2013年10月14日月曜日

垣根「女の子と暮らすということはだな…」一方通行「…」 2

569 ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/11(木) 21:26:13.79 ID:8HGxsXl00
当日・病院にて


結標「えーと…支払いはどうすればいいのかしら…」

一方通行「悪ィな。支払いなンか任せちまってよ」

結標「そんな事言うくらいなら少しはシャキッとしなさい」

一方通行「ハッ」

結標「とりあえず冥土帰しに会わないとダメなのかしら…?」

麦野「結標」

結標「あら」

麦野「CD、届いたわ」

結標「無事に届いたみたいで何よりだわ」

麦野「改めて見るとこっぱずかしいけどね、はは」

結標「そんなもんよ」

一方通行「オマエ一人か?」

麦野「そうよ。黒夜以外の連中は今日退院だ、って祝う準備してるわ」

一方通行「垣根の事は言ってないのか?」

麦野「あんな込み入ったような話出来るわけないじゃない。適当にごまかして話したわよ」

結標「そういえば心理定規の事なんだけど…」

麦野「ああ…どうしたものかしらね?」

570 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/11(木) 21:26:42.17 ID:8HGxsXl00
一方通行「頭でもなンでも俺が下げる」

麦野「元は垣根の独断なんだからあんまり背負う事も無いと思うけどね」

一方通行「そォいうわけにはいかねェよ。とりあえず病院には来てるハズだ、心理定規を探して…」

黒夜「心理定規ならもう居ねぇぞ」

一方通行「黒夜、オマエずっと病院に居たのか?」

黒夜「うん」

結標「それよりもう居ないってのは?」

黒夜「早い時間に来て垣根を持って行った」

麦野「ちょっと待ってよ…それって死体持ってったって事?」

黒夜「多分な」

麦野「うげ…ミイラにでもする気か?」

一方通行「前科はある…考えたくはねェな」

結標「じゃあ絹旗の治療は終わったのかしら?」

黒夜「終わってピンピンしてるよ。今は簡単な能力使用のテスト中」

一方通行「とりあえず顔合わせだ。案内しろ黒夜」

黒夜「オッケー」
571 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/11(木) 21:27:11.47 ID:8HGxsXl00
冥土帰し「出力、持続力に問題無し…自分でここがおかしい、という部分はあるかい?」

絹旗「超大丈夫です。問題ありません」

冥土帰し「チェック…と」

「先生」

冥土帰し「どうかしたかい?」

「患者さんのご友人がお見えに…」

冥土帰し「来たね。通してくれ」

絹旗「麦野達でしょうか?」

冥土帰し「家族とも言える人も来てるはずだね?」

絹旗「家族…んふっ」

冥土帰し「うんうん」

麦野「来たわよー絹旗」

絹旗「あれ?絹旗だけです…か?」

麦野「アイテムは、ね」

結標「ちゃんと私達も居るわよ」

一方通行「…」

黒夜「おい、入口に立つなって。入れないだろ」

絹旗「おおー」
572 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/11(木) 21:27:40.12 ID:8HGxsXl00
冥土帰し「さて…」

結標「先に支払いいいかしら?」

冥土帰し「ん?会話はいいのかい?」

結標「一方通行に」

冥土帰し「なるほど。じゃあこっちに…」

一方通行「体調は万全みてェだな」

絹旗「それはもう。それどころか超自分が変わった気すらもしますよ」

一方通行「超変わった、ってかァ?」

麦野「いやね。口癖じゃないの」

一方通行「ハハッ」

絹旗「こう…なんていうんですか?初対面の人相手に超フレンドリーに接する事が出来るような…」

黒夜「そうそう。治療終わった途端に色々な奴に話しかけんだよ」

絹旗「誰にでも超軽いってのは垣根みたいで少々嫌ですけどね。なんか人と接していたいんですよ」

一方通行「は…はハ…」

麦野「話しといた方がいいんじゃない?」

一方通行「だな」

絹旗「?」
573 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/11(木) 21:28:05.92 ID:8HGxsXl00
一方通行「絹旗よく聴け」

絹旗「はい?」

一方通行「オマエの脳の治療は垣根が脳を提供したおかげで成功した」

絹旗「知っています。一方通行が地位を超投げてまで脳を提供しようとしたことも」

一方通行「まァ、冥土帰しも隠しはしねェわな」

絹旗「変わった影響も垣根によるものだと聴いています」

一方通行「みてェだな」

黒夜「なんだよ、どんな話だよ」

麦野「黙って聴いてなさい。多分分かるから」

絹旗「垣根は単に人との関係を超多く作りたかったのかもしれませんね」

一方通行「急になンだ?」

絹旗「今ここに居ない垣根の事を考えるとそう思えて仕方ないんです」

一方通行「…」

絹旗「私も長い間超一人だったから分かるんです。垣根も超一人だったと」

絹旗「今思うと垣根の様々な破天荒な行動は目立って人を自分に寄せようとする意味があったのでは、と。そう思えて仕方ないんです」

一方通行「…ま、居ないなら居ないで静かだわな」

絹旗「寂しい、とまではいきませんが…少々物足りないような気もします」

黒夜「???」

麦野「いい話ね…」
574 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/11(木) 21:28:46.67 ID:8HGxsXl00
絹旗「まあ、私が変わったという痕跡は第二位の遺産という形でありがたく…」

麦野「あ、そういえば順位は昇格するのかしら?だとすると私は三位になるのかしら?」

一方通行「垣根…」

麦野「やだ、てことは超電磁砲が第二位になるの?」

絹旗「せっかくだから未元物質なんかも形見で残してくれたら嬉しかったんですが…」

垣根「人を勝手に[ピーーー]んじゃねぇ」

麦野「ん?」

絹旗「ん…なんでしょうか…脳が見せてる幻覚でしょうか…」ゴシゴシ

一方通行「虚数学区か?風斬みてェになっちまったのか…」

垣根「残念だが正真正銘の垣根帝督だ」

麦野「へぇー。良くできた立体映像ね」ジュッ

垣根「おい!ギャグでも狙うんじゃねぇ!」

麦野「やだ、本物臭いわね…」

絹旗「ふーん…幻覚じゃないですか?何者かが一斉に私達の脳波を超狂わせて…」

垣根「認めろ。俺だ」
575 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/11(木) 21:29:12.64 ID:8HGxsXl00
一方通行「仮に認めた所でワケが分からねェな」

垣根「何がだ?」

一方通行「関係者以外からの脳の提供は死と同様、死んだも同然と思ってたが…」

垣根「ふふん」

一方通行「そォいや生き返るのはこれで二回目だな。前は深く追求しなかったが…」

麦野「最初死んだ時は脳がクリスマスケーキ状態だったわよ」

一方通行「また脳か…いや案外そォいうもンかもしんねェな」

麦野「はぁ?」

一方通行「脳が無ければ生きられないという…常識」

垣根「一方通行、俺は不死身だとも言ったはずだ」

一方通行「あァ?ますます分かンねェぞ?」

垣根「さすがの第一位でも気付かないか?黒夜は分かると思うぜ?」ナデナデ

黒夜「頭撫でんな」

一方通行「黒夜…まさかオマエ…」

垣根「へへっ」

一方通行「サイボーグか?」

垣根「そうだ。俺は超最新技術の結晶だ」

黒夜「へぇ、新時代のサイボーグか…」ムニ

垣根「ほう、はいほほふ…ひゃにゃせ」

黒夜「感触はマジもんだな。私より上の型のサイボーグだな」

一方通行「それはどれぐらいすげェンだ?」
576 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/11(木) 21:29:40.63 ID:8HGxsXl00
黒夜「ずっとサイボーグだったのか?」

垣根「最初の復活からサイボーグだ」

黒夜「兄ちゃん仕事かなんかで家を空けてたろ?」

一方通行「常盤台ン時か」

黒夜「その時にコイツが病院に行ったりしたか?」

一方通行「イヤ、知ってる限りではねェな」

黒夜「私みたいな型だと調整って形で病院とかに世話になる必要がある。つまりそれが無いってことは、だ」

一方通行「サイボーグってよりは人間って言った方がイイのか?」

垣根「ちなみに俺に調整は必要ねぇ」

黒夜「ま、サイボーグってんなら疑問も解決じゃねぇの?」

一方通行「イヤ、一つだけある」

垣根「脳か」

一方通行「そォだ。身体は用意出来ても脳は用意出来ねェはずだ。どうなってやがる」

垣根「演算部分を提供した俺は完全に機能を停止した。それと同時に能力者としてのレベルも2までに低下した」

一方通行「息の根が止まってンのにレベルの話が出てくンのか?」

麦野「ちょっと待ってよ。まさかそこから再びレベル5になって脳を再構築したとか意味不明な事言うんじゃないでしょうね?」

絹旗「あのー、私も居ますよ?おーい」

黒夜「私も居るぜ」
577 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/11(木) 21:30:16.77 ID:8HGxsXl00
垣根「俺と一方通行の能力の応用性は常軌を逸している」

麦野「ちょっと待ってよ…それってシャレにならないわよ…」

垣根「更に言えばかなりの可能性がある」

一方通行「…」

麦野「まさか本当に…」

垣根「俺は自分の能力で脳をコントロールしている」

麦野「うわ…」

垣根「使い方次第とはよく言ったもんだ。脳の電気信号とか以前に能力を使うことで更なる可能性が…」

一方通行「垣根、もォイイ。それ以上は聴いても無駄だ」

垣根「ん、そうか?あと一個だけ欠点があってな…」

一方通行「能力か?サイボーグか?」

垣根「サイボーグだ。実はコレ…」

心理定規「もの凄くお金がかかるのよ…!」

麦野「心理定規!」

心理定規「一回復活させるのに第二位の貯蓄が底を付くのよ…しかもそれでも足りず…」

垣根「はは」

心理定規「笑い事じゃないわ!仕方なくローンを組んで支払うために私が働いて…やっと軌道に乗ったと思ったら…!!」

垣根「二回目の復活ってわけですよ」

心理定規「私はあなたがドナーになるって言った瞬間凍り付いたわ!これから先、あなたの身体のためにお金を稼ぎ続けると思ってね!」

麦野「そうか…だからあんな取り乱し方したのか…」

心理定規「でもさっき一方通行のためにって言い訳を聴いた時は笑っちゃったわ」

垣根「言い訳じゃねぇな」

心理定規「第一位の座を維持した一方通行を下してこそ大金が転がりこむってヤツ!?あなたはそれまでに何回死ぬのかしら!?」

垣根「おちおち死んでられねぇな」

心理定規「だったら働け!」
578 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/11(木) 21:30:45.27 ID:8HGxsXl00
心理定規「はぁ…はぁ…」

垣根「お疲れさん」

心理定規「決めたわ」

垣根「は?」

心理定規「近い内楽しみにしてなさい」

垣根「なんかあんのか?」

心理定規「飛びっきりの出来事が待ってるわ」

垣根「楽しみにしてるよ」

心理定規「じゃあ私行くわ…今日仕事なの…」

垣根「おう、頑張れよ」

心理定規「ったく…」

結標「あら」

心理定規「淡希…」

結標「冥土帰しから聴いたわ。頑張ってたのね…」

心理定規「それはもう、ね」

結標「仕事?」

心理定規「ええ」

結標「頑張って。応援してるわ」

心理定規「ありがとう。じゃあまたね」

結標「うん」

絹旗「あ、それババです」

黒夜「ああー!?」
579 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/11(木) 21:31:18.52 ID:8HGxsXl00
垣根「…」

一方通行「…」

麦野「…」

結標「…」

一方通行「ハッ、馬鹿らしい。帰ンぞ」

結標「もういいの?」

一方通行「こうなってはなンもねェよ」

垣根「おいおい。帰るのかよ?」

一方通行「オマエと違ってやる事があンだよ」

垣根「ヤることだと?帰って早々に子作りでもする気か?」

一方通行「?…何言ってンだ?」

垣根「おいおい、マジかよ。あれだけ朝方まで励んでたくせになんも知らないフリしやがってよぉ…」

結標「朝方?」

一方通行「ン…?マジで何言ってやがる」

垣根「あくまでシラを切るつもりか?あ?」

一方通行「はァ?」

垣根「俺は覚えてる。初夜明けの朝方、窓からお前を訪ねようとした…」

結標「窓…」

一方通行「初夜明け…?」
580 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/11(木) 21:31:45.07 ID:8HGxsXl00
垣根「ほのかな明かりの中…カーテン越しから聞こえる結標の喘ぎ声とも呼べる声…」

一方通行「朝方、朝方…」

結標「あ」

垣根「ほら見ろ」

結標「それマッサージ」

垣根「ふん、そんなギャグみたいな展開には騙されねぇぞ」

結標「一方通行」

一方通行「?」

結標「同じように能力使ってマッサージしてやって」

一方通行「垣根にか?」

結標「垣根の声は聴きたくないわ…だからあそこでババ抜きしてる二人で」

一方通行「…ふン」

結標「見てなさい」

垣根「え?」

一方通行「…」カチ

結標「凄いわよ。多分納得してくれるわ」

垣根「へぇ…」

581 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/11(木) 21:32:19.35 ID:8HGxsXl00
絹旗「さあ残り二枚です」

黒夜「くっ…二人ババ抜きでなんか負けたくない…」

一方通行「オイ、オマエ等」

黒夜「え?」

絹旗「はい?」

ガシッ

黒夜「んあっ!」

絹旗「あんっ!」

垣根「うっ」

麦野「ちょっと…何したのよ…」

垣根「黒夜のあんな声始めて聴いたぜ」

結標「原理は簡単よ。肩に触れた瞬間に一気に身体中をほぐしたの」

一方通行「結果こォなる訳だ」

黒夜「はぁ…はぁ…はぁ…」

絹旗「んむ…はぁ…」

結標「まあしばらく動けなくなるんだけどね」

垣根「…なんで朝方にこんな事をするんだ」

結標「その日は帰ってから立て込んでたのよ。色々片付けとかして朝方になっちゃったのよ」

垣根「俺って…」

一方通行「ちなみに俺に性欲の類はねェ。覚えとけ」

垣根「くっ…」

麦野「ん?」
582 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/11(木) 21:32:46.27 ID:8HGxsXl00
垣根「どうした?」

麦野「いや…フレンダもサイボーグなのかなって思って…」

垣根「フレンダか…残念だがサイボーグじゃねぇはずだな。確信がある」

麦野「マジかよ…」

一方通行「確信ってのは…」

垣根「まず第一に死ぬほど金がかかる」

麦野「ああ…まさにその通りだな…」

垣根「第二に脳が…ん?そう言えば真っ二つにされただけだっけか…?」

麦野「ああ」

垣根「アレ…じゃあ分かんないな…」

麦野「あんた同期のサイボーグとか分からないワケ?」

垣根「居たなら間違いなく分かる。その事から考えてフレンダはまずサイボーグじゃないはずだ」

一方通行「…サイボーグじゃねェとしたら」

麦野「まさか幽…」

垣根「バカ言うな。あんな限りなくリアルな存在であってたまるか」

一方通行「…」

麦野「…」

垣根「…」

結標「よいしょ」グッ

絹旗「はぁはぁ…」

黒夜「…一体何が…」
583 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/11(木) 21:33:13.34 ID:8HGxsXl00
絹旗「はは…体に力が入りませんよ…」

黒夜「なんかこう…筋肉を緩められたような…」

結標「もうそろそろいいかしら?」

一方通行「そォだな…」

麦野「あー…その二人は置いてってもらえるかしら?」

結標「ああ、お祝いするとか言ってたものね。せっかくだから能力で送るわ」

麦野「助かるわぁ」

垣根「帰るのか」

一方通行「オマエは何がしたいンだ?」

垣根「いや、なんかこう…なんか無いのか?」

一方通行「イヤ…これと言っては…」

垣根「やっぱりお前等…」

結標「ちょっと、あなたはまた勘違いするわけ?私と一方通行がセック…『結標』…」

麦野「バカなこと言ってないで行くわよ」

結標「それもそうね」

一方通行「じゃあな垣根」

麦野「あんまり迷惑かけるんじゃないわよ」

結標「命の重さを知りなさい」

一方通行「あー…俺も金入れねェとなァ…」

麦野「実験でもやれば速攻じゃないの?」

一方通行「実験ねェ…」

ヒュン

垣根「…薄情なヤツだぜ…」

ガラッ

冥土帰し「おや?まだ居たのかい?」

垣根「…飯食いに行くか?」

冥土帰し「え?」


588 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:08:22.06 ID:KxNGNqw80
翌日・水穂機構病院にて


佐天「なんとかなりませんか?」

木山「なんとかって言われてもな…」

佐天「どうにか…!そこをどうにか!」

木山「一口にレベル5にしてくれ、と言われてもな…私にはどうすることも…」

佐天「私知ってるんです!多才能力の事!」

木山「いや…アレはレベルを上げるようなものじゃ…ていうかなんで知って…」

佐天「幻想御手をうまく使ってどうか!」

木山「バカ言わないでくれ。どうして今になって再び能力に固執したんだ君は…前回で懲りたんじゃないのか?」

木山「第一君は少なからずだが能力を発現してるはずだ。それを多才能力と併用だなんて…」

佐天「お願いします!夢を見せてください!」

木山「だからいくら言われても多才能力など…あれはかなりの人数の脳波ネットワークを利用した末に産まれるものであって…」

佐天「どうにかならないですかね?」

木山「…とりあえず理由を聴こうか」

佐天「私の周りにはレベル5がたくさん居ます」

木山「うん」

佐天「あの人達のように自由自在に能力を使えたらどんなに素敵か…一日だけでいいんです…私にレベル5の力を…!」

木山「…うーん」

佐天「…」

木山「本来なら了承すべきではないのだが…分かった」

佐天「本当ですか!?」

木山「ただし、私を含め七人の立会いの下で行う」
589 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:08:56.84 ID:KxNGNqw80

佐天「おおー…」

木山「簡単に紹介する」

木山「ご存知第一位、一方通行」

一方通行「ここに来ンのは久しぶりだなァ」

木山「そして次、私は涙すら流したのにいつのまにか生き返っている、そんな第二位。垣根帝督」

垣根「冥土帰しに知らせたからあんたも知ってるかと思ったんだ」

木山「次、みんなご存知常盤台の電撃姫、第三位、御坂美琴」

御坂「ちょっと…この実験は大丈夫なワケ?」

木山「お次、思い込んだら一直線、第四位、麦野沈利」

麦野「面白そうな実験だから来たわ」

木山「次は…自称恋する中学生…十徳ナイフに例えられる常盤台もう一人の女王、第五位、食蜂操祈」

食蜂「何よこの集まりは…」

木山「そして最後、よく分からないレベル5、第七位、削板軍覇」

削板「また会ったな!」

木山「えー、今回の実験は君たちの脳波をまとめあげそれぞれを佐天くんに委託し一時的に彼女を多才能力者にするものだ」

御坂「だからそれって大丈夫なわけ?」

木山「今回は幻想御手の時とは違う。ちゃんと脳のことも考えて使用者の安全を確保したものを使用する」

御坂「それって…前々から作ってたってこと?」

木山「…じゃあ次は能力を紹介しようかな」

御坂「おい」
590 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:09:34.62 ID:KxNGNqw80
木山「とりあえず誰の能力から知りたい?」

佐天「あのー…第六位は…」

垣根「連絡が取れないから来ないぞ」

佐天「あ、そうなんですか」

木山「で、誰から知りたい?」

佐天「うーん…とりあえず知ってる御坂さんからかな」

木山「能力名は超電磁砲。10億ボルトもの出力を誇る電撃使い系最強の存在」

木山「おそらく君が思ってる以上に色々なことが出来る。ちなみに…」

佐天「はい」

木山「一方通行くんと垣根くんはやり方次第では10億ボルトを越える電撃を出せると思う」

佐天「御坂さんにしか出来ないことってなんですか?」

御坂「コインを音速の三倍で飛ばす…は一方通行が出来そうね…うーん…電子機器にハッキングとかかしら…いや…これも一方通行が…」

木山「ちなみに聴いた話では一方通行くんは脳に直接アクセスし中身を書き換えたことがあるらしい」

御坂「え」

木山「さて、次は誰がいい?」

佐天「じゃあそこの綺麗な人で」

麦野「分かってるじゃないの」

木山「彼女の能力は原子崩し。君に説明するのは難しいが…とりあえずはとてつもなく強力な光線を出す能力だと持ってくれて構わない」

木山「正式には…なんて言ったかな?」

麦野「粒機波形高速砲」

木山「ちなみにそれなりに応用が利くようで色々な形にすることが出来るらしい」

591 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:10:04.27 ID:KxNGNqw80
木山「さて、次は?」

佐天「じゃあそこの金髪の姉ちゃんで」

食蜂「あまり年は変わらないから姉ちゃんって呼び方は…」

木山「彼女は心理掌握。精神系能力を全て詰め込んだような能力者だ」

木山「言い換えればこの中で脳を弄る事には滅法強いということだ」

木山「だが欠点もそれなりにある。使用時にはリモコンを用いて精密な能力使用を心がけねばならないし、御坂くんのような能力者には通用しなかったりする」

食蜂「悔しいけどその通りね」

木山「次は?」

佐天「削板さんで」

木山「彼は…えーと…ていうか脳波をまとめれるのか?とりあえず呼んだが他の能力者とは勝手が違うみたいだが…」

木山「まあいい。彼の能力は…名前が無いのか…とりあえず凄い」

木山「マッハ2で動けるそうだな?」

削板「よく分からないが音速よりちょっと早い程度じゃないか?」

木山「後はバリアのようなものを張ったり…爆発を起こしたり…体の硬質化も出来るのか?」

木山「それに謎の波動を放ったり…両手から攻撃も出来るみたいだな」

削板「おう」

木山「まあ、そんな感じだ。とりあえずケンカだけならレベル5最強のような気がする」

木山「能力に関しては…とりあえず七位に置かれてるという感じだな」

削板「俺もよく分からないけどな」

木山「本人も分からないなら仕方ないな」
592 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:10:32.54 ID:KxNGNqw80
木山「次は…」

佐天「垣根さんで」

木山「未元物質。この世に存在しない素粒子を生み出し、引き出し、操作する能力。と書いてある」

木山「及び、それによって作られたこの世に存在しない素粒子」

佐天「???」

木山「ちなみに未元物質は本当にこの世に存在しない物質であり既存の法則から外れている。故に…」

垣根「常識は通用しねえ」

木山「はい。どうもありがとう。応用性はトップクラスであり今紹介した能力をほとんど再現出来るのでは無いか、とそう思う」

木山「能力を使うときに翼が出るがアレは…」

垣根「俺がレベル5になった時に降りてきた」

木山「意味が分からない」

垣根「おい、あんたちょっと俺に冷たくないか…」

木山「つまりはなんでも出来る。そう覚えたほうがいい」

佐天「うーん…」

木山「さて最後、一方通行」

木山「とりあえずなんでも出来る。記録では石を蹴るだけでレールガン以上の速度を叩きだせるらしい」

木山「後、大きく記録に残っているのは自転操作・高電離気体・竜巻を背負っての飛行…洗脳も出来るらしいな」

一方通行「だが未元物質は再現出来ねェ」

木山「だが、現存する能力で未元物質に勝てる唯一の能力かもしれない」

木山「さて、これだけ紹介したが彼等では再現出来ない能力が一つだけあると思う」

佐天「え、これだけ揃って出来ないことがあるんですか?」

木山「それは瞬間移動の類…」

垣根「11次元ベクトルだから一方通行が出来るんじゃねぇか?」

木山「じゃあやってみたまえ」

一方通行「ハ?」
593 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:11:06.21 ID:KxNGNqw80
一方通行「待て、そンなことやった覚えが…」

垣根「今こそ力を誇示する時だ」

一方通行「…」

麦野「待ちなさいよ。そもそも勝手が違うんじゃない?」

御坂「そうよ。学園都市に58人って数字がその証よ!流石の一方通行も…」

バッ!

削板「消えた!」

垣根「いけたか!?」

御坂「え!?そんなバカな…!」

食蜂「一体どこに消えたってのよ…」

ガタ

食蜂「ん?」

麦野「…」

一方通行「無理だな。やるもンじゃねェ」

御坂「なんで机の下に…」

一方通行「説明してやる。瞬間移動する際に11次元に存在するはずの俺のベクトルを操作したわけだ」

一方通行「たとえばここに板があるだろ?これを寝かせた状態で上に11枚重ねる。上から一次元、二次元…」

垣根「一方通行、もういい」

一方通行「そォか…」

594 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:11:34.29 ID:KxNGNqw80
木山「出来ないだろ?だが一方通行と未元物質があれば瞬間移動以上の移動能力を発揮出来るはずだ。不測の事態は削板くんの能力で対処したまえ」

木山「じゃあ早速始めようか」

木山「ちなみに君たちの役割は万が一暴走した場合の歯止め役だ」

木山「さ、この音楽を聴きたまえ」

佐天「楽しみだなぁ」

垣根「イヤホンイヤホン…」

麦野「まだ原理とか説明してもらってないんだけど…そこの女の子は全員の能力を扱えるの?」

木山「自分だけの現実は君達持ちだから問題ない」

麦野「あ、そうなんだ」

食蜂「不思議な曲…」

御坂「まあ大丈夫って言うなら…」

削板「いい感じの曲だ」

一方通行「…」

木山「さて…脳波を纏め上げる作業に入るか…」

垣根「たった六人の脳でネットワークを構築出来るのか?」

一方通行「分からねェな。任せとけばイイだろォよ」

木山「あ」

御坂「まさか不具合とかあったんじゃないでしょうね」

木山「いや、何も無いよ」

麦野「ならいいけど…」

木山(幻想御手のギミックを利用したから彼等レベル5勢のレベルが上がってしまうかもしれないなぁ…まあ気付かないだろ)

595 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:12:01.09 ID:KxNGNqw80
数十分後


佐天「…」

木山「目の変色を確認。成功だな」

佐天「よく分からないんですけど…」

木山「だが確かに君は一時的にレベル5の能力を手中に収めた」

佐天「つまりレベル30ですね」

木山「え?」

佐天「能力名、能力名を付けましょう!」

木山「そ、それは君が付けたらいいんじゃないかな…」

御坂「成功したの?」

木山「おそらくな」

麦野「じゃあ成果を見せてもらおうかしら」

一方通行「場所変えねェとな」

垣根「それなら二一学区がいいな結構な場所の確保が出来たはずだ」

食蜂「二一学区ってダムとかがある?」

垣根「イエス」

削板「俺の能力も使えるのか?」

木山「おそらく」

佐天「さぁさぁ!早く行きましょう!」

木山「体調、人格、共に安定していてなによりだ」
596 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:12:31.99 ID:KxNGNqw80
第二一学区


木山「これくらい開けた場所なら大丈夫だろう」

佐天「あのー」

木山「ん?」

一方通行「あのダムの水は衝撃緩和材としてもいけそうだな」

御坂「うわーダムなんて始めてみたわ…」

食蜂「広いわねー」

削板「競争しよう」

垣根「何でだ…」

麦野「水泳じゃない?ホラ、泳いできなさいよ」

垣根「冗談だろ?」

削板「ダムで泳いで大丈夫なのか?」

麦野「あんた達なら死にはしないだろうし大丈夫なんじゃない?」

垣根「おい…おい…」

削板「そら行くぞ!」

垣根「う、うわああああぁぁぁ…」

木山「やってみたらいいじゃないか」

佐天「そうですね」

木山「試しに今落ちたあの二人を救済してみたまえ」
597 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:13:01.58 ID:KxNGNqw80
垣根「ダムで泳ぐなんざ正気じゃねぇ!」

削板「ホラ!着水するぞ!…?」

┣¨┣¨┣¨┣¨ドド!

御坂「何かしら…」

麦野「ダムの底に火山でもあるのかしら」

食蜂「まさか」

一方通行「…」

ゴバッ!

垣根「わぷっ!水が…!?」

削板「がぼぼっ」

麦野「いや、やっぱ火山よ。あんな勢い良く水柱が出来るんですもの」

御坂「…」

ドシャッ!

垣根「ぐあっ」

削板「痛っ」

一方通行「飛び込んだと思ったら戻ってきたな」

垣根「なんで水が…」

佐天「私の力です!」

垣根「は?」
598 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:14:01.76 ID:KxNGNqw80
佐天「粒子化した未元物質をいち早く着水させ未元物質ごと水のベクトルを操作したんです」

一方通行「能力を同時に?」

木山「そうだ。彼女はさっき私に能力を同時に使用出来るのかと聴いてきた、確信は無かったが成功したみたいだな」

垣根「結果として服は濡れたがな」

木山「佐天くん」

佐天「えーと…」スッ

削板「?」

垣根「??」

佐天「超電磁砲と原子崩し…」

ブゥーン…ジュワッ!

垣根「熱ッ!」

削板「ちちっ!」

御坂「電子レンジ…」

麦野「まさか…え?ウソでしょ?」

一方通行「電磁波で水分子を制御…極めつけに原子崩しで強烈にサポート…」

木山「能力の組み合わせで無限の行動が出来る」

食蜂「はは…言葉が出ないわ…」

佐天「行けます行けますよコレは!」
599 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:14:27.53 ID:KxNGNqw80
「おうおう姉ちゃん達!」

御坂「いい具合にチンピラ達が…」

「ダム見に来たのかい?可愛いねー」

食蜂「ダム見学で可愛くなれるのかしら」

木山「ちょうどいい。佐天くんに任せよう」

「なんだ?このモヤシはよ…ははっ!」

一方通行「…」カチ

垣根「数は…これで六人程か」

一方通行「オイ後ろ」

「はぁ?」

トン

「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」

一方通行「後は任せた」

御坂「直立したまま吹っ飛んでったわよ…」

麦野「…」

「ああー?姉ちゃんが相手してくれんのかぁ?」

「中学生かーいいねー」

佐天「え…っと」

木山「構わない。思う存分やりたまえ」

佐天「…」キッ

「うおっ、睨まれちゃったー」

「怖い怖い」

佐天「指一本で相手します」スッ

「指一本?」
600 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:14:57.33 ID:KxNGNqw80
佐天「えーと…」

削板「すごいパンチ!すごいパンチだ!」

垣根「お前は黙ってろ!」

佐天「原子通行(メルトロード)!」

麦野「…」

一方通行「…」

ズビィー!

「「ぐあっ!」」

佐天「えーと…不安定な出力の原子崩しをベクトル操作で驚異的に安定させました。資料にあった生存本能によるセーブを無視することで更なる威力の向上を…」

麦野「…のわりには吹っ飛んだだけなんだけど…」

佐天「さすがに怪我をさせるのは…」

「能力者か…」

佐天「次は…未元掌握(ダークアウト)で」

垣根「名前が…」

「!あがががががががっ」ガクガク

佐天「精神攻撃と肉体攻撃を二つの能力で行います。自分でもワケ分からないので受ける側はもっと分かんないと思います」

食蜂「うわ…」
601 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:15:27.06 ID:KxNGNqw80
佐天「あと三人…やっぱ右手ってことで…」

「え?」

バリリッ!

御坂「佐天さんの右腕に砂鉄が…」

削板「おお!あれは!」

麦野「まず移動速度に突っ込み入れなさいよ…」

垣根「すさまじい速さで詰め寄ったな」

佐天「えーと…御坂さんが超電磁砲で…削板さんが…」

削板「すごいパンチ!すごいパンチ!」

佐天「エレキ…エレクトリック…ああ…すごいパーンチ!!」ブンッ

ゴロゴロゴロ…!

「ぶあっ!」

麦野「砂鉄纏った雷パンチじゃないの…この距離で雷鳴が響くなんて…」

佐天「砂鉄は電気纏ったらくっ付いてきたんですよ」

削板「すごい!すごいぞ佐天!」

佐天「え、へへ…そうですか?ふふ」

食蜂「あと二人」

佐天「最後は二人纏めて…第一位と第二位の合わせ技で…」

垣根「え?」

「な、なんだ?」

「逃げろ!」

佐天「うーん…逃げても無駄なんですけど…未元通行(ダークロード)!」

垣根「おえぇぇぇ!」

食蜂「心理通行(メンタルロード)は!?やんないの!?」

御坂「…」
602 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:15:54.98 ID:KxNGNqw80
カッ

木山「あ」

麦野「???」

垣根「…ドコ、行った…?」

佐天「消えちゃいました」

御坂「え?」

食蜂「なんか黒い人影らしきものだけが残ってるんだけど…」

麦野「まさか殺し…」

佐天「いやいやいや!さすがに殺しては…いない…ですよね…?」

木山「未元物質と一方通行の応用技は不可解な現象を引き起こすと…」

御坂「まさかチンピラ達の粒子とかをベクトル操作して異次元にかっ飛ばしたとかそんなんじゃない…わよね…?」

垣根「え?俺そんなこと出来るの?」

麦野「まさか。一方通行の能力があってこそじゃないの?」

一方通行「少なくとも俺の能力じゃ一瞬で素粒子は操作出来ねェ」

御坂「じゃあなに?人の体を構成している分子をなにかしらの能力で素粒子の類に変換して操作したの?」

垣根「それだけじゃねぇ…姿を消すってことは何かしらの力の操作が加わったはずだ…おそらくそのベクトルの向きが…」

木山「物体を強制的に昇華する能力かな?」

佐天「し、昇華?」

削板「物体が液体の過程を経ずに個体から気体、気体から個体になることだ」

麦野「あんたが知ってるんだ…」
603 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:16:21.46 ID:KxNGNqw80
御坂「てことは…さっきのチンピラは気体になって綺麗さっぱり消えたってこと…?」

佐天「それが出来たなら元に戻せるはずです!」

麦野「気体になったのよ…空気の流れに乗って飛んでったに違いないわ…」

垣根「待てよ…昇華だと人の形で影が残ることに説明がつかねぇぞ」

一方通行「つまり影が焼きつくほど強烈なエネルギーを受けたってことになる」

御坂「でもそれだとガンマ線の話になるんじゃない?そうなると電磁波の制御が必要になるんだけど…」

一方通行「オマエは俺と垣根の能力がどれほどの物か未だに分からねェのか?」

麦野「そんなことは些細なことなのよ」

食蜂「全然分からないわ…」

削板「仮に…」

一方通行「?」

削板「超高エネルギーの光が瞬時に発生したとしよう」

削板「未元物質で素粒子や分子、原子の微細なブレや不都合を合理化し攻撃に変換、一方通行の力で極限までエネルギー力を高められた光がチンピラを襲った…」

垣根「お、おお…」

削板「影が焼きつく時点で原子崩しを遥かに凌駕する攻撃翌力、しかも速度は光速…」

削板「おそらく相手は死んだことすら理解してないだろう…」

麦野「でも焼けたような痕跡も無いんだけど…」

削板「じゃあ分からないな」

御坂「瞬きするよりも早く人が消えてるなんて…」

佐天「…」
604 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:16:50.24 ID:KxNGNqw80
一方通行「つまりなンだ…?昇華でも無い上に高密度のエネルギーを受けたわけでもない…とすると…」

御坂「まさかこれがレベル6の片鱗なんじゃ…」

垣根「能力である以上一方通行の反射が適用出来るはずだ…反射出来たら違う…もし出来なかったら…」チラ

一方通行「オイ、何考えてやがる…」

垣根「ちょっと反射してくれ」

一方通行「ヘタしたら俺が消えるぞ」

垣根「多分大丈夫だ」

木山「面白そうだな」

一方通行「オイ」

木山「そこに立ちたまえ」

一方通行「マジで言ってるのか」

木山「佐天くん」

佐天「いいんですか?」

木山「記録をとるためだ。全力でいきたまえ、なに彼は第一位だ」

佐天「そうですよね!」

一方通行「なっ!」

佐天「くらえ!」

一方通行「!?」

カッ

一方通行「!」

木山「反射失敗か…しかし…」

麦野「これでレベル6が誕生したわね」

御坂「一方通行のみが辿り着くレベル6…」

食蜂「綺麗…」
605 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:17:30.68 ID:KxNGNqw80
一方通行(なンだ今のは…反射出来なかった…イヤ…反応すらも出来なかった…)

一方通行(俺の生存本能が働いたのか?まるでロシアの時と同じだな…でもなンで…)

垣根「おーい、生きてるかー?」

バサッ

一方通行「…」

垣根「天使の輪に羽…あ、消えた」

スゥッ…

一方通行「なるほどな」

垣根「何か分かったか?」

一方通行「とりあえず反射は出来ねェ」

麦野「理由は?」

一方通行「垣根の未元物質だな。これにフィルターが掛けられてるせいで反射設定が出来ねェ、オマケに意識の阻害までありやがる」

御坂「つまりなんなわけ?」

一方通行「理解不能の極めて強烈なエネルギー攻撃だ」

麦野「ていうか思い切りくらえ!って叫んだわね…」

佐天「あははー」

食蜂「説明は出来ないの?」

一方通行「説明出来る法則が見当たらねェ。あれはあれで別次元の攻撃かもしンねェ」

垣根「別次元ね…」

一方通行「オマエの未元物質がややこしくしてんだよ既存の法則に当てはまらねェ」

一方通行「アレはああいう新たなエネルギー、そォいう風に解釈するしかねェ」

木山「で、この多才能力に名前を付けたいと思うんだが…」

『マッチレス』

木山「無敵か、いい響きだ」
606 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:18:01.36 ID:KxNGNqw80
木山「さて…色々と調べた結果だが…」

一方通行「」

食蜂「大丈夫ー?」

御坂「ちょっと時間掛けすぎちゃったみたいね」

木山「彼の能力なら技の受けにちょうどいいと思ったんだが…御坂くんの言うとおり、時間を掛けすぎたみたいだな」

垣根「色々と無茶な使い方したからな…俺特製とはいえ負荷をかけすぎたか…」

佐天「え…と、じゃあどうしましょう?」

木山「とりあえずまとめよう」

麦野「あれ?アイツは?」

垣根「売店に行った」

木山「まずそれぞれの組み合わせだが…」

佐天「最初は一方通行さんの組み合わせで」

木山「確か…」

佐天「未元通行(ダークロード)電磁通行(エレキロード)原子通行(メルトロード)心理通行(メンタルロード)すごいベクトルパンチですね」

垣根「…」

木山「ああ…もう少し名前を捻ったほうがいいかな?うん…」

垣根「未元通行は不可解な現象を」

御坂「電磁通行は超超高密度のレールガン…」

麦野「原子通行は精密化された電子線」

食蜂「えーっと心理通行が完全洗脳で…」

木山「ベクトルすごいパンチが…木原博士のそれ以上のパンチだったな」

佐天「佐天神拳と名づけましょう」

607 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:18:32.34 ID:KxNGNqw80
垣根「一方通行は最後のベクトルパンチで事切れた…」

木山「一通り終わったところで倒れたのだ。彼には悪いがいいデータを取れたと思っている」

佐天「次は垣根さんの組み合わせですね」

御坂「電磁物質(エレキマター)…だっけ?それは周りの気体がプラズマみたいになったのよね」

麦野「未元崩し(ダークダウナー)が素粒子攻撃だっけ?」

垣根「それは凄かったな。なんせ文字通り跡形も無く消えんだからよ」

食蜂「未元掌握は…さっきの通りね」

垣根「削板との組み合わせは…ありゃなんだ?」

木山「色々と意味不明な力が働いてさらに意味不明だったな。簡単に見て強烈な肉体強化と見て間違いないだろうな」

佐天「次は御坂さんのですね」

御坂「えっと…電磁崩し(エレキダウナー)だっけ?あれは…」

麦野「私のとは似たような能力だからあんま違いが分からなかったな」

木山「今度直接受けた一方通行くんに聴いてみよう」

御坂「電磁掌握は面白かったわねー」

垣根「機械を完全にコントロールしやがったからな。それに人間も好き勝手に動かせたみてぇだし」

麦野「残る組み合わせはほんの少しね」

佐天「まだ話に出てないのは原子掌握(メルトアウト)と原子すごいパンチと心理すごいパンチですね」

木山「全部パンチと組み合わせる必要は無いんだがな」

佐天「でもパンチが一番分かりやすいんですよ」

垣根「残ってるのは不発とキワモノじゃねぇか…」
608 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:19:13.84 ID:KxNGNqw80
麦野「原子掌握のことね…名前は凄いのに…」

食蜂「大体精神系と原子を操る能力のコラボレーションってどうなのよ」

木山「単純にやり方の問題かもしれないな。それぞれの応用をしらみつぶしにやっていけば何か分かるかもしれないぞ」

垣根「残るは削板の組み合わせか」

御坂「麦野の組み合わせはなんかすごかったわね」

食蜂「そうそう!パンチ打った瞬間に一方通行の上着が分解されたんですもの!」

木山「それもいいパンチだったな」

垣根「さて最後は…」

削板「俺の能力とお嬢ちゃんの能力だな」

垣根「お前何食ってんだ」

削板「玉こん」

食蜂「私はその組み合わせが一番好きね」

御坂「なんかまさに超能力って感じよね」

木山「得体の知れない力での念導力やバリア、まさにエスパーと呼ぶに相応しい能力だったな」

佐天「いやー、いい気分でした」

垣根「でも肝心の組み合わせとやらは攻撃にしか使ってないよな」

佐天「単調な行動だから組み合わせやすいんですよ。精密な使い方をしようとするとこんがらがっちゃうんですよね」

麦野「とりあえずコイツはどうするの?」

一方通行「」
609 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:20:43.06 ID:KxNGNqw80
垣根「あー…どうやって回復したものか…当然充電器は持ち合わせてないんだよな…ていうか充電なんてほぼ必要ないって思ってたからな…」

御坂「単純に私が充電しちゃダメなの?」

垣根「ん…それでいいか」

食蜂「あと上着用意してあげないと」

削板「今買ってきたぞ」

垣根「普通の白のシャツだな」

バチチ!

一方通行「」ピクッ

御坂「これでオッケー…かな?」

一方通行「う…ぐ…」スッ

木山「お疲れ様。あの役目は君を除いては出来なかったよ」

一方通行「…」

削板「ほら上着だぞ」

一方通行「ン…」

佐天「そういえば私も羽を生やせるのかな?」

垣根「やってみたらどうだ?」

佐天「…………出ないですね」

垣根(良かった。出たらどうしようかと思った)

一方通行「なァ」

木山「うん?」

一方通行「この多才能力状態はどうやって解除すンだ?」

木山「え…解除…?」

610 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:22:00.26 ID:KxNGNqw80
一方通行「え、じゃねェよ。多才能力の行き着く先は知ってンだぞ」

木山「AIMバーストを危惧しているのか」

一方通行「その口ぶりだとならねェような感じじゃねェか」

木山「確かに当初はその危険性もあった。しかし、たった六人の脳波ネットワークではAIMバーストを余程の事が無い限り維持することは出来ない」

木山「ちなみに私が一番危惧していることは別にある」

一方通行「?」

麦野「なんでコイツに羽が出せてこの子には羽出せないのよ」

垣根「未元物質による羽は俺専用なんだよ」

御坂「だって自分だけの現実は能力者本人のを使用してるわけでしょ?それで同じものが出ないってどういうことなのよ」

垣根「使用者が単純に俺か、そうじゃないかの違いだ」

麦野「分からないわね。能力があんたを選んだってこと?」

垣根「さぁな」

食蜂「そもそもあの羽って自分で勝手に作ってるんじゃないの?」

御坂「能力で羽を形成し続けてるって事?さすがにそれは…」

垣根「あれは俺の意思とは関係なく現出するもんだ」

御坂「つまり羽を出さなきゃ能力使えないわけ?」

垣根「いや、大きく能力を使おうとすると出てくる」

御坂「ふーん」

削板「…」モグモグ

佐天「むむむ…」
611 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:22:26.56 ID:KxNGNqw80
垣根「そんなことより消滅してチンピラをだな…」

麦野「アレはもういいんじゃない?うん」

垣根「それもそうだな」

御坂「ちょっと…どんな考え方してんのよ…」

木山「それで肝心の解除だが一旦戻る必要がある」

一方通行「ンで?」

木山「もう一度同じ手順を踏み、ネットワークから完全に切り離せば解除になる」

一方通行「じゃあ早いトコ解除しなきゃなァ」

木山「よほど堪えたみたいだな」

垣根「なんだ?もうお終いか?」

一方通行「そォだ」

木山「まあ楽しめたからよしとしよう。さて、じゃあ佐天くん、そろそろ…」

佐天「あの!私まだ…」

木山「ふむ、予想通りというかなんというか…」

一方通行「今回は諦めろ。それは危ねェ力なンだよ」

佐天「だって!やっと凄い能力者になれたんです!もう少しこの日常を…」

木山「聴いた通りだな。これでは幻想御手の時と同じだ」

麦野「無能力者故のコンプレックスか…」

佐天「あ…えーと私無能力者ってわけじゃ…」

御坂「佐天さん、また同じようなことが起きたら初春さんが悲しむからさ、ほら」

612 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/12(金) 22:22:53.79 ID:KxNGNqw80
木山「正直、予想はしていた」

一方通行「…」

木山「幻想御手の使用や常日頃からの能力へのコンプレックス、当然、手放したくない気持ちが出てくるだろうな」

佐天「誰にも迷惑は掛けませんから!なんなら御坂さんみたいに乱暴なスキルアウトをおしおきする立場になりますから今日だけ!」

垣根「お、おしおきだと?お前そんな事してるのか?」

御坂「ちょっとしつこいのを懲らしめてるだけよ!」

一方通行「悪ィがそれの許可は出来ねェな。万一暴走した場合、止めンのにそれなりの犠牲が出る」

木山「うむ、その通りだ」

削板「率先して危険を生み出す存在なる必要も無いぞ。君なら分かるはずだ」

佐天「そうですか…なら…」

木山「垣根くん、準備したまえ」

垣根「え?俺?」

一方通行「今度はオマエが苦労する番だ」

佐天「自分の意思でもう少しだけ能力者になるだけです!ごめんなさい!」

バリバリッ!

垣根「…」

木山「ほら、あっけにとられてないで追いかけたまえ」

垣根「いや…あの速度は追いつけないぞ…」

御坂「あれは私と誰の組み合わせかしら」

一方通行「さァな、俺か垣根か…削板かもしンねェな」

木山「行くんだ垣根帝督!雷光の如く!」

垣根「むしろ涙子ちゃんのスピードが雷光だったけどな」

木山「ゴー!」

垣根「くっ…仕方ねぇ」ドンッ

木山「さ、私達も追いかけるぞ。あの方向は第七学区だな」

620 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:19:32.15 ID:K3BRf9CZ0
第九学区・上空


垣根「クソッ、なんで追いつけねぇんだ!ずっと光速移動してるわけじゃねんだから追いついてもいいはずだろうが…!」

佐天(あわわ、どうしよう…今更、はいそうですかって止まるわけにも行かないし…)

佐天(こうなったらスピードだけ落として捕まえてもらう…いや…それだけは…)

-----------------------------------

一方通行「クソ…なンで俺が運転してンだ…」

麦野「このなかだとまともに車運転出来そうなのあんたしか居ないんだから仕方ないじゃない」

一方通行「俺ァ免許なンざ持ってねェぞ!」

麦野「いいから運転しなさい。なんとかなるでしょ」

御坂「それにしても佐天さん早いわねー」

木山「速度が落ちている今が捕まえるチャンスなのだが…垣根くんはあれで全速力なのか?」

一方通行「元々飛ぶための能力じゃねェ…見失わないだけイイと思ったほうがイイな」

-----------------------------------

垣根「こうなったら…」キィィン

佐天「?なに…?」ガクッ

垣根「オラ!こっち来い!」グンッ

佐天「えええ!?何かに引っ張られてる!?」

----------------------------------

食蜂「あれ何してるの?」

一方通行「上空の気体に何か仕込ンだンだろ」

麦野「引っ張るのはいいとして接近戦になったら勝てるの?」

御坂「接近戦…」チラ

削板「?」

一方通行「アイツがどォいう風に捕まえるかだな」

麦野「あ」

---------------------------------
621 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:20:02.18 ID:K3BRf9CZ0
佐天「ごめんなさい!!」

バリリッ!

