- 510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:13:34.02 ID:vzWMbi4DO
- ―――――――――
心理 「学園都市って所々で矛盾してるのね」
垣根 「こういう街とのギャップを楽しむんじゃねーの?」
心理 「幽霊なんかより生きてる人間の方が余程怖いわ。あなたも分かってるでしょ?」
垣根 「いいからいいから、先に進もうぜ」
上条 「廃病院が舞台か、かなり雰囲気あるな」
一方 「どうせ人体模型が歩くとかそンなもンじゃねェの?」
上条 「それってどっちかって言うと学校じゃないか?」
一方 「学校とか行かねェから分かンねェよ」 - 511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:14:33.37 ID:vzWMbi4DO
- 麦野 「暗くてよく見えないわね…」
上条 (それよりこっちの方が怖いんですけど…) チラッ
麦野 「何見てんのよ」
上条 「いえ、何でもありません」 プイッ
垣根 「怖くねえの?」
心理 「逆に何が怖いのか聞きたいくらいよ」
垣根 「そりゃお前、この薄暗い空間に冷たい空気、それに病院はよく出るって言うし」
心理 「これより遥かに凄いのを何度経験してると思ってるのよ」
垣根 「まあそうだけど、人間怖いものの1つや2つあったっておかしくないだろ?」
心理 「あなたにも怖いものはあるの?」
垣根 「ずっと我慢してたけど、今スゲー怖い。早く出たい」
心理 「」
- 512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:15:29.49 ID:vzWMbi4DO
- 垣根 「ヤバいってこれ、カメラ撮ったらなんか映るんじゃねーか?」 ビクビク
心理 「いや、ここ遊園地…」
垣根 「お前歩くの速い!置いてかないで!」 グイッ
心理 「何なのよもう…」 ハァ
心理 (あなたがどんどん分からなくなって来た…)
上条 「…っ!……!」 プッ
一方 「……!」 プクク
麦野 「……」 プルプル
上条 「何だあれ、恥ずかし過ぎる…!」 クスクス
麦野 「置いてかないで!って必死になってさ…!」 クスクス
一方 「そうかそうか、お化けが怖いのかァ」 クカカ
麦野 「今度アイツをビビらせてやろうか」 ニヤリ
一方 「いいねェ」 ニヤリ
上条 (やっぱこっちのが怖い…) - 513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:16:15.70 ID:vzWMbi4DO
クスクス……
クカカ…
垣根 「な、何だこの薄気味悪い笑い声は!?」 ビクッ
心理 「後ろの方からしたわね」
垣根 「早く行こうぜ…」
「……」
垣根 「うわー…」
心理 「人が寝てる…」
垣根 「これ絶対起きるよ~、通りたくねえ~」
心理 「でもここを通らないと出口まで行けないわよ」
垣根 「よし、引き返そう」
心理 「馬鹿言わないの、早く行きましょ」
垣根 「ううー…」 ソローリ
心理 (こんなのが学園都市第二位だなんて誰も思わないわ……)
心理 (いえ、こんなのだからこそなれたのかも)- 514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:17:24.16 ID:vzWMbi4DO
- 垣根 「起きるなよー、絶対起きるなよー…」 ソローリ
「……」
垣根 「よし、そのまま……」 ソローリ
「……」
垣根 「ふぅ、これで一安心……」
「ガアァァァァ!!」 ガバッ
垣根 「うおぁぁぁぁ!!」 ギュッ
心理 「キャッ!?」 ドキッ
「アァ…アァァ…」 フラフラ
垣根 「は、早く行くぞ!!」 ダッ
心理 「ち、ちょっと!?」
上条 「おわかりいただけただろうか?」
一方 「何となく予想はしてたが、マジで抱きつくとは…」
麦野 「そんな馬鹿な……」 - 515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:18:23.76 ID:vzWMbi4DO
- 一方 「もうちょい明るけりゃ撮ってやったンだがよォ」
上条 「何か楽しくなってきた」
一方 「分かってきたな三下ァ」
麦野 「そうね、楽しくなってきたわね」
麦野 「さ、引き続き監視を続けるよ!」
一方 「おォ」
「……」
上条 「あれ、そういえば何で起きないんだろ?」
一方 「さァ、寝てンじゃねェの?」
「……」
お化け役の職員は決して寝ていた訳ではない
何故かは分からないが、彼という動物の本能が“起きてはいけない”と告げたのだ
後に彼は、『科学でも証明しきれない何かを感じた』と同僚に語ったという――
- 516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:19:19.28 ID:vzWMbi4DO
- 心理 「もうすぐ出口ね」
心理 (いきなり抱きつかれた時は流石にビックリしたわ…)
垣根 「お前スゲーな、ホントに怖くないのかよ」
心理 「あそこまで怖がるあなたに恐怖した」
垣根 「如何に科学が進歩してるったって、地球の歴史に比べたら知れたもんだ」
垣根 「科学で解明出来ない事なんざいっぱいあるっての」
心理 「学園都市の人間とは思えない発言ね」
垣根 「自分でも何言ってんのか分からん」
- 517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:19:51.47 ID:vzWMbi4DO
- 垣根 「ま、俺にはまだ知らない事が沢山あるって話だ。お前の事とか」
心理 「……出口よ」
垣根 「よかった~、やっと出られる」 ホッ
心理 (……このままじゃ私)
心理 (いえ、そうなる前に対処すればいい)
心理 (私は『心理定規』、人との距離なんて思いのまま……)
一方 「日が落ちてきたな」
上条 「あれ、垣根はどこ行った?」 キョロキョロ
麦野 「殆どのアトラクションは乗ったし、残るは……」
一方 「……アレか」
上条 「そういえば、有名なのが1つ残ってたな」
麦野 「急ぐよ!」 ダッ
- 518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:21:28.57 ID:vzWMbi4DO
ワーワー
上条 「いた!けどもう乗ってしまった…」
麦野 「観覧車を最後にするとは……やられた!」 チッ
一方 「マズイ事でもあンのか?」
麦野 「観覧車といえば密室、仮に恋人だとしたら……あとは分かるな?」
上条 「まさか、アイツに限ってそれは…」
麦野 「無いとは思うけど、無いこともない!」
上条 「でもあれじゃ監視しようがないなー」
麦野 「出番よ、一方通行」
一方 「任せときなァ!」 カチッ
上条 「へ?」
一方 「決定的瞬間って奴をしっかり押さえて来るからよォ!」 ビューン
- 519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:22:18.37 ID:vzWMbi4DO
ナンカヒトガトンデル!
セロリタン!?トミサカハ…
麦野 「これでよし」
上条 「すごい注目浴びてるんですけど……」
麦野 「いいのいいの、アイツに見つからなきゃいいだけだし」
麦野 (でも、本当に決定的瞬間を押さえしまったら……)
麦野 (…あーもう分かんない!何なのこれ?)
―――――――――
垣根達が乗る観覧車が頂上に差し掛かる
遊園地独特の賑やかなムードはなく、あるのは茜に染まる空と夕陽と学園都市を見下ろす風景のみ
向かい合って座る2人はこの景色とゆったりとした空間を暫し堪能する
- 520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:23:35.99 ID:vzWMbi4DO
- 垣根 「いい眺めだなー」 パシャ
心理 「そうね、夕陽が綺麗……」
垣根 「こういう場合、お前が一番綺麗だって言ってあげた方がいいのか?」
心理 「いらないし、聞くような事でもないでしょ」
垣根 「そうだけど…お、この角度いい!」 パシャッ
心理 「全くもう…」 ハァ
目の前ではしゃぐ垣根を余所に、彼女は窓から見える夕陽に見とれていた
心理 (それにしても、本当に綺麗……心が洗われるようだわ)
心理 (日陰での生活に慣れて、気が付かなかった)
ふいに、彼女に向けてシャッターが切られる - 521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:24:08.55 ID:vzWMbi4DO
- 心理 「……何?」
垣根 「心理定規、お前今スゲー腑抜けた顔してたぞ」
と言うと、垣根は何処からともなく写真を生み出した
どうやって……と聞こうと思ったが、彼の能力を考えたら突っ込むのも馬鹿らしくなる
そこに写っていたのは陽の光を浴びて心底安らぐ自分だった
恥ずかしいくらい緩みきった表情の彼女に一切の嘘偽りは見られない
心理 「今すぐ処分して」
垣根 「何で?いい顔してんじゃん」
心理 「いいから」
彼女は己の失態を悔やんでいた。無意識のうちに『心理定規』ではない『自分』を出してしまったからだ
垣根 「そうやってムキになるのも初めて見たぜ」
心理 「茶化さないで」
- 522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:25:31.71 ID:vzWMbi4DO
- 彼女にとって『心理定規』とは能力であると同時に、彼女の『分身』でもある
この能力に目覚めて以来、彼女は人の根幹というものを嫌と言うほど見てきた
どれだけ仲間に慕われようが親友と謳おうが、結局は赤の他人……一番可愛いのは自分に決まってる
だから窮地に立たされた時、人は平気で裏切るし、簡単に切り捨てる
私欲や利益の為に付け入ろうとする、その結果が『仲間』や『友達』と呼ばれているだけだ
だから彼女は誰にも『自分』を見せることはない
名前を隠し、『心理定規』という『分身』を作り上げた事で、誰にも干渉されないようにした
その筈だったが……
- 524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:26:04.63 ID:vzWMbi4DO
- 心理 (どうして?どうしてあなたは『私』の心にこうも踏み込んで来るの…?)
需要と供給が一致しただけの対象に、『自分』が翻弄されているのが理解出来ない
垣根 「今日はお前の色んな一面を見れてよかったよ」
最早別人のような彼の振舞いに、今まで隠し通してきた『自分』が零れつつあった
いや、寧ろ自ら『自分』をさらけ出そうとしているような気もする
心理 (駄目…距離を調節しないと……!)
必死に演算を組み、垣根との心の距離を離そうとする
しかしどういうことか、離しても離してもすぐ距離が戻ってしまう
何故……?
- 525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:27:15.45 ID:vzWMbi4DO
- 心理 (そんな…)
彼女は気付いた
彼女自らが垣根との距離を縮めようとしていることに――
心理 (私が…どうして……)
本当は分かっていた
垣根の変貌ぶりに、彼の初めて見せる笑顔に、いつしか彼をもっと知りたいと思うようになったのだ
そして、彼なら『自分』を見せられるような気がして……
垣根 「あと1つ、どうしても知りたい事があるんだけどさ…」
彼は申し訳なさそうに言った
垣根 「お前の本当の名前って、何なんだ?」
心理 「えっ…?」
- 526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:27:57.67 ID:vzWMbi4DO
- 一瞬、息が詰まった
垣根 「あ、覚えてないとか言いたくないとかならいいぞ!?ちょっと気になっただけで…」
不味い事を聞いてしまったかと思い、笑ってごまかそうとすると…
心理 「名前なら……ある」
垣根 「へ?」
まさかの返事に垣根は目を丸くした
- 527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:28:30.41 ID:vzWMbi4DO
- 心理 「あるわよ、名前くらい……」
何をやっているんだ自分は――
そんな事をすれば今までやってきた事が――
心理 「私の……」
駄目、絶対に駄目――
でも――
心理 「私の……名前は………」
彼だけになら――
- 529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/28(火) 21:29:31.66 ID:vzWMbi4DO
垣根 「あ、一方通行!何でこんなとこに!?」
一方 「ヤベ、見つかった!」 ギクッ
心理 「」
- 544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/30(木) 22:02:45.82 ID:Axn6ilMDO
- ―――――――――
~ファミレス~
垣根 「――ふーん、それで俺の後をつけてたの」
上条 「で、結局どういった関係なんでせうか?」
垣根 「友達だよ、友達」
麦野 「でも、友達だからってあんなデートみたいな事…」
垣根 「……言われてみれば、デートっぽかったな///」
一方 「照れンな気持ちわりィ」
心理 (全然意識してなかったけど、周りにはそんな風に見えてたのね……) - 546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/30(木) 22:04:18.19 ID:Axn6ilMDO
- 垣根 「紹介するよ、コイツは心理定規、元『スクール』の一員だ」
心理 「初めまして…」
麦野 (なんだ、そういう事だったのね)
麦野 「私は麦野沈利。超能力者第四位で……って、もう知ってるか」
一方 「一方通行だァ。オマエならこれだけで伝わるだろ?」
上条 「えー、上条当麻です。皆と違って私は只の高校生ですよ」
心理 (本当に友達だったんだ…)
垣根 「ああ言ってるけど、アイツ実は一方通行に2回も勝ってんだぜ」
心理 「その話本当?」
垣根 「アイツの右手はどんな能力も打ち消しちまうんだって」
心理 「なにそれ反則じゃない」
心理 (まさかこの集まりって、結構危険なんじゃ…?) - 547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/30(木) 22:06:43.56 ID:Axn6ilMDO
- 心理 「みんなはどうして垣根と友達に…?」
上条 「それが、自分でもよく分からないんだよ」
麦野 「うん、振り回されてたらこうなったみたいな?」
一方 「オマエと一緒だ」
垣根 「いやー、5人もいると賑やかでいいよな」 パシャッ
一方 「いちいち撮るな」
垣根 「いいじゃん、いい思い出になるんだし」
上条 「その撮ったのって最終的にどうするんだ?」
垣根 「全部貼り付けてアルバムにする。お前らも欲しいか?」
麦野 「ちょっと気になるかも」
- 548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/30(木) 22:07:15.17 ID:Axn6ilMDO
垣根 「――で、その時の写真がこれなんだけど」 ピラッ
上条 「おお、盛大に空振ってる」
一方 「まだ持ってやがったのかァ!」
垣根 「こっちは麦野な」 ピラッ
心理 「勇ましい顔ね」
麦野 「ちょ、それはアルバムに入れんなよ!」
垣根 「撮った写真は例外なくアルバムにします」
垣根 「理由は1つ、素敵な思い出だからだ!」 ドヤッ
一麦 「「こっちは恥ずかしいわ!!」」
- 549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/30(木) 22:08:13.52 ID:Axn6ilMDO
ギャーギャー
心理 (みんな楽しそう……)
心理 (距離、測ってみようかしら)
心理 (……)
心理 (殺し合った仲とは思えない距離ね)
心理 (一体何があってここまで親しくなったのか…)
心理 (……?)
心理 (これは……ふふ、面白い事になりそうね)
垣根 「どうかしたか?」
心理 「いえ、何も」
- 550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/30(木) 22:09:29.04 ID:Axn6ilMDO
- 一方 「今日はもう解散だなァ」
垣根 「お前家どっち?ついてってやるからよ」
心理 「別にいいわ、1人で帰れるし」
垣根 「そうもいかねぇだろ、暗い道に女の子1人にするのは危ない」
麦野 「……」
垣根 「何だ麦野、お前もついて来て欲しいか?」
麦野 「いらねぇよバーカ、私を誰だと思ってやがる」
―――――――――
一方 「今日は面白いもンを見させてもらったな」 テクテク
上条 「垣根の行動力は凄いなー、あれは誤解を招くよ」 テクテク
麦野 「ホント、紛らわしい事するわね」 テクテク
- 551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/30(木) 22:11:10.20 ID:Axn6ilMDO
- 上条 「お化けが苦手ってのには驚いた」
一方 「ま、アイツなら信じても不思議じゃねェか」 ハッ
麦野 「アイツだしね」
ハハハ…
麦野 (でも……何だろ、この気持ち)
麦野 (初めて感じたような、そうでないような……)
麦野 (何であんなムキになったの?)
麦野 「…何かスッキリしないなー」 ボソッ
- 552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/30(木) 22:11:54.88 ID:Axn6ilMDO
垣根 「――ここか」
あれから、垣根は本当に心理定規の家まで付き添った
そこまでしなくてよかったのに…と言う傍ら、彼の紳士的(?)なところは評価に値する
心理 「今日は楽しかったわ」
そう聞くと、垣根はまた明るい笑みを浮かべる
垣根 「そりゃよかった、またいつでも行こうぜ」
心理 (またこの人はそんな事を…)
彼らがいたら何と言われていたことか…と心の中で安堵の息を漏らした
- 553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/30(木) 22:12:32.80 ID:Axn6ilMDO
- 心理 (こんな感じで、みんな友達になったのかしら…)
自由奔放に見えて、その実誰よりも皆の事を考えている
『闇』に生きた身でありながら、それを欠片も感じさせない彼に皆呑まれていったのだろう
そして、自分もその1人なんだと認めるしかない
垣根 「じゃ、俺も帰るわ」
そう言って彼は踵を返すが、何かを思い出し、またこちらに向き直す
垣根 「そういや、お前の本当の名前聞きそびれてたな」
心理 「あ……そういえば」
- 555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/30(木) 22:14:06.40 ID:Axn6ilMDO
観覧車で彼女が明かそうとした本当の『自分』
垣根 「で、何て言うんだ?」
もう名乗る事はないだろうと思っていた名前……
心理 「私の、本当の名前は……」
垣根 「名前は……?」
- 556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/06/30(木) 22:14:33.49 ID:Axn6ilMDO
心理 「秘密」
陽の光を浴びた花は意地悪そうに、楽しげに笑った――
- 567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/04(月) 18:48:37.14 ID:LQb+7SUDO
- ―――――――――
―――――
―――
やめろ……やめろ!!
何だよこれ、何で俺死んでねぇんだ!?
これじゃあまるで……
……
ふざけるな
俺はテメェらの玩具じゃねえ、俺は俺のものだ
誰にも渡してたまるか
……殺してやるよ
俺が、必ず殺す
止めらるものなら止めてみやがれ――――
- 568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/04(月) 18:49:18.75 ID:LQb+7SUDO
- ―――――――――
―――――
―――
12月7日(火)
~とある病院~
冥土帰し 「ふむ、突然能力が使えなくなったと……」
垣根 「やっぱ、コイツと関係してんのかな?」 トントン
冥土帰し 「恐らくね。君の頭の中のそれを生成、増殖させる為の演算……といったところか」
垣根 「それにしたって、演算が切り替わるなんてことあんのかよ」
冥土帰し 「演算力を鈍らせる物なら聞いたことはあるが、その時それらしき装置はあったかい?」
垣根 「……なかったと思う」
冥土帰し 「それに君の場合演算が鈍ったのではなく切り替わった。それ自体には何の支障もきたしていない」
冥土帰し 「そんな芸当が装置もなしに他人に起こせるとは考え難いね」
- 569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/04(月) 18:49:44.97 ID:LQb+7SUDO
- 垣根 「俺自身がそうしたってか…?」
冥土帰し 「成り行きを思えば、否定は出来ない」
垣根 (俺の心の奥底は死を望んでる…?)
垣根 (いや、どっちかっていうと……殺したい?)
