』

一方通行「は…どォいう…」

『じゃあな』プツッ

一方通行「…あわきンってのは確か芸名だったっけか?明日連絡するってこォいうことだったのか?」

一方通行「にしてもどォして土御門から…」

一方通行「後で聴いてみりゃイイか…とりあえず準備だな」
376 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:09:23.60 ID:hRz71PTN0
その頃・車中にて


海原「出たようですね」

土御門「やっとな」

麦野「あのさぁー」

海原「はい?」

麦野「レベル5ばっかこんな集めてどうすんのよ」

海原「あわきんさんの意向ですから自分にはなんとも」

垣根「別にどうでもいいじゃねぇか。それより見たぞ麦野」

麦野「何をよ」

垣根「PVに決まってんだろぉ?いつのまにあんなの撮ったんだ?って感じだよ」

麦野「最近の話よ」

垣根「へぇ」

御坂「それなら私も見たわよ!」

垣根「昨日の番組見てれば目を通すわな」

削板「昨日何かあったのか?」

垣根「え?あー…テレビの話だ」

土御門「…なあ」

食蜂「なに?」

土御門「君は話の輪に入らないのか?」

食蜂「大して親しくもないしね。それより当の本人はどうしたの?」

土御門「先に行って衣装合わせをしてるよ」

食蜂「そう」
377 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:10:32.00 ID:hRz71PTN0
削板「一体どんな映像を撮るんだ?」

垣根「さあ。ていうかなんにも知らされてないんだよな。前はどうだったんだよ?」

麦野「前はって…前日に資料渡されて…次の日に簡単に説明を受けて…それから収録したわよ」

御坂「ねえ。資料とか無いの?マネージャーさ…ん…」

海原「は…はは。どうも」

御坂「あ、あれ?なんで…?」

土御門「だから顔を変えろと…」

海原「そうしたら他の皆さんが分からないと思いまして…」

土御門「た、体験学習の一種だにゃー」

御坂「体験…?うーん…そんな話あったかしら…」

土御門「ほ、ほら!一方通行が待ってるぜい!」

御坂「ってことはあと一人で全員ね」

土御門「残念だが第六位は参加しないぜい」

御坂「え?」

土御門「連絡がつかない上にどう接したらいいか分からないからな。今回は採用を見送ったんだ」

御坂「へぇーじゃあこれで全員なのね」

土御門「一方通行を入れてな」

378 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:11:00.33 ID:hRz71PTN0
キッ

ガチャッ

土御門「待ったか?」

一方通行「あァ」

土御門「そうか。まあいい話は中でする、とりあえず乗ってくれ」

一方通行「おう」ガチャ

土御門「海原、もう出していいぞ」

海原「はい」

一方通行「随分と雁首そろえたもンだなァ」

土御門「これで話題性もばっちりだぜい。あと見れば分かると思うが俺と海原は共々マネージャーになったからな」

一方通行「そォか」

土御門「全員揃ったとこで資料を渡す。各自確認してくれ、ちなみに内容はごく簡単なものだ。お前たちの頭脳ならすぐに理解出来るはずだ」

食蜂「…」ピラ

御坂「あら?楽器使うの?」

土御門「使うというか持つだけだがな」

垣根「衣装は…またスーツか…」

海原「統一性を持たせますから全員黒スーツですよ?」

麦野「今回は特に込み入った行動とか無いのね」

土御門「場面に合わせての少しの行動になるからな。前に比べたら楽だろ」

削板「ほう…ほう…」

一方通行「…」ピラッ

土御門「到着までに少し時間があるから適当に頭に入れといてくれ」
379 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:11:31.16 ID:hRz71PTN0
第七学区・とあるビル


御坂「こ、このビルは…」

垣根「なんだ?知ってるのか?」

御坂「前に黒子や初春さん、佐天さん達と来たことがあってね」

土御門「こんな所にか?常盤台の生徒にこう言うのもなんだが…結構な場所だぞ?ここは」

海原「良く大手の会社等が広告を作製するのにモデルの方々を撮影するような場所ですからね」

麦野「あそこの大型モニターはなんなの?」

海原「あのモニターは確か…内部の映像を映す事の出来るモニターです」

垣根「そういや聴いたことがあるぜ」

削板「?」

垣根「結構前の話になるんだがなんかの手違いで一回モニターが映った時があってな」

麦野「それがどうかしたの?」

垣根「問題は内容でな。中学生らしき女の子が水着来てただ一人はしゃいでる映像が映ったそうだ」

御坂「!?」

食蜂「私、知ってるわその話。白い水着着てる子の話でしょ?」

垣根「なんだ?お前も知ってるのか?」

食蜂「白いフリフリの水玉模様の水着…詳しい事は聴いてみないことにはだけど派閥の子が話してたわ」

御坂「!!!」

垣根「ちょうど去年の夏ぐらいか?」

食蜂「私が御坂さんと会う前だからそれくらいね」

一方通行「去年の夏か…」

土御門「…あんまり待たせてるとアレだ。さっさと行くぞ」
380 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:11:59.16 ID:hRz71PTN0
ビル内


結標「遅い」

海原「申し訳ありません。一方通行さんを起こすのに時間がかかりまして」

結標「だから一番最初に声を掛けて最後に回収って言ったでしょ」

土御門「さすがにそこまでは、と思って結局最後に回したからな…」

結標「まったく…さてと…とりあえずレベル5の皆、今日ここに来てくれてありがとう」

垣根「別に、礼を言われるほどの事でも無ぇよ」

御坂「そうよ、逆にこっちがお礼を言いたいほどね」

麦野「私なんかこれで二回連続よ?ホント、使ってくれてありがたいわ」

食蜂「私は…未だによく分からないんだけどね」

削板「ええと…資料はどこに…」

結標「一方通行も」

一方通行「どォってことは無ェよ。逆に俺達でイイのか心配する程だ」

結標「心配事なんてどこにも無いわ。私が選んだ人員ですもの」

垣根「ところでよ」

結標「?」

垣根「なんで急にアイドルになったんだ?」

結標「なりたかったからよ。それ以外の理由も無いわ」

麦野「……」

結標「麦野も深く考えないで。私の意志でやってることなんだから」

垣根「…やっぱメガネ…かぁ?」

一方通行「別になンでもイイだろ」
381 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:12:27.63 ID:hRz71PTN0
土御門「それじゃ早速撮影に入りたいとこなんだが…」

海原「皆さん、衣装に着替えてくださいね」

海原「更衣室は男女事で用意してありますので。部屋にある黒スーツにそれぞれ着替えてください」

土御門「着替えたら各自資料だけを持ってここに再度集まってくれ」

御坂「ねえ私たちもスーツとやらに着替えるの?」

土御門「たち?」

御坂「食蜂操祈もよ」

土御門「スーツと言ってもそれっぽい服なだけだ。面倒だからスーツと呼んでるだけだ」

御坂「そう?サイズとかは大丈夫なのかしら?」

海原「最初から各種サイズを取り揃えてますのでその心配は無用ですよ」

土御門「まあそんな心配も無用なんだがな」

御坂「?」

土御門「残ってるのは君だけなんだにゃー」

御坂「え?」キョロ

土御門「ほら、行った行った」

カチャ

食蜂「ねえちょっとー!」

海原「どうなさいましたー?」

食蜂「胸がキツイんだけどー!」
382 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:13:01.02 ID:hRz71PTN0
土御門「サイズならそれなりのバリエーションがあるはずだが…?」

食蜂「そーっだ。一方通行に頼んで胸をおさめてもらおーっと」

土御門「…」

御坂「…」

結標「心配しなくても私がやってあげるわ!」

食蜂「え?きゃっ!ちょ、どこ触って…あはははは!」

土御門「ほら」

御坂「う、うん」

----------------男子更衣室-----------------

削板「よっしゃ!」スチャ

垣根「グラサンはやめろ!」シュ

削板「あーっ!」カタン

一方通行「これはネクタイすンのか?」

垣根「確か細いタイプの…ファッション用のヤツがあったな。お前はそれを付ければいいだろ」

一方通行「これだな」シュル

垣根「そうそう。それそれ」

削板「俺はネクタイいらないな」

垣根「ネクタイはいらないがその鉢巻みてぇなのは外せ。な?」

削板「ん…仕方ないな…」シュル

一方通行・垣根「!」
383 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:13:27.43 ID:hRz71PTN0
結標「お待たせ」

土御門「ああ。待ってた…ぞ…」

食蜂「な、なによ」

土御門「海原…あれは大丈夫なのか?」

海原「…お色気担当ということで一つ。アリかもしれませんし…」

土御門「しかしアレは…」

海原「掛け合ってみましょう」

麦野「何話してるのかしら」

食蜂「やっぱりダメだったのよ。着替えてくるわね…あんっ」ガシ

結標「なに言ってるのよ。その格好で行くわよ」

食蜂「ひーん!」

御坂「…」ペタペタ

麦野「やめときなさい。触っても膨らみやしないわよ」

海原「食蜂…操祈さん…?」

食蜂「?」

海原「ワイシャツの胸元を開くのはいいのですが…その…」

結標「はっきり言いなさいよ」

海原「サラシを巻いているのはちょっと…」

食蜂「…」

麦野「胸元開けてる意味無いものね」

結標「じゃあ取ればいいわね」ズボッ

土御門「ズボ?」
384 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:14:01.14 ID:hRz71PTN0
食蜂「ちょっと!ど、どこに手を入れて…あははははは!」シュルルル

結標「一々更衣室に行くのも面倒だからここで取るわ!」

御坂「胸元に手を突っ込んで取れるもんなのね」

麦野「そういう風に巻いたんじゃない?」

食蜂「あはは!こっ、擦れて…ひひっ…!」

土御門「海原」

海原「安心してください。ちゃんと回ってます」

土御門「メイキング映像…根回ししていて良かった…」

海原「どのようにして配布しますか?」

土御門「購入してくれた者への全員サービス」

海原「ではそのように」

食蜂「はーっ…はーっ…」

結標「一方通行達は?」

土御門「ん?見ての通りまだだぞ」

食蜂「はーっ…着替えてくるわ…」

結標「ダメ、それで出なさい」

食蜂「サラシを取ったから下に何も付けて無いのよ!?」

結標「だーめ」ヒュン

食蜂「あう」ドテ

結標「大人しく従いなさい。これが貴方の償いよ」

食蜂「う…」

結標「もし従わないのなら次はパンツが消えるわよ」

食蜂「そ、それだけは…」

結標「刻んでプレゼントってのもいいわね」

食蜂「分かった!分かったから!この格好で出るから!」

385 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:14:32.62 ID:hRz71PTN0
ガチャ


麦野「おい、遅せーぞ!」

垣根「悪い悪い。色々と決めかねててな」

一方通行「準備オッケーだ。いつでもいけンぞ」

御坂「ははっ。決まってるじゃないの」

一方通行「ふン」

麦野「垣根は蝶ネクタイかぁ?ははははっ」

垣根「まあギャグだからもう外すけどな」シュッ

削板「…」カチャ

麦野「はは…は…」

垣根「どうだ?」

結標「へぇ…」

土御門「気合充分だな」

麦野「あんたは常にその格好でいたらいいんじゃないの?」

垣根「ついでに言うと口を開かないとなおのこと良い」

御坂「鉢巻外して服変えるだけでこうも変わるのね…」

削板「おし!根性入れてやるぞ!」

垣根「中身はまんまだけどな」

御坂「うん…」
386 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:15:02.17 ID:hRz71PTN0
土御門「じゃあ早速始めるか」

海原「まずは担当する楽器選びからお願いします」

結標「今回のテーマはなんだっけ?」

海原「今回は集結です。バラバラのチームが集まり今一度一つになる。そういうコンセプトです」

垣根「最初のシングルはカナミンのタイアップだって話だったな。今回はどうなんだ?」

海原「今回は携帯電話会社ですね。電話という事もあり繋がりというものを第一に置いた結果…」

土御門「なぜか集結になった」

海原「まあ電話とは得てして離れて行うものですからね。あながち間違ってはいないと思いまして」

一方通行「ンでその楽器とやらは?」

海原「どの楽器を選ぶかは皆さんで決めてください」

土御門「ギター、ベース、ドラム、キーボード、あとショルキーもあるぜい」

一方通行「淡希も楽器持つのか?」

結標「私はボーカルだからマイクスタンド程度ね」

一方通行「ンじゃこっちで適当に決めてイインだな」

結標「うん」

垣根「ここに居る奴ら…全員見渡して既に一人決定してるんじゃねぇのか?」

麦野「…」

御坂「…」

食蜂「?」

削板「お!ハーモニカもあるぞ!」ガチャガチャ

垣根「…あいつはドラムで」
387 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:15:28.67 ID:hRz71PTN0
垣根「削板!お前はドラムだ!」

削板「ドラム?」

垣根「果てしなく根性がいる楽器だ。気合入れろ」

削板「おう!」

海原「削板さん、ではこちらへ」

削板「この格好で叩くのか?」

海原「ええ」

一方通行「他の楽器はどうすンだ?人数的に大分合ってねェぞ?」

垣根「ギターは二人でも構わないみてぇだ」

御坂「ホントだ…ちゃんと書いてる」

麦野「結構見てるのね」

垣根「それなりにはな。んでほら、配置見る限りな…」

垣根「リードギターがボーカルに一番近い位置に居るんだわ」

御坂「じゃあリードギターは決まりね」

垣根「おう。この俺「はい一方通行」おい」

麦野「目立つポジションだからって結標の横にあんたは置けないわ。こういう位置はやっぱり一方通行よ」

垣根「そりゃ…そうだわな」

一方通行「ギターか…俺は弾けねェぞ?」

海原「フリなんで大丈夫です。一通り説明しますのでこちらへ」

388 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:15:57.78 ID:hRz71PTN0
食蜂「じゃあ私はサイドギターやるわ」

垣根「じゃあ俺はベースやる」

御坂「あ、あれ?イメージ的には私がギターじゃないの??」

垣根「はぁ?どうしてだよ」

御坂「エレキ…」

垣根「麦野、キーボードで」

麦野「まあそれでいいか…」

御坂「待ちなさいよ!じゃあ私は何をやるのよ!」

結標「安心してちょうだい」

御坂「え?」

結標「今回のシングルはコーラスがかなり多めに入ってるのよ」

御坂「うんうん」

結標「ショルキー背負って前に出て。それで私の隣に来てちょうだい」

御坂「コーラスでショルキー??」

結標「このヘッドセットも付けてもらうからコーラスの役割もばっちりよ」

結標「まあ口パクだからあんまり考える必要も無いわね」

御坂「つまり前に出てコーラスやればいいのね」

結標「そういうこと」

御坂「でもキーボードが二つになるんじゃ…」

結標「後で聴かされると思うけど結構キーボードメインの曲調だから」

御坂「じゃあ大丈夫ね」

結標「ええ。行きましょう」
389 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:16:26.38 ID:hRz71PTN0
海原「舞台はズバリ荒野です」

土御門「荒野の中心に向かってメンバーが集まる。そういうPVだ」

土御門「ちなみにボーカルとドラムとキーボードは最初から中心に居る。そこに向かって…ということだな」

海原「あとは簡単にですが楽器のレクチャーをします。普通の人ならかなり困難ですが…あなたたちなら大丈夫だと思っています」

垣根「削板。ちょっと叩いてみろ」

ズダダダダダダダバキッ!

削板「あ」

ガスッ

一方通行「あがっ」

海原「削板さん、もう少し力を抜いて」

削板「すまないな!」

海原「あと曲を聴いてもらいます」

土御門「楽器にいたってはそれっぽく見えれば問題無いから簡単に考えてくれ」

麦野「この部屋で撮影するの?」

海原「ええ」ピッ

食蜂「ん?」

御坂「あの時と同じく凄いわね」

麦野「一瞬で荒野に…初めてみたわ。こういうの」

垣根「曲、曲聴かせてくれよ」

土御門「焦らなくても今流すぜい」
390 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:16:52.89 ID:hRz71PTN0
垣根「へぇ。普通にかっこいいじゃねぇか」

麦野「随分とキーボードが派手なのね」

結標「電子をイメージしたからなおさらよ」

一方通行「…」ジャッ

ギュウウウウゥン!

海原「そうです。その感じです」

垣根「慣れて来てるな。おい土御門」

土御門「ん?」

垣根「俺達が出した音は入らないんだろ?」

土御門「ああ。撮影してる時は音を出してもらうが編集にあたって原曲を被せるから入らないぞ」

海原「一応演奏する気持ちでやってくださいね」

垣根「さっきと言ってること違うんじゃないか?」

海原「そこは都合を合わせてください」

垣根「まあいい。俺にも教えてくれ」

土御門「お前はベースか…」

海原「キーボードは結標さんいけますか?」

結標「大丈夫だけど削板はどうするの?」

海原「彼はもう大丈夫のようです」

結標「ふーん…以外ね」

海原「才能かもしれませんね」
391 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:17:24.42 ID:hRz71PTN0
海原「では食蜂さんもこちらへ」

食蜂「…」スタスタ

海原「一応楽譜になります。さすがに聴いただけで演奏は出来ませんよね?」

食蜂「一方通行は?」

海原「当然の如く、聴いただけでやってのけました」

食蜂「能力使った?」

一方通行「反射神経と伝達能力を少しいじった。これくらいならなンとかなる」

食蜂「私も少し集中力上げよ」

海原「まず読み方からですが…」

食蜂「うん」

一方通行「…」

海原「…ん?一方通行さん」

一方通行「あ?」

海原「垣根さんの所に行ってもらってもいいですか?」

一方通行「?」

海原「苦戦してるようです」

392 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:17:52.23 ID:hRz71PTN0
ボーン ボーン ボーン

土御門「…」

垣根「…」ボーン

土御門「もっと…こう…どうにかならないのか?」

垣根「どうにかだと?…」ボボボボボ

土御門「…能力使ってどうにかならないのか?」

垣根「能力か…」ブワッ

土御門「…」

ボボッ ビィン! ブォーン!

土御門「おお、いい感じじゃないか」

垣根「…」ブォーン

土御門「どうやっているんだ?」

垣根「弦に未元物質を付着させて無理矢理音を出してる」

土御門「通して弾けるか?」

垣根「無理だな。譜面とか色々問題がある。指の使い方とかな」

土御門「うーん…」
393 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:18:24.21 ID:hRz71PTN0
一方通行「垣根」

垣根「んあ?」

土御門「一方通行か。どうした?」

一方通行「海原に行くように言われてな。随分と苦戦してるようじゃねェか」

垣根「見ての通りだ。俺の能力じゃちょっとこういうのには向かねぇな」

一方通行「未元物質で感覚を引き上げるとか出来ンじゃねェか?」

垣根「引き上げても色々と不備がある」

一方通行「珍しい事もあンだな」

垣根「まあな」

土御門「どうにかならないか?」

一方通行「食蜂の出番だな」

垣根「あいつに頭いじられるのか」

一方通行「我慢しろ。速攻で理解するにはこれしかねェよ」

垣根「ま、しょうがないか」

土御門「まだ昼前か…時間はまだまだ大丈夫だな」
394 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:18:51.49 ID:hRz71PTN0
ィィィン…ボォーン! ビィン!