垣根「は?レール…ガン?」

佐天「電磁通行です!ごめんなさい!!」

ピシャァン!ゴロゴロ…!

垣根「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」

---------------------------------

食蜂「垣根がビルに向かって落ちたわ!」

御坂「うわ…すっご…」

一方通行「垣根が防御出来ないほどの雷撃か…」

麦野「雷を直接撃ったように見えたわね」

御坂「私も出来るかしら?」

一方通行「…超電磁砲、耳貸せ」

御坂「え?」

---------------------------------

佐天「どどどうしよう…ガードすると思ったのに…」

佐天「とりあえず開けた場所に…」

ドンッ!

佐天「痛っ!」

佐天「なにこれ…ゴム弾?」

---------------------------------

一方通行「チッ…スカしやがったな…」

御坂「仕方ないでしょ!こんな離れてるんだから!」

木山「何をしたんだ?」

一方通行「コインの変わりにゴム弾を打たせた」

麦野「そんな都合のいいものよくあったわね」

一方通行「輪ゴムでもイイ、ゴムさえありゃ俺がなンとかする。もう一度狙え、頭にブチ当てて気絶させろ」

御坂「なんか猟奇的になってるわね…」

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622 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:20:49.09 ID:K3BRf9CZ0
佐天「これって御坂さんの…」

『佐天さーん!降りてきてー!』

佐天「……やっと手に入れた能力…そう簡単には手放したくない…でもどうしよう…」

『今ならまだ間に合うわー!』

佐天「これじゃまるで悪者だよ…」

--------------------------------

御坂「降りて来る気配ないわね」

一方通行「誰が説得しろっつった!」

御坂「それはそうだけど…なんか当てるのも悪い気がして…」

一方通行「…なら俺がやる、停止してる今がチャンスだ」

木山「ちょうどいい、運転を変わろう」

一方通行「なンで最初からオマエが運転しねェンだ」

---------------------------------

佐天「なんだろ…一方通行さんかな?」

佐天「御坂さんみたいな構え…あ」

ブオッ!!

佐天「!」

---------------------------------

一方通行「これでブチ当てて終了だ」

麦野「気を抜かないほうがいいわよ」

一方通行「落ちたら俺が拾いに行く」

麦野「いや、そういうことじゃなくて」

キィィン!

食蜂「?」

ドバンッ!

一方通行「が……ァ…?」

削板「なるほど、ここで反射を使うんだな」
623 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:21:16.05 ID:K3BRf9CZ0
食蜂「垣根に引き続き一方通行もダウンだなんて…」

麦野「無理しないで反射設定してから撃てばよかったのに」

御坂「いやーまさか反射されるとは思ってなかったんじゃない?」

食蜂「とりあえず後ろの席に…」ギュ

削板「逆に頭に当てられて気絶してしまったのか…」

木山「ん…車を出すぞ」

御坂「え?」

木山「移動した」

麦野「垣根はどうするの?」

木山「多分彼なら大丈夫だろ」

削板「早く行かないと見失ってしまうんじゃないか?」

木山「ん、そうだった…」

麦野「ん…どうしたものかしらね…」

御坂「とりあえず一方通行か垣根にでも戦ってもらいましょ」

麦野「…そういえばあのツンツン頭呼んだら?変な右手持ってるし…」

御坂「病院に携帯置いてきちゃったのよ」

麦野「はぁ…」
624 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:21:48.52 ID:K3BRf9CZ0
数分前・第七学区・とあるホテル


垣根「くっ…ホテルに突っ込んじまうとは…」

ガチャ

「ボス!大丈夫ですか!?なにやら凄い音が…」

垣根「ボス?なんだ?マフィアでも居たのか?」

「お、お前ボスに何を…!!」

垣根「なるほど、俺が尻に敷いてるこの女がお前等のボスってわけか…うまい具合に偶然が重なったもんだ」

「ボスを解放しろ!」

垣根「別に拘束してるわけじゃねぇ……分かった、分かったから銃を向けるな」

垣根「っと…おい、立てるか?女」

バードウェイ「ぐ…む…」

「おいお前!どいておいて手は頭を押さえたまんまとはどういうことだ!!」

垣根「おっと」

バードウェイ「ぐ…なんだお前は…」

垣根「ただの超能力者だ。手違いでここに突っ込んじまってな、まあ…悪かったよ」

バードウェイ「手違いだと?信じられんな」

垣根「別に信用しなくてもいい。それが何かに繋がるわけでもないからな」

垣根「じゃあ失礼する。尻に敷いちまって悪かったな…」ガチャ

バードウェイ「待て」

垣根「?」

バードウェイ「牙を剥いた者には然るべき報いを…」チャッ

垣根「…ほう」
625 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:22:19.63 ID:K3BRf9CZ0
バードウェイ「お前が何者かは知らないが報いは受けてもらわないとな」

垣根「…」コツコツ

バードウェイ「なに、命までは取りはしない。それ相応の報いを…ってなんで近づいて…」

垣根「お前、見たところまだガキだな?」

バードウェイ「私はそう言われるのが一番嫌いなんだ」

垣根「…」ヒョイ

バードウェイ「あ、返せ!」

垣根「本物か…大したもんだ…」

バードウェイ「返さないなら…!」ボッ

垣根(発火能力…)

ガツン!

バードウェイ「痛い!」

「ゲ、ゲンコツ…」

垣根「ごっこ遊びすんのは構わねぇが…これは人を傷付けるもんだ。遊びに使うもんじゃねぇ」

バードウェイ「つつ…本気で痛い…」

垣根「お前等か?こんな道具渡したのは?」

「は?」

垣根「こんなもん渡すんじゃねぇ。いい育ち方しねぇぞ?」

バードウェイ「言わせておけば!この場で焼いてやる!!」

バードウェイ「あれ?消えた…?」

垣根「後ろだ」
626 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:22:52.17 ID:K3BRf9CZ0
ガツン!!

バードウェイ「いたぁあ!!」

垣根「発火能力…見たところレベル3以上の判定は受けてそうだな」

垣根「だが…お前みたいな年齢のヤツが人を[ピーーー]ための能力じゃねぇ」

バードウェイ「うう…」

「ボスが押されてる…」

バードウェイ「甘く見るんじゃない!」

垣根「あ?」スッ

バードウェイ「ゲンコツがなんだ!そんなもの怖くない!ケシズミになれ!!」ゴッ

ガツン!!!

バードウェイ「痛ぁい!」

垣根「俺ほどになれば能力発動前に攻撃を当てるのはわけない。胸張って大きく出るのはいいことだがもう少し上を知らねぇとな」

バードウェイ「え?胸が出てるって?」

垣根「あ?」

ドバンッ!

垣根「…説教は終わりだ。あばよ」ドヒュッ

「ボス!大丈夫ですか?お怪我は…」

バードウェイ「いや…大丈夫だ…」

「そうですか…」

バードウェイ「なんだ今のヤツは…」
627 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:23:21.68 ID:K3BRf9CZ0
垣根「危ねーな。危うく見失うとこだった…」

垣根「今の涙子ちゃんを捕まえるとなると…他の連中同時に相手して勝つ気持ちじゃねぇとダメだな…」

垣根「どうにか怪我させねーで…ん…AIMバースト…」

垣根「確か前に木山が暴れた時は現出したAIMバーストを第三位が撃破したことで一連の事が収まったんだよな…」

垣根「無理矢理AIMバーストを引き出すか?」

垣根「しかし…何をトリガーにしたらいいもんか…」

---------------------------------

麦野「あ、あれ垣根じゃない?」

削板「どこだ?」

麦野「後ろよ、後ろ」

食蜂「ねえ」

御坂「なに?」

食蜂「あの子のことだけどさ」

御坂「佐天さん?どうかした?」

食蜂「こうやって私達から逃げてるのにどうして全速力で振り切らないわけ?」

御坂「え?うーん…そう言われればそうね…」

麦野「あ、加速した」

食蜂「さっきと全然速度違うじゃない…ホントに速いわよ…」

---------------------------------

垣根(AIMバーストを現出させる条件…それはネットワークの暴走…)

垣根(だったら話は早ぇ、バンバン能力使わせて負荷を高めりゃいいだけの話だ)

垣根「オイ、佐天涙子」

佐天「え?あれ?帝督さん?」

垣根「俺と戦ってもらうぜ」

628 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:25:00.81 ID:K3BRf9CZ0
御坂「それにしても佐天さんはどうやって飛んでるのかしら…見たところ私の能力使ってるみたいだけど…」

削板「俺の意見を言わせて貰うと垣根の力で大気中の成分に磁力を付与し、嬢ちゃんの能力で引き寄せられる感じに滑空してるんだと思う」

麦野「さっきから思ってたけどあんた結構賢いわね」

削板「そうか?」

麦野「そうよ」

食蜂「私の能力じゃ飛行は出来ないの。ね、一方通行」

一方通行「」

麦野「一方通行ってこんな奴だったかしら」

食蜂「油断しただけよ。ね?」

一方通行「」

麦野「なんで気絶してるのに話しかけるのよ…怖いからやめてちょうだい…」

キィィィィィィィン…

食蜂「?」

麦野「垣根かしら?」

木山「む…」

御坂「あの前に見えるのがそうじゃない?」

削板「垣根が佐天を掴んで物凄いスピードで移動してるみたいだな」

木山「あの方角は確か…第七学区に新しく出来る操車場の工事現場だな」


629 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:25:29.09 ID:K3BRf9CZ0
第七学区・工事現場


一方通行「…はっ」バッ

一方通行「ここは…」キョロ

食蜂「起きた?」

一方通行「…」

食蜂「どうしたの?」

一方通行「俺はなンで膝枕されてンだ」

食蜂「やぁねぇ、一方通行が気絶したからに決まってるじゃない」

一方通行「そォか…確か反射されて…他の連中はどォした」ガバ

食蜂「車の外」

一方通行「なンでオマエが一人で車に残ってたンだ?」

食蜂「万一私に攻撃が飛んできたら防御する術が無いもの。だから貴方と一緒に車に居たの」

一方通行「攻撃だと?まさか戦闘してンのか?」

食蜂「うん」

一方通行「今誰が戦ってンだ?」

食蜂「御坂さんかな?。垣根はやられちゃった」

一方通行「…」

食蜂「かなり頑張ってたんだけどね。ちょっと油断した隙に…」

一方通行「生きてンのか?」

食蜂「そこの電車の陰で回復してるわ。削板だっけ?その人の力借りてね」

一方通行「……資材かと思ったら垣根達だったのか」
630 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:25:56.09 ID:K3BRf9CZ0
佐天「これです!これ!この感じです!」

御坂「…」

佐天「なんか…こう…能力者同士の戦いって憧れるんですよねぇ!」

御坂「佐天さーん」

佐天「これで思う存分戦えたらいいかな…なんて…垣根さんはかなり押せたし…もしかしたら一方通行さんも…」

御坂「おーい」

佐天「どんな能力の使い方が面白いかなぁ…」

御坂「しょうがないわねぇ!もう!」シュッ

佐天「砂鉄の剣ですね!」バッ

ビュオオオオオオ!

御坂「う…プラズマかぁ…」

麦野「手を貸しましょうかー?」

御坂「手助け無用!プラズマなら…風を起こしてやれば…」

木山「垣根くんは大丈夫かね?」

麦野「やられて逃げたわけじゃないから大丈夫ね。そのうち回復して戻って来るでしょ」

木山「しかしどう対処したものかな…」
631 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:26:24.42 ID:K3BRf9CZ0
ガチャ

食蜂「行くの?」

一方通行「あァ、気絶していた分働かねェとな。垣根がやられたンなら超電磁砲じゃまず無理だ」

食蜂「そう」

垣根「…ん、起きたのか」

一方通行「やられたみてェだな」

垣根「バッカ、戦略的撤退だ」

一方通行「ふン、何されたンだ?」

削板「正面からプラズマをぶち当てられた」

垣根「言うな!」

一方通行「貴重な体験したな」

垣根「チッ、防御したとはいえヒリヒリすんな…」

一方通行「なンで戦ってンだ?」

垣根「思い切り能力を使わせてAIMバーストを出そうと思ってな」

一方通行「出ンのか?」

垣根「俺が狙ってんのは能力の暴走だ。それさえあれば出てくるだろ」

一方通行「なるほどな」

垣根「が、言うほど簡単じゃねぇ。涙子ちゃんの能力の使い方や応用がかなり厄介だ」

一方通行「…」

垣根「なんでこの短時間のうちにあんな器用な使い方が出来んのかね…」

削板「そろそろ回復が終わるぞ」

垣根「早いトコ行って第三位と変わってやらねぇとな」
632 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:26:55.72 ID:K3BRf9CZ0
御坂「あー…やっぱ無理!」

佐天「ふっふーん」

麦野「まあ単純に考えたら私やあんたで勝てるわけないのよね」

佐天「じゃあそろそろ戦利品を…」ビュオッ

御坂「戦利ひ…ひゃん!」

麦野「?」

御坂「え!?ウソ!ウソウソウソウソウソ!?」ババッ

麦野「なに、どうしたのよ」

御坂「短パン取られた!!」

木山「短パン?あの距離でどうやって…」

佐天「風のベクトルを操り短パンの繊維を分解して取りました」

麦野「てかなんで短パンなんか…」

御坂「私の短パンが…」

佐天「次はパンツ行きましょうか」

御坂「…」ササササッ

麦野「ちょっと、なんで逃げてくるのよ」

御坂「さすがにパンツは敵わないわ」

木山「ふむ」
633 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:27:27.33 ID:K3BRf9CZ0
ドゴン!!

麦野「お」

御坂「やっと来たわね」

木山「さながら白い弾丸…」

御坂「やだ…ちょっとカッコイいわ…」

佐天「一方通行さん!?」

一方通行「佐天ンンン!次は俺が相手だァ!!」

麦野「やだ…なんか勢いが凄いわ…」

木山「鬱憤が溜まっていたのかもしれないな」

ギュウウゥン!

一方通行「オラァ!小型の台風だ!吹っ飛びやがれェ!!」ドバッ

佐天「はっ、反射を…」

一方通行「ぎィやはははは!」ブンッ

佐天「!?」

木山「あ、あれは…!」

御坂「え!?なに!?なんなの!?」

木山「一方通行くんのあのパンチ…木原神拳だ…」

麦野「木原…神拳…?」

634 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:28:09.40 ID:K3BRf9CZ0
佐天「いたた…まさかパンチで飛ばされるなんて…でも接近戦なら削板さんの能力がある!」

一方通行「かかかっ…次は接近戦かァ…?そォらァ!」ドンッ

ドバッ!

御坂「今度は衝撃波…」

麦野「押してるわね」

木山「焦っていては一方通行くんには勝てまいよ。佐天くんがいくら組み合わせた能力で攻撃しようと先ほど全てを受け、防御した一方通行くんには通用しないだろう」

佐天「ならこれで…!」

麦野「あれは未元通行じゃないかしら」

御坂「多分…」

佐天「この攻撃ならダメージが通るはずです!」

カッ

一方通行「キヒッ…」

佐天「あ、あれ?なんで?」

一方通行「思った通ォりだ…素粒子を直接当てて対消滅させる攻撃みてェだな」

佐天「対…え?」

麦野「へぇ…」

御坂「どういう事?」

麦野「だから、垣根の能力は素粒子を操る能力なわけよ。人体は素粒子で構成されてるでしょ?」

麦野「一方通行の能力で素粒子を表面に引き出して、垣根の能力で活発になった高エネルギーの素粒子をそれにブチ当てるの」

麦野「当然、強い力の素粒子に負けちゃうから結果、弱い方が消えちゃうの」

御坂「じゃあ影が焼き付いたのは?」

麦野「それほどのエネルギーが働いたのよ。そりゃ素粒子のベクトルを操るほどですもの」

635 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:28:38.50 ID:K3BRf9CZ0
麦野「当然、防御しようとなるとあんたじゃ無理、私は分からないけど多分無理かな。垣根は原理さえ知ってるなら行けるわ」

御坂「あれ?でも一方通行はさっき反射出来ないって…」

麦野「今一方通行は反射した?」

御坂「あ」

麦野「今のは反射じゃなくて操作したの」

木山「なるほど、なるほど…」

一方通行「どォした、もうネタが尽きたのか?あァ!?」

佐天「よく分かんないけど今の一方通行さん滅茶苦茶怖い!」

一方通行「…」

佐天「…」

一方通行「じゃァこっちから…」

佐天「ごめんなさい!」ドンッ

ズボッ

一方通行「落とし穴…!」

ヒュゥゥゥゥ…

麦野「一方通行が穴に消えたわ…」

御坂「あの能力があれば一踏みで落とし穴作れるのね」

佐天「とりあえず穴を埋めておこう…」

麦野「ちょっと、あの子一方通行を埋葬し始めたわよ…」

御坂「佐天さん…」
636 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:29:09.80 ID:K3BRf9CZ0
垣根「一方通行がやられたか」

御坂「あ、戻ってきたんだ…」

麦野「ていうかあんたの考えって合ってんの?全然暴走しないわよ?」

垣根「分からない」

麦野「分からないって…あんたねぇ…」

削板「あそこに埋められてるのか?」

麦野「結構深いわよ、あの穴」

垣根「俺に任せろ」

麦野「うまくいくんでしょうね」

垣根「それは分からない」

麦野「…」

木山「今度は削板くんに行かせたらどうだ?」

垣根「ダメだ。コイツは俺達の能力を知らなすぎる」

麦野「え?あんだけ賢かったのに詳細知らないわけ?」

削板「実は」

垣根「だから俺が行く」

木山「そうか」
637 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:29:39.54 ID:K3BRf9CZ0
佐天「とりあえずこれで大丈夫だよね。うん…生きてる…よね?」

垣根「さて…」

佐天「また垣根さんですか?」

垣根「なんだ、またって」

佐天「またプラズマを…」

垣根「!涙子ぉ!!」

佐天「え?あれ?呼び捨てでしたっけ?」

垣根「ちゃんとパンツ履いてるかぁ!?」

バッ

御坂「…」

麦野「…」

木山「…」

削板「おお」

佐天「え?」

垣根「あー水玉かー」

麦野「なにあれ…」

御坂「佐天さんが初春さんにいつもやってる事…」

麦野「誰よ初春って…」

佐天「きゃあああ!何するんですか!」

垣根「暴走のために手段はいとわない」
638 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:30:07.80 ID:K3BRf9CZ0
佐天「離れてください!もう!」

ドバァン!!

垣根「おっと」

麦野「あんた何やってんのよ」

垣根「恥ずかしさの余りに暴走するかと思って」

麦野「あんた復活する時、脳になんかされたんじゃない?」

垣根「そんなはずは…」

削板「しかしどうしたものか…もう少しで日が暮れてしまうぞ」

木山「…分からず屋には一発叩き込むと治るぞ」

垣根「殴れってか」

麦野「うーん…」

御坂「あんまり接近したくないわね…」

食蜂「いい考えがあるわ」

御坂「あ、来たの?」

食蜂「流石に寂しいもの。一方通行は行っちゃったし…ていうか見当たらないわね…???」

御坂「…多分地面に潜ってるんじゃない?うん」
639 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:30:34.82 ID:K3BRf9CZ0
麦野「で、その考えってのは?」

食蜂「一人ずつじゃなくて複数でかかればいいのよ」

御坂「あ、そうか」

食蜂「誰かが戦ってる時に高速で近づいて気絶する程の強さで殴る。これで解決よ」

麦野「気絶する程…だったら殴るのは男ね」

垣根「女を殴るのか…?それはちょっと…いやでも…」

削板「ぐぐ…」

麦野「女に手を挙げるなんて削板には向かないわね。やっぱここは垣根が…」

佐天「きゃあああああああ!」

垣根「!」

御坂「見てあれ!地面から手が生えて佐天さんの足掴んでる!」

麦野「あれ一方通行の腕じゃない!」

木山「チャンスだ垣根帝督!」

垣根「ぐっ…しかし中学生を殴るのは…せめて第三位くらいに生意気だったら…」

御坂「おい」

垣根「ウダウダ言ってる時間は無ぇ!俺が…」

削板「うおおおおぉぉ!!」ダッ

垣根「あ、お前が行くんだ…」

640 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:31:01.99 ID:K3BRf9CZ0
佐天「なにこれ怖い!ごめんなさいごめんなさい!」

腕「…」

削板「すまない佐天!根性無くてすまない!」

佐天「あ、あれ?削板さんいつのまに…」

削板「すごいパー…」

垣根「バ、バカ!普通に殴れ!」

佐天「え?」

削板「ンチ!!」

バキッ!

佐天「あぐっ!」

ドサッ

削板「よし!」

木山「成功したみたいだな。急い運ぼう」

メキメキメキ…!

一方通行「ハッ…ハッ…終わったみてェだな…」

削板「一方通行のおかげだ!」

一方通行「ン?あァ…」
641 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:31:28.72 ID:K3BRf9CZ0
水穂機構病院


佐天「う…ここは…」

木山「起きたかい?」

佐天「あ…そうか…私負けたんだっけ…」

木山「色々と苦労させられた。今後はこのような事が無いよう、頼むよ?」

佐天「ごめんなさい…いつっ…!」

木山「削板くんが思い切り殴ったからな…痛むかい?」

佐天「少し…」

木山「はは、安い代償だ」

佐天「御坂さん達は?」

木山「下のホールに居るよ。会って来たまえ」

佐天「ありがとうございます!」タッ

木山「レベル5を束ねた多才能力…」

木山「ギミックは非常に面白い物だったな…」

木山「私もやってみようかな…いや、やめておこう。殴られては適わないからな」

642 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:31:57.94 ID:K3BRf9CZ0
垣根「なあ」

削板「なんだ?」

垣根「なんでお前が殴りに行ったんだ?」

削板「垣根には心理定規が居るだろ?万が一責任を取れと言われたら困るだろ」

垣根「どんな心配してんだか…」

削板「ははは」

一方通行「チッ、埋葬されたなンざ始めてだぞ…」

御坂「それにしても最後のアレは凄かったわね」

一方通行「あァ?」

御坂「ほら、地中から佐天さんの足掴んだやつ」

一方通行「地面ン中で話が聴こえたから協力したまでだ」

御坂「どんな耳してんのよ…」

食蜂「ねえ、こんなの拾ったんだけど」

一方通行「短パン…?」

麦野「短パンならそこのお子様のじゃないかにゃーん?」

御坂「おっ、お子様ですって!?」

麦野「お子様じゃねぇってんならスカート捲ってパンツ見せてみな」

643 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:32:27.01 ID:K3BRf9CZ0
御坂「なっ」

垣根「…」サササッ

麦野「短パンで隠すぐらいだからガキっぽいの履いてんだろ?」

フワッ

御坂「きゃっ!」

垣根「ん…なんでぇ、ゲコ太じゃねぇか」

御坂「あんた!また捲ったわね!」

垣根「何言ってる。俺はまだ捲ってねぇよ」

御坂「は?じゃあ誰が…」

佐天「私です、御坂さん」

一方通行「起きたか」

佐天「はは…ご迷惑おかけしました…」

垣根「へぇ…今の、涙子ちゃんのちゃんとした能力か」

佐天「レベル0の空力使いですけどね…」

麦野「ん?レベル0?それにしては…」

一方通行「レベル0の空力使いには…スカートを捲るほどの力は無ェはずだ」

佐天「え?」
644 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:32:55.82 ID:K3BRf9CZ0
垣根「そういやそうだな…確かにレベル0にそれほどの力は無いはずだな。この程度だと1か2か…」

佐天「どういう事ですか?」

一方通行「さァな…多才能力を通してレベル5と触れ合ったとか…適当に理由はこじつけれるが…」

麦野「ここは自分に自信が付いたからって考えるのが妥当かしら?」

食蜂「今日褒められたからじゃない?」

垣根「褒められたぁ?」

食蜂「覚えてないみたいね」

佐天「…そっか、あの時削板さんにすごいって言われてそれで…」

垣根「削板ならあっちだ」

佐天「私行って来ます」タタッ

一方通行「…結果的に佐天のためになったみてェだな」

御坂「そうね」

垣根「そうだ、俺の話聴いてくれよ」

一方通行「話だとォ?」

麦野「ロクな話を期待してるわ」

垣根「今日ビルに向かって俺が墜落したろ?そん時に生意気なガキに会ってよぉ…」

645 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:33:21.54 ID:K3BRf9CZ0
佐天「削板さん」

削板「あ、ああ…佐天…か…」

佐天「様子、おかしいですよ」

削板「いや…うん…いや…」

佐天「私、思い切り殴られました」

削板「ぐ…根性無しでスマナイ…」

佐天「いいんです!それは」

削板「え?」

佐天「私、感謝してるんです」

削板「???」

佐天「ダムで削板さんに褒められた時、嬉しくなってもっと能力を使ってみたいと思ったんです」

削板「そ、そうか…?」

佐天「結果、みんなに迷惑かけちゃったけど…」

削板「それこそもういい事だぞ。あいつらに会った時一人でも佐天を責めたか?誰も気にしてない」

佐天「皆良い人達です」

削板「ああ。だから万が一…君が無能力という立場で苦しんでるなら俺達を頼るといい。絶対力になれる」

佐天「あの…そのことなんですけど…」

削板「うん?」

佐天「私、レベル0の能力者なんです。でも今日の出来事でレベルが上がったんだと思います」

削板「?」

佐天「削板さんにすごいすごいって言われて、それで一気に自信が付いたからだと思うんです」

削板「そうか、それはなによりだ」

佐天「はい。だから私削板さんに感謝しています!殴ったことについては感謝出来ることじゃありませんけどね」

削板「ぐぬ…本当にスマン…取れるもんなら責任は取る…」

佐天「あはっ、本当ですか?じゃあ…」
646 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/13(土) 20:33:48.45 ID:K3BRf9CZ0
垣根「俺帰る」

麦野「私も帰る」

一方通行「俺も帰るかァ」

食蜂「あーあ…私も帰ろっと」

御坂「はぁ…私もそうしよう…」

垣根「なんだよ…殴って芽生える物って…それだったら今日ゲンコツかましたガキにもなんか芽生えてんのか?あ?」

麦野「さっきの話の子ね」

食蜂「さすがに無いんじゃないの?」

垣根「世の中分からねぇぞ」

麦野「第一あんたには心理定規が居るじゃないの」

垣根「最近冷たいんだ」

御坂「あ、黒子から着信入ってる」

一方通行「…ン、珍しく黒夜から着信が…」

垣根「そういや結標の2ndシングルはいつ出んだろうな」

一方通行「今度聴いといてやるよ」

垣根「おう」

一方通行「もォ別れ道か」

垣根「早いもんだ」

食蜂「お腹空いたなー」

御坂「何か食べてく?」

麦野「もう8時回ったのね…」

一方通行「ここで解散だな。また会おうぜェ」


650 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:00:30.23 ID:Yv40WArT0
翌日

一方通行「珍しくコーヒーがウマく淹れられた…」コポポ

番外個体「ミサカも飲むー!」ゴクゴクゴク

一方通行「何しやがる!!」

番外個体「ぷはっ、苦ー」

打ち止め「あー!!何飲んでるの!?ってミサカはミサカは興味津々!」

番外個体「めんつゆ」

打ち止め「め、めんつゆ…??それって猛烈にしょっぱいアレ…?クロヨルが間違えて飲んだアレ…?」

番外個体「そう。そのめんつゆ」

一方通行「クソッ…淹れ直しだ…」

ガチャ

黒夜「…」モソモソ

一方通行「ン、起きた…か…!?」

黒夜「なに?」

一方通行「なンて格好で寝てやがる。垣根が間違えて入ってくるかもしンねェからパンツ一枚で寝るのだけはやめろ」

番外個体「あーあー、胸も丸出しだなんて…」

打ち止め「うーん、黒夜は黒派なのね」

黒夜「何か飲み物…お、コーラがあるじゃねぇか」カチャン

番外個体「この展開は…!」

ゴクッ…

黒夜「かはっ!」

番外個体「うんうん」
651 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:01:01.37 ID:Yv40WArT0
黒夜「くそ…また飲んじまった…」

一方通行「そォいや…なンで昨日電話して来たンだ?帰って理由聴こうにも居ねェしよォ…」コポポ

黒夜「ん…ああ、お願いがあってかけた」

一方通行「お願い?」

ヒョイ

一方通行「あ」

黒夜「…」ゴクゴクゴク

一方通行「なンでだ!!」

黒夜「ふぅ…あれ」ピッ

一方通行「ン?…ああ、このカードか?」

黒夜「そう。そのカナミンのカード」

一方通行「これがどうしたってンだ?」

黒夜「くれ」

一方通行「?別に構わねェけど…こンなもンどォすンだ?」

黒夜「浜面とフレンダが持っててよ、それで買おうにもどこにも無いわけなんだわ。んで困ってたらここにあったってワケ」

一方通行「まァ垣根にタダで貰ったヤツだ。好きなだけ持ってけよ」

黒夜「いや、一箱でいい」

一方通行「一つでいいのか?なンなら二つぐらいでもイインだぞ?」

黒夜「じゃあ二つ貰おうかな」

一方通行「ン」
652 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:01:30.87 ID:Yv40WArT0
番外個体「これで残り四箱か」

打ち止め「ふんふん、これはカナミンの対戦カードゲームなのね」

黒夜「ちょっと出掛けてくる」

一方通行「どこ行くンだ?」

黒夜「あいつらの前で開封して来る」

一方通行「そォか」

黒夜「んじゃ着替えるかな…」

番外個体「あー、暇だなー」

一方通行「昼寝でもしてろ」

番外個体「どっか連れてけってことだよ」

一方通行「芳川に着いて行けばよかったじゃねェか」

番外個体「何が楽しくて病院に着いて行かなきゃならないわけ?うーん…冷蔵庫には何も入ってない」カチャン

一方通行「ン…買い物もアリだな。これでやっと飲める…」コポポ

打ち止め「ねえムスジメはー?」

一方通行「新しいCDの事で忙しいって早いうちに出てったぞ。確かここらへんに資料が…」ゴソゴソ

番外個体「…」トポポ

一方通行「ホラ、これだ」

打ち止め「これジャケットってヤツ?」

一方通行「あァ」

打ち止め「シルエットがとってもカッコいいね!、ってミサカはミサカは評価してみる!」

一方通行「そいつは良かったな…」ゴクッ

番外個体「ひひ」

一方通行「かはっ…!めンつゆじゃねェか!!」
653 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:01:57.72 ID:Yv40WArT0
黒夜「じゃあ行ってくる」

一方通行「ごほっ…そォいや絹旗はどォした」

黒夜「バイトの面接するとか言ってた」

一方通行「バイト?」

黒夜「よく分からないけど…行ってきます」カチャ

一方通行「バイト出来るような年齢だったか…?」

打ち止め「一つでいいからミサカにもこれちょーだい!」

一方通行「散らかすンじゃねェぞ」

打ち止め「はーい!」

番外個体「やっぱり苦い」ゴク

一方通行「…」

打ち止め「お宝カードが眠ってる予感…黒夜と対戦出来るように準備しとこっと」

一方通行「…買い物に行くかァ」

番外個体「お、出掛けるの?」

一方通行「打ち止め、準備しろォ買い物に行くぞ」

打ち止め「うん」

番外個体「ミサカも準備しよっと」

一方通行「えっと…買う物は…」
654 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:02:57.40 ID:Yv40WArT0
黒夜「勢いで二箱貰ったけど正直一箱で全然大丈夫なんだよなぁ」

黒夜「目の前で開封して分けるか…?」

「あー…なんでどこにも無いんや…」

黒夜「?」

青髪ピアス「頼みの綱の最後の店にも置いとらんかったし…」

黒夜「…」

青髪ピアス「カナミン…どうしてカードがどこにも無いんや…」

黒夜「カナミン…」チラ

黒夜「これだよな…うん」

青髪ピアス「はぁ…」

黒夜「なぁ」

青髪ピアス「ん?なんやお嬢ちゃん…お、エライ可愛いなぁ」

黒夜「カナミン、探してんのか?」

青髪ピアス「ん、聴いとったんか?いやーそうなんよ、色々探し回ってどこにも見当たらんし…」

黒夜「これ」

青髪ピアス「ん…?これ僕が探しとったのと同じ…」

黒夜「二つあるから…一つやる」

青髪ピアス「え!?本当!?」

黒夜「本当」

青髪ピアス「いやーめっちゃ嬉しいわぁ!」

黒夜「ん」ヒョイ

青髪ピアス「あ…でもタダで貰うわけにはいかんしなぁ…うーん…」

黒夜「別に構わねぇんだけど…」

青髪ピアス「いやいや!女の子に物貰いっぱなしはアカン!」

黒夜「私は別にいいんだけどな」
655 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:03:49.53 ID:Yv40WArT0
黒夜「勢いで二箱貰ったけど正直一箱で全然大丈夫なんだよなぁ」

黒夜「目の前で開封して分けるか…?」

「あー…なんでどこにも無いんや…」

黒夜「?」

青髪ピアス「頼みの綱の最後の店にも置いとらんかったし…」

黒夜「…」

青髪ピアス「カナミン…どうしてカードがどこにも無いんや…」

黒夜「カナミン…」チラ

黒夜「これだよな…うん」

青髪ピアス「はぁ…」

黒夜「なぁ」

青髪ピアス「ん?なんやお嬢ちゃん…お、エライ可愛いなぁ」

黒夜「カナミン、探してんのか?」

青髪ピアス「ん、聴いとったんか?いやーそうなんよ、色々探し回ってどこにも見当たらんし…」

黒夜「これ」

青髪ピアス「ん…?これ僕が探しとったのと同じ…」

黒夜「二つあるから…一つやる」

青髪ピアス「え!?本当!?」

黒夜「本当」

青髪ピアス「いやーめっちゃ嬉しいわぁ!」

黒夜「ん」ヒョイ

青髪ピアス「あ…でもタダで貰うわけにはいかんしなぁ…うーん…」

黒夜「別に構わねぇんだけど…」

青髪ピアス「いやいや!女の子に物貰いっぱなしはアカン!」

黒夜「私は別にいいんだけどな」
656 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:04:23.47 ID:Yv40WArT0
青髪ピアス「なんかあればええんやけど…お、そういえば…」ゴソ

黒夜「?」

青髪ピアス「商店街のおっちゃんに貰った大量の福引券!!」

黒夜「福引券?」

青髪ピアス「そう。ここの中心で福引やっとるんよ。それの券、これで…うーん…30回は回せるんとちゃうかな?」

黒夜「へぇ」

青髪ピアス「これと交換や!割りに合わないかもしれんけどあいにくコレしかないんや…」

黒夜「まあ、なんでもいいけどな」

青髪ピアス「ほなコレ」ス

黒夜「ん」

青髪ピアス「ほんま助かったわー!どうもありがとなお嬢ちゃん!」

黒夜「ああ」

青髪ピアス「頑張ってなんか当てるんやでー!ほな」

黒夜「…福引券か、回すか」

黒夜「…」

黒夜「景品は何があんだろうな」

黒夜「そういえば番外個体が言ってたがカナミンの出所も垣根のやった福引だったっけか…なんでさっきの兄ちゃん福引しなかったんだ?」

黒夜「もう無かったのか?」
657 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:05:23.99 ID:Yv40WArT0
「ハズレー。はいティッシュね」

黒夜「次」

「どうぞー!」

カラカラ

「残念!またティッシュ!」

黒夜「次」

「張り切ってどうぞ!」

黒夜「あと五回か…」

カラカラ

「お」

黒夜「ん、違う色…」

「大当たりー!三等の最新鋭健康器具を贈呈!」カランカラン

黒夜「健康器具??」

「あー!!」

黒夜「?」チラ

吹寄「当てられた…」

黒夜「これは…わらしべの予感!」

吹寄「とほほ…」

黒夜「おい姉ちゃん」

吹寄「?」
658 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:05:49.79 ID:Yv40WArT0
黒夜「この健康器具、どうせ使わないから姉ちゃんにやる」

吹寄「え!?」

黒夜「でもタダってワケにはいかない。なんかと交換してくれ」

吹寄「交換…確か今バッグに…」

「どうぞーお嬢ちゃん」

黒夜「ん」

吹寄「これがあったわ」

黒夜「豊乳サプリ?」

吹寄「色々頼んだらオマケで貰ったやつなの。でも私は使わないし…かなり高価な物みたいだから捨てるわけにもいかないし…」

黒夜「ふむ…」

吹寄「でもさすがにこんなものじゃダメよね…他に何かあったかしら…」

黒夜「いや、これでいい」

吹寄「本当に?」

黒夜「結構高い物なんだろ?」

吹寄「そうね…確か二万近くしたような…」

黒夜「うん。これでいい」

吹寄「そう?」

黒夜「ホラこれ」ズズッ

吹寄「なんか悪いわね」

黒夜「使わない私が持ってるよりはずっといい」

吹寄「じゃあありがたく貰うわ。どうもありがとうございます」

黒夜「うん」
659 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:06:23.19 ID:Yv40WArT0
黒夜「豊乳の逆は貧乳…そんなヤツにこれを渡せば更なる何かに…」

黒夜「私はまだ成長すんだろ。うん」

黒夜「さて…………」

「入園許可証はお持ちですか?」

黒夜「第一位の使いで来た。第三位の御坂美琴を呼んで欲しい」

「第一位の?何か第一位との関係が確認出来るようなものは…?」

黒夜「前に皆で撮った写真があったな…ん」

「はい…確かに第一位…少々お待ちください」

黒夜「案外簡単にいけるな」

「お待たせしました。現在学舎の園内にて行動しているようです。門を開けますのでどうぞお入りください」

黒夜「どうやって会えばいい?」

「こちらの方にお呼びしましたので途中でお会い出来るかと思います」

黒夜「オッケー」

--------------------------------

御坂「何かしら…一方通行の使いって…」

食蜂「そういえばいつも一緒の風紀委員の子は?」

御坂「風紀委員の集まりに行ったわ」

食蜂「そ」

御坂「…あれ?こんなナチュラルにつるんでたっけ…??」

食蜂「待たせるとアレだから早く行きましょうよぉ」

御坂「え?あ、うん」

--------------------------------

黒夜「…」テクテク

黒夜「お」

御坂「あれ?」

食蜂「?」

黒夜「見つけた」

御坂「???」
660 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:06:51.66 ID:Yv40WArT0
黒夜「私が一方通行の使いだ」

御坂「確か旅行の時に居た…」

黒夜「おう」

食蜂「だ、誰?」

黒夜「黒夜海鳥」

食蜂「ふーん…」

御坂「わざわざこんな所までどうしたの?」

黒夜「待った」

御坂「?」

ムニュ

食蜂「!」

黒夜「うーん…」ムニュムニュムニュ

食蜂「ばっ…!くすぐった…ははっ…!」

黒夜「本物か…」

御坂「うん、気持ちは分からないでもないわ」

食蜂「はぁ…はぁ…一体何が…」

御坂「もしかして胸揉むために来たの?」

黒夜「もしそれだけが目的だったらあんたは呼ばねぇよ」
661 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:07:20.08 ID:Yv40WArT0
御坂「じゃあ一体…」

黒夜「コレ、何かと交換しようぜ」ピッ

御坂「?何これ…」

食蜂「豊乳サプリ…??」

御坂「ちょちょ、ちょっとこっち来なさい」

黒夜「なんだよ」

御坂「これ何よ」

黒夜「見たまんまのモンだと思う。あんた多分こういうの必要だろ?」

御坂「自分で使えばいいんじゃないの?」

黒夜「私は多分まだ成長する…はず」

黒夜「本来メチャクチャ高いモンらしいからきっと効き目抜群のはずだぜ。現にコレをくれたヤツはそこのヤツ以上だった」

御坂「食蜂以上…」ゴクリ

黒夜「どうする?」

御坂「…何かあったかしら」ゴソ

黒夜「何か凄いやつをくれ」

御坂「あ、いいのがあったわ」

黒夜「?」

御坂「じゃじゃーん!」ピラ

黒夜「なんだコレ」
662 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:07:48.36 ID:Yv40WArT0
御坂「水族館のペアチケット。最近出来た凄いって噂の水族館のやつね」

御坂「人を誘うにしても皆都合つかないから困ってたのよ」

御坂「だからこれと交換しましょ!」

黒夜「うーん…水族館か…」

御坂「これじゃダメ?」

黒夜「いや、これでいいよ」

御坂「そう、じゃこれで成立ね!」

黒夜「さて…これをどうすっかな…」

食蜂「もう用事は済んだの?」

御坂「あー…他に何かあったりする?」

黒夜「…誰でもいいから知り合いを紹介してくれ」

御坂「知り合い?」

黒夜「出来れば常盤台の外の」

食蜂「あなた外に知り合いいるの?」

御坂「失礼ね…佐天さんがまさに知り合いの一人よ」

食蜂「ああ…昨日の…」

御坂「あ、そうだ。じゃあね…」
663 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:08:20.07 ID:Yv40WArT0
「柵川中学の風紀委員の支部を尋ねるといいわ。そこに私の知り合いがいるから」

黒夜「と、言われて来たが…どうやって風紀委員を尋ねればいいのやら…」

------------------------------

佐天「昨日は凄かったなぁ…」

初春「またその話ですかー?」

佐天「だってまだ詳しく話してないんだよ!?」

初春「でも佐天さん、さっきから削板さんの下りしか…」

佐天「分かってないなぁー初春は…」

初春「はぁ…じゃあ肝心の能力の話をしてくださいよ」

佐天「能力?能力はね…未元通行が凄かったかな?」

初春「未元通行!?未元通行って言ったんですか!?それは垣根さんが攻めで…」ガシ

佐天「え!?何!?」

白井「初春ー」

初春「あ、すいません。つい…」

佐天「うわー今の初春凄い迫力だったなー」

初春「だからすみませんって…あれ?」

白井「どうかしましたの?」

初春「校門に居るあの黒い人」

佐天「黒い人…?」

初春「確か披露宴の時に見たような…」

白井「ふむ…声を掛けて来たらいかがですの?」
664 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:08:52.78 ID:Yv40WArT0
初春「あのー…」

黒夜「あん?」

初春「どうかしましたか?」

黒夜「あー…ここの風紀委員に用があるんだけど…」

初春「あ、それでしたら私が風紀委員なんでご案内しますよ」

黒夜「ん」

初春「それでですね…」

黒夜「?」

初春「もしかして…一方通行さんの披露宴に居ました?」

黒夜「居たけど…それが?」

初春「ああ、やっぱり。実は私や他の風紀委員の人も披露宴に呼ばれてたんですよ」

黒夜「へぇ」

初春「一方通行さんとはどういう仲なんですか?」

黒夜「………まあ…兄ちゃんだな」

初春「お兄さん…?」

黒夜「多分」

初春「ほあー、妹さんが居たんですねぇ」

黒夜「多分想像してるのと違うぜ」
665 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:09:20.34 ID:Yv40WArT0
初春「戻りましたー。一方通行さんの知り合いの方でした」

佐天「あれ?連れてきたの?」

初春「なんか御用があるとかで」

白井「御用?何かお困りで?」

黒夜「第三位の超電磁砲の知り合いがここに居るって言うから来た」

白井「お姉さまの?」

黒夜「あんたみてぇだな」

白井「いえ…私だけというわけでは…」

黒夜「ん?」

白井「そこのお二人もそうですの」

黒夜「あんた達も…」

白井「それはそうとどんな御用ですの?」

黒夜「さっき御坂美琴に会って来てな…」

piririririri

黒夜「ん…」

初春「ここの電話ではありませんね」

佐天「ごめんごめん、私。ちょっと出てくるね」

白井「お姉さまに会って…どうなされたんですの?」

黒夜「今の子が戻ってきたら続きを言う」

初春「お茶どうぞー」

黒夜「…」ズズッ
666 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:09:49.93 ID:Yv40WArT0
黒夜「そうだ、なあ」

初春「?」

白井「はい?」

黒夜「あんたら彼氏って居るのか?」

初春「あはは、居るわけないじゃないですか」

白井「私もあいにくそういったものは…」

黒夜「あぁ?じゃダメか…」

白井「一体なんですの?」

黒夜「じゃあ今居たのは?」

初春「え?うーん…居ないと思いますよ?」

黒夜「あー…」

白井「どうなされたんですの?」

黒夜「ここに新しく出来た水族館のペアチケットがあるんだ」

初春「あ、これ最新鋭の設備が凄いって噂の…」

白井「そういえばお姉さまに行かないかとお誘いされましたの」

初春「あ、白井さんもですか?私も誘われました。来賓の警護が無ければ行くんですけど…」

白井「ええ。この手のチケットにしては珍しく日にちが指定されてますからなお更ですの」

黒夜「指定?」

初春「ええ。まだオープンして時間経って無いんですけど人数が凄くて…それで一日辺りの人数を制限するために日付毎のチケットが発行されたんです」

黒夜「そんなすげぇのか…」
667 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:10:17.00 ID:Yv40WArT0
白井「おや…偶然にもお姉さまのチケットと同じ日にちですの」

黒夜「そのお姉さまに交換してもらったチケットだからな」

白井「交換?」

黒夜「豊乳サプリってヤツと」

白井「豊…乳…?」

初春「それも最近噂のヤツじゃないですか?一ヶ月の服用でバストアップ!ってヤツです」

白井「ほぉー」

初春「あれ?でも…えーと…」

黒夜「黒夜でいい」

初春「あ、初春飾利です。それで黒夜さんは一緒に行く人は居るんですか?それこそ彼氏さんとか…」

黒夜「居ない」

初春「そうなんですか」

佐天「ごめんごめーん」

初春「誰から電話だったんですか?」

佐天「んー?友達だよ!」

初春「あぁ」

佐天「いやー、でも困ったなぁ…」

白井「今度はなんですの?」

佐天「第四学区のレストランの予約をしてたんだけど、どうも時間の都合が付かなくなっちゃったみたいで…」

668 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:10:44.26 ID:Yv40WArT0
佐天「第四学区まで行く時間が無いってなっちゃったんだよねー」

初春「お友達の都合が合わなくなったんですか?」

佐天「そうそう。近場なら時間取れるって言われたんだけどいざ近場ってなるとねー…」

黒夜「なあ」

佐天「?」

黒夜「そのレストランの予約ってさ、なんか…券が発行されたりとかしたか?」

佐天「一応有名所のレストランだから発行してくれたよ。ほら」ピッ

黒夜「おお」

佐天「やっぱキャンセルして適当に近いところに…」

黒夜「その券、これと交換してくれ」

佐天「え?」

初春「ああ、それいい考えですね」

黒夜「このチケットは新しく出来た水族館のなんだ。この水族館なら第七学区にあるし…」

佐天「え?水族館の?ホントに?」

黒夜「ホントに」

佐天「うわぁー、全然オッケーだよ!」

黒夜「じゃあ交換だな」

初春「良かったですね黒夜さん」

黒夜「おう。さて、目的は果たしたし行くかな…」

白井「お帰りですの?お気をつけて」

黒夜「ん」

初春「それにしても佐天さん、有名所の予約なんて一体どうやって…」

佐天「えー?それはねぇ…」
669 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:11:12.85 ID:Yv40WArT0
黒夜「さて、このレストランの予約券はどうすっかな…」