垣根 「……考えても仕方ねえか」
冥土帰し 「今後、進行と共に何らかの症状が出るかもしれん。気を付けるようにね?」
垣根 「そうするよ、じゃあな」 スクッ
冥土帰し 「最後に1つ」
垣根 「ん?」
冥土帰し 「君はこのまま死んでもいいと思っているのかい?」
垣根 「うーん……」
- 570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/04(月) 18:50:59.13 ID:LQb+7SUDO
- ―――――――――
垣根 「さーて、今日は何しようかなー」 テクテク
垣根 「とりあえず、麦野に電話してみるか」 カチカチ
prrrr…
麦野『もしもし……』
垣根 「どうしたお前、様子が変だぞ?」
麦野『こっちは今熱出して寝込んでんのよ…』
垣根 「おいおい大丈夫か」
麦野『一晩寝てりゃ治るでしょ……それより何の用?』
垣根 「いや、やっぱ何でもない」
麦野『そう、じゃあ切るわね……』
垣根 「ああ、お大事に……」 - 571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/04(月) 18:51:40.14 ID:LQb+7SUDO
ブツッ
垣根 「そうか、アイツ熱出したのか……」
垣根 「……よし」
―――――――――
~麦野宅~
麦野 「はぁ…私としたことが情けない」
麦野 「こういう時、誰もいないと余計に辛いわね…」
麦野 「あー頭痛い」 ズキズキ
麦野 「……寝よ」 モゾモゾ- 572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/04(月) 18:52:17.00 ID:LQb+7SUDO
ピンポーン
麦野 「……」
ピンポーン
麦野 「……無視無視」
ピンポーン
麦野 「……」 イライラ
ピンポーン
麦野 「あーもうぜえぇぇぇぇぇ!!」 ガバッ
麦野 (私に喧嘩売ろうなんていい度胸してるじゃない…!) ドスドス
麦野 「死にてぇのかテメェ!!こちとら熱出して苦しんでるってのによー!!」 ガチャッ
垣根 「うおっ!?」 ビクッ
麦野 「……あ?何でテメェが…」
垣根 「何でって、理由は1つしかねえだろ」
垣根 「看病しに来たぜ!」
麦野 「」
- 573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/04(月) 18:52:49.08 ID:LQb+7SUDO
垣根 「風邪薬に冷えピタに……」 ガサガサ
麦野 「私アンタに家教えてないよね」
垣根 「調べた」 ガサガサ
麦野 「いや、調べたじゃねーし看病とかいらねーよ」
垣根 「いいから大人しく寝てる!」
麦野 (コイツはまた訳の分からない事を…)
麦野 (……あれ?これってマズイんじゃね?)
麦野 (友達とはいえ男と女、しかも部屋に2人きり……)
麦野 (コイツはこの状況を分かってんのか…!?)
垣根 「リンゴ買ってきてやったぞ、これ食って元気出せ!」 ポイッ
麦野 「…このまま食べろってか」 パシッ
垣根 「冗談冗談」 ヒョイ
麦野 (この様子じゃ何も考えてなさそうね……)- 574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/04(月) 18:53:22.31 ID:LQb+7SUDO
- 垣根 「まずは熱を計らないと……」 ズイ
麦野 「え?」
垣根 「でこ借りるぞ」 ピトッ
麦野 「ちょ、何すんだテメェ!」
垣根 「何って、熱計るのに手当ててんだけど?」
麦野 「体温計があんだろそこに!」
垣根 「あ、ホントだ」
麦野 (わざとやってんのか……!?)
麦野 「いたた……」 ズキズキ
垣根 「大丈夫か?あまり無理すんな」
麦野 「誰のせいだと……」
- 575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/04(月) 18:54:17.13 ID:LQb+7SUDO
垣根 「38度か、結構あるな」
麦野 「うー……」
垣根 「吐き気はするか?」
麦野 「しない……」
垣根 「食欲はあるか?」
麦野 「ちょっと……」
垣根 「ファイトー?」
麦野 「いっぱーつ……」
垣根 「よし、大丈夫そうだな」
麦野 「最後のはいらないよね」
垣根 「とりあえず冷えピタ貼って…っと」 ペタリ
麦野 「あーひんやりする……」- 576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/04(月) 18:54:51.00 ID:LQb+7SUDO
- 垣根 「丁度昼だし、今からお粥作ってやるよ」
麦野 「いや、別にそこまでしなくても…」 ムクッ
垣根 「はいはい病人は黙って寝てる」 グイ
麦野 「すげー不安なんだけど」
垣根 「まあ待ってろって」 スタスタ
麦野 「ったく、私はガキじゃねえっつの」
麦野 (でも悪い気は…しないわね)
麦野 (アイツの手、大きかったな……って、何考えてんだろ。熱で頭やられたか?)
麦野 (どうせこれも只の思いつきでしょうし、深い意味はないでしょ)
麦野 (……いや、これに深い意味も何もないだろ)
麦野 (前はこんなこと考えたこともなかったのに、どうしちまったんだ私…)
麦野 「……頭いてー」
- 591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/10(日) 01:04:04.38 ID:nZcuMAwDO
垣根 「うん、これなら麦野でも食えるだろ」 パクッ
麦野 「本当か…?」
垣根 「ほれ、あーん……」
麦野 「バカ!自分で食うから!」 グイ
垣根 「そうやって怒ると余計酷くなるぞ?」
麦野 「だから誰の……もういい」 ハァ
垣根 「素直でよろしい、ではもう一度……」 アーン
麦野 「……」 パクッ
垣根 「どうだ?」
麦野 「……薄い」
垣根 「まあ、食べやすいようにしたから無理もねえか」
麦野 「……もう一口」
垣根 「お、食欲はあるんだな。よかったよかった」
垣根 「ほれ、あーん……」- 592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/10(日) 01:04:38.91 ID:nZcuMAwDO
垣根 「薬も飲んだし、しばらくは寝てな」
麦野 「お前はどうすんだよ」
垣根 「俺も寝る」 ゴロン
麦野 「は?」
垣根 「ここ最近寝てもあまり疲れが取れなくてさー」
麦野 「いや知らねーし、自分の家で寝ろよ」
垣根 「まだ看病終わってねえから帰れませーん」 フワー
麦野 「1日ここに居座る気か」
垣根 「何かあったら起こせよー」
麦野 「はいはい…」 ハァ
- 593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/10(日) 01:05:31.10 ID:nZcuMAwDO
垣根 「ZZZ……」
麦野 (マジで寝やがったし……)
麦野 (誰かがいると落ち着いて眠れないな)
垣根 「うーん……」 ゴロン
麦野 (あ、顔がこっちに……)
麦野 (へぇ、結構可愛い寝顔じゃねえか)
麦野 (そうやって静かにしてりゃモテんのに)
麦野 (……いや、やっぱ今のままでいっか)
垣根 「麦野~……」
麦野 (寝言か…?)
垣根 「俺は…お前が……」
麦野 (えっ…!?) ドキッ
垣根 「目玉焼きに…マヨネーズかけるとは思わなかった……」
麦野 「」- 594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/10(日) 01:06:19.34 ID:nZcuMAwDO
- 垣根 「いや…別に悪いとは言わないけど…俺ポン酢派だから……」 ウーン
麦野 (なんだ、目玉焼きの話かよ……しかもかなりコアな味付けだし)
麦野 (因みに私は何の味付けもしないから。素材の味を楽しむから)
麦野 (一瞬でもドキッとした自分が馬鹿みたい…)
垣根 「ZZZ……」
麦野 (やっと静かになったか)
麦野 (こうもうるさいと寝てるか起きてるか分からねえな)
麦野 (さて、私も早いとこ寝なきゃ……)
- 595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/10(日) 01:07:15.26 ID:nZcuMAwDO
垣根 「……殺す」
麦野 (…っ!?) ゾワ
垣根 「俺が……必ず……」
麦野 (何これ、殺気…!?)
垣根 「ZZZ……」
麦野 (……消えた)
麦野 (今のは何だったの…?)
―――――――――
ホントニヨカッタノ?
イイノイイノ
麦野 (……ん、寝ちゃってた…)
カノジョダイジョウブカシラ
ソレホドヒドクナイミタイダゾ
麦野 (あれ、垣根以外にもう1人いる……?)- 596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/10(日) 01:07:50.17 ID:nZcuMAwDO
- 垣根 「お、起きたか麦野」
心理 「調子はどう?」
麦野 「え、何でアンタが……」
垣根 「流石に男女2人きりはマズイかなと思って///」
麦野 (今更かよ…そして照れんな)
心理 「後から上条君と一方君も来るそうよ」
麦野 「……一応言っとくけど、ここ私ん家」
垣根 「うん」
麦野 「で、今は病人な訳」
垣根 「知ってる」
麦野 「これっておかしくね?」
垣根 「心配するな、皆で看病するからよ」
麦野 「4人もいらねーだろ!」 - 597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/10(日) 01:08:36.78 ID:nZcuMAwDO
- 心理 「あら、垣根と2人きりのが良かった?」
垣根 「よせよ、照れるじゃねーか///」
麦野 「そ、そういう問題じゃねー!」
ジャマスンゾォ
ウワ、ヒロッ!
垣根 「お、アイツらも来たみたいだな」
心理 「どうかした?」
麦野 「……頭痛い」
上条 「上条さん特製卵粥ですよー」
垣根 「うん、やっぱ料理スキルがあると全然違うなー」 パクッ
一方 「何でオマエが食ってンの」 - 598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/10(日) 01:09:46.88 ID:nZcuMAwDO
- 垣根 「じゃあ麦野、あーん……」
麦野 「やらなくていい!自分で食べる!」
垣根 「何だよ、昼間はしてくれたのに…」
上一心 「「「えっ」」」
垣根 「いやホント、俺がずっと食べさせてたのよ。看病だし当然だろ?」
麦野 「ば、ちがっ…!」
一方 「ま、コイツが相手じゃ仕方ねェか」
上条 「うん、違和感は感じない」
心理 「病人なんだし、普通よね」
麦野 (あれ、思ってた反応と違う…)
垣根 「麦野、あーん……」
麦野 「だから自分で食べるって!!」
- 599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/10(日) 01:11:03.36 ID:nZcuMAwDO
麦野 「……苦い」 ウエ
垣根 「良薬は口に苦し、我慢しろー」
一方 「つか、こンなことしなくても俺の能力で……」
垣根 「ダメダメ!それじゃ看病の意味ないだろ!」
麦野 「テメェ、ちょっと楽しんでねえか?」
垣根 「そんなことない、俺は本気で心配してんだからな。なんならここに泊まってもいいんだぞ?」
上条 「積極的だなー」
心理 「他意はないんでしょうけど」
麦野 「あー分かった分かった!熱意は伝わったから!」
一方 「俺達が来る意味あったのかァ?」
上条 「さあ……」
- 600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/10(日) 01:11:47.29 ID:nZcuMAwDO
- 麦野 「大声出したら汗かいてきたじゃない…」
上条 「今日は風呂はやめといた方がいいんじゃないか?」
垣根 「汗を拭く程度に抑えるか」
心理 「それなら私がやるわ。理由は言わなくても分かるでしょ?」
麦野 「野郎共は向こう行ってろ」 シッシッ
一方 「誰も好んで見やしねェよ」 フー
麦野 「どういう意味だコラ」
上条 「はいはい、俺達はあっちで果物切ってようぜ?」 スタスタ
垣根 「そうだな」 スタスタ
心理 「じゃ、服脱がすわね」
麦野 「ん……」 ヌギヌギ
心理 「ふーん…いい体つきね、羨ましい」
麦野 「あんまりジロジロ見んな……」
心理 「ごめんなさい、つい見とれちゃって」
麦野 「やるなら早くしてくれ、この格好寒いんだよ」
心理 「じゃあ背中から始めるわよ……」
- 614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/13(水) 00:32:35.86 ID:9iA5WBbDO
- 心理 「こういうの初めてだわ、なんだか母親になった気分」 フキフキ
麦野 「私を子供扱いするとはいい度胸ね」
心理 「ええ、とっても可愛い女の子よ」 フキフキ
麦野 「……うるせえ」
心理 「あら?あなたの左腕……」 ペタペタ
麦野 「ああ、実はこれ義手なのよ。こないだの抗争の時にちょっとね……」
心理 「まさか……」
麦野 「アイツじゃねえよ。これは自分で招いた結果さ」
麦野 「更に言うと右目も偽物、片方しか見えてないの」
麦野 「でもまあ、どれも自分への戒めだと思えば気にもならないよ」
麦野 「お陰で、こうして過ごせてるんだしね」
心理 「そう……」
- 615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/13(水) 00:33:30.11 ID:9iA5WBbDO
- 心理 「彼、あなたが呼んだの?」
麦野 「何よ突然……アイツが勝手に押し掛けて来たんだよ」
心理 「昼間、彼に何かされなかった?」
麦野 「何もなかったに決まってんだろ!」
心理 「ふーん……」 クスッ
麦野 「?」
心理 「麦野さん、鼓動が早いわね。体温も高いし」
麦野 「そりゃ熱出してるから当然だろ」
- 616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/13(水) 00:34:09.06 ID:9iA5WBbDO
- 心理 「本当にそれだけ?」
麦野 「何が言いたいの」
心理 「あなた最近、自分の気持ちが分からなくなったりしない?それも彼に対して」
麦野 「…っ!」 ドキッ
心理 「ふふ、当たりみたいね。今もそうじゃない?」
麦野 「……確かに、たまに訳分かんなくなる事がある」
麦野 「今まではなんともなかったのに……」
心理 「そういえば、あれだけの事があってどうして彼と仲良くなったのか知りたかったの」
麦野 「まぁ、成り行きというか何というか――」 - 617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/13(水) 00:35:00.88 ID:9iA5WBbDO
心理 「――その時からあんな感じだったのね」
麦野 「ありゃ変わったとかいう次元じゃないわ」
麦野 「それとも、隠してただけで本当はああいう奴だったのかもね…」
心理 「垣根の事が気になる?」
麦野 「いや、気ならないって言えば嘘になるけど……」
心理 「私は気になるわ」
麦野 「え?」
心理 「だって、同じ組織だけどあんな彼見たことないもの」
心理 「もしかしたら、まだまだ色んな一面を見れるかもしれないしね」
心理 「そう思うと、もっと彼を知りたくなるわ」
- 618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/13(水) 00:35:34.85 ID:9iA5WBbDO
- 麦野 「そっか……」
麦野 (色んな一面、か……)
麦野 「そういえばさ……」
上条 「どわーー!!」 ビタン
麦心 「「!?」」
上条 「いてて、何もここまでしなくてもいいんじゃないでせうか!?」
一方 「うっせェ!俺の切り方にいちいち文句言いやがってよォ!」
垣根 「いや、お前の包丁の使い方は危な過ぎる」 ドードー
一方 「あァン!?オマエもぶっ飛ばされてェか!」
麦野 「……おい」 プルプル
垣上一 「「「あっ」」」
麦野 「テメェらいっぺん死んでこいやー!!」 ビーム
ヤベ、アイツマジダ!
カミジョウガード!
ヤメロー!
- 619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/13(水) 00:36:39.68 ID:9iA5WBbDO
麦野 「……」
心理 (布団に潜り込んじゃって、可愛い) クスッ
上条 「わ、悪かったよ…」
一方 「……反省してまーす」
垣根 「リンゴ・メロン・マンゴー・バナナ、かなり贅沢だよな」 パクッ
上条 「お前も謝れって!」
垣根 「あー、なんか悪かったな。でも綺麗な体だったぜ!」
麦野 「……それはフォローのつもりか?」 ゴソッ
- 620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/13(水) 00:37:30.24 ID:9iA5WBbDO
- 垣根 「フォローも何も、なあ?」
上条 「そ、そうそう!とても色気があって寧ろ感謝したいくらいさ!」
一方 「所謂眼福ってやつだァ」
麦野 「テメェらホントは悪いと思ってねーだろ!」
上条 「こ、これは男である以上仕方が…いえ、なんでもないですすみません」
心理 「あれは事故だったんだし、大目に見てあげたら?」
麦野 「……」
垣根 「ほら、お前の為に切ったんだから食べろよ」
麦野 「……ん」 パクッ
- 621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/13(水) 00:39:11.74 ID:9iA5WBbDO
- ―――――――――
上条 「じゃ、俺達は先に帰るな」
垣根 「おう、今日は急に呼んで悪かったな。お前はもうちょい包丁を扱えるようにしろよ」
一方 「ケッ、包丁なンざ使えなくたって困りはしねェよ」
上条 「俺が教えようか?料理が作れるようになったら打ち止めも喜ぶだろうし」 スタスタ
一方 「……考えとく」 スタスタ
ガチャ……バタン
垣根 「…さて、俺もそろそろ帰るけどまだ何かあるか?」
麦野 「特にない……」
垣根 「ちゃんと布団被って寝るんだぞ?」
麦野 「分かってるっつの……」
垣根 「ファイトー?」
麦野 「いっぱーつ……」
垣根 「よし、じゃあ俺も帰るわ」
心理 「最後のは何?」 - 622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/13(水) 00:39:47.02 ID:9iA5WBbDO
- 垣根 「行くぞ心理定規、今日も家までついてくからな」
心理 「そう、悪いわね」
麦野 (また、あの時と同じ……)
麦野 「……今日は、ありがと」
垣根 「礼なんかいらねーよ、俺が勝手にやった事だし」 ニカッ
麦野 「……」
垣根 「元気になったらまたどっか行こうぜ」 スクッ
麦野 「垣根」
垣根 「ん?」
麦野 「………やっぱ何でもない」
垣根 「そっか、じゃあな麦野」 スタスタ
心理 「麦野さん」
麦野 「?」
心理 「それの原因、分かるといいわね」
麦野 「え……」
心理 「おやすみなさい」 スタスタ
ガチャ……バタン
麦野 「……見透かされてたのね」
- 623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/13(水) 00:40:15.94 ID:9iA5WBbDO
- その後、麦野は寝るまでの間ずっと考えていた
――この気持ちは何なのか
突然鼓動が早くなったり、もやもやした気分になったり、何とも自分らしくない
初めてのようでどこか覚えのあるそれが彼女を悩ませる
実はこれが体調を崩した原因の1つでもあるのだ
俗に言う知恵熱というものだが、本人にその自覚はないらしい
――そしてもう1つ、あの時感じた殺気の正体
朝から付きっ切りで看病してくれた少年から、ほんの一瞬だけ感じたどす黒いもの
忘れかけていた『闇』が、彼女がよく知るあの垣根帝督がそこにあった - 624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/13(水) 00:40:59.98 ID:9iA5WBbDO
――殺す
彼が呟いたあの言葉
一体誰に向けて?
麦野 (やっぱあの時聞いておけばよかったかな……)
結局どれも解決に至らなかった彼女はやがて思考を止め、深い眠りへと誘われるのだった……
- 631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/17(日) 18:25:59.81 ID:ZlNvAeoDO
- ―――――――――
―――――
―――
……クソが、ナメやがって
あのガキといいコイツといい、女の癖に余計な真似を……
コイツはあのクソ野郎の連れか?