垣根「…」ボボッ

土御門「どうだ?いけるか?」

垣根「…」コク

一方通行「急に静かになったな」

食蜂「喋らせるくらいなら他の事に集中させるわ」

一方通行「どこいじった?」

食蜂「あなたと同じよ。それと少し危機感を煽らせたわ」

一方通行「そォか、わざわざすまねェな」

食蜂「いーえ。そんなことよりも撮影が終わったら私と…」ヒュッ

食蜂「!!!!」バッ

結標「…」ヒラヒラ

麦野「それ何持ってるの?」

結標「パンツ」

御坂「結標の?」

結標「まさか。あの子のよ」

麦野「言われて見ればレースの装飾が付けてた手袋にそっくりね」

食蜂「こ・の…!」

結標「安心なさい。ローアングルで撮ることは無いから。例え撮ったとしてもその長さのスカートじゃ中身なんて見えないから」

食蜂「気持ちの問題よ!今上も下も付けてないのよ!」

結標「だから?」

食蜂「ぐぬぬ…」
395 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:19:27.14 ID:hRz71PTN0
御坂「ま、まああんたも悪いんじゃない?」

食蜂「はぁー?」

御坂「だって目の前でお誘いなんか普通するー?曲がりなりにも中学生でしょー?」

食蜂「夕食の誘いに中学生とか関係あるわけないでしょ!」

御坂「え?」

食蜂「何、どういう想像してたのよ」

御坂「いや…あんたの行動聴く限り私はてっきり…」

食蜂「御坂さんの事も聴いた通りね」

御坂「は?…誰から…何を…」

食蜂「一方通行伝いに聴いたわ。性欲旺盛だから薬を飲まされたそうね?」

麦野「それって同棲がどうとかって時?」

食蜂「知ってるの?まあ、そうね。その時の話ね」

麦野「あんた垣根でも良かったの…?」

御坂「ちょ、ちょっと待ってよ。どこからそういう話になったのよ」

食蜂「飲まされるって事はそういう事なんでしょ?」

御坂「いやいやいや。私飲んでないからね?」

食蜂「トイレに入って来てパンツを晒したとも聴いたわ」

御坂「待った待った。あんたは一体どういう話を聴いたのよ」

食蜂「どうって…」
396 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:20:02.04 ID:hRz71PTN0
御坂「なるほど…なるほど…なるほど」

食蜂「何か間違ってた?」

御坂「聴く分には何も間違ってないわ。パンツのくだりとか薬とか」

食蜂「じゃあ何がダメだったのよ」

御坂「言い方よ。肝心な事を言わないで怪しい部分だけ話してるわ」

麦野「結局薬のトコは一方通行が飲まされるんじゃねぇか、って話したから飲んだと思ったわけか」

食蜂「そういうことね」

御坂「…分かったわ」

食蜂「?」

御坂「食蜂はさっきの事はもう誰にも言わないでちょうだい。ていうか忘れて」

食蜂「それって私にはなんの意味も無いわ」

御坂「んー…ちょっとだけあんたに協力してあげるわ。食事の手配ぐらいならしてあげる」

食蜂「ホントに!?」

麦野「どうしてここまで一方通行にお熱になれるのかしら…」

御坂「初恋、らしいわ。聴いた話だけどね」

麦野「絶対に叶うことは無いと思うんだけど」

食蜂「えーと食事が終わったら通りのホテ…」

御坂「ごめんやっぱ無理かも」

食蜂「裏切ったわね貧乳。派閥の子から常盤台中に広めるわ」

御坂「だったらそのよこしまな考えを捨てなさいよ…」

麦野「貧…乳…」チラチラ
397 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/17(日) 20:20:29.35 ID:hRz71PTN0
結標「そろそろいいかしら?」

麦野「まだ教える?」

結標「教えることは無いわよ。撮影するから準備いいかしら?ってことよ」

食蜂「あれ?私のパンツは?」

結標「プレゼントに回すわ」

食蜂「!?」

結標「さ、行くわよ」

食蜂「ちょちょ、ちょっと!私ノーブラノーパンよ!?」

結標「特に問題を感じられないわね」

食蜂「…」

麦野「諦めなさいよ。仕方ないわ」

御坂「どの色のショルキーにしようかしら…」

結標「どの色でもいいわ。大して問題も無いし」

御坂「じゃあこのピンクのに…」

食蜂「腹くくるわ」グッ

麦野「あ」

食蜂「?どうしたのよ」

麦野「いやね…ギターのストラップが谷間にうまい具合に入って…」

食蜂「…関係無いわ。もうこれで行くから」 
403 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:22:09.99 ID:onpdjsy20
海原「女性陣も準備完了のようです」

土御門「じゃあ始めるか」

麦野「キーボードの配置は?」

海原「ドラムを正面に見て左側ですね」

麦野「はいはい」

御坂「私は?」

海原「ボーカルを正面に見て、これまた左側です」

食蜂「私はどこかしら?」プルンッ

土御門「一方通行の斜め後ろだぜい」

垣根「…」クイクイ

海原「はいはい。どうなさいました?」

垣根「…」ボソボソ

海原「はい、はい…なるほど」

麦野「なにあれ」

食蜂「さあ?」

海原「食蜂さん」

食蜂「なに?」
404 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:22:37.76 ID:onpdjsy20
海原「垣根さんがもう少しその胸はどうにかならないのか、と申しています」

食蜂「どうにかってなによ?」

垣根「…」ボソボソ

海原「ふむ…ふむ…。胸が揺れすぎて目が落ち着かないらしいです」

食蜂「ふふん。ならば注目してるといいわ」

垣根「…」ボソボソ

海原「はい…なるほど。よく考えたら自分のポジションはギターの後ろだからどうでもいいそうです」

食蜂「…」

御坂「吹っ切れたわねー」

麦野「そうでもしないとやってけないんでしょ?」

御坂「ある意味女王サマっぽいかも…」

垣根「…」ボソボソ

海原「ああ、なるほど…」

食蜂「次は何かしら」

海原「ワイシャツの透けには気をつけろとのことです」

食蜂「透け?」

垣根「…」ボソボソ

海原「はい…はい…。透けブラでは済まないから汗には充分注意するようにとのことです」

食蜂「ああ…そう…」
405 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:23:04.79 ID:onpdjsy20
土御門「位置に着いたか?」

海原「集合した時のポジションは先ほど説明した通りです。最初は個別で撮りながら後々編集で繋いでいきます」

土御門「あわきんと削板と麦野は定位置。他の四人から撮影を始めて行くからな」

海原「まずは一方通行さんからです。ギター構えてください」

一方通行「…」ガシャッ

海原「そうです、では行きます。台本通り、演奏お願いしますね」ピッ

土御門「一方通行を海原に任せている同時進行で撮影する」

御坂「誰から先にやる?」

土御門「まずは垣根からだ。能力の影響が消える前にやっておきたいからな」

御坂「影響?」

土御門「まあ色々とな」

食蜂「♪」プルッ

垣根「…」ボソボソ

御坂「何か言ってるわよ」

土御門「大体分かる。食蜂はそのまま自己練習していてくれ。ほら、垣根からだ」

垣根「…」スッ

御坂「大丈夫かしら」

406 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:23:56.84 ID:onpdjsy20
風紀委員第一七七支部


初春「ふぁ…あっ…んん」

白井「初春」

初春「すみません。どうも眠くて…ははっ」

固法「白井さん。前に言ったことのまとめって出来上がってるかしら?」

白井「えっと…確かこちらに…」ゴソゴソ

初春「何か言われてたんですか?」

白井「つい先週の出来事ですの」

初春「?」

固法「街中で急に倒れる能力者が続出してね。レベルや年齢なんかもほとんどバラバラなんだけど…」

白井「問題はその全員が置き去りだということですの」

初春「はあ…置き去りですか?」

固法「何かあるんじゃないかと思って捜査をお願いしたのよ」

白井「でも結果として原因は分からずじまい…これがまとめですの」スッ

固法「ご苦労様」

白井「症状は原因不明の頭痛。軽いものから重いものまで、酷いと未だに意識不明の方も居ますの」

初春「そんなことがあるんですね」

白井「初春知りませんでしたの?」

初春「はい」
407 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:25:10.39 ID:onpdjsy20
固法「あまり大きな事でもないから仕方ないかもね」

白井「まあ、言われればそうですの」

固法「それより昨日の侵入者の事だけど…」

白井「はて?昨日…?」

固法「なんかヤクザ風の集団が学校に入って来たとかって聴いたんだけど」

白井「ああ。あれは一種の勘違いでしたの」

固法「勘違い?」

初春(白井さん。いいんですか?)

白井(事件として上げるにはあまりにも小さ過ぎますの。今後の面倒も考えるとこれが一番ですの)

固法「よく分からないけど何も無かったって事?」

白井「ええ。間違いありませんの」

固法「そう。ならいいわ」

初春「そういえば白井さん。昨日のテレビ見ました?音楽番組のやつ」

白井「お姉さまが見てたので一緒に見ましたの」

固法「音楽番組?それがどうかしたの?」

初春「そういえば固法先輩知らないんですね。実は…」
408 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:25:47.97 ID:onpdjsy20
再びビル内


削板「がぁぁあ!またすっぽ抜けた!」

土御門「うーん…」

垣根「…」ボソボソ

海原「…また削板か、と言ってます」

一方通行「ただ叩くだけだろォ?一体どうしてそんなスティックが飛ぶンだよ」

土御門「強く振りかぶり過ぎなんだな。もう少し力をセーブしてくれ」

削板「オッケー」

食蜂「そろそろ指が疲れて来たわ。ついでに汗も出てきた…」

麦野「早く収録しないと別の意味での話題PVになっちゃうわね」

御坂「やっぱりスーツって結構暑いわねー」

麦野(ワイシャツから乳首が透けてるとなると流石にシャレじゃ済まないわよね)

結標「もう一度今の所気をつけてやりましょう」

海原「そうですね。やはり回を重ねないと慣れませんからね」

結標「そういうこと。それとあなた」

御坂「わ、私?」

結標「カメラを意識しすぎ」

御坂「う…」
409 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:26:18.21 ID:onpdjsy20
結標「そんなにカメラばっか目で追っちゃダメよ。不自然なカメラ目線になってるわ」

御坂「私から言わせてもらうと…なんで皆してカメラ慣れしてるのよ…」

一方通行「別に気にするもンでもねェだろ」

食蜂「そうそう。普段から注目浴びてればなんてことないわ」

御坂「…」

土御門「もう一回今のシーンから始めるぜい」

海原「テイク…23です」

土御門「30は行きたくないにゃー」

海原「皆さん次第ですね」

土御門「…ちゃんと別のカメラも回してるか?」

海原「メイキングのほうですね?ちゃんと回ってますよ」

土御門「よしよし」

一方通行「オイ、早く始めンぞ」

海原「削板さん今度こそお願いします」

削板「任せろ!」

土御門「始めるにゃー」
410 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:26:47.42 ID:onpdjsy20
第七学区内・ファミレスにて


フレンダ「暇ね…」

滝壺「zzZ」

浜面「…」ペラ

黒夜「…」カチカチ

絹旗「…」ズズッ

フレンダ「あんたさっきから何読んでるの?」

浜面「んん?これ」

フレンダ「雑誌?」

浜面「音楽コーナーの部分だけなんだけどな」

絹旗「浜面音楽とかに興味ありましたっけ?」

浜面「あんま関心は無かったけど…PV撮ったじゃんか?それで少しな」

フレンダ「来週だっけ?」

浜面「ああ」

黒夜「確かくれるとか言ってなかったっけ?」

絹旗「ああ…そう言えば言ってましたね」

フレンダ「カナミンのOPだっけ?凄い人気らしい訳よ」

浜面「今更か?そんなのは周知の事実じゃないのか?」

フレンダ「え…?」

絹旗「まさか浜面…」

黒夜「マジか…」

浜面「え?…え?」
411 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:27:20.17 ID:onpdjsy20
絹旗「まさか浜面が滝壺さんそっちのけでカナミンで超ハァハァしてるとは…」

浜面「お、おいおい。まさか見たこと無いのか?」

絹旗「ま、冗談は置いといてですね」

黒夜「人気だけなら私でも知ってるぜ。ほら、アレポスターじゃねぇか?」

浜面「ポスター?」

黒夜「店の中じゃねぇよ。外のほら…」

浜面「ああ、ああ。あそこか」

絹旗「ちょうど結標さんのポスターの並んでますね」

浜面「そりゃOPを担当すりゃな…」

フレンダ「そういえば麦野はどこで何してるわけ?」

絹旗「私は今日席外すって事ぐらいしか聴いてませんね」

黒夜「どっか出掛けてんじゃねぇの?」

浜面「一人でか?」

黒夜「一人でも、他の奴誘えば一人じゃねぇだろうよ」

412 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:27:49.60 ID:onpdjsy20
浜面「他の奴って?」

黒夜「知らねぇよ」

フレンダ「ねえ」

浜面「番外個体とかか?それとも超電磁砲か?」

黒夜「だから知らないっての」

フレンダ「ねえ!」

浜面「え?あ、どうした?」

フレンダ「ポスター見て思ったんだけどさ」

黒夜「?」

フレンダ「結標ってなんでアイドルになったわけ?」

浜面「あー…それこそ知らないっていうか…」

絹旗「確か私達はアイドルになる前日に会いましたよね?」

黒夜「だっけか?」

浜面「あの研究員風の人が来た時だろ?木山って言ったっけか?」

絹旗「そうです。ついでに言うと一方通行や垣根も一緒に来た時ですね」

黒夜「そういやあったな…そんなこと」

フレンダ「えっ、なにそれ…あ、私が居なかった時か…」
413 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:28:18.97 ID:onpdjsy20
絹旗「あの日は確か…麦野の要望でゲーセンに行くときでしたね」

浜面「街中で会ったんだよな」

絹旗「ええ。そういえばその時にあのメガネを付けてましたね」

浜面「メガネなんてどうでもいいだろ。そして麦野が二人で話をしたいとか言い出したんだっけ?」

絹旗「そうですね。それで自然と超解散しちゃったんです」

黒夜「流れ的に麦野と会話してアイドルになったのか?」

絹旗「違うんじゃないですか?少なくとも私はそう思えませんね」

浜面「まあ、別になんでもいいんじゃね?特に理由にこだわる必要もねぇだろ」

フレンダ「それはそうだけどやっぱり気になる訳よ」

絹旗「今度本人に聴いたらどうです?」

フレンダ「そういうのって聴きづらくない?」

絹旗「まったく…」

黒夜(そういやシルバークロースから手紙貰ったのもそんくらいだったなぁ…)

浜面「腹減ったな。追加注文するか」

絹旗「浜面、ドリンクバー」

フレンダ「私も」

浜面「…」
414 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:28:48.16 ID:onpdjsy20
ビル内


ゥゥゥゥン…

結標「…」

一方通行「…」

キィィィィィン…

御坂(一応終わったけど…一方通行が何か音出してるし、まだ終わりじゃないのかしら)

麦野(削板のスティック回しが成功したからオッケーじゃないかしら)

食蜂(うう…ギターのストラップが擦れて…汗も出てきたし…透けてないといいんだけど…)

削板(これは喋っていいのか?)

垣根「…」

ギュン…

土御門「…」ピッ

キュウウウウン

海原「お疲れ様です。テイク26にてやっと成功です」

土御門「今からちょっとだけ編集するから今のうちに着替えてくるといいにゃー」

削板「この撮影を通して熱いモノを感じたぞ!」

海原「それは何よりです」

一方通行「はァ…」

パキンッ!

土御門「ん?…ああ、垣根か…」

垣根「はぁーっ…やっとか…」

海原「お疲れ様です。積もる話はまた後でお願いします」

垣根「おう」
415 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:29:16.45 ID:onpdjsy20
男子更衣室


垣根「スティック回しって結構難しいんじじゃねぇのか?」

削板「そうでもないぞ?これをこう…だな」クル

カラン

削板「あれ?もう一度…」カラン

垣根「あぁ?出来たのはさっきだけか?」

削板「いや…ここでも出来るはず…!」

一方通行「やっと肩の荷が下りたな…」

垣根「文字通りな」

削板「出来た!出来たぞ!」

垣根「一方通行」

一方通行「ちょっと貸してみろ」

削板「ほら」

一方通行「…」カチ

ギュゥゥン!

削板「指が動いてないぞ!」

垣根「指先ひとつでこんな事も出来る。まあ俺は無理だけどな」

削板「その気になれば俺も出来るはずだ!貸せ!」

一方通行「無理だと思うケドなァ…」

416 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:29:47.96 ID:onpdjsy20
女子更衣室

食蜂「はぁ…終わった終わった…」プチプチ

麦野「暑苦しいしさっさと着替えましょ」シュル

御坂「ロッカーロッカー…っと」ガチャ

食蜂(あ…パンツ無かったんだ…)

御坂「ワイシャツは…」

結標「っと」ヒュン

麦野「着替えるのにも能力使うの?」

結標「こっちの方が随分と早いもの」

麦野「そう?」

結標「ええ」

食蜂「ちょっと」

結標「え?」

食蜂「私のパンツはどこかしら」

結標「パンツ?そういえばどこに飛ばしたかしら…」

食蜂「え?」

結標「多分そこらへんに落ちてると思うんだけど」

食蜂「帰りの服装はさっきの格好より短いスカート履くんだけど…」

結標「涼しくていいんじゃない?」

御坂「これ貸してあげるわ」スッ

食蜂「これってあなたがいっつもスカートの下に履いてるやつよね?」

御坂「今日何枚か持って来てたから。はい」

食蜂「…貸してもらうわ」
417 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:30:13.36 ID:onpdjsy20
麦野「私先に出るわね」

結標「私ももう出るわねぇ」

食蜂「私も」

御坂「え?もう?ちょっと待って…もう済むから…っとと」

御坂「よし。もうオッケーよ」

麦野「はいはい」ガチャ

ゴオオオオオオオオッ!

バタン

結標「なんで閉めたのよ」

麦野「冗談でしょ?今の音聴こえなかったの?」

『出来たぞー!!』

御坂「…今の声って」

結標「とりあえず出ましょうよ。そうしないと始まらないわ」

麦野「…」カチャ

垣根「か、風が…!」

一方通行「俺の真似して竜巻まがいの物を起こすとはよォ…」

土御門「あー!書類がー!」

海原「土御門さん!書類よりも機材をですね…」

麦野「男子更衣室の入り口辺りで強風が起きてるわ」

御坂「…」
418 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:30:44.04 ID:onpdjsy20
垣根「お前!とりあえずそれを治めろ!」

削板「俺にも出来たぞ第一位!」

一方通行「分かったからさっさと抑えろォ!」

削板「ぐぐ……どうやって治めたかな…?」

ドッパァァン!

一方通行「またスティック…!ぐがっ!」ガン

垣根「わぷぷっ!なんだ!?」スポッ

バサバサバサ!