垣根「あー、腹減った」

黒夜「…」

垣根「よお、チビスケじゃねぇか」

黒夜「おい、なんだその呼び方は」

垣根「いつものイルカはどうした?」

黒夜「背中に背負ってんだろ、よく見ろ」

垣根「ははっ、可愛いなお前」

黒夜「…」

垣根「まあそんな怪訝な表情すんな。カルシウム足りてるか?牛乳飲むか?」

黒夜「…」

垣根「あー、腹減ったな。なんか食うか」

黒夜「ここにレストランの券がある」スッ

垣根「へえ、くれるのか」ヒョイ

黒夜「タダでとは言ってない」

垣根「なんだ?飯奢れってか?」

黒夜「あげてもいいけど何かと交換だ」

垣根「金を払えとかじゃなくて交換しろってか…なんかあったかな…」ゴソ

黒夜「財布に何か入ってんのか?」

垣根「案外財布には色んな物が入ってるもんだ」
670 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:11:42.56 ID:Yv40WArT0
垣根「お…これは…うーん…」

黒夜「なんかあんのか?」

垣根「いや…まあ…別にいいか…?」

黒夜「要領得ねぇな」

垣根「ここにとあるアクセサリーの権利書がある」

黒夜「また券か。んでそれが?」

垣根「この権利書のアクセサリーは前に俺が作製に協力した物だ」

垣根「未元物質製の家具が出回ってたのは知ってるか?それの派生みたいなもんだ」

垣根「んで、何が凄いかって言うとだな…なんとこのアクセサリー、学園都市に十個しかねぇんだ」

黒夜「へー」

垣根「とある企業の記念セレモニーで特別に用意された物でな、製作者側で持ってるのは俺だけなんだ。意味分かるか?」

黒夜「ホントに十個しかないんだろ?」

垣根「そうだ。そして俺が持ってるこの権利書のアクセサリーがその十個の一つなわけだ」

黒夜「もしかしてそれと交換してくれんのか?」

垣根「正直持ってても仕方ないからそれでもいい。ホントは心理定規にでもやろうと思ったんだがなぜか既に持っててな」

黒夜「なるほどな」

垣根「だが、いざ手放すとなるとちょっと勿体無い気もする。正直そのレストランの券じゃ釣り合わないんじゃないかと思う」

垣根「でも持ってても仕方ないから、お前には少し色付けてもらう、それで交換してやる」

黒夜「?」

垣根「お願いお兄ちゃんって言ってみてくれ」

黒夜「…」
671 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:12:11.73 ID:Yv40WArT0
垣根「あ、とびきりの笑顔でな」

黒夜「そういうのは絹旗にでも頼むんだな」

垣根「何言ってやがる。こういうチャンスは滅多に無いんだからお前に頼んでるんだよ」

黒夜「何で急にそんなこと言い出した」

垣根「は?気分だよ気分」

黒夜「?」

垣根「ホラ、一回でいいから。ホラ」

黒夜「…」

垣根「アクセサリー自体はすげぇ希少な物だ。損は無いぜ?」

垣根「ちなみに仕様について言うなら…」

黒夜「仕様?」

垣根「まず肝心のアクセサリーの形態だが、ポピュラーなネックレスタイプ。肝心のペンダント部分は天使の羽をモチーフにして地球をイメージした水晶をあしらっている」

垣根「この水晶部分は当然の如く未元物質を使用している。この部分は時間、気温、湿度、天候、曜日、季節によって様々な光り方をする」

垣根「どんな光り方をするのかは俺も完全に把握してねぇ。その情報が出るや否や問い合わせが殺到!」

垣根「厳選なる抽選の結果、十人の人物の手に渡った。ちなみにうち一人が俺な、あと心理定規か」

黒夜「それいくらぐらいするんだ?」

垣根「あー…販売したわけじゃねぇんだ。売り物じゃねぇからなおさら希少なんだよ、再生産する物でも無いからな」

黒夜「ホントにそれくれんのか?」

垣根「さっき言った事をやってくれればな」

黒夜「…」
672 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:12:39.00 ID:Yv40WArT0
黒夜「よし、分かった」

垣根「へへ」ニヤ

黒夜「一回しかやらねぇぞ」

垣根「二回やらなくていいようにとびきりの笑顔だぞ」

黒夜「よし…」

垣根「…」ス

黒夜「お願いっ!お兄ちゃん!」ニヒッ

垣根「おお…」カシャッ

黒夜「テメェ!何撮ってやがる!!」

垣根「はははぁ!」

黒夜「この……!おい、そのケツの雑誌はなんだ?」

垣根「は?雑誌は雑誌だよ」

黒夜「よこせ!」ブン

垣根「あ!」

黒夜「週刊フォトコンテストだとォ?」

垣根「…」

黒夜「…」

垣根「第三位は準優勝だったがお前なら優勝出来るぜ」

黒夜「この野郎!!」

垣根「ほら、権利書だ!企業が近くにあるから貰って来い!」バサッ

黒夜「次会ったらタダじゃおかねェ!」

垣根「あばよ!」


673 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:13:07.07 ID:Yv40WArT0
「ありがとうございましたー」

黒夜「ふん…」

黒夜「これがアクセサリーか…」ジロ

黒夜「なんか豪華な感じはする…するだけだ」

黒夜「そろそろ目当ての物になってもいいような気がすんだけどな…まあそんなうまくはいかないか…」

黒夜「うーん…」

「っかしーな…」

ドンッ

「ととっ…悪ぃな。余所見してたからよ」

黒夜「ん…あぁ…」

木原「あ?お前は確か…」

黒夜「おっさんは確か…」

木原「かーっ、相も変わらず可愛くねぇガキだ」

黒夜「別におっさんに可愛いと思ってもらうつもりは毛頭ねぇよ」

木原「木・原・だ。よく覚えとけクソガキ」

黒夜「さぁね」

木原「チッ…ん?お前さんそれは…」

黒夜「これか?」

木原「そうだ、そのネックレス」
674 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:13:32.75 ID:Yv40WArT0
黒夜「なんでネックレスだって知ってるんだ?」

木原「あぁ?そりゃお前…俺も同じのを持ってたからだよ」

黒夜「そうか」スタスタ

木原「待て待て。まだ行くんじゃねぇよ」

黒夜「なんだよ?」

木原「俺が何してたのか知りたくないのか?」

黒夜「じゃあ聴いてやる。何を探してたんだ」

木原「そのネックレスだ」

黒夜「ああん?」

木原「俺もそのネックレスを持って"いた"。だがよ、昨日の夜中にここらへんでチェーンが切れたみたいで落としちまったんだよ」

木原「結構凝った作りだったからそれなりに気に入ってたんだわ」

木原「悪いことは言わねぇ。そのネックレスを俺によこせ」

黒夜「何言ってやがる」

木原「はっ、価値を知ってるみてぇだな。仕方ねぇ、こうなったら物々交換とシャレ込もうじゃねぇか」

黒夜「相応のモンじゃねぇと応じないぞ」

木原「しっかりしてやがんな。さて、何がいいか…」ペラペラ

黒夜「なんだそのファイルは」

木原「俺の仕事関係上、色々な所から色々な招待券が来るんだよ。それをファイリングしてるだけだ」

木原「どんだけ背伸びしてもガキはガキだ…相応のつったら…このヒーローショーの招待券はどうだ?ん?」

黒夜「ナメてんのか」

木原「冗談の通じないやつだ」ペラ

黒夜「!」

木原「あ?どうかしたか?」

黒夜「これがいい」

木原「これか?やっぱガキじゃねぇか…」

675 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:14:03.25 ID:Yv40WArT0
黄泉川宅にて


一方通行「はーっ…」ガサガサ

打ち止め「アイスアイスー♪」

一方通行「随分と遠出しちまったな…もう昼過ぎか…」

番外個体「疲れたー」

一方通行「お前はカゴの中に菓子入れてただけだろォが」

番外個体「いやん」

カチャ

一方通行「なンだ?オマエも帰ってきたのか?」

黒夜「やりたいことはやってきたからな」

一方通行「そォか」

番外個体「麦茶はっと…」

黒夜「ちょっとちょっと」

一方通行「ア?」

黒夜「ん」ピッ

一方通行「どォしたンだ?こンなもン」

黒夜「貰った一箱が色々あってコレになった」

一方通行「へェ、良かったじゃねェか。絹旗とか誘って行って来い」

黒夜「一緒に行ってくれるって約束したはずだ」

一方通行「なるほど、だから遊園地のペアチケットが出てきたわけか」

黒夜「今から行く」

一方通行「え?」
676 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/15(月) 01:14:30.61 ID:Yv40WArT0
数時間後


一方通行「ク…ハ…」

黒夜「まあジェットコースターってのが面白かったかな」

一方通行「ったく…何回乗らせる気だっつの…」

黒夜「まあ楽しかったからよかったじゃんか」

一方通行「の割には笑顔を見せてねェじゃねェか」

黒夜「?」

一方通行「あンま笑ったことがねェのかもしンねェが楽しい時は笑うモンだ」

黒夜「それなら兄ちゃんもだ」

一方通行「俺は笑わないだけだ。もう何年も自然の笑顔ってモンから離れてるからな」

黒夜「うーん…」

一方通行「普段ちゃンと笑えてっか?」

黒夜「分かんねぇ」

垣根「よお、一方通行じゃねぇか」

一方通行「垣根…」

垣根「ちょうど良かった。今お前の家に行こうとしてたんだよ、ちょっと見てほしいもんがあってよ…」

黒夜「オイ」

垣根「え?お前…居たのか…?」

黒夜「また会ったな」ボボッ

垣根「クソッ!」ダッ

黒夜「待ちやがれ!!」ボンッ

ピラ…

一方通行「ン?写真…?」スッ

一方通行「…ハ、笑えてンじゃねェか…とびきりの笑顔でよォ」

683 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/18(木) 21:07:59.16 ID:EItHVWpl0
翌日・旧スクール・アジトにて


垣根「zzZ」

ドカッ!

垣根「がっ!」

心理定規「起きなさい、帝督」

垣根「な、なんだなんだ!?」

心理定規「おはよう。よく眠れた?」

垣根「あ、あれ?お前、今俺の事蹴って…」

心理定規「私が貴方を蹴ったとか蹴らないとかどうでもいいの」

垣根「???」

心理定規「今日この日、貴方の性根を叩きなおす時が来たわ」

垣根「なんだ…?一体何を言って…」

心理定規「貴方にまともな人間になってもらうの」

垣根「へ?…ていうかこの雰囲気は前、病んだ時みたいな…」

心理定規「それで働いてもらうの。一緒に二人でお金を稼いで、復活の際にかかった料金を払って…それで…」

心理定規「一緒になるの」

垣根「…」

心理定規「まずは常識を教えなきゃいけないわね。長い間、闇の中で暮らして来た貴方には光の常識が無いの」

心理定規「やっぱ将来一緒に暮らすんだからそういうのは治さないとね?」

垣根「な、何を言って…」

心理定規「この場所に来なさい」バッ

垣根「地図…?」

心理定規「待ってるわ」スタスタ
684 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/18(木) 21:08:32.45 ID:EItHVWpl0
垣根「何だぁ?一緒に連れてってくれりゃいいのに」

垣根「しかし性根を叩きなおすだと?そんな腐った性根をしてたか?俺は」

垣根「…また刺されたら困るから腹に何か仕込んでいくか」ゴソゴソ

垣根「心理定規が怖いからとりあえず行くか。靴…靴…っと」

垣根「痛っ!なんだ?靴の中に何かが…」

垣根「画鋲…?」

------------------離れた場所にて-------------------

白井「おや?」

上条「なあ、俺にも双眼鏡貸してくれよ」

白井「嫌ですの。ご自分でご用意してくださいまし」

御坂「今どうなってんの?」

白井「靴の中に仕込まれた画鋲に気付いたみたいですの」

御坂「本当に入れたんだ…」

上条「バードウェイから貰ったメモには社会の厳しさを教えるためにイジメを行えって書いてんだよ」

上条「されて嫌な事を体験しまくることで優しい人格を形成出来る…って書いてる」

白井「それがあの画鋲ですの?」

上条「そうだな」

----------------------------------------

垣根「どっかから紛れでもしたのか?危ねーな…」

垣根「えーと…場所は…」ガチャ

ボスン!!

垣根「…黒板消し…か?」

垣根「なんでこんなモンが…」

----------------------------------------

白井「本当に効果がありますの?」

上条「分からないな。でもバードウェイが言うんだから間違いないだろ」

御坂「全然気にした様子がないわよ?」

白井「第二位ともなると精神的にもお強いんですのね」

上条「このまま後を付けようぜ」
685 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/18(木) 21:09:02.78 ID:EItHVWpl0
その頃


海原「はい…はい…ありがとうございます。では」

土御門「どうだった?」

海原「垣根さんからは許可をいただけました。これで全員のストラップ化の許可が下りました」

土御門「さて…あとは作製だけか…」

結標「なんかやっとって感じね」

土御門「とりあえず2ndを出したら落ち着くんだろ?」

結標「ええ」

土御門「いいことだ」

海原「あとは自分達に任せて帰っていただいて大丈夫ですよ?」

結標「いいのかしら?」

海原「あまり帰れてないのでしょう?一方通行さんの事もありますから、どうぞ」

土御門「後は俺たちでやっておく。一方通行に文句を言われたら敵わないからにゃー」

結標「そ、じゃあそうするわね」

海原「お気をつけて」

結標「何かあったら連絡ちょうだい」

土御門「分かった」

結標「じゃあね」ヒュン

土御門「んじゃ作業に戻るかな…」

piriririririri

土御門「ん?…上やんか?」
686 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/18(木) 21:09:31.18 ID:EItHVWpl0
上条「もしもし?土御門か?」

『どうした?』

上条「いやさ、ちょっと協力してもらいたいことがあるんだけどさ」

『言ってみるといいにゃー』

上条「俺と一緒に垣根を襲ってほしいんだけど」

『は?』

上条「いやさ…」

白井「次は街中で振るわれる理不尽な暴力…ですの?」

御坂「うーん…あのバードウェイとかって子、ちょっとズレてるわね」

白井「ああいった方々に絡まれることで真面目に変貌するんですの?」

御坂「いや、私に言われても…あ、でもちょっとだけストーリー性あるわよ」

白井「え?」

御坂「…因縁を付けて殴りかかる…」

白井「それは…」

上条「な、頼むよ。人助けと思ってさ」

『まあ、上やんがそこまで言うのなら…』

上条「おお!」

『ただし、俺から一人推薦させてもらうにゃー』

上条「まあ人が多いほうが安全だろうし…いいぞ」

『じゃあ今からそっちに行くぜい』

上条「おう」

白井「さて、私も固法先輩に連絡を…」
687 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/18(木) 21:10:00.46 ID:EItHVWpl0
チリンチリーン

「いらっしゃいませー」

上条「お、コンビニに入ったみたいだぞ」

御坂「出来れば早いとこ心理定規の所に行ってもらいたいんだけど」

上条「コンビニくらいいいじゃないか」

御坂「うん…あれ?」

上条「どうかしたか?」

御坂「コンビニの前、女の子が絡まれてるわ」

上条「え?」

---------------------------------------

小萌「わわ…大丈夫ですかー?」

「痛てて…」

「あーあーあーあーあー…」

「やべぇなーコレ骨折してるわー」

小萌「こっ…骨折ですか!?どどどどうしましょう…」

---------------------------------------

上条「小萌…センセ…」

御坂「え?先生?」

上条「あ、ああ…俺の担任…」

御坂「えっとこういう時は黒子…あれ?居ない」

上条「さっき席を空けるって言ってどこか行ったぞ」

御坂「じゃあ私達が助けるしかないわね」

688 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/18(木) 21:10:32.00 ID:EItHVWpl0
「金だよ金!治療費払ってくれ…一千万!」

小萌「い、一千万…」

「なんだぁ?払えないってか?」

小萌「そんな大金は持ってないのですよー…」

---------------------------------------

御坂「ったく…道行く人は見事に見て見ぬ振りね」

上条「そう責めてやんなって、皆怖いんだろうよ」

御坂「ちょっと!あんた…達…」

上条「?どうした?」

御坂「垣根がコンビニから出てきてたわ」

上条「え?」

---------------------------------------

垣根「一千万の骨折ねぇ…」コツコツ

「おぉん!?なんだテメェは!」

垣根「この街は退屈しねぇなぁ…」

小萌「垣根ちゃん!」

垣根「ちゃん付けはやめてくれ…」

「なんならお前が払うか?あ?」

垣根「一千万の骨折ってのはな…こうすんだよ!」

「はぁ?お前が骨折すんのか?ははは!」

ゴキ

「あれ?」

689 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/18(木) 21:11:02.47 ID:EItHVWpl0
「う、腕が逆方向に!!」

「お前首が!」

「え?は?」

垣根「お、お前足が!」

グキッ

「痛っ!」

垣根「あちゃー、こりゃ捻挫だな」

「この野郎!妙な事ばかりしやがって!」

小萌「ケンカはよくないのです!」

垣根「別にケンカってわけじゃない。目に付いたから掃除してやろうと思ったまでだ」

小萌「それでもダメなのです!」

垣根「…まあいいか。ほら散れお前ら」

「ク、クソッ!」ダッ

垣根「ったく…ああいうのに絡まれたら無視すんのが一番だぜ?」

小萌「無視していてはダメなのです!向き合ってちゃんと話をすることが大事なのです!」

垣根「妙な先生も居たもんだぜ…」

---------------------------------------

御坂「へえ…ちゃんと人助けとかするのね」

上条「そりゃ垣根だって悪人ってわけじゃない。前に一方通行と色々あったみたいだが改心っていうのか?したみたいだしな」

御坂「でもあれはやり過ぎじゃない?」

上条「いやー…誰彼構わず電撃で黒コゲにするよりは…」

御坂「最近はそんな事してないわよ!」

上条「そうか?」

御坂「でもこうしてあんたの先生比べて見ると垣根って随分大きいわね」

上条「180越えてるらしいからな。周りの連中で一番大きいんじゃないのか?」
690 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/18(木) 21:11:32.97 ID:EItHVWpl0
土御門「上やん」

上条「お?おお、来てくれたか!」

土御門「来いって言われたらそりゃ来るぜい」

上条「えっと…土御門が推薦したって奴は…」

海原「こんにちは」

上条「お、おお」

海原「御坂さんもこんにちは」

御坂「え?ああ、はい、こんにちは…?」

上条「えーっと…海原…だよな…」

海原「ええ、貴方の良く"知っている"方の海原光貴です」

上条「は?」

土御門「上やん、ちょっとこっちに…」

海原「今日は彼と二人きりでしたか?」

御坂「あと一人居るわよ」

海原「おや、お友達ですか?」

御坂「後輩だけどね」

海原「そうですかそうですか…」
691 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/18(木) 21:11:58.63 ID:EItHVWpl0
海原「その後輩とはどういった方で?」

御坂「あれ?知らない?結構私と一緒に居る事が多い子なんだけど」

海原「ふむ…残念ながら存じ上げませんね」

御坂「そう?」

海原「ええ」

土御門「なんだ?その後輩とやらにくら替えか?」

海原「失礼な。くら替えではありません、今御坂さんの傍には自分以上に相応しい人が居る。それだけです」

土御門「そうか」

海原「約束、守っていただけているようですね」

上条「お前だったんだな…ああ、約束は守ってるぜ」

海原「安心しました」

御坂「え?何?なんなの?」

上条「ああ、こっちの話だよ」

土御門「それより上やん、垣根は…」

上条「ああ、あそこで小萌先生と話してるのがそうだ」

土御門「んん?」

上条「そういえばお前ら大丈夫なのか?垣根を襲って」

土御門「前に海原と似たような事をやった事があるから大丈夫だろ」

海原「ああ、垣根さんに頼まれた時ですね」

土御門「そうだ、風紀委員の誰だったかに絡んだ時だ」
692 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/18(木) 21:12:27.75 ID:EItHVWpl0
白井「おや?」

御坂「ああ、黒子。ちょうど良かったわ」

白井「はい?」

御坂「この子がさっき言った後輩」

海原「おや、あなたが」

白井「理事長のお孫さんではありませんの」

海原「海原光貴、以後よろしくお願いします」

白井「白井黒子と申しますの」

土御門「さて、自己紹介は済んだな。じゃあ上やん、早速話しを聴きたいんだが」

上条「おう」

御坂「あんた固法先輩は?」

白井「既に」

御坂「そう」

土御門「?」

上条「簡単に説明するとお前らに絡まれ反撃した垣根を無理矢理しょっぴく役だ」

土御門「大丈夫なのか…それ…」

上条「多分…」
693 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/18(木) 21:13:01.61 ID:EItHVWpl0
白井「さて!では最後に一連の流れの確認を致しますの!」

白井「手始めにあなた方が垣根帝督に全力で絡んでもらいますの!」

白井「当然の如く返り討ちにされた所で固法先輩と私が突入!その後難癖付けて心理定規さんが待機している施設にしょっぴきますの」

白井「お姉さまは私達が危なくなったら出てきてくださいまし」

御坂「オッケー」

土御門「一ついいかにゃー?」

白井「どうぞ」

土御門「垣根をまともにするって言うのはよく分かった。俺たちが絡みに行くのはその施設とやらに誘導するための動きという解釈でいいのかにゃー?」

白井「考えた人の意図とは違うかもしれませんが私はそう考えてますの」

土御門「分かった」

上条「ちょうど先生が離れるみたいだ。準備しようぜ」

海原「ではこのサングラスを…我々の呼び方はブラザーとトムでお願いします」

上条「え?」

---------------------------------------

小萌「じゃあさっきの話、考えておいてくださいね」

垣根「分かった分かった」

小萌「返事は一回なのです」

垣根「分かった」

小萌「あ、あともしよかったら一方通行ちゃんにも話しておいてくださいね?」

垣根「は?でも確かアイツ…籍だけはどっかに置いてたような…」

小萌「今日はありがとうなのです。じゃ、気をつけてくださいね」

垣根「あ、あぁ…」

垣根「…ま、いっか。じゃあさっさと心理定規んトコに…」チラッ

上条「…」

土御門「…」

海原「…」

垣根「なんだ?お前ら…俺の顔になんか付いてるか?」

---------------------------------------

御坂「ウソ…あの程度の変装でもバレないんだ…」

白井「適当に髪型崩してサングラスを掛けただけですのに…」
694 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/18(木) 21:13:29.74 ID:EItHVWpl0
土御門「ああ…目と鼻と口が付いてるなぁ」変声

海原「第二位…で大丈夫だよな?お金、貸してちょーだい」変声

上条(なんだコイツら…)

垣根「あいにく持ち合わせが無いんだ。あばよ」

土御門「はぁー!?ウソついてんじゃねぇぞコラッ!」

垣根「チッ…」

---------------------------------------

御坂「昔やってたのかしら」

白井「全然違和感が…」

御坂「当麻全然喋ってないわね」

白井「くっ…名前で呼び捨てですのね…!」

---------------------------------------

海原「出せないと言うなら…実力行使で…」

土御門「おー、それがいいそれがいい!」

上条「…」

垣根「はぁ…」

土御門「いただきます!」ブンッ

垣根「面倒な…!」ブオッ

---------------------------------------

御坂「あれ?結構素手でも戦闘出来るのね」

白井「上位能力者の方々は能力頼りかと思いきや…」

御坂「そこが一方通行との違いね」
695 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/18(木) 21:14:00.61 ID:EItHVWpl0
バキッ

垣根「がっ…なんだコイツ…!」

海原「いいぞブラザー!」

土御門「どうした?ケンカの方はレベル5じゃないみたいだなぁ?」

垣根(割と強いな…だが…素手での話しだ…)キィィ

ドバン!!

土御門「トム!」

海原「ブラザー後ろだ!」

-------------------------------------

御坂「ブラザートム?」

白井「はい?」

御坂「あ、いや…なんでもないわ」

白井「はあ…?」

御坂「それより大丈夫かしら?」

白井「あんまり大怪我をされても困りますの。そのために、彼に声をかけたんですの」

御坂「うん…」

-------------------------------------

土御門「コイツ能力を使いやがるぜ!」

垣根「何言ってやがる、俺が第二位だって知ってて絡んで来たんだろう」

海原「くらえ!」バスッ

垣根「痛てっ!」

土御門「やはりこの程度じゃダメか…」

垣根「プラスチックのバットだとぉ?お前らマジで何者…」

土御門「そんなことはどうでもいい」

垣根「…」イラッ

696 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/18(木) 21:14:37.38 ID:EItHVWpl0
土御門「」

海原「」

垣根「最後はお前か。そういや一言も喋ってねぇな…お前が頭か?」

上条(マズイマズイ!これはマズイ!)

垣根「気絶程度で済ませてやるよ」ブオッ

上条「…ッ!」パキィン

垣根「?俺の能力を…上条みたいな変な力でも持ってんのか?」

上条(あー…バレてはないみたいだな…うん)

垣根「だが…そういう奴相手の戦い方なら既に学習済みだ」タッ

上条(ケンカは久しぶりだが…相手になるぜ!)

垣根「おらっ!」バキッ

上条「痛ぇ!」

垣根「はっ、やっと声を出したか!」ドスッ

上条(そういえば俺って土御門よりケンカ弱いんだっけ…)

垣根「なに突っ立ってやがる!」バキィ

上条「うう…無念…」パタ

垣根「はぁ…コイツは一体…」

-------------------------------------

御坂「あー、やっぱ負けちゃったわね」

白井「お姉さま、私はそろそろ」

御坂「頑張ってね」

白井「はい」ヒュン

-------------------------------------

垣根「随分時間食っちまったがさすがに大丈夫だろ…さて…」

白井「風紀委員ですの!」ヒュン

垣根「…ッチ」

固法「そこまでよ垣根帝督」

垣根「いつの間に…悪いが急いでるんだ。事情聴取とかは後で受けてやるから…」

固法「悪いけど後でってわけにもいかないの」

-------------------------------------

御坂「あれ?これってわざわざこんな方法で垣根を連れて行かなくてもいいんじゃ…」
697 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/18(木) 21:15:18.61 ID:EItHVWpl0
垣根「面倒だな…まあ俺は逃げるわけだが…」バサ

白井「ふふっ、それはどうですの?」

垣根「はぁ?」ガシ

垣根「んだコイツ、まだ意識があったのか?」

白井「ご自慢の能力はいかがなさいましたの?」

垣根「なに?まさかコイツが…」

白井「ええ。その方が触れてるから能力の発動が出来ないんですの」

垣根「離れろ!」

上条「…」

白井「固法先輩!」

固法「分かってるわ!」

垣根「おいコラ!聴いてんのか!」

白井「垣根帝督!」

垣根「あ?」

白井「日頃の恨み!」

固法「食らいなさい!」

ドッ!

垣根「ぐ…風紀委員に殴られて気絶なんて…………」

白井「よっしゃ!」

上条「よ、よし…役目は果たしたぞ……う…」
698 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/18(木) 21:15:46.78 ID:EItHVWpl0
御坂「ちょっとちょっとー、気絶させて大丈夫なの?」

白井「これが目的でしたの」

御坂「は?」

白井「お姉さまはもうお気づきかもしれませんけど…心理定規さんの所に誘導するならばこんな行動は必要ありませんの」

御坂「そ、そうよ!なんでこんな回りくどい…」

白井「ただ単に私達が日頃の鬱憤を晴らすための立ち回りだっただけですの。この、垣根帝督が」

御坂「えーと…じゃあここで当麻達に絡ませたのは…もしかして殴るためだけに…?」

白井「ええ。よくよく考えれば仕返しというものをしていなかったので…」

固法「ふー…これでいいかしら白井さん」

白井「ええ。わざわざすみませんの」

固法「いいのよこれくらい。じゃあ私行くわね」

白井「お気をつけて」

御坂「…」チラ

垣根「」

上条「」

海原「」

土御門「」

御坂「どうするの?これ…」

白井「とりあえず垣根帝督だけでも連れて行きますの」

御坂「いやだから当麻達は…」

白井「人を呼んでますから大丈夫ですの」

御坂「あ、そうなの?」

白井「ええ。では行きますの」

703 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/21(日) 23:48:56.29 ID:S69GJ/Nk0
数十分後

削板「おーい。起きろお前らー」ペチペチ

上条「」

削板「おーい」

土御門「うっ…」

削板「立てるか?」

土御門「削板…?」

佐天「大丈夫なんですか?この人達」

削板「さあ」

佐天「ていうか私が白井さんに頼まれたのに…なんだか悪いですね」

削板「いや、これぐらいいいんだ」

土御門「起きろ…海原…」ユサユサ

海原「…く…」

削板「お前達、どうして道の真ん中で寝てたんだ?」

土御門「俺達が寝ていたように見えたか?」

削板「正直」

土御門「…」

海原「いたた…」
704 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/21(日) 23:49:36.07 ID:S69GJ/Nk0
海原「おや、削板さん。と…そちらは…」

削板「この子は一般人だぞ」

土御門「いや、特にそういう事件性は無い」

海原「ふむ…彼女達の姿が見えませんが…」

土御門「垣根も居なくなってるな」

海原「自分達は捨て駒だったのでしょうか?」

土御門「いや、案外当てゴマかもな」

海原「おや」

土御門「上やんがここで転がってる時点で未元物質を無効化したと見ていいだろうな」

海原「してやられた、という事でしょうか?」

土御門「上やん共々そうなるな」

海原「女性とは斯くも恐ろしいものです…倒れた我々を放置とは…」

削板「恐ろしいか?気持ちいいものだぞ?」

海原「え?」

土御門「おい待て。お前、それはどういう…」

削板「自分自身に新しい風を吹き込んでくれる。それに伴って自分が変わるのを感じれるのはとても気持ちのいい事だ」

土御門「そうか、そうだよな…うん」
705 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/21(日) 23:50:20.48 ID:S69GJ/Nk0
海原「そういえば何故二人で行動を?」

佐天「えっと、前もって白井さんから連絡を貰っていたんです」

土御門「連絡?」

佐天「このコンビニ周辺で人が倒れるから助けに行ってくれって」

土御門「他人に回収させる気だったのか…なんて女だ」

海原「それでは削板さんは…?」

佐天「一人だとちょっと不安だったんで呼んだんですよ」

海原「ああ、なるほど」

土御門「まったく…」

佐天「一体何があったんですか?」

海原「色々…でしょうか」

削板「じゃあそろそろ行くか」

佐天「そうですね。こうして無事だったことですし」

土御門「?どこか行くのか?」

削板「水族館、にな」

土御門「水族…館…?」

削板「レストランの券が無駄にならなくてなによりだ」

佐天「都合良く交換してくれた人が居ましたからね…」

土御門「…帰るか」

海原「ええ」

上条「」
706 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/21(日) 23:50:55.51 ID:S69GJ/Nk0
黄泉川宅にて


一方通行「オイ…ナメてンのか…」

一方通行「ンなら他を当たるだけだ。協力はしねェ、頭に叩き込ンどけ」プツッ

結標「またダメだったの?」

一方通行「俺がダメだったわけじゃねェ」

結標「そんなの散々会話聴いてたから分かるわよ」

一方通行「チッ…どこもかしこも…」

芳川「貴方の能力を使った実験なら如何なる内容の実験かは分かるはずよ?」

一方通行「そォだな。現に兵器実験が主だったしな」

芳川「これから先、どんどんと色々な兵器が生み出されていくわ。駆動鎧なんてそれの先駆けでしかないの」

一方通行「あァ…そォだな」

芳川「第一、実験だけがお金を稼ぐ方法じゃないはずだけど?」

一方通行「コイツが一番手っ取り早いンだよ」

芳川「それに…どうして頑なに対駆動鎧の実験を断るの?」

一方通行「…俺相手に駆動鎧の実験をするってことは能力者に対するそれなりの兵器を作るってことだ」

一方通行「同じ能力者である垣根に反射を突破された今、駆動鎧で俺の反射が破られる日は遠くねェはずだ」

一方通行「少しでも弱みを見せるわけにはいかねェンだよ」

芳川「考えすぎじゃないの?」

一方通行「こンくらいが丁度イインだよ。どンな小さな事から俺の能力が崩れるか分からねェからな」

結標「次、ここは?」

一方通行「ン…割と近場の実験施設だな。こンなのあったか…?」

結標「私に聴かれても分からないわよ。そんなに実験実験って生活じゃなかったもの」

一方通行「とりあえず電話かけるとすっか…」
707 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/21(日) 23:51:21.46 ID:S69GJ/Nk0
絹旗「…」ペラ

黒夜「ふぁ……」

打ち止め「zzZ」

番外個体「…」

絹旗「ここもダメ、ここもダメ…」

黒夜「やっぱりさ」

絹旗「はい?」

黒夜「無理があんだよ。年齢的に」

絹旗「さすがに学園都市内ですよ?これだけの超職種ですから何個かあるでしょう」

黒夜「見てみろ、ここも、ここだって。みんな十六からじゃねぇか」

絹旗「ですからこうやって私の年齢でもいけるようなとこをですね…ていうか面接までは行くんです。私の姿を見て年齢を聴いて…ああ…って感じになるんです」

番外個体「ねえ」

絹旗「?」

番外個体「バイトしなくてもいいんじゃない?」

黒夜「…」

絹旗「…前みたいに黙っててもお金が入ってくることは少なくなりました。ですのでこれくらいしないと…」

絹旗「なにより住まわせてもらってる身ですから?なんらかの形で役に立たなくては…」

番外個体「あのね、ウチにはそんな恩義も感じないでニートしてるのが居るわけよ」

黒夜「…」チラ

芳川「あらやだ。なにかしら」
708 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/21(日) 23:51:50.49 ID:S69GJ/Nk0
一方通行「第一位、第一位、第一位…こンな時に肩書きは役にたたねェンだからよォ…ったく…」

番外個体「変なプライド捨てなって。どっかでバイトすりゃいいじゃんよー」

一方通行「アホか」

番外個体「は?」

一方通行「だがどォしたもンかねェ…」

絹旗「うーん…」ペラ

一方通行「待ってても俺宛に依頼は来ねェ、こっちから動く必要がある…となると…」

番外個体「いい方法があるぜ」

一方通行「ア?」

番外個体「路地裏行ってスキルアウトに全力で絡めば金が出てくる」

一方通行「…」

番外個体「?」

一方通行「出掛けてくる」カチャ

番外個体「え?マジで?」

結標「あれ?一方通行はどこに行ったの?」

番外個体「ムスジメ…」

結標「?」

番外個体「カツアゲしに行った」

結標「???」
709 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/21(日) 23:52:33.35 ID:S69GJ/Nk0
第七学区三九号線・木の葉通り


一方通行「通称ケンカ通り…第七学区に存在する裏の入り口…」

一方通行「……研究所はこの通りの奥か」カツカツ

コツ…コツ…コツ…

一方通行(ン…ガキ…か?裏通りにゃ場違いだな……こっちを見向きもしねェな、ただのガキってわけでもなさそうだが…)

コツ…コツ…

一方通行(間違えて入り込ンだのかもしンねェし…深く考える事でもねェな…)

コツ…

「ボス、あの白髪の男…」

バードウェイ「ん?」

一方通行「…」ピタ

「第一位です」

一方通行(ボスだと?新入生の残党か何かか…?)

バードウェイ「また会ったな」

一方通行「…オマエは」

バードウェイ「少し、聴きたいことがある」

一方通行「面倒はゴメンだぞ」

バードウェイ「勘違いするな。何もお前に関係することじゃない」

一方通行「なンだ、聴きたい事ってのは」

バードウェイ「第二位を探してる」

一方通行「垣根を…?」
710 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/21(日) 23:54:06.80 ID:S69GJ/Nk0
バードウェイ「思い出すのも癪だが先日、屈辱的な目にあった」

バードウェイ「いざ、反撃をしようと体勢を整えていたらその隙に消えていた」

一方通行「つまりなンかやられたから仕返ししてェってことか」

バードウェイ「仕返しではない。勘違いするな、筋を通すだけだ」

一方通行「それを仕返しっつーンだ」

バードウェイ「牙を剥いた者には…」

一方通行「然るべき報いを」

バードウェイ「?喋ったことがあったか?」

一方通行「さァな。然したる問題じゃねェ」

バードウェイ「まあいい。知ってるなら今どこに居るのか教えてくれ」

一方通行「案外。年相応なトコもあったもンだな」

バードウェイ「は?」

一方通行「初対面より好印象だ。そっちの方が随分と可愛いもンだ」

バードウェイ「チッ…!どいつもこいつも…!」

一方通行「まだまだガキだってこったな。やってることは立派だが中身は小せェな」

バードウェイ「むっ…」

(ボスが精神的に幼くなった気がするなー)

一方通行「さて、垣根だったか」

バードウェイ「もう既に人員を割いて捜索にあたっている。素性等は調べられたが詳しい居場所までは調べられなかった」

一方通行「今ドコに居るかってことか。ンなこと分かンなくて当然だわな」

バードウェイ「なに?」

一方通行「結構フラフラしてる奴だからな。探すより呼び出した方が案外早いかもな」

バードウェイ「そうか、では…」

一方通行「俺はこれから用事があンだ。あばよ」

バードウェイ「あっ…」
711 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/21(日) 23:54:53.71 ID:S69GJ/Nk0
第七学区・表通り


木原「あーだりぃ…でも行かなきゃなんねぇし…」

木原「面倒だな…今考えるとガキの躾しなきゃなんねぇって感じでもねぇよな…」

木原「約束した手前行かなきゃなんねぇし…適当に相手して…」

木原「まあ躾だって言って垣根のツラでも一発ぶん殴ってやりゃ嬢ちゃん方も満足すんだろ」

「そこの研究員」

木原「あ?」

バードウェイ「学園都市の研究員とお見受けしてお聴きしたいことがある」

木原「なんの用だガキ」

バードウェイ「どいつもこいつもガキ、ガキと…!」

木原「用があんならさっさと言えや。俺だって暇じゃねぇんだよ」

バードウェイ「第二位の垣根帝督という男を知ってるな?」

木原「知ってる前提か、まあ知ってるっちゃ知ってるな」

バードウェイ「今どこに居るか知っていたら教えて欲しい」

木原「ん、知ってるにゃ知ってるが…」

バードウェイ「本当か!?」

木原「んなくだらねぇウソ付くかよ」

バードウェイ「出来ればそこまでの案内を頼みたいんだが…」

木原「別に構いやしねぇが…なんで垣根を探してんだ?」

バードウェイ「それはだな…」

木原「語り入ったか。まあ聴いてやるか」

712 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/21(日) 23:55:21.50 ID:S69GJ/Nk0
数十分後・第七学区・とあるサロンにて


ピチャ…

ピチャ…ピチャ…

垣根「う…水…?」

心理定規「お目覚めかしら?」

垣根「心理定規?いや…あのふざけた風紀委員はどこだ?」

心理定規「どうしてそこで風紀委員なんて言葉が出るのかしら?」

垣根「俺が気絶させられて、目覚めたらここに居た。真っ先に疑うべき対象は気絶させた張本人だ」

心理定規「うん。間違ってないわ」

垣根「それに俺は縛られてると来たもんだ。こりゃお前の趣味か?」

心理定規「別に、そういうわけじゃないわ」

垣根「…頭に被せられてるモンについて説明を貰いてぇな」

心理定規「それがなんなのかは気付いてるはずよ?」

垣根「演算を阻害する装置か」

心理定規「ご名答。是が非でもここから逃がすわけにはいかないのよ」

垣根「縛り付けてる割には椅子にも座らせねぇで寝かせてるだけとは…これから一体何が…」

心理定規「白井さん、入って来てちょうだい」

垣根「白井…!」
713 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/21(日) 23:55:53.66 ID:S69GJ/Nk0
カチャ

白井「どうも」

垣根「どうもじゃねぇよ。なんのつもりだ?」

白井「真っ当になってもらうためですの」

垣根「真っ当だと?どういう事だ」

白井「そういう事ですの」

垣根「はぁ?」

心理定規「彼女の言ってることは間違ってないわ」

垣根「?」

心理定規「あなたにはちょっとばかし常識を身に付けてもらうわ」

垣根「人並みには常識はあるつもりだけどな」

心理定規「そう思ってるだけよ。実際には結構目に付く行動が多いわ」

垣根「はぁ…」

心理定規「将来の事を考えるとこのままじゃどうもね」

白井「思い返してみればいくつか思い当たるのでは?例えば…場違いな対応とか…」

垣根「…なにをする気だ」

心理定規「ふふっ…」

白井「そろそろお呼びしましょうか」

心理定規「そうね」
714 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/21(日) 23:56:19.54 ID:S69GJ/Nk0
カチャ

垣根「お前は…」

木原「いよぉ、垣根の坊ちゃん」

垣根「まさかテメェが出てくるとはな」

木原「意外か?そりゃ意外だよなぁ、まるで接点が無いからよ」

木原「まぁ、なんだ?一方通行の教育者って事で俺にお呼びがかかったわけだわな」

垣根「はいそうですか、って手を貸す風には見えねぇけどな」

木原「さっきまでは俺も乗り気じゃなかったさ。だがな、途中で面白いネタを見つけてよ」

垣根「ネタだと?」

木原「そうだ。ビビるほどのだ」

垣根「おもしれぇ、一体何が出てくんだ?」

木原「はははぁ!紹介してやる、ドS提督の…」

垣根「ドS提督だと?」

木原「そうだ、入って来い。えーと…リドヴィニアだっけか?」

バードウェイ「レイヴィニア…」

垣根「お前はいつかのクソガキ…」

バードウェイ「誰がクソガキだ…!」フミッ

垣根「痛たたたたた!ヒールヒール!」

バードウェイ「また会えて嬉しいぞ。垣根帝督…!」ギリ

垣根「だから痛てぇっての!」
715 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/21(日) 23:56:48.66 ID:S69GJ/Nk0
バードウェイ「お前を探す事苦節二日!」

垣根「大して探してねぇじゃねぇか」

バードウェイ「黙ってろ!」ゲシッ

垣根「ぐはっ」

バードウェイ「まさか上条当麻が話していた第二位がお前とはな。珍しく偶然というものを感じたぞ」

垣根「上条だと?」

バードウェイ「ちょうどいい、真人間にするついでに色々とやらせてもらおう」

垣根「はっ、お前までそんなことを言い出すのか」

バードウェイ「そう言ってられるのも今の内だ」

木原「おい、アレ持って来い」

白井「はいですの」

心理定規(この子誰かしら)

バードウェイ「さて…最初はなんだったかな?」

木原「ロウソク責めだ」

垣根「え?」
716 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/21(日) 23:57:23.43 ID:S69GJ/Nk0
コツ…コツ…コツ…コツ

上条「」

コツ…コツ…

食蜂「♪」

コツ…コツ…コツ…

一方通行「…」

コツ…

一方通行「ン」

食蜂「あらぁー!」

一方通行「一人か、何してンだ?」

食蜂「お散歩」

一方通行「そォか、精が出ンな」

食蜂「やだぁ、精だなんて…」

一方通行「…」

上条「」

一方通行「オイ、オマエは何寝てンだ」ドス

上条「がっ…はっ!ここは…ん?」ジー

食蜂「なっ…!」

上条「おお…」

食蜂「覗くな変体!」ドカッ

上条「痛てっ!」

一方通行「ハァ…」 
724 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/24(水) 21:52:53.62 ID:FUPFHwej0
上条「はぁ…はぁ…ちょっと…一方通行…」チョイチョイ

一方通行「ア?」

上条「あのな…」ボソ

一方通行「だからなンだっつの…」

上条「ちょっとお尻見えた」ボソ

一方通行「………」

上条「いやー、美琴と違って結構派手なの穿いてるんだな」ボソ

一方通行「オマエ…」

上条「なんというか…こう…」

一方通行「頭でも打ったか?」

上条「ん?頭?いや、打ってない…かな…?」

一方通行「そォか…」

上条「うーん…」

一方通行「今度はなンだ」

上条「ちょっと頼みたいことがあるんだけどさ…」

一方通行「今のオマエの頼みは聴きたくねェな」

上条「あー…確かにお前よりは垣根の方が向いてるかな…」

一方通行「ハ?オマエはマジで何言って…」

上条「あぁ!なんで今まで気付かなかったんだ!」

食蜂「!?」
725 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/24(水) 21:53:21.92 ID:FUPFHwej0
上条「周りに可愛い子がいっぱい居るのに!」

一方通行「…」

上条「俺はそう!あまりパンツを見たことがない!」

一方通行「…」

上条「裸なら偶然で何回か見たことはあるんだ!なのに、パンツは見たことない!」

一方通行「起こす時に頭を狙ったのがマズかったか」

上条「…」チラ

食蜂「…」サササッ

一方通行「何を考えてやがる」

上条「思い返してみれば煩悩の発散方法も無かったワケだ…」

一方通行「…」

上条「家に帰ればインデックス。たまに居ないと思ったら突然の来客…頼みの綱の美琴は中学生であり寮暮らし!」

一方通行「…俺の後ろに」

食蜂「うん…」

上条「俺に協力しろ」

一方通行「イヤだと言ったら?」

上条「力ずくでも…あぐっ!」ボコッ

一方通行「さて…どォしたもンか…」

上条「まさか一方通行に殴られる日が来るとはな…」

一方通行「俺の後ろには行かせねェぞ」

上条「まあその子はもういいわけだ。もう見たし…白の…あう」ガンッ

食蜂「言うな!」

726 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/24(水) 21:53:58.58 ID:FUPFHwej0
上条「痛てて…なんだコレ、リモコンか…?」

一方通行(リモコン?)