ムカつくぜ、俺と同類でありながらそんな眩しい物を持ってやがるのが……
……
気に入らねえ――――
- 632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/17(日) 18:26:38.61 ID:ZlNvAeoDO
- ―――――――――
―――――
―――
12月11日(土)
~自宅~
垣根 「……」 ボー
垣根 (あの時の夢……か)
垣根 「……完全に忘れてたな」
―――――――――
~黄泉川家~
一方 「じゃあ行って来る」
黄泉川 「うん、3人共目一杯楽しんでくるじゃん!」
打止 「あなたと水族館なんてデートみたい!ってミサカはミサカは他の妹達より抜きん出ている事を誇示してみたり!」 フフン
番外 「あっれ~?まさかとは思ってたけど、マジでロリコンだったんだね!」 - 633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/17(日) 18:27:27.57 ID:ZlNvAeoDO
- 一方 「コイツ置いてっていいかァ?」
番外 「もう、冗談だってば☆早く行こ!」
ペンギンサンガミタイナ、ッテミサカハミサカハ…
ツイタライクラデモミセテヤルッテノ
芳川 「あの子、この生活にすっかり馴染んだわね」
黄泉川 「一方通行だって、本来ならまだ友達とかと遊んだりする年頃じゃん?」
黄泉川 「あれくらいのびのびしてるのが丁度いいじゃんよ」
芳川 「そういえば、あの子にも友達が出来たんだってね」
黄泉川 「本人は仕方なく付き合ってるだけだって言うけど、内心嬉しいんだろうね」
黄泉川 「代わりに、打ち止めが一方通行取られたーってふてくされてたけど」
- 634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/17(日) 18:27:55.54 ID:ZlNvAeoDO
- 芳川 「一体どんな友達が出来たのかしら」
黄泉川 「それが……」
ピンポーン
芳川 「あら、誰か来たみたいね」
黄泉川 「私が行ってくるじゃん」 パタパタ
黄泉川 「はいはいどちら様で…」 ガチャ
垣根 「……よっ」
黄泉川 「あー、一方通行なら今日は出掛けてていないじゃん」
垣根 「アイツはいいんだ」
黄泉川 「?」
垣根 「今日は、黄泉川に用があるんだ」
黄泉川 「私……?」
- 635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/17(日) 18:30:53.67 ID:ZlNvAeoDO
- ―――――――――
黄泉川 「コーヒー入れたじゃん」 コトッ
垣根 「あ、悪い……」
黄泉川 「アンタと会うのは学校見学の時以来だっけ」
垣根 「そうだな……」 ズズー
黄泉川 「まさか一方通行と友達になるとは思ってもみなかったじゃん!巡り合わせって奴かな」 ハハッ
黄泉川 「で、今日はどうしたじゃん?」
垣根 「……もう、怪我は大丈夫か?」
黄泉川 「……!」
垣根 「あの時、一方通行との戦いを止めに入ったアンタを俺は攻撃した……」
垣根 「無関係の人間、それも女に手を上げちまうなんて最低だよ」
黄泉川 (……そうだ、垣根と初めて会ったのはあの時……)
黄泉川 (気を失って、目が覚める頃には全部終わってたから思い出す事もなかったじゃん)
- 636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/17(日) 18:33:56.91 ID:ZlNvAeoDO
- 垣根 「今更かもしれねぇけど、どうしても謝っておきたくてさ……」
垣根 「……あの時は、悪かった」
- 637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/17(日) 18:34:57.01 ID:ZlNvAeoDO
- 黄泉川 「……」
垣根 「あれって俺を助けようとしてくれてたんだよな」
垣根 「そうとも知らずに俺は……」
黄泉川 「……もういいじゃん」 - 638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/17(日) 18:36:24.66 ID:ZlNvAeoDO
- 垣根 「え……」
黄泉川 「傷はもう治ったし、過ぎた事を言っても仕方ないじゃん」
黄泉川 「それよりも、垣根や一方通行が前向きに生きると決めた事の方が私は嬉しいよ」
黄泉川 「これからも、あの子と仲良くしてほしいじゃん」
垣根 「黄泉川……」
黄泉川 「はい、この話はこれでおしまい!垣根はこの後どうするじゃん?」
垣根 「うーん、特にこれといった予定は…」
黄泉川 「じゃあ、私とお出掛けでもしよっか」
垣根 「え?」
黄泉川 「このまま家に居てもアレだし、桔梗はどうする?」
芳川 「私は結構よ。2人で行って来ればいいわ」
黄泉川 「分かった、じゃあ行こうか!」
垣根 「あ、ああ……」
- 639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/17(日) 18:37:01.60 ID:ZlNvAeoDO
- ―――――――――
~大通り~
垣根 (なんか、思ってた以上にあっさりしててビックリしたなー)
垣根 (こういう人だから、アイツを受け入れられたのかも……)
黄泉川 「どうかしたじゃん?」
垣根 「いや、何でもねーよ」
黄泉川 「そんな顔しないの!いつも通りでいいじゃんよ!」 バシバシ
垣根 「いてっ!」
黄泉川 「それ、いつもカメラ持ち歩いてるの?」
垣根 「ああ、今アルバム作ってんだ。人とか風景とか何でも撮ってさ…」
垣根 「自分の楽しい思い出が形に残るっていいだろ?」
黄泉川 「それにしても大きいじゃん。服装からして明らかに浮いてるし」
- 640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/17(日) 18:37:50.71 ID:ZlNvAeoDO
- 垣根 「たとえ浮いていようとも、一眼レフは譲れないな!」
垣根 「ってか、服装に関しては黄泉川の方がどうよ?ジャージのままお出掛けって…」
黄泉川 「私はこれの方がしっくりくるからいいじゃん。着飾ったりするの苦手だし」
垣根 「折角スタイルいいのに勿体無い」
黄泉川 「そんなこと言ってくれるなんて嬉しいじゃん。でもいいの、私はこのままで」
垣根 「じゃあ今から服買いに行こう!」
黄泉川 「え?」
垣根 「この機会に色んな服着てみて、一番似合うやつを一方通行達に見せようぜ!いや、俺が見たい!」
黄泉川 「えっと…私の話聞いてたじゃん?」
垣根 「行き先はセブンスミストで決まりだな。行こうぜ黄泉川!」
黄泉川 「ちょ、垣根!?」
- 641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/17(日) 18:38:26.77 ID:ZlNvAeoDO
- ―――――――――
~水族館~
一方 「へっくし!」
打止 「大丈夫?ってミサカはミサカは鞄からポケットティッシュを取り出してみたり」 ハイ
一方 「わりィ…」 ズビー
番外 「誰かが噂してたんじゃないの?第一位は実は女の子ーだとか☆」
一方 「ハッ、なンなら確かめてみるかァ?」 クケケ
番外 「うわっ、なにその童貞臭い台詞、キモいんですけど」
一方 「処女に言われたって応えねェよ」
打止 「喧嘩は置いといて早く入場券買おう!って、ミサカはミサカは2人を急かしてみる!」
- 642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/17(日) 18:39:06.09 ID:ZlNvAeoDO
- 一方 「分かってるっつの……子供二枚と大人一枚で」
番外 「ちょっと、ミサカと幼女を一緒にしないでくれるー?」
一方 「生後数ヶ月が何言ってやがンだ」
打止 「ミサカの方が年上なんだからね!ってミサカはミサカは姉の威厳を示してみたり!」 フンス
番外 「ま、このナイスバディがあれば子供には見られないだろうし~、ゴメンねお姉ちゃん~」 ギャハ
一方 「オラ、買ったから持っとけェ」 ピラッ
番外 「……子供料金で買えたんだ」
一方 「そういうこった、行くぞォ」 テクテク
打止 「そういうこった、ってミサカはミサカはあの人の真似をしながら微笑んでみたり」 ニコッ
番外 「」
- 653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/22(金) 17:03:07.97 ID:XoDZsUMDO
打止 「うわー、お魚がいっぱいー!ってミサカはミサカは水槽に釘付けになってみたり!」
一方 「見たことねェ魚ばっかだなァ。どうやって集めたンだか」
番外 「でも、どれも美味しくなさそうねー」
一方 「……オマエはいつから食いしん坊キャラになったンだよ」
番外 「だってー、魚なんか見ててもつまんないしー」
打止 「その発言はここへ来た理由を否定しかねないよ!?ってミサカはミサカは驚愕してみたり!」
アノオサカナハ?
アレハオニカサゴッテイッテ…
一方 「あれは……」
番外 「どうかしたの?」
- 654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/22(金) 17:03:53.07 ID:XoDZsUMDO
禁書 「――あれは『オニカサゴ』って言って、主に南日本に生息してるフサカサゴ科の魚なんだよ」
禁書 「その面構えが鬼のようだからこの名前がつけられたんだって。食べ方は鍋にしたり煮付けや塩焼きとか……」 ペラペラ
風斬 「へぇー、凄い詳しいんだね」
禁書 「この日の為に色んな図鑑を読んだんだよ!それに料理もしたことあるから食べ方にも詳しいかも!」 エッヘン
禁書 「今度、ひょうかに何かごちそうしてあげるね!」
風斬 「ふふ、ありがとう」 ニコッ
禁書 「それにしても、とうまはこういう日に限っていないんだから……」 ブツブツ
風斬 「ちょっと残念だったね……あれ?」
禁書 「ひょうか?」
風斬 「あの人……」
一方 「……よォ」
- 655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/22(金) 17:04:35.44 ID:XoDZsUMDO
- 禁書 「あ、あくせられーた!」
風斬 「えっと、お久しぶりです……」 ペコリ
打止 「シスターさんだ!ってミサカはミサカは大きく手を振ってみたり!」 ブンブン
番外 「何、2人とも知り合いな訳?」
一方 「あァ、どっちも前に世話ンなってる」
番外 「世話って……」
一方 「オマエの思ってるような事じゃねェ」
番外 「え?ミサカ何も言ってないけど?何想像しちゃってんの?」 プクク
一方 「……で、オマエがいるって事は三下もいンのか?」
禁書 「それが、とうまったら前日になって『補習に呼ばれた』なんて言って来れなくなっちゃったんだよ!」 プンプン - 656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/22(金) 17:06:24.40 ID:XoDZsUMDO
- 風斬 「折角無料券が貰えたんだから2人だけでもって」
禁書 「とうまは戦争中人一倍頑張ってたから仕方ないとは思うけど、それでも残念だな…」
番外 「そのとうまって奴はシスターさんの男?」
禁書 「そ、そんなんじゃないんだよ!そういうあなたはあくせられーたの女なのかな!?」
番外 「ち、違うし!ミサカがこんなモヤシの女な訳ないしー!」 アタフタ
打止 「こ、この人はミサカの未来の……って、ミサカはミサカはやっぱ何でもないと誤魔化してみる!」 アワワ
ソ、ソレハドウカナー?
ナニサ、アナタダッテ…!
一方 「何テンパってンだァアイツら?」
風斬 「その…本当のところはどうなんですか?」
一方 「オマエもかよ……まァ、家族って言い方が近いか……」 ボソボソ
風斬 「家族……」
一方 「あまり大きい声出すな!聞かれたらどうすンだ!」
風斬 「聞かれちゃいけない事なんですか?」
一方 「……ガラじゃねェからよ」
風斬 「そ、そうですか……」 - 657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/22(金) 17:07:09.86 ID:XoDZsUMDO
- 禁書 「ねぇねぇ、あくせられーたに付いてっていいかな?」
一方 「あァ?」
禁書 「レディをエスコートするのは紳士の務めなんだよ!ひょうか、いいでしょ?」
風斬 「えっ?わ、私は別にいいけど……」
番外 「モヤシが紳士だって!モヤ紳士ってか!?ウケるー!」 アヒャヒャ
打止 「紳士なあなた……って、ミサカはミサカはMNWに接続して皆の意見を仰いでみたり」
一方 「オマエら好き勝手言いやがって……」 ピクピク
禁書 「早く行こ、あくせられーた!」
一方 「……クソッタレ、今度三下にコーヒー奢らせてやる」
- 658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/22(金) 17:07:56.32 ID:XoDZsUMDO
- ―――――――――
~セブンスミスト~
黄泉川 (何か、流れでこうなってしまったじゃん…)
黄泉川 (ま、いいか。誘ったのは自分だし)
垣根 「相変わらず広いとこだなー」
黄泉川 「ここに来れば欲しいものは大概あるって言うしね」
垣根 「えーっと、服屋はどっちだっけ」 キョロキョロ
黄泉川 「こっちじゃん」 テクテク
垣根 「スゲー数だな」
黄泉川 「これだけあると選ぶの大変そうじゃん」
垣根 「こういうのは女の子がいると楽なんだけどなー……」 ウーン
黄泉川 「女の子は大変だねー」 - 659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/22(金) 17:08:42.20 ID:XoDZsUMDO
鉄装 「あれ、黄泉川さんじゃないですか」
黄泉川 「鉄装!」
垣根 「誰?」
黄泉川 「鉄装綴里、警備員の同僚じゃん。ちょっとドジなところが欠点だけどね」
鉄装 「わ、私だって一生懸命やってるんです!」
垣根 「垣根帝督だ、よろしく」
黄泉川 「鉄装も服買いに来たじゃん?」
鉄装 「はい、新しく冬物をと思って……」
垣根 「そうだ!黄泉川の服一緒に選んでくれないか?」
鉄装 「え?」
垣根 「ジャージ以外の格好させたいんだけど、俺男だから何が似合うかとか分からねえんだよ」
鉄装 「黄泉川さんが……?」
黄泉川 「私はいいって言ったんだけど垣根が勝手に……」- 660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/22(金) 17:10:11.11 ID:XoDZsUMDO
- 鉄装 「分かりました!」
黄泉川 「えっ」
鉄装 「黄泉川さんを立派な女性として変身させましょう!」
黄泉川 「鉄装…?」
鉄装 「私も気になってたんですよね、黄泉川さんの格好」
鉄装 「そんないい身体しておきながらジャージしか着ないなんて、宝の持ち腐れもいいとこです!」
鉄装 「黄泉川さん、あっちへ見に行きましょう!」
黄泉川 「鉄装がいつになくやる気じゃん……」
垣根 「いやー、女の人がいると心強いなー」 - 661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/22(金) 17:11:29.00 ID:XoDZsUMDO
鉄装 「これなんてどうですか?」
黄泉川 「ちょっと派手じゃないか?」
鉄装 「何言ってるんですか、恋人が出来たんですしもっとオシャレに気を使わないと!」
垣黄 「「えっ」」
鉄装 「え?違うんですか?」
黄泉川 「ハハハ!違うって、ちょっとした知り合いじゃん」
垣根 「そ、そうそう!友達の学校の先生って事で面識がある程度で…///」
鉄装 「でも一緒に服を買いに来るって事は、それなりに親密度はあるって事ですよね?」 ニヤニヤ
垣根 「た、確かに只の知り合いってのはちょっと違うかもしれないけど……」 アワワ
黄泉川 「あんまり子供をからかうんじゃないよ」
鉄装 「すみません、つい楽しくって」- 662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/22(金) 17:12:33.02 ID:XoDZsUMDO
- 垣根 「あ、これはいいんじゃないか!?」
黄泉川 「幾ら何でもスカートは恥ずかしいじゃん!」
垣根 「意外と似合うかもしれないぞ?」
鉄装 「この際どんどん選んでいきましょう」 カチャカチャ
垣根 「そうだな……お、これも案外……」 カチャカチャ
黄泉川 「えっと、私は?」
鉄装 「では、まずこれを着てみて下さい」
黄泉川 「わ、分かったじゃん」 シャッ - 663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/22(金) 17:13:47.37 ID:XoDZsUMDO
- 垣根 「なあ、黄泉川ってどんな人なんだ?」
鉄装 「いつも飄々としてるけど、生徒の為ならどんな危険も省みない男勝りな人ですね」
鉄装 「生徒達と接してる様は先生というより、母親という感じが強いかもしれません」
鉄装 「母のように厳しく、母のように優しく、母のように強い。私は、そんな黄泉川さんを尊敬してます!」
垣根 「母親、か……あながち間違っちゃいねえかも」
垣根 (おれは母親がどんなだったかは覚えてねえ。でも、黄泉川みたいな人をきっと母親と呼ぶんだろうな)
垣根 (だから余計気に入らなかったんだ。一流の悪党を謳っておきながら、護ってくれる存在のいるアイツが……)
垣根 「……羨ましいぜチクショウ」 ボソッ - 664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/22(金) 17:14:22.51 ID:XoDZsUMDO
一方 「へっくし!」
打止 「また?ってミサカはミサカは再度ポケットティッシュを取り出してみたり」
一方 「風邪か…?」 ズビー
番外 「もしそうならミサカが看病してあ・げ・る☆」
一方 「はいはい反射反射ァ」
- 693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/27(水) 00:04:40.43 ID:jRxpOpVDO
- 黄泉川 「……ど、どう?」
鉄装 「凄いです……服装1つでかなり見違えました」
垣根 「ああ、綺麗だ……」 パシャッ
黄泉川 「ちょっと、恥ずかしいからやめるじゃん!」
鉄装 「いいじゃないですか、モデルみたいで」
垣根 「ほら見てみろ黄泉川、ジャージ姿の時とは大違いだぞ」 ピラッ
黄泉川 「…自分でも新鮮さを感じるじゃん」
鉄装 「では、次はこれを着てみて下さい!」
垣根 「これはまた大胆な……///」
黄泉川 「流石にこれは無理があるじゃん!?」
鉄装 「大丈夫です!絶対似合いますから!」
ワーワー
- 694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/27(水) 00:05:25.30 ID:jRxpOpVDO
- ―――――――――
30分後
垣根 「うーん、どれが一番いいか迷うなー…」 ピラッ
鉄装 「やっぱ、黄泉川さんの武器はその抜群のプロポーションですよね。となると……」
黄泉川 「私は着せ替え人形じゃないんだから…」
垣根 「黄泉川はどれがいいと思う?」
黄泉川 「え?うーん、私にはよく分からないじゃん」
鉄装 「黄泉川さんはこれからファッションについて勉強する必要がありますね」
垣根 「俺もそう思う」
黄泉川 「お、大きなお世話じゃん!」
黄泉川 (今度、芳川にでも相談してみようかな……)
- 695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/27(水) 00:06:25.56 ID:jRxpOpVDO
- ―――――――――
一方 「そろそろ昼飯にすンぞォ。これで手拭いとけ」 ポイ
打止 「お弁当だー!ってミサカはミサカは中身が気になって仕方なかったり!」
禁書 「私達もお昼にしよっか」
風斬 「そうだね」
打止 「ではではオープン!ってミサカはミサカはお弁当の蓋を開けてみる!」 パカッ
禁書 「凄い!ご飯の上にらすとおーだーの顔が描いてあるんだよ!」 オー
風斬 「可愛い、食べるのが勿体無いくらい…」
打止 「嬉しいけど自分が食べられると思うと、ってミサカはミサカはちょっと複雑だったり…」
番外 「目ん玉もーらいっ!」 ヒョイパクッ
打止 「キャー!なんて事を、ってミサカはミサカは迷いなく卵を取った番外個体に恐怖を覚えたり!」
- 696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/27(水) 00:07:33.45 ID:jRxpOpVDO
- 番外 「あ、これ美味しいわ。次頬っぺたいってみよ」 モグモグ
打止 「ミサカの顔がどんどん削られていく……」 アワワ
一方 「いいから食え」
禁書 「いっただっきまーす!」 パカッ
番外 「重箱で持ってくるとは……それ1人で食べるの?」
禁書 「当たり前なんだよ!おかわり用のご飯だってあるのよ」 ゴソゴソ
一方 「タッパー5個分とか、どンな胃袋してやがンだ…」
打止 「これ、ヒーローさんが作ったの?ってミサカはミサカは綺麗に並べられたおかずを眺めながら聞いてみたり」
- 697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/27(水) 00:08:27.37 ID:jRxpOpVDO
- 禁書 「これはね、とうまと2人で作ったの。ひょうかの弁当のだし巻き玉子なんかは私がやったんだよ」
風斬 「そうなの?……美味しい、凄く美味しいよ!」
禁書 「えへへ、照れるなー///」 テレテレ
番外 「ホントだ。アンタいい嫁になれるかも」 モグモグ
打止 「ヒーローさんのお嫁さんになるの?ってミサカはミサカはあなたに許嫁の疑いをかけてみる!」 ビシッ
禁書 「わ、私は只今までの生活を改めようと、とうまに少しでも恩返ししようとして…!」
一方 「結果的に花嫁修業になったってかァ?三下も幸せもンだな」 クカカ
風斬 「シスターって結婚とかしてもいいの?」
番外 「それ以前に、もうやることヤっちゃってんじゃない~?」
禁書 「皆考えが飛躍し過ぎかも!それに今は食事中なんだよ!命に感謝する時間なんだよ!」
- 698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/27(水) 00:08:55.16 ID:jRxpOpVDO
- ―――――――――
~大通り~
黄泉川 「……いつもジャージだから違和感を感じるじゃん」 テクテク
垣根 「そうか?似合ってると思うけどな」 テクテク
アレッテヨミカワセンセージャナイ?