土御門「さらば書類よ…」

海原「集めればすぐですから」

削板「…これで大丈夫のはず」

一方通行「痛ゥ…!」

削板「悪かった!」

垣根「んだこりゃぁ…?」グイ

食蜂「…」タッ

垣根「パン…あ?」

食蜂「私のよ!」グッ

垣根「あー?」ヒョイ

食蜂「とっ…届かない…!」ピョン
419 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:31:11.34 ID:onpdjsy20
垣根「なんでここでお前のパンツが出てくるんだよ」

食蜂「さっきアイドルに飛ばされたのよ!」

垣根「そうか」スッ

食蜂「被せんな!!」ドカッ

垣根「んがっ」

御坂「楽しそうね」

食蜂「どこが」

御坂「別に」

食蜂「まったく…はいコレ。返すわ」ポイ

御坂「ここで履き替えるの?」

食蜂「もう履き替えたわ」

御坂「早い…」

削板「ほら、飛ばした資料ってやつだ」ヒョイ

土御門「おお、悪いな」

削板「なに」

海原「とりあえず皆さん集まってください。一足先に鑑賞会といきましょう」

御坂「こっちの編集も早いわね」

結標「スピードが命ですもの。早ければ早いほどいいわ」

麦野「んじゃ見るとしましょうか」

一方通行「俺も行くかァ」

結標「一方通行」

一方通行「ン?」

結標「お疲れ」

一方通行「お互い様だ」
420 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:31:39.21 ID:onpdjsy20
ファミレスにて


浜面「雲行きが怪しくなって来たな」

黒夜「早く支払い済ませろよ。みんな外で待ってるぞ」

浜面「ああ。お前も先出てろよ」

黒夜「そうする」カチャ

絹旗「やはりこちらの作品をですね…」

フレンダ「まーたB級ホラーな訳?なんかこう…さぁ…」

絹旗「なんかとはなんですか。私はこうして今の季節に合うようなものをですね…滝壺さんはどうですか?」

滝壺「わたしはこれがいいな」

絹旗「ん…これは最近上映し始めたサイコサスペンスですね。滝壺さんはこういうのが好きなんですか?」

滝壺「ううん。この雑誌に載ってるやつならこれがいい」

絹旗「じゃあこれにしましょうか」

黒夜「それ見るのか?」

絹旗「ええ。浜面はどうしました?一雨来る前に映画館に行きたいのですが…」

黒夜「もう来るんじゃないか?」

カラン

浜面「何見っか決まったのか?」

絹旗「このサスペンスに決まりました」

浜面「げっ…これって頭使うようなやつじゃねぇのか?」

絹旗「そんな心配をしてるようでは映画なんて見れませんよ?」
421 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:32:07.14 ID:onpdjsy20
浜面「まあいいや。とっとと行こうぜ?近くのでいいよな?」

フレンダ「わざわざ天気悪い時に他の学区に行きたくない訳よ」

浜面「決まりだな。じゃあすぐそこだしこのまま歩きでいいか」

絹旗「何してるんですか?超置いてきますよ?」

浜面「…」

フレンダ「結局浜面がビリな訳ね」

浜面「お前さっきまで隣に居たろ…」

滝壺「はまづら早く」

浜面「今行くよ」タッ

絹旗「そうだ、番外個体でも誘いましょうか?」

黒夜「今家に居るといいんだけどな」

絹旗「さすがにどこかに出掛けてはいないでしょう」

黒夜「出てこれるか?」

絹旗「本来ならレベル5級の付き添いが必要とか一方通行が言ってましたが…さすがに私達でも大丈夫でしょう」

黒夜「いざとなったらシルバークロース呼べるしな」

絹旗「そういうことです」

黒夜「んじゃ呼んでくれよ」

絹旗「はいはい…」ゴソゴソ

浜面「おい、お前ら信号」

絹旗「黒夜先にどうぞ。向かいで待っててください」

黒夜「おう」タッ

422 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:32:32.82 ID:onpdjsy20
浜面「あれ?絹旗は?」

黒夜「電話するからここで待ってろってさ」

浜面「そうか。てかさ」

黒夜「あ?」

浜面「俺も知り合い呼んでいいか?さすがに男一人はキツイわ」

黒夜「いいんじゃね?」

浜面「悪いな」ゴソ

黒夜「誰呼ぶの?」

浜面「旅行の時にツンツン頭のヤツ見たろ?」

黒夜「あー」

浜面「そいつ」

フレンダ「やっぱ車の方が良かったかなー?」

滝壺「わたしは雨も好きだよ?」

フレンダ「でも豪雨は勘弁な訳ね」

黒夜「傘無いから変な時に降られても困るぜぇ?」

フレンダ「そういえば番外個体って家近くなの?」

黒夜「割かし近い。映画館に着く前に合流出来ると思うぞ」

フレンダ「ふーん」

滝壺「信号青になってるよ」

黒夜「え?ホントだ…絹旗ー!青だぞー!」
423 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/20(水) 22:33:24.51 ID:onpdjsy20
絹旗「はい…じゃあ行く途中に会いましょう。では…」ピッ

絹旗「今行きまーす!」

浜面「よし。これで男一人の重圧から解放されるぜ」

黒夜「増えんのか?」

浜面「おう。なんか近くに居たみたいだからな」

滝壺「あれ?」

浜面「どうした?」

滝壺「うーん…」

浜面「?」

ポツ…ポツ…

黒夜「ちょっと降ってきたな…」

フレンダ「ありゃ?奥から思いっきりスピード出して来るのトラックじゃない?」

黒夜「まあ突っ込んできても絹旗の能力ならなんとかなんだろ」

浜面「お、おいおい!ホントに突っ込んで来るじゃねぇか!」

黒夜「居眠りか?仕方ねぇな…このまま建物に突っ込んでもアレだし…絹旗、そのトラック止めてくんねぇか?」

絹旗「トラックですか?このままだと超危ないですし…止めましょうか…」

滝壺「だめ!」

浜面「は?」

絹旗「え?…あ…れ…?」ガクッ

黒夜「は?おい…!」ダッ

フレンダ「ちょっと黒夜!!」

浜面「マジかよ…!」

絹旗「は…おかしいですね…うまく頭が…」


キキーッ!ドンッ!!

ザーッ……
.................................................
.....................................
...........................
...................
............
......
...
.


428 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:41:33.82 ID:marfGZpt0
数十分後・ビル内にて


土御門「よしこれで行こう」

海原「それがいいと思います」

垣根「んじゃ解散でいいか?」

海原「せっかくですからお送りしますよ。天気が崩れてるみたいですし」

垣根「天気?」

御坂「うわ…雨降ってるじゃない。土砂降りの域よ?これは」

垣根「ゲリラ豪雨ってヤツか?歩いて帰るのも面倒だから送ってもらうか」

土御門「じゃあ機材運ぶのを手伝ってくれ」

垣根「仕方ねぇな」

削板「俺も手伝うぞ」

土御門「お前が居ればすぐ終わりそうだな。よし来い」

一方通行「オマエは今日どォすンだ?」

結標「今日は久しぶりに帰るわよ。珍しく何も無いからね」

一方通行「そォいやクソガキがサインねだってたぞォ?」

結標「サイン?」

一方通行「妹達へ…1000枚だとよ」

結標「1000枚…!」
429 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:42:02.13 ID:marfGZpt0
一方通行「さすがにその数は無理か?なンなら俺から言い聞かせておくが…」

結標「サインでしょ?大丈夫よそれくらい」

一方通行「そォか。ンじゃ帰ったら詳しく聴いてやってくれ」

結標「ええ」

一方通行「そォいえば見たよ。昨日のテレビ」

結標「どうだった?」

一方通行「あァ…悪くねェンじゃねェの?」

結標「ふふっ、そう」

一方通行「あァ」

麦野「あー、そういえばフレンダ達は何してるのかしら…」

御坂「?」

麦野「今日映画に行くとかなんとか言ってたのよ。雨に降られてなきゃいいけど…」

御坂「ああ…なるほど」

食蜂「…」

麦野「寂しいわねあんた」

食蜂「別に…」

御坂「何か面白い話でもしようかしら」

麦野「言いだしっぺからな」

御坂「う…」
430 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:43:11.04 ID:marfGZpt0
piriririririri

一方通行「あ?」

piriririririri

麦野「私のも?」

御坂「へぇー。こんな事もあるのね」

食蜂「ただの偶然よ」

結標「誰から?」

一方通行「番外個体からだ」

麦野「私は浜面からなんだけど」

結標「何かあったんじゃない?」

一方通行「かもな…」ピッ

麦野「いいやシカトで」

御坂「出ないんだ…」

麦野「別にぃ?」

一方通行「どォした?」

『ちょっと!今ドコに居るのよ!』

一方通行「はァ?ドコって…第七学区のビル…」

『今すぐ病院に来て』

一方通行「冥土帰しの病院か?調整の事でなンかあったのか?」

『違う!サイアイがトラックとぶつかったの!』

一方通行「ぶつかったァ?」
431 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:43:39.29 ID:marfGZpt0
一方通行「どォいうことだそりゃァ…まさか能力使ってぶつかったから相手が重症です、なン落ちかァ?」

『はぁ?何のん気なこと言ってんの!サイアイは能力を発動出来なかったの!だからサイアイがトラックにはねられたの!分かる!?』

一方通行「発動出来なかった?…分かった今すぐ行く」

『早く来て。リアルゲコ太から大事な話があるみたい』

一方通行「分かった」プッ

麦野「ぶつかったとか重症とか一体どうしたの?」

一方通行「絹旗がトラックに撥ねられたって話だ。よく分かンねェが能力を使わなかったみてェだ」

麦野「じゃあ浜面からの電話は…」

結標「麦野…」

一方通行「とりあえず病院に顔出せって話みてェだ。医者がなンか言いてェみたいだからな」カチャ

結標「待って一方通行」

一方通行「?」

結標「私の能力で送ってくわ。そっちの方が何倍も早いから」

麦野「結標、私も」

結標「ええ」

一方通行「そォかアイテムの…」

結標「それと一方通行。病院に着いたら私達からも話があるわ」

一方通行「お前らもか。まァイイ、とっとと行くぞ」

ヒュン

御坂「一体どうしたのかしら」

食蜂「気になるわね。あの人達に言って私達も病院に連れてってもらいましょ」
432 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:44:08.40 ID:marfGZpt0
病院


一方通行「番外個体!」

番外個体「随分と早かったね」

一方通行「淡希も一緒に居たからよォ。それよりトラックに撥ねられたって言うのは…」

番外個体「病室そこ。見てきたら?ゲコ太も居るよ」

一方通行「そォか…」

番外個体「ん?ムギノも来たの?」

麦野「一応仲間だし。第一そんな薄情でも無いわよ」

番外個体「ひひっ。ジョーダン」

一方通行「入ンぞ」ガラッ

冥土帰し「来たね一方通行」

一方通行「…撥ねられたって割には随分と綺麗だな」チラ

黒夜「私が直撃する寸前に能力を使った」

一方通行「能力…そォか…。ンじゃなンで寝てンだ?」

冥土帰し「寝てるというより意識不明の状態だね?」

一方通行「意識不明だとォ?黒夜の能力でも直撃させたのか?」

黒夜「私は絹旗が少しトラックから離れるように撃っただけだ。直撃なんざさせてねぇよ」

一方通行「…そォいや能力が発動しなかったとか言ってたな。そりゃどォいう…」

滝壺「あくせられーた」

一方通行「滝壺か…なンだ」

滝壺「きぬはたが能力を使う少し前。きぬはたのAIM拡散力場がぐちゃぐちゃになるのを感じたの」

一方通行「オマエ能力が使えたのか?」

滝壺「感じるだけなら簡単」
433 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:44:35.15 ID:marfGZpt0
一方通行「拡散力場がグチャグチャになったとか言ってたな。どォいうことだ」

滝壺「能力を充分に機能させるだけの構成能力が無くなっていたの」

一方通行「はァ?」

冥土帰し「つまり彼女が能力を使おうにも拡散力場が…力のフィールドがメタメタになってしまったといことだね」

冥土帰し「原因としては自分だけの現実の揺らぎ」

一方通行「発動以前に使用が不可能の状況に陥ったってことかァ?」

冥土帰し「その解釈で間違っていないよ」

冥土帰し「今の絹旗最愛には窒素装甲を使用するだけの力は無い」

一方通行「…」

冥土帰し「彼女が今意識不明なのは自分だけの現実の反動だね?」

一方通行「オイ待て。話を聴く限りだと絹旗が能力者として不十分だって言ってるように聴こえンだがよォ…」

一方通行「自分だけの現実の反動とか拡散力場の揺らぎとかよォ、そォいうのは能力者として最初にコントロールすべき部分なンじゃねェか?」

冥土帰し「君の考えで合ってる。絹旗最愛は能力者として精神の部分で不十分だった」

一方通行「暗闇の五月計画が原因ってことか」

冥土帰し「まあそこに座りたまえよ」

一方通行「チッ…」ガタッ

冥土帰し「実は彼女がこのような状況になることは予想できた事態なんだね?」

一方通行「あァ?」

冥土帰し「なに、彼女だけじゃない。被験者全員に言えた事だ。もちろんそこに居る黒夜海鳥にもね」
434 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:45:01.90 ID:marfGZpt0
冥土帰し「最近になって被験者と思われる人物が次々と倒れ病院に運ばれている」

冥土帰し「症状は今の彼女ほど酷くなく、治療すればすぐにでも復活できる程度の症状だ」

一方通行「そォいう話を出すってことはコイツの症状がそれなりにヒドイって事か」

冥土帰し「それなりではなくかなり、ね」

一方通行「どォしてだ?」

冥土帰し「それはだね…」

「実験体中、攻撃性が一番近づいたのが黒夜。そしてその中でも優等生とされたのが絹旗だ」

冥土帰し「君も来たのか。垣根帝督」

垣根「一方通行、知ってるはずだぜ?五月計画がどういう実験だったのかをよ」

一方通行「噛み砕いて言やァ…俺に近づくための実験だ」

垣根「そうだ。お前に近づくための実験で絹旗が優等生なんだぜ?」

一方通行「…」

垣根「精神性も特に近づいてるはずだな」

冥土帰し「他に発症した子は頭痛で倒れている。原因は精神性の不一致」

垣根「自分本来の精神性に合致しなくてその不具合が今になって頭痛になったって話だ」

一方通行「オマエには聴きてェことが幾つかあるが…まァイイ」

一方通行「優等生になったツケが回ってきたンだろ?」

冥土帰し「そうだ。君の精神性を無理矢理植え付けたツケがね」
435 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:45:30.82 ID:marfGZpt0
一方通行「治療方はあンのか?」

冥土帰し「もちろん」

一方通行「そォか…ならイイ。それと冥土帰し」

冥土帰し「なんだね?」

一方通行「どォしてもっと早い段階で俺にそのことを言わなかったンだ?」

冥土帰し「君があんまり抱えることじゃない。僕なりの気遣いだ」

一方通行「ハッ、そォかい」

垣根「次は結標のトコに行ってやれ。次はあいつらから話があるみたいだぜ?」

一方通行「言われなくても」

冥土帰し「それと一方通行」

一方通行「まだなンかあンのか?」

冥土帰し「被験者全員が発症するわけじゃない。それだけ覚えていてくれ」

一方通行「…」チラッ

黒夜「私はなんともねぇよ。心配すんな」

一方通行「心配しないで済むとイインだけどよォ」

垣根「死にはしねぇよ」

一方通行「命の心配なンざ最初からしてねェよ」ガチャ

垣根「この病院だから、かぁ?」
436 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:45:57.99 ID:marfGZpt0
結標「どうだった?」

一方通行「とりあえずは無事みてェだな」

結標「そう」

一方通行「オマエは顔見なくてもイイのか?」

麦野「後で見るわよ。それよりも話たいことがあるんだけど」

一方通行「言ってたな。さっさと話せ」

結標「私達も絹旗か黒夜がいつかこうなることを知ってたの」

一方通行「今度はオマエ達か。どっちが誰から何を聴いた」

麦野「垣根にやられた時の怪我で私がここに通院してたのよ。んで最後の通院の時にあの医者から聴いたのよ」

一方通行「淡希が知ってたって事はオマエが話したからか」

結標「あなたに話さなかったのはごめんなんさい…怒ってる?」

一方通行「何か考えがあったから話さなかったンだろ?それについては深く聴くつもりはねェよ」

麦野「へぇ…以外ね」

一方通行「…」

冥土帰し「一方通行」カチャ

一方通行「まだなンかあンのか?」

冥土帰し「治療費の事なんだけどね」

一方通行「金の事なら問題は…」

黒夜「一方通行、その事なんだけどな」ヒョコ

一方通行「あ?」

黒夜「口座の中はスッカラカンなんだよ」
437 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:47:16.44 ID:marfGZpt0
一方通行「はァ?なンでンな事…!」

一方通行「シルバークロォス=アルファ…!」

黒夜「気付いたか?思ったより駆動鎧って高いんだよな」

冥土帰し「困ったね…サービスで行えるほど低コストな治療じゃないんだよね?」

一方通行「後で払うってのは…」

冥土帰し「君の後でがどれくらい後かは分からないが…治療に必要な器具を用意するのに治療費を貰うんだ。そこが他の治療との違いだね?」

一方通行「チッ…垣根…」

垣根「俺の口座はとっくの昔に凍結されてるぜ」

一方通行「…」

結標「その事だけどね、一方通行」

一方通行「…あァ…」

結標「私が払うわ」

冥土帰し「払うのは一向に構わないんだけど結構な金額だ。それこそレベル5級の財力が必要だって程にね?」

結標「当てがあるもの。じゃなければこんな事言わないわ」

一方通行「オマエどこにそンな金が…」

結標「アイドルになったきっかけの一つよ。治療費を稼ぐことがね」

一方通行「…」

垣根「なりたいからじゃなかったのか」

結標「それも理由の一つね」
438 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:47:50.71 ID:marfGZpt0
結標「あなた達が常盤台の子との同棲を終わらせる少し前…ていうか私がアイドルになる前日の事ね」

垣根「路中で俺達と会った日の事だな」

結標「そう。なぜか木山さんと一緒に居た時ね」

結標「私があなた達と会った後に麦野から話を聴いたの」

麦野「あん時は医者に話を聴いた後だったからね。とりあえず結標に絹旗の事話そうと思ってね」

結標「本人に言わないで私に言うんだもの。びっくりしたわ」

麦野「不確実なことなんだし…変に話して不安を煽っても仕方ないでしょ」

結標「まあね」

麦野「適当に場所用意して二人で話すことにしてね。そいたら開口一番にアイドルになりたいんだけどどう思う?って聴いてきたの」

結標「そしたら麦野はなりたいならなればって言ってきたのよ。そしてその後に肝心の話を聴いたの」

結標「せっかくだし治療費を稼ぐことも兼ねてアイドルになってみようと思ってね」

一方通行「オマエが出すような金でもねェだろ。どォしてわざわざ…」

結標「ま、家族みたいなもんでしょ?あなたのお金も無限に沸くわけでもないし、何かあった時の貯えのつもりでね」

一方通行「そりゃそォだが…」

結標「現にそのお金が底を付きそうになってるし…正解だったみたいね」

麦野「ホントは私が出してあげれば一番早いんだけどね」

垣根「出してやりゃあいいじゃねぇかよ」

麦野「あんたにやられた怪我の治療費もろもろでほとんど吹っ飛んだのよ」

垣根「ぐ…悪い…」
439 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:48:40.72 ID:marfGZpt0
結標「そしてその夜に来た話が…」

黒夜「駆動鎧の話なんだな」

結標「金額を見てびっくりしたわ。本当に高いのね駆動鎧って」

一方通行「早いうちに俺に話してくりゃァ良かったのによォ」

結標「そっちも結構込み入ってると思ったのよ。自分のことで精一杯だろうと思ってたし…更に問題を増やすのもどうかと思ってね」カチャ

一方通行「…あ」

結標「このメガネにも少しお世話になったしね」

垣根「気付いてたのか?」

結標「つい最近だけどね。もうほとんど効力も無いみたいよ?このメガネ。随分と不思議なアイテム…」

垣根「木山は自分では気付けないみてぇな事言ってたハズだが…」

結標「そうみたいね。前に土御門がメガネを貸せって言ってきてね。それで解析して初めてこのメガネの効力が分かったのよ」

垣根「んじゃアイドルになりてぇってのは…」

結標「恥ずかしい話だけど本心ね。ちょっとだけ憧れてたのよ」

一方通行「まァ、何はともあれ迷惑かけたな」

結標「あなたがそういう事を言う必要は無いわ」

垣根「土御門と海原はアイドルの目的を知ってんのか?」

結標「ええ。実を言うと知ってるのよね」

一方通行「チッ…なンか複雑だな…」

「まあそう言わないでください。結標さんもあなたを思っての事なんですから」

結標「海原、呼び方」

海原「これは失礼しました。あわきんさん」
440 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:49:12.44 ID:marfGZpt0
一方通行「オマエらも来たのか?」

海原「いざ送ろうと思って戻ったらあなた達が消えてましてね」

土御門「何があったか話を聴いてみると病院がどうのと言う始末だ」

海原「麦野さんも消えてましたのでもしやと思いまして…食蜂さんの後押しもありここに来ました」

土御門「と言っても垣根は車に乗らないで能力使って飛んで来たみたいだけどな」

一方通行「一緒に来たわけじゃなかったのか?」

垣根「ああ。自分で来た方が早いと思ってな」

一方通行「なンで最初にオマエが単独で来たンだ?それにさっきの事もだ…妙に詳しいじゃねェか」

垣根「同棲が終わる当日、俺達にしては珍しく別々に行動したよな?」

一方通行「あァ」

垣根「そん時に倒れてる女の子を助けたわけだ。んで病院に連れてくとびっくり…被験者特有の症状だっつー話を聴いたわけなんだわ」

一方通行「一度目の当たりにしたのか」

垣根「おう。そん時からいつか絹旗か黒夜のどっちかがぶっ倒れんのかな、と思ってたらコレだ」

一方通行「…」

垣根「第三位とかに話を聴いてもしやと思い飛んできた次第だな」

一方通行「そォか」
441 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:49:50.12 ID:marfGZpt0
その頃、病院・一階ホールにて


上条「なあ、やっぱりお前はあの場に居たほうが良かったんじゃないのか?」

浜面「俺が居ても仕方ないだろ。どうにかなるわけでも無いしよ」

上条「容態とかどうなんだろうな」

浜面「詳しくは聴いてないけどそんな重症でもないみたいだぜ?」

上条「そうか、まあ良かったな」

浜面「だな」

上条「そういや誰だっけか…あのジャージの子」

浜面「滝壺か?」

上条「そうそう。一方通行に話したい事があるってのは…」

浜面「さあ?ていうか一方通行達遅いな…」

番外個体「あの人達ならとっくに来てるよん」

浜面「は?」

番外個体「さっきムスジメの能力使って現れたよ」

浜面「せっかく入口近くでスタンバってたのに…」

番外個体「ひひ、でも別のお客さんが来たでしょ?」

上条「そうそう。なぜかさっき土御門が来たし…それに海原光貴まで…」

番外個体「ほら、また別のお客さんじゃないかな?」

上条「え?」
442 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:50:18.47 ID:marfGZpt0
御坂「…あれ?なんであんた達が…?」