上条「どうしてリモコンなんか…」

一方通行「オイ、とりあえずそのリモコン貸せ」

上条「ん、ああ」ポイ

一方通行「ホラ」

食蜂「ありがと」

上条「まあ協力してくんねーならしゃあないな。こういうのは垣根あたりに頼むのが一番だな」

一方通行「ロクな事にはなンねェぞ」

上条「そう言ってて止めようとはしないんだな。ありがとな」

一方通行「…」

上条「さて…」

食蜂「ねぇ、一応止めたほうがいいんじゃない?」

一方通行「止まンだったらさっきので止まってンだろ。特別気にするほどでもねェな」

食蜂「ふぅん」

一方通行「それに…適当にどっかで痛い目に会えば勝手に止まっと思ってな…」

上条「…」スタスタ

一方通行「多分…」

食蜂「止まんなかったら大変な事になるわよ…」
727 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/24(水) 21:54:23.03 ID:FUPFHwej0
サロンにて


ジジジッ…!ポタッ…

垣根「熱ッ!」

ポタタッ…

垣根「だから熱いっつの!」

バードウェイ「熱いとしか言わないな」

垣根「他になんて言えっつーんだよ!」

バードウェイ「ふむ…ロウソクはあまり効果が無いみたいだな」

垣根「テメェ…今度会ったら裸にひん剥いて同じ目に合わせてやるからな…!」

バードウェイ「ほう…そいつは楽しみ…だ!」ポタッ

垣根「熱ちちちちち!」

心理定規「なるほど。ホテルに仲間と泊まっていたら窓を突き破って垣根が襲撃してきたと」

木原「まあ雰囲気的に事故の類だったみてぇだがな」

心理定規「それで?ようはゲンコツをされたからそれの仕返しがしたくてここに居るわけね。あのなんとかって子は」

木原「本人は仕返しじゃねぇって言い張ってるけどな」

心理定規「ああ見えて結構プライドが高いのね」

木原「俺からしたらタダの生意気なガキだけどな」

白井「あのー」

心理定規「ん?」

白井「段々と主旨がズレていってるような気がして仕方がありませんの」

心理定規「それもそうね」

728 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/24(水) 21:54:53.41 ID:FUPFHwej0
心理定規「一旦ストップよ」

バードウェイ「ん?」

心理定規「帝督、ちょっといいかしら?」

垣根「今の俺には拒否権の存在が感じられねぇな」

心理定規「貴方にはこれから一流の紳士的なものになってもらうわ」

垣根「なに?」

心理定規「要は今からお勉強タイムよ。これから徹底的に人間性という物を貴方に学習させる。ちなみに理解しなかったらお仕置きが待ってるわ」

心理定規「今思い返してみるとそんなに酷いような気がしないでもないけどここまで来たらやるしかないわ」

心理定規「まあ…悪い事をしたらちゃんと謝るとか、そんなことを叩き込むからね」

垣根「なんだってそんな事を…」

心理定規「そこに居る白井さんとかから言われたのよ。やったことに対して相応の罰を受けないのがおかしいってね」

心理定規「納得出来ないなら自分が今までやってきた悪行の対するお仕置きと思ってちょうだい」

垣根「く…」

垣根(逃げれる雰囲気でもねぇな…こいつらはともかく木原は…)

垣根(俺の能力に対してなんらかの対策を練ってるに違いねぇし…)

垣根(仕方ねぇ…ここは大人しく従って…)

心理定規「さて…とりあえず何から始めましょうか…」

木原「予定では鞭打ちになってる」

心理定規「それは誰と組んだ何の予定なのかしら」

木原「ま、これは冗談として」

心理定規「貴女も鞭を用意しないで」

バードウェイ「ん?違うのか?」

心理定規「最初はやっぱ学習からよね」
729 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/24(水) 21:55:28.97 ID:FUPFHwej0
上条「垣根はどこに行ったんだ?携帯も繋がらないし…」

上条「まだ寝てんのかな…ん?これは…」

上条「一方通行の嫁さんじゃんか…歌手活動みたいなことはしてるって聴いてたけどCD出してたのか…」

上条「よく出来てるPVだなー、美琴とかもよくやるなぁ…え?美琴?」

上条「あ、あれ!?よく見たら他の奴らも…ていうかレベル5ばっかじゃんか!」

上条「いつのまにこんな…しかもよく見たら2ndシングルみたいだし…」

上条「テレビ見てないから全然気付かなかった…」

上条「あ…この人旅行の時に居たお姉さんじゃないか!この格好似合ってるなぁ…」

上条「……財布あったかな…」ゴソゴソ

上条「イチ…ニイ…………とりあえず予約しとこうかな…結構いい感じの曲だし…PVもなんかいいし…それに特典も気になるし…」

上条「……すいませーん」

---------------------------------------------

土御門「ん?上やん?」

海原「どうしました?」

土御門「いや、今上やんが居たような…」

海原「そういえばさっきの場所にほったらかしにしてしまいましたね」

土御門「まあ仮にあれが上やんだったら無事だったということだろ」

海原「それもそうですね」

土御門「さっさと搬入を済ませるぞ」

海原「ええ…痛たたた…」

土御門「モロに攻撃を受けたからな…キツイがやるしかないぞ」

海原「分かっていますとも…!」
730 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/24(水) 21:55:55.68 ID:FUPFHwej0
上条「え!?ダメなんですか!?」

「は、はい…予約自体は問題無いんですが特典付きの方となると…」

上条「ええー…」

「もう少しお早めに来ていただければまだ間に合ったのですが…」

上条「ふ、不幸だ…」

「は、はは…」

海原「お疲れ様です」

「あ、どうも。お疲れ様です」

海原「搬入に来ました」

土御門「とりあえず注文枚数と…予約分…」

海原「予約特典ですが少々生産が滞っておりまして…申し訳ありませんが明日朝イチでお持ちいたします」

「ああ、ストラップですね。分かりました」

上条「ん?土御門?」

土御門「お、やっぱり上やんだったか」

上条「お前こんな所で何してるんだ?それに…そっちの海原も…」

土御門「CDの搬入、と説明しておくかにゃー」

上条「CD?そういえばお前が前に言ってたマネージャー業ってもしかして…」

土御門「そうだぜい。多分、上やんの考えであってるぜい。俺たちがこのアイドルの…マネージャーという事…」ス

上条「あ、そのCD」

土御門「ん?」
731 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/24(水) 21:56:27.67 ID:FUPFHwej0
海原「そういえば先程なにやらお取り込みのようでしたね?」

「いえ、特に取り込んでたという訳では無いのですが…」

上条「俺がそのCD予約しようと思ってな。予約は出来るんだけど特典が付かないらしくてな…それでちょっと…」

土御門「特典…このデフォルメストラップの事か?」

上条「そうそう、そのポスターのやつ」

海原「なるほど、そういうことでしたか」

土御門「…まあ上やんならいいか」

海原「おや」

土御門「明日特典を一個余計に持ってくる。だから受け付けてやってくれないか?」

「え?ですがそれだと他のお客様が…」

土御門「まあまあ。そんな堅い事言わずに…な、頼むよ」

「は、はあ…」

土御門「な?」

上条「土御門…」

「わ、分かりました、では今回は特別に…」

土御門「そう来なくちゃ」

「ではお手数ですがこちらに必要事項を」

上条「ああ、はいはい」

海原「後ほど受け取りのサインもお願いいたします」

「あ、はい」

上条「ありがとうな土御門」

土御門「なに、これくらい」
732 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/24(水) 21:57:11.40 ID:FUPFHwej0
数時間後・サロンにて


垣根「…」

木原「えーっと…こんなもんか?」

バードウェイ「私はもう満足だ。終了の掛け声はあんた次第なんだが…」

心理定規「私は充分だと思うけど…どうかしら?」

白井「ええ。問題ありませんの」

垣根「ロウソク…鞭打ち…こんなぶっ飛んだプレイ…もうお婿に行けないぜ…」

心理定規「いやね。私が貰うわよ…」ボソ

垣根「心理定規…」

木原「…これは成功なのか?」

白井「さっき謝罪の印に土下座してくれましたし…成功だと思いますの」

バードウェイ「私も成功だと思うぞ」

垣根(んなワケねぇだろうが!確かに少しばかり自分がまともになった気がするが芯から変わったわけじゃねぇ!)

垣根(見てろよ…特にバードウェイ…!)

木原「まあ成功なら問題無いな。久しぶりに教育ってモンをした気分だぜ」

垣根(教育だと…こいつは教育なんかじゃねぇ!心理定規の言った通りお仕置きとして受け取るのが正解な程の仕打ちを受けたぞ!)

垣根(とりあえずバードウェイに復讐したら少し大人しくしてよう、それまでは我慢だ我慢…)

心理定規「じゃあ解散ね。帝督はこのまま私が引き取るわ。あとは各自自由に帰ってもらって構わないわ」

バードウェイ「久しぶりに楽しい思いをしたよ。また会うかは分からないが…縁があったらまた会おう」ガチャ

白井「では私も。今度はお姉さまにも謝罪してくださいまし」

垣根「約束しよう」

白井「ではこれで」ヒュン

木原「俺も帰るか。あばよ」ガチャ

心理定規「…私達も帰りましょ。立てる?」

垣根「問題無い。行くぞ」

心理定規「ええ」

垣根「ホラ」スッ

心理定規「?」

垣根「手」

心理定規「うん」ギュ

733 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/24(水) 21:57:43.24 ID:FUPFHwej0
上条「いやー良かった良かった。これでストラップが手には入るなー」

上条「だけど土御門達と話し込んだせいか結構時間経っちまったな…早いトコ帰って晩御飯の準備しねぇと…」

上条「ん…何か忘れてるような…」

上条「…」チラ

「ったくバードウェイの野郎…」

「罰が当たったと思って受け入れるのね」

上条「思い出した…」スタスタ

垣根「お、上条じゃねぇか」

心理定規「あら…」

上条「よう垣根。今日はどうしたんだ?何回か携帯に連絡したんだけど…」

垣根「携帯?そういや今日全然確認してなかったな…何か用か?」

上条「んー…ちょっと垣根借りてっていいか?」

心理定規「ちゃんと返してくれなきゃヤだからね」

上条「よし、ちょっとこっち来てくれ」チョイチョイ

垣根「心理定規の前じゃ話せない事か?」

上条「うーん…ていうか女の子の前じゃ、だな」

垣根「ほう」

上条「こんな事を頼めるのは垣根以外に思い付かなくてさ」

垣根「分かったから早く用件を言え」

上条「お前…スカートめくりってしたことあるか?」

垣根「????????」
734 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/24(水) 21:58:17.37 ID:FUPFHwej0
上条「だから、スカートめくり」

垣根「…一回だけあるな。しかも最近の話だ」

上条「話が早い」

垣根「一体何を…」

上条「俺は今…身近な女の子達のパンツが猛烈に見たい」

垣根「へぇ、どうしてまた」

上条「色々と限界なんだ…」

垣根「そうか」

上条「決めたのはさっきの話だ」

垣根「さっき?」

上条「そうだ。あの金髪の…なんだっけか…」

垣根「金髪?フレンダか?」

上条「いや違う。ほら、一方通行と一緒に居る…そうPV!PVに出てる金髪の子!」

垣根「食蜂か。それがどうした?」

上条「地面に倒れてたら偶然にもその子のスカートの下を拝見致しまして…」

垣根「ほぉー、んで?」

上条「大分派手なやつだった。心なしか少しお尻も見えた」

垣根「なるほど…」
735 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/24(水) 21:58:45.27 ID:FUPFHwej0
上条「そこで垣根にスカートめくりを協力してもらえないかな…って…」

垣根「…ん、ところでお前、バードウェイってガキ知ってるか?」

上条「バードウェイ?なんでバードウェイが…いや、知ってるには知ってるけど…」

垣根「その気になれば呼び出したりとか出来るか?」

上条「あー…多分」

垣根「そうか…そうか…」

上条「んでさ、協力してもらえないか?」

垣根「どうしてお前がそんな事を思いつくようになったのかは知らねぇが…とりあえず協力はしてやる」

上条「おお!さすがだな!」

垣根「それでターゲットは?」

上条「今まで顔を合わせた事のある奴全員で。もちろんそこの子はターゲットに入れてないからな!」

垣根「今まで顔を合わせた事のある奴全員って…」

上条「まずは周りの風紀委員の子とか…あとは旅行した時に会った麦野さんの周辺の子達とか…それと一方通行の周りもかなぁ…」

垣根「う…アイテムもかぁ…」

上条「ああ…なんかわくわくしてきたなぁ…」

垣根「スカート履いてなかったらどうすんだ?例えば黒夜とか」

上条「え?あー…ズボン下げるか」

垣根「おいおいマジかよ…」

上条「もう…決めたんだ…」

垣根(この上条は正直おかしいような気がするが…まあ面白そうだからいいか)

上条「それにしても…心理定規ちゃんもなんか可愛くなったなぁ」

垣根(後は適当にバードウェイにこじつけて…)
736 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/24(水) 21:59:14.17 ID:FUPFHwej0
上条「…」チラチラッ

心理定規「…」

垣根(見つけたらどうしてやろうか…前に見た感じ発火能力者っぽかったなぁ…)

上条「…スカートか」ボソ

垣根「とりあえず今度適当に連絡をよこせ。それなりに動いてやるからよ」

上条「おう、分かった」

垣根「あばよ」

上条「じゃあな」

垣根「行くぞ」

心理定規「終わったの?」

垣根「ああ。なんてことない会話だった」

心理定規「あの人なんか雰囲気変わったわね」

垣根「さぁ、頭でも爆発したんじゃねぇか?」

心理定規「なにそれ」

垣根「それより今日小萌と会ってよ…」

スタスタ…

上条「万一何かあったら美琴が悪い、万一何かあったら美琴が悪い。よし、これでいけるだろ」

上条「今日の出来事で抑えてたモノが一気に爆発したような気がするなぁ…」

上条「これが新境地ってヤツか…」 
742 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:22:37.24 ID:4Ez6L5970
その夜

番外個体「無い!」ガラッ

黒夜「?」

番外個体「無い無い無い!」ガタタッ

絹旗「???」

番外個体「無い無ーーーーーい!!」

打ち止め「なにが?ってミサカはミサカは…」

番外個体「パンツが!無いのよ!」

芳川「パンツが?」

絹旗「もしかして干してあったやつですか?」

番外個体「そうそうそう!その干してあったやつ!」

芳川「おかしいわね、他の皆のはあったはずだけど…」

番外個体「いやいやいや!現に無いじゃん!」

芳川「うーん…そんなハズは無いんだけど…でも無くなったのだとすれば…」

ガチャ

「帰ったぞコラァ!」

芳川「あら、久しぶりに聴いたわね」

番外個体「…」

絹旗「まさか…」
743 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:23:11.08 ID:4Ez6L5970
一方通行「ったく…三下のヤローと来たら…ア?」

番外個体「…」

芳川「…」

一方通行「なンだオマエら。通夜じゃねェンだぞ、何黙りこくってやがる」

番外個体「返して」

一方通行「金を借りた覚えは無ェぞ」

番外個体「金じゃねぇ!パンツだ!ふがぁあ!」

一方通行「ンだコイツ…!」

芳川「まあ待ちなさい番外個体」

番外個体「これが待っていられますかっての」

芳川「そういうワケだから一方通行。早くパンツを返しなさい」

一方通行「オイ待て。どォいうワケだ」

芳川「淡希が夜の相手をしてくれないのはよく知ってるわ。だからと言って家族のパンツを盗むのは…」

一方通行「いつから俺がパンツを盗ンだことになってンだ?」

芳川「今さっきかしら」

一方通行「悪いが的外れだな。例え俺がパンツを盗むようなヤツだとしても…」チラ

一方通行「コイツのパンツで欲情出来る自信は無ェな」

番外個体「…」

一方通行「まァそォいうワケだ。ホントに盗まれたンなら黄泉川にでも相談してみンだな。案外下着ドロが釣れるかもしンねェぞ…」

バタン!

黄泉川「大変じゃん!第七学区内で下着ドロが出たじゃん!」

一方通行「…」
744 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:23:43.93 ID:4Ez6L5970
上条「…」

インデックス「…」

上条「さてインデックス」

インデックス「…なにかな」

上条「冷蔵庫の中身が消えてることについて何か言うことは無いか?」

インデックス「おいしかったんだよ!」

上条「そういうことじゃない!何で夕飯の材料まで消えてるんだ!」

インデックス「それはあまりにもお腹が空いたからなんだよ」

上条「…」

インデックス「それよりも当麻」

上条「ん…?」

インデックス「私のパンツが一枚足りないんだよ」

上条「はぁ?」

インデックス「言った通りなんだよ」

上条「インデックスのパンツなんか見てもしょうがないしなぁ…」

インデックス「む、それはどういう事かな?」

上条「分かった分かった。今度にでも探しとくから」

インデックス「それで当麻」

上条「うん?」

インデックス「今日のご飯は…」

上条「…」
745 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:24:12.45 ID:4Ez6L5970
一方通行「ほォ…」

黄泉川「被害者の年齢は…えーと…下は五歳から上は二十三歳まで」

一方通行「五歳?」

黄泉川「年齢層にバラつきがあるから特定の層を狙った犯行では無いと踏んでいるじゃん」

芳川「まあそんなに年が離れていればねぇ…」

黄泉川「ちなみに一番被害が多いのは中学生じゃん」

番外個体「私のパンツはー?」

黄泉川「まあ盗られたと見るのが妥当じゃん」

芳川「ここはマンションよ?わざわざ上まで盗りに来るかしら?」

黄泉川「言い忘れてたけど犯人は常盤台に侵入するほどの猛者じゃん」

絹旗「常盤台に…」

黄泉川「さらに言うとなんの痕跡も残さずに行動してるじゃん。この事から複数犯、または高位能力者による犯行だと警備員は踏んでるじゃん」

一方通行「わざわざ帰って来て言うンだから何か理由があンだろォな?」

黄泉川「一方通行」パサ

一方通行「あァ?」

黄泉川「稼ぎドコを探していたな。明日一日だけだが警備員でお前を採用するという話が出ている」

一方通行「なるほど…下着ドロを捕まえろってか…」

黄泉川「そうだ。今日一日の調べで警備員では犯人の確保に無理があるという結論が出たじゃん」

一方通行「…」ペラ

黄泉川「仮にも第一位。このまま大事にするわけにもいかないから協力を頼むじゃん」

一方通行「ふン…」

黄泉川「謝礼金もそれなりの額だ。言っちゃなんだが私の一月分のそれよりはるかに多い額じゃんよ」

一方通行「下着ドロか…イイだろォ、協力してやる
746 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:25:02.71 ID:4Ez6L5970
翌日


『そう、そこの路地裏…』

一方通行「見当たらねェな」

『うーん…番外個体は何か感じるじゃんか?』

番外個体「なんにも」

一方通行「ここはハズレみてェだな」

番外個体「第一、被害があった場所の周辺を調べるってのはどうなの?」

『事が起きてから駆けつけても逃げられてるじゃんよ。だったら最初から探しとけばオッケーじゃん』

番外個体「そううまく行くとは思えないんだけど」

『自分で犯人を捕まえるとか言った手前、あんまり文句を言わないで欲しいじゃんよ』

番外個体「はいはーい」

一方通行「次はドコだ?」

『えっと…今居る所からだと………常盤台の寮じゃん』

一方通行「常盤台…」

『じゃあ張り切って行くじゃん』

一方通行「一つだけ聴いてイイか?」

『ん?』

一方通行「未だに複数犯なのか単独犯なのか分かンねェのか?」

『残念だけど…と言いたい所だけど実は結構分かって来たじゃん』

一方通行「言え」

『犯人はまず、間違い無く…単独犯……と、思われていた』
747 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:25:50.31 ID:4Ez6L5970
一方通行「思われていた?理由はあンだろォな?」

『検出されたAIM拡散力場の情報をもとに解析した結果、同一の数種類のAIM情報を確認出来た』

一方通行「能力の種類は?」

『それはまだだ。だが…』

一方通行「だが?」

『かなり特異な能力と見てる』

一方通行「…」

『様々な状況をもとに、情報を消す事に優れてる能力と判断しているじゃん』

一方通行「情報を消す?」

『まあ情報って言い方は大袈裟かもしれないけど、言うなれば痕跡じゃんよ』

一方通行「痕跡ねェ…」

『実を言うとAIMの情報もかなり消されていてな、さっきやっとの思いで情報を引き出したんだ』

一方通行「AIM拡散力場の情報を無くせる能力か…聴いたことが無ェな」

番外個体「でも絶対に見つけてやんなきゃミサカの気が収まんないよ」

一方通行「名指しで依頼された事だからハナからそのつもりだ」

『とりあえず話は移動しながらするじゃんよ。幸い時間はまだたっぷりあることだし…』

番外個体「…まだ7時前かぁ」

一方通行「こンな朝っぱらから探して効果あンのかね…」
748 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:26:18.28 ID:4Ez6L5970
上条「…」パチ

上条(もう起きてしまった。…まだ6時50分前か…)

上条「…」

上条「とりあえず着替えておくか、そして垣根に連絡をして…へへ…」

上条「服服っと…」カチャン

上条(あー、楽しみだな。最初は誰からにしようかな…)

上条「まずは近場から…んでラストは美琴で…」

上条「まあ街中歩いてれば誰かにぶつかるだろ。そっからスタートだな」

上条「やっぱ穿いてない子とか居んのかな…」

上条「もしそんなのが居たらそれはそれで…」カチカチ

上条「もしもし?垣根か?」

上条「そう怒るなって、早い時間に電話したのは謝るからさ…」

上条「そうそう。今日にでもやろうぜ」

上条「待ち合わせ?」

上条「とりあえずウチに来てくれよ。そっちの方が都合いいからさ」

上条「よろしく頼むよ」

上条「ああ。じゃあまたな」プッ

上条「これでよし」

上条「パンツカーニバルの開幕だぜ」
749 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:26:45.82 ID:4Ez6L5970
午前7時34分・常盤台学生寮周辺にて


一方通行「この学生寮にはそれなりに優秀な寮監が居ると聴いている」

『ああ、その通りじゃん』

一方通行「その寮監がうろついてる中での犯行があったワケか?」

『まったくもってその通りじゃんよ』

一方通行「ふン…」

『寮監と言っても全ての事態に即座に対応出来るほど完璧じゃ無いじゃん』

『まして、相手は謎の能力者。厄介さで言えばレベル5クラスじゃん』

一方通行「分かンねェなァ…」

『?』

一方通行「そこまで分かってンのに犯人が特定出来ねェ理由がよォ」

『どういうことじゃん?』

一方通行「データベースに登録されてる能力者以外の犯行かもなァ」

番外個体「でも学園都市に住んでいて登録されていないってのは…」

一方通行「まずありえる話じゃねェな」

『でもそんなことは…』

一方通行「考えられる最大の可能性は…何らかの形で能力が変化したか…ってことだ」

『ははっ、それこそありえる話じゃないじゃんよ』

一方通行「本当にそう思うか?」

『…何か思い当たることがあるじゃんか?』

一方通行「一つだけな」
750 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:27:13.98 ID:4Ez6L5970
第七学区・路地裏


「はぁ…はぁ…はぁ…」

「しかし…なんとかなるもんやね…」

「きっとこれが能力の無駄遣いってやつなんやね」

「でもこんなことばっかしてていいんやろか…」

「…正直、この能力のうまい使い方は分からんけど…」

「体は透明に出来るし、証拠も消せるし…正直やりたい放題やね」

「一昨日拾ったこの音楽プレーヤー」

青髪ピアス「これのお陰で今のボクがあるんやー!」

青髪ピアス「パンツ盗ることにしか使ってへんけど…」

青髪ピアス「でもこれすごいなー、一体どんな能力なんやろ…」

青髪ピアス「そういえばこういうのって幻想御手?言うんやろか?」

青髪ピアス「でもボクの知ってるのとちょい違うような…」

青髪ピアス「…ま、考えてもしゃあなしやね!」

青髪ピアス「次はどんなパンツ盗ったろかなぁ…」
751 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:27:43.12 ID:4Ez6L5970
水穂機構病院


木山「…」

一方通行「正直に言え」

木山「何をだね」

一方通行「前に行った多才能力実験、それを誘発する音楽データをプレイヤーに入れて別途用意しなかったか?」

木山「実は…」

一方通行「ったく…しょうもねェ研究者だぜ…」

木山「それがどうかしたのか?」

一方通行「今出してみろって言ったら出せるか?」

木山「…」

一方通行「なるほど…持ち歩いていて落としたと…」

木山「ぐぬぬ…」

一方通行「もしかしたら、それが原因で今事件が起きている可能性がある」

木山「事件…?」

一方通行「そォだ。レベル5の能力をフルに使った…」

木山「…」ゴクリ

一方通行「下着ドロだ」

木山「え?」

番外個体「ふぁあ…」ムニャ

752 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:28:20.03 ID:4Ez6L5970
午前7時50分


上条「よく来てくれた同士」

垣根「同士はやめろ。まるで俺もパンツを見たいがための犯行をするみてぇじゃねぇか」

上条「同意した時点でそうなんだよ」

垣根「ったく…」

上条「さて、最初は誰がいいかな?」

垣根「候補」

上条「風紀委員、もしくはお前が言ってたアイテムかな」

垣根「一方通行の周りはどうした」

上条「それは最後の方にしよう」

垣根「懸命だな」

上条「とりあえず…風紀委員から先にやるか…」

垣根「手順はどうする?」

上条「垣根が能力で不可視フィールドを作る」

垣根「お前の右手が邪魔になってくるな」

上条「何も俺を隠すだけが方法じゃない。これからめくられる女の子達の視界を操作すりゃいいのさ」

垣根「なるほどな。うまくいくかは分からないがやるだけやってみよう」

上条「んじゃ柵川中に行こうぜ」

垣根「っとその支部は…」

上条「白井、初春さん、佐天さんだな」

垣根「まあそんなもんか」
753 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:28:56.00 ID:4Ez6L5970
「廃人一歩手前第一位」

「気性の荒い第二位」

「まだまだお子ちゃま第三位」

「プライド高い第四位」

「女王気取りの第五位」

「影の薄い第六位」

「意味不明第七位」

木山「…これが君達レベル5だよ」

一方通行「何サマだ」バシ

木山「痛っ」

番外個体「ズラッと悪口的なのを言っただけじゃない」

木山「これを悪口と取るかは本人次第だが…」

一方通行「落としたプレーヤーには第六位の能力は当然入ってねェよな?」

木山「ああ。あの日来た君達のだけだよ」

一方通行「面倒だなァ…」

番外個体「何が?」

一方通行「前にも似たような事があってよォ、やむを得ず戦闘したワケだ」

木山「あの時面倒だったのは事前に能力の詳細を教えたからだろう」

木山「その下着ドロとやらが多才能力を手に入れても肝心の能力をよく理解してなければ赤子も同然だ」

木山「適当に扱ってその価値を見出せる能力では無いだろ?君や垣根くんの能力、まして削板くんの能力もあるんだ」

一方通行「ンなことは分かってる。俺が面倒だって言ったのは探さなきゃなンねェからだ」

754 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:29:31.03 ID:4Ez6L5970
8時30分・柵川中学にて


上条「喜び勇んで来たわけなんだけど…」

垣根「なんか問題でもあんのか?」

上条「今授業してるんじゃないのか?」

垣根「あー?」

上条「あ、夏休みか」

垣根「じゃなきゃお前ここに居ねェだろ」

上条「んじゃ早速行くぜ」

垣根「風紀委員の支部はこっちだぜ」

上条「あ、そっちか」

垣根「…そういや巨乳の姉ちゃんの能力」

上条「え?」

垣根「いや、ここの風紀委員に一人厄介なのが居てよ」

上条「お前が言うほどか?」

垣根「なんつったかな…えっと…透視能力のレベル3だったかな…それが居てよ」

上条「不可視にしたらその人に見られないか?って心配してるのか?」

垣根「少しな」

上条「その人はレベル3だろ?レベル5の垣根の方が遥かに上なんだからそんな心配は要らないんじゃないか?」

垣根「用心するに越したことはねぇな。行くぞ」バッ

755 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:29:59.23 ID:4Ez6L5970
ウィーン


白井「?」

佐天「なんですかね?」

初春「佐天さんがセンサー近くに居たんじゃないですか?」

上条(すげぇ!これ本当に見えてないのか!)

垣根(あんま喋るな。さすがに声は聴こえるからな)

上条(…)

佐天「かもね。自動ドアのセンサーって結構いい加減だし」

白井「そちらに移動してはいかがですの?あまり入り口近くに居るとあれですので」

佐天「はいはーい」

初春「そういえば佐天さん」

佐天「んー?」

初春「昨日削板さんと歩いてたみたいですね」

佐天「ええ!?」

初春「知らないと思いましたか?」

垣根(ああ?削板だと?)

上条(…)ソロソロ

白井「あら?昨日は頼みごとをしたような…」

佐天「ああ…えっと…それ、削板さんと行ったんです」

白井「なるほど。まあ、もしもを考えたらそれが正解だったかもしれませんの」

垣根(昨日の頼みごと?)
756 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:30:28.70 ID:4Ez6L5970
佐天「結局よく分からないまんまなんですけど…あれは誰で何だったんですか?」

白井「一言で言って…垣根帝督を操作するための人達ですの」

垣根(なるほどな…)

佐天「はあ…?」

上条(…)ススス

初春「それで佐天さん」

佐天「今日の初春はがっつくねぇー、そんな初春には…」スッ

初春「?」

バッ!

佐天「それっ!…あれ?」

上条(白か、いい…)

初春「わわっ!またですか!?佐天さん!」

佐天「あれ?あれあれ?」

初春「まったく…」

佐天「???」

初春「まったく毎度毎度…よく飽きないですね」

佐天「えっ?ああ、まあね…はは…?」

ババッ!

初春「!?!?」

上条(こうやってずっとスカート上げたまんまもいいなぁ…)

垣根(なんだ。ただの変態だったのか)
757 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:31:00.68 ID:4Ez6L5970
白井「んん…?」

佐天「???????」

初春「目の前に佐天さんが居るのにどうして後ろから…あ」

初春「分かりました。能力ですね?前に少しレベルが上がったとか言ってましたし…」

佐天「い、いや私じゃ…」

初春「いいえ、佐天さんに違いありません!」

佐天「ていうか…スカート下ろさないの?」

初春「は?…」グイグイ

初春「あれ?」

上条(ああ…丸出しだよ…)

白井「…」ス

垣根(!)

上条(もう少しこのアングルを…)

垣根(おい、ちょっとどけ)グッ

上条(っとと…)ヨロ

カラン

初春「あ、やっと戻りました」ファサ

上条(俺の居た空間に金属矢が!)

白井「ふむ…」
759 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:31:44.97 ID:4Ez6L5970
佐天「どうしたんですか?」

白井「いえ、誰か居るのかと思いまして。でも、勘違いだったようですの…」カチャ

垣根(危ねぇ野郎だな)

上条(助かったよ)

垣根(少し行動に気を付けろよ)

上条(おう)

初春「まったく」

佐天「だから私じゃないってばー」

初春「でもこんな事をするのは佐天さんしか…」

佐天「そんなぁ」

上条(失礼しまーす)バッ

佐天「きゃっ!」

初春「わぁー」

白井「ん?」

佐天「えっ!?何何!?」

初春「結構凄いの穿いてるんですね…」

佐天「初春のが子供っぽいんだよ!てかそうじゃなくて!」

初春「はい?」

白井「どうしましたの?」

初春「佐天さんが自分のスカートを捲り上げたんです」

佐天「おーい、初春ー」

白井「佐天さん…そういう事は外でやらないでくださいまし…」

佐天「ええー…」
760 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:32:17.23 ID:4Ez6L5970
上条(いやー眼福だぜ)

垣根(ありゃあ女の下着だぜ!)

上条(だよなぁ黒だもんなぁ。居るもんだなー中学生で黒!)

白井「さてさて」

初春「そろそろお茶入れますね」

白井「椅子椅子…」

垣根(おい)

上条(分かってる。分かってるとも)

白井「よいしょ…」

上条(さあ白井!お前のを拝見するぜ!)バッ

白井「!」

佐天「え」

初春「あわわわ…」

垣根(んな…)

上条「これはTバッ…」

白井「誰ですの!」ブン

上条(やべっ!声出しちまった!)

白井「初春!ドアのロックを!」

初春「あっ!はい!」カチカチ
761 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:32:45.10 ID:4Ez6L5970
垣根(ったく…バカが…!)

固法「ちょっと、一体何の騒ぎ?」

白井「固法先輩、侵入者ですの!」

固法「侵入者?」

初春「でもでも、姿が全然見えなくて…」

固法「姿が見えない?ちょっと待って…」

垣根(ヤベッ!コイツが透視能力持ちのヤツだぞ!)

上条(げっ!この人かよ!)

固法「えっと…」キィィ

垣根(チッ…)ィィン

固法「?演算が…?」

垣根(早く出ろ!)

上条(お、おう!)

初春「ていうか入り口で張ったほうが…」

佐天「よーし!私に任せてちょうだい!」ダッ

垣根(…)

ダンッ

佐天「痛っ!」

白井「壁?」

初春「だ、大丈夫ですか!?」

佐天「なんか壁が…」

上条(おい!開かないぞ!)

垣根(貸せ!)

固法「よし…段々と調子が戻ってきたわよ…」

垣根(開いた!逃げんぞ!)カチン

上条(さすがだな!)ダッ

固法「え?垣根帝督…?」

垣根(顔は見られてねぇ!後でどうにでもなる!)
762 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/08/27(土) 23:34:23.94 ID:4Ez6L5970
上条「危ない所だった…しかしさすが第二位だな。とっさに能力で壁作るとはな」

垣根「だから声出すなって言ったんだ」

上条「悪い悪い。あまりにも衝撃的でつい…」

垣根「ったく…とんでもねぇ下着穿いてるやつも居たもんだぜ」

上条「まさか白井がTバッ…」

垣根「やめろやめろ。脳裏に焼き付いちまったぜ…」

上条「でもいい尻してたな…」

垣根「テメェはオヤジか」

上条「ははっ!」

垣根「へっ」

上条「んじゃ次はアイテムとかってのにすっか」

垣根「事前に言っておくがバレた時の事考えると風紀委員よりヒデェからな」

上条「そんなにか?」

垣根「やべぇのなんのって」

上条「めくり甲斐があるってもんだな」

垣根(問題は滝壺だな…こいつにAIMを調べられたら速攻でバレちまう…)

垣根「やっぱりジャミングしながら行くしかねぇな」

上条「え?」

垣根「なに、次の計画を立ててただけだ」

上条「しっかり頼むぜ第二位」

垣根「嫌な頼られ方だな」 
768 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/01(木) 00:10:16.12 ID:K1ZVbqST0
その頃・黄泉川宅付近にて


青髪ピアス「やっぱまたここに行き着くんやね」

青髪ピアス「ここの子達は皆レベル高いんよね。ちらっとしか見た事ないけど色々なのおるんよね」

青髪ピアス「脱力系美女とか…見た目怖いけどかまってちゃんオーラ全開の子が居たり…」

青髪ピアス「口悪い白アルビノ美少女とかも…」

青髪ピアス「じゃ、青ピ行きまーす」スゥッ

青髪ピアス「前はアオザイ着とった子のパンツ盗ったから今回は…」

青髪ピアス「姉妹のように仲いい子のがええかなぁ…うん」

青髪ピアス「ボクほどになれば見た目でどんなパンツ穿いてるか分かるんよ」

青髪ピアス「確か飛ぶには…どうやったかな…えっと…」

青髪ピアス「アカン、忘れてもうたわ。仕方ないから磁力纏ってパイプ伝って行ったろ」ガシ

青髪ピアス「ふんふーん♪」ガシガシ

『黒夜ー』

青髪ピアス「お、ここや」

『ああー?』

『洗濯物入れるの超手伝ってください』

『仕方ねぇな』

青髪ピアス「おっと!早いトコ盗らんと!えーっと…あの二人のパンツは…」

青髪ピアス「とりあえずコレと…」カチ

青髪ピアス「あの黒い子のが分からんなぁ…ん?」ガラッ

絹旗「パンツが!」

黒夜「どうした?」

青髪ピアス「やばっ!そ、そうや!こういう時に飛行や!」フワ

黒夜「ん?パンツが浮いてる?」

絹旗「バカ言わないでください!風で超流されてるんですよ!」

青髪ピアス「なんとかごまかせたわぁ」フワフワ

769 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/01(木) 00:10:43.57 ID:K1ZVbqST0
数分後・柵川中学付近にて


上条「でもいざ会うとなるとどこ行けばいいんだ?」

垣根「溜り場なら知ってっからそこ行くぜ」

上条「お、マジか」

垣根「付いて来い」

上条「その…アイテムにさ…」

垣根「あ?」

上条「ちっちゃい子居るじゃん?」

垣根「どいつだよ」

上条「髪の短い…」

垣根「髪の短い?ああ…チビスケか」

上条「え?チビスケ?」

垣根「俺が勝手にそう呼んでるだけだ。んで?それが?」

上条「あれどうなってんのかな…って」

垣根「?」

上条「前に一回見たことあるけど下になんか穿いてんの?」

垣根「確かあれはセーターで隠してるんじゃ…いや待てよ。今は夏場だし…」

上条「もしかしてセーター一枚であんな風に隠してるのか」

垣根「ん、ああ多分な」

上条「へぇ…へぇ…」

770 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/01(木) 00:11:11.56 ID:K1ZVbqST0
垣根「……」

上条「どうした?」

垣根「悪い。ちょっと待っててくれ」

上条「んじゃそこのコンビニに居るよ」

垣根「ああ」

上条「長くなるか?」

垣根「いや、時間かからないだろうな」

上条「分かった」

垣根「悪いな」

--------------------------------------

固法「うーん…」

白井「垣根、帝督…」

初春「まーた垣根さんですかぁ?」

固法「そう決まったわけじゃないけど…」

白井「昨日の今日ですから信じたくはありませんけど…」

佐天「昨日?」

白井「まあこちらの話というか…」

ウィーン

白井「ん?」

垣根「なんだ。一斉にこっち見やがって」

固法「…あなたどこから来たの?」

垣根「家」

固法「そう…」

垣根「まあ、そう身構えんな。気分が悪くなる」

白井「ふう…」

垣根「なんか飲むか?適当に見繕ってきたやつだがよ」ガサ

白井「では…」

771 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/01(木) 00:11:40.89 ID:K1ZVbqST0
垣根「なるほどね。いきなりスカートが。んで逃げ際に俺の後姿らしきものを見た、と」

初春「はい」

固法「何か分かるかしら?」

垣根「知らねぇな。だけど」

白井「だけど?」

垣根「最近、よく下着ドロが出るらしい。ま、聴いた話だがな」

佐天「それがどうかしたんですか?」

垣根「妙な能力で姿を自在に消せることが出来るらしい」

固法「…」

垣根「それを信じるか信じねぇかはあんたら次第だが…俺はスカートなんざめくってねぇとはっきりと言えるぜ?」

初春「…」

垣根「今まで俺がしてきた事もある。すぐさま信用しろってのはさすがに無理かもしんねぇが…」

垣根「俺はもう、あんたらに危害を加えるつもりはねぇからよ」

白井「ほぉー…」

垣根「色々と悪かったな姉ちゃん」

固法「え?あ、ああ。なんてことないわ、うん」

垣根「二人もだ」

初春「は、はあ…?」

佐天「あれ?私なんかされたっけ?」

垣根「お前もだ白井」

白井「…」

垣根「まあ、これからは仲良くしてこうぜ?じゃあな」

白井「苦労した甲斐がありましたの…」

固法「やだ私ったら…似てるからって真っ先に疑ったりして…」

初春「変われるもんなんですね…」

佐天「???」

772 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/01(木) 00:12:06.26 ID:K1ZVbqST0
垣根「ま、アフターケアはこんなもんだろ」

ウィーン

上条「お、思ったより早かったな」

垣根「案外あっさり済んだ」

上条「んじゃ次行こうぜ次」

垣根「あそこのファミレスだから…こっちだな」

上条「オッケー」

---------------------------------

一方通行「当然闇雲に捜して見付かるもンでもねェわけだよな」

番外個体「だって下手すりゃ透明になってるかもしれないんでしょ?」

一方通行「オマケに空飛ンでるかもしンねェな」

番外個体「私はパンツが返ってくればいいんだけどな」

一方通行「だから取り返すにも見付けなきゃなンねェンだよ!」

番外個体「うーん…」

一方通行「第一、たかがパンツだろォが。そのパンツじゃなきゃダメな理由でもあンのか?」

番外個体「別に?」

一方通行「ならなンで…」

番外個体「あのパンツが手元に無いとダメなのよ」

一方通行「手元に…ねェ?…分かンねェなァ…」スタスタ

番外個体「………私が無理矢理あなたに買わせた物だからねー」

一方通行「なに止まってやがる。早く付いて来い」

番外個体「はいはい」

773 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/01(木) 00:12:32.72 ID:K1ZVbqST0
ファミレス近辺にて


垣根「とっとと…どれどれ…」

上条「ええと…」

垣根「居た居た。あいつら大体窓際に居っから見付け易くて楽だな」

上条「ほとんど座ってんだけどどうするんだ?」

垣根「あー…そうだな…じゃあいい。俺が外に誘導する」

上条「出来るのか?」

垣根「任せろ」

---------------------------------

黒夜「…んでパンツが浮いててさ」

絹旗「だから浮いてたんじゃないと何度言えば…」

麦野「結局飛ばされたって話でしょ?バカバカしい…」

絹旗「飛ばされたのは大した問題じゃありません。問題はその超後です」

フレンダ「後…?」

絹旗「ええ、私のパンツが超浜面的なのに拾われたらたまったもんじゃありません」

浜面「おい…」

麦野「はぁあ…ん?」

滝壺「どうかした?」

麦野「今嫌な人影が見えた」

774 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/01(木) 00:13:00.32 ID:K1ZVbqST0
麦野「あの見覚えのある長身…」

フレンダ「ホスト崩れを彷彿とさせるあのスタイルは…」

垣根「ご存知、垣根帝督だ」

麦野「一人でファミレス?寂しいわね」

垣根「何言ってんだ?俺はお前等を探してたんだよ」

麦野「はぁ?」

垣根「行きてぇ飯屋があってよ」

麦野「一人で行きなよ」

垣根「個人だとどうも入りにくくてよ。そこで超団体であろうお前達を探してたんだ」

麦野「へー…」

黒夜「連れてってくれんのか?」

垣根「まあな」

浜面「じゃあおごりなのか?」

垣根「え?あ…まあ別にいいか」

滝壺「どこなの?」

垣根「……学舎の園」

麦野「なるほど…あんたが一人で行き辛いわけだわ」

フレンダ「よっぽどなお店なんでしょうね?」

垣根「ああ」

絹旗「まあそこまで言うなら行ってもいいんじゃないでしょうか?」

麦野「それもそうね」

垣根「んじゃ外で待ってるから適当に会計済ませて出てきてくれ」

麦野「はいはい」

775 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/01(木) 00:13:29.19 ID:K1ZVbqST0
黄泉川宅・近辺

ピーピーピー!ガーガガー!

一方通行「ンでウチに戻ってくるワケか」

番外個体「その音なんとかなんないの?」

一方通行「借り物なンだから仕方ねェだろ」

番外個体「よくそんなの貸してくれたね」

一方通行「案外普通に貸してくれたがな」

番外個体「まあ音でAIMを追うってなかなか古風だからね」

一方通行「俺はAIM探知系の能力者じゃねェし…まして人探しなンてもっての外だ。だからこォして探知機を警備員から借りてだな…」

番外個体「そして?ここからどこに行ったのか分かるの?」

一方通行「ン…」

ガー…ピー…ガガー!

一方通行「音で判断すっとここで不自然に途切れてる」

番外個体「?」

一方通行「簡単に推測して飛行したか、瞬間移動の類で跳ンだと思える」

番外個体「どっちだと思う?」

一方通行「飛行…だろォな」

番外個体「どうするの?」

一方通行「街中に行くか。適当に探しながら歩いてりゃ引っかかンだろ」

番外個体「付いていくよどこまでも」

一方通行「?」

776 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/01(木) 00:14:03.84 ID:K1ZVbqST0
垣根「いいか?」

上条「おう」

垣根「俺が学舎の園の近くまで誘導するから適当に場所を選んで実行しろ」

上条「おう」

垣根「その足で学舎の園に入って第三位と第五位相手に実行」

上条「美琴は最後でいいかなーなんて…」

垣根「いいだろ別に。話の流れで学舎の園に行くって言っちまったんだ、二度手間になっからそこでやっとけ」

上条「分かった」

垣根「後は定石通り。お前の姿はさっき同様フィルターを掛けて見えないようにしておく…が」

上条「が?」

垣根「滝壺には充分気をつけろ」

上条「…」

垣根「麦野と滝壺に感づかれたら滝壺の能力で適当に居場所を当てられちまう。そうなったら最後…麦野に攻撃されて終了だ」

上条「ごくり」

垣根「最悪股間を打ち抜かれるぞ」

上条「…」

垣根「まあ用心しろ。一応俺も少しはサポートすっから」

上条「悪いな…何から何まで…」

垣根「後でしっかり働いてもらうからな」

上条「え?」

777 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/01(木) 00:14:41.52 ID:K1ZVbqST0
「ありがとうございましたー」

垣根「来たな」

麦野「あんた今誰かと喋ってなかった?」

垣根「独り言だよ」

麦野「あっそ」

垣根「お前今日綺麗だな」

麦野「自覚してる」

垣根「そうか」

フレンダ「なにあれ?」

浜面「会話のジャブだろ?」

絹旗「さっさと案内してもらいたいんですけど」

垣根「え?なんで怒ってるの?」

絹旗「え?別に怒ってはいませんけど」

垣根「?」

絹旗「??」

黒夜「ほら見ろ蟻だぜ。珍しい」

滝壺「くろよるはアリが好きなんだね」

黒夜「どっちかって言うとイルカかな」

滝壺「だから今も背負ってるんだね」

黒夜「ああ」

778 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/01(木) 00:15:12.01 ID:K1ZVbqST0
垣根「…」

麦野「…」

浜面「…」

フレンダ(なんでこうも会話が無いわけなの?)

絹旗(単純に喋る事が無いからだと思いますが…)

フレンダ(それにしたってさ…)

黒夜(じゃあ何か話の種でも撒いて来いよ)

フレンダ(ええ!?私が!?)

滝壺「…」

上条(…)

麦野「そういえばあんた」

垣根「あ?」

麦野「これなんなの?」ゴソ

垣根「なんなのって…見たまんまだよ」

黒夜「あ」

フレンダ「え?何?どうかしたの?」

絹旗「んん…?」

麦野「この雑誌、コンビニで見かけたからつい買っちゃったんだけど」

垣根「まさかの表紙飾っちまったからな」

麦野「これちゃんと話したの?」

垣根「コンテストには出すと言ったが表紙になるとは言ってねぇな」

黒夜「コンテストに出すこと自体、許可は出してねェハズだ…!」

垣根「まあ表紙の事は悪かったな」

黒夜「謝る所はそこじゃねェぞ」


783 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:14:27.18 ID:4mIhOHpz0
垣根「遠いねどうも…」

麦野「あんたから振って来たくせにそれはナイんじゃない?」

垣根「そりゃそうだがよ」

フレンダ「んー、やっぱ学舎の園の近くに来ると人通りが少なくていいわねー」

絹旗「まあ…場所が場所ですし…」

垣根「結構近寄りがたい雰囲気出てんだわな」

麦野「たかが常盤台…」

垣根「あ?」

麦野「なんでもないわ」

上条(あーっ、そろそろいいかなぁ…?)

浜面「適当に車出せばよかったかな…」

滝壺「…」

ガー!

黒夜「んん?」

垣根「どうした?」

黒夜「いや…なんか遠くで変な音がしたような…」

垣根「気のせいだろ」

黒夜「かもな」

上条(ああ…まずは…)

垣根「やるならさっさとしろ」

上条(オッケー)
784 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:14:53.36 ID:4mIhOHpz0
バッ!

フレンダ「ふぁ?」

浜面「ぶっ!」

上条(白井ほどじゃないけど結構派手なの穿いてんなぁ)

フレンダ「浜面…」

浜面「え!?俺じゃねぇよ!」

フレンダ「はぁ?」

麦野「なに、どうしたのよ」

フレンダ「ついに浜面がスカートめくりをしてきた訳よ」

麦野「はぁ…あんたついにそういう事するわけ?」

滝壺「はまづら…」

浜面「え、ええ!?」

バッ!

麦野「!」

フレンダ「ありゃ?」

浜面「おわっ!」

麦野「フレンダぁ!!」バシッ

フレンダ「あ痛っ!」

上条(おぉ…スケスケか…大人だなぁ)

垣根「…」

絹旗「んんん…?」

黒夜「…」
785 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:15:24.22 ID:4mIhOHpz0
フレンダ「なんで私が叩かれた訳!?」

麦野「お前しか居ねぇだろうが!」

フレンダ「ええー!?」

絹旗「今のはちょっとおかしかったような…」

ガバッ

絹旗「…」

浜面「うおっ!」

上条(はいはい白ですねー?)

浜面「これはめくりってレベルじゃねぇ!セーターごと捲り上げられてるぜ!」

絹旗「浜面…」スッ

浜面「へ?いや!俺じゃねぇって!」

上条(残りの二人はどうすっかなー。どっちもズボンなんだよな…)

滝壺「…」ボー

黒夜「ははは」

ズルッ!