ナンカイツモヨリイロッポイゾ!
トナリノオトコ、ソコカワレ
黄泉川 (視線が痛い……)
垣根 「さて、これから昼飯でも食べようかと思うけど、どっか行きたいとことかある?」
黄泉川 「うーん……そうだ!垣根、いい所があるじゃん」
垣根 「?」
黄泉川 「こっちこっち」
- 699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/27(水) 00:10:00.33 ID:jRxpOpVDO
- ~お好み焼き屋~
垣根 「へぇー、こんなとこに店なんてあったんだな」
黄泉川 「あんまり知られてない隠れ家的名店じゃん。まだ誰にも教えてないから秘密にしといてね?」
垣根 「あぁ、分かった…」
黄泉川 「おやじー、また来たよー!」 ガララ
おやじ 「お、黄泉川さんやないの!昼間っからとは珍しいねー」
黄泉川 「ちょっと連れがね…」
垣根 「ども(これが関西弁ってやつか……)」
おやじ 「ほほーう、黄泉川さんにも遂に男が出来たっちゅー訳か」 フムフム
黄泉川 「違うって、こないだ話した子の友達じゃん」
おやじ 「それやったら何で今日はそんなおめかししてんの?いつもジャージしか着てへんのに…」
黄泉川 「そ、それはこの子が…って、その話はもういいじゃん!おやじ、いつもの頼む」
おやじ 「あいよ!」 - 700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/27(水) 00:12:05.02 ID:jRxpOpVDO
おやじ 「今日はサービスで増量しといたで!」 ジュー
黄泉川 「いいのかいおやじ?」
おやじ 「かまへんかまへん、黄泉川さんへのお祝いや」
黄泉川 「だから違うって言ってるじゃん!」
おやじ 「ハッハッハ、冗談やて!ほんならごゆっくり~」 スタスタ
垣根 「いやー、関西弁って聞いてて楽しくなるなー」
黄泉川 「何でも、学園都市へ行った息子を見守る為に大阪から来たらしいじゃん」
垣根 「親が学園都市で過ごしてもいいのか?」
黄泉川 「そこは何とかごまかしたって言ってたけど、ここまでする親はそうそういないじゃん」
垣根 「愛されてんだな、そいつ……」
黄泉川 「……垣根は、親を思い出した事とかある?」- 701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/27(水) 00:12:47.97 ID:jRxpOpVDO
- 垣根 「ねぇな。実験とか仕事ばっかでそんな余裕なかったし、そもそもどんな親だったかも覚えてねぇ」
垣根 「愛されてたのかもしれないし、嫌われてたのかもしれない」
垣根 「唯一はっきり覚えてる事といえば、『帝督』って名前をくれたのは間違いなく親だという事だ」
黄泉川 「……」
垣根 「一方通行はどうなんだろうな。アイツも俺と似たようなもんだと思うけど……」
黄泉川 「一方通行も小さい頃から実験続きで、親というものを全く知らないでいたじゃん」
黄泉川 「その上、あの子は大きな罪まで犯した……」
垣根 「知ってるよ、『絶対能力者進化実験』……だろ?1万人ものクローンを殺して、途中で中止になったっていう……」
垣根 「スゲーよ、俺と同じ立派な悪党だ。救いようもねぇくらい」
垣根 「……でも、実際は違ったんだよな」 - 702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/27(水) 00:14:13.37 ID:jRxpOpVDO
- 垣根 「アイツには守ってくれる存在が出来た。守りたい存在が出来た」
垣根 「自分がどんな奴か知ってる癖に、優しさだとか愛情だとかを振り撒いてくる」
垣根 「周りを見れば誰かがいる。アイツは独りじゃなかったんだ」
垣根 「……絶対的な壁、確かにあったよ」
黄泉川 「……」
垣根 「それにしたって、力意外でこうも差が出ると正直へこむよな」 ハハッ
黄泉川 「……垣根」
垣根 「ま、今となっちゃどうでもいい話だし、俺ももう独りじゃない」
垣根 「さて、焦げ付く前に食べないとな!」 ザクザク
垣根 「おやじさん、うまかったよ」
おやじ 「おおきに!またいつでも来てや!」
垣根 「息子さんと仲良くな!」 ガララ - 703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/07/27(水) 00:15:53.04 ID:jRxpOpVDO
- おやじ 「なんや知られてもうたか。まぁぼちぼちな」
黄泉川 「……」
おやじ 「どないしたん?」
黄泉川 「あの子も、愛情を知らないまま育ったじゃん」
おやじ 「……そうか」
黄泉川 「本人は何も言わないけど、内心寂しいんだと思う」
おやじ 「学園都市にはそういう子が沢山おるって聞いたけど、あの兄ちゃんもそうなんか」
黄泉川 (一方通行と垣根に差なんて何もないじゃん。只きっかけが得られなかったってだけで……)
黄泉川 「……私に何か出来ないかな」
- 724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 02:41:09.81 ID:hTz2ypHDO
- ―――――――――
垣根 「……しかし、学園都市ってのはこうも自然がないのな。撮ってて物足りないっていうか……」 パシャッ
黄泉川 「確かに、ビルとかばっかで味気はないじゃん」
垣根 「旅行とか行ってみたいなー。こっちに来てから一度も外へ出た事ないし」
黄泉川 「旅行…?」
垣根 「色んな奴を連れて観光とか温泉とか、それでそいつを全部写真に撮ってよ……」
垣根 「外の世界っていうの?見てみたいよなー」
黄泉川 (垣根にとって、学園都市は1つの隔離された空間なんだ)
黄泉川 (その上超能力者ともなると、簡単に出す訳にはいかないもんね……)
ネェネェオジョウチャンタチ…
ヤメテクダサイ…!
黄泉川 「あれは……」
垣根 「黄泉川?」
- 725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 02:42:41.59 ID:hTz2ypHDO
暴漢A 「俺達道に迷っちゃってさー、ちょっと教えてほしいんだけど」 ヒヒッ
暴漢B 「悪いんだけど、一緒に来てくれる?」 ククッ
「ど、どうしよう……」 ヒソヒソ
「私が気を引きますので、その隙に逃げて下さい」 ヒソヒソ
「でもそれじゃあ…!」 ヒソヒソ
「大丈夫です、すぐに助けを呼んでくれれば……」 ヒソヒソ
暴漢A 「なーに内緒話しちゃってんのかなー?」
暴漢B 「俺達にも聞かせてよ」
「では、私が合図をしたらすぐ走って下さい…!」 ヒソヒソ
「わ、分かった…」 ヒソヒソ
黄泉川 「そこで何してるじゃん?」
暴漢AB 「「!?」」 ビクッ- 726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 02:44:42.27 ID:hTz2ypHDO
- 黄泉川 「お前ら、またそんなことやってたのか!」
暴漢B 「げっ、黄泉川!」
暴漢A 「に、逃げるぞ!」
タッタッタッタッ……
黄泉川 「全く、こないだ私がとっちめたばっかだってのに……」 フゥ
「あ、ありがとうございます……」
黄泉川 「お前達は確か……初春と佐天だったっけ?」
佐天 「はい、さっきはどうも…」 ペコリ
初春 「今日はパトロール……って訳でもなさそうですが?」
黄泉川 「ああ、今日はちょっと連れとお出掛けしてるだけじゃん」
佐天 「もしかして、恋人ですか!?」
黄泉川 (今日はやけに同じ事聞かれるじゃん……)
黄泉川 「違うよ、ちょっとした知り合いさ」 ハハッ
初春 「その人は今どこに?」
黄泉川 「しまった、置いてきちゃったじゃん…」
佐天 「あれ、誰かがこっちに来るよ?」 - 727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 02:45:18.51 ID:hTz2ypHDO
垣根 「どうしたんだよ、急に走りだして?」
初春 「…っ!!」 ゾクッ
黄泉川 「ゴメンゴメン、ちょっと怪しい奴を見つけたからつい…」
垣根 「ま、それなら仕方ねえか」
佐天 「うわ、見て初春!この人なんかカッコよくない!?」 ヒソヒソ
初春 「……!」 ブルブル
佐天 「初春……?」
垣根 「っ!お前……」
初春 「い、行きましょう佐天さん!」 ガシッ
佐天 「ちょっ、初春!?」
タッタッタッタッ……
黄泉川 「?どうしたじゃん突然……」
垣根 「……」
- 728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 02:47:29.30 ID:hTz2ypHDO
- ―――――――――
黄泉川 「垣根、どうかしたじゃん?」
垣根 「え、別に何も?」
黄泉川 「嘘、絶対何か隠してるじゃん。私を騙そうったってそうはいかないよ」
垣根 「だから何も…」
黄泉川 「一方通行もそう、何でも自分で解決しようとして誰にも頼ろうとしない……」
黄泉川 「ちょっとは誰かに甘えたっていいじゃんよ」
垣根 「そう言うけど、一方通行と違って俺には甘えられる人間がどこにも……」
黄泉川 「目の前にいるじゃん」
垣根 「えっ」
黄泉川 「これからは私にうんと甘えればいい!」 ドンッ
垣根 「そんな、子供じゃねえんだから……」
黄泉川 「私から見れば十分子供、子供は大人に守られるのが普通じゃん」
- 729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 02:48:05.21 ID:hTz2ypHDO
- 黄泉川 「そうだ、今日は私の家で晩御飯食べるじゃん!」
垣根 「えっ、えっ?」
黄泉川 「そろそろ一方通行達も帰る頃だろうし、帰って支度しなきゃ」
黄泉川 「ほら、行くよ垣根」
垣根 「あ、ああ……(黄泉川の方こそどうしたんだ?)」
―――――――――
~黄泉川家~
芳川 「おかえり愛穂……って、どうしたのその格好?」
黄泉川 「ジャージ以外の服もいいかなーと思って買ってみたじゃん」
芳川 「そう、よく似合ってるわ」
黄泉川 「今日はこの子も一緒にご飯食べることになったから」
垣根 「どうも」
芳川 「遠慮せずゆっくりしていきなさい」
黄泉川 「さて、早速支度するじゃん」 パタパタ
- 730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 02:48:58.84 ID:hTz2ypHDO
垣根 「――んで、これが今日の写真」 スッ
芳川 「やだ、愛穂ったら可愛いじゃない」
垣根 (結局上がる事になっちゃったけど…) チラッ
黄泉川 「今日はいつもよりがんばらないとね~♪」 トントン
垣根 (テレビでよく見るけど、こういうのを母の背中っていうのかな) ジー
垣根 (小さいようで大きいような、どこか頼りがいのある……)
芳川 「どうしたの?さっきから愛穂ばっか見て……」
垣根 「ん?ああ、なんか見とれちゃって……」
芳川 「惚れちゃった?」
垣根 「そ、そうじゃなくて、なんつーか……強いんだなーって」
芳川 「?」
垣根 「俺達の戦いに割り込んで来たり、怪我させた俺を簡単に許しちゃったり、俺を子供扱いしたり……」
垣根 「なんか、黄泉川には勝てる気がしねぇ」
- 731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 02:49:39.87 ID:hTz2ypHDO
- 芳川 「あの学園都市最強をも丸め込むのだから当然よ」 フッ
芳川 「……でも、そんな愛穂も初めは苦しんだわ」
垣根 「え?」
芳川 「私が愛穂に一方通行達の世話を持ち掛けた日、彼女一晩中悩んだの」
芳川 「大きな罪を犯したあの子を受け入れられるのか、自分にあの子を守れるのか、ずっとね……」
芳川 「そして、彼女は引き取る事を決意したわ。何があっても自分はあの子の味方でいようって、そう誓ったの」
垣根 「……」
黄泉川 「垣根ー、ちょっといいかなー?」
垣根 「悪い。なんだー?」 スタスタ
- 732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 02:50:57.46 ID:hTz2ypHDO
垣根 「……これでいいのか?」
黄泉川 「うん、ありがと」
黄泉川に呼ばれた垣根は、炊飯器の中へ切った具材と水を入れていく。どうやらシチューを作るらしい
垣根 (……にしても、炊飯器で作れるのか?)
今までにない画期的な調理法に疑心暗鬼ながらも、蓋を閉じてスイッチを押した
黄泉川 「……垣根は今まで、1人で何でも乗り切ってきたんだね」
お好み焼き屋での話の続きだろうか?
垣根 「お陰様で、力だけはあったからな」
形だけの笑みで答える
- 733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 02:52:55.70 ID:hTz2ypHDO
- いつか、自分の出生について調べたことがあった
彼にとって両親の存在は戸籍表に書かれた名前とDNAの検査結果のみ
顔も性格も覚えてないそれを親だと言われたところで、彼は納得出来る筈もない
だが不思議なことに、この2人から『帝督』という名を授かったのだけは覚えていた。
何故それだけを……いや、何故それ以外忘れたのか
実質彼は学園都市で生まれ育ったようなもの。故に、親の愛情など知る由もない……
黄泉川 「じゃあ、人の温もりも知らないじゃん……」
そう言って、黄泉川は垣根の方へと歩み寄る
垣根 「黄泉川?」
直後、垣根の思考は完全に停止した
気付けば、黄泉川に抱きしめられていたのだ - 734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 02:54:16.98 ID:hTz2ypHDO
- 垣根 「え!?ちょっ……!」
――事象の解析、完了。抱擁である事が判明。原因不明。用途不明。これによる身体への影響……
学園都市第二位の頭脳が混乱していた
恐らく、突然能力が使えなくなった時以上に冷静さを失っている筈
何だ、どういう事だ?
黄泉川 「……温かいでしょ?」
耳元でする柔らかい声でハッと我に帰る
黄泉川 「人って、こうやって抱きしめられると安心するの。母親のお腹にいた時を思い出すから……」
垣根 「あ……」
さっきまでの混乱が嘘のように、垣根の脳内はみるみる落ち着きを取り戻していった
同時に、身体から温もりが伝わってくる。何とも心地良い温度だ
黄泉川 「今は違うじゃん、垣根にも守ってくれる存在がちゃんといる」
黄泉川の腕に一層力が入る
黄泉川 「……言わなくても分かるじゃん?」
- 735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 02:55:01.08 ID:hTz2ypHDO
ああ、なんて優しい人なんだ
これが、忘れかけていた“愛情”……
母のような、偽り1つない無償の愛
そんな人を俺は――
垣根 「黄泉川、俺……」
黄泉川 「何も言わなくていいじゃん。今は黙って私に甘えてればいい……」
垣根の考えなど黄泉川にはお見通しだった
垣根 (……やっぱり、黄泉川には勝てる気がしねぇ)
彼は今愛情というものを全身で感じている。頭の頂辺から足の爪先、心の隅々まで余すことなく……
優しくて、胸が締め付けられて、しかし抗い難い
彼女にもっと早く出会っていれば、今とはまた違う世界が見えただろう。
――もう暫く、この温もりに包まれたい
それは、垣根が生まれて初めて誰かに甘えた瞬間だった
- 736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 02:55:41.25 ID:hTz2ypHDO
打止 「ただいまー!ってミサカはミサカは上機嫌でドアを開けてみたり!」 ガチャッ
番外 「はぁー、荷物持つの疲れた」
一方 「先に手ェ洗えよー」
芳川 「おかえり、楽しかった?」
垣根 「!!」 ビクッ
黄泉川 「あ、帰ってきたじゃん」
垣根 「よ、黄泉川!早く……!」 バタバタ
- 737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 02:57:55.77 ID:hTz2ypHDO
- ―――――――――
一方 「――今日は黄泉川と遊んでただァ?全く何考えてンだか……」
垣根 「お前こそ、水族館とはまた珍しいな」
一方 「俺はガキ共(+α)の面倒見ンので楽しむ暇なンざなかったっての」 フー
打止 「今日は紳士だったもんね、ってミサカはミサカは意外にも紳士なあなたもアリって意見が多かったと伝えてみたり」
番外 「なんか、今日の黄泉川おしゃれだね。ジャージ以外の格好なんて初めて見たかも」
垣根 「ああ、あれ俺が選んだんだ。他にもこんなものを……」 スッ
打止 「ファッションショーみたい!ってミサカはミサカは驚嘆しながら写真を眺めてみたり!」
番外 「やっぱ体型いいよねー、でもこれならミサカにだって……」
一方 「オマエにゃまだ早い」
番外 「何とでも言えば~?私にはこの身体があるんだもん。ねー?」
打止 「ずるーい、ミサカも行くー!ってミサカはミサカは対抗心を燃やしてみたり!」
番外 「ミサカと張り合おうなんて10年早いよ☆」 ギャハッ
芳川 (彼ったら、あの子達と自然に馴染んでるわね……)
- 738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 02:58:28.41 ID:hTz2ypHDO
- 黄泉川 「みんな出来たじゃん」 パタパタ
打止 「シチューだー!ってミサカはミサカはお腹が鳴るのを止められなかったり!」 グー
一方 「オマエも食うのか?」
垣根 「なんか黄泉川に呼ばれたからな」
黄泉川 「皆で食べるともっと美味しくなるじゃん!」
芳川 「この場合、どっちがお兄ちゃんになるのかしらね」
一方 「俺に決まってンだろ」
番外 「どうかな~?あっちの方が身長高いしイケメンだし?」
一方 「人は見た目じゃねェ、中身だ」
黄泉川 「はいはい、じゃあ手を合わせて…」
「「「「「「いただきます!」」」」」」
- 739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 02:59:26.46 ID:hTz2ypHDO
- この日食べた夕飯は格別だった
食べているだけで安心感が得られる、魔法のような、不思議な力の込められた料理
これが、“母の味”なのだろうか……?