番外個体「なんでって言われてもねぇ?」

食蜂「連れて来てもらったはいいけど…何がどうなってるのかしら」

上条「み、美琴!?」

御坂「なんか久しぶりな感じがするわねー」

上条「実際久しぶりだっつの!お見舞いとか来てくれんのかなーとか思ってたのにそれも無かったし!」

御坂「え?あんた入院してたの?」

上条「ええ…まあ…」

御坂「まあ無事退院出来たみたいだし良かったわね。おめでとう」

上条「あ、はい。どうも…それよりそっちの金髪の方は…」

食蜂「…」

御坂「あ、名乗らないんだ…。えっとこの子はね…第五位の心理掌握、食蜂操祈って言うの」

上条「えっ!この人が心理掌握なんですか!」

浜面「第五位…ってことは常盤台の…中学生か…」

上条「はぁー…」

浜面「うーん…中学生にしては…」チラ

御坂「…」
443 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:50:48.65 ID:marfGZpt0
御坂「このツンツン紹介した方がいい?」

食蜂「遠慮しとくわ。興味無いし」

御坂「あ、そう?」

浜面「ぶふっ、興味無いってよ?」

上条「お前は美琴にすら触れられて無いけどな」

浜面「ははっ、初対面だから仕方ねぇよ。初対面…だよな?うん」

削板「俺はお前を知ってるぞ!!」

浜面「こ、この声は…」

削板「旅行以来だな!浜面仕上!」

浜面「なんで第七位のあんたまで居るんだよ…」

削板「話すと長いぞ!」

浜面「やっぱいいわ…」

食蜂「…」

上条「あのー…私の脳みそをいじって頭を良くしたりなんかは…」

御坂「あんたは何を頼んでるのよ…」
444 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:51:22.06 ID:marfGZpt0
チンッ

上条「ん?」

ガーッ

一方通行「なンだ?三下も居たのか?」

上条「ああ、まあな」

浜面「あれ?麦野も居たのか?」

麦野「こいつらと一緒にね」

垣根「?…お前たちさっきから居たか?」

上条「いや、さっきは売店に行ってて…」

垣根「そうか」

上条「なんでだ?」

垣根「いや、さっき俺が来たときは誰もホールに居なかったから…」

上条「ああ、なるほど」

浜面「滝壺は?」

麦野「もう少し病室に居るって。フレンダは?」

浜面「フレンダ?上に居なかったか?」

麦野「いや?見てないけど?」

浜面「あれ?おかしいな…」

一方通行「金髪のコトかァ?」

麦野「そうそう」

一方通行「そいつなら病室で寝てたぞ。気付かなかったか?」

麦野「あ、そう…」
445 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:51:49.78 ID:marfGZpt0
削板「何か大変だったみたいだな」

一方通行「大した事じゃねェ」

浜面「黒夜はどうした?」

麦野「病室。今日はここに泊まるみたいよ」

浜面「へぇ」

一方通行「淡希、番外個体。帰ンぞ」

番外個体「ありゃ?もう帰るの?」

一方通行「ここで唸ってても仕方ねェだろ」

番外個体「そりゃそうだけど…こう…なんて言うの?」

結標「絹旗の事を心配するのは分かるけど一方通行の言う通りよ?」

番外個体「はぁ?」

結標「治療をするにはするけど一旦意識が戻ってから治療するの。これからあの医者がその行動に移るからどの道待たなきゃいけないのよ」

一方通行「そォいうこった。ま、ここで待ってても仕方ないンだわな」

番外個体「意識が戻ってからって…ちゃんと起きるの?」

一方通行「だから最初にその治療をするって言ってンだろォが」

番外個体「は、はぁ…?」

一方通行「とりあえず一旦家に戻ンぞ。保護者連中にも話しとかなきゃなンねェしな。淡希、悪いが能力使ってくれ」

結標「はいはい」

一方通行「じゃァなオマエ等。また会おうぜェ?」

ヒュン
446 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:52:18.03 ID:marfGZpt0
海原「じゃあ土御門さん、自分達もそろそろ…」

土御門「そうだな。発売に向けての準備もあるし…」

海原「御坂さんと食蜂さんは常盤台までお送り致します。お三方はどういたしますか?」

垣根「俺は適当に帰るわ」

麦野「私はもう少しここに居るわ。少し話も聴きたいし」

削板「もうちょっとここで話してから帰る」

海原「そうですか。ではお疲れ様でした」

土御門「よし、行くか」

上条「おい土御門!」

土御門「ん?そういえば居たな…どうした?上やん」

上条「お前、発売とか準備とか偉く忙しそうだけど何やってるんだ?」

土御門「まあ…仕事の一種だにゃー…」

上条「仕事?」

土御門「ちょいとマネージャー業を、な」

上条「マ、マネージャー?」

土御門「もういいか?時間も押してるんだ。悪いな上やん」

上条「待ってくれ。最後に聴かせてくれ」

土御門「?」

上条「来週学校には来るんだろうな?」

土御門「あ……まあ、予定では…」
447 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:52:46.94 ID:marfGZpt0
海原「土御門さん」

土御門「おっと。じゃ、またな上やん」

御坂「気をつけて家に帰るのよ?再び入院なんてシャレにならないわよ?」

上条「お、おう。気をつけるよ。美琴もな」

御坂「うん。じゃあね」

食蜂「さっさと行きましょ」

御坂「そんな急かさなくても…」

ウィーン

垣根「一気に静かになったな」

麦野「そりゃ騒がしい連中が消えればそうなるわよ」

削板「まだ俺が居るぞ」

垣根「そういやそうだったな」

上条「そういや垣根」

垣根「お?」

上条「退院祝いありがとうな」

垣根「おう。うまかったろ」

上条「ああ…やっぱり食べ物だったのか…」

垣根「?」
448 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:53:18.34 ID:marfGZpt0
垣根「だったのかって…どういうことだよ、オイ」

上条「どういうこともなにもウチのシスターさんが…」

垣根「俺の発言に対しわかったって言ったから心配はしてなかったんだが…そうか全部食っちまったか」

上条「垣根が悪いわけじゃねぇよ…しつけのなってないウチのシスターさんが悪かったんだから…」

垣根「まあ腹減ったって言ってたから仕方ねぇか…」

チン

削板「ん?」

冥土帰し「一方通行はまだ居るかね?」

麦野「さっき帰っちゃったわよ」

冥土帰し「一足遅かったか」

麦野「何か急用?」

冥土帰し「治療費の見積もりが出たからそれを伝えようと思ってね?まあ急ぎじゃないから構わないんだが…」

垣根「そういや冥土帰し」

冥土帰し「どうしたね?垣根帝督」

垣根「絹旗の治療に俺が関わんなくても大丈夫か?」

麦野「はぁ?どうしてあんたが…」

冥土帰し「全開の治療でメカニズムは分かったから君は関わらなくても大丈夫だね?」

垣根「ん、そうか」

上条「さて、んじゃ雨も止んだことだし俺は帰るかな…」

浜面「せっかく来てもらったのに悪かったな」

上条「いや、構わないよこれくらい。無事でなによりだ」
449 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:53:45.59 ID:marfGZpt0
垣根「はーっ…んじゃ俺も帰るか…急いで来たわりには大事でもなかったしな…」

削板「待て垣根」

垣根「大した事なくてよかったな。じゃあなアイテム」

削板「待つんだ垣根」ガシ

垣根「…なんだ」

削板「ここに一つの券がある」

垣根「ああ…近すぎてなんの券か分からねぇがあるな」

削板「の前に…ちょっと待ってくれ」タッ

垣根「?」

削板「なあ……これは………どうだ?」

麦野「え?………いいわよ………行かないわ」

削板「待たせたな」

垣根「大して待ってないがな」

削板「あと悪いがお前も待ってくれ」

上条「は?俺も?」
450 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/24(日) 14:54:15.45 ID:marfGZpt0
削板「実はコレ、焼き肉屋の無料招待券だ」

垣根「へぇ」

削板「今日撮影したろ?その後に打ち上げとかするのかなと思って用意したんだ」

垣根「そんな事思い付きもしなかったな。よく考え付いたなお前」

削板「まあな」

垣根「んでそれが?」

削板「肝心の結標や土御門達は帰ってしまった。麦野に聴いてみたらみんないかないそうだ、だから俺達だけでも行こうと思ってな」

垣根「焼き肉にか」

削板「焼き肉にだ」

垣根「だとよ、来るか?上条?」

上条「えっと…俺が行って大丈夫なのか?」

垣根「どんな心配してんだ。ダメなら誘わねえよ」

上条「そうか。じゃあお言葉に甘えて…」

削板「決まりだな!じゃあ行くか!」

垣根「…待った。心理定規も呼びたいんだがいいか?」

削板「心理定規…………ああ!あのドレスのか!構わないぞ!」

垣根「んじゃ呼ぶか」

上条「焼き肉かー。久しぶりだなぁ」 
454 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/27(水) 20:57:50.39 ID:ZiQymRBg0
垣根「とっとと行こうぜ。せっかく券を持ってても満員で入れなかったら意味無いからな」

上条「ん?誰か呼ぶんじゃないのか?」

垣根「途中で電話するよ」

削板「え…と場所は…」

垣根「外出ようぜ。電話もしたいしよ」

削板「お、そうか?」

ウィーン

垣根「…」ピッピッ

上条「インデックスは子萌先生の所にでも行ってもらおう…」

垣根「…ん?」ピ

削板「どうした?」

垣根「今すれ違った白衣の…」

上条「白衣?」

垣根「木山春生!て言ったっけか…」

木山「ん?君達は…」

上条「あれ?木山さん?」

削板「確か旅行の時の…」

垣根「冥土帰しになんか用か?」

木山「君がここに居るということは…」

垣根「興味本位で一方通行に着いて来た」

木山「そうか、察しの通り、絹旗くんの治療の事でちょっとね」

垣根「一応あんたも動くんだな」

木山「まあな」
455 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/27(水) 20:58:20.40 ID:ZiQymRBg0
木山「他に誰か居たのかい?」

垣根「麦野達…絹旗の一味が集まってるぜ」

木山「そうか。彼女達とも少しお話をしなくてはな」

垣根「何か重要なことでも?」

木山「別の子を治療する時に本来の精神性を上書きすると言ったことは覚えてるかい?」

垣根「ああ」

木山「その本来の部分を色濃くするために彼女とより親しい関係の人間から話を聴こうと思ってね」

垣根「本来の部分って言ったな。麦野達に聴いて分かることか?」

木山「恐らくな。もしもの時は前に掛けたメガネの時に適用された性格を元に組み上げれば問題ないさ」

垣根「メガネか…そんなこともあったな」

木山「ああ。では失礼するよ」

垣根「おう」

削板「店まで少し距離あるぞ?」

上条「タダで食べれるなら文句は言いませんよ」

垣根「…」ピピッ

piriririririri

垣根「心理定規か?俺だ…」

削板「常盤台の子達も誘っておけばよかったかな?」

上条「御坂はともかくもう片方の食蜂って子は来たかな…」

削板「来れなかった奴らの分まで食うぞ!」

上条「はは」
456 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/27(水) 20:58:48.12 ID:ZiQymRBg0

風紀委員一七七支部

カチャ

初春「あれ?白井さんまだ残ってたんですか?」

白井「初春?ええ、少し調べ物を…」

初春「何か新たに事件でもありましたか?」

白井「いえ、ちょっと昨日の事を…」

初春「昨日?一方通行さん達が現れた時の事ですか?」

白井「どちらかというと第二位様の事でして…」

初春「はあ?」

白井「今思い返してみるとどうも腑に落ちなくて…」

初春「何がですか?」

白井「彼の…」

初春「垣根さんの?」

白井「行動の一部始終ですの」

初春「行動…?」
457 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/27(水) 20:59:19.88 ID:ZiQymRBg0
白井「ええ。あの出来事はなあなあで処理致しましたが立派な犯罪行為ですの」

白井「校内への不法侵入に次ぎ、風紀委員への危害。それに対して悪びれた様子もなくヘラヘラヘラヘラと…」

初春「は、はあ…」

白井「軽い謝罪も無しにうやむやにしようとしたあの態度!今冷静に思い返してみるとこう…胃が…!」

初春「で、一体何を…?」

白井「どうにか一度豚箱に押し込めないかと考察していましたの」

初春「豚箱…そういえば一回学舎の園で警備員に捕まったって聴いたことがあります」

白井「そ、それは本当ですの!?」

初春「え、ええ。園内で能力を使用しテロと間違えられたとかで…」

白井「もしそれが本当だとしたら何故あの男は今野放しに…!」

初春「出来た彼女さんが身柄引受人になりましてそれで…あと色々あって和解って形になったみたいですよ?」

白井「!?!?」

初春「ど、どうしました?」

白井「かっ…彼女ぉ!?」

初春「はい、彼女さんが…」

白井「あの男にですの!?」

初春「だからそうだと…」

白井「はぁーっ。世も末ですこと…」

初春「?」
458 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/27(水) 20:59:54.45 ID:ZiQymRBg0
白井「あの男に付いてるということはよほど寛大な心の持ち主か…」

初春「持ち主か?」

白井「彼女さんに見せる別の顔を持ってるということに違いありませんの。あんな傍若無人なお人に…」ブツブツ

初春「なんか白井さん凄いですね?」

白井「は?」

初春「いえ…」

白井「どうにかして一回痛い目に…」

初春「あんまり手を出して前みたいにとんでもないイタズラされなければいいんですけど…」

白井「うぐ…そうならないようにはどうすべきか…」

初春「…」

白井「ん…まずはその彼女さんとコンタクトを取って…」

初春「何する気ですか?」

白井「その彼女さんが初春の言うとおり出来た人なら…」

初春「?」

白井「そうと決まれば警備員の詰め所に行って情報を…」

初春「は、はは…」

459 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/27(水) 21:00:24.43 ID:ZiQymRBg0
黄泉川宅にて



黄泉川「そうか…トラックに撥ねられたじゃんか…」

一方通行「あァ」

芳川「でも怪我とかは無いんでしょう?」

一方通行「大事を取っての入院だ。心配することはねェよ」

黄泉川「その時のショックで能力が一時使用不能に、か…そんなこともあるんだねぇ」

芳川「能力に関している精神性周りのことは分かってないことが多いわ。不思議なことでもないわ」

黄泉川「この街でも能力について分かってないことがあるじゃんか?」

芳川「得てしてそういうものよ。人の脳の事よ?分からないことだらけよ」

芳川「如何なることが能力に対して多大な影響を与えるか…それも詳しくは分かってないわ」

黄泉川「ほぉー」

芳川「だからこそ、気付けないこともあるんだけどね。昔に行われていた実験なんてほとんどそうよ。先の事なんて大して考えられてなかったもの」

一方通行「…」

黄泉川「一方通行?」

一方通行「…なンだ」

黄泉川「いや、いつになく真剣な表情をしてたじゃん。どうかした?」

一方通行「イヤ…きっかけさえあれば能力は使用不可になンのかと思ってな」

芳川「ありえない話じゃないわね」

一方通行「そォか」

芳川「でも最愛のことなら心配は要らないと思うわよ?原因もはっきりしてるし冥土帰しならちゃんと治してくれるわ」

一方通行「だとイイがな」
460 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/27(水) 21:00:50.29 ID:ZiQymRBg0
翌日・旧スクールアジトにて

piriririri

心理定規(電話?)

心理定規「私の…知らない番号ね…」ピッ

心理定規「もしもし?」

『朝早くに申し訳ありません。私、風紀委員第一七七支部の白井黒子と申しますの。心理定規さんの携帯で間違いありませんの?』

心理定規「確かに私が心理定規だけど…風紀委員が何の用かしら?」

『少々お話したいことがあって電話したのですが…『黒子貸して!』お、お姉さま!』

心理定規「?」

『もしもし?心理定規?』

心理定規「その声は美琴ね?電話を掛けてきた風紀委員ってあなたのお友達なのかしら?」

『あれ?会ったことなかった?前に旅行行った時、帰りに現れたのがそうなんだけど…』

心理定規「ごめんなさい。覚えてないわね」

『まああの時は他にも人が居たからね…』

心理定規「それで?何か用事があるのよね?わざわざ風紀委員から電話が来るなんて…」

『そうそう。それでさ、今日暇?』

心理定規「今日?」

『なんか色々とテレビで忙しそうだし…ね?』

心理定規「今日は大丈夫よ。特に仕事も無いし…」

『そう?よかったー。じゃあ今から言うとこまで来てもらっていい?場所は…』

心理定規「…オリャ・ポドリーダ?」
461 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/27(水) 21:01:26.02 ID:ZiQymRBg0
病院にて



冥土帰し「ふむ…どうしたものかね?」

木山「やはりレベル5級が必要なのでは…」

冥土帰し「出来ればたどり着きたくなかった結論だね?」

木山「やはりもう一度垣根くんに…」

冥土帰し「ああ言った手前頼みにくいね?」

木山「メカニズムは分かってもより良い手順を示したメモ帳を紛失するとは…」

冥土帰し「細部まできっちり頭に叩き込んだつもりだったんだがね…やはり年だとどうもね…」

木山「連絡しますか?」

冥土帰し「いや、もう少し自分の頭脳を頼ることにするよ。幸い彼女が目覚めるにはまだ余裕がある」

木山「そうですか」

冥土帰し「それより昨日言ってたことだけどね…」

木山「ご心配なく。今から行って来ます」

冥土帰し「彼女達はホールに居たはずだね?」

木山「ホール…分かりました」

冥土帰し「絹旗最愛の事、ちゃんと聴いてくるんだね?」

木山「ええ」

冥土帰し「あと」

木山「はい?」

冥土帰し「上着は着て行ったほうがいいね?」

木山「ふむ…」 
466 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/30(土) 19:41:12.09 ID:DhCCKE090
麦野「絹旗について…って言われてもねぇ…」

フレンダ「答えようが無いっていうか…」

木山「彼女の本心について聴ければ一番いいんだが…」

麦野「本心…本心ね…」

フレンダ「結局のところ絹旗の本当の姿ってのをしりたいわけなんでしょ?」

木山「うむ」

フレンダ「そういう心の奥底的な話だったら第五位の能力使って調べた方が早いんじゃない?」

木山「それはそうなんだが、そういう方法はあまり取りたくないんだ」

フレンダ「?」

木山「意識の無い状態で頭の中身を覗かれてはいい気はしないだろう?そういうことだよ」

麦野「…浜面、滝壺、ちょっと来なさい」

浜面「ん?」

滝壺「?」

麦野「あと黒夜も」

黒夜「…」スクッ

麦野「私達や黒夜が見てきた絹旗を教えるわ」

木山「助かるよ」

麦野「その中に本当のアイツが居るのかは知らないけど何も知らないよりはマシでしょ?」

木山「ああ、その通りだ」
467 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/30(土) 19:41:41.33 ID:DhCCKE090
その頃・第七学区・オリャ・ポドリーダにて


心理定規「オリャ・ポドリーダって何かと思ったら…スペイン料理のお店だったのね」

御坂「そうそう。伝統的な煮込み料理の…ってまあそれは置いといて入りましょ。黒子達を待たせてるのよ」

心理定規「入る前にいい?」

御坂「うん?」

心理定規「なんでココなの?」

御坂「うーん…特に理由は無いんだけど…木原?っていうオッサンがココにしろって…」

心理定規「木原…?ちょっと待って、木原数多もココに居るの?」

御坂「知ってるの?まあ、今回話すことにあたって必要な人材だったから呼ばれたみたいよ?」

心理定規「一体何を話す気なの?」

御坂「あー…実は私も良く分からないんだよねー」

心理定規「はぁ?」

御坂「私も話は一応聴いたんだけど何言ってるかよく分かんないのよねー」

心理定規「???」

御坂「とりあえず、ほら。黒子があんたと話したがっているしさ」

心理定規「う…うん」

御坂「はいはーい。一名様ご案なーい!」

心理定規「木原…数多…」
468 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/30(土) 19:42:08.26 ID:DhCCKE090
カラン


心理定規(う…ホントに木原数多が居る…それにしても何で?)