滝壺「ん…ゴムが切れたのかな…よいしょ…」

垣根(あー…ダイレクトにズボン脱がせたかー)

浜面「たたっ、滝壺さん!?」

麦野「おかしいな…」

上条(んーピンクかー)
786 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:15:55.24 ID:4mIhOHpz0
麦野「順番的に次は…」チラッ

黒夜「おいおい、次は私かよ」

麦野「多分、ね」

上条(んじゃ最後行くか…後ろから失礼…)

黒夜「第一一体何が起きて…」

ズルッ…

上条「!」

浜面「なっ…!」

垣根「これは…」

絹旗「あれ…?私全然気付きませんでした…」

フレンダ「わー」

滝壺「しょっ…と」

黒夜「何ジロジロ見てんだよ」

浜面「はっ!」

麦野「いやー、これは見ちゃうわ…」

黒夜「ったく…ベルトでも壊れたのか?」グッ

黒夜「ん?」

上条(すげぇ!この子がノーパンとはな!すげー綺麗なお尻だなぁ…うへへ…)

黒夜「なんかにズボンが押さえられてるような…」

垣根(ズボンを上げられないように踏んでやがるな…)

麦野「…」ジジジ

黒夜「なんだぁ?一体…」

麦野「ちょっと動かないでいてね」

黒夜「?」
787 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:16:24.96 ID:4mIhOHpz0

フレンダ「麦野?」

麦野「何か居るわね」

絹旗「何かとは?」

麦野「さぁ?姿を消してるのか、それとも視界を遮ってるのかは知らないけど…」

麦野「何かが変態行為をしてるってのは明らか…ねっ!」ジッ

バシュン!

上条(このご時勢にノーパンが居るとはなぁ…ん?)

ビッ!

上条「え?」タラ

フレンダ「声がした!」

麦野「やっぱ何か居たみたいね。ほら、ブチ当てた部分からうっすら姿が見えてきたわ」

垣根(しまった。まさかこんな方法で姿を捕らえるとは…)

上条(あれー?なんで俺が攻撃されて…)

フレンダ「でもなんで攻撃当てたら見えた訳?」

麦野「一気に姿が見えない所を見ると姿を消していたわけじゃないわね」

絹旗「なるほど」

フレンダ「え?」

絹旗「私達の視界に対して能力を使ってたんです」

絹旗「私達の視界から見えないように情報を改変すればもちろん姿は見えなくなりますが…」

麦野「シャットアウトしてた物の見え方に変化が出てきたからそこの血が出てる頬の部分が見えたってわけね」

垣根(そう、いわばカメレオンだ。一部分だけ同化しきれずに姿を現したってトコだな)

フレンダ「つまり見えなかった物をAとするとAがA+って感じに少し変化したから見えるようになったってこと?」

麦野「まあ、そうね」
788 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:16:54.10 ID:4mIhOHpz0
麦野「さぁーて、その変態さんとご対面と行こうじゃないかしら」ジジッ

垣根「へへっ」

麦野「あ?」

ゴバッ!ビュォォォォォッ!!

浜面「んぎぎ…突風かよ…!」

垣根「こいつ、俺が始末してやるよ」

麦野「はぁ?何勝手言って…」

垣根「そう言うなって。少し発散してぇんだ」

麦野「?」

垣根「んじゃな…」ドンッ

バササッ!!

絹旗「…」

フレンダ「なんだったの?」

黒夜「よし、ちゃんと穿ける」

麦野「面ぐらい見たかったわね」

滝壺「…」

麦野「滝壺、何か分からない?」

滝壺「ごめんむぎの。かきねのAIMしか感じない」

麦野「あいつのだけ?」
789 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:17:23.73 ID:4mIhOHpz0
滝壺「痕跡を消せるような能力者なのかも」

麦野「面倒ね」

絹旗「垣根が超協力してたとは考えられないでしょうか?」

麦野「……無いわね」

フレンダ「意外」

麦野「あいつの周りでこんな事にわざわざ協力を要請するような奴なんて思いつかないし…」

絹旗「ふむ…」

麦野「まあ面倒だから後で適当に調べるとして…どうする?」

黒夜「は?」

麦野「これから」

浜面「そうか…案内人が居なくなったもんな」

麦野「そうそう。肝心の本人が居なきゃどうしようもないし…」

黒夜「…」

フレンダ「…」

滝壺「…」

麦野「…ファミレスに戻るか」

絹旗「ですね」

浜面「んだよ…結局かよ…」

黒夜「早く行け」

浜面「えへへ」

黒夜「あぁ?」
790 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:17:58.67 ID:4mIhOHpz0
学舎の園・常盤台中学付近


垣根「随分と衝撃的なもん見ちまったな」

上条「ああ」

垣根「さて、気を取り直して次に移るか」

上条「ああ」

垣根「敷地内には2458個、監視カメラが設置されてる」

垣根「その監視カメラ全てが風紀委員や警備員と息の合ったもんだ」

垣根「下手な事すっととんでもねぇことになるから気をつけろよ」

上条「もう色んなトコで下手な事してるけどな」

垣根「特に女王サマには気をつけろよ」

上条「女王?」

垣根「周りに人が居るから気をつけろってことだ」

上条「?そうか…?」

垣根「今日は特別取り巻きが多いみてぇだしな…なんかあったのかってほどに…」

上条「うーん…なんか無理そうだな…」

垣根「まあ、やるのは別に第三位だけでも構わねぇが」

上条「じゃあ昨日偶然見れたからいいか」

垣根「そうか。じゃ、さっさと第三位見つけて来い。俺は適当にふら付いてるからよ」

上条「ああ」タッ

垣根「さて、俺は…」
791 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:18:37.25 ID:4mIhOHpz0
「ですから周囲に気を配り…」

食蜂「うんうん」

「聴いてます?」

食蜂「うんうん」

「はぁ…」

カツ…

「ん…?」

垣根「よう」

食蜂「…どうしてここに…?」

垣根「なんでもいいだろ」

「えーっと…」

垣根「また別の取り巻きか」

食蜂「入れ替わりが激しいのよ」

垣根「使えない奴は早々に切るってか?」

食蜂「ここに来る都合が付かないだけよぉ。切る程無能力の集まりでもないしねぇ」

「あのー…この方は…」

食蜂「第二位…垣根帝督…」

「第二位…ですか?」

垣根「んな事はどうでもいい。こんなに集まって何話してたんだ?」

食蜂「急に現れた下着ドロについて話をしてたのよ。堂々と常盤台の寮に侵入した、ね」
792 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:19:06.55 ID:4mIhOHpz0
上条「見つけましたよ美琴さん」

御坂「…」スタスタ

上条「白井は風紀委員に行ってるから都合よく一人だし…それに後ろも取れたし…」

上条「ホントは最後に取っておきたかったけどこの際仕方ない…」

上条「最後は一方通行と一緒に居る子達にしよう」

御坂「…」スタ

上条「じゃあ拝見しまーす」ピラ

御坂「!」

上条(そういえば短パン穿いてたんだっけか…)

御坂「黒子…あれ?」クルッ

上条(失礼しまーす)ズル

御坂「…」

上条(やっぱ縞々か…)

御坂「あんた何やってんの…?」ワナワナ

上条「え?」

御坂「え?」
793 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:19:33.91 ID:4mIhOHpz0
垣根「そういや第三位用にフィルターかけたっけか…?」

食蜂「フィルターがどうかしたのぉ?」

垣根「いや、なんでもねぇよ」

「それよりさっきの話ですけど…」

垣根「ん、ああ…」

食蜂「私はどうでもいいんだけどねぇ」

「そんなこと言わないでください。今回盗られなくても次に盗られるかもしれないので対策を…」

垣根「単純に外に干さなきゃいいんじゃねぇのか?」

「それだと解決に繋がりませんので…」

垣根「黙ってりゃそのうち勝手に捕まんだろ」

食蜂「そうそう。そんな焦る必要も…」

ピー

食蜂「んん?」

「どうかしました?」

食蜂「今ピーって音聴こえなかった?」

「外側からじゃないですか?ここは大分外側に近い場所ですし」

食蜂「ああ、外ね」

垣根「音か、そういやさっき黒夜も音がどうとか言ってたな」

オーイ!

食蜂「?」

「なんでしょうか?」

ザワザワ…

垣根「んん…?」ジー

オォーイ!
794 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:20:03.12 ID:4mIhOHpz0
上条「おーい垣根ー!失敗だー!!」

垣根「そうか。かけてなかったか…」

食蜂「何かやってたの?」

垣根「みたいだな」

御坂「待ちなさい!」バチチ

上条「おわっ!」

御坂「あっ!あんた達ちょうどいい所に居たわ!そこのウニ頭とっ捕まえてちょうだい!」

「あの方は第三位の…」

食蜂「よく分からないけど協力してあげたら?」

「では…」ヒュンッ

垣根(風力使いか…)

「第二位様も」

垣根「え?」

「このような事は野暮かもしれませんが一応何かに捕まっていてください」ビュゥゥ

垣根「へぇ…」

パァァンッ!

上条「な、なんだ!?」スッ

パキィン!

「?」

垣根「圧縮した空気の弾か」

「よくお分かりで」

垣根「まあな。まともに当てれば気絶ぐらいさせられたのか?」

「当たれば、でしたけどね」

795 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:20:33.64 ID:4mIhOHpz0
上条「クソッ!」

御坂「何がクソよ!待ちなさいったら!」

上条「ちくしょー!!」

垣根「さて…」

食蜂「帰るの?」

垣根「ああ。ついでにアイツもな」

食蜂「あっそ」

垣根「…」ドンッ

ゴゴゴゴゴッ!

上条「あれ?なんか前から垣根が…あぐっ!」

バサバサバサッ!

垣根「っと…」タンッ

御坂「コラー!捕まえたならこっちに差し出しなさいよ!」

垣根「ああー!?」

御坂「ああ!?じゃないわよ!そんな高い所に居ないで降りてきなさい!」

垣根「コイツが何したか知らねぇが俺はコイツに別件で用があんだ。悪いがまだ渡せねぇな!」

御坂「はぁー?」

垣根「それと第三位!」

御坂「何よ!!」

垣根「色々と悪かったな!」バサッ

御坂「待ちなさい!コラー!」
796 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:21:01.02 ID:4mIhOHpz0
ガガー!

一方通行「…この中に居る。間違いねェ」

番外個体「この中に犯人が…」

ザワザワザワ…

番外個体「さすがに多くない?」

一方通行「この音がなによりの証拠だ。そう遠くねェ…まず間違いなく…近くに居る…」ガー

番外個体「この大量の人混みから探すのかー」

一方通行「楽じゃねェがやるしかねェな。全部今後のためだ」

番外個体「うん」

一方通行「それに多才能力のプレーヤーも回収しねェとな」

番外個体「あっ!」

一方通行「どォした?」

番外個体「ゲコ太のペアキャンペーンやってる」

一方通行「…」

-----------------------------------------------

垣根「いや、悪い悪い」

上条「ホントにびっくりした…」

垣根「ま、気を取り直そうぜ」

上条「そうだな。せっかく大詰めなんだし…」

垣根「都合よく俺たちみたいに町に繰り出してればいいんだけどな」

上条「そんなうまくは…っと…」

垣根「あ?」

上条「予約してたCD取りに行っていいか?」

垣根「CD?」

上条「そう」

垣根「さっさと戻って来いよ」

上条「すぐ戻ってくるよ」
797 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:21:28.22 ID:4mIhOHpz0
一方通行「ったく…」

番外個体「いやー悪いねー」

一方通行「そう思うンなら言わねェこったな」

番外個体「まあそう言わずに、ほら」

一方通行「いらねェよ。オマエが二つ持ってろ」

番外個体「まあまあ」カチ

一方通行「オイ!電極に付けンな!」

番外個体「だって杖持ち歩いて無いんだもーん」

一方通行「杖なンざしばらく持ち歩いてねェよ」

番外個体「垣根が電極用意してくれたから?」

一方通行「あァ…」チラッ

番外個体「何?」

一方通行「…」ガガー

番外個体「あー、近くに居るの?」

一方通行「みてェだな」

番外個体「でもいざ怪しい奴を探せってなると…」キョロキョロ

一方通行「…」ピー

番外個体「…」

一方通行「離れたな」

番外個体「はぁ…」
798 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:21:54.72 ID:4mIhOHpz0
上条「もう大丈夫だぜ」

垣根「意外と早かったな」

上条「珍しく素直に受け取れたからな」

垣根「そうか。それよりも、ほら」

上条「え?」

垣根「向こうを見ろ」

上条「向こう?」

垣根「もっと遠くだ」

上条「いや…全然見えないんですけど…」

垣根「あー、しょうがねぇな!一方通行と番外個体が向こうに居るんだよ!」

上条「え!?マジで!?」

垣根「そうだマジだ。しかも珍しくワーストの方は私服でいやがるぜ」

上条「行くしかねぇな!」

垣根「あっちに確認されねぇように接近すんぞ」

上条「今度はフィルター忘れないでくれよ」

垣根「ああ」

上条「やる気出てきたなー」

799 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:22:22.49 ID:4mIhOHpz0
ガガー!ガガー!

番外個体「それうるさいなぁ。なんとかなんない?」

一方通行「…」

番外個体「ちょっと、聴いてるの?あんま無視されるとミサカ泣いちゃうかも」

一方通行「…」キョロ

番外個体「ちょっと」

「…」キョロキョロ

一方通行「…」

番外個体「おーい」

「…」スゥッ

一方通行「…見つけた」

番外個体「え?」

一方通行「青い髪のヤローだ」

番外個体「青髪?」

一方通行「あァ」

番外個体「そんなのどこにも…」

一方通行「ご丁寧に目の前で消えてくれたぜェ?」

番外個体「でも捕まえなきゃ意味無いじゃん」

一方通行「青髪っつー分かりやすい特徴してンだ。いつでも捕まえられンだろォが」

番外個体「なるほどね」

800 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/04(日) 22:22:50.15 ID:4mIhOHpz0
青髪ピアス「さて、お次はここらへんのモノを…ん?あれは上やん?こないなトコで何しとんのやろ」

上条「もうばっちりかー?垣根」

垣根「大丈夫なハズだがな」

青髪ピアス「うわ…あの背高いの誰やろか…」

垣根「俺はどこらへんに居たらいいんだ?」

上条「え?そうだな…」

垣根「…」

上条「一方通行襲ってくるかな?」

垣根「分かんねぇな。アイツがどういう行動するかなんてよ」

上条「うーん…」

垣根「なんとか隙見てやりゃいいじゃねぇか。幸いなんかやってるみてぇだしよ」

上条「そうだな」

垣根「ほら、早く行け。なんなら俺が適当に気引いとくからよ」

上条「じゃあ、それで頼む」

垣根「ああ」

上条「任せたぞ」タッ

垣根「…ふー」

青髪ピアス「なんや、上やん偉く真剣やなぁ」

垣根「常盤台に下着ドロか…」

青髪ピアス「!」

垣根「随分と勇気ある犯行だよなぁ…」 
805 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/08(木) 21:46:51.43 ID:b6Rk6qSI0
ガッ…ガガッ…

一方通行「…」

番外個体「今度はどうしたの?」

一方通行「AIMが乱れてンだな」

番外個体「乱れ…?」

一方通行「さっきの青髪のヤローを検知しようとしたが…別の反応が横入りしてきたみてェだな」

番外個体「はぁ…?」

一方通行「設定を多才能力用にかなり強めにしてる。だから…引っかかるとすればそれなりの能力者のハズだがな…」

ゴゴゴゴゴゴ…!

番外個体「あれは…」

一方通行「へェ…」

カツ…カツ…

一方通行「大した存在感じゃねェか」

垣根「よう」

一方通行「あァ」

番外個体「ねえ、邪魔だからちょっと離れてくれない?」

垣根「なんでだ」

番外個体「邪・魔だから」

垣根「いやだね」

垣根(なんでコイツ探知機なんて持ってんだよ…下手すりゃ上条の存在がバレちまうぞ…)
806 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/08(木) 21:47:19.90 ID:b6Rk6qSI0
番外個体「ねえ、なんでさっきと違う鳴り方してんの?」

一方通行「さっきと違う?」

ガッ…ガッ…ガガッ…

一方通行「ン…確かにそォだな…」

番外個体「ねえ、なんで」

一方通行「この探知機はよォ…AIMの波を受けて反応を示してンだ」

一方通行「例えばここから一直線、探知機に向かってAIMの波が流れてっとすンだろ」

一方通行「波が届くまでにそれを阻害するなンかが途中で出てきたってこった」

番外個体「それって通行人とか?」

一方通行「ンなワケねェだろ。もしそォだったらもっと早い段階でこの鳴り方をしてるハズだからなァ」

番外個体「なるほろ」

一方通行「今になってこンな鳴り方したってことはだ、阻害する何かがこっちに近づいてきたか…こっちが近づいてるかのどっちかだわな」

番外個体「阻害?」

一方通行「さァな…ジャマーか…それとも波形を狂わすモンの類…またはあの青髪が察知して妨害してンのかもな」

垣根「さっきから何の話をしてんだ?」

一方通行「下着ドロの話だ」

垣根(そうか、上条を探してるわけじゃなかったんだな)

ピー…

一方通行「…」

番外個体「今度は?」

一方通行「俺たちの目の前範囲から外れたってコトだな。その阻害するなンたらがよォ…」

上条(なんだ?あの…なんか…あれは…?)
807 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/08(木) 21:47:46.03 ID:b6Rk6qSI0
一方通行「…」ジッ

垣根「この先になんかあんのか?」

一方通行「あァ」

番外個体「ん、また出てきたね」

スゥッ…

垣根「あの青髪か?」

一方通行「そォだ」

青髪ピアス「…」キョロキョロ

一方通行「…」ジッ

上条(なんか集中してるみたいだし今がチャンスかな…)

青髪ピアス「よし…」スゥッ

垣根「へぇ、姿を消せる能力者か」

バスッ!

垣根「は?」

一方通行「…」

青髪ピアス「あ…痛ぁーっ…!」

垣根「何だ?今何を撃って…」

番外個体「あーっ!」

垣根「?」

番外個体「今ゲコ太飛ばしたでしょ…」

一方通行「ちょォどイイトコにあったからな」

番外個体「もう…」

一方通行「とりあえずあの青髪ントコに行くぞ。話はそれからだ」

上条(あれ?移動すんのか?)
808 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/08(木) 21:48:20.46 ID:b6Rk6qSI0
青髪ピアス「痛たた…なんやコレ…」

ザッ

青髪ピアス「ん?」

番外個体「…」

青髪ピアス「うはっ、かまってちゃんオーラの子や」

番外個体「…」バチッ

青髪ピアス「あひんっ」

一方通行「オイ」

青髪ピアス「う…男!?」

一方通行「あァ?何ワケ分かンねェ事言ってやがる」

青髪ピアス「あ、いや…」

一方通行「まァイイ。それよりオマエ」

青髪ピアス「ん」

一方通行「最近変わった音楽プレーヤーを拾わなかったか?」

青髪ピアス「変わった…?これのことやろか…」ゴソ

一方通行「…」

青髪ピアス「これに入ってた曲聴いたら急に力が湧いてきたみたいになって…」

青髪ピアス「ま、色々といい思いさせてもらってるんやけど」

一方通行「悪ィな、コレ俺ンだから返してもらうぜ」ヒョイ

青髪ピアス「あ」

一方通行「せっかくだから教えてやるがこのプレーヤーはとンでもねェ代物だ」

青髪ピアス「とんでもないって…幻想御手みたいなもんやろ?」

一方通行「近ェがもっと別なモンだ。これにはレベル5の能力が記録されてンだ」

青髪ピアス「レベル5?ほな、さっき僕が姿を消したのもレベル5の誰かの能力ってことなんやろか」

一方通行「違う。それはレベル5同士の能力の組み合わせで発生した偶然の産物だ」
809 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/08(木) 21:48:46.89 ID:b6Rk6qSI0
青髪ピアス「なるほどね…」

一方通行「まァ、オマエがコレを持ってたのは然したる問題じゃねェ…肝心の問題ってのは…だ」

番外個体「私のパンツを返して」

青髪ピアス「う」

一方通行「まァそういうこったな。普通なら特に気にするモンでもねェンだがウチにうるせェのが居てな」

一方通行「何も出頭しろとは言わねェ。モノを渡せばそれ以上言及する気はねェからよ」

青髪ピアス「アルビノ君…」

一方通行「ハ?」

番外個体「ミサカはなんでもいいから早く返して。それ結構お気に入りなの」

青髪ピアス「そうや、僕は間違ってたんや。コソコソと盗むなんて僕らしくない…欲しいなら正面からぶつかる…!」

一方通行「?」

青髪ピアス「お嬢さん!このパンツ僕にくれたってや!」

番外個体「…無理」

青髪ピアス「ありゃ?」

一方通行「コイツは…」

ズボ

番外個体「!」

一方通行「ン?」

青髪ピアス「あらー、スカートたくし上げてどしたん?」

番外個体「いや…スカートの中に何かが…」

上条(あー、やっぱ縞パンかー)スーハースーハー
810 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/08(木) 21:49:18.78 ID:b6Rk6qSI0
番外個体「…」スッ

青髪ピアス「ぶふっ、縞パンや!ん?上やん…?」

番外個体「見えない何かが居るんだけど…」

一方通行「見えない何かだとォ?」

上条(至福)スーハースーハー

番外個体「…」バシッ

上条「痛てっ」

番外個体「…」バチチッ

上条「あばばば」シュゥゥ

番外個体「この人は…」

一方通行「三下?」

上条「いちち…」

番外個体「ねえ…なんでミサカのスカートの中に頭を突っ込んでるの…?」

「あー、私も聴きたいわねぇ…その理由」

一方通行「今度はオマエか」

番外個体「オネェーサマじゃん」

御坂「学舎の園でも同じような事してくれたわね。是非とも理由が聴きたいわ」

上条「俺が見えるのか?」

一方通行「何言ってンだコイツ」

上条「そうだ、垣根…垣根は…」

一方通行「どォしてそこで垣根が出てくンのかは知らねェが近くには居ねェぞ」

上条「え?」
811 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/08(木) 21:49:55.91 ID:b6Rk6qSI0
上条「…」

番外個体「…」

御坂「…」

青髪ピアス「あのー、僕は…」

一方通行「物だけ置いて帰っていいぞ」

青髪ピアス「ほんなら…」ゴソッ

一方通行「そこらへンに置いとけ」

青髪ピアス「んじゃここに」

一方通行「もォすンなよ」

青髪ピアス「ほなこれで」

一方通行「…しかしよくもこれだけ集めたもンだな。感心すンぜ」

カツ…

垣根「…」

上条「おお、垣根!」

御坂「ん、あんたコイツに用があるって連れてかなかったっけ?」

垣根「ああ」

上条「なあ、ちょっとピンチなんだ。どうしようか」

垣根「その前にだ上条。バードウェイに今すぐ連絡を取れ」

上条「は?バードウェイ?」

垣根「そうだ。適当に理由付けて適当な場所に呼び出せ、そいつに用がある」

上条「よく分かんないけどそれでどうにかなるのか?」

垣根「なる」

上条「んじゃちょっと待っててくれ」

御坂「ちょっと」

垣根「すぐに終わる」

番外個体「そうだ。私のパンツ…」
812 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/08(木) 21:50:48.41 ID:b6Rk6qSI0
上条「なんとか来てくれるように言った。俺の家に来るらしい」

垣根「ご苦労、んじゃ頑張ってくれ」

上条「あれー?」

垣根「じゃあな一方通行」

一方通行「オマエは何のために居たンだかな」

垣根「色々と、な」

上条「ま、待ってくれ!」ダッ

御坂「コラ!逃げんな!」バリリッ

上条「おわっ」ズデッ

一方通行「おっと」

上条「痛てて…やべ、さっき買ったCDが…」

上条「ちゃんと拾わねーと…」ガサッ

御坂「あ、あんた…」

上条「へ?」

御坂「何その…数々のパンツは…」

上条「は?パンツ?あ、これは別に俺のじゃ…」

御坂「じゃあなんでその袋に一緒に入れてんのよ…」

上条「袋?あ、CDのか…これは落ちたCDと一緒に掴んでしまって…」

御坂「まさか下着ドロって…」

上条「え?」

一方通行「おう、俺だ。下着ドロの事だけどよォ…見付けて取り返しといた」

一方通行「俺が持ち歩くワケにもいかねェから取りに来い。場所は…」

813 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/08(木) 21:51:16.49 ID:b6Rk6qSI0
番外個体「あったあった。ありゃ?これサイアイのじゃん」

一方通行「済ンだか?」

番外個体「オッケー」

一方通行「帰ンぞ」

番外個体「残りのパンツは?」

一方通行「黄泉川に取りに来させる。ちょォど近くに居るみてェだしな」

番外個体「ふーん。そっか」

一方通行「ついでに探知機も置いとくか」

一方通行「…少し端に寄せとくか。人通りが少なくても道のど真ン中はマズイだろォしな」ズッズッ

番外個体「で、帰るんだっけ?」

一方通行「ン…イヤ、このプレーヤーを……イイか」

番外個体「ミサカ行きたい所あるんだけど…」

一方通行「俺は早く帰りてェンだがな。珍しく淡希も居ることだし…」

番外個体「かーっ!」

一方通行「ハァ…」チャリッ

番外個体「あ」

一方通行「カエル、一応回収しとかねェとな」

番外個体「ひひっ」

一方通行「行くぞ」
814 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/08(木) 21:51:52.70 ID:b6Rk6qSI0
上条「あ、待って一方通行…」

一方通行「あァ?」

上条「俺が犯人じゃないって言ってやってく…『どォしてパンツ掴んで袋に入れようとしてンだ?』…」

御坂「別にあんたが下着ドロだろうが知ったこっちゃないわ」

上条「いやだから俺は下着ドロじゃ…」

御坂「なんでスカートめくって短パンを脱がしたり番外個体のスカートに頭を突っ込んだのか、それが問題よ」

上条「…」

御坂「どうしてよ」

上条「…い」ボソッ

御坂「は?」

上条「全部美琴が悪いんだ」

御坂「なんで私が悪いのよ」

一方通行「アホらし、行くぞ」

番外個体「はいはーい」

上条「全部美琴が悪いんだー!!」ダッ

御坂「あっ!コラ待ちなさい!」

キキーッ!ドンッ!

上条「あんっ」

ガチャ

黄泉川「少年ー、急に出てきちゃ危ないじゃんよ。ったく…スピード出てなかったからいいもの…ん、上条じゃんよ」

上条「よ、黄泉川先生!?」

黄泉川「じゃあ大丈夫か。えーと…あ、これじゃんね」ゴソッ

上条「じゃあ大丈夫かってですね…」

黄泉川「ん?君は何で袋の中にパンツなんか入れてるじゃん?」

上条「あ、えーとですね…」

黄泉川「……ちょっとお話聴かせてほしいじゃん。車の中に入るじゃんよ」

上条「…ふ、不幸…だ…」
815 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/08(木) 21:52:29.49 ID:b6Rk6qSI0
数時間後

上条「とほほ…結局下着ドロに間違えられて一方通行が証言してくれるまで尋問の嵐なんて…」

上条「オマケに美琴からスカートめくりの事についてバラされるし…乱入してきた白井に蹴られるし…」

上条「垣根はどっか行っちゃうし…でも…それを無かった事に出来るぐらいのモノを今日は見れたからな…よしとしよう。うん」

上条「さぁーて、気を取り直して夕飯の準備を…ん?」

上条「この…我が家の前で転がっている黒服の人たちは…」

上条「あれ?この人達はバードウェイの部下じゃないか?ん?バードウェイ…?」

『そいつに用がある』

上条「!垣根!大丈夫か!?」ガチャ

「んー!んんー!」

バタン

上条「…あれ、おかしいな」

「とうまー」

上条「インデックス?お前出かけてたのか?」

インデックス「かきねが来てこれからやることあるからって」

上条「それで?」

インデックス「お金たくさん渡されてしばらく家を空けてくれって言われたから従ったんだよ!」

上条「…」

インデックス「お家に入らないの?」ガチャ

上条「あ、今は…」

インデックス「…」

「んんん!」

インデックス「どうしてバードウェイが裸で縛られてるのかな?」

上条「さ、さぁ?」

インデックス「ちょっと評価出来ないかも…」サササッ

上条「イ、インデックスさーん?」

インデックス「今日はこもえの所に泊めてもらうんだよ。バイバイ」タッ

上条「…」

バードウェイ「んー!」クネクネ

上条「不幸だ」

822 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:10:27.96 ID:Dx7Q4neB0
「第一位?スマン、知らないな」


「うーん、そんな人は私の記憶には無いわぁ。私の記憶力が何よりの証拠よぉ」


「はぁ?そんなの私が知ってるわけないでしょ。居ないんじゃないの?一位なんてさ」


「分かるもんなら私が知りたいわよ。その…第一位だっけ?」


「第一位、ね。そんなのは記憶にねぇな。俺が二位止まりで一位が居ないってのはおかしな話だがな。存在しない一位が為に俺が二位なんだ、納得いかねぇな」

「つーかよ」

「お前、誰だ?」

「なんで俺に一位のことなんざ聴いて来た?一位が居ないってのは周知の事実のハズだ。なんでそんな事をわざわざ俺に…オイ、どこ行く気だ?話は終わってねぇぞ?」


「悪ィな。聴きたい事は聴いたから俺はオマエに話はねェンだわ」


「は?俺の話が終わってねぇって意味だよ」


「俺は終わった。じゃァな」


「チッ、意味分かんねぇな…」
823 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:11:20.78 ID:Dx7Q4neB0
「はて…第一位…ですか?申し訳ありませんが自分は分かりかねます」


「ん、第一位だと?さぁな、居たような居なかったような…。もういいか?妹を待たせてるんだ」


「一位の事?お前ら分かるか?」


「一位ですか?分かるかと聴かれても超周知の事実しか出て来ませんよ?」


「結局、一位なんて都市伝説でしょ?そんな存在、見た事も聴いた事もない訳だし」

「わたしもそう思う」


「知ってるかって聴かれても知らねぇとしか言えねぇよな」


「その周知を教えてくれ。分かンねェことだらけでな」


「ふむ、でしたら一応話しますが超知ってることだと思いますよ?」

「まず第一、一位は存在しない。これは超大前提の話です」

「次、一位の座はこれから先、永劫に空白の座席」

「既に二位として地位を築いてる垣根は一位にはなれません。何をしてもです、これは他の能力者全てに言えます」

「一位に値する能力者は現れない。故に一位の座席は空いたままであり、一位は存在しない」

「本当は言っちゃダメなんですけど垣根が素養格付を確認したからこれは絶対です。一位は現れない、ということが」

「あ、垣根って分かりますかね?第二位なんですけど…」


「一位ってのはまさに名ばかりで実物が無いんだ。だから実質、二位のチンピラが一位だけどな」


「てもそれをアイツに言うと怒るぜ?」


「もういいの?」


「あァ、手間かけたな」


「結局なんだった訳?」
824 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:11:56.27 ID:Dx7Q4neB0

「素養格付か、まあ言うなれば学園都市の能力者が記録されたるわけだ。それに一位の可能性を確認出来なければ永遠に現状のままだろうな」

「ところで君、どこかで会ったかな?どうして私の名前を知っていたんだ?」

「それにしても少し暑いな…君もそう思わ…あ、君」


「あぁん?一位なんか知るわけねぇだろ。他当たりなモヤシの兄ちゃん」


「すまんじゃん。流石に一位については調べようが無いじゃんよ。とりあえず君の住所と名前を…ん、どこに行くじゃん?」


「ごめんなさいね。私も研究者の端くれで一応色んな能力者について研究はしたけど一位については一回も担当したこともないし、研究もしたことがないわ」


「ふむ…僕は色々な患者を見て来たけどそれらしい患者は診なかったね?僕は一度診た患者は忘れないからね?」


「第一位ですか…いえ、ミサカはそのような方は知りません、とミサカは正直に対応します」


「えっ?一位?そんなのミサカが知ってるわけないじゃーん!ひひっ」


「うーん…ミサカもそういう人は知らない…え?MNW?お兄さんMNWを知ってるの?ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり…」

825 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:12:23.42 ID:Dx7Q4neB0
「チッ、どォいう事だァ?」

「どいつもこいつも同じような反応しかしねぇ」

「この様子だと携帯使って粗方探しても無理そうだしよォ…一体どォして…ン?」

「なンだ?急に人通りが…」

ザッ

「二人か…なンか知ってるクチみてェだな」

「第一位の方ですね?」

「あン?」

「良かった。やっと会えました」

「オマエ等俺を知ってンのかァ?」

「僕は君の事はよく覚えてるけどね?」

「テメェはあン時の…」

「結論から言います第一位。私達はあなたを知っています」

「当然僕も知ってるよ」

「あァ?」
826 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:12:53.54 ID:Dx7Q4neB0
事は数日前に遡る
淡希がアイドル業を休業し、本来の日常を取り戻して間もない頃に起きた事だ
なにもかもが結婚した当初のような日が続いていた頃の様に


絹旗「聴きました?垣根の話」

黒夜「垣根の話っしょ?本人からも散々聴いたっつの」

絹旗「ふむ…」

芳川「あら、彼に何かあったの?」

絹旗「聴いてくれますか?超聴いてくれますか?」

黒夜「芳川に話してなかったのか?」

絹旗「毎度毎度いいタイミングで居なかったものですから」

芳川「それで?どんな話なの?」

絹旗「垣根が12歳だったか14歳だったか16歳だったかの女の子に超仕返しと称して他人の家に裸で縛り上げて放置したという話なんですが…」

芳川「それっていつぐらいの話なの?」

絹旗「え?そうですね…」

黒夜「結構前だよなぁ」

絹旗「一ヶ月…とまではいかないかもしれませんがそれぐらい前ですかね?」

黒夜「多分」

芳川「でも彼らしいわね」

絹旗「え?」

芳川「年下の子でも容赦なくそういう事する所がよ」

絹旗「でも超褒められた事ではないような…」

芳川「彼はどんな相手でも対等に見てるって事よ」

絹旗「………そう…でしょうか?」

芳川「そうじゃないかしら?」

芳川「最初、彼に会ってからずっと思ってたけど、彼のコミュニケーションには手抜きが感じられなかったもの」

芳川「今の彼と本当に仲が悪い人ってのはいないんじゃないかしら?」

絹旗「言われてみれば…あ、いや黒夜が」

黒夜「別になんとも思ってないけど」

絹旗「あ、そうですか」
827 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:13:24.26 ID:Dx7Q4neB0
芳川「あなたもじゃないかしら?一方通行」

一方通行「…そォかもな」

芳川「でも裸で縛って放置はいただけないわね」

絹旗「そういえば縛ってその後を聴いてませんね」

一方通行「そこの…」

絹旗「え?」

一方通行「そこの家主がちゃンと処理したらしィ」

芳川「処理?」

一方通行「どう処理したのかは知らねェけどな」

芳川「いやね、気になるわ」

一方通行「そォか?別にどォでもイイような気もすっけどなァ」

芳川「そのどうでもいいことが気になるのよ」

一方通行「ハッ、そォかい」

芳川「最近会ったりしてないの?」

一方通行「事が起きる日に会ったキリだな」

芳川「あら、あまり仲が良くないのかしら?」

一方通行「さァな」

芳川「まったく…」

一方通行「外との交流が俺より少ねェお前に言われたくねェな」

芳川「ちっ」
828 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:13:49.22 ID:Dx7Q4neB0
カチャン

「あーあー、全く…なんてことかしら…」

芳川「揃って帰って来たわね」

一方通行「なンかあったのか?」

結標「あら、起きてたの?」

一方通行「別に一日中寝てるワケじゃねェよ」

番外個体「前はずっと寝てたのにねぇー」

一方通行「前は前だ」

芳川「それで?何があったの?」

結標「垣根よ垣根、彼、また別の女の子と歩いてたわ」

一方通行「アイツは本当に落ち着かねェな」

芳川「へぇ、どんな子かしら」

結標「んー?どんなって…声可愛い感じの金髪のちっちゃい子よ」

一方通行「…」ピク

芳川「金髪?」

結標「そう、でも一緒に歩いてたってよりはその子が一方的に絡んでただけだけどね」

結標「結構、物騒な感じの子だったわよ。後ろに黒スーツが何人か居たし…」

芳川「あらやだ。ギャング関係かしら」

結標「ギャングっていうかなんかの組織のボスみたいな雰囲気だったわよ?やたら高圧的な態度だったし」

一方通行(なるほど…レイヴィニア=バードウェイか…)

黒夜「やっぱそういう見た目なんだよアイツは」

絹旗「あいつって垣根ですか?」

黒夜「そうそう。裏でそういうのと繋がってそうなさ」
829 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:14:20.93 ID:Dx7Q4neB0
一方通行「……ン」スクッ

結標「どうしたの?」

一方通行「イヤ、三下に電話かけようと思ってな」

芳川「あら、その後を聴いてくれるの?」

一方通行「…ンなワケねェだろ」

番外個体「そういえばなんであんな事されたのか未だに分からないんだけど…」

一方通行「三下にかァ?」

番外個体「そうそう」

一方通行「ンじゃ食蜂にもだな」ピ

番外個体「?」

黒夜「何?なんかあったわけ?」

番外個体「え?まあね」

芳川「ウニ頭の子になんかされたの?」

番外個体「まあね。結構前の話だけど」

絹旗「なんか今日はやたらと前の話が出てきますね」

番外個体「時期が下着ドロの時の事だから確かに前の話だね」

芳川「ふーん…」ペラ

絹旗「なんです?それ」

芳川「タロット」
830 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:14:46.48 ID:Dx7Q4neB0
芳川「あら…」

結標「何か出たの?」

芳川「塔の正位置」

絹旗「その心は」

芳川「物事が終わっていくこと。困難な状況を与えてそれを自然の結果として崩壊を辿ることを意味してるわ」

黒夜「つまり?」

芳川「悪い目にあって気付かない内に今が終わってくって事よ」

一方通行「オマエ、タロットなんてやってたのかァ?」

芳川「家に居ると暇なのよ。ここ最近で覚えちゃったわ」

一方通行「ンで?誰を占ったンだよ」

芳川「別に誰でも無いわ。占ったわけでもないし…適当にシャッフルして一番上をめくっただけよ」

一方通行「へェ」

芳川「これが誰を示してるのか…私には分からないわ」

番外個体「ていうか電話は?」

一方通行「今からだ。タロットが少しだけ気になってよォ」

芳川「あなたも占いとか興味あるの?」

一方通行「少しだけオカルトに目を向けてもいいかと思っただけだ」

芳川「始めるには充分よ」

一方通行「タロットを始める気はねェぞ」

芳川「残念」

一方通行「ふン…電話すっから少し静かにしとけ」
831 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:15:24.09 ID:Dx7Q4neB0
piriririri

一方通行「…」

『はい?』

一方通行「俺だ」

『一方通行か?お前から電話なんて珍しいな。どうかしたか?』

一方通行「イヤ、前の事聴きたくてよォ」

『前?ああ…あの時の…』

一方通行「番外個体が奇行の理由を知りたがってなァ」

『あれはなんていうか…実を言うと俺もよく分かんないんだよなぁ』

一方通行「そォか。まァそれだけだ、じゃァな」

『あ、待った』

一方通行「あ?」

『これからインデックスとイギリスに行くんだけど来るか?』

一方通行「ハァ?なンでイギリスなンか…」

『いやさ、イギリスに居るインデックスの知り合い連中が顔出せってうるさくてさ…』

一方通行「それでなンで俺を誘う?」

『女連中ばっかなんだよ。仲いい男の知り合いも居なくて気まずいんだよ』

『で、来るか?』

一方通行「行かねェ。じゃァな」プッ
832 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:15:50.91 ID:Dx7Q4neB0
piriririri

『もしもぉし』

一方通行「俺だ」

『あらぁ』

一方通行「ちょっと聴きてェ事がある。時間イイか?」

『聴きたいこと?いいわよぉ、だけど生理周期は秘密よぉ?』

一方通行「…」

『ま、冗談として…』

一方通行「三下に会った時の事覚えてるか?」

『三下?』

一方通行「ウニ頭の…」

『ああ。あの人…それがどうかした?』

一方通行「アイツの頭になンかしたか?」

『ちょっとイラついちゃったから頭の中軽くシェイクしちゃった』

一方通行「…」

『本当に軽くよぉ?ちょっと異常を来す程度、何日かしたら元に戻るような…』

一方通行「なるほどな」

『もしかして未だにおかしかったりする?』

一方通行「イヤ、もう大丈夫だ」

『そう』

一方通行「まァそれだけだ。手間取らせたな」

『あ、待って』

一方通行「…」

『今度軽くデートでも…』

一方通行「またの機会に。じゃァな」プッ
833 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:16:18.76 ID:Dx7Q4neB0
番外個体「何か分かったの?」

一方通行「奇行の正体は第五位に頭をいじられたのが原因らしい」

結標「?確か変な右手持ってたわよね?洗脳の類って効くの?」

一方通行「いじった部分に右手が触れなきゃイインじゃねェのか?」

結標「でも頭でしょ?すぐ触っちゃいそうな気もするけど…」

一方通行「脳みそだったらどォだ?」

結標「ああ…なるほど…」

一方通行「実際どォかなンて知らねェけどな。アイツの右手なンざ…」

結標「変な右手ね」

一方通行「まったくだな。もしかしたら能力が効いてなくて別件で頭おかしくしたのかもな」

番外個体「例えば?」

一方通行「なンかに頭打ったとかな」

結標「ありえない、って言い切れないわね」

一方通行「最悪ありえる話だからな」

芳川「…」シャカシャカ

黒夜「次は?」

芳川「次は下から取ってみましょう」ペラ

芳川「正義の逆位置」

絹旗「それで?」

芳川「えーと…なんだったかしら」
834 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:16:49.40 ID:Dx7Q4neB0
絹旗「え、覚えてないんですか?」

芳川「覚えること多すぎて中途半端にしか覚えてないのよ」

絹旗「そう…ですか…」

芳川「ちょっと待ってね。確か紙が…」カサ

一方通行「…」

芳川「あったあった。えーと…問題が浮上し突如状況が悪くなる…」

芳川「バランスが崩れていくことを意味してるわね。他にも人間関係に終止符を打つ時の訪れを意味してるわ」

一方通行「不吉な…」

黒夜「逆位置って悪いやつしかないのか?」

芳川「いえ?捕らえ方によっては良くも悪くもなるわ」

芳川「でも、大体は悪いんじゃないかしら…」

黒夜「へえ」

ガチャン

「ただいまー!ってミサカはミサカは…」

芳川「あら、帰ってきたわね」

打ち止め「あー!ヨシカワまたタロットやってるのー?」

芳川「お帰りなさい打ち止め。今日はもういいの?」

打ち止め「うん!」

一方通行「さて…」

打ち止め「出掛けるのー?」

一方通行「あァ、天気もイイしな」

結標「あら、出掛けるの?だったら私も…」

一方通行「イヤ、悪ィがちょっと一人で出てみてェンだ」

結標「そう?」

芳川「夕飯までには帰ってくるのよ?」

一方通行「ハッ、ガキじゃあるめェし」

芳川「で、どこに行く気かしら」

一方通行「さァな、適当にブラついてくる…ン、そォだ」

芳川「あら、忘れ物?」

一方通行「このタロット、面白そうだから借りてくぞ」カチャ
835 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:17:26.89 ID:Dx7Q4neB0
一方通行「ほォ…」ペラッ

一方通行「星…希望や未来への期待を意味する…」

「第一位が路上で歩きながらカード遊びか?」

一方通行「あァ…?」

土御門「タロットか…お前はそんなのに興味を持たないと思っていたが…」

一方通行「なンでもイイだろ」

土御門「別にケチを付けてるわけじゃない」

一方通行「じゃァなンだ」

土御門「いや、珍しいと思ってな。しばらくタロットなんて目にしてなかったからな」

一方通行「しばらく…?オマエ、タロットもかじってンのか?」

土御門「かじってるってほどじゃない。ほんのちょっとだけ占星術に関係してる部分だけ、少しだけ知ってるだけだ」

一方通行「へェ」

土御門「一枚借りるぞ」ピッ

土御門「女教皇。占星術上では月を意味する、主に女関連についてだな」

土御門「向きは…お前から見て正位置、俺がお前を占う側としたら逆位置ってことになる」

土御門「えーと…タロットとしての意味は…なんだったかな…」

一方通行「っと…正位置なら心の落ち着きを意味してる。安らぎや平常心…」

一方通行「逆位置なら…他人を思いやる心を奪うことを意味する。総じて心を悪い方向に引っ張っていく意味がある」

土御門「さて、ここで肝心なのはこのタロットは誰に向けられた意味のカードなのか」

土御門「引いた俺自信を占う物なら俺が逆位置を引いたってことになる」

土御門「ま、占うというよりは適当に引いただけだからなんとも言えないが…」

一方通行「ちゃんとしたやり方でやりゃァそれなりにはっきり出ンのか?」

土御門「こういうカードってのは一枚でもそれなりの力を持ってることがある」

土御門「適当にやったからと言ってあながち間違ってるとは言えんな」

一方通行「なるほどなァ…」

土御門「気を付けろよ一方通行」

一方通行「ア?」

土御門「女教皇は精神や心の部分で頼りになるが、逆位置だと話は別だ」

一方通行「?」

土御門「精神に揺らぎが出てくるかもな」
836 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:17:57.35 ID:Dx7Q4neB0
土御門「少し長く話しすぎた。じゃあな」

一方通行「面倒なモンだな。タロットってのも」

一方通行「節制、愚者、刑死者…悪魔、死神なンてのもあンのか」

一方通行「そういやさっきから逆位置しか出てねェな」

一方通行「土御門のがノーカンなら違うかもしンねェが…」

キュゥゥゥン…

一方通行「?」

「あら、こんにちは」

一方通行「白井…」

白井「珍しくお一人ですの?」

一方通行「しょっちゅう誰かと一緒に居るイメージがあるか?」

白井「ええ。申し訳ありませんが」

一方通行「ハッ…ン、そういやオマエも一人じゃねェのか?」

白井「帰りの途中でして」

一方通行「そォか…風紀委員の…」

白井「ええ。今日は珍しく事件らしい事件も無く平和でしたので」

一方通行「あるもンだな、ンな日も…」

ピキィン…!

一方通行「ンだァ?今の音…」

白井「…」

一方通行「オイ、聴こえたか?今…の…」

白井「私ったら何を…早く戻らないと門限に間に合いませんの…」

一方通行「オイ?」

白井「はい?私ですの?」

一方通行「私ですの?ってオマエ何言って…」

白井「まっ、初対面の私に向かってお前とは…余程いい教育を受けてらしたんですわね」

一方通行「あァ?」

白井「大した御用も無いのでしたら失礼しますの」ヒュン

一方通行「ンだァ…?」
837 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:18:26.27 ID:Dx7Q4neB0
一方通行「なンだァ?白井の野郎…」

キッ バタン

一方通行「ン?」

黄泉川「ここじゃんか?」

「そうですね。よくスキルアウトが暴れてるって場所は…」

一方通行「オイ、黄泉川」

黄泉川「んん?」

「お知り合いで?」

一方通行「今日少し遅れて帰るからメシは先に喰って…」

黄泉川「いや、こんな目立つような少年は知らないじゃんよ」

一方通行「???」

黄泉川「そういや少年、遅れて帰るとかなんとか言ってたじゃんな。学生の分際で遅くまで出歩くのは感心出来ないじゃんよ」

一方通行「オイ、テメェもふざけてンのか?」

黄泉川「早く帰るのを促しただけじゃんよ。ふざけるなんてとんでもないじゃん」

一方通行「あァン?」

黄泉川「ほらほら、あとちょいしたら日も暮れるじゃん。帰った帰った」

「さすがに少し早いんじゃないですかね?」

黄泉川「んー?そうか?」

一方通行「…黄泉川」

黄泉川「ん、そういえばどうして私の名前知ってるじゃん?」

「生徒さんでは?」

黄泉川「こんな生徒が居たら一発で覚えるじゃんよ」

一方通行「オマエ、俺が誰か分かるか?」

黄泉川「だから君みたいな子は知らないじゃんよ。そんな目立つ容姿してたらたとえ昔に会ったとしても覚えてるじゃん」

一方通行(どォいうことだ…?)