結局垣根は3回もおかわりをし、それを見て皆は笑みを溢す
黄泉川もまた、嬉しそうな顔で垣根を見つめていた――
―――――――――
垣根 「黄泉川、ありがとな」
黄泉川 「礼なんていいじゃん。またいつでもおいでよ」
黄泉川 「私が、私達が味方でいるから」
垣根 「……」
垣根 「そうだ、1枚写真撮らせてくれよ!」
黄泉川 「え、いいけど……」 - 740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/03(水) 03:00:05.48 ID:hTz2ypHDO
- 垣根 「はい皆集合ー」
打止 「なになにーってミサカはミサカは呼ばれて来たよ」 トコトコ
一方 「俺眠いンだけど……」
垣根 「今から写真撮るからそこ並んでー」
芳川 「どうしたのいきなり?」
番外 「撮るなら可愛く撮りなさいよ~?」
垣根 「家族写真ってやつを撮ってみたかったんだ。黄泉川達がその第一号って訳」
一方 「家族……」
垣根 「そういうこと。あ、黄泉川もうちょい……」
一方 「……」 ニヤッ
今日は形に出来ない沢山のものを貰った……
それを形として残せるのがこのカメラ
この瞬間のこの気持ちを忘れないように、ここに残して置こう
――その日が来るまで
垣根 「それじゃ、撮るよー」
お馴染みのフレーズと共に、シャッターを切る音が静かに響いた
- 763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/08(月) 00:59:10.58 ID:KgO1knbDO
- ―――――――――
―――――
―――
12月13日(月)
私、上条当麻は現在仲間と一緒に街を歩いている。学校を休んで
決してサボりではないぞ、決して。というか、単位ギリギリな癖にそれは自殺行為にも程がある
矛盾してるって?俺もそう思うよ
実のところ、何でこうなったのか自分でもまだ分かってないんだ
あれは遡ること1時間前――
- 764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/08(月) 00:59:38.68 ID:KgO1knbDO
- ―――――――――
1時間前~上条宅~
垣根 「おい、今からあるとこへ行くから準備しとけよ」 ガララ
上条 「ベランダから来るな!それに俺学校があるんだけど……」
垣根 「大丈夫、休むって言っといたから」
上条 「」
垣根 「公欠扱いにしてくれるって言ってたぞ、よかったな!でもその分補習の量は増えるらしい」
上条 「」
禁書 「あれ、ていとくがいるんだよ」
垣根 「おはようシスターちゃん。あれ、なんかいい匂いが…」 クンクン
禁書 「朝御飯に味噌汁炊いたんだけど、食べてく?」
垣根 「いいのか?じゃあ遠慮なく…」
- 765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/08(月) 01:00:20.42 ID:KgO1knbDO
- ―――――――――
上条 「ね?意味分かんないでしょ?いつの間にか補習が増えたんですよ!?」
一方 「だから誰に説明してンだって」
麦野 「これは一体どこに向かってんの?」
心理 「さぁ、彼からはこの日は空けとくようにとしか言われてないから……」
垣根 「お、あれだな」
上一麦心 「「「「……幼稚園?」」」」
垣根 「そう、今日はこの幼稚園にお邪魔するんだ」 - 766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/08(月) 01:00:56.25 ID:KgO1knbDO
- 麦野 「何でまた……」
垣根 「よくぞ聞いてくれた!」 ビシッ
垣根 「今回の目的は2つ、1つはちびっ子達に超能力というものを知って貰って好奇心を与えること」
垣根 「そしてもう1つの目的は麦野、一方通行、心理定規、お前達3人に関することだ」
心理 「私達?」
垣根 「ここで問題です、3人に共通する足りないものとはなーんだ?」
麦野 「足りないもの……?」
一方 「学園都市第一位たる俺に足りねェものなンざねェよ」
心理 「私達に共通することと言えば、暗部にいたことぐらいしか……」
垣根 「結構簡単だと思ったんだけどな。まぁいいや、答え言うぞ?お前達に足りないものとは……」
垣根 「他人との関わり、延いてはコミュニケーション能力だ」 - 767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/08(月) 01:01:56.30 ID:KgO1knbDO
- 垣根 「思い返してみろ、俺達が仕事関連以外の人間とやり取りしたことなんてあったか?」
麦野 「なっ、人をコミュ障呼ばわりしやがって!」
一方 「お、俺には打ち止めとか番外個体とか黄泉川とか芳川とかがいるからそンなンじゃねェし!」
心理 「失礼ね、私はそれなりのコミュニケーション能力を持ってるつもりだけど?」
垣根 「一方通行は全員身内だろ、心理定規は能力使ってるからカウントしない」
垣根 「これから先色んな人間と関わっていくだろう。そんな時コミュニケーション能力がないと苦労するぜ?」
上条 「そういうお前はどうなんだよ」
垣根 「その通り、俺も人のことを言えた立場じゃねぇ。たまに人と話すの緊張する時あるし……」
垣根 「そこで、今日は1日ちびっ子達と触れ合って、俺達のコミュニケーション能力を養おうってのが2つ目だ」 - 768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/08(月) 01:02:47.02 ID:KgO1knbDO
- 一方 「1日ガキと遊ぶってか?」
垣根 「一緒に歌を歌うとかご飯を食べるとか、ちょっとずつ人に慣れていくんだよ」
上条 「それで、俺の必要性は?」
垣根 「お前は海を越えて多くの人間と関わってきた、コミュニケーション能力はバッチリだろう」
垣根 「ようするに、俺達の手本になってくれって訳」
上条 「それで学校を……」
麦野 「あー、私子供苦手なんだけど…」
垣根 「もう園長先生には説明してあるから引き返せねえぞ?超能力者が3人も来るなんて大はしゃぎしてたし」
一方 「先に言えよ!何勝手なことしてくれてンだァ!」
垣根 「だって、言ったら絶対断るだろお前ら?因みに園長先生に話したのは昨日だ」
心理 「よく了承したわね園長先生……」
垣根 「さて、もうすぐ先生が……お、来た来た」 - 769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/08(月) 01:05:01.97 ID:KgO1knbDO
- 園長 「おはようございまーす!いやーよく来てくれました!」 ガシッ
垣根 「園長先生、こっちこそいきなりの話で悪かったよ」 ガシッ
園長 「ささ、まずは中へどうぞー!」 テクテク
上条 (女の人か、何だか陽気な先生だなー)
―――――――――
~園長室~
園長 「コーヒーでもどうぞ」 コトッ
垣根 「ありがとう」 ズズー
一方 (牛乳が入ってやがる、俺はブラック以外受け付けねェぞ……) ジー
園長 「どうかしましたか?コップを見つめて……」
一方 「え、あ、いや、何でも……(クソッ、何か上手く喋れねェ!)」 カチコチ
上条 (うわー、スゲー緊張してる)
- 770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/08(月) 01:05:37.38 ID:KgO1knbDO
- 垣根 「ああ、コイツコーヒーにはうるさくてな、今脳内でコーヒーの分析をしてるんだよ」
園長 「へぇー、これまた通な方ですねー。どうです?私のコーヒー」
一方 「えっとォ……その、ぎゅ…牛乳はない方がいいン、じゃねェかなー」 カチコチ
園長 「あちゃー、ブラック派でしたか。これは失礼」 ペシッ
一方 (み、認めてたまるかァ!俺はコミュ障なンかじゃ…!)
垣根 「しかも、一口飲んだだけでどのメーカーかも当てちゃうんだぜ」
園長 「なんと!これぞ正に“違いの分かる男”って奴ですねー!」
一方 「まァ…な……(おいィィィ!もう俺に話を振ンのはヤメロォォォォ!!)」 ハハッ
心理 (顔が笑ってないわよ、逆に怖い)
麦野 (垣根、頼むから私に話を振るんじゃないわよ…!) - 771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/08(月) 01:06:11.04 ID:KgO1knbDO
- 垣根 「こっちは世界に数人しかいないと言われるシャケ弁評論家で、学園都市のシャケ弁はコイツの為だけに作られたとか……」
麦野 (来やがったぁぁぁ!!しかも色々捏造してやがるし!シャケ弁評論家って何!?)
園長 「シャケ弁評論家!?そんな凄い方がいるなんて知りませんでした!」
麦野 「いや、あの、シャケ弁が、好きで…評論家とまでは……(信じるの?信じちゃうのこの人!?)」 シドロモドロ
上条 (確かに、コミュニケーション能力はあるとは言い難いかも……)
心理 (垣根は何であんな普通に喋れるのよ……いえ、私だって出来るわよあれくらい)
垣根 「そんで、こっちは……」
心理 (わ、私も……!?) ドキッ
- 772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/08(月) 01:07:38.62 ID:KgO1knbDO
- ―――――――――
園長 「さて、本題に参りましょうか」
園長 「今日は皆さんに子供達と遊びながら、皆に超能力というものを身近に感じさせて頂きたいのです」
園長 「今はまだ能力を持っていませんが、いつかはあんな風になれるってことを知って欲しい……」
園長 「言うなれば、子供達に“夢”を持つきっかけを与えるのが目的です」
上条 「“夢”、ですか」
園長 「はい、子供達にはこれから先の未来を楽しみに生きて欲しいのです」
園長 「皆さんも、昔はそうだったでしょう?」 - 773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/08(月) 01:09:02.44 ID:KgO1knbDO
- 一方 (そういや、そンな時期もあったっけか?)
心理 (将来の夢……私、何になりたかったのかしらね)
上条 (記憶がないから分からないな……)
麦野 (少なくとも、こうなるとは思わなかったよ……)
園長 「突然の事なので子供達も皆ビックリしてましたよ。テレビで見たヒーローのような人に会える!ってね」
垣根 「ヒーロー……」
ガチャッ
職員 「園長先生、子供達を運動場に集めました」
園長 「分かりました。では皆さん、運動場へ参りましょう!」
- 786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/11(木) 22:55:54.41 ID:j8caNnuDO
- ―――――――――
~運動場~
キャーキャー
上条 「おー、ちびっ子がいっぱいだー」
麦野 「子供とはいえ、こんなにいると緊張するな…」 ドキドキ
心理 「具体的に何をすればいいのかしら?」
園長 「難しい事は何もいりません、皆さんの能力を簡単に披露するだけでいいです」
園長 「パフォーマンス、期待してますよ!」 グッ
垣根 「よし、任せとけ!」 グッ
一方 「?あれは……」
結標 「はーい皆2列に並んでー!こら、そこ騒がないの!え、トイレ?もう早くしなさいよー」
一方 「なァ、アイツ……」
園長 「ああ、結標淡希さん?彼女、先生を目指してるって聞いてね、たまにここで実習みたいなのをさせてるの」 - 787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/11(木) 22:57:03.80 ID:j8caNnuDO
- 園長 「いやー、本当に子供が好きなんですねー。皆からは“あわきん”って呼び名で親しまれてるんですよ」
園長 「そして子供の心理をよく理解してる、これは将来が楽しみです!」
一方 「……」 ジー
結標 (ふふ、ここは楽園ね。可愛い子供達(特に男の子)とこうしていられるんだから……)
結標 (ああ、もっと私を頼って!私の胸に飛び込んでいらっしゃい!!) ハァハァ
子供 「あわきん、はなぢでてるよ?」
結標 「えっ……あ!(しまった、つい興奮しちゃって……!)」 ゴシゴシ
一方 「……子供好きか」
園長 「おっといけない、子供達にも覚えやすいようにこの名札をつけてください」 ゴソゴソ
上条 「これは……」
- 789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/11(木) 22:58:24.42 ID:j8caNnuDO
- 先生 「じゃあ皆で、今日特別に来てくれたお兄ちゃんお姉ちゃんを呼ぼう!せーの……」
子供達 「「「おにいちゃーん!!おねえちゃーん!!」」」
垣根 「はーい!!」
上条 「どうも」 ポリポリ
心理 「……」 オズオズ
麦野 「あ、あはは……」 ドキドキ
一方 「……おォ」 カチコチ
結標 「」
キャーキャー
上条 (こういう舞台の上に立つのって初めてだな…こりゃ誰でも緊張しますよ)
心理 (だ、大丈夫よこれくらい。えっと、“人”という字を書いて……)
麦野 (じ、じゃがいもよ!そう、皆じゃがいも!じゃが……じゃがいもが笑ってやがる)
一方 (落ち着け俺ェ!落ち着け俺の心臓!素数を数えるンだ!3.1415926……)
結標 (え、能力者って一方通行だったの!?それに他の人達は……)
- 790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/11(木) 22:59:23.11 ID:j8caNnuDO
- 先生 「では、自己紹介をお願いします!」 マイクパス
垣根 「俺は垣根帝督。“ていとくん”で覚えてくれ!」
上条 「か、上条当麻です。“とーま”って呼んでくれたらいいよ」 ドキドキ
上条 (こ、こんな感じでいいか?しかし“とーま”なんてでっかく書かれると……)
心理 「……心理定規。こ、“こころ”って呼んで……ください」 ボソボソ
心理 (何なの“こころ”って、こんな呼ばれ方初めてよ……)
麦野 「む、むむ、麦野沈利よ!えっと……“むぎのん”って言ってくれたら嬉しいにゃーん♪」 キャピッ
麦野 (うわ、やっちまった!にゃーんて何だよ恥ずかしっ!!)
一方 「お、お俺は一方[キーーーーーーン]ンだ![キーーーーーーーーーーン]!よろしくなァ!」
一方 (俺ン時だけマイク調子悪過ぎンだろ!!殆ど被っちまったじゃねェか!!)
先生 「ありがとうございます。皆もお兄ちゃんお姉ちゃんの名前を覚えようね!」
子供達 「「「はーーーい!!」」」
一方 (えっ、終わり!?)
結標 (皆緊張しすぎでしょ…)
- 792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/11(木) 23:00:47.28 ID:j8caNnuDO
- 垣根 「コホン、じゃあ超能力について簡単に説明しよう」
垣根 「超能力とはズバリ“信じる力”!自分なら出来る、自分は凄いと信じることで手にするのだ!」
一方 「何だこの大雑把な説明は…」 ヒソヒソ
麦野 「子供にはこれくらいのが伝わりやすいんじゃない?」 ヒソヒソ
垣根 「本当は勉強もしなくちゃいけないんだけど、今は気にせず目一杯遊べ!遊ぶことがお前達の勉強だ!」
垣根 「……とまぁ退屈話は置いといて、次は俺達の能力を見せよう」
垣根 「ここにいる面々は皆普通とは違う能力の持ち主だ、俺なんかは能力を使うと羽が生える」 バサッ
ウォースゲー!
カッコイー!
垣根 「当然空も飛べるから移動には困らないぜ!」 ビューン
- 793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/11(木) 23:02:27.18 ID:j8caNnuDO
トンダー!
キャーテンシミターイ!
心理 (楽しそう……垣根が)
上条 (俺能力持ってないけどどうしたらいいんだろ……)
垣根 「次は麦野……いや、むぎのん!お前の番だ!」 ビシッ
麦野 「ひゃい!?」 ビクッ
一方 (噛ンだ)
心理 (噛んだわね)
上条 (不覚にも可愛いと思ってしまった)
麦野 「えーっと……わ、私の能力は、簡単に言うと……ビームが撃てる能力?」 シドロモドロ
麦野 「アニメとかであるこう……波ーーー!!みたいな?」 シドロモドロ
結標 (波ーーーって……)
ドンナノ?
ハーーーッテヤッテミテ!
麦野 「えー、じゃあ一回だけ……」 スゥー
麦野 「波ーーーーーー!!!!」 ビーム
- 794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/11(木) 23:04:35.16 ID:j8caNnuDO
ホントニデター!
ムギノンカッケー!
麦野 「つ、次はアンタ!頼んだわよ!」 パス
心理 「わ、私?まだ心の準備が……」 アセアセ
麦野 「いいから!私もう無理!」
心理 「……私の能力は、皆と違って目には見えないの」 ボソボソ
結標 (声小さすぎ、何の為のマイクよ……)
心理 「強いて言うなら、誰とでも仲良くなれる能力……かしら」
心理 「他にもそうね……そこの君、実は隣の女の子のことが好きでしょ?」
男子 「えっ、な、なんでわかったの!?」
女子 「そうなの?」
男子 「ち、ちが……」
心理 「そして、君は男の子のことが好き……でしょ?」
女子 「うん……///」 コクリ
男子 「えっ///」
- 795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/11(木) 23:06:52.16 ID:j8caNnuDO
ヒューヒュー
アツイネー!
心理 「こんな風に、人と人との距離も知ることが出来るわ」
上条 (好意を隠しても無駄、か……ある意味恐ろしい能力だな)
結標 (もしかして、私の本性もバレてる!?) ギクッ
心理 「じゃあ次お願い」 パス
一方 「お、おォ…(大丈夫、頭で何回もシミュレートしたンだ、いける!)」 スーハー
一方 「[キーーーーーーーーーーーーン]ってまたかよ!俺に[キーーーーーーーーーーーーン]!」
ワハハハ!
キーーーンテナッタ!
先生 「すみません、こちらをお使い下さい」 ササッ
結標 (ツッコミすら被せられるなんて流石に気の毒だわ)
一方 (クソッタレ!さっきので全部忘れちまったじゃねェか!どうする、考えろ最強!)
一方 「あー、俺の能力は、オマエらじゃちょっと難しいかもしれにェえ」
上麦心結 ((((しれにェえ!?))))
- 796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/11(木) 23:08:22.09 ID:j8caNnuDO
- 一方 「う、運動には向きってにょがあって、その…例えば投げたボールときゃ走る車とか……」 カチコチ
麦野 (噛みまくってんじゃないの……ヤバ、笑けてきた) プッ
垣根 「要するに、何でも跳ね返す能力ってやつだ」
一方 「そ、そう、それ!(垣根ェ!助けてくれンのか!)」
垣根 「一方通行、そこ動くなよ?」
一方 「あ?てか、それ野球ボール……」
垣根 「ふんっ!」 ビュッ
一方 「ゴパァ!?」 ドスッ
アハハハハ!
イマノカオオモシロカッタ!
上条 (ぼ、ボールが腹に…!)
垣根 「あれ、お前スイッチ入れてなかったの?悪い悪い、大丈夫か?」
一方 「……」 カチッ
麦野 (あ、これヤバいかも)
一方 「オーケーオーケー、じゃあオマエには能力説明の為の実験台になって貰おうかァァァァ!!」 ビューン
垣根 「ちょ、タンマ!今のは事故だから!」 ビューン - 797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/11(木) 23:10:09.11 ID:j8caNnuDO
アノヒトモトンデルー!
ハヤクテヨクミエナイヨー!
麦野 「何か始まったわよ、説明そっちのけで」
心理 「子供は喜んでるけど」
結標 (あの様子じゃ暫く続きそうね……) ハァ
垣根 「……とまあこんな感じで、何かと便利な能力なんだ」 ゼーゼー
一方 「後で殺す……」 ゼーゼー
上条 (最後は俺か……さっきの見てたら緊張が解けたよ)
垣根 「最後の奴についてだが、コイツのは更に変わっててな」
垣根 「そこで今からヒーローショーを始めようと思う」
上一麦心 「「「「えっ」」」」
- 798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/11(木) 23:10:50.47 ID:j8caNnuDO
- 垣根 「その方がコイツの凄さがよく分かると思うからな」
ミタイミタイ!
ワクワク…
垣根 「よし、集合!」
麦野 「はぁ!?いきなり何言い出すんだ!」 ヒソヒソ
上条 「無茶振りにも程があるって!」 ヒソヒソ
一方 「何でオマエはいつもそう勝手なことすンだよ!」 ヒソヒソ
心理 「私、激しい運動なんて無理よ」 ヒソヒソ
垣根 「まぁ聞けって、いいか?まず最初に……」
- 814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/17(水) 17:23:06.75 ID:H8NqlvXDO
ワイワイ
キャーキャー
結標 (皆の反応を見るに突発でやるみたいね、大丈夫なの……?)
チャーラッチャー♪
結標 (あ、始まった)
『ワンパンK.O!そげぶマン!』
説明しよう!そげぶマンとは理不尽な悪に立ち向かう正義のヒーロー!
その右手にはいかなる能力も無効化する力が宿り、どんな敵もその拳1発で倒してしまうのだ!決め台詞は『その幻想をぶち殺す!』
心理 「きゃー助けてー!」
上条 「ベクトルマン!こころんを放せ!」
一方 「かーきくーけこー!今日こそオマエをぶち殺してやるぜ三下ァ!」
ベクトルマンは自称“超一流の悪党”にして彼の永遠のライバル!今回は彼の友達こころんをさらって何かを企んでるようだ!
麦野 「そげぶマン!私も手助けするにゃん!」
上条 「ありがとうむぎにゃん!」
むぎにゃんはそげぶマンの愛猫が進化した姿!口はすっごく汚いけど、好物のシャケをあげたら誰にでもなつくゾ!
- 815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/17(水) 17:24:16.08 ID:H8NqlvXDO
- 麦野 「おら、死にさらせ×××野郎ーー!!」 ビーム
結標 (ちょっ、子供の前でそれ言っちゃダメでしょ!?)