木原「うわっ…辛ぇなーこのスープ…」

初春「んー、これおいしー」

白井「あ、お姉さま」

御坂「連れてきたわよ」

心理定規「心理定規…って名前知られてるのよね…自己紹介するまでも無いか…」

木原「久しぶりじゃねぇか姉ちゃん」

心理定規「旅行の時に顔を合わせて以来かしら?確か温泉街で…」

木原「ああ、間違いねぇな」

心理定規「会話した覚えは無いんだけど…」

木原「まあそう言うんじゃねぇよ。顔は合わせたんだ」

心理定規「ま、どうでもいいけど…」

白井「ふむ…」ジロジロ

心理定規「あなたが白井黒子ね」

白井「ええ…白井ですの。改めてよろしくお願いしますの」ジッ

心理定規「さっきからジロジロと人の事見て…いい趣味とは思えないわね」

白井「いえ、想像してたよりは随分とお綺麗な人だと思いまして…」

心理定規「そう」

初春「白井さん、当然ですよ。だってこの人テレビにしょっちゅう出てますもん」

白井「テレビに?」

御坂「前に見た音楽番組、あれの司会だけど覚えてない?」

白井「いえ…歌ってる部分しか見てないので…」

心理定規「ま、なんでもいいわ。それより話ってのは?」
469 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/30(土) 19:42:35.83 ID:DhCCKE090
白井「はい、実は垣根帝督についての事なんですの」

心理定規「帝督?」

白井「ええ」

初春「えーと次は…」

木原「っと…」ガタッ

白井「おや、どこへ?」

木原「トイレだよトイレ」

心理定規「帝督がどうかしたの?」

白井「どうかしたと言うかどうかしてると言うか…」

御坂「ていうか最近会った?」

心理定規「昨日会ったわよ。珍しく焼肉に連れてってくれたわね。そういえば第七位とあなたの彼氏さんも居たわよ?」

御坂「え?」

白井「えっとまず何からお話したものか…」

初春「白井さん、ここはストレートに言ったほうが…」

白井「では率直に言いますの。お気を悪くなされるかと思いますがどうか最後まで聴いてくださいまし」

心理定規「何かしら?まさか逮捕が決定したとかそんな話じゃないでしょうね?」

白井「いえ。彼の素行問題を治したいと思いまして」

心理定規「素行…なるほどね」

白井「見た感じ、貴方は人が出来てる風に見えますの。ですが肝心の垣根帝督は…」

心理定規「でしょうね」

白井「ええ。彼の行動が逐一ムカつ…いえ、どうにかして真人間に…とは言わずとも人並みの常識を叩き込んでやりたいんですの」

心理定規「手間が省けて助かるわ」

白井「無理かと存じますが貴方にも許可を…え?」
470 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/30(土) 19:43:02.57 ID:DhCCKE090
心理定規「私もちょっとだけ気になってたのよ。これから先の事考えるといつか治させないと、って思ってたの」

白井「あら、でしたらお話が早いですの」

心理定規「常識は通じないとは言うものの…ねぇ?。まぁ能力に限ってだけど…」

御坂「先の事って?」

心理定規「行き着く先は結婚とかじゃないの?と言ってもこれっぽっちも考えたことないけどね」

御坂「ふーん…」

白井「でしたらなおのことですの。悪い事を悪いと思わない思考でしたら将来必ず困ることになりますの!」

心理定規「うーん…でも本当に自分が悪いってなったらちゃんと謝るわよ?」

白井「まあ私自身その謝罪を聴いたことが無いと言うか…」

御坂「でもそのスタイルがアイツなんでしょ?やっぱそういう所も受け入れなきゃ」

心理定規「美琴には言われたくないわね…。でもそんな事、私が一番分かってるわよ。それが垣根帝督ですもの」

白井「勿体無い…こんなお方が垣根帝督の恋人とは…」

初春「白井さんも彼氏を作れば分かるかも知れませんよ?」

白井「は?」

御坂「…黒子の彼氏なんて思い付かないわね」

白井「当然!私はお姉さま一択ですの!」

御坂「…」
471 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/30(土) 19:43:35.08 ID:DhCCKE090
木原「はぁあーあー」

御坂「ん、戻って来たわね?木原…さん?」

木原「さんはいらねぇよクソガキ」

御坂「な…」

心理定規「で?どうやって帝督を常識的にするの?」

白井「実はその方法も一緒に考えていただきたく…」

木原「あ?もう話したのか?」

初春「はい」

木原「じゃあ面倒が終わった所で俺が知恵を貸してやるよ」

白井「さすが一方通行さんの教育者ですの。連れてきて正解でしたの」

心理定規「その知恵とやらは?」

木原「調子乗ってるガキなんざ痛い目に合わせりゃ一発よ」

白井「…」

初春「ちょっと暴力的なんじゃ…」

木原「バッカ、力を持ってる奴相手に黙ってたらつけあがるだけなんだよ。だからな…」

白井「ふむ…」

木原「どうだ姉ちゃん?」

心理定規「ま、いいんじゃない?」

御坂「ちょ、それで大丈夫なの!?もしなんかあったら…」

心理定規「大丈夫よ、どうせ不死身だし。それに…どうやってあの人に痛い目を見せるのか、それも楽しみだわ」

御坂「ふ、不死身って…」
472 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/30(土) 19:44:00.65 ID:DhCCKE090
木原「えーと…未元物質未元物質っと…」ガサガサ

心理定規「一ついいかしら?」

白井「はい?」

心理定規「あなたどうやってこの人と知り合ったの?こう言っちゃなんだけど…あなたが関わるような人物でもないのよ?」

初春「事の始まりは佐天さんでした…」

心理定規「佐天…?」

白井「私達の友人ですの。なんというか彼女は知らない人によく話しかける癖があるというかなんというか…」

初春「削板さんと知り合った時もそれが原因でしたからね」

白井「昨晩の事ですの…」

-------------------昨晩--------------------

白井「すっかり遅くなってしまいましたの…」

初春「白井さんずっと頭抱えて唸ってるんですから…」

佐天「私、初春呼びに行った時びっくりしたよ」

初春「はは…」

佐天「だって白井さんはずっと頭抱えてるし…初春は初春で冷静にその姿を見てるんだもん…」

白井「頭を抱えないと思いつかないこともあるんですの」

佐天「さっきの帝督さんを真人間にするってやつですか?私はそんな事しなくてもいいと思うんだけどなー」

白井「そういうわけにはいかないんですの」

初春「白井さんそればっかりですねー」

白井「とりあえず帰ったらお姉さまに相談して…明日には心理定規さんとのお会いしたいと…」

バキッ!

佐天「ん?」

初春「なんでしょうか?」

白井「公園からですの」

初春「ここって例の自販機の…」

白井「ふむ…」
473 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/30(土) 19:44:28.29 ID:DhCCKE090
木原「ああん?んだ、この自販機はよ…」

木原「ナメてんのかコラッ!」バキッ

木原「こちとらなぁ…疲れてる中わざわざテメェンとこで飲みモンを買ってやろうって思って金入れてんだぞコノヤロッ!」ガスッ

木原「金を受け取った手前…モノを出せねぇんなら金を返す、返さねぇんならモノを出すってのが筋じゃねぇのかよ…コラッ!!」ドガッ

白井(なんでしょうかアレは…)

初春(怖そうな人ですね…同じ白衣姿でも木山先生とは大違いですね)

佐天(…)

白井(自販機に話しかけてる時点で大分危ないんですの)

木山「仕方ねぇな…こうなったら…」カチャ

初春(?なんでしょうかあのケース…)

白井(ロケット弾…?)

木原「あばよクソ自販機…あ?」

初春(あれ?佐天さん?)

白井(んな…!)

木原「なんだ姉ちゃん」

佐天「お金、自販機に詰まらせちゃったんですか?」

白井(何を言ってるんですの?全然聴こえませんの)

初春(そんなことより白井さん!早いとこ佐天さんを助けないと!)
474 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/30(土) 19:44:56.66 ID:DhCCKE090
木原「へぇ、よく分かったじゃねぇか」

佐天「ここの自販機、そういう事がよくあるんです」

木原「はぁん?」

佐天「何円飲まれたんですか?」

木原「千円、たった千円ぽっちだが腹が立ってよぉ」

佐天「そういう時はここらへん、蹴るといいですよ」スッ

木原「ここか?」

佐天「そうです、そこです」

木原「よっ」ドガン

初春(自販機にかなり強めに蹴り入れましたよ!)

白井(ぐぬぬ…!)ヒュン

ガラガラ

木原「ほぉー」

佐天「どうですか?」

木原「上等上等。悪いな姉ちゃん」ズイッ

佐天「いえ、これくらい…」

ヒュン

白井「風紀委員ですの!」

木原「あ?」

佐天「白井さん?」
475 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/30(土) 19:45:24.45 ID:DhCCKE090
白井「佐天さん、私の後ろに」

佐天「は…えーと…」

白井「手に持ってる武器、自販機に対しての攻撃、そして何よりこの人に手を出そうとしたところ…きっちりと視認しましたの!」

木原「はぁ?手を出すだと?俺はこの嬢ちゃんの頭を撫でようとしてだな…」

白井「どうだか…申し訳ありませんが拘束させてもらいますの!」ヒュン

木原「空間移動…」

白井「大人しくしてくださいまし!」ブンッ

木原「よっと…」ヒョイ

白井「え?」

木原「へへっ」

白井(なんで今避けられて…)

白井「くっ…もう一回…!」

木原「おい風紀委員!」

白井「は?」

木原「今俺の指は何本立ってる?」

白井「指…?あ…演算が…!」

木原「空間移動系の能力の演算負荷は他の能力を遥かに凌ぐモンだ」ガシ

白井「え?」

木原「だからちょっと別の事に注意を逸らしてやるだけですぐに集中が途切れて演算がストップしちまう」

木原「見たところ空間移動としては結構な能力者みてぇだが…ま、結標ほどじゃねぇわな」

木原「勘違いしてるみてぇだし話を聴かせるいい機会だ。悪いな」ブオン

白井「あいたっ!」
476 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/07/30(土) 19:45:52.84 ID:DhCCKE090
白井「まさか投げられるとは…」

木原「起きるんじゃねぇぞ風紀委員。これから経緯を話してやるからよ…」

初春「し、白井さーん!」

木原「あ?」

佐天「初春?」

初春「大丈夫ですかー!?」

白井「う、初春…そのバットはどこから…」

初春「どいてください佐天さん!」

佐天「え?」

初春「たぁっ!」ブンッ

木原「んがっ」ガンッ

佐天「だだ、大丈夫ですか!?」

木原「なんだこのガキ…!」

初春「あ、あれ?効いてない?」

木原「当たり前だろうが…!こんなプラスチックのバットで俺にダメージが来るとでも…!」

初春「あわわ、どうしましょう…」

木原「その腕章はテメェも風紀委員だな…!」

初春「はっ!風紀委員です!大人しく投降してください!さもないとレベル5の御坂さんを…」

佐天「そこ御坂さんなんだ…」

木原「あぁ?こちとらなぁ…第一位相手にしたことがあんだよコノヤロッ!」ブンッ

初春「わわっ!」ドシャ

木原「この街の風紀委員は話を聴かねぇってのは本当みてぇだな…」

木原「オイ、大人しく話を聴けよテメェら…?」 
483 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:40:45.79 ID:bnHYzZyE0
白井「…という事がありましたの」

初春「結果として私達の勘違い」

白井「話を聴いた私達はただただ木原さんに頭を下げるしかありませんでしたの…」

心理定規「ふぅん…それで?」

白井「ええ。話の流れで初春がお姉さまを出した時の木原さんの言葉を思い出しまして…」

心理定規「第一位相手に、って所?」

白井「はい。それで話を伺うとなんと教育者と言うではありませんの」

初春「それならば第二位の教育も出来るのでは!と思ったんですよね?」

白井「ええ。それで協力をお願いし、今に至るわけですの」

心理定規「それでその佐天さんって人は?」

初春「今日はなんか用事があるみたいで」

白井「佐天さんが居なくても話し合いは出来ますの。これから長くなりますわよ?」

心理定規「ふぅ…」

木原「これが垣根の資料で…」

御坂「あんた何者なのよ…」

木原「ああ?研究者だよ研究者」

心理定規「少なくとも普通の研究者じゃないわね」

木原「んじゃとっとと始めようぜ?第二位サマを改善する作戦会議をよ…」
484 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:41:36.70 ID:bnHYzZyE0
病院にて


冥土帰し「む…」

「どうしました?先生」

冥土帰し「いや、なんでもないね」

「そうですか?」

冥土帰し「ああ」

「では失礼します」

冥土帰し(彼女自身の演算能力を補うほど力が無い…)

冥土帰し(あれほどの演算能力は実験による賜物だったというわけか…)

冥土帰し「これでは再度上書きしたところで…」

カチャ

木山「先生」

冥土帰し「ああ、君か」

木山「一応話は聴いて来ましたが…どうしました?難しい顔をして」

冥土帰し「少し問題が出てきてね」

木山「メカニズムのことですか?」

冥土帰し「いや、それはもう解決したよ」

木山「では何が…?」

冥土帰し「確実に治療が滞るような問題が出てきた」

木山「教えていただけますか?」
485 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:42:10.81 ID:bnHYzZyE0
冥土帰し「その事を話すにあたってだけど…肝心の治療法については頭に入れてくれたかな?」

木山「はい……いや、念のためにもう一度聴いても?」

冥土帰し「では順を追って簡単に説明するね?」

冥土帰し「彼女の症状は暗闇の五月計画が原因で起きた…いわば慢性の頭痛のような症状だね」

木山「慢性ということは以前よりその兆しがあったと見て間違い無いんですか?」

冥土帰し「悪く言って被検体になったその時から…よく言ってここ最近からだろうね」

木山「そう…ですか…」

冥土帰し「原因は何度も言うようだけど精神性の不一致。無理矢理植え付けてるのだから当然だね」

冥土帰し「治療法は絹旗最愛自身の精神性、演算能力を再度上書きすること…それにより安定感を引き上げるというものなんだが…」

木山「さっき言っていた問題…ですか」

冥土帰し「ああ。簡潔に言うとだね、上書きするほど彼女自身の演算能力は残ってないんだね?」

冥土帰し「五月計画は一方通行の精神性と演算方法を意図的に植え付ける実験」

冥土帰し「絹旗最愛は優等生と呼ばれてたように一番一方通行に近づいた者だった、それがマズかったみたいだ」

木山「…」

冥土帰し「長い間、一方通行に限りなく近い演算方法を使用して能力を使っていたんだ…」

木山「絹旗くん自身の演算方法はほぼ一方通行くんの演算方法になっているということですか?」

冥土帰し「そうだ。こうなっては治療はかなり難しくなってしまう…上書きすべきものがほとんど無いとなると…」

木山「それは…」

冥土帰し「?」

木山「それは再度一方通行くんの演算方法を植え付けることで治療に繋げることは出来ないんでしょうか?」

冥土帰し「僕も一番最初に思い浮かんだ。だが絶対無理な理由がある」

木山「妹達…!」

冥土帰し「そうだ。彼自身の脳の状況を考えると到底出来る事ではないんだね?」
486 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:42:45.55 ID:bnHYzZyE0
木山「その方法が無理となると…」

冥土帰し「いや、あながち無理というわけでは無いんだが…」

木山「では一体?」

冥土帰し「やり方次第で一方通行は今度こそ確実に廃人になる」

木山「やり方次第?」

冥土帰し「次第とは言ったが言葉のあやだ。思い付く限りの方法で行動に移っても最悪の結果にしかならないね?」

木山「どうにかならないものか…」

冥土帰し「一方通行の廃人化を望む者など居ないはずだ。それは彼女自身にも言える事だ。絹旗最愛と接触したことのある君なら分かるね?」

木山「はい…」

冥土帰し「妹達や打ち止めの事もある。取るべき選択ではないよ」

木山「演算が問題ならば能力を諦めれば…いや、それは無いか…」

冥土帰し「その通りだ。能力を取り上げたら彼女は以前の生活には戻れない。それも選ぶべき方法ではないね?」

木山「私はなんとしても方法を探します。必ず解決策はあるはずです」

冥土帰し「僕も諦めるつもりは無いね?」

木山「少し…出てきます」

冥土帰し「外の空気に触れて来るといいね」

木山「はい」
487 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:43:16.15 ID:bnHYzZyE0
海原「発注はどうなってますか?」

「滞りなく、順調です」

海原「そうですか」

土御門「海原」

海原「土御門さん。どうなされました?」

土御門「初動はどれくらいの見込みだ?」

海原「初回の発注からして40万枚は堅いかと」

土御門「40万か…結構行くな…」

海原「自分も驚きました。タイアップもあってこそなんでしょうがかなりの数字です」

土御門「いい風向きだ」

海原「ええ。かなりのお声掛けもありましたし、最終的には50万いってもおかしくないかと」

土御門「今の時代、CDで40万というのはかなりの数字だ。それだけ売れてくれれば治療費もすぐだろうな」

海原「ですね。それと話題性はタイアップ曲だけではなくPVもだそうです」

土御門「ほう」

海原「番組放送直後、ショップにて予約の数が増大したみたいで…」

土御門「第四位を採用することでそこまで行ったか…次が楽しみだにゃー」

海原「あれほどのものですからね」

土御門「メイキングの特典も付ければ売上枚数は更に増加…!」

海原「ひいては今後の事にも繋がります」

土御門「はははっ!楽しくなってきたぜい海原!」
488 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:43:47.15 ID:bnHYzZyE0
「あのー…」

土御門「はは…は?」

海原「どうしました?」

「楽曲についての問い合わせが来てまして…」

土御門「楽曲?」

「2ndシングルの…」

土御門「ん?次のシングルの情報はまだ公に流してないはずだが…」

海原「それなら自分が」

土御門「何か情報を流したのか?」

海原「あわきんさんから早めの行動を起こしてくれと…」

土御門「待て、そういう事はあいつの一存で決めていいことじゃ…」

海原「実は上の方にはすでお話が通ってまして…」

土御門「いつのまに…」

海原「昨日解散した後に自分の方に電話が入りまして、それで」

土御門「昨日…女の子達を送った後か」

海原「ええ」

「あの、それで…」

海原「自分が話をします。一体どういったことでしょうか?」

「えっと…ショップの方からの問い合わせなんですがタイトルと予約の際の特典について…」

海原「ふむ…直接通達したほうが早そうですね」

土御門「おいおい、タイトルはまだ決まってないだろ」

海原「おっと…。すいませんが業務の方に戻っていただけますか?後はこちらで対応致しますので」

「あ、はい。ではお願いします」
489 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:44:14.19 ID:bnHYzZyE0
土御門「海原」

海原「はい?」

土御門「もしかしておおまかな発売日も決定していたりするのか?」

海原「ええ」

土御門「…聴いてもいいか?」

海原「…週…です…」

土御門「ん?」

海原「来週です」

土御門「まだ1stも発売してないんだぞ…」

海原「ですから早い内にと…」

土御門「それにしても早過ぎやしないかにゃー?」

海原「こういう事は話題の内に出さないと…ほら、テレビであわきんさんがPVについて話してたじゃないですか」

土御門「…」

海原「一刻も早く売上を出さなくてはいけないんです。分かってください」

土御門「ふぅ…タイトル決めなきゃな」

海原「ふふ…ではそのように」

土御門「会議室を開けて…」

海原「そうだ、さっきのメイキングの事ですが…」

土御門「ああ…」
490 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:44:41.89 ID:bnHYzZyE0
黄泉川宅にて


一方通行「…」

番外個体「!」

一方通行「?」

番外個体「フリーマーケット!」

一方通行「とォふ」

番外個体「また"ふ"……風鈴…!があああああ!!」

一方通行「終了ォ。ホラ、行ってこい」

番外個体「けっ!コンビニくらい自分で行きなよ!」

一方通行「敗者のセリフとは思えねェな。俺が同じ事言ったらオマエは了承したか?」

番外個体「ぐっ…」

一方通行「全員分のアイス…イヤ俺のは要らねェな」

番外個体「ちくしょ…」カチャ

ゴソゴソ

番外個体「?出掛けるの?」

結標「うん、マネージャーから呼び出しくらってね…」

番外個体「へぇ」

結標「一方通行には言っておいてもらえる?」

番外個体「はいはい」

結標「じゃあね」ヒュン

番外個体「あの能力便利だよなぁ」
491 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:45:12.49 ID:bnHYzZyE0
番外個体「さて、んじゃ私も出るとしますか…」

ガチャ

番外個体「…なんであんたが居るの」

垣根「用事があるからに決まってんだろ。用も無く突っ立ってるかよ」

番外個体「何その言い方。ミサカ挫けそうだよ」シュン

垣根「?」

番外個体「ぐすっ…」

垣根「???」

番外個体「ひぐっ…うわーん!」

垣根「!?」

番外個体「ふぇぇぇ…」

垣根「お、おいおい!一体なんだよおい!なんか変なモンでも食ったか?ん?」

番外個体「わぁぁぁぁ…」

垣根「あああ…んだよ…いいからホラ泣き止めって…ったく…どうしたらいいんだよ…」

番外個体「ぐしゅっ…アイス…」

垣根「は?アイス?」

番外個体「アイス食べたい…八個…じゃなかった七個…」

垣根「数は合ってるか分からないがアイスならココに…」

番外個体「ラッキー!ご苦労さまっ!」ガサッ

垣根「あ」

バタン

垣根「…」
492 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:45:42.37 ID:bnHYzZyE0
番外個体「たっだいまー」