一方通行(…仕方ねェ)カチ

黄泉川「それともここで自己紹介してくれるじゃんか…って…どこ行ったじゃん?」

「あれ?さっきまで居たと思うんですけどね…」
838 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:19:07.87 ID:Dx7Q4neB0
一方通行「ったく…白井とイイ黄泉川とイイ…」

一方通行「偶然のおふざけにしては息が合い過ぎてンな…」

一方通行「白井と話してる間に聴こえたあの音…そしてその直後の反応…」

タッ

一方通行「家に帰るためだけに能力を使うとはなァ…」

一方通行「まァイイ…不安を取り除く為だ…とっとと確かめて…」ガタン

一方通行「鍵…?」

一方通行「チッ…!」ドンドンドン

「はーい!ってミサカはミサカはお客さんのお出迎えを…」カチャ

一方通行「打ち止め…」

打ち止め「およ?」

一方通行「淡希でも絹旗でもイイ。呼ンでくンねェか…イヤ…オマエ、俺が誰か分かるか?」

打ち止め「んと…ムスジメかキヌハタのお友達?ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

一方通行「な…本当に俺が分かンねェのか?」

打ち止め「うーん…ちょっとミサカは覚えてないかも…」

一方通行(黄泉川とかはともかくMNWで俺をサポートしてる立場の打ち止めも俺の事が分かんねェだと?)

打ち止め「どうしたの?そんな怖い顔して、もしかしてお腹減ってたりする?ってミサカはミサカは推測してみる」

芳川「どうしたの?打ち止め…あら、新しいお友達?あなた本当に色々な人と仲良くなるのね」

打ち止め「ううん。他の誰かのお友達みたい」

芳川「そうなの?えっと…誰に用事かしら?よかったら呼ぶけど…」

一方通行(コイツも…)

芳川「君?」

一方通行「イヤ…もう遅いから今度にさせてもらう。手間かけたな…」

芳川「あ…」

一方通行(なンだなンだァ?一体どォいうことだァ?)

打ち止め「ヨシカワー!またタロットやってー」

芳川「タロット?ええと…どこに置いたかしら…」

一方通行(タロット…)

『塔の正位置』

『物事が終わっていくこと。困難な状況を与えてそれを自然の結果として崩壊を辿ることを意味してるわ』

一方通行「これを自然の結果として受け入れろってかァ?冗談でも笑えねェぞ芳川ァ…!」
839 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:19:40.52 ID:Dx7Q4neB0
一方通行「分かンねェことだらけだぞ…とりあえず家には戻れねェとして…」

一方通行「そォいや俺が居た証とかはどォなってンだ?俺の存在が忘れられてるとしても俺が今まで使ってた部屋とかは一体…」

一方通行「イヤ、この際ンなこと気にしてる場合じゃねェ…解決策を見付けねェとな」

一方通行「携帯は…多分使いもンになンねェだろォな…とすっと…」

一方通行「解決するまでは一人で行動か…一時的に前みたいな生活に戻るだけだ。大した問題じゃねェ…だが…」

一方通行「俺の演算補助はどォなンだ?妹達が打ち止めぐるみで存在を忘れていたらどォなる?」

一方通行「不確定要素だと認識されて弾かれて補助ストップは笑えねェ…」

一方通行「まずは何が起きたのか、俺を覚えてるヤツは居ンのか、それを調べるトコからだな」

一方通行「ったく…急に記憶喪失にでもなったみてェにすっぱりと忘れやがる。もしこれが能力者の仕業だったらタダじゃおかねェ」

一方通行「とりあえず寝泊まり出来るトコを探す事からだな…」


840 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/11(日) 22:21:40.03 ID:Dx7Q4neB0
これが最後のお話になります。
一体何が起きてるかは次で詳しく説明しようと思います。

タロットなんですけど…意味を明確にして出すっていうのが結構難しいんですよね…
もしかしたらちょっと合って無い部分があるかと思いますけど見逃してください…

では次回更新、近いうちに。
また会いましょう。
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/09/11(日) 22:56:54.32 ID:8/eEu7kI0

最後に出てきた二人は誰だろう?
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 02:24:39.49 ID:FmTcUbPso
最後…だと…!? 
846 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:30:45.65 ID:Ke8RlBl70
カン…カン…カン…

一方通行「とりあえず前住んでた場所に来たが…」

一方通行「部屋ン中ははヒデェまンまだな」

一方通行「スキルアウト共に荒らされてももっぱら放置だったからなァ…」

一方通行「…」

一方通行「…」ペラッ

一方通行「魔術師の正位置…未来への可能性、物事の始まり…」

一方通行「…未来への一歩を踏み出す時」

一方通行「こじつけくせェが案外合ってンのかもな」

一方通行「さて、どうしたもンか…」

『…で…から…』

一方通行「?」

『…いえ……』

一方通行「外か?」カラッ

『はあ…それでですね…』

一方通行「海原…」
847 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:31:13.97 ID:Ke8RlBl70
海原「だから一度調査をですね…」

海原「何かあってからでは遅いので、ええ…」

一方通行「電話か」

海原「記録では4人居たとなってるんです…そうです。我がグループがです」

一方通行「…」

海原「え?誰と言われましても…4人居たとしか情報が残っていなくてですね…」

一方通行「暗部の情報も操作されてンのかァ?」

海原「自分、結標さん、そして土御門さんじゃないですか?あと1人、誰か居たらしいんですよ」

一方通行「案の定、抜けてンのは俺か。これだけの情報操作をするってことは一能力者じゃねェのか…?」

海原「自分でも調べました。ですが分からずじまいで…それで土御門さんに…」

パラッ

一方通行「ッ!マズッた…!」

海原「はい……おや?」スッ

海原「いえ、何やら上からタロットが…魔術師…」

海原「あなたのでしょうか?このタロット」

一方通行「チッ…そォだ」

海原「落とされましたよ」

一方通行「…」

海原「こちらに置いておきましょうか?」

一方通行「イヤ…イイ…」タンッ
848 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:31:40.99 ID:Ke8RlBl70
ズダッ!

海原「あの高さから降りて来るとは…」

一方通行「悪いな」

海原「いえ。無傷ということはなんらかの能力者でしょうか?」

一方通行「まァな」

海原「そうですか」

一方通行「…」

海原「申し訳ありません。また掛け直します」ピッ

一方通行「気にする必要はねェぞ」

海原「相手が気にするものでして」

一方通行「そォかい」

海原「珍しいですね。学園都市の学生でありながらタロットをお持ちとは」

一方通行「知り合いからの借りモンだ」

海原「そうですか」

一方通行「あァ」

海原「ふふっ」

一方通行「なンだァ?」

海原「いやはや…本当に珍しい…お名前を聴いても?」

一方通行「一方通行」

海原「一方通行…本名ではありませんね。コードネームか何か?」

一方通行「そンなもンだ」

海原「なるほど。縁があったらまたお会いしましょう。では」ザッ

一方通行「…」
849 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:32:15.47 ID:Ke8RlBl70
第七学区・中心街


バードウェイ「…だからだな…おい!聴いてるのか!?」

垣根「…」

バードウェイ「私はお前のことを…」

piririririri

バードウェイ「…くっ!大事な時だというのに…!」

バードウェイ「私だ」ピッ

垣根「…」スタスタ

バードウェイ「何?」

垣根「…」スタスタ

「今すぐにか?」

垣根「…」スタスタ

「いや、別に不都合は…」

垣根「うざってぇガキ…」

垣根「ただ単に放置じゃなくて記憶を混乱させるぐらいの一工夫したほうがよかったか…」

ドン

垣根「ふん、気をつけろよ」

一方通行「あァ…?」

垣根「ムカついた…ズイブンと目立つナリしてんじゃねぇか。大きく出りゃ絡まれないとでも思ったか?」

一方通行「逆だ。このナリでどンなバカが引っかかるか楽しみで仕方がねェな」

垣根「面白ぇ…!」ピキ

心理定規「帝督!」

850 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:32:43.25 ID:Ke8RlBl70
垣根「心理定規…」

心理定規「何してんの、こんな所で」

垣根「別に。世間知らずのクソ野郎に上下関係ってのを分からせようと思ってな」

心理定規「そういう事はもうしないって約束してくれたはずよ」

垣根「確かにそうだがコイツだけは別だ。よく分かんねぇが闘争心ってもんが湧いてきてな」

心理定規「らしくない。この人から感じる何かでもあるの?」

垣根「…」

一方通行「…」

垣根「なんか知んねぇけどよ…ムカつくんだよなぁ…」

一方通行「それは俺に対してか?」

垣根「かもしんねぇが…お前が誰か分かんねぇ自分に対してかもな」

一方通行「へェ…」

心理定規「まったく…ほら、行くわよ。貴方も今度は彼に必要以上に絡まないことね」

一方通行「どォしてだ?」

心理定規「貴方が勝てるような人じゃないから、とだけ言っておくわ」

一方通行「ナルホド、ね」

垣根「…」

心理定規「ほら」
851 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:33:10.43 ID:Ke8RlBl70
一方通行「…死神の逆位置」

垣根「あ?」

心理定規「?」

一方通行「タロットを知ってるか?」

垣根「生憎、占いは信じないタチでな」

一方通行「何かの始まりを意味する」

垣根「テメェのくだらないタロット談義か?」

一方通行「過去を取り戻すチャンスの訪れ…」

垣根「似合わねぇな。失ったチャンスは二度と掴む事は出来ねぇ」

垣根「タロットなんて信じる前に自分を信じてみたらどうだ?」

一方通行「復縁」

心理定規「復縁?」

垣根「おい」

一方通行「失った人間関係。仕切り直すチャンス。そういう意味だ」

垣根「…行くぞ。時間の無駄だ」

心理定規「え、ええ…」

一方通行「チッ…」

一方通行「何かとタロットを引き合いに出すようになってンな…」

一方通行「他に頼るモンが無ェからタロットに頼ってンのかね…?」
852 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:33:39.45 ID:Ke8RlBl70
翌日

一方通行「ロクに解決策も出ねェまま一日が経ったか…」

一方通行「都合良く解決に向かってはいねェだろォな」

一方通行「面倒だな…一体どォしたもンか…」

一方通行「…」

一方通行「同じレベル5にあたっていくか…俺の居た場所がどォなってンのかも気になるしな」

-----------------------柵川中学-----------------------

一方通行「一人一人探すのはイイが削板の場所だけはどォしても分かンねェな…確かめる意味も込めて風紀委員連中から行くか」

一方通行「確か風紀委員は…と」

一方通行「ここか」ガンガン

ウィーン

一方通行「ン…」

白井「そんなにお強く叩かなくてもちゃんと中に伝わっていますの」

一方通行「人を捜してる」

白井「おや…あなたは昨日の…」

一方通行「中、入らせてもらうぞ」

白井「え?あ、どうぞ…?」
853 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:34:08.18 ID:Ke8RlBl70
初春「白井さん、お客さんですか?」

白井「人を捜してる、らしいんですの」

初春「人捜しですか?」

一方通行「名前を言う。書庫でも監視カメラでも使えば一発だろ」

白井「見付けられる保障はありませんのよ?」

一方通行「そン時はそン時だ」

初春「じゃあ名前お願いします」

一方通行「削板軍覇」

初春「削板…?なんだ、削板さんを捜してたんですか」

一方通行「居場所分かンのか?」

初春「私が知ってるわけじゃありませんけどね」

一方通行「教えてもらォか」

初春「ちょっと待っててください。今、聴いて…」

白井「もしかして昨日は人捜しの件で?」

一方通行「そンな所だ。あと…」

白井「はい?」

一方通行「一緒に六位の居場所も出せるか?」

白井「六位…ですか…」

一方通行「無理ならイイ。期待はしてなかったからな」

白井「は、はあ…」

初春「分かりました」

一方通行「早いモンだな」

初春「削板さんは今…」
854 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:34:34.09 ID:Ke8RlBl70
-----------------------第七学区・とあるデパート-----------------------

一方通行「ここか」

一方通行「しかし…こう人が多いと見付けンのも一苦労だな」

一方通行「話だと女と一緒に居るって言ってたが…」キョロ

一方通行「アソコで座ってるヤツか」

ザッ

削板「えっとこれがここで…」

佐天「まだですかー?」

削板「もう少し…もう少し…」

佐天「早くパズル完成させないとキャンペーンに間に合いませんよー」

ザッ

削板「ん?」

一方通行「削板、テメェに聴きてェ事がある」

削板「聴きたい事…?」

佐天(白っ!何この人!)

一方通行「この学園都市の第一位について分かることがあったら教えてくれ」

削板「第一位?スマン、知らないな」

一方通行「一方通行っつゥ名前か能力に聞き覚えは?」

削板「知らないし、聴いたこともないな」

一方通行「そォか邪魔したな」
855 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:35:08.75 ID:Ke8RlBl70
-----------------------学舎の園-----------------------

一方通行「一方通行っつゥ奴を知ってるか?」

食蜂「うーん、そんな人は私の記憶には無いわぁ。私の記憶力が何よりの証拠よぉ」

一方通行「そォか。悪いな」

食蜂「私までたどり着いたご褒美よ」

一方通行「ハッ」

-----------------------学舎の園-----------------------

一方通行「御坂美琴」

御坂「へっ?あんた誰よ」

一方通行「誰でもイイだろ。一つ聴きたいことがある」

御坂「聴きたいこと?」

一方通行「第一位についてなンか分かってることはあるか?」

御坂「分かるもんなら私が知りたいわよ。その…第一位だっけ?」

-----------------------とあるファミレス-----------------------

一方通行「麦野沈利」

麦野「…何、あんた」

一方通行「一位についてなんか知ってるか?」

麦野「はぁ?そんなの私が知ってるわけないでしょ。居ないんじゃないの?一位なんてさ」

一方通行「だろォな…」

麦野「てかあんた、何で私の名前知ってるわけ?」

麦野「私周り調べ回ってんじゃないでしょうね?」

一方通行「アイテムを知ってる」

麦野「へぇ、それで?敵なの?味方なの?」

一方通行「敵じゃねェが味方ってワケでもねェよ」

麦野「あっそ。まぁいいわ、第一位だっけ?あっちに居る子達にも聴いてみたら?余計な事結構知ってるからね…」

856 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:35:35.37 ID:Ke8RlBl70
一方通行「少し聴きたいことがある」

浜面「へ?誰?」

一方通行「麦野の知り合いだ。話は通してあっから、一位について教えてくれ」

浜面「一位の事?お前ら分かるか?」

絹旗「一位ですか?分かるかと聴かれても超周知の事実しか出て来ませんよ?」

フレンダ「結局、一位なんて都市伝説でしょ?そんな存在、見た事も聴いた事もない訳だし」

滝壺「わたしもそう思う」

黒夜「知ってるかって聴かれても知らねぇとしか言えねぇよな」

一方通行「その周知を教えてくれ。分かンねェことだらけでな」

絹旗「ふむ、でしたら一応話しますが超知ってることだと思いますよ?」

絹旗「まず一位なる人物は存在しない。これは超大前提の話です」

絹旗「次、一位の座はこれから先、永劫に空白の座席」

絹旗「既に二位として地位を築いてる垣根は一位にはなれません。何をしてもです、これは他の能力者全てに言えます」

絹旗「一位に値する能力者は現れない。故に一位の座席は空いたままであり、一位は存在しない」

絹旗「本当は言っちゃダメなんですけど垣根が素養格付を確認したからこれは絶対です。一位は現れない、ということが」

絹旗「あ、垣根って分かりますかね?第二位なんですけど…」

黒夜「一位ってのはまさに名ばかりで実物が無いんだ。だから実質、二位のチンピラが一位だけどな」

浜面「てもそれをアイツに言うと怒るぜ?」

滝壺「もういいの?」

一方通行「あァ、手間かけたな」

フレンダ「結局なんだった訳?」

絹旗「まあ簡単に言って一位に相応しい人間が…あれ?帰っちゃいました?」

浜面「初対面相手に随分と話したな」

絹旗「いえ、超他人のような気がしなくてですね」
857 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:36:07.94 ID:Ke8RlBl70
-----------------------スクール-----------------------

ガチャ

垣根「…誰だ?」

一方通行「俺だ」

垣根「テメェは昨日の…!」

一方通行「聴きてェことがある」

垣根「俺がはいそうですかって答えるとでも?」

一方通行「昨日の件は謝る。同時に俺はお前の敵でもねェ。それだけは頭に入れとけ」

垣根「…まあいい」

一方通行「第一位について知ってること、覚えてることを言え」

垣根「第一位、ね。そんなのは記憶にねぇな。俺が二位止まりで一位が居ないってのはおかしな話だがな。存在しない一位が為に俺が二位なんだ、納得いかねぇな」

垣根「つーかよ」

垣根「お前、誰だ?」

垣根「なんで俺に一位のことなんざ聴いて来た?一位が居ないってのは周知の事実のハズだ。なんでそんな事をわざわざ俺に…オイ、どこ行く気だ?話は終わってねぇぞ?」

一方通行「悪ィな。聴きたい事は聴いたから俺はオマエに話はねェンだわ」

垣根「は?俺の話が終わってねぇって意味だよ」

一方通行「俺は終わった。じゃァな」

垣根「チッ、意味分かんねぇな…」

垣根「しかも…なんでこのアジトの場所まで知ってやがんだ?」

垣根「…」ピッ

垣根「おい、今から言う奴について調べてくれ」

垣根「白髪で赤眼の…」
858 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:36:40.26 ID:Ke8RlBl70
数時間後

一方通行「大人連中には聴き終わったし…大体は潰せたな」

一方通行「話聴いた限りじゃ俺の代わりに一位になったヤツは居ねェみてェだな」

一方通行「木山や絹旗の言ってた素養格付から俺の情報が無くなってるあたり、かなり大規模な情報操作が行われたようだ」

一方通行「木原も黄泉川も、芳川も冥土帰しも俺についてなンも知らねェようだし…」

一方通行「となると残りは妹達か…MNWについて少し聴きゃ分かンだろォが…」

一方通行「…ン?」

海原「ご苦労様でした」

土御門「本当だぜい」

一方通行「丁度イイ…」

海原「では明日は…おや、あなたは昨日の…」

一方通行「少し時間イイか?」

土御門「知り合いか?」

海原「ほら、先程お話したタロットの…」

土御門「ああ、一方通行とか言う…」

海原「ええ。それで何か御用でしょうか?」

一方通行「一位の存在についてどォ思う?」

海原「はて…第一位…ですか?申し訳ありませんが自分は分かりかねます」

一方通行「オマエはどォだ?」

土御門「ん、第一位だと?さぁな、居たような居なかったような…。もういいか?妹を待たせてるんだ」

海原「失礼、こちらも解散の寸前だったもので…」

一方通行「悪いな。手間取らせた」

海原「いえ。ではお気をつけて」
859 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:37:10.40 ID:Ke8RlBl70
-----------------------病院-----------------------

一方通行「冥土帰しントコに行った時に妹達に話を聴いときゃよかったな」

一方通行「どいつに聴くのが正解かね…」ウィーン

一方通行「冥土帰しに用があンだけどよ」

「…少々お待ちください」

一方通行(さすがに二回目だ。これが通るか分かンねェが…)

「お待たせしました。ただ今休憩中とのことですのでお部屋までご案内致します」

一方通行「イヤ、さっきも来たから場所は分かる。案内の必要は無ェ」

「そうですか?」

一方通行「あァ」

「分かりました。ではエレベーターをお使いどうぞ」

チンッ ガーッ

一方通行「休憩室…っと…ア?」

御坂妹「…」テクテク

一方通行「ちょォどイイ。オイお前」

御坂妹「はい?お前とはミサカの事でしょうか?」

一方通行「そォだ。10032号さンよォ」

御坂妹「ミサカの検体番号が分かるとは…ただ者ではありませんね」

一方通行「いくつか聴きてェ事がある」

御坂妹「なんでしょうか?出来れば手短にお願いします、とミサカは後の予定を心配し対応します」

860 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:37:51.63 ID:Ke8RlBl70
一方通行「第一位っつゥ人物について何か知ってるか?」

御坂妹「第一位ですか…いえ、ミサカはそのような方は知りません、とミサカは正直に対応します」

一方通行「そォか。ンじゃ次の質問だ」

御坂妹「どうぞ」

一方通行「オマエはなンの目的で産まれて来た?」

御坂妹「ミサカ達はレベル5の量産計画という実験の果てに産まれた疑似レベル5です」

一方通行「疑似レベル5?オマエのレベルはいくつなンだ?」

御坂妹「3です」

一方通行「…お前より若い検体番号は存在すンのか?」

御坂妹「存在はしますが今は居ません。レベル5として能力を試すための様々な実験の前に倒れました。ちなみ実験自体はもう中止となっています」

一方通行(体よく改変されてやがンな)

御坂妹「他に何か?」

一方通行「MNWについて一つ」

御坂妹「MNWも知ってるのですか?やはりただ者ではないようですね」

一方通行「今現在、MNWはなンらかの演算の補助をしてるか?」

御坂妹「現在、能力者の脳波リンクシステムの演算の補助をMNW全体で行っています」

一方通行「ンだそりゃ」

御坂妹「要約して、一定周期で脳波を調べ第一位の候補を捜すシステムの事です」

一方通行「なるほど…それ以外には?」

御坂妹「いえ、これだけです」

一方通行(俺の補助が続いてるトコを見ると無意識下で補助をしてるみてェだな。気付かないってのも少しおかしな話だがまァイイ)

861 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:38:17.86 ID:Ke8RlBl70
一方通行「ちなみに」

御坂妹「はい?」

一方通行「打ち止めと番外個体はどこに居るか分かるか?」

御坂妹「番外個体?ああ、彼女の知り合いでしたか」

一方通行「そォいうワケじゃねェンだが…まァイイか」

御坂妹「ちょうどその二人と待ち合わせをしていたところです。よければご一緒にどうぞ」

一方通行「そォさせてもらう」

御坂妹「待ち合わせと言ってももう、すぐ近くに居るようですが」

番外個体「はろー」

打ち止め「はろはろー」

御坂妹「こんにちは。上位個体」

一方通行「…」

御坂妹「用があるのでしたら今のうちにどうぞ」

一方通行「番外個体」

番外個体「?」

一方通行「物知りなテメェに聴くが第一位が誰か知ってるか?」

番外個体「えっ?一位?そんなのミサカが知ってるわけないじゃーん!ひひっ」

一方通行「そっちのガキはどォだ?」

一方通行「MNWでも何から調べた情報でもイイ。そォいう人物が居ンなら教えてほしい」

打ち止め「うーん…ミサカもそういう人は知らない…え?MNW?お兄さんMNWを知ってるの?ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり…」

一方通行(分かりきった返答だったな。これ以上は無駄か)

一方通行「時間取らせたな。悪い」ザッ

御坂妹「おや、もういいのですか?」

一方通行「あァ。本当にコレだけだからな」

御坂妹「そうですか。ではお気をつけて」

打ち止め「あ、ていうかあのお兄さんは昨日の…」

番外個体「ねぇー今の誰ー?」

御坂妹「え?」
862 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:38:46.51 ID:Ke8RlBl70
数時間後

一方通行「チッ、どォいう事だァ?」

一方通行「どいつもこいつも同じような反応しかしねぇ」

一方通行「この様子だと携帯使って粗方探しても無理そうだしよォ…一体どォして…ン?」

一方通行「なンだ?急に人通りが…」

ザッ

一方通行「二人か…なンか知ってるクチみてェだな」

「第一位の方ですね?」

一方通行「あン?」

「良かった。やっと会えました」

一方通行「オマエ等俺を知ってンのかァ?」

「僕は君の事はよく覚えてるけどね?」

一方通行「テメェはあン時の…」

「結論から言います第一位。私達はあなたを知っています」

「当然僕も知ってるよ」

一方通行「あァ?」

一方通行「オマエ等、今覚えてるって言ったなァ?俺の存在が無くなったンじゃなく忘れられたってことなのか?」

ステイル「そうだね。第一、君の存在が無くなったのなら君はこうしていないからね」

神裂「さて、何からお話しましょうか…」

ステイル「いきなり核心を話したらいいじゃないか」

ステイル「一方通行、よく聴いてくれよ?今、この学園都市にはある一つの魔術がかけられている」

一方通行「魔術…」

ステイル「魔術と触れるのは初めてじゃないみたいだね。じゃあ続けようか」

ステイル「その魔術の効果はね、対象となる人物の情報を強烈に操作し、その存在を人の記憶から無くす魔術だ」

神裂「納得のいくように説明するとですね…今、この学園都市はあなたが居なかったものとして機能するよう、都合よく情報が操作されているということです」

一方通行「都合よく、ねェ?」

神裂「心あたりあるようですね」
863 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:39:29.33 ID:Ke8RlBl70
ステイル「この魔術は結構手間のかかるものでね。その手間を考えて大層な名前を付けられているんだ」

ステイル「忘却の大魔術、とね」

一方通行「大魔術だとォ?」

ステイル「実は結構素敵な魔術なんだ」

一方通行「忘却ってよりは無かったことになっているみてェだがな」

ステイル「普通に記憶を消したんじゃ本能でどこか覚えてるものなんだ」

ステイル「忘却の言葉に忠実になるなら、そっちのほうが合ってるのさ」

一方通行「ンで?誰がなンのために俺にそンな魔術をかけたンだ?」

ステイル「君にじゃない、学園都市にかけられたんだ」

一方通行「…」

ステイル「そんなことをしたのは僕たちの仲間内だ。残念なことにね」

神裂「学園都市を攻めるとなれば一番の障害となるのは上位の能力者達です。その障害を無くし、攻めやすくするための下準備だったのでしょう」

ステイル「ちなみに犯人はもう捕まえてあるから」

神裂「後はこの魔術を解くだけなのですが…」

ステイル「大魔術とかって言われてるから犯人を捕まえて容易に解けるものじゃないんだよね」

一方通行「だろォな。じゃなきゃ魔術と関係のあるオマエ等がわざわざ俺の前に姿を現せる意味が無ェ」

ステイル「その通り。どっかの幻想殺しと比べて理解が早くて助かるよ」

一方通行「ンで?その魔術を解くにはどォすンだ?」

神裂「…」

ステイル「…君が言いたまえよ」

神裂「え?私がですか?」

ステイル「僕が言っても気持ち悪いだけだろ?」

神裂「…」

一方通行「早く言え」

神裂「この魔術を解く方法は…」

神裂「忘却の対象となった人物が、自分を最も愛してる人物に本名を言わせることです」

一方通行「ナニ?」
864 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/15(木) 22:40:05.95 ID:Ke8RlBl70
ステイル「つまり、君の事を一番愛してる人に君の本名を言わせるんだよ」

一方通行「ンだそりゃ…」

ステイル「素敵な魔術って言ったじゃないか」

神裂「本名というものは魔術師の間でもかなり重要なものなのです。それを軸に置いた面倒な魔術なのですが…」

ステイル「能力者にはあんまり関係ないだろ?」

神裂「ですが一つ問題がありまして…」

一方通行「なンだ」

ステイル「この魔術をかけられたら、その愛してる人物と簡単に会えないんだよね」

神裂「会えたとしてもその出会いでいかに本名を呼ばせるかなんですが…」

ステイル「適当にやればいいんだ。出会いがしら自己紹介をして名前を呼ばせればいいんだから」

神裂「あとは誰が自分を愛してるのか、ですね」

ステイル「昔にも同じことがあってね」

ステイル「対象になった奴は既婚者だったからまっさきに妻の所に行って名前を呼ばせたんだが…」

神裂「魔術は解かれなかったんです」

ステイル「じゃあどうしたのかって言うとね、正解はご両親だったんだ」

神裂「一概に誰が自分を愛してるのかを決め付けられないのがこの魔術、最大の面倒な部分です」

ステイル「妻や恋人以上に愛してる人が居るかもしれないからね」

一方通行「…」

ステイル「さ、早く魔術を解こうじゃないか。じゃないと僕達イギリスに帰れないんだよ」

神裂「時間はかけても結構です。脅威はひとまず収まりましたので」

一方通行「俺の本名…」

ステイル「あ、そうだ。念のため自己紹介をしておくよ」

神裂「神裂火織です」

ステイル「ステイル=マグヌス。僕達、正真正銘の魔術師だよ」

一方通行「…一方通行だ」 
870 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:11:43.78 ID:9IBHb6yg0
-----------------------翌日・スクール-----------------------

心理定規「帝督、昨日言われた事だけど」

垣根「なんか分かったか?」

心理定規「全然。書庫にもどこにもそんなデータは無かったわ」

垣根「書庫にも?素養格付はどうだ?」

心理定規「同じよ。貴方の言う白髪で赤目の能力者に関する情報なんてどこにも無かったわ」

垣根「?」

心理定規「能力者じゃないんじゃない?」

垣根「いや、学園都市に居る以上は何かしらの能力があるはずだ」

心理定規「だから、無能力者だったら?」

垣根「本物の?」

心理定規「そう。珍しい本物の無能力者」

垣根「もしそうだとしたら素養格付にデータが無いのは頷ける」

心理定規「書庫は?」

垣根「そこは納得がいかねぇ」

心理定規「なら自分で調べてみたら?」

垣根「……なら別の方法で調べる」

心理定規「例えば?」

垣根「本人に直接聴くとかよ…!」
871 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:12:09.81 ID:9IBHb6yg0
心理定規「本人に?」

垣根「そうだ。直接探して、んで聴いてくる」

心理定規「どうしてそこまでして彼にこだわるの?」

垣根「理由なんざ無ぇよ。そうしなきゃ俺の気が済まないだけだ」

心理定規「変なの」

垣根「どうとでも言ってくれ…」

『自覚してる』

垣根「被ったな」

心理定規「言うと思ったわ」

垣根「はぁ…」

心理定規「で?」

垣根「出掛けてくる」カチャッ

心理定規「一人で探すの?」

垣根「書庫にも載ってねぇような奴を他の誰かが知ってるとは思えないからな」

心理定規「なんで…」

垣根「あ?」

心理定規「なんで彼はあんなにも自信ありげだったのかしら」

垣根「昨日の奴か?」

心理定規「ええ。負けない根拠でもあるかのような振る舞い」

垣根「じゃあ根拠があったんだろ」

心理定規「誰か一緒に連れてったら?」

垣根「…考えとく」
872 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:12:41.77 ID:9IBHb6yg0
-----------------------学舎の園周辺-----------------------

御坂「チッチッチッチッ…」

ニャー!

御坂「ああもう!また逃げられたわ!」

御坂「やっぱ無理なのかしらね?」

御坂「とりあえず追っかけ…て?」

ニャア…

御坂「あら…」

垣根「第三位」スッ

ゴロゴロ…

垣根「猫と追いかけっことはな」

御坂「あんた猫似合わないわね。さっさと降ろしなさいよ」

垣根「自分に懐かないと分かってその反応か」

御坂「うるさいわね」

垣根「どうせ暇してるんだろ。少し付き合え」

御坂「心外ね」

垣根「上条居ないんだろ。知ってんぞ」

御坂「う…」

垣根「暇と見た。来い」

御坂「何させる気?」

垣根「簡単なお仕事だ」

御坂「簡単ねぇ…」
873 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:13:07.75 ID:9IBHb6yg0
御坂「お仕事って売春でもさせられるのかしら」

垣根「お前は俺にそういうイメージを持ってんだな」

御坂「あのねぇ、いくら真摯に謝られても前のイメージが板に付いてるから」

垣根「まあいい。それで肝心の仕事内容だがな」

御坂「とっとと話してちょうだい」

垣根「ただの人捜しなんだが場合によっては戦うかもしんないから」

御坂「いやいやいや、なんでただの人捜しで戦闘が発生すんのよ。その時点でもうただのじゃないから!」

垣根「その捜してる奴がヤバい奴だったらの話だ」

御坂「で?誰を探してるワケ?」

垣根「白髪のモヤシだ」

御坂「白髪?」

垣根「オマケに赤目だ」

御坂「赤目で白髪?」

御坂「もしかしてその人、首にチョーカーしてる?」

垣根「なんだ知ってんのか。なら話が早い、そいつを探してる」

御坂「知ってるっていうか…」

垣根「なんだよ」

御坂「一回話しただけだから」

垣根「何を話したんだ?」

御坂「第一位がどうたらって」

垣根(俺にだけ聴いたわけじゃなかったのか。しかし、なぜ頑なに第一位の情報を得ようとしてんだ?)
874 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:13:37.49 ID:9IBHb6yg0
垣根「そんなモン、手に入れたってしょうがねぇのによ」

御坂「え?」

垣根「あ?」

御坂「?」

垣根「とりあえずお得意のハッキング能力と風紀委員周りの人脈で捜せ。だからお前を選んだんだ」

御坂「大して嬉しくないわね」

垣根「他の連中と比べてお前が一番役に立ちそうだったからな」

御坂「はぁ?」

垣根「順位も一応上の方だし、なんかあった時に大丈夫かと思ってな」

御坂「ハナから戦闘ありきじゃない」

垣根「そうだな」

御坂「そうだなって…」

垣根「ほら、早く調べろ。名前と能力ぐらいは明らかにしろよ」

御坂「え?名前も分かんないの?」

垣根「聴く意味が無いと思ったから」

御坂「よくそれで捜そうと思ったわね」

垣根「うるせぇ、早くしろ」

御坂「ったく…」

垣根「時間はかかってもいい。だから正確な情報を叩き出せ」

御坂「そんなの…ていうか学園都市に住んでんだからすぐ出るでしょ」

垣根「だといいけどな」

御坂「?」
875 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:14:06.70 ID:9IBHb6yg0
ステイル「あれが第二位かい?」

神裂「写真と一致してるのでおそらくは…」

ステイル「いくら情報を集めても無駄なのにね」

神裂「調べなきゃ気が済まないのでしょう」

ステイル「学園都市の情報をここまで消せるんだ。大した魔術だよ」

神裂「ちゃんと戻るんですか?」

ステイル「ん?何がだい?」

神裂「その…でーたーとやらは」

ステイル「ああ、データか。多分戻るんじゃないかな」

神裂「やはり上条当麻も連れて来た方が…」

ステイル「無駄だね。魔術にかかっているからと言っても幻想殺しでどこを触らせたらいいのかも分かんないんだよ?」

ステイル「連れて来たからと言っても解決に繋がるワケじゃないんだ」

神裂「ですが…」

ステイル「神裂。今はインデックスも一緒なんだ、離すわけにもいかないよ」

神裂「ステイル…」

ステイル「それに一方通行ならすぐ解決してくれるだろ。頭の出来も段違いなんだから」

神裂「そういえば彼は…」

ステイル「行く所があるとかでどこかに行ったよ」

神裂「はあ」
876 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:14:39.81 ID:9IBHb6yg0
-----------------------数時間前-----------------------

ステイル「それで?」

一方通行「ア?」

ステイル「君の本名はなんだい?」

一方通行「一方通行だつってンだろ」

ステイル「それは僕達でいう魔法名みたいな物だろ?別に本名があるはずだ」

一方通行「苗字は二文字、名前は三文字」

ステイル「なぞなぞをやってるわけじゃないんだけどね」

一方通行「普通の名前だ」

ステイル「普通のってねぇ…」

一方通行「充分だろォが」

ステイル「全然」

一方通行「ふン」

ステイル「もしかして」

一方通行「?」

ステイル「ずっと一方通行だったから本名を忘れたとかじゃないよね?」

一方通行「…さァな」

ステイル「変わってるよ」

一方通行「能力者ってのは変人の集まりだ。期待はすンじゃねェよ」

ステイル「まったくだね」

一方通行「少し、別行動をする」

ステイル「僕達はどうすれば?」

一方通行「適当にうろついてろ」

ステイル「適当にって…居なくなってるし」
877 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:15:10.77 ID:9IBHb6yg0
神裂「そんな事が…」

ステイル「困ったもんだよ。名前を聴けばそれなりに動けるかもしれないのに言わないなんて…」

神裂「もしかしたら彼は…」

ステイル「今度はなんだい?」

神裂「名前を忘れたんじゃなくて、私達に言いたくないのかもしれません」

ステイル「どうして」

神裂「何か悪い事でもあったのかもしれません。だからずっと一方通行と名乗っていたのかも…」

ステイル「…そうかもね」

神裂「元々、彼の本名なんか誰も分からない、そういう事なのかも知れません」

ステイル「ふーん…」

神裂「彼は何歳から学園都市に居たんでしょうね」

ステイル「それこそ本人に聴きなよ」

神裂「聴けませんよ。こんな核心を付くようなこと」

ステイル「この街は色々と不思議が多いね」

神裂「ええ。一番不思議なのは高位能力者の御両親です」

神裂「色々と黒い噂も聴きますし…それに暗部の事も…」

ステイル「もしかしたらとっくに親なんてなくしてるのかもね」

神裂「…移動するみたいですよ」

ステイル「一応追いかけてみようか。せっかく見つけた第二位と第三位だし」
878 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:15:37.02 ID:9IBHb6yg0
-----------------------とある廃施設-----------------------

カツ

一方通行「ここが始まりか」

一方通行「特例能力者多重調整技術研究所」

一方通行「通称特力研」

一方通行「…」

一方通行「あの見慣れたジャージは…」

スッ

一方通行「オイ、ここで何してる」

黄泉川「!」

一方通行「…」

黄泉川「君は昨日の…こんな所で何してるじゃんよ」

一方通行「聴いてンのはこっちだ」

黄泉川「私は…お参りじゃんよ」

一方通行「こんな所にか」

黄泉川「てことはここが何なのか知ってるじゃんね」

一方通行「あァ」

黄泉川「ここでたくさんの子供達が死んでいったじゃん。私がここを解体したのは既に何人も死んだあとだった」

黄泉川「ロクに供養もしないで放り投げたまんま。もっと早く動けてれば死なさずに済んだかもしれない…」

黄泉川「だから、せめてもの気持ち。こうやって色々な人に代わって私がお参りしてるじゃんよ」

一方通行「ナルホドな」

黄泉川「君は?」

一方通行「昔居たトコが懐かしくなってな」
879 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:16:03.36 ID:9IBHb6yg0
黄泉川「昔居た所って…まさかここに居たってことか?」

一方通行「あァ」

黄泉川「そうか…無事生きたまんま出られた子も居るじゃんか…」

一方通行「…」

黄泉川「他の子、他の子はどうじゃん?誰でもいい、一緒に居た施設の子…」

一方通行「さァな。案外、生きてンのは俺だけかもな」

黄泉川「そう…か…」

一方通行「オマエ、虚数研や叡智研も潰したろ」

黄泉川「知ってるじゃんか?」

一方通行「知ってるだけだ」

黄泉川「君は一体何者じゃん?」

一方通行「俺の名前は…」

黄泉川「…」

一方通行「イヤ、違うな。オマエじゃねェ」

黄泉川「は?」

一方通行「俺は一方通行。そう呼べばいい」

黄泉川「一方通行…?」

一方通行「底を潰しまくったのは誇れる事だ。他の野郎に代わって感謝ぐらいはしてやる」

黄泉川「待った」

一方通行「ア?」

黄泉川「一方通行に家族同然の人は居るじゃんか?」

一方通行「今捜してる途中だ」

黄泉川「見付かるといいな」

一方通行「見付けるつもりだ。俺は俺の平穏を取り戻す、それだけだ」
880 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:16:35.22 ID:9IBHb6yg0
-----------------------第一七学区・操車場-----------------------

一方通行「…」

一方通行「ここで俺は三下に…」

一方通行「ったく、面倒なモンに巻き込まれたもンだな」

一方通行「…」ピッ

一方通行「刑死者の正位置」

一方通行「慈愛や献身の意味、自身の不利を受け入れることで結果を得られる、か」

一方通行「結果が次第に見えてくる、ね」

「今のお前が不利を受け入れたとこで得られる結果は無残な未来だ」

一方通行「この声は…」

垣根「また会ったなクソヤロウ」

一方通行「横のは第三位か」

垣根「ああ。こいつの能力のお陰でお前を見つけられたようなもんだな」

御坂「…」

一方通行「何の用だ」

垣根「テメェがなんで第一位について嗅ぎ回ってんのか気になってな」

一方通行「特に意味はねェよ」

垣根「ふざけんな。その答えじゃ俺は満足出来ねぇ」

垣根「ここに居る第三位を含め、他の連中も第一位について聴かれたって言ってる」

垣根「勿論、他のレベル5もな」

一方通行「…」

垣根「意味の無い事を調べてるにしちゃ少し不自然なんだよ」

一方通行「深読みしすぎなンだよ」

垣根「用心するに越したことはねぇ」

御坂「私からも一ついいかしら?」

一方通行「ア?」
881 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:17:10.87 ID:9IBHb6yg0
御坂「あんたってもしかして第一位になろうとしてるの?」

一方通行「ンだそりゃ」

御坂「私の想像。こいつに聴いた話だと…」

垣根「つまりだ。お前が少し目障りなんだよ」

一方通行「理由になってねェな」

垣根「はっ、何の理由だ?」

一方通行「オマエが俺に攻撃をしてくる理由だよ、チンピラ」

ドボッ!

垣根「チッ、スカしたか」

一方通行(容赦無く攻撃してきたか)

御坂「ちょっと!戦闘はしないんじゃなかったの!?」

垣根「コイツは何か隠してる。捕まえて吐かせるだけだ」

一方通行「やるってンなら仕方ねェ」

垣根「ふん、一応名前を聴こうか」

一方通行「一方通行」

垣根「とんだ自己紹介だ」

御坂「一方通行…」

一方通行「あいにく名乗る名前が無くてな」

垣根「ほざけ」ドンッ

ギュゥゥゥゥゥゥッ…!

一方通行「なンだそりゃ」

垣根「俺の能力だ」

一方通行「未元物質で自分を包んでの弾丸特攻か」

垣根「殺しはしねぇよ」

一方通行「奇遇だな」

ドゴッ!!
882 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:17:40.35 ID:9IBHb6yg0
垣根「い…ぎっ…!」

御坂「!?」

一方通行「相手を見ねェからだ」

垣根「んだと…?」

御坂「ちょ、大丈夫なの!?」

垣根「…」

御坂「ねえ!」

垣根「流石に効いた…」

垣根「何をしやがった」

一方通行「さっきから言ってンだろ。いっぽうつうこうだって」

垣根「聴いてねぇぞ」

一方通行「オマエが聴いてねェだけだ」

垣根「チッ、第三位、手貸せ」

御坂「え?私も?」

垣根「心理定規の言うとおりだ。流石にナメてた」

垣根「どうしてやるもんだな、根拠ってのはそういう意味だったか」

ジジジッ…!