子供 「あわきん、×××ってなぁに?」
結標 「大きくなったら分かるわよ(ああ、純粋無垢な子供の口から汚い言葉が……興奮した)」 ゾクゾク
一方 「効かねェなァ!そンなンで俺様に勝てるとでも思ってンのか!?」 チュイーン
麦野 「クソッタレがー!いい気になってんじゃねぇー!」
上条 「むぎにゃん、あとは俺に任せてくれ、シャケやるから」 ポイッ
麦野 「ふにゃー!」 パシッ
上条 「ベクトルマン!どうしてこころんをさらったりしたんだ!」
一方 「理由は簡単、コイツは俺様にしてはいけないことをしてしまったからだ」
上条 「それは一体……」
一方 「それは……」
- 816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/17(水) 17:24:47.52 ID:H8NqlvXDO
一方 「俺様の唐揚げにレモン汁かけやがったンだ!」 ドーン
結標 「」- 817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/17(水) 17:25:26.82 ID:H8NqlvXDO
- 心理 「だって、知らなかったのよ!普通唐揚げにはレモン汁かけるでしょ!?いつも皿に乗ってるし…」
一方 「よく見てみろォ!タルタルソースもついてンだろが!俺様はタルタルソース以外認められねェンだ!」
一方 「それをこの女、さも当然の如くレモン汁ぶっかけやがった……皆で取り合う唐揚げにな!」
一方 「挙げ句、『タルタルソースはないわ(笑)』とまで抜かした。これは俺様への宣戦布告だ!」
一方 「だから俺様はコイツにタルタルソースの何たるかを叩き込ンでやるンだよ!タルタルソースこそが至高だァァァ!!」
上条 「……ふざけんな」
一方 「あ?」
上条 「そんなくだらねぇ理由でこころんに怖い思いをさせたのか……!」
一方 「くだらねェだァ?オマエにはそう見えても俺様は違う、これは然るべき争いだ!」
上条 「うるせぇ!テメェのそれは只の押し付けだ!自分の思いを解って貰えないからってそれを押し付けるのは最低だ!」 - 818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/17(水) 17:27:24.94 ID:H8NqlvXDO
- 上条 「レモン汁?タルタルソース?んなもん何だっていい!」
上条 「どれだけ周りに馬鹿にされようが、自分が好きだと胸を張って言えたらそれで十分だ!」
一方 「それが出来りゃあ戦争なンざ起きなかったろうな!甘過ぎンだよオマエは!」
一方 「なのに俺様はいつもオマエに負ける……あァ気に入らねェ!オマエだけはぶっ殺さねぇと気がすまねェなァ!!」 ビューン
上条 「本当は分かってんだろ、こんなことしても意味がないってことぐらい。だったら……」 ザッ
上条 「まずはその幻想をぶち殺す!!」 - 819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/17(水) 17:28:09.43 ID:H8NqlvXDO
- 一方 「そげぶ!!」 バキッ
心理 「ありがとう、そげぶマン!」 ダッ
麦野 「ごろにゃーん♪」 ゴロゴロ
上条 「……少しは目ぇ覚めたか?」
一方 「ケッ、どうせオマエもレモン汁派なンだろ?片方が滅びない限り争いは続く、俺様とオマエみたいにな……」
上条 「俺はレモン汁でもタルタルソースでもない」
一方 「じゃあ何だ……?」
上条 「俺は……」
- 820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/17(水) 17:28:39.30 ID:H8NqlvXDO
上条 「竜田揚げ派だ!!」 ドーン- 821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/17(水) 17:29:40.10 ID:H8NqlvXDO
- こうして、そげぶマンは今日も平和を守った。戦えそげぶマン!負けるなそげぶマン!この世の悪が潰えぬ限り――!!
【キャスト】
そげぶマン…上条当麻
ベクトルマン…一方通行
こころん…心理定規
むぎにゃん…麦野沈利
ナレーター…垣根帝督
【演出・脚本】
垣根帝督
【製作・企画】
垣根帝督
チャーラッチャー♪
結標 (……終わった。もう何から突っ込んでいいやら)
カッコヨカッター!
ソゲブマンカッコイー!
結標 (でも、子供達には大ウケだったみたいね)
先生 「ありがとうございました!皆、もう一回大きな拍手をしよう!」
パチパチパチパチ
先生 「これで、今日の講演会を終了とさせて頂きます!」
- 822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/17(水) 17:30:50.95 ID:H8NqlvXDO
- ―――――――――
~園長室~
園長 「いやー、皆さん今日は本当にありがとうございます!子供達も大喜びでしたよ!」
垣根 「ははっ、何とかうまくいったみたいで良かったよ」
上一麦心 「「「「……」」」」 ズーン
園長 「おや?元気ないみたいですね」
垣根 「ずっと緊張してたから疲れたんじゃないかな」
園長 「そうですか、ではそろそろお昼にしましょう。給食を用意しましたので子供達と一緒に食べて下さい」
垣根 「やった!腹減ったな~」
園長 「教室はここを出て右の……」
垣根 「講演会はどうだった?」 スタスタ
一方 「最悪だァ、マイクに何度も被せられるし……」
上条 「てか、あのヒーローショー!キャラといいストーリーといい、何もかもおかしいだろ!」
垣根 「流石に無理があったかなー……」 ウーン
- 823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/17(水) 17:35:37.18 ID:H8NqlvXDO
- 心理 「話の内容がふざけすぎ。只の唐揚げ談義じゃない」
麦野 「私のあのキャラは何!?悪意を感じるわ!」
垣根 「いや、自己紹介でにゃーんて言ったからアリかなーと」 ハハッ
麦野 「ねーよ!!誰かに見られてたら一生ネタにされるところだったっての!」 バシッ
垣根 「まぁまぁ、子供にはウケたんだし結果オーライってことで」
上条 「で、あれで俺の能力の説明は出来たのか?」
一方 「あンなので分かる訳ねェだろ……」
垣根 「お、ここだな」 ガララ
ア、オニイチャンタチダー!
ソゲブマーン!
垣根 「おお、元気な奴らだなー!」 パシャッ
上条 「こうして見ると、小萌先生が益々不思議に思えてくるな……」
心理 (距離を調節して…って、これじゃ意味ないわ。能力を使わずに仲良く……)
- 824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/08/17(水) 17:37:29.42 ID:H8NqlvXDO
- 一方 「……オマエもいたのか」
結標 「あ、一方通行!そりゃ、私は先生になる為に勉強しに来たのであって……!」
子供 「あわきんのともだち?」
結標 「と……え、ええ、そんなところね」 ニコッ
先生 「お待ちしてました。さぁ、お好きな席へどうぞ」
麦野 「じゃあここに……」 ガタッ
垣根 「これが給食か~」 ガタッ
上条 「懐かしいな、牛乳一気飲み大会とかやってたっけ」 ガタッ
一方 「……」 ガタッ
結標 「何で皆私の周りに座るの!?」
上条 「なんとなく、近い年の人がいた方が安心するから」
一方 「見張っとかないと駄目な気がしたから」
麦野 「私と同じ臭いがしたから」
心理 「同じく」
垣根 「うまそ~」
- 858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/05(月) 19:00:59.62 ID:9YgjxPWDO
イタダキマース!
結標 「私は結標淡希、一方通行の同僚よ」
心理 「あなたも暗部だったのね」
結標 「土御門から聞いてたけど、アンタにも遂に『友達』が出来たんだって?」 ニヤニヤ
一方 「ハッ、俺は只コイツらのおふざけに付き合ってあげてるだけだ」
垣根 「隙あり!」 ヒョイ
一方 「あっ、俺の春巻返せ!」
垣根 「落ち着け、俺のきんぴらごぼうやるから」 ヒョイ
一方 「はァ?そンなンで春巻と釣り合うと思ってンのか!副菜じゃ主菜には勝てねェよ!」 ギャーギャー
結標 (すごい仲良しじゃない……)- 859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/05(月) 19:06:32.34 ID:9YgjxPWDO
結標 「……コミュ障の克服に来たって?あはは、何それ!」
一方 「あ?そういうオマエはどうなんだよ。ガキ狙ってここに忍び込ンだンじゃねェのか?」
結標 「さっきも言ったように、先生になる為の勉強よ。これでも真剣にやってるんだからね」 フフン
上条 「目標があるっていいなー。俺なんかまだ何も……」
結標 「私もこないだまで目標なんてなかったわ。小萌に奨められてやってみようと思ったの」
結標 「元々子供は好きな方だったから、悪くないかもしれないわね」
子供 「あわきん、これキライだからたべてー」
結標 「だーめ、好き嫌いしてると大きくなれないよ、このお兄ちゃんみたいに」
一方 「でかけりゃいいってもンじゃねェよ」 フンッ
麦野 「そうそう、世の中にはちっちゃい方が好きな人だっているんだから」
結標 「余計な事言わない!とにかく一口でもいいから食べること、いい?」
子供 「はーい……」
- 860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/05(月) 19:08:22.17 ID:9YgjxPWDO
- ―――――――――
放課後~運動場~
垣根 「さて、いよいよ本題だな。いいか、今日は友達100人作る勢いで行くんだぞ?」
一方 「小学生じゃあるまいし……」
垣根 「ほら、そうこう言ってるうちに来たぜ?」
男児 「うさぎくんあっちであそぼー!」 ガシッ
一方 「(うさぎくン?)コラ、ひ、引っ張るンじゃねェよ!」 グイグイ
結標 (うさぎ君……肌白くて目赤いしうさ耳つけたら……)
結標 「……アリかも」 ボソッ
心理 (ないでしょ)
女児 「こころちゃんむぎのん、わたしたちと“がーるずとーく”しよー!」 キャイキャイ
麦野 「(ガールズトーク?)え、ええ、いいわよ」 テクテク
心理 (ガールズトークって女の子同士の会話だから……) ウーン
男児達 「「「とうまー!そげぶマンごっこしようぜー!!」」」 ワラワラ
オレモオレモ!
ボクベクトルマンヤルー!
上条 「うわわ!分かった分かった!じゃああっち行こうか」 グイグイ
- 861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/05(月) 19:09:16.06 ID:9YgjxPWDO
- 垣根 「おお、皆あっという間に連れていかれたな」
結標 「あなたはどうするの?」
垣根 「決まってんだろ?ちびっ子とかアイツらを撮って回るんだよ」
結標 「子供も撮るの?」
垣根 「そうだけど」
結標 「……ねぇ、撮った写真私にもくれない?」
垣根 「いいよ、欲しかったら幾らでも」
結標 (いやったー!!これで夢の『ショタショタ☆メモリアルブック』が作れる!!) ガッツポーズ
垣根 「そんなに嬉しいのか?」
結標 「そ、そりゃあね……とにかくありがとう」 ニコッ
男児 「あわきんいつものアレやろー!」
結標 「はいはーい!じゃあまた後でね」 テクテク
垣根 「…さて、まずはあっちを見てくるか」 テクテク
- 862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/05(月) 19:10:53.93 ID:9YgjxPWDO
男児A 「きょうはもっとおおきいおやまをつくるぞー!」 ザクザク
男児B 「~♪」 ペタペタ
一方 「……」 ペタペタ
男児B 「おみずかけるねー」 チョロチョロ
男児A 「くずさないようにきをつけろよ」 ペタペタ
一方 「……」 ペタペタ
男児A 「やべ、はしっこけずれた!」
男児B 「しゅうりしゅうりー!」 ワタワタ
一方 (何話していいか分かンねェ…) ペタペタ
男児B 「ウサギくん、ずっとだまってるけどどうしたの?」
一方 「え、いや…」
男児A 「つまんなかった…?」 シュン
一方 「そそ、そンなことねェ!ハハッ、じゃあ俺がもっと大きい山作ってやるよ!」 カチッ
- 864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/05(月) 19:16:20.29 ID:9YgjxPWDO
スナバノスナヲアツメテアッシュクゥ!!
ウワースゴーイ!
一方 「……まァ、俺にかかればこれくらいどうってこたァねェ」 フー
男児A 「すげー!これかまくらみたいにできるんじゃね!?」
垣根 「おお、でっけぇ山だなー」 パシャッ
男児B 「ウサギくんがつくってくれたんだよ!」
垣根 「おいおい一方通行、単なる山じゃ子供は満足しねえぞ?俺だったら更に……」 ピキーン
男児A 「おやまにはねがはえたー!」
一方 「センスの欠片もねェな垣根くンよォ。俺が今からアーティスト足るものが何なのか教えてやる」
垣根 「望むところだ!ちびっ子、俺と一緒に素敵なお山を作るぞ!」
男児B 「やるやるー!」
一方 「よしオマエ!男と男の真剣勝負だ、絶対勝つぞ!」
男児A 「まけないぞー!」
メルヘンウンガデドウダー!
コッチハベクトルトンネルダァ!
- 865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/05(月) 19:20:51.47 ID:9YgjxPWDO
女児A 「――やっぱり、あたしは“ぱてぃしえ”になりたいなー」
女児B 「わたしはだんぜん“なーす”だね」
女児C 「むぎのんたちはなにになりたいの?」
麦野 「うーん、今はまだ分からないなー」
心理 「そうね、昔と今じゃ考え方なんて全然違うから…」
女児C 「おおきくなるとたいへんなんだね」 ヘー
心理 (ガールズトークって言っても案外普通だったわね。それもそうか、まだこんなに幼いし……)
女児A 「ねぇ、ふたりはすきなひととかいるの?」
麦心 「「えっ」」
女児B 「わたしもきになるー!」
女児C 「じつはもうこいびとがいたりして」
麦野 「あ、アハハ、何言ってんのよ~。そんなのいる訳……」
女児A 「ぜったいうそだ!いるにきまってる!」
麦野 (何なの突然?さっきまで将来の話してたじゃない!)
- 866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/05(月) 19:23:20.26 ID:9YgjxPWDO
- 女児C 「こころちゃんはどうなの?」
心理 「……好きかどうかは別として、気になる人ならいるわ」
女児B 「え、どんなひと!?」 ワクワク
心理 「一言で言うなら…自由な人、かしら」
心理 「いつも何考えてるのか分からなくて、事ある毎に皆を巻き込んじゃうの。思い立ったら即実行、それに強制参加なんてしょっちゅうだわ」
心理 「でも、それが不思議と楽しく感じちゃうのよね。自分でも悪い気はしないみたい」
女児B 「じゆうなひとか~、いがいとありだな~」
麦野 (自由ね……いや、強引か?)
女児A 「それってほとんどすきっていってるようなものじゃない?」
心理 「そうかもね」 クスッ
麦野 「えっ」
女児C 「むぎのんもいるんでしょ?きになるひと」
麦野 「あ、いや私は別に……」
心理 「彼女も私と同じ人が気になってるみたいよ」
麦野 「おい何言って…!」
女児A 「それってもしかして“さんかくかんけい”!?」 キャー
女児B 「おんなのたたかいはすごいらしいね!」
女児C 「どっちもがんばれ」
麦野 「あーもう余計な事言いやがって!」
心理 「ごめんなさい、なんだか面白かったからつい」
- 867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/05(月) 19:24:22.29 ID:9YgjxPWDO
- 垣根 「よっ、女の子同士でお喋りか?」 パシャッ
女児B 「ていとくんだー!かっこいー!」
女児A 「おんなのこだけのひみつだからおしえてあげなーい!」
垣根 「いいじゃん教えてくれたって…。どうだお前ら、楽しんでるか?」
心理 「ええ、とっても」
麦野 「ってか、服汚れてない?」
垣根 「男同士の真剣勝負をしたからな」 フフン
女児C 「どんなしょうぶしてたの?」
垣根 「それは男だけの秘密だ。さて次は……」 テクテク
女児B 「……やっぱり、ていとくんがいちばんかっこいいよね」
女児A 「えー、わたしはとうまくんがいちばんだとおもうなー」
女児C 「わたしはうさぎくんがいい」
ハネハエルンダヨ!?
ヒーローダシ!
マモッテアゲタクナル
心理 (やっぱりこの子達変わってるわ。将来が不安ね……)
- 868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/05(月) 19:30:33.05 ID:9YgjxPWDO
男児a 「――そのげんそうをぶちころす!」 バチーン
男児b 「うわーやられたー!」
男児c 「つぎおれがそげぶマンやるー!」
男児d 「えーおれもやりたいー!」
オレモオレモー!
ボクハアエテムギニャンヲ…
上条 「そげぶマン大人気だなー」 ハハッ
垣根 「俺もビックリしたぜ、なによりお前らの演技力に」 パシャッ
上条 「あ、垣根。でもあれは半分ヤケクソだったし……」
垣根 「もしかしたらもっと本格的なやつが作れるかもしれねぇな」
上条 「いやいや、もう充分ですよ」
垣根 「次はもっと出演者を増やして、観客2000人くらい入るホールで……」
上条 「ホント勘弁して下さい」- 869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/05(月) 19:45:48.10 ID:9YgjxPWDO
- 垣根 「それにしても、こうしてちびっ子と遊ぶのは楽しいもんだ」
垣根 「寧ろ、俺達がちびっ子に遊んでもらってるような気さえするぜ」
上条 「そうなのかな……」
垣根 「いずれ大きくなって色んな壁にぶち当たるだろうけど、今は何事にも全力で取り組める筈だ」
垣根 「何も恐れることはない。一方通行達にもそれを分かってくれるといいなーなんて」
上条 「俺達も子供に見習う点はあるって事か」
垣根 「そういうこと、だから俺達も見習って全力で遊ぶぞ」
垣根 「よーしちびっ子達、俺と上条が相手になるから全員そげぶマンでいいぞ!」
上条 「へ?」
男児c 「いいの!?」
垣根 「ああ、そげぶマンは1人しかいないなんて誰も言ってないからな!」
上条 「何だそれ!」
垣根 「お前も準備しろ、子供は手加減なんて知らないからな」
男児達 「「「「そのげんそうをぶちころす!」」」」
カカッテコイヤー!
ヒエー!
- 870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/05(月) 19:49:59.71 ID:9YgjxPWDO
- ―――――――――
――日が沈み行く帰り道、6人の少年少女は今日の出来事を語り合いながら歩いていた
垣根 「今日は楽しかったなー」
一方 「ガキの相手はホント疲れる…」 フー
上条 「若さとは凄いもんだ」
麦野 「何ジジイみたいな事言ってんの」
結標 「ウフフ…これが欲しかったのよ……」 ブツブツ
心理 「結標さんが怖いんだけど」
一方 「ほっとけ」
垣根 「アイツらには元気に育って欲しいよ」
麦野 「そうね、実験台にされる子が1人も出ない事を祈るわ」
上条 「将来かー、俺もそろそろ考えないと」
一方 「その前に今の心配をしたらどうだ?」
上条 「うっ…」
垣根 「そうそう、補習とか大丈夫か?」
上条 「お前のせいで量が増えちまったよ!」
- 871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/05(月) 19:55:04.43 ID:9YgjxPWDO
- 結標 「焦らなくても、やりたい事なんてそのうち見つかるわよ。あの時と違って、今は時間があるんだし」
そう、今の彼らには自分だけの時間がある
ある者は未来の自分を目指し、ある者は暫しの安息を、ある者は残してきた課題に追われ……
心理 (私達にも、やっと考える時間が出来たのね……)
これからは自身を見つめ直し、どの道を進むのかじっくり検討していく事だろう
1人を除いて――
垣根 「ところで皆、唐揚げに何つけて食べる?」
麦野 「私は……」
- 903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/17(土) 21:08:58.05 ID:O+Bexh/DO
- ―――――――――
―――――
―――
――ったく、何でこうなっちまったんだか
テメェもテメェで好き勝手しやがって……
自分の置かれてる立場が分かってんのか、あぁ?
…………
チッ、ムカつく野郎だ
あの時もっと――――
- 904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/17(土) 21:09:28.25 ID:O+Bexh/DO
- ―――――――――
―――――
―――
12月16日(木)
オッス、俺はスフィンクス。若干不幸な少年と食欲旺盛なシスターが住む家で飼われてる三毛猫だ
正確には御主人様がシスターで宿主様が少年…といったところか
あ、分かってると思うがこれは全部心の声だからな?人間の言葉が多少理解出来るだけで喋れる訳ないからな?