一方通行「随分と早ェじゃねェかよ」

番外個体「すぐそこにアイスが来てた。そういえばムスジメが出掛けるって」

一方通行「アイスが来てたァ?」

番外個体「冷蔵庫冷蔵庫~♪あれ?」ガサッ

ピンポーン

番外個体「げっ」

一方通行「ン…玄関のインターホンか。オイ、客だぞ」

番外個体「ヤダよ。あなたが出なよ」

一方通行「はァ?」

番外個体「ほら、早く出ないと」

一方通行「チッ…一体誰だァ?」カチャ

一方通行「どちらさま…あァ?」

垣根「なんだ、お前が出て来るのか」

一方通行「お前どうやって中に…正面玄関からインターホンは鳴ってねェハズだが…」

垣根「出てきた奴に便乗して入ってきた。邪魔すんぞ」

一方通行「おォ…」

垣根「…お前等だけか?」

一方通行「オマエ等?」

垣根「ワーストと…」

一方通行「あァ。保護者連中は打ち止めとその友達連れてプールに行きやがった。後は…まァそンな感じだ」

垣根「そうか」
493 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:46:13.46 ID:bnHYzZyE0
垣根「おいワースト」

番外個体「なにさ」

垣根「アイスはこっちの袋だ」

番外個体「先に言って。はいコレ、返す」

垣根「ホラ」ガサ

一方通行「ンだァ?垣根が持ってきたアイスだったのかァ?」

番外個体「そうなるね」

垣根「そしてコレだ。今日来た理由でもある」

一方通行「なんだそりゃ」

番外個体「よく分からないアニメチックな箱が入ってたよ」

垣根「そりゃ裏側だ。表の部分見れば何か分かる」ガサッ

番外個体「カナミン?」

垣根「そうカナミン」

一方通行「…のなンだ?」

垣根「カード。今かなりの品薄で手に入らない貴重品だ」

一方通行「どォしてンな物をオマエが持ってンだ」

垣根「昨日焼肉食いに行ってな、福引券貰ったんだよ。一枚だけ残して他上条に引かせて最後にやったら当たったんだよ」

一方通行「だったらなンかしら当たるわな」

垣根「それがコレ。一箱ってパターンを予想してたんだけどカートンで渡されたんだわ」

一方通行「へェ…」

垣根「半分の六箱…やるよ」

一方通行「…」
494 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:46:39.37 ID:bnHYzZyE0
垣根「かなり貴重なモンらしいからな。持っておくといいぜ」

一方通行「どォして俺に渡すンだ」

垣根「打ち止めが居るだろ?周りで流行ってて自分だけ持ってない…なんて事があるんじゃねぇかと予想してだな」

番外個体「総カード数1000種類…多すぎでしょ…」

垣根「だから欲しいのを当てるために買い占める奴が居て…それで品薄なわけ。分かるか?」

番外個体「内シークレット1枚…」

垣根「そのシークレットは5カートンに1枚らしい…」

番外個体「…」

一方通行「まァイイ。寄こすってンなら貰っとく」

垣根「ああ」

一方通行「ンで?まさかカード渡しに来ただけじゃねェよな?」

垣根「最初はそれだけのつもりだったんだがそうじゃなくなったというか…」

ピンポーン

垣根「来たか…」

一方通行「今度は正面からか。オイ」

番外個体「はいはい…ったくこんなやり取りばっかじゃミサカが正妻みたいだよ」ブツブツ

一方通行「有り得る話じゃねェな」

垣根「…」

番外個体「どちらさま?」カチッ

一方通行「今日はイイ天気だな…」

番外個体「んん…?あなた誰?」

495 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:47:07.78 ID:bnHYzZyE0
『だぁかぁらぁー…一方通行を尋ねて来たの。入れて☆』

番外個体「えっ?モニター越しに星が見えた…」

一方通行「お、あン時に削板が埋まってて壊れてた部分が舗装されてンぞ」

垣根「一方通行」

番外個体「だからあなたが誰か分からないと入れてあげられないんだけど…あれ?ていうかどこかで…?うーん…」

『通りすがりの中学生なんだけどぉ』

番外個体「だから名前…ていうかホントに中学生?色々と信じられないんだけど…」

一方通行「アソコの川ン所見てみろよ。珍しく釣り人なンて居るぜェ?」

垣根「一方通行、客だ」

一方通行「チッ…おい貸せ」

番外個体「え?」

一方通行「どォした?」

『やっと出たわねー?』

一方通行「一人で来たみてェだな。どォしたンだ?」

『んー?ちょうどお昼時かなーって思って』

一方通行「昼…とりあえずウチまで来い。話はそれからだ」

『はいはーい』

番外個体「うーん…」

垣根「昨日会ってるぞ」

番外個体「え?そう?」
496 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:47:38.72 ID:bnHYzZyE0
ピンポーン

垣根「!」

一方通行「随分と早ェな…」

番外個体「いや、いくらなんでも早過ぎ…」

一方通行「オマエ、ちょっと見て来い」

垣根「は?俺かよ?」

一方通行「さっきの口振り…まるでオマエが連れて来たみてェじゃねェかよ」

垣根「あながち間違っちゃいねぇが…」

一方通行「ホラ」

垣根「急に避け始めたな。前まで適当にあしらってたくせに」

一方通行「そンな事はねェよ」

垣根「いや、あるね」

一方通行「…顔を合わせにくいだけだ」

垣根「は?」

一方通行「ここは俺だけの家じゃねェ、なンかあったらマズいだろォが。身構えねェ方がおかしいだろ」

垣根「はん、なるほどな」
497 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:48:07.26 ID:bnHYzZyE0
垣根「はいはい、どちらさま」カチャ

食蜂「!垣根帝督!」

垣根「うっ、やっぱりお前か!」

食蜂「どきなさい!変態!」

垣根「待て待て、いつから俺は変態認定されたんだ?」

食蜂「はぁ?さっきよさっき!」

垣根「らしくないな。落ち着け」

食蜂「…」

垣根「そう、そう…いつも通りにだな…ふがっ」

食蜂「何言ってるのよ」

垣根(リモコン…?)

食蜂「あなたもらしくないわよ。何か焦ってるの?」

垣根「ふっ、わふぁるのふぁ?」

食蜂「わからない」

垣根「じゃあ…リモコンをさっさと鼻から離してくれ」スッ

食蜂「ふん」

垣根「ったく…」

食蜂「あなたって何かあるとやけにフレンドリーになるみたいね?」

垣根「あ?」

食蜂「一方通行に何か話すような事あるんじゃない?」

垣根(なに言ってんだコイツ)
498 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:48:38.45 ID:bnHYzZyE0
パタン

一方通行「おォ、来たか」

番外個体「ああ、はいはい」

垣根「思い出したか?」

番外個体「確かに昨日見たわ。うん」

垣根「こんだけインパクトある体型してんだ、そりゃ思い出すわふがっ」

食蜂「なんでさっき私を置いて行ったのよ」

垣根「面倒だったから…がっ!」トスッ

食蜂「お陰で無駄に疲れたわ」

垣根「か…またリモコンが…」

番外個体「ふーん。さっき会ったんだ」

食蜂「そう。私がここに来るまでの道中で目の前に垣根が見えたのよ」

垣根「目の前って言うか空飛んでたけどな」

食蜂「割と低い所飛んでたから声かけたのよぉ。どこに行こうとしてるのかってね」

食蜂「そしたら一方通行のトコに行くって言うじゃない。だから私を連れてってって言ったのよ」

垣根「はぁ?乗せて飛びなさいよ!だったろ」

食蜂「かっ!」

垣根「ふごっ!」

食蜂「そしたら急にスピード上げて…マンション近くになって能力使って操った方が早いってことに気付いてね」

食蜂「コイツ目掛けて能力使ったのよ。そんな事繰り返してたらいきなり高度上げて正面玄関無視してマンションに入ってったのよ」

一方通行「なるほど。そして繋がるワケか」

垣根「そういうこったな」

一方通行「ンでオマエは飯食いに来たンだっけか…悪ィがまだ用意は…」

食蜂「それもあるけど入院してる子についてちょっとお話に来たのよねぇ」
499 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/03(水) 22:49:27.84 ID:bnHYzZyE0
一方通行「絹旗について?」

食蜂「そんな名前だったわね」

垣根「なんでお前が…」

食蜂「暗闇の五月計画だっけ?」

垣根「は?どうして…」

一方通行「誰から聴いた」

食蜂「昨日送ってくれたサングラス掛けた人」

一方通行「土御門か…中学生になンつーこと話しやがる…」

食蜂「私が興味本位で聴いたのよ。その土御門って人が勝手に喋ったワケじゃないわぁ」

一方通行「超電磁砲も聴いてたのかァ?」

食蜂「彼女が降りた後に私が聴いたの。だから御坂さんは聴いてないわ」

一方通行「…」

垣根「…そんな事聴くようになったきっかけはなんだ?」

食蜂「きっかけ?」

垣根「どういう事柄から五月計画について質問するまでに至ったんだ」

食蜂「最初誰が病院に運ばれたのかって事を適当に聴いてたのよ」

食蜂「色々と聴いてるうちに様子がおかしいって思ってね。なんか知ってるクチだったし」

食蜂「それで」

垣根「頭覗いたのか」

食蜂「まあね」

一方通行「手癖の悪ィヤツだな」

食蜂「答えを濁すんだもの。本当の事知りたくなっちゃうわよ」


503 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/06(土) 21:12:52.77 ID:IPE/Jvl+0
一方通行「ンで?話ってのは?」

食蜂「込み入った事じゃないんだけどね」

一方通行「あァ」

食蜂「その実験って自分を失うかもしんないのよねぇ」

一方通行「…」

垣根「少し頭捻れば出るような事だな」

食蜂「え?」

垣根「だがその発想は俺自身初耳だ。五月計画を自分を失うって角度で見んのは少し新鮮だな」

食蜂「でしょぉ?」

一方通行「ふ…ン」

食蜂「ありきたりな言葉を使うと本当の自分ってのを見失うと思うのよね、その実験」

一方通行「実験する側が深く考えるような事じゃねェ。結果さえ出ればイイ訳だ、基より承知の上だろォよ」

垣根「なんでそんな事考えた?」

食蜂「その絹旗って子、窒素を扱う能力なんでしょ?被験者じゃなければどんな能力だったのかな?って深く考えたら思っちゃってね」

番外個体「防御の能力は孤独の証…」

一方通行「…」

垣根「あ?」

番外個体「ミサカはそう思うな」
504 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/06(土) 21:13:19.44 ID:IPE/Jvl+0
垣根「一方通行の精神性に埋もれた本当の自分か…」

一方通行「俺達が分かる事は無いだろォな」

垣根「だろうな。分かる奴が居るのかすらも分かんねぇし」

食蜂「当の本人達も、もう分からないんじゃないかな」

一方通行「はァ…ァ」

垣根「飯食うか。今の状況に関係あることじゃねぇのに変に考えちまったな」

一方通行「ま…面白い話ではあったなァ」

番外個体「案外普通の反応だね」タタッ

一方通行「俺が反応示す意味もねェな。本当にそォなのかすらも分かンねェのに」

食蜂「それもそうよねぇ」

番外個体「あ、もしもし?」

一方通行「?」

垣根「電話しに行ったのか」

番外個体「特上ウナギ四人前」

一方通行「なっ…!金の無ェこの時期に…!」

食蜂「あのウナギ屋のチラシ…」

垣根「いいトコのヤツじゃねぇか」

一方通行「ったく…」

垣根「全く無いのか?」

一方通行「そういう贅沢する分にはあるが…」

番外個体「辛気臭い雰囲気はどうもね。ミサカ、そういう空気ヤダ」

垣根「ウマイ物食って気晴らしってか?単純だな」

食蜂「あなたは一言多いよね」
505 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/06(土) 21:13:50.15 ID:IPE/Jvl+0
ピンポーン


番外個体「来た♪来た♪」

一方通行「一万…二万…」

番外個体「あなたは出さなくていいよん」

一方通行「はァ?」

パタン

垣根「アイツはアイツで金持ってんじゃねぇのか?」

一方通行「イヤ…そンなハズは……黄泉川から小遣いでも貰ってンのかァ?」

食蜂「小遣い程度で済む金額でもないんだけど…」

垣根「…」

『四人前で八万四千円になります』

垣根「……税抜きで一人当たり二万円…」

食蜂「当たり前じゃない…とんでもない高級どこのウナギよ…しかも特上…」

『ツケって出来ますー?』

垣根「ツ、ツケ?どこにツケる気だ…」

『名義よろしいですか?』

『あ、出来ます?』

一方通行「まさか病院とかじゃねェだろォな…」

垣根「ありえ…なくはないのか…?」

『垣根帝督で』

垣根「…」

『第二位のヒトだからすぐ住所出ると思うんで』

『はい…確かに…ご確認取れました』

『ご苦労様ー』

『毎度』

506 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/06(土) 21:14:19.88 ID:IPE/Jvl+0
番外個体「いただきまーす」

垣根「くっ…」

一方通行「悪いな」

食蜂「ごちそうさま」

垣根「ま、まあいい…金は今の一方通行よりはあるだろ…うん」

食蜂(私が出しても良かったんだけど黙っておこうかしら)

垣根「さ、食うか」

番外個体「うーん…ウナギだ」

一方通行「そりゃウナギを頼ンだンだからな」

番外個体「ミサカ初めて食べたよ」

一方通行「そォか、それがウナギだ。よかったな」

垣根「お前食った事あんの?」

一方通行「前に海原が持って来てな」

垣根「へぇ」

食蜂「そういうあなたは?」

垣根「あるよ?いや…あれはアナゴだったな…ウナギはいつ食ったっけか…」

食蜂「うん。おいし」

垣根「こんだけ高いモン食ってる手前マズイなんて言ったらお前を蒲焼にしてやるよ」

番外個体「…」

垣根「どうした?急に黙って」

番外個体「ウナギを広めてた」

一方通行「ネットワークか」

垣根「サインの次はウナギかもな」

一方通行「ギャグじゃすまねェな」
507 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/06(土) 21:15:16.71 ID:IPE/Jvl+0
病院にて


絹旗「う…」

冥土帰し「お目覚めかな?」

絹旗「…」

木山「私が誰か分かるか?絹旗くん」

絹旗「き…やまさん…?」

冥土帰し「ふむ、予定より早い目覚めだ」

木山「ゆっくりでいいから体を目覚めさせてくれ。話はそれからにしよう」

絹旗「ん……」

木山「彼女達にも知らせて…」

冥土帰し「意識がはっきりしてからの方がいいね?でないと困惑してしまう」

木山「あ……そうですね」

絹旗「…」

冥土帰し「さて…」

木山「どうしましょうか?」

冥土帰し「いくつか聴きたい事があるからね?」

木山「?」

冥土帰し「能力について、少し…」

絹旗「ふ……ん」

冥土帰し「だけどその前に一方通行に連絡しなくてはね」
508 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/06(土) 21:15:41.80 ID:IPE/Jvl+0
一方通行「…」カチカチ

垣根「何調べてやがる」

一方通行「カードリスト」

垣根「さっきのか?」

一方通行「あァ…どンぐらいの価値があンのか…」

垣根「そんな大きな値段が付くとは思えねぇが…」

一方通行「あンだけ種類があったら一つや二つ当たりが…」

piriririri

食蜂「ん?」

垣根「俺のじゃねぇな」

一方通行「俺のは…テーブルの上か…」

食蜂「もしもし?」ピッ

一方通行「オイ」

食蜂「え?私?一方通行の浮気相…」

一方通行「何言ってやがる」スッ

食蜂「あーあー」

一方通行「ったく…誰だ?」

『やっと本人が出てくれたか』

一方通行「ン…オマエか…」

『絹旗最愛の意識が戻ったよ』

一方通行「へェ、そりゃ朗報だ。もう会話は出来ンのか?」

『そういうことが出来るのは明日以降だね』

一方通行「そォか」
509 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/06(土) 21:16:11.03 ID:IPE/Jvl+0
『とりあえずは報告だけだね?お見舞いに来るんなりするならまた明日来るといい』

一方通行「そォさせてもらう」

『そうか、では一方通行…』

一方通行「あ?」

『いや、長くなる。明日話そう』

一方通行「あァ…?」

『じゃあ失礼するよ』プッ

一方通行「ハァ」

垣根「医者か?」

一方通行「あァ」

番外個体「目、覚ましたって?」

一方通行「そう言ってたな」

番外個体「ふーん」

食蜂「今から行くの?」

一方通行「顔出すのは明日だな。あっちがそう言って来た」

垣根「なんにしろ無事だったなら言う事は無ぇな」

一方通行「あァ」

垣根「それとコレを見ろ」

一方通行「あ?」
510 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/06(土) 21:16:40.62 ID:IPE/Jvl+0
一方通行「さっきのリストか?」

垣根「おう」

番外個体「ん、コレ」スッ

一方通行「二万…!」

垣根「コイツはまだ安いほうだな」

食蜂「こっちのは?」

垣根「こっち?」

食蜂「下の…ほら、通し番号がちょっと特殊なヤツ」

垣根「あ、コレか…」カチ

番外個体「…」

垣根「五万…」

一方通行「当たればの話だな」

垣根「一万のヤツなら俺の箱にも確か…」

番外個体「開ける?」

一方通行「…イヤ、未開封を維持しとけェ」

食蜂「ふむふむ」

一方通行「今度は何見てンだ?」

食蜂「他のカードを…」

番外個体「アイス食べよっと」
511 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/06(土) 21:17:10.32 ID:IPE/Jvl+0
病院にて


麦野「絹旗ぁ!」

絹旗「う…え?…あ!麦野!?」

浜面「はー、良かった…起きたか…」

絹旗「浜面?あれ?ここは…」

黒夜「ここは病院だ、第七学区の」

麦野「トラックに撥ねられたんだって?」

絹旗「トラック…そういえばそんな事があったような…ん、この頭のはなんでしょうか?」カチャ

滝壺「だめだよきぬはた」

絹旗「滝壺さん?」

滝壺「それはきぬはたをリラックスさせている機械だから触っちゃダメだよ」

絹旗「リラックス…?」

フレンダ「だからそれ外しちゃダメって訳よ」

冥土帰し「君たち、ちょっとごめんね?」

木山「えーと…まずは…」

絹旗「?」

冥土帰し「とりあえず能力を使ってくれるかな?いつも通りにね」

絹旗「はぁ…?」

冥土帰し「出来たかい?」

絹旗「いつも通りでいいなら、はい」

冥土帰し「結構、では浜面くん」

浜面「え?俺?」

冥土帰し「そうだ、言った通りに頼むよ」

浜面「…はあ…」グッ

絹旗「なんでしょうか?」

浜面「悪いな」バスッ

絹旗「痛っ」
512 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/06(土) 21:17:38.86 ID:IPE/Jvl+0
絹旗「浜面のくせに生意気な…!」ブンッ

浜面「はは、なんだそのパンチは」

絹旗「???」

冥土帰し「さて、能力が発動してないことに君は気付いているかな?」

絹旗「発動してない?一体何を…現にこうして演算も超出来ているのに…」

冥土帰し「今浜面くんに頼んで君の肩に軽くパンチを入れたけど…持ち前の窒素装甲で防御出来たかい?」

絹旗「あ…」

冥土帰し「さらに言わせてもらうと演算もきちんと出来ていたかい?」

絹旗「ま、待ってください!もう一度…」

冥土帰し「昨日の事を覚えているかい?」

絹旗「昨日…確か映画を…」

冥土帰し「昨日、交差点でトラックを止めようとして撥ねられたこと…確かそうだったね?」

黒夜「ああ」

冥土帰し「はっきり言わせてもらうと君は今、超能力が使えない状態になっている」

絹旗「そ、そんな!演算はちゃんと出来ているんですよ!?」

木山「今、絹旗くんの演算を補助する脳の部分が欠損している」

木山「だから演算は途中までしか出来ない。そして脳はその事に気付けていない、だからちゃんと出来ていると思っているだけだ」

絹旗「待ってください、言ってる意味が…」

冥土帰し「安心したまえ、ゆっくり順を追って説明をするからね?」
513 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/06(土) 21:18:15.89 ID:IPE/Jvl+0
絹旗「…」