御坂「これ当てていいわけ?」

垣根「…構わねぇ。いい医者を知ってる」

御坂「そ」ドギュン

一方通行「ふン」バチッ

ベシャッ

御坂「あ、逸らされた」

垣根「片手でか…」
883 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:18:09.64 ID:9IBHb6yg0
一方通行「次撃ったらオマエにブチ当てる」

御坂「うーん…」

垣根「…」

御坂「私パス」

垣根「だろうな」

御坂「当然よ。レールガンがあんな滑らかな弧を描いて逸れたんだもの」

御坂「最低、あいつの能力を電子操作系の能力者としたら私の攻撃はほとんど意味無いわ」

垣根「んじゃ今度は一方通行をワードに調べてろ」

一方通行「終わりか?俺としてはそっちの方が助かるンだけどな」

垣根「ハ?」

一方通行「ナルホド」

垣根「終わりはテメェだよ」

一方通行「面倒クセェ…」

垣根「これでお前の能力が分かればいいんだけどな」

一方通行「未元物質の粒子…これがなンなのか分からねェが…」

垣根「教える気も無いけどな」

一方通行「無駄だ」パンッ

垣根「撒き散らされたか。これも意味無いか」

一方通行「…」

垣根「さて…」

piririririririririri

垣根「これは…」

一方通行「終わりか?」

垣根「お預けだクソッタレ」ダッ

御坂「あっ!どこ行くのよ!」

垣根「時間取らせたな。悪いが解散だ!」

御坂「は!?」

一方通行「…」
884 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:18:37.50 ID:9IBHb6yg0
-----------------------スクール-----------------------

垣根「遅くなった」

心理定規「意外と早いほうよ」

垣根「電話、聴いた」

心理定規「言っておくけどギャグじゃないからね」

垣根「ギャグで言われても困る」

心理定規「説明する?」

垣根「ざっとしか聴いてねぇから頼む」

心理定規「暗部を再び再構成することになったわ」

垣根「…」

心理定規「きっかけはこう。新入生の残党がある物を発見したの」

垣根「いい物じゃねぇみてぇだな」

心理定規「いずれは第一位に繋がるかもしれないデータチップ」

垣根「何?」

心理定規「それにより新しく分かる情報があるの。しかも使い方次第で良い方にも悪い方にもなるわ」

垣根「上等じゃねぇか」

心理定規「でしょ?」

垣根「ああ」

心理定規「上層部はそのチップに偉く真剣になってるの」

垣根「だろうな」

心理定規「スクールを再構成、並びにアレイスターへの交渉材料としてチップを奪取する事が決定したわ」

垣根「問題無い」

心理定規「でも、別の点で問題があるの」

垣根「は?」
885 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:19:08.26 ID:9IBHb6yg0
-----------------------アイテム-----------------------

『じゃ、そういうことだからー』プツッ

麦野「…」

絹旗「一研究の為にチップを超奪え、と」

黒夜「第一位って流行ってんのか?」

フレンダ「流行ってるって訳じゃないと思うけどね」

浜面「物騒だな。また前みたいな事をやれってか」

麦野「断るに断れないわね」

絹旗「ええ。話を聴いた限り、色々なものが後ろ盾に超取られてます」

黒夜「迷惑掛けられないな」

絹旗「はい。これを断ることで黄泉川さん達に火が飛ぶのでしたら私は受けます」

黒夜「私も受ける。打ち止めや番外個体も居るしな」

フレンダ「私も。可愛い妹のためですもの」

浜面「滝壺…」

滝壺「大丈夫、はまづら」

麦野「…嫌なら」

浜面「ん?」

麦野「嫌なら受けなくてもいいわ。私がなんとかするからさ」

滝壺「それはありえないよむぎの」

絹旗「心配はしなくて大丈夫です。超私達の意思ですから」

浜面「そうだぞ麦野。俺が言うのもアレだけど、ほら…何て言うんだ?」

麦野「分かった分かったわ。じゃあ行きましょ、このアイテムで」

絹旗「ですが…他の暗部も動くとなると…」
886 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:19:35.55 ID:9IBHb6yg0
-----------------------グループ-----------------------

土御門「いつの時代も闇ってのは腐ってるもんだな」

海原「いつもの事です」

結標「いつだろうと結果は同じよ。今までそうだったんだから」

土御門「よし。じゃあ今一度確認だ」

海原「新入生の残党よりチップを入手」

結標「その後、データを確認し悪い方に転ぶようならチップを破壊」

土御門「ここで問題となるのは競争相手だな」

海原「メンバーやブロックは壊滅してますが…」

結標「まだ厄介所が残ってるわね」

土御門「入手するだけだ。俺達は中身が確認出来ればそれでいい」

土御門「わざわざ争う必要も無いだろうよ」

コンコン

土御門「ん?」

結標「?」

海原「はて…このような場所に誰でしょうか」

土御門「海原、構えろ」

海原「ええ」

カチャ…

土御門「来るぞ」

キィ…

一方通行「見つけたぞ」

海原「おや」
887 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:20:04.69 ID:9IBHb6yg0
土御門「お前は確か…」

結標「誰?」

一方通行「俺の名前は…」

海原「彼は一方通行さんです」

一方通行(チッ、余計な事を…)

土御門「何の用だ?」

一方通行「場所が割れてる事については聴かねェみてェだな」

土御門「深く調べれば出る情報だ。気にしていたらキリが無いな」

一方通行「事後で悪いンだがよォ」

土御門「…」

一方通行「話は立ち聴きさせてもらった」

土御門「ほう」

海原「それで?何の御用でしょうか?せっかく知り合った仲です。出来れば貴方に武器は向けたくないのですが…」

一方通行「向けられるような事をしに来たわけじゃねェ」

結標「じゃあ何の用かしら?」

一方通行「俺をグループに入れて貰おうと思ってな」

土御門「第一位か?」

一方通行「まァ、そンなモンだ」

海原「敵意は無いようなので忠告致しますが…自分達に関わらない方がいいですよ?」

一方通行「せっかくの忠告だが、ソレを聴き入れるつもりはねェ」

土御門「…コレ、お前か?」スッ

一方通行「あァ」

結標「何それ」
888 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:20:37.46 ID:9IBHb6yg0
土御門「回されて来た映像だ」

海原「操車場ですか?」

土御門「ああ」

結標「これって…」

土御門「常盤台の電撃姫と垣根帝督だ」

海原「何故垣根さんが…」

土御門「理由は分からないが…」

土御門「この映像を見て判断すると…コイツをグループに迎え入れてもいいと思ってる」

結標「へぇ…」

海原「なるほど。垣根さんほどの能力者の攻撃を防御、ですか」

土御門「ああ。それもかなり完璧にな」

土御門「これから先、必要になるかもしれないしな」

海原「なるほど。では…」

土御門「ああ。一方通行、お前を交えてもう一度話をしよう」

一方通行「そォしてくれると助かる」

土御門「土御門だ、そう呼んでくれて構わない」

海原「海原光貴です。呼びやすいように呼んでください」

結標「結標淡希」

土御門「こいつは言わば俺達の足だ」

結標「座標移動。レベル4よ」

一方通行「一方通行だ」

土御門「よし、馴れ合いはここまでだ。気持ちを入れ替えろ」
889 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/20(火) 21:21:08.80 ID:9IBHb6yg0
-----------------------スクール・アイテム・それぞれの場所にて-----------------------

垣根「知った顔を相手にしなきゃなんねぇか」

----------------------------------------------

絹旗「超警戒すべきは垣根だけじゃありません」

----------------------------------------------

心理定規「グループには淡希も居るし、アイテムには麦野だって居るわ」

----------------------------------------------

黒夜「でも仕事は仕事なんだろ?」

----------------------------------------------

垣根「そうあくまで暗部の仕事だ」

----------------------------------------------

麦野「一概に仕事だって言って割り切れるもんじゃないわ」

----------------------------------------------

心理定規「あれだけ仲良くしてたんですもの。さすがに情が出るわ」

----------------------------------------------

フレンダ「うー、頭痛くなってきた…」

----------------------------------------------

垣根「グループもアイテムも、邪魔してくれなきゃやりやすいんだがな…」

----------------------------------------------

滝壺「やっぱりかきねやむすじめ達と戦わなきゃダメなのかな」

----------------------------------------------

心理定規「今回ばかりは甘えを捨てることね。私も辛いけど、そうも言ってられないわ」

----------------------------------------------

浜面「はぁ…ちょっと仲良くなれたと思ったんだけどな」

----------------------------------------------

垣根「まあいい。頭を切り替えて都合いいようにやるさ。この場合のセオリーに従うと最初は…」

----------------------------------------------

麦野「後の動きを円滑にするために潰せる所から潰してく。とすると先ずは…」

----------------------------------------------

垣根・麦野「グループ」 
896 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/25(日) 23:07:15.11 ID:EaMijjC90
-----------------------グループ-----------------------

土御門「以上だ。一方通行が特に何もなければ最後に一つ聴いて終わりにしたいんだが」

一方通行「俺はなンもねェぞ」

土御門「そうか。じゃあ聴こうか」

一方通行「?」

土御門「お前は何の能力者だ?」

一方通行「ベクトルを観測し操作する能力だ」

海原「ベクトル?ベクトルと言うと向きですか?」

土御門「それで何が出来るんだ?」

一方通行「…学園都市中の能力者と遜色ない事が出来る」

土御門「瞬間移動とかはどうだ?」

一方通行「そりゃ無理だ。だが戦闘機と追いかけっこ出来る速度は出せる」

土御門「体内に関する事は?」

一方通行「血流、電気信号、洗脳、心臓を止める事だって出来る」

海原「攻撃を跳ね返すといった事はどうです?」

一方通行「簡単だ」

結標「身体能力は?」

一方通行「余裕だ。今乗ってるこの車を地球の裏側に蹴り飛ばすことも出来る」

土御門「上等だ、後日改めて連絡をする。精々気をつけて暮らすんだな」

海原「では解散と言う事で」
897 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/25(日) 23:07:45.31 ID:EaMijjC90
結標「さて、じゃあ私も帰るわね」

一方通行「…」

結標「土御門が気をつけるように言ってたけど本当に気をつけたほうがいいわよ」

結標「さっきの映像見たけど、垣根がまた襲って来ないとは限らないわ」

結標「あなたがどれだけ強いか知らないけど…一応忠告」

一方通行「どォしてまた暗部に召集がかかった?」

結標「それは私が聴きたいわね。だけど…」

一方通行「だけど?」

結標「私でさえ異常な事態だってのは理解出来るわ。嫌な予感しかしないの」

結標「何かを忘れてるようでね」

一方通行「そォか」

結標「正直な話、少し怖いわ」

一方通行「…」

結標「最近まで仲良くしてた連中と気が付いたら殺し合ってるのかもしれない」

結標「たまらなく不安なの。土御門や海原のこういう時の精神力だけは素直に尊敬出来るわね」

一方通行「随分と喋るな」

結標「口数の多い女の子は好みじゃないかしら?」

一方通行「どっちでもイイ」

結標「そう」
898 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/25(日) 23:08:12.17 ID:EaMijjC90
結標「まあ喋り過ぎたのは素直に認めるわ。普段じゃ考えられないもの」

一方通行「…」

結標「じゃあ今度こそ帰るわね」

一方通行「…オマエ、帰る場所があンのか?」

結標「知り合いの警備員の家に厄介になってるわ」

一方通行「…」

結標「どうしてそんな事聴いてきたのかしら?」

一方通行「暗部の連中はどンな暮らししてンのかと思ってな」

結標「残念、意外と普通なの」

一方通行「みてェだな」

結標「あなたも早く帰ったほうがいいわ」

一方通行「あァ?」

結標「多分、動くなら明日だと思うから」

一方通行「そォか」

結標「じゃ、またね」

一方通行「待て」

結標「…帰りながらでいいかしら?」

一方通行「構わねェ」

結標「そ、良かった。いつまでも帰れないのかと思っちゃったわ」

一方通行「ふン…」

カチャ
899 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/25(日) 23:08:52.07 ID:EaMijjC90
結標「それで?何かしら」

一方通行「俺の名前だがよォ」

結標「一方通行でしょ?もう覚えたわよ」

一方通行「そいつは本名じゃねェ」

結標「そンなの分かるわよ。本名だと都合が悪いからそう名乗ってるんでしょ?」

一方通行「イヤ…」

結標「違うの?」

一方通行「俺の名前はなァ…」

パパーッ…

一方通行「      」

結標「      」

一方通行「      」

プァーン…

結標「へぇ…それが…」

一方通行「…」

結標「でも今はそんな事より今のトラックが気になるんだけどね」

一方通行「あァ?」

結標「今の黒塗りのトラックよ。何も感じなかったかしら?」

一方通行「窓も黒塗りだったな」

結標「そう。これからの出来事に何も影響しなきゃいいけどね」

一方通行「…」

結標「じゃあ私、帰るわね」

一方通行「あァ」

ヒュンッ

一方通行「…トラック」
900 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/25(日) 23:09:18.01 ID:EaMijjC90
ステイル「一方通行!」

一方通行「オマエか」

ステイル「全く…話を聴くだけ聴いて一人突っ走るなんて…」

一方通行「時間が無かったンだ」

神裂「どういう事なのか聴こうとしたのに…」

一方通行「あァ?お前ら電話の内容聴いたンじゃねェのか?」

ステイル「確かに気にはなって垣根帝督に来た電話を盗聴したけど…魔術師である僕達にとってはさっぱりで…」

神裂「あなたが血相変えて飛んでいった理由が分からないんです」

ステイル「それとなーく君に電話の内容を告げたらこうだからね」

一方通行「そォか、分かってたワケじゃなかったンだな」

ステイル「暗部を再構成とかチップとか…どういう意味だい?」

一方通行「第一位に関するデータチップを巡って暗部が再構成されるって事だ」

神裂「血相を変えて飛んで行った理由は?」

一方通行「再構成される暗部のメンツが全員、知った顔だからだ」

ステイル「全員?」

一方通行「そォだ。俺が居た組織も、これから敵対する組織のヤツら、どいつもこいつも知り合いだ」

ステイル「なるほどね」

神裂「どういう事ですか?」

ステイル「君の奥さんも暗部の構成員なんだろ?だったら話は簡単さ」

ステイル「魔術を解く可能性を見付けるとともに、奥さんを守るためだろうね」
901 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/25(日) 23:09:51.09 ID:EaMijjC90
-----------------------黄泉川宅-----------------------

カチャ…

結標「ただいま」

絹旗「あ…お帰りなさい…」

結標「あら、帰ってたのね」

絹旗「ええ」

結標「聴いた?」

絹旗「多分、聴きました。結標さんが超思ってる事」

結標「そ」

絹旗「結標さんは…何も感じませんか?」

結標「今から考えていても仕方ないわ。これから起きることなんて誰にも分からないし」

黒夜「そうそう。まだ敵になるとか決まったわけじゃないし」

絹旗「まあ…それはそうですが…」

結標「黒夜の言う通りよ。グループにもアイテムにもスクールにも頭脳は居るわ。きっと最善の策でも見つけてくれるはずよ」

絹旗「だといいんですが…」

黒夜「アイテムの頭脳って?」

絹旗「え?多分麦野じゃないですか?」

黒夜「ほう」

結標「でも新入生の残党もやってくれたわね」

絹旗「本当です。余計な事を…」

黒夜「まあ、私が関わった事じゃねぇしな」

絹旗「よく言いますね」

黒夜「全部把握してたワケじゃないしなぁ」
902 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/25(日) 23:10:24.45 ID:EaMijjC90
絹旗「まあ別に黒夜のせいにしようとは思ってませんが」

黒夜「そうそう。別に私のせいじゃないし」

結標「第一位に関するデータってどんなのかしら…」

絹旗「分かりません…が」

結標「が?」

絹旗「麦野の予想によりますと素養格付を越えるほどのデータが入ってるそうです」

結標「???どういうことかしら」

絹旗「つまり、それほどのデータが入ってるってことです」

結標「素養格付よりも重大な、ってこと?」

絹旗「多分」

結標「はっきりしないわね」

黒夜「案外、本当にはっきりしないデータかもな」

絹旗「…」

結標「…」

黒夜「な、なんだよ」

絹旗「それも一つの可能性です」

結標「ま、悩んでても仕方ないわね」

絹旗「そうです。いくら考えても超無駄です」

黒夜「面倒だなぁ」

絹旗「超同感です」
903 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/25(日) 23:10:59.99 ID:EaMijjC90
一方通行「ンで、オマエらはどうすンだ?」

ステイル「こっちで宿の手配なんてしてないから君の所にやっかいになるつもりだけど?」

神裂「邪魔かと思いますが何卒お願いします」

一方通行「言っとくが今の俺に住処なンざねェぞ」

ステイル「え?」

一方通行「あるにはあるがグチャグチャだ。掃除する手間を考えるとホテルにでも泊まったほうが早ェぞ」

一方通行「なンならグループのアジトに居るって方法もあるが…」

ステイル「いや、遠慮しておくよ。顔見知りが居るもんでね」

一方通行「そォか?」

ステイル「ああ。見つかると面倒だしね」

神裂「ではどうしましょうか…」

一方通行「適当に泊まるトコ見つけてろ」

ステイル「君はどうするんだい?」

一方通行「帰る」

ステイル「どこにだい?」

神裂「さきほど言っていた所にですか?」

一方通行「…」

ステイル「この際散らかっていても構わないよ」

一方通行「そォいう問題じゃねェンだけどな」

ステイル「一人暮らしっていうのは得てして散らかりやすいものだからさ」

一方通行「はァ…」
904 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/25(日) 23:11:41.83 ID:EaMijjC90
-----------------------元・一方通行宅-----------------------

ステイル「こ…れは…」

神裂「散らかっているよりは…荒らされて…」

一方通行「だから他行ったほうがイイって言ったンだ」

ステイル「君は散らかっているとしか言わなかったじゃないか」

一方通行「説明すンのが面倒だからそう言っただけだ」

神裂「はあ…でもこれは説明をしていただかないと…」

一方通行「…一位ってのがどれほどのモンかを試そうとしてバカ共が来る。それだけだ」

ステイル「え、それって大丈夫なのかい?」

神裂「ステイル」

一方通行「今はその一位が居ねェ」

ステイル「なるほど…」

神裂「とりあえず少しでも片付けましょう」

ステイル「そうだね。いい具合に窓ガラスも割れてるし…ん?」

神裂「どうかしましたか?」

ステイル「一方通行、そのポケットの…」

一方通行「ア?」

ステイル「財布じゃないね」

一方通行「これか」スッ

神裂「トランプですか?」

ステイル「これはタロットだね。いつも持ち歩いてるのかい?」

一方通行「魔術にかかる前に借りたモンだ。だからずっと持ってた」

ステイル「へぇ…」

神裂「分かるんですか?」

ステイル「全然」
905 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/25(日) 23:12:17.33 ID:EaMijjC90
ステイル「タロットだとオルソラあたりが知っているんじゃないかな」

一方通行「一応説明書きはあンぞ」

ステイル「どれどれ」

神裂「あのー」

ステイル「ふむ…」

神裂「片付け…」

ステイル「愚者…魔術師…ほら、女教皇なんてのもあるよ。まさに君じゃないか」

神裂「え?」

ステイル「彼女は教皇とかって呼ばれていてね」

一方通行「だったら魔術師なンてのはテメェらじゃねェか」

ステイル「だったら愚者なんてのは…」

神裂「彼ですか?」

ステイル「僕も考えたけど…上条当麻じゃないような気も…」

神裂「振り回されてる様はまさに愚者のようですけどね」

ステイル「こうやってアルカナに人を当てはめるのも面白いものだね」

神裂「例えば…」

ステイル「ん?」

神裂「さっき後を付けた二人の超能力者はどう見ますか?」

ステイル「あっちの背の高いほうは…力、かなぁ…戦車かもね」

神裂「なぜです?」

ステイル「彼の行動は結果を求めてる。彼の積極的な行動は戦車を彷彿させるよ」

神裂「なるほど」
906 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/09/25(日) 23:12:44.37 ID:EaMijjC90
ステイル「君もそう思うだろ?」

一方通行「zzZ」

ステイル「む…これだけの時間で寝てしまうのか」

神裂「今日は色々と忙しい日だったと思います。無理もありません」

ステイル「まったく…」シュボッ

神裂「…」ペラペラ

ステイル「神裂」

神裂「はい?」

ステイル「…」ピッ

神裂「あ…」

ステイル「ん、太陽か」

神裂「それが何か?」

ステイル「えーと…正位置だから…」

神裂「…」

ステイル「…ちょっと待ちなよ…」ペラ

ステイル「どれどれ…将来への可能性、状況が落ち着いて来ることを意味してるね」

神裂「動きが出てきた彼としてはそうなんでしょうね」

ステイル「かもね」

神裂「太陽ですか…」

ステイル「どうかしたかい?」

神裂「彼にとっての太陽は誰でしょうね」

ステイル「さあね。さ、僕達も寝よう」


912 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:41:59.93 ID:G2rZyz8O0
-----------------------深夜・スクール-----------------------

垣根「…おかしな話だな」

心理定規「何が?」

垣根「一位に関するっつうデータの事だ」

心理定規「何か気になる所でもあった?」

垣根「俺は…」

心理定規「?」

垣根「素養格付を見たことがある」

心理定規「うん」

垣根「そこには全ての能力者に関する可能性が記されていた」

心理定規「それ、結構重要な代物よね?」

垣根「ああ、結構なんてモンじゃねぇ、超だ。」

垣根「んで見た俺から言わせてもらうとだ、第一位になれる程の力を持つやつは居なかった。当然、能力者の頂点として俺が記されているだけだった」

心理定規「当然と言えば当然よね」

垣根「素養格付ほどのモンで明確にされてんのにどうして一位に関するデータなんか存在するんだ?」

心理定規「それは新しく可能性が出て来たからじゃないの?」

垣根「仮にだ」

心理定規「?」

垣根「仮に、データチップの中身がまるっきり違う物だとしたら」

心理定規「…」

垣根「取って確認してみりゃ分かる。踊らされてんのかそうじゃないかがな」
913 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:42:52.32 ID:G2rZyz8O0
-----------------------グループ-----------------------

土御門「ずいぶんと派手に…」

海原「おや、来ていたのですか?」

土御門「少し気になってな。それで結果は?」

海原「見ての通りです。緊急の任務、不審な動きをする新入生の残党の殲滅」

土御門「何か分かったか?」

海原「いえ、それが何も。彼等、数だけは一人前でして…有益な情報は何も」

土御門「どうして急に…」

海原「残党がですか?」

土御門「それだけじゃない。ここ最近、色々な事が起こりすぎてる」

海原「それはありますね」

土御門「まるで足りない何か埋めるかのような勢いだ」

海原「と、言いますと?」

土御門「動きが雑すぎる。全体的に焦りを感じる」

海原「ほう」

土御門「それに加えデータチップだ。少し疑いもする」

海原「まあこれから分かる事です。自分たちもつられて焦ってはいけませんよ?」

土御門「分かってる」
914 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:43:54.04 ID:G2rZyz8O0
-----------------------翌日・アイテム-----------------------

麦野「…」

絹旗「…」

フレンダ「…」

滝壺「…」

黒夜「…」

『では、よろしくお願いします』

麦野(いつもの女じゃない)

『チップにはこれからの学園都市の未来がかかっています。くれぐれもその事を忘れないよう…』

絹旗「あの…」

『はい、なんでしょうか』

絹旗「いつもの人はどうしました?」

『この用件を伝えるのは私が適任かと思い、従来の担当に変わり私が連絡しています。何か不都合でも?』

絹旗「いえ…」

『では何かご質問があれば』

麦野「そのチップの中身は見てもいいわけ?」

『見る必要性は一切ありません。あなた達はただ回収すればいいだけです』

麦野「はぁ?仮に偽物でも掴まされたりしたらどうすんのよ?」

『分かりました。では依頼内容を変更しましょう』

麦野「あぁ?」

『データを確認する事なくチップを回収してください』

麦野「ちっ…」

『これを正式な依頼とします。違反した際にはそれなりのペナルティを考えていますので慎重にお願いします』

麦野「…」

『以上です。ではご健闘を祈っています』
915 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:44:28.25 ID:G2rZyz8O0
フレンダ「中身を確認してはいけないデータチップ…」

麦野「怪しさ満点ね」

黒夜「信用出来んのか?」

麦野「こんなのはしょっちゅうよ」

絹旗「今回はちょっとだけマシなほうですね」

麦野「そうね。少しだけでも周りの状況は分かってるし」

フレンダ「どうするの?」

麦野「スクールとグループ次第なんだけど…」

絹旗「言っちゃなんですけど今のグループには…とてもじゃないけど脅威とも言える人は居ません」

麦野「座標移動はかなり厄介だけどね」

フレンダ「そういえばお互いの目的も分からないんじゃないの?」

麦野「かもね。でももしかしたら…連中は気付いてるのかもしれないわね」

絹旗「また垣根が超障害になったりするんでしょうか…」

麦野「やだやだ。ピンセット思い出すわね」

滝壺「ピンセット…」

麦野「そうだ。今回浜面と滝壺は待機ね」

滝壺「いいの?」

麦野「正直分からないわ。でもいざ体晶が必要となればそれに頼らざるをえなくなるわ」

麦野「それを考えると待機が正解なの」

絹旗「麦野、そろそろ準備を」

麦野「そうね」
916 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:44:57.86 ID:G2rZyz8O0
-----------------------スクール-----------------------

『期待していますよ。あなたにかかっていますからね』

垣根「たかがチップを取るだけだ。簡単だろうが」

『それとアイテムとグループもそろそろ動き出すようです』

垣根「そうか」

『新たに付け足す事でもありませんが…』

垣根「?」

『作戦の障害となるようでしたら殺害してください』

垣根「なに?」

『もう一度言います。あなたの顔見知りだとしても障害になるようでしたら殺害してください』

『殺害しても構わないではありませんよ?殺害してください』

垣根「邪魔するようだったらな」

『こちらからも定期的にご連絡を差し上げます。それと…』

垣根「今度は何だ」

『あなたお一人で作戦を?』

垣根「十分だろ」

『そうですか、分かりました。ではお気をつけて』

垣根「…」

心理定規「とんでもないことを言われたわね」

垣根「余程、重要なデータなんだろうな」

心理定規「にしては信憑性が無いけどね」
917 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:45:24.56 ID:G2rZyz8O0
-----------------------一方通行-----------------------

一方通行「…」

ステイル「起きたかい?」

一方通行「そォか、オマエらが居たンだったな」

ステイル「今日はどうするんだい?」

神裂「そろそろ人捜しを始めないと…あまり長引いても事ですから」

一方通行「イヤ、目処は付いてンだ」

ステイル「合ってる可能性は?」

一方通行「知らねェ」

ステイル「まああの赤毛の子なんだろうけどね」

一方通行「…」

ステイル「本当にそう思うかい?」

一方通行「?」

ステイル「君を一番愛してるのが本当に奥さんかな、ってことだよ」

一方通行「ハ…」

ステイル「まあとやかくは言わないよ。君がそう思うんならそれでいいさ」

神裂「それで今日はどうしますか?」

一方通行「とりあえずは連絡待ちだ」

ステイル「暗部からのかな?」

一方通行「あァ。多分日が沈んでからだろォな」
918 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:46:03.23 ID:G2rZyz8O0
-----------------------スクール-----------------------

垣根「さて、チップはどこにあるんだったかな」

心理定規「説明されなかったの?」

垣根「ああ。ピンセットの時みたいに目立つトコにあるんだったらいいが…今回は状況が違うからな」

心理定規「新入生とやらが持ち歩いてるのかしら」

垣根「持ち歩くか…素直に保管場所が無いならありえない話じゃねぇが、物が物だからな…」

心理定規「無防備に持ち歩いてるとも思えないわけね」

垣根「ああ」

心理定規「いいんじゃない?」

垣根「あ?」

心理定規「手当たり次第に片っ端から潰していけば」

垣根「お前…」

心理定規「貴方の考えてる事なんかすぐ分かるわよ」

垣根「そうだな。それが一番早いな」

心理定規「サポートするわ」

垣根「おう。頼むぜ」

心理定規「充分気をつけるのよ。一応相手は暗部なんだし」

垣根「分かってる」

垣根「んじゃ、行って来る」
919 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:46:36.34 ID:G2rZyz8O0
-----------------------数時間後・アイテム-----------------------

麦野「一七学区…」

『はい』

麦野「あの工場ばっかの所にモノがあるっての?」

『確かな情報です』

麦野「どういうふうに保管されてるわけ?」

『存在する場所はいわゆる新入生のアジトです。交代制で管理をしているようです』

麦野「数は?」

『ひとえに残党と言っても50人は居るでしょう』

黒夜「50…そんなに残ってたか…」

『行動を起こすなら今がチャンスです』

麦野「どうしてよ」

『グループは依然として行動は起こしておらず。スクールは見当違いの所を捜索をしています』

麦野「へぇ」

『スクールに嗅ぎ付かれると厄介ですので早めに行動に移してほしいのですが…』

麦野「分かったわよ。早く行けってことでしょ?」

『そうしていただけると助かります』

麦野「ったく…ほら浜面、車出しなさい」

浜面「え?俺も行くのか?」

麦野「外で待機に決まってるじゃない」
920 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:47:05.30 ID:G2rZyz8O0
麦野「あ、そうそう」

フレンダ「?」

麦野「前みたいにバラバラには動かないからよろしくね」

絹旗「固まって行動ですね」

麦野「そういうこと。戦力もあんま分かってないのにバラけるのは賢くないしね」

絹旗「他に何か注意することは?」

麦野「うーん…まあ他の暗部連中には気をつけなさいよ」

絹旗「了解」

黒夜「私は?」

麦野「私はってあんたね…」

黒夜「は?」

麦野「あんたは別にアイテムの正式メンバーってわけじゃないから別に無理して来なくてもいいんだけど…」

黒夜「はぁ?一人だと退屈だろうが!」

麦野「は…じゃあ死なない程度に頑張んなさい」

フレンダ「えーっと…これとこれと…」

麦野「変なモン持ってきたら承知しないわよ」

フレンダ「大丈夫大丈夫。きっと役に立つから」

麦野「さて、んじゃ行きますか」
921 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:47:34.24 ID:G2rZyz8O0
-----------------------一方通行-----------------------

piririririri

一方通行「土御門…」ピッ

『俺だ。分かるか?』

一方通行「あァ」

『今から指定する場所に来てくれ』

一方通行「早く言え」

『まあ焦るな若造。場所は…』

ステイル「ほらどうだい?」

神裂「ふむ…」

ステイル「こうシャッフルしてだね…」シャカシャカ

神裂「もう覚えたんですか?」

ステイル「オルソラが詳しく教えてくれてね…ほら…」ピッ

一方通行「分かった…」ピッ

ステイル「一方通行、君のために占ってあげたよ」

一方通行「何?」

ステイル「何から知りたい?」

一方通行「何があンだよ」

ステイル「過去、未来、現在、環境、方法、無意識、核心」

一方通行「?」

ステイル「まあ未来でいいか。よっと…」

一方通行「コイツは初めて見ンな」

ステイル「審判の正位置」

一方通行「審判…」

ステイル「幸先いいじゃないか」
922 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:48:17.28 ID:G2rZyz8O0
ステイル「このカードは再開を意味する。改善や復活、復縁の最終的な決断を導いてくれるカードだ」

ステイル「そして方法…世界の正位置」

ステイル「このカードは物事の低迷や挫折を意味するけど、それによって答えが見えてくることを意味している」

一方通行「世界に審判か…随分と大掛かりなカードが出てきたな」

ステイル「解決が近いのかもね」

神裂「出掛けるんですね?」

一方通行「あァ」

神裂「学園都市の暗部は何かと危険が多いと聴いています。充分に気をつけてください」

ステイル「最後に核心を見ていくかい?」

一方通行「イヤ、もう出る」

ステイル「そうか。じゃあこのタロットも返すよ」チャッ

神裂「まとめるのを手伝います」

ステイル「すまないね…ん?」スッ

神裂「どうかしましたか?」

ステイル「いや…ほら」

一方通行「ン…」

ステイル「武運を祈るよ」

一方通行「ありがとよ」カチャ

ステイル「ふふっ…」

神裂「ステイル?」

ステイル「いいカードが揃っていたよ」

神裂「はい?」

ステイル「核心に運命の正位置。環境に刑死者の逆位置。過去に月の逆位置。現在に太陽の逆位置。そして無意識に魔術師の逆位置」

ステイル「どれもいいカードだ。魔術師意外はね」

神裂「は?」

ステイル「魔術師の逆位置は決断を鈍らせる意味を持っている。つまり心に迷いを持たせるのさ」

ステイル「他のカードは成功を案じさせるものばかりだよ、逆位置のカードもね」

神裂「そうですか…うまくいくといいですね」
923 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:48:45.66 ID:G2rZyz8O0
一方通行「確かこの公園だったな…」

一方通行「今何時ぐらいだ?確か時計があったはずだが…」

ザワッ

一方通行「今日は風が冷てェな」

ヒュッ

一方通行「ン?」

シュンッ

土御門「ピッタリだな」

海原「こんばんは」

結標「ふぅ…」

一方通行「来たか」

土御門「さて、一方通行とか言ったな。これからについて説明する、よく聴け」

一方通行「…」

結標「最近日が沈むのが早いわね」

海原「時期が時期ですから」

結標「今は…七時前ね」

土御門「だんだんと秋が近づいてる証拠だ」

一方通行「早く話せ」

土御門「おっと」
924 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:49:55.39 ID:G2rZyz8O0
土御門「これから俺達はある施設に行く」

一方通行「ある施設だとォ?」

海原「一七学区の製造工場です」

一方通行「工場なンかに行ってどォする気だ」

土御門「なに、工場ってのは表向きの姿だ」

結標「裏の顔は学園都市を出し抜こうとしてる能力者のアジトよ」

一方通行「どォして今更そンなのが…」

土御門「奴らはずいぶん前から準備をしていたみたいだ。行動を起こす日が近いみたいでな…」

海原「今回、いささか派手な動きをしてくれたので今の内に我々で潰しておこうという考えです」

一方通行「ただ単に出し抜くってンならほっといてもいいンじゃねェのか?オマエらも似たような考えで集まってンだろ?」

土御門「奴ら…新入生は入手したデータチップを元に既存のレベル5を一気に下そうとしてるらしい」

海原「どうやらチップの中身はただ単に一位のデータだけでは無いみたいなのです」

土御門「レベル5はこの先必ず必要になってくる人員だ。それを消そうとするなら俺達の邪魔をしてるも同然だ」

海原「同所では既にアイテムが交戦中です」

土御門「珍しくかなり手を焼いてるみたいだ」

海原「幻想御手に近い物を使用してるのかもしれませんね」

土御門「原子崩しが苦戦してるのが奴らの本気の証だ。いいか、決して気を抜くなよ」

海原「失敗は許されません。入ったばかりの貴方に言うのはなんですが…ヘマはしないでくださいね」

一方通行「上等だ」

土御門「よし結標、まとめて飛ばしてくれ」

結標「やっと終わったのね。じゃあ飛ばすわよ」

925 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:50:35.79 ID:G2rZyz8O0
-----------------------第一七学区・施設内-----------------------

麦野「えー…何あれ…」

黒夜「私の攻撃も効かないみたいだな」

フレンダ「当然私のもって訳ね」

絹旗「私も…ていうか超近づけません」

ガシャン…ガシャッ…

麦野「あんたら新入生ってあんなのも持ってたの?」

黒夜「持ってなかったはずだけどなぁ…」

フレンダ「黒夜のはともかく麦野の攻撃を防御してる時点で相当な代物じゃん」

麦野「原理が分からないわね…」

絹旗「どうしましょうか…あれが出てきてから三十分くらい足止めされてますよ?」

麦野「遠距離攻撃がダメなら接近戦が残ってるんだけど…」

絹旗「えー…」

黒夜「電磁バリアかなんかで能力による攻撃を遮断する駆動鎧ってとこだな」

麦野「電磁だったら、なお更私の攻撃は届かないわよ?」

絹旗「何かいい手は…」

黒夜「やっぱ絹旗ちゃんが突っ込むしかないってば」

絹旗「…」

ヒュンッ

麦野「んんー?」
926 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:51:06.83 ID:G2rZyz8O0
土御門「なるほど駆動鎧か」

海原「下手な能力者を集めるよりはこちらの方が効果的かもしれませんね」

結標「こんな形のは見たことないわね」

一方通行「性懲りも無く新型作りやがったな」

麦野「あらやだグループじゃない」

フレンダ「いきなり駆動鎧を囲むように現れたけど大丈夫なの?」

一方通行「アイテム連中はどこだ?」

海原「浜面さん達の話によれば既に中に入ってるとの事でしたが…」

土御門「見つからないなら別にそれでもいい。合流が目的じゃないからな」

絹旗「一人多いですね」

麦野「あの白髪…」

フレンダ「前に一位がどうたらって聴いてきた奴じゃない?」

麦野「グループのメンバーだったのか?」

ガコッ!

海原「おや、どうやらやる気みたいですよ?」

土御門「デモンストレーションだ。一方通行、お前の力見せてくれ」

一方通行「ふン…」

キュィィ…

海原「どうやらファイブオーバーの一種のようですね」

土御門「超電磁砲の改良型か」

ダダダダダダダッ!

一方通行「…」

パキィンッ!
927 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:51:39.43 ID:G2rZyz8O0
ジジッ…

土御門「ガトリングレールガンを全反射か…中々だな」

結標「これは搭乗型かしら?」

一方通行「見てみりゃァ分かる」

バキバキッ!バチッ!

一方通行「ン…無人機みてェだな」

絹旗「無理矢理装甲を剥がして中を…」

麦野「なんの能力者かしら」

フレンダ「念導力系の能力じゃない?」

黒夜「何だぁ?あの兄ちゃん…」

土御門「さ、行くぞ。恐らく奥に目当ての物があるはずだ」

一方通行「早いトコ片付けンぞ」

土御門「そのつもりだ」

絹旗「あっ、行っちゃいますよ!」

麦野「ちょうどいいわ。このまま後ろに着いてって頃合を見てチップを奪いましょう」

絹旗「そんな間抜けな…」

麦野「あんたさっきの駆動鎧が出てきたら戦えるの?」

絹旗「う…」

麦野「ほら、行くわよ」
928 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/02(日) 22:52:25.59 ID:G2rZyz8O0
-----------------------その頃第一八学区・スクール-----------------------

「うぐ…知らね…」

垣根「ちっ…面倒なウソは付くなよ?」

「だから本当に…」

垣根「はーっ…」

ピピッ

垣根「ん?」

『聴こえる?』

垣根「心理定規か。どうした?」

『あのね、新入生もいくつかの組織に分けられてるみたい』

垣根「てことはコイツははずれか?」

『知らないって言ってるならそうじゃない?』

垣根「チップ奪取組と何も知らない組に分けられてるのか…」

『そうそう』

垣根「んじゃもしかしたらこの学区に居る意味も無いかもな」

『よく分かったわね。何も意味無いわ』

垣根「え?」

『一七学区に言って。そこが舞台よ』

垣根「一七学区って…」

『どうかした?』

垣根「ここから結構距離あるぞ」

『貴方ならひとっ飛びでしょ?』

垣根「まあいいか」 
5on3AN0
-----------------------施設内-----------------------

メキキッ…!ゴゴッ…!

一方通行「…」

土御門「ほう…思った以上だな」

海原「何か?」

土御門「随分と大きな戦力だ。置いて正解だったな」

海原「なるほど」

一方通行「…土御門」

土御門「どうした?」

一方通行「本当にこの施設で合ってンのか?」

土御門「…気になる事でもあったか?」

一方通行「今の今まで駆動鎧…しかも全てがオートで動いてるヤツしか出て来てねェ。こりゃどォいうことだ?」

土御門「さっきの同様に無人機ということか」

一方通行「あァ」

海原「確かに、肝心の新入生をまだ見ていませんね」

結標「手前の警備は無人機に任せてるだけじゃないの?」

土御門「…む」

一方通行「?」

土御門「上か」

一方通行「上だとォ?」
934 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/09(日) 21:29:15.35 ID:iq5on3AN0
土御門「この施設には上の階がある」

海原「あの…お言葉ですが…」

土御門「ん?」

海原「入って来る時に見た外観で既に分かりきっている事では?」

土御門「上に行くための階段は見つけたか?」

一方通行「そォいや地下に行く通路しか見てねェな」

土御門「だろうな」

結標「ちょっと、もったいぶらないで言ってくれない?」

土御門「多分、ここの地下にはかなりの量の駆動鎧が収納されている」

海原「ふむ…」

土御門「上に行く階段とかが見当たらないのは普通に行かせる気が無いからだ」

一方通行「上への道を探してるヤツに駆動鎧をけしかけて始末する魂胆ってワケか」

土御門「そうだ。恐らく、動いてる駆動鎧は常に一定の数をキープしてるんだろう」

海原「例えば最初五機動いていて全て破壊されたら新たに五機と…、そういう訳ですか」

土御門「消耗戦が目的だろうな」

結標「面倒ね。早いとこ上に飛ぶ?」

土御門「まあ待て。なあ一方通行」

一方通行「ア?」

土御門「ここまでで何機潰した?」

一方通行「最初のも合わせて十九だ」

土御門「一つあたりの編隊で三機、六つの編成部隊を崩したわけだが…」

一方通行「見事に一つ一つ違う型だったな」

土御門「そうだ」
935 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/09(日) 21:30:08.80 ID:iq5on3AN0
結標「面倒ね。つまりなんなの?」

土御門「様々な人員に対抗出来るように駆動鎧が用意してあるということだ」

一方通行「…の割には俺に対抗する駆動鎧が出てこなかったみてェだが」

海原「単純にまだ出てきてないだけなのかもしれません」

土御門「その通りだ。今は来なくても後々出てこられると厄介だ」

海原「相手は機械でもこちらは能力者です。AIMジャマーなどが出てきては手も足も出ません。早いところ済ませましょう」

土御門「そういうわけだ結標。頼む」

結標「まったく…結局じゃないの…」ヒュッ

ヒュンッ…

麦野「あ」

絹旗「能力を使われましたね。どうするんですか?」

麦野「上に行く方法なんていくらでもあるわよ。問題はあの白髪のヤローね」

フレンダ「駆動鎧なんてものともしなかったみたいだけど」

麦野「あんだけ軽がると駆動鎧を捌けるほどの奴が居るとやりにくいわね」

絹旗「相手は一応顔見知りですし…もしかしたら話せば分かってくれるのでは…」

麦野「何言ってるのよ、あっちも同じような内容で依頼を受けてるに決まってるでしょ」

麦野「当然失敗したと時のペナルティもあるんじゃない?だとしたら易々と渡してはくれないわよ」

絹旗「むむむ…」

黒夜「ん?」

麦野「どうかした?」

黒夜「ほら、窓の外。なんか光るのが…」

麦野「んん?ミサイルかしら?」

絹旗「ミ、ミサイル!?」
936 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/09(日) 21:30:43.37 ID:iq5on3AN0
-----------------------数分前・スクール-----------------------

垣根「この距離は面倒だな…」

垣根「心理定規の言うとおり能力を使って…」

piriririririri

垣根(非通知…)

垣根「俺だ」ピッ

『垣根帝督』

垣根「電話の男…何のようだ」

『事情が変わりました。これから出す指示に従ってください』

垣根「気に喰わねぇな」

『拒否権はありません、今も、これから先も、です』

垣根「先も?どういうことだ」

『確か、スクールは現在あなたを含め二人で構成されてましたね』

垣根「それが?」

『一人でもスクールを語れるのでしょうか』

垣根「…なるほど」

『指示を出します。アイテム、及びグループを抹殺してください。その後チップを回収し手配を願います』

垣根「どうしてだ?」

『上の希望です。チップを入手しても他の暗部が邪魔になると考えたようで…』

垣根「…チップを入手しただけだったら?」

『新たに依頼を致します。歯向かうと思われる他の暗部連中が居なくなってこそのものですので』

垣根「…」

『監視しています、動向に気をつけてください。では』
937 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/09(日) 21:31:11.57 ID:iq5on3AN0
-----------------------施設内-----------------------

麦野「あ、人だわアレ」

黒夜「人ォ?」

キィィィンッ…

絹旗「ちょっと避けましょうよ…」

フレンダ「ここらへんなら大丈夫かな?」

麦野「フレンダ、もう少しこっち」

フレンダ「ととっ…」

ガッシャァンッ!

麦野(垣根…)

垣根「…」

絹旗(ついに来ましたね)

フレンダ(…)

垣根「ここか」ジャリッ

垣根「ん、駆動鎧か…?どうしてこんなモンが…」

垣根「どうでもいいか、さっさと見つけるモンを見つけて…」

piriririririri

フレンダ(電話?)

麦野(ちょっと黙ってて)

垣根「…なんだ」ピッ

『どこに行くんです?そのフロアにはアイテムが居ますよ?』
938 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/09(日) 21:31:42.01 ID:iq5on3AN0
麦野(アイテム…?)

垣根「…」

『早い所、目標の息の根を止めてください』

麦野(チッ…)

垣根「…」プッ

黒夜(どうすんだ?)

麦野(どうするってあんた…)

垣根「聴いてたんだろ?出て来いよ」

絹旗(げぇ…)

フレンダ(あわわ)

麦野(やるしかないでしょ…)

垣根(面倒くせぇ…どうやってこっちを把握してやがる…)

垣根(滞空回線…そうとしか考えられられねぇ…だがアレはアレイスターのオモチャのはずだ)

垣根(どうしてたかが伝達役が…)

麦野「はぁあ」

垣根「溜め息尽きてぇのはこっちだ」

麦野「お互い様じゃないの」

垣根「…黒夜も居んのか」

麦野「どうでもいいじゃない」

垣根「そうだな」

麦野「どうせ何も分からなくなるんだから」

垣根「俺と戦う気か?」

麦野「はいそうですかって的になってあげるわけないでしょ」

垣根「頼むから大人しくしててくれ…!」
939 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/09(日) 21:32:23.82 ID:iq5on3AN0
-----------------------グループ-----------------------

ゴゴゴッ…!

土御門「何か来たな」

海原「先程窓の割れる音もしました」

土御門「アイテムが暴れてるのか?」

結標「そういえばこの階って窓が無いのね」

海原「ですが下と違って電気が付いています」

土御門「下は窓から差し込む月明かりだけだったからな」

海原「駆動鎧を動かすためにわざとそうしてるのでしょう」

結標「闇討ちする気だったのね」

土御門「連中が考えそうなことだ」

カシャン

海原「お疲れ様です。どうでしたか?」

一方通行「能力者が二人、下っ端連中だな」

土御門「監視カメラとかはどうだった?」

一方通行「モニタールームは見当たらなかったな」

海原「収穫無し、ですか…」

一方通行「下っ端連中だが…」

土御門「どうした?」

一方通行「能力のレベルは5近くあったな」

海原「ふむ…」

土御門「幻想御手の応用品があるのかもな。どうでもいいが」

海原「では次、行きましょう。結標さん、お願いします」
940 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/09(日) 21:33:11.81 ID:iq5on3AN0
-----------------------アイテム-----------------------

垣根「デッドエンドって言葉を知ってるか?」

麦野「はぁ?」

フレンダ「行き止まり…」

垣根「そうだ。なんで今更暗部抗争なんて起きてんのかは知らねぇが…」

麦野「知らない?そんなわけないじゃない、何を巡ってここに来たのかは理解してんでしょ?」

垣根「お前らはなんて言われた?」

麦野「?」

垣根「他の暗部について」

麦野「は?特にこれと言っては…」

垣根「だろうな。必要最低限、邪魔する場合はそれに対応しろ程度だろうな」

麦野「対応しろってか他の暗部をどうこうしろなんて言われなかったわよ」

垣根「ほぉ…」

麦野「さっきからなんなのよ」

垣根「俺はお前らを始末しろとまで言われた」

絹旗「…」

黒夜「…」

麦野「それでどうするの?」

垣根「俺が聴きたいね」

麦野「…」

垣根「正直言うとお前らに手は出したくないがそういうわけにもいかないんだ」

フレンダ「???」

垣根「デッドエンド、俺がお前達を殺しても殺さなくても俺が行き着く先は後悔が渦巻く場所だ」

麦野「何を言うかと思ったら…」

垣根「あ?」

麦野「今のあんた、最高に気持ち悪いわよ。かっこいいと思ってるのかしら」

垣根「潰す」
941 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/09(日) 21:33:40.25 ID:iq5on3AN0
海原「見つかりませんね」

結標「下であんなにバカ騒ぎしたんだから移動したんじゃないの?」

土御門「考えたくもないな」

一方通行「まァ、大丈夫だろ」

海原「何か確信が?」

一方通行「イヤ、無ェ」

土御門「仮に下の連中のせいで逃げられたとしてももう一度探せばいいさ」

一方通行「俺は一回で終わらせたいンだけどなァ」

土御門「そうか、じゃあ決まりだな」

海原「?」

土御門「全員バラけるぞ」

一方通行「妥当だな」

海原「どのようにですか?直接的な戦闘能力を持つ一方通行さんと結標さんはいいとして自分達は…」

土御門「なんとかなるだろ海原」

海原「は、はぁ…」

土御門「そういうことだから結標」

結標「どうすればいいの?」

土御門「上の2フロアに俺達をランダムに飛ばしてくれ。あとは各自チップを探す」

結標「はいはい」

土御門「何かあったらすぐに連絡を取れ。結標か一方通行あたりにでも連絡を取ればなんとかんなるだろ」

海原「では皆さん、どうかご無事で」

土御門「お互いにな」

一方通行「俺は一番遠いトコに飛ばしてくれ」

結標「一番遠いトコに?」
942 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/09(日) 21:34:08.98 ID:iq5on3AN0
-----------------------スクール-----------------------

垣根「げぇ…」

麦野「いやー、またと無いチャンスだわ」

ガシャッ ガシャッ

麦野「撃破すべき対象は一番厄介なのって決まってるのかしら?まさか駆動鎧が現れて垣根に襲い掛かるとは思わなかったわ」

垣根「面倒くせぇ…」

ピピピッ

垣根「今度はミサイルか?」

麦野「は?」

垣根「は?」

バシュンッ

垣根「…」

絹旗「レーザー…」

垣根「チッ…先に潰すか…」ギュンッ

バキキッ…!ベキッ…!

垣根「んだコリャ…?」

黒夜「アイツの能力の羽根って触っても大丈夫なのか?」

麦野「多分ダメじゃない?」

フレンダ「あの駆動鎧には何かカラクリがありそうね」

麦野「さっきからカラクリだらけじゃない」

絹旗「でも垣根の未元物質に対抗しているというのは一体…」
943 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/09(日) 21:34:38.25 ID:iq5on3AN0
垣根(マジで分かんねぇぞ。なんだこの駆動鎧は)

垣根(新型のジャマーか何かの類でも搭載してんのか?だが…)

メキキッ…!