しかし驚いたね。何がって、御主人様の成長っぷりに
突然帰って来たかと思えば料理はするわ家事はするわ、そりゃ宿主様もポカーンてなるわ
してもらってばかりなあの頃と比べたら感激の余り涙が出そう。暴飲暴食は相変わらずだがな
さて、そんなこんなで今日もゆる~い1日が始まる訳だが、生憎御主人様の姿はなく……
- 905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/17(土) 21:10:25.31 ID:O+Bexh/DO
垣根 「可愛いなー」 パシャッ
代わりに、チャラい兄ちゃんが部屋に居た
- 906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/17(土) 21:13:31.47 ID:O+Bexh/DO
- 垣根 「ホント、見てて癒されるぜ」 ナデナデ
コイツは最近ちょくちょく家に遊びに来てた奴だったな
こっちはいつの間に忍び込んだのか懐疑心でいっぱいだよ。宿主様め、とんでもない奴と仲良くなったもんだ
垣根 「ほれほれ~」 フリフリ
猫じゃらしだと?ふっ、そんなちんけな玩具じゃ俺は靡かな……わぷっ!おい、顔にワサワサするな!痒い!
垣根 「ははは、可愛い奴め」
兄ちゃんと違って朝は弱いんだから止めてくれ!
垣根 「腹減ってないか?俺は減ったんだけど」
お前のことは知らんが、確かに腹は減ったな
垣根 「猫用の餌は……あれ、どこだ?」 ガサゴソ
ここだここ、この棚の中
垣根 「ここか?えーっと……空っぽみたいだが」
御主人ー!切れたならそう言っといてくれよー! - 907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/17(土) 21:14:31.79 ID:O+Bexh/DO
- 垣根 「うーん……」 ガサゴソ
畜生、外行ってトカゲでも食うしかねーか。最近不味いのしかいないんだよなー……
垣根 「お、これハッピーターンじゃねえか。しかも大量に…」
それって確か宿主様が最近ハマってるお菓子だっけ。幸福が返ってくるとか言ってはしゃいでたなー
“毎朝一本ハッピーターン”なんて変な習慣作るくらいだし、余程信じ込んでるんだろう
垣根 「仕方ない、これでも食べな。もしかしたら幸福が返ってくるかもしれないぜ?」
おいおい猫が食っても大丈夫なのか?まぁ、空腹には耐えられんから頂くが……
垣根 「どうだ、美味いか?」 ポリポリ
うーん、この甘さと辛さの絶妙なバランス、イケる!人間はこんな美味いものを食ってるのか
垣根 「この際だから牛乳も飲んどけ」 ドボドボ
おお!普段水しか飲ませてくれない俺にとって高級ワインに匹敵する牛乳だ!
くぅ~、カルシウムが五臓六腑に染み渡るね~!
- 908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/17(土) 21:16:25.02 ID:O+Bexh/DO
- 垣根 「ふむ、猫と牛乳は相性がいいな」 パシャッ
何だかテンション上がってきた。今なら何だって出来る気がする!
垣根 「お、遊んで欲しいのか?じゃあ……」
―――――――――
垣根 「グデーっとしちゃって、流石に疲れたか?」 ツンツン
ひぃ、ひぃ……調子に乗りすぎた。うぇ、吐きそう……
垣根 「そんな姿も可愛く見えるなんて反則だぜ」 パシャッ
子猫といっても人間の年齢にしたらおっさん並だぞ、おっさんを撮って何が嬉しいんだ
- 909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/17(土) 21:17:10.29 ID:O+Bexh/DO
- 垣根 「今日は皆用事があるって言うから動物の日常風景を観察しようと思ってな」
はぁ、飼い猫の日常なんて見てもつまらんぞ?ほぼ家でゴロゴロしてるだけだ
そんなのより野良猫の方が観察しがいあるんじゃないか?
垣根 「初めは野良猫にしようかと思ったんだけど、中々見つからない上すぐ逃げられる…」
うーんまぁ、アイツらはあまり人間が好きじゃないらしいし
垣根 「という訳でだ、今日は俺とずっと一緒だからなー」 ナデナデ
ええー、さっきのあれでもう疲れたんだけど
垣根 「まずは、猫の身体について詳しく知ることから始めよう」
えっ……
垣根 「安心しろ、痛くしねぇから」 ニコニコ
いやいや、何?身体について知るってまさか……!?やめろ、やめろーーーー!!!
- 924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/28(水) 01:17:32.45 ID:3+wolz6DO
- ―――――――――
垣根 「――ほう、猫の髭はセンサーのような役割を持ってるのか」 ツン
かれこれ30分、俺は動物図鑑を片手に持つ兄ちゃんに身体を好きなように弄くり回されていた
最初はそれなりに抵抗したんだけど、こんな年だしすぐに持久力は尽きる訳で……
優しさと乱暴さが入り交じった手つきであらゆる場所を愛撫されながら思う
ああ……これが諦めの境地というものか……
だから俺は喉を鳴らし、快楽の海に身を任せているのだろう
垣根 「気持ちいい?」
嬉しそうに笑いながら俺の頭を撫でる。ああそうだよ、年甲斐もなく猫撫で声(文字通り)出しちゃってんだよ
垣根 「ここは?」
うぉっ、肉球フニフニはやめれ!でも、いい……
最近すぐ筋肉痛になるから毎日こんな風に全身ほぐしてくれると尚いいかも~
- 925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/28(水) 01:18:11.36 ID:3+wolz6DO
- 垣根 「…っと、こんなことばっかしてちゃ日常観察にならねぇな」
え?やめちゃうの?いや、別にいいけど……
垣根 「とはいえ、飼い猫って普段何して過ごしてんだ?」
さっきも言った(当然相手には伝わらない)が、家でゴロゴロしてるかアニメの再放送を見るくらいだな
あ、あと御主人と散歩に出たりするな。その時は昼飯(狩り)にしたり仲のいい野良猫と駄弁ったりしてる
垣根 「家に籠っててもあれだし、外へ出掛けるか」
……時々、俺の考えてる事が分かってるんじゃないかって思う
垣根 「んじゃ行こうか、えーっと……スカンクス?」
スフィンクスな
- 926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/28(水) 01:18:54.47 ID:3+wolz6DO
- ―――――――――
~公園~
垣根 「なんとなく公園へ来てみたが、誰もいない……」
そりゃそうだろ、学生は皆学校へ行ってんだから。逆に、何でお前は学校へ行かないの?
垣根 「学校か…、学校はたまに覗きに行く程度でいいんだよ」
学生にあるまじき発言だな
垣根 「お、あれって野良猫か?」
ホントだ。しかも俺の連れじゃん、ちょっくら声掛けに行こっと
垣根 「あ、スカンクス!」
スフィンクスな
おーいお前ら!
[あ、スフィンクス!]
<久しぶり~>
この2人(匹)は最近狩りの最中に知り合った野良猫だ。[]が虎猫の寅さんで、<>がぶち猫の染み吉
- 927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/28(水) 01:20:18.99 ID:3+wolz6DO
- 寅さんは気さくな性格で、産まれた時からずっと野良猫として生きてきたからそっちの経験は豊富だ
染み吉は割と温厚な方だけど、人間に対しては敵意剥き出しにする二面性を持つ猫だ。過去に人間に捨てられたんだって
その話を聞いた時、飼い猫である俺はどうなのか聞いてみたが、人間と猫は別との事
両方俺と同じくらいおっさんだから会話の内容もおっさん臭い。最近の若者(猫)についてとかマタタビに合うつまみとか……
[さっきから誰に説明してんの?]
あ、いやいや何でもない
<……あそこにいるのは君の飼い主?>
いや、その友達みたいなもんだ。今日は俺の日常観察がしたいんだと
[へぇー、あの兄ちゃんイカすカメラ持ってんね]
<そうかい、でも、あまりこっちへ近付けないでくれよ?>
気を付ける。それより今日はどうした?
<それが、飼い主とはぐれた子猫を見つけてね>
{……} - 928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/28(水) 01:21:46.44 ID:3+wolz6DO
- 黒猫か……年は俺達より結構若いみたいだな
[いやー困った困った、何を聞いても分からないしか答えなくてさー]
君、名前は?
{……分かんない}
どの辺に住んでる?
{……分かんない}
<とまぁこんな具合で、僕らもどうしていいのやら>
{……ぐすっ、ひっく}
[ちょちょちょちょ、泣かないで、泣かんといて!?ほら、さっき捕まえたヤモリあげるからさ!]
<寅さん、飼い猫にそんなもの与えちゃダメだよ>
[何ぃ!?俺がこれぐらいの年はミミズしか食ってなかったんだぞ!]
えーっと、じゃあ飼い主はどんな人?
{……女の人}
どんな服着てたか分かる?
{……制服}
- 929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/28(水) 01:22:51.07 ID:3+wolz6DO
- [ここは学園都市だからなー、制服の女の子なんていっぱいいるぞ?]
<他に、何か特徴みたいなのはなかった?>
{頭に……変なの着けてた}
変なの……?
{あと、近付くと嫌な感じがする}
[おいおい、それって飼い猫としてどうなのよ]
<君はその飼い主といて不快なのか?>
{不快じゃない…ってのは嘘になるけど、主人は何も悪くないんだ。寧ろ、可愛がってくれるし……}
{主人もその度にボクに謝るんだ。「ごめんね」って}
- 930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/28(水) 01:25:19.45 ID:3+wolz6DO
- じゃあ、君は御主人が嫌いという訳ではないと?
{うん……}
[よし、なんなら俺達と一緒に御主人様でも探すとするか!]
{えっ?}
寅さん、幾ら何でもこんなだだっ広い街を走り回れる程体力ないぞ?
<同感だ、下手に動いて入れ違いになるとそれこそ面倒だよ>
[バカ野郎!まだ若いもんに負けちゃいねぇ!それにおれが何年野良猫やってると思ってんだ?]
[俺には研ぎ澄まされた“野生の勘”ってのがあるんだよ]
イマイチ信憑性に欠けるが、ベテランが言うんだから期待はした方がいいかね?
<そうだね、期待しよう>
[安心しろ?俺達がいれば御主人様の1人や2人探すなんざ朝飯前だっての]
{あ、ありがとうおじさん!}
[よーし、では冒険の始まりだ!行くぜスフィンクス、染み吉!]
- 931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/09/28(水) 01:26:19.65 ID:3+wolz6DO
垣根 「これこれ、こういうのが撮りたかったんだよ」 パシャッ
垣根 「アイツら集まって何してんのかなー」 パシャッ
垣根 「やっぱ人間みたく世間話とかしてんのか?」 パシャッ
垣根 「『お前ん家の奥さん美人だよな』とか話してたりして」 プッ
垣根 「……あ、アイツらどっか行くみたいだ。俺も追わないと」 ダッ
御坂妹 「ああ、どこへ行ってしまったのでしょう、とミサカは途方に暮れながらも捜索を続けます」
御坂妹 「ちょっと目を離した隙にいなくなってしまうなんて……とミサカは己の失態を嘆きます」
御坂妹 「いえ、それよりもあの子を見つける事が先決です、とミサカは気持ち新たに足を早めます」 ダッ
- 947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:25:51.98 ID:NZKCcGuDO
- ―――――――――
――そういえば名前が分からないって言ってたけど、どういう事?
{実は、まだ決められてないんだ。幾つか候補はあったみたいだけど……}
<その候補とは?>
{イヌ、徳川家康、シュレーディンガーの3つだったかな}
[単純にクロとでも名付けるかと思いきや、斜め上の発想だな]
3つ目は俺達にとっておぞましい何かを感じるぞ
<飼い主はこの中から本気で決めるのだろうか>
{さ、さあ……}
- 948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:27:05.03 ID:NZKCcGuDO
- [そういや、スフィンクスって名前も珍しいよな]
<僕らは見た目から付けられたシンプルな名前なのにね>
俺も最初はビックリしたさ。でもいつか聞いた話じゃ「知識の番人にかけた」とか何とか言ってた気がする
<君の主人は記憶力がよかったんだっけ。なるほど、うまいね>
[こんなぐうたらに番人なんて務まるのかねー]
自覚はしてる
{ボクはなんて呼んでもらったらいいんだろう}
[『我輩は猫である。名前はまだない』って状態だもんな]
とりあえずイヌでいいんじゃね?
{猫なのにイヌ……}
<今の間だけさ、正式に決まればその名で呼ぶよ>
よろしくな、イヌ(仮)!
{う、うん……よろしく}
- 949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:29:35.85 ID:NZKCcGuDO
- [さて、まずはあっちから……]
ちょい待ち!
[どうした?]
ちゃんとした飯食ってないから腹が減って……
<まったく……早く済ましてくれよ>
[おう、それならいい場所知ってんぞ]
マジで?
[俺についてこい]
―――――――――
~ファミレス裏口~
[お、あったあった!丁度さっき捨てに来たみたいだ]
<人間の残飯か、よくそんなものが食べられるね>
[昆虫とか爬虫類の味に飽きた時なんかたまに来るんだよ]
{食べても大丈夫なの?}
[一部魚介類とかに気をつけてれば大体いける]
- 950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:30:19.49 ID:NZKCcGuDO
- <しかし、人間とは贅沢な生き物だね。食べれないからってすぐに残したり捨てたりする>
モグモグ……ホント、ウチん家じゃ今日をどうやって食い繋ごうか必死だってのにさ
{そんな過酷な生活なの?}
雨風凌げるだけ野良よりマシってとこだ
<食べられるなよ>
ブフォッ!不吉な事言うなって……
店員 「あー、またお前か!来る度ゴミ箱荒らしやがって!」
[やべっ!逃げるぞお前ら!!]
{ま、待ってよー!}
あとこんだけ……
<食い意地張るな!早く行くぞ!>
ちぇー……
垣根 「ゴミ箱荒らしとは如何にも野良猫って感じがするな」
- 951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:31:04.88 ID:NZKCcGuDO
- 店員 「ちょっとアンタ!何写真なんか撮ってんだよ!」
垣根 「見失わないようにしないと」 ダッ
店員 「」
御坂妹 「この辺りにはいませんか……とミサカは落胆します」 ハァ
店員 「姉ちゃん、ちょっとこれ片付けるの手伝ってくれないか?」
御坂妹 「どうかされましたか?とミサカは床に散乱するゴミを眺めながら質問します」
店員 「見ての通り、野良猫共がゴミ箱を荒らしていきやがったのさ」
御坂妹 「…!その中に黒い猫はいませんでしたか?とミサカは更に質問を重ねます」
店員 「あー、多分いたんじゃないか?皆あっちへ逃げてったけど」
御坂妹 「あ、ありがとうございます!」
店員 「いやいや、それよりも……」
御坂妹 「待ってて下さい、とミサカは手掛かりを元に捜索を再開します」 ダッ
店員 「」
- 952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:32:24.06 ID:NZKCcGuDO
- ―――――――――
あービックリしたー
[言い忘れてたが、これには人間に捕まるというリスクが伴う。食事中も油断出来ないぞ]
なんだよそれ、食べる時ぐらいゆっくりさせてくれよ
<飼われてる君には分からないさ>
[そうだな、イヌ(仮)がこんな生活しなくてもいいように、早いとこ飼い主を探さないとな]
{……!}
[どうした?]
{お、おじさん…あれ……}
[げっ、アイツらは…!]
<おうお前ら、誰の許可もろうてウチの縄張り踏み込んどんのや?>
イテマウゾワレー!
{ひぃ、凄い睨んでくるよ!?}
何あれ?
<この辺りを支配してる野良猫のグループさ。ここがそうだというのを忘れていたよ>
<で、シャム猫の彼<>がその幹部だ>
- 953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:33:15.71 ID:NZKCcGuDO
- [いやー悪い悪い、そうとは知らずに入っちまって……]
<これで何度目だ?流石の今日という今日はとっちめてやらんと示しがつかんわなあ?>
カクゴセーヨ!
クロネコタンハァハァ
{ど、どうしよう…!}
うーん…ここは1つ、俺が囮になってやるか
<そんな事して大丈夫か?>
分からん、でも宿主様なら絶対こうするだろうなーと思って
{でも……}
《やめろ》
{<[!]>}
<ぼっ、ボス!>
《ったく、たかだか入ったぐらいで大騒ぎすんじゃねーよ。ウチの品格が落ちるだろうが》
<しかし、このままでは周りから舐められて…!>
《あぁ?》
<す、すみません……>
《おう、部下が迷惑かけちまったようですまなかったな》
[いやいや、こっちこそ何度も踏み込んじゃって…]
- 954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:34:27.68 ID:NZKCcGuDO
- あれがボス?
<みたいだね、僕も初めて見たよ>
[実は、コイツが飼い主とはぐれたっつってよー、一緒に探してるんだ]
《そんな事情があったとは、益々迷惑をかけていたようだな》
あれ、意外と話が通じる?
《そういう事なら別だ、好きなだけ探してくれて構わんよ》
{ありがとうおじさん!}
<一時はどうなるかと思ったよ>
《何せ俺はペルシャ猫のチンチラだからな!多少の事なら笑って許せるさ》
え、ち○ちら?すげー卑猥な名前だな
<ば、馬鹿野郎!!言ってはいけない事を…!>
《ははは……いや、チンチラとは毛色の事であって、俺みたいな銀色だとそう呼ばれて…》
つまり、幾ら名前が立派でもち○ちらは覆らないって事?なにそれ可哀想
<お前わざとか!?わざとやってんだろ!?>
- 955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:35:10.74 ID:NZKCcGuDO
- 《……ぐすっ》
{あ、泣いてる}
[スフィンクス……]
え?俺何か酷い事言った?
<ぼ、ボス!しっかりしてください!大丈夫です、ボスのは凄いと評判ですし!>
《お前慰める気あんの!?馬鹿にしてない!?》
<め、滅相もありません!>
《……気が変わった。例えどんな奴であろうと、チンチラを馬鹿にする奴は許さん!》
<君が余計な事言うから怒ってしまったぞ!>
マジで!?自分でち○ちら言うから気にしてないかと……
《その表記を止めろ!!ええい、やっちまえお前らー!!》
オラーシニサラセー!!
イヤッホーーウ!
{うわー!みんな襲い掛かって来たよー!!}
[全力で逃げるぞ!!]
- 956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:35:38.08 ID:NZKCcGuDO
垣根 「猫同士の喧嘩かー、面白い事になってきた」 パシャッ
垣根 「あ、また逃げた。追跡追跡っと……」 ダッ
御坂妹 「む、何やらあちらから多数の猫の唸り声が……」
御坂妹 「もしや……とミサカは不安を胸に抱きつつ現場へと急ぎます」 ダッ
- 957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:37:19.12 ID:NZKCcGuDO
《こら待てーー!!》
<くそっ、しつこい奴らだ!>
ひぃ、ひぃ……
[おいスフィンクス!?息上がるの早いって!]
お、お前らと違って運動なんか全然してないんだし当然だろ!
おまけにさっき逃げた時に体力半分以上消費したから余計……
<燃費の悪い奴め…>
《くっそー!こんなに馬鹿にされたのはペットショップでの暮らし以来だ!》
[売られてたのか…?]
<元々ボスは温厚でとても優しい方だった>
<しかし、周りの連中はそれをいいことにいつもボスを罵倒してきた>
<特に酷かったのが“ち○ちら”という単語…。己の存在を誇りに思うボスにとっては凶器そのものだ>
《や、やめろ…古傷が痛む……!》
<す、すみません!>
《お前らに理解出来るか!?猫からも人間からも変態呼ばわりされ続けてきた俺の気持ちが!》
《「毛深過ぎちゃあち○ちら出来ないだろ?」とか「こんな可愛いのに名前が…」とか…グスッ、言われる…エグッ…俺の気持ちが!!》
<ボス!自分で自分を追い込まないで下さい!!>- 958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:39:29.95 ID:NZKCcGuDO
- 《俺はコイツと店を抜け出して決めたんだ……野良猫になって、俺の強さを皆に見せつけてやると》
《そして、誰にもち○ちらと呼ばせないとな!!》
<……真面目に言ってるんだろうが、どうしても間抜けに聞こえる>
ごめ…もう、無理……
{おじさん!}
<チャンスだ!アイツからやってまえー!!>
ウォー!