冥土帰し「何か質問はあるかね?」

絹旗「実験の副作用…って事ですか?」

冥土帰し「そう思ってもらって構わないよ」

絹旗「黒夜は…」

黒夜「私は大丈夫だよ」

冥土帰し「それで治療についての話なんだけどね?」

絹旗「演算の事ですか?」

冥土帰し「そうだ。他の部分についてはなんら問題は無いのだがこの部分だけはどうもね…」

絹旗「…」

冥土帰し「候補の一つに能力を諦めるという選択肢もある、だけどね」

絹旗「能力を…」

冥土帰し「僕はこの選択肢は絶対に選ばないよ。以前となんら変わりなく生活が出来るように治療するつもりだ」

絹旗「…」

冥土帰し「詳しい話は明日にでも一方通行にするつもりだ。なんとかなるようにね」

木山「先生、そろそろ時間が…」

冥土帰し「む、もう時間か…じゃあ絹旗くん、また来るよ。今は友人達との会話に花を咲かせるといいね?」

絹旗「は、はい…」

冥土帰し「そうだ、最後に一ついいかな?」

絹旗「なんでしょうか?」

冥土帰し「君は窒素装甲を……」
514 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/06(土) 21:18:50.19 ID:IPE/Jvl+0
黄泉川宅


カチャ

『ただいまじゃーん』

一方通行「ン…もうそンな時間か」

垣根「早ぇな、もう夕方か」

食蜂「何かするわけでもなく時間が過ぎたわね」

番外個体「上位個体も帰ってきたみたい」

黄泉川「はぁー疲れた疲れた…ん、お客さんじゃん?」カチャ

一方通行「そンな所だ」

黄泉川「んん…知らない顔じゃん…」

垣根「よう、邪魔してるぞ」

食蜂「こんにちは」

芳川「ちょっと、ドアの所で止まらないでよ愛穂」

黄泉川「あ、ああ悪いじゃん」

一方通行「ガキはどォした?」

芳川「私の背中で寝てるわよ」

番外個体「あれ?上位個体のお友達とやらは?」

黄泉川「家の近くまで送り届けてきたじゃんよ、打ち止めもいつのまに外人の友達なんて作ったじゃんよ…」

芳川「子供はそんなものよ。親の知らないうちに知らない子と仲良くなっているの」

黄泉川「はぁ…本当にそうじゃん…一方通行もいつのまにか友人を増やしてるし…」

芳川「気付いたら結婚もしてるし…」

一方通行「…」
515 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/06(土) 21:19:17.48 ID:IPE/Jvl+0
食蜂「さてと、じゃあ帰りましょうかね」スッ

垣根「俺も帰るか」

芳川「あら、君たち帰るの?」

垣根「ああ」

芳川「そう、えっと君は…」

食蜂「食蜂操祈です」

芳川「君もお帰り?」

食蜂「はい、寮生活なもので」

黄泉川「芳川、打ち止めを起こしてお風呂にいれるじゃん。プール熱なんておこしたら大変じゃんよ」

芳川「それもそうね。シャワーだけでも浴びさせないと…」

垣根「プールってのは疲れるもんだ。加減を知らずに遊んじまうからな」

食蜂「あなた行ったことがあるの?」

垣根「無い」

食蜂「…」

垣根「じゃあな一方通行。明日病院ででも会おうぜ」ガチャ

食蜂「私も帰るね。バイバイ」

一方通行「あァ」

番外個体「ウナギごちそうさん」

垣根「くっ…忘れてたのに…」
516 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/06(土) 21:19:48.04 ID:IPE/Jvl+0
帰路


垣根「…」

食蜂「…」

垣根「お前歩いて来たのか?」

食蜂「あなたのお陰でね」

垣根「運動出来てよかったじゃねぇか」

食蜂「…」

垣根「…」

食蜂「はぁ…」

垣根「俺こっちだから。あばよ」

食蜂「は?」

垣根「寮まで気をつけて帰るんだな」

食蜂「お詫びの印に飛んで送ってくれるとか無いわけ?」

垣根「はぁ?ウナギ食わせてやったろ」

食蜂「…」

垣根「へへ」

食蜂「たぁっ!」ヒュッ

垣根「心理掌握!」ヒョイ

食蜂「おしい」

垣根「困ったらすぐに能力を使って洗脳しようとしやがる…」

食蜂「私はそう生きてきたの」

垣根「…じゃあな!」ドヒュッ

食蜂「ぐ…なんてスピード…!私もあんな能力だったら…」
517 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/06(土) 21:20:15.74 ID:IPE/Jvl+0
旧スクールアジトにて



垣根「っとと…ん?戻ってたのか?」

心理定規「ええ」

垣根「どこ行ってたんだ?」

心理定規「んー?ちょっと友達とご飯を食べに」

垣根「そうか」

心理定規「ねえ、明日の予定とかある?」

垣根「明日?明日は…病院に行く」

心理定規「病院?」

垣根「一方通行んとこの絹旗が入院しててよ、それで見舞いに、ってのか?まあそんな感じ」

心理定規「入院してたの?」

垣根「昨日の話だけどな」

心理定規「私も行って大丈夫かしら?」

垣根「大丈夫だろ」

心理定規「じゃあ私も行こうかしら」

垣根「お前仕事は?」

心理定規「珍しく明日も休みなのよね」

垣根「なるほどね」

心理定規「…」

垣根「さて、今日は何を食うかな…」
518 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/06(土) 21:21:19.73 ID:IPE/Jvl+0
海原「ふむ…」

土御門「うーん…違う…これも違う…」

結標「これじゃない…これでもない…」

海原「これだけ候補を出しても気まらないとなると…」

土御門「1stの発売を明日に控えた手前…早く決めておきたいところだが…」

海原「どうも1stのようなセンスで思い浮かびませんね…」

結標「困ったわね…早いところ売り出して結果を出さなきゃいけないのに…」

海原「もう一度PVを見てアイデアを書き出しましょう」

土御門「俺は歌詞からアイデアを…」

結標「いざタイトルを決めるとなるとこんなにも躓くなんて…」

海原「こればっかりはセンスの問題です」

土御門「うーん…やっぱりPVから来てるレベル5を主体に置きたいような…」

海原「これだけレベル5が出ていますからね」

土御門「歌詞も繋がりの強さというものを主張してるしなぁ…」

海原「一方通行さんと言えばレベル6…垣根さんは…ピンセットでしょうか?」

土御門「御坂美琴は…ダメだ…思いつかん…」

結標「レベル6…レベル6…」

海原「いいアイデアなんてものは無限に沸かないものですね…痛感しますよ…」

土御門「こうなったら素直にLEVEL5で…」

海原「それは…」

結標「そうよ!レベル6よ!」

土御門「は?」

海原「??」 
522 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 22:58:38.27 ID:rM1GAvWz0
翌日


一方通行「ちょっと出掛けて来る」

黄泉川「ん?随分と早い外出じゃんか」

一方通行「あァ」

黄泉川「そういえば結標の事なんだが…」

一方通行「?」

黄泉川「あんまり根詰めないよう、伝えておくじゃん。最近、あまり帰って来てないみたいじゃん?」

一方通行「分かった。会ったらそォ伝えておく」

黄泉川「昨日だって仕事が長引いたとかで帰って来てないじゃん。あんまり若い内から頑張りすぎても…ねえ?」

一方通行「この家にゃ若い内通り越しても頑張ってねェのが居るけどな」

芳川「あら、そのセリフ…働いてないあなたが言えた事じゃないわよ?」

一方通行「チッ…」

黄泉川「はいはい、そこまでじゃんよ。じゃあ一方通行、確かに伝えておくじゃん?」

一方通行「あァ…」

芳川「次はあなたが事故に…なんて笑い話じゃ済まないわよ?」

一方通行「誰に言ってる」

芳川「ふふ」

一方通行「…行って来る」
523 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 22:59:03.84 ID:rM1GAvWz0
旧スクールアジトにて


心理定規「ちょっと、ねえ」ユサユサ

垣根「ん…なんだ…?」

心理定規「さっきから携帯の着信が凄いんだけど」

垣根「俺のか?」

心理定規「自分の携帯ならわざわざ起こしたりはしないわ」

垣根「よいしょ…」

心理定規「はい携帯」ヒョイ

垣根「おう」パシ

心理定規「おちおち寝てられないわよ…全く…」

垣根「どこだ?この番号は…」ピッ

垣根「…垣根帝督」

『おはよう垣根帝督。目覚まし代わりの着信はどんな気分だい?』

垣根「木山春生…」

『そうだ私だ』

垣根「病院からか?」

『その通りだ』

垣根「なんか用か?」

『用があるからかけたんだ。今日、病院に来たまえ』

垣根「そんな事言われなくても行くつもりだぜ?」

『ん…そうか。電話した意味は無かったみたいだな』
524 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:00:15.12 ID:rM1GAvWz0
垣根「どうしてわざわざ連絡してきたんだ?」

『一応…まあ治療の手助けとか…それくらいだな』

垣根「他の連中も来るのか?」

『いや、とりあえず君と麦野くんに声をかけた』

垣根「そうか」

『一方通行くんは今日にでも来るみたいだ。君も早めに来たまえ』

垣根「分かった」

『では、後ほど』

垣根「ああ」プツッ

心理定規「今日の天気は晴れね」

垣根「ふぅ」

心理定規「なんだって?」

垣根「早めに病院に来いってさ」

心理定規「もう行く?」

垣根「そうするか」

心理定規「じゃあ着替えなきゃ」

垣根「今日は暑くなりそうだな…」
525 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:00:42.97 ID:rM1GAvWz0
海原「はい…はい…そうですか…ではそのように伝えておきます…ええ、では…」プッ

土御門「なるほど…このタイトルなら…」

結標「あーっ、我ながらいいアイデアだわ!」

海原「えっと…なんの話でしたっけ…」

土御門「え?ああ…電話していたんだったな…」

結標「タイトルの案が出たからそれを話してたんだけど…」

海原「タイトル…ああ、昨日話していた…」

土御門「そうよ!レベル6よ!って行って飛び出したと思ったらさっき戻って来てコレだ」

結標「ていうか誰と電話していたの?」

海原「一方通行さんです」

土御門「一方通行?こんな早くに珍しいな」

結標「なんですって?」

海原「絹旗さんとの面会が可能になったので…それを伝えてくれと」

結標「?直接私に電話くれればいいのに」

土御門「ホラ、電話だ」スッ

結標「あら…」

土御門「充電が切れてたみたいだぞ」

結標「やだ…ホント…」

土御門「昨日お前が飛び出して行ったきりだったからな」

海原「当然充電もされてないでしょうね」
526 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:01:40.80 ID:rM1GAvWz0
結標「通りで海原に電話が行くはずだわ…」

土御門「病院に行くか?」

結標「一方通行に任せましょ。こっちはやることが山積みですもの」

海原「早いところだとそろそろお店が開きますよ」

土御門「今週が勝負か…」

結標「今週と言わず今日よ」

海原「それくらいの勢いがあったほうがいいですね」

土御門「えっと…じゃあ特典のほうの話だが…」

海原「待ってください」

土御門「?」

海原「肝心のタイトルを聴いていません」

土御門「ああ…なるほど…あわきん」

結標「2ndシングルの名前は…"matchless"よ!」

海原「マッチ…レス…?」

土御門「ん?海原は英語出来なかったか?」

海原「い、いえ。意味は分かりますが…」

土御門「"matchless"…」

結標「意味は無敵…故にレベル6よ」パサッ

土御門「ん?」カサ

海原「な、なるほど…」
527 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:02:11.04 ID:rM1GAvWz0
『挑戦しよう』とするのも馬鹿馬鹿しいぐらいの

『戦おう』って思う事すら許さねェほどの

絶対的な強さ

レベル6-無敵-

土御門「なんで一方通行のこんな発言が記録に残っているんだ」ペラ

結標「この時の実験の相手をしてたミサカがちゃんが記録してたのよ」

結標「まあ記録ってよりは覚えていたっていうのが正しいかしら…」

海原「でもどうしてこのような発言の記録が…?」

結標「昨日私が出て行ったのはこのミサカちゃんに連絡を取るため」

土御門「ほう」

結標「そこで聴いたのよ。一方通行がレベル6について何か話してなかったかしら?って」

海原「なるほど。それでこの発言が…」

結標「PVでレベル5があれだけ集まったんだし…それに土御門が行ってた携帯のタイアップの…なんだっけ?」

土御門「集結っていうテーマか?」

結標「そうそう。そういう繋がりとかってさ…なんだかんだで無敵じゃない?」

土御門「…さあな」

結標「まあいいわ。それでその二つを掛け合って無敵っていうワードにたどり着いたのよ」

海原「自分はいい考えだと思いますよ」

土御門「サマになってるしな」

結標「当然」

土御門「じゃあ早速プロモーションに移るか…」

結標「あと特典とかね」

海原(ん…そういえば…)
528 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:02:39.72 ID:rM1GAvWz0
病院にて


麦野「ふぁ……ん?」

一方通行「…」

麦野「あら、来たの?」

一方通行「そりゃ来るだろォがよ」

麦野「まあ来なかったら来なかったでそれなりの目に合わせたけどね」

一方通行「ふン」

麦野「病室分かる?」

一方通行「変わってねェなら分かる」

麦野「じゃあ案内の必要は無いわね。早いとこ行ってちょうだい」

一方通行「…他の連中はどォした」

麦野「黒夜は病室に居たわね。他は売店にでも行ってるんじゃない?」

一方通行「そォか」スタスタ

麦野「私も売店に行こうかしら……ねえ、一方通行」

一方通行「あァ?」

麦野「もし治療の術が無いってなったらどうする?」

一方通行「……なンとしてでも治療の方法を探すだろォな」

麦野「実験の事、負い目でも感じてる?」

一方通行「どォだろォな…そうかもンねェし、そうじゃないかもしンねェ」

一方通行「ただ、俺のせいでこうなったのか、って考えるとどうもな」

麦野「冗談、あんたも被害者みたいなもんでしょ?」

一方通行「だとイイがな」スタ
529 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:03:12.57 ID:rM1GAvWz0
麦野「さて、気を取り直して売店に…あ?」

垣根「ハローハロー。朝から一方通行相手に説教か?」

麦野「何?あんたも来たわけ?」

垣根「達、な」

心理定規「おはよう」

麦野「あら…」

垣根「いやな、前に似たような症状の奴の治療を手伝ったことがあるし…それでなんか役に立つかなって思ってな」

麦野「あんた役に立つのかしら?」

垣根「それは知らねぇな」

麦野「はぁ…」

垣根「病室は上の階だな…行くぞ」

心理定規「エレベーター使いましょ」

麦野「待った」

垣根「ん?」

麦野「せっかくだから売店付き合いなさいよ」

垣根「はあ?」

麦野「一方通行が来たばっかりなのは分かるでしょ?時間空けてから行くとかそういうの無いわけ?」

垣根「…それもそうだな」

麦野「はいはい。売店はこっちよ」

心理定規「ねえ、さっきのハローハローって何?」

垣根「自作」
530 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:03:43.87 ID:rM1GAvWz0
カチャ

黒夜「ん…?」

パタン

黒夜「来たのか、兄ちゃん」

一方通行「その兄ちゃンってのはやめろ」

黒夜「じゃあなんて呼べばいい?」

一方通行「…好きに呼べ」

黒夜「へへっ」

一方通行「よォ、能力使えなくなったンだってな」

絹旗「あはっ…超知ってましたか」

一方通行「あァ」

絹旗「まあ、なんら変わりなく生活出来ますけどね」

一方通行「なンか…不自由な事とかあっか?欲しいもンがあるとか…」

絹旗「ちょっと…そういう聴き方はやめてくださいよ…なんか死ぬみたいじゃないですか…」

黒夜「そうだぞ。死ぬ病気じゃねぇんだから」

絹旗「病気ってわけでもないんですけど…」

一方通行「…」

冥土帰し「一方通行」

一方通行「いつから居た」

冥土帰し「たった今だ」

一方通行「電話で話そうとした内容、今話せ」

冥土帰し「外でいいかい?」

一方通行「チッ…」
531 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:04:15.15 ID:rM1GAvWz0
木山「おはよう一方通行くん」

一方通行「あンたも居たのか」

木山「ああ」

冥土帰し「えっと…じゃあ話の続きだけどね…」

一方通行「おォ」

冥土帰し「率直に言わせてもらうが…彼女の完璧な治療は現時点では出来ない」

一方通行「完璧な…か…どォいうトコが完璧じゃねェンだ?」

冥土帰し「今ある方法で治療をしても能力を使えるまでには回復しないということだ」

一方通行「今の時点っていうのはなンだ?」

冥土帰し「演算を補って治療するには脳の提供が必要だ。それも相応に優秀な脳が」

一方通行「…」

木山「この資料に詳しく書いてある。治療方法やそれについての情報が」スッ

一方通行「ン…」

冥土帰し「その脳の提供者が居ない、ということが現時点ではという意味だ」

一方通行「…」ペラ

冥土帰し「当然能力を諦めるという選択肢もあったが…なにより彼女が拒否したからね」

一方通行「拒否?」

冥土帰し「窒素装甲を…捨てたくないと」

木山「彼女なりの意思だ。理由は…まあ私には分からなくは無いが…」

冥土帰し「患者の希望だ。それを優先させようと思ってね、彼女には辛いかもしれないが長期の治療になるね?」

木山「脳波のコントロールと能力維持…それに脳そのものを安定させる治療が必要になる」

532 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:04:42.85 ID:rM1GAvWz0
一方通行「なァ」

冥土帰し「なんだね?」

一方通行「提供する脳っつゥのはどれほどのレベルのを要求すンだ?」

冥土帰し「普通の患者ならそれほどの物でなくてもいいんだが…なにしろ提供先が提供先だからね」

一方通行「だからどれくらいのを…」

冥土帰し「はっきり言うよ?」

一方通行「あァ」

冥土帰し「欲を言えば君レベル、またはそれに準ずる脳だ」

木山「例え君が脳を提供しても行き着く先は暗闇だ。間違い無く廃人に近い状態になる」

木山「絹旗くんも…それになにより奥さんが望まないだろう」

冥土帰し「その通りだ。今の君は家族とも言える環境の中に居る。友人だってそれなりに居るだろ?選ぶべき事じゃない」

一方通行「…」

冥土帰し「そうと決まれば早速治療のプロセスについて…」

一方通行「待て」

冥土帰し「なんだね?」

533 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:05:10.41 ID:rM1GAvWz0
一方通行「俺が脳を提供する」

冥土帰し「話しを聴いていなかったのかい?」

一方通行「脳を全部取るわけじゃねェだろ」

冥土帰し「その通りだが…」

一方通行「今だって妹達の協力を得て演算能力を補っているンだ。演算能力が低下しようが関係ねェ」

冥土帰し「何を言ってるんだね?今の状態を維持するのに結構な負荷がかかっているんだよ?」

冥土帰し「それを更に演算能力の低下した君のサポートをさせるというのは…」

一方通行「今の状態を維持する必要はねェ」

冥土帰し「…自分が何を言ってるか分かってるかい?」

一方通行「あァ」

冥土帰し「君の言ってる事を実行すると…君は確実に学園都市一位の座を降ろされるね」

木山「その通りだ。何もそこまでしなくても絹旗くんのこれから先の長い人生、別の方法が見つかるかもしれないんだぞ?」

木山「それを今焦って…」

一方通行「俺は一位を捨てる。そン代わり、絹旗に能力を取り戻させる。そォいうこった」
534 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:05:37.96 ID:rM1GAvWz0
一方通行「俺が脳を提供した後、それでも一位の座を維持しようしたから廃人の未来しかねェンだ」

一方通行「だったら話は簡単だ。俺が一位を諦めりゃイイ」

冥土帰し「今打ち止めを含む妹達は一位という存在に守られてるんだそれをよく考えるんだ」

一方通行「一位じゃねェ。一方通行という存在にだ」

冥土帰し「…もうレベル5では居られないということだぞ」

一方通行「あァ、もう決めた。いざという時には垣根にでも協力してもらうさ」

冥土帰し「…」

一方通行「考える時間がいるか?」

冥土帰し「何を言っても無駄みたいだね?」

一方通行「あァ。拒否なンざしたら無理矢理にでも執り行う」

冥土帰し「何もかも、今まで通りにはいかなくなるぞ」

一方通行「俺にはお似合いじゃねェか。そっから這い上がってやるよ」

木山「…」

冥土帰し「着いて来たまえ」

一方通行「…」

「いざという時の協力なんかはごめんだな」
535 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:06:38.53 ID:rM1GAvWz0
一方通行「垣根…」