麦野「あちゃー、突破されたか」

垣根「当然だ」

麦野「…」

垣根「…」

麦野「あんた、本気?」

垣根「なりたくはねぇがな」

麦野「はぁ…」ジジッ

垣根「抵抗してくれて構わねぇ」

黒夜「当然」ボボッ

絹旗「死ぬわけにもいきませんからね」ググッ

フレンダ「どこまで通用するのかしら…」カチャ

垣根「少しでも長く楽しませてくれ」

麦野「バカ言ってんじゃないわよ。すぐに苦痛を味あわせてやるからよ」

垣根「…」

黒夜「ホラ」ボンッ

垣根「やる気あんじゃねぇか」バサッ

絹旗「あなたが超そうさせたんですから!」

フレンダ「結局また真っ二つにされるのが嫌って訳よ!」 
947 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:25:45.45 ID:kH44cLg80
-----------------------グループ-----------------------

ペラ…ペラ…

一方通行「…」

チャッ

一方通行「星の逆位置か…」

一方通行「好機の状況だがそれを妨げる考えを俺が持っている、か」

一方通行「しかし…こうも人影が無いってのはどォいう事なンだ?」

一方通行「一番遠いトコに飛ばして貰ったのは安全地帯で余裕こいてるヤツらを相手するためだったンだが…」

一方通行「取り越し苦労だったな」

piririririri

一方通行「海原?」ピッ

『そちらはどうですか?』

一方通行「ハズレみてぇだな。人すらうろついてねェ」

『こちらも同じです』

一方通行「さっきモニタールームで見たきりだ」

『おかしいですね。どうも聴いていた情報と食い違うところがあるみたいですね』

一方通行「騒ぎを聴きつけて逃げ出したンじゃねェのか?」

『いえ、施設に入った人は確認出来るのですが、先程から出た人間は一人も確認出来ていません』

一方通行「どォいうことだ?」

『詳しくは説明しませんが自分に能力のようなものでして…なんと言いますか…感知タイプの一種でして』

一方通行「なるほど、人の動向をそれなりにチェックしてるワケか」

『そう考えてもらって構いませんよ』
948 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:26:15.62 ID:kH44cLg80
一方通行「それで出たヤツは確認出来ねェと」

『はい。後にも先にも自分のセンサーに反応したのはただ一人だけです』

一方通行「?」

『垣根帝督、彼がここに来ています』

一方通行「…そォか」

『アイテムと交戦しているようでまだ上の階に上がって来てはいませんが…いずれ来るでしょう』

一方通行「目的は同じなのか?」

『入手する、という点では同じですがその後の使い道は違いますね』

一方通行「使い道ね…」

『土御門さんが言うにはスクールの用途は統括理事長への交渉材料として役立てるようです』

一方通行「…」

『我々はそれを防ぐために動いてると言っても過言ではありません。あちらには少々過激派が多いものでして』

一方通行「アイテムはどォだ」

『元々の持ち主が依頼したようです。ただ単に取り返すのが目的でしょうね』

一方通行「なるほど…」

『なんにせよ、肝心の物が見つからないことには話が進みません』

一方通行「まだこの施設内にあると?」

『自分はそう思います。上が下手な情報を送ってくるとは考えられないので…』

一方通行「まァイイ。しらみつぶしに探すだけだ」

『よろしくお願いします。では』プッ
949 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:26:44.95 ID:kH44cLg80
土御門「無人の駆動鎧…最低限の人員…一箇所に集められた暗部…」

土御門「疑問は尽きないな」

土御門「チップの中身を確認し破棄かどうかを決める…」

土御門「一体どんなデータが…」

piririririri

土御門「…俺だ」ピッ

『お疲れ様です』

土御門「まだ何もしてないぞ」

『今回の争奪物についての詳しい情報が入りました』

土御門「なに?」

『スクールもアイテムも、いまだ知りえない情報です』

『誰かが教えない限り、彼らが知る事は無いでしょう』

土御門「それで?何が分かったんだ?」

『中身のデータです』

土御門「それは俺達に話していいのか?」

『話さない理由がありません。勿論、お教えします』

土御門「言ってくれ」

『データですが、一位に関する情報と言うのは真っ赤なウソです』

『とある上層部の人間があなた達暗部を一斉に下すためのフェイクです』

土御門「詳しく話せ。内容によっては俺達の行動方針を一気に変えるぞ」

『やることは変わりません。守ってください、この学園都市を』

『そのデータを使えば全てを覆せる、それほどのデータです。見過ごすわけにはいきません』

950 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:27:10.90 ID:kH44cLg80
-----------------------アイテム-----------------------

フレンダ「う…ぐ…やっぱり…」

垣根「…」

絹旗「はぁ…はぁ…、一体何を…?」

垣根「へっ…」

麦野「」

黒夜「」

垣根「さぁな」

フレンダ「む、麦野…麦野…」

絹旗「フレンダ…」

フレンダ「はは…音、聴こえない…」

絹旗「え?」

フレンダ「なんか冷たいし…」

垣根「…」コツ

フレンダ「心臓の音…聴こえないよぉ…」

垣根「次はお前だよ」ブワッ

絹旗「フレンダ!」ダッ

フレンダ「ぅ…」ドサッ

垣根「…」

絹旗「そ、そんな…」

垣根「大人しくしてろよ?すぐに済むからよ」

絹旗「ひ…」
951 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:27:37.33 ID:kH44cLg80
-----------------------スクール-----------------------

海原「何も無いですね。随分と寂しい所です」

海原「おっとこの部屋は…?」

カチャ

海原「…大量のインスタント食品ですか?」

海原「食料庫と言ったところでしょうか」

海原「ではこちらは…」

カチャ

海原「…トイレですか」

海原「ふむ…」

海原「こっちは娯楽室…」

海原「おや、この階はハズレ階のようですね」

海原「困りましたね…」ピッ

海原「もしもし、結標さんですか?」

海原「自分を移動させてほしいのですが…ええ、土御門さんの所にでも」

海原「こちらはハズレでして…役に立つ物はおろか、部屋すら見つからなくてですね」

海原「お手数おかけします。お願いします」

ヒュン

土御門「うおっ!」

海原「どうも」

土御門「なんだ急に!」

海原「ありがとうございます。合流出来ました、では」プッ

土御門「おい」

海原「自分の居た階はハズレでした。こちらはどうですか?」

土御門「似たようなもんだが詳細の連絡が来た」

海原「この施設の詳細ですか?」

土御門「データのだ」

海原「興味深いですね」
952 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:28:05.46 ID:kH44cLg80
土御門「少しいただけない内容だった」

海原「聴かせて下さい」

土御門「ああ、実は…」

ドゴォン!

土御門「…」

海原「…」

土御門「マズイ…」

海原「奇遇ですね。こちらもかなりマズイです」

コツ…

土御門「この聴きなれた革靴の足音…」

海原「長身故の歩幅と来たら…」

コツ…コツ…

土御門「垣根…」

垣根「よう」

海原「何の御用でしょうか?」

土御門「俺達は争う必要は無いと思うんだがな」

垣根「実はそうもいかねぇんだ」

海原「我々を見なかったことにしてください」

垣根「悪いな。無理だ」

953 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:28:33.74 ID:kH44cLg80
piriririririri

土御門「こんな時に…」

垣根「出てもいいぜ。その隙に襲ったりはしねぇから安心しろ」

土御門「…どうした」ピッ

『見つけたわ。随分と簡単なセキュリティだったわよ』

土御門「チップをか?」

『ええ』

土御門「…」

垣根「…」

海原「…」

土御門「気をつけろ」

『?どうするの?』

土御門「アイツと合流しておけ。俺達は少し遅れる」

『そ、分かったわ』プッ

垣根「へへ…」

土御門「よく聴け垣根、あのチップはな…」

垣根「俺にいい考えがある。とりあえず死んでくれ」

海原「我々には随分と悪く聴こえるのですが…」

垣根「他人のいいニュースほど悪く聴こえるもんだ」

土御門「ぐ…バッドエンドか…」

海原「仕方ありませんね、どこまで立ち向かえるかは分かりませんが…」

垣根「大人しくしてくれると助かる」バサッ
954 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:29:00.25 ID:kH44cLg80
結標「変なの、とりあえず一方通行に連絡を…」

パラッ…

結標「もしもし?」

『どォした』

結標「土御門にあなたと合流するように言われたわ」

『そォか。どォすればイイ?』

結標「とりあえずチップを持ってそっちに…」

ピキッ

『俺を呼んだ方が早いンじゃねェのか?』

結標「それもそうね、じゃ…」

パキキッ…!

結標「さっきから何かしら」

『オイ?』

結標「ごめん、なんでもないわ今からこっちに飛ば…」

バキキッ!

結標「!」

垣根「見つけたぞ」

ドシャッ!

結標「垣根帝督…!」

『オイ、どォした?』

垣根「んん?誰と電話してんだ?」

結標(そうか、まだ一方通行の事は…)

垣根「そのチップ、俺も探してたんだ」
955 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:29:30.21 ID:kH44cLg80
結標「残念だけど渡せないわね」

垣根「そんな大事なものでもないだろ」

結標「後々大事(おおごと)になるかもしれないからよ」

垣根「…」

『…』

結標「だから渡せないわ。私達が中身を確認して渡せるような物なら渡すけど」

垣根「待ちきれないな、今すぐ貰うぞ」バサッ

結標「せっかちね」

垣根「お前をやればこの施設の暗部は全滅だ」

結標「アイテムが居たはずだけど?」

垣根「とっくに潰したよ」

結標「信じられないわね…!」

結標「土御門と海原は?」

垣根「同じだよ、今頃二人仲良く冷たくなってんだろうな」

結標「そんなこと、よく平気でやってのけれるわね!」

垣根「しなきゃいけねぇんだよ」

結標「悪いけど、見す見す殺されるわけにはいかないわよ」

結標「遣り残したことたくさんあるんだから!」

垣根「うるせぇ!」ドッ

結標「くっ!」

『結標ェ!俺を飛ばせェ!!』
956 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:30:01.02 ID:kH44cLg80
ヒュンッ!

垣根「!」

ゴッ!

一方通行「よォ、また会ったな…!」

垣根「テメェ…グループのメンバーだったのか?」

一方通行「関係あンのかァ?」

垣根「お前を心置きなく殺せるかどうかにな!」

一方通行「安心しろ、無理だからよ」

結標「はっ…はっ…」

一方通行「少し下がってろ」

結標「う、うん…」

垣根「余所見してていいのか?」

一方通行「舐めンな」

ドンッ!

結標「なんで垣根と渡り合えるのよ…!」

結標「そうだ!土御門と海原を…」ヒュッ

トサッ

土御門「」

海原「」

結標「ウソ…本当に死んでるの…ん?」
957 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:30:38.47 ID:kH44cLg80

一方通行「ぐァ!」

垣根「よく分かんねぇがこの攻撃は効くみてぇだな」

一方通行「テメェ…!」

垣根「解析は完了した。テメェの能力はいまいち分からねぇがテメェの知らねぇやり方で攻撃すればいいらしいな」

一方通行「クソッ!」

垣根「次はもっと強い攻撃をブチ当てる。それで終いだ」

一方通行「やってみろよチンピラ」

垣根「[ピーーー]」

ゴオッ…!

一方通行「…!」

垣根「…」

一方通行「なンだ?急に止めて。怖気づいたか?」

垣根「そいつらに…」

一方通行「ア?」

垣根「そいつらに触るんじゃねぇ結標!!」

ドバッ!

一方通行「なッ!」

結標「え!?何!?」

垣根「テメェから先に対処すべきだったみてぇだな!」バサッ

一方通行「間に合えよォ…!」ドッ
958 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:31:06.71 ID:kH44cLg80
結標「く…」

一方通行「ク…ッ…ソがァ!!」ギュンッ

ドシュゥゥ!

垣根「チッ…!」

一方通行「グ…」

垣根「お前が盾になったか…だが運が悪かったな」

垣根「対お前用に調整した能力のままだからお前にモロ効いたはずだぜ」

一方通行(確かに…コリャ動けねェ…)

結標「ちょ、ちょっと一方通行!」

一方通行「こォいう時は名前で呼ンでくれよ…」

垣根「はっ、お前一方通行って言うのか?」

結標「名前ってあなたねぇ!」

一方通行「チッ…」パサッ

垣根「ん?んだこりゃ…」

一方通行「それに…触るんじゃねぇ…」

垣根「コイツはタロットか?」ピッ

結標「タロット…?」

垣根「死神のカードか。今のお前にお似合いだな」

一方通行「死…神…?」

垣根「ホラ、Death、死神のことだろ?そういや前に会った時も死神がどうとか言ってたな」ピッ

パサッ…

一方通行(死神の正位置…)

一方通行(終末や解体を意味…崩壊、終止符…現状、進展が無い事意味する…俺はここまでってか…)

一方通行(イヤまだだ…今の状況さえ変えれば…!)
959 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:31:34.19 ID:kH44cLg80
ぐぐっ…!

一方通行「ッ…」

垣根「何だ?何をする気だ?」

一方通行「…」グッ

ゴッ!

結標「!」

垣根「!!」

バキャッ!

結標「チップが…」

垣根「テメェ…!うまくいく寸前だったってのによ!」

一方通行「ザマァミロ…」ドサッ

垣根「クソがァ!」バキキッ

結標「はっ…はっ…」パシュッ

垣根「お前はさっきから何をして…!」

土御門「そこまでだ垣根」

垣根「なんで…なんでこうもうまくいかねぇ!」

海原「話を聴いてください垣根さん」

結標「この薬、持ってて役に立ったわね」

土御門「多分二度と使わないだろうな」

結標「未元物質に効くのかは賭けだったけどね」

海原「蘇生薬、まさか自分が仮死状態になるとは思ってませんでしたけどね」

土御門「垣根、大事な話がある。少しでいい聴いてくれ」

海原「心理定規さんの事は心配しないでください。我々の上司が既に手を回しています。あなたが動きやすいように、ね」

垣根「一体何を…」

土御門「それを今から話そう。それよりもまずは、アイテムの回収と一方通行を病院に運ぶ事からだ」

960 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:32:02.76 ID:kH44cLg80
-----------------------翌日・病院にて-----------------------

うまく体が動かねェ、モロに未元物質を喰らったからか…

ここは…

結標「ん、起きたみたいね」

一方通行「病院か…?」

海原「おはようございます」

一方通行「海原」

土御門「さて…」

一方通行「俺が壊したチップはどうなった、それに垣根も…」

土御門「それも今から話してやる」

一方通行「あァ?」

海原「寝たままで結構です。まだうまく体が動かないと思うので」

土御門「まずあのチップの中身だが…」

一方通行「…」

土御門「あのデータの中身は高位能力者は殲滅するための周到な計画が暗号化されているものだった」

一方通行「なに?」

海原「我々は自分の首を絞めるために動いていたようなものです」

土御門「とある上層部の人間はわずかな期間で急成長したこの街を恐れていた」

土御門「そしてその畏怖は能力者に向けられたわけだ」

海原「それも、レベル4以上の人たちにです」
961 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:32:32.04 ID:kH44cLg80
海原「その計画を発案したのは現在の統括理事長に代わり、新たに理事長になろうとする考えでした」

一方通行「分かンねェな。どォして恐れていたこの街を支配しようって考えに至ったンだ?」

海原「もっともな疑問です。ですが支配者気取り故のに間違いがあったのです」

土御門「そいつは新しく学園都市を作ろうとしたのさ」

海原「今回の一番の被害者は垣根さんです」

海原「上から我々を[ピーーー]ように命令されていたそうです。心理定規さんを人質に取られて」

土御門「一番能力者として出来上がっている垣根にある程度任せようとしたんだろうな」

土御門「麦野を筆頭としたアイテムや俺達、邪魔な連中はあそこで始末する手はずだったらしい」

土御「あわよくば、駆動鎧で垣根もろとも抹[ピーーー]る予定だったらしい」

海原「垣根さんは監視されているのを知った上で我々を一旦仮死状態に持っていく考えだったそうです」

土御門「その後どうするのかは知らないが…俺達を[ピーーー]気は無かったらしい」

結標「いきなり血相変えるんですもの。驚いたわ」

海原「予定では結標さんで終わりでしたからね」

土御門「完了する寸前で邪魔が入ればそりゃ怒るだろ」

一方通行「なるほどね…」

土御門「それと、今回の一件は全て解決した」

一方通行「俺達の知らない所でか?」

土御門「知らないほうがいい事もある」

海原「ちなみに、一方通行さんが相手したモニタールームの人間ですが…」

海原「今回の件の関係者だそうです」

海原「では、この話は終わりです。我々暗部が招集されることはおそらく二度とないでしょう」

土御門「どうせすぐに集められるかもしれないんだ。あんまり期待はするなよ」

962 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:33:00.08 ID:kH44cLg80
土御門「さて、それじゃお別れだ一方通行」

海原「色々と助かりました」

土御門「もう進んで暗部に来ようなんて思うなよ」

海原「そういえば一方通行さんが我々に加担した理由がよく分かりませんね」

土御門「最後に聴いてもいいか?」

一方通行「探し物をしてただけだ」

土御門「探し物か…そういえば…」カタッ

一方通行「…」

土御門「このタロット、お前のだろ。落ちていたぞ」

海原「アルカナのカードの枚数確認のために中を見ました。全部揃っていましたのでご安心ください」

結標「タロット?」

一方通行「借り物だ。悪いな」

土御門「なに、これぐらいのことでしか礼は出来ないからな」

海原「最後によろしいですか?」

一方通行「?」

シュッ…シャシャシャッ…ピッ

海原「ふむ」

土御門「それは上から捲るものなのか?」

海原「違いますよ。ですが、これでも結構雰囲気はあるので」
963 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:33:28.63 ID:kH44cLg80
海原「節制の正位置、状況を安定させる力を手に入れることを意味するものです」

海原「あとはそうですね…安定した職を見つけることが出来るかもしれませんね」

海原「気になる恋愛ですが…好意を持ってくれている人よりアプローチがあるかもしれませんね」

一方通行「ハッ」

海原「お疲れさまです。縁があったらまたお会いしましょう」ザッ

土御門「どれ、俺も」ピラ

土御門「海原、ちょっと待っててくれ。俺のも見てくれ」

海原「え?せっかく決めたところだったんですがね…」

土御門「そう言うな、俺のは…法王の逆位置だ」

海原「逆位置ですか?最後の最後に変な引き方をしますね」

土御門「それで?このカードは?」

海原「えっと…これは…不安定な状況に視野が狭くなることを意味しています」

海原「ご自分で勝手に結論付けてしまう、精神が安定しないなど、自分が引いたカードを台無しにするかのような意味です」

土御門「ふっ」

海原「まったく…結標さんもどうです?」

結標「私?」

海原「ええ」

結標「じゃあ…」ピラ

海原「土御門さんと違って正位置ですよ」

土御門「うるさい」

964 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:33:56.40 ID:kH44cLg80
結標「これは?」

海原「恋愛の正位置です」

一方通行「恋愛…」

海原「一方通行さん、分かりますか?」

一方通行「イヤ」

海原「このカードには答えや判断を求められた時に、正しい決断をすることで悔いを残さないよう進めることを意味しています」

海原「後は将来につながる関係を築けるかもしれませんね。それと、人との距離を近く感じることが出来、心が落ち着くさまを見ることが出来ます」

一方通行「…」

海原「そうじてプラマイ0な出方ですがこれをヒントに探し物が見つかるといいですね」

一方通行「ン、あァ…」

海原「では、自分はこれで」

土御門「色々と迷惑かけたな。入院費はこっち持ちにしておく」

土御門「次会う時も見方同士だといいな。じゃあ達者でな」

一方通行「待て」

土御門「ん?」

一方通行「俺の素性を調べたりしないのか?」

土御門「別に、どうでもいいさそんなこと」ザッ

結標「さて、じゃあ私も行こうかしら」

一方通行「あァ」

結標「それと、最後は助かったわ。あの時はなかなか格好良かったわよ」

一方通行「そォかい」

結標「また会いましょ。一方…いや、ちゃんとした名前があったわね」

一方通行(やっとか…)

結標「じゃあね、

ビュオオオッ!
965 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:35:50.08 ID:kH44cLg80
-----------------------窓の無いビル-----------------------

アレイスター「今日は風が強いな。人の声が聴き取れないぐらいに…」

ステイル「…」

アレイスター「何か聴きたいことがあるんだろう?ステイル=マグヌス」

ステイル「アレイスター統括理事長、今回の事ですが…」

アレイスター「一方通行のことか」

ステイル「やはりあなたは魔術には…」

アレイスター「ああ。魔術の影響は受けていない」

ステイル「もしや、昨夜の一件もあなたが?」

アレイスター「さてね」

ステイル「暗部達の抗争も…」

アレイスター「昨夜は面白いものが見れた。改めて感じさせられたよ」

アレイスター「第一位は一方通行でなくてはな」

ステイル「…」

アレイスター「そろそろ魔術も解ける頃合だろうな」

ステイル「?」

アレイスター「今回の一件はイレギュラーだがプラン進行になんら影響は無い」

アレイスター「一方通行の精神を固めるという意味では大いに意味のあるものだ」

ステイル(これすらも利用してしまうのか…アレイスター…)

ステイル(何はともあれ一方通行も大丈夫のようだな。おめでとう)

ステイル(別れを言う事は出来ないがいずれまた会えるだろう)

アレイスター「もう行きたまえ。これ以上居ても話すことは無い」

ステイル「失礼します」

アレイスター「そうだ、ステイル=マグヌス、最後に一つたとえ話をしようか」

ステイル「?」

アレイスター「一位があんな状況に陥ったからと言って、そう都合よくイベントが起きるものじゃない」

ステイル「やはりあなたが…それはたとえ話でもなんでもないのでは?」

アレイスター「なに、わざわざ英国より出向いてくれた手土産だ」
966 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:36:25.21 ID:kH44cLg80
-----------------------病院-----------------------

一方通行「え?」

結標「どうしたのよ、そんなに驚いた顔をして。名前を呼んだだけじゃない。あなたが望んでいた本名を」

一方通行「…ン?」

土御門「結標、何をやっている」

海原「次は垣根さんの所に行くのですが…」

土御門「あいつもあいつで考え事をしていたからな」

海原「なんです?」

土御門「一位の情報がガセだったってことがだ」

海原「ああ…」

土御門「これで万年二位だな。一位が現れないことには何も進まないからな」

一方通行「な…ンで…」

『法王の逆位置』

一方通行「ッ…まだだ…まだ…」

結標「じゃあね」ザッ

一方通行「…」

一方通行「じゃあ一体誰が…」

ザワザワ…

一方通行「結標じゃねェ誰かが…イヤ、もしかしたら間違えただけかもしンねェ…もう一度言わせて…」

ガヤガヤ…

一方通行「チッ…随分と騒がしィな」

「いやー、あれにはさすがのミサカも驚いたね」

「何を言いますか。驚いたとい点ではミサカも…」

「いやいやいや!やっぱり一番はミサカでしょ!ってミサカはミサカは猛烈アピール!」

一方通行「この声は…」
967 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:37:12.67 ID:kH44cLg80
番外個体「はぁー、やっぱ上位個体はお子ちゃまかー」

打ち止め「むむむ…」

御坂妹「確かに、恐怖体験としてはいささかパンチが足りないのでは、とミサカは冷静に判断します」

打ち止め「ぐぐ…ならばとっておきの話を…あれ?」

御坂妹「どうしました上位個体?」

打ち止め「お兄さん!」

番外個体「は?」

御坂妹「おや、先日の」

一方通行「よ、よォ…」

御坂妹「入院していたのですね。見たところ寝たきりですが重傷ですか?」

一方通行「大した事は無ェよ」

御坂妹「そうですか」

打ち止め「そういえばお兄さんが行ってた一位だけどね…」

一方通行「?」

打ち止め「やっぱり何も分からなかったんだ、ってミサカはミサカは説明してみる」

一方通行「イヤ、もォイインだ」

打ち止め「そう?」

一方通行「あァ」

御坂妹「番外個体、入り口に立っていないで病室に入ったらどうです?」

番外個体「ん」
968 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/12(水) 20:39:32.15 ID:kH44cLg80
御坂妹「む、これはタロットですか?」

一方通行「あァ」

打ち止め「ヨシカワと同じだ!」

御坂妹「結構高級そうな物ですね。怖いのでお触りは遠慮しておきましょう」

番外個体「へー、タロットかー」

打ち止め「おおー」

番外個体「ていうか私、今表札見たんだけどさ…」スッ

一方通行「なンだ」

番外個体「アンタって名前、-----って言うんだ?」

ピキィン…!

一方通行「!!」

ビュオオオッ!

その瞬間だった。

開いていた病室の窓から今日一番とも取れる強風が吹いた。

さっきの音は聴き覚えがある、俺が魔術の影響下に置かれたと思える時間帯にも鳴った音だ

風に揺れるカーテン、俺の知ってる表情を見せるガキ共。その表情で俺は全て元通りになったことを理解した

強風でめくれ一枚床に落ちるタロット、俺にはその絵柄がスローモーションで眼に映った

そのタロットが落ちる瞬間、タロットに番外個体の手が触れた瞬間も俺の眼に映った

落ちたタロットは悪魔。番外個体から見て正位置

「『節制の正位置』好意を持ってくれている人よりアプローチがあるかもしれませんね」

「『恋愛の正位置』答えや判断を求められた時に、正しい決断をすることで悔いを残さないよう進めることを意味しています」

とンでもねェオチだ。悪魔の正位置、嫉妬、執着、欲望、誘惑、盲目、過信

嫉妬や執着のしすぎで状況を見失う、相手に気持ちばかり押し付けて重荷になる

一生懸命だが、空回りになり結果を出せない

なンていうことだ、結標よりも番外個体の愛の方が強いという謎の証明がここでされたワケだ

コイツの中では俺に対する愛がどろどろに詰まってるのかもしンねェな

一方通行「オマエだったのかよ…」

番外個体「?」

悪魔の正位置は奇しくも番外個体を表す物になった瞬間だった

番外個体「ねえ、どうしたの?」

なんでコイツこンな顔赤いンだ。そういえばまじまじと顔を見るのは随分と久しぶりな気がする

番外個体「ねえ、両手とか動くの?色々と不便じゃないの?」

なンだコイツ…こンなヤツだったか?てかなンだその質問は、何が不便なンだ
アレ?コイツ、こんなに顔をしてたっけか…?

助けてくれ垣根、この状況を打破出来るのはオマエしかいねェ 
978 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:19:31.18 ID:MdaQ3Iv80
-----------------------数日後-----------------------

今俺達は二人暮らしをしている
二人っての他でもねェ

俺と淡希だ

あの後の面倒な出来事は全部ほったらかしにしてきて、その後に出した結論だ

魔術の影響が出た当初は色々と情報が改変されていて都合のイイよォに動いてたが…

魔術解除の際にはそんな処置は無かったみてェで色々と質問責めにあったりしたもンだ

そォいや、あのイギリスの二人組にはあれから会ってねェな。一応礼ぐらいはしたかったが…

ちなみに、黄泉川ン所は今どォなってっかと言うと…特に変わりはねェみてェだな

しいて言えば俺達の部屋が窒素のガキ共に与えられたぐらいか。

アイツらはいつまであァしてンだろォな

ちなみに、俺達が住ンでる場所だが、当然一軒家なンかじゃねェ

家を買ったとか、そンなンじゃねェ

借りたンだ

とあるアパートを

アパートってか寮だな、ありゃァ
979 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:19:57.16 ID:MdaQ3Iv80
ガンガンガン!

『一方通行』

一方通行「あァ?」

『俺だ』

一方通行「何の用だ」ガチャ

土御門「何の用だは無いだろ。手続きの書類が出てないって小萌先生に俺が怒られたんだぜい?」

一方通行「はァ?その紙は三下に渡したはずだぞォ?」

土御門「ちゃんと手元に届くと思ってるのか…?」

一方通行「チッ…」

土御門「この寮の部屋を借りるのはいい。だが、この階層をまるごと借りるんならそれなりの書類が必要だ」

土御門「結標が何を言ったか知らんが、教員にはきちんと受理されてんだ。お前もしっかりしなきゃダメだろうが」

一方通行「面倒くせェな…」

土御門「まあいい、ちゃんと言ったからな」

一方通行「分かった分かった」

土御門「ったく…本当に分かってるのやら…っと…」ドンッ

結標「なにやってるの?」

土御門「なんだ?今帰ってきたのか?」

結標「ええ」

一方通行「おォ、戻ってきたか」

結標「うん、ただいま」

土御門「じゃあ俺は行く。多分また近いうちに顔を出すと思うがな」

結標「あら、何しに来たの?」

土御門「必要書類の催促に来た」

結標「必要書類?まだ何かあったかしら?」
980 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:20:26.84 ID:MdaQ3Iv80
土御門「二人して…」

結標「ちょっと」

土御門「いやなんでもない」ガチャ

結標「行っちゃったわ」

一方通行「ふゥ…」

結標「で?なんだったの?」

一方通行「さァな」

結標「さぁって…ちょっとねぇ…」ググッ

一方通行「痛てて」

結標「もう一度聴くけどなんだったの?」

一方通行「くっ、耳を引っ張るとは…」

結標「書類がどうのって言ってたけど」

一方通行「三下に渡した書類が出てないだけだ」

結標「…」スッ

一方通行「ア…」ヒュン

結標「だから自分で出しに行ってってお願いしたのに」

結標「まあいいわ、後で書かなきゃ…小萌にも悪いし…」
981 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:20:52.94 ID:MdaQ3Iv80
ガチャン!

上条「ああー!!皿がー!!」

一方通行「チッ…ここに飛ばしやがったか…」

上条「よりによってテーブルの上に現れるなんて…」

一方通行「オメェ書類はどォした」

上条「うう…え?」

一方通行「書類だ、前に渡したろ」

上条「あ…あれ…」

一方通行「出てねェって言われたンだがよォ…」

上条「土砂降りにやられまして…」

一方通行「そンで?」

上条「グチャグチャになりまして…」

一方通行「そォか、まァイイ。もう一回出ししゃイイ話だからな」

上条(濡れたまんま今まで忘れてたな)

一方通行「それだけだ、じゃァな」ガチャ

上条「あ、皿…」

インデックス「とうまー、お皿はー?」

上条「…」

インデックス「わ、割れてる!」

上条「そうだな、ああ、そうだな」
982 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:21:21.91 ID:MdaQ3Iv80
-----------------------第七学区-----------------------

「そこの背ー高いお兄ーさん!」

垣根「あ?って…涙子ちゃんか…」

佐天「削板さん、見ませんでしたか?」

垣根「削板ぁ?」

佐天「はい」

垣根「知らねぇな」

佐天「そうですか?」

垣根「そうですかって…ただ歩いてただけだからな。一々周り見ながら歩いてるワケじゃねぇし」

佐天「じゃあ仕方ないですね」

垣根「連絡先分かんなら電話でもなんなりすりゃいいんじゃねぇのか?」

佐天「いやいやいや!すぐ会えたらつまんないじゃないですか!」

垣根「…」

佐天「あ、どこ行くんですか!おーい!」

垣根「一生探してな」

佐天「ちょちょちょ、ちょっと!」

垣根「なんだ」

佐天「最近冷たいんじゃないですか?」

垣根「普段通りだ」

佐天「いーや、違いますね」

垣根(こいつ…)
983 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:21:47.13 ID:MdaQ3Iv80
佐天「何か悩み事ですかぁー?」

垣根「…無い」

佐天「私に言いにくいんなら削板さんにでも…」

垣根「…せ…ぇ…」

佐天「はい?」

垣根「うるせぇんだよぉ!!」

佐天「!」

垣根「ちくしょぉ!!仲良さげにしやがってよぉ!!」

佐天「え?」

垣根「はいそうですかって言うワケねぇだろうがよぉ!」

佐天「あの…帝督さん?」

垣根「クソが…!一方的に絡まれてるだけなのに締め出すってのはどういう了見なんだ心理定規!!」ガツン

佐天「あーあー…地面が…」

垣根「そうだ…これもひっくるめてあのクソガキのせいじゃねぇか…もう一回裸で縛り上げて上条の家に…」

ギュン!

佐天「あ」

垣根「…」ドドッ

削板「あががっ」

垣根「なんのつもりだ」

削板「なんだ…垣根だったのか…」

垣根「遠くから見て俺が変質者にでも見えたか」

削板「割と」

垣根「一生埋まってな」

削板「そういえばこういう風に埋められるのは二度目だな…」

垣根「お前なら自力で出られるだろ」スタスタ

削板「…」

佐天「誰か呼びます?」

削板「第三位のお嬢ちゃんか風紀委員の空間移動の子を頼む」

佐天「はいはーい」
984 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:22:14.88 ID:MdaQ3Iv80
-----------------------風紀委員・第一七七支部-----------------------

打ち止め「うわー…」

御坂「あんまりいじくらないのよ?」

打ち止め「うん…」

御坂「へぇー、よっぽど珍しいのね。風紀委員が」

番外個体「…」カチャ

御坂「あんたもよ」

番外個体「やだなぁ、上位個体がともかくこのミサカが」

御坂「同じような性格ってのは知ってるんだから。あんま無駄なことすんじゃないわよ」

番外個体「くっ…」

初春「ほえー」

白井「どうしましたの?」

初春「いやぁ、こんなに御坂さんファミリーが居るとは…」

白井「まあ、見るのは初めてですの?」

初春「並べて見るのは」

白井「この光景を目に焼き付けておいて損はありませんの」

初春「は、はぁ…」

piriririririri

初春「?佐天さんから?」

白井「何か?」

初春「分かりません、一応出てみますね」
985 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:22:41.29 ID:MdaQ3Iv80
初春「もしもし?佐天さんですか?」

『初春ー』

初春「どうかしましたか?」

『削板さんが埋められちゃった』

初春「は?」

『白井さんか御坂さん辺りに助けてほしいんだけど』

初春「よく分かりませんが今から行きますね」

『ありがと、助かるよ』

初春「なんか佐天さんが助けを求めてきました」ピッ

白井「まあ」

御坂「ちょうど暇だったから行きましょ」

打ち止め「お出かけ?」

御坂「うん」

初春「結構近くに居るみたいですよ」

御坂「じゃあちゃっちゃと行こうじゃない」

番外個体「えー」

御坂「別にあんただけ帰ってもいいのよ?」

番外個体「やだなぁ」

御坂「ほらほら、文句言わないでさっさと出る!」

白井「うへへ…」

初春「白井さん…」
986 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:23:17.02 ID:MdaQ3Iv80
-----------------------アイテム-----------------------

浜面「…」

麦野「どうすんのよ」

浜面「どうしましょう」

絹旗「まったく…下調べもしてないとは。さすが超浜面ですね」

滝壺「わたしは下調べをしないはまづらでも応援してる」

浜面「それは嬉しくないな…」

黒夜「あーあー…」

フレンダ「行きつけのファミレスが節電で休みとはね…」

麦野「なぁんで気付かなかったのかしら」

浜面「…」

麦野「あんなにでっかく張り紙がしてあるのに」

浜面「…」

麦野「あんた昨日言わなかったっけ?休みの日?そんなすぐじゃないだろ、って」

浜面「…」

絹旗「これは無理ですね。諦めてください」

フレンダ「でも来る時間も来る時間だったし…」

絹旗「確かに夕方になる今の今まで気付かなかった私達もアレですけど…」

麦野「まあ浜面が悪いのよ」

黒夜「可愛そうに…あ」

麦野「どうかした?」

食蜂「なにやってるのかしらぁ」

麦野「第五位の…あ、ちょうどいいわ」

食蜂「?」

麦野「どこかゆっくり出来る所紹介してよ」

食蜂「んー…じゃあ私のお気に入りの所で!」

麦野「ラッキー」

絹旗「常盤台の女王サマのお気に入りの場所ですか。超高くつきそうですね浜面」

浜面「う…不幸だ」

麦野「何言ってんの、自業自得よ」
987 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:23:43.26 ID:MdaQ3Iv80
-----------------------第七学区-----------------------

御坂「あっちゃー…」

白井「まあまあ、見事に埋められてますこと」

初春「うわぁー」

佐天「感心してないで助けてあげてくださいよ」

御坂「ていうかこれ自力で出られるんじゃないの?」

削板「そう思うだろ?無理なんだ」

御坂「面倒ね…黒子ー」

白井「結局私ですの?」

御坂「私の能力じゃどうにもならないでしょ」

白井「では失礼して…」ピト

削板「ん」

ヒュン ビキビキ!

削板「ふぅ…よし、出れた」

白井「それで?誰に埋められましたの?」

佐天「帝督さんですよぉ」

白井「はぁ…またあの男ですの…」

御坂「あれ?打ち止め達は?」

初春「あれ?後ろに付いてきていたと思ってたんですけど…」
988 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:24:12.21 ID:MdaQ3Iv80
-----------------------学生寮にて-----------------------

ピンポピンポピンポーン

一方通行「この懐かしき連打は…」

結標「…」

ガチャ…

一方通行「誰だ」

『俺だ』

一方通行「何のようだ」

『遊びに来た。入れてくれ』

一方通行「遊びにだとォ?」カチャ

垣根「邪魔する」

一方通行「お、おォ…」

結標「一人?珍しいわね」

垣根「心理定規に締め出されるし、一緒に行動する奴もいねぇからな。だからこうして一人で来た」

結標「ふーん…でも今からここに心理定規が来るけどね」

垣根「え?」

一方通行「ウソじゃねェぞ。料理を教えに来る」

垣根「なんだそりゃ、聴いてねぇぞ…」

心理定規「入り口で何してるのよ」

垣根「あ」

心理定規「お邪魔するわね」

結標「来たわね。こっちよ、さぁ」

垣根「…」

一方通行「ガンスルーか」

垣根「…」
989 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:24:40.95 ID:MdaQ3Iv80
-----------------------数十分後-----------------------

食蜂「んー、なんだか良い臭いー」

絹旗「ちょっと麦野」

麦野「なによ」

絹旗「ここはどう見てもただのアパートなんですが」

麦野「そんなの私だって気付いてるわよ」

浜面「いや、もしかしたら隠れ家的な…」

黒夜「あれ…てかここは…」

麦野「どうしたのよ」

黒夜「一回ここに来たことあるような…」

麦野「はぁ?」

滝壺「むぎの」

麦野「今度は滝壺?何よ」

滝壺「ここ、来たことある」

麦野「んん?」

浜面「あ」

フレンダ「?」

浜面「ここ、アイツの寮だわ」

麦野「寮…?」

滝壺「覚えてない?」

浜面「ほら、フレメアに初めて会った…」

麦野「…!」
990 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:27:04.72 ID:MdaQ3Iv80
垣根「大丈夫か?今日のメシ」

一方通行「さァな」

垣根「病院には行きたくねーからな」

一方通行「大丈夫だろ。流石に腹壊すよォなモンは出てこねェハズだ」

ピンポーン

垣根「?」

一方通行「俺が出るか」タッ

ガチャ

白井「こんばんは」

一方通行「ンでオマエが…」

白井「別に私が用あるわけではございませんの」

一方通行「ハ?じゃァなンでオマエが出てくンだよ」

白井「いえ、この面子でしたら私かと思いまして」

一方通行「?」

初春「こんばんはー」

御坂「邪魔するわね」

佐天「へぇー…新しくここに住むんですかー」

番外個体「うーん…やっぱりボロっちいね」

打ち止め「うーん…狭いね。ってミサカはミサカは驚愕の事実を口にする」

削板「いい所に住んでるな」

一方通行「ったく…結局全員ウチに入ンのかよ…」

「着いた着いた。ここよぉ」

一方通行「?」

麦野「あちゃー、ここに行き着くのね」

絹旗「もしかしたら案内を頼んだ時点で一方通行の元に行く事は超決定していたのかもしれません」

浜面「仕方ないっちゃ仕方ないような…」

フレンダ「でもゆっくり出来る所には間違いないかも」

滝壺「でも靴がいっぱい」

麦野「あらホント。他に誰か居るのかしら」

黒夜「これは打ち止めの…」

食蜂「そういうワケだからお邪魔するわぁ」

一方通行「…」

麦野「てかこの人数は入るのかしら」

黒夜「中がメチャクチャ狭かった記憶があるな」

浜面「そういやかなり狭かったな」

一方通行「ェぞ…」

浜面「え?」

一方通行「入らねェぞ…」
991 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:27:31.87 ID:MdaQ3Iv80
-----------------------数分後-----------------------

垣根「…」

浜面「…」

一方通行「…」

垣根「なあ、なんで 俺達が外に居るんだ?」

一方通行「知らねェよ」

浜面「俺なんか家に踏み入れてすらいないぞ」

一方通行「テメェが大勢連れて来たからだろォが」

浜面「いや俺が連れて来たワケじゃ…」

垣根「結局中は女だけか…あ、削板が居たか…」

浜面「なんでアイツだけが…」

垣根「やっぱ信頼ってのは重要なモンだな」

一方通行「何を今更」

垣根「身にしみただけだ」

浜面「はぁ…」

垣根「ちょうどいい、浜面よく聴け」

浜面「え?」

垣根「これから滝壺と暮らすかもしれないお前にアドバイス…」

一方通行「…」

垣根「ちょうどいいからお前も聴け」

一方通行「アテになンなさそォだな」

垣根「女の子と暮らすということはだな…」

一方通行「…」

浜面「…なんだよ」

垣根「浮気まがいのような事はしないことだな」

一方通行「解散」

浜面「ああ」
992 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:30:07.37 ID:MdaQ3Iv80
-----------------------数時間後-----------------------

一方通行「オラ!帰れテメェら!」

垣根「んだよ…もう少しゆっくりさせろ」

一方通行「夕飯はウマかったか垣根?もう十一時だ、風紀連中やアイテムもとっとと帰りやがれ」

御坂「あちゃー、すっかり遅くなっちゃったわね」

番外個体「ミサカは帰らなくていいわけ?」

一方通行「黄泉川がうるせェから帰れ」

番外個体「ちっ」

麦野「はぁあ…家主もうるさいしさっさと帰りましょ」

滝壺「うん」

フレンダ「帰り時ってワケね」

絹旗「では一方通行、また」

黒夜「こっから家までどんくらいだ?」

白井「お姉さま、私たちも」

御坂「そうね、でも先にあの子達送ってからでいい?」

打ち止め「わー、柔らかーい!」フニュフニュ

食蜂「んふふ」

御坂「何やってるのよ…」

食蜂「あなたじゃ一生出来なさそうなこと」

打ち止め「ミサキの胸すっごい柔らかいよオネーサマ!ってミサカはミサカは報告してみる!」

御坂「いらないから!」

食蜂「私は泊めてもらおうかしらぁ…」

一方通行「じゃァな」

食蜂「え?」ヒュン

一方通行「さァ、次はドイツだ?」

麦野「さっさと帰りましょ。飛ばされちゃたまらないわ」

初春「ほら佐天さん、行きますよ」

佐天「もう?」

初春「結構遅い時間ですから」

麦野「あんたちゃんと送って行くのよ?」

削板「おう」

垣根「んじゃ帰るか」ガタッ

心理定規「待った、私も帰るわ」

垣根「ははっ、ちゃんと付いて来いよ?」

一方通行「オラ帰れ!俺は疲れてンだ!」

垣根「ちっ、うるせぇ奴だ。おい白井、外まで飛ばせ」

白井「ま、楽しようだなんて…」

垣根「あん」ヒュン

結標「私が飛ばしたわ」
993 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:30:37.80 ID:MdaQ3Iv80
御坂「じゃ、帰るわね。お邪魔しました」

佐天「さよならー」

初春「佐天さん!早く靴履いてください!私が出れないじゃないですか!」

白井「では、おいとましますの」

番外個体「またねー」

打ち止め「おやすみなさーい」

浜面「じゃあなお二人さん」

黒夜「おら早く出ろ」

絹旗「今日は星が超綺麗に見えますね」

滝壺「明日はきっといい天気だね」

フレンダ「気持ちよく帰れそうね」

麦野「またね、あんた達」

一方通行「おォ、早く帰れ」

麦野「分かってるっての」

心理定規「じゃあね淡希」

結標「うん、気をつけてね」

心理定規「大丈夫よ。私の横には彼がいるもの」

結表「それもそうね」

心理定規「あら?これは…」

ガチャ

『?』

垣根「…」

一方通行「なンだァ?」

垣根「靴履いてねぇよ。裸足で飛ばされても帰れないっつうの」

一方通行「そォか。じゃァな」

垣根「ああ、またこうして会おうぜ」
994 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:31:05.78 ID:MdaQ3Iv80
結標「ふう、一気に静かになったわね」

一方通行「いつもが騒がしすぎンだよ。こンくらいがちょォどイイ」

結標「でも嫌いじゃないでしょ?」

一方通行「まァな」

結標「そういえばタロット持ってるんだって?」

一方通行「ア…芳川から借りたまンまだったな」

結標「見せてくれない?」

一方通行「ホラ」パシ

結標「ん」

一方通行「なかなか役に立った。詳しくは言えねェが助けになった」

結標「へぇ…」

一方通行「人にアルカナを当てはめるってのも…意味無ェがそれなりに暇を潰せる楽しみ方だ」

結標「やったことあるの?」

一方通行「知り合いがやっててな」

結標「じゃあ私は何かしら?」

一方通行「確か…」

一方通行(あン時に引いたのが恋愛だったな。だが…)

結標「確か?」

一方通行「力、だな」

結標「力?もっと女の子らしいのでもいいんじゃないの?」

一方通行「俺にとっての力だ。意味は目標に対しての強い意思、感情」

一方通行「最後まで諦めねェ事を意味してる。だが状況次第で周りが見えなくなり自分の世界に入り込んで失敗する可能性って意味もある」

結標「つまり?」

一方通行「オマエの事、最後まで見ててやるよ。周りなンざ関係ねェ、そォいう事だ」

結標「へぇ」

一方通行(まァ今考えたンだけどな)
995 : ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:31:32.76 ID:MdaQ3Iv80
結標「じゃあね…」カサカサ

一方通行「ン?」

結標「一方通行は私にとっての愚者ね」

一方通行「愚者だとォ?」

結標「変化を求める気持ち、姿勢、期待を意味するらしいわ。そして…」

一方通行「…」

結標「現状で満足出来ない、って事ね」

一方通行「今の状況じゃ満足出来ねェか?」

結標「私と一緒に居るんですもの、これから振り回すわよ」

一方通行「なるほど」

結標「あと、刺激的な出来事もいいかもね」

一方通行「この街に住んでる限り、それには困らねェだろォな」

結標「そうだろうけど…私はこの街に頼らないで満足させてほしいわね」

一方通行「愚者…変化か」

結標「人は変われるものよ。だけど、付き添う女だけは変化させないでほしいわね」

一方通行「ありえねェな。一度決めたことだ、曲げやしねェよ」

結標「うん…」

一方通行「ありがとォな」

結標「何が?」

一方通行「色々とだ」

結標「それなら私も」

一方通行「あァ」

カチャ

一方通行「…」

結標「…」

垣根「携帯忘れた」

一方通行「台無しだ」

結標「最悪」

一方通行「オマエ死神だわ」

垣根「よく分かんないけど、仲良くな」

一方通行「さっさと帰れ垣根」

垣根「おう」



おしまい 
997 ◆Lp4e6dlfNU :2011/10/23(日) 19:36:29.74 ID:MdaQ3Iv80
お疲れさまでした。晴れて終了です。
最後かなり詰め込んでしまいました、さっきになって間に合わないって慌てて2レスを1レスにまとめたりと無理矢理しました。

2スレ消費しましたが、グダった部分とそうでない部分の差がかなりすごかったと思います。
それが一番の反省点ですね。

次何かやるときはもうちょい勉強してそれなりな物を書きたいと思います。
今思えば震災後、あまりにも暇で始めた書き物でしたが、いい経験したなぁとか思っちゃいます。

では次回何かやるときはまたこのトリ付けます、見かけた歳は少しばかり成長してるかと思います。

では長々とお付き合いいただきありがとうございました、残レスを考えると返事なんか出来ませんがきちんと目を通したいと思ってます。

お疲れ様でした。
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/23(日) 20:15:35.57 ID:wfJ/LQFX0
今までお疲れ様でした
最後の最後まで楽しんで読めたので良かったですまた次回作に期待させていただきます
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 21:24:32.79 ID:5RKyAdWfo
おしまい 

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