[スフィンクス!!]
<あの馬鹿…!>
垣根 「流石に止めに入るべきかな」
垣根 「でももうちょっと見てたい……?」
《!?何だ……これ…》
<頭が……痛い!>
[本当だ、こりゃあ一体…?]
{……まさか}
- 959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:42:57.03 ID:NZKCcGuDO
- 《くっ、今日は引き上げるぞ…!》
<は、はい!>
ヒギィ!コワレチャウゥー!!
マタクルヨ、クロネコタン…
御坂妹 「……良かった、無事でしたか」
<……誰だ?>
{御主人様ーー!!}
御坂妹 「わっ!み、ミサカに飛びついて大丈夫ですか?とミサカは自身が発する電磁波を危惧しながら抱き留めます」
{会いたかった、会いたかったよー!}
[これがイヌ(仮)の飼い主か…確かに嫌な感じがする]
あれって確か御主人の知り合いだったような……
御坂妹 「君達がこの子を守ってくれてたの?とミサカは3匹の猫に問いかけます」
<勘違いしないでくれ、君の為じゃなくイヌ(仮)の為に行動したんだ>
[まぁまぁそう威嚇しなさんな]
御坂妹 「おや?君は確か上条当麻の……」
- 960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:44:33.06 ID:NZKCcGuDO
- 垣根 「大丈夫かスカンクスー?」
スフィンクスな。てか、まさか最初からずっと見てたんじゃ…?
垣根 「ずっと追っかけてて止めようか迷ったんだけど、撮るのに夢中で忘れてた」 ハハハ
やっぱりか!こっちは死ぬ気で逃げてたってのに呑気にしやがって!
御坂妹 「この猫を知ってるのですか?」
垣根 「ああ、ちょっと友達のを借りてるだけだけどな」
御坂妹 「上条当麻の……」
垣根 「え、アイツ知ってんの?」
御坂妹 「はい、あの方はミサカ達にとって命の恩人ですから…とミサカは遠い目であの頃を振り返ります」
垣根 「アイツ、あちこちで色々やってんだなー」
垣根 「ここで会うのも何かの縁だ、そこでちょっと話でもしようぜ」
御坂妹 「別に構いませんが……」
- 961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:45:43.96 ID:NZKCcGuDO
- ―――――――――
~公園~
垣根 「――ふーん、そりゃ困った体質だなー」
御坂妹 「はい、だから不思議なんです。この子達がミサカから逃げないのが、とミサカは子猫達を撫でながら言います」 ナデナデ
{こんなの、慣れたらへっちゃらさ!}
この感じは二日酔いに似てるな。マタタビ浴びすぎた翌日みたいな?
<……>
[もっと嬉しそうにしろよ。缶詰めご馳走になってんだし]
<人間の施しなど頼んだ覚えはない>
[その癖残さず食うのな]
<食い物を粗末にするのは野良猫として許せんだけだ>
垣根 「その抱いてる黒猫がペット?」
御坂妹 「そうです、でもまだ名前を決めてないんです…とミサカはあの3つの名前をふと思い出します」
- 962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:49:12.01 ID:NZKCcGuDO
- ……あの3つのどれかになったらどうすんの?
{どの名前になってもボクは快く受け入れるよ。だって、御主人様がボクにくれる最高のプレゼントだから!}
[かー、泣かせるじゃないの!こういうの見ると飼い猫っていいなーって思っちゃうんだよ]
垣根 「でも良かったじゃねえか、こうして猫に囲まれてるんだし。体質なんて愛で乗り越えられる!」 グッ
御坂妹 「愛、ですか……」
垣根 「その拾った命で、今度はそいつを守ってやれよ」
<中々恥ずかしい事を言う男だ>
[人間のそういうロマンチストな所、案外好きだけどなー]
いや、こんな事言うのはこの兄ちゃんだけだと思う
- 963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:50:01.86 ID:NZKCcGuDO
- 垣根 「こうして猫との距離が縮まった記念に、1枚どう?」 ウキウキ
御坂妹 「え、写真ですか?とミサカは唐突な提案に戸惑いを覚えます」
垣根 「写真ってのはその一瞬を一生形に残す事が出来る優れものなんだぜ?1枚1枚が記念写真なんだぜ?」
何か押し売りみたいだな
御坂妹 「……では、1枚だけお願いしてもよろしいでしょうか?とミサカはあなたの熱意(?)に敗北を宣言します」
垣根 「よし、じゃあスカンクスと野良猫達も一緒に集まってー」
<何?僕はお断りさせてもらうよ>
諦めな、あれに捕まったが最後、どう足掻いても無駄さ。御主人俺の名前アイツに教えといてくんないかなー
{染み吉さん、ボクからもお願い~}
[イヌ(仮)の為なら問題ないだろ?]
<……仕方ない>
- 964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/06(木) 18:51:24.24 ID:NZKCcGuDO
- ―――――――――
――とまぁ、そんなこんなで撮影は行われた。飼い主の笑い方が印象的だったなー
口元だけ吊り上げた若干不気味な笑みだったが、本人は本気で笑ってたつもりらしい
イヌ(仮)は終始嬉しそうに、寅さんは恥ずかしそうに、染み吉はやや不機嫌そうな顔してた。人間には分からないけど
その後イヌ(仮)の名前をしばらく考えてたんだけど、結局決まらずに保留となった
この際イヌでいいんじゃね?なんて思ってるのは俺だけじゃないはず
……正直、今日はこんな忙しない日になるとは思ってなかったよ
こんなのが日常で起きてたら身体が幾つあっても足りんだろうなー
あの兄ちゃん、今日はついてたんじゃないの?
禁書 「スフィンクスー!」
お、どうやらご飯の時間のようだ
では、猫の一人語りもこれまでにして、いつもの子猫に戻るとするか―― - 975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/14(金) 17:24:13.83 ID:Soqvzj6DO
- 閑話~とある思い出の1ページ~
―――――――――
~ファミレス~
垣根 「今日は皆名前で呼び合う事な」
一麦上心 「「「「はい?」」」」
垣根 「だから、下の名前で呼ぼうっつってんの」
麦野 「また変なこと思いつきやがって……」 ハァ
垣根 「これはお前達のコミュニケーション能力の上昇にも繋がるんだぜ?」
一方 「誰がコミュ障だ」
上条 「まぁ落ち着いて」
垣根 「ある程度親交の深い人に、今度は名前で呼んでみよう」
垣根 「そしたら親近感も上がって自然と会話がスムーズになるはずだ」
心理 「根拠はあるの?」
垣根 「ない。強いて言えば気持ちの問題さ」
- 976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/14(金) 17:24:51.75 ID:Soqvzj6DO
- 上条 「あれ、一方通行と心理定規はどうすんだ?」
垣根 「あだ名で呼べばいい。一方通行は“あーくん”で心理定規は“こころん”な」
一方 「あーくンだァ!?ふざけてンだろ!」
垣根 「嫌か?じゃあパッと浮かんだ“百合子”でどう?」
一方 「あーくンちょっとイライラしてンだけどォ、相手してくれねェかなァていとくーン?」 カチッ
上条 「暴れない暴れない」 ガシッ
垣根 「じゃあ今から全員名字で呼ぶの禁止なー。アンタとかお前もダメ。呼んだら当麻のデコピン一回」
上条 「え、俺!?」
垣根 「だって一方通行の能力効かねえし、男女平等を掲げてんだろ?」
上条 「そんなこと一度も……」
垣根 「あ、あと名前で呼ばれない限り返事するのも禁止にしよう。うっかり返事した奴もデコピン一回で」
麦野 「めんどくせえよ」
垣根 「じゃあゲームスタート!」
- 977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/14(金) 17:25:26.93 ID:Soqvzj6DO
- ―――――――――
10分後
一方 「……」
麦野 「……」
心理 「……」
上条 「……」
垣根 「ちょっとちょっと、何皆黙りこんじゃってんのさー」
一方 「……」
麦野 「……」
心理 「……」
上条 「……」
垣根 「そうだ、名前呼ばないといけないんだった」
一方 「……おい」
垣根 「ん?」
一方 「誰も呼んでねェし。はい今返事したー、デコピン一回な」
垣根 「あっ」
上条 「許せ…!」 ビシッ
垣根 「ってぇ!またやっちまった…」 - 978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/14(金) 17:26:20.15 ID:Soqvzj6DO
- 垣根 「つかさー、会話しようぜ皆。何のためにこれやってんのか分かってる?」
心理 (あなたが変なルール作るからでしょ)
上条 (俺がミスったら全員からビンタって酷すぎだろ!そりゃ喋りにくくもなるって)
垣根 「名前で呼ぶだけじゃねえかよ……分かった、一辺俺の名前順番に呼んでみろ。まず当麻から」
上条 「帝督」
垣根 「次あーくん」
一方 「チッ……帝督」 ヒクヒク
垣根 「意外と素直だな、次こころん」
心理 「……帝、督」
垣根 「何で一瞬詰まった?最後は沈利」
麦野 「……とく」 ボソッ
垣根 「え?」
麦野 「……帝督」 ボソッ
垣根 「もう一回」
麦野 「あーもう、ていとくん!!」 ガンッ
垣根 「ていとくん?」
麦野 「ていと…ど、どっちでもいいだろ!」
垣根 「沈利何怒ってんの?」
麦野 「下の名前で呼ぶな!ムズムズすんだよ!!」 - 979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/14(金) 17:27:20.36 ID:Soqvzj6DO
- 垣根 「じゃあ“むぎのん”でいくか?」
麦野 「それも嫌だわ!」
一方 「バカ、俺と比べりゃ遥かにマシだろうがよォ。むぎのンも沈利も一緒だ」
麦野 「確かに、女の名前つけられるあーくんよりマシね。いや、百合子ちゃんかな~?」 ケラケラ
一方 「それは挑戦状と受け取っていいのかァ?名前1つでギャーギャー騒ぐ沈利ちゃ~ン」 カチッ
上条 「やめろ!店がぶっ飛ぶ!」
心理 (途端に賑やかになったわね……。確かに、距離はさっきより縮まってるみたいだけど)
垣根 「なぁこころん、何で名前教えてくれねえの?あの時言いかけてたじゃん」
心理 「気が変わっちゃったから……じゃ駄目?」
- 980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/14(金) 17:27:58.29 ID:Soqvzj6DO
- 心理 「それに、秘密事の1つや2つくらい誰しも持ってるものよ。帝督はないの?秘密事」
垣根 「ない……こともない」
心理 「でしょ?言いたくなったらいつか言うんじゃないかしら。過度な詮索は印象悪くするだけよ」
垣根 「ふーん……」
心理 「どうしたの?」
垣根 「ん?あぁ何でもない」
上条 「て、帝督ー!助けてくれー!」
垣根 「こら!沈利、あーくん、ここは公共の場だぞ!」
キメェカラヤメロ!
クソメルヘンガァ!!
ウオ!?ニタイイチハヒキョウダゾ!
心理 「そう言いつつ、皆名前で呼び合う所が可愛いわね」
- 981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/14(金) 17:29:15.71 ID:Soqvzj6DO
- ―――――――――
~黄泉川家~
芳川 「一方通行、コーヒー入れてくれない?」
一方 「……面倒くせェ」 スクッ
一方 (あの後、個別に課題を出すとか言って張り切ってたが……)
一方 (何が「家の誰かを名前かあだ名で呼んでみよう」だ。馬鹿馬鹿しィ)
一方 (……だが、これでコミュ障とか言われて笑われンのも癪だ) シュンシュン
一方 (上等じゃねェか…!やってやるよ。名前を呼ぶくらい造作もねェ、俺は学園都市最強の男だからなァァァ!!) コポポ
一方 「ほらよ…………桔梗」 コトッ
芳川 「」
一方 「……!!」 ドスドス
番外 「モヤシの奴どうしちゃったの?慌てて寝室に行っちゃったけど」
打止 「芳川が固まっちゃってるよ?ってミサカはミサカは目の前で手をヒラヒラさせてみたり」 ヒラヒラ - 982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/14(金) 17:29:49.41 ID:Soqvzj6DO
- 番外 「おーい芳川ー?」
芳川 「……あの子が、私の事桔梗って……」
番外 「えっ」
芳川 「声は小さかったけど、確かに言ったわ」
番外 「何で?」
打止 「あわわ、MNWがお祭り騒ぎに、ってミサカはミサカはまさかの展開にパニックになってみたり!」
黄泉川 「どうしたじゃん?」
打止 「それがね…」
一方 「言った、俺は言ったぞ!!俺はコミュ障なンかじゃねェ!」
一方 「ぎゃは、ざまァみやがれクソメルヘン!所詮は第二位、俺とオマエじゃ格が違うンだよォォォォ!」
- 983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/14(金) 17:32:20.16 ID:Soqvzj6DO
- ―――――――――
~上条宅~
上条 「……」
禁書 「とうま、さっきからずっと黙ったままだけどどうしたの?」
上条 (あんの野郎ー!滅茶苦茶な事言いやがって!)
上条 (「どこでもいいからシスターちゃんに触れ」って、セクハラ強要してんじゃねえよ!)
上条 (ごまかそうにも「明日シスターちゃんに聞きに行く」とか言ってるし、やらなかったら後が怖い……)
上条 (そうだ、これは課題、学校の宿題のようなものだ!意識するから駄目なんだ!)
上条 (普段過ごしてるように、いつも通りでいいんだ。何てことない日常の一部……)
禁書 「とうま!」
上条 「はひ!?」 ビクッ
禁書 「まさか、また何かに巻き込まれてたりする?」 ジッ
上条 「い、いやいや、そんなことは何1つありませんのことよ?(ある意味そうだけど)」 ドキドキ - 984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/14(金) 17:32:58.35 ID:Soqvzj6DO
- 禁書 「ふーん……そうだ、洗濯物直さなきゃ」 スクッ
上条 (しめた、これは俺がやると言って肩や手をさりげなく触るチャンス!)
上条 「い、インデックス!今日は俺が……!?」 グラッ
禁書 「わっ!」 ガシッ
ドターン!
上条 「いてて、悪いインデック…ス……?」 モニュッ
禁書 「……」
上条 (こ、この感触…そして桃のような形……まさか……!!)
禁書 「……とうま」 プルプル
上条 「……ごめんなさい」
ギャーーー!!
土御門 「今日は隣が騒がしいにゃー」
舞夏 「そうだなー」
- 985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/14(金) 17:34:30.95 ID:Soqvzj6DO
- ―――――――――
~麦野宅~
麦野 「ん、出来たよ」
滝壺 「おでんだ、おいしそう」
絹旗 「麦野の家に来るのは超久しぶりです」
麦野 「そうね、いつ振りかしら?」
浜面 「お前の家は暖かいなー。俺ん家は暖房器具全然ないから寒くて寒くて……」
滝壺 「それなら私が暖めてあげる」
浜面 「た、滝壺///」
麦野 「閉め出されてぇかはーまづらぁ」
絹旗 「十分暖まっただろうし、いいんじゃないですか?」
浜面 「いや待て!これは滝壺が……!」
滝壺 「いや?」ジッ
浜面 「そんなまさか!寧ろ嬉し過ぎて色々熱くなっちゃうというか……」 デレデレ
麦野 「浜面、あーん」
浜面 「あっつぅ!!がんもが顔に!!」
絹旗 「もう分かりましたからその辺にしといて下さい」
滝壺 「ごめんねみんな」
- 986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/14(金) 17:35:27.92 ID:Soqvzj6DO
ハマヅラコンニャクトッテ
ココデモパシラレルノカ…
ダイジョウブ、ソンナハマヅラヲ…
麦野 「……あ、あのさ皆」
絹旗 「はい?」
麦野 「私の事……む、む……」
滝壺 「む?」
麦野 「むぎのんって、呼んでみてくれない?」
浜面 「」
麦野 「おら、浜面言ってみろ」
浜面 「えっ」
麦野 「いいから!お前らも早く!」
絹旗 「むぎのん!」
滝壺 「むぎのん♪」
浜面 「むむむ……むぎの、ん」
麦野 「あはは……やっぱり違和感ありありね」
滝壺 「照れるむぎのん可愛い」
絹旗 「ちょっとドキッとしましたよ。これが超ギャップ萌えというやつですか」
- 987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/14(金) 17:36:03.98 ID:Soqvzj6DO
- 麦野 (ちくしょう、何だよ「アイテムの皆にむぎのんて呼んで貰おう」って!!)
麦野 (下の名前でいいだろが!でもあの時と違って変な感じはしないわね)
絹旗 「それにしてもどうしたんですか?急にむぎのんて呼んでみてだなんて」
麦野 「だって帝督の奴が……」
浜滝絹 「「「えっ」」」
麦野 (しまった!昼間のアレがつい……)
絹旗 「帝督って、垣根帝督の事ですよね?」
浜面 「今、下の名前で呼んだ?」
滝壺 「むぎのん……」
麦野 「ところで絹旗、こないだ借りた映画だけどさー」
絹旗 「ちょっと待って下さい!超何ですかさっきのは!」
浜面 「お、俺も気になるぞ麦野!」
滝壺 「これは問い質さないとね」
麦野 「うっせーお前ら!がんもぶつけるぞ!」
- 988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/14(金) 17:37:18.79 ID:Soqvzj6DO
- ―――――――――
~心理宅~
心理 「……」
垣根 「……」
心理 「……」
垣根 「……」
心理 「……」
垣根 「……」
心理 「……」 フイ
垣根 「あ、また逸らした」
心理 「無理よ、「1分間目を合わせ続けろ」だなんて」
垣根 「出来る出来る、俺が保証するから」
心理 「だから何の根拠があって言ってんのよ……」
垣根 「お前、人とあまり目を合わせたがらないよな。俺と話しててもちょっとずらすし」
心理 「そうね、人と目を合わすの苦手かもしれないわ」 - 989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/14(金) 17:38:07.75 ID:Soqvzj6DO
- 垣根 「“目は口ほどに物を言う”だっけか、人の目ってのは言葉以上に訴えかける力があるんだぞ?」
垣根 「お前が真剣に何かを伝えたい時、目を合わせられるようになっとかないと苦労するぜ?」
心理 「口うるさい先生みたいね」
垣根 「つっても、俺も目を合わせるのはちょっと恥ずかしい。だから一緒に練習しよう!」
心理 「……分かったわよ」 ハァ
心理 (改めてあなたの目を見ると、吸い込まれそうになるわ)
心理 (子供みたいにキラキラさせて……どんな世界が見えてるのかしら)
心理 (でも、それが一瞬だけ変わる時がある)
心理 (うまく説明出来ないけど、きっと私なんかが推し量れるようなものじゃない)
心理 (それが、あなたの持つ秘密事なの……?)
垣根 「……///」 フイ
心理 「あなたが逸らしてどうするの」
垣根 「あまりにも真剣に見つめられるから……」
- 990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]:2011/10/14(金) 17:41:23.82 ID:Soqvzj6DO
- 以上でこのスレの投下は終了します
そのうち次スレ立てます
タイトルは一緒です
ここまでの応援ありがとうございました
- 992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)[sage]:2011/10/14(金) 18:02:17.01 ID:po0IR7xAO
- なにこいつらスゲー可愛い
乙&埋め
2013年11月7日木曜日
垣根 「ほら、笑って笑って!」 2
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