冥土帰し「次は君達か」

垣根「どういう治療かと思えば…それしか方法がねぇのかよ?」

冥土帰し「そういうわけではないが彼の意思を尊重した結果だ」

垣根「そうかそうか…それで一位から退くってワケか」

一方通行「そォだこれで晴れてオマエが一位だ」

垣根「おこぼれの一位の座なんていらねぇんだよなぁ」

一方通行「まァそういう事だ。止めてくれンな」

心理定規「あなたが一位じゃなくなる事でどれほどの影響が出るのかしら」

一方通行「知らねェな。だが…そンくらいの始末は自分でつけるつもりだ」

垣根「その資料、貸せ」パシ

一方通行「ある種のけじめってヤツだな」

麦野「はぁ…そんな事で絹旗は手を挙げて喜べるのかしら…」

一方通行「さァな…この際仕方ねェだろ」

垣根「…へぇ」ペラ

心理定規「ちょっと…まさか変な事考えてないでしょうね…」

麦野「?」

536 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:07:04.96 ID:rM1GAvWz0
垣根「おい、冥土帰し」

冥土帰し「なんだね?」

垣根「この脳を提供するってヤツだが…一方通行以外の奴が提供するとなるとどうなんだ?」

冥土帰し「脳の提供で一方通行が一部で済んでるのは実験由来のものだ。被験者により近いからね…」

冥土帰し「他の関係の無い人物から提供となると人生を諦めるのと同等だね」

垣根「なるほど、五月計画絡みか…関係無い奴よりは一方通行の方が適合性が高いワケだな」

冥土帰し「そうだ」

垣根「ふふん」

心理定規「ちょっと…あなたまさか…」

垣根「ああ」

一方通行「オイ、さっきからなンだってンだ」

垣根「よく聴け一方通行」

一方通行「あ?」

垣根「俺が提供者になってやるよ」

冥土帰し「確かに君なら一方通行と比べて遜色ないが…」

木山「話を聴いてたのならまず出る言葉じゃないぞ。君の人生はそこで終わりなんだぞ?」

一方通行「その通りだ。テメェの出る幕じゃねェ」
537 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:07:40.89 ID:rM1GAvWz0
垣根「はっ、一度死んで復活した身だ。今更未練もねぇよ」

心理定規「ちょっと!本気で言ってるの!?」

垣根「ああ」

心理定規「一方通行が一人で解決するって言ってるのにあなが出る必要はあるの!?」

麦野「ちょ、ちょっと…そういう言い方は…どうなのよ…」

一方通行「心理定規の言う通りだな。オマエには心理定規が居ンだろ、命を捨てる状況でもねェだろ」

垣根「一方通行」

一方通行「なンだ」

垣根「誰も人の人生なんざ背負うことは出来ねぇ」

一方通行「今のオマエが言う事じゃねェぞ」

垣根「背負えねぇ…だから俺が背負って死ぬ」

一方通行「言っても分かンねェみてェだな…!」カチ

垣根「うるせぇ!」ゴバッ

一方通行「ぐォ…ァ?」ドカッ

冥土帰し「あーあー廊下で…」

麦野「一方通行が正攻法で吹っ飛ぶ所始めて見たわ…」

538 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:08:07.39 ID:rM1GAvWz0
垣根「アイツが復活する前に話を進めんぞ」

心理定規「ちょっと!私の話も聴きなさいよ!」

垣根「さっき言った通り俺の脳を使え。俺の事は一切気にしなくていい」

心理定規「ねえ!私がどれほどの思いで…!」

垣根「悪いな心理定規。俺の最大のワガママだ、受け入れてくれ」

心理定規「引かないわよ」

垣根「俺も引く気は無いな」

冥土帰し「…」

木山「先生…」

垣根「早くしてくれ」

冥土帰し「はぁ…付いて来たまえ」

木山「ちょっと…!」

垣根「おう」

心理定規「待ちなさい!まだ話は終わってないわよ!」

垣根「麦野」

麦野「心理定規…」

心理定規「離して!」

麦野「ごめん、離しちゃいけない気がするの」

垣根「離すんじゃねぇぞ。離したら後悔させてやるからな…!」
539 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:08:35.75 ID:rM1GAvWz0
冥土帰し「治療や術後経過で三日は貰うよ?」

垣根「あんま関係無いけどな」

心理定規「垣根帝督!!」

垣根「安心しろ、俺は不死身だからな」

心理定規「そう言うことじゃないでしょ!私はまだ…」

冥土帰し「麦野くん。治療費の請求は三日後だと結標くんに伝えてくれたまえ。木山くんは絹旗くんを…」

木山「はい…」

麦野「…分かったわ」

心理定規「あんたもなんか言いなさいよ!このカエル!」

冥土帰し「僕は医者だ。患者を救うためには手段をいとわない。それに…彼たっての希望だ、無碍にする訳にはいかない」

垣根「そういう事だ。悪いな」

心理定規「悪いと思ってるなら今すぐやめなさいよ!」

麦野「心理定規、少し落ち着きなさいよ」

心理定規「落ち着いてられるわけないじゃない!」

垣根「そりゃそうだ」

冥土帰し「本当にいいのかい?」

垣根「ああ」

垣根「…またな、心理定規」カチャ
540 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:09:02.89 ID:rM1GAvWz0
心理定規「ああ…あ…」グタッ

麦野「心理定規…」

一方通行「クソが…何が不死身だ…」

麦野「あら、気失ってなかったの?」

一方通行「一度喰らった攻撃だ…こうなったら意地でも止めてやる」

麦野「無駄よ」

一方通行「あァ?」

麦野「当然の如くジャマーがあるから」

一方通行「…なら絹旗の方を」

麦野「とっくに運ばれてるわよ。病室から直通で行けるのよ」

一方通行「クソが…!」

心理定規「…私…帰るわ…」

麦野「一人で大丈夫…って聴くまでも無いわね。送るわ」

心理定規「いいわ…一人で大丈夫よ…やることもあるし…」フラ

麦野「…」

心理定規「じゃあね…二人共…」

一方通行「心理定規…」

心理定規「ごめんなさい…今は聴きたく無いわ…」

一方通行「…」
541 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:09:32.01 ID:rM1GAvWz0
十数時間後


海原「さて、そろそろ日付が変わろうとしてますが…」

結標「…」

海原「土御門さん、本日の売り上げ枚数の調査わ終わりましたか?」

土御門「待て…今計算を…」

海原「売り出しから三日以内で20万枚越えたら社長が特大のボーナスを支給すると言ってましたからね」

土御門「…」

海原「勝負所ですよ?期待の新人ということでかなりひいきにされてますからね…これもひとえにあわきんさんのおかげです」

結標「早く出ないの?」

土御門「待て…もう少し…」

海原「そういえば朝方に思いだしたことなんですけど」

結標「?」

海原「社長からPVに出演した人物をランダムにラバーストラップにして付属させるのはどうかとお声掛けがありまして…」

結標「2ndの話?」

海原「ええ」

結標「ラバーストラップねぇ…」

海原「デフォルメされていてなかなか可愛らしいものですが…」

結標「悪く無いわね」

海原「ですよね」
542 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:10:11.72 ID:rM1GAvWz0
土御門「…よし、出たぞ」

海原「おや」

結標「見せなさいよ」

土御門「あ、まだ…」

海原「ん…まだ計算途中ですか?」

土御門「これを全部合計して枚数が出る」

結標「なんで計算しないのよ」

土御門「記念すべき第一作、皆で確かめたいだろ」

結標「早く数時を出す」

土御門「にゃー、雰囲気が台無しだぜい」

海原「仕方ありません。早急に治療費が作れるかの瀬戸際ですから」

土御門「まあ、計算しなくても結果は見えてるんだが…」

海原「?」

土御門「見てろ」パチパチ

海原「…む」

結標「これは…」

土御門「ほら見ろ」

海原「いやはやこれは…」

結標「良かった、27万枚なら目標達成ね」

土御門「さっそく社長に報告してくるぜい」

海原「良かったですね」

結標「ええ」
543 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:10:45.40 ID:rM1GAvWz0
海原「初日27万枚!、これは大きな記録ですよ。ほぼ新人のあなたがこれほどの売り上げを一日で記録する…大したものです」

結標「なんかうまくいきすぎてるような…」

海原「ですが…結果は結果です。誇ってください」

結標「うん」

海原「そうだ…ジャケットの話なんですが…」

結標「?」

海原「一方通行さん達も起用しようという話があるんですが」

結標「達っていうのは他の皆も使うって事?」

海原「はい。垣根さん、御坂さん、麦野さん、食蜂さん、削板さん…彼等を起用して撮影を…」

結標「まあいいんじゃない?っていうかジャケットなんて私が考えることじゃないからそっちが決めていいわよ」

海原「いえ、念のために」

結標「ま、なんでもいいわ…」ガタッ

海原「お帰りですか?」

結標「ええ。問題無いわよね?」

海原「はい、特には」

結標「土御門には適当に言っておいてちょうだい」

海原「分かりました」

結標「お疲れ様」

海原「お疲れ様です」
544 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:11:12.82 ID:rM1GAvWz0
土御門「ふぅー…」カチャ

海原「ご苦労様です」

土御門「おう…ん?帰ったのか?」

海原「ええ。帰して大丈夫でしたよね?」

土御門「ああ、別に問題は無い」

海原「それよりどうでした?」

土御門「しっかりと出してくれるらしいぜい?明日辺りにでも振り込んでくれるらしい」

海原「それは何よりです」

土御門「それより社長にこんなものを渡されたんだが…」パサ

海原「ああ…」

土御門「ラバーストラップ…ねぇ?」

海原「お先に話だけ伺っています。PVの登場人物をデフォルメし、ストラップに」

土御門「それはいいんだがランダム封入というのがな…」

海原「それが何か?」

土御門「売り上げ促進のためにランダム封入という仕様は分からんでもないんだが…」

海原「それが気に入りませんか?」

土御門「少しな…全部セットで予約特典でもいいような…」

海原「ふむ…では自分からお話しをしておきましょう」

土御門「いいのか?」

海原「ええ」

土御門「じゃあ頼んだ」

海原「そのように」
545 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:11:46.93 ID:rM1GAvWz0
旧スクール・アジトにて


心理定規「…」

心理定規「帝督…」

心理定規「本当に勝手な人…」

心理定規「あなたのために私がどれほど…」

心理定規「全部水の泡よ…」

心理定規「これから頑張らなきゃ…」

心理定規「今まで以上に…」

心理定規「もっと…もっと…」

心理定規「…」

心理定規「もう…寝なきゃ…」
546 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:12:13.98 ID:rM1GAvWz0
カチャ

芳川「あら、おかえり。ずいぶんと遅かったわね」

結標「ただいま、ちょっと長引いてね」

芳川「あまり根詰めないのよ?」

結標「ええ…一方通行は?」

芳川「部屋に居るわ。寝てるかどうかは分からないけどね」

結標「そう…充電充電っと…」カチ

芳川「なんか様子がおかしかったけど…」

結標「おかしかった?」

芳川「今日出掛けてたみたいだけど何かあったのかしら?」

結標「出掛けてた…」

芳川「聴いてもなんでもないとしか言わないのよね」

結標「うーん…」

piririririri

結標「電話…もしもし?」
547 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:12:41.40 ID:rM1GAvWz0
『やっと出たわね』

結標「麦野?」

『ずっと電源切られてるんだもの。どうしようかと思ったわ』

結標「ごめんなさい。途中で電池が切れちゃって…」

『まあ…いいわ』

結標「もしかして…今日何かあった?」

『どうしてそう思うの?』

結標「一方通行が帰って来てから様子がおかしかったみたいなのよ」

『うーん…何かあったと言えばあったわね。私が言うような事じゃないから後で直接聴いてみなよ』

結標「そうするわ」

『あ、後ね』

結標「ん?」

『治療費の支払いだっけ?それは三日後で頼むって』

結標「分かった。確かに聴いたわ」

『そういうこと。とりあえずそれだけだから』

結標「うん」

『じゃあね』プツッ

548 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:13:24.53 ID:rM1GAvWz0
芳川「お友達?」

結標「ええ」

芳川「そう」

結標「そろそろ部屋に戻るわ」

芳川「おやすみなさい」

結標「あんまり遅くまで起きてないことね」

芳川「ええ、ほどほどにしとくわ」

結標「おやすみ」カチャ

パタン

芳川「なんでもないって言う時は大概何かあるのよね…」

芳川「なんでも自分で解決しようとする悪い癖がここに来て発揮されるなんてね」

芳川「人に頼らないというのも結構だけど自分で悩んでても仕方ないわよ」

芳川「直接言ってあげたいけど…おおきなお世話かしら?」

カチャ

黄泉川「ん…まだ起きてたじゃんか桔梗」

芳川「そろそろ寝るわよ。さっき怒られちゃったからね」

黄泉川「?」
549 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/09(火) 23:14:24.30 ID:rM1GAvWz0
結標「一方通行」

一方通行「帰ってきたか」

結標「寝るわけでも、何かするわけでもなく…ただただベッドに横になってて楽しい?」

一方通行「まァ普通だな」

結標「さっき麦野からちょっとだけ聴いたんだけど今日何かあったの?」

一方通行「まァ色々とな」

結標「聴いてもいいかしら?」

一方通行「もとより聴くつもりだったンだろ?」

結標「そりゃあね」

一方通行「俺は今日、治療のために脳の一部を絹旗に提供するつもりだった」

結標「…初耳ね」

一方通行「今日成り行きで決めた。決めた…はずだった…」

結標「…」

一方通行「だがよォ…その事に垣根が突っかかってきやがってよォ、自分の脳を提供するって言い出したンだわ」

一方通行「俺の脳だったら俺の能力者としての地位が下がるだけだってのに…アイツはわざわざ人生を投げてまで提供するって…」

一方通行「ったく…どォしたらいいのかねェ?こォいう時は…心理定規にどンな顔して会えってンだ…それに垣根にだってよォ…」

結標「そう…そんなことが…」

一方通行「過ぎたことだから今更何を言おうが関係はねェがどうも気分がな…」

一方通行「垣根を黙らせることが出来たンじゃねェかって思うとどうもなァ」

結標「一方通行…」 
555 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/10(水) 23:53:35.06 ID:ziA0UTX70
翌日

御坂「というわけなのよー」

上条「はぁ…」

白井「さすがのあなたでも理解は出来たと思いますが…」

上条「いや…分かりましたよ?分かりましたとも…」

白井「いざこちらから仕掛けるとしても相手は仮にも第二位…かの一方通行さんに迫るとも劣らない存在…」

白井「能力を使われるとこちらの不利は目に見えてますの」

上条「だから俺を使って能力への対抗策をってわけか…」

白井「はい。あなたの…その…なんですの?…イソジンブレイカー…とやらで」

上条「イマジンブレイカーです…」

白井「とにかく、それを用意したほうがいいと木原さんが言ったので」

上条「木…原?誰だそれは?」

御坂「披露宴の時に居たコワモテのオッサンなんだけど…覚えてる?」

上条「うーん…思い出せないな…顔見れば分かるかもしんないけど」

御坂「顔に刺青してる…ってどうせ近いうちに会うだろうし別にいいか」

上条「あ、もう協力する前提なんですね」

御坂「当たり前じゃない!私なんてアイツに…!………な、なんでもないわ」

上条「?」

御坂「なんでもないって!」

上条「はあ…?」

白井「ではご協力お願いしますの」
556 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/10(水) 23:54:04.39 ID:ziA0UTX70
上条「待ってくれ、結局俺は垣根をどうしたらいいんだよ?」

白井「ですから、色々な方達のお力を借りて、垣根帝督を真人間にする。これだけですの」

上条「真人間って…結構普通の奴とは思うけどなぁ…いや、でもす巻きにされたことあるし…うーん」

白井「そもそも、垣根帝督に太刀打ち出来るような方を必要としてますので拒否権は無いと思ってくださいまし」

上条「うーん…気が乗らないな…」

ガンガンガン!

上条「う…この強烈なノックは…」

御坂「お客さん?気にしないで出ていいわよ?」

上条「私的には出たくないんですが…」

「おい!居ないのか!?」

白井「あら、女性の方でしょうか?」

「居るんだろう?気配で分かるぞ」

カチャン

上条「か、鍵が勝手に…」

「居るじゃないか…靴が二つ、三つ…」キュゥゥン

上条「二人共俺の後ろに!」

御坂「へ?」

白井「は?」
557 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/10(水) 23:54:37.59 ID:ziA0UTX70
ドッバァァ!

御坂「み、水!?」

上条「ああーっ、やっぱり!」

パキィイン!

「居留守なんてするからだ」

上条「バードウェイ…危なく水浸しになるとこだったぞ…」

バードウェイ「居留守をするお前が悪い」

上条「別に居留守をしたわけじゃ…」

白井「なぜ急に水が…」

御坂「なになに!?水流操作系の能力者!?」

上条「いや…能力者ってわけじゃ…」

バードウェイ「む…客人が居たか」

上条「居たかって…さっき思いっきり靴の確認してたじゃないか」

バードウェイ「レイヴィニア=バードウェイ、能力者という見方で構わない」

御坂「え?…ああ…御坂美琴よ、よろしくね」

白井「白井黒子ですの」

上条(…そうだ)

バードウェイ「しかし…お前は禁書目録を置いておきながら二人の女と関係を持つとは…」

白井「あら、それは大きな間違いですの」

バードウェイ「そうか、別に格段興味を抱いたわけでもないから詳しくは話さなくていい」

上条「なあ、バードウェイ」

バードウェイ「なんだ」

上条「何しに来たんだ?」
558 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/10(水) 23:55:02.65 ID:ziA0UTX70
バードウェイ「妹にジャパニーズヤツハシを買って来てくれと言われてな、どこで売ってるのか分からないからお前を訪ねたんだ」

白井「八橋?」

御坂「八橋なら京都じゃないの?」

バードウェイ「キョウト?」

御坂「えーと…ジャパニーズ…でいいのかしら?あー…」

上条「なあ!バードウェイ!」

バードウェイ「…なんだ」

上条「協力してほしいことがあるんだが」

バードウェイ「はあ…なんで私がお前の頼みなんかを…」

上条「八橋、俺が準備してやるよ」

バードウェイ「ほう、ちょうどいい。とりあえず用件だけ聴こうか」

上条「俺の知り合いを真人間にする手伝いをしてほしいんだ」

バードウェイ「知り合い?」

上条「そうそう」

白井「まっ、他人を巻き込むだなんて…」

上条「…」

バードウェイ「で?それが?」

上条「ああ、ちょっとだけ説明するから聴いてくれ」

バードウェイ「手短に、な」

559 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/10(水) 23:55:29.18 ID:ziA0UTX70
バードウェイ「なるほど…横柄な態度をとる第二位か」

上条「その覚え方でいいか」

バードウェイ「そして更にお前の代わりに第二位の対抗手段となれ、と…」

上条「うんうん」

バードウェイ「少し目を離した隙に大した面倒臭がりになったもんだ。私に頼むなんて…」

上条「面倒っていうか個人的に相手にしたくないっていうか…」

バードウェイ「ふん、何かされて畏怖の対象として見てるのか?臆病者め」

上条「いや普段良くしてもらってるからあんまり過激な事はしたくないんだよ」

バードウェイ「まあ第二位の相手は出来ないが手段だけでもメモして渡しておこう」サッサッ

御坂「ていうか…こんな子が垣根とまともに戦えるの?」

上条「バードウェイは強いぞ」

バードウェイ「こんな子とは失礼な。見たところお前は私とそんなに年が変わらないだろう?」

御坂「え?アンタ何歳なの…?」

バードウェイ「ほら」カサ

上条「おう悪いな」

バードウェイ「また後日来る。ヤツハシはその時にでも用意しといてくれ」タッ

上条「え?」

ガチャ

白井「まあ、結果として貴方が垣根帝督の対抗手段ということですの」

上条「はは…」

白井「では準備に取り掛かりましょう、お姉さま」

御坂「はいはーい」 
560 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/10(水) 23:57:16.49 ID:ziA0UTX70
お疲れさまでした。

では次回の更新はもう少し気を使いながらいきたいと思います。
ちょっと真剣な雰囲気で物語を進行させるとどうも…

ではまた会いましょう。

561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/08/11(木) 00:01:56.78 ID:toFZHLfAO

続きがきになるのう 